野生生物小委員会(令和6年度 第34回) 議事録

開催日時

令和6年9月12日(木) 15:30~17:30

開催場所

AP新橋4階Eルーム(Web会議システム併用)

出席者

委員長 石井  実    
委員 小泉 透 勢一 智子  
臨時委員 五箇 公一 水田 拓  
専門委員 寺田 佐恵子 野尻 秀昭 桝 太一
  宮本 旬子 森本 淳子 八代田  千鶴
環境省 植田自然環境局長 飯田官房審議官  
  中澤野生生物課長 宇賀神鳥獣保護管理室長 荒牧希少種保全推進室長
  松本外来生物対策室長 大石野生生物課課長補佐 七目木野生生物課課長補佐
  信越自然環境事務所
百瀬野生生物企画官
信越自然環境事務所
小林生息地保護連携専門官
沖縄奄美自然環境事務所
檜山離島希少種保全専門官

議事録

【事務局】 それでは、定刻となりましたので、中央環境審議会自然環境部会野生生物小委員会(第34回)を開会いたします。
 私、環境省野生生物課の大石でございます。着座にて失礼いたします。
 本日は、お忙しい中、ご出席ありがとうございます。会議に先立ちまして、出席委員数のご報告です。本委員会は、全委員16名のうち、委員・臨時委員6名中、対面及びWeb会議システムによる参加人数は、5名の出席であり定足数を満たしておりますので、本委員会は成立しております。
 次に、本日の会議運営についてご説明いたします。本会議の傍聴につきましては、会場での傍聴は行わず、YouTubeにてライブ配信を行っております。ご了承ください。
 Web会議システムでご参加されている委員の皆様におかれましては、可能な限り常時ビデオボタンをオンにして、各委員のお顔が表示されている状態にしてください。なお、マイクは発信時を除き、ミュート設定でお願いいたします。また、Web会議システムでご参加の皆様におかれましては、ご発信を希望される際、画面下部の手のひらマークをクリックしていただきますと、黄色モードにて挙手状態となります。委員長からのご指名を受け、ご発信が終わりましたら、再度、手のひらマークをクリックして無色モードに戻してください。
 本日、会議室に対面でご参加の委員の皆様におかれましては、ご発言の際は名札を上に立てていただき、委員長からのご指名後、お手元のマイクをオンにして、ご発言をお願いいたします。発言終了後は、マイクをオフ及び名札を元に戻していただくようお願いいたします。
 資料につきましては、あらかじめ委員の皆様には電子データを送付しております。また、環境省ホームページの野生生物小委員会のページにアップロードしております。なお、この会場にお越しの委員の皆様には、紙での資料を一式ご用意しております。各資料は、議事次第2ページに記載の資料となっております。過不足等がございましたら、職員へお声かけください。
 最後に、本年7月以降に環境省職員の異動がございましたので、ご紹介させていただきます。
 7月1日付で自然環境局長、白石から植田に交代しております。
【植田自然環境局長】 植田です。よろしくお願いいたします。
【事務局】 同じく自然環境局担当大臣官房審議官、堀上から飯田に交代しております。
【飯田官房審議官】 飯田です。よろしくお願いいたします。
【事務局】 同じく希少種保全推進室長、河野から荒牧に交代となっております。本日、Webでの参加となっております。
 それでは、ここで自然環境局長、植田よりご挨拶を申し上げます。
【植田自然環境局長】 環境省自然環境局長を7月に拝命をしております植田でございます。対面でご参加をいただいております委員の先生、それからWeb参加をいただいている委員の先生、合わせて11名の先生と認識をしております。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 私は野生生物関係を長くやっておりますけれども、やはり年々、幅広くなってきていることは間違いないと思っております。今回のテーマといいますか、諮問案件は、国指定鳥獣保護区の変更、それから特別保護地区の指定ということで、割とトラディショナルといいますか、昔からあります鳥獣保護区の指定等について、諮問をさせていただくという案件でございます。
 鳥獣保護区の個別の地域の案件でございますので、少し細かい話になりがちでございますので、大事な部分に焦点を絞ってご説明差し上げますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 そのほか、報告事項が今回は2件ございます。この辺が大分、割と注目と関心が高まっております2件でございます。一つは、鳥獣保護管理法の改正、クマの関係の改正の件のご報告を差し上げます。もう一つは、カルタヘナ法の関係でご報告を差し上げます。その他で一つ、外来生物マングースの根絶の宣言についてもご報告を差し上げることにしております。これらは、いろんな意味で関心が高まっている件でありますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 
【事務局】 ありがとうございます。
 それでは、これからの議事進行につきましては、石井実委員長にお願いしたいと思います。石井委員長、どうぞよろしくお願いいたします。
【石井委員長】 皆さんこんにちは。委員長を拝命しております石井でございます。
 昨日、「自然保護憲章」というのがございますけれど、50周年記念シンポジウムが永田町の星陵会館でございました。1974年に制定されていて、この後の50年、どんなふうに展開していくのか。特に、ネイチャーポジティブによる社会変革をテーマにシンポジウム形式で開催されました。パネリストとして植田局長も登壇され、環境省の現職、OBの職員の皆さんも参加されるなど盛会でした。私もコメンテーターを務めさせていただきましたが、基本的には、50年たっても自然保護憲章の精神そのものは変わらないということが確認できました。短い文なので、紹介させていただきます。
 「自然をとうとび、自然を愛し、自然に親しもう。自然に学び、自然の調和をそこなわないようにしよう。美しい自然、大切な自然を永く子孫に伝えよう。」自然のありようは変わっていますが、やはりこの精神は変わらないと思います。この委員会も、この精神で活躍していければというふうに思います。
 それでは、本日は先ほど局長から紹介がありましたように、諮問事項が1件で、報告が2件、そして、その他が1件ございますけども、活発にご意見を伺えればと思います。
 委員会ですけれども、YouTubeのチャンネルにおいてライブ配信をしておりますので、報道関係者あるいは一般の方もご覧になっておられます。なお、議事録につきましては、後ほど事務局が作成し、本日ご出席の委員のご確認を受けた後、私、委員長が了承した上で公開するということでご了承いただければと思います。また、会議資料につきましても公開ということになってございます。
 それでは、早速ですけども最初の議題に参ります。諮問「国指定鳥獣保護区の変更及び特別保護地区の指定について」ということで、まず事務局からご説明をお願いいたします。七目木補佐ですね。よろしくお願いします。
【七目木鳥獣保護管理室補佐】 野生生物課の七目木と申します。よろしくお願いします。
 本日は、国指定鳥獣保護区の変更及び特別保護地区の指定について、諮問させていただきます。着座にて失礼いたします。
 まず、資料の構成から説明させていただきます。資料の1-1から1-6、資料1の参考資料という資料が、今回の説明資料になります。
 資料1-1は審議会への諮問と付議、資料1-3から1-6が、今回審議いただく鳥獣保護区、特別保護地区の計画書の環境省案となります。資料1-2は、今回、諮問案件の概要となります。本日の具体的な説明は、資料1-1と資料1の参考資料で行います。
 なお、資料1-3から資料1-6の計画書(環境省案)については、本日以降も編集上の修正が生じ得ますので、ご了解いただきたいと思います。
 では、資料1-1をご覧いただきたいと思います。
 本日は、中央環境審議会に国指定鳥獣保護区の変更及び特別保護地区の指定についてということで諮問し、自然環境部会に付議されております、本日の野生生物小委員会で審議いただきたいと思います。
 続きまして、資料1の参考資料をご覧いただきたいと思います。
 平成6年度国指定鳥獣保護区の変更及び特別保護地区の指定についてご説明させていただきます。
 まず、国指定鳥獣保護区の制度と今回の諮問の関係について説明させていただきます。今回の諮問事項は、国指定鳥獣保護区の変更及び特別保護地区の指定についてとなります。国指定鳥獣保護区は鳥獣法第28条により国指定鳥獣保護区は、国際的、全国的な鳥獣の保護の見地から重要と認める区域を、環境大臣が鳥獣保護区として指定するものであって、この鳥獣保護区では狩猟が禁止されます。鳥獣保護区では、法律では20年以内の指定をすること、20年以内を限度に存続することとしており、存続期限は更新が可能となっております。
 この鳥獣保護区の中で、特に鳥獣の保護または生息地の保護を図るために必要があると認める区域を特別保護地区として指定することができます。この特別保護地区内では、狩猟の禁止に加えて、工作物の設置、水面の埋立て、干拓、木竹の伐採といった開発行為が規制されることになります。今回の諮問は、この28条の鳥獣保護区の変更ということと、29条の特別保護地区の再指定が、諮問の対象になります。
 なお、本日、諮問にはありませんが、特別保護指定区域というものも、特別保護地区の中に指定することができます。
 4ページをご覧いただきたいと思います。国指定鳥獣保護区には、大規模生息地、集団渡来地、集団繁殖地、希少鳥獣生息地の指定区分があり、その指定区分ごとに指定基準が決められています。
 5ページです。国指定鳥獣保護区の特別保護地区は、自治体、利害関係人、国機関との調整を基に、環境省が指定の案を作成し、この案について公告縦覧、パブリックコメント、公聴会を開催し、それらの結果を踏まえて、中央環境審議会への諮問・答申をいただいた後、官報告示により指定することとなっております。
 つづいて今回諮問する国指定鳥獣保護区及び特別保護地区について、個別に説明していきたいと思います。
 7ページをご覧いただきたいと思います。今回諮問する国指定鳥獣保護区及び特別保護地区は、赤で示している下北西部、北アルプス、中海、大東諸島の4保護区です。変更を伴う更新をする北アルプス鳥獣保護区のほか、それぞれの鳥獣保護区内で特別保護地区を再度指定する案を作成しております。
 続いて、今回諮問の概要を記載した一覧になります。国指定鳥獣保護区では、北アルプス鳥獣保護区で、変更・拡張を行いたいと考えております。指定区分は希少鳥獣生息地で、富山県、岐阜県、長野県にまたがる鳥獣保護区になります。存続期間は、令和16年10月31日までの10年間、面積は109,989ヘクタールのところ、119,852ヘクタールに変更になります。
 特別保護地区のほうですけれども、下北西部、北アルプス、中海、大東諸島の特別保護地区を再指定しますが、下北西部では奥戸と下北西部、再指定になって、これらは希少鳥獣の生息地として指定しています。青森県を指定していまして、令和26年10月31日までの20年間、面積は変更なく1,068ヘクタールです。
 北アルプス鳥獣保護区ですが、立山、北アルプス、乗鞍の特別保護地区を再指定します。希少鳥獣の生息地として再指定します。富山県、岐阜県、長野県にまたがります。令和16年10月31日までの10年間、指定する計画にしております。面積は25,350ヘクタール。
 中海鳥獣保護区の中海特別保護地区ですが、こちらも再指定でして、集団渡来地として指定しています。鳥取県、島根県にまたがります。令和16年10月31日までの10年間、7,947ヘクタールです。
 大東諸島特別保護地区ですが、再指定になります。こちらの特別保護地区については、縮小する部分と拡張する部分があります。希少鳥獣の生息地として指定し、沖縄県に位置しています。令和26年10月31日までの20年間、指定する計画にしております。面積は234ヘクタールが、274ヘクタールに増加します。
 まず、個別の鳥獣保護区ですが、それぞれ青森県の下北西部鳥獣保護区ですけれども、奥戸特別保護地区と、下北西部特別保護地区の2か所、鳥獣保護区の中に指定しています。これは「オコッペ」と読みますが、奥戸特別保護地区の概要ですが、クマタカ、ハヤブサなど鳥類が90種、ニホンザル、ニホンカモシカ、ツキノワグマなど17種の獣類の生息を確認しております。
 管理方針ですが、12ページ目になります。希少鳥獣の生息地の保護区として、クマタカ、ハヤブサ、ツキノワグマ等の希少鳥獣の保護を図るため、適切な管理に努めることとしています。そのほか、モニタリング調査、関係機関との普及啓発を行うこととしております。また、農林水産業被害の発生状況の把握に努めることとしております。
 管理状況ですが、管理員と関係機関、森林管理署による巡視を行っています。あと青森県、研究者、関係団体等によって、ニホンカモシカ、ニホンザルの調査を継続的に実施しています。農林水産業被害は確認しておりません。0件ということですね。
 保護区内の鳥獣保護区の生息環境の変化ですが、3ポツ目になりますが、クマタカ、ツキノワグマの生息を確認しており、生息状況に変化はないと考えております。そのほか、4ポツ目ですけれども、ニホンカモシカの生息数は減少傾向、ニホンザルの生息状況に変化はないと見られております。
 次のページ、14ページです。下北西部特別保護地区になります。
 15ページ目です。こちらではオジロワシ、オオワシ、クマタカなど75種の鳥類、ニホンザル、ニホンカモシカなど17種の獣類の生息を確認しております。
 管理方針は、奥戸と同じく希少鳥獣の保護区として適切に管理に努めることとしております。またモニタリング調査、巡視、農林水産業被害の把握に努めるということにしております。
 17ページ目ですけれども、管理状況ですが、こちらも同じく国指定鳥獣保護区管理員と、国有林の森林管理署のほうで巡視を努めています。こちらもニホンカモシカ、ニホンザルの調査が継続的に行われています。農林水産業被害は確認しておりません。
 保護区内の鳥獣の生息状況です。3ポツ目、4ポツ目ですが、クマタカ、オジロワシ、ハヤブサ、ツキノワグマの生息を確認しており、生息状況に変化はないと考えております。ニホンカモシカの生息数は減少傾向、ニホンザルの生息状況に変化はないとされています。
 ページ番号はないですが18ページ目、公告縦覧、パブリックコメント、公聴会の実施結果になります。公告縦覧は、意見がありませんでした。二つ目、パブリックコメントですが、意見が1件提出されており、指定の存続期間の根拠を明らかにされたいということ。あと、細かくいろいろご指摘いただいていますが、計画書内及び計画書間の平仄と用語の定義等を整理してくださいということでご意見をいただいています。
 それぞれの意見の対応ですが、指定の存続については、下北西部の特別保護地区については、指定の存続期間は希少鳥獣の生息及び生息地の保護のためには、継続的に保護区として指定することが適当と考えられることから、鳥獣保護区の指定期間の最長である20年の指定が適当と考えております。
 二つ目の意見の平仄等についてですが、平仄の調整、用語の定義等については、例示いただいた内容を含めて確認しながら修正させていただきますということにしております。
 公聴会です。公述人10名の公聴会を開催し、全員の賛成を得ております。意見はありませんでした。
 続きまして、北アルプス鳥獣保護区の変更と立山・北アルプス・乗鞍特別保護地区の再指定について説明させていただきます。3県にまたがる鳥獣保護区で、北から立山特別保護地区、北アルプス特別保護地区、乗鞍特別保護地区が指定されています。鳥獣保護区の北西の部分に拡張する区域を表示しております。
 こちらの鳥獣保護区ですが、ライチョウ、イヌワシ等135種の鳥類、ツキノワグマ、ニホンカモシカ、オコジョなど38種の獣類の生息を確認しております。
 23ページ目です。管理方針なんですけれども、希少鳥獣生息地の保護区として、ライチョウ、イヌワシ等の保護を図るための適切な管理に努めることとしています。そのほか、定期的な巡視、関係機関と協力しての普及啓発、モニタリング調査、あとニホンジカ対策、ツキノワグマの人身被害の防止を図ることとしています。また、ラムサール条約湿地に登録されている部分、区域もあることから、それらの普及啓発に努めることとしております。
 24ページ目です。管理状況になります。希少鳥獣生息地の報告として、ライチョウ、イヌワシ等の保護を図るため、適切な管理に努めることとしておりますが、ライチョウについては、一部地域において生息状況調査を実施したほか、地元自治体と連携して、広域的な生息状況の把握に努めています。株式会社ヤマップさんと連携して、登山者からのライチョウの目撃情報の収集を行い、得られた情報を、保護増殖事業や今回の鳥獣保護区更新における参考情報として活用しました。
 その成果なんですけれども、下の図に示しておりまして、ヤマップさんから得られた情報というのは、右下の図のような形で表示されています。イヌワシについては後述したいと思います。
 25ページ目です。そのほか、ニホンジカの対策の連携、ツキノワグマの人身被害の防止の連携、26ページ目、巡視、普及啓発を行っております。
 27ページ目です。保護区内の鳥獣の生息環境、生息状況の変化です。ライチョウは、1980年代から2000年代初頭にかけて、個体数の減少が確認された一部地域においては、引き続き個体数が少ない状況が続いているんですけれども、比較的健全な個体群が維持されている地域もあって、保護区全体における個体群の存続には問題がないものと考えております。
 イヌワシについてですが、有識者へのヒアリング結果によって平成26年からの10年間において、保護区の一部地域で生息ペア数が減少するなど、生息状況の悪化が確認されています。餌資源の減少が要因の一つと考えられています。
 ニホンジカ、ツキノワグマについても、生息状況の確認をしております。
 28ページ目です。北アルプス鳥獣保護区の変更について説明させていただきます。鳥獣保護区の拡張部分、先ほども申し上げましたが、鳥獣保護区の北東部分の富山県内の部分ですね。拡張する計画としております。
 29ページ目です。拡張の目的ですが、イヌワシとライチョウの保護を目的としまして、イヌワシですが、富山県内に現存する5ペア全ての行動圏の一部を含むように、国指定北アルプス鳥獣保護区の区域を拡張したいと考えています。また、ライチョウについてですが、前回の更新後、登山者情報等により毛勝三山周辺において、ライチョウの生息に関する確実な記録を得られたことを踏まえて、当該区域を含むように拡張したいと考えております。
 鳥獣保護区拡張後の取組として、鳥獣対策とイヌワシ保全の両立に向けた調整、鳥獣保護区管理員等による希少鳥獣の生息状況に係る情報収集体制の強化をしていきたいと考えております。
 30ページ目です。ページ番号がなくて申し訳ありません。イヌワシですが、富山県内では、1990年代に21ペア以上観測していたんですけれども、現在では5ペアまで減少しております。この拡張において、拡張範囲は富山県内のイヌワシにとって重要なエリアになります。拡張によって富山県内のイヌワシ5ペアそれぞれの行動圏の一部が、北アルプス鳥獣保護区に含まれるようになるとしております。
 ライチョウです。ライチョウは、北アルプスは国内で最も多くのライチョウが生息する地域になっております。前回の更新後、得られた情報で、毛勝三山周辺においてライチョウの生息を確認しております。毛勝三山、この地図、右側の地図の左下の辺りですね。ここです。立山連山の北端の繁殖地として重要な地域であることも踏まえて、鳥獣保護区に含めるように変更したいと考えております。
 32ページ目です。今回、指定期間を10年と設定しております。10年とする理由は、北アルプス鳥獣保護区は、ライチョウやイヌワシをはじめとする希少鳥獣の生息を保護するためのエリアとして指定しています。指定期間を10年とする理由は、以下の4点から、状況に応じた保護対策が必要であり、10年後に鳥獣保護区内の状況を確認して、指定の再検討を行う必要があると考えております。
 一つ目ですが、対象とする希少鳥獣の分布状況は、生息環境等の変化によって刻々と移り変わること。二つ目、北アルプス鳥獣保護区は、当初のように空間的に閉鎖していないことから、周辺域から影響を受けやすいこと。三つ目、近年、ニホンジカやイノシシの生態系被害が拡大しており、希少鳥獣の生息にも影響が生じ得る可能性があること。四つ目、鳥獣保護区内外での開発利用が、希少鳥獣の生息状況や生息環境に影響を与える可能性があること。この四つで考えております。
 続いて、33ページ目、ページ番号がなくて申し訳ないです。公告縦覧、パブリックコメント、公聴会の実施結果になります。公告縦覧ですが、提出された意見はありませんでした。
 パブリックコメントは、同じく提出されておりまして、指定の存続期間の根拠を明らかにされたいということと、平仄に関する意見が出ております。指定の存続期間の根拠については、今、ご説明したとおりです。二つ目、平仄については確認しながら修正していきたいと考えております。
 公聴会ですが、北アルプスについては3県、それぞれで公聴会を開催しました。公述人が富山県で16人、長野県14人、岐阜県9人ですが、皆さん賛成ということで意見をいただいております。
 主な意見としては、富山県では鳥獣保護区の拡大に当たって、有害鳥獣被害対策に配慮して、関係市町村及び猟友会の意見を丁寧に確認していただきたいということ。長野県では、北アルプスにニホンジカが上がっていることから、どのように数を減らすか関係機関と打ち合わせて、対策を至急に行う必要があるという意見が出されております。岐阜県では、鳥獣保護区内であっても速やかに被害防止捕獲ができる体制づくりをお願いしたいという意見が出されておりました。
 35ページ目です。続いて、中海鳥獣保護区になります。鳥取県と島根県にまたがる中海に指定しております。
 こちら生息する鳥獣は、マガン、コハクチョウ、渡来する鳥類を中心に316種。アブラコウモリ、ホンドタヌキなど獣類6種を確認しております。
 管理方針ですが、集団渡来地の保護区として、ガンカモ類をはじめ、希少種を含めた多様な鳥類相を保護するため、巡視や普及啓発、鳥類の生息状況のモニタリング実施をします。増加したカワウによる水産業や生態系被害が生じていることから、関係機関と連携・協力して、個体群の管理に努めることとしています。
 管理の状況ですが、関係機関、研究者とともに、以下のカワウ対策などを実施しました。冬季を中心に環境省職員による渡り鳥の定点モニタリングを実施しています。鳥フル感染等の異常は確認されませんでした。
 また、中海では、2000年代からカワウの繁殖状況が見られていて、営巣木の衰退や湖の魚類相への影響等が深刻化しているということになっています。
 次のページですが、保護管理方針に基づく管理の状況ですが、中海のカワウの生息状況ですが、90年代までは越冬個体のみの生息だったものが、2000年代から繁殖個体が発生し、その後、急増しております。2008年には、夏季に1,000個体、冬季に2,500個体を確認しています。
 環境省、関係機関による個体数調整の実施しております。平成21年、22年には、偽卵による繁殖抑制、30年、31年にはシャープシューティング、令和2年には巣へのドライアイス投入による繁殖抑制を行っております。
 対策の効果としては、ピーク時から生息数を半減させて、一定の密度に維持しております。今後も、当面はドライアイス法を継続実施する予定にしております。
 中海鳥獣保護区も、10年の指定になっていますが、指定期間を10年とする理由としては、利害関係者との事前調整の中で、鳥獣保護区内で架橋の計画があるなど、湖岸線の変更が予定されていることが明らかになりました。鳥獣保護区の維持管理上、当面は指定期間を10年単位としたほうがいいと考えております。
 続きまして、次のページ、公告縦覧、公聴会の実施結果です。公告縦覧は意見がありませんでした。パブリックコメントは、ほかの保護区と同じく意見をいただいております。指定の存続期間については、今、ご説明したとおりです。二つ目、平仄の調整については、例示いただいた内容を含めて、確認しながら修正させていただくことにしております。
 次のページです。公聴会ですを開催しまして、19人の公述人がいまして、賛成が18人、回答辞退が1名ということです。主な意見として、ラムサール条約湿地として、バランスの取れた生業と生態系の維持・保全に努めてほしいということ。カワウの管理を継続的に実施してほしいという意見をいただいております。
 続きまして、大東諸島鳥獣保護区の特別保護地区の再指定です。
 46ページ目です。生息する鳥獣ですが、ダイトウコノハズク、ダイトウカイツブリなど68種の鳥類、ダイトウオオコウモリ、ニホンイタチなど2種の獣類を確認しております。
 管理の方針ですが、ダイトウオオコウモリ及び希少鳥類の休息の場、または採餌の場として、大池等の池沼の水面、その周辺の湿地及び森林について、現状のままの保全を基本とします。区域内の用排水路の整備、森林内の道路の改修に当たっては、鳥獣類の生息環境の保全に十分に配慮されるよう、関係地方公共団体、関係機関と調整を図っていこうと思います。特定外来生物等の侵入状況について、定期的に情報収集して、区域内の鳥獣の生息・利用等に影響を及ぼすおそれのある場合には、対策を検討していきたいと考えております。
 48ページ目、管理の状況です。環境省において、ダイトウオオコウモリ等の生息上重要な樹木であるダイトウビロウについて、生育環境の変化や外来種のタイワンカブトの食害による枯死が多数確認されたため、環境省において、それらの回復するための事業を行っております。また、平成28年度からは、継続的にタイワンカブトのフェロモントラップを設置して、駆除を実施しています。池沼・水路等に侵入しておるボタンウキクサ、オオサンショウモについて、村と協力しながら防除を実施しております。
 保護区内の鳥獣の生息環境、生息状況の変化ですが、フェロモントラップの設置によってタイワンカブトの低密度化に一定の効果が出ております。平成25年度のダイトウオオコウモリ一斉カウント調査によって、結果では、生息数は南北合わせて400個体と推定しております。
 49ページ目です。国指定鳥獣保護区特別保護地区の拡張・縮小についてです。まず拡張する区域ですが、北大東島、この上の地図が北大東島、大体、縮尺は同じにしております。北大東島では、幕林(はぐりん)の未指定であったところ、この青いところですね。右上の青いところですが、幕林の未指定であったエリアのうち、ダイトウビロウや希少植物が特に良好に残存している森林の区域を拡張したいと考えております。
 あと、南大東島では、幕林のうち、ダイトウオオコウモリによるねぐらとしての利用が確認された筆及びその筆が隣接する幕林の筆の区域ということで拡張を考えております。青いところですね。
 縮小する区域です。北大東島では、緑色のところですが、ギンネムの優先する果樹園及び土地所有者から承諾を得られなかった区域です。南大東島では、空港ターミナル跡地で、現在、開発に伴う土石の仮置場として利用されている区域等、資質が認められない区域を縮小することとしております。空港ターミナル跡地は、島の中心、南大東の島の中心に表示されております。
 公告縦覧、パブリックコメント、公聴会の実施結果です。公告縦覧は意見がありませんでした。パブリックコメントについては、ほかの保護区と同じ意見をいただいております。
 指定の存続期間の根拠ですが、こちらについては20年の指定ですが、指定の存続期間は、希少鳥獣の生息及び生息地の保護のため、継続的に保護区として指定することが適当と考えられることから、鳥獣保護区の指定期間の最長である20年の指定が適当と考えております。平仄については、内容の確認をしながら修正させていただこうと考えております。
 公聴会です。南大東島ですが、7名の公述人がいますけれども、全員賛成ということでいただいております。主な意見として、将来、村内の事業計画が今般の指定の地域において利用を検討する場合は、お互いに誠意をもって協議を行うことを希望するという意見が出されております。
 北大東会場では、5名の公述人がいまして、賛成が5名ということで、主な意見はございませんでした。
 時間オーバーになりましたが、説明を終えたいと思います。
【石井委員長】 どうも、ご説明ありがとうございました。
 本体はといいますか、資料1-2から始まって1-6までありますけれども、今は概要版でご説明いただいたということです。ですので、本体のほうからご意見をいただいてもよいと思います。その場合には、どんな内容で修文するかを示していただくとありがたく思います。
 それでは、委員の皆さんからご意見、ご質問を受けたいと思います。会場の委員の皆さんは名札を立てる形で、それからオンライン参加の委員の皆さんには、手のひらマークですね。画面の下のほうとかにあると思いますけれども、押し込む形で意思表示をお願いしたいと思います。
 それでは、ご意見、ご質問を受けます。いかがでしょうか。
 宮本委員、挙手されていますね。それではお願いします。
【宮本委員】 宮本でございます。聞こえていますでしょうか。
【石井委員長】 はい。聞こえています。お願いします。
【宮本委員】 大東諸島についてお伺いしたいと思います。私は、十数年前にちょっと植物の調査で何回か大東諸島に入ったことがあるんですが、2006年かな、2007年かと思いますけれども、鳥マラリアが問題になっていたかと思うんですが、現状どうなっているか、もし情報がありましたら教えていただきたいと思います。
 それと、あと2点ですが、もう一つは、ニホンイタチ、外来かと思うんですけれども、これが固有種等に何らかの影響を及ぼしているのかどうかという点についても、質問させていただきます。
 最後に、幕林のところに、当時、ちょっと不法投棄などのごみの問題が出ているというふうに、役場の方々からお伺いしたことがあるんですけれども、現在、その辺はあまり問題になっていないのかということについてもお伺いしたいと思います。
 以上3点です。分かる範囲でよろしくお願いいたします。
【石井委員長】 分かりました。
 それでは、3点ございましたけれども、今お答えできますでしょうか。お願いします。
【七目木鳥獣保護管理室補佐】 本日、それぞれ管理する事務所からも出席いただいておりますので、沖縄奄美自然環境事務所にも聞いてみたいと思います。
【沖縄奄美自然環境事務所】 沖縄奄美自然環境事務所の檜山と申します。ご質問いただいた点につきまして、回答させていただきます。
 最初の鳥マラリアにつきましては、こちらでは全く情報を今のところ得ておりません。
 2点目のイタチにつきましては、具体的に何かしら希少鳥獣に、例えばオオコウモリとかに影響があるかというのは把握できてはおりませんが、何かしら影響があるものと考えております。
 3点目のごみ問題につきましても、具体的に解決されているわけではない状況かと思います。こちらのほうでも巡視のために来島すると、ところどころでごみが見受けられる状況になっております。
 以上です。
【宮本委員】 ありがとうございました。
【石井委員長】 よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、勢一委員、お願いします。
【勢一委員】 ご説明ありがとうございました。勢一です。
 私からは3点、質問をさせてください。
 1点目はパブリックコメントで出ていました指定期間の理由ですね。私も以前、こちらの会議で申し上げたことがあったかもしれませんが、やはり20年以内という期間の中で、20年にするのか10年にするのかというのは、当然、理由があるはずで、それは今回の資料ではご説明いただいていたんですけれども、このパブリックコメントで意見が出たということは、指定の案を出すときには、それはお示しいただいていなかったということなんでしょうかと。もしそうであれば、パブリックコメントで意見が出る前に、併せて指定書の中に、こういう理由を書くことはできないのでしょうかというのが1点目になります。
 2点目ですが、パブリックコメントと併せて公聴会が行われています。概要をそれぞれの地区のものを全部合わせて説明していただいていますけれども、やはりこれを見ますと、例えば34ページでしたでしょうか。ここで北アルプスの公聴会の状況が説明されているんですけれども、本人出席がゼロなんですね、3回とも。それで、代理の方もかなり少ないという状況で、こういう開催状況を形だけ見ますと、会議として形骸化しているんじゃないかという疑念を持たれかねないような気はしています。日程調整は大変だと思いますし、対面で来るというのは、多分、距離の問題もあって難しいでしょうから、例えばオンラインで対応するとか、もう少し公述人の本人の出席がかなうような形で開催を検討することはできないのでしょうかというのが二つ目です。
 最後、三つ目は、大東諸島に関してですけれども、49ページのところで、拡張区域と縮小区域で、それぞれ理由をお示しいただきました。もちろん指定に当たって、土地所有者等の同意というか承諾が重要だというのは非常に理解するのですが、この縮小区域の北大東のほうでは、承諾が得られなかったことで区域から外すという案になっているかと思います。この区域というのは、鳥獣保護としては重要な区域になるのでしょうかということと、仮に重要な区域であれば、それを外してしまうということによる影響、そして、それに対して何らかの手当を今後考えられるのかについてお聞かせいただければと思います。
 以上です。
【石井委員長】 ありがとうございます。
 3点ございました。では、これも沖縄事務所のほうでよろしいですか。
【七目木鳥獣保護管理室補佐】 はい。三つ目の質問については、沖縄奄美事務所に確認したいと思います。
 まず、三つ目からでよろしいですか。
【石井委員長】 はい。
【沖縄奄美自然環境事務所】 沖縄奄美事務所の檜山です。
 縮小の場所につきましては、池沼の一部、ごく一部のエリアになっています。具体的に、土地所有者の方にお会いするために役場のほうにご連絡いただいたんですけれども、その時点でもう、何というか、承諾できないというふうなご回答をいただいた場所になっています。
 重要かという点につきましては、面積としては非常に小さな範囲になっておりまして、大きな池沼に附随する小さなエリアですので、ここはそれほど重要なエリアではないかなと考えています。
 手当につきまして、手当というか今後の対応につきましても、一応、大きな池沼の範囲については、特別保護地区となっていますので、その範囲で守られるのかなと考えているところです。
【石井委員長】 はい。今の件、よろしいですか。
【七目木鳥獣保護管理室補佐】 三つ目については、はい。
 一つ目と二つ目、20年の指定の理由、10年の指定の理由が書き込めないのかというところ。計画書に書き込めないのかというところと、まずそこからですね。これについては、ちょっと様式等を確認して、過去のほかの事例なんかも確認しながら、書き込めないかどうか、少し考えてみたいと思います。
 二つ目の公聴会における本人参加についてですけれども、オンライン会議、Web会議等の利用についても、採用しながら、今後の公聴会について、オンライン参加も可能なよう各事務所に周知していきたいと思います。
【石井委員長】 はい。よろしいですか。
【勢一委員】 そうしますと、現状でもオンラインの参加はできるということになっているんでしょうか。
【七目木鳥獣保護管理室補佐】 少し調整をして回答したいと思いますけれども、オンライン参加、基本的には可能だとは思いますが、うまく周知できていなかった部分もあるかもしれないので、内容を局内でまた確認をして、可能かどうかも含めて検討していきたいと思います。
【勢一委員】 はい。ありがとうございます。できる限り技術を活用してやったらいいのかなと思いましたので、ありがとうございます。
 1点ほど補足で。大東諸島のほう、ご説明ありがとうございました。こういう場でどうして承諾いただけなかったのかと聞いていいのかどうかよく分からないので、そこは詰めませんけれども、ただ、従前は区域であったところを外すというような形なので、恐らくその区域指定されていたときに、何らかの不利益というか、不都合がおありになったのかなという気はいたしましたので、可能でしたら、今後、ほかの区域でも似たような支障が出ないとも限りませんから、少しご研究いただけるとありがたいなと思いましたので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
【石井委員長】 はい。よろしいでしょうか。
 それでは、桝委員、お願いします。
【桝委員】 はい。ありがとうございます。私は、立場上、普及啓発という観点からお話を伺っていたんですけども、北アルプスの鳥獣保護区に関して一つ質問があります。
 ライチョウについて、ヤマップさんと連携した登山者からの目撃情報を基に鳥獣保護区の更新に参考になったという、とてもいいお話があったと思うんですけども、この実際の目撃情報が、これ、分かる範囲で結構なんですけども、どれくらいの人数、延べ人数の情報が提供されていたのかなという部分と、あと、長野県単独かもしれませんけど、ライポスというライチョウをアプリで目撃情報を登録するものがあると思うんですけども、あれで、例えばもし分かればなんですけども、ダウンロード数とかが分かれば、どれくらいこの保護区に対して、市民が積極的に参加しているかという一つの例になると思いますし、これは本当にとてもいい例なのかなというふうに思っていて、シチズンサイエンスという意味でも、ほかの保護区にも、ぜひぜひ近いようなことをこれから広げていければいいんじゃないかなというふうに思ったので、そこの部分が、分かる範囲で結構ですので伺えればと思います。
【石井委員長】 ありがとうございます。
 それでは、事務局、お願いします。
【信越自然環境事務所】信越事務所、小林です。ヤマップとの連携については、年間大体、全国で、北アルプスだけではなく、南アルプスまで含め、全国8,000件ぐらいの情報が年間で集まっています。一方ライポスは、正確な情報ではないですが、目撃情報としては、1,000前後と思います。
 以上です。
【桝委員】 ありがとうございます。非常に思った以上に多くてびっくりしたことと、やっぱり市民からの情報が、実際にこうやって環境省さんの施策に反映されたというところが、すごく、何でしょう、市民の皆さんにとっても大きな一つのことになると思いますので、ぜひこの参考に使いましたよということも周知してほしいですし、ほかの保護区でも生かしてほしいなというふうに思っております。
【石井委員長】 はい。どうもありがとうございます。
 それでは、森本委員、お願いします。
【森本委員】 森本です。
 私も、北アルプスの鳥獣保護区の変更についてご質問があります。29ページに、鳥獣保護区拡張後の取組の1番に、鳥獣対策とイヌワシ保全の両立に向けた調整とあります。特に鳥獣対策については、どのような取組を考えられているのか、お伺いしたいです。ニホンジカが増えているということで、その点について特にどのような対策を考えられているのかをお伺いしたいです。お願いします。
【石井委員長】 事務局、お願いします。
【信越自然環境事務所】 信越事務所の百瀬です。 鳥獣対策の件ですが、今回の北アルプス鳥獣保護区については、中部山岳国立公園という国立公園のエリアにほぼ重なるような形になっております。この国立公園では、野生鳥獣対策連絡協議会というものが、平成25年から組織されておりまして、その中で中部山岳国立公園ニホンジカ対策方針という方針が立てられ、シカ対策等を進められているところでございます。こちらの方針に沿いまして、鳥獣対策を進めていく予定としております。
【石井委員長】 はい。森本委員、よろしいですか。
【森本委員】 ありがとうございます。特に高山地帯でのシカの食害を非常に懸念しておりまして、それでなくても気候変動で積雪深が減少して、高山植物が減っていくという現象がありますので、それに加えて、シカの食害が発生すると、もう取り返しがつかないという事態になりますので、ぜひ、これまでやってきたことを踏襲するというだけではなくて、より積極的に鳥獣対策、シカ対策をしていただくということが重要かと思います。お願いします。
【石井委員長】 信越事務所、よろしいでしょうか。
【信越自然環境事務所】 はい。モニタリングについては、毎年、私どもが直接行っているものと、周辺の関係市町村、県の皆様からの情報を集めまして、シカの高山帯への進出状況を確認しているところです。その結果を見ながら、問題がある地域については素早く対応するように、また協力を求めながら対応していきたいと考えております。
【石井委員長】 はい。よろしいですね。
 そうしましたら、お待たせしました。オンライン参加の八代田委員、お願いします。
【八代田委員】 八代田です。
 ご説明ありがとうございました。私も、指定期間について1点と、もう一点、先ほどありました北アルプスの件についてご質問させていただきたいと思います。
 指定期間につきまして、冒頭でパブリックコメントする前に書き込めないかというご提案もありましたけれども、指定期間を今回10年とする場合と、20年とする場合と二通りのご提案がありました。それぞれの期間にした理由は、それぞれで記載はされているんですけれども、基本的に10年にするのか、20年にするのか、また最長20年ということで、15年とか5年というような選択肢もある中で、10年、20年というふうに設定している目安といいますか基準がちょっと分かりにくいのかなと感じました。なので、もし何かそういった基準等がございましたら教えていただければと思っております。
 もう一点が、北アルプスの件で、先ほどご質問がありましたニホンジカの件です。40ページのほうに、島根のほうの管理状況で、カワウの個体数調整を実施しているということで、こちらは環境省さんが主体となってされているというふうに記載されております。一定の効果が見られたということで、今後も実施するというような記載になっておりますので、大変、非常によい取組かと思います。一方で、ニホンジカは、同じように環境省さんだけが主体で実施するというのは、なかなか難しいところがあるかと思いますけれども、鳥獣保護区等に指定するということもありますので、環境省さんが主体というか主導する形で、ニホンジカ対策を打ち出していくというような取組も重要なのではないかなというふうに考えましたので、そういったご予定が、今後特に拡張するということですので、そういった地域での取組について何かご検討されていることがあったら教えていただければと思います。よろしくお願いします。
【石井委員長】 それでは、2点ございました。事務局、お願いします。
【七目木鳥獣保護管理室補佐】 指定期間のお話から、まずお答えしたいと思いますけれども、指定期間については、鳥獣法の基本方針に定められていて、20年以内とするが鳥獣保護区の指定区分と生息する鳥獣の生息状況に合わせて適切な期間を設定することとしておりまして、実際は10年以外でも指定できるものと考えておりますが、10年と20年以外の鳥獣保護区は、見たことがなくて、運用上20年もしくは10年になっているという現状はあります。すみません、決まり事はないということですね。
【石井委員長】 今の件、よろしいですか。慣例というような感じなんでしょうか。
【八代田委員】 ありがとうございます。今回のご説明ですと、10年にした理由が、今後の状況が変わるかもということでしたので、例えば20年で指定した場合に、その期間の間に何か状況が変わった場合に、変更ができないのかどうかということはいかがですかね。変更は可能ということでよろしかったでしょうか。
【七目木鳥獣保護管理室補佐】 はい。変更は可能です。
【八代田委員】 はい。ありがとうございます。その辺の10年を選択するか20年を選択するかというところが、もう少し分かりやすければ、一般の方のご理解も進むかと思いますので、ぜひ整理していただければと思います。ありがとうございます。
【石井委員長】 はい。では2件目、お願いします。
【信越自然環境事務所】 はい。信越事務所の百瀬です。
 八代田委員からご指摘がありましたシカの捕獲個体数調整の件ですが、これまであまり環境省独自で捕獲には取り組んで参りませんでした。数年前から上高地にて、環境省が直接捕獲する試験的事業を進めています。上高地は特に、周辺から入り込んできている状況に加え、国立公園の中でも象徴的な場所であることもありまして、試行的に捕獲を進めているところです。
 一方で、北アルプスのエリアでは、上高地だけではなく、扇沢という大町方面とか、小谷村栂池地域とか、あとは富山側でいうと立山地域ですね。シカの被害が徐々に目立ってきている場所がございます。そういった場所では、地元の県市町と協力しながら、様子を見つつ、モデル的に何かを進められていければというところまでは考えているところです。今後、具体的に捕獲、個体数調整について検討していきたいと考えているところです。
【石井委員長】 八代田委員、いかがでしょう。
【八代田委員】 ありがとうございます。ぜひ、中心となって進めていただければと思います。関係する機関や利害関係者の方、たくさんいらっしゃいますので、環境省さんが中心になって進めるという姿勢を打ち出していただけると、個体数調整等も進むかと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
【石井委員長】 それでは、お待たせしました。小泉委員、お願いします。
【小泉委員】 ありがとうございます。小泉です。
 私は、計画書全体についてコメントしたいと思います。これは国指定鳥獣保護区の案件が出るたびに、昔からずっと言っているのですが、一向に直らないので、また今回も発言させていただきます。そろそろ、インベントリ、目録をベースにした計画書はやめ、モニタリング調査に基づく数の動態をベースにして、計画書を策定していきませんかという提案です。
 計画書を読ませていただきますと、何年に調査をしたのかが分からないインベントリが出てきて、丸印がついていて貴重だということなんですが、もうこういう時代ですから、希少鳥獣に関してはきちんとモニタリングをして、その数の動態から、引き続き指定が必要であるというような論法で進めていっていただきたいと思います。
 ライチョウについては、市民参加型で入ってきているようですけれども、その内容が一向に計画書のほうに反映されていない。イヌワシのほうも、特に計画書のほうに数の動態が報告されているわけではない。それから、中海に関しては、集団渡来地なのに数の動態が書かれているのがカワウだけという、ちょっと残念な結果になっています。
 恐らく、計画書を策定する要領というのがあると思うのですが、それがこのインベントリでいいですよというふうになっているから、ずっとこうなっているんだと思うのです。その要領をもう少しその数の動態に基づいて策定するようにというふうに変更していただけませんでしょうか。
 古典的な意味での生物多様性の保全という意味では、国指定鳥獣保護区、また、特別保護地区というのは、非常に中核的な存在であるわけです。そこで、インベントリベースの計画書というのは、もうそろそろないのではないかというふうに思いますので、この点、今後、改めていっていただきたいと思います。
 全体に関しては、私は異論はありません。
 以上です。
【石井委員長】 分かりました。ご意見ということで。インベントリも、すなわち定性的なデータですよね。今までいたことがあるとか、いる、いないデータを出すということですけれど、モニタリングということになると、この10年間どんなふうに推移したかという内容のデータを出してほしいということだと思います。
 何か事務局、ご意見はありますか。
【宇賀神鳥獣保護管理室長】 鳥獣管理室長、宇賀神と申します。
 ご指摘、ごもっともでございますので、内部でもよく検討して、対応策を考えたいと思っております。
【石井委員長】 はい。多分、労力もかかるんだろうと思いますけれども、そういうことも、この時代、必要なのかなということだと思います。
 ほかの委員の皆さん、よろしいですか。
 勢一委員、はい。お願いします。
【勢一委員】 すみません。勢一です。
 先ほど事務所の方の説明の中で出てきた点で、1点ちょっと教えていただきたい部分があったので質問させてください。
 先ほど上高地で試行的に環境省がシカの捕獲を進めているというお話がありました。もちろん国立公園ですし、重要なことだと思うのですが、上高地は、たしか国指定の文化財でもあって、文化庁の政策、施策の範囲内での要請もあったはずだと思います。
 現地では、自治体がいろいろ連携して対応するということになっていると思うんですけれども、文化庁は、国の組織ですので、その辺りの環境省と文化庁の何か連携とか、その体制はどういう形になっているんでしょうかというのを教えていただければと思います。
【石井委員長】 はい、どうでしょう。どなたか事務局。
 中澤課長、お願いします。
【中澤野生生物課長】 一般的に現場では文化財について市町村の教育委員会と対応していることが多いです。ですから、現場のレンジャーとその教育委員会とが連携して取り組むとか、そういう例はございます。ただし、もっと俯瞰的に見て、天然記念物にも指定されている獣類、例えばカモシカについて今後どうするかということは本省ベースで連絡をとったり、カモシカに関して言うと環境省と林野庁と文化庁と、この3省庁で連携して今後の方向性を検討したりとか、レベルに応じて現場、それから本省、で対応を進めています。
【勢一委員】 はい、ご説明ありがとうございました。国立公園もいろいろな形で幅広く利用を拡大していこうという形になっていて、それには当然地域の協力と連携が不可欠です。おっしゃるとおり、それぞれいろいろなパターンでの調整、いろんなレベルでのやり取りがあるんだと思いますけれども、地域空間全体としてみれば、それぞれの相互の調整みたいなものが必要だと思います。関係者が多くて大変だと思いますけれども、何かいい形での連携体制がこれから整理、構築できるといいかなと思いましたので、一言コメントさせていただきました。ありがとうございます。
【石井委員長】 それでは、小泉委員、お願いします。
【小泉委員】 すみません、もう一点あったのですが、忘れてしまいましたので改めて質問させていただきます。
 北アルプスの、説明資料の25ページに上高地で確認されたニホンジカの写真が載っているのですが、これは明らかに餌をまいて給餌していますよね。どうしてこの写真を使ったのか、今後いろんな人が見ると誤解を招かないようにご検討いただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
【石井委員長】 要するに、こういう写真は載せないほうがいいというご意見でしょうか。
【小泉委員】 載せないほうがいいというよりは、上高地で確認されたニホンジカという説明で使うのはちょっと不適切かなと思いました。例えば、生態系維持回復事業の一環として給餌しているとか、誘引しているとかというふうな説明だったら、それはそれで構わないんですが。
【石井委員長】 分かりました。
 事務局、何かありますでしょうか。
【信越自然環境事務所】 信越事務所の百瀬です。
 ご指摘はごもっともかと思います。写真の使い方が誤解を招くようなものだったかと思います。当所では、センサーカメラでモニタリングをしながら確認を進めているところですが、これはちょうど捕獲しているわなの前にかけたセンサーカメラの写真かと思います。今後は注意して写真の使用は気をつけていきたいと思います。
【石井委員長】 よろしいでしょうか。
 ほかはよろしければ、この案件は諮問案件ですので、皆さんにお諮りしたいと思います。
 すみませんけれど画面共有を外して、委員の皆さんのお顔を見えるようにしていただけますでしょうか。
 そしましたら、会場の皆さんは挙手で、それからオンラインの皆さんも画面から見えるように高く手を挙げて挙手をしていただければというふうに思います。それではお諮りいたします。
 今、質疑応答がございましたけれども、特に反対の意見はなかったと思っております。それでは、事務局のこのご提案のとおり、適当と認めてよろしいでしょうか。認めていただける方は挙手をお願いします。
(挙手)
【石井委員長】 はい、ありがとうございます。
 ということで、本件は適当と認めるということにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
【七目木鳥獣保護管理室補佐】 ありがとうございました。
【石井委員長】 では、次は報告案件となります。2件ありますので、まず初めに、報告の鳥獣保護管理法の改正に向けた検討状況についてということで、事務局からご説明をお願いします。これは宇賀神室長、お願いします。
【宇賀神鳥獣保護管理室長】 はい。鳥獣保護管理室長、宇賀神と申します。着座で説明させていただきます。
 このクマの関係でございますけれども、前回に引き続きご説明させていただくということになってございますので、前回の3月26日の委員会以降の内容も含めて、法改正の話をご説明させていただきたいと思います。
 まず1ページ目でございますけれども、クマ類ということで、北海道にすむヒグマ、それと本州のツキノワグマの生息と被害状況という現状認識のご説明でございます。これは左の日本地図につきましては、前回の小委員会でもご説明したところでございますけれども、北海道にすむヒグマは分布域は約1.3倍に拡大しております。一方で本州のツキノワグマにつきましても1.4倍に拡大、ただし四国につきましては分布域は縮小、九州は既に絶滅という状況でございます。地域によって状況が違うということがございます。
 この資料、ございませんけれども、個体数については、北海道については30年間で約2倍に増加したということ、本州につきましても、ほぼ増加、安定化ということで、増加傾向だということが確認されてございます。
 生息状況でございますけれども、人口減少ということ、あるいは高齢化ということで、クマの分布域が人の生活圏、いわゆる里山に拡大しているという状況を指摘されてございまして、特に昨年度は右の下にありますけれども、秋の東北、これが堅果類、いわゆるどんぐりの不作、凶作ですね、そういったことをきっかけにクマ類が市街地等に出没しまして、人身被害が過去最多ということでございます。表でございますけれども、一番右の令和5年度につきましては、118件219人の被害者が出たということが記録されてございます。
 続きまして、2ページ目でございます。クマ類による被害防止に向けた対策方針に基づく施策パッケージということで、二つの中身が含まれてございます。前回ご説明したときは、この前段の対策方針について概要をご説明しました。これにつきましては今年の2月に専門家委員会において科学的知見に基づきまして被害防止に向けた対策方針というのをまとめていただいたというところでございます。この中身につきましては、クマ類の地域個体群を維持する、四国で減少してございますので、個体群を維持しつつ、人の生活圏へクマを出没させないということによって人とクマのすみ分けを図る。それによって被害防止を図るというところでございます。
 この方針を踏まえまして、令和6年4月16日に、まずはクマ類を指定管理鳥獣ということで現行全国的に広がっておりますイノシシとシカに加えまして、クマ類を指定管理鳥獣にしたということでございます。あわせまして、今回ご説明します施策パッケージ、これは右肩のほうに農林水産省、林野庁、国土交通省、環境省、警察庁と関係省庁がございますけれども、こういった関係省庁が初めてクマの被害対策ということで施策を取りまとめたということでございます。各施策の後に括弧がついてございますけれども、その中に担当する省庁の名前を書かせていただいたということでございます。
 具体的な中身につきまして、ちょっと詳細をご説明すると時間がございませんが、1から5まで、それぞれ対策方針に示されたものに準じて構成されておりますが、例えば省庁別に見ると、農林水産省につきましては農地周辺での捕獲を含む出没防止、それは、例えば1番の中に入ってございます。林野庁につきましては5番なんですけれども、生息環境としての森林の質の向上が書いてあります。国土交通省につきましては、これは1番の丸の2ポツ目になってございますけども、クマ類が河川を使って移動するということも聞かれておりますけれども、そういった河川の生息環境管理に関して支援。具体的にはセンサーカメラの設置支援する、あるいは、堤内の森林を刈っていただくことで侵入防止を図ると、そういったことを支援していただくというところでございます。警察庁につきましては、2番目の上から四つ目でございますけれども、クマが出没したときの安全確保というところでご協力いただけるというふうな形で書いてございます。環境省につきましては、いろいろ施策を書いてございますけれども、今回のご説明にありますような鳥獣保護管理法改正の検討、これが2番目の上から3番目の丸でございますけれども、こういったことを記載しております。この内容につきましては、単に捕獲することで解決を図るということではなくて、捕獲に偏らない総合的な対策を講じることで被害を防止する意図が確認していただけると幸いでございます。
 こうした施策のうち、環境省分、いろいろ書いてございますけれども、指定管理鳥獣の指定と法改正以外のところにつきましては、都道府県が事業を実施するという際に、財政支援として指定管理鳥獣対策交付金と、いわゆる補助金を環境省は持ってございます。従来のシカ、イノシシに加えまして、クマ類をこの交付金の中に入れるということで、次年度、令和7年度の予算で要求するということを検討してございます。
 最後のページでございます。住居集合地域等における銃猟等に係る鳥獣保護管理法改正の検討ということでございます。状況としては、途中経過というところでございますので、詳しい条文等は示すことができませんけれども、現時点の状況としてご説明させていただきます。
 鳥獣保護管理法におきましては、住居集合地域等、人や財産に被害を及ぼすおそれの高い場所では、第38条で銃による捕獲等が禁止されているというところでございます。そのため現状では、そういった地域にクマ類が出没した場合は、警察官が警察官職務執行法に基づいて、ハンターに発砲指示するというような応急的な対応等に限られているということでございます。昨年の秋のクマが大量に人里に出没した案件の中では、そういった緊急時の対応に支障が生じるという事例が報告されたというところでございます。
 そのため、もっと安全な、手前のというか、そういった状況の中で予防的に迅速に対処が可能とするために、専門家の検討会を開かせていただきまして、概要にございますけれども、市街地にクマ類、あるいはイノシシのような大型の獣類が出没した場合には、安全の確認等、一定の条件下で、猟銃または麻酔銃による捕獲を可能にするという提言をいただきました。具体的には矢印で書いてございますけれども、危険が生じる以前、予防的・迅速な対応を可能とする。あるいは、周囲に人がいない等の安全確保の条件を整理する。銃器の発砲による器物等が損失した際の補償、それと一定の技術を有する者に限り、夜間の銃猟、これは市街地の中での発砲も含めまして、かなり慎重な対応が必要でございますので、こういった一定の技術を有する者に限り夜間の銃猟を可能とするというような提言がなされております。
 環境省としましては、この内容を踏まえまして、鳥獣保護管理法の38条に関する具体的な条文の検討を行っております。あわせて、最後の矢印でございますけれども、法改正の作業以外にも、安全確保のガイドライン、これは自治体に対する技術的支援になりますけれども、こういったものも併せて作業を行いながらご提供するということを考えております。
 以上でございます。
【石井委員長】 はい、ご報告ありがとうございます。
 では、この案件につきまして、委員の皆さんからご意見、ご質問等があったら受けたいと思います。
 では、先ほどと同じように、会場の委員の皆さんは名札を立てていただき、オンライン参加の皆さんは挙手ボタンでお願いしたいと思います。
 では、小泉委員、お願いします。
【小泉委員】 はい、ありがとうございます。小泉です。
 3ページ目の、最後にご説明いただいた資料でシカが入っていないのですが、これは市街地にシカが出没した場合は、猟銃または麻酔銃による捕獲が不可能だということなのでしょうか。
 ここからは意見です。麻酔銃は状況に応じて、どんな動物でも状況に応じてなのですが、シカの場合は一定の条件の下に麻酔銃によって保定する、不動化させるというのは大変安全で確実な方法ですので、明示できないのであれば、もうちょっと文言に「等」を入れるとか、シカに対して多少柔軟に対応できるようなふうにご検討いただきたいと思います。これは意見です。
【石井委員長】 はい、それでは宇賀神室長、お願いします。
【宇賀神鳥獣保護管理室長】 はい。ご意見、ありがとうございます。ご説明したとおり、現在、法改正の検討の中では、具体的な獣種についても含めて検討しております。ただ、実際にこの種を決めるにつきましては、法律ではなくてもっと下のほうの段階でございますので、そこの中で明記するということになると思います。
 現在の検討の中では、今回のクマ類とイノシシということで、今、検討してございます。その心は、市街地に入ってきたときに、具体的に人に危害を直接的に与えるおそれのある危険性の高い大型獣類ということで、小泉先生がご指摘のシカ類については、若干そこのレベル感が違うのかなというふうに考えてございます。実際にこの市街地の中で銃器を用いるというのは本当に非常に危険な行為でございますので、限定的にやる必要がある中で、銃以外の方法で対処できるということであれば当然銃を使う必要はございませんので、シカ類については、恐らく直接的な人身被害の例も市街地の中で少ないと思いますし、あるいは、追い払いとか巡視というんですか、見て逃げてもらうということになる可能性もございますので、その意味では対象としているということでは、現在ございません。
 麻酔銃につきましても、現在住居集合地域、同じ38条の2の中で許可を得れば使えるということになってございますが、対象種は今現在想定しているのはサルということで、大型の獣類につきましては実際に麻酔銃を使うと、よくご存じだと思いますけれども、大きな獣だとなかなか麻酔が効かないとか、シカではないんですけれども、クマ類なんかは逆に刺激を受けて反撃されるとか、そういったことがありますので、現状はサルということで想定してございます。
【石井委員長】 小泉委員、追加ですか。
【小泉委員】 すみません、追加ですけれども、安全を確保しなければいけないのは無防備な住民だけではなくて、面と向かって対策を講じている対策員の安全も確保してあげなきゃいけないというわけですね。ですから、そういう意味でいくと150キロのエゾシカが市街地に出た場合、それをみんな手でつないで追い込んで保定できるか、むしろ状況に応じて麻酔銃を使ったほうが安全なのではないか、そういう点もちょっと考慮する必要があるのではないかなというふうに感じています。
【石井委員長】 はい。コメントということですね。よろしいでしょうか。
 ほかの委員の皆さん、よろしいですか。特になければここの部分は報告ですので、先に進ませていただきたいと思います。
 次は、カルタヘナ法における研究開発段階の大臣確認制度の見直しについてということでございます。事務局からご説明ください。松本室長。
【松本外来生物対策室長】 外来生物対策室長の松本でございます。議事3の報告事項についてご説明します。
 資料3をご覧ください。画面にも投影してございます。カルタヘナ法における研究開発段階での大臣確認制度の見直し、具体には、研究の実験室など施設内で遺伝子組換え生物を使用する際に執る拡散防止措置、つまり、外へ出さないための措置に関して、大臣に確認を必要とする研究範囲について、文部科学省の審議会における検討状況について報告するものでございます。
 3月、前回の本委員会で本件を検討事項として報告させていただきました。その後、半年余り経過してございます。このため、おさらいを兼ねまして、まず1ページ目ですね、1ポツで趣旨としてカルタヘナ法のスキーム、仕組み、それから現状と課題、検討事項の概要を改めて説明させていただいた後、検討状況を報告させていただければと思います。
 スキームについて、カルタヘナ法では、法目的である生物多様性の確保を図る観点から、遺伝子組換え生物の使用等の規制に関する措置について定めてございます。例えば、遺伝子組換え生物で実験する際には、それが実験室の外に出て交雑を起こすなど、生態系に影響がないように実験室の外に出ないような拡散防止措置を講ずるというものでございます。遺伝子組換え生物の使用に関して、法に基づいてその使用の形態に応じまして規制措置を講じております。前回もお示ししましたが、3ページ目に参考1としてカルタヘナ法のスキーム図をつけてございます。適宜こちらをご参照しながらお聞きいただければと思います。
 その先ほど述べました使用の形態は、大きく二つのカテゴリーに分けて大別されます。第一種使用、これはスキーム図の左側~左下のほうにありますとおり、環境中への拡散防止措置を講じずに使用する、つまり農地や圃場等で栽培など、野外で使用する場合、これを第一種と言っております。それから第二種使用、これは施設の内部で、環境中への拡散防止措置を講じて使用する場合、つまり実験室など閉じられた空間で使用する場合の二つです。今回報告事項として対象としております研究開発段階における大臣確認制度の見直しは、この第二種使用のカテゴリーに含まれるものでございます。
 1ページ目に戻りまして、こちらの(2)のほうのパラをご覧ください。第二種使用において、過去の使用実績、それから科学的な知見に基づきまして、講ずべき拡散防止措置が明らかな場合は、あらかじめ省令に定められた措置で使用することを義務づけております。もう一つ、②とありますが、その講ずべき措置が必ずしも内容が明らかではない、省令による使用の定めがないという場合、つまり、リスクの高い研究実験の場合は、その研究をする、もしくは研究を計画している機関が検討した拡散防止措置を設定した研究計画について、都度、文部科学省大臣を含む主務大臣の確認を受けた上で使用を義務づけると、こういう立てつけになっております。
 そして、現状と課題をご覧いただくと、この研究開発に関わる遺伝子組換え生物等の使用に当たっては、このような規制の仕組みの中、カルタヘナ法が制定されて、20年余りが経過してございます。その間に遺伝子組換え技術の科学的知見の集積が進み、また、新たな技術も開発されております。そういった社会情勢の変化、それから、カルタヘナ法における運用実績の蓄積等もございます。つまり遺伝子組換えにおける生物の利用に関する安全面で様々な進展がございました。
また一方で、ご記憶にあります新型コロナウイルスによるパンデミックの経験から、今後、新たなパンデミックが発生した際の迅速なワクチンや医療品の開発の必要性、こういった必要性が課題になってきているという状況でございます。
 以上を踏まえまして、本日の本題に移りますが、文部科学省の審議会でのこの大臣確認を必要とする研究開発の見直し、検討状況の報告に移らせていただきます。
 こちら、Word資料の2ポツ目ですが、今般の見直しに関わる文科省の審議会における検討状況の論点と方向性についてでございますが、より分かりやすくご理解いただけるよう参考資料に模式図をつけましたので、そちらをご覧いただければと思います。4ページ目でございます。
 模式図の上段、左側の黒枠をご覧ください。これは先ほどスキームでも説明した内容をベースに、重複する部分もございますが、先ほど説明しましたとおり、リスクの高い研究実験、つまり病原性や伝播性に関わる特性を踏まえて、執るべき拡散防止措置の内容が必ずしも明らかではない研究は、生物多様性への影響が生じないよう、都度、大臣確認が必要な制度となっております。ただ、この研究実験の範囲のうち、先ほどの課題と要請を踏まえて、これまでリスクが高いとされていた実験の一部につきまして、講ずべき措置、拡散防止措置が明らかになってきたものについて、すなわち、利用の安全が確認できるものについては、あらかじめ省令に定めた拡散防止措置を執った使用というカテゴリーのほうを義務づけることで、今般、都度の大臣確認の手続を不要とする、この研究範囲の見直しをしようとするものです。この不要とする範囲に関しましては、右側の青い枠の中にありますとおり、文科省の審議会のほうで、クラス分類やその実験方法によって、これを判断していきましょうという方向性で議論が進んでございます。
 この模式図を横に見ながら改めて資料3の2ページ目に戻っていただければと思います。中段の表をご覧下さい。
 これが具体な研究範囲の検討状況でございまして、クラス分類や実験方法を踏まえまして、大臣確認を不要とする研究範囲の具体的な事例について検討状況をまとめたものでございます。こちらの表の右側ですね、大臣確認が不要と書いてございますが、これは、今回、大臣確認を不要とすることで検討しているものを示しているものでございます。この右側のうち上段、クラス未分類のウイルスというところの右側に関しましては、これは病原性が不活性になるため、リスクが低く問題がないであろうというご意見・判断ということで、不要でよいのではないかという検討をされている事例。それから、中段にあります、自立的な増殖・感染力のある組換えウイルスの場合というところですが、これはもともと病原性が低く、かつ病原性の向上がないため、リスクが低く不要にしてよいのではないかと。それから下段、感染性を付与された実験動物という対象の場合は、そもそも病原性があるものではないため、リスクが低く、問題がない、そもそも感染性を付与した組換えマウス自体は、飼育繁殖する場合のみ、そもそも病原性が低いので確認は不要ではないかというふうに検討の方向性と整理されてございます。
 ちょっとなかなか専門的、スペシフィックな内容でございますので、詳細については参考のほうで、カラーの横長で、直近8月21日に開催されました文科省の審議会での検討の資料と検討状況をまとめて参考につけておりますので、ご参照いただければと思います。
 そして、こういった専門的な詳細の具体の内容がございますので、遺伝子組換え生物の取扱いについて専門的知見もしくは一定の知見を有する有識者として委員に参画いただいております五箇委員、野尻委員、それから、本日欠席ではございますが、青野委員の3名に、本日の委員会に先立ちまして、以上の資料に基づきましてご説明、それからご確認をいただき、概ね方向性、内容について問題ない旨のコメントは頂戴してございます。
 最後に今後の予定というところをご覧ください。本日の後、11月以降、引き続き文部科学省の審議会、正式名称は、文部科学省 科学技術・学術審議会 生命倫理・安全部会 遺伝子組換え技術等専門委員会、こちらを複数回開催いたしまして、本日ご報告しました見直しの方向性、それから対象とする具体の研究範囲に基づきまして、省令改正の審議やその後のパブリックコメントも経て、来年の3月を目処に、省令改正を目処に、引き続き丁寧に議論、それから検討を進めていく予定ということで聞いてございます。また、その審議のプロセスを環境省としても文部科学省と情報を密にフォローしていく予定でございます。
 以上、議事3、報告事項として以上で報告とさせていただきます。
【石井委員長】 はい、ありがとうございました。なかなか難しい内容なので丁寧に説明していただいたと思います。
 それでは、先ほどお名前が挙がっていましたけれども、五箇委員、野尻委員、コメントがあったらお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 五箇委員、いかがでしょうか。
【五箇委員】 この度、新型コロナのパンデミックがあって、特にそういった中で新しいワクチンといったものを緊急で作らなきゃいけないということが、まさにWHOのほうでも目指された中で、日本だけがある意味、非常に先進国の中でも唯一後れを取ってしまったその背景にこういった大臣承認の一つのハードルがあったということもあって、緊急で見直す必要があるということで、今回こういった形で担当省である環境省のほうとしてもいろいろと検討いただいたということで、正直なところ、この組換え体のリスクという部分については結構ブラックボックスなところは大きいので、慎重に事を進めなくてはなりませんが、いただいた案というものを専門家の間で見ていただいた結果、あの形で取りあえず進められれば、今後の緊急の対策というところでもスムーズに、そういったワクチン開発等にも役立てることができるだろうということで、こういった案がまとめられたということになります。そのほかの先生方にも見ていただいていますので、そういったところで、私としましても、これで何とか一つ安心材料ができるんじゃないかというふうに考えています。
 以上です。
【石井委員長】 はい、ありがとうございました。
 野尻委員、いかがでしょうか。
【野尻委員】 はい、私自身は微生物の研究者で、こういった実験を生でやっている立場としても発言させていただきますけれども、そもそもの大臣確認、そもそも二種使用ですので、拡散防止措置を取った形で行うもの、それに対してさらに大臣確認をかけているということで、非常にリスクを外に出さないように作られているものだと思います。それで、過去20年間のいろんな学術的な知見の発展等がありまして、ウイルスに関しても、微生物そのものに関してもかなりいろんな研究が進んで、学術的な知見が大きく進んでいるという背景を基に、こういった改善、改善といいますか、変更を行われるということで、流れとしては非常にいい形になるのではないかというふうに考えております。
 1点、私が思いますのは、大臣確認がかかっている実験、関係する実験といいますのは非常に広く多くの実験を網にかけているような形になっていると私は理解しております。それで、それはリスクをヘッジするという意味では非常に重要なんですけれども、今回のように見直しをして、それで大丈夫だという判断が下されたところでは、網を緩めていくという形で進めるというのは非常にリーズナブルな進め方だと思いますので、引き続き、文部科学省の審議会等で継続的な審議等をしていただくのがいい形なのではないかというふうに私は思っております。
 以上です。
【石井委員長】 はい、どうもありがとうございました。
 今日はご欠席ですけれど、青野委員から何かコメント等はありますでしょうか。
【松本外来生物対策室長】 はい。本日欠席の青野委員から、事前の説明の際にこのご意見、コメントをいただいておりますので、代わりに報告させていただきます。
 資料3、それから参考資料に示された文科省の審議会で検討しております見直しの方向性及び大臣確認を不要とする研究範囲の整理案について、現在の検討状況に関しまして、リスク管理を前提とした環境中への拡散防止の適切性の観点から概ね妥当と考えられるというコメントを頂戴しております。
 以上です。
【石井委員長】 はい、ありがとうございました。
 この部分は報告なんですけれども、委員の皆さんから特に何かございましたらお受けします。よろしいですか。
 森本委員、お願いします。
【森本委員】 興味があって伺うのですが、こういった制度は、例えばワクチン先進国だったアメリカでどうなっているかというような検討されたのかどうか、もしされたのであれば、その結果を伺いたいです。
【松本外来生物対策室長】 本日、文部科学省のライフサイエンス課から室長がオブザーバーでみえられておりますので、コメントいただければと思います。
【事務局】 文部科学省の木村と申します。ご質問ありがとうございます。
 こちらのカルタヘナ法ですね。生物多様性条約カルタヘナ議定書の国内担保法という形になっております。先生方、ご案内のとおり、米国はカルタヘナ議定書の締約国ではありませんので、組換え生物に関してこういった制度はございませんが、病原体管理に関しては当然彼らの国の中でもスキームがございますので、日本とは異なりますが、同様に決められたルールの下で、要は拡散防止措置の下で病原体を、組換え生物を含めて管理しておるというふうに認識しております。
【森本委員】 ありがとうございます。では、安全性の確保という意味では、別な取組で担保されているけれども、より日本より緩いということですかね。
【事務局】 はい、微生物ですね、組換え体も含めて管理してくださいというルールはございますが、日本のように個別に承認手続を要するものではないんですが、簡単に言うと施設をちゃんと基準を示して、その承認を受けた施設で微生物等を扱っていると、そういった仕組みになってございます。
【石井委員長】 はい、森本委員、よろしいでしょうか。
 ちょっと時間も押していまして、特になければ先に進みます。どうもありがとうございました。
 そうしましたら、その他のところでもう一件ございます。奄美大島における特定外来生物フイリマングースの根絶の宣言についてということで、これも引き続き松本室長、お願いします。
【松本外来生物対策室長】 資料4をご覧ください。報道等でご承知の委員の皆様もおられるかもしれませんが、環境省としまして、今年9月3日に奄美大島におけるフイリマングース、特定外来生物ですが、フイリマングースの根絶を宣言いたしました。同島では、昭和54年にハブ対策としてマングースが持ち込まれ、一時、平成12年には推定で1万頭以上まで増加いたしました。平成12年から本格的な防除事業を開始しまして、また、さらに平成17年からは外来生物法の制定等のタイミングもありまして、根絶達成を目的とした専門家集団、通称、奄美マングースバスターズを結成いたしまして計画的な防除を推進してきた次第です。その結果、平成30年5月以降、マングースは捕獲されていない、正確には平成30年4月に1頭捕獲以降、6年弱捕獲がされず、その間もしっかりとモニタリング、それから監視・捕獲の態勢を維持しつつ、そのデータを踏まえて、9月3日に奄美大島におけるフイリマングース防除事業検討会で専門家の皆様による検討において根絶が妥当と、確定したデータ、蓄積データに基づいて評価をされました。この評価を受けまして、環境省として根絶の宣言をした次第でございます。
 この事業の評価もしくは成果の位置づけとしましては、まず、長期間定着したマングースを計画的な防除で根絶まで至った事例としては世界最大規模というところで、生物多様性保全上の重要な成果と認識してございます。今後、各国、国内外の外来種対策に様々な示唆を提供できるのではないかと考えております。
 そして右下の図にありますとおり、マングースの防除に伴いまして多数の在来種の分布の回復が確認されました。右下はアマミノクロウサギの分布が2011年から2017と広がっていっているということを模式的に示してございます。また、マングースは、いろいろな農作物も食害もしてございましたので、そういった地域の農業被害も消失しましたし、アマミノクロウサギをはじめとした貴重な野生動物が復活してまいりましたので、ナイトツアーといった野生生物観光や、農業の盛んな同島の社会経済にも好影響を与えている状況でございます。
 こういった成功事例に関しまして、外来種対策の成功事例として、国内外の対策にも貢献するよう、成果により得られた知見を整理、発信を進める考えで取り組んでまいりたいと思っております。
 以上、簡単ですが、報告とさせていただきます。
【石井委員長】 はい、ありがとうございました。私もテレビで植田局長がにこやかに映っているのを拝見いたしました。おめでとうございますと申し上げたいと思います。
 それでは、委員の皆様、ご意見、ご質問等があったらお願いします。
 小泉委員、お願いします。
【小泉委員】 はい、ありがとうございます。
 特定外来対策というだけではなくて、在来種も含めたワイルドライフ・マネジメントという意味で、大変高く評価ができる成果が上がったというふうに感じております。ただ、少し辛口のコメントをさせていただくと、根絶はアウトプットであると。この右下に書かれているように、例えば、これまでインパクトを受けていた在来のものが回復してきているというようなことが確認されて、アウトカムであるというふうにご認識いただき、引き続き事業の継続を考えていただきたいと思います。
 それから、ぜひ環境省のレビューといいますか、この根絶事業の総括というのを見せていただきたいと思っております。かなり分厚くなるかもしれませんけれども、予定がありましたらまたこういう場でご報告いただければと思います。よろしくお願いします。
【石井委員長】 はい、コメントだと思いますけれど、松本室長、何かございますか。
【松本外来生物対策室長】 コメント・ご意見、ありがとうございます。おっしゃるとおり、根絶自体が目的ではなく、その成果・アウトカムとして、希少種の保全、さらに言うと希少種・在来種の保全だけではなくて生態系トータルとしての健全性の回復、そしてそれを如何に維持していくかという点において、引き続き、再侵入の監視、それから希少野生動植物のモニタリングを通じて、奄美大島全体としての生態系・生物多様性の回復、その維持というところを目指して、必要な施策を進めてまいりたいと思います。
 それからレビューに関しましては、ご意見のとおり、まず、そういった記録集というものを併せて作ろうという事業の取組を進めてございます。また、記録集だけではなくて、そのレビューといいますか、総体としてまとめたものをホームページ、もしくは論文形式なりで、より概要としてまとめた記録としても発信していくということも計画してございます。以上です。
【石井委員長】 はい、ありがとうございます。
 それでは、オンラインの水田委員、お願いします。
【水田委員】 はい、水田です。
 私、ずっと奄美大島に住んでおりまして、このマングースの防除事業を横で見ておりましたので、今回の根絶宣言は非常に感慨深く思っております。環境省の職員の皆様やマングースバスターズの皆様がご努力されていたのを横で見てすごく大変だなと思っていましたので、非常に今回の成果はうれしくて、関係者の皆さんに敬意を表したいと思います。
 小泉委員もおっしゃったように、これはすばらしい成果ではありますけれども、ゴールではないですね。ゴールはやっぱり希少種が回復して、生態系がきちんと保持されていくということでありますので、今後もモニタリングをずっと継続していくということは重要だと思います。あと、国内全域に目を向けるとお隣の島ですね、沖縄島でもマングースはまだいます。沖縄島の北部では対策はされていますが、全島での対策というのは進められていません。今回の奄美大島の事例を基に実現可能かも含めて沖縄島でのマングース根絶の検討をぜひ進めていっていただければなと思います。
 以上、コメントでした。
【石井委員長】 ありがとうございます。
 では、先に委員からのご意見を伺いたいと思います。
 オンラインの宮本委員、お願いします。
【宮本委員】 宮本でございます。発言の機会をいただきありがとうございます。質問が1点とコメントが1点ございます。
 まず質問は、根絶にどの程度の費用がかかったんだろうかということがちょっと気になっております。理由は、私、鹿児島県の外来種対策の委員もやっていますので、大学の授業とか一般の方向けのセミナーで外来種の話をすることがあるんですが、なかなか何が起きるか分からないし、何か起きたときには防除とかが大変なので、持ち込んだり放したりしてはいけないということを、なかなか、ご自分の命に関わること以外はあまりぴんとこないというか、深刻に受け止めていただけないことがありまして、経済的な損失もあるんですよと、あるいは公費をこんなに投入しないといけないんですよというようなことも、先ほどちょっとお話に出た記録集などに載せていただけるとインパクトがあるのかなというふうに思いますので質問させていただきました。
 コメントなんですけれども、私自身も2007年から10年余り奄美の植物の調査に関わらせていただいたんですが、マングースバスターズの方々から希少植物の情報をいただいたり、あるいは山の中でのその安全対策などについてご教示いただいたりしました。マングースバスターズの方々が整備されたわなの見回りルートを調査に利用させていただいたり、あるときは増水した沢からの脱出ルートに使わせていただいたりしまして、非常に安全に効率的な調査をすることができたというふうに考えております。バスターズの方々、あるいは関係者の方々のその自然環境に関しての情報量というのは物すごいものがありまして、それが奄美の国立公園化やその世界自然遺産化というところに非常に寄与したのではないかと思いますので、この場を借りまして敬意を表しますとともに個人的にも感謝を申し上げたいと思います。
 以上でございます。
【石井委員長】 はい、ありがとうございます。
 では、続いて、五箇委員、お願いします。
【五箇委員】 はい、すみません、先ほどちょっと幾つかご指摘の点があったアウトカムとしての在来種の回復という点につきましては、国立環境研究所ですね、私どもの研究所の深澤圭太博士によって既に評価がされておりまして、マングースの減少とともに、彼自身が今回の根絶確認モデルも構築して、その統計モデルによって99.7%以上の確率で根絶ができているという推計を立てた上で今回の根絶宣言に至っているわけですが、同時に在来種ですね、アマミトゲネズミ、ケナガネズミといった捕食者の個体群のモデルもちゃんと構築されており、それによりマングースの減少とともにこれらのネズミが回復する。非常に興味深いことに、同じネズミ類でも外来種であるクマネズミについてはマングースがいる、いないにかかわらず、個体群がほとんど変動していないということで、明らかにこの希少な在来種というものがマングースによって多く捕食されていて、そのマングースがいなくなるということで個体数が回復しているというデータは既に発表されています。Proceedings of the Royal Society Bのほうに発表されていると。非常にインパクトが高い雑誌に発表されており、既にプレスリリースもされておりますので、一応補足としてコメントさせていただきます。
 以上です。
【石井委員長】 はい、ありがとうございました。
 ほかはよろしいですか。
 勢一委員、すみません。
【勢一委員】 はい、ありがとうございます、勢一です。少しだけコメントさせてください。
 非常にすばらしい成果だと私も思っております。せっかくこういう形でできた体制や専門人材を、ぜひ幅広く活用できるような形で体制のシフトをしながらの維持、継続をご検討いただきたいというのと、やはり地方自治体の方々への啓発には役に立つ事例かなと思いますので、その成功事例で自治体や住民がどのような形で関与したかというようなこともぜひ記録集のようなものの中に加えていただければと思います。まだ奄美のノネコの問題とかも残っていますので、引き続き生物多様性の保全にはご尽力いただく必要がある場所だと思っていますので、引き続きお願いできればと思います。
 以上です。
【石井委員長】 はい、ありがとうございます。
 では続いて、八代田委員、お願いします。
【八代田委員】 はい、八代田です。
 こちらについては、私もテレビで拝見させていただきました。非常に重要な成果かと思います。各委員からもありましたとおり、こちらの根絶事業につきましては記録集をぜひ出していただければと思います。
 その中で、やはり奄美以外のところでも外来生物等の問題は非常に拡大しておりまして、ただ、なかなか、特に地方の自治体ですと、予算がなかったり人がいなかったりといったところで対策にそもそも取り組めてもいないというような自治体も結構見られるかと思いますので、こういった特に外来生物の対策ということになりますと、公的な支援というのが非常に欠かせないところかと思いますので、そういったところでどういった支援をしたのか、どういった補助制度を活用されたのかというところも含めて記録集にぜひ載せていただいて、今後、取組を進める自治体の方々の参考になるような形で取りまとめていただければというふうに思います。
 また、先ほどご意見、コメントもありましたけれども、専門家集団を結成できたというところが成功につながったというところも非常に大きな点ですので、やっぱりそういった人材の育成ですね、そういったところも継続的に進めていただければと思います。
 以上、コメントでした。
【石井委員長】 はい、ありがとうございます。
 では、寺田委員、お願いします。
【寺田委員】 はい、機会をありがとうございます。学生時代の知人など、20年以上前にマングース関係の研究を始めた方たちが大変活躍されてここに至ったというこの二十数年のご努力に、本当に心から関係の皆様に敬意を表したいと思います。
 先ほど八代田委員もおっしゃってくださった点ですけれど、やはり人材育成というのは非常に時間がかかるものだと思います。専門人材というのは、先ほどクマのところでも出てきましたけれど、各自治体に配置するといっても、専門の人材がその知識や経験をつけるには非常に長い時間が必要です。一方で、アカデミアでも、私自身も任期つきですけれども、なかなか職を続けていくこと自体が厳しい状況にありますので、ぜひ人材育成というのは非常に長く時間がかかるものであるということ、また、ほかの種で培われた個体数推定ですとか、そういった知識というのは別に外来種でも希少種でも鳥獣管理でも使えるものですので、そういった視点で、広く長い視野で専門人材を事業とともに育てていくといった観点で行政とアカデミアでともに取り組んでいくということも大切かと思います。
 また、振り返りに関しては、非常に多くの関係者が一つの方向を見て頑張っていけたというのが、今回の成果の背景にあるかと思うんですけれども、では、なぜ20年間以上そのように取り組めたのか。この点は、他の事業や他の種についても非常に大事な点だと思いますので、ぜひ振り返りのご報告を楽しみにしたいと思います。ありがとうございます。
【石井委員長】 はい、ありがとうございました。
 たくさんご意見を伺ったんですけれど、時間オーバーしてしまいました。すみません。
 今、この段階で事務局から何かあったらお願いします。特に経費のところ、即答できますか。
【松本外来生物対策室長】 はい、宮本委員から質問がありました事業規模に関しまして、2000年度以降2024年度までの事業の総額ですが、35.73億円、35億7,300万円です。この数値だけを見ますと多額という印象を受け、実際大きな額ではありますが、島の面積は712平方キロメートルあるので、効率換算すると、年間1平方キロメートル当たり約28万円の予算となるという換算になります。質問に対しては以上です。
【石井委員長】 あとは記録集をしっかり作ってというようなご要望なので、そこで書き込んでいただければと思いますけれども。
 はい、植田局長。
【植田自然環境局長】 よろしいでしょか。時間をオーバーしておりますが、先週、フイリマングースの根絶の宣言の関係で奄美に行きました。予想以上に多く取り上げていただいて、本当によかったです。関心が高かったものと思いました。私が一番よかったなと思うのは、地元の人が本当に笑顔で根絶宣言を受け入れていただいていたこと、応援していただいたこと。これは先程、委員からありましたけれども、やっぱり地元との連携で理解を得られてやってこられたところが大きかった。あと地道にみんなでやってきたということも。私は平成12年頃から、当初より関わってきましたけれども、ややもすると、なかなか成果が出にくく途中でいろんなプレッシャーがかかって続けられないということが、この野生生物分野での様々な事業でありがちですけれども、それを頑張って地道に、もう泣きながらやってきたというところで一つの成果になったということは、ほかの事業へ是非参考にもしないといけないし、これをバネにしないといけないと、思いました。
 ほかの地域に行くということで、なかなか知られていない3原則を、よりもっと広げないといけないと思いました。3原則、“入れない、捨てない、広げない”。このことをやはり全国に広げていくというところを、今後も先生方のご指摘をいただきながら頑張っていきたいと思った次第であります。
【石井委員長】 はい、ありがとうございました。
 ほかはよろしいですね。
 その他のところは、全体を通して何かあったらと思いますけれど、もう既に時間オーバーしていますので、特になければ、これで全ての議事が終了しましたので、進行を事務局にお返しいたします。
【事務局】 石井委員長、議事進行、ありがとうございました。
 委員の皆様におかれましても、長時間にわたるご審議、ありがとうございました。
 本会はこれで閉会といたします。皆さん、どうもありがとうございました。