野生生物小委員会(令和5年度 第33回) 議事録

開催日時

令和6年3月26日(火) 13:30~15:30

開催場所

AP虎ノ門11階D会議室(Web会議システム併用)

出席者

委員長 石井  実    
委員 小泉 透 勢一 智子  
臨時委員 五箇 公一 水田 拓  
専門委員 青野 光子 白山 義久 高橋 佳孝
  寺田 佐恵子 三谷 曜子 宮本 旬子
  森本 淳子 八代田  千鶴  
環境省 白石自然環境局長 堀上官房審議官 松下総務課長
  中澤野生生物課長 宇賀神鳥獣保護管理室長 河野希少種保全推進室長
  松本外来生物対策室長 守分野生生物課課長補佐 稲玉野生生物課補佐
  田邊野生生物課長補佐 村上鳥獣保護管理室補佐 大川鳥獣保護管理室補佐
  谷垣希少種保全推進室補佐 福島希少種保全推進室補佐 山王環境影響審査室補佐

議事録

【事務局】 定刻となりましたので、中央環境審議会自然環境部会野生生物小委員会を開催いたします。
本日はお忙しい中、ご出席いただきましてありがとうございます。
会議に先立ちまして、出席委員数のご報告です。本日は、全委員16名のうち、委員、臨時委員6名中、Web会議システムでの参加を含め5名がご出席され、定足数を満たしておりますので、本委員会は成立しております。
また、この度、野生生物小委員会所属の専門委員として新たに青野光子委員、野尻秀昭委員にご就任いただきましたことをご報告いたします。本日は、青野委員にオンラインでご出席いただいております。
次に、本日の会議運営についてご説明いたします。本会議の傍聴につきましては、会場での傍聴は行わず、YouTubeにてライブ配信をしておりますので、ご了承ください。
また、Web会議システムでご参加されている委員の皆様におかれましては、差し支えない範囲で結構ですので、常時、ビデオボタンはオンにし、先生のお顔が見られる状態にしてください。なお、発言時を除きましてマイクはミュート設定にしてください。Web会議システムで参加の皆様におきましては、ご発言を希望される場合は、画面の下にある手のひらマークをクリックしていただきまして、黄色にしていただき、挙手状態にしてください。委員長からのご指名を受け、ご発言が終わりましたら、再度、手のひらマークをクリックして、無色に戻してください。
本日、会議室でご参加の委員の皆様におかれましては、ご発言の際は名札を机の上に立てていただきまして、委員長からのご指名後、マイクをオンにしてご発言ください。発言終了後はマイクをオフにしていただきますようお願いいたします。
資料については、あらかじめ委員の皆様には電子データを送付しております。また、環境省ホームページの野生生物小委員会のページにアップロードしております。なお、会場にお越しの委員の皆様にはお手元のタブレットにも格納しております。
それでは、ここで自然環境局長の白石より、ご挨拶を申し上げます。
【白石自然環境局長】 こんにちは。自然環境局長の白石でございます。いつもお世話になっております。本日ご多用のところ、ご出席を賜りまして誠にありがとうございます。Web会議参加の皆様もありがとうございます。着座にて失礼いたします。
日頃より自然環境行政にご理解、ご協力をいただいておりますことに、改めてお礼を申し上げたいと思います。
初めに、大変残念なお知らせがございます。本委員会所属の佐藤哲也委員が3月6日にご逝去をされたと伺いました。佐藤委員におかれましては、令和3年3月より本委員会にご参画いただきまして、野生生物保護に関する深いご見識と保護活動の実践を踏まえた幅広いご経験を踏まえてご意見をいただいてまいりました。これまでのご貢献に深く感謝申し上げますとともに、心よりご冥福をお祈りしたいと思います。
次に、本日の委員会には、後ほどご説明いたしますカルタヘナ法の施行状況を踏まえた遺伝子組換え生物の取扱いを本委員会の審議事項とすることから、この分野の専門家であります青野光子委員、野尻秀昭委員に専門委員として新たにご参加をいただきました。本日は青野委員にご出席いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
【青野委員】 よろしくお願いします。
【白石自然環境局長】
さて、本日の議題でございますが、報告事項が7件ございます。一つ目の報告事項は、クマ類による被害防止に向けた対策についてです。ご承知のとおり、昨年秋、東北地方を中心にクマ類の大量出没が発生し、人身被害が過去最多を記録しております。環境省では、こうした状況を踏まえまして、昨年12月にクマ類の専門家による検討会を設置いたしまして、科学的知見に基づき、被害防止に向けた総合的な対策の方針を本年2月8日に取りまとめていただいたところです。この方針を踏まえまして、絶滅のおそれのある四国の個体群を除いたクマ類を鳥獣保護管理法に基づく指定管理鳥獣に指定する方針を固め、関係省令の改正についてパブリックコメントを実施いたしました。本日は、検討会の報告書の概要及びパブリックコメントの結果につきましてご報告をさせていただきます。
このほか、ニホンジカ・イノシシの半減目標について、カルタヘナ法における研究開発段階の大臣確認制度の見直しについて、国内希少動植物種等の指定について、保護増殖事業の事業完了の考え方について、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存につき講ずべき措置の検討について、洋上風力発電の環境影響評価制度の最適な在り方の検討状況についてを各担当よりご報告させていただきます。本日は、多岐にわたる事項についてご報告をさせていただきます。
限られた時間ですが、よろしくお願いいたします。

【事務局】 それでは、これよりの議事進行につきましては、石井実委員長にお願いすることといたします。石井委員長、よろしくお願いいたします。
【石井委員長】 皆さんこんにちは。石井でございます。本日も議事進行を務めますので、どうぞよろしくお願いいたします。
前回が10月の開催でしたので5か月ぶりということになります。先ほど局長からありましたように、この間、佐藤哲也委員ご逝去されました。佐藤委員のご貢献に感謝しまして、謹んでご冥福をお祈りしたいと思います。
また、冒頭の局長のご挨拶にもありましたように、カルタヘナ関係の議題も取り扱うということになりましたので、今回からこの分野に造詣の深い青野委員、それから野尻委員をメンバーとしてお迎えすることになりました。両委員にはよろしくお願いします。
本日は、先ほどありましたように、7件という多数の報告を受けることになります。いつものように活発なご議論をお願いしたいと思います。
本日の委員会ですけれども、YouTubeチャンネルにおいてライブ配信していますので、報道関係者、あるいは一般の方もご覧になっておられます。
なお、議事録につきましては、後ほど事務局が作成し、本日ご出席の委員のご確認を受けた後、私、委員長が了承した上で公開する、このことをご了承いただければというふうに思います。また、会議資料につきましても公開となります。
それでは早速ですけども、最初の報告事項、クマ類による被害防止に向けた対策についてということで、事務局からご説明ください。大川補佐、お願いします。
【大川鳥獣保護管理室補佐】 環境省鳥獣保護管理室の大川と申します。私からクマ類の被害防止に向けた対策について、座りながらですが、ご説明させていただきます。
先ほど局長の白石も申し上げましたとおり、環境省では検討会を3回これまで開催しまして、被害防止に向けた対策方針を作成いたしました。こちらはその概要の資料になります。
次、お願いします。まず最初に、クマ類の生息状況のご説明になります。左の図をご覧いただきますと、北海道のヒグマと本州のツキノワグマともに分布域が拡大しております。一方で、四国では20頭程度で絶滅の危機に瀕している状況でございます。九州では既に絶滅していますが、このようにクマ類は地域によって生息状況が異なりますが、多くの地域で分布域が拡大傾向にあることが分かるかと思います。
右の日本地図をご覧いただきますと、こちらは都道府県による推定個体数の増減傾向を示しております。現状の特定計画で増減の評価を行っている都道府県のみ載せていますが、増加傾向が多くなっております。さらに特定計画制度ができて以降、多くの都道府県で推定個体数が増加傾向であることが分かっております。
次、お願いします。2ページですが、こちらはクマ類の出没状況とその要因になります。まず水色のほうがヒグマの説明になりますが、出没状況につきましては、令和5年度が通報件数、過去最多となっておりまして、近年増加傾向となっております。人身被害は年平均三人程度ですが、被害者の死亡率がツキノワグマより高いというのが特徴になっております。また、さらに近年は札幌市街地中心部にも出没しているというような状況になっております。そして、その出没要因ですが、平成元年の春グマ駆除廃止による分布拡大ですとか、警戒心の低下などによって集落周辺まで分布域が拡大、繁殖、定着しているということですとか、あと農業の大規模機械化などによって、農地自体がクマを誘引してしまっているということですとか、あと生態系ネットワークなどの推進によって、河川ですとか緑地が都市部までの進入経路となっていることなどが挙げられております。以上のような原因に加えまして、秋に主要な餌資源である堅果類ですとか液果類ですとか、そういったものが凶作になることで、秋の大量出没が発生するというような要因になっております。
ピンクのほうがツキノワグマのご説明ですが、昨年の出没状況は令和5年度の12月末時点で2万3,669件と高い水準になっておりまして、その中でも東北地方がその6割を占めておりまして、さらに特に岩手県と秋田県のこの2県で全体の4割を占めるというような傾向になっておりました。季節的には、令和5年度の東北地方は、この下のグラフを見ていただきますと分かるとおり、10月の出没件数が極端に多いというような結果になっておりました。その出没要因ですけれども、ヒグマと同様、林業ですとか里山の利用の減少などによって警戒心が薄れるようなことで、集落周辺まで分布域が拡大することですとか、人口減少や高齢化などによって耕作放棄地が増えたり、柿などが放置されたりして、人が住んでいるすぐ近くがクマにとっても住みやすい環境に変化していることなどで集落周辺まで分布が拡大していることなどが挙げられます。また、ヒグマと同様、連続した緑地や河川などを伝って市街地に侵入したり、秋に堅果類の凶作が重なった年は大量出没になることなどが考えられております。
次に3ページをご覧ください。こういった現状を踏まえまして、対策方針では、こちら対策方針の目的が上の部分ですけれども、人とクマ類のすみ分けを図るためにゾーニング管理、広域的な管理、順応的な管理の三つの管理を推進することを目的として示されております。
その対策の方向性としまして、まずゾーニング管理では、人の生活圏と緩衝地帯、奥山の保護優先地域という三つのゾーンに区分しまして、個体群の維持・保全を前提としつつ、それぞれのゾーンに合った対策を実施することですみ分けを図ることとしております。
また、クマ類は都道府県をまたいで広範囲に移動しますので、保護管理ユニットに基づいて関係行政機関が連携した対策を進めていくことが必要というふうに示されております。
最後に順応的な管理ですが、調査・モニタリングをしっかりと行いまして、その都度評価・改善をして順応的な管理を進めていくことを、この三つを対策の方向性として示しております。
4ページ目をご覧ください。そしてその方向性に基づく具体的な行動ですけれども、まず指定管理鳥獣の指定ということが示されております。その内容としましては、四国を除く個体群を指定するというふうに示されておりまして、委員全員の強い意見としてあったのが、シカ・イノシシとは異なる支援メニューが必要ということも示されております。過度な捕獲が行われないよう、まず調査・モニタリングの実施が前提であり、さらに誘引物管理などの出没防止対策や出没時の体制整備、人材育成、普及啓発などを組み合わせた捕獲に偏らない総合的な対策が必要というふうに示されております。
次に、人の生活圏への出没防止ですけれども、これまでと同様、放置された柿や生ごみなどの誘引物の管理を徹底するとともに、柵の設置や追い払いなど、しっかりと被害防止対策を行うことですとか、周辺の山林ややぶ、河川や緑地などの侵入ルートの刈り払いや緩衝帯の整備などを行い、侵入を防止することなどが示されております。
また、下のほうの出没時の対応ですけれども、いざクマが出没した際に速やかに対応が取れるよう事前に関係者でどのように動くかを共有しまして訓練しておくことが重要というふうに示されております。また、現在市街地等では銃猟が禁止されているということもありますので、速やかな対応ができるよう鳥獣法の改正も含めて対応を検討していくことが必要というふうに示されております。
5ページをご覧ください。最後に、人材育成とその他にですけれども、まず人材育成につきましては、専門的知識を持った地方自治体の職員や質の高い捕獲事業従事者が重要ですので、その育成と配置を図ることが必要というふうに示されております。
また、その他ですが、昨年は自治体による捕殺に対しての苦情が多く寄せられましたので、正しい知識の普及を図って社会の理解を求めていくことが必要というふうに示されております。
最後にDXとしてデータの蓄積と活用ですとか、四国のような絶滅のおそれのある地域個体群への対応の強化や鳥獣被害対策自体を持続可能な地域づくりという観点で捉えて対策を行っていくことが必要ということが示されております。
以上が、対策方針の概要になります。
次に、資料1-2をご覧ください。以上の対策方針を踏まえまして、環境省ではクマ類を指定管理鳥獣に指定するための手続を行っております。こちらがそのための鳥獣法施行規則の改正案になります。
まず1番の趣旨としましては、先ほどもご説明いたしましたとおり、近年クマ類の分布が拡大しまして、人とのあつれきが深刻化しております。今後も個体数のさらなる増加が見込まれまして、人身被害が増加するおそれがあることから、都道府県等による集中的かつ広域的な管理を支援するため、規則を改正し、クマ類を指定管理鳥獣に追加することとするというふうに示しております。なお、ツキノワグマのうち徳島県、香川県、愛媛県及び高知県の個体群については、絶滅のおそれがあるため指定から除くこととしております。
その具体的な改正案がこちらの括弧の中ですけれども、指定管理鳥獣にクマ類、ツキノワグマについては四国の個体群以外の個体群とあとヒグマを追加するというような案としております。
今後のスケジュールですが、令和6年4月中に改正省令の公布と施行を予定しております。
次に、資料1-3をご覧ください。この改正案につきまして環境省ではパブリックコメントを実施いたしました。こちらがそのパブリックコメントの実施結果になります。募集期間は令和6年2月13日から3月13日の1か月間で行いました。下のほうを見ていただきますと、提出されたご意見は全部で535件でございました。2の(2)の施行規則の一部を改正する省令案への意見の概要という下の表を見ていただきますと、賛成が9件、反対が440件、その他が86件の合計535件でございました。
次に、このパブリックコメントの意見の概要と回答案をまとめましたので、資料1-4をご覧ください。この中から幾つか選んでご説明したいと思います。
まず一つ目が、1番が賛成のご意見になりまして、被害低減や計画的保護管理のための対策強化が必要であり、指定管理鳥獣の指定に賛成。ただし、捕獲対策だけにならないよう、出没防止対策や生息環境の保全等への支援が必要というご意見をいただいております。こちらにつきましては、先ほどご説明いたしました対策方針でも、クマ類はシカ・イノシシとは繁殖力ですとか個体数水準、被害の様態などが異なることから、シカ・イノシシとは異なる支援メニューを検討する必要があるというふうに指摘されていることもございますので、ご意見も踏まえまして、関係省庁と連携しまして被害防止に向けた総合的な対策への支援を進めてまいりますとご回答する予定でございます。
2番が反対のご意見ですけれども、クマ類の捕殺強化につながる指定管理鳥獣の指定に反対。捕獲ではなくクマ類とのすみ分けのための新たな制度を創設すべきというご意見をいただいております。こちらにつきましても、対策方針では、ご意見の趣旨と同様に、クマ類の地域個体群がまずは大前提で、それを維持しつつ、人とクマ類のすみ分けを図るということを目的としております。そのため、先ほど申し上げた三つの管理を推進しまして、さらに指定管理鳥獣の指定によって支援が必要とも対策方針で指摘されておりますので、そういったことも踏まえまして、捕獲に偏らない総合的な対策を今後も進めて、検討してまいりたいというふうに考えております。
あと一つだけ多かったご意見をご説明したいと思いますが、4番と5番が、クマの本来の生息地である奥山の広葉樹林を復元すべきというものですとか、大規模森林伐採を伴う奥山での再生可能エネルギー開発を規制すべきという、生息地の保全が重要だというご意見も多くございました。それにつきましては、環境省が作成しておりますクマ類のガイドラインというものの中でも、鳥獣保護区の保護区の設置ですとか、針葉樹人工林の広葉樹林又は針広混交林への誘導、落葉広葉樹林環境の保全・復元等の考え方を示しておりますので、引き続きこの考え方の普及を図るとともに、ご意見も踏まえましてクマ類の生息地の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。
また、再生可能エネルギーの導入につきましては、生物多様性国家戦略におきましても、その導入は自然環境と共生するものであることが大前提というふうに示しておりますので、引き続き自然環境と共生する再生可能エネルギーの導入を進めてまいりたいというふうに考えております。
そのほか、ご意見は多数ありますけれども、本日時間も限られておりますので、資料をご覧いただければというふうに考えております。
以上がクマのご説明になります。
【石井委員長】 ご説明ありがとうございました。
それでは、ただいまのご報告ですけれども、ご質問、ご意見を受けたいと思います。先ほどありましたように、会場の委員の皆さんは名札を立ててください。それからリモート参加の皆さんにつきましては、Web画面下のほうに「手のひらマーク」がありますので、これを押す形で意思表示をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
いかがでしょうか。
それでは、会場のほうから参りますね。小泉委員、お願いします。
【小泉委員】 小泉です。ありがとうございます。
ただいま報告いただいた件ではない点について、3点意見を申し上げます。
まず、私は指定管理鳥獣の指定に関しては賛成の立場にあります。それに基づきまして、まず一つは、指定管理鳥獣になりますので、現在ツキノワグマが生息しているにもかかわらず特定計画が策定されていない都府県が半分ぐらいあります。クマ問題の背景にはやはり里山、中山間地域の急激な人口減少というのがありますので、現在、特定計画を策定していない都府県についても特定計画を策定するように、これから指導していっていただきたいというふうに思います。
第2点が財政支援です。指定管理鳥獣が1種増えるわけですから、そのしわ寄せがシカとイノシシに及んで、限られたパイを3種類の動物が取り合うというようなことにならないように、財務省を含めて関係当局への交渉をよろしくお願いしたいと思います。
第3点が情報の公開です。シカとイノシシに関しては、この10年間、毎年環境省が分布状況と、それから個体数の推移をプレスリリースしてきました。そのおかげでシカとイノシシの管理に関する国民的な理解というのはかなり深まったというふうに考えております。クマについても同様に積極的な情報公開をお願いしたいと思います。情報公開が恐らくパブリックコメントなどにおける極論のぶつかり合いというのを避ける上でも効果が期待されるというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。ただし、検討会でも指摘がありますように、クマの管理ってゾーニングに基づく状態管理なわけですよね。ですからどんな情報を発信していったらいいのかというところがちょっと具体的に見えませんし、これから考えていかなければいけないところだと思います。もしその情報の収集に関して技術的な問題、課題があるということであれば、場合によっては環境研究総合推進費に行政ニーズの課題として挙げていって情報収集に取り組むというようなことがあってもいいのではないかというふうに思いました。
以上3点です。ありがとうございます。
【石井委員長】 はい、ありがとうございました。
今日は報告事項が多いので、申し訳ありません。全てご意見、ご質問を聞いてからまとめて事務局のほうからお答えいただきたいと思います。
そうしましたら、勢一委員、お願いします。
【勢一委員】 ご説明ありがとうございました。勢一です。
情報の件、私も地域でどのような形で情報共有していくのかが課題と感じておりましたので、今ご指摘がありましたので重ねませんけれども、ご検討いただければと思います。
もう一点、私のほうからもコメントをさせていただきたいと思います。人の生活圏とクマ類の生息域を空間的に分離するという意味でゾーニングは非常に重要だと思っています。そういう意味では、先ほどのご説明で恐らくクマ類については特定計画でゾーニングをやっていくのかなと思ったのですけれども、人の生活圏に関わるほかの計画や施策との連携が必要かなと感じました。具体的にどれというのもなかなか難しいところではあるのですが、例えば気候変動適応法の適応計画などの地域計画でそういう部分を入れてもらうとか、あるいは、理想的なのは開発などを伴うまちづくり全体における位置づけを何らかしていただくというような、そういう地域レベルでの空間利用との連携というのができるような形でのゾーニングが必要かなと思います。特に人口減少は、クマ類が近くに生息しているような地域でさらに進んでいくということが見込まれていますので、さらに人の活動範囲が縮退していくことになります。そうした状況をある程度推測しながら、長期的にどのような形でゾーニングの境目を動かしていくのかというようなこと、かなり長期の発想がいると思いますけれども、ぜひそういうところも少し織り込んだ上でご検討いただければと思います。
以上です。
【石井委員長】 はい、ありがとうございます。
それでは、オンラインのほうに参ります。宮本委員、お願いします。
【宮本委員】 宮本でございます。聞こえておりますでしょうか。
【石井委員長】 はい、大丈夫です。
【宮本委員】 私も指定管理鳥獣につきましては異論ございません。
ちょっと違う観点から一つ質問させていただきたいんですけれども、国立公園などの自然保護区の中で、例えばクマ対策などについて今どのようになっているのかというのをもしご存じでしたら教えていただきたいと思います。私は、ヒグマとかグリズリーは1回しか会ったことがないんですけれども、調査地でツキノワグマ等に遭遇した経験というのは結構ありまして、最近のいわゆるアーバンベアの行動様式というのに非常に驚いています。かつては、どちらかというと子連れのイノシシとか、カモシカとか、猿とかのほうが何かアグレッシブな印象があって、クマはどちらかというと人に対してシャイな印象を持っていましたので、ちょっと最近のいろんな事故についても驚きを覚えております。
三、四十年前になるんですけれども、カナダとかアメリカの国立公園をかなり歩いた経験がございまして、そのときに国立公園の特にキャンプ地などに必ずベアプルーフ、フードコンテナですね、とか、ごみの処理がどのようにするかというような施設が必ず備え付けてあって、国立公園に入るときに入山者に対してビジターセンターなどで野生動物に対するどういう行動を取るべきか、あるいはどういう行動を取ったほうが比較的危険が少ないかというようなことについての教育を受けないと入山許可が出ないというようなことがございました。日本ではなかなかそれは難しいことかなとは思うんですけれども、そういうようなことについて国立公園等の場で一般の方々に野生動物との距離の取り方、それを教育というか啓蒙していくというのが、ひいては日常生活の中で野生動物と遭遇したときのヒントになるのかもしれないというふうに思いますので、その辺も今後ご検討いただけたらというふうに考えております。
自治体によってかなりイノシシもシカもクマも状況が違うと思うので、都道府県ごとにいろいろどういうふうに扱っていくかというのは異なるんだと思うんですけれども、全国的に共通して、ここはこういうような対応をしていったほうがいいんじゃないかというようなことについては、ぜひ国のほう、環境省のほうでリードをしていただけるとよろしいんじゃないかというふうに思いますので、付け加えさせていただきます。
以上でございます。
【石井委員長】 はい、ありがとうございました。
では、続きまして森本委員、お願いします。
【森本委員】 ありがとうございます。
私からは、一番初めの説明資料の4ページ目にありました人の生活圏への出没防止の行動指針ですね。ここについてちょっとご意見を差し上げたいと思います。三つ示されていますが、奥山でのクマ類の生息環境の保全に関する行動指針がないのが気になりました。もう少し踏み込んで示したほうがいいのではないかと思います。具体的には林野庁がやっていることですが、クマ対策とは別な理由から、育成単層林の面積の約半分を複層林に誘導させるという計画を推進されているかと思います。環境省としても同様に、使われていない針葉樹人工林の広葉樹林化あるいは混交林化というのを推進していってはどうかというふうに考えます。これに関して2010年頃にランドスケープレベルでの適地の選定とか、あるいは作業地レベルでの技術の確立とかといった研究が森林総合研究所で実施されていますので、これらの成果を利用できる、参考にできるかと思います。これを通してクマ類にとって野生の食資源を充実させると、つまり生息環境を保全するという行動につながりますので、ぜひこれも積極的に取り組んでいく必要があるんじゃないかと思います。
以上です。
【石井委員長】 はい、ありがとうございました。
では、続きまして高橋委員、お願いします。
【高橋委員】 ありがとうございます。
私は専門外というか、あまり詳しくないんですけど、この内容については合意いたします。
それで、ちょっと違った観点からの質問になって恐縮なんですけれども、私は阿蘇の草原のほうの保全をやっていまして、今、阿蘇地域では九州山地にいるべきカモシカが里に下りてきているんですよ。あるいは牧野の中にどんどん侵入してきて、いろいろと問題が生じているんですが、これは原因としては大規模伐採もありますけれども、やっぱりシカが中央山地の林床植生をかなり悪化させて、その結果としてそういうインパクトが生じて、カモシカが分布域を広げている、あるいは逃げているという状況があるというふうに言われています。クマの場合はどうなのかというのをちょっと質問したかったんですけども、例えばシカやイノシシが拡大することによって、先ほどいろいろお話ししているような生息環境の悪化とか、そういうインパクトというのが実際にないのかどうか。そのほかの野生獣の数とか行動分布によって、そういう相互作用があるのかないのか。そうだとすれば、クマだけシカだけイノシシだけというわけにはいかない状況になるのかなと思っていまして、その辺の辺りをちょっと質問させてください。
以上です。
【石井委員長】 はい、ありがとうございます。
では、続きまして三谷委員、お願いします。
【三谷委員】 こちらのほうには賛成なんですけれども、ちょっとお伺いしたいことがあって、農林水産省の特措法などでも多分対策していると思うんですけれども、環境省と農林水産省で何か一緒にやる感じですか、それとも何かを分けてやる感じなんですか。そうか、後で一番最後にあれでしたっけ、質問についてはコメントがあるんでしたっけ。
【石井委員長】 はい。後でまとめてやらせてください。よろしいですか。
【三谷委員】 はい。分かりました、ありがとうございます。
あと、ここで何とかなる話じゃないと思うんですけれども、人材育成について、やはりクマなどの野生鳥獣が結局人間の地域に出てきてしまうということで、そのゾーニングについても管理できるもう地域の人手がないというところなんですよね。私もいろんな海生哺乳類による漁業被害の現場に行きますけれども、もう特措法でさえ、少しのお金をもらうのにたくさんの書類が必要で、その書類を回す人もいないという、町役場とかそういうところに。そういう状況なので、本当に人材育成というか地域づくりから始めないともうどうにもならないところに来ているんじゃないかというところを考えますので、その辺りは総務省なり何なりの地域活性化などと一緒に議論していただければなと思っております。
よろしくお願いします。
【石井委員長】 はい、ありがとうございます。
では、八代田委員、お願いします。
【八代田委員】 八代田です。ご説明ありがとうございました。
私からは、指定管理鳥獣の指定につきましては異論ございません。ただ、パブリックコメントにもありましたように、反対意見が非常に多いということで、多分指定管理鳥獣に指定されますと捕獲が強化されるというようなイメージで反対意見が多いのかなというふうに考えております。4ページ目のポイントにもありますとおり、シカ・イノシシとは異なる支援メニューが必要というふうに挙げられておりますので、そういったところで支援メニューについてご検討いただくとともに丁寧に説明していただいて、捕獲強化だけではないということを周知するようにしていただければと思います。
2点目につきまして、人材育成なんですけれども、やはりクマ対応ということになりますと、従来のシカ・イノシシの対応とは全く違う場面もございますし、特に最近市街地出没、そういった場面も非常に対応が増えているということですので、こちらについては支援メニューなどを拡充して充実した対策をしていただければというふうに考えております。
私からは以上です。
【石井委員長】 はい、ありがとうございます。
そうしましたら、寺田委員、お願いします。
【寺田委員】 ご説明ありがとうございました。
私も指定鳥獣、指定のほうについては賛成です。
1点申し上げたいのが、自治体での活動が重要かと思うんですけれども、私、開発援助畑にもいたことがありまして、やはりいろいろ市町村とか、よいケーススタディ、あるいは都道府県レベルでよいケーススタディはいろんなところで一生懸命やられているんですけれども、なかなかそれが横に展開していかない、あるいは、皆さんやっぱり自分の地域のことで一生懸命なので、なかなか自治体間の情報共有ですとかが進めづらい部分もあるではないかと思っています。そこの部分を環境省がされるのか、あるいはその音頭取りの支援をされるのか。一生懸命、予算取り、人材育成、普及啓発も含めて、どのように県内でやられているのか、あるいは市町村のケーススタディをどううまく県内で広げているのかといったことを都道府県間で共有していけるような後押しが大事かなと思っております。それはちょっと環境省がご担当なのか、あるいはサポート、何か音頭取りを支援されるのか分からないんですけれども、その辺り、もし既にやられていることや今後の見通しがあれば教えていただければ幸いです。
ありがとうございます。
【石井委員長】 はい、ありがとうございます。
以上でよろしいですね。そうしましたら、環境省のほうからお答え等があったらお願いいたします。
【大川鳥獣保護管理室補佐】 たくさんのご意見、ありがとうございます。ちょっとまず小泉委員からのご意見についてご回答したいと思います。
まず、特定計画が策定されていない都道府県についても策定するよう指導してほしいというご意見につきましては、シカ・イノシシでも指定管理鳥獣に指定されることで特定計画策定が推進されましたので、クマにつきましても、そういったことの効果を期待しつつ、環境省としてもこれまで以上に後押しをしていきたいなというふうに考えております。
シカとイノシシとパイを取り合うことにならないよう、財政支援を頑張ってくださいという温かいお言葉ですが、頑張っていきたいというふうに思っております。
積極的な情報公開ということですけれども、これまでも環境省のほうで様々なクマのガイドラインですとか、マニュアルですとか、いろいろと公開してきているんですが、今やっている事業の成果など、モデル事業などもしていますので、そういうようなことも含めまして、関係者で共有したり、必要なものを公開したりというようなことに努めていきたいというふうに考えております。小泉委員については以上だったかと、はい、ありがとうございます。
勢一委員につきましては、そうですね、人の生活圏に関わるほかの計画との連携ということにつきましては、環境省のほうでは関係省庁連絡会議というものもクマに関係して毎年開催していまして、そういう場なんかも利用しまして、関係省庁とクマ類のことについて共有しながら、ゾーニング管理ですとか必要な対策を進めていきたいと思っております。
地域づくりの観点でもというご指摘がございましたけれども、対策方針でも示されていますとおり、持続可能な地域づくりの観点でクマ類の被害対策を考えていくべきというようなご指摘もありましたので、そういったことも踏まえて検討していきたいというふうに考えております。
宮本委員ですけれども、国立公園などの中でのクマ対策がどうなっているのかというご意見ですが、環境省のほうでクマ類出没対応マニュアルというものをつくっておりまして、その中でもキャンプ場などの利用施設の対応方針を示していましたり、あと複数の、何か所かの国立公園では、その国立公園独自でクマの対応マニュアルのようなものをつくっております。例えば上高地なんかでもつくっておりまして、そういうマニュアルの中でどのように対応していくですとか、誘引物管理をどのようにやっていくか、普及啓発ですとか、そういったものをどうやってしていくかというようなことを示しております。引き続き、そういったような対策を進めていきたいというふうに考えております。
森本委員の奥山での行動指針につきましては、環境省のクマのガイドラインのほうでも、奥山のコア生息地につきましては、人工林の広葉樹林化ですとか、今ある落葉広葉樹林の保全・再生というようなことを推奨しておりますので、そういったことを引き続き進めてまいりたいというふうに考えております。
高橋委員の、カモシカが里に下りてきていて、シカとの関係性というものも私もよく聞いていますが、クマの場合はどうなのかということにつきまして、すみません、ちょっと後で答えさせていただきたいと思います。
三谷委員の、農水省の特措法との関係ですけれども、これから環境省も指定管理鳥獣の交付金拡充に向けて取組を進めていきますが、その中でも農水省のクマのメニューは、やはり農村地域が対象ですので、そういったところとかぶらないように、例えば環境省のほうでは市街地周辺の被害防除ですとか、あと環境整備ですとか、ちゃんとすみ分けができるような形での対策の検討というのを進めてまいりたいとは思っていますが、まだこれから関係省庁との協議、まだ始まっていませんので、そういったことを念頭に検討していきたいというふうに考えております。
人材育成で、地域にその人手が足りないという部分ですけれども、やはり対策方針でも示しておりますとおり、地方自治体の人材育成、配置というものも重要だというふうに考えておりますし、地域づくりからの管理というのも指摘されておりますので、そういったことを踏まえて検討してまいりたいというふうに考えております。
八代田委員のご意見で、捕獲のイメージが強いのでシカ・イノシシとは違うということをしっかりと説明してほしいというご意見につきましては、おっしゃるとおり、対策方針でもそういったことが示されておりまして、検討会の委員からも強いご意見がございましたので、シカ・イノシシとは異なる、捕獲に偏らない総合的な対策を検討してまいりたいというふうに考えております。特にクマの違う点は、やはり市街地に出没すると人身被害が深刻になるということですので、その点の出没時の対応をしっかりというふうに考えております。
寺田委員の、自治体での活動、都道府県間の共有を後押しするようなことを、どのようなことを行っているのかということですけれども、環境省のほうで、今クマ類の出没に対応するための体制構築事業というモデル事業を6道県で行っておりまして、3か年行っていまして、次年度が最終年度になるんですけれども、そういったモデル地域で行ったほかの地域の参考になるような取組を次年度、都道府県に共有していきたいなというふうに考えております。何かそういうような取組を通じて都道府県間のケーススタディの共有を図っていきたいというふうに考えております。
【村上鳥獣保護管理室補佐】 1点だけ補足ですが、鳥獣保護管理室の村上と申します。
高橋委員からご指摘がございましたクマとシカ・イノシシとの相互作用についてございますが、こちらについては、科学的にはまだ明らかになっていないのではないかなと思っていますが、例えば北海道だと、シカの捕獲個体の残渣をクマが捕食しているといったような話もありますので、地域によってはそういった影響があるのではないかなと思っているところでございます。引き続き、研究者の方々のご意見を伺いながら、そういった相互作用についても調べていけたらと思っております。
【石井委員長】 はい、よろしいでしょうか。まだまだご質問があるかもしれませんけれども、ちょっと時間も押していますので、以上とさせていただきたいと思います。
それでは、2番目の報告に参ります。ニホンジカ・イノシシの半減目標についてということで、鳥獣保護管理室の村上補佐、お願いします。
【村上鳥獣保護管理室補佐】 鳥獣保護管理室の村上と申します。資料2、ニホンジカ・イノシシの半減目標についてご説明させていただきます。
1ページでございますが、まず経緯でございます。平成25年12月に環境省と農林水産省のほうで抜本的な鳥獣捕獲強化対策というものを策定しております。この中で、当面の捕獲目標として、ニホンジカ、イノシシについては10年後(令和5年度)までに個体数を半減させるという目標のほうを設定しています。こちらを半減目標と通称で呼んでおります。
また、昨年3月に閣議決定しました生物多様性国家戦略の中でもシカ・イノシシについて、2023年度の半減目標の達成に向けて、引き続き捕獲の強化を図るとともに、2024年度以降の目標の在り方を検討するということになっていたところでございます。
こちらを踏まえまして、昨年9月に環境省と農林水産省のほうで半減目標の達成状況の評価と令和6年度以降の目標の在り方について公表しておりますので、そちらの概要についてご説明をさせていただきます。2ページのほうをご覧ください。
こちら、シカとイノシシの推定個体数と将来予測でございます。左の図は本州以南のニホンジカの推定個体数ということになっておりますが、令和3年度末のシカの個体数は、こちら、捕獲数等の全国的に収集が可能なデータで推計しておりますので、推定結果に幅がございますが、中央値で見ますと、令和3年度で222万頭ということで、令和5年度の半減目標の達成は難しい状況ということになっております。また、令和3年度の捕獲率を継続した場合は、目標達成は令和13年度になるということで、さらなる捕獲補強が必要になっているという状況でございます。
こちらの図にはございませんが、北海道のエゾシカについては北海道庁のほうで推定個体数のほうを公表されていますが、そちらのほうも令和元年度以降増加傾向に転じているというふうに推定されておりますので、集中的な施策が必要になっているという状況でございます。
右の図がイノシシのほうになっておりますが、イノシシのほうは令和3年度で約72万頭ということで、こちらのほうはこれまでの捕獲強化や豚熱等の感染症の影響もあって、個体数のほうは順調に減少している状況でございます。
3ページのほうに参ります。3ページ以降は捕獲対策の検証結果ということになっております。ポイントに絞ってご説明させていただきます。
まず、推定個体数についてでございますが、こちらの成果としましては、先ほど申し上げたとおり、平成26年度以降、シカとイノシシの個体数は減少傾向にあると。特にイノシシについては順調に減少しているという状況でございます。
一方、課題としては、シカの個体数の減少ペースが遅いと。また、東北、北陸地方を中心に分布が拡大している地域もあるというところでございます。また、エゾシカについては個体数が増加に転じているということで、集中的な施策が必要になっているというところでございます。
続いて、捕獲頭数についてでございます。こちらの成果としましては、シカの捕獲頭数、近年これまでにない高いレベルで70万頭前後推移しているというところでございます。イノシシにつきましても、令和2年度、過去最高の68万頭というのを記録しております。令和4年度は59万頭と、豚熱等の影響もあって少し減少しておりますが、かなり高い水準で捕獲ができているというところでございます。
課題としましては、シカについても、やはり半減目標の達成に向けてさらなる捕獲の強化が必要と。そのためにも雌ジカとかの捕獲強化が必要になっているというような状況でございます。
次のページ、4ページでございます。こちら、狩猟免許所持者数でございます。こちらの成果としましては、狩猟フォーラムや各種の研修等によって、わな免許を中心に若い世代の狩猟者が増加しているという状況でございます。
一方、課題でございますが、近年増加していると言いつつも、ピーク時には50万人以上狩猟者の方がおられましたので、それに比べると、まだまだ少ないという状況でございます。また、特に近年、熟練した銃猟の免許所持者の減少が見込まれるというところで、これを補うための対策が必要になっているというところでございます。そのためにも高い技術力を持った事業者の育成ですとか、ICT等の新技術を活用した効率的な捕獲が必要になっているという状況でございます。
続いて、農作物被害額についてでございます。こちらの成果としましては、平成23年度以降被害額は減少傾向にあると。課題としましては、依然として被害額は高い水準にあると。また、シカに関しては近年被害額がまた増加傾向になっておりますので、さらなる対策の強化が必要になっているという状況でございます。
5ページに参ります。こういった検証結果を踏まえて、今後の目標の在り方というところでございます。赤の囲みのところに当面の捕獲目標というところで入れておりますが、基準としましては、シカ・イノシシの生息頭数を令和10年度までということで、目標年を5年間延長するという形で半減を目指していきたいというふうに考えております。この中で、オレンジの囲みの中に、これまで実施してきた対策と、これから特に強化していく対策ということで、特に強化していきたい対策については太字のほうで書いておりますが、こういった対策を環境省、農林水産省、関係省庁連携して実施していくことで令和10年度までの半減目標の達成を目指していきたいというふうに考えております。
次の6ページでございます。こちらは半減目標の達成に向けた環境省の取組でございます。こちらの左のほうに日本地図が出ておりますが、こちらは令和2年度から環境省のほうで本州以南のシカの糞塊調査を実施して、シカの密度分布図を作成して、先週公表したところでございます。こちらの赤やオレンジのところが特にシカが多いところというところになっておりますが、こういったシカの高密度地域において、環境省のほうで指定管理鳥獣捕獲等事業という、交付金で都道府県が実施するシカ・イノシシの捕獲等の支援を行っておりますが、その補助率を来年度から2分の1だったものを3分の2に引き上げるといった取組を予定しております。また、狩猟で捕獲したシカについて、その単価のほうを雌ジカについては来年度から1,000円引き上げると、そういった取組を実施したいなというふうに考えております。
また、右側のほうでございますが、特に県境付近でシカの高密度地域のほうが確認されている状況でございます。このため、こちらは令和4年度からの取組になっておりますが、その県境をまたいだ広域的な捕獲については、さらに定額で支援するといったような支援の拡充のほうもしております。そういったものもご活用いただいて、全国的に広域連携の取組も増えてきていると、こういった状況でございます。
最後、7ページでございます。こちら、先ほど申し上げました指定管理鳥獣捕獲等事業交付金の概要でございます。来年度につきましては当初予算2億円、令和5年度補正予算23億円の、合わせて25億円という規模で都道府県のほうの支援をしていきたいと思っております。こういった事業も活用して関係省庁とも連携しながら、シカ・イノシシの捕獲強化を進めていきたいと思っております。
以上になります。
【石井委員長】 はい、ご説明ありがとうございました。
それでは、委員の皆さん、ご意見、ご質問をお願いいたします。先ほどと同じようにお願いいたします。
そうしましたら、小泉委員、お願いいたします。
【小泉委員】 ありがとうございます。小泉です。
先ほど、クマのところで申し上げましたけれども、指定管理鳥獣、それから半減目標ということで、分布だけじゃなくて、全体の個体数の推移だけじゃなくて、生息密度の分布というところまでも明らかになってきて、高密度地域が抽出できるようになってきたというふうにして、仕事が進んでいるということを大変高く評価したいと思います。
ただ、今説明いただいたことを生物多様性国家戦略で援用されているロジックモデルというのに当てはめて考えてみると、いわゆる直接的な半減というのは行動目標になるわけですね。最終的には半減という言葉から期待される、どういう状態に持っていったらいいのかという状態目標に向けて取組が必要になるということになるわけです。半減目標もセカンドステージに入ってくるわけですから、もう少しこういった状態目標というのを意識しながら関係省庁との連携を強化していっていただきたいと思います。
以上です。
【石井委員長】 はい、ありがとうございます。
勢一委員、お願いします。
【勢一委員】 ご説明ありがとうございました。勢一です。
私も今の点と少し関連しているのですけれども、私は、専門が法律なので、基本的なところを分かっていなくて、教えていただきたいです。半減目標を設定した根拠といいますか、どうして半減だったのかというようなところで、先ほどその後の状況のご報告、丁寧にしていただきまして、分布が拡大しているとか、個体数が増加傾向にあるとか、あと高密度地域があるとか、いろいろご紹介いただいたのですけれども、それだけ当初設定した頃からは状況が変わっていると思うのですが、さらに5年延長して半減を目指すことをお示しいただいているので、ぜひ門外漢にも分かるような形で少し補足のご説明をいただけるとありがたいと思いました。
あと、先ほどのクマの部分についてご回答いただいたんですけれども、他の計画や施策との連携ということで、関係省庁の連絡会議でしっかりやりますと言っていただいて、それは非常に重要だと思うのでしっかり進めていただきたいと思うのですが、それだけでは足りないというのが私のコメントで、やはり中長期的に進める必要があるので、制度や体制として、場合によっては地方公共団体を巻き込んで対策を取っていただく方向をご検討いただきたいというところを少し補足させていただきました。
以上です。
【石井委員長】 はい、分かりました。
ほかの委員、よろしいですか。
それでは、小泉委員、それから勢一委員からご質問等がありました。よろしくお願いします。
すみません、八代田委員、手を挙げてらっしゃいますね。はい、お願いします。
【八代田委員】 すみません、押すのが遅くなってしまって申し訳ありません。
私から1点ですね。その半減目標と言ったときに、6ページ目にもありますとおり、生息密度というのは非常に地域によって偏りがあります。ただ、こういった偏りも考慮されていないといいますか、その半減目標ということを掲げて特定計画を立てられているところも結構散見されますので、その辺りはきちんと基準を設けまして、今回、補助率についても段階的に高いところは高くするというようなことは非常にいいことだと思います。そういったところで、小泉委員からもありましたけれども、捕獲をすることの目的ですね、そもそもの目的は捕獲をすることではなくて、シカの個体数を適正な密度に誘導しまして被害を減らすというところが本来の目的でありますので、そういったところを踏まえて、都道府県さんにも、ただ機械的に半減ではなくて、被害を減らす、あるいは高密度地域を低密度へ持っていくというような形で対応、対策をしていただけるようにしていただければと思います。
私からは以上です。
【石井委員長】 はい、ありがとうございました。
では、ご回答のほうをお願いします。
【村上鳥獣保護管理室補佐】 はい。ご意見、ありがとうございました。
小泉先生のほうから、単に個体数を半減するだけではなくて、被害が減るような状態の目標をしっかり設定してというご意見をいただきました。全くそのとおりで、半減目標としては個体数だけを掲げておりますが、環境省のほうで策定しています特定計画のガイドライン等においては、個体数だけではなくて被害状況、農作物被害だったり、生態系被害だったり、そういったものの状態の目標をしっかり設定して、その目標に向けて取組を進めるということになっておりますので、半減という目標を掲げつつ、しっかり被害が減るような対策のほうを進めていきたいというふうに考えております。
また、勢一先生のほうから、なぜ半減なのかというご質問をいただきました。こちらも説明が足りず、大変申し訳ありませんでした。もともと、平成25年に目標を設定した際には、かなり農作物被害や生態系被害が高くなっていると。あわせて、シカ・イノシシの個体数はかなり増加してきているという状況がございました。農業被害が、過去、それほど発生していなかった、農家の方々の声が大きくなかった時期が、個体数がちょうどその時期から半分ぐらいじゃないかというような想定の下、半減と、まずは取りあえずそのレベルまで下げようということで半減という数字を掲げたところでございましたが、先ほど小泉先生からお話があったとおり、あくまで半減が目標ではなくて、被害を減らしていくというところが大事だというふうに考えております。
また、先ほど勢一先生から、関係省庁だけではなく、地公体もしっかり巻き込んで取組をというご指摘をいただいております。こちらもまさに都道府県、市町村のほうと一緒にしないとなかなか対策も進んでいかないところだと思っておりますので、関係省庁のほうでしっかり自治体の支援メニューも用意しながら、自治体も巻き込んで、一緒に取組を進めていきたいというふうに考えております。
八代田先生のご指摘は、ちょっと小泉先生のご指摘と同じところでの回答とさせていただきます。
【石井委員長】 はい、ありがとうございました。まだあるかもしれませんけれど、なかなか時間が厳しくなっておりまして、先に進ませていただきます。よろしくお願いします。
3番目の報告に参ります。カルタヘナ法における研究開発段階の大臣確認制度の見直しについてということで、これは外来生物対策室の松本室長、お願いいたします。
【松本外来生物対策室長】 続いて、外来生物対策室長の松本でございます。議事3について説明いたします。資料3-1が映っておりますが、野生生物小委員会の設置についてをご覧ください。
冒頭、局長挨拶でも触れましたが、遺伝子組換え生物等の使用等の規制に関する生物多様性の確保に関する法律、通称カルタヘナ法と申します。その施行状況を踏まえまして、今般、遺伝子組換え生物の取扱いをこの野生生物小委員会の審議事項とすることについてのご報告です。
2月22日に開催されました中央環境審議会自然環境部会において、議事運営規則8条の規定に基づきまして、裏面、2ページに示した規定を追記する一部の改正の決定がございました。こちらでございます。
3ページ目、こちらでその趣旨を説明させていただきます。
こちら、趣旨の前に、まずちょっと裏面、そのさらに4ページ目、裏面をご覧ください。簡単にカルタヘナ法の概要についてまとめてございます。あえて法目的を改めて読ませていただきますが、国際的に協力して生物の多様性の確保を図るため、遺伝子組換え生物等の使用等の規制に関する措置を講ずることによって、生物多様性条約カルタヘナ議定書の的確かつ円滑な実施を確保する。生物多様性保全の確保の観点というところがポイントでございます。
法の仕組み、枠組みを図で示してございます。詳細は割愛いたしますが、環境省、それから文部科学省、財務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省の6省庁の共管の法律でございます。後ほど資料3-2でまた改めてこちらに戻ってきますが、取りあえず一旦、こういった内容というところで、改めまして3ページ目の資料の補足に戻ります。
こちら、改正の背景・趣旨のとおり、制定から20年が経過しました。その間、近年急速に発展しているバイオテクノロジーなどの遺伝子組換え技術の科学的知見の集積、あとそれから、社会情勢が変化してきております。例えば、研究開発段階の取扱いをいかに円滑化していくか、また、遺伝子組換え生物の使用に関する社会的な認知、これまで以上に情勢、国民の皆様の理解、認識の必要性など、課題がある状況でございます。こういった状況、社会背景を踏まえまして、法目的の生物多様性確保の観点を図る観点から、施行状況調査等を踏まえまして、その整理、そして継続的な確認、今後に向けた包括的な議論・検討の枠組みとして野生生物小委員会を位置づけるという趣旨でございます。
今般の改正に当たりまして、冒頭、局長からも紹介がありましたが、その遺伝子組換え生物の取扱い、技術、そしてその使用に当たっての生態系への影響の観点から、それぞれ専門的知見を有する有識者として、現行もう委員であられます五箇委員に加えまして、新たに国立環境研究所から生物多様性領域の副領域長である青野光子委員、それから東京大学大学院の農学生命科学研究科のほうで教授をされております野尻秀昭委員に新たに参画いただいておりますことを申し添えます。それぞれ、青野委員に関しましては植物、遺伝子組換えのナタネと環境影響のモニタリング調査の知見、見識がございますし、野尻委員におかれましては、微生物の環境中での挙動や遺伝子の水平伝播等、応用微生物の観点から専門的知見を有するということで、今回参画いただきました。
引き続いて資料3-2をご覧ください。
では、当面どんな議論、検討事項があるかというところで、こちらの内容でございます。本日は、まず目出し、キックオフ的な内容としてご説明させていただきます。
先ほど趣旨説明いたしましたその研究開発段階の取扱いの円滑化、課題であると申し上げましたが、1ポツのほうに趣旨の、より具体の課題の観点を書いてございます。特に2パラですね、カルタヘナ法においては、遺伝子組換え生物等を使用した研究を行う場合において、生物多様性を確保する観点から、一般環境への漏出を防止するための拡大措置を取る必要があるとされております。研究機関が検討した拡散防止措置を設定した研究計画を主務大臣が確認するということで義務づけられております。
この枠組み、先ほど少し補足でお伝えした、行ったり来たりで恐縮ですが、資料3-1の4ページ目、ポンチ絵をご覧ください。こちらですね。この中段に、枠の中に遺伝子組換え生物等の使用に関する措置というのがございます。その右下に第2種使用、いわゆるこれは閉鎖系の実験室など、そういった中での取扱いについて、研究開発における取扱いを規定しておるんですが、この研究開発段階の主務大臣が文部科学大臣となっております。
こういったその状態、カルタヘナ法の規制の枠組みを踏まえまして、資料3-2の1ページ目の趣旨のほうにありますとおり、今般の新型コロナウイルス等のパンデミックの経験、経緯を踏まえまして、迅速なワクチンや医療品の開発が課題となっている中で、カルタヘナ法の趣旨に鑑みまして、リスク管理をしっかりと継続することを大前提として、文部科学省とともに大臣確認を必要とする研究範囲の見直しなどの検討を進める背景、必要性があるという状況にございます。
こういった状況を受けまして、2ポツにあります当面の具体的なその対象として、(1)にありますパンデミックへの対応、具体的には、まず政府がパンデミックの対応という形でプロセスを開始した際に、当該ウイルスの遺伝子組換えの研究に関する大臣確認をどういった形でやっていくかという考え方、それから、(2)にありますとおり、その確認を必要とする研究範囲の見直し、具体的には、そういった研究範囲の整理を踏まえまして、先ほどありました閉鎖系での研究開発における第2種使用等に当たって、どういった執るべき拡散防止等を定めるかの省令の考え方ということを想定してございます。
今後の予定とあります3ポツでございます。主務大臣となります文部科学省のほうでも科学技術・学術審議会、生命倫理・安全部会、遺伝子組換え技術等専門委員会というのを設置してございまして、こちらに関するこの委員会、審議会において、制度に関する検討を開始しておりまして、具体的には予定、今後のスケジュールは未確定な部分がございますが、それぞれ先ほど2ポツで示してある検討課題、(1)のパンデミックの対応については今年の夏頃までを目処に、(2)の大臣確認を必要とする研究範囲の見直しについても、今後少なくとも、ゆっくり、ゆっくりではなくて丁寧に、概ね1年以上しっかりとかけまして、少なくともですね、議論、検討を進めていく予定と聞いております。
環境省といたしましても、この文部科学省の審議会、専門委員会の検討内容を受けまして、本日キックオフとなりますが、同時並行で連携、連動しながら検討状況報告を進めていく予定としておりまして、まずは本日、そのキックオフとしてご報告させていただきました。
以上でございます。
【石井委員長】 はい、ご説明ありがとうございました。
それでは委員の皆さん、ご意見、ご質問等があったらお願いいたします。
それでは、青野委員、お願いいたします。
【青野委員】 青野です。ありがとうございます。ご説明ありがとうございました。
こちらはパンデミックを踏まえて、その迅速にワクチンとか医薬品を開発するためには、その研究室の中で閉鎖系で行っている実験を、大臣確認がこれまで要るようなものだったものを、ちょっと規定を変えて迅速に行いたいというコンセプトでやるものと理解しました。なので、この方向で進めていただくことに賛成いたします。ただ、もちろん迅速に進めることが、もちろん人の健康とか生命を守るためにやるんですが、同時にその生物多様性をないがしろにしていいとか無視していいということではないと思いますので、そこは文科省のほうとしっかり情報共有しながら今後審議していけばいいのかなというふうに思いました。
意見です。以上です。
【石井委員長】 はい、ありがとうございます。
白山委員。
【白山委員】 はい、ありがとうございます。白山です。
ちょっと分からないところが1点あって、そこを伺いたいと思います。カルタヘナ法は基本的に生物多様性条約(CBD)の中にあると思いますが、生物としては公海、BBNJですね。CBDの管轄外の場所ですが、ここにも生物はいて、そこが起源の生物に関しては、このカルタヘナ法ではどのような扱いになっているのかということを教えていただきたいと思います。今後、そのBBNJの、日本がもしもそこに締約国としてなるとすると、国内法の整備において、BBNJの条約との整合性を取るということが必要だと思いますので、ご検討状況を伺いたいということです。
以上です。
【石井委員長】 はい、ありがとうございます。
ほかの委員の皆様、よろしいでしょうか。
それでは、2件ございましたが、松本室長、お願いします。
【松本外来生物対策室長】 まず、青野委員からありました本件を取り扱っていく内容、また、それに当たっての生物多様性の確保や野外への流出をどう防止して取り扱っていくかという観点を大前提としたというコメント、ありがとうございます。しっかりと文部科学省と連携、そして進捗を共有、議論の内容を共有しながら丁寧に検討、議論を進めてまいりたいと思います。ありがとうございました。
それから、白山先生からありましたCBDの関係で、公の海におけるこのカルタヘナ法の所掌範囲ということでありますが、カルタヘナ法に当たりましては、日本国内の公の海、あらゆるもの、遺伝子組換えの生物のものが対象になりますので、そちらの由来のもの、もしくはそちらで扱うものも概念としては対象になっていくものでございます。
ちょっとBBNJとの検討の部分については、今、議論が省内、局内でも進められているところで、そちらの部局とも情報共有をしながらご指摘の観点の扱いもまた論点、議題になる方向性等がありましたら、引き続きしっかりと共有しながら検討を進めてまいりたいと思います。
以上でございます。
【中澤野生生物課長】 石井委員長、補足します。
【石井委員長】 よろしくお願いします。
【中澤野生生物課長】 白山先生からカルタヘナ議定書とCBDの関係についてということでございましたけれど、CBDは国家管轄内を扱っているとされておりますので、CBDの下にあるカルタヘナ議定書も当然その範囲内ということになると思います。
【石井委員長】 はい、中澤課長、ありがとうございました。
では、よろしいでしょうか。
では続けて、次の報告に行きたいと思います。種の保存関係ですね。3件続けてお願いしたいと思います。
4番目の報告が、国内希少野生動植物種等の指定について、それから5番目が、保護増殖事業の事業完了の考え方について、そして6番目が、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存につき講ずべき措置の検討についてということで、それぞれ谷垣補佐、福島補佐、守分補佐ですけれども、続けてお願いいたします。
【谷垣希少種保全推進室補佐】 はい、聞こえますでしょうか。希少種保全推進室の谷垣でございます。まず資料4に基づきまして、私のほうから今年度の希少野生動植物種の指定についてご説明さしあげます。
まず1ポツ、国内希少野生動植物種についてですけれども、種の保存法に基づきまして、令和4年度までに442種の国内希少種を指定してきております。(2)ですけれども、今年度の指定につきましては、動物3種、植物3種の計6種を指定する旨の政令を、今年1月に政令を閣議決定いたしまして、2月から施行しております。
指定種につきましては1ページ目の下からこの表1で記載させていただいておりまして、次のページの頭に写真も一部載せさせていただいておりますが、沖縄の森林に生息する、美麗なルリゴキブリの種類ですとか、あとは、これもまた沖縄の森林に生息するジョウロウラン、らん科の植物ですね。こうしたものが、例えば飼育の目的で捕獲をされていたりとか、あと開発の影響もあるということで、種の保存法に基づいて設置されております希少野生動植物種専門家科学委員会において必要性と有効性をご理解いただきまして、指定をしているという状況でございます。
参考につけてはいるんですけれども、種の保存法では新種、それから新亜種などとして報告されたものについては、緊急指定種ということで指定することができる制度がございます。これは年数、3年の間とか年数を区切って指定をして、取り急ぎその間に捕獲等が進んでしまうようなものを保全する、規制するということができる制度なんですけれども、この動物3種、ルリゴキブリとリュウジンオオムカデの3種につきましては、令和3年に新種として報告されたものでございまして、令和3年7月に緊急指定種に指定されたものを今回国内希少種として引き続き規制が必要ということで指定をしたということでございます。
次のページに行きまして、2ポツの国際希少野生動植物種でございます。これはワシントン条約の附属書に掲載された種を指定して譲渡し等を規制しているものですけれども、令和4年度までに812種類の動植物を指定してきております。今年度、きょうちくとう科の植物を1種、ワシントン条約の附属書に掲載、追加されたということを受けまして、国際希少種として追加指定を行っております。
それから3ポツでございます。先ほどご説明した緊急指定種の制度について、今年度も新たに適用させたものがございます。昨年の11月に新種として報告されたギボウシ類の2種を今回、種の保存法に基づきまして緊急指定種として指定しております。これについては指定期間を3年間としておりまして、この間、個体の採取・損傷、それから譲渡しなどが規制されるということになります。この間に必要な調査などをいたしまして、今後規制をするかどうかといった検討をしてまいりたいというふうに思っております。
私のほうからは以上です。
【石井委員長】 はい、続けてお願いします。
【福島希少種保全推進室補佐】 続きまして、希少種保全推進室の福島です。資料5と資料5-参考資料があると思いますが、これについてご説明させていただきます。資料5は資料5-参考資料の抜粋という形になっておりますので、説明は資料5を使ってさせていただければと思います。
では、2ページ目、種の保存法に基づく保護増殖事業が開始されて30年が経過し、現在76種を対象に57の保護増殖事業計画が策定されています。種によっては事業実施により生息・生育状況が大きく改善するなど、一定の成果が上がっているものもありますが、一方で、現時点で事業が完了した事例というのはまだございません。
令和5年3月に閣議決定されました生物多様性国家戦略2023-2030では、2030年に達成すべき目標の一つに、保護増殖事業の実施により、その生息状況が改善され、保護増殖事業の目的が達成されて、事業を完了した種数を5種程度とすることを掲げているところでございます。
生息・生育状況が改善してきた幾つかの種では、事業完了に向けた検討も始まっておりますが、具体的にどのような手続を経れば事業完了としてよいか、また、国家戦略の目標に適合する事業完了種として扱ってよいかということについては、整理して示せておりませんでした。
下の米印のところに経緯がございますが、前回のこの野生生物小委員会、10月4日に開催された小委員会において、この保護増殖事業の完了に向けてどのように進めるのかということについて、石井座長からもご指摘、コメントをいただいたところでございます。これも踏まえまして、この保護増殖事業完了に関する論点と方針を環境省のほうで作成をして、令和5年12月22日に開催されました希少野生動植物種専門家科学委員会において提示し、ご意見をいただいたというところでございます。ちなみに、科学委員会でいただいた主なご意見については、この資料5の7ページ目にも挙げておりますので、ご確認いただければと思います。
それでは、次のページをお願いします。ここから事業完了の考え方、論点と方針について示していますので、かいつまんでご説明させていただきます。右肩にもありますとおり、資料5-参考資料の論点整理のほうから抜粋したものとなってございますので、そちらの資料も併せてご確認いただければと思います。
まず、この論点整理で対象とした保護増殖事業でございますが、種の保存法に基づき国が策定した保護増殖事業計画に基づいて、環境省自らが実施している保護増殖事業をまずは対象としたいというふうに考えております。
それから、具体的に保護増殖事業の完了の考え方になりますけれども、ここに四つ、主なものを示させていただいております。
まず、保護増殖事業計画というのは、種の保存法に基づいて策定される法定計画になりますが、これに記載されている目標というのは、本種が自然状態で安定的に存続できる状態にすることといったような少し曖昧な表現の目標になっています。そのため、具体的に事業を実施する際には、下位計画、アクションプランに当たるようなものを事業ごとに作成して実施しているという状況でございます。この下位計画において、具体的な目標を設定しまして、その目標が達成された場合は事業を完了するというような考え方を一つ示させていただいております。
それから、この事業完了の決定ということに関しましては、各事業で開催している専門家による検討会等において、目標達成、到達に関する評価をし、事業実施主体である地方環境事務所で決定をしていくと。また、国内希少野生動植物種の指定自体が解除された場合にも、自動的に保護増殖事業を終了するということとしております。それから、事業完了後は必要に応じてモニタリング等により生息動向を把握する監視フェーズに移行するということも示しております。
次のページから、この下位計画の目標、それから事業完了後の法定計画の取扱い、それから監視フェーズの取扱いについて記載しております。
この下位計画での目標等の設定ですが、参考資料の2ページ目にももう少し詳しく記載しておりますので、そこも併せてご覧いただければと思うのですが、それぞれの種は、分類群も異なりますし、置かれた状況も異なるということから、種の特性を踏まえて複数の観点から事業完了を評価するための目標を設定する、それから、評価方法についても併せて検討して設定しておくと。また、目標は可能な限り定量的なものとするということを考え方として示しています。
続きまして、事業完了後の保護増殖事業計画の取扱いになりますが、事業が完了しても、国内希少野生動植物種の指定が解除されていない場合は、保護増殖事業計画自体は残る、存続するということになります。種の保存法には、保護増殖事業計画の廃止等の手続規定が、今、設定されておりませんので、事業は完了しても計画は残るということで整理しております。
続きまして、事業完了後の監視フェーズについてですが、国内希少野生動植物種の指定解除までの期間を目安として状況に応じて判断をする。それから、国内希少野生動植物種の解除により事業が終了した場合も、特に捕獲圧が増大するなど、当該種の減少や生態系保全上の支障が生じるような社会的反響が強く懸念される種については指定解除後にフォローアップ期間を設けて、必要に応じてモニタリングを実施する。それから、モニタリングは効率的・効果的な方法を検討、選択をするということで方針を示しております。
続きまして、5ページ目になります。ほかの保全施策との組合せで保護増殖事業を実施している場合につきましては、ほかの保全施策によってその種の減少要因が取り除かれ、安定的に存続できる状態となっている、または、その見込みが高い場合には、事業完了を検討するということとしております。
それから、事業完了後の生息域外保全の取扱いということでございますが、保護増殖事業では動物園等において生息域外保全、飼育繁殖等の取組を実施していただいているという場合もあります。監視フェーズにおける事業再開の可能性、それから飼育協力園館の意向も踏まえながら、こうした生息域外保全については、その継続の必要性についても判断する必要がある、検討していくことが必要というふうに示しております。それから、生息域外保全を終了する場合は、飼育協力園館等とも十分に調整の上、個体の取扱いを決定するというふうにしております。この点につきましては、動物園側からも事業が完了してそのまま域外保全も終了するんですかといったようなご質問、ご指摘を多くいただきますので、このような形で考え方を整理させていただいているところでございます。
続きまして、生物多様性国家戦略における事業を完了した種数の考え方になります。先ほどもご説明したとおり、目標が達成されて事業を完了した場合は、中央環境審議会自然環境部会野生生物小委員会、この委員会になりますけれども、それと希少野生動植物種専門家科学委員会に報告をする。報告した事業を事業完了した種とするというふうに方針を示させていただいております。また、国内希少野生動植物種の指定が解除されたことにより、保護増殖事業が終了した場合も、この国家戦略における事業を完了した種としてカウントするということを考えております。
次の6ページ目が、今、ご説明した生物多様性国家戦略2023-2030年における目標で、これに適合する保護増殖事業を完了した種の考え方というのを図で示したものになります。上の帯が、下位計画で定めた目標を達成して事業が完了した場合ですね。それから、下の帯が、国内希少野生動植物種の指定が解除されて保護増殖事業が終了した場合です。
上の帯で、目標を達成した場合、矢印①というのがあると思うんですが、ここのところで目標が達成して、その後、監視フェーズに入るということを示させていただいております。下の帯は、国内希少種の指定が解除されたタイミングで計画も事実上失効されるということで、ここで保護増殖事業も終了すると。主にはこの2パターンについて事業完了した種として取り扱うということとしております。
続きまして、7ページ目になります。冒頭も申し上げたとおり、希少野生動植物種専門家科学委員会でいただいた主なご意見・コメントを載せております。
一つ目にありますとおり、国家戦略の目標達成が目的化してしまうことへの懸念、つまり、事業完了のために無理にフェーズを移行させたと思われないよう、保全対策が不十分なまま完了とならないように進める必要があるというご指摘をいただいております。これに関しましては、もちろん環境省でも国家目標の達成のために事業完了したというふうにならないように、その点については十分留意して実施をしていきたいと思っております。
簡単ではございますが、保護増殖事業完了の考え方についての説明を終わらせていただきます。
【石井委員長】 では続けて、6番目もお願いします。
【守分野生生物課補佐】 野生生物課の守分と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
では、私のほうからは報告事項(6)絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存につき講ずべき措置の検討についてご説明を申し上げたいと思います。資料につきましては資料6-1をご覧ください。
本件は、種の保存法の前回改正から5年が経過してございますので、前回改正法の附則及び国会の附帯決議等に基づきまして、法の施行状況の評価、それから講ずべき措置の検討が必要となっているものでございます。昨年10月の前回小委員会におきまして、一度検討の進め方について委員の皆様にはご報告を申し上げております。ですので、今回は進捗についてのご報告とさせていただきます。
前回以降の主な進捗といたしましては、種の保存法の施行状況評価会議を設置いたしまして、第1回目の会合を、先週になりますが、3月21日に開催いたしました。本会議では取り扱う論点が幅広くなってございますので、国内希少動植物種、種の指定ですとか、ただいまご説明申し上げました保護増殖事業等の保全の観点と、希少種の流通管理等の流通の二つの観点で分けまして、それぞれのテーマごとに議論を行う予定としております。ただ、1回目はキックオフということで合同開催とさせていただきまして、委員の皆様全員のご参画の下、検討の進め方のスケジュールのご報告、それから前回改正事項のおさらい、そして前回改正以降の全般的な施行状況のご報告を行ったところでございまして、委員の皆様から全般的なご意見を頂戴したところでございます。
また、並行して、資料にございますけれども、論点別の事前調査等も行っております。例えば、淡水魚類の種の指定のあり方、それから保護増殖事業完了の検討、それから、流通関係では個体識別措置に係るヒアリングですとか、オンライン取引監視に係るEC事業者との意見交換会などを実施してきております。
今後につきましてですけれども、令和6年度から令和7年度にかけまして、施行状況評価会議を保全分野と流通分野で2回ずつ、それから最後に取りまとめの会議を1回開催することを予定しておりまして、このプロセスをもって短期的な課題、それから中長期的な課題、そうした改善すべき点の課題整理を行っていくことを予定しております。その後、こちらを受けまして短期的に具体的にどうするか、講ずべき措置のあり方について検討を深めるためのあり方検討会の設置を想定してございます。
また、関連する動きといたしまして、小さなポツに書いてございますけれども、令和6年度以降、第5次環境省レッドリストについて順次公表予定にしてございます。それから、令和7年度内に、国際的な動きとしてワシントン条約第20回締約国会議が開催予定になってございます。検討プロセスはそういった動きも踏まえた検討になるというふうに考えてございます。
さらに、制度改正が必要だということになった場合には、こちらの委員会でございますが、野生生物小委員会にお諮りすることが想定されるといった流れを想定してございます。
続きまして資料6-2になります。こちらは、ただいまご説明申し上げました施行状況評価会議の設置目的、それと委員のリストになってございます。記載事項については、今、口頭で申し上げたようなことが記載されておりますので割愛させていただきますけれども、委員の先生方については、保全分野から8名、それから流通分野7名、重複が1名いらっしゃいますので、合わせて14名の委員にご参画いただいております。こちらの野生生物小委員会の委員との関係においては、石井実先生、勢一先生、森本先生が保全分野、そして寺田先生が流通分野の委員としてこちらの施行状況評価会議のほうにもご参画いただいている状況でございます。
簡単ですけれども、私のほうからの説明は以上になります。
【石井委員長】 ご説明ありがとうございました。4番目、5番目、6番目の報告をまとめてしていただきました。
それでは、委員の皆さん、ご意見、ご質問等があったらお願いします。何番の報告かと言っていただくと助かります。よろしくお願いします。いかがでしょうか。
はい、水田委員、お願いします。
【水田委員】 はい、水田です。よろしくお願いします。
資料5の保護増殖事業完了の考え方についての中で、3点お伺いしたいことがあります。
まず一つ目が、3ページ目、保護増殖事業の完了の考え方の中で、矢印の二つ目ですね、保護増殖事業検討会等において目標到達に関する評価をし、と書かれています。目標到達を評価するのは検討委員会だけしか私は想像できないんですけれども、この「等」がついているのは、何かほかの検討する場というのがあるのかどうかということをお聞きしたいということが1点です。
それから、保護増殖事業はかなりたくさん行われていて、種によってとか分類群によって、地域によってそれぞれ状況は異なっているため、統一のルールをつくるのは非常に難しいと思いますが、ここでこういうルールを策定するのであれば、種によってそのルールから逸脱するようなことがないようにお願いしたいと思います。実際に私が関わっている保護増殖事業の一つで、どうもこのスキームには載っていないかなと思われるようなものもありますので、その点、ルールを設定するのであれば、それに従った考え方で進めていただければと思います。
あと3点目、これはコメントですけれども、希少種の予算が厳しいのは非常に承知していますが、完了するまではモニタリングというのは重要ですので、予算を削ることなくモニタリングを継続して、完了したということになったら事業をストップするなり、そのモニタリングフェーズに移行するなりということで、完了するまでは同一の事業を継続していただきたいというのがコメントです。
以上3点です。
【石井委員長】 はい、ありがとうございました。
会場の委員はよろしいですね。
そうしましたら、宮本委員、お願いします。
【宮本委員】 宮本でございます。
1点だけちょっと教えていただきたいことがあるんですが、ちょっと聞き漏らしたかもしれないんですけれども、資料4の2ページ、2の(2)で国際希少野生動植物種の指定についてということで、パキュポディウムなんですけれども、これについてはパキュポディウム属は全て附属書に載っているかと思うんですけれども、附属書のⅡにあったものがⅠに変わったので国際希少野生動植物種になるという解釈でよろしいのかどうか。これはかなり種子とか、それから繁殖個体は普通に販売されているんですけれども、譲渡し等の禁止の規制対象から除外されるというのは、これは海外からの輸入は駄目だけれども、国内での流通は可ですという意味なのかどうか、ちょっと確認のために質問させていただきました。よろしくお願いいたします。
【石井委員長】 はい、ありがとうございます。
そうしましたら、寺田委員、お願いします。
【寺田委員】 はい、ありがとうございます。私も同じところで、議題4の2の(2)の国際希少種のところで、通常、附属書Ⅰの掲載というのは、締約国会議で議論されて、その結果を踏まえて、いつも政令の改正をまとめて行われるかと思うんですけれども、今般、この「事務局からの通知を踏まえ」というのは、恐らく命名法で議論されていた部分で、表記が変わったというか、そういった趣旨なのでしょうかという質問です。どうしてこれがちょっと追加になったのか、先ほどの宮本委員のご質問と含めてご回答いただければ幸いです。

【石井委員長】 はい、ありがとうございます。
ほかの委員の皆さんはよろしいでしょうか。
そうしましたら、三人の委員からご意見がありましたけれども、どちらからいきましょうか。
【田邊野生生物課長補佐】 環境省の野生生物課の課長補佐をしております田邊と申します。
今、宮本委員と寺田委員からご質問のありました国際種の指定について回答したいと思います。
ワシントン条約附属書についてはご指摘のとおり、通常は締約国会議で改正がされるもので、前回のものは既に種の保存法の政令改正も済ませておりましたけれども、その政令改正が公布された段階で、事務局から追加で通知があったものになります。ご指摘のとおり、こちらの種の種子と繁殖個体については、種の保存法上では規制の適用除外と規定をしております。
かなりイレギュラーなものでしたので、実際に通知が到達してから今回改正までの期間、種の保存法においては、これまでどおり、分類学上規制対象に含まれていると解釈する旨の通知を出しておりましたので、実質規制の内容が変わるものではないとも言えますけれども、適切に学名等々を明記するために今回政令改正をした経緯があります。
【石井委員長】 はい。追加等はありませんか。
【福島希少種保全推進室補佐】 はい、水田委員からのご指摘、質問についてお答えいたします。
1点目は、評価を行う場が保護増殖検討会等になっている、この「等」にどのようなものが含まれるかというご質問だったと思うのですが、事業によっては連絡会議などの名称で実施しているものもあります。いずれにしても専門家が入って事業について助言等をしている会議を想定していますので、会議の名称がいろいろあるということを踏まえて「等」というふうにつけさせていただいております。
次は、種によってそれぞれ状況は異なるけれども、こういう考え方を示したのであれば逸脱することがないようにというご指摘かと思います。おっしゃるとおり、それぞれの種によって事業の進捗、それから置かれている状況も様々でありますが、特に「目標を達成して事業完了した種」については、きちんと目標設定をする、それからその目標に到達しているか専門家等にきちんと評価をしていただくというようなところはきっちり実施をしていけたらというふうに思っております。また、国内希少種の指定が解除されて事業を終了するというパターンもあります。いずれの場合についてもその種の生息状況等の改善が確認されて事業終了、完了となるというふうに考えておりますので、これについてもご指摘のとおり、逸脱することがないように、しっかり対応していきたいと思っております。
三つ目のコメントは、希少種予算の件ですが、これについてはかなり厳しい状況ということもあり、特に監視フェーズに入って以降のモニタリングについては、保護増殖事業のための予算以外の予算も含めて様々な予算、それから仕組みを活用していくことが必要というふうに考えております。一方で、事業を実施している間の予算についてはできるだけ確保していきたいというふうに思っておりますが、絶滅リスクが極めて高い種で新たに事業を開始するということもございますので、事業予算獲得に努めながら、全体のバランスを見ながら考えていきたいというふうに思っております。ご指摘、どうもありがとうございます。
【石井委員長】 質問された委員の皆さん、よろしいでしょうか。
そうしましたら、先に進みますね。7番目の報告です。洋上風力発電の環境影響評価制度の最適な在り方の検討状況についてということで、事務局からご説明をお願いします。
【山王環境影響審査室補佐】 はい、資料7をご説明させていただきたいと思います。環境省環境影響評価課の山王と申します。よろしくお願いいたします。
今回、こちらの報告事項ですけれども、こちら総合政策部会の下にある風力発電に係る環境影響評価制度の在り方に関する小委員会というところでご審議をいただきました内容になります。本日ご出席されている先生方にもご参画いただき、ご協力いただいた先生方がいらっしゃいます。ありがとうございます。
こちらの内容ですけれども、洋上風力の促進に関する政策パッケージということで審議をさせていただいております。実際に現在どういった課題があるかということなんですけれども、こちらの洋上風力に関しては、現在、再エネ海域利用法という法律に基づきまして、海の特定のエリアを促進区域として指定し、そのエリアで事業ができる事業者を募集、公募して選定した後にその事業者に占有権を与え、事業を進めると、こういった仕組みを設計してございます。
その仕組みの中でどういった課題が出てきているかということになりますと、この環境影響の部分については、再エネ海域利用法で制定された事業者において、その法律の仕組みとは別に環境影響評価法、アセス法に基づいて事業者自らプロセスを進め、法律に基づいた図書をつくって環境配慮を検討していくと、こういった仕組みになっております。再エネ海域利用法とこのアセス法がパラレルにかかると、こういった仕組みになっております。
この仕組みの中で実際に問題になっている点としては、事業者のほうでアセス法に基づく手続というものを進めていくわけなんですけれども、実際にこの事業者の選定という一番上が現在の仕組みなんですけれども、この選定をされるタイミングよりも前の段階で、実際に環境影響評価法のプロセスを始めていると。本来であれば、そこで事業を実施する予定である者がアセス法についてはプロセスを行えばいいわけなんですけれども、選定されることが分からないというか、候補者である、手を挙げる予定であるという段階で、できるだけ早くこのアセス法についての手続を済ませておきたいと、こういった予定になっておりますので、事業者が自ら始めてしまうと。その結果、選定されるであろう、要は公募に手を挙げる予定の事業者が、ここにA、B、Cというふうに並んでおりますが、3者あるいはそれ以上の事業者が同じ海域におけるアセス手続を開始してしまうと。これによって実際にこのアセス法に基づく説明会ですとか、あるいはアセス法に基づいてつくる図書を自治体に提出するとか、そういったことが起きておりまして、これが複数事業者が同じことを行っておりますので、非常にこの地元が混乱をしていると、こういった問題が起きております。
さらに、この再エネ海域利用法、この指定を行う段階で実際に環境影響をしっかり配慮していくという法的な位置づけがあまりない状態が続いておりますので、今回そういったところも課題になっているということでございます。
実際にこの2段目が、そういった課題を受けてどのように今後新しく制度を設計していくかという話になりますが、2段目をご覧いただきますと、再エネ海域利用法のところに環境省という枠が追加されています。実際にこの環境省、環境大臣の権限をもちまして、この再エネ海域利用法の促進区域を指定していく際に、実際にもう環境省が調査方法書というものをつくって、実際どうやって調査をするかというものをあらかじめ検討し、さらにその調査方法書に基づいて実際に現地調査もすると、こういった仕組みにしようと、そういったことを議論しております。
実際にこの環境大臣が、環境省が現地調査をした結果を踏まえまして、経産大臣、国交大臣において促進区域を指定する際に、その調査結果を基にして環境影響に大きな、環境に大きな影響がないような区域を指定していくと、このような仕組みを考えております。
さらに、この環境省が実際に調査した結果そのものについてなんですけれども、事業者においてどうやっていくかということになりますが、事業者は本来、アセス法においては四つのステップがございます。配慮書・方法書、そして準備書・評価書と、この四つがあるんですけれども、前半の配慮書・方法書については、これは環境大臣が行ったものと同等のものを事業者も行うことになりますので、制度の合理性の観点から、こちらは事業者は行わないと。その代わり、環境省がやった調査結果を踏まえて、事業者は残りの手続、具体的には準備書と評価書になりますが、こちらを行っていくと。この際に、当然調査方法書も踏まえますし、調査の結果も踏まえます。それから、自分たちが実際に行う具体的な計画、これをベースにしまして、調査結果としっかり整合させて最後のアセスのプロセスを行っていくと、こういった全体の仕組みを検討しております。
さらに、今申し上げたのが領海の仕組みというところなんですけれども、これまでの再エネ海域利用法は、比較的港に近い領海と呼ばれる区域での事業を想定した法律の立てつけになっておりました。今回、この再エネ海域利用法を改正するということで閣議決定もしているところなんですけれども、そちらの法律におきましては、実際にEEZまで拡大をしていくということも一つ大きな法律事項として掲げております。こちらについては、洋上風力をさらに促進させて、目標達成2050年のカーボンニュートラル、または洋上風力の目標である2040年に4,500万kWというところがございますので、そちらに向けてさらなる拡大をしていくというところをにらんでおります。
このEEZに展開をさせた場合なんですけれども、今申し上げたとおり、環境大臣の関与というものが領海と同じようにございます。一方で、領海と少し違いますのは、EEZは非常に広大なエリアになります。このEEZにおいて募集区域というところを指定していくところになるんですが、こちらもまた非常に広大なエリアを指定することになりますので、環境省として環境配慮を行うべく、最初の段階で関与するんですけれども、領海とは少し違う形になりまして、こちらは調査方法書を設計して細かい調査をやっていくというよりかは、自らのデータ収集も含むんですけれども、文献調査ベースでの調査を実施し、その結果を募集区域に指定していくと、こういった形にしたいと思っております。
この募集区域に指定された後に事業者等が選定されていくわけなんですけれども、事業者が行うアセス手続については、最初の配慮書というものは適用除外とさせていただきまして、方法書から事業者が具体的にアセスの手続を行うと、こういった仕組みを考えております。
先ほども申し上げましたが、最初に環境大臣が行うところ、文献調査というものを想定しておりますけれども、実際にこの海洋に関する動植物のデータというのはなかなかないところがございまして、とりわけ、海洋での洋上風力の事業というところですと、ウミドリへの影響等が予想されるところでございますので、こちらに関しましては、環境省自らデータを取得するような事業というものを来年度以降やっていきたいというふうに考えております。
少し駆け足になりましたが、説明は以上になります。よろしくお願いいたします。
【石井委員長】 はい、どうもご説明ありがとうございました。
そうしましたら、委員の皆さん、ご意見、ご質問がありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
白山委員、お願いします。
【白山委員】 はい、ご指名ありがとうございます。白山でございます。
私もこの委員会に入っていたんですけれども、今の環境省のご説明で、そのセントラル方式によって環境影響評価のプロセスが非常に、その事業者にとっては負担が減って、洋上風力事業が推進されるというような中身が非常に重要なポイントの一つではあるんですが、もう一つとても重要なポイントがあって、順応的管理の概念が少し染み込んでいるというところがとても大事なところで、それに関しては明示的にこの資料には入っていないんですけれども、環境影響評価のアセスというのが必ずしも非常に明確な環境影響があるかないかについて、よく分からんというところが、あるいは完全には理解できないというところがありますので、洋上風力については順応的管理ということも概念として多少入っているというところを一つコメントさせていただきたいと思います。
それから、EEZについては、先ほどご説明がありましたが、まだいろいろと検討すべき点がたくさん残っているということもコメントさせていただきたいと思います。
以上です。
【石井委員長】 はい、ありがとうございます。
それでは、小泉委員、お願いいたします。
【小泉委員】 はい、ありがとうございます。専門外ですので、間違っていたらご指摘ください。
今回ご説明いただいたのは手続の部分であって、調査項目については、現行、示されているもののとおりであるというふうに理解してよろしいでしょうか。私は、環境省と、それからNEDOが出したガイドラインというのを見て、調査項目を理解しているところなんですが、いかがでしょうか。
もう一つは、文献調査の中で、今ウミドリの話がちょっと出ましたけれども、と同時に、やっぱり底生生物、ベントス関係の文献が非常に少ないなという印象がありまして、こういったところも今後環境省のほうで補強していくという予定なんでしょうか。
2点、教えてください。
【石井委員長】 はい、ありがとうございます。
では続いて、水田委員、お願いします。
【水田委員】 はい、水田です。私も専門というわけではないんですけれども、二つ聞きたいことがあります。
1点目は、セントラル方式で現地調査を環境省が実施するということですけれども、実際には環境省がある特定の業者に依頼して、委託して調査を実施するということになると思います。ということは、これまで事業者A、B、Cが独自にその事業者の予算で行っていた環境影響評価を環境省の予算で行うということなのかということが、1点確認したいことです。
もう一点、環境影響評価を事前に特定の業者に依頼した場合に、その業者がこの洋上風力発電の事業に手を挙げてくることがあるのかどうか、手を挙げてきたときに正式な手順によって決定したとしても、同じ業者であった場合に、それが問題になったりしないのかということを確認したいと思います。
【石井委員長】 はい、ありがとうございます。
それでは、オンラインの三谷委員、お願いします。
【三谷委員】 はい、ありがとうございます。
EEZなどの調査についてなんですけれども、環境省が自らやるといっても、恐らく専門家があまりいないのではないかと思われるので、委託になるとは思うんですけれども、それも結構やれる人が限られているのではないかということで、やはり水産庁などと一緒にデータを共有するなり、一緒に調査をするなりということを考えていらっしゃるのかどうかということ。あと、洋上風力、EEZの場合でも領海の場合でもそうなんですけれども、結局、その電気を送るケーブルは水の上ではなくて、陸に引っ張ってくると思うんですけれども、その陸に引っ張ってくるケーブルの部分は環境影響評価に入らないと言われたことがありまして、その辺り、ただ、やはり陸域の潮間帯の部分などは生産性の高い部分でもありますし、その辺りもちゃんと、どのように引っ張ってくるのかとか、そこに影響がないのかどうかとか、そういうこともちゃんと調べてほしいんですけれども、それについてどうお考えかお聞かせください。
以上です。
【石井委員長】 ほかの委員、よろしいでしょうか。
そうしましたら、山王補佐、お願いします。
【山王環境影響審査室補佐】 はい、ありがとうございます。
最初に白山先生からコメントいただいたところですけれども、白山先生、ご協力いただきましてありがとうございます。ご指摘のとおりでして、順応的管理といいますか、この表はすみません、新しい法律での仕組みというところを書いていますけれども、実際にモニタリングであったりとか環境監視というところの部分をどういうふうに整理していくか、あるいは事業者と国でどういうふうに役割分担をしていくかというところも課題として、答申のほうには書かせていただいておりますので、引き続き議論させていただければと思っております。
小泉委員からご指摘がございました調査項目なんですけれども、具体的にこの洋上のほうでの調査項目、あるいはEEZでの調査項目について、どのようなものがあるかということについては、少し細かい調査のやり方等も含めて今後議論をしていくことになろうかというふうに思います。現時点で何か、こちらに関するガイドラインというものは、特段、今回の制度設計に当たってはつくっておりませんので、今あるものといいますと、現行のガイドライン等になりますが、実際にやっぱり合理的なアセス制度をしていくに当たって必要な技術的検討ということを引き続き続けさせていただきたいと思っております。
その際に、底生生物というところなんですけれども、一般的にですが、EEZに出ていった場合は、EEZからいろんな形式がありますけれども、洋上風力に関しても、一般的には浮体式と呼ばれるものでして、洋上風力の風車が浮いているタイプになりますので、地中、海底のほうに実際に埋めるという、打ちつけるというよりかは、アンカーを下ろして引っ張り上げると、そういった形式のものが多くなるんではないかと思っております。こういった場合に、底生生物だったり、あるいは海底への影響というのは、今までの着床式と言われるものよりも一般的には少なくなるということも考えられますので、その点も踏まえて、よく今後も技術的な検討というのをしていきたいなというふうに思っております。
続きまして、水田先生のご質問でございますけれども、こちらの調査については先生のご指摘のとおり、環境省が自ら直轄事業としてやるということはあまり現実的ではございませんので、委託事業ということを考えております。その際には、環境省の予算といいますか、こちらが予算要求させていただきまして、予算を獲得した上で委託調査をするということを考えております。
その際、どうやって事業者を選ぶかという点に関しましては、もうきっちりとした入札のルールに従いまして選定をしていくということになっていこうかと思います。その入札でどういった事業者が手を挙げてくるかというところなんですけれども、実際にはこういった海洋も含めてアセスをやっている事業者さんというのはたくさんおりますので、そういった方々なのではないかというふうに思っておりますが、当然入札のスケジュール、あるいは募集の仕様書等でしっかりその能力のある事業者を選別できるように、そういったものをつくっていくということかなと思っています。
先ほど、同じ事業者が手を挙げてきた場合という、その同じ事業者というのは、再エネ海域利用法で手を挙げる事業者ということであるとすれば、そういった可能性もなくはないですし、排除することもできないですけれども、実際に再エネ事業者さんがアセスをやられるときも、アセスをやっている事業者さんと協力する、あるいは契約をする、委託をするということが一般的かなというふうには思いますので、アセス事業者さんというところを私たちも念頭に置いてはいますが、排除するものではないということかなというふうに思います。
最後、三谷先生のご質問でございますが、これは環境省が委託でやる際にも当然しっかり知見を収集していかなければならないですし、必要な関係行政機関とも協力をしたいというふうに思っています。水産庁さんと具体的な何かお話をしているわけではないんですけれども、この我々がやる環境調査についてはですね。実際にはそのJOGMECが、経産省がやる事業、予備調査として、JOGMECさんのほうで海底地盤の調査をやられるというふうにも聞いておりますので、そういったところとはよく連携をしながらしっかり調査をこちらもやれるようにしていきたいなというふうに思っております。
最後のご質問、ケーブルの件なんですけれども、EEZにつきまして、領海につきましても、この陸揚げのところのケーブルをどうするのか、そこのケーブルを揚げるところの自然の改変であったりとか土地の改変というところがどうなるのかというのは、基本的には事業者さんにおいて評価をしていただく点になろうかとは思いますが、先生のご指摘のとおり、潮間帯の部分ですとか、非常に植生も豊かなところもありますので、そこにつきましてはしっかり評価の対象にしていくということではないかと思っております。
はい、以上になります。よろしくお願いいたします。
【石井委員長】 はい、ありがとうございました。
質問された委員の皆さん、よろしいでしょうか。
【三谷委員】 すみません、あともう一ついいですか。
【石井委員長】 はい、どうぞ。
【三谷委員】 すみません、あともう一つ忘れていました。
運転開始後のモニタリングなどはこの中に入っているんでしょうか。事後評価。
【山王環境影響審査室補佐】 すみません、モニタリングに関しては、こちらの新しい制度というよりかは現行のアセス法に基づく事後調査というものがまずございますので、そちらを事業者においてやっていただくと。一方で、アセス法の事後調査の範囲よりもさらに大きな範囲といいますか、具体的には、範囲の指定をしていきまして、その結果、非常に多くの事業が同じ海域で行われるということも想定されますので、そういった場合にもっと広い範囲での環境影響というものを見たほうがいいのではないかというのはご指摘をいただいているところでございます。そういったものについては、一つの事業者さんが全てを見るというのはなかなか難しいですので、しっかり国のほうとも連携をしながら、どういったモニタリングというのが適切なのかというのを今後しっかり検討していきたいというふうに思っております。
【三谷委員】 ありがとうございます。
【石井委員長】 では、以上で7件終わりましたけれども、実は1番目のところで、欠席されている日向野委員からのコメントがあったようなので、すみません、鳥獣室のほうからお願いします。
【大川鳥獣保護管理室補佐】 はい。日向野委員のご意見をご紹介させていただきたいと思います。
今後はクマが指定管理鳥獣に指定されることで、交付金などにより詳細な調査が行われ、管理方法に関する方針が示され、被害対策が充実することが期待されるところです。
その際に問題となるのは、クマに対する捕獲技術や安全性の確保であると考えます。状況次第では捕獲従事者に対し危険が及ぶ可能性もあり、安全対策等も含めた具体的な人材育成の方針を求めます。
もう一つの懸念は、依然として続く狩猟者数の減少傾向です。これに関して大日本猟友会では、初めて第一種銃猟の狩猟者登録をした構成員に対する助成金制度を運用しております。大日本猟友会は、引き続き環境省や各関係機関等と連携を取りながら、これまでどおりシカ・イノシシに加え、新たにクマの指定管理に対しても、しっかりと取り組んでいくつもりですというご意見をいただいております。
【石井委員長】 はい、ありがとうございました。日向野委員からのコメントということでございました。
以上で、ちょっと厳しかったんですけれど、7件の報告が無事終わりました。
事務局、何かございますか。特にいいですか。
それから、委員の皆さん、特に全体としてございますか。よろしいでしょうか。
ないようでしたら、これで全ての議題を終了したということで、進行を事務局にお返ししたいと思います。ありがとうございました。
【事務局】 石井委員長、議事進行、ありがとうございました。
委員の皆様におかれましては、長時間にわたるご審議をありがとうございました。
本会はこれで閉会といたします。皆様、ありがとうございました。