野生生物小委員会(令和4年度 第31回) 議事録

開催日時

令和5年1月25日(水) 13:30~15:30

開催場所

環境省第一会議室(WEB会議システム併用)

出席者

委員長 石井  実    
委員 小泉 透 勢一 智子  
臨時委員 五箇 公一 佐藤 哲也 日向野 義幸
  水田 拓    
専門委員 白山 義久 寺田 佐恵子 桝 太一
  三谷 曜子 宮本 旬子 森本 淳子
  八代田 千鶴    
環境省 白石自然環境局長 堀上官房審議官 松下総務課長
  中澤野生生物課長 宇賀神鳥獣保護管理室長 河野希少種保全推進室長
  松本外来生物対策室長 稲玉野生生物課課長補佐  
  七目木鳥獣保護管理室係長 福島希少種保全推進室室長補佐 藤田外来生物対策室室長補佐
  松﨑外来生物対策室室長補佐    

議事録

【事務局】 それでは定刻となりましたので、中央環境審議会自然環境部会野生生物小委員会を開会いたします。
本日はお忙しい中、ご出席ありがとうございます。
会議に先立ちまして、出席委員数のご報告です。本日は全委員17名のうち、委員・臨時委員12名中、Web会議システムでの参加を含め8名がご出席され、定足数を満たしておりますので、本委員会は成立しております。
次に、本会議の傍聴につきましては、会場での傍聴は行わず、YouTubeにてライブ配信をしておりますので、ご了承ください。
また、Web会議システムで参加されている委員の皆様におかれましては、差し支えない範囲で結構ですので、常時ビデオボタンはオンにし、先生のお顔が見られる状態にしてください。また発言時を除き、マイクはミュート設定にしてください。Web会議システムで参加の皆様において、ご発言を希望される場合は、画面の下にある手のひらマークをクリックして黄色にし、挙手状態にしてください。委員長からのご指名を受け、ご発言が終わりましたら、再度手のひらマークをクリックして無色に戻してください。
資料については、あらかじめ委員の皆様には電子データを送付しております。また、環境省ホームページの野生生物小委員会のページにアップロードしております。また、会場にお越しの委員の皆様には、お手元のタブレットにも格納しております。
それでは、自然環境局長の奥田より、ご挨拶を申し上げます。
【奥田自然環境局長】 皆さん、こんにちは。自然環境局長の奥田でございます。
本日はご多忙のところ、また非常に雪等で天気も悪い場所がある中、本委員会にご出席を賜り、特に委員長の石井先生におかれましては、ちょっと交通機関の不通ということで、特別な形で途中の場所から参加いただいていること、改めて感謝申し上げます。本当にありがとうございます。また、日頃から自然環境行政、生物多様性保全、野生生物保全の行政にご協力をいただいていることを、改めて御礼申し上げます。
今回も前例にたがわず、ハイブリッドの形でやっておりますけれども、できる限りご不便のないようにしたいと思います。しかしながら、万が一、システムの不備等でご迷惑をおかけする点があった場合には、何とぞご容赦いただければと思います。
ここで今日の議題でございますけれども、諮問案件が1件、それから報告事項が5件ということでございます。諮問案件につきましては、国指定の鳥獣保護区特別保護地区、北海道の浜頓別クッチャロ湖の再指定、これをお諮りするものでございます。これについては、もう既に公聴会ですとかパブリックコメントを経て、事務局案を作成しておりますので、ご審議をいただけたら幸いと思います。
また報告事項としましては、令和4年度の国内希少野生動植物の指定、それから昨年の国会を通していただいた外来生物法の改正法について、全面施行に向けた動きがありますので、これについてもご報告をさせていただきたいというふうに考えております。
また、先ほど磯崎委員ともお話ししていたんですけれども、昨年はラムサール条約、ワシントン条約、それから生物多様性条約、この締約国会議、2か月間の間に三つの条約の締約国会議が開かれるという、私の経験の中でもない年でした。本日は、それぞれについて簡単に結果の概要をご報告させていただきたいと思います。
その中でも、皆様ご承知のように、コロナ禍で2年ほど延期されていた生物多様性条約、これは第15回の締約国会議でございますけれども、無事開催されました。、愛知で開催されたCOP10の世界目標をリバイスするということで、新たな「昆明・モントリオール生物多様性枠組」という新しい世界目標が採択がされております。
これは非常に大きな節目の年でありますし、これの履行のために、我が国でも既に検討を進めさせていただいておりますけれども、次期生物多様性国家戦略、これを来年の3月までに改定作業を完了させて、閣議決定をしたいというふうに考えております。この辺りの動向についても、ご報告をさせていただきたいと思っております。
本日は限られた時間ではございますけれども、忌憚のないご意見を毎回のように賜りたく、ご審議いただくことをお願い申し上げて、私からの冒頭のご挨拶とさせていただきます。
本日はよろしくお願い申し上げます。
【事務局】 それでは、これよりの議事進行につきましては、石井実委員長にお願いすることとします。石井委員長、どうぞよろしくお願いいたします。
【石井委員長】 聞こえていますでしょうか。
【事務局】 聞こえております。
【石井委員長】 すみません。皆さん、こんにちは。石井でございます。
今日は新大阪を出てから名古屋に着くまで3時間もかかるという状況で、実は新幹線を名古屋で降りまして、今、名古屋駅のフリーWIFIが使えるカフェから参加しているところでございます。うまく議長が務められるか少し不安ですがどうぞよろしくお願いいたします。
本日は諮問事項が1件、それから報告事項が5件ということです。
本日の委員会ですけれども、YouTubeチャンネルにおいてライブ配信していますので、報道関係者、あるいは一般の方もご覧になっています。
なお、議事録ですけれども、後ほど事務局が作成し、本日ご出席の委員のご確認を受けた後、私、委員長が了承した上で公開するということをご了承願いたいと思います。また、会議資料につきましても公開となります。
それでは早速ですけれども、最初の議題、「鳥獣保護区特別保護地区の指定(浜頓別クッチャロ湖)(諮問)」について、事務局からご説明をお願いいたします。
これは福田係長ですね。お願いいたします。
【福田鳥獣保護管理室係長】 環境省の福田と申します。本日はよろしくお願いいたします。
資料については、計画書等をお配りさせていただいていますが、説明については参考資料でご説明をさせていただければと思いますので、参考資料1-1をご覧ください。
国指定鳥獣保護区特別保護地区の指定について、ご説明をいたします。
次のページをご覧ください。
まずは国指定鳥獣保護区の制度と今回の諮問について、ご説明をさせていただきます。今回の諮問事項は、中央の赤枠で囲った国指定鳥獣保護区のうち、「特別保護地区」の指定についてとなります。
国指定鳥獣保護区は、国際的、全国的な鳥獣の保護の見地から重要と認める区域を環境大臣が鳥獣保護区として指定するものであり、この鳥獣保護区では狩猟が禁止されます。鳥獣保護区は、法律で20年以内を限度に存続することとなっており、存続期間は更新が可能となっております。
この鳥獣保護区の中で、特に鳥獣の保護、または生息地の保護を図るために必要があると認める区域を「特別保護地区」として指定することができ、この特別保護地区内では狩猟の禁止に加えて工作物の設置、水面の埋立て、干拓、木竹の伐採といった開発行為が規制されることになります。今回の諮問は、この特別保護地区の指定に関するものとなります。
なお、この特別保護地区には希少種の生息地等を保全する観点から、植物、動物の採取、捕獲、それから車馬の乗り入れ、写真撮影等を規制できる「特別保護指定区域」を指定する場合もあります。
3ページをご覧ください。
国指定鳥獣保護区には、その指定区分ごとに指定基準が定められております。本日諮問する浜頓別クッチャロ湖は、「集団渡来地」の区分での指定となります。
4ページをご覧ください。
鳥獣保護区の特別保護地区は、自治体、利害関係人等との調整を基に指定の案を作成し、この案について公告縦覧、パブリックコメント、公聴会を開催し、それらの結果を踏まえて中央環境審議会への諮問、答申後、官報告示により指定することとなっております。
次のページをご覧ください。
今回諮問するのは、赤で示している北海道の浜頓別クッチャロ湖の1件になります。
次のページです。
今回は存続期間終了に伴う鳥獣保護区の更新に際して、特別保護地区の再指定となります。今回、区域の変更はありません。
次のページをご覧ください。
浜頓別クッチャロ湖、位置図にありますが、北海道の宗谷岬にある鳥獣保護区について説明をさせていただきます。
次のページをご覧ください。
浜頓別クッチャロ湖鳥獣保護区特別保護地区は浜頓別町に位置し、集団渡来地の生息地の保護を目的として指定されています。区域自体の変更はありません。存続期間は、令和5年3月31日に指定し、令和25年までの20年間となります。ラムサール条約登録湿地となっております。
なお、諮問案件ではございませんが、参考までとして特別保護地区でない鳥獣保護区については、湖の南東側を縮小する予定です。観光施設増加など利用形態の変化を鑑みて、町など利害関係者と相談した結果となります。
次のページをご覧ください。
コハクチョウやマガンを代表とする渡り鳥の生息地であり、鳥類はヒシクイ、オジロワシ、オオワシ等、300種を超える種が生息をしています。獣類はエゾユキウサギやキタキツネ等の26種が生息しています。
自然環境としては、海岸砂丘地で、海と隔てられたオホーツク海海岸線最大の湖になります。冬季にロシアから南下するハクチョウ類、それからガンカモ類、これらの最初の国内渡来地であり、渡りの中継地として、ハクチョウ類が約六千羽飛来する場所となっております。
次のページをご覧ください。
管理状況としては、環境省、浜頓別町、関係団体が連携して、生息状況調査、浜頓別クッチャロ湖水鳥観察館での自然観察会及び環境教育活動などを実施しています。
鳥獣の生息状況としては、当保護区の代表的な渡来種であるコハクチョウ約六千羽が、継続して確認されています。国内渡来地として中核的な中継地となっています。
右下のグラフをご覧ください。クッチャロ湖におけるコハクチョウの個体数変化について、環境省の「モニタリングサイト1000 ガンカモ類調査」の取りまとめ報告書において、2004年から2018年の15年間の評価を行っております。グラフの縦軸は個体数となっており、グラフの中の白丸が、その年に確認された個体数、曲線が一般化線形モデルによる回帰線で傾向を示したものになります。冬の個体数と春の個体数は、優位な増減が見られております。
それぞれの縦軸の数値、冬と春ですね。縦軸の数値の個体数の部分の軸は違っておりますので、ご注意ください。浜頓別クッチャロ湖は中継地であり、越冬する個体は数百羽程度ですが、冬のグラフで示すとおり、その個体数は減少傾向が見られております。
一方で春のほうですが、春に飛来する個体数は増加しています。全国的にはコハクチョウの個体数は増加傾向であることが出ていますので、その傾向を反映した結果なのかというふうに考えております。
では、次のページをご覧ください。
当保護区の管理方針としては、鳥類の生息状況の把握、環境省職員や鳥獣保護区管理員による生息状況調査、それから鳥獣の生息への影響を防止するため、利用者等、地域住民等へ普及啓発を行っているところです。
写真は、コハクチョウが集まっている様子や、右下の写真は自然保護官が水鳥観察館の維持管理の業務を行っている様子になります。
では、次のページをご覧ください。
再指定に関して、1月上旬に公聴会を実施しております。主な意見として、環境省によるエゾシカ管理、それからワカサギやシジミの増養殖活動での施設設置について、ご意見があったところです。
エゾシカ被害については、特別保護地区はほぼ湖面の指定でもあり、被害は発生していないと認識しています。周辺地域について、必要であれば環境省の指定管理鳥獣捕獲等事業などで必要な支援を行っていきたいと考えているところです。
また、ワカサギやシジミの増養殖活動での施設設置については、特別保護地区内は工作物新築等が要許可行為になるので、北海道事務所に相談していただきたいとしております。
なお、ご意見をいただいた際には、特に予定はないが念のため確認しておくということを伺っております。
では、最後のページをご覧ください。
手続として、公告縦覧及びパブリックコメントを実施しております。共に意見なしでありました。前回の審議会の際にもご指摘を受けていましたが、変更なしの単純更新の場合は、なかなか意見が集まりにくいと感じております。今後も自治体と協力して、周知等を行っていきたいと考えております。
説明は以上になります。
【石井委員長】 ご説明どうもありがとうございました。
そうしましたら、委員の皆様から、ご意見、ご質問を受けたいと思います。
会場のほうの名札を立てても私が見えないので、これどうしましょうかね。
【事務局】 会場のほうで名札を立てていただいた先生につきまして、事務局のほうでWebexのチャットのほうに名前を入れさせていただきますので、それを石井先生に見ていただいて、ご指名いただければと思います。
よろしければ、Web参加の委員からご指名いただいたほうが流れがスムーズかと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
【石井委員長】 分かりました。どうもありがとうございます。
それでは私から今見えているWeb参加者のほうから行きたいと思います。
では、最初は石井信夫委員、お願いいたします。
【石井(信)委員】 すみません。尾崎さんのほうが先だったのですけれども、よろしいですかね。
もちろん、この再指定については賛成です。それで、資料1-3の別表3に獣類リストがあるんですけれども、外来種のアライグマとミンクが入っているんですよね。1ページの管理方針のところには特に言及がないんですけれども、この2種とも水鳥類への捕食影響というのが心配されるので、この鳥獣保護区では、そういうことはまだ知られていないということなのかなと思いますけれども、この点に留意して、必要なら管理方針に書き加えてはどうかと思いました。
以上です。
【石井委員長】 尾崎委員、お願いいたします。
【尾崎委員】 ありがとうございます。もちろん保護区の再指定、賛成です。
コハクチョウのことが気になったんですが、私もしばらくここへ行っていないので、もし分かれば教えていただきたいんです。ハクチョウ類への餌づけを継続していたのでしょうか。前にやっておられたのは知っているんですが、現状どうでしょうか。
それがなぜ気になったかというと、コハクチョウの越冬数が減っていますが、もしかすると、その冬季の人工的な餌の状況などが変わったのかなと思ったので、もし分かれば教えてください。

【石井委員長】 ほかはよろしいでしょうか。特にないようですね。
そうしましたら、事務局のほう、ご回答があったらお願いいたします。
【福田鳥獣保護管理室係長】 ありがとうございます。
まず、石井委員からのご指摘、アライグマ等についての水鳥被害に関して、管理方針に加えたほうがいいのではないかということで、実際にアライグマは確認されていますが、まだ被害が拡大するような、懸念されるような事態は起きていないということです。ただ、今後のために、そういった管理方針に加えるということを検討したいと思います。北海道事務所とも相談して、そうした形で進めたいと思います。
それから、尾崎委員からいただいたコハクチョウの減少に関してです。
コハクチョウ自体は全国的に個体数が増加しているということが報告されていますが、先ほど資料でお見せしたとおり、この浜頓別クッチャロ湖の鳥獣保護区では、越冬に関しては個体数が減少しています。
尾崎委員がご指摘のとおり、現在も餌づけは実施しております。2008年頃、鳥インフルエンザ関連で、鳥が一極集中するのはよくないということで、全国的に越冬地での餌づけの傾向というのが自粛傾向になっております。その頃から浜頓別町でも、餌づけは必要最小限との方針にしています。すみません。言葉の定義ですが先ほど述べた内容は餌付けではなく「給餌」ですね。越冬地における給餌は必要最小限にして、餌づけに関しては、もししている人がいれば、水鳥観察官を中心に注意をしていくという形の方針に、今はしております。
オオハクチョウも含めて、ハクチョウ類に関しては越冬地においてより多雪地での越冬数は減ってきていて、本州のほうの飛来地での個体数が増加しているというような傾向が出ているところですので、単純に餌があるようなところで越冬しているというような傾向が見られております。
以上です。
【石井委員長】 ありがとうございました。
尾崎委員、石井委員、特に問題ないでしょうか。
【尾崎委員】 ありがとうございます。ハクチョウ類の人工給餌に関しては、興味を持っています。今おっしゃったように、鳥フル関係で大分各地で減らして、ほとんど無しにしたところも相当あります。そのことで、ハクチョウ類の自然分布が進み、本来の越冬地で薄く広く分布するようになっている傾向があると、私は認識しています。
これはすごく重要なことで、今年、出水でツル類で鳥フルが出て、あそこの一極集中化は問題だとされています。人工給餌をなくしたらどうなるかということの、ハクチョウ類はすごくいい実例だと思います。
そういった意味でも、ハクチョウを含めて人工給餌に関しては、引き続き関心を持っていきますので、環境省のほうもぜひ資料等を集めていただけるとありがたいと思います。
【石井委員長】 ありがとうございました。
ほかはよろしいですね。
【事務局】 勢一委員が挙手されていますので、ご指名いただけますでしょうか。
【石井委員長】 分かりました。
勢一委員、お願いいたします。
【勢一委員】 ありがとうございます。勢一です。ご説明ありがとうございました。
私も再指定自体には異存はございませんが、少し教えていただきたいのと、コメントさせてください。
今回、鳥獣保護区のうちの特別保護地区の再指定で、同じ面積で指定ということでご紹介いただきました。再指定のときに、どのような基準で再指定をするかしないか、面積は現状でいいかどうかというのを判断しておられるのかについて、教えていただきたいと思います。
特別保護地区の場合は、それなりに厳しい行為制限がかかりますし、公述人の意見の中でも、そのような懸念というか、将来的な気がかりというようなことはありましたので、そういう意味では、指定の区域の適切さというのは、再指定のときにご紹介いただく必要があるのかなと思いました。これは質問です。
あと1点、コメントですけれども、これは12ページのところで、公聴会のことで、公述人10名と書いていただいています。これは意見として、賛成10名ということは全員賛成だという趣旨だと思うのですが、公聴会では欠席が4名です。たしか以前お伺いしたときには、書面か何かでご意見を出していただいているということだったと思うので、単に公聴会欠席でも、書面による意見提出とかというようなことを書いていただいたほうが、資料としてはクリアになるのかなと思いましたので、ご検討いただければと思います。
以上です。
【石井委員長】 ありがとうございました。
それでは事務局のほう、お願いいたします。
【福田鳥獣保護管理室係長】 ありがとうございます。公述人の件に関してはそのとおりかと思いますので、次からそのように変えていきたいと思います。
最初にご質問いただいた、再指定でどのような基準があるかというところでありますが、まず一番大事なところは、国指定の鳥獣保護区を指定する際には国際的に、それから全国的に鳥獣の生息地として重要なところという、すごく大きな枠での基準があります。法律に書かれています。ただ、鳥が何羽いたら指定するとか、そういった基準はありません。
その次に、先ほど最初にご紹介した区分ですね。何の鳥獣保護区なのか。ここは集団渡来地の鳥獣保護区になるのですが、集団渡来地の鳥獣保護区として、国際的に見て重要かどうか。こういったところは、ラムサール条約湿地の考え方にもつながってくるのですが、先ほどご紹介した、全国でも中核的な飛来地になっています。コハクチョウ1割くらいがこの浜頓別町に来ているというようなところを鑑みて指定をしております。
再指定に関しても、その点を踏まえて、継続しても当初指定した資質を備えているかどうかというところを見直していくというところで、渡り鳥の調査を継続して実施しているところなんですが、その状況を見て、引き続き国指定の鳥獣保護区として、特別保護地区として指定していくというような形で考えています。その明確な基準というのはないのですが、そういった形で総合的に考えているというところです。
規制は確かにかかるんですが、その点に関しても利害関係者、町役場、それから猟友会、それから農家、漁業関係者と、それぞれ代表的な方々に意見を伺いながら進めているというようなところです。
すみません。回答になっているか分からないですが。
【石井委員長】 勢一委員、よろしいでしょうか。
【勢一委員】 ご説明ありがとうございます。私は自然生態系のデータは十分に読み解く能力がないので、その辺りは分からないところなんですけれども、先ほど、コハクチョウの数が渡来の冬と春で違うとか、生態系が変化していっているという状況があって、この保護区の指定は期間が長いですから、それなりに、これまでの指定中の変化というのを見て、やや専門的なご判断だと思うのですが、やはり一般の人たちの生活にも関わりますし、地域の自然保護を進めていくという形を大切にするという意味でも、もう少し何か、一般にも発信できるような形で資料に反映していただくことについて、今後少し検討というか、ご研究いただく必要があるのかなと、今のお話を伺って思いました。
資料の8ページのところでは、鳥獣保護区自体は縮小となっていたりしましたので、やはり状況に応じて、区域の面積は変わってしかるべきだと思いましたので、今回はどういう形なのかについて質問させていただきました。
保護が必要なところが、もっとたくさんあるのであれば、やはり広げるというような判断もあるでしょうし、場所を変えるということも当然あるのかなと思いました。引き続き、しっかり保護を図っていただきたいと思います。ありがとうございました。
【石井委員長】 事務局、よろしいですね。
【福田鳥獣保護管理室係長】 はい、ありがとうございます。
【石井委員長】 では磯崎委員、お願いいたします。
【磯崎委員】 ありがとうございます。
私も指定の案件、それ自体については異論はありません。
先ほど説明いただいたところで、鳥インフルエンザにちらっと触れられていたので、この浜頓別、今回の特別保護地区の指定と直結するかどうかちょっと分からないですが、この区域で高病原性の鳥インフルというのがどの程度で、全く影響はないのかどうかというのが一つと、それから少し離れるんですけれども、今年度というか、この季節は非常に増えているということですので、一般的に鳥獣保護と鳥インフルの急激な蔓延との関わりで、何か政策論として考えられている、検討されているのかどうか。その2点について伺いたいと思います。
あとは勢一さんと同じような感想ですが、この案件については利用のレベルとか、それから湖面であったりで、反対その他という異論は地元でもなさそうだなというので、そこはよく分かっているんですが、公聴会の中身や公告縦覧とパブコメが何もないという辺り、この辺は異論がないというので喜んでいいのか、あるいは逆に、これでも関心がないという点で、何か行政プロセスとして課題があるのかどうかというのがちょっと気にかかるところですが、これは質問ではなくて感想です。
よろしくお願いいたします。
【石井委員長】 ありがとうございました。
それでは事務局、よろしくお願いします。
【福田鳥獣保護管理室係長】 ありがとうございます。
最後のコメントの部分に関しては、課題かと思っていますので、質問がないのがいいではあるような気もするのですけど、関心を寄せてもらうような工夫はしていきたいと思っております。
質問に関して、まず鳥インフルエンザのこの地域での発生ということで、浜頓別町では1件だけ起きています。今年度、鳥インフルエンザは野鳥では今170件程度起きていて、北海道内では30件程度。昨年、一昨年も、北海道はやはり多発地になっております。実際、幸いにこの集団飛来地、渡り鳥の集結地で大量死が見られているというのは、先ほど尾崎委員からコメントがあったとおり、出水になります。
鳥インフルエンザと野鳥との動向というのは、我々もまだ計りかねているというか、かなり難しい。なぜ集団飛来地で発生しないで、散発的に全国で発生している状況なんですけど、特に渡り鳥が多いというような地域でなくても発生をしている。そのような状況にありますので、引き続き鳥インフルエンザに関しては、情報を収集していきたいと思います。
鳥獣保護との関連で、今お伝えしたとおりではあるのですが、鳥インフルエンザに関してはやはり出水のようなところ、尾崎委員にはいつもご相談して、コメントをもらっていたところなのですが、出水市の一極集中の分散化を図るとか、そういった具体的な活動というか、行動が必要だというふうに認識しています。
今できていることは、渡り鳥の状況を調査して、実際に鳥インフルエンザに関して、そういう渡り鳥の状況に変化があるのかどうか、そういったところのモニタリングをしています。それから、実際に発生したところでは、できるだけ早く死亡個体等を見つけて取り去る。そうしなければ、カラス等が来て、死んでしまった鳥を二次捕食者が食べて感染する。それがまた蔓延の原因になるというようなことも分かっていますので、そういったところを徹底して、発生したところは重点監視区域という形で、半径10キロ内を都道府県と一緒に監視を強めて、そういった活動をしているところです。
まだまだ、ここ3年間鳥インフルエンザが多発しているのですが、我々もかなり悩んでいるところですので、引き続きどんな対策ができるかというのは考え続けていきたいというふうに思っています。
以上です。
【石井委員長】 ありがとうございました。
磯崎委員、よろしいでしょうか。
ほかはよろしいですか。
【事務局】 会場でマリ委員が挙手をされていますので、ご指名いただけますでしょうか。
【石井委員長】 分かりました。
では、クリスティーヌ委員、お願いいたします。
【マリ・クリスティーヌ委員】 すみません、質問なのですが、こちらの今の浜頓別地域ということで特別な指定がされるということの中で、すぐ近くに猿払村もあって、地形的に近いですよね。どうして全部の地域にせずに。なぜかというと、鳥は線を見て、ここからここまで行くということは全く意識していないで、やはりどっちにも生息する可能性もあるので、もう少し幅広く、理知的にしてはいけないのでしょうか。やっぱり指定される面積が広ければ広いほど、自然のためにはいいと思うのですけど、何かここだけになって、もっと幅広くされないことの理由をちょっと聞かせていただきたいと。
【石井委員長】 ありがとうございます。
では事務局、お願いいたします。
【福田鳥獣保護管理室係長】 ありがとうございます。
そういうお言葉をいただくと、環境省としてはすごくありがたいではあります。ただ、先ほど勢一委員からも指摘がありましたが、鳥獣保護区、それから特別保護地区と規制がかかることになるので、そういったところで地元との調整とか、そういったものが入ってきます。そこのはざまで、よりどこの地域を指定すれば一番核心を突けるというか、必要最小限の規制で最大限の効果を得られるかというようなことをいつも念頭に置いて調整をしているので、そういった部分で、鳥は来ているけど、この浜頓別クッチャロ湖の今の区域を指定すれば、今後個体群存続というか、渡り鳥の飛来が守られるというような判断をして、ご指摘いただいたようなところとのはざまでやっているところです。
以上です。
【石井委員長】 クリスティーヌ委員、よろしいでしょうか。
では尾崎委員、お願いいたします。
【尾崎委員】 度々すみません。鳥フルでもう一言だけ、ちょっと付け加えさせてください。
鳥フルの一番の問題は、野鳥から鶏への感染経路が判明していないということです。これまで多数の件数があって、まだそこが明確にならないことが非常に不思議です。これは環境省だけではなくて、農水との関わりが大きいと思うんですが、そこを解決しないと、私が懸念しているのは、今後の鳥獣保護区の指定にかなり響いてくる可能性があります。つまり、野鳥が飛来しても鶏への感染を防げるということが重要です。ぜひその辺の解明を環境省としても進めていただければと思います。私が知る限り、あまりそこの研究が十分になされているという状況でないようです。以上です。

【石井委員長】 ありがとうございます。コメントということでよろしいでしょうかね。ありがとうございます。
ほかの委員の皆さん、よろしいですか。
では、特に反対のご意見はございませんでしたので、他にご意見ないようでしたら皆様にお諮りしたいと思います。
本件に関しまして、事務局案のとおり適当と認めてよろしいでしょうか。いつものように画面の方は腕で丸、あと事務局、私、ちょっと見えないんですけども、会場の方、皆さん挙手をお願いできますかね。
(異議なし)
【石井委員長】 では、異議なしと認めたいと思います。皆様どうもありがとうございました。
それでは次の議題ですけれども、その他報告事項に移りたいと思います。
まず1件目ですけれども、令和4年度の国内希少野生動植物種の指定についてということで、事務局からご説明ください。これは谷垣補佐ですね。よろしくお願いします。
【谷垣希少種保全推進室室長補佐】 聞こえますでしょうか。希少種保全推進室の谷垣でございます。
【石井委員長】 大丈夫です。
【谷垣希少種保全推進室室長補佐】 私のほうから報告事項ということで、令和4年度の国内希少野生動植物種の指定についてということで、ご報告をさせていただきます。
少々お待ちください。
私どものほうでは種の保存法、絶滅のおそれのある野生動植物種の種の保存に関する法律ということで、これに基づきまして絶滅のおそれのある種を国内希少野生動植物種に指定しまして、その野外での捕獲ですとか、あるいはその譲渡し、販売等といったことを規制するといったことをしております。毎年ご報告をさせていただいているんですけれども、これまでに427種を国内希少野生動植物種に指定してまいっているところでございます。
令和4年度の指定ということでございまして、昨年12月20日に15種の動物、それから植物について、新たに指定する旨の政令を閣議決定させていただきまして、この1月11日からもう既に施行しているところでございます。
一覧については、後ろのほうに表1ということで載せさせていただいております。サンショウウオ類、それからゲンゴロウ類、それからニホンザリガニ、それから植物を5種ということで、指定をしているところでございます。
ちょっと説明が、資料が少し文字ばかりで恐縮なんですけれども、この国内希少野生動植物種、三つの指定区分がございまして、一つは野外の捕獲ですとか、あるいは譲渡しが基本的に原則全て規制される通常の「国内希少野生動植物種」のほか「特定第一種国内希少野生動植物種」、これは商業的な繁殖が可能な種類ということで、その商業繁殖させたものについては流通を認めるという種類でございます。
それから「特定第二種国内希少野生動植物種」、これは逆に、大量捕獲などがかなり種の存続に影響を及ぼしているものについて、子どもたちが虫捕りをするようなことについては規制の対象にはならないんですけれども、販売、頒布の目的で捕獲をするですとか、譲渡、販売するといったことについては規制の対象になるというものでございます。
このうち植物を1種、流通は認める特定第一種国内希少野生動植物種、それからゲンゴロウ類をはじめとした水生昆虫等について、販売目的での譲渡し、捕獲等が規制される特定第二種に9種類指定させていただいているところでございます。
今年度の主な指定につきましては、先ほどからゲンゴロウ類ということを申し上げておりますけれども、ゲンゴロウ類をはじめとする中大型の水生昆虫につきましては、ため池ですとか水田といった、そういった生息地が減少してきているということに加えまして、かなり飼育目的とみられる販売というのが確認されていたところでございます。ですので、大量捕獲による影響が生息に影響を与えるのではないかということが懸念されましたので、中大型のゲンゴロウ類を中心に、まとまりを持って今回特定第二種に指定させていただいたという経緯がございます。
もう一つは、この後別の報告事項であるかと思うんですけれども、今般、外来生物法が改正されまして、基本的に外来ザリガニ類が規制を強化されるということになります。唯一、在来のザリガニということで、このニホンザリガニがいるんですけれども、こういったザリガニを飼いたいという者に対して、今回の外来生物の規制強化に伴いまして、捕獲圧が高まるおそれがあったということで、今回ニホンザリガニについても特定第二種に指定させていただいたという経緯がございます。
なお、種の保存法に基づく国内希少野生動植物種の指定につきましては、国民の方から国民提案ということで、こういう種はぜひ指定すべきだという提案制度を設けておりまして、今回指定いたしましたコヒョウモンモドキ、チョウとニホンザリガニについては、指定すべきだというご意見を以前いただいておりましたので、こういったものを踏まえまして、今回指定させていただいたという経緯がございます。
私のほうからの説明は以上になります。
【石井委員長】 ご説明どうもありがとうございました。
それでは委員の皆様からご意見、ご質問等があったらお受けしたいと思います。では挙手ボタン、それから事務局はチャットのほうで、また発言希望委員のご連絡をお願いいたします。よろしいでしょうか。
石井信夫委員、お願いいたします。
【石井(信)委員】 すみません、ちょっと画面がいろいろ切り替わってしまって、時間がかかりました。
先日、この希少種指定についての科学委員会がありまして、そこでコメントするのを忘れたので、この場を借りて申し上げたいんですけども、毎年意見を言っているんですけれども、指定して、今のところは数をどんどん増やしていこうというような目標があるわけですけれども、これまで指定された種について、少し様子を見てみないと分からないと思いますけれども、指定の結果として当初の狙いどおりに保全に対してプラスの効果があったかどうかという評価をしていただきたいなと考えています。場合によっては、これ今回特定第二種というのも本格的に指定が進みましたし、場合によっては指定カテゴリを見直すとか、あるいは幾つか例がありますけれども、指定を解除するというようなことが適当な場合もあると思うので、一つ何かルーティンとして、そういう評価のプロセスを考えていただきたいなと思います。そういうことをすると、評価の結果適当であったとか、これはカテゴリを変えたほうがよかったとかいうのが出てくると思うのですが、それが今後の指定にも生かされてくると思いますので、そういうプロセスを考えていただきたいなと思います。
以上です。
【石井委員長】 分かりました。なるほどなと思いました。
ここの部分は、ご意見を先に伺いたいと思います。
では、小泉委員、お願いいたします。
【小泉委員】 ありがとうございます。
(2)のところの説明で終わっちゃったんですが、その下に指定経緯というのがあって、パブリックコメントの募集をしていて、パブリックコメントのほうでどういう意見があったのか。国民提案種というのもあるので、パブリックコメントの中にそういうものが入っていたのではないかなと
思いましたので、パブリックコメントの内容を教えてください。
以上です。
【石井委員長】 分かりました。
ほかは委員の皆さん、よろしいですか。
では、事務局のほう、お願いいたします。
【谷垣希少種保全推進室室長補佐】 ありがとうございます。
まず石井信夫先生からのご指摘につきましては、大変重要な点をありがとうございます。おっしゃるとおり、本当に効果があったのかというところは非常に重要な点かなと思っておりまして、特に特定第二種につきましては、昨年度から本格的な指定を開始したところでございますけれども、まずは先行的に指定をしているものなどについて、本当にその後効果があったのかなど、保全活動に携わっておられる方のヒアリングなども昨年度させていただきました。こうした情報収集も、今後引き続き進めてまいりたいと思います。
それから今、絶滅危惧種を選定している、こういった国内希少野生動植物種の指定のすごく基盤的な資料になるレッドリストにつきましても、見直しを進めているところでございますので、こういったものの評価も踏まえまして、今後本当に成果があったのかとか、制度の適切な運用についても考えていきたいというふうに思っております。
今後の指定プロセス、それからルーティンにつきましても、効果的な方法はないかということで、石井先生のご指摘を重く受け止めて、考えていきたいというふうに思います。ありがとうございます。
それから、小泉先生のパブコメについて、ご説明が少し不足してしまいまして、申し訳ございませんでした。
指定を歓迎する声もございましたし、一方でやはり愛好家の方などもいらっしゃいますので、本当にそれを規制して、自分が持っているものはどうなるのかといったようなご指摘も幾つかいただいて、今回は比較的皆さんの知っているような種も多うございましたので、反響はそれなりにあったのかなというふうには思っているところでございます。
【小泉委員】 すみません、件数で何件ぐらいあったんですか。
【谷垣希少種保全推進室室長補佐】 すみません、ちょっと今すぐ手元で出てこないんですけれども。
【小泉委員】 じゃあ、いいです。結構です。たくさんあったということですね。
【谷垣希少種保全推進室室長補佐】 はい、恐れ入ります。
【石井委員長】 では会議の途中でも結構ですので、また分かったら情報提供をお願いします。
【谷垣希少種保全推進室室長補佐】 はい。
【石井委員長】 ほかの委員の皆さん、よろしいですか。
では、次に行きますね。次は「改正外来生物法全面施行に向けた動き」についてということで、これは水崎補佐からお願いいたします。
【水崎外来生物対策室室長補佐】 外来生物対策室の水崎です。よろしくお願いいたします。
資料を共有させていただきますので、少々お待ちください。
それでは、資料3を用いまして、改正外来生物法の全面施行に向けた動きについて、ご説明させていただきます。
今年度の5月、改正法が無事成立いたしまして、今年の4月1日で改正外来生物法が全面施行となる予定でございます。法律の下の政令ですとか施行規則ですとか、いろんな基準、告示、そういったものを今整備をしているところでございます。
若干細かいですけれども、資料の下の点線で囲っているところが、そういった手続関係のところでございまして、太字で書いてありますとおり、昨年9月20日に審議会でもご議論いただいて、法律に基づく基本方針というものを、従来のものを改定して閣議決定をしてございます。
その後、11月にはヒアリ類を要緊急対処特定外来生物に指定するですとか、今月20日には、アメリカザリガニですとかアカミミガメを一部規制を除く形で条件付特定外来生物へ指定する。そういった政令の公布などを進めておるところでございます。
上の緑の囲みの2点目ですけども、法改正の大きなポイントの三つのうちの一つが、国ですとか地方公共団体、いろんな方の責務規定を定めたというところでして、特に地方公共団体には、都道府県には定着した特定外来生物の対応をするという責務、また市町村にはそれに務めるという責務が規定されてございます。
国については、こういった地公体の取組を支援する責務というものも規定されておりまして、3点、従来の措置を拡充してございます。
1点目は交付金等の予算措置でして、2点目がこの赤字の中段の辺りに書いてありますけど、特別交付税措置ということで、地方交付税の面でも総務省と相談をさせていただいて、地公体の財政支援措置というところをさせていただいております。また、環境省の出先事務所、地方環境事務所、こちらも地方公共団体の方と日々やり取り、連携しながらやらせていただいておりますけども、こちらの事務所の定員についても拡充をさせているところでございます。
予算と交付税措置について、2枚目、3枚目で少しご紹介させていただきます。
まず予算について、2枚目でございます。地方公共団体が実施する外来生物対策への支援という予算でございます。
こちら、ちょっと資料の記載の数字とは若干異なるんですけども、従来生物多様性保全推進支援事業という既存の交付金の中で、実行ベースで8,000万ですとか9,000万ぐらいの支援をしてきておったんですけども、来年度は今年度の補正予算も含めてですけれども、3.5億円という形で交付金を拡充してございます。
続きまして、最後3ページ目ですけども、特別交付税措置ということで、予算ほどポピュラーな施策ではないのですけども、端的に申し上げますと、一番上の四角の赤字のところでして、自治体自身が自主財源で負担する額が、特定外来生物防除全体の4分の1もしくは10分の7に軽減されるというような措置を進めております。具体的には、この4分の1といいますのは、先ほどの交付金を使った場合に、国から地方公共団体が防除をする際の費用の半分が、まず国から交付金で措置されると。自治体の2分の1の負担分のさらに半分、一番下の左下の図ですけれども、4分の1については特別交付税として措置されるということで、自治体ごとの自主財源としての負担は、交付金と合わせて活用した場合は4分の1になると。
続いて右下のほうですけども、先ほどの2ページ目の交付金を使わずに、ある意味100%、自治体の負担で従来やっていたようなものについても、10分の3についてはこの特別交付税措置という形で、税の再分配がされるという形で、従来の7割の負担で外来種対策が実施できるようになるということでございます。
こういった財政支援、財政措置を生かして、また地方事務所からの促し、連携も含めて、地公体と国とで連携して、全国的な外来種対策を進めていければということで考えております。
説明は以上となります。
【石井委員長】 ご説明ありがとうございました。
それでは、ただいまのご説明ですけれども、ご意見、ご質問があったらお願いいたします。いかがでしょうか。
山極委員、お願いいたします。
【山極委員】 ありがとうございます。
事務所定員の大幅拡充ということですけれども、これは予算として、特別交付税というようなことに基礎づけられるのか。つまり、やはりプロがきちんと一定年度の雇用をしていかないと、それがきちんと効果を上げないということもございますので、1年こっきり、あるいは外来種がある程度駆除されれば首になるとかそういう話なのか、ちょっとその辺りの将来効果について、お聞きしたいんですけれども。
【石井委員長】 勢一委員も挙手されているようですので、お願いいたします。
【勢一委員】 ありがとうございます。
今回、全面施行に向けて地方公共団体の役割が大きくなって、そこは特に資金的に支援するというのは、非常に現場にとってありがたいことだと思います。力強くやっていただきたいと思いますが、1点確認なんですけれども、この環境省の交付金を受けて事業をするというような場合は、自治体は事業の申請をするという形になるんでしょうか。どのような手続で行われるのかというのを少し教えていただければと思います。
以上です。
【石井委員長】 ありがとうございます。
2点ありました。では事務局、お願いいたします。
【水崎外来生物対策室室長補佐】 外来室、水崎です。ご指摘ありがとうございます。
まず山極委員からのご指摘ですけども、こちらの定員については、まず特別交付税措置とは切り離した形での対策となっております。地方公共団体の人員ではなくて、環境省の出先事務所の定員を拡充したということになりまして、かつ今この定員に実際に人をつけるために、任期つきではあるんですけど職員を募集させていただいているところでございます。
年限については、ちょっと事務所によって5年間の限定があったり、そういった限定のない形で定員が措置できたところと少し混ざってはおりますけども、いずれにしても我々としては、しっかり実員を含めて人を配置して、その事務所の人間が地方公共団体としっかりやり取りをしてというところをやっていけたらというふうに思っております。
また、勢一委員からもご指摘ありがとうございます。交付金につきましては、おっしゃっていただいたとおり、地方公共団体から使いたいというときに申請を環境省のほうにしていただいて、それで予算の中で配分をさせていただくというような形になろうかと思います。
【石井委員長】 山極委員、勢一委員、よろしいでしょうか。
【勢一委員】 勢一ですが、発言してよろしいでしょうか。
【石井委員長】 はい、どうぞ。
【勢一委員】 ご説明ありがとうございます。
よくこのような交付金を受けるときには、計画を策定して、それに基づいてというようなことが結構多いので、今のご説明でしたら、特段そのようなスキームではないという理解でよろしいでしょうか。
【水崎外来生物対策室室長補佐】 外来室、水崎です。
何か法定の計画をつくらないといけないというようなことはないんですけれども、やはり効果的に予算を使わなければいけないという観点も一方でございますので、どういった事業をされるのかという内容は、もちろん申請書を書いていただきますし、例えば地域戦略とか、生物多様性全般の自治体の中の戦略ですとか、そういったものできちんと位置づけられていたりすると、査定の中でやはり優遇というか、そういった側面はあるかなというふうには思います。ただ、そういった法定だったりという計画が必須というものではないという形になろうかと思います。
【勢一委員】 ありがとうございます。
なぜこういうことを申し上げたかと言いますと、今内閣府で示されていますが、法律などに基づいて地方公共団体に計画策定を義務づけるという規定が、あらゆる分野にかなりたくさんございまして、近年かなり増えてきたというのがあります。計画策定の手続自体は、やはり自治体にとっては結構重たい手続で、特にこういう外来種対策をやるような自然の多いようなところは、小規模な市町村が多いですので、できるだけ現場の事業の施策展開のほうに力を入れてもらえるために、事務的な手続のほうについては、ぜひ軽くやっていけるように、効果的に軽くやれるように工夫をお願いできればと思います。
以上です。
【石井委員長】 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
では特にないようでしたら、次は国際会議関係のご報告を3件続けてご説明いただきたいと思います。1件目が「ラムサール条約第14回締約国会議の結果概要」、2番目が「ワシントン条約第19回締約国会議の結果概要」、そして「生物多様性条約第15回締約国会議第二部の結果概要」ということでございます。それぞれ酒井専門官、笠原補佐、中澤課長からお願いいたします。よろしくお願いします。
【酒井野生生物課専門官】 野生生物課の酒井と申します。こちら、聞こえていますでしょうか。
【石井委員長】 聞こえます。大丈夫です。
【酒井野生生物課専門官】 その他報告事項といたしまして、ラムサール条約第14回締約国会議について、ご説明いたします。資料4をご確認ください。
特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約、通称ラムサール条約ですけれども、国際的に重要な湿地とそこに生息する動植物の保全、そしてその湿地の賢明な利用、ワイズユースを促進することを目的とした条約でございます。
我が国は1980年にラムサール条約に加入しておりまして、2023年1月時点で、国内には53か所の国際的に重要な湿地、すなわちラムサール条約湿地がございます。
11月上旬に、中国とスイスの2都市で開催された第14回締約国会議でございますが、COPのテーマである人と自然のための湿地行動の下、締約国172か国のうち146か国が参加したほか、国際団体パートナー、国連・国際機関、NGO等、55のオブザーバー機関が参加いたしました。日本からは環境省と外務省から成る政府代表団、条約湿地関連自治体、さらにはNGOが参加してございます。
今回のCOPの特筆すべき点といたしましては閣僚級会合、ハイレベルセグメントが開催されたことです。こちら、あくまでも議長国である中国政府が主催したもので、COP14の正式なイベントという位置づけではございませんでしたが、最終的には「武漢宣言」が発出されています。なお、日本から閣僚級は参加してございません。
COPの主な議題といたしましては、条約の進捗等に関する事務局からの定例の報告があったほか、現行の戦略計画の見直しを含む合計21の決議が採択されてございます。
また、世界が直面する気候変動、生物多様性や持続可能な開発等に関連する様々な課題を解決していくためには、湿地が果たす役割は大きく、特に気候変動条約(UNFCCC)、砂漠化対処条約(UNCCD)や生物多様性条約(CBD)との連携強化の重要性を再確認したところでございます。
なお、開会の挨拶でも事務局長のほうから、パリ協定の目標やSDGsの達成に向けて、ラムサール条約と他の多国間環境条約協定との連携・協力がシナジーを高めることがますます重要になってくるというような発言がございました。
日本関係者の受賞といたしましては、呉地正行様によるラムサール賞ワイズユース部門の受賞があったところです。こちら、ラムサール賞の中でも大賞に当たるものでして、そのほかには新潟市、出水市による湿地自治体認証制度に基づく認証がございました。詳細については、ページ下段に記載がありますので、ご確認いただければと思います。
参加国からは、こういった受賞や認証について、大変多くの称賛を得ましたので、前向きな取組について日本政府としても喜ばしく感じました。また、環境省では呉地様の受賞、さらには湿地自治体認証をお祝いするサイドイベントも開催してございます。
さらに、COP終了後に行われた常設委員会で決定した事項としては、日本は2期連続でアジア地域を代表する常設委員になりましたので、今後のリーダーシップが期待されてございます。
また、韓国・中国が単独もしくは連名で決議案を多数提出するなど、ラムサール条約への積極的な姿勢が見られました。
そうしましたら、今回採択された決議のうち、当省担当議題を四つほどピックアップいたしましたので、簡単にご説明いたします。
2ページ目をご確認ください。
まず最初ですが、現行の戦略計画の見直しと次期戦略計画の枠組に関する決議ということで、現行の第四次戦略計画は2016年から2024年の期間となっていますが、連続性を保つため、残りの期間における計画の修正は最小限にとどめる一方で、現行の附属書を昆明・モントリール生物多様性枠組をもって更新すること、さらにはSDGsや新しいCEPAアプローチ、ジェンダーなど、新たな課題に対応する附属書を作成することが決まりました。
また、第5次戦略計画のドラフトは今後の作業部会において作成していくことになりますが、特に条約事務局が作成する世界湿地概略特別版、各国が提出する国別報告書、SDGsや昆明・モントリール生物多様性枠組などを踏まえて検討を行うことといたします。
続きまして3ページ目、正式な教育部門における湿地教育に関する決議ということで、より効果的に湿地教育を実施し、湿地教育を主流化することを目的としまして、特に学校教育において取組を推進する内容となってございます。
具体的には、国が開催する湿地に関連する委員会等への教育当局による出席、専門家の招聘、さらには学習指導要領(カリキュラム)に湿地教育に関する項目を加えることを奨励するものとなってございます。各地では既に様々な教育普及活動が行われておりますが、それらの学校教育以外の場の連携の重要性についても言及されております。
湿地教育に続きまして、ユースに関連する決議も採択されてございます。
ユースを通じたラムサール・コネクションの強化に関する決議ということで、湿地の消失を止め、再生していくためには、新しい世代(ユース)の専門家、学識者、活動家を含む幅広い主体の関与が必要となるため、国の担当窓口の任命を含めて、ユースの関与を強化するものです。
具体的には、附属書1に政府窓口の設置、附属書2に作業部会の設置について記載しておりまして、次期戦略計画策定のための部会への参画、助言ですとか、様々な普及啓発活動を展開することによって、若者による参画を主流化することを目的としてございます。
最後になりますが、ラムサール条約基準6に関する決議になります。
4スライド目をご確認ください。
条約湿地の登録基準6であります対象湿地は1種、もしくは亜種の水鳥の個体群の1%を定期的に支える湿地であることとする、いわゆる「1%基準」の計算に適用される水鳥個体数推定値(WPE)が2012年以降更新されていないため、最新の個体数推定値に更新されるまでの間、本決議が定める条件を満たす適切な情報源を代替数値として適用することを可能としたものでございます。代替の情報源についてはまだ確定しておらず、今後STRP(科学技術検討委員会)等と検討を進めることにしてございます。
私からの説明は以上になります。
なお本日、会場よりご出席の委員の皆様には、締約国会議に向けて当係で作成しましたパンフレットをお配りしております。また、ホームページのほうでも公開しておりますので、国内におけるラムサール条約の登録状況ですとか取組については、ご確認いただければと思います。
ありがとうございます。
【石井委員長】 では、続けてお願いします。
【笠原野生生物課課長補佐】 続きまして、野生生物課の笠原から、ワシントン条約第19回締約国会議の結果概要について、ご報告させていただきます。
音声、大丈夫でしょうか。
【石井委員長】 はい、大丈夫です。
【笠原野生生物課課長補佐】 ありがとうございます。
ワシントン条約の第19回締約国会議が11月14日から25日まで、パナマで開催されました。こちらには石井信夫委員にもご参加いただきまして、事前準備や現地対応等で大変お世話になりました。ありがとうございます。
この後、会議の概要に入りますけれども、締約国会議の結果と種の保存法の規制対象の一つである国際希少野生動植物種の変更のための政令改正が連動しているため、最初に一連の流れを資料5-1でご説明させていただきます。
毎会議ごとに行っているプロセスですが、締約国会議の結果を受けて改正されることになった附属書、そのうち、掲載されると商業目的の国際取引が原則禁止となる附属書Ⅰの内容を踏まえて、種の保存法の国際希少野生動植物種を変更しております。こちらに指定されますと、譲渡しや広告等の規制が発生することになります。
今回も第19回締約国会議の終了後より改正手続を開始しまして、国際希少野生動植物種の指定のために、科学委員会にて有識者の方々にご意見をいただいた後、政令改正に関するパブリックコメントを実施しました。パブリックコメントを先週終了したところでございまして、この後、閣議決定、官報掲載、公布と進んでまいります。
条約の改正附属書発効が会議の終了後から90日後と定められております。改正附属書の発効と同日に、種の保存法の政令も施行することとしています。
続いて、資料5-2に移ります。こちらで、第19回締約国会議の結果概要をご説明いたします。
ワシントン条約の締約国会議は、約3年に1度開催されることとなっております。
締約国会議での主な議題として、大きく二つ挙げられまして、まず一つ目は附属書の改正に関する審議があります。そのほかには条約執行のための議題や個別の種に特化した議題ということで、大きく二つが挙げられます。
日本としては、種の保存の動機となり得る持続可能な利用の促進を考慮しながら、附属書掲載基準に照らして規制の内容の適否を検討したり、個別議題の対応を検討して会議に臨んだところです。
今回の会議で採択された附属書改正提案は44件ございました。うち、環境省が科学当局として担当しております陸棲動物については、30件が採択されております。今回の会議で多くの両生類、爬虫類の提案がございました。全てをご紹介することができないため、ここの資料においてはリストアップや新規掲載に特化した記載としていますけれども、生息状況のレビュー結果を受けて、附属書ⅠからⅡにリストダウンした種もございました。附属書Ⅰに移行した種については、この後ご説明する種の保存法の国際希少野生動植物種に新たになることとなります。
附属書改正の審議のほかに、個別種の議題としては、ゾウの取引に関して、生きている個体の取引に関するガイダンスが採択されたり、象牙に関する報告の継続が採択されてございます。
また、IPBES(生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム)ですけれども、こちらで作成されました「野生種の持続可能な利用に関するテーマ別評価報告書」というものについてのレビューをワシントン条約で行うことが採択されました。
また、ワシントン条約の締約国会議の直後には、生物多様性条約の第15回締約国会議がありましたけれども、そこで採択が予定されていたポスト2020年生物多様性国際枠組との連携やシナジー強化についても議論されております。
CBDで採択された新しい枠組では、ターゲット5が乱獲防止や違法取引に関するターゲットとなっており、ワシントン条約とも関連が高くなっております。
次回の締約国会議は、2025年(令和7年)に開催されることが決定しております。ただし開催地の立候補国がなかったため、現在のところ未定となっております。
続いて資料5-3に移りまして、種の保存法の政令改正について、ご説明させていただきます。
種の保存法に関する法律施行令の一部を改正する政令案として、先般行っておりましたパブリック資料を示しております。こちらの概要の部分に記載しておりますけれども、条約では国際取引を規制しておりますけれども、種の保存法では附属書Ⅰ掲載種について、取引規制の実効性を確保するために、国際希少野生動植物種として指定して、日本国内における取引の規制を実施しております。
少し進みまして、こちらの左に資料1と書いてある資料になりますが、ここに改正の背景と記載してございます。この二つ目の丸と三つ目の丸にありますが、政令改正には2種類ございます。
一つ目が、先般ご説明いたしました締約国会議での提案採択を踏まえた改正になります。
もう一つが、分類に関する知見の蓄積に合わせた種の学名変更等が締約国会議で採択されたことを踏まえた改正になります。後者については、実態上の規制範囲というものは変わらず、名称等が変更するというものですので、政令についてもそのような改正内容となっております。
この後、すごく細かくなってまいりますけれども、今回の政令で追加される内容について、簡単にご説明させていただきます。
新規に追加される国際希少野生動植物種としては9種類ございます。ただし、そのうち、実際に議定書の採択によって附属書Ⅰに掲載されるものとなったものと、名称の変更により、既に規制されている種から分離した形で、新たにその名前が表に載ることになった種がございます。それが両方合わせて9種類となっております。
また次に、学名及び和名のみが変更となる種が10種ございます。こちらについても、規制対象そのものには変更ないですけれども、学名だったり和名だったりというところに変更が生じております。
さらに、今回削除する国際希少野生動植物種ということで4種ございます。これについても、締約国会議の改正の審議の結果として削除することになったものと、名称変更により削除することになったものがございます。
また、表4についてですけれども、カメ類については通常、甲について取引規制対象としているので、甲を規制しますよということを別途規定しておりますが、今回どろがめ科という科に属する種が初めて指定されることになったため、これについて科を追加するということをしてございます。
最後になりますけれども、表5に今回登録対象個体群を変更する国際希少野生動植物種として、二つ挙げております。これらについては、二つのワニ類が附属書ⅠからⅡにリストダウンしたため、種の保存法においても登録をすれば取引可能という形になるように改正するというものになりました。
以上です。
【石井委員長】 続けて、お願いいたします。
【中澤野生生物課長】 続きまして、野生生物課の中澤のほうから、生物多様性条約COP15について、ご報告をさせていただきたいと思います。
今、資料の1ページ目をお示ししておりますが、もうご承知のとおり、2010年に名古屋で開催された生物多様性条約のCOP10、ここで決められた「愛知目標」を次の目標にしていくというものです。長いプロセスでございました。先ほど局長からの話にもございましたけども、2020年までの目標だったのですが、コロナの影響を受けまして2年間、オンラインとかでの会議を通じまして、いろいろと意見交換、またこの間にも、この一番上のところに「地球規模での科学的な評価と政治的関与」というふうに書いてございますけれども、IPBESの様々な評価、それからGBOと言われる条約事務局の評価、さらにはG7等で、この新しい目標をよりよいものにしていこうといった様々なプロセスがございました。
実質的にこの検討プロセス、2019年の1月に日本で開催したアジア・太平洋地域のワークショップから始まったわけでございます。そこからの長い道のりで、ようやく昨年の12月に次の目標も決まりまして、さらにその次のところ、右のほうの下に次期生物多様性国家戦略閣議決定ということで、世界目標の決定から国内の実施をシームレスに実施していくということでございます。一昨日、国家戦略の小委員会が開催されまして、その後、こちらのほうもパブリックコメントのプロセスで、年度内の閣議決定を目指すといったようなことで、世界目標から国内実施というのをシームレスで今進めていくといったような流れがございます。
結果の概要、時間のこともございますので、非常にポイントを絞って説明させていただきますが、昨年12月7日から19日まで、カナダのモントリオールで開催されました。議長国は中国でございます。
ポイントは三つでございます。
まず、「昆明・モントリオール生物多様性枠組」というものが採択されました。
それから、この枠組を実施していくために、やはり資金というものが必要になってくると。これは気候変動枠組条約、昨年11月のCOP27でも資金の話がかなりクローズアップされましたけども、生物多様性条約についても、それと同様に資金の問題ということで、生物多様性のための新しい基金がGEFの中に設置されるということ。
もう一つ、生物多様性条約の三つ目の目的で、遺伝資源の利用の利益配分というのがございます。この利益配分のABSと言われているものでございますが、これについて新たにDSIと言われるものですね。遺伝資源に係る塩基配列情報、Digital Sequence Informationと言われていますけども、このDSIというものについても利益配分の対象とするというようなことで、そういった検討が進みまして、結局新しい枠組を資源動員、それからDSIという二つの資金ソースで支えていくといったようなのが、このCOP15の大きな議論の構図でございました。そういったような構図がございまして、まとまったわけでございます。
ちょっとポイントを絞るものですから、少し飛ばさせていただきます。
ここで決まりましたのが、昆明・モントリオール生物多様性枠組の構造、これ全体の構造でございます。2050年ビジョンというもの、これは愛知で、COP10で決めたでございますが、ここは変わらずと。2030年ミッションというものがございます。2050年までの一つのマイルストーンとして、2030において、ここは自然を回復軌道に乗せるために生物多様性の損失を止め、反転させる緊急の行動を取ると。いわゆる「ネイチャーポジティブ」と言われている考え方と同じ概念でございます。このために、2050年ゴール、それから2030年ターゲットと、こういうものに対してそれぞれ実施していこうといったようなものでございます。
2030年ターゲット、これはいわゆる愛知目標の後継に当たるものでございまして、愛知目標については20の個別目標がございましたけども、新しいターゲットでは23、三つ増えています。この辺り、例えば22とか23とか、この新しい枠組の実施に関与するいろんなステークホルダーについてのいろんな重視する項目が入ってきているとか、あとはビジネス関係の話が少し細分化されているとか、そういったような要素がございます。
もう一つ特筆すべきは、いわゆるconservation、保全に関する目標でターゲットの1とか2とか3ですね。この辺り、国土全体の空間計画を設定して、また自然再生等を実施して、さらに30by30と言われる陸と海のそれぞれ少なくとも30%を保全していきましょうと。この1、2、3といった辺りが、まず地面に関するもの。それから私ども野生生物課に関連するものとして、4番ですとか5番ですとか6番がございます。それぞれ、少しポイントを絞ってご説明していますが、例えばターゲットの4、これは種、遺伝子の保全ということで、遺伝的多様性の保全といったもの、さらには人間と野生生物の軋轢の最小化。日本でいうと、例えば鳥獣保護といったようなものが関連してくるかもしれませんけど、こういったターゲットがございます。
さらには、先ほどCITESの説明の中で笠原からありましたが、希少種関係で一番関連が深いところでターゲット5ですね。野生種の利用、採取及び取引を持続可能でかつ安全、合法的に行われるようにしていくといったようなもの。
それから外来種に関して、既知又は潜在的な侵略的外来種の導入率及び定着率を2030年までに50%以上削減していくと。そういったような目標も設定されております。
野生種の利用については、野生種の管理とか利用についても持続可能であるといったことを確保していこうといったようなこと、そういった野生生物関係の目標も多々ございまして、こういったものを国家戦略、または個別の施策の中で実現していくということを今検討しています。
その国家戦略でございますが、一昨日の小委員会でご紹介させていただいた中身でございます。
基本戦略として五つございまして、まず生態系の健全性を回復していく。先ほど申しました30by30といったもの。健全な生態系の下で、自然を活用した様々な社会課題の解決を進めていくNature-based Solutionsというもの。それから、基本戦略の3と4が社会経済の中できちんと生物多様性というものを主流化していくというもの。5番目が生物多様性に関する基盤整備、いわゆる情報ですとか国際連携を進めていきましょうと。そういったような取組で、この国内の実施を進めていくということでございます。
新たな国際枠組では、モニタリングフレームワークが非常に重視されているということで、指標ですとか、今後のPDCAサイクル、そういったものについてもきちんと確保していくと。さらには国際連携ということで、先ほどラムサール条約採決の中でもございましたけども、いろんな国際条約の間でも連携をしていくといったようなことが議論されて、それがまた実施されていくということをきちんと確保していくということで、今進めようとしているわけでございます。
以上、ポイントを絞ってございましたが、COP15の説明をこれで終わらせていただきます。
【石井委員長】 どうもありがとうございました。国際関係を3件続けてご説明いただきました。
それでは、委員の皆様からご意見、ご質問があったらお願いいたします。
先ほどのワシントン条約関係では石井信夫委員が関わられたと伺っています。それ以外にも委員の皆様の中で会議等に参加された方はコメント等あったらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
では、石井信夫委員、お願いします。
【石井(信)委員】 石井です。ありがとうございます。
細かいことを言うとかなり長くなっちゃうんですが、先日の科学委員会でも似たようなコメントをしましたので、簡単にしたいと思います。
資料5-2に、ゾウの取引に関して少し記載がありますけれども、会議中、日本の合法市場、象牙の取引市場がアフリカのゾウの密猟に関係しているという指摘は、会議の公式文書にもないし、ほかからも出てきておりませんでした。合法市場が存在しているということに対する懸念は、幾つかの国とNGOからありましたけれども、持ち帰って対応を再検討しなければならないというようなことはありませんでした。
日本は、持続可能な資源利用と、それから資源の国際取引を通じて、保全を達成しようということを望んでいる原産国があれば、できるだけその意向を尊重するという立場を取ってきておりまして、いわゆる先進国が多い消費国の中でも独自の立場を貫いてきたと思います。日本は、もう批判されるようなことというのが、全くと言っていいかはあれですけれども、そういうことがありませんので、CITESの世界では信頼も厚みを増していますので、今後もそのような姿勢を堅持してもらいたいなと思います。
それから、今回の会議でもそうなんですが、環境省の担当の方たち、もちろん他省庁の方たちもそうなんですけれども、対処方針を考えて、会議中は他国と交渉を行って、議場で的確な意見表明をしていました。そういう頑張りというか、担当の方たちの皆さんの努力をたたえたいと思います。
私からは以上です。
【石井委員長】 ありがとうございました。
では、続けてご意見を伺いたいと思います。小泉委員、お願いします。
【小泉委員】 ありがとうございます。
幾つかありまして、まず議題の4、ラムサール条約ですね。これはもう全部教えていただきたいことです。
2枚目のスライドの(1)のところに、「持続可能な開発目標の達成につながる湿地保全活動」というふうにありますが、これ17のゴールのうち、どこかフォーカスを当てているものがあるのかどうか、それをちょっと教えていただきたいのと、(3)に「ジェンダーに配慮した湿地政策と実践」というのがありまして、すみません、ちょっと勉強不足で。これどういう内容なのかがちょっと分からないので、教えていただけますでしょうか。議題4に関しては二つです。
【石井委員長】 ありがとうございます。
では、クリスティーヌ委員、お願いします。
【マリ・クリスティーヌ委員】私も同じような質問なのですが、この生物多様性会議の中で、今回SDGsの2030年の目標を達成することが、ウクライナ戦争も含めて、今の気候変動によって達成することができないということが、結論づいているような状況であることには違いないと思うんですね。2030年までに、ここの目標というものは見直しがいろいろなところでされている中で、むしろ日本が独自でできることというものもたくさんあるかと思います。農薬の問題なんですけれども、日本の中で使っていますいろんな農薬の中で、海外で禁止されているものがある、例えばラウンドアップという実際の名前の商品ではあるわけなんですけれども、結局アメリカでそういうものを禁止しているのに、日本ではまだ使われて、テレビでも宣伝しているようなものもあるわけで、そういうものの残骸が、例えば有機栽培またはこういう、それこそ湿地帯とかいろんなところに流れていくことによって、結局自然環境を自然破壊ではなく、人工的に破壊している。そういうことをもう少し日本の中でも環境省だけではなくて、それこそ農水省とかそういうところとも連携を持ちながら、このCOP15の中ででのいろいろな情報を、もっときちんと伝えていかなければいけないのではないかと思うんですけれども、ほかの省庁と、このCOP15はどういうふうに連携されているのかを聞きたかったんです。
というのは、ほかの国々は、その国の環境省だけではなくて、むしろUNEPもいろんな形での横並びでやっていますので、それももう少しどういうところで反映されているのかお聞きしたかったんです。
【石井委員長】 それでは、続けてまいりますね。イルカ委員、お願いします。
【イルカ委員】 私は、先ほどラムサール賞を頂いたというお話は、不勉強ながら私も詳しく知らなかったものですから、そんなすばらしいことがあるのであれば、もっともっとたくさんの皆さん、いつも昔からそういうことはお願いしているのですが、今暗い世の中において、こういうすばらしいことは、たくさんの一般の皆様にもっともっと本当に知っていただきたいなとつくづく思いました。そして、その後にはユースという言葉、学校教育にもつなげていきたいということであれば、なおさらやはり、そういうすばらしい人たち、大人の人たちが頑張っているんだというようなことをもっともっと一般的に知らせていただきたいというふうに思うんですね。できれば、ニュースには必ずこういうことなんですよということがきちっと上がって、皆がわあ、すばらしいな、毎日の暮らしがそういうことにつながっているんだなというようなことが実感できるような形に、ぜひとも環境省の皆様のお力でそういうところにつなげていただきたいなというふうに思いました。
これから、日本は特に少子化ということが非常に問題になっていますし、これから大きな問題になっていけばいくほど、私も孫がおりますけれども、やはり今小さい、そういう子どもたちがしっかり次の世代を引っ張っていく。そういうリーダーシップを持っていかなくてはいけないと思えば思うほど、やっぱり今頑張っている大人たちの姿をぜひとももっともっとアピールできるような形ということを環境省の皆様、ぜひマスコミの皆様にも大きな力を発信していただきたいなというふうに思いましたので、よろしくお願いいたします。
【石井委員長】 はい、ありがとうございます。
それでは、山極委員、お願いします。
【山極委員】 三つの報告全体に係る問題なのかもしれないのだけれども、混血個体というのがいるんですよね。例えば外来種と在来種が混血、ニホンザルとアカゲザルとか、タイワンザルとかよくあって駆除しましたけども、動物園でも起こっているんですね。
今度タパヌリオランウータンが別種として、スマトラオランウータンと区分されましたけれども、これスマトラとボルネオも混血ができていますよね。ですから、そういういわゆる種の違うもの同士が、自然界でも動物園でも何らかの理由で混血し、その子孫ができてしまった場合、どういう位置づけになるのか。そういう議論はあったのか。ゾウなんかもそうなんですけどね。この辺り、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。そういう議論は全くないんでしょうか。
【石井委員長】 ありがとうございます。
ほかの委員の皆様はよろしいですか。
では、ここまでのところで、環境省のほうからご説明をお願いいたします。
【中澤野生生物課長】 ありがとうございます。野生生物課長、中澤でございます。
まず、小泉委員からラムサール条約、SDGsの関係ですが、やはり生物多様性というか自然資本に関係することとして、SDGsの14番、15番というのが一番関係が深いのではないかと思っています。
それからジェンダーの話、これは実はラムサールだけではなくて、CBDでも先ほどCOP15のご説明をさせていただいた資料の5ページでございますが、この中に例えばターゲットの22番、女性及び女児、こういった人の参画をきちんと得ていくといったようなことでございます。
COP15でもCBDのほうでも、ジェンダーという議題がございます。やはりきちんと女性というのをいろんな意思決定、政策決定に関与してもらいましょうという話。それからもう一つは、いわゆる能力養成、キャパシティービルディングと言われているもの、きちんとした知識とかいうものについても、やはり途上国は特にということだと思うんですけども、きちんと情報提供を女性にもしていきましょうと、そういったようなことが環境条約全体のジェンダーの議題の議論になっているというふうに理解しています。
それからその次、マリ・クリスティーヌ委員からいただきました連携の話、各省連携の話でございます。例えば、このCBDのCOP15でも、FAOなんかも参加しておって、食料の話というのは非常に、食料と生物多様性というのはやっぱり切っても切れない関係でございます。その関係で、先ほどご説明しましたCOP15関係の資料5の中でも、ターゲット7というところ、その中に「環境中に流出する過剰な栄養素の半減、農薬及び有害性の高い化学物質による全体的なリスクの半減」、こういったものも位置づけられまして、そういった生物多様性と生産活動の連携をしていきましょうということ。
国内的には、先ほどの資料の中の一番最後のページになりますが、10ページのところで、例えば基本戦略3のところでございます。そこで「持続可能な農林水産業の推進」ということで、この中に農林水産業、例えば農水省さんのほうで「みどりの食料戦略」というのも実施しています。そういったものとの連携ですとか、さらに「食品ロス半減」、基本戦略4にございます。こういったところで、やっぱり各省連携というものは確保していくということ。
また、生物多様性条約のCOP15も、環境省がやはり中心になりましたけども、外務省、農林水産省、経済産業省、それから厚生労働省、文部科学省も含めて、各省が連携して対応しているところでございます。
それから、イルカ委員から叱咤激励をいただきました。ユース、それからもっともっといろんな方々に知ってもらうという努力、本当にこれは必要なことだというふうに認識しております。
このユース、若者たちとの連携というのは、生物多様性条約でも特に言われていて、今度これを実施していくために生物多様性を主流化するというところで、JGBFというのをやっていますけども、その中でもやっぱりユース団体にきちんと入っていただいて進めていくといったような取組をしているところでございます。
それから、山極委員からご指摘いただきました混血についての国際的な議論、すみませんちょっと今、そこのところの議論の資料が手元にないので、生物多様性条約またはその他の議題のところでどういった議論があったか、また個別に情報提供させていただければと思います。
ひとまずご質問、またはご意見いただいたものについてのお答えとさせていただきます。
【石井委員長】 ありがとうございます。
ほかのところはよろしいでしょうか。
特になければ、報告事項に……
【事務局】 小泉委員が挙手されています。
【石井委員長】 分かりました。
小泉委員、お願いします。
【小泉委員】 すみません。今度は議題6のほうなんですが、これも教えていただきたいことなんですが、3ページですね。生物多様性と気候変動のところで、先進国と途上国の激しい対立により、議論は収束しなかったとあるんですが、どんな議論がなされたのか。これは例えば、気候変動なんかでも出ている途上国から見た先進国の不都合を途上国がかぶるのかという不公平感みたいなものが根底にあって、それがGEFのような新たな基金の創設につながったというようなことなのか、この点をちょっと教えていただきたいと思いました。
それから、次が6ページですね。6ページのところに、「人間と野生生物との軋轢を最小化するため」ということで、途上国も参加している締約国会議の中で「conflict」という言葉が出てくるのがちょっと意外な感じがしまして、具体的な何か事例があるようでしたら教えていただきたいなと思いました。その2点です。
【石井委員長】 ほかはございませんでしょうか。
では、環境省のほうからお願いします。
【中澤野生生物課長】 中澤でございます。
まず、途上国と先進国との議論が収束しなかったという点、これは共通だが差異ある責任、通称CBDRというふうに言っています。common but differentiated responsibilitiesですね。CBDRということについて、この生物多様性の文脈でCBDRをどう位置づけるかというような議論でございました。
実はこの気候変動ですと、京都議定書も含めてこのCBDRというものについては条約、それから議定書等に位置づけがあるんですけども、生物多様性条約についてはCBDRの位置づけはないというのが先進国側の共通認識でございます。そういった認識の下で、いや、あるんじゃないか、ないんじゃないかといったような、いわゆる水掛論的なものが続いていたということでございます。そこはやっぱり議論は収束しなかったですね。
ただし、いろんなキャパシティービルディングを含め、日本もこれまで様々な視点、生物多様性日本基金とかで途上国支援をしておりますので、きちんとした農業行政は、途上国支援はしていきましょうと。そこのところはその方向であるんですけども、ただ言葉としてのCBDRをめぐっては、やはり大きな対立があったということでございます。
それから2点目、conflictの話。これはやはり各国の状況に応じてconflictをどういうふうに解釈するかということで、先ほど私の説明の中でも日本では鳥獣のことが当てはまるというふうに申し上げましたが、それぞれ例えばアフリカゾウをめぐるようなものでも、恐らくconflictに入るというような解釈もできますでしょうし、それはそういったそれぞれの状況に応じて、conflictを国内状況で解決していくといったようなことになると思います。
以上です。
【石井委員長】 ほかはよろしいでしょうか。
【事務局】 会場でマリ委員が挙手されていますので、ご指名いただけますでしょうか。
【石井委員長】 分かりました。クリスティーヌ委員、お願いします。
【マリ・クリスティーヌ委員】 すみません、何度も申し訳ないですけど。
これを発表される、これはただ報告であるので、もう決定されているものではないかと思うんですけれども、このCOP15に関しても、先ほどイルカさんもおっしゃったように、やっぱりもう少し一般の方々にもっと分かりやすく出すということがとても大事で。それはなぜかといいますと、COPの場合は環境省だけの問題ではないと思うんですね。むしろSDGsに大きくつながっていることでもありますし、先ほどのCBDRの話もそうなんですけれども、結局先進国がある意味では、言い方はどうか分かりませんけれども、発展途上国を搾取しながら、例えばそこの土の中にある微生物を、ある意味では自分たちのものとして買い上げて、結局資金が、そこに住んでいる先住民の方々のところにそのお金が一切行かないで、国の偉い方々のところにお金が行ってしまうと。そうすると、そこをずっと守ってこられてきた先住民の方々が、いつまでたっても自立ができないような状況で、そういう意味での搾取をずっとされている。このCOP10の中で結局、毎回国連会議の中で時間がかかってしまって、一つのコンセンサスに落とし込めていない一番の課題がそこなんですね。
そうすると、やはり環境問題もそうですけれども、じゃあ本当に裕福な先進国がそういう発展途上国に対して、もっとこういう資金をきちっと回すようなことによって、バランスが取れていくということの中でのやり取りの配分をどういうふうにしていくかということも含めて、全部この中に入っているわけです。、女性たちのある意味でのディシジョンメイキングの中で、先進国もそうですけれども、日本が世界ジェンダーランキング指数が一番低いのは、今日も私たちここにいる中で、女性たちがまだ1割になっていないんじゃないかなと。1割ちょっと欠けているぐらい、ここに人数として参加しているということ自体が一番の問題であって、もっと女性たちの声も含めて、こういうディシジョンメイキングに声がきちっと反映されるということが大変重要であるという。そういうことを全て反映した中で、このCOP15というものが開催される一つの目的でもあるわけなんですけれども。
ですから、いろんな形でのこの目標というものが、この中に反映されるように皆で努力しているということは、一般の方々には分かっていないんです。ただ、環境問題として、COP15というのは生物多様性の問題でありますと。生物多様性というのは、私たちも生物の一部であるわけですから。この多様性の中でのディシジョンメイキングも含めてそうですけれども、こうやって結果がこう出ましただけではなくて、むしろどういうところがまだ不足しているか、どういうところをもう少し私たちは頑張らなければいけないのか。むしろ日本が模範になっていけるような、COP10のときにそれこそ愛知目標ができたわけですので、そこの中でできたものをもう少しここで反映させて。愛知目標も全く言葉として出てこないのが、ちょっと残念なのですが。。もう少しそういうことでの達した文として、もう少しここに出ていただけるといいなと、一般の方々にももうちょっと分かりやすいかなという感じがいたします。
【石井委員長】 では、続けて宮本委員、お願いします。
【宮本委員】 ありがとうございます。
ちょっと直接関係があるかどうか分からないので、発言を少しちゅうちょしていたんですけれども。先ほど昆明・モントリオールの生物多様性枠組のところのご説明で、遺伝資源に関連して遺伝子の情報が重要になるということを、ご説明の中で言及なさっていたかと思います。
それに関連して、例えば種の多様性に関しては、環境省あるいは関連の調査研究機関等で種の多様性、何種あるかというようなことを公表されているんですが、その中で遺伝子の情報まで十分に把握できているのかどうかというような調査というのは、国として行っていらっしゃるのか。あるいはそういう情報を国を挙げて収集しようというような意向がおありなのかどうかということ、もしご存じでしたら教えていただきたいと思います。
と申しますのは、例えば資金の潤沢にある大きい国が、周辺の国まで含んで近縁の植物のある属とか科についてのモノグラフの刊行など、何かどんどん行っている状況がこの数年ありますし、日本の植物に関しましても、私のようなところにも、こういう植物に関しての遺伝的な情報、どういうところが持っているかというような問合せが来たりして、そういう遺伝の情報を、それを国を挙げて収集しているのではないかなというような動きがここ何年かございましたので、ちょっと気になった次第です。
直接関係なくて申し訳ないのですが、もし情報をお持ちでしたらご教示いただきたいと思います。
【石井委員長】 ありがとうございます。
では、事務局は回答をお願いいたします。
【中澤野生生物課長】 ありがとうございます。2点いただきました。
マリ委員からのご指摘もっともだと、本当にそのとおりだと思います。新しい世界目標、また国内実施の生物多様性国家戦略というものをきちんとその中に理解をしていただくと。今後、例えば地方別の説明会とか、いろんなことを想定しておりますので、またそういったものも活用しながら、またいろんなご意見もいただきながら、こういったものを広めていくということについて努めてまいりたいと思います。
それから、宮本委員からいただきました遺伝子の情報の話でございますが、恐らく今、私のほうの資料の中では、資料の2ページですか、遺伝資源に係る塩基配列情報のところの話であったというふうに思うんですけども、これはこの塩基配列情報を利用して、例えば医薬品とかそういったものを作った際に、そういったものから得られた利益の配分というのをこれから考えていかなくちゃいけないといった点で、遺伝資源のこういった塩基配列の情報というのは重要になってくるといったような文脈でご説明させていただきました。
他方で、ご質問にあった遺伝資源、遺伝子レベルでのいろんな情報というのは、私の拙い知識ですと、例えば理化学研究所なんかを中心にして、バイオリソースプロジェクトというのを実施していたりとか、あと国際的にDNAバーコーディングとかといった動きなんかもございまして、こういった遺伝資源の情報というのをデジタルのもので収集して、コレクションにしていくといったような世界的な動きがあるということは承知しています。ですので、詳しいことについては、もし必要であればまた個別に調べて、情報提供させていただきたいと思います。
以上でございます。
【石井委員長】 ありがとうございます。
ほかは大丈夫でしょうか。
途中の議題で、谷垣補佐の国内希少種のところで、パブコメの件数というご質問があったかと思うんですけれど、この辺り分かりますでしょうか。
【事務局】 はい、確認できておりますので、担当からお答えします。
【谷垣希少種保全推進室室長補佐】 希少種室の谷垣でございます。先ほどはすぐにご提示できず、大変失礼いたしました。
今回の種指定に関しまして、パブリックコメントの件数ですけれども、1週間の実施の中で、意見提出者の方が16名、意見総数17ということになっております。必ずしも数としては多くないかもしれないですけど、昨年度の令和3年度の指定の際も、大体同程度の件数となっておりました。
以上、報告させていただきます。
【石井委員長】 ありがとうございました。
ほかは特によろしいでしょうか。
では、特にないようでしたら、議題の報告事項は以上とさせていただきたいと思います。
委員の皆様、全体を通して何かございますか。
ないようでしたら、これで全ての議題が終了ということで、進行を事務局にお返ししたいと思います。
今日はちょっと周辺が騒がしい状態で座長を務めたので、騒音が入ったのではないかと思います。どうも失礼いたしました。
【事務局】 石井委員長、議事進行ありがとうございました。委員の皆様におかれましても、長時間にわたりご審議ありがとうございました。
本会は、これで閉会といたします。皆様ありがとうございました。