鳥獣保護管理のあり方検討小委員会(第8回)議事録

1.日時

平成26年1月15日(水)15:00~16:41

2.場所

環境省第1会議室

3.出席者

(委員長) 石井 信夫
(委員) 尾崎 清明 小泉  透 染  英昭
高橋  徹 磯部  力 坂田 宏志
羽山 伸一 三浦 愼悟
(環境省) 星野自然環境局長
奥主審議官
江口総務課長
中島野生生物課長
堀内鳥獣保護管理企画官

4.議事

【事務局】 それでは、定刻になりましたので始めたいと思います。

 第8回、中央環境審議会自然環境部会鳥獣保護管理のあり方検討小委員会を開催いたします。

 本日の出席者でございますが、委員11名中9名の出席があり、「中央環境審議会議事運営規則第8条第5項」により定足数を満たしておりますので、本委員会は成立しております。

 続いて、資料ですが、お手元に資料をお配りしておりますが、第1ページ目に議事次第があり、1ページめくって、部会のあり方の名簿があります。資料1として、「鳥獣の保護及び狩猟の適正化につき講ずべき措置について」、資料2として、「パブリックコメントの実施結果について」、資料3として、「中央環境審議会自然環境部会における答申素案に対するご意見のポイント」です。

 本小委員会の資料及び議事録は、後日、環境省のホームページにおいて公表されますことを申し添えます。

 それでは、石井委員長、よろしくお願いいたします。

【石井委員長】 皆さんこんにちは。今から平成25年度の第8回、今日が最後ですけれども、鳥獣保護管理のあり方検討小委員会を開催します。

 8回にわたって議論を進めて、特にシカとイノシシの個体数増加という問題に対して、緊急に対応を考えていかなければならないが、現行の制度では十分な対応ができないので、新しい仕組みを考えていくということで、中身のある議論ができたと思います。パブコメの結果についても後で説明していただきますけども、たくさん来ていて、なかなか関心の高い問題なのだなと思います。

 本日は、パブリックコメントの結果を踏まえて、「鳥獣の保護及び狩猟の適正化につき講ずべき措置について 答申(案)」について、議論を行うこととしています。

 まず、事務局から、パブリックコメントの結果を踏まえた答申素案の修正案を説明していただいた上で、幾つか項目ごとに区切って、順番に議論をしていきたいと思います。

 今日が最後ということで、小委員会としては、今回で答申案を取りまとめて結論を出すということにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、早速議事に入りたいと思います。

 議事の1、答申(案)について、資料の1から3までまとめて説明をお願いします。

【事務局】 それでは、ご説明をさせていただきます。

 まず、資料2をご覧いただけますでしょうか。

 1枚目にパブリックコメントの実施結果を取りまとめております。パブリックコメントは、昨年の11月18日から12月17日までの30日間で実施をしております。意見提出のあった個人、団体の数は268、延べ意見数は1,386件となっております。意見として同様の意見を取りまとめた形での意見数は534件となっております。項目別の意見数については、この2.の表の中に取りまとめております。かなりいろいろとご熱心な意見をいただいて関心の高さがうかがわれるものとなっております。多岐にわたる意見をいただいていますので、全ての意見をご紹介することは時間の関係上できませんので、資料を見ていただきたいと思いますけれども、ポイントを幾つかご紹介をさせていただきます。

 最初の、「はじめに」から現状と課題の辺りのご意見としましては、重大な転換点にあるということを冒頭述べているわけですけれども、ここには幾つか否定的な意見をいただいております。ここには、鳥獣の捕獲や殺傷を推進するということに対する否定的なご意見というのも多く見られております。

 それから、「保護」と「管理」、「保護管理」と「管理」といった言葉の使い方がわかりにくいということから、重大な転換というところへのわかりにくさについてもご指摘がありました。

 また、シカとイノシシの捕獲に焦点を当てているけれども、ほかの鳥獣や、ほかの対策、防除や生息環境管理などに対しての議論というのが不十分で、総合的な対策を進めるべきというご意見もございました。

 また、シカの対策など、増えているものについては、増加の要因を明確にした上での対策というのが重要だといったご意見もございます。

 また、これまでやってきた特定計画の評価については、しっかりここでも記載すべきであるといったようなご意見もございました。

 また、3.以降の講ずべき措置についてのご意見といたしましては、関係主体の役割としては、農林水産省、環境省のより緊密な連携が必要というご意見が幾つかございます。関係者がしっかり連携をしていくべきだというご意見がございました。

 また、ここでも捕獲の部分、個体群管理に関しての役割分担はかなり詳細に書いているのですが、(2)のイとウに書いてある部分は、基本的な考え方のみになっているので、そこの部分はもっとしっかり整理をすべきだといったようなご意見がございます。

 また、効果的な捕獲体制についてのご意見としましては、認定事業者について、支援をして育てていく必要があるという意見とともに、従来の捕獲体制を混乱させるものなどで支持しないといったご意見、また、捕獲は民間企業が行うべきではないといったご意見もございました。それから、こういった事業者については、専門的な知見を持つ行政官がいて初めて意味があるといったようなご意見もございます。

 農林業者等による被害防止のための捕獲の促進につきましては、許可不要とすることにより錯誤捕獲が懸念されるといったようなご意見で反対だという意見や、止め刺しの適正な実施が不可欠だといったようなこと、逆に土地管理者による捕獲には許可は不要ではないかといったようなご意見。また、現行二十歳以上の狩猟免許取得年齢を引き下げるというご意見については、少し心配の声もございました。

 それから、(4)計画的な捕獲の推進につきましては、捕獲許可を不要とするということについての反対の意見や、夜間銃猟、放置禁止の緩和についても、いずれも安全の確保の観点で反対、あるいは安全の確保をしっかりしてやるべきだというご意見もございました。

 それから、国の取組の強化につきましては、やはり予算的な措置をしっかり求めるという声や、広域的な取組は国が主導的に行うべきであるということ、ここでも農林水産省と環境省の連携を強化すべきといったご意見もございました。

 それから、科学的な鳥獣管理の推進については、都道府県に専門職員を置くべき、それに対する財政支援を行うべき、また、鳥獣保護員のあり方を見直すべき、調査研究を推進すべきといったようなご意見がございました。

 (7)一般狩猟の促進につきましては、より積極的な取組を求める声もある一方で、狩猟についての否定的な意見も幾つかあります。

 また、(8)国民の理解を得るための取組の推進につきましては、そもそも鳥獣を殺すことを正当化するような教育はすべきではないといったようなご意見や、野生動物とペットは違うということをしっかり説明すべきだという意見、また、食肉として活用することには衛生面の課題が多いといったようなご意見もございました。

 (10)その他)については、鉛中毒対策をより積極的に行う姿勢を示すべき、捕獲増加がもたらすほかの希少生物への影響を考慮すべき、といったようなご意見がございました。

 この反映結果については後ほど資料1でご説明をさせていただきますが、その前に資料3をまずご覧いただけますでしょうか。

 こちらは、昨年の12月24日に、この小委員会の親部会に当たる自然環境部会で、ここで取りまとめていただいた素案をご報告し、ご意見をいただいた結果をポイントのみ取りまとめております。

 一つ目は、科学を基礎とした鳥獣管理を推進すべきということで、個体群モデルといったような考え方をきちんとつくって管理をすべきだといったようなご意見や、捕獲事業の実施については科学的な知見のもとでしっかり計画を立てるべき、そのための予算措置も重要、といったご意見、それから、パブコメでもありましたけれども、ニホンジカ等の増加要因はしっかり分析をして対策に生かしていくべきで、それがまさに国民の理解を得るためにも重要な不可欠なことであるというご意見がございました。

 それから、県をまたいで対策をとるべき地域もあるので、国が主導するなり、共同して管理をするといったことが重要だろうといったご意見がございました。

 また、捕獲事業者をつくるということに対しては、狩猟者が減少していく中で、どのように実際の人材を確保するのか、教育的な支援なども必要ではないかということや、事業を継続するためには、経営として成り立つということを示す必要がある、また、具体的にそういう事業をやってみようかと思うためには、事業の内容や必要な技術などをしっかり明確に示していく必要があるというご意見がございました。

 また、主にシカ、イノシシですけれども、分布の拡大が著しいことを考えれば、密度が低いうちにコントロールをするということが重要だけれども、その技術もしっかり考えていくべきではないかといったようなご意見や、捕獲個体の処分についても、効果的な方法、予算的な支援を検討すべきである、また、国民の理解を得ていくためにも、生息環境管理等、総合的な対策の重要性もしっかり認識をした上で、捕獲等との両輪としてしっかり進めていくべきだというご意見がございました。

 これらのパブリックコメントや自然環境部会において幾つかご意見をいただく中で、表現を適正化して修正案をつくりましたのが資料1になります。

 まず、この答申案、今まで「素案」としておりましたけれども、パブリックコメントの結果とその検討を踏まえまして、答申案として自然環境部会に報告をして、最終的な審議をしていただくということにしておりますので、今日お配りしているものは、「案」としております。

 それから、めくっていただきまして、目次がございます。目次の部分で少し修正をしていますが、これは後ほどご紹介をします。またページ番号については、最後、全て整った段階で入れることにしたいと思います。

 「はじめに」の部分でございますが、ここでは古くこれまでの人と鳥獣の関係を述べているのですが、捕獲に係る関係だけを述べているというご意見がございまして、バランスをとるために、鑑賞の対象であったということや、存在自体が身近なものであったということを追記しております。

 それから、16行目以降の部分は、「被害防除とあわせて積極的に個体群管理していかなければ、被害対策が困難であるだけでなく、その他の鳥獣種の生息環境を維持することも容易ではない」というこの表現が、何がどう足りないのかがわかりにくいということでしたので、少し整理をし、被害対策というのが防除対象、守るべき対象を限定して守る柵を設置したり、加害個体を捕獲したりするということだけでは限界があって、広域化する被害対策はもちろんのこと、防除対象が限定されにくい生態系被害に対しては、個体群管理がどうしても不可欠だということ、一部の場所を守るための対策では十分ではなく、個体群管理が必要だということを明確に述べるために少し修文しております。

 それから、それ以降は少し読みやすさの観点で整理をしているところが続きまして、2ページ目、4行目から5行目の辺りで、今回、十分な検討が行えなかったものについては、「必要に応じて検討が継続されることを期待する」という表現だったのですが、この表現では若干弱い、もっと積極的にしっかり検討すべきということを書く方がよいだろうということで表現を修正しております。

 また、これ以降の、もともとはもう少し後に出てきた鳥獣管理の言葉の使い方ですけれども、この後の2番にも出てくるので移動しまして、重点的に検討を行った個体群の積極的管理を含む鳥獣の取り扱い全般を表す言葉として鳥獣管理という語を用いることとするということをここに持ってきております。

 それから、2の(1)16行目ですが、絶滅危惧種の保全について、概ね種の保存法により保護が図られているというのは適切ではないというご指摘がありまして、確かに全ての種が指定されているわけではございませんので、「特に対策を講じる必要がある種は」という限定をしております。

 それから、30行目以降にはパブリックコメントでも自然環境部会でもご意見をいただきました、増加要因についての記載をしております。ここは、科学的に十分検証されていない、また地域によって異なるという前提ではありますけれども、明治期の乱獲による個体数激減に対応した捕獲規制等により減少に歯止めがかかったこと、減少に歯止めがかかった後の増加については、この後で書いていますが、繁殖力が高い動物であるということと、捕食者であるオオカミが絶滅をしているということ、また、雪が減少したということ、それから、餌環境がよくなったということ、造林や草地造成などによるものですが、そのほか、耕作放棄地ですとか、利用されないまま放置された里地里山が増えたといったようなことにより急激に増加をしたと考えられているとしております。また、個体数の回復を受けた狩猟禁止の解除が遅れたことも要因の一つであろうということで記載をしております。これらの減少したものが増加に転じたことについては、調査等で状況を常に把握をして、状況に即応した計画的な対策をとる必要があるということと、必要なときに必要な捕獲を確保するような体制を構築することが必要だということを示しているものだろうということも記載をしております。

 それから3ページ目ですが、この辺りは読みやすさの観点、わかりやすさの観点で、(2)の一つ目のパラグラフが農林業被害のパラで、1行あけて17行目以降が生態系への影響についてということで、ここを1行あけてわかりやすくしています。それから、少し説明を加えてわかりやすさを確保しています。

 4ページ目でございますが、前半の4行目、5行目のわな猟免許の所持者数のところには、狩猟者数の減少に歯止めがかかっていないとシンプルに書いていたのですが、いろいろな取組によって、わな猟免許の所持者数は増えているという点はしっかり書くべきだろうということで、わな猟免許は増加をしているけれども、銃猟免許は減少しているという記載をしております。

 それから、18行目辺りは、特定計画の評価ということで、6種について127計画が策定されているということの若干の評価を加えていて、シカ、イノシシの策定率は高いけれども、その他の種については策定されていない。効果的と思われる都道府県でも策定されていない場合もあるということや、具体的な成果とは何かということがご指摘ございましたので、計画策定や評価のための継続的な調査が進んでいるということや、個体数調整のための捕獲が進んでいる地域もあるということで、一定の成果の具体的な中身を書いているということと、結果として、一部の鳥獣種について、個体数の増加が抑えられている地域があるというのが成果としてあるかと思います。

 5ページ目は主に表現をわかりやすくするための修正です。

 それから、6ページ目35行目について、生態系被害のところだけ具体的に、例示で国立公園であれば環境省ということを示していたのですが、一つの事例だけ挙げるというのも適切ではないと考えましたので、ここは削除をさせていただいております。

 8ページ目は事業者の確保、事業者の制度化の部分ですけれども、14行目のところで、鳥獣の捕獲、事業者を支援していくということ、行政的に支援をすべきだというご意見に対応しまして、鳥獣の捕獲の社会的な重要性に鑑みれば、社会として事業者を育成し、支えていく意識を持つということが重要で、必要に応じて行政としての支援も検討すべきだということを追記しております。

 それから、32行目は認定事業者が捕獲を実施するときに、従来その地域で活動していた狩猟者とうまく連携、協調していくべきだというところについては、事業者自らが実施をするということもあるでしょうが、行政機関が認定事業者に依頼するときに、従来の体制としっかり連携をとっていくことの重要性を示すために一言入れております。

 9ページ目の32行目は、特定計画の措置として狩猟規制の緩和のみがあるということをご説明しているところですが、少しここを混乱して読まれたご意見もありましたので、具体的な事例、どのようなことが狩猟規制であるかをお示ししております。

 それから、11ページ目15行目、人材の育成のための措置について、主語を明確にすべきというご意見がございまして、ここの点は、主として環境省が実施する人材育成のプログラムについて書いておりますので、「国は」と入れております。

 それから、最後の行、③ですが、この後お示しするように、調査研究だけではなく、技術開発についての記載も加えましたので、タイトルを変更しております。

 12ページ目を見ていただきますと、調査研究の対象としましては、いろいろなご指摘を踏まえて、個体数の増加の要因というのも加えております。また、技術開発に関係する部分として、5行目以降のパラを追加しております。管理手法について、低密度地域における効率的な捕獲技術や、捕獲個体の活用、処分に係る技術、わなにかかった鳥獣にできる限り苦痛を与えず、人道的に安全な止め刺し技術等の開発が求められるということ、また、地域ごとに蓄積された狩猟技術を収集・分析して伝承していくという視点も重要だろうといったご意見もございましたので、ここで追記しております。

 また、これらの技術開発や調査研究の主導を国がすべきだと、行政がすべきだというご意見がございまして、もともとは一丸となって取り組むべきであると書いておりましたけれども、加えて、鳥獣管理における行政のニーズを的確に反映した調査研究を進めるためには、国、都道府県のイニシアティブも重要であるということを追記いたしました。

 それから24行目、一般狩猟については、人と自然の本来の関わり方の一つであるということが再認識されるべきということで、少し表現の修正をしております。

 それから、(8)についても全般的には表現のわかりやすさということで修正をしたものでございます。

 それから、13ページ目の1は鉛中毒被害への対応ということを書いておりましたけれども、少し項目を追加しておりますので、捕獲数増加に伴う課題への対応で、鉛中毒は例示として括弧に入れております。それで鉛中毒については、より積極的に今後どうするのかというのを示すべきだと、鉛弾を廃止する方向で考えるべきだといったようなご意見がございましたので、これまでは鉛弾による影響の把握に努めるということでしたが、その結果に基づいて対応方針を明確にすべきだということで少し修正を加えております。

 最後のページですけれども、2行目以降は、捕獲事業を拡大する際に、銃も含めて捕獲をするという行為で、例えば猛禽類などの希少生物の生息環境への影響が出てくる可能性も心配だと、影響があるんではないかといったようなご意見がございましたので、捕獲手法や時期などについて、必要な配慮や調整を行うことも重要であるということを記載しております。ただ、「また、」のところでお示しをしているのは、捕獲によって得られる生態系保全の効果も大きいので、総合的な判断、猛禽類の保全とシカによるプラスの要素と、それらを総合的に判断して配慮をしていくということをお示ししております。

 それから、2として新たに追加をした項目ですけれども、住宅地に鳥獣が出没をするということで、最近、クマやイノシシなどの、直ちに人に危害が及ぶような鳥獣の状況に対しては、警察官職務執行法などを使って対応することが可能ではありますけれども、ニホンザル等が一定の期間、一部の集落にとどまって、各地に出没して危害を与えているというような事例もございましたので、そういったときには麻酔銃によって捕獲をする、計画的に計画を立てて捕獲をするということも有効な場合があるというご指摘をいただいており、麻酔銃については装薬銃に比べれば比較的危険も少ないということで、安全確保の措置を講じた上で、限定的に認めることを検討すべきであるといったことをお示ししております。

 概ねご説明は以上でございますので、ご意見をよろしくお願いいたします。

【石井委員長】 ありがとうございました。それでは、答申案について、順番に議論をしていきたいと思います。項目ごとに区切って議論をしたいのですが、まず、1の「はじめに」と、それから2.の「鳥獣管理をめぐる現状と課題」というところ、5ページの頭までになりますが、ここについてご意見などありましたらお願いします。

【三浦委員】 この部分はかなり修文されているのですが、私は、修文された部分のうち、「もともと繁殖力が高い動物であることに加え」の次の最初のファクターとして、「捕食者であるオオカミが絶滅していること」が、果たしてシカの増加に直接的につながっているかどうかというのは、ちょっと考えものだと思うんですね。この検証はなされてないし、北米で言えば、トップダウンの効果としてオオカミが個体数そのものをコントロールしているかどうか。オオカミによる捕食があったとしても、かなり高いレベルのシカ類の個体群の動態が引き続き行われるということを現状では把握されているわけですから、書くとしても、ファクターの最初ではなく、次の「積雪が減少したこと」、雪というよりも積雪ですよね、それで次の「植生量が増加していること」、それから「中山間地が放置されていること」、その次ぐらいに「捕食者であるオオカミが」とするのが適切ではないかなと考えます。

【石井委員長】 私も、そのように直した方がいいと思いました。

 ほかにはいかがでしょうか。

【染委員】 すみません。今の2ページでありますが、ニホンジカは、もちろん増加しておりますが、生息域もかなり拡大していますよね。ニホンジカは、従来は南の方に生息していたのが、かなり北の方まで生息域が拡大しているのではなないかと思っていますが、今やたしか宮城や岩手の辺まで行っていませんでしたか。

 要は生息域の拡大に伴って当然個体数も増えていくという流れがあるんじゃないかと思うのですが、それを一言で「雪の減少」だけになっていますが、要は全体的な気象条件や、いろいろな意味での生息域拡大の要因があるのではないのかなというような感じがするのですが、その辺をこの一言で済ませてしまっていいのかなという感じがいたします。

【石井委員長】 これ、その前に「地域によって異なる」というのが入っているので、そこでいろんな読み方ができるようにしてあるということだと思いますが。

【染委員】 わかりました。あまりこだわりません。地域によりますので、増加の話だけをしているのかなということもありますので。

【事務局】 もし、ほかの先生方で修文の方法など教えていただければ。

【坂田委員】 私も今の意見のように、増加することによって生息域が拡大したということもあると思いますけども、ただ、生息域が拡大しているということはかなり重大な問題、現象かなと思いますが、生息域拡大ということは、ほかのところも含めてあまり触れていなかったでしょうか。

【事業局】 表現としては21行目なども、例えば個体数増加や分布拡大が起きているということで、個体数増加とセットで使っていることが多いですね。具体的な要因はお示ししておりません。

【坂田委員】 わかりました。文量のバランスの加減で、個体数増加ばかりに目が行っているように私も見えてしまいましたので、もし可能であれば、分布拡大の内容などをちょっと書き加えられるといいかなと思います。

【事務局】 もしよろしければ、ここの増加要因というのは、かなりの部分が分布拡大要因にも置き換えられるような気がしておりまして、例えばここの「増加要因」を「増加と分布拡大要因」と言えるのか、それともほかに分布拡大の要因を新たに追加した方がいいのかというご意見がもしいただければ修文に反映させたいと思いますが、いかがでしょうか。

【石井委員長】 それは、まず30行目の増加要因のところに、増加及び分布拡大要因と書いて、その後ろがそのままつながるかどうかということですかね。

【事務局】 そうですね。それがイコールなのか、もしくは別のものなので別のものも書くべきなのかということですか。

【坂田委員】 私は大体ニアリーイコールでいいと思います。ほかの皆さんの意見もお聞きした方がいいと思います。もう一つは、やはり個体数の増加のことだけが詳しく書いてありますので、実際に環境省さんの方も、分布拡大のデータ、昔はどのくらいだったけど、こういう地域では新しく分布が広がってくるという情報を持っておられるはずなので、分布拡大についても最初の個体数推定の次か前かぐらいに、現状を多少簡単に説明された方がいいのかなと思います。

 また、なかなかそのような具体的な分布のメッシュ数が増えたなどという具体的な今までの結果、これは明確に間違いなく調査の結果そうだったと、あるいは推定の結果こうだったと書けると思いますけど、先ほど、三浦委員の方からもお話があったように、やっぱりそれがなぜかということになると、パブリックコメントなんかにも、なぜかを明確にしてくれという意見はたくさんあったものの、やはりどうしても明確に言えない部分があって、本来は事実としてどういう情報があったかという方が重要だと思いますので、その部分を書いていただいて、あとは、でもやはりなぜかということは皆さん議論になると思いますので、ここに書いてあるような見解を述べられるのがいいかな。まずは事実の把握というところを前面に出す方が私は重要かなと思います。

【石井委員長】 そうすると、ここのところで1978年と2003年の2回、全国分布調査をやっていますね。シカは約2倍近くに分布域が増えていると。イノシシもそうですね。ということを簡単にでも触れておいた方がよかったですね。分布拡大も起きているということを事実で示すためにというので、少しここに書き加える必要があるということと、あとは30行目に、増加及び分布拡大の要因というような書き方をして差し支えないかどうかということですけれども、それはいかがでしょうか。

【小泉委員】 私は分布拡大としてつなげることに異論はありません。それで、ただここの修文の部分ですが、「もともと繁殖力が高い動物であること」に加え、要するに死亡率が低かったからこういう状況に至ったわけですよね。だから「死亡率が低いことにより」と入れて、それで、「死亡率が低くなった原因として」というふうにして考えられるもの、今、議論になっていますけれども順番はさておくとして、「捕食者である~」という以下の文章を、「死亡率が低かった」ということにつなげてはどうかと思います。それで、最後は、「狩猟禁止の解除が遅れた」ことまで含めて「死亡率が低かったことによって個体数が急激に増加し、分布域もそれにつれて急激に拡大した」というふうに話をしてはどうかと思いますが、このままだと死亡率というくくりがないので、何か要因がずらずらとそのまま「繁殖力」に続いていってしまうのでわかりにくいのかなと感じました。ご検討いただければと思います。

【石井委員長】 そうすると、死亡率が低くなったというようなことを書き加えるのは最後の37行目のあたりにということですか。

【小泉委員】 いえ、私の意見としては、33行目の「高い動物である」のところに加え、「死亡率が低くなったことに起因する」というか、「由来」というか、「死亡率が低くなった原因としては、」として、「捕食者であるオオカミが・・」と続けたらどうかと提案したいと思います。

【石井委員長】 「ことに加え死亡率が低くなった」と。それでその中身としては以下であるというような書き方ですね。

【坂田委員】 はい。ただ、餌となる植生量が増加したということは繁殖率の方に。両方ですね。

【石井委員長】 両方ですね。

【事務局】 修文案についてはちょっと整理して考えたいと思います。

【石井委員長】 ほかにはいかがでしょうか。はじめにと現状と課題ですが。

【磯部委員】 修文の意見ではなくて、単に質問なのですけれど、パブコメの冒頭のところに「数度目の重大な転換点にある」という表現はおかしいという趣旨のご意見が34件もありますよね。これは、どのようなご趣旨なのだろうかという質問です。「転換点にあるという認識が間違っている」という話なのか、あるいは「数度目の転換点という表現は何を指しているのかよくわからない」ということか、あるいはこの文章がそもそも日本語として自然ではないという趣旨なのかとか、そこにはいろいろなご意見が入っているように思えるのですが、それとも回答の中に書いてあるようなことを皆さんが指摘されていると理解してよろしいのでしょうか。いったいどのようなご趣旨のご意見が多かったのかなという質問です。

【事務局】 そこのご意見ですが、やはりもともと保護すべき法律で動物を殺すことに転換するということに対する反対のご意見が主なものです。理由としては、もともと保護すべきという法律だったのに、殺りくを推奨することは極めて不適切だというようなご意見なでしたので、やはりここでは小委員会でのご意見をまとめると、こうしたことが必要である、殺さざるを得ない状況にある、個体群管理がどうしても必要だ、ということは変わりがないのかなと思いますので、ここの点は特に修正は加えていないということでございます。

【磯部委員】 わかりました。

【尾崎委員】 今のところとも関わりがあるのですが、意見の多い数十件というのが幾つかあって、それを見ると、殺処分に対する愛護関係の観点からの意見かなと思われますが、それはグループで意見を述べるように呼びかけたことによるものなのか、それとも自発的に個々の人がそういうことを思われたと考えた方がいいのしょうか?【事務局】 物によりますけれども、この30件といったような数字になっているものは、概ねインターネット上でこういうパブリックコメントが募集されているので意見を出しましょうというような呼びかけに応じたような形のものが多いと思われます。

【尾崎委員】 その上ですけれども、今回の修文を見た限りで、あまり動物愛護に関する意見への対応というか、たくさん意見が出されたものが必ずしもメインだとは思わないのですけれども、何か全体的に動物愛護にもう少し留意したというようなところがあるのでしょうか?赤字になっているところを見た限りではあまり見当たりませんが。【事務局】 そこについては、もともと心配をしているところではありますので、(8)番で既に記載をしているというつもりでございますので、新たに加えて書き込むということはしておりません。こういったご意見があるということは十分受け止めたいと思います。

【石井委員長】 あるいは何かここはこういう書きぶりにしたらいいとかということがあれば。

【尾崎委員】 具体的にはありません。

【石井委員長】 それでは、ほかには1と2に関してはよろしいでしょうか。全体を通じてですが、いただいたご意見を踏まえて少し全体を見直すという作業が、この後少しあると思いますけれども、ここについての意見は大体このぐらいということにしたいと思います。

 それでは、次ですが、3.、5ページからになります。「鳥獣管理につき今後講ずべき措置」ですが、ここは長いので分けて議論したいと思いますが、まず(1)鳥獣管理の充実、それから(2)関係主体の役割と連携というところについてご意見をお願いします。いかがでしょうか。ここは全体としてそんなに前回から修正しているところはないのですけれども、何かあればお願いします。

【小泉委員】 内容ではないのですが、パブリックコメントの中で避妊化ワクチンに対する意見数が異様に多かったように思います。これはさっきも同様の質問があったと思うのですが、特定といいますか、主義主張を持った方々の多くのコメントが寄せられたということなのでしょうか。避妊化ワクチンは結構特殊な分野ですよね。それが六十何件と集まってきたことがちょっと印象的だったのですが。

【事務局】 インターネット上にパブリックコメントへの意見として掲載した方に同意をして、動物愛護の観点から、その方が殺さなくて済むというご意見で出してこられた方が多いかと思われ、基本的には同じ主張を持つ方々が出してこられたのではないかと理解をしています。

【小泉委員】 わかりました。ありがとうございます。

【坂田委員】 考え方についての質問ですが、今のようにたくさんの同じ意見があるということは、今はインターネットでやれば一人でも100でも200でも意見を出すようなことができると思いますので、実際問題としては、この議論の中では内容自体を検討すればよくて、意見数が多い少ないについて吟味することに意味はなさそうな気がするのですけれども、そういうことでよろしいですか。

【事務局】 その点は委員会としてのご判断かと思いますけれども、いろんな側面があり、数は数で意味のある場合もあるかと思いますけれども、今回それをどう取り扱うかというのは、委員会で基本的なスタンスを持っていただくというのがいいのかなと思います。

【坂田委員】 そうしたら、仕組みについての考え方ですけど、同じ人が何回でも適当に書いて意見を出すことは可能な仕組みになっているということですか。

【事務局】 仕組みとしては、連絡先と名前を書いていただくので、基本的には意見数は、人数や団体数と同じだろうと理解しております。

【坂田委員】 ありがとうございました。

【石井委員長】 いかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、(2)のところは結構長い部分ではあるのですけれども、よろしいでしょうか。

 それでは、先に進みたいと思います。次に7ページですけれども、(3)効果的な捕獲体制の構築というところで、ここら辺から新しい仕組みの話がいろいろ出てきますけれども、まずこれについて幾つか修正点もありますので、ご意見をお願いします。いかがでしょうか。

 細かいことですけど、8ページの32行目のところに、「又は」と漢字を使っていますけれど、これは平仮名でいいですよね。

【三浦委員】 国の役割が7ページと10ページにあって、事業者の創設ということと、もう一つは、やはりこの7回で議論してきた提案として、環境省側からも出ていて、議論の途中でなくなったと思うのですけれども、全国的な視点で国がある程度のイニシアティブをとれるような、国が予算的な措置をしながら、指定鳥獣の捕獲を行う制度の創設みたいなものに取り組んでいきたいということが議論されたと思います。

 それで、私もその方向が非常に重要だと思うのですが、10ページの30行から31行目辺りの、各都道府県が特定鳥獣をつくりながら、一方では国がやっぱり全国的な視点から、ある程度のイニシアティブをとりながら、それぞれの広域の担当行政を掘り起こしていくといったような、そういう仕組みですよね。だからその観点が重要なのですが、全国的な取組を促すことが重要であるというのはそのとおりですが、ここのところはやはりそういう仕組みをつくっていくといいう前提で議論が進められてきたように思うし、私もその方向に賛成なのですが、いかがですか。ここのところはやっぱりもうちょっと重点を置いていただきたいなと。

【石井委員長】 今、三浦さんが最後におっしゃったところは何ページですか。

【三浦委員】 10ページですが、そこまで議論していないのでしょうか。

【石井委員長】 それはこの後に議論します。

【三浦委員】 すみません。

【石井委員長】 今議論しているのは、9ページの(4)の手前までのところです。

【三浦委員】 そうですか。わかりました。すみません。

【石井委員長】 そこには今の話は特に関係するところは出てきません。

【三浦委員】 7ページ、その前の段階ですね。

【石井委員長】 ええ。ここは大体書いてあることでいいということでしょうか。この後(4)から先のところを議論したいと思いますけれども、(3)のところですね。9ページの27行目までのところですが、そこについては特によろしいでしょうか。

 それでは、先に進みたいと思います。次は9ページの(4)のところから、(4)(5)(6)とまとめて議論をするということにしていたのですが、12ページまでのところですね。(4)計画的な捕獲の推進、(5)国の取組の強化、それから(6)科学的な鳥獣管理の推進と、この部分についてご意見をお願いします。

【三浦委員】 少し補足しますと、9ページの、(4)の計画的な捕獲の推進の36行目に、都道府県又は国の機関がとあるのですが、ここではそれに準じたような計画を策定して、事業を実施する仕組みということが書いてあるのですが、それに対応して先ほどの国の取組の強化の方が、(5)の30行から31行ですね、全国的な取組を促すことが重要であるという点から見ると、やはりここもただ重要ということではなくて、そういう仕組みをつくっていくということを入れるのが妥当ではないかなと思うのですけれども。

【事務局】 先ほどのご意見とあわせてご説明をさせていただきたいと思いますが、10ページ目の30行から33行の辺りでまず書いているのは、三浦先生がおっしゃることと同じなんですけれども、法律上に位置づけられるかどうかというところが、表現としてまだ明確に書ける状況にはないということで、国の取組の強化として、例えばここの29行目からですけども、「都道府県に管理のための捕獲事業を推奨する鳥獣については基本指針を定め」、ということの意味するところは、基本的には先生のおっしゃったことを表現しておりまして、法的に書きますとは、なかなか現時点では言いにくいところもあって、こういう表現をしておりますが、意図しているところは、それが重要だろうと、国が定めて方針を打ち出していくということは重要だろうということはここで表現をしているつもりなのですけれども、よろしいでしょうか。

【石井委員長】 この三浦さんのさっきの9ページの35~7行目辺りのところは、何か文章的にこれでは不十分ということはありますか。計画を策定して実施する仕組みが必要だということですよね。

【事務局】 三浦先生のご意見を踏まえると、その前の仕組みが必要であるという表現を10ページの32行辺りにも入れる方がよいということですね。そういう方向で検討させていただきます。全国的な取組を促す仕組みが必要である、ですかね。最終的には検討させていただきますが、そういう方向で修文を検討させていただきます。

【石井委員長】 ということで、それでは、羽山委員お願いします。

【羽山委員】 11ページの(6)の1の専門的知見を有する専門家の育成・活用の部分について意見を言わせていただきます。

 今回のパブリックコメントを見ますと、やはり一番ご意見が多いのが認定事業者の制度についてのことだと思います。それで、もちろん反対するご意見ではないにしても、やはり何らかの制度に対する懸念というか、工夫なり、仕組みについてご意見が多数出ていることを考えますと、きちっとした認定事業者に対するカウンターパートであるこの部分ですね。地方行政を中心とした専門の技術者を置いて、そして、ちゃんとこの制度の両輪として活用していくということが、恐らく信頼をこれから得ていく上でも重要ではないかと思います。

 この検討の場でも、この二つは欠かせない両輪でやっていくべきだというのは恐らく合意されてきたことだと思いますので、やはりそこがわかる文言をこの冒頭の部分、つまり科学的・計画的な鳥獣管理を効果的に推進するためにはというところに、具体的に「認定事業者を活用した鳥獣管理」と。それを適正に運用していくとか、あるいは管理を推進していくとか、そういった文言がここに置かれていないと、なかなか一般の方にはご理解いただけない制度なのかなと思いますので、そこはぜひご検討いただきたいなと思います。

【石井委員長】 前段で提案していることに対応するような言葉をここに加えて、リファーしておくということですかね。

【尾崎委員】10ページの1行目の、回収しなくて放置するというところですね。周辺環境への影響が少ない場合に限りということですが、これはパブリックコメントで大分問題視されているようです。それに対する回答が、地域によって違うので都道府県等で検討する、というような回答になっていると思いますが、具体的に影響が少ないというのは、どういうときをもって少ないと言えるのか、私にはよくわかりません。例えば鳥の方で言うと、ご承知のようにオオワシなどの問題で、鉛のことはもちろん重要なことで、規制はしているわけですけれども、鉛がなくても、利用できる肉類が環境に多く存在すると、それに依存する鳥や動物も出てくると思うんですね。ですから、そういう意味では、影響が少なからずあると思いま

。それが地域によって違うというように回答されているのは、そういう猛禽や動物などがいないところというようなことを考えておられるのか、具体例があればありがたいなと思います。【事務局】 この辺り具体的な基準といいますか、ある程度国の基準をつくって、それをもとに運用するのは地域だということで、地域によって違うということを回答の中では書いておりますけれども、具体的に国としてここは譲らないポイントというところについては、今後、改めて議論していただきたいと思っておりまして、確かに悩んでいるところではございまして、非鉛弾の使用は当然だと思っていますけれども、それ以外で考慮すべきことがどのぐらいどういうことがあるのかというのは、この後、改めてまたご議論をいただきたいと思っております。まだ、明確にお示しできるような状況ではございません。

【石井委員長】 とにかくこういうことがあり得ますと、こういう処置があり得ますということは、やっぱり書いておく必要があるのかなと思います。

 ほかにはいかがでしょうか。(4)(5)(6)のところです。

【染委員】 12ページの8行目ですが、地域ごとに蓄積された狩猟技術の収集・分析を図り、伝承していくことも重要であるという文章ですが、十分わかるのですが、かつてのマタギの技術や、いろんなノウハウなど、そういうものの伝承というような意味合いになっているならば、多分、伝承される方もかなり高齢化していますし、それをちゃんと保存し伝えていくという意味合いだったら、かなり伝承という言葉は古典的ではないのかなと。これは普通に考えれば、例えば暗黙知を明文化し、マニュアル化するとか、表現はともあれ、そういったもう少し「伝承」なのではないかと。ここでは、誰でもが利用できるような技術にしていくというようなイメージの方が合っているのではないかという気がするのですが。

 ただ、もともとの狙いが冒頭申し上げた古典的な技術をきちんと伝承することに意味があるんだということならば、この文章で結構ですが、その辺私は実態をよく知らないもので、言葉から少しひっかかるなという感じを申し上げます。

【事務局】 ありがとうございます。活用できるように広くオープンにしていくというようなイメージですので、少し修文をさせていただきたいと思います。

【石井委員長】 ほかはいかがでしょうか。

 それでは、次に移りたいと思います。これで最後の部分なのですが、(7)(8)(9)です。12ページからですね。(7)一般狩猟の促進、(8)国民の理解を得るための取組の推進、(9)人と鳥獣の関係について、それから(10)その他ということですけれども、ここの部分についてご意見をお願いします。

【羽山委員】 ちょっと質問ですが、14ページの上の②、これは今回新たに加わった麻酔銃を使用した捕獲ということなんですけれど、殊更にこれを書いたというのは、銃猟禁止区域で銃を発砲することが規制されているので、それに対して一定の限定的に認めることを検討する必要があると、そういう意味ですか。

【事務局】 そうですね。住居集合地での発砲が一律に禁止されていますけれども、動物の麻酔による捕獲についてはほかの鳥獣でなければある程度認められているということもございますので、その点の齟齬があるのではないかというご意見がございましたので、それを受けた形になっております。

【羽山委員】 ちょっと一般の方にはわかりづらいというか、「あっ、規制されていたの」という、だから制度的にはそういう規制があったけども、一定の限定的な要件に応じて認めるという書きぶりの方がわかりやすいのではないかなと思いました。

【染委員】 同じところでありますが、この10行目ですが、何か極めてドラスチックな表現になっているのではないかというような気がするのですが、薬品を人命に影響の少ないよう調節することも可能でありというのは、これは万が一当たった場合にはというような意味合いですか。

【事務局】 もちろん当たらないような措置をとった上でということは当然なのですが。

【染委員】 この文章は、極めてありふれて当たることがあり得るような感じを受けませんかね。

【事務局】 あえて書く必要ないでしょうか。基本的にもちろん当たらないという場所で、当たらないように撃つし、跳弾というものもほかの装薬銃に比べれば全く違うでしょうから、そういう意味では書く必要はないのかもしれないですね。

【石井委員長】 これはパブコメの提案にあった文章を引用して使用したということで、入っていたのでしょうか。そういうことでもないですか。

【事務局】 いえ、そのままということではないですね。いずれにしても、あえて書く必要はないですね。

【坂田委員】 住宅地というか、住宅地周辺でということについてですけど、一つの解決手段として麻酔銃を使ってみようということも、それは一つの方法だと思いますし、やはり有害捕獲、特に被害が出る動物を捕獲するという場合、どうしても田畑の周りとか、住宅の周りでそういう捕獲をしないといけない。発砲が必要になってきたり、発砲できたらいいなという状況に多くがなってくると思うのです。

 その意味で、一つの解決法はこういう場合の麻酔銃もあると思いますけども、それだけに限らず、例えば今の法律の規制では、結構曖昧に書いてありますね。住宅地の、ちょっと正確な記述は忘れましたけど、結構曖昧に書いてあるので、ここが住宅地の周りなのだろうか、それとも発砲していいのだろうか、背中は家があるけども、山に向かって鉄砲を撃って、誰にも危険はなくて、音がうるさいぐらいしかないんだけどみたいな状況はとても多くて、現実にそういうところで発砲してしまって、取り消し処分などを受ける方というのも多いと思いますし、その辺の安全性をきちっと十分に検討した上で、狩猟で個人のために捕獲するのであれば、なるべく住宅地から離れたところでとってもらったらいいと思いますけども、被害対策のためとか、公益的な目的で捕獲するときであれば、もうちょっとその辺の基準を厳密に、安全性と社会的な必要性を踏まえて、より具体的にされた方がと思ったりもしますので、この辺、住宅地周辺あるいは田畑周辺での捕獲についての麻酔銃だけに限らず、もう少し検討していただく方がいいかなと思います。

【事務局】 なかなか今回の結論として書くには、まだまだ検討すべきことがあるのだと思いますので、今後の課題という形で、住宅地周辺での被害対策のあり方については引き続きというような書き方で記録をしておくということでもよろしいでしょうか。

【坂田委員】 はい。

【石井委員長】 ほかにはいかがでしょうか。最後の部分ですが。あるいは前の方に戻っていただいても結構ですが、全体を通じて何かご意見あればお願いします。

【坂田委員】 最後になっても気になっていたら言おうと思ったのですけれど、やっぱり気になるので。一番最初の文ですけども、我が国の行政、「数度目の重大な転換点」にあるということで、やっぱり数度目って何と何と何だったろうなというのがとても気になると思うのです。

 それで、やっぱり狩猟法から鳥獣法になって、まだとにかく捕獲が盛んに行われていて、それで、むしろ捕獲の方の制限が必要だった時代からの経緯を簡単に書いてあると、それが転換点だなというのが明確になると思いますし、やはり簡単に歴史的な流れを追っておくというのは、皆様の鳥獣行政の理解していただく上では重要なことではないかなと思いますので、それは書いていただく方がいいかなと思いました。

【三浦委員】 私も最後まで気になっていて、ここは書いておいた方がいいのかなと思うのは、やっぱりマネジメントというのは何なのかということですよね。

 それで、これはこの答申案のどうのこうのではなくて、地方行政とか、それから環境省の捉え方として、例えば私は4ページの26、27行ですか、この結果、一部の鳥獣種について、個体数の増加が抑えられている地域があるという指摘で、要するに地方行政に行きますと、マネジメントというか、捕獲というのは被害地域が減少したり被害額がなくなったりという格好なんですよね。

 それで、これに対して環境省というか、私たちの立場というか、これは決して多様性の観点からも地域個体群をゼロにすることを目指してあるわけではないから、ある許容限度内の増減の中で、地域住民との調整を図りつつも個体群管理をやるということがマネジメントの本質ですよね。

 そういう点においては、これは一挙に解決する問題ではないのだというよりも、もう少し言えば、これは制度としてそういう仕組みをつくっていくことが必要なのであって、だからこそ専門的な人材がそこに付随しなければならないということが最初にないと、要するにマネジメントというのが被害の解消や解決だという対応をしていると、これは軸が違うのではないかなと。基本的な立っているところがね。往々にして地方行政は担当者もかわってしまって、被害問題でああやこうや言われる中で、被害解消という方向性に向かうのだけれど、実はそうではないし、それが全体としての何といいますか、最初の今の問題ですけれども、岐路にあるという意味は、狩猟規制をすれば済むのだという話ではなくて、ダイナミックに変化する系を一定の視点から対応していくのだということを何か書いておく必要があって、このままだと被害解消、被害解消で、やっぱり地域によってはもう要らないといったような話になってしまって、多くのパブリックコメントの指摘も、これから個体数の調整が行われるといったようなところで危惧しているということなのだけど、そうではないのだということを何らかの格好で言っていく必要があるのではないかなと思いますけれども。これは感想ですけれども。

【石井委員長】 今のようなことを書くとしたら、はじめにの最後のパラグラフのところをもう少し膨らますのかなと思ったりもしましたけど、すぐには文章が思い浮かばないですね。

【三浦委員】 いいのですけれども、私はこれから必要だと思います。

【事務局】 ご指摘の点は重要なところだと思います。今回の答申で入れるのか、法律後の基本指針の中で詳しくこういうものが管理であるということ、こういうことを目指していくべきだということを書くかというところについては、ちょっと検討させていただきたいと思いますけれども、今回どこにどう入れ込むかというのは若干悩ましいなという気はいたしますが、少し工夫して、考えてみたいと思いますが、ちょっと時間的なところもあり、どうするかは、また委員長ともご相談をしたいと思います。

【石井委員長】 難しいなと思いました。いろんな考え方がありそうですので、なかなかすぐに合意が得られるような文章もつくりにくいかなと思いました。

【小泉委員】 考え方というより具体的な記述のところをもう少し考えていただきたいと気になっているところが2カ所あります。一つは先ほど少し話題にも上りました、12ページの5行目から9行目の調査研究・技術開発の推進というところの中で、特に5行目から7行目にかけて具体的に項目を挙げて答申の中で書き込まなければいけない理由というのはあるのかなという気がしています。

 特に、答申案の中でやらなければいけない技術開発というのは、過密なシカやイノシシをできるだけ短期間に下げていくということが中心的に求められているわけで、分布の拡大の最先端地の低密度での管理手法も一緒に、それはどちらかといえば附帯だと思います。で、こういうことを言っているとまた議論になると思いますので、ここまで具体的に一つ一つ書く必要があるのかなという気がしました。

 それから、先ほども話題に上がりました14ページ、住宅地への鳥獣の出没への対応については、出没の対応の状況を主に記述していただいて、麻酔銃の部分の記述の量は少なくして、付随的な、麻酔銃を使う方法もあるというくらいにとどめておいた方がいいのではないかと思います。この中で指摘すべきは、住宅地に出てきてしまった鳥獣の扱いが、グレーな部分も含め早急に検討しなければならない状況にあるのだということをむしろ指摘していただいた方が、答申案としてはなじむのではないかと思いました。

 以上です。

【石井委員長】 もう少し一般的な問題として2カ所とも書く方がいいかもしれないですね。

 ほかにはいかがでしょうか。この最後の部分と、あと全体を通してですが。よろしいでしょうか。

【羽山委員】 今までほとんど議論してこなかったので、この答申案に入れていくことは適当かどうかわかりませんけれども、個人的な意見として喫緊の課題という認識をお話ししておきたいと思います。

 2ページの上から6行目ですね。鳥獣に係る感染症対策についてここで触れていただいて、今後、検討すべきであるということなのですが、実はこれはもう高病原性鳥インフルエンザの流行が最近落ちついてきているということもあって、何となく忘れがちなんですけれども、これはもういつ何時起こってもおかしくない、緊急な事態になりかねない、そういう状況に今の日本はあるわけですし、それから昨年夏に52年ぶりに台湾で狂犬病が発生しました。それで、隣の韓国は10年前に発生して、今、拡大傾向にありますので、もう東アジアでは日本だけが清浄国、それで、いつ何時この狂犬病が入ってくるかわからないという状況で、ただ、隣国の状況を見ていきますともう、犬への感染というのはワクチンの普及である程度制御されているんですが、基本的に野生動物を媒介して拡大しています。

 ですから、もう日本でも野生動物をモニタリングして対策を進めていかなければならないという状況で、当然狂犬病予防法の関係がありますので、厚生労働省が今モニタリング体制の構築を急いでいるという状況ですが、野生動物を対象とした監視体制というのはこれまでやってこなかったわけです。ですから、鳥獣行政と相当密接にリンクしていかないとこのような仕組みはつくれませんし、現実に自治体によっては衛生行政で野生動物対策は調査をしないと明言しているところも出てきていますので、この問題、鳥獣行政の側からもとても急がなければならない課題だということは指摘しておきたいと思います。

 以上です。

【石井委員長】 特にこの答申の中でこのように書いてほしいということでは。

【羽山委員】 例えばあえて言うなら狂犬病などの感染症対策についてはという、もう少し明確に今の危機感を示した方がいいのではないかと思います。

【事務局】 検討させていただきたいと思います。ご指摘はしっかり受け止めたいと思いますし、検討は別途していかなければいけないかなと思いますけれども、今回のこの答申の中での議論で、そこの部分を明示的に議論したということではないので、それについてはこのぐらいの書き方なのかなと思いますが、例示を挙げるかどうかは少し検討させてください。

【石井委員長】 ほかにはよろしいでしょうか。

【三浦委員】 この議論が終わった後でちょっと要望があって、一つは今回、答申案が対応している主要な中身がシカとイノシシ、それと付随的にはクマとサルが、人と非常に関わっている。これの前回が2003年、2004年調査なので、やはり私の聞いている範囲でも、先ほどの染委員のご指摘ですが、東北で言うと秋田県にもシカは入っているといったようなところで、やっぱり最新の現況調査が必要で、分布調査を78年にやって、精度の高いものは2003年にやって2004年に公表していって四半世紀ですけど、何というか、指数関数的に分布域が広がっているのでこれに対応して、10年たっているので調査のやり直しが重要なのかなという要望が一つですね。

 あと、どのような法律になっていくかわかりませんけれども、やはりこれから幾つかの仕組みや制度ができていったときに、やはり全国的な視点からどういう状況なのかというのを国側が、これは大きなお世話だと言われてしまうかもしれないですが、やはり続けるには専門家が必要ですし、国、環境省の方にもやはり計画を2期間ぐらい見てチェックをしていただくような人を、制度の仕組みとともに、ぜひお願いしたいなと思っているのですが。

【石井委員長】 何か、よろしいですか。

【事務局】 分布調査の件については、全く前回と同じ手法をとるのがなかなか難しい面はあるのですけれども、今回、補正予算で要求しているシカ、イノシシの調査の中である程度分布についても把握できるところはしていきたいということと、あと、捕獲情報をベースにした分布であれば随時出していくということはできるのかなと思っておりますので、過去のものと全く同じ方法でできるかどうかというのは、また別の問題ではありますけれども、分布の情報を出していくということは重要だと思っておりますので、対応はしていきたいと思っております。

【石井委員長】 それではよろしいでしょうか。よろしいですか。

 それでは、今日の議論はこの辺りにしたいと思います。

 本日いただいた意見をもとにして、私と事務局で修正をして、それを皆さんに見ていただいてご了解いただき、この小委員会の答申案ということで自然環境部会に提出したいと思います。

 ということで、以上をもちまして今回の諮問を受けた講ずべき措置を検討するための小委員会は終了ということにしたいと思います。

 皆さん、毎回熱心なご議論ありがとうございました。それから、円滑な議事運営にもご協力をいただきありがとうございました。

 あとは事務局にお返しします。

【事務局】 委員の皆様、本日は本当に熱心なご議論をありがとうございました。本当に8回に及ぶ議論で内容が多かったと思います。今日は局長の方から挨拶を申し上げますので、よろしくお願いいたします。

【星野自然環境局長】 委員の先生方には昨年の5月から8回の議論、そして現地調査を行っていただき、また、関係者からのヒアリングもしていただきまして、ありがとうございます。

 これまでの検討の場でさまざまな資料をお示しして、また現地調査もしていただいて、現在、日本が置かれている日本の自然環境、そして農林水産業、生活環境に対する鳥獣の被害の甚大さということを十分私どもも認識いたしましたし、委員の先生方にもご理解いただけたものと思っております。そういう前提のもとに、今後の鳥獣の管理のあり方について、基本的なところからご議論をいただいたと思っております。もちろん今回おまとめいただいた答申案の中で捉え切れない問題は、今後の課題という形でお示しいただきましたし、ただいまも三浦先生はじめ、今後取り組まなくてはいけない点についてさまざまな有益なご指摘をいただきましたので、私どもも従来に比べればこの鳥獣管理の予算というのは大幅に伸びてきております。それを有効に使いながら取組を進めていきたいと思っております。

 本日、おまとめいただきました答申案につきましては、修文がございますので、石井委員長ともご相談をして、この小委員会としての最終版を確定させていただいて、月末に予定しております自然環境部会で最終的なご議論をいただきまして、中央環境審議会としての答申をいただく予定でございます。その答申を踏まえまして、鳥獣保護法の改正を進めていきたいと思っております。

 鳥獣の管理について大きな転換の時期にございまして、ご議論いただいた点を踏まえて、私どもとして法律の改正の案を取りまとめて国会でご審議をいただくということでございますけれども、法律が改正された場合には、さらに基本方針の見直し、さらには法改正を受けた鳥獣管理の詳細、法律の運用に関わるさまざまな議論も必要になると思っております。

 この小委員会、鳥獣保護管理のあり方検討小委員会ということで、今回の答申をいただいたということで一区切りがつくわけでございますけれども、法律が改正された暁には、さらに法律を円滑に実施していくためのさまざまなご議論が必要になると思っておりまして、引き続き委員の皆様方にはその検討にもご参画をいただきたいと思っております。

 本日は、答申の案をおまとめいただきまして、誠にありがとうございます。また、今後ともよろしくお願いいたします。

【事務局】 本日のご議論いただきました内容につきましては、答申案の修正の上、委員の皆様の了解を得て小委員会答申案として自然環境部会に提出いたします。

 ドッチファイルにとじた資料について、ご希望の方には郵送いたしますので、机の上の郵送表にご記入ください。

 これをもちまして本日の鳥獣保護管理のあり方検討小委員会を閉会いたします。本当にありがとうございました。