中央環境審議会自然環境部会第13回温泉小委員会(委員懇談会)会議録

1.日時

平成24年3月16日(金)16:04~18:10

2.場所

経済産業省別館825会議室

3.出席者


4.議題

  1. 温泉資源の保護に関するガイドライン(地熱発電関係)(案)について

5.配付資料

6.議事

【事務局】 それでは、大変お待たせいたしました。時間が参りましたので、ただいまから第13回中央環境審議会自然環境部会温泉小委員会を開会いたします。
 委員の皆様には、お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。
 本日でございますが、岡島委員、甘露寺委員、交告委員、佐藤信幸委員、佐藤友美子委員、敷田委員、滝戸委員、藤野委員につきましては、ご都合により欠席との連絡をいただいております。
 本日は7名の委員の先生方にご出席をいただいております。
 中央環境審議会令第7条の規定によりまして、本委員会の開催並び議決に際しましては委員及び臨時委員の過半数の出席が必要とされておりますけれども、本日は、委員及び臨時委員5名のうち2名のご出席となっておりまして過半数を満たしておりません。事前に日程調整させていただいた中では最多の出席となる予定としておりましたけれども、決定後にご都合がつかなくなったというご連絡をいただいております。
 本日の議題は、小委員会としての議決を要するものではございませんので、正式な小委員会ではございませんけれども、今回については懇談会という位置づけで開催させていただきたいと思います。
 それでは、議事に先立ちまして、小林審議官よりごあいさつを申し上げます。

【大臣官房審議官】 官房審議官の小林でございます。
 先生方におかれましては、日ごろから、温泉行政の推進につきまして、いろんなアドバイス、また叱咤激励をいただいておりまして、大変感謝しているところでございます。
 本日はまた、年度末の押し詰まった大変お忙しい中をご出席いただきまして、ありがとうございます。
 この地熱発電関係の温泉資源保護のガイドライン、これは一昨年の規制制度改革というようなことも受けて検討を進めてきているわけでございますが、震災以降、全体のエネルギーの見直しなどもありまして、いろんな論議がある中で、そういう意味ではタイミングを得た検討になってきているのかなと思っております。
 ご高承のとおり、昨年の12月にご審議をいただいて、このガイドラインの案をおまとめいただきまして、これについて今年2月3日から3週間にわたりましてパブリックコメントもいたしまして、382件というような意見をいただいております。今日はこの意見の概要をご紹介し、また検証いただきまして、ガイドラインの反映につきまして、ぜひご意見、ご審議を賜れればと思っております。
 また、あわせて今回が最終回というつもりでお開きいただいておりますので、ぜひ、いろんなご意見をいただければ幸いというふうに思っております。
 この後、この夏には、全体のエネルギー計画の見直しもしております。これに絡んで、温暖化等の環境面の検討も進んでいるところでありまして、そういうものも、だんだん選択肢が示されましたり、方向性が出てまいります。そういう中で、このガイドラインというのも大いに活用され、また今後5年ごとの見直しというようなことも含めて運用していくと、こういうことになるところでございます。
 私どもとしましては、ぜひ今日のご審議を踏まえた上で、このガイドラインは年末までには都道府県に通知いたしまして、これが温泉の許可行政の中でしっかり運用され、活用されていくということを期待しているところでございます。
 そのためには、これだけいろいろ議論いただきました、このエッセンスなり、本質的なこと部分もよく理解していただけるように、十分な説明にも心がけていきたいと思っているところでございます。
 そういう中で、また引き続き、いろんなご指導をいただけることを期待しているところでございまして、本日の審議とあわせまして、どうぞよろしくお願いいたします。

【事務局】 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。
 最初のページ、議事次第をめくっていただきますと、資料1として、委員の名簿をつけております。それから、資料2の議事録は委員限りの配付となっておりますので、傍聴の方々の資料にはございません。申し訳ありません。
 それから、資料3につきましてはガイドラインの本体で、こちらは、今回、パブリッコメントのご指摘を受けて修正した部分を見え消しにしたものが資料3として配付されております。
 次に、資料4でございますが、ガイドラインに対するパブリックコメントの実施結果についてということで、この資料4については、中に別紙形式で分かれておりまして、めくっていただきまして、そのすぐ裏面が別紙1として項目別の意見数の一覧になっております。次のページからが主な意見の概要及び意見に対する考え方ということで、こちらは14ページまでが別紙2ということになります。別紙2の後につけておりますのが別紙3ということで、委員の意見の全体版ということになります。
 以上が配付している資料でございます。過不足がありましたら、事務局までお申し出いただければと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、下村委員長、以降の進行をよろしくお願いいたします。

【下村委員長】 私が遅れてしまいまして、大変申し訳ございませんでした。前の会議がぎりぎりまでかかってしまった上に、電車が信号トラブルというので遅れてしまいました。申し訳ございませんでした。
 また、前回もそうでしたが、今日も小委員会という形ではなく、懇談会という形で開をさせていただくことになりました。この点も、これは申し訳ないというものでもないのかもしれませんが、最近は、3月が師走と、先生方はこの時期に走り回っておられるように思いますけれども、感じさせられます。
 それで、本日は、前回の審議会でガイドラインを、パブリックコメントをかけさせていただくというところまで整えていただいたわけですけれども、それに対する、そのパブリックコメントが非常に、先ほど小林審議官からもありましたとおり、この手のものにしては非常に異例と言うべきじゃないかと思うんですけども、非常にたくさんの意見が出てきております。皆さん方の非常に関心が高いんだろうということだろうと思います。
 ですから、今日、このパブリックコメントの結果を事務局のほうからざっとご報告いただいて、それに対して、各委員からもご意見を賜りたいというふうに考えております。
 ぜひ、どういうふうに、こういう意見に対してお答えをしていくかというようなことも大きな課題ではございますので、後ほどご意見をいただければというふうに思います。
 それでは、もう早速議題に入ってまいりたいというふうに思います。
 まずは、今日は議題1ということですけれども、一つということですが、温泉資源の保護に関するガイドラインについて、まず事務局からご報告をお願いしたいと思います。

【事務局】 かしこまりました。それでは、資料3のガイドラインの本体と、それから資料4のガイドラインに対するパブリックコメントの実施結果についての資料をもとにご説明させていただきます。
 まず、資料4のパブリックコメントの実施結果でございますけれども、意見の募集としては、平成24年2月3日から約3週間にわたりまして意見を募集させていただきました、
 電子メールやファクスなどで延べ382件のご意見をいただいております。項目別の意見数につきましては、この表紙の裏面の別紙1にまとめてございますけれども、特に件数としては、「第四 関係者に求められる取り組み」についての意見を多く寄せていただいております。
 本日の小委員会では、すべての意見を紹介し切れませんので、全体版は別紙3として一番後ろに添付してございますので、本日は、別紙2として件数の多かった意見と、それからガイドラインの修正に関連した意見を主な意見として取りまとめましたので、本日はこの別紙2をご説明させていただきたいと思います。
 ガイドラインへの意見の反映状況は、適宜紹介させていただきたいと思います。
 なお、ご意見に対する考え方は、現時点での環境省としての考え方をまとめたものでございますので、本日、この場で温泉小委員会として提示された考え方をオーソライズするということではなくて、あくまでも環境省として、現時点で考えていることをご紹介するというスタンスでございます。
 それでは、資料4の3ページ目、別紙2のところでございますが、「第一 基本的考え方」に対する意見ですが、意見1としましては「地熱発電利用の地熱の掘削や利用の基準と浴用や飲用に利用する温泉の掘削や利用の基準の統一した基準を策定すべきで有り、温泉法を改正し明記すべきである。」という意見がございました。
 これに対する考え方としては、温泉法では、温泉を湧出させる目的で土地を掘削しようとする者は都道府県知事に申請してその許可を受けなければならないというふうに規定しているところでございますが、地熱発電に用いられる蒸気、熱水も、温泉法で言う温泉ということでございますので、ここは私どもとしてもダブルスタンダードにならないように、温泉法において取り扱うということにしたいというふうに考えております。
 次に、意見2でございますが「温泉資源の保護に関するガイドラインであるため、地中の温熱利用の客観的な利用形態を地熱発電に偏ることなく正しく記載すべきと思います。その上で地熱発電も必要であり、安全で有用なことを述べるべきです。」という意見がございました。
 これに対する考え方としましては、ガイドラインに、これまで温泉熱として地下の熱資源は活用されてきておりまして、我が国では伝統的に温泉として地熱エネルギーを活用してきたという旨をガイドラインでも明記しているところでございます。
 次に、「2.本ガイドラインのねらい」の部分についてのご意見でございますが、意見3として「地熱発電は再生可能エネルギーとは言えない。」というようなご意見がございました。
 これに対する考え方としましては、確かに幾らくみ上げてもいいということではなく、地熱資源というのは、適正な採取量と地下への還元によって再生可能エネルギーとして活用することが可能というふうに考えているところでございます。
 なお、再生可能エネルギーを定義している法律がございまして、こちらの「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律」という法律がございまして、その中で、「エネルギー源として永続的に利用することができると認められるもの」として、太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、大気中の熱その他の自然界に存する熱、バイオマスといったものが規定されておりまして、地熱発電も再生可能エネルギーに含まれるということを考えております。
 次に、意見4でございますが「温泉の湧出が見込まれない還元井は温泉法における許可又は不許可の判断をしないことになる。それではいったい誰が「温泉の湧出の見込み」の判断をするのか、判断するのが開発関係者であればモニタリングの透明性という観点からすると大きく不安がある。」という意見をいただきました。
 これに対する考え方でございますが、地質構造や既存温泉の状況等によりまして、温泉の湧出が見込まれるかどうかというのを判断するのは都道府県ということになります。また、還元による周辺環境への影響につきましては、モニタリングを継続して実施することによりまして、周辺の温泉の量、温度、または成分等の変化を把握することが非常に重要だというふうに考えております。
 次に、意見5でございますが「温泉法における「掘削許可に関わる判断基準」というのであれば、湧出量、温度、成分への影響度合い、すなわち変化の分量の度合いが何リットル、何度か、何ミリグラムかという一定の基準値を明確にすべきである。」という意見がございました。
 これに対する考え方としては、温泉の掘削は当該掘削地点の地質の構造、泉脈の状態、温泉の開発状況、工事の施工方法等によりまして、事情を異にするというふうに考えておりまして、湧出量、温度、成分等への変化の度合いを一律の基準、数値で示すことは非常に困難であるということを従前から申し上げておりまして、個別具体のケースごとに判断するというのは、これは地熱開発であっても、通常の温泉の掘削であっても同様というふうな考え方でございます。
 次に、意見6としまして「地熱井掘削申請についての許可・不許可を判断する際に、過剰な資料を要求したり、検討期間に長期間を費やすことなどは避け、地熱井の掘削を阻害することなく、早期に許可を出して頂けるよう、柔軟な対応を希望いたします。」というご意見をいただいております。
 これに対する考え方としては、当然のことながら過剰な負担をかけるというのはよくないと思われますけれども、この申請が公益を害するおそれがあるか否かを判断するために都道府県知事が必要と認める書類につきましては温泉法上も規定がありまして、提出をしていただくということがあるというふうに考えております。
 次に、「第二 地熱資源の一般的概念」の「1.地熱貯留層の構造と地熱資源の分類」についてのご意見でございます。
 意見7として、「帽岩と断層に囲まれた地熱貯留層が、あたかも隔離して存在しているように描かれている。これは断面図であるが、3次元的にこのように隔離した地熱貯留層があるとすれば循環水(天水)の供給はどのように行われるのであろうか。「帽岩」という表現は、P4~5に使用されているだけで、同じ内容と思われるP15の表4は不透水層という表現を使用している。不透水層という表現が科学的である。」というご意見をいただいております。
 これに対する考え方としましては、過去、不透水層、いわゆる帽岩が存在しますと、そこを境として浅いところと深いところで隔てられているような考え方が一般的になされていた時代もございますけれども、ガイドラインでは、この不透水層が、存在すれば必ずしも、浅いところと深いところが完全に隔絶されているという考え方には立っておりません。未発達な部分ではつながりを持つ可能性が考えられるため、あえてこのような表記を行っているところでございます。また、ご指摘を受けました、帽岩につきましては、帽岩の後ろに(不透水層)というような書きぶりに統一した上で、用語解説のところでも表記しておりますので、そのような修正を行っております。
 次に、「3.関連用語について」の部分でございますが、意見8として、「便宜的にでも熱水を定義するのであれば、定義する必要性を具体的に明示し、温泉と熱水の境界線となる数値等を記載するべきではないでしょうか。境界線が暖昧のままであるならば、後々の混乱のもととなりますので、温泉として記載するのが良いと思われます。」というご意見をいただきました。
 これに対する考え方としては、ガイドラインでも熱水につきましては、温泉法における温泉に該当することを明記してございます。なお、「温泉用として利用しない、温泉より高温のもの」というような表現につきましては、温泉法で言う温泉ですが、温泉として利用しないということで、ちょっと紛らわしい表現でありましたので、ガイドラインの、こちらは6ページになりますけれども、用語で、「高温であるためただちに浴用・飲用として利用しないもの」というものを書き改めております。こちらの6ページで見え消しの部分になっているところが、そちらの修正部分でございます。
 続きまして、意見9でございますが、「数値シミュレーションモデルを作成する際、実データとの一致を確認する上で最も重要(「最低限必要」)なのは、温度と圧力である。」という意見がございまして、こちらが、ガイドラインの8ページの部分でございますが、こちらにつきましては、ご指摘のとおりと思いますので、ここの部分に圧力を追加いたしまして、下の部分ですが、赤くなっているところですが、「(地層の間隙率や透水性、温度・圧力分布等)」ということで修正をしております。
 次に、「4.我が国の地熱資源の状況」についてでございますが、意見10としまして、「平成11年の八丈島の地熱発電所立地以来新規の立地がないために、認可出力53.5万kwと横ばいに拘わらず、発電電力量は平成15年の3,486,452MWhをピークとして急激な右肩下がりを示し、平成20年度では2,743,726MWhになっている。このことから、地熱発電は生産井の能力の低下が数年で現れ、生産井の掘削を繰り返しても初期に見積もった発電量が得られない現状が読み取れる。地熱発電は本当に安定した発電が期待できるのであろうか。技術の進歩により掘削深度を上げた生産井が増加すると、初期に想定した地域を越えた範囲に影響を与える可能性がある。曲がり堀や斜め堀の許可に際し、掘削深度を上げる(延長する)増堀に対して、環境影響調査等の追加を義務づけるべきである。」というご意見がございました。
 これに対する考え方としましては、地熱発電につきましては、先ほど申し上げましたとおり、適正な採取量とすることが大前提でございますが、地熱発電は、ライフサイクルでの二酸化炭素排出量が少なく、操業開始後は昼夜や気象条件を問わず一定の出力にて発電ができるということから、設備利用率が他の再生可能エネルギーと比べて格段に高く、ペースロード電源としての位置づけが可能というふうに考えております。なお、掘削深度を延長する増掘については、新たに温泉法における増掘の許可を要するということでございます。
 次に、「第三 地熱開発のための掘削許可に係る判断基準の考え方」の「1.掘削許可に係る判断基準の考え方」の部分に対するご意見でございますが、意見11としまして、「ガイドラインには、「温泉の湧出が見込まれない構造試錐井、観測井、還元井を掘削する場合には、都道府県知事へ掘削を申請して許可を受ける必要はない」旨、明記すべきであると考える。」というふうなご意見をいただいております。
 これに対する考え方としましては、温泉法では、温泉を湧出させる目的で士地を掘削する場合には都道府県知事の許可が必要とされておりますが、工事の方法、掘削地点の地質、その他を総合的に判断して温泉が湧出する見込みがある場合には許可に係らしめているということですので、こうした場合には抗井の種類に関わらず許可が必要になります。温泉地における、例えば水井戸の掘削についても同様の対応になっているというふうに承知しております。
 次に、意見12として「「既存温泉への影響としては湧出量の減少、温度の低下もしくは成分の変化等が考えられるが」としているが非常に暖味な表現である。また「公益を害するか否か」の判断は何をもって基準とするのか、これも畷昧な表現である。判断の基準は湧出量の減少、温度の低下、成分の変化の分量の度合いを数字で示すべきである。」というご意見がございました。
 これに対する考え方としては、温泉掘削の許否は新たな掘削が公益を侵害するか否かで判断されますけれども、湧出量の減少、温度または成分に影響を及ぼすことは公益を害するおそれの例示というふうにされております。温泉の掘削は当該掘削地点の地質の構造、泉脈の状態、温泉の開発状況、工事の施工方法等により事情を異にしておりますため、すべての事例に適用し得る基準の設定は困難というふうに考えておりまして、掘削許可の許否は、各事例ごとに特有の諸事情を検討した上で決定されるべきというふうに考えております。これは先ほど申し上げたとおり通常の温泉掘削の場合も同じ考え方でございます。
 なお、公益侵害の中には、温泉源に対する影響以外のその他の公益侵害も含まれるというふうにされておりまして、その事例としては、温泉の掘削工事の実施に起因するがけ崩れ、地盤の沈下、近隣の井戸の枯渇等が挙げられております。
 次に、意見13として、「掘削中に加え発電開始後温泉への影響が見られた場合はどうするか明確にすることが必要である、なぜならばP3で述べられているように、「現時点での知見に基づいて」の掘削許可である。「想定外」の影響について補償を明確化する必要がある、P28事前の協議とは別に法律に基づく補償が必要である。なぜならば多額の設備費用をかけた地熱発電事業は不可逆性(原子力発電に見られるように)であるから一温泉地、温泉事業者の存亡は「公益」の立場から無視され、地熱発電所の廃熱水により造成された「温泉」の供給で済まされるものではない。」というようなご意見がございました。
 これに対する考え方としましては、掘削中に既存温泉等への影響があった場合には、温泉法第4条第3項の規定に基づいて付されている許可に当たっての条件の変更ということが可能でございますので、これによって原因の究明を図るといったような対応が考えられると思います。また、掘削終了後に地熱発電による既存源泉への影響が見られた場合には、それが地熱発電のためであるかというのを確認する必要が当然ございますけれども、温泉法第12条の規定に基づく採取制限命令等が出されることが考えられます。また、関係者間の合意形成を図っていく一環としまして、協議会等の場におきまして温泉資源への影響が生じた場合の対応について、事前の協議を行っておくと、こういったことが非常に有効というふうに考えております。
 次に意見14としまして、「都道府県の審議会等が、適格な掘削許可の判断をするために、地熱井掘削の専門家や既存温泉への影響等を技術的・科学的見地から判断できる専門家に審議会等に参画してもらうことが望ましい。常任委員を確保することが難しいならば、審議内容によって審議に加わることができる臨時委員や専門委員を必要に応じて任命するなど、柔軟な対応をすることに賛成である。審議会等の実施時期・回数については、臨時開催も含め、柔軟な対応をしてもらいたい。」という意見がございました。
 これに対する考え方としては、都道府県知事が温泉の保護に関連のある一定の処分を行うに当たっては、意見を聞かなければならないとされております審議会その他の合議制の機関についてですが、従前から地学、医学、薬学、法律学等の学識経験者を含む適切な委員構成を確保する必要があるというふうにされております。ガイドラインでは地熱開発に係る処分の適正を期するために既存温泉への影響等を技術的・科学的見地から判断できる専門家の参画を検討することが望ましいとしておりますけれども、具体的には個別の状況に応じて都道府県が自治事務として判断することになります。なお、専門家の選任に当たりましては環境省も都道府県からのご相談にお答えしていきたいというふうに考えております。
 次に、意見15としまして、「[1]地熱構造モデル、地熱流体モデル等の精度の度合い、確率はどの程度なのか、各段階ごとに、誤解の生じないように併記すべきである。[2]また、「数値シュミレーションモデル」に対して過大評価しすぎている、温泉への影響評価の項目に盛り込むべきモデルではない。」というご意見がございました。
 これに対する考え方としては、各モデルにつきましては開発が進むにつれて精度が向上するというふうに考えております。また、本ガイドラインでは数値シミュレーションについて、温泉への影響を判断する方法としては限定的に運用すべき旨を記載しておりまして、将来的に温泉影響評価のための手法が構築されることを期待しているといったトーンになります。そのため、原案のままでご意見の趣旨は満たされるというふうに考えております。
 次に、「2.地熱開発のための調査について」の部分でございますが、意見16としまして、「「地熱発電関係」にただ反対をするのではありません。既存する温泉地域(源泉)は、古くから日本の文化を支えてきたところであり、日本の「温泉」は他国では真似のできない日本の歴史とともに歩んできたものであるので、この文化を壊すような開発は望んでいないし、豊かな自然環境を破棄する危険を望みもしないのです。ただ、既存の温泉地(温泉源)に影響せず、湯量・温度ともに豊富で、相当の量が廃湯にしている箇所で、少しでも再生可能エネルギーとして利用でき、温泉関係者と共栄共存が望めるのであればと考えています。」というご意見がございました。
 こうした温泉文化を背景としたようなお考えにつきましては、今後の温泉行政を進める上で参考にさせていただきたいというふうに考えております。
 次に、「3.温泉の生成機構分類と地熱開発による温泉影響の可能性」の部分についてのご意見でございます。
 意見17としまして、「温泉の成因と深部地熱流体の関係が下記の通り[1]深部熱水混入型温泉[2]蒸気加熱型温泉[3]伝導加熱型温泉[4]高温(マグマ)蒸気型温泉[5]海水混入型温泉の五つの温泉型に分けて記されているが、各形式の温泉地の実例を表中に記述するべきである。温泉への影響に関して、「[1]深部熱水混入型温泉」と「[2]蒸気加熱型温泉」の場合はその可能性が指摘されている。事業着手前の段階から温泉湧出の形式を知ることは、その後の事業展開を図る上で大変参考になるはずである。温泉地の調査。研究は今に始まったわけではなく、長い研究の歴史がある。その研究の成果などを取り入れて、P9の温度分別の導入ポテンシャルは算出されていることでも分かるとおり、選考した多くの研究成果が存在する。表4には、[1]~[5]の各型に該当する実際の温泉地を記述するべきである。」というご意見がございました。
 これに対する考え方でございますが、表4に示した分類につきましては、温泉の成因を地熱貯留層とのつながりに注目して分類分けをしたものでございます。ガイドライン本文にも記載しておりますとおり、実際にはこの五つに明確に分類されるわけではなく、これらが複合した形態が多々存在するということで、個々の温泉地について当てはめるのというのは、個別には困難というふうに考えておりますが、概ね日本の地熱発電地域における温泉地の形態としては[3]の伝導加熱型温泉が多いというふうに言われておりますが、なお知見の充実が必要な分野だというふうに考えております。
 次に、意見18として、「地熱開発は開発規模に関係なく既存温泉に影響を与える可能性は大きい。掘削以前の各種の探査情報やモニタリング調査等の情報は関係各所に開示するとともに、掘削は「温泉法」に基づき実施しそこから得られる情報も全て関係各所に開示し進めるべきである。」という意見がございました。
 これに対する考え方としては、ご指摘のとおり情報の共有と公開が重要であるという旨をガイドラインでも記述しているところでございます。
 次に、「4.各段階における掘削許可の判断に係る情報及び方法等」の部分についてでございますが、意見19につきましては、意見11と同趣旨でございますので、ここでは資料の説明は省略させていただきます。
 次に、意見20の部分ですが、「4-1広域調査段階(P16)から4-5発電所運転開始後段階(P24)までの記載があるが、4-6増掘(掘削深度の延長と口径の変更)についての記述が是非必要である。現在の地熱発電の生産井では「温泉の増掘」が行われており、増掘に対しての記述が必要である。」というご意見がございました。
 これに対する考え方としましては、本ガイドラインでは、温泉の掘削、増掘及び動力の装置、実際の地熱開発では動力の装置というのは、あまり想定されませんけれども、掘削、増幅及び動力の装置について、「掘削等」という表現を使っておりまして、増掘も含めて全体を考えておりますが、増掘の取り扱いにつきましては「第三 地熱開発のための掘削許可に係る判断基準の考え方」に加筆をしまして、こちらのガイドラインの12ページをご覧いただければと思いますが、12ページのちょうど真ん中のところでございますが、増掘については、入念的に、「なお、増掘については、上記に準じた考え方を適用した判断を行うこととなる。」ということで、温泉法の許可の対象であるということを明確にしております。
 次に、意見21として、「「影響を与える可能性を示すデータがない」とあり、そのためか「温泉に影響の恐れがあるとは言えない」と書かれているが、今の段階でその結論に持ち込むのは、あまりにも短絡的論理ではないだろうか。100%影響が出ないという保証は全くない。」というようなご意見がございました。
 これに対する考え方としましては、客観的、科学的データによりまして、当該掘削が温泉の湧出量、温度または成分に影響を及ぼすおそれがないと判断された場合には許可されるということとなりますけれども、必要に応じて許可に条件を付したり、掘削完了後であっても温泉源を保護する必要があると認めるときは採取制限命令というものを出すというふうなこともございます。そのような対応をしていきたいというふうに考えております。
 次に、意見22として「18頁の1行目「地熱貯留層の概略的な資源量を把握し」とあるが、表3の概査段階には資源量の把握の記述は無い。概査の段階での目的なのか」というご意見がございました。
 これについては、この段階での資源量の把握は難しい場合も多いというふうに考えられますことから、ご指摘を踏まえまして、この段階では「地熱貯留層の概略を把握し」というふうに修正したいと思います。こちらは、ガイドラインの18ページのところに見え消しで示しておりまして、一番上のところでございます。「資源量」というところは削除をしております。
 次に、意見23につきましては、意見11と意見19と同趣旨の回答をしておりますので、ここでは説明を省略させていただきます。
 次に、意見24のところですが、「貯留層シミュレーションは開発前の精査段階に貯留層規模・出力規模決定のために実施される。従って、運転開始後、初期の数値シミュレーション結果と大きな乖離がなく、安定して運転を継続している地点においては、数値モデルの精緻化は一般的に行われない。また、1970年代にも運転を開始した古い地熱発電所では数値シミュレーション自体を実施していない地点もある。」というような意見がございました。
 これに対する考え方としましては、本ガイドラインでは数値シミュレーションについて、温泉への影響を判断する方法としては限定的に運用すべきという旨を記載しておりまして、将来的に温泉影響評価のための手法が構築されるということを期待しているという段階でございます。このため、原案のままでご意見の趣旨は満たされるというふうに考えております。
 次に、「第四 関係者に求められる取り組み等」の部分についてのご意見でございます。
 意見25として、「モニタリングをする範囲であるが、地区の温泉関係者とあるがどの範囲までその中に入れるか不明確。地熱のため、自然環境として例えば湧出口から半径30㎞以内の温泉地のモニターを取る必要があるように思われる。温泉の温度や水位、動力揚湯ならその力価などをその範囲内の温泉地を監視する必要があるように思われる。この際、温泉は個人の所有物であるといったことが壁になるが、守秘義務をもって公的に監視する必要がある。この了解が得られれば、発電業者のデータだけになり影響は管理できなくなるのではないか。さらに30㎞ということであったりすると、今回の提案からは都道府県がその任に当たるとしており、他県や他自治体にまたがって調べる場合の配慮も必要となる。この調整が大切である。」というようなご意見がございました。
 これに対する考え方でございますが、温泉のモニタリングの具体的な手法につきましては、平成21年3月に策定しました「温泉資源の保護に関するガイドライン」に記載しております、モニタリングの項目につきましては、温泉の湧出量、温度及び井戸の水位が適当というふうにしております。また、モニタリングの範囲や追加すべき項目につきましては、これは個別具体の案件ごとに判断することになりますため、協議会等の場であらかじめ合意形成を図ることも有効というふうに考えております。また、温泉地におけるモニタリングにつきましても平時から行いまして、モニタリング結果の整理と各種情報の共有化と公開に努めることが重要というふうに考えているところでございます。
 次に、意見26として、「地熱開発においては地震の誘発が懸念され、その影響は地熱研究者も認めるところである。モニタリングの範囲でふれた半径30㎞の中に複数の地震計を設置するべきである。」というご意見がございました。
 これに対する考え方としては、意見25と同趣旨になりますけれども、モニタリングの範囲や追加すべき項目については個別具体の案件ごとに判断するということになると思いますので、協議会等の場であらかじめ、この合意形成を図るといったことが重要と、かつ有効であるというふうに考えております。
 次に、意見27につきましても、意見25、26と同趣旨の意見でございますが、モニタリングの費用負担につきましては、基本的には平時のモニタリングにつきましては源泉所有者がその所有する源泉の状態を把握・管理するために自ら行う必要があるというふうに考えているところでございまして、これは21年版ガイドラインでもその旨、記述をしておるところでございます。
 次に、意見28として、「既存の地熱発電所周辺の温泉地において温泉源の枯渇等の影響が報告されていると聞きますが、このような負の情報はこのガイドラインには掲載されておらず、真の情報の共有、公開を求めます。温泉資源の保護に関するガイドラインにも関わらず全体として代替エネルギーとしての地熱開発ありきの印象はぬぐえず、世界に誇れる日本の温泉文化を根底から覆すことになりはしないかと危惧します。」というご意見をいただきました。
 これに対する考え方としては、地熱開発による温泉資源への影響については科学的な根拠によって判断する必要があるというふうに考えております。そのために、温泉地における平時の状態のデータも必要でございますし、環境省としても今後とも温泉資源の保護を図りながら再生可能エネルギーの導入が促進されるよう知見の充実に努めて参りたいというふうに考えております。
 意見29については、上の28と同趣旨ということで、ここでは省略をさせていただきます。
 次に、意見30として、「温泉掘削、特に地熱発電にかかる温泉審議会前に必ず協議会を開催する。協議会温泉審議会ともに構成人員の三分の一以上の温泉事業者を参加させる。」という意見がございました。
 これに対する考え方としましては、協議会の設置は合意形成の方法の一つの例示というふうに考えておりまして、地域の実情等により、例えば、ほかの方法も考えられるということから、必置、必ず置かなければならないということにはしてございません。まずは協定とか、そういったような別のやり方も考えられるということにしております。また、構成者につきましても、地域の実情等を勘案の上で決定することになりますので、そういう意味での縛りというのはかけていないところでございます。
 意見31、32は、意見30とほぼ同趣旨ということでございますので、ここでは省略させていただきます。
 次に、ガイドラインの「別紙 地熱資源の開発に係る地下の流体モデル・指標の構築と再現性の検証結果」の部分についてのご意見でございます。
 意見33として、「温泉モニタリングの例として、柳津西山地域、澄川地域、大霧地域の図を示し、「各地域とも地熱開発に伴う温泉湧出量減衰は認められていない」とあるが、澄川地域、大霧地域では2010年現在のデータのみで、発電所開始以前のデータがないので比較が出来ない。両地域とも発電所開始以前のデータも示すべきではないか。」という意見がございました。
 これに対する考え方でございますが、柳津西山地域を対象とした数値シミュレーションモデルを今回構築しまして、同モデルを用いて地熱発電に伴う地熱流体の生産・還元が温泉帯水層に与え得る応答の特徴について検討したというものでございます。データにつきましては例示として2010年のものを掲載してございますけれども、今回のシミュレーションモデルの構築に当たりましては、発電所の設置前、それから、運転後のデータも踏まえて、データ作成を行っておりますので、それを踏まえた作成ということになっております。
 次に、意見34でございますが、こちらはシミュレーションの部分の、「文章の意味が分かりません。また、P39では「整合している」といいながら、ここでは「モデルを修正」といっています。」というようなご意見がございまして、これにつきましては、ご指摘を踏まえまして、ガイドラインの49ページでございますが、こちらの付図11にシミュレーションモデルの結果、四角囲いになっているところでございますけれども、「西山温泉相当ブロックの圧力上昇が計算され、この傾向は温泉モニタリングデータをよく再現している。」というような表現にしております。このシミュレーションの結果が、あくまでも現在の状況をうまく再現できるかどうかといったような、その再現性のためにやっておりますもので、今後、これがうまく運ぶようであれば、将来的には、温泉への影響もこういったシミュレーションを行うことによって活用できる可能性があるというテーマのところに道を開くための実験というような位置づけでございます。
 次に、意見35としまして、「付図-7の表記は、変化数値をあまりにも概略化しすぎている。きちんとプロットをうった温泉量を示すべきで、こうした示し方はあまりに乱暴な表現である。」というふうな意見がございました。
 これに対する考え方でございますが、今回の評価では、地熱貯留層での還元による温泉帯水層への影響を計算した場合、どのように表現され得るかといった観点から計算したものでございまして、この結果として、温泉湧出量の変化に影響を及ぼす主要な要因は温泉帯水層の圧力と考えられますので、温泉モニタリングの計画や数値シミュレーションにおける温泉影響評価の手法構築などへ参照できるという結果が得られたのではないかというふうに思っております。また、数値シミュレーションを用いた評価手法は、今のところ地熱貯留層の資源量を評価するために体系化されておりまして、温泉の影響を評価する手法の構築は今後の課題ということになりますが、こういった手法を今後発展させていけるのではないかというふうに期待しているところでございます。
 最後に、ここの部分ということではなくて、ガイドライン全体に対する意見と、その他の意見について、ご紹介いたします。
 意見36として、「地熱井戸を掘削前に周辺温泉源少なくとも10㎞範囲の調査及びその後の温泉井戸の状況を定期的に調査する義務を地熱側に持たせてほしい。」という意見がございました。
 これに対する考え方としては、地熱事業者によるモニタリングは、事後の予測を行うためのモデルや数値シミュレーション構築の基礎データとしても活用されるものでございまして、持続的に事業活動を行うためにも必要となりますので、そのため、観測井を設置することや周辺温泉においてモニタリングを実施するということがあるわけですけれども、この範囲につきましては、当該地域の地質構造、泉脈の状況等によりまして、一律に規定することは困難というふうに考えております。ここでも、協議会等の合意形成を図る場などを通じて調査内容・調査範囲等について事前に共有して、温泉資源への影響が生じた場合の対応についても事前の合意形成等に係る協議を行うといったことが考えられるというふうに思います。
 次に、意見37としまして、「地熱掘削調査において新たな地域の掘削申請では先ず地域住民、地域代表者の意見を聴くことも必要。」という意見がございました。
 これに対する考え方としましては、「第四 関係者に求められる取り組み等」におきまして、地熱発電事業者、温泉事業者及び関係する市町村の3者を加えた協議会等を、地熱資源開発の過程のなるべく早い段階から設置することが望ましいというふうにガイドラインでも記載しておりまして、その構成員や協議の方法につきましては地域の実情に応じた協議会等が設置・運営されることが望ましいというふうに考えているところでございます。
 次に、意見38としまして、「本ガイドラインは、規模の大きい地熱発電所について示しているが、より小規模な発電所についてもガイドラインを示すべきであろう。たとえば、大分県・杉乃井ホテルや鹿児島県・霧島国際ホテルにおける自家発電の例や、最近、話題になっている新潟県・松之山温泉における、いわゆる「温泉発電」、「バイナリー発電」などについても、それらの経緯やモニタリング結果を示し、検討すべきであろう。これらは、地熱(温泉)発電と既存の温泉地との共存の良い例になり得ると思われる。」という意見をいただいております。
 これに対する考え方としましては、ご指摘のとおり、本ガイドラインにおいては現在稼働している地熱発電所に相当する規模の地熱発電の開発の各段階における掘削等について、温泉法における許可または不許可の判断基準の考え方を示すことをねらいとしておりますので、小規模な自家用の発電につきましては、21年版ガイドラインの考え方を踏まえて対応しますほか、今後ガイドラインの更新を行っていく中で、より規模の小さな事業所についても知見を収集して、検討していきたいというふうに考えております。
 続きまして、意見39でございますが、「地熱開発のための掘削行為に関連する「公益を害するおそれ」として、地すべり等崩壊についても十分考慮することが必要だと考えます。熱水系の変更に伴う土砂災害、地盤災害発生ポテンシャルについても、人命保全、地域保全の観点から、技術的・科学的見地から判断できる専門家(砂防や地すべりに精通した者)が意志決定過程に参画できる仕組みが必要だと思います。また、調査項目において、地表調査、精密地表調査、(温泉水の)生産量や還元量は含まれているものの、地下熱水系の変更に伴う関連地域での土砂災害発生ポテンシャルについても、人命保全、地域保全の観点から明らかにしておくことが必要です。緩和措置に伴って「公益を害するおそれ」が高まるおそれについては、砂防法、地すべり法等の関連法令に基づいて処置されるべきことを、明確にすることが必要と考えます。」という意見をいただいております。
 これに対する考え方としましては、これまでも温泉掘削の不許可の事由としては、先ほど申し上げました温泉源への影響のほかに、その他の公益、例えば掘削工事に伴うがけ崩れや地盤沈下等が挙げられておりまして、そうした公益侵害の有無については都道府県が関係部局とも調整の上、判断をしておりますけれども、ご指摘を踏まえまして、ガイドラインに戻ってしまいますけれども、11ページのところで一部修正をしております。
 11ページの下の部分でございますけれども、「第三 地熱開発のための掘削許可に係る判断基準の考え方」に、「また、」以下で、「公益には温泉源に対する影響以外のその他の公益も含まれることから掘削工事に伴う土砂崩れや地盤沈下についても、必要に応じ関係機関と連携を図り公益を害するおそれがあるか否かを判断する必要がある。」ということを念のため加筆しているということでございます。
 次に、意見40としまして、「地熱発電は、地域、自然環境、強いては地球環境の破壊につながるおそれが大きい、できれば開発中止が望ましい。」という意見がございました。
 これに対する考え方としましては、本ガイドラインは、温泉資源の保護を図りつつ再生可能エネルギーの導入が促進されるよう、温泉法における許可または不許可の判断基準の考え方を示すことをねらいとしておりますけれども、今後、各都道府県において、本ガイドラインを参考に温泉法における許可の運用に当たるといったことを期待しておりますし、いろいろな意見がある中で、本ガイドラインの取りまとめを契機にしまして、地熱発電と温泉資源の関係について、関係者間での理解の共有が進められまして、今後の科学的な議論の展開に期待したいというふうに考えているところでございます。また、ご指摘を受けて、定期的な見直しをしていくということになっております。そのような考え方でございます。
 以上で、主な意見のご紹介を終わらせていただきます。

【下村委員長】 ありがとうございました。
 膨大な文字量で、なかなか一つ一つしっかり把握するのが難しいかもしれないですが、ご意見の中の一部はガイドラインの修正という形で入っているものもございますが、本当にさまざまな観点からご意見いただいて、それに対して、どんなふうに、どういう考え方で既に盛り込まれているのか、あるいはどう考えられているのかということを解説するという方向で答えるということだと思います。
 ご意見、あるいは質問がありましたらお願いをしたいんですが。
 一つ一つやっていきますと、また時間がかかる可能性がありますので、委員の皆様から一通りご意見をいただいて、事務局のほうでお答えをするという形をとらせていただきたいと思います。
 すぐわかりますが、一応、立てていただくと全体像がわかりますので、ご意見があるようでしたら立てていただいて、お願いをしたいですが。前田委員から。

【前田委員】 何点かございます。まずは、再生可能なエネルギーとして、法律規制の関係があるんですけれども、法律の文面上は確かに、再生可能であろうというふうなことはあるんですけども、ガイドラインのほうでは、9ページの上から3行目、[2]のところで、再生可能な自然エネルギーであるということが書いてあるんですが、日本ではクリーンだという文言があるわけですが、そのクリーンなイメージが浸透しつつあるというふうなところは、非常に危惧するところです。
 というのは、地中深く掘って、ガスや蒸気、あるいは地下水というようなことであれば、いろんな物質が含まれているということがございます。例えば、ヒ素とか、あるいは人体に対する有害物質もかなり含まれていて、一部、八丁原だったと思いますが、ヒ素が出ましたので、脱ヒ素を行ってまた戻しているというような事実もあるようです。
 そういったことから考えると、クリーンではないというか、そういったことをどこかに、何も触れてないのでクリーンなイメージを受けがちなんですけども、実はそうではないということを、どこかに含めていただきたいというふうに思います。それがまず第1点でございます。
 それから、先ほど、これも意見16にあったわけですけども、ガイドラインの中では5ページのところで、先ほどの意見16でもありますけども、「伝統的に温泉として地熱エネルギーを活用してきたが、その中でも古来の高温泉は」というようなことで、「温泉として地熱エネルギーを活用してきたが」というようなところで終わっているというところですが、温泉資源の保護に関するガイドラインというようなことなので、もうちょっと大きく、例えば、観光資源、あるいは健康資源として、こういったものは使ってきたというところを、これまでの温泉資源の活用からして、もうちょっときちんとうたってほしいなということがございますので、その点のご配慮をお願いいたしますということです。
 あと、3番目でございますけども、これはガイドラインの22ページのところにあったと思うんですが、掘って温泉が湧き出ることが見込まれるとか、見込まれない場合というのは、そのための判断が難しいと思うんです。例えば、温泉地の真ん中にあって、ばっと掘るんだったら出るだろうというのはわかるでしょうし、そうじゃないところは、どうだというようなことがあって、その見込まれないところというのは、実はどこかというのは、実際にはわからない。
 それであれば、例えば、東京の、この霞が関の近くというようなことで、見込まれるところですかというと、かなり深度掘削をすると結構見込まれるところであったりする。でも、そのことは実際にはわからなかったりするというようなこともあろうと思いますので、見込まれる・見込まれないというのは判断基準がかなり難しいのかなということがございますので、その辺の検討もお願いしたいというふうに思います。
 それから、さらに、都道府県のほうで、最終的には協議会、審議会などで最終的に判断するわけですけれども、先ほど来のお答えの中にあった中では、努力目標であって、設置することを望むとか、その中での解決を望むとか、そういったような、曖昧模糊とした判断になっているということなので、これは、ほかに温泉協議会の設置以外に検討するという、先ほど、最初に事務局のほうからご報告があり、ほかにもあるんだということですけども、それは、あってもいいんですけれども、温泉協議会の設置に準じたものをしなければいけないというようなことを、義務化としてうたうべきであるというふうには感じます。
 まず、以上でございます。ありがとうございます。よろしくお願いします。

【下村委員長】 それでは、板寺委員。

【板寺委員】 個別に言うといろいろ大変なんですけども。
 確認させていただきたいんですが、今般、法律を改正するわけでもないし、このガイドラインというのは、地熱の手続を簡素化するということでもなければ、逆に複雑化しようというものでもないということですので、さっき説明がありましたけれども、要は、公益を害するおそれ云々の部分を、都道府県がきちんと判断できる資料を出していただいて、ルールにのっとって議論しましょうというきっかけにしていただくものだと思うんですが、若干、その趣旨が伝わり切っていないのかなと。パブリックコメントを、はっきり言っちゃいますと、温泉側、それから地熱側という枠があるのかわかりませんけど、どちらから書いたかによって180度違うような部分もあります。それは、これからのエネルギーをどうしていくかという中で、地熱も考えましょうということなんだけれども、残念ながら、これまでのいろんな経過があって、言ってしまえば、温泉側の方は、いろんな不信とか、出されているデータとか解釈に対して不信感があるというのは感じられますし、一番あるのは、データの透明性とか、解釈についてもそうですけども、中立性がどのぐらい保障されているかというのを非常に不安に思っておられると思うんです。
 ただ、まずは、これが議論のきっかけになるんだよというところをもうちょっと伝えるようにするということと、あと、これまでの、例えば、地熱側の方の言い分とすれば、温泉に影響が出た事例はありませんよというようなことを極端に言われてる場合もあるんですけども、本当にそうなのかどうかということの精査も含めて、もう一度見直す部分もいっぱいあるのかなというふうに感じました。
 とりあえず、以上です。

【下村委員長】 ほかにご意見はございますか。
 石川委員お願いします。

【石川委員】 今回は、パブリックコメントについて、非常に私としては気持ちがよく共感できる意見というのが多いと思います。それに対する答えは、そう言われてみれば、このような回答になるのかなという感じになってしまうんですけど、結局、そこに込められた問題ですよね。
 今、前田委員や、板寺委員からもおっしゃられたことにつながるんですが、この基本的なガイドラインの位置づけが、前の温泉資源保護に係るガイドラインの大枠がありましたですよね。あのときも、ちょっと思ったんですけれども、結局、あのときは、同意をめぐる、これは現実には日本の温泉の掘削許可に係る問題については、非常に大きな、慣行的に、それが現実には一番温泉の変化を、身をもって感じる温泉事業者の方たちが、現実にはモニタリングを科学的にやったかどうか、全然、問題なんですけれども、そこに同意というのは、ただの既得権者の利害が、ただかかっているということではなくて、現実に温泉資源に毎日関わっていて、敏感に肌で感じ、見たものが、実はその周辺、近隣関係者の同意という形で表れていたんですね。それが、かなり前回のガイドラインの中でも、同意というのは、あくまでも参考であるというような形で、法律的にはそうかもしれませんけど、なったわけですよね。
 そこに、今回は地熱開発ということで、いわばそれを追加する形で今回のガイドラインが出ているんですが、大前提が、結局、日本で温泉の資源や、温泉資源の保護と適正利用に関わる場所はどこなのかということが問題になるので、この温泉小委員会の位置というのは大きいと思うんです。
 もう一方では、逆に言えば、今まで言われてきましたように、温泉資源は、現実に観光資源としても利用されているのと同時に、国民の健康資産ですよね。ということは、変な言い方ですが、縦割り的にいえば、例えば観光庁さんでは、この地熱開発と、日本の温泉の観光的利用とのバランスをどのようにお考えになっているのか。また国民の、もちろん医療制度的なバックアップは、現在の日本の温泉療法にはなかなかありませんけれども、国民が現実的に、元気で健やかに過ごすために温泉を利用していると、昔の湯治慣習も。
 じゃあ、それを厚生労働省さんが、そういう観点から、今回新しく、既に温泉の入浴利用という形で多く利用してきた温泉熱も含む地熱の総合的な開発のためにという、そこでこういう地熱の開発が改めてまたクローズアップされてきたわけですけれど、そこで、非常に、この温泉小委員会だけでやっている、しかもその温泉小委員会のガイドラインの大前提が、最初に申し上げましたように、非常に受け身的であり、適正利用と温泉を大上段から守る、果たして委員会になっているのかという点で、危惧を、私自身は感じてきたところなんですね。
 だから、本当はそういうバランスも政府の中で、または監督省庁の中でとっていって、初めてこのガイドラインも、直接的な所轄官庁ですので、生きていくんじゃないかというふうに思います。
 現実的に、今日は、パブリックコメントを受けた、この趣旨は、要するにモニタリングと協議会ですよね。これは、前田委員のおっしゃられたことにもつながるんですが、そのモニタリング、これは温泉事業者の方たちも、今まで科学的なモニタリングを、どれだけ自分のところの水位や泉温の変化とかをやってきたのかという、非常に反省すべきというか、考えていただきたい面があるんですけれども、前回、私が、懇談会でしょうか、申し上げたように、歴史的な八幡平、それから八丁原や、現在、せんだっても行ってきましたけど、例えば霧島の大霧もそうですが、具体的に、地元の方たちは、こういう温泉場が事実上、減少したり、枯渇しているということが、どうして、例えば、いろいろ資料で出てくるモニタリングの数値の中には出てこないのかという、このギャップから解決していかないと、今後、モニタリングを一緒にやりましょうというふうになった、その総論は非常にいいんですけれども、私は非常にそこに、これまで20数年間のギャップが、またそのモニタリングとして現れてこない、今までの参考資料でいろいろ出てくる中にも、温泉への影響はあまり見受けられませんでしたとかいうふうにしか出てこない。その延長線だと、モニタリングがどのように科学的に共有し合えるかなという点が心配です。
 2点目には、具体的なもう一つの目玉である協議会ですけども、現実では、関連する自治体、それから関係者ですよね。これ自身はいいと思うんですが、これも、実際の状況を見ていますと、非常に、各自治体の中では利害関係が分裂しています。または、自治体によっては、もう一つの方針が決まっていると、既に。立ち位置が。
 果たして、そういうところで協議会が非常に中立的・客観的に進んでいくのか、これは温泉小委員会の場ですから、例えば温泉資源保護や、温泉のさまざまな活用とのバランスで、うまく地熱開発との共存共栄ができるのかという点で危惧を感じます。
 だから、これにはむしろ、あまり監督という意味ではないんですが、温泉審査部会や審議会を持っている県も、各都道府県も、何らかの形で関与していく形でないと、協議会がうまくいかないのではないかなという、その辺も、今後ガイドラインを出していく上で、ぜひ考えていただきたいなというふうに思っています。
 まずは、そのことです。以上です。

【下村委員長】 それでは、田中委員。

【田中委員】 最初に、約400件近いパブリックコメントに対しまして、整理され、今日ご説明いただきました各意見に対する環境省側の考え方というものに関しましては、かなり適切に処理されているのではないかと、思います。そういう意味で、事務局側に敬意を表したいと思います。
 ただ1点、意見39に対する修正部分がP11にございますけれども、この中に、意見26に地震関係のご意見等がございましたね。それを踏まえますと、このP11の修正部分のところを、「土砂崩れや地盤沈下、微小地震変動等」ということが加えられるのであれば、加えていただけたらというように思いますが、その辺、ご検討いただければと思います。
 それからもう一つ、このパブリックコメントの意見の出方を見ますと、「第四 関係者に求められる取り組み等」というのが77件あるということで、各項目に比べて、かなりの数がここに集中しています。
 このガイドラインの中では、関係者に求められる取り組みというのは、たかだか2ページの部分ですけども、ここで、このガイドラインが目指した関係者間の合意形成、そのために、モニタリングによるデータの取得、それの情報公開というところがかなり重要であるということで、関心を引いたのではないかというように考えます。その意味で、一つ、このガイドラインの目的というのが示されたのではないかと思います。
 もう一つ、このガイドラインがカバーする範囲ですが、すべてこのガイドラインの中で温泉資源の保護という観点からカバーするというのは、非常に範囲が広過ぎてできないというところがあります。事実、国立公園の中での掘削に関しましては、このガイドラインからは除かれています。特に、このガイドラインをつくった主な目的は、地熱開発のための掘削許可に関わる判断基準、これをどういうように迅速に進めるかというところに重点が置かれているということで、多少の、ある限られた部分になっているというのは、これはいたし方ない点かなというように思います。
 以上です。

【下村委員長】 桑野委員。

【桑野委員】 今回、パブリックコメントをこんなにいただいたというのは、冒頭の委員長のお話にもございましたが、非常に皆さんの関心が高いということの現れだと思っております。
 そういう意味では、意見16に書いておりますように、これは私も、誰もが一般的にこういう考えがあるのではないかなという思いでおります。
 その一方で、温泉関係者の方たちが、関係者に求められる取り組みの中で、かなりの方が、心配であると。今までの現状の中で、過去において、なかなかそのあたりができていなかった中で不安に思っていらっしゃるようなことというのは変わってないんではないかなと。それに関してのお答えも、これ以上はないと思いながらも、多分物足りないと思うんです。
 何を心配していらっしゃるかというと、協議会へゆだねるだけで本当にいいのかとか、現実的にはどうであろうかとか、それぞれの関係者の方たちが、多分今、現実で非常にいろんな問題を抱えながら、一定、過去の経緯を見て情報共有と公開だけでいいのかも含めて、非常に思いがあるのではないかというふうに思っております。
 ただ、その一方で、今回のガイドラインというのは、あくまでも始まりであるということが冒頭にも最後にも書かれておりますが、このガイドラインの意味合いというものを、もっとパブコメの方たちに向けても、もうちょっと説明する必要があるのではないかなというふうに思っております。
 こういうことが、不満をあおることではなくて、これが始まりで、皆さんの共有できることの始まりなんですよということが、あることが今回のガイドラインの一番の目的だと思っておりますので、そのあたりのことが、もうちょっと丁寧に説明が必要ではないかというふうに思っております。
 同時に、関係者の方たちが協議していく上でも、スピードがなく、かえって丁寧にやっていくことが大事であるということが、このガイドラインの中に、私は本質論で書かれていると思っておりますので、そういう意味合いのことも含めて、もうちょっと皆さんにわかりやすい表現や、もうちょっと抱えていらっしゃる不安感みたいなことが取れるような、とらえ方でしょうけど、そういう面が見えるような文面が、多少何か必要ではないかというふうに思いました。

【下村委員長】 それでは、前田委員。

【前田委員】 追加でお伺いしたいと思うんですけども、3点ほどございます。
 まずは、意見13のところにあるのですけれども、既存源泉への影響が見られた場合には、温泉法第12条の規定に基づく採取制限命令等が考えられますというふうなことで、現在は、違う目的で掘られて、そして、掘ったところの目的にあわなければ埋め戻しというふうなことが基準になっているとは聞きますけれども、このガイドラインの中では、先ほどの12条に基づく採取制限命令が考えられるというふうな、あいまいとした表現になっていますので、この辺は、この文言の中に取り入れていただければ、先ほど桑野委員が心配されていたことが少しでも解消されるというふうに思っています。
 採取制限命令とともに、原状回復ということを目指すと、1回壊れてしまった、あるいはそういった影響が出てしまった源泉に対して、原状回復しても戻るかどうかわかりませんけれども、それでも原状回復を目指すというふうなところを、このガイドラインの中でも盛り込んでいただきたいというふうに思っております。
 それからあと、これは32ページあたりにあるんですけども、ガイドラインの32ページで、温泉の、現在、既存の地熱発電所の進化・発展というのはわかるんですけども、現在の発電量は53.5万kWあるというふうなところがございますね。それが0.3%しか発電していないとはいえども、諸外国から比べると、例えばアイスランドというようなことがあって、アイスランドは4分の1、25%ぐらいが地熱発電だというふうに言われるんですけれども、アイスランド自体は30万人の国ですし、そういったところで地熱発電をしているということであれば、すぐにこれは人口分ぐらい賄ってしまうというのはわかると思うんです。
 実は、日本でアイスランドぐらいの地熱発電は既に行っているというような現状もございますし、あとニュージーランドのほうでも、日本と同じぐらいの地熱発電は行っているというようなことで、要は、このガイドラインを見ていると0.3%で少ないんじゃないということだけが浮き彫りにされていて、実は、絶対量では、もう既に日本ではかなりやっているということも強調して載せるべきだというふうに思っています。
 そうでないと、このガイドラインがひとり歩きしてしまって、もっとしないといけないんじゃないかというふうに思うかもしれないですが、そうではなくて、かなり活用されているのが日本だと。余っているエネルギーを使う分にはいいんですけども、さらに、掘って環境に影響を及ぼしてまでというのが、本当に必要かどうかというのは、もう1回考え直すべきかというふうに思っています。
 それから、3番目になりますけども、地熱発電のモニタリングですけども、モニタリングをしようと思っても、現在まで、そこの場所がどこかということは、石川委員がおっしゃられましたけども、それが決まっても過去のデータというのはないということなので、データとして、ブランクのデータというんでしょうか、要は何もしないときのデータを少し集めてから、この温泉地はどれぐらいの状況なんだということを、データを集めてからでないとモニタリングとれませんので、そういったことをどこかに決めないと、いざ、ここの場所でやったから、観測井、試験井を掘ってみて、やるというようなところじゃなくて、前々からある地下の状態というのをかなり調べて、そして、温泉というのは年次推移もありますし、いろんな推移が、季節推移もありますし、そういったことをわかった上でそこのモニタリングにいかないと、モニタリングしますからいいですよというふうなところでは落ち着かないだろうというふうに思っていますので、その点についてのご配慮もお願いしたいと思います。
 以上でございます。

【下村委員長】 それでは、板寺委員、どうぞ。

【板寺委員】 私は、具体的にどこという話ではないんですが、今の前田委員のお話とも関係あるんですけど、昨年の3.11以降、何となく地熱ありきという雰囲気を感じるようになって、私などは日常的にも箱根を抱えていますので、箱根の地熱は研究しないのかと、実際によく見るんですけども、多少、火山性の蒸気が上がっているからといって物すごく地熱エネルギーが取り出せるわけでもないし、例えば、明日から地熱発電に切りかわったとしても、今のエネルギーの危機というのはバラ色に解決するわけじゃないので、その辺の正しいというか、冷静な普及みたいなものが非常に必要なんだなというふうに感じることは多いです。その上でできる開発をしましょうという話になってくるんだと思うんです。
 まずそれが1点と、このガイドラインが今後運用されるに当たって、特に都道府県の役割というのは非常に重要になってくるとは思うんですけども、技術的なフォローというのが、これが動き出せば明日からでも必要になってくると思うので、その辺をしっかり考えていただきたいなと思います。
 パブリックコメントの意見の中であったものが実現できるかどうかはわからないですけども、例えば、日本を幾つかのブロックに分けて、専門家のチームみたいなものを準備しておいて、それがサポートできるようなことが実現すれば、それは非常にすばらしいということも感じましたので、そういったものをこれから考えてみてはどうかと。
 それから、協議会を義務化というのは、なかなか書けないと思いますし、難しいとは思うんですが、地熱エネルギーもそうですが、再生可能エネルギーというのは多分、地産地消というのが理想だと思いますので、地元に歓迎されないエネルギーが地元に受け入れられるわけがなくて、それが根づいていくということも考えにくいと思うので、協議、合意というのが非常に重要なんだよということを徹底していくことが必要なんじゃないかなと感じました。
 以上です。

【下村委員長】 石村委員。

【石村委員】 私は、学術的云々ということは申し上げられないんですけども、いわゆる温泉旅館業というか、そういう営業している者の立場として、いわゆる国策としての地熱という大きな固まりと、個が立ち向かう力のなさみたいなものをどうするかということだろうと思うんです。
 いわゆる、他方ではかなりのお金を持って、いろんな開発をし、データも集める。ただ、今まで弱小であった温泉を持っている人が、さっき板寺委員もおっしゃいましたけど、ほとんどは資料を持っていない中で、対抗し得るものがないという、そういう非常にジレンマみたいなものを多分既存の方は持っていらっしゃると思います。
 基本的には温泉に影響を与えるであろうということは、誰が見ても当たり前だけれども、それに対する学術的な根拠を持たない弱さが今一番ここに表れてきてしまっていると思うんです。
 そういう意味では、これは誰にお願いすればいいのかということが、むしろ問題になっていると思うので、その辺の解決が、どこの省がイニシアチブを持つのかわかりませんけれども、少なくとも、先ほどから皆様がおっしゃっているように、ずっと、温泉というものが人間として必要であった、それは世界的に見ても日本だけであったろうと思うんですね。ヨーロッパに幾つかバーデンと言われるものもありますけれども、こういう古くからずっと温泉を利用してきた日本人の特性が、ここで再生エネルギーという大上段の目的の中で壊され始めてしまった日本のいわゆる習慣を、どこまで保っていけるのか、そういった辺の問題を学術的に解決しないと、いろんなものが破壊されたままになってしまうのかなと、そんなことを感じます。それは、決して学術的な根拠も何もありませんけれども、いわゆる人間の本能としてのところの問題だというふうに私は思います。
 以上です。

【下村委員長】 よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、今、意見も含めて出てきたというふうには思いますが、事務局のほうで対応できるといか、お答えしていただきたいと思います。

【事務局】 非常にたくさんのご意見をいただきましたので、答えられる範囲でお答えいたします。
 まず、最初の前田先生からのご意見でございますが、確かに、再生可能エネルギーということで、地熱がそういう位置づけになっているということですが、クリーンなイメージということにつきましては、おっしゃられるとおりで、地中深くから出てくるものにつきましては有害物質も含めていろんなものが含まれているという認識ではおります。
 また、そういったものを、逆に通常の河川に流すというわけではなくて、しかるべき深いところにまた戻すという還元というのは、諸外国で、当初、ニュージーランドなどでは、熱水を揚げて、そのまま河川に流して大変な汚染があったというようなことも踏まえて、地下還元をしているという面もありますし、その地下還元の方法ということについても、またいろいろ議論があるということだと思いますので、特段、そういった地下の水に何が含まれているのかというものについても、もちろん情報公開、そういう共有というものが必要だと思いますし、また温泉の中にも、当然、有害な物質が含まれている場合がございます。それは、温泉法での利用の許可に当たって見ていくということになりますが、そういった温泉のほうの情報公開も含めて、そういう情報公開・共有をしていくということが必要になってくるというふうに考えております。それが、お互いのことを知るということで、重要なことになってくると思います。
 また、温泉の、この日本における位置づけというのは、非常に文化的なものも含めて重要であるというのは重々承知しておりまして、今おっしゃられました観光資源としての生かされ方とか、国民の健康に寄与してきたこととか、そういったことについてはガイドラインのところで触れるべきではないかというようなことでございましたので、ここは検討させていただきたいと思います。
 また、地熱のほうでも、地熱側の方も、地熱発電がこれまで周辺の温泉地と、うまく共存してきたというような自負の念は抱いておられると思いますので、そこら辺のバランスを含めて書ければというふうに考えております。
 それから、実際に湧出が見込まれるかどうかという判断につきましては、おっしゃられるとおり非常に難しいところもございますけれども、都道府県の知見の充実と、こちらから技術的な助言をすることによって、そういう判断についても、今回のガイドラインも含めて、そういう技術的な助言を県のほうには差し上げたいというふうに思いますし、また、実際に構造試錐井というのは、地熱のほうとしても地質状況などを見るために掘るものでございますので、実際には温泉が出てしまうと困るようなところから、まず掘るというようなところだと思いますので、確実に出ないといったようなところがわかる、そういうところもあると思いますので、そういったところについては温泉法の許可は要らない。
 一方で、ここを掘れば怪しいんじゃないかというようなところについては、県の判断もありますけれども、許可をとっていくというような方法もあると思います。そのあたりは個別に判断していくしかないところですけれども、今のところはそういうふうに考えているところでございます。
 それから、協議会の件につきましては、先ほど申し上げたのは協議会を必置にするかどうかといったようなことについては、ここは、現時点の考え方としては、あまり強制というようなことがいいのかどうかという判断が必要なのかなと。要は、何が何でもまず協議会だというようなことではなくて、まずは現地の説明会からスタートしまして、信頼関係を醸成していく中で、そういう場が必要であるというようなことで協議会というものは発展的につくられていくという方法もあると思いますし、また最初から話し合いの場として、まず箱をつくりましょうというようなこともあると思いますし。そこのところを、どちらか一つ、あるいはこれを絶対にやるべきというようなことではなくて、まず地域に合ったやり方というのを模索する中で、こういったやり方が考えられるということの提示をしていくというような考え方でございます。
 それから、板寺先生からのご意見でございますが、おっしゃられるとおり、今回、パブコメについては、地熱サイドの方、それから温泉サイドの方と言ってしまっては語弊があるかもしれませんが、いろいろな方々からのご意見をいただきまして、全く180度違う意見というのもあったわけでございますけれども、温泉事業者さんからの不信感というのは確かに感じられるところでございまして、データの透明性・中立性といったことについても、おっしゃられるとおりだと思います。こういった不信感ですとか、そういう不安感といったようなものを解決する方法としても、今回、まずは同じテーブルに着いて、情報の公開と共有を進めていく、それがまず第一歩なのかなというふうに考えているところでございまして、その器としての協議会というような考え方も提示しているところでございますが、まず同じテーブルに着いて話をしていくといったところからまずスタートするんじゃないかというような考え方でいるところでございます。
 それから、地熱が本当に温泉に影響を与えているのかどうかといったようなことについては、なかなかこれも現時点では難しいところなんですが、科学的なデータの蓄積で、そういったことを実際に検証していくという必要はあると思いますので、これは、ぜひ温泉地のほうにも協力をいただきたいというのは、後から出てまいりますけれども、この温泉地が日常どういうトレンドで動いているのかというのを把握するのが非常に重要になると思っております。この温泉地は季節変動がこうなっている、あるいは開湯以来、湧出量が右肩下がりなのか、あるいは安定的に続いているのか。これが、厳しい言い方になるかもしれませんが、現在の温泉地の中では、くみ上げ過ぎでどんどん湯量が減っているというところも実際にはあるわけです。それが地熱の影響なのか、あるいはそういう、温泉の、実は自分たちのくみ上げ過ぎが原因なのかといったようなことも、温泉地として把握する必要があると思います。そういう、平時における温泉地がどういう状況であるのかというのが把握できて初めて、地熱の話があったときに、実際にどういうふうに影響が出てきたとかというのを判断するということもできると思いますので、そういう温泉地における努力といったようなものをぜひお願いしたいというふうに考えているところでございます。
 それから、石川先生には21年版ガイドラインの経緯にも触れていただきましたけれども、この温泉小委の位置づけというのは、こちらは、唯一温泉についての知見を有しておられる方々の国レベルでの審議会ということでございますので、今後ともご意見を伺いながら、行政を進めていきたいというふうに思っておりますが、観光庁の意向とか、厚労省が、温泉がこれまでもたらしてきた貢献といったようなことは、もちろんそれぞれ評価されているところでございますので、今回のガイドラインは、先ほど田中先生からもおっしゃっていただいたとおり、守備範囲という点でどこまで書いたらいいのかというのはございますけれども、我々がガイドラインの更新、あるいは運用をしていくに当たっては、そういう制度全体としてのバランス、それから意見も踏まえた上でやっていきたいというふうに考えております。
 それから、石川先生からの意見で、温泉地の枯渇についてのモニタリングデータ、今回シミュレーションで利用したデータにつきましては、基本的に、現地の温泉への影響が出ていないということでやっておりますけれども、実際に、その周辺で枯渇した温泉地があるというようなことで、それが地熱開発によるものなのか、あるいは温泉地のトレンドとして湧出量が減ってきたのかといったようなことも含めて、科学的な検証というのは、今後も必要だと思いますので、今後そういう知見の充実にも努めていきたいというふうに考えております。
 それから、協議会の運営につきましては、まだ実際に、既存の温泉地でも協定書でやっていたり、協議会でやっていたりというようなのがありまして、その運営というのは非常に難しいところもあると思いますけれども、昨今のエネルギー状況も含めて、地熱の導入の必要性も含めて、今後、環境省としても地熱と温泉の共生の優良事例というものを構築していきたいというふうに思っておりますので、県の関与というものをおっしゃっていただきましたけれども、今後、国としても国立公園の中の部分も含めて、施行事例の実現に向けて何らかの関与をしていかなければならないというふうには考えております。
 温泉法の場合は、許認可権者が実際には都道府県知事ということになりますので、そういう自治事務との関係で、国との関わりというのは、自治法の関係でも注意をしなければいけないところですけれども、都道府県については、こちらとしてはアドバイスを含めて、積極的に関わっていきたいというふうに考えております。
 それから、田中先生からのご意見では、公益の侵害のところで、地震についての追加の検討ということでございましたので、この地震につきましては、ニュージーランドでも地熱貯留層の状態の把握のためにも有効であるというような研究があるようでございまして、そういう地震の観測というのも、もちろんモニタリングの項目の一つとして考えられるというふうに思われますので、例示として書けるかどうかといったことを検討させていただければというふうに思います。
 合意形成が重要ということは、おっしゃっていただきましてありがとうございます。
 また、ガイドラインの守備範囲でございますが、おっしゃられるとおりでございまして、まず、ねらいとしては都道府県の担当者がどういうふうに判断したらいいかという参考書ということで使っていただきたいということなんでございますが、第四についての意見が多かったというところも含めて、この第四については、県が機械的に処理するだけではなくて、そういう関係者の合意形成を含めた信頼醸成が、この温泉行政を進めていく上で重要であるというようなところから特に起こした章でございまして、ここへの意見が多かったということも踏まえまして、そういう合意形成の重要性というのを今後またこちらとしても認識していきたいというふうに考えております。
 それから、桑野先生からもご指摘がありました。かなりの方が地熱の開発について、温泉サイドとしては非常に不安を抱いていて、心配されているというのは、今回のご意見を集計する中で、非常にその思いはこちらとしても共有しております。
 情報公開と共有だけでいいのかというようなことがございましたけれども、まず、スタート地点としては、そこの同じテーブルに着いてといったような、これまでなかなかできなかったことについても、そういう場を設けてやるべきということでガイドラインを出しますので、まず始まりというふうにおっしゃっていただいた、まさにそのとおりでございまして、ここからご議論を進めていきたいということを考えております。
 ガイドラインの趣旨につきましては、今後、今年度中にこのガイドラインができましたら、来年度はこういう普及啓発のことも考えていきたいというふうに考えておりますので、県の担当者だけでなく、関係者、あるいは一般の皆さんを含めて、ガイドラインの趣旨も含めた、地熱開発と温泉の共生といったようなものをテーマに、そういう普及啓発の活動もやっていきたいというふうに考えておるところでございます。
 それから、前田先生から再度のご意見で、採取制限命令といったことの明確化ということをおっしゃられましたけれども、これは温泉法に基づく措置として、都道府県がとり得る措置の一つということでございますが、こちらも、今回のガイドラインの趣旨からすると、最終的な判断は都道府県知事が自治事務として行うということになりますので、なかなか、こうすべきということが書きづらいという事情がございます。
 また、法律の発動以前に、行政指導ですとか、それから事業者等への了解事項といったような形で、よりよい解決方法というものも考えられると思いますので、ガイドラインの書きぶりにつきましては、考えられるというような表現は確かにあいまいでございますが、それも逆に言いますと、県にフレキシブルな対応をしていただく余地を残しておくという意味もございますので、このあたりは、今後のガイドラインの運用状況というのを検証する必要があると思いますけれども、現時点では、県がとり得る選択肢というのは、多く残しておくというような趣旨もございます。
 それから、2点目として、日本では地熱発電の発電量として0.2%から0.3%ぐらいというご指摘は、そのとおりでございます。これが、実際にアイスランドとかニュージーランドでは、絶対量としては、おっしゃられるとおり日本とそう大差ないという状況でございまして、日本でも絶対量としては同じぐらいの地熱の発電はしているというのは事実でございますので、ここの部分についてはポテンシャル調査のところでは出てきておりませんけれども、こちらの表は事実関係だけということになりますので、載せるかどうかということについても、スペースの関係も含めて検討させていただければというふうに思います。
 それから、先ほどおっしゃられました3点目の意見としては、モニタリングをしようと思っても過去のデータがないということについては、先ほど申し上げましたが、温泉地の平時の状況というのを把握しておくというのが非常に重要だというふうな点が1点、それから地熱の開発については、今回の協議会の設置などについても開発の早い段階からというふうに書いておりまして、それは当然のことながら構造試錐井を掘る前ということになりますので、構造試錐を掘るに当たって実際にどこら辺でモニタリングをするか、温泉地にある未利用の源泉を使ったり、あるいはこの辺に観測井を掘ってみたりというようなことも含めて、開発前からの情報の共有、どういうふうにしていくかといったような情報の公開といったものが必要だと思いますので、そういう両面から、温泉地における平時の自らの測定と、それから開発前の調査の着手といったようなものが重要というふうに考えております。
 それから、板寺先生の、続いてのご意見でございますが、地熱につきましては、おっしゃられるとおり3月11日の大震災以降、再生可能エネルギーが非常に注目されておりますので、日本としてエネルギー政策をどういうふうにしていくかというので、今、基本的な方針をつくっているところでございまして、その位置づけというのは夏以降になりますけれども、そういったものも踏まえて、また考えていく必要があると思いますけれども、基本的な考え方としては、このガイドラインの基本にもなっていますが、温泉と地熱の共生といったものを図っていくために、いろいろな工夫をしていきたいというのが環境省の基本的な姿勢でございますので、先生にもおっしゃっていただきましたが、地熱がすべてを解決するということではなくて、できるところからやっていくと、それが例えばエネルギーの地産地消になったり、地元が求めていることができたりといったようなことになれば理想的なのではないかというふうに考えております。
 また、都道府県の役割が重要だというご指摘がございましたけれども、おっしゃられるとおりだと思います。都道府県は許認可権を持っておりますので、実際に、どこまでそういう協議会の運営とかに直接関わるのが適当かどうかというのはございますけれども、改めて、都道府県と国の役割といったようなものも重要な考え方になってくると思います。
 先ほど申し上げましたとおり、環境省としては、この地熱と温泉の共生ができる、あるいは、さらには国立公園との風致景観を守った上での開発といったような、両立を図っていくような形で優良事例をつくりたいというふうに思っておりますので、そういったところにもご意見を聞かせていただきたいというふうに思います。
 エネルギーの地産地消と合意形成が重要だというご指摘はおっしゃられるとおりだというふうに考えております。
 それから、石村先生からの、温泉事業者の立場からのご意見は非常にごもっともだというふうに思っておりまして、今回のガイドラインでも同じ趣旨のご質問をたくさんいただいたところでございます。
 こちらにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、これまで、お互いをよく知らない中で不信感などが芽生えてきたというところもあると思いますので、今回は、こういうお互いが同じテーブルに着いてやっていくというような場の設置も含めて、ガイドラインである程度のスタート地点を示したというふうに考えておりますので、そういう合意形成を、あるいはお互いに理解といったところからまずスタートをしたいというふうに考えております。
 また、温泉地におけるデータは、個別の事業者の方ができる範囲が限られているのではないかというのは、ご指摘はごもっともだと思いますけれども、そうはいっても、自らの財産、あるいは最近は温泉も地下水が持つ公的な面といったようなものも着目されておりますので、そういう水管理、地下水管理、温泉の管理といったようなものを今まで以上に重要視していただいて、平時から自分たちの温泉地がどういう状況にあるのかといったようなものを温泉地として十分把握をしていただいて、その上で、温泉地の運営、今後の運営にも非常に重要かつ役に立つデータになると思いますし、組合でやるのか個々の方がやるのかというのは、いろいろあると思いますけれども、そういう情報把握というのは非常に重要だというふうに考えておりますので、そういった面もお願いしたいというふうに考えております。
 ざっとでございますが、以上でございます。

【下村委員長】 参事官からお願いします。

【自然環境整備担当参事官】 参事官の大庭ございます。
 先生方からたくさんのご意見もいただきまして、ありがとうございます。
 今、うちの担当のほうからご説明しましたけれども、私のほうから重ねて申すようなことはあまりないのですが、今般のガイドラインにつきましては、あくまでも、温泉法の掘削の許可の判断基準ということで、それが各都道府県においてばらばらにならないように示すことによって時間をかけずにスピードアップも図れるということも一つのねらいです。
 それからもう一つは、今もたくさんお話をいただきました協議会です。これは理解を得る、それから同じデータを共有して、同じテーブルに着いて話をするということがいかに重要かというのは、我々も1年半前ぐらいから検討を開始しましたけれども、例えば地熱サイドというと、どっちサイドがあるのかというのは難しいとは思いますが、地熱の方と温泉の方と、意識は同じでございました。お互いに意思疎通を図ることは大事だということですし、お互いのデータを開陳してお互いが共有するということは大事だということを聞かせていただきました。それで、その辺については、自信を持って、このガイドラインにそういったことを書かせていただいたということが一つございます。
 自治体の話が先ほどありました。補足させていただきますと、開発というと変なんですが、これは地熱の井戸に限らず、温泉の掘削もそうですが、自治体の果たす役割が大きいというふうに私感じています。それは、許可する・しないというよりも、その地域の温泉の資源、熱資源を保護できるか・できないかという観点も含めれば、許認可権限を持っている県、それから実際に温泉の恵沢、恩恵を受けている地元、町村であったりということで、行政の役割も大きいんであろうというふうに思います。
 そういうことで、協議会の構成、これは地元で選んでいただくというような書きぶりといいますか、示唆でございますけども、自治体も入っていただく形で協議会、意見交換会なるものを設けるのがいいのではないかというふうにガイドラインでは示させていただいたということです。
 あと、板寺先生のところは箱根ということで、蒸気も出て、今すぐにでも発電ができるのではないかというような、一般的には印象も受け、大分、別府なんかもそうだとは思うんですが、確かに、お話にあったように、すぐにでもできるということではなくて、我々の聞いているのは、メガに係る地熱発電は、地質調査から始まって、本当に発電所ができるまでには5年から10年かかるというふうにお伺いをしています。
 ですから、単純に井戸を掘って、熱泉が出なかったら次を掘って、出たら発電をしてということではないんです。そこのところは、先ほどの協議会で意思疎通を図りながら、理解をしてもらいながら、疑問点があればぶつけ合いながらということで進める、進んでいくということが大事なんだろうということだと思います。
 それで、エネルギーのことに関して言うと、ここでは地熱のガイドラインをやっていますので、話としては地熱なんですが、再生可能エネルギーということでは太陽光もそうですし、風力も進めていこうということで、全体で話が進んでいるという理解ではあります。
 ただ、私の部屋の担当としては、温泉法をあずかる身として、温泉資源の保護という観点で、地熱と温泉、それから温泉と温泉という観点で、地下資源である熱、温泉を、これまで日本において、世界中を見てもきっと特異な使い方だと思います。非常に役に立ってきた温泉ですし、癒しもいただいている温泉ですから、そういう資源の保護については、これからも引き続き担当としては考えてやっていきたいと思いますし、その点は、過去もそうですし、これからも変わりはないということでございます。
 ただ、先ほど出たように、3.11以降の日本のエネルギー事情という切り口から見たときには、ご意見の中にもありましたけれども、何でもかんでも反対ではないのであるが、ちゃんとしてほしいというところをしっかり受け止めて、進めていければということでございます。

【下村委員長】 委員の先生方からも、たくさんご指摘、それからご意見もいただきました。
 こういう時期に一つ、事を起こすというか、こういうガイドラインを提示したことによって、一つは、非常に過大に期待があって、恐らく、先ほど来、先生方のご意見からも出ているように、これがすべてを解決するものではなくて、限られた目的のガイドラインであるというようなことと、それから、ガイドラインのねらいが必ずしも十分に伝わっていないのではないかというようなお話がございました。
 そういうことで、かなり過大に皆さん受け止めていただいたということと、それから、もう一つは、どうしても役所表現というのがありまして、恐らく、桑野委員からもご指摘のとおり、読み慣れている人はいろいろと読めるんですけれど、一般の方が読むと不安がなかなか解消されないということなんかもあったと思います。
 今、いろいろご回答、あるいは参事官のほうからもお話があったようなことが、もう少し盛り込めると、大分違ってくるのではないかなというふうには思っています。そういう意味では、ガイドラインのねらいというあたりのところと、それからあと、先ほど、現状の、我が国の地熱資源の状況といったあたりが、どちらかというと、正規の広報というか、割と今の流れに沿った書き方になっていて、もう少し冷静に評価をするというか、かつての利用をもう少し書き込んだほうがいいんではないかとかっていうご意見もありましたけれども、ここのあたりの書きぶり等によっても、また受け止められ方が大分変わってくるんではないかと思うんです。
 幾つかご指摘のあったものの中で、事務局のほうから、少し先生方のご意見を入れて修正したほうがよさそうだというところもありましたので、今のガイドラインのねらいの部分ですとか、あるいは現状のところ、それからあと、ご指摘のようにもう少し変えたほうかよさそうだというところもございましたので、その点については、事務局と私とで整理して、修正させていただければというふうに思うんですが、先生方のほうから、さらに何かご意見はございますでしょうか。

【桑野委員】 先ほど石村委員のお話で、温泉地の現状の話があったかと思うんですが、今回、自治体の役割とか、協議会の役割が非常に大きく、そこに温泉地の現状というものが、先ほどトレンドというお話ございましたが、でも、これも実際に調べていくというのが、それぞれの組合であったりとか、個人というお話がございましたが、そんなことできる温泉地ってあるんでしょうかというのが、私の素朴な疑問なんです。
 そういう現状のことを調査できる力がある温泉地であれば、もちろん、その人たちが現地を調べていくというのは当たり前のことだと思うんですが、そういうことができない日本の温泉地の現状がある数十年というのが来ているのではないかと。
 そういう現状がわからない中で、次の段階には行かないんではないかと思うので、これは都道府県がやっているのも含めて、今なお、無理ではないかというのは、率直な思いでおります。

【石村委員】 私も、まさに同じなんです。最初に申し上げた弱小の、もちろんそれは既得権のどうのこうのという問題があると思いますけれども、非常に小さな温泉地というか、温泉業者に、本当に国策みたいなものにどうやってデータをぶつけられるのか、そもそもそこが問題だと思うんです。先方はかなりの資力でもってデータを集めてくるわけですが、果たして、我々1軒の家がそれに対抗し得るものがあるのかどうか、それがまさしく問題でして、データを集めろとおっしゃいますけども、じゃあ、果たして、これから集めたデータで対抗できるのかどうかです。現状、今持ってないわけですから、データを。それを地熱が始まったときの1年前ぐらいのデータをもとに、ああだこうだということで果たして対抗できるのか。
 先ほど、事務局のほうでは、経年変化で掘り過ぎもあるだろうというようなお話もありましたけれども、それ以前の問題だというふうに私は思います。
 それで、もう一つは、このガイドラインとは関係ないといえば関係ないかもしれないんですが、例の国立公園外から掘ってくるという、その辺の問題ですね。じゃあ、それは、例えば、私どもは国立公園で、板寺委員もいらっしゃる神奈川県の箱根ですから、ある程度の資料はしっかりつくってあると思います。ほかの地域に比べれば。
 ただ、それをとっても、外から、どこから来たのかわからない掘ってきたやつを、果たして、我々の持っているデータとで比べられるのかという問題があると思いますので。そういう意味で、データをとおっしゃるけれども、じゃあ、本当に、どのデータをどう当てるんだというところが解決しないと、だめじゃないかなというふうに思います。

【自然環境整備担当参事官】 財力の弱いデータは、今までのということで、これは我々も承知をしています。それというのは、きっと日本は今まで温泉は非常に潤沢に自噴していることが一番の目玉と言ったらいけませんけれども、恵沢を受ける上で、いいものだったんだと思うんですね。
 今は、ご指摘のように、じゃあ、データを温泉事業者が一々持っているのかというと、確かに組合として全体の湯量が変動するので、ちゃんとはかろうといってやっているところもあります。そうではない、今言われるように、山の中に1軒あったり、それから、そうではなくても、湯量が豊富なんでデータは特にとっていなかったり、要するに営業に関係ないところでお金をかけていないと言ったら変ですが、そうしてきたことも事実であろうと思います。
 ただ、先ほど担当のほうから紹介しましたが、温泉同士のことでいうと、温泉の井戸が同意を得て・得ないでというのも含めて、掘った結果、全体として水位が下がってしまったという例もあるんですね。それはきっと、温泉も井戸も深度がほぼ一緒だから、影響が出ているということは、データなくても大体わかるということです。
 今回の問題は、最近は平地でも多いですが、大深度の井戸も地熱に関わらず増えてきています。そのときに、その周辺を、浅深度の温泉井戸と相関関係があって影響が出るのかどうかというのを知らないといけない、そのためにはデータが必要だというふうになるんですが、一つ、我々としては基本的には、それぞれ自分のところの権利として、湧出して使用している温泉については、ちゃんと管理という観点から、湯量、温度、それからできれば水位までは取っておいてほしいですし、そうあってほしいと思うんですけども、一方では、石川先生言われましたように、財力のこととか、それから1軒でそれができるのかというようなこととかあると思います。
 これは、この席でお約束ということにはならないんですが、前回もお話ししたかもわかりませんが、私どもの担当、私の担当のところでは、温泉資源の保護という観点、持続可能に使っていくんだよという観点も含めて、ちゃんとモニタリングができるような支援ができないかということを今、来年度に向けてまた考えています。
 それからもう一つは、地熱との関係でいうと、地熱も当然、取り上げる量が膨大ですから、周辺に影響が出ないようにということで、先ほどお話がありましたように、モニタリングしていただきます。
 じゃあ、それがどの範囲までがいいのかということについては、やはり協議会なりの場で、よく納得のいくように話をして、モニタリングする井戸をどういうふうに、どういう範囲で決めていくかというのを、意思疎通を図った上で。影響を見るには、天候、季節、雨が多く降ったり少なかったりというようなことで変動があるということですから、1年ぐらい見ないといけないと思うんですね。地質についても、地熱のほうの調査についても、やっぱり1年から2年は必要ということですから、ある一定の期間は、ともにデータとりをしてもらうことは可能なのではないかというふうにも考えています。
 それは、現に開発が入るようなところの地熱の周辺の井戸のモニタリング、それが十分かどうかという議論もあろうかと思いますけれども、やっていただいているという点ですが、やっていることも事実ですので、そこのところを今後はどういうふうに活用して、きっと井戸そのものに、データになっていくと、温泉事業者サイドも、そのデータはあまり外に出してもらってはというようなこともあろうかと思うんですね、ある意味。変な言い方ですけれども。
 それは地熱に関わらず、それより以前に起きた問題もいろいろある中で、これはニュースにもなった話なんで言ってもいいのかもわかりませんが、例えば、河川水を随分入れていた。なぜかと思ったら、湧出量がはるかに減ってしまったので河川水をずっと入れていて、本当は開陳の義務がありますから、今はこういう状況なんで真水を入れていますよとお知らせして、知ってもらった上で入っていただく分にはいいと思うんです。それを黙ってやるのがいけないということです。
 そうすると、モニタリングデータを出していくというのは、どういう意味があるのかというのをしっかり受け止めた上で、資源のほうの観点で、ちゃんと温泉事業者の方にも理解をしてもらって情報を共有していくということも大事だろうというふうに考える次第です。
 今のお話は地熱と直接関係ないんですけども、そういう意味で、我々としてもできるところの支援も含めて考えていきたいと思いますし、今回は、地熱のガイドラインでございますけれども、温泉同士のことを考えても、地下資源という観点で何かもっと簡易な方法のモニタリング方式はないかとか、それから地層とか、そういうことがある程度わかっている地域であれば、モニタリングする井戸は全部じゃなくても変化が見えるんじゃないかとかいうようなことを勉強しつつ、皆さんとともに、保護に向けての観点については、これからもやっていきたいと思います。
 ちょっと感想的なお話で恐縮でございます。

【下村委員長】 かなり時間も押しておりまして、終わりの時間になってしまいましたが、いずれにしましても、これから、地域の地熱の持続的な管理に向けて走り出す、いわばきっかけということでございますので、そういう点で、その点をしっかり伝えながらガイドラインの活用を図っていきたいというふうに考えております。
 いずれにしましても、委員の先生から、かなりご意見もいただいていますので、その発言の趣旨を踏まえまして、事務局と私のほうで修正させていただきたいというふうに思います。
 この点については、私にご一任いただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますでしょうか。
(異議なし)

【下村委員長】 ありがとうございました。
 それでは次に、温泉小委員会の議事ではないんですが、かねてより議論されています国立・国定公園内における地熱開発について、温泉資源の保護に関するガイドラインとも非常に関連もあると思いますので、事務局から、進捗状況についてご説明をお願いできますでしょうか。

【国立公園課長】 国立公園課長の桂川でございます。
 この国立・国定公園内における地熱開発の取り扱いをどのようにするかということにつきましては、今現在も検討中でございまして、結論が出ておるわけではございません。
 そういうわけで、検討状況ということでご説明をさせていただきたいと思います。
 この国立・国定公園内における地熱開発に関わる問題につきましては、平成22年6月の閣議決定によりまして過去の通知を見直すというようにされました。また、平成23年11月のエネルギー環境会議のアクションプランにおきましても、やはり国立・国定公園内における地熱開発の取り扱いについての検討指示が示されておったところでございます。
 このような中で、私どもといたしましては、平成23年6月から地熱発電事業に関わる自然環境影響検討会というものを開催いたしまして、23年6月から24年2月まで5回にわたって検討会を開催するとともに、国内外の地熱発電所の調査などを行ってきたところでございます。
 そのような形で検討を進めまして、2月14日に第5回目、最終回の検討会を開きまして、そこでまた委員の先生方による審議を尽くしていただいたわけでございますが、一部の方については意見の一致を見ることなく、両論併記という形で終わったところでございます。
 かいつまんで申し上げますと、地熱発電事業について、環境に与える影響を軽減するための技術というのは、それなりの進歩・改良が見られている。とはいうものの、特に大規模な地熱発電所というのは、非常に造成の規模としても大きいものでございますので、風致景観、あるいは自然環境に与える影響、これは小さいとは言えない。
 また、実際に蒸気の減衰等による再掘削が行われているということも事実でございまして、このようなことを考えますと、基本的に国立公園内の特別地域においては、原則として避けるべきである。特に、国立公園・国定公園の核心部である特別保護地区、あるいは第1種特別地域においては必ず避ける必要があるだろうと。一方、普通地域については、風景の保護上の支障等の問題がなければ、これは許容してもいいのではないかということがまず基本的な考え方として、これは意見の一致を見ました。
 また、それに加えて、坑口、つまり、ボーリングする箇所を公園の区域外、あるいは普通地域に設けた上で、傾斜掘削によって第2種、または第3種の特別地域の地下資源を利用するということについては、自然環境の保全や公園の利用に特段の支障がなく、特別地域の地表部に影響を及ぼさないと考えられる場合においては、これも許容できるのではないか、そのようなところが取りまとめられるとともに、地熱資源の開発については、地域にも非常に大きな影響がございますので、地域合意の形成というのが、まず前提であるというようなところを取りまとめたところでございます。
 また、このほかの課題として幾つか論議が交わされたわけでございますが、小規模な地熱発電で風景、あるいは自然環境への影響が小さなものや、既存の温泉水を利用するバイナリー発電などであって、エネルギーの地産地消に役に立つようなもの、このようなものであれば認めてもよいのではないかということがございまして、これについては、おおむね委員の意見の一致を見たわけでございます。
 しかしながら、例えば、地表に特段の影響を与えないような調査、重力の探査ですとか、電磁探査については、当然、将来においても工作物の設置や掘削を行わないという条件をつければ、特別保護地区や第1種特別地域においても認めてもよいのではないかというようなことにつきましては、そのような条件つきであれば、また原状復旧するのであれば認めてもよいのではないかという意見や、そのような場合であったとしても慎重に検討すべきであるというような意見ございまして、両論というような形になっております。
 また、第2種、第3種特別地域において、地熱開発と自然環境の保全の調和を高いレベルで図るための優良事例の形成という観点から、例えば、地域においてしっかりとした合意の形成がなされる、あるいは自然環境への影響を軽減するための技術や手法の投入がなされる。
 あるいは、可能性があればということですが、そのエリアにおける廃屋の撤去や、後背地の緑化、あるいは温泉事業に対する熱水の供給、あるいは農業に対する熱水の供給というような、地域の貢献が図られる、そのような前提があった上で、第2種、第3種特別地域において掘削を行う、あるいは工作物の設置を行うということを可能性として検討することができるかどうかということについても議論が行われまして、これらについても、そのような特段の努力を行うという前提つきであれば認めてもよいのではないかという意見と、その場合でもいかがなものかと、あるいは慎重に検討すべきではないかというようなご意見がございまして、両論併記となったようなところでございます。
 また、その後に、2月24日でございますが、自然保護団体あるいは温泉事業の関係者の方々から意見をお聞きいたしまして、その中でも、当然こちらは自然保護サイド、温泉サイドの方々でございますので、地熱開発については慎重なご意見が多かったわけでございますが、特に、これまでデータの開示が十分ではなかったということや、長期にわたってモニタリングを行い、そのデータをちゃんとした形で共有すべきだというようなこと、あるいは、反対側の意見を含めて聞く場を設けるべきだというような意見、これは自然保護団体、温泉事業者の方々から、特に強くお話があったところでございます。
 今現在、私ども環境省といたしましては、そのようなご意見を踏まえて、最終的にどのような結論を出すべきか、環境省として責任を持って検討し、判断しようとしておるところでございます。
 期限といたしましては、3月中に結論を得て措置するという形になっておりますので、もう残すところ、2週間ほどしか残っておりませんけれども、そういう中で、よりよい結論につながるような検討を今またさらに重ねていると、そのような状況でございます。

【下村委員長】 ありがとうございました。
 今は、あくまでも進捗のご報告ということでございます。何かご質問がありますでしょうか。ご意見は、ここでは議論する話でもありませんので。

【前田委員】 国立公園の現状というところと、今回のパブリックコメントを分けて審議会は進行しているんですけども、これは一緒にしなかったのはなぜですか。

【国立公園課長】 国立公園内における国立公園・国定公園内における地熱開発に係る通知の過去の取り扱い、また温泉についてのガイドラインの過去の取り扱い、そのようなところから、このように取り扱いが異なったものだと理解しております。

【自然環境整備担当参事官】 21年にガイドラインをつくりました。温泉の保護の観点のガイドラインをつくりましたが、これは、その事業者の方それぞれ、当時は温泉同士といいますか、そういう観点で、それは広くどういう意見が、どういう状態が各地域で起きているのかということもあって、温泉は、国民の入浴するという資産である、財産であるというようなことも考え合わせて、パブリックコメントとしたというふうに聞いております。
 その流れでやってるのかと言われると困ってしまいますが、同様に温泉資源である地熱の井戸を今回は取り出してガイドラインにまとめていただいたわけですけれども、それは同じ温泉ということですから、21年のガイドラインはパブコメをしていて、今回はしないという方法はないよねということです。ですから、同様に、温泉のほうはパブリックコメントをしたということです。
 ですから、何か、特に他意があってそうなっているわけではなくて、我々として普通にこうやってきたら、たまたまそういうふうになっているということです。

【下村委員長】 前田委員のご質問は当然かと私も思いますので、それぞれ議論を、それぞれのところでしてしまうと、またややこしくはなりますが、情報の共有はしながら進めていく必要があろうかと思いますので、その点はまた両者でご留意いただければというふうに考えております。
 よろしゅうございますでしょうか。

(なし)

【下村委員長】 私が遅れた上に、管理が悪くて遅くなってしまいましたが、本日の会議は、これで終了とさせていただきたいと思います。
 事務局にお返しいたしますので、連絡事項があればお願いいたします。

【事務局】 本日はありがとうございました。
 本日配付の資料につきましては、郵送ご希望の場合には、お手元に置いていただければ、後日、事務局から郵送させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【自然環境整備担当参事官】 どうもありがとうございました。