中央環境審議会自然環境部会自然公園のあり方検討小委員会(第10回)議事録

議事次第

  1. 開会
  2. 議題
  3. (1)自然公園法の施行状況等を踏まえた今後講ずべき必要な措置について
    (2)その他

  4. 閉会

議事録

午前10時00分開会

○事務局 予定の時刻になりましたので、ただいまより中央環境審議会自然環境部会自然公園のあり方検討小委員会を開催させていただきます。
 本日の出席数でございますが、8名の委員のご出席をいただいており、定足数を満たしておりますので、本日の小委員会は成立しております。
 資料等に不備がございましたら、途中でも構いませんので事務局までお知らせください。
 それでは、熊谷小委員長、よろしくお願いいたします。

○熊谷小委員長 ただいまから中央環境審議会自然環境部会自然公園のあり方検討小委員会を開催いたします。
 本日の委員会は公開で行いますので、報道関係の方や傍聴の方も同席しておられます。
 会議録は、後ほど事務局で作成いたしまして、本日ご出席の委員のご了承をいただいた上で公開することとなります。
 なお、議事要旨につきましては、事務局で作成したものを私・委員長が了承した上で公開することを、ご了承お願いしたいと思います。
 本日は、前回までのご意見を踏まえ、ご了解をいただいております報告書案に対するパブリックコメントの結果が出ましたので、その内容を踏まえて、小委員会として最終的な報告書の取りまとめを行いたいと考えております。
 それでは、パブリックコメント手続に際して寄せられた意見の要旨とそれに対する考え方、また、これを踏まえた報告書案の修正等について事務局において整理しているので、その説明をお願いいたします。

○国立公園課長補佐 国立公園課の中澤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 資料1「パブリックコメントの実施結果について」をご覧いただければと思います。
 昨年12月16日に取りまとめていただきました報告書素案につきまして、平成20年12月19日から本年1月19日までパブリックコメントを実施いたしました。
 意見の提出のあった個人、団体の数は45でございます。寄せられた意見を整理したところ、延べ意見数は137件でした。その内訳ですけれども、個人の方が20、団体の方が25でございます。
 報告書素案のそれぞれの項目について、どのくらいの意見が寄せられているかを整理しております。それぞれの項目に対して満遍なく意見をいただいているところでございます。現状と課題、それから今後講ずべき措置を含めまして、海や生態系の維持管理、また、公園利用者に対するきめ細かいサービスの提供等について、意見が多いと整理されるのではないかと考えております。
 続きまして、資料2に基づきまして、意見の概要とそれに対する対応の考え方をご説明させていただきます。
 ご意見でございますけれども、報告書に対するご意見、また、一般的な環境行政もしくは自然環境行政についてのご意見、そういったものに整理されます。今回、報告書素案に反映したもの、それから代表的なご意見等を中心に、概要としてご説明させていただければと思います。
 項目ごとにご説明いたします。
 1「はじめに」については、ご意見ございませんでした。
 2「国立・国定公園をめぐる現状と課題」です。
 現状の概観の中に、漂流・漂着ゴミについてというご指摘をいただいております。ご意見の趣旨を踏まえて、2-(1)-(海域の保全)に「さらに、近年、漂着ゴミが国立・国定公園内の海岸利用を損ない、風致景観の悪化の原因となる等、問題も生じている」と整理しております。
 反映した部分については、資料3でアンダーラインを引いています。
 2「国立・国定公園をめぐる現状と課題」です。
 ご意見として、ラムサール条約等の背景等を述べていらっしゃいますけれども、普及啓発を推進する必要性を明記すべきではないかとのご意見をいただいています。これにつきましても、2「国立・国定公園をめぐる現状と課題」の中で「さらに海域の保全に関する理解の一層の促進を図る必要性も指摘されているところである」と修正しております。
 次に、2-(1)「保護に関する状況と課題」についてのご意見です。
 この中では、自然公園の外についても考えるべきだといったことがございましたが、今回は自然公園制度についての検討でございますので、そういった考え方で整理させていただいています。
 2-(1)-(海域の保全)ですが、藻場、干潟については漁場として利用され、持続可能な利用のための水産資源の保全に重要な役割を担ってきた。これまでの審議会でのご意見等の趣旨を踏まえまして、この箇所に「生物多様性保全上重要であり、漁場としても水産資源の持続可能な利用の場として重要な役割を担ってきた浅海域の生態系である」と修正しております。
 2-(1)-(生態系の維持回復)に関して、シカの生息分布域や個体数は、地域によっては減少したところもあり、全体としては増えているとは言えないというご意見でございます。本文では「一方、近年、シカの生息分布の拡大や…」と書いてございまして、むしろ今、ご意見は逆の方向ではないかと考えております。従いまして、その辺が明確にご理解いただけるように「一方、近年、全国的なシカの生息分布の拡大や…」と修正しています。
 2-(1)-(生態系の維持回復)の続きですけれども、能動的管理のところで幾つかご意見をいただいています。自然環境は能動的管理ができないのではないかといったご指摘をいただいていますが、第三次国家戦略をはじめ広く能動的に管理をしていく必要が認められていると考えられると整理しております。
 さらに、各行政機関が連携した能動的取り組みが必要ではないかというご意見をいただいています。これにつきましては、そういった連携と役割分担による取り組みを引き続き進めることが必要と考えると整理しております。
 2-(1)-(風致景観の阻害要因対策)です。
 風致景観の阻害要因につきましては、これまでご議論いただいている民間の宿舎とか休憩所といったものだけではなく、登山道の荒廃や自然生態系の荒廃といったこともあるのではないかということでございます。これまでこの小委員会でいただいたご議論では、基本的に事業施設であったということでございまして、その辺をご理解いただけるように、「このような公園事業施設の不適切な管理の問題を」と修正しています。
 2-(1)-(生態系ネットワークの構築)です。
 先ほどもご意見がありましたように行政間の連携を図っていくべきということで、そういった取り組みが必要であると考え方を整理しています。
 4ページに参ります。
 温暖化関係のところで、地熱発電について5件ほどご意見をいただいております。地熱発電を活用すべきであるといったご意見に対しては、ご意見の趣旨につきましては、自然公園の目的である優れた自然の風景地の保護の観点からの対応が必要と考え方を整理しております。
 2-(2)-(公園利用者に対するきめ細かいサービスの提供)ですが、ここにつきましては、自己責任の問題を指摘されております。非常に重要な問題ですけれども、登山道の維持管理についてのさらなる検討とともに、環境省において今後の施策の参考にされるものと考えておりますと整理しているところでございます。
 3-(1)「国立・国定公園における生物多様性保全の充実」ですが、自然保護法が適用されていない場所についても考えるべきであるということでございましたが、本報告書は基本的に、自然公園制度についての課題ということで考えております。そういった整理をしています。
 3-(1)-[1]「海域保全の充実」ですが、漂着ゴミについてのご意見を2点いただいております。これは審議会の中でも冒頭にご意見をいただいたと記憶しております。そういったことも踏まえまして、3-(2)「風致景観の保護のための施策の充実」の中に「また、国立・国定公園内の海岸及び海域の公園利用や風致景観の阻害要因となっている漂着ゴミ対策について、関係機関との連携の下、海岸の美化清掃活動の重点的実施等の取り組みを進める必要がある」という文章を追加しております。
 さらに、海中公園地区の設置目標数について、浅海域の10%にすべきといったご指摘をいただいていますが、現在、海洋保護区については別途検討されております。そういった検討も踏まえる必要がある分野ではないかと整理させていただきました。
 3-(1)-[2]「予防的順応的な手法による生態系管理の充実等」です。外来種に関して、駆除ではなく国内への外来種輸入規制ですとかペット業者への販売規制をといったことでございますが、外来種対策というのは捕獲も含め、他法令とも連携した総合的な対応が必要と考えると整理しています。
 3-(1)-[2]-(包括的な生態系管理の実施)です。調査結果に基づいての作業では対応におくれが発生するのではないか、臨機応変といったことが必要ではないかというご意見でございます。スピーディにという点は当然のご指摘でございます。しかし、やはりデータを参考にしながら順応的な対応を講じる必要があるのではないか、そういう形で考え方を整理させていただいております。
 さらに、地方分権の時代では、よほどうまいシステムがない限り越境的、広域的な取り組みは難しいのではないかといったご意見をいただいておりますが、これにつきましては、国と地方の連携による実施を効果的に進めることが適切だと考えているところでございます。
 3-(2)「風致景観の保護のための施策の充実」です。風力発電に関するご指摘、それから、公園事業施設以外の工作物についても管理者に措置を求める制度を制定する必要があるといったご意見をいただいております。これは現行の自然公園法でも対応していると考え方を整理しております。
 3-(3)「安全で快適な利用の推進の観点からの施策の充実」につきましては、報告書素案にありますバリアフリー化といった項目につきまして、自然環境にアクセスするための設備は、利便性よりも環境負荷をできるだけ減らしたものにしていただきたいといったご意見をいただいています。これは当然、バリアフリーといった考え方を導入するにいたしましても、自然環境の保全を図りつつ自然景観の質に応じた適切な利用の確保をしておく必要がある。そういったことで引き続き対応していく必要があるのではないかという考え方の整理をしているところでございます。
 3-(3)-(公園事業施設における公園利用者サービスの充実)です。2つ目の段落の「特に、国立公園の…実現する必要がある。」は、(4)「必要な措置の拡充に伴う現地管理体制の充実」に記述すべき内容ではないかといったご意見でございますが、(4)「必要な措置の拡充に伴う現地管理体制の充実」につきましては、審議会のご議論を踏まえまして、直轄施設の管理運営だけではなく国立公園全体の管理体制について述べているので、本項目に記述することが適切と考えると整理しております。
 3-(3)-(適正な海域利用の推進)です。現状把握、原因究明、対策協議と実行、効果検証をステークホルダーとともに実施すると同時に、利用者への普及啓発、技術指導を実施する必要がある。措置について具体的に記載するといったご指摘をいただいておりますが、これは普及啓発、情報提供といったご意見ですので、ご意見を踏まえまして、この項目に「海域においても、適正な利用の推進に関する理解の促進とともに、陸域同様に…」と修正しています。
 3-(4)「必要な措置の拡充に伴う現地管理体制の充実」につきまして、自然公園指導員制度やグリーンワーカーといった管理体制の強化についてのご意見については、今後、環境省において施策の参考にされると考え方を整理しています。
 3-(5)-[2]「自然環境保全法との連携」につきましては、生態管理は広い視野で、地域協力のきめ細かい対応が必要で、無鉄砲な管理をされると危ないといったご意見、さらには、シカによる自然植生への被害に対しては、安易な頭数管理ではなく生息地の復元で対応すべきであるといったご意見です。鳥獣の保護管理は個体数管理、生息環境管理及び被害防除対策を適切に実施していく必要があると考えていると考え方を整理させていただきました。  3-(5)-[3]「自然環境に対する国民の保全意識の高揚と保護地域の保全方策の充実」につきましては、審議会の中でご指摘いただきました、遺産地域内のブナの損傷の件でございますが、そういった行為は非常によろしくない、そういった行為は遺憾であるといったご意見をいただく一方で、法的規制については考え方をもっと整理する必要があるのではないかといったご意見をいただいております。これについての考え方としては、関係機関や地域の方々等と協力、連携して、巡視の強化や普及啓発の徹底を図ることも含め、再発防止のための方策について総合的に検討した上で、必要な措置を講ずるべきと整理しております。
 その他の項目です。
 ここでは、個別の地域の話とか、これまでの検討経過のご意見をいただいております。それぞれの地域の話につきましては、それぞれの地域で対応していただきたいとの趣旨で考え方を整理しています。
 以上、大変駆け足で恐縮でございますが、いただいた意見の代表的なもの、それから報告書に反映したものを中心にご説明させていただきました。
 これを踏まえまして、資料3の1ページ以降、アンダーラインを引いてある箇所が修正箇所でございます。ただし、1ページの「はじめに」の一番下、「その結果、…」という部分のアンダーラインにつきましては、事務局として答申書の案に近い形で追加させていただいた項目でございます。
 2、国立・国定公園をめぐる現状と課題です。
 先ほど申しましたように、海域保全に関する理解の一層の促進を図ることが必要であるということで、下から6行目ぐらいのところから修正しております。
 (1)保護に関する状況と課題、(海域の保全)です。アンダーラインを引いている箇所、浅海域は生物多様性保全上重要であるとともに、「漁場としても水産資源の持続可能な利用の場として重要な役割を担ってきた」これまでのご意見も踏まえまして、修正させていただきました。
 さらに、同じ項目の一番下でございますが、漂着ゴミの問題でございます。これにつきましては風致景観の悪化ということもございまして、そういった問題について考え方をつけ加えさせていただいているところでございます。
 さらに3ページ、(風致景観の阻害要因対策)でございますが、ここでの議論の趣旨を踏まえまして、「事業施設の不適切な管理」と明確化しております。
 次に8ページ、(2)風致景観の保護のための施策の充実について、今後の措置のところでございますが、一番下に海岸の美化清掃活動の重要性等、漂着ゴミ対策について付け加えております。
 さらに、8ページの一番下、(適切な海域利用の推進)ですが、理解の促進という形で、先ほどご説明させていただきました文章を追加しています。
 以上が資料3の主な修正点でございます。
 大変駆け足で恐縮でございますが、以上、パブリックコメントの概要、対応の考え方、さらには修正箇所についてご説明させていただきました。

○熊谷小委員長 事務局から説明がありましたパブリックコメントの実施結果、及びそれを踏まえた小委員会の報告書案について、ご質問、ご意見等がありましたらお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○土屋委員 前々回の会議で、ここで使われている「生態系サービス」とか「生態系ネットワーク」という言葉が非常に分かりにくいという意見が時々聞こえてくるとお話しいたしました。私は前回欠席したので、今回初めて見た部分があるのですが、この報告書案の一番最後に、用語解説ということで「生態系サービス」と「生態系ネットワーク」を紹介していただいていますが、「生態系ネットワーク」の方は用語解説になっていないように見受けられます。「生態系サービス」は解説されておりますけれども、ネットワークのほうは「生態系ネットワークを形成していくことが必要」と結んでおられまして、生態系ネットワークの説明ではないので、少し工夫が必要かと思います。これに関して、少し意見を言わせてください。
 パブリックコメントの3ページ、下から2つ目の四角ですが、(生態系ネットワークの構築)のところに、海、森、川の一連のつながりの中でこそ構築されるのであるというご意見がありまして、それに対する考え方は、3-(1)-[1]「海域保全の充実」に含まれるとなっております。ただ、このネットワークは海域保全だけに関係する言葉ではなくて、陸上だけの話の中でも使われる言葉ですので、少し工夫されて、生態系ネットワークの重要性を説明しつつ、もう少しわかりやすく解説されたらいかがかと思います。
 最近の生態学の分野でこの2つの言葉は非常に重要視されていまして、ネットワークのほうは別の言葉で「コネクティビティ」とも表現されますが、その意味で、もう少し理解しやすいように工夫されるともっといいのではないかと思います。

○速水委員 全般的にはこれで結構かと思いますが、1つは外来種に関して、今後いろいろ検討していくということがあります。例えば、前から気になっていることで、のり面緑化等を行う場合に広葉樹の種子を使うのですけれども、多分、現在ほとんど輸入種子だと思います。日本の植物の名前を使いながら、ほとんど中国から入ってきているのではないかなと理解しております。
 たまに、同じ植物なのに木の出来上がる大きさが全然違ったりとか、かなり問題が出るのではないかと思っています。そういうものを一体この中でどういう処理をしていくのか、ちょっと心配で、私自身は国産種子をしっかりつくっていく努力をすればいいとは理解しているのですが、そういうものに対して、全然緑化できないのかという話にもなりかねないので、その辺ははっきりしておいたほうがいいだろうということが、国産種子をつくるんだったら「つくれ」と命じればいいだろうとは私は思うのですけれども、それが1点。
 それから、前から常に気になっていますが、国立公園が農林漁業者、特に山村地域の農業者あるいは林業者から邪魔者扱いされないためにも、これは法改正に入っていくわけですけれども、その際に、そういう理解を深めるための調整をしっかりやっておいていただきたい。
 昨日も私、用事があって大阪営林局に夕方から寄ってきたのです。大台ケ原のシカの問題で写真を見ながらいろいろ議論していたのですけれども、単位当たりの目標数が環境省と農林関係、あるいは県のレベルと倍ぐらい違う。環境省のほうが多いのです。そういうものが多分、こういうもので将来解消されるだろうという期待はあるわけですけれども、そういったことを含めて、法改正もしっかり議論していただきたいし、今後、これが具体的に現場におりていくときに、市町村、地域の関係者、あるいは狩猟をやる人たちを含めて、ステークホルダーの意見をこの具体策に反映する仕組みをつくっておかなければいけないと思います。
 今回のパブリックコメントの中にも、人工林に対する批判的な言葉は結構出てくるわけです。どうしても保護団体の方等には、スギやヒノキの人工林に対する批判が潜在的にあるわけですが、我々にとっては、その中での最大限の多様性を確保することが、今、農林業がやろうとしているところでございまして、それがまだまだうまくいっていないのは事実ですけれども、目標としては、やはりそういうものをしっかり掲げているところでありますので、その辺を十分ご理解いただいて、現地の実態とうまく合わせながらやっていただきたいというのが正直なところです。
 白神に関しても、前に取り上げさせていただいたら、パブリックコメントにもかなり似たような意見が出ておりますので、これはこのパブリックコメントのとおり、本当に地域の方々の国立公園の中の森林利用が妨げられることなく、適切な利用であれば利用できるような形で残しておいていただきたいですし、不適切なものは不適切なものでしっかりと管理すればいいですけれども、その辺のけじめをつけてやっていただきたいと思っております。よろしくお願いします。

○桜井委員 海域の部分については非常によく書かれているのでいいと思いますが、1つ、自然公園をこれから生物多様性も含めて維持していく上で重要なこととして、今回のパブリックコメントにもありますけれども、モニタリングの問題があります。
 モニタリングですけれども、非常に重要なことは分かっていて、なおかつ順応的な管理等に対してもかなり重要ですが、この位置付けを何らかの形できちっと整理しておかないと、「モニタリング」という言葉だけは残るが、その予算的措置、人的な配置といったものについてどのような措置がとられるのかが書き込まれていないので、どこかでそれを整理しておかないと、実際に非常に困る。
 これは現実に、全て国の行政、都道府県の行政もそうですけれども、いわゆる「見えないモニタリングには金はつけられない」と結構言われる。それでどんどん削られているのが現状ですので、この自然公園の中で、モニタリングの位置付けをより明確にしていただく。例えば、生物多様性の保全というのはキーワードになりますけれども、何かこれに対する予算的措置、あるいは人的配置等をどこかで強調し、言葉だけが残っていて現実には何かが起きたら対応するという後づけの形にならないような方策を検討していかないと、なかなか文言どおりに進まないという気がしていますので、どこかでそういうものを強くお願いしたいというのが私の希望です。
 これは実は知床でもありまして、2012年以降、実際にモニタリングを始めるのですけれども、いざ予算的な措置となると、まだ明確ではないところもありますので、こういったところについて何かサポートできるものをつくっていただければと思います。

○熊谷小委員長 事務局からご発言をお願いします。

○国立公園課長 貴重なご意見ありがとうございました。
 まず、土屋委員からのご指摘でございます。「生態系ネットワーク」についての解説をつけたけれども、まだ不十分ではないかという点につきましては、これはこの報告の付属として重要なものでございますので、解説については充実、工夫させていただきたいと考えております。
 それから、速水委員から2点いただいております。
 のり面緑化に使われる緑化樹木は基本的には外来がほとんどで、国産種子への取り組みをどうするのだということでございます。
 これについては、実は既に取り組みを進めているところで、外来生物法等の検討をしたときに、のり面に使われる種類については、やはり外来種の問題がないようにしなければいけないということで、これまで私ども国立公園のサイドでも、のり面の緑化のあり方はどうあるべきかという検討を進めてきておりまして、現在、その試案ができ上がっております。
 先ほど委員からもご指摘ありましたとおり、それを実現するためには種の供給体制という非常に大きな問題がございます。ただ、その辺はございますが、ただいま申しました試案を何とか部分的に生かして、国立公園であれば国立公園の施策に生かしながら、試案に基づくトライアルを積み重ねて、片方で種子の供給体制をどうやっていくべきかという点についても引き続き取り組みを進め、最終的には緑化植物、外来種を緑化で用いることによる支障が起きないようなところまで検討を進め、実施も広げていきたいと考えてございます。
 2点目でございます。先回からもご指摘いただいてきておりますが、国立公園の周辺あるいは中でいろいろな取り組みがなされているさまざまな計画とか、既にある取り組みについて、国立公園で新たな仕組みを考える場合にはきちっと整合をとって、かつ国立公園で行われる取り組みについては十分理解してやるようにするべきではないかということでございます。
 ご指摘のとおりでございます。まさに今回、国立公園のほうで新たな仕組みをつくるということでございますが、これは1つ国立公園だけでできることではございません。やはりそれを実際に運用していく上では、既存の計画とか地域住民への理解の確保等をきちっとやっていかなければいけないと思います。
 例えば現在、尾瀬でシカの問題があって、今回、そういうものも念頭に置いて国立公園の制度を充実しなければいけないと考えているわけでございますけれども、その周辺でのシカ対策への取り組みというのは、既存の制度で進んでおります。例えば鳥獣保護法とか特措法とかで進んでおりますけれども、その計画策定等の段階で環境省の現場の組織の人間も参加させていただきまして、その情報をきちっと共有するという取り組みを始めてございます。その逆のことを、今後、私どもがやっていくときにもしっかり構築していきたいと考えております。
 先ほどの白神での議論の話も同様でございまして、パブリックコメントに対する対応についてご説明いたしましたけれども、総合的に何が効果的で何が必要なのか、どうやったらいいかという点については、十分地元のご意見を入れて詰めていきたいと考えております。
 桜井委員からモニタリングの重要性についてご指摘いただきました。
 今回、このような答申に結びつく案をつくっていただきまして、これが答申という形になりましたら、この答申案には、順応的な管理とかモニタリングについて強く打ち出していただいております。これを実際に生かしていく、答申を受けまして私どもとしては新たな仕組みを考えるということでございますけれども、その中で、これだけ報告書の中でモニタリング、順応的な管理についてご指摘いただいておりますので、それを新たな仕組みを行う場合に十分反映させるよう、この答申を糧にして、予算面の充実とかさまざまなセクターとの協力による実施体制の整備等について取り組んでいきたいと考えております。

○熊谷小委員長 他にご質問、ご意見ございますでしょうか。

○土屋委員 報告書案をずっと読ませていただいて、大部分素直に読んでいけるのですが、何カ所か引っかかったところがありますので、教えてください。
 3ページ、先ほどの生態系ネットワークとの関連ですが、(生態系ネットワークの構築)の3行目と、次の段落の最初にもあります「国土レベルの生態系ネットワークの形成」というのが、少々理解しづらい言葉でした。どういうことを意味しているか教えていただければと思います。
 それから5ページ、[1]海域保全の充実の1行目、「我が国の生物多様性保全の屋台骨」という言葉が、何となく意味はわかるのですが、こういう文章で適切かどうか、あるいは考えていくと分かりづらくなるような気がしますので、もっといい言葉をお考えいただければと思います。
 同じページの中ほどから下に、(海中から陸域に連続した海域保全)とありますが、そこから上のほうに6行目、「浅海域の生物の養育場と生活領域のネットワーク」という言葉があります。これはどんなことを意味しているのか、素直に頭の中に入ってきませんでした。
 それから、6ページの上から4行目。これは環境大臣が指定する捕獲の禁止のところですけれども、「熱帯魚、サンゴ、海藻等」という言葉が何となく他の言葉と違う感じがしましたので、工夫が必要かと思います。
 最後ですが、7ページ。真ん中あたりの(生態系管理上必要な規制の拡充)の最初のところに「本来の生息・生育地とは異なる動植物の放出」という言葉があります。言葉が足りないのか、これもうまく受けとめられませんでしたので、ご説明いただければと思います。

○川名委員 目次がなくてちょっと読みにくいですけれども、2のところに現状と課題が書いてありまして、3番目に必要な措置があると思うのですが、2の課題に対して、全部必要な措置があるわけではないですね。素人として見て、シカのことに対しては課題に対して措置があるのですが、地球温暖化に対しては課題にはなっていても、それに対しての措置は書いていない。課題であるけれども措置しなくていい、全体的なことが温暖化に対して措置になっているのか、そこら辺を明記してほしいというか、分からせてほしい。
 もう一つ、課題のところの(地球温暖化の影響対策)で、今ごろ言うのはおかしいですけれども、余り明確な書き方ではない感じがして、対策がないのかという気がしました。意見として聞いていただければいいと思いますが。

○鹿野委員 海岸の漂着ゴミについてですが、今回、それが問題であるということです。それはもちろん問題でして、これは8ページですか、漂着ゴミ対策で「関係機関との連携の下、海岸の美化清掃活動の重点的実施等の取り組み」とありますが、もちろん流れ着いてしまったごみは何とか対処しなければいけないですが、漂着ゴミで大切なのは、そもそもごみを捨てることで、これはきりがないです。多分皆さんご承知だと思いますが、一生懸命海岸清掃をしても、1回風が吹けば元の木阿弥みたいな状況が起こるわけです。それでもどんどんきれいにしていれば、だんだんよくなるとは思いますが、ぜひ環境省としては、そもそも発生をなくす努力をしていただきたいと思っています。
 特に重要なのは、近隣諸国と共同してということだと思います。公園法の対策の中で言えるかどうかわかりませんが、まず対策は必要ですが、何らかの形で、ここに書くことかどうか、よく分かりませんが、全体の対策として、近隣諸国も含めて、そういう運動を盛り上げていただきたいと思っています。

○原委員 3ページの(風致景観の阻害要因対策)で、最後に「適切な対応が必要になっている」と。報告書にこのように書かれていると、具体的に次のステップに対してこういう対策を用意しているとか、こういう展開を用意しているとか、そういうことにつながる。今具体的に、どういうふうに環境省では考えておられるのかをお話ししていただけるとありがたい。

○熊谷小委員長 土屋委員、川名委員、鹿野委員、原委員からご意見、ご質問が出ておりますので、お答えできる範囲で事務局にお願いしたいと思います。

○国立公園課長補佐 土屋委員からご指摘がありました、報告書の内容についてもう少し詳しくということでございます。
 まず3ページ、(生態系ネットワークの構築)で「国土レベルの生態系ネットワークの形成」でございますが、これは第三次生物多様性国家戦略におきまして、生態系ネットワークの形成を促進していくことが指摘されております。それは全国レベル、広域圏、都道府県、市町村など、それぞれのレベルでのネットワークを構想して、それに対応していくことが必要ではないかという指摘でして、国立・国定公園としても対応していく必要があるというご指摘でございます。
 これにつきましては、国土レベルでの生態系ネットワークの議論が進んでいる中で、そういった議論を踏まえてきちんと対応していくべきという形でいただいていると記憶しているところでございます。
 続きまして5ページ、3-(1)-[1]の一番上のところ、「我が国の生物多様性保全の屋台骨として」というのは、どういうことかということでございます。
 これも実は生物多様性国家戦略におきまして、自然公園は国土の14%を占めるというようなことで、生物多様性保全の中で重要な役割を担っている。生物多様性保全の国土の屋台骨であるといった指摘がされているところを踏まえまして、それをそのまま引用しています。
 同じページの「浅海域の生物の養育場と生活領域のネットワーク」です。養育場と生活領域というのは、いわゆる発生の場所と、それが育つ場所という意味で、審議会でいただいたご意見を踏まえて、ここにこういう表現で記述している、そういう趣旨です。
 それから6ページ、(海域の自然環境に応じたきめ細かな保全)の中で、「熱帯魚、サンゴ、海藻等」という表現が、これまでの表現と異質ではないかということでございます。これは自然公園法の中で、海中公園のところの表現でございまして、法律の言葉をそのままここで引用しているために、若干違和感が生じてしまったのかなと思います。
 この意味としては、自然公園法の中で海中公園地区の構成要素というところから、引用しているところでございます。
 さらに7ページ、「本来の生息・生育地とは異なる動植物の放出」というところ。これも法律用語のように聞こえてしまったのかもしれませんけれども、審議会の中で私どもからご説明させていただいた現状と課題は、本来生えていない所に園芸種の植物を植えてしまっているような事例が国立・国定公園の中にあるとか、また、園芸種が地域の固有種と交雑を起こしているような問題があるといった背景を踏まえて、本来の生息・生育地とは異なる動植物の放出」という表現を使わせていただいているところでございます。
 土屋委員からご指摘いただいた件は、以上ではないかと思います。
 引き続き、川名委員からご指摘があった地球温暖化の件でございます。現状と課題のところには書いてあるけれども、今後、必要な措置のところには書いていないではないかというご指摘をいただきました。
 これは9ページ、(5)その他[1]中長期的課題への対応(生態系ネットワークの構築、地球温暖化対策)に記述しています。
 地球温暖化対策として、中長期的な課題として記述させていただきましたのは、3つ目のパラグラフでございます。「地球温暖化により予測される影響への対応の面からも、国土の地域ごとの生物学的特性を示す代表的、典型的な生態系のまとまりをもって保護しつつ、生物の移動・分散経路の確保を図る」ということ、さらには、そういったものについて、現在、実施しております国立・国定公園の総点検事業の中でも、そうした点を考慮しながらやっていくということ、さらには、国立・国定公園の中で温暖化の影響を把握するためのモニタリングをしていくといっ整理をしているところです。
 鹿野委員からご指摘がございました漂流・漂着ゴミの発生源の話。国際的、海を渡るような話でございます。地球環境局等でそういった取り組みをしています。そういったところとも連携しながら、取り組みを進めていく必要があるのではないかと考えています。
 原委員からご指摘がございました(風致景観の阻害要因対策)について、具体的にどういう道筋があるのかというところでございます。
 これは7ページ、今後講ずべき必要な措置(2)風致景観の保護のための施策の充実で、国立・国定公園内で放置され、極端な場合は廃屋化しているような宿舎がある。そういった状況を踏まえまして、8ページになりますが、こうした事態が発生しないように、まず公園事業者に対してきちんと指導をする。
 これまで公園事業者に対して私どもが指導するという仕組みはございましたが、なかなか強制力を持った措置がとれなかった。まず事業者の責任においてきちんと撤去せよと、そういうところをもっと強化するような取り組みを、まずしていくといったことが考えられるのではないか。そういったことで、こういった制度の強化を措置する必要があることを踏まえまして、私どもではそういった対応を考えていきたいと思っているところでございます。

○土屋委員 ご説明ありがとうございました。
 まず、3ページの生態系ネットワークについては、私ももちろん第三次国家戦略は読んでおりますので、了解しておりますが、恐らくそこで意味しているところと、今ご説明いただいた部分に少し食い違いがあるような気もします。
 確かに、今ご説明いただいたような、国全体の中でのネットワークを考えながら生物相の保全に努めなければいけないことも確かですけれども、もう一つ「ネットワーク」という言葉の中に、パブリックコメントの中にもあったような、海と川のつながりを重視しようといった意味が含まれておりまして、特にそれが最近、強く議論されておりますので、その意味もここで出していただけるともう少しわかりやすくなりますし、パブリックコメントへの対応になろうかと思います。
 具体的には、先ほどご説明いただいた5ページの真ん中あたりの「浅海域の生物の養育場と生活領域のネットワーク」のところにはっきり出ていると思います。これは稚魚たちが暮らしている場所と親が暮らしている場所を両方保全しなければいけないというような意味をお出しになっていると思うのですが、私が勉強している場所で具体的な例として申し上げれば、珊瑚礁に住んでいる魚たちの稚魚はマングローブの生えている所で暮らしているといった例はいっぱいあるわけです。そういう意味がこの言葉から読み取れるかというと、少々難しいなとも思いましたので、表現上の工夫が必要かと思います。
 それから、7ページのお答えは、別の文章、法律でしょうか─から引用されている面もあるということですが、(生態系管理上必要な規制の拡充)の1行目の「放出」という言葉が、これでいいかということ。放出というのは、本来いない所に入ってきたものを、そこから取り出してしまう、追い出してしまうという意味ですよね。何となくこの言葉に違和感を覚えました。
 それから、その前の文章はやはり舌足らずですので、工夫が必要かと思います。

○石坂委員 この審議会も重ねてきたわけですけれども、最初に問題提示をされて、「こういうことをこの委員会で検討してほしい」というお話があったと思います。この答申案は、それに対する答えは一応きちっと出されていると私は評価いたします。
 今すぐの問題もあるし、それから中期、長期の問題も入っておりますので、いろいろなものが混在していまして、直ちに成果が出る問題としばらく時間をかけていかなければならない問題と、いろいろ入っていると思います。したがって、書き方がある程度バラけているところもあると思いますけれども、この答申に基づきまして、国立公園法の改正をするわけですから、まずその改正をきちっとやっていただきたいと思います。それから、改正にかからないような事項で具体化していける話が沢山あるわけです。そのことについては直ちに具体化を進めていっていただきたいと思います。そして、我々としては、それをしっかりとモニタリングしていきたいと感じております。

○熊谷小委員長 今の土屋委員のご発言に対して、事務局の考え方をお話ししていただければと思います。

○国立公園課長 ご指摘ありがとうございます。
 先ほどご説明させていただきましたが、用語的に並びが悪い点、それから一般的に理解し難い部分があるのではないかというご指摘と思います。
 ただ、事務局といたしましては、先ほどご説明しましたように、この委員会での議論も踏まえながら、また用語として、例えば「放出」という言葉は追い出すということではなくて、法律的に言うと「そこに放つ」とか「播く」とか「植える」という意味で使っておる言葉でございまして、そういう意味では「熱帯魚、サンゴ、海藻等」という法律の条文をここでそのまま使っているのとほぼ同義でございます。いろいろな答申の説明あるいはPRのときには十分その辺、留意してやっていきたいと考えておりますので、この放出の部分、あるいは浅海域の部分のネットワークの記述の仕方、これはこれまでの議論も踏まえますと、この形でご了解いただければと考えております。もちろん先ほど言ったように、一般的な説明等につきましては、十分留意して対応させていただきたいと考えております。
 それから、石坂委員から、これをもって法律はしっかりやれということ、それから、法律にかかわらないものについても運用で、いろいろな面で十分対応するようにというご指摘については、私どももしっかり対応していきたいと考えております。

○桜井委員 ちょっと苦しいかもしれませんが、土屋委員が指摘された浅海域の生物のところは、恐らく浅海域の生物の産卵・養育場、要するに、正確に言えば再生産と言いますけれども、産卵・養育場と、「生活領域」の前に、本来は「生活史を通した」という言葉があります。難しいようであれば「一生を通した」というような形で書き加えることによって、この言葉の意味が通ずるようになるかと思いますので、案として提案します。

○熊谷小委員長 ありがとうございました。
 他にございますでしょうか。
 そろそろ最終的な委員会でございますので、大変貴重で、かつ重要なご指摘も含めてご議論いただきありがとうございました。
 よろしければ、取りまとめに入りたいと思います。
 本日いただきましたご意見を踏まえまして、用語の説明とか修正等のご意見もいただきましたので、本案につきましては、大変恐縮ですが私・委員長と事務局で必要な修正を行った上で、答申とさせていただいてよろしゅうございますでしょうか。

(異議なし)

 ありがとうございます。
 それでは、そのように取り計らいしていただきたいと思います。
 また、細かい表現ぶりなどについても、できましたら私にご一任いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 平成20年10月21日の自然環境部会決定により、自然公園のあり方検討小委員会の決議は、部会長の同意を経て自然環境部会の決議とすることができるとされておりますので、修正後の報告書をもって答申とさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
 昨年10月7日に環境大臣からの諮問を受けまして、今回を含めて5回の小委員会を開催してまいりました。短期間に大変内容の濃い検討をしていただきまして、また、委員の皆様には円滑な議事の進行にご協力をいただき、大変感謝を申し上げます。
 事務局におかれましては今回の検討を踏まえ、より一層我が国の生物多様性保全に寄与する自然公園、また、自然の恵みを生かした自然との触れ合いをより一層進める自然公園の実現に向けて、法律の見直し等、必要な措置を講じていただきたいと思います。
 それでは、閉会に当たりまして、黒田自然環境局長からご挨拶をお願いします。

○自然環境局長 どうもありがとうございました。
 今、熊谷委員長からお話しいただいたとおり、10月に環境大臣から審議会に対して諮問させていただいて、短い期間でしたけれども、短いインターバルで何回も部会、そしてこの小委員会でご議論いただきまして、本当にありがとうございます。この答申、最後の調整をさせていただきますが、おまとめいただいて、これからどこに重点を置いて取り組んでいくか非常にはっきりしたと思っております。法改正が必要な部分というのはございますので、その中身をしっかり詰めて、今の通常国会に法案をまとめて出していきたいと思っております。
 諮問のときにもお話ししましたけれども、今の時期は、生物多様性が非常に大きな課題になっているといいますか、もう来年になりますけれども、2010年10月に名古屋で生物多様性条約の第10回締約国会議を開催する、ここのところ毎日このことを言って、あちこちで結構大きな会議が開かれますのでお話ししているのですが、ちょうど今日で、あと620日ちょうどということでございます。
 長いようでありますが、いろいろなプロセス、実は幅の広い分野でございますので、本当にうまくいくのだろうかと多少の焦りも感じているところでございますが、ご承知のとおり2010年目標という生物多様性に関する世界共通の目標の達成年でございます。これを、あと1年どうするんだ、その後どうするんだということで、ポスト2010年目標をまとめていかないといけない。
 そういうこともあって、今、国際的にいろいろな意見が飛び交っているところでございますが、国連の生物多様性年ということで、これは非常に大きな問題だということで、毎年9月に国連総会が始まるわけですが、その冒頭にそういう重要な課題について議論をするセッションがございます。来年は、恐らく9月中下旬でしょうが、生物多様性に関するサミットを国連総会に冒頭にやろうか、こういう動きもあるところでございます。
 そのように、国際的に見て非常に大きな節目が来るわけで、そういうタイミングに自然公園法の中身の充実について方向をお示しいただきましたので、私どもとしては、そういう中でしっかりそれを進めて、制度の強化、施策の充実をしっかりやっていきたいと思いますし、もう一方で、国連の海洋条約、そして我が国における海洋基本法、そして基本計画という流れもあって、海のほうもしっかりやっていかないといけない、こういうふうに思っているところでございます。
 繰り返しになりますけれども、環境省として一生懸命取り組んでいきたいと思いますので、やはり答申をいただいたという非常に大きなタイミングといいますか、節目だと思いますけれども、今後ともまた先生方にはいろいろご指導をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 どうもありがとうございました。

○熊谷小委員長 ありがとうございました。
 以上をもちまして、自然公園のあり方検討小委員会を閉会させていただきます。
 どうもありがとうございました。

○事務局 本日は大変お疲れさまでございました。
 本日の配付の資料につきましては、郵送をご希望の委員はお手元の用紙にご記入の上、机の上に置いていただければ、事務局から後日郵送させていただきます。
 本日はありがとうございました。

午前11時10分 閉会