中央環境審議会自然環境部会 自然公園のあり方検討小委員会(第4回)議事録

開催日時

平成14年7月2日(火)13:01~14:15

開催場所

経済産業省8階825号室

出席委員

(11委員 )

渡 辺 修委員長
岩 槻 邦 男委員
大 沢 雅 彦委員
岡 島 成 行委員
奥 山 文 雄委員
川 名 英 子委員
熊 谷 洋 一委員
瀬 田 信 哉委員
服 部 明 世委員
三 澤 毅委員
和里田 義 雄委員

議題

(1)自然公園法の一部改正について
(2)自然公園のあり方検討の今後の進め方について

配布資料

資料1-1自然公園法の一部を改正する法律案参考資料(国会提出資料)
資料1-2自然公園の一部改正について
資料1-3自然公園法 政省令等改正スケジュール
資料2-1自然公園のあり方検討の今後の進め方について
資料2-2自然公園のあり方に関する中間答申(抜粋)
資料2-3自然公園のあり方懇談会での議論について
資料2-4参考資料集

議事録

午後 1時01分開会

国立公園課長
 定刻となりました。現在のところ、11名の予定のうち、9名の委員のご出席をいただいております。今、奥山先生がみえましたので、15名中10名ということで、この委員会は成立しております。
 今回の審議会は、前回、1月29日に中間答申をいただいて以来ということになります。その間、自然公園法の改正ということで、本国会に諮りまして、無事、可決成立したということですので、このことは後ほどご説明させていただきます。
 今回、自然環境局から自然公園法ともう1本、鳥獣保護法の改正を出しております。自然公園法は早く終ったのですが、鳥獣保護法は遅れておりまして、本日、衆議院の環境委員会において審議がなされているところでございます。その関係で、局長以下、何人かの幹部が今日はこちらの方へ出席できませんので、まずお詫びを申し上げておきます。
 それでは、渡辺委員長、進行方よろしくお願いいたします。

渡辺委員長 
 それでは、私、引き続きまして委員長を務めさせていただきますが、初めに事務局からたくさん配られております資料の確認をお願いいたします。

国立公園課長 
 お手元の資料でございますが、委員会委員の名簿の次に本日の次第が入 っておりまして、その後に配布資料一覧ということで、議事1と議事2に関係する資料を添付させていただいております。
 議事1に関係するのは資料1-1から3でございまして、資料1-1には法律案の参考資料。それから資料1-2としまして、一部改正についてということで、後ほど経緯等を説明させていただく資料でございます。それから、1-3、横になっておりますが、今後の政令とかその他改正に当たっての施行までのスケジュールを入れた資料が入っております。
 次に資料2-1でございますが、本日の主たる議題でございます今後の進め方についての資料ということで、資料2-1、2-2、大きい紙で資料2-3とございます。それから、資料2-4といたしまして、参考資料集ということで1から8まで入れさせていただいております。これは本日、特にご説明する時間はないと思いますが、今後のこの委員会の進め方の中で触れさせていただく資料の例として入れさせていただいているところでございます。
 以上でございます。もし不足がございましたら、事務局の方にお申し出いただきたいと思います。

渡辺委員長 
 よろしゅうございますか。それでは、お手元の議事次第の議事の1に移りたいと思います。前回、1月29日、半年近く前になりますが、この小委員会では自然公園のあり方についての緊急に取り組まなければならない案件について中間答申を取りまとめていただきました。その後、中間答申を反映した形で、現在の国会におきまして自然公園法が改正されたところでございます。
 本日はまず自然公園法改正についての経過報告や、今後の法施行に向けてのスケジュール等を事務局から報告いただいたあとで、中間答申において今後の検討課題とされた自然公園の地域指定や環境学習の場としての自然公園のあり方などについて、これからどう検討を進めていくか、その論点や進め方についてご審議をお願いしたいと思っております。まず初めに自然公園の改正の経過などについて、事務局からご報告をお願いいたします。

自然ふれあい推進室長 
 自然ふれあい推進室長の渋谷でございます。自然公園法の改正につきまして、内容をご説明いたします。
 先ほど課長からも申し上げましたとおり、先生方には年末年始の非常にお忙しい中、ご審議いただきまして誠にありがとうございました。国会審議の状況、改正の状況につきまして内容をご報告いたします。
 まず、審議会の経過について振り返ってみますと、昨年11月16日に環境大臣から中央環境審議会に「自然公園のあり方」について諮問をいたしました。中央環境審議会におきましては、12月10日に自然環境部会の下に当自然公園のあり方小委員会を設置していただきまして、12月18日、それから今年の1月16日、29日の3回にわたり、鋭意ご審議をいただいてきたところでございます。
 そして、この19日の小委員会に引き続きまして開催されました自然環境部会におきまして、緊急に措置すべき事項などについて中間答申をいただいたというところでございます。この中間答申では緊急に対処、対応すべき自然公園の課題と措置につきまして利用の調整、特別地域などにおける規制の強化などが審議されましたが、このうち3項目が法律改正を行う必要があったところでございまして、中間答申に基づいて法案の作成作業を進めてまいりました。資料1-1に少し厚い「自然公園法の一部を改正する法律案参考資料」というのがございます。これにつきましては提案理由、要綱、法律案その他新旧対照条文など、詳しい法律内容が示されております。本日は資料1-2、薄い3枚の紙でございますが、こちらでご説明をしたいと思っておりますので、ご覧いただきたいと思います。
 まず、1の国会における審議状況でございます。中間答申に基づいて作成されました法律案につきましては、関係省庁との調整を経まして、2月15日に政府案として閣議決定されまして、2月18日に国会に提出されました。
 国会では参議院先議ということで審議が行われまして、4月2日に参議院環境委員会で審議・採決、翌4月3日の参議院本会議で可決されました。
 その後、衆議院に送られまして、4月12日に衆議院環境委員会で審議・採決。4月16日、衆議院本会議で可決・成立いたしまして、4月24日に交付されました。
 国会における審議につきましては、順調に審議が行われまして、衆参両院とも全会一致で可決されたというところでございます。
 なお、この成立に当たりまして両院とも附帯決議が附されておりまして、今後さらに検討すべき事項などが示されております。この附帯事項につきましては後ほどまた説明をいたします。
 次に2の概要をごらんいただきたいと思います。自然公園法の改正のポイントは6点ございまして、まず(1)の責務規定でございます。中間答申におきましては、自然公園の国土における生物多様性の骨格的な部分としての役割を担っているところから、生物多様性の観点から量的に、また質的にも重要な役割を果たすことが期待されていることが示されております。この自然公園におきます生物多様性の保全を図るために、これまでも自然公園の役割の中に生物多様性の保全機能というのが含まれておりましたが、国及び地方公共団体の責務として、自然公園における生物の多様性が確保されるよう、必要な措置を講じなければならないという旨を明らかにいたしました。これが第1点目でございます。
 次に中間答申では、生物多様性の保全の観点から、緊急に対応すべき自然公園の課題と措置について、6項目の具体的な措置を提案していただきましたが、このうち3項目について法改正が必要であり、(2)から(4)までの対応を行いました。
 まず、(2)でございますが、中間答申でご提案いただきました特別地域における規制の強化を図る措置といたしまして、国立公園などの特別地域において環境大臣の許可を要する行為として土石等、環境大臣が指定する物の集積及び貯蔵、昆虫など環境大臣の指定する動物の捕獲、そういうものを追加いたしました。
 また、特別地域及び特別保護地区におきまして、環境大臣の許可を要する行為として、湿原など、環境大臣の指定する区域への立ち入りを追加しております。
 また、緊急の問題に迅速に対応するために、風致、景観の維持に影響を及ぼす恐れがある行為で、政令で定めるものについて許可制といたしております。
 これらによりまして、自然公園における生物多様性の保全を図ることができると考えております。
 (3)でございますが、利用の調整のための措置を講ずることとされておりましたが、これにつきましては国立公園の風致、景観の維持と、その適正な利用を図るために、利用調整地区というものを指定しまして、利用者が当該地区に立ち入るために環境大臣の認定を必要とすることとし、これらによって利用者数の調整を図ることといたしました。
 また、地元の団体などがこの認定事務を行うことができること。また、この経費として手数料を取ることができるといった認定に関する必要な規定を設けております。
 これによりまして、生物多様性の保全に支障が生じない範囲内で適正な利用の推進を図ることができるものと考えております。
 次に(4)でございますが、二次的自然の地域の保全のための措置でございます。環境大臣、地方公共団体または公園管理団体が二次的な自然地域などの土地の所有者と風景地保護協定というものを締結いたしまして、土地所有者が管理することが難しくなった土地などで、自然風景地の管理を土地所有者に代わって行うことができるという仕組みを整備いたしました。
 また、環境大臣がこの協定に基づく風景地の管理能力を有する公園管理団体として、NPO法人など、民間団体の指定を行う制度も併せて設けております。
 これらによりまして、これまで規制的な手法による消極的な管理が中心であった自然公園法では十分に対応することが困難でありました二次的風景地などの積極的な維持管理を図ることができると考えています。
 このほか、かねてから自然公園法の懸案でありました違反行為への対応のために、(5)にありますように、違反行為に対して中止命令などを行えるようにしたこと。それから、これらの措置を都道府県立自然公園にも適用できるよう、条例を定めることのできるような規定を設けたことがございまして、これら6点も法改正によって措置したというところでございます。
 これらの改正によりまして、全体といたしまして、これまで54条であった法律が76条に増えております。また、今回の改正のときに削除して中身がなかった条文などを整理いたしましてわかりやすくしたということも併せて行っております。
 次に先ほど申し上げました附帯決議についてご説明したいと思います。次のページをめくっていただきたいと思います。
 附帯決議につきまして、両院とも共通したものが多いので、まとめてみました。11項目ございます。1番目が自然環境の保全の法体系の見直し、2番が利用調整地区の積極的活用、3番が公園管理団体に対する支援、4番が適切な移入種対策、5番が適切な過剰利用対策、6番が公園計画の定期的点検とNGOなどの参画、7番が公園事業実施における環境保全、8番が科学的知見の集積の充実、9番が環境教育の推進と適切な情報提供、10番が人員及び予算の充実、11番が公共事業との調整における自然環境への十分な配慮といった11項目となっております。
 これら附帯決議につきましては、今後の小委員会のご審議とも関係が深いところが多く含まれているのではないかと思っております。
 次に3ページ目をごらんいただきたいと思います。中間答申におきまして緊急に対応すべき事項が6点ほど示されております。これについてのこれまでの対応状況についてまとめてみました。右側の太いゴシックで書いた部分が今回の法改正によりまして措置を行ったところでございます。細い字のところは法改正ではなくて、政令改正あるいは通知、調査の実施などによって対応することとしている事項でございます。
 次に今後の法改正その他、今回の改正後のスケジュール、予定でございます。
 資料1-3、横表をごらんいただきたいと思います。この法律の施行につきましては、公布後1年以内ということになっておりますので、来年の4月には施行の予定となっております。その間にこのスケジュールにありますように政令、省令、それから公園計画等の関連通知の改正。環境大臣が指定するもの、動物の指定、利用調整地区指定の準備、風景地保護協定締結に向けた準備などを行うほか、条例の改正などを伴いますので、都道府県説明などの実施を予定しております。
 なお、これらの具体的な作業を進めるに当たりましては、今後の適正な運用が図れるよう進めていくことを考えております。
 以上で中間答申に基づく自然公園法の一部改正の関係についてのご説明、報告を終わります。ありがとうございました。

渡辺委員長 
 どうもありがとうございました。ただいま事務局から報告がございました改正自然公園法につきまして、ご質問、ご意見がありましたら、どうぞご発言をお願いします。
(特に発言なし。)
 特にご発言がないようですので、議事の2の方に進ませていただきますが、後ほどでも議事1についてのご質問、ご意見があればお伺いするようにしたいと思います。
 それでは、自然公園のあり方についての今後の検討の進め方につきまして、事務局から説明をお願いします。

国立公園課課長補佐 
 国立公園課の課長補佐をしております徳丸と申します。私の方からご説明を申し上げたいと思います。
 自然公園のあり方検討の今後の進め方でございますが、資料2-1「自然公園のあり方検討の今後の進め方について」という1枚紙をごらんいただければと思います。
 最初にご検討いただく内容でございますが、中間答申で自然公園の課題と目されました6項目が中心になろうかと思います。
 その次にございます資料2-2の方に中間答申の課題の部分を抜粋してございますので、ごらんいただければと思います。2章の「自然公園をめぐる状況と課題」を(2)自然公園の課題という部分に1から6まで、このようにまとめていただいております。順序を追って、簡単にレビューさせていただきたいと思います。
 1番は保護及び保全方策に関するものでございます。2項目になりまして、国土における自然公園の役割の明確化と地域指定(ゾーニング)のあり方と保護管理手法やこれを実施するための体制のあり方等となっております。
 最初の方は中間答申では、生物多様性の保全をとりあえず新しい自然公園の役割として重視して対応策を考えていただいたわけですが、自然公園につきましてはこれまでの風景の保護に加えて、当然、生物多様性の保全ほか、環境教育等、いろいろな役割があるということで、欧米との比較も交えながら、再度じっくり議論すべきであるというご提案であったと承知しております。
 また、地域の指定につきましては、似たような制度である自然環境保全地域や鳥獣保護区との関係などを踏まえて、自然公園の体系にも踏み込んだ議論が必要とのご提案であったと考えております。
 2番の保護管理手法やこれを実施するための体制のあり方については、いろいろございますが、特にレンジャー、自然保護官の数や、あるいはその育成についても、今後、生物多様性保全という新しい役割が出てきますので、議論すべきであるというご指摘をいただいております。
 2番は自然公園利用の質的向上に関するもので、主に環境教育とか、エコツーリズム、エコツアーについて推進策を検討することになっております。
 3番ですが、自然公園の整備に関するものということでございます。自然再生事業というものが始まりましたので、その自然公園の中でのあり方、あるいは自然と調和した自然公園内の施設のデザインとか、あるいは登山道とか、そういったものの具体的な工法のあり方について議論をしていくべきだということであったかと思います。
 特にデザイン等につきましては、建物や集落のデザインをもう少しじっくり考えて、建物が密集したからといって、そこを公園区域から外していくようなことがないようにしていくべきであるというご意見をいただいていたと思います。
 4番は自然公園管理・運営の基盤となる科学的知見の集積、提供に関するものです。
 科学的データの収集、分析、提供のあり方、及び自然環境保全に関する研究の推進のあり方などということになっております。これは全国一律ではなくて、公園ごとに基礎的な科学的データをきちんとそろえることや、研究者との連携や国民への情報提供の必要性の議論が必要であろうというご指摘であったと考えております。
 5番は自然公園の管理・運営を支えるための制度に関するもの、税制助成措置、受益者負担等のあり方などでございます。
 6番は自然公園の管理・運営と各主体の参加に関するもので、いろいろな機関、人と人との連携に係る議論であり、非常に大事なものであるということで、あえて最後において全体に係るものとして議論していくべきだというご意見をいただいております。
 なお、4章の今後の検討というところ、ここに6項目を中心とはするものの、幅広い論点について、さらに議論を深めていく必要があるということで、中間答申後の自然公園を取り巻く状況の変化や、例えばこの間の法改正のときの附帯決議、あるいは先般の委員会ではあえて具体的に取り上げられなかった課題についても、ご提案があれば検討内容とさせていただく所存でございます。
 なお、中間答申に書かれておりますこれら6項目の課題は、やや包括的な表になっておりますし、少し具体性に欠ける部分もございますので、資料2-3、これはA3の大きいものですが、こちらの方に各項目ごとにもう少しポイントを絞りまして、こういった点をご議論いただければどうかというものをまとめさせていただいております。まだ事務局の一案に過ぎませんが、後ほどご説明申し上げたいと思います。
 次に資料2-1に戻らさせていただきまして、2番の検討の方法でございます。
 私ども事務局といたしましては、いきなり小委員会を開催して、最終答申に向かってご検討をいただくよりは、少しくだけた形となりますが、非公式な懇談会という形式で、各課題について一通り意見交換をさせていただければどうかと考えております。と申しますのも、ご検討いただく6項目の課題はそれぞれ非常に幅が広いものですし、それぞれに重みを持っておりますので、委員の皆様からはいろいろなご意見が出ようかと思います。また、委員の皆様だけではなく、場合によってはさまざまなご専門の分野の方、あるいは各界の方々からいろいろなご意見を聞いて、参考とさせていただいたり、あるいは場合によっては実際に現地を皆さんで見ていただくということも必要ではないかと考えておりまして、いきなり小委員会でご検討いただくよりは、少し時間をかけて、これらの課題について比較的自由な形で意見交換なり、情報交換をしていただくのが適切ではなかろうかと考えております。
 また、懇談会であれば、場合によっては内部の会議ということで、非公開とすることも可能かと思いますし、議事録をとらないで議論することも可能かと思います。
 また、事務局サイドから申し上げますと、定足数に縛られませんので、開催にあたってのスケジュール設定が非常に容易であるというメリットもございますので、何とぞご理解をいただければと思います。
 次におおよそのスケジュールでございますが、夏が過ぎた9月ごろから来年の2月ごろまで、月1回程度のペースになりますけれども、6回程度懇談会を開催させていただきまして、その後、懇談会の総括あるいは外に向けての内容の公開という意味も含めまして3月頃に次の小委員会を開かせていただく。そこで今後の具体的な検討について考えていただくというところまで、現時点では視野に入れさせていただければどうかと考えております。
 外部の方をお呼びしてお話を伺うとか、あるいは現地視察につきましては、また懇談会を開催するつど検討させていただきたいと思いますが、本日、いろいろなご提案をいただければ検討させていただくことはできるかと思っております。
 回数でございますが、6項目ございましたので、各項目1回ぐらいやっていこうかと想定はしておりますが、これにつきましては議論の推移というものがありますので、柔軟に対応させていただこうと思っております。
 以上、資料2-1にあります進め方については、本日の小委員会でご同意をいただきたいと思っております事項でございますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 さらに、先ほど申し上げました資料2-3の議論のポイントについて簡単にご説明をさせていただきたいと思います。この一覧表は一番左の項目のところに中間答申の課題であった6項目を分割して記載させていただいております。それに対応する形で真ん中に各課題に対応する議論の少し具体化したポイントの案、一番右側にそのような議論をする場合にこのような資料を準備すべきではないかと思うものを例として挙げさせていただいております。順次、駆け足でご説明申し上げます。
 1番は保護及び保全政策に関するものでございますが、3つに分割させていただいております。(1)は国土における自然公園の役割の明確化です。この課題につきましては、自然公園はそもそも国民にとって、また国土の自然環境保全においてどのような役割を果たすべきであるかについて、再度整理をすべき課題であると認識しております。議論のポイントといたしましては、日本にございますさまざまな自然保護の制度を拾い上げまして、その関連を整理すること。つまり、どのような法律があって、あるいは法律に制度があって、それぞれ何を目的にどのような措置を行っているのか。また、その重なり具合や、体系はどうなっているのかを眺めてみまして、自然公園という制度がどのような位置づけであり、またそのままでいいのかというところを議論させていただければいいのかなと思っております。
 その際、当然ながら、自然公園の役割としまして、風景の保護のほかに、いろいろ話が出ようかと思います。その点についても議論すべきかと考えております。
 また、現実に自然公園は非常に多様な自然及び人文風景などを含んでおりますので、それらを一括して同一の基準あるいは方針で管理できるのどうかということから、もう一度自然公園の体系を見直してみるとか、例えば役割によって公園のタイプを分けていくなどといった新しい考え方を導入するようなことについてもご議論いただければどうかと思っております。
 次に(2)の地域指定(ゾーニング)のあり方でございますが、どのような(1)の議論になるかはわかりませんが、例えば役割ごとにタイプを分けるということになれば、重視する役割に応じて自然公園の指定の手法などをどうしていくのかという議論があろうかと思います。例えば、生物多様性保全を重視する公園であれば、重要な動物なり、植物の生息生育範囲を区域指定の最重要ポイントとするけれども、風景を重要視する公園では、見た目に見える眺望範囲を公園区域にしていくとか、そういった具体的なご議論もいただければと思っております。
 (3)は保護管理手法及び実施体制についてでございます。これはいろいろな項目が出てこようかと思います。ただ、ここには例として、例えば一つの国立公園、さらに分割してきめ細かな管理を行う管理計画の設定、これは今でも管理計画を立てるときにはそういう地域区分を行っているわけですが、これについてもう一度議論していただくとか、あるいは公園のタイプというものがもしあるとすれば、それに応じて利用許可行為、いわゆる許可がいる行為や、あるいはそこに設定できる利用計画みたいなものを変えていくとか、差をつけていくようなこと等を考えたらいいのか。
 あるいは、ご指摘がありました自然保護官、いわゆるレンジャーの適正な育成の方策。また、後にも出てまいりますが、地方自治体やボランティアをはじめ、いろいろな方々との連携方策、公園のさまざまな情報、自然科学的なもの。のみならず社会的あるいは利用情報みたいなものを蓄積するデータベースの必要性などについてご議論いただければどうかと思っております。
 続きまして、課題の2になっております自然公園利用の質的向上に関するものです。これは環境教育・環境学習及びエコツアーの2つに分けさせていただいておりますが、環境教育・学習につきましては国立公園あるいは国定公園の自然を中心とした環境教育、自然だけでなくてもいいかもしれませんが、環境教育の最適なフィールドとして活用するための具体策などを検討していただく。後者のエコツアーにつきましては、民間の事業がどんどん進んでおりますので、それらの支援策あるいは山スキーやカヌー、クライミングといった新しい利用形態が出てきておりますので、これらに対する公園計画、あるいは公園の管理における対応について、例えばそういったものについてご議論をいただければどうかと思っております。
 3番は自然公園の整備に関するものでございます。これは三つに分けさせていただいております。(1)は自然再生事業について、国立公園の中でもすでに本年度から事業が実施される予定になっておりますので、当方からのご報告に基づき、いろいろなご意見をいただくことになるのかなと思っております。
 2番の自然と調和した自然公園内の施設のデザイン、工法のあり方等については、例えば地域ごとにデザインポリシーを確立して、その実現方策をどうするかということ。あるいは、登山道等の施設の具体的な方法。あるいは標識を統一していくようなことをご提案いただいて、議論をいただければと思っております。
 次に4、科学的知見の集積・提供でございますが、公園ごとの自然情報の集積をやっていく。そして、それらを自然公園の管理に生かすための研究の方法、実際には研究機関との連携方策なり、国民への提供の方策について議論をいただければと思います。環境省の方ではモニタリング1000と称して、日本全国に自然情報なり、生物多様性情報の収集ができるサイトをつくるような予算要求も検討中ですので、自然公園の中でもそうしたものを活用できるかどうか。活用するときの方策等について、一つの案としてご検討いただきたいなと思っております。
 次に5の自然公園の管理・運営を支えるための制度でございます。このたびの自然公園法の改正で、公園管理団体の指定というものが制度化されております。その対象としてNPO等も入っておりますので、自然公園の管理等を行っている団体等への税制の優遇や助成措置。あるいは、これまでいくらか話題となっております国立公園への入園料の徴収等についてご議論をいただければどうかなと考えております。
 最後に6番の自然公園の管理・運営と各主体の参加についてでございます。(1)の地方自治体との関係の中では許認可については地方分権のときにきちっと権限が分かれて整理されておりますが、そのほかのいろいろな公園管理については、どの役割を誰がやるのかということは必ずしも明確になっておりませんので、そういったところで国が重点的に行うべき役割は何なのかということを議論していただく。あるいは、最近では大雪山とか富士山、乗鞍岳の地域で地方自治体が独自に法定外目的税を利用者から徴収しまして、公園管理を行っていくというような動きもございますので、そういったものに対して国としてどのような整合を図っていくのか。あるいは、そういった地方自治体の動きの妥当性みたいなものをご議論いただければどうかなと思います。
 そのほかにもたくさん連携していかなければいけない団体、機関、者がございますが、これらについてはこういうふうな連携をしたらいいのではないかということで、上の5項目を含めまして、いろいろなご提案をいただいて、施策の方に結びつけたいと考えているところでございます。
 議論のポイントについては、私ども事務局の一案でございますが、今簡単にご説明申し上げたとおりでございます。もっとこういった点について議論した方がよろしいということとか、あるいはこれが欲しいのではないかというご意見がございましたら、本日、ご意見をいただきたいと思いますし、もちろん懇談会までにいただいてもけっこうだと思っております。
 なお、右側の資料の一覧でございますが、これは以上の議論を行っていただく際に、私どもが用意しようと思っている資料の一覧でございます。例えば課題1におきましては基礎的な資料として、日本の社会状況のすう勢がわかるような統計資料をご用意しようかと思っております。
 また、日本にどのような地域保護制度なり自然保護制度があるかを総的に示した資料や、あるいは海外の状況がどうなっているのかということがわかる資料。そして、国民の皆さんや自治体、有識者に聞いたいろいろなアンケート内容。あるいは、これまで国立・国定公園がどのような経緯で、どのような歴史的背景で指定されてきたのか。あるいは、国立公園がいろいろ多様な状況にあるということを示すために、さまざまなデータを出すということが必要ではないかと考えております。
 ここにある資料はできているわけではなく、ほとんど私どもがこれからつくっていこうと思っているわけですので、ここにお出しできないのは申し訳ないのですが、ただ一部できています資料につきましては、先ほど課長からもご紹介いたしましたが、参考資料集ということでお配りしておりますので、お持ち帰りいただいて、時間のあるときにでも読んでいただいて、いろいろご指摘をいただけたらと思っています。
 もちろん、このほかにもこういった資料が必要だということがあれば、本日でも、また懇談会までにでもご提案いただけたらと思っております。
 これからアンケートをとらなければいけないとか、あるいは調査をしなければいけないというものにつきましても、9月まであるいは懇談会までという時間的な制約なり、予算の制約もありますが、一応対応する体制にございますので、早めにご提案いただければ、そのような調査をこれからやっていくことも可能かと思います。
 ご説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

渡辺委員長 
 どうもありがとうございました。ただいま、今後の小委員会の進め方につきまして、また、資料2-1、2-2、2-3について、説明をしていただきました。ご質問、ご意見がありましたらどうぞ。

瀬田委員 
 今、徳丸さんが説明されたいわゆる懇談会方式がいいかどうかという件で、私の経験で申し上げるならば、私が計画課長のとき、自然公園の利用のあり方審議会がございまして、十何回やったと思うんですが、ときどきはいわゆる審議会となりますが、その間は懇談会にして、一つの節目ができればそれを表といいますか、水面の上に出すということをしてまいりました。
 それはあることに対して諮問答申をするというならば、割合に方向性が見えている場合には、それのイエス・ノーあるいは修正ということになるんですが、非常に広い範囲のもので、しかもそれぞれの人の経験・体験が違うということから出発して議論するというのは、まずまとまらないのものが非常に多いだろうと思うんです。ですから、思う存分言いたいことを言い合うというのは懇談会方式がいいということが一つと、徳丸さんがおっしゃられていたけれど、それは定足数というものがいつも確保されるとは思えないということがあります。また、ほかのところの審議会、国土交通審議会の分科会に行っていますが、あり方か何かに4人ぐらいで2時間言えば、その後に議事録の修正か必ずくるということ。こっちの方の仕事なので、当然のことではありますが、非常に大変な作業になります。
 そういうことを含めて考えますと、懇談会が当分続いて、少し整理したところで審議会で議論をするという、その方が中身があるのではないかということで、とりあえず進め方についてだけ申し上げます。

渡辺委員長 
 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

岡島委員 
 私も懇談会でいいのではないかと思うんですが、ただ、これはすごいですね。6項目。これは1項目につき6回ずつ必要ではないかと思うような課題だと思うんです。1項目ずつ6回やって、収拾がつくのかどうか。それぞれのテーマがものすごく大きいわけです。場合によったらお役所の方で6人担当をつけてくれたりとか、それでもなかったらワーキンググループみたいなものがものによっては必要になってくるのではないか。そうしませんと、2時間ずつ6項目やったって、全部わかっている人がそろっていて、それの意見調整をするなら別ですが、これからいろいろ考えなければいけない課題などもあるわけですから、なかなか大変ではないかと思うので、何かそういうような補てん策を考えたらどうかなと思います。
 あり方懇談会を6回程度、1回2時間やって、この6項目をやっていくというだけではちょっと難しいのではないかという気がするんですが、何か不測の事態を考えなければいけないのではないかと思います。

渡辺委員長 
 ありがとうございました。これは回数、頻度の問題かなと思います。1、2回やって、とても足りなそうなら回数を補足するということを考えてもいいのではないかと私は思いますが、ほかの委員の皆さんはいかがでしょうか。

和里田委員 
 資料2-1を拝見しますと、15年3月に小委員会というお話なんですが、このスケジュールでこれだけのことをやった上で、これを法律ですとか、諸々の施策に反映していくことになるのだと思いますが、3月に小委員会ということは、法律は当面間に合わないわけでしょうが、その辺の施策的なスケジュールみたいなもので皆さんがお考えのことがあるならば、参考にさせていただければと思います。

国立公園課長 
 今回、自然公園法を改正いたしまして、中間答申を受けた当面の緊急にやるべき対応ということでやっておりますが、この後、全体的な制度改正に向けて、すぐにやるという感じではないというのが私どもの考えでございます。すぐといいますのは、来年の国会に向けてというようなスケジュールではないと思っております。
 逆に、今回の法改正をやりましたら、今の法律ですと5年後には見直しをしなければいけないというところもありますので、少なくとも5年後までには何かやらなければいけないというのがあります。1年ぐらい検討し、2年目にさらに制度的なものを詰めて、3年目、4年目ぐらいに全体的な方向性が出ればということは法改正的なスケジュールが考えているところでございます。
 一方で、非常に幅広い話の中でいろいろなご提言とか、新しい方向性についてご意見が出てこようかと思うんですが、そういったものについては予算措置とか、次の年度の予算獲得に向けて動いていくといったようなことも我々が期待しているところでございます。
渡辺委員長  ありがとうございました。どうぞ。

大沢委員 
 6つが並列的に並んでいるんですが、4番の、理学の立場からいいますと、自然公園管理や運営の基盤となる科学的知見の集積提供というのは、ここではモニタリング1000というのが代表として上がっているんですが、実はほかの5つの項目全部のある意味では基盤となる知見という意味で理解した方がいいのではないかと思います。例えば3番の自然再生事業のあり方なんていうのがあって、これは今年度から始まっているというお話でした。実は自然再生という言葉としては入れたとしても、しかもこれを事業としてやると言っても科学的な基礎というのは必ずしも固まっているわけではないんです。
 それから、それぞれの場所によっておそらく対応の仕方も違うし、再生をやりながら同時にモニタリングをしていって方向性を修正していくとか、そういうかなり研究的な要素を含めた形で自然再生みたいなことはこれからやっていかないと、結局、旧来の公共事業とあまり大差のないことになりかねないということもある。
 そうすると、何か並列的な6つというのは、先ほど全体6つを6回でやるのは無理ではないかという話がありましたが、ベースになることと、それから具体的な施策に結びつけていくプロセスと重層的に考えた方がいいのかなという感じもするんです。
 例えば、1番の地域指定のあり方なんかも、これが単独に議論できるわけではなくて、やはり何か科学的な根拠に基づいて現状の地域指定の問題点であるとか、そういうものが指摘されて、それに基づいて改定していくというプロセスになるのだろうと思うし、その辺がちょっと気になるんですが。

瀬田委員 
 もう一度伺いたいんですが、6回は1次リーグみたいなもので、次にトーナメントになるのではないか。6回やったら表に出て1回。これは決勝戦ではないのかと。

国立公園課長 
 事務局としては、今、瀬田委員がおっしゃったような第1ラウンド、そしてまとめをした後、第2ラウンド、さらに第3ラウンドぐらいまで行くのかなという感じはしているんですが、あまりズルズルにやっていくという話でお出しするわけにはいかないということで、今回はこういう形で第1ラウンドをやってみましょうという形でお示ししたところでございます。1回で簡単に方向性なり、あるいは重要度、プライオリティみたいなものが出てくるといいなとは思っておりますが、なかなかそう簡単にはいかないのかなというところです。
 それから、今、大沢先生からも言われましたように、一応6項目に分けたのですが、これがそれぞれ非常に関係し合っているということもございますので、一つのテーマをやっていると別の項目も考えなければいけない。それが重層的に関わってくるということが多々あろうかと感じているところでございます。

渡辺委員長 
 ということは、来年の3月、小委員会に一旦上げますけれども、これが決勝戦ではないということで、それからさらに2ラウンド、3ラウンド、1~2年腰を落ち着けて検討しようというふうに事務局の意向は聞こえたんですが、ほかの委員の方々はいかがですか。

瀬田委員 
 4年後だよな、今度は。(笑)

岡島委員 
 それならけっこうです。(笑)決勝戦だと思ったから。1回ずつ終わってしまっていいのかなと思ったんですが、最初に問題をざっと出してみて、それからというのならばけっこうです。

自然環境計画課長 
 そうお決めいただくことに何も私の方は反対はないんですが、まとめのイメージの問題というのはかなりあると思うんです。大沢委員がおっしゃったように横断的ないし基礎的な部分というのはあると思うんです。それと個別的な項目を合わせて答申の柱をどうつくっていくのかということは一方で議論されるべきこと。あるいは、事務局として作業すべきこととしてあるんです。
 もう一つは、実際はものすごい勢いで中の項目を実施すると思うんです。今年から手がけるものもいっぱいあるし、来年の予算要求に結びつけなければいけないものは、概算要求を考えると、あと1か月ぐらいで腹を決めなければいけないことがあるわけです。
 この分野について前向きの方向でやることに関して言えば、実際は加速することはあっても減速することは多分ないと思うんです。そうなると、時間をかけて検討すべきものと、とりあえず半年なら半年という形で括っていただいて事業をするものという、これは事務局の責任だと思いますが、少し整理させていただきながら、やっていきたい。ただ、ものすごく体系的にきれいに見えないと外に出さないし勝負もしないというやり方ではない方が、今、我々が置かれている、あるいは自然環境が置かれている状況からすると望ましいのではないか。だから、ある突出した部分について、これは何か懇談会あるいは小委員会の中でおもしろそうだからやってみろ、やるべきであるということはどんどん実施するという形で、行政当局とこの審議会の関係があるということでも認めていただけると、すごく動きやすくなるし、審議会の関係もよくなるのではないか。勝手な事務局のお願いですが、そういうことを考えています。

大沢委員 
 そういう意味からすると、先ほど例に挙げた自然再生事業なんていうのは、おそらく科学的な基礎は十分検討された上で開始されるのだろうと思いますし、そういうそれぞれの事業ないし施策に伴う科学的な根拠みたいなものをあらかじめ資料としてお出しいただいて、それをここでは全体的な6つの連関の中でその位置づけを検討するとか。確かに科学的なディテールにわたってここで議論してもしようがないと思うので、むしろ施策上ベースとなる科学的な知見をどういうふうに整えた上でそういうことをスタートさせているのか。そういう取り組み方みたいなところを中心に議論できたらいいのではないかというのが一つです。

渡辺委員長 
 ありがとうございました。

自然環境計画課長 
 一つの例だと思いますが、自然再生事業についてはすでにいくつかのところで取り組んで、かなり議論したりデータ集めをしながら動かしておりますので、私の立場からすればすぐにでもいいんですが、いずれ機会を与えていただければ、今の状況を説明して、この小委員会、懇談会で議論していただくということでも、我々として問題ありません。

大沢委員 
 今始まっているのはどこですか。釧路湿原というのが一つですが。

自然環境計画課長 
 事業を始めたのは釧路湿原と埼玉のくぬぎ山という、産廃の処理地を自然に戻す場所です。環境省が絡んでいるものとしては2か所です。広義の自然再生と各省が言っているものについては、それぞれのセクションでいくつかずつあるようですが。

渡辺委員長 
 このすべてについて意見がまとまらなければ何一つやるなという立場に私どもは全くないので、小野寺課長がおっしゃったように途中やるべきこと、できることがあればどんどんやっていただいたらと思います。
 それから、新聞情報では自然再生関係の議員立法が出ているとか出ていないかということを聞きました。その辺の情報があれば。

自然環境計画課長 
 与党3党では自然再生推進法という形で議員立法の法律を固めまして、できれば今国会で通したいということを考えているようです。ただ、7月になって1か月の議事日程で重要法案の見通しがはっきりしない段階なので、本当に今国会で通るのかどうか定かではありません。
 今、我々が聞いているところではとりあえず民主党は必ずしも賛成ではないということを聞いております。その中で会期との関係ですね。一体、今国会で成立するのか否かということについては、現在のところ、ちょっと微妙な段階です。

渡辺委員長 
 ありがとうございました。ほかにご意見はいかがでしょうか。

熊谷委員 
 全くの意見になってしまうかもしれないんですが、私も懇談会でやることは大賛成ですが、一方で議論するからにはいくら自由にオープンと言っても、何か落とし所がないと、1回の議論もただ発散して終わるのではちょっと消耗かなという気もちょっとするものですから、できればそもそもという話は一応置いておいて、いわゆる環境省さんのところでどうしてもこれだけはやってほしい。あるいは、やってほしいという言い方がよろしくなければ、現場ではこれが一番困っている。こういう現実の問題が起きているとか、こういう地域でいろいろな問題が起きて、これを早急に解決しなければならないということがあれば、そういうことを優先的に何か議論するようにさせていただいた方が、私はいいかなと思います。
 瀬田さんがいらっしゃいますが、前の検討では、その成果を一応冊子にまとめておられますね。あれは環境庁時代ですが大変いい出版物で、あれで一般の人というか、国民は非常に自然公園のことがよくわかった。あのときは何が課題かというと、リゾートに絡めて、保護から利用に一気に環境省は打って出ようということが明確に出ていたので、それはそれでよかったかなと思います。
 今回は生物多様性とか、あるいは自然再生とか、何かそういうことに対して環境省が積極的な、何でしょう、私の感じるところでは22世紀を先取りするような公共事業ですか。環境に金を注ぎ込む。そういうようなことをきちっとやる。
 それともう一つは、最近いろいろなところで聞いているんですが、国立公園とか自然公園を国民のだれも知らない。こういうことがいろいろなところで聞かれて、これはこういう時代において大変嘆かわしいことかなと思いますので、こういう懇談会でも、あるいは委員会の成果を出版できるような形で、是非今回もお願いしたいなと思います。
 それと、どれがメインのポイントかということに係わるんですが、先ほどの1の方の資料の中で附帯決議とあります。これに衆参両院が附帯しているものと、参議院、衆議院個別のとがありますが、これの違いがどういうことなのか。
 それから、この11項目の中で実際にはどれが非常に厳しいのか。あるいは非常に大切なのかというところをもし聞かせていただけると、私としては非常に頭の整理がしやすいんですが、もしよければその辺の附帯決議の強弱があるのかないのか教えていただければと思います。

渡辺委員長 
 ありがとうございました。それでは公園課長。

国立公園課長 
 今の附帯決議について強弱がどうなのかというご質問ですが、この附帯決議につきましては委員会の審議等で出された決議などを受けて、これは国会の方でつくられております。我々は直接関与していないということで、そういう意味では我々の受け止め方とつくられた方の重みづけは違うのではないかと思っています。
 一つは制度的なことを検討しろという部分と、今度、新しく制度になったものについてきっちりそれが進むように財政的な措置とか、人員的な措置といったような2通りに分かれているのではないかと思いますが、それぞれ重要であると我々としては思っております。

渡辺委員長 
 ほかにいかがでしょうか。

服部委員 
 いろいろスケジュールについて話があったんですけど、とりあえず項目ごとに分けても、懇談会で一つずつこなしていくというのを1通りやってみて、3月に中締めを行う。それから今後どうするかをもう1回考えるという格好だといいのかなという気がいたしました。
 全部は見比べていないんですが、今お話のありました、附帯決議の項目は懇談会の議論の中に入っているんですね。ちょっと漏れている部分があるのかなと思ったりしたんですが。
 もう一つ、資料の中身で自然公園のあり方ということで、自然公園に限定しないでというのが附帯決議の1番に入っていると思うんです。それに関連して、2-3の資料の中に入っている「懇談会での配布資料例」というところに入れてもらいたいと思うんですが、前に計画課長が説明された大きい表にあったかもしれませんが、環境に関する社会的な背景といいますか、すう勢というのが1970年のころからぐっと変わってきているんです。環境庁ができたり、それから初代の大石長官の出席されたストックホルムの国連人間環境会議があったり、あのころから随分変わってきた。あるいは環境に関する考え方が公害対策基本法から以降、環境基本法ができるころに向かって、ずいぶん変わってきている。だから、その社会すう勢や、環境に関する社会的な背景がどういうふうに変わってきているかという資料を入れていただけたらいいと思います。

瀬田委員 
 中身のことで少し申し上げますと、国立公園、さっき熊谷先生は国民があまり国立公園という意識がないとおっしゃった。私も実はそう思っていて、大分ショックを受けています。そこで申し上げると、今年国立公園の30周年になっているところはどことどことどこか。環境省の方に聞くのも失礼だけれども。6月に富山に行って帰りの飛行機の便で機内誌の中に足摺宇和海国立公園30周年の行事というお知らせが入っていたんです。他には公園はどことどこが30周年です。さすが国立公園課長で小笠原と西表だそうですが、実はそういう情報がほとんど今見えないといいますか、伝わってもこない。私の方は「国立公園」という雑誌を編集しているものですから、そこで取り上げようと思いまして、ちょっと後手に回っていますがやっています。
 ただし、昨日も小笠原に住んで二十何年の学校の先生で、自然保護に非常に熱心な方と国立公園の話をしましたが、国立公園なんて島の人はほとんど考えていない。西表もそうです。西表にも私の方の研究員が1人おりますが、話によれば島民の多くが国立公園30周年については、全く意識にない。国立公園であることは目の前にそういう規制がかぶっているということでわかりますが、もう少し広い見方をすると国立公園の中に人がいないんだからという。西表もきっとそうなんですね。住民がいないのではないですか。だから、島人と国立公園という関係をもっといろいろと語ろうということがない。
 このテーマの中にも残念ながら科学的なこととか自然のことは書いてありますが、島の人たちと国立公園という意識はあまりここにはないんです。そういうところは国立公園がどんどん遠くになってしまいますし、利用する側の人たちもどこが国立公園かわからないということから、国立公園に行ったことがありますかという質問をしても、ないと返ってくるんです。ここに行っただろうと言ったら、「あそこは国立公園ですか」という話なんです。ここにある資料で「国立公園を知っていますか」と言ったら、99%はそうだと言っているけれど、それは一種の枕詞にすぎない。あるかないかを知っているだけのことです。本当に行って、そこの国立公園が何という名前の国立公園で、そこでだれが何をどうしているかということが全くわかっていないのではないかというところが、実はこの自然公園のあり方のスタート台だと私は思っています。
 大沢先生は自然科学の面から横断的とおっしゃったんですが、私はそういう国民の意識というものを横断的にいろいろなところに取り入れてやっていただければと思います。

服部委員 
 私も役人を長いことをやっていて、自分のやっていることは国民に理解してもらっていないのではないかということで非常にがっくりすることがあったんです。今のご意見で国立公園が大切なのか、そこにある自然環境が大切なのか。あるいは、そこを利用する人たちが多ければいいのかというあたりは、1回議論してみた方がいいかもわからない。
 環境省の国立公園課長としては何々国立公園を国民が知っているか知らないかは非常に重要なことだと思うんです。だけど、何々国立公園を知っていることと、そこを何も知らずに自然環境なり景観を楽しんでいるということと、どっちも大切なのか。何が大切なんだ、優先順位はどうなんだというあたりは、今の瀬田委員の話を聞いてもう1回考えてみる必要があるのではないかという気がしたんです。要は国民と自然にとってどうかということなんです。

熊谷委員 
 申し訳ありません。私が言いだしたことなので責任をとりますけど、実はこのあり方の課題を見ていますと、NGOであるとか、あるいはいろいろな地方自治体も含めて、基本的にはお金と人と国民の理解と協力を求めてこれからいろいろ進めていくということが非常に重要な柱になっていると思ったものですから、そのためには国立公園を知っておいてもらわないと、ということを申しました。国民の理解がないと、そもそもこの懇談会の成果が現実とは乖離してしまって、政策として成立しないのではないかということがあるので、国民にできるだけ知ってもらった方が施策がやりやすいよ、と、こういうかなり次元の低いレベルで私は申し上げているつもりですので、ちょっとお話し申し上げました。
 それから、やはり何と言っても制度の基本になっているところは、やはり法改正というところで、私は法改正というのは大変重たいものだと思っていますので、実際に今回、利用調整地区を法改正までこぎつけたということで一安心しないで、できれば懇談会の中でもう、実際に法改正が行われた、そういう条件の下で議論すべきかなと思っております。
 つまり、前回は法を改正することを目的で来ましたから、とりあえずそれが最終着地点だったわけですが、今度はそこからどうするかというようなことで、この課題を見直したらどうかと私自身は思って、それは重要なことかなと思っております。以上でございます。

渡辺委員長 
 そろそろ時間が迫ってまいりました。これからもぜひ自然公園のあり方検討の今後の進め方、資料2-1に集約してご意見をいただきたい。今までのご意見を伺ったところでは、大筋これでよいのではないか。もちろん15年3月は決勝戦ではない。第1ラウンド、月1回で懇談会を進めていったらどうか。その中で今いただいたような幅の広い議論を深めていただいたらどうかと思いますが、どんなものでしょうか。その点について、特にご意見があれば、伺いたいと思います。
(特に発言なし。)
 それでは、資料2-1はこれでよろしいということで、9月以降、月1回程度のペースで会を懇談会形式で開いていただくということにさせていただきます。
 どうもありがとうございました。議論はそれ以降、懇談会の中でよろしくお願いいたします。事務局の方、よろしいでしょうか。
 では、ありがとうございました。今日の小委員会はこれで閉じさせていただきます。ありがとうございました。

午後 2時15分 閉会