中央環境審議会自然環境部会 自然公園等小委員会議事要旨 (第30回)
1.開催日時
平成27年6月29日(月)10:00~11:45
2.開催場所
環境省第二・三会議室(19階)
3.議題
(1)国立公園の公園計画の変更について【諮問】
・富士箱根伊豆国立公園(伊豆半島地域)
(2)国立公園事業の決定、廃止及び変更について【諮問】
- ・支笏洞爺国立公園
- ・三陸復興国立公園
- ・磐梯朝日国立公園
- ・上信越高原国立公園
- ・秩父多摩甲斐国立公園
- ・富士箱根伊豆国立公園
- ・中部山岳国立公園
- ・妙高戸隠連山国立公園
- ・吉野熊野国立公園
- ・大山隠岐国立公園
- ・西海国立公園
- ・雲仙天草国立公園
- ・阿蘇くじゅう国立公園
- ・慶良間諸島国立公園
4.議事経過
諮問事項すべてについて審議がなされ、それぞれ適当であるとの結論に至った。なお、主要な発言は以下のとおりである。
(1)国立公園の公園計画の変更について(諮問)
○富士箱根伊豆国立公園(伊豆半島地域)
特になし。
(2)国立公園事業の決定、廃止及び変更について(諮問)
○札幌中山峠線道路(車道)の変更について(支笏洞爺国立公園)
委員:混雑度の改善について、どのように事後評価を行うのか。また、この混雑の緩和によるその先への利用の集中に関して、何か配慮すべきことはないのか。
事務局:交通対策協議会で議論され決定された計画なので、事業決定に伴って工事がされた場合にも、この協議会において事後の評価とフォローアップがされるものと思われる。利用の集中に関しては、今回の渋滞が緩和されることにより、すぐ先のどこかがオーバーフローしてしまうということは想定していない。ただし、想定の範囲でしかないので、実際にそういうことがある場合には、これらの協議会と当省等でも十分に調整し、対策を考えて行きたい。
事務局:拡幅する先は道路周辺も第1種特別地域になるが、その先は拡幅する必要はないということを確認している。
○浄土ヶ浜道路(車道)の変更について(三陸復興国立公園)
委員:道路の拡幅に対する景観上の配慮はされているのか。
事務局:伐採は必要最小限とし、盛り土も在来種によって修景していくほか、既存のアカマツ林などの景観については、極力復元していく方向性である。
委員:今回の場合、一方通行の道路を上手く利用して遊歩道を整備するということだと思うが、みちのく潮風トレイルとの関係はどうか。
事務局:浄土ヶ浜区間については来月くらいに開通する予定であり、ルートの詳細はまだ把握していないが、事故のないように配慮していきたいと考えている。
委員:一方通行ということでよいか。
事務局:一方通行はシーズン中だけであったと思うが、確認して後ほど回答したい。
○志田浜宿舎の変更について(磐梯朝日国立公園)
委員:廃屋が増え、改善が必要だということで、これを取り壊すことは良いと思うが、そこに「ふくしまこどもプロジェクト」というものが関わると書いてあるので、そのプロジェクトの関わりを紹介して欲しい。
事務局:事業者であるゼビオが土地一帯を購入し、新たにアクティビティーを主体にした施設を整備するという中の重要なコンセプトがこの「ふくしまこどもプロジェクト」である。猪苗代湖は放射能の影響もないとされている地域であり、現在、被ばくの恐れから外で遊ばないようにしている子供たちに安全な場所を用意したいというものであり、単に廃墟を撤去して、宿舎を整備するのみならず、のびのびと遊べる場所として、志田浜の浜での遊びや、林間広場での林の中での遊びというものを提供しようというもの。そのため、夏の利用の繁忙期のみならず、冬の間も、小・中・高校の運動合宿などを誘致して、宿泊してもらうというような計画となっている。
○恋人岬園地の決定について(富士箱根伊豆国立公園)
委員:最近整備されたボードウオークについて、実際は非常に規模が大きい施設だと思うが、この施設を整備する際に景観上の議論があったかどうか教えていただきたい。
事務局:県知事権限の頃に整備されたものであり、その議論については踏襲していない。
事務局:恋人岬の施設については、全て県知事権限で許可しており、環境省権限ではないので、県で景観等を配慮、検討し、整備されているものと認識している。
事務局:法定受託事務として都道府県にその権限を委任しており、環境省として調整したものではない。
○後立山連峰縦走線道路(歩道)の変更について(中部山岳国立公園)
委員:歩道を延長することと、山岳トイレの整備というのはどのように関係しているのか。
事務局:歩道を延長し、その付帯としてトイレを整備するものであるが、この間の区間を国立公園の施設として公式に位置付けることで補助金の対象となる。この山岳トイレについても自然環境整備交付金の2分の1補助の対象になっている。
○天狗原奥西山線道路(歩道)の決定について(妙高戸隠連山国立公園)
委員:歩道の整備で公園外になっている奥裾花自然園まで公園を拡幅することはできないか。
事務局:妙高戸隠連山国立公園を分離する際の拡張候補地の一つであったが、スケジュールの関係で間に合わず、断念したエリアである。歩道とも一体性があるとのことなので、次回点検時に改めて地元の方と調整し、編入の検討を進めていきたい。
○赤倉山南麗園地の決定及び赤倉山南麗線索道運送施設の決定について(妙高戸隠連山国立公園)
委員:赤倉山南麗園地の案件と赤倉山南麗線索道運送施設の案件は連動していて、利用者からすると繋がった利用になると想像するが、木道は1時間あたり200人の想定滞留人数でキャパは十分と書いている一方、索道は毎時3,000人の輸送が可能となっている。多くの方が来られると想定されるミズバショウの時期にどれくらいの利用者を想定していて、200人で十分としたところの根拠は何か。
事務局:8月に28日間の運行をした場合の利用計画を立てており、これで大体1日あたり300人となっているので、利用と受け入れ側の対応が取れていると考えている。
事務局:赤倉のスキー場では、このゴンドラで、大体夏期に100人~200人の利用が記録されているので、この利用者数を参考にして、200人ということを想定している。
事務局:今後事業として執行していくうえで、想定していない事態が起きた場合は、索道事業あるいは園地事業と調整をとりながら、どのように対処していくかというのは今後チェックしていくポイントであると考えている。
○通夜島園地の変更について(吉野熊野国立公園)
委員:地図を見ると、真ん中に畑のようなものが見えるが、現在も畑として利用しているのか。また、将来的にテントによる宿泊なども計画されているようだが、その場合は、利用計画が別途出てくるものか。
事務局:かつて町から地上権を借り上げた個人が花卉園芸植物の苗畑として利用していたが、現在は地上権も含めて町の土地として管理され、特段の使用はされていない、無目的の町有地となっている。跡地については、教育旅行の中でアクティビティーに使う程度の予定しかないが、キャンプ等を今後どうしていくかについては、まだそういうことが想定されているという段階であり、園地のままキャンプをするのが適切かどうかという議論もあるので、今後の実施状況を踏まえて、必要であれば、そういった計画の変更も含めて議論されていくものと考えている。
委員:北側にあるサンゴと桟橋北側の関係を教えていただきたい。
事務局:サンゴについては、桟橋のある北岸から北に離れた地区に群落があるので、桟橋自体がそういったサンゴ礁であるとか、貴重な生態系を破壊するということはない。また、施工の際には実際に詳細な調査を行い、最も影響の少ない場所、かつ安全な場所を選定するよう執行の協議を行う。
委員:「通夜島を丸ごと自然体験の場」について、園路以外も利用して良いという考え方なのか、または今後そういう考え方で運営していくということか。
事務局:園路については島を一周するような形になっており、ここを子供達がガイド等を伴いながら歩いていくことになるが、船がなければ行けない場所であり、計画的に訪れる利用が前提になるため、野放図に歩いたりというおそれはないと考えている。
○赤尾園地の決定について(大山隠岐国立公園)
委員:現在、ここの園地はどういう状況にあって、どう利用されていくのか具体的に説明して欲しい。
事務局:取付道路のロータリーの先端に展望台が延びており、決定区域は展望台の周りを含む0.3haという整理になっている。周辺も決定区域とした理由は、注意喚起の標識や柵などを立てるとともに、この範囲内で楽しんでいただくことを周知する看板を設置するためである。この場所から国賀の景観を見たうえで、実際に国賀に行って、歩道等を歩いていただくという利用を考えている。
委員:この展望台にも行ったことがあるが、到達するまでの間にサインとかはなかった。どういう国立公園で、ここから見るべきものは何なのか、そうしたことがわかるものを充実させるべき。
事務局:隠岐島については、地元でジオパークの認定を取っており、今後、解説板を設置するなど受け入れ体制を充実していくと聞いている。また、環境省でも今から1年半ほど前に隠岐島に初めてレンジャーを配置し、地域と一緒にジオパークを含めて国立公園の活性化に取り組んでいるので、今の御指摘を踏まえ、そうした点を充実していきたいと考えている。
○志々伎宮ノ浦線道路(車道)の変更について(西海国立公園)
委員:トンネルがいつ完成するのか教えていただきたい。また、トンネル完成後に旧道となる道路の利用についてどのように考えているか教えていただきたい。
事務局:トンネルの工事は平成31年度に終了する予定となっている。限界集落が多く、旧道は生活道路として残さなくてはならないので、バイパス主体となりつつも、一定の道路は残ると思うが、使用されない廃道については、撤去し、緑化するということが西海地域の管理計画で定められている。
○阿嘉西海岸線道路(歩道)の決定について(慶良間諸島国立公園)
委員:国立公園になる前後で、慶良間諸島全体の観光客の入込数はどの程度変化しているのか。
事務局:指定されて間もないので正確な数字は集計されていないが、現地の自然保護官が関係者に聞いたところ、18万~25万人までに利用者が増えているとのこと。
○阿波連海岸園地、古座間味園地及び阿真野営場の決定について(慶良間諸島国立公園)
委員:ウミガメの産卵場の保全についてどのように考えているか。
事務局:現在は地域の方々が主体となり、現地の保全を行っている。
事務局:今後は、園地事業として環境省の関与もしやすくなるので、環境省としても徐々にではあるが、地域の方々との連携を深めて取り組んで行きたい。
○その他
委員:説明では「誰が利用するか」、「どのような利用形態か」、「どれくらいの利用頻度か」ということを押さえ、実態をできるだけリアルにしようという表現よりも、具体的な説明をしていただきたい。
小委員長:委員の皆様は景観や自然環境への影響を一番懸念しているので、利用の把握、その点の調整をお願いしたい。
小委員長:ここのところ利用集中が進み、それに関して何割程度のサービスレベルにするのか、そうした点について懸念が出てきているほか、ハード整備とともにソフトをも展開し、適正利用を推進して欲しいという要望・意見も多かったので、地元との調整を含めて、その点にも目を配っていただきたい。
5.問い合わせ先
環境省自然環境局国立公園課(03-5521-8279)
課長 岡本 光之(内線6440)
課長補佐 河野 通治(内線6650)
計画係長 小林 誠(内線6691)
事業係長 新田 一仁(内線6692)