中央環境審議会自然環境部会 自然公園小委員会議事要旨 (第28回)
1.開催日時
平成26年7月23日(水)14:00~16:00
2.開催場所
環境省第二会議室(19階)
3.議題
(1)国定公園の公園区域及び公園計画の変更について【諮問】
- ・丹沢大山国定公園
- ・玄海国定公園(福岡県地域)
(2)国立公園事業の決定、廃止及び変更について【諮問】
- ・釧路湿原国立公園
- ・三陸復興国立公園
- ・尾瀬国立公園
- ・富士箱根伊豆国立公園
- ・大山隠岐国立公園
4.議事経過
諮問事項すべてについて審議がなされ、それぞれ適当であるとの結論に至った。なお、主要な発言は以下のとおりである。
(1)国定公園の公園区域及び公園計画の変更について(諮問)
○丹沢大山国定
委員:公園計画変更に至った理由や利用者数のデータなど、具体的根拠がよくわからない。
事務局:国定公園であることから、県や関係市町村の調査結果等を踏まえ、現状に見合った公園計画に変更するものであり、県と十分な調整を行ったものである。現在は利用者が少なくとも自治体の整備の意向を踏まえて計画に追加するものもある。
委員:登山道や野営場の廃止について、どのように利用者に周知しているか。
事務局:周知については、県や市町村によりなされている。
委員:公園計画の変更によって、例えばオーバーユースの問題がどのように改善されるのか、その見通しを説明いただきたい。
委員:変更する施設について、どのくらいの利用者を想定しているのか。また、想定を超える入り込みがあったときの対応等、施設の計画と管理の計画の関係はどうなっているか。
事務局:今回の公園計画変更は、今後の利用者動向の想定をもとにしたものというより、利用者の踏圧等による土壌流出等の諸課題について対応を図ろうとするもの。国定公園であることから管理の計画は神奈川県が策定しているところ。
事務局:丹沢大山国定公園は、ハイキング等利用者の増加、関東ローム層で雨による土壌浸食が激しいこと、シカの被害があること等で登山道に影響があり、公園計画を見直すもの。自然公園は都市公園と違って、入場をコントロールすることが難しいが、現在、利用者数を把握するために必要に応じて、入山カウンターの設置により利用者数の把握を進め、対策の検討に活用しようとしているところ。
委員:廃止された歩道を今後具体的にどうするのか。
事務局:今回廃止する歩道については、一つは国有林内であることから国有林の林道として位置づけるため廃止するもの。もう一つは、土砂崩れにより既に通行止めになっており、付近に代替の歩道があることから、利用上も問題ないと考えられるため廃止するもの。
委員:資料の作りかたを検討してほしい。公園計画変更の理由や根拠がわかるようお願いしたい。
事務局:次回からの説明資料について、ご指摘の点を踏まえて、説明方法や説明資料を工夫したい。
○玄海国定公園(福岡県地
委員:再検討、第一次点検という用語の意味を教えていただきたい。
事務局:再検討とは、指定当初の公園計画等の全般的な見直しを行うものであり、点検とは、概ね5年ごとに実施する公園計画等の見直し作業である。また、一部変更とは、災害等の緊急的な事情により公園計画等の一部について見直すことである。
委員:玄界島について、地震の影響による削除とあるが、具体的にどのような影響があったのか。
事務局:地すべりによって地形が変化したことで削除するもの。
委員:市街地化により公園区域が削除された代わりに、新たに公園区域を追加することはあるのか。単に区域が減って行くのか。
事務局:普通地域や第三種特別地域については、核心地域を守るバッファーゾーンの意味合いもあり、開発等によって公園としての資質が失われ、削除の対象になることもある。今回の変更については、干潟の部分を拡張しており、個々の区域というより、公園全体で守るべき区域を決定している。
事務局:一方的に区域が減るというのは避けるべきである。区域を増やせる場所はどこか、保護を強化できる区域はどこか、今後も公園全体の視点で考えて公園計画の変更にあたる。
委員:糸島市二丈福井において、第2種特別地域を普通地域にするところについて、消波ブロックの整備の際に、国土交通省との調整はなかったのか。
事務局:県に許可権限があり、公益性があるものとして国交省との調整により許可されたもの。
(2)国立公園事業の決定、廃止及び変更について(諮問)
○達古武地域自然再生施設の変更について
委員:達古武地域自然再生施設について、国立公園外であるという理由から、区域面積に達古武湖集水域の南側が含まれていないが、問題はないのか。
事務局:国立公園内ではないことから環境省が主体となって取り組むことは難しいが、他の団体の取組に対して支援や情報提供等を行いたい。
委員:農林業のあり方も考慮して事業を行わなければ再生が進まないのではないか。自然再生の方向性をどのように考えているのか。当該地は自然林というよりは二次林であったと聞いているが、目指すべき森林、植生や生態系のあり方を説明いただきたい。
事務局:流域全体の約7割の約1630ヘクタールが針広混交林、12%の300ヘクタールがカラマツ林であり、環境省ではカラマツ林を針広混交林化する取組を中心に行っている。具体的には、広葉樹を積極的に残し、そこから採取した種子を環境教育プログラムをからませながら苗木として育成し植林活動も行っている。畜産排水の流入の課題もあり、水質調査など因果関係の調査も含めながら、自然再生協議会においてデータを提供するほか、関係者への協力を要請するなどして、総合的に対策を行っている。国立公園外の集水域においても関係者やNPO と連携しながら全体としての自然環境の改善に取り組んでいるところ。
○鳩待峠駐車場の決定について
委員:鳩待峠駐車場の第2駐車場について、拡張する面積は第1駐車場で失われる分を増やすものなのか。それとも現状の車両の入り込み数を考慮した面積なのか。
事務局:第1駐車場と同じ面積、収容能力で整備するものである。
○石廊崎園地の変更について
委員:石廊崎園地について、再整備計画の具体的内容を説明していただきたい。
事務局:南伊豆町が民間から土地を買い上げ、再整備を進めていくが、具体的な計画は策定されていない。今後、自然保護官が検討会に出席し、地域とともに再整備計画の検討を進める。
○大山寺三鈷峰線道路(歩道)の廃止について
委員:大山寺三鈷峰線道路(歩道)を廃止するということは今後管理をしないという意味か。利用したい人は自己責任でということか。
事務局:地元の遭難防止協会等が利用自粛を求めていることもあり、管理しないというよりは利用させないという考え方である。
委員:大山の山頂部は立入禁止になっていたと思っていたが、現在はどのような状況なのか。
事務局:大山は非常に崩壊が激しいところで、山頂から霧ヶ峰にかけての稜線沿いを、二十年前に県警が通行止めにした。公園計画にも入っていたが廃止して登山道としては認めないこととした。今回廃止する歩道についても、近年事故が多くなってきたことから、積極的に整備することとはしないこととして廃止するもの。
委員:大山寺三鈷峰線道路(歩道)の廃止に伴って、登山道沿いのユートピア避難小屋も廃止となるのか。
事務局:ユートピア避難小屋をかすめて通っている別な登山道があるので、避難小屋は廃止にはならない。
○その他
委員:国立公園事業の決定書、廃止書及び変更書について、書き方の改善が必要ではないか。具体的な変更内容や理由等を記載すべきではないか。他の添付資料により、後生の人間にも変更した理由等が分かるようになっているのか。本日の口頭説明やパワーポイント資料の情報は何らかの形で残されるのか。
事務局:審議会の説明資料は全て残される。このほか地方事務所から調書として保存されている。
事務局:官報に告示するものと、後世の人間にも経緯が分かる資料とを整理をしながら、決定書、廃止書及び変更書の書き方の改善を検討したい。
委員:丹沢大山国定公園公園計画変更書の中で、登山歩道やハイキング歩道と記載されているものが、変更後は全て登山道と統一して記載されている。この用語の使い分けを説明いただきたい。
事務局:法律上の名称があり、キャンプ場を野営場、広場を園地という。同様にハイキング歩道も登山歩道は全て歩道である。個別の歩道にどういう名称をつけるのは法律上の扱いではないが、利用者に分かりやすい名称で整理していくことになる。ただし、ハイキング道はあまり馴染みがないことや、登山道についても整備水準の議論もあり、どのような整備をしているかが名称に密接に関わる課題である。公園毎に地域の関係者の意見も踏まえて決定している。
5.問い合わせ先
環境省自然環境局国立公園課(代表03-5521-8278)
課長 岡本 光之(内線6440)
課長補佐 長田 啓(内線6650)
係長 尾﨑 絵美(内線6691)
係長 小谷 芙蓉(内線6692)
環境省自然環境局自然環境計画課(代表03-5521-8272)
課長 鳥居 敏男(内線6430)
課長補佐 野木 宏祐(内線6439)