中央環境審議会自然環境部会自然公園小委員会(第24回)議事録
開催日時
平成24年12月19日(水)10:00~12:00
開催場所
環境省第一会議室
出席委員
(8臨時委員、1専門委員)
岡島 成行 | 臨時委員 |
小泉 武栄 | 臨時委員 |
桜井 泰憲 | 臨時委員 |
敷田 麻実 | 臨時委員 |
下村 彰男 | 小委員長 |
高橋 佳孝 | 臨時委員 |
速水 亨 | 臨時委員 |
宮本 旬子 | 臨時委員 |
小林 寛子 | 専門委員 |
議題
- 開会
- 議事(諮問案件)
- (1)阿寒国立公園の公園計画の変更及び生態系維持回復事業計画の策定について
- (2)国立・国定公園の公園計画の変更について
・瀬戸内海国立公園(大分県地域) ・瀬戸内海国立公園(山口県地域)
・天竜奥三河国定公園 - (3)国立公園事業の決定、廃止及び変更について
・阿寒国立公園 ・釧路湿原国立公園 ・南アルプス国立公園
・上信越高原国立公園 ・中部山岳国立公園 ・瀬戸内海国立公園
・阿蘇くじゅう国立公園 ・霧島錦江湾国立公園 ・屋久島国立公園
- その他
- 閉会
配付資料一覧
○議事(1)関係
- 資料1:
- 阿寒国立公園の公園計画の変更及び生態系維持回復事業計画の策定に関する資料
-
- 1-1:
- 阿寒国立公園の公園計画の変更案の概要
- 1-2:
- 阿寒国立公園 公園計画書(案)
- 1-3:
- 阿寒国立公園の公園計画の変更に関する説明資料
- 1-4:
- 阿寒国立公園 阿寒生態系維持回復事業計画(案)
- 1-5:
- 阿寒国立公園 オンネトー湯の滝生態系維持回復事業計画(案)
- 1-6:
- 生態系維持回復事業計画の策定に関する説明資料
○議事(2)関係
- 資料2:
- 国立・国定公園の公園計画の変更に関する資料
-
- 2-1:
- 瀬戸内海国立公園(大分県地域)の公園計画の変更案の概要
- 2-2:
- 瀬戸内海国立公園(大分県地域) 公園計画書(案)
- 2-3:
- 瀬戸内海国立公園(大分県地域)の公園計画の変更に関する説明資料
- 2-4:
- 瀬戸内海国立公園(山口県地域)の公園計画の変更案の概要
- 2-5:
- 瀬戸内海国立公園(山口県地域) 公園計画書(案)
- 2-6:
- 瀬戸内海国立公園(山口県地域)の公園計画の変更に関する説明資料
- 2-7:
- 天竜奥三河国定公園の公園計画の変更案の概要
- 2-8:
- 天竜奥三河国定公園 公園計画書(案)
- 2-9:
- 天竜奥三河国定公園の公園計画の変更に関する説明資料
○議事(3)関係
- 資料3:
- 国立公園事業の決定、廃止及び変更に関する資料
-
- 3-1:
- 国立公園事業の決定、廃止及び変更案件の概要(一覧)
- 3-2:
- 国立公園事業の決定書、廃止書及び変更書(案)
- 3-3:
- 国立公園事業の決定、廃止及び変更案件に関する説明資料
議事録
午前10時00分 開会
○司会 ただいまより中央環境審議会自然環境部会自然公園小委員会を始めたいと思います。
開催に先立ちまして、本日の出席人数のご報告をいたします。本日は、所属の委員、臨時委員11名のうち6名の先生方ご出席をいただいておりますので、本委員会は成立いたしております。
本日の審議のためにお手元にお配りしております資料につきまして、配付資料一覧のとおりとなっております。確認をさせていただきたいと思います。
議事(1)の関係では、資料1-1「阿寒国立公園の公園計画の変更案の概要」、資料1-2「阿寒国立公園 公園計画書(案)」、資料1-3「阿寒国立公園の公園計画の変更に関する説明資料」、資料1-4「阿寒国立公園 阿寒生態系維持回復事業計画(案)」、資料1-5「阿寒国立公園 オンネトー湯の滝生態系維持回復事業計画(案)」、資料1-6「生態系維持回復事業計画の策定に関する説明資料」になっております。続きまして、議事(2)の関係に参りまして、資料2-1「瀬戸内海国立公園(大分県地域)の公園計画の変更案の概要」、資料2-2「瀬戸内海国立公園(大分県地域) 公園計画書(案)」、資料2-3「瀬戸内海国立公園(大分県地域)の公園計画の変更に関する説明資料」、資料2-4「瀬戸内海国立公園(山口県地域)の公園計画の変更案の概要」、資料2-5「瀬戸内海国立公園(山口県地域) 公園計画書(案)」、資料2-6「瀬戸内海国立公園(山口県地域)の公園計画の変更に関する説明資料」、資料2-7「天竜奥三河国定公園の公園計画の変更案の概要」、資料2-8「天竜奥三河国定公園 公園計画書(案)」、資料2-9「天竜奥三河国定公園の公園計画の変更に関する説明資料」になっております。議事(3)の関係になりますが、資料3-1「国立公園事業の決定、廃止及び変更案件の概要」、資料3-2「国立公園事業の決定書、廃止書及び変更書(案)」、資料3-3「国立公園事業の決定、廃止及び変更案件に関する説明資料」になっております。
配付漏れ等ございましたら、お願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
それでは、初めに、自然環境局長の伊藤よりご挨拶申し上げます。
○自然環境局長 本日はお忙しい中、中央環境審議会自然環境部会自然公園小委員会にご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
今回の小委員会では、国立・国定公園の公園計画の変更、生態系維持回復事業計画の策定、公園事業の決定、廃止及び変更について諮問させていただきたいと考えております。阿寒国立公園につきましては、マリモの生息地や火山景観を特別保護地区に指定して保全を強化し、また、エゾシカ及び外来魚による生態系被害への対策のため、それぞれ生態系維持回復事業計画の策定を行いたいと考えております。
また、瀬戸内海国立公園において、初めて海域公園地区を指定して、アワサンゴや藻場等を保全するとともに、ジオパークの動きと連携した地形・地質の保全や適正な利用の増進を図り、また天竜奥三河国定公園においては、利用の集中する箇所について適正な管理を行うため、それぞれ保護規制計画と利用施設計画の変更を行いたいと考えております。
また、国立公園の事業決定等につきましては、公園計画の変更などに伴う公園事業の形式上の整理が58件あり、その他、中部山岳国立公園の歩道事業の決定などが12件、合計70件を諮問させていただきたいと考えております。
国立公園につきましては、言うまでもないことでございますけれども、我が国、そして世界の宝であると考えております。この国立公園の魅力を向上し、また、きちっとした格好で将来世代に残していくというのは、本当に環境行政の極めて重要な課題だと考えております。
そういった観点からも、今回のような国立公園の定期的な見直しを着実に実施していくことが、国立公園としての底力を充実させていく意味でも、非常に重要になっていると考えております。
今日、ご審議していただく事項につきましては、国立・国定公園を管理していく上で、極めて重要な案件だと考えております。忌憚のないご意見をお願い申し上げたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○司会 それでは、これよりの議事進行につきまして、下村委員長にお願いいたします。
下村委員長、よろしくお願いいたします。
○下村小委員長 皆さん、おはようございます。年が迫った慌ただしい時期にご参集いただきまして、ありがとうございました。今、局長からご紹介ありましたとおり、全国各地からかなりの数の案件がありますので、年末にも関わらずご参集をいただくということになりました。
それぞれの案件は、各地域あるいは各公園の事情に準拠するものですけれども、もちろん、先ほどの局長のお話にありましたとおり、公園に対する要請の変化に対応するですとか、新しい生態系との関係を構築するといった場合や全国的な視野がやっぱり重要だと思うのですね。ちょうど、まだまだ審議、議論されていると聞いていますけれども、地域主権、地方分権、道州制という議論の中にあって、国立・国定公園というのが全国的あるいは国際的な視野において非常に重要だということを、ぜひ示していく必要もあろうかと思いますので、今日はそういった視点からも活発にご議論をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
本日は、国立公園の公園計画の変更に関する諮問が4件、生態系維持回復事業の策定に関する諮問が2件、公園の事業の決定、廃止及び変更に関する諮問が70件ございます。あと、後ほどご説明がありますが、70件のうち50件は屋久島国立公園の分離独立に伴う形式的なものですので、今回は説明が必要なものを中心に説明していただいて、ご審議をいただくという形になろうかと思います。
議論としましては、この議事にありますとおり、最初に阿寒国立公園の公園計画の変更と生態系維持回復事業をあわせて審議し、それから国立・国定公園の公園計画の変更を審議します。それから、公園事業の決定、廃止及び変更についてかなり数が多くなりますけども、20件弱のご説明をいただいて、ご審議をいただくということにしたいと思います。
本日の委員会は、公開で行いますので、報道関係者や傍聴の方も同席しておられます。会議録は、後ほど事務局で作成し、本日、出席の委員の了承をいただいた上で公開するということになります。
なお、議事要旨につきましては、事務局が作成したものを小委員長が了承した上で公開することをご了承願いたいと思います。また、会議資料につきましても公開となります。
それでは、早速審議に入って参りたいと思います。
まず、阿寒国立公園の計画の変更について、事務局から説明をお願いします。
○国立公園課計画係長 国立公園課計画係長の桝と申します。よろしくお願いします。
初めに、阿寒国立公園の公園計画の変更に関する諮問内容をご説明させていただきます。
阿寒国立公園は、昭和9年12月に日光、中部山岳、阿蘇とともに指定され、その面積は約9万ヘクタールとなっております。景観の特徴は、火山と森と湖からなる原始的で神秘的な景観を有するという点です。
阿寒国立公園は、指定以降、昭和52年に公園計画の全般的な見直しを行い、その後、昭和62年、平成5年、平成10年に、それぞれ自然的社会的条件の変化を踏まえ、保護規制計画や利用施設計画の見直しを行う点検というものを行っております。今回の公園計画の変更は、これに続く第4次の点検として行います。
今回、変更のポイントは4つです。一つは、特別保護地区の拡張を3カ所、二つ目に車道周辺の針広混交林の風致を保全するための地種区分の変更、そして歩道を中心とする利用施設計画の変更のほか、生態系維持回復事業の追加を行います。
まず、特別保護地区の拡張からご説明いたします。阿寒湖の東側の陸地から50メートルの水域について、マリモを含む水草類の生息環境を厳正に保全するため、特別保護地区を約16ヘクタール拡張いたします。
なお、このマリモがこのように球状になって分布している場所は、阿寒湖畔のほか、チュウルイ湾とキネタンペ湾の2カ所ございますが、それらは既に特別保護地区となっております。
また、本公園の南端、雌阿寒岳の麓にあるオンネトー湯の滝では、藻類と共生するマンガン酸化細菌により、温泉水中のマンガンが二酸化マンガンとして地表に固着して、滝の周辺が黒色になっております。こういった生成現象は、陸上で最大規模と言われ、この特徴的な景観を厳正に保全するため、この湯の滝を含む5ヘクタールを特別保護地区に指定するものです。
なお、湯の滝では、外来魚によりマンガン生成現象のもととなる藻類が食べられるという問題が生じておりますが、特別保護地区に指定することにより、外来魚の放流が規制されることになります。
さらに、摩周湖と屈斜路湖の間に位置する硫黄山についてですが、噴煙が上り硫黄の結晶が見られる火山で、標高200メートル程度にも関わらずハイマツが見られ、麓には白いイソツツジ群落が見られるなどの景観を有しており、特別保護地区に指定されております。
今回、硫黄山の二つある山の谷の部分につきまして、治山工事の終了によって、山体が安定して植生が回復し、周囲の特別保護地区と一体的な景観となったため、18ヘクタールを特別保護地区に指定するものです。
また、川湯集団施設地区という利用拠点がありますが、そこに至る公園利用上重要な車道周辺で、トドマツ、アカエゾマツに加えてミズナラ、ハルニレなどの針広混交林が見られる区域を、第3種特別地域から第2種特別地域に変更いたします。
さらに、同様に、川湯から網走方面に抜ける公園利用上重要な道路、弟子屈野上峠線道路周辺、網走川湯線道路周辺についても第3種特別地域から第2種特別地域に変更をいたします。
次に、利用施設計画関係の変更でございます。阿寒湖畔集団施設地区は、公園の西側の重要な利用拠点となっております。これまで、この集団施設地区について四つの整備計画に分けて整備方針を定めていたものを、一つの整備計画に統合するものです。
その理由は、利用拠点である阿寒湖畔エコミュージアムセンターを中心に阿寒湖畔地区全体を総合的に捉えて園地や歩道を整備し、利用推進を図るためです。また、地元自治体や観光協会などがつくる地域活性化計画についても、阿寒湖畔全体を対象にしたものが多いため、それらとの連携を図りやすくするということも狙っております。
次に、屈斜路湖の北側に位置する藻琴山の歩道計画について、実際に利用がなされている路線を公園計画に追加し、利用がなされていない箇所を削除いたします。また、今後、整備と利用の見込みがないスキー場の計画について削除をいたします。
さらに、この屈斜路湖の周辺、カルデラの淵を通る稜線の通る歩道や、屈斜路湖岸の歩道について利用実態を踏まえ、一部区間を削除するなど路線を変更いたします。また、小清水峠園地、川湯帽子山園地とスキー場、さらに摩周湖、この反対の摩周湖の北側から摩周湖岸に至る歩道計画について、それぞれ整備の見込みがなく、現時点の状況で考えた場合、公園利用上の必要性も乏しいため削除をいたします。
今回の公園計画の変更を契機といたしまして、阿寒国立公園として次の点に取り組みたいと考えております。
まず、特別保護地区の拡張を初めとする保護規制計画の変更を踏まえて、良好な自然環境の保護や、外来魚の駆除を通じて本公園の特徴的な景観の保全を強化します。さらに、阿寒国立公園全体を広域的なエコツーリズムフィールドとして捉え、阿寒湖畔及び川湯集団施設地区をエコツアーの拠点として、周辺の利用施設と一体的な魅力向上と利用推進を図ります。さらに、エゾシカ対策を推進し、多様で原始的な風致景観の維持を図ります。
このオンネトー湯の滝に関わります外来魚駆除と、今申し上げましたエゾシカ対策については、それぞれ生態系維持回復に関する公園計画を追加した上で、事業計画の策定を行いたいと考えております。
これについては、生態系事業係長の若松の方から、説明を続けてさせていただきます。
○生態系事業係長 生態系事業係長の若松と申します。座って説明させていただきます。
まず、生態系維持回復事業についてですけれども、こちらは平成21年6月の自然公園法改正によって創設された制度でございます。公園計画の体系上は、事業計画に位置づけられておりまして、予防的・順応的な対策実施、それから役割分担の整理・明確化、目標とロードマップの共有が図られるところがポイントとなっております。
また、メリットとしましては、計画を策定いたしますと、その計画に基づく事業については、国においては自然公園法の個別の許可は不要になりますし、地方公共団体、それから民間についても、環境大臣等による確認と認定を受けていただければ、許可が不要になるというところでございます。
また、もう一つ大きなメリットとしましては、公共事業を入れることができるということで、そこも大きなメリットとなっております。
現在の策定状況ですけれども、平成22年10月に知床と尾瀬が計画策定をされておりまして、昨年度、南アルプス、霧島錦江湾、屋久島で、それぞれシカの対策が答申をいただいて策定をしております。
現在、シカが5件、外来植物が1件という状況になっておりまして、本日の小委員会の中では阿寒国立公園について、シカと外来魚、それぞれ1件ずつ計画策定の諮問をさせていただきたいと考えております。
まずは、シカ対策をメインとしまして、阿寒生態系維持回復事業計画の概要について、ご説明させていただきます。阿寒国立公園のエゾシカの生息状況ですけれども、こちらは国有林において行われておりますエゾシカによる樹木の影響調査の結果でございます。エゾシカの痕跡調査というところで、この赤い部分が阿寒国立公園の区域になりますが、道内を見てみても以前から痕跡が多い地域、それからエゾシカが食べない植物がたくさん分布している地域ということで、調査地点のところも多く上がっております。こうした状況にありまして、広葉樹の更新の不良、それから植生の著しい変化とか、そのようなところが表れております。
個別の被害状況については、まず森林帯においては、エゾシカに樹皮剥ぎということで、これはハルニレになるんですけれども、こういったような被害が出ております。また、ヤチダモとかそういったものにも結構被害が出ておりまして、林床には被害が出ている。シマフクロウ等も生息しておりますので、こういった広葉樹がなくなってしまうと、営巣木というのは将来的になくなってしまうので、そういう観点からも被害を食い止めなければいけないという状況になっております。
それから、もう一つがエゾシカが届く高さの下枝や稚樹が食べられてしまっており、ディアラインと呼んでおりますが、このように見渡しがきくような形になっております。かなり下層植生なども影響を受けている状況です。
また、森林帯以外でも、阿寒湖畔のボッケであるとか、ポンポン山とか、地熱地帯がありますが、そういったところにマダラスズとかミンミンゼミといったものが生息しております。こちら、マダラスズにつきましては、1年中生息しているというのは、温泉の熱のある地熱地帯ならではというところですけれども。シカによってコケやイネ科草本が食べられてしまいまして、生息環境が失われて減少傾向にございます。
それから、高山帯におきましても雌阿寒岳でガンコウランが採食をされているということがありまして、分布が拡大をしている状況です。
それでは、生態系維持回復事業計画の内容についてご説明させていただきます。
策定は、農林水産省の林野庁と環境省の二つで共同策定を行います。事業の期間は、告示の日から平成29年3月31日まで、概ね5年間くらいということで考えております。事業の目標につきましては、エゾシカによる影響の把握、周辺地域も含めた情報収集を行って、エゾシカによる自然環境の影響を軽減するための効果的な対策を検討、実施することで本公園における原生的な生態系の維持、回復を図ります。事業の区域につきましては、阿寒国立公園全域を対象とします。
事業の内容については、この5点ですけれども、写真を用いて一つずつご説明をさせていただきます。
まず一つ目の生態系の状況の把握及び監視ですけれども、この左上の写真は、植生の変化を見るためモニタリングサイトの設置ということで、エゾシカによる影響がどれくらい出ているのかということを継続的に把握するために、こういったモニタリング調査を実施しています。
あと、エゾシカの生息状況であるとか、生態や生息数を把握するために、カメラによる調査や糞塊調査、冬期の死亡個体調査では個体の年齢や栄養状況であるとか、そういったものも把握をしております。
続きまして二つ目ですが、生態系の維持又は回復に支障を及ぼすおそれのある動植物の防除についてです。こちらは、駆除がメインの内容になっておりますが、今現在、前田一歩園財団や林野庁さんでやられているんですけれども、囲い罠による捕獲ということを推進していきます。また、有害鳥獣駆除とか、そういった銃器を用いた駆除も引き続き実施をしていく予定になっております。
それから、三つ目の動植物の生息・生育環境の維持又は改善は保全対象を守るための防鹿柵の設置等がメインになっております。写真のところは、前田一歩園財団が阿寒湖のぼっけに設置いたしました地熱地帯の植生保全のための柵の設置、こうしたものを継続してやっていく。それから、樹木の樹皮が食べられないように、こういったネット巻きも継続して実施して参ります。
それから、四つ目の生態系の維持や回復に必要な普及啓発です。こちらは施設における展示やホームページの普及啓発、それからイベントの実施が内容となっております。この左の写真は、阿寒湖エコミュージアムセンターでの展示となっておりまして、エゾシカの生態と対策の紹介をやっております。
また、下はネット巻きイベントの実施などで、これで一般の方にもあわせてエゾシカの被害の状況とかも知っていただくということで、契機にしております。
それから、これは市町村や観光協会、地元飲食店の取組ですけれども、エゾシカの捕獲と消費の促進ということで、エゾシカ肉を食べることによって、啓発活動を進めていきたいと考えております。
五つ目、前各号に掲げる事業に必要な調査等に関する事業、こちらについては、効率的にエゾシカの被害等をモニタリングする手法の開発・検討、モニタリング手法に関する調査・研究の実施、効率的な捕獲手法の検討・開発が内容となっております。
左の写真は、エンレイソウというのがエゾシカに食べられた影響が非常によく表れやすいと考えられ、効率的にエゾシカの状況を把握できるのではないかということで、こういった調査研究も行っております。
また、囲い罠については、最近、自動落下機能のついているものとかございますし、構造とか設置箇所も含めて検討を進めていきたいと考えております。
計画の実施体制及び連携についてです。実施に対して必要な事項につきましては、事業の内容・効果等について、総括的な検証及び評価を行って参ります。また、専門家の方にも、きちんと事業成果を見ていただき、その評価・助言・指導を受けながら、事業内容について随時見直しを行っていきたいと考えております。また、連携するその他の計画ですけれども、特定鳥獣保護管理計画や鳥獣被害防止計画とも整合を図って実施して参ります。
それから、実施体制に関する事項ですけれども、関係行政機関、団体、専門家等からなる連絡会議を設置する予定になっておりまして、こちらで情報共有を図りながら、連携協力して事業を推進して参りたいと考えております。
最後に、実は、阿寒国立公園がこの周辺の大規模越冬地にもなっているということもございまして、公園外の地域において関係機関との連携を図りながら、エゾシカ対策を広域で実施して参りたいと考えております。
役割分担については、詳細をご説明しますと、環境省、国土交通省、林野庁、北海道、市町村、北海道の環境科学研究センター、それから前田一歩園財団等で役割分担をしていきながら、計画事業について適切に進めていきたいと考えております。
以上がシカの対策、阿寒生態系維持回復事業計画のご説明になります。
続きまして、オンネトー湯の滝生態系維持回復事業計画の概要について、ご説明させていただきます。
オンネトー湯の滝地区の概要ですけれども、これは先ほど、桝からも説明させていただきましたが、陸上で観察可能な最大のマンガン鉱物生成箇所であるということ。それから、それが評価されておりまして、国の天然記念物に指定されています。また、阿寒国立公園としましても、主要な利用拠点の一つになっております。
こちらにつきましては、高さ20メートルくらいの滝が、温泉水ですけれども、こういったところに流れ込んで池をつくっております。この池の中に、シアノバクテリア等の微細な藻類、それからマンガン酸化細菌、こういったものがおりまして、温泉水と相互作用によってマンガン鉱物が生成されております。こちらに、昭和60年代に観光目的だと言われていますが、熱帯魚が放たれておりまして、かなり生息数が増えている状況です。
こういった状況になっておりまして、放たれている外来魚としましては、今現在、確認されているのがナイルティラピア、それからグッピーになっております。どちらも要注意外来生物というものに選定されておりまして、繁殖力が非常に高いというところが特徴で、池の中の藻類なんかをかなりたくさん食べているというのが問題になっておりまして、その生成現象への影響とかそういったものが課題になっております。
被害状況についてですけれども、外来魚の藻類の摂食によってマンガン鉱物生成現象への影響、それから生態系、景観への影響というのが危惧されております。実際、この写真ですと、岩に付着をした藻類を摂食するナイルティラピアというのがありますし、藻類の回復試験というものもやっておりまして、ちょっと見づらいですけれども、左側が外来魚がいない藻類の繁茂状況、右側が外来魚がいる状況ですけれども、中が大分緑色の藻類がたくさんありますが、こっちは全くないという状況です。
また、1999年の足寄町教育委員会の調査結果によっても、かつて黒々とした藻が繁茂していたが、熱帯魚が放流されて急速になくなってしまったという現状にあります。
また、ここにはニホンザリガニも生息しておりまして、実際、摂食されているというのは確認されていないんですが、こちらについては、ナイルティラピア等がメインになると思います。卵とか、それから小さい個体なんかがほとんど見られないというような調査結果もございまして、摂食されているのではないかという可能性も示唆されております。
次に、オンネトー湯の滝生態系維持回復事業計画の内容について、ご説明させていただきます。策定省庁は、環境省単独になっております。事業期間につきましては、告示の日から平成29年3月31日まで、こちらも概ね5年間くらいの計画になっております。事業の目標につきましては、熱帯魚であるナイルティラピア、グッピー、こうしたものの完全駆除の実施と、新たな外来魚の侵入防止策を講じることで、オンネトー湯の滝地区の生態系の維持又は回復を図ることを目標としております。事業区域につきましては、特別保護地区に格上げをするオンネトー湯の滝地区5ヘクタールを対象とします。事業の内容は4点になりますが、こちらも個別に写真を用いて説明させていただきます。
一つ目の生態系の状況の把握及び監視についてです。こちらは、その外来魚の影響度合いを把握するという意味合いで、藻類及び細菌類との生育・生息状況をモニタリングして参ります。また、外来魚自身についても、生息状況のモニタリングを行ってきましてサイズ等、そういったものも含めてモニタリング調査を実施します。また、ここにはないですが、先ほど、ニホンザリガニの生息状況なども、今後調査をする予定になっております。
二つ目生態系の維持又は回復に支障を及ぼすおそれのある動植物の防除、こちらは駆除が主体になっております。外来魚の駆除として、平成11年から足寄町では取組を進めておりまして、環境省は平成18年度から様々な取組を進めております。その中で、有効な対策としましては、もともと魚等がいなかったということもありますので、温泉水を抜き取って低温化を図ることによって駆除を図りたいと考えております。
これは、何年か前に行った足寄町の取組ですけれども、温泉水の抜き取りを行ったような写真になっております。生態系維持回復事業計画を策定した後は、こちらから温泉水が流れてきているんですけれども、ここの部分を下流に引き込んで流さないようにして、さらに低水位化を図るというような取組をしていきたいと考えています。
また、それでもちょっと湯だまり等ができてしまうものですから、そういったところについてはヨツテ網とか刺し網、タモ網などを使って捕獲を進めていく予定です。
三つ目の生態系の維持又は回復に必要な普及啓発です。こちらは、阿寒湖エコミュージアムでの外来魚の展示ですとか、アクティブレンジャー日記等、ホームページでの情報発信などを行っていきます。こういった取組を進めることで、外来魚の影響や対策、取組の紹介、それから動物を安易に放出することはいけないことだということを普及啓発していきたいと考えております。
四つ目は、前各号に掲げる事業に必要な調査等に関する事業ということで、こちらは専門家を交えて駆除手法等の検討を行っておりますので、これを引き続き実施していきたいと考えております。
計画の実施体制及び連携ですけれども、実施に対して必要な事項につきましては、先ほどのシカと一緒ですけれども、事業の内容・効果等についても、総括的に検証、評価を行う。また、専門家の方にきちんと成果を見ていただきまして、評価・助言・指導を受けながら事業内容の見直しを随時行って参りたいと考えております。
それから、実施体制に関する事項については、こちらは環境省と、それから足寄町、この2者が主な取組主体になっていきますので、連絡会議は設置しないですけれども、協力をしていただける団体等がございますので、専門家等の間で引き続き情報共有を図りながら、連携・協力しながら事業を実施して参ります。
役割分担はこのような形になっておりまして、これも詳細は割愛させていただきますが、環境省、足寄町、それから研究機関、研究者、自然公園財団、NPO法人あしょろの化石と自然で適宜、役割分担をしながら進めて参りたいと考えております。
以上、生態系維持回復事業計画についてのご説明を終わらせていただきます。
○下村小委員長 どうもありがとうございました。
老舗公園の一つである阿寒ですけれども、地元ですとか、他省庁との調整が少しずつ進んで、保護・保全も少し強化されてくるようですし、新たな利用という展開も見られているようです。ただ、その一方で、生態系についてはかなりいろんな問題も出てきているようで、それの維持回復事業ということで調整を図るというようなことです。
以上のご説明について、ご質問あるいはご意見でも結構です。何かございますでしょうか。
○敷田委員 どうもご説明ありがとうございました。
細かい点ですけど、オンネトーの湯の滝の生態系維持回復事業ですが、事業の目標が、外来魚の完全駆除になっていますので、モニタリングとか何とかというよりも、完全駆除ができるかできないかという答えが出るはずなんですが。この計画を見ると、順次見直しを行うとかということが必要な事項になっていますが、完全駆除できたかできないかだけではないんですか。
○生態系事業係長 完全駆除を目標にしているんですけれども、これまでの取組なんかで考えてみましても、なかなかやっぱり根絶は難しいというところもございまして、保険的なところもあって、計画は5年間ありますので、その中で足りない部分があれば見直して追加で、もし完全駆除できない場合には取り組んでいくということで、そういった記載をさせていただいております。
○敷田委員 ありがとうございました。
○宮本委員 すみません、スキー場の件についてお伺いしたいんですけれども、スキー場の削除ということですが、私、ちょっと北海道のことはよくわからないんですけれども、本州では最近、スキー場が閉鎖になったりして、その跡地でリフトの駅が廃墟のようになっていたり、あるいはゲレンデが本来ヤナギランがあるようなところに外来雑草がすごく生えていたりというようなのを見ることがあります。
こういう削除をした場合に、例えば建物を撤去するのを指導するであるとか、あるいは外来雑草、外来草本を駆除するとか、積極的に植生回復するとか、そういうことは、阿寒に限らず一般的にそうなさるのか。あるいは、自然の状態で放置してという方向が多いのか、そこら辺をちょっと教えていただけるとありがたいです。
○国立公園課計画係長 今回スキー場計画の削除は、二カ所ありまして、現状としては自然状態のところにスキー場計画だけが位置づけられており、それを削除するものが一つ。
もう一つは、これは阿寒の帽子山ですが、スキー場の閉鎖から20年近くが経っており、これはスキー場の施設も撤去され、エゾマツとか、ミズナラなど植生状況が既に回復していっているものです。そのため、今回の変更については、景観上特に問題がないところです。
一般的な話には、公園事業として執行していたスキー場を、もし仮に閉鎖することになった場合は、撤去等も含めて、ちゃんと責任を持ってやらないと、事業の廃止では認めませんよということが基本的なスタンスとなります。
また、仮に、問題点のあるところについては、事業者と調整をしながら、ちゃんと撤去をして跡地整理されるような方向で調整を進めているというところでございます。
○宮本委員 ありがとうございます。
○下村小委員長 速水委員。
○速水委員 ありがとうございます。阿寒の集団施設地域ですけど、写真を見せていただくと、既に立派なホテルがたくさん建っていていますが、いつも集団施設地域で問題になると思うんですけど、地域の観光協会等との調整をしながら、景観をどう維持していくのかというのは、今後、日本の国立公園の中で非常に重要なポイントだろうと思うんですね。
国立公園というのは、保護と利用の両立でございますので、その利用の部分でいかに工夫して、特に北海道は海外の方も含めてどう魅力を高めて来ていただくか、どう使っていただくか、こういう宿泊の地域の景観というのは、全てが統一されていくのがいいのかどうかというのは、大いに議論はしなきゃいけないとは思いますが、やはり今後、よりきっちりとした方向性を出していくことが必要だと思います。
環境省も極力コミットされて、すぐにはこんなものは絶対できないんですけど、専門家の意見等もそこに出していただくような状況をつくって、長期的にどういう方向に向かっていくかということは地域の方を含めて明確な形で出されていくことが大事ではないか思っています。
それから、さっきの外来魚の根絶の話ですけど、先ほどのご説明のとおり、本当に根絶できるのかと言われると、どうも厳しいなと感じます。魚というのは、大体入ってしまうとどこでも根絶するのに大変苦労されて、本当に成功した事例は知らないんですけど。網で取るとか、あるいは温度を下げるとかと、さまざまな工夫は非常にいいと思うんですけど。結構いろんな過激な方法でも、魚って取ることができるんですよね。
もともと、ここって魚類は全くいなかったんですよね、さっきのご説明だとザリガニがいたというふうな。そういう点だと、一般的な漁法としては認められていないんだけども、私、田舎に住んでいて昔行っていた漁法で、それを見たというわけでもなし、やったというわけでもないですけど。根絶する方法というのは結構そのような中にあるわけですね。これをやったら、多分、魚だったら全部絶滅させることが出来るわけです。
正直言って、こういう状況で極めて閉鎖的な地域の中で、絶滅をどうしてもしないと、先ほどのマンガンの形成はできなくなってくるというと、ほかでの外来魚の侵入とは少し出てくる結果が違うだろうと思います。
その場合には、かなり思い切った対策を環境省が打って、本当に根絶を成果として出していくということを少し考えられたらどうかなと感想を持ちました。
以上でございます。
○生態系事業係長 ご指導ありがとうございました。
○下村小委員長 2件、もっともなご意見でした。
○速水委員 これは特別な例ですからね。
○下村小委員長 後者は過激な意見、根絶、お考えがありましたら。
○国立公園課計画係長 それでは順番に。最初に景観形成の話ですけれども、全国の国立公園には、利用拠点になる集団施設地区がたくさんございまして、その中には環境省の所管地もあれば、民有地もあります。国立公園としての利用拠点としてふさわしい景観づくりを環境省が主導することは非常に重要なことだと考えております。
実は、阿寒国立公園は先進的な地域でございまして、平成23年3月に「阿寒湖温泉らしい景観づくりガイドライン」を、関係機関とともに策定しております。
この中では、環境省の所管地の部分だけでなくて、まちなかの景観をどのようによくしていくかという指針が書いてございます。これは民間の建物も含めて一緒にやっていこうという取組です。下村委員長もこの検討委員会に入られて、ご協力をいただきました。
○下村小委員長 そういう試みはあちこちで進めていただいているんですね。
○速水委員 そうですよね。
○生態系事業係長 オンネトーの外来魚に対策について、貴重なご意見ありがとうございました。実は、我々も結構いろんな退治策というのは、足寄町と一緒に検討して参りまして、やれるもの、やれないものというのは、今精査している中で、今日ご説明させていただきました低温化というのが一番、生態系や環境にも負荷はなくできるのではないかと考えているところでございます。
ただ、さっき多分おっしゃらなかったですけれども、電気ショッカーであるとかそういったものだとは思うんですけれども、最後の詰めの段階では、ちょっと試してみる必要はあるのかなと考えております。
また、外来魚の根絶事例はほとんど聞いたことがないというお話で、できればここはその特殊なケースでもございますので、初めての外来魚の根絶ということを成功した事例として、一つ作ってみたいという思いもございます。どうもありがとうございました。
○速水委員 頑張ってください。
○桜井委員 多分、低温化がいいと思いますね。
○生態系事業係長 ありがとうございます。
○下村小委員長 小林委員。
○小林委員 阿寒国立公園全体を、広域的なエコツーリズムのフィールドとして利用推進を図るという今後の方向が書いてあったので、ちょっと私の経験も含めて一言申し上げたいと思っているんですが。
5年ほど前からこの地域のリサーチを始めて、2年前から、毎年秋にオーストラリアから15名程度のツアーを私の方で企画し、オーストラリアの旅行会社と一緒に日本版のエコツアーということでやっているんですね。
現地のガイドを使って、この地域をいろいろ歩いたりするんですが、特に歩く旅をメインにしているマーケットなので、そういう意味ではここを拠点に3日間滞在するんですけれども、オンネトーに行ったり、雌阿寒岳を登ったり、半日くらいの長さから、1日、さらに複数日のプログラムが組みやすいいい場所ではあるんですが、残念ながら、そんないい場所にも関わらず情報が非常に出ていないということで。
特に、私たち湖畔の宿を利用しているんですが、中国とか韓国の観光客が増えたときに、一斉に中国化をしまして、スタッフを入れて中国語の対応をした途端に3・11があって、その次の年には幾つか宿が潰れるというような実情もあって。
お宿にいろいろとお話を聞くと、やはり極端から極端にマーケットを変更したことによる間違いだったと。本人たちもわかっていらっしゃるんですけれども、やはり今後、この地域が連携してエコツーリズム的に地域を推進していくためには、ある程度の多様なマーケットに対して提供できるプログラムと、そのためのソフトの充実が重要だと思うんですね。
私も含めて何人かガイドがつき、15名をまとめて連れていく場合には言葉の問題はありません。ただ、FITで来るニュージーランドですとか、アメリカから来ていらっしゃる方、個人でいらっしゃる方が、ツアーの後半にぷらぷら散歩しているのをよく見かけるんですね。
特に、マリモ祭りの周辺の紅葉のきれいな時は非常に多いので、そういったときに言葉の対応がほとんど皆無に等しい状態というのと、滞在する宿が全く情報を持っていない。私もビジターセンターまでわざわざ行って、英語の資料を取り寄せたりしたんですが、資料があるということを宿の方たちがご存じないことが実情です。
今後、連携を図るに当たっては、利用の仕方として、宿の方に、もう既にこの地域の英語など多言語でできている情報をシェアできるような仕組みを作るとか。あるいは、宿も含めて地元のガイドの人たちに、ある程度外国語でこれだけは必ずこの地域に必要で、例えばマリモは何ですか、ぼっけって何ですかという、単純な質問もあるわけですけれども。そういうものに、宿も答えられませんし、その辺の人たちも答えられないという状態なので。
何か共通のガイドトレーニングであるとか、オーストラリアではよく国立公園でマニュアルをつくって、そのマニュアルにあることは必ずガイドは網羅しなければいけないというシステムがあるんですけれども。必ず外から来た人たちに、この地域の情報として持って帰っていただきたい情報を確実に伝える手段というか、その方法を連携されるときに、ハードの面だけではなく、ソフトの面の取組を強調できたらいいんじゃないかなと思いました。
○下村小委員長 ありがとうございました。
何かありますか。
○国立公園課計画係長 いろいろご意見ありがとうございます。
幾つかお答えさせていただきたいんですけれども、情報の発信の強化については、国立公園の魅力の向上という意味でも非常に重要かと思っております。
それは、国立公園の利用施設、民間のいろんな宿も含めて全体的としてということなんですけれども。特に阿寒湖畔については、地元の観光協会が阿寒湖温泉・創生計画というのをつくっておりまして、それに基づいて環境省も協力、支援、参加しつつ、阿寒温泉全体のことについて考えていくというような枠組みがございます。今いただいたような意見を、今日は現地の阿寒自然保護官がおりますが、こういう場でいただいた意見を地元に持って帰って、地域にフィードバックし、地域の方々と一緒に、情報力の強化について進めていきたいと思います。
また、環境省の取組として、エコミュージアムセンター、さらに展示改修とかも進めておりまして、多言語化になるように展示を改めたり、施設内容や展示内容も少しずつ改めております。そういう中で、対応させていただきたいと思っています。
また、もう一つの取組の紹介ということになってしまうんですけれども、地域のガイド、まだ小規模ですけれども、周辺の山林を持っている前田一歩園財団の方が、認定した一定のスキルを持つガイドを自分の森で案内するというような取組をしています。これについては、観光協会が養成したガイドや、自然公園財団など環境省との関係する団体でスキルを持った人とか、あるいは地元のNPOが要請したガイドとかが登録をして、そうした人が参加し、歩けるような形になっています。
こういった運営枠組み自体は、財団の協議会みたいなのをつくる中でやっておりまして、その中で環境省も入っております。そういう中で環境省からは、今いただいた様々な意見、指摘事項、問題点を念頭に置きながら、あるいは発議しながらよりよい方向に持っていければいいかなと考えております。
○下村小委員長 どうもありがとうございました。
そういう環境省の取組をぜひ地域にも広めていただいて、地域全体で進めていっていただければと思います。レンジャーの方にも期待をいたしたいと思いますので。
質問・質疑・ご意見は、以上にしたいと思います。
よろしいですか、最後に。
○敷田委員 すみません。個別の事業というよりも、この生態系回復事業計画全体に関しての二つのお願いです。一つは、昨年の末も霧島と屋久島の計画を見せていただきましたし、今回も説明をいただいていますが、この中で、この事業の一つの特徴というか、メリットである自然公園法の個別許可が要らなくなると、これをもっと有効に使っている現場は多いはずですし、使えるはずなので、この点についての説明を毎回入れていただけないでしょうか。
それから、もう一つは、この回復事業というのは、人で言えば病気の状態から元に戻すというように考えることができると思います。そうすると、完治した後どのように維持するかというのが一つのポイントになると思います。完治した時には、事業が終了している状態ですね。そうすれば、事業の中にあるうちに完治後をどういうふうに維持をするかという計画をつくることを目標に、今後計画内に、入れていただきたいと、この二つです。よろしくお願いします。
○生態系事業係長 ありがとうございます。
○下村小委員長 ぜひ、その点は、これから徐々に、まだ始まったところですけれども、徐々にそういう話が出てくるかと思います。経過報告をお願いいたします。
それでは、諮問をいただきました阿寒国立公園の公園計画の変更について、それと、もう一つの諮問、阿寒国立公園の生態系維持回復事業の策定については、適当と認めることにご異議ございませんでしょうか。
(異議なし)
○下村小委員長 それでは、本件については適当と認めるということにしたいと思います。
それでは、続いて二つ目の議題です。諮問、瀬戸内海国立公園(大分県地域)、瀬戸内海国立公園(山口県地域)、それから天竜奥三河国定公園の公園計画の変更について、に議論を移していきたいと思います。事務局からご説明をお願いいたします。
○国立公園課計画係長 引き続き、瀬戸内海国立公園(大分県地域)、瀬戸内海国立公園(山口県地域)、そして天竜奥三河国定公園について、3つまとめて説明をさせていただきます。
まずは大分県地域からでございます。瀬戸内海国立公園は、昭和9年3月に我が国で最初に指定された国立公園です。このうち、大分県地域は瀬戸内海の西側に位置をしております。瀬戸内海国立公園の大分県地域では、角礫凝灰岩がつくる奇岩、奇峰の地形を有する国東半島、そして瀬戸内海に浮かぶ海食崖などが見える姫島、さらに、ウミネコのコロニーが見られる高島、そしてニホンザルの成育する高崎山からなる地域です。内海多島海景観の瀬戸内海の縁辺に位置し、瀬戸内海と一体的に利用がなされている地域ということで指定をされております。
大分県地域は、昭和25年、昭和31年に指定が済みまして、昭和59年の再検討、平成15年の点検を経て現在に至ります。今回は、平成15年に続く2回目の点検という形になります。
今回の変更のポイントは、姫島地区、観音崎の第2種特別地域への変更と、ジオパークの認定や森林セラピーなど、地域の取組と連携した利用施設計画の変更でございます。
面積については、今から申し上げるように第2種特別地域が2ヘクタールほど増えます。最初に、保護規制計画の変更についてです。大分県の国東半島の北に位置するこの姫島ですが、北西部の観音崎にある黒曜石の層が地表に露出した海食崖の景観を保護するため、2ヘクタールを普通地域から特別地域に指定をいたします。これは、地元、県や村で進めているジオパークの取組の中で、ジオサイトの一つとして挙げられています。
次に、利用施設計画の変更についてです。姫島中心部から、東浦という東の方に向かう車道を公園計画に位置づけるとともに、その中間地点に園地を配置いたします。これらの場所からは、姫島の褶曲断層地形などを観察することができます。
また、姫島の東西を結ぶ幹線ルートになっている姫島線道路について、現在の車道のルートにあわせてこの部分を公園計画の変更をいたします。
さらに、姫島に矢筈岳の登山歩道については、登山のための歩道として利用実態のないアスファルト道路になっている区間を削除いたします。
続いて、本土側に参りまして、この国東半島地区の変更です。まず、国東半島地区の利用拠点として赤根温泉、既存の温泉ですけれども、宿舎計画という形で位置づけます。また、国東半島では、登山利用がメインですが、それぞれの登山ルートの基点や終点になる箇所を結ぶように、車道計画を配置いたします。この国見走水線道路についても同様の趣旨でございます。
次に歩道計画です。これまで、実は幾つもの今後の整備を見込んで、国東半島の山々を縦走するような形で、長い歩道計画が幾つも計画をされておりました。しかし、実際に国東半島地区は切り立った山々が多い地域でして、登山口と山頂や景観が良好なポイント等を往復するような登山というのが実態としては多く行われております。
また、こういった未整備の箇所については、危険な場所も多く今後の整備が見込めないという区間も多いことから、今回の公園計画の点検によって、利用実態に合わせるような形で整理を行っております。対象にいたしましたのは中山仙境線、それとこの南の部分を削除いたします鷲巣岳線、文殊山線と両子山線、ハジカミ尻付線歩道でございます。
国東半島からさらに南に場所を移りまして、高崎山についてです。高崎山地区については、大分市が行う森林セラピーの取組などに対応いたしまして、高崎山動物園がある麓の方から、高崎山山頂に至る歩道を歩道計画に位置づけて、山頂に園地計画を配置いたします。
さらに東に場所を移しまして、四国との間の海峡の部分ですけれども、高島という小さな島があります。無人島で、船着場にキャンプ場やロッジなどが整備をされており、島で休養したり、散策したりする利用がなされておりますが、海岸の絶壁の上を通る歩道が崩落をしてしまい、今後、復旧の見込みが立たないので、安全な道路、歩道に変更をいたします。
これらの公園計画の変更を受けまして、瀬戸内海国立公園の大分県地域につきましては、地域が目指すジオパークの認定や森林セラピーの展開による地域の活性化の取組と連携して、今後一層、国立公園の利用、魅力の向上を図っていきたいと考えております。
また、今後ジオパークを初めとし、地域で新たに取り組みたいといったことで、専門的な知見を地域が得たいという場合には、九州地方環境事務所の管理計画の検討会の場で、議題として取り上げさせていただき、そこで議論をしていただくなど、専門家の知見を提供することで、地域との協働を進めていきたいと考えております。
引き続きまして、同じく瀬戸内海国立公園の山口県地域についてです。山口県地域は、周防大島やその沖にある新宮島など自然の中に溶け込んだ人の営みや、藻場、干潟など良好な自然環境を持つ内海多島海景観が特徴の地域でございます。
指定以降、平成3年に再検討、平成18年に点検を行っており、今回の変更は瀬戸内海国立公園で初めて海域公園地区を指定するために行う公園計画の変更でございます。海域公園地区を新たに56.4ヘクタールを指定いたします。その箇所は、牛ヶ首、地家室、伊崎、沖家室の4カ所でございます。
指定理由は、日本最大規模のアワサンゴ群集が存在しまして、さらにクロメやホンダワラ類の海藻群落、そして多くの魚種、このほかアワサンゴ以外のサンゴも確認されたことから、すぐれた海中景観を有するとともに、ダイビングやシーカヤックなどの利用も行われていることから、貴重な海中景観を保護するという趣旨でございます。
指定の範囲は、アワサンゴのほか、海藻類が生息する水深約15メートルから20メートルの地点が保全されるようにするため、いずれも沖合100メートルの範囲という形にしております。なお、ニホンアワサンゴなどのサンゴ類を中心に、採集捕獲規制を行う予定です。
初めての海域公園地区を指定しまして、今後この山口県地域では、保護と利用を目的としたルールづくりを地元自治体と関係機関と団体と進めていきたいと思っております。現在、協議会の設置に向けた準備を進めております。
さらに、関係機関、団体と連携しまして、サンゴ群集を初めとする海域公園地区の動植物のモニタリングをしていきたいと思っております。そして、海域公園地区の保護、利用上、今回、海域公園地区の指定だけでしたけれども、陸と海域公園地区と一体的な陸域の範囲というのを特定し、明らかにしまして、必要に応じて陸側での公園区域の拡張というのも今後検討して参りたいと思っております。
最後に天竜奥三河国定公園でございます。天竜奥三河国定公園は、昭和44年に指定された公園で、愛知県、静岡県、長野県の3県境に位置します。指定の背景としては、高度経済成長を背景としまして、都市に近接して残る自然の風景地、レクリエーションエリアとしてすぐれている地域を開発の波から確保するというために指定された公園の一つでございます。
天竜川水系の河川景観と茶臼山、鳳来寺山を中心とする山岳景観を特色としており、東海自然歩道の区域も含まれる国定公園です。
今回は、平成7年に公園計画の全般的な見直しを行いまして、その後の社会的・自然的条件の変化を踏まえて調査をいたしまして、その結果を踏まえた初めての点検という形になります。
今回の変更は、博物展示施設や園地計画の追加、利用実態を踏まえた歩道計画の見直しなどを、今後整備の見込みのない利用施設計画などの整理を行います。
最初に、津具高原という地域ですが、この地域は茶臼山とともに公園北西部に位置する、大体標高でいうと1,000メートル程度の広い高原が広がっておりまして、宿泊施設、野営場、レクリエーション施設などが充実しております。
今回、設楽町によって整備されている東山・桧原山の利用施設に関して、休憩場、案内所、給水上などの個別の利用施設計画を削除して、これらを含む園地という形で位置づけ直します。
また、高笹・天狗棚博物展示施設については、既存の愛知県によるビジターセンターがございまして、これを博物展示施設として位置づけて、公園管理の中で運営をしていきたいというものです。
さらに、鳳来寺山についてですけれども、一部、このオレンジ色の線が特別保護地区に指定されておりまして、鳳来寺山へのお参りのみならず、それとあわせて周辺の歩道を散策したり、展望のいい場所から眺望を楽しむ。あと、こちら門前町から徒歩で上がってくるとか、そういった歩行者・登山者の利用というのも非常に多くなって参りました。
こうしたことから、歩道を公園計画に位置づけて、公園事業として執行することで適切な整備、利用、管理を進めるというものです。さらにもう一つ、乳岩地域は、流紋岩質の凝灰岩で、大きなこういう巨石、岩があったり、風化や浸食によってできた洞窟が見どころの地域でございます。その周辺を散策する歩道について、公園計画に位置づけて整備を行うことによって適切に管理をしていくものです。
今後、愛知県としては、愛知県内の鳳来寺山を含め、奥山地域ということで、自然環境の保全とともに、東海地方全体のレクリエーションエリアとして保護管理と利用促進を一層進めたいと考えでございます。
以上になります。
○下村小委員長 どうもありがとうございました。
瀬戸内海が2地域ですね。地形、地質、あるいは総点検の結果だと思いますけれども、海域の再評価の中で出てきたエリアの保全の保護の強化と、それから利用の現状に合わせた変更に関して。それから、天竜奥三河の国定公園については、利用をかなり再編されて、それに伴う変更ということです。
何かご意見・ご質問ございますでしょうか。桜井委員。
○桜井委員 海域について第1種・第2種・第3種特別地域と、いわゆる海域公園地区ですか、これの定義をちょっと教えてほしいんですが。
○国立公園課計画係長 国立公園の保護規制計画の中で、まず陸域については特別保護地区、第1種から第3種特別地域があります。特別保護地区は、景観を厳正に保全するための地域で、原始的な景観を有する地域などが指定されております。
第1種特別地域については、特別保護地区に準ずるすぐれた自然の風景、景観を有する場所を指定するという形です。
第2種特別地域については、主に農林漁業との関係で定義をなされておりまして、農林漁業と調整をする地域、つまり、ある一定の程度、農林漁業の活動を我慢をしていただいて、風致を保全するという地域です。
第3種特別地域については、農林漁業の活動というのは、基本的に認められる地域でして、そういう農林漁業を行われているような景観も含めて保全をしていくというような考えです。
一方、海域に目をやりますと、海域公園地区になるんですが、これは陸で言うところの特別保護地区と特別地域と両方の意味合いがあるような地域でございます。特別保護地区的な海域公園地区というのは、採取捕獲規制がかかっているような海域公園地区です。
さらに、専ら海上景観を保全することを目的とし、採取捕獲規制をかけない海域公園地区に指定するという場合もございまして、これについては陸上で言えば、いわゆる特別地域に準じたものかなという考えでございます。
○桜井委員 わかったようでわからないんですが。第1種・第2種・第3種で海域を区分した場合に、2種は農林漁業については規制があり得るという表現ですか。それで、第3種については規制はないと。
○国立公園課計画係長 すみません。陸と海で制度や地種区分が異なりまして、海については普通地域か海域公園地区かどちらかになります。
○桜井委員 どちらかですね。
○国立公園課計画係長 陸については、特別保護地区第1種から第3種、それと普通地域というような形になります。
○桜井委員 ただ、今回、姫島等を見ますと、普通地域から第2種の特別地域になっていますよね、海域が。
○国立公園課計画係長 はい、これは陸上の部分です。
○桜井委員 これは、海域ではないんですか。
○国立公園課計画係長 はい。陸域の普通地域から第2種特別地域に変更をするということでございます。ありません。ここの海ではなくて、陸地の部分、岩の崖になっている、ここの部分、陸上の部分だけを普通地域から特別地域に変更するというようなことでございます。
○桜井委員 海に関しては、まだ依然として普通地域と海域公園しかない。
○国立公園課計画係長 そうですね。
○下村小委員長 ほかに何かございますでしょうか。
○敷田委員 海域公園地区の関係でお願いします。山口県沖の海域公園地区ですけども、今後の取組の中でルールづくりや団体と協働関係をつくるということになっていますが、現在の利用実態と関係団体を教えていただけないでしょうか。
○国立公園課計画係長 この地域では、関係団体の数は多くなくて、具体的に申し上げますと、NPO法人自然と釣りのネットワークという地元の団体さんがおりまして、この方々がこれまでアワサンゴに着目して保全をなされるとともに、エコツアーなどの取組をされております。
もう一つ、瀬戸内海エコツーリズム協議会という団体がありまして、こちらもエコツアーの方をまだ試験的にという形でという部分ではあるんですけれども、先ほど写真でお示しさせていただいたような形で取組をされております。主には、その二つでございます。
○敷田委員 ありがとうございます。漁業利用やその他の海域利用者がいない、非常に穏やかな利用の場所ということですか。
○国立公園課計画係長 そうですね。利用がいまだものすごく込み入っているわけではないというような状況でございます。漁業権も設定されているような海域で、漁業者の方々も採取などいろんな漁業活動をされている中で、アワサンゴなどに着目した事業者が幾つかいらっしゃるというような状況です。
○敷田委員 ということであれば、現在、利用が非常に輻輳している状態でないので、新たにこういう指定が行われるということですね。非常に歓迎すべきことだと思うので、利用が活発化しない以前に、こういうルールづくりを環境省の現地の関係者の方で積極的に進めていただけますか。この海域利用については、非常に統合的な管理ができるいい例になると思います。
○下村小委員長 どうもありがとうございました。
○国立公園課計画係長 ありがとうございます。
○桜井委員 補足的に、今の件、非常に重要だと思います。そうしますと、この海域公園地区につきましては漁業はある。海藻をとるとか、あるいはアワビとか、貝類をとるとか、そういったものは多分あると思うんですけど、それに対して何らかの、統合的な管理をする場合に、全くだめという純然たる保護地域なのか、ある程度、ルールがあるような漁業については、可能としているのか、その辺がちょっとわからなかったわけですが。
○国立公園課計画係長 実は、今回の海域公園地区の指定について、漁業者とずっと長い話し合いを重ねてきまして、その結果、今回の指定に至ったものです。採取・捕獲規制については、アワサンゴとか、幾つかの種のみを指定をするというような形で、漁業対象種は除くような形で。そこはなぜかというと、漁業者が漁業権の設定に基づいた採取を持続的にしているからというような形で整理をして、今回の海域公園地区の指定に至ったものです。
○国立公園課長 公園計画書(案)19ページに採取規制をかける動植物の一覧が載っています。
○国立公園課計画係長 この一覧が具体的に今後、採取捕獲規制をかける予定の種です。
○国立公園課計画係長 今日は、広島事務所から現地の漁業者と実際に調整をして参りました、柴原自然保護官が参っていますので、今の説明に補足をさせていただきます。
○広島自然保護官 広島事務所自然保護官をしております柴原でございます。補足説明をさせていただきます。この地域での漁業利用ということですけれども、組合員として170名の方が従事されておりまして、主に1本釣りとか、イワシの引き網、素潜りなどの利用をされております。
今回の海域指定に当たって、漁協から指定してほしいという要望がありました。その背景には、このアワサンゴというものが10年前から出てきたんですけれども、それを見に来るというダイバーの方がちらほらと出てき始めました。
その中で、いわゆるイワシの引き網とか、沖を走っていますと、ダイバーが急浮上してしまうと。それに対する衝突が起きかねないという状況も懸念されるというところがありまして、その辺のルールづくりについてしっかりしてもらいたいという考えがあり、また、アワサンゴの保護という面も踏まえて要望が出されました。
今回のルールづくりというところですけども、こういった保護と利用のあり方というところを打ち合わせさせていただくという場も目的とさせていただいています。今回、今まで何も規制がなかったといいますか、コアとなるものがなかった。ただ、そこにアワサンゴがあるだけだったというところなんですけども。海域公園というものへの指定をすることによって、それを中心に周防大島町漁協、あとNPO、ダイバー関係者が寄り合って、ここのところを今後どのようにしていこうかという形で進めさせていただいているのが現状でございます。補足させていただきます。
○下村小委員長 説明、ありがとうございました。
小泉委員で最後にしたいと思います。お願いします。
○小泉委員 瀬戸内海国立公園について、これまで海域公園地区の指定がなく、ちょっとびっくりしたんですけども。これがきっかけで、随分広がっていけばいいと思っています。
一つ教えてほしいのは、海中公園と海域公園の違いですよね、それがちょっとわからないので教えてほしい。
あと一つ、これからのことを考えますと、例えば上関から巌島あたりですか、あの辺も非常にいい海があって、海中の藻とかいろんな大事なものがいっぱいあるというのが、日本生態学会の調査報告で出ていると思うんですけども、その辺もし将来的に可能だったらやっぱり入れていただいた方がいいんじゃないかという感じがするんですね。
今、漁業の問題とか、いろんな問題がありますから、地元とそんなに簡単に話がつかないかもしれませんけど、将来的にどうなのかちょっと教えていただけます。
○国立公園課計画係長 まず海域公園地区と海中公園地区の違いでございますが、海域公園地区は平成21年の法改正で海中公園地区から海域公園地区に制度改正をしたものです。海中公園地区は、その名のとおり海中の景観のみを対象にしておりまして、海に潜った時に見られるサンゴといったものを景観として評価して指定をされてきたもので、実態としては指定面積が小さいというような特徴もございました。
これに対して、海域公園地区については、陸上の景観、海食崖の景観とか、干潟の景観とか、そういった海の上の景観も含めて評価をして指定できるというような形になっております。
それで、指定される面積についても、そのような趣旨から比較的大きくなっていくという傾向がございます。
もう一つ、今ご説明をさせていただいた周防大島の海域公園地区はここにございます。ご指摘のあった箇所あたりの海域というのは、多分、おそらくこのあたりかと思います。瀬戸内海全般、いろいろ藻場が豊かなところとか、そういうのがたくさんあると聞いております。このような中で、海域公園地区の指定には、いくつかポイントがあると考えておりまして、藻場などが比較的見られることに加えて、今回のアワサンゴのように特徴的なもの、さらにその中でもすぐれた景観があるというような場所として言えるのかどうかという点。
それともう一つ、海域公園地区を指定する要件として、利用が行われているのかといったところもございます。さらに、先ほど自然保護官から申し上げたように、漁業者との調整がうまく整うかどうかというところがポイントになってきます。
これらのどれか1つでも欠けるとと、比較的厳しい規制をかける海域公園地区の設定は難しいと考えております。今回瀬戸内海全体を見まして、今海域公園地区を指定できる条件が整ったところが本件の区域ということでございます。
○下村小委員長 どうもありがとうございます。
これから海域公園も再評価、総点検の結果が出てくることを期待をしたいと思います。
○敷田委員 1点お願いをさせていただけますか、簡単に終わります。
○下村小委員長 短くお願いします。
○敷田委員 全体に影響することなので、1点だけお願いします。毎回の説明の中に、利用の情報と関係者、ステークホルダーの情報を入れていただけないでしょうか。こういう判断をするときは非常に重要になると思うのでお願いします。
そうすると、質問の回数が1回減らせると思います。それに関しては、おそらく地元の自然保護官の皆さんは熟知していらっしゃるので、それほど仕事を増やすとは私は思えないので、ぜひよろしくお願いいたします。
以上です。委員長、すみません。
○下村小委員長 適宜また事務局と相談して、手法を整えて参りたいと思います。
それでは、ただいまの諮問の、瀬戸内海国立公園(大分県地域)、瀬戸内海国立公園(山口県地域)、天竜奥三河国定公園の公園計画の変更については、適当と認めることにご異議ございませんでしょうか。
(異議なし)
○下村小委員長 それでは、本件につきまして適当と認めることとしたいと思います。
それでは、続きまして、国立公園事業の決定、廃止及び変更についてに参りたいと思います。事務局から70件ですね、まとめてご説明をお願いをしたいと思います。
○国立公園課事業係長 国立公園課の事業係長をしております速水と申します。よろしくお願いいたします。
資料3-3のパワーポイントを使用しまして、ご説明させていただきます。大変失礼ながら、議事次第にございます(3)の公園事業の決定、廃止及び変更についての公園名ですけれども、富士箱根伊豆国立公園の記載があるんですけれども、こちらの間違いで、今回の案件に含まれておりませんので、座って失礼いたします。
今回、諮問させていただく案件は、決定38件、廃止29件、変更3件と、合計70件ございます。そのうち、昨年度、屋久島国立公園が指定された際に、屋久島に関する公園計画は一度削除されておりまして、新たに屋久島のみの公園計画が指定されたところでございます。
それに従いまして、形式な決定、廃止を行う案件が、それぞれ決定、廃止で各25件ずつございまして、合計50件ございます。また、釧路湿原国立公園につきましても、公園計画の変更に伴いまして、必要となった決定、廃止案件が各4事業ずつございまして、合計8件ございます。
まず、公園事業制度に関するご説明をさせていただきます。公園計画の施設計画に基づいて、執行される事業を国立公園事業と呼んでおります。施設計画においては、大まかな位置と、整備方針というものが、こういった車道ですとか、歩道といったものですけれども、位置と整備方針が記載されておりますが、それを具体的にどういうふうな規模で行うのかということを決めるのを公園事業の決定といいます。
園地を例にとりますと、位置や整備方針は市政計画において定められているのですけれども、公園事業の決定において、具体的な区域の位置ですとか区域の面積といったものを決定いたします。
そのほかの決定の規模につきましては、公園事業ごとに決まっておりまして、それぞれ異なっております。
事業決定は、事業の内容が公園計画に適合していること、事業の内容が風致経過の保護上、支障のないこと、公園事業の執行の見込みがあることという3点を要件として行うこととしております。
最初に、屋久島国立公園と釧路湿原国立公園以外の公園事業について、諮問案件をご説明させていただきます。合計で12件ございます。
まず、阿寒国立公園の藻琴山登山線道路(歩道)でございます。屈斜路湖の北部にございまして、山麓には小清水町により執行され、こちらですけれども、園地や野営場が整備されております。
これらの路線につきましては、先ほど桝からご説明がありました阿寒国立公園の公園計画の変更に伴う変更でございまして、新たに追加されましたこの路線の部分について、林野庁の方で執行する見込みがあることから、今回、公園事業の路線の規模の変更を行います。路線距離は、今までこの青い部分8キロでございましたが、この赤い部分が加わりまして12キロになります。
過去5年間の利用者数は、1,800人から3,000人近く、2倍と利用者数が増加しております。新たに決定する機関につきましては、先ほど林野庁が執行する予定と申し上げたとおりでございまして、ササ刈りなどの日常的な維持管理のほか、拡幅してしまった歩道については、植生保護柵の設置ですとか、標識の整備を検討しております。今後、適正な維持管理がなされるということで、今回、決定を行います。
次に、南アルプス国立公園の塩見岳宿舎でございます。塩見岳宿舎は、北部にあります北岳を中心としたエリアと南部にございます荒川・赤岳を中心としたエリアを結ぶ稜線沿いにございます。
周辺の山小屋からは、5時間ほどかかりますし、また一番近い登山口からも5時間かかるという条件化にございまして、縦走する利用者にとっては、非常に重要な宿泊施設となっております。
昭和46年代に、一度事業決定をなされているものの事業決定規模が実は決定されていなかったことから、今回、適正化を図ることとし、区域面積及び最大宿泊人数を決定するものでございます。
宿舎は、既に伊那市が事業執行しておりまして、山小屋は老朽化が進んでいることから、今後、再整備も検討しているということです。山小屋の風景はこういったものになっておりまして、宿泊棟のほかに食堂棟ですとか、あと、トイレといったものもございます。
平成22年度の宿泊人数は、こちらのグラフのとおりとなっております。7月から10月という開山時期に年間2,500人、日最大宿泊者数が65人となっています。過去4年間においても傾向は同様でございまして、一番込む時期でも70人弱、日平均は20人という形になっております。現在の規模で、ぎりぎり宿泊できる人数になっております。
また、宿泊用トイレは、携帯トイレを使用しておりまして、使用済みトイレはヘリによって荷おろしをしております。現在の使用実績において問題が発生していませんが、これ以上、増加するということになると、また対応が必要になるのかなと考えております。
今後、改修を検討しておりますが、山岳域の特別保護地区でありまして、自然環境への影響や、トイレの維持管理の面からも現在の規模を越えない形での事業決定規模の設定というものが適切であると考えております。
次に、上信越高原国立公園の黒姫山東麓索道運送施設事業です。黒姫山がこちらにございまして、その東部の公園区域に接する形でスキー場がございます。今回、スキー場において使用されているスキーリフトを夏季も運行するということで、そのリフトを索道事業に位置づけなければならないということから、今回、事業規模の変更をする予定でございます。
夏季期間も、リフトを用いて利用者の方を上まで来ていただきまして、野尻湖などの景観ですとか、周辺のお花の観賞といった利用を見込んでおりまして、冬のスキーだけでなく、夏の高原的な自然も楽しんでいただけるような利用を推進していきたいと考えております。
次に、中部山岳国立公園の四つの登山道に関しての事業決定でございます。それぞれ笠岳と槍ヶ岳へ続く登山道になっておりまして、ちょっと資料の方には記載はないんですけれども、利用者数はそれぞれ1万人や5,000人といった利用者数になっております。
今までも、北アルプスの地元で構成されております北アルプス飛騨側登山道等維持連絡協議会において維持管理されてきましたが、今回、高山市が執行する意向を示しまして、適正に維持管理していただくためにも、今回、公園事業の決定を行うということとさせていただきたいと考えております。
次に、瀬戸内海国立公園の決定でございます。こちら、先ほど桝から、公園計画の変更といったものがありまして、その中で高崎山園地と高崎山線道路歩道の施設計画を新たに追加したことから、今回、事業決定を行うものです。大分市が事業執行を行う予定にしておりまして、園地の区域面積は8.8ヘクタール、歩道の距離は3キロを決定いたします。周辺は、このように広葉樹の森になっておりまして、先ほどの説明にもありましたけれども、森林セラピーロードとして登録されております。
大分市では、周辺に高崎山自然動物園ですとか、あるいは水族館といったものもございまして、周辺の観光施設と一体的に利用していただくことで、滞留時間が長い利用を推進しようと事業を進めているところでございます。
今後ですけれども、大分市がトイレやベンチ、標識の設置を検討しております。また、山頂には、高崎城の跡地があるほか、くじゅう連山や別府湾の冒険が可能な場所でございますが、現在、樹木が生い茂っておりまして、今後、集計を行いまして、山頂の展望が中心とした利用施設として、適正に維持管理をしていただけるということを期待しております。
次が、阿蘇くじゅう国立公園事業決定、山下池園地でございます。くじゅうと湯布院を結ぶ山並みハイウェイの途中にある山下池を中心としたエリアでございます。山並みハイウェイ沿いにあるということで、ドライブ利用者も多く見られます。これまで、山下池宿舎のホテルがあった場所なんですけれども、ホテルを撤去して地元の民間事業者が再整備を行うということを検討しております。
内容としましては、遊歩道の設置ですとか、あと、広場の設置、駐車場、こちらは施設跡地になりますけれども、そういったものを整備していく予定にしております。周辺には、宿舎、ホテル、ロッジがもう1軒ございます。あるいは、道路のドライブの利用者等に対して、湖畔の景観を楽しめる自然観察の場として活用されていくことを期待しております。
次に、霧島錦江湾国立公園の事業決定でございます。霧島地域の北西の公園区域の部分から延びている道路で、既存の道路が既にございます。このうち、鹿児島県が管理している区間と、あと霧島市が管理している区間に分けられまして、この鹿児島県の管理区間について、今回、事業執行の調整がついたことから、事業決定を行うものです。
霧島市については、今後、執行に向け調整をしていく予定でございまして、またそれの調整がつきましたら、事業決定の変更という形で考えております。事業決定規模は、路線距離5.8キロメートル、有効幅員は8メートルとしております。
12件の最後でございますけれども、霧島錦江湾国立公園の皇子原高千穂の峰線道路、歩道でございます。こちらは、新燃岳が7月に立入規制の区間が4キロから2キロに変更になった際に、通行が可能となった、こちらの路線になります。このマルが2キロ圏内になって、今も通行が規制されております。
利用者数の計測は、現在、行っておりませんが、これまでもボランティアで必要最小限の維持管理はされておりまして、また高千穂の峰に続く、こちらが高千穂の峰の山頂でございますが、最短のルートとして、比較的多くの利用者の方に利用していただいております。
今回、高原町が執行することになったことから、今後、まちが中心となって、適正に維持管理されていくと考えております。
続きまして、公園計画の変更等に伴う事業決定、廃止のうち、規模の変更があるものにつきまして4件ございまして、ご説明をします。4件以外については、規模の変更はなく形式的なものになりますので、ご説明を省かせていただきます。
まず、釧路湿原国立公園でございます。平成23年の公園計画の際に、単独事業で博物展示施設舟遊場園地、野営場事業が公園計画に位置づけられていたのですが、これらを一体的な利用拠点と位置づけることから、ここに塘路集団施設地区が再指定されました。それに伴う事業決定及び廃止ということになります。
こちらは、今回、事業決定規模の変更があるのは、園地と野営場になっておりまして、園地につきましては、環境省が再整備基本構想を作成し、直轄整備を行う予定です。
再整備基本構想では、塘路エコミュージアムがこちらにございまして、そこを中心としてエントランス広場や湖畔広場、標識等の整備を行います。塘路地区のメーンエントランス、行動基点となる利用者の集散滞留の場として活用されるとともに、湖畔景観を楽しめる、こちらが湖になりますが、湖沿いの遊歩道へいざなう利用動線を確保したいというふうに考えております。
また、湖沿いには、湖を身近に感じられる歩道として、遊歩道を整備いたします。遊歩道整備に際しては、路線沿いに昔の遺跡等がございまして、そういったものも活用して解説標識を設置したりですとか考えております。
また、この遊歩道を既存のこちらにフィトンチッドの森の遊歩道というものがございまして、そこに連結させる形、あるいは標識を統一して湖と森を楽しめる利用動態を確保したいと考えております。
これらの基本構想や整備に合わせてのソフトプログラムをどのように展開していくのかということにつきましては、関係者の地元の関係者ですとか、地域住民の方と意見交換を実施してきました。その中で、駅前のエリアと塘路地区集団施設地区、今回の地区と、こちらにあるサルボ展望台、またこちらにも展望台があるんですけれども、そういったエリアを結びながら、長く滞在していただける旅プランを提案するというアウトプットを出していきたいと考えております。その旅プランについては、地元ガイドに活用していただく考えでおります。
最後に、屋久島国立公園の規模が変更になる歩道事業が2件ございまして、そちらのご説明です。まず一つ目が宮之浦岳縄文杉線、縄文杉に至る歩道でございますが、この途中から黒味岳へ延びる、この歩道は直轄整備することになりまして、今回、事業決定規模路線距離を24.9から27キロへ変更するものでございます。
黒味岳につきましては、淀川登山口から短い距離で登山ができて、屋久島の自然を楽しめるコースとして、近年、登山者数が増加しております。一方で、雨が多い気候ですとか、風化しやすい花崗岩の地質ということから、踏圧による登山道の侵食・拡幅・植生の荒廃が発生しております。そのため、環境省において、こういった近自然工法の石組みを活用して、最小限の整備を行うことを考えております。
最後に、屋久島の北西に位置します口永良部島の中央にある古岳への登山道でございます。こちらが古岳、こちらが新岳でございまして、どちらも活火山になっております。こちらの土地は、環境省の所管地ということもありまして、環境省において、この登山道の整備を行っております。
年間、少ないんですけれども、200人程度の利用者がございまして、直轄歩道として標識や活火山ということもあるので、侵入防止柵、駐車場の整備などを行っております。どちらも活火山で、登山道沿いからは火口や噴気孔を見ることもできますし、ちょっと写真がいいのがなかったんですけれども。海の上からしか見ることのできない、海を挟んだ屋久島というものも眺望できるコースになっております。
気象庁のが火山観測をやっておりまして、そこで決められる警戒レベルによって、通行規制を実施しております。そういったレベルが上下する場合には、現地のまちの職員の方ですとかと連携して、対応する体制をとっておりまして、今後も適正に維持管理をしていきたいと考えております。
少々長くなりましたが、よろしくお願いいたします。
○下村小委員長 9公園に関わる案件、必要なもののみを説明をしていただきました。リストにつきましては、資料3-1に70件リストアップされてございます。
時間もございますので、委員の皆さん方、まず最初に全てご意見をいただいて、それで一括して事務局に答えていただきたいと思いますが、何かご質問・ご意見ございますでしょうか。
それでは、敷田委員。
○敷田委員 割と単純な質問で申し訳ないですが、よろしくお願いします。
南アルプス国立公園の塩見岳宿舎ですけども、資料によるとトイレの能力65人で手いっぱいというふうになっているんですが、70人で決定をした理由を教えてください。
○下村小委員長 ほかに何か、ご質問・ご意見ございますか。
高橋委員、お願いします。
○高橋委員 ちょっと関係のない質問になるかもしれない。
山下池のところ、阿蘇くじゅう国立公園の中でも、結構、二次的な自然の多い中でも、水辺の景観というのはとても重要でして、特に観光客にとって魅力の場所ですよね。
それで、例えば草千里を見ていただければわかるんですけど、年間1,700万人来る人の、半分以上、あそこに上がっているだろうと思うんですね。そういう魅力のある場所です。ここは山下の池自身は杉の植林地の中に、人工的につくった池だったと思うんですけども。それで、北欧的な、非常に魅力的な景観をしているんだけど、そのそばに小田の池という、これまた、いわゆる利用管理することで自然発生的にたまった水、草千里と同じですよね。そこには非常に貴重な自然が残されているわけです。
草千里もそうなんだけど、そういうところは、今、どんどん水辺がなくなっていっていて、草千里の場合には、阿蘇市を中心としてかなり詳細な調査を行った結果、やっぱり地下水は全くないと。表面流去水でたまっている。それがなぜなくなったかというのは、牛がいなくなったから。牛がかき回して不透水層をつくって、湿地ブルドーザによる作業と似た形で水を蓄えていた。あるいは周りが樹林化して、蒸発散が多くなって、表面流去水が少なくなった。この二つだろうと言われている。
そういう点から考えると、畜産など人が利用するということがないと維持されない池も結構その近くにはたくさんある。さっきの小田の池も多分、そうだと思うんですけどね。そういう貴重な景観や自然環境を守るのに、二次的な自然というのがかなり大きな役割を果たしているんですけども。
そのあたり、小田の池ではなくて、山下の池も含めた水辺中心の管理というのはどういうふうな現状にあるのかというのをお聞かせいただきたい。
もう一つ、生態系維持回復事業はほとんどまだ原生的な自然についてのことで、提案になりますが、二次的な自然について、そういう取組を汲み上げるようなことはできるのか、あるいはそういう動きがあるのかどうかですね。
それと、事業なのですから、事業効果というのは必要ないのか。すなわち、さっき100%絶滅するというお話もあったんですけど。事業として100%絶滅するという目標を掲げれば、かなり大胆なことも言っていけるんじゃないかなという素人的な考えもあって。そうでなければ、この事業は維持回復を阻害する要因の何%を占める部分を回復するとか、そういうものは必要ないのかどうかという。ちょっと外れた内容にもなるんですけど。
○下村小委員長 ほかによろしゅうございますでしょうか。
それでは2件ですね。お願いします。
○国立公園課事業係長 まず、南アルプスも敷田先生からありました、65人で手いっぱいではないかという話なんですけれども、年平均を見ますと、大体65名がマックスではあるんですけれども、年によってはもう少し増える時もございまして、大変申し訳ないですけど、そういったものも含めて70人。あと、周辺の山小屋も見ると、大体70人から100人程度の登山客が見込まれ、日平均で最大で設定しておりまして、そういったものにも合わせる形で70人と設定しております。よろしいですか。
○下村小委員長 それでは、まず全部お答えいただいてから。
○国立公園課事業係長 次に、高橋先生からございました山下池園地を含む水辺の注視管理についてなんですけれども、すみません、ちょっと把握はしていないんですけれども、先生がおっしゃられたように、周辺の湿原ですとか、水辺について調査をしたというような経緯はお聞きしております。
そういった貴重な水辺につきましては、公園に含めるですとか、あるいは利用していただく場合は、こういった適正に公園事業として位置づけて適正に管理をしていただくといったことを考えていきたいと考えております。
○国立公園課長 ちょっと補足します。高橋先生がおっしゃられた意見は、誠にごもっともだと思うんですけれども、どちらかというと、公園事業計画というよりは、公園計画もしくは管理計画の範疇に入るご提言かと思います。そういうことで、そちらの見直しの際にそれを踏まえさせて、考えさせていただきたいと思います。
生態系維持回復事業は若松生態系事業係長からお願いします。
○生態系事業係長 生態系維持回復事業の策定の見込みがあるのかというお話だったと思うんですけど、今のところはそういう話は聞いておりません。ただ、二次的な草原管理という意味では、今の箱根の仙石原は、生態系維持回復事業計画の策定を視野に入れ、調査しております。
今後、自然再生事業など、ほかのメニューもあるものですから、そういったものをいろいろ並べてみて、一番適しているものはどれかということで、対応を進めていくことになるんではないかと考えております。現地とよく調整をして、今後の管理運営について、考えていきたいと考えております。
○下村小委員長 それでは、ご質問者、よろしいですか。
○敷田委員 ご説明ありがとうございました。70でも65でも、私は現地も知らないので、判断はできないのですけれども。65から70という決定をしたところのプロセスがわかるように資料を残していただけないでしょうか。恐らく、65だと登山者ですから、お断りできないし、1割増やして70でとかという説明なのだと思うのですが。この次に見直すときに何で70になっているのか、どういう根拠で決めたのかということが重要だと思うので、次回からお願いします。
○下村小委員長 髙橋先生はよろしゅうございますか。
どうもありがとうございました。
それでは、諮問ですね、国立公園事業の決定、廃止及び変更については、適当と認めることにご異議ございませんでしょうか。
(異議なし)
○下村小委員長 それでは、適当と認めることといたします。
以上で、本日の諮問事項についての審議は終了いたしました。審議へのご協力、ありがとうございました。
先ほど、今後の例えば生態系維持回復事業の適宜経過の報告や説明資料についての再検討というようなご意見等もございました。
そのほか、委員の皆様から何かご意見ございませんでしょうか。
よろしゅうございますか。
特になければ、事務局にお返しいたしまして、連絡事項等あれば、お願いいたします。
○司会 どうもありがとうございました。
長時間にわたりご審議いただき、どうもありがとうございました。
本日の配付資料につきまして、郵送希望の委員の方がおられましたら、お手元の用紙にご記入の上、机に置いていただければ、こちらの方から後日郵送させていただきます。
本日はどうもありがとうございました。
午後0時00分 閉会