中央環境審議会自然環境部会自然公園小委員会(第21回)議事録

開催日時

平成23年7月11日(月)16:15~17:05

開催場所

経済産業省別館 1028会議室

出席委員

(8委員)

小泉 武栄 臨時委員
桜井 泰憲 臨時委員
佐藤 友美子 委員
敷田 麻実 臨時委員
下村 彰男 小委員長
速水 亨 臨時委員
堀内 康男 臨時委員
宮本 旬子 臨時委員
小林 寛子 専門委員

議題

  1. 開会
  2. 議事(諮問案件)
    1. (1)南アルプス国立公園の公園計画の変更について[一部変更]及び生態系維持回復事業
         計画の策定について
    2. (2)国立公園事業の決定及び変更について
  3. その他
  4. 閉会

配付資料一覧

○議事(1)関係

  • 資料1-1:南アルプス国立公園の公園計画の一部変更及び生態系維持回復事業計画の策定の概要
  • 資料1-2:南アルプス国立公園 公園計画書(案)
  • 資料1-3:南アルプス国立公園 南アルプス生態系維持回復事業計画(案)
  • 資料1-4:南アルプス国立公園における生態系維持回復事業計画の策定に関する説明資料

○議事(2)関係

  • 資料2-1:国立公園事業の決定及び変更の諮問案件について
  • 資料2-2:国立公園事業の決定及び変更案件の概要(一覧)
  • 資料2-3:国立公園事業の決定書及び変更書(案)
  • 資料2-4:国立公園事業の決定及び変更案件に関する説明資料

議事録

午後4時22分 開会

○国立公園課長補佐 では、お待たせいたしました。ただいまより、中央環境審議会自然環境部会自然公園小委員会を始めたいと思います。
 開催に先立ちまして、本日の出席委員数のご報告をいたします。本日は、所属委員11名のうち8名のご出席をいただいておりますので、本委員会は成立いたしております。本日の審議のために、お手元にお配りしております資料につきまして、配付資料一覧で確認をさせていただきたいと思います。
 まず、資料1、南アルプス国立公園の公園計画の一部変更及び生態系維持回復事業計画の策定の概要。資料1-2、南アルプス国立公園 公園計画書(案)。資料1-3、南アルプス国立公園 南アルプス生態系維持回復事業計画(案)。資料1-4、南アルプス国立公園における生態系維持回復事業計画の策定に関する説明資料です。
 議事の(2)の関係になりますが、資料2-1、国立公園事業の決定及び変更の諮問案件について。資料2-2、国立公園事業の決定及び変更案件の概要(一覧)。資料2-3、国立公園事業の決定書及び変更書(案)。資料2-4、国立公園事業の決定及び変更案件に関する説明資料です。もし配付等漏れがございましたら、お申し出ください。

○国立公園課長補佐 それでは、初めに、自然環境局長の渡邉より、ごあいさつ申し上げます。お願いします。

○自然環境局長 自然環境局長の渡邉でございます。先ほどの自然環境部会に続いて、そして、小林専門委員に加わっていただいて、自然公園小委員会をただいまから開催したいというふうに思います。ご出席いただきまして、本当にありがとうございます。
 今日の小委員会の諮問事項ですけれども、まず、南アルプス国立公園の公園計画の変更、そして、生態系維持回復事業計画の策定ということについて、お諮りをしたいと思います。
 南アルプス国立公園につきまして、現状として、ニホンジカの生息域が拡大をし、個体数が増え、高山帯あるいは亜高山帯の植生を中心に、かなり深刻な被害が拡大をしております。そういったニホンジカへの対応策を、早急かつ強力に進めるべき状況というのが、現状でございます。
 そういった状況を受けて、今回、公園計画に基づいて、生態系維持回復事業計画を策定して、高山帯や亜高山帯の植生の保護やニホンジカの防除などの取組を進めていこうというものでございます。
 次の諮問事項でございますけれども、国立公園事業の決定と変更についても、お諮りをしたいというふうに思います。これは、公園計画に基づいて配置されることになります、それぞれの公園での公園の利用施設などの位置や規模等を定めていくというものであります。
 今回の案件は、先ほどの自然環境部会で審議いただきました釧路湿原国立公園、この公園計画の変更に伴うものも含めて、10の公園に関する事業決定及び事業決定の変更という内容になってございます。いずれの自然公園も、管理運営上、重要な案件ということでございます。ご審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

○国立公園課長補佐 本日は、委員の改選後、初めて行われます委員会でございます。委員長には、東京大学大学院農学生命科学研究科、下村教授にご就任いただいております。よろしくお願いいたします。委員には、部会から、引き続きご参加いただいている各委員の皆様のほか、小林委員が、専門委員として参加していただいております。よろしくお願いいたします。
 なお、岡島委員は、16時半ごろから参加される予定になっております。(事務局注:結果としては、岡島委員は欠席)
 そのほか、今回からは、ご欠席ですが、隈研吾委員、高橋佳孝委員が、本小委員会のメンバーとなっておられます。
 それでは、これよりの議事進行につきまして、下村委員長にお願いいたします。委員長、よろしくお願いいたします。

○下村小委員長 ご紹介いただきました、下村でございます。今期、この小委員長を担当させていただくことになりました。この場での議論に関しては、私よりもキャリアの長い委員がおられるかと思いますので、ご協力いただいて、活発に議論をしていただければと考えております。
 先ほどの自然環境部会でも国立公園に関して、いろんなご意見が出ておりましたように、自然公園も、あるいは国立公園というべきかもしれませんが、80年を経て、非常に大きく位置づけや、価値観が変わってきていると思います。そういう枠組みの議論とともに、今日、これからご審議いただくような、従来の手続に沿って、厳密にご議論いただくものとが、複合して出てまいるというふうに思います。議論としては、整理が難しくなるんではないかと思いますけれども、そこを何とか仕分けしながら、進めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
 なお、本日の委員会は公開で行うということですので、報道関係者や傍聴の方も同席しておられます。会議録については、後ほど、国立公園課で作成して、皆様、委員の了承をいただいた上で、公開をするということになっています。
 また、議事の要旨につきましては、国立公園課で作成したものを、私が了承した上で、公開をするということになっておりますので、この点もご了解を願いたいと思います。会議資料につきましても、公開ということでございます。
 それでは、早速、審議に入りたいと思います。本日の諮問案件は、南アルプス国立公園の公園計画の変更に関する案件。それから、同国立公園の生態系維持回復事業計画の策定に関する案件。それから、10の国立公園に関係しますけれども、事業決定及び、その変更に関するものということです。
 諮問書の朗読は省略させていただきたいと思います。
 それでは、まず南アルプス国立公園の公園計画の変更と同公園の生態系維持回復事業計画の策定について、両者は関連しますので、まとめて国立公園課から、内容をご説明いただきたいと思います。

○事務局(柴原) 生態系維持回復事業計画を担当しております、生態系事業係長の柴原です。恐れ入りますが、座って説明させていただきます。
 今回、南アルプス生態系維持回復事業についてのご審議に入る前に、シカによる生態系への影響と、生態系維持回復事業について、ご説明をしたいと思います。
 まず、シカによる生態系への影響について、ご説明いたします。資料は全国でのシカによる影響というところでございます。シカというのは、日本列島に分布しております大型の草食獣でございますが、1978年の調査から、その分布域が1.7倍に増加しております。左の日本地図の緑の部分が、増加した地点となっております。
 このような増加に伴いまして、平成21年には、シカによる農林業被害は71億円。全体額が213億円となっておりますので、その3割がシカによる被害となっております。
 また、29ある国立公園のうちの19の国立公園において、自然生態系への影響が確認されており、シカは公園を問わず、全国的な問題となっております。
 シカによる影響ですが、これはほぼ、採食による影響ということになります。ご覧のように、シカによる採食が行われることによって、樹皮はぎ、後継樹などの食害、あと、絶滅危惧植物や高山植物などの食害が生じております。
 シカが、過去に生息していなかったところへ侵入することや、個体数の増加によって、生態系が適応し切れないというような状況が見られます。そういった状況が進みますと、ご覧のように、森林の更新の阻害、下層植生の衰退、強いては、その地表の表土の流失などといった問題が生じております。
 次に、生態系維持回復事業について、説明いたします。先ほど申し上げました、シカによる問題のほかに、国立公園においては、オニヒトデの異常繁殖によるサンゴへの食害。あと、外来植物の侵入による在来植物への被圧などが、報告されています。
 これまで国立公園の保護管理については、開発や森林伐採などの人間の行為に対する規制がかけられていましたが、特定の種の増加による生態系被害への対策が十分にとられていないというのが現状でございました。
 このような形で、オオハンゴンソウ、左の写真でございますが、これが繁茂することによって、本来の在来植物の生息地を追いやられる。また、オニヒトデの異常繁殖により、サンゴが死滅するなどして、国立公園の自然景観への影響も懸念されております。
 これを受けまして、平成21年度の法改正において、公園制度にある保護と利用という制度に加えまして、生態系維持回復事業という制度を創設しました。
 この生態系維持回復事業の特徴というところでございます。まず、生態系に影響を与える増加した種、例えばシカとかオニヒトデを駆除するというだけではなく、駆除すること、また駆除した後に、どのような影響が生態系において生じるのか。生態系への影響を全体的に見て、取り組む事業でございます。
 また、生き物になりますので、広域に移動します。そのため、生態系維持回復事業を策定するに当たっては、広範な関係者が参画する協議会などを設置します。これにより、地方公共団体などとの連携が促進されます。
 また、参画することによって、自然公園法による許可が不要になり、事業の迅速化が図られるようになりました。
 生態系維持回復事業の流れでございます。まず、地方連絡会、協議会などで、生態系維持回復事業の事業内容を決め、それに基づき、事業を実施します。ここの図において実施する事業内容というのは、左上にあります試験・捕獲の実施、あと、これはシカの例をとっておりますが、防鹿柵、これはシカの侵入を防ぐ柵ですが、これを設置することになります。こういった事業を取り組んだ後に、これらの事業において、回復の傾向が見られているのか、また、ほかの生態系に影響を与えていないかというところモニタリングし、その結果を計画にフィードバックして、また計画を見直すと。そういった形で、予防的、順応的に、非常に弾力性のある事業でございます。
 それでは、諮問案件でございます、南アルプス生態系維持回復事業について、ご説明をいたします。まず、南アルプス国立公園の概要でございます。公園指定は、昭和39年6月1日、面積は約3万5,000m2です。日本第2位の標高を誇る北岳を最高峰として、3,000メートル級が約9座を抱える山岳公園でございます。そのほとんどが高山帯に占められておりまして、そこに住む生き物たちも、特有なものが数多く生息しています。そういった面で、生物多様性からも、非常に重要な地域でございます。
 左上が、南アルプスの女王と称される仙丈ヶ岳で、こういった山岳景観が広がっている公園でございます。
 また、ライチョウの生息地でございまして、今、日本で3,000羽おりますが、そのうちの700羽程度が、ここの南アルプスを生息地にしていると言われております。
 また、左下のキタダケソウは、この北岳のみに生息する固有種でございます。
 あと、シラビソなどの亜高山帯の樹林が公園内にも広がっておりますが、そういった樹林の下に生育しているレッドリストに掲載されている種であるホテイランなど、そういった貴重な植物も生育しているところでもございます。
 そういった南アルプスでございますが、シカによる影響が1990年代初頭より確認されております。その影響は、不嗜好植物の優占、つまりシカが食べない植物のみが生えてしまうような状況でございます。さらには、そういった植物も食べられてしまい、植生の衰退も生じています。
 あと、亜高山帯・高山帯には、もともとシカはあまり生息していなかった、記録としてもなかったのですが、そういった地域でのシカの生息の侵入が過度になりますと、シカ道の発達、これによって、裸地化が進むといったような影響が見られております。特に、植生の変化というのは、顕著でございます。左が、薊畑と言われている南アルプス南部の聖岳あたりにあるお花畑、高茎草本群落でございますが、平成9年に撮影された写真と比べ、10年後にはシカが食べないと言われているマルバダケブキ一色に染まってしまう、こういった状況になっております。
 こういったシカに対する状況を踏まえまして、南アルプスでは、国、自治体、民間などが、さまざまな事業体がシカ対策に乗り出したところでございます。左の図が、さまざまな取組を図示したものでございます。南アルプスは広域にわたっておりますので、連携、情報共有の場として、南アルプス高山植物等保全対策連絡会を平成21年に設立したところでございます。
 今回の諮問案件でございます生態系維持回復事業を南アルプスにも策定し、シカ対策を南アルプス国立公園として強力に推進していくということで、今回、諮問に至ったところでございます。
 南アルプス生態系維持回復事業でございます。農林水産省と環境省の共同策定となっております。期間は、平成28年までの5年を期間としています。地域は、南アルプス国立公園全域。事業の目標の目安でございますが、シカによる影響がないと言われている1980年代の植生を目安として、維持回復を図ることを目標としています。
 また、この実施体制ですけれども、先ほど述べました南アルプス高山植物等保全対策連絡会で、情報共有、連携協力して、実施するものとしております。
 この南アルプス高山植物等保全対策連絡会でございますが、環境省と林野庁による二つの国の機関、あと、長野県、山梨県、静岡県の3県、あと、関係している市町村、10市町村によって構成されている連絡会でございます。この連絡会において、南アルプス生態系維持回復事業の内容についても検討されることとなっております。
 南アルプス生態系維持回復事業の概念的なものでございます。事業メニューとしましては、主に五つ挙げられます。モニタリング調査、シカの捕獲、シカを防ぐ防鹿柵の設置、植生などの維持・改善、希少動植物の保護増殖、シカに対する食害などへの普及啓発、この五つの項目になります。この五つの項目ですが、事業体によって行う項目は、異なります。そのため、各事業を南アルプス高山植物等保全対策連絡会で共有することとしております。
 この南アルプス生態系維持回復事業計画が策定されますと、国による事業のほかに、生態系維持回復事業に基づいた事業として、自治体や民間団体の参画がなされます。そういった形で、連携・協力をしていくことで、南アルプス全体、また公園の内外を通じて、官民一体となった総合的な取組を実施することが可能になります。そのことによって、南アルプスの生態系の維持・回復が図られることとなります。
 以上となります。ご審議のほど、よろしくお願いいたします。

○下村小委員長 それでは、以上のご説明に対しまして、ご質問、ご意見をお願いしたいと思います。ご意見等がございましたら、また、名札を立てていただければ、よろしいと思います。
 それでは、まず、敷田委員お願いします。

○敷田委員 ご説明ありがとうございます。今の説明の中で、ニホンジカが増えたのは1990年代という説明になっていますが、今の回復の目標値が「1980年代初頭」になっていますね。細かい話なのですが、この10年間ずれているのは、何か理由があるのですか。

○事務局(柴原) 1990年代初頭に影響が確認されたというところになっております。ということですので、1990年代、もしくは80年代後半になりますと、シカの影響を受けていたというふうに推測されますので、80年代初頭という目標設定にさせていただいております。

○敷田委員 80年代初頭に戻すということは、影響が全くない状態を目標とするということですね。

○事務局(柴原) そのとおりでございます。

○敷田委員 影響が全くない状態を目標とするのはなぜですか。それを教えていただけますか。

○事務局(柴原) 南アルプスでは、この明治期に南部の方のみでシカの記録があるのですが、それ以外には、シカが高山帯・亜高山帯に生息していなかったとなっております。この公園の資質として指定されております高山帯・亜高山帯の生態系が、シカの影響によって変わってきています。。そのため、シカの生息数自体が増加しておりますので、それを排除することで、従来の生態系に戻すことを目標とするということです。

○敷田委員 そうすると、高山帯への侵入のあった、ないが、その目標設定の根拠になっていると理解してよろしいですね。

○事務局(柴原) そうですね。それで差し支えないと思います。

○敷田委員 ありがとうございます。

○下村小委員長 時間の問題もありますので、これも先ほどと同様、最初に意見を皆さんに言っていただいて、それでまとめてお答えいただくような形にしたいと思います。
 続いて、速水(はやみ)委員。

○速水(はやみ)委員 ありがとうございます。それでは、短く。シカ側の問題として、これは生息密度が多分あると思うんですけど、どういう数字をいただけるのかわからないんですけど、現状の、例えば平均と最大とか、それを目標として何頭までにするのかというものを持って、この計画を立てていらっしゃるんだったら、その数字をお教えいただきたいのと、持たないんだったら、なぜ持たないかという理由をお教えいただきたい。

○下村小委員長 続きまして、桜井委員。

○桜井委員 先ほどの敷田委員の意見と、ちょっと関連しますけれども、こういうものをやる場合に、気候変化の影響というのはありますね。特に、全国的にシカが増えている理由としては、まず、80年代後半からの日本の気候が温暖にかわっていますから、80年代の初頭というのは寒冷期なんです、実は。
 ですから、80年代後半のちょうど昭和63年から平成元年にかわるときに、温暖にかわっていますので、もし気候変化というものを加味すると、80年代に戻そうとすると、非常に厳しい。もう一つプラス、気候変動による影響を考慮しなければならない。ですから、その辺のところの置き方を間違えると戻れないという現象が起きますので、そういう気候の影響というのも加味した形で復元を考えた方がいいと思います。これは意見です。

○下村小委員長 続きまして、堀内委員。

○堀内委員 南アルプスにもカモシカがいると思うのですが、カモシカも増えているのではないかというふうに想像するんですが、このカモシカの影響とニホンジカの影響というのに違いがあるのかどうか。そのことを、もし、わかればお答えいただきたいと思います。

○下村小委員長 ほかに何かございますか。小林委員。

○小林委員 ありがとうございます。私も、ちょっと、南アルプスのこの地域で、シカの防護柵をつくったりするボランティアの活動を一昨年やったことがあるのですけれども、このもとの状態に戻すというふうな計画は、理想的に非常にわかるのですが、具体的に、この数を減らすためには、かなりの頭数のシカの捕獲をしなければならないというふうに思うのですが、そのシカの捕獲が終わったそのものは、一体どのように処理されるのかということと、それを地域の関わっていらっしゃる、それぞれの関係連帯と、どんなふうな役割分担をされているのか、そのあたりを教えてください。

○下村小委員長 よろしいでしょうか。小泉委員。

○小泉委員 シカの捕獲はかなり緊急の要件になっているので必要だったと思うのですが、一部でモニタリングをされていますよね。その結果、柵できちっと囲んだところでは、今の時点でかなり植生が復活してきたという話を聞いたことがあるのですが、その辺のことをちょっと、教えていただきたいと思います。

○下村小委員長 よろしいでしょうか。目標の設定とか、あるいはターゲットをどうするかとか、その後の処理をどうするかというご質問だと思いますが、順応的管理の視点も絡めてご説明いただければと思います。

○事務局(柴原) 最初に、密度設定のところでございます。密度設定については詳細な設定は行っておりません。といいますのは、南アルプスでのシカの生息密度、行動圏などの調査をしましたところ、個体によって非常に不明確な動きをします。山梨側から、長野側の伊那山地の方まで3日、4日で移動したり、あとは居つきのシカという形で、ずっと同じ場所から動かないシカとかがいます。
 そのため、完全な生息密度、目標密度というものを設定するのに時間を要するよりは、保護対策である防鹿柵で囲むなどの事業に取り組む方を優先するべきであると考えます。また、シカに対する捕獲というのは、一気に行われなければいけませんので、その保護対策と同時に、シカの生息密度等を設定して、捕獲対策をやっていくというような形になっております。現在のところ、そういった形で進めさせていただいております。
 次の質問でございます、カモシカとニホンジカとの違いというところですけれども、カモシカ、これも確かに頭数が増えてきておりますが、決定的な違いは、群れで動くか、単独で動くかというところでございます。シカというのは、群れで行動する生き物でございまして、その群れでの侵入によって、植生というのが一気に変わってしまうというようなこともあります。
 一方、カモシカというのは、単独行動を主としておりますので、どちらかというと、採食行為というものが軽微であって、次の場所に移動してしまうというような形ですので、現在のところ、カモシカによる被害というもは想定をしておりません。
 続きまして、回復目標に、気候の変動等についても考慮とするべきとのご指摘でございますが、目標年代についてですが、あくまでも目安であって種組成など全く同じものを80年代初頭に戻すということではないということを前提に進めております。一旦、やはり食べられてしまいますと、その後に復活する植生というものが、全くもって同じものになるのかというところも、予測出来ないというところでございます。
 しかしながら、生物多様性を含め生息環境、生態系を維持回復する目標としてどのようなイメージをしていくかという目標値的なものとして設定しております。知床の生態系維持回復事業の場合ですと、明治期初期といった形の設定をしております。南アルプスについては、良好な生態系の状態が、かなり80年代初頭まで保たれておりましたので、80年代初頭という段階での設定という形でございます。ですので、順応的な管理というところで、その目標年数が80年代というものは、修正されていくということも考えられます。
 続きまして、捕獲後の処理と、地域連携というところでございます。主に捕獲は、冬場に一般的な猟という形で、試験捕獲を実施しております。現在のところ、環境省では50頭ほど捕獲をしておりますが、捕獲場所は林道に入っているところでして、回収処理されております。
 今後、亜高山帯での捕獲なども検討されてきますが、やはり、そこで搬出というのも、非常に困難な場所になります。
 また、死体をそのまま放置しておくというところも、やはり動物愛護の観点からしても、あまり望ましくないというところも考えます。そうすると、やはりシカの行動形態、いろんな密度設定とか、そういったところも踏まえて実施するのですが、本格的な捕獲をする際に、捕獲個体の処理も含めて検討していきたいと考えております。
 また、関係機関との連携というところでございますが、国有林野においては、くくりわなによる捕獲が始まっておりますし、また、公園外において、猟友会、また有害鳥獣の捕獲というところがございます。平成21年度ですと、南アルプス地域、長野県側ですと、5,200頭ほど捕獲されております。また、山梨側も1300頭程度と報告されております。そういった形で、捕獲の連携というところも、公園内外を問わず、やはり地域としてシカの捕獲に取り組んでいきたいと考えております。
 続きまして、柵で囲った状況でございますが、種数の変化、場所によるのですが、かなり種数が増えております。種数は植物の種数です。失礼いたしました。植物種が増えてきております。ただ、一部、裸地化したところにおいては、単純な種構成の植生になるといいますか、従来の植生の復元が見込めないところもございます。
 防鹿柵で囲うにあたっては各種の目標設定をしながら、柵で囲むことを予定しています。
 先ほど、小泉委員がおっしゃられたとおり、植物の種数が増えるというところは、早急に守るべきところとして、柵を設置させていただくと。また、一方で、裸地化したところは、どのように復元していくのかという形での柵の設定をしておくと。また、全くもって、シカの影響を受けていないところは、南アルプス本来の植生を守るという三つの設定で守って、モニタリングをしていくというような実施計画になっております。以上です。

○下村小委員長 よろしゅうございますか。リジッドな目標設定は、難しいということなので、ある程度のイメージを持ちながら、モニタリングを進めて、順応的に対策を講じていきながら、様子を見ていくということではないかと思います。
 それでは、今ご説明のありました、南アルプス国立公園の公園計画の変更という問題と、南アルプス国立公園における生態系維持回復事業の策定についてということですが、適当と認めることに異議はございませんでしょうか。

○敷田委員 啓発事業等が、事業の概念図の中に入っているのですが、関係者から見ても、この事業の目的からしても、啓発事業が必要だと思えないのですが、これはどんな内容ですか。子どもの写真が写っているのですが、子どもはおよそ関係がないと思うのです。

○事務局(柴原) これは、失礼しました、子どもの写真は、イメージでございます。この写真は、大台ヶ原での普及啓発の写真を使わせていただきました。まず、シカを捕るということ、つまり、捕殺するということと、公園景観を著しく乱しかねない防鹿柵の設置というところに対しては、何のためにこのような事業をしているのかということの必要性を、やはり国民の皆様に理解していただくために、説明、アピールしていかないといけないということで、普及啓発事業も入れさせていただいております。

○敷田委員 事業の説明をするということですね、普及啓発というよりも。

○事務局(柴原) そうですね。事業の説明という形で行います。

○敷田委員 わかりました。

○下村小委員長 詳細な説明はありませんでしたけれども、計画書の方に詳細なことも書いてございますので、ご覧いただければと思います。
 もう一度、お伺いしたいと思います。異議はございませんでしょうか。

(異議なし)

○下村小委員長 それでは、適当と認めることにしたいということでございます。
 この後に、別の小委員会もあって、これからまだ10件ばかりの案件がございますようですので、大変難しい要請ですが、簡潔に説明をお願いをしたいと思います。

○事務局(速水(はやみず)) 国立公園課で、公園事業を担当しております速水(はやみず)と申します。どうぞよろしくお願いいたします。座って失礼いたします。
 まず、説明でございますが、資料2-1から2-3までございますが、それは詳細な内容になり、説明につきましては、資料セットの一番最後についております、資料2-4のスライドをもとに行わせていただきますので、そちらの方をご覧ください。
 まず、公園事業制度につきましては、先ほど来、ご説明がありますので、非常に簡単にご説明させていただきます。
 公園計画につきましては、ここにありますように、規制計画、施設計画がございまして、これから諮問させていただきます公園事業につきましては、この施設計画において、公園利用のために計画的に整備すべき施設、及びそれらの大まかな位置ですとか、整備方針を決められておりまして、それに基づいて執行される事業のことを、公園事業と呼んでおります。
 公園の決定とは、これらの位置や整備方針に沿って、より具体的な規模等を決めることを言います。園地を例にしますと、スライドにおいて、赤で示したものが区域面積になります。園地でいいますと、こういった区域の面積を決めるものでございまして、車道に関して言えば、路線図による路線位置、及び有効幅員と有効距離。宿舎につきましては、区域面積と、最大宿泊者数といったものを決めていくことになります。
 事業決定につきましては、事業の内容が公園計画に適合していること。事業の内容が風致景観の保護上支障のないこと。公園事業の執行の見込みがあることということを、要件として行うこととしております。
 各事業の実施主体においては、この事業決定した規模の範囲内で、事業を執行することができることとされております。
 この決定した内容について、変更する必要が生じた場合には、事業決定の変更、対象事業を行う必要がなくなった場合は、事業の廃止をすることとなりますけれども、今回の諮問につきましては、廃止案件はございません。
 では、早速、事業の案件について、諮問させていただきます。まず、新たに規模等を設定します事業決定案件が、計9件ございます。
 まず、一つ目は、磐梯朝日国立公園の金玉水植生復元事業の事業決定でございます。金玉水がございます大朝日岳につきましては、日本百名山の一つでございまして、多くの利用が見られるとともに、この金玉水というのが水場にありまして、登山者にとっては重要な休憩場所となっております。
 当該地は、かつて幕営地として利用されておりまして、当時の人為的な影響と考えられる植生荒廃によって、裸地化が進んでございます。また、あわせて水道の形成ですとか、浸食等が起こっている状況です。
 当該地は、地元の県ですとか、ボランティアによって、今までも植生復元対策を実施されてきたところですが、大規模な荒廃が起こっている状況を鑑みまして、今回、環境省において事業執行を行うこととなっております。区域面積は、1ヘクタールでございます。
 主な内容につきましては、写真のとおり、周囲の自然環境になじむ形で、連柴柵工による流速低減ですとか、あるいは、粗朶流路工や植生マットによる表土の保護等を行う予定にしております。
 続きまして、尾瀬国立公園の七入御池道路、歩道の事業決定でございます。当該地は、この国道352号線と平行となる形で通っている歩道でございます。もともと、昔、使われた木道ですとか、あるいは許認可等によって設置された木道がございまして、既に歩道が存在している路線でございます。地元、檜枝岐村において、公園事業として執行するということが方向づけられたことから、今回、事業決定をさせていただくものでございます。
 距離は、4.4キロメートルです。並行して通っている国道を通って、多くの皆様が御池の方に行かれますが、こういった歩道がきちんと維持管理されることで、車から味わえないような景色をゆっくり楽しむことができるという、新たな動線が確保されます。
 この後、諮問させていただく7件につきましては、既にこのように存在している施設や、歩道を公園事業化する案件ですので、簡単にご説明いたします。
 まず、一つ目が、富士箱根伊豆国立公園がございます富士吉田口七号目医療救急施設でございます。既に山梨県において施設の方はございまして、これを公園事業として位置づけるものでございます。
 続きまして、上信越高原国立公園に、四つの歩道事業がございます。こちらも、既に存在している四つの歩道を、公園事業歩道として続けるものでして、これらにつきましては、妙高市において、維持管理体制の目処がついたということで、事業執行を行うということになっております。
 続きまして、瀬戸内の国立公園、大分地域にございます、赤根成仏線歩道事業の事業決定でございます。当該地は、そもそも公園指定時に、県道として既に存在しておりまして、これまでも大きな工事はされずに、簡易な補修を許認可で対応してきた既存の車道でございますが、今回、道幅が狭くて、見通しが悪いということで、大分県の方で拡幅工事の方を予定しております。これを機に、事業執行をしていただくということで、事業決定をするものでございます。
 一部、拡幅工事で車道を広げますけれども、スライドにあるように谷側の田畑の部分に盛り土をする形で、車道幅を拡幅するものでして、周囲の自然環境に与える影響は最小限の形で、工事計画を立てているということです。
 最後の阿蘇くじゅう国立公園、蛇越峠園地でございます。別府と阿蘇を結ぶ、やまなみハイウェイにあるところで、湯布院盆地を西側から眺望できる、数少ないスポットとして、多くの観光客の方がいらっしゃいます。既に湯布市において、駐車場ですとか、ベンチですとか、そういったものが整備されておりまして、それを公園事業として位置づけるものでございます。
 このような既存施設が事業化されることで、国の監督権限のもと、適切かつ継続的に維持管理されまして、公園の利用施設としてもふさわしいものになるということが考えられます。
 また、利用施設周辺の工作物の設置が規制されることから、利用施設からの視点に配慮した公園管理が可能となりまして、そういった観点からも重要なことと考えております。
 次に、事業決定の変更案件でございまして、こちらも計9件ございます。
 まず初めが、釧路湿原国立公園における北海道自然歩道線道路(歩道)の変更でございます。これは先ほど、部会の方で公園計画の変更を行ったのに伴うものでございまして、執行距離が56キロから63キロとなります。具体的には、区域拡張に伴う路線の延長ですとか、あるいは北海道長距離自然歩道との整合性を図るということが、主な内容になっております。
 スライドにある写真のような既存の施設を、公園事業として再度、整理して位置づけるというものでございます。
 二つ目は、富士箱根伊豆国立公園の田貫湖宿舎でございます。これは、今、キャンプ場に付随しています駐車場が、実質、宿舎事業の利用者によって利用されていることから、今回、田貫湖キャンプ場の駐車場を宿舎事業の一部として編入するものでございます。区域面積は、その部分、1ヘクタールから1.5ヘクタールへと変更しております。スライドで示した赤い部分が、今回、編入されるものでございます。
 宿舎事業に編入されることで、宿舎の事業者によって、一体的に宿舎と一緒に維持管理されるということで、利用者にとっては、よりよい環境になるかと考えております。
 キャンプ場の駐車場は別途ございますので、キャンプ場利用者の利用に際しての支障等はございません。
 次に、伊勢志摩国立公園の鵜方神津佐線道路、車道のバイパス工事に伴う区間距離の縮小です。25キロから24キロになります。
 当該路線は、昭和27年に利用計画に位置づけられた県道でございますが、非常に道路がくねくねした道でございまして、線形も非常に狭く、通行の安全性が確保されていないということで、地元の県によって、道路の改良工事が始まったものです。これは平成3年から始まっておりまして、路線距離の縮小ですとか、路線の変更が伴うものについては、その都度、公園事業の決定の変更を行ってきたものです。今回が、最後の工事区間となる予定です。
 具体的には、現路線についてバイパスを行い、一部トンネルとしております。事業地周辺は、ウバメガシですとかヤブツバキを中心とした二次林ですとか、田んぼ等のわきを通るものになっており、ルート選定に際しては、地形改変面積ですとか、切り土が最小限になるように、調整を図ったルートになっております。
 続いて、鹿沢の給水施設でございます。鹿沢は、浅間山の北西に位置し、集団施設地区でして、環境省が園地ですとか、キャンプ場、ビジターセンター等を整備しております。
 この給水施設は、園地、野営場、ビジターセンター、宿舎等に給水するものでございますが、夏場の繁忙期にキャンプ場で水不足が発生する状態が続いておりまして、給水施設の老朽化によって、改修、再整備が必要になったものを機に、取水施設や減圧施設を改修をするものでございます。それに伴い、180立米から240立米へ、給水量を増加させるものでございます。キャンプ場利用者への安定的な給水が可能となります。
 次に、吉野熊野国立公園の橋杭園地でございます。吉野熊野は、串本から北西に1キロほどのところにございますが、写真一番下のような橋杭岩が鑑賞できるような場所でございます。休日には、慢性的に駐車場の収容台数不足が発生しておりまして、今回の事業決定の変更は、もともと園地事業が整備されている区域において近隣の駐車場を新たに園地として位置づけまして、駐車可能台数を増加するとともに、既に設置されている、お土産屋さんを集約しまして、休憩スペースや物産売店、インフォメーションカウンターを含む建屋や案内標識を串本町が整備することを検討しております。それに伴って、区域の拡張を行うものでございます。
 駐車場の確保ができるとともに、既存の建物が周囲の景観に合った形で集約されまして、また情報発信機能も付与されるということで、国立公園として、よりよい利用環境が整うことになります。
 次の鳰宿舎につきましては、最大宿泊者数を上げるものでございますが、内部改装のみとなっております。
 雲仙天草国立公園は3件ございまして、うち雲仙地域が2件ございます。一つ目は、雲仙温泉公衆浴場施設でございますが、雲仙温泉地域の中にありまして、既に二つ、黄色い部分が公園事業として設定されておりますが、そこに、さらに二つ、公衆温泉施設を編入するものでございます。
 二つ目が、論所原園地でございます。これは、もともと長崎県が、園地事業やその周辺の野営場の方を執行しておりますが、この周辺にある既存のフラワー園となっている広場を園地として位置づけ直すというものでございます。区域面積は、1ヘクタールから7.3ヘクタールとなります。
 最後に、雲仙天草国立公園の天草地域にある前島園地でございます。前島園地は、熊本から天草の方に伸びる天草パールライン上にございまして、上天草市が、既に砂浜に面したところに散策路を整備しております。図面黄色い部分でございます。園地の近傍地にありました国民宿舎の跡地やグランド跡地について、上天草市の方で既存の園地と一体的な利用が可能な案内所ですとか、駐車場の施設を整備することを検討しておりまして、公園事業としても認められるため、現在、決定されている区域を1ヘクタールから2.7ヘクタールに拡張するものでございます。定期航路の乗降口が、こちらに整備されたり、駐車場ですとか、インフォメーション等の休憩所の整備によりまして、利用者への情報提供機能ですとか、休憩機能を兼ね備えるような場所となります。
 以上、足早で非常に申し訳ありませんが、国立公園事業計画変更に関する説明は以上です。ご審議のほど、よろしくお願いします。

○下村小委員長 ありがとうございました。15分近く遅れて始まっておりますので、もう少しお時間をいただきたいと思います。
 10の国立公園に関係して、公園事業の決定が9件と、変更が9件ということで、非常に多様なケースのご説明をいただきましたけれども、何かご質問、あるいはご意見等がございますでしょうか。ございましたら、また名札を立てていただければと思います。いかがでしょうか。。
 小泉委員、お願いいたします。

○小泉委員 磐梯朝日の国立公園の水場の崩壊というか、浸食のことなのですが、こういう崩壊はいろいろなところで起こっていますよね。今までも、例えば、巻機山ですとか、飯豊山ですとか、いろいろなところでこういった復旧工事をやっています。その様子は地形・地質によって大分違うのですけれども、何かそういう知見を、少し集積して生かしてもらうといいと思います。例えば、一番下の図で、V字型で洗掘されたところを植生マットをつけてやる予定になっていますけど、多分、これだとなかなかうまくいかないような感じがしてしまいます。
 ですから、例えば、非常にV字型に深くえぐられたときは、こんな対策をしたとか、浅く広く浸食されたときは、こんな工法でやってみたら、これはよかったけれども、これはよくなかったとか、いろんなケースがあると思います。何かそういうのを少し参考にしていただいて、そういった事例集みたいなのに、いずれまとめてもらえればありがたいです。いろいろなところでこういう問題が起こっていますから、これは多分使えるようになると思う、もしできたら、そういうのを検討していただけると、ありがたいです。

○下村小委員長 今のは、ご意見として受け止めさせていただいてよろしいですか。それでは、事業に際して、参考できるような事例集の作成をご検討願えればと思います。
 ほかに、何か。敷田委員。

○敷田委員 ご説明ありがとうございました。13番の鳰宿舎の件ですが、説明を省略されましたが、こういうケースの場合、宿泊者数の増加というのは、周辺の利用にも影響を与えるんですが、判断の基準というのをお持ちになっていますか。内装だから、問題ないという判断ですか。判断の基準をお持ちになっていれば、教えてほしいんですが。

○事務局(速水(はやみず)) 現場の方で、この事業地の宿舎事業1件しかございませんで、休前日ですとか土日ですとか、そういったときに、お断りしている状況がございまして、そういった宿舎の方と話した上で、どういった収容人数が一番よいかというところで、決めているところもございます。なので、それぞれの場所によって、ちょっと、状況が違うというところでございます。

○敷田委員 特に基準がなくて、大きくしたいと言えば、オーケーであれば、そのままオーケーということなのですか。

○国立公園課長 お答えしたいと思いますけれども、場所によって、例えば宿泊者数の定員を超えてしまうと、さまざまな面でインパクトが出てしまうような場所も、当然あり得るということだと思います。そういうケースですと、必ずしも宿泊者数を言われたとおり増やすということにならない場所も、当然あると思いますけれども、この瀬戸内海のここに関して言えば、そういう面で、収容力が増えることでの環境面には影響がない場所であると。片方で、利用面では、必要性があると。そういうことから、個別にそういう意味では判断、地域の特性を踏まえて、判断をするということになっております。

○下村小委員長 よろしゅうございますか。

○敷田委員 ありがとうございました。

○佐藤委員 こういう場合、最大の、土日はいっぱいだからということで、すぐ増やすという
 ことになるんですけど、実際問題は、それでやっていると、空いている日もすごくあって、本当は、本質的には、一番最大のときにあわせていいかという問題は、やっぱりあるんじゃないかなと思うんですね。その辺は、どういうふうに考えていらっしゃるんでしょうか。これは中のことだからいいのかもしれませんけど、細かいことなのかもしれませんけど。

○国立公園課長 今、お話がありましたように、当然、週の中でも、終日と週末とで物凄く利用者数に差が出るのは、当然あるんだと思うんですけれども、おそらく、個別の事業を執行している人から見れば、そこは全体的の経営の中で、ちゃんと計算をした上で、恐らくそれぐらいの人数を週末に入れることが、プラスになるだろうという判断をされているんだろうと思います。
 実は、公園事業、こういう宿舎は、民間の方がふつうやられるわけですけれども、認可の際に、一応、我々も、そういう経営面的にしっかり運営できるのかということも、形上は、一応は見ているという形にしております。そういう意味で、ちゃんと成り立つかどうかという前提で、見ていくことにはなると思います。

○下村小委員長 よろしゅうございますか。そろそろ最後にしていただけるとありがたいと思いますが。

○小泉委員 大した質問じゃないですけど、上信越高原のところで、既設歩道の把握ということを決定するということなんですけど、要するに、妙高市が、自分が管理するから、国に認めてくださいという、そういうことを言ったということなんですか。簡単に言ってしまうと。

○事務局(速水(はやみず)) 今までの地元の方々のボランティアの行為によって、施設維持はある程度されてきたんですけれども、今後も多くの利用者が見込まれますので、荒れているところは手当する等しっかり事業執行していただくというのが、公園事業として計画されている歩道でございますので必要だ、ということで、現場の方で妙高市と調整をしてきて、結果、こういった形で執行していただけるという形になったということです。

○下村小委員長 よろしゅうございますか。

(はい)

○下村小委員長 それでは、ご説明いただいた国立公園事業の決定及び変更について、適当と認めることに、ご異議ございませんでしょうか。

(異議なし)

○下村小委員長 それでは、本件につきましては、適当と認めることとしたいと思います。
 時間的に、非常に制約がある中でご審議いただき大変恐縮でございます。進行に関して、もう少しお時間をいただけるとありがたいと思います。規模の大小に関わらず、議論は必要になりますので、審議時間を十分にとっていただくようご検討いただければ、大変ありがたいと思います。
 それでは、本日の諮問事項について、審議を終了いたしました。審議へのご協力、ありがとうございました。
 本日のこの小委員会の決議は、後ほど部会長の同意を得て、自然環境部会の決議とするということです。
 それでは、国立公園課長補佐の方にお返しいたしますので、連絡事項があれば、お願いいたします。

○国立公園課長補佐 どうもありがとうございました。活発なご審議、どうもありがとうございました。本日の会議の資料、取り扱いは公開でございますので、よろしくお願いいたします。
 本日、配付資料につきまして、郵送ご希望の委員の方がいらっしゃいましたら、お手元の用紙に記入いただきまして、おいていただければ、後日、こちらの方から郵送させていただきます。
 本日は、お忙しい中、どうもありがとうございました。

午後5時21分 閉会

問い合わせ先

環境省自然環境局国立公園課(代表03-3581-3351)

課長
上杉 哲郎(内線 6440)
課長補佐
田村 省二(内線 6443)
専門官
佐々木 真二郎(内線 6445)
担当
桝 厚生 (内線 6449)<公園計画>
柴原 崇 (内線 6448)<生態系維持回復事業計画>
速水 香奈(内線 6447)<公園事業>