中央環境審議会自然環境部会自然公園小委員会(第14回)議事録

開催日時

平成19年12月4日(金)10:30~12:00

開催場所

環境省22階 第1会議室

出席委員

(8委員)

川名 英子  臨時委員
熊谷 洋一  委員
小泉 武栄  専門委員
鹿野 久男  小委員長
田部井 淳子  委員
服部 明世  臨時委員
原 重一  臨時委員
廣瀬 敏通  専門委員

議題

  1. 開会
  2. 議事
  3. (1)国立公園の公園計画等の変更について
    ・日光国立公園(那須甲子・塩原地域)(一部変更)
    ・秩父多摩甲斐国立公園(点検)
    (2)国定公園の公園計画等の変更について
    ・下北半島国定公園(再検討)
    ・丹沢大山国定公園(一部変更)
    (3)国立公園事業の決定、変更及び廃止について

  4. その他
  5. 閉会

配付資料

資料1:
日光国立公園(那須甲子・塩原地域)指定書及び公園計画書(案)
資料2:
秩父多摩甲斐国立公園 公園計画書(案)
資料3:
下北半島国定公園 指定書及び公園計画書(案)
資料4:
丹沢大山国定公園 公園計画書(案)
資料5:
各公園の変更案説明資料
資料6:
国立公園事業の決定、変更及び廃止の諮問案件について
資料7:
国立公園事業の決定、変更及び廃止案件の概要
資料8:
国立公園事業の決定書、変更書及び廃止書(案)
資料9:
国立公園事業の決定、変更及び廃止に関する説明資料

議事録

午前10時31分 開会

○国立公園課長補佐 定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会自然環境部会自然公園小委員会を始めます。
 本日は、所属委員12名のうち8名のご出席をいただいております。
 また、中央環境審議会令第7条及び同議事運営規則第8条第5項の規定により、本委員会の開催並びに議決に際しては、委員及び臨時委員の過半数の出席が必要とされております。本日は委員及び臨時委員10名のうち6名のご出席をいただいておりますので、本委員会は成立しております。
 本日の審議のためにお手元にお配りしております資料につきましては、配付資料一覧のとおりとなっております。もし配付漏れ等がございましたら、事務局にお申し出くださいますようお願いいたします。
 それでは、議事に入ります前に、桜井自然環境局長よりごあいさつ申し上げます。

○桜井自然環境局長 おはようございます。委員の皆様には、自然環境行政の推進につきまして、日ごろから大変お世話になっております。この場をお借りして厚く御礼を申し上げます。
 さて、先週11月27日に、第3次生物多様性国家戦略が閣議決定されたところです。この生物多様性国家戦略の中でも、国立公園は生物多様性の保全のための屋台骨を形成するという位置づけになっておりまして、現在進めている国立公園の総点検の中でも、今後は生態系ネットワークという観点から国立公園の見直しをしていきたいと考えています。また、風景地の保全という観点から、照葉樹林や里地里山、あるいは海域などについても、風景地という要素から改めて評価をして、総点検の中で評価をし直して、見直しをしていきたいと考えているところです。
 また、当然のことながら、国立公園は、国民が自然と触れ合う場として重要な位置にありますので、そういった観点からも見直しをしていきたいと考えているところです。
 本日、小委員会にお諮りするのは、日光国立公園のほか、3つの国立・国定公園の公園区域及び公園計画の変更についてです。このうち日光国立公園の那須甲子地域は、那須連山を中心とした登山あるいは自然鑑賞、さらには温泉利用などのために多くの人が訪れるところですが、今般、那須の御用邸用地の一部を、天皇陛下のお考えもあり、国民が自然に触れ合う場として広く使ってほしいということから、宮内庁から環境省に所管換をいただくことになりました。これに対応した公園区域の変更などを今日お諮りするところです。
 このほか、大雪山国立公園を始めとする10の国立公園における30の事案につきまして、事業区域の拡張、路線の延長等の整理もご審議いただくところですが、それぞれ国立公園、国定公園の保護と適正な利用のための重要な事案ですので、よろしくご審議をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○国立公園課長補佐 それでは、これよりの議事進行につきましては、鹿野小委員長にお願いしたいと思います。鹿野小委員長、よろしくお願いいたします。

○鹿野小委員長 それでは、ただいまから自然環境審議会自然環境部会自然公園小委員会を開催いたします。本日の委員会は公開で行いますので、傍聴の方も同席いたしております。
 会議録は後ほど事務局で作成し、本日ご出席の委員の了承をいただいた上で公開することとしております。なお、議事要旨につきましては、事務局で作成したものを、私、小委員長が了承した上で公開することとしますので、ご了承願います。
 それでは、早速審議に入りたいと思います。
 ただいま局長のごあいさつにありましたように、本日の諮問案件は、公園計画の変更に関するものが、国立公園が2公園、国定公園が2公園、それと事業決定に関する案件の計5件です。
 諮問書の朗読は省略させていただきます。
 進め方ですが、公園計画の変更案件については、時間上の制約がありますので、国立公園について2つをまとめて説明してもらった後に一括審議し、その後2つの国定公園についても同様に進めたいと思います。
 それでは、事務局の方から説明をお願いします。

○事務局(守分) 国立公園課で公園計画専門官をしております守分と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、まず初めに、公園区域及び公園計画の変更に関する諮問案件のうち、国立公園についてご説明をさせていただきます。
 今回は、日光国立公園の那須甲子・塩原地域と、秩父多摩甲斐国立公園の2つの公園に係る変更となっています。
 これからスクリーンに映し出す内容につきましては、資料5としてお手元にも配付しておりますので、ご参照いただければ幸いです。
 まず最初に、日光国立公園の那須甲子・塩原地域についてご説明します。
 日光国立公園は、昭和9年12月に指定された、福島県、栃木県、群馬県にまたがる我が国初期の山岳公園で、日光地域及び那須甲子・塩原地域により構成されております。
 今回変更する那須甲子・塩原地域は、日光国立公園の北東部に位置しており、昭和25年9月の区域拡張の際に追加された地域となっております。総面積は3万9,047ヘクタールとなっております。
 本件は、那須甲子・塩原地域の中でも那須甲子地区に係る変更となっており、今回は塩原地区に係る変更はございません。
 那須甲子地区は、那須火山帯に属する茶臼岳を主峰とする那須火山群、その麓に広がる緩やかな高原及びこれらを貫く河川により構成される、非常に変化に富んだ景観を有している地域でございます。
 著名な温泉地が多数あり、首都圏からアクセスがよいこともあって、自然探勝、温泉利用などを主体として、那須地域だけで年間約450万人の利用者があります。
 本地域の公園計画については、昭和60年に全般的な見直し、いわゆる再検討を実施しておりまして、その後、平成4年、平成11年、平成18年と、これまで3回の点検を行っております。
 本件は、先ほど局長のあいさつにもありましたが、本年6月、那須御用邸用地の一部を宮内庁から環境省に所管換することとなったことを背景として、公園区域及び公園計画の一部変更を行おうとするものです。
 那須御用邸は、大正15年に天皇皇后両陛下を始め、皇族方のご静養地として設けられ、宮内庁が皇室用財産として管理しているところです。その用地については、栃木県立博物館によって、平成9年度から13年度にかけて、自然総合学術調査の一環として、動植物調査が実施されており、これによって、希少種を始めとする非常に豊かで多様な動植物が見られることが確認されております。また、同用地の大部分が日光国立公園に含まれております。
 今回の所管換につきましては、那須御用邸用地のこのような豊かな自然を維持しながら、同用地の一部を国民が自然に直接触れ合える場として活用してはどうかといった天皇陛下のお考えを踏まえ、今年度中を目途として、同用地のうち約570ヘクタールを宮内庁から環境省に所管換することになったものです。
 このことを受けた公園区域の変更について、まずご説明をいたします。
 所管換予定地のうち、公園区域に現在含まれていない区域、赤線の斜線部については、写真の方にあるように、ミズナラ、コナラなどの自然性の非常に高い二次林となっておりまして、こちらを公園区域として一体として保護を図るため、今回公園区域に編入するものです。
 あわせて、保護規制計画の変更についても、当該区域は、隣接する現在第2種特別地域となっている地域と同様の風致景観を有していることから、周辺と同様、第2種特別地域とします。
 続いて、利用施設計画の変更についてご説明いたします。
 環境省では、所管換予定地について、今後、宮内庁、栃木県、栃木県立博物館、那須町等の関係機関と連携して、自然と触れ合える場として、多くの国民に利用されるよう、自然観察や自然体験活動等の場所として適切な活用を行うことにしております。このため、既存の那須高原集団施設地区を拡張して、所管換予定地及び周辺地区を集団施設地区に編入します。この図の青色の部分が現在既に集団施設地区として指定されている場所で、オレンジ色の部分が今回拡張する区域となります。
 こちらが、集団施設地区内の概況写真になります。
 また、集団施設地区の拡張に伴い、拡張区域に含まれる単独施設、宿舎4つと園地3つを集団施設地区内の施設に振り替えるため、削除します。
 ただ、単独施設としては削除になりますが、実際には、集団施設地区内の宿舎及び園地に含まれることになります。
 同様に、起終点が集団施設地区内に含まれる車道及び歩道について、こちらも集団施設地区内の施設に振り替えるため、削除します。
 こちらも、道路施設としては削除になりますが、実際は、集団施設地区内の車道及び歩道に統合するといった形になります。
 また、これらに伴いまして、終点の表記が変更される車道が2つあります。
 なお、環境省では、今回の公園計画の変更を受けまして、那須高原集団施設地区及び所管換予定地等の保全整備を今後具体的に検討していくため、必要な調査検討を進めていくこととしております。
 以上が、日光国立公園那須甲子・塩原地域の変更案の概要です。
 続きまして、秩父多摩甲斐国立公園についてご説明させていただきます。
 秩父多摩甲斐国立公園は、昭和25年7月に指定されており、埼玉県、東京都、山梨県、長野県の1都3県にまたがる山岳公園です。
 面積は約12万6,000ヘクタールあり、その区域は、雲取山から甲武信ヶ岳にかけての奥秩父主稜を中心として、北は両神山、南は大菩薩嶺、東は奥多摩までを含む非常に広大な山岳地域となっております。
 その特色としては、我が国では珍しく、火山を含まない山岳地域であることが挙げられます。また、荒川や多摩川などの水源となっており、河川の侵食によって深い渓谷が刻まれ、変化に富んだ景観を見せております。
 本公園の公園計画等については、平成12年に全般的な見直し、いわゆる再検討を実施しており、今回が再検討後の第1回目の点検になります。
 今回の点検の結果、利用施設計画の一部について変更すべきものがありましたので、計画の変更を行うものです。
 まず、単独施設の追加についてご説明します。川又から雁坂峠に至る登山道の中間に、登山者の安全を図るための避難小屋を追加します。こちらは現在、歩道の附帯施設として整備されている既存の施設ですが、今回単独施設として位置づけるものです。
 続いて、利用上の必要性が乏しくなった施設を削除します。
 まず、両神山の南東に位置する白井差の園地、避難小屋、博物展示施設及び広河原の園地及び駐車場、これらの計5つの単独施設については、近年の利用動線の変化に伴い必要性が乏しくなったため、削除します。
 なお、白井差の園地と博物展示施設、広河原の園地と駐車場については、それぞれ未整備となっており、白井差の避難小屋は既存の施設は撤去されております。
 次に、倉沢鍾乳洞と養沢鍾乳洞の2つの鍾乳洞は、洞内の崩落等の危険のため現在閉鎖されており、これらの鍾乳洞の利用者のために計画されていた園地と宿舎及び車道の一部を削除します。
 なお、園地と宿舎は未整備になっており、車道については、未舗装の林道で一般車両の通行は現在困難となっております。
 次に、地元あきる野市の整備計画に基づき位置づけられていた長岳運動場と、東京都の計画に基づく上川乗小岩線車道の2つの施設については、市や都の整備計画の凍結及び縮小により今後整備される見込みがないため、削除します。いずれの施設も、現在未整備となっております。
 次に、鋸山避難小屋については、近くに近年林道が整備され、アクセスが非常に容易になったことから、必要性が乏しくなったので削除します。また、馬頭刈山園地についても、歩道の利用者が減少しており、必要性が乏しいことから削除します。いずれも既存の施設は撤去されております。
 次に、数馬と日原の2つの広場につきましては、近年、団体利用から個人利用へと利用形態が変化していることや、周辺に広がりのある土地の確保が非常に困難であることから削除します。いずれも、現在未整備となっております。
 最後に、単独施設位置の変更です。こちらは日の出山と大菩薩峠の2つの園地について、現在、市町村界となっている山頂や稜線部に位置しているものを、境界を接する市町村を含むような形で位置を変更するものです。
 以上が、秩父多摩甲斐国立公園の公園計画の変更案の概要となっております。
 続いて、パブリックコメントの実施結果につきまして、ご説明をさせていただきます。
 以上2つの国立公園の変更案については、本年9月から10月にかけて、30日間パブリックコメントの募集を行いましたが、提出された意見はありませんでした。  以上で、国立公園の変更に関する説明を終わります。ご審議のほどよろしくお願いします。

○鹿野小委員長 それでは、ただいま説明のありました日光国立公園と秩父多摩甲斐国立公園、この2公園について、ご質問、ご意見を受けたいと思います。

○田部井委員 秩父の両神山のことですが、一時、白井差からのルートはすごく登る方が多かったのですが、私有地で何かちょっともめたことがあり、上の方に新しいルートを1メートルぐらい離れて造ったというようなことを聞いたのですが、どうなったのでしょうか。

○事務局(守分) 両神山は日本百名山でもあり、大体年間1万人ぐらいの方が登山をされております。今ご指摘のあった歩道は、白井差両神山線歩道という公園計画歩道になっておりまして、従来はこちらが主要な登山ルートになっておりました。しかし数年前から、地権者のご意向により、現在は協力金を徴収するような形で、ごく少人数の登山のみを許可していらっしゃるといった状況であると聞いております。
 そのため、現在はほとんどの登山者が埼玉県により執行されている別のルート、集人両神山線歩道という公園計画歩道を利用しております。このように、両神山の登山ルートは、この近年、非常に変化したという状況です。今ご説明させていただいた公園計画の変更は、そういった近年の利用の変化を受けたものです。

○廣瀬委員 単独施設の削除及び車道の削除というのは、計画上の文言であると同時に、実際に現場では閉鎖措置がとられるのでしょうか。それともそのまま放置する形になるのでしょうか。奥秩父と奥多摩の鍾乳洞地域は私も日本洞窟学会で度々訪れているのですけれども、確かに修学旅行などの利用は非常に少なくなっているのですが、一方、環境教育を目的とした利用などが進んでいまして、にっぱら自然学校などが生まれています。ですから、もし通れなくなってしまうとどうなのかなと思いまして質問しました。

○事務局(守分) 公園計画上の利用施設については、基本的には、まず公園計画に位置づけて、取り急ぎ必要と認められるものから順次整備を進めていくという形になっております。今回公園計画から削除するということは、公園計画上の利用の必要性が薄れたという判断をするものです。ただし、そこを全く閉鎖してしまうといったことはございません。しかし自己責任といいますか、利用される方がそこを通行したり、その場を利用していただくことは構わないのですが、公園管理の観点から、積極的にそこを整備、活用していくということはなくなるということになります。
 ご指摘のあった鍾乳洞ですが、2つとも鍾乳洞自体は今、管理者により閉鎖されていると聞いておりますが、周辺の場所自体が閉鎖されているといったことではございません。

○小泉委員 単独施設の位置の変更というものがありますが、本当に事務的なことかもしれませんが、隣接する市町村を含むように位置を変更するということが少しわかりづらいので、もう少し説明していただけますか。

○事務局(守分) 少し説明が舌足らずで申し訳ございませんでした。日の出山園地及び大菩薩峠園地につきましては、それぞれ山頂部と稜線部に位置しております。その山頂部や稜線部を境界とする市町村が2つありますが、現在、公園計画上、1つの市町村しか位置づけられておりません。具体的には、日の出山園地については現在、日の出町のみが位置となっておりますが、こちらに青梅市を追加するものです。大菩薩峠園地については、現在甲州市のみとなっている位置について、小菅村を追加するといった内容になっております。

○廣瀬委員 今回、東京の首都に最も近い国立公園で、私どもも中学、高校の頃からさんざん通い慣なれた場所で、利用が乏しくなって、施設の削除ないしは車道の削除が行われるということなのですが、国立公園の利用やふれあい活動の推進という観点から、こうした地域に対して、ふれあい活動の推進を行うという観点の取り組みは行われているのでしょうか。

○国立公園課長 まず、今回の秩父多摩甲斐の公園計画の変更の総体的なお話でございますけれども、基本的には大きく公園利用が変わったことに伴う公園計画の変更ということではなく、部分的に登山道の土地所有者の意向から少しそのルートが変わったところ、それから鍾乳洞自体の安全性という意味で閉鎖に至った場所であるとか、かなり局部的な理由から変更の必要性が生じたものを今回諮問させていただいております。
 ご指摘のとおり、秩父多摩甲斐国立公園や日光国立公園は、両方とも首都圏に近い重要な国立公園です。自然ふれあいの活動の推進や、そのようなイベント等を私ども環境省自ら、あるいはNPO、自治体と協力して実施してきております。そういったことは引き続き行っていくものと考えております。
 今回の件については、この国立公園において総体的に大きく利用が変わっているという事由ではないということをご理解いただければと思います。ご指摘の首都圏に近い地域であるので重要であるという点については、全くそのとおりですので、今後ともその推進策については十分配慮していきたいと考えております。

○原委員 公園計画の変更等を行う場合には、当該自治体や集落の関係者に説明し、了解を得るということは当然行われているということでよろしいですね。
 それから、宮内庁から環境省に変更したところについて、自然とのふれあい云々という話でしたけれども、これから何年かかけて新しく、集団施設地区の中で積極的に人が入れるような手立てを講ずるというふうに理解しておけばいいのですか。

○服部委員 関連しまして、宮内庁から環境省に所管を換えるということですが、土地所有の観点では、国有地であることには変更ないわけですよね。所有が変わらなくて、宮内省の所管から環境省が所管になるということは、環境省にとっては非常に望ましいというか、好ましいことじゃないかと思うのです。追加になる部分がこれまでどうして公園区域に入っていなかったのか。それから、保護規制計画は現行のとおりで、必要な利用施設計画の変更だけということは、今、原委員がおっしゃったように、人が入ってくるという点だけが変わるという理解でよろしいでしょうか。また、宮内省から環境省に所管換されるとどういうふうに変わるのかという2点について、教えていただきたいと思います。

○鹿野小委員長 それでは、まず公園計画の変更に伴う地元との調整という点について。

○事務局(守分) 公園計画の見直しにつきましては、原則として5年に1度を目途に実施をしております。環境省では、5年に1度の見直しに向けて数年前から準備を進めておりまして、出先の地方環境事務所、自然保護官事務所等が主体的に地元との調整等をしております。
 ですから、関係する都道府県はもちろんのこと、市町村等の方々とお話をさせていただいておりますし、必要に応じてはさらに地元の方々、関係団体の方々とも調整をさせていただいた上で、今回の変更案を作成するという手順で進めております。

○原委員 環境省の出先の人は、変更案の現場を見ていらっしゃるのですか。

○事務局(守分) はい、見ております。

○鹿野小委員長 それでは、日光国立公園の関係について。

○国立公園課長 日光国立公園の那須地域の変更予定箇所が、今後どういうふうに変わるのかというお2人の委員からのお話かと思います。
 当然のことながら、これまでは御用邸用地という形で、皇室用財産という扱いであり、国有財産ではありますが、国民への一般的な開放は前提となっていませんでした。国立公園内に入っていた部分については、他から望見されるため、風致の保護という観点から入っていたものと考えております。それが今回、環境省に所管換になり、かつそれを集団施設地区に編入するということになりますと、まずは国民の利用を前提とするという点で大きく変わるということになります。
 その先、どういう利用に変わるのかという点については、実はこれから詳細に検討していかなければならないと考えております。基本原則は、公園計画上も謳っている様に、この自然を維持することです。50年、80年ぐらいの間、一般的な利用がなされていない土地ですので、二次的な自然ではありますが、その土地の価値は大きいかと思います。それをまず維持、保全することを大前提としつつ、どのような利用がなされるかという点については、いろいろなパターンがあり、その土地の条件によって、いろいろなことを考えていかなければならないと思います。基本原則は、あくまで所管換される土地の自然条件を維持していくということであり、その中で豊かな自然の体験、それから学習というものを主体とした利用を行っていくという案で、今回お諮りさせていただいているところでございます。
 大きく、端的に言ってしまうと、人が入れるようになるだけということなのかというご質問でしたが、そこまで単純には考えておりません。公園利用に供することを前提とする場所になりますが、利用の仕方については、いろいろゾーニングをしたりして、例えばコントロールの下に入っていただくなり、場所によっては自由に入っていただくこともあるかもしれない。このようなことについて、慎重に非常に気配りをしながら、公園管理者の立場から、しっかり今後プランニングをしていきたいと考えております。
 それから、一部が今までなぜ公園区域に入っていなかったかという点ですけれども、ここはなかなか記録も十分にありませんので、恐らく線引きの技術上の問題ということとか、宮内庁さんとの調整の結果というふうにご説明するしか、材料が実はございません。その場所を今回調べてみますと、やはり隣接する公園区域と一体的な自然環境にあるということが確認されておりますので、今回、国立公園の資質ありということで、拡張の案にさせていただいております。

○鹿野小委員長 ほかには何かございませんですか。
 それでは、諮問第230号の日光国立公園那須甲子・塩原地域、そして諮問第231号の秩父多摩甲斐国立公園の公園計画等の変更は適当と認めるということでご異議ございませんでしょうか。

(異議なし)

○鹿野小委員長 ありがとうございました。
 それでは、この2国立公園については、公園計画等の変更を適当と認めることといたします。
 次に、国定公園について2件ございますが、この変更について審議を行いたいと思います。
 事務局の方から説明をお願いいたします。

○事務局(杉村) 国立公園課で計画係長をしております杉村と申します。
 国定公園では、下北半島国定公園と丹沢大山国定公園の2つの公園が諮問案件となっています。
 これからスクリーンに映す内容は、資料5の11ページ以降と同じ内容です。
 まず最初に、下北半島国定公園についてご説明します。
 下北半島国定公園は、昭和43年7月に指定された、青森県北東部の下北半島に位置する本州最北の国定公園です。
 面積は約1万9,000ヘクタールであり、その区域は、恐山を中心とする山地地域と、国の天然記念物である仏ヶ浦を中心とした下北半島の西海岸の地域、そしてこれらをつなぐ地域で構成されています。さらに飛び地として、本州最北端の地である大間崎と、寒立馬で知られる尻屋崎を含んでいます。
 区域の中でも、ヒバとブナの混交林が広がる恐山を中心とする山地の地域と、仏ヶ浦を中心とした断崖が連続する西海岸は、特にすぐれた景観を有しており、その核心部は特別保護地区として厳正に保護されています。
 本公園の公園計画等については、指定から約40年が経過した現在まで、いわゆる再検討は行われていませんでしたが、今回、青森県案に基づき、再検討を行ったものです。
 その結果、恐山や仏ヶ浦を始めとする大部分の地域では、区域や公園計画の変更を必要とするほどの自然的・社会的条件の変化は認められませんでした。そのため、大部分の地域については変更を加えず、引き続き風致景観の維持を図っていくこととします。
 その上で、次の地域について、必要な範囲で変更を行う案としています。
 まず、現地での確認が困難な区域線を明確化することに伴って、区域の一部を削除します。
 恐山の南に位置する釜臥山の山腹の区域では、現在区域線が地類界となっていますが、こちらは現地で確認できない不明確な状態になっているため、砂防指定杭を結ぶ見通し線界など、明確なものに変更します。これに伴って、約28ヘクタールが区域外となります。
 次に、西海岸の北部に位置するこの2カ所の区域については、現在尾根界となっていますが、地形がなだらかで現場で尾根線を明確に確認できないという状態です。そこを地番界や所有別界に変更し、明確化します。これに伴い、合計7ヘクタールが公園外となります。
 次に、保護規制計画の変更です。
 大間崎については、本州最北端の地として、その周辺が第3種特別地域になっています。また、岬の先にある弁天島が第2種特別地域になっています。この第3種特別地域の大部分は、もともと集落地であったり、農地であった場所です。そこについて、今回、特別地域としての資質を有していないと判断されたことから、特別地域から削除することといたしました。ただし、普通地域として、大規模工作物の建築などに対しては、一定の規制をかけ、風景の保護を図っていくことといたします。  なお、津軽海峡を望む大間崎の先端の部分とその海岸沿い、さらにニッコウキスゲやトキソウなどが見られる湿地があるその東の部分については、引き続き第3種特別地域として風致景観の維持を図っていくこととしております。
 こちらが現場の写真です。上が、今回普通地域とする地域で、ご覧のように住宅があったり、畑が中にあったりしております。下が、第3種特別地域のままとする地域です。左側が岬の突端から北海道を望んだ写真で、右側が湿地の部分です。
 次に尻屋崎ですが、先端の部分は風が強いこともあって、天然の芝生が広がっており、独特な海岸景観を有していることから第2種特別地域となっています。この大部分につきましては、寒立馬の生息地として、青森県の天然記念物にもなっています。一方、南部に一部農地が含まれており、ここは指定当時から農地だった部分ですが、隣接する寒立馬の放牧地などに利用されている部分と明らかに景観が異なりまして、特別地域としての資質は有していないと今回判断されました。そのため、特別地域からは削除しますが、普通地域として引き続き風景の保護を図ることといたします。
 こちらが現場の写真です。上が普通地域とする地域で、農地であったり、農家があったりいたします。下の部分が第2種特別地域のままとする先端の部分ですが、灯台の周りにずっと芝生が広がっていまして、そこに寒立馬という、馬が放牧されています。
 次に、利用施設計画の変更として、車道を1つ削除します。武士泊線は、西海岸を利用するための車道として計画されたものですが、現在、海岸部の利用は、基本的に観光船を使って海から断崖などを眺めるという利用が中心となっています。そのような意味で車道の必要性が乏しいため、今回削除するものです。この車道については、これまで整備はされておりません。車道がない状態です。
 以上が、下北半島国定公園における公園計画等の変更の概要です。
 続きまして、丹沢大山国定公園についてご説明いたします。
 丹沢大山国定公園は、昭和40年3月に指定された神奈川県の北西部に位置する丹沢山地を中心とした山岳公園です。面積は約2万8,000ヘクタールであり、その区域は蛭ヶ岳を最高峰とする丹沢山地と、その山麓部から構成されております。
 標高の割に地形は急峻・複雑で、数多くの沢や滝が見られることが特徴です。山麓部はほとんどが二次林やスギ・ヒノキの人工林となっていますが、標高800メートル以上の稜線沿いを中心に、ブナ林が残っております。
 本公園の公園計画等については、昭和60年に再検討が行われ、その後、幾度か利用施設計画の変更を行っています。
 今回は、自然再生施設の追加などを内容とする計画の一部変更を行おうとするものです。
 まず最初に、今回の自然再生施設の追加に至るまでの背景をご説明します。
 丹沢山地では、昭和後期から、広範囲にわたってモミやブナの立ち枯れ、ササなど林床植生の衰退、ニホンジカの増加などが起こり始めました。
 これに対して、神奈川県では平成5年度から調査を行い、11年から保全計画に基づく対策を進めました。そこで植生保護柵の設置などを行ったのですが、一定の効果はあったものの、自然環境の衰退に歯止めをかけるには至りませんでした。
 そこで、民間団体や、行政、専門家などから成る委員会が組織され、平成16年から総合調査を2年間かけて行い、平成18年6月に丹沢大山自然再生基本構想を取りまとめております。
 今回追加する自然再生施設は、この構想を受けて神奈川県が本年3月に策定した計画に盛り込まれているものです。
 まず、自然再生施設を6つ追加します。そのうち、登山者の集中利用やシカの採食圧によって山頂部の裸地化や浸食が進んでいるため、大室山、大山、三ノ塔の山頂、この3カ所に自然再生施設を追加します。山頂を囲む形で植生保護柵を設置することや、土留めを設置することを計画しております。
 次に、シカの採食圧によって稜線沿いに残るブナ林やその植生の衰退が進んでいるため、鍋割山から塔ノ岳、丹沢山、蛭ヶ岳、檜洞丸、大室山を経て大滝峠に至る稜線部、地図では緑で線が塗ってあるところですが、そちらの部分に自然再生施設を追加いたします。
 右上の写真のように、稜線に沿って植生保護柵、赤で囲んで示されていますが、稜線沿いにこのような柵を設置する計画になっております。
 また、大山の南東の山腹にはまとまったモミ林が残っていますが、こちらもシカの採食圧によって、モミ林や林床植生の衰退が進んでおります。こちらについても、植生保護柵の設置を計画しております。
 次に、ヒダサンショウウオなど両生類の生息環境を再生するため、渓流域周辺、中川というところに自然再生施設を追加します。砂防堰堤などの人工構造物によってサンショウウオなどの移動経路が分断されておりまして、また周辺の林での林床植生が衰退しているということもあって、これらの両生類の生息環境が損なわれているという状態にあります。そこで、例えば堰堤沿いに移動を助けるための蛇篭を設置したり、周辺の林に植生保護柵を設置するといった計画になっております。
 また、かつての茅場が人工林化されて草地がなくなっていることから、草地に棲む小型哺乳類や昆虫の生息地が失われているため、茅場の再生を図るための計画を追加いたします。人工林を伐採して茅場を復元することや周囲に植生保護柵を設置することを計画しております。
 以上が、保護施設計画の変更です。
 次に、利用施設計画の変更として、2つの単独施設を追加いたします。
 まず、戸沢に休憩所を追加します。これは右上の写真にあります既存の施設について、公園利用者の必要性が高いため、計画に位置づけるものです。
 また、大山の参道に公衆便所を追加します。これは利用者の増加に対応して、適正な利用を図るために新設しようとするものです。
 以上が、丹沢の国定公園における公園計画等の変更案の概要です。
 なお、2つの国定公園についての変更案に対するパブリックコメントの募集を行いましたが、提出された意見はございませんでした。  以上で、国定公園の変更に伴う説明を終わります。ご審議のほど、よろしくお願いいたします。

○鹿野小委員長 ありがとうございました。
 それでは、ただいま説明のありました下北半島国定公園と丹沢大山国定公園について、どなたかご質問、ご意見ございましたらお願いいたします。

○廣瀬委員 下北半島での公園区域の削除ということで、第2種ないし第3種の特別地域から普通地域に変更という箇所が何カ所か出ていますが、普通地域に変更した後も大型建造物などへの規制等は行う予定だという説明でした。これは市町村の条例によってという意味でしょうか、それとも普通地域でも自然公園法で、そうした規制が可能なのかどうかお尋ねします。

○事務局(杉村) 自然公園法に基づいて、普通地域においても、高さ13メートルを超える又は延べ面積が1,000平米を超えるような建築物や高さ30メートルを超える鉄塔などの工作物の新改増築、さらに広告物を掲げるという行為等については、事前に届出が必要になります。その届出を受けた時点で、風景の保護上、必要があれば、その行為の禁止や制限、必要な措置をとらせるという命令を行うことができますので、そういったことを通じて、青森県さんの方で、今後も風景の保護を図っていくことになっております。

○田部井委員 丹沢の三ノ塔の山頂付近の再生施設ですが、山頂だけではなくて、大分下の方まで含まれなければいけないのではないかなと思います。具体的にどのようにするのか、そして期間はどれぐらい考えているのか教えてください。

○事務局(杉村) 計画上は山頂に置いておりますが、事業の実施が必要な区域について、計画段階で厳密に決めるものではありません。これから実際に神奈川県さんの方で事業決定をする際に、必要なら下の方まで含めて事業実施区域の決定を行うことになるかと思います。
 まずシカの食害から守るために山頂を保護柵で囲むことと、土壌流出を止めるための土留めの工事をするというようなことを聞いておりますが、その期間については、植生の復元が図られるまでだと思います。この点についても、事業決定の段階で検討していくこととなっております。

○廣瀬委員 丹沢山系には私も今も時々行っているのですが、シカの採食圧というのは本当にすごいものだなと痛感しています。シカ自身も、沢筋などによく落ちて白骨化していたりしています。これを自然のままに放置していくのか、それとも何らかの頭数調整をより強力に行うということを含めて植生の保護などを図っていくのか、その辺の措置についてはどうなのでしょうか。

○事務局(杉村) 神奈川県さんの方で自然再生の全体の計画を作っておりまして、今回追加するものは、そのうち国定公園の中で、かつ公園計画の施設としてなじむものとなっています。
 シカの対策としては、鳥獣保護法に基づく特定鳥獣保護管理計画なども策定しており、それに基づいて、必要な頭数調整などもすると聞いております。
 今回追加する自然再生施設では、基本的には、稜線部などに植生保護柵を設置することとしていますが、これは、山腹部分が人工林化されていて、しかも林床にえさがないということで、シカが里地の部分に降りてきたり、逆に稜線の部分に上がってえさを食べているということがありますので、まず稜線部を守るために保護柵を設置するものです。そして、人工林の部分の手入れをして林床植生の回復を図る、そのようにして、影響が出ているところからなるべくシカを離していくということを計画していると聞いております。

○服部委員 丹沢大山の自然再生施設について、ものすごくきめ細かに計画されており、レンジャーの方もかなりよく観察して取り組んでいるのではないかと思います。しかし、砂防堰堤に植生マットや蛇篭をかぶせるような追加施設ですね、これは自然公園の中にごまんとあるのではないかなという気がしています。こういうものは、もともとそういう堰堤の造り方がおかしかったもので、これは農水省かもしれませんけれども、そのあたりは今後どういうふうに考えられるのか。ここだけの問題ではないという気がしますが、どうなのでしょうか。

○鹿野小委員長 サンショウウオのための魚道、サンショウウオ道を造るみたいな話ですが、これは一般的に、ほかでもあるのではないか、基本的な考え方をどう考えるかということです。

○国立公園課長 委員ご指摘の点につきましては、そのとおりだろうと考えます。今回の場合については、丹沢大山国定公園の再生のあり方について、神奈川県さんの方で検討されて、具体的な保護対象が明らかになっていて、その保全措置としてこのような自然再生施設が必要であるという計画をされていると聞いています。
 こういった河川横断工作物を造った場合の影響については、それぞれ造る際に許認可がかかりますので、一つ一つ、どういった保全対象があるか、その保全の水準をどこに置くべきかということを考えながら、私ども許認可に当たっているつもりではございます。その点も踏まえて、今後とも引き続き河川横断工作物の影響回避といいますか、影響軽減も含めて、十分に検討していきたいと考えております。

○鹿野小委員長 今回の丹沢大山では、公園の管理当局である神奈川県さんがかなり綿密な調査をして自然再生の計画を作っているんですが、問題の根っこは相当部分がシカの増加ですね。これは防御しても、根っこを絶たなければ何ともならないので、特に公園の自然環境の維持と、シカ問題について、各地の国立公園でもいろんなところで問題があると思うんですが、環境省の基本的な対応策、考え方、その辺をお聞かせいただきたいと思います。

○国立公園課長 確かに、シカによる国立公園の保全に対する圧力というものは各地で起こっております。公園サイドでも、その対策のために、シカの防護柵を造ったりするなどの対策をしているわけですけれども、ご指摘のとおり根本的には、必要な場合は個体数調整を含めて、あるべきシカの個体数を管理していかなければならないということでございます。そのためには、都道府県さんが主体的にやっております特定鳥獣保護管理計画との連携等が必要だと思います。都道府県と、国立公園であれば環境省の管理の立場の者が十分連絡調整をしながら、全体的に効果が上がるように取り組んでいかなければならないと考えております。
 非常に当たり前の、基本的な方針ではありますが、根本的な個体数調整については、そう考えていかないといけない。ただし、緊急的に、高山植物帯までその食害が及んでいるものについては、緊急的な対策として、植生保護のための柵の設置等を行っていく。そうしながら、根本的な対策については、関係機関と連携しながら、公園区域外の対策とうまく連携しなければならないと考えております。

○廣瀬委員 檜洞丸の山頂のブナの立ち枯れが甚だしい状況になっており、様々な環境要因があるわけですけれども、これに対して、環境省の方として積極的な対策等はどのようにお考えなのでしょうか。

○事務局(杉村) ブナの枯死の原因としては、総合調査実行委員会が行った調査の中で、幾つか明らかになっております。まず、シカの食害によって天然更新が妨げられているというのが一つです。また、大気汚染物質が、直接それで枯れるというわけではないですが、ストレスとなっていること。さらに最近の乾燥化が進んで、水ストレスになっていること。そこにブナハバチが葉を食べて、最後にとどめを刺すというようなことが原因となって、枯死が進んでいると聞いております。  今回行う植生保護柵の設置により、公園の施設としては、一つの対策を打つことになりますけれども、もっと全体のことを自然再生事業の中で行っていくことになるかと思います。

○小泉委員 サンショウウオの移動を助けるために植生マット等を造るのは、まだ中川だけに限られていると考えてよろしいのですか。

○事務局(杉村) そうです。今回、試行的な部分もありまして、中川でモニタリングを行いながら、効果がどれぐらいあるかを検証する計画です。それによって効果があれば、設置箇所を広げていくことを考えていると聞いております。

○小泉委員 写真に出ている茅場は非常にいい状態に保たれていますね。茅場の保護には2つ意味があって、こういったところを住処にしているチョウ等の小さい生き物の保護には非常に役に立つと思います。また、シカのことで考えると、こういう場所をもうちょっと増やしてもらえばシカのえさ場にもなると思います。人工林を伐採して、草地に変えるという話がありましたが、面積的なこと等を考えると、相当大きくやっていかないと、シカは稜線部では防護柵等で拒否されて、里地に降りてきてもなかなか場所もないということになってしまうと思います。その辺、どのような計画か教えてください。

○事務局(杉村) 茅場については、植生保護柵で囲む、つまりシカは基本的には入れない場所とするということです。必要に応じて開けることもあるということですが、基本的にはシカのえさとする場所ではなく、小動物や、それを食べる猛禽類のえさ場とするものです。シカのえさ場としては、やはり広大に広がっている人工林が手入れされずに暗くなっていて植生がないという状態を回復させることがまず大事だと思います。完全に伐採しなくても林床に光が入るようになれば下層植生が回復しますので、人工林の手入れを進めていく計画になっております。

○鹿野小委員長 ほかにはよろしいですか。
 それでは、今回諮問のありました諮問第232号の下北半島国定公園、諮問第233号の丹沢大山国定公園の公園計画等の変更は適当と認めるということでご異議ございませんでしょうか。

(異議なし)

○鹿野小委員長 ありがとうございます。
 それでは、本件、2つの国定公園の公園計画の変更等については、適当と認めることといたします。
 次に、国立公園事業の決定、変更及び廃止について審議に入りたいと思います。
 事務局から説明をお願いいたします。

○事務局(坂口) 国立公園課で事業係長をしております坂口と申します。よろしくお願いいたします。
 まず、資料の確認ですが、公園事業の決定等に関する資料は、資料6から9となっています。今回の諮問案件数の件数と内訳については、資料6に取りまとめています。本審議会の諮問案件は、事業決定7件、変更13件、廃止10件の計30件となっています。
 資料6の裏面には、各事業の位置を示した全国地図をつけていますので、ご確認ください。
 また、事業ごとの一覧表を資料7として配付していますので、ご確認ください。
 本審議会の諮問対象となる国立公園事業の決定書、変更書及び廃止書は資料8となっています。具体的な事業決定等の内容については、資料8でご確認をお願いします。
 各諮問案件の説明は、これからパワーポイントを用いて行います。本日の説明に用いますスライドの資料として、資料9をお配りしています。
 それでは、案件の説明に入ります。
 まず、公園事業の決定等とは、公園計画で定められた施設計画について、各種施設事業を実施する際の具体的な位置、路線距離、区域面積などの規模を定めるものです。各案件の説明は、プロジェクターの画面と、お手持ちの資料9をご確認ください。
 本審議会では、大雪山国立公園等計10の国立公園に係る合計30件の案件があります。
 まず、大雪山国立公園は2件の事業決定があります。
 1件目は、北海道上川郡新得町に位置するトムラウシ山線道路(歩道)の決定です。
 この歩道は、登山口となっているトムラウシ温泉を起点とし、トムラウシ山山頂を経由して、旭岳から十勝岳に通ずる大雪山縦走線歩道との合流点を終点とする歩道です。トムラウシ山の山腹には、南沼キャンプ場があり、トムラウシ山登山や大雪山系の縦走登山に利用されています。
 トムラウシ山は、原生的な自然景観を有することから、日本百名山にもなっており、近年では、交通の便の充実により、日帰り登山なども可能になったことから、登山ツアーなども企画され、利用者が増加しています。この利用者の増加による登山道の複線化、侵食等が深刻化してきていることから、これらの影響を軽減するため、登山道の修復及び適正なルートの設定等、主に環境保全のための整備を行うため、事業決定を行うものです。
 規模は12キロとします。
 写真の既存歩道の様子というのが、複線化した登山道の状況です。
 次の案件は、北海道上川郡東川町に位置する勇駒別宿舎事業の決定です。
 勇駒別宿舎事業は、旭岳温泉にある勇駒別集団施設地区に位置し、現在8件の宿舎が執行されています。
 当該集団施設地区は、旭岳ロープウエーの山麓駅、旭岳の登山口があることから、大雪山系の主要な利用拠点の1つとなっており、日帰りと宿泊を合わせた利用者は年間50万人を超えています。
 今回、道職員共済組合員を主な利用者とする施設であった、こまくさ荘が民間に譲渡され、一般の利用者を対象とする宿舎として供用されることにあわせて、公園事業として新たに位置づけるものです。
 事業決定規模は、お手持ちの資料のとおりとなっています。こまくさ荘は既に設置されており、勇駒別宿舎事業の区域内に含まれていることから、区域面積の変更はなく、新たな開発もありません。
 続いて、支笏洞爺国立公園の事業決定について説明します。
 北海道有珠郡壮瞥町に位置する中島周廻線道路(歩道)事業の決定です。
 当該事業地は、洞爺湖の中心にある中島に位置しています。
 現在、中島には、洞爺湖町が執行する中島博物展示施設と園地事業が整備されています。今回、中島を周回する歩道を整備することに伴い、歩道事業の決定を行うものです。
 路線距離は8.0キロとします。
 続きまして、先ほど説明しました日光国立公園那須地域の那須高原集団施設地区の公園計画の一部変更に伴う整理案件について説明します。
 那須地域の諮問案件は、決定2件、変更5件、廃止10件の計17件です。
 集団施設地区内の各事業については、「国立公園事業の決定等の取扱細目について」という施行通知により、事業決定等を行う場合の整理方法が定められています。
 通常の単独施設の事業決定等と異なる点がありますので、整理方法につきまして、簡単に説明します。
 この表は新旧対照表となっています。例えば、園地事業であれば、既存の那須高原園地に、新たに集団施設地区に編入されることとなる3つの園地を含有する形で、那須高原園地事業として統合します。
 宿舎であれば、既存の那須高原宿舎に新たに集団施設地区に編入される4つの宿舎を含有し、那須高原宿舎事業として統合することとなります。
 道路については、その起・終点が集団施設地区内に含まれる場合は、集団施設地区の事業として取り扱い、那須高原道路事業とします。
 それでは、車道事業の決定についてご説明します。
 弁天北温泉線道路(車道)、那須周回線道路(車道)という2つの事業が現在那須高原にありますが、これらを一たん廃止し、新たに那須高原道路(車道)事業として統合し、決定します。
 今の説明を表に整理すると、次のとおりになります。
 続いて、歩道事業の説明をします。
 八幡温泉殺生石線道路(歩道)を廃止し、これを統合する形で既存の那須高原道路(歩道)の規模等を変更します。
 当該歩道は、殺生石園地から八幡温泉を経由し、那須高原園地に至る歩道で、温泉や野営場を利用する公園利用者の自然探勝歩道として整備されています。
 今の説明を表に整理しますと、次のとおりになります。
 既存歩道の現況写真です。路線距離は2つの既存の歩道を合わせた11.4キロとします。
 次に、園地事業について説明します。
 これまで集団施設地区の外にあった駒止めの滝園地、おだん園地、殺生石園地の3つの園地事業及び新たな拡張区域を含める形で、既存の那須高原園地を変更し、那須高原園地事業として統合します。
 新たに編入される那須御用邸地の一部については、整備及び保全基本構想を定めることとしていますが、その内容等により、公園事業に変更等が生じる場合は、今後審議会において再度ご検討いただくことにします。
 園地の整理を表にしますと、このようになります。
 この写真は、既存の園地の写真です。
 これらは、新たに拡張される那須御用邸地の写真となっています。
 続いて、宿舎事業について説明します。
 これまで、集団施設地区の外にあった北宿舎、旭宿舎、大丸宿舎、おだん宿舎の4つの宿舎事業を含める形で、既存の集団施設地区の那須高原宿舎を変更し、那須高原宿舎事業として1つに統合します。
 今の説明を表にしますと、次のようになります。
 決定規模は、お手持ちの資料のとおりです。
 これらは、既存の宿舎事業の写真です。
 次は、那須高原休憩所事業の決定です。
 大丸温泉の入り口にある食堂などの民間施設を休憩所事業として新たに決定するものです。区域面積は3.0haとなります。
 これらが既存の食堂などの民間施設の写真です。
 那須甲子線道路(車道)と那須岳線道路(車道)の2つの路線につきましては、先ほど公園計画のご説明にもありましたが、公園計画の変更に伴い、起・終点の名称が変更となります。決定規模の変更はありません。
 日光国立公園那須地域の公園計画の変更に伴う公園事業の整理案件は以上です。
 次に、尾瀬国立公園の事業決定について説明します。
 尾瀬国立公園は、福島県南会津郡檜枝岐村に位置する馬坂峠園地の事業決定1件です。
 当該園地は、今年の8月30日に新たに指定された尾瀬国立公園の会津駒、田代・帝釈地域に位置しており、帝釈山、田代山の登山口となっています。
 登山口の馬坂峠には、現在、簡易トイレと駐車場が整備されていますが、利用者の多い6月から7月にかけては混雑し、快適性が低下することから、利用者の利用する公衆トイレや駐車場の再整備、離合集散のための広場、利用案内標識等の設置等の整備を行うため、新たに事業規模を決定します。
 区域面積は、既存の利用範囲である1.0haとし、この範囲内で整備を行うものとします。新たに周辺部への拡張を伴う整備は、現在のところ予定していません。
 次に、上信越高原国立公園の事業変更について説明します。
 上信越高原国立公園の事業変更は、群馬県吾妻郡草津町に位置する本白根線道路(歩道)の事業変更1件です。
 青の点線は、現在の決定路線です。
 変更後の路線は、緑の実線となります。
 当該歩道は、弓池を起点として、ロープウエー山頂駅、鏡池を経由し、弓池に戻る本白根山火口の周回歩道となっています。
 当該歩道には、既存の歩道が整備されていますが、腐食や破損が進み、表土の侵食等が見られる部分があることから、今後、登山道の修復及び適切なルートの設定等、主に環境保全のための再整備を行うため、事業決定規模の変更を行うものです。
 路線距離は6.0kmとなります。
 次に、秩父多摩甲斐国立公園の事業決定等についてご説明します。
 秩父多摩甲斐国立公園の諮問案件は、先ほど説明した公園計画の見直しに伴う整理です。
 決定1件、変更2件です。
 1つ目は、樺避難小屋の決定です。
 公園計画の見直しにより、単独施設として公園計画に位置づけられた避難小屋を事業決定します。
 避難小屋の決定規模は箇所数となっており、今回の決定規模は1カ所とします。
 避難小屋は既に整備されており、新たな整備を伴うものではありません。
 これが樺避難小屋の現況です。
 続いて、東京都西多摩郡奥多摩町に位置する氷川日原線道路(車道)の変更です。
 この車道は、公園計画の一部が削除されたことから、路線距離を変更するものです。路線距離は12kmから10kmとなります。
 次は、東京都西多摩郡日の出町と青梅市の境界に位置する日の出山園地の変更です。
 先ほどご説明のあった公園計画の見直しに伴い、当該園地計画の位置が変更され、青梅市が追加されたため、あわせて事業決定の位置に青梅市を加えるものです。
 これが現況の写真です。
 次に、富士箱根伊豆国立公園の事業について説明します。
 富士箱根国立公園については、山梨県南都留郡山中湖村に位置する平野園地と平野運動場事業の2件となっています。
 これらは関連する案件ですので、併せて説明します。
 本案件は、平野運動場に隣接する平野園地事業の区域面積9.41haのうち0.61haを平野運動場へ振り替えるものです。
 これは現在の区域図です。
 振り替えにより、平野園地の区域面積は8.8haとなり、平野運動場は2.59haから3.3haに拡張されることとなります。
 合計の区域面積の変更はありません。
 次に、中部山岳国立公園の事業変更について説明します。
 中部山岳国立公園は、新潟県糸魚川市に位置する中俣長栂山線道路(歩道)事業の変更1件です。
 当該歩道は、中俣小屋を起点とし、黒岩山山頂、長栂山を経由し、長野県・新潟県・富山県の県境にある朝日岳に至る歩道となっています。歩道の途中にある白馬連峰高山植物帯は、特別天然記念物に指定されており、高山植物が豊富に見られるところとなっています。
 今後、登山道の修復及び適正なルートの設定等、環境保全のための再整備を行うため、事業決定規模を変更するものです。
 決定規模は10kmとなっています。
 当該歩道は、一部公園区域外となってますが、この区間は新潟県により整備されてます。
 中俣長栂山線歩道の現況写真です。
 次に、吉野熊野国立公園の事業変更について説明します。
 吉野熊野国立公園は、和歌山県東牟婁郡に位置する下尾井宿舎事業の変更1件です。
 当該事業施設「おくとろ温泉きたやま」の施設の充実に伴い、規模を変更するものです。
 区域面積は0.7haから1.0haに変更となります。
 これらは、既存施設「おくとろ温泉きたやま」の写真と拡張区域の写真となってます。写真のとおり、拡張部は既に開かれた場所となっていて、新たな開発を伴うものとはなってません。
 最後に、瀬戸内海国立公園の事業決定について説明します。
 瀬戸内海国立公園は、兵庫県姫路市家島町の西島に位置する西島野営場の決定1件です。
 当該野営場が位置する家島諸島は瀬戸内海国立公園播磨灘の中央に位置し、多島海景観をつくり出す40余りの島々からなっています。
 西島野営場は、家島諸島の西島に位置し、野営場、ロッジなどが兵庫県により整備され、海遊び、キャンプなどに利用されてきてますが、これまで公園事業としては位置づけられてませんでした。今回、公園の利用施設として、新たに野営場事業に位置づけることとし、事業決定を行います。
 規模は、区域面積が135ha、1日当たりの最大宿泊者数が400人となってます。
 以上で、国立公園事業の決定、変更及び廃止案件についての説明を終了します。

○鹿野小委員長   30件の諮問です。今説明を聞きますと、日光国立公園の那須に関わる分は事務的な整理ということですか。
 それでは、先生方からご質問、ご意見いただきたいと思います。

○原委員 例えば今の日光国立公園の宿舎を統合するというと、この4つを1つにする、要するに、これらを無くしてしまうということですか。

○事務局(坂口) 宿舎自体はなくなりません。集団施設地区の公園事業の整理のやり方としまして、集団施設地区というのが一帯として施設を整備する地域になっていますので、その中に含まれる各種事業、宿舎事業であれば、それは那須高原宿舎の事業という形で、各宿舎をその事業の中に位置づけるという整理になっています。
 園地事業であれば、那須高原の園地として、それぞれの園地というのを那須高原園地という形で位置づけるという手続上の整理になっています。

○鹿野小委員長 名称が変わるだけと理解すればいいですね。

○原委員 わかりました。それでは事業を行いませんという話になると、原状復帰をするとか、そのままにしておくとか、その辺のところはどのようになってますか。例えば道路を予定していたけれども、作らない場合や、もう予定に入れませんというような場合はわかるのですが、既存の道路を別の道路に振り替えるというような場合は、既存の道路を放置するというふうに理解しておいていいですか。
 その植生にあわせて、何か積極的な手だてをし、新しい歩道や園地などを整備するというふうに理解すればいいのか、その辺のところを教えていただきたい。
 というのは、、特に宿舎などを廃止した場合、非常に顕著なのですが、幽霊屋敷みたいに残るのが一番困ります。更地にしておいてくれれば、いろいろな使い方があります。建物の場合ではないから、見た目も含めてマイナス面はないと思うのですが、積極的に復元していくとか再生計画というような話なのか、放置するのかで随分違う、その辺のところは何かありますか。

○鹿野小委員長 もう一回、今回の整理について、もう少しよく説明してください。

○国立公園課長補佐 整理について説明します。
 例えば宿舎を例にとりますと、廃止ということで、いかにもその宿舎がなくなるというような印象だと思います。しかし、先ほど計画がなくなるという説明をしましたが、計画上、例えば北宿舎あるいは旭宿舎というものがなくなるだけで実態としてのホテル、旅館というのはそのまま残ります。それにつきましては、那須高原宿舎という名前の中に、包含統合するということです。廃止だからといって、そのホテルがなくなるというようなものではありません。

○原委員 今の宿舎と言っているものは、直轄で行っている事業ですか。

○国立公園課長補佐 民間の方が行っている事業は、宿舎、ホテルを国立公園の利用のための施設として、環境大臣が認可して、利用のための施設という形で執行しているホテル、旅館等です。

○鹿野小委員長 今、宿舎の例でありましたが、ほかの施設も全部具体的に廃止といっても、物がなくなるのではないですね。

○国立公園課長補佐 そうです。今回、この新旧対照表に載せている変更又は廃止に係るものについては、すべてそのもの自体は存在しています。

○国立公園課長 今回の件については、おおむね説明したとおりですが、原委員からご質問の中に、実際に事業が廃止された後の取り扱いに関するご質問も含まれていたかと思います。その点については、幾つかパターンがあるかと思います。一つは、公園事業としての位置づけは失うけれども、他の用途があるもの、例えば林道として残るというようにその用途のもとに残る場合が1つあります。
 それから、公園事業としての役割を終えたら、すべての役割が終わるものについては、基本的には撤去していただくことになります。それについては、自然公園法制度の中で決められていて、それに強制力としては、行政命令というようなものもございます。非常に自然環境が豊かで、公園事業だから設置が許されていたもの、そういうものに関しては、基本的には公園事業としての役割を終えたならば、それは撤去していただく、復元していただくということもあります。ただし、最初にお話ししましたように、先ほどの車道の例でありましたが、林道としてまだ残るというものは、公園事業としての位置づけはなくなりますけれども、他の位置づけとしては残り、撤去まで至らないというものもあります。

○鹿野小委員長 ほかにご質問、ご意見等ございますか。

○廣瀬委員 本白根山の周回歩道などは国立公園の中にある大変すばらしい場所の歩道なので、当然、国立公園の公園事業で整備されていると思っていましたが、こういうような類の歩道などが、公園事業と別個に、県なり市町村なりの事業でも整備されているということになるのでしょうか。

○鹿野小委員長 事務局の方から。

○事務局(坂口) 本白根線歩道については、過去に決定されている区域は、県で公園事業として整備されています。
 決定されていない区間についても、昔からある地道として利用されているような歩道が各公園で見られますが、そういうところで特に利用の中心となってくるようなところであり、歩道の複線化や侵食等が見られるような歩道につきましては、環境省の方でも整備の方を検討して、公園事業として修復を図るというようなことを考えています。
 今回の本白根線歩道につきましては、既存の部分を拡張して、路線を広げて周回線という形で利用に供するということを考えています。

○廣瀬委員 既存といっても、木道が整備されたように、いろいろ手を加えられてきていたと思いますが、それらは誰が整備したのですか。

○事務局(坂口) これまでは群馬県が整備しています。

○鹿野小委員長 ほかにありますか。

○熊谷委員 意見として聞いていただきたいですが、今回の日光国立公園の区域拡張に伴って、集団施設地区が約150ha増加しかつ今度環境省の直轄ということになります。今いろいろご質問あったように、今までの国立公園の中での計画とか事業というのはどうしても既存のものを認めていったりする点が多くて、環境省が主体的に全体を計画し、デザインし、事業をするということが、ちょっと弱かったように思います。それで、今回は大変いいチャンスなので、ぜひ先ほど課長が言われたように、十分に計画を練っていただくだけでなく、今までなかったような新しい、つまり国立公園のモデルとしてぜひやっていただきたい。すなわち、単なる風景利用だけじゃなくて、生物多様性の場とか、あるいは環境教育だとか、エコツアーとか、そういうようなのがこの新しい地区で、日本の国立公園のモデル地区として、国民に理解されるような、そういうことをやっていただきたい。
 それから、それに伴って、ぜひデザインを統一していただきたいと思っています。つまり、この地域に来たら、国立公園の望ましい宿舎、トイレ、あるいは案内板など、そういうものもすべて納得できるといいますか、今はやりの言葉で言うと、品格のある施設群が並んでいる。場合によっては、そういうことをすることによって、いずれその国立公園がいろいろ形で国民の理解を得て、いわゆる利用料といいますかそういうものまで国民の理解のもとに管理もしていくというような時代に、多分向かっていくのではないかということも考えられますので、ぜひモデル地区としてやっていただきたいと思います。
 以上です。

○鹿野小委員長 今の意見に対し環境省から何かあります。

○国立公園課長 ご指摘を踏まえて、自然環境の面であっても、それから土地の管理権という意味であっても、いろいろな意味で可能性の大きな場所だと考えていますので、ぜひモデルとして、新しい利用のタイプを提供できるような場、それから保全の管理の仕方について提示できるような場にしていきたいと考えています。

○鹿野小委員長 ほかにありますか。

○小泉委員 実は今のことに関連するのですが、例えばさっきの本白根の公道で整備されているその木道ですが、ずっと同じ幅で山頂まで行っていまして、私はここでよく環境教育とかエコツアーなどを行いますが、例えば鑑賞するような場所がありません。場所をつくると自然破壊になりますので、所々問題のなさそうなところに少しだけでいいです。例えば尾瀬には、何メートル四方か、ちょっと木道から張り出したような場所がつくってありますが、こういった場所にも、そのようなものをつくっていただけるととてもありがたいです。本当に自然破壊と利用との問題になりますすけれども、国立公園の利用者に国立公園の価値を知ってもらうためには、やっぱり観察会でちゃんとガイドをしたりすることはすごく大事になってくると思いますので、できればその歩道整備のときに、そんなあたりも考えていただけるとありがたいです。設計みたいなことになると思いますけれども、ご検討をお願いします。

○服部委員 あわせて、今2人のおっしゃったようなことの追加ですが、集団施設地区の中に、何か施設をつくっていくときに、従来ですと、私も経験がありますが、環境省直轄でビジターセンターなどを展開されることが多いと思います。その中で、先ほどもありましたように、民間でそういう施設をやらせるということを当初から念頭に置いて、うまく民間活力を活用するという視点を入れた方がいいのではないかと思います。これからは、そういうことを考えた方がいいと思います。

○鹿野小委員長 施設の整備のあり方について、一つは登山道の整備のあり方、もう一つは全体として、民間も含めた整備のあり方というご意見ですが、環境省の方から何かありますか。

○国立公園課長 今、各委員からいただきましたご意見につきましては、今後整備の具体化に当たって、十分考慮してまいりたいと思います。

○鹿野小委員長 ほかに何かございますか。
 それでは、ただいま説明のありました国立公園の公園事業に係る件、諮問の第234号ですが、国立公園事業の決定、変更及び廃止については、適当と認めるということでご異議ございませんか。

(異議なし)

○鹿野小委員長 ありがとうございます。
 それでは、本件については適当と認めることとします。
 以上で、本日の諮問事項についての審議は終了しました。本日の自然公園小委員会の決議は、後刻、部会長の同意を得て、自然環境部会の決議とすることとなります。
 これをもちまして、中央環境審議会自然環境部会自然公園小委員会を閉会します。どうもご協力ありがとうございました。

○国立公園課長補佐 本日はご審議をいただきましてありがとうございました。なお、本日の会議資料の取り扱いは公開でございます。
 本日はどうもありがとうございました。

午後0時12分 閉会