中央環境審議会自然環境部会自然公園小委員会議事要旨(第4回)

開催日時

平成14年12月11日(水)13:00~15:00

開催場所

経済産業省別館8階第827号会議室(東京都千代田区霞が関1-3-1)

議題

諮問事項
[1] 支笏洞爺国立公園(洞爺湖地域)の公園区域及び公園計画の変更について
[2] 十和田八幡平国立公園(十和田・八甲田地域)の公園区域及び公園計画の変更について
[3] 足摺宇和海国立公園(滑床地域)の公園区域及び公園計画の変更について
[4] 西表国立公園の公園区域及び公園計画の変更について
[5] 比婆道後帝釈国定公園(島根・広島県地域)の公園区域及び公園計画の変更について
[6] 国立公園事業の決定及び変更について

議事経過

(1) 支笏洞爺国立公園(洞爺湖地域)の公園区域及び公園計画の変更について審議がなされ、適当であるとの結論に至った。
(2) 十和田八幡平国立公園(十和田・八甲田地域)の公園区域及び公園計画の変更について審議がなされ、適当であるとの結論に至った。
(3) 足摺宇和海国立公園(滑床地域)の公園区域及び公園計画の変更について審議がなされ、適当であるとの結論に至った。
(4) 西表国立公園の公園区域及び公園計画の変更について審議がなされ、適当であるとの結論に至った。
(5) 比婆道後帝釈国定公園(島根・広島県地域)の公園区域及び公園計画の変更について審議がなされ、適当であるとの結論に至った。
(6) 国立公園事業の決定及び変更について審議がなされ、適当であるとの結論に至った。

 なお、主要な発言は以下のとおりである。

 

[1]支笏洞爺国立公園(洞爺湖地域)関係

委 員  洞爺湖のジェットスキー対策を求めるパブリックコメントが寄せられているが、今現在ジェットスキー等の禁止はされていないのか。
事務局  今のところ特に規制はない。しかし、将来的には今回、利用施設計画を追加した桟橋等の施設整備をしながら対策を行いたい。
 

[2]十和田八幡平(十和田・八甲田地域)国立公園関係

委 員  現地の状況がわかりづらいので、植生図か何かがあるとよいのだが。バイパスはまっすぐに作られるようだが、調査等を行った上でのルート設定か。
事務局  基本的にトンネルであるため直線ルートとなっている。また、環境調査は行われており、調査項目は大気、騒音、動植物等についてである。
委 員  全区間がトンネルか。
事務局  総延長約5kmのうち、4.5km程の区間がトンネルの計画である。
委 員  施工者は誰か。
事務局  県である。
委 員  扱いは国道なのか。
事務局  国道102号線と103号線の共用である。
委 員  いつ頃で完成するのか。
事務局  まだ計画段階であり、着工時期は未定である。
委 員  もともと奥入瀬の102号線が渋滞するという背景があったはずである。そのため、トンネルの完成に合わせた奥入瀬のマイカー規制等、交通体制を検討することが必要である。
事務局  地元に奥入瀬渓流利用適正化協議会という仕組みがあり、そこでバイパス完成前後の入り込み対策をこれから検討していくと聞いている。
委 員  具体的な計画ができた時点で、道路の概要及び影響の予測評価について委員に知らせていただきたい。
事務局  本審議会で公園計画としておおまかな位置付けをし、工事の設計等ができた時点で、事業決定として、再度審議会に諮問を行う。その時には指摘いただいた点について示すつもりである。
委 員  公園区域の追加によって、現在指定されている特別保護地区を保護することができるという点、かつスノーモービルの乗入れを規制するものとなっており、よい変更である。
 利用計画から外す5つの宿舎計画は現在経営しているのか。
事務局  田代平は経営していたが、廃業し、既に施設は撤去されている。その他の4箇所については、計画はあったが、実際には経営されなかった。
 

[3]足摺宇和海国立公園(滑床地域)関係

委 員  当該地区では30年間公園計画の変更がなかったのか。
事務局  そのとおり。事前調整は行われていたが、関係者との協議を行った過程で時間がかかり、今回に至った。
委 員  道路を歩道とするのはよいが、滑床と成川をつなぐ道路は車が通らなくてよいのか。また、新しく計画された道路は既存の道路であるのか、新設の道路であるのか。
事務局  計画された道路は既存の道路である。滑床と成川をつなぐ道路は林道で、現在一般車両進入禁止となっている。
委 員  全部国有林であるか。
事務局  今回の拡張区域はすべて国有林。滑床地域全体では、2,070haのうち、国有林が2,065haで、公有地が5haである。
 

[4]西表国立公園関係

委 員  今回の変更では、地種区分が特別保護地区と第2種特別地域のみとなっていているが、第1種、第3種特別地域がないのはなぜか。西表国立公園の特徴なのか、それとも最近の国立公園の傾向なのか。
事務局  初期の変更計画では第1種、第3種特別地域も計画されていたが、自治体や管理者等との調整、あるいは今後、区域内に水源地として利用したい箇所があるなどの理由により、最終的には第1種と第3種がない計画となった。西表はまだ調査が不十分であり、今後も調査を行い、地種区分の変更等を検討していきたいと考えている。
委 員  第2種特別地域ではどのような保護が行われるのか。仲間川のマングローブ林は第1種特別地域や特別保護地区に値する場所である。現在、観光船が引き起こす波によってエロージョン(侵食)が起こり、マングローブ林の破壊やゾーネーション(植生の成帯構造)の破壊が起こっている。エコツアーなどへ利用形態を変えるなどの対策をとれないのか。
事務局  仲間川ではないが、運行速度等について地元の関係団体、自治体及びカヌー組合等で覚書きや自主規制を行って対策をとっているところがある。仲間川に関しては、当該地域で車馬乗り入れ規制を行い、公園事業者のみが船舶を運行できるようにしており、その事業者について指導を行っていくつもりである。
委 員  ぜひそのような対策をしていただきたい。更に、仲間川の南側の地域を含め、生態系調査、学者の文献等から情報を集め、現状把握に努めていただきたい。
事務局  今回、パブリック・コメント等で様々な意見をいただき、調査の重要性及び全島含めて考える必要性を強く認識しており、次回以降の公園計画の点検では、初期段階から自治体や住民、専門家との話合いを行っていきたい。併せて調査による科学的知見を増やしていく。
委 員  仲ノ御神島はなぜ特別保護地区にならなかったのか。
事務局  重要地であると認識しているが、さまざまな調整を行った結果、第2種特別地域となった。仲ノ御神島以外にも石西礁湖、イリオモテヤマネコ等といった重要事項もあり、今後も検討を進めていく必要があると認識している。今回は行政評価局の指摘もあり調整が整ったところから、変更を行うもの。
 

[5]比婆道後帝釈国定公園(島根・広島県地域)関係

委 員  鳥取県地域は今回入っていないが、急いでする必要はないということか?
事務局  鳥取県と関係町に確認をしたが、特段の問題がなく、変更の必要無しとのこと。
委 員  池ノ段集団施設地区削除の理由は?動線の変更等があったのか?
事務局  今回、追加する区域に施設整備が行われた結果、池ノ段集団施設地区については今後は計画を存続させる必要性がなくなった。
委 員  一度は整備しようとしたができなかったということか。
事務局  そのとおり。
委 員  現地はいいところであるが。
事務局  今回、追加した区域の集団施設地区や池ノ段への登り口にある駐車場から短時間で登って行けるので、自然保護の方を優先した。
委 員  今回追加する区域には、どの程度の歩道を建設するのか。
事務局  一部は管理車両が通れる幅がある。他は歩き利用のみ。既に整備済みである。
 

[6]公園事業の決定及び変更関係

委 員  洞爺湖湖畔のビジターセンター建設にあたって、被災した小学校は取り壊すのか、雲仙のように展示物として残す構想はでてこなかったか。
事務局  小学校は、被災により駆体が痛んでいるので、撤去する。ただし、周辺にある町営住宅、町営入浴施設、流された橋については、保存することとしている。
委 員  1977年に噴火した時には、発生した灰を使って湖岸を埋立て整備したことがあるが、今回は何処を灰で埋め立てるようなことがあるのか。
事務局  今回は、灰が少量のため、埋立を行う計画ではない。
委 員  公園事業の金額が、支笏洞爺と西表に大きく偏っているが、それ以外の公園でも、国立公園の中で行う施設整備の手本になるようなことを行って欲しい。
事務局  平成6年から自然公園等事業が公共事業となり、予算的もとれるようになってきたが、効果的な事業実施について、点検していくべき時期に来ていることは確かで内部でも勉強を進めているところ。それに関しては別途、進められている「自然公園あり方懇談会」の中で議論していただきたい。
事務局  また、事業決定と実際の事業執行の間に、タイムラグがあってわかりにくいが、今年度の自然公園等事業費が約140億円で、事業が執行されている箇所が全国で180箇所前後になっている。国定公園も含んでるので、大体各公園でいくつか事業を行っている勘定になる。
 以前の審議会で事業決定を行って、現在、整備を行っているものについては今回説明されていないが、ご指摘の点は念頭に置いて行うようにしている。
委 員  自然環境の保護と地域住民の利便性の確保、開発が衝突することについて、現在の不況の影響はあるのか。
事務局  高度成長期やバブル期と比べても、公共事業はあまり減らないが、民間の開発は相当減ってきている。また、公園計画についても、実態としては、市町村長に意向を伺うなど、方法が深化してきており、そうした方法で5年から10年以上をかけている現状がある。ただ感触としては、自然保護を図ることについて少しずつ理解を得られるようになってきている。
委 員  公園計画の変更について、実際に誰のどういった意向で出てきているかが見えない。実態として市町村長や市町村議会の意向を汲んでいるというのであれば、計画書などの最終形にはならないにしろ、そうしたプロセスを我々には説明していただきたい。
事務局  次回以降は、計画策定のプロセスの説明の中で、地元の意向が見えるような説明にしたい。
委 員  釧路湿原の自然再生事業と公園計画の関係はどうなっているのか。
事務局  今年度から予算措置をとり、着手していくような状況。自然公園法に「自然再生事業」が存在しないので、自然公園法の施行令に位置づけるために現在調整中である。現在行われているのは、釧路湿原とくぬぎ山の2箇所で、その他全国で9箇所調査中の箇所がある。
委 員  国立公園の中にふさわしい歩道とはこういうものだ。環境省が関わった事業は、手本にできる、といった事業の説明をして欲しい。
委 員  八甲田の温泉施設を公園計画から廃止しているが、今後、やりたいという事業者がでてきたらどうなるのですか。
事務局  普通地域になるので、行為許可で対応可能だと考えている。
 

問い合わせ先

環境省自然環境局国立公園課(大代表03-3581-3351)

  課長 笹岡達男(内線6440)
  公園計画専門官 阿蘇品勉(内線6438)<公園計画関係>
  事業係長 大林圭司(内線6448)<国立公園事業関係>

 

資料の公開について

 * 中央環境審議会自然環境部会自然公園小委員会での資料は、請求があれば公開する。
ただし、「国立公園事業の決定及び変更について」に関する資料のうち、事業費に関しては、特定の者のプライバシーなどに係る情報に該当することから、これを伏して公開するものとする。