中央環境審議会 自然環境部会議事要旨(第29回)

1.開催日時

平成28年2月23日(火)10:00~12:30

2.開催場所

三田共用会議所 第四特別会議室

3.議事

(1)西表石垣国立公園の公園区域及び公園計画の変更について【諮問】

(2)京都丹波高原国定公園(仮称)の指定及び公園計画の決定について【諮問】

(3)えりも地域ゼニガタアザラシ特定希少鳥獣管理計画について(答申案)【審議】

(4)第四次環境基本計画の進捗状況の点検について(生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する取組)【審議】

(5)「生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)に関する考え方」のとりまとめについて【報告】

(6)生物多様性及び生態系サービスの総合評価報告書の取りまとめについて【報告】

4.議事経過

 諮問・審議事項すべてについて審議がなされ、それぞれ適当であるとの結論に至った。そのほかの議事については事務局説明に基づき、議論がなされた。なお、主要な発言は以下のとおりです。

(1)西表石垣国立公園の公園区域及び公園計画の変更について

<係留施設について>

○委員:係留施設の1カ所というのは一つのブイのことを1カ所と言うのか。1カ所で一つのブイでは1隻しか係留できないと思うが、今後の係留施設の利用の計画について地元の方と協議しているのか教えていただきたい。

⇒事務局:係留施設1ヵ所にブイが1個という限定はしていない。係留施設やブイの数については、今後、地域で調整しながら進めていきたい。

<公園の保全について>

○委員:パブリックコメント受けて、参考資料1-1別添のとおりに公園区域を変更したとのことであるが、川の上流域の部分が公園区域から外されており、そこで何らかの土地利用がなされると、指定される第1種特別地域がしっかりと保全されるのか心配である。状況を教えていただきたい。

⇒事務局:上流域には十数年前にゴルフ場建設計画があり、開発許可まで得たが建設されず、現在は止まったままの状況である。地域の方々にはその可能性をまだ潰したくないという思いがあるため、最終的な調整はもう少し時間をかけて行う必要があると判断し、今回は石垣市の市有地のみを指定したものである。

 下流域を第一種特別地域としているので、環境アセスメントの観点から、また、実際の土地の状況から見てもゴルフ場建設は難しいと考えている。

 エコツアーなど、ゴルフ場建設に代わる地域振興策を示し、上流域の公園化について地域の方々のご理解を得ていきたいと考えている。

<里地里山及び地域での連携について>

○委員:本来、西表島は第一次産業が中心であり、こうした産業による利用やそこで暮らす人々の暮らしにより貴重な自然環境が保たれてきたものである。こうした里地里山の価値に対する評価や管理の仕方などについてどのような視点を持っているか教えていただきたい。

 また、昔からそこで暮らしてきた方と観光などで外から移り住んだ方、大きく分けるとこのように二分されると聞いているが、こうした方々の連携や繋がりの今後の見通しについて教えていただきたい。

⇒事務局:地域の産業は今も行われていると聞いているので、地域の方々の生業には配慮しながら今回の保護規制計画を考えている。

 第1次産業と第3次産業の融合・連携という部分について、石垣島では農家の方がサガリバナ群落を発見し、これを地域活性化に活用しようと取組みはじめたのが10年前であり、現在は園路整備などもしている。

 また、西表島では、水田の復元をしながらイリオモテヤマネコが住める環境をつくり、そこで西表島の自然を体験してもらおうという動きがあるなど、徐々に第1次産業と第3次産業が融合しつつあると感じている。公園区域の拡張後には、環境省も間に立って何とか進めていきたいと考えている。

<モニタリングについて>

○委員:西表島の全島公園化や海域部分の拡張は賛成である。サンゴ礫でできた島やバラス島と呼ばれているような島など貴重な地形が様々あるが、海域は地形変化が激しいので、指定後はモニタリングをしっかりと実施し、保全していただきたい。

○委員:西表島の全島公園化を高く評価している。西表島については、特別保護地区を第1種特別地域で囲むというオーソドックスな保護区の設定になっているが、このような構成は日本では大変珍しい。この効果をしっかりと測定し、奄美・琉球地域の公園化の際にも適用していただきたい。

 特別保護地区等の歩道整備については、人が通るためだけでなく、モニタリング調査などでの利用も想定し、整備していただきたい。

 また、自然環境に関する情報を無人で、かつ自動的に収集し、結果を取りまとめて評価するということができると思うので、特別保護地区などへのICT(情報通信技術)の導入について検討していただきたい。

⇒事務局:拡張してそのままということではなく、現地には自然保護官がいるので、引き続き、モニタリングは継続する。モニタリングは環境省だけではなくて、林野庁や琉球大学のほか、トラ・ゾウ保護基金といった民間団体なども調査を行っているので、現在は、そうした調査結果をまとめているところである。

 ICT(情報通信技術)の導入については、予算上の問題もあるためすぐに実施できるとは言えないが、様々な可能性を検討していきたいと考えている。

 また、環境省では全国1,000ヵ所程度モニタリングサイト設置しているので、こうしたものもこれから変えていきながら、最新の知見が効率的に把握できるような方法を考えていきたい。

○部会長:諮問に添付された変更書について異議なしでよろしいか。

○委員:異議なし。

(2)京都丹波高原国定公園(仮称)の指定及び公園計画の決定について

<シカの食害について>

○委員:指定予定の公園内は、シカによる食害が出ていることを地元猟友会から聞いているが状況はどうなのか。今後、この対策にどのように取り組んでいくのか教えていただきたい。

○委員:二十年ぐらい前からシカの食害がかなり顕著になってきている場所だと思うが、特別地域で何か対策を考えているのか教えていただきたい。

○委員:随分前からシカの被害がひどい地域であるが、国定公園の指定、特に特別地域の場所と京都府が策定している第2種特定鳥獣の管理計画との重ね具合はどのようになっており、全体として、この生態系をどのような方向に持っていくのかということとの整合性について教えていただきたい。

⇒事務局:シカの被害と公園計画との関係については、長年、京都府で特定鳥獣管理計画を他府県に先んじて調整し、モデルとなってきている地域だと思っている。

 今回、第1種特別地域等の指定をしているが、シカの捕獲と公園の規制については矛盾するものはないと考えている。芦生については生態系への影響が過剰に出ないように、シカの捕獲等も積極的に行っていくということで、公園計画とは特に矛盾なく進めていっていただけると考えている。

<芦生の研究林について>

○委員: 芦生の特別地域は、第1種特別地域になる演習林がかなり多いと思うが、研究のための実験を考慮した地種区分になっているのか教えていただきたい。

○委員:芦生の演習林で行われてきた京都大学の研究はこれまで通り継続できるのか、あるいは今回の公園指定により研究が制限されてしまうことはあるのかどうかについて教えていただきたい。

 また、国定公園に指定されることで演習林に過剰に人が入り、演習林の運営が大変になるということも考えられるので、問題が起きた際に常に議論できる仕組みがあればよいと思う。

○委員: 演習林として研究を行ってきた場所を国定公園にするわけだが、環境省の国立公園を含め、こうした場合の管理姿勢について確認させていただきたい。

○委員:芦生の朽木谷の方に行くと、許可なく入林する人達がいる。研究活動への影響という問題もあるが、谷など危険な場所も多いため、安全上の問題として、無許可で入林する人達の規制についても検討していただきたい。

⇒事務局:他の公園でも大学との連携は図っているが、大学の演習林・研究林が丸ごと自然公園に含まれるというのは、これまであまり事例がなかった。

 今回は、京都府が念入りに京都大学と調整を図り、お互いにメリットがあるということで同意をいただいたものである。

 自然公園と大学の研究を今後どのように上手く調整し、お互いに良い影響を与えていくことができるかということのモデルとなる事例と思っており、大変期待もしている。そのためには、日頃からお互いの情報交換・意見交換というのが必要になってくると考えている。

⇒京都府:芦生の研究林は、届けを出さずに入林する人が後を絶たない状況であり、こうした方が遭難する事例も発生している。京都大学では、こうした対応にかなり手をとられており、研究に時間を割けないといったような課題があると聞いている。

 このような中で、今回、国定公園に指定していただくにあたり、2年ほど前から、京都大学、地元の土地の財産区の管理役員会、あるいは芦生山の家の関係者、さらには滋賀県側の関係者と一緒に、協議会形式で芦生をどうしていくかということを十分議論してきたが、引き続き、この枠組みを維持しながら、研究林の研究とその適正な利用が両立できるような形を地域の皆様とつくっていこうということで、現在も話を進めている。この件については京都府の単独事業として予算も計上し、継続していきたいと考えている。

<公園の管理について>

○委員:地域との協働型管理やプログラムが重要になってくると思うが、こうしたことを公園計画に反映することは難しいため、管理計画に定めていく必要があると思うが、国定公園の管理計画の位置付け、また、環境省はこれにどのように関与できるのか、あるいは関与しようとしているのか教えていただきたい。

○委員:里地里山を国定公園として考えていくことは、新たな試みであり、将来的には日本のランドスケープを守るためには重要であると思う。

 人口減少によりランドスケープが変わっていく可能性があると考えているが、そうした際に、どのように国定公園を保全していくかについては、自治体とともに環境省も応援していかなければならないと思う。ガバナンスの問題も含めて、国定公園をどのように管理していくのか、考え方があれば教えていただきたい。

○委員:暮らしや生業が中心となった地域を、文化や自然の価値をしっかりと踏まえて広域に指定することはとても意義のあることだと考えている。

一方で、地域ごとに状況が違うので、しっかりとした調査や地域の関係者の方と連携した形での運営が大事だと思うが、この点についてどのようなことを具体的に考えているのか。

 また、若狭や京都においては道や川のつながりがとても大事であり、今までも歩道でつなぐということはあったが、管理や適正利用というところが大きな課題になっていたと思う。この点について、どのように対処していくのか教えていただきたい。

○委員:里地里山を含む国定公園の指定は非常に意味があると思う。しかし、従前の国立・国定公園のように保護にウェイトを置くだけでなくて、それを維持するための社会システムをどのように活力ある形に維持していくのかということが非常に重要である。このあたりの計画論をどのように関係諸官庁あるいは公共団体と詰めながら進めていくのかということであるが、場合によっては、これを指定した意義を将来損ねてしまう可能性もあるので、そのあたりに留意してほしい。

⇒事務局:集落において行われつつある地域の人たちとの協働などに光を当てていきたいと考えており、そのためには、国定公園の指定を契機に地域の様々な産業や文化にもう一度光を当て直すことが必要であると考えている。

 また、林業が盛んな地域であるため、林業に対する都市との新しい関わり方を考えていくための実験場になれないかとも考えている。

 国定公園の管理は京都府の自治事務になるが、全国のモデルとなる公園であるため、京都府から様々な情報をいただきながら、連携を図っていきたいと考えている。

⇒京都府:この地域は過疎化・高齢化が相当厳しいところであるが、一方で、自然との関わりが希薄化したことによる自然の劣化が見られるため、今回の国定公園の指定を契機に、自然とのつながりをもう一度見直していこうと考えている。

 特に、京都大学の研究があるということは大きな宝であり、こうした研究値や学術値と地元の方が持っている昔からの経験値を合わせて、どのように自然の管理を行っていけばよいかを地元関係者が集まる場で検討し、地域の方々から知恵をいただきながら、管理システムをつくっていきたい。

<地域振興について>

○委員:実際に行った時、芦生の森をはじめとした手つかずの自然を地域資源として活用することを考えられていると思った。地域の皆さんが地域振興を考えられていると思うし、保護するからこそ地域振興にもつながると思う。この機会を是非地域振興につなげていただきたい。

⇒京都府:地域の方々は、エコツーリズムといった観光面の取組みも期待しているが、これが過剰になるとデメリットもある。どのような形で利用いただけるのか、あるいはどのような形でこの地域の自然を理解いただくのかということが重要と考えており、今後、京都大学の研究などとも十分連携しながら、日本のモデルとなるよう、管理を含めて進めていきたい。

<名称について>

○委員:名称については、「美山」を入れたほう良い、または入れないほうが良いなど、様々ご意見があると思うが、美山というのはかなり知られた名前であり、訪れる人も増えている。自然そのものというよりは観光スポットとして、関西ではよく行かれるような場所になっているので、「美山」という名称が入ってしまうと、「美山」のイメージにすごく引っ張られてしまうのではないかと思う。逆に、1200年の都、京都の生活・文化を支えてきた全体としての地域という意味では、「京都丹波高原国定公園」が、より広く、様々なものをイメージできるのではないかと思う。その中に美山が入っていることは、とてもすばらしいことだと思う。

○部会長:諮問に添付された指定書、公園計画書について異議なしでよろしいか。

○委員:異議なし。

(3)えりも地域ゼニガタアザラシ特定希少鳥獣管理計画について(答申案)

○委員:管理計画の7の方策に関する事項について、定置網に執着している亜成獣以上の個体を選択的に捕獲するとなっている。これは技術を開発するということだけかもしれないが、これだけを読むと、選択的でない捕獲というのは、つまり個体数を減らすための、必ずしも選択的でない捕獲というのはやるのかやらないのかが不明確である。

⇒事務局:今まで被害を及ぼさない幼獣個体が混獲されるケースが多くあったので、現在行っている定置網の改良は、その網の中にアザラシが入らないようにする改良もしており、その中で幼獣がかからないような形にしていきたいと考えている。

 また、選択的捕獲に関しても定置網の改良になるが、逆に入ったら出られないような形にして、その中で生きた状態で捕獲し、例えば幼獣であれば発信機や標識をつけて放す、成獣以上の個体はデータをとるために捕獲するということを考えている。

○委員:科学委員会は種の存続を評価することが主な仕事になっていると思うが、本件の場合、数を減らすための捕獲を行うということもオプションとして入っているわけで、この点についても、科学委員会では、捕獲の原則、いわゆる安全な捕獲、確実な捕獲、効率的な捕獲、効果的な捕獲といった視点について、しっかりと捕獲の進め方についても検討していただきたい。

 資料3-3の38ページを見ると、幼獣1頭を捕獲することに成功したと書いてあり、これはその前に説明されている捕獲の方針と比べて、成功という言葉を使っていいのかというふうに思うので、この点、科学委員会できちんと捕獲の進め方について議論をいただきたい。

⇒事務局:捕獲の手法、進め方に関しても、科学委員会で検討することにしており、今後も議論していきたい。ご指摘いただいた38ページの参考資料は、計画をつくるに当たって、平成26、27年度の被害防除策の検討で、生きたまま捕獲できる手法についての検討ということで、幼獣1頭を捕獲し発信機等をつけて放獣できたという意味で、成功という記載をした。

○委員:特定希少鳥獣について、今回の法律改正でこれを管理計画としているということで、一方ではその管理という概念を、個体数を減らすというところに特化しており、これを特定希少鳥獣管理計画とすることは少し問題であると思う。

⇒事務局:被害を減らすために捕獲することを考えているが、今後、ゼニガタアザラシの生態に関する情報や環境との関わりについての調査も実施し、漁業被害だけではなく、環境収容力等の情報を集め、総合的に考えていきたい。

⇒事務局:本件については希少鳥獣ということで、局地的に生息数が著しく増加または生息地の範囲が拡大して、農林水産業や生態系等に深刻な被害を及ぼしている鳥獣について、その地域個体群の安定的な維持を図りながら、計画的な管理を図るものである。局地的に増えてきたものについて、その地域個体群の維持を図りながら、適正な数、適正な範囲に縮小させるということで、管理という言葉を使っている。

○委員:存続可能性については、100年以内に絶滅する確率が10%未満になるように留意するということだと思うが、ここから出てくる個体数というのは、これ以下にしてはならない数なのであって、この数にすることではないと理解している。そのため、管理目標としては、最低限というところで判断していくということは重要だと思う。

 北海道全体での個体数が800頭~1000頭の個体群サイズであるとのことだが、これは大型哺乳類の存続可能性ということで見ていくと、それほど多い数ではないため、捕獲を行うにしても、現在の個体群サイズは維持するべき最低ラインだと考える。

⇒事務局:100年間に絶滅する確率を10%未満というのは最低の基準であり、ぎりぎりまで減らすということは考えていない。一つの今ある基準になっており、この範囲内、それを上限値として定め、その範囲内で捕獲を検討することとしている。

○委員:音波忌避装置について、特異的な光や臭い、音には、どんな動物でも最初は非常に敏感によく反応する。しかしながら、刺激を強化していかなければこうした防除法は成功しないということなので、防除装置については今後とも十分に取り組んでいただき、その効果も追視していただきたい。

⇒事務局:音波忌避装置は慣れが生じてくることが問題点であり、また、海の中でどのぐらい効果があるのかということがわからなかったので、生け寶の中にアザラシを入れ、音波忌避装置の効果をより詳しく検証するため、研究者と調査を進めた。また、より効果の高い方法を検討していくことも考えている。

 漁網の改良に関しても一定の効果を得ているが、より現場で使いやすい方法や、アザラシは入りにくいがサケは入りやすい網目を改良するといった調整を現在も続けているので、徐々に改善されるものと期待している。

○部会長:適当と認めることでよろしいか。

○委員:異議なし。

(4)第四次環境基本計画の進捗状況の点検について(生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する取組)

○委員:重点検討項目②に関連して、持続的な保全という面では利用の問題がとても重要で、これを循環的に回す仕組みの検討が重要だという話が出てきたが、観光や空間的な利用などの何かが第一次産業を経済的にある程度支援をして、保全と利用が持続的につながっていくような仕組みなどを検討していくことが重要だと思うのだが、そうしたものが重点項目②に含まれているのかどうか教えていただきたい。

⇒事務局:持続的な保全管理ということで、特に里地里山的なところへの対応ということで理解しているが、御指摘の点については、重点検討項目の②で、生物多様性に配慮した農林水産業の振興等生態系サービスの持続的利用について書かせていただいており、この中で点検することになっている。

 前回のところでも、そうした農林水産業が発達、生物多様性の保全機能ということはあるが、それを持続的に進めていくことが課題であると位置付けられており、その点も踏まえて、今回、資料は作成していきたいと考えている。

 現在、環境省で進めている「つなげよう、支えよう森里川海」といったプロジェクトの中でも、そうした資金を含めて、地域が自立的に生物多様性や生態系サービスの保全管理ができるような仕組みというものの検討を進めているところである

○委員:様々な施策の事業計画に寄附やボランティアを活用するということが記載されているが、十分確保できるのかということがしっかりと検討されないままに、達成できなかったと報告している事例を目にすることがある。民間資金の導入や人手の確保等の方法が適切かどうか検討しているのか教えていただきたい。

⇒事務局:民間資金の導入の仕組みなどは、重点検討項目①の経済的手法を含めた主流化という部分に該当し、これまでも国家戦略の中で生態系サービスへの支払い、あるいは認証制度であるとか、民間との経済的な関係も含めて、活動資金を集めるようなことについて記載している。

 このことついては、環境省内でも別途議論はしているが、まだ十分な体制ではない。その点を含めて、今回、検討項目の中でしっかり点検をしてまいりたいと考えている。

(5)「生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)に関する考え方」のとりまとめについて

○委員:検討委員の方々を見ると、農学や林学を専門とされている方がとても多いが、地形・地質などを専門とする人も生態系サービスや防災などを検討していくうえでは不可欠だと思う。視野が生物系に偏り過ぎていると思うので、委員を決める際はもっと広い視野を持っていただきたい。

○委員:防災について言えば、地形を活用していくことは必要である。例えば資料5-1の図で緩衝帯になっている部分のイメージも生物が中心となっているが、もう少し地形を活用するといったニュアンスが入ったほうがよく伝わると思う。生態系の捉え方は、印象的には狭くなってしまいがちなので、表現に注意していただきたい。

委員:地形との関係についてはもう少し知見を高め、そうした論点で切り込んでいく必要があるということを本日改めて認識した。今後はそうした方向で詰めていきたい。(検討委員としてのコメント)

(6)生物多様性及び生態系サービスの総合評価報告書の取りまとめについて

○委員生態系サービスの評価について、循環性を上手に評価する指標がないのか、あるいは入っているのか。国内で生産したものが海外市場へ強制的に出ていくのではなく、しっかりと国内で使われているなど、生態系サービスの場合はその中での循環というのがとても重要だと思うので、循環性の評価が入っていないのであれば、入れるべきである。

⇒委員:循環的な観点から言うと、ここには明示的には書いていないがフットプリント的な分析も入っており、国内で供給されるサービスがどれぐらい受給できているかという観点からも少しは分析している。しかし、海外依存と日本の中で循環していく部分についての指標というのは、統計として良いものがあまりないのが現状なので、今後検討していくことが重要だと思う。(検討会座長としてのコメント)

5.問い合わせ先

環境省自然環境局国立公園課(代表03-5521-8279 直通03-5521-8279)

課長   岡本 光之(内線6440)

課長補佐 河野 通治(内線6650)

課長補佐 岩浅 有記(内線6694)

計画係長 小林  誠(内線6691)