中央環境審議会 自然環境部会(第22回) 会議録

1.開催日時

平成26年4月2日(水) 10:00~12:02

2.開催場所

環境省第一会議室

3.出席委員:(21委員)

4.議題

開会

議事

  1.   (1)絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略について【審議】
  2.   (2)第四次環境基本計画の進捗状況の点検について(生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する取組)【審議】
  3.   (3)生物多様性条約第5回国別報告書及び生物多様性国家戦略2012-2020の点検について【報告】
  4.   (4)名古屋議定書に係る国内措置のあり方検討会報告書について【報告】
  5.   (5)平成25年度グリーン復興プロジェクト推進状況について【報告】
  6.   (6)国立公園における協働型管理運営を進めるための提言について【報告】
  7.   (7)鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護法)の一部を改正する法律案について【報告】
  8.   (8)海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案について【報告】
  9.   (9)その他

閉会

5.配付資料

 ○議題(1)関係

  •   資料1-1  絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略 (パブコメ案)
  •   資料1-2  「絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略 (案)」に対する意見の募集(パブリックコメント)の実施結果について
  •   資料1-3  絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略 (案)
  •   資料1-4  絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略 (案) の概要

 ○議題(2)関係

  •   資料2-1  第四次環境基本計画(生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する取組)について
  •   資料2-2  重点検討項目(生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する取組)(案)
  •   参考資料2  第四次環境基本計画(一部抜粋)

 ○議題(3)関係

  •   資料3-1  生物多様性条約第5回国別報告書について
  •   資料3-2  生物多様性条約第5回国別報告書
  •   資料3-3  「生物多様性条約第5回国別報告書(案)」に対する意見募集(パブリックコメント)の実施結果について
  •   資料3-4  生物多様性国家戦略2012-2020の点検について
  •   資料3-5  生物多様性国家戦略2012-2020の実施状況の点検結果
  •   資料3-6  「生物多様性国家戦略2012-2020 の実施状況の点検結果(案)」に対する意見の募集(パブリックコメント)の実施結果について
  •   参考資料3  2020年までのスケジュール

 ○議題(4)関係

  •   資料4  名古屋議定書に係る国内措置のあり方検討会報告書について

 ○議題(5)関係

  •   資料5-1  三陸復興国立公園の創設を核としたグリーン復興プロジェクト
  •   資料5-2  平成25年度グリーン復興プロジェクト進捗状況

 ○議題(6)関係

  •   資料6  国立公園における協働型管理運営を進めるための提言

 ○議題(7)関係

  •   資料7 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護法)の一部を改正する法律(案)について

 ○議題(8)関係

  •   資料8 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案

6.議事

○事務局 おはようございます。野生生物課長の中島でございます。本日は、お忙しい中、当審議会にご出席をいただき、ありがとうございます。定刻となりましたので、ただいまより自然環境部会を開会いたします。

 会議に先立ちまして、本日の出席委員数のご報告でございますが、所属の委員、臨時委員25名のうち、現在20名のご出席をいただいておりますので、本部会は成立しております。

 次に、本日の議題についてでございますけれども、お手元の議事次第のとおりご審議いただきたい案件が2件、最初の「絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略について」、それからその次の「第四次環境基本計画の進捗状況の点検について」、この2件についてご審議をいただきたいと考えております。

その3から下のものについては、ご報告案件でございます。「生物多様性条約第5回国別報告書及び生物多様性国家戦略2012-2020の点検について」、それから「名古屋議定書に係る国内措置のあり方検討会報告書について」、「平成25年度グリーン復興プロジェクト進捗状況について」、「国立公園における協働型管理運営を進めるための提言について」、「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護法)の一部を改正する法律(案)について」、最後に、「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案について」でございます。

資料について、たくさんございますので、議事次第の裏に配付資料一覧がございます。議事の番号に沿いまして議事の資料の番号も振ってございます。恐縮でございますけど、今こちらのほう、配付漏れあるいは落丁等がないかどうかをご確認いただきたいと思います。もしございましたら、お申し出いただきたいと思います。よろしいでしょうか。

 それでは、北川知克環境副大臣より、ご挨拶を申し上げます。

○北川副大臣 皆様、おはようございます。環境副大臣の北川知克でございます。本日は、お忙しい中、中央環境審議会自然環境部会、各委員の皆様方にはご出席を賜り、また、日ごろから環境行政、特に自然保護に関する問題について真摯に取り組んでいただいておりますことに、まずもって敬意と感謝を申し上げる次第であります。ありがとうございます。

 今日は同席をさせていただきます。環境副大臣を拝命する前は、自民党の環境部会長をさせていただいておりまして、昨年の種の保存法、この成立にも関わらせていただいたご縁もあり、また今回ご議論をいただいております鳥獣保護法等も、今国会、早ければ来週から衆議院で法案の審議が始まる予定になっておりますので、こういう問題につきまして、今日の部会での先生方のご意見も参考にしたいという思いもありまして、同席をさせていただきました。どうぞご理解をいただきたいと思います。

 また、本日の議題の一つ目であります絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略につきましては、環境省として絶滅危惧種の保存のためにどのような施策を進めていくかを示す重要な戦略でありまして、昨年6月、今申し上げました種の保存法を改正し、希少野生動植物種の捕獲や譲り渡し等の罰則を強化したところであります。運用面におきまして、我が国の絶滅危惧種の保全を一層進めていくために、この保全戦略は極めて大きな意味を持つものと考えており、本保全戦略の内容につきまして、これまで委員の先生方に審議を重ねていただき、またパブリックコメントも終了をいたし、最終案を作成してまいりますので、本日、本部会のご了承をいただければと考えています。

 このほかにも、先ほど中島課長からもご報告をさせていただきました、本日、第四次環境基本計画の点検に関するご審議や、多数の報告事項がございます。大変短い時間でありますが、各委員の先生方のご議論のほどをよろしくお願いを申し上げまして、私から冒頭のご挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○事務局 それでは、これより議事に移りたいと思います。進行につきましては武内部会長にお願いいたします。部会長、よろしくお願いいたします。

○武内部会長 それでは、議事進行を務めさせていただきたいと思います。今日は、先ほど来お話のように2件の審議案件、それから、さらにかなり多数の報告がございますので、要領よく進めてまいりたいと思いますので、どうぞご協力をよろしくお願いしたいと思います。

 本日の審議会についてでございますが、公開で行いますので、報道関係者や傍聴の方も同席しておられます。会議録につきましては後ほど事務局で作成し、本日ご出席の委員の了承をいただいた上で公開をすることにさせていただきます。なお、議事要旨につきましては事務局で作成したものを私、部会長が了承した上で公開することについて、皆さん方のご了解をお願いしたいと思います。また、会議資料についても公開となっております。

 それでは早速でございますが、最初の議題、絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略について、事務局から説明をお願いいたします。

○野生生物課取引監視専門官 野生生物課の荒牧でございます。座って失礼いたします。

 本部会では、昨年からご審議いただきました絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略につきまして、お手元の資料に基づいてご説明をさせていただきたいと思います。

 資料1-1は、今年2月3日からパブリックコメントにかけました案でございます。それをめくって資料1-2のほうにいっていただきまして、パブリックコメントの結果の概要をご紹介したいと思います。

 2月3日から3月2日まで、約1カ月コメントを募集したというところでございます。有効意見の提出数は19ございまして、延べ意見数が101、同様の意見をまとめますと意見要旨数と1.(2)に書いておりますが、87項目のご意見をいただいたという形になっております。この個別のご意見と、意見に対する考え方は別添としております2ページ以降に添付をしております。本日は時間の都合上、ご説明は割愛させていただきます。最終的な案のほうのご説明をさせていただきたいと思います。

資料1-3をご確認いただければと思います。パブリックコメントのご意見と、それから委員の先生方から幾つかご指摘をいただいたことも含めて、修正をかけさせていただきました。簡単に大きく変わったところだけ説明をさせていただきますので、ご了承いただければと思います。

 まず1ページ目、背景でございます。これまでこの戦略を策定するに至った経緯は生物多様性基本法策定以降のことを記述しておりましたが、それ以前のレッドリストの作成ですとか、種の保存法が制定されたことというものを追記させていただいております。

 めくっていただきまして2ページ目、2行目でございます。国際的な目標の中には、愛知目標のほかにも「世界植物保全戦略」というものが採択されていることを追記させていただいております。

 第2章の目標に参りまして、3ページ目、お願いいたします。この戦略の位置づけとしまして、環境省としての戦略でございますが、地方公共団体にとっても絶滅危惧種の保全の取組の推進に参考になるということを期待する、という一文を追加させていただきました。

 第3章が絶滅危惧種の現状と課題ということで、主に23年度に実施した点検の結果を踏まえて、整理をしたところでございますが、4ページ目でございます。レッドリスト関係のことの中で、レッドリストは現行では純海産種は評価の対象から除外しているということから、現在、海洋生物の絶滅のおそれの評価の検討を進めているというところを、記述をさせていただきました。

 めくっていただきまして、6ページ目をお願いいたします。この保全戦略上ではメーンの検討事項ではございませんけれども、種の保存法の中では国内の希少種以外にも国際的な希少種の国内での流通についての扱いも点検をしてきたという経緯がございます。その中で、具体的な、どういう検討事項があったのかということを少し補足させていただきました。

 それでは第4章、基本的な考え方に移らせていただきます。8ページ目をお願いいたします。環境省として保全を推進していくに当たっての考慮すべき事項という中で、絶滅のおそれのカテゴリーとしては比較的低いVUの扱いであっても、情報の整理を図って、保全の方向性を示すことが重要であるということで、特に着目する種のところを少し表現を修正をさせていただきました。自然状態では本来想定されない脆弱性という表現の仕方が非常にわかりにくいというご指摘がありましたので、人為的な影響によって影響を受けやすく、脆弱性の高い状況にある種という形で整理をさせていただいております。

 9ページ目に参りまして、それぞれの要因を踏まえて保全を進めていく必要があるということの考え方を整理したところでございますが、外来種の問題、非常に大きくなってきているということで、それについても考え方の中で一つ追記をさせていただいております。

 10ページ目に参りまして、保全ユニットを踏まえての保全の実施が重要であるという観点と、保全ユニットですと個体群の範囲ということになってきますので、それ以外の要素も含めて、「それぞれの状況に合わせた生息・生育地の維持・改善等の対策が重要である。」ということを追記させていただきました。

 めくっていただきまして、施策の展開のほうにまで少し飛ばさせていただきます。第5章の施策の展開のうち、ちょっと大分飛んでしまいますけれども、17ページに行っていただければと思います。

種の保存法以外の、特に保全地域の制度を活用しての絶滅危惧種の保全について言及した(2)の項目でございます。これまで自然環境保全地域についての言及がなかったということで、ここに新たに追記をさせていただきました。また、利用調整区域、これは国立公園内の区域の制度でございますが、わかりにくいということですので、説明事項を注釈に加えさせていただいたところでございます。

 めくっていただきまして18ページ目、保護区域以外での保全の取組ということで、こちらについてはすぐに具体的な取組が書かれていたところではございますが、そうではなくて、保全地域以外でも取組を進めることの重要性ということを、冒頭に追記をさせていただいたという形にしてございます。

 さらにめくっていただきまして20ページ目、こちらはその保全を進めていくに当たっての社会的な理解の促進に関する項でございます。種の保存法上でも最新の科学的知見を踏まえつつ、教育活動、広報活動等を通じて種の保存に対し、国民の理解を深めるように努めなければならないという条文が昨年の改正時に入りましたので、ここに説明を加えさせていただきました。また、Good Practice、優良事例ということで取り上げるべき内容としまして、回復に成功した種の話だけではなくて、地域の活性化とも関連するような取組も追記をさせていただいたところでございます。

 簡単ではございますが、大きな加わった部分についてご紹介をさせていただきました。今後、本日、先生方のご了解をいただけましたら、環境省として決定をいたしまして、近く公表をさせていただきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

○武内部会長 どうもありがとうございました。パブリックコメントとそれから追加的な委員からのご意見を踏まえて、今日お見せするような形の最終案にまとまったということでございますが、これについてご質問、ご意見ございましたら、札を立てていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ、石井委員。

○石井(信)委員 ありがとうございます。一つ目は12ページなんですが、細かいことですけれども、15行目のところに「国外に存在する種」というふうになっていますが、これは文章の流れからすると「国外に存在する個体群」だと思います。

 それから15ページなんですけれども、22行目ですか、「2020年までに300種の追加指定を目指し、それ以降も同様のペースで指定の推進を図る。」というふうに書いてありますけれども、同様のペースということは、20年までだと1年当たり40種ぐらいのペースで指定をしていくことになって、種数は無限に増えていくというふうに読めますので、ここは少なくとも「有効性に応じて」とか、「必要性に応じて」という言葉が入るべきだと思うんです。個人的には300種というのもなかなか難しいと思います。

それで、国内種というのは、基本的な保全ツールは捕ったり、採取したりしてはいけない、それから譲り渡し取引をしてはいけない、あとは小規模な生息地等保護区の指定ということだけですので、それで絶滅のおそれが抑えられるというケースというのは、むしろ少ないような気がします。最大の原因は、生息地そのものの改変ということがありますので、指定種の生息の可能性があるところの環境改変も認めないというようなことがあれば意味があると思いますけれども、そういうのはまた難しいと思いますので、言葉が適切かどうかは、ちょっとアイデアがないんですけれども、そこに少なくとも「必要性に応じて」というような語句を挿入するのが適当だと思います。以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。

今の二つの点に関して、まず最初に。

○野生生物課取引監視専門官 恐れ入ります。先ほどの12ページのほうですと、ほかの部分、確かに個体群というところで修正させていただきました15行目の、「例えば国外に存在する」というところだけ「種」ということになっておりますので、こちら「個体群」と修正をさせていただきます。

 それから15ページでございますが、表現ぶりとしましては、「それ以降も必要性を踏まえ、適切なペースで指定の推進を図る」というような表現ぶりでいかがでございましょうか。

○武内部会長 少しフレキシビリティがあるような形に表現を直したほうがいいということだと思いますけれども、ほかの委員の方で、今の点に関して何かご意見ある方はございますか。

 では、石井委員のほうでは、今のような修正でよろしいですか。

○石井(信)委員 はい。

○武内部会長 じゃあ、そういうことでお願いします。

それじゃあ次に、涌井委員、お願いします。

○涌井委員 ありがとうございます。20ページでございますけれども、社会的な理解の促進のところで、36~37行目なんでありますが、ここに例示として「トキやツシマヤマネコをシンボルとした」と、こう書いてありますが、実は私の感じでは、豊岡のコウノトリなどは非常に熱心に社会的な普及あるいは経済活動についての影響力を持っている。もし例示の数を少なくするという趣旨であれば、これは恐らく文脈から見ると鳥類と哺乳類、1種ずつ挙げているという気がするんでありますけれども、社会的によく知られているという観点で言えば、コウノトリは欠かせない。その点どういう判断で二つに例示されたのかというのを、ちょっとお尋ねしたいと思いますけれども。

○武内部会長 どうもありがとうございます。

どうぞ。

○野生生物課取引監視専門官 はい、すみません。おっしゃるとおりトキ、コウノトリということになると、両方鳥類ということになってしまいますので、少しバリエーションを考えてツシマヤマネコを入れさせていただいたところでございます。コウノトリもあわせて追記をさせていただくような形でいかがでございましょうか。検討したいと思います。

○武内部会長 よろしいですか。

○涌井委員 はい。

○武内部会長 じゃあコウノトリ、追加ということで。白山委員。

○白山委員 ありがとうございます。これ非常に細かいところではございますけれども、18ページの上から4行目ですか、海の生物について生息・生育場の保護、水産生物の保護培養等と書いてありますけれども、例えば魚類とかそういう生物の「培養」という言葉は、何となくあまりマッチしないんじゃないかと思うんですね。ほかのところは全て「保護増殖事業の一環」とか、そういう言葉をお使いになっていまして、どちらかと言えばそちらのほうがよろしいんじゃないかと思うのですが、理由があって「培養」という言葉を使ったとすれば、その理由をお聞かせ願えればと。

○武内部会長 それでは、どうぞ。

○野生生物課取引監視専門官 恐れ入ります。ちょっと定義のところで書かせていただいたと記憶して……。失礼いたしました、7ページでございますが、「保護増殖」という言葉を使ったときに、単に増やしていくということではないことも含めて、幅広い保全の意味を含めての「保護増殖」という言葉を使わせていただいていたものですから、ここで言うところでいきますと、まさに増やしていくというところにフォーカスをした表現をさせていただきたかったところではございます。あるいは、「保護」という言葉も外して「増殖等」というようなことで対応させていただければと思っております。

○武内部会長 最終的には、これを「増殖」と置き換えるということですか。

○野生生物課取引監視専門官 「水産生物の増殖等」ということでよろしいでしょうか。

○武内部会長 よろしいですか、それで。じゃあ、そういうことで「増殖等」という形にさせていただきます。

それじゃ、小長谷委員、お願いします。

○小長谷委員 内容ではなく、表現に関してです。「ただいま何々しているところです」という表現が散見されます。普通の日本語というよりは霞ヶ関辺りでの方言ではないかと思われます。

○武内部会長 それでは、具体的にお願いします。

○小長谷委員 はい。4ページの追記されたところです。「取り組んでいるところである」という、これはなくてもいいんじゃないかと思います。除外していたため、何々に取り組んでいるというふうに。

 次に、6ページです。11行目から12行目も「要求している。」でいいんじゃないかと思います。どうしてもニュアンスとして必要であれば、つけていただいても構わないので、その辺のさじかげんはお任せします。

 次は、20ページです。29行目、「追加された」というのに対して、また「ところである」がついております。

○武内部会長 なしでも大丈夫だということでよろしいですか。

○野生生物課取引監視専門官 はい、削除させていただきます。

すみません、それともう1点、今ご指摘いただいた箇所で、申し訳ありません。時機的な修正をさせていただくべきところが一つございました。6ページの10行目のところでございますが、25年度の予算と定員、もう確定してございます。「予算の大幅増額と、定員の増加を行った」とさせていただきたいと思います。失礼いたしました。

○武内部会長 それはとてもよかったですね。

○野生生物課取引監視専門官 ありがとうございます。

○武内部会長 よろしいですか。

○小長谷委員 はい、結構です。

○武内部会長 それでは、小菅委員。

○小菅委員 12ページの12行以下なんですけども、絶滅種に関しての再導入のことが述べられていますけども、この16行目に、要するに海外に存在する個体群と、絶滅した国内個体群との同一性と書いてあるんですけども、この「同一性」というのはどのレベルでの同一性なのかというのが、ちょっとわからないと思うんです。特に地理的な隔離が現状見られている個体群で、遺伝的な同一性というのはないんじゃないかと思うんですが、この同一性はどのレベルでの同一性かということを教えてください。

 それともう一つ、ここにいろんなこと、これは当然当たり前のことを書いてあるんですけども、これを例えばトキの再導入に当てはめたら、こうなるというような資料はあるのでしょうか。あったらちょっと教えてほしいんですけども。以上です。

○武内部会長 同一性ということについて、いかがですか。

○野生生物課長 同一性についてですけれども、特に鳥類の場合は渡りをするということがあって、同一性について国外にあるものと国内にあるものとの同一性について、極めて近い、あるいは遺伝子的にもほぼ同一だと言えるんじゃないかということはあり得ると思っています。その辺を、このことは特にトキの再導入の関係で検討した経緯を踏まえて、少なくとも国外にあるものと地理的に離れていても同一性が確保できるというのはあり得る話だということだと考えて、こういうふうに書いてあるということです。

トキの再導入のときに、中国の個体について遺伝子的に調べて、もうほぼ100%に近いぐらいの遺伝子のレベルでの同一性が認められるというふうに確認をして、再導入を行っていますので、そのことはここには触れてはおりませんけれども、当時の資料はございます。

○武内部会長 そのことを書かなくていいかということですね。

○小菅委員 いや、書かなくてもいいです。そういう意味であれば、ちょっと反論があります。

今、トキの場合、ミトコンドリアDNAで遺伝的解析をやって、たしか違いは低かったというのは聞いているんですけども、そうすると、そのレベルで同一性というのを見ていくとすると、特に哺乳類の場合は地理的隔離というものは、もう明らかにこれは亜種レベルまでいってしまう場合があります。

一方で、絶滅してしまったところに、例えば1%の違いのある個体群のものを再導入するということを、否定するのかというような気がするんですよね。まだ個体群が残っているときに、そこに補強だとか補充の意味で野生復帰を考えていくときには、かなりそこのところは検討しなきゃならないと思うんですけども、再導入を図るときは既に元の個体群はいないわけですから、そのときに同一性はどのレベルで考えるのかというのは、やっぱり僕はもう少し考えたほうがいいと思います。この表現はこれで別にいいですけれども、中身として環境省はもうちょっとしっかりその辺のことをやっていくべきだというふうに思うんですが。

○武内部会長 どうぞ、局長。

○自然環境局長 同一性の件でございますけど、16行目では、その上に再導入する場合には多面的かつ慎重な検討が必要だと、例えばということで例示をしております。この同一性についても、21行目で「について、十分に検討する必要がある」ということで、これは種の特性がございます。鳥類と哺乳類で違いますし、今先生が言われたような観点も含めて、個別具体的に必要性に応じて検討をしていく。その検討の項目として、この「同一性」というのを忘れてはいけませんというつもりで、個別具体的に、この報告についても慎重な検討が必要だということを明確に示したというふうにご理解いただければと思います。

○武内部会長 よろしいですか。

それでは、山極委員、お願いいたします。

○山極委員 細かいところから。17ページの下線が引いてある部分です。21行目から33行目、まず31行目、「生息・生息する絶滅危惧種」というのがちょっとよくわからない。それから、次の32行目の、「その生息地・生息地」というのがよくわからないです。これは多分、書き間違いだと思うんですが、修正が必要だと思います。

 それから、これは質問なんですが、10ページ目に、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)2007年というのは、ちょっと古いんじゃないかという気がします。新しいIPCCの報告書が出ていますけれども、それをもし書いてあるのなら、こっちでも引用したほうがいいんじゃないかということです。

 それから三つ目は、「個体群」という言葉がたくさん出てきます。生息しない個体群あるいは国内個体群、地域個体群と、いろいろ出てくるんですけども、これは語句の定義の中に入れたほうがいいんじゃないかという気がするんです。個体群、ここの10ページ目ですか、個体群の範囲、保全ユニットまたは保全単位というふうに定義されておりますけれども、これはいろんな事情によってまた違うわけです。ですから二つダブってしまいますので、個体群というのはどういうものをイメージしているのかということを、どこかで定義したほうがわかりやすいんじゃないかなと思うんですけど、どうでしょうか。

○武内部会長 今の3点について。

○野生生物課取引監視専門官 最初の17ページのご指摘については、絶滅危惧種が動物か植物かということで「生息・生育」という表現を使わせていただいているのですが、間違いというのは、ちょっともう少し指摘をお伝えいただけるとありがたいなと思います。それからほかの10ページの要素でございますが、IPCCの報告書、最新のものを確認させていただきますとともに、個体群の説明について整理をさせていただくようにしたいと思います。

○武内部会長 「生息・生育」は、今のことでよろしいですか。

○山極委員 はい、結構です。

○武内部会長 IPCCは日曜日に報告されたものを、ちょっとよく読んでいただいて。そうですよね。アダプテーションの議論ですよね。じゃあ横浜のが最終報告なので、多分SPMだけじゃなくて、もう少し本文そのものに遡って見たほうがいいと思いますので、そういう目で調べていただいて、書き込んでいただければと思います。

それでは、浜本委員、お願いします。

○浜本委員 18ページの保護地域以外での保全の取組のところで、この(3)のところで書いてあること自体は、とてもよくまとめてあると思うんですけれども、段落的に19行目からのところに、里地里山に関することがいきなりぽんと出てくるんですね。

これだけをずっと読みますと、バッファーゾーンに関することは、里地里山近辺のところに割と集中して物事を見ないといけないような感覚を覚えてしまいます。最後までこの項目を読むと、一番下には渡り鳥のことが書いてあるんですが、決して里地里山だけではなくて、例えば8ページの考慮すべき事項のところには、里地里山等の後に、後半の32行目後のほうに、「海浜、河口等に生息・生育し」というふうに、水辺のこともしっかり書いてあるんです。

なので、できましたら18ページの(3)の保護地域以外のバッファーゾーンのところに、里地里山と、あとその近辺の海浜、河口等の、要は湿地や陸地だけ、土地だけではない水面域のことも、1行とか一言触れておくと、読んだ人たちがイメージをしやすいのではないかなと思います。せっかく下のほうに鳥類、渡り鳥の2国間条約だとかと書いてありますから、こういった渡り鳥が来るところは決して陸地だけではございませんので、その辺りをプラスしていただけたらと思います。

○武内部会長 どうですか、よろしいですか。

○野生生物課取引監視専門官 すみません、保護地域以外での取組ということで、非常に幅広い形になってしまっております。具体的な取組としてちょっと水辺のことについて、どういうことが書けるのかということになりますと、少し検討させていただけると、大変ありがたいなと思います。

○武内部会長 もうちょっと入れる、入れない、はっきりできませんか。この段階ですから、検討させてくださいというと、議論もう一回延びますよ。

○野生生物課長 湿地、水辺のことについても、ここに追記をさせていただきたいです。案が今ないものですから、少しご相談をさせていただきたいと思います。

○武内部会長 どうぞ。

○自然環境計画課長 里地里山につきましては、今年度に重要里地里山というのは抽出をしようという作業を進める。それに加えて、海域に関しても重要海域という抽出作業を行いましたし、それから重要湿地という作業も今年度していきたいと思っていますので、そういう湿地とか海域の作業を進めているということも踏まえて、水辺のことも書いていきたいと思います。

○武内部会長 それじゃあ、書き込むことで検討させていただきます。

ほかにございませんか。

(なし)

○武内部会長 それでは、大分もう時間も過ぎておりますので、今いただいたいろんなご指摘の点は踏まえるということで、恐縮でございますけれども、これ以降の最終確認については、私のほうに一任をさせていただけませんでしょうか。

(異議なし)

○武内部会長 はい、どうもありがとうございます。

 それでは、続きまして二つ目の議題、第四次環境基本計画の進捗状況について、特にこの部会では生物多様性等に関する部分について、ご審議をいただきたいというふうに思います。事務局のほうから説明をお願いいたします。

○生物多様性地球戦略企画室長 それでは、私、生物多様性地球戦略企画室長の奥田でございます。私のほうから、この議題についてご説明させていただきたいと思います。

 資料のほう、資料2-1、2-2と参考資料2ということで、環境基本計画の一部抜粋がついております。また、テーブルの上に環境基本計画全体についても参考として置いてありますけれども、こちらのほう、実はこれから続きます審議でも使いますので、どうしてもという方以外は、ぜひ机の上に置いて退席していただけたらありがたいと思います。申し訳ございません、部数が足りないものですから。

 それでは、ちょっと座って説明をさせていただきます。それでは資料2-1をご覧ください。環境基本計画は、中環審の中では総政部会のほうで議論されております。

 環境基本計画は、平成24年の4月に閣議決定をしております。それで、横断的分野という、例えば国際的取組ですとか、地域・人づくりのようなものは、毎年実施しておりますけれども、そのほかの個別分野、この1ページ目に書いてある九つの分野が、これ環境基本計画本文の中に、もう既に書き込まれているんですけども、この分野については隔年で点検を実施しております。生物多様性分野は今年が1回目ということで、今回その年に当たっているということでございます。それで平成29年に環境基本計画の見直しを予定しております。

 めくっていただいて、点検の進め方については、昨年12月の総合政策部会のほうで審議・決定をいたしております。ここに書いてあるようなプロセスに従うわけですけれども、毎年重点検討項目をそれぞれの分野ごとに2項目程度定め、それに基づいて重点的な検討を行うことになっております。

本日は、この生物多様性分野につきまして、どの重点項目を二つ選ぶかということをご議論いただきたいということでございます。今後この黒い枠の中にありますけれども、この自然環境部会の中で夏ぐらいまでに、さらに2回ほど部会を開催して、関係省庁のヒアリング等を行って点検を進めて、9月ごろに総合政策部会で報告をいたしたいというふうに考えております。最終的には12月ごろに点検結果について閣議決定が行われる予定になっております。結果は、環境保全経費の見積もり方針の調整等に反映されることとされております。

 続きまして、参考資料2-2のほうに移りたいと思います。こちらのほう、事務局のほうでとりあえず2項目選ぶとしたらということで、二つの重要検討項目を選んでおります。こちらのほう、実はちょっといろいろ資料がまたがって申し訳ないんですが、参考資料2の環境基本計画の抜粋のほうをご覧いただきたいと思うんですけれども、こちらのほうの82ページ、83ページ、こちらに環境基本計画の中で重点的取組事項が7項目挙げられております。この中から組み合わせたりしながら選びたいと考えまして、二つを選んでおります。

重点検討項目①につきましては、この重点的取組事項の「①生物多様性の主流化に向けた取組の強化」というものを、ここで点検をしていただきたいということで提案をさせていただいております。検討項目の詳細については、この資料2-2に書いてあります生物多様性とか生態系サービスの価値評価ですとか、生物多様性に配慮した事業活動の推進、経済的手法も含めた取組はどうなっているかということですとか、普及啓発、ライフスタイルの展開に向けた取組について点検をお願いしたいという案でございます。

 それから重点項目、検討項目②につきましては、計画本文にあります重点的取組事項の②と⑤をあわせたような形で書かせていただいてございます。タイトルとしては「生物多様性保全と持続可能な利用の観点から見た国土の保全管理と生態系サービスの利用」というタイトルにさせていただいております。具体的には、国土レベルでの生態系ネットワークの形成に向けた重要な地域等の保全・再生、それから生物多様性に配慮した農林水産業の振興や再生可能エネルギーの利用促進の取組、こういったことを環境省としても重点的な政策事項として考えておりますので、この辺についての点検をお願いしたいというふうに考えております。

 なお、残りの部分について、例えば③の海洋、これについても重要と思いますけれども、現在重要海域の抽出等を実施しておりまして、そういった取組が進んでから次の点検に回してもいいのではないかというふうに考えて抜いております。また、④になりますけれども、野生生物の保護・管理につきましては、今日のご議論も含めて既にこの部会で議論をいただいておるので、今回は重点項目からは外しております。また、国際的取組は横断的事項として今、毎年総政部会において点検が行われています。

 それから⑦番のデータ整備につきましては、これも非常に重要な課題と認識しておりますけれども、具体的な政策に焦点を当てるというほうが議論が深掘りしやすいと考えております。また、IP-BES等、現在、国際的な動き、また国内もそれに向けた体制というのを構築しつつある段階ですので、そういったものがある程度一段落ついた段階で、点検をお願いしたいというふうに考えております。

 以上、事務局からのご説明でございますけれども、繰り返しになりますが、二つの重点項目についてご意見と、これに沿った形でこれから夏まで検討を行っていただくということについてご意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○武内部会長 どうもありがとうございました。総政部会で本来議論をしておる総合的な点検について、特に個別分野についてはそれぞれの部会で議論するということになっておりまして、今年度は生物多様性分野がそれに該当する。そのうちの重点的な取組、七つあるわけですが、そのうちで重点的に今年度点検する分野として、まず第一に生物多様性の主流化に向けた取組の強化、第2番目として生物多様性保全と持続可能な利用の観点から見た国土の保全管理と生態系サービスの利用という、この二つについて点検を進めたいという事務局からの原案でございます。

 検討内容の詳細についても、ここでもっとこういうことを追加したほうがいいんではないかというようなことがございましたら、ご意見として承りたいということでございます。まとめますと、この二つでいいかどうか、それからこの二つの点検でいいとして、その中身がこれでいいかどうかという、こういうことでございます。いかがでしょうか。札を立てていただければと思います。鷲谷委員、お願いします。

○鷲谷委員 ちょっとわかりにくいところがあるんですけれども、「生物多様性に配慮した」という修飾語がかかっているのが①の事業活動と、それから②では生物多様性に配慮した農林水産業の振興ということがあって、②のb)ではわざわざ注がつけてあって、生物多様性に配慮した事業活動の推進のための取組については①で扱うと書いてあるんですが、事業活動という場合、非常に広い意味を持つ言葉なので、これを峻別して理解してもらうには、注のつけ方を工夫しないといけないのではないかという印象を受けました。

 生物多様性に配慮した農林水産業の振興というのは、恐らく今年度から予算化された、法律の施行は来年度の、多面的機能支払い等の割合重要な政策を含むと思われますが、事業活動は含まないというときは、そういう通常の農林水産業の活動というのは、事業活動である場合もあるように思うんですけど、その辺りどういうふうに区別して考えればいいのか、もしわかりましたら教えていただきたい。注をもう少し見たら、もう、これはこちらに入るということがわかるようにしていただけたらと思います。

○武内部会長 お答えお願いします。

○生物多様性地球戦略企画室長 ありがとうございます。実は、この言葉自体は閣議決定された環境基本計画の、先ほどお示しした82、83(ページ)から引いているものですので、確かにご指摘のとおり重なりとか、その部分について、多分この段階で十分整理をされていないと思いますけど、農林水産業のほうはどちらかというと⑤の、今回の重点検討項目②のほうでハイライトをしたいと。そのほか例えば流通も含めた形での事業全体として見る場合には、当然、農林水産業の部分も入るかもしれないですけども、全体としての事業として見るということで、①のほうでということだと思いますので、ちょっとこれは点検を進める中で、言葉についても整理をさせていただきたいと思います。

○鷲谷委員 そうですね。じゃあ今は農林水産業に関しては②であるという理解をしてよろしいですか。例えば農地整備のときの環境への配慮などは②になるし、それ以外の流通とか農林水産業以外の産業に関する事業活動であれば①のほうで。

○生物多様性地球戦略企画室長 ダイレクトに言うと、多分流通、例えば違法伐採された木材を使わないとか、そういう部分については①のほうに分類されるでしょうし、ダイレクトに例えば森林の施業の仕方について配慮をするというところでは②になると、そういう整理かと思います。

○鷲谷委員 よくわかりました。

○武内部会長 今の関連ですけども、例えば①のb)で、環境省、農林水産省だけでいいんですか。

○生物多様性地球戦略企画室長 こちらのほう、まだ関係省庁とも細かくすり合わせできておりませんので、「など」というところで、当然関係する省庁とは、共同して点検を進めていきたいと思っております。

○武内部会長 涌井委員、お願いします。

○涌井委員 この二つの重要検討項目として候補にされていることは賛成なんですが、重要検討項目の②のところに、a)b)と整理されているんですけども、現状今は何が起きているのかということを振り返ってみますと、東日本大震災の被災地では、やはり国土強靭化法との関係もこれあり、いわば人為的な防潮堤で対応するのか、あるいはさまざまな自然資源を活用した形で、減災の方向でいくのかという、こういうコンフリクトがあちらこちらに起きているわけです。

さらに言えば、既に絶滅をしたと考えていたところが、津波の結果、そこに生息地が出現して、回復が図られる。こういったものと、じゃあ防災施設をどういうふうに共存させるのかという議論もこれあり、せっかく三陸復興国立公園をつくっていることもありますので、それをモデルにしながら、やはりここには通称で言うグレーインフラなのかグリーンインフラなのかという議論もありますけれども、そういう観点で生物多様性と防災の観点みたいなものは、やっぱり強く点検されてしかるべきだなという気がします。それでないと地元の自治体もかなり実はこの辺で混乱をしているという状況がありますので、ぜひそういう視点をつけ加えていただければありがたいなというのが私の意見です。

○武内部会長 ありがとうございます。いかがですか。

○生物多様性地球戦略企画室長 ここで国土レベルでの生態系ネットワークの形成という部分をブレークダウンすれば、そういった議論も当然入ってくるものというふうに理解しております。ただ、一方で復興・復旧のところについては、別途横断的事項としての点検も行われていますので、そことうまくリンクさせながら、当然ここでの議論そのものというのはやっていただきたいと思いますけれども、ここでハイライトすべきかどうかは、また皆さんのご意見を踏まえて検討させていただきたいと思います。

○涌井委員 今、私は例示的にここの例を言ったわけで、実は全国レベルでそうした問題が起きているんです。つまり、いわゆる自然環境資源を活用しながら、防災で対応しようとするのか、あるいは工作物、施設物で対応しようとするのかということでありますので、必ずしも東北に限った話ではないということを念頭に置いていただければありがたいなと思います。

○生物多様性地球戦略企画室長 それでは、ご意見を踏まえて防災・減災という観点を、この中に少し入れさせていただきたいと思います。

○武内部会長 あれ、環境基本計画自体は、つくられたときは震災直後で、あまり入っていないということではなかったでしたっけ。

○生物多様性地球戦略企画室長 実は、環境基本計画の中では、第2部の第2章というところで東日本大震災からの復旧・復興に関して環境の面から配慮すべき事項というのが、その項目が立てられておりまして、総合政策部会の議論の中でも、やはりこの問題というのは十分考えていくべきということで、お手元の白表紙をご覧になっていただければと思いますが、123ページのところに持続可能な地域の再生といったようなところ、ただ今のようにいわゆるEco-DRRと言われているのは、生態系を活用した防災・減災というところまで十分踏み込んだ書きぶりが、必ずしもできてはいないかもしれないですけど、その点も含めて政策は点検をさせていただきたいと思っております。

○武内部会長 涌井委員、実はこれ環境基本計画つくったときは、ちょうど震災直後で、その項目を立てたんですけれども、ほかの施策の中に、その議論をどうやって浸透させていけばいいかということについては十分議論できなかったんです。この次の計画の中では、そうしたことも含めて、きっちり入れているわけですけれども、今、点検という議論の中で、今の話を含めると、次の計画を前提、念頭にして、今の議論を頭出しするような形で、この議論の中でうまく吸収させていくということで、一応対処させていただきたいと思いますし、趣旨は非常によく理解できますし、大事な点だと思いますので。私としては、特に国土利用の2番目の議論、その中に生物多様性に配慮した農林水産業の振興、再生エネルギーの利用等の中にうまく含めていって、今の生態系サービスを利用したレジリエンスの強化という観点を、この議論の中に含めていくということで対応させていただければと思いますが、それでよろしいですか。

○涌井委員 はい、ぜひよろしくお願いします。

○武内部会長 それでは、小泉透委員、お願いします。

○小泉(透)委員 ありがとうございます。①の生物多様性の主流化に向けた取組の強化について意見を述べさせていただきます。

 生物国家戦略を見てわかりますように、生物多様性という言葉の意義が社会に十分に浸透しているかというと、新党しつつあるけれども、まだ不十分であるというふうな結論づけができるかと思います。

やはり社会の認識があった上で、PESですとか商品化ということになりますので、自然との触れ合い活動等の推進というようにあまり狭く捉えずに、教育、普及・啓発、というのも重要なアクションであるというふうにご認識いただきたいと思います。

○武内部会長 ご意見として承っておきたいと思います。よろしいですか。

○小泉(透)委員 はい。

○武内部会長 それでは、磯崎委員。

○磯崎委員 ①の生物多様性の主流化ですが、ほかの項目と比べてちょっと違っていて、非常にベースであると同時に、愛知目標でも個別目標、達成目標の一つになっているので、全体に関わっている項目であると考えます。先ほどの話で、これはすぐにということではないのですが、先ほど鷲谷先生との話で、①のb)で個別事業の話が出てきていたんですが、①の中で個別事業の話が出てくるのが気になったところです。

①との関わりで、もう少し重視してほしいことがあります。一般的な政策、全体的な制度という点でいくと、主流化に当たって非常に重要なのが、自然環境、生物多様性に関する基本的な調査とデータが環境省サイドでちゃんと行われていて、それが関係するほかの省庁だったり、関連する事業の際にちゃんと提供されていて、配慮されることです。生物多様性が配慮される前提になるのは情報提供のシステムが確保されることで、それに向けた環境省としての取組が、恐らく一番基本だと思います。

 それから、その評価または配慮に当たって、何をどう配慮するのかということを具体的に動かす制度として、いわゆる環境影響評価の制度があります。個別事業との関わりの生物多様性に配慮した環境影響評価がちゃんと行われるような制度整備、それから個別事業を離れて特に主流化ということとの関連では、計画アセスや戦略アセスのような、政策を立てるときの事前評価の制度整備、それらについてどこかで出てくる必要があります。

 それからc)のところで、広報や普及・啓発が書かれています。これも既に行われていることとして、パブコメその他含めてなんですが、アセスを行う場合でもそれから調査を行う場合でも、そして主流化を果たしていく場合でも、国民、パブリックの情報公開はここに書かれているんですが、情報公開だけではなくて、参加手法という側面を含めてほしいと考えています。

○武内部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。

○生物多様性地球戦略企画室長 環境基本計画本文は、かなり分量を減らされていたものですから、限定的ですけれども、ほかにご指摘のいただいたところは、点検の中でもきめ細かに検討させていただきたいというふうに思っております。

○武内部会長 ほかにございますでしょうか。

(なし)

○武内部会長 もしないようでしたら、今いただいたご意見を踏まえて、最終的にこの重点検討項目についての案を確定していきたいと思います。恐縮ですけれども、もし特段のご意見がなければ、私のほうで責任を持って取りまとめをさせていただきたいと思いますが、ご一任いただけますでしょうか。

(異議なし)

○武内部会長 よろしいですか。ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきたいと思います。

次回の審議でございますけれども、本日議論していただいた重点検討項目に該当する取組について、本部会において関係省庁からヒアリングを実施する予定でございますので、よろしくお願いいたします。

 次に、報告事項に移らせていただきます。三つ目の議題ですが、生物多様性条約第5回国別報告書及び生物多様性国家戦略2012~2020の点検について、説明をお願いいたします。

○生物多様性地球戦略企画室長 引き続きまして、私のほうから説明をさせていただきます。

 この国別報告と点検につきましては、1月27日の部会において、原案をご紹介させていただいたので、今回は結果としてのご報告を、ごく簡単にさせていただきたいと思います。資料のほう、3-1が国別報告で、3-2が本文白表紙でございます。それから3-3がパブリックコメントの実施結果についてありまして、3-4、3-5、3-6が点検のほうの二つになります。また参考資料の中でスケジュール、参考3-1というのがございます。それでご参照いただけたらと思います。

 まず、国別報告につきまして3-1をご覧ください。こちらのほうは前回説明させていただきましたので省略させていただきますが、条約に基づいて今年の3月末までに、今年秋に行われるCOP12で愛知目標の中間評価を行うということですので、その参考として国別の報告書を出しなさいということが各国に求められておりました。

我が国は、先般のここで案をご説明しましたものに基づいてパブリックコメントを行って、一部修正をして、3月25日に英訳の上、生物多様性条約事務局へ提出しております。お手元の白表紙の資料には、日本文、英文どちらもつけてございますので、ご参照いただけたらと思います。構成等は前回ご説明しましたので、省かせていただきますけれども、パブリックコメントはここに書いてあるとおり、25日間、延べ91件の意見をいただきました。このうち25カ所、本文のほう修正ということで、3割弱の修正を行いました。細かいところの説明は3-3に細かくありますけれども、省かせていただきます。例えば、ミレニアム開発目標との関係を書き込むべきではないかといったことですとか、企業と生物多様性のイニシアチブ、JBIBと呼ばれる取組をできていないかといったご指摘等々について、修正をさせていただいております。

 全般的な評価はこの資料の2、3のところに総論として書いておりますけれども、前回のご説明のときと大きくは変わっておりません。データ上は少しでも何かやっていれば進捗という形での評価になってしまっておりますけれども、恐らく今後指標をもう少しブラッシュアップして、この辺の確認の仕方はまた国際的な議論も踏まえながら考えていきたいというふうに思っております。

 続きまして、資料3-4をご覧ください。国家戦略の点検でございます。こちらはここでご議論いただいた国家戦略について、COP12の中間評価の前に点検を行うということになっておりましたので、国別報告書にあわせて国家戦略のほうの点検も実施させていただきました。内容につきましては、前回ご説明したのとほぼ同じ内容ですので割愛しますが、1月27日から25日間、延べ78件のご意見をいただいております。このうち14件、修正を加えておりまして、約2割ということで、例えば生物多様性の連携促進法と地域戦略と結びつけて書くべきではないかといったことですとか、先ほど申し上げたJBIBの取組等について記述せよといったご意見について、修正を加えさせていただいております。

こちらのほう、点検結果、1枚目に書いてあるとおり、実際にはこれ、戦略ができてから1年間の点検だったので、十分な進捗状況というのは必ずしも図れなかったんですけれども、これについて、基本的な目標達成に向けてさらなる取組が必要ということで、お手元の白表紙のような1冊の報告書にまとめさせていただいております。また、ここで今回の点検結果を踏まえて今後の政策の方向性等、ご意見をいただくことができればありがたいと思っております。

 以上でございます。

○武内部会長 どうもありがとうございました。今のご報告に関して、何か特段のコメント等ございましたら、お願いしたいと思いますが。

(なし)

○武内部会長 よろしいでしょうか。それでは、次に移らせていただきたいと思います。

名古屋議定書に係る国内措置のあり方検討会報告書についてということで、よろしくお願いします。

○自然環境計画課課長補佐 それでは、資料4に基づきまして、名古屋議定書に係る国内措置のあり方検討会報告書について、ご報告をさせていただきます。

 資料4-1に、パワーポイントの資料がございます。これに基づいてご説明させていただきます。2ページでございますが、名古屋議定書は、生物多様性条約の三つ目の目的をより確実にするものとして、平成22年10月に名古屋で開催されましたCOP10において採択されたものです。同じくCOP10で採択されました生物多様性に関する世界目標である愛知目標におきまして、2015年までに名古屋議定書が国内制度に従って施行され、運用されることが目標とされております。日本におきましても、愛知目標を踏まえた生物多様性国家戦略において、同時期を目標として設定をしております。

簡単にABSの仕組みについてスクリーンでご説明させていただきます。ABSの仕組みは、既に生物多様性条約にも位置づけられておりまして、条約の3番目の目的である遺伝資源の利用から生ずる利益の公正・衡平な配分として規定をされて、条約の中に基本的なルールを規定しております。

基本的なルールは、遺伝資源を利用する場合には、PICと言われる事前の同意を得て、提供者と相互に合意する条件(MAT)を設定した上で遺伝資源を利用するというものです。PICを得た後、MATで利益配分の条件を設定した上で利益配分を行う。提供国に対して遺伝資源の利用から生ずる利益を配分する。そういうことが生物多様性条約で既に位置づけられております。

 ところが、遺伝資源の提供国となる途上国では、遺伝資源が事前の同意を得ないまま利用されている例があるのではないかとか、莫大な利益が上がっているのに、その利益がきちんと配分されていないのではないかとかの懸念がございました。一方で、利用国は事前の同意を得る際にどこで誰に対して事前の同意を得るべきなのか、事前の同意を得る場合の申請手続きの期間が非常に長くかかるのではないか、といった手続の不透明性について、とても懸念を持っていた背景があります。

 そういった経緯がございまして、ABSに関する国際的な枠組みをつくる議論を続けてまいりました。そして、名古屋で開催されましたCOP10におきまして、この条約に定められたルールの適正な実施を確保する措置として、名古屋議定書が採択されたということでございます。

名古屋議定書の内容には、提供国の懸念である利用国においてきちんとした利用がなされていること、PICとMATを得て利用されていることを、利用国においてモニタリングするチェックポイントを指定すること。提供国に対しては確実・明確・透明な事前の同意に関する法令等を整備して、PICの証明書を発給すること等が位置づけられ、さらには生物多様性条約の事務局に設けられることになっているABSのクリアリングハウスで、事前の同意を与えたものや利用状況に関する情報を共有して、遺伝資源の適正な利用を進めていくことを制度化したものです。

利用国におきましては、PICとMATを取得して利用することとなるような措置として、どのような内容のもの、どのようなレベルで実施するべきかということが、締結に向けた国内措置の検討の中で必要になってくるということでございます。

環境省は国内措置を検討する関係省庁の取りまとめ役ということでございまして、平成24年9月に産業界、学術研究分野、それからNGO等の有識者による検討会を設置いたしました。この座長は今日ご出席の磯崎先生にお願いをしておりました。関係省庁から遺伝資源を利用している産業界の方々ですとか、学術研究分野の方々の推薦を受けまして、14名の検討委員で1年半にわたり検討を進め、つい先日、3月20日に報告書をまとめております。

検討会の内容でございますけれども、環境省が主な論点を設定いたしまして、他の議定書締約国の遺伝資源の取得の機会及び利益の配分に関する国内法令等の遵守に関する事項、先ほど国内の中でPIC・MATを取得して、きちんと利用しているか、そういったものを遵守ということでご説明させていただきましたが、そういった遵守に関する内容、それから遺伝資源の利用を監視するという内容、日本国内の遺伝資源の取得の機会の提供に関する事項、普及啓発に関する事項、について議論を進めていただきました。

また、議定書の概要ですとか、過去の状況等に関しまして、事務局である環境省から委員の皆様に情報提供し、外部有識者からもご報告をいただきながら設定した論点に基づいて議論を進行しております。

国内措置の態様、立法ですとか行政・政策上の措置、これは名古屋議定書の中ではいずれの措置でも構わないとされておりますが、そういったものについては、この中では特に予断をしないとさせていただいております。

本来3月までに合計16回の検討会を開催いたしましたが、この間に、パブリックコメントですとか、名古屋議定書の内容や報告書の案に関する全国での説明会、さらには日本学術会議との意見交換、国立環境研究所、農林業系の研究機関との意見交換会等も開催しております。

次に、報告書の内容です。報告書は全体で3部構成でございます。机上に参考資料4-1として委員の皆様方にお配りさせていただいております。分厚いものでございますが、内容について要点を絞ってご説明させていただきます。

報告書の第1章、第2章は、名古屋議定書の背景や主要規定についてご説明しています。第3章がこの検討会の議論の中心でございまして、名古屋議定書における国内措置のあり方に係る意見をまとめたものでございます。これ以外にも、議事録と同じような形で整理しました論点整理表ですとか、各委員からいただいた意見書、参考資料を含みまして、参考資料4-1にある報告書の全体像でございます。なお、この報告書は、有識者の方々のご意見をいただくということでございまして、環境省も含め、関係省庁の意見は含まれておらないというものでございます。

では、内容に順次入ります。まず、遵守に関する国内措置でございますが、基本的な考え方として5項目整理しております。1番目として遺伝資源等の適正な利用の促進に貢献するということ。国内措置は遺伝資源等の適正な利用の促進に貢献するということ。利用者が安心して遺伝資源を利用でき、利用の促進に貢献するべきであるということ。2番目は、国内の関係者から支持されること、及び国際社会への説明責任ということで、日本の利用者が諸外国との競争上不利な立場に置かれないよう、学術研究活動ですとか産業活動を妨げることのない遺伝資源の利用を促進するための措置とすべきであるということ。

3番目は、明確・簡素かつ実際的な措置とすること。全ての利用者が対応できる明確・簡素かつ実際的な措置とすべきということでございます。4番目は、遺伝資源の国際的な流通への配慮ということでございまして、日本と主要先進国等の利用者間での遺伝資源の流通が、今後も円滑に行われるような措置とすべきということ。

5番目は、普及啓発と支援措置の重要性ということで、遵守措置を実施する前提として普及啓発が必要である。また、利用者が円滑に議定書を実施できるように、支援措置と遵守措置とあわせて実施することが必要である、そういったことが基本的な考え方として整理されております。

次に、適用の範囲でございます。これは国内措置を適用する遺伝資源ですとか、対象とするものをどうするか、それから対象とする国をどうするかといったことを整理した内容です。

まず、対象国でございますけれども、先ほど遺伝資源の利用の前には事前の同意、PICですとか、MATを設定するとご説明しましたが、そういったPICとかMATに関する制度を持っている国、さらに、それをABSのクリアリングハウスを通じて公開して、手続も整っている、そういった締約国を対象とすべきであるといったご意見をいただいております。

対象とするものでございますが、これはCOP10のときに名古屋議定書の非常に大きな論点となっていました遡及適用の問題、条約が発効する前に取得した遺伝資源まで対象とすべきといった議論が途上国から指摘されておりましたけれども、そういったことにはならない、遡及適用はしないということ。派生物のうち遺伝の機能的な単位を有するものは対象となり得るということ。ヒト遺伝資源ですとか、一般に市場に流通している商品、いわゆるコモディティと言われているもの、それからカルチャーコレクションの所有する分類に用いる基準株、ABSに関する専門的文書、これは食料及び農業のための植物遺伝資源に関する国際条約、ITPGRというものを指していると言われておりますけれども、こういったものの対象については、原則として除外するということ。

その他の項目といたしましては、感染症の発生等の緊急事態ですとか、非商業目的の学術研究理論等において、手続を簡便化する等の配慮が必要ではないかということ。さらにはMATについて、MATの設定については遵守の範囲に入るけれども、どういった内容で契約をしているか、内容にまでは制度として関与すべきではないということが、意見として出されています。

それからチェックポイントについて、先ほどの図でご説明いたしました利用国において遺伝資源の利用状況についてモニタリングするという機関でございますが、このチェックポイントについては、全ての遺伝資源の利用を直接監視することは実際的ではないということ。監視について、学術研究は論文発表における遺伝資源の出所情報等の重要性についての普及啓発が重要であって、商業的利用では製品化の時点に着目すべきということ。産業振興ですとか研究開発を阻害しない観点から、製品の審査等とは関連しないところでチェックをすべきだというようなことをご意見としていただいております。

次にご説明するのが、不履行の状況への効果的な対処でございます。一つはPICやMATを取得していないような利用を発見した際、さらにはチェックポイントが利用者に対して情報を要求する場合に、それに対して応じなかった場合、それらについての対処をどうすべきかという論点でございます。

1番目の遵守措置の不履行に関する点については、適当で効果的な、かつ均衡のとれた措置とすべきということ。過失については是正する機会を設けることが重要と指摘されております。

次のポイントが、チェックポイントからの情報要求への不履行でございます。適正な利用を行う者に悪影響を与えないようにする一方で、不適切に利用する者を不等に利することのないようなバランスをとるべきということ。さらには、不適切な利用を防止するための普及啓発を十分に行う必要。名古屋議定書ですとかABSについて、まだまだいろいろと知られていない点、知らない人たちがいる。そういった人たちについては、普及啓発を十分に行うべきであると指摘されております。

2番目の項目は、遺伝資源等への主権的権利の行使の必要性の有無について。日本が遺伝資源を提供する側に回った場合にどうするべきかということでございます。これにつきましては、迅速な研究開発に影響することも懸念されるため、現時点では措置する必要はないが、情勢の変化等から将来的に必要になる場合に備えて、検討は継続する必要があるとご指摘をいただいております。

3番目の項目は、普及啓発及び利用者支援でございますが、普及啓発につきましては、生物多様性条約に基づくABSは現在も対応する必要があるということ。これは先ほど申しましたとおり、生物多様性条約では既にこのABSに関する基本的なルールを定めておりまして、そういったルールを持つ国との遺伝資源のやりとりには、ルールにのっとる必要があることについて、十分対応する必要があるということでございます。

それから、特に中小企業や零細企業の多い産業界を優先して、ABSに関する理解を広める必要があること。利用者支援につきましては、ABSに関する相談窓口の整備ですとか、生物遺伝資源機関における遺伝資源の保存、提供、情報管理への支援等が必要であるとの指摘を受けております。

4番目の項目に、国内措置に関するその他の事項といたしましては、利用者が自らとるべき事項として、遺伝資源を譲り受ける場合にはPIC・MATを確認することですとか、提供国のABS法令を確認すること、MAT設定について留意するということ、その他の項目といたしましては、EU等の先進国の事例を参考に、国際的な相場感を把握しつつ、日本が不利にならないよう配慮すべきということでございます。

5番目に今後の検討の進め方が整理されております。この報告書を踏まえまして、学術界、産業界及びNGOを含めたオールジャパンの体制で、関係省庁が一丸となって、議定書の締結に必要な国内措置の検討を進めるべき。それからそれらの主体的な参画によって、議定書の目的を達成するとともに、我が国の利用者がより円滑に遺伝資源等を取得・利用できることとなり、学術研究活動ですとか産業活動が一層活発に行われ、国益に資するような国内措置とするための議論を進めることが重要であるといったことが指摘されております。この報告書を踏まえまして、関係省庁と関係者、具体的な国内措置の検討を進めることで予定しております。

名古屋議定書の発効予定でございますが、50カ国が締結した90日後に発効するということでございます。3月末現在で29カ国が締結しているというような状況でございます。

今後のスケジュールについてはご参考として、ご提示させていただきます。

説明は以上でございます。

○武内部会長 ありがとうございました。

検討会について、磯崎委員から補足等ございましたら、お願いいたしたいと思います。

○磯崎委員 今、中澤さんが早口で話したので、なかなか基本のところがわかりにくいかと思います。わかりにくい原因の一つは次のことです。普通は、法律とか制度が対象にするものを分類すると、それについてはこの制度が適用されます、こっちはこういう制度ですと分かれますけれども、ここでは、同じものが農産物、食料品になったり、遺伝資源になったりするということなんです。

その区別は、それぞれの人がどういう価値をそのものに考えるかで変わってきます。遺伝的機能を考えて使いたいと思うと、野菜が遺伝資源になります。だけどほかの人が、今度はそれを野菜としてだけ使いたいと考えたときは、遺伝資源ではなくなります。これが非常に複雑だということなんです。最初から遺伝資源として使う場合は、こういうルールでいきなさいとされているにも関わらず、そうじゃないものとして輸出されたものを、ほかの人が遺伝資源として使うと問題になります。それをどうやって見つけるかということなんですが、現実面には非常に難しいです。

でも、名古屋議定書では中澤さんの説明にもあったように、これまで問題のある使い方がされてきていたので、それを何とか追いかけられるようにしようということで、名古屋議定書ができています。

名古屋議定書のもう一つ難しい点は、条約や議定書がルールを決めているのではなくて、基本的なルールは国内法が決めるということです。条約や議定書は国内法で決めたことを守りましょうというルールをつくっています。それなので、提供国の国内法の効果を、利用国はどこまで受け入れるべきなのかが論点になっていて、これは非常に新しい考え方で、ほかに類例がありません。それで、この検討会でも非常に苦労したのは、誤解が非常に多かったことです。提供国の国内法違反なのに、条約違反、議定書違反だという誤解が一つです。もう一つ、名古屋議定書では、日本政府によって、よその国の国内法違反が処罰されることになるという誤った理解がありました。

そのような主張をしている側、開発途上国側に過剰な期待がある一方、それに対応して過剰な警戒感が先進国や日本サイドにあって、その辺りの誤解を解くのに、この検討会でも大分時間をとり、苦労をしました。

もう一つですが、これも中澤さんの説明を聞いていて、もしかすると皆さんも感じたと思います。遺伝資源を使うときには、ほかとは違って特別に厳しいルール、厳しい対応をしなければいけないと受け取る人が非常に多いんです。けれども、実は名古屋議定書も生物多様性条約も、遺伝資源の利用に当たっては、国内法令で規制をしているときはそれに従いましょうというコンプライアンスの議論をしているだけであって、これはほかのものの取引や利用の場合も、提供国が許可制度を持っているときに、それに従わなければいけないのは普通であって、それ以上のことは求めていないので、ほかと同じです。

それから先ほどMATという言葉を使っていました。MATとは契約です。契約も当事者間の合意で成り立つのであって、遺伝資源だから特別により多くの利益配分をしなければいけないとか、遺伝資源だから厳しい契約を提供者は要求できるとか、そういうことは言われていません。当事者間の合意で成り立つという形です。ただし、求められているのは誠実な契約を結ぶことです。

ですから、法律があれば従うこと、それと契約は誠実に行うことが求められていて、ほかと違うのは、よその国の法令が遵守されるようになっているかどうか、それから結ばれた契約が誠実なものであったかどうかを、日本の国内措置で、利用者がそういう関心を持ち、配慮をちゃんとするように、あらかじめそういう行動をとるような手続が、日本の中にあるかどうかで、そういう国内措置を考えようということです。ですから、決して、よその国の法律違反を日本国内で処罰するというようなものではないということです。

あり方検討会の報告書ですが、ある意味、今説明したような背景とかがコンパクトになっているので、この検討会のメンバーからも異口同音に「よく説明を聞くと、この報告書でわかる。それから中で検討していた人たちの間では、この3行、4行が何を意味しているかがよくわかる。でも、初めて読んだ人にとってはわからない」という発言がされています。このため、この報告書の背景や意味を説明していく努力が必要だと指摘されています。

○武内部会長 どうもありがとうございました。

これについて、山極委員、どうぞ。

○山極委員 今のご説明を聞いて大分わかりましたけれども、実はこの問題は発展途上国で調査をする研究者にとって非常に重要な問題で、試料の持ち出し等について非常に強い規制がかかります。国によって随分その考え方が違いますし、研究者自身にとっても直面する条件というのは違ってきます。一体どれを守ったらいいのかということが今、喫緊の課題になっておりまして、これはぜひQ&Aの形で、どういうときにはこうするものだというような助言集というような、回答集というのをつくっていただければと思います。

 例えば、植物標本のために持ち帰ったものを、ほかの企業から遺伝資源の材料として利用させてくれないかという提供申し入れがあった場合に、どう対処したらいいのかとか、あるいは一旦日本に持ち帰った標本を、今度はほかの先進国の研究者に提供する場合にどういう規制がかかるのかとか、遡及措置としてはとらないということですが、例えばこの法律が発効する以前に日本にあるそういう試料を、別の目的のために使う場合に、つまり遺伝資源のためではなくて、持ち帰って研究をしていたものが、これからそういう用途が出てきた場合に、どういう規制がかかるのか、非常にいろんな複雑な問題が絡んできます。

 今も、例えば調査協力協定を結ぶ際に、そういう条件が加味されて、複雑怪奇になり、なおかつ許可をとるのに物すごく時間がかかっており、論文を書くために非常に無駄な努力をなさっているわけです。そこを何とか解消していただかないと、論文の競争には勝てないというのか、実情の部分でございますから、ぜひその辺は情報を提供していただきたいなと思っております。

○武内部会長 ありがとうございました。白山委員お願いします。

○白山委員 ありがとうございます。ご報告ありがとうございました。この中で、我が国の主権的権利の行使ということなんですけれども、ご存じのとおりですが、日本のEEZって非常に広いことは、世界でも10番目であって、その中の生物の多様性は世界でも2番目であるということはわかっているという意味から言うと、日本が提供国になるというケースは十分にあり得るんじゃないかと思うんです。

今のところ検討の継続する必要はあるけれども、今は措置は必要ないというお話なんですけれども、現実に提供国になり得る可能性は非常に高いにもかかわらず、こういう結論になったということについては、どういう議論がされたのか、もう少しご説明いただけるとありがたいなと思いますけれども。

○自然環境計画課課長補佐 白山先生からご指摘いただいた点は、山極先生からいただいたご意見の裏返しということでございまして、国内において手続がさらに増えることによって、研究への阻害ですとか、産業の研究開発のスピードがダウンしてしまうのではないかといった懸念から、現時点では特段その必要性は感じられないけれども、引き続き検討する必要があるのではないかというのが検討会での意見の主なものであったと記憶しております。

○白山委員 よろしいですか。下のほうで「国益に資するような」ということが書いてありますけども、それとの関係はどうなるんでしょうか。

○自然環境計画課課長補佐 資源の主権的権利を行使するということのメリットと、研究開発ですとか、そういったもののスピードのメリットについて、検討会での議論は、むしろ研究開発のメリットのほうが国益に資するのではないかと、そういうご意見もあったと記憶しております。

○武内部会長 ほかに、どうぞ。

○石井(実)委員 磯崎委員からの補足説明で大変よくわかったんですけれども、遺伝資源について例えばパワーポイントの資料の9のピンク色の枠内の2では「遺伝資源等」と、「等」が入ってます。それから10のところの5のグリーンの枠の中のアンダーラインが引いているところにも「円滑に遺伝資源等・・」というふうに、ここで突然「等」が入ってくるんですけれど、この「等」はどういう内容なんですか。

○自然環境計画課課長補佐 すみません。そこのところ説明を省いてしまったのですけれども、名古屋議定書は、遺伝資源と遺伝資源に関連する伝統的知識についてのABSを定めたものです。この「等」には遺伝資源に関連する伝統的知識、これはTraditional Knowledge、TKと言われているもので、それが含まれるということでございます。

○石井(実)委員 今のところをもう少し説明してください。伝統的知識とはどのようなものなのか。

○自然環境計画課課長補佐 遺伝資源に関連する伝統的知識というものは、先住民の方々が古来から知識として使ってきた遺伝資源に関連する知識、例えば、よく引き合いに出されているものとして、狩猟に行くときに長距離狩猟に行くので、お腹がすくのですが、ある植物の実を食べていると、お腹がすかなかった。そこから肥満防止薬を開発することができたとか、そういった古来から使っていた遺伝資源に関連する伝統的知識についてのABSについても、名古屋議定書では対象としているということでございます。

○武内部会長 じゃあ桜井委員、お願いします。

○桜井委員 ちょっと簡単な質問ですけど、これは一番大きな問題かもしれませんが、一番大きな資源を持っている国がこの中に全然入っていないんです。これは今後どういう見通しなのか、ちょっとお聞きしたいんですけど。

○自然環境計画課課長補佐 一番大きな資源を持っている国というのは、アメリカのことでしょうか。

○桜井委員 アメリカ、中国、ロシア。

○自然環境計画課課長補佐 CBDには、アメリカは入っていませんが、ロシアと中国は入っています。名古屋議定書には今は、そうした国々もまだ締結はしてないのですけども、アメリカについてはCOP10の頃から、引き続き締結に向けた働きかけをしているところでございます。

○武内部会長 よろしいですか。ちょっと時間もございませんので、今のいただいたご意見を参考に、さらにこの議論。どうぞ。

○磯崎委員 先ほどの山極先生からの質問の中にありましたが、既に経済産業省とJBAが作成した主に産業利用に関する手引きにはQ&Aが入っています。それから、現在農林水産省で農業関連の遺伝資源を使う場合に関する手引きも作成されています。ちょっと遅れているのが科学分野、学術分野で、こちらのほうもそうしたQ&Aを含めて手引きをつくろうという動きは出ています。

○自然環境計画課課長補佐 学術研究分野のABSについては、国立遺伝学研究所の中に大学ですとか国の研究機関等の相談窓口を設置しており、先ほどご提示いただいたような疑問、質問には答えられるように、Q&Aも整理している状況にございます。

以上、補足でございます。

○武内部会長 どうもありがとうございました。

時間も大分迫っていますので、恐縮ですけども、次に移らせていただきたいと思います。

 平成25年度グリーン復興プロジェクト進捗状況についてと、国立公園の管理に関する提言について、まとめてご説明をお願いいたします。

○国立公園課公園計画専門官 国立公園課、浪花と申します。私のほうから(5)の議題と、続けて国立公園案件としまして(6)の議題を説明したいと思います。(6)については追加資料がありますので、今から配付しますので、よろしくお願いします。

 資料5-1をご覧ください。グリーン復興プロジェクトになります。東北地域の豊かな自然の恵みを活用して、三陸復興に取り組んでおりまして、7つのプロジェクトを進めております。25年度は、大きなイベントが二つありました。一つは左の図にありますとおり、三陸復興国立公園、5月24日に指定をされております。また11月29日、総延長700キロを想定しておりますみちのく潮風トレイルの八戸市-久慈市間のおよそ100キロを開通しておりまして、マップの配布を行っているところです。

 続きまして資料5-2のほうで、個別にどのような進捗かということをご説明いたします。めくっていただいて、2ページ目のほうから、各プロジェクトの取組について簡単ですが、ご説明したいと思います。国立公園につきましては、5月25日に式典を開催しております。今年度は南三陸金華山、三陸国立公園の南側の部分の編入を視野に、今作業を進めているという状況です。

 取り急ぎすみません。3ページ目のみちのく潮風トレイルです。このトレイルでは、地域の方々と一緒に路線を決めているというのが大きな特徴でして、25年度で14市町村、あわせて53回というワークショップを行いながら、路線の検討をしております。上半期の部分については先ほど申しましたとおり、今開通という状況になっております。また、それに先立ちまして、ウオークイベントも開催しておりまして、8月25日に今回開通している区間につきまして400名を超える参加をいただきました。

 4ページ目です。11月29日の開通の状況です。写真にありますとおり、トレイルマップもこのような形で配布をしておりまして、毎日のように利用者からのマップの請求という形で、東北事務所のほうに来ているという状況になっています。

 また3月も福島の南のほうの玄関口になります相馬市・新地町におきましてウオークイベントを開催しているという状況です。トレイルにつきましては、27年度までに、全線開通を目指しておりまして、引き続きワークショップを行いながら、順次開通を進めたいと思っております。また八戸市-久慈市間の開通した区間につきましては、この夏から踏破認定という形で、利用者に来ていただける取組を進めていきたいというふうに考えております。

 5ページ目になります。復興エコツーリズムということで、各地域の自然の特徴を生かしたプログラムの作成、そしてそれを実施する体制構築までを目指して、24年度から26年度という3カ年で、現在取り組んでおります。各所で取り組んでいるのは、この5地域で実施をしております。

 6ページのほうに、具体的にどういう取組をやっているかということで、写真を入れさせていただきました。エコツアーの研修会、専門家を呼んだ研修会でありますとか、どういったものが地域に資源があるかという調査、あるいは真ん中にいますモニターツアーということで、気仙沼と福島の松川浦につきましては、もう実際に人を呼んでモニターツアーという形でやって、そのプログラムについて利用者から意見をもらって修正していくという取組を進めております。来年度が最終年度になりますので、実施体制の構築まで取り組んでまいりたいと考えております。

 7ページ目が施設整備になります。こちらは施設の復旧を順次進めているという状況ですが、大きな黒丸の三つ目が、環境省としての一つの目玉と考えておりまして、震災遺構を保存した施設ということで、中の浜というところが岩手県の宮古市にあります。そこを野営場の跡地として、これから震災の脅威を伝える場として保存していきたいと考えておりまして、その整備を進めておりました。今年の5月24日に開園式を行って供用を開始する予定です。本日出席の佐藤委員にも開園式に出席していただくという予定になっております。

 8ページ目にあります。今後の予定としまして、各種施設整備を進めていく予定ですが、先ほどの震災メモリアルパークのわきに、被災した森林のエリアがありまして、そこにつきましては経団連自然保護協議会との連携事業として、「復興ふれあいの森」ということで植樹、そして森林の管理という形で進めていきたいというふうに考えております。

 9ページ目がモニタリングの状況です。平成24年度と引き続き事業を行っていまして、植生調査あるいは一番下にありますモニタリングサイト1000のような定点の調査を進めているところです。今年度特に大きな取組としては10ページのほうになりまして、重要自然マップということで検討を行っております。これまでは現況ということで調査したデータをそのままホームページや各市町村に配布しているという状況だったんですけども、それを踏まえてどういったところが重要なのかとか、どういったところに配慮したらいいかということで、専門家の検討会をもとに、重要地域というものを抽出して各市町村に配布したらもっと活用していただけるのではないかということで検討を進めております。現在まだ完成はしていないですが、近日中にこのマップを公表して、各市町村の復興事業に使っていただけるように取り組んでいきたいと思っております。

 11ページは森・里・川・海のつながりの再生です。実際に環境省が現地に入って再生に取り組んでいるというものは今、ないんですけども、再生に当たっての手法を示すものとして里海復興プランということで手引きを今年度作成しておりまして、次年度この手引きを広く東北地域に知らせていきたいというふうに考えております。

 7番目が、ESDの取組です。昨年度震災の契機を機に取り組んでいる環境教育などの活動の調査を踏まえて、10種類のESDのプログラムを作成しました。そのESDのプログラムをいかに地域の方に使っていただけるかということで、東北地方ESDプログラムチャレンジプロジェクトということで、その10プログラムの事業を実施していただいた小学校や団体を募集して、そして2月8日にその募集の中から優秀な取組について発表していただきまして、表彰を行ったという状況です。来年度も引き続きその浸透を図るために、同様のプログラム企画をやっていきたいという状況になっております。

 その他としまして、普及啓発になるんですけども、アジア国立公園会議のほうで、三陸復興国立公園の取組を発信しております。全体会議におきましては、武内部会長にも発表いただきまして、海外の公園関係者に復興の取組を知っていただくとともに、⑤にありますとおりエクスカーションでも三陸復興国立公園を見ていただきまして、外国人の方にもその状況を見ていただきました。今年度は11月に世界国立公園会議がシドニーであります。また、3月に世界防災会議ということで、こちらは仙台で開催がありますので、引き続きグリーン復興の取組を、世界に発信していきたいというふうに考えております。

駆け足で恐縮ですけれども、(5)につきましては以上です。

 引き続きまして、(6)についてご説明いたします。

○国立公園課課長補佐 国立公園課の長田と申します。(6)につきましては、資料6と、後からお配りしましたカラーの資料6別紙という1枚紙がございますけれども、主にこの1枚のペーパーのほうで説明をさせていただきたいと思います。

 国立公園において、多様な関係者が連携しながら主体的に参画をしていくという、いわゆる協働型の管理運営につきまして、平成23年度から下村委員に座長をお務めいただきまして、「国立公園における協働型運営体制のあり方検討会」という検討会を7回ほど開催してまいりました。去る3月20日に最終の提言をおまとめいただきましたものが資料6でございます。別紙のほうで2番の「課題と背景」というところがございますけれども、国立公園につきましては、観光の形態等が変化している中で、平成3年をピークに、残念ながら利用者が減少しているという傾向にございます。

それから外来種問題、野生鳥獣問題、あるいは自然再生、里山管理というような、従来の国立公園の根幹であります規制行政だけでは対応できない、新たな課題が増え続けてきているという状況にもございます。また国際的にも協働型管理というのは、非常に注目を集めておりまして、昨年開催されましたアジア国立公園会議でも、各国から多くの事例が発表をされているところでございます。

 今回おまとめいただきました提言ですが、4のところにポイントというふうに書いておりまして、具体的な提言のほうでは7ページ以降に、主に具体的な内容をお示しいただいておりますけれども、まず環境省、地方公共団体、観光関係者、有識者、地域住民等のさまざまな国立公園に関わる方々がメンバーとして参画するような、総合型の協議会を常設の組織として設置をしていくべきだということでございます。

これまでも例えばビジターセンターの協議会でしたり、マイカー規制の協議会、あるいはシカ対策の協議会といった、さまざまな個別の課題に対応するための協議会がございましたけれども、そうではなくて、国立公園全体の方向性を議論する協議会を常設していくということでございます。

その協議会の中では「役割」のところにございますけれども、国立公園の総合的・長期的なビジョン、つまり望ましい、目指すべき姿、あるいはどういったサービスを国立公園で提供していくべきか、そういったことを決定し、関係者で共有をしていくことが必要だ。それを実現するために管理運営の方針というものを、また決定をしていく。それから役割分担も含めて関係者がどのような形でそれを実現していくかという、その行動計画を定めていこうということでございます。

さらにこの協議会の中で、行動計画に基づく取組が適切に進められているかという、その進捗状況の確認もしていくべきだと、こういった提言を受けまして、環境省としては順次各国立公園、あるいは場合によっては国立公園を幾つかの地域に分割するということもあり得るかと思っておりますが、について総合型の協議会を設置を進めていきたいというふうに考えておりまして、現在も国立公園の地域ごとにまとめております。例えば許可の取扱方針等を定めている国立公園の管理計画というものがございますけれども、この中に協議会の中で議論をしていたビジョン等を位置づけて、国立公園制度との整合を図りながら、その地域の意見を踏まえた協働型の管理を、地域の関係者とともに進めていきたいというふうに考えているところでございます。

 5のところに、各公園での具体的な今後の取組というふうにございますけれども、例えば左上のところに、「きめ細やかな利用者サービスの提供」とあります。例えばビジターセンターと地域の観光事業者が連携したプログラムを検討していく。あるいは右側に「国内外の連携」とあります。国立公園の周辺地域といかに連携を図っていくか、さらに鳥獣被害対策、自然再生等の能動的な取組を効果的に進めていく。あるいは全国的な情報共有、情報発信、先進地域の事例を国内で共有をしたり、国際的な場で協働型の取組について情報発信したりしていただくということを目指していきたいというふうに考えております。

 駆け足ですが、以上でございます。

○武内部会長 ありがとうございました。それでは国立公園の提言に関して、下村委員から補足等ございましたら、お願いいたします。

○下村委員 説明いただいたとおりなんですが、位置づけとしては、お話にもありましたとおり、協働型の運営管理は国際的にも重要な検討課題ということで、アジア国立公園会議、それから今年の世界国立公園会議でも重要なテーマの一つになっています。直接的には平成19年に国立・国定公園の指定と管理運営のあり方という提言が出ておりまして、指定については、今の総点検に結びつけられて、国立公園の新規の指定ですとか再編につながっているんですけれども、運営管理に関しての重要な課題と指摘されたものを、今回、提言としてまとめたということになります。

 検討会での議論としましては、基本的に方法論あるいは技術的な課題を整理することが主な内容でした。日本の場合は地域制の国立公園ということで、実質的には、いろいろやられてきていたわけですけれども、改めて協働型の方法論、技術論として、実際にどのような形をイメージすればよいのかという議論を行いました。例えば、協議会として、目標等を共有する場の形や、あり方に関する議論ですとか、あるいはビジョンから行動計画に向けて進めていく上で、地域でどういうことを決めていけばいいのかといった問題。それから地域と国立公園との位置づけをどのように考えるかというようなこと、また、あまり無理のない形で現行の制度の延長上にどう位置づけるかということなどについて議論されました。

 途中で地方分権の問題とも絡みましたので、少し時間がかかりましたけれども、むしろ地域とのコミュニケーションが進んだりとか、現場と十分理解が進んだりということで、結果的にはよかったと考えております。以上です。

○武内部会長 どうもありがとうございました。

ちょっと時間がもう大分過ぎておりますので、ご意見、ご質問のある方については恐縮ですけれども、事務局まで文書でご提出いただければと思います。

 恐縮ですけれども、あと10分ちょっと延長させていただきたいと思いますので、お時間いろいろとご予定のある方については、ご退席いただいて結構でございます。

 それでは鳥獣保護法と海洋汚染防止法について、まとめて説明をお願いいたします。

○鳥獣保護業務室室長補佐 鳥獣保護業務室の山本と申します。よろしくお願いいたします。

 資料7をお手元にお願いいたします。委員の皆様には条文などを書いた冊子をお配りしておりますが、郵送でもお送りしておりますので、お邪魔になるようであれば置いていっていただければと思います。

 この鳥獣保護法案、改正法案でございますけれども、この審議会で1月31日にいただいた答申を基本といたしまして、改正案を作成をして、3月11日に閣議決定、国会に提出をしたところでございます。改正の必要性でございますが、もうここは簡単に、とにかくニホンジカ、イノシシが増えて被害が大きくなってきているということで、捕獲を一層促進をし、また捕獲の担い手をしっかり育成をするということが重要であろうということでございます。

 下の改正内容でございます。一つ目ですけれども、今回の改正においては、シカやイノシシを大幅に減らすための事業措置を位置づけるということが大きなポイントでございましたけれども、これまでの鳥獣保護法というのは、捕獲の規制をするということを基本とした鳥獣の保護を目的としたものでしたので、そういった捕獲を大幅に行っていくということは、今までの枠の中で行うというのは、ちょっと適当ではないだろうということでございましたので、今回保護に加えて、管理ということを法律の題名と目的に加えております。題名としましては、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律ということで、案を作成をしております。

 ここでの管理というのは、鳥獣保護法の中での定義ですけれども、下の四角に書いておりますが、その生息数を適正な水準に減少させ、またはその生息地を適正な範囲に縮小させることと定義をしております。

 二つ目でございますが、政策体系の整理ということです。今回目的の変更を行ったということで、さまざま計画体系も整理をする必要がございました。これまで鳥獣保護事業計画といっていたものを、鳥獣保護管理事業計画に改めているですとか、これまで少し大きなものとしましては、特定鳥獣保護管理計画という一つの計画だったものを、保護のための計画と管理のための計画の二つに分けて定めるということとしております。また、あわせまして、希少鳥獣についての計画、これまでは都道府県知事のみがつくれたわけですけれども、そこは環境大臣がつくることができるというふうに整理をしております。

 ここでの3番、4番が今回の主たるところでございます。3番ですけれども、指定管理鳥獣捕獲等事業の創設ということで、集中的かつ広域的に管理を図る必要があるとして、環境大臣が定めた鳥獣、これは今のところはニホンジカとイノシシを想定をしております。これらの鳥獣について都道府県または国が捕獲等をする事業をすることができるということで法律に位置づけまして、その事業については捕獲等の許可を不要とするですとか、一定の条件下で夜間銃による捕獲を可能とするといったことの規制緩和を行うこととしております。

 4番の、認定鳥獣捕獲等事業者制度の導入ですけれども、これまで個人の捕獲従事者、狩猟者に負っていた捕獲を、これから組織的に行っていくという形が可能となるような、そこが促進できるような制度として設けております。鳥獣の捕獲等をする事業を実施する者は、その捕獲等に係る安全管理体制や従事する者の技能及び知識が一定の基準に適合していることについて、都道府県知事の認定を受けることができるとしております。

 5番目につきましては、安全の確保のために必要な措置として、住居集合地域等における麻酔銃猟の許可ということで、都道府県知事の許可を得て、これまで使うことができなかった住居集合地域で麻酔銃を使って捕獲をすることができるということとしております。そのほか、網猟免許、わな猟免許の取得年齢の引き下げなど、必要な改正を行っております。

現状ですけれども、今後国会に提出をしてご審議をいただくことになっておりまして、成立をさせていただきましたら、速やかに施行準備に移っていくということになります。基本指針の作成などに当たりましては、また審議会でご議論をいただくことになるかと思いますので、よろしくお願いいたします。以上です。

○外来生物対策室室長補佐 外来生物対策室の東岡と申します。続きまして資料8のバラスト水管理条約を締結するための国内担保となる海洋汚染防止法の一部改正法案について、ご説明いたします。まずバラスト水管理条約についてご説明いたします。

 まず目的は、バラスト水による生物ですとか、病原体の移動を防止、最小化除去することにより、海洋環境の保護、生物多様性の保持を図るということで、2004年に採択をされております。現在批准国数は37カ国で、締結国数の発効要件は満たしているんですが、合計商船船腹量が現在30.32%で、35%に達していないということで、まだ発効はしておりません。この条約の規制内容なんですが、バラスト水に含まれる生物の大きさとか、細菌の種類ごとに、バラスト水の量当たりの生物の数を一定以下に抑えると、そういう基準を設けて、それをクリアした形でバラスト水を排出するという規制をしております。資料の右上でございますが、バラスト水の処理装置の搭載を義務化するに当たりまして、既存の船ですとか新しい船、また船の大きさによって、いつまでに搭載するかということも変わってくるというものになっております。我が国におきましてもバラスト水管理条約の発効に備えまして、国土交通省、環境省が連携し、海洋汚染防止法の改正法案を2月28日に閣議決定をして、今国会に提出したところでございます。

 裏を見ていただきまして、こちらが海洋汚染防止法の一部改正法案ということで、有害なバラスト水の排出を禁止、また処理装置の設置という内容を含んでおります。今国会で法案が成立した場合は、環境省としては排出基準の設定ですとか、バラスト水処理装置を搭載するまでの間に排出してよい海域の設定など、そういったものを国交省と協力して設定を進めると、そういう予定でございます。以上でございます。

○武内部会長 どうもありがとうございました。これについても恐縮でございますけれども、ご意見、ご質問がございます場合は、事務局までお申し出いただければと思います。

 以上で本日の議事は終了をいたしました。それでは最後に星野局長からご挨拶をいただきたいと思います。

○国立公園課長 会長、ちょっと1点、その他でご報告をさせていただきたいと思います。

○武内部会長 どうぞ。

○国立公園課長 国立公園課でございますが、先月観光庁から「観光立国実現に向けた多言語対応の改善・強化のためのガイドライン」というものが出ております。これにのっとって今国立公園の英語表記に関する検討を行っておるところでございますので、これにつきましてはまた、この委員会でもご報告をさせていただきたいと思います。

○武内部会長 ありがとうございます。それじゃあ局長どうぞ。

○自然環境局長 本日は大変お忙しい中、長時間にわたりご議論いただきまして、誠にありがとうございました。内容が盛りだくさんだということもございまして、最後は十分な消化し切れなくなってしまったということで、大変申し訳なく思ってございます。

本日ご審議いただきました絶滅危惧種保全戦略につきましては、さまざまなご意見をいただきました。ご意見いただいた先生方にご相談をして、修正案をつくり、武内部会長にご確認をいただいた上で、環境省として最終的にこの保全戦略を決定し、公表させていただきたいと思います。また、第四次環境基本計画の点検につきましては、さまざまなご意見を伺いましたので、ご意見を踏まえて8月中を目途に、この部会において点検結果を取りまとめていただくよう、準備を進めたいと思っております。その後、この環境基本計画の点検につきましては、9月ごろに総合政策部会が開催される予定であると聞いてございますので、本部会からの報告を、9月の総合政策部会で行っていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 またその他報告案件につきましても、さまざまなご意見をいただきました。最後の一つについては恐縮でございますけれども、ご意見ございましたらまた文書で伺えればと思います。それらのご意見を踏まえて、個々の準備を進めていきたいと思ってございます。

 最後になりますが、絶滅危惧種の保全戦略の中でも、予算が成立して、予算と定員について時点修正をさせていただきましたけれども、それ以外4月1日付、昨日付で野生生物課の中に希少種保全推進室を設置いたしました。室長はまだ移動の途中で待機してございませんので、ご挨拶はできませんけれども、こういった予算面、定員面、そして組織の面でも充実させていただきましたので、しっかりと取組を進めていきたいと思います。今後とも、ご指導よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○武内部会長 どうもありがとうございました。これにて散会といたします。どうもありがとうございます。