中央環境審議会自然環境部会議事要旨 (第17回)

1.開催日時

平成24年9月13日(木)15:30~16:30

2.開催場所

ホテルフロラシオン青山 孔雀

3.議題(報告事項)

  1. (1)三陸復興国立公園の創設を核としたグリーン復興の進捗状況について
  2. (2)第1回アジア自然公園会議(First Asia Parks Congress)の開催について

4.報告事項議事経過

議題(1)及び(2)の報告事項について、事務局が資料に基づき説明を行った。
なお、主要な発言は以下のとおりである。

(1)三陸復興国立公園の創設を核としたグリーン復興の進捗状況について

委員:この公園を訪れることによって、環境のことを考え、地域とのつながりがうまれ、地域の雇用や産業の復興にも役に立つような手当てが必要。この公園は普通の国立公園をつくこととは違い、地域の人たちや日本の将来に役に立つと考えないといけない。

委員:先日南三陸町に行ったが、地元の人から言われたことをお伝えしたい。
  まず、国立公園に早くしてほしいということ。
  次に、復興と復旧は違い、区別して考えてほしい。復興は必ずしも元に戻らなくてもよくて、地域が活性化し、地域の人たちが幸せになればよい。陸前高田の干潟の話は、そういう観点から非常に良い例。
  また、実に様々な主体が復興の現場に入っているが、地域の人たちは同じようなことをいろいろな省庁から聞かれているようなので、アプローチの仕方に留意することが必要。
  さらに、目先の話と長いレンジの話があって、最終的にこの地域をどのようなコミュニティにするか、公園づくりと自分たちの将来像の関係などをディスカッションをする時間が欲しいので、じっくりと話を進めてほしい。
  従来この地域の国立公園や国定公園が持っていた観光の推進について、津波を受けて、地球・自然を問い直し、どのように災害に立ち向かうのかを学ぶという新しい観点が付け加わったので、国立公園、エコツアーの中身を整理していきたい。その上で、地域の方々の考えをきめ細かく拾っていかなければならない。公園計画を一気に変更することではなく、じっくり説明して考えていく。現地視察では、地域の方々の声を聞いてほしい。その上で、審議会で議論できればと思う。

委員:3つ質問をしたい。
1つ目は、三陸復興国立公園創設による効果を見ないといけない。従来の入り込み者数を調査する仕組みが、震災後も継続できているのかどうか。利用を通じた地域社会への復興の効果の大きな指標となる。
  2つ目は、三陸復興国立公園とグリーン復興のWebサイトは、地域ごとの復興の状況や提供するプログラム、エコツーリズム、様々なステークホルダーの活動など、利用者への情報を掲載する仕組みができているのか。
  3つ目は、三陸ジオパークや再生協議会のように、地域の人たちが公園の運営などについて議論する協議会が出来ているのか。

事務局:従来も国立公園ごとに人数を把握している。自治体で統計をまとめており、復興が進んでいけば再開できるのではと考えている。23年度に統計が取れているかはまだ確認していない。
  今回のWebサイトで、公園事業として環境省が認可している事業者であれば積極的に応援していくことができると考え、掲載した。
  協議の場を作ることは検討中。まずは地域で誰が何をやっているのかを把握し、「つながる、グリーン復興の輪」の中で整理し、検討を進めていきたい。

委員:震災前にあった施設を、もう一回全て同じ位置や内容で復元する意味があるのかどうか。地元の人が職として働き、自分たちが建設に関われるのか。地元に資金がおりる復興事業にもなる。それらを総合して、地元の復興プログラムになると思う。

事務局:安全性も考え、場所を移したり、統合するなど、どの施設を復旧するのが良いか考えている。同じものを作るのではなく、自然環境に配慮し再生可能エネルギーを導入する工夫や、最新の知見を入れた展示物にすることも必要と考えているところ。

委員:資料1の10ページ、つながりに関するプロジェクトの説明があったが、これは「森・里・川・海のつながりの再生」になっていないのではないか。

事務局:つながりを再生することは難しい課題。津波が与えた影響を見ると、干潟、砂浜、アマモ場は森・里・川・海のつながりの要であり、そこが大きく攪乱されているという特徴があるので、最初の取組として、つながりの要部分の環境に着目し、そこが自然に戻ることを手助けすることを第一歩と考え、実施している。

委員:2点意見を述べたい。
  1点目は、対象範囲が非常に広いため、特定のステレオタイプに絞ったエコツアーの実施は難しい。個別の取組の工夫を共有し、意見交換する場を作る支援の方が、個別支援より効果がある時期ではないか。
  2点目は、利用者が何を資源として捉えるのかである。個別のツアーでは捉えづらく、都市部でのマーケティングを必要としている時期。復興の状況、そもそもの自然環境、震災で変化した場所のいずれが観光資源となるのか、主に関東圏のお客さんを調査し、情報提供することが効果的。

部会長:各委員のご意見を踏まえ、来年3月を目途に計画を策定。その後も対象地域やテーマの拡充を図り、公園を整備していく。

国立公園課長:日本の国立公園は、地域の合意の上で成り立っているものであり、引き続きしっかりと話し合いを重ねていく。また、国立公園が、地域の農林水産業や観光産業に活力を与えることに貢献の場がある。今後も幅広く検討していきたい。

(2)第1回アジア自然公園会議(First Asia Parks Congress)について

意見、質問なし。

5.問い合わせ先

環境省自然環境局国立公園課(代表03-5521-8278)
  課長   桂川 裕樹(内線6440)
  課長補佐 堀上 勝(内線6642)
  課長補佐 田村 省二(内線6441)
  専門官  佐々木真二郎(内線6494)