中央環境審議会自然環境部会(第10回)議事録
開催日時
平成19年7月25日(水)13:00~15:20
開催場所
三田共用会議所 大会議室 Room D・E (東京都港区三田2-1-8)
出席委員
(24委員)
石坂 匡身 | 臨時委員 |
磯部 力 | 臨時委員 |
岩熊 敏夫 | 臨時委員 |
川名 英子 | 臨時委員 |
熊谷 洋一 | 部会長 |
栗田 亘 | 臨時委員 |
近 勝 | 臨時委員 |
佐藤 友美子 | 臨時委員 |
鹿野 久男 | 臨時委員 |
白幡 洋三郎 | 臨時委員 |
高橋 佳孝 | 臨時委員 |
土野 守 | 臨時委員 |
中静 透 | 臨時委員 |
中道 宏 | 臨時委員 |
中村 太士 | 臨時委員 |
野田 節男 | 臨時委員 |
服部 明世 | 臨時委員 |
浜本 奈鼓 | 臨時委員 |
原 重一 | 臨時委員 |
原田 純孝 | 臨時委員 |
廣瀬 敏通 | 専門委員 |
矢原 徹一 | 臨時委員 |
鷲谷 いづみ | 委員 |
和里田 義雄 | 臨時委員 |
議題
- 開会
- 議事(諮問案件) (1)尾瀬国立公園の指定及び公園計画の決定について
- その他
- 閉会
(2)日光国立公園(尾瀬地域)の公園区域及び公園計画の変更について
(3)国立公園事業の決定及び廃止について
配付資料
資料1 尾瀬国立公園 指定書及び公園計画書(案)
資料2 日光国立公園 指定書及び公園計画書(案)
資料3 尾瀬国立公園及び日光国立公園に係る説明資料
資料4 国立公園の指定及び公園計画の決定等に関するパブリック・コメントの実施結果について
資料5 国立公園事業の決定及び廃止の諮問案件について
資料6 国立公園事業の決定及び廃止案件の概要
資料7 国立公園事業の決定書及び廃止書(案)
資料8 国立公園事業の決定及び廃止に関する説明資料
議事録
午後1時05分 開会
○国立公園課長補佐 ただいまより中央環境審議会自然環境部会を始めます。
本日は、所属委員42名のうち、現時点におきまして22名の方のご出席をいただいております。また、中央環境審議会令第7条の規定により、本部会の開催並びに議決に際しましては委員及び臨時委員の過半数の出席が必要とされております。本日は委員及び臨時委員40名のうち21名のご出席をいただいておりますので、本部会は成立しております。
これよりの議事進行につきましては、熊谷部会長にお願いいたします。
○熊谷部会長 ただいまから中央環境審議会自然環境部会を開催いたします。
審議に先立ちまして、櫻井局長からごあいさつをお願いいたします。
○自然環境局長 委員の皆様には日ごろから自然環境行政の推進につき多大なご支援、ご指導をいただき大変ありがとうございます。この場を借りまして厚く御礼申し上げます。
自然環境行政につきましては、さきに「21世紀環境立国戦略」という形で閣議決定いたしました政府の文書の中でも、低炭素社会づくり、あるいは循環型社会づくりと並ぶ自然共生社会をつくっていくことが持続可能な社会の大きな、いわば基盤となるような位置づけをされておるところでございまして、自然環境局が担う仕事も、その位置づけあるいはその広がりともに非常に重要性を増していると申し上げてもいいのではないかと考えております。
生物多様性の保全につきましては、さきにドイツで行われましたG8の環境大臣会合でも議題とされておりますし、また、2010年に開催予定の第10回生物多様性条約締約国会議、いわゆるCOP10の開催地として、我が国が愛知県名古屋市での開催を立候補するという運びになっております。今後、COP10に向けて国内でもいろいろな取り組み、さらには世界へ発信していくことが重要になってまいりますけれども、現在、小委員会におきまして生物多様性国家戦略の見直しをご議論いただいておりまして、今年度中には第三次の生物多様性国家戦略を策定したいと考えておるところです。
また、最近の課題といたしまして、6月19日に渋谷区で温泉施設の爆発事故がございました。温泉法を所管しております環境省といたしまして早急に対策を講じる必要があるということで、温泉に関する可燃性天然ガス等安全対策検討会を設けまして、今、議論を進めておるところですが、昨日、換気の徹底あるいはガス検知器の設置など、当面の暫定対策を各都道府県知事あてに通知したところです。
今後さらに安全対策について、温泉法の改正も視野に入れながら検討を進めていきたいと思っておるところです。
また、自然公園につきましては、昭和32年の自然公園法の制定からちょうど50周年という節目になっております。自然公園制度について、新たな観点から自然公園の見直しをするといった検討にも着手したところです。
さらに、来年日本で開かれるG8サミットは、支笏洞爺国立公園洞爺湖地域の自然を背景とする会場で開催されるということでございまして、我が国の国立・国定公園など、我が国の自然の魅力を国内外に積極的にアピールしていくべき年かなと考えております。
本日の自然環境部会では、尾瀬国立公園の指定、公園計画の決定、さらにはそれに伴います日光国立公園の公園区域及び公園計画変更についてご議論いただくことになっております。
尾瀬国立公園につきましては、百名山の1つとされております会津駒ヶ岳あるいは田代山、帝釈山の地域およそ1万2,000ヘクタールを加えて、単独の公園に指定しようとするものです。尾瀬地域は従来から、我が国の国立公園行政あるいは国立公園の利用に関していろいろ先進的な取り組みを行っているところでもございます。これを機会にさらに尾瀬国立公園の整備、利用についてさまざまな取り組みを進めていきたいと考えておるところです。
今日はご審議のほど、よろしくお願いいたします。
○熊谷部会長 本日の部会は公開で行いますので、報道関係の方や傍聴の方も同席しておられます。会議録は後ほど事務局で作成し、本日ご出席の委員の了承をいただいた上で公開することとなります。
なお、議事要旨につきましては、事務局で作成したものを私・部会長が了承した上で公開することをご了承お願いしたいと思います。
それでは、審議に入りたいと思います。
本日の審議事項は、諮問第221号の尾瀬国立公園の指定及び公園計画の決定について、諮問第222号の日光国立公園尾瀬地域の公園区域及び公園計画の変更について並びに諮問第223号の国立公園事業の決定及び廃止についての3件です。
諮問書の朗読は省略させていただきます。
まず、諮問第221号の尾瀬国立公園の指定及び公園計画の変更について並びに諮問第222号の日光国立公園尾瀬地域の公園区域及び公園計画の変更について審議を行いたいと思います。
それでは、事務局から内容について説明をお願いいたします。
○事務局(千田) 環境省国立公園課公園計画専門官をしております千田と申します。
尾瀬国立公園の指定及び公園計画の決定について、ご説明します。
これからスクリーンに映します内容は、資料3としてお手元にも配付しております。
本件は、福島県、栃木県、群馬県、新潟県の4県の県境に位置する尾瀬を新たな国立公園に指定しようとするものです。
本地域は、只見川の源流部である尾瀬沼、尾瀬ヶ原と、その周辺の至仏山、燧ヶ岳、会津駒ヶ岳、田代山、帝釈山などの2,000メートル級の山々から構成されます。
本地域は北方系と南方系、太平洋型と日本海型の接点に当たることから、多様な動植物の生息・生育が見られます。
植生の概要としては、山地帯にはブナ、亜高山帯にはオオシラビソ、トウヒ、ダケカンバ、高山帯にはハイマツなどが分布するほか、湿原植生が点在しています。
動物は、ツキノワグマやカモシカなどの大型の哺乳類も生息しています。
一般の利用期間は5月中旬から10月下旬までとなっており、特に利用が多いのは、5月下旬から6月中旬にかけてのミズバショウのシーズン、7月下旬から8月にかけての夏休みの期間、9月下旬から10月上旬にかけての紅葉のシーズンです。年間の利用者数は、平成8年の64万人をピークに現在は30万人台前半で推移しています。
尾瀬沼・尾瀬ヶ原への主要な入山口は6カ所ありますが、このうち群馬県片品村側の鳩待峠からの入山者が5割強、福島県檜枝岐村側の沼山峠からの入山者が3割弱を占めています。
社会・経済的背景ですが、土地所有の状況は、国有地が54.6%、公有地が0.5%、民有地が44.9%となっています。本地域に関係する自治体は、福島県南会津町、檜枝岐村、栃木県日光市、群馬県片品村、新潟県魚沼市の4県2市1町2村です。産業の基盤は農林業ですが、観光への依存度が高くなっています。
それでは、本地域に関する公園計画の経緯などについてご説明します。
尾瀬沼、尾瀬ヶ原や至仏山、燧ヶ岳を中心とする地域は、現在、日光国立公園に指定されています。
日光国立公園は昭和9年12月4日に指定された公園であり、尾瀬地域のほかに日光地域及び那須甲子・塩原地域により構成されています。尾瀬地域については指定以降、公園計画の全面的な見直しは行われておらず、特別地域の地種区分が未定となっています。
なお、昭和46年11月19日の第36回自然公園審議会において、会津駒ヶ岳と帝釈山の地区を日光国立公園に編入することを適当と認める旨の答申がされています。
このような経緯を踏まえ、尾瀬地域の公園区域を含めた公園計画の全面的な見直しを行うため、検討調査や関係者との調整を行ってきました。
その結果、尾瀬地域の周辺において国立公園としての資質を有したのは、まず、会津駒ヶ岳を含む地域です。尾瀬地域の北側に接するこちらの地域となります。
会津駒ヶ岳山頂から中門岳及び大戸沢岳にかけての稜線には、多数の池塘を含む山地湿原が発達しており、その周辺にはハクサンコザクラ、イワイチョウなどから成る雪田草原が広がっています。亜高山帯には、自然性の高いオオシラビソ林が分布しています。
また、同様に国立公園としての資質を有すると考えられた帝釈山及び田代山を含む地域は、尾瀬地域の東側に接するこちらの地域です。
田代山の山頂部には約20ヘクタールの湿原が発達しており、オオシラビソ林に囲まれた天上の湿原として特異な景観を呈しています。この湿原は単一の台地上に形成されているもので、世界的にも稀な存在であるとされています。
尾瀬地域、会津駒ヶ岳地域、田代山・帝釈山地域、これら3つの地域は、標高およそ1,500メートルまでが山地帯で、極相に近いブナ-チシマザサ群落が広く見られ、それより上部は亜高山帯で、うっそうとしたオオシラビソ林に覆われている森林帯の状況や、水はけが比較的制限されている所には広く山地湿原が発達し、水はけはよいが地下水位が高い所には雪田植生が見られるなどの点において、自然環境の質に共通性があると言えます。
また、利用の面についても、登山や自然探勝を主体としていること、尾瀬地域の利用者は6割が群馬県の戸倉方面から入山しているものの、その3割に当たる9万3,589人は福島県の檜枝岐村を経由して入山しており、檜枝岐村は会津駒ヶ岳や田代山、帝釈山の登山の起点ともなっていて、これらの地域は一体的な利用がなされていることなどから、利用の一体性が認められます。
一方、白根山や男体山、中禅寺湖、華厳の滝などを含む日光地域とは、主要な植生あるいは地形、景観の面で異なっているとともに、利用の面でも、日光地域ではドライブや歴史的建造物なども含めた周遊観光など多様な利用が見られ、徒歩による登山や自然探勝を主としている尾瀬地域とは、その主な利用形態にも違いがあります。
また、両方の地域を一体的に利用することは稀であり、利用者からは明らかに別の地域と認識されています。
このような点を踏まえ、かつ尾瀬地域に会津駒ヶ岳及び田代山・帝釈山の地域を加えることで、1つの国立公園としてとらえられる面積要件である3万ヘクタールを超えることとなることから、単独の国立公園に指定しようとするものです。
単独の国立公園となることにより、自然環境や利用形態の点で共通する区域の一体的な管理運営が充実し、今後、全国の国立公園において目指していく管理運営のあり方を具体的に示すモデルとなることが期待できます。
それでは、尾瀬国立公園の公園区域について、ご説明します。
全体の面積は3万7,200ヘクタールです。このうち日光国立公園から移行する地域を尾瀬沼・尾瀬ヶ原地域としますが、面積は2万5,203ヘクタールです。その地域の北側に接して会津駒ヶ岳や中門岳に連なる地域を会津駒ヶ岳地域とし、面積5,435ヘクタールです。また、東側に接して帝釈山、田代山に連なる地域を田代山・帝釈山地域とし、面積6,562ヘクタールです。
これら3つの地域ごとに、公園計画についてご説明していきます。
まず、規制計画の基本的な方針ですが、特別保護地区としては、各地域の特徴的な景観を厳正に保護していくこととします。
尾瀬沼・尾瀬ヶ原地域は日光国立公園尾瀬地域の特別保護地区を踏襲するとともに、新たに燧ヶ岳の北側に点在する湿原と自然林、会津駒ヶ岳地域では会津駒ヶ岳及び中門岳の山頂部の湿原や雪田植生、田代山・帝釈山地域では田代山山頂の湿原や雪田植生を、それぞれ特別保護地区として保護の対象とします。
第1種特別地域としては、特別保護地区に隣接した一体となった景観を構成しているすぐれた原生的森林や稜線部を、第2種特別地域としては、公園の利用上重要な利用拠点の周辺や車道の沿線、良好な状態で維持されている自然林を、第3種特別地域としては人工林を主体とした地域を、それぞれ指定します。
なお、自然公園法第13条に基づき、周辺1キロメートルの区域内での排水を制限する指定湖沼及び指定湿原として、尾瀬沼及び尾瀬ヶ原を改めて指定します。
次に、利用計画の基本的な方針ですが、保護施設計画としては、過去の過度な利用などによって生じたと考えられる湿原や高山植生などの損傷箇所について適切に保護し、復元を図るため、植生復元施設を位置づけます。
利用施設計画については、現在、日光国立公園尾瀬地域において位置づけられているもののうち、その必要性や事業化の可能性が低い施設は整理・廃止し、利用実態などから必要性の高いものについて位置づけます。
集団施設地区は、利用の実態や公園利用の拠点としての必要性の観点から位置づけるとともに、その区域を明確にします。
単独施設及び道路についても、その利用実態などから必要なものを位置づけます。
それでは、地域ごとにご説明していきます。
尾瀬沼・尾瀬ヶ原地域については、北部と南部に分けてご説明します。
北部は、尾瀬沼、尾瀬ヶ原のほかに燧ヶ岳を含む青い点線で囲った地域です。
山岳に囲まれた広大な湿原を有する本地域の状況です。ブナやダケカンバなどの森林と、湿原ではミズバショウ、ニッケウキスゲ、ワタスゲなどが季節ごとに楽しめます。
保護規制計画としては、本地域の核心的景観を形成している尾瀬沼、尾瀬ヶ原、燧ヶ岳を特別保護地区として厳正に保護するとともに、それに隣接する燧ヶ岳の北西部及び東部から沼山峠にかけての一帯は、自然性の高いオオシラビソ林などが分布することから、第1種特別地域とします。
さらに、その周辺を囲む松嵓高山の北東部、燧ヶ岳北西側の山麓、御池からブナ平にかけては良好な自然林が維持されていること、また、尾瀬沼の東のほとりに位置する6ヘクタールについては、ビジターセンターや長蔵小屋などの宿泊施設が整備されており、集団施設地区として利用の拠点としていくことから、利用との調整を図りつつ風致の維持を図る第2種特別地域とします。
次に施設計画ですが、まず、保護施設計画としては、燧ヶ岳、尾瀬沼、尾瀬ヶ原において、歩道沿いの植生の荒廃防止と高山植物や湿原植物の復元を図るため、植生復元施設を位置づけます。
利用施設計画については、集団施設地区として、福島県側からの尾瀬へのアクセス拠点として重要な御池に宿舎、休憩所、駐車場などの充実を図る方針で御池集団施設地区を、尾瀬沼の東のほとりには、沼山峠や大清水からの入山者への情報提供や、すぐれた自然の中での適切な滞在に資するよう尾瀬沼集団施設地区を公園計画に位置づけます。
また、単独施設としては、日光国立公園尾瀬地域における計画のうち、利用実態などから必要性の高いものについて、宿舎、園地、野営場、給水施設、排水施設を位置づけます。
続いて、尾瀬沼・尾瀬ヶ原地域の南部です。
南部は、至仏山やアヤメ平を含む青い点線で囲った地域です。
至仏山では、ホソバヒナウスユキソウなどの高山植物が見られます。
保護規制計画としては、尾瀬ヶ原から山ノ鼻を経て至仏山に至る一帯を特別保護地区として厳正に保護するとともに、その南側に隣接する自然性の高いオオシラビソ林などが分布する一帯、及び至仏山から南へ連なる悪沢岳と笠ヶ岳の東側の自然性の高いオオシラビソ林などが分布する一帯を第1種特別地域とします。
この第1種特別地域の南側に接する大清水から鳩待峠に至る一帯と、群馬県側の尾瀬への入山口である鳩待峠、富士見峠、大清水へのアクセス道路の沿線、黒岩山の西側については、良好な自然林が維持されていることから、利用との調整を図りつつ風致の維持を図る第2種特別地域とします。
さらに、これらの第2種特別地域の南側に接する一帯は、カラマツの造林地が含まれていますが、ブナやミズナラなどの広葉樹林が一体的な森林景観を構成しているものであることから、第3種特別地域とするものです。
次に施設計画ですが、まず、保護施設計画としては、至仏山、アヤメ平において、歩道沿いの植生の荒廃防止と高山植物や湿原植物の復元を図るため、植生復元施設を位置づけます。
利用施設計画については、集団施設地区として、群馬県側からの尾瀬への主要な入山口である鳩待峠から尾瀬ヶ原にアクセスする際の重要な拠点である山ノ鼻に、入山者への情報提供やすぐれた自然の中での適切な滞在に資するよう、山ノ鼻集団施設地区を位置づけます。
また、単独施設としては、現在の日光国立公園尾瀬地域における計画のうち利用実態などから必要性の高いものについて、宿舎、休憩所、園地、駐車場、博物展示施設を位置づけます。
また、道路計画についても、日光国立公園尾瀬地域における計画のうち利用実態などから、必要性の高いものを計画に位置づけることとします。
車道については、赤いラインで表示しています檜枝岐村や魚沼市から御池を経由して沼山峠に至る車道のほか、群馬県側の戸倉などから鳩待峠、富士見下、大清水に至る車道を計画に位置づけます。
歩道については、緑のラインで表示しています御池、沼山峠、大清水、富士見峠、鳩待峠など主要な入山口から尾瀬沼、尾瀬ヶ原などを探勝する歩道、燧ヶ岳、至仏山などの登山道を計画に位置づけるものです。湿原においては、木道を整備しています。
次に、会津駒ヶ岳地域です。
今回、新たに国立公園に指定しようとする本地域は、日光国立公園尾瀬地域の北側に接する会津駒ヶ岳、中門岳を中心とする赤い点線で囲った地域です。
美しい風景や高山植物を楽しむため、平成17年には年間およそ9,000人が登山に訪れています。
保護規制計画としては、会津駒ヶ岳から中門岳にかけての稜線部の東側や、会津駒ヶ岳から大戸沢岳にかけての南側斜面の雪田草原を特別保護地区として厳正に保護します。また、この特別保護地区の北東側及び南側に接する一帯は、自然性の高いオオシラビソ林やミヤマナラを中心とした低木群落などが分布しており、第1種特別地域として保護を図ります。
会津駒ヶ岳及び大津岐山の山麓には日本海型のブナ林などの良好な自然林が維持されていることから、利用との調整を図りつつ風致の維持を図る第2種特別地域とします。
さらに、その麓に分布する檜枝岐村の集落に隣接した自然林は、林産物の採取など村民に利用されてもいることから、利用との調整を図るため、第3種特別地域とするものです。
次に、施設計画ですが、保護施設計画としては、会津駒ヶ岳から中門岳にかけての歩道沿いの植生の荒廃防止と高山植物の復元を図るため、植生復元施設を位置づけます。
利用施設計画については、会津駒ヶ岳への主要な入山口である下ノ原に園地を、会津駒ヶ岳の山頂付近に登山利用者の安全確保のための避難小屋を、それぞれ位置づけます。
歩道については、下ノ原、キリンテ、御池から会津駒ヶ岳や中門岳に至る登山道を計画に位置づけるものです。
こちらが避難小屋などの利用施設の状況です。
最後に、田代山・帝釈山地域です。
本地域も今回、新たに国立公園に指定しようとするものであり、日光国立公園尾瀬地域の東側に接する帝釈山・田代山を中心とする緑の点線で囲った地域です。
美しい風景や動植物を楽しむため、平成17年には年間およそ5,000人が登山に訪れています。
保護施設計画としては、田代山山頂部に形成された高層湿原を特別保護地区として厳正に保護します。
また、田代山北西方向に連なる帝釈山、台倉高山、黒岩山、大江山を結ぶ稜線の一帯は、自然性の高いオオシラビソ林が分布していることから、第1種特別地域として保護を図ります。
これらの特別保護地区及び第1種特別地域の周辺を囲む田代山、帝釈山などの山麓及び大江山の東側は、オオシラビソの中にコメツガ、トウヒなどが豊富に混交し、会津駒ヶ岳山麓に比べ太平洋側の色彩が濃い林相となっています。この一帯を、利用との調整を図りつつ風致の維持を図る第2種特別地域とします。
次に、施設計画ですが、保護施設計画としては、田代山の歩道沿いの植生の荒廃防止と高山植物の復元を図るため、植生復元施設を位置づけます。
利用施設計画については、田代山などへの主要な入山口である猿倉と登山利用者の休憩場所である馬坂峠に園地を、田代山の山頂付近に登山利用者の安全確保のための避難小屋をそれぞれ位置づけます。
歩道については、猿倉及び木賊温泉方面から田代山、帝釈山、台倉高山に至る登山道を計画に位置づけるものです。
以上が尾瀬国立公園の指定及び公園計画の案です。
続いて、日光国立公園の公園区域及び公園計画の変更についてご説明します。
本変更案は、さきにご説明いたしました尾瀬国立公園の指定に伴い、尾瀬地域の全域を日光国立公園の区域から削除するとともに、本区域に係る規制計画及び施設計画をすべて削除するものです。
以上が日光国立公園の公園区域及び公園計画の変更案です。
続きまして、パブリック・コメントの概要についてご説明します。
今回の案件に関するパブリック・コメントに関しては、資料4として配付しておりますので、参考にごらんください。
本年6月から7月にかけての1カ月間、意見を募集したところ、尾瀬国立公園に関して10通23件のご意見をいただきました。なお、日光国立公園に関する意見はありませんでした。
国立公園の指定及び公園計画に関する意見は13件あり、意見の概要としては、指定に賛成し、自然環境の保護の強化を求めるもの、今回新たに国立公園に指定される区域の保護を求めるもの、利用施設計画への追加を求めるもの、管理体制の充実を求めるもの、国立公園への指定により利用が進むおそれがあるとして、国立公園区域の拡張に反対するもの、現在の環境省案には含まれていない区域についても国立公園にすべきとするもの、住民生活への配慮を求めるもの、地元に対する周知・調整が不十分とするもの、尾瀬地域は日光地域と連続性、関連性が強いことから、分離・独立する指定の理由が不適切とするものがありました。
これらに対し、対応方針として示した主な内容は、今回新たに国立公園に指定される区域の保護については、その保護管理の具体的な方針を、公園の指定後に策定する管理計画などにおいて有識者を初めとする関係者の意見を聞いて作成し、公表すること、公園区域の拡張に反対する意見に対しては、拡張区域内の原生的な自然環境については厳正に保護することとしており、利用施設計画についても、既存施設のうち必要最小限のもののみを位置づけていること、自然公園法に基づく保護と利用の適切化を図ることが重要であると考えること、現在の公園区域の案に含まれていない区域を含めるべきとする意見には、公園地域は国立公園としての資質を有している地域について、地元や関係機関などの意見を踏まえて選定しているものであるが、今後の公園区域の見直しの際に、必要に応じて検討していくこと、住民生活への配慮については、基準に適合した行為は可能であり、かつ第3種特別地域内での農林水産業は引き続き実施可能であること、地元への周知については、国立公園指定に関する住民説明会は平成18年に檜枝岐村で2回、平成19年には福島県と群馬県において2回開催し、周知に努めてきており、今後も周知に努めたいこと、指定理由については、日光国立公園尾瀬地域と会津駒ヶ岳など今回編入する区域は、自然環境の同一性、利用の一体性があるとともに1つの国立公園たり得る規模を有していることから、新たに1つの国立公園として指定するものであること、管理体制の充実に努めるとともに管理運営が地方公共団体、地域住民など多様な主体の理解と協力のもとで行われるよう、モデル的な取り組みを進めていく考えであることなどを示しました。
また、直接国立公園の指定及び公園計画に関するものではないその他の意見は、10件ありました。
参考までに、その意見の概要をご紹介すると、ニホンジカによる植物への被害対策を求めるもの、国立公園内での昆虫類の生物調査の実施や、公的な予算で実施した調査データの公開に配慮を求めるもの、国立公園指定後の生物調査についての手続の問い合わせ、尾瀬沼などに残置されているごみの早急な処理を求めるもの、至仏山の登山ルールの周知を求めるもの、尾瀬沼湖畔に新設したヘリポートの利用状況についての質問、尾瀬ヶ原でのヤマメの放流に対する指導を求めるもの、利水により湿原が乾燥化しているとし、その対策を求めるものがありました。
これらに対しても、資料4にあるとおり、考え方を示しております。
以上がパブリック・コメントの結果です。
尾瀬国立公園の指定及び公園計画の決定並びに日光国立公園の公園区域及び公園計画の変更案に関する説明は、以上です。
○熊谷部会長 それでは、諮問第221号及び諮問第222号に係るご質問、ご意見をお願いいたします。
○高橋委員 かなり原生的な自然の保護なので、余り詳しくはないのですが、幾つか質問させていただいて、口火を切らせていただこうと思います。
1つは、先ほどパブリック・コメントにもありましたが、ニホンジカの食害が非常に激しい状況にあるというお話でした。ここで、植生復元施設等で今後、関わりを持っていくというお話ですけれども、実際に食害をどうするかといった具体的な提案だとか指針があるのかどうか。
それから、私も勉強不足で申しわけないのですが、なぜニホンジカが近年それだけ増えてきたのか。例えば、林道や登山道や道路沿いなどを移動の経路として使っているとか、そういうことがわかっているなら教えていただきたいのと、それに対する対策があるのかどうか。
もう一つ、人間との関わりになるのですが、分離・独立する理由がよくわからないというパブリック・コメントがありました。拡大することで保護する区域が広がるというのが一つの名目かと思いますけれども、では、人員は拡大されるのか。拠点としてですね。ただただ面積が広がっただけで、レンジャーは全然増えないし管理が全然行き届かないといった事態が生じないかどうか。
それから、逆に公園への入り込み客は減っているので、自然という点から言えば、いいことかもしれないのですが、公園が広がったことによって人がたくさん入り込んでしまって、逆に入山規制をしなければいけないような事態は想定されているのかどうか。
○国立公園課長 まず1点目の、ニホンジカの食害の対策です。
尾瀬の湿原におきましては、シカの食害や踏み荒らしによるミツガシワやミズバショウ等の湿原植生の被害が発生しております。それに対して、平成12年に尾瀬地区におけるシカ管理方策検討会を設けて、管理方針を検討してまいりました。その内容としては、いわゆる湿原の地域については植生を守る地域として、その植生を守るために、主に外側、地域の周辺において個体数調整などを考えていくという方針を定めたところです。
さらに、環境省としては、ご質問にありましたようにシカの移動経路等を把握して、科学的データに基づく対策が必要だということで、移動経路に関する調査も進めてまいりました。これまでの調査では、尾瀬の主要な侵入経路はまだすべてわかっておらず、さらに調査が必要ですけれども、幾つかわかったところがありますので、その経路における捕獲など、シカの侵入防止策を進めていくといった考え方を持っております。
ただ、まだ尾瀬に生息するシカのすべての侵入経路を把握し切っておりませんので、さらにそういったものの追跡調査を進める考えです。
それから、区域が拡大したことにより、管理側の管理体制はどうなるのかといった点についてです。
確かに区域が増えて、巡視ですとか目を光らせなければいけない部分が増えます。人員を増やすことは大変厳しい状況ですけれども、指定後、必要に応じて体制の充実に努めていきたいと考えております。
それから、新たな国立公園の発足により入り込み数が増えるのではないかということですが、本国立公園の主体とするところは、基本的には既に日光国立公園であった地域ですので、大幅な利用者の増加は想定していないところですが、今回、拡大されるところについては、特に人為の影響を受けやすい湿原等の自然環境ですので、過剰な利用による悪影響が生じることのないようにしっかり監視していくとともに、必要な対策は迅速に対処していくという考え方です。
○高橋委員 シカというのは個体をどうこうということで本当に守れるものなのですか。極端な話、そういう経路があるとしたら、そこがシカにとって魅力のない状態に管理していかなければいけないという問題が出てくるのだろうと思います。これは里山の話なので、実際に尾瀬で通用するかどうかは別でしょうけれども、少し検討していただけたらと思います。
○廣瀬委員 尾瀬は、一大観光地として知られている日光国立公園の奥山として、自然保護運動のメッカになってきた場所なわけです。ですから、モデル的な意味合いで自然保護を非常にしっかりとやっていくということが長いことずっと行われてきた結果、現在、地元の皆さんの中には自然保護の声が行き過ぎてしまって、自然保護を考える人は尾瀬にはもう来ないんだ、尾瀬に行ってはいけないんだというような風聞が浸透してしまったということを、一昨年この地域でヒアリングを行った際に随分聞かされました。そういう側面も確かにあるだろうということは、約半分に減ってしまっている入山者数を見ても確かだと思います。
したがって、この地域の観光利用をどのように考えていくのか、そのグランドデザインが描けているのかどうか、お尋ねしたいと思います。
観光と言った場合に、従来型の、64万人来ていた時代の観光と、これからの時代の観光を同一視して考えるのか、そうではないのか、地元住民の皆さんによく見えていないと思います。
2点目は、第9回の審議会でもちょっとお話ししたのですが、現在の自然公園法は、農業利用については1種、2種、3種という区分を非常に明確に打ち出しているのですが、観光利用については非常に曖昧です。この辺が現状の我が国の国立公園の利用実態と比べると、非常に欠けているのではないかと思っておりますので、ご意見をお願いしたいと思います。
○国立公園課長 尾瀬国立公園を指定した場合に、今後、観光という側面でどんな姿を描いているのかという方針の話と、その具体的な公園の制度としてのゾーニングが、保護主体で利用のことが入っていないのではないかというご指摘かと思います。
指定の理由のところで少しご説明させていただいたかと思いますが、今回、尾瀬国立公園という形で分離することによって、自然の質として、公園としてかなり均一な状況になると考えておりますし、それに伴って利用の形もかなり均質なものになってくると思います。
これは、今後の姿を考えていく上で大変考えやすい状況ですし、自然も、質が高いという意味で共通性があること、それに依存した利用がこれまでもなされていますし、ニーズもあるだろう。そういうことを踏まえて、今後、観光の姿といいますか、どういう場所をどう利用させていくべきかという点について考えていけたらと思っています。私どもとともに、関係の自治体及び関係団体と一緒になって、国立公園の将来像、今後の姿とともに、利用の姿を考える検討の場を今後設けて、全国の国立公園のモデルにしていきたいと考えています。
現時点で全くノーアイデアということではありません。やはり高い自然性のある地域の範囲内で、それを生かした、今も取り組みがなされているガイド付の利用などを推進する方策を、関係機関、関係団体とともに考えていきたい。単独国立公園化という機会を生かし、取り組みを進めていきたいと考えております。
○矢原委員 私、東大の日光植物園に4年間勤務しておりましたので、当時、尾瀬は日光の公園事務所の方が夏に上がって管理に当たられていたといった事情をある程度存じ上げているのですが、栃木県側に公園事務所がある関係で、4つの県にまたがっている尾瀬の全域に関して、いろいろ目配りがきかない面もあったのかなという気がしています。今回、尾瀬国立公園という形で独立して、尾瀬という非常に重要な場所の管理をしていかれるという方針は大変いいことだと思いますが、今後、公園管理に当たって、従来どおり日光の事務所に通年のベースを置いて一時的に上に上がるという形を続けられるのか、それとも、例えば群馬県側に尾瀬国立公園の事務所を置かれるのか、教えていただければと思います。
群馬県側からの利用者は非常に多いので、もし群馬県側に置くとすると、栃木県側とか他の県との連携をどのように進めていかれるのか、教えてください。
2つ目は、高橋委員の質問と重複するのですが、シカの問題はかなり深刻であろうと思います。霧島屋久国立公園の状況を過去15年ぐらい、ずっと見ておりますが、えびのの湿原の植物、例えばコバギボウシのようなごく普通にあったものが、ここ十数年の間にシカの摂食によって完全に消失しました。ここ数年、屋久島の状況も見ておりますけれども、屋久島の場合、シカの摂食によって絶滅危惧植物が増えており、屋久島固有種のヤクシマタニイヌワラビ等も、3年間徹底して調査をして数株しか見つからない。かつては足の踏み場もないほど生えていた植物がそうなっているという状況にありますので、大変深刻かと思います。
尾瀬の場合、湿原に注意がいきがちです。湿原も確かにシカの害が生じるので、その対策はとらなければいけないのですが、他の地域の例からしますと、やはり光環境の悪い針葉樹林の林床とかそういうところは、非常に低頻度、1年間に1回くらいの密度で食われるというレベルの摂食でも植生が衰退していって、林床植生がほとんどなくなるようなことがあり得るので、暗い林床あるいは栄養塩が少ないような、成長速度が遅くて回復が遅い場所での被害を特に重視する必要があろうかと思います。そういう場所では、差し当たってとにかく緊急措置として、貴重な植物や植生がある場所を防護柵で囲って、少なくともソースを確保して、将来、シカ密度が適正に管理できた状態で、ソースから植物が回復できるようにするという緊急対策をとることが重要かと思いますが、その点についてどのようにお考えかということが2つ目です。
3番目に、指定植物が資料1の48ページから書かれておりまして、常々他の公園についても申し上げていることですけれども、どこにどのような希少植物が分布しているか、公園管理事務所が把握していないケースがほとんどです。この指定植物のリストを見ても、日光国立公園当時のリストを援用してつくられたのかなという気がするのですが、尾瀬地域に分布していないものがかなり入っているのではないか。それから、尾瀬国立公園の中に田代山を含められていますけれども、田代山はチシマウスバスミレという非常に珍しい湿原性のスミレが多い所です。リストの中にそのチシマウスバスミレが入っていませんが、田代山を含めるのであれば欠かせない種と思います。指定植物の検討及びその分布状況の把握をどの程度行われたのか。
○国立公園課長 まず1点目の、管理体制。
先ほどもご質問をいただいたところです。これまでは日光の自然環境事務所の出先として尾瀬沼に自然保護管理事務所がありましたが、単独の国立公園になるということで、その拠点の置き方も含めて、今後、どうしたら充実できるかといった観点で、検討を始めたところです。できるだけ目が届きやすくなるように、各関係機関との調整が円滑にいくような体制をつくっていきたいと考えております。
2番目の、シカの話です。
緊急的な部分、保護すべきところを防護柵等で緊急対策するようなことが必要ではないかといったご指摘だったと思いますが、これにつきましても、これからも対策を講じていく中で十分参考にさせていただいて、対策に生かしていきたいと考えております。
3点目、指定植物のリストです。
ご指摘のとおり、今回、参考として挙げさせていただいている指定植物のリストは、基本的には日光国立公園時代、尾瀬地域も入っていたわけですけれども、そのリストを使っております。したがいまして、過不足という意味で「過」が多い可能性が高いリストになっています。今後さらに検討して、できるだけ早く新たなリストに見直していきたいと考えております。
○鷲谷委員 湿原というのは、長いタイムスケールでは湿原でなくなるのは当然なんですけれども、温暖化を初めとするさまざまな人為、例えば富栄養化で雨の中の栄養塩濃度が高まっているとか、シカだけではなくて外来生物の侵入も、もしかしたらこれから問題になってくるかもしれません。そういうこともあって、国立公園の中を国立公園だけで考えて、ある望ましい状態に保っていくのは難しくなってくると思います。
そこで、管理の考え方なのですが、生態系の問題として、広域でとらえる視点が重要だと思うのですが、それとともに原因─シカについても移動経路のお話がありましたけれども、もっと根本的な原因を探っていけば、高橋委員が若干おっしゃっていたようなことも重要かもしれませんし、温暖化その他との関わりで、雪が少なくなっているといったことも関係していると思います。
日光のシカは、いろいろな所から入ってきているようではありますが、越冬地が足尾銅山の跡地で、外来牧草で緑化されて広大な牧草地が広がっているような所を越冬地として使って、緑化されている道路ののり面を移動して尾瀬に入ってきやすい。これは単に一つの仮説で、尾瀬のシカ問題全体の説明ではありませんけれども、そういうことも指摘されていたりします。
そういうなかなか難しい広域的な問題も幾つかある中で、温暖化対策になぞらえて言うと緩和策に当たる、原因を取り除く対策ももちろん考えていかないといけないとは思いますけれども、適応策に当たるような、公園の自然環境の価値を守るとしたらどんな対症療法的な対策が必要なのか、その2面から管理を検討していくことが必要な時代になっているのではないかという気がします。
○熊谷部会長 今後に大変参考になる貴重なご意見を、ありがとうございました。
○原委員 現地を拝見させていただき、会津駒ヶ岳も登山してまいりましたけれども、国立公園にふさわしい自然だろうと思います。今日はご出席ではありませんが、ご一緒した田部井委員も、登山道を含めてふさわしい登山ができる自然であるとおっしゃっていました。私も久し振りに高い所に登って、頂上から見渡す限り人工物が見えない自然に浸れるというのは案外ないのではないか、そういう本当の自然に接することができるという意味では、国立公園にふさわしいといった感じで帰ってきました。
次の日は、檜枝岐村の方から入ったのは本当に久し振りでしたけれども、尾瀬に行きました。思いのほか整備されていたと思います。特に尾瀬に関して言うと、トイレも含めて、集団施設地区の施設もある水準に達しているのではないかと思いました。国立公園としては、早く全体があのレベルになるように、トイレとか集団施設地区の施設を、5カ年計画ぐらいである水準に持っていくことが緊急の課題ではないかと感じました。
施設がきちんとしてくると利用の仕方もそれに倣うようになります。会津駒ヶ岳の施設は避難小屋ということでしたけれども、あの程度だと、やはり利用の仕方もあれに準じてしまう。そういう意味で言えば、早く尾瀬に準ずるような施設に整備することが、国立公園の指定とともに非常に大事なことになってくるのではないかという感じを持っています。
もう一つ、会津駒ヶ岳の利用に際して、檜枝岐村を通るメインの国道から分かれて、車で林道を登って登山口まで行き、登山口で車をおりて登り始めるわけですけれども、それぞれの登山口のありようといいますか、もう少しふさわしい整備の仕方があるのではないか。少し研究されるといいと思いました。
それから、観光と国立公園利用をどういうふうに交通整理するかという問題はあるのでしょうけれども、我々は檜枝岐村に1泊しましたが、檜枝岐村が平家の落人伝説の里、あるいは国立公園のターミナルとしてふさわしい拠点になるためには、まだまだ施さなければならない手だてがあるのではないかと思いました。例えば、我々は温泉に入りに行きましたけれども、ゆっくり歩いて15分ぐらいの所にある温泉まで、歩いて行ける道がない。歩道すらきちっと整備していないという点については、早急に山村集落らしくするというか、車と歩行者との折り合いをつけることがこれからますます大事になってくるのではないかという感想を持ちました。
○熊谷部会長 原委員には現地に行っていただきましたので、大変具体的なご意見をいただきました。ありがとうございました。
○岩熊委員 パブリック・コメントの中にも、これまでのデータの活用、公表ということがありました。
尾瀬に関しては、1950年代と70年代、90年代と過去3回、学術調査が行われました。最初の2回は日本学術振興会が、最後のものは新潟、群馬、福島の3県が資金を提供しておりまして、私もその3回目に関わっていましたが、この20年ごとの調査を行っている限り、例えば今、緊急の課題になっているような食害とか植物の実態がどうなっているのかということについて把握できないと思います。もう一つは、やはり学術調査のデータは余り活用されていないという気がします。
ですから、今後、関係団体、それから機関を含めた協議が進むということですので、そこでまずこういうデータを集約していくことが大切です。それから、過去にこれぐらいの頻度でしか調査ができなかった理由として、1つには、最初の頃は尾瀬に入るのが大変だったということがあると思いますけれども、その後は自然保護に配慮する形で、なかなか調査を行いにくかったという面があると思います。しかし、継続的なモニタリングをしない限り実態は把握できないと思いますので、このようなプランニングのところに環境省には積極的に関わっていただきたいと思っています。
調査の方は、アマチュアで調査している方がいろいろいらっしゃるようですし、ボランティアでやる方はいろいろいらっしゃると思います。しかし、重要なのはデータの集約とプランニングだと思いますので、国立公園が整備されることをきっかけにして、その辺を充実されることを望んでおります。
○熊谷部会長 ありがとうございました。
ご発言を予定している委員が大勢いらっしゃいますので、まずご発言をいただいてから、まとめて事務局からお答えをいただく形で進めさせていただきたいと思います。
○中静委員 会津駒ヶ岳とか田代山を国立公園にしていただいて、本当によかったというのがまず第1の感想です。
その上で、ちょっと聞き漏らしたのかもしれませんが、今回、尾瀬国立公園になった場合に、前から日光国立公園に含まれていた部分で、今までの日光国立公園時代と規制計画を変更した部分はあるのでしょうか。もし変更した部分があるのでしたら、その理由をお聞かせいただきたいと思います。
それから、至仏山の歩道については数年前からオーバーユースだろうということで大分問題になっていて、至仏山の登山者数の制限をすべきかどうか大分議論になった末に、いろいろなことが行われています。植生復元なども小規模なものは何度も行われていると聞いていますが、どちらかというと計画的に行われていないという側面がある。今回、植生復元などを行う計画も入っていますので、ぜひともきちんと計画的に、モニタリングも含めて実施していただきたい。過去に細々とした処理をされた跡があって、かなり見苦しい状態になっている所もありますので、ぜひ気をつけて行っていただきたいと思います。
それから、私も30年ぐらい前から尾瀬は知っていますが、最近は鳩待峠にバスで来て日帰りで帰られる、装備も何もなく、ただ普通に歩いて帰られるといった利用をされる方が非常に多い。昔はきちんと山歩きの格好で、1泊ないし2泊されるような覚悟で、ちゃんと山道を歩く覚悟で来られる方が大半であったのに、今はそうではない方がとても増えている。このように、利用実態の変化が大きいのではないかと思っています。それを考えるときに、ガイドのことを考えるとか、例えば至仏山は利用制限しなくてはいけないような状況にあるのに、一方ではそういう気軽に来られる方のことをどう考えていくかという、とても難しい状況にあると思いますので、利用者に対してどのような設備をどういうふうに配置していくか、きちんと考えていただきたいというのが最後のお願いです。
○浜本委員 パブリック・コメントの中に漁協がヤマメを放流したというのがありまして、利根漁協ですから、多分、群馬県利根郡側の水系の内水面漁協だと思われます。
詳しいことはわからないのですが、環境省側の答えにありますように、もちろん漁業権の存する水面において漁業をしようとする者がヤマメを放流することについては、自然公園法上の規制は確かにないと思われます。漁協が存在するわけですから、ここは多分、特別保護区でも、特別に保護しなければいけないような場所ではないだろうと思われますが、このヤマメはもともとここにたくさんいたのか、ずっと放流を続けていているようになったのかもわかりにくいです。また、保護区だから、保護区でないからといっても、国立公園は、植生と農林業の側からはしっかり区別がしてあるのですが、内水面の漁業等、水系に関する生き物に関することなどは余り規定になっていないことが多いと思います。
水系の中、特に尾瀬沼や尾瀬ヶ原のように湿地や湿原になっている所や、水系が複雑に入り組んでいる所は、保護区の中であろうがなかろうが、つながっていることがとても多いので、ヤマメはもちろん指定の外来種ではないので外来種に関する法には触れないと思いますが、生物多様性という観点からすると、国立自然公園に指定している、もしくは指定するということを、そこで生活する方たちもきちんと自覚を持つことが大切です。また、環境省も、放流したことに対して「十分な関心を持っていきたい」という言い方ではなく、しっかりと、どういう観点を持ってどのような経緯であるとか、生物多様性の観点からすると、この水系に放流するとそれがどこにつながるとか、そういうこともしっかりと住民の方、もしくは今まであまりそういう規定とか枠の中に入ってこなかった内水面の漁業をされる方々、生活をされる方々にも、きちんと説明できるような環境省の考え方を示していただけたらと思います。
○服部委員 私も先日視察に行きまして、非常にいい所だと感動しました。
諮問事項で「尾瀬国立公園の指定」となっていますが、今回指定しようとする地域のほとんどの部分は、これまで日光国立公園尾瀬地域として既に国立公園に入っていた所であり、新たに指定するものではないので、これを分離する理由をもう少し明確にする必要があるのではないか。
国立公園が全部で28ある中で、いろいろな地域を寄せ集めて「
○
○△△××国立公園」というのが結構あると思いますが、そういう所は今後、分離しないのかどうか、した方がいいものがあるのではないか。そうであれば、今回をベースにして独立させる要件は何なのかといったことを、もう少しきちっと説明してもらった方がいいのではないか。確かに説明ありましたように、何となくイメージとしては利用形態とか風景、景観の違い等はあるのですが、どういう場合に分離するのかという参考にもなるのではないかと思いますので、今回、面積規模なのか、管理体制が不行き届きなのか、日光の方に重点があって尾瀬の方が手薄になっているのか等、そういった理由、要件をもう少し明確にする必要があるのではないかと思います。
その意味で教えていただきたいのですけれども、今度、独立して1万1,000ヘクタール強ですか、足して3万7,200ヘクタールの尾瀬国立公園は、現在の国立公園の中でどのぐらいの大きさなのか。国立公園の面積は最低でどのぐらいなのか、最大でどのぐらいあるのか教えてもらいたい。
それから、先ほどの説明では、利用施設計画については従来ある重要度の高いものを位置づけて、低いものは位置づけないとか、保護施設計画については植生の保護、復元を図って充実するということだったと思います。それはどういう管理体制で行うのか、実施体制がどうなっているのか。他の方の意見もございましたけれども、保護と利用の施設計画と同時に、それをフォローする管理体制をもう少し充実させるようなことを一緒に説明していただけた方がいいと思います。
尾瀬は自然保護のメッカみたいに扱われていたと思いますけれども、地元の市民とかボランティアを含む官民の管理体制をここでモデル的に仕上げてもらうというか、モデルケースとして作っていくぐらいの気持ちで管理体制について検討していただきたいと思います。
○鹿野委員 今回、拡張する地域については、昭和46年にこの審議会で国立公園の区域として拡張しようと決めていた。それが三十何年かぶりにやっと実現できたということで、これはまず事務局に感謝申し上げたいと思います。
他の先生方と現場も見てきましたが、拡張区域については、まずは国立公園としての資質は十分あると思っております。
それから、先ほど来、各先生方から出ておりますが、尾瀬というのは、日本の国立公園の中でもいろいろな面で先鞭を切っていた地域であるわけです。ご承知のとおり、日本の自然破壊と道路建設という問題では、道路建設よりも自然環境の保全が優先するのだということが、この尾瀬から始まったわけですね。それから、例えばごみの持ち帰り運動、そもそもごみ箱を置かない運動、こういうものも尾瀬から始まっております。それから、例えば湿原の植生が踏み跡で乱れた、こういうものを植生復元するということも、たしか尾瀬のアヤメ平から始まった行為です。
このように、尾瀬は日本の国立公園の中でかなり先鞭的にいろいろなことが行われ、それが全国の自然地域に波及していった、そういう役割を負ってきた地域であるわけです。今回、この地域が日光国立公園から尾瀬国立公園として独立するということであれば、そういった過去の経緯も踏まえて、さらにその上に環境省、それから関係する機関、さらに地元も含めて、これからの尾瀬国立公園はどうあるべきか、これまでの経緯の上に新しい尾瀬国立公園としての一歩を踏み出していってほしい。これはお願いです。
○熊谷部会長 他にご意見ございませんでしょうか。
それでは、時間の関係もございますので、今までの委員のご質問に今の時点でお答えできることがあれば、事務局からお答えをしていただきたいと思います。
○国立公園課長 何人かの先生から貴重なご指摘、ご意見をいただきました。その中で共通してこちらで考えさせていただいたのは、管理運営体制に関するもの、その際に学術調査等もちゃんと踏まえて、モニタリングしながら管理に反映すべきといった点があったと思います。また、利用動態の変化を踏まえて、その利用像をどう考えていくのかという話もあったと思います。これら全部まとめて「できます」と言うのはなかなか難しいのですけれども、尾瀬国立公園の分離・独立というのは、この場所だけではなくて、全国の国立公園の管理運営の充実につながるものでなければならない、そういう役割があるのではないかと思っております。
私どもは、「国立・国定公園の指定及び管理運営に関する検討会」を設け、今年3月に提言をいただいておりますけれども、その中で、多様な主体の参画によって、それぞれ共通の目標とパートナーシップをもって国立公園の管理運営をやっていくといったご提言をいただいています。尾瀬がその先進的地域となるように、今年度からモデル地域として取り組んでいきたい。
その中で、共通の目標、利用の姿をどうしたらいいのか、科学的な知見をどう集め、どう生かしたらいいかといった点や、それぞれの主体により整備いただく施設が皆ばらばらでは困りますので、どういう管理運営方針のもとに共通でやっていくかといった点も含めて、検討していく場づくりと、目標、プログラムづくりを手がけていきたいと考えておりまして、ご指摘いただいた点は、その中でできるだけ反映させていただきたいと考えています。
このような点を、今回の国立公園の分離の意味づけにも重ねていただければと思います。
それから、魚の放流の話につきましても、法律上云々という話は書いたとおりですけれども、尾瀬国立公園、尾瀬地域は、やはりいろいろな意味で先進的なパイオニアであり、かつ注目も浴びてきた地域ですので、生物多様性の保全という観点から、ヤマメの放流がどういう影響を与えるのか、与えないのかという点についてはしっかり関心を持って、また、その状況によっては関係者と調整をして、問題があれば、解決することについても関係機関と協力してやっていかなくてはならないと思っております。
ただし、魚類、特に内水面の魚類の場合は、さまざまな歴史と─ヤマメに加え、ここにいるイワナも漁業権に基づいて放流されているという事実がありまして、それを将来的にどうすべきか、問題があるとすればどうしたらいいかといったことも関係者間でよく調整していかなければいけないと思います。その中で私ども環境省も、生物多様性保全という意味で、しっかり関与していかなければいけないと考えております。
○熊谷部会長 中静委員からのご質問、規制計画の変更があったかどうかについて、事務局からご説明下さい。
○事務局(千田)
尾瀬地域では、これまで公園計画等の見直しが長く行われてこなかったため、これまでの地種区分は、特別保護地区、特別地域、普通地域という分け方でしたが、その「特別地域」となっていたものを、今回、第1種、2種、3種に分けています。そこがまず大きな点です。
さらに、燧ヶ岳の北部について、湿原等の含まれているエリアですので、今回、特別保護地区を拡張しております。
あと、尾瀬ヶ原の南に位置する部分について、今回緑色になっている第3種特別地域のエリアは、日光国立公園尾瀬地域においては普通地域という位置づけになっていました。しかし、こちらも周辺と一帯となったすぐれた自然にも含まれているという観点から、第3種特別地域に変更しています。
全般的に言って、保護の強化を図ったという変更になっております。
○熊谷部会長 皆様から一応ご意見をいただけたと考えておりますが、よろしいでしょうか。
それでは、本日は欠席されている田部井委員から、現地視察に行っていただいた報告が寄せられておりますので、事務局より報告をお願いいたします。
○事務局(千田) それでは、ご報告いたします。
田部井委員からのコメントにつきまして、要約して報告させていただきます。
田代山、帝釈山、会津駒ヶ岳、尾瀬沼を視察した結果、合わせて国立公園にする価値が十分にあると判断した。特筆すべきは、会津駒ヶ岳の高山植物の豊かさ、池塘群のすばらしさ、植生の豊かさ、人工的なもののない風景が広がり自然が広大に残っている点。会津駒ヶ岳から大津岐峠を経て御池に下る歩道沿いには、中門岳付近とは異なる花々が見られた。オオシラビソやブナの林を通る歩道は自然のままの状態で歩きやすく、ササ刈りだけの整備で十分と感じた。
看板が雪でかなり傷んでいるので、尾瀬国立公園となる場合には大自然にふさわしいデザインのものに統一してほしい。会津駒ヶ岳山頂の木製の標識は、手書きの文字に温もりがあり、よかった。
田代山のトイレは清潔でなく、改良が必要。
大清水から一ノ瀬までの間にハイブリッド車のマイクロバスを運行させることはできないか。そうすれば登山者の分散につながり、木道や歩道に与える負荷が軽減される。国内での導入事例はないが、一方通行の区間を設け、新しい国立公園のあり方の1つとして発信できないか。
このようなコメントをいただきましたが、これらにつきまして、施設整備や入山までのアプローチ方法、エリアごとの利用方法などについては、田部井委員のご指摘も参考にしつつ、尾瀬国立公園の指定後に新しい国立公園像を検討していく中で、広く公園関係者の意見を聞きながら検討していきたいと事務局としては考えています。
○熊谷部会長 それでは、諮問第221号、尾瀬国立公園の指定及び公園計画の変更について並びに諮問第222号の日光国立公園尾瀬地域の公園区域及び公園計画の変更については、適当と認めたいと思いますが、いかがでしょうか。ご異議ございますでしょうか。
(異議なし)
○熊谷部会長 ありがとうございました。
それでは、お認めをいただいたということにさせていただきます。
次に、諮問第223号の国立公園事業の決定及び廃止についての審議を行いたいと思います。
国立公園の公園事業の決定等に関するものにつきましては、中央環境審議会議事運営規則第8条の規定に基づき決定されている「自然公園小委員会の設置について」において、自然公園法の施行上、重要な事項に関するものとして自然環境部会長が認めるものを除き、自然公園小委員会において調査・審議することとされています。今回、審議する本件の内容は、さきにご審議いただきました尾瀬国立公園の指定に伴い行われることから、当部会において併せて審議することが適当と判断しました。
それでは、事務局から内容の説明をお願いします。
○事務局(坂口) 国立公園課で事業係を担当してます坂口と申します。よろしくお願いします。
それでは、説明します。
まず、配付資料のご確認をお願いします。
今回の諮問事項である公園事業の決定とは、公園計画の中で定めた利用施設計画に基づく宿舎、歩道、保護施設計画に基づく自然再生施設、植生復元施設といった各種事業を行う際の区域面積、最大宿泊者人数や路線距離などの事業規模を定めるものです。これにより、決定された規模の範囲内で国、地方自治体、民間事業者等が環境大臣の認可を受けて公園事業を実施することとなってます。
公園事業には、利用に供する施設として道路、園地、宿舎、休憩所、野営場、博物展示施設などがあります。また、保護施設としては、自然再生施設、植生復元施設等があります。
それでは、案件の説明に入ります。
日光国立公園尾瀬地域では、現在63件の公園事業が決定されてます。先ほど計画係より、日光国立公園尾瀬地域の公園計画の変更及び尾瀬国立公園の指定、公園計画の決定について説明しましたが、今回の諮問案件は、これらの計画の変更・廃止及び尾瀬国立公園の公園計画の決定に伴い、日光国立公園の事業として既に決定されているものを廃止し、新たに尾瀬国立公園の事業として整理し、決定しようとするものです。
なお、日光国立公園における既存の事業については、規模が定められていないものもありますことから、今回新たにその規模を定める事業もありますが、今回の事業決定は、既に執行されているものについて行うものであるため、決定規模は、原則として現行の事業執行規模としてます。
まず、廃止数と決定数ですが、日光国立公園尾瀬地域において現在63件の公園事業が決定されてますが、その63件の公園事業を廃止し、尾瀬国立公園において45件の公園事業を決定します。廃止数と決定数の差は、新たな公園計画に基づき公園事業の統合、廃止等の整理を行った結果によるものです。
それでは、日光国立公園尾瀬地域の公園事業の廃止について、説明します。
当該地域においては、現在、道路事業の車道1件、歩道20件、園地8件、宿舎15件、休憩所7件、野営場3件、駐車場3件、給水施設1件、排水施設2件、公衆便所1件、博物展示施設2件、計63件の事業決定がされています。今回、日光国立公園尾瀬地域の公園計画の変更に伴い、これら公園事業をすべて廃止します。
続きまして、尾瀬国立公園の公園事業の決定について説明します。
さきに説明しましたとおり、公園事業の決定とは、各事業を行う規模等を定めるものです。
公園事業の決定については、事業種ごとに説明します。
最初に、道路事業の決定から説明します。
車道事業は、戸倉大清水線道路1件の事業決定を行います。車道の決定規模は、路線距離と有効幅員となっています。戸倉大清水線道路の決定規模は、資料8のとおりです。
歩道事業は、御池見晴線道路以下11件の事業を決定します。歩道の決定規模は、路線距離となっています。各歩道の決定規模は資料8のとおりで、道路の決定規模については、原則として既存道路の執行規模を基準としています。
こちらが各道路の写真ですが、ここでちょっと資料の訂正をします。
この左上の写真は、戸倉大清水線道路の写真です。戸倉から大清水に向かう車道となっており、大清水より尾瀬沼方面に向けては、マイカー規制により車の立ち入り等が制限されています。
スライドの右上の写真が燧ヶ岳登山線道路の写真です。御池方面からの燧ヶ岳登山に利用されています。
左下の写真が、赤法華鳩待峠線道路の現況です。七入から尾瀬沼、尾瀬ヶ原を経て鳩待峠へ至る尾瀬の主要幹線歩道となっています。
右下の写真が、至仏山の登山道です。山頂を中心に、鳩待峠、山ノ鼻へ通じています。
道路事業については、以上です。
続いて、園地事業について説明します。
園地事業は、尾瀬沼園地以下9件の事業を決定します。決定規模は、区域面積となってます。各園地事業の決定規模は、資料8のとおりです。
左側の写真が尾瀬沼の園地となっています。
右側の写真が見晴地区の園地です。
続いて、宿舎事業について説明します。
宿舎事業は、御池宿舎以下12件を決定します。宿舎事業の決定規模は、区域面積と1日当たりの最大宿泊者数です。各宿舎の決定規模は、お手持ちの資料のとおりとなっています。初めに説明したとおり、原則として、既存施設の執行規模に基づいた形で規模を決定しています。
左上の写真が、御池集団施設地区の御池ロッジの写真です。
右上の写真が、尾瀬沼集団施設地区の長蔵小屋の写真です。
下の2枚が、左から見晴地区にある尾瀬小屋、右側が弥四郎小屋の現況です。
宿舎事業については、以上です。
続いて、休憩所事業について説明します。
休憩所事業は、御池休憩所以下3件の事業決定を行います。規模は、区域の面積となります。決定規模は、資料8のとおりです。
こちらの写真は、左が御池集団施設地区の休憩所です。
右側の写真が、大清水尾瀬沼線の中間地点にあります一ノ瀬休憩所です。
休憩所については、以上です。
続いて、野営場事業について説明します。
野営場につきましては、尾瀬沼野営場以下3件の事業決定をします。決定規模は、区域面積と1日当たりの最大宿泊者数となってます。各野営場の決定規模はお手元の資料8のとおりとなっており、他の事業と同様に、既存の野営場の執行規模に基づいて決定してます。
左の写真が、尾瀬沼野営場の現況です。
右の写真が、見晴野営場の現況です。
以上で野営場の説明を終わります。
次に、駐車場事業ですが、駐車場事業は御池駐車場1件の事業決定を行います。決定規模は、区域面積となります。決定規模は、現況の執行規模とします。
次に、給水施設・排水施設事業について説明します。
給水施設・排水施設についての決定規模は、給排水の対象区域面積と1日当たりの最大給水量及び排水処理量となっています。給水施設については、見晴らし給水施設を1件、排水施設につきましては、見晴排水施設と尾瀬沼排水施設の2件を決定します。決定規模は、既存の事業執行規模をもとに決定しています。
最後に、博物展示施設について説明します。
博物展示施設事業については、尾瀬沼と山ノ鼻博物展示施設の2件の事業を決定します。規模は、執行区域の面積となっています。決定規模は現行の事業執行に合わせた形となっており、資料8に記載しています。
これが御池集団施設地区の御池駐車場です。
これらの写真は、左側が尾瀬沼排水施設のパイプラインの写真、右側が見晴排水施設の写真となっています。
こちらの写真は、左側が尾瀬沼集団施設地区の尾瀬沼ビジターセンター、右側が山ノ鼻のビジターセンターとなっています。
以上が尾瀬国立公園の公園事業の決定に係る諮問案件です。
今回の尾瀬国立公園における公園事業の決定について、再度整理します。
道路は車道1件、歩道11件、園地9件、宿舎12件、休憩所3件、野営場3件、駐車場1件、給水施設1件、排水施設2件、博物展示施設2件の計45件が今回の尾瀬国立公園の公園事業の決定案件となります。
以上で尾瀬国立公園の指定に係る整理のための公園事業の決定案件についての説明を終了します。
○熊谷部会長 それでは、諮問第223号に係る質問、意見をお願いします。
○和里田委員 先ほどの指定と計画決定のご説明のところで、植生復元施設というものの説明があったかと思います。今回、この事業決定の説明ではそれらに触れられていませんが、その事業計画上の位置づけと、植生復元施設というのは具体的にどんなことをしようとされているのか教えていただきたい。
○国立公園課長 ただいま事業決定の段で説明しましたが、今回の事業決定は、既に日光国立公園の事業決定とされているものを尾瀬国立公園という形で整理することを主としています。現在事業決定されていないもの、新たに公園計画がつけ加わったものについては、今後、事業決定が必要ですけれども、今回は含めていません。
実際に植生復元施設を執行する場合には、その前に事業決定が必要になりまして、そのときには改めて審議会にお諮りして、その具体的な事業の内容について審議、決定するという手順を踏みますが、今回は、それは含めていないということです。
○和里田委員 いずれは考えているんですか。具体的に、植生復元施設というのは他ではどんな事例があるのか。
○国立公園課長 実際には、例えば立ち入りを防止する柵と、実態的に植生自体を復元するための基盤的な整備、土留めを行うとか、そこに植生が定着しやすいような基盤を整備する。それからそこに、もとの植生を復元するために必要な植栽とか播種等を行うという内容になります。基盤を整備、安定させ、そこに原植生が戻ることを計画して、必要な植生といいますか、播種、植栽等々を行っていくというのが全体的な流れです。
○岩熊委員 今回、廃止にも決定にもなっていない施設等は幾つもあるということでよろしいのでしょうか。
例えば、山ノ鼻にある公衆トイレの所の合併処理槽ですか、ああいうものに関しては排水処理の中に含めているのですか。他にも同様に、この中に入っていない、両方に含まれていないものがありますか。
○事務局(坂口) 山ノ鼻の排水施設の例をいただきましたが、その排水施設につきましては園地の附帯施設として、園地事業の中で把握しています。
これ以外にも、他の主たる施設の附帯となっているような事業については、各事業種としては決定せず、附帯施設という形で把握しているものもあります。
○岩熊委員 ということは、基本的に含まれていると考えてよろしいですか。
○事務局(坂口) そういうことです。
○中静委員 廃止と決定で数が変化しているものがあります。例えば、道路は20件が11件になっていますが、これは名前が変わっただけと理解すればいいのか。
例えば宿舎や駐車場が減っているが、それがどうなったのかということと、宿舎や駐車場のような場合は跡地がどのように処理されるのかといったことが気になります。
また、園地は逆に増えています。その園地のスペースはどのように確保されるのかをご説明いただきたいと思います。
○事務局(坂口) 幾つか例を挙げていただきましたけれども、まず、歩道の数につきましては、写真にも出しました赤法華鳩待峠線道路は、以前は4つの区間でそれぞれ決定がなされていました。ただ、利用の実態を踏まえますと、鳩待峠から尾瀬沼を経て赤法華へ抜ける主たる利用の流れに合わせた形で統合することが適当ということで、統合しています。
歩道につきましてはそのような形で、現在の利用状況に合わせてまとめたものが何点かありまして、そのため数が減少しております。
駐車場については、一ノ瀬駐車場が以前は決定されていましたけれども、マイカー規制に伴いまして、その駐車場が予定されている場所まで車が入らないという状況でして、計画からも廃止し、事業決定の方も廃止するという形になっています。
宿舎につきまして、事業決定はされているけれども執行されていないものにつきましては、執行の見込みがないということで、廃止したものがあります。
一ノ瀬の駐車場につきましては、現在、使われない状況ということで、マイカー規制とセットにして考えている状況です。
○中静委員 宿舎などの跡地はどういうふうに使われますか。それから、園地を新しくつくられるスペースはありますか。
○国立公園課長 ちょっと説明が不十分で、将来的な話も含めて話したようですけれども、現時点では、もう計画の必要性がないということで事業決定を廃止したのですけれども、もともと施設自体がまだ整備されていないということで、跡地の問題は生じていないということでございます。
○中静委員 宿舎もそうですか。
○国立公園課長 宿舎も同様でございます。
○中静委員 新しくできる園地の場所は、どう考えていますすか。
○事務局(坂口) 園地につきましては、既存のものを決定しています。また、既に他の事業として把握されていたものを、園地事業という形で把握し直したということで、今後、新たに執行されるものではありません。
○佐藤委員 基本的に私も中静委員と同じような疑問を持ちましたが、この数が変わっているのは、決定はされていたけれども事業がないというのが全部なのか、それとも今、事業を行っているけれども、例えばこの休憩所など、7から3になるというのは大分大きな変化だと思います。人が全然入っていなかったから問題がなくて3になったのか、そのあたり、方針があるのではないかと思います。全く使われていないものを今回廃止したということであれば、それはいいですが、そうでない場合は説明いただきたい。それは多分、これからのこの公園の利用形態と随分かかわりがあるのではないかと思います。
○事務局(阿蘇品) 尾瀬国立公園を管理しています関東事務所から参りました、国立公園保全整備課長の阿蘇品と申します。
今回の事業決定の変更ですが、公園計画の変更とあわせていまして、既に日光国立公園尾瀬地域時代にありました事業で、実際には施設が存在しないが事業決定されているものにつきまして、今回廃止するという案件もありますし、既に尾瀬地域の中で日光国立公園の公園事業として決定されていたものを、日光から分離して尾瀬国立公園として事業決定するという案件もありますので、45件と63件という形でずれが出てきているような状況になっています。
先ほども説明したように、例えば駐車場の数ですとか園地の数の増減というのは、旧計画で小規模なものが整備されているのを、今回、新たな計画では、駐車場の規模としては小規模なので、その周辺全体の計画を考えたときに園地に振りかえる、駐車場計画が単独であったものを削除して、○○園地という形で計画変更していますので、それに伴って事業決定も、駐車場をなくして新たな園地事業で決定したいという形にしていますので、基本的には既存の施設が存在するものについて事業決定を行っていますし、従来、事業決定があっても施設がないものについては、今回、廃止するといった形で整理しています。
○中村委員 ほとんど同じですが、皆さんが言われていないことで。
例えばトイレは、事業決定されていたのに公衆便所というのがなくなっていますけれども、これも同じように考えて、実際に実施される予定がなかったから、今回、削ったということですね。
そもそもこの委員会でこの事業決定と廃止についてどんなことを議論してほしいのかが見えないというか、独立して廃止は廃止だけで、決定は決定だけで、スライドを見ても、なぜこうなったのか、廃止したところがどういう場所で、決定したところはどういう場所なのか、そのつながりは何なのかを今後は説明していただかないとこの議論はできないと感じました。お願いします。
それから、実は私は最初のところで、「植生復元施設」という言葉を使うことにちょっと違和感があるいいますか、「施設」と言うからには施設そのものを何らかの形で維持管理していくというニュアンスに私には響いてしまいますが、もともと植生復元の基礎工的なものであるならば、自然に戻していくことが前提なのではないだろうか。それを施設としてずっと維持していくというトイレや歩道と位置づけることは、私はちょっと違和感があると感じましたけれども、その辺について、もしコメントがあればお願いします。
○国立公園課長 ちょっと説明がわかりづらかったかと思います。補足させていただきます。
前段で説明しました公園計画というのは、利用の全体を見てどういう施設をどこに置くべきかという、いわば利用の流れから見て位置決めをするというレベルのものです。事業決定となりますと、今度はその場所の自然環境のキャパシティですとか、実際に考えられる施設の大枠を考えて、その枠をはめるという手続です。実際に利用計画として宿舎をおとしても、その場所にどの程度のものがつくり得るかという観点も必要ですので、その観点を入れるのが事業決定です。そして審議会にお諮りして、どのくらいの規模だったらいいだろうかといったことを審議いただくのが本来の内容です。そこを飛ばして先に話してしまいましたので。
今回は、基本的にはそういう新たな決定内容、具体的な決定内容はないですが、「日光国立公園の」○○事業という形で告示していますので、形式上、それを「尾瀬国立公園の」と変更しなくてはいけない。これもまた事業決定の変更手続になってしまいますので、具体的に規模を変えるという変更手続ではなくて、頭につく公園名を変えるという変更手続になっていることから、具体的な説明を省略させていただいたということです。
具体的に検討いただくとすれば、まさに規模、その場所でその区域面積がとれるのかとか、その宿泊収容人員が適当なのか。例えば、今回の場合は、尾瀬の地域の宿泊収容人員は増やしていません。現状のままです。これを増やすもしくは減らすというのは大きな、まさに公園管理上の課題になりますので、これを変えるときには審議会で十分に審議いただくことになりますが、今回は整理というところが非常に大きくなっていますので、少しわかりにくかったかなと思います。
それから、植生復元施設ですが、これは「施設」と言っていますけれども、その植生自体も事業の対象となっていまして、論理的に言うと、最後はなくなる可能性があります。メンテナンスをして、維持管理も含めて事業ですので、植生復元施設事業というのは、工事をするだけではなくて、そこに植生を復元するというところを継続的に管理していくというのも含んで事業です。ですので、ものをつくるだけが事業ではないということと、最終的にどうなるか、最後は要らないのではないかというご指摘だと思いますけれども、ご指摘のとおり、最後、復元が成ったときには、理想的に言えばその事業は廃止されることも考えられると思います。
○廣瀬委員 私も中静委員と同じ質問があったのですが、それは了解しました。
2点目は、今、課長からのお話にもありました宿泊人員について、私も学生時代、山小屋のアルバイトをしていたので、山小屋がいかに非人間的な宿泊人数を入れるかはよくわかっていますが、「立って半畳寝て1畳」という状況が、山小屋では「寝ても半畳」ということで1畳2人換算がよく行われる。先日、富士山の8合目では1畳に4人でした。そういう実態が日本の山小屋では当たり前になっています。
しかし、これをこれからの国立公園管理の中で─例えば、ニュージーランドのミロードサントラックは40人のキャリイング・キャパシティがあると言われているんですが、あれはどういう換算でやっているのかというと、山小屋の人数です。自然環境でキャリイング・キャパシティを出すのは非常に難しいですが、そういう物理的な、人工的な施設で換算することは可能だということを考えると、本当にこの900人とか500人とか受け入れるだけのスペースがあるのかといったことも含めて、御池ロッジ以外は全部民間ですけれども、山小屋の管理人の方から出されている人数をそのまま受け入れるのではなくて、適正人数をもう一度算出し直し、それに応じてある程度の受け入れ規模を合意していくようなことが必要ではないかと思います。
○熊谷部会長 大変参考になるいい意見をいただきました。ありがとうございます。
○白幡委員 公園計画の変更と事業決定及び廃止については、大変わかりやすくなってよかったと思いますので、それについては特に意見はありませんが、国立公園のあり方というか、国立公園の理念みたいなものに、この新しい事業がどう結びつくのかちょっと教えていただきたいと思います。
例えば、今日は歩道という説明がありましたが、尾瀬は歩道というより木道が大変多いと思います。木道というのは、どれぐらい耐久年数があるのかなといつも思っているのですけれども、随分金がかかるのではないかと思います。だから、木道へのお金のかかりぐあいと利用率みたいなことを考えると、例えば、つけ変えのときには動線を変えて、ただ出発点と目的地があって、そこへ行くための道路ではないわけで、国立公園を味わうといいますか、しっかり享受するための道ですから、木道のつけ変えのときにはかつての動線計画ではない新しい動線をつくったり、そういうことも可能ではないかと思います。
そういうことについての研究、利用者の意見等を含めて考えてみると、大体直線なのですよね。余分に歩かせてという感じではないのですが、「国立公園事業」と言うときには少し楽しみだとかを誘導する、それから、それによってある1カ所への利用の集中を分散させる、いろいろな手法があると思いますけれども、そういう造園計画的な面での考え方は公園計画をつくるときに何か、もちろん合意されてやっておられると思いますが、出てくるテーマは保護規制計画と施設計画という合理的な話だけで、遊び心の入ったような造園計画というのはどんなところでつくられているのか。それは今日の合意の中で大体わかっているということなのか、その辺、もし説明していただけるならお聞きしたいと思います。
○国立公園課長 今回、事業決定につきましては、先ほどご説明したように、比較的キャパシティとか自然環境に対する影響という点に重きを置いて、いわば枠をはめるという感じですので、委員のご指摘の点はなかなか入っていないのですけれども、ご指摘の点は確かにそのとおりだと思いますし、国立公園の自然をいかに利用していただくかというのは、ただ最短距離を歩くだけではないと思います。そこにある質をいかに体験していただくか、自然環境への影響も考えながらデザインしていくことは必要なことですし、それがなくてはいけないと思います。
その大もとの考え方は、公園計画のときに、計画上にある程度の枠とした方針を書くことになろうかと思います。その後、具体的にどういうものを見せるか、どこに重点を置いて歩道を具体的にデザインしていくかという点につきましては、これまで、地元の意見等を聞いて管理計画をつくってきた中で、できる限り合意したものを書いていこうと。見どころみたいなものをどうするかといった点については、そこに書いていくというようなことも行っていました。それをさらにきめ細かく行っていく、何を楽しんでいただくかとか、何に感動していただくかというようなところについて踏み込んでできれば大変いい国立公園になると思いますので、その辺も、みんなそこへ押し込めてしまうのかと言われるかもしれませんが、今後、国立公園の管理運営のあり方を関係者の参画のもとに考えていく場づくりをしていきたいと考えていますので、その中でモデル的に考えていけたらと考えています。
まさに必要なことだと思います。なかなかそういうことが見えないところが多いということかもしれませんが、ぜひ尾瀬で先頭を切れたらと考えています。
○熊谷部会長 限られた時間ではございましたが、大変貴重なご質問とご意見をいただきました。ありがとうございました。
他に特段ご意見がないようでございますので、諮問第223号の国立公園事業の決定及び廃止については、適当と認めさせていただくことにご異議ございませんでしょうか。
(異議なし)
○熊谷部会長 それでは、本件については適当と認めさせていただくことにします。
以上で本日の諮問事項についての審議は終了しました。
これをもちまして本日の中央環境審議会自然環境部会を閉会します。ご協力ありがとうございました。
午後3時23分 閉会