中央環境審議会自然環境部会(第2回)議事録

開催日時

平成13年10月17日(水)14:39~16:31

開催場所

東條インペリアルパレス3階「扇の間」

出席委員

24委員

辻井 達一 部会長
安達 瞳子 委員
岩槻 邦男 委員
大沢 雅彦 委員
岡島 成行 委員
奥山 文雄 委員
川名 英子 委員
熊谷 洋一 委員
小塚 茂 委員
白幡 洋三郎 委員
鈴木 継美 委員
瀬田 信哉 委員
仙田 満 委員
立花 直美 委員
服部 明世 委員
馬場 征彦 委員
藤原 一繪 委員
三澤 毅 委員
森戸 哲 委員
山岸 哲 委員
養老 孟司 委員
鷲谷 いづみ 委員
渡辺 修 委員
和里田 義雄 委員

議第

  1. (1)諮問事項
       霧島屋久国立公園(屋久島地域)の公園区域及び公園計画の変更について
  2. (2)その他

配布資料

  • 資料1  霧島屋久国立公園(屋久島地域)の公園区域及び公園計画の変更案の概要
  • 資料2  霧島屋久国立公園(屋久島地域)指定書及び公園計画書(案)
  • 資料3  霧島屋久国立公園(屋久島地域)の公園区域及び公園計画の変更に関する
         パブリック・コメント実施結果について
  • 参考資料 国立・国定公園と中央環境審議会自然環境部会との関わりについて

会議録

(開会午後2時39分)

田部国立公園課長  お待たせいたしております。あとお二人の先生がお見えになっておりませんけれども、時間も参っておりますので、これから中央環境審議会自然環境部会を開催させていただきたいと思います。
 本日は、所属委員30名のうち、現在22名の委員のご出席をいただいておりますので、本部会は成立いたしております。
 それでは、辻井部会長、よろしくお願いいたします。
辻井部会長  それでは、中央環境審議会自然環境部会を開催いたします。
 審議に先立ちまして、小林自然環境局長からごあいさつをお願いしたいと思います。
小林自然環境局長  自然環境局長の小林でございます。先ほどの自然環境部会野生生物部会合同部会に引き続きまして、自然環境部会を開催していただきましたことに対して、厚く御礼を申し上げます。
 環境省が今年の1月に発足しまして、名前も、従来の自然保護局から自然環境局へと名称を改めまして、先ほどの国家戦略の見直しの関係資料でもご説明申し上げましたとおり、森林とか河川とか、幅広い分野に環境行政が関与する、共管事務という形でございますけれども関与して、自然環境の推進に努めていくということになりました。そういう中で、先ほどのご議論の生物多様性国家戦略というのも、また一層の厚みを増していくものと考えてございます。
 本日の自然環境部会につきましては、霧島屋久国立公園(屋久島地域)の公園区域及び公園計画の変更について、ご審議いただきたいと思っております。屋久島は、いろいろな意味で自然保護の原点的な地域でもございまして、いろいろな意味で問題も抱えてございます。そういう意味で、屋久島地域の適正な保護と利用を推進する上で重要な案件でございますので、よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
 どうもありがとうございました。
辻井部会長  本日の部会は、ご存じと思いますが、公開となっております。したがいまして、本日の会議録、後ほど事務局で作成されますが、本日ご出席の委員の了承を得た上で公開することとなりますので、ご承知おきいただければ幸いです。
 それから、議事要旨につきましても事務局で作成してもらって、部会長が了承の上、公開するということになっております。これもご了承いただきたいと思います。
 それでは、審議に入ります前に、事務局から本日の配布資料の確認と、あわせて自然公園制度の仕組みと本部会の位置づけについてご説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
田部国立公園課長  申しおくれましたけれども、国立公園課長の田部でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 お手元の資料でございますけれども、部会会議次第、座席表、それから委員名簿、本日の諮問に係る諮問書、その裏に中央環境審議会会長から当自然環境部会長への付議の書類、その後に、配付資料一覧ということで資料が入っております。資料番号が1から3までの本日の審議に係る資料と、それから、これよりちょっと説明させていただきます参考資料というものが入っております。もし抜けているようなものがあれば、事務局の方にお申し出いただきたいと思います。
 それでは、本日は、霧島屋久国立公園の屋久島地域の公園区域の変更と公園計画の変更ということでの審議をいただくことになっております。国立公園関係の案件ということで当中央環境審議会の自然環境部会で審議されるということは、本日が最初ということになりますので、少し時間をいただきまして、国立・国定公園と当審議会とのかかわりについてご説明させていただきたいと思います。
 資料につきましては、先ほどの最後の参考資料という資料を御覧いただきたいと思います。
 1枚あけていただきますと、「国立公園・国定公園について」という資料が1枚入っております。
 まず、国立公園・国定公園の指定でございますけれども、国立公園は、我が国の風景を代表するに足りる傑出した自然の風景地ということで、当審議会の意見を聞いて環境大臣が指定するという形になっております。また、国定公園は、国立公園に準ずるということでのすぐれた自然の風景地。これは、都道府県の申し出によりまして環境大臣が指定するということでございますけれども、これも審議会のご意見を伺った上で指定するということでございまして、いずれも、指定に際しましては審議会のご意見を伺うということでございます。
 また、この指定地域を削除する、あるいは変更するという場合も、指定に際してと同様に審議会のご意見を伺うということでございまして、本日は、霧島屋久国立公園(屋久島地域)の指定地域の変更ということでお諮りするということになっております。
 なお、国立公園・国定公園、ここにありますように、箇所数、面積、国土面積率が出ておりますけれども、このほかに都道府県立の自然公園というのがございます。これは、条例に基づきまして都道府県が指定するということになっておりまして、当審議会においては関与することはございません。
 次に、2番の管理というところでございますけれども、これは、指定された公園をどのように保護、あるいは整備していくかという段階のお話に移ってくるわけでございます。国立・国定公園の目的というのは大きく2つございます。まず1つは、すぐれた自然風景地を保護するということ。2つ目は、その自然風景地で自然との触れ合い利用を推進していくということでございます。この2つの目的を達成するために、環境大臣は、指定された各国立・国定公園ごとに計画を策定いたしまして、その計画に基づいて風景を保護するための開発規制を行う。また、利用を進めるための公園施設を整備するということになります。この環境大臣が策定いたします計画を「公園計画」というように呼んでおりまして、この計画を決定する際も、指定と同様に、当審議会のご意見を伺うということになっております。
 また、計画を変更する際も、同様、ご意見を伺うということでございまして、屋久島の公園計画の変更ということで本日ご審議をいただくということになっております。
 この計画に基づきまして、保護のための規制、あるいは利用のための公園事業の展開ということが次になってくるわけでございます。公園規制につきましては、公園計画に基づきまして、公園区域の中を特別保護地区、1種、2種、3種の特別地域、あるいは海中公園地区などに指定いたします。これらの地域では、各種の開発行為をする際は、国立公園の場合は環境大臣の許可、国定公園の場合は都道府県知事の許可が必要であるということで行為が規制されるわけでございます。
 次の公園事業でございますけれども、公園計画に基づきまして、保護、あるいは利用のために必要な施設を整備運営する事業が実施されることになりますが、この事業を実施するに先立ちましては、事業の位置、規模などの事業概要を決定する手続がこの後、出てまいります。
これを事業決定と申しておりまして、国立公園の場合は環境大臣が行いますし、国定公園の場合は都道府県知事が行うことになります。国立公園に関しまして事業を決定する際にも、当審議会のご意見を伺うということが定められております。この公園事業決定という手続の後に公園事業が実施されるということになりまして、事業の実施主体は、国立公園の場合は国が行いますけれども、地方自治体、都道府県でありますとか市町村、あるいは民間の企業等も環境大臣の認可を受ける等によりまして実施することができるということになっております。
 3番に管理体制ということで書いてございますけれども、国立公園の場合は、全国28の国立公園を11のブロックに分けまして、自然保護事務所を配置し、管理しております。さらに、自然保護事務所の出先といたしまして、11の支所と67カ所の自然保護官事務所を設置しておりまして、そこに自然保護官、レンジャーが駐在しております。
現在、自然保護事務所、支所、自然保護官事務所を合わせまして、210名の体制で現地の管理を行っているところでございます。
なお、国定公園につきましては、公園の指定、公園計画の策定までは国が行いますけれども、その後の管理につきましては、事業決定、あるいは指定地域の開発許可等の管理に当たりましては都道府県が行うという形になっております。
次のページをあけていただきたいと思います。
今申し上げたところをフローで示させていただいておりますけれども、まず、国立・国定公園の区域の指定という段階で当審議会のご意見を伺います。次に、公園計画を策定という段階でご意見を伺うということでございます。
 公園計画の内容でございますけれども、ここにありますように、保護計画と利用計画と大きく2つに分かれております。保護のための計画でございますけれども、風景を保護するという目的のために、行為を規制するための規制計画、それから保護施設を整備するための施設計画がございます。また、利用の計画につきましては、利用施設をどこに配置するかという形での利用施設計画がございます。
 保護計画の仕組みでございますけれども、図表の左下にありますように、一定の行為を行う場合、許可が必要となるということで、特別地域においては許可が要る。あるいは、その下にございます普通地域については届出が必要であるということでございます。特別地域は、さらに特別保護地区と1種から3種の特別地域に分かれておりまして、また、海の中には海中公園地区を設定するということも可能でございます。これらの地域におきまして道路を整備するとか森林を伐採するとかいった際には、環境大臣の許可が必要であるという仕組みでございます。国定公園の場合につきましては、都道府県知事の許可ということになります。特別保護地区につきましては、通常の特別地域よりもさらに厳しい規制が課されておりまして、例えば、植物の採取につきましても、落葉、落枝を採取することも許可の対象となっているというような状況でございます。この国立公園を特別保護地区、特別地域、あるいは普通地域等に地種区分する作業が保護計画の内容になっております。
 次に、利用計画の方でございますけれども、図表の右下、公園事業という枠の中に11項目の施設が書かれております。さらに、具体的な施設の数としては37になるのでございますけれども、利用計画と申しますのは、これらの施設を公園内のどこに整備するかということを決定する内容になってまいります。計画の段階では、5万分の1の図表の中に位置を示すということになりますけれども、これは、さらに事業の内容が具体化していく段階の中で、先ほど申し上げました事業決定という手続をいたしまして、事業区域、あるいは事業規模等の概要を決定していくことになります。これが、先ほど申しました事業決定でございまして、その際も当審議会のご意見を伺うということになっております。
 次に、3ページでございますけれども、審議会で議論していただく案件につきまして、当自然環境部会で議論していただくものと、自然公園小委員会で審議していただくものとの区分を示させていただいております。ご審議いただく案件につきましては、左端の欄にあります公園の指定等の段階、それから公園計画の決定等の段階、公園事業の決定等の段階、3つに大きく分かれております。
 公園の指定等につきましては、指定としまして、新たな公園の指定、それから全区域を解除する場合の解除、それから区域を若干ふやしたり減らしたりする、区域の変更という3つに分かれておりまして、このいずれもご意見を伺うわけでございますけれども、区域の変更のうち、1,000ヘクタールを超えない範囲での区域の変更につきましては、小委員会の専管事項という形になっております。今回の案件につきましては、1,000ヘクタールを超えますので部会の案件となっているところでございます。
次に、公園計画の決定等でございますけれども、公園区域の変更面積が1,000ヘクタールを超えない場合の公園計画の変更につきましては小委員会の専管事項、それ以上の案件につきましては部会でご審議いただくという形になっております。
 それから、第3段階の公園事業の決定等でございますけれども、これは、すべて小委員会でご議論いただくという形になっております。
 なお、国定公園につきましては知事が決定するということで、審議会のかかわりはございません。
 最後に、4ページ目でございますけれども、本日ご審議いただきます公園区域、公園計画の変更につきましては、ここにありますような実務フローによって行われてきておりますので、簡単に紹介させていただきます。
 国立公園と国定公園に分かれておりますけれども、国立公園の場合は、すべて環境省の機関でやっております。現地の事務所におきまして素案を作成、事務所案作成ということで、国の出先機関でありますとか、都道府県、市町村などの事前協議を行いまして、これが固まってまいります。この案をもって先ほどの機関と正式に協議を行いまして、環境省原案という形で固まりますけれども、この環境省原案ができますと、パブリックコメントということで、広く国民の皆様に案を公表させていただきまして、その提出されたご意見、情報を考慮して、修正が必要な場合には修正するという作業を行います。あわせて、国の出先機関、関係都道府県に公文で協議を行います。この結果できたものが環境省案ということで、現在お示ししている案でございますけれども、この案につきましては、環境大臣から関係大臣に公文で協議させていただくとともに、本日のように当審議会のご意見を伺うという2つの段階を経まして、告示がなされるというのが一連の作業になっております。
 国定公園の案件につきましては、国立公園の場合の素案の作成、事務所案に相当する段階の案の作成につきましては、都道府県に作成していただきまして、これを環境省に申し入れという形で出していただき、その後は国立公園と同様の手続をとっていくことになります。
 以上、国立公園・国定公園の制度と、当審議会で審議していただく内容についてご説明させていただきました。
 それでは、部会長、よろしくお願いいたします。
辻井部会長  どうもありがとうございました。
 国立公園の自然公園制度の仕組み、それから当部会の位置づけについての説明を今受けました。何かご質問はございますでしょうか。
 では、よろしければ、本日の審議事項に入りたいと思います。
 諮問第6号の「霧島屋久国立公園(屋久島地域)の公園区域及び公園計画の変更について」ということでございますが、諮問書の朗読は省略させていただきます。事務局から内容を説明してもらって始めたいと思います。よろしくお願いします。
阿蘇品公園計画専門官  国立公園課で公園計画を担当いたしております阿蘇品と申します。
どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、諮問第6号「霧島屋久国立公園(屋久島地域)の公園区域及び公園計画の変更について」をご説明いたします。
 お手元にお配りしてございます資料1とスライドとを用いまして、ご説明させていただきます。
 主な経緯でございますが、屋久島地域は、錦江湾地域とともに、昭和39年3月16日に霧島国立公園に編入され、国立公園となっております。その際、名称も、現在の霧島屋久国立公園に変更されております。その後、部分的な変更は行われましたものの、全般的な見直しは行われていませんので、今回、37年ぶりに公園区域及び公園計画の変更を行うものでございます。
 次に、公園の概要についてご説明いたします。屋久島は、鹿児島県の佐多岬から南方へ60キロの海上に位置し、東西28キロ、南北24キロ、周囲は132キロの島で、面積は約5万ヘクタールでございます。公園は、島の中央部に位置します宮之浦岳を初めとする山岳部を中心にすそ野に広がっており、面積は、島の約37%に当たる1万8,727ヘクタールでございます。行政界は、上屋久島と屋久町にほぼ均等にまたがっております。
次に、景観の特徴でございますが、九州の最高峰、宮之浦岳を初めとしまして、1,000メートル以上の山々が連なる山岳景観を呈しており、亜熱帯植生から冷温帯植生に至る植物が分布し、樹齢千年を超えるヤクスギを初め、原生林やシイ・カシ等の照葉樹林に、特異な動植物や固有種が数多く見られます。年間の降水量も多いことから、随所に滝を形成いたしております。
植物相でございますが、海岸付近のアコウ・ガジュマルなどの亜熱帯植生やシイ・カシなどの暖帯植生から、スギ、モミ、ツガなどの温帯植生を経まして、ヤクザサ、ヤクシマシャクナゲなどの冷温帯植生に至る多様な植生の垂直分布が顕著に見られます。さらに、地形的特性から、数多くの固有種を初め、南限種や北限種も確認されています。
また、樹齢数千年と言われます縄文杉や大王杉等が大変有名でございます。
 これは縄文杉でございます。樹高が25.3メートル、胸高の周囲が16.4メートル、樹齢は2,170年説から7,200年説までございます。大王杉でございます。これは紀元杉でございます。
次に、動物相でございますけれども、このように、ヤクシカ、ヤクシマザルなどの固有亜種や、アカヒゲ、イイジマムシクイ等の天然記念物など、哺乳類9科16種、鳥類44科168種、昆虫9,000種が生息いたしております。
次に、利用の形態でございますが、屋久島への到達手段は、鹿児島からの空路と船舶に限られております。
年間の入島者数でございますが、平成元年の高速艇の就航を契機といたしまして増加いたしておりまして、平成12年には26万3,000人を数えております。このうち観光客数は6割程度と推測されておりまして、その多くは、登山や自然探勝となっております。
 赤い線が島内の主要道路でございます。
 登山は、縄文杉登山が最も多く、荒川口から森林軌道を歩き、ウィルソン株を経て縄文杉へ、さらに宮之浦岳や花之江河を経て淀川口におりるのが一般的でございます。
 自然探勝は、環境文化村センター、あるいは屋久杉自然館などの諸施設で情報を得て、ヤクスギランド、白谷雲水峡、大川の滝、千尋の滝などの利用が一般的でございます。最近では、ガイドつきのエコツアーなども盛んに行われております。
 以上が公園の概要でございます。
 お手元に資料をお配りしてございませんけれども、屋久島は、国立公園以外にも各種制度により保護が図られておりますので、国立公園との関係を含めて、簡単にご説明いたします。
 この赤い線が国立公園の区域でございます。
 最初に、原生自然環境保全地域でございます。黄色い線の中でございます。
 自然環境が人の活動によって影響を受けることなく、原生の状態を維持している区域のうち保全することが特に必要な地域を、環境大臣が自然環境保全法に基づき指定・管理する地域でございます。指定は昭和50年で、その面積は1,219ヘクタールあります。なお、国立公園とは重複しないこととなっております。地域内では一定の行為を規制しており、例えば、工作物を設けたり動物を捕獲する場合には、環境大臣の許可を受ける必要があります。
次に、世界遺産地域でございます。緑の線で示した範囲でございます。
屋久島は、世界的に特異な樹齢数千年のヤクスギを初め、多くの固有種を含む生物相を有するとともに、海岸部から冷温帯に及ぶ植生の典型的な垂直分布が見られるなど、特異な生態系やすぐれた自然環境を有している地域であることから、平成5年12月に「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」に基づき、世界遺産リストに登録されたものでございます。
 なお、世界遺産地域のすべてが国立公園に含まれております。その面積は1万747ヘクタールでございます。
特に制限等はございませんが、関係機関が協力して、それぞれの所管法で効率的・効果的な管理を行っております。
次に、森林生態系保護地域でございます。青い線の範囲でございます。
原生的な天然林を保存することにより、森林生態系から成る自然環境の維持、動植物の保護、遺伝資源の保護、森林施業や管理技術の発展、学術研究等に資することを目的に、林野庁が訓令に基づき平成4年に設定され、管理されている地域でございます。国立公園とも重複いたしております。その範囲は、今回の公園区域の拡張により一部の地域を残すのみとなっております。面積は1万5,185ヘクタールでございます。
具体的には法的規制はございませんが、人手を加えず、自然の推移にゆだねる地域と木材生産を目的とする森林施業は行わず、教育的利用や森林レクリエーションの場として活用される地域となっております。
このほかにも、文化財保護法に基づく指定が行われております。茶色い線の範囲でございます。
 ヤクスギの原始林一帯が昭和29年に屋久島スギ原始林特別天然記念物として指定されております。面積は4,392ヘクタールでございます。国立公園の特別保護地区約6割程度が特別天然記念物に指定されております。現状を変更する場合には、文化庁長官の許可を受ける必要がございます。
 以上が、他の制度の概要でございます。
 それでは、今回の変更案の概要についてご説明いたします。
 今回の変更案は、平成5年の世界遺産登録、あるいは平成9年のIUCN調査団の世界遺産地域管理状況視察時の指摘や学術調査報告書をもとに、以下の5点をポイントといたしております。世界遺産地域周辺で自然環境のすぐれた地域の公園区域の拡大、海岸線や海岸部分を公園区域に拡大、海中景観のすぐれた海域を海中公園に指定、自然環境に応じた地種区分の変更、さらに、現在の利用形態に応じた適正な施設の配置の観点から変更案を作成いたしております。
 順を追ってご説明いたします。
 最初に、公園区域の変更でございます。
 陸域の拡張箇所が11カ所、2,392ヘクタール、海面の区域編入及び陸域の削除が130ヘクタールございます。これによりまして、屋久島地域の陸域公園面積は2,262ヘクタール増加いたしまして、現在の1万8,727ヘクタールから2万989ヘクタールとなります。
この地図で着色されている部分が今回の変更箇所でございます。
お手元に、資料2という冊子がございます。冊子の後ろの方に図面が3冊ほど入っておりますけれども、その中に区域図及び保護規制計画変更図というのがございますので、あわせてごらんいただければと思います。
 この地域が、いなか浜・前浜でございます。アカウミガメが日本で最も多く産卵のために上陸するのが観察される砂浜の風致の維持を図るため、10ヘクタールを区域拡張し、第2種特別地域とするものでございます。
 次に、この2地域でございます。2地域は、世界遺産登録地域及び特別保護地区のバッファーゾーンとして拡張するものでございます。
七五岳一帯と花崗岩の一枚岩を流れおりる千尋の滝や、その周辺のすぐれた自然の風致の維持を図るため、合わせて732ヘクタールの区域を拡張し、第2種特別地域とするものでございます。
 次に、海岸部の地域でございます。栗生、仲間の海岸線には、マルバニッケイやウバメガシなどの海岸風衝低木林が見られる地域でございます。これらの森林の風致の維持を図るため、33ヘクタールの区域を拡張し、第2種特別地域とするものでございます。先端部には、このように塚崎タイドプールがございます。
 次に、屋久島原生自然環境保全地域西方の花山歩道沿線、白谷雲水峡一帯、龍神杉歩道沿線、それに永田歩道沿線の4地域でございます。
これら歩道沿線の風致の維持を図るために、1,542ヘクタールの区域を拡張し、第3種特別地域とするものでございます。この地域のうち、白谷雲水峡ですが、林野庁の自然休養林にも指定されており、多くの利用者が訪れているところでございます。
 次は、大川の滝周辺でございます。落差88メートルもある大川の滝と、その一帯に広がるシイ・カシ林の風致の維持を図るため、14ヘクタールの区域を拡張し、第3種特別地域とするものでございます。
 次に、田代海岸一帯でございます。枕状溶岩や海岸風衝低木林などの風致の維持を図るため、50ヘクタールの区域を拡張し、第3種特別地域とするものでございます。
 陸域、拡張部分の最後は、安房川流域の河畔林部分でございます。
この地域は、照葉樹の自然林が見られるなど、すぐれた地域でありますので、その風致の維持を図るため、12ヘクタールの区域を拡張し、第3種特別地域とするものでございます。この安房川は、最近、カヌーツアー等によく利用されております。
 次に、海面の指定でございます。青く描かれている部分でございます。陸域が公園区域となっている地先海面の1キロメートル、または海中公園地区の周囲1キロメートルの範囲でございます。
 なお、この海域のうち、漁港区域等は今回除いております。
 屋久島は、今まで陸域のみの国立公園でしたけれども、これによりまして海域を含めた国立公園となります。
 次に、公園区域から削除する部分でございます。この地域でございます。尾之間集団施設地区として、利用施設を集団的に整備する候補地として公園区域に含めていたものでございますが、役場等のある集落に隣接しており、公園利用施設以外の整備が進んでいることや果樹園としての利用がなされており、今後とも公園利用施設の整備の必要性は乏しく、また、自然の資質も低下していることから、130ヘクタールの公園区域を削除するものであります。
以上が、公園区域の変更に係る部分でございます。
続きまして、海中公園地区の指定についてご説明いたします。
海中公園地区の指定は、栗生地区に3カ所ございます。この部分でございます。この地域は、クシハダミドリイシ等のサンゴやタテジマキンチャクダイ、ニジハギ、クマノミなどの魚類が豊富に見られるなど、すぐれた海中景観を呈していることから、その保護を図るため海中公園にするものでございます。3カ所で114.4ヘクタールほどございます。
次に、地種区分の変更でございます。
保護を強化する箇所が5カ所、緩和する箇所が1カ所ございます。
 まずは西部地域でございます。この地域は世界遺産地域にも登録されており、このように海から山頂までが国立公園として保護されるようになります。海岸から山頂部まで植生の垂直分布が残されている貴重な地域でございますので、これらの景観の保護強化を図るため、現在の第1種特別地域から特別保護地区に格上げするものでございます。変更部分の面積は610ヘクタールでございます。
次に、縄文杉南方の地域でございます。この地域は、大王杉や夫婦杉などのすぐれた杉の自然林が見られる地域ですので、これら景観の保護を図るため、第3種特別地域から特別保護地区に格上げするものでございます。変更部分の面積は84ヘクタールでございます。
 以上の2カ所が、新しく特別保護地区となる箇所でございます。
 なお、有名なウィルソン株や縄文杉一帯は、既に特別保護地区となっております。
 次に、新しく第1種特別地域になるところでございます。この地域は、杉の自然林が見られるなど、世界遺産登録地域でもございます。
今まで第3種特別地域だったところでございますが、IUCNの指摘等もあり、良好な自然環境の保護を図るため、294ヘクタールを第1種特別地域に格上げするものでございます。今回の格上げによりまして、屋久島の世界遺産登録地はすべて特別保護地区もしくは第1種特別地域となります。
 次に、安房地区から荒川口や淀川口への到達道路沿線でございます。
道路沿線の風致の維持を図り、均衡のとれた保護規制計画とするため、道路沿線は第2種特別地域として整理するものでございます。このため、第3種特別地域からの格上げは306ヘクタール、第1種特別地域からの格下げが82ヘクタールございます。
 次に、車馬の乗り入れ規制地域の指定でございます。
 乗り入れ規制地域は、自然公園法に基づき、車馬もしくは動力船を使用し又は航空機の着陸等を制限する地域でございます。特別地域の風致景観を構成する植生の保護や野生生物の生息・生育環境等の悪化を防止するために指定するものでございます。今回、前浜、いなか浜及び田代海岸の3カ所を指定するものでございます。
 前浜、いなか浜は、ウミガメが日本で最も産卵のために上陸する浜であることから、オフロード車等の乗り入れを規制するものでございます。
 また、田代海岸は、このように枕状溶岩地形であることからも、車両の乗り入れを規制するものでございます。
 最後に、施設計画についてご説明いたします。
 施設計画には、保護施設と利用施設とがございます。
 保護施設計画といたしましては、植生復元施設ですとか砂防施設等がございます。この計画を決定することによって、植生復元施設ですと、植生を復元するための木道の整備や土砂の流入防止、あるいは植物の植栽などの事業を行うことが可能となります。
 利用施設計画といたしましては、集団施設地区、単独施設、道路、運輸施設等がございます。これらの計画を決定することによって、計画に応じた施設が整備できるようになります。
 なお、施設の種類によって、鹿児島県へ2分の1の補助を行うことが可能となります。
 具体的な例といたしましては、今回計画を決定し、その後、施設規模等を定める事業決定を行うことにより、このように歩道や避難小屋などの整備事業が可能となります。
 では、まず、現計画についてご説明いたします。赤い線が車道でございます。緑の線が歩道、赤い二重丸が集団施設地区でございます。
赤く塗りつぶした丸が避難小屋とか駐車場といった単独の施設でございます。これが、今回の変更でこのようになります。
 それでは、1つずつ順を追ってご説明いたします。
 まず、植生復元施設でございます。この地域は、花之江河・小花之江河でございまして、我が国最南端の高層湿原ですが、雨が多いことから、登山道から流入する土砂などが原因で湿原の荒廃が徐々に進んでいる地域でございます。その防止と植生の復元を図るため、新たに植生復元施設計画を追加するものでございます。具体的な整備方法等につきましては、今後、専門家等の意見を聞きながら、景観や環境にも十分配慮して実施することといたしております。
 次に、利用計画のうち、集団施設地区でございます。この地域でございます。集団施設地区は、区域を定め、その区域の整備方針を定めることにより、複数の施設を整備することができます。
 尾之間集団施設地区は、利用施設を集団的に整備する候補地として以前から計画されていたものでございますが、先ほども申しましたように、役場などのある集落に隣接していることから公園利用施設以外の整備が進んでおり、また果樹園などもふえてきておりますので、今後とも公園利用施設の整備の必要性が乏しく、自然の資質も低下していることから、集団施設地区の区域を200ヘクタールから32.7ヘクタールに縮小し、さらに整備方針を明確化するものでございます。
次に、単独施設についてご説明いたします。
屋久島の公園利用は縄文杉に集中している状況にあるため、これらを分散するとともに、魅力ある新たな利用拠点を創設することに力点を置いた計画といたしております。
具体的にご説明いたします。現計画はこのように決定されております。今回の区域の拡張に伴い、その計画は次のようになります。いなか浜・前浜に園地計画、白谷雲水峡に園地計画、楠川歩道沿線に白谷避難小屋、宮之浦岳登山道沿いに新高塚避難小屋、昔の林業基地跡の小杉谷に園地と野営場、永田歩道沿線の鹿の沢に避難小屋、新しく区域に編入する田代海岸に園地、縄文杉への登山口であります荒川口登山口に園地、新しく区域に編入する安房川河畔に園地、ヤクスギランドから黒見岳への登山道沿いに石塚避難小屋、ヤクスギランドの利用者のために、ヤクスギランドに園地、淀川から宮之浦岳登山のために淀川避難小屋、淀川から花之江河への淀川登山口に園地、新しく区域に編入する大川の滝に園地、新しく区域に編入する栗生地区に園地と野営場、それに千尋の滝一帯に園地計画をそれぞれ決定するものでございます。
 青い丸印は、前計画から名称を変更するものや、実態に合わせまして、現在宿舎計画となっているものを避難小屋等に振りかえるものでございます。黄色い丸印につきましては新規の計画となります。したがいまして、残りの赤い丸印は、必要性に乏しく、今後とも整備の可能性がないことから、今回計画から削除するものでございます。
 最終的にはこのような配置となります。ちなみに、園地計画を決定することによりまして事業決定を行い、一定の範囲内で自然探勝のための歩道や休憩所、あるいは便所といったものが整備可能となります。
次に、道路計画についてご説明いたします。
現計画はこのようになっております。赤い線が車道でございます。
緑の線が歩道となっております。
公園区域が、今回、このように変更されます。
実際に車道が整備され、公園利用道路として利用されている路線が、この路線でございます。したがいまして、この路線を車道計画に位置づけるものでございます。左端の方から、永田栗生線、淀川登山口線、荒川谷線、以上の3路線が車道として今回決定するものでございます。
 屋久島の長年の懸案でございました道路が、この路線でございます。
安房から荒川へは県道が整備されましたことから、車道計画はこの区間は必要ないということで、今回、計画を廃止するものでございます。
 なお、縄文杉へ向かいますこの区間につきましては、歩道計画に位置づけるものでございます。現実的には森林軌道敷を歩くことになるわけでございますが、昨年、鹿児島県と地元の屋久島森林管理署で利用協定が締結されており、これによりまして、今後は利用者の安全を確保するための待避場ですとか橋梁への手すり、あるいは標識等の整備が可能となります。
 歩道のうち最も利用の多いのは、縄文杉へ向かう2本のルートでございます。これ以外にも、利用の実態、あるいは利用の分散を図るため、必要な路線を今回公園計画に位置づけたものでございます。
 残りました赤い車道、緑の歩道計画につきましては、必要性に乏しいことから今回の計画から削除するものでございます。
 最後になりますが、運輸施設計画についてご説明いたします。
 今回、海中公園に指定いたしました地域には、民営のグラスボートが就航いたしております。公園区域内のグラスボートの航路を運輸施設として公園計画に位置づけるものでございます。
 以上が、「公園区域及び公園計画の変更」についてでございます。
 それから、お手元にお配りしてございます資料について、簡単にご説明いたします。
 右上に「資料2」という分厚い冊子がございます。これが、今までご説明いたしました屋久島地域の公園の指定書、あるいは公園の計画書というふうになっております。
 最初の、中に薄緑の表紙がございます。それが指定書となっております。屋久島地域の概要を記載いたしまして、最後に全体の区域を明示いたしております。
 それから、次の緑色の中表紙から以降が公園計画を記載いたしております。保護計画から利用計画といった形で整理されているものでございます。特別保護地区、第1種特別地域、第2種、第3種といった形で区域を明示いたしております。
 それから、81ページ、82ページをごらんいただきたいと思います。
先ほど申しましたように、今回、海中公園地区を新たに指定いたしますので、海中公園地区の中で捕獲、あるいは殺傷したりする場合に許可を受ける必要が出てくるということで、環境大臣が指定動植物を指定するようになっております。それらのリストが81ページと82ページに掲載されております。44科233種の動植物を指定いたします。
それから、後ろの方に3枚ほど図面が入っております。先ほども見ていただきましたけれども、今回の公園区域及び保護規制計画の変更図が1枚ございます。それから、公園区域を含めまして、最終的な保護規制計画図が1枚ございます。その中に丸等がかなり記載してございますけれども、これが公園区域の表示であったり特別保護地区の境界線を表示しているものでございます。その表示の例というのが、中に3枚ほどで加えさせていただいております。それから、利用計画の最終的なもの、施設計画図というのが入っております。以上の3枚が図面類でございます。
 それから、変更案に対する国民からの意見、パブリックコメントを行っておりますので、それについて簡単にご説明いたします。
 資料の3でございます。環境省のホームページに30日間掲載いたしまして、意見をいただいております。
 裏の方に今回寄せられました意見が書かれておりますけれども、さらに区域の拡張を望むという意見が6件ほど出ております。この中で、最初の春田浜と安房川下流右岸でございますけれども、この区域について拡張してはどうかという意見がございましたが、これにつきましては、今回の当初案の時点で案がございました。基本的に、環境省といたしましても地権者等と調整いたしたわけでございますけれども、同意を得られなかったということで今回の案からは外れております。
それ以外の馬毛島ですとか土面川流域等の新たな区域の拡張とあわせまして、今後とも関係機関との調整を進めながら公園区域への編入というものを検討していきたいというふうに考えております。
 それから、規制強化を望む意見でございますけれども、白谷雲水峡一帯が現在第3種特別地域ということで今回お諮りしておりますが、もっと保護強化をしろということでございます。これにつきましても関係機関と調整を行ったわけでございますけれども、今回は第3種特別地域ということで了解を受けております。これにつきましても、今後、次の点検等に伴いまして、さらに保護規制強化を検討していきたいというふうに考えております。
 その他の意見が4点ほど出ておりますけれども、これについては説明はご省略させていただきたいというふうに思います。
 以上で、今回の公園区域及び公園計画の変更についてのご説明を終わらせていただきます。
辻井部会長  どうもありがとうございました。
 では、この案件につきましてご質問、ご意見をいただきたいと思いますが、どなたからでもどうぞ。
和里田委員  今の最後のパブリックコメントの際の地権者との調整というお話がありましたけれども、これの区域拡大ですとか、指定を受けたときの、その地権者が受けるデメリットと、それに対する対応というのはどういうふうになっているのか、ちょっと不勉強なので教えていただければと思います。
阿蘇品公園計画専門官  先ほど当初案でございましたというところにつきましては、国有林の部分と民有地の部分がございました。どういったメリットがあるかということでございますけれども、国立公園に指定されることによりまして、地種区分にもよりますけれども、森林であります場合に、税の免除ですとか固定資産税の減免といった措置が図られるようになっております。
和里田委員  デメリットの方もお聞きしたいのですけれども。あと、それに対する措置と。
阿蘇品公園計画専門官  デメリットといいますと、今までは自然公園法に基づく手続等は要しなかったわけでございますけれども、自分の土地で家を建てたりする場合に、許可を受けなくてはならないといった形がデメリットになろうかと思います。住宅等ですと手続をいただければ許可になりますけれども、観光的な開発施設になると、その公園の資質によって決められる規制計画によっては、建てられないといったことも生じてくるかと思います。
辻井部会長  よろしゅうございますか。
 具体的には、この白谷雲水峡というのは国有林ですか。
阿蘇品公園計画専門官  国有林の自然休養林になっております。
辻井部会長  ほかにいかがでございましょうか。
小塚委員  小塚でございます。前もって資料を送っていただいておったのですが、十分点検ができなかったものですからあえてお尋ねいたします。
屋久島の森林管理署が管理する国有林がかなり拡張の対象になっておりますけれども、先ほど説明がありましたように、素案作成の段階から本日ご説明いただいたものに至る経過の中で、林野庁を含めてさまざま調整はされてきたと思いますが、特にその過程の中で、論議といいますか、調整の焦点といいますか、こういうものがもしあったとすれば、参考までにお聞かせいただきたいと思います。
辻井部会長  お願いします。
阿蘇品公園計画専門官  先ほどご説明いたしましたけれども、当初案では、先ほどご説明した区域以外にもございました。そこについて環境省で調査した資料が若干不足なところもあって、そういったところについては調整ができなかった部分もあります。
 それから、一番調整上で大変だったところは、区域を拡張するところの環境省からする保護規制のランクと申しますか、特別地域の地種区分なんですけれども、そこを調整するときが一番大変でございました。今回、第2種特別地域と第3種特別地域という形で、新たに区域を拡張いたしておりますけれども、色づけが変わっております。これにつきましては、国有林当局と調整する中で、ウミガメが産卵のために上陸する浜ですとか、特別保護地区、あるいはもう世界遺産地域のバッファーゾーンのところで特異な景観を有しているところについては、第2種特別地域に上げさせていただきたいということで調整いたしまして、今回、それ以外の地域につきましては利用計画の追加等に伴う区域の拡張ですので、第3種特別地域という形で調整させていただきました。そういったところが、国有林と調整していく中でなかなかやりとりのあったところではございますけれども。
辻井部会長  よろしゅうございますか。
小塚委員  わかりました。
辻井部会長  ほかにいかがでしょうか。
 では、森戸さん、どうぞ。
森戸委員  この屋久島地区に関しては、環境省の方も、いわゆる世界遺産の登録に関して尽力されたというふうに前から聞いているのですけれども、世界遺産の登録によってどういう影響があったのか。例えば観光客数というのはどういう形でふえたとか、その辺のことがわかったらお聞きしたいのが1つ。
 もう一つは、このパブリックコメントでは世界遺産と国立公園の管理の一元化というふうになっていますが、一元化ではないにしても、連携といいますか、そういうものはどういう仕組みでなさろうと考えておられるのか、その辺のことをちょっとお聞きしたいのですけれども。
辻井部会長  いかがでしょうか。さっき数字というか、入込み数の棒グラフがありましたね。あれを出していただいたらどうでしょう。
阿蘇品公園計画専門官  利用者数というのは、一番大きく変わってきているのが、やはり高速艇の就航によりまして急激に伸びてきております。平成5年に遺産地域に登録されておりますけれども、伸び方とすれば、遺産地域に登録されたから急激に利用者が増えているということは、全体の入島者数からは読み取れません。ただし、今までの利用といいますか、屋久島に行って縄文杉だけを見て帰るという利用から、かなり周囲の恵まれた自然環境まで散策されると、そういった利用がなされてきております。
 それから、管理のことでございますけれども、関係機関で成ります世界遺産地域連絡会議というのが、環境省の出先機関、あるいは林野庁の出先機関、鹿児島県、県の文化行政、そういった機関で連絡協議会を設けておりまして、年2回、いろいろな形での連絡調整会議を行いながら、当年度の事業の進め方に対する調整ですとか、そういったものは行われております。
辻井部会長  よろしゅうございますか。
森戸委員  はい。
辻井部会長  藤原さん、どうぞ。
藤原委員  現場を拝見していまして、皆様方がこれだけ拡張強化、林野庁やほかの管理者との調整は結構大変だろうと思いますけれども、ここまでやられて大変喜ばしいことだと思っています。まだこれからもぜひ折衝を続けていただいて、強化していただきたい。きょう説明をお聞きしまして、2点ございまして、1点が、保護のための施設。きょうは5万分の1の図中に示されましたし、これは、自然公園制度の仕組みの中にも5万分の1の図中に位置を示すことでよろしいという課長からのご説明があったのですが、5万分の1ですと具体的な計画がわかりませんので、ただ、ああ、こんなところにできるのかだけで、非常に問題があると思います。
 特に、きょうの説明の中でありました花之江河は、大変厳しい場所の植生ですね。私も20年ぶりに、昨年、海外の学者に見せたいと思いまして、10カ国の学者を連れて行ったのですが、余りにも荒れて、びっくりした状態です。それを復元していただけるのは大変うれしいのですが、きょうの説明では、どこにどのような施設がつくられるのか。この周辺は、写真で見ていただいてもよろしいですけれども、低木状になっていますね。湿原地帯は、これはいわゆる高層湿原の南限ですから本当の意味での高層湿原の植生ではありませんけれども、非常に薄いピートといいますか、泥炭が堆積したところで、わずかながら高層湿原の植物がそこに生育している。その周辺は、そこを吹きすさむ風が通るために低木状の状態で、白い杉の枯れたのなどが見えると思いますけれども、そういう状態のところにも施設をつくるとしますと、本来は、やはりケース・バイ・ケースで、大縮尺の地形図などにこのようなものをつくるということを審議会にもぜひ出していただいた方がよろしいのではないかと思うんです。この委員会のメンバーの中には、建築の専門家もいらっしゃいますし、それから環境の専門家もいますので、大勢の目で、一応こういうものでいいものかどうかをやはり討論していただきたいのが1点ございます。
 それからもう1点は、パブリックコメントの実施結果のその他の意見のところに、道路工事などに関して十分な景観的配慮を求める意見というのが入っておりますけれども、これは、私も、今回、現地視察させていただきまして感じましたのは、せめて国立公園内ぐらいは、道路をつくられたときに、自然林に接した道路のところはぜひ、マント群落に当たる林内に光が入らない、そういう回復も入れていただきたいんです。現地でお聞きしましたら、そういう計画はまだないとお聞きしました。確かに二次林があるようなところでしたら余り問題はございません。落葉樹がそのまま--早生落葉樹が出ておりましたから、壊されてもすぐに回復すると思いますけれども、自然林があるところに道路をつけますと、そのまま光が入り込みまして、攪乱が起きます。その点もぜひ考えていただきたいと思いますし、それに関しての説明は今回ございませんでしたので、そういうことまで含めて審議会の中に出していただければと思いますが。
辻井部会長  ありがとうございました。今のは2つあったわけですね。1つは、花之江河の湿原の件。僕も、どの程度荒れているのかというのを知らないものだから伺おうと思っていたのですけれども。それと、今の、どうやって復元する、あるいは施設--恐らく、具体的には木道とか、そういったことを考えていらっしゃるのかもしれないけれども、それはまだ計画は立てていないのですか。その辺の説明をお願いします。
阿蘇品公園計画専門官  公園計画、あるいは先ほどご説明した事業決定、その後に事業を実施するということでの関連でちょっとご説明させていただきたいのですけれども、本日の計画では、5万分の1レベルで、どこにどういう施設をつくっていくというところをまずご審議いただいております。
それから、次の段階としまして、実際の事業計画がより具体化する段階で、事業決定という手続をさせていただきます。その際も当審議会にかけさせていただきますけれども、実は、これは、小委員会の方に専管ということでお願いいたしております。この際には、具体的な実施設計まではいきませんけれども、大体どの辺につくるとかいうこと、どの程度の規模であるかということ、加えて環境の状況とどういう対策をとるといったところまでお示しして、決定していただくという段階でございます。したがいまして、花之江河の話につきましても、その段階である程度具体的な方針でありますとか、環境影響、環境対策といったものもお示しし、ご意見をいただくことができるのではないかと思っております。
 それから、道路の件でございますけれども、道路につきましても、事業決定、あるいは事業実施の段階で当該地の環境対策というのをいろいろな形で求めてまいります。ただ、これまで、屋久島におきましてどこまでそれが実施されたかということにつきましては、マント群落の形成に資するまでの対策は求めていなかったのではないかという感じもしておりますけれども、今後の実施に当たりまして、そういった部分も配慮していきたいと考えております。よろしくお願いします。
辻井部会長  よろしいですか。
藤原委員  現在、国立公園内で建設中の拡幅道路がございましたね、拡幅している建設。あれはどのように考えたらよろしいのですか。それから、拡幅に関しましては審議会を通さずにできるのでしょうか。
 屋久島の中で、今回通らせていただいたときに、ここからは国立公園の中に入りますと。その中の拡幅工事をやっておりましたので。
辻井部会長  これはどうなんでしょうか。
阿蘇品公園計画専門官  多分、現在工事されているのはこの区間だと思います。この区間は、今回の公園計画で、この区間も含めまして公園利用道路というふうに位置づけますけれども、現在、公園計画道路になっておりません。それで、国立公園の第3種特別地域になっておりますので、行為許可という許可を受けて工事をいたしております。先ほど先生が言われましたように、マント群落の配慮等について、そこまで審査がなくて、やられたかどうかはちょっと把握いたしておりませんけれども、現在は行為許可ということでやっております。今回、公園計画を決定することにより、先ほどから出ております事業決定を経た上に、今度は公園事業として執行されるという手順になっております。
辻井部会長  よろしいですか。
藤原委員  そうしましたら、そのときもぜひ考慮していただきたいと思います。
よろしくお願いします。
辻井部会長  では、そういうご意見ということで承っておきたいと思います。ありがとうございました。
 仙田さん、どうぞ。
仙田委員  この削除が2カ所ございますが、この集落が、市街化などによって公園としての資質が失われた地域という形で、2カ所の約130ヘクタールぐらい削除されるということなんですが、これが、やはり今後もその市街化が拡大していく。やはりこの市街化が予想されても、自然環境と共生するような市街化というか、あるいは建築をつくる場合でも、そういう何か誘導なりのその方策を考えないと、これは、こういうような形でもって削除する部分がふえてしまうわけでしょうか。
その部分についてはどういうふうにお考えなんでしょうか。
辻井部会長  これは、尾之間集落の部分のことですか。
仙田委員  そうです。
田部国立公園課長 尾之間集落というところで役場等がございまして、建物が建っている、あるいはミカン等の果樹園になっているというところで、先般、小委員会の方々にも、研修ということも兼ねまして現場を見ていただいたのですけれども、まだ集落化していないところもあるのではないのというようなお話もございました。実は、この公園計画をつくった時点では、この地域については、公園利用のための施設、例えばホテルでありますとか駐車場でありますとか園地でありますとか、そういったものをかなりの量でつくる必要があるのではないかということで想定されておりまして、そういった地域の風致を維持するために特別地域に指定しているということでございます。ところが、実際にはそれほどの利用施設の集積というのが必要でないということ、加えて、役場等もありまして地域の方々の生活に必要な施設がかなり建ってきている。そういった状況の中で利用上必要な地域というのを少しシビアに見まして、かなりの面積を縮小して、残りの部分を削除していくということに実態にはなっているところでございます。
ご指摘のところの、公園に指定しておっても、どんどんそういう建物が出てくれば、風景が悪くなって削除していくのではないかというところは非常につらいご指摘でございまして、我々も、そうならないようにということでいろいろやっております。具体的に申し上げますと、通常ですと、許可する場合は、建物の高さでありますとか、建ぺい率でありますとか、道路からの壁面後退でありますとか、そういったものを一定の基準を設けまして、そういった施設が出てきても、許可をした場合でも風致が維持できるレベルというのを考えて許可をしているところでございますけれども、ただ、民有地等の場合ですと、やはり住宅でございますとか役場でありますとか、あるいは非常に地域の産業にかかわるような施設であるということで、そこまでの厳しい基準をやるとあつれきが生じるといったものについては、やはり基準を超える形で許可せざるを得ないというものもございまして、そういうものは集積して、全体の公園としての価値がない程度までに集落化した。したがって、削除していくというパターンが幾つかございます。そこは大変つらいところでございます。
 ただ、それは許可の面だけで規制するという形ではなかなかうまくいかなくて、地域の方々が、国立公園なんだから風景を維持しよう。
そのためには施設の規模も配慮しよう、色も配慮しようといったようなところまでいく必要があるのではないかというところも考えております。そういった地域との連携も強化しつつ、公園内の風景、風致の維持を図って、削除が出てこないようにという努力をしているところでございます。
仙田委員 私は建築が専門なんですが、やはり建築の世界でも、地球環境・建築憲章をつくるように、やはり自然環境といわゆる共生し、あるいは調和する建築のつくり方と、これは非常に重要なテーマで、私は、そういう部分で、やはりこの50年間で相当建築のつくり方そのものは変わっていると思うんですね。ですから、私は、そういう規制が、要するに自然環境と調和するという形での規制がかかっても、それに対応するような建築技術というのは相当に開発されていますので、その色の問題、あるいは屋根の色、屋上緑化とか、さまざまな手法がございますので、そういう点を踏まえながら、何か国立公園とあわせて、周辺の、いわゆる街づくりというようなところもぜひ積極的に考えていただければと、こういうふうに思います。
辻井部会長 大変重要なご指摘ではないかと思います。よくしばしば言われることですけれども、自然は第一級なんだけれども、人工物でぶち壊しになるというような、例えば写真を撮ろう、あるいは絵というのは要らないものはかかなければいいわけですけれども、写真を撮るときに、なるべく人工物を排除して撮らなければならないというようなのではなくて、恐らく今、先生がおっしゃったのはそういうことだと思いますが、集落が入った方がより美しく見えるというようなものが、国立公園だけではないのですけれども、最も重要な、望ましい条件ではないだろうかと思います。
ほかにいかがでしょうか。
どうぞ。
立花委員 幾つかいろいろ気になるところがあるのですが、余り細かいところに踏み込まないでお話ししたいと思います。国立公園に指定されるということが自然が守られるということと同義であれば、ここの部会でそれほど大きな問題はないかと思うのですけれども、どうやらきょうのご説明を伺っておりますと、国立公園に指定されるということが、イコール園路を整備すること、それからここに園地を設けるといったようなご指摘、それから保護施設ないし利用施設、どちらの施設という説明は伺いませんでしたけれども、いずれにしろ、きょうのお話を聞いていますと、どうやらかなり人の手が入る比率が高くなるということを示しているんだということが、改めて、どきどきするほどはっとして伺いました。
 屋久島は大変大事な島で、例えば、うちには釣りが大好きな人間がいるんですけれども、「屋久島に釣りに行こうよ」と言ったらしかられました。あそこで釣りをしてはいけないと怒られたのですが、島そのものに対しての認識をどの程度に考えて、国立公園といってもいろいろなレベルのものがあるかと思いますが、その辺は、どこまではっきりさせていくかというのはやはりいつも決まっていてではないと思いますので、非常に厳しく、人の側の節度というものが問われることになると思うんです。その点、もう一度、ちょっと振り返っていただきまして、一番最初にご説明いただきました、これはとてもわかりやすくてよかったのですが、参考資料の2ページ目に、保護計画と利用計画というところで、保護計画の方に保護施設というのがございまして、利用計画の方に利用施設というのがあります。両方が一つの線で一つにつながって、右側の公園事業のところに入って、括弧の中に利用のための施設と保護のための施設と2つありますね。これは恐らく、これまでの公園計画の整備計画の中ではこういうふうに位置づけられてきたんだと思いますが、人と他の生き物とが共生するというような考え方の中で、施設をつくるとか、道に対する姿勢とか、そうしたものをしっかりととらえ直して、位置づけ直すということがどこまでやられたかということがここで問われてくると思うんです。
 例えば、一言で道路と申しましても、恐らく建設省で使っている道路の概念とほかと違うかもしれません。建築の方では、都市計画も一緒ですが、道路と道は違いますし、園路も違いますし、それぞれ道としても認められないものもありますし、いろいろですね。そういうさまざまなレベルでの規制とか許可とか、いろいろなことがあるかとは思うんですけれども、一番大事なのは、ここで使っている言葉そのものが、どれをとってみても、やはり人間の側の価値観でつくられた用語、言葉を示していると思います。用語というのは、言葉は思想をあらわしますので、やはり私たち自身が、環境省も同じだと思うんですけれども、私は建築で、どちらかというと、ここまでは人は入ってもいいけれども、ここから先は入らないという境界部分のところで、どうやって人間の行動を規制し、どの程度まで施設というものをつくれるかというぎりぎりのところで仕事をしてきたのですが、よかれと思ってやったことがなかなかうまくいかず、100%のうちどのぐらい守ったかというと、守れた方よりも影響を与えた方のが圧倒的に大きいです。何十年の間でも非常に悔いている部分もありますし、それはもうかなりの気を使ってやるわけですけれども、人が入るということは、そのこと自体が大変な圧力でもあるわけですね。
 それが、言葉の使い方によって人の行動というのはかなり影響されますので、やはり共生ということを、本気で共生--ほかの生物の方から人間の生活環境を利用している面もないとは言えませんので、その境界部分ですごく、先ほど生物多様性の話がありましたけれども、一番多様になりますし、いろいろな意味での言葉の定義や考え方、それからきめ細かい基準の見直しといいますか、先ほどの会議で生物多様性というところで委員会もできましたことですし、ぜひともそこで議論していただくと一番いいのかなということを思いました。委員長が一緒なので、ぜひその点を。きめ細かい部分でいろいろなトラブルが起こっておりますので、ぜひそこを、つくってもいいこと、あるいは、例えば材料などでいってみますと、いろいろな技術開発が盛んですけれども、人工的につくられた材料で、屋久島の中に入れてもいいと思えるものはめったにありません。だから、技術が進んだレベルでやるのではなくて、あそこの場合には素朴にやっていただきたいと思いますね。人間の何百年来持ってきた知恵の方がまだまだ勝っているところがあるということをぜひお忘れなく。私は建築ですけれども、建築家を余り信用しないで。
 地元の人もそうです。地元の島の人の生活は、たとえ4,000人が5,000人になっても自然環境の破壊にはならないと思います、暮らし方次第ですけれども。でも、彼らが生きる手だてとして集客力の高い施設を、都会人が好むホテルの形とか宿とか、私も、こんなところに泊まるのは嫌だとぶつぶつ言いながら泊まったりしましたけれども、そういうさまざまな欲を受けとめようとすると村人も無理をしますし、そこのところの調整というのはとてもとても大変だと思うんですね。ですから、先ほどの施設とか園地とかいうのは、ただ整備するよということだけだと思いますし、保護施設なのか利用施設なのかもまだそれほど定かではないのかもしれません。ちょっと気になりながら、非常にはらはらする思いをしながら伺わせていただきました。特にこの2ページの表の中の保護施設というものの考え方に関して、ぜひともきめ細かく、よろしくお願いいたします。
辻井部会長  ありがとうございました。これも非常に重要なご指摘だと思います。
ただし、先ほどのいわゆる整備の中には、例えば、見直して追加する一方で、宿舎や駐車場計画は削除するというのがありますね。総体的にはどうなんですか。面積で勘定するわけにはいかないのでしょうけれども、ふえるんですか減るんですか。そのいわゆる計画が、一方ではつけ加えて、一方では見直して場所を変えたり、さっきは、例えば赤い点が全部消えて黄色いのになっているわけだけれども、トータルではどういうことになりますか。簡単には言えませんか。
 どうぞ、お願いします。
小野寺自然環境計画課長  私、担当ではありませんが、客観的に屋久島のことをずっと見ている立場でいいますと、今回の計画の見直しは、かなり保護の強化を図ったものであるということは、これははっきり断言できると思います。
それは、保護区域の拡大というのがそれこそさまざまな議論がありまして、30数年できなかったものがやっとできたということがまず1つであります。
 それから、利用計画の細かいところは数えていませんが、恐らく考えの基本は、一定地域に集中しているということが今の利用の一番大きな問題なわけですね。縄文杉というのが端的な例ですけれども、縄文杉に集中することによって、しかも、利用客の増加の話が出ていましたが、遺産条約後の一番大きな変化は、ものすごい団体はいないのですが、結構、数十人規模の団体の方が、遺産条約登録後、その利用形態の特徴として出てきているということがありまして、それが、しばしば元気のある人が団体で縄文杉に登ると、集団で登るということの特性で、道からついついはみ出してしまって、割と底の固い靴を使いますから、踏圧で土砂が、雨が多いところですから崩れてしまうとかということもありますし、まず集中型になっているということがあります。
 利用計画は、ざっと見ますと、その分散を図って、一定地域に集中するということを避けようというのが基本的な思想だと私は思います。そういう意味では、むしろ、今、一定行われている利用の現況よりは、少なくとも考え方としては、分散の思想というのははっきり出した利用計画であるということが言えると思います。ただ、計画上、施設を整備して、そのとおり分散できるかどうかというのは、一つは規制力の問題と入ってくる人の意識の問題があります。これは、先ほど公園課長も話しているように、地元の協力でありますとか、入ってくる旅行者の教育、あるいは我々の普及啓発活動みたいなものがかなり重要になると思いますし、これも前から何度か公園区域内で、とりわけ屋久島においても検討したいと思って、一定の利用規制を、総量的な規制をかける仕組みがないかというようなことまで考えたのですが、これは、国民の基本的な決起と、自然環境、生態系の保全のために規制をかけるということのバランスをどうとるかということが一方にあります。検討課題であるし、いずれそういうことがかなり大きなテーマになるということは明らかでありますので、検討は続けていきたいというふうに思っております。
 それから、利用施設の計画の追加については、実際は、その事業実施に至るところで相当考えないと、いろいろな問題を起こすということが確かにあるんだと思います。だから、実施レベルで設計するなり施行するなりというところ、あるいはそれから使う使い方の問題というのがかなり大きな問題があると思いますので、計画をつくって安心して、後はだれかに任せるということではなくて、事業実施その他についても、我々、ご指摘を踏まえて、そういう考えに基づいてやってまいりたいと思います。よろしくお願いします。
辻井部会長  どうぞ。
服部委員  今ご説明があったのに、私もそういう感じがしておりまして、今回の変更は、利用は分散しながら、保護とかというのは集中強化しようというふうな意図が見えるような変更ではないかな。その例が、先ほど藤原委員がおっしゃった、道路の改良部分はどうなっていますかと言ったら、あの区域は直接入っていなくてという説明があったと思うんですけれども、仙田委員がおっしゃった、区域変更、削除したところ、あれも、変に区域に入っていて、変な建物を許可ないし届け出を受け付けてしまうと、公園の中で何であんなことをやらせるんだみたいなのは、もううちの範囲ではないよということで、悪く言えば、うちの責任外のところですよというふうなことになりかねないのですけれども、そのかわり保護するところはちゃんと強化しましょう。崩れるようなところ、集中して利用者が壊してしまうようなところは分散していこうというふうな意図が見える変更ではないかなというふうに思いました。
 したがって、今回の変更計画、変更の内容については、私は適当ではないかなというふうに思うのですけれども、これは議事録ないしは公開にしてもらうのと違う話でよろしいでしょうか。ちょっと質問系の話なんですけれども、さっき立花委員がおっしゃった、このペーパーですね。このペーパーの最後のところにフローがついているんですね。国立公園と国定公園のフローがついていまして、その案件、2つ質問に絡めたような形でご説明いただきたいのですけれども、最後のところに「環境省案」というのになって、それで、その後に審議会が入っていて、告示になっているんですよね。したがって、きょういろいろ議論が変更について出たと思うんですけれども、そういった中身が、審議会での中身の意見というのは、環境省案ができて、それで決定していく段階でどういうふうに影響されるのかされないのか、意見を聞くだけのような感じがするので、そのあたりのいきさつを、審議会の意見はどういうふうに取り扱われるのか、我々がその意見にただ自己満足してしまうだけなのか、あるいは反映される可能性がどれだけあるのかということを教えていただきたいというのが1つ。
 それからもう一つは、自然環境保全法に基づくんだと思うんですけれども、説明の冒頭にありました、原生自然環境保全地域というのが国立公園から外れていますよという話があったのですが、普通に聞いているとすっと聞き流してしまう話なんですけれども、これと国立公園の原生状況を保持するという範囲の特別保護地区との関係はどういうふうな位置づけになっているのかというのを教えてもらいたいと思います。
 以上でございます。
辻井部会長  どうぞ。
田部国立公園課長  まず最初の、審議会のご意見がどういう形で反映されるかということでございます。もし、本日ご説明した中で、この区域を特別保護地区にするのはけしからぬとか、あるいはもっとここまで広げなければけしからぬということを強く言われますと大変私どもは困るわけでございますが、またもとへ戻しましてやり変える。その間、地元の市町村、県でありますとか土地所有者でありますとかとやり直していかなければいけないというような状況になってこようかと思います。
 ただ、そこまでいかないご意見であれば、何とか今お示ししている案で告示まで持っていきたいということでございますけれども、先ほども若干申し上げましたが、利用計画の件につきましては、今回、位置、種類等を決定いたしまして、熟度が高まった段階でさらにご審議いただくということ。さらに、その後に許可を出すという、幾つかステップがあるという中で、今回出していただいたようなご意見は、その次のステップ、最後のステップという形で反映させていただくことは十分あろうかと思います。
 それから、制度論的なお話でありますとか、そういったものにつきましては、制度的な検討の際に反映していかなければいけないと。あるいはほかの公園計画の見直し、今回の見直しの後の次期の見直しというところで反映していくように我々は努力しなければいけないのではないかというようなことを考えておるところでございます。
 それからもう1点、自然環境保全地域のうちの原生自然環境保全地域との重複がどうなっているのかということでございますけれども、原生自然環境保全地域というのは、基本的に自然環境を保全することが目的でございまして、国立公園のように自然との触れ合うための利用ということを考えていない地域ということでございます。国立公園は、特別保護地区でありましても、例えば歩道が計画へ入っておりまして、人が入っていくことを前提としております。施設を整備するということを前提としております。原生自然環境保全地域というのは、そういう利用は考えない。そういったものを排除するということでございますので、国立公園の制度とは違うということで、重複しないという形になっているというふうにご理解いただければいいと思います。
辻井部会長  よろしゅうございますか。
服部委員  それでは、このフローをちょっと変えてもらった方がいいのではないかと思うんですよね。環境省案の上に審議会を入れてもらった方がいいだろうと。そうでないと、環境省案を変えてしまうほど--私自身は少なくともおこがましいと思うし、環境省案をつくったのが曲げられたといったら、環境省もちょっと困ってしまうでしょう。これで一番いいんだという環境省案をつくって、我々が言ったから変えるような、そんなやわい案を環境省案で原案ができるかといったら、それは原案ではない。環境省案ではない。おかしいのではないか。だから、国の出先機関とかパブリックコメント等の反対側に審議会の意見が入るというような構図の方がいいのではないかな。それで、そういうのも聞いた上で環境省案をつくると。各省で意見が出てくるのは、それはもう環境省とほかとの省庁との関係であるので、違うのではないかなという気が私はしております。これはもう審議会の意見ではないので、その旨、お取り扱いお願いいたします。
辻井部会長  よくわかります。おっしゃるご意向はよくわかりますが、やはりルールとしては、環境省案がここに提出されて、それを審議会がやはり審議すると。それでも修正はあって、それが「案」がとれて告示されると、こういうことになるので、その前に、我々が環境省案をつくるわけではありませんから、このフローは、この上に持っていくというのはちょっと妙ではないかと私は思いますが。
 ほかにいかがでしょう。
白幡委員  利用計画の変更で、その中の単独施設、18計画があるということで、これは、私の理解では、総合的な観点というのは、つまり縄文杉への集中利用みたいなことを。先ほど計画課長がお話になりましたが、分散を図る思想が一方にあると。その結果出てきたものだと思います。
ここに「総合的判断を行い」ですから、私は総合的判断の環境省の力量を大変信頼しているので、ほかに言うことはないのですが、分散というのは本当にどれぐらい可能かというのは、科学主義ではありません。数値で出せということではなくて、何か実例とか、こういうもの、避難小屋、野営地、園地等ができると、ある地区ではこんなふうな分散が図れたとかいうような、何か例でもあればわかりやすいなと思うんですね。多分数値はないと思います。そういう研究は余りなかったと思いますし、難しいことだと思いますが、総合的な判断の中身とか、これについて揚げ足を取るというのではなくて、もしあるなら、あるいは将来はこんなふうに、そういう分散利用の一種の見取り図というか、そういうのがあったら教えてもらいたいのですけれども。
鈴木委員  関連した質問ですが、よろしいでしょうか。
辻井部会長  どうぞ。
鈴木委員  新しく何かを変えようとして、変えたことがどれだけの影響を持ち得るかという予測をどうかけているのか、どんな考え方でやっているのかが、実ははっきりしていないんだと私は思っているのですけれども。例えば、トータルとしての物のバランスがこの島でどうなっているか。それが将来、利用者の増加、あるいは分散させて利用させるのかもしれませんけれども、そういう状況を想定しながら一体どう変化していくのか。それは、人間が行けばろくなものを持っていきませんから、いろいろなことが起こるに違いないのですけれども、そういうことまで含めて、ある種の予測、どんな予測をしているのかなと。それで、その予測が当たったか当たらなかったかをどのぐらいのタイムスパンの間で評価するのか。そして、もとへ戻すなら戻す、何とかするという、その辺のところの全体の進めた形がちょっと私には見にくいなと、そうさっきから伺っていました。
辻井部会長  なかなか難しい問題だと思うんですけれども、何かご返事ができますか。これは、今の分散の件でいいますと、私の--ちょっとお待ちくださいますか。私の知っている限りでは、そのいわゆる地域的分散、場所を何カ所かに分散させてといういい例というのは余り知りません。ただ、集中して何百人もというのを、例えば、いわゆるマイカーは規制してしまって、バスに乗りかえさせてというと、時間的に割と分散できるという例は2カ所くらいですね。比較的最近ですけれども、大雪山なんかでやって、うまく分散させるのに成功したという例は知っていますが、地域的に、こっちへ行った方がいいですよとうまくばらまいたという例は余り知らないです。先ほど何人かの方が、分散の問題も、キャパシティーの問題ですね、そこをおっしゃいましたけれども。
 森戸さん、どうぞ。
森戸委員  ある程度、今のお話に絡むと思うんですけれども、1つは、これは、屋久島というのは、島という非常に地理的な特性が、ほかの一般的な国立公園、特に本土の国立公園と違うので、例えば、ここでもゼロエミッションとか、そういう、これはほかの部会のテーマですけれども、循環型社会の島版のような、そういう形の行動様式なりシステムを取り入れるというような、そういう話があるんですね。そういうものとここの国立公園で自然環境を守っていく話とは、やはり連関させるべきだなと。
 それで、先ほど小野寺課長さんの方から総量規制という話が出ましたけれども、総量規制までいかなくても、世界遺産に登録されたということは、悪くすると、知名度を上げて観光客をたくさんふやすという、実は私も中国なんかへ行ったんですけれども、かなりそういう問題があるんですね、世界遺産に関しては。ですから、そうではなくて、ここのは別のタイプの環境、あるいは観光の質をレベルアップするような、そういうものに沿って国立公園ができるんだと。だから、総量規制ではないにしても、利用者や観光行動に関しては、やはり質を世界遺産にふさわしいレベルまである程度アップするというような、そういうソフト面の仕組みを一緒にやっていくことをしないと、区域をただ指定したというだけだとこれはほかと同じになってしまうので、その辺の特性をもう少し打ち出せないものかということが1つなんですね。
 それと、先ほどのお話というのは多分評価の問題で、これから、例えば行政というのは評価システムを導入するという話が上がっていますけれども、国立公園を中心とした公園行政も、ある種のやはり評価のシステムを入れると。これはある種の社会実験ですから、評価の結果、だめなら、また直すということはあってもいいのですが、そういうことを、例えばこの公園の変更の時期から少し打ち出せないものかなと。ただ面積がふえたと、減ったと、強化したという、この文言だけでは少し寂しいなというような気がしております。
辻井部会長  ありがとうございます。
 熊谷先生、どうぞ。
熊谷委員  熊谷でございます。大変先生方のいろいろなご意見を聞いて、私も、半分整理ができて、半分ちょっと混乱しているところもありますけれども、私は、このきょうの審議の対象になっている地種区分の変更とか、あるいは区域の拡張とか、そういうので、現場で大変苦労されていることは重々理解できて、結論から申しますと、今回のゾーニングの変更、区域の拡張については異議ないのですが、ただ、お聞きしていると、ちょっと説明が足りないのかなという気がいたします。
 もともと現行のこの地種区分というのは、そもそもは昭和6年の国立公園法の、非常に公用制限の強い時代の制限を加えるというようなことをずっと引っ張ってきて、それが、戦後の自然公園法になった時点で、初めてその特別地域と普通地域に特別保護地区ができたというようなことで、やっとそこで少し変わったというふうになっているわけですが、先ほど、前の委員会でワタナベ企画官が大変よりよくご説明されましたけれども、ここで特に環境基本法ができて、20世紀の後半から今世紀にかけてものすごく環境自体が変わっているということで、国立公園も、その中で旧態依然としたこのゾーニングの区分だけではどうしても矛盾が起きてくると。例えば、先ほどご説明になった、第1種と第2種と第3種のところで今でも基本になっているのは、農林水産業との調整とか、あるいはそれを認めるとかいうことで、いわゆる今ご意見のあった、新しい観光であるとか、あるいは環境であるとか、そういうことに対しての説明が抜け落ちるということになってきていると思います。
 それで、例えば、もう既に環境省の事業は公共事業になっているわけですから、ほかの省庁と同じように箱物をつくったりしなければならない。そのときには、先ほど立花委員とか、あるいは仙田委員のおっしゃったように、積極的に環境と調和したものをつくらなければならない立場にあるわけですから、つまり、環境省としては、国立公園において、この集団施設地区なり、あるいはここについてはこういうような方針で今後、実際の調整をするなり指導していくということがあって、初めて次の事業執行の段階での小委員会へ託せると、こういう判断ができるのであって、ただ、次のときにいろいろ考えますというだけでは、ちょっとまだ説得力が足りないかなということで、基本的に言うと、現行の法律の細部について、あるいは施行規則ですか、そういうことの変更にかかわるので何とも申し上げにくいのですが、でも、結局はそういうところまで踏み込んで検討していかないと、多分この審議会が形骸化してしまう議論に陥ってしまうというようなことを強く感じました。ですから、現行内でもぜひそういう説明をしていただいて、それから細かいことはお任せくださいというふうなことであれば、私としては大変理解しやすくなるということでございます。
 以上でございます。
辻井部会長  どうもありがとうございました。
 ほかにありますか。
山岸委員  山岸でございます。基本的には、公園区域及び公園計画の変更について、これでよろしいのではないかと思うのですが、幾ら分散を考えても、一番問題になるのは、僕はガイドブックではないかと思うんですね。観光案内とかなんかが幾つコースをつくっても、これがお勧めコースだということになるとやはりそこへ行ってしまうので、そういうガイドブックなり観光案内にどのように環境省が手を出すことができるのかということをちょっとご検討いただくと、どのコースもそれなりの味があって、お使いくださいということになるとよろしいのではないかと思います。
辻井部会長  ありがとうございます。巧妙に分散させるようなガイドブックが必要なのではないかと、こういうことですね。
 瀬田さん、どうぞ。
瀬田委員  意見ではなくて、お願いしておきたいと思いますけれども、28ページをごらんいただきますと、この約2万1,000ヘクタールの国立公園の中で、私有地がわずか500ヘクタールなんですね。その500ヘクタールのうちの418ヘクタールは、今度、特別保護地区になる西部林道なんです。ということからいえば、本来、国有地であっていいところになるわけですから、いろいろな施設をするということの議論は先ほどまでされましたけれども、この私有地を早く公有化する。すなわち国有地、あるいは補助で県有地でもいいんですけれども、そういうふうにしていただきたい。というのは、これは森林、いわゆる山林地主が持っているから、そこへ入ることに対して、土地所有権からいってストップをかけるということができるんですね。ですから、やはり世界遺産のところですから、ぜひ国有化するという、そういう方向で、早急にそういうことをお願いしたいと思います。
辻井部会長  ありがとうございました。
ほかに、いかがでございましょうか。
どうぞ。
白幡委員  先ほど質問したので、まだ返事をもらっていないというか、研究があるのかどうかという。私は、「ない」と言ってもらうのがありがたいんです。ですから、私は、国立公園というのも、国民にちゃんと認知され、それから、やはりそういうものの意義を浸透するには、そのシンボルがある地域というのは非常に得なわけですよね。ところが、シンボルが一つということになると、先ほど説明の中にもありましたように、やはり集中利用ですか、そういうことが起こる。しかし、これはやはりなければ困るというので、その間をとって、この分散型を考えようという。当然出てくる例として、なかなかあれだったと思うのですが、大変いいアイデアであろうと思います。
ですから、これに伴っての利用のあり方の変容とか、それから利用行動の追跡調査みたいなものを、私は研究職の方にありますので、そういうところにまた力を入れて、これこそどこかに調査の道を開いて、今後やっていただければいいということで、「ない」と言っていただく方がいいのですが、ちょっと話が総論みたいなところにいったような気がしますので、それをひとつお願いしておきたいと思います。
辻井部会長  ありがとうございました。私がお答えすべきかどうかわかりませんけれども、おっしゃるとおり、ないのではないかと思います。
田部国立公園課長  利用分散等の数量的なデータというのはなかなかとれていないと思っております。屋久島におきましても、登山道というのは一つの利用集中に伴う問題でありまして、それをどうするかという検討をやっておりますけれども、実は登山道をどれだけ歩いているかという、カウントするということもなかなか容易でない中で、昨年あたりからようやく入り口等でそういうカウントを始めておるという、データを集め始めているという状況にあります。そういうことで、そういった効果測定、あるいは評価の話につきましても、これからやっていかなければいけないなということで感じているところでございます。
辻井部会長  ほかにいかがでしょうか。
どうぞ、川名委員。
川名委員  すごくいい計画だと思うんですけれども、でも、これは、屋久島というのは無人島ではないので、人が住んでいる。皆さんの意見を聞いていると、島外者の利益だけを言っているような感じがしまして、確かにここで素案をつくるときに、市町村と事前調整するとは書いてありますけれども、本当に島内者の意見が反映できるのか、島内者の生活にこの計画はどんな影響を与えるのかという視点も入れてほしいような気がいたします。
辻井部会長  ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
よろしゅうございますか。
かなりの委員の方から貴重なご意見をいただいたように思います。
厳しいご質問もございましたけれども、こんなところでまとめさせていただいてよろしゅうございますか。今回の案は、1つは、海から、海域から山頂まで連続したというのが一つの大きな特徴だろうと思います。今までにこういった国立公園の連続性というのは全くなかったわけです。その点では非常に特徴的であり、重要なものと考えてよろしいかと思います。もしよろしければ、何人かの方は既に案そのものには賛成だとおっしゃっていただきましたが、諮問第6号の「霧島屋久国立公園(屋久島地域)の公園区域及び公園計画の変更について」、もちろんご意見はいただきましたが、適当と認めるということでよろしゅうございましょうか。
 では、適当と認めることといたします。
 きょういただきました、分散と、それからキャパシティーの問題とか、あるいは最後に川名委員がおっしゃった、島外の考え方ではなくて、島内の意見は十分に組み込めるのかというような、いろいろ重要なご指摘がございました。ただし、これは必ずしも今回の屋久島のことだけではなく、屋久島の例を引いて、これからの国立公園をどうあるべきかということからのご発言が多かったように思います。それをどうぞ踏まえていただければと思います。
 それでは、以上で、ご賛同いただきましたので、本日の諮問事項についての審議を終了させていただきますが、その他の事項について事務局から何かございますか。
田部国立公園課長  議事要旨と議事録について、部会長からもお話がございましたけれども、もう一度ご説明させていただきます。
 議事要旨ということで、これは要旨でございますので、各先生のお名前は個別に登場いたしません。これは早く作成して公開するということでございますので、事務局の方で作成いたしまして、部会長の了承を得た上で公開していくということにさせていただきたいと思います。
 それから、議事録でございますけれども、これは、事務局で作成し、各委員にご照会させていただいて、問題がないということになりましたら、その時点で議事録はできているというような形にしたいと思っております。調整のめどですけれども、1カ月ぐらいで事務局案を作成いたしまして、先生方への確認作業をとらせていただきたいと思います。確認の間に1カ月ぐらい時間をかけていただくということで、約2カ月ぐらいで議事録を調整したいと思っておりますので、よろしくご協力いただきたいと思います。部会自体、公開となっておりますので、議事録も求められれば公開していくという扱いでございます。
 以上でございます。
辻井部会長  どうもありがとうございました。
 それでは、これをもちまして本日の中央環境審議会自然環境部会を閉会いたします。どうもありがとうございました。

(閉会午後4時31分)