南極地域の環境の保護に関する小委員会(第1回)議事録
開催日時
令和7年2月18日(火) 9:30~11:30
議事次第
1 開会
2 議事
(1) 南極地域の環境の保護に関する小委員会スケジュール
(2) 南極条約及び環境保護に関する南極条約議定書・同附属書の概要
(3) 南極環境保護法の概要及び日本の南極地域活動と観光の現状
(4) 南極条約議定書附属書VIの担保の方向性
(5) その他
3 閉会
2 議事
(1) 南極地域の環境の保護に関する小委員会スケジュール
(2) 南極条約及び環境保護に関する南極条約議定書・同附属書の概要
(3) 南極環境保護法の概要及び日本の南極地域活動と観光の現状
(4) 南極条約議定書附属書VIの担保の方向性
(5) その他
3 閉会
議事録
午前9時30分 開会
○司会 定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会自然環境部会第1回南極地域の環境の保護に関する小委員会を開会いたします。
本日はお忙しい中、ご出席いただきありがとうございます。
本委員会につきましては、中央環境審議会自然環境部会(第49回)にて設置が決定され、同自然環境部会長からご指名いただきました9名の方に委員をお願いしております。
本委員会の委員長につきましては、中央環境審議会議事運営規則第8条第3項に基づき、自然環境部会長よりご指名いただきました髙村ゆかり委員にお願いしております。
また、本日の委員会には8名の委員にご出席いただいております。このうち、定足数の対象となる委員・臨時委員3名中、ウェブ会議システムでの参加を含めて3名がご出席され、定足数を満たしていますので、本委員会は成立しています。
本日の会議運営について、ご説明いたします。
本委員会の様子はYouTubeチャンネルによりライブ配信を行っておりますので、ご了承ください。
本日、オンラインでご参加の委員の皆様におかれましては、マイク、ビデオは各自ご発言の際のみオンとするようお願いいたします。また、ご発言の際はチャット欄に書き込みいただき、ご発言する旨をお知らせください。委員長からのご指名後、マイクのミュートを解除していただき、議事録の円滑な記録のため、お名前をおっしゃってからご発言いただきますようお願いいたします。なお、挙手ボタンは気がつかないこともございますので、挙手ボタンは使用せず、チャット欄をご活用いただければ幸いです。
本日、会議室でご参加の委員の皆様におかれましては、ご発言の際は名札を机の上に立てていただき、委員長からのご指名後、マイクをオンにしてご発言ください。発言終了後はマイクをオフにしていただくようお願いいたします。
本日ご説明する資料につきましては、委員の皆様には事前に電子データにて送付しております。本日は事務局が画面上に資料を投影し進行いたしますので、お送りした資料は必要に応じ、お手元でご参照いただきますようお願いいたします。
傍聴されている方につきましては、本日の資料を環境省ホームページの南極地域の環境の保護に関する小委員会のページにアップロードしておりますので、そちらをご確認いただきますようお願いいたします。
ここで、飯田大臣官房審議官より、ご挨拶申し上げます。
○飯田大臣官房審議官 環境省審議官の飯田でございます。よろしくお願いいたします。
まず初めに、委員の皆様方におかれましては、ご多用中のところ、ご出席を賜りまして厚く御礼申し上げます。
本日は、昨年5月22日の自然環境部会において設置された、南極地域の環境の保護に関する小委員会の1回目の開催となります。
南極条約は南緯60度以南の地域に適用され、南極地域の平和的目的の利用、科学的調査の自由及び国際協力の促進などを掲げています。
同条約は、1959年に我が国をはじめ、米国、英国、フランスといった12か国により採択され、1961年に発効しました。その後、南極の環境及び生態系を包括的に保護することを目的とした、環境保護に関する南極条約議定書が1991年に採択され、1998年に発効しました。
2005年には、同議定書の下に環境上の緊急事態から生じる責任に関する附属書Ⅵが採択され、発効のためには、採択当時の全ての締約国の締結が必要となっています。日本は現在、附属書Ⅵについて未締結の状況ですが、南極における観光利用の増加等による環境汚染のリスクは高まっております。また、南極条約協議国会議の日本開催を来年に控え、当会議のホスト国として会議開催までに附属書Ⅵの締結について見通しを立てる必要があると考えております。
そこで、附属書Ⅵの締結に向け、日本国内の担保措置について、本委員会において委員の皆様にご議論いただければ幸いです。
本小委員会は全4回の開催を予定しており、本日は1回目の開催となります。このため、南極条約、議定書及び附属書についての概要のほか、日本の南極地域活動及び南極観光の現状について、また、附属書Ⅵの担保の方向性について、共通認識を持つことができればと考えています。
皆様の忌憚のないご意見、ご議論をお願い申し上げまして、私からの挨拶とします。
本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
なお、本日は別の用務と重なっておりまして、大変恐縮でございますが、私は途中で退席させていただきます。よろしくお願いいたします。
○司会 本日は初回の開催となりますので、本日出席の自然環境局幹部をご紹介いたします。
総務課長の松下です。
○松下自然環境局総務課長 松下でございます。よろしくお願いいたします。
○司会 自然環境計画課長の番匠です。
続きまして、委員の皆様をご紹介いたします。本日は時間が限られることから、事務局より、委員、臨時委員、専門委員の順に、ご欠席の委員も含めまして、お名前のみご紹介いたします。
大塚直委員、大久保規子臨時委員、髙村ゆかり臨時委員、岡松暁子専門委員、白山義久専門委員、西本健太郎専門委員、原田尚美専門委員、宮本将鷹専門委員、渡邉研太郎専門委員、以上です。
なお、原田委員は南極観測活動に参加されているため、本日はご欠席です。
それでは、これよりの議事進行につきましては、髙村委員長にお願いいたします。
また、髙村委員長からは、委員長代理のご指名をお願いいたします。
髙村委員長、よろしくお願いいたします。
○髙村委員長 皆様、おはようございます。朝早くからご参集いただきました。本日の審議会に当たりまして、一言、ご挨拶申し上げたいと思います。
先ほど、飯田審議官からもございましたように、この委員会は、南極の環境保護議定書の附属書Ⅵについて、その締結に向けた担保措置についてご検討いただく委員会ということでございます。
昨年、環境大臣から諮問をいただいて、こうした形で委員会を立て、国際法、それから私法、公法、行政法の先生方、そして、さらには南極地域で実際に科学調査や観光を行っていらっしゃる、あるいは行う可能性のある委員の皆様にご出席をいただいて、検討していくものであります。
実は20年前に、この附属書Ⅵの交渉に、外務省、それから環境省の皆さんと共に参加させていただきました。南極地域という特殊性もありまして、従来の日本の法体系の中で、これをどう担保していくかというのは、なかなか難しい課題ではあると思っております。
しかしながら、先ほど飯田審議官からもありましたように、来年、南極条約の協議国会議を日本が主催するタイミングに向けて、この附属書Ⅵの国内担保について、締結に向けた検討を、先生方のお力を借りて進めてまいりたいと思います。
それでは、先ほど事務局のほうから、委員長代理の指名についてご依頼がございました。差し支えなければ、大塚委員に委員長代理を、何かありましたときには、ぜひお願いをしたいと思っております。
大塚先生、どうぞよろしくお願いいたします。
○大塚委員 よろしくお願いします。
○髙村委員長 ありがとうございます。
それでは、会議録につきましてです。会議録につきましては、後ほど事務局で作成をして、本日ご出席いただいております委員の了承をいただいた上で公開ということになります。
議事要旨につきましては、事務局で作成したものを、私、委員長が了承した上で公開することについてご了承をお願いできればと思います。
なお、会議資料につきましては、既に公開をしております。
また、本日の委員会の審議時間は、限られておりますので、時間内にもしご発言をいただかなかった質問やご意見などにつきましては、後日文書での質問、ご意見をいただき回答とさせていただく場合がございますことを、ご了承いただければと思います。
それでは、早速ですが、議事の(1)番目に入ってまいりたいと思います。南極地域の環境の保護に関する小委員会スケジュールについて、事務局からご説明をお願いいたします。
○自然環境計画課 係長 環境省自然環境計画課の伊藤と申します。資料1について、ご説明をさせていただきます。
資料1-1から1-3は、先ほどご説明がありましたとおり、昨年5月の中央環境審議会自然環境部会において、本小委員会の設置について決定がなされましたので、その際の資料をお示ししております。
本小委員会の審議事項について、資料1-3をご覧ください。
2番にありますとおり、審議事項は、環境保護に関する南極条約議定書附属書Ⅵの締結に向けた担保措置の検討となっております。
続きまして、資料1-4をご覧ください。
本小委員会は、今年度1回開催し、来年度、令和7年度には3回程度開催を予定しております。答申案のパブリックコメントを10月頃に実施し、検討結果の取りまとめについて11月から12月頃を予定しております。南極条約の協議国会議は、本年は6月から7月の開催、来年、日本での開催は5月頃を予定しております。
説明は以上となります。
○髙村委員長 ありがとうございます。
ただいまご説明いただきました議事の(1)に関わるご説明について、ご質問、ご意見がございましたら、会議室にてご出席の委員におかれましては名札を立てて、ネームプレートを立ててお知らせいただければと思います。
それから、オンラインで本日ご出席の委員におかれましては、オンラインの手挙げ機能か、あるいはチャットで発言の希望がある旨をお知らせいただければと思います。
いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
大変クリアにご説明をいただいたと思います。
それでは、以上、了承いただいたということで、続いて議事(2)、議事(3)に入ってまいりたいと思います。
議事(2)、それから議事(3)につきましては、まとめて資料をご説明いただいてから、委員の皆様のご質問、ご意見をいただきたいと思っております。
南極条約及び環境保護に関する南極条約議定書・同附属書の概要と、それから南極環境保護法の概要及び日本の南極地域活動と観光の現状について、この二つについて事務局からご説明をお願いできればと思います。よろしくお願いします。
○自然環境計画課 主査 髙村委員長、ありがとうございます。環境省自然環境計画課の福濱と申します。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
私のほうから、議事(2)南極条約及び環境保護に関する南極条約議定書・同附属書の概要について、資料2を用いてご説明いたします。お手元の資料2をご覧ください。
こちらの資料についてですが、環境省で作成をしておりまして、政府部内で検討中の内容を含む点もご承知おきいただければと存じます。
それでは、お手元の資料のスライド2をご覧ください。
こちらでは南極条約と環境保護に関する南極条約議定書について、ご説明いたします。
南極条約につきましては、今から66年前の1959年に、日本をはじめイギリス、アメリカ、また当時のソ連といった12か国により採択をされました。締約国数は現在58か国となっております。
こちらの南極条約ですが、南緯60度以南の地域に適用されておりまして、平和的目的の利用、また科学的調査の自由及び国際協力の促進といったことを掲げております。
締約国の中でも29か国は、南極に基地を設けるなど、積極的に科学的調査活動を実施しておりまして、南極条約協議国と称されております。また、こちらの条約に基づいて定期的に南極条約協議国会議を開催しております。
続きまして、環境保護に関する南極条約議定書についてご説明いたします。
こちらは南極の環境と生態系を包括的に保護することを目的に、1991年に採択され、1998年に発効したものになります。こちらの議定書におきましては、南極地域を平和及び科学に貢献する自然保護地域として指定しておりまして、日本は1997年に締結をしております。こちらの国内担保法として南極環境保護法を制定しております。
また、こちらの議定書に関しましては、六つの附属書が採択されております。詳細は後のスライドでもご説明差し上げたいと思いますが、ここでは簡単に、どういった内容を規定しているのかご説明できればと思います。
まず、附属書Ⅰですが、こちらは環境影響評価について。また、附属書Ⅱについては南極の動物相及び植物相の保存について。附属書Ⅲでは廃棄物の処分及び廃棄物の管理について。附属書Ⅳでは海洋汚染の防止、また、附属書Ⅴでは南極特別保護地区などの保護及び管理について規定しております。
ⅠからⅤまでの附属書については発効済になっておりまして、附属書Ⅵについては未発効な状態です。附属書VIは、環境上の緊急事態から生じる責任について規定しております。
続いて、次のページをご覧ください。
続きまして、先ほど未発効とお伝えいたしました附属書Ⅵの締結について、詳細をお伝えできればと思います。
附属書Ⅵは、2005年に採択されました。これは近年、南極における国外事業者の観光が活発化しており、船からの油流出事故などによる環境汚染が懸念されていること、また、南極はどこの国の領土でもないため、対応措置が迅速に行われない可能性があることなどを受けて、採択されたものになります。
こちら、附属書Ⅵの発効につきましては、採択当時の全ての協議国の締結が必要となっていますが、日本を含めて9か国が未締結のため、未発効な状態になっております。
附属書Ⅵの具体的な内容ですが、附属書VIは南緯60度以南において、環境上の緊急事態に対応するための防止措置や緊急時計画の作成、また、緊急事態への対応措置、費用の支払い、訴えなどについて定めております。
続きまして、締結の必要性についてお伝えします。
こちら、スライドの右下のグラフをご覧ください。このグラフは、南極の世界的な観光客の推移を表しております。横軸が年を表しておりまして、左側の縦軸が船の乗客数、また、右側の縦軸が船の航行数を表しております。ご覧のとおり、右肩上がりに利用も増加しておりまして、2021年から22年については一時的にコロナによって減少していますけれども、観光利用については年々高まっているという状況になっております。
このような観光の状況に加え、日本は南極の原生的な自然環境の科学的価値を重視する立場になっており、また、冒頭で飯田審議官から申し上げたとおり、南極条約協議国会議が2026年に日本で開催することからも、この協議国会議までに締結の見通しを立てる必要があるところです。
締結に当たりましては、国内担保措置が必要となりますが、こちらは南極環境保護法の改正で担保することを検討しております。
附属書Ⅵの締結については以上になります。
続きまして、次のページをご覧ください。
こちらでは先ほどからご説明しております議定書と附属書Ⅰ~Ⅵについて、より詳細にお伝えいたします。
こちらの図では、南極環境保護議定書と附属書の主な義務と、その内容が国内法令でどのように担保されているのかを表しております。ご覧のとおり、議定書と附属書Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴまでは南極環境保護法で国内担保をしておりまして、附属書Ⅳにつきましては海洋汚染防止法で担保している状態になっております。
附属書Ⅳにつきましては、南極の海域に入る際に手続はありませんが、記載のとおり、油の流出等を規制しております。
続きまして、未発効の附属書Ⅵは、環境上の緊急事態から生じる責任について規定しております。具体的には、先ほど申し上げた内容になりますが、こちらについては現在、南極環境保護法の改正を検討しているところになります。
申し上げた附属書Ⅰ~Ⅴまでの一般的な行為規制とは異なりまして、附属書Ⅵにつきましては南極の環境に重大な影響を与え得る環境上の緊急事態を想定したものに対しての規制になっております。
続きまして、附属書Ⅵの国内担保法として検討している南極環境保護法につきまして、南極環境保護法の対象と附属書Ⅵの対象の違いをご説明いたします。
南極環境保護法につきましては、次の議事(3)でもお伝えできればと思いますが、ここでは、まず南極環境保護法と附属書Ⅵが対象としているものの違いについてご説明いたします。
まず、南極条約第7条5に基づき、各締約国は、この条約がその国について効力を生じたときに、ほかの締約国に対して三つのことについて通報し、その後は事前に通報を行うこととなっております。
条文は参考資料4として付しておりますので、ご参照いただければと思います。
こちらの通告を必要とするものですが、議定書では、この通告を必要とするものについて環境影響評価が必要となっております。南極環境保護法は、この環境影響評価を必要とするものに対して、南極地域で活動を行う際に、確認という手続を取る、という立てつけになっております。
確認の手続の詳細については、議事の(3)でご説明できればと思います。
資料2の5ページの図をご覧ください。通告の対象となる行為と、通告の対象ではない行為がございまして、通告の対象でないものは特定活動として、南極環境保護法の確認の手続を取っていないという状況になっております。
一方、附属書Ⅵの対象ですけれども、こちらに記載のとおり、南極条約第7条5の通告を必要とする行為に加えて、南極条約地域に入る全ての観光の船舶が対象範囲となっております。
つまり、附属書Ⅵにおける責任対象につきましては、現行の南極環境保護法における確認申請の対象に加えまして、確認対象に該当しない観光の船舶、つまり上陸をしない海上の航行だけのものも含まれるという整理になります。
続きまして、次のスライドをご覧ください。
南極条約議定書附属書Ⅵの概要について、今までご説明したことと重複するところもありますが、簡単にご説明できればと思います。
附属書Ⅵですが、南極地域において環境上の緊急事態の影響を防止し、最小にし、及び封じ込めることの重要性を認識し、対応するため、合理的な防止措置及び緊急時計画の作成ですとか、対応措置、また、対応措置を取らない南極地域活動の主宰者の責任、また、保険その他の金銭上の保証について定めております。
適用範囲は、第1条に記載がありまして、先ほど申し上げたとおり、南極条約第7条5の規定に従い、事前の通告を必要とするものに加え、南極条約地域に入る全ての観光の船舶となっております。
環境上の緊急事態は、附属書Ⅵで規定がありまして、この附属書の効力発生の後に発生した偶然の事故であって、かつ、南極環境への重大かつ有害な影響を及ぼし、または及ぼす急迫したおそれがあるものとなってございます。
また、これら附属書VIの規定は主宰者に対して義務づけを行っているものです。
また、対応措置を取らない南極地域活動の主宰者の責任についても定められておりまして、主宰者が対応措置を取らない場合、締約国によって対応措置が取られた場合、いずれの締約国も対応措置を取らなかった場合など、場合分けして規定がされております。
続いて、7ページをご覧ください。
附属書Ⅵの締結に向けた検討経緯ということで、今まで附属書Ⅵの締結の必要性や概要についてお伝えしておりましたが、採択前から、日本の法体系になじまず、非常に困難であると指摘されつつも、断続的に調査検討を行いまして、検討会も開催しているという状況を、こちらのスライドにまとめてございます。
昨年度は、本日委員長も務めていただいている髙村先生に座長をお務めいただき、検討会を開催し、国内担保の方向性について取りまとめを行ったところです。
最後に参考としまして、南極条約協議国会議について掲載しております。こちらは、後ほどご覧いただければと思いますが、先ほどお伝えのとおり、2026年に広島で開催予定となってございます。
議事(2)の資料2については以上になります。
続きまして、議事(3)について資料3-1と3-2を用いてご説明いたします。
まず、資料3-1をご覧ください。こちらの資料も環境省で作成したもので、政府部内で検討中の内容を含む点、ご承知おきいただければと思います。
それでは、スライドの1ページ目をご覧ください。
先ほどの議事(2)では、附属書Ⅵについてご説明いたしましたが、南極地域環境保護法の現行の法律の内容や、実際、南極でどのような活動があるかについてご説明いたします。
まず、日本における活動と法制度についてです。現在、日本における南極地域での活動は、国の南極地域観測事業を実施する南極地域観測隊によるものが主となっております。観光につきましては、日本の事業者は、他国の事業者が主催するツアーの参加枠を購入している形態が多いという状態です。
南極でこういった活動を行う場合、南極環境保護法に基づいて確認の手続が必要となっております。
次のページをご覧ください。
南極環境保護法に基づく確認の手続について、2ページでご説明いたします。
議事(2)でもお伝えいたしましたが、南極地域で活動を行う場合、南極環境保護法に基づく確認の手続が必要となっております。上陸をする活動は、確認の対象になり、また、上陸を伴わない場合も、海中の撮影や、結果を公表しない科学的調査については、確認の対象となっております。
特定活動とされている、漁業ですとか、船舶の航行、飛行機のうち海域の上空を飛行するもの、観光船、結果を公表する科学的調査につきましては、確認の対象とはなっておりません。
続いて、次のページをご覧ください。
南極での活動について、実際、どのようなものがあるのかをご説明できればと思います。先ほどお伝えいたしました国の事業である南極地域観測隊の南極地域活動は、ご覧のとおり観測計画、また設営計画に分けて実施がなされております。年間、大体80件ぐらいの活動がございます。
観測計画につきましては、基本観測、研究観測、に加え、他国などと連携して共同観測を実施しているという現状があります。また、設営計画につきましては、隊員の宿舎の建設工事ですとか、電気設備などの更新といったものがなされております。詳細は、こちらのスライドをご覧いただければと思います。
続きまして、南極地域における観光の現状について、お伝えします。各国の観光の現状は、ご覧のとおり、南米大陸に近い南極半島に90%以上の利用が集中しているという状況になっております。船や飛行機を使って南極大陸にアプローチがあり、観光利用がされているという状況になっております。
続きまして、附属書Ⅵの対象となり得る南極地域における観光の現状について、ご説明いたします。スライドの5ページをご覧ください。
今までお伝えいたしました観光利用がある中で、附属書Ⅵの対象となり得る観光につきまして、現状において南極環境保護法の確認対象となっていない行為のうち、上陸を伴わない観光船での活動につきましても、附属書Ⅵにおける責任対象に含まれるということになっております。
続きまして、6ページをご覧ください。
日本においては、上陸を伴わない観光船での活動は、令和7年1月時点で1社のみです。内容としては、こちらのスライドに記載のとおり、世界一周ツアーの一部として実施しておりまして、南極半島の近海を航行しているという状況になっております。また、船につきましては、シンガポールの企業が運行するパナマ船籍の船体を借り上げております。
本件の現状の手続ですが、上陸を伴わないため、日本の南極環境保護法に基づく確認申請の手続はしていないという状況です。
続いて、世界の南極地域における観光について、こちらでご説明できればと思います。7ページをご覧ください。
こちらのデータは、IAATOという国際南極旅行業協会のデータを基に作成したものです。議事(2)のところでもご覧いただいたグラフと同じになりますが、コロナで利用客が落ちた2021年、2022年を除きまして、観光客数、また船の航行数につきましても、右肩上がりに上昇しているという状況です。
また、IAATOによりますと、2024-2025年シーズンは、上陸する観光客数は10万人を超えると予想されております。
8ページをご覧ください。
こちらはIAATOに加盟しているオペレーターの国籍別航行数の内訳を示しております。ワンシーズンで569隻もの船が南極地域に航行していることが確認されております。また、日本人もこれらのツアーに参加しておりまして、令和5年度には449名が参加しております。
続いて、9ページをご覧ください。
こちらは船舶活動の内訳と主な上陸地点を示したものになります。地点につきましては、次のスライドに地図でまとめておりますので、10ページをご覧いただければと思います。
こちらの図は、主な上陸地点を表しておりまして、濃い青は2023年-24年で上陸が多い上位5地点を表しております。また、水色は主な上陸地点を表しておりまして、ご覧のとおり、南極半島に利用が集中していることがお分かりになるかと思います。
続いて、11ページをご覧ください。
こちらは南極の奥地観光及び航空観光に参加する観光客のデータになりまして、こちらの観光客数は南極観光全体の1%程度を占めています。
以上で、資料3-1について説明を終わります。
続いて、資料3-2を用いまして、南極地域活動における環境上の緊急事態対応の現状についてご説明したいと思います。お手元の資料3-2をご覧ください。
先ほどの資料3-1では、どういった活動が南極地域でなされているかについて、ご説明いたしました。資料3-2では、南極で緊急事態となったときに、現状、どういった対応が実施されるのかについてお伝えいたします。
まず、これまでに南極において発生した事故事例についてお伝えします。
1ページの(1)番では、航空機関連の事故についてまとめております。これらのデータは、IAATOのデータですとか、公表資料を基に作成しているものになります。
航空機関連の事故は、墜落や、航空機が氷山に衝突した事故が1979年以降、6件程度発生していたことを確認しております。また、海の上に航空機が墜落した事故も1件発生しております。
中には、実際に環境上の損害が発生していないものもありますが、こちらではインシデントとしてお見せしております。
続いて、2ページをご覧ください。
こちらは船舶関連の事故について、まとめております。観光船の事故に関して、1989年から1999年の10年間で6件程度発生していることを確認いたしました。全てではないですけれども、確認した限りで6件程度となります。中には、観光船が岩に乗り上げたり、観光船から油が流出したりした事例がございました。
続いて、3ページをご覧ください。
こちらも船舶関連の事故になりますが、2000年から2025年1月までの約25年間で7件発生したことを確認しております。観光船が流氷に巻き込まれたり、ザトウクジラに接触してザトウクジラが出血したりした事例、また、観光船が氷と衝突し沈没したという事例がございました。
続いて、4ページは、その他の事故として、基地での事故についてまとめております。アルゼンチンの基地で8万リットルの油が漏出したという事例もございました。
今まで世界的な事故事例についてお伝えしましたが、次の5ページでは、日本の南極地域活動において発生した事故の事例について、ご説明できればと思います。
第1次の南極地域観測活動は1956年に始まっておりますが、そこから現在行かれている第66次の南極地域観測活動に至るまでに、発生した事故事例について、国立極地研究所さんにヒアリングをさせていただきまして、以下を確認しております。
漏油事故は16件発生しておりまして、5ページに記載のとおりですが、海への漏油は確認されていなかったり、海氷が汚染されていても、ほぼ回収していたりしたという事例がありました。
続いて、雪上車等の海氷踏抜事故等につきましては12件発生しておりまして、雪上車が水没してしまうとか、海氷が流れてしまったことによってセスナ機が水没してしまうといった事故事例が発生しております。
続いて、6ページをご覧ください。
今まで事故の事例についてお伝えいたしましたが、南極地域観測隊として緊急時対応体制がどのようになっているか、ということをご説明いたします。
緊急時計画としては、二つの計画がございます。一つ目が、緊急事態対処計画書というもの、もう一つが、昭和基地油流出防災計画というものになります。
詳細につきましては、資料に記載の内容をご覧いただければと思います。
続きまして、7ページをご覧ください。
南極地域観測活動は、南極観測船「しらせ」を使用しておりますが、「しらせ」の緊急時対応について、こちらのスライドでまとめております。
「しらせ」の航行は、性能面、運用面での環境対策のほか、緊急時対応として、油流出については、記載の関連法に基づいた備えを行っております。
8ページをご覧ください。
実際に実施している緊急時対応は、記載のとおりとなっております。対処用機材の準備、具体的にはオイルフェンスとか吸着マットといったものを準備しているほか、油排出があった場合の通報の基準、通報・報告先の設定、また、油流出時の対応フローの設定を実施しております。
ただし、南極地域は、極域であるため、天候や季節による制約があり、対応船舶などが限定的にならざるを得ないという状況がございます。
続きまして、9ページをご覧ください。
今まで、国家事業に関してご紹介いたしましたが、民間の環境事業者の緊急時対応体制について、ご説明いたします。
国内事業者では、日本の国内事業者が、自社の所有する船舶でクルーズを行っているという事例は、現状ありませんが、こちらに記載の二つのケースがございます。一つが、他国の事業者が所有する他国籍の船舶を借り上げてクルーズを行うもの、もう一つが、他国の事業者が企画するクルーズツアーの参加枠を購入するというものです。
船舶に事故が起こった場合、海洋汚染に係る対応については、日本の主宰者が他国籍の船舶を借り上げている場合、また、日本船籍の船舶の場合、それぞれで対応がなされております。
船舶所有者の保険については、船主責任保険(P&I保険)に加入しています。
また、実際ツアーに参加する参加者の保険についてですが、海難救助があった場合を想定した海外旅行保険の加入を、主宰者が参加者に対し求めているという状況になっております。
以上で、資料3-2について、ご説明は終わります。ありがとうございます。
○髙村委員長 ありがとうございました。
ただいま議事(2)、議事(3)につきまして、資料2、資料3-1、資料3-2に基づいてご説明をいただきました。
ただいまいただいた事務局の説明について、委員からご質問、あるいはご意見、ございましたらお願いできればと思います。
この後の議題(4)の担保の方向性の前提となる内容についてご説明をいただいたかと思います。
先ほどと同様ですが、会議室にご出席の委員におかれましては、名札を立ててお知らせいただければと思います。オンラインでご出席の委員におかれましては、手挙げ機能ないしはチャットで発言の希望をお知らせいただければと思います。いかがでしょうか。
ありがとうございます。それでは、オンラインでご出席の大塚委員、お願いできますでしょうか。
○大塚委員 恐れ入ります。細かい点で大変恐縮ですが、資料3-1のほうの1ページと、資料3-2のほうの9ページのところに出てきている、この事業者が他国のツアー枠の購入をした場合、今の日本のケースではないようですけれども、これも事業者に関しては同じ責任を考えるということでよろしいのでしょうか。
特に緊急時対応体制に関しては、ほかの事業者と同じような扱いをしているということでしょうか。その点について教えていただければと思います。
○髙村委員長 ありがとうございます。
ほかに、委員からご質問、ご意見があれば、それも含めてまとめて事務局からお答えをいただこうと思います。
では、白山委員、お願いいたします。
○白山専門委員 ありがとうございます。白山です。丁寧なご説明、ありがとうございました。
これから先の議論になるのかもしれないですけれども、金銭的費用の支払いとか、金銭的保証の保持とか、お金のことがいっぱい出てきますが、緊急事態が生じたときの金銭的保証とか費用、何をどういうふうに積算して、この金銭的な費用というものを算出するのかということが、今のところご説明がないので、イメージが湧かないものですから、そこをご説明いただきたいというのが一つ。
それから、もう一つは、今回の附属書Ⅵの対象は観光船に限っていると、ご説明からは理解をするのですが、過去の緊急事態の例としては、韓国の漁船が事故を起こしたりもしているわけですけれども、そちらに関しては、附属書Ⅵに対する国内法の担保だから、今回は議論の対象にはしないと、こういう理解でよろしいかという二つ、ご質問させていただきたいと思います。
○髙村委員長 ありがとうございます。
ほかにご質問、ご意見のある委員は、いらっしゃいますでしょうか。
ありがとうございます。岡松委員、お願いいたします。
○岡松専門委員 岡松暁子でございます。非常に単純な質問でございます。
資料2の7ページのところにありますけれども、「日本の法体系になじまず非常に困難」という点について、具体的にどのような点が大陸法であると困難になるのかについて確認させていただければと思います。
○髙村委員長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。今の段階でお手は挙がってはいないかと思いますけれども、今いただいたご質問は、次の議事のご提案に関わってくるようにも思っていまして、もし、よろしければ、次の議事のご説明の中でお答えをいただく形もあるかと思います。そのようなことで、事務局は、よろしいでしょうか。
○自然環境計画課 主査 髙村委員長、ありがとうございます。
それでは、資料4の説明のときに、今いただいたご質問を踏まえてご説明できればと思います。ありがとうございます。
○髙村委員長 ありがとうございます。
ほかにご質問、ご意見は、ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
今いただきました、大塚委員、それから白山委員、岡松委員のご質問は、担保に関わって非常に重要な論点を含んでいると思っておりますので、もし、差し支えがなければ議事(4)のほうに移って、その中で併せてご回答、そして議論をお願いできればと思っております。
それでは議事(4)、南極条約議定書附属書Ⅵの担保の方向性についてであります。
こちら、事務局から資料4に基づいてかと思いますけれども、ご説明をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○自然環境計画課 係長 画面共有いたしますので、少々お待ちください。
それでは、先ほどご質問のあった点も触れられるように、資料4についてご説明できればと思います。
まず、本日、この資料4が、これまでの検討会等を踏まえました現在の担保方針や、残っている検討課題を示したものとなっております。特に、本資料の内容について、この後、検討事項に関するご意見ですとか、追加で検討すべき点がないかのご指摘をいただければ幸いでございます。
また、担保の方針については、先ほどよりご説明のとおり、政府部内で検討中であり、未確定な事項が含まれます。このため、本資料の7ページ目以降は、大変恐縮ではございますが非公開とさせていただいております。画面共有は6ページまでといたします。
会場にいらっしゃる委員の皆様は、机上の資料をご覧ください。オンラインでご参加の皆様は、昨晩メールでお送りした資料をご覧ください。
附属書Ⅵの担保に際しまして、先ほど資料2でもご説明をしましたとおり、大きく二つ視点がございます。
一つ目が、環境上の緊急事態への対応措置ですとか、費用支払いのように、附属書Ⅵに記載された、新しく対応が必要になる事項をどのように追加していくか。もう一つが、責任対象の違いについてになります。この点、2ページ、3ページを使いまして、まず、ご説明をさせていただきます。
2ページをご覧ください。
この図では、附属書Ⅵにより追加となる対応事項と、他の発効済の議定書、附属書を並べて時系列順に記載しています。図の左から右に事前準備・手続、南極地域活動の実施、緊急事態の発生時の緊急事態への対応となっています。
現在、南極地域活動を行う際には、先ほどご説明したとおり、議定書及び発効済の附属書の規定に対応して、南極環境保護法による確認の手続が生じております。これに沿って活動を実施することとなっております。
附属書の多くの部分では、人命の安全や施設の安全等に関わる緊急事態には、この行為規制は適用除外となっております。
また、附属書Ⅳの海洋汚染の防止については、日本籍船については海洋汚染防止法を遵守することとなっております。
これに対し、附属書Ⅵは図の下側にあるとおり、事前に、環境上の緊急事態の防止措置ですとか、緊急時計画の作成、金銭的保証などの保持が必要となっております。また、緊急事態の発生時の対応措置、また、対応措置が取られなかった場合には費用の支払いが義務として発生するというものです。
続いて、適用対象についてご説明いたします。
先ほどご説明しましたとおり、附属書Ⅵに記載されている責任対象は、左上にある南極条約第7条5に基づく通告対象に加え、南極地域に入る全ての観光の船舶となっております。
こちらで附属書Ⅵの対象について、白山先生のご質問にお答えしますと、観光船は全ての船舶が入りますが、通告の対象となっている行為、日本で言えば南極地域観測活動など、現在、確認申請の対象となっているような行為についても、附属書Ⅵでは対象となります。
ご説明に戻りますと、現在は、先ほどご説明したとおり、観光の船舶は現状では確認申請の対象となっていないものについても、附属書Ⅵの責任対象に含まれますので、この点は明文で記載する必要がございます。
また、今後の検討に当たっては、左側の赤と青の四角で囲まれた、通告対象及び現行の確認対象の範囲についても、法的に精査が必要であると考えております。
具体的に申し上げますと、先ほどよりお話のある南極条約第7条5の通告対象について、日本政府では図の左上の破線の四角、「日本政府の解釈」とあるとおり、航行、上空飛行、漁獲の自由、科学的調査の自由等の公海の自由に該当する活動を除いた、南極条約地域における活動としております。
現在の確認対象は、これに基づいて決定されております。しかしながら、先ほどより出てきている上陸のない観光船のほか、調査船等についても日本から渡航事例がございます。これらの取扱いの変更をするかどうかについても、精査が必要と考えております。
漁業船がどうなのかというご質問にお答えいたしますと、現在は、漁業活動についても、先ほどの公海の自由に該当しております。また、水産資源の保全に関しては、南極の別の条約がございまして、そちらを担保する水産関係の法令で担保されております。こういった状況をふまえ、現状では、漁業船は通告対象には含まれていないということになっております。
それでは4ページ以降の説明に移ります。
4ページから6ページが附属書Ⅵの各条項の担保措置の方向性の概要を示しております。順番にご説明します。
適用対象、第1条の関連は、先ほど図でご説明しましたとおりとなります。
続いて環境上の緊急事態について、附属書Ⅵの第2条に沿って南極環境保護法に定義規定を置く方向で検討しております。
防止措置及び緊急時計画の作成について、附属書の第3条、第4条に基づき、主宰者に対する義務規定を南極環境保護法に設け、違反があった場合に罰則を設けることを想定しております。
環境上の緊急事態が発生した場合の対応措置については、定義規定を置いた上で附属書Ⅵの第5条に基づき対応を義務づける方向で検討しております。違反に対しては罰則を設けることを想定しています。
5ページからですが、こちらが対応措置をとられなかった場合の主宰者の責任についてです。
ここは、3種類の類型に分けております。一つ目がA類型、日本政府によって対応措置がとられた場合。こちらは南極環境保護法に代執行的制度を規定することを考えております。詳細は、関係省庁と協議中です。このため、費用の算定については日本政府が対応してかかった費用を主宰者に請求するといった想定になります。
続いてB類型についてです。こちらは民事訴訟で対応することとしています。附属書Ⅵで規定された対応措置義務を担保するため、他の締約国が日本の主宰者に対して訴えを起こすことで、裁判の中で金額等が決められて支払いを求めるということを検討しております。詳細はこちらも関係省庁と協議中となっております。
C類型、いずれの締約国も対応措置をとらなかった場合です。この場合、南極条約の下に設置される基金に支払いを行うこととなりますが、現状では行政上の賦課金のような制度を導入することを検討しております。費用の算定については、いずれの締約国も対応措置を取るのが難しいような想像しづらい(注:現状の想定を超えた)事件、事故等も想定されますので、臨時に専門家による委員会を設置し、その中で妥当金額を設定することを考えております。
金額について、先ほどのご質問に併せてお答えしますと、6ページに一度移りますけれども、上限額が附属書の9条に規定されておりまして、負担の上限についても設定することを想定しております。
少し戻りまして、5ページ下部の裁判管轄については、先ほどご説明したB類型に該当する事例で裁判ができるような定めをするというものです。この点は、民事訴訟法で担保されていると考えられますが、詳細は協議中となっております。
責任の制限は、先ほどご説明したとおりです。
最後に、保険その他、金銭上の保証については、附属書に基づいて事前に保険に入っていただくとか、そういった財政上の保持の義務づけを規定する想定です。
ここから先ですが、先ほどご説明のとおり非公開の資料となります。委員の皆様は、お手元の資料をご覧ください。
資料の構成ですが、四角囲みで太字の部分は、これまでご説明した4~6ページの内容の再掲でございます。その下の細字の部分に、検討中の事項について補足を記載しております。
画面上では、先ほどの概要資料をお示しさせていただきます。
まず、7ページ、適用対象につきましては、先ほどご説明のとおりでございます。
また、先ほど他国のツアー枠を購入した主宰者に責任がかかるのかというところがあったと思いますが、主宰者の定義は、基本的にはツアーを主として企画、募集して実施する者としておりまして、他国にそういった企業があってツアーを運営していて、日本がツアー枠を購入しているという、日本の事業者がツアー枠を買っているという場合には、基本的には、その主となる事業者がある国のほうで附属書Ⅵの責任に対応すると考えております。
こういったケースで、他国で附属書Ⅵに基づく手続がとられている場合には、日本では、この法律を適用しないことを想定しております。
お手元の資料では8ページをご覧ください。
環境上の緊急事態の定義については、細字の2ポツ目に、現在の附属書Ⅵの記載を、そのまま載せております。こちらに基づいて定義を置くことを想定しております。事故の種類等について、附属書上で具体的な列挙はされておりませんが、想像されるものとしては8ページの下部にあるような、船舶の油流出事故、航空機関連の事故、陸上の燃料輸送中の事故などが考えられます。
お手元の資料で9ページをご覧ください。
防止措置及び緊急時計画の要件については、基本的な要件は附属書Ⅵの規定に従い、より具体的な基準等は政省令に規定し、また、具体的な内容は施行通知等に示すことを想定しております。附属書Ⅵに記載のある対応措置の定義は、資料の真ん中の段に記載のとおりで、環境上の緊急事態が発生した後に取られる合理的な措置であって、というところになります。
さらに「合理的な」の定義も附属書Ⅵには記載をされております。
続いて11ページをご覧ください。
日本政府によって対応措置が取られた場合の代執行についてです。環境上の緊急事態が発生した際に、附属書Ⅵの趣旨に照らしますと、行政代執行のみで対応することは手続に時間を要し、なじまないことが考えられます。また、行政代執行法にあります手続を省略できるケースについても、解釈の余地が大きく謙抑的な運用となっております。
このため、一番下にありますとおり、A類型の発生時には緊急代執行の手続を取ることを検討しております。
12ページをご覧ください。
しかしながら、代執行的制度を定めるには、緊急事態や対応措置の基準が、ある程度具体的に定められている必要がございます。これに対し、先ほどご説明のとおり、環境上の緊急事態の定義、具体的な事故の種類等の記載がないことをはじめ、具体的な事故の種類や基準が現状定められておらず、起こり得る幅広い緊急事態が対象となっていることから、ここをどのように担保していくかは課題となっております。
今後、一定の規模以上のものを環境上の緊急事態と判断するといった閾値の設定ですとか対応措置の具体的な基準についても、ご意見をいただきながら検討していければと考えております。
13ページ、B類型の他の締約国によって対応措置が取られた場合についてです。
補足説明ですが、B類型をA類型と同様の対応としないのは、附属書Ⅵにおいても裁判による求償が予定されていること、また、外国政府が直接事業者に費用負担を強制できないということが挙げられております。
14ページ、15ページにあるC類型、それから、責任の制限と裁判管轄については、概要に記載したものの再掲ですので、説明は省略させていただきます。
最後の16ページの保険その他金銭上の保証についてですが、附属書Ⅵにおいては、B類型については金銭的保証が義務づけられていますが、C類型については奨励義務と整理されております。このため、南極環境保護法においても、B類型の保証の保持を義務づけて、C類型については義務づけないことを想定しております。また、義務づけを行った際に、国内で適切な保険商品があるかについても精査が必要となっております。
説明は以上となります。
最後に岡松先生のご質問にありました、日本の法体系になじまないという部分ですけれども、特に、やはり費用の支払いの部分で、C類型にあるように、いずれの締約国も対応措置をとっていない場合で、かつ、いずれの国の領土でもないような場所においても、環境上の緊急事態が発生したという理由で、その支払いの義務が課されるという部分などが、日本としては法律にしていくところが難しいというところで、とても検討に時間がかかったと考えております。
以上です。
○髙村委員長 ありがとうございます。
これから、事務局にご説明いただきました、担保の方向性について、委員の皆様からご意見、ご質問をいただければと思います。
同じように、会議室でご出席の委員の皆様は名札を立てて、ネームプレートを立ててお知らせいただければと思いますし、オンラインでご出席の委員におかれましては、チャットないしは、手挙げ機能でお知らせいただければと思います。
先ほど、前の議題でご質問いただいたところについては、今、事務局からお答えをいただいたかと思います。先ほど、岡松委員からご指摘にあった日本の法体系等がなじまない点はどこかという点、それから、白山委員からご指摘のあった1点目でしょうか、特に金銭的費用をどう算定をするのかという点について、これはC類型に該当するかと考えます。先ほど事務局からもご説明がありましたように、日本の法体系では、対応措置がとられたことによる費用を償還するという仕組みはあると思うんですが、対応措置がとられなかったけれども損害が生じたものについて、どう支払いを求めるのか、どのようにその責任を担保するのかという点は、日本の法体系には、あまり例がないところかと思います。
これは、先ほど白山委員がおっしゃった、措置がとられなかったけれども支払う費用をどうやって算定するかという点にも関わってくるかと思います。
先ほど事務局からお答えをいただいた点も含めて、委員の皆様から、さらに深めるご質問、ご議論をいただければと思います。
それでは、ご発言ご希望の委員がいらっしゃいましたら、お願いできればと思います。
それでは、最初に、会場でご出席の西本委員にご発言いただき、その後、オンラインでご出席の大久保委員にご発言いただきたいと思います。
それでは、西本委員、よろしくお願いいたします。
○西本専門委員 西本でございます。詳細な説明、大変ありがとうございました。
私から3点ほどあるのですけれども、1点目は、先ほど岡松委員からご質問のあった点に関連する点です。
資料で言いますと5ページ、対応措置をとらない主宰者の責任について、A、B、Cの三つの類型に整理いただいておりまして、C類型について行政上の賦課金制度、制裁的性質を伴わないものを導入するということを検討されていると理解をしております。
この説明について、とられるべきであった対応措置の費用を算定し賦課するものというふうに、非常にニュートラルな表現がされてはいるのですけれども、この賦課金を賦課するという、その実質的な根拠といいますか、どういう性質のものとして捉えるべきなのかというところですね。ここが、恐らく岡松委員がご質問された、難しい点というところと関係しているのだろうと思うのですけれども、これまでのご議論の中で、何か整理されているということがあれば、もう少し詳しく教えていただけると、今後の検討にも特に資するのではないかなと思いますので、この点をご質問させていただきます。
2点目ですが、これもこのC類型に関連するところかと思いますけれども、附属書Ⅵの6条の2項の最終文のところ、金銭を受領した締約国が基金に拠出をするということが想定されているわけですけれども、この拠出の部分については、特に担保するということは想定されていないのかどうかというところもお尋ねしたいです。
これは、色々なやり方があるかと思うのですけれども、最終的に基金に拠出するということが、もちろん最善の努力を払うという義務ではあるのですけれども、ただ、他方で拠出するということを想定されているのだろうとすると、それをなぜ、国が受領するのかというところと少し連動した話にもなるように思いますので、その点、現時点でどのような整理がされているのかということをお伺いできればというのが2点目です。
3点目ですけれども、こちらは少し違う話になるのですが、今回、観光用の船舶が対象に入ってくるというところが、ご説明いただいたとおり新たなポイントかと思うのですけれども、船舶については、その責任の制限に関する国際条約もございますし、それを受けた国内法もございます。
この場合は、バンカー条約のほうは、恐らく場所的に、ほかの国の領海やEEZに影響を及ぼすようなことはなさそうに思いますので、防止のための措置を考えても、関連してくることは考えなくてもよいのかなと思うのですけれども、他方で、海事債権責任制限条約のほうは関連してくるように思います。
附属書Ⅵの中でも、他の条約の下での責任制限については、9条の2項ですかね、一応想定はされてはいて、その限りでは適用関係というのは、国際法上は、この規定に基づいて整理をすればいいと思うのですけれども、これを受けた国内の担保法として、船舶の所有者等の責任の制限に関する法律がありますので、そちらと今回導入する担保法との、例えば適用関係のようなものを何か明記しないといけないかどうかとか、そういったことが、これまでご検討されていたのかどうかということを承知しておりませんもので、教えていただければ幸いです。
すみません、長くなりましたが、以上3点、お願いいたします。
○髙村委員長 ありがとうございます。
先ほど、申し損ねましたけれども、特に今回の委員会は、第1回ですので、ぜひ、自由にご意見をいただければと思いますが、同時に、今後国内担保していく上で、今、西本委員からもご指摘があったように、検討すべき事項、あるいは論点について、場合によっては、こういう点を検討すべきだという点を、ぜひ出していただければと思います。
それでは、幾人かの委員の皆さんのご意見をいただいた後に、事務局からお答えをいただこうと思います。まず、オンラインでご出席の大久保委員に発言をお願いできればと思います。先ほどの西本委員の1点目などは、ひょっとしたら大久保委員からもご意見があるかもしれません。どうぞよろしくお願いいたします。
○大久保臨時委員 ありがとうございます。1点目、もし、また後ほど事務局の説明に加えることがあれば、ご説明させていただきたいと思いますが、私からは資料4の3枚目について、確認をさせていただきたいことが1点ございます。
スライドの3の適用対象で少し気になりましたのが、事前に通告を行う対象活動の解釈というところに、わざわざ赤文字にここだけして「日本政府」と書いてあるので、これは何か争う余地があったのでしょうか、生じているのでしょうかということです。
また、基本的には、附属書Ⅵで新しく対象になるものは、観光船で、かつ上陸を要しないものも含まれることになる点が新しいと思っていたのですが、8ページで緊急時に含まれる場合の中に、航空機事故の話が入っている、航空機からの油と有害物質の流出というのが入っているのですけれども、これは航空機も入ってくるということを想定して、ここに書いているのでしょうかという確認です。
以上です。よろしくお願いします。
○髙村委員長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。ご発言ご希望の委員はいらっしゃいますでしょうか。ありがとうございます。白山委員、それではお願いいたします。
○白山専門委員 白山でございます。いろいろご説明ありがとうございます。
先ほど、どういう積算をするかみたいなことについて、既にこの附属書Ⅵに対して批准をしている国もたくさんあるという最初の情報ですから、そういうところでは、この我が国の法体系に対して参考になるような国内法担保がどんなふうにされているのかということに関して、もしご説明いただける内容があれば、あるいは、2回目、3回目の時に、そういうことについてご説明いただくと、我々の議論の中で参考になるのではと思うので、既に情報収集されているとすれば、そういう何らかのご示唆をいただけるとありがたいなと思います。よろしくお願いします。
○髙村委員長 ありがとうございます。
今、委員からお手が挙がっておりませんけれども、ご発言ご希望の委員は、いらっしゃいますでしょうか。
ありがとうございます。それでは、岡松委員にご発言いただいた後に、一度、事務局からご意見について、特にご質問があったところについて、お答えをいただこうと思います。
それでは、岡松委員、よろしくお願いいたします。
○岡松専門委員 恐れ入ります。岡松でございます。
損害の補償に関しましては、南極は環境損害補償制度などが少しずつ整ってきているかと思うのですけれども、その基金とか、損害補償制度に対して、日本政府としては、どのように拠出し、どういう状況であれば、その補償制度を使うということに関して賛成しているような理由などがありましたら、これも確認をさせていただければと思います。
○髙村委員長 ありがとうございます。
一度、事務局にご意見をいただこうと思いますけれども、基本的に今回は、ご意見をいただいて論点を出していただいて、さらに検討するという、そういう位置づけの議論と思っておりますので、特にご質問があった点についてお答えをいただいて、ご意見についてはお答えいただけるところをお答えいただければと思います。
○自然環境計画課 係長 ありがとうございます。まず、私のほうから、部分的にお答えできない部分もあるかもしれないのですが、お話しさせていただきます。
まず、西本委員からご質問いただきました行政上の賦課金の根拠の部分。まだ不確定ではあるのですけれども、現状のところをお話ししますと、環境上の緊急事態を生じさせた事業者が、本来とるべきである対応措置をとらなかったことで、経済的に利益を得たというような考えで負担を求めるというようなところを考えております。
続いて、基金への日本からの拠出の部分、基金への支払いで、実際に政府部内でどういうお金の動きをするかというところは、まだ調整中のところがございまして、現状では記載しておりませんが、拠出の部分も検討はしております。
3番目の船舶の責任制限について、こちらも精査が不足していた部分だと思いますので、いただいたご意見を踏まえまして検討することとなるかと思います。
続きまして、大久保委員の公海の自由について、解釈を争う余地があったのかというところですが、少し誤解を招くような着色をしておりまして申し訳ありません。争うようなところではないのですけれども、通告対象の解釈が各国によって一部異なっている部分があると認識されております。そちらを踏まえて、このような記載としております。
附属書Ⅵの採択当時にも、観光を目的とした船舶について、国によって通告対象としているかどうかに違いがあったために、このような明文となっていると理解しております。
航空機については、日本で現状、実際に主宰者に該当する事例はないと認識していますけれども、陸域を通過する場合や着陸を伴う場合には、通告対象となっているという認識です。
批准国の担保内容について、過去に、ここ数年来調査をしております。今、まとめてお答えが難しいと思いますので、追って整理をしてご回答させていただければ幸いです。
最後、岡松委員のご質問が、すみません、理解し切れなかった部分がございまして、もう一度、よろしいでしょうか。
○岡松専門委員 基金について、先ほどちょっとお答えいただいた点と同じかと思います。基金を進めているかと思いますけれども、それに対して、どのような対応をしていらっしゃるでしょうかということです。
○自然環境計画課 係長 基金とおっしゃったのは。
○岡松専門委員 環境損害に関して。
○自然環境計画課 生物多様性国際企画官 すみません、自然環境計画課の田中ですけれども、質問ありがとうございます。
基金というのは、南極条約事務局に設置される基金のお話ですよね。
○岡松専門委員 はい。
○自然環境計画課 生物多様性国際企画官 附属書Ⅵでは基金を設置して管理されるというのはあるのですけど、まだ実際にこの附属書Ⅵが発効していないこともあって、今現在、基金は存在していないという状況ですので、発効して、実際、そういうことが起きたときに基金が設置されて、基金にお金が入っていくということになると思います。
○髙村委員長 ありがとうございます。今、お答えいただけるところをお答えいただきました。もし、何か追加でご質問、ご意見があれば、引き続きお願いできればと思います。
既にご発言された委員も含めまして、ご発言ご希望の委員、いらっしゃいますでしょうか。
それでは、私のほうから一つお尋ねといいましょうか、検討いただきたいと思っていることがございます。
大塚委員がチャットで発言希望を入れていただいているようですので、大塚委員から先にご発言をお願いしてもよろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。
○大塚委員 申し訳ありません、打ち込むのに時間がかかってしまい申し訳ありません。
先ほど、白山委員がどこかでおっしゃったと思いますけど、特にC類型に関して、本来とるべきものであったものの賦課金を課する場合について、何が本来とるべきものであったかの算定は非常に難しいことになるかもしれないということがあり、合理的に考えていくということになると思いますけれども、これを、どういうふうに算定するかは結構大事な問題になるということを、一言、申し上げておきたいと思います。
それとの関係で、お伺いしておきたいのですけれども、先ほど、資料4の2ページのところで、人命・安全等にかかる緊急事態では責任適用除外ということになっているので、ここは外れるわけですよね。これが外れることによって、今の費用の算定に何らかの影響がどういうふうになってくるのかということが気になったので、何か、もし、コメントをいただけたら大変ありがたいです。恐れ入ります。
○髙村委員長 ありがとうございます。ほかに、ご発言ご希望の委員、いらっしゃいましたら、ぜひお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。
それでは、時間つなぎではないですけれども、私から1点。それから、もう一つ情報として共有をさせていただきたい点について、申し上げたいと思っております。
一つは、附属書Ⅵの適用範囲についてです。こちらの資料で行きますと、資料4のスライドの3になるかと思いますけれども、こちらにありますように、附属書Ⅵの適用範囲は、南極条約7条5項に基づく事前の通告を必要とするもので、プラス、南極条約地域に入る全ての観光船ということであります。日本の南極法の下でいきますと、事前の通告の対象になっているものが環境大臣による確認の対象になっているということかと思いますけれども、一つには附属書Ⅵの対象になる上陸のない観光船について現時点で環境大臣による確認の対象になっていないので、これをどのように扱うかという論点があるかと思います。その上で、結果を公表する科学的調査については確認の対象から外れ、結果を公表しない科学的調査については、南極条約に基づく通告の対象になっているというのが、今の法の立てつけかと思います。南極条約7条5項の規定を見ると、特に結果の公表云々というのは、通告の要件には、条文上は入っていないかと思います。これは先ほど大久保委員でしたでしょうか、ご質問があった点に関わるのですが、事務局からお答えがあったように、事前の通告について実際の各国の慣行が必ずしも一致していないところがあるということを前提とした上で、この結果を公表する科学的調査について、いわゆる附属書Ⅵの対象になるのかどうかという点であります。科学的調査について、一般には対象になると解釈をし得る余地があるようにも思いまして、一つは日本政府が行っている事前の通告の範囲に関する解釈がどうなっているか、この点がほかの国との関係でどうなっているのか。もちろん解釈は、日本政府が行う裁量があると思いますが、ほかの国がこれは事前の通告の対象であり、したがって、附属書Ⅵの適用対象であると解釈しているとすると、この結果を公表する科学的調査について何らかの緊急事態が生じた場合に、それについて例えば他国が対応措置をとった費用の償還を日本の裁判所に訴えを起こすというときに、その訴えに対応ができるのか等々、担保上の課題が出てくるように思いまして、この事前の通告の範囲、特にこの科学的調査のところについて確認をいただくのが有益ではないかと思っています。事前の通告の範囲を拡大するのかという論点でもありますけれども、仮に事前の通告の範囲を拡大しなくても責任附属書の担保上どういう取扱いをするのかという論点はあると思います。附属書VIの担保に当たって、必ず事前の通告の対象を広げる必要があるとは考えておりませんけれども、検討いただきたい点として挙げておきたいと思います。
二つ目は、先ほど漁船の扱いについて白山委員から2点目のご質問があったかと思います。事務局からご回答いただいたように、附属書Ⅵの交渉時の非常に大きな争点が漁船の扱いでございました。結果的に漁船については適用の対象とするという合意ができないまま、いわゆる漁船をもし附属書Ⅵの適用の対象とする場合には、附属書Ⅵの改正を必要とするという条文に現在なっているかと思います。もちろん漁船の活動が緊急事態を引き起こす可能性はあるので、これを日本の国内法として、国内の制度としてどう扱うかという論点は残っていると思いますけれども、附属書Ⅵでは、現在適用は除外されています。
交渉の過程の情報として提供させていただきました。
それでは、渡邉委員、発言のご希望ありがとうございます。ご発言をお願いいたします。
○渡邉専門委員 先ほど白山委員から基金についてのご質問があったと思うのですが、やはり現在、南極条約の協議国会議で行われている、特に環境保護委員会での議論の中でその基金をどんなふうに使うかといったような話が行われているのか、以前私が協議国会議に参加していた時に、環境保護のために使うという一般的な話までしか聞いてはいなかったのですが、最近その議論がある程度、もし進んでいるということであれば、ぜひその辺りをご紹介いただけないかと思います。それによってこの先の議論についてもかなりイメージが固まってくるのではないかと思いますので、お願いしたいと思います。
以上です。
○髙村委員長 ありがとうございます。
ほかにご発言をご希望の委員は、いらっしゃいますでしょうか。
ありがとうございます。外務省からお願いいたします。
○外務省 課長補佐 ありがとうございます。国際法局社会条約官室の漆原と申します。
今、髙村先生から、附属書Ⅵの交渉経緯について触れられていたところで、漁船については交渉時に大きな争点になったとご説明いただきましたけれども、調査船についてはどのような扱いというか、どの程度争点になったのかというのが気になりまして、また、明文上、観光船だけを記載したという結果に落ち着いた経緯についても、ちょっとご説明いただければ幸いです。
○髙村委員長 ありがとうございます。もし事務局からお答えがあればいただきます。私からも後でお答えをできる範囲でしたいと思います。ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。関係省庁も含めてもしご質問、ご意見がありましたらお願いしたいと思います。
では、ここで一度、大塚委員、渡邉委員、そして外務省からもご意見いただきましたので、先ほどと同じですが、基本的に御意見をふまえて検討していただくということですけれども、事務局から今お答えできるところはお答えをいただければと思います。よろしくお願いします。
○自然環境計画課 係長 ありがとうございます。
まず、大塚委員のご質問で、C類型の費用の算定をする際に、人命・安全等にかかる緊急事態等で金額が変わっていくのかというところですが、ちょっと現状では細かい検討ができていない部分ですので、今後検討していきたいと思います。実際には、例えば、ある時までは事故の現場に近づけなくて、途中で安全上近づけるようになったとか、様々なケースが想定されますので、そういった点も含めて検討できればと思います。
髙村先生からは情報提供いただいたということで大丈夫でしょうか。
○自然環境計画課生物多様性 国際企画官 渡邉先生からのご質問については、私からご回答いたします。
私は、昨年5月にインドで開催された南極条約協議国会議に外務省さん、極地研さんと一緒に参加したのですけれども、その時この附属書Ⅵについては、特に未締結の国の検討状況については議論があったようですが、この附属書Ⅵで設置される基金についてどう使うかとかという議論は特にされていなかったと承知しております。
以上です。
○自然環境計画課 係長 最後の外務省さんからのご質問ですが、私も先日、同じ質問を髙村先生にさせていただきまして、その又聞きのような形になってしまいますので、もしよろしければ教えていただければと思います。
○髙村委員長 はい、ありがとうございます。
今、外務省の漆原さんからご質問いただいた点ですけれども、大きな争点になりましたのが先ほど申し上げました漁船の扱いです。観光船については規定上、全ての観光船となっているわけですけれども、漁船以外の調査船の扱いについて、交渉上大きな論点にはなっていなかったということであります。南極条約地域での活動の多くというのが調査、観測の活動であるというのが前提になっていて、7条5項に基づく事前の通告の対象というものに含まれていると理解をされていたのではないかと推察いたします。
ただ、先ほど事務局からもありましたように、実際の各国の7条5項に基づく事前の通告は、必ずしも全て一致、統一をしているわけではないということではありますので、一定の裁量は各国にあると思っております。むしろ漁船、漁業活動が非常に大きな争点でして、適用対象ではないので附属書Ⅵの国内担保上は大きな論点ではないかもしれませんけれども、先ほど西本委員からご発言がありました、ほかの条約あるいは国内法との関係でいくと、漁船についてはCAMLR条約(注:南極の海洋生物資源の保存に関する条約 Convention for the Conservation of Antarctic Marine Living Resources)との関係というのが論点になっていたということであります。しかし、適用の対象にはなっていませんので、附属書Ⅵでの国内担保上は必須でないといいましょうか、国内法で何らかの対応が必要であると日本独自で判断をしない限りは、漁船に関わっては論点とはならないかとは思います。
お答えになっているといいのですけれども。ありがとうございます。
白山委員、お願いいたします。
○白山専門委員 一つ気になったことがいろいろ議論を伺って出てきて、資料4のスライドの2のところにあります緊急時計画の作成というのが赤字で書いてありますけれども、その上にも附属書Ⅳに対して、緊急時計画の作成というのがあって、この両者が大きく乖離していたり整合性がなかったりというようなことがあるといけないというのがあって、この二つの緊急時計画の作成というものの関係がどうなっているかというのと、さらにその上には別の附属書に関わるものではありますが、適合について制度内で確認と書いてありますけれども、緊急時計画を作成してもそれが実効性のないものであってはならないと思うわけですが、この実効性の確認なり担保なりということについては、今どのような検討がされているのか教えていただけるとありがたいです。
以上です。
○髙村委員長 ありがとうございます。
それでは、続いてオンラインでご出席の大塚委員、お願いできますでしょうか。
○大塚委員 先ほどご回答いただいたのですが、ちょっと私の質問があまりよく分からなかったかもしれなくて申し訳ないのですが、簡単に言うと、C類型の賦課金というのは広い意味での環境損害的なものが入ってくるのではないかということを申し上げておく必要があるかなと思っていました。人命・安全等にかかるものは入らないということになると、実際にはここでは環境損害的なものがここで払われることになるのではないかということも申し上げておく必要があるかなと思ったということです。ただ、とられるべき対応措置費用は環境損害自体ではないので、狭い意味の環境損害ではないですが、その点に関する議論が必要になってくるということでございました。恐れ入ります。
○髙村委員長 ありがとうございます。
ほかにご発言をご希望の委員、あるいはオブザーバーでご出席の関係省庁などから、いかがでしょうか。
ありがとうございます。外務省さん、お願いいたします。
○外務省 課長補佐 すみません、漆原です。
前提として、資料4の3枚目に書いてある南極条約第7条5の事前通告を行う対象活動、日本政府の解釈というところで、これは、航行、上空飛行、漁獲の自由、科学的調査の自由等公海自由の原則に該当する活動を除いた南極条約地域における政府及び非政府の全ての活動であると解されるということで、これは日本政府の解釈として固まっていると認識していますけれども、先ほどの髙村先生のお話ですと、交渉時に調査船が大きな争点にならなかった理由として、そもそも7条5の事前通告の範囲に調査船が含まれると各国で理解されていたのではないかというようなことをおっしゃっておりまして、そうすると日本政府のこの解釈というのは、他の諸外国の解釈と比べると、ちょっと異質な解釈ということになるのか、ちょっと説明が難しいかもしれないですけども、感覚的なものでも構わないのですけど、ご意見いただければと思います。
○髙村委員長 ありがとうございます。環境省か私か、あるいは西本先生が適切かもしれませんけど、この後、ご意見いただければと思います。
ほかにご発言のご希望はございますでしょうか。
白山委員、大塚委員から、大塚委員はご趣旨をご説明いただいて、これは先ほど西本委員の1点目にも関わるところかと思いますけれども、ほかにご発言のご希望はございますでしょうか。
よろしいでしょうか。特に落ちている論点、あるいはクラリフィケーションが必要な点はございますでしょうか。
ありがとうございます。失礼いたしました。大塚委員、お願いいたします。
○大塚委員 すみません、つまらないことで恐縮ですが、先ほど言い忘れたので。
財政的保証という言葉と金銭的保証という言葉とちょっといろいろ出てきているので、これは統一していただく必要があると思います。「ほしょう」の字に関してもちょっと統一をお願いします。すみません、つまらないことで恐縮です。
○髙村委員長 ありがとうございます。
ほかにご発言をご希望の委員はいらっしゃいますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、ご指摘も含めて、ご意見をいただいた点があるかと思います。白山先生、それから大塚先生、それから外務省さんからのコメントですね。もし事務局でお答えできるところがありましたらお願いできればと思います。
○自然環境計画課 係長 ありがとうございます。
まず、白山先生からいただいた1点目の附属書Ⅳを担保している緊急時計画と附属書Ⅵの緊急時計画との違いというご質問と理解したのですけれども、まず附属書Ⅳと附属書Ⅵで対象が異なっておりまして、附属書Ⅳは締約国を旗国とする船舶、つまり締約国籍の船舶等について義務づけられているものになります。日本の海洋汚染防止法では、この計画の作成は、油流出の防止について船舶の所有者に課されている義務となっております。附属書Ⅵにつきましては、先ほど申し上げたとおり、船舶以外にも様々な事故が想定されるという点と、緊急時計画の作成についても、主宰者、活動を主となって行う方が義務を課されるということになります。何か整合が取れないようなものということではないと思いますけれども、少しそういった違いがありますので、整理は必要だと考えております。
緊急時計画の具体的な内容ですとか基準については、先ほどご説明したとおり、附属書Ⅵの記載は大まかなものとなっておりますので、今後、他の法令も参照しながら検討していく必要があると考えております。
大塚委員のご意見については、こちらが趣旨を理解し切れておらず、大変恐縮ですが、承知いたしました。
外務省さんの各国の通告対象の解釈がどうなっているかというところ、現在、詳細は把握できていないところでございます。
最後に、大塚先生のご指摘については、資料の平仄が整っておらず、申し訳ありませんでした。
以上となります。
○髙村委員長 ありがとうございます。
先ほどの外務省さんからのご質問について、もしどなたかあれば、お願いいたします。
○西本専門委員 すみません、日本の解釈が例えば一般的かどうかという点については、なかなか主観的な評価を述べてもあまり議論の参考にはならないと思いますので、そこは差し控えたいと思うのですけれども、必ずしも当然の解釈であるということではないと思いますし、異なる解釈を取っている国も当然あります。要はかなり多様ということがありまして、そこは各国に裁量があるのだということを髙村先生がおっしゃっていたかと思うのですけれども、そういう整理になると思います。
ただ、私が承知しておりますのは、この点については日本の実行自体も実は一貫していないということが指摘はされておりまして、かつては上陸をしていないものについても通告をしていた時期があると言われておりますので、その点でもこの前提の部分、どこまでこの場で議論して、今後、国内担保の制度設計に資するのかというところがあると思います。この点、私からは当初の質問・コメントとしては申し上げなかったのですけれども、そこはあるのかなと思っておりまして、その点が例えば髙村先生がご指摘になりました対象についての認識の齟齬がある中で、何か事件が発生して、それに対する措置を取ったほかの国から何か請求があったときに、例えば、でも日本もかつては通告していたではないかとか、そういうことが主張される可能性もあると思いますので、そこはやはり気をつけないといけないところとは思っているところです。
以上です。
○髙村委員長 ありがとうございます。今、西本先生からお答えいただいたとおりであります。
一つ、私が気になっていますのは、今、通告の慣行に一貫性がない局面もあるのではないかというご指摘がありましたけれども、上陸をしない海域での科学的調査で結果を公表しないものは通告をしており、逆に結果を公表するものについては通告をしていないというのは、多分、公海の自由だけでは説明がなかなかできないかなと思っていまして、その意味では、先ほどありましたように事前通告の対象について各国の実行はどうなっているかというのを見ていただきながら、少し検討いただくといいと思っております。
ほかにはいかがでしょうか。
関係省庁さんからもし、この機会にご質問あるいはご意見はございますでしょうか。極地研さんもいかがでしょう。大丈夫でしょうか。
ありがとうございます。
ご出席の宮本委員、ご無理を申し上げるつもりはございませんが、もし何かご発言のご希望がございましたら、いかがでしょうか。
○宮本専門委員 私は実際に観光船ではないのですが、クルーズ船を運航している会社ではありますけれども、実際南極海域に行くということが今後発生するかどうかという、現在の業界の流れだけ説明させていただきますと、クルーズ業界は非常に今大きく膨らんでいる、伸びているような状況でして、そのような中でやはり南極海域というのは一つ大きな観光資源というか、そういう言い方をすると申し訳ないのですけれども、そういうものとして非常に大きな目玉にもなってくるようなところですので、これから先、将来的にはやはりそういった日本国籍の船籍の船が南極海域に行くということは、非常に大きくあり得るのではないかと我々も考えておりますので、この議論については、ぜひ引き続き、いろいろと確認していきたいとは考えているところです。
すみません、そういったコメントで申し訳ないですが、以上です。
○髙村委員長 ありがとうございます。協議国会議などでもやはり観光活動について議題になっていると伺っております。貴重な情報をいただきましてありがとうございます。
ほかにご発言をご希望の委員はいらっしゃいますか。
外務省さん、お願いいたします。
○外務省 課長補佐 度々、漆原です。
先ほどから附属書Ⅵの適用対象に関するご質問が多くて恐縮でございますけれども、今、観光資源として南極が大きく取り上げられているというようなお話がありましたけど、ただ、附属書Ⅵが採択されたのは20年近く前と理解しておりまして、その時にそんなに観光、南極に対する観光のニーズがどれぐらいあったのかというのは、不透明なところがありまして、例えば、この2025年に採択しますという話だとしたら、この観光船を明示的に抜き出したのは、これから観光船が増えてくるから、これに関しては7条5の通告対象でなくても、あえて明示する必要があるだろうというような理屈は立つと思うのですけれども、どうも20年前からそういう状況だったのかというのは疑問がございまして、先ほどの質問ともかぶるところはあるのですけれども、20年前の議論の時に観光船だけを明示的に適用対象とした理由について、やはりもう少し詳しくお聞かせいただけないかと思っております。
○髙村委員長 これは私からお答えしますか。事務局のほうからもしお答えいただけるのでしたら。
○自然環境計画課 係長 すみません、現状こちらに情報がないところでございます。
○髙村委員長 ありがとうございます。今の点、事務局のほうでもまた確認をいただければと思いますけれども、本日、事務局から出していただいている資料3-2の事故事例をご覧いただくと、幾つか観光船に関わる事故事例が2000年代に入った前後にもございまして、交渉の中でやはり観光船の拡大の将来の見通しというのがあるということを強調する国々が多かったと記憶をしております。この辺り、もう一度事務局のところで確認をいただければと思います。
渡邉先生、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○渡邉専門委員 実際の事故として、南極半島域でアルゼンチンが運行していた観測船、それに観光客も乗せるという変則的な形の船があったのですが、その船が先ほど資料にも出していただいたように、1989年1月に座礁して重油を漏らしてしまった。最終的にはそれは沈没してしまったのですが、それによって近くのペンギンのルッカリー(注:集まって子育てをする場所)で多くのペンギンが油まみれで死んだり、環境損害が起きたりした。これは後に油を回収したとなっておりますけれども、そういった事故がその頃アラスカのタンカーでもあって、南極でそういうことが起きますと、油の分解が非常に遅いし、環境影響が大きいだろうということで、対応を求めるものをやはり作らなければいけないというインセンティブの一つになったと理解しております。
その事例についてもかなり環境保護委員会でも検討が行われまして、環境保護の議定書の附属書Ⅵ、これもかなり古くから検討が行われていたのですが、ある時一度仕切り直しがありまして、現状の形になったと南極条約の協議国会議に私が出席していた頃の話ではありますけれども、ご参考になればと思いまして、発言させていただきました。
以上です。
○髙村委員長 渡邉先生、どうもありがとうございます。
ほかにご発言をご希望の委員、あるいはオブザーバーでご出席の皆様、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
論点について、今日もご指摘をいただきましたが、十分にご発言いただけなかった点等もおありかと思います。もしございましたら委員の皆様、あるいは関係省庁、オブザーバーの極地研からもお気づきの点がございましたら、事務局宛にご連絡をいただければと思います。本日のご議論を踏まえて検討いただく際にそうした情報も併せて検討していただければと思います。
もしよろしければ、本日の議題4については、取りあえずここで一度終わらせていただこうと思いますが、よろしいでしょうか。
はい、ありがとうございます。
それでは、残りました議事は「その他」でございますけれども、何か事務局からございますでしょうか。あるいは、本日の議題にはならなかったけれども、附属書Ⅵの担保に関わってご意見、ご質問がありましたら委員あるいはオブザーバーからお願いできればと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、事務局から何かその他、ございますか。よろしいですか。はい、ありがとうございます。
それでは、本日の議題は、以上とさせていただきます。
議事の進行はこれで事務局のほうにお返ししたいと思います。皆様ありがとうございました。
○司会 髙村委員長、議事進行、ありがとうございました。委員の皆様におかれましても、長時間にわたりご審議をいただきましてありがとうございました。
最後に、番匠自然環境計画課長よりご挨拶申し上げます。
○番匠自然環境計画課長 本日は活発にご議論いただきましてありがとうございました。いろいろなご意見、ご質問をいただきまして、なかなか答え切れなかったものもあったかと感じております。さらに、各国の状況や昔の話なども確認をしながら検討を進めてまいりたいと思っております。
この附属書Ⅵの締結というところ、来年にはATCMが国内開催されるということで、いよいよ20年来のものがやっと動いておりますので、ぜひ引き続きご協力をいただいて形にしていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いします。
次回の小委員会でございますけれども、今年の6月から7月頃を予定させていただきたいと考えております。ただ、ちょうどその時期にATCMイタリアの会議がございまして、我々、担当も重なっているものですから、そちらとの調整なども含めて、髙村委員長とご相談をして、調整をさせていただきたいと思っております。引き続きよろしくお願いできればと思います。
本日はどうもありがとうございました。
○髙村委員長 ありがとうございました。
午前11時36分 閉会
○司会 定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会自然環境部会第1回南極地域の環境の保護に関する小委員会を開会いたします。
本日はお忙しい中、ご出席いただきありがとうございます。
本委員会につきましては、中央環境審議会自然環境部会(第49回)にて設置が決定され、同自然環境部会長からご指名いただきました9名の方に委員をお願いしております。
本委員会の委員長につきましては、中央環境審議会議事運営規則第8条第3項に基づき、自然環境部会長よりご指名いただきました髙村ゆかり委員にお願いしております。
また、本日の委員会には8名の委員にご出席いただいております。このうち、定足数の対象となる委員・臨時委員3名中、ウェブ会議システムでの参加を含めて3名がご出席され、定足数を満たしていますので、本委員会は成立しています。
本日の会議運営について、ご説明いたします。
本委員会の様子はYouTubeチャンネルによりライブ配信を行っておりますので、ご了承ください。
本日、オンラインでご参加の委員の皆様におかれましては、マイク、ビデオは各自ご発言の際のみオンとするようお願いいたします。また、ご発言の際はチャット欄に書き込みいただき、ご発言する旨をお知らせください。委員長からのご指名後、マイクのミュートを解除していただき、議事録の円滑な記録のため、お名前をおっしゃってからご発言いただきますようお願いいたします。なお、挙手ボタンは気がつかないこともございますので、挙手ボタンは使用せず、チャット欄をご活用いただければ幸いです。
本日、会議室でご参加の委員の皆様におかれましては、ご発言の際は名札を机の上に立てていただき、委員長からのご指名後、マイクをオンにしてご発言ください。発言終了後はマイクをオフにしていただくようお願いいたします。
本日ご説明する資料につきましては、委員の皆様には事前に電子データにて送付しております。本日は事務局が画面上に資料を投影し進行いたしますので、お送りした資料は必要に応じ、お手元でご参照いただきますようお願いいたします。
傍聴されている方につきましては、本日の資料を環境省ホームページの南極地域の環境の保護に関する小委員会のページにアップロードしておりますので、そちらをご確認いただきますようお願いいたします。
ここで、飯田大臣官房審議官より、ご挨拶申し上げます。
○飯田大臣官房審議官 環境省審議官の飯田でございます。よろしくお願いいたします。
まず初めに、委員の皆様方におかれましては、ご多用中のところ、ご出席を賜りまして厚く御礼申し上げます。
本日は、昨年5月22日の自然環境部会において設置された、南極地域の環境の保護に関する小委員会の1回目の開催となります。
南極条約は南緯60度以南の地域に適用され、南極地域の平和的目的の利用、科学的調査の自由及び国際協力の促進などを掲げています。
同条約は、1959年に我が国をはじめ、米国、英国、フランスといった12か国により採択され、1961年に発効しました。その後、南極の環境及び生態系を包括的に保護することを目的とした、環境保護に関する南極条約議定書が1991年に採択され、1998年に発効しました。
2005年には、同議定書の下に環境上の緊急事態から生じる責任に関する附属書Ⅵが採択され、発効のためには、採択当時の全ての締約国の締結が必要となっています。日本は現在、附属書Ⅵについて未締結の状況ですが、南極における観光利用の増加等による環境汚染のリスクは高まっております。また、南極条約協議国会議の日本開催を来年に控え、当会議のホスト国として会議開催までに附属書Ⅵの締結について見通しを立てる必要があると考えております。
そこで、附属書Ⅵの締結に向け、日本国内の担保措置について、本委員会において委員の皆様にご議論いただければ幸いです。
本小委員会は全4回の開催を予定しており、本日は1回目の開催となります。このため、南極条約、議定書及び附属書についての概要のほか、日本の南極地域活動及び南極観光の現状について、また、附属書Ⅵの担保の方向性について、共通認識を持つことができればと考えています。
皆様の忌憚のないご意見、ご議論をお願い申し上げまして、私からの挨拶とします。
本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
なお、本日は別の用務と重なっておりまして、大変恐縮でございますが、私は途中で退席させていただきます。よろしくお願いいたします。
○司会 本日は初回の開催となりますので、本日出席の自然環境局幹部をご紹介いたします。
総務課長の松下です。
○松下自然環境局総務課長 松下でございます。よろしくお願いいたします。
○司会 自然環境計画課長の番匠です。
続きまして、委員の皆様をご紹介いたします。本日は時間が限られることから、事務局より、委員、臨時委員、専門委員の順に、ご欠席の委員も含めまして、お名前のみご紹介いたします。
大塚直委員、大久保規子臨時委員、髙村ゆかり臨時委員、岡松暁子専門委員、白山義久専門委員、西本健太郎専門委員、原田尚美専門委員、宮本将鷹専門委員、渡邉研太郎専門委員、以上です。
なお、原田委員は南極観測活動に参加されているため、本日はご欠席です。
それでは、これよりの議事進行につきましては、髙村委員長にお願いいたします。
また、髙村委員長からは、委員長代理のご指名をお願いいたします。
髙村委員長、よろしくお願いいたします。
○髙村委員長 皆様、おはようございます。朝早くからご参集いただきました。本日の審議会に当たりまして、一言、ご挨拶申し上げたいと思います。
先ほど、飯田審議官からもございましたように、この委員会は、南極の環境保護議定書の附属書Ⅵについて、その締結に向けた担保措置についてご検討いただく委員会ということでございます。
昨年、環境大臣から諮問をいただいて、こうした形で委員会を立て、国際法、それから私法、公法、行政法の先生方、そして、さらには南極地域で実際に科学調査や観光を行っていらっしゃる、あるいは行う可能性のある委員の皆様にご出席をいただいて、検討していくものであります。
実は20年前に、この附属書Ⅵの交渉に、外務省、それから環境省の皆さんと共に参加させていただきました。南極地域という特殊性もありまして、従来の日本の法体系の中で、これをどう担保していくかというのは、なかなか難しい課題ではあると思っております。
しかしながら、先ほど飯田審議官からもありましたように、来年、南極条約の協議国会議を日本が主催するタイミングに向けて、この附属書Ⅵの国内担保について、締結に向けた検討を、先生方のお力を借りて進めてまいりたいと思います。
それでは、先ほど事務局のほうから、委員長代理の指名についてご依頼がございました。差し支えなければ、大塚委員に委員長代理を、何かありましたときには、ぜひお願いをしたいと思っております。
大塚先生、どうぞよろしくお願いいたします。
○大塚委員 よろしくお願いします。
○髙村委員長 ありがとうございます。
それでは、会議録につきましてです。会議録につきましては、後ほど事務局で作成をして、本日ご出席いただいております委員の了承をいただいた上で公開ということになります。
議事要旨につきましては、事務局で作成したものを、私、委員長が了承した上で公開することについてご了承をお願いできればと思います。
なお、会議資料につきましては、既に公開をしております。
また、本日の委員会の審議時間は、限られておりますので、時間内にもしご発言をいただかなかった質問やご意見などにつきましては、後日文書での質問、ご意見をいただき回答とさせていただく場合がございますことを、ご了承いただければと思います。
それでは、早速ですが、議事の(1)番目に入ってまいりたいと思います。南極地域の環境の保護に関する小委員会スケジュールについて、事務局からご説明をお願いいたします。
○自然環境計画課 係長 環境省自然環境計画課の伊藤と申します。資料1について、ご説明をさせていただきます。
資料1-1から1-3は、先ほどご説明がありましたとおり、昨年5月の中央環境審議会自然環境部会において、本小委員会の設置について決定がなされましたので、その際の資料をお示ししております。
本小委員会の審議事項について、資料1-3をご覧ください。
2番にありますとおり、審議事項は、環境保護に関する南極条約議定書附属書Ⅵの締結に向けた担保措置の検討となっております。
続きまして、資料1-4をご覧ください。
本小委員会は、今年度1回開催し、来年度、令和7年度には3回程度開催を予定しております。答申案のパブリックコメントを10月頃に実施し、検討結果の取りまとめについて11月から12月頃を予定しております。南極条約の協議国会議は、本年は6月から7月の開催、来年、日本での開催は5月頃を予定しております。
説明は以上となります。
○髙村委員長 ありがとうございます。
ただいまご説明いただきました議事の(1)に関わるご説明について、ご質問、ご意見がございましたら、会議室にてご出席の委員におかれましては名札を立てて、ネームプレートを立ててお知らせいただければと思います。
それから、オンラインで本日ご出席の委員におかれましては、オンラインの手挙げ機能か、あるいはチャットで発言の希望がある旨をお知らせいただければと思います。
いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
大変クリアにご説明をいただいたと思います。
それでは、以上、了承いただいたということで、続いて議事(2)、議事(3)に入ってまいりたいと思います。
議事(2)、それから議事(3)につきましては、まとめて資料をご説明いただいてから、委員の皆様のご質問、ご意見をいただきたいと思っております。
南極条約及び環境保護に関する南極条約議定書・同附属書の概要と、それから南極環境保護法の概要及び日本の南極地域活動と観光の現状について、この二つについて事務局からご説明をお願いできればと思います。よろしくお願いします。
○自然環境計画課 主査 髙村委員長、ありがとうございます。環境省自然環境計画課の福濱と申します。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
私のほうから、議事(2)南極条約及び環境保護に関する南極条約議定書・同附属書の概要について、資料2を用いてご説明いたします。お手元の資料2をご覧ください。
こちらの資料についてですが、環境省で作成をしておりまして、政府部内で検討中の内容を含む点もご承知おきいただければと存じます。
それでは、お手元の資料のスライド2をご覧ください。
こちらでは南極条約と環境保護に関する南極条約議定書について、ご説明いたします。
南極条約につきましては、今から66年前の1959年に、日本をはじめイギリス、アメリカ、また当時のソ連といった12か国により採択をされました。締約国数は現在58か国となっております。
こちらの南極条約ですが、南緯60度以南の地域に適用されておりまして、平和的目的の利用、また科学的調査の自由及び国際協力の促進といったことを掲げております。
締約国の中でも29か国は、南極に基地を設けるなど、積極的に科学的調査活動を実施しておりまして、南極条約協議国と称されております。また、こちらの条約に基づいて定期的に南極条約協議国会議を開催しております。
続きまして、環境保護に関する南極条約議定書についてご説明いたします。
こちらは南極の環境と生態系を包括的に保護することを目的に、1991年に採択され、1998年に発効したものになります。こちらの議定書におきましては、南極地域を平和及び科学に貢献する自然保護地域として指定しておりまして、日本は1997年に締結をしております。こちらの国内担保法として南極環境保護法を制定しております。
また、こちらの議定書に関しましては、六つの附属書が採択されております。詳細は後のスライドでもご説明差し上げたいと思いますが、ここでは簡単に、どういった内容を規定しているのかご説明できればと思います。
まず、附属書Ⅰですが、こちらは環境影響評価について。また、附属書Ⅱについては南極の動物相及び植物相の保存について。附属書Ⅲでは廃棄物の処分及び廃棄物の管理について。附属書Ⅳでは海洋汚染の防止、また、附属書Ⅴでは南極特別保護地区などの保護及び管理について規定しております。
ⅠからⅤまでの附属書については発効済になっておりまして、附属書Ⅵについては未発効な状態です。附属書VIは、環境上の緊急事態から生じる責任について規定しております。
続いて、次のページをご覧ください。
続きまして、先ほど未発効とお伝えいたしました附属書Ⅵの締結について、詳細をお伝えできればと思います。
附属書Ⅵは、2005年に採択されました。これは近年、南極における国外事業者の観光が活発化しており、船からの油流出事故などによる環境汚染が懸念されていること、また、南極はどこの国の領土でもないため、対応措置が迅速に行われない可能性があることなどを受けて、採択されたものになります。
こちら、附属書Ⅵの発効につきましては、採択当時の全ての協議国の締結が必要となっていますが、日本を含めて9か国が未締結のため、未発効な状態になっております。
附属書Ⅵの具体的な内容ですが、附属書VIは南緯60度以南において、環境上の緊急事態に対応するための防止措置や緊急時計画の作成、また、緊急事態への対応措置、費用の支払い、訴えなどについて定めております。
続きまして、締結の必要性についてお伝えします。
こちら、スライドの右下のグラフをご覧ください。このグラフは、南極の世界的な観光客の推移を表しております。横軸が年を表しておりまして、左側の縦軸が船の乗客数、また、右側の縦軸が船の航行数を表しております。ご覧のとおり、右肩上がりに利用も増加しておりまして、2021年から22年については一時的にコロナによって減少していますけれども、観光利用については年々高まっているという状況になっております。
このような観光の状況に加え、日本は南極の原生的な自然環境の科学的価値を重視する立場になっており、また、冒頭で飯田審議官から申し上げたとおり、南極条約協議国会議が2026年に日本で開催することからも、この協議国会議までに締結の見通しを立てる必要があるところです。
締結に当たりましては、国内担保措置が必要となりますが、こちらは南極環境保護法の改正で担保することを検討しております。
附属書Ⅵの締結については以上になります。
続きまして、次のページをご覧ください。
こちらでは先ほどからご説明しております議定書と附属書Ⅰ~Ⅵについて、より詳細にお伝えいたします。
こちらの図では、南極環境保護議定書と附属書の主な義務と、その内容が国内法令でどのように担保されているのかを表しております。ご覧のとおり、議定書と附属書Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴまでは南極環境保護法で国内担保をしておりまして、附属書Ⅳにつきましては海洋汚染防止法で担保している状態になっております。
附属書Ⅳにつきましては、南極の海域に入る際に手続はありませんが、記載のとおり、油の流出等を規制しております。
続きまして、未発効の附属書Ⅵは、環境上の緊急事態から生じる責任について規定しております。具体的には、先ほど申し上げた内容になりますが、こちらについては現在、南極環境保護法の改正を検討しているところになります。
申し上げた附属書Ⅰ~Ⅴまでの一般的な行為規制とは異なりまして、附属書Ⅵにつきましては南極の環境に重大な影響を与え得る環境上の緊急事態を想定したものに対しての規制になっております。
続きまして、附属書Ⅵの国内担保法として検討している南極環境保護法につきまして、南極環境保護法の対象と附属書Ⅵの対象の違いをご説明いたします。
南極環境保護法につきましては、次の議事(3)でもお伝えできればと思いますが、ここでは、まず南極環境保護法と附属書Ⅵが対象としているものの違いについてご説明いたします。
まず、南極条約第7条5に基づき、各締約国は、この条約がその国について効力を生じたときに、ほかの締約国に対して三つのことについて通報し、その後は事前に通報を行うこととなっております。
条文は参考資料4として付しておりますので、ご参照いただければと思います。
こちらの通告を必要とするものですが、議定書では、この通告を必要とするものについて環境影響評価が必要となっております。南極環境保護法は、この環境影響評価を必要とするものに対して、南極地域で活動を行う際に、確認という手続を取る、という立てつけになっております。
確認の手続の詳細については、議事の(3)でご説明できればと思います。
資料2の5ページの図をご覧ください。通告の対象となる行為と、通告の対象ではない行為がございまして、通告の対象でないものは特定活動として、南極環境保護法の確認の手続を取っていないという状況になっております。
一方、附属書Ⅵの対象ですけれども、こちらに記載のとおり、南極条約第7条5の通告を必要とする行為に加えて、南極条約地域に入る全ての観光の船舶が対象範囲となっております。
つまり、附属書Ⅵにおける責任対象につきましては、現行の南極環境保護法における確認申請の対象に加えまして、確認対象に該当しない観光の船舶、つまり上陸をしない海上の航行だけのものも含まれるという整理になります。
続きまして、次のスライドをご覧ください。
南極条約議定書附属書Ⅵの概要について、今までご説明したことと重複するところもありますが、簡単にご説明できればと思います。
附属書Ⅵですが、南極地域において環境上の緊急事態の影響を防止し、最小にし、及び封じ込めることの重要性を認識し、対応するため、合理的な防止措置及び緊急時計画の作成ですとか、対応措置、また、対応措置を取らない南極地域活動の主宰者の責任、また、保険その他の金銭上の保証について定めております。
適用範囲は、第1条に記載がありまして、先ほど申し上げたとおり、南極条約第7条5の規定に従い、事前の通告を必要とするものに加え、南極条約地域に入る全ての観光の船舶となっております。
環境上の緊急事態は、附属書Ⅵで規定がありまして、この附属書の効力発生の後に発生した偶然の事故であって、かつ、南極環境への重大かつ有害な影響を及ぼし、または及ぼす急迫したおそれがあるものとなってございます。
また、これら附属書VIの規定は主宰者に対して義務づけを行っているものです。
また、対応措置を取らない南極地域活動の主宰者の責任についても定められておりまして、主宰者が対応措置を取らない場合、締約国によって対応措置が取られた場合、いずれの締約国も対応措置を取らなかった場合など、場合分けして規定がされております。
続いて、7ページをご覧ください。
附属書Ⅵの締結に向けた検討経緯ということで、今まで附属書Ⅵの締結の必要性や概要についてお伝えしておりましたが、採択前から、日本の法体系になじまず、非常に困難であると指摘されつつも、断続的に調査検討を行いまして、検討会も開催しているという状況を、こちらのスライドにまとめてございます。
昨年度は、本日委員長も務めていただいている髙村先生に座長をお務めいただき、検討会を開催し、国内担保の方向性について取りまとめを行ったところです。
最後に参考としまして、南極条約協議国会議について掲載しております。こちらは、後ほどご覧いただければと思いますが、先ほどお伝えのとおり、2026年に広島で開催予定となってございます。
議事(2)の資料2については以上になります。
続きまして、議事(3)について資料3-1と3-2を用いてご説明いたします。
まず、資料3-1をご覧ください。こちらの資料も環境省で作成したもので、政府部内で検討中の内容を含む点、ご承知おきいただければと思います。
それでは、スライドの1ページ目をご覧ください。
先ほどの議事(2)では、附属書Ⅵについてご説明いたしましたが、南極地域環境保護法の現行の法律の内容や、実際、南極でどのような活動があるかについてご説明いたします。
まず、日本における活動と法制度についてです。現在、日本における南極地域での活動は、国の南極地域観測事業を実施する南極地域観測隊によるものが主となっております。観光につきましては、日本の事業者は、他国の事業者が主催するツアーの参加枠を購入している形態が多いという状態です。
南極でこういった活動を行う場合、南極環境保護法に基づいて確認の手続が必要となっております。
次のページをご覧ください。
南極環境保護法に基づく確認の手続について、2ページでご説明いたします。
議事(2)でもお伝えいたしましたが、南極地域で活動を行う場合、南極環境保護法に基づく確認の手続が必要となっております。上陸をする活動は、確認の対象になり、また、上陸を伴わない場合も、海中の撮影や、結果を公表しない科学的調査については、確認の対象となっております。
特定活動とされている、漁業ですとか、船舶の航行、飛行機のうち海域の上空を飛行するもの、観光船、結果を公表する科学的調査につきましては、確認の対象とはなっておりません。
続いて、次のページをご覧ください。
南極での活動について、実際、どのようなものがあるのかをご説明できればと思います。先ほどお伝えいたしました国の事業である南極地域観測隊の南極地域活動は、ご覧のとおり観測計画、また設営計画に分けて実施がなされております。年間、大体80件ぐらいの活動がございます。
観測計画につきましては、基本観測、研究観測、に加え、他国などと連携して共同観測を実施しているという現状があります。また、設営計画につきましては、隊員の宿舎の建設工事ですとか、電気設備などの更新といったものがなされております。詳細は、こちらのスライドをご覧いただければと思います。
続きまして、南極地域における観光の現状について、お伝えします。各国の観光の現状は、ご覧のとおり、南米大陸に近い南極半島に90%以上の利用が集中しているという状況になっております。船や飛行機を使って南極大陸にアプローチがあり、観光利用がされているという状況になっております。
続きまして、附属書Ⅵの対象となり得る南極地域における観光の現状について、ご説明いたします。スライドの5ページをご覧ください。
今までお伝えいたしました観光利用がある中で、附属書Ⅵの対象となり得る観光につきまして、現状において南極環境保護法の確認対象となっていない行為のうち、上陸を伴わない観光船での活動につきましても、附属書Ⅵにおける責任対象に含まれるということになっております。
続きまして、6ページをご覧ください。
日本においては、上陸を伴わない観光船での活動は、令和7年1月時点で1社のみです。内容としては、こちらのスライドに記載のとおり、世界一周ツアーの一部として実施しておりまして、南極半島の近海を航行しているという状況になっております。また、船につきましては、シンガポールの企業が運行するパナマ船籍の船体を借り上げております。
本件の現状の手続ですが、上陸を伴わないため、日本の南極環境保護法に基づく確認申請の手続はしていないという状況です。
続いて、世界の南極地域における観光について、こちらでご説明できればと思います。7ページをご覧ください。
こちらのデータは、IAATOという国際南極旅行業協会のデータを基に作成したものです。議事(2)のところでもご覧いただいたグラフと同じになりますが、コロナで利用客が落ちた2021年、2022年を除きまして、観光客数、また船の航行数につきましても、右肩上がりに上昇しているという状況です。
また、IAATOによりますと、2024-2025年シーズンは、上陸する観光客数は10万人を超えると予想されております。
8ページをご覧ください。
こちらはIAATOに加盟しているオペレーターの国籍別航行数の内訳を示しております。ワンシーズンで569隻もの船が南極地域に航行していることが確認されております。また、日本人もこれらのツアーに参加しておりまして、令和5年度には449名が参加しております。
続いて、9ページをご覧ください。
こちらは船舶活動の内訳と主な上陸地点を示したものになります。地点につきましては、次のスライドに地図でまとめておりますので、10ページをご覧いただければと思います。
こちらの図は、主な上陸地点を表しておりまして、濃い青は2023年-24年で上陸が多い上位5地点を表しております。また、水色は主な上陸地点を表しておりまして、ご覧のとおり、南極半島に利用が集中していることがお分かりになるかと思います。
続いて、11ページをご覧ください。
こちらは南極の奥地観光及び航空観光に参加する観光客のデータになりまして、こちらの観光客数は南極観光全体の1%程度を占めています。
以上で、資料3-1について説明を終わります。
続いて、資料3-2を用いまして、南極地域活動における環境上の緊急事態対応の現状についてご説明したいと思います。お手元の資料3-2をご覧ください。
先ほどの資料3-1では、どういった活動が南極地域でなされているかについて、ご説明いたしました。資料3-2では、南極で緊急事態となったときに、現状、どういった対応が実施されるのかについてお伝えいたします。
まず、これまでに南極において発生した事故事例についてお伝えします。
1ページの(1)番では、航空機関連の事故についてまとめております。これらのデータは、IAATOのデータですとか、公表資料を基に作成しているものになります。
航空機関連の事故は、墜落や、航空機が氷山に衝突した事故が1979年以降、6件程度発生していたことを確認しております。また、海の上に航空機が墜落した事故も1件発生しております。
中には、実際に環境上の損害が発生していないものもありますが、こちらではインシデントとしてお見せしております。
続いて、2ページをご覧ください。
こちらは船舶関連の事故について、まとめております。観光船の事故に関して、1989年から1999年の10年間で6件程度発生していることを確認いたしました。全てではないですけれども、確認した限りで6件程度となります。中には、観光船が岩に乗り上げたり、観光船から油が流出したりした事例がございました。
続いて、3ページをご覧ください。
こちらも船舶関連の事故になりますが、2000年から2025年1月までの約25年間で7件発生したことを確認しております。観光船が流氷に巻き込まれたり、ザトウクジラに接触してザトウクジラが出血したりした事例、また、観光船が氷と衝突し沈没したという事例がございました。
続いて、4ページは、その他の事故として、基地での事故についてまとめております。アルゼンチンの基地で8万リットルの油が漏出したという事例もございました。
今まで世界的な事故事例についてお伝えしましたが、次の5ページでは、日本の南極地域活動において発生した事故の事例について、ご説明できればと思います。
第1次の南極地域観測活動は1956年に始まっておりますが、そこから現在行かれている第66次の南極地域観測活動に至るまでに、発生した事故事例について、国立極地研究所さんにヒアリングをさせていただきまして、以下を確認しております。
漏油事故は16件発生しておりまして、5ページに記載のとおりですが、海への漏油は確認されていなかったり、海氷が汚染されていても、ほぼ回収していたりしたという事例がありました。
続いて、雪上車等の海氷踏抜事故等につきましては12件発生しておりまして、雪上車が水没してしまうとか、海氷が流れてしまったことによってセスナ機が水没してしまうといった事故事例が発生しております。
続いて、6ページをご覧ください。
今まで事故の事例についてお伝えいたしましたが、南極地域観測隊として緊急時対応体制がどのようになっているか、ということをご説明いたします。
緊急時計画としては、二つの計画がございます。一つ目が、緊急事態対処計画書というもの、もう一つが、昭和基地油流出防災計画というものになります。
詳細につきましては、資料に記載の内容をご覧いただければと思います。
続きまして、7ページをご覧ください。
南極地域観測活動は、南極観測船「しらせ」を使用しておりますが、「しらせ」の緊急時対応について、こちらのスライドでまとめております。
「しらせ」の航行は、性能面、運用面での環境対策のほか、緊急時対応として、油流出については、記載の関連法に基づいた備えを行っております。
8ページをご覧ください。
実際に実施している緊急時対応は、記載のとおりとなっております。対処用機材の準備、具体的にはオイルフェンスとか吸着マットといったものを準備しているほか、油排出があった場合の通報の基準、通報・報告先の設定、また、油流出時の対応フローの設定を実施しております。
ただし、南極地域は、極域であるため、天候や季節による制約があり、対応船舶などが限定的にならざるを得ないという状況がございます。
続きまして、9ページをご覧ください。
今まで、国家事業に関してご紹介いたしましたが、民間の環境事業者の緊急時対応体制について、ご説明いたします。
国内事業者では、日本の国内事業者が、自社の所有する船舶でクルーズを行っているという事例は、現状ありませんが、こちらに記載の二つのケースがございます。一つが、他国の事業者が所有する他国籍の船舶を借り上げてクルーズを行うもの、もう一つが、他国の事業者が企画するクルーズツアーの参加枠を購入するというものです。
船舶に事故が起こった場合、海洋汚染に係る対応については、日本の主宰者が他国籍の船舶を借り上げている場合、また、日本船籍の船舶の場合、それぞれで対応がなされております。
船舶所有者の保険については、船主責任保険(P&I保険)に加入しています。
また、実際ツアーに参加する参加者の保険についてですが、海難救助があった場合を想定した海外旅行保険の加入を、主宰者が参加者に対し求めているという状況になっております。
以上で、資料3-2について、ご説明は終わります。ありがとうございます。
○髙村委員長 ありがとうございました。
ただいま議事(2)、議事(3)につきまして、資料2、資料3-1、資料3-2に基づいてご説明をいただきました。
ただいまいただいた事務局の説明について、委員からご質問、あるいはご意見、ございましたらお願いできればと思います。
この後の議題(4)の担保の方向性の前提となる内容についてご説明をいただいたかと思います。
先ほどと同様ですが、会議室にご出席の委員におかれましては、名札を立ててお知らせいただければと思います。オンラインでご出席の委員におかれましては、手挙げ機能ないしはチャットで発言の希望をお知らせいただければと思います。いかがでしょうか。
ありがとうございます。それでは、オンラインでご出席の大塚委員、お願いできますでしょうか。
○大塚委員 恐れ入ります。細かい点で大変恐縮ですが、資料3-1のほうの1ページと、資料3-2のほうの9ページのところに出てきている、この事業者が他国のツアー枠の購入をした場合、今の日本のケースではないようですけれども、これも事業者に関しては同じ責任を考えるということでよろしいのでしょうか。
特に緊急時対応体制に関しては、ほかの事業者と同じような扱いをしているということでしょうか。その点について教えていただければと思います。
○髙村委員長 ありがとうございます。
ほかに、委員からご質問、ご意見があれば、それも含めてまとめて事務局からお答えをいただこうと思います。
では、白山委員、お願いいたします。
○白山専門委員 ありがとうございます。白山です。丁寧なご説明、ありがとうございました。
これから先の議論になるのかもしれないですけれども、金銭的費用の支払いとか、金銭的保証の保持とか、お金のことがいっぱい出てきますが、緊急事態が生じたときの金銭的保証とか費用、何をどういうふうに積算して、この金銭的な費用というものを算出するのかということが、今のところご説明がないので、イメージが湧かないものですから、そこをご説明いただきたいというのが一つ。
それから、もう一つは、今回の附属書Ⅵの対象は観光船に限っていると、ご説明からは理解をするのですが、過去の緊急事態の例としては、韓国の漁船が事故を起こしたりもしているわけですけれども、そちらに関しては、附属書Ⅵに対する国内法の担保だから、今回は議論の対象にはしないと、こういう理解でよろしいかという二つ、ご質問させていただきたいと思います。
○髙村委員長 ありがとうございます。
ほかにご質問、ご意見のある委員は、いらっしゃいますでしょうか。
ありがとうございます。岡松委員、お願いいたします。
○岡松専門委員 岡松暁子でございます。非常に単純な質問でございます。
資料2の7ページのところにありますけれども、「日本の法体系になじまず非常に困難」という点について、具体的にどのような点が大陸法であると困難になるのかについて確認させていただければと思います。
○髙村委員長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。今の段階でお手は挙がってはいないかと思いますけれども、今いただいたご質問は、次の議事のご提案に関わってくるようにも思っていまして、もし、よろしければ、次の議事のご説明の中でお答えをいただく形もあるかと思います。そのようなことで、事務局は、よろしいでしょうか。
○自然環境計画課 主査 髙村委員長、ありがとうございます。
それでは、資料4の説明のときに、今いただいたご質問を踏まえてご説明できればと思います。ありがとうございます。
○髙村委員長 ありがとうございます。
ほかにご質問、ご意見は、ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
今いただきました、大塚委員、それから白山委員、岡松委員のご質問は、担保に関わって非常に重要な論点を含んでいると思っておりますので、もし、差し支えがなければ議事(4)のほうに移って、その中で併せてご回答、そして議論をお願いできればと思っております。
それでは議事(4)、南極条約議定書附属書Ⅵの担保の方向性についてであります。
こちら、事務局から資料4に基づいてかと思いますけれども、ご説明をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○自然環境計画課 係長 画面共有いたしますので、少々お待ちください。
それでは、先ほどご質問のあった点も触れられるように、資料4についてご説明できればと思います。
まず、本日、この資料4が、これまでの検討会等を踏まえました現在の担保方針や、残っている検討課題を示したものとなっております。特に、本資料の内容について、この後、検討事項に関するご意見ですとか、追加で検討すべき点がないかのご指摘をいただければ幸いでございます。
また、担保の方針については、先ほどよりご説明のとおり、政府部内で検討中であり、未確定な事項が含まれます。このため、本資料の7ページ目以降は、大変恐縮ではございますが非公開とさせていただいております。画面共有は6ページまでといたします。
会場にいらっしゃる委員の皆様は、机上の資料をご覧ください。オンラインでご参加の皆様は、昨晩メールでお送りした資料をご覧ください。
附属書Ⅵの担保に際しまして、先ほど資料2でもご説明をしましたとおり、大きく二つ視点がございます。
一つ目が、環境上の緊急事態への対応措置ですとか、費用支払いのように、附属書Ⅵに記載された、新しく対応が必要になる事項をどのように追加していくか。もう一つが、責任対象の違いについてになります。この点、2ページ、3ページを使いまして、まず、ご説明をさせていただきます。
2ページをご覧ください。
この図では、附属書Ⅵにより追加となる対応事項と、他の発効済の議定書、附属書を並べて時系列順に記載しています。図の左から右に事前準備・手続、南極地域活動の実施、緊急事態の発生時の緊急事態への対応となっています。
現在、南極地域活動を行う際には、先ほどご説明したとおり、議定書及び発効済の附属書の規定に対応して、南極環境保護法による確認の手続が生じております。これに沿って活動を実施することとなっております。
附属書の多くの部分では、人命の安全や施設の安全等に関わる緊急事態には、この行為規制は適用除外となっております。
また、附属書Ⅳの海洋汚染の防止については、日本籍船については海洋汚染防止法を遵守することとなっております。
これに対し、附属書Ⅵは図の下側にあるとおり、事前に、環境上の緊急事態の防止措置ですとか、緊急時計画の作成、金銭的保証などの保持が必要となっております。また、緊急事態の発生時の対応措置、また、対応措置が取られなかった場合には費用の支払いが義務として発生するというものです。
続いて、適用対象についてご説明いたします。
先ほどご説明しましたとおり、附属書Ⅵに記載されている責任対象は、左上にある南極条約第7条5に基づく通告対象に加え、南極地域に入る全ての観光の船舶となっております。
こちらで附属書Ⅵの対象について、白山先生のご質問にお答えしますと、観光船は全ての船舶が入りますが、通告の対象となっている行為、日本で言えば南極地域観測活動など、現在、確認申請の対象となっているような行為についても、附属書Ⅵでは対象となります。
ご説明に戻りますと、現在は、先ほどご説明したとおり、観光の船舶は現状では確認申請の対象となっていないものについても、附属書Ⅵの責任対象に含まれますので、この点は明文で記載する必要がございます。
また、今後の検討に当たっては、左側の赤と青の四角で囲まれた、通告対象及び現行の確認対象の範囲についても、法的に精査が必要であると考えております。
具体的に申し上げますと、先ほどよりお話のある南極条約第7条5の通告対象について、日本政府では図の左上の破線の四角、「日本政府の解釈」とあるとおり、航行、上空飛行、漁獲の自由、科学的調査の自由等の公海の自由に該当する活動を除いた、南極条約地域における活動としております。
現在の確認対象は、これに基づいて決定されております。しかしながら、先ほどより出てきている上陸のない観光船のほか、調査船等についても日本から渡航事例がございます。これらの取扱いの変更をするかどうかについても、精査が必要と考えております。
漁業船がどうなのかというご質問にお答えいたしますと、現在は、漁業活動についても、先ほどの公海の自由に該当しております。また、水産資源の保全に関しては、南極の別の条約がございまして、そちらを担保する水産関係の法令で担保されております。こういった状況をふまえ、現状では、漁業船は通告対象には含まれていないということになっております。
それでは4ページ以降の説明に移ります。
4ページから6ページが附属書Ⅵの各条項の担保措置の方向性の概要を示しております。順番にご説明します。
適用対象、第1条の関連は、先ほど図でご説明しましたとおりとなります。
続いて環境上の緊急事態について、附属書Ⅵの第2条に沿って南極環境保護法に定義規定を置く方向で検討しております。
防止措置及び緊急時計画の作成について、附属書の第3条、第4条に基づき、主宰者に対する義務規定を南極環境保護法に設け、違反があった場合に罰則を設けることを想定しております。
環境上の緊急事態が発生した場合の対応措置については、定義規定を置いた上で附属書Ⅵの第5条に基づき対応を義務づける方向で検討しております。違反に対しては罰則を設けることを想定しています。
5ページからですが、こちらが対応措置をとられなかった場合の主宰者の責任についてです。
ここは、3種類の類型に分けております。一つ目がA類型、日本政府によって対応措置がとられた場合。こちらは南極環境保護法に代執行的制度を規定することを考えております。詳細は、関係省庁と協議中です。このため、費用の算定については日本政府が対応してかかった費用を主宰者に請求するといった想定になります。
続いてB類型についてです。こちらは民事訴訟で対応することとしています。附属書Ⅵで規定された対応措置義務を担保するため、他の締約国が日本の主宰者に対して訴えを起こすことで、裁判の中で金額等が決められて支払いを求めるということを検討しております。詳細はこちらも関係省庁と協議中となっております。
C類型、いずれの締約国も対応措置をとらなかった場合です。この場合、南極条約の下に設置される基金に支払いを行うこととなりますが、現状では行政上の賦課金のような制度を導入することを検討しております。費用の算定については、いずれの締約国も対応措置を取るのが難しいような想像しづらい(注:現状の想定を超えた)事件、事故等も想定されますので、臨時に専門家による委員会を設置し、その中で妥当金額を設定することを考えております。
金額について、先ほどのご質問に併せてお答えしますと、6ページに一度移りますけれども、上限額が附属書の9条に規定されておりまして、負担の上限についても設定することを想定しております。
少し戻りまして、5ページ下部の裁判管轄については、先ほどご説明したB類型に該当する事例で裁判ができるような定めをするというものです。この点は、民事訴訟法で担保されていると考えられますが、詳細は協議中となっております。
責任の制限は、先ほどご説明したとおりです。
最後に、保険その他、金銭上の保証については、附属書に基づいて事前に保険に入っていただくとか、そういった財政上の保持の義務づけを規定する想定です。
ここから先ですが、先ほどご説明のとおり非公開の資料となります。委員の皆様は、お手元の資料をご覧ください。
資料の構成ですが、四角囲みで太字の部分は、これまでご説明した4~6ページの内容の再掲でございます。その下の細字の部分に、検討中の事項について補足を記載しております。
画面上では、先ほどの概要資料をお示しさせていただきます。
まず、7ページ、適用対象につきましては、先ほどご説明のとおりでございます。
また、先ほど他国のツアー枠を購入した主宰者に責任がかかるのかというところがあったと思いますが、主宰者の定義は、基本的にはツアーを主として企画、募集して実施する者としておりまして、他国にそういった企業があってツアーを運営していて、日本がツアー枠を購入しているという、日本の事業者がツアー枠を買っているという場合には、基本的には、その主となる事業者がある国のほうで附属書Ⅵの責任に対応すると考えております。
こういったケースで、他国で附属書Ⅵに基づく手続がとられている場合には、日本では、この法律を適用しないことを想定しております。
お手元の資料では8ページをご覧ください。
環境上の緊急事態の定義については、細字の2ポツ目に、現在の附属書Ⅵの記載を、そのまま載せております。こちらに基づいて定義を置くことを想定しております。事故の種類等について、附属書上で具体的な列挙はされておりませんが、想像されるものとしては8ページの下部にあるような、船舶の油流出事故、航空機関連の事故、陸上の燃料輸送中の事故などが考えられます。
お手元の資料で9ページをご覧ください。
防止措置及び緊急時計画の要件については、基本的な要件は附属書Ⅵの規定に従い、より具体的な基準等は政省令に規定し、また、具体的な内容は施行通知等に示すことを想定しております。附属書Ⅵに記載のある対応措置の定義は、資料の真ん中の段に記載のとおりで、環境上の緊急事態が発生した後に取られる合理的な措置であって、というところになります。
さらに「合理的な」の定義も附属書Ⅵには記載をされております。
続いて11ページをご覧ください。
日本政府によって対応措置が取られた場合の代執行についてです。環境上の緊急事態が発生した際に、附属書Ⅵの趣旨に照らしますと、行政代執行のみで対応することは手続に時間を要し、なじまないことが考えられます。また、行政代執行法にあります手続を省略できるケースについても、解釈の余地が大きく謙抑的な運用となっております。
このため、一番下にありますとおり、A類型の発生時には緊急代執行の手続を取ることを検討しております。
12ページをご覧ください。
しかしながら、代執行的制度を定めるには、緊急事態や対応措置の基準が、ある程度具体的に定められている必要がございます。これに対し、先ほどご説明のとおり、環境上の緊急事態の定義、具体的な事故の種類等の記載がないことをはじめ、具体的な事故の種類や基準が現状定められておらず、起こり得る幅広い緊急事態が対象となっていることから、ここをどのように担保していくかは課題となっております。
今後、一定の規模以上のものを環境上の緊急事態と判断するといった閾値の設定ですとか対応措置の具体的な基準についても、ご意見をいただきながら検討していければと考えております。
13ページ、B類型の他の締約国によって対応措置が取られた場合についてです。
補足説明ですが、B類型をA類型と同様の対応としないのは、附属書Ⅵにおいても裁判による求償が予定されていること、また、外国政府が直接事業者に費用負担を強制できないということが挙げられております。
14ページ、15ページにあるC類型、それから、責任の制限と裁判管轄については、概要に記載したものの再掲ですので、説明は省略させていただきます。
最後の16ページの保険その他金銭上の保証についてですが、附属書Ⅵにおいては、B類型については金銭的保証が義務づけられていますが、C類型については奨励義務と整理されております。このため、南極環境保護法においても、B類型の保証の保持を義務づけて、C類型については義務づけないことを想定しております。また、義務づけを行った際に、国内で適切な保険商品があるかについても精査が必要となっております。
説明は以上となります。
最後に岡松先生のご質問にありました、日本の法体系になじまないという部分ですけれども、特に、やはり費用の支払いの部分で、C類型にあるように、いずれの締約国も対応措置をとっていない場合で、かつ、いずれの国の領土でもないような場所においても、環境上の緊急事態が発生したという理由で、その支払いの義務が課されるという部分などが、日本としては法律にしていくところが難しいというところで、とても検討に時間がかかったと考えております。
以上です。
○髙村委員長 ありがとうございます。
これから、事務局にご説明いただきました、担保の方向性について、委員の皆様からご意見、ご質問をいただければと思います。
同じように、会議室でご出席の委員の皆様は名札を立てて、ネームプレートを立ててお知らせいただければと思いますし、オンラインでご出席の委員におかれましては、チャットないしは、手挙げ機能でお知らせいただければと思います。
先ほど、前の議題でご質問いただいたところについては、今、事務局からお答えをいただいたかと思います。先ほど、岡松委員からご指摘にあった日本の法体系等がなじまない点はどこかという点、それから、白山委員からご指摘のあった1点目でしょうか、特に金銭的費用をどう算定をするのかという点について、これはC類型に該当するかと考えます。先ほど事務局からもご説明がありましたように、日本の法体系では、対応措置がとられたことによる費用を償還するという仕組みはあると思うんですが、対応措置がとられなかったけれども損害が生じたものについて、どう支払いを求めるのか、どのようにその責任を担保するのかという点は、日本の法体系には、あまり例がないところかと思います。
これは、先ほど白山委員がおっしゃった、措置がとられなかったけれども支払う費用をどうやって算定するかという点にも関わってくるかと思います。
先ほど事務局からお答えをいただいた点も含めて、委員の皆様から、さらに深めるご質問、ご議論をいただければと思います。
それでは、ご発言ご希望の委員がいらっしゃいましたら、お願いできればと思います。
それでは、最初に、会場でご出席の西本委員にご発言いただき、その後、オンラインでご出席の大久保委員にご発言いただきたいと思います。
それでは、西本委員、よろしくお願いいたします。
○西本専門委員 西本でございます。詳細な説明、大変ありがとうございました。
私から3点ほどあるのですけれども、1点目は、先ほど岡松委員からご質問のあった点に関連する点です。
資料で言いますと5ページ、対応措置をとらない主宰者の責任について、A、B、Cの三つの類型に整理いただいておりまして、C類型について行政上の賦課金制度、制裁的性質を伴わないものを導入するということを検討されていると理解をしております。
この説明について、とられるべきであった対応措置の費用を算定し賦課するものというふうに、非常にニュートラルな表現がされてはいるのですけれども、この賦課金を賦課するという、その実質的な根拠といいますか、どういう性質のものとして捉えるべきなのかというところですね。ここが、恐らく岡松委員がご質問された、難しい点というところと関係しているのだろうと思うのですけれども、これまでのご議論の中で、何か整理されているということがあれば、もう少し詳しく教えていただけると、今後の検討にも特に資するのではないかなと思いますので、この点をご質問させていただきます。
2点目ですが、これもこのC類型に関連するところかと思いますけれども、附属書Ⅵの6条の2項の最終文のところ、金銭を受領した締約国が基金に拠出をするということが想定されているわけですけれども、この拠出の部分については、特に担保するということは想定されていないのかどうかというところもお尋ねしたいです。
これは、色々なやり方があるかと思うのですけれども、最終的に基金に拠出するということが、もちろん最善の努力を払うという義務ではあるのですけれども、ただ、他方で拠出するということを想定されているのだろうとすると、それをなぜ、国が受領するのかというところと少し連動した話にもなるように思いますので、その点、現時点でどのような整理がされているのかということをお伺いできればというのが2点目です。
3点目ですけれども、こちらは少し違う話になるのですが、今回、観光用の船舶が対象に入ってくるというところが、ご説明いただいたとおり新たなポイントかと思うのですけれども、船舶については、その責任の制限に関する国際条約もございますし、それを受けた国内法もございます。
この場合は、バンカー条約のほうは、恐らく場所的に、ほかの国の領海やEEZに影響を及ぼすようなことはなさそうに思いますので、防止のための措置を考えても、関連してくることは考えなくてもよいのかなと思うのですけれども、他方で、海事債権責任制限条約のほうは関連してくるように思います。
附属書Ⅵの中でも、他の条約の下での責任制限については、9条の2項ですかね、一応想定はされてはいて、その限りでは適用関係というのは、国際法上は、この規定に基づいて整理をすればいいと思うのですけれども、これを受けた国内の担保法として、船舶の所有者等の責任の制限に関する法律がありますので、そちらと今回導入する担保法との、例えば適用関係のようなものを何か明記しないといけないかどうかとか、そういったことが、これまでご検討されていたのかどうかということを承知しておりませんもので、教えていただければ幸いです。
すみません、長くなりましたが、以上3点、お願いいたします。
○髙村委員長 ありがとうございます。
先ほど、申し損ねましたけれども、特に今回の委員会は、第1回ですので、ぜひ、自由にご意見をいただければと思いますが、同時に、今後国内担保していく上で、今、西本委員からもご指摘があったように、検討すべき事項、あるいは論点について、場合によっては、こういう点を検討すべきだという点を、ぜひ出していただければと思います。
それでは、幾人かの委員の皆さんのご意見をいただいた後に、事務局からお答えをいただこうと思います。まず、オンラインでご出席の大久保委員に発言をお願いできればと思います。先ほどの西本委員の1点目などは、ひょっとしたら大久保委員からもご意見があるかもしれません。どうぞよろしくお願いいたします。
○大久保臨時委員 ありがとうございます。1点目、もし、また後ほど事務局の説明に加えることがあれば、ご説明させていただきたいと思いますが、私からは資料4の3枚目について、確認をさせていただきたいことが1点ございます。
スライドの3の適用対象で少し気になりましたのが、事前に通告を行う対象活動の解釈というところに、わざわざ赤文字にここだけして「日本政府」と書いてあるので、これは何か争う余地があったのでしょうか、生じているのでしょうかということです。
また、基本的には、附属書Ⅵで新しく対象になるものは、観光船で、かつ上陸を要しないものも含まれることになる点が新しいと思っていたのですが、8ページで緊急時に含まれる場合の中に、航空機事故の話が入っている、航空機からの油と有害物質の流出というのが入っているのですけれども、これは航空機も入ってくるということを想定して、ここに書いているのでしょうかという確認です。
以上です。よろしくお願いします。
○髙村委員長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。ご発言ご希望の委員はいらっしゃいますでしょうか。ありがとうございます。白山委員、それではお願いいたします。
○白山専門委員 白山でございます。いろいろご説明ありがとうございます。
先ほど、どういう積算をするかみたいなことについて、既にこの附属書Ⅵに対して批准をしている国もたくさんあるという最初の情報ですから、そういうところでは、この我が国の法体系に対して参考になるような国内法担保がどんなふうにされているのかということに関して、もしご説明いただける内容があれば、あるいは、2回目、3回目の時に、そういうことについてご説明いただくと、我々の議論の中で参考になるのではと思うので、既に情報収集されているとすれば、そういう何らかのご示唆をいただけるとありがたいなと思います。よろしくお願いします。
○髙村委員長 ありがとうございます。
今、委員からお手が挙がっておりませんけれども、ご発言ご希望の委員は、いらっしゃいますでしょうか。
ありがとうございます。それでは、岡松委員にご発言いただいた後に、一度、事務局からご意見について、特にご質問があったところについて、お答えをいただこうと思います。
それでは、岡松委員、よろしくお願いいたします。
○岡松専門委員 恐れ入ります。岡松でございます。
損害の補償に関しましては、南極は環境損害補償制度などが少しずつ整ってきているかと思うのですけれども、その基金とか、損害補償制度に対して、日本政府としては、どのように拠出し、どういう状況であれば、その補償制度を使うということに関して賛成しているような理由などがありましたら、これも確認をさせていただければと思います。
○髙村委員長 ありがとうございます。
一度、事務局にご意見をいただこうと思いますけれども、基本的に今回は、ご意見をいただいて論点を出していただいて、さらに検討するという、そういう位置づけの議論と思っておりますので、特にご質問があった点についてお答えをいただいて、ご意見についてはお答えいただけるところをお答えいただければと思います。
○自然環境計画課 係長 ありがとうございます。まず、私のほうから、部分的にお答えできない部分もあるかもしれないのですが、お話しさせていただきます。
まず、西本委員からご質問いただきました行政上の賦課金の根拠の部分。まだ不確定ではあるのですけれども、現状のところをお話ししますと、環境上の緊急事態を生じさせた事業者が、本来とるべきである対応措置をとらなかったことで、経済的に利益を得たというような考えで負担を求めるというようなところを考えております。
続いて、基金への日本からの拠出の部分、基金への支払いで、実際に政府部内でどういうお金の動きをするかというところは、まだ調整中のところがございまして、現状では記載しておりませんが、拠出の部分も検討はしております。
3番目の船舶の責任制限について、こちらも精査が不足していた部分だと思いますので、いただいたご意見を踏まえまして検討することとなるかと思います。
続きまして、大久保委員の公海の自由について、解釈を争う余地があったのかというところですが、少し誤解を招くような着色をしておりまして申し訳ありません。争うようなところではないのですけれども、通告対象の解釈が各国によって一部異なっている部分があると認識されております。そちらを踏まえて、このような記載としております。
附属書Ⅵの採択当時にも、観光を目的とした船舶について、国によって通告対象としているかどうかに違いがあったために、このような明文となっていると理解しております。
航空機については、日本で現状、実際に主宰者に該当する事例はないと認識していますけれども、陸域を通過する場合や着陸を伴う場合には、通告対象となっているという認識です。
批准国の担保内容について、過去に、ここ数年来調査をしております。今、まとめてお答えが難しいと思いますので、追って整理をしてご回答させていただければ幸いです。
最後、岡松委員のご質問が、すみません、理解し切れなかった部分がございまして、もう一度、よろしいでしょうか。
○岡松専門委員 基金について、先ほどちょっとお答えいただいた点と同じかと思います。基金を進めているかと思いますけれども、それに対して、どのような対応をしていらっしゃるでしょうかということです。
○自然環境計画課 係長 基金とおっしゃったのは。
○岡松専門委員 環境損害に関して。
○自然環境計画課 生物多様性国際企画官 すみません、自然環境計画課の田中ですけれども、質問ありがとうございます。
基金というのは、南極条約事務局に設置される基金のお話ですよね。
○岡松専門委員 はい。
○自然環境計画課 生物多様性国際企画官 附属書Ⅵでは基金を設置して管理されるというのはあるのですけど、まだ実際にこの附属書Ⅵが発効していないこともあって、今現在、基金は存在していないという状況ですので、発効して、実際、そういうことが起きたときに基金が設置されて、基金にお金が入っていくということになると思います。
○髙村委員長 ありがとうございます。今、お答えいただけるところをお答えいただきました。もし、何か追加でご質問、ご意見があれば、引き続きお願いできればと思います。
既にご発言された委員も含めまして、ご発言ご希望の委員、いらっしゃいますでしょうか。
それでは、私のほうから一つお尋ねといいましょうか、検討いただきたいと思っていることがございます。
大塚委員がチャットで発言希望を入れていただいているようですので、大塚委員から先にご発言をお願いしてもよろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。
○大塚委員 申し訳ありません、打ち込むのに時間がかかってしまい申し訳ありません。
先ほど、白山委員がどこかでおっしゃったと思いますけど、特にC類型に関して、本来とるべきものであったものの賦課金を課する場合について、何が本来とるべきものであったかの算定は非常に難しいことになるかもしれないということがあり、合理的に考えていくということになると思いますけれども、これを、どういうふうに算定するかは結構大事な問題になるということを、一言、申し上げておきたいと思います。
それとの関係で、お伺いしておきたいのですけれども、先ほど、資料4の2ページのところで、人命・安全等にかかる緊急事態では責任適用除外ということになっているので、ここは外れるわけですよね。これが外れることによって、今の費用の算定に何らかの影響がどういうふうになってくるのかということが気になったので、何か、もし、コメントをいただけたら大変ありがたいです。恐れ入ります。
○髙村委員長 ありがとうございます。ほかに、ご発言ご希望の委員、いらっしゃいましたら、ぜひお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。
それでは、時間つなぎではないですけれども、私から1点。それから、もう一つ情報として共有をさせていただきたい点について、申し上げたいと思っております。
一つは、附属書Ⅵの適用範囲についてです。こちらの資料で行きますと、資料4のスライドの3になるかと思いますけれども、こちらにありますように、附属書Ⅵの適用範囲は、南極条約7条5項に基づく事前の通告を必要とするもので、プラス、南極条約地域に入る全ての観光船ということであります。日本の南極法の下でいきますと、事前の通告の対象になっているものが環境大臣による確認の対象になっているということかと思いますけれども、一つには附属書Ⅵの対象になる上陸のない観光船について現時点で環境大臣による確認の対象になっていないので、これをどのように扱うかという論点があるかと思います。その上で、結果を公表する科学的調査については確認の対象から外れ、結果を公表しない科学的調査については、南極条約に基づく通告の対象になっているというのが、今の法の立てつけかと思います。南極条約7条5項の規定を見ると、特に結果の公表云々というのは、通告の要件には、条文上は入っていないかと思います。これは先ほど大久保委員でしたでしょうか、ご質問があった点に関わるのですが、事務局からお答えがあったように、事前の通告について実際の各国の慣行が必ずしも一致していないところがあるということを前提とした上で、この結果を公表する科学的調査について、いわゆる附属書Ⅵの対象になるのかどうかという点であります。科学的調査について、一般には対象になると解釈をし得る余地があるようにも思いまして、一つは日本政府が行っている事前の通告の範囲に関する解釈がどうなっているか、この点がほかの国との関係でどうなっているのか。もちろん解釈は、日本政府が行う裁量があると思いますが、ほかの国がこれは事前の通告の対象であり、したがって、附属書Ⅵの適用対象であると解釈しているとすると、この結果を公表する科学的調査について何らかの緊急事態が生じた場合に、それについて例えば他国が対応措置をとった費用の償還を日本の裁判所に訴えを起こすというときに、その訴えに対応ができるのか等々、担保上の課題が出てくるように思いまして、この事前の通告の範囲、特にこの科学的調査のところについて確認をいただくのが有益ではないかと思っています。事前の通告の範囲を拡大するのかという論点でもありますけれども、仮に事前の通告の範囲を拡大しなくても責任附属書の担保上どういう取扱いをするのかという論点はあると思います。附属書VIの担保に当たって、必ず事前の通告の対象を広げる必要があるとは考えておりませんけれども、検討いただきたい点として挙げておきたいと思います。
二つ目は、先ほど漁船の扱いについて白山委員から2点目のご質問があったかと思います。事務局からご回答いただいたように、附属書Ⅵの交渉時の非常に大きな争点が漁船の扱いでございました。結果的に漁船については適用の対象とするという合意ができないまま、いわゆる漁船をもし附属書Ⅵの適用の対象とする場合には、附属書Ⅵの改正を必要とするという条文に現在なっているかと思います。もちろん漁船の活動が緊急事態を引き起こす可能性はあるので、これを日本の国内法として、国内の制度としてどう扱うかという論点は残っていると思いますけれども、附属書Ⅵでは、現在適用は除外されています。
交渉の過程の情報として提供させていただきました。
それでは、渡邉委員、発言のご希望ありがとうございます。ご発言をお願いいたします。
○渡邉専門委員 先ほど白山委員から基金についてのご質問があったと思うのですが、やはり現在、南極条約の協議国会議で行われている、特に環境保護委員会での議論の中でその基金をどんなふうに使うかといったような話が行われているのか、以前私が協議国会議に参加していた時に、環境保護のために使うという一般的な話までしか聞いてはいなかったのですが、最近その議論がある程度、もし進んでいるということであれば、ぜひその辺りをご紹介いただけないかと思います。それによってこの先の議論についてもかなりイメージが固まってくるのではないかと思いますので、お願いしたいと思います。
以上です。
○髙村委員長 ありがとうございます。
ほかにご発言をご希望の委員は、いらっしゃいますでしょうか。
ありがとうございます。外務省からお願いいたします。
○外務省 課長補佐 ありがとうございます。国際法局社会条約官室の漆原と申します。
今、髙村先生から、附属書Ⅵの交渉経緯について触れられていたところで、漁船については交渉時に大きな争点になったとご説明いただきましたけれども、調査船についてはどのような扱いというか、どの程度争点になったのかというのが気になりまして、また、明文上、観光船だけを記載したという結果に落ち着いた経緯についても、ちょっとご説明いただければ幸いです。
○髙村委員長 ありがとうございます。もし事務局からお答えがあればいただきます。私からも後でお答えをできる範囲でしたいと思います。ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。関係省庁も含めてもしご質問、ご意見がありましたらお願いしたいと思います。
では、ここで一度、大塚委員、渡邉委員、そして外務省からもご意見いただきましたので、先ほどと同じですが、基本的に御意見をふまえて検討していただくということですけれども、事務局から今お答えできるところはお答えをいただければと思います。よろしくお願いします。
○自然環境計画課 係長 ありがとうございます。
まず、大塚委員のご質問で、C類型の費用の算定をする際に、人命・安全等にかかる緊急事態等で金額が変わっていくのかというところですが、ちょっと現状では細かい検討ができていない部分ですので、今後検討していきたいと思います。実際には、例えば、ある時までは事故の現場に近づけなくて、途中で安全上近づけるようになったとか、様々なケースが想定されますので、そういった点も含めて検討できればと思います。
髙村先生からは情報提供いただいたということで大丈夫でしょうか。
○自然環境計画課生物多様性 国際企画官 渡邉先生からのご質問については、私からご回答いたします。
私は、昨年5月にインドで開催された南極条約協議国会議に外務省さん、極地研さんと一緒に参加したのですけれども、その時この附属書Ⅵについては、特に未締結の国の検討状況については議論があったようですが、この附属書Ⅵで設置される基金についてどう使うかとかという議論は特にされていなかったと承知しております。
以上です。
○自然環境計画課 係長 最後の外務省さんからのご質問ですが、私も先日、同じ質問を髙村先生にさせていただきまして、その又聞きのような形になってしまいますので、もしよろしければ教えていただければと思います。
○髙村委員長 はい、ありがとうございます。
今、外務省の漆原さんからご質問いただいた点ですけれども、大きな争点になりましたのが先ほど申し上げました漁船の扱いです。観光船については規定上、全ての観光船となっているわけですけれども、漁船以外の調査船の扱いについて、交渉上大きな論点にはなっていなかったということであります。南極条約地域での活動の多くというのが調査、観測の活動であるというのが前提になっていて、7条5項に基づく事前の通告の対象というものに含まれていると理解をされていたのではないかと推察いたします。
ただ、先ほど事務局からもありましたように、実際の各国の7条5項に基づく事前の通告は、必ずしも全て一致、統一をしているわけではないということではありますので、一定の裁量は各国にあると思っております。むしろ漁船、漁業活動が非常に大きな争点でして、適用対象ではないので附属書Ⅵの国内担保上は大きな論点ではないかもしれませんけれども、先ほど西本委員からご発言がありました、ほかの条約あるいは国内法との関係でいくと、漁船についてはCAMLR条約(注:南極の海洋生物資源の保存に関する条約 Convention for the Conservation of Antarctic Marine Living Resources)との関係というのが論点になっていたということであります。しかし、適用の対象にはなっていませんので、附属書Ⅵでの国内担保上は必須でないといいましょうか、国内法で何らかの対応が必要であると日本独自で判断をしない限りは、漁船に関わっては論点とはならないかとは思います。
お答えになっているといいのですけれども。ありがとうございます。
白山委員、お願いいたします。
○白山専門委員 一つ気になったことがいろいろ議論を伺って出てきて、資料4のスライドの2のところにあります緊急時計画の作成というのが赤字で書いてありますけれども、その上にも附属書Ⅳに対して、緊急時計画の作成というのがあって、この両者が大きく乖離していたり整合性がなかったりというようなことがあるといけないというのがあって、この二つの緊急時計画の作成というものの関係がどうなっているかというのと、さらにその上には別の附属書に関わるものではありますが、適合について制度内で確認と書いてありますけれども、緊急時計画を作成してもそれが実効性のないものであってはならないと思うわけですが、この実効性の確認なり担保なりということについては、今どのような検討がされているのか教えていただけるとありがたいです。
以上です。
○髙村委員長 ありがとうございます。
それでは、続いてオンラインでご出席の大塚委員、お願いできますでしょうか。
○大塚委員 先ほどご回答いただいたのですが、ちょっと私の質問があまりよく分からなかったかもしれなくて申し訳ないのですが、簡単に言うと、C類型の賦課金というのは広い意味での環境損害的なものが入ってくるのではないかということを申し上げておく必要があるかなと思っていました。人命・安全等にかかるものは入らないということになると、実際にはここでは環境損害的なものがここで払われることになるのではないかということも申し上げておく必要があるかなと思ったということです。ただ、とられるべき対応措置費用は環境損害自体ではないので、狭い意味の環境損害ではないですが、その点に関する議論が必要になってくるということでございました。恐れ入ります。
○髙村委員長 ありがとうございます。
ほかにご発言をご希望の委員、あるいはオブザーバーでご出席の関係省庁などから、いかがでしょうか。
ありがとうございます。外務省さん、お願いいたします。
○外務省 課長補佐 すみません、漆原です。
前提として、資料4の3枚目に書いてある南極条約第7条5の事前通告を行う対象活動、日本政府の解釈というところで、これは、航行、上空飛行、漁獲の自由、科学的調査の自由等公海自由の原則に該当する活動を除いた南極条約地域における政府及び非政府の全ての活動であると解されるということで、これは日本政府の解釈として固まっていると認識していますけれども、先ほどの髙村先生のお話ですと、交渉時に調査船が大きな争点にならなかった理由として、そもそも7条5の事前通告の範囲に調査船が含まれると各国で理解されていたのではないかというようなことをおっしゃっておりまして、そうすると日本政府のこの解釈というのは、他の諸外国の解釈と比べると、ちょっと異質な解釈ということになるのか、ちょっと説明が難しいかもしれないですけども、感覚的なものでも構わないのですけど、ご意見いただければと思います。
○髙村委員長 ありがとうございます。環境省か私か、あるいは西本先生が適切かもしれませんけど、この後、ご意見いただければと思います。
ほかにご発言のご希望はございますでしょうか。
白山委員、大塚委員から、大塚委員はご趣旨をご説明いただいて、これは先ほど西本委員の1点目にも関わるところかと思いますけれども、ほかにご発言のご希望はございますでしょうか。
よろしいでしょうか。特に落ちている論点、あるいはクラリフィケーションが必要な点はございますでしょうか。
ありがとうございます。失礼いたしました。大塚委員、お願いいたします。
○大塚委員 すみません、つまらないことで恐縮ですが、先ほど言い忘れたので。
財政的保証という言葉と金銭的保証という言葉とちょっといろいろ出てきているので、これは統一していただく必要があると思います。「ほしょう」の字に関してもちょっと統一をお願いします。すみません、つまらないことで恐縮です。
○髙村委員長 ありがとうございます。
ほかにご発言をご希望の委員はいらっしゃいますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、ご指摘も含めて、ご意見をいただいた点があるかと思います。白山先生、それから大塚先生、それから外務省さんからのコメントですね。もし事務局でお答えできるところがありましたらお願いできればと思います。
○自然環境計画課 係長 ありがとうございます。
まず、白山先生からいただいた1点目の附属書Ⅳを担保している緊急時計画と附属書Ⅵの緊急時計画との違いというご質問と理解したのですけれども、まず附属書Ⅳと附属書Ⅵで対象が異なっておりまして、附属書Ⅳは締約国を旗国とする船舶、つまり締約国籍の船舶等について義務づけられているものになります。日本の海洋汚染防止法では、この計画の作成は、油流出の防止について船舶の所有者に課されている義務となっております。附属書Ⅵにつきましては、先ほど申し上げたとおり、船舶以外にも様々な事故が想定されるという点と、緊急時計画の作成についても、主宰者、活動を主となって行う方が義務を課されるということになります。何か整合が取れないようなものということではないと思いますけれども、少しそういった違いがありますので、整理は必要だと考えております。
緊急時計画の具体的な内容ですとか基準については、先ほどご説明したとおり、附属書Ⅵの記載は大まかなものとなっておりますので、今後、他の法令も参照しながら検討していく必要があると考えております。
大塚委員のご意見については、こちらが趣旨を理解し切れておらず、大変恐縮ですが、承知いたしました。
外務省さんの各国の通告対象の解釈がどうなっているかというところ、現在、詳細は把握できていないところでございます。
最後に、大塚先生のご指摘については、資料の平仄が整っておらず、申し訳ありませんでした。
以上となります。
○髙村委員長 ありがとうございます。
先ほどの外務省さんからのご質問について、もしどなたかあれば、お願いいたします。
○西本専門委員 すみません、日本の解釈が例えば一般的かどうかという点については、なかなか主観的な評価を述べてもあまり議論の参考にはならないと思いますので、そこは差し控えたいと思うのですけれども、必ずしも当然の解釈であるということではないと思いますし、異なる解釈を取っている国も当然あります。要はかなり多様ということがありまして、そこは各国に裁量があるのだということを髙村先生がおっしゃっていたかと思うのですけれども、そういう整理になると思います。
ただ、私が承知しておりますのは、この点については日本の実行自体も実は一貫していないということが指摘はされておりまして、かつては上陸をしていないものについても通告をしていた時期があると言われておりますので、その点でもこの前提の部分、どこまでこの場で議論して、今後、国内担保の制度設計に資するのかというところがあると思います。この点、私からは当初の質問・コメントとしては申し上げなかったのですけれども、そこはあるのかなと思っておりまして、その点が例えば髙村先生がご指摘になりました対象についての認識の齟齬がある中で、何か事件が発生して、それに対する措置を取ったほかの国から何か請求があったときに、例えば、でも日本もかつては通告していたではないかとか、そういうことが主張される可能性もあると思いますので、そこはやはり気をつけないといけないところとは思っているところです。
以上です。
○髙村委員長 ありがとうございます。今、西本先生からお答えいただいたとおりであります。
一つ、私が気になっていますのは、今、通告の慣行に一貫性がない局面もあるのではないかというご指摘がありましたけれども、上陸をしない海域での科学的調査で結果を公表しないものは通告をしており、逆に結果を公表するものについては通告をしていないというのは、多分、公海の自由だけでは説明がなかなかできないかなと思っていまして、その意味では、先ほどありましたように事前通告の対象について各国の実行はどうなっているかというのを見ていただきながら、少し検討いただくといいと思っております。
ほかにはいかがでしょうか。
関係省庁さんからもし、この機会にご質問あるいはご意見はございますでしょうか。極地研さんもいかがでしょう。大丈夫でしょうか。
ありがとうございます。
ご出席の宮本委員、ご無理を申し上げるつもりはございませんが、もし何かご発言のご希望がございましたら、いかがでしょうか。
○宮本専門委員 私は実際に観光船ではないのですが、クルーズ船を運航している会社ではありますけれども、実際南極海域に行くということが今後発生するかどうかという、現在の業界の流れだけ説明させていただきますと、クルーズ業界は非常に今大きく膨らんでいる、伸びているような状況でして、そのような中でやはり南極海域というのは一つ大きな観光資源というか、そういう言い方をすると申し訳ないのですけれども、そういうものとして非常に大きな目玉にもなってくるようなところですので、これから先、将来的にはやはりそういった日本国籍の船籍の船が南極海域に行くということは、非常に大きくあり得るのではないかと我々も考えておりますので、この議論については、ぜひ引き続き、いろいろと確認していきたいとは考えているところです。
すみません、そういったコメントで申し訳ないですが、以上です。
○髙村委員長 ありがとうございます。協議国会議などでもやはり観光活動について議題になっていると伺っております。貴重な情報をいただきましてありがとうございます。
ほかにご発言をご希望の委員はいらっしゃいますか。
外務省さん、お願いいたします。
○外務省 課長補佐 度々、漆原です。
先ほどから附属書Ⅵの適用対象に関するご質問が多くて恐縮でございますけれども、今、観光資源として南極が大きく取り上げられているというようなお話がありましたけど、ただ、附属書Ⅵが採択されたのは20年近く前と理解しておりまして、その時にそんなに観光、南極に対する観光のニーズがどれぐらいあったのかというのは、不透明なところがありまして、例えば、この2025年に採択しますという話だとしたら、この観光船を明示的に抜き出したのは、これから観光船が増えてくるから、これに関しては7条5の通告対象でなくても、あえて明示する必要があるだろうというような理屈は立つと思うのですけれども、どうも20年前からそういう状況だったのかというのは疑問がございまして、先ほどの質問ともかぶるところはあるのですけれども、20年前の議論の時に観光船だけを明示的に適用対象とした理由について、やはりもう少し詳しくお聞かせいただけないかと思っております。
○髙村委員長 これは私からお答えしますか。事務局のほうからもしお答えいただけるのでしたら。
○自然環境計画課 係長 すみません、現状こちらに情報がないところでございます。
○髙村委員長 ありがとうございます。今の点、事務局のほうでもまた確認をいただければと思いますけれども、本日、事務局から出していただいている資料3-2の事故事例をご覧いただくと、幾つか観光船に関わる事故事例が2000年代に入った前後にもございまして、交渉の中でやはり観光船の拡大の将来の見通しというのがあるということを強調する国々が多かったと記憶をしております。この辺り、もう一度事務局のところで確認をいただければと思います。
渡邉先生、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○渡邉専門委員 実際の事故として、南極半島域でアルゼンチンが運行していた観測船、それに観光客も乗せるという変則的な形の船があったのですが、その船が先ほど資料にも出していただいたように、1989年1月に座礁して重油を漏らしてしまった。最終的にはそれは沈没してしまったのですが、それによって近くのペンギンのルッカリー(注:集まって子育てをする場所)で多くのペンギンが油まみれで死んだり、環境損害が起きたりした。これは後に油を回収したとなっておりますけれども、そういった事故がその頃アラスカのタンカーでもあって、南極でそういうことが起きますと、油の分解が非常に遅いし、環境影響が大きいだろうということで、対応を求めるものをやはり作らなければいけないというインセンティブの一つになったと理解しております。
その事例についてもかなり環境保護委員会でも検討が行われまして、環境保護の議定書の附属書Ⅵ、これもかなり古くから検討が行われていたのですが、ある時一度仕切り直しがありまして、現状の形になったと南極条約の協議国会議に私が出席していた頃の話ではありますけれども、ご参考になればと思いまして、発言させていただきました。
以上です。
○髙村委員長 渡邉先生、どうもありがとうございます。
ほかにご発言をご希望の委員、あるいはオブザーバーでご出席の皆様、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
論点について、今日もご指摘をいただきましたが、十分にご発言いただけなかった点等もおありかと思います。もしございましたら委員の皆様、あるいは関係省庁、オブザーバーの極地研からもお気づきの点がございましたら、事務局宛にご連絡をいただければと思います。本日のご議論を踏まえて検討いただく際にそうした情報も併せて検討していただければと思います。
もしよろしければ、本日の議題4については、取りあえずここで一度終わらせていただこうと思いますが、よろしいでしょうか。
はい、ありがとうございます。
それでは、残りました議事は「その他」でございますけれども、何か事務局からございますでしょうか。あるいは、本日の議題にはならなかったけれども、附属書Ⅵの担保に関わってご意見、ご質問がありましたら委員あるいはオブザーバーからお願いできればと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、事務局から何かその他、ございますか。よろしいですか。はい、ありがとうございます。
それでは、本日の議題は、以上とさせていただきます。
議事の進行はこれで事務局のほうにお返ししたいと思います。皆様ありがとうございました。
○司会 髙村委員長、議事進行、ありがとうございました。委員の皆様におかれましても、長時間にわたりご審議をいただきましてありがとうございました。
最後に、番匠自然環境計画課長よりご挨拶申し上げます。
○番匠自然環境計画課長 本日は活発にご議論いただきましてありがとうございました。いろいろなご意見、ご質問をいただきまして、なかなか答え切れなかったものもあったかと感じております。さらに、各国の状況や昔の話なども確認をしながら検討を進めてまいりたいと思っております。
この附属書Ⅵの締結というところ、来年にはATCMが国内開催されるということで、いよいよ20年来のものがやっと動いておりますので、ぜひ引き続きご協力をいただいて形にしていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いします。
次回の小委員会でございますけれども、今年の6月から7月頃を予定させていただきたいと考えております。ただ、ちょうどその時期にATCMイタリアの会議がございまして、我々、担当も重なっているものですから、そちらとの調整なども含めて、髙村委員長とご相談をして、調整をさせていただきたいと思っております。引き続きよろしくお願いできればと思います。
本日はどうもありがとうございました。
○髙村委員長 ありがとうございました。
午前11時36分 閉会