中央環境審議会自然環境部会温泉小委員会(第21回) 議事録

午後1時30分開会
【五反田温泉地保護利用推進室室長補佐】
定刻となりましたので、ただいまより「中央環境審議会自然環境部会温泉小委員会」第21回を開会いたします。
本日は、お忙しい中、本会議に御出席いただき、ありがとうございます。
会議に先立ちまして、本日の出席委員数を御報告いたします。本日は、12名の委員中12名全員の参加を予定しているところではございますが、今時点でリモート参加の江﨑委員と深町委員がまだ御入室いただいていないというような状況でございます。
それでは、本日の議事運営につきまして御説明いたします。本日の会議は公開で行われており、傍聴につきましては、会場での傍聴ではなく、傍聴用のウェブ会議システムを用意し傍聴できるようにしておりますので、御承知おきください。
また、本日説明する資料につきましては、会場にお集まりの委員についてはお手元の資料を御参照いただき、リモート参加の委員におかれましては事前にメールにて送付させていただいております。会議資料につきましては公開となります。
また、会議録は、後ほど事務局で作成し、本日御出席委員の了解をいただいた上で公開することとなります。
なお、リモート参加の委員におかれましては、差し支えない範囲で結構ですので、常時ビデオボタンはオンにし、お顔が見られる状態にしておいていただけますと幸いです。また、議事中、マイク機能は委員長及び発言者以外はミュートに設定していただきますようお願い申し上げます。
御発言の際は、挙手アイコンをクリックしてお知らせいただければと思います。委員長から御指名を受け、マイクのミュートを解除してから御発言いただきますようお願い申し上げます。御発言後は、挙手アイコンを忘れずにクリックいただき、手を下げていただきますようお願い申し上げます。
委員の交代について御報告申し上げます。一般社団法人日本温泉協会副会長、佐藤好億委員より、昨年12月10日付で委員辞任の申出がございました。新たに、一般社団法人日本温泉協会理事、星雅彦委員が任命されております。本日より新たに小委員会の審議に御参画いただくこととなりましたので、御紹介をさせていただきます。
それでは、議事に先立ちまして、自然環境整備課長の中原より御挨拶申し上げます。

【中原自然環境整備課長】
自然環境整備課長の中原です。
本日は、お忙しい中、当委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。
また、日頃より温泉行政につきまして様々な御協力、御理解をいただいておりますことを改めて御礼申し上げます。
今般、新たにこの委員会の審議に御参加いただくことになりました星委員におかれましては、これからどうぞよろしくお願いいたします。
昨年9月になりますけれども、前回のこの委員会におきましては、都道府県における温泉法の掘削許可等の判断におきまして参考としていただくための温泉資源の保護に関するガイドラインの点検、見直しに係るスケジュールなどについて御確認をいただきました。
前回の小委員会の結果を受けまして、事務局において来年度の検討に向けた作業を進めておりまして、本日はガイドラインの改訂に向けて実施しました都道府県へのアンケート調査及び有識者へのヒアリングの結果を御報告させていただくとともに、それらを踏まえまして改訂の論点等を整理しておりますので、委員の皆様の御意見を伺えればと考えております。
限られた時間でありますが、忌憚のない御意見を賜りますようお願い申し上げまして、開会の挨拶とさせていただきます。本日はよろしくお願いいたします。

【五反田温泉地保護利用推進室室長補佐】
次に、配付資料について確認させていただきます。
本日は、議事次第に加え、資料1、参考資料1~4を配付もしくは事前にデータで送付させていただいております。過不足等がございましたら、事務局にお申しつけいただければと思います。
それでは、ここからの議事につきましては、滝沢委員長にお願いしたいと思います。
滝沢委員長、よろしくお願いいたします。

【滝沢小委員長】
皆様、本日はお忙しい中、大変貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございます。
また、星委員や浅沼委員には、豪雪の中、貴重なお時間を賜りまして、誠にありがとうございます。
本日なのですが、論点整理ということで事務局のほうにいろいろ資料を整理していただいたのですが、結構な数がございますので、早速会議のほうを進行させていただきます。
今回の議事といたしましては、議事次第に書いてございます。議題(1)が「『温泉資源の保護に関するガイドライン』の改訂に係る論点について」、議題(2)が「その他」となります。
早速ですが、議題(1)について事務局のほうから説明していただいた後に、議題(1)について御質問、御意見を伺うこととしたいと思います。
今回、内容が膨大ですので、皆様のお手元の資料1の事務局のほうで整理していただいた論点の1)から7)のうち、前半は1)から3)までについて、まずは事務局のほうから御説明いただいて、議論をさせていただきたいと思っております。
それでは、事務局より、どうぞよろしくお願いします。

【五反田温泉地保護利用推進室室長補佐】
環境省の五反田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
「温泉資源の保護に関するガイドライン」につきましては、先ほど環境省の挨拶においても触れさせていただきましたとおり、5年経過後に総点検を実施し、更新等を行っていくこととしております。
また、前回の小委員会において、ガイドラインの改訂に向けた検討の視点とスケジュールについて御説明をさせていただきました。その際触れさせていただきましたが、改訂すべき点に関して、都道府県へのアンケート調査や有識者と都道府県の担当者へのヒアリングを実施いたしました。
本日は、アンケート調査やヒアリングの結果を受け、改訂に向けた論点を整理いたしましたので、論点に対する御意見や来年度追加的に実施すべき調査等について御助言を賜れますと幸いです。
まず、資料1の論点整理の各項目について御説明をさせていただく前に、前回の小委員会において江﨑委員より御指摘いただきました点について御回答申し上げたいと思います。
参考資料2を御覧いただければと思います。
前回の小委員会におきまして、江﨑委員より、温泉の保護と利用の観点から、温泉が浴用・飲用や地熱発電以外にどのように活用されているのかといった御指摘をいただきました。
現在のガイドラインの29ページ目におきまして、近年の温泉利用の形態について、温泉の浴用や飲用以外の目的での利用実態について記載しておりまして、今回の改訂に向けた検討の中でも利用実態について改めて都道府県のアンケートにおいて確認をさせていただきました。
利用形態を13のカテゴリーでまとめさせていただいております。件数のカウント方法につきましては利用形態の種類ということであって、施設数というわけではございません。
裏面のほうに内訳を記載しております。例えばある自治体からは、バイナリー発電、ハウス栽培等の農業利用、ロードヒーティングや床暖房などに使われていると。また、ある自治体からは農業用ハウスの暖房用、融雪用とのことで回答をいただいているところでございます。
それら個別の利用形態を1としてカウントさせていただき、用途別にカテゴリー化したものがこの表となってございます。農業用ハウス栽培の暖房用、芝の育成などの農業・園芸利用といったところが20件、とらふぐ、すっぽんといった具体的な名称もありますが、養殖の利用が13件。地熱発電・温泉発電・バイナリー発電などで12件。融雪利用が9件。温泉卵の製造、せんべいの加工、清涼飲料水、焼酎の原料などの食品・飲用水の利用が8件。洗濯、トイレ用水などの生活用水利用が6件。施設の暖房利用が6件。工業用水利用が5件。湯もみの宣伝用、間欠泉などの観光施設での利用が5件。庭の散水などの雑用水利用が3件。馬の浴用といった馬に対しての利用が3件。畜産利用が3件。その他といたしまして、湯の花採取、プール、浴用剤、化粧品の原料、ペットの温泉などといった形でのその他の利用が10件といった状況にございました。
こちらの利用形態につきましては、ガイドラインの資料として更新版を掲載させていただきたいと考えております。
江﨑委員からいただきました御指摘に対する回答としては以上となります。
続きまして、資料1を御覧いただければと思います。
温泉資源の保護に関するガイドラインの改訂に向けた論点整理の資料になっております。
先ほど滝沢小委員長からも御説明がございましたとおり、1)ガイドラインの全般についてから7)参考資料等の追加まで、大きく7つのパートに分けて論点を整理させていただいております。
まず1)ガイドライン全般についてでございます。都道府県アンケートや有識者及び都道府県担当者へのヒアリングにおいていただきました主な御意見を、枠で囲んだ部分に並べてございます。枠で囲んだ上には、それらの意見を踏まえた検討の方向性等について整理をしてございます。
主な御意見の中では、ここ5年間は新型コロナウイルス感染症拡大により掘削等の申請が低調だった時期からインバウンド需要が回復するなど変化してきており、今後、現行のガイドラインが想定していないような開発案件が出てくる可能性も十分考えられる。
未来の温泉を担う現場の人材が不足していることも課題である。これは、ガイドラインの改訂に向けて温泉資源の揚湯試験などについてお話を伺っている中、温泉掘削の現場では、かつて温泉掘削が盛んに行われていた時期には職人などのなり手がいたものの、掘削件数の減少に伴い、なり手も不足し、職人が高齢化し、世代交代がなかなか進んでいないこと。その地域の地質や温泉の状況を知っている職人の経験や知見といったものが承継されないといった課題も指摘されておりました。また、温泉を研究する機関の研究者についても、次世代の担い手不足の状態が起きているといった課題も指摘をいただいたところでございます。
また、実際に行われている都道府県の立入調査や報告徴収等の取組など、都道府県の参考となる優良事例等の追加によって記載内容を充実することが考えられるといったガイドライン全般についての御意見をいただきました。
また、前回の小委員会でも御説明させていただきました、現行のガイドラインが目指す現に事務処理の現場で問題になっている部分の詳述、科学的知見や具体的な取組事例を多く盛り込むことで、都道府県の担当者の参考資料として使いやすいものにすることとの視点から、枠の上部になりますけれども、ガイドライン全般への対応といたしましては、温泉行政の判断時により参考となる資料の追加、近年の温泉利用多様化に対しても対応できる記載内容、より分かりやすい記載や内容への更新が求められているとの認識の下、各項目を整理していくものと考えてございます。
続きまして、2ページを御覧いただければと思います。
2)第二 掘削等の原則禁止区域の設定、既存源泉からの距離規制、温泉の採取量に関する取扱いについてになります。こちらは現行ガイドラインの5ページ目から記載されている項目となりますが、都道府県においては、温泉法の趣旨を踏まえ、温泉の保護のため、掘削等を制限する特別な区域を設定することや、既存源泉から一定距離内での掘削を認めない距離規制や、地域の温泉資源の賦存量の調査とモニタリングをセットに温泉の採取量を制限する取組などがなされてきております。
ガイドラインの中では、都道府県における特別な区域等の設定状況、既存源泉からの距離規制の実施状況、特別な区域の設定や距離規制の内容を都道府県の要綱などの名称で公開しているところと内規などの名称で公開していないところとあり、要綱等の策定状況と策定経緯について都道府県にアンケート調査を実施し、まとめたものを掲載しております。
今回、ガイドラインの改訂に向け、都道府県アンケートを実施し、ガイドライン内に掲載されている表類の情報のアップデートを確認いたしました。
飛びますが、23ページを御覧いただければと思います。
表3 温泉の保護に関する要綱等の策定状況について、という表で、前回まとめさせていただいたもののアップデートになります。温泉保護に関する要綱等を策定している都道府県数としては39と前回の調査から変化はございませんでしたが、内訳に変動がございました。内訳1における原則非公開である内規に該当していた数が前回13であったところが、今回の調査では12と減少しているところでございます。
また、内訳2~要綱等の主な策定経緯~について、科学的な調査を基に策定した。審議会委員や専門家の学術的意見を参考に策定といったそれぞれの項目について、前回よりも2ずつカウントが増えているとの状況にございます。
これらを踏まえますと、地域での温泉資源の保護の取組が、科学的な根拠に基づき、より透明性のある手続に向けて取り組もうとされていることがうかがえると思っております。
また、2ページに戻っていただいて、先ほど御説明申し上げましたように、都道府県においては、掘削等の原則区域の設定や既存源泉からの距離規制、源泉の採取量を制限することにより、温泉資源保護に取り組んでございます。
ガイドラインにおいては、掘削等の原則禁止区域の設定に当たっての考え方、具体的な区域の設定方法としての基準、区域の設定の仕方、見直しの手続などについて記載をしてございます。
また、距離規制については、距離規制の考え方、都道府県が現に行っている距離規制の妥当性の検証、距離規制の起点となる既存源泉と未利用源泉等の関係について記載をしてございます。
有識者や都道府県の担当者からのヒアリングなどにおきましては、モニタリングデータの蓄積がないと、規制の見直し等が行えない。保護地域の設定や距離規制、許可量など、具体的な規制内容や基準を策定するに当たっては、どのような地域を目指すのか。これは例えばこれ以上掘削等の申請があると地域全体の水位低下を招くので、地域としてこれ以上掘削を望まないなどの地域の在り方、温泉保護の在り方というものを明確化する必要があるであろうと。また、新たに温泉保護地域を設定した、指定地域を拡充といった事例を参考に、その背景、検討過程、施行状況等について、具体の事例を参考にすることが考えられるといった御指摘をいただきました。
また、都道府県へのアンケートでは、前回のガイドライン更新以降に保護地域等を策定・拡充した事例について照会したところ、3つの道県から新たに策定したとの回答をいただきました。
具体的には、北海道では保護地域を新たに設定してございます。倶知安町ひらふ地域では温泉開発が急速に進展しており、地域内の源泉において水位の低下が確認された背景があったため、温泉の保護地域等に指定をした。
大分県では、保護地域を追加で設定いたしました。別府市では、泉温の低下、自噴が停止した泉源が見られたため、新たに特別保護地域を2か所追加指定した。
宮崎県では、保護地域を追加で設定した。その過程においては、審議会の委員や専門家の学術的意見を参考に温泉資源保護地域と温泉準保護地域を設定し、規制を設けたといった状況でございます。
具体的な北海道と大分県で設定された事例については、15ページの別紙1にございます。15ページを御覧いただければと思います。
北海道の事例では、北海道温泉保護対策要綱により、温泉を保護すべき地域を保護地域と準保護地域に分けてございます。
令和2年10月には、倶知安町ひらふ地域において新たに保護地域と準保護地域を指定いたしました。保護地域を指定した背景といたしましては、倶知安町ひらふ地域において温泉開発が急速に進展し、温泉掘削等の申請件数が増加傾向にございました。水位の連続モニタリングから水位低下の傾向と源泉間の相互干渉があること、水質分析結果から同じ温泉帯水層から温泉がくみ上げられていることが分かったことから、審議会の意見聴取や実態調査等の検討を経て要綱改正が行われてございます。
検討プロセスや科学的調査の実施内容、保護地域の設定に当たっての設定根拠や注意点等の詳細な情報を御提供いただいておりますので、この設定プロセスを参考にガイドラインに加えることが考えられるかと思います。
また、18ページを御覧いただければと思います。
大分県では、大分県環境審議会温泉部会内規により、泉源保護のための特別地域と保護地域を定めています。
令和4年4月から施行された内規では、別府市西部地域と南立石地域を特別保護地区として追加いたしました。保護地域を見直した背景としては、別府市において温度低下による掘削深度の増加や噴気・沸騰泉の減少、温泉資源の衰退化の兆候が見られました。規制地域の見直しを行うに当たっては、賦存量の予測等に基づいた科学的根拠が必要なため、温泉資源量調査を実施し、別府市との協議や審議会での審議を経て温泉部会の内規が改正されております。
こちらについても、検討プロセス、科学的評価の実施内容、保護地域の設定に当たっての設定根拠などについて詳細な情報を御提供いただきましたので、この設定プロセスを参考としてガイドラインに加えることが考えられるかと思います。
4ページを御覧いただければと思います。
3)第四 温泉資源の保護のためのモニタリング及び温泉モニタリング実施手法についてになります。現在のガイドラインにおいて、温泉の採取開始後においては、井戸の水位や採取量等について定期的なモニタリングを行うことが、地域の温泉資源の状況を把握し、過剰な採取を抑制し、その保護を図る上で極めて重要となる。既存の源泉所有者等にとっては、温泉資源保護のためのモニタリングを通じて、源泉の状況把握や異常の有無等により、自己が所有する源泉の健全性の確認や井戸の適切な維持管理が可能となる。将来、近傍で新たな温泉掘削等が行われる場合において、当該温泉掘削等により所有源泉に影響が生じた際の科学的根拠となる貴重なデータともなるなど、モニタリングの重要性や必要性について現在のガイドラインで記載しているところでございます。
また、モニタリングの実施方法や、源泉所有者等がモニタリング結果に基づいて採取量調整、管理や源泉の維持管理を行うことの重要性についても取り上げているところでございます。
有識者及び都道府県担当者からは、温泉モニタリングの重要性と有効なモニタリングデータの活用について御指摘をいただいてございます。
まずは市民参加型の一斉モニタリングイベントを開催し、実際に泉温等を測定し、その後、ワークショップにて過去のデータと比較し、変化の度合いを概観することにより、地域の変動傾向や危機意識を地域内で共有するといった取組があるという御紹介をいただきました。
また、他のモニタリングの事例の記載があれば検討するきっかけになる。モニタリングデータを取得してもデータ化されない。データがあるが評価方法が分からない。データが活用されないならば、そもそも取得することの必要性が浸透しないといった課題があり、その蓄積されたデータの評価をサポートする存在が必要といった御指摘をいただきました。
また、ガイドラインにおいては、都道府県は温泉法に基づいて、報告徴収や立入権限を積極的に活用し、モニタリングデータを収集することも考えられる。都道府県が未利用源泉等を観測井として活用するなど、自治体と源泉所有者等が協力しながら、地域の温泉資源の保護対策を推進するためのデータを収集することが望ましいと都道府県に望まれる取組を記載してございます。
都道府県アンケートでは、行政によるモニタリング調査を行っている事例を確認したところ、13の都道府県から行政が実施していると回答をいただきました。その中身としましては、年に1回から5年に1回程度の頻度で現地調査を実施。測定項目としては、温度・湧出量・水位・電気伝導率・可燃性天然ガス、硫化水素などを測定している。未利用源泉に自記式水位計を設置し、保健所が記録を回収し、定期的に審議会に報告をしている。データを研究機関で解析している。モニタリングデータを温泉部会に報告するなど、審議に活用されているといった事例もございました。
また、都道府県が源泉管理者等にモニタリングを行わせるに至った経緯、データ活用の状況、精度管理について照会したところ、様々な取組がなされていました。内容としては、源泉所有者等が自主的に行ったモニタリング結果を提供してもらい、研究機関で解析、保護地域等の資源情報の確認に活用している。精度管理は研究機関から技術的な支援を受けている。源泉管理者に対し、源泉の動水位・湧出量・泉温を月1回策定し、年2回分の結果を報告してもらっている。事業者等から収集した情報をエクセルに記録し、揚湯量や水の経年変化が分かるようにしている。しかし、データ量、精度、体制の面から詳細な解析は困難。審議会の委員より、モニタリングの実施について意見があり、保護要綱を改正し、事業者によるモニタリングを依頼したといったものがございました。
また、都道府県アンケートにおいて、源泉所有者がモニタリング等を行い、その結果について定期的に都道府県に報告させる仕組みが必要かと質問したことに対し、「はい」が20、「いいえ」が27と回答がされてございました。
定期的に報告させる仕組みが必要と回答いただいた中では、行政が独自にモニタリング機器を設置し、データを得るには人的・金銭的にも限界がある。モニタリングを行うことで、過剰な採取を抑制することができる。温泉資源の保護のためには適切なモニタリングが不可欠である。源泉の状況を日常的に把握可能な源泉所有者等がモニタリングを行うことが妥当。許可申請時における短期間のモニタリングでは実態を把握することが難しいため、長期的なモニタリングは必要。短期間のモニタリングで把握できない情報も多い。
また、反対に定期的に報告させる仕組みは必要ないと回答いただいた中では、源泉の維持管理として自己管理の側面がある。モニタリング結果等の共有を含めた温泉資源の適正管理に必要な情報は、都道府県ではなく当該温泉地域内で共有することが適当。定期的に報告することは事業者の負担。職員が全ての源泉調査を年1回実施しているといった回答がございました。
定期的に報告さされる仕組みの「はい」、「いいえ」のいずれの回答においても共通しているのは、モニタリングが重要であり、必要であるとの認識になります。しかしながら、得られたデータのデジタル化やモニタリングの精度管理、評価を行うに当たっては、サポートする存在が必要になるなど、様々な課題があることが伺えます。
ガイドラインにおいては、モニタリングの重要性についてさらなる追記や、モニタリング普及に向けた取組や、モニタリングデータの有効な活用を含めた事例について情報を整理することが考えられます。
長くなりましたが、前半部分についての御説明は以上になります。

【滝沢小委員長】
ありがとうございました。
事務局のほうから、ヒアリングの結果ですとか都道府県温泉担当者へのヒアリング等の結果をまとめたものについて御説明いただきました。
内容は、実は資料1の13ページのほうに、今、論点課題として出していただいた1)、2)、3)についてまとめてございますので、こちらのほうも参考にしていただければと思います。
ただいま事務局のほうから説明がありましたガイドライン全般について、それと掘削等の原則禁止区域の設定、既存源泉からの距離規制、温泉の採取量に関する取扱い、それと3)として温泉資源保護のためのモニタリング及び温泉モニタリングの実施手法、こちらについて御意見、御質問のある方は、挙手またはウェブ上の挙手ボタンを押して、御意見等を賜れればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
では、浅沼委員、よろしくお願いいたします。

【浅沼委員】
産総研の浅沼でございます。
大変よく整理されていると思ったのですけれども、距離規制がいろいろなところでかかっているのですが、これはある程度の科学的根拠があるのですか。

【滝沢小委員長】
事務局からお願いします。

【五反田温泉地保護利用推進室室長補佐】
ガイドラインの別紙1を御覧いただければと思います。34ページでございます。
具体的な温泉の名称は書いてございませんけれども、3つの温泉において現に距離規制をしているところの妥当性を検証してございます。A、B、C3つの温泉地での距離規制については、結論としてはおおむね科学的な根拠はあるのだろうといったところで、これぐらいの距離規制ということであれば妥当であろうといったところを検証したといった事例を載せてございます。

【浅沼委員】
分かりました。
もう一つなのですけれども、実際に経験を積んで規制をかける距離を変えている事例なんていうのはあるのですか。

【五反田温泉地保護利用推進室室長補佐】
すみません。今、特に情報はないところではございます。

【浅沼委員】
もし新しい地下のシミュレーション技術か何かがあって、やってみたら昔は2キロだったのが本当は500メートルでいいよとかという話があれば、そういうのも記載できればいいなと思ってコメントを出した次第です。
以上です。

【五反田温泉地保護利用推進室室長補佐】
ありがとうございます。

【滝沢小委員長】
ありがとうございます。
これまで規制を厳しくする方法ばかり動いているものですから、規制緩和ということについても今回アンケートは取っていただいたのですが、やはりそういった取組はあまりなくて、今回データとして挙げていないのですが、ただ、非常に我々もそういった点は今後考えていかないと、規制ばかりではなくて開発のほうに関しても少しかじを切っていかないといけないとは思っております。そういった点も含めて論点のほうに入れさせていただきます。
ほかに御意見はございますでしょうか。
江﨑様、よろしくお願いします。

【江﨑委員】
ありがとうございます。
前回質問に対してすごくしっかりまとめていただいて、本当にありがとうございます。すごく分かりやすく見えてきたかなと思います。
今のお話もあって、温泉利用の入浴以外での利用というのがすごく可能性と規制の不安と期待の中でこういうガイドラインが進んでいくのかなと私は考えているのですが、温泉に関する税金として入湯税というのはあると思うのですけれども、そういうほかの利用が増えていった場合に、源泉保護に使われる財源として入浴以外の利用をされている方々からの利用税みたいなものはどんなふうになっているのかというのがもし分かればと思ったのですが、その辺の知識が不足しておりまして、教えていただければありがたいです。

【滝沢小委員長】
事務局より、何かありますでしょうか。

【五反田温泉地保護利用推進室室長補佐】
申し訳ありません。税金についての知見がないのですが、入湯税とか宿泊税といったところが地方税であるなか、入湯税につきましては、市町村において昔から一般財源のような形での歳入として活用されているといった歴史的な経緯等もあるかと思います。
ただ、聞いた話によりますと、入湯税を資源保護のために使おうではないかといった声を上げていらっしゃる温泉協会の方とか、そういった声があるということは承知しております。ただ、ほかにどのような税金が源泉保護のために使われているのかといったところにつきましては、申し訳ありませんが、知見がないというのが正直なお答えでございます。

【江﨑委員】
ありがとうございます。
でも、最近入湯税というと目的税化されていることも多いので、入湯税であれば源泉保護プラス観光というところに使われるのですけれども、ほかの利用をされているところというのは、そういうところに責任感とかがかかっていないのかなというのが、逆に入湯税でほかの利用もしているところの源泉も保護しているのかなというのが考え方として違和感があるのではないかなと思ったので、今後の課題なのかなという気がしました。
以上です。

【五反田温泉地保護利用推進室室長補佐】
ありがとうございます。
入湯税につきましては、自治体での税金の使途等になろうかと思いますので、ガイドラインでどういったことが書けるのかといったところはあろうかと思いますが、目的と使途に関して、我々としては温泉資源の保護に関して使っていただければなというような思いはあるところでありますけれども、そこをガイドライン上どこまで反映することができるのか、するのが適当なのかといったものについては、今後検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。

【滝沢小委員長】
ほかに御意見のある方はいらっしゃいますでしょうか。
では、鈴木秀和委員、よろしくお願いします。

【鈴木(秀)委員】
駒澤大学の鈴木と申します。よろしくお願いいたします。
意見というか質問を2点ほどさせていただきたいのですが、まず1点目、資料1の一番最初にありますが、コロナ禍が過ぎて今後いろいろな開発が進む可能性があるという御指摘がありますが、最近でいいのですけれども、全国での掘削申請数というのがどれぐらいの形で推移しているのか。都道府県によって違うと思うのですけれども、そういったデータがあればお示しいただいて、今後どう変化していくのかという予想がたつのであれば、御意見をいただければと思っております。
2点目が、3.11以降、規制緩和ということで他目的掘削井というものが許可されているわけですが、そういったほかの目的で掘削されたものが掘削申請なしに実際に利用申請された事例というのがあるかないのかというのをお聞きしたいと思うのですけれども、以上2点、すみませんが、よろしくお願いいたします。

【滝沢小委員長】
事務局より、データはありますでしょうか。

【五反田温泉地保護利用推進室室長補佐】
最近の掘削の状況でございますけれども、前回の20回の温泉小委で最近の行政処分状況、温泉の掘削の申請件数と許可された状況といったものをお示しさせていただいてございます。全国的な状況になりまして、個々での状況は分かりかねるところではあるのですが、新規の掘削件数といたしましては、令和4年が最新のものでございますけれども、申請件数としては152件、その前年の令和3年が169と平成16年は624件あった申請が徐々に右肩下がりといった状況でございます。令和4年から過去5年間の動きといたしましては、申請件数としては平成30年が199、令和元年が184、令和2年が169、令和3年が161、令和4年が152といった形での推移でございます。
2点目が、掘削等の申請が。

【鈴木(秀)委員】
掘削申請なしにほかの目的、例えば想定されているのは、地熱開発のために掘削された温泉井が掘削申請なしに許可申請が出てきたか、件数というか事例があるかないかということをお聞きしたいのですけれども、そういうデータは。

【五反田温泉地保護利用推進室室長補佐】
そういったデータは手元にはなく、許可申請をされた数や利用許可された件数を我々のほうで把握させていただいているという状況でございます。

【坂口温泉地保護利用推進室長】
利用許可のほうは浴用に限っているので、逆に言うと、その他目的での。

【滝沢小委員長】
よろしいですか。
分析機関ですので、実際に私どもでも関わることがあるのですが、他目的で掘削されたものでも、地熱などの場合には、流体の採取を目的とする場合には掘削申請から出ているというのが常でありまして、他目的でその後温泉利用に切り替わるというのが大体町内の銭湯さんなどが使っている地下水が温泉であるかどうかとか、そういった場合などに出てきたり、まれな事例ですと、工事をやっていてたまたま温泉が出てきて、それを他目的の掘削なのだけれども温泉に切り替えるなんていうのがあるようですが、各自治体とも動力許可が必要な場合には動力申請は必ず出させるようにはしているようです。ただ、それが環境省さんとかの出している統計では、他目的の場合の動力申請なのか、普通の掘削申請から出ているものの動力申請なのかというカテゴリー分けがないものですから、そこが今までのデータでは拾えていないところかと思います。
私どもの実際の事例をお話しさせていただきました。

【坂口温泉地保護利用推進室長】
大分前の話ですけれども、天然ガスを採取するというのは温泉の採取を目的にしていないので、それは申請が我々のほうにないわけですけれども、それで温泉が出てきてというのが、例えば新潟県とか、あと、北海道とかもあるかな。

【滝沢小委員長】
千葉の船橋とかもそうですね。

【坂口温泉地保護利用推進室長】
そういう事例があるというのと、長期的な掘削のトレンドとしては平成の初頭から平成16年ぐらいまでがずっと右肩上がりになっていて、一つはふるさと創生基金というところと、あとはスーパー銭湯というのが増えたというところで、ピークというのは平成の半ばぐらいで止まっている。コロナ後のトレンドというのは、まだ令和4年までしかデータがないので、これから注視していく必要があるかなと考えております。

【鈴木(秀)委員】
ありがとうございます。

【滝沢小委員長】
ほかに御意見はございますでしょうか。
それでは、私のほうから伺いたいところもあるのですが、大分県の浜田委員にお伺いしたいのですが、現行ガイドラインでは実は34ページから36ページまで、先ほど浅沼委員の御質問にもありましたとおり、規制等でA温泉、B温泉、C温泉ということで今まで記載をしてきたのですが、別府と北海道の倶知安町ひらふに関しては結構なものがネットに公開されておりまして、公開データとして拾えるものになっております。今回、事務局のほうでもこちらに別紙1、別紙2という形でまとめていただいて、まさに別紙2が大分県の別府の状況なのですが、こういったものをこういった事例のほうに追記していくということに関して、特に問題はないですよね。

【浜田委員】
大分県でございます。
特に問題ないと考えますが、21ページでよろしいですか。

【滝沢小委員長】
今後、新しい事例としてガイドラインに載せていくということです。資料1の18ページから書かれている内容です。

【浜田委員】
別府の資料をそのままということですか。

【滝沢小委員長】
これを全部そのまま載せるというわけではないのですが、ここからエッセンスを抽出して、このA、B、Cに似たような形にしていく。特に倶知安町のひらふと別府に関しては、科学的データを基にこういった規制を組んでいるという珍しいデータであるのと、実際の規制をかけた地域というのが既に公開されているという希有な事例ですので、皆さん、これは行政担当者などはすごく参考になるデータですので、ぜひこういったものをガイドラインのほうに載せていきたいと考えております。

【浜田委員】
特に問題ないと考えておりますので、皆様方に利用していただけるといいかなと思います。

【滝沢小委員長】
ありがとうございます。
京都大学ですとか北海道の道立総合研究機構みたいな機関が全国にあるわけではないので、こういう大分県の事例をそのままほかの県がやるというのはなかなか難しいとは思うのですが、ただ、規制区域を定める方向性として、こういうやり方があるのだということがすごくしっかり書かれておりますので、ぜひ参考にさせていただきたいと思っております。よろしくお願いします。
ほかに御意見はございますでしょうか。
では、実は論点もかなりございますので、これから後半の論点について事務局のほうから説明していただくことにいたします。また前半の論点に関して何か御意見がある場合には、後半の論点の説明後に併せて御意見を賜れればと思っております。
では、事務局より、どうぞ後半のほうをよろしくお願いいたします。

【五反田温泉地保護利用推進室室長補佐】
ありがとうございます。
資料1の8ページを御覧いただければと思います。また、参考資料4、ガイドライン本体の23ページも併せて御参照いただければ幸いです。
4)第五 公益侵害の防止 2.具体的な公益侵害の類型と対応になります。
温泉法では、温泉の湧出量等へ影響を及ぼすと認めるときのほか、公益を害するおそれがあると認めるときは、掘削等を不許可にできるとされておりまして、都道府県によりその拒否の判断が積み重ねられてきたところでございます。
そのため、現行のガイドラインでは、温泉の掘削等に伴う公益侵害の類型、発生の態様は個々の状況ごとに様々であり、一律の判断基準を設けることは困難であるため、公益侵害への対応の在り方について共通する考え方を示すとともに、典型的な類型への対応の具体例を示してございます。
ガイドラインでは、公益侵害への対応についての考え方として、掘削等の不許可に反映できる公益侵害の範囲は、原則として、掘削等に直接起因するものに限定される。ただし、間接的な事柄であっても密接不可分の関係にあるものは含み得る。なお、間接的な事柄であっても密接不可分の関係にあり得るものに該当する例としては、掘削工事中等に湧出した温泉の放流に伴う公共用水域等の水質への影響等が挙げられると記載しているところでございます。
また、どのような場合が公益侵害に該当するか、どのような対策を行わせるべきかへの考え方として、他法令の適用を受ける場合に、その法令を遵守しているか否かで判断する。温泉の掘削等に類似する行為に対する規制がある場合に、その規制基準を援用して、温泉の掘削等がその基準の範囲内に保たれているか否かで判断する。地域の社会環境、自然環境等に関する目標・基準等が定められている場合に、温泉の掘削等によりその目標・基準等の達成が妨げられないか否かで判断するといったことを挙げてございます。
また、具体的な公益侵害の類型としましては、がけ崩れ、溢水、有毒ガスの発生、地盤沈下、近隣の水井戸や湧水の枯渇、水質への影響、騒音・振動等を挙げており、そのうち、具体的な対応例がある「騒音・振動」「温泉の放流に伴う水質への影響」「地盤沈下」の3つについて、公益侵害に該当するか否かの判断基準と対応の具体例を示してございます。
都道府県アンケートでは、ガイドラインに記載しているもの以外で公益侵害の類型を定めているものがあるか確認しましたが、ガイドラインに示しているもの以外で定めている事例といったものはございませんでした。その理由としましては、申請案件ごとに個別に審議会等で審査しているため、これまで公益侵害となる事案がないため、ガイドラインに記載されている内容で判断できるためといった回答がございました。
また、ガイドラインに記載された類型以外に問題となった事例について聞いたところ、掘削工事中に発生した蒸気噴出事案では河川から高濃度のヒ素が検出されたほか、地域の農産物等への風評被害も生じたといった回答がございました。
現行のガイドラインに記載されている公益侵害の類型以外で新たに追加するべき事項があるか、問題となった事例も含めて整理することが考えられるかと思います。
資料1の9ページを御覧ください。
5)第六 その他になります。
温泉資源の保護に関するガイドラインが最初に策定された平成21年において、当面の課題として大深度掘削泉、未利用源泉、温泉の利用形態の3つを挙げ、それらの課題に対する検討内容を記載しております。
このガイドラインでは、1,000メートル以上の掘削を行っているような掘削源泉については大深度掘削泉と定義し、その資源的な特性等についても記載してございます。
また、大深度掘削泉では、掘削後数年で湧出量や泉質等の状況が大きく変化する事例がいくつか報告されておりまして、北海道帯広周辺における事例をガイドラインの中で紹介してございます。帯広周辺の事例では、1960年から73年にかけて、掘削深度が300メートルから600メートル級のボーリングによる温泉開発に始まり、1970年代、1980年代には徐々に深度が深くなり、1984年には1,617メートルの深度で掘削がなされました。掘削当初は大量に自噴する温泉が多くありましたが、源泉数とそれに伴う採取量が増加したことに伴い、水位が低下し、動力揚湯が増え、温泉資源が急速に衰退してきました。そのため、行政による資源動向調査とモニタリングが行われ、また、保護地域を設定することによって採取量を制限するなどの対応を行い、結果、水位低下の傾向を抑えることに成功しているといった事例となってございます。
有識者からは、大深度の源泉では温泉揚湯による水位低下は思っている以上に大きいが、大深度の帯水層で起こっている現象は地表では確認されない可能性があり、改めて地下構造としての不圧地下水と被圧地下水の違いについて強調する必要があるのではないか。
また、そのほかの課題として、温泉の枯渇化現象について、有識者から温泉を開発したことで水の循環が促進され、量や水位だけでなく温泉としての質(温度や水質)が低下するといった事例がある。ほかにも、温泉は無限ではなく、無理にくみ上げると採取できなくなるといった一般的な内容についても記載を追加してはどうかといった御意見をいただきました。
これらの御意見を踏まえまして、大深度掘削線の資源的な特性等の情報、事例を収集し、整理することが考えられるかと思ってございます。
10ページを御覧ください。
6)動力装置の際の影響調査実施希望及び揚湯試験実施手法についてになります。
動力の装置による影響を把握するためには、周辺の既存源泉への影響を把握する影響調査と、その源泉自体の集湯能力の限界を把握する揚湯試験の2つに分類されているところ、ガイドラインにおきましては、影響調査等の実施対象、影響調査等の実施手法、影響調査における注意点について記載をしてございます。
有識者からは、揚湯試験に利用するポンプの選定が適切でない事例があり、許可判断を行うために十分なデータが取得できるよう、揚湯試験用のポンプの選定は慎重に行うべきではないかと。揚湯量と水位降下量の相関関係を示す図の一般的な解釈について補足するべきではないかといった御指摘をいただきました。
影響調査、揚湯試験それぞれにおける手法に追加すべき事項や更新内容があるか、さらに整理することが考えられるところでございます。
11ページを御覧いただければと思います。
7)参考事例等の追加でございます。
ガイドラインにおいて紹介している事例等のそれぞれの項目において新たな情報に基づく追加、更新を整理し、内容の充実化を図るといった検討をする必要がございます。
まず、集中管理方式についてでございます。温泉資源の保護を目的として、複数の既存源泉を埋め戻すなどにより、集約して管理する集中管理が行われている事例がございます。
都道府県アンケートの結果、平成30年度以降、集中管理のために源泉の統廃合や既に集中管理に取り組んでいるといったようなところで管理地域の拡大・縮小等の見直しを行った事例について照会をかけさせていただきましたが、具体的な事例といったものは上がっていませんでした。
一方で、有識者からは、温泉保護の観点から集中管理は有効な手段であるが、施設の老朽化対応のための費用確保、担い手不足などの事業継続に関わる課題を抱えている事例があるといったところで、それらの課題等も含めた記載内容の充実ができるかどうか検討することが考えられます。
続いて、温泉採取制限事例についてになります。温泉採取を制限している事例について、先ほど大深度掘削において北海道帯広周辺地域における事例に言及させていただきましたが、大深度に限らず、水位低下に伴い保護地域を指定し、温泉採取量を制限した事例について追加できる事例等を検討することが考えられます。具体的には、先ほど御紹介させていただきました別紙1の北海道や大分の事例などをガイドラインに反映できるか検討することが考えられるかと思います。
続いて、影響調査事例についてになります。影響調査事例について、掘削深度の浅い温泉での事例として大分県別府温泉における調査事例を掲載してございます。また、大深度掘削泉における事例として、都道府県名は記載しておりませんが、掘削深度1,400メートルの源泉から550メートル離れた場所に新たに1,300メートルの掘削が行われ、予備揚湯、あと、揚湯試験時に影響調査が実施された事例といったものをガイドラインに掲載してございます。
有識者のヒアリングにおいて、公開されている文献から新たな事例情報をいただきましたので、これらの情報を含め、追記できる事例等を検討することが考えられると思ってございます。
続いて、長期モニタリングの事例についてです。源泉の掘削深度が1,500メートル、水中ポンプを利用し、動力で揚湯し、温度、揚湯量、水位の項目について自動観測機器を用いてモニタリングしている事例というのを掲載してございます。
こちらも有識者のヒアリングにおいて公開文献から新たな事例情報をいただきましたので、それらの情報を踏まえ、追記できる事例などについて検討することが考えられます。
12ページになります。
続いて、動力装置許可の審査基準についてになります。動力装置許可の審査基準について、東京都が地盤沈下防止の観点から審査基準を定めているため、参考事例としてガイドラインに掲載してございます。他の都道府県において審査基準についての事例を収集し、参考となる事例があれば、追加すべきかどうか情報を整理するといったことが考えられるところでございます。
続いて、揚湯試験事例についてでございます。動力を装置するには、源泉の温泉湧出能力を評価するために揚湯試験を実施します。揚湯量を段階的に変えて、その水位変化を測定し、温泉井戸を枯渇せずに揚湯可能な最大量である限界揚湯量を検証する段階揚湯試験というものと、段階揚湯試験の結果から求めた限界揚湯量に安全係数を乗じて適正揚湯量というものを推定し、実際に適正揚湯量を連続的にくみ上げて耐え得るかどうかといったものを確認する連続揚湯試験というものがございます。
ガイドラインにおいては、揚湯試験における一般的な事例や、揚湯によって水位が上昇するといった特殊事例、湧出量が少なく通常の揚湯試験実施が難しい事例といったものを取り上げてございます。
有識者からは、エアリフトポンプによる揚湯試験事例であるとか、透水性の低い源泉の揚湯試験事例など、ほかの特殊事例について追加を検討してはどうかと御指摘をいただきました。
また、都道府県アンケートにおいては、揚湯試験においてどの程度で水位が安定していると判断するのか。揚湯量と水位降下量の関係において、揚湯量を増やしていくとある時点で水位降下量ががくっと変化する変曲点を迎えることが一般的である中、変曲点のない試験結果が提出された事例においては、揚湯試験の設定よりも少ない揚湯量において実は変曲点を迎えていたのではないかと疑われる事例があったため、再度揚湯試験を実施し、補正した事例があるといった事例を御紹介していただきました。また、連続揚湯試験における揚湯時間が8時間と短く、判断に困ったといった御意見をいただいているところでございます。
いずれにしても、都道府県の担当の方々の参考となる事例を収集し、整理するようなことが考えられるかと思ってございます。
続いて、温泉の基礎知識についてでございます。都道府県の担当の方々向けに温泉の基礎知識としての湧出機構のイメージを図解で示してございます。
有識者からは、被圧帯水層と不圧帯水層では起こっている現象が異なるため、不圧地下水と被圧地下水の違いについて図や解説などを加えてはどうかといった御指摘をいただいております。
ほかにも、都道府県の担当の方々が参考となる基礎知識に関して追加すべきものがないか、情報を整理するといったところが考えられるところでございます。
最後に、温泉の用語集についてになります。ガイドラインにおいて掲載されている用語について記載してございます。揚湯試験における動力ポンプの性能曲線がどのようなものであるのかといったことについて用語解説を加えるなど、都道府県の担当の方々の参考となる用語の解説に関しても、ほかにも追加すべきものがないか、情報を整理することが考えられるところでございます。
今までの論点として1)から7)に挙げさせていただいたものについては、先ほど滝沢小委員長のほうからも御紹介がありましたとおり、13ページに一枚でまとめているところでございます。
長くなりましたが、後半部分の説明は以上となります。

【滝沢小委員長】
どうもありがとうございました。
それでは、後半部分、論点の4)から7)について、これから皆様から御意見、御質問等を賜りたいと思っております。
先ほどと同じように、会場の方は挙手、ウェブの方は挙手ボタンを押していただくようにお願いいたします。
では、どうぞ浅沼委員、よろしくお願いいたします。

【浅沼委員】
浅沼です。
8ページの一番下の公益侵害の事例として蒸気噴出案件が出ていますけれども、これはたぶん温泉井ではないと私は認識しているのですが、ただ、非常に重要な意味を持っていまして、被圧層を掘る場合にはBOPをつけて、しかも、泥水コントロールをきちんとする必要がある。それから、逸泥時の対策についてもきちんと行う必要があるということで、そういう意味で、この事例をネガティブなものとして捉えないで、多分掘削の安全を確保するためにはこういうことが必要であるというのをJOGMECさんとも少し相談しながら入れていただくのがいいのかなと感じました。
以上です。

【滝沢小委員長】
ありがとうございます。
事務局より、御意見はございますでしょうか。

【坂口温泉地保護利用推進室長】
今、温泉井ではないとおっしゃって、この事例自体はおっしゃるとおりで、地熱のほうのガイドラインを昨年JOGMECの地熱井に関する指針、名前がぱっと出てこないですけれども、それの改訂と併せてBOPとか注水の関係の留意事項というのを追加させていただいております。こちらでどこまで書くかというのはまた改めて検討させてください。

【浅沼委員】
私も地熱の掘削屋さんと温泉の掘削屋さんと両方コミュニケーションするのですけれども、ちょっと考え方が違うところがあるかなと思うのです。ですから、特に安全という意味では多分地熱のほうが厳しい管理をしていると思うので、必要事項としてそういうのを入れていただくと、より安全に掘れていいのではないかなと思いました。
以上です。

【滝沢小委員長】
浅沼委員、ありがとうございます。
まさにそのとおりで、実際に資料1の12ページなどのほうにも論点の一つとして入れさせていただいたのですが、地熱井以外の温泉井戸掘削時の蒸気暴噴、要は箱根であるとか、あとは草津であるとか、ああいう本当に火山近傍で掘る場合に、さっき浅沼先生のおっしゃるとおりなのですけれども、地熱掘削業者と温泉掘削業者の間でちょっと認識に差があるところがあるのと、今の環境省の基準等で可燃性天然ガスの事故防止ということでBOPという記載がされておりますので、そういったところを改めて温泉掘削業者さんにもしっかり認識していただこうということでガイドラインの変更等を考えていきたいと思っておりますので、いただいた意見は非常に参考になる御意見で、参考にさせていただきたいと思います。
ほかに御意見のある方はいらっしゃいますでしょうか。結構論点が幅広く広がっておりますので、忌憚のない御意見を。
鈴木秀和委員、よろしくお願いいたします。

【鈴木(秀)委員】
鈴木です。よろしくお願いいたします。
段階揚湯試験のことについてなのですが、私もこういう仕事を始めて最初に見たとき、これをどう解釈していいのかなと迷ったところがあって、かなり勉強したのですが、s-Qカーブの図を描くときにいろいろな形で多分出てくる事例というのがあると思うので、できれば理想的なものだけ載せるのではなくていろいろな事例について載せて、それについてどう解釈するのかといった記載もあっていいのかなと思ったところです。

【滝沢小委員長】
事務局より、よろしくお願いします。

【五反田温泉地保護利用推進室室長補佐】
まさにそういった読み方みたいなところも追記できると思っておりますので、御指摘ありがとうございます。

【滝沢小委員長】
先ほど御指摘いただいたのは現行ガイドラインの89ページのところになるかと思うのですが、おっしゃるとおりで、ここはあくまで理想的な揚湯試験の結果が出ておりまして、実際に私もいろいろな県の温泉審議委員会等をやっていましてデータを見ていると、こういうきれいなデータばかりではなくて、何だかわけの分からないデータというのがよく出てまいりますので、さっきおっしゃられたとおり、そういうデータというのを出すことによって、各都道府県の審議委員の先生方の参考にもなるでしょうし、あとは各担当職員の参考に大いになると思いますので、そういったことを踏まえて改訂項目に入れていきたいと思っております。ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。今回、前半と後半に分けて資料の説明をいただきましたので、一応我々事務局のほうで想定している論点というのはこれが全てになるので、例えばほかにもこういったことが考えられるのではないかなんていうことがあった場合には、そういったことを御指摘いただいても結構ですので、御意見をよろしくお願いいたします。
先生、お願いします。

【安川委員】
安川です。
ガイドラインにどこまで入れるべきかどうかということにもなるかと思うのですけれども、前に東京都の事例で、割合深い掘削をして温泉を掘り当てるという事例だったのですが、そのときに、そこに掘る理由といいますか、理由と安全面にプラスして、ここの地下はこうなっていますという資料を出してきた事業者さんがいました。その地質の情報というのが、掘削するところの敷地の中でMT法調査をやりましたという結果でした。MT法はよく地熱ではやるのですが、それは例えば1キロ掘るのであれば、地表の長さとして2キロぐらいの範囲で調査をしなければ意味のあるデータが出てこないという方法なのですが、それを敷地の中のほんの10メートル、20メートルの範囲で何がしかの探査をやって、1キロの深さまでデータを出してきた。確かに数値的には何かしら出てくるのですけれども、全く当てにならない情報なのですが、そういったものを基に、こういう地質だからここを掘りますという説明でした。ただ、ほかの条件が合っていたので、掘削許可を出したわけなのですけれども、事業者さんは地下の探査の仕方をあまり知らなくて、かなり怪しいコンサルタント会社がそういう地質の情報を出してきたと思うのですが、そういうのを防ぐための何かができるといいなとそのとき感じました。そういうことを何か盛り込むことは可能でしょうか。

【滝沢小委員長】
事務局、お願いします。

【坂口温泉地保護利用推進室長】
これに書き出すとすごく分厚くなると思うのですけれども、例えばそういう参考情報が載っているようなところの情報、メタデータというか、そういうのが出せたりするのか、そういうちょうどいいサイトみたいなのがあれば、そういう載せ方はあるかなとは思ったりします。

【安川委員】
そういうのがあれば割合情報は集めやすいのですが、さきほどの場合はMTの情報が怪しいにしても、ほかの情報が安全基準などでは合っていて許可を出していたので、こういう(不許可の)事例があるからという形で載せる形にはならないのですが。委員のほかの先生方も経験した中で、こういうのはよくないということで、正しい調査の仕方というようなものを入れられるといいなと感じました。

【滝沢小委員長】
ありがとうございます。
特に事務局より、ありますでしょうか。
私のほうから意見を述べさせていただくと、実際にそのとおりでございまして、MT法などに関しては、一般の方はMTと言われると何かすごいことをやっているようなイメージがあって、実際にはそういった精度とかそういったところまで見られないなんてこともあるのかもしれませんので、例えば用語集の中にMT法を入れて、ある程度そういった限界等を書いてあげるとか、あと、実際に私が経験した事例として、既存源泉への影響調査というのを出してきた業者さんがいたのですが、影響調査のバックグラウンドデータを全く取っていないのです。揚湯試験を始めたそのときからいきなり始めて影響がなかったというようなデータを出してきた方がいて、それは駄目でしょうということでやり直させたのですが、例えば影響調査ですとか揚湯試験に関して、先ほども御意見がありましたけれども、いいデータばかりではなくて、よくなかったデータみたいなものも何とか反映できないかということで、今後検討を進めていきたいと思います。そういったことを事務局のほうにお願いして、来るべき改訂に向けて反映できたらなとは思っております。
事務局さん、よろしいでしょうか。

【五反田温泉地保護利用推進室室長補佐】
ガイドラインに書くことによってこの資料が提出されていないというような指摘にならないように、例えば一般的にはこういう範囲であったらこれぐらいまで足りるというような基礎知識、基礎情報みたいな形での情報提供というのは非常に参考になるのかなと今思っているところでございます。ありがとうございます。

【坂口温泉地保護利用推進室長】
温泉地によっても、もともとの情報がどこまであるかとかあると思いますので、そこら辺も考慮しながらと。

【滝沢小委員長】
浅沼委員、よろしくお願いします。

【浅沼委員】
浅沼です。
もう一つあるのですけれども、ガイドラインの中でバイナリー発電について書いてあるのですが、私がよく相談を受けるのは、自分たちの源泉で発電できますかと聞かれることがあるのですけれども、60℃のお湯で発電できると思っていらっしゃる方もいて、丁重に御説明さしあげているのですけれども、大体今の技術レベルでこれぐらいの温度があって、しかも、もう一つは冷熱源が必要なのですよね。そういうことを少し入れておいていただけるといいのかなと感じました。
以上です。

【滝沢小委員長】
ありがとうございます。

【坂口温泉地保護利用推進室長】
スケールの問題とかも結構泉質で維持管理コストが大きく変わったりする。

【浅沼委員】
あとはお湯の量ですね。結局、昔とある自治体から、自治体の範囲内にたくさん温泉があって、どこがバイナリーできるのかというのを調べる事業も受けたことがあるのですが、結局1つぐらいの温泉に限られてしまうのですよね。だから、そんなにハードルは低くないということは少し書いておいたほうがいいかなと思いました。

【滝沢小委員長】
ありがとうございました。
では、事務局には、そういったことも反映するという形で、論点に加えるようにお願いいたします。
ほかにはいかがでしょうか。
実際に私も各都道府県などでやっていますといろいろなものが出てまいりまして、さっきおっしゃったとおりで影響調査、あとは安川委員の実際の話もありましたけれども、影響に関する調査にしてもいろいろなものが出てまいりまして、正直に言いまして、これは大丈夫なのかみたいなのもございます。そういったことを議論する上で、やはり情報としてはより多くあったほうが各都道府県の担当者の方も判断としてやりやすいと思いますし、このガイドラインとしてもより充実できると思いますので、そういったことを今後改訂に向けて加えたいと思っております。
特に課題点等はありますでしょうか。
交告先生、よろしくお願いいたします。

【交告委員】
交告と申します。
今のお話を伺っていて、MT法ですか。MT法の使い方、どう表現したらいいか分からないのですが、この事件でこういう使い方をするのは根拠がないのではないかと都道府県が言う前に、どういう専門家がいたらそれが判断できるかという疑問がありまして、今、司会者が妙なデータが出てくることもあるとおっしゃったのですけれども、それはどういうふうに関わられたのか。温泉審議会というのに諮らないといけないと思うのですが、その審議会の委員として資料を御覧になって、随分ずさんなデータと判断されたということなのですね。もしそうだとすると、その温泉審議会に司会者が入っておられたというのはラッキーで、必ずしもどの都道府県もそういう知見の持ち主を審議会に入れられないのではないかという心配が私にはありまして、今、安川委員がおっしゃったMT法のずさんなものも防ぎ切れないのではないかという心配を持っています。
さっきの資料18ページ、科学的調査の実施内容のところで、地熱流体化学とか地質とか地球熱学、水質分析化学というような先生を入れたと書いてあるのですけれども、これは要するに多分ガイドラインか何かを作るときの体制づくりということなので、これだけ豪華キャストを集められたと思うのですけれども、ふだんの個別案件の処理でこういう贅沢なことはなかなかやれないですよね。
だから、私が心配するのは、そういう科学的にずさんなデータが出てきた場合に、どうやって防ぎ切れるかという問題です。これが非常に心配です。裁判をやられると・・・いや裁判のことは撤回しますけれども、今の知識の取り込みの点は非常に法律家としては不安があります。

【坂口温泉地保護利用推進室長】
近年、地熱発電が徐々に多くの県でやられるようになってきて、地熱協会さんのほうからやはりそういう審議会の中に地熱発電の専門家の有識者、地熱発電に限らず、いわゆる地下構造とかそういう知見のある人を入れてくれというようなリクエストもありまして、全国の都道府県でもそういう専門家を入れるような事例は大分増えてきていますけれども、逆に火山地域以外の温泉地を抱えている自治体さんだとまだそこが対応できていない。一方で、最近の温泉掘削として深いものもあるということなので、そこら辺、どういう専門的な知見が関わるかとか、そこら辺は整理して、どう書き込めるかというところは今お答えできないですけれども、その辺、また専門家のアドバイスもいただきながら、留意点として入れられないかというのは検討させていただければなと思います。

【滝沢小委員長】
大変貴重な御意見で、私が個人的に一番心配しているのは安全対策等がありまして、特に私はガス専門ですので、掘削中の中毒等に対する対策とかがいいかげんなものなんていうのは私は気づくのですが、ただ、掘削工事自体の安全性がどうかと言われて、これは私も専門ではないので判断がなかなか難しいところございます。肌感覚としてこれは怪しいなとかというのがあると、専門家の先生に聞いてくださいというのが言えるのですが、ただ、おっしゃるとおりで、各都道府県全てがそういった感覚を持っているとか、審議会にそういう方がいるかというのはなかなか難しい問題であって、すごく貴重な御意見で、大変重要なポイントだと思います。
実際に影響調査ができなかったからということで水文学的なシミュレーションが出てくるなんてこともあるのですが、そのシミュレーションが正しいかどうかというのもやはり難しい問題で、私が経験したときにはたまたま水文学の専門の先生がおられましたので、その先生にこのシミュレーションであれば問題ないだろうというような議論をしていただけたのですが、そこも難しいところではあるので、例えばそういった事例等を拡充するような形で何とか対応するような形を取っていきたいと思います。そういったことも含めて、今後の論点の一つとして入れさせていただくようにいたします。
ほかに御意見はございますでしょうか。

【安川委員】
今のお話に関して、やはり全部書き込むのは難しいとは思うのですが、こういった調査内容とかこういったことに関しては専門家の意見を別に聞いたほうがいいとか、そういうことはガイドラインに入れられるのではないかと思いました。ですから、温泉審議会とかの委員の中にはそういう専門家がいないにしても、オブザーバーとしてそのときだけそういう方に入ってもらうということを推薦するような書き方はできるかと思います。

【滝沢小委員長】
ありがとうございます。
確かに地熱アドバイザリー委員などもJOGMECは選定されておられまして、地熱案件のときにそういった地熱アドバイザリーの先生に参加していただくなんてことをやっている都道府県もあるようです。
さっきまた御意見がありましたけれども、大分県の場合には京都大学の研究施設、あと、神奈川県の場合には神奈川県温泉地学研究所、北海道の場合には北海道立総合研究機構があって、そういったところの先生方にしっかりとした御意見をいただけると思います。東京都の場合にも安川委員であるとか、あとは、たしかそこは神奈川温泉地学研究所の先生も入っていらっしゃると思いますので、そういった専門機関等との連携とか地熱アドバイザリー委員との連携といったことももし書けるようでしたら入れていきたいと思っております。どうもありがとうございました。

【交告委員】
行政機関としては、専門家の意見を聞くためにこの審議会の場に入れるとか、気軽にと言うと言葉は悪いですけれども、専門家の意見を聞きましょうという定めをガイドラインにたやすく入れられますか。
例えば廃棄物処理法だと、廃棄物処理の最終処分場の安全に関して、たしか4項目ぐらい専門家の意見を聞かなければならないという義務づけの規定があるのです。だから、これは聞かなくてはいけないという義務が発生するから、行政機関としても専門家の意見を聞きやすい、聞かなくてはいけないのです。しかし、その規定がない場合に、ある案件については聞いたが、ある案件については聞かなかったということが出た場合に、自分のほうは聞かれたので厳しい規制になったというような不満が出てくる可能性があって、そういうのをどうやって押さえるか。要するに、これは難しい案件だから専門家の意見を聞くのだということが正当化できないと、申請者がいい顔をしないという可能性があると思うのです。そこは行政機関としてどうお考えかという疑問なのですけれども。

【坂口温泉地保護利用推進室長】
都道府県の運営規約等にもよると思うのですけれども、我々の審議会であれば専門委員という形で、例えばあるテーマの間にその専門の人に入っていただくとか、そういうやり方というのは可能ではありますので、そこはできないということではないと思います。いろいろ県の規約とかを見てみる必要はあるかと思いますけれども、必要に応じて知見が必要な場合に入れるということはそれほど。と言っても、皆さんに任命の手続とかをさせていただいているように手続はあるのですけれども。

【安川委員】
安川ですけれども、もう一回よろしいでしょうか。
公正を期すためにどういう場合は厳しくという問題があるという御意見だったのですが、あくまでも都道府県に上がってきた事業者の資料を判断するときに専門家に見てもらったほうがいいかどうかという判断なわけなので、例えば事業者の資料にこういうデータがあった場合に、そのデータの判断は難しいから専門家を呼んだほうがいいみたいな、データの種類とかこういうのが出てきた場合と書いておくとあまり問題がないのではないかと思います。割と単純なデータでこれは明らかに安全と分かる場合はそれでいいし、何か複雑なデータを出してきた場合には、それは専門家に見てもらったほうがいいと。そういう書き方にすればあまり問題がないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

【滝沢小委員長】
先ほどの安川委員の意見について何か御意見はございますでしょうか。
実際に都道府県の対応としては、審議会の場で専門委員に議論いただくというのは実はそんなに多くなくて、事前審査の段階で専門家の方に御意見を伺うという事例が多いと私のほうでは認識しております。ですから、確かに審議会が最終的なとりでになるのですが、その前の申請書が上がってきた段階でも、各都道府県のほうで判断がつきかねる場合には専門家に相談するとか、そんなことをガイドラインのほうに書いてはいかがかなと私は思います。
確かに審議会にそういった専門の委員の先生がいるのがベストはベストなのですが、そうなると、やはり議論した内容というのが全て公開になりますので、おっしゃるとおりで、何で私のは議論の対象になってあの人のは大丈夫だったのだみたいなことを言い出す人は必ずいると思いますので、その辺、書きぶりはなかなか難しいとは思うのですが、そこも検討させていただいて、最終的な素案のほうに反映させていただくという形で考えたいと思います。そんな形でいかがでしょうか。

【交告委員】
私は結構です。正当化できるかどうかの問題で、安川委員がおっしゃったとおりだと思います。

【滝沢小委員長】
どうぞ。事務局より、お願いします。

【五反田温泉地保護利用推進室室長補佐】
御参考までなのですけれども、先ほど坂口の方から地熱のほうのガイドラインを紹介させていただきましたが、そこの審議会の委員についても言及している部分がございまして、「従来から医学とか地学とか法律の経験者というような形で委員構成されてきたところであると。地熱開発に係る処分の適性を期すために、既存源泉への影響等を技術的・科学的見地から判断できる専門家の参画を検討することが望ましいと考えられる」とか、「例えば委員の任命制度として常任委員もしくは審議の内容によって審議に加わることができる臨時委員とか専門委員を設ける規定がある場合には、地熱と温泉の関係について専門的な知見のある有識者を必要に応じて命じることが考えられる」といったことも地熱のガイドラインでは書いてございますので、同じような考え方ができるかといったところで記載を検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。

【滝沢小委員長】
どうもありがとうございます。
ほかには何かございますでしょうか。
先ほどのように論点として今挙げていないものであって関連するようなことでも結構でございますので、せっかくの機会ですので、今日出していただいた論点を今後さらに実際のワーキンググループのほうで検討という形になってまいりますので、本日何かあれば御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。
鈴木秀和委員、どうぞ。お願いします。

【鈴木(秀)委員】
鈴木です。
1点だけよろしいでしょうか。未利用源泉についてなのですが、各都道府県で結構あるところもあったりするわけですが、これを何か有効に利用する手だてはないのかなとずっと考えているのですが、実際のところ難しいと思うのですが、これについて何か今後新たにより有効に利用する場合の施策等を検討するとかというお考えがあるのかなというところだけお聞きしたいです。

【滝沢小委員長】
事務局より、いかがでしょうか。

【五反田温泉地保護利用推進室室長補佐】
未利用源泉については、このガイドラインの中で書いてあるのは、観測井とかに使えるのではないか、モニタリングの一つのポイントとして活用できるのではないかといったところを言及させていただいているところです。
おっしゃるとおり、未利用源泉が複雑化していて、権利関係とかもあろうかと思いますので、そういったところで問題が複雑化しているといったところがありますが、現状何かそれをどう整理するかといったところの方向性を見いだしているところではございませんで、今後も検討していかなければならない点だとは認識しているところでございます。

【鈴木(秀)委員】
ありがとうございます。

【浅沼委員】
私も未利用源泉をどう使うかというので、自分たちでもやっていますし、相談件数、これは物すごく地域依存性、社会にも依存するし、温泉の泉質にも依存するところで、1位の答えは多分ないと思うのです。ただ、環境効果という面で考えると、FSをやってどれくらいCO2あるいは燃料費の削減になるかという辺りは出せるのですけれども、それがビジネスになるかというところはまたまた悩ましい問題が絡んでいるので、そういうことを総合的に考えなければいけないということくらいかなと思うのです。
以上です。

【滝沢小委員長】
ありがとうございます。
実際に未利用源泉を使った水のモニタリングなどをやって、その地域の資源動向を測定したなんていう事例もありますので、そういったものは従来からやられていることですが、おっしゃるとおりで、もうちょっとワンランク進んだ有効利用ということを考えたときに、なかなか難しい問題があるとは思っておりますが、無効放流みたいなことが問題になっているなんてことも今回のアンケートで少し出ておりましたので、そういったことも含めて検討していきたいと思っております。

【坂口温泉地保護利用推進室長】
今、脱炭素の話が社会課題になっていて、市町村のほうが例えば自治体が持っているような源泉を浴用ではなくて違う活用ができないかと。それは使っていない源泉としてですね。そういった話はぽつぽつと聞こえてきているのかなと。でも、先ほどおっしゃったバイナリーできないとか、まずはそこから始まるケースが多いのですけれども。

【浅沼委員】
バイナリーは確かに非常に厳しいところがあるのですけれども、例えばビニールハウスの暖房に温泉熱を使うと。そうするとポンプの電力だけになってしまうので、二酸化炭素の削減率98%とかというのが出てくるのです。でも、それを今度ビジネスにできるかというと、また別の話になってくるので、そこはやはりトータルな意味で慎重に考えていく必要があると私は思っています。

【滝沢小委員長】
やはりロードヒーティングに使うとかいろいろあるみたいなのですが、そんなに事例としていなくて、また、権利関係の問題とかもいろいろあって、なかなか難しいところではあると思います。
ただ、おっしゃるとおりで、環境省の統計表のほうにも未利用源泉というのがどーんと出ていますので、それについて今後何かしらの方策であるとかそういったことを記載するというのは一つの考え方だと思いますので、そちらも検討項目の中に入れさせていただきたいと思っております。

【浅沼委員】
そういう意味であるならば、まず一つはポジティブな点ですね。温泉を利用することによって、コストの削減、二酸化炭素の削減、もし可能であれば、これくらいお湯を使うとこれくらい燃料削減とか脱炭素になりますよというポジティブなモチベーションになるところは書いておいて、あとは経済性とか地域の特性とかに合わせて考える必要があるというような記載にすればいいのかなという気はします。
以上です。

【滝沢小委員長】
ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。この限られた時間ですし、皆さんのほうでもやはりここも検討したいなということが何かあれば、時間は限られてしまうのですが、メール等でいただければ、そういったものも少し反映させていただきたいと思っております。
事務局のほうから何か特に論点の追加等で御意見はございますでしょうか。大丈夫でしょうか。

【五反田温泉地保護利用推進室室長補佐】
はい。

【滝沢小委員長】
本日いただきました御意見については、事務局のほうで再度整理したものを私、小委員長が確認したいと考えておりますので、その点、皆様御了承ください。
実際に今後の動き等について、事務局のほうから説明していただいてもいいですか。これの来年の改訂に向けて、この場で個別に議論するわけにいきませんので、実際にワーキンググループ等を立ち上げて議論を進めたいと思っておりますので、その部分について事務局のほうから御説明いただきます。よろしくお願いします。

【五反田温泉地保護利用推進室室長補佐】
参考資料3というのを御覧いただければと思います。
こちらは、前回の小委員会でも示させていただいた中で、それを切り取った形になっておりますが、現在、左軸の第21回、本日小委員会を開催させていただいて、論点整理をさせていただいているところでございます。また、来年度の調査項目等についての御意見をいただいたところでございます。
今後につきましては、次年度になってしまいますが、検討ワーキンググループを設置させていただきまして、今いただいた御意見等を踏まえて議論を整理させていただき、改訂案をまとめていただきたいと考えてございます。ワーキンググループは今のところ3回程度開催しようと考えてございます。
そのワーキンググループでまとめた結論を、今年の12月末が改訂期限と考えてございますので、温泉小委を11月頃にまた開催させていただきまして、ワーキンググループでもんだ改訂案といったものをまたお諮りさせていただいて、御意見を頂戴できればと考えているところです。

【滝沢小委員長】
すみません。私のほうで説明不足でしたが、今の部分が本日の議事次第の(2)の「その他」に当たる部分でございます。今後の流れについて事務局のほうから御説明いただきまして、先ほど説明があったとおり、詳細については今後ワーキンググループを設置いたしまして、そちらで詳しくもんでいって、また来年11月に最終案をこちらの中環審の場で提示させていただいて、皆さんの御意見を再度伺うというような形になると思います。
ただ、審議の途中で、もしかしたらいろいろな専門的な内容について各委員の専門的知見をお借りするようなこともあると思いますので、その際にはぜひよろしくお願いいたします。

【浅沼委員】
質問ですが、ワーキンググループはどういうメンバーで構成なさるのですか。

【滝沢小委員長】
事務局より、お願いします。

【五反田温泉地保護利用推進室室長補佐】
これまでガイドラインを改訂させていただいた際に、7名ほどの委員に御参画いただきまして検討させていただいてございました。
参考資料の32ページでございます。
平成19年、これを当初策定したときにメンバーとして自治体の方、地下水の専門家、法律の専門家の方々とかに入っていただいて、最初のガイドラインが策定されております。25年のときの改訂においても、道総研ですとか神奈川県の温泉地学研究所の先生にも御参画いただいたり、ここにいらっしゃる交告先生にも御参画いただいたりといったところで構成をさせていただいているところでございます。
扱う話題としては、レンジはあまり変わらないかなと思うところでもございますので、7名程度の範囲で地質、地学、地下水、法律、あと自治体等の専門家の方々にお声がけをさせていただきまして、ガイドラインのワーキングを回していきたいと考えているところでございます。

【滝沢小委員長】
ワーキンググループの構成については事務局さんの説明のとおりなのですが、特に御意見はございますでしょうか。

【坂口温泉地保護利用推進室長】
今のは人が確定しているわけではないのですけれども、今日いただいた御意見も踏まえてどういう分野構成がいいかというのは再度検討した上で体制を考えたいと考えてございます。

【滝沢小委員長】
特にほかに御意見はございますでしょうか。
先ほども申しましたが、何かございましたらまたメール等で御連絡いただいて、私どものほうでも参考にさせていただくようにいたしますので、今後もさらに議論を深めて、ワーキンググループのほうにしっかりとした議論をしていただいて、皆様に再度改訂案を提示できるようにしたいと思っております。
また11月開催めどということで、その辺が近づきましたら、また事務局のほうから各委員の先生方に御連絡はさせていただきたいと思っております。
それでは、ちょっと早いのですが、以上をもちまして、本日の議題について全て終了いたしました。皆様、しっかりとした御意見、それと、参考になる御意見をどうもありがとうございました。
それでは、進行を事務局のほうに移します。どうぞよろしくお願いいたします。

【五反田温泉地保護利用推進室室長補佐】
滝沢小委員長、ありがとうございました。また、委員の皆様におかれましても、大変ポジティブな意見を頂戴し、誠にありがとうございました。
先ほど小委員長からも御説明がありましたとおり、11月頃にまた小委員会を開催させていただこうと思っておりますので、また御都合をメールでお伺いさせていただこうと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
長時間にわたり御審議いただきまして、誠にありがとうございました。
本日は以上となります。ありがとうございました。
 
午後3時12分閉会