自然再興の実現に向けた民間等の活動促進に関する小委員会(第5回)議事録

開催日時

令和6年9月 26 日(木) 14:00~16:30

議事次第

1開  会
2議  事
 (1) 地域生物多様性増進活動の促進に関する基本的な方針(案)について
 (2) その他
3閉  会
 

議事録

午後2時00分 開会
○司会 定刻となりましたので、ただいまより、中央環境審議会自然環境部会第5回自然再興の実現に向けた民間等の活動促進に関する小委員会を開催いたします。
本日はお忙しい中、ご出席いただきありがとうございます。
会議に先立ちまして、出席委員数のご報告です。
本日の委員会には、14名の委員にご出席いただいております。このうち、定足数の対象となる委員・臨時委員10名中、ウェブ会議システムでの参加を含め8名にご出席いただいておりますので、本委員会は成立しています。
本日の会議運営について、ご説明いたします。
本日、会議室でご参加の委員の皆様におかれましては、ご発言の際は名札を机の上に立てていただき、委員長からのご指名後、マイクをONにしてご発言ください。発言終了後はマイクをOFFにしていただくようお願いいたします。
本日オンラインでご参加の委員の皆様におかれましては、マイク・ビデオは各自ご発言の際のみONとするようお願いいたします。また、ご発言の際は、チャット欄に書き込みいただき、ご発言する旨をお知らせください。委員長からのご指名後、マイクのミュートを解除していただき、議事録の円滑な記録のため、お名前をおっしゃってからご発言いただきますようお願いいたします。なお、挙手ボタンは気がつかないこともございますので、挙手ボタンは使用せず、チャット欄をご活用いただければ幸いです。
本日ご説明する資料につきましては、委員の皆様には事前に電子データにて送付しております。本日は、事務局が画面上に資料を投影し、進行をさせていただきますので、お送りした資料は必要に応じお手元でご参照いただきますようお願いいたします。
本委員会の様子はYouTubeチャンネルによるライブ配信を行っております。
傍聴されている方につきましては、本日の資料を環境省ホームページの自然環境部会のページにアップロードしておりますので、そちらをご確認いただきますようお願いいたします。
まず、植田自然環境局長よりご挨拶申し上げます。
○植田自然環境局長 自然環境局長、植田でございます。
ご出席をいただいている委員の皆様、それからオンラインで参加をいただいている委員の皆様、ありがとうございます。
本委員会でございますけれども、昨年度から数えて5回目でございます。今回が、この委員会としては、最後の回ということになります。
昨年度は、これ前回も若干コメントを申し上げたんですけれども、画期的な法律である生物多様性増進活動促進法、この成立の基となりました、まさに今後講ずべき必要な措置ということでご議論をいただいて、答申の取りまとめをいただきました。それが、ある意味新しいステージのスタートになっているというふうに思っております。その新しいステージのスタートのこの法律の施行に向けて、基本的な考え方をきちんと定めて運用していくということが何よりも重要であります。この基本的な考え方についても、この委員会でご議論、提言、取りまとめをいただくということになっております。
今回は最後でございますので、パブリックコメントの結果も踏まえて、最終的な取りまとめをお願いしたいと思っております。
昨年度から続いてまいりましたけれども、このネイチャーポジティブ、30by30、その後、自然共生サイト、これらの様々な取組が、今年度、来年度、軌道に乗りますように、ぜひこの取りまとめの最終回に当たっても、今後への期待を含めまして、忌憚のないご意見、ご議論をいただきますことをお願いいたしたいと存じます。
と言いながら、申し訳ありません。私どうしてもの所用がありまして、これで退席をさせていただくというご無礼をお許しください。ただ、気持ち的には忌憚のない今後の期待やご意見をどしどしお寄せいただければという思いでございますので、よろしくお願い申し上げまして、私からのご挨拶とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○司会 植田局長は公務のため、ここで退席をさせていただきます。
それでは、これよりの議事進行につきましては、石井委員長にお願いいたします。
石井委員長、よろしくお願いいたします。
○石井小委員長 はい、承知いたしました。皆さん、こんにちは。石井でございます。
今、局長からございましたように、今回でいよいよ最終回ということになりました。前回が7月の開催ということですので、2か月ぶりということになります。この間、パブリックコメントの手続を終えております。委員の皆様からもご意見をいただいているということですので、今回の基本方針案、修正案になりますけれども、パブコメのご意見、そして委員からのご意見等を踏まえたものでございます。いつものように活発なご議論をお願いしたいということと、最終回ということですので、言い残しのないようにくれぐれもよろしくお願いしたいと思います。
それでは、早速議事次第に従って進めさせていただきます。
会議録ですけども、後ほど事務局で作成し、本日ご出席の委員の了承をいただいた上で公開するということになってございます。
また、会議資料につきましても公開となっています。
議事の1です。地域生物多様性増進活動の促進に関する基本的な方針案についてということで、まずは、事務局からご説明をお願いいたします。小林補佐、お願いします。
○自然環境計画課課長補佐 委員の皆様、環境省、小林です。本日もよろしくお願いいたします。
私から資料1-1、1-2を中心にご説明させていただきます。資料1-3が本体ではありますので、お手元にございます方は、ぜひそちらも適宜ご覧になっていただきながらと思います。
それでは、説明時はスライドにも映していますが、資料1-1で、まずご説明いたします。
最終回ということもありますので、これまでの経緯も含めてご説明したいと思います。資料1-1の1枚目です。
昨年の10月に第1回の小委員会を開催しまして、それから3回ご議論をいただきました。これは、民間の活動をどのように促進していくべきか、そういったことを答申いただくために短期間ではございましたが、ご議論いただいて1月末に答申としてまとめていただいたところでございます。その答申を踏まえまして、今年の4月に生物多様性増進活動促進法が成立いたしました。この法律は来年の4月施行を予定しています。そのためそれに必要な、まず基本方針をこの小委員会でご議論いただきたいと思いまして、今年の7月16日に第4回小委員会を開催して基本方針のご議論いただき、その後パブコメを実施しまして、本日が第5回目取りまとめという形になっております。
前回の基本方針を含むもろもろの構成のご説明を十分にできていなかったので、改めて、次のページでご説明いたします。
生物多様性増進活動促進法について、まず政令、省令がございます。政令については施行期日、いつから施行すると、省令については、申請方式や記載事項など手続的な面を記載しようとしております。こちらの省令についても、先日パブリックコメントを実施させていただいたところでございます。
そして、この小委員会でご議論いただいているのがこの基本方針でございます。中身としては、活動の意義、それからそれに関連する施策、そして計画を作成する上での基本的事項、また調和、配慮が必要な事項、その他重要な事項と、こういう構成になっています。
そして、この基本方針に基づきまして、具体的な運用を決めていく取扱要領であったりとか、ガイドラインであったりとか、施行通知、こういったものを施行までにこれから用意していこうということになります。これがちょっと全体的な構成になっております。
一度、次のスライドの前に改めて全体スケジュールのところでご説明をさせていただきます。振り返りも兼ねて、7月16日の第4回の小委員会で、皆様から基本方針(案)についてご審議いただいたところでございました。その際に、例えば勢一先生から気候変動との関係についてのご記載はしたほうがいいんじゃないかとか、土屋先生から市町村との連携の話、藤田先生から昆明・モントリオールに寄与するというような記載とか、深町先生から国際的な発信についての地域からの発信、小泉先生から沿岸域での重要性、それから佐藤先生からは、NPO、NGOの重要性や都市公園や自然公園の生態系ネットワークの核となる話、また西澤委員からは昆明・モントリオールのターゲット2に寄与するような話とか、ガイドラインを作っていく上での重要性の観点、浅野委員からは地方公共団体への支援、ネットワークづくり、また角谷先生からは成果目標に関して評価可能な指標というのが重要ではないか、こういったご指摘、もろもろいただいたところでございます。こういったご指摘を踏まえまして修正した案というものをパブリックコメントにかけさせていただいたところです。
パブリックコメントの結果を、簡単にご説明したいと思います。お手元の資料の1-2をご覧いただければと思います。
今回、パブリックコメントは、8月6日から9月4日までの1か月間実施させていただきました。結果として21件のご意見をいただいたところです。
続いてのページに、いただいた意見とその意見に対する考え方を記載してます。少しかいつまんでご説明したいと思います。例えば、活動促進の意義で生態系ネットワークの構築というのを記載してますが、それに対して気候変動適応策としても重要じゃないかと、そういったことを追記すべきというご意見であったりとか、観光等の連携それから環境教育との連携、そういったことが重要ではないかといったご指摘、また国の役割として地方公共団体や事業者が計画策定、目標を作るときの支援であったりとか、人材育成の観点での支援というのが必要ではないかといったご指摘、また、少し細かいところでありますが、普及啓発の部分でのより分かりやすさの充実という形での追記をさせていただきました。他にも、目標に関して、既に豊かな場所、生物多様性を維持するタイプのときは維持することも重要ですが、さらに向上するような、高みを目指すような目標設定というのは重要ではないかといったご指摘、こういったものをいただきました。
また、農林漁業の関係での表現の適正化といったご意見をいただいております。その他いただいた意見の中で、基本方針には反映としては修正していないご意見もございましたが、既に記載していること、今後ガイドラインや手引きの中で記載して行くこと、環境施策の中で連携して進めていくような話をいただいているところかなと考えております。
こういったご指摘を踏まえまして、改めて資料1-3が本体になりまして、今日はちょっと時間の関係上ご説明は省きますが、見え消しで色々と追記してます。これはパブリックコメントの意見だけではなくて、前回第4回から先ほど冒頭申し上げた委員の皆様のご指摘、ご意見、そういったものも踏まえて、第4回からどういったところを修正したのか全て見え消しで載るような形になっております。赤くなっているところになります。ちょっとここは、ページが多いので、全体の概要については、資料の画面で言うと、1-1の3枚目が基本方針案の全体になります。
改めて、簡単ですがご説明いたします。
第1章としては、促進の意義という形で、まず、法制定の背景、そして促進の意義として四つ挙げています。生態系ネットワークの構築、活動の質・継続性の向上、多面的な機能の発揮とNbSの推進、地域の活性化、こういったものに寄与していく。
そして第2章として、関連する基本的事項、30by30目標、いわゆるターゲット3、そして劣化地回復、ターゲット2、こういった達成にも寄与していく。そしてOECMとして登録していく。また、国、地方公共団体、事業者等の役割というのをここ第2章に記載させていただいているところです。
そして、第3章が計画の作成に関する基本的な事項を述べているところです。四つ挙げていますが、まず事前の情報収集というのが重要であり、地域の自然的社会的条件に応じて適切な計画を立て、関係者と十分な事前調整をしていく。それからモニタリングを行いながら、いわゆる順応的、管理的に計画を見直していくということが重要で、これが基本的な原則であると述べております。
その上で活動実施計画の内容として、内容、時期、区域、目標、体制、計画期間、そういったことについての必要事項を記載しております。
特例措置を設ける場合の調整事項についてもここで記載しています。
また、これとやや裏返しではありますが、その認定に関する基準をここに記載してます。区域、体制、期間、内容、目標内容、そういったものに対する基準というのをこの基本方針に定めているところでございます。
そして第4章では、農林漁業その他社会資本整備、それから自然環境との調和の関係、そういったものを記載させていただいています。
そして第5章に、関連する重要事項ということで、生物多様性維持協定の話、協議会や支援センターという中間支援の関係、それから生物多様性の見える化を進めていくこと、各種インセンティブ施策を記載させていただいています。
私からの説明は以上になります。すみません、駆け足になりましたが、修正意見や基本方針本体については、資料1-3のとおりとなっております。
それでは、ご議論、ご審議のほうよろしくお願いいたします。
○石井小委員長 それでは、基本方針本体は、資料の1-3ということでございまして、委員の皆さんは、事前にご覧になっていただいていると思いますので、今日は、これに基づいて議論をさせていただければと思います。
とにかく、今回が最後ということですので、ご意見をおっしゃるときには、具体的に通しで行番号がついてますけれども、何ページの何行目、さらに言うならば、ここの文をこのようにというふうに、具体的に修正案を示していただくとありがたいと思っています。
それから、昨年度の最後の法整備のための答申案を作ったときもそうでしたけれども、最後に全委員で合意する形で一問一答で議論して、一つずつクリアしていく形を今日は取らせていただきたいと思います。ちょっと時間がかかるかもしれないですけれども、そのような形にさせてください。
それから、今回が最後なので、委員の皆さんからいろいろな思いを一言ずつ伺いたいというふうに思っています。最後に一言ずつということで、それもご用意していただければというふうに思います。
それでは、議論を始めたいと思います。冒頭にご説明がありましたように、会場の方は、名札を立てる形で意見を述べる意思表明をお願いします。それからオンライン参加の方は、チャット欄に意見ありというような形で書き込んでいただければ、私のほうから指名させていただきたいと思います。
それでは、いかがでしょう。
では、西澤委員、お願いいたします。
○西澤委員 ありがとうございます。西澤でございます。
まず、基本方針案の全体といたしましては、非常に重要な観点が網羅されておりまして、私ども経済界にとりましても、取組の後押しになるようなものができたなという印象を感じております。
また、前回書面で、私欠席したものですから経済界の要望というのを出させていただきましたが、これにつきましても、今回基本方針案のほうに反映をいただきまして、誠にありがとうございます。
私からは、特にここを直してくれということではないんですけれども、経済界の代表で来てますので、2点ほどコメントをさせていただければと思っています。
1点目は、評価モニタリングということであります。これは、基本方針案の中にも、評価モニタリングの重要性というのを何か所も触れてある箇所があるんですけれども、実は昨年経団連が取りまとめました生物多様性アンケートを見ますと、この評価モニタリングが課題だというふうに回答した企業が、全体の約7割になっておりまして、従ってこの取組の裾野を広げていくという意味でも、これは大きな課題になっているというふうに私は認識しております。したがって日本に適した評価モニタリングの手法というようなものを、ここでも簡便な手法というふうなことで書いてありますけれども、国際的なNGOなどが既に開発をしてますツールですとか、あるいはアプローチ方法、こういったものを参考にしながら、引き続きこの会は終わるんだと思うんですが、やはりそういったものを検討する場というものを設けていただきたいなと思っております。
また、できればそういった検討の後ということになると思うんですが、このガイドラインなどで具体的な手法を示していただくというようなことも必要ではないかというふうに感じております。ぜひご検討をお願いしたいと思います。
2点目は、これはお願いなんですが、企業向けインセンティブについてですけれども、財政改正要望などを政府による支援策、あるいは実施時期、これにつきましては、経団連の会員企業も非常に高く興味を持っておりまして、本日でなくても構いませんけれども、これは環境省の皆さんへのお願いになるかと思いますが、現在の検討状況ですとか、今後の見通し、こういったものなどについて、ぜひ教えていただければと思っております。
私からは以上です。
○石井小委員長 はい、分かりました。何か最後のコメント的な感じのところもあるんですけれど。では、事務局、一つ目は具体的なご質問だと思います。よろしくお願いします。
○自然環境計画課課長補佐 西澤委員、2点ほどご指摘、コメントをいただきありがとうございました。
まず、1点目モニタリングに関してです。ご指摘、ごもっとだと考えております。やはりモニタリングは、すごく重要だと考えてはいるんですが、実際にどうやっていくかということについては、多くの方が少し課題だと感じておられると我々も聞いております。一つのアプローチの仕方として、今トライしているのが、生物多様性なので、生き物、特に昆虫ですね。例えば、カブトムシであったりとか、皆さんが比較的なじみがあるような生き物を指標にして見つけていくような、しかも誰でも比較的簡単にできるようなやり方というのを、一つの簡便なモニタリング手法として、今トライしようとしています。これについて今年度も全国5か所でこれから実地研修みたいな形をやろうとしていて、実際にモニタリングについて考えている企業等にも参加いただき、簡単にできるかどうか、課題はどうかというフィードバックをさせていただきながら、一つの手法としてご提供できるよう準備していきたいなと思っています。
そのほか、環境DNAとか、最新の科学的な技術も発展してきて、色々なツール、モニタリングはあると思いますので、我々もそういったところを考えながら進めていきたいなと思っております。
○番匠自然環境計画課長 ご意見ありがとうございます。2点目の件につきましては、我々としても経済界の期待に応えるべく頑張っていきたいと思ってますし、そういった中で、なかなか簡単にいかないところもございます。ある意味応援をいただきたいという部分もありますので、また、今後コミュニケーションを活発にさせていただいて、ご相談をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○石井小委員長 西澤委員、よろしいでしょうか。はい、ありがとうございました。
ほかの委員の皆さん、いかがでしょうか。そうしたら、勢一委員、お願いします。
○勢一委員 ありがとうございます。勢一です。
丁寧におまとめいただきまして、パブリックコメントも実施をしてということで、ご尽力に改めて感謝しお礼を申し上げます。その上で、やはり最後ということもありますので、やはり私の専門としても申し上げておきたい、おかねばならないことがありまして、2点ほど質問というか、半分コメントかもしれませんがさせてください。
1点目は、法形式との関わりで、今回の基本方針ですけれども、これも以前にも一度申し上げたのですが、法との関係でどんな役割を担うのかという点です。一番法的に大きいと思われるのは、認定の基準という、法律の中では書いていないものがここに示されることになろうかと思います。そういう意味では、これは367行目以降のところですかね。認定に関する基準とで示していただいておりますが、極めて抽象度が高いままになっています。法的な意味では、恐らく法に位置づけられている規範が、この基本方針までなんですね。なので法規として機能するのはここまでということなので、ここで本来は審査基準がきちんと明示されるべきだろうと思います。これより下は、事務取扱要領とか、ガイドラインになりますので、法規性がないものになります。そういう意味では、審査基準をもう少し本来であれば明確にここでしておかなければいけないものであろうと思っていますし、これまでにも意見は申し上げてきました。
審査基準は、この抽象度の高さでは実質的な審査ができないことになると思うのですが、これはどこでどういう形で決めるんですかというところは質問です。やっぱり審査基準は、仮に認定されなかった場合には訴訟を起こす可能性もあるわけですから、そういう意味では、審査基準について、基本方針の中だけでは足りないのではないかというところが1点目です。
もう1点目は、自然共生サイトの呼称についてです。
以前の案では、準自然共生サイトということで、OECM相当の認定とそれ以外の認定は分けるという方針だったと思うのですが、今回の案では一つになっています。今回の法律を作ったときの大きな目的の一つが、OECM相当の民間の管理する地域というのを増やしていくということで、単に生物多様性の保全をしてますよというだけではなくて、法的な認証を得てOECM相当のものを管理しているということで、企業などが自分たちの活動の社会的評価に資するものにするという意味で、現行の自然共生サイトの格上げを狙ったというのが一つの趣旨だったと私は理解をしています。それは、非常に大事だと思っていて、生物多様性の主流化には不可欠だと思うのですけれども、今回のような形で、全てを一つの呼称で呼んでしまうということになると、そのOECM相当、国際的に非常に価値が高いと言われているものとそれ以外のものが、全く同じ扱いになってしまうというところ。少なくとも基本方針の中では同じ扱いになっているというところが、実は大きな懸念を持っています。
特に、現行の自然共生サイトは、OECM相当のものだけを認定しているわけですから、法の施行によって、その自然共生サイトの社会的価値をむしろ下げてしまう。現行より評価の低いものも混ざっているものになってしまうというところは、法の制定の目的の一部を実現できないのではないかという懸念を持っています。この点については、どのような形で事務局としては把握しておられるのかというのと、対応をどうされるのかというところを教えてください。
以上です。
○石井小委員長 はい、ありがとうございました。ちょっと即答は難しいかもしれないのですけれど、お答えを事務局からお願いいたします。
○自然環境計画課課長補佐 勢一先生、ありがとうございます。まず、1点目、認定基準に関するご指摘についてです。確かにおっしゃるとおりという部分はございます。非常に我々も悩んでいたんですが、脱炭素、CO2のように一つの指標で定量的にすぱっと決めにくい。特に今回、国土全体を対象としているということもあって、なかなか限定して書きにくい部分は、実際ありました。逆にここについては、あまり限定し過ぎると多様性というのがなかなか捉えにくい部分もあろうかという部分もありました。おっしゃるとおり、今ここに関して基本方針に書いてある基準について、さらにそれを判断する上での審査の観点ということで、もう少しブレークダウンしていったものを用意していこうと思っています。それは、別途取扱要領のほうにまとめていこうと思っているんですが、その中で例えば区域についてはこういうことがポイントになってくる、目標に関してはこうだというふうに、より細かく考えていきたいと思っています。
ですので、確かに基本方針の中では、このような記載ぶりになっていますが、それを判断する上での観点というのは用意していきながら、それについてもこの審査のポイントとして扱っていきたいなというふうに思っています。
まず1点目は、そういう形でお返しします。2点目は、課長からお願いします。
○番匠自然環境計画課長 自然共生サイトの名前の件は、色んな意見があるというふうに思っております。今回こういう形の修正とさせていただいたのは、やはり今回の法律、OECMというのは非常に大きな目的となっているんですけれども、一方でやっぱり民間活動をいかに促進していくかというところは、非常に大事なことだと考えています。そういった中で、最初、準共生サイトというのを使っていたんですけれども、この準というのが本当に、じゃあ、準を目指したいという促進的な考えに結びつくのかというところで、やはり準という形では、皆さんの盛り上げというのがなかなか難しいのかなというところもあって、この今回のいわゆる回復型、創出型のサイトについても、この自然共生サイトという名前を使ってはどうかということを考えてこういう形になっています。
実際にこれを運用していく段階においては、やはり法律自体が維持と回復と創出という形になっていますので、維持型というのか、OECM相当型というのか、そういったものと回復・創出型というのは、実際には切り分けて扱っていくことになると思います。対外的にというところにおいては、回復・創出型のサイトについても、自然共生サイトに入ったという形で、その地域の民間活動を盛り上げていただきたいというような考えでございます。
こういう名前の問題は、どっちにするか難しいところがありますけれども、我々としては、促進というところに焦点を置けないかなというようなことで、このようにしております。
○石井小委員長 はい、勢一委員、よろしいですか。
○勢一委員 ご説明ありがとうございます。もちろん最後は、環境省さんがお決めになることだと思いますので、そこはお任せをいたしますけれども、回復型・創出型を応援したいという趣旨は、非常に分かりますし、それは私も大事なことだと思います。ただ、回復・創出型も、いわゆるOECM相当に持っていくことを目指すという意味では、やはりもうワンランク上があるというのが、それなりに意味があることなのかなと、前回の案を見て私は思ったところがあります。なので、そういう次のステップに進むインセンティブというところも考える必要があるのかなと感じました。
あと、やはり現行の自然共生サイトと違うものになってしまうことが、制度としては、私は懸念があるので、そこはご留意いただきたいということです。今のクオリティーを引き下げるようなイメージになってしまうと、せっかく自然共生サイトという名前が、知名度を持ち始めているところで惜しいなというところなので、当然違うものとして、審査して支援をしていくことになると思うんですけれども、その辺りもぜひご留意いただけるとありがたいと思います。
恐らく、そうした一つの自然共生サイトという形にしたので、審査基準についても、こういうかなり抽象度の高いものしか基本方針に書き込めないというところもあるんだろうと思います。この三つが、別の認定に仮であったとしたら、恐らくそれぞれもう少し違う具体的な基準が書けたのかなと思うので、多分、そこの部分との悩みが審査基準のここの抽象度に出ているのかなと私は理解をしました。
難しいことは重々承知で申し上げたところもございます。ただ、今のご説明ですと、事務取扱要領に審査基準を書くということだったんですけれども、それも、もちろんお任せはするんですけれども、事務取扱要領というと、本来は手続とか様式を書いているもので、ここに審査基準が堂々と入るというのは、法規の考え方としては、ちょっと異例だと思いますので、やはり審査基準は、審査基準として、分かるような形でお示しをする。可能であれば基本方針の中に、別途定める詳細な審査基準を参照するような、ほかに基準を委ねるようなことを何か書けるほうがいいのかなとも思いました。
すみません、以上です。
○石井小委員長 では、特に基本方針案を変えるというより、ご提言ということで扱ってよろしいですか。
○勢一委員 はい。変更できるようなものがあればありがたいとは思いますけれども、多分今のお答えではなかなかできないということなのかなと理解をいたしました。
○石井小委員長 ありがとうございました。それでは、ほかのご意見をお聞きしたいと思います。オンラインで参加の一ノ瀬委員が、既に退室されているんですけれども、ご意見がチャット欄にあります。記述自体には特にご指摘はないんですけれども、モニタリングについては、少し課題があるということで、事務局のほうからコメントについて、代読していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○司会 記述については特に指摘はありません。すばらしい仕組みができたと思います。モニタリングについては、私も課題だと思っています。一ノ瀬委員のコメントは以上です。
○石井小委員長 では、事務局、特にいいですね。課題ということで認識していただければと思います。
ほかの委員の皆さん、いかがでしょうか。
では、土屋委員、お願いいたします。
○土屋委員 土屋です。実はドタバタしてまして、事前に意見を述べなかったので、ここでたくさん出すと、なんだあいつはと思われそうなので、絞りたいとは思うんですが、数点述べさせていただきます。
一つは、今もご議論のあった件で、ここを直せというのではなくて質問になります。要するに準自然共生サイトというのを、名前がちょっと適当ではないということで、今回は入れなかったと。私はそれは一応理解はしているのですが、ただ準自然共生サイト的なものを作ってやるとして、それをどう認定していくのか。それから、今度は一定の水準ではないわけだから上げていくわけですけれども、どこまで上げればいいのかということが、もしくはどうやって上げるのかということが、より幅が広がるというか、いろんなバリエーションが出てくるわけなので、それの基準づくりとか、実際の審査はどうやるのかというのが、私、前からそこのところは気になっていたのですけれども、もうこの小委員会はこれでおしまいだということなので、何かほかの検討する場ができるのか、それとも事務局のほうで専らやるのかというところが、非常に気になります。というのは、事務局を信頼していないわけではないのですけれども、ただ、かなりいろ考えなければならないことがあると思うのですね。そこのところがちょっと気になるというのが1点です。
2つ目は、これも意見になってしまうのですが、調べる必要があって認定されている自然共生サイト、184サイト全部について、環境省で公開している情報を全部読ませていただきました。たいへん多様だなと思いました。これは審査に当たってのご苦労が偲ばれるといいますか、別の言い方をすると、勢一さんが言われたような審査基準が本当にあるのかなということが、少し心配になるぐらいの多様性だと思います。
この多様性自体は、私は別に悪いことではない。もちろん立地にもよるわけなので、例えば工場の敷地と里山は違うというのは分かるのですが、同じ立地のものの中にも結構いろなバリエーションがあると思うのです。
何が言いたいかというと、全自然共生サイトの情報を調べた結果、里地里山の保全を担うような団体・NGOや自治体の関わりが今のところ少ないという印象を持ちました。これから生物多様性を上げていくためには、やはり里地里山が非常に重要なところなわけです。実は今日の午前中、石井委員長とご一緒してモニタリングサイト1000の里山調査について記者発表をしました。里地里山の生物多様性が非常に今危機的である。かなり強力な体制をつくってやっていく必要があるという話を、環境省生物多様性センターと日本自然保護協会が共催し、専門家、石井先生は専門家として参加されたのですけども、専門家をお招きして解説していただく場を設けました。そうすると、里地里山の生物多様性保全を高めていく体制をどうやって作っていくのかということが非常に重要なのですが、今回の法律では、市町村が連携増進活動実施計画をつくる。その計画をしっかり回していくために、土地所有者等と生物多様性維持協定を結ぶことや連携増進活動協議会を作るというような仕組みはできた。それから、地域生物多様性増進活動支援センターももっと増やしていきますよということになった。これは、これからの課題なんだとは思いますが、一応仕組みはできたのだけれども、そこで中心的に活動していく主体が見えない。やはりそこのところで、これがあるから大丈夫だという主体が非常に見えにくいというのはあります。
もう少し具体的に言いますと、例えば、16ページのところは、前回、佐藤委員にご意見を言っていただいて、それに基づいてNGOの参画等の記述がかなり増えたところです。ここでは、NGO等がこういうところで頑張ってほしいということが書いてあるのですが、NGO等がやることの範囲をもう少し広げてもいいんじゃないかと思ってまして、例えば、196行目ぐらいのところに、「連携増進活動実施計画の策定支援」を加えていただいたほうがいいんのではないかというのが、まず1点です。
それから、41ページの一番下の三というところは、自然公園法の話が出てくるところなのですが、考えてみれば、地域に国家公務員が張りついているというのは、国立公園の自然保護官事務所や公園管理事務所ぐらいなんですよね。ここには、地方環境事務所等の関係者と事前に相談を行うことが望ましいということが41ページの冒頭に書いてあるのですけれども、これは、地方事務所というかなり広い範囲を担当しているスタッフが、事前にアドバイスをするというだけだと思うのですけれども、望ましくは、自然保護管事務所や国立公園管理事務所に張りついているレンジャーレベルで、それぞれの市町村や地域の計画策定や、それからその後の、実は計画をつくっただけでは何も動かないわけですから、その後の継続的な支援をしていかないと、なかなか動かないんじゃないかと思うんですね。
先ほど、ちょっと懸念を示したように、市町村がこの計画策定のために動くかというと、かなり難しいところがあって、少しでもお手伝いはあったほうがいいわけで、そのレンジャーの方々がものすごく忙しいということは、重々承知しているわけですが、一つこの法律を契機にして、レンジャーをもっと充実させる。それから、事務所等も充実させるという意味も込めて、もう少し自然公園関係が法律の枠を超えて、支援に乗り出すというような仕組みが作れないか、と思っています。ここでの修正としては、単に地方環境事務所等のところで、自然保護官事務所とか、国立公園管理事務所等とか、そういう具体的な名前を出してくれというぐらいしか言えないのですけれども。
具体的にもう少し言うと、将来的には、国立公園について、協議会が管理運営計画を検討するときに、単に国立公園の中だけではなくて、自然共生サイトを通じて、その外側にある、もしくは公園域の内外にまたがったような共生サイトの運営にも様々な支援や協力をしていく。そういう体制をつくっていくということは、私は、非常に重要だと思っていて申し上げました。
もうこれ以上言うと、おまえ、いつまでやるのとなりますので、ひとまず切らせていただきます。
以上です。
○石井小委員長 遠慮しなくても大丈夫なんですけれど。2点でよろしいですか。取りあえず。はい、2点ご指摘がございました。具体的な場所もお示しいただいていますけれども。では、事務局、お願いいたします。
○自然環境計画課課長補佐 まず、冒頭いただいたご質問に対して、述べさせていただきたいと思っています。
準自然共生サイトの認定の考え方をどういう水準でというところについて、2点目の自然共生サイトの観点とも関わってくるのかもしれないんですけども、法になってくると、いわゆるいいところを維持していくという維持型の場合は、今の自然共生サイトと同じような観点での生物多様性の価値基準を有しているかというのを見ていくということになっています。
回復・創出型に関しては、現状では価値基準に合致していないというところはありますが、そこに向かってどんな活動をするのか。回復するとか、創出するという活動が適切かどうか。その時点で適当かどうかというのをジャッジしていこうと。そのためには、まず現状の場の把握、それを踏まえて目標を立てて、それに必要な活動になっているかというところをジャッジしていこうと。ただ、これを一つの基準で書こうとすると、多分もう難しいと。なので、ここはどのような活動が一般的に望ましいかというようなリストを、
整理していきたいと考えております。
もちろんこれはある意味、一般原則的に全てを網羅することは難しいと思うので、ある程度になるんですが、これを整理していくことによって、おおよその把握はできていくだろうと。あとはこれに関して、やはり今の自然共生サイトもそうですが、専門家の知見も踏まえながら、それが適当かどうかというところをジャッジしていく。もちろんその時点でそれをやってみて、もしかしたら思ったとおりの結果が出ないかもしれないから順応的に進めていくというのも、この基本方針で書いているところであります。
こういった中身について、今後詰めていくについては、専門家のご意見とか、そういったアドバイスも受けながら詰めていきたいなと、まず思っているところが1点目でございます。
2点目でご指摘いただいたところの、16ページ目のほう、まずNPO、NGOさんのところでございます。
今、NPO、NGOさんが、いろんな知見を持っていたり、ネットワークを有していて、市民参加のモニタリングや環境教育、個人の参加のプログラムの提供や連携体制づくりを進めていく際の核となり、地域の活動を幅広く支援することが期待されるということで、この地域の活動を幅広く支援というところが、一つ連携計画とかも含めて入れ込んでまとめて書いているようなところではあるんですけど、ここに、より具体的に追記したほうが分かりやすいんじゃないかどうかというところかなと思いました。
ここについては、もし加えるとなると、例えば連携計画の支援などというのを一つ。入れて全体的に文言がおかしくないかというのは再度確認したいと思います。そういう事例として入れていくというのはあるかもしれませんし、もともとの案としては、この地域の活動を幅広く支援するということで、そういったことも含めて考えていたというところは1回申し上げたいなと思っております。
2点目の体制の現地の体制についてです。ここについては、ご指摘いただきありがとうございます。現場に張りついてということで。レンジャーに関しては、国立公園の管理等、その職務の範囲というのがあるんですけれども、地方環境事務所に、自然共生サイトや、連携法を担う職員の配置を今進めようとしております。現に、まだ僅かでありますが、5ブロックの事務所にその専門官が配置されておりまして、その専門官達が実際の土屋先生がおっしゃったような現地確認から、相談とか、その後のフォローアップというのを、全てまだ体制的に十分ではないんですが進めているところです。
まずは現地に、企業や民間の地域の生物多様性の促進をサポートするような人員体制の充実を図っていきたいと思っているところでございます。
すみません、私からは、以上になります。
○石井小委員長 土屋委員、いかがでしょう。16ページのほうは、場合によっては、少し文言を加えるというご提言もありましたが。いかがでしょう。
○土屋委員 今の自然公園のほうなのですが、たしか前にもこういったお答えをいただいたところだと思うのですけれども、地方環境事務所はご承知のように非常に範囲が広いので、正直申し上げますと、そこに例えば一人配置されても、その方が、各地域の市町村やその中で活動している団体と、色々日常的な関係を作れるかというと、それは無理だろうと。計画をつくるときは、お手伝いできるかもしれないけれども、その後の様々な活動にちゃんとコミットできるかというと、ちょっとそれはかなりきついんじゃないかというのは、現場感覚的に言えるところなので、どうかなと思ったということです。そういう形で、だんだん増員していただくということは、いいベクトルの方向だとは思っていますけれども。
以上です。
○石井小委員長 文言を加えるということは、特にこだわらなくてよろしいですか。
○土屋委員 特にこだわりません。
○石井小委員長 はい、分かりました。番匠課長お願いします。
○番匠自然環境計画課長 この地方環境事務所等というふうに書いておりまして、これはレンジャーも地方環境事務所に所属している職員ですので、そこも十分に含んだ形で書いているつもりであります。先ほど言ったとおり、実はまだ人員も配置できてない地方もあったりして、なかなか環境省の組織力が弱いところがあって、手が届かないというのは、本当に悔しいところなんですけれど、そこはもう我々としてもできる範囲で、当然ながら人員の増強というのも何とか認めてもらえるように動いていきたいというふうに思っておりますので、ぜひまた引き続きよろしくお願いいたします。
○石井小委員長 よろしいでしょうか。オンラインの藤田委員のほうからコメントありということなので、藤田委員、お願いいたします。
○藤田委員 ありがとうございます。基本方針については、私は、特にコメントはなくてよく作っていただきまして、本当にありがとうございます。
ちょっとコメントは、これ動くようになったら、例えば企業の方々も自然共生サイトを今色々登録されてます。モニタリングの話とか、ほかの委員の方からもありましたけど、手間暇かけて登録をしたものが、世界標準に基づく貢献とかの証明にどう結びついて行くのかということが、やっぱりすごく重要だと思っていて、そこをやはり心配されている企業の皆さんもいらっしゃるんじゃないかと思っています。
具体的には、ちょっと全然レベルは違いますし、次の委員会、別の委員会とかの話になるのかもしれませんが、よく最近は、英国で始まっている生物多様性クレジットですね。例えば、これは、開発事業においてだから、全然レベルは違うんですけども、一応自然を再生したりしたときに、開発の前と後で、そのクレジットを発行とか、あと、アメリカなんかで昔からある湿地の再生でのミティーゲーション・バンキングみたいなものとかが改めてスポットを浴びて、水とか、生物多様性のクレジットがこれから始まるんじゃないかとか、すごい気にされている企業さんは増えているというような印象を受けています。
今回のこの自然共生サイトに登録されたときに、全然ほかの国の制度なので違うとはいえ、そういったただ単にモニタリングをして、昆虫で指標を調べて増えましたねじゃなくて、そういう世界標準で始まろうとしているクレジットの仕組みみたいなことと、どう結びついていくのかという道筋をちょっと示せないのかとか、あるいは、もう一つは、これまた別の委員会で始まっていると思うんですけど、TNFDでの開示ですよね。ロジックモデルでの書き方みたいなものをガイドラインとか方針案みたいなものがあって、そこにしっかりと書き込めるというような状態にしていただけるというようなことが、すごく企業にとっては、重要になってくるのかなと思ってます。
その辺をぜひ、もし既にお考えがあって、こんなふうに進んでいくということがあれば、教えていただきたいのが1点と、あとは、これも少し距離が離れているかもしれませんけど、カーボンクレジットのほうが、今色々流通がGXリーグとかで始まっていて、カーボンのほうがこれから増えていく中で、そのクレジットの中に、さっき言ったような生物多様性や水のクレジットも一緒に書き込んでいくとか、あるいは何か一緒に取引していくのか分かりませんけど、どんなふうな記載の仕方になっていったりとか、未来があり得るのかみたいなことが、すみません、ちょっと今回の方針とは、直ではないですけれども、企業さんが気にされているそういったことにどうつながっていくのかということについて、何かご見解を既にお持ちであったら教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○石井小委員長 はい、ありがとうございます。では、事務局、お願いします。
○自然環境計画課課長補佐 ありがとうございます。もう非常に大きな話で、なかなかここですぱっとはお答えをしにくいところはあるんですけど、まず、クレジットの話は、非常に今後大きな話になっていくと考えています。ただ、現時点で英国であるとか、幾つかの国が始めているところはありますけれども、世界標準というところまではいっておりません。そのように我々は考えておりますし、なかなかこの生物多様性を各国の状況に応じて評価をするというのは、かなり難しい話を含んでいるというふうに考えています。
今後、やはり日本としても遅れないように、こういった検討は進めていかないといけないと思ってますけれども、やっぱり脱炭素と違って、生物多様性の評価なり、場合によってはオフセットみたいなものも含めて、どうしても生物多様性は、土地と紐付いたものになっていくということだと思っていますので、脱炭素のように単なる数字だけでやり取りができるというような世界にはならない。ちょっとややこしい難しい世界になっていくだろうなというふうには考えております。
そういうようなところは、日本の自然の状況、自然地域の生物多様性の状況なんかも踏まえて、日本としてどういう形を発信していくかというのは、まさにこれから検討という部分があるんですけども、進めていきたいというふうに考えています。
また、TNFD関係でロジックモデルのお話もいただきました。この9月からまさに自然共生サイトの支援証明書の試行というのを始めております。この支援証明書の中では、このロジックモデルをしっかりと書き込む、表現するというようなことでやっておりまして、今年度のこの試行の中で、このやり方というのを検証していきたいというふうに考えています。企業の方々からも色んな意見をいただいております。大変関心が高いということを実感しております。皆さん企業の方々などの意見も取り入れながら、この形を作っていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○石井小委員長 藤田委員、よろしいでしょうか。
○藤田委員 ありがとうございます。
○石井小委員長 ありがとうございました。ほかは、よろしいでしょうか。オンラインのほうで、大下委員のほうから、チャットでコメントをいただいています。15時にもう退席されているようなんですけど、内容には、特にご意見はないということで、各地域において地元の事業者が積極的に参画し、地域活性化につながるということを期待したいと。ご意見を伺っているということでございます。
会場から、佐藤委員、じゃあ、お願いします。
○佐藤委員 佐藤です。
ご説明ありがとうございました。私から数点ございます。
まず、8ページの生態系ネットワークの構築のところになりますが、連結性という言葉が入っているでしょうか。緑地の連結性の重要性というのが、OECMでは非常に強く言われています。連結性というのは、生息地間における有機的な生き物のつながりということで、それが回復拡大することによって、種の存続がより保全されるということですので、非常に重要な言葉だと思います。連結性という言葉がもし入ってないとしたら、この8ページから9ページのところでプラス、追加していけるとよいのではと思いました。
というのは、(1)生態系ネットワークの構築が重要だということは、ここで述べられています。102行目からいきますと、生物多様性に貢献する場所を量的・質的に確保することになり、生態系ネットワークの構築につながるとなっています。この確保することになり、と、生態系ネットワークの構築につながる、の間に、具体的に連結性を意識した言葉が必要ではないかと思います。ただ単に、活動促進するだけでネットワーク構築につながるかというと、そうではないですから、点で孤立している地域やエリア、緑地をつないでいく。連結性を作っていく。そのように記載してこそ、ネットワーク構築につながると思います。
その意味で、その下の9ページに入って106行目ですが、自然公園や都市公園など、また企業緑地もそうですが、まとまった自然環境を確保されている場所が生態系ネットワークの中核になり得ると記載がありますが、なぜ中核になるのかについてが、言葉足りずのように思います。分断された生息地をつなげるなど、そういった意味合いがあると非常に分かり易いですし、また大きな公園や企業緑地なども、存在意義の重要性が明確になってくると思います。
実際今、私、東京の国分寺崖線で自然共生サイトを皆さん取りましょうと呼びかけておりますが、やはりそういう大きな緑地というのが核になって、周りの緑地との連結性を創出していくということが、生物多様性向上には、非常に大きな効果があると感じています。その内奥をここにプラスしていただけるとよいと思います。
二つ目ですが、先ほど土屋委員のほうから、自然公園法等に規定されている保護地域等での実施に当たってというところでのくだり(p41-42)で、先ほどのような話がありまして、私もまさにそのとおりだなと思いました。その他の相談というところ、活動への助言、伴走支援ですね(p48-49)。ここのところで、中間支援等の組織の連携などを書いていただいています。相談について、ここが二つに分かれているのは、49ページのところでフォローアップしているということでよろしいでしょうか。
「相談」ができるということは非常に重要だと思っています。私たちが自然共生サイト認定についてサポートさせていただいたサイトでは、認定の前からご相談いただき、その後も、例えばICU(国際基督教大学)では、先週から森づくり講座という事業を始めました。企画運営などもサポートさせていただいています。またサイト認定した企業からも、社員の研修や、また自然環境調査の方法など相談を受けています。おそらくこのような案件については国の方に一つ一つ相談しようとしたら、時間もかかりますし、国のほうも受け入れ切れないかなと思います。そのような自然共生サイト認定前だけでなく、の認定後のサイトの価値向上のための支援もこの箇所に書き込むべきと思います。「相談」事業については、もう少し強化して記載いただいてもよいかと思います。
それから最後は、今日色々お話に上がっているデータのモニタリング調査等の件です。質問も含めてですが、先ほどのカブトムシの話が冒頭であったのですが、環境省のモニタリングサイト1000のデータと、今回進めていくという調査がどう連動しているのかということをお聞きしたいと思いました。要はモニタリングサイト1000がどのようにここで機能していくのかが分からなかったので教えていただけたらと思いました。かなりのデータが蓄積されていると思いますので、その利活用についてということです。
またそれに関連しまして、どこの自治体さんも自然環境のデータを取ることに予算をつけにくい状況があると思います。やりたいと思っても、なかなか予算措置ができないという話をよく聞きます。
また一方で、自治体での調査が実現できたとしても、民地の緑地の調査がしにくいということもあります。
本来であれば、自治体の緑地全体の状況がモニタリングされてデータが積み重なっていく。かつこれはOECMの在り方の検討会でもよく話題に上がったことですが、自然共生サイトの認定、エリアの生物多様性向上については、自治体がリーダーシップを取って進めていくことが必要ではないかと議論されました。要は自治体のほうで、点としてではなくて全体を俯瞰しながら、ここがデータ的にも非常に重要な場所であるからここを認定していくべきではないかとか、また緑の基本計画のエコロジカルネットワークの拠点であるから、優先すべきなど、そのようなリーダーシップを取れるのは、データがあってのことだと思います。しかし、そのデータを取る予算措置が難しいとしたら、何らか検討していくべきではないかと思います。例えば調査費用を官だけで担うのではなく、官民連携でエリアの自然環境調査をお金を出し合うなり、労力を出し合うなり、またはそのNGO、NPO、市民団体等が一緒になって、そのエリア全体のデータを取っていく。そういったことをしていかないと、なかなか効果的なエリアの生物多様性向上がなしえないと思います。データの調査方法や費用をどう捻出するかなどについても検討していかないと、結局、変化は見込めないのではないかと思いましたので、意見させていただきました。
○石井小委員長 ありがとうございます。3点あって、1件目については具体的に文言を入れたほうがいいかもしれないというご意見ですね。残りの二つについては、修文も必要かもしれないということですね。
○佐藤委員 そうですね。相談のところについては、49ページですね。もう少し強調するのか、効果的である、また連携が非常に重要であるなどといった書き方で良いかと思います。土屋先生もおっしゃっていたとおり、国のほうで相談窓口を設置しても足りないと思うので、ここの「相談」という点については、もう少し幅広い書き方をして良いと思います。
○石井小委員長 では事務局お願いします。
○自然環境計画課課長補佐 佐藤委員、ありがとうございます。
1点目の生態系の連結性ということについてです。言葉自体が基本方針の中にあるのかというと、ご指摘いただいた場所ではないところには、幾つか出てくる箇所はあります。これは事実関係としてということです。多分、そういうことよりも、ここのパラグラフの中で生態系ネットワークというのが、広く言えば生態系の連結性とか、連続性とかがあって、それを総称してネットワークという読み方もあるところをより強調して追記したほうがよいのではないかというようなご指摘だと受け止めております。
もしよろしければ、この場でもし具体的にこういうふうにというのがあればいただいてちょっと考えますし、もし事務局に検討を任せていただければ、ここに関して何かご指摘踏まえたような文言が追記できないか、ちょっと考えて、また、委員長とも相談しながら対応していくというのができるかなとは思いました。
また、ご質問いただいた、モニタリングサイト1000の関係についてです。
全国に、例えば里地関係で、一つモニタリングを実施しているということに関していうと、こういう自然共生サイトとか、今後の増進法の活動のポイントのポテンシャルはあるんだろうなと思っていますし、そういったところがなっていくのは重要だろうと。そういったモニタリングサイトが、増進活動のポテンシャルを有していて、現に自然共生サイトに認定されているモニタリングサイトも幾つかありますので、そういうところが今後増えていくと、より連携という形では進められるのかなと思ってはいます。
○石井小委員長 ほかは、何か事務局からご意見等ありますか。
○自然環境計画課課長補佐 49ページの末尾のところですよね。610行目、NPO・NGO等の民間による中環審を担う組織との連携も効果的というよりは、重要であるというふうに修正した方がいいのではないかというご指摘だと受け止めています。ここについてはちょっと待ってください。
○佐藤委員 その前も重要であるが、というので重なってしまうので、そうですね。
ちょっとお聞きしたかったのは、先ほどの地方環境事務所等の関係者という、516行のところの部分と、こちらというのは、自然公園法等の緑地と一般の緑地の違いといったようなことになるのか。すみません、私がその辺りが読み解けておりません。
○自然環境計画課課長補佐 なるほど、すみません。そういう意味では、この活動への助言・伴走支援というところに関しては、国、地方公共団体、専門家、それからNPO・NGOというように、考えられる主要メンバーを書いているので、こちらに関しても、国もその後、国においてはというふうにもあるように、伴走支援というのをやっていく主体としては書いているということです。
○佐藤委員 小林さんがおっしゃっていただいたような研究機関なども付記していただけると良いと思います。生物多様性の増進活動支援センターだけ、NPO・NGOだけではなくて、いろいろな専門機関もあるので、そのエリアの様々な支援をしていただけそうな機関を入れておくと、より強化されるのではないかと思います。
今、おっしゃっていただいた内容が入ればいいかと思います。
○自然環境計画課課長補佐 ごめんなさい。もしかしたら記載が不十分とかということかもしれないんですけど、冒頭に、国等あって、その中でNPO等との連携もという形で書いているので、センターとかに限定というわけではなくというところでしょうか。
○佐藤委員 ここかかぶる感じですよね。でも、国においては市町村中心で別ということなんですかね。
610の辺りと615からの赤字のところですが。
○自然環境計画課課長補佐 なるほど。もしご質問の意図と間違っていたら恐縮なんですが、まず605行目で、この活動への助言・伴走支援ということで、国、地方公共団体、専門家、有識者そういった専門家などによる助言・伴走支援、それから、人的なネットワークノウハウの共有というのが重要であるというのがそこで一つ大きく書きまして、その際にということで、例えば、自治体が整備するセンターとか、あとは特出しで、NPO、NGOなどの民間による中間支援との連携も効果的であるということ、さらに国においては、具体的にこういったモニタリングの助言や専門家とのマッチング制度というのをやっていくというのを書きまして、615行目以降は、前回の小委員会でご指摘いただいて、市町村もこういった制度を、制度とか伴走支援というのをする側だけではなくて、受ける側としてもやっていくことが重要ではないかということで、市町村においても、主体に加えて、伴走支援というのを受ける側で活用することが望ましいというのを、前回の第4回の意見を踏まえて入れたという形です。
○佐藤委員 承知しました。ではこちらはこれで大丈夫です。ありがとうございます。
○石井小委員長 そうしたら連携性のところは、具体的に何か今、アイデアがあれば、ありがたいのですけれども。
○佐藤委員 そのまま文章というのは難しいかとは思うんですが、例えば、連結性、連続性ということの意味をもう少し入れていただくと、このネットワークというところにぴったりな言葉になっているかと思いますので、例えば生息地間における有機的なつながりを回復・拡充、拡大させるというのが、連結性、連続性という意味だと思うのですが、そのように書き込んでいただくと良いと思いました。また分断されてしまった生態系をつなげるという役割を持つということで、105、106の辺りに入れられると良いと思います。自然公園等など、まとまった自然環境が確保されている場所は、分断された緑地とか、緑地の連続性、連結性を担保するという意味でも、生態系ネットワークの中核になり得る、など、そのような記載ができたら良いと思いました。
あとは事務局のほうにお任せいたします。
○番匠自然環境計画課長 ありがとうございます。ここの部分、ちょっと言葉を足すことを検討させていただければと思います。その際、105、106のところは、自然公園とか、都市公園とか、大きな保護地域、緑地があるところを中核にするというところを書いている部分ですので、ここはこの生態系ネットワークの構築につなげる際に、こういうところが中核になり得るという書きぶりですので、ここにはなかなか連結性というのが難しいかなと思っておりまして、むしろ103行目のところの量的・質的に確保することとなり、の後に文言を追加することを検討させていただければというふうに考えております。
○佐藤委員 分かりました。ありがとうございます。
○石井小委員長 それでは具体的に、ここではないですけれど、多分修飾語みたいな形になるんですか。
○番匠自然環境計画課長 そうですね。ぱっと思いつくところで言えば、連結性、連続性かもしれないですけれど、確保することで生態系ネットワークの構築につなげるだとか、そういったような表現になるかなと思っていますけども、詳細はちょっとしっかり確認をさせていただきたいと思います。
○佐藤委員 量的・質的な確保というだけですと、点としての意味としか捉えられないため、連続性や連結性を持つという意識が、例えば自然共生サイトを取られようという団体さんや自治体の環境政策等のご担当の方々になかなかプラスの価値としてご理解いただけないかと思います。ここに書き加えていただくことで、その問題が解消できると思いました。ありがとうございます。
○番匠自然環境計画課長 こちらもまさにそういうところはあるというふうに感じておりますので、ここは検討させていただきたいと思います。
○佐藤委員 ありがとうございます。
○石井小委員長 はい、よろしいでしょうか。オンラインで中静委員からコメントありということですので、中静委員、お願いいたします。
○中静委員 ありがとうございます。私この文言について特にというのではないんですけど、ぜひお願いしたいことが二つありまして、一つは、15ページにあるんですけど、地域戦略との関係ですね。ここでは調和させることでというような書き方になっているんですけど、もっと積極的に、まだ地域戦略が策定されている自治体が少ないことを考えるともっと地域戦略というものをきちんと位置づけていくということをやっていく必要があるだろうと思っています。例えば地域戦略と、こういう連携協議会とか、連携協議計画などの整合性を図るとかというだけではなくて、こうした作業は自治体としても労力のかかることだと思うので、行うことでメリットがあるというような方向に持っていってもらいたいなという気がします。
例えば、そういう計画を持っていると、どちらかの計画のこういう部分が省略できるとかというような運用の仕方を、どこかで考えていただくと地域戦略も策定が進むのではないかなという気がします。それが一つです。
もう一つは、今回本当は書いてもよかったのかなと思うんですけど、特に回復型の共生サイトとアセスメントの関係ですね。先ほどクレジットという話も出ましたけど、これからオフセットとか、クレジットとかという仕組みが出てくると、どうしてもアセスメントとこの自然共生サイトとの関係というのを上手に使っていかなければいけないところもあるとは思うので、ぜひとも増進法の精神を生かしたアセスメントのやり方というのを指導していただけるといいなというふうに思います。
以上です。
○石井小委員長 はい、ありがとうございます。
事務局いかがでしょうか。
○自然環境計画課課長補佐 中静先生、ありがとうございます。2点ご指摘、コメントをいただきました。おっしゃるとおり、地域戦略に限らず、地方公共団体が様々な計画を作っていく、作るということの労力とかというのが大きいという話は、我々もよく聞いております。
実際に地域戦略と、この増進法の計画、厳密に見ていくと考え方とか、対象の範囲とか、色々異なってくる部分はあると思うんですけども、うまく連携していかなければいけない部分もあるだろうとは思っています。ですのでご指摘の部分、手続的な省略だったり、そういうメリットができるのかどうかもありますし、増進法の計画をより具体的な行動計画として進めていく中で、例えばそれが地域戦略づくりをもっと広くつなげていくところにつながるやり方もあれば、複数の市町村で連携計画をつくる上でのそういう地域戦略の関係というのも色々模索していきたいなと思うので、そこはご指摘踏まえて引き続き我々も考えていきたいなと思いました。
またアセスメントの関係もご指摘ありがとうございます。実際特に回復型の場合は事前にそこの土地が特にどういう場所だったかとか、土地利用の変遷とかあとは周辺がどうなっているかとか、あとは地域がそこをどういうふうにしていきたいかというのは、そういう地域の考え、目標とかを踏まえながら、あるべき姿へ向け実際に活動していくのだろうと想定しています。
その中でモニタリングしながら順応的に見ていくという意味では、まさにアセスメント的に事前にどうだったのか、その後どうなっていくのかとウォッチしていくことがやはり回復型では特に重要かなと思ってます。この辺りある程度運用していく中で新たな知見が生まれてくる部分ではあると思いますし、各種制度、先ほどから色々ご指摘いただいた今後の発展的な制度との可能性というのも意識しながら、まずは一つ一つこういう運用を進めていきたいなと思っております。ご指摘ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。
○石井小委員長 はい、ありがとうございました。それでは時間が実はいっぱいいっぱいになってきました。ほかにどうしてもというご意見等がないようでしたら、取りあえずここまでのところで、大きな修正はなかったと理解しています。佐藤委員のご指摘については、少し文言修正が必要かもしれないということでした。
ということで、基本的に基本方針案については、このまま進めていくのですけれども、少し事務局と委員長の私のほうで相談して、修正を検討するということにさせていただきたいと思います。
これにつきましては、修正後、委員の皆様にはお示ししてご了解いただければというふうに思っております。こんな方針でよろしいでしょうか。皆さんよろしいですね。
では、こんなふうに進めさせていただきたいと思います。
それでは最初に申し上げましたように、今回が最後ということになりますので、委員の皆さんからこの基本方針案を踏まえてですけれども、今後期待すること。あるいは感想などをいただければというふうに思います。時間が押してきたので、手短にお願いできればと思います。
そうですね。委員の皆さん全員からお聞きしたいと思っていますので、名簿の順に私のほうから指名させていただきますので、順番にお願いいたします。
それでは最初は、小泉委員お願いできますでしょうか。
○小泉委員 はい、ありがとうございます。まずは昨年の10月からほぼ1年かけて法律ができ、基本方針ができて、事務局の並々ならぬ意欲と活動量に大変敬意を表したいと思います。どうもお疲れさまでした。
私から幾つか感想を述べさせていただきます。
一つは、この制度ができて、これからということで期待したいのが、これまでの自然共生サイトは、これまでの活動を評価してもらうというものだったわけですけれども、これからは、必要な場所に必要な規模の自然共生サイトを作っていく、そのための仕組みと体制を今回つくったのだと理解しています。、これからはそのように進めていっていただきたいと思います。そういう意味では、恐らく企業の方も、これまで自ら所有する土地での活動ということが多かったと思うのですけども、これから支援という関わり方がますます出てくると思いますので、そういう意味では、パブコメの13番と19番、税制に関する部分というのは、事務局が直接扱う分野ではありませんけれども、扱う省のほうと交渉を進めながら、例えば企業版ふるさと納税をさらに発展させていくとか、いうような支援策があっていいかなというふうに思います。
自然共生サイトをそもそも何のために作るのかというと、やはりネイチャーポジティブ、それからミッションである自然と共生する社会ないしは地域循環共生圏を構築するというミッションに向かっていくためのアウトプットであるというふうに私は理解をしています。では、これをアウトカムにするにはどうしたらいいかというところで、先ほどからちょっとモニタリングの話が出てきており、昆虫の種数の話がありましたけれども、そういう古典的な生物多様性の指標を使って評価していくというのもあっていいと思うんですが、生態系サービス、それからNPSというような視点からの評価軸というのもあってよいと考えます。自然共生サイトを作ったことがアウトカムに結びつき、そして自然と共生する社会というミッションを達成したというふうに発展していったらいいかなと思っております。今後とも、ご努力大変かと思いますけど、よろしくお願いいたします。参加させていただいて、大変光栄でした。勉強にもなりました。どうもありがとうございます。
以上です。
○石井小委員長 特に事務局から意見を求めませんので、一番最後にまとめて、番匠課長から何かいただければと思っていますので、よろしくお願いします。
では続けて、勢一委員、お願いいたします。
○勢一委員 はい、ありがとうございます。勢一です。
本当に、それなりの期間はかかっているとはいえ、新しい制度をつくって、新しい仕組みを考えていくという作業にしては、短期間で成し遂げてくださったという意味では、これについても改めてお礼を申し上げたいと思います。私自身も自然部会に所属していて、こういう法律ができるということ自体が非常に大きな喜びです。なかなか測り方が難しい生物多様性とか、自然の価値というものを何とかして法の中に取り込んで、それを社会的な価値・評価につなげていくということ、これができた法律というところではすばらしいスタートだと思っています。
自然共生サイトの法的ではない活動から始まったもので、その当初、自然共生サイトは場所の認定だったのを、今回の法律では、活動の認定、場所とひもづいた活動の認定という形になった時点で、恐らく法的な難易度は大幅に上がったというところだと思い、特に小林さんのご苦労は、そばで何度も見ていたので、色々感慨深いものはあるんですけれども。そうした難易度が上がった中でやっていくということと、あとコンセプトの違いを、自然共生サイトを引き継ぎながらやっていくというところでは、運用上の悩み、課題は、恐らくまだこれからなのではないかと思っています。
特に法制度になってからは、より多様な活動がターゲットになってきたので、そういう意味でも運用をしながら、望ましい制度の形をさらに探っていく、走りながらというところもある仕組みだと思っています。しかしそうした努力、現場での努力がきっと自然を守ることにつながるんだろうなと思っておりますので、現場の皆さんも含めて、大変だと思いますけれども、ぜひご尽力を引き続きお願いしたいと思っています。
またTNFDの流れもありますし、もう社会の中で生物多様性の価値が認識されるとともに、経済活動の中にしっかり価値として組み込まれていくことが非常に大事で、そういう意味ではこの法的な認証をどのようにその企業の価値向上につなげていけるか。先ほど藤田委員がたくさんお話しされていたところ、非常に大事だと思っていますので、この制度の運用のその次に待っている部分について、ぜひぜひ力を注いでいただければと思います。
一緒に議論ができて非常に貴重な経験でした。どうもありがとうございました。
○石井小委員長 はい、どうもありがとうございました。
次の中村委員はご欠席で、藤田委員なんですけれど、藤田委員はもうご退出されているようですが、コメントをいただいています。
1年半にわたり、よい議論をありがとうございました。この後の自然共生サイトの運営・実装というのは、TNFDやネイチャーポジティブ経営に大変重要になってくると思いますので、引き続き国の取組に期待しています。というコメントでございました。
それでは続きまして、私はちょっと後回しにして、中静委員、お願いします。
○中静委員 ありがとうございました。本当に難しかったと思うんですけど、頑張っていただいて、大変いい法律になったなと思います。
TNFDなどの経済の仕組みを入れることはとても大事なんですけど、TNFDも大きな企業は一生懸命導入していますけど、地域に行くと、金融業界も含めて難しい側面があるので、これからそういうところの仕組みをどうやって上手に入れていくかという点については、試行錯誤も必要だと思います。そういうところでのご指導も大変重要になるのではないかなと思います。それにしても、そういう枠組みを実現できるような仕組みができたということで大変喜んでおります。ぜひこれからも頑張っていただければと思います。ありがとうございました。
○石井小委員長 はい、どうもありがとうございました。
それでは西澤委員、お願いいたします。
○西澤委員 約1年間ですかね。大変勉強になりまして、ありがとうございました。また、石井委員長と事務局の皆様、大変すばらしい基本方針案をお作りいただきまして誠にありがとうございます。
私は、2022年の4月に経団連の副議長、それに続いてこの自然保護協議会の会長を拝命したわけですけども、当時、経団連会員企業1,500社のうち、幹部会社であるトップ40社が集まる、色々な会合があるんですが、ここで生物多様性の話を力説しても、なかなか浸透しない、理解いただけない状況でした。評価できないものは、企業はやれないんだとか、あるいは目標が明確に設定できないではないかというような話で、随分私も議論を強烈に、この2年間やってきたんですが、おかげさまでGBFの採択ですとか、環境省さんの日本の生物多様性国家戦略ですとか、あと9月のTNFDの最終提言など、こういうものを経まして、今、非常に意識はものすごく高まっているんです。ただ、私がこの自然保護協議会の会長としての問題意識は、先ほど中静先生がおっしゃったことと同じで、経団連1,500社あるんですけども、TNFDのアーリーアダプターに手を挙げた企業、今もう100社を超えていまして、その国別に見ますと世界トップなんですね。ただ、経団連で1,500社あるんですよ。そのうちの百数十社というのが現実。あるいはさらに中小企業に至っては、まだまだこの生物多様性の取組というのは浸透していないというふうに正直思っています。この辺をこの促進法にも期待して、我々経団連としても、大企業の集まりと言われますけど、サプライチェーン全体を見ますと、中小企業も含めた大軍団なんですね。ですから、そういった観点で、これからも環境省の皆様やアカデミアの皆様と連携しながら、ぜひ日本のこの生物多様性というのをさらに促進できるように、微力ですが努力してまいりたいと思っております。
1年間本当にありがとうございました。
○石井小委員長 はい、どうもありがとうございました。
では続きまして、深町委員、お願いいたします。
○深町委員 はい、ありがとうございます。私自身も現場で色々な活動をする中で、こうした法律の枠組みができたというのは大変大きな励みになるような大きなステップだなというふうに思っております。一番私自身気になることということで言いますと、様々な課題はあると思うんですが、特に計画をどういうふうに作っていくかということかなというふうに思っています。計画をつくる。今回の文面の中にも150以上の計画という言葉が出てきているんですけれども、実はすごく本当に計画をつくるということは難しくて、生物多様性の活動することは比較的取組やすいんですけれども、それを計画としてしっかり位置づけていくということの作業を考えますと、生物多様性の現状を調べるだとか、データを取るだとかというふうなことはもちろんですけれども、では課題に対してどういうことをやっていったらいいかということを考えるときに、順応的に考えていくのかもしれませんが、同じ、例えばネットワークが分断しているだとか、色々な課題があったときに、本当にそれを解決して、生物多様性の保全に貢献していくようにする答えというのは、なかなか複合的、やはり色々な要素が絡んでいたりということで、自然の観点、社会的な観点、色々あって、大変難しくて、そういった簡単でいたりっていうことで自然の観点、社会的な観点色々あって大変難しくてそれ
そういったものをある程度踏まえながら計画をつくり、将来像を決めていくということの難しさですね。ですから、そういったことでいいますと、もちろん支援をしていくような枠組みも大事だと思うんですけれども、一つ一つの課題に対して、様々な解決方法があって、例えば、議論で出ていたネットワーク連結性とか、本当に大事なことだと思うんですけれども、琵琶湖と疎水と、ほかの庭との連結性があることによって、琵琶湖の種は、庭で生き残れたというのもあるのですけれども、一方で、外来種が入ってきて、それがつながっていたために、絶滅してしまったりだとかということもあったりして、非常にきめ細やかに、どういうことを前提としてやることによって、その生物多様性に貢献できるかという一見いいことに見えていても、実は何かが抜けていると、非常に逆に悪い方向に進んでしまうというようなこともあったりするので、そういった部分がそれぞれの活動している人たちに丁寧に、具体的に伝わるような、そういった人材育成だとか、いろんな支援の在り方というのを考えていただくということが、これから特に大事ではないかなというふうに私は思っております。一緒に取り組めるといいなと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。
○石井小委員長 はい、どうもありがとうございました。
次は山野委員なんですけれど、実はネット環境があまりよくないということなので、チャットのほうでコメントいただいております。私の方でまた読ませていただきます。
よい法案と基本方針を短期間に作成されたご努力に深謝いたします。今後、この基本方針に基づいて実装に向けた検討、そして実装が進むことを期待しています。
私も微力ながら貢献させていただければと考えております。今後ともどうかよろしくお願いいたします。ということでございます。
それでは続きまして、広田委員がご欠席ですので、浅野委員、お願いいたします。
○浅野委員 この小委員会は、自然再興の実現に向けたということですので、ネイチャーポジティブが一番重要なことなんだろうと思うんですけれども、やはりネイチャーポジティブに関しては、ゼロカーボンとかに比べたときに自治体でも、そしてまた、市民レベルでも、まだまだその認識というのは弱いのかなという気がしております。
小山市では昨年の10月にゼロカーボンシティとネイチャーポジティブ一緒の宣言をやりまして、この春にそのプラットフォームということで、市内五十数社の企業とともに、色々意見交換するようなものを作ったのですけれども、ゼロカーボンのことですと皆さん非常に活発に意見を言ってくれますが、ネイチャーポジティブというと、開発するのかしないのかレベルぐらいでしかなくて、基本的にはまだ開発したいという意向が強い企業が多いですし、自然を回復、創出するというレベルになってくると、そういうことをまず考えたこともないみたいな企業も非常に多いと思います。今回自然共生サイトで、回復創出については、準共生サイトにするのか、共生サイトに一本化するのかという議論がございましたけれども、やはりこのネイチャーポジティブの考え方を主流化していくためには、とにかく回復創出も含めて、自然共生サイトの数というのをかなりの程度増やしていく必要があるのだろうと思います。
どうしてもどこか先進的なところが引っ張る形にならざるを得ないのでしょうけれども、ある程度数が増えてきて、ほかの自治体でもこれだけやっているとか、うちもやらなければいけないとかと、そういうふうになって、初めて真剣に取り組むことを考えてくれるのかなという思いを持っています。
それを考えたときに、どうやって増やしていくのかということになりますが、やはり増やしやすいものとして、荒廃した里山とかを適切に管理すれば、生物多様性が回復向上するということは、これはほとんどのところで当てはまると思いますし、また農水省は、2050年に25%有機にするということですので、有機についても、生物多様性に配慮した農法というのもかなり意識してやられているところもありますから、有機と生物多様性を育む農業というものを組み合わせるような形で、里山とか、水田でも、十分共生サイトにする可能性というのはあるのではないかと思います。
ですから本当に環境省だけが取り組むのではなく、政府一体になって、ネイチャーポジティブを主流化するという観点の中で増進活動というのを進めていく必要があるのかなと思っています。
自治体としますと、そういうときにやはりお金の問題と、人材の問題があると思います。ですから当然今回色々交付金のことも検討されているということですので、そこら辺を厚くしていただくのと、やはり人材育成の面で特に地方自治体で生物多様性を扱う職員というのは、どこも戦力不足というところは間違いありませんので、そこら辺、力を入れていただけたらいいのかなというふうに思っております。ぜひ今後ともよろしくお願いいたします。
○石井小委員長 はい、どうもありがとうございました。農水、国交省の話も出たので、後でコメントをお願いできればと思いますので、ご用意をお願いします。
そうしたら、角谷委員お願いいたします。
○角谷委員 私も今回の議論加わらせていただいて大変光栄でした。ありがとうございました。
私のほうからは、今後、運用に当たって具体的な検討されていくということになると思いますけれども、ぜひモニタリングが大事という話が先ほどもありますけれども、生物多様性のモニタリングに関する取組というのは、かなり色々なところで、例えば環境省もそうですし、農水であれば、森林生態系財政基礎調査があったり、あと河川環境であれば、水辺の国勢調査があったりといった形で、すごい蓄積がされています。ぜひそういったところでの経験が共通化ができるような、やはり統合できるような仕組みを考えていっていただけるといいのかなと思っています。
例えばモニタリングサイト1000もそうですけれども、長年の調査の経験で、調査マニュアルが整備されてたりといったこともあります。なので、新しい改定で、47ページのほうにモニタリングデータが蓄積されていくことによって、認定された場所がモニタリングスポットとしての機能も有することが期待されるというようなことを加えていただきましたけど、まさにそういうことが実現すると非常にすばらしいなと思っています。こういうことができてくると、これまで関係者のほうで非常に尽力されてきた、例えば、自然環境保全基礎調査、結果がネイチャーポジティブに対するベースラインかどうかということを示すために重要なデータになってきますし、そういうところが組み合わさって、調和的にというか、統合的になっていくと、非常に日本全体の生物多様性の状態がよく分かって、それからそれを保全する。あるいは再生するような取組をどれぐらい効果的に走っているかということが常に分かるような、生物多様性モニタリンのインフラとよべるようなものができてくると思いますので、そういったところにつながるような具体的な検討をこれから進めていっていただけるといいなと思いました。
以上です。ありがとうございました。
○石井小委員長 はい、どうもありがとうございました。
では続きまして佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤委員 はい、佐藤です。皆さんありがとうございました。今回、本当に1年間、事務局の皆さんのご尽力はすばらしいものだったなと思います。意欲というお話があったところですが、私たちも事務局の皆さんの非常に大きな意欲に励まされて、色々と発言させていただき、またそれもきちんと受け止めていただいて取り入れていただいたということ、本当に感謝しております。ありがとうございます。
私からはそうですね。こういう活動をずっと続けてきて思うことなんですが、やはり
国民一人一人の意識が変わっていくということが、生物多様性向上を実現するには非常に重要だと思っております。
私も生き物は小さい頃から大好きだったわけですが、20代の頃、東京に来て、逆に都会である東京で生き物のすばらしさを教えてもらったんですね。東京の西のほうの田んぼや雑木林、里山地域なんですが、そこで民地を借りまして田んぼを耕したり、雑木林を手入れしたり、生き物の保全のためにさまざまな活動をしていました。そのときに非常に感じたのは、生き物を守ったり、また増やしていく活動は、たくさんの方々が参加してやっていかないと、なかなか結果が出ない。逆に言えばたくさんの方々が参加してくれれば、生態系も回復しますし、また同時に人と人とのつながりも回復していく。さらにそれがコミュニティとなり地域の活性化にもつながっていくという手応えを非常に感じていたんですね。
一方で、これは市民ボランティアの力だけではできないと痛感したところでの延長線上に今の活動がありまして、緑の中間支援組織というのを作ってきたという思いがあります。そのような国民1人1人の意識変容というのがすごく重要なのですが、海外に目を向けますと、欧米などでは意識は随分違うということを毎回海外に行くたびに感じています。それは何の違いかというと、やはり教育の違いだと思います。身近な公園や緑地の中で、環境教育、環境学習というのが日常的に行われていますし、レンジャーという役職の環境教育の専門のスタッフが活躍しています。日本ですとそのような仕事はまだまだ少ないのですが、海外ではそれが日常的にあり、アメリカでは子どもたちの人気No.1の職業がレンジャーであるということを聞いたこともあります。お父さんも、お母さんもレンジャーに教えてもらったんだよとか、そんな活動していたよというような積み重ねが、やはりその環境意識を生み出しているのだと感じます。
翻って日本でも、そういった活動が起こりつつありますが、まだまだ足りない状況です今回の委員会では人材育成や普及啓発という項目もきちんと入れていただきましたし、また公園緑地の活用についても触れていただいたと思います。まさに身近な公園緑地等は、様々な人たちが環境問題に気づいたり、学んだり、行動していく、そういう礎になる拠点であると思います。
生物多様性向上と一口で言っても、すごく地道な活動をコツコツ続けていかないと実現できないことでもあり、一方で、それが逆に地域の活性化やサステナビリティにつながっていくということですから、何かそういった面もこの法案を通して、各自治体、そして国民1人1人に届けられるようなアクションにつなげていけるのではないかという、そういう手応えも今回非常に感じております。
最後になりますけど、教育機関ということでは、今、学校教育もすごく忙しくて、学校の先生にこれ以上プラスのことを言うのはなかなか難しいこともありますが、一方で、ほかの部局や公園緑地側から学校と連携するなど、できることはたくさんあると思います。もう一つは、自然史博物館などとの連携も非常に重要だと思います。行政の中で部局が違うと、なかなか連携が難しい面がありますが、生物多様性向上というところでは分野や部局を超えた連携が非常に必要ですので、そういったムーブメントをこの法案を通して作っていけたら良いと思っております。
以上になります。ありがとうございました。
○石井小委員長 はい、どうもありがとうございました。
では続いて、一ノ瀬委員がもう退席されていますので、土屋委員、お願いいたします。
○土屋委員 はい、土屋です。
もうほかの委員の方も言われていることですが、まずは事務局の皆さんの頑張りに改めて感謝したいと思います。
私、この小委員会の前にも検討会というところから参加しているのですが、調べてみたら、検討会の開始は2020年末なんですよね。実はその頃の自分を考えてみたら、こういう形でちゃんと法律ができて、自然共生サイトがこれだけ登録されるという近未来を全く想像していなかったです。多分これは、環境省がアドバルーンは上げてくれるけど、途中でポシャるだろうなという実は本当に失礼ながら思ったところです。それがこういう形で、3省共管の形でできたというのは、これは本当に頑張りがなければ、これは委員の皆さんの頑張りも含めてなのですけれども、なければできなかったことだと思います。
前回のこの小委員会のときに、もう今日退席されていますけど、植田局長が悲願だったという言い方をされていて、これからいかに魂を入れるかが鍵だということをおっしゃっていました。言質を取るわけではないですけれど、魂はまだ完全に入っていないと思いますので、ぜひ環境省さんには引き続き、多分担う方はどんどん変わっていくんだと思いますけれども、相当に息の長い取組になると思うので、特に地域と一緒に、地域の皆さんと一緒に進めていくためには、佐藤委員が言われたように、本当に努力が必要だと思いますので、よろしくお願いします。ただし、あまり関係者だけが頑張ってもしようがないので、先ほど浅野さんが言われたことですけども、やはり農地、それから森林のところの生物多様性をどう上げていくのか。これはもうまさに経済活動、生産活動に関わるわけですけれども、それが国全体の生物多様性の向上にはやはり必須だと思っています。これは特にヨーロッパではかなり進んでいるわけですが、何とか日本でもやっていく必要があるわけで、農林水産省にも頑張っていただくと同時に、それに関連した我々も、色々な意味で協力しながらやっていく必要があると思っています。
それから今回NGOの協力ということで、かなり意見を述べさせていただきましたが、私の関わっている自然保護NGOでも、自然共生サイトと非常に関係した部分の活動をしているのですが、やはりこれも、地域で、自治体の方と、それから企業の方とそれから住民の方を、ちゃんとマッチングさせるというのは相当の努力が必要だな、そう簡単にはいかないなと感じています。私どものNGOですと、職員のかなりの部分の人間が関わって頑張っているのですけれども、それこそ色々な関係者が連携しながらやっていかないと、とてもじゃないけど、できない仕事だと思っています。つまりこれは、それこそ言ってしまえば戦後すぐにあったような国土緑化運動、あの頃は本当にはげ山をどうするかが、国民運動になったわけですけども、今は、色々問題がある自然をどうするかということを、国民運動的にやっていかないと駄目なのではないかなと改めて思っているところです。
以上です。本当にどうもありがとうございました。
○石井小委員長 はい、どうもありがとうございました。大下委員もご退席されています。それから森田委員はご欠席ということで、最後に私の意見ですけれど、私は2010年のCOP10の少し前に、里地里山の保全活用行動計画を策定する検討会の委員を務めていました。3年ぐらい議論して、里地里山保全を国民的な運動にするという内容の報告書を作成するとともに重要里地里山500を選定しました。
それと並行する形で重要湿地500も選定されていますけれどもそれ以上は進みませんでした。このOECMに係る一連の検討会・小委員会では、最初は何だか分からない状態から始まり、土屋委員が言われたように、自然共生サイトの制度として実現し、実際多くの国民からの期待もあって、環境省の制度では184サイトが認定されました。この制度が今回の検討を経て法制化され、来年度からは国の制度となったというのは本当にすばらしいことだと思っています。第一ラウンドは、昨年の10月に始まって、法制度の制定に向けた答申案のご検討をいただきました。これはたった3か月、3回で策定できまして、増進法案は国会で今春に可決し、今回は7月から9月にかけて、これも僅か3か月で基本方針案が完成しました。驚異的な速さなんですけれど、委員の皆さんのご意見にもありましたように、これは環境省事務局に本当に熱意のある対応をしていただいたことによると思います。それからもう一つはやはり、この小委員会での委員の皆さんの活発なご発言とご議論も大きかったと思います。そしてパブコメでも期待感が述べられているように、国民の期待も後押ししているのではないかという気がします。
それで今日の午前ですけれども、土屋委員も言われていましたが、モニタリングサイト1000が開始から20年経過し、4期目が終わったので、里地調査の記者発表がありました。私も里地部門の検討会委員として少しコメントしました。端的に言うと、私はレッドリスト作りにも関わっていますけれども、日本の絶滅危惧種の陸生種の大半は、里地里山に生息していて、その多くは、日本固有種か、日本固有亜種、あるいは東アジアの日本海を取り巻く地域だけに分布する温帯地域の生物です。私はこれを日本的な生物と呼んでいるんですけれども、里地里山の自然を保全しないと、日本的な生物がいなくなってしまうという危機に今直面しているんです。これを救う手段として、私は自然共生サイトに期待しています。そういう意味で増進法による自然共生サイトの法制化はよかったと思っています。
今日の会議ですけれども、委員の皆さんの発言内容はこんな感じだったと思います。よくここまでやってきたけれど、これがスタート。運用、社会実装、見える化、評価、モニタリングなど様々な対応課題があります。私からも、もう一つ海がまだ残っていますので、海域の自然共生サイトの拡大のほうもよろしくお願いしたいと思います。ここからまた第三ラウンドがスタートするということで、事務局の皆さんには引き続きよろしくお願いします。
委員の皆さんの本当に活発なご意見、ご議論に感謝申し上げたいと思います。
それではそうですね。農水省の方からも少しコメントいただけますか。
○農林水産省 はい、ありがとうございます。農林水産省みどりの食料システム戦略グループの古林と申します。
本日ご議論の中でも農林漁業に関するご意見をいただきまして大変ありがとうございます。またこれまでの委員会の中でも、温かくも厳しくも農林漁業への期待といったことをご意見いただいたと思っておりまして、大変気が引き締まる思いといいますか、しっかりやっていきたいと感じた次第です。
農林漁業は、本当に生物多様性に非常に密接に関わっておりまして、生物多様性国家戦略とも連動させつつ、私ども農水省独自の戦略を作ってきております。今はまさにみどりの食料システム戦略や改正した食料農業農村基本法に基づきまして、食料システム全体を持続可能に持っていくように努めているところです。ただ、とはいえ、浅野市長も言及くださったように、2030年の目標、有機農業の面積を例えば25%とか、農薬・肥料の低減を図るといったことで進めているんですけれども、まだまだ道半ばの中で、今回の法律も一緒にさせていただいて、農林漁業の場所を、きちんと生物多様性を守っていく場所にしていくということが必要と思っております。
また連携についても、今回の3省の共管ということで、一緒に検討させていただいているんですけども、それをきちんと地域のレベルでもしっかりと各部署が連携を取れるようにというふうに進めてまいりたいと思っております。まだ、これがスタートということなので、引き続きよろしくお願いいたします。
○石井小委員長 はい、どうもありがとうございました。
では国交省のご意見を伺いたいと思います。
○国土交通省 国土交通省総合政策局環境政策課の高森と申します。
本日基本方針のご議論ありがとうございました。国土交通省におきましては、都市域、それから沿岸域、河川、道路、様々なフィールドを所管しております。今回、環境省さんで行っています自然共生サイト、こちらは環境大臣の認定だと思いますけれども、こちらは今回生物多様性増進活動促進法ということで、3省共管という形になりまして国交省としても大臣として責任を持って認定するという枠組みになりましたので、まずはその省内の関係する各局、それから環境省さん、農水省さんと連携しながら、ネイチャーポジティブ実現に向けて、しっかりとした認定をしていきたいというふうに思っています。
一方で、国土交通省はインフラ整備を所管しておりますので、公物管理者としての側面もございます。今回の基本方針のほうにも記載がございますけれども、社会資本整備との調和という点につきまして、ここはしっかり国交省としても見ていく必要があるのかなというふうに思ってます。
実際、その運用に当たっては、現場の地方整備局がその社会資本整備の調和、公物管理者としての観点で、実際申請する方とやり取りするという形になりますので、今後基本方針、それから取扱要領、ガイドライン等ができた際には、環境省さんとも連携しながら、しっかり現場に対してどういった運用すればいいのかというところを周知して、行っていきたいなというふうに思ってます。
それからそのインフラの整備というところで言いますと、我々、グリーンインフラというのも所掌しておりまして、要はそのインフラ自体のグリーン化や、ネイチャーをどう取り入れていくかというところも、一つ課題になっています。
今日議論でもありましたけれども、生物多様性の評価ですとか、そういうところの見える化に関しましては、グリーンインフラも共通として課題になっていますので、その辺りも、引き続き環境省さんとも連携しながら、そのインフラの整備でもグリーン・ネイチャーを取り入れるように進めていければというふうに考えております。本日ありがとうございました。
○石井小委員長 はい、どうもありがとうございました。突然振ってしまいまして申し訳ありません。
そうしましたら、番匠課長、何かございますでしょうか。
○番匠自然環境計画課長 はい、委員の皆様ありがとうございます。非常に色々な、ある意味エールをいただいたのかなというふうに思っております。
こういう形で色々と進んできたわけですけど、先ほど土屋先生からもお話がありましたが、我々もここまで盛り上がるとは想定していなかったですし、もっともっとと思いながらやっておりましたけど、もっともっとが、こういう形でうまく結実したのかなと思っているんですけど、ここ最近でいうと、ちょっと想定を超えて関心が高まってきたなというふうに思っています。
実際に、ちょうど今、令和6年の後期の自然共生サイトの申請受付けという段階にありますけど、ちょっと我々が事務的に処理できないぐらい問合せ申請をいただいておりまして、これはすごいことになっているなというのが、本当に実感というところです。本当にここまで来れたことを非常に感謝したいと思います。
こういうことをスピード感を持ってできたということもあって、各国からも日本はどういうふうにやっているのかという問合せが、このところ急に増えてきています。特にアジアは、こちらから出かけていって説明したこともあり、日本を見てみたいという声もいただき、そういう形でやはりこの日本で自然共生サイト、日本型のOECMみたいなものを世界に普及していくというか、打ち込んでいくというのも非常に大事なことだと思っております。
今日も色々なお話をいただきましたので、一つ一つお返しすると長くなるので言いませんけど、やらなければいけないことも多く、実はやりたいことも多くて、あれもこれもやらなければいけないなと思っています。
一方で、先ほども話しましたけど、環境省の外もそうだと思うんですが、環境省自体も、例えば脱炭素等と比べると、人員も少なくて、予算も少なくて、そういう中で、やりたいことたくさんあるんだけど、全部やるわけにはいかないという非常に苦しい思いの中でやっている部分もございます。
当然ながら、優先順位なんかもつけながら、もう我々のできることをしっかりとやっていきたいと思います。我々環境省だけでできることは非常に限られているので、皆様、企業の方、NPOの方、学識者の方、自治体の方、様々な方のご支援とご協力をいただければと思っております。引き続きスタートだという話もあり、これから頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いします。
○石井小委員長 はい、どうもありがとうございました。
以上でここのセッションを終わりということで。
そうしましたら最後の議事はその他ですけれど、事務局から何かございますでしょうか。特にないですか。
はい、それでは特にないようですので、全ての議事がこれで終了ということで、進行を事務局にお返しいたします。
○司会 石井委員長、議事進行ありがとうございました。委員の皆様におかれましても、長時間にわたりご審議をいただきましてありがとうございました。
最後に、大臣官房審議官、飯田よりご挨拶申し上げます。
○飯田大臣官房審議官 はい、大臣官房審議官の飯田でございます。
今日が最後ということでありまして、1年間5回にわたりまして非常にインテンシブにご議論いただきました。石井委員長をはじめ、委員の皆様に対して改めて御礼申し上げたいと思います。
冒頭、局長が申し上げましたとおり、皆さんに作っていただいた答申をもとに、おかげさまで国会での法律の成立を見ることができましたし、私が参加させていた7月以降も、法律の運用の曲面を見据えまして、色々な立場から非常にきめ細かい貴重なご意見いただきまして大変ありがとうございました。我々としても、やはりその法律が、民間のその取組をさらに後押しするためには、両者の歯車がかみ合っていかないといけないという意味で、運用体制は非常に精緻に作り込まなければいけないという、そういった課題を改めて認識したところでありまして、非常に気が引き締まる思いであります。
今回ご議論いただきました基本方針をベースに、色々な関連の制度がございます。ガイドラインでありますとか、支援証明書の制度でありますとか、あるいは見える化の取組、そういったものをしっかり整備していって、今後の施行に万全を期してまいりたいと思いますし、本日は農水省、国交省からも出席いただいていますけれども、霞が関の中で一枚岩で、しっかりやっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
それでは今日が最後ということでございますけれども、今後とも自然再興の分野で、環境省の取組にご支援、ご理解ご指導を賜りたいと思いますので、ぜひ委員の皆様におかれましてはよろしくお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。
○司会 自然再興の実現に向けた民間等の活動促進に関する小委員会は今回が最終回となります。
これまで5回にわたりご参加いただきありがとうございました。
以上をもちまして本日の小委員会を終了いたします。本日はありがとうございました。