中央環境審議会自然環境部会温泉小委員会(第20回) 議事録
午後1時30分開会
【五反田温泉地保護利用推進室室長補佐】
定刻となりましたので、ただいまより「中央環境審議会自然環境部会温泉小委員会(第20回)」を開会いたします。
私は、環境省自然環境局温泉地保護利用推進室の五反田と申します。よろしくお願いいたします。
本日は、お忙しい中、本審議会に御出席いただき、誠にありがとうございます。
会議に先立ちまして、本日の出席委員数を御報告いたします。本日は、12名中11名の御出席を予定しているところでございます。まだ鈴木秀和委員が会場にはお越しになっていない状況ですが、10名の委員の方々に御出席いただいていることを御報告申し上げます。
本日の議事運営につきまして御説明させていただきます。本日の会議は公開で行われており、傍聴につきましては、会場での傍聴ではなく、傍聴用のウェブ会議システムを用意して傍聴できるようにしておりますので、御承知おき願います。
本日説明する資料につきましては、会場にお集まりの委員の方々におきましてはお手元の資料を御参照いただき、リモート参加の委員に対しては事前にメールにて送付させていただいております。会議資料につきましては公開となります。
また、会議録につきましては、後ほど事務局で作成し、本日御出席の委員の御了承をいただいた上で公開することとなります。
なお、リモート参加の委員におかれましては、差し支えない範囲で結構ですので、常時ビデオのボタンをオンにしていただき、お顔が見られる状態にしておいていただけると幸いです。また、議事中、マイク機能は委員長及び発言者以外はミュートに設定いただきますようお願い申し上げます。
御発言の際は、挙手アイコンをクリックしてお知らせ願います。委員長から御指名を受け、マイクのミュートを解除してから御発言いただきますようお願い申し上げます。御発言後は、挙手アイコンを忘れずにクリックいただき、手を下げていただきますよう御協力をお願いいたします。
ここで、中央環境審議会議事運営規則第8条第3項に基づき、武内自然環境部会長の御指名により、本小委員会の委員長に滝沢英夫委員に御就任いただくこととなりました。
また、委員の更新に伴い、本日より新たに6名の委員の先生に小委員会の審議に参画いただくこととなっておりますので、小委員会の構成について、お手元に配付させていただいております委員名簿に沿って御紹介させていただきます。
国立研究開発法人産業技術総合研究所福島再生可能エネルギー研究所再生可能エネルギー研究センター、副研究センター長の浅沼宏委員。
温泉ビューティ研究家の石井宏子委員。
東洋大学国際観光学部国際観光学科准教授、内田彩委員。
有限会社オズ代表取締役の江﨑貴久委員。
法政大学法科大学院法務研究科教授の交告尚史委員。
一般社団法人日本温泉協会副会長の佐藤好億委員。
全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会常任理事の鈴木治彦委員。
駒澤大学文学部地理学科教授の鈴木秀和委員。
公益財団法人中央温泉研究所研究部長の滝沢英夫委員長。
大分県生活環境部自然保護推進室長の浜田みほ委員。
京都大学大学院地球環境学堂准教授の深町加津枝委員。
独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構特命参与の安川香澄委員。
なお、浜田委員につきましては、御都合により欠席と連絡をいただいております。
引き続き、環境省の幹部を御紹介させていただきます。
自然環境局長の植田です。
自然環境整備課長の中原です。
温泉地保護利用推進室長の坂口です。
それでは、議事に先立ちまして、自然環境局長の植田より御挨拶を申し上げます。
【植田自然環境局長】
改めまして、環境省自然環境局長の植田でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。7月から自然環境局長を拝命しております。
最近は特に自然環境局の中の行政も大変幅広くなってきておりまして、国際的にもネイチャーポジティブで30by30ということも関心を高めておりますし、当然ながら国立公園の観光立国の話もありますし、施設整備の話もまた関心が高まっております。野生生物分野でも、外来種問題から希少種問題、そして、動物の関係では動物愛護の問題も大変関心が高まっておりますけれども、まさに温泉の分野も、大変歴史も長く、関心も高いという形で続いてきている分野だと認識しております。特に最近は多方面での開発との調整も含めて、いろいろなところで話題に出ている分野だと思っております。
そんな分野の自然環境部会の温泉小委員会ということで、委員の皆様方には日頃よりお世話になっております。今後ともよろしくお願い申し上げたいと思っております。特に、前回の開催から少し空いてしまいまして、1年半ぶりになりますけれども、新たに小委員会に御参画をいただきます6名の委員の先生方におかれましては、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。
本日は、2つの議題ということで準備をさせていただいていると承知をしております。1つ目は報告で、特に近年の温泉行政の状況について、久々の開催でもありますので、御報告をして情報共有させていただきたいと思っております。特にインバウンド関係ではコロナ禍の前に戻ったと言われておりますし、温泉開発の動きも進展していると認識しておりますので、それらに対する資源保護の観点から現状についてまずは認識するということでお願いをしたいと思っております。
2つ目は、それにも関係いたしますけれども、お配りをしております「温泉資源の保護に関するガイドライン」は5年に1度の改訂でございますので、今回改訂の時期になってきております。これにつきまして、スケジュール等々につきまして御意見をいただければと思っております。
時間が限られておりますけれども、忌憚のない御意見をいただければと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【五反田温泉地保護利用推進室室長補佐】
次に、配付資料について確認させていただきます。
本日は、議事次第に加え、資料1~5、参考資料1~8を配付もしくは事前にデータで送付させていただいております。過不足等がございましたら、事務局に申しつけ願えればと存じます。
ここからの議事進行につきましては、滝沢委員長にお願いしたいと思います。
滝沢委員長、よろしくお願いいたします。
【滝沢小委員長】
皆さん、こんにちは。自然環境部会長より委員長を仰せつかりました滝沢と申します。
先ほど局長からもお話があったとおり、当委員会では多岐にわたる分野に関する専門的な議論が行われると考えております。本日は、参加されている委員の皆様には忌憚のない御意見をいただきまして実りある委員会としたいと思いますので、どうぞくれぐれもよろしくお願いいたします。
それでは、早速、議事次第に従い進めさせていただきます。
今回の議事としては、議事次第の議題(1)が報告事項として「近年の温泉行政を巡る動きについて」、議題(2)が「『温泉資源の保護に関するガイドライン』の改訂について」、議題(3)が「その他」となっております。
それでは、議題(1)について事務局から説明をいただきまして、議題(1)についての御質問、御意見を伺い、その後、議題(2)について事務局から再度説明いただきまして、議題(2)について御質問、御意見を伺うこととさせていただきます。
では、早速ですが、議題(1)について事務局より説明をよろしくお願いいたします。
【五反田温泉地保護利用推進室室長補佐】
最近の温泉行政をめぐる動きについて御説明させていただく前に、まずは改めて温泉法について御説明をさせていただきます。資料2を御覧ください。
温泉法は、昭和22年、1947年12月から開かれました日本国憲法下における通常国会としては最初である第2回通常国会において成立した法律となります。この法律の目的は、「温泉を保護し、温泉の採取等に伴い発生する可燃性天然ガスによる災害を防止し、及び温泉の利用の適正を図り、もって公共の福祉の増進に寄与すること」と規定されております。また、温泉とは、「地中から湧出する温水、鉱水及び水蒸気その他ガスで、別表に掲げる温度又は物質を有するもの」と定義をされてございます。
温泉法は、43条の条文と別表で構成されておりますが、大きく3つの柱で構成されているところでございます。1つ目の柱は、温泉の保護です。温泉の掘削・増掘、動力ポンプを設置する場合は、都道府県知事の許可を得る必要がございます。また、都道府県知事は、温泉資源を保護するために必要と認めるときは温泉の採取制限を命ずることができることや、温泉を湧出させる目的以外の目的で土地が掘削されたことにより、温泉の湧出量、温度、または成分に著しい影響が及ぶ場合において、掘削をした者に対してその影響を防止するための必要な措置を命ずることができるなど、温泉資源の保護の措置について規定しております。
2つ目の柱は、温泉の採取に伴う災害の防止です。平成19年、2007年6月に東京都渋谷区の温泉施設で可燃性天然ガスによる爆発事故が発生したことを契機に、可燃性天然ガスの安全対策について法的な義務づけを行うこととなりました。温泉から温泉を汲み上げようとする者は、温泉に含まれるメタンが基準値を超えている場合は、可燃性天然ガスの安全対策を実施した上で都道府県知事の許可を受けることになります。また、温泉に含まれるメタンが基準値以下である場合は、災害防止措置を必要としないものとして都道府県知事の確認を受けることになります。
3つ目の柱は、温泉の利用です。温泉を公共の浴用または飲用に供しようとする場合は、都道府県知事または保健所設置市長の許可が必要となります。温泉は、様々な成分を含有しており、中には人体に有害なものも皆無ではなく、また、用法によっては人体に害を与えるものも少なくない。そのため、都道府県知事等の許可にかからしめ、温泉の適正な利用というものを確保しております。また、温泉を公共の浴用または飲用に供しようとする者は、10年以内ごとに温泉成分分析を受け、その結果を掲示する必要があります。さらに、温泉の利用方法が適正を欠くときは有害な結果を招く場合もあるため、禁忌症及び入浴または飲用上の注意等を掲示するようにしております。さらに、国民の保健休養に重要な役割を果たす温泉地として、環境大臣が指定する制度もございます。
2ページを御覧ください。
先ほど申し上げました3つの柱による温泉法の主な条文を目次で示しております。後ほど議事(2)で御説明させていただきます「温泉資源の保護に関するガイドライン」において関係している条文については赤で表示をさせていただいております。第3条の土地の掘削の許可であるとか、第4条の許可の基準、11条、12条、14条辺りが「温泉資源の保護に関するガイドライン」において関係しているところとなってございます。
3ページを御覧ください。
先ほど温泉法第2条において、別表に掲げる温度または物質を有するものが温泉であると申し上げた別表がこちらになります。温度は摂氏25度以上、また、記載のある物質が一定量以上含有されていることが必要となります。
4ページを御覧ください。
温泉の中で特に治療の目的に供し得るものを療養泉と定義しております。温度は摂氏25度以上または物質が一定量以上含有されていると療養泉に該当し、泉質名をつけて分類することとなります。
5ページを御覧ください。
温泉法を運用するに当たり、ガイドラインや基準、マニュアル、指針等を環境省のほうで作成し、都道府県の事務に役立てていただきたいといったものをまとめてございます。こちらに「温泉資源の保護に関するガイドライン」というものが挙がってございます。
続きまして、資料3をお願いいたします。
こちらは、平成16年の第1回の温泉小委員会からこれまでの検討事項と主なアウトプットをまとめた表になります。平成16年7月以降、一部の温泉地において表示なく温泉に入浴剤を添加するなど、温泉をめぐる問題が発生いたしました。同年10月、中央環境審議会自然環境部会に温泉小委員会が設置され、3回にわたり温泉小委員会における審議が行われました。第3回において、「温泉事業者による表示の在り方等について」という答申をいただいたことを受け、温泉法施行規則を改正し、掲示項目として、加水、加温、循環ろ過、入浴剤添加等を追加いたしました。
また、「温泉事業者による表示の在り方等について」の答申には、中長期的課題として、温泉資源の保護対策、温泉成分の有効期間の設定、温泉を核としたまちづくりなどについて取り組むことが求められました。そのため、平成18年に「温泉行政の諸課題に関する懇談会」を設置し、検討を重ねていただきました。
平成18年10月には、検討会の報告として、「温泉行政に関する主な課題と対応の在り方」ということで、掘削許可等の基準の明確化、データや科学的知見の一層の充実等、さらなる進化が求められている状況にあること、温泉資源の保護のための仕組みについて見直しを行う必要がある、などの提言を取りまとめていただきました。
環境省として具体的にどのような施策を展開していくべきかということで、環境大臣より、温泉資源の保護対策及び温泉の成分に係る情報提供の在り方等について諮問をさせていただき、第4回の温泉小委以降、御議論をいただきました。
第7回において、温泉資源の保護対策及び温泉の成分に係る情報提供の在り方等について報告書をまとめていただき、答申では、「都道府県が温泉保護のための条例・要綱等を定めるに当たっての参考となり、対策を円滑に進めることができるよう、新規事業者による掘削や動力装置の許可等の基準の内容や、都道府県における温泉資源の保護のために望ましい仕組みについて、温泉は国民共有の資源であるという観点に立ってできるだけ具体的・科学的なガイドラインを作成すべきである」と環境大臣に対する答申をいただきました。こちらを受け、後ほど御説明させていただきます「温泉資源の保護に関するガイドライン」を作成することとなりました。
また、温泉成分の定期的な分析と分析結果の掲示を義務づけるべきとの答申を受け、それらの内容を踏まえた温泉法の一部を改正する法律案を平成19年に提出し、同年7月に公布されております。
また、平成19年6月に発生した温泉利用施設における可燃性天然ガスによる事故を受け、温泉掘削・採取に伴う可燃性天然ガスによる災害の防止のための必要な措置が検討されました。それらの検討内容を受けた改正温泉法が11月に公布され、温泉の掘削及び採取において遵守すべき技術上の基準を定め、また、温泉の採取を許可制とすることとなりました。
第10回では、先ほど申し上げました「温泉資源の保護対策及び温泉成分に係る情報提供の在り方等について」の答申を受け、「温泉資源の保護に関するガイドライン」の策定に向けた検討会が行われました。
第11回では、温泉の公共的利用推進のため、温泉利用の効果が十分期待され、かつ、健全な保養地として活用される温泉地として、温泉法第29条に基づき、環境大臣が指定する国民保養温泉地について、指定するに当たっての選定要件、資料では選定標準としておりますが、その選定要件について御議論いただきました。
平成23年から24年にかけては、政府の規制制度改革に係る対処方針を受け、「温泉資源の保護に関するガイドライン(地熱発電関係)」を策定するために御議論いただきました。
第14回では、平成21年に策定した「温泉資源の保護に関するガイドライン」について5年ごとに総点検、必要な見直しを行うこととしていることから、改訂について検討いただきました。また、温泉成分の分析手法が記載されている「鉱泉分析法指針」について、新たな分析方法等の技術的な進展へ対応するための実証試験等による検証に基づいた分析方法の追加や従前の分析方法の修正等を行うために御議論をいただきました。
第15回では、温泉利用施設における硫化水素中毒による死亡事故等を受けた必要な措置について御議論をいただきました。
第17回からは、地熱発電関係の「温泉資源の保護に関するガイドライン」の改訂に向け、温泉掘削許可に係る離隔距離規制、本数制限等について、考え方の整理・提示について御議論いただきました。
この資料の最後になりますが、5ページ目の最下部に、この温泉小委員会において今後取り扱っていただく検討事項を記載しております。今後は、「温泉資源の保護に関するガイドライン」が5年ごとの改訂としておりますので、次回の改訂は令和7年で、今回御検討いただきたいというところでございます。あと、「鉱泉分析法指針」は令和8年度改訂予定となります。「温泉資源の保護に関するガイドライン(地熱発電関係)」については5年ごとの改訂としており、次回の改訂は令和9年を予定しているといったところなどが現時点で考えているところでございます。
続きまして、資料4をお願いいたします。近年の温泉の利用状況についてです。
3ページを御覧ください。
環境省では、全国の源泉数や湧出量、温泉利用施設の宿泊者数、宿泊施設数等について、毎年、都道府県の皆様の御協力を得て全国的な状況をまとめております。
源泉数につきましては、令和4年度末の合計値では2万7,932本となっております。ピークは平成18年の2万8,154本、近年では極端な増減傾向は見てとれない状況かと思います。
4ページを御覧ください。
湧出量について、令和4年度末の合計値では251万5,272リットル/分となっております。ピークは平成19年の279万9,418リットル/分となり、こちらも近年では極端な増減傾向は見てとれない状況となっております。
5ページを御覧ください。
左が温泉利用施設における宿泊者数、右が温泉利用宿泊施設・公衆浴場数になります。温泉利用宿泊者数については、平成4年度末にピークを迎え、近年では新型コロナウイルス感染症との関係で大きな落ち込みがありましたが、コロナ前の水準に戻りつつあります。温泉利用宿泊施設数については、平成7年をピークに減少傾向となり、近年は横ばいで推移しております。公衆浴場数については、令和元年をピークに同水準で推移しているところでございます。
続いて、近年の掘削許可申請数等についてになります。こちらも毎年、都道府県の御担当者様の御協力をいただき、温泉法における掘削、増掘、動力装置、採取許可、濃度確認申請等の件数について状況をまとめてございます。
7ページを御覧ください。
平成14年以降の新規掘削許可申請と許可件数の推移になります。青が申請数、赤が許可件数となっており、申請を上回る許可件数となっている年もございますが、例えば継続審査によって年度をまたいで許可されたケースなどがありますので、申請を上回る許可となっている年がございます。平成16年頃には624件だったところが、令和4年度では152件といった状況にございます。
8ページを御覧ください。
こちらは増掘許可申請の推移になります。平成18年には37件だったところが、令和4年度では14件という状況です。
9ページを御覧ください。
こちらは動力装置の申請の推移になります。平成16年頃に483件だったところが、令和4年度では106件という状況になります。平成16年頃がピークという状況は掘削許可のピークと類似しており、推移についても類似した動きを見せているところでございます。
11ページを御覧ください。
可燃性天然ガスについても、温泉法の施行状況等を毎年調査しており、可燃性天然ガスの対策が適切に講じられているか、許可申請などの状況を追っております。都道府県の御担当者の御尽力により、法に基づく報告徴収や立入検査、行政指導等が行われてございます。
12ページを御覧ください。
法第14条2第1項の採取許可に関する違反事例についても7件ございます。例えば、濃度確認申請で済んでいた源泉の可燃性天然ガスの濃度が基準値を超える状況に変化し、技術上の基準を満たす安全対策が行われてはいるものの、手続として採取許可の申請が行われていないといった事例もこちらに含まれてございます。都道府県の御担当者により適切な状況となるよう行政指導がされているところではございますが、引き続き適切な行政指導等をお願いしたいと考えているところでございます。
14ページを御覧ください。
硫化水素の事故の事例についても毎年調査をしております。令和5年度において、重篤症状となった事案が2件ございました。一番下の長野県の野天風呂での事案については、温泉愛好家によって源泉付近に源泉所有者に無断で設置された野天風呂に入浴しようとした観光客が野天風呂の接近時に意識不明となり、その後、意識が回復し、自力で病院を受診し、医師から硫化水素中毒が疑われたとの申出があった事案がございました。
16ページを御覧ください。
政府全体で取り組んでおりますデジタル社会の実現に向けた取組に関し、温泉法関係でデジタル技術の活用の可能性について検討した動きになります。政府では、「デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン」及び「デジタル社会の実現に向けた重点計画」において、デジタル技術の活用により、代表的なアナログ規制(目視規制、定期検査・点検規制、書面掲示規制等)に関する横断的な見直しを求めることとなりました。
これを受け、環境省は令和4年度から、デジタル技術の活用の可能性について基礎調査を行い、令和5年度において、有識者による検討や追加調査等を実施の上、温泉法の運用に関するデジタル技術の活用の方策に係る基礎資料をまとめ、令和6年6月に都道府県にデジタル技術活用の方策に係る通知を発出しております。
例えば、掘削に伴う可燃性天然ガスによる災害の防止に関する基準を設けており、温泉法施行規則第1条の2第7号ロにおいて、可燃性天然ガス噴出の兆候の有無を目視により点検することを求めております。それらの目視点検などにデジタル技術が活用できないか、検討を行いました。
掘削においては、石油・天然ガス井の掘削において活用されておりますマッドロギングシステムと言われるシステムを活用することで、早期かつ客観的・自動的に噴出兆候を確認できることなど、安全性の向上が期待できるといったことを取りまとめてございます。
ほかにも、可燃性天然ガスの噴出兆候の有無を目視により点検することや、ガス分離設備の内部の水位計及び可燃性天然ガス発生設備の異常の有無を目視により点検することを求めており、これに関しては検知器による常時監視や遠隔操作を導入することで、異常の早期発見や、ガス分離設備内部は酸欠であったり、有毒ガスが充満している可能性もございますので、目視点検する方の作業の安全性なども確保できるといったことを取りまとめてございます。
その他、温泉の成分等の掲示、登録分析機関の標識、登録分析機関登録簿の閲覧といった項目につきましては、インターネット等により公表することを基本とするといった考え方をまとめ、都道府県に通知を発出しております。
18ページを御覧ください。
温泉法第29条に基づき、温泉の公共的利用増進のため、国民の保健休養に重要な役割を果たす温泉地として環境大臣が指定する国民保養温泉地がございます。昭和29年に、酸ヶ湯、四万、奥日光湯元が指定され、現在では79の温泉地が指定されてございます。
指定されるための要件として選定基準を左のように定めており、近年の指定は、令和4年に山形県の由良温泉、熊本県の湯の児・湯の鶴温泉が指定されているといった状況にございます。
19ページを御覧ください。
現在指定されております79の国民保養温泉地の一覧がこちらに掲載されてございます。
21ページを御覧ください。
環境省が取り組む温泉地活性化に向けた取組の御紹介になります。温泉は、国民共有の資源であり、温泉地の核となり、将来世代へ引き継ぐものである。日本は温泉や温泉地が持つ力を十分に活用できていないのではないかといった問題意識の下、温泉地の役割を見直す取組を「新・湯治」という旗印の下、進めております。
新・湯治では、温泉の入浴に加え、周辺の自然、歴史・文化、食などを生かした多様なプログラムを楽しみ、地域の人や他の訪問者と触れ合い、心身ともに元気になること、年代、国籍を問わず楽しめることを目指した温泉地づくりやプログラムの提供に取り組むこととしております。また、温泉地全体の療養効果等を科学的に把握するための取組も進めております。
25ページを御覧ください。
温泉地の協力を得て温泉地全体で得られる療養効果についてアンケート調査を実施し、3か年度分の調査結果を取りまとめてございます。結果としては、温泉地滞在後は心身にいい変化が得られた、運動や周辺観光や食べ歩きなどの何かしらのアクティビティーを行うことなどがよりよい心身への変化に関連してくること、長期間の温泉地滞在ではなくても日帰りや1泊2日、年間を通して高頻度で温泉地を訪れることで、心身へのいい影響があることが分かりました。
続いて、29ページを御覧ください。
地域共生型地熱利活用に向けた環境省の取組になります。環境省では、令和3年4月に当時の小泉環境大臣の下で地熱開発加速化プランを公表しました。このため、上段の囲いにある3つの手法を取っていくことといたしました。
1つ目として、地域と共生した地熱開発事業を促進するため、自然公園法や温泉法の運用見直しを実施すること。2つ目として、地球温暖化対策推進法に基づく促進区域を指定する。3つ目として、温泉事業者等の地域の不安や自然環境への支障を解消するための科学的データの収集・調査を実施し、円滑な地域調整による案件開発を加速化する。これらの取組を進めることで、2030年までに全国の地熱発電施設数を当時の最新の数字である60施設から倍増させることを目標に掲げました。
30ページを御覧ください。
地熱開発加速化プランの進捗状況については、先ほど申し上げました60施設から倍増することを目指すとの施設数に関しては現在100施設となってございます。自然公園法、温泉法の運用見直しにつきましては、2021年、令和3年9月30日付で通知を発出しており、対応させていただいてございます。
また、先ほど申し上げました温泉事業者の地域の不安や自然環境への支障を解消するための科学的データの収集・調査について、IoTを活用した連続温泉モニタリング事業を開始し、地熱開発が進む全国18地域22か所に環境省がモニタリング機器を設置し、地域の合意形成に資する科学的なデータの収集に取り組んでございます。
31ページを御覧ください。
平成22年6月に規制制度改革に係る対処方針という閣議決定があり、その中で、温泉法における掘削許可の判断基準について考え方を策定し、ガイドラインとして運用するよう通知することが閣議決定されました。同年9月に、新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策、さらに平成23年11月には、政府のエネルギー規制制度改革アクションプランにおいても、温泉法における掘削許可の判断基準の考え方の策定、温泉審議会の構成員の在り方の見直し、掘削許可の対象の明確化などを通知することが求められました。
そのため、温泉資源の保護を図りながら再生可能エネルギーの導入が促進されるよう、地熱開発の各段階における掘削について、温泉法における許可または不許可の判断基準の考え方を示し、都道府県の参考となる地熱開発関係のガイドラインを平成24年に策定いたしました。以降、5年ごとの総点検と臨時的な改訂を行ってきております。
参考資料4に改訂経緯等を示しておりますので、適宜御参照いただければと思います。
ガイドラインにおいては、地熱資源の一般的な概念、地熱開発のための掘削許可に係る判断基準の考え方、関係者に求められる取組等について記載をしております。こちらのガイドラインについては、5年ごとの総点検を令和9年頃に予定しているところでございます。
長くなりましたが、議題(1)についての説明は以上となります。
【滝沢小委員長】
詳しい説明をありがとうございました。
それでは、議題(1)「近年の温泉行政を巡る動きについて」ということで事務局から報告ございましたが、この報告について御質問、御意見があれば皆様から頂戴したいと思っております。
会場にお集まりの皆様に関しましては挙手をいただいて、こちらで指名させていただきますので、御意見を賜ればと思います。また、リモート参加の委員の皆様におかれましては、ウェブ画面上の参加者リストの御自身の名前の横に表示されている挙手ボタンにて挙手の表示をお願いいたします。
では、浅沼委員、どうぞよろしくお願いいたします。
【浅沼委員】
産総研の浅沼でございます。
温泉モニタリングを非常に的確にやっていただいているというお話を伺いまして、大変心強く感じておりますけれども、実際、様々な温泉地があると思うのですが、モニタリングの過程で何か課題となるような事項が出てきていれば、可能な範囲でお話しいただければと思います。
【坂口温泉地保護利用推進室長】
地熱開発を行う近くの温泉の源泉を対象としてモニタリングをしているわけですけれども、配管の状況などが温泉の施設によって様々だったりするため、そもそもつけられないケースとか、配管を工夫して設計をした上で装置をつけるといった苦労があると伺っております。
また、温泉地によって値の変動が異なる部分があるので、そこの変動の平年値をどう押さえていくか、また、そのためには、一定期間しっかりデータを取っていく必要があるので、そこら辺も課題かなと考えてございます。
【浅沼委員】
そうすると、モニタリングをしている地点で変動が現れている地域は多いという理解をするというのが妥当なところでしょうか。
【坂口温泉地保護利用推進室長】
地熱開発による変動が現れているということではなくて、温泉地によっては、自然の変動があるので、まずベースとなる平年値という部分をしっかり把握するというのが課題かなと考えております。
【浅沼委員】我々も少しそういう経験をしていたわけですけれども、思った以上に変動があることが実際にデータを見ると分かっていたので、他の地域でもそういうことがあるとするならば、やはりそういう影響をきちんと評価した上で、どうやったら地熱発電と温泉の共生のためにそのデータを使えるかというところを今後御検討いただければなと思っております。以上です。
【坂口温泉地保護利用推進室長】
ありがとうございます。
【滝沢小委員長】
ほかに御意見、御質問はございますでしょうか。
では、リモートで参加されている江﨑委員、よろしくお願いします。
【江﨑委員】
ありがとうございます。
今回から初めて参加させていただきますので、よろしくお願いします。
質問ですけれども、資料4の「近年の行政処分」の中で許可件数が出ていると思うのですけれども、その許可件数の中に、先ほど言われていた、単純に癒やしとして使う温泉と地熱発電と両方がこの掘削の中には入っているということですかというのが1つ。もしも理解が全然違っていたらすみません。
もう一個は、60件ある地熱発電を倍増ということで120を目指していて、今100まで行っているということですけれども、えてして、こういうことを始めたときは急に増えると思うのですが、その後、少しずつ増加の傾向がスローダウンしたりすることもあると思うのですけれども、それが今のところ30年までに達成予定なのかどうかというところを教えていただければと思います。
【滝沢小委員長】
事務局、お願いします。
【坂口温泉地保護利用推進室長】
まず1点目でございますけれども、許可件数の中には地熱発電も含まれております。また、温水利用する、例えば農業とか、最近だとエビやチョウザメ養殖といった水産業に使われるなど、温水を使うような産業での掘削申請もございます。温泉法の定義にある温泉を採る場合には利用目的が異なっても採る対象となる資源が同じであり、許可申請が必要ということですので、地熱発電も含まれているという状況でございます。
【江﨑委員】
何に使われているかという分類みたいなデータはないということですよね。
【坂口温泉地保護利用推進室長】
県のほうでは申請書に情報が入っていると思うのですけれども、我々がいただいている統計資料としては、行政処分の法律第3条に基づく許可ということでデータをいただいているので、手元には把握した情報はございません。
【江﨑委員】
もし可能であれば、今後、掘削だけではなくて、保護と活用という観点から考えると、どんなふうに活用されているのか、分類が全体として分かるといいなと思います。
【坂口温泉地保護利用推進室長】
ありがとうございます。参考にさせていただきます。
2点目の地熱開発の進捗というところですが、60を倍増ということで、我々としては小型のバイナリー発電とか大型の地熱開発を含めて60を倍増していこうということで進めてございます。今までの進捗状況でいくと、数としては2030年に倍に近い数には向けていけるのかなと考えてございますが、大規模地熱開発のほうは調査などに時間を要するということで、そこは資源エネルギー庁さんとも連携しながら案件形成を進めていきたいと考えております。
地熱発電の中にもいろいろな種類があるので一律的に評価はできないのですが、今のところ、小型も含めると割と地熱を活用していこうという地域の動きは増えてきているのかなと認識しております。十分なお答えになっていないかもしれませんが。
【江﨑委員】
ありがとうございました。
恐らくこれまでも議論に出てきていることかとは思うのですけれども、最初は件数という考え方ももちろん大事だと思うのですが、恐らく今後というと、どれぐらいの電力として効果があるのかとか、あとは先ほども言われていましたけれども、電力の地産地消ということも言われているかと思いますので、そういうところへのつながりとか、そういうことを今後知りたいと思うところです。
以上です。ありがとうございました。
【滝沢小委員長】
御意見ありがとうございました。
ほかに御意見、御質問等はございますでしょうか。
浅沼委員、よろしくお願いいたします。
【浅沼委員】
浅沼でございます。
別件ですけれども、参考資料5にある暴噴抑制に関する件です。具体的に、JOGMECが出したガイドラインを受けて環境省のほうでどのような対応になったかということをもう少し御説明いただけませんか。
【滝沢小委員長】
事務局、お願いします。
【坂口温泉地保護利用推進室長】
JOGMECさんの「地熱井掘削における自主保安指針」というガイドラインがございまして、この関連部分については、今日は地熱のほうはご用意していないのですけれども「温泉資源の保護に関するガイドライン(地熱発電関係)」に、参考情報として掲載してございました。
今回の事故に関しての自主保安指針の改定は、1つは保安注水をしっかりやることと、2つめは、特に地下の流体の情報が十分に把握されていない場合は、安全を第一に考えて早期の暴噴装置の設置を検討することといった改訂がなされましたので、その情報を環境省のガイドラインにも情報として加えて、地方公共団体の掘削許可の際にそれを参考にしていただくといった形で改訂をさせていただいております。
【浅沼委員】
そうすると、温泉井であっても地下の状態が乏しい場合には、1段目にBOPを入れろという。
【坂口温泉地保護利用推進室長】
地熱発電関係のガイドラインのほうを改訂していますので、現時点で温泉井に関してそのガイドラインを適用しているわけではございません。
【浅沼委員】
分かりました。
【坂口温泉地保護利用推進室長】
別冊で2つに分けてございますので、そういう形で整理をしてございます。
【浅沼委員】
分かりました。
【滝沢小委員長】
では、安川委員、どうぞよろしくお願いします。
【安川委員】
あまり本筋ではないのですけれども、今、出てきました参考資料5でJOGMECの名称が「(独)金属鉱物資源機構」となっているのですが、正式名称は「エネルギー・金属鉱物資源機構」ですので、「エネルギー」を入れていただきたく、修正をよろしくお願いいたします。
【坂口温泉地保護利用推進室長】
ありがとうございます。修正させていただきます。
【滝沢小委員長】
先ほどのBOPに関しましては環境省からガイドラインが出まして、実際に北海道の審議会に私も参加していますが、そちらではそのガイドラインを参考に審査基準を変えるということでJOGMECさんの「地熱井掘削における自主保安指針」の改定版を参考にさせていただきました。それは今、北海道のホームページにも載せていただいておりまして、注水であるとか、あくまで地熱発電用の調査井戸といった井戸に関してですが、一定の基準をガイドラインに基づいて決めさせていただきまして、現在公開しております。全国の状況を私はちょっと分からないのですが、各都道府県で実際にそういう動きもございます。
事務局さんから何かその点でございますか。特には。
【坂口温泉地保護利用推進室長】
現時点では情報はございません。
【滝沢小委員長】
ほかに御意見、御質問等はございますでしょうか。
取りあえず、この場で御意見とか御質問を承るのはこれで一旦閉めさせていただきます。また、次の議題等でも事務局から説明をいただきますので、そのときにまた関連する質問等があれば、また質問や御意見を賜ればと思っております。
それでは、議事次第に載っております「『温泉資源の保護に関するガイドライン』の改訂について」、この部分について事務局から御説明をよろしくお願いいたします。
【五反田温泉地保護利用推進室室長補佐】
資料5を御覧いただければと思います。
「温泉資源の保護に関するガイドライン」の作成経緯につきましては、平成18年「温泉行政の諸課題に関する懇談会」において、掘削許可の基準の明確化、データや科学的知見の一層の充実等、さらなる進化が求められている状況にある。温泉資源の保護のために必要な仕組みについては見直しを行う必要があるとの報告書がまとめられました。その報告書を受け、温泉小委員会において御議論いただき、答申をまとめていただきました。
答申では、「都道府県が温泉資源保護のための条例・要綱を定めるに当たっての参考となり、対策を円滑に進めることができるよう、新規事業者による掘削や動力装置の許可の基準の内容や、都道府県における温泉資源の保護のための望ましい仕組みについて、国は、温泉は国民共有の資源であるという観点に立って、できるだけ具体的・科学的なガイドラインを作成すべき」とまとめていただいております。
温泉法では、温泉の掘削、増掘及び動力の装置の許可の際の不許可基準として、温泉の湧出量、温度または成分に影響を及ぼすと認められるときとか、公益を害するおそれがあると認められるときといった原則的な規定が定められておりますが、可燃性天然ガスによる災害防止対策を除き、詳細な基準は定められておりません。
こういったことから、各都道府県ではスムーズな許可・不許可の判断を行うため、独自に温泉の保護に係る要綱等をあらかじめ定め、規制区域とか規制の距離の設定等を行っている場合が多く、都道府県によってはその手法が様々であって、ある程度統一的な方針を環境省が示すべきといった御議論がありまして、こういった答申をいただくに至っておりました。
平成21年に、小委員会の御議論やパブリックコメント等を経てガイドラインは策定されました。本ガイドラインの狙いとしては、都道府県における温泉の掘削等の不許可事由の判断基準等について一定の考え方を示すとともに、許可等の基準となる条例・要綱を定めるに当たって参考にできる総合的なガイドラインとしているところです。
留意点といたしましては、地域の温泉資源の特性を十分に配慮し、許可等の判断に当たる必要があること。2つ目としては、本ガイドラインよりも先進的な取組を否定するものではなく、都道府県に対する参考資料といった扱いであること。3つ目として、現時点で限られた知見を基に作成された暫定的な性格のものであり、環境省では、温泉資源に対する各種調査を実施し、また、都道府県の温泉行政担当者の意見を伺いながら、5年ごとにガイドラインの総点検を実施するとともに、随時その更新を図っていくとしており、今回、5年ごとにガイドラインの総点検を実施する時期を迎えてございます。
2ページを御覧ください。
ガイドラインの概要になります。参考資料8の「温泉資源の保護に関するガイドライン」本体も御参照いただければと思いますが、ガイドラインの5ページ目からは、第二としまして「掘削等の原則禁止区域の設定、既存源泉からの距離規制、温泉の採取量に関する取扱い」について記載されております。
温泉法では、温泉の掘削等の許可制度について、「温泉の湧出量、温度又は成分に影響を及ぼすと認められるとき」等を除いて許可しなければならないことのみを定めており、その具体的な判断基準は定めてございません。
都道府県においては、このような法の趣旨を踏まえて、温泉保護のための掘削等を制限する特別な区域を定める、または既存源泉からの一定距離内での掘削を認めない距離規制を行うことで、審査基準の具体化を図っていることが多く、その規制内容や距離規制の状況をまとめてございます。
また、規制の内容を要綱として策定・公表している状況についてもまとめてございます。さらに、掘削等の原則禁止区域の設定についての考え方、具体的な設定基準、設定見直し手続についても提示をしてございます。
また、距離規制に関し都道府県が現に行っている規制について、全国的・平均的な観点から妥当性を検証してございます。例えば、深度を限定せずに行っている距離規制であるとか、大深度を対象に行っている距離規制について検証してございます。また、距離規制の起点となる既存源泉と未利用源泉等についての考え方も示してございます。例えば、距離規制において、一定期間利用していない源泉を既存源泉とみなさない事例として、その期間を5年と定めている都道府県が2つあるといった状況等についても示してございます。
温泉の採取量については、特に動力の装置に際し、採取量の制限値を条件として設定する場合の考え方について参考事例を示してございます。
ガイドラインの18ページ以降は、「個別的許可判断のための影響調査等」について、実施方法やその手法、注意点などを挙げてございます。
ガイドラインの21ページ以降は、「温泉資源保護のためのモニタリング」として、モニタリングの重要性等について取り上げております。モニタリングは、地域の温泉資源の状況を把握し、過剰な採取を抑制し、その保護を図る上で極めて重要であること。既存源泉所有者等にとって、温泉資源保護のためのモニタリングを通じて、源泉の状況把握や異常の有無等により、自己が所有する源泉の健全性の確認や、井戸の適切な維持・管理が可能となること。将来、近傍で新たな温泉掘削等が行われる場合には、その影響が生じた際の科学的根拠となる貴重なデータともなるといった点を記載し、その重要性を訴えてございます。また、そのモニタリングの実施方法や結果の反映方法についても、ガイドラインにおいて言及させていただいているところでございます。
ガイドラインの23ページ目以降は、公益侵害への対応についての考え方を示してございます。掘削等の不許可に反映できる公益侵害の範囲は、原則として掘削等に直接起因するもののみに限定される。ただし、間接的な事柄であっても密接不可分の関係にあるものは含み得るとし、掘削工事中に湧出した温泉の放流に伴う公共用水域等への水質の影響といったものをガイドラインに挙げてございます。
具体的な公益侵害の類型といたしましては、「騒音・振動」、「温泉の放流に伴う水質への影響」、「地盤沈下」といった3点を挙げてございます。その他、それらの状況について対応している事例についても記載しているところでございます。
その他の項目といたしまして、平成21年度の策定時に課題として検討された項目であります大深度掘削泉の資源的な特性であるとか、未利用源泉の問題と指導の在り方といったところに加え、近年の浴用や飲用以外の目的での利用や温泉発電などの課題についても挙げてございます。
3ページを御覧ください。
これまでのガイドラインの改訂状況について記載をしてございます。平成21年に策定され、平成26年に総点検の上、改訂してございます。
平成26年の改訂内容といたしましては、図表や都道府県アンケート調査結果についての情報の更新、温泉の採取量に関する取扱いにおいて、特に動力装置による採取量の制限値を許可条件とする場合の考え方と具体的な設定方法を追加してございます。また、周辺源泉への影響調査を通じ、既存源泉所有者が得るメリット、注意点などについても追記をしてございます。
令和2年度においては、総点検の結果、大幅な改訂項目はなかったということから、情報の充実化が図られてございます。
4ページを御覧ください。
今回の5年ごとの総点検を受けて改訂に向けた検討の視点について、御説明させていただきます。ガイドラインにも記載されているのですが、「現に事務処理の現場で問題になっている部分の詳述、科学的知見や具体的な取組事例を多く盛り込むことで、都道府県の担当者の参考資料として使いやすいものとすることを目指し、5年ごとに総点検を実施するとともに、随時その更新を行う」との更新方針に従い、第二「掘削等の原則禁止区域の設定、既存源泉からの距離規制、源泉の採取量に関する取扱い」の部分から、第四「温泉資源の保護のためのモニタリング」の目次部分にある項目につきましては、近年の状況を踏まえた考え方や対応事例の追加について検討したいと考えでございます。例えば、源泉の水位低下を踏まえ、保護地域を新たに設定しているものなどがあれば、どのような考え方に基づいて設定されているのかなどを調査した上、追加を検討したいと思ってございます。
第五「公益侵害防止」に関しては、これまで「騒音・振動」、「温泉の放流に伴う水質への影響」、「地盤沈下」の3点を提示してきたところ、新たに追加すべき公益侵害の類型がないかを検討したいと考えてございます。
その他温泉資源の保護に関する課題としての大深度掘削、科学的なデータ収集に関する参考事例の収集や、参考資料の充実化を図っていきたいと考えてございます。
5ページを御覧いただければと思います。
今後のスケジュールになります。公益財団法人中央温泉研究所を通じ、今年度、各都道府県に対し、「温泉資源の保護に関するガイドライン」について改訂すべき点がないか、どういった点を改定すべきかといったアンケートを別途お願いしております。そのアンケートに加えまして、都道府県や研究機関等へのヒアリングを予定してございます。
次回の温泉小委員会を来年1月下旬から2月上旬頃に開催させていただき、そのアンケートやヒアリングの結果を受け、ガイドライン改訂に向けた主な検討項目と、来年度、令和7年度に追加的に調査すべき項目がございましたら、委員の皆様からの御意見を伺い、検討させていただきたいと考えております。
また、追加的な項目がございましたら、追加的な項目に対する調査を来年度4月から行い、必要に応じて技術ワーキングを設置させていただき、細部について御議論いただき、その結果を踏まえ、来年11月頃、再び温泉小委員会に御報告させていただき、ガイドラインの改訂案について御審議、御議論いただきたいと考えてございます。
その後、必要に応じてパブリックコメントを実施し、令和7年12月末頃までにはガイドラインを改訂・公表したいと考えてございます。
「温泉資源の保護に関するガイドライン」の概要的な御説明と、改訂に向けた検討方針、スケジュールについての御説明は以上となります。
【滝沢小委員長】
事務局さん、説明をありがとうございました。
議題(2)の「温泉資源の保護に関するガイドライン」の改訂についてただいま説明いただいたところですが、先ほどの議題(1)と同様に、この内容について御質問、御意見がありましたら賜ればと思っております。先ほどと同じように、会場の皆様には挙手をいただく、リモート参加の皆様には挙手ボタンを押していただいて意見を述べていただければと思います。内容的にかなり長い部分になっておりますし、スケジュールの話等もございましたので、ぜひ皆様から忌憚のない御意見をいただければと思っております。
地熱のガイドラインと温泉保護のガイドラインというのが、先ほど議題(1)のところでも話が出ましたが、ちょっと分かりにくい部分もあるかとは思いますが、来年にかけて改訂を予定しているのは温泉資源保護のためのガイドラインの改訂でございます。
急に内容等を言われてもなかなか思いつかないというところはあるかと思うのですが、事務局からも整理いただいていまして、特に資料5の4ページに当たる部分で課題を一度洗い出していただきました。当然、先ほど説明にあったとおり、関連調査、都道府県に対する改善すべき点等のアンケートとかヒアリングが同時に進んでおります。ここで、実際に許可・不許可等の判断を下している各都道府県から、ここが問題であるとか、こういったところは今後検討していただきたいということが具体的に出てくると思います。これを来年1月下旬から2月上旬にピンポイントで問題点をまとめて皆様に御提示出来るかと思っておりますので、現段階では特にこれが問題だというのは皆さんもなかなかイメージしづらいと思いますが、例えば、ヒアリング等で重点的にこういったことも聞いてほしいということもあれば御意見をいただければと思っております。いかがでしょうか。
では、江﨑委員、よろしくお願いいたします。
【江﨑委員】
度々すみません。
ヒアリングをしていただいてガイドラインを作っていかれるということで非常にいいことかなと思っているのですけれども、主体としては行政の方の判断基準になっていくと思うので、行政の方々へのヒアリングが中心になると思うのですが、そのときに複雑な背景があったり、関係者がほかにもいるかなと思ったので、視点としては行政でいいと思うのですけれども、事業者とか温泉資源を利用している人にヒアリングをしてみると、要望を聞くというよりは、行政の方の課題が見えやすくなるかもしれないなと思ったのです。絶対そうしてほしいということではないので、ほかの立場の方のヒアリングもあってもいいかなという気はしました。
以上です。
【滝沢小委員長】
貴重な御意見をありがとうございます。
事務局さんからいかがでしょうか。
【坂口温泉地保護利用推進室長】
ありがとうございます。
今年、まさにまず都道府県にヒアリングをしていますけれども、そこの中で事業者に聞くとより詳細な現地の情報が分かるようなものが出てきましたら、またそこも検討させていただければと思います。御意見ありがとうございました。
【滝沢小委員長】
佐藤委員、どうぞよろしくお願いします。
【佐藤委員】
今の案件と非常に似ている話なのですが、温泉事業者サイドの関係から申し上げますと、今、地熱貯留層と温泉帯水層の距離の問題も含めて、それが本当の意味で、えり分けも含めて、きちんとそこが見えてくるのか、そこまで科学的な手法も含めて進んでいらっしゃるのかどうかというところに温泉事業者のほうは一つ大きなクエスチョンを持っています。その辺も含めてどうしたらいいのかなというところが、そういう目線で言えば、産総研の先生がいらっしゃっていますので、ぜひその辺は聞いておきたいなと。浅沼先生、いかがでしょうか。
【浅沼委員】
そこの点につきましては、いわゆる括弧書きの地熱発電関係のガイドラインに記載されるべきだと思っておりまして、そこの改訂はもう少し先だということなので、そこを科学的にどう詰めていくかというのは研究者サイド、行政、温泉事業者の方を交えて意見を交換して妥当な解を見つけるのが適切だと思っております。
以上です。
【佐藤委員】
ありがとうございます。
【滝沢小委員長】
どうもありがとうございます。
浅沼委員、どうもありがとうございました。
ほかに何か御意見、御質問等はございますでしょうか。
では、安川委員、よろしくお願いいたします。
【安川委員】
先ほどの江﨑委員の御意見に賛同するものなのですけれども、恐らく温泉事業者の方たちは既に都道府県が定めている条例などで規制があるので、もうできないと思って申請していないような案件もあるのではないかと思います。そういう意味では、都道府県だけではなくて、温泉事業者の方にもヒアリングを行うべきと。
あと、都道府県の中の各審議会の委員の先生方は状況をいろいろ御存知で、資源としてはこうすべきという考え方と、温泉側の人がこういうことを考えているというのを両方知っているような方が結構大勢いらっしゃるのではないかと思いますので、各都道府県のそういう審議会なり温泉小委員会などの例えば委員長の先生方にもヒアリングを行うとよいのではないかと思いました。
以上です。
【滝沢小委員長】
安川委員、ありがとうございます。
事務局さん、いかがでしょうか。
【坂口温泉地保護利用推進室長】
非常に参考になる御意見をありがとうございます。次の追加ヒアリングの際に検討させていただければと思います。
【滝沢小委員長】
ほかに何か御意見はございますでしょうか。また、初めての委員の方もいらっしゃいますので、ガイドラインそのものについての御質問等をしていただいても結構です。
それでは、現時点では具体的な資料等があるわけではございませんので、御質問、御意見を賜るのはこちらで一旦止めたいと思います。
検討スケジュールについて事務局から説明がありまして、資料5の5ページの部分ですが、こちらの検討スケジュールに基づいて、今後、先ほどいただいた御意見等も参考にしながら進めさせていただきますが、こちらのスケジュールについて何か御異論はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
取り急ぎ、こちらのスケジュールで進めさせていただくということで、今後、作業を進めさせていただきます。
これで議題(2)についてはこちらで一旦終了させていただきたいと思います。
次に、議題(3)の「その他」についてですが、各委員の皆様、もしくは事務局から何かございますでしょうか。御意見があれば挙手または挙手ボタンでよろしくお願いいたします。
委員の皆様、よろしいでしょうか。
それでは、事務局のほうはいかがでしょうか。
【五反田温泉地保護利用推進室室長補佐】
ありがとうございます。
事務局からも特段ございません。次回の温泉小委員会の日程につきましては、先ほど方向性、スケジュールについて御承認いただきましたとおり、来年1月下旬から2月上旬をめどに、別途、委員の先生方の日程調整をさせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【滝沢小委員長】
よろしくお願いいたします。
では、以上をもちまして本日の議題について全て終了させていただきました。皆様、御協力ありがとうございました。
それでは、進行を事務局にお返しいたします。事務局さん、よろしくお願いします。
【五反田温泉地保護利用推進室室長補佐】
滝沢委員長、どうもありがとうございました。
委員の皆様におかれましても、お忙しい中御審議いただきまして誠にありがとうございます。
本日の委員会は以上をもちまして閉会となります。本日は誠にありがとうございました。また引き続きよろしくお願いいたします。
午後2時46分閉会
【五反田温泉地保護利用推進室室長補佐】
定刻となりましたので、ただいまより「中央環境審議会自然環境部会温泉小委員会(第20回)」を開会いたします。
私は、環境省自然環境局温泉地保護利用推進室の五反田と申します。よろしくお願いいたします。
本日は、お忙しい中、本審議会に御出席いただき、誠にありがとうございます。
会議に先立ちまして、本日の出席委員数を御報告いたします。本日は、12名中11名の御出席を予定しているところでございます。まだ鈴木秀和委員が会場にはお越しになっていない状況ですが、10名の委員の方々に御出席いただいていることを御報告申し上げます。
本日の議事運営につきまして御説明させていただきます。本日の会議は公開で行われており、傍聴につきましては、会場での傍聴ではなく、傍聴用のウェブ会議システムを用意して傍聴できるようにしておりますので、御承知おき願います。
本日説明する資料につきましては、会場にお集まりの委員の方々におきましてはお手元の資料を御参照いただき、リモート参加の委員に対しては事前にメールにて送付させていただいております。会議資料につきましては公開となります。
また、会議録につきましては、後ほど事務局で作成し、本日御出席の委員の御了承をいただいた上で公開することとなります。
なお、リモート参加の委員におかれましては、差し支えない範囲で結構ですので、常時ビデオのボタンをオンにしていただき、お顔が見られる状態にしておいていただけると幸いです。また、議事中、マイク機能は委員長及び発言者以外はミュートに設定いただきますようお願い申し上げます。
御発言の際は、挙手アイコンをクリックしてお知らせ願います。委員長から御指名を受け、マイクのミュートを解除してから御発言いただきますようお願い申し上げます。御発言後は、挙手アイコンを忘れずにクリックいただき、手を下げていただきますよう御協力をお願いいたします。
ここで、中央環境審議会議事運営規則第8条第3項に基づき、武内自然環境部会長の御指名により、本小委員会の委員長に滝沢英夫委員に御就任いただくこととなりました。
また、委員の更新に伴い、本日より新たに6名の委員の先生に小委員会の審議に参画いただくこととなっておりますので、小委員会の構成について、お手元に配付させていただいております委員名簿に沿って御紹介させていただきます。
国立研究開発法人産業技術総合研究所福島再生可能エネルギー研究所再生可能エネルギー研究センター、副研究センター長の浅沼宏委員。
温泉ビューティ研究家の石井宏子委員。
東洋大学国際観光学部国際観光学科准教授、内田彩委員。
有限会社オズ代表取締役の江﨑貴久委員。
法政大学法科大学院法務研究科教授の交告尚史委員。
一般社団法人日本温泉協会副会長の佐藤好億委員。
全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会常任理事の鈴木治彦委員。
駒澤大学文学部地理学科教授の鈴木秀和委員。
公益財団法人中央温泉研究所研究部長の滝沢英夫委員長。
大分県生活環境部自然保護推進室長の浜田みほ委員。
京都大学大学院地球環境学堂准教授の深町加津枝委員。
独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構特命参与の安川香澄委員。
なお、浜田委員につきましては、御都合により欠席と連絡をいただいております。
引き続き、環境省の幹部を御紹介させていただきます。
自然環境局長の植田です。
自然環境整備課長の中原です。
温泉地保護利用推進室長の坂口です。
それでは、議事に先立ちまして、自然環境局長の植田より御挨拶を申し上げます。
【植田自然環境局長】
改めまして、環境省自然環境局長の植田でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。7月から自然環境局長を拝命しております。
最近は特に自然環境局の中の行政も大変幅広くなってきておりまして、国際的にもネイチャーポジティブで30by30ということも関心を高めておりますし、当然ながら国立公園の観光立国の話もありますし、施設整備の話もまた関心が高まっております。野生生物分野でも、外来種問題から希少種問題、そして、動物の関係では動物愛護の問題も大変関心が高まっておりますけれども、まさに温泉の分野も、大変歴史も長く、関心も高いという形で続いてきている分野だと認識しております。特に最近は多方面での開発との調整も含めて、いろいろなところで話題に出ている分野だと思っております。
そんな分野の自然環境部会の温泉小委員会ということで、委員の皆様方には日頃よりお世話になっております。今後ともよろしくお願い申し上げたいと思っております。特に、前回の開催から少し空いてしまいまして、1年半ぶりになりますけれども、新たに小委員会に御参画をいただきます6名の委員の先生方におかれましては、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。
本日は、2つの議題ということで準備をさせていただいていると承知をしております。1つ目は報告で、特に近年の温泉行政の状況について、久々の開催でもありますので、御報告をして情報共有させていただきたいと思っております。特にインバウンド関係ではコロナ禍の前に戻ったと言われておりますし、温泉開発の動きも進展していると認識しておりますので、それらに対する資源保護の観点から現状についてまずは認識するということでお願いをしたいと思っております。
2つ目は、それにも関係いたしますけれども、お配りをしております「温泉資源の保護に関するガイドライン」は5年に1度の改訂でございますので、今回改訂の時期になってきております。これにつきまして、スケジュール等々につきまして御意見をいただければと思っております。
時間が限られておりますけれども、忌憚のない御意見をいただければと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【五反田温泉地保護利用推進室室長補佐】
次に、配付資料について確認させていただきます。
本日は、議事次第に加え、資料1~5、参考資料1~8を配付もしくは事前にデータで送付させていただいております。過不足等がございましたら、事務局に申しつけ願えればと存じます。
ここからの議事進行につきましては、滝沢委員長にお願いしたいと思います。
滝沢委員長、よろしくお願いいたします。
【滝沢小委員長】
皆さん、こんにちは。自然環境部会長より委員長を仰せつかりました滝沢と申します。
先ほど局長からもお話があったとおり、当委員会では多岐にわたる分野に関する専門的な議論が行われると考えております。本日は、参加されている委員の皆様には忌憚のない御意見をいただきまして実りある委員会としたいと思いますので、どうぞくれぐれもよろしくお願いいたします。
それでは、早速、議事次第に従い進めさせていただきます。
今回の議事としては、議事次第の議題(1)が報告事項として「近年の温泉行政を巡る動きについて」、議題(2)が「『温泉資源の保護に関するガイドライン』の改訂について」、議題(3)が「その他」となっております。
それでは、議題(1)について事務局から説明をいただきまして、議題(1)についての御質問、御意見を伺い、その後、議題(2)について事務局から再度説明いただきまして、議題(2)について御質問、御意見を伺うこととさせていただきます。
では、早速ですが、議題(1)について事務局より説明をよろしくお願いいたします。
【五反田温泉地保護利用推進室室長補佐】
最近の温泉行政をめぐる動きについて御説明させていただく前に、まずは改めて温泉法について御説明をさせていただきます。資料2を御覧ください。
温泉法は、昭和22年、1947年12月から開かれました日本国憲法下における通常国会としては最初である第2回通常国会において成立した法律となります。この法律の目的は、「温泉を保護し、温泉の採取等に伴い発生する可燃性天然ガスによる災害を防止し、及び温泉の利用の適正を図り、もって公共の福祉の増進に寄与すること」と規定されております。また、温泉とは、「地中から湧出する温水、鉱水及び水蒸気その他ガスで、別表に掲げる温度又は物質を有するもの」と定義をされてございます。
温泉法は、43条の条文と別表で構成されておりますが、大きく3つの柱で構成されているところでございます。1つ目の柱は、温泉の保護です。温泉の掘削・増掘、動力ポンプを設置する場合は、都道府県知事の許可を得る必要がございます。また、都道府県知事は、温泉資源を保護するために必要と認めるときは温泉の採取制限を命ずることができることや、温泉を湧出させる目的以外の目的で土地が掘削されたことにより、温泉の湧出量、温度、または成分に著しい影響が及ぶ場合において、掘削をした者に対してその影響を防止するための必要な措置を命ずることができるなど、温泉資源の保護の措置について規定しております。
2つ目の柱は、温泉の採取に伴う災害の防止です。平成19年、2007年6月に東京都渋谷区の温泉施設で可燃性天然ガスによる爆発事故が発生したことを契機に、可燃性天然ガスの安全対策について法的な義務づけを行うこととなりました。温泉から温泉を汲み上げようとする者は、温泉に含まれるメタンが基準値を超えている場合は、可燃性天然ガスの安全対策を実施した上で都道府県知事の許可を受けることになります。また、温泉に含まれるメタンが基準値以下である場合は、災害防止措置を必要としないものとして都道府県知事の確認を受けることになります。
3つ目の柱は、温泉の利用です。温泉を公共の浴用または飲用に供しようとする場合は、都道府県知事または保健所設置市長の許可が必要となります。温泉は、様々な成分を含有しており、中には人体に有害なものも皆無ではなく、また、用法によっては人体に害を与えるものも少なくない。そのため、都道府県知事等の許可にかからしめ、温泉の適正な利用というものを確保しております。また、温泉を公共の浴用または飲用に供しようとする者は、10年以内ごとに温泉成分分析を受け、その結果を掲示する必要があります。さらに、温泉の利用方法が適正を欠くときは有害な結果を招く場合もあるため、禁忌症及び入浴または飲用上の注意等を掲示するようにしております。さらに、国民の保健休養に重要な役割を果たす温泉地として、環境大臣が指定する制度もございます。
2ページを御覧ください。
先ほど申し上げました3つの柱による温泉法の主な条文を目次で示しております。後ほど議事(2)で御説明させていただきます「温泉資源の保護に関するガイドライン」において関係している条文については赤で表示をさせていただいております。第3条の土地の掘削の許可であるとか、第4条の許可の基準、11条、12条、14条辺りが「温泉資源の保護に関するガイドライン」において関係しているところとなってございます。
3ページを御覧ください。
先ほど温泉法第2条において、別表に掲げる温度または物質を有するものが温泉であると申し上げた別表がこちらになります。温度は摂氏25度以上、また、記載のある物質が一定量以上含有されていることが必要となります。
4ページを御覧ください。
温泉の中で特に治療の目的に供し得るものを療養泉と定義しております。温度は摂氏25度以上または物質が一定量以上含有されていると療養泉に該当し、泉質名をつけて分類することとなります。
5ページを御覧ください。
温泉法を運用するに当たり、ガイドラインや基準、マニュアル、指針等を環境省のほうで作成し、都道府県の事務に役立てていただきたいといったものをまとめてございます。こちらに「温泉資源の保護に関するガイドライン」というものが挙がってございます。
続きまして、資料3をお願いいたします。
こちらは、平成16年の第1回の温泉小委員会からこれまでの検討事項と主なアウトプットをまとめた表になります。平成16年7月以降、一部の温泉地において表示なく温泉に入浴剤を添加するなど、温泉をめぐる問題が発生いたしました。同年10月、中央環境審議会自然環境部会に温泉小委員会が設置され、3回にわたり温泉小委員会における審議が行われました。第3回において、「温泉事業者による表示の在り方等について」という答申をいただいたことを受け、温泉法施行規則を改正し、掲示項目として、加水、加温、循環ろ過、入浴剤添加等を追加いたしました。
また、「温泉事業者による表示の在り方等について」の答申には、中長期的課題として、温泉資源の保護対策、温泉成分の有効期間の設定、温泉を核としたまちづくりなどについて取り組むことが求められました。そのため、平成18年に「温泉行政の諸課題に関する懇談会」を設置し、検討を重ねていただきました。
平成18年10月には、検討会の報告として、「温泉行政に関する主な課題と対応の在り方」ということで、掘削許可等の基準の明確化、データや科学的知見の一層の充実等、さらなる進化が求められている状況にあること、温泉資源の保護のための仕組みについて見直しを行う必要がある、などの提言を取りまとめていただきました。
環境省として具体的にどのような施策を展開していくべきかということで、環境大臣より、温泉資源の保護対策及び温泉の成分に係る情報提供の在り方等について諮問をさせていただき、第4回の温泉小委以降、御議論をいただきました。
第7回において、温泉資源の保護対策及び温泉の成分に係る情報提供の在り方等について報告書をまとめていただき、答申では、「都道府県が温泉保護のための条例・要綱等を定めるに当たっての参考となり、対策を円滑に進めることができるよう、新規事業者による掘削や動力装置の許可等の基準の内容や、都道府県における温泉資源の保護のために望ましい仕組みについて、温泉は国民共有の資源であるという観点に立ってできるだけ具体的・科学的なガイドラインを作成すべきである」と環境大臣に対する答申をいただきました。こちらを受け、後ほど御説明させていただきます「温泉資源の保護に関するガイドライン」を作成することとなりました。
また、温泉成分の定期的な分析と分析結果の掲示を義務づけるべきとの答申を受け、それらの内容を踏まえた温泉法の一部を改正する法律案を平成19年に提出し、同年7月に公布されております。
また、平成19年6月に発生した温泉利用施設における可燃性天然ガスによる事故を受け、温泉掘削・採取に伴う可燃性天然ガスによる災害の防止のための必要な措置が検討されました。それらの検討内容を受けた改正温泉法が11月に公布され、温泉の掘削及び採取において遵守すべき技術上の基準を定め、また、温泉の採取を許可制とすることとなりました。
第10回では、先ほど申し上げました「温泉資源の保護対策及び温泉成分に係る情報提供の在り方等について」の答申を受け、「温泉資源の保護に関するガイドライン」の策定に向けた検討会が行われました。
第11回では、温泉の公共的利用推進のため、温泉利用の効果が十分期待され、かつ、健全な保養地として活用される温泉地として、温泉法第29条に基づき、環境大臣が指定する国民保養温泉地について、指定するに当たっての選定要件、資料では選定標準としておりますが、その選定要件について御議論いただきました。
平成23年から24年にかけては、政府の規制制度改革に係る対処方針を受け、「温泉資源の保護に関するガイドライン(地熱発電関係)」を策定するために御議論いただきました。
第14回では、平成21年に策定した「温泉資源の保護に関するガイドライン」について5年ごとに総点検、必要な見直しを行うこととしていることから、改訂について検討いただきました。また、温泉成分の分析手法が記載されている「鉱泉分析法指針」について、新たな分析方法等の技術的な進展へ対応するための実証試験等による検証に基づいた分析方法の追加や従前の分析方法の修正等を行うために御議論をいただきました。
第15回では、温泉利用施設における硫化水素中毒による死亡事故等を受けた必要な措置について御議論をいただきました。
第17回からは、地熱発電関係の「温泉資源の保護に関するガイドライン」の改訂に向け、温泉掘削許可に係る離隔距離規制、本数制限等について、考え方の整理・提示について御議論いただきました。
この資料の最後になりますが、5ページ目の最下部に、この温泉小委員会において今後取り扱っていただく検討事項を記載しております。今後は、「温泉資源の保護に関するガイドライン」が5年ごとの改訂としておりますので、次回の改訂は令和7年で、今回御検討いただきたいというところでございます。あと、「鉱泉分析法指針」は令和8年度改訂予定となります。「温泉資源の保護に関するガイドライン(地熱発電関係)」については5年ごとの改訂としており、次回の改訂は令和9年を予定しているといったところなどが現時点で考えているところでございます。
続きまして、資料4をお願いいたします。近年の温泉の利用状況についてです。
3ページを御覧ください。
環境省では、全国の源泉数や湧出量、温泉利用施設の宿泊者数、宿泊施設数等について、毎年、都道府県の皆様の御協力を得て全国的な状況をまとめております。
源泉数につきましては、令和4年度末の合計値では2万7,932本となっております。ピークは平成18年の2万8,154本、近年では極端な増減傾向は見てとれない状況かと思います。
4ページを御覧ください。
湧出量について、令和4年度末の合計値では251万5,272リットル/分となっております。ピークは平成19年の279万9,418リットル/分となり、こちらも近年では極端な増減傾向は見てとれない状況となっております。
5ページを御覧ください。
左が温泉利用施設における宿泊者数、右が温泉利用宿泊施設・公衆浴場数になります。温泉利用宿泊者数については、平成4年度末にピークを迎え、近年では新型コロナウイルス感染症との関係で大きな落ち込みがありましたが、コロナ前の水準に戻りつつあります。温泉利用宿泊施設数については、平成7年をピークに減少傾向となり、近年は横ばいで推移しております。公衆浴場数については、令和元年をピークに同水準で推移しているところでございます。
続いて、近年の掘削許可申請数等についてになります。こちらも毎年、都道府県の御担当者様の御協力をいただき、温泉法における掘削、増掘、動力装置、採取許可、濃度確認申請等の件数について状況をまとめてございます。
7ページを御覧ください。
平成14年以降の新規掘削許可申請と許可件数の推移になります。青が申請数、赤が許可件数となっており、申請を上回る許可件数となっている年もございますが、例えば継続審査によって年度をまたいで許可されたケースなどがありますので、申請を上回る許可となっている年がございます。平成16年頃には624件だったところが、令和4年度では152件といった状況にございます。
8ページを御覧ください。
こちらは増掘許可申請の推移になります。平成18年には37件だったところが、令和4年度では14件という状況です。
9ページを御覧ください。
こちらは動力装置の申請の推移になります。平成16年頃に483件だったところが、令和4年度では106件という状況になります。平成16年頃がピークという状況は掘削許可のピークと類似しており、推移についても類似した動きを見せているところでございます。
11ページを御覧ください。
可燃性天然ガスについても、温泉法の施行状況等を毎年調査しており、可燃性天然ガスの対策が適切に講じられているか、許可申請などの状況を追っております。都道府県の御担当者の御尽力により、法に基づく報告徴収や立入検査、行政指導等が行われてございます。
12ページを御覧ください。
法第14条2第1項の採取許可に関する違反事例についても7件ございます。例えば、濃度確認申請で済んでいた源泉の可燃性天然ガスの濃度が基準値を超える状況に変化し、技術上の基準を満たす安全対策が行われてはいるものの、手続として採取許可の申請が行われていないといった事例もこちらに含まれてございます。都道府県の御担当者により適切な状況となるよう行政指導がされているところではございますが、引き続き適切な行政指導等をお願いしたいと考えているところでございます。
14ページを御覧ください。
硫化水素の事故の事例についても毎年調査をしております。令和5年度において、重篤症状となった事案が2件ございました。一番下の長野県の野天風呂での事案については、温泉愛好家によって源泉付近に源泉所有者に無断で設置された野天風呂に入浴しようとした観光客が野天風呂の接近時に意識不明となり、その後、意識が回復し、自力で病院を受診し、医師から硫化水素中毒が疑われたとの申出があった事案がございました。
16ページを御覧ください。
政府全体で取り組んでおりますデジタル社会の実現に向けた取組に関し、温泉法関係でデジタル技術の活用の可能性について検討した動きになります。政府では、「デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン」及び「デジタル社会の実現に向けた重点計画」において、デジタル技術の活用により、代表的なアナログ規制(目視規制、定期検査・点検規制、書面掲示規制等)に関する横断的な見直しを求めることとなりました。
これを受け、環境省は令和4年度から、デジタル技術の活用の可能性について基礎調査を行い、令和5年度において、有識者による検討や追加調査等を実施の上、温泉法の運用に関するデジタル技術の活用の方策に係る基礎資料をまとめ、令和6年6月に都道府県にデジタル技術活用の方策に係る通知を発出しております。
例えば、掘削に伴う可燃性天然ガスによる災害の防止に関する基準を設けており、温泉法施行規則第1条の2第7号ロにおいて、可燃性天然ガス噴出の兆候の有無を目視により点検することを求めております。それらの目視点検などにデジタル技術が活用できないか、検討を行いました。
掘削においては、石油・天然ガス井の掘削において活用されておりますマッドロギングシステムと言われるシステムを活用することで、早期かつ客観的・自動的に噴出兆候を確認できることなど、安全性の向上が期待できるといったことを取りまとめてございます。
ほかにも、可燃性天然ガスの噴出兆候の有無を目視により点検することや、ガス分離設備の内部の水位計及び可燃性天然ガス発生設備の異常の有無を目視により点検することを求めており、これに関しては検知器による常時監視や遠隔操作を導入することで、異常の早期発見や、ガス分離設備内部は酸欠であったり、有毒ガスが充満している可能性もございますので、目視点検する方の作業の安全性なども確保できるといったことを取りまとめてございます。
その他、温泉の成分等の掲示、登録分析機関の標識、登録分析機関登録簿の閲覧といった項目につきましては、インターネット等により公表することを基本とするといった考え方をまとめ、都道府県に通知を発出しております。
18ページを御覧ください。
温泉法第29条に基づき、温泉の公共的利用増進のため、国民の保健休養に重要な役割を果たす温泉地として環境大臣が指定する国民保養温泉地がございます。昭和29年に、酸ヶ湯、四万、奥日光湯元が指定され、現在では79の温泉地が指定されてございます。
指定されるための要件として選定基準を左のように定めており、近年の指定は、令和4年に山形県の由良温泉、熊本県の湯の児・湯の鶴温泉が指定されているといった状況にございます。
19ページを御覧ください。
現在指定されております79の国民保養温泉地の一覧がこちらに掲載されてございます。
21ページを御覧ください。
環境省が取り組む温泉地活性化に向けた取組の御紹介になります。温泉は、国民共有の資源であり、温泉地の核となり、将来世代へ引き継ぐものである。日本は温泉や温泉地が持つ力を十分に活用できていないのではないかといった問題意識の下、温泉地の役割を見直す取組を「新・湯治」という旗印の下、進めております。
新・湯治では、温泉の入浴に加え、周辺の自然、歴史・文化、食などを生かした多様なプログラムを楽しみ、地域の人や他の訪問者と触れ合い、心身ともに元気になること、年代、国籍を問わず楽しめることを目指した温泉地づくりやプログラムの提供に取り組むこととしております。また、温泉地全体の療養効果等を科学的に把握するための取組も進めております。
25ページを御覧ください。
温泉地の協力を得て温泉地全体で得られる療養効果についてアンケート調査を実施し、3か年度分の調査結果を取りまとめてございます。結果としては、温泉地滞在後は心身にいい変化が得られた、運動や周辺観光や食べ歩きなどの何かしらのアクティビティーを行うことなどがよりよい心身への変化に関連してくること、長期間の温泉地滞在ではなくても日帰りや1泊2日、年間を通して高頻度で温泉地を訪れることで、心身へのいい影響があることが分かりました。
続いて、29ページを御覧ください。
地域共生型地熱利活用に向けた環境省の取組になります。環境省では、令和3年4月に当時の小泉環境大臣の下で地熱開発加速化プランを公表しました。このため、上段の囲いにある3つの手法を取っていくことといたしました。
1つ目として、地域と共生した地熱開発事業を促進するため、自然公園法や温泉法の運用見直しを実施すること。2つ目として、地球温暖化対策推進法に基づく促進区域を指定する。3つ目として、温泉事業者等の地域の不安や自然環境への支障を解消するための科学的データの収集・調査を実施し、円滑な地域調整による案件開発を加速化する。これらの取組を進めることで、2030年までに全国の地熱発電施設数を当時の最新の数字である60施設から倍増させることを目標に掲げました。
30ページを御覧ください。
地熱開発加速化プランの進捗状況については、先ほど申し上げました60施設から倍増することを目指すとの施設数に関しては現在100施設となってございます。自然公園法、温泉法の運用見直しにつきましては、2021年、令和3年9月30日付で通知を発出しており、対応させていただいてございます。
また、先ほど申し上げました温泉事業者の地域の不安や自然環境への支障を解消するための科学的データの収集・調査について、IoTを活用した連続温泉モニタリング事業を開始し、地熱開発が進む全国18地域22か所に環境省がモニタリング機器を設置し、地域の合意形成に資する科学的なデータの収集に取り組んでございます。
31ページを御覧ください。
平成22年6月に規制制度改革に係る対処方針という閣議決定があり、その中で、温泉法における掘削許可の判断基準について考え方を策定し、ガイドラインとして運用するよう通知することが閣議決定されました。同年9月に、新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策、さらに平成23年11月には、政府のエネルギー規制制度改革アクションプランにおいても、温泉法における掘削許可の判断基準の考え方の策定、温泉審議会の構成員の在り方の見直し、掘削許可の対象の明確化などを通知することが求められました。
そのため、温泉資源の保護を図りながら再生可能エネルギーの導入が促進されるよう、地熱開発の各段階における掘削について、温泉法における許可または不許可の判断基準の考え方を示し、都道府県の参考となる地熱開発関係のガイドラインを平成24年に策定いたしました。以降、5年ごとの総点検と臨時的な改訂を行ってきております。
参考資料4に改訂経緯等を示しておりますので、適宜御参照いただければと思います。
ガイドラインにおいては、地熱資源の一般的な概念、地熱開発のための掘削許可に係る判断基準の考え方、関係者に求められる取組等について記載をしております。こちらのガイドラインについては、5年ごとの総点検を令和9年頃に予定しているところでございます。
長くなりましたが、議題(1)についての説明は以上となります。
【滝沢小委員長】
詳しい説明をありがとうございました。
それでは、議題(1)「近年の温泉行政を巡る動きについて」ということで事務局から報告ございましたが、この報告について御質問、御意見があれば皆様から頂戴したいと思っております。
会場にお集まりの皆様に関しましては挙手をいただいて、こちらで指名させていただきますので、御意見を賜ればと思います。また、リモート参加の委員の皆様におかれましては、ウェブ画面上の参加者リストの御自身の名前の横に表示されている挙手ボタンにて挙手の表示をお願いいたします。
では、浅沼委員、どうぞよろしくお願いいたします。
【浅沼委員】
産総研の浅沼でございます。
温泉モニタリングを非常に的確にやっていただいているというお話を伺いまして、大変心強く感じておりますけれども、実際、様々な温泉地があると思うのですが、モニタリングの過程で何か課題となるような事項が出てきていれば、可能な範囲でお話しいただければと思います。
【坂口温泉地保護利用推進室長】
地熱開発を行う近くの温泉の源泉を対象としてモニタリングをしているわけですけれども、配管の状況などが温泉の施設によって様々だったりするため、そもそもつけられないケースとか、配管を工夫して設計をした上で装置をつけるといった苦労があると伺っております。
また、温泉地によって値の変動が異なる部分があるので、そこの変動の平年値をどう押さえていくか、また、そのためには、一定期間しっかりデータを取っていく必要があるので、そこら辺も課題かなと考えてございます。
【浅沼委員】
そうすると、モニタリングをしている地点で変動が現れている地域は多いという理解をするというのが妥当なところでしょうか。
【坂口温泉地保護利用推進室長】
地熱開発による変動が現れているということではなくて、温泉地によっては、自然の変動があるので、まずベースとなる平年値という部分をしっかり把握するというのが課題かなと考えております。
【浅沼委員】我々も少しそういう経験をしていたわけですけれども、思った以上に変動があることが実際にデータを見ると分かっていたので、他の地域でもそういうことがあるとするならば、やはりそういう影響をきちんと評価した上で、どうやったら地熱発電と温泉の共生のためにそのデータを使えるかというところを今後御検討いただければなと思っております。以上です。
【坂口温泉地保護利用推進室長】
ありがとうございます。
【滝沢小委員長】
ほかに御意見、御質問はございますでしょうか。
では、リモートで参加されている江﨑委員、よろしくお願いします。
【江﨑委員】
ありがとうございます。
今回から初めて参加させていただきますので、よろしくお願いします。
質問ですけれども、資料4の「近年の行政処分」の中で許可件数が出ていると思うのですけれども、その許可件数の中に、先ほど言われていた、単純に癒やしとして使う温泉と地熱発電と両方がこの掘削の中には入っているということですかというのが1つ。もしも理解が全然違っていたらすみません。
もう一個は、60件ある地熱発電を倍増ということで120を目指していて、今100まで行っているということですけれども、えてして、こういうことを始めたときは急に増えると思うのですが、その後、少しずつ増加の傾向がスローダウンしたりすることもあると思うのですけれども、それが今のところ30年までに達成予定なのかどうかというところを教えていただければと思います。
【滝沢小委員長】
事務局、お願いします。
【坂口温泉地保護利用推進室長】
まず1点目でございますけれども、許可件数の中には地熱発電も含まれております。また、温水利用する、例えば農業とか、最近だとエビやチョウザメ養殖といった水産業に使われるなど、温水を使うような産業での掘削申請もございます。温泉法の定義にある温泉を採る場合には利用目的が異なっても採る対象となる資源が同じであり、許可申請が必要ということですので、地熱発電も含まれているという状況でございます。
【江﨑委員】
何に使われているかという分類みたいなデータはないということですよね。
【坂口温泉地保護利用推進室長】
県のほうでは申請書に情報が入っていると思うのですけれども、我々がいただいている統計資料としては、行政処分の法律第3条に基づく許可ということでデータをいただいているので、手元には把握した情報はございません。
【江﨑委員】
もし可能であれば、今後、掘削だけではなくて、保護と活用という観点から考えると、どんなふうに活用されているのか、分類が全体として分かるといいなと思います。
【坂口温泉地保護利用推進室長】
ありがとうございます。参考にさせていただきます。
2点目の地熱開発の進捗というところですが、60を倍増ということで、我々としては小型のバイナリー発電とか大型の地熱開発を含めて60を倍増していこうということで進めてございます。今までの進捗状況でいくと、数としては2030年に倍に近い数には向けていけるのかなと考えてございますが、大規模地熱開発のほうは調査などに時間を要するということで、そこは資源エネルギー庁さんとも連携しながら案件形成を進めていきたいと考えております。
地熱発電の中にもいろいろな種類があるので一律的に評価はできないのですが、今のところ、小型も含めると割と地熱を活用していこうという地域の動きは増えてきているのかなと認識しております。十分なお答えになっていないかもしれませんが。
【江﨑委員】
ありがとうございました。
恐らくこれまでも議論に出てきていることかとは思うのですけれども、最初は件数という考え方ももちろん大事だと思うのですが、恐らく今後というと、どれぐらいの電力として効果があるのかとか、あとは先ほども言われていましたけれども、電力の地産地消ということも言われているかと思いますので、そういうところへのつながりとか、そういうことを今後知りたいと思うところです。
以上です。ありがとうございました。
【滝沢小委員長】
御意見ありがとうございました。
ほかに御意見、御質問等はございますでしょうか。
浅沼委員、よろしくお願いいたします。
【浅沼委員】
浅沼でございます。
別件ですけれども、参考資料5にある暴噴抑制に関する件です。具体的に、JOGMECが出したガイドラインを受けて環境省のほうでどのような対応になったかということをもう少し御説明いただけませんか。
【滝沢小委員長】
事務局、お願いします。
【坂口温泉地保護利用推進室長】
JOGMECさんの「地熱井掘削における自主保安指針」というガイドラインがございまして、この関連部分については、今日は地熱のほうはご用意していないのですけれども「温泉資源の保護に関するガイドライン(地熱発電関係)」に、参考情報として掲載してございました。
今回の事故に関しての自主保安指針の改定は、1つは保安注水をしっかりやることと、2つめは、特に地下の流体の情報が十分に把握されていない場合は、安全を第一に考えて早期の暴噴装置の設置を検討することといった改訂がなされましたので、その情報を環境省のガイドラインにも情報として加えて、地方公共団体の掘削許可の際にそれを参考にしていただくといった形で改訂をさせていただいております。
【浅沼委員】
そうすると、温泉井であっても地下の状態が乏しい場合には、1段目にBOPを入れろという。
【坂口温泉地保護利用推進室長】
地熱発電関係のガイドラインのほうを改訂していますので、現時点で温泉井に関してそのガイドラインを適用しているわけではございません。
【浅沼委員】
分かりました。
【坂口温泉地保護利用推進室長】
別冊で2つに分けてございますので、そういう形で整理をしてございます。
【浅沼委員】
分かりました。
【滝沢小委員長】
では、安川委員、どうぞよろしくお願いします。
【安川委員】
あまり本筋ではないのですけれども、今、出てきました参考資料5でJOGMECの名称が「(独)金属鉱物資源機構」となっているのですが、正式名称は「エネルギー・金属鉱物資源機構」ですので、「エネルギー」を入れていただきたく、修正をよろしくお願いいたします。
【坂口温泉地保護利用推進室長】
ありがとうございます。修正させていただきます。
【滝沢小委員長】
先ほどのBOPに関しましては環境省からガイドラインが出まして、実際に北海道の審議会に私も参加していますが、そちらではそのガイドラインを参考に審査基準を変えるということでJOGMECさんの「地熱井掘削における自主保安指針」の改定版を参考にさせていただきました。それは今、北海道のホームページにも載せていただいておりまして、注水であるとか、あくまで地熱発電用の調査井戸といった井戸に関してですが、一定の基準をガイドラインに基づいて決めさせていただきまして、現在公開しております。全国の状況を私はちょっと分からないのですが、各都道府県で実際にそういう動きもございます。
事務局さんから何かその点でございますか。特には。
【坂口温泉地保護利用推進室長】
現時点では情報はございません。
【滝沢小委員長】
ほかに御意見、御質問等はございますでしょうか。
取りあえず、この場で御意見とか御質問を承るのはこれで一旦閉めさせていただきます。また、次の議題等でも事務局から説明をいただきますので、そのときにまた関連する質問等があれば、また質問や御意見を賜ればと思っております。
それでは、議事次第に載っております「『温泉資源の保護に関するガイドライン』の改訂について」、この部分について事務局から御説明をよろしくお願いいたします。
【五反田温泉地保護利用推進室室長補佐】
資料5を御覧いただければと思います。
「温泉資源の保護に関するガイドライン」の作成経緯につきましては、平成18年「温泉行政の諸課題に関する懇談会」において、掘削許可の基準の明確化、データや科学的知見の一層の充実等、さらなる進化が求められている状況にある。温泉資源の保護のために必要な仕組みについては見直しを行う必要があるとの報告書がまとめられました。その報告書を受け、温泉小委員会において御議論いただき、答申をまとめていただきました。
答申では、「都道府県が温泉資源保護のための条例・要綱を定めるに当たっての参考となり、対策を円滑に進めることができるよう、新規事業者による掘削や動力装置の許可の基準の内容や、都道府県における温泉資源の保護のための望ましい仕組みについて、国は、温泉は国民共有の資源であるという観点に立って、できるだけ具体的・科学的なガイドラインを作成すべき」とまとめていただいております。
温泉法では、温泉の掘削、増掘及び動力の装置の許可の際の不許可基準として、温泉の湧出量、温度または成分に影響を及ぼすと認められるときとか、公益を害するおそれがあると認められるときといった原則的な規定が定められておりますが、可燃性天然ガスによる災害防止対策を除き、詳細な基準は定められておりません。
こういったことから、各都道府県ではスムーズな許可・不許可の判断を行うため、独自に温泉の保護に係る要綱等をあらかじめ定め、規制区域とか規制の距離の設定等を行っている場合が多く、都道府県によってはその手法が様々であって、ある程度統一的な方針を環境省が示すべきといった御議論がありまして、こういった答申をいただくに至っておりました。
平成21年に、小委員会の御議論やパブリックコメント等を経てガイドラインは策定されました。本ガイドラインの狙いとしては、都道府県における温泉の掘削等の不許可事由の判断基準等について一定の考え方を示すとともに、許可等の基準となる条例・要綱を定めるに当たって参考にできる総合的なガイドラインとしているところです。
留意点といたしましては、地域の温泉資源の特性を十分に配慮し、許可等の判断に当たる必要があること。2つ目としては、本ガイドラインよりも先進的な取組を否定するものではなく、都道府県に対する参考資料といった扱いであること。3つ目として、現時点で限られた知見を基に作成された暫定的な性格のものであり、環境省では、温泉資源に対する各種調査を実施し、また、都道府県の温泉行政担当者の意見を伺いながら、5年ごとにガイドラインの総点検を実施するとともに、随時その更新を図っていくとしており、今回、5年ごとにガイドラインの総点検を実施する時期を迎えてございます。
2ページを御覧ください。
ガイドラインの概要になります。参考資料8の「温泉資源の保護に関するガイドライン」本体も御参照いただければと思いますが、ガイドラインの5ページ目からは、第二としまして「掘削等の原則禁止区域の設定、既存源泉からの距離規制、温泉の採取量に関する取扱い」について記載されております。
温泉法では、温泉の掘削等の許可制度について、「温泉の湧出量、温度又は成分に影響を及ぼすと認められるとき」等を除いて許可しなければならないことのみを定めており、その具体的な判断基準は定めてございません。
都道府県においては、このような法の趣旨を踏まえて、温泉保護のための掘削等を制限する特別な区域を定める、または既存源泉からの一定距離内での掘削を認めない距離規制を行うことで、審査基準の具体化を図っていることが多く、その規制内容や距離規制の状況をまとめてございます。
また、規制の内容を要綱として策定・公表している状況についてもまとめてございます。さらに、掘削等の原則禁止区域の設定についての考え方、具体的な設定基準、設定見直し手続についても提示をしてございます。
また、距離規制に関し都道府県が現に行っている規制について、全国的・平均的な観点から妥当性を検証してございます。例えば、深度を限定せずに行っている距離規制であるとか、大深度を対象に行っている距離規制について検証してございます。また、距離規制の起点となる既存源泉と未利用源泉等についての考え方も示してございます。例えば、距離規制において、一定期間利用していない源泉を既存源泉とみなさない事例として、その期間を5年と定めている都道府県が2つあるといった状況等についても示してございます。
温泉の採取量については、特に動力の装置に際し、採取量の制限値を条件として設定する場合の考え方について参考事例を示してございます。
ガイドラインの18ページ以降は、「個別的許可判断のための影響調査等」について、実施方法やその手法、注意点などを挙げてございます。
ガイドラインの21ページ以降は、「温泉資源保護のためのモニタリング」として、モニタリングの重要性等について取り上げております。モニタリングは、地域の温泉資源の状況を把握し、過剰な採取を抑制し、その保護を図る上で極めて重要であること。既存源泉所有者等にとって、温泉資源保護のためのモニタリングを通じて、源泉の状況把握や異常の有無等により、自己が所有する源泉の健全性の確認や、井戸の適切な維持・管理が可能となること。将来、近傍で新たな温泉掘削等が行われる場合には、その影響が生じた際の科学的根拠となる貴重なデータともなるといった点を記載し、その重要性を訴えてございます。また、そのモニタリングの実施方法や結果の反映方法についても、ガイドラインにおいて言及させていただいているところでございます。
ガイドラインの23ページ目以降は、公益侵害への対応についての考え方を示してございます。掘削等の不許可に反映できる公益侵害の範囲は、原則として掘削等に直接起因するもののみに限定される。ただし、間接的な事柄であっても密接不可分の関係にあるものは含み得るとし、掘削工事中に湧出した温泉の放流に伴う公共用水域等への水質の影響といったものをガイドラインに挙げてございます。
具体的な公益侵害の類型といたしましては、「騒音・振動」、「温泉の放流に伴う水質への影響」、「地盤沈下」といった3点を挙げてございます。その他、それらの状況について対応している事例についても記載しているところでございます。
その他の項目といたしまして、平成21年度の策定時に課題として検討された項目であります大深度掘削泉の資源的な特性であるとか、未利用源泉の問題と指導の在り方といったところに加え、近年の浴用や飲用以外の目的での利用や温泉発電などの課題についても挙げてございます。
3ページを御覧ください。
これまでのガイドラインの改訂状況について記載をしてございます。平成21年に策定され、平成26年に総点検の上、改訂してございます。
平成26年の改訂内容といたしましては、図表や都道府県アンケート調査結果についての情報の更新、温泉の採取量に関する取扱いにおいて、特に動力装置による採取量の制限値を許可条件とする場合の考え方と具体的な設定方法を追加してございます。また、周辺源泉への影響調査を通じ、既存源泉所有者が得るメリット、注意点などについても追記をしてございます。
令和2年度においては、総点検の結果、大幅な改訂項目はなかったということから、情報の充実化が図られてございます。
4ページを御覧ください。
今回の5年ごとの総点検を受けて改訂に向けた検討の視点について、御説明させていただきます。ガイドラインにも記載されているのですが、「現に事務処理の現場で問題になっている部分の詳述、科学的知見や具体的な取組事例を多く盛り込むことで、都道府県の担当者の参考資料として使いやすいものとすることを目指し、5年ごとに総点検を実施するとともに、随時その更新を行う」との更新方針に従い、第二「掘削等の原則禁止区域の設定、既存源泉からの距離規制、源泉の採取量に関する取扱い」の部分から、第四「温泉資源の保護のためのモニタリング」の目次部分にある項目につきましては、近年の状況を踏まえた考え方や対応事例の追加について検討したいと考えでございます。例えば、源泉の水位低下を踏まえ、保護地域を新たに設定しているものなどがあれば、どのような考え方に基づいて設定されているのかなどを調査した上、追加を検討したいと思ってございます。
第五「公益侵害防止」に関しては、これまで「騒音・振動」、「温泉の放流に伴う水質への影響」、「地盤沈下」の3点を提示してきたところ、新たに追加すべき公益侵害の類型がないかを検討したいと考えてございます。
その他温泉資源の保護に関する課題としての大深度掘削、科学的なデータ収集に関する参考事例の収集や、参考資料の充実化を図っていきたいと考えてございます。
5ページを御覧いただければと思います。
今後のスケジュールになります。公益財団法人中央温泉研究所を通じ、今年度、各都道府県に対し、「温泉資源の保護に関するガイドライン」について改訂すべき点がないか、どういった点を改定すべきかといったアンケートを別途お願いしております。そのアンケートに加えまして、都道府県や研究機関等へのヒアリングを予定してございます。
次回の温泉小委員会を来年1月下旬から2月上旬頃に開催させていただき、そのアンケートやヒアリングの結果を受け、ガイドライン改訂に向けた主な検討項目と、来年度、令和7年度に追加的に調査すべき項目がございましたら、委員の皆様からの御意見を伺い、検討させていただきたいと考えております。
また、追加的な項目がございましたら、追加的な項目に対する調査を来年度4月から行い、必要に応じて技術ワーキングを設置させていただき、細部について御議論いただき、その結果を踏まえ、来年11月頃、再び温泉小委員会に御報告させていただき、ガイドラインの改訂案について御審議、御議論いただきたいと考えてございます。
その後、必要に応じてパブリックコメントを実施し、令和7年12月末頃までにはガイドラインを改訂・公表したいと考えてございます。
「温泉資源の保護に関するガイドライン」の概要的な御説明と、改訂に向けた検討方針、スケジュールについての御説明は以上となります。
【滝沢小委員長】
事務局さん、説明をありがとうございました。
議題(2)の「温泉資源の保護に関するガイドライン」の改訂についてただいま説明いただいたところですが、先ほどの議題(1)と同様に、この内容について御質問、御意見がありましたら賜ればと思っております。先ほどと同じように、会場の皆様には挙手をいただく、リモート参加の皆様には挙手ボタンを押していただいて意見を述べていただければと思います。内容的にかなり長い部分になっておりますし、スケジュールの話等もございましたので、ぜひ皆様から忌憚のない御意見をいただければと思っております。
地熱のガイドラインと温泉保護のガイドラインというのが、先ほど議題(1)のところでも話が出ましたが、ちょっと分かりにくい部分もあるかとは思いますが、来年にかけて改訂を予定しているのは温泉資源保護のためのガイドラインの改訂でございます。
急に内容等を言われてもなかなか思いつかないというところはあるかと思うのですが、事務局からも整理いただいていまして、特に資料5の4ページに当たる部分で課題を一度洗い出していただきました。当然、先ほど説明にあったとおり、関連調査、都道府県に対する改善すべき点等のアンケートとかヒアリングが同時に進んでおります。ここで、実際に許可・不許可等の判断を下している各都道府県から、ここが問題であるとか、こういったところは今後検討していただきたいということが具体的に出てくると思います。これを来年1月下旬から2月上旬にピンポイントで問題点をまとめて皆様に御提示出来るかと思っておりますので、現段階では特にこれが問題だというのは皆さんもなかなかイメージしづらいと思いますが、例えば、ヒアリング等で重点的にこういったことも聞いてほしいということもあれば御意見をいただければと思っております。いかがでしょうか。
では、江﨑委員、よろしくお願いいたします。
【江﨑委員】
度々すみません。
ヒアリングをしていただいてガイドラインを作っていかれるということで非常にいいことかなと思っているのですけれども、主体としては行政の方の判断基準になっていくと思うので、行政の方々へのヒアリングが中心になると思うのですが、そのときに複雑な背景があったり、関係者がほかにもいるかなと思ったので、視点としては行政でいいと思うのですけれども、事業者とか温泉資源を利用している人にヒアリングをしてみると、要望を聞くというよりは、行政の方の課題が見えやすくなるかもしれないなと思ったのです。絶対そうしてほしいということではないので、ほかの立場の方のヒアリングもあってもいいかなという気はしました。
以上です。
【滝沢小委員長】
貴重な御意見をありがとうございます。
事務局さんからいかがでしょうか。
【坂口温泉地保護利用推進室長】
ありがとうございます。
今年、まさにまず都道府県にヒアリングをしていますけれども、そこの中で事業者に聞くとより詳細な現地の情報が分かるようなものが出てきましたら、またそこも検討させていただければと思います。御意見ありがとうございました。
【滝沢小委員長】
佐藤委員、どうぞよろしくお願いします。
【佐藤委員】
今の案件と非常に似ている話なのですが、温泉事業者サイドの関係から申し上げますと、今、地熱貯留層と温泉帯水層の距離の問題も含めて、それが本当の意味で、えり分けも含めて、きちんとそこが見えてくるのか、そこまで科学的な手法も含めて進んでいらっしゃるのかどうかというところに温泉事業者のほうは一つ大きなクエスチョンを持っています。その辺も含めてどうしたらいいのかなというところが、そういう目線で言えば、産総研の先生がいらっしゃっていますので、ぜひその辺は聞いておきたいなと。浅沼先生、いかがでしょうか。
【浅沼委員】
そこの点につきましては、いわゆる括弧書きの地熱発電関係のガイドラインに記載されるべきだと思っておりまして、そこの改訂はもう少し先だということなので、そこを科学的にどう詰めていくかというのは研究者サイド、行政、温泉事業者の方を交えて意見を交換して妥当な解を見つけるのが適切だと思っております。
以上です。
【佐藤委員】
ありがとうございます。
【滝沢小委員長】
どうもありがとうございます。
浅沼委員、どうもありがとうございました。
ほかに何か御意見、御質問等はございますでしょうか。
では、安川委員、よろしくお願いいたします。
【安川委員】
先ほどの江﨑委員の御意見に賛同するものなのですけれども、恐らく温泉事業者の方たちは既に都道府県が定めている条例などで規制があるので、もうできないと思って申請していないような案件もあるのではないかと思います。そういう意味では、都道府県だけではなくて、温泉事業者の方にもヒアリングを行うべきと。
あと、都道府県の中の各審議会の委員の先生方は状況をいろいろ御存知で、資源としてはこうすべきという考え方と、温泉側の人がこういうことを考えているというのを両方知っているような方が結構大勢いらっしゃるのではないかと思いますので、各都道府県のそういう審議会なり温泉小委員会などの例えば委員長の先生方にもヒアリングを行うとよいのではないかと思いました。
以上です。
【滝沢小委員長】
安川委員、ありがとうございます。
事務局さん、いかがでしょうか。
【坂口温泉地保護利用推進室長】
非常に参考になる御意見をありがとうございます。次の追加ヒアリングの際に検討させていただければと思います。
【滝沢小委員長】
ほかに何か御意見はございますでしょうか。また、初めての委員の方もいらっしゃいますので、ガイドラインそのものについての御質問等をしていただいても結構です。
それでは、現時点では具体的な資料等があるわけではございませんので、御質問、御意見を賜るのはこちらで一旦止めたいと思います。
検討スケジュールについて事務局から説明がありまして、資料5の5ページの部分ですが、こちらの検討スケジュールに基づいて、今後、先ほどいただいた御意見等も参考にしながら進めさせていただきますが、こちらのスケジュールについて何か御異論はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
取り急ぎ、こちらのスケジュールで進めさせていただくということで、今後、作業を進めさせていただきます。
これで議題(2)についてはこちらで一旦終了させていただきたいと思います。
次に、議題(3)の「その他」についてですが、各委員の皆様、もしくは事務局から何かございますでしょうか。御意見があれば挙手または挙手ボタンでよろしくお願いいたします。
委員の皆様、よろしいでしょうか。
それでは、事務局のほうはいかがでしょうか。
【五反田温泉地保護利用推進室室長補佐】
ありがとうございます。
事務局からも特段ございません。次回の温泉小委員会の日程につきましては、先ほど方向性、スケジュールについて御承認いただきましたとおり、来年1月下旬から2月上旬をめどに、別途、委員の先生方の日程調整をさせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【滝沢小委員長】
よろしくお願いいたします。
では、以上をもちまして本日の議題について全て終了させていただきました。皆様、御協力ありがとうございました。
それでは、進行を事務局にお返しいたします。事務局さん、よろしくお願いします。
【五反田温泉地保護利用推進室室長補佐】
滝沢委員長、どうもありがとうございました。
委員の皆様におかれましても、お忙しい中御審議いただきまして誠にありがとうございます。
本日の委員会は以上をもちまして閉会となります。本日は誠にありがとうございました。また引き続きよろしくお願いいたします。
午後2時46分閉会