自然再興の実現に向けた民間等の活動促進に関する小委員会(第4回)議事録

開催日時

令和6年7月 16 日(火) 14:00~16:30

議事次第

1 開  会
2 議  事
 (1) 地域生物多様性増進活動の促進に関する基本的な方針(案)について
 (2) その他
3 閉  会

議事録

午後2時01分 開会
○司会 定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会自然環境部会第4回自然再興の実現に向けた民間等の活動促進に関する小委員会を開会いたします。
本日は、お忙しい中、ご出席いただきありがとうございます。
会議に先立ちまして、出席委員数のご報告です。本日の委員会には、12名の委員にご出席いただいております。このうち、定足数の対象となる委員、臨時委員10名中、ウェブ会議システムでの参加を含め、8名にご出席いただいており、本委員会は成立しています。
本日の会議運営についてご説明いたします。
本日、会議室でご参加の委員の皆様におかれましては、ご発言の際は名札を机の上に立てていただき、委員長からのご指名後、マイクをオンにしてご発言ください。発言終了後は、マイクをオフにしていただくようお願いいたします。
本日、オンラインでご参加の委員の皆様におかれましては、マイク、ビデオは、ご発言の際のみオンとするようお願いいたします。また、ご発言の際は、チャット欄に書き込みいただき、ご発言する旨をお知らせください。委員長からのご指名後、マイクのミュートを解除していただき、議事録の円滑な記録のため、お名前をおっしゃってからご発言いただきますようお願いいたします。なお、挙手ボタンは気がつかないこともございますので、挙手ボタンは使用せず、チャット欄をご活用いただければ幸いです。
本日ご説明する資料につきましては、委員の皆様には事前に電子データにて送付しております。本日は、事務局が画面上に資料を投影し、進行させていただきますので、お送りした資料は必要に応じ、お手元でご参照いただきますようお願いいたします。
本委員会の様子を環境省YouTubeチャンネルによるライブ配信をしております。傍聴されている方につきましては、本日の資料を環境省ホームページの自然環境部会のページにアップロードしておりますので、そちらをご確認いただきますようお願いいたします。
それでは、まず植田自然環境局長よりご挨拶申し上げます。
○植田自然環境局長 皆様、こんにちは。音声、大丈夫でしょうか。7月1日付で、先々週から着任をしております。自然環境局長を拝命いたしました植田でございます。よろしくお願いをいたします。
7月に着任をいたしましたのですけれども、私自身は自然環境関係の仕事をメインで進めておりましたので、自然環境局に戻るのは3年ぶりで、3年長崎と1年地域の脱炭素の審議官をしておりましたので、それぶりということになります。
その間、自然環境局においては、今回お願いをしております、いわゆるOECM関係の法律が見事に成立をさせていただいたところであります。この法律自体、まさに私が前におりました頃、四、五年前ですけれども、石井委員長、その当時は検討会でございましたけども、OECMの検討会を立ち上げて、まだ陸のものとも海のものとも分からないところから検討を始めさせていただいて、そのとき以来の、また石井委員長にお世話になるということで、大変感慨深く、ありがたく思っておるところであります。
今年、法律は成立をいたしましたけれども、この法律自体、大変画期的なものでありまして、私は、申し上げたとおり、地域脱炭素のほうにおりましたものですから、温対法の改正のほうを見ておりましたけれども、その法律自体が、検討が早く進んで、トップで昨年の国会に差しかかったのですけども、実は途中で大事な法律があるからということで、自然環境関係の、まさにこの法律に先を譲りまして、先に成立をしたという経緯があります。それぐらい省の中でも大事な法律として、この自然環境の法律が行ったわけであります。
画期的というのは、まさに私も実感をしておりまして、先生方もご承知のとおり、釈迦に説法ではありますけれども、環境省、私自身は35年勤務しておりますが、その頃から、あるいはそのもっと前から、環境省が、自然環境局が、国土全体の自然環境を保全する立場として、何か法律的な手だてを持って施策をやるということが、悲願でありました。国立公園や、本当に重要な部分、一部の部分にしか法律の網がかかっていなかったという状況もあり、それが悲願でありましたけれども、ここに来て、やはり国土全体の生物多様性という意味で、環境省が主体となって、もちろん関係省庁と一緒ではありますけれども、リードする形で、こういう法律ができたということは大変画期的だと思っております。
ただ、画期的とはいっても、法律ができただけでは何も進まないわけであり、まさに法律ができてから魂を入れるところが大事であります。継続をしておりますこの小委員会は、まさに出来上がった地域生物多様性増進活動促進法の中身、魂を入れる作業だと認識をしております。そういったわけで、今後、数回にわたってご検討いただきますけれども、忌憚のないご意見、ご指摘をいただきまして、よりよいものになりますことをよろしくお願い申し上げて、ご挨拶とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○司会 続きまして、前回の小委員会後に人事異動がありました。新たに着任した自然環境局幹部をご紹介いたします。
大臣官房審議官の飯田です。
○飯田大臣官房審議官 7月1日に着任いたしました飯田でございます。よろしくお願いいたします。
○司会 自然環境計画課長の番匠です。
○番匠自然環境計画課長 自然環境計画課長に着任しております番匠です。どうぞよろしくお願いします。
○司会 それでは、これよりの議事進行につきましては、石井委員長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○石井小委員長 では、皆さん、こんにちは。委員長を拝命しております石井でございます。
前回の会議は、たしか1月だったと思いますので、半年ぶりの開催ということになります。昨年度の委員会では、民間等による自主的な生物多様性保全の取組を促進する法制度の構築に向けた検討ということで、僅か3か月3回という短期間で答申案を作成したということでございます。本当にこのような短期間でできたということに関しては、環境省の関係者のご尽力、それから委員の皆様方の活発なご議論のおかげということで、改めて感謝申し上げる次第でございます。
先ほどの局長のご挨拶にありましたように、この答申案に基づく生物多様性増進活動促進法が4月に成立しております。昨年度から始まりました環境省の、生物多様性が維持されている場所、自然共生サイトを認定する制度には多くの申請をいただき、昨年度は184か所の認定でした。今年度も、前期は申請開始後すぐに締切りになるほど人気が高いと伺っていまして、国民の期待が高いと認識している次第です。新しい法制度では、場所そのものではなくて、場所にひもづいた活動計画を、環境省ではなく国が認定するということになっています。さらに生物多様性の劣化地の再生も対象になるということで、自然共生サイトが次のステージに進むことになります。いずれにしましても、30by30目標の達成、それからネイチャーポジティブの実現に向けて、重要なツールになると言えると思います。
本日の会議では、来年度から運用が始まる生物多様性増進活動増進法に基づく新しい制度に関する基本方針の検討を始めるということになります。委員の皆様には、いつものように活発なご議論をお願いしたいと思います。
会議録ですけれども、後ほど事務局で作成し、本日ご出席の委員の了承をいただいた上で、公開することとなります。また、会議資料につきましても公開となります。
それでは、早速ですけども、議事の1、地域生物多様性増進活動の促進に関する基本的な方針(案)について、事務局からご説明をお願いします。
○自然環境計画課課長補佐 委員の皆様、本日もよろしくお願いします。環境省、小林です。
今日は、この生物多様性増進活動促進法の基本方針、こちらについてご議論いただきたいと思っております。
では、資料については、1-1が基本方針の案の本体になりますが、説明は、資料1-2のパワーポイントで行います。
まず、これまでの経緯を含めて、振り返りも兼ねて、スケジュールについてご説明いたします。
昨年度の8月に、この小委員会、設置させていただきました。そして、10月から3回にわたって、この小委員会でご議論いただき、1月末に答申をいただきました。そして、その答申を踏まえて、今年の4月に生物多様性増進活動促進法が成立、公布されたところです。そして、施行は来年の4月を予定しております。そのため、この施行に向けて基本方針を策定する必要がございます。
基本方針は、文字どおり基本的な方針ということで、増進活動をどう促進していくかの方向性を考えていきたいと思います。こちら、昨年度に小委員会で3回にわたってご議論、そして答申において重要な方向性について考えをいただいておりまして、今回、それを基に事務局のほうで基本方針(案)、資料1-1のとおり、用意しております。それを踏まえて本日、7月16日、ご議論いただきまして、その後、夏にパブリックコメントを実施、そして9月26日に第5回の小委員会で基本方針の取りまとめを行い、その後、それを踏まえて方針を決定、公表していきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
基本方針を入る前に、簡単に私から、この法律の概要についてご説明させていただければと思います。
4ページ目をご覧ください。まず、法の背景でございます。これはもうご存じのとおりですが、「昆明・モントリオール生物多様性枠組」という新たな世界目標ができ、そして「ネイチャーポジティブ」の実現、「30by30」目標の達成、そして、そのためにOECMの重要性がうたわれているところです。また、TNFDをはじめとして、現在、企業、NPO、そういった民間の取組が非常に重要で、注目が高まっているところです。
こういった背景を踏まえまして、続いて5ページ目ですけども、「自然共生サイト」という環境省の任意の制度を昨年度から運用を開始したところでした。こちらは、先ほど石井先生からもありましたように、昨年度、184か所を認定するという形で、想定よりもかなり多くのご関心、そしてよいスタートを切っているところです。
一方で、やはり右側にあるように、これはOECMの検討会でも度々ご指摘は受けていましたが、このいいところをキープしていくということはもちろん重要ですが、これから回復、それから新たに創出、そういうポジティブになるような部分の対応も必要ではないかというご指摘を多くいただいておりました。我々も、そこはすごく大きな課題だと感じておりました。こういったところを取り込むような形で法制化できないのかというところが、この自然共生サイトの流れを踏まえた違いになります。
そして、この法の次に、6ページ目ですが、基本理念についてです。ここは、真ん中にありますように、自然と共生する社会の実現というのを基本理念と置いております。そして生物多様性を維持し、そして先ほど申し上げた回復、そして創出することをまとめて、生物多様性を増進するということを法の中で定義をつけました。そして、冒頭、局長からもありましたように、国土全体、あらゆるところで生物多様性を高めていく、魂を入れていくためには、環境省だけではなく、本日もご出席いただいていますが、農林水産省、そして国土交通省と一緒に連携していくことが重要ですので、この3省の共管の法律となったところでございます。
続きまして、具体的な中身についてご説明します。7ページ目です。活動計画の認定というのがこの法の柱になります。下の図をちょっと見ていたほうが分かりやすいのですが、二つあり、一つは企業、NPOが活動計画をつくり、それを国が認定するという、自然共生サイトの法制化のイメージが一番近いものとなっております。そして、もう一つが、市町村が多様な主体と連携する活動計画をつくり、それを国が認定するというようなものになります。こちらは今回、この法律の成立とともに廃止する、生物多様性の連携活動促進法の趣旨を踏まえて取り入れたものになっていると考えていただければ分かりやすいと思います。
そして、続いて8ページ目ですが、法律上のメリットというものについて、この活動計画の認定を受けると、例えば自然公園法、そういった法の手続を一部ワンストップ化・簡素化することができるというものがあります。これによって、煩雑な事務手続を少しでも簡素化していきたいと思っております。
また今回、もう一つ、9ページ目ですけど、特徴としては生物多様性維持協定というのがございます。こちらは何かというと、活動計画二つあったと思いますが、市町村が多様な主体と連携する場合にのみ、この維持協定つけることができます。市町村と活動実施者と土地の所有者が協定を結ぶと、仮に土地の所有者が変わったとしても、その協定の内容が継続される、承継されるというようにしておりまして、それによって長期安定的な活動が見込まれるという、こういう協定制度を設けてございます。
続きまして、10ページ目ですけども、関連する施策との連携を図るように努めていくということ。それから、先ほど、途中で申し上げたとおり、生物多様性地域連携促進法というのがCOP10のときにできましたが、これを廃止することとしています。ただ、廃止とありますが、生物多様性地域連携促進法の中身を、この増進法の中身を取り込んで、バージョンアップしたものというように考えていただいたほうがより分かりやすいかと思います。また、この認定事務の一部を独立行政法人環境再生保全機構に担わせるという形にもなっております。こういった面で、運用の体制も強化していきたいと考えているところです。
ここまでが生物多様性増進促進法の本当に簡単な概要になります。
続いて、今日の議題である基本方針、基本的な方針の案についてご説明させていただきます。
基本方針については、大きく五つのパートから成るように、これは法の8条で決められております。一つが促進の意義、そして、もう一つが促進のための施策に関する基本的事項、そして三つ目が計画作成に関する基本的事項、四つ目が農林漁業に係る生産活動その他の促進に関して配慮すべき事項、5番目がそれ以外の重要事項という形になっております。今日は、五つあるものについて、簡単にまとめたものをご説明させていただきます。
まず、第1章については、活動促進の意義に関する事項です。スライドだと、13ページ目になります。
背景については、先ほど法の背景を申し上げたので、それと同じことを記載しているところになります。
そして、2番目について、促進の意義についてです。促進の意義については、大きく四つ挙げています。
一つが生態系ネットワークの構築です。こちらの身近な自然、そういう民間の活動が行われているような様々な場所での活動を含めて促進することで、生物多様性に貢献する場所を量的・質的に確保していき、それによって、保護地域とOECM、そういったところの生態系ネットワーク構築につながっていくというものです。
そして、二つ目が活動の質・継続性の向上です。一つ、この活動計画の認定については、広く国民運動として広げていき、それが多くの方の機運の醸成、それから活動への参画を呼び込んでいきたいということを述べています。また、希少種保護など従来からの自然環境行政、それから農林漁業、そういった産業との連携によって、活動の継続性をつなげていきたいと考えております。また、この認定というものを通じて、活動者自身の価値の向上や、取組の適切な評価、そういうことにもつなげていきたいと考えております。
三つ目は、いわゆるNbSの推進です。ネイチャーポジティブ活動とも言うべき活動の促進を通じて、例えば炭素の貯留、災害への生態系の強靭性の向上、それから文化の伝承、心身の健康の増進、こういった多面的な機能を発揮することにつなげていく、これも大きな意義の一つだと考えております。
そして、四つ目が地域の活性化です。増進活動が行われることで、地域の様々な方々とのいわゆる地域コミュニティの形成や、農林水産物の販売、観光の推進など地域活性化策への展開、都市や農村漁村などが「ヒト・モノ・カネ」でうまくつながっていくような地域循環共生圏、こういったものへの発展、それから環境教育や活動の担い手の育成につながって、それが地域の盛り上がりにもつながっていくことを期待しているところです。
意義については、大きくこの四つを挙げております。
続きまして、スライド14ページ目、第2章について、活動を促進するための施策に関する基本的な事項について、ここでは記載しています。
一つは、この活動を促進することが30by30目標の達成に寄与していくということを述べています。それはOECMとして登録するということを通じてということでもあります。今回、生物多様性を増進という形で、生物多様性を維持・回復・創出とありますが、このうち生物多様性を維持する活動として認定を受けた活動の実施区域については、「自然共生サイト」と呼んでいきたいと考えています。それによって、ここを保護地域との重複を除いて、その活動場所をOECMとして登録するというものになります。今回、昨年度から始めた自然共生サイトを法制化することになりますが、これによっても、自然共生サイトという、ある意味、命を引き継いでいきたいという意味で、こうしております。
一方で、今回新たに対象となる生物多様性を回復・創出する活動、こちらについて、その認定を受けた活動の実施区域の名称について、今、仮称ですが、「準自然共生サイト」と入れております。これは、これからまさに自然共生サイトを目指していくという意味で「準」とつけておりますが、この活動の結果、そこが生物多様性を維持する活動として、要は状態がよくなった場所等の活動として認定を受けた時点で「自然共生サイト」へ移行し、OECMとして登録するということを考えており、それをここに書いております。
その次に、各主体の役割として、国の役割、例えば状況が分かるような見える化システムの構築や、簡便なモニタリング手法の開発、資金・人的資源が集まってくるような仕組みづくり、有識者のマッチング制度、国内外への情報発信、こういったものを盛り込んでおります。
また、地方公共団体の期待する役割として、例えば活動支援センターの設置に努めていただくことや、地域戦略との調和を考えていただくことがございます。
また、事業者については、この増進活動を実施してほしいということもありますし、プレーヤーとしてではなく、それをサポートする立場として、例えば協力や助言、はたまた中間支援組織としてサポートしていくなど、そういったことを盛り込んでいるところでございます。
ここまでが第2章に記載しているところです。
続いて15ページ目、第3章です。こちらが活動計画を作成するに当たっての基本的な考え方を述べているところになります。
まず、基本的なベースとしては大きく四つございます。一つは、まず、その場所を知りましょうということです。事前の情報収集や調査等がまずは重要であり、そこがどんな場所で、どういう課題を持って、どういう活動が必要かをまず把握することが重要ということを①で述べています。そして次に、独りよがりにならないように、いろんな方の話や知見などの助けを受けることで、それがより充実した活動の計画の立案につながるということを②で述べております。③は、円滑に進めていくに当たっては、そこの場所に関係する、様々な関係者、例えば土地所有者、地方公共団体、公物の管理者、そういった方々と事前に十分な調整を行うことがその後の円滑な活動につながるということをうたっております。そして④が、いわゆる順応的管理の重要性をうたっております。やはり活動を進めておくことによって生じる課題とか状況の変化に合わせて、適切な活動へ見直していく必要性と、そのためにモニタリングしていくということも重要であるということをここでうたっております。
ここまでが①から④共通の基本的な考え方で、その下に、活動の内容及び実施時期・区域、それから目標などの考え方について簡単に書いています。例えば活動の内容については、役割分担を含めて、活動ごとに具体的な内容を記載すること。その際、目標を起点として必要となる活動を記載、いわゆるバックキャスティング的な考え方で活動の内容を考えることが重要であることをうたっております。そして、次に活動の区域ですが、こちらについては、具体的な活動を行う範囲をまず設定していきましょうということを記載してございます。
そして、続いて16ページ目ですけれど、活動の目標について、こちらについては、その土地の歴史、変遷、それから周辺の状況や生態系のタイプ、状況、課題を踏まえて、どんな目標が必要か、そういうのを踏まえて目標を立てることが必要であることを述べています。その際、定量的な目標が望ましいですが、定性的になる場合であっても進捗状況を把握できるような、指標については測定可能なものを設定することが望ましいとしております。
続いて、(4)活動の実施体制については、これは活動者、それから関係者が複数にまたがる場合は、その役割分担が分かるように記載してくださいというものです。
そして、(5)は計画期間についてです。こちらは生態系のタイプや活動の目標、そういうのを達成するために、まず適切な計画期間の設定を進めてくださいと述べており、基本的には、5年を目途に定めることが望ましいというふうにしております。そのほか、土地利用の既に期間が定まっている場合は、齟齬が生じないように配慮するということがあります。
(6)は、これは市町村が多様な主体と連携して行う連携増進活動実施計画のみですが、有機的に連携するために実施する取組の内容や、協議会や支援センターを設置する場合は、その内容を記載してほしいということを書いております。
そのほか、今回特例を設けますので、特例ごとに必要となる書類があること、特例のそれぞれの許認可の基準を踏まえる必要があること等の留意事項を記載してございます。
ここまでが第3章の1パートで、続きまして、P17が、認定基準についてです。
冒頭、申し上げ損ねましたが、この基本方針は基本的な方針として作るものですので、これを基に取扱要領やガイドライン、手引きのようなもので、より細部的なものは定めていく予定にしております。
この基準についても、まずは基本的な考え方を基本方針では書いております。例えば区域については、明確かつ適切な範囲とすること。また、生物多様性を維持する活動の場合は、OECMとして登録していくことも見据えて、生物多様性の価値を有すると認められることを基準としています。
そして、体制については確実かつ継続的に実施できるもの、計画期間についても、適切な期間が設定されているということにしております。
また、活動の内容については、生物多様性増進に相当程度寄与するものであるか、また適切な実施期間、公物等その他の法令に基づく取組との調和が図られているか。目標については、具体的かつ増進への寄与の観点から適切で、実現可能な目標が設定されているか。こういったものを基本方針の基準としています。
これを、申し上げたとおり、取扱要領やガイドラインのようなもので、より細部に示していきたいと思っています。こちらについては、基本的に自然共生サイトの認定基準を数年かけてつくってきましたので、そちらをベースに、踏まえて考えていくような形を想定しております。
続きましてP18、第4章、農林漁業に係る生産活動との調和その他の促進に際して配慮すべき事項についてです。
こちらについては、まず農林漁業と生物多様性が密接な関わりがあり、両立して相乗効果を発揮していくことが重要であると書いております。その上で、みどりの食料システム法に基づく、都道府県が作成する基本計画との調和や、市町村森林整備計画との適合、それから農林水産振興との調和、こういったところを図ることが重要であると述べています。そのためには、関連する関係者との十分な調整が必要であるとしております。
その下、社会資本整備との調和についてです。こちらについても、例えば実施区域が公物等の管理区域と重複する場合においては、管理者との確認・同意が必要であることなど、そういう社会資本整備との調和が必要であるというものを記載してございます。
3番目が、自然環境の保全に関する方針、計画との調和ということで、保護地域、それから自然環境保全上重要な地域における保全の方針・計画との調和、それから、生物多様性を回復・創出する活動の場合は、自然再生推進法との連携というのが重要である旨を書いております。
今回、この増進活動促進法では、ネイチャーポジティブ活動を国土のあらゆる場所、沿岸域も含めて、いろいろなところで行われていくことを期待しています。そういう生物多様性を色々な目的とか、色々な土地利用がなされているところに高めていくという上では、こういう関係者、それから関係の法令であったり、計画とうまく調和して、両立させ、高めていくということが重要である旨、この4章に記載しているところでございます。
続きまして、スライド19ページ目、第5章です。こちらは最後になりますが、それ以外の重要な事項として、生物多様性維持協定、連携増進活動協議会、地域生物多様性増進活動支援センターの設置について記載しています。こういったものが今後の伴走支援や、取組を進めていく上で重要になってきますが、一方で、組織をつくる部分で、非常に労力がかかり、ハードルが高いという部分もありますので、既存の組織とか枠組みを活用することも必要ではないかという旨を記載しているところです。
また、4番目、生物多様性の見える化という形で、これが保全状況の把握、それから効果の評価までの取組を可視化できるような、そういった仕組みを今現在環境省で構築予定としております。こういったものを4番目に記載しております。
そして、最後が、いわゆるインセンティブ系を盛り込んだ、さらなる促進のための仕組みという形で、民間資金とか人的資源の活用の重要性と、そのための仕組みの一つである支援証明書の制度をつくっていく、こういったものを書いてございます。また、有識者のマッチング制度の構築、それから中間支援組織との連携を含めながら、伴走支援をやっていくことの重要性を書いております。また、やはりこの制度自体が、国内だけじゃなくて、海外においても知られていくということが重要になりますので、理解向上、いわゆる普及啓発の部分も含めて進めていくこと、また、活動の担い手も含めて、人材育成の重要性というのを5番目の中で記載しているところです。
最後は一つのページにまとめたものになりますので、以上になります。
本日は、ご欠席の委員からは、参考資料1として、この答申案について、事前にご指摘いただいておりますので、よろしければご参考いただければと思います。
そのほか、参考2として1月末の答申案、それから、参考3として「自然共生サイト」と今回の増進活動促進法の違いについて簡単にまとめたものもございます。本日、説明は割愛しましたが、不明な点あれば、ご質問等いただければと思っていますので、よろしくお願いいたします。
説明は以上になります。よろしくお願いいたします。
○石井小委員長 どうもご説明ありがとうございました。
そうしましたら、今日はかなり時間を十分に取っていただいていますので、一問一答で行けるかなと思いますけれども、ご意見、ご質問がございましたらいただきたいと思います。
最初に、参考資料1の欠席委員からいただいたご指摘ですが、ここはどうしましょうか。重複すると時間のロスになるので、簡単にご紹介をお願いしたいと思います。
○自然環境計画課課長補佐 では、これは事務局から一旦読み上げさせていただくという形にします。
○石井小委員長 そうですね。
○自然環境計画課課長補佐 まず今回、ご欠席委員は5名おられます。
まず、西澤委員からのご指摘です。参考資料1をご覧いただければと思っております。
全体としてご意見をいただきましたが、一つ、個別に行きますが、まずガイドライン策定に考慮いただきたいということです。今後、この基本方針を基にガイドラインをつくるときに、必要な事項についてご指摘いただいた部分、それから、そういったときに経済界と連携していきたいということ、いわゆる分かりやすい評価の仕方とかモニタリング手法の重要性をガイドラインの中でより考えていただきたいということがあります。
また、もう一つが「準自然共生サイト」の取扱いについて、こちらが今後ネイチャーポジティブについて、一つ重要なものになってくるだろうということです。そういったときに、世界目標のターゲット2、劣化地の30by30に貢献する取組であるということを明記すべきではないかということをご指摘いただいております。
おめくりいただきまして、TNFDへの利用の促進という形で、この活動を促進するということ、そして活動の認定というのが「支援証明書」とかを含めてTNFDに活用できるよう、制度設計等、検討を進めてほしいということをいただいております。
続いて、国際発信力の強化という形で、グローバルで活躍される企業さんにとっては、OECMや、法の取組で認定されること自体が国際的にも理解されるということが重要であるので、そういう国際発信をより強化してほしいということを指摘いただいております。
インセンティブの拡充という形で、今後、企業などが取り組むに当たっては、様々なインセンティブが必要であろうということです。例えば補助金、支援策の拡充ということで、補助金の創出、固定資産税の減免、投資に係る税制上の優遇措置等を積極的に考えてほしいということや、加えて地方公共団体の取組、そういったところの制度ですね、優遇制度というのも導入することも考えてほしいというのをいただいておるのが西澤委員からのご指摘になります。
続いて、広田委員からでございます。広田先生からは一般的な方にも分かりやすい・読みやすい文章になるよう、これは全般的に心がけてほしいというのをいただいております。
また我々、里地里山とか、企業の緑地を含めて、身近な自然というふうに呼んではいますが、広田先生からは、そういった身近な自然が、身近じゃなくなっているということがやはり一つ問題じゃないかというご指摘もいただいています。
また、関係人口、関心人口、地域コミュニティ、こういったことにつながることが重要であるというふうなご指摘をいただいております。
そして、小山市長の浅野委員からは、地方公共団体に取組が広がっていくことが重要であろうということです。一方で、それが全ての地方公共団体に広まるのは、なかなか難しいことも理解しているとのこと。そのため、地方公共団体を支援する仕組みとか、職員に対するノウハウを提供する仕組みというのも必要なのではないかというご指摘をいただいています。
そういった意味で、ケーススタディ、優良事例というのを示していって、広げていくということも重要じゃないかということもご指摘いただいているところです。
そして、角谷先生からのご指摘です。角谷先生からは、活動の成果を確認するためにも、定性的な目標であっても評価可能な指標があるということは重要ではないかということです。報告についても、定期的に行うことが重要で、例えば5年に一度報告をしてもらう必要があるのではないかということや、生物多様性地域戦略との整合についても言及があってもよいのではないかというご指摘をいただいています。
森田委員からは、全般としてのご意見ですけども、この言い方がいいのか分からないですけども、企業によっては、まだまだ正確な理解が届いていないということ、何をやればいいのか分からないという、ネイチャーポジティブについても色々な考え方、認識を持たれている企業が多いんじゃないかという印象を最近持っているというご指摘です。そういった中で、企業においても、世界的に見れば30by30やNbS、ターゲット15であるように、企業の情報開示のように、世界のスタンダードとして、こういう生物多様性に取り組むことが求められているということが伝わるようなことが望まれるというご指摘をいただきました。
いただいた委員のご指摘について、本日ご用意した基本方針に反映、盛り込める部分は盛り込んだものを用意しまして、まだ対応途中のところは、今後、またこの指摘を踏まえて修正していきたいというふうに考えているところです。以上です。
○石井小委員長 ありがとうございました。
ということで、ご欠席の委員からのご指摘ということで、ご紹介いただいたところです。
それでは、それ以外のご意見ということになるかもしれませんけれども、ご意見、ご質問等ありましたら、会場の方はいつものように名札を立てていただきまして、意思表示をお願いします。それから、オンラインの方につきましては、チャット欄に、質問がある旨記載していただきますようお願いします。
それで、本体はあくまで資料1-1ということですので、特に具体的な修正等がございましたら、資料1-1に基づいて、何ページの何行目という形でご指摘いただき、さらに願わくば、このように修文していただきたいというふうに言っていただくと助かるところです。それ以外に、包括的なお話でしたら、先ほどご紹介いただいた資料1-2のパワーポイントの資料を指摘していただいてもいいかなというふうに思います。
それでは、ご意見、ご質問お願いいたします。いかがでしょうか。
では、勢一委員から参りましょうか。お願いします。
○勢一委員 ご説明ありがとうございました。勢一です。短時間に、丁寧におまとめいただきまして、ありがとうございます。幾つか質問をさせていただければと思います。
まず、全体というか、基本方針の役割についてですけれども、条文の中でも、基本方針への適合が認定要件になっていますので、まさに認定に直結する内容になるのだと理解しています。他方で、認定の基準のくだりとかを拝見しますと、これは複数の性格を持つサイト認定になるからだと思いますけれども、適切にとか、明確にとか、確実にとか、継続的にと、割と抽象度の高い書きぶりになっています。それで、恐らく先ほどのご説明では、取扱要領やガイドラインというふうに例示いただきましたけれども、これらと、政省令との使い分けというか、役割分担はどうなっているのでしょうかというところを少し教えていただきたいと思います。基本方針とか、基本的な方針とかというのは、いろんな法律に書いてあるのですけれども、それぞれ役割がいろいろ違いまして、この法律については、認定に本質的にはねる条文構成になっているものですから、要領とかガイドラインというのは、法規性がほぼないものになりますので、この辺りをどういう整理をされているかということを教えていただきたいというのが一つ目になります。
二つ目ですけれども、これは呼称の「自然共生サイト」という名前ですけれども、参考資料2も拝見しますと、今認定しているものも「自然共生サイト」と呼び、こちらの新しい法律に基づいたものも「自然共生サイト」と呼ぶという形になっています。現行制度の認定が5年ということなので、過渡的になっていることになるかと思いますが、ただ、他方で、法認定をもらった企業などについては、それはそれとして、アピールするのが目的として考えておられると思うので、この辺りの区分けというか、その辺りは特に書いていないようなのですが、書いていなくてよろしいのでしょうかというところが、これは二つ目です。
あと、三つが、これは9ページのところですかね、活動期間で、基本的に5年が望ましいという、推奨をしていただいていたと思います。その場合には、5年を推奨する理由というか、こういう観点から5年がとか、何か説明があるほうが、これが認定基準として意味を持つのであれば、判断基準にも関わってくるかなと思いますので、この推奨の理由を少し教えてください。
あと最後、もう一点ですけれども、第4章のところで、現行の法制度体制との整理をしていただいていて、非常に重要なところだと思います。認定の判断にも関わる部分だと思いますが、この中で、「温暖化対策」とか「適応対策」というような文言はあるのですけれども、環境省が所管の温対法とか適応法の内容は特に入っていないですね。恐らく現場レベルでは、温対法の地方公共団体実行計画の中で、促進区域を設定する際、促進区域と自然共生サイトが競合しないような形で地域で調整していただくとか、あとは気候変動適応法の地域適応計画の中で災害対策などとうまく調和できるような形にしていただくという意味では、この辺り、調整が重要な法律なので、基本方針に書くというのも一つ選択肢ではないかなと感じたところです。特に植田局長さんはそちらの分野も把握されておられる方なので、まさにそういうニーズはあるのかなと思ったものですから、この辺り、少し教えていただければと思います。
以上です。
○石井小委員長 ありがとうございます。
4点ほどあったかと思います。では、小林補佐、お願いします。
○自然環境計画課課長補佐 勢一先生、ありがとうございます。
1点目、基本方針の役割で、特に基準に直結する部分でございます。おっしゃるとおり、条文の中で、この基本方針に適合することということがありますので、基本方針というのが認定基準の一つベースになってくるというのは、おっしゃるとおりです。今回、基準については、これはほかの法令とかの関係も参考にはしており、基本方針に、ある程度方向性とか、やや定性的にはなってしまうんですが、「相当程度寄与する」、「確実な」など、というように書いてあり、それをより細かくガイドラインや取扱要領で定めて、方向性を決めていくというやり方に倣っているところはございます。これをあえて取っているというところもあり、これは自然共生サイトの運用もやりながら感じているというところですが、認定基準を限定列挙的に書き過ぎてしまうと、特に今回活動なので、全国どこでも同じ活動にせざるを得ない、金太郎あめ的になってしまうのは、それは多様性の観点から、逆にマイナスになってしまうということを危惧して、一番ベースとなる基本方針では、ある程度、定性的というか、やや少し、そういう書き方になっており、それをガイドラインなどでより多様性のタイプや状況に応じて、こういう活動であれば、認定基準に合致するだろうという方向性を整理していきたいという考えから、こういう今書き方になっているというところは一つございます。
もう一つ、呼称については、おっしゃるとおり、現行の過渡期の部分については、任意の制度の自然共生サイトというものと、法定計画になったところの活動場所を自然共生サイトと呼ぶものが二つあるということについての使い分けについて、これについては、こういう場合は何とか何とかというふうに整理できていないため、少し考えさせていただいて、違いというか、そこら辺は分かるような形を工夫できないか、考えたいと思います。
5年計画の望ましい理由についてということでございますが、これも、過去の自然共生サイトのときも長期的な観点という、域内保全がOECMで重要だというときに、何年が長期的なのかという点、そこが議論になりました。あまりに10年、20年と長過ぎると、活動を本当に実施しているのか分からない、追い切れない部分もあります。一方で、1年、2年では、それは長期的となかなか言えないというときに、いろんな各種、これまでの、これも他法令等を参考にしたときに、大体5年で計画をつくっていくというところがよく見られる部分があったため、5年を目途に見ていき、状況を見ながらリバイスしていくというところを基本とすることで、5年がまず望ましいのではないかと考えているところです。
4点目ですけども、促進区域とか温対法の関係については、ご指摘はおっしゃるとおりでございまして、現状、関連する施策、気候変動対策とかとの連携は図る必要があるというのを第2章とか、そういったところには入れてはいましたが、個別具体の法令名とかは入れてはいなかったので、ここはご指摘を踏まえて、少し考えたいと思います。ありがとうございます。
○石井小委員長 よろしいでしょうか。
○勢一委員 一言だけ。
ご返答いただきまして、ありがとうございました。そうですね、具体的な法令名とか、どうするかというところは、もちろんお任せしますけれども、今、地域レベルで再エネ施設が迷惑施設になってきているところもありますので、この辺り、ぜひできるだけ地域を支えられるような形にしていただければと思います。
あと、法学を専門とする者としては、やはり認定基準は、法的なものとしては非常に重要なものになりますので、紛れがないような形で見れる体制が望ましいなと思っています。これはもうサイト認定ではなくて、活動認定にした時点で、おっしゃったとおり、悩ましいところはあると思いますけれども、法治主義体制に適うような工夫をお願いできればと思います。ありがとうございました。
○石井小委員長 どうもありがとうございました。
ほかのご意見ですけれど、実は一ノ瀬委員が既に退出をされていまして、授業があるということで、チャット欄にコメントを残されています。それで、すみませんが、事務局で代読をお願いできますでしょうか。
○司会 はい。ご意見、代読いたします。
まず、地域生物多様性増進活動促進法制定、おめでとうございます。
準自然共生サイト(仮)の設置には賛成ですが、これまでの自然共生サイトとどのように違うのかを明確にしなければならないと思います。加えて、回復を意図すれば、どこでも準自然共生サイト(仮)になれるのかどうかも疑問に思っています。分かりやすい整理が必要だと思います。
これは見える化やモニタリング手法の開発とも関係するかと思います。見える化と簡便なモニタリング手法の確立は、とても重要だと思っています。これは、この法律に基づく活動目標の設定にも関わると思います。安易に分かりやすい目標値の設定だけにならないようにしなければならないと思います。これまでも既に指標種によるモニタリング手法(代表的な昆虫類)などを提案いただいていますが、簡便な手法がその場所の生物多様性を十分に評価し得るかなど、検証が必要だと思います。
以上です。
○石井小委員長 ということで、1点目は先ほどの勢一委員と似てるかなとも思いますけれども。もう一つ、準共生サイトについてご質問ですね。いかがでしょうか。事務局、お願いします。
○自然環境計画課課長補佐 一ノ瀬先生は退出されておりますが、一ノ瀬先生からのご指摘について回答いたします。
一ノ瀬先生からは、準自然共生サイトが、恐らく回復・創出というのが安易に、恐らくですけども、単純に何かちょっと緑地を作ればオーケーなのないか、何か少しビオトープを作ればオーケーなのないか、そういうのも回復・創出というふうになると、それは、ちまたでは、例えばいわゆるグリーンウオッシュというようにも見られがちで危ないのではないかということを言われているのではないかと思います。確かに、そういうものは危惧するところではございますので、目標を立てるときに、一ノ瀬先生もおっしゃっていただいていますが、その場所の土地の利用のこれまでの変遷であったり、もしくは今、周辺状況として、その場所が位置する地理的な特徴であったり、周辺との関係性から、そこでどんな回復、どんな創出が必要かというのを踏まえた上で、ここではこういう活動をやることで、こういう多様性の価値を高める必要があるというところを分析することで、その辺り、回避できるのではないかと思っております。
もう一つ、最後に、これまでも既に指標種になるモニタリングで代表的な昆虫類、これ、我々の中では、昆虫20選とか昆虫30選というふうな形で、普通種の昆虫を使ったモニタリングを提案してございます。これも、おっしゃるとおり、これを行えば100%オーケーというような万能なツールというよりは、一つの簡便なツールという形でご紹介しております。そのため、まずはモニタリングについては、生物多様性の価値、どんなものがサイトにあるのかということや、サイトの特徴に応じて必要なモニタリング指標を考えることが必要だろうと思っています。そういったときに、導入の仕方として、代表的な昆虫に着目することで、まずはそこの場の状態が分かりますし、昆虫20選、私も実際現場で何回か自分で実践してみましたが、それを見つける過程で昆虫以外の生き物も見つかってくるということがあります。そうすると、そういうのを記録することで、それ以外の状況の健全性や、測っていく意味でのバロメーターも分かってきますので、これは、これをやればオーケーというよりは、これをきっかけに、自分の管理するサイトの状況を常日頃からウオッチする目を育てていきたいという意図も込めてというところを、メッセージとして、手引きやガイドラインに載せていくような形をしていきたいと思っております。
以上です。
○石井小委員長 ありがとうございます。
一ノ瀬委員おられないので、いかがでしょうかと聞けないんですけれど。後のほうの昆虫20選とか30選ですね。私、ある昆虫同好会の会長を務めているのですけれど、その会員に環境省の作成した「大阪の昆虫30選」を配りまして、日頃観察に通っている緑地や里山でどの種が見られるかアンケートを取っています。よいデータが取れていますので、またまとまりましたらご紹介したいと思います。
委員の皆様、ほかはいかがでしょうか。
土屋委員、挙手されていますね。お願いします。
○土屋委員 多分、委員の皆さん、それぞれご発言したいところだと思うので、先に言っておいたほうがいいと思いまして、手を挙げさせていただきました。
大きく分けると4点ほど、質問もしくは意見を述べたいのですが、一つは、比較的細かいお話なんですけれども、生物多様性維持協定というのができるという案ですね。この協定ができるということについては、非常に私は賛成なのですが、そのご説明の中で、所有者が変わっても、例えば相続されても、協定が継続するということを述べておられます。私、法律が専門ではないので、ちょっとその辺のところはよく分からないんですが、一般的に協定は、所有者が例えば相続で変わった場合、その後の所有者まで継続するということにはなっていないような気がしています。これが勘違いだったら取り下げますけれども、この規定のために、特別の措置、強力な措置は取れるのかというのが、まず質問の簡単なところです。
それから、2点目です。市町村の役割が、連携増進活動ということで強調されたことは、私もこれまでの発言の中でも述べてきたところなので、非常によかったなと思っているのですが、これは浅野委員から、先ほど欠席の委員の方のご紹介のところでお話があったように、非常に市町村の役割というのは重要なんだけども、実際にはそれがどのぐらいできるかというと、もちろん先進的な市町村はすぐに対応ができるところもたくさんあるというのは認識しておりますけども、それ以外の多くのところというのは、様々な、例えば人員であったり、財政的なものであったり、様々なところで、なかなかそこに踏み出せないというのが多いのだと思うのですね。そうすると、それをどうやって支えていくのか、もしくは、支援をしていくのかというところが非常に重要だと思うのですが、ちょっと、その辺のところが、今の案ではあまりはっきりしていないと思います。例えば都道府県とか、環境省の地方事務所等が積極的に市町村を支援していくというようなことをもう少ししっかり書けないのかということは思います。大分、例としては違うのですけども、例えば森林分野に行きますと、森林経営管理法というのがあって、これも市町村が中心になって実施していくものなんですが、その際に、都道府県が森林環境譲与税を使って、必ず市町村を支援するような取り組みをしなくてはいけないことになっているんですね。実際、そのことによって、都道府県による市町村に対する支援体制というのがだいぶ整備されてきているというふうに私は認識しております。そこまではなかなか難しいとしても、何らかのそうした形の支援策というのは、もう少し明記される必要があるんじゃないかなと思って。これは意見です。
それから、3番目。これは簡単に言いますけども、準自然共生サイト、これが、名前はともかくとして、できることは非常に重要だと思っているんですが、これはほかの委員からもあったと思いますけども、これをどう、サイトとして認定していくのか。そして、それを今後どうやって自然共生サイトに持っていくのか。その過程、どうやって判断するのかといったようなところは、私は、自然共生サイトよりもずっと難しいのではないかと思っております。ちょっと否定的な言い方をするなら、これはかなり丁寧な検討が必要で、それを年内にやるというのは果たしてできるのか。別の言い方をすれば、もう少し丁寧に、ここのところは検討したほうがいいんじゃないかなというのが率直な意見です。
ちょっと多くなりましたので、もう一個、簡単に言いますけども、今のことも少し関係するんですけれども、農林漁業との関係で、私、森林が専門なもので、人工林で木材生産をしながら生物多様性をどうやって高めていくのか。それを例えばこういった準自然共生サイトや自然共生サイトにどうやって認定していくのかということが非常に重要なところだと思っています。実際、林野庁のほうでも、それに関連した、いわゆるガイドライン的なものをつくったりしているところなのですけれども、今の案だと、その辺の人工林の取扱い等について、踏み込んだ記述が全くないので、これは当然、林野庁との調整の結果であるのだと思うのですけども、少し残念だなと思ったところです。
以上、長くなりましたが、終わります。
○石井小委員長 4点ほどございました。事務局、いかがでしょうか。
○自然環境計画課課長補佐 土屋委員、ありがとうございます。
まず1点目、維持協定の協定が、所有者が変わっても、その効力が継続する根拠はあるのかという質問と認識しております。こちら、法律の第26条に規定があります。第26条に、生物多様性維持協定は、維持協定区域内の土地の所有者に新たに土地の所有者になった者に対してもその効力があるものとすると規定しておりまして、それがこの承継効になるというところでございます。
あと3点ですね。2点目、市町村の役割については、おっしゃるとおり、市町村についてどういうふうな支援が必要かという形で、これは実務的な話で、例えば市町村の方が計画を作成することが難しいといったときに、今後、法制化に当たっては、事前相談とか、そういう簡単な計画の書き方の研修のようなものも設けられないかというのを検討しています。
そういったときに、つくること自体への支援というのも考えていきたいなとは思っていますし、あとは、実際にそこで活動するときの資金や人材の部分、それから有識者のマッチング、そういったところも、国の仕組みでも考えていきたいですし、ここは、土屋先生が理事長になられたNACS-Jさんも、この市町村を中心としたネイチャーポジティブの部分がありますので、こういうNACS-Jさんともうまく連携しながら市町村での取組を盛り上げていくような形で考えられないかというように考えているところです。
そして、三つ目が準自然共生サイト、いわゆる回復・創出の活動をどういうふうに認定するかということについて、かなり丁寧な検討が必要ではないかという形でご心配いただいているというように受け止めました。
こちらについては、事務局というか、環境省の中での少し調べ物の作業にはなるのですが、昨年度から具体的に生態系タイプ、それから、活動する場所の状況、それがこういう劣化しているとか、こういうときにはどういう目標を立てて、どんな活動が必要かというのを、既存の文献や有識者のご助言も踏まえながら整理を昨年度から進めているところでした。
それも、昨年度の検討の結果も踏まえながら、今年度それをブラッシュアップしていき、こういう活動の場所、そして、こういう課題がある場合は、基本的にはこういう目標を立てるとよい、そして、その場合はこういうアクションが必要であるというのをガイドラインのようなポジティブリスト、あとは、やってはいけないネガティブリストのような形でうまく整理することで、この回復・創出の難しい判断というのを実施していきたいと考えています。
もちろん、ここは法を運用しながら、実際、そのときに出てきた新たな課題や知見を踏まえながら、ガイドラインはブラッシュアップしていきたいとも考えております。
木材生産の部分についての人工林の部分については、今、基本方針に林野庁さんで作成したガイドラインも参照にすることが望ましいという形で記載はしておりますが、少し記載が弱いというところかなというご指摘と受け止めました。以上です。
○石井小委員長 はい。土屋委員、いかがでしょうか。
○土屋委員 了解しました。ありがとうございます。
○石井小委員長 それでは、山野委員ですね。お願いいたします。
○山野委員 はい、山野です。ご指名ありがとうございます。よい法律と基本方針ができつつあり、大変すばらしいと思っております。
私からは簡単に1点だけなんですが、8ページの活動の区域、(2)の活動の区域の3ポツ目のところですね。これ、生態系ネットワーク、あるいは広がりといってもいいかもしれないですけど、それが複数の市町村にまたがる場合ですけど、これは、むしろ積極的にこうしていただきたい、いただきたいといいますか、こうするのがいいと思いますので、最後のところ「可能である」となってますけど、ここも、もう少し促進するような形で、上と同じように「望ましい」というような表現がよりよいのではないかと思いました。
私からは以上です。
○石井小委員長 具体的なご指摘ありがとうございます。
事務局、いかがでしょう。
○自然環境計画課課長補佐 はい。山野先生ありがとうございます。
ご指摘を踏まえて、少し記載ぶり、何かご趣旨に沿ったものに修正できないか、事務局内で考えていきたいと思います。ありがとうございます。
○石井小委員長 では、続いてオンラインに行きますね。藤田委員、お願いします。
○藤田委員 はい。藤田です。私からは、三、四点、ちょっと大きな方向性みたいなところに関係あるんですけど、3章のところの、皆さんからもちょっと出てましたけど、まず、自然共生サイトに認定されるときに基準って幾つかありますけれども、一点突破主義で一つの基準、これを満たしていれば認定なんだけども、ほかの基準ではあまり、いまいちできていないという場合に、例えば、あまりできていないところの基準についても、何かそこの影響を減らすような、何か全ての基準を満たして全て優れているというところってないと思うので、あまりよくない影響があるような基準については、その影響を削減するような方向みたいなことを書いてあるといいんじゃないかなと思ってまして。簡単に言うと、昆明・モントリオール生物多様性枠組にしっかりと寄与することということが明記されていて、それが証明されるようなところというようなことがしっかりと書かれているといいなと思ってます。これが1点目です。
それから2点目が、地域の目標と合致させることということで、これは、やはり3章の中ですかね。地域の方針とか、地域戦略との調和ということはもう書かれていますけれども、一方で、例えば企業が自然共生サイトで取組をするときに、地域戦略とは合致していたとしても、今度は、その地域のいろんな細かいステークホルダーさんがそれぞれ自らの方針って持ってらっしゃると思うんですよね、漁協さんであったりとか、農協さんであったりとか、もう少し小さな。そうしたときに、トレードオフが起きる可能性ってあったりして、そこでの何か折り合いのつけ方みたいなことをもう少し丁寧に書いてあってもいいのかなというふうに思いました。調和を取ることということなんですけれども、何かどういうふうに折り合いをつけていけばいいかみたいなことがあるといいのかなと思いました。
それから3点目は、モニタリングについても書いてあります。大変いいことだと思うんですけれども、モニタリングの方法というのは、人によってやっぱり違うと思いますので、この方法についても、こんな手法で、例えば個人が種を1個1個地域の人たちがカウントするとかから始まって、環境DNAまでいろんな広いモニタリングの手法ってありますけども、何か例示みたいなものを記載されていると標準化されていいのかなと思います。
4点目は、これは今回の基本方針には直接関係ないかもしれませんけども、ぜひ、企業にとっては、この支援証明書の制度設計、すごく気にされてます。やはり何か、この支援証明書が今後発行されたときに、これが企業にとって進めるインセンティブになるのかとか、TNFDレポートにしっかりとこれを使えるのかということがすごく重要になってくると思いますので、まさに国際的な生物多様性クレジットの制度設計みたいな動向もにらみながら、もう少し国際的に通用するような制度設計にどんどん進化させていってほしいなというのが4点目です。
最後1点は、すみません、質問なんですけれども、先ほど森林の間伐をしつつ、木材を出荷して間伐もして生物多様性を上げるとか、あるいは農地でも、例えば農作物を作りながら草地、草原を再生させて自然共生サイトになるというような事例ってあると思うんですが、この場合の再生って、ベースラインはどこなのかなと思って、2020年なのか。それこそ農地もすごい昔に遡ると、森林だった時代ってあるのかもしれませんので、もし、ベースラインがしっかり決まっていて、いつからの再生ということが分かっているんであれば、教えていただければと思います。
私からは以上です。
○石井小委員長 はい。5点です。ご意見4点と、それから最後はご質問ということでしたけれども、事務局、お願いします。
○自然環境計画課課長補佐 はい。藤田委員、ありがとうございます。
まず1点目、GBFに寄与することが一つ明記されていることが重要ではないかというご指摘でございました。
例えば、おっしゃっていただいたものについて、現状で少し記載しているところだと、第3章ではなく、第2章にはなりますが、30by30目標をターゲット3につながっていくと書いております。
一方で、回復・創出に関しては、西澤委員からターゲット2に関係するということを書いたほうがよいのではないかというご指摘もいただいてましたので、ここは少し、今の藤田先生からのご指摘も踏まえて、ターゲット3だけじゃなく、ターゲット2の寄与の関係というのも記載がうまくできるか考えたいと思います。
2点目、地域の目標に関して、トレードオフやバッティングするときにどうやるかについてでございます。これ、結構、非常に難しいご質問だなと思いました。計画によっては、例えば、この○○計画と○○計画が重なったときはどちらを優先するなど、そういうように決められているものもあるのですが、これについては、結構、現場の状況とか、関係する方々の方針、考え方が異なってくる部分もあろうかとは思っています。
そのため、例えば、地域戦略には合っているが、それ以外のものと異なっているので、こっちを無視してこっちをするようにというように、この基本方針の中で、今、明示的に書くのは難しいと思いますが、その調和の考え方とか、具体的に事例や先例のようなものがないかどうかというのも含めて、何か手引きなどでご紹介できるような形をできないか、考えてみたいとご指摘を踏まえて思いました。
モニタリングについてもおっしゃるとおり、具体的な事例とかがあるほうが分かりやすいということもございますので、これについても、今、自然共生サイトで184か所を認定したところで、どんなモニタリングやっているかというのを載せたりして、こういうのも手引きやガイドラインの中で幾つか、こういうパターンだとこういうモニタリングが一般的には効果的というようななものがあると、分かりやすくなるのかなというのはあり、ここは、非常に藤田先生、実際の計画を作成する方々の目線で考えることの重要性をご指摘いただいたと思いますので、そういう視点に立って考えていこうと、つくっていこうと思います。
支援証明書については、今、鋭意作成して、今年度、試行をしながら、来年度の部分的な部分か、全般的にできるかはありますけども、ローンチを目指してやっていきたいと考えています。そのときにはご指摘いただいたようなTNFDとかにも活用できるような仕組みにするためにはどうすればいいかも含めて考えていきたいと思っております。
最後、ご質問いただいたベースラインについてです。これは、すごく難しいなと思っております。基準年を設けるほうがよいのか、逆に設けることが一つ足かせになるのか、という部分があるのではないかというのがあり、なかなか難しいと考えております。
確かに、藤田先生がおっしゃるとおり、一つ世界的に2020年を基準年という考え方もあるようです。一方で、様々な国土全体、いろんなところで今後、生物多様性を増進するというふうに考えていったときには、やはり様々な土地利用と両立、それからどうしてもここではこういう活動、別のことをやっていく必要があるだろうということがあろうかと思います。
そういったときに、このベースラインを一律に決めてしまうことが果たしてよいのか、むしろよくないのか、を含めて、別途、検討が必要なのかなというふうに感じたところではございました。
最後のご質問として、まだ答えられていませんが、そういった状況だということで1回、回答にいたします。
以上です。
○石井小委員長 藤田委員、いかがでしょう。
○藤田委員 ありがとうございます。よく理解できました。ありがとうございます。
○石井小委員長 はい。では、続きまして、オンラインで中村委員、お願いします。
○中村委員 はい。ありがとうございます。
最後のベースラインの議論は、自然再生もそうだったんですが、あまり画一的に決めていくと、結果としてうまくいかないと思います。つまり、未来に対しての自然再生であって、必ずしも過去をリファレンスとして、そこだけに戻るというのが、将来的にいい方向になるのかというと、そうじゃなかったように思うので、私も地域によって、いろいろあって良いと思いました。
パワポの全体説明のほうの16ページ目にあった計画期間の話なんですけど、ここに「基本的に5年を目途に定めることが望ましい」と書いてあるんですが、これは、協定期間と同じになるんでしょうか。ちょっとそこを質問、教えてください。協定が5年だと、実際に、その土地をきちんと共生サイトとして確保するのが5年になってしまって、その後どうなるか分からないということになります。これはちょっと短いなという気もするので、計画期間と協定期間の関係をちょっと教えてください。それは質問です。
あと、自然再生推進法とやっぱり似ているようなところがあります。文章のほうを読むと、小さな自然再生をこの活動と結びつけるようなことが書いてあったので、ぜひ自然再生推進法のほうにもこの試みがきちんとリンクするような形で書いていただいていると、現場でそういった活動をやられている人が、この増進活動の認証も受けられるんだということが分かると思います。ぜひその辺のリンクをよろしくお願いします。
18ページにある「社会資本整備との調和」、これ、社会資本整備だけではなくて、先ほど土屋さんもおっしゃった林野行政とのつながりとか、いろんな議論があると思うんです。文章を見てみると、気候変動適応との連携も書いてあって重要ですよね。私自身も、今、気候変動の関係で一級河川の109水系の河川整備基本方針の見直しに参加しているんですが、そこで必ず治水上の安全度を上げるために、河道掘削の議論が入ってきます。ぜひ、河道掘削とかをするときに、この活動とうまくリンクするようなことを考えていってほしいので、ここで言うと、19ページにある地域生物多様性増進活動支援センターなるものができると書いてありましたよね。こういった関係者間の連携とか、マッチングを行うところが、私も非常に大事だと思っていて、ただ、これ、具体的に本当にできるのか、環境省がどういう形でこれを支援していくのかが見えなくて、「既存の組織の活用」と書くだけで本当にうまくいくのかなというのもちょっと不安でした。この増進活動を支援することについて、もう少し国なり、都道府県なりが関与してやっていかないと、自治体としてもうまく動けないんじゃないかなと思いました。
最後です。この下に書いてある「見える化」、すごく大事だと思います。私自身は見える化した後、もう少し戦略的に重要な箇所を面的に保護していく活動を考えていかないと、本来の生物多様性の増進に関する効果が見えてこないんじゃないかなと思います。言っている意味は、細かい自然共生サイトがちりばめられてしまっていて、本当に保全しなくちゃいけないところが塊として保全できていないという、そんな問題が出てくると思うんですよね。
私自身は、クレジット化が重要だとは思うんですが、そこまで、今回書けないにしても、見える化した後、どんなことを将来的に考えていくのか。そこはやっぱり書いておいてくれたほうがいいんじゃないかと思いました。生物多様性国家戦略とリンクしていくとか、何らかの考え方があると思いますので、その辺、よろしくお願いいたします。
以上です。
○石井小委員長 はい。ありがとうございます。4点ほどだったと思いますが、事務局、お願いします。
○自然環境計画課課長補佐 はい。中村先生、ありがとうございます。
まず、1点目いただいた生物多様性維持協定の期間と活動計画の期間の関係についてです。まず、ベースとして必要になるのが連携活動計画になります。市町村が多様な主体と連携してつくる連携計画になります。その連携計画のまず計画期間があって、その計画期間内で協定の期間も定めていただくという形で、ここはリンクするような形にすることを考えております。
そのため、おっしゃるとおり、この協定を結ぶ場合は、なるべく長い期間をつくっていくことが重要だと思っていますので、その場合は、計画期間もそれ相応に同じように長い期間のほうがよいのではないかと考えているところです。
自然再生について、ご指摘、ご助言ありがとうございました。自然再生推進法のほうでもうまくリンクするような形で、これは進めていければと考えているところでございます。
また、おっしゃっていただいたように、勢一先生からも冒頭いただいたように、気候変動のリンクとかが書けてないところについては、記載ぶりを少し考えていきたいと考えております。
そして、活動支援センター、こちら、確かに設置が本当に進むのかどうなのかというのをご心配いただいているというところでございます。確かに、なかなか全国的に見ると、この支援センターの設置がスムーズに進まない部分はあるのが現実かと考えております。そういったときに、既にここに、基本方針では少しさらっと既存の施設等の有効活用というふうに書いてはいるのですが、我々としても、環境省でいろんな分野でセンターや、そういう機関を、それは自然環境行政だけではなく、温暖化とかを含めてあり、そういうものが都道府県や市町村で設置されているような場所がありますので、そういったところともうまく連携できないかというのも含めて、環境省としても、この辺り、促進できないか考えていきたいと思っているところです。
最後、見える化についてご指摘ありがとうございます。これは、結構、OECM検討会で議論していく中でも、自然共生サイトというのはボトムアップで点々とたくさん出てくることは非常に望ましいが、国としてどんな場所が重要かというのを国としての方針として見せることも重要じゃないかという、トップダウン的と言っては失礼かもしれませんが、そういうトップダウン的な方針とボトムアップの両方が重要じゃないかというのは、度々ご指摘いただいているところでございました。
まさに、国として、どんなところが重要か、現状を踏まえて今後どうすべきか、ということを見せるためにも、この見える化システムをつくっていきたいと考えていました。それについて、少しこの書き方が現状弱いというふうなご指摘だと思いましたので、そこは、そういう方向性も何か記載できないかどうか含めて、少し見直して考えたいと思っております。
以上です。
○石井小委員長 はい。中村委員、いかがでしょう。
○中村委員 はい。ありがとうございます。
例えば国交省がやっている治水計画の見直しみたいな話と、この支援センターもうまく結びついてほしいなと思っています。これは国交省だけじゃなくて、林野庁とか、農水省が管理している土地、そういった場所との結びつきも、多分、一般の企業の方々は分からないと思うんですよね。
そこをきちんとサポートしてあげないと、幾ら民間企業側、もしくはNGO側が、ぜひこういう活動に参加したいと思っても、それが実際にどこに連絡を取れば可能なのかが見えてこない、その部分を丁寧にしてくださいということでした。
ありがとうございます。
○石井小委員長 はい。どうもありがとうございました。
では、続きまして、深町委員、お願いします。
○深町委員 ありがとうございます。地域での生物多様性に関する活動に礎ができたというのはとてもよかったと思いますし、特に市町村の役割が大変大事で、そういったところの位置づけができているのは、私自身がこういった活動に関わってきた経験からして、すごくいいことだなと思っております。
文面には書いてあるかもしれないんですけれども、少し具体的にお聞きしたいなというところがありましたので質問させていただきます。
例えばですけれども、私の関連する地域の琵琶湖のところでヨシ群落が管理放棄されて、ヨシの手入れをするだとか、里山の森を手入れするとかというようなところですと、地域の活動ということで、それを推進すればいいことだと思うんです。ただ、そういうときに、琵琶湖と内湖のつながる部分に農業上の理由で堰が造られて、それが現在使ってないとしても、その堰が撤去されたりとかしないと、なかなか生物多様性の保全には結びつかないという現状があります。そのときに、どうしていくかというのを議論するとなると、市町村が中心でいろんな調整をしていくということには、少し限界があるような部分も出てくるんじゃないかなと。例えば農林水産省とか国土交通省とか、そういったところの公共事業の在り方の部分につなげながらやらないといけないと。
こういったときの調整とか、連携というのが具体的にどういうふうに考えられているのかというようなところをもう少しお聞きしたいですし、協議会にしても、例えば自然再生協議会と連携するだとか、活用するというふうになったとしても、それが市町村が中心となって行うのは簡単でないと思います。いろんな計画づくりだとか協議、調整がどううまく機能したり、一括できるのかなというのが、自分自身がやっていてイメージがあまりつかないところがあるのです。今回の法律、枠組みの中でどういうふうに整理されているのかというのを少し具体的にお聞きしたいなというふうに思いました。
それが一つ目なんですけども、二つ目は、国際的な発信とか、いろんなつながりというのが大事だというふうに書いてあるんですけれども、これが具体的にどのような、誰が主体となってどういう形でやるのかと。環境省がやるのか、いろんな個々の活動に対して、そういったところを応援していくのかというようなところをもう少し教えていただきたいです。例えば、国際的な枠組みであるIPCCなどとの連携とか、役割分担というのをどういうふうにしていくとかお聞きしたいと思いますので、その2点についてよろしくお願いいたします。
○石井小委員長 はい。では、事務局、お願いします。
○自然環境計画課課長補佐 はい。深町先生、ありがとうございます。
まず1点目、例えば、市町村が連携計画をつくるときに、その市町村が一つの市町村をまたぐような場合については、複数の市町村が連携して実際に計画をつくるということも、この制度上はできるような形にはなっています。
一方で、それが、やや市町村を超えて、より都道府県や、国の機関が入って一緒にやっていく必要があるといったときには、もしかしたら、この増進活動促進法よりも従来から自然再生推進法という協議会をつくって、国の機関、それから都道府県、そして地域の方々、市町村とか有識者が入って一体となって再生を進めていくというほうが、もしかしたらより効果的・効率的なのかもしれません。
この辺りは、もしかしたら、どちらのやり方がよいか、必ず今回、この増進活動促進法のみで全ての問題を解決することは、多分、難しいと思うので、そういう既存の法令とか、既存の制度との連携や、役割分担というのも重要ではないかと思っております。
国際的な発信についてです。こちら、環境省も、今手探りではやっていますが、環境省が今やっているものとして、例えばIUCNなど、各国のOECMを進めている国々とウェビナーを使って意見交換したりとか、環境省の取組を発信したりしています。
ちょうど先週もAPAP、国立公園のアジア会議のほうですけど、APAPのワークショップが日本で開催されまして、ちょうどテーマがOECMでした。各国のアジアの国々の方々を呼んで、そこでOECMに関する議論をしまして、日本もホスト国ですので、日本からもプレゼンして、二次的な自然の重要性や、地域の方々と連携して進めていく重要性について発信しまして、2日目には千葉の自然共生サイトに認定された堂谷津の里にエクスカーションとして各国をご案内し、そこで、実際に農林漁業をしながら、生物多様性を高めているというような場所を見ていただき、こういう自然保護だけではなく、多様な地域の方々が一体となって、しかも農林漁業とか、一次産業とうまく連携しながらも生物多様性を高めるという例を肌をもって感じていただいたところでございます。
こういうふうに国際的な部分については、我々、環境省も積極的に、まずは日本の取組、日本のOECMの考え方とか、民間の活動の考え方というのを、IUCNも含めながら各国に伝えていき、決して日本の取組がグローバルで世界から見たら何か日本は違うことやっていると思われないように、まず環境省として発信して理解を進めていくことを続けていきたいと考えているところです。
以上です。
○石井小委員長 はい。深町委員、いかがでしょうか。
○深町委員 ありがとうございます。活動というのを推進するということなので、その活動の範囲というようなところで、先ほど私が申し上げた例は、一つの市町村の中でも起こっているんですけど、その中にいろいろ国レベルでのいろんな事業が関連しているとかというふうになったときに、どうするのかなと。もちろん複数の市町村をまたいだり、もっと広域になったりということもあるんですけども、まさに小さな活動、そんなに大きくない内湖とか、その周辺のレベルでの活動で、場所が特定できたとしても、そこを考える上では、そことつながっている河川だとか、いろんなネットワークの在り方みたいなことを考えない限り、難しいというときがあります。ほかの枠組み、法律だと有機的にうまく連携できるといいと思うんですけども、なかなか現実的なところで考えると、市レベルの方々で計画をつくったり、いろんな調整をしたり、いろんなやり取りをするというのはかなりハードルが高いと思います。マンパワーだとか、いろんな人材の部分ですね。そういうところがあったので、何かもう少し、補完できるようなことがあるとさらにいいなというようなところです。
国際的な部分については、環境省として、そうやっていろんなところに積極的に働きかけたり、情報を共有するというのはとても大事ですけれども、地域に海外の方が来たりだとか、市民レベルでの交流があったりというようなところもありますので、国レベルだけではなくて、それぞれのサイトの中でも、場所によっては、そういった国際的な視点でのいろんな連携だとか、共有も大事かと思います。そういうのを応援していけるとさらにいいんじゃないかなと思います。
以上です。
○石井小委員長 はい。ご意見を伺ったということでよろしいですかね。
お待たせしました。では、小泉委員。
○小泉委員 ありがとうございます。
私からは3点、1点は、基本方針の4ページと5ページ、各主体の役割というところで、都道府県の役割がちょっと見えにくくなっているような印象を受けました。
この場に、都道府県の生物多様性地域戦略を策定している担当者がいるとして、うちの県はどういうふうに関与すればいいんですかという質問が来たときに、どのように回答されますかという質問が1点目です。
2点目が、これは質問というより希望ですね。全体を通して感じるのが、陸域のほうは何となく具体的なイメージが湧きつつあるのですが、千葉のほうの事例もお話しされましたけど、沿岸域にあまり目線が行っていないかなというのがちょっと心配になっています。せっかくブルーカーボンということで、気候変動へ効果的な藻場の確保という提案もありますので、沿岸域への配慮というのもお願いしたいと思います。
3点目は提案です。基本案の2ページ、それから3ページ。2ページにも3ページにも鳥獣の管理とか、鳥獣害の対策というような文言が入っています。今回ご説明いただいた増進活動実施計画、ないしは連携増進活動実施計画というものの中で、シカの管理計画を策定した場合には、鳥獣保護管理法における特例、例えば捕獲許可の不要であるとか、そういったような措置が取れないかなというふうに思います。
できればということですが、こういった実施計画の中でシカ管理の計画を立てた場合は、都道府県の特定計画の下位計画というふうに位置づけて、現在、環境省が行っている指定管理鳥獣等捕獲事業の交付対象とするというふうにご検討いただけないかというのが提案です。
どうしてそういう提案をしたか、理由は二つあります。一つは、現在の自然共生サイト、それから、これから始まる準共生サイト、将来的には、ある程度の塊、ないしはそれぞれのサイトがネットワークで結ばれるような状態が望ましいと思っていますけれども、広域になれば広域になるほど、恐らくシカの食害問題をどう対応するかという問題がどんどん大きくなっていくであろう。そのときにきちんとした対応策を講じていく必要があるだろうというふうに感じています。
理由の二つが、環境省は、国立公園で生態系維持回復事業というのをやっておられますので、十分認識されていると思うんですが、生物多様性保全、維持、回復、創出、を目的としてシカを管理するというのは、計画性、科学性、順応性においても、いわゆる通常のシカ管理よりワンステップ、ワンレベル上のスキルが求められる。そして、同時に強いガバナンスが求められるということです。
ということで、こういったようなシカ管理ができる体制というのをやはりつくっていく必要があるのではないかということで、実施計画の中でシカ管理計画を立てた場合に、それなりの特典といいますか、メリットがあるようにご検討いただきたいなというふうに思います。
以上です。
○石井小委員長 はい。ありがとうございます。
それでは、事務局、お願いします。
○自然環境計画課課長補佐 はい。小泉先生、ありがとうございます。
1点目、もし都道府県の職員の方がこの場にいた場合に、何をやればよいのかと質問されたときにどう答えるかということでご質問をいただきました。
一つは、もしお願いできるとしたら、先ほどからあった支援センターをもし設置されていない場合であれば、都道府県として支援センターの設置をまずご検討いただきたいということです。それはセンターをただ設置してほしい、箱が欲しいというよりは、先ほどからのご指摘を踏まえて、我々、重々思ったのは、市町村がプレーヤーになるとしても、それを支える体制が必要であろうということです。恐らく、それは国としても、例えば事前相談など、色々な形で市町村をサポートしていくことが必要だと思いますが、都道府県においても、そういう管内の市町村の取組について、必要な情報の提供や、人材のあっせん、各種予算的なものを含めたサポートというのがもし可能になると、それはありがたいという意味で、伴走支援という意味で、都道府県に、ぜひ関与していただきたいと思っています。
あとは、実際に活動をやっていく上でどんな目標を立てたほうがいいかというときに、それが生物多様性の地域戦略、都道府県レベルの地域戦略と、そこでの活動はこういうことにつながるということや、市町村がまず何をどこでやるか分からないときに、地域戦略の中でもし特定の重要な地域が、ある程度、県の中で把握できていれば、ここでの活動が優先的ではないか、というようなご案内もできるのではないかと考えています。
そういう意味では、先ほど、私も国としてどのような場所が重要かというのを示していくことが重要と考えてはいますが、都道府県としてもどのような場所が重要かというのを示していくということも、市町村の活動促進にとっては一つポイントになるのではないかと思っているところです。
2点目、沿岸域の部分については、ご指摘のとおりだと思っております。今の自然共生サイトの運用についても、やはり圧倒的に陸域が多いです。沿岸域はなかなかまだ数も少ないです。
それはやはりプレーヤーとしてなったときに、どうしても土地の所有という概念がまた沿岸は少し違っているため、なかなか活動しにくい、場所を決めたり、関係者が複雑ということがあり、まず、こういう場所であればどのような関係者がいるか、どういう方々とまず事前相談をしたらいいか、というのを、なるべく分かりやすい形で情報をまずは提供するような形を少し考えていきたいと考えているところです。
最後、鳥獣の関係は、非常にこれは、ご指摘として、この場では、多分、うまく回答できないので、少し中で検討させていただければと思っています。
現状だと、この増進活動促進法の中では、鳥獣保護区の中での工作物の設置とかについては手続の簡略化、ワンストップ化という形でシカ柵の設置等に関する特例というのはできてはいますが、おっしゃった都道府県の特定計画の下位計画になった場合は、恐らくそちらの計画でどう考えるかという話になってくるかと、推察しますので、こちらについては少しまた中でご指摘を踏まえて検討させていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○石井小委員長 はい。小泉委員、よろしいでしょうか。
○小泉委員 はい。ありがとうございます。工作物の設置、防護柵の設置ではもう済まないというところまで来てますので、総合的な管理が必要だということでご検討いただければと思います。
○石井小委員長 はい。それでは、中静委員、お願いします。
○中静委員 はい。どうもありがとうございます。
二つあって、一つは確認です。基本的な理念のところで、この先こういう回復活動みたいなものがクレジット化されるようなこともあると思いますが、そういうときに、回復のやり方として、例えば積極的に自然状態を放置して回復させるというようなケースと、もっと回復スピードを上げるように積極的に介入するというやり方があると思います。例えばクレジットなんかを考えたときには、積極的に介入しないとクレジットとして認めないような動きがあると思います。
そういう意味で、計画がしっかりしていて、自然の回復がきちんと見込まれるような場合も、サイトとして認めていくというイメージなのか、やっぱり積極的な介入は必須であるというふうに考えてらっしゃるのかというのは、ちょっとよく分からないところがあるなと思ったのが1点です。
もう一つは、資料1-2の19ページに、国内外への法の認知だとか、理解の向上とかということがあります。これは、かなり先の話になるかもしれませんけど、例えば日本の国内企業が国外でやっている調達があったときに、調達先での自然回復というようなものに対しても、仕組みを考えるというような意味で、国外的なと表現されているのでしょうかというのが、二つ目の質問です。
以上です。
○石井小委員長 はい。ありがとうございます。事務局、お願いします。
○自然環境計画課課長補佐 はい。中静先生、ありがとうございます。
1点目についてです。回復、恐らく回復に限らず、生物多様性を増進する活動のときに、場合によっては自然状態を放置するというケースもあるのか、それとも、積極的に介入することが基本は重要なのか、どっちのスタンスなのかというご指摘だと理解しています。
既に、例えばいい状態、特にそれは原生的に近い自然の場合を私は想定していますが、そういったところでキープするような場合だと、基本的には、なるべく人の手を入れないような自然的な状態をキープするような形での管理という名の活動というのもあろうかとは思っています。
一方で、回復・創出というところで今回イメージしているのは、比較的人の手を積極的に入れていきながら、回復、それからまず創出していくというのを、ベースとしては、活動としては、まずは必要ではないかと思います。
ただ、ずっと人の手が入ってないと延命できないようなというものではなく、最初の部分、これは自然再生とかでもそうですが、人の手を入れていきながら、徐々に自然の回復力の中に入れ込んで、しなやかな自然、健全性を保つようなレジリエンスを高めていくような部分に進めていくということが基本ではないかと思います。
そういう意味では、回復・創出に最初から、ケースによってはあるのかもしれないですが、基本的には一番最初から何もしないで放置というのはあまり意識はしてはいないところではございました。
2点目ですが、国内外の理解促進について、今のところ考えていたのは、主に国内でのアクション、それを広めていくというところです。
一方で、おっしゃるとおり、グローバルで活躍されているときにサプライチェーンのその先の部分について保全するということの重要性もあるので、それについては、この法律だけじゃなくて、別途、ネイチャーポジティブ経済移行戦略など、そういうのを環境省で策定している中で、そういう企業全体の活動の中でのネイチャーポジティブの考え方とかというのを進めていくということも必要なのかなというように考えているところです。
以上です。
○中静委員 はい。ありがとうございました。
○石井小委員長 はい。よろしいでしょうか。
それでは、佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 はい、佐藤です。
私から大きく4点ございます。
一つが、資料のほうの1-1の8ページ目で、活動の区域のところは、ほかの委員からもお話がありましたが、複数の市町村の共同というところでの書きぶりがもう少し、「可能である」ということではなくて、強調していただけたらと思います。
というのは、私たちも広域連携が地域生物多様性の増進のために非常に重要と考えていまして、市町村を超えた形での連携での活動が、今後、増えていかないと、本来の意味での地域生物多様性の増進は非常に難しいと思っております。そこで私たちも中間支援のNPOとして行政界を超えた広域連携を実践しています。
その視点で言いますと、17ページの第5章のところについてなんですが、連携増進活動協議会、これについては市町村がリードして構成していくとなっております。ただ、広域連携を実際に実務的に考えたときに、各市町村が連携して一緒にやっていくということをリードするというのは、誰がするのかという点が非常に難しい課題だなと思っております。その役割として、都道府県の役割というのも大きいと思いますが、行政側だけではなかなか継続が難しいと感じています。
一方で、今、東京都の緑地における広域連携を、私たちも中間支援組織としていくつか手がけております。国分寺崖線という東西30キロの河岸段丘がありまして、東京都でも緑地の「みどりの骨格軸」ということで重要施策として位置づけ、保全を促進すると明言されています。しかしなかなか広域連携を実践していくというのは難しい。国分寺崖線には全部で6市8区ほどの区市がありまして、区市の連携と、また、緑地を所有している企業、大学、様々な団体、30団体以上のネットワークを、当団体が中間支援NPOとしてつなぎ、協議会的なフォーラムを開催して4年になります。その崖線上には、自然共生サイトにこの度認定された日立さんやICUさんなどもありまして、私たちもサポートをしながら、認定を進めていただいたという経緯があります。
そういう意味でも、広域連携で増進活動を進めるというのは非常に効果のあることだと思います。しかし市町村や都道府県が広域連携を実践するということは、なかなか難しいのも事実です。この点での質問では、このような広域連携のネットワークを、どのように位置づけていけばよいのか、位置づけられるか、ということです。
二つ目は、日本の自然保護活動を牽引してきた団体は、やはり日本自然保護協会、また、WWFジャパンや、日本野鳥の会などの大手NGOが非常に大きな役割を果たしてきていると思います。
しかしこのような団体の位置づけが、書き込まれていないように思います。この連携増進活動協議会の中でも、17ページ、2番目のところの3行目のところには、活動支援センターや、住民、学識、関係行政機関その他市町村が必要と認める者というふうになっているのですが、そういった大きなNPO・NGOの力というのも位置づけていく必要があると思います。また18ページの地域生物多様性増進活動支援センターの記載で、NPO・NGOという記述は、上から横の番号で言うと14行目には出てきているんですね。ただ、これは、「機能も付加するなど、既存の組織を活用することも可能である」ということなので、NPO・NGO等との連携強化という意味ではないと思います。
また、そういった団体の非常に大きな役割として、4番目の生物多様性の見える化とか、また5番目の促進の仕組み、特に資金等も非常に集める力が大きな団体がありますし、また保全活動への助言・伴走支援や、普及啓発・人材育成についても、本当に長年実践されてきて、非常に大きな実績と効果があると思います。こういった日本の既存のNGO・NPOについても、も強調していただけないかと思います。 三つ目については、国立公園や、それから都立公園や、県立公園等、大きな公園の役割というのは非常に大きい、この生物多様性を向上させていくという点では大きい役割を果たしていると思います。
しかし、そういった公営施設についての記載がどこにあるかが見つけられないため、教えていただけたらと思います。
特にそういった大きな公園は、生物多様性ということでも一つ大きなベース基地になって、その公園の周りの緑地をつないでいく、つまり緑地の連続性を高めていくという役割があります。また、そういった大きな公園には環境教育系の施設もあることが多い。環境省系ではビジターセンターがありますし、また、国土交通省系や港湾にある公園でも様々なセンターが設置されています。そういう公園やセンターこそ、多様な方々が気軽に来られて、普及啓発やボランティアの活動増進に貢献しています。そのような公園の役割をもっと大きくPRしても良いと思います。
特にレンジャーのような環境教育を実践する専門のスタッフがあります。海外では非常に一般的ですが、日本ではなかなか広まっていないというのが現状です。例えばニューヨーク市などは、アーバンレンジャーが100名、市役所の職員として勤務していますし、それによって、市民の環境意識が格段に違うと感じます。公園をもっと生物多様性についての普及啓発や環境教育など、促進するための仕組みづくりのために活用していけないかと思います。
最後になりますが、18ページの生物多様性の見える化の箇所の書き方ですが、かなり抽象的に思えます。具具体策を細かに記載していく箇所と思いますので、見える化ということではどのように考えていらっしゃるのかについて教えていただけたらと思います。
以上です。
○石井小委員長 ありがとうございます。
では事務局、お願いします。
○自然環境計画課課長補佐 4点いただきまして、ありがとうございます。
1点目は、国分寺崖線とかで、佐藤さんなどが中心的に活躍されているような、そういう中間支援組織というのが、こういう制度の中でどういう位置づけというかになるのか、ということかと思ったのですが、法の中では、この協議会については市町村がつくっていくという形にはなります。実際に、先ほど来からいただいたように、市町村がプレーヤーになるときに、色々ネックになるというのは、色々なサポートや支援が必要という意味ですが、そういうときに、やはり中間支援組織というのが重要だろうというのは、二つ目の質問の部分のNACS-Jさんとか、NPOさんの役割としても重要だというところにも関連してくることかと思っています。
それについては、今、恐らく書きぶりを、もう少し強調したり、重要性を強調したほうがよいのではないかというご指摘だと認識しました。今の書き方だと、幾つかNPO・NGOや、そういう中間支援的な組織の方が地域の活動を支援することが期待される、市町村がつくるときに、計画の素案を作成して提出することができる、連携しながらやっていくことが重要、というような形で、サポート的なところでの機能や役割を期待して記載はしていますが、1点目、2点目含めてその辺り、もう少し重要性を強調できるような書き方を工夫できないか、考えたいと思います。
3点目について、大きな公園の役割の重要性について、ご指摘ありがとうございます。公園についての記載が、今、基本方針にあるのか、ないのかということについて言うと、今、記載は明示的には書いてないです。
それについては、自然共生サイトでも八王子の長池公園が第一期の認定にもなっているように、そういう公園が核になり、それは保護地域も含めて、生態系ネットワークをつくるときの一つの拠点となるというところで、大規模な緑地というのはベースとして必要だということは考えていますので、これについても、何らか盛り込めないか考えたいと思っています。
最後、見える化について具体的にどういうことを考えているのかということです。大きく初期実装の機能としては三つを考えています。
一つは、自治体ごとに現状がどうなっているのかをまず見える化するということです。現状がどうなっているかというのは、どのようなところが今、保護地域になっているか、どのようなところが自然共生サイトになっているか、それでパーセンテージの割合や、それを生態系のタイプごとの保全割合などを見せていきたいと考えています。
さらに、そこにそれぞれ、今、重要な地域がどういうところがあるかという情報も重ね合わせて、現在のカバーの状況、それから、これから保全が必要なところ、それから、自然共生サイト、OECMになっているようなところの情報を見ることができる、それが自治体が、今後、戦略をつくったり、活動を考えるときの基礎的な参考資料になるのではないかと思っています。
もう一つは、認定した自然共生サイト、そして、今後は法制化で認定していくような活動計画を実施しているようなところの、それは場所にうまく紐づけますけども、地図上ですので、そこでの活動の特徴を紹介するような見える化ということもやっていきたいと思います。これは、個々のサイトと活動の見える化です。これによってどのようなところの活動が、今、具体的に動いているのか、どういうところが、今、進んでいるのか、それに対して、これは、第三者が評価したりとか、支援を考えたりするときにも参考になるのではないかと思います。ここに、もしかしたら、こういうことで困っています、こういう方と連携したいです、というようなお知らせなどもできると、支援者と支援したいと思っている者と、ニーズを求めているところのマッチングにも役立つのではないかと考えています。
最後は、技術的な見える化には近いのですが、どのような活動をやればいいのかなかなか分からない、というときに、行政的な組織としては色々なマニュアルやガイドライン、過去たくさんつくってございます。そういったのを一つデータベース化して、チェックリストを作り、例えば森林でこういう云々を入れると、これまでつくったガイドラインやマニュアルが出てきて、それがそこで活動するときの参考になったりできればということで、情報提供としてできるような検索システムをまず用意していきたいなと考えています。
まずは、この初期実装としては、この三つの見える化を進めていきたいと思っています。
以上です。
○佐藤委員 はい。ありがとうございます。見える化は、国のほうで指導しながら、それを自治体のほうに落としていくというような形ですか。スライドさせていく形でしょうか。
○自然環境計画課課長補佐 はい。そのシステムについては、環境省で管理はしますが、そこに自治体の、今、構想しているのは、自治体が思っている重要な地域とか、そういったところも、我々、データをいただいて重ね合わせて見せていくような形で、自治体の職員の方も参考に使っていくようなものは用意していきたいなと思っています。
○佐藤委員 わかりました。
○石井小委員長 よろしいですか。
○佐藤委員 はい。ありがとうございます。
そうですね。見える化といったときに、国がやるべきこととして、都道府県・市町村レベルでどのように進めていくべきか、そういったモデルもつくって見せていけるとよいと思いました。
また公園というのは大きな面積を持っていて、非常に重要なパートナーシップのハブになっていくということ。また環境教育の拠点としても重要です。今回、小・中学校のような、教育機関について特に明記がないですけれど、教育分野との連携をとるためにも公園は非常に重要な場だと思います。そのような点も含めて、記載していただけたらありがたいと思います。
また先ほどもお伝えしましたが、NGO・NPO、特にNACS-Jのような団体が、日本の自然保護シーンを長い間牽引されてきましたし、生物多様性向上の促進については大きな力を持っており、資金を集めるにしても、人を集めるにしても、また人材育成や普及啓発など、さまざまなノウハウをお持ちです。この点にもっと注目して、NPO・NGOとの連携について書き込んでいただきたいと思っております。
以上です。
○石井小委員長 はい。どうもありがとうございました。
大体、時間一杯になりましたけれども、ほかの委員の皆さん、ご意見等ございますでしょうか。よろしいですか。
本日もいつものようにたくさんのご意見ありがとうございました。事務局、大変だと思いますけれども、基本方針案については、この後、パブリックコメントに入るということになってますので、たくさんのご意見を踏まえて、幾つか修文もあると思います。これにつきましては、私、委員長と共有しながら進めていただければと思います。
その上で修正した基本方針案については、事務局から委員の皆さんにお送りさせていただき、そしてパブリックコメントに進むというふうにしたいと思いますけども、委員の皆さん、それでよろしいでしょうか。
はい。ありがとうございます。そのような手続とさせていただきたいと思います。
それでは、次は、その他となっていますけれども、事務局のほうは、何かございますか。特にないですか。
○自然環境計画課課長補佐 今回、その他はございません。
○石井小委員長 はい。分かりました。
全体を通して、委員の皆さん、特にないですか。
ないようでしたら、以上で全ての議題は終了しましたので、進行を事務局にお返しいたします。ありがとうございました。
○司会 石井委員長、議事進行、ありがとうございました。委員の皆様におかれましても、長時間にわたりご審議をいただきましてありがとうございました。
以上をもちまして、本日の小委員会を終了いたします。
次回は9月26日の14時から開催を予定しております。本日はありがとうございました。
午後4時12分 閉会