中央環境審議会 自然環境部会(第46回)議事録

開催日時

令和5年3月13日(月)15:30~17:00

開催方式

AP新橋(東京都港区新橋1-12-9 新橋プレイス)
※  WEB会議システムを併用して開催

出席者

武内 和彦  部会長
小泉 透   委員
勢一 智子  委員
髙村 典子  委員
中村 太士  委員
藤田 香   委員
愛甲 哲也  臨時委員
石井 実   臨時委員
江﨑 貴久  臨時委員
大沼 あゆみ 臨時委員
交告 尚史  臨時委員
五箇 公一  臨時委員
坂田 宏志  臨時委員
佐藤 哲也  臨時委員
関 智子   臨時委員
中静 透   臨時委員
西澤 敬二  臨時委員
橋本 禅   臨時委員
広井 良典  臨時委員
広田 純一  臨時委員
深町 加津枝 臨時委員
水田 拓   臨時委員
山野 博哉  臨時委員
湯本 貴和  臨時委員

議事録

午後3時30分 開会
○司会 定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会自然環境部会を開会いたします。
 本日はお忙しい中、本部会にご出席いただき、ありがとうございます。
会議に先立ちまして、本日の出席委員数をご報告いたします。本日は、所属の委員・臨時委員27名のうち、ウェブ会議システムでの参加を含め23名のご出席をいただいておりますので、本部会は成立しております。
 本日の会議運営についてご説明いたします。本部会の様子はYouTubeチャンネルによりライブ配信を行っておりますので、ご了承ください。
 本日、オンラインでご参加の委員の皆様におかれましては、マイク・ビデオは各自のご発言の際のみオンとするようお願いいたします。また、ご発言の際はチャット欄に書き込みいただき、ご発言する旨をお知らせください。部会長からのご指名後、マイクのミュートを解除していただき、議事録の円滑な記録のため、お名前をおっしゃってからご発言いただきますようお願いいたします。なお、挙手ボタンは気がつかないこともございますので、挙手ボタンは使用せず、チャット欄をご活用いただければ幸いです。
本日、会議室でご参加の委員の皆様におかれましては、ご発言の際は、名札を机の上に立てていただき、部会長からのご指名後、マイクをオンにしてご発言ください。発言終了後はマイクをオフにしていただくようお願いいたします。
本日ご説明する資料につきましては、委員の皆様には事前に電子データにて送付しております。本日は、事務局が画面上に資料を投映し、進行をさせていただきますので、お送りした資料は必要に応じ、お手元でご参照いただきますようお願いいたします。
傍聴されている方につきましては、本日の資料を環境省ホームページの自然環境部会のページにアップロードしておりますので、そちらをご参照いただきますようお願いいたします。
ここで、奥田自然環境局長よりご挨拶申し上げます。
○自然環境局長 皆さん、こんにちは。自然環境局長の奥田と申します。
本日は、ご多用のところ、委員の皆様におかれましては、中央環境審議会自然環境部会にご出席を賜りまして厚く御礼申し上げます。
また、委員の皆様におかれましては、日頃より自然環境行政、ご理解、ご協力を賜っておりますことを、この場を借りて改めて御礼申し上げたいと思います。
今日の部会は、この2月に審議会の委員の改選が行われまして、最初の、新たな委員をお迎えしての初めての自然環境部会となります。日頃から本当に、先生方、いろんな形で環境省にご協力いただいているものですから、どの先生が新たに任命されたかというのも、本当にいつもお会いしている先生もいらっしゃるので、一人一人、ご紹介、私からはできないんですけれども、新たに委員となった先生方におかれましては、どうぞまたこの部会でもよろしくお願い申し上げたいと思います。
また、武内部会長をはじめ、継続して委員を務めていただいている先生方におかれましては、前期からの引継ぎ事項、多々あろうかと思います。引き続き、よろしくお願い申し上げたいと思います。
本日の部会でございますけれども、次期生物多様性国家戦略答申案、この直前に小委員会のほうで、一応、最終版というのを作り上げていただいて、それについてご審議をいただいた後、四つの案件についてご報告をさせていただきます。この戦略も、2021年からこの部会で検討させていただいて、その事前の検討も含めると、大分長い間、検討を重ねてきたところでございます。本日をもって、最終的な審議ということで、ご答申案をいただければありがたいというふうに思っておりますので、最後まで忌憚のないご意見を賜りますようお願い申し上げたいと思います。
本日は17時までということで、長丁場になりますけれども、どうぞよろしくお願い申し上げて、私からのご挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○司会 本日は、中央環境審議会の委員改選後、最初の自然環境部会となりますので、本日出席の自然環境局幹部をご紹介いたします。
自然環境計画課長の堀上です。
生物多様性戦略推進室長の山本です。
国立公園課長の則久です。
野生生物課長の中澤です。
自然環境整備課長の萩原です。
外来生物対策室長の大林です。
オンラインにて、大臣官房審議官の松本、総務課長の細川、生物多様性センター長の松本が参加しております。
続きまして、委員の皆様をご紹介させていただきます。本日は時間が限られることから、事務局より委員、臨時委員の順に、ご欠席の委員も含めまして、お名前のみご紹介させていただきます。
小泉透委員。
勢一智子委員。
髙村典子委員。
武内和彦委員。
中村太士委員。
藤田香委員。
愛甲哲也臨時委員。
石井実臨時委員。
江崎貴久臨時委員。
大沼あゆみ臨時委員。
交告尚史臨時委員。
五箇公一臨時委員。
坂田宏志臨時委員。
佐藤哲也臨時委員。
関智子臨時委員。
中静透臨時委員。
西澤敬二臨時委員。
橋本禅臨時委員。
日向野義幸臨時委員。
広井良典臨時委員。
広田純一臨時委員。
深町加津枝臨時委員。
水田拓臨時委員。
山野博哉臨時委員。
山本清龍臨時委員。
山本正德臨時委員。
湯本貴和臨時委員。
以上です。
それでは、これよりの議事進行につきまして、武内部会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○武内部会長 今日は、改選後の初回でございますので、ちょっと挨拶をさせていただきたいと思います。
 部会長に審議会の高村会長からご指名いただきました武内でございます。前期に続いて、引き続き部会長ということで議事進行を務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 この間、遅れに遅れた生物多様性条約の議論が最終段階を昨年末に迎えまして、私も出席をいたしましたけれども、モントリオールで、ホスト国であった中国にも配慮して、昆明・モントリオール生物多様性枠組という新しい枠組みが、ちょうど十数年前の愛知で採択された愛知目標を引き継ぐ形で採択されたということで、この間、大分、皆さんにはご心配をおかけしましたけれども、いろいろとこちらのほうでも別途議論を進めていただいて、それと新しい枠組みを整合させるという形で我が国の生物多様性国家戦略の見直しということで、今日、最終的にご議論いただきます。これを私のほうから環境大臣に後ほど手交させていただき、後に閣議決定がされるという段取りでございます。したがって、今日はもうほぼ最終段階でございますので、どこまで今日のご議論の結果を反映できるかというのはちょっと分かりませんけれども、可能な限り、皆さんのおっしゃったことを反映した最終案としたいと私も思っております。
 これから、生物多様性国家戦略を実際に実践に移していくわけですけれども、30by30なんて口で言うのは何か語呂がよくて簡単なんですけど、特に海域なんかを、じゃあ3割、どうやってこれを保護・保全していくんだという、そういう言わば保護・保全の手法というようなものも必ずしも確立されていないというようなことで、むしろ、これからの作業が現実には大変なことになるんじゃないかと。特に、いろんな省庁の間の調整といったものも大変になるということになるのではないかなと思っておりますが、これまで海洋保護区を設定してきたこととか、それから陸域ではOECMについては里山という概念でずっとイニシアティブを展開してきたというような経緯もございますので、そういうところとの整合性を図りつつ議論を深化させていくということが必要なんじゃないかなと思っております。今日の議論の一部はそういうこれから先の様々な自然環境政策の中での展開にも生かしていきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 以下、座って議事進行を務めさせていただきます。
 それでは、今回は委員の交代がございましたので、部会長の代理を指名する必要がございます。中央環境審議会令第4条の第3項が部会につき準用されており、部会長に事故あるときは、部会長があらかじめ指名する委員がその職務を代理することとなります。部会長代理につきましては、引き続き藤田香委員にお願いをしたいと思います。
 藤田委員、どうぞよろしくお願いします。何か一言ございますか。
○藤田委員 よろしくお願いいたします。部会長に何もないことを祈っておりますが、全力でサポートさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○武内部会長 ありがとうございます。よろしくお願いします。
 本日の部会はYouTubeチャンネルにおいてライブ配信していますので、報道関係者や一般の方もご覧になっておられます。会議録は後ほど事務局で作成し、本日ご出席の委員の了承をいただいた上で公開することとなります。
 議事要旨につきましては、事務局で作成したものを、私、部会長が了承した上で公開することをあらかじめご了承いただければと思います。
また、本日の会議資料につきましても公開となります。
 なお、本日は審議時間が限られていることから、時間内にご発言いただけなかった質問等につきましては、後日、文書での質問・回答とさせていただく場合がございますことをあらかじめご了承いただければと思います。
 それでは、最初の議題、次期生物多様性国家戦略答申案についての議論に入らせていただきます。
次期生物多様性国家戦略については、本日の審議で取りまとめた案を、先ほど申し上げましたように、私のほうから西村環境大臣へ答申するということになっております。
それでは、事務局から説明をお願いいたします。
○生物多様性戦略推進室長 生物多様性戦略推進室長の山本でございます。座ってご説明をさせていただきます。
答申案の概要についてでございます。
まず、資料の分量が多いので、構成を簡単にご説明、ご紹介をいたします。1-1、これまでの策定経緯とスケジュール。1-1の別紙に、昆明・モントリオール生物多様性枠組の概要。1-2が戦略の概要をコンパクトにまとめたもの。1-3が戦略案本文、220ページ程度のものでございます。これが答申本体でございます。1-3別紙1は、国家戦略第2部に掲げられた施策の一覧をまとめたもの、1-3別紙2は、戦略において設定する状態目標・行動目標に関する指標の案となっております。指標については、閣議決定ではなく関係省庁連絡会議で決定をする予定で、答申には含まれませんけれども、参考にお付けしております。
それでは、資料1-1をご覧ください。先ほど武内部会長からもございましたけれども、非常に長い期間の検討をいただきました。もともとCOP15が、2020年秋に開催予定だったものがコロナで延期になったことによりまして、検討期間はまれに見る長さということでございました。最初の研究会を3年前に開始いたしまして、1年半かけて研究会での報告をまとめていただき、その後、2021年8月に、この自然環境部会、また生物多様性小委員会での検討が始まっております。
その後、ようやく昨年12月にCOP15が開催をされまして、昆明・モントリオール生物多様性枠組が採択をされたことから、本戦略の検討も最終段階に入ることができました。
COP15後は、1月23日の小委員会の後、2月一杯のパブリックコメント、全国8回の地方説明会を開催いたしまして、これらの結果も踏まえまして、必要な修正をしたものを先ほどの小委員会でご説明をいたしまして、一部に表現の適正化などのご意見をいただきましたけれども、基本的には小委員会案として固めていただきました。本日、今お配りしている資料は小委員会前のものですので、一部の修正は入っておりませんけれども、そこはご了承いただければと思います。
今後の予定といたしましては、本日の自然環境部会で答申をいただけましたら、3月中の閣議決定を予定して、その前に答申として武内部会長から大臣への手交を検討しております。
資料1-1の別紙に、昆明・モントリオール生物多様性枠組の概要を添付しております。非常に大きく関係をするものですので、ごく簡単にご紹介をさせていただきたいと思います。2050年ビジョンが自然と共生する社会、これは愛知のときと同じものでございます。2030年ミッションが、自然を回復軌道に乗せるために生物多様性の損失を止め反転させるための緊急の行動を取るということで、これが「ネイチャーポジティブ」という言葉は入っておりませんけれども、基本的にはそれを表す内容となっています。2050年ゴールが、AからDの、ここに掲げた四つでございます。それから、2030年ターゲットということで、23個、設定をされてございます。例えば3番目に30by30目標がございますし、6番目に侵略的外来種の目標、後半に入りますと、資金の問題ですとか能力構築、またジェンダーなど、非常に幅広い内容が盛り込まれた目標、枠組みとなってございます。これを受けた形での国家戦略案でございます。
資料1-2で、生物多様性国家戦略2023-2030(案)ということで、概要をご説明申し上げます。これまで「次期生物多様性国家戦略」と申し上げておりましたけれども、武内部会長ともご相談をいたしまして、「生物多様性国家戦略2023-2030」という名前にしたいというふうに考えております。また、副題としては、「~ネイチャーポジティブ実現に向けたロードマップ~」という形で考えています。
本戦略の位置づけでございます。新たな世界目標「昆明・モントリオール生物多様性枠組」に対応しているということ、また、2030年のネイチャーポジティブ、自然を回復軌道に乗せるために生物多様性の損失を止め反転させることという言葉でございますけれども、それを目指し、生物多様性・自然資本を守り活用するための戦略であるということが位置づけとなっております。
ポイントとして3点お示ししております。生物多様性損失と気候危機の「2つの危機」への統合的対応など、社会の根本的変革を強調しております。また、30by30目標などの達成などの取組によって健全な生態系を確保し、生態系による恵みを維持回復するということ。また、自然資本を守り生かす社会経済活動を推進することということで、今回、経済を大きく取り扱っているところが前回からの変化のポイントの一つかと思います。
次のページに、次期戦略の骨格をお示ししております。2050年ビジョンに自然と共生する社会、2030年目標にネイチャーポジティブの実現ということで、ここは世界枠組のほうに対応する形になってございます。それに向けまして、五つの基本戦略、また、基本戦略ごとに状態目標(あるべき姿)・行動目標(なすべき行動)、また個別施策を各行動目標に紐付けてございます。ビジョンから個別目標、個別施策までの一気通貫で整理をしたということで、進捗状況を効果的に管理できるものと考えてございます。
それぞれの戦略のポイント、ごく簡単にご紹介をしたいと思います。
基本戦略1は、生態系の健全性の回復ということで、いわゆる自然環境保全、自然環境局が以前から実施をしてきた事業が中心でございます。行動目標としましては、30by30や自然再生、汚染や外来種対策、希少種保全といったような目標が掲げられております。この辺り、本文の28ページ目辺りから順次、基本戦略が掲載をされておりますので、参考にお手元でご覧いただければと思います。
基本戦略2は、自然を活用した社会課題の解決(NbS)、Nature-based Solutionsとして、自然を活用した地域づくりや再生可能エネルギー導入における配慮、鳥獣とのあつれき緩和などを行動目標としております。
基本戦略3は、ネイチャーポジティブ経済の実現ということで、ここは前回戦略にはほとんど含まれていない内容で、今回の特徴とも言えると思います。ここには、ESG投融資促進や事業活動による生物多様性への配慮、持続可能な農林水産業の拡大といった状態目標、企業による情報開示等の促進といった行動目標を含んでおります。
基本戦略4は、生活・消費活動における生物多様性の価値の認識と行動ということで、価値観の形成、消費活動における配慮等の状態目標、環境教育の推進、ふれあい機会の増加といった行動目標を含んでおります。
基本戦略5は、生物多様性に係る取組を支える基盤整備、国際連携の推進ということで、ベースとなるものです。データの利活用・様々な主体の連携促進といった状態目標、また、基礎調査やモニタリングの推進、国際協力の推進といった行動目標を含んでおります。
資料1-3の別紙1には、行動目標にひもづく施策を表にしてまとめてございます。
次のページに、現行戦略との比較をまとめております。次期戦略案もかなり分量が多いようには見えますけれども、分量としては現行戦略の概ね3分の2という形で、分量の削減を図っております。また、数値目標につきましても、前回が、現行戦略、行動計画に位置づけられた数値目標が700施策中50目標でございますけれども、今回367施策に対して250近い数値目標を掲げております。数値目標をかなり増やして設定をしております。
また、今回の昆明・モントリオール生物多様性枠組は、愛知目標の反省を踏まえまして、レビューメカニズムが明確になっているという特徴があります。以下の図のうち、上の段が新枠組み、国際的なメカニズム、また、下の段が国家戦略での評価や国別報告書をまとめる予定を示したものでございます。また、こういった形で随時、国際的なレビューメカニズムに合わせた形で国内の点検を進めていくという予定です。また、点検に当たりましては、設定した指標を基に行っていくということとしておりまして、資料1-3の別紙2にまとめた指標が基本となりますけれども、今後、この指標につきましては、一旦、関係省庁連絡会議で固めますけれども、この後、国際議論の進捗も見ながら適宜見直しをしていく予定です。
私からの最初の説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○武内部会長 本件は生物多様性国家戦略小委員会でご議論いただいたところですけれども、小委員会委員長を務められた中静委員から補足がございましたらお願いしたいと思います。
○中静委員 今回の国家戦略は、もともと2020年のCOPの直後に定めるということを計画されて、そのための準備段階から非常に長い時間をかけていただきまして、毎回の小委員会でも大体時間をオーバーするぐらいの発言が続くなど、非常に活発な議論をしていただいたものです。結果として、COP15で定められましたGBF(昆明・モントリオール生物多様性枠組)を下敷きにした、国際的にも先駆けた国家戦略になります。
今回、先ほど説明いただいたように、30by30、そのためのOECM、NbS、それからネイチャーポジティブ経済に関わるものとしてTNFDというような、アルファベットの略語がいっぱい出てきますが、いろいろなステークホルダーの関わり方というのを意識してつくられた戦略になっています。これまで生物多様性というのに自分たちがどういうふうに関わるかというのがよく分からなかった人たちにも関わっていただけるような戦略になっているとは思いますが、一方では、いろんな難しい言葉とか新しい概念とかも入っておりまして、普及啓発に当たっては苦労するかもしれないと思っています。
先ほどの小委員会でも、この戦略を今後どういうふうに実施していくかということに関して様々なご意見をいただきましたけれども、様々なステークホルダーに対してどういうふうに分かりやすく説明して普及していくかという点を、環境省にはぜひ考えていただきたいところだと思います。
私のほうからは以上です。
○武内部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、中静委員長から今お話がございましたように、本生物多様性国家戦略案は、生物多様性国家戦略小委員会でかなり議論がされたということでございます。こうした経緯も踏まえ、この後の議論では、本戦略案に基づいて、今後重点的に取り組んでいくべきポイント等、今後やるべきことについて、特に重点的にご意見をいただければと考えております。もっとも、今の段階はまだ決定しておりませんので、この答申案についての議論にご意見が及ぶことも一向に差し支えございませんので、その点、私のほうから申し上げておきたいと思います。
 それでは、ご質問、ご意見がございましたら、チャットに記載をしていただければと思います。また、会議室にフィジカルにご出席の委員においては名札を立てていただきたいと思います。
本日は、新任の方もいらっしゃいますので、ご発言の際は、冒頭でお名前とご専門などについて一言いただければと思います。
 それでは、どうぞ。
 それでは、小泉委員、お願いします。
○小泉委員 これはボタンを押せばいいんですか。
○武内部会長 そうです。赤くなります。
○小泉委員 ありがとうございます。小泉です。
 細かな意見につきましては、前回、事前ヒアリングをいただいたときに申し上げましたので、要点だけ申し上げます。社会実装というところで、今後この戦略案がどういうふうに展開していくのかなというふうに考えながら読ませていただきました。研究開発の分野も、イノベーションというような社会変革を目指しているわけですが、その研究開発の分野では、アウトプット、アウトカムだけでは十分ではない。アウトカムの先にアウトリーチという段階を経て社会変革をもたらすというように理解されています。そのアウトリーチというのは、私は社会実装化というふうに理解をしているところです。そういった視点から今回の戦略案を読ませていただくと、アウトカムの先のアウトリーチがどのように展開していくのか。そのヒントは私は二つあると思います。一つは、短い記述ですが、15ページの将来予測というところに、生物多様性にとって望ましい社会として、「自然資本・分散型社会シナリオ」というふうに書かれています。恐らく、今回の生物多様性国家戦略がこの「自然資本・分散型社会」の実現にどういうふうに貢献できるかというのが一つの鍵になっていくのではないかと思います。
 もう一つは、戦略案に200か所以上使われている「人材の育成」です。この人材の育成を、これからどういうふうに実体を与えていくかというのが生物多様性国家戦略の社会実装化にとって重要になるのではないかなというふうに感じました。大変野心的な戦略案になっていると思います。今後の政策の展開を期待しております。どうもありがとうございます。
 以上です。
○武内部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、江崎委員、お願いします。
○江崎委員 ありがとうございます。この現行の戦略との比較にも書いていただいているんですけれども、国土のグランドデザインというのが、今ちょうど中央のほうでも計画されているかなと思うんですが、整合性というか、協議とかをこれからしていただいていくのかなと思うんですけれども、今までの中でも恐らくしていただいているのかなと思うのですが、そのような調整がされているのかどうかだけ、一応確認させていただきたいと思います。お願いします。
○武内部会長 ありがとうございます。
 それでは、事務局のほうからどうぞ。
○生物多様性戦略推進室長 国土形成計画のことかと思いますけれども、作成経緯、しっかり調整しながら進めて、意見交換は常にしております。今後もしっかりやっていきたいと思っております。
○武内部会長 よろしいですか。納得感はありますか。
○江崎委員 ありがとうございます。多分、ちょっと形がまだ見えないので、言葉では書いてあるのを見ているんですけれども、それが形になっていくのかというところが少し心配だったので。それと今、あちらも遅れているので、私は地方のほうの計画をしているんですけど、中央でできたものが地方に来たときに、ちゃんと落とさないようにしてほしいなと思います。すみません、ありがとうございます。
○武内部会長 ありがとうございました。
 それでは、橋本委員、お願いします。
○橋本委員 ありがとうございます。この度、新しく臨時委員を仰せつかりました東京大学の橋本禅と申します。生態系サービスの評価等を専門にやっているんですが、この度、小委員会のほうで国家戦略の見直しに参加させていただきました。
 まず、意見のほうを述べたいと思うんですけれど、先ほど中静委員のほうからもご説明がありましたとおり、かなり野心的な、新枠組に対応して、かつ、恐らく世界的にも初めてぐらいであろうというタイミングで出た国家戦略で、非常に日本としても積極的に、こういった国際目標にコミットするということを打ち出している素晴らしい戦略になっているのではないのかなというふうに期待しているところです。
 他方で、非常に複雑になったというか、本戦略というか、生物多様性保全をめぐる関係者というのが、恐らく愛知目標の頃よりも非常に多く増えてきている。第一次産業も明らかに関わってくる、気候変動も重要だ、より根本的な原因である一般市民の消費、あるいは企業等の事業者というのも明確にステークホルダーとして、国際目標のほうもそうですし、国家戦略の方にも位置づけられているわけです。恐らく今後の課題になるのが、今回の戦略をどういうふうに広く、本当に関係者の皆さんに伝えていって、それぞれの関係者が何を求められているのかというのを分かりやすく伝えていくことなんだろうなというふうに思います。まずは、この戦略、閣議決定されることを待って今後の対応ということになると思うんですけれど、やっぱりスムーズに、円滑に、残されている時間は2030年まで非常に僅かですので、実施に移していくためにも、今の戦略を分かりやすい形で伝えていくところで、一層のご尽力をいただきだいところであると思います。
 先ほど山本室長のほうからご説明いただいた資料1-3の別紙1のところでも、国レベルだけで見ても非常に多くの中央官庁が関わっておりまして、こういった国レベルでの水平的な横の連携、それと地方自治体から、いろんな空間レベルで、また様々な利害関係者はあると思いますので、こういったところに広く普及して、具体的に何をすればいいのかというのがうまくコミュニケーションできる形になればよいなというふうに期待しております。また、そういった形でご協力できればと思います。よろしくお願いいたします。
○武内部会長 ありがとうございました。
 それでは、湯本委員、お願いします。
○湯本委員 臨時委員の湯本でございます。
 この度は、非常に野心的な目標をつくっていただきまして、まず敬意を表したいと思います。それで、これが一つの、先ほども言いましたけども、社会実装の一つの方法としては、自治体はそれぞれ地域戦略を、ないところもございますけれども、つくっているところもあります。そういうところは、これを参考に、これからその改定というのが進んだり、あるいは新しくつくっていくと思うのですけれども、そこをどういうふうに、啓発というか講習会というべきか、ご指導という言い方も変ですけど、こういうことを説明してそれを地域戦略に反映させていくというような、そのような道筋をつくられるのかということについて質問させていただきます。
 以上です。
○武内部会長 ありがとうございます。
 それじゃあ、事務局のほうから、ただいまのご質問に関してご回答をお願いします。
○生物多様性戦略推進室長 ありがとうございます。おっしゃるとおり、自治体の関わりが非常に重要なものだと思っておりますので、この後、まずは地域戦略をつくるためのガイドラインのお示しをすることと、そちらをしっかり説明していく、また、必要に応じて伴走支援という形で技術的なサポートをしていくということを進めていきたいと思っております。
 以上でございます。
○武内部会長 ほかに、ご質問、ご意見のある方はおられませんでしょうか。オンラインでご参加の方も、どうぞお願いしたいと思いますが、いかがですか。
ちょっと私から聞きたいんですけど、これはいつ英語にするんですか。
○生物多様性戦略推進室長 概要につきましてはG7札幌、4月の半ばに間に合わせたいというふうに思っております。
○武内部会長 全文やったほうがいいよね。
○生物多様性戦略推進室長 全文は、もうしばらく。
○武内部会長 時間はかかるけれども。
○生物多様性戦略推進室長 はい、時間を。
○武内部会長 なるべく、これは先に出したもののほうが国際的なアピール力もあると思うので、前のときは結構早く出したんですよね。前のときは、たしか英語のほうを先に出したんじゃないかな、COPに間に合わせるために。
○生物多様性戦略推進室室長補佐 すみません、前回のとき、COPに間に合うように、とにかく作り上げるということだったんですけど、英語版につきましては、少し関係省庁と使うべき文言等を調整しまして、少し時間がかかったかなという感じがございました。ありがとうございます。
○武内部会長 ええ、ぜひお願いします。
 それでは、次に大沼委員、お願いします。
○大沼委員 ありがとうございます。私も、この生物多様性国家戦略づくりの小委員会に関わらせていただきまして、特に最後は膨大なパブリックコメントを短期間で処理されるなど、非常にご尽力いただいた中でこうして出来上がったということ、まず感謝申し上げたいと思います。
 私、前回も関わらせていただきまして、今回も関わっている中で、やはり、先ほど山本さんからもお話がありましたけれども、経済的な側面での記述というのはかなり増えていますし、また、経済的な取組や施策の提案というのもかなり増えているというふうに感じます。こうした動きというのは、世界的な動きの中で、当然、標準に沿った動きであると考えられますが、一方で、まだ何か、ちょっと私からすると遠慮しているところもあるのかなというところも感じられます。今後、ぜひ、こうした経済的施策というものを政策に取り入れていく中で、効果というものに結びつけていただいて、さらに、二酸化炭素のほうではかなり様々な施策というのが、経済的な手段というのが検討されておりますので、ぜひ生物多様性の分野でも、これをベースにして、いろいろな自然保護につながるような、あるいは自然保護基金というもの、市場の中で調達していくような施策というものをつなぐ方向になっていただきたいなと、こういうふうに感じております。
 以上です。
○武内部会長 ありがとうございました。
 それでは続きまして、中村委員、お願いします。
○中村委員 ありがとうございます。前の委員会からも出ていましたので、この内容については本当に、先進的な議論が今後も実施できれば先進的な動きになってくると思います。その中で、30by30の、その30%というものがやっぱり数値目標としてはっきり出されているということは、今後に向けて、その数字を達成するためにどうしたらいいかということで重要な局面になってくると思います。その陸域と海域30%というのは、何らかの形で達成できるような気がするんですね。それは、現在の国立公園等、もしくはそれに準ずる保護区を拡張することによってできそうな気がするんですけど、劣化した生態系の30%、これは相当難しいなというふうに私個人は思っていて、まずは何をもって劣化と定義するのかが極めて難しくて、実際に今、土地利用されている場所を劣化したという形には定義しづらいだろうという感じもします。自然再生事業も、当初、2002年に法が定められて以降、活発にはなされてきたとは思うんですが、やっぱり最近、専門家会議なんかに出ていても、新規の案件というのはほとんど出てこなくなっているのが実情だと思います。ただ、自然再生推進法にのっとっていない形での、国土交通省の多自然川づくりとか、グリーンインフラとか、そういった取組もされているので、そこをうまく使っていくことが重要なのかなと思います。そんな中で、第2の危機に当たる森林、特に人工林なんですけど、それをうまく管理できていない場所であったり、北海道も含めて耕作放棄地が広がる中で、人口減少という一つのフェーズが自然再生する機会を与えているような形にもなっていると思います。できれば、そういった自然再生が地域の社会経済をうまく動かすような形で機能していけばいいんじゃないかと思います。
 さらに、国立公園内、特に特別地域の部分だと思うんですけど、現在も人工林とか川においてはダム構造物があったりすると思います。特にこれは環境省への要望なんですが、管理を実施できる、そういった省庁として国立公園内における自然再生みたいなものを、例えば人工林を自然林化していくこととか、ダムを改良して上流と下流のつながりをつけるとか、湿地をさらに復元するといった、そういうことは可能だと思いますので、ぜひ、その方向でも取り組んでいただければなと思いました。
 以上です。
○武内部会長 ありがとうございました。
 それでは、オンラインの広田委員、お願いします。
○広田委員 ありがとうございます。農村計画、地域計画を専門としている臨時委員の広田と申します。
質問というか、意見が1点ございます。これだけの戦略を実行していく、先ほど社会実装という話もありましたけれども、このためには、推進する側の、いわゆる事務局のマンパワーが相当に必要かなと思います。当然、環境省の担当課だけでは回していけないのではないかと懸念されるんですけれども、そこら辺の推進体制の強化というのは何か考えておられるのかという質問です。
○武内部会長 ありがとうございました。
それじゃあ、どうぞ回答をお願いします。
○生物多様性戦略推進室長 ありがとうございます。おっしゃること、本当にそのとおりだと思います。ただ、一つ言えることとしましては、関係省庁とのやり取りを、最近のやり取りを見ておりますと、以前に比べると本当に関係省庁が前向きに取り組んでいただいている、主体的に取り組んでいただいているという変化を大きく感じております。そういったこともありますので、しっかり連携をして取り組んでいきたいということと、推進体制をさらに強化をするということについては、今後、様々な機会を捉えて要求などもしていきたいというふうに思っております。ぜひ、先生方にもご協力といいますか、後押しをいただければと思っております。
 以上でございます。
○武内部会長 それでは、はい、どうぞ。
○広田委員 ありがとうございます。地方自治体について、先ほど伴走支援というような言い方もありましたけれども、特に市町村は、それこそマンパワーが足りずに、いろんな省庁から新たな施策を振られても、なかなかそれを十分に引き受けられない実態もあります。そういったところも勘案して、ぜひマンパワーの強化をよろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
○武内部会長 ありがとうございました。
 それでは、次に水田委員、お願いします。
○水田委員 山階鳥類研究所の水田と申します。今回から臨時委員に参加させていただいておりますので、ご挨拶も兼ねて発言したいと思います。
まず、資料をお送りいただいて、国家戦略、新しいのを見せていただいたんですけども、非常に膨大な多岐にわたるものが書かれていて、これをまとめるのは大変だっただろうなというふうに感じました。さらに、パブリックコメントで様々な専門家から数多くの意見が寄せられて、これに対しても丁寧に一つ一つ回答されていて、そのご努力にまず敬意を表したいと思います。あくまで国家戦略ですから大枠だと思うんですけれども、あまり個別具体的なことをここで議論するものではないというのは承知しているんですけれども、私の専門である、例えば希少種の保全であったり外来生物の防除であったりというところで、ちょっと発言させていただきたいと思います。
まず、1-3-41に「生物多様性確保上重要な地域における特定外来生物等の防除」ということが書かれていて、これはもう本当に、非常に重要なところで、ぜひ進めていただきたいと思うんですけれども、一方で、生物多様性保全上重要とされていない地域でも、特定外来生物だけではない外来生物というのがたくさんいるわけですね。なので、この国家戦略でうたわれていないからといって、手当てをする必要がないということではないと思いますので、ほかの場所での外来生物の防除をうたえということを言っているわけではないんですけれども、個別の重要なところでも手当てというのをお願いしたいと思います。
同様に、希少種の保全というのも重要なんですけれども、一方で、希少種だけではなくて、普通種が今、減少しているというのが非常に大きな問題になっていると思います。例えば草原性の鳥類であったり、海鳥であったり、シギ・チドリ類であったり、そういったものが非常に減少しているということが、もうここ10年でも見られていますので、希少種だけではない、普通種に対する手当てというのも重要だということを認識していただければなというふうに考えております。
私からは以上です。
○武内部会長 どうもありがとうございました。
 事務局から何かありますか。
○生物多様性戦略推進室長 普通種につきましては、今回、我々のほうでも非常に重要なことと考えておりまして、例えば行動目標の1-5のところ、91ページですかね。92ページの2行目の辺り、普通種についてもしっかり対策、取組を進めるといったようなことを記載してございます。ご指摘を踏まえて、しっかり取組を進めていきたいと考えております。
特定外来生物について、大林室長。
○外来生物対策室長 後ほど説明いたしますけど、外来法が今年度改正いたしまして、来年度からいろいろと、さらに重点的にやっていく予定です。その中で、もちろん、外来種が広がっている状況を踏まえて、国がやること、地方公共団体がやること、国民がやることとか、それも含めまして、全体的に進めていこうと思っています。これは今、代表的に、国の重点的にやるところというのをお示ししたということで、ほかの地域はやらないというわけでは全くありません。後ほど説明いたします。
○水田委員 ありがとうございます。
○武内部会長 それでは、関委員、お願いします。
○関委員 ありがとうございます。青森大学の関智子と申します。今回初めて臨時委員として出席させていただいております。専門は、環境共生学というところの、特に環境思想を専門としております。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は今回の取組に対して一番大きな期待を持っているところは、市民参加への多大な影響力です。大きなうねりとなるのではないかということを想像しております。この審議会の前の会議を傍聴させていただいておりまして、何人かの先生方から、より分かりやすい説明が必要というご意見をうかがいましたけども、例えば市民から、こういう活動に入りたいなというふうに思ったときに、専門性が高くて、今までそういうところに参加したことがないと、敷居が高いと感じられてしまうところがあると思うんです。実際、内容を見ると難しい言葉が並んでいて、(興味があるけれど)難しいのかな、と。第一歩を踏み出せない状態にならないように、どうすればそのような分かりやすい説明になるんだろうと思うのですけども、私たち、生活者の一人として、古来日本人としての自然との関わり方が歴史としても文化としても感覚としてわかりやすいと考えています。最初にSATOYAMAイニシアティブからこの国家戦略がつながっているというお話がありましたけども、そういった日本の特性や、日本人の特徴的な自然との関わりのようなものも、含めていただいた中で、参加しやすくしていただいて、少しずつ専門的なところにも踏み込めるような内容にしていただけると、市民参加としての波及効果もより早まるのではないか、大きくなるのではないかなと思っています。
 最後に一つ質問がございます。この国家戦略が世界的なうねりでこれから始まろうとしている中で、世界の中で生物多様性のこういった戦略を公に行うに当たり、日本の立ち位置どの辺りにあるのかぜひ教えていただきたいです。SATOYAMAイニシアティブのようなベースとなる取組を経て自然環境を直接利用しながら自然を保護していくという考え方につながっている場合、日本は例えば世界の中で、(経験者として)先頭に立つような位置にいるのかどうかということを、基本的な情報として確認させていただきたいです。どうぞよろしくお願いいたします。
○武内部会長 それじゃあ、事務局のほうからお願いします。
○生物多様性戦略推進室長 ありがとうございます。市民参加の重要性、ご指摘のとおりかと思います。これから普及版をつくってまいりますので、その中でご指摘も踏まえて考えていきたいと思いますし、その後の普及においても、どうやったら関わりやすいかといいますか、取っつきやすさも含めて、しっかり説明の仕方を考えていきたいと思います。地方環境事務所も併せて対応を今後していくことになると思いますので、その辺、共有しながら進めていきたいと思います。
 また、日本の立ち位置、これはほかにも詳しい方々がいらっしゃるかと思います。SATOYAMAイニシアティブのような、使いながら守るという考え方を支持する国は、もちろん日本はそうやって訴えてきているところなので、多くの国にも支持をしていただいていますけれども、一方で、手をつけずに守ることの重要性を訴える国もあり、そこには若干の違いはあるかと思います。ただ、一方で、それらを、国際的な議論の中で、日本としてはこういった考え方を、日本の風土、自然環境においてはそれが重要であるということを共有しながら理解を求めていって仲間もつくっていくということが重要と考えてそういった取組を進めているところでございます。
 ほかに何か、特に武内先生、お願いできればと思います。
○武内部会長 私からちょっと補足的に説明をさせていただきたいんですけど、実は、COP10のときには大分、日本の提案に反論があったんですよ。というのは、日本の自然観は、人は自然の一部であるという自然観じゃないですか。それに対して西洋的自然観というのは、人と自然は別だという、そういう中で自然を制御していくというような形になったり、場合によってはそれを保護するという形で手厚く敬うというふうな形の対応をしてきたと。反対があったんですけど、アジアとアフリカの人たちが、「いや、日本が言ってること分かるよ、我々は」というので、そちらのほうの非常に強い支持を得て、このSATOYAMAイニシアティブも始まりましたし、それから、自然と共生する世界の実現という、この概念もそこで認められたという、そういう経緯があります。したがって、今回、私は新しい世界の戦略の中で、中国が中心だと思いますけれども、やっぱりその自然と共生する世界という長期目標を、そのまま手をつけずに残してくれたというのは、これはとても大事なことだし、これは大変ありがたいことだというふうに思っております。その上で、いわゆる2030年までの目標については、PDCAサイクルもきちっと把握した上で、愛知目標に比べるとはるかに精緻な仕組みになったという、そういう大きな特徴があると思いますので、そういうこともちょっとご理解いただいた上で、今後とも、この議論にご参加いただければ大変ありがたいというふうに思っております。
 ほかに、どうでしょうか。
 それでは、もう大分時間も過ぎておりますので、私のほうから委員の皆様にお諮りをしたいと思います。
次期生物多様性国家戦略答申案についての案のとおり、私から西村環境大臣に答申することについて、ご異議ございませんでしょうか。よろしゅうございますか。
(異議なし)
○武内部会長 はい、ありがとうございます。それでは、本件については適当と認めることといたします。どうもありがとうございました。
 続いて、次の議題、その他に進みます。
 まず、四つの報告事項について事務局より説明をいただきたいと思います。質疑応答については、最後にそれらをまとめてお受けしたいと思います。
 それでは、一つ目の報告事項について、さっきもちょっとお話に出ましたOECMの設定・管理の推進について、事務局より説明をお願いいたします。
○自然環境計画課長 自然環境計画課長の堀上です。
 私のほうから、OECMの設定・管理の推進について、ご報告をいたします。
 先ほど来ありますが、30by30というお話がございまして、2030年までに陸と海の30%以上を保全していくということで、新しい世界目標の中にも入りましたが、12月に新枠組が決まる前に、昨年の4月に先取りをしてロードマップを作成して公表しております。
 現在、そのパーセンテージで言うと、陸域が20.5%、海域が13.3%ということで、海域のほうがかなり大変なところはご承知のとおりなんですけれども、単にその面積を広げていくということだけではなくて、2030年までのネイチャーポジティブ、あるいは地域の経済・社会の問題の同時解決、そういったところにも資するような内容にしようということで、ロードマップを関係省庁と一緒に作成して発表しております。その中で、特に重要なのがOECMということで位置づけをしてございます。この絵の中にあるのは、もともと地域循環共生圏という考え方で環境省は出しておりますけれども、いわゆる奥山の国立公園というところ、あるいは海岸だけではなくて、里地里山、あるいは都市に至るところも、生物多様性の豊かなところ、あるいはそこに手をかけている活動がございますので、そういったところをうまくOECMという形にして、日本全国バランスよく生物多様性を保全できないか、あるいは自然と共生する社会にできないかということでございます。
 次、お願いします。当面のツールとしては、保護地域の拡張というのが30by30に資する一つでございますけれども、国立公園などの保護地域以外の生物多様性保全に資する地域、これをOECMと言ってございますけれども、これを設定していこうということでございます。そのために、民間の所有地などで活動しているところ、そこを自然共生サイトとして環境省が認定をして、国際データベースに登録していこうという取組を、来年度4月から開始する予定でございます。この絵にあるとおりで、保護地域プラスOECMということで生態系を連結させていくということに向けて、これから取り組んでいくというところでございます。
 次、お願いします。概念的なことなんですが、OECMは保護地域以外ということなんですけれども、OECMにするための自然共生サイトにつきましては、保護地域の中にも設定できる、認定できるという形にしたいと考えております。これは、国立公園などでも民間の取組によって生物多様性の保全が図られている区域がございますので、そこを自然共生サイトとして、面積を広げるというより生物多様性管理の質を高めるというような、そういう目的もあり、そういうところも自然共生サイトに認定していきたいというふうに考えております。申請を環境省のほうで受け付けまして、審査をし、その基準を満たすということで認定をするという形で、そのうち、保護地域との重複を除いたところはOECMとして国際データベースに登録するということで考えております。
 次、お願いします。自然共生サイトの対象として、こういったところがかなり幅広く対象になり得ると考えております。基本的には生物多様性の価値があるということで、そこで様々な取組があるというところを認定するということで考えております。
 次のページに写真で示しておりますけれども、これが全てではないわけですが、製紙会社の社有林とか、それから、右側には、ブドウ畑ですけれども、そのブドウ畑と草原が一体化しているようなところとか、あるいは左下、都会の森ではありますけれども、在来種を使って、もともとある森林を、森まで大きくはないにしても、都市の中につくっているようなところ、あるいは右側に、里地里山のビオトープ、こういったところが該当するだろうということで、今年度、既に試行をしておりまして、認定の試行をしたのは56か所でございました。これを基に整理をしていこうということで考えてございます。
 次のページをお願いします。来年度からの、今年4月からですけれども、スケジュール的なことではありますが、前期と後期と分けて審査をします。前期は4月から申請を受け付けて審査をし、8月ぐらいに認定をするようなスケジュールで、それを経てからOECMの登録をするということで考えておりまして、後期も同じようなスケジュールで、年内に何とか100か所以上の認定を目指すということでありまして、来年度以降もこのようなスケジュールでやっていけたらというふうに考えてございます。
 次のページですけれども、自然共生サイトの認定の基準ですが、上にありますように1から4までありまして、1番が境界、あるいは名称に関する基準、それから2番が管理権限、土地の所有をしているとか管理をしているとか、そういうガバナンスの基準、それから3番が生物多様性の価値に関する基準です。4番は管理が有効なのか、モニタリングがちゃんとできるのかどうか、その辺りのところを見る基準です。生物多様性のところは、ここに(1)から(9)までありますが、どれかに該当していればいいということで考えておりまして、従来からあるような原生的なところとか、そういったところだけではなくて、二次的な自然環境に特徴的な生態系があるようなところとか、あるいは、生態系サービスを提供する場で在来種を中心としたようなところとか、この辺りが、いわゆる普通種で良好なところというようなことかと思います。それから、地域の伝統文化のために活用されているような、お寺とか、神社とか、そういったところも入ってくると思います。それから、希少な種がいるところ、分布の限定されているようなところとか、動物の生活史にとって重要な場所、さらには、バッファーになるとか連結性が保たれるような、そういうような、そういった機能を持っているようなところを、割と幅広く認定していこうというふうに考えております。
 今年度の検討会は、この前、OECMの検討会として終わりましたけれども、その中では、今後、制度化を図るべきであるとか、あるいは管理する側のインセンティブをどういうふうに保つ必要があるのか、その辺りをよくよく整理していく必要があると、そういうお話もありましたので、来年度はそういったところを整理しながら、運用と併せて、さらにいい取組になるようにしていきたいと考えております。
 私からの報告は、以上でございます。
○武内部会長 ありがとうございました。
 それでは、次の報告事項、生物多様性民間参画ガイドラインの改訂について、事務局より説明をお願いいたします。
○生物多様性主流化室室長補佐 生物多様性主流化室の末續と申します。
 生物多様性民間参画ガイドラインの改訂について、ご報告をさせていただきます。
 資料の2-2をご覧いただければと思います。
 環境省では、事業者が生物多様性に関する取組を行うに当たって参考となるように、基礎的な情報ですとか考え方などを取りまとめた生物多様性民間参画ガイドラインを策定しております。2009年に第1版、2017年にその改訂版である第2版を発行しておりまして、今回は第3版ということになります。
 前回ガイドラインを改訂したのが2017年なんですけれども、それ以降、国内外でビジネスと生物多様性に関する多くのイニシアティブが発足しております。そんな中で、金融を含む事業者の役割について、その重要性が広く認識されるようになってきていると考えています。こうした背景を踏まえまして、2021年度に、有識者から成る検討会を設置しまして、このガイドラインの改訂に向けた検討を進めてまいりました。
 改訂に当たっては、国内外の最新の状況に対応すると同時に、事業者が生物多様性への配慮を行う際に課題となっている目標設定及び、近年顕著な動きがある情報開示について詳しく記述をしております。
 改訂の主なポイント、主な概要として、資料の中ほどに記載をしております。
 まずは、生物多様性に関する最近の動向として、経済との関わり、昆明・モントリオール生物多様性枠組、国家戦略、目標設定、情報開示等について、新たな情報を追記しまして、金融を含む事業者に関して、自然への依存度合いと自然に与える影響及び自然に関連するリスクとチャンスについて解説をしております。
 また、事業者の方が実際に取り組むに当たっての基本的なプロセスというものを明確にしまして、プロセスごとに、取組、どういったことをすればよいかといった内容を解説しております。その際に、担当者の方が自社の取組のレベルを認識して、より高いレベルにステップアップできるようなことを狙いといたしまして、大きな柱として、目標設定と情報開示というものの取組のレベルを示すとともに、目標設定ですとか情報開示に関する最新の国際的な枠組についても、その議論を紹介するようにしております。
 さらに、定量的な影響評価、目標設定の方法と、その具体的な指標ですとか情報開示の方法に関して、先進的な枠組みとして、TNFDですとかSBTs for Natureといったものがありますが、それらの事例を紹介するとともに、あとは中小企業ですとか金融機関の実務担当者も含めまして、実際に取り組むに当たって直面するであろう疑問に対するアドバイスということで、Q&A集というものも作成しております。
 そのほか、参考の資料として、考え方ですとか実践のためのヒント、具体的なほかの企業の事例などを添付する予定です。
 今後のスケジュールについてですけれども、先月パブリックコメントを実施いたしまして、いただいたご意見を踏まえた事務局としての案というものを、現在、検討会の委員にご確認をいただいているところです。検討会委員のご確認を経て、年度末を目処に内容を確定して公表していくということで予定をしております。
 ご報告は以上です。
○武内部会長 ありがとうございました。
 それでは、次の報告事項、国立公園満喫プロジェクト、国立国定公園総点検事業フォローアップについて、事務局より説明をお願いいたします。
○国立公園課長 国立公園課長の則久でございます。よろしくお願いいたします。
 スライドのほうをお願いします。
 次のページをお願いします。
 私のほうは二つでございますが、一つは国立公園満喫プロジェクトにつきましてでございます。これは、2016年から始めましたプロジェクトでございます。
 国立公園の保護と利用の好循環により、優れた自然を守り地域活性化を図るということで、国立公園を核とした地域循環共生圏の実現にもつなげていこうということでございます。
 「明日の日本を支える観光ビジョン」が2016年に策定をされておりますが、インバウンドを含め、日本の国立公園をもう一回ちゃんと磨いて海外に発信していこうと打ち出されました。
 国立公園法ができた当初の目的も同じだったわけでございますけども、日本の自然をしっかり生かしていく、それをさらに地域の活性化につなげ、地域の自然環境を守ることにも回していこうということを狙ってのものでございますが、具体的な、ここに書いております受入環境の磨き上げ、例えば景観改善の観点から、廃屋を撤去する、あるいは既存の施設をリノベーションする、あるいはビジターセンター等の再整備、こういったような取組、それから、海外向けの多言語の解説、こういうことも行っております。
 もう一つは、プロモーションの関係で、JNTOさんとも連携しながらやっておりますが、たしか、これもJNTOさんのサイトの中では日本の国立公園のサイトが一番人気であるということも聞いたりしております。
 次のページをお願いいたします。
 これは、2016年から5か年やってまいりまして、2021年以降、どうしていこうかというところを検討しておりますが、これにつきましては、この自然環境部会、前の前のときのメンバーの皆さんだと思いますけども、令和2年10月の会でご報告させていただいておりますけれども、21年以降、こうしていきますよというところで、引き続き、この取組はしっかり続けていこうということが大きな方針になっております。
 基本的な方針の中にも書いておりますけども、一つは、このウィズコロナ・ポストコロナ、インバウンドだけではなくて国内誘客も強化していく。さらに、ワーケーションなどの取組をやっていこうという部分。
 それから、2点目として、これが水平・垂直展開ということで、先ほど申し上げませんでしたが、満喫プロジェクト、当初は8公園、八つの国立公園でモデル的に取り組みました。
 これは、全34の国立公園の底上げをしながら水平展開をしていこうということで、本日、資料のほうはつけておりませんけれども、自然公園法を改正いたしまして、この自然体験活動促進計画、あるいは利用拠点整備改善計画という、満喫プロジェクトでやってきた取組を制度化いたしまして、これを広めるよう、今、取組を行っているところでございます。
 この自然体験活動計画につきましては、先般の自然公園小委員会におきましても、第1号となる計画が審議会に上がってきておりまして、これが、順次、各公園に広がっていくものと期待しております。
 ただ、これまでの基本的な視点については変えないということで、やっぱり最大の魅力は自然そのものであると。また「体積」で考えるというのは、たくさん人が来ればいいのではなくて、人が来る人数と、いかにその上質な体験を提供しまして高いお金を落としていただけるかというところで、総合的に、人がたくさん来ればいいというだけではないというところで捉えていこうということを考えております。
 現状で、この1,000万人の目標というのは当初掲げていたわけで、これは現状も変えてはおりませんけれども、たくさん人が来ればいいということではなくて、やはりちゃんと地域の自然の保護に回っていく仕組みをしっかり考えていきたいと思っております。
 次のスライドをお願いします。
 これは、取組事例として幾つかご紹介しておりますけれども、満喫プロジェクトを始めて以降、自然公園の整備、あるいは国際観光旅客税を用いまして、たくさんの整備、あるいは補助を行ってまいりました。
 こういった取組によって、地域の方々の国立公園を見る目というのもさらに変わってきたなというのを実感しておりますけれども、こういったものを通じまして、国立公園を地域活性化につなげ、自然の保護に回していくということに取り組んでいきたいと思っております。
 そうした一環として、新しい取組を次の4枚目でご紹介したいと思いますが、これは別途、現在、検討の場を設けておりますけれども、宿舎事業を中心とした国立公園利用拠点の面的魅力向上ということで、これは端的に言いますとホテルでございますが、単にホテルを誘致するというだけじゃなくて、その地域の魅力の向上、あるいはアクティビティの開発、その地域にどういうストーリーがあるのかというのをしっかり情報発信した上で、民間の提案を受け入れまして、官民連携で地域の魅力の向上をやっていく。これによって、例えば高付加価値のホテルが来たことによって、単にホテルが一人元気になるというのではなくて、地域に裨益をもたらし、さらに自然も守れるようなうまい仕組みづくりということを考えながらやっていきたいなと思っているところでございます。
 この満喫プロジェクト全体につきましては、今日、委員でお越しの江崎先生にも参加いただいておりますけれども、いろんな方々の知見を踏まえながら取り組んでいきたいと思っております。
 それから、もう一つ、国立公園の総点検の関係でございます。
 次のページでございますけども、30by30の中におきましても、保護地域を広げていく、さらに管理の質の向上と、2点ほど課題があるかと思いますが、これにつきまして、30by30も意識をしまして、国立・国定公園の新規指定、あるいは大規模拡張の候補地というものの選定を行っております。
 ここに記されている地域でございますけども、これは昨年の8月のこの部会でご報告させていただいております。今回のフォローアップによりまして、国立・国定公園新規指定の候補地としまして、4地域を選定しております。
 前回から継続のものを含みますけれども、一つは北海道の野付半島・風蓮湖・根室半島の辺り、これを国定公園にしてはどうかと。それから、日高山脈・夕張山地、これを国立公園の新規指定等、「等」というのは、日高と夕張をどうするのかというのがありますので、こう書いておりますけれども、昨年の夏には武内先生にも現地の日高山脈をご覧いただきました。まず、日高の国立公園化に一番エネルギーをつぎ込んでおりますけれども、地元との関係でもう少し丁寧な調整が必要ということで、早期の指定を目指して、今、取組を進めているところでございます。
 それから、御嶽山の国定公園化、さらに、宮古島沿岸海域の八重干瀬を中心とするサンゴ礁域の国定公園化、こういったことも視野に入れておりますが、たくさんの地域を2030年までに国立・国定公園にしていくということで、一気に全部がどんというわけにいきませんので、それぞれ地元の県、あるいは地方環境事務所とも相談をしながら、順を追って、順次、取組を進めていきたいと思っております。こういった新規指定につきましては、また、この自然環境部会でもご審議いただくことになろうかと思います。
 私のご報告は、以上となります。
○武内部会長 ありがとうございました。
 それでは、最後の報告事項、改正外来生物法全面施行に向けた動きについて、事務局より説明をお願いいたします。
○外来生物対策室長 外来生物対策室長の大林でございます。
 外来生物法を昨年の5月に改正いたしまして、今度の4月1日より全面施行いたします。今回、委員として初めての方もいらっしゃいますので、簡単に概要を申し上げて、今どのように進んでいるかということについてお話ししたいと思います。
 今回の外来生物法改正ですけれど、大きな点が3点ございます。
 1点が、ヒアリと水際対策の強化。最近、非意図的な外来種の侵入が目立っております。特に、ヒアリにつきましては4年連続で大規模な集団が発見されておりまして、専門家からは、「定着しそうなギリギリの段階」ということが言われておりまして、それに対して、改めてヒアリ類を「要緊急対処特定外来生物」というカテゴリをつくって強い制限をかけるというような改正が1点でございます。
 2点目が、アメリカザリガニやアカミミガメ対策のための規制手法の整備ということなんですけど、アメリカザリガニ、アカミミガメに関しましては、真ん中のちょっと下辺りに書いてありますが、アメリカザリガニで540万匹、アカミミガメで160万匹が一般家庭で飼育されていると言われています。このまま特定外来生物に指定してしまいますと、手続きを嫌って捨ててしまう人がいらっしゃるんじゃないかということで、ずっと議論をしてきまして、一部の規制のみを適用する条件付特定外来生物という新しい仕組みをつくりまして、これにアメリカザリガニ、アカミミガメの指定を6月に施行する予定でございます。
 3点目が、各主体による防除の円滑化ですけど、今までは、基本的には国が防除するということになっておりまして、地方公共団体、民間については防除ができるということになっておりました。現実には、やはり外来生物がどんどん広がるというのを止めることというのができなかったということがございます。そのことも踏まえまして、また、今まで頑張ってきた地方公共団体のノウハウを生かすということもありまして、国、都道府県、市町村、事業者及び国民の責務、またはそれぞれの関係者間の協力ということを規定しまして、防除が円滑に進むようにということを考えております。それが大きな3本の柱になります。
 今、施行に向けまして、様々な各種規定、政省令、基本方針、基準、指針等を様々つくっておりまして、今年度、または来年度の頭、4月中に整備予定でございます。
 それとともに、地方公共団体、これから役割が強くなることもありますので、それらを支援する仕組み、新交付金を誕生させ、また、特別交付税措置も設ける予定だったり、技術支援も考えております。また、それらをつなぐために、地方環境事務所の定員等を大幅拡充等する予定でございます。それで、4月1日、またはザリガニ等に関しましては6月1日を迎えたいと思っております。
 2点説明いたします。
 地方公共団体向けの新たな交付金として、外来生物対策管理事業費というのを確保しまして、4月から三つのメニューで支援することができるようにしたいと思っています。既に募集等は始めておりますが、一つ目は、一定程度、蔓延してしまった外来生物の防除。2点目としまして、入りたてのときにたたくのが一番ですので、外来生物の早期の防除及び計画の支援を行います。さらには、外来種全体の戦略を立てるための交付金というメニューをつくりまして、自治体等を支援していきたいと思っております。
 さらに、国会等の議論でも、外来種を皆にもっと知ってもらわないといけないだろうということで、様々なツール、特に、国会等ではアメリカザリガニとかアカミミガメの防除を行ったほうがいいということでしたので、局長が、フェイスペインティングで出演して動画をつくったり、新聞の一面等をジャックしたりとか、また実際に防除する仕組み、マニュアルを作ったりなど、今、全面施行に向けていろいろと進めているところです。
 以上です。
○武内部会長 ありがとうございました。
 それでは、以上の4報告事項について、ご質問、ご意見等はございますでしょうか。
 ございます方は、札を立てるかチャットでお願いしたいと思います。
 中静委員、お願いします。
○中静委員 OECMの関係でインセンティブの議論をされているということだったんですが、やっぱりインセンティブがないと、なかなか難しいなというふうに思っています。
 私は、生物多様性だけでクレジット化というのはどうしても難しいので、今、国際的にも議論がそうなっているように、気候変動と結びつけるというようなやり方を考えたほうがいいんじゃないかなと思っていて、REDD+のセーフガードみたいな仕組みとしてOECMあるいは自然共生サイトを使うというようなことを考えたらいいんじゃないかなというふうに思っています。
 生物だけだとサプライチェーンに関しても関わってくれる企業というのは多くないわけですけど、CO2となったら、いろんな企業が関われるので、OECMなどの管理に対して企業の資金を持ってこられることにもつながると思います。今の日本の炭素クレジットは、管理した森林でしかクレジットが認められていないということになっていますけど、生物多様性に関する管理をするということでそのクレジットの条件を満たすということであれば、ハードルは低いんじゃないかなというふうに思っているので、気候変動と生物多様性の両方を組み合わせたような形でインセンティブをつくるのがいいんじゃないかなと思っています。これは意見ですので、どこかで参考にしていただければと思います。
○武内部会長 ありがとうございました。
 中村委員、お願いします。
○中村委員 ありがとうございます。
 今の中静さんのお話は私も同感で、ぜひ、このOECMについては、気候変動の適応策、緩和策、両方と結びつけるような動きがあるといいと思いました。
 それで、ちょっと質問になるんですけど、今のこのOECMについて、4ページ目にある、この「例えば」と書いてあるところに、いろんな種類のものが書いてあって、森林施業地とか、物すごく漠然としていたり、ゴルフ場、スキー場も書いてあって、決してこれらを否定する話ではないんですけど、中身が伴わないと、結果的にこれは、生物多様性保全にも機能しませんよね。
 その辺の管理的な問題を、どの程度まで各生態系において詰めていけるのか、今の現状で結構ですので、教えていただければと思いました。
 以上です。
○武内部会長 今のご質問について、ご回答をお願いします。
○自然環境計画課長 ありがとうございます。今年度、試行しておりますが、どういった管理で、どのぐらい生物多様性が保全されていくのかというところは審査の中で見ております。ですので、ここに挙げたところが全てそのまま、こういう場所だからこう、OECMになるということではなくて、そこは審査基準に照らして審査をし、そのモニタリングも適宜適切に行われるのかというところも併せて審査をすることにしています。
○中村委員 ありがとうございます。ということは、各、今ここで挙げられている事例について、それぞれ管理基準みたいなものが定められる可能性があると。
○自然環境計画課長 まず、マニュアルをつくっていくのかなと思っています。
○中村委員 はい。分かりました。
○武内部会長 それでは、小泉委員、お願いします。
○小泉委員 はい。ありがとうございます。
 今の中村委員の意見にちょっと関連します。OECMと生物多様性、民間参画と、それから外来法と、三つ関わると思いますけれども、やはり、参画する民間企業には、生物多様性国家戦略の趣旨をきちんと理解してもらうということが大事だと思います。
 特に、生物多様性の四つの危機が相変わらず指摘されておりまして、その中の特に第3の危機、海外、国内の生物種の導入、それから、化学物質の導入、これが生物多様性に非常に大きな負の影響を与えるということを認識してもらった上で、OECMというのがあるんだというふうに理解してもらいたいと思います。
 そういう意味でいきますと、やはりOECMには、おのずと認定機関には限定されたものがあって、再度、必要であれば再認定という仕組みになっていけばいいのかなというふうに思いました。
 以上です。
○武内部会長 はい。ありがとうございます。
 それでは、水田委員、お願いします。
○水田委員 水田です。先ほどの中村先生のご質問と全く同じことを考えていました。
 森林施業地であるとかゴルフ場、スキー場というのは、場合によっては生物多様性保全に逆行するような土地利用形態になりかねないと思いますので、やはり管理基準というのが非常に重要だなと思いました。
 以上です。
○武内部会長 ありがとうございます。
 橋本委員、お願いします。
○橋本委員 ありがとうございます。
 2点ありまして、一つは、こういった情報の公表の仕方ですね。多分、環境省のホームページの自然局の担当部署の下に情報がぶら下がっている形になると思うんですけど、結局、全部、例えば、生物多様性国家戦略にひもづいているだとかという形になっていると思うので、何かうまく説明できるとよいのになというふうに、ご説明を聞きながら思っていました。
 つまり、個別に別々の対策をやっているんじゃなくて、ある一つの方向を目指して、それぞれ違う主体がそれぞれできることをやるということだと、OECMもそうだし、民間事業の参画ガイドラインもそうだし、国立公園もそうだし、外来種の対策もそうだと思うんです。
 こういった情報の出し方を工夫することで、より一般の方とのコミュニケーションが改善できるというふうに期待します。
 もう一つ、OECMに関連するもので、私が少し懸念しているのは、まずは民間主導でという形で進んでいるというふうに認識するんですけれど、先ほど来、林地等の話もあったように、既に他省庁の管轄下にある土地についてどういうふうに考えているのか。今後、どう調整していく予定なのかということをお示しいただけないかなというふうに、個人的に考えています。
 というのが、恐らく民間が管理している土地、例えば企業ですね、私が想定しているのは企業等が管理している土地だけで、本当にOECM、30by30を達成するような面積を確保できるのかというのが一つ懸念としてありまして、そういった場合に、既存のほかの省庁管轄の土地、それは別に国有地じゃなくてもいいと思うんですけれど、民有地も入ってくると思うんですけど、そういった部分をどのようにOECMとして設定するのか、設定しないのかという考えの整理も非常に重要だと思うんですけども、あまりここの部分が、私の理解不足なのかもしれませんけれど、現時点で見えてこないというのがあって、これは両方並行して進めないと、恐らく30by30、陸域だけでも達成していくのがなかなか厳しいのかなというふうに思っております。
 以上です。
○武内部会長 何かありますか。
○自然環境計画課長 30by30ロードマップの中には、国の管理というか管轄するところもOECMとして考えていくということを書いておりまして、まずは今回、自然共生サイトでどのようなところが対象になり得るかというところを見せつつ、関係省庁との議論も深めていくということで、他省庁とも整理をしています。
○武内部会長 よろしいですか。
○橋本委員 はい。今後、あるいは既に進められているということで理解しました。
○武内部会長 それでは、勢一委員、お願いします。
○勢一委員 ありがとうございます。勢一です。
 ご説明ありがとうございました。私からは、2点コメントをさせてください。
 1点目はOECMに関してです。ちょうど中静先生がご指摘になったところと私も同じ関心を持っておりますが、やはり今後、制度化は必要であると思いますし、相応のインセンティブを考える必要があると思います。これは検討の過程でも出たということですので、ぜひ今後、取り組んでいただければと思います。
 特に、既に取組を実施しているような地域については、それを認定するということ、また、基準を高めていくということで対応ができると思うんですけれども、恐らく30by30のことを考えますと、ポテンシャルの高い場所に新たな取組を促す、あるいはそういうものを呼び込むということも必要であろうと思います。
 そういう点では、やはり、体制の継続性を担保する制度化であるとか、それに取り組むためのインセンティブは非常に重要になってきますし、また、関係者がその地域のポテンシャルに気づくというための契機も重要かと思いますので、そういうポテンシャルに関する情報提供や働きかけなどの工夫もお願いできればと思います。
 2点目についてですけれども、こちらは国立公園・国定公園の新規指定や拡張に関してです。
 こちらも、先ほどの生物多様性の国家戦略であるとか30by30との関係でも非常に重要な取組だと考えています。力強く進めていただきたいと思っているところですけれども、先ほどのご説明では、地域との丁寧な調整に取り組んでいるというような状況というのは理解させていただいておりますが、やはり仕組みとして進めていくという発想で見ますと、なかなか先のスケジュールが見えてこないというところは懸念をしていますし、地域にとっても不安な要素ではないかと感じています。
 何らかのロードマップを示すような形で、地域の関係者と、関係省庁と、将来的なスケジュールを共有していくということが取組の方法として重要ではないかと感じています。
 私も、日高山脈の国立公園化について、こちらの部会で視察に一緒に行かせていただいたんですけれども、やはり、現地で関係市町村の首長さんが全員そろってくださって、我々委員と意見交換をいたしました。そして、各首長さんからは地域振興に大きな期待が寄せられたという部分もあります。
 今回、委員の交代もありましたし、今後、首長さんが交代していく、あるいは地域の重要なステークホルダーも変わっていくということもあり得ますので、ぜひ手戻りがないように、着実に進めていくための体制整備と工夫をお願いできればと思います。
 特に、改正温対法の下で再エネの導入加速も今まさに進行中です。ですので、地域が、両者、競合で苦しまなくていいように、自然公園についても見える化することも重要ではないかと考えております。ぜひ、ご検討のほど、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○武内部会長 はい。じゃあ、コメント、どうでしょう。
○自然環境計画課長 ご意見ありがとうございました。
 OECMにつきましては、今後その制度化ということについて、来年度、検討をさらに進めていきたいと考えております。
 また、国立・国定公園は、公園課長、お願いします。
○国立公園課長 はい。ご意見、ありがとうございます。
 30年までを目指していくものですので、結構時間があるということになりますが、今現在動いているものと、これからだんだんと加速していくものと、二つございます。
 それに対して、じゃあ自分の地域はいつになるのかというスケジュール感が見えないというのはごもっともなご指摘だと思いますので、そこは私どもの課の中でも議論しておりますけれども、常に私たちの姿が見える状況にしていく必要があるなという部分と、それぞれ地域の役場ですとか、それから特に国定公園の場合は、都道府県からの申出によりますので、県との間では十分に、そのスケジュール感をしっかりと共通認識を持って進めていきたいと思っております。
○武内部会長 ありがとうございました。
 藤田委員、お願いします。
○藤田委員 ありがとうございます。2点あります。
 1点目はインセンティブのことで、先ほど中静先生からもおっしゃっていたように、やはり、例えば海のJブルークレジットの特記事項のようなもの、Jクレジットにその特記事項を記載していくようなものを検討したらどうかなと思っているのが1点です。
 もう一点は、単なる情報提供なんですけど、先週、法務省が関係するシンポジウムに出たんですけど、そこでOECMとか、ばんばん出てきたんですね。
 というのも、全国の刑務所と少年院、全部で106か所あるんですが、手つかずの自然が残っていて、そこをOECM認定したり、先ほどの橋本先生のように、国が持っている土地かもしれませんけど、例えば少年院とかで心の更生のためにいろんな作業をする、農業も農薬を使わないとか、園芸も農薬を使わないとかということで、生物多様性が豊かに残っているということらしいです。例えば、ニホンタンポポの群生が残っていたり、そこに大学の先生とか企業とかが連携して、生物多様性保全の活動が広がっているということで、法務省の人がOECMの重要性をすごく言い出しているんですね。
 企業とか、その地域の連携が始まっているということで、そこでつくられた農作物で、農福連携のような、大豆ミートとか有機野菜とかをもう売り出したり、あるいは、網走の刑務所なんかは和牛なんかを売り出したりしているということで、何かそのOECMの効用というものを、生物多様性が持つ生態系サービスの、心の更生とか、Sの部分ですね、社会、ソーシャルの部分とも絡めたような、地域とか企業との連携みたいなことをもうちょっと考えていただいたりすると面白いんじゃないかなというふうに思いました。情報提供でした。
○武内部会長 ありがとうございます。
 愛甲委員、お願いします。
○愛甲委員 ありがとうございます。
 コメントが二つあります。
 一つは、もう既に多くの方がおっしゃっていますけど、OECMに関するところで、これは自分の体験も含めてなんですけど、後期の試行事業で北大の研究林を検証していただきました。そこに出したわけですけど、そのときに、結構、学内で調整をするときに、やはり、どういうメリットがあるかというのは非常に言われました。先ほどの、他省庁が持っている土地というのもちょっと関係するところはあるんですけど、大学としてどういうメリットがあるかというのは説明にちょっと苦慮した部分があって、インセンティブももちろんそうなんですけど、今回、国家戦略が新たにできて、そこに30%という目標が加わることによって、そういう国の目標の達成に貢献できるということも一つはあるわけですけれども、もう一つ、ちょっと説明しづらかったところが、国際的な自然保護地域のデータベースに登録されるというところです。
 これがどういう意味を持つのかというのを、もうちょっと丁寧に説明するようなことをしていただいたほうが、これは、登録しようとする人がステークホルダーとかの理解を得たり、いろいろ調整したりするときにいいのではないか。さらに、そこにインセンティブが加われば、もっと説明がしやすいということになりますので、その点はちょっとお願いしたいなというところが一つあります。
 もう一点は、国立公園の満喫プロジェクトに関することです。満喫プロジェクトで、いろいろな事業とかコンテンツが整備されたり、あと自然公園法も改正されたりすることによって、様々な取組が進んで、外国人だけではなくて日本人にも非常に国立公園を身近に感じたり使いやすくなったりするような整備が行われた一方で、整備された施設とかコンテンツの中には、今後、野生生物への影響とか、いろいろとちょっと検証しなきゃいけないものも中には含まれているのではないかという観点も持っておかなければいけないということが一つ。
 それから限定体験、それからキャパシティーコントロールという言葉が使われていますけど、日本の国立公園というのは、あくまでもやはりそれは国立公園であって、公平に国民に利用していただくという観点も必要なので、ちょっと、この言葉の使い方とか、どういうときにこういうことを言うのかという辺りの定義と整理をきちんとしておくべきではないかと思いました。
 以上です。
○武内部会長 ありがとうございました。
 それでは、深町委員、お願いします。
○深町委員 はい。ありがとうございます。
 私のほうからは、満喫プロジェクトの中の国立公園の利用拠点に関連することなんですが、ここでご紹介いただいているように、すごく全国の中でもいい事例も出てきているようには思います。特に民間提案でいろいろ連携してやるというようなところですね。
 ただ、一方で、私の近く、身近なところで、国立公園ではないんですけれども、民間が大きな土地を持っていたり、いろんな事業を展開する中で、周辺の、幅広い関心を持っている人たちとの連携ですとか、いろんな情報開示というようなところで課題があるなと思います。その中で、拠点の整備と自然再生という部分でうまくいかないような状況があったりしまして。こういった国での取組が、どういう形で、うまく連携する仕組みだとかルールとか、国定公園とか、ほかの部分にも波及していくのか、どういう今後の見通しを持ちながらやっていらっしゃるのかというところをお聞きしたいと思います。
 以上です。
○武内部会長 よろしいですか、事務局から。
○国立公園課長 国立公園につきまして、満喫プロジェクト、それから、この新しい面的な魅力向上について、ご意見ありがとうございます。
 こちらの新しい検討につきましては、今、別途検討会を立ち上げて議論を進めておりまして、明日も開催されます。
 一応、今年の夏を目処に実施方針を定めていこうと思っておりますが、今、その前の部分も含めまして、多分、モニタリングですとか、そういった部分も必要だということと、それから民間提案の部分につきまして、やっぱり地域に対して裨益があるという部分も非常に大切だと思っていますし、さらに、自然に対してプラスに取組もつなげていくというので、正直、我々もまだ、いろいろ走りながら考えているところもあるんですが、今日いただいたご意見も踏まえまして、しっかりしたものを入れていきたいと思います。また個々にはご意見をいただければと思っております。ありがとうございました。
○武内部会長 はい。もう予定の時間を過ぎておりますが、あと二人の委員にご発言いただいて、それで、残りの委員の方で、もしご意見がある方については、文書で、先ほど私が申し上げたように、ご意見、ご質問をお送りいただければ事務局のほうで対応したいというふうに思いますので、よろしくお願いします。
 それじゃあ、大沼委員、お願いします。
○大沼委員 ありがとうございます。
 私のほうから2点、意見を述べさせていただきます。
 1点目は、先ほど来、OECMの選定や、あるいは拡大ということについて出ておりますが、私も非常にそこは重要な点だと思います。
 保全を拡大する上で重要なのは、保全の機会費用の低いところは、自発的に保全に取り組んでいくようなメカニズムを導入することなんじゃないかなと思います。
 その意味で、例えば、企業同士のクレジットの取引するマーケットをつくるというのは行き過ぎかもしれませんけれども、例えば補完的に、クレジットを創出して、必要なところが購入するという形というのは、そういったメカニズムをつくる上で役に立つのではないかなと思います。
 今、二酸化炭素で言えば、東京都の23区の中では、自発的に二酸化炭素の削減というのが不可能であるために、地方の削減枠というのを買っているところがあるわけです。ですので、生物多様性の保全に関しても、例えばそういった大都市で関心のある自治体なんかが出てきたら購入できるような仕組みというものができれば、保全の機会費用の低いところでは、十分こうした形でOECMというものに取り組んでいけるのではないかなと、このように感じますので、ぜひ、ご検討いただければと思います。
 2点目は、先ほど説明がございました特定外来生物法ですが、これは私、昨年、この会議で紹介いただいてから非常に関心を持っています。
 というのは、この改正は、これまでの規制を緩めることで保全の役に立つ、保全に向かうシステムになっているんですね。
 つまり、規制の一部を外してしまうことが外来種の放出などを防ぐというような目的になっているという点で、非常に世界でも珍しい方向性の政策なのではないかなと思います。
 その背景には、いろいろ議論があったかと思いますが、ぜひ、この規制を外すことの効果というものを検証されて、実は効果があったということになれば、いろいろな国際会議など、世界でも紹介できる政策になるのではないかなと思いますので、ぜひ詳細に検証というものを進めていただければと思います。
 以上です。
○武内部会長 ありがとうございました。
 それじゃあ、石井委員、お願いします。
○石井委員 ありがとうございます。石井でございます。
 手短に、コメントさせていただきます。国立公園・国定公園の拡張というところで、阿蘇の周辺の草原が入っている点で少し発言したいんですけれども、日本全国には、草原の維持管理に野焼きとか山焼きをやっている地域が多くあると思います。
 レッドリストの昆虫や植物を見ていると、実は、野焼きや山焼きで維持されている草原に依存しているものというのがたくさん入っているんですね。それらの種がかなり危機的な状況にあります。
 その一方で、地元では、その野焼きや山焼きを実施することがかなりの負担になっていて、継続が危ぶまれているところもあるようです。
 そういうことで、野焼き、山焼きは観光資源でもあると思いますので、ぜひとも、国立公園・国定公園の中のそのような野焼き、山焼きについて支援することも視野に入れておいていただければというふうに思います。よろしくお願いします。
 以上です。
○武内部会長 どうも長時間、皆さん、ありがとうございました。
 大分、予定の時間を過ぎておりますので、恐縮ですが、議事進行についてはここまでとさせていただきたいと思います。
 それでは、進行を事務局にお返しいたします。
○司会 武内部会長、議事進行、ありがとうございました。
 委員の皆様におかれましても、長時間にわたり、ご審議をいただきまして、ありがとうございました。
 閉会に当たり、堀上自然環境計画課長より一言ご挨拶申し上げます。
○自然環境計画課長 委員の皆様、生物多様性国家戦略の策定につきまして、本日、答申をおまとめいただきまして、大変ありがとうございました。
 おかげをもちまして、昆明・モントリオール生物多様性枠組に対応し世界に先駆けて策定した戦略ということもあり、非常に新しい国家戦略としての特色も打ち出すことができたと思います。
 この国家戦略につきましては、本日の答申を受けまして、今月末には閣議決定をし、実施に向けて準備をしていきたいというふうに考えてございます。
 また、4月に北海道で開催されますG7環境大臣会合におきましても、この国家戦略を見直したことを報告していきたいということ、G7議長国としての責務を率先して全うしたこともアピールさせていただきたいと考えております。
 最後になりましたけれども、今後、国家戦略を順次実施に移すということで、着実な実施ができますよう、引き続きご指導・ご鞭撻いただければ大変ありがたく存じます。
 本日は、どうもありがとうございました。
○武内部会長 どうもありがとうございました。
○司会 以上をもちまして、本日の部会を終了いたします。ありがとうございました。
午後5時21分 閉会