自然環境部会生物多様性国家戦略小委員会(第6回)議事録

開催日時

令和5年1月23日(月)14:00~17:00

開催場所

AP虎ノ門(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11F)
※  WEB会議システムを併用して開催

出席者

中静 透     委員長
石井 実    委員
勢一 智子   委員
高村 典子   委員
藤田 香    委員
愛甲 哲也   臨時委員
大沼 あゆみ  臨時委員
五箇 公一   臨時委員
白山 義久   臨時委員
中村 太士   臨時委員
西澤 敬二   臨時委員
深町 加津枝  臨時委員
山野 博哉   臨時委員
橋本 禅    専門委員
広井 良典   専門委員
森本 淳子   専門委員
吉田 丈人   専門委員

議事次第

(1) 昆明・モントリオール生物多様性枠組に係る報告について
(2) 次期生物多様性国家戦略案の検討について
(3) その他

議事録

午後2時00分 開会
○武藤補佐 定刻となりましたので、ただいまから、中央環境審議会自然環境部会第6回生物多様性国家戦略小委員会を開催いたします。
 本日は、お忙しい中ご出席いただき、ありがとうございます。
 会議に先立ちまして、本日の出席委員数をご報告いたします。本日の小委員会には、17名の委員にご出席いただいております。このうち、定足数の対象となる委員・臨時委員14名中、ウェブ会議システムでの参加を含め、13名がご出席され、定足数を満たしていますので、本委員会は成立しています。
 次に、本日の会議運営につきまして、ご説明いたします。
 傍聴につきましては、会場での傍聴は行わず、YouTube配信にて、どなたでも傍聴できるようにしております。
 本日、オンラインでご参加の委員の皆様におかれましては、マイク・ビデオは各自ご発言の際のみオンとするようお願いいたします。また、ご発言の際は、チャット欄に書き込みいただき、ご発言する旨をお知らせください。委員長からご指名後、マイクのミュートを解除していただき、議事録の円滑な記録のため、お名前をおっしゃってからご発言いただきますようお願いいたします。
 なお、挙手ボタンは気がつかないこともございますので、挙手ボタンは使用せず、チャット欄をご活用いただければ幸いです。
 本日、会議室でご参加の委員の皆様におかれましては、ご発言の際は、名札を机の上に立てていただき、委員長からのご指名後、マイクをオンにしてご発言ください。発言終了後はマイクをオフにしていただくよう、お願いいたします。
 本日ご説明する資料につきましては、委員の皆様には、事前に電子データにて送付しております。本日は、事務局が画面上に資料を投影し、進行させていただきますので、お送りした資料は、必要に応じ、お手元でご参照いただきますようお願いいたします。
 傍聴されている方におかれましては、本日の資料を環境省ホームページにアップロードしておりますので、そちらをご参照ください。
 また、本日の会議については議事録を作成し、ご出席の委員の了承を取った上で公開することとなりますので、ご了承ください。
 それでは、奥田自然環境局長よりご挨拶申し上げます。
○奥田自然環境局長 皆さん、こんにちは。環境省自然環境局長の奥田でございます。
 委員の皆様におかれましては、ご多用のところ、本委員会にご出席を賜り、厚く御礼申し上げたいと思います。
 この委員会も久しぶりの開催かと思いますけども、また暦年、暦が替わりましたので、今年もよろしくお願い申し上げたいと思います。
 その間、ご承知のとおり、昨年12月に生物多様性条約のCOP15第2部がモントリオールで開催されまして、2030年までの新たな世界目標として、昆明・モントリオール生物多様性枠組というものが採択されたところでございます。
 私も大臣と共に閣僚会議を中心に出席させていただきましたけれども、世界の流れとしては、非常に熱いものを感じ取ることができたと思います。特に多様性の分野のみならず、気候変動等も含めた社会経済の枠組みのところをどうしていくか、そういった問題が中心だったかと思います。
 その意味でも、我が国としても、この世界目標の達成に向けて、具体的な取組を加速化していく必要があると考えております。そういった意味でも、次期生物多様性国家戦略というものは、そのロードマップになるものと考えています。
次期生物多様性国家戦略の検討を進めている国は、私の知る限りでは、あまりほかにないんじゃないかなと思います。そういう意味では、トップランナーとして、世界の例になるような国家戦略をつくっていきたいと考えているところでございます。
 そのため、年度内をめどに国家戦略を策定したいということで、引き続き、ぜひとも、ご協力をいただければありがたく存じます。
 今日の会議は、昨年7月の第5回小委員会、もしくは、8月の自然環境部会でいただいたご意見及び国際的に新枠組ができたということで、これを踏まえて、更新した生物多様性国家戦略案について、ご議論いただくことになっております。また、今回は、次期戦略に定める状態目標、行動目標、そういった指標についても具体的な案をお示しいたしますので、ぜひ、忌憚のないご意見を賜れば幸いです。
 今日は17時までということで長丁場になりますけれども、どうぞよろしくお願い申し上げて、私からの冒頭のご挨拶とさせていただきます。
 よろしくお願いいたします。
○武藤補佐 それでは、これよりの議事進行につきましては、中静委員長にお願いいたします。
○中静委員長 皆さん、こんにちは。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
 今回は、パブリックコメントにかける前の最後の会ということで、皆さん、今日いただいた意見を反映してパブリックコメントにかかりますので、それを意識して発言をお願いいたしたいと思います。
 議題は、大きく二つでして、一つは先ほど奥田局長がお話になったように、昨年12月にカナダのモントリオールで開かれたCOP15の報告と、それから、次期生物多様性国家戦略策定に向けたスケジュールについてです。
 もう一つは、こちらが本当に大事になりますけれども、次期生物多様性国家戦略案の検討についてです。これは指標についての検討も含みます。
 では、早速ですが事務局から資料1-1、それと1-2、モントリオールの報告と今後のスケジュールについてのご説明をお願いいたします。
○山本生物多様性戦略推進室長 生物多様性戦略推進室長の山本でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、資料1-1、1-2について、ご説明をさせていただきます。
 本日ご参加の皆様は既にご承知と思いますので、ごく簡単に生物多様性条約COP15の第2部の結果概要ということで、ご紹介をさせていただきたいと思います。
 先ほど局長の奥田からのご挨拶の中でもございましたけれども、延長を重ねていたCOP15がようやく昨年2022年12月7日から19日にカナダのモントリオールで開催をされて、無事に終了をしております。
 今回の成果といたしましては、何といっても「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択をされたことでございます。ここまで、この小委員会では、ドラフトの段階の枠組みを基に、国家戦略案を議論していただきましたけれども、ようやく固まった枠組みを基にして議論ができる状態になったということでございます。
 資料の昆明・モントリオール生物多様性枠組につきましては、次の2ページ目をご覧いただけますでしょうか。細かくなって恐縮でございますが、全体像を示した資料をお示ししております。
 左の上のところ、2050年ビジョンは愛知目標から継続をした形で、「自然と共生する世界」ということになっております。
 右の上ですが、2030年ミッションとして、「自然を回復軌道に乗せるために生物多様性の損失を止め反転させるための緊急の行動をとる」ということで、ここで、ネイチャーポジティブという言葉は使っておりませんけれども、案の段階では、選択肢として入っていて、最終的には落ちていますが、基本的にはネイチャーポジティブということ、内容を示したことになっているかと思います。
 左側のところに、2050年ゴールをAからDまでお示しをしております。Aが保全に関するゴール、Bが利用に関するゴール、CがABSに関係するところ、Dが資金など枠組みの実施に関するゴールが示されております。
 2030年ターゲットとしては、23のターゲットが示されております。左側、(1)のところ、保全に関するゴールが1から8まで、例えば、T3として、30by30の目標ですとか、T6として外来種の目標、8番目に気候変動に関する目標であるとか、右側に行きますと、注目度の高いものとしましては、15番目、ビジネスに関して、事業者に情報開示を求めていくような内容が入っておりますし、T18、19辺りは、資金に関する目標、途上国への支援ですとか、世界全体での資金源をどうしていくかといったような目標があります。22、23辺りでは、先住民や地域社会、女性など、多様な人たちの参画を確保していくといったようなことが盛り込まれております。
 また、枠組みを達成していくために、レビューメカニズムに関する記載もございます。参考資料1に仮訳をつけておりますので、ぜひ、時間のあるときなど、ご確認をいただければと思います。レビューメカニズムなどは、今回の国家戦略でも強く意識をして、作成をしているものでございます。
 そのほか、この後、今回の議論の中身でも説明をしていく機会がございますけれども、資料2-4で指標、目標に対応しての指標の議論、結論もおおむね一部出ておりまして、まだまだ継続検討が必要な内容になっておりますけども、指標も示されております。
 新枠組以外の結果としまして、次のページ、3ページ目でございます。COP中は、先ほど枠組みと、新枠組と一番上、2番目の資源動員とDSI(遺伝資源に係る塩基配列情報)、この三つが三つ巴のような形で議論をされて、途上国と先進国で対立をする場面もございましたけれども、結果としては、いずれも採択をされたということでございます。
 資源動員は新枠組の中にも金額を含む目標、T19辺りに入っておりますけれども、それと併せまして、GEF、地球環境ファシリティの中に、生物多様性に特化した新基金を設置することですとか、DSIにつきましては、COP16に向けて公開作業部会を設置して、継続して検討するといったようなことが盛り込まれております。
 そのほか、多くの議題について、決定が採択されまして、おおむね期待をされた成果が出たものと考えてございます。
 最後のページは、西村大臣の参加ですとか、日本の貢献についてまとめているので、ご参考にご覧いただければと思います。
 続きまして、資料1-2、スケジュールについて、ご紹介をさせていただきます。
 これまでの経緯も、一部、含めておりますけれども、今後のスケジュールとしましては、下から3分の1ぐらいのところから、COP15がちょうど1か月ぐらい前に終了いたしまして、その結果を受けまして、担当者が必死に今回の小委員会に向けて調整作業を行ってまいりました。本日のご議論を踏まえて、パブコメ案を作成しまして、1月末、ぐらいから2月いっぱいにパブリックコメントを予定しております。その間に、地方説明会も予定しております。3月に入りまして、パブコメの結果も踏まえまして、自然環境部会と本小委員会を合同で開催いたしまして、答申をいただければ、3月中に閣議決定を見込んでおります。
 タイトなスケジュールで進めておりまして、先生方にもご協力をいただきまして、恐縮でございますけれども、答申までよろしくお願いいたします。
 私からの説明は以上でございます。
○中静委員長 ありがとうございました。
 では、委員の皆さんから、今の説明に対して、ご質問、ご意見ありましたら、お願いします。
 ご意見いかがですか。
 よろしいでしょうか、皆さん、もうご了解されているということで。
 またありましたら、最後のほうでも結構ですので、出していただければと思います。
 それでは、二つ目の議事に入りたいと思います。
 次は、次期生物多様性国家戦略案の検討ということで、昨年7月に開催しました第5回委員会、それから、8月に開催しました第45回中央環境審議会の自然環境部会でご検討いただきましたが、それに続いて、検討を進めたいと思います。
 今日は、これまで具体的には示されていませんでしたが、各状態目標、それから、行動目標に関する指標と戦略の背景にある基礎的情報を付した附属書についても、案が示されております。
 まずは事務局から昆明・モントリオール生物多様性枠組を踏まえた状態目標、行動目標の見直しの概要や、それから、生物多様性国家戦略の案を説明していただいて、第1部、第2部及び附属書について、ご審議いただきます。
 その後、指標は休憩後に皆さんにご議論していただくので、そのときに事務局からご説明いただいて、審議していただく予定です。
 では、まず、事務局から次期生物多様性国家戦略案についてのご説明をお願いします。
○奥田生物多様性戦略推進室室長補佐 ありがとうございます。生物多様性戦略推進室で室長補佐をしております、奥田と申します。
 私のほうから資料を説明していきたいと思います。
 これから、資料の2-1から2-3を用いて説明していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず、資料2-1でございます。こちらは、昆明・モントリオール生物多様性枠組を踏まえた次期国家戦略素案からの目標案の更新・修正ということで、資料を作成してきております。
 1ポツ目ですけれども、今回の新枠組、先ほども説明があったとおり、相当長引きまして、ようやくできたということですけれども、昨年6月のナイロビ会合(OEWG4)から主な変更点というのが幾つかございます。
 まず一つ、2030年のマイルストーンといって、2030年時点の状態目標が掲げられておりましたが、そちらについてはなくなったという変更がございました。
 それから、数値目標が幾つか変化しております。ゴール・ターゲットにおける数値目標の数というものが減っております。思ったほどは減らなかったかなというのが率直なところでございますけれども、ゴールにおいても、また、ターゲットにおいても、少し数に変化がございます。それから、劣化生態系の再生あるいは回復に係る数値目標というものが、20から30%に引き上げられるといったような変更がございます。また、ターゲットを23として、ジェンダー平等の確保といったものを追加しております。
 このような変更がございました。
 こういったものを踏まえた上で、次期生物多様性国家戦略案の状態目標・行動目標案の更新・修正方針ということで、以下に大きく①、②と書いておりますが、①が特に重要でございます。
 ①の一つ目のポツですけれども、数値目標が設定された新たな国際枠組ですね、こちらのゴール・ターゲットに対応する次期生物多様性国家戦略の状態目標・行動目標につきましては、できる限り数値目標を設定していければいいのではないかと考えております。
 ただし、国家戦略は日本の戦略ですので、日本の事情や日本のほかの計画との整合性等は考慮していきたいと考えております。また、新枠組の要素を踏まえた修正というものを必要に応じて行っていきたいと考えております。その上で、新枠組から、先ほども説明いたしましたとおり、2030年のマイルストーン、いわゆる2030年時点の状態目標は削除されておりますが、国家戦略におきましては、状態目標は引き続き設定していきたいと。一方で、日本だけでは対処が困難な国際社会全体の目標というものもございます。また、内容が不明確なものもまだ残っております。そうしたものは少なくとも現時点では加えないということで、整理してきております。
 また、改めて読み返して、少し文言が分かりづらかった点等は、修正してきております。
 3ポツで、主な更新・修正点ということで、文字が大変小さくて恐縮でございますけれども、次のページに、前回までお示ししていたものからの修正点を掲げております。
 見ていただいたとおりですけども、基本戦略1の状態目標につきましては、ここは、新枠組の中でいろいろと数値目標、測り方をどうするんだろうかという疑問もあったものもございますが、掲げていたものがきれいさっぱりなくなった部分は、こちらのほうでも落としております。
 基本戦略1の①番ですね、これがいわゆる30by30目標というものですけれども、②番には、新枠組でいうところのターゲット2の劣化した生態系の再生・回復のところがございまして、こちらは新枠組に併せて30%としております。また、③番、④番が、前回まで③番と④番を一緒くたにした行動目標を立てておりましたが、ここは分離した上で、設定された数値目標についても加えております。
 その下について、少しずつ修正はしておりますが、大きな変化はございません。一方で、基本戦略3の②番のところでございます。こちら、新枠組でいうところのターゲット15に該当するところでございますけれども、この目標自体が結構文言も変更となりました。今、国際的な議論を踏まえて、設定されたターゲット15の文言は非常に分かりやすいと考えておりまして、それに合わせて、こちらの状態目標②は変更してきております。
 また、基本戦略3の④番のところで、持続可能な環境保全型農林水産業を拡大ということをうたっておりますが、みどりの食料システム戦略に掲げている目標も踏まえて行っていくということで、そうしたことも加えております。
 そのほか、基本戦略5にかけても、幾つかの要素を足したりしているところが主な変更点でございます。
 それから、次のページです、3ページ目には、今回の昆明・モントリオール生物多様性枠組で掲げられた2050年ゴール、あるいは2030年ターゲットに対して、我が国の国家戦略の状態目標あるいは行動目標、こちらがナショナルターゲット、国別目標となっていきますが、それとがどのように対応しているのかという一覧表をつけております。現時点での整理でございまして、今後、様々な要素を加味した上で、変更する可能性はございますが、少なくとも一つ以上を対応するように調整してきておりますので、こちらは、議論の際のご参考にしていただければと思います。
 続いて、資料2-2にいきたいと思います。資料2につきましては、先ほども紹介がありましたが、昨年7月に開催された小委員会、それから、8月の自然環境部会、その後も、委員の皆様からたくさんのご意見をいただきました。大変ありがとうございました。それらについて、いただいたご意見と対応をまとめた表でございます。ちょっと時間がございませんので、一つ一つの説明は省略させていただきますが、ここに掲げたのは、たしか86個ほどありました。たくさんの貴重なご意見ありがとうございました。また、こちらは参考にしていただければと思います。
 その上で、資料2-3について話をしていきたいと思います。
 資料2-3、見てのとおり、220ページございますが、これを今から10分か15分で説明しようと考えております。もし途中で分からない点等あれば、後ほどいただければと思います。
 今示している資料は戦略全体の、内容面も含めて示したものでして、まだもう少しリファインは必要かもしれませんが、今回の戦略の概要をざっと示した資料でございます。
 そこから、次のページになりますと、戦略案の概要ということで、目次立てのような資料となっております。昆明・モントリオール枠組が採択されましたが、基本的には想定していた形となっておりますので、個別の要素につきましては、修正をしてきておりますが、大きな構造は今回変わっていないというものでございます。
 では、その上で、説明していきたいと思います。
 今回、この国家戦略の素案から案に変更になっておりますけれども、まず、本戦略の背景、この1ページ目から始まるところにつきましては、基本的にはご指摘いただいた事項等を踏まえたり、時点修正でございまして、マイナー修正でございます。
 その後、この戦略の後に、第1部の第1章というものが始まってまいります。こちらも、時点更新やご指摘を踏まえ、細々と修正しております。幾つか掲げていきたいと思いますが、例えば漁業、あるいは海洋に関するご指摘というのも結構ありました。この8ページあるいは9ページの辺りに、そうした海洋環境の重要性というのも踏まえて加えたところがございます。
 続いて、13ページ、PDFでいうところの16枚目になりますけれども、昆明・モントリオール生物多様性枠組というのが、先ほどから申し上げているとおり、策定されましたので、その内容をこのページでアップデートしております。
 続きまして、20ページでございますけれども、PDF上は23ページになりますが、この③番の行目でございますけれども、ところですね。書きぶりが非常に回りくどい表現をしておりましたので、「生物多様性の損失の根本的な要因である、社会経済に生物多様性が主流化されていない状況」というのを少し文言を整理しております。その上で、世論調査も昨年結果が出ておりますので、新たなものにつきまして、そうしたものをアップデートしてきております。
 それから、23ページから、そして、27ページに関連いたしますが、PDFでいうところの26枚目でございます。こちら、23ページが課題を示しておりまして、27ページがそれを受けた戦略でございますが、その中で、一つ、基本戦略の文言を修正してきております。これまで基本戦略3を「生物多様性・自然資本によるリスク・機会を取り入れた経済(ネイチャーポジティブのドライバーとしての経済(ネイチャーポジティブ経済))」と。大変大変丁寧に書いてきたと自負しておりますが、ちょっと長いかなというご指摘もございまして、ここは力強く、「ネイチャーポジティブ経済の実現」とシンプルに分かりやすくしまして、メッセージ性を出させていただきました。
 その上で、第2章のところもそのような感じになっています。
 第3章に行きますと、こちらも27ページですけれども、先ほどと同じく、ネイチャーポジティブ経済の実現というのが基本戦略になっております。
 それから、先ほど室長の山本からも説明しましたとおり、昆明・モントリオール生物多様性枠組自体には、ネイチャーポジティブという単語は入っておりませんが、我が国としては、ネイチャーポジティブというものをしっかりと打ち出したいと考えております。それを受けまして、これまで毎回ご指摘をいただいていた、そもそもネイチャーポジティブとは何ぞやといったものにつきまして、28ページから記述しております。先ほど申し上げたとおり、昆明・モントリオール生物多様性枠組自体には入っていなくて、何か明確な定義がびしっと決まったものがあるかというと、少し不安定なところはございますが、ネイチャーポジティブについて、今のところ考えられるものにつきまして今回、書き下ろしておりますので、この辺りも、また併せてコメントいただければありがたいと考えております。
 それから、第3章のその先は、基本的には、マイナーな修正を行ってきております。どういったところが始まるかというと、それぞれ基本戦略の1から5まで要素を書き足しているというところでございますけれども、基本的にマイナーチェンジで進めてきております。
 幾つか項目を足したところがあるので、そこだけご紹介いたしますが、基本戦略4というものにつきましては、一人一人の行動変容に関わってくる部分でございます。これの49ページ、PDFでいうところの52枚目でございますけれども、こちらでは、「人と動物の適切な関係に係る理解の醸成」というものを、行動変容の基本戦略4ということで入れております。この適切な関係の構築というものは、生物多様性に関する関心のきっかけにもなりますし、その上で、合理的な目的に応じて、適切な取扱いを行っていくということが生物多様性保全上も重要になってきますので、こういったものも位置づけてきております。
 また、53ページ、PDFでいうと56枚目でございますけれども、ここは基本戦略5ということで、基盤の部分でございますが、非常に重要な基本的な海洋関係に関する考えも含めて、この辺りは追記してきております。
 それから。第4章というものがございます。こちら、ページ番号でいうと、56ページから始まるところでございますけれども、こちらの61ページ、PDF上では64枚目に進捗状況の評価及び点検というところがございます。こちらは新枠組も踏まえながら今回、少し丁寧に修正させていただきましたので、この辺りはご覧いただければと思います。
 また、67ページ、PDFでいうところの70ページでございますけれども、こちら何を書いているところかと申しますと、各主体に期待される役割と連携というところでございます。これまで国、それから地方公共団体、それから事業者、研究機関、研究者、学術団体等書いてきたのですが、実は教育機関というのが少し抜けているのではないかというご指摘もありまして、この部分については独立させて、今回、加えたという修正をしております。
 こちらが第1部に関して、主な修正と考えているところでございます。
 続いて、第2部に行きたいと思います。
 この第2部につきましては、行動計画ということで、関係省庁の関連する施策を整理してきているところでございます。今、画面に映しているとおり、第2部の行動計画というのは、第1部に対応してつくってきておりますけど、現行の国家戦略と大きな違いは、これまでも説明してきているとおり第1部のほうの行動計画、各基本戦略ごとに、大体五つ、物によっては四つと五つもありますが、掲げている行動目標があります。ここの今、画面で映っているところでいうと、1-1ですと30by30目標ですが、この行動目標1-1に対して、関係する関連省庁の施策を整理したとなっております。行動目標ごとに整理しているというのが大きな変更点でございます。
 こちらにつきまして、前回の会議から充実させてまいりました。まず、施策の数が増えました。前回は、たしか333で切りのいい数字だったんですけど、今は367施策ということで、1年365日より少しだけ多い施策という形となっております。やはり、いろいろ議論する中で、足りない施策というものを足したりしてきております。
 見え消しにすると、あまりにも煩雑でしたので、今回、加えた要素あるいは変更した要素につきましては、赤字で示しておりますので、ご理解ください。
 ちょっと全体を見るのがなかなか大変だと思うんですけれども、資料2-3の別紙2というものには、ここに第2部の施策一覧ということで掲げた施策がずらっと並べてありますので、こちらは、どういう施策があるのかというのを見ていただく際には使えると思いますので、参考程度に見ていただければと思います。
 見ていただくと分かるとおり、それなりに行動目標ごとに違いはございます。例えば、一番多い施策、行動目標1-3については、46の施策が並んでおりますが、一番少ない1-4については2施策ということで少し数に差はあったりします。ただ、これらの目標に対して、関連すると思われるものを丁寧に並べてきたものというのが、こちらのものでございます。
 重複もまだあるんですけれども、例えば、目標値、目標のある施策というものは、この367施策と言いましたが、それをさらに細分化すると、391ほどの項目となりますが、そのうちの190余りがそうした目標を掲げているものです。すなわち、半数近くにそうした目標値を設定しているということで、生物多様性分野においても、相当部分、いろんな施策にそういった数値目標といったものが入ってくる時代になったということもよく分かると思います。こちらについては、また見ていただければと思います。
 その上で、個別の説明に行く前に資料2-3の別紙1というペーパーをつけております。こちらはゆっくり話すと時間がかかるので、ごく簡単に話したいと思いますが、前回まで、ここに位置づける施策につきましては、重点施策、それから、継続強化する施策、それから、維持する施策という3区分で並べられないかと考えておりました。ただ、重点施策は2030年に向けた重点施策ですので、こちらについては非常に分かりやすいですが、その下、二つについてはやはり区別するのがやや難しいという話もあったので、今、お示ししているものにつきましては、重点施策は施策の横に「重点」と書いておりますので、こちらを書いた上で、それ以外のものは特に表示しないという形としております。
 重点施策も今は59掲げておりますので、こういったものが特にしっかりと取り組んでいくものということで、示せているのかなと思っております。また、並べ方について、重点施策、それから、継続強化する施策、維持する施策という形で、それぞれ書こうかなと思っていたんですけど、そうなると、やはりなかなかストーリー性がつくりづらくて、逆に分かりづらいというコメントもありましたので、基本的には、行動目標ごとに柱書きというものを書いておりますけれども、例えば、この行動目標1-1ですと、ここに30by30に向けてやっていくことを描いておりますが、この柱書きに沿った内容で、順番で書くという変更をしております。
 また、非常に細かい個別の地域の施策も書いておりましたが、それらについては、今回、整理上、落としておりますが、地域ごとの取組が非常に重要ですので、そういったものは、戦略とは別枠でしっかりと紹介していきたいと考えております。
 その上で、個別の目標について10個ほど簡単に取り上げて説明をさせてください。
 今のが第2部、行動計画の概要ですが、まず、73ページ、PDFでいうところの76枚目でございますけれども、ここの1-1-8といったところの、海洋関係の全体的な施策についても抜けておりましたので追加しております。
 また、77ページでございます。PDFでいうところの80枚目でございますけれども、今回、昆明・モントリオール枠組でも、これまでの生物多様性施策以外のものもいろいろ入ってきておりますが、例えば、金属のリサイクル原料といったようなものも加えてきております。
 それから、85ページ、スライドでいいますと88枚目、化学物質の関係について、少し前回までお示ししていたものだと抜けておりましたので、この辺りについて調整しまして、加えられるものをしっかりと位置づけてきたという状況でございます。
 それから、97ページから98ページにかけて、PDF上でいいますと、100枚目辺りからでございますけれども、我々、これまでも希少種と、絶滅危惧種といったようなものは非常に重要だということで、しっかりと取り組んでまいりましたが、それらに加えて、やはり普通種というものも含む身近な自然環境というものが重要だということで、いろいろメッセージを発信してきております。ただ、施策については少し抜けておりましたので、こういったものも書き足してきているというところがございます。
 それから、101ページ、PDFでいうところの104枚目となります。こちら、基本戦略2の自然を活用した社会課題の解決といったところでございますが、2-1-1で、気候変動対策と生物多様性保全の一体的な取組と書かせていただきましたが、気候変動関係のものも幾つか追加しているものがございます。
 それから、127ページ、PDFでいうところの130枚目となりますけれども、こちらは、行動目標3-4で、持続可能な環境保全型の農林水産業を拡大させるというものに、みどりの食料システム戦略も少し触れさせていただきました。このみどりの食料システム戦略は大変優れたKPIも設定していると考えておりますが、そういったところで掲げているKPIについても、しっかりとこの戦略に位置づけさせていただいたという変更がございます。
 それから、161ページ、PDFでいうと164枚目です。ここには、先ほど資料2-1の中で、ジェンダー平等の確保という目標が新たに加わったというものを申し上げましたが、それにも対応する形で、5-3-5として、意思決定プロセスにおける女性参画の推進ということで、生物多様性分野においても、そういったものをしっかりと進めていきたいということで、こちらの施策を追加したりしております。
 最後になります。こういったものが、施策として367並んでおります。なかなか全体を網羅的に把握するのは難しいかと思いますが、行動目標にはしっかりと対応した施策というものを掲げてきておりまして、その中で、個別施策の数値目標といったものは、半数近くに入っているということで、それなりにまとまったものができたのではないかと考えております。
 これが第2部でございますけれども、今回から、74ページ、PDFでいうところの177枚目から附属書というものをつけております。こちら昨年の4月に公表しました30by30ロードマップ、あるいは現行の国家戦略の中で、生物多様性及び生態系サービスの重要性というものを解説したパートがございます。
 あるいは、その前から自然共生社会における国土のグランドデザインといったものも描いてきてまいりました。こういったものについては、戦略の冒頭にあると、やや冗長になってしまうこともあるかもしれませんが、非常に今後も目指すべき姿として重要なエッセンスもありますので、附属書という形で、今のところつけてきておりますので、若干、時点更新等はありますが、お気づきの点等あれば、いただければと思います。
 以上が戦略全体の話でございますが、最後に、この膨大な量の戦略ですが、現行戦略と比較してどうなのかということだけ簡単にご紹介させていただきます。
 パブコメ案なので、まだ変更はございますが、現行戦略の第1部と第2部というものが次期戦略の第1部に該当いたしますが、分量だけ申せば51%、半減しております。また、第2部、現行戦略でいうところの第3部に該当しますけれども、第2部は、施策数は半分近くまで減っておりますが、分量は3分の2になっております。66%です。何を申したいかというと、施策は減らした割には分量はそんな減らなかったんですけど、恐らく、その分、数値目標等、を加えたので、施策の量ほど分量は減らなかったんですが、現行戦略よりは前半部分で半分ほど、後半部分で3分の2ほどということで少し分量は減ってきたという状況でございます。
 以上です。よろしくお願いいたします。
○中静委員長 ありがとうございました。
 膨大な量なので、皆さんもチェックするのが大変かもしれません。戦略案は前回の委員会での議論や、それから、昆明・モントリオールの結果なども踏まえて、案を示していただいていますし、附属書は、今回、初めて提示されたものです。
 これらに関して、ご質問、ご意見のある方は、オンラインの方はチャットで書いていただくか、会議室にいる人は名札を立てていただければ、こちらからご指名いたしますので、よろしくお願いいたします。
 いかがでしょうか。
 じゃあ、橋本さん、お願いします。
○橋本委員 ご説明ありがとうございました。
 12月にCOP15が開催されて、合意ができてから、それを計画書に反映させるのは大変だったと思います。本当にありがとうございました。
 ご説明いただいた内容について、幾つかコメント、質問があります。
 まず、ネイチャーポジティブについて、今回、いろいろと細かく説明をいただいているわけですけど、文章の中でネイチャーポジティブ経済のところの説明が、結局、何がネイチャーポジティブ経済なのかというのが一言での説明がなかったように思います。例えば、23ページ目で消されてしまったようなこと、何をもってネイチャーポジティブ経済とするのかというのが分かりやすく、一言であるとよいのかなと思いました。多分、実践段階だと、何かそれぞれの事業者に向けたチェックリストみたいなのが、最終的にあるといいとは思うんですけれど、具体的に何をもってネイチャーポジティブの経済としていくのか。一言で何か分かりやすく伝わるとよいなと思いました。その部分では、ネイチャーポジティブの説明自体はかなり書き下されているので、それが経済においてはどうなるのかということですね。
 69ページ目以降の状態目標と個別施策との関係全般についてのコメントになります。こちらについてですけど、ちょっとまだ私は十分理解が追いついていないんですが、結局、個別目標、数値目標はいろいろ設定されているわけですけれど、これを積み上げていけば、それぞれの状態目標、全体としての目標が達成できるのかどうなのかというのが、どういう見込みであるかというのを教えていただきたいんです。これ自体を、例えば、途中段階での中間評価とか、検証していくということなのか。かなり計画段階で設計されて、状態目標がきれいにブレイクダウンして、個別施策になっているのかというところを少しご説明をいただきたいなと思いました。
 最後になりますが、附属書の部分です。こちらは今回の国家戦略の検討について、調べられたこと、検討されたことを、今回、入れられている。特に30by30のロードマップについて入れられているわけですけれど、他方で、ここの見出しに書いてある今回の国家戦略の検討に当たっての基礎的な情報であるとみなせるJBO3の結果などがここに入っていかないのか。あまり資料が増えるのはよくないことかもしれませんが、例えば、JBO3の要約版を附属資料として入れておくというのも、いいのかなと思いました。
 とはいえ、全体としては非常に分量が多く、これを自治体担当者、あるいは、それぞれの国の関係行政機関の方が理解するのは大変だろうなと。どういうふうに分かりやすく伝えていくかというのが、今後の大きな課題になってくるかなと思いました。
 以上です。
○中静委員長 ありがとうございました。 時間がありますので今の橋本さんの説明についてのコメントをお願いします。
○奥田生物多様性戦略推進室室長補佐 ありがとうございます。
 ネイチャーポジティブ経済について、一言で言い表せていないというコメントをいただきました。ありがとうございます。ここは、すみませんが、国家戦略の検討と並行して、まさに考えているところで、やはり先ほどのご指摘にもあったとおり、実際に動かしていくというときに、どういったビジョンを持って、とりわけ経済という分野、どういったロードマップを示していくのかというのが非常に重要になってくると思います。
 その辺りは、国家戦略の中で書けることは、改善できるところは改善したいと思いますがそれらについては、来年度にもしっかりとしたものを示していきたいと考えておりますというのが1点目でございます。
 2点目、個別目標、個別の施策を積み上げれば、状態目標が改善できていくのかというのは、根源的な問いだと理解しております。そこを今回、状態目標と行動目標をしっかりと分けることで、よくも悪くもあぶり出そうというのが今回の戦略の目指すところでございます。
 ですので、役人的回答をいたしますと、こういった施策をしっかりとやれば、必ず状態目標もよくなると信じておりますが、そちらにつきましては、むしろ、しっかりと個別の施策を行って、それらの個別の施策がどの程度達成できたのかも含めて評価した上で、状態目標自体もしっかりと改善に向かっているのかどうなのかについては別途、評価していきたいと考えております。
 具体的には、こういった行動目標といったものについては、2年に一度程度、しっかり数値を示していきたいですが、併せて、状態目標がどう改善していったのかというものについては、先ほどご指摘もございましたJBOというものをこれまで進めておりますが、そうした有識者の皆様の意見を積み上げたものも含めまして、状態目標自体が改善傾向にあるのかどうかというものも示していって、それらを基に、国家戦略全体として、本当に達成に向かっているのか、まだやらなければならないことは何なのかを整理していきたいと。奇しくも、世界枠組のほうもそういった方向で進もうとしておりますので、それを、我が国国家戦略においてもやっていきたいということで、今時点で、どこまでの見込みがあるのかという回答にはややなっていないんですが、そういったことを考えております。
 三つ目の附属書につきまして、ご指摘のとおり入れたいものは本当にたくさんあって、その中で最低限、厳選したのが現時点でこちらでございます。ちょっとこれをまたさらに分量を増やしていくのがよいのかどうかは、少し事務局のほうでも検討させていただければと思いますが、ただ、国家戦略を進めていく上で、こういった、先ほどご指摘のあったJBO3といったようなものも、本当に基礎になっていますので、それらは、少なくとも普及啓発用の分かりやすいホームページなどでは、しっかりと併せて、位置づけも含めて、示していきたいと考えております。
 以上です。
○中静委員長 ありがとうございました。橋本委員、よろしいですか。
○橋本委員 附属書のところにJBO3を入れるというのは、ゆくゆくは、例えば、JBO4とかで、先ほどご回答いただいた2点目のコメントに対しての回答、個別の施策を積み上げていけば、状態目標が達成できるのかということを検証したりする部分でも、参考になるんではないのかなと思いまして、要は、国家戦略の基礎的な情報として、JBOがあるというのは、やはりしっかり出しておいていただくというのが一つと。ゆくゆくは次のJBO4の中で今回、設定された、こういう行動目標と状態目標の関係というのをしっかり検証するという見込みも含めて、ああいった評価を位置づけていただくというのもよいのかなと考えた次第です。
 以上です。
○中静委員長 ありがとうございます。
 JBOのときは、試行的にロジックモデルだとか、EBPMをにらんで、どう考えるかみたいなことも少しやらせていただいたとは思うんですけど、なかなか難しかったというのがあのときの結論でした。今後、いろんなことが進展するとは思いますので、それを念頭に置いておいたほうがいいかもしれないですね。
 では、西澤さんからお願いします。
○西澤委員 ありがとうございます。
 経団連自然保護協議会の西澤でございます。
 まず、冒頭にご説明いただいたCOP15には、私も行っておりましたけれども、環境省の皆様におかれましては、連日、大変ハードな対応であったとお見受けしておりました。本当にお疲れさまでございました。
 また、私ども、経団連におきましても、これまでのCOPのミッションというのは、大体、1桁の参加でしたが、今回のCOP15は、過去最大の18社で、35名が参加しておりまして、経済界の生物多様性への関心の高まりというものを実感してまいりました。
 それでは、私から第1部で2点、第2部で2点、コメントをさせていただきたいと思います。
 まず、第1部の28ページの下段です。我が国の環境政策として、ネイチャーポジティブ、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、この三つの課題の同時解決を目指していくと記載していただいております。
 実は私ども、経団連でも、昨年の11月に、グリーントランスフォーメーション、サーキュラーエコノミー、そして、このネイチャーポジティブを統合した形で、環境統合型経営というものを新しく打ち出しておりまして、そういった意味では、経団連としてもより推進しやすくなったと感じております。ご記載ありがとうございました。
 あと、2点目は前回の小委員会で申し上げた進捗状況のチェックや、PDCA。これにつきましては第1部の56ページ以降の第4章に詳しく記載をいただきまして、ありがとうございます。ビジネスサイドとしては特に事業者数の大半を占めます、中小企業の意識・行動改革というものは大きな課題であると認識しておりますので、省庁間の密な連携をしていただきまして、引き続き実効性を伴う推進体制を構築していただければと思っております。ぜひ、よろしくお願いいたします。
 次に、第2部でございますが、まず、第2部の123ページ、中段の3-1-3でございます。ここには、サプライチェーン対応について、記載をしていただいております。しかし、複雑化したグローバルサプライチェーンの影響を企業単独で測定する、把握するというのは非常に難しいという声が経団連にもたくさんきておりまして、今後、ぜひ、官民学による連携を深めまして、国際的なルール形成への意見反映ですとか、あるいは、計測方法、データ整備、こういったものへのご支援をぜひよろしくお願いしたいと思います。
 2点目は、具体的指標の目標値の設定についてですが、私もこの資料をざっと全部目を通させていただきまして、幾つか気になる点がございまして、コメントさせていただきます。例えば、第2部の123ページの下段。生物多様性の配慮を経営に取り込んでいる企業の割合というものが書いてありまして、現状が75%となっております。大企業につきましては、経団連は比較的大企業が多いものですから、確かに生物多様性の関心、ここ数年かなり高まっていると考えておりますけれども、日本の中堅・中小企業を含めますと、この実態というのは実はかなり低いのではないかなと思っております。
 また、第2部の124ページの下段には、行動目標の3-2-2といたしまして、優良事例の情報発信について記載されております。こういった先進的な取組の情報発信というものは非常に重要であると我々も考えているわけでございますけども、この2025年度の目標値は、10件と記載されておりまして、もう少し意欲的な目標を設定してもいいのではないかと個人的には強く感じました。中間目標値でも結構ですので、改めてここに書いてある数値全体をもう一度再確認していただけばと思います。
 私からは以上です。ありがとうございました。
○中静委員長 ありがとうございました。
 事務局からはいかがでしょうか。
○奥田生物多様性戦略推進室室長補佐 西澤委員、応援メッセージも含めて、大変ありがとうございました。
 まず、冒頭のネイチャーポジティブ、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミーのところは、しっかりと自然サイドも含めて、こういったものを取り組んでいきたいと。それらが事業者も含めた皆様の取組ともうまく整合を取れる形になっていくと、目指すところというのは非常に心強いと考えております。
 また、PDCAについて、どのようにして実効性を確保していくのかというところもいただきました。こちらについても関係省庁としっかりと連携してこの新しい動きを踏まえながら、取り組んでいきたいと考えております。
 また、第2部、127ページ、あるいは123ページ、124ページのところについて、個別のところについても、ご指摘いただきました。
 まず、大きな方向性としては、特に大企業は相当取り組んでいるが、中小企業はまだまだだというご指摘、そのとおりかと思います。そういった中小企業も含めて、どう取り組んでいけるのかというものについては、まだまだ精査がいるなということを率直に感じておりまして、その辺りは、この戦略で書くこと、さらに、その先で進めていく中で、しっかりとご指摘を踏まえながら取り組んでいきたいと思います。
 また、個別の指標のところの数値については、全てを把握し切れていないところがあるので、担当のところにも確認はしたいと思いますが、もっと高い目標を掲げるべしという𠮟咤激励をいただいたので、それも含めて、今回どう示すかというのはありますが、今後、改善していけるのであれば改善していきたいと考えております。
 ありがとうございます。
○中静委員長 ありがとうございました。
○西澤委員 ありがとうございました。
○中静委員長 では、石井さん、お願いします。
○石井委員 どうもありがとうございます。
 私のほうは、昆明・モントリオール枠組についての質問、あるいは、確認ということでございます。2点あるんですけれど。
 1点は、先ほどの山本室長のご説明だと、ネイチャーポジティブという考え方というのは残っているんだけれども、用語は使わなくなったというご説明をされていました。この理由というのが、もしも分かれば教えてください。
 それから、もう一つですけれども、30by30と関わることなので、ターゲット3になるんですかね。参考資料1に仮訳がついているので、それの7ページを見ながら質問しているんですけれども。愛知目標にも、陸域と海域の保護地域の数値目標というのがありました。今回も仮訳には、陸域及び内陸水域並びに沿岸域及び海域の少なくとも30%という書き方になっています。先日の事前説明のときにも、英語でこれを示していただいたわけですけれど、気になっているのが海域の部分の定義が、愛知目標のときと変わっていないかどうかです。特にcoastal and marineというのを沿岸地域及び海域と訳しているんですけれども、この沿岸地域はどこを指しているのか分かれば、お教えいただければと思います。
 以上でございます。
○中静委員長 いかがでしょうか。
○奥田生物多様性戦略推進室室長補佐 石井委員、ありがとうございます。
 ネイチャーポジティブにつきましては、先ほども申しましたとおり、言葉としては入っていないということで、ここのミッションのところでございますけれども、今、画面に映しているとおり、自然を回復軌道に乗せるために生物多様性の損失を止めて、反転させるための緊急の行動を取ることとなっております。
 これまで我々がネイチャーポジティブと言ってきた要素はここに含まれるので、中身は入っていると思っておりますが、今回のCOP15の議論は、始まった時点で、大体、ブラケットと呼ばれるペンディングの部分が900か所、議論が進んだ後も400か、500ございました。そのまま最終日に近くなった時点で、議長国の中国から提案がなされて、そこから若干の修正はございましたが、基本的にはその方向でなっております。その際には、少し、例えば、定義がやはりはっきりしないですとか、そうした議論のあったところは落とされているものも幾つかございまして、ネイチャーポジティブ自体も、そういった言葉の整理をする中で、提案からは落ちてしまったということですが、要素としてはしっかり入ったと考えているところでございます。これが1点目でございます。
 2点目ですけれども、文言としましては、いろいろ詳細な議論については、また確認はしたいですけれども、文言自体はすごくいろいろありました。あった上で、最終的には、いろいろもめるのであれば、愛知目標と同じ文言を使えばいいのではないかということで落ち着いたと聞いております。
 その意味でいいますと、沿岸及び海域というのは、基本的には、沿岸の海の部分、それから、海域というのは深い部分も含めた部分という理解をしておりますけど、詳細な定義がどうなっていたのかとか、その辺りについては、申し訳ございませんが、確認させていただきたいと思います。あまり厳密にどこの線のどの部分かというところまで決まっていなかった気が正直しているんですけど、そういう認識でございます。
 お願いします。
○中静委員長 ありがとうございました。石井さん、よろしいですか。
○石井委員 はい。また詳細が分かったら、よろしくお願いいたします。
○中静委員長 ご発言の順序が上下、前後するかもしれませんけれど、次、中村さん、お願いします。
○中村委員 すみません。ありがとうございます。
 一つは、自然再生の部分が20%から30%に増えたというのを昆明・モントリオールの生物多様性のゴールということでお聞きして、それで現在書かれている内容のところを確認したのですが、日本の生物多様性とモントリオールの戦略の丸づけのところが生態系ネットワークしか書いていないんですよね、自然再生のところが。本当に生態系ネットワークだけで、30%を実現するという話になるのか。ちょっとそのことが気になりました。
 目標のところも、何か協議会の数みたいなことが目標にされていて、基本この30%というのは、劣化した生態系を何らかの形で評価して、その30%というエリアベースの話だと思うので、その辺のものとちょっとつながりがうまく取れていないような感じがしたので、そこを教えてください。
 それから、もう一個は30by30の、これは事前説明のときにも聞いたんですけど、先ほどの石井委員の質問と似ているんですけど、ofをどこに入れるかというのは随分議論されていたみたいで、それで私が気になっているのは、陸域の30%といったときに、陸域にも様々な生態系があるので、例えば、河川については、今の現状はノーガードだと思うんですよね。それを保護区という形の議論ができるのかどうか。国交省も含めて、いろんなところで協力していかないとできないとは思うんですけど、何らかの形で、全てをバランスよく30%とは言わないんですけど、ある生態系のみが突出して30%というのはあまりいい設定の仕方ではないと思うので、湿地も含めて、その辺もどういうふうに考えておられるか教えてください。ここに書き込んであるならばいいんですけど、何かその辺書き込んでいないんじゃないかなと思ったので、そこを指摘したいと思います。
 それから、最後にネイチャーポジティブの「経済」と「経営」というのが両方あります。ネイチャーポジティブを前につければ、両方使っていいのかもしれないんですけど、何か定義は経済のほうが書いてあって、でも、実際の言葉としては、経営という言葉も使っているんですよね。この辺、その分野の方にとって、自然に受け止められる、両方ともオーケーなのか、ちょっと気になりました。
 以上です。
○中静委員長 事務局からお願いします。
○奥田生物多様性戦略推進室室長補佐 ご指摘ありがとうございます。
 すみません。丸めた表のほうでは、生態系ネットワークと書いてしまっておりますが、これは行動目標で、こちらにおきましては土地、地域、海域利用による生物多様性の負荷を軽減することで、生態系の劣化を防ぐとともに、既に劣化した生態系の30%を再生を進め、生態系ネットワーク形成施策を実施するという目標になっていて、必ずしも生態系ネットワークだけではない。ちょっと丸め過ぎた書き方をしていたなと反省しております。ありがとうございます。
 その上で、先ほど中村委員がご指摘のとおり、これはまさにエリアベースの取組そのものだと思っております。その意味では、30by30目標にも深く絡んでまいりますし、今回のターゲット2につきましては、割と幅広い範囲の再生あるいは回復の取組を指すことが、議論の経緯から判明しておりますので、そういったものを、我が国の健全な生態系を確保していく文脈といかにうまく合わせられるのかというのは、今後の鍵になると確信しております。
 その上で、ちょっと今の戦略の案のほうでは、少しその辺がまだまだ弱いのではないかというコメントをいただきました。改めてもう一度、見てみたいというふうに思っておりますが、本目標については非常に重要なパートとして認識しているということはお伝えしておきたいと思います。
 それから、陸域について、ofの位置が議論になったという話がございました。陸域と海域が議長提案では一緒くたにされそうになっていたところを、議論の結果、少なくとも陸域と海域とを分けたという状況でございます。その上で、陸域と、例えば、陸水というものを分けているのかというと、分けられておりません。
 ですので、30by30目標自体は30%ということですけど、まさに、先ほど中村委員からご指摘のあったとおり、その構成要素が何なのかというのはしっかり評価していかなければならないと思っております。そちらについては、OECMのほうでもしっかりとどういったところがカバーできているのかというものを踏まえて、取り組んでいきたいというふうに考えておりまして、ちょっと戦略の中に、その辺の考えがどこまでしっかり書き込めているのかというのは、また後で確認したいと思いますが、そういったふうに取り組んでいきたいと考えております。
 あと、またネイチャーポジティブ経済のところのコメントも、ありがとうございます。経済とかの観点で読んだときに、少し違和感のある文言であれば、それはぜひ直していきたいと考えておりまして、いただいたコメントも踏まえて、ちょっとまた修正できるところは修正したいと思います。
 ありがとうございます。
○中静委員長 ありがとうございました。
 では、五箇さん、お願いします。
○五箇委員 五箇です。すみません。
 私のほうからは、ちょっと個別に細かいこともあるんですけど、まず、84ページ以降の化学物質管理の推進に係る記述ですね。1-3-2の化学物質の環境リスク初期評価以降、赤文字で追加されているところ等、この部分に関しては、私自身も化学物質のリスク評価システムに長年直接関わってきたものですので、雑感というか、ちょっと印象として、一応コメントしておきます。
 正直、ここに書かれていることは化審法なり、あるいは農薬取締法で今実行されているOECD基準の毒性評価システム、そういったものの行動といったものが、ある意味、固定されているだけであって、あまり何か従来からの化学物質管理から何か脱却できているかというのは、全然見えないんですね。要は生物多様性というコンテクストの中での化学物質リスク管理の在り方という従来基準の抜け穴に対するチャレンジングといったものが正直見受けられないと。
 どっちかというと、ここに書かれていることは、要は言ってみれば、室内レベルでのビーカー試験、もしくは、シミュレーションといったところで、リスク評価がされて、化学物質のリスクというものを指定して管理するということで、そういったことだけで本当に生態系というのはこれまで守られてきたのかどうかというところの評価が本来必要であって、ちょっと正直なところ、ここは生物多様性のこれをまとめておられる部局として、ちゃんと理解できて、これを固定しているかどうかというのは疑問に思っているということで。もうちょっとしっかりと化学物質のリスク管理という部分が、これまで何が抜けていたのかというのを、もうちょっと精査してもらいたいかなという気がしました。
 あとは、同じく外来生物の問題ですけど、94ページのところで、1-3-43で、なぜかここにセイヨウオオマルハナバチ対策というのだけが何か特記してあるんですけど、正直、これ、現状の外来生物対策においては、この種に関しては、ほぼ定着集団が放置されている状況があって、何でここに唐突に書き出されているのかというのは、ちょっとそれこそ関係者としては非常に違和感を感じていると。ここに、ある意味、農水省さんの主導なんでしょうけども、在来マルハナバチの置き換えを検討するみたいなことを書いてありますけど、在来マルハナバチ自体も商品化された生き物であって、しかも、外国から輸入されているということを考えると、これは必然的に国内外来種問題をはらむものであって、ここで簡単にそういうことでこの問題の解決を図るというような書きぶりになっているのは非常に問題があって、ここに関しては、恐らく下部部会において、根本議論が必要とされるところなんだろうけど、こういったことを目標に書いてしまうのはいいのかということで、むしろ、セイヨウオオマルハナバチにとって、今求められているのは、既に野生化してしまっている北海道というところで、そういった定着集団というものをどうやって防御して駆除するのかといったところが本来の目的ではないか。あと、もう一つ言えば、これは製造者がいて、輸入者がいてという、その部分では、製造者責任というのが何で課せられないのかというのは、個人的に常に疑問に思っているというところですね。
 あとは、同じく関係するところとしては、ワンヘルスの問題で、117ページで、行動目標2-5で野生鳥獣との軋轢緩和というところに、入れるところもないからといったこともあるんですけど、ここに文末のところで、ワンヘルス・アプローチというものを唐突に入れて、ワンヘルス・アプローチを踏まえ、感染症対策などを推進すると羅列されているけど、これだけ読んでも、正直、具体性は何もないわけであって、恐らく環境省も含め、政府自体が十分にワンヘルス・アプローチの意味をそしゃくして理解することから始めなきゃならないと。肝腎なところは、ワンヘルス・アプローチに対するアプローチであって、野生動物と感染症問題の関係の理解から始めるということがまず重要であり、むしろ、基礎的な研究や調査の強化がまず求められる行動であろうというふうに考えているということです。
 質問というよりも、ちょっと意見ということになります。
 以上です。
○中静委員長 ありがとうございました。
 意見ということなんですけど、事務局から何かコメントありますか。
○奥田生物多様性戦略推進室室長補佐 ありがとうございます。
 まず、化学物質のところで、これまでと違いがないじゃないかというコメントだったと思います。ありがとうございます。
 ちょっとまだまだ勉強不足だなというのは正直、実感しておりますが、やはりこういった化学物質に関するものもしっかりと生物多様性の戦略に位置づけて議論していくということが、さらに、今後の課題を洗い出すという意味でも非常に重要だと考えておりまして、先ほどいただいたコメントも踏まえながら、どういう在り方ができるのかというのは、引き続き考えていきたいと思います。大変ありがとうございます。
 それから、94ページのオオマルハナバチのところ、これを言うと、各省のホチキス留めではないかというふうに批判があるかもしれませんが、関係省庁の取組も描く中で、加えた施策でございます。
 ただ、こういったセイヨウマルハナバチよりは、はるかにましかもしれないけど、ここの記述自体にも問題があるという問題意識は非常に重要なご指摘だなというふうに思いました。ちょっとこの施策自体をどうするかというのはさておき、そういったものもしっかりと踏まえていかなければならないということを改めて認識しましたので、大変ありがとうございます。
 ワンヘルス・アプローチについても、ありがとうございます。五箇先生からも時々、ワンヘルスはどうなっているというコメントをいただいて、そのたびに、なかなか難しいなというのが率直なところです。
 ただ、やはりそういった中で、じゃあ、何も書かないかというわけではいかなくて、いかないというのは、我々の中でしっかりとこういった戦略に少しずつでもワンヘルス・アプローチというものを書き込んでいくことで、事あるごとに、それをどうするかというのを考えなければならないと。そういうふうに認識しております。
 ですので、ちょっとまだまだ弱いというご指摘はおっしゃるとおりかと思いますが、こういったワンヘルス・アプローチというものもしっかり言葉として入れた上で、では、何が果たしてできるのかということを常に考えていきたいというふうに考えております。
 先ほど柱書きのところでコメントをいただきましたが、その後ろ、これもまだまだ不十分だと思いますが、121ページのところにそのワンヘルス・アプローチというものも踏まえて、現時点で考えている施策自体も書いております。こういったものも含めて、我々として何ができるかというのは、常に問うていくというのがワンヘルス・アプローチ的にも重要かと思っておりまして、そういうことで作成してきております。
 以上です。
○中静委員長 ありがとうございました。
 まだたくさん待っていただいている方がいるんですけれども、一度、会場に戻しまして、勢一さん、白山さん、吉田さんの順にお願いして、その後、オンラインの愛甲さんのほうからお願いしたいと思います。
 じゃあ、勢一さん、お願いします。
○勢一委員 ありがとうございます。勢一です。
 私も最初にお礼を申し上げたいと思います。短時間で国際的な動向が定まらない中で、大部なものをまとめていただきまして、改めてお礼を申し上げます。
 他方で、大部過ぎて、これからの調整がまた、さらに大変で悩ましいと思いますのと、あとは、それを社会全体で共有するのが必要になりますので、それへの理解の醸成というところも、今後、悩ましい部分になるのかなと、少し心配をしているところではあります。
 私も何点か質問とコメントをさせていただければと思います。
 まず最初は、ネイチャーポジティブの意味づけは,今回説明を加えていただきまして、さらに前進という感じかなとは思いました。ただ、そうはいっても、28ページからの記述の理解は難易度が高いような気はしています。せめて、使う言葉だけでも平易なもの、一般の国民に馴染みがあるようなものが使われるといいのかなと思ったりしました。例えば、ベースラインというような表現、多分、ここしか出ていないような気はするのですけれども、こういうあまり一般的に見慣れない言葉ではないほうがメッセージとして広く行き渡りやすいのかなと思いました。あと、同じ①の最後のほうでは、SDGsとの関係、さらに最後のパラグラフでは、NbSとの関係が書いてあるのですけれども、結局、最後は、NbSは鍵になると期待されますという形で終わっているので、何となくネイチャーポジティブのストーリーから少しそれているような形に読めてしまいます。NbS自体もなかなかなじみのない概念になりますので、ネイチャーポジティブの内容にそのままつながるような形で、書きぶりを工夫していただけるとありがたいかなと思います。
 その下のネイチャーポジティブ経済の部分も、多分、冒頭のところで書かれているものとここで書かれているものが恐らく、両方合わせると、かなりたくさんの内容が示されていると思うのですけれども、その分かれている部分がそれぞれ少しずつ惜おしい感じはしまして、うまくまとめていただく形ができるといいなと感じたところです。
 すみません。特別な対案があるわけではないので恐縮ですけれども、そういう印象を持ちました。
 あと、52ページのところで、空間利用に関わる地域計画と生物多様性地域戦略のくだりがあるのですけれども、生物多様性の地域戦略については、法律上は各地方公共団体が策定主体として求められているところにはなりますけれども、生態系の構造を考えますと、自治体区域を越えるつながりがありますので、地域戦略については、共同策定を推奨するというほうがより望ましいのではないかという認識を持っています。そのような点は、どこかに触れることができないでしょうか。
 特に市町村レベルになると、小規模なところほどマンパワーも知見も経験もありませんので、そういうところは少し規模の大きい団体と共同で策定をするほうが、計画業務としてもより効率性の高いものが期待できるのではないかと思っております。また、総合計画や環境基本計画など、各団体の計画への統合も積極的に認めていただけると、地域戦略の広がりが期待できるのかなと思います。
 併せて、同じ地域戦略に関しては、160ページのところで重点として、目標値が掲げられています。地域戦略を策定している地方公共団体の割合という形でなっています。これで、2030年に市町村で30%という目標を掲げられています。法制度上は、策定は努力義務になっていますので、策定するかどうかは各市町村の選択ということになりますので、この30%という数値の根拠といいますか、少し教えていただければと思います。法的には、努力義務にとどまるということなので、その部分を確認させてください。
 あと、もう一点ですけれども。161ページのところで、ジェンダーの視点から目標を設定していただいていたと思います。資料のほう出していただいて、ありがとうございます。これは、国際レベルでの新枠組でジェンダーが示されていて、日本の場合は、いわゆる途上国のような問題とは違う環境にあるということだと思いますけれども、政治的、政策的な意思決定にジェンダーの多様性を欠くというところがありますので、これを入れていただいたというのは非常に先駆的な取組ですばらしいと思います。
 ただ、他方で、これは環境省限りの取組になっているという理解でよろしいのでしょうかという質問です。生物多様性に関するという意味では、森林管理や流域管理が非常に大きな意思決定の意味を持っていまして、こちらの部分については、環境省の枠では届かないのではないかと思いました。今回は過渡的な段階というところもあろうかと思いますが、よろしければ、その点、少し教えていただければと思います。
 私からは以上です。
○中静委員長 ありがとうございました。
 事務局からお願いできますか。
○奥田生物多様性戦略推進室室長補佐 勢一委員、ありがとうございます。
 まず、ネイチャーポジティブの関連で、まだ練られていないねというところ、ご指摘ごもっともかと思います。ちょっとパブコメまでにどう練れるかというのはありますけど、これをいかに分かりやすく伝えられるかがやっぱり、今後のこの戦略自体の普及の鍵だと思っているので、間に合えば直して、間に合わなかったとしても、パブコメでいただいた様々なご意見も踏まえながら少し直せるところはしっかりと直して、次の3月半ばの小委員会、あるいは、中環審との合同部会に挑みたいと思います。ありがとうございます。
 どうしても役人をやっていると、ベースラインとか普通に使っちゃうんですけど、ああ、そうなんだと改めて実感しました。ありがとうございます。
 それから、地域戦略のところで我々として取組をやる際に、やはり自然が豊かなところほど実は人が少ないというか、人材が足りないというのは強い危機意識として持っておりまして、その意味で、すみません。ちょっと見ながら、どこかに書いてあった気がするんだけどと思いながら見ていたんですけど、特に共同策定というものは強く推していきたいと思っております。それが負担も減りますし、より広域のところで、生態系のつながりを認識して、取り組んでいけるというのはすばらしいことだと思っておりますので、そこはちょっと抜けていたとしたら、少し書き込みたいなと思っております。ご指摘ありがとうございます。
 その上で、努力義務ではないかという厳しいご指摘、ありがとうございます。おっしゃるとおりでございます。ですので、あくまで、ここを国家戦略として書いたとしても、我々はこれを目指して、地域の様々な取組が進むように共同策定を進めるための手引きを出すとか、そういったものは出していきますけど、その結果自体は、地方公共団体の選択だと思っておりますので、彼らに選んでもらえるような取組はしたいというふうに思っております。
 一方で、今、TNFDだとか、様々な情報開示の取組が進む中で、やはり地域における目標というのをしっかりと立ててほしいという声も、事業者サイドからも少し上がっているような話も聞いています。これは、地域戦略自体が役所が書いた文書から、様々な企業が守るべき地域目標としてしっかりと企業戦略に据えられるようなものに化ける可能性もあると思っていて、そういった期待も込めて、0と書いてみたんですけど、この数字を掲げておりますが、法的な拘束力があるといったわけではない点は、ちょっとご理解いただければありがたいと思っております。
 それから、ジェンダーにつきまして、率直に申し上げます。現時点で、ここに書いているのは、環境省の取組でございます。ご指摘のとおり森林管理ですとか、流域の管理といった様々なものにそういった観点、ぜひ入っていくべきだと思う一方で、言い訳でございますが、昆明・モントリオール枠組ができて、今ちょうど1か月ぐらいたったんですけど、その中で、ちょっとまだ調整はできておりませんでして、何か間に合えば入れていくかもしれませんが、間に合わなかったとしても、こういった問題意識、施策を掲げた上で、次の10年間の中でさらに足していく部分がないかというのは常に問うていきたいと思っております。
 ありがとうございました。
○中静委員長 ありがとうございます。
 では、白山さん、お願いします。
○白山委員 ありがとうございます。白山です。
 まずは、本当にお疲れさまというか、僅かな時間の間にCOP15の内容を大きくしっかりと反映された多様性国家戦略の原案をおつくりいただいたということと、それから、海洋政策学会からの提言について、非常にたくさんの内容を盛り込んでいただいたことにも感謝を申し上げたいと思います。
 その中で、二つほどのコメントというか質問というかと、三つほど非常に細かいんですが気になることがありまして、ご指摘させていただきたいと思います。
 一つは、COP15の成果の中で、DSI、Digital Sequence Informationに関する非常に新しい動きがあったということなんですけれども、生物多様性国家戦略原版の中では、DSIに関するところは、私が全体でキーワードサーチをしたところでは、段落が一つあるだけなんですね。内容も何となく主体的に何かをやろうというような内容は、ほとんど書いていないということがありました。
 ABSが生物多様性の保全と公平な利益の配分ということに関して、非常に重要な枠組みであるということがありますが、研究サイドから言うと、やはりそれによるかなり手続が増えたとか、いろいろな懸念事項もあって、DSIに関する議論について、やはりしっかりとした国としての戦略を持ってほしいなというふうに思っておりまして、それをここで書くものなのかどうか分かりませんけれども、少なくとも今回の新しい動きに対応した、国として何を考えるかということを、どこかでしっかりと議論するということをやっていただきたいというのが一つお願いであります。
 それから、もう一つは海洋の問題とネットワークについて、しっかりと書き込んでいただいてありがたいと思っておりまして、また森里海の連関についてもかなりたくさん書いていただいているんですが、やっぱり例えば陸の30by30を考えたときに、その30%をどこに選ぶかに関して、海へのポジティブな影響みたいなそういうのも、30を選ぶときの判断基準の一つとして考えていただくというような、そういう視点がどこかにもう少しあるといいかなということを、全体を拝見して印象として持ちましたので、少しお考えいただけるとありがたいです。
 最後は、ちょっと多分、パソコン上の作業のエラーだと思うんですが、お配りいただいた資料の31ページのところなんですけども、下のほうに白抜きになって見えてしまうところが、ここにはないな。私のところに来たデジタルだと、何か右の下に白いところがあったんで、これは大丈夫ですね。
 それから、112ページの下のほうにも1個、文字が見えないところがあったんですが、それは大丈夫でしょうかね。はい、それも大丈夫ですね。
 最後ですが172ページ、目標の5-5の30ですが、ブルー・オーシャンに関わるところで、人材育成数、現状17,000で目標10,000って、現状より目標のほうが小さい数字なんですけれども、これは何かやっぱりエラーがあるんじゃないかと思いますので、もう一度再確認をお願いいたします。
○中静委員長 白山さん、以上でしょうか。
○白山委員 はい、以上です。ありがとうございました。
○中静委員長 じゃあ、事務局からお願いします。
○奥田生物多様性戦略推進室室長補佐 手短に。まず、今画面に映っている点については、すみません。ちょっと確認します。単純ミスなのかどうかも含めて確認します。
 ちょっと下から言っていきますが、先ほど海の30by30に向けて陸との連携という視点、非常に重要だなと改めて感じております。海の保護区については、沿岸の部分は、実はもう相当入っているという状況ですけど、今回の30by30につきましては、質をしっかり上げていきたいという観点も持っておりますので、その意味で先ほど中村委員からもございましたとおり、どこの場所をちゃんとどう守っているのかをちゃんと示していくべきというコメントとも重なるところがあると思いますが、我々として本当にしっかりと意味のあるところも認定していけるような取組として進めていきたいと改めて実感しております。
 DSIについては、どうしましょう。室長からじゃあお願いします。
○山本生物多様性戦略推進室長 DSIについてのご指摘もありがとうございます。
 まだ国際的な議論も煮詰まっていない段階ですし、国内でもこれからまだまだ議論していかなきゃいけないということで、国家戦略の中ではなかなかまだ触れる段階ではない、COP15でようやく方向性が議論されて示されたというところなので、ご指摘は理解をしておりますので、今後の課題として、また改めてということかなと思っております。
○中静委員長 はい。
 では、吉田さん、お願いします。
○吉田委員 はい、ありがとうございます。
 資料2-3のページ順に、すみません、細かいことをいろいろ含めながらなんですけども。
 まず50ページなんですが、50ページの今さら申し上げて申し訳ないんですけども、状態目標の①のところですね。教育や普及啓発を通じて、生物多様性を重要視する価値観が形成されていると。この部分なんですけど、今回いろいろな目標が、ネイチャーポジティブ経済のこともそうですし、様々な行動変容について、記載が大分しっかりしているということを考えると、生物多様性だけでいいのかというところが少し不安になっていまして、ここにやっぱり人と自然のつながりみたいなもの、博物館の展示とか、先進的なところは十分取り入れているんですけど、あるいは学校の教科書なんかを見てみると、生物多様性って見たときにいろんな生きものがいますというような記載は大体はあるんですけども、それがどう私たちの暮らしとか経済とか社会に役立っているかというところが、やっぱりあんまり見えにくい展示とか、あるいは教科書なんかでも説明が抜けていたりするところがよくあるんですね。
 その点、ここにぜひ人と自然のつながりという、そういう言葉で表現するのか別の言葉がいいのか分かりませんが、生物多様性ともう一つ、それに加えて何かを人と自然のつながりを重要視するというふうに変えていただけたらありがたいなという、ご検討いただければありたがいです。
 それから、それと関連して67ページなんですけども、ここに学校とか博物館などの教育機関の役割を入れていただいたのは大変よかったと思うんですが、ここにもやはり生物多様性のことを書いてありますし、あと伝統文化、伝統知・地域知まで書いてくださったんですけど、いわゆる生態系サービスとかNBSとかに関するような記載がやや抜けている感じがしますので、ここでも先ほどの状態目標ともし合わせるのであれば、人と自然のつながりというようなキーワードを使って、そういう私たちの暮らしと生物多様性のつながりというものを伝える非常に大事な役割があるんだということを、追記していただければありがたいです。
 それから順に、69ページから始まる第2部行動計画なんですが、ざーっと何か見てみると、第1部と第2部というのが非常に何ていうんですかね、つながりというのが少し気になってしまいまして、第2部に入った途端に行動目標については話があるんですけど、状態目標という言葉がほとんど出てこなくなってしまうんですね。簡単でもいいと思うんですけども、それぞれの行動目標というのが、詳細に非常に書いていただいているんですが、それが状態目標のためにあるんだという、状態目標を実現するための行動目標なんだということが、位置づけをこの第2部の中だけ見ても分かるような書きぶりにしていただけないかなと。
 例えばの案なんですけど、69ページで言いますと、(はじめに)というのがあって、その下に第1章と始まって、もういきなり行動目標となるんですが、この第1章の19行目と20行目の間ぐらいに、あるいはそうですね、そういうところに状態目標というもののリストアップだけでもいいので、そんなにページ数も増えないと思いますので、入れていただくのが一つの案かなと思いました。
 それから、83ページなんですけど、劣化した生態系の再生ということを入れていただいて、これはGBFに合わせて入れていただいたと思うんですが、その劣化の定義が前回もお話がありましたけども、あまりきちんとまだ定まっていないという状況で、この数行だけを読むと、第1の危機については書いてあるんですけど、いわゆる第2の危機ですね。耕作放棄であるとか、管理不足の森林であるとか、そういうものが劣化の中に入らないような、あるいは書いていないので入らないのかなというふうに取ってしまいかねないと思いますので、ぜひここは、こういう第2の危機に関するような記述を、それも劣化の一つなんだというふうに、ぜひ日本の国家戦略の中では入れていただきたいなと。世界ではまた話が違ってくる可能性ももちろんあるわけですけども、日本にとっては非常に大事な視点だと思いますので、ぜひ入れていただければなと思います。
 それから、92ページから始まる外来種の話なんですけど、先ほど五箇さんからいろいろあったんで、もしかしたら言われるかなと思ったんですけど、ぱっと見る限り、国内外来種に関してのいろいろな施策というか行動が入っていないように見えるんですね。もし僕が見落としていたら申し訳ない、教えていただきたいんですけども、ぜひ国内外来種に対する対策というものも、いろんなところで今植物についても、例えば魚類についてもありますので、そういうものもぜひ入れていただけると、非常に大事かなと思います。
 それから、97ページのところで、1-5-6とか1-5-7という形で、普通種についても入れていただいたというのは非常にありがたく思っています。
 ただ、この1-5-7のところで、なぜ昆虫類だけにその指標の検討を注目するのかというところが、ややごめんなさい、お願いなんですけれども、昆虫ももちろん大事なんですけども、例えば魚類であるとか植物であるとか、鳥とかですね。もう少し普通種として皆さんが、一般の方が見ていて、生物、身近に感じるような生物なんかも、ぜひこの中に入れていただきたいなと。昆虫類等と書いてあるんですけども、これだけ見るとやっぱり昆虫ばっかりかなというふうに見えてしまいますので、この下の文章の中に入れていただくとかでもいいので、ほかの分類群についてもぜひ言及していただきたいなと思います。
 それから、これは質問なんですけども、127ページのところで、みどりの食料システム戦略に関することが書いてありまして、この127ページの下のところですね。2030年までに化学農薬使用量(リスク換算)で10%低減という、日本にとっては非常に野心的な目標が入っているんだと思います。
 ただ、世界目標を見ると、ターゲットの7、そこでは半減という、50%減と書いてあるわけですね。そういう世界から見ると、単に数字だけ見ると、世界目標のほうが非常に野心的で、日本の国家戦略は野心的とは言えないというふうに見えてしまいますので、この説明を、ぜひ補足説明を入れていただきたいなと思います。
 10%低減というのが、野心的な目標であるということを書いていただくということが大事かなと思います。数字だけ見ると、日本の目標がやや努力が足りないんじゃないかというふうに見えてしまいかねませんので、そのところを少し心配しています。
 それから、最後162ページなんですけども、ここで資源動員のことが詳しく書いてくださっています。これは、入ったことは非常に大事だと思うんですが、これも世界目標を見ると、具体的に金額まで書いてあるわけですね。その金額をどういうふうに決定するのかというところを、日本の国家戦略としてどう考えるのかというところも、ぜひ考えていく必要があるかなと思います。その部分がやや抽象的に書かれているだけで、具体的施策とある中では、もう少し踏み込んで書いていただけるとありがたいかなと。
 例えばですけど、幾らと数字を挙げるのはなかなか難しいかもしれませんが、世界枠組みの実現に向けて、日本として貢献するというような文言かもしれませんし、ほかの書き方かもしれませんけど、これだとちょっとやや抽象的過ぎるかなというふうに感じました。
 はい、以上です。長々とありがとうございます。
○中静委員長 はい、ありがとうございました。
 まだ何人もの方が発言を希望されていますので、お答え、質問共コンパクトにお願いいたします。
 じゃあ、事務局。
○奥田生物多様性戦略推進室室長補佐 はい、ありがとうございます。
 人と自然のつながりについては、非常に重要なご指摘なので、ちょっと追記できないか検討したいと思います。
 第1部と第2部のつながり、状態目標が出てこない点、これは位置づけとしては、第2部は基本的に行動を表すということで、行動目標を中心に書いていたほうが分かりやすいかなと思って書いております。
 ただ一方で、これからこの後指標の説明もいたしますが、そうした中で状態目標とのつながりも割と示せるのではないかと思っております。
 それから83ページ、劣化の定義ありがとうございます。国際的な議論の、今一生懸命アップデートを我々も図りつつありますので、そういった中で今回議論された内容を踏まえて、ちょっと直せるかどうかは検討したいと思います。重要なご指摘だと思います。ありがとうございます。
 それから、国内外来種の記述について、本文のほうには入れているんですけど、施策のほうには入っていないではないかというご指摘だと思いました。これもちょっとパブコメまでに間に合うか分かりませんし、ちょっとどうなるか分かりませんが、いただいたコメントを踏まえて少し検討してみたいと思います。
 それから、昆虫類等の「等」には、私としてはいろんなものが入っていると理解しておりますが、こちらについてもちょっと考えてみたいと思います。ありがとうございます。
 それから、みどりの食料システム戦略のところの説明がやはり要るのではないかといった点、この国家戦略本体なのかあるいは普及啓発用資料なのか分かりませんが、日本として、このアジアモンスーン地域にある日本として、またこれまで取り組んできた日本として、この数字自体が野心的であることは、しっかりと説明していきたいと思います。
 また、資源動員について、率直に言いますと、世界的な枠とした金額がやや乱暴にというか、相当乱暴に決められた状況で、あれを根拠に今すぐどうこう書くというのは、率直には難しいと思っております。ただ、ここに書いた記述のとおり、ああいった目標も含めて、我が国としての取組は今後しっかりと精査していきたいと考えておりますので、現時点ではこれ以上のことを書くのはやや難しいのかなというのが率直な感想です。ありがとうございます。
○中静委員長 はい、ありがとうございます。
 では、お待たせしました。愛甲さん、お願いします。
○愛甲委員 はい、愛甲です。ありがとうございます。
 手短にポイントを述べますが、まず概要についてです。これからパブコメやるということなので、この本文はスリム化したとはいえ随分長いので、この概要を見て自分に関心があるかどうか、そういうのをご覧になる方が多いと思うんですね。
 概要の2枚目ですか、1/2となっているところですね、ここについてですが、後ろのほうの章に行くと、ちょっとその説明が少なくなるというか、特に第4章のところは、その中身の説明が少なくなっているような気がします。特に各主体に期待される役割と連携などというのは、関心を持たれる方も多いと思うし、それぞれのいろいろ関係ある方に読んでもらいたいところでもあるので、もうちょっとこの薄いグレーで書いてあるところは、多分各章とか各節の内容を簡単に説明している部分だと思うんですけど、そこを書いていただいたほうがいいと思います。
 それから、自然公園に関する辺りですけど、70ページから71ページにかけてのところで、国立・国定公園の公園計画の点検強化というところがあるんですが、ここは前回点検から10年以上経過している国立公園地域というのを現状、目標値を挙げていますけど、目標値のほうが少なく見えるようになっていて、これは少ないほうがいいという表の指標の設定になっているんですが、これ、せっかくだったら、何か減るというのもちょっとネガティブな印象をちょっと持ったりするので、逆に10年以内に更新した地域というようなふうにして、逆転させてそれを増やすというほうがいいんではないかと思ったりしました。
 その次のところの国立公園の管理体制の強化のところですね。これはパークボランティア数と自然公園指導員の登録者数が挙げられていますが、果たして、これが本当に国立公園の管理体制の強化の目標として、目標値を上げるものとして適切なのかどうか、検討したほうがいいんではないかと思います。その次の部分では、地域参加型の管理強化というのが書いてありますが、パークボランティアと自然公園指導員だけが地域で活動している方とは限らないので、ということです。
 次の国立公園における利用の調整のところ、これは自然公園法が改正されて、自然体験活動促進計画というのがつくれるようになって、その中でも利用に関する、適正利用に関するルールを定めることができるようになりましたので、それについてもここについて書いておいたほうがいいのではないかと思いました。
 それから、山岳トイレの部分は、環境配慮型トイレ等を導入した施設数というのが、現状、目標で挙げられていますけど、これが果たしてこの後増え続けるかどうか。設置されてきたもの、更新されたものとか、それから設置してもその後の維持管理が重要ですので、こういった観点を入れられないかというのが一つです。
 それから、都市公園のところ、80ページですね。都市緑化等の推進、都市緑地の保全、都市公園の整備等となっているところですが、確保した量、それから都市公園の整備について,生物多様性、保全のために機能を果たすためには、その後の維持管理というのが重要なので、そういった観点も文章の中だけでもいいので、どこかに書いておけないかということが一つです。
 以上です。
○中静委員長 はい、ありがとうございました。
 事務局からコメントありますか。
○奥田生物多様性戦略推進室室長補佐 はい、ありがとうございます。
 概要資料の改善については、検討させてください。
 そのほかの指標のところは、ちょっとすみません、国立公園課ともまた相談したいと思います。ありがとうございます。
○中静委員長 はい、ありがとうございます。
 では、森本さん、お願いします。
○森本委員 ご説明、また整理などありがとうございました。
 私から2点あります。
 一つ目がPDFの32ページ辺り、生態系の質の向上とネットワーク化の項目です。それの5行目ぐらいから、「特に」のところで、国立公園等の保護地域においては、自然の再生や生態系の維持管理につながる取組として、希少な生物の生育・生息する森林の育成複層林化など、積極的にしますという文言があるんですけれども、ここで「希少な生物の生育・生息する」と限定されているところが、ちょっとおかしいと思います。希少な生物の生育・生息する森林ではなく、例えば「伐採管理低減、自然災害などで劣化した森林」を対象にするのが正しいのではないかと。
 というのは、希少な生物が生育していなくても、育成複層林または天然生林へ誘導する価値があって、むしろ劣化した生態系の回復や質の向上のための取組、という文脈だと思います。したがって、ここでは現状で生態系が劣化している場所を対象にするべきだと思いますので、そこの書きぶりをちょっと検討していただきたいと思いました。
 それに関連してですけれども、これは吉田さんからもご指摘あった部分ですが、PDFで恐らく80ページ辺りだと思うんですが、行動目標1-2のところです。劣化した生態系を日本ではどう定義するかということを、もう少し明確に定義してはどうかと思いました。今後、数値目標30%はついて回るので、その評価につながるので、そこの定義をしっかりしたほうがいいんじゃないかと。
 現状では、第1の危機、開発と、第2の危機、管理低減による劣化した生態系が対象のように書かれていました。第3の危機や、第4の危機、自然災害の激甚化による劣化した生態系というのは、明確に触れられていないので、そこがアンバランスと思いました。
 今のところ見てみると、農水省でいわゆる国有林での施策が中心で、環境省として、例えば国立公園内の森林で実施されている施策で、いま一度応用できるものがないのか、自然災害の激甚化で劣化した生態系の質の向上に実質的に応用できるものがないのか、いま一度精査して検討していただけたらなと思いました。
 以上です。
○中静委員長 はい、ありがとうございました。
 事務局からコメントありますか。
○奥田生物多様性戦略推進室室長補佐 ありがとうございます。
 最初にいただいた点については、ちょっとこの文脈の中でどう整理できるかは、検討させてください。少なくともパブコメはこれで行くかもしれません。
 二つ目の劣化した生態系の再生の強化というところ、まさに先ほどの吉田先生のコメントも含めてですけど、非常に重要なポイントで、ここを第1の危機のみならず第2も含めてしっかりと考えていくというのは、ちょっと今回の戦略自体に間に合わないとしても、それは今後しっかりと取り組んでいくべき課題そのものだと思っておりますので、しっかりとやっていきたいと思います。
 コメントありがとうございました。
○中静委員長 はい。
 では、深町さん、お願いします。
○深町委員 はい、ありがとうございます。本当にすごく大変な仕事を、短期間でありがとうございます。
 まず、私のほうからお聞きしたいというか、お願いしたいこととしまして、ネイチャーポジティブということで、日本語での自然再興ということで、括弧でつけていただいて、それはもうよかったかと思います。ネイチャーポジティブのことを説明されるときに、せっかく日本語の漢字で表記しているので、再興という意味だとか、なぜネイチャーポジティブを自然再興としたのかというような背景も踏まえながら、この言葉を単に括弧で示しておしまいというのではなくて、この言葉がその後にも生かされるような形で使っていただけるような、そういうふうなことが感じられるような文面になるといいなと思いました。
 二つ目は2ページ目で、ネイチャーポジティブの中にネイチャーポジティブ経済というのと、ネイチャーポジティブ活動という言葉があります。しかし、ネイチャーポジティブ活動という言葉は具体的な説明文には1か所、取組の中に書いてあるだけのようです。ネイチャーポジティブ経済に比べると、この言葉が1回出ているだけなので、ネイチャーポジティブ経済以外の取組を、何をもってネイチャーポジティブ活動というのか、何を指しているかが分かりにくいなと感じた部分があります。言葉で最初に言葉で出すからには、ネイチャーポジティブ活動とは何か、もう少し明確に、分かるようにするといいかなというふうに思いました。
 それから、3ページ目にあります、番号で言いますと4章の5ということで、伝統文化や地域知・伝統知に配慮しつつ地域における自然環境を保全・再生するということなんですけれども、この章自体がどちらかというと行動につながるような、行動変容につながるような章の中にあるということもあります。基本的な伝統文化だとか地域知・伝統知の捉え方として、単に保存する、あるいはそういうことを配慮すればいいというのではなく、より積極的に固有の文化や知恵、技術を自然環境の保全・再生という観点だけでなく、積極的に活用していくという姿勢が見える文面になるほうがいいんじゃないのかなと思ったところがありますので、もう確定している文章、章立てになっていると思いますが、もしちょっと検討する余地があれば、その辺りを考慮いただけるといいかなというふうに思いました。
 最後になりますけれども、里山に関連して様々な言葉が出てきていまして、前半の17ページぐらいから、行動計画のところでは里山林という表記があり、他では里地里山という言葉が出てきたり、また最後のほうの210ページぐらいになると、里山林という言葉は全然出てこなくて、二次林だとかほかの言葉に変わっているように思います。全体を通した言葉の統一、使い方というところで、再確認いただいたほうがいいと思いました。里山という言葉に関して一部の定義は書いてあるんですけども、全体を通して言葉をどこでどういうふうに使うか確認いただかないと混乱するかなと、ちょっと心配になったので、その辺りの確認をお願いしたいと思います。
 それと、最後の210ページのところで、ほだ木を木材の1つと書いてある文章があると思うんですけれども、ほだ木は材木というよりは林産物の1つとする方がいいのでは、と思いました。森林からは多様な恵み、利用の仕方があることが分かるような形の表現が重要なので、再度確認いただけるといいかなというふうに思いました。
 以上です。
○中静委員長 はい、ありがとうございます。
 コメントお願いします。
○奥田生物多様性戦略推進室室長補佐 はい、ありがとうございます。
 ネイチャーポジティブのところは、やはりいろいろご指摘いただいているので、見直せる限り見直したいと思います。
 それから先ほどの伝統文化のところ、ちょっと私が追い切れず、後で分かった場所ですけれども、先ほどの吉田先生のコメントとも関連するかなと思っておりまして、人と自然のつながりといったものも含めて書いていければいいかなと思っております。
 言葉の使い方について、すみません。まだ精査が要るところはあると率直に思います。一方で、多様性という文脈の中で、本当に多様な言葉が使われていて、それらを全てきれいに統一し切ることもちょっと難しいかなと思っておりますが、ちょっといずれにせよ、そういった最終的な仕上げの部分に向けて、精査できるところはしていきたいと思います。
 コメント、大変ありがとうございました。
○中静委員長 はい。
 では、藤田さん、お願いします。
○藤田委員 はい、ありがとうございます。藤田です。聞こえますでしょうか。
○中静委員長 聞こえます。
○藤田委員 私はまず、27ページお願いします。基本戦略3というところになりますけれども、基本戦略3のところに、事業活動に生物多様性・自然資本の考え方が組み込まれるような施策という書き方、最後の行に書いてあるんですけれども、何かすごく漠然としているので、事業活動に生物多様性の考え方が組み込まれるような施策ってどういうことなんだろうと。言わんとすることは分かるんですけど、もう少し具体的に昆明・モントリオール枠組とかでもいろいろ、あるいはTNFDでも指摘しているように、事業活動が生物多様性・自然資本に与える悪影響を低減し、プラスを促進するような施策みたいに具体的に書いてあげたほうが、企業の人にとっては分かりやすいのではないかというのが1点目です。
 次、42ページ目お願いします。42ページ目の②のところが、ファイナンスなんですけれども、これ以前の会議でもひょっとしたら私言ったかもしれませんが、やっぱりグリーンファイナンスという言葉よりも、サスティナブルファイナンスのほうが一般的だと思っています。やっぱり生物多様性って何か、こう人権とかほかのことにも結構関わりますし、あとEUのタクソノミーもEU SFDRとついで、SFはまさにサスティナブルファイナンスですし、あと投資だけじゃなくて融資とかも入れると、サステナビリティ・リンク・ローンとか、そういったもので生物多様性関係のものがもう出てきているので、サスティナブルファイナンスという言い方をしたほうが、1行目ですね、いいのではないかと。2回出てきますよね。いいのではないかというのが提案です。
 それからそのちょっと下、③の業界ごとの取組を促進、ここもみどり以外は業界単位でやってくださいみたいな書き方で、ちょっとすごく、いいんですけど、間違いじゃないんですが、これだと企業あまり頑張らない気がしていて、せめて例えば電機・電子4団体、既に生物再生のガイドラインをこれまでも持っていたりとか、建設業界もそういったものをつくっていたりとかしてきましたし、また国際的なところに広げるとアパレルだとSACだとか、小売とか食品だとCGFとかのそういうガイダンス、業界ごとの取組を参照しながらもう進めていらっしゃる企業さんもいますし、WBCSDとかグローバル・コンパクトもあるわけですから、少し何かペケペケやペケペケ、ペケペケなどの例があるようにみたいに、ちょっとこう、もう少し他の業界も含めて企業の背中を押してあげるような、既にあってそういったものを活用しながらというようなことも組み込んであげると親切ではないかと思います。
 123ページ目お願いします。先ほど、西澤委員からもご指摘がありましたように、ちょっと私もこの目標値、企業に関する目標値ですね。これ、環境省とか農水省とかの現状の施策だと思うんですね。そうすると、やっぱりどうしても目標値の数字がすごく少なくなると。
 例えば、このサプライチェーン対応、え、9社だけなのみたいに、生物多様性のサプライチェーン対応、9社だけなのという気がしちゃいますし、情報開示なんかもこれからTNFD開示とかをしていく企業さんも増えるので、ここにあるのはTNFDへの何か賛同とかだったと思うんですけど、TNFD開示をしている企業さんの目標値を、改めてもしかしたら定めたほうがいいかもしれないですし、あるいは先ほど別の委員からもありましたように、みどりの戦略のところの農薬、肥料の削減のところも、やはり世界は半減なのに何で日本は10%とか20%削減なのというところあると思うんですね。
 なので、もし昆明・モントリオール枠組や目標を踏まえて今後、目標値を見直すみたいな文言が、見直す可能性があるとか見直していくという文言が、もしかしたら既に入っていたかもしれませんが、明記されているとよいと思います。ここに書いたことはCOP15前までに決まっていた目標値であって、今後これを見直していくんだなということが分かっていいのではないかというふうに思います。
 あとはすみません。細かいことですけれども、9ページ目で最後、ごめんなさい。9ページ目に戻っていただいていいですか。海洋環境を入れていただいたのが大変よかったという話、私もそう思っています。海洋資源とか水産資源って、ここに入っていなくて食料のところに入っているんですが、やっぱり魚の絶滅危惧種が増えたりとかって、そういうようなこともすごく重要で、ここには入れていないんですけど、最後の、ここの海洋環境の最後、ちょっとスクロールしてもらっていいですかね。最後のほうの、ここですね。違法漁業、海洋生態系の保全と違法漁業への対処みたいなここの1行しか入っていないんですが、水産資源とか海洋資源が今減少しているということも、何かリフレインになるかもしれませんけども、ここにも入れておいていただけると、海のことも包括的に頑張んなきゃいけないんだなということが分かるのではないかと思います。
 私からは以上です。
○中静委員長 はい、ありがとうございました。
 事務局、お願いします。
○奥田生物多様性戦略推進室室長補佐 ありがとうございます。
 ちょっと文言の部分についてはいただいたコメントを踏まえて、精査できるところは精査して、パブコメに間に合うところは間に合わせたいと思っております。ありがとうございます。
 それから見直しの部分ですけど、昆明枠組を踏まえて早急に策定するものということで、何もCOP15までの情報ではなくて、昆明枠組を踏まえたものだと思っておりますが、当然ながら今後さらにグローバルレビュー、この後、説明していく中で見直すべき要素もあるかと思っております。思っておりますが、現時点でまとめたものはこちらだということで、我々としてはまずはこれに基づいてやりますが、足りない部分は当然ながら必要に応じて、足すなり強化していくなりというのはあるのかなと思っております。ありがとうございます。
 そのほか、文言についてコメントいただいたところも、ありがとうございました。
○中静委員長 はい、ありがとうございます。
 では、大沼さん、お願いいたします。お待たせしました。
○大沼委員 ありがとうございます。非常に多くの知見をまとめていただき、本当ありがとうございます。
 私のほうからは、1点質問と1点コメントですね。それから2点はちょっと気づいた点、指摘させていただきます。
 最初、28ページの中で、これからの柱は、環境政策の柱は、カーボンニュートラルとそれからサーキュラーエコノミーと並んでネイチャーポジティブということになるということが明記されているんですが、これは質問なんですが、今まで環境省は、環境政策の柱として自然共生という言葉を使ってきたわけです。冒頭のスライドでも自然と共生する社会ということは掲げているわけですけれども、この言葉をネイチャーポジティブに変えたのでしょうか。これをお聞きしたいと思います。
 私の意見としては、自然共生のほうがいいかなと思います。なぜならば、それは豊かな自然と人との関わりというのを何か、明確に想起させてくれる言葉で、またやはり国民にとっても分かりやすいという意味で、自然共生のほうがやはりいいのではないかなと個人的には思いますので、そこのところを教えていただきたいと思います。
 2点目は、ネイチャーポジティブ経済、先ほどからいろいろコメントされておりますけれども、経済に限って言いますと、やっぱりどういうふうな形で今の経済を変革していくか。その柱として何が必要かというのは、やっぱり見えてくる戦略だと非常にいいのではないかなと思います。
 経済全体のシステムをどういうふうなものにするかというものとして、従来から言われているのはPESやインセンティブ、これはこの素案の中にも盛り込まれておりますけれども、それと何かネイチャーポジティブ、経済との関係というのが見えてこないんですね。冒頭のスライドありますよね。あそこで一番最初にスライドが示されていて、そこでネイチャーポジティブ経済、基本戦略③でネイチャーポジティブ経済の実現というのがありますが、例えばそこにこれまで自然保全型の経済を実現する柱として、負のインセンティブを減らしたり正のインセンティブを設けたり、それからPESを導入したりするということが当然入ってきていると思うんですが、それがどのように位置づけられているのかというのが見えてきていないと思います。
 もし、ネイチャーポジティブ経済というもので、多くの経済を包含するようなことをイメージされているのであれば、そうした明示的な経済システムも基本戦略③の中に何か加えたほうがいいのではないかなと思います。
 いずれにせよ、もう少しこのネイチャーポジティブ経済ということと、それからPESやインセンティブシステムとの関係というのを明らかに分かる形で示していただきたいということが一つです。
 それから、あと指摘させていただきたいのは、125ページで、ちょっと気づいた点で細かくて大変恐縮なんですが、ABSを実施するという言葉が出てきていますけど、ABSというのはAccess and benefit sharingで、価値中立的な言葉だと認識しています。
 ですので、不適切なアクセスもあれば適切なアクセスもありますし、公平なベネフィットシェアリングもあれば、不公平なベネフィットシェアリングもありますので、ここは適切なABSとか何か、その辺形容詞をつけられたほうがいいのではないかと思います。これは、冒頭のスライドかどこかでも同じような使われ方をしていますので、そこのところを改善していただければと思います。
 それから、144ページですね。ここが赤字でサステナブルファッションのところで、三つ目の黒ポチのところ、ストックを有効活用しながらと書かれていますけど、リユースとかリペアとかメンテナンス、これストックとちょっと読み取れないと思います。違う意味でもしお使いだったらそれは申し訳ありませんけれども、私は通常、経済とかで使うストックという概念とは、これとは違っておりますので、ここのところを別の言葉に変えられたほうがいいのかなと思います。
 以上です。
○中静委員長 はい、ありがとうございました。
 事務局、コメントお願いします。
○奥田生物多様性戦略推進室室長補佐 はい、ありがとうございます。
 まず、自然共生社会を応援いただいてありがとうございます。2050年目指すところは自然共生というのは、我々変えておりません。ただ自然再興という言葉には、やはりアクションを起こしていくという思いを強く含めております。自然共生という理想状態を目指してそのためには自然の、すみません、生物多様性の損失を止め、反転させるというアクションを起こすといったものに自然再興の思いを込めておりますので、あるいはネイチャーポジティブですね。より行動志向だというふうに考えております。
 言葉のはやりというものもありますが、我々としては自然共生を目指して今自然再興というものを進めていくという思いを持っております。
 それから、少し言葉の精査が要るのではないかといったコメント、ありがとうございます。ネイチャーポジティブ経済については、私の理解しているところでは、やはりすごく大きな社会システム全体の変革に向けてできることをしっかりとやっていこうということだと思っておりますけれども、そういった中でいただいたコメントを踏まえて、どういうふうに修正していけばいいかというのは、担当部局とも相談させてください。
 そのほか、ABSに関すること、あるいはサステナブルファッションに関すること、こちらもちょっと、担当部局と調整したいと思います。ありがとうございます。
○中静委員長 はい、ありがとうございました。
 広井さん、どうぞ。
○広井委員 ありがとうございます。
 ごく簡潔にですね。48ページかと思いますが、下のほうで地域における伝統文化、自然観の継承というところがあると思います。ここは私、これまでこの委員会でも鎮守の森とか八百万の神様といった言葉に象徴されるような、日本における伝統的な自然観とか文化ですね、これがこのテーマにとって重要ではないかということを申したりもして、この部分はやはり非常に重要だと思うんですね。それはやはり一般の人々にとってなお、生物多様性という言葉が必ずしも浸透していないのを身近にするという意味でも、また国際的な発信という意味でも重要かと思います。
 また、ネイチャーポジティブということとも、こういった自然観、自然が機械論的な自然ではなくて内発的な力を持っている、こういった自然観というのは、ネイチャーポジティブともつながると思いますので、重要な点ではないかと思いますので、ここは維持していただいているのは非常に幸いに思いますし、またOECMの30by30との関係でも、この社叢林、これは非常に特に日本の場合重要な意味を持つ、独自の意味を持つもので、社叢林に関する社叢学会というのがあって、前も申したかもしれませんが、そこもぜひアライアンス、連携させていただければというような意向を持っておられますので、ここら辺はぜひ発展させていければなと思います。
 あと1点のみ。先ほどワンヘルス・アプローチの話が出ましたけども、やはりコロナにしても厚生労働省などはどうしても短期的な対策に追われがちだと思いますので、ぜひワンヘルス・アプローチについては、環境省がイニシアティブを持って進めていただければ幸いで、これは期待ということでコメントさせていただきます。
 感想的なものですので、必ずしもご回答不要です。
 以上です。ありがとうございました。
○中静委員長 はい、ありがとうございました。では、それは反映させていただくというようなことでお願いしたいと思います。
 これで発言を希望されている方には、全員発言していただきました。時間もちょっと押していますので、ここで5分くらい休憩させていただいていいですか。10分という予定だったんですけど、短くして5分にしたいと思います。5分というより4分ぐらいになっちゃいますけど、25分まで休憩させていただきたいと思います。25分に再開します。どうぞよろしくお願いします。
(休憩)
○中静委員長 じゃあ、時間になりましたので再開させていただきたいと思います。短い休みですみません。
 次は各状態目標、行動目標に係る指標についてです。皆さんご存じのように、10月にオンラインで指標案についての意見交換を行いまして、その概要については本日の参考資料に加えていただいています。指標の次期戦略における位置づけも含めて、事務局からご説明をお願いいたします。
○奥田生物多様性戦略推進室室長補佐 はい、ありがとうございます。
 それでは引き続き戦略室、奥田から説明いたします。資料共有いたします。
 映っていますでしょうか。資料につきましては、資料2-4シリーズを説明いたします。よろしくお願いいたします。ちょっと時間が押していますので、できる限りコンパクトに話していきたいと考えております。
 資料2-4ですけれども、最初の黒四角のとおり、昆明・モントリオール生物多様性枠組では、レビューメカニズムが強化されています。その背景にあるのは、一目標でやはり目標達成されたものが非常に少なかったこと、それからパリ協定を受けてNDCといった目標値をどんどん高めていくような仕組みができたこと、こういったものに触発されまして、やはり生物多様性分野でもできる限りしっかりと、数値も含めて取組状況を把握して、それらが本当にちゃんと世界目標の達成に向けて足りているのかというのをしっかり見ていこう、こういった議論があったと理解しております。
 その上で何が起こっているかと申しますと、各国が共通して使用することが求められる「ヘッドライン指標」というものを設定していこうと。
 それから、各国が新枠組を踏まえて改定する「生物多様性国家戦略の国別目標」、我が国だと状態目標、行動目標を基に、新枠組に対する各国の貢献を世界全体で積み上げる分析をCOP開催毎にやっていこう。
 さらに、国別報告書というのを2026年あるいは2029年に提出していきます。それを基に、各国の進捗状況を点検・評価する「グローバルレビュー」を実施していこう。こういったものによって、必要に応じて各国による取組の見直し等を提案していこうという流れになっていくかと思います。
 こういったものを踏まえまして、我が国の国家戦略におきましては、次のとおり対応していきたいと考えております。
 国別目標である「状態目標・行動目標」の達成状況を測る指標を設定していきたいと。ただ、ヘッドライン指標について、今回のCOPでどういう項目を入れるかというところまでは決めましたが、測り方も分かっていない指標もたくさんあります。26個中10個はそういう指標でございます。ですので、その指標の開始自体は、国際的な議論の動向を踏まえて判断していきたいと考えております。
 今の戦略の中に書いてございますけれども、指標や個別施策の定期的な点検を2年に1回を基本として、さらに本戦略の評価を実施していきたいと考えております。
 それから、点検・評価を踏まえて、必要に応じて先ほどもご指摘がございましたが、指標や個別施策の更新や追加等の見直しはしたいと考えております。
 こういったものを踏まえた上で、柔軟な見直しができるように、国家戦略本文にはこの「状態目標・行動目標」の達成状況を測る指標自体は本文中には盛り込まずに、生物多様性国家戦略関係省庁連絡会議において取りまとめて、しっかりと公表していくと、これによって必要なものを適宜足していけるような形にしたいと考えております。
 世界枠組との対応関係を少しだけ見ていきたいと思っております。
 上に書いてあるGBFというのが、昆明・モントリオール生物多様性枠組でして、下が次の国家戦略の対応関係でございます。
 2050年自然と共生する世界というのは目指すところでして、2030年のネイチャーポジティブを共に目指していくと。昆明枠組のほうはネイチャーポジティブとは書いていないですが、同じことでございます。その下にゴールABがあって、ターゲットがございますが、これらに対応するのが基本戦略から始まる状態目標、行動目標といった形となっております。
 これらについて、次のページ、ほぼそっくりな図ですけれども、我が国におきましては、基本戦略の下に状態目標3つ程度、それから行動目標5つ程度というのを掲げております。この施策の中に各施策の進捗を表す指標というのが、また別途ございます。ございますけれども、この施策ごとの指標、大体400近い項目があるうちの大体半数ぐらいに、そういった指標が既に設定されておりますが、それとは別にそれぞれの行動目標全体を表す指標というものをしっかりと位置づけていけないかと。あるいは状態目標の表す指標を位置づけていけないかと考えております。それが本日の議論でございます。
 そういった指標を設定していくに当たっての基本方針を、最後の4ページ目にまとめさせていただきました。それぞれの状態目標、行動目標に対して、その意図を的確に表現するなるべく最小限の指標というのを設定したいと思っております。
 というのは、状態目標、行動目標だけで40個あります。三つずつつくると120、五つやると200とかなり増えていきますので、それはできるだけ最小限にしたいと。その上で包括的に測るべきことのできる指標があれば、それをできるだけ優先すると。ただそういったものがないものもたくさんありますから、そういったものは少数ピックアップして、代表的なものを少数ピックアップして設定していくと。
 生物多様性関係の議論をするとき、やはりとりわけ経済関係、あるいは一人ひとりの行動変容といったものを考えたときに、多様性の要素を明確に区別できないものが多数あります。区別できるものは区別することも考えておりますが、そうでないものは、そのほかの要素も含めて、実は目標設定していくことが重要ではないかと考えておりまして、必ずしもきれいに分かれるものだけではないということをご理解ください。
 基本的に、状態目標は「状態」を、行動目標は「行動」、当たり前ですけど測るものとして区別していこうというふうに考えております。こういった形でつくった指標については、本戦略の効果的な進捗・達成の把握のために、必要に応じてやはり更新あるいは追加等の見直しは随時行いたいと考えております。
 ちょっと小難しいことをいろいろ申し上げてきましたが、今後の作業として要はどうするかといいますと、これから資料2-4の別紙1というので、現時点で出てきている主な指標を出します。それらに対して不足している指標群については、さらに検討・調整を進めまして、先ほど国家戦略の本文の外に置くと言いましたが、本年3月下旬、3月末に閣議決定を目指すこの戦略本体の閣議決定と併せて、指標一覧についても取りまとめて、同時に公表したいと考えております。
 ただ、次年度以降もヘッドライン指標の国際的な議論の動向もありますし、本戦略の評価でしたり、また新たな指標が今どんどん開発されています。そうしたものを踏まえて、指標の更新、追加というものは随時行っていきたいというふうに考えております。
 以上が基本的な方針ですが、では具体的にはどういったものかというので示したのが、この別紙1でございます。ここに並べられている、字が細かくて恐縮ですが、想定する主な指標というのが今回提示しているものでございます。
 この表、実は幾つか注意事項がございまして、まず右の列につきましては、今対応するヘッドライン指標ということで、こういったヘッドライン指標が対応するのではないかというものを掲げておりますが、ヘッドライン指標に対応する国内の指標がないものについては、ヘッドライン指標自体を斜体にしてイタリックにしています。
 これ、見ていただくと分かるんですけれども、それぞれ状態目標1に対して想定する主な指標、状態目標2に対して想定する主な指標と、この辺りは埋まっておりますが、幾つかの指標、目標につきまして、検討中ということで書いていないものがございます。こちらはどういうことかといいますと、一番最初の注意書きに書いておりますが、該当する目標を網羅する指標群を設定できていない場合は「検討中」としたということでございます。どういう意味かと申しますと、それぞれの目標を要素にして分けていったときに、それに対応する指標がある程度網羅的に今回示せたかということを考えております。示せていないものについては、目標⑤と検討中という形にしておりまして、さらに議論した、調整した上で示していきたいというふうに考えております。
 ちょっとネガティブに聞こえちゃったかもしれないんですけど、今40ある状態目標、それから行動目標のうち、今回お示ししているのが34、85%でございます。残りの15%部分については、まだもう少し調整が必要だということで、目標全体を示しておりませんが、大体85%までは示してきているというところでございます。
 また、今見せている例えば状態目標の1で、これ三つほど示しておりますけども、示したものも必ずしもこれだけで十分かというとそうではないものもございます。
 なので、示したものでも足していくものは足していきますし、書いてある内容も質の面で玉石混交であることは、率直に言うとあるかなというふうに考えておりますし、また数も結構異なっています。多いものだと13個ほどの指標を掲げておりますし、少ないものだと現時点で1個というものがあります。大体平均すると3.7個か8個ぐらいなんですけど、いう状況でございますし、弱いところもあります。ただ、実際にはかなり関連する、確かにこういうものをしっかりと図っていけば、この行動目標に対してある程度進捗が見えるだろうというものを加えていっていると思います。
 なぜ、そうなったかというと、10月に意見交換させていただいたときにも、様々な有用なご意見をいただきましたけれども、そうしたものも踏まえまして、たくさんの指標の中から関連しそうなものをとにかく絞り出しまして、調整した結果でございます。そういうふうにして、これまで設定しております。
 示したのがこちらでございますけど、現時点で示せていないものについて、簡単にコメントさせてください。示せていないものとして、基本戦略2の状態目標2というものがございます。こちら気候変動対策による生態系影響が抑えられるとともにという気候変動対策と生物多様性・生態系サービスのシナジー構築とトレードオフ緩和が行われているという状態目標でございます。やはりこの気候変動対策と生物多様性の取組をどういうふうにしてシナジーを高めていくのか、あるいはトレードオフを回避していくのかと、非常に重要な課題だと思っていて、こちらについて重要であるゆえ早く示せということもあるかとも思いますけども、やはりいろんな要素があって、生煮えの状態では出せないなと考えておりまして、こちらについてはさらに調整していきたいと考えております。
 行動目標の3、これも気候変動緩和・適応にも貢献する自然再生を推進するといったような内容ですけども、こちらについてももう少し精査が必要かなということで、目標全体を検討中という形にさせていただいております。
 それから、その後はしばらく飛びますけれども、基本戦略4のところで、行動目標の2のところで、触れ合い関係のところがございます。触れ合い関係、施策として数えてみると、例えば現行の国家戦略第2部には、15個ほどたしか施策が並んでいて、それなりに数もありますけど、なかなかこれをもってすれば触れ合いというものがしっかり図られているという横断もなくて、もう少し調整が必要かなと思っております。
 また行動目標の3、国民に積極的かつ自主的な行動変容を促す。安易に指標を設定しようとすれば、広報普及啓発の取組を書くだけだと思うんですけど、果たしてそれだけで行動変容につながるのかといった観点で、もう少し指標としては調整したいなと考えておりまして、現時点で検討中としております。
 また基本戦略の5でございますけど、状態目標の2、こちらご質問でもございましたが、生物多様性保全に係る資金ギャップの改善に向けて、保全のための資金が確保されている。これは国債枠組の中でも今数値目標といったものも入ってきてございますが、そうしたところを把握していく、あるいは我が国として対応していくために、適切な指標についてはもう少し調整が要るかなということで、こちらについては検討中としております。
 同様にこの行動目標の4ですね。こちらについても同様の対応としております。
 こういったものについて、できる限り調整して、さらに示せるものは示した上で、閣議決定と同時にしっかりと公表して、国家戦略の取組を図るものとして示していきたいというふうに考えております。
 また、この指標についてはパブコメでは参考資料として出して、こちらについてもご意見いただくことも可能だと思っておりますし、またそれらを踏まえて調整したものについて、また3月半ばに予定しております最終的な自然環境部会、そして小委員会のほうでもまたコメント等いただければありがたいと考えております。
 すみません、以上でございます。
○中静委員長 はい、ありがとうございました。
 ということですので、状態目標それから行動目標に関する指標とか、それに対するご意見ももちろんですが、指標含めたレビューメカニズムについてのご意見、それから基本方針についてのご意見も含めてお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 橋本さん、お願いします。
○橋本委員 はい。ご説明ありがとうございました。
 指標の今のご説明いただいた基本的な方針については、これで問題ないのかなというふうに思いました。ただこれ提案なんですけれど、ちょっと実施がどこまでできるか分からないですけど、例えばこれを県レベルで評価できるようにするとかしておくと、もう少し地域性を踏まえてこれら指標が、例えばそれぞれの、都道府県の生物多様性保全にどういうふうに貢献しているかというのが、また別途評価できるようになるのではないかなと。国レベル全体で見るとなかなか評価しづらいと思うんですけれど、サンプルも増えますし、そういった評価の仕方だとか、県の取組状況の評価というのにも使えるかなというふうに思いました。
 あとは、これ2年に1度程度の定期的な点検を行って、場合によっては指標の更新、追加等の見直しを行うということなんですけれど、ぜひとも今回の国家戦略、これから閣議決定にかけようという段階なんですけれど、次の改定に向けたタイムラインとかを少しずつ具体的にしていただくというのがいいかなと思いました。
 2年に1度というと24年、26年、28年で、2030年というふうになるわけなんですけれど、どういう目標で進めていくのか。この中に例えばJBO4がどう絡んでくるのか、JBO4の中で今回の国家戦略をどういうふうに総括していくのかというのが、多分関わってくると思いますので、今回の閣議決定の前にやる必要はないかもしれませんが、ぜひともこの後のフォローアップの取組として、そういったことも検討いただきたいと。
 あともう一つご提案なんですけれど、戦略課題等の推進費があるわけでありまして、そういったところの研究チームとうまく連携しながらこういった指標設定の部分など、どういうふうに研究面で補強できるのかということも、併せてご検討いただければと思いました。
 以上です。
○中静委員長 はい、ありがとうございました。
 事務局からコメントありますか。
○奥田生物多様性戦略推進室室長補佐 はい、ありがとうございます。
 把握できるものについては、もちろん都道府県レベルで把握していくものもあると思いますが、ちょっと全部ができるかというとやや自信がないところもある一方で、やはりこういう指標をしっかり示して、こういうものが欲しいんだというメッセージは出せると思っておりますので、できるだけこれがしっかり関連するというものを示していきたいというふうに考えております。
 それからJBO4とかあるいは5といった動きは、ぜひ国家戦略とも評価とも連動するようなスケジュールを考えておりまして、先ほどご指摘いただいたようなものはちゃんとお示しできるようにしたいというふうに思っております。
 また、この指標の今議論する中で、こういう指標やっぱり欲しいよねという話は相当ありました。ですので、せっかくその戦略課題といったものもこれまで動いていましたし、またこれから動こうというタイミングかと思いますので、そういったチームともしっかり連携しながら、行政ニーズとしてしっかり示していきたいと思います。ありがとうございます。
○中静委員長 はい、ありがとうございます。
 吉田さん、お願いします。
○吉田委員 はい、すみません、ありがとうございます。
 この2-4の資料の3ページ目のところで、行動目標がアウトプットで状態目標がアウトカムで、このJBOのときの3のときもそうでしたけど、アウトプットとアウトカムの位置づけというのがやっぱり難しい。世界目標を見ても、ターゲットの中にミックスしているとかですね。今回の国家戦略の中の状態目標と行動目標の中でも、特に戦略3、4、5に関わるところ、これは状態なのか行動なのかという。状態目標になっているんだけど、それは全体から考えれば行動目標ではないのかというような見方もできると思うので、その辺の整理はどういうふうに今後、考えていくのか。JBO4に対する宿題なのかもしれませんけども、少しお考えをお聞かせいただければなと思うのが一つと、もう一つは今、橋本委員も言われたんですけども、県レベルというよりは、もう少しブレイクダウンして市区町村等も含めて、特に生物多様性地域戦略とこの国家戦略の絡みみたいなものが、どこかに書いてあってもいいのかなと思ったんですね。
 これは、ちょっとどういうふうにパブコメにかかるのか、あるいは閣議決定された後にどういうふうに見ていただくのか分からないですけど、もちろん文章の中を見れば地域戦略のことは書いてあるんですけども、国家戦略を進めるに当たっての地域戦略の位置づけみたいなものが、どこかに一言ぐらいはあったら大変ありがたいなと思います。その二つです。
 以上です。
○中静委員長 はい、ありがとうございます。
 事務局、お願いします。
○奥田生物多様性戦略推進室室長補佐 はい、ありがとうございます。
 今、吉田委員からご指摘のとおり、その状態目標をどうするのかというのは、今回戦略を通して相当悩んだところです。ですので、率直に言いますと、状態目標の1、健全な生態系の確保と状態目標2は生態系サービスが主になってきますが、それに対して3、4、5で随分毛色が違うというのは、ご指摘のとおりかと思います。
 そこの整理が完全にできているかというと、完全には恐らくできていないんですけど、少なくともこれまでのまさに行政が取り組むことと、その結果として人々の行動を変えていくというところについては、ある程度は切り分けてはいるのかなというのが、こちらとして考えているところです。
 ただ、その切り分け方が果たして適切であったかどうかも含めて、今後JBO4等も含めてちゃんと把握していく必要があるかなというのは率直に思っております。
 それから、地域戦略との関わりですけど、ちょっとそれがどこまで書けるのかというのはありますが、今回のパブコメ中にも地域ごとに説明会をまず開催したいと思っておりますし、その後もブロック単位も含めて都道府県、あるいは市区町村と意見交換をしていこうと思っております。
 そういった中で、こういった目標のみならず、指標についても様々働きかけ、調整していきたいと考えておりまして、そういった中で地域の取組が国家戦略としても評価できて、国家戦略としての取組が世界的にも評価される、そういったものをしっかりと作り上げていきたいと思っております。ありがとうございます。
○中静委員長 はい、ありがとうございます。
 勢一さん、お願いします。
○勢一委員 はい、ありがとうございます。勢一です。
 確かにまだ測り方も分からない状態のものもあるということですので、事務局も今回までかなりご苦労されたと思いますし、恐らく今後も悩みながらいろいろ皆で知恵を出しながら考えていくということになるのだろうなと思って、お話を伺っておりました。
 私からは2点申し上げたいと思います。
 1点目は、手続的な点ですけれども、ご説明ですと、今後は関係省庁連絡会議において取りまとめて公表していくと。恐らく今後、更新、追加などもそのような形で進められていくということだと認識しています。もちろんそれは取組責任者の会議で重要だと思いますし、アジャイルでやっていただくのには大事なことだと思いますが、ぜひ何か国家戦略のフォローアップなどに合わせて、専門家の意見を入れる機会と、理想であればパブコメの手続もご検討いただければと思います。
 先ほどお話がありましたけれども、ぜひ地方公共団体との意見交換は、丁寧に進めていただければと思います。先ほど来ご意見が出ていますけど、地域レベルでどのように取り組めるのか、多様な地域の中で指標がどういうふうに見えるのかを検討いただくためにも重要だと思います。パブコメをやると地方自治体の担当者も出すのですけれども、そうではなくて、国と自治体の担当者間で専門的な議論をしていただければと思います。これが1点目です。
 もう1点ですけれども、この指標の中に地域戦略とか地域計画の策定状況や改定状況などを見ながら、その数や割合を参照するというふうになっています。なかなか捕まえに行くものがないので、悩ましいところでこのような形になっていると思うのですが、これは先ほど申し上げたところともつながりますけれども、やはり地方自治体にとって行政計画というのは、かなり重たい手続の手法で、ありとあらゆる分野で行政計画をつくらなければいけないので、今後は優先順位を考えて選択していく必要があるという事情があります。
 今年度の閣議決定でもあったのですけれども、これまで計画でやってきたものを計画以外の手法で実現するというパターンも増えてくることになります。ですので、測るときに地域戦略の数だけではなくて、地域戦略の機能を担っているようなものがあれば、例えば協議会の合意形成とか、そういうものを使われることもあろうかと思います。少しその辺りの何で測るかについては、ぜひ現場の状況も確認して、指標の中に取り込んでいただければ、現状が分かりやすくなるかなと思います。
 以上です。
○中静委員長 はい、ありがとうございます。
 事務局、ありますか。
○奥田生物多様性戦略推進室室長補佐 はい、ありがとうございます。
 関係省庁連絡会議で決めるというので、何もブラックボックス化するつもりはなくて、ずっと専門家の方のヒアリングもそうですし、検討の場も必要に応じて持ちながらやっていきたいですし、また小委員会自体は国家戦略が策定されれば一旦閉じると思いますけれども、その親委員会である自然環境部会等の場も含めて報告し、ご意見をいただくような場を設けたり、また現行戦略でも点検の際にはパブコメを含めてやっておりますけども、ちょっとそれが2年に1回になるかどうかは別にして、そういった取組も要所要所では当然やっていきたいと思っておりますし、これまで以上に地方公共団体もしっかり考えていきたいというふうに考えております。
 それから二つ目、既に生物多様性地域戦略と呼んでいるものは、何も地域戦略と銘打っていなくても、ほかの計画に入っているものも実はカウントしてきております。ですし、先ほどご指摘もあった共同策定していくとか、できる限り負担を減らしていくというのは非常に重要なポイントだと思っております。
 その際に、やはり大事だと思うのは、地域の目標がちゃんといいものが立てられるかが重要だと思っていて、そういう目標が立てられればその結果、その目標が入っているのは別にどの計画でもいいと思っております。そういった柔軟な構えでしっかりと地域が本当に取り組んでいけるような、負担なく取り組んでいけるような仕組みというのは、これからも考えていきたいと思います。ご指摘ありがとうございます。
○中静委員長 白山さん、どうぞ。
○白山委員 はい、ありがとうございます。白山です。
 二つほどコメントさせていただきます。
 一つは、持続可能な農林水産業というところですが、やはり最近、認証制度というのが漁業でもあるいは森林でもありますけれど、その認証制度の数みたいなやつは、ひとつ使える指標として考えられるのではないかと思って、ご提案をさせていただきたいと思います。
 それからもう一つは、やはりどのくらい一生懸命、国なり地方公共団体なりが取り組んでいるかというのは、やっぱり予算がどれだけついているかということが一番分かりやすい測り方だろうとは思うんですね。
 それで、どのようにそれをまとめるか、ちょっとアイデアは難しいとは思いますけれども、やはり生物多様性の保全に関わる予算がどれだけ投入されているかというのも指標として見ていくということが望ましいのではないかと思って、ご提案をさしあげます。
 以上です。
○奥田生物多様性戦略推進室室長補佐 はい、ありがとうございます。
 いかがでしょうか。
○奥田生物多様性戦略推進室室長補佐 はい、ありがとうございます。
 認証制度については現行の戦略でも幾つか含めておりまして、それらも含めて考えていきたいというふうに考えております。
 また予算面、特に今、検討中になっているところとも関わってくるものだと思います。そういったものも含めて、どういうふうに示していくのが一番効果的なのかということを検討中でございます。コメントとして、大変ありがとうございます。
○中静委員長 ほかには、発言ご希望の方いらっしゃらないんですけど、いかがですか。
 じゃあ、中村さん、どうぞ。
○中村委員 すみません、ちょっと私の頭が整理できていないだけだと思うんですけど、先ほどこの各省庁で目標とか現状値とか出てきましたよね。この目標とここで書かれている目標の指標と、どういう整理がされているのかをちょっと教えてください。
 それから、気候変動関係のところで検討中と書いてあるんですけど、例えば森林や湿地の再生事業というのは、基本気候変動適応として効くと思いますし、それがまた緩和策なり炭素の隔離とか、そっちのほうに機能すると思うので、これはちょっとダブルで入っちゃうとまずいのかどうかちょっと分からないんですけど、その辺も検討したらどうかなと思いました。
 以上です。
○中静委員長 いかがでしょうか。
○奥田生物多様性戦略推進室室長補佐 はい、ありがとうございます。
 今見せている表で、若干分かりにくくてすみません。施策ごとに指標を設定していて、現行戦略だと700の施策に対して50の数値目標が施策ごとに掲げられていました。それが今回、大体400弱のものに対して200近いということで、実は施策のほうを見るだけで大分追えるようになってきています。
 もちろん、先ほど議論にあったとおり、間違っているかもとか足りないものとかあるかもしれませんが、なっておりますけれども、そうしたものも当然評価していきます。評価した上で、その行動目標を全体として、やはりどの程度進んだかと、ある程度包括的なものを示したいというふうに思っておりまして、示しているのがこちらです。
 なので、実際の評価の際には、施策ごとにはこういう取組がこのぐらい進んだと、それも受けて、行動目標の指標としては、こういったものがこの程度進んだというのは示して、そうすると恐らく施策ごとの指標と行動目標の指標の関係性というものも見えてくるのではないかというふうに考えております。
 2点目のコメント、ありがとうございます。そうなんです。そういった湿地再生の取組等もいろいろ含めることがやはり重要ではないかといったことも考えておりまして、ただちょっと調整が間に合っておらず、アドバイスとして大変参考にさせていただきます。ありがとうございます。
○中静委員長 では、髙村さん、お願いします。
○髙村委員 はい、ありがとうございます。
 ちょっと感想だけで申し訳ないんですが、基本戦略の健全な生態系が回復しているかどうか、そういったことを表わす指標というのは、他の指標と必ずしも並列的じゃなくて、しかし、最終的にはそういうことが非常に大事なことだと思うんですね。その指標の達成度評価は環境省しかできないことだと思いますので、そこのところはモニタリングを、自然環境のモニタリングをしっかりとやっていただいて、指標できちんと評価できるようにしていただきたいと思います。
 それで、行動計画とか読ませていただいてちょっと感じたことは、事業官庁との連携ですよね。国土交通省や農林水産省など、事業官庁に生物多様性に配慮した事業をしっかりとやってもらうということが大事です。特に行動目標の1-2とか、土地利用の話なんかの内容を見ていると、国交省の項目は非常に多いんですが、きちんとした数値目標が必ずしも出ていないなというのは私の印象です。そうした点は環境省が、生物多様性・生態系のモニタリングという科学的な事実を示し分かっていただいて、事業官庁がきちんとした目標を立ててやっていただくことに繋げる。省庁連絡会議も今後やっていただけるということなので、そういうところを通して、しっかりと推進していただきたいなと思います。
 以上です。
○中静委員長 はい、ありがとうございます。
 いかがでしょうか。
○奥田生物多様性戦略推進室室長補佐 はい、ありがとうございます。
 まず一つ目、状態目標、基本戦略1の状態目標1のまさに健全性の回復についてはどうしていくのかという点ですけど、これは現時点で想定している指標でございますけれども、まさに今、髙村委員からもご指摘があったとおり、ただ機械的なものを見るだけではなくて、先ほどからJBOという単語も出ておりますが、JBO4といったあるいは5といったものの中で、やはりエキスパートの知見も交えながら、今生態系の規模あるいは質と、あるいは傾向といったものがどういう方向に進んでいるのか。改善しているのか、引き続き、劣化しているのか、そういったものはしっかりと指標として示していきたいと思っております。ここは環境省として、本当に力を入れなければならない場所だと思っております。
 その上で、いただいた行動計画に対して様々な施策ございます。国家戦略全体を動かす中で、第4章のところでそれぞれの施策を行っていく上で、ぜひ考慮してほしい七つの項目も入れております。そうした評価軸も入れながら、取組が本当にきちんと生物多様性の保全あるいは持続可能な利用にも資していると言えるものなのかどうかは、引き続き見ていきたいと思っております。ありがとうございます。
○中静委員長 ありがとうございます。ほかにはいかがですか。
 私からもちょっとコメントしたいんですけど、先ほど自治体レベルの戦略に対する指標でも使えるというような話がありました。今回委員の方からいろいろいただいた意見の中には、国レベルで把握は難しいけれど、自治体レベルでは把握できるような指標って結構出ていたと思うんですね。そういう点については今度、説明会をされるときなんかにでも、紹介してあげると自治体の方も戦略をつくるときの参考になるんじゃないかなと思いました。これはコメントです。
 ほかにご意見、よろしいでしょうか。
(なし)
○中静委員長 もし、もう1週間後にパブコメにかかるので、なかなか反映できる時間がないかもしれませんけど、もしございましたら、まだ最終的な決定までには時間がありますので、パブコメと同時にいろんなご意見をお寄せいただければというふうに思います。
 最後に、その他として何か報告があれば、事務局からお願いします。特にないようですから、今回の議事は以上となります。
 今日、戦略についていろいろたくさんのご意見をいただきましたけれども、これを近日中にパブリックコメントということにかかることになると思います。その内容について、私と事務局にご一任いただくということで、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○中静委員長 はい、ありがとうございます。
 次回は、3月に自然環境部会と本小委員会の合同会合を開催したいというふうに考えております。それで最終的な答申ということになると思います。
 パブリックコメントの結果も踏まえた次期生物多様性国家戦略最終案について、次回の会合では検討させていただきたいと思います。
 では、皆さん長い時間どうもありがとうございました。議事を事務局にお返ししたいと思います。
○武藤補佐 中静委員長、議事進行ありがとうございました。また、委員の皆様は活発なご議論をありがとうございました。
 閉会に当たりまして、堀上自然環境計画課長よりご挨拶申し上げます。
○堀上自然環境計画課長 委員の皆様、本日は長い時間ご議論いただきましてありがとうございました。
 非常にボリュームの多いといいますか、多岐にわたる戦略案の内容、それから指標につきましても細かいところまで見ていただきまして、ありがとうございます。いただいたご意見を踏まえて、年度末に向けて戦略の策定に向けた作業を進めてまいりますけれど、来週にはパブリックコメントを募集し、1か月程度した上で、最終案をまとめていきたいと考えております。
 本日のご意見の中でも、非常に多くの人に見ていただく必要があるということもございましたし、なるべく分かりやすい表現にというところも気に留めて、作業を進めていければと思っておりますので、委員の皆様には引き続きご協力いただければと思います。
 本日は誠にありがとうございました。
○武藤補佐 次回は、3月13日に生物多様性国家戦略小委員会と自然環境部会の合同会合を開催し、次期生物多様性国家戦略の答申案についてお諮りする予定です。
 本日は、長時間にわたりご参加いただき、ありがとうございました。
午後5時04分 閉会