中央環境審議会 自然環境部会(第45回)議事録

開催日時

令和4年8月10日(水)13:30~16:00

開催方式

AP虎ノ門(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11F)
※  WEB会議システムを併用して開催

出席者

武内 和彦   部会長
石井 実   委員
勢一 智子   委員
髙村 典子   委員
藤田 香    委員
愛甲 哲也   臨時委員
石井 信夫   臨時委員
江﨑 貴久   臨時委員
大沼 あゆみ  臨時委員
尾崎 清明   臨時委員
小泉  透    臨時委員
五箇 公一   臨時委員
下村 彰男   臨時委員
白山 義久   臨時委員
中静 透    臨時委員
中村 太士   臨時委員
広田 純一    臨時委員
深町 加津枝   臨時委員
二宮 雅也    臨時委員
宮本 旬子    臨時委員
山野 博哉    臨時委員
湯本 貴和    臨時委員

議事録

午後1時30分 開会
○司会 定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会自然環境部会を開会いたします。本日はお忙しい中、本部会にご出席いただき、ありがとうございます。
 会議に先立ちまして、本日の出席委員数をご報告いたします。本日は、所属の委員、臨時委員26名のうち、ウェブ会議システムでの参加を含め21名のご出席をいただいておりますので、本部会は成立しております。
 本日の会議運営についてご説明いたします。本部会の様子はYoutubeチャンネルによりライブ配信を行っておりますのでご了承ください。
 本日、オンラインでご参加の委員の皆様におかれましては、マイク、ビデオは各自ご発言の際のみオンとするようお願いいたします。また、ご発言の際は、チャット欄に書き込みいただき、ご発言する旨をお知らせください。部会長からのご指名後、マイクのミュートを解除していただき、議事録の円滑な記録のため、お名前をおっしゃってからご発言をいただきますようお願いいたします。
 なお、挙手ボタンは気がつかないこともございますので、挙手ボタンは使用せず、チャット欄をご活用いただければ幸いです。
 本日、会議室でご参加の委員の皆様におかれましては、ご発言の際は名札を机の上に立てていただき、部会長からのご指名後、マイクをオンにしてご発言ください。発言終了後は、マイクをオフにしていただくようお願いいたします。
 本日ご説明する資料につきましては、委員の皆様には事前に電子データにて送付しております。本日は、事務局が画面上に資料を投映し、進行させていただきますので、お送りした資料は必要に応じお手元でご参照いただきますようお願いいたします。
 傍聴されている方につきましては、本日の資料を環境省ホームページの自然環境部会のページにアップロードしておりますので、そちらをご確認いただきますようお願いいたします。
 ここで、自然環境局長の奥田よりご挨拶申し上げます。
○自然環境局長 皆さん、こんにちは。本日は本当にお暑い中、また、新型コロナウイルスの感染症がまだまだ拡大をしている中で、7名の委員に実際にこの会議室にご出席いただくとともに、オンラインで多くの委員の方にご参加いただいていることを厚く御礼申し上げたいと思います。
 また、委員の皆様には、日頃より自然環境行政に多大なるご協力をいただいていることを改めて御礼申し上げます。
これまでどおりウェブを併用した形式で会議を実施させていただくので、不都合やご不便をおかけする点もあろうかと思いますけども、あらかじめご容赦をいただけたらと思います。
 この部会そのものは、昨年の8月、国家戦略小委員会の発足、立ち上げ及び検討の諮問をしたとき以来と承知しておりますけれども、ちょうど本日の議題の中の一つが次期生物多様性国家戦略の素案の検討についてということでございます。これまでも小委員会の中で検討を進めさせていただいて、先月、第5回の小委員会で議論して、素案という形で整理をしておりますので、中間報告という形になってしまいますけども、ご審議をお願いしたいと思っております。
 また、その前に第五次環境基本計画の第2回の点検ということについて、環境基本計画の自然環境分野に関する点検の結果についてご審議をお願いしたいと思っております。
 そのほか報告案件があり、そのため16時までの長丁場ということでお時間を取ってしまいますけれども、どうぞ忌憚のないご意見、ご審議をお願いを申し上げて、私からのご挨拶とさせていただきます。本日はよろしくお願い申し上げます。
○司会 それでは、これよりの議事進行につきましては、武内部会長にお願いいたします。
 武内部会長、よろしくお願いいたします。
○武内部会長 この部会の部会長を仰せつかっております武内でございます。本日はお暑い中お集まりいただきまして、ありがとうございました。
 また、最近の傾向として、オンラインで出席される委員の方もたくさんおられるということで、私、議事進行をいつもこういったハイブリッドではなかなかうまく進行できないこともありますので、皆さん方のご協力を得て、円滑に議事進行を務めさせていただきたいと思いますので、どうぞご協力よろしくお願いしたいと思います。
 今日は、主たる大きな話題としては、私が当時、部会長として取りまとめた第五次環境基本計画の第2回目の点検ということで、これは総合政策部会でも議論が始まっておりますけれども、そろそろ点検というステージから、次期の環境基本計画の策定という方向に向けての議論ということになりますので、この部会におきましても自然環境政策に関する部分において、とりわけ国際的な動向も踏まえながら、どういうふうにして環境基本計画にインプットしていけばいいかということをご検討いただければと思っております。
 それから、生物多様性国家戦略については、国際条約の動きが迷走しておりましたが、恐らくこのままいくと思いますけれども、モントリオールで年末に開催されるということになりました。ほぼ同時並行的に国内の生物多様性国家戦略を見直していくということを行っておりますけれども、ご承知のように、ネイチャーポジティブや、30by30といった用語が飛び交っております。口で言うのは簡単ですけれども、例えば海域の3割保全するというのはどういうことだというようなことを、本当に国際社会が真面目に考えているのかどうか、ただ勢いで言っただけではないかというようなこともありまして、いかにそういう議論を実質化するか。それから、特に我が国の場合には、里地里山を国際的にも情報発信してきましたけれども、いわゆるOECMとしての里山の意義といったものについて、より議論を深めていく必要があると思います。
 今日は、それ以外にも、国立・国定公園の総点検のフォローアップ、それから、トキの佐渡から別の拠点を形成するというような方向での議論が最近まとまって公表されたというところでございますし、それから、最後にはIPBESの議論、進捗状況についてご報告いただきます。
 16時までに終わるのは、なかなか至難の業でございますので、できるだけ皆さんに発言、手短にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 以下、座って議事進行をやらせていただきます。
 本日の部会でございますが、YouTubeチャンネルにおいてライブ配信していますので、報道関係者や一般の方もご覧になっておられます。会議録は後ほど事務局で作成し、本日ご出席の委員の了承をいただいた上で公開させていただきます。議事要旨につきましては、事務局で作成したものを私部会長が了承した上で公開するという点について、あらかじめご了承いただければ幸いです。また、会議資料につきましても公開となります。
 なお、本日、審議時間が限られていることから、時間内にご発言いただけなかった質問等につきましては、後日文書での質問、回答とさせていただき、委員の間で共有させていただくという場合がございますことをあらかじめご了承いただければありがたく存じます。
 それでは、早速ですが、最初の議題である第五次環境基本計画の第2回点検について、事務局から説明をお願いいたします。
○生物多様性戦略推進室長 生物多様性戦略推進室長の山本でございます。議題の1についてご説明をさせていただきます。
 まず、資料1、環境基本計画の第2回点検についてのご説明でございます。先ほど武内部会長からもございましたけれども、平成30年4月に、武内部会長が中環審会長だった頃に策定をされたものです。
 概要は参考1にお示ししておりますので、適宜ご参照いただければと思います。このときに、地域循環共生圏を位置づけた計画となってございます。
 1ページ目、点検の方法について、ご説明をいたします。点検については、中環審の各部会が対象とする範囲の施策について点検を行い、その結果を総合政策部会に報告をすることとなっております。今回、自然環境部会においては、環境基本計画のうち自然関係の分野の点検についてご確認をいただきます。
 分野としましては、2ページ目から3ページ目の表のうちのブルーに着色した部分が、対象と担当となっております。また、自然環境部会の担当のうち、重点施策2の(1)海洋環境の保全につきましては、ほかの施策との関係が深かったということで、2019年度の第1回点検において実施をしておりますので、その結果を、参考3にお示しをしておりますので、そちらもご参照ください。
 点検の内容ですけれども、第2章の重点戦略と、第3章の重点戦略を支える環境政策に分かれております。
 点検の視点としましては、4ページ目にお示しをしておりますとおり、ほかの環境分野の環境保全上の効果が発揮できているかどうかですとか、環境面だけではなくて経済・社会面での効果はどうかといったようなこと。また、関係府省との連携ができているかどうか、地域循環共生圏の創造への貢献はどうかといったこと。それから、イノベーションの可能性があるかどうか、環境保全と新型コロナウイルス感染症への対応を連携できているかどうか。また、カーボンニュートラル、グリーン社会の実現に向けてどのような取組があり得るか、こういった観点からも点検を行っていくこととされております。自然環境部会が点検担当となっている重点戦略の進捗につきましては、省内及び関係府省から調査票を出してもらって、今回取りまとめを行っております。
 また、第3章の重点戦略を支える環境政策の部分につきましては、生物多様性国家戦略の直近の点検結果を可能な限り活用することになっておりますので、R2年度の点検結果を活用をしております。
 それでは点検結果についてご説明をしてまいります。私の持ち時間が10分でございますので、一つ一つご説明をするのは時間の関係上難しいため、かいつまんでのご説明となりますので、その点ご容赦いただければと思います。
 重点戦略の点検について、私からは、構成部分についてご説明をしますので、ご関心のあるポイントがあればそれぞれご確認をいただいて、コメントいただければ幸いでございます。
 7ページ目からの重点戦略に国土のストックとしての価値の向上のタイトルがついておりますけれども、そのうち(1)の自然との共生を軸とした国土の多様性の維持のうち、自然資本の維持・充実・活用といった項目についてこの資料ではまとめているところです。ここの中で、四角の中に環境基本計画のポイントをお示ししております。その後に取組の進捗状況、具体的にどういったことをやってきたかといったようなところ。それが続きまして、その後、定量的な取組の進捗ということで、定量的に表せるものについてはここで数字を示しております。
 それから、環境・社会・経済的効果はどうか。環境の点検の、先ほどの点検のポイントになりますけれども、こういった環境・社会・経済的効果がどうかといったところですね。
 そして、最後に課題及び今後の取組方針ということでまとめている。これがそれぞれの項目についてまとまっております。
 10ページ目からは森林の整備・保全についてまとまっております。
 11、12まで続きまして、13ページからは人口減少下における土地の適切な管理と自然環境を保全・再生・活用する国土利用という項目についてまとまっております。
 15ページ目から、外来生物対策についてということです。
 17ページからは、グリーンインフラやEco-DRRの推進という項目でまとめています。
 20ページ目からは、重点戦略3の地域資源を活用した持続可能な地域づくりの中の(2)番で、地域の自然資源・観光資源の最大限の活用(国立公園等を活用した地方創生)ということで、項目が続いてまいります。
 23ページ目から、その項目の中で、エコツーリズムや各種ツーリズムの推進ということで、
 24、25ページは環境保全や持続可能性に着目した地域産業の付加価値向上ということす。
 26ページから、抜本的な鳥獣捕獲対策強化という項目でまとめました。
 28ページ目、ここも重点戦略が変わりまして、重点戦略4、健康で心豊かな暮らしの実現という戦略の中の(1)番、環境にやさしく健康で質の高い生活への転換(「新・湯治」等による健康寿命の延伸)ということで、温泉に関する部分がまとまっております。
 30ページ目から重点戦略5に変わります。持続可能性を支える技術の開発・普及という戦略のうち、生物・自然の摂理を応用する技術の開発ということで、生物多様性の保全・回復という項目がございます。
 33ページ目で最後の項目ですが、生態系を活用した防災・減災等についての技術開発の内容かまとまっております。
 34ページ目からは、重点戦略を支える環境政策についての点検となっております。これについては、基本的に生物多様性国家戦略に基づいて施策を推進することとなっておりますので、ここでは令和3年にまとめた生物多様性国家戦略の点検結果の概要をお示ししております。こちらが39ページまで続いております。
 最後の41ページ、ここで全体の評価と課題についてご説明をしたいと思います。全体の評価といたしましては、分野ごとに状況は異なるものの、全体として様々な取組が積極的に行われていると評価でき、また、いずれの分野もさらなる取組の強化や新たな取組を推進する方針が示され、今後これらを着実に実施していくことが必要とまとめております。
 また、最初にご説明をした点検の視点に沿った評価といたしましては、今回の点検の対象とした多くの取組は、新たなビジネスや雇用、地域の産業振興、魅力的な地域づくり、防災・減災、調査・技術の向上など、幅広い効果があると考えられ、地域循環共生圏の創造にも資するものであるということです。また、脱炭素や気候変動の適応の観点からは、バイオマス資源の利活用、自然を活用した社会課題の解決(NbS)やEco-DRRの推進など、幅広い分野の取組が見られているということ。また、各取組の効果を高めるため、各省庁、部局の施策間の連携、関係機関等との協力をさらに進めることが重要としてございます。
 また、環境DNA分析、AI画像解析などの新たな技術の開発・活用は、今後さらなる発展が期待をできるといったことが挙げられております。
 こういった点検結果になっておりますが、これらの点検結果につきましては、本日の議論を経て、総合政策部会に報告をすることとなります。
 また、一番下に小さな米印で書いておりますけれども、先日開催をされました総合政策部会における再生可能エネルギーの導入に関する点検結果についての議論の中で、現在、今回のように課題ごとに関係の深い部会で点検をしているんですけれども、例えば再生可能エネルギーについては自然環境部会も関係が深いことから、部会ごとにやるという基本はありつつも、部会の枠を超えた議論の必要性についても指摘がなされておりまして、こういったご意見も今後の総合政策部会の取りまとめの中に報告をされていくということをここでも申し添えておきたいと思います。
 大変駆け足で恐縮ですけれども、私からの説明、以上でございます。
○武内部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局からの説明に対しまして、ご質問、ご意見がありましたら、会議室におられる方については名札を立てていただき、また、オンラインで参加の委員の方におかれましては、チャットに記載をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 それでは、中静委員、それから、その次、白山委員といきます。
○中静臨時委員 今回の環境基本計画は、地域循環共生圏という新しい概念で出てきたと理解しています。それに対する貢献というのも評価のポイントとして上げられているんですけど、全体のまとめとして、そういう観点からの評価というのはどういうふうになったんでしょうか。
○武内部会長 それでは、白山委員、お願いします。
○白山臨時委員 白山でございます。ご説明ありがとうございました。
 私のバックグラウンドが海だということもあって、2019年に1回点検をしているということのご説明だったんですけれども、今回そこで海に関することは思考停止になっているような印象を持ちます。ですが、その後に、例えばブルーカーボンとかいろいろと重要な海洋に関することが社会的にはどんどん新しく出てきているので、今回、完全に海は切り離せるんだという思考は持たずに、特に森・川・里・海のつながりというような言葉もある中で、この1回行った点検から、今の時点に新たに行われた施策なり、あるいは課題なりということについては、ぜひこの点検の中に含んでいただければと思います。よろしくお願いします。コメントです。
○武内部会長 ありがとうございました。
 それでは、勢一委員、お願いいたします。
○勢一委員 ありがとうございます。勢一です。
 先ほどご説明の最後でご紹介いただいた政策間の両立やバランスの取り方という、部会の枠を超えた議論は、私も非常に重要なポイントだと思っています。ただ、この中央環境審議会は組織も大きいですし、各部会もそれなりにたくさんの分野の方々が多数入っておられますので、どのような形で議論ができるのかという実質のところでは、少しアイデアを出して工夫する必要があるのかなと感じています。とはいえ、そういう観点、特に地域脱炭素・再生可能エネルギー推進と、あとは生物多様性保全は待ったなしの状況で共創が求められていますので、ここは早急に検討が必要と思います。
 また10ページのところでご紹介をいただいた部分で森林の管理、これ地方レベルでも大きな課題になっています。経済的に見合わないので、なかなか持続可能にならない状況があり、それに対応するために森林環境譲与税も導入し、前倒しで交付をしているのですが、十分それが現場で活用できているのかというところは、自然を守る、森林を守るという観点からも、少し地域の現状に寄り添いながら進めていく観点が必要かと思いました。
 もう一つ、14ページのところ、人口減少下においてどのように土地管理と自然管理をしていくか、これも難題です。人口減少しているということは、実は地域の行政資源も縮減していっているということになります。ここでは市町村の管理構想や、地域管理構想を策定して、しっかり地域でやってもらうということは書いていますが、こうした構想や計画、プランを策定するための行政資源が相当枯渇してきています。そのため、どこにマンパワーを使うかという観点も含めて、現場でどのようにやっていくかを設計していくことが必要と思いますので、ぜひ計画や戦略、構想について量の調整といいますか、たくさんの分野にそれぞれ計画や構想を個別につくらなくて済むように、統合してできるような工夫をしていただければと思います。この点は今年6月の骨太の方針にも記載された部分でございますので、ぜひ自然局の中でも全体を見渡して整理をしていただければと思います。
以上です。
○武内部会長 ありがとうございました。
 次、愛甲委員、お願いします。
○愛甲臨時委員 ありがとうございます。質問とコメントですが、質問は定性的な評価の取組状況を基に点検を行ったと最後のほうに書いてありますが、これは各重点戦略の中身を見ていくとどこだろうと思って見ていたんですが、この環境・社会・経済的効果とに書いてある箇条書になっている部分がその評価ということでいいのか伺いたかったのと、コメントとしては、特に定性的評価については、取組が列挙されていて、様々な取組を行っているということは分かりますし、それも評価できることだと思いますが、この取組によって得られた成果というのがちゃんと評価できているかどうかというのが、ものによって混在しているようにも思われるので、そこはきちんと書き分けたほうがいいのではないかというのがコメントです。
 以上です。
○武内部会長 石井実委員、ご発言をお願いします。
○石井(実)委員 ありがとうございます。石井です。
 全体的に適切にまとめられていると思っております。私も関わっている種の保存のところを少し見ていたんですけれども、これは少しお願いということになります。
 シート番号の9番のところですけれども、中ほどに希少種をシンボル種とした生息環境保全等というのがございます。国内希少種が増えていく中で、本当に予算やマンパワーが少ない中で保護増殖事業を頑張っていただいていると思っているんですけれど、この書きぶりのところで少し追加をお願いしたいんですね。保護増殖事業の実施により生息・生育状況の改善が見られている種もあるものの、その目標を達成し保護増殖事業を完了した事例はないと書いてあるんですけれど、少し自虐的かもしれないのですが、この間、オガサワラシジミという小笠原固有種のチョウの生息域外保全の個体群が途絶してしまったという、かなり大きな事件といいますか事案がありました。このメモリーは残しておいたほうがいいんじゃないかなと私は思いますので、改善が見られている種もあるものの、の後ろ辺りに、域外個体群が途絶した種もありといった文言を付け加えていただけないでしょうか。
 それから、それに関わってなんですけれども、この保護増殖事業というのは、かなり科学性が求められる気がしてきています。特に遺伝的な多様性の保全とかですね。そこで、このためと続いている部分の、引き続き関係機関等と連携してというところに、例えば、研究者や関係機関等と連携してという、このサイエンスを重視するような、文言を入れていただけるといいのではないかと思います。
 以上でございます。
○武内部会長 ありがとうございます。
 次、中村委員、お願いします。
○中村臨時委員 ありがとうございます。
 ちょっと私は細かい文章までの修正という形じゃなくて、印象で申し訳ないですけども、今回の点検の中にグリーンインフラとかEco-DRRに関して非常に強く、そもそもの環境基本計画の中に強く出てきたと思うんです。しかし、正直グリーンインフラについては、国土交通省のほうで官民連携のプラットフォームをつくって、いろんな形で進めているのは見えてきているんですけど、環境省のEco-DRRに関する存在感がいま一つ見えてこないなというのが北海道にいての印象です。
 例えば地域の気候変動適応策の協議会をつくってやっていると思うんですけど、そこでも適応策として環境省が議論していくべきは、このEco-DRRの部分だと強く思います。残念ながら自治体にいろんな形で協力をお願いはしているんですけど、具体的な策になり得てないなという感じがしています。ということで、自然再生事業もEco-DRRの一端を担うことができると思いますので、ぜひ環境省としてのこういった分野における存在感をある程度示していただけるような事業を展開してくれるといいかなと思いました。
 それから、最後におっしゃっていた41ページに総合政策部会で言っていたのはごもっともで、実はこれ地方の、例えば北海道の環境審議会でも同じ問題が起こっています。いわゆる脱炭素と再生エネルギーの議論がアクセルのほうとして、温対部会なんかでやっているんですけども、実際に今、それによって自然環境が壊れるということが北海道で起きています。これはやっぱり自然環境を保全する部会も議論に入らないとうまくいかないと思います。ぜひこういった問題については、あまり部会の境を意識せずに、合同でやれるような議論する場があればいいなと思います。
 以上です。
○武内部会長 ありがとうございました。
 藤田委員、お願いします。
○藤田委員 ありがとうございます。
 今回、点検の視点として他の環境保全上の効果が発揮できるか。つまり、生物多様性だけではなくて脱炭素や資源循環なども入っているとか、それから、経済・社会面での効果も見ていきましょうということが入っているのは大変評価できると思います。
 私からは質問ですが、8ページ目に自然環境保全分野の産業市場規模が8.5兆円、という計算が出ていますけれども、先ほど白山委員とか勢一委員からもお話があったように、例えばブルーカーボンとかで海の脱炭素と、それから生物多様性保全を一緒にやっていきましょうというような動きがあったり、森林も間伐して出荷をしていくという、そういったいろんな新しいカーボンと生物多様性、両立するような動きってあります。なのでこれは質問ですが、自然環境保全分野の産業市場というものにどういったものが入っているのかを教えていただければと思います。というのも、今後、例えばダスグプタとか世界経済フォーラムで自然に依存するGDPは、世界のGDPの半分に当たる44兆ドルとかって言っているわけですから、もう少し今後こういった市場を見積もるときも、いろいろ考えていく必要があるのではないかと思ったので、お聞きする次第です。よろしくお願いいたします。
○武内部会長 ありがとうございます。
 髙村委員、お願いします。
○髙村委員 ありがとうございます。
 国土の多様性の維持のところですが、ページ8から11ぐらいにかけて国土交通省や農水省、林野庁の生物多様性の保全に関する取組を書いていただいていますが、そこに環境省がどのように有機的に連携してきたのかということを少し説明していただきたいんです。というのは、環境省の姿がその辺にどうも見えなくて、もうちょっと積極的に、例えば多自然川づくりなんていうのは国交省がやっていますが、それの評価をどの程度ちゃんとやっているのかとか、そういったことはあまり出てこないので、ほかのことに関してもですが、もう少し環境省の存在感を他の省庁の事業にも発揮していただきたいなと思います。
 以上です。
○武内部会長 どうもありがとうございました。大変貴重なご意見、ありがとうございました。
 時間の関係で、ご意見については最終的な点検結果の中に適切に反映させていただきたいとい思いますが、質問のあった部分について手短に事務局より回答をお願いします。
○生物多様性戦略推進室長 ありがとうございます。
 まず、中静委員の地域循環共生圏にどのように施策が貢献をしたかといったところ、これは多くの施策がほぼ何らか関わってきて、貢献をしているという形になっているので、明確にこれがこういう形でと言いにくいなと思っております。ですから、全ての施策を進める上で、基本的な地域循環共生圏を意識しながら進めている、多くの施策についてはそういう形で進めているということが現状かなと思っておりますし、点検としてもそういった形ではないかなと考えております。
 白山委員の海の件が点検から全く漏れているのはどうかといったところですね。ここは何らか足せるかどうか検討して、第1回をアップデートするか、それか今回少し情報を足すかということで検討させていただきたいと思います。
 それから、勢一委員のご発言は、基本的にはご意見であったかなと思っております。部会間の議論については今後考えていかなければいけないと思っておりますし、総合政策部会などでも議論がされるものかなと思いますので、今後、引き続きこちらで出たご意見もしっかりお伝えをして、議論していくという形と思っております。
 すみません、個別の施策に関してのご意見、ご質問は、ここですぐにお答えできないものも多いので、それについては別途回答をさせていただきたいと思います。
○奥田生物多様性戦略推進室室長補佐 生物多様性戦略推進室の総括をしております奥田です。
 今回の、まさに愛甲先生がおっしゃってくださったとおりで、取組の進捗状況のところの多くは、やはり定性的な部分が多いと思っております。その中で、少しでも定量的に示せる部分は、何か指標的な形で示したものもございますけど、やはりこれは次の国家戦略の議論にもつながりますが、状態目標なのか、あるいは行動目標なのかといったようなところが、そこまできれいに分けられていないと思っておりまして、そうしたものも踏まえながら次の国家戦略は、決して完璧なものにはならないと思いますが、改善していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○生物多様性戦略推進室長 そして、石井実委員の修文については、また改めて調整させていただきたいと思います。
 そして、中村委員と髙村委員のご発言、共通する部分があったかなと思います。環境省の存在感が見えにくいというところかと思いますけれども、そういったところを書けるものは書き、書けないものについては総合政策部会へのコメントとして出していくという形にさせていただきたいと思います。
 藤田委員からの産業分野にどういった中身が含まれているかについては、生物多様性戦略推進室の室長補佐をしております坂本からご説明します。
○坂本生物多様性戦略推進室室長補佐 生物多様性戦略推進室の坂本です。
 ご質問のありました自然環境保全分野の出典といたしましては、環境省が毎年公表しております環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書からの数字となります。この報告書におきまして、自然環境保全分野の該当する産業の分野として、大きく4つの分類ございまして、まず緑化、水辺の再生、これは緑化工事や都市緑化等を含む緑化、水辺の再生工事。2つ目が水資源利用ということで、節水型の設備や雨水の利用設備、上下水道等の工事が含まれます。3つ目といたしましては、持続可能な農林水産業ということで、持続可能な森林整備や木材製造、また国産材の使用や、あと植物工場、環境保全型の農業資材等の分野が含まれております。そして、4つ目が環境保護意識向上ということで、エコツーリズムや環境教育といった産業を含んでおります。
 以上です。
○生物多様性戦略推進室長 事務局からの説明、以上でございます。
○武内部会長 ありがとうございました。
 ほかにもいろいろと説明不足な点もあろうかと思いますが、時間の関係で、以上で質疑応答とさせていただきたいと思います。いろいろと直すべきところもございますようですので、第五次環境基本計画の第2回点検については、委員のご意見を踏まえた修正を行った上で総合政策部会に提出させていただきたいと思いますが、その内容については、大変恐縮でございますが、私、部会長一任とさせていただくことでお認めいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(了承)
○武内部会長 どうもありがとうございます。それでは、本件、部会長預かりとさせていただきます。
 それでは、次の議題、次期生物多様性国家戦略素案の検討について、事務局より説明をお願いいたします。
○奥田生物多様性戦略推進室室長補佐 ありがとうございます。
 それでは、次の議題につきまして、生物多様性戦略推進室の奥田から説明させていただきます。
 資料は資料2シリーズを使いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず、資料2-1ですけれども、次期国家戦略のこれまでの検討状況と策定に向けたスケジュールというものをまとめたものでございます。こちら、次の国家戦略に関連する国内外の最近の動きですけれども、6月21日から26日にケニアでポスト枠組に関する第4回公開作業部会(OEWG4)というものが開催されております。この作業部会におきまして、まだ次の世界目標につきましては多くの点が合意されていないという状況でございまして、COP15第二部に向けていろいろ検討が必要な状況となっております。本日、細かい説明はいたしませんが、資料2の参考1としまして、OEWG4での議論の経過について資料をつけておりますので、ご参照いただければと思います。
 また、武内部会長からもありましたが、国家戦略と関連しまして、30by30ロードマップというものを4月に公表しております。こちら生物多様性国家戦略関係省庁会議名でまとめたものでございますけれども、こちらにつきましても資料2の参考2として資料をつけておりますので、ご覧いただけれと思います。
 それから、国家戦略策定に向けたこれまでの検討状況でございます。昨年の8月に第44回自然環境部会を開催させていただきまして、そこで諮問しまして小委員会を立ち上げました。小委員会の委員長は中静先生にお願いしておりまして、中静先生の下でこれまで5回、小委員会を開催しておりまして、直近ですと7月11日に第5回の小委員会を開催しまして、そこで素案までをまとめいるというのがこれまでの検討状況でございます。
 それから、今後のスケジュールでございますけれども、冒頭に武内先生からも紹介があったとおり、COP15の開催が12月、モントリオールになったということから、少しずつ遅れておりますけれども、今のところの予定ですと、COP15第二部というものを12月7日から19日に開催があった後に、1月に第6回の小委員会を開催しまして、パブコメを経て、年度内には閣議決定をしたいと考えております。本日、部会でいただくことになるコメント、ご意見等につきましても踏まえながら国家戦略を策定していきたいと考えております。
 続きまして、資料2-2につきまして説明をしていきたいと思います。こちら資料2は相当なページ数がございまして、ページを見てもらうと分かるんですけど、164ページございます。1ページ、1分で話しても2時間40分かかりますので、すみませんがかいつまんで説明していきたいと思っておりますけれども、この4ページ目から先についている大量の資料は、こちら7月11日に開催した小委員会で示したものと変わっておりません。一部誤字脱字は修正しておりますけれども、小委員会でいただいた意見も踏まえて、さらにこれから直していくところでございますが、取りあえず現時点版ということで説明していきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 まず、これまでのところを作成している国家戦略素案のポイントというものをまず1ページ目でまとめております。実はこの小委員会で示していないポイントもありますので、この際ご議論いただければと思っておりますが、上の四角枠に3つポイントを書いております。
 1つ目のポイントは、背景とこの位置づけといったような部分でございます。生物多様性とは地球の持続可能性の土台であり、人間の安全保障の根幹であると考えておりますけど、その生物多様性、それから自然資本を守り活用するための戦略だと考えております。この中ほど、戦略の中に2050年ビジョン「自然と共生する社会」とございますが、この自然と共生する社会を目指して、今大きな課題となっております生物多様性損失、それから気候危機の2つの危機への統合的対応が求められますし、新型コロナウイルス感染症のパンデミックといった危機を踏まえた社会の根本的変革を強調していきたいと考えております。
 2つ目のポツですけれども、こちらは中身といいますか方向性でございます。2030年ネイチャーポジティブ、これについては、実は小委員会では自然○○と書いてあったんですけど、今のところの事務局案として自然再興という言葉を当てておりますけれども、その実現に向けまして、5つの基本戦略を設定しております。その基本戦略につきましては、この下の表に書いてあるとおりですけれども、30by30目標の達成を含めた取組によって、まずは健全な生態系を確保していくという、基本戦略1に該当します。そして、そこから生態系による恵みを維持、回復させて、それを活用していく、それが基本戦略2でございます。そして、自然資本を守り生かす社会経済活動を広げる、これが基本戦略3と4、該当してくる部分でございますけれども、そうしたものを掲げた戦略ということになっております。
 3つ目のポツは、今回の国家戦略の素案段階ですが、構造を描いたものとなっております。今この5つの基本戦略を描いておりますけれども、その基本戦略ごとに2030年のあるべき姿の状態目標、それぞれ基本戦略ごとに3つずつ描きまして、今15個の状態目標を描いています。それから、なすべき行動目標、今4つか5つありますので、合計24の行動目標を設定しております。さらに、その行動目標、具体的に何をやっていくかということを描いていくわけですけど、その行動目標に沿った形で、第2部の行動計画に関係省庁の関連する施策を描いておりますけど、その関連する施策を行動目標ごとに設定するということで、個別の関係省庁の取組から2030年のネイチャーポジティブの実現に向けた取組、さらに2050年を見据えたビジョンまで、戦略全体を一気通貫で整理しているというのが今の戦略の構造でございます。
 既に7分ほど話しているので、残りを10分ほどで話していきたいと思います。
 2ページ目には、先ほどの図はポイントを描いたものですけど、2ページ目、それから3ページ目は、今の戦略素案の目次の構造に沿った形で整理したものでございます。若干重複するところもございますが、簡単に説明していきたいと思います。
 まず、本戦略の背景ということで、先ほども申したとおり、地球の持続可能性の土台であり、人間の安全保障の根幹としての自然資本ですと。さらに生物多様性損失と気候危機といった危機の解決、コロナ危機との関係を描いております。
 それから第1部、これが戦略でございます。第1部は4つの章から成っておりまして、第1章が現状と課題、現状と課題の中には世界の現状と動向、それから我が国の現状と動向、それからそうしたものを踏まえて本国家戦略の中で取り組むべき課題というものを整理しております。
 第2章は、本戦略の目指す姿ということで、2050年以降の姿ですけれども、自然共生社会を目指して取り組んでいくということを書いております。
 第3章が最重要パートの一つでございますけれども、この戦略の期限となるであろう2030年に向けた目標ということで、まず大きな目指すべき方向としてはネイチャーポジティブの実現、2030年までに生物多様性の損失を止め、回復軌道に乗せるといったようなことをうたっておりまして、そのための取組の柱として5つの基本戦略、それから個別の目標を掲げているというのがこちらの第3章になります。個別の目標については次のページにずらっと並べておりますので、後ほど見たいと思いますけれども、それが第3章でございます。
 それから、第4章といたしまして、この戦略を効果的に実施するための基盤・仕組みというものをまとめております。特に大事なものの一つとして第1節がございまして、実施に向けた基本的考え方を描いておりますけれども、これは第3章でこれからなすべき行動といったようなものを掲げておりますけれども、それに向けて、どんなことを取り組んでいくのかというのが、次の第2部の行動計画で関係省庁の施策が出てきます。そういった関係省庁の施策を実施していく際に、基本的に踏まえてやっていくべき視点といったようなものをまとめたのが第1節という形となっております。また、第2節では評価と点検、第3節では多様な主体の取組の進捗状況の把握のための仕組み、さらに第4節では各主体に期待される役割と連携ということで、この国家戦略を手にとった、例えば事業者の方がこれを見たときに、どの部分がこの国家戦略の中で、自分たちと関係が深いのかといったようなところを解説したパートを作成してきております。これが第1部の戦略でございます。
 それから、第2部の行動計画ですけれども、こちら今回つけたものにも大量に関係省庁の施策が並んでおります。関係省庁とともに汗をかいて作成していますが、まだまだ未完の部分がございまして、取りあえず現時点版ということでまとめているものでございます。
 こちら先ほど申したとおり、関連する関係省庁の施策を行動目標ごとに整理しています。例えば、第1章の行動目標1-1だと、30by30目標と呼ばれるものですね、陸域、海域の30%を保護地域及びOECMにより保全すると。その下でどういった施策があるのかという形でまとめてきております。こちら現行戦略ですと国土空間的施策、それから横断、基盤的施策といったような形で、少し違う分け方をしておりますけど、できるだけ構造が分かりやすくなるように行動目標ごとに分けて作成しております。率直に申し上げて大変な作業ですが、分かりやすさの観点からこれで整理していきたいと考えております。
 続きまして、そのあと続きます160ページほどのものが素案でございます。少しかいつまみながらポイントだけお話ししていきたいと思います。
 まず1ページ目から始まりますのは、次期戦略の背景でございます。こちら申し上げたとおり、生物多様性、そして自然資本の役割といったようなものを描いてきておりまして、例えば18行目から見ますと、その中で現在コロナウイルスによるパンデミックという危機にも直面しているといったようなことを書いています。その上で22行目にもありますけど、こういった危機の対処には、人間の活動の在り方を変えるほか手だてはないといったことも謳っております。
 先ほどの環境基本計画の議論の中でも少し出ていたので、ここは強調しておきたいと思いますが、PDFの6ページ目、本文でいう3ページ目の最初ですね、1行目辺りから、カーボンニュートラル目標の下でのといった説明を書いております。この中で、6行目辺り、特に見ていただきたいですけど、こういったものをやっていく際にも再生可能エネルギーの導入は、自然環境と共生するものであることが大前提でありというのが、やはりこの生物多様性国家戦略としてのスタンスであろうということで、そうしたものも明記しながら作成しているところでございます。
 続いていきます。第1部は戦略でございます。こちらの図でいうところの、第1部は戦略ですけど、その第1章から始まっていきますが、ポイントだけ申し上げていきます。第1部、第1節の冒頭に、2019年に公表されましたIPBESの地球規模評価報告書を出しております。やはりこの地球規模評価報告書は、いろいろな部分でベースとなっておりまして、生物多様性の損失を引き起こす直接的な要因といった5大要因が特定されたり、また、そういった直接要因のみならず、間接要因といったものも含めて社会変革を起こしていかないと生物多様性の損失は止められないという強いメッセージが出されておりますので、こういった形に沿って作成を進めているというものでございます。
 次のページには、GBO5といったようなものもありますが、同じくどういった分野で移行を図っていかなければならないかまとめておりますし、そのあと個別の項目として気候変動、あるいは食料生産、さらには、我が国ですと海洋環境も非常に大きなところですし、新興感染症・ワンヘルスといったような課題も今大きく取り上げられていると。そういった中で、30by30に代表されるような健全な生態系の確保・回復というものは今、非常に大きな課題となっておりますし、また、自然を守るだけではなくて自然を活用した解決策というものも大変注目されているという状況だと思っております。そうしたものをしっかりと進めていくためには、やはり今、非常に注目されているものは、その自然資本を守り活用する経営ということで、我々としても次の10年間が生物多様性保全や自然資本管理そのものをビジネスとしていくようなものを目指していかなければならない、こういったことを考えているところでございます。
 その上で、第2節では我が国の現状と動向といったものをまとめておりますが、この中で生物多様性の損失要因についても描いております。皆様ご承知のとおり、国家戦略では日本の生物多様性の損失要因として4つの危機というものを掲げておりまして、それはこの戦略でも保持しておりますけれども、IPBESのこれまでの報告等を踏まえまして、やはり4つの危機の背景にある社会経済の状況というものもしっかりと着目していきたいですし、これはこれまでも着目してきておりますが、さらにそういった社会経済に内在する生物多様性の損失要因というものがありまして、端的に申すと生物多様性が主流化されていない状況ということになってしまうかと思いますけれども、そちらについても、特に重視しながらこの戦略というものをつくっていきたいと考えているところでございます。
 そうした中で、我が国としての課題をまとめております。それが20ページです、PDFでいうと23ページ目から始まるところですけど、これまでの整理を踏まえて本戦略において取り組むべき5つの課題ということで、生態系の健全性の回復が必要です。自然を活用した社会課題の解決をしっかりと進めていくことが必要です。3番目として、ネイチャーポジティブ経済に向けた取組が必要です。4番目として、一人一人の行動変容に向けた取組が必要です。5番目として、そういった取組を支える基盤整備と国際連携が必要ですといった課題を上げております。この5つの課題がほぼそのまま基本戦略にもなっておりまして、その課題の整理から基本戦略までを一つ、一気通貫にしたというのがこの戦略の特徴でございます。
 第2章では、本戦略の目指す姿ということで、2050年以降の姿を描いておりまして、第3章では、2030年に向けた目標ということで、まず大きな目指すべき目標は、先ほども申したとおり、2030年ネイチャーポジティブを目指すと。その下でそれぞれ基本戦略1から基本戦略5までを掲げているというものでございます。この基本戦略もいろいろ関係省内、さらに関係省庁を含めて、さらに小委員会での様々な議論を経てつくってきております。そんな中で、基本戦略5つに分けておりますが、必ずしもきれいに分かれないところもあるので、若干の重複もあるところはございますけれども、こういったここに掲げられているようなものが非常に重要だということで、我々これまでまとめてきているところでございます。
 その基本戦略が終わりまして、先ほども紹介したとおり、第4章では、この戦略を取り組んでいく上での基本的考え方とか、あとは第2章のほうでは行動目標ごとに関係省庁の施策をまとめてきているというところでございます。
 大変手短な説明で恐縮ですが、取りあえず素案の検討状況については以上でございます。ありがとうございました。
○武内部会長 どうもありがとうございました。
 本件は、7月11日開催の生物多様性国家戦略小委員会でご議論いただいたところですけれども、この小委員会の委員長を務めておられます中静委員から何か補足ございましたら、よろしくお願いいたします。
○中静臨時委員 補足というほどではないかもしれませんけれども、前回の戦略が2012年に出て、2020年までの戦略だったということですけど、それまでに非常に国際的にも大きな動きがありました。SDGsが動き始めたこともありますけれども、そのほかにもIPBESが動き始めたりとか、それからIPBESとIPCCの共同レポートが出たりとか、生物多様性と経済に関するレポートが出たりとかという非常に大きな動きがここのところ激しくなっております。CBDで2020年に新しい目標をつくるということに併せて、いろいろな議論が国際的にも起きてきています。そういう流れを踏まえた形での日本の国家戦略をつくるということで、委員の皆さんには非常に熱心に議論していただいていると思います。
 金融業界の動きも非常に早くなっていますので、それを受けて行動変容ですとか、それから社会経済的な要因とかを戦略の中に取り込むということが、以前の戦略にも増して現実的な問題として考えられるようになってきているかなと思っています。そういうこともあって、各5つの基本戦略ごとに行動計画を、あるいは目標をつくっていくという作業をしていただいています。
 これから12月にCBDのCOPがありまして、そこで新しい国際目標も出てくるわけですけれども、それに合わせるような形で、また今回の審議会のご議論もいただいた上で、年度内に新しい戦略をまとめさせていただくという形になっております。
 以上です。
○武内部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、委員の皆さんからご質問、ご意見ありましたらお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 小泉委員、お願いします。
○小泉臨時委員 ありがとうございます。
 私のほうから、陸域に関してのOECMについて質問と意見を述べさせていただきます。
 まず、OECMですが、これは場合によっては土地所有者に受任義務を課すような指定制度でいくのか、それとも土地所有者が申請をするような認証制度でいくのか、どちらのほうが設計されているのか、これが一つです。
 それから、OECM、自然共生エリアと表現されていますけれども、実際に面積等含めまして、どのような要件を満たすものであればOECMの対象になるのか、どのように今考えられているのか。それから、OECMというのがESG投資の対象となるのか、実際にそのような動きがあるのかということについて質問させていただきます。
 それから、意見としては、私はOECMに関しては、これはむしろ国家戦略でも大切ですけれども、地域戦略の中に書き込まれてこそ重要性が増すのではないかと感じています。そういう意味では、ちょっと地域戦略と国家戦略の連携という部分にもう少し配慮をしていただきたいと思います。OECMが地域戦略の中で書き込まれることによって、市町村レベルでの地域戦略の策定が促進されるということになればよいのではないかと考えております。
 以上です。ありがとうございます。
○武内部会長 ありがとうございました。
 石井信夫委員、お願いします。
○石井(信)臨時委員 ありがとうございます。
 私、2つぐらいコメントしたいと思います。一つは、今回の国家戦略の構成は、現在のものに比べると大分分かりやすくなったなと思ったんですけれども、気になったのは、この中にたくさんの数値目標が出てくることです。数値目標を立てて評価をするということをとても重要視している非常に意欲的な戦略だと思っているのですが、例えばですけれども、資料2-2の概要の2ページ目のところ、第2部の行動計画のところですが、例えば第1章の1-2に、劣化した生態系のパーセンテージはまだ決められなくて、非常に苦労されているんだなということが分かりますけれども、これをどういう数値として出していくのか。それから、同じところの第1章の1-3では、侵略的外来種の侵入率及び定着率、これを何%か削減するというようなことが書いてあります。それから、第3章のところでは、3-1と2のところですね、生物多様性への負の影響、これも何%か減らすといことが書いてあります。
 ほかにも、資料2-2の別紙にも、何%低減しているという言葉が出てくるんですが、こういったことをどのような具体的な指標で測定して、それに基づいて評価していくということがまだ書いてありませんので、これは、うまくつくると非常に使い道の広いものになりますし、そうでないと、かえってこれにとらわれて、成果をうまく評価できないということになりますので、今後それぞれ、ここに何%とかという数字で出てくる基になる指標を、具体的にどう測定するのかということを整理したような資料をぜひ作っていただきたいと思います。レッドリスト指数みたいに、既に聞いたことがあるものもありますけれども、その他についてはどのように評価していくかということが分かりませんので、その作業をぜひお願いしたいと思います。とても難しいことだと思いますけど、重要なことなので、そこをぜひ挑戦していただきたいと思います。
 以上が、指標に関するコメントです。
 それから、2つ目は用語ですけれども、資料2-2の概要の1ページのところになりますけど、第1部の第3章、2030年に向けた目標の第2節、生態系の健全性の回復ってところですけど、健全性もこれ、どのように測定していくかというのは問題だと思いますが、この中に、①のところに野生生物保護管理という言葉が出てきます。この保護管理という言葉は日本独特の使い方だと私は思っていまして、英語でいうとコンサベーションに当たると思われるんですが、この文章の中で、保護、それから管理、それから今言った保護管理ですね、それから保全という言葉も出てきます。それらをどう使い分けているかというのがよく分からないところもありますので、そこはもう一度、一通り見直して、チェックしたほうがいいと思います。
 最後に一つ質問ですけど、今、私が言葉のことを気にしたのは、この国家戦略を英訳するのかなということですね。何か条約の規定上、そういう必要があるとすると、訳するときに苦労されるというか、難しい問題が出てくると思いますので、コメントをしました。以上です。
○武内部会長 ありがとうございます。
 それでは、オンラインの藤田委員、お願いします。
藤田委員 ありがとうございます。私も生物多様性国家戦略小委員会の委員になっているので、大体こういう流れは知っているんですが、一番最初の1枚ぺらのところに行っていいでしょうか、資料2-2の最初のページですかね。多分、多くの方がこの1枚ぺらで、どういうことなのかなって読まれる方が多いと思うんですけれども、国民も含めですね。小委員会のときからずっと同じような意見を私も言っていたと思うんですが、最初の1行目の地球の話ですよね。地球の自然資本を守るためということがあって、2つ目になったら、ネイチャーポジティブの実現のために5つの基本戦略となっていて、その後に30by30目標の達成を含めた取組によりというふうに、地球の大きな自然資本から、いきなり国内の30by30が事例に出てきて、そこで物すごくギャップというか、感じてしまって、もちろん国家戦略の上、日本国のために生物多様性戦略をどうするかということを書くのが当然なんですけど、一方で、やっぱりサプライチェーンということが何か入っていないのがすごく違和感があります。
 人間の安全保障はもちろん重要ですけれども、それに加えて、経済安全保障と食料安全保障、これってやっぱり生物多様性の問題を考えるときに無視はできないと思うんですよね。日本は食料も木材も自給率が4割で、6割ぐらいを海外から輸入しているわけですよね。ネイチャーポジティブ経済を実現するためには、国内のこと、30by30だけではなくて、やっぱり企業さんはサプライチェーンで持続可能に調達したりしていかなければ、このネイチャーポジティブ経済を実現できないわけで、それがもちろん基本戦略3とかには入っているんですけれども、何かワンクッション、サプライチェーンをどうしていくのかということをこの頭の部分で入れてほしい。基本戦略3に入っているから、あとはこのとおりにやってねというじゃなくて、日本国としてどうしたいのかということもやっぱり入れるべきだと思います。
 例えば、もっと国産化するような原材料をどんどん開発していって、地域循環の原材料調達にシフトしていくのか、そうじゃないのか。サプライチェーンで海外から調達しながらも、どうやってネイチャーポジティブを実現していくのかということを書かないと、幾ら日本国の戦略だといっても、うちの国は大丈夫だけど、ほかの国の生物多様性に影響を与えていていいのというふうに何かなってしまうので、何かそこのワンワードを本当は欲しいなというふうに思っているところです。
 実際に中身には、基本戦略3のところにこんなことやりますとか、いろいろ入ってはいますけれども、何か日本の心意気というか、方針として、そういったサプライチェーンのワードというものもぜひ入れていただきたいなと思っています。以上です。
○武内部会長 ありがとうございます。
 白山委員、お願いします。
○白山臨時委員 ありがとうございました。小委員会にも入っておりまして、流れはよく分かっているんですけれども、初期のものから比べて、海洋に関する取扱いが非常に厚くなって、感謝を申し上げたいと思っております。
 私、前回の小委員会に出席できなかったものですから、この場でご質問申し上げたいんですが、先ほど石井信夫委員がおっしゃっていたパーセンテージに関することです。何を申し上げたいかというと、こういう数値目標を掲げるときに、2つ、数値目標には意味があると思うんですね。
 1つは、物すごく達成が難しいけど、ぜひそこまでたどり着きたいという目標。もう一つは、少なくともここまでは達成して、本当はもっともっと高い高みを目指したいという目標。その2つがあると思うのですが、ただただ数値目標として何%を目指すと書いてあると、そのどちらかが読み取れないのであります。そういう場合、多くの場合は、達成すればもうそれっきりで、そこから先は施策も何もかも進まなくなっちゃうというふうになりがちであります。ですから、少なくとも何とかなのか、最終的にここを目指すというものなのか、それを明確にしていただくほうがよいではないのかと思うわけです。
 もう一つは、ビジネスを通してと書いてあるんですが、たしかそういう使い方だったと思いますけれども、ここのところが、新たなビジネスが生み出されて、そのビジネスによって負の影響が減るのか、それとも、現在、負の影響を与えているビジネスを変容させて、そのビジネスが負の影響を与えなくなるという意味なのか、そこがちょっとこの文章では両方に読み取れてしまって、区別がつかないというか、何を意味しているのかがはっきりしないので、ここを少し改善していただけないだろうかということをお願いしたいと思います。以上です。
○武内部会長 ありがとうございます。
 それでは、オンラインの大沼委員、お願いします。
○大沼臨時委員 ありがとうございます、大沼です。私も小委員会の委員として、素案の作成というものに関わらせていただきましたけれども、1月までもう小委員会が開催されないということで、一つ意見を申し述べさせていただきます。
 それは、全体として自然資本というもの、あるいは生物多様性というのを活用していくということがいかに優れているかということが盛り込まれていて、これは非常にすばらしいし、こういったものを守っていかないとビジネスにも影響が及んでいくということも分かるような形になっていて、非常にいいのではないかと思います。その上で、やはり全体として生物多様性あるいは自然資本を活用するということが、ちゃんと費用効果的だということを明確にしていただければと思います。
 全体として見ると、私が気づいたところでいうと、気候変動のところで、森林による炭素吸収は費用効果的というのが書いてあるだけですけれども、EcoーDRR、防災・減災にしましても、あるいは都市のレクリエーションに影響するということに関しても、やはり自然資本を活用するという意味では、非常に費用効果的であるということは、これはもう共通の理解になっておるわけですね。ですので、そうした形で、つまり財政面でも非常に有効だということを上げていただくと、なお、自然資本を活用するということの価値が高まるんではないかと思います。
 例えば、令和4年の国の予算を見ますと、全体で107兆のうち、国債費と社会保障費と、それから地方交付金ですね、これでもう75兆いっているわけですね。ですので、ほかの施策に関しては残りの30兆で賄わなければならないということになって、非常に硬直的な予算になっている中で、こういうふうに費用効果性の高い政策を導入するということは、日本の例えば財政の持続可能性にも非常に資するものがあるというようなことを、ぜひ想起させるような文言もぜひ入れていただければと思います。以上です。
○武内部会長 ありがとうございました。
 それでは、次、髙村委員、お願いします。
○髙村委員 ありがとうございます。
 前回、私、小委員会に出られなかったもので、43ページの基本戦略4の生活・消費活動における生物多様性の価値の認識と行動、行動って書いてありますけれども、行動変容をするということが非常に大事な点だと思うんですね。個人の生活・消費活動については、企業は非常に敏感なので、47ページの状態目標や行動目標の記述は、少し漠然としているので、もう少し具体的にどういうふうなことをすると生物多様性への配慮が行われるかとか、どういう行動を私たちが取れば配慮ができるのかとか、そういうことが分かるような記述になればいいなと感じました。
 以上です。よろしくお願いします。
○武内部会長 ありがとうございました。
 以上でよろしいでしょうか。
(了承)
○武内部会長 それでは、事務局から、ただいまの委員の皆さんからのご質問、ご意見に関してお答えをいただきたいと思います。
○自然環境計画課長 自然環境計画課長の堀上です。小泉委員からOECMについてご質問いただきました。
 OECMについては、保護地域ということではなくて、保護する目的にかかわらず、保全されているエリアをOECMとしていくということでありまして、規制をするとかではなくて、実際に管理をしている状況を維持していくということであります。それは国の制度、あるいは自治体の制度もありますし、民間の方々がやっていることもあって、今、環境省においては、民間の方々とか自治体でやっている取組の中で、OECMになりそうなところを自然共生サイトということで認定をしていくということを考えていまして、それは申請をいただいて認定をするというスキームにしています。その場合には、生物多様性の基準をクリアしてれば、特に広さは問わないということで、今のところは試行している段階で、来年度から本格運用ということで、それまでにはいろいろ整理をしていきたいと考えております。
 OECMについて、投資の対象になるのかということですが、そこについては、まだOECMの中身を日本でどうするか、我々として示せていないので、民間の動きがなかなかついていっていないということと、我々も検討を始めているところですので整理されてくると進むのかなと思います。
 それから、地域戦略に位置づけるべきだというのは、それはそういう方向を考える必要があるということは考えておりますので、国家戦略の後に地域戦略について、どういうふうに中身を出していくのかということは、こちらからもいろいろ示唆していきたいと考えております。
○奥田生物多様性戦略推進室室長補佐 続きまして、戦略室、奥田から回答いたします。
 まず、石井信夫委員からいただいた構想は分かりやすいというコメント、大変ありがとうございました。
 その上で、少し説明をはしょってしまっていたんですけれども、それぞれの状態目標、それから行動目標、さらには、それに対応するポスト枠組みの、これは1次ドラフト、去年出たバージョンとの対応ですけれども、それを整理したものが、資料2-2の別紙1とい形でつけております。この中で対応するポスト枠組みの中にも、例えば、今、画面に映しておりますけれども、A1というものの中に自然生態系の面積、連結及び一体性が少なくとも5%増加といったようなものが出てきます。こうした国際目標が掲げられる中で、やはり我が国としても何らかの数値を設定していくことは非常に有効ではないかと考えている一方で、まさにご指摘のあったとおり、どういう指標を設定するんだということは非常にクリティカルなポイントだと思っております。
 先ほど見せた資料にもあったとおり、最終的には目標ごとの指標も提示していきたいと思っておりまして、現時点で、それはまだ示し切れていないというのが率直なところでございまして、ただ、前回、7月11日に開催した小委員会では、ここに書いてあるとおり、想定される指標の切り口ということで、こういった形の指標をつくっていけばよいのではないかということを示してきているところでございます。こちらについて、国際的な議論、さらに国内での検討、関係省庁等の調整等、踏まえまして、また今後、国家戦略策定までに示して、ご議論いただいて、ご検討いただいて、できる限り目標、そして指標を設定していきたいと考えております。
 指標あるいは数値目標が独り歩きするという危険性も、色々な業務の関係から痛感はしておりますので、変な目標は立てたくないと思いますが、できる限り設定していきたいと思っておりますが、まだ検討途上だということでご理解いただければ幸いです。また、用語について、整理し切れてないところがございまして、英訳するものも意識しながら、さらに整理を進めていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 それから、藤田委員からございました、このポイントのペーパーが少し抜けているところがあるのではないかというご指摘、大変ありがとうございます。いただいたコメントも踏まえて、この国家戦略のポイントがより伝わりやすくなるように改善を図っていきたいと考えておりますので、また追って相談していきたいというふうに考えております。
 それから、白山委員からいただきました、数値目標は難しいものなのか、それとも、少なくとも何とかなのか。それは正直、物による気はしておりまして、役所だとついつい達成できるものを策定したくなる、すみません、ちょっと本音を言っていますが、ものはあるんですけど、ただ、やはりこの30by30も30%、これ簡単だとはとても思っておりません。ただ、30で終わりかというと、国際目標も少なくとも30%とあるので、そのさらに高みを目指すんだろうと思っておりますが、2030年までのタイムラインの中で、やはり何とか到達できるような目標をできる限り設定したいと思っておりますが、それが終わった途端、何もしなくなるということはないように、これからさらに詰めていきたいと考えております。ありがとうございます。
 それから、ビジネスのところで、個別の企業が負荷削減をしていくだけなのか、あるいは新たなビジネス等があって、技術革新があって、減っていくのかというところですが、率直には両面考えておりまして、とりわけ後者につきましては新たなビジネスチャンスにもなり得るので、そういった部分もすごく推していきたいと思っておりますが、まずは自社で減らすものは減らす。さらに、そこから得られた知見とか知識とか技術も含めて、他者が減らしていくようなものをどんどん推し進めたいという思いを持ってやっておるとこでございます。
 また、大沼委員からいただきました、費用効果が高いという点、おっしゃるとおりだと思うので、今後、国家戦略のさらなるリバイスの中で、どういうふうに書けるか検討していきたいと思います。ありがとうございます。
 それから、髙村委員からいただいた基本戦略4の部分ですね、行動目標の案等も大分固まってきてはいますが、まだ直していく余地もあると当然思っております。どういった目標を立てれば、行動が進んでいくのかという観点で、いま一度見直していきたいと思っておりますので、コメントを踏まえて、考えていきたいと思います。ありがとうございます。
○武内部会長 それでは、国家戦略については、本日いただいたご意見、それから、冒頭、私が申し上げたCOP15での議論、その成果を踏まえて、さらに本部会の下に設置された生物多様性国家戦略小委員会で検討を進めていくということにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、これから10分間の休憩とさせていただきたいと思います。切りのいいところで、3時15分から再開したいというふうに思います。
 それでは、休憩に入らせていただきます。
午後3時02分 休憩
午後3時15分 再開
○武内部会長 それでは、時間になりましたので、部会を再開したいと思います。
 続いての議題でございます、その他に進みます。
 まず、4つの報告事項について事務局より説明いただき、最後にまとめて質疑応答とさせていただきます。
 それでは、1つ目の報告事項として、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律について、事務局より説明をお願いいたします。
○外来生物対策室長 自然環境局野生生物課外来生物対策室長の大林と申します。よろしくお願いいたします。
 ちょうど、1年ぐらい前、前回の部会が8月27日に行われましたが、そのときに外来生物法の施行状況を踏まえた必要な措置について諮問がございました。その後の野生小委員会で議論を重ねまして、さらにパブリックコメントを経まして、1月に答申をいただきました。その後、第208回通常国会におきまして審議がなされまして、5月11日に参議院で全会一致で外来生物法の改正法案が成立いたしました。本日は、その内容につきましてご説明させていただくとともに、今現在の動きにつきましてご紹介させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 まず、今回の法改正の狙い・ポイントにつきまして説明させていただければと思います。大きく分けまして、3点ございます。
 1つはヒアリ、これは今ちょうど、実はこの会場しか見えないんですけれど、一応アクリル標本で、こういうふうに持ってきました。実際ヒアリ自体は、働きアリで2.5ミリから6ミリで、女王アリで大きいので9ミリぐらいですけれど、非常に小さいものですけど、もともと南米のほうから広がって、非常に脅威になっていまして、中国で今、大変な大拡張しておりまして、それがどんどん侵入してくるという形になっております。3年連続でヒアリの大規模な営巣地というか、集団が見つかりまして、専門家のほうから定着しそうなぎりぎりの段階と、今現在対策をやらないとしょうがないということがありまして、そのためのヒアリ等の対策の強化を図るものが一つでございます。中身につきましては、後ほど説明させていただければと思います。
 2点目が、アメリカザリガニやアカミミガメ対策のための規制手法の整備ということで、アメリカザリガニ、アカミミガメ、委員の皆様も昔、釣りとかなされた経験等がございますでしょうか。実際、今でも野外で子どもたちがよく遊んだりとかしていて、そこの下に書いてありますが、アメリカザリガニで約65万世帯、540万匹、アカミミガメ110万世帯、160万匹、一般家庭で多く飼養されておりますので、もし今までの枠組みのまま特定外来生物に指定してしまうと、実際、現在飼っているものに関して、法指定の段階で飼っているものに関しては許可を取れば飼育をすることができるんですけど、やはりその許可を嫌って捨ててしまう人がいるということがあるんじゃないかということで、外来生物法成立の段階からいろいろと話題になっていたんですけど、少し特殊な規制をすることによって、その課題をクリアしたということでございます。中身は後ほど説明いたします。
 3つ目に関しましてですけれど、各主体による防除の円滑化ということで、そちちに書いてありますように、法施行後、地方公共団体においても様々なノウハウというのは蓄積されていて、ただ、国の許可とか認可を取らないといけないということで、なかなか自主性が発揮できないということ。また、法律上は国のみが主な防除主体になっておりまして、じゃあ、実際、誰がやるんだというところでもめる場合も含めて、結局、対策が進んでないというところ、実際に外来生物、例えばアライグマとかブラックバスとか、分布域、被害が広まってしまったということがありますので、それの反省も踏まえましての改正でございます。
 まず1つ目のヒアリ等、水際対策の強化で、下の現行と改正後の部分を見ていただくと一番分かりやすいと思います。特定外来生物、これは実はヒアリも含めて、特定外来生物全般に当てはまるものですけど、現行では防除、実際にそこに特定外来生物がいると分かっているときだけ民有地に立ち入ることができたんです。それ以外のときはできなかったんです。それを、法律を改正することによって、疑いがあるときに、生息調査のために立入りが可能になりました。
 また、通関前の輸入品等に特定外来生物がいるおそれがあるときには、検査、消毒廃棄命令が可能だったですけれど、実際にはその輸入品と、法律用語上は容器包装物ですけれど、それが入っているコンテナだけだったんですけど、実際に例えばヒアリとかいた場合ですと、そこから歩いてその周辺の土地とか施設に行ってしまうことがあるんで、そういうところに関しても検査、消毒廃棄命令を出すことが可能になりました。これが1つ目ですね。
 2つ目、新しいカテゴリーをつくりました。先ほどご説明したように、ヒアリ類というものは、ヒアリとそのお仲間たち、4種群を考えているんですけど、要緊急対処特定外来生物という新しいカテゴリーをつくります。この要緊急対処特定外来生物、つまりすごく危ない、特定外来生物の中でも社会的に非常に影響がある、国民生活の安定に著しい支障を及ぼすおそれがあるものに関しまして、このカテゴリーに指定しまして、何ができるようになるかというと、次のページですけれど、こちらの現行から改正後のところを同じく見ていただければというと、通関後の物品、施設に関しても、検査、消毒廃棄命令ができると。先ほどの特定外来生物全般でいうと通関前しかできなかったですけど、この非常に危ないものに関しましては、検査、消毒廃棄命令がその後もできるようになると。
 次も非常に大きいですけれど、実際のヒアリは非常に小さいものです。これを素人がヒアリですというのはなかなか、難しいところがあるんで、実際にヒアリと怪しきものが見つかったときには、その写真とか物品を専門家に判定してもらうんです。その間に二、三日とかたってしまうときがあって、その間に移動されてしまうと大変ですので、その間に移動停止というような命令、つまり物流を止めるという非常に強い権限をかけることができるようになります。
 さらに、港湾で多く発見されていますけれども、その港湾だけじゃなくて、実際にその荷物が運ばれた内陸等で発見される事例も実はそれなりにありまして、そういうときに様々な関係者の協力、港湾業者も今までもいろいろ協力していただきましたけれど、例えば運搬、物流の関係とか、また、さらには荷主さんに協力してもらったりとかしていますが、どういうことを守ったほうがいいよという法定の対処指針を定めまして、それを守ってくださいと。それが守れない場合に、実は、国のほうは勧告とかすることができるということもできるようにする仕組みにする予定でございます。
 まず、ヒアリ対策につきまして、大きなところを説明させていただきました。
 これは図で、今までのものからどう変わるかということに関して、緑とか赤とか拡充をしたものを、新しくつくったものというので入れさせていただきました。これは後で見ていただければと思います。今回、割愛します。
 2つ目ですけれど、アメリカザリガニやアカミミガメ対策のための規制手法の整備ということですけれど、ざっくり言いますと、今まで、例えば下のところですね、捕獲に関しては実は規制がかからないですけれど、飼育とか輸入とか放出とか販売とか、今まで特定外来生物に指定すると、基本的にはこれらのものは全部ぱっと禁止されてしまうんです。ただ、今現在、多くの人が飼っているものですので、飼育とか捕獲の中で運搬とか考えていただければいいですけれども、捕獲したら運ぶもので、そういうものに関して全部規制してしまうと大変なので、一部のものだけ規制して、一部のものは適用除外にするという新しい仕組みをつくることにしました。
 今回でいうと、アメリカザリガニとかアカミミガメに関しましては、今までどおり捕獲して飼育するということはオーケー。ただし、それを外に放しては駄目。また、外から輸入してくるのは駄目。または、それを商業的に販売、購入とかしたりするのは駄目というような仕組みというのをつくると、こういうふうに考えています。今回、法律では、政令でそういう仕組みをつくりますと。政令で一部の規制の適用除外が可能になるということで、今、アメリカザリガニとアカミミガメに関して、どういう仕組みをつくったらいいかというのを検討している最中です。
 さらに、3点目です。各主体による防除の円滑化ということですけれど、今まで国の責務、都道府県の責務、市町村の責務、事業者及び国民の責務というのは決まっていなかったんですけど、今回に関しまして、国に関して総合的な施策の推進、策定及び実施、さらに地方公共団体の施策の支援、事業者、国民または民間団体の活動促進というので、皆さんを支援するということ。また、未定着または局地的に分布するということで、水際阻止とか非常に限定的なところに関しまして、国が直轄でやります。その代わり、都道府県に関しましては、定着した特定外来生物に関して行うことということが責務となりました。市町村に関してはそれを努めると、都道府県に協力して努めるということになっています。事業者及び国民に関しましても、それぞれの責務というのが定められています。実際、都道府県、このように責務を負うわけですので、都道府県のやる防除の場合には手続というのを非常に簡易化したということになります。これが大きな法改正の内容になります。
 時間を過ぎてきたので、ちょっと手短にいきます。国会審議における附帯決議がありました。衆議院でも参議院でもありました。衆議院と参議院は似たような事項ありますので、参議院で簡単に説明しますけれど、1番に関しましては、非常に公共団体の責務というのは重くなるので、ちゃんと国も体制を整えながら、積極的な支援、要するに財政的、予算的な支援、技術的な支援というのを図るようにしなさい。2番、ヒアリ等の調査ができるようになったので、ちゃんと納得できるようなものをつくりなさいということですね。3つ目、要緊急対処によるものですね。4つ目は水際のものです。5番は、前回もあったもので、指定をちゃんとしなさい。6番目、オオクチバス・コクチバスというブラックバスの関係するもの。7番、8番というのは、アメリカザリガニ、アカミミガメに関して、非常に普及啓発をしっかりとしなさいという内容になっております。
 スケジュールだけ簡単に、あと最後、説明いたします。
 7月1日に一部だけ施行しました。調査をすぐできるようにするということだけ施行しました。その上で、今現在取り組んでいるのは被害防止基本方針という、外来生物法の全体の基本方針で、パブリックコメントがちょうど終わったところで、次回の9月8日に野生小委で最後の議論をいたしまして、その後、答申・閣議決定する予定でございます。さらに、来年の4月頃に全面施行をする予定で、今いろいろと準備を整えているところでございます。
 ちょっと駆け足になってしまいましたけれど、以上でございます。
○武内部会長 それでは、次の報告事項、国立・国定公園総点検事業フォローアップ結果について説明をお願いいたします。
○国立公園課長 国立公園課長の則久でございます。よろしくお願いいたします。
 お手元の資料をご覧ください。まず、国立・国定公園総点検事業のフォローアップとございますけども、実は2010年に国立・国定公園の総点検事業等を行っております。それから12年を経て、今回フォローアップという形での作業を行った形になります。
 めくっていただきまして、次のページでございますが、今回の作業の契機でございますけども、これはご承知のように30by30でございます。ここにございますように、30by30のロードマップのポイントが示されておりますが、1つが国立公園等の保護地域の拡張と管理の質の向上、それからもう一つが、地域の力を結集し、OECMで目標達成へということで、この30by30といいますと、割とOECMが注目をされることがあるんですけども、やっぱり本来の保護地域である国立公園、国定公園もしっかりやっていこうよというのが大きな背景でございます。
 そのロードマップでどう書かれているかというのが、次のページとなってまいります。30by30のロードマップの抜粋でございますけども、国立・国定公園の新規指定・大規模拡張候補地を示したこの総点検事業のフォローアップを行い、未了のエリアを中心に指定・拡張の取組を継続するとともに、生態系や利用に関する最新のデータ等に基づき指定・拡張の候補地について再評価した上で、今後の国立・国定公園の新規指定・大規模拡張候補地を選定すると。また、併せて海域公園ですね、国立公園の海域公園地区についても、その面積を2030年までに倍増させることを目指そうということを、この30by30のロードマップでも規定しております。
 今までの経緯でございますが、令和3年度、4年度、総点検事業のフォローアップ事業ということで、専門家の方々にヒアリングも含めながら議論を行っていただきました。令和4年、今年の6月に、自然公園等小委員会にこのフォローアップの結果についてご報告いたしまして、選定結果を報告、公表させていただいております。
 以後、地域の関係機関との調整、自然環境の詳細な調査等を行って、具体的な区域の範囲や地種区分を決めていくと。現在の総点検で大体この辺りを公園にしようと決めておりますが、それはあくまでもデータに基づいて抽出されてきただけのものですから、地元のご意見ですとか、あるいは他のいろんな施策との兼ね合いですとか、いろんなものの兼ね合いから、実際にはそこの調整しながら、必要な区域を見いだしていくという作業になろうかと思います。
 その次のページが、この候補地の選定フローです。小さな字で非常に細かいので、詳しくはご説明いたしませんけども、この左上にありますのは、前回総点検以降の科学的知見やデータの集積を踏まえた再評価ということで、①というところで、陸域・淡水生態系、それから沿岸生態系、それから地形地質というのを評価の一つのポイントにしておりますが、これは前回の総点検で重視をした視点になります。
 今回、このフォローアップにおきましては、右側、利用の観点での評価というのが入っておりまして、一つは利用状況ですね、これはエコツーリズムの適地ですとかビューポイント、これはソーシャルネットとかでよく話題になっている視点場なんかも拾い上げてきて、抽出に入れたそうです。それから、人と自然の関わり、国際的にいろいろ評価されているような地域、こういったものなんかも入れてきて、評価をして、抽出してきたのが今回の作業となります。
 ご関心があるのは実際どの場所かということかと思いますが、次の選定結果のほうをご覧ください。今回のフォローアップによる新規指定候補地、前回総点検事業からの継続を含む4地域と書いておりますけども、まず、北海道でございます。野付半島、風蓮湖、根室半島、これは国定公園の新規候補地、それから日高山脈、夕張山地、これは国立公園を考えております。これも以前、たしか日高が国定公園になった当時から、西側の森林地帯を編入できれば国立公園の可能性があると、そういった記述を私も見たことがあるんですが、非常に長年の懸案ではございました。それから、御嶽山でございます。これは国定公園の候補地。それから、宮古島の沿岸海域で八重干瀬を含むということで、これも国定公園の新規指定を想定しております。宮古島につきましては、前回総点検事業からの継続案件でもございます。
 また、今回のフォローアップによる新たな大規模拡張候補地の4地域をお示ししておりますが、八幡平の周辺、森吉山等ですね。これは十和田八幡平国立公園になろうかと思いますけれども、こちらの拡張、あるいは国定公園の新規指定も考えられると。それから、奥只見と奥利根、これも国立・国定公園の区域の拡張の候補地となります。それから、先ほどトキの放鳥の話も出てまいりましたけども、能登半島、そういった里山を中心とした自然景観で一つ、国定公園区域の拡張が考えられないか。もう一つが阿蘇周辺の草原ということで、今の外輪山のところまでは今、公園ですが、その外側のところの草原について、さらに広く拡張していくということを想定しております。
 なお、上記以外にも、前回総点検事業の候補地で未了になっている地域がございますので、これらについても引き続き、しっかり取り組んでまいりたいと思います。
 7ページ目、次のページに新規指定候補地の写真イメージをつけさせていただいております。この日高山脈につきましては、氷河時代に形成されました地形など傑出した地形地質が集中して分布をすると。また、自然性が高い森林や原生流域としては国内最大級のまとまりがありますので、そういった観点で高い評価を得ているところでございます。
 その下に、北海道東部、野付半島等でございますけども、国内有数の規模を誇る湿地が森から海まで連続を持って分布していると。また、我が国屈指の野鳥の生息地でもあるということが評価をされております。
 右上の御嶽山でございます。標高3,000メートルを超える山岳で、現在唯一国立・国定公園に指定されていない山でもございます。高山から山腹まで連続的に自然植生が変化するということで、評価の対象となっております。
 右下、宮古島沿岸海域でございますが、ここはとりわけ国内最大規模となるサンゴ礁群である八重干瀬について高く評価されているということで、今、日高山脈の作業が先行して進んでおりますけども、国定公園につきましては県の申出により作業が進む形になりますので、各関係する県の皆様と協力しながら進めていきたいと思っております。
 次のページは、この対象地を地図上に落としたものでございます。細かいので恐縮でございますが、ご覧ください。
 最後に、前回の点検時、2010年の結果をお示しした参考資料をつけさせていただいております。ぱっと見ていただいてお分かりになると思いますが、割と西日本といいますか、南日本のほうですね。これは多分、沖縄、奄美の世界遺産の候補地などもございまして、南西諸島を中心にたくさん作業が進んでおりますけれども、東日本側がちょっと未了というのが多く出てきておりますので、こういったあたりは今後力を入れていきたいと思っております。以上となります。
○武内部会長 ありがとうございました。
 それでは、次に、報告事項、トキと共生する里地づくり取組地域の公募結果について、事務局より説明をお願いいたします。
○岩谷希少種保全推進室室長補佐 野生生物課希少種保全推進室の岩谷と申します。私からは、トキと共生する里地づくり取組地域の公募結果についてご報告いたします。
 お手元の資料3-3をご覧ください。まず、1ページ目をご覧ください。本公募に係る背景ですけれども、ご承知のとおり、これまでトキの保護増殖事業につきましては、新潟県の佐渡のみでトキの野生復帰を行っておりました。関係者の皆様のご尽力によりまして、今では野生下で約480羽にまで生息数が増加しております。この佐渡において生息数が順調に増えたことを背景に、次のステージといたしまして、佐渡以外の地域におきましてもトキの定着を目指すことといたしまして、昨年度、野生生物小委員会にお諮りいたしまして、保護増殖事業を変更いたしました。
 これを踏まえまして、今後、本州等においてトキと共生する里地づくりの取組を進めていくことといたしました。取組の概要といたしましては、同じく資料1ページ目の2の取組の概要の欄をご覧いただければと思いますけれども、トキ受入れに意欲のある地方公共団体、環境省関係機関等が連携いたしながら、トキと共生する里地づくりを推進していくこととしておりまして、先日、5月10日より、トキの生息環境の整備に意欲的な地方公共団体を募るということで公募を開始いたしました。
 今回の公募におきましては、積極的に再導入を行っていくことにより、将来的にトキの野生復帰を目指すという里地と、放鳥は行わないものの、飛来したトキが生息できるような環境整備を進めておくというような地域、トキとの共生を目指す里地ということで、2パターンの地域を公募いたしました。その結果でございますけれども、それぞれ3地域の計6地域からの応募がございました。先般、有識者を含む選定委員会で審査を行いまして、選定結果を先週、8月5日に公表いたしました。
 選定地域につきましては、次の2ページ目をご覧ください。まず、トキの野生復帰を目指す里地といたしまして、石川県と能登半島の関係9市町及び島根県の出雲市の2地域を選定いたしました。放鳥は行わないものの、飛来したトキが生息できるような環境整備を進める地域といたしまして、トキとの共生を目指す里地と名称をつけてございますけれども、宮城県登米市、秋田県にかほ市、広範囲にわたりますが、茨城県、栃木県、千葉県、埼玉県の18市町で構成されたコウノトリ・トキの舞う関東自治体フォーラムとして、この3地域を選定いたしました。
 また、野生復帰を目指す里地として応募があった新潟県ほか関係5市町につきましては、応募要件をほぼ満たしていたところですけれども、一部、地域の合意形成状況に課題が認められるということで、応募者からも丁寧に対応したいという旨の説明もあったところでして、これを踏まえ、この地域につきましては継続審議という扱いとさせていただきました。この地域につきましては、課題の調整状況等を再度確認の上、最終的な判断をすることとしております。
 資料をまた1ページ目に戻っていただきまして、最後のスケジュールの部分です。今後のスケジュールですけれども、今後、12月を目処に、今回選定された地域や、トキと共生する里地の先進地である佐渡市、その他関係機関等により、トキと共生する里地づくり協議会というものを設立いたしまして、地域間で情報共有を図りながら今回の取組を進めてまいりたいと考えております。中長期的なスケジュールといたしましては、少なくとも2025年まではしっかりと生息環境等の整備を行っていただきまして、その後は、進捗状況等を確認の上、専門家の意見も踏まえながら、放鳥の適否や、その時期等を判断することとしております。
 資料3ページ目以降は、選定された地域の位置図や、トキの野生復帰の行程をお示ししたトキの野生復帰ロードマップ、今回の公募のプロセス等の資料をつけてございますので、ご参考に、また後ほどご覧いただければと思います。
 以上、報告とさせていただきます。
○武内部会長 ありがとうございました。
 それでは、最後の報告事項でございますが、IPBES総会第9回会合の結果について、事務局より説明をお願いいたします。
○浜生物多様性戦略推進室室長補佐 生物多様性戦略推進室の浜と申します。昨月、7月3日から9日に、ボンで開催されたIPBES総会第9回会合の主要な結果をご説明させていただきます。お手元資料をご覧いただければと思います。
 まず1点目、橋本先生の学際的専門家パネルへの再選についてです。IPBESでは、学際的専門家パネル、Multidisciplinary Expert Panel、略してMEPを設置して、その科学的、技術的機能を監督することとなっておりますけれども、MEPメンバーは5つの国連地域から各5名が選ばれますが、今回、アジア・太平洋地域から東京大学の橋本禅准教授がMEPメンバーとして再選されました。橋本先生は、2018年の第6回総会からの任期に引き続き第2期目のMEP選出となりまして、任期はIPBES第12回会合までとなっています。
 次に、2点目、自然及びその便益に関する多様な価値の概念化に関する方法論的評価の政策決定者向け要約、summary for policymakers、略してSPM、これの概要についてご説明させていただきます。
 本アセスは、2018年から2022年にかけて、82名の専門家が1万3,000以上の参照文献を基にまとめられた科学的評価報告書となっています。
 まず、本報告書では自然の多様な価値が類型化、整理されているわけですけれども、そこで、多くの政策立案では、そのうち極一部の狭い価値、例えば市場価値で評価されるような価値、これが優先されていて、自然や社会、それに将来世代を犠牲にしていると。それとともに、先住民及び地域社会の世界観に関連する価値がしばしば無視されてきたことが指摘されています。
 また、公表された自然の価値評価研究のうち政策決定への活用が報告されているのは僅か5%未満であるということで、生物多様性の価値の政策への統合は愛知目標等でも求められているわけですが、こうした数字が出されているところでございます。
 そして、4点目、社会変革、これは生物多様性の危機に対処するため必要だとされているわけですけども、この社会変革のためには、現在支配的な短期的かつ個人の物質的利益を過度に重視する価値観から転換し、社会全体で持続可能性に整合する価値観を醸成できるかどうかにかかっていると指摘されております。
 なお、米印で示させていただきましたけれども、本報告書は、地元の農業者と自然保護活動団体の対立する価値観を統合できた事例として、日本の蕪栗沼ラムサール条約湿地の事例が紹介されておりますので、併せて紹介させていただきます。
 次に、ページをおめくりいただきまして、3点目、先ほどの価値に関するアセスメントのほかにもう一つ、野生種の持続可能な利用に関するテーマ別評価のSPM、こちらの概要を説明させていただきます。
 本報告書は、2018年から2022年にかけて、85名の専門家が6,200以上の参照文献を基に取りまとめられたアセスでございます。
 まず、本アセスメントでは、世界のあらゆる地域の何十億もの人々が、食料、医療品、エネルギー、収入、その他多くの目的で、約5万種の野生種を利用し、その便益を受けているということが取りまとめられています。そして、公正性、権利、公平性を確保する政策手段を採用することが、野生種の持続可能な利用にとって最も効果的であるということが指摘されている。
 将来、気候変動、需要の増加、技術の進歩により、野生種の持続可能な利用が困難になる可能性が高いことが指摘されていて、世界の持続可能性を将来維持するためには、野生種の利用に当たって、ステークホルダーの間で常に話し合い、順応的管理を行うことが必要であるということがアセスメントで指摘されているということでございます。
 また、スライドには記載してございませんが、もちろん社会変革や協調的な政策介入、こういったことも野生種の持続可能に必要であるということも指摘されてございます。
 次に、4点目でございますけれども、生物多様性及び自然の寄与に係るビジネスの影響と依存度に関する方法論的評価スコーピングについてでございます。スコーピングとは、今後実施されるIPBESの科学的アセスメントの対象範囲を特定する作業です。
 本アセスメントは2023年から開始され、2025年のIPBES総会第12回でSPMを承認する予定となりました。このアセスメントの対象範囲として、IPBESが生物多様性にどの程度依存しているのか、またビジネスによる生物多様性への影響、これらを分類した上で、依存度と影響を測定する枠組みや尺度、指標等を評価する。さらに、ビジネス及び関係する政府、金融セクター、市民社会などによる行動オプションを評価する。こういったことを対象範囲とすることが承認されたものでございます。
 最後、5点目、次回、10回のIPBES総会の予定については、2023年4月から5月の間で、アメリカ、ウィスコンシン州マディソンでの実施が決まりました。主な議題は、侵略的外来種に関するテーマ別評価、また、今後実施するアセスメントについて議論されることとなっています。
 各アセスメントやスコーピングのもう少し詳細な説明資料を3ページ目以降につけてございますので、お時間があるとき、ご覧いただければと思います。
 駆け足でしたが、以上でご説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○武内部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、以上の4報告事項について、ご質問、ご意見ございます方は、札を立てるか、チャットでお申し出いただきたいと思います。
 それでは、尾崎委員。
○尾崎臨時委員 ありがとうございます。トキの共生に関して、多くの自治体が関心を持たれたこと、非常によかったと思っています。
 その中で、一つ、新潟県はじめ、幾つかの市が継続審議になっていたということがご報告あって、申請者からのご意向もあったということですので、そんな大きな問題ではなかったと考えますけれども、この継続審議はどういう日程を考えておられるでしょうか。12月に協議会を設置されるということですが、それまでに調整をされるのか、それとも、また来年度というんですか、何かそういう別のスケジュールになるのか、そこのところがちょっと気になったものですから、お答えいただけるとありがたいと思います。
○武内部会長 ありがとうございます。
 ほかにご質問、ご意見のある方。どうぞ、愛甲委員。
○愛甲臨時委員 国立・国定公園の新規指定について、資料の6ページ目ですが、今回のフォローアップによる新規指定候補地のリストの中で、日高山脈、夕張山地と書いてあるんですが、実際に今、国立公園化でなっているのは日高山脈で、夕張山地をセットでこうやって書かれているものもあったり、なかったりするんですけど、夕張山地についてはどういう検討がされているかというのを教えていただいてよろしいでしょうか。
○武内部会長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、髙村委員、お願いします。
○髙村委員 ありがとうございます。アメリカザリガニとアカミミガメの対策に新しく規制手法を整備していただいたというのは非常にありがたいことだと思います。
 アメリカザリガニの場合は、幼稚園とか小学校低学年の小さいお子さんが捕獲して遊ぶということが想定されるので、その後の放出や、一旦捕ったものを放出しないようにするなど、アカミミガメの場合は、大きくなり飼えなくなったときに、殺すというのは大変なので、例えば行政が引き取って安楽死させるとか、そういうふうなところまでしっかりやらないと、また放出が起こってしまうのではないかと危惧してしまうんですが、その辺りのことを少しお聞かせください。
○武内部会長 ありがとうございます。
 白山委員、どうぞ。
○白山臨時委員 ありがとうございます。IPBESの総会は私も出席させていただきましたので、追加のコメントをさせていただきたいと思います。
 橋本先生がMEPに選ばれたということで、これはとてもいいことだと思うんですが、忘れてはいけないのが、このMEPの方は、私もそうだったわけですけれども、ワークタイムの30%をIPBESの活動のために割くということが求められています。これはミニマム30%です。実際には、ほかのワークタイムを70%に減らせるかというと、大学の教員がそんなこととてもできないので、実際は彼が130%働くようになるということになります。したがいまして、どういうことができるかは、具体的にご提案できることはないですけれども、やはりそのご負担を少しでも軽減できるような何らかのサポートを今後は考えていただきたいと思います。というのも、橋本先生が、2期はできるんですが、3期目はできませんので、日本から誰か新しくMEPのメンバーを推薦しようというときに、非常にヘジテイトするというか、腰が引けるというか、そういうような状況になってはいけないと思いますので、その点、今後少しお考えいただけるとありがたいと思います。
 もう一つは、今回、アジアパシフィックリージョンのMEP、それにビューローも足してなんですが、全員男性なんですね。それで、日本から次に応募をされるときには、ジェンダーバランスのことも考えて、ぜひ優秀な女性の方を推薦することを前向きに検討していただければと思います。以上です。
○武内部会長 ありがとうございました。
 次に、勢一委員、お願いします。
○勢一委員 ありがとうございます、勢一です。私、2点ほどコメントというか、要望をさせていただきたいと思います。
 1つは、国立・国定公園の新規指定、大幅拡張についてです。方針に示されているように、2030年を目標で、これから丁寧に手続等を進めていかれるということですけれども、他方で、脱炭素も2030年までに46%削減目標で、これはまさに今、地域脱炭素に手厚い財政的措置なども実施されていて、強力に推進をされている状況です。そういう動きがある中で、地域では指定前に駆け込みの開発需要があるというような懸念が示されている部分もございます。ですので、お示しいただいた地域の関係機関との調整という部分では、地域の脱炭素との両立というか、協調ができるような形での調整もぜひ進めていただきたいですし、また、地域脱炭素を強力に進めているのは環境省でもありますので、環境省内での調整、連携をうまく図っていただいて、こうした貴重な自然資源をうまく守っていただきたいと思います。
 2点目は、トキと共生する里地づくりについてです。こちらも、トキの生息できるような環境整備を地域でしようと思えば、地域空間を全体的にデザインしていくことが不可欠になります。こちらについても、再エネ導入との早期かつ継続的な調整をしていかないと、将来的によい生息環境を確保することが難しいだろうと思います。これについては、ぜひ、温対法のツールを活用していただいて、具体的には、改正温対法で強化された自治体の実行計画ですが、この下で環境配慮をあらかじめしっかり入れてもらって、再エネ導入のゾーニングをしていただくことが肝要です。そのために、いろいろ環境省のほうでもサポートをしていただければと思います。以上です。
○武内部会長 ありがとうございました。
 それでは、藤田委員、お願いします。
○藤田委員 ありがとうございます。質問です。IPBESの7月にあった会議に関する資料で、2025年の総会で様々な生物多様性の影響や依存度を測る測定手法を評価するということがありました、23年にスタートして。この間にTNFDの指標が出てきますよね。2022年6月に初めて指標に関するベータ版が出ましたし、あと、今年のCOP15、年末にありますけれども、恐らくそこでも何%削減とか、そういった定量的な数値が出る可能性があります。その際、どういう指標を使うのかということがTNFDやCOP15の採択でも議論になると思うんですが、IPBESで、2025年の測定方法の評価というのそれよりずいぶん先になりますが、どうにリンクしてくるのか、もしご存じでしたら教えてください。以上です。
○武内部会長 ありがとうございました。
 それでは、藤田委員、お願いします。
○藤田委員 ありがとうございます。質問です。IPBESの7月にあった、先ほどのこれで、2025年の総会で様々な生物多様性の影響や依存度を測る測定手法を評価するということがありました、23年にスタートして。TNFDの評価、TNFDで指標とかがこの間、6月に初めてベータ版で出ましたし、あと、今年のCOP15、年末にありますけれども、恐らくそこで不可能、何%削減とか、そういったことがもし出て、あるいは、さっきの質問にもありましたけど、どうやって評価するのかというので、どういう指標を使うのかということがTNFDやCOP15の採択でも議論になると思うんですが、IPBESで、2025年の測定方法の評価というのはどうにリンクしてくるのか、もしご存じでしたら教えてください。以上です。
○武内部会長 ありがとうございました。
 宮本委員、お願いします。
○宮本臨時委員 宮本でございます。資料の3-2の30by30についてお伺いしたいと思います。
 2ページ目のところに、OECMについて触れていらっしゃるんですけれども、このOECM、かなり内容が多様になるかと思うんですが、カテゴリーとかランクづけなどを考えていらっしゃるのかどうかということをお伺いしたいと思います。
 また、関連しまして、例えば国の保護区に隣接しているような、かなり多様性の高いようなOECMの場合、将来的に国定公園とか国立公園とかに組み入れていくという可能性はあり得るのかどうかという点についてもご教示いただければと思います。以上でございます。
○武内部会長 どうもありがとうございました。
 もしほかにないようでしたら、事務局から、ただいまのご意見、ご質問に対してお答えをいただければと思いますが。
○岩谷希少種保全推進室室長補佐 希少種保全推進室、岩谷です。尾崎委員から新潟県の今後の取扱いについてご質問をいただきました件でお答え申し上げます。
 説明が不足しておりまして、申し訳ございませんでした。新潟県の取扱いにつきましては、今後、秋を目処に地域間の調整をしっかりと図るということで、新潟県からもご説明を受けておりますので、秋を目処に状況を確認しまして、再度、今回審査いただいた委員の皆様に状況をご確認して頂いた上で、結論を出していきたいと考えております。12月に協議会設立の予定としておりますので、それまでにはしっかりと結論を出して、取り組んでいきたいと考えてございます。
 もう1点、トキに関しまして、勢一委員からご指摘いただきました。ご指摘の点、まさにそのとおりかなと思うところでございまして、特に鳥類であり、風力発電等が大きく懸念されている点かなと思いますので、しっかりと連携をして進めていきたいと考えております。ありがとうございました。
○藤井国立公園課課長補佐 国立公園課の藤井です。それでは、2点目ですけれども、愛甲委員からご質問いただきました国立・国定公園の夕張山地の扱いについてご回答させていただきます。
 一度、環境省で、日高の指定に当たりまして調査業務を入れておりまして、その調査報告の結果としましては、日高山脈と夕張山地は利用ですとか、そういった面で一体性が少し薄いという結果になっております。今回の日高山脈の周辺地域の国立公園指定に当たっては、第1段階として夕張山地は含めない形で作業を進めている段階です。
 ただ、今回継続して、候補地には夕張山地を残していますが、こちら「国立公園の新規指定等」というので、分かりづらいのですが、「等」を入れさせていただいております。この「等」の意図としましては、夕張山地は今、道立公園なのですけれども、道立公園のまま残すのか、それとも国定公園とするのか、日高山脈が第1段階で国立公園として指定された後に拡張させるのかというところについて、まだ一定の結論が出ていないところがございますので、引き続き夕張山地の扱いについては検討するということで、候補地には継続して含めているということになります。以上です。
○大林外来生物対策室長 外来室の大林です。髙村先生の質問、アカミミガメとアメザリのことに関してなんですけれど、まず今回、なぜ法指定に至ったかというと、アメリカザリガニやアカミミガメが非常に悪影響を与えていると。さらにそういうのがまだ理解されていないというところがありますので、今回、アカミミガメやアメリカザリガニがどのような影響があるかということをしっかりと周知していきたいと思っています。
 実際、周知するときに、例えばアメリカザリガニだと、先ほど幼稚園のお話も出ましたけれど、小学生が一番多く飼っているということなので、文科省等も含めまして、各学校教育の場面でどのようなことができるかとか、あと、単純に例えばホームページ等でお知らせするんではなくて、実際、子どもたちも含めて、動画やYouTubeなど、そういうのも含めて周知をしていきたいと思っています。
 一方、今回、実は、制度が新しくなったときに、譲渡しというのができるようになりました。ですので、例えば、アカミミガメが飼えなくなった場合、別のほかの飼い主に譲り渡すということもできるような、新しい仕組みとしてできております。
 また、行政の引取りというお話も出ましたけれど、ちょっとそこで少し考えないといけないと思っているのが、行政が引き取りますと言うと、じゃあ、そこに預けりゃいいやと、そういった少し安易なことになってしまうということがあるので、まず一つは、今回周知するときに、飼い主の責任というのをしっかりと考えて、やはり飼ったならば終生飼育するということも含めてお知らせするとともに、実際にはやはり困った人というのはいると思うんで、相談ダイヤルや、そういう制度というのをつくっていきたいと考えていきたいと思っています。
 法律的なところで補足ですけれども、あくまで譲り渡しは、無償でということです。以上です。
○浜生物多様性戦略推進室室長補佐 生物多様性戦略推進室から、IPBESに関するコメント、ご質問について回答させていただきます。
 まず、白山委員からいただきましたメンバーのワークタイムの件、ジェンダーバランスの件、貴重なご指摘ありがとうございます。環境省としても、そういった課題点があるということは認識しておりますので、何ができるかということを一生懸命考えていきたいと思います。貴重なご意見ありがとうございました。
 そして、藤田委員からご質問いただきましたビジネスのアセスとポスト枠組み、TNFDとのリンクでございますけれども、ビジネスのアセスメント、まだ詳細の内容についてはこれからということもありまして、不明な点も多いんですけれども、基本的にIPBESのアセスメント、これは既存の科学的知見をレビューするものでございますので、2023年開始ということで、そのときにはポスト枠組みもまとまっていたりだとか、そういう既存の知見もあると思いますので、そういった既存の知見を基にアセスメントが取りまとめられるということで、TNFDとかポスト枠組み等、大きなコンフリクトが生まれるということはないのではないかと考えております。
 以上です。ありがとうございます。
○自然環境計画課長 自然環境計画課の堀上です。宮本委員からOECMについてご質問いただきました。
 カテゴリーやランクづけがあるのかということですが、今のところ、どういった内容になるのかというところは、基準の中でいろいろ考えてはおりますけれども、まだそういったランクづけ等については今検討している段階ではありません。自然共生サイトの中身をどうしていくかということで議論をしています。
 それから、国の保護区に隣接したところは保護区のほうに組み込んでいくのかということについては、これはケース・バイ・ケースと思っております。OECM側でのいろいろ事情もありますし、一方で、保護区の緩衝地域として重要というケースも当然出てくるわけですので、いろんなケースがありますので、そこは検討していく必要があるかなと思います。以上です。
○国立公園課長 では、勢一委員からご質問ありました脱炭素の関係と自然公園の関係でございますけども、共に2030年へ向けてということで、実は国立公園の区域自体もカーボンニュートラルを目指していかないといけないということでございます。
 ゼロカーボーンパークという取組、国立公園の中で脱炭素をやっていこうということも進めておりますが、もうちょっと大きな視点でいきますと、今年改正の温対法の中で、再エネ促進区域という新たなゾーニングの仕組みですね。これは各市町村が策定されるようになりますけども、例えば、この中で国立・国定公園の特別保護地区ですとか、そういった場所は基本的に避けるべき地域と、こういったことを基準でお示しをしたりしておりまして、そのすみ分けが自治体のレベルでも進められるように、いろいろ求めていきたいと考えております。
 また、実際、国立公園の中に入ってきた場合は、それぞれ許認可というところもございます。一方で、30by30とかありまして、どんどん広げていかなきゃいけないというところもありますので、一律に駄目というものではございません。それをやっていると、逆に広げられないこともあるかと思いますし、他方での国立公園の原点は、戦前のものを見ますと、国民に日常体験し難き感動を与えるような場所だという、そういう非常にすばらしい自然景観を有している場所で、やっぱりこれを残していくんだろうということで、そこはめり張りをつけながら対応していきたいとい思っております。以上となります。
○武内部会長 よろしいですか。
(了承)
○武内部会長 それでは、以上、4報告事項についての質疑応答を終了させていただきます。
 本来、最初にご紹介すべきでしたが、環境省の職員の異動がございましたので、奥田局長からご紹介をいただきたいと思います。
○自然環境局長 ありがとうございます。座ってご紹介させていただきたいと思います。
 お手元に事務局の出席者一覧もありますので、そちらをご覧になっていただきたいと思いますけども、まず、7月1日付で、名簿の3番目に書いてある総務課長の関谷から交代しまして、細川になっております。
○総務課長 細川でございます。よろしくお願いいたします。 それから、7番の生物多様性主流化室長は谷貝から浜島に替わっております。
 それから、8番、生物多様性戦略推進室長も、中澤から7月15日付で山本に替わっております。
○生物多様性戦略推進室長 よろしくお願いいたします。
○自然環境局長 それから、13番の国立公園課長は則久が熊倉の後を受けて、7月1日付で国立公園課長に就任しております。
○国立公園課長 よろしくお願いします。
○奥田自然環境局長 それから、先ほど申し上げた中澤が、則久から15日付で野生生物課長が中澤に交代しております。
○野生生物課長 中澤です。よろしくお願いします。
○自然環境局長 中澤につきましては、COP15に向けての準備は引き続き担当させることになっております。
 そして、最後、18番、8月1日付で山本の後を受けて、希少種保全推進室長に河野が就任しております。
○希少種保全推進室長 河野でございます。よろしくお願いします。
○自然環境局長 以上が、7月、8月の人事異動です。この体制でやっていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
○武内部会長 それでは、これで全ての議事を終了いたしましたので、事務局に進行をお返ししたいと思います。ご協力、どうもありがとうございました。
○司会 武内部会長、議事進行ありがとうございました。委員の皆様におかれましても、長時間にわたりご審議をいただきましてありがとうございました。
 以上をもちまして、本日の部会を終了いたします。
午後4時10分 閉会