自然環境部会生物多様性国家戦略小委員会(第5回)議事録

開催日時

令和4年7月11日(月)14:00~17:00

開催場所

AP虎ノ門(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11F)
※  WEB会議システムを併用して開催

出席者

中静 透     委員長
石井 実    委員
勢一 智子   委員
藤田 香    委員
愛甲 哲也   臨時委員
大沼 あゆみ  臨時委員
亀山 康子   臨時委員
五箇 公一   臨時委員
中村 太士   臨時委員
西澤 敬二   臨時委員
深町 加津枝  臨時委員
山野 博哉   臨時委員
橋本 禅   専門委員
広井 良典   専門委員
吉田 丈人   専門委員

議事録

午後2時00分 開会
○司会 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会自然環境部会第5回生物多様性国家戦略小委員会を開催いたします。
 本日は、お忙しい中ご出席いただき、ありがとうございます。
 会議に先立ちまして、本日の出席委員数をご報告いたします。
 本日の小委員会には、15名の委員にご出席いただいております。このうち、定足数の対象となる委員・臨時委員14名中、ウェブ会議システムでの参加を含め12名がご出席され、定足数を満たしていますので、本会議は成立しています。
 次に、本日の会議運営につきまして、ご説明いたします。
 傍聴につきましては、会場での傍聴は行わず、YouTube配信にてどなたでも傍聴できるようにしております。
 本日、オンラインでご参加の委員の皆様におかれましては、マイク・ビデオは各自ご発言の際のみオンとするようお願いいたします。
 また、ご発言の際はチャット欄に書き込みをいただき、ご発言する旨をお知らせください。
 委員長からのご指名後、マイクのミュートを解除していただき、議事録の円滑な記録のため、お名前をおっしゃってからご発言いただきますよう、お願いいたします。
 なお、挙手ボタンは気がつかないこともございますので、挙手ボタンは使用せず、チャット欄をご活用いただければ幸いです。
 本日、会議室でご参加の委員の皆様におかれましては、ご発言の際は名札を机の上に立てていただき、委員長からのご指名後、マイクをオンにしてご発言ください。発言終了後は、マイクをオフにしていただくようお願いいたします。
 本日ご説明する資料につきましては、委員の皆様には事前に電子データにて送付しております。本日は、事務局が画面上に資料を掲載し進行させていただきますので、お送りした資料は必要に応じ、お手元でご参照いただけますようお願いいたします。
 傍聴されている方におかれましては、本日の資料を環境省ホームページにアップロードしておりますので、そちらをご覧ください。
 また、本日の会議については会議録を作成し、ご出席の委員の了承を取った上で公開することとなりますので、ご了承ください。
 それでは、奥田自然環境局長よりご挨拶申し上げます。
○自然環境局長 皆さん、こんにちは。この度はお暑い中、中静委員長、西澤委員、吉田委員、勢一委員にご足労いただき、対面でもご参加いただいたこと、改めて感謝申し上げます。
 また、お忙しい中、オンラインで多くの委員の方々に参加いただいていることを、重ねて感謝を申し上げたいと思います。
 先月下旬に、ケニア・ナイロビにて「ポスト2020生物多様性枠組」を検討する第4回の公開作業部会(OEWG4)が開催されております。
 その冒頭で、ご承知のとおり7月から9月に中国・昆明で開催とされていた生物多様性条約のCOP15のパート2でございますが、それについては12月5日から17日に開催するということで、しかも昆明ではなくカナダのモントリオールで開催ということが、公表されたところでございます。
 ご承知のとおり、2020年に行うべき会議が、ここまで新型コロナウイルスの影響で延びてきてしまったということで、やっと具体的な日程が確定したということで、交渉のほうも本格的に進むことを期待しているところでございます。
 とはいえ、実際には現場に行き、交渉に携わった職員からの報告では、やはり作業部会では、新たな世界目標に関する議論というのはまだ収束しておらず、中でもブラケット、要するにペンディングになっている部分が、逆に増える状況であるといった報告を受けております。
 ですから、まだまだ先が見えない状況ではありますけれども、日程が決まったということ、これも一つでございますし、世界目標の合意に向けて、やはり日程が決まると、その議論というのも加速化すると期待しているところでございます。
 我が国としても、その中で十分なインプットをしてよい世界目標になるように、引き続きしっかりと貢献していきたいと考えているところでございます。
 先週にはIPBESの第9回総会も開かれて、そこでは野生種の持続可能な利用に関するテーマ別評価、自然の多様な価値に関する方法論アセスメントのSPM、政策決定者向けのサマリーというものも公表されたところでございます。
 そういった動きもにらみながら、今日は国家戦略、我が国の国家戦略の議論でございますけれども、前回3月に第4回小委員会を開いて、そこで様々なご意見をいただきました。それを踏まえて、今回、次期生物多様性国家戦略の素案を更新しましたので、ご議論をお願いしたいというところでございます。
 今回は具体的な施策を掲載する第2部の行動計画案、前回のときは、ほとんどその中身が示せることはできなかったですけれども、お示ししておりますので、ぜひ、忌憚のないご意見をいただきますよう、お願い申し上げたいと思います。
 本日は17時までの長丁場となりますけれども、よろしくお願い申し上げます。
○司会 それでは、これよりの議事進行につきましては、中静委員長にお願いいたします。
○中静委員長 皆さん、こんにちは。暑い中、どうもご苦労さまです。
 12月に最終的にCBDの会議ということで、その後に、この戦略も決めることになると思いますけれども、ようやく最後が決まったということで、取りまとめも加速させていかなければならないと思っております。よろしくお願いいたします。
 議事に入る前に、新たに日本経済団体連合会自然保護協議会の会長となられました西澤様が、7月7日をもって、この委員会の臨時委員に任命されましたので、ご報告させていただきます。
 それでは、時間もありますので、議題に入りたいと思います。
 今日の議題は二つで、一つは、次期生物多様性国家戦略に関連する国内外の動きと策定に向けたスケジュールということです。
 もう一つは、こちらが本命ですけれども、次期生物多様性国家戦略素案の検討ということになります。
 では早速、議事1の次期生物多様性国家戦略に関連する国内外の動きと策定に向けたスケジュールということで、事務局からのご説明をお願いします。
○生物多様性戦略推進室室長補佐 中静委員長、ありがとうございます。それでは事務局から説明したいと思います。
 資料1をご覧いただけると幸いです。ただいま画面共有いたしますので、少々お待ちください。よろしいでしょうか。
 既にCOP15の延期について、局長のご挨拶、それから中静委員長のご挨拶の中でございましたので、簡単に説明していきたいと思いますけれども、先月、ケニアのナイロビで「ポスト2020生物多様性枠組」第4回公開作業部会(OEWG4)が開催されました。
 この作業部会の冒頭におきまして、当初7月から9月に中国・昆明で開催予定であった生物多様性条約COP15第二部が、本年12月5日から17日にカナダ・モントリオールで開催となるという変更が公表されております。なお、議長国につきましては中国のままでございます。
 また、この同作業部会におきましては「ポスト2020生物多様性枠組」の多くの論点がまだ合意されていない状況だということで、今後、非公式会合等の開催を検討しつつ、COP15第二部での合意を目指すという流れになるかと思います。
 資料1の参考といたしまして、先日発表いたしました環境省報道発表資料、OEWG4の結果についてつけております。
 また、こちら、若干マニアックな資料となりますけれども、参考2といたしまして、OEWG4の結果概要ということで、今、何が論点になっているのかということを、もう少し具体的に書き出した資料をつけておりますので、こちら、ご参考にご覧いただければと考えております。
 次の2ページ目に先に行きまして、このCOP15の開催が12月になったことから、次期生物多様性国家戦略の策定自体は、3月の第4回小委員会を開催した時点では、COP15が大体7月から9月、より具体的には8月の終わりから9月の初めといっていたものが、このたび12月に延びましたので、それに伴いまして国家戦略の閣議決定自体も、年内は少し厳しいと考えておりまして、今のところ3月の年度内を目指すということで動いていきたいと考えております。
 若干、今回の第5回の小委員会から次の会まで間が開いてしまいますけれども、今日、ご議論いただく結果も踏まえて、国家戦略の作業は進めていきたいと考えております。
 少し戻りまして、資料の1ページ目になりますが、前回、3月の第4回小委員会で、「30by30ロードマップ」の案についてもご議論をいただきました。こちらにつきまして、4月8日に生物多様性国家戦略関係省庁連絡会議名で「30by30ロードマップ」を公表しております。
 また、同日「生物多様性のための30by30アライアンス」を発足しておりまして、同アライアンスですけれども、発起人を含めまして133者から始まりましたが、先週時点で、現在240者まで増えているということで、勢いがあるのかなと考えております。
 こちらの30by30につきまして解説する資料を、資料1の参考3でつけておりますので、こちらもご覧いただければと考えております。
 また、関連しまして保護地域につきましても、6月14日には「国立・国定公園総点検事業フォローアップ結果」を公表いたしまして、国立・国定公園の新規指定、あるいは大幅拡張候補地の選定結果というものを提示しております。こちらも資料1の参考4という形でつけておりますので、ご覧いただければと考えております。
 また、この会議の皆様であればOECMで大体通じると思うんですけど、こちらにつきましては今年度、試行をやるということで、5月28日には「自然共生サイトの仕組みの試行について」公表しております。こちらにつきまして、資料1の参考5という形でつけておりますので、こちらもご覧いただければと思います。
 話は変わりまして(3)でございますけれども、冒頭、局長からご挨拶の中でもございましたが、IPBES総会の第9回会合というものが、先週開催されておりました。その中では、野生種に関する評価のSPMでしたり、あるいは自然の多様な価値の概念化に関する方法論的評価のSPMというものが採択されております。こちらも資料1の参考6という形で、資料としてつけております。
 また、このIPBESの中で、学際的専門家パネル、MEPと呼ばれるメンバーがいらっしゃいますけれども、アジア・太平洋地域から、本小委員会の委員でもございます東京大学の橋本禅准教授が再選されております。こういった動きの中に橋本先生がいてくださるということ、大変ありがたいと考えております。
 以上でございますけれども、国家戦略の策定に向けたスケジュール、あるいはそのほかの動きにつきまして、何かありましたらいただければと思います。
 以上でございます。
○中静委員長 ありがとうございました。
 今の説明に関しまして、ご質問、ご意見がありましたら、オンラインの方はチャットに記載してください。それから、会議室におられる委員については、名札を立てていただきますとご指名いたします。いかがでしょうか。
 よろしいですか。
 スケジュールのことですので、先に進ませていただいて、中身の議論をなるべくたくさん取りたいと思います。
 それでは、議事の2番目に移りたいと思います。
 二つ目は、次期生物多様性国家戦略素案の検討ということですが、前回3月に開催した第4回小委員会に続いて検討を進めたいと思います。
 まず、内容に入る前に、この間に、海洋政策学会から提言をいただいています。これについては、本小委員会で問題提起されて、6月の国連海洋会議(UN Ocean Conference)にもご参加されていた白山さんから、当初、ご説明いただく予定だったですけれども、ドイツからの帰国が遅れて本日欠席ということですので、山野委員から、本提案についてのご説明をいただきたいと思います。
 山野委員、よろしくお願いいたします。
○山野委員 はい。承知しました。それでは、日本海洋政策学会の有志による、次期生物多様性国家戦略に関する意見書のご説明をさせていただきます。
 これは、もともとの発端としましては、白山委員から、この今の次期の生物多様性国家戦略の原案の中に、海の記述が少ないのではないかという問題提起がなされまして、それを受けて、海洋政策学会の牧野先生が中心になってまとめられたものです。
 私は、実は学会員ではないですけど、外部有識者ということで、ここの国家戦略の委員もさせていただいていますので、外部有識者として加わって、この意見書に一部を執筆させていただいたということになります。
 それで、背景としましては、ここにありますとおり、海は、我が国は国土面積の約12倍、世界第6位という広大な管轄水域を有していて、さらにその海域は、世界的に見ても生物多様性が高いと。ですので、海に関する記述は、やはり充実させる必要があるであろうということです。
 それで、これまでCOP10以降、EBSAの選定ですね、Ecologically or Biologically Significant marine Areaですね。その選定、あるいは沖合海底自然環境保全地域制度を創設、これは主に環境省さんの努力によって創設されまして、それによって13.3%を占めるまでに拡大して、愛知目標を達成することができたということです。
 これを30%にするために、この努力を継続して加速する必要があるだろうということで、提言を出させていただいたものです。
 この10年間のところは、これまでの動きですので割愛させていただいて、海洋生物多様性の保全が極めて重要であるということですので、この次期生物多様性国家戦略においても、海洋に関する十分な記述が行われることが必要であろうと。素案の概要部分、あるいは五つの基本的戦略の説明文のところに、海に関係するところを増やしていただきたいという意図でまとめさせていただきました。
 その具体的な提言内容は、この要旨にありますとおりです。
 1番としましては、海では多用な生態系機能と、その利害関係者が同一の空間に重層的に関係します。水中を利用するもの、あるいは海底を利用するもの、そういった立体的な構造もありますので、さらに重層的になっているということですね。ということです。
 それと、あとは、一つの海域を保全再生だけではなくて、Eco-DRR的な防災・減災、あるいは水産資源の保護培養や、海ごみの回収・削減、レクリエーションも様々な利用をしています。これは、逆に、ひいては、これらの活動は相乗効果を生み出し得るということでもありますので、そういった観点を入れる必要があるだろうということです。
 あとは森里川海、あるいは海と海は、生態系の連結、あるいは海域ごとに海流によって卵が輸送されて、それが別の場所に定着するといった連結性が非常に大きいですので、そういった観点も入れていただきたいと、こういった海の特殊性を踏まえた記述の充実を望んでおり五つの基本戦略に関わることであるということですね。
 2番目が、基本戦略の1のところに関わるところで、特に30by30を実現するために、漁業法改正により創設された保全沿岸漁場制度とか、そういった、沖合、深海におけるOECMの設定とか、そういったことも盛り込んでいただきたいと。
 特に海洋では海洋保護区という言葉があって、それも定義されたものがあるんですが、それが新たに入れていただいてはいるんですけど、当時は全然入っていなかったので、そういった現状は改善が必要であるというのが2番目です。これが基本戦略の1に関わるところです。
 3、4が気候変動に関わるところで、3は、特に気候変動も含めた環境変動ですね。それに対する海域生態系の反応が非常に早いということです。あと、年ごと、季節ごとの変動も大きいということで、気候変動の影響によって、現在の保護区が将来、意味をなさないといいますか、将来でもずっと有効であるとは限りませんので、動的な保護区などのように、科学的モニタリングに則した順応的な取組が重要であると。
 これは気候変動のところにも、海洋の特徴を書き込んでいただきたいところですし、戦略1にも関わってくるところだと考えております。
 それで次は4番ですね。カーボンニュートラルで、最近、ブルーカーボンというのが非常に盛んになってきておりますけど、沿岸域の生態系による二酸化炭素の吸収固定機能ですね。それを、しっかり評価するべきであろうということで、これは戦略の2に関わるところかと思います。利活用のところですね。これが4番目です。
 それで5番目ですね。海は当然ながら連続していますので、我が国の管轄海域の環境が他国の影響を受けるとともに、我々が他国に影響を及ぼしている可能性もあるということですね。こういったことを考えると、国際的な視点が不可欠ということで、これは基本戦略の5に関係することかと考えております。
 6番ですね。6番は、これは陸域にも関係することですけど、利害関係者の理解を得てコ・デザイン、あるいは市民科学とか、様々なステークホルダーの参画を促したいということで、これも基本戦略の5に関わるところかと思います。
 最後、7番で、社会生活と海の相互作用を理解するオーシャン・リテラシーを高めるとともに、将来の生物多様性に関する希望的な展望の共有ですね。最近、Ocean Optimismという概念が出てきましたけど、これは3の1節にあるNature Positiveと非常に似ている概念ですので、Nature Positiveとともに、こういった海も考えた概念というのも書き込んでいただければと考えているということです。
 そうですね、あとは、この1から7に関しましては、この後の文章で、それぞれ詳しく、さらに引用文献つきで示しておりますので、ご参照いただければと考えております。
 私からは以上です。どうもありがとうございました。
○中静委員長 山野さん、ありがとうございました。
 今のご説明に対して、ご質問、ご意見がありましたら、チャットか名札でお願いいたします。
 それを考えていただいている間に、国連の海洋会議については藤田委員も参加されたというふうに聞いていますので、もし、よろしければ感想を補足いただければと思いますが、いかがでしょう。
○藤田委員 中静先生、ありがとうございます。私、海の専門家ではないですけれども、国連海洋会議に外務省と日経グループでサイドイベントをするために参加していました。
 なので、今、非常に海が盛り上がっているということが、よく分かりました。なので、ちょっとだけコメントさせていただきます。
 今、ご発表にあったように、まさにその海洋プラスチック問題対策と、生物多様性、気候変動を、みんな一緒になって、海という場で解決していこうということが、非常に大きく打ち出された会議でした。
 やはり、二つあって、まず、IUU、資源をしっかりと保全していこうということで、違法漁業、IUU対策と、あと、それから今、お話があったように、ブルーカーボンと生物多様性保全を両立させるということ、それから、それをいろんなステークホルダーが考えていきましょうということが重要ということと、あと、海洋プラスチック対策については、例えば企業の新素材であったり、新しい技術開発であったり、そういったことも議論される会議でした。
 ですので、私からも、日本はやはり魚食文化が根づいている場所でもありますし、資源については水産庁が漁業法改正をされたり、あるいは今年の年末に水産流通適正化法を施行するということで、水産資源のトレーサビリティーをしっかり取って乱獲しないようなという施策をされるので、その水産の資源管理とか海洋資源管理ということについても、ぜひ、戦略に盛り込んでほしいなと思うのと、あとは、ブルーカーボンと生物多様性の両立というのは、この海という場では、藻場の再生とかで非常に取り組みやすい活動です。外務省も里海、里海とサイドイベントでは主張されていましたけれども、そういったところからも、ぜひ盛り込んでいき、それを30by30に反映させるようなことをやっていただければと思っています。
 もう一つ、ちょっと付け加えるならば、教育という、リテラシーというお話もありましたが、2025年の大阪・関西万博が海洋保全を大きなパビリオンを出してテーマの一つ、日本国としてテーマの一つにするということで、まさに海の教育をするのに適切なタイミングなのかなと思っています。
 海洋保全の環境教育も戦略に、何かいい形で盛り込めればと思うのと、あと、ごめんなさい。もう一つありました。
 サイエンスという意味では、例えば、環境DNAが今、大変、日本初の研究として注目を集めています。こういう科学者の知見が、海の生物の資源分布とかを調べるのに、大変役に立つということも、科学のコントリビューションも、ぜひ、いい形で盛り込んでいただければと思っています。以上です。
○中静委員長 ありがとうございました。
 今の山野さんのご意見ですね。それから、藤田さんのご感想なども含めて、ご質問、ご意見があればお願いいたします。いかがでしょうか。
 確かに、今のバージョンでも、海に関する記載はちょっと弱いかなと思うところが、ところどころあるので、提言を入れて補強すべきところはあるかなと思います。
 ご意見、いかがでしょうか。よろしいですか。
 では、後でも入れていただいても結構ですので、先に進みたいと思います。
 事務局から、次期生物多様性国家戦略の素案についてのご説明をお願いします。
 これは、第1部と第2部と別々にやっていくということでよろしいですね。
 まず、第1部のご説明をお願いします。
○生物多様性戦略推進室室長補佐 中静委員長、ありがとうございます。
 それでは事務局から、資料2-1、それから資料2-2に基づきまして、説明をしていきたいと思います。改めまして、戦略室の奥田です。よろしくお願いいたします。
 資料2-1、それから2-2についてですけど、かなり資料としてもボリュームが多いものですので、端的に話していきたいと考えております。
 まず、資料2-1でございますけれども、こちら、前回3月の第4回国家戦略小委員会においていただいたご意見を端的にまとめたもの、それから、それに対する対応方針でございます。
 ここに掲げたものは合計78個ございまして、一つ一つの説明は、申し訳ございませんが時間の都合上できませんが、見ていただくと分かるとおり、いただいたご意見については基本的に対応してきている形となっております。
 こちらについては、また必要に応じてご覧いただければと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、資料2-2について説明いたします。まず冒頭の概要について、前回の3月に開催した第4回の小委員会でも、この概要というものをつけておりました。こちらの概要について、まず、簡単に話をしたいと思います。
 今度の戦略でございますけれども、今のところ「本戦略の背景」、過去は前文という形で呼んでおりましたが、そこで、今、この戦略を取り巻く状況ですね。そういったものも含めて記述していきたいと考えております。
 また、位置づけ、役割も明記していきたいと考えております。
 それから「第1部戦略」がございます。この戦略につきましては、第1章から第4章までございまして、それぞれ、第1章が現状と課題。それから、第2章が本戦略の目指す姿としては、2050年以降の姿。それから、第3章が2030年に向けた目標ということで、最重要パートの一つでございます。
 それから、第4章といたしまして、こういった第3章までで立てた目標に対して、それを実際行っていくのは第2部の行動計画と、中に掲げられた関係する施策という形になっていきますけれども、そうした関連する施策を実施する際に、実施に向けた基本的な考え方といったようなもの、あるいは、その進捗状況の評価及び点検といったような、本戦略を効果的に実施するための基盤・仕組みといった部分につきまして、第4章でまとめております。
 それから、第2部の「行動計画」があるというのが、大きな構造でございます。
 こちらにつきまして、前回の3月の小委員会では、この戦略の背景、それから第1部の第1章、第2章、第3章まで、素案という形で文書化したものを提示しておりました。
 他方で、第4章の本戦略を効果的に実施するための基盤・仕組みといったところは、骨子案のままでしたし、第2部につきましては、まだ、全然作り込んでいないという状況でございました。
 こちらについて今回、第4章も文書化しましたのと、第2部の行動計画も、また後ほど話しますが、まだまだ改善の余地はございますが、今回、素案という形で作ってまいりましたので、こちらについて説明していきたいと考えております。
 では、まず、資料2-2ですので、この「本戦略の背景」、それから「第1部:戦略」というところまで説明していきたいと思います。
 この資料2-2ですけれども、赤字になっていますところが第4回の小委員会からの変更部分という形となっております。第4回の小委員会でいただいたご意見を踏まえつつ、修正作業をしております。
 大変恐縮ですが、一つ一つを説明すると、とても時間が足りないので、少し飛ばしながらいきたいと考えておりますけれども、基本的には、いただいた意見は踏まえながら作成しています。
 その中で、先ほど、山野委員から、海洋政策学会からの有志からの提言といったものをいただいておりますけれども、そうしたご意見を踏まえまして、海洋環境についても、一番まとまって記載しているのは、こちらでございますが、そのほか要所要所で、海についても触れてきておりますが、ひょっとしたら、まだまだ足りないという、先ほど、中静委員長のコメントもございましたので、さらに海洋国家日本として、書くべきことをさらに検討していく必要があると考えているところでございます。
 このような形で修正作業を進めていっております。
 また、本日、資料として説明はしておりませんが、前回の小委員会で、緑化工学会からの提言について、森本委員から口頭でご説明いただきました。そちらにつきまして、資料2の参考1という形でつけておりまして、それに関連する記述につきましては、こちらの17ページにございます13行目以降に記述しているところでございます。
 前回、それから前々回の議論の中で、これまで日本の生物多様性は四つの危機があるという話をしてきている中で、その背景にある無知、あるいは無関心といったようなものも危機ではないかという中で、そこを、どう表現するかということで議論が、結構白熱しておりました。
 それについて、まだ明確に決めたものはございませんが、同じ危機と並べるのは、やはりおかしいのではないかといったようなご意見も踏まえて、社会経済に内在する生物多様性の損失要因という形で書いてきておりますが、この辺りについては、引き続き、さらに議論もあって、整理を進める必要があるのかなと考えているところでございます。
 すみません。少し飛ばしてまいりますが、26ページまで飛びます。
 こちら、第3章になります。第3章というのは、先ほども説明したとおり、2030年に向けた目標というところでございまして、まず、一つ、2030年のミッションといたしまして「2030年ネイチャーポジティブ」というものをうたっております。
 こちら、現時点でも「自然○○」と書いてございますけれども、やはり、生物多様性の損失を止め、回復軌道に乗せていくと、これまで損じてきたものをプラスにするんだということは、メッセージとして強く打ち出していきたいと考えております。
 一方でこれを、やはりこのネイチャーポジティブという単語自体を、どういう表現にしていくかといったことにつきましては、まだ、引き続き検討が必要かなと考えておりまして、こちらは前回から、そこまで変わっておりません。
 また、この五つの柱というものを立てておりまして、こちらにつきまして基本戦略になっていくものでございますけれども、1番目と2番目は変えておりませんが、3番目のところにつきまして、少し文言として分かりづらいといただいておりましたので、そちらについては修正しております。
 また、四つ目の、「一人ひとりの行動変容」につながるところでございますけれども、こちらについても、より価値の認識と行動といったようなものに、しっかりと焦点を当てるべきではないかといったようなコメントもございまして、ここは大きな進め方として、このように変更しているところが大きな違いでございます。
 続きまして、30ページになりますけれども、第3章の第2節でございます。
 第2節は「取組の柱として5つの基本戦略と個別目標」といったところを書くところで、この次期戦略の中で描かれる五つの基本戦略、また、その下に位置づけられた、戦略ごとに5個ほどから成る行動目標を掲げる最重要パートでございますけれども、こちらについて、まず、その位置づけといたしまして、ここで掲げます状態目標、あるいは行動目標につきましては、我が国の状況及びポスト2020生物多様性枠組、現在議論中でございますけれども、において示された世界目標を踏まえて設定していきますということを、まず最初に解説として書いております。
 その後、基本戦略1から始まりますが、ここの個別のところは、その他、いただいたご意見を踏まえておりますが、それぞれの戦略の下に、ここでは今、34ページで表示しておりますが、「基本戦略1における目標の設定」といったようなものを掲げております。
 こちら、前回の議論で、おっしゃるとおりですけれども、それぞれの、基本戦略の中で状態目標、行動目標の位置づけや解説を、しっかりと記述すべきだというコメントをいただいておりまして、それを受けまして、各基本戦略ごとに、それぞれ、なぜ、この状態目標あるいは行動目標を掲げたのかという説明を加えたのが、こちらでございます。
 ここが、基本戦略1というものにつきましては、「生態系の健全性の回復」でございまして、その中で取り組むべきことはたくさんあります。とはいえ、行動目標として全てを網羅することは不可能ですが、そうしたものに対応すべく、代表的なものを選んできておりますけれども、その解説をしております。
 ここのパートを、いかに分かりやすくするかということが、この戦略の分かりやすさにつながっていくかと思っております。こちらは非常に重要なところだと考えておりますので、ぜひ、ご意見等をいただけるとありがたいと考えております。
 また、関連しまして、ちょっと資料が飛び飛びになって恐縮ですけれども、資料2-2に、別紙というものをつけております。これ、前回の小委員会でもつけたものに少し要素を足したものでございますけれども、基本戦略にそれぞれ設定した状態目標、あるいは行動目標。また、それに対応するポスト2020生物多様性枠組の現時点の案というものと、並べて表示しているものでございます。
 この中に、想定される指標の切り口といったようなものも加えております。指標自体を、まだ、厳密に見せたものではございませんけれども、こういった行動目標、あるいは状態目標に対して、こういった観点の指標を設定していくのがよいのではないかということを並べたものでございます。
 こちらも相当大部なものですので、今日の小委員会、あるいはそれ以降も含めて、ぜひ、ご意見をいただければと考えておりますが、その辺りを整理してきております。
 すみません。少しだけ急ぎます。
 続いて、基本戦略の2でございますけれども、こちらも同様でして、基本戦略の2のところにつきましては、基本戦略2における目標の設定という形で38ページ目から書いておりますし、同様に基本戦略3につきましても43ページ目から書いていると。同じように、こういった形で加えておりますので、こういった点、ご意見いただければありがたいと考えております。
 それから、続きまして、第4章でございます。
 こちら、先ほども説明しましたとおり、この「本戦略を効果的に実施するための基盤・仕組み」でございまして、第3章で掲げた、どういったことをやっていくのかという目標に対しまして、関係する省庁の具体的な施策が第2部で書かれますけれども、その施策を実施していく際に、非常に重視しながら行っていく考え方というものが、この第1節の実施に向けた基本的考え方になってくると考えております。
 こちらにつきまして、骨子案のときから、少し順序等を変えておりますが、七つの基本的な考え方を示しております。
 一つ目が、科学的な認識と予防的な取組、あるいは順応的な取組といったところ。
 それから二つ目が、わかりやすさの重視と書かせていただきましたが、その生物多様性につきましては、やはり、なかなか我々のふだんの生活との関係性が見づらいといったようなところがございます。また、取組に対して、そのアウトプット、さらにアウトカムといったようなものが、なかなか示しづらいと。共通の指標も、なかなか取りづらいといったような悩みはございますが、やはり、そういった点を少しでも改善していくことが取組の促進につなげられるのではないかということで、書いている部分でございます。
 それから三つ目、地域性の尊重と地域の主体性でございますが、生物多様性は地域ごとの取組が、大変重要でございますので、そういったところを戦略としても、しっかり打ち出していること。
 それから四つ目、生態系のつながりを意識した取組ということで、これまでも流域単位の取組が非常に重要ですということを言ってきておりますが、その流域単位、とりわけ物質循環、水循環、その他、動物の移動等も含めて、生態系のつながりを意識した取組が非常に重要ですし、そうしたときには、文化的な観点といったような部分も、実はつながりという意味で重要になってくるといったようなことを書いております。
 それから五つ目、長期的な視点にたった取組ということで、今、短期的な部分を見るだけではなくて、長期的な変化も見据えて、国内で言いますと人口減少等もございますけれども、そういったものを踏まえた取組というのが重要だという観点。
 それから6番目が少し難しく書いておりますが、やはり、自然環境を保全していくためには、何も保全するだけではなくて、様々な社会課題への統合的な解決に積極的に活用していくというNature-based Solutionsの考え方を、しっかりと打ち出していくこと。それに当たっては、ランドスケープアプローチといいまして、様々な条件を一つの空間計画の中に落とし込んで、関係する多様な主体とともに取り組んでいくことが重要であること、こういったことを重要な視点として書いております。
 続きまして7番目、多様な主体の連携・協働の促進ということで書いております。
 こういった観点に立って、それぞれの施策を進めていくことが重要ではないかということで書いております。
 七つですけれども、これを、例えば20に増やすとかは避けたいですが、このほかにも重要な視点等があると思いますので、あれば何でもご意見いただければありがたいと考えているところでございます。
 続きまして、第2節は、進捗状況の評価及び点検という部分でございます。
 こちら、現行の戦略では、前文、最初のところに触れているものでございましたけれども、次の世界目標、ポスト2020生物多様性枠組では、この進捗状況の評価と点検といった部分が非常に強化されつつありますので、こちらについては本文の中に、しっかりと、もう少し充実させて記述したというところでございます。
 一つ目は、国際枠組への対応ということで、今の大きな流れを書いてございますし、2番目として点検・評価といったところで、これも、中静委員長に座長を務めていただいておりました、生物多様性及び生態系サービスの総合評価(JBO)というものを、これまで3回行ってきておりますが、そうした評価とも絡めながら、国家戦略の評価もしっかりと行っていきたいといったようなことを書いている部分でございます。
 それから、見直し・改定、関係計画等との協調といったような部分を書いております。
 また、第3節では、多様な主体による取組の進捗状況の把握のための仕組みということで書いております。
 記述自体はシンプルですが、思いといたしましては、生物多様性の取組は地域の取組が非常に重要であるがゆえに、そういった様々なところで行われている取組も、しっかりと吸い上げて、国際的にも報告していけるような仕組みは作れないかと考えておりまして、そういったことを書いております。
 また、第4節、各主体に期待される役割と連携というところがございます。
 前回の小委員会でも、この戦略は誰のための戦略なのかといったことが問われましたけれども、この戦略を手に取った方が、ぜひ、どこを見るか悩んだときには、まず、この第4節を読んでくださいと言えるようなものとしていきたいと。
 現時点でそうなっているかは、分からないですが基本的に国、あるいは地方公共団体というのは、かなり網羅的ですので、あらゆるところを書いていますが、例えば3番目の事業者がこの生物多様性というものと、しっかり関わる必要があるのかということを書いた上で、ここにも書きましたけれども、特に「本戦略の基本戦略3において、これら事業活動における目標を掲げており、事業者は中心的な役割を担う主体として期待」されていますということで、基本戦略3に、その関係が多いのかといったようなことが分かるような形で書いております。
 こういったものを充実させていくと、読み手に対して、こういったことが期待されています。なかなか全てを網羅的に書くと、これは極めてつまらない役所の文書になるかと思うんですけど、とりわけ、ここ、次の数年間で期待されている部分というものを、こういったところに端的に書ければ分かりやすくできるのではないかと考えて、作成してきております。
 以上のようなものを作成してきておりますので、様々、ご意見をいただけるとありがたいと考えております。よろしくお願いいたします。
○中静委員長 ありがとうございました。
 今、ご説明があったように、第1章から3章までは、前回、皆さんに読んでいただいてご意見をいただいていますので、そのいただいたご意見がきちんと反映されているかどうかというような視点で見ていただく、あるいは、新しい視点があれば、ぜひ、ご指摘いただきたいと思います。
 4章は、ご説明があったように、今回初めて文書としてきちんとした形で出てきましたので、ぜひとも、たくさんのご意見をいただければと思います。
 ご意見のある方は、名札を立てていただくか、チャットに書き込んでいただければ。
 では、西澤さん、どうぞ。
○西澤委員 会議の冒頭、委員長からご紹介をいただきました、5月に、経団連の自然保護協議会の会長に就任いたしました、損保ジャパンの西澤でございます。
 今日から、小委員会に出させていただきます。皆様、よろしくお願い申し上げます。
 まず、事前に資料を拝見させていただきましたけれども、議論のベースとして、あるいは全体感として、大変分かりやすく整理いただいているものと感じました。取りまとめにご尽力いただきました中静委員長と事務局の皆様に、まずは敬意を表します。
 また、以前、経団連として提案をさせていただきました要望につきましても、しっかり取り込んでいただいておりまして、改めまして感謝を申し上げたいと思います。
 それでは、素案につきまして2点ほど、私からコメントをさせていただきたいと思います。
 まず1点目は、40ページから44ページに記載されています基本戦略3に関連してです。ご承知のように、今年12月にCOP15が予定されておりますけれども、この中で、生物多様性の負の影響について、数値目標が盛り込まれるというような見通しで伺っております。
 しかし、一方で、この生物多様性の負の影響につきましては、定量的に測定する方法が、いまだ確定していないと認識しております。したがって、この基本戦略3におきましては、目標自体を持つことというのは、もちろん大切だと思いますが、しかし、数値目標だけが先行する、独り歩きするということなく、企業がそれぞれの事業におきまして、いかに効果的、実効性のある対策をしっかり行っていくかということが、より重要だと思いますので、この43ページの状態目標の前に列挙されております、この支援策や環境整備などにつきましては、ぜひ、関係者の意見を丁寧に踏まえながら、検討をお願いしたいと思います。
 次に2点目ですけれども、59ページの進捗状況の評価及び点検という項目についてでございます。
 私ども、企業経営も同じでございますけれども、描いたビジョンというのは、もちろん実現させるということが、最も重要なわけでございます。そのためには、しっかりエビデンスベースで結果を振り返って、課題があれば対策を再検討して、そして次のアクションにつなげていくと、こういったことが肝要かと思っております。
 そのような観点から、この進捗状況の評価及び点検というものは重要な取組であると思っておりますので、定量的、定性的な評価方法を含めまして、実効性のある現実的な仕組みとなるように、さらに官・民・学が連携して協議していく必要があるのではないかと感じました。
 私からは、以上でございます。
○中静委員長 ありがとうございました。
 事務局、後でまとめてご意見をいただけばいいですかね。
 そのほかには、いかがでしょう。
 吉田委員、お願いします。
○吉田委員 ありがとうございます。順番に上から行くので、細かいことからになるかもしれませんけど勘弁ください。
 まず、15ページのところで、これ、特定の文献だけ挙げるわけではないですけど、脚注の扱いですね。そこが少し、スタイルの問題ですけれども、個別の文献をこのように挙げていくのか、それを全ての記載についてやるというのは、あまり現実的ではないと思いますので、どういうものを脚注とするのかということの統一をされてはどうかなというのが一つです。
 参考となるような資料を示すというのはいいと思いますけど、全ての記述に科学的な根拠を与えていくという書きぶりにするというのは、今からだと、ちょっと大分スタイルが変わってしまうので、それは避けたほうがいいのかなというのは、個人的には思っているところです。
 それから、22ページのところの具体的課題のところですね。これ、文言のことで少し教えていただきたいですけれども、「生物多様性・自然資本によるリスク・機会を取り入れた経済の統合」とありますが、「リスク・機会を取り入れた経済の実現」とかですね、あるいは、それを推進していくということなら分かるんですけど、その「統合」という言葉が、少し、私の中では理解できなかったところがあるので、どういう意味を、この「統合」という言葉に込められたのか、少し教えていただければと思います。
 それから、次に行きまして、第2章の第2節、24ページです。①のところに、「豊かな生物多様性に支えられた健全な生態系」という書きぶりがあるんですね。これは生態学の理解で言うと、生物多様性が、豊かな生物多様性が、確かに健全な生態系の機能なんかを支えるという議論は当然あるわけですけど、逆に、その健全な生態系が豊かな生物多様性を支えるという、そこは相互に関係があるという理解が一般的ではないかなと思います。
 ここの書きぶりが、そうではなくて一方通行になっているところが少し気になりましたので、ご検討いただければなと思います。
 それと関連して、第3章の第1節の「5つの基本戦略に沿って取り組んでいく」というところ、26ページですね。それの1番「生態系の健全性の回復」というふうになっています。
 これは前回、コメントをしていまして、コメントに対する対応というところにもリストに入っているんですけど、ここに「生態系の健全性の回復」だけじゃなくて「生物多様性の保全再生」という言葉を入れてほしいと言ったんですが、そこに対しては、これは生物多様性というのは全体の目標であるので、ここに1として「生物多様性」と入れるのは、そぐわないんじゃないかというふうな反応がいただいていたかなと思います。
 ただ、この位置づけを考えてみると、この1番というのは、生態系の健全性の回復、それから生物多様性の保全再生、それに対する取組ですね。いわゆる、これまで従来からやられてきたような、直接的な要因に対する働きかけというところが、まず、大事な基本戦略の1番目にあるんだという位置づけなのかなと、僕は理解していました。
 そのために、ここを「生態系の健全性」という言葉だけではなくて、ぜひ「生物多様性の保全再生」という、それに対する直接的な取組という。例えば、外来生物のコントロールであるとか、あるいは生息地の回復であるとか、そういうものは、後ろを見ると文章の中には入っているんですけれども、それを、ぜひ、タイトルにも入れていただきたいなというのを、改めてお願いしたいと思います。
 それから、順番に行きますけれども、今の4番目ですね。4番目の中の、その文章の中で「生活・消費活動における生物多様性の価値の認識と行動」と、この中に「生活・消費活動と生物多様性の密接な関わりを取り戻し」という言葉があるんですけど、これも、後ろのほうの記述を見ると、もう少し深い、例えば今、IPBESで議論されているような関係価値に関するような記述というのが、実はあるんですね。
 例えば、生物多様性の理解促進などの環境教育や環境学習、それから、自然感や地域文化の継承など、第2節に合わせて、もう少し具体的に、ここを変えてはどうかなと。細かいことですけれども、感じました。
 それから、第4章ですね。「実施に向けた基本的考え方」、これも前回から指摘しているんですけれども、実施するときの基本的な考え方というのが非常に大事で、この考え方に沿って様々な施策を実施していくということは大事とされているんですけれども、それを確認したいと。
 この第2部に、たくさんの施策があるわけですけれども、その施策を進めていく上で、この第4章第1節に書いてある基本的な考え方というものが、どう反映されているのかというところが非常に大事だというふうに書いてありますので、もし可能だったら、少し記述の追加を。「以下の考え方に沿っていくことが必要である」というふうに書いてあるんですけれども、もし、可能だったら少し記述を、もう少し増やしていただいてもいいのかなと思いました。
 最後になりますけれども、64ページの、これは役割ですね。「各主体に期待される役割」。これ、私たちのような研究機関・研究者・学術団体、ここの記載ですね。今回の生物多様性国家戦略、これはJBO3の頃、検討からも始まって、直接要因等だけではなくて、やっぱり間接要因に対して非常に大事な取組があるだろうということが認識されて、そこに戦略も合わせているわけですね。それに答えるとすると、従来からの環境研究というか、その生態学的な研究だけでは駄目で、やっぱり学際的な研究というのが非常に求められると。多様な学術分野が連携した学際研究であるとか、あるいは社会のステークホルダーとともに進めるような超学際的な研究というものが必要だと感じています。その点についても少し記述を足していただければなと。もし具体的な文言をということであれば、委員の中にたくさん研究者がいますので、こちらから提案もさせていただければなと思っています。
 すみません、長くなりました。以上です。
○中静委員長 ありがとうございました。
細かい点はまた修正をしていただければと思いますが、質問が一つ、22ページのところの統合というところのご質問についてはいかがでしょうか。
○生物多様性戦略推進室室長補佐 ありがとうございます。これは資料上の不備に今さらながら気づいたところがございました。さすがだなと思いながら見ているんですけど・・・
○蔵本室長補佐 すみません、ご指摘、ありがとうございます。環境省の蔵本です。
 吉田先生からご指摘いただいたのは22ページ目の③のところで「統合」が入っている、この「統合」って何だということだったと思うんですけれども、申し訳ありません。これは資料の修正のミスでして、40ページ目、ご覧いただきまして、基本戦略3、これは今の22ページ目で整理した課題に応える形で基本戦略を整理しているんですけれども、こちらでは表題、「リスク・機会を取り入れた経済」としています。申し訳ありません。まさに実現していくべきものという対象として掲げています。
 以上です。
○中静委員長 今のところですけど、その中身はいいんですが、その括弧の中にいろいろ書いてあるんですが、これは最終的には整理するということでしょうか。
○生物多様性主流化室長 生物多様性主流化室長の谷貝でございます。
 今回、括弧が多いなと。すみません、私のほうで書かせていただいたんですが、ご指摘はごもっともかなと思っています。趣旨といたしましては、やはりネイチャーポジティブ経済というのが抽象的な定義であって、ちょっと意味が分からないといったなご指摘もございましたので、それをもう少し意味を明確化したいということで、ネイチャーポジティブを実現するドライバーとしての経済という、言わば定義規定的なものを置かせていただいたんですけれども、かえって長くなってしまって分かりにくいということであれば、またもう少し、分かりやすい表現を精査させていただきたいと思います。ご指摘、どうもありがとうございます。
○中静委員長 はい、ありがとうございます。
 では、オンラインで幾つかご意見をということなので、まず橋本さん、お願いいたします。
○橋本委員 はい、橋本です。会場参加したかったですけど、今朝着いた状態で、オンラインで失礼します。
 全体としては、これまでの議論を踏まえていただいて、内容を大幅にアップデートしてあり非常によくなったと思います。特に状態目標、行動目標について、具体的に定義をいただいたというのがよかったかなと。あと、それぞれの戦略の中で具体的にそれが、その戦略における状態目標は何か、行動目標は何かというのがはっきりと書かれているというのもよいと思います。
 細かな点で幾つか指摘がありまして、一つ目が15ページ目で、これまでの議論を踏まえて、社会経済に内在する生物多様性の損失要因という形で前回の議論が修正されたということだったですけども、31行目のところ、まだ危機という言葉が残っています。これを修正する必要があるかなと思いました。
○生物多様性戦略推進室室長補佐 直し忘れていたところでございます。ありがとうございます。
○橋本委員 あとは、21ページ目の国内での課題というところで、「生物多様性・生態系サービス(自然資本)」という書き方になっているんですけれど、これも表記の揺れですね。全体的には「生物多様性・自然資本」という表記が多いです、この文章自体で。特別な意図があってこういう表記にしているのかというのか、ちょっとよく分からなかったので、これは少し質問も含めてのコメントですね。つまり生物多様性と自然資本というのを併記する場合は、要は自然資本と生物多様性というのは重複する概念だけど、全く同じじゃないということになるんですけど、この書き方だと生物多様性と生態系サービスが自然資本のようにも見えなくはないと。でも、そうではないですよね、定義上は。なので、これはどういう意図だったのかというのを確認したいです。
 それで、次が54ページ目第4章ですね。第4章で、実施に向けた基本的考え方で7項目挙がっていて、「これはまだ増えるかもしれないというか増えてもいいんですけど」と奥田さんがおっしゃってたんですけれど、追加を求めるわけじゃなくて、この冒頭の3行目から5行目のところで、なぜこれが今出てきているのかというのをと説明しておいていただくとよいかと思いました。どういうプロセスを経てこれが必要だとなったのか。つまり、この前段であった検討会等の議論を踏まえてということだったと思うのですが、ちゃんとした検討のプロセスがあって、この話が出てきているのかというのがわかるようにしていただきたいです。
 それで、次が61ページ目になります。これは主体の分類の仕方ですね。私は農林水産省の生物多様性戦略のほうにも議論で入っているんですけれど、そちらと違うんですよね、区分の仕方が。かなりの部分が重複しているんですけれど、違う点もあると。例えばどこが違うかというと、教育機関というのが、あちらは特出しで1個入っています。つまりいろんな形で、教育機関だけが教育をしているものではないと思うんですけれど、学校等もいろんな意識、行動変容につながる基本的な意識改革をする場として重要だという意味合いでこれは出てたと思います。あとは事業者、民間事業者というふうに今回なっているか、事業者ですね、となっているところが、あちらは農林水産省なので農林業者だとか民間企業協同組合、メディアという形になっているんですよね。事業者を、だから幾つか分けることで、例えば、金融機関もありましたね、その幾つかカテゴライズすることでもう少しはっきりとしたメッセージが出せるのかなと。これだと今、事業者で、ばーんと全体で一つの、全員に向けたメッセージのようになっているんですけど、必ずしもその事業者のサブカテゴリーの主体がそれぞれに関わっているわけではないので、できることならここをもう少しブレークダウンというか、サブカテゴリーを設けて書けるともう少し分かりやすくなるのかなと思いました。やっぱり全体的に戦略の文章が多いので、主体のところはもう少し具体的に書けるとよいかなと思いました。
 それと関連してですけれど、ここの主体の区分と基本戦略のセクションの行動目標の関連づけをできるとよいかなと思いました。関連づけというのは、これ参考というか、附属表でもいいと思うんですけれど、例えば基本戦略4の行動目標の①、これに関連する主体は何なのかというのを書くとかできないかなと思った次第です。戦略が長く要点が分かりにくので、主体別に、行動の基本戦略があって、状態目標、行動目標があって、全部パッケージとして示せるとわかりやすいと思います。現状では、どの主体がどう関わるかというのは戦略を読み込まないと分からなくなってしまっているので、今申し上げたような主体と行動目標が対応するような表があると助かるでしょう。必ずしもすべての情報を網羅していないというディスクレーマーは必要かもしれませんけれど、そのような整理があると、まあ、後で情報発信をしていく際にも有用なのではないかなと思った次第です。
 以上です。ありがとうございました。
○中静委員長 はい、ありがとうございました。
何か今の時点で事務局から何かありますか。
○生物多様性戦略推進室室長補佐 ありがとうございます。冒頭でご質問いただいた「生物多様性・生態系サービス(自然資本)」ですけど、申し訳ございません。特段深いこだわりがあって書いているものではなく、全体的な表記については整理が必要だなということを改めて感じたところでございます。
 また、主体ですけど、分量との兼ね合いをすごく気にしつつ、あと、事務局の能力も気にしつつ描いておりますが、これまで橋本先生のみならず、ご指摘いただいたとおり、ここを分かりやすくしていくことが、この戦略を読んだ方が親しみを持ってもらえるかもしれないパートでございますので、その辺りはぜひ改善していきたいと考えております。ありがとうございます。
○橋本委員 よろしくお願いします。
○中静委員長 あと、幾つかご発言の希望があるので、まずオンラインのほうから行きますが、広井さん、お願いします。
○広井委員 ありがとうございます。すみません、全体としては理念的なところから具体的なところまで含めて、非常に充実した内容の報告書がまとまりつつあると思って受け止めております。私のほうから二、三点ほど、個別の点でコメントさせていただきます。
 1点目は、47ページになるかと思いますが、31行目辺りで、「我が国における人と自然の共生に関する伝統文化や自然観」という1節があると思います。こういうのを入れていただいたのは非常にすばらしいことだと思っておりますが、できれば、その「我が国における」の前辺りに、例えばですけど、私、以前から言っております「鎮守の森、八百万の神様といった表現に象徴されるような」といった、ちょっと例示的な表現も入れていただくのはどうかと思います。理由としては、例えばSATOYAMAイニシアティブのような、象徴的な表現あるいはキーワードが非常に重要だと思うんですね。それが国際的な発信にも、日本の自然観の伝統文化の発信ということにもつながると思いますし、また、別のところで分かりやすさの重視ということを掲げられておりますけども、そういった点ともつながりますので、そういった補足的な表現を入れていただくのはどうかというのが1点目です。
 それから、2点目は全くテクニカルなことで、18ページの20行目辺りに「我が国の総人口は2004年にピークを迎え」という記述があります。細かいことで恐縮ですけど、これは2008年が最終的には正しいという。どういうことかというと、2005年に初めて減少したことがあったんですけど、その後上下して、振り返ってみれば2008年がピークだったと、これは全くテクニカルなことで、そこを検討いただければというのが2点目です。
 それから、3点目は、先ほど橋本先生がおっしゃられたこととつながるんですが、「自然資本」ですね。この「自然資本」という言葉が冒頭のほうから、キーワードとして出てきていると思いますが、これは最近、特に関心が高まっている概念で非常に重要だと思います。一方で、割とこの自然資本という概念、いろんな議論の系譜があると思います。私、専門ではないですけど、シューマッハー辺りから始まって、エコロジカル経済学における議論とか、またいろんな議論の系譜があると思いますので、これは非常に重要なだけに、文章をどう修正したほうがいいという趣旨ではないんですけども、用語集とか何らかの形でキーコンセプトとして整理して意味を明確にしていくことが重要かなと思いました。
 以上です。ありがとうございました。
○中静委員長 はい、ありがとうございました。今のご意見に関しては、修正の中で考えていただくということでお願いしたいと思います。
 では、亀山さん、お願いします。
○亀山委員 はい、亀山です。
 丁寧なご説明、ありがとうございます。非常に包括的かつ内容の濃い資料、文書が出来上がっているなという印象を受けまして、ご尽力された皆様に敬意を表したいと思います。
 私の意見は1点だけです。一番最後のその主体の役割の部分に関して、特に研究者と、あとは国民のところに関してです。この文章の一番最初のところには、世界の潮流について書かれていて、特に二つ大きなこと、重要なことをおっしゃっていると思うんですね。一つは、プラネタリーバウンダリーの概念、つまりこの問題、日本一国の話ではなくて世界的に非常に危機的な状態にあるということ、「自然資本は人間の安全保障の根幹といえる」というふうに書いてくださっています。それぐらい生物多様性という問題が我々人間そのものの生存にさえ関係してくる非常に重要な問題だということをここでおっしゃってくださっているんですね。あと、二つ目には、生物多様性と気候変動との関係についても書いてくださっています。両方がお互いに相互に連関し合いながら悪化してきているということですよね。このように、この文章の一番冒頭に非常に重要なことをおっしゃっているにもかかわらず、一番最後の役割のところにいくと、あくまで日本の国内の里山であったりとか、そのコミュニティレベルの生物保護の話に小さくまとまってしまっているような印象を受けまして、それがすごく残念だなと感じたんですね。もちろん今書いてくださっていることも重要なことですけれども、これに加えて、国民のところと、あと研究者のところもそうなんですけれども、一つはその気候変動という問題を食い止めることも同時に生物多様性の保全に貢献するんだということ。で、もしここに入れ込むのが適切かどうかは考えていただきたいですけども、やっぱり気候変動対策として再生可能エネルギー、特にメガソーラーみたいなものを今後導入するときに生物多様性についても十分配慮しながら入れ込んでいくような、つまり二つの問題を同時解決するような意思決定の在り方が重要だというようなことも書いていただいてもいいじゃないかなと思っております。
 また、国際的にはNGOと事業所のところには「サプライチェーン」だとか「国際的な」という言葉が書かれているんですけれども、ぜひ研究者と国民のところでも、私たちがふだん生活することは、物を消費することということがサプライチェーンなどを経由して日本の外の生物多様性にどういう影響を及ぼし得るのかということを考えながら生活できるような情報を研究者は提示すべきだと思いますし、国民はそういう情報を受け止めて賢い消費者になっていただくということもぜひ書き込んでいただきたいと思いました。
 以上です。
○中静委員長 はい、ありがとうございました。
これも、修正の段階で考えていただくということでお願いします。引き続き、愛甲さん、お願いします。
○愛甲委員 はい、愛甲です。
 数点コメントさせてください。一つは、管理の有効性ということについて、基本戦略の1はじめ、幾つかの箇所で出てきていますが、それぞれの保護地域やOECMも含めて、それぞれでその管理の有効性を確認するということももちろん大事ですけど、今回の戦略では、その保護地域やOECM、それから各省庁などの取組を連携して、結局それを最終的な生物多様性につなげていこうということが書いてあると思いますので、その連携した部分やネットワークも含めて管理の有効性を評価するというか、たしか行動目標にもそれは入っていたと思いますので、というような書きぶりにするのがいいんではないかと思いました。
 それから、次は細かい点ですけど、25ページのところにある「内部化」という言葉が2050年の目標として、生物多様性への配慮を一人一人の行動などで内部化するという書き方がされてあるんですけど、これはちょっと、国民に見ていただかなきゃいけないところだと思うので、少しぱっと見て何を言ってるのか理解しにくいのかなと。もう少し易しい言葉を使ってもいいのかなと思ったのが一つです。
 それから、30ページのところ、状態目標と行動目標についてです。これは全般的な話で、行動目標は実施すべきことであって、状態目標は達成すべきことで、もちろんその行動目標でいろいろな結果としてこの状態目標が達成されることになると思うんですけど、そこにはある程度の時間差が生じるものも中にはあると思います。一体、幾ら取組量を増やしても、その結果が現れるのはその数年後とか、すぐ現れるものもあるでしょうけど、そうでないものもあるという考えをどこかでこれ書いておかなくていいだろうかというのが一つです。
 それから、最後もう一点、64ページ、国民の役割のところについて、「地域コミュニティ」という言葉が出てきますが、この生物多様性保全のために国民にいろいろと取組をやっていただいたりするときにベースとなるのは、必ずしも地域に根差したコミュニティだけではない可能性もあって、要は趣味のつながりとか出かけた先でのものとか、必ずしも地縁に限らないと思いますので、そういった考え方も必要ではないだろうかと思ったところです。
 以上です。
○中静委員長 はい、ありがとうございました。これも修正の参考にさせていただければと思います。
 勢一さん、お願いします。
○勢一委員 ありがとうございます。勢一です。
まずは前回からかなり大幅に書き加えていただいて、また、いろいろ修正もしていただいて、大部であるにもかかわらず細やかな配慮のある戦略になりつつあるなというところ、非常にありがたいと思っています。たくさんの作業量にお礼を申し上げたいと思います。
その上で若干コメントを追加させてください。既に発言にあったところでもあり、重なる部分ですけれども、基本戦略の部分についての、その書き方ともちょっと違うのかもしれないのですが、その目標の設定や具体的な目標について。今、ちょうど愛甲先生のご指摘もあったのですけれども、その時間軸とか優先度の部分をどのように盛り込むことができるのかなというところ、問題意識を私も持っています。具体的な修文案ではないのですけれども、各基本戦略に目標設定の考え方をお示しいただいているので、こういうところに少し時間軸のようなもののポイントを埋め込むことができると、実際の戦略の実施段階で役に立つのかなと感じているところです。あわせて、これもご発言ありましたけれども、主体の役割との結びつけを意識してこちらのほうにも書いておくというのが、より説得力のある、実効性のある戦略になるのかなと思っています。
個別の内容のところでは、例えば基本戦略2の部分についてコメントしたいと思います。自然を活用した社会課題の解決というところで、気候変動防止とのシナジーなどとしっかり言及していただいて、これは非常に重要なところだと思いますし、直近で温対法の実行計画で促進区域も進めていこうとなっていますので、かなり早い段階で取組む必要がある分野だと思っています。これに加えて、他政策とのシナジーという意味では、今日の会議の冒頭で少し話題になっていましたけれども、資源循環の分野とのシナジーをもう少し強調しておいてもいいのではないかと思いました。海洋プラスチックの話が出ていましたけれども、それだけではなくて、やはり循環資源の利用をしっかり進めていくことによって、バージン資源を節約することができます。特に鉱物の採掘などは生物多様性にとって重大な侵害の危機になりますので、こういう分野との政策間のシナジーなどは、生物多様性の側から強調するということもできるかなと思いました。
あと、55ページのところで、地域性の尊重と地域の主体性という記載があります。この分野も非常に重要だと考えています。各地域が地域に応じた活動をしっかりして、生物多様性を支えるという意味では非常に重要であるんですけれども、これをしっかりやっていくためには、広域的な視点も併せて意識していくところが大事で、56ページのところですかね、56ページの次の項目、4番の生態系のつながりを意識した取組の最後のほうにそうした流域を越えたつながりから、全国規模、地球規模というような形で広域の視点を持ちというふうに書いていただいているところですけれども、これをもう一歩進めていただいて、地域性と広域的視点による政策間の統合みたいなところまでやや踏み込んで取組を促すことができればなと感じたところです。各地域の取り組めること、あるいは各地域で考えられることには限界がありますので、地域間の取組をつないだりとか、地域間の取組のバランスを取ったりとかは全国的な視点も不可欠です。あるいは国の役割かもしれませんので、ぜひこの辺り、工夫ができるとありがたいなと思いました。
最後ですけれども、これは60ページのところになろうかと思います。進捗管理のところの最後の項目で、関係計画等との協調を書いていただいています。ここも非常に実施の段階で重要な部分だと思っています。ここで環境基本計画との内容の整合というところは記述があるんですけれども、それ以外の計画がその次のパラグラフで、「生物多様性に関連する国の他の計画」と書いてありまして、恐らくこれで色々なものを包括しているのかなと思ったりはしたのですが、やはり先ほどの気候変動防止であるとか資源循環とのシナジーということを考えると、環境省所管の各種の計画との整合性を相互に盛り込むところも重要かなと思いますので、もし可能でしたら、ここを少し明確に書くとのがありがたいかなと思いました。
すみません、いろいろ申し上げました。以上です。
○中静委員長 はい、ありがとうございました。これも修正の段階で考えていただければというふうに思います。
 五箇さん、お願いします。
○五箇委員 はい、五箇です。私のほうからも自分が専門とする担当の部分だけ手短に言っていきます。
 まず、8ページ、31行から33行、新興感染症・ワンヘルスという部分ですね。この部分、前々からずっと意見はしてますけれども、正直なところ、ワンヘルス自体も今、何となくコロナも定着しちゃったような世相感もある中では、もうほとんど死語になりつつあるじゃないかというぐらい流行に乗り遅れたような感じもしてますけれども、正直なところ、この何行か程度しか書かれてないという、その少なさは非常に残念に思うところでもあるけども、逆にこれ以上の議論が今のところ世界的に進んでいないということ自体も現状だろうと思います。この部分の日本語の部分ですね、31行から33行の部分ですかね、書き直していただいているんですが、まだそれでもちょっと日本語としてはぎくしゃくしてるので、後でまた修正文案等をお送りしますけれども、この部分に関しては「パンデミックの根本的な要因は、生物多様性の損失及び気候危機を引き起こしている人為的な環境改変にあることを指摘している」とすることのほうがよろしいかと思っております。
 次に、17ページです。13行から15行、ここですね。外来種の部分で、事例としてここに輸入種子問題等、ご指摘もあったということで入れてますけども、ちょっと何というか細かい事例云々という形で終わる話ではなくて、ここで指摘されている部分ですね、遺伝的攪乱の問題という部分については、要は国境線で今のところ法律上区切っている外来生物問題というのは、実は正確に言うと、外来生物問題というのは、生物地理区分というものを無視した形での人為的な移動という部分が根本的な要因にあるということを考えれば、国内外来種という問題も含めて、そういったものがもたらすリスクとしての遺伝的攪乱という問題というものもあるということで、要は外来種という生物学的な定義にのっとった上での、そういった生物移送という部分にもっとフォーカスを当てて、国境を挟んでいれば、国境線が違っていればオーケーという話じゃなくて、要は国境線の中だからオーケーという話ではなくて、要は外来種というものの本質という部分についてもっと深く議論する必要があるということを明確にしておくべきだろうと考えています。
 それから、次に、同じく17ページの22行ですかね。化学物質の問題ですね。こちらについても、まず20行の広く「開発・普及が進み」ですが、普及というよりも、これは利用だろうと思うんですね。広く開発と利用が進みということで、「利用」という文字を使ったほうがよろしいんじゃないかと。
 それから、22行、「環境中に広く存在」とありますけれども、これですと、既に自然に存在するものという部分をイメージさせることもありますので、これは人間が放出したものが広く環境中に残留しているというイメージであるべきであって、要は、本当なら「環境中に広く残留するものがあり」という表現のほうが的確じゃないかと考えます。
 あと、23行から24行にかけて、「このような問題に対応するため、農業における化学肥料や化学農薬の使用量の低減等、化学物質の環境影響の低減」に向けてということで、もちろん化学農薬、この問題というのは世界的にもクローズアップされているところですけども、農業用資材にだけターゲットを当てたという表現というのは、どちらかというと、ちょっと化学物質の問題をむしろ狭く見せるというイメージがあって、要は本当に排出量という部分から考えれば、日常用品や生活排水などに含まれる化学物質のほうが圧倒的に多量であって、そういった部分の有害性の低減というものも含めて総合的な低減を目指すべきであるという意味では、ちょっとここで「農業における化学肥料や化学農薬」という、そこだけにフォーカスを当てた表現というのはちょっといかがなものかと思っています。
 以上です。
○中静委員長 はい、ありがとうございました。これも次回の修正に生かしていただければと思います。
 では、藤田さん、お願いします。
○藤田委員 はい、ありがとうございます。私もちょっと自分の専門としている企業のところについて、基本戦略3のところだから、40ページになりますかね。ここでちょっと気になったことを一つ、二つ言わせていただきます。
 まず、基本戦略3のタイトルにある「生物多様性・自然資本によるリスク・機会を取り入れた経済」という、この「リスク・機会を取り入れた経済」という言葉の意味がよく分からないので、もしかしたら何か書き換えたほうがいいのかなと思いました。
 それと、ここ全体にわたってですが、スクロールをしていきますと、43ページに目標が出てますよね。基本戦略3における目標の設定というところと、あと、状態目標と行動目標がありますけど、読んでて若干違和感があるのが、この目標設定のときに金融機関と企業全般と農林水産業の三つに分けていることです。二つ目の事業活動全般というのが何か企業全般だと思うんですけど、農林水産業のセクターだけ特出し、別出ししているという、この分け方もちょっと一瞬、ん、と思ったんですけど、何で企業全般とは別に農林水産業を別出ししたのかということがちょっと腑に落ちないので教えていただくというか、もう一回考えていただきたいと思うのが一つ。あと、ここの目標の設定の仕方が、何か、最近、TNFDが出てきて、どの企業も何か評価と開示ばっかり言ってると。開示のための開示になっている。でも、実際やるべきことは、本当は持続可能な調達であったり、トレーサビリティーです。どこへ行っても金融機関はトレーサビリティーを知りたがるわけですよ、特に欧米の金融機関は。なのに、そういうワードが例えば抜けていて、状態目標を見ると①は金融機関に対する目標ですよね。②は生物多様性保全に貢献する技術・サービスが普及し、というような、それで「負の影響が減少し、正の影響が増加する」と書いてあるんですけど、貢献する技術やサービスというところに、もしかしたら持続可能な調達とかトレーサビリティーも入ってるんだとは思うんですが、これだけだと生物多様性に何かプラスになるような、すごい新技術とか新素材とか、何か新しいサービスとか、生物多様性配慮型な製品みたいなものを何か生み出しましょうみたいに読めなくもない。本来であればトレサとか持続可能な調達の目標値を入れるべき。例えば持続可能な調達の方針を掲げて、その調達の比率を出すとか、そういったものを目標値にしてほしいなと思います。それが完璧に抜けている。もちろん本文中にトレサとか、この上の数ページ前には持続可能な調達のことは書いてはあるんですけれども、本来であれば目標に入れてほしいなと思います。
 一方で、今度は特出しした農林水産業セクターは、③として、何かすごく単純な「持続可能な農林水産業が拡大している」、これだけしか書いてないと。持続可能な農林水産業って何ですかって、何かこのままだと、じゃあ、有機をやりましょうとかだけになっちゃうのか、紙にしても木材にしてもいろいろ調達もありますし、それから、水産だってサステナブルシーフードとかいろいろあると思うんですけど、何かその辺が、何か持続可能な農林水産業だけで逃げているのがちょっと寂しいなと思ってます。それが行動目標でも同じように「持続可能な環境保全型の農林水産業を拡大させる」というふうになっているし、②だと、「生物多様性に貢献する技術・サービスに対する支援を進める」と。「開示のための開示」の目標になっていることと、貢献するような技術・サービスだけに目標が設定されているのはどうかなと思うので、ぜひ調達のところとトレーサビリティーみたいなことももう少し盛り込んでほしいなと思いました。
 以上です。
○中静委員長 はい、ありがとうございました。
 では、深町さん、お願いします。
○深町委員 ありがとうございます。すごくいろんな意見を丁寧に対応いただいて、本当に真摯にやっていただいていることがよく伝わってくるような中身になっているなと思うんですけれども、幾つかちょっと気になったことがあります。例えばですけれども、括弧の話がありました。片仮名にして分からないものを日本語で補完するだとか、省略した言葉を説明するというのは分かる気がするんですけども、55ページぐらいにいきますと、あえて、例えば日本語の「主体性」というのに括弧で「オーナーシップ」とか「複数の効果をもたらす」、これは57ページですけど、「マルチベネフィット」という言葉を足すとか、どういった基準で言葉を補完していくのかとか、括弧を使うのかというようなところの考え方がもう少し何か分かるといいなと思います。あえてこの括弧が、その「主体性」の、例えば次の括弧が「オーナーシップ」と言ったときに、これでより分かるのかどうかというところで言うと、逆に分かりにくくなってるように思います。文章も長くなりますし、その辺りをもう一度見ていただくといいかなと思ったのが一つです。
 それと、伝統文化のところに都市のふれあいのページがあったと思います。内容としましては、自然を引き出して災いをという文章があったと思うんですけれども、引き出してというよりも生かしてというような言葉のほうがいいのかなと思いました。その辺は何か意図があれば別ですけども、単純に言葉の問題です。
 次の都市の居住者と自然とのふれあいのところで、農業体験のことは書いてあると思うんですけど、都市の中にいろいろ森林がある場所もあります。農業だけではなくて、例えばですけれども、森林をうまく持続的に使うというような可能性にも言及できるように幅を広げるといいのかなというふうに思いました。
 最後ですが、「野心度」という言葉が最初に出てきて、それが水準という形で説明してるのですが、確かにいろんな国際的な議論の中では、この「野心度」という言葉が使われているようです。ですが、「野心度」というのが急に出てきたときに違和感を、どういうことなのかなと思ったりする部分があります。特にこういった議論にあまりなじみのない方が聞いたりしたときに、その部分をそのまま、「野心度」という言葉をそのまま使うのがいいのかどうか、特に水準というような結構大事な位置づけも持っている言葉かなと思ったので、もし何か工夫ができればお願いしたいと思います。
 以上です。
○中静委員長 はい、ありがとうございました。これも修正の際に考えていただければと思います。
 山野さん、お願いします。
○山野委員 はい、ありがとうございます。大きく二つありまして、一つは、構造に関するものですけど、54ページの第4章の本戦略を効果的に実施するための基盤・仕組みというところがあって、この考え方はそのとおりだと思うんですけど、できれば、この考え方がどの戦略の実施に特に関係するのかや、めり張りをつけたような記述ができたらよりよくなるのではないかと思いますが、構造というよりも記載ですね、めり張りのつけた記載がもし可能であればお願いしたいというのが第1点です。
 もう一点は、海に関してです。海に関しましては、提言も出させていただいて、たくさん対応していただいて、ありがとうございました。それで大分充実してきたと思うんですが、まだ、まだと言うとあれですけど、私からするともうちょっと加えてほしいなというのが幾つかありまして、そこをさっと述べさせていただきます。これは全体の分量もあると思いますので検討していただければと思います。
 まず、最初、7ページの気候変動のところが、やっぱり海洋に対して、海洋のレスポンスといいますか、影響が大きい、早いということを述べていただきたいということと、あと、藻場のブルーカーボンとしてのポテンシャルですね、そういったところも加えていただければと思っています。
 それで、次が8ページの食料生産のところですけど、ここは水産業が、やっぱり直接的な供給サービスとして非常に大きいところだと思いますので、食料生産の大きなところを担うものとして漁業というのももう少し明示的に入れていただきたいなと思いました。
 あとは、30ページのところですけど、海洋保護区の記載ですね。海洋保護区の記載が、保護地域の中に海洋保護区というのを入れていただいているんですが、海洋保護区自体は法律またはそのほかの効果的な手法により管理される明確に特定された区域ということですので、実はOECMにも絡んでくるところと思ってます。ですので、もう少し海洋保護区の記載を充実させていただいて、OECMに入れるか入れないかも判断だと思うんですけど、OECMと重なってくる部分もありますので、もう少し海洋保護区について書いていただければなと思いました。
 あとは、32ページの陸域及び海域の利用・管理における生物多様性の負荷低減のところで、沿岸・海洋、特に沿岸は森里川海で、例えば栄養塩が流出してくる、土砂が流出してくるとか、そういった影響を非常に受けますので、そういった森里川海のネットワーク、あるいは海域と海域をつなぐような、海流でつながったネットワークがありますので、そのネットワークに関しましても少し記載していただけるとありがたいと思います。
 あとは、37ページで、自然を活かした課題の統合的解決のところですけど、例えば気候変動対策と生物多様性保全のシナジーの強化のところで、これも「沿岸生態系」と入れてはいただいているんですけど、例えばマングローブ、藻場はブルーカーボンと防波機能、Eco-DRR、両方ありますので、まさに統合的解決の一つのいい例だと思いますので、もし例示できるようなことがあれば例示していただければと思います。全体的に、何といいますか、例示されている例が非常に陸域のほうが多い気がして、それも何となくバランスが悪くなっているように見える要因かなと思います。記載自体は両方書いていただいていますけど、例示にあんまり海がないなという印象でした。37ページのところですね。
 あと最後、52ページの国際連携のところですけど、ここは、やはり海は外国とつながっているところですので、提言にもあったようにですね。ここのところ、海ももう少し書き込んでいただきたい。例えば海洋プラスチックの問題、まさに国際連携が必要なものですし、条約に関してはバラスト水条約とか、そういう海に関係するものもありますので、もう少し充実させる要素があるのかなと思いました。
 私からは以上です。どうもありがとうございました。
○中静委員長 はい、ありがとうございました。私も最初のところでちょっと言いましたけど、同じような感じで、例示のところで陸域が中心となって、海のことが少ないのはあんまりよくないと思いました。
 では、石井さん、お願いします。
○石井委員 ありがとうございます。石井です。
 ちょうど今、山野先生が飛ばしたところの34ページのところで、少し気になることがあるので指摘させていただきたいと思います。基本戦略1における目標の設定という新しく書いていただいたところです。ここは生態系、種、遺伝子のレベルに分けて、順番にその要因を書いているところですけれども、21行目の最後に始まる「種のレベル」のところですが、少し何か書きぶりとしては不足しているではないでしょうか。ここでは「直接的な採取に加え、外来種・汚染等の影響によりレッドリスト掲載種の増加など」と書いてあるんですけれど、やはりもっと重要な部分が抜けているではないかと思います。例えば「直接的な採取に加え」の前に、やはり「生息地の開発」あるいは「減少や」と入れていただくのがよいと思います。要するに第1の危機ですね。それから、「外来種・汚染等の影響により」の前のところに、例えばですけれども、「里地里山における自然に対する働きかけの縮小」という文言を入れていただけないかと思います。一番重要なものが抜けてるのではないかなという気がいたします。ご検討をお願いいたします。
 以上です。
○中静委員長 はい、ありがとうございました。
 大分ご意見をいただきまして、まだほかにも文章のことなど、いろいろあると思うんですけど、それはメールベースでもできると思います。ちょうどご質問が切れたところなんですけど、今、特にご発言したいという方がございますか。
○生物多様性戦略推進室室長補佐 中静先生、ありがとうございます。
 すみません、冒頭、紹介を忘れていたですけど、本日、ご欠席の森本先生からコメントを幾つかいただいておりまして、それだけ簡単に紹介させていただいてよろしいでしょうか。
○中静委員長 はい、お願いします。
○生物多様性戦略推進室室長補佐 ありがとうございます。まず、34ページの今まさに示しております状態目標のところでございますけれども、①②③というので現時点で数値目標自体は「○%」となっておりますが、「○%」というものを示す場合には、母集団が何を指すのかを明示するのが望ましいですと。実際に計算が可能なのかも含めて検討が必要ですといったコメントをまずいただいております。
 それから、細かい点はたくさんいただきましたが、主な点をご説明いたしますが、50ページの基本戦略5のところでございますけれども、一般市民が主体となって生物多様性を評価し、維持管理を含めて自然環境の保全と活用に取り組むことができる仕組みを構築していくという、一般市民の方の評価とそれを保全と活用に取り組んでいくということをちゃんと仕組みとして書いていってほしいといったコメントをいただいております。
 そういったご意見をいただいておりますので、ご紹介させていただきました。ありがとうございます。
○中静委員長 ありがとうございました。大沼さんから発言のご希望があるので、大沼さん、お願いします。
○大沼委員 ありがとうございます。すみません、途中退出しておりまして、皆さんのご意見、聞いておりませんので、もしかしたら重複するかもしれませんが、私のほうからコメントさせていただきます。もうこの場では言うこともないと思うんですけれども、やっぱり今の生物多様性保全での自律的持続可能性のベースになっている考え方というのは、やはり生態系サービスの支払いだと思うんですね。例えば51ページに、30by30の費用で、利用者負担という仕組みをつくっていくこととかが挙げられて、これは非常にいいことだと思うんですけれども、国立公園やOECMというもののサービスや、あるいは便益というのはツーリストだけではなくて様々な形で地理的に近い人も遠い人も受けるわけですよね。ここで利用者負担というのは直接的に利用する人が費用を支払うということを指しているんだと思うんですけれども、もう少しカバーする範囲を広げて、受益者の支払いの仕組みというのを拡充するという形にしたほうがいいじゃないかなと思います。これはここで述べられている費用の利用者負担ということも含みますし、一方で、もう少し別の点で便益を受けるような人もお金を払っていく仕組みの可能性を残すことになりますので、受益者という形の文言を検討していただきたい。それから、「負担」というよりも、私は「支払い」というほうがいいと思うんですね。負担というと費用が発生しているときに、それを負担するということになるんですけれども、受益者支払いというと、費用が発生しなくなっても、例えば受益者が非常に薄い料金を、あるいはお金をその生態系サービスのために支払うということも可能性として残すわけですね。そういう意味で、生態系サービスへの支払いというベースあるいは理念というものをより実現する意味で、受益者支払いという言い方を検討していただきたいと思います。
 以上です。
○中静委員長 はい、ありがとうございました。
 ほかによろしいでしょうか。
 では中澤さんからお願いします。
○生物多様性戦略推進室長 ありがとうございます。いろいろとコメントいただきまして、個別の修正については先ほどからいただいてるように修正を進めますが、様々な観点からの意見をいただきました。私たちがこうやっている間にも、今、世界的な生物多様性の議論というのは生物多様性条約、それから先週、IPBESの総会もありまして、そういったところでどんどん動いている状況でございます。
そういった中で、例えば広井先生がおっしゃっていた価値観の話というのは先週のIPBESの総会の中で価値評価について、経済的な評価だけではなくて、その地域にあるいろいろな知見も活用していく。それが生物多様性保全につながる、持続可能性な利用につながると。そういった背景を踏まえて、とっても重要なご指摘だと認識いたしました。
 それから、冒頭、西澤委員からご指摘いただきました数値目標について、ポスト枠組みの議論の最初の頃は今の20幾つかの目標案があるうち、10個以上に数値目標が設定されていたのですけれども、この議論が進むにつれて、それが減ってきている。国際的には、世界的な努力量を積み上げるためには定量的なものが必要だと、当初の意気込みはあったのですが、数値化が難しいというところで、現実的なところに落ち着いてくるところはあるのですけれど、とはいえ、やはり世界的な努力を積み上げて報告する、それでまたその力が足りなかったらまた合わせていこうと、そういったような議論もございます。そういった国際的な議論を踏まえた、定量的な考え方を、なるべく最新のものをこの国家戦略にも入れ込みたいとい考えております。その中で、またご指摘のあったように、関係者の皆様とのご相談というのは進めながら、よりよいものにしていきたいと考えております。
 それから、勢一先生からご指摘のあった地下資源ではなくて、今後は地上資源をどうやって使っていくかと、非常に重要な視点だと思っています。これもサステナブルユースというIPBESの先週までやっていた総会の中でも、特にその地上資源の使い方について、議論の中では、木材、森林の使い方ですとか、あとは海洋資源の使い方、こういったものについての新しい知見もIPBES総会で出てまいりました。そういったものへのフォローも必要と思っているところでございます。
 その話は先ほどの藤田委員からのご指摘にも通じるものだと思っています。
 そういったようなことを踏まえまして、最新の知見、議論の状況を踏まえながら、また今後の議論、検討を進めてまいりたいと思います。ありがとうございます。
○中静委員長 はい、ありがとうございました。
 では、ここで休憩に入りたいと思います。今、58分で中途半端ですけど、16時8分でいいでしょうか。では、16時8分に再開します。
(休憩)
○中静委員長 では、時間になりましたので議論を再開させたいと思います。
 第2部の行動計画案について、まず事務局から説明をお願いいたします。
○生物多様性戦略推進室室長補佐 はい、ありがとうございます。
 それでは、続きまして、資料2-3あるいは資料2-3の別紙を用いまして説明をしていきたいと思っております。すみません、今、2-3と言いましたが、資料2-2の冒頭に国家戦略素案の概要というところをつけておりまして、その2ページ目が行動計画の概要を示したところとなっております。
 まず最初に、このポンチ絵を用いて少しだけ説明したいと考えております。
この行動計画、第2部行動計画と呼んでおりますけれども、関係する省庁の関連する施策を網羅的に描くところでございます。現行の国家戦略の構造はどうなっているかにつきましては、参考資料の2で実は現行戦略の目次をつけております。簡単にご紹介いたしますが、現行戦略では第3部と呼んでおりますが、第1章、国土空間的施策という中に、生態系ネットワークから始まりまして、地域のそれぞれ、例えば森林ですとか都市ですとか、そうした部分を描いている部分。それから、第2章としまして横断的・基盤的施策という中で、例えば外来種でしたり、農林水産業でしたり、エコツーリズムであったりとか、こういったようなことを描いているところがございます。
今回の行動計画ですけれども、こちらは前回3月の第4回小委員会を終えて、4月の半ば頃から関係省庁に依頼をしまして施策の登録等をしてまいりました。その中で関係省庁もたくさん汗をかいてくださったと考えております。その中で何を行ってきたかを簡単に説明いたしますけれども、作成方針の1ポツ目に書きましたけれども、先ほど議論しました五つの基本戦略、こちらにつきましては第3章の第2節のところで位置づけた①②③④⑤というところでございますが、五つの基本戦略の下で、それぞれ行動目標というものを先ほども掲げましたけれども、行動目標ごとに関係省庁の関連する施策を記載するということを考えております。先ほど申したとおり、例えば森林ですとか都市ですとか、あるいは外来種、希少種といった区分けではなくて、下に書いてございます、第1章、生態系の健全性の回復のところでは、五つの行動目標を今のところ立てておりますが、行動目標ごとに関連するものをぶら下げていこうと、書き方の方針を変えまして描いています。
 これによって狙っていることとしましては、関連する施策を実施した、それによって行動目標がどの程度進捗したのか、あるいは達成したのかを把握する、それによってそれぞれの基本戦略の達成度合いを測っていく、それによってこの戦略自体がネイチャーポジティブに向けてどこまで進んだのかを示していくということで、関連する施策から上のミッションまで、一気通貫につなげていきたいという思いをもって、このような整理をしているというのが今回の特徴でございます。
 それから、後ほどまた具体的に話していきますが、行動目標ごとに柱書きにおきまして現状と課題、それから施策の方向性といったようなものを描いております。
 さらに、この後で説明いたしますが、関連する施策につきましては、①重点、②継続・強化、③維持に分けまして、少しめり張りをつけて書いていこうということで進めようとしております。
 さらに、各施策ごとに、できるだけ現状と目標を書けるものは書いていきたいということで進めています。これによって、行動目標との関係が明確になった関連施策が重要度ごとに必要性とともに位置づけられればと考えておりますが、いろいろ作業する中で様々な難しさも感じております。
 現時点では素案でございますので、今後に向けてというところで書きましたが、まださらに追加すべき施策を追加したり、この後説明いたしますが、施策の粒度もそろえていく必要がございます。
 また、上で、①重点、②継続・強化、③維持と書きましたが、重要度の区分けもさらに精査が必要だと考えております。こういったものについて、今後、完成度を高めるべく作業を進めていきますが、現時点で提示する素案におきまして、気がついた点等があれば、何でもいただければ大変ありがたいと考えているところでございます。
 それでは、もう少し具体的に見ていきたいと考えておりますが、第2部の行動計画、こちらは資料2-3でございます。
 第1章から始まりまして、それぞれ行動目標ごとに描いておりますけれども、一つ目、行動目標1-1、陸域及び海域の30%以上を保護地域及びOECMにより保全するとともに、それら地域の管理の有効性を強化するという行動目標1-1を掲げております。いわゆる30by30目標と呼ばれるものでございますが、こちらについて、最初の二つのパラで現状と課題といったようなところを描いておりまして、続く保護地域の拡張については、18行目から始まるところですね、あるいは28行目から始まるところで、これについて必要な施策は何なのかといったところを描いております。
 ここは、先ほどの資料2-2で議論した、今回大幅に書き足しましたパートがございました。こちらですね、基本戦略1における目標の設定というので、この基本戦略に対してどういう状態目標、あるいは行動目標を描いたのかを書いたのがこちらでございますけれども、こちらの行動目標ごとには、それぞれの中でどういう施策が要るのかという観点で外観を示しているのがこちらでございます。
 この柱書きの部分を分かりやすくしていくことが、こういう目標のためにこういう施策が位置づけられているのかということを理解するためには大変な鍵となるパートだと考えておりまして、こういった部分について、とりわけしっかりと見ていただけるとありがたいなというふうに考えております。
 続きまして、具体的にどういうことを書いているのかということで、下に並んでおります。施策ごとに並べておりまして、一覧は資料2の別紙という形でつけさせていただいております。既に7ページありますけど、例えば仮番号1-1とかとつけていますが、その下に、まだ統合できていない、例えば1-1-1、国立・国定公園総点検事業フォローアップ、あるいは海域公園地区の倍増といったような施策がありますが、こういった細かいものも含めますと、現時点で既に333並んでおります。ただ、現行戦略の場合は700並んでいますので、まだまだですが、既に333で、分量も相当な量になっているという状況でございます。
 こちらは先ほど申したとおり、重点施策ということで、次の10年間、具体的にはもう8年ですけど、2030年に向けて、とりわけ力を入れていく、あるいはすごく効果的である項目として並べているものが最初のほうにやってきますという構造を取っております。
 そういった構造を取った後に、継続強化する施策という部分も2番目でつけております。関係省庁の基本的な施策というのはこれに入ってくるものが多いのかなと。継続もするし、要素、要素で強化していくものもあるといったところもありますが、そうした区分けをしております。
 一方で、維持する施策というものも描いております。例えば自然環境保全法に基づく原生自然環境保全地域ですけれども、日本に5か所ございます。どれも我が国の生物多様性保全を図る上で非常に重要な場所ばかりでございますけれども、現時点でそれを大幅に増やしたりということはしておりません。こういったものは、そういった数を増やすとか、そういったものにはなじみませんけれども、生物多様性保全の基盤としてしっかりと維持していくことが重要である。そうした法に基づく保護地域であったり、あるいはモニタリングといったものもあるかもしれません。モニタリングといった場合に新たな研究開発の要素があったり、新たに始めたりするものもありますが、基礎的なデータとしてしっかり取っていくことが必要なものもあります。そうしたものを維持する施策として描いております。
 ただ、この区分けがやはりなかなか難しいのではないか、あるいは3段階にせずに2段階にすべきではないか、様々なご意見があるかと思います。今回提示したものをご覧になった上で、どういったふうにして整理していくのがよいのか、もしコメント等をいただけると大変ありがたいと考えております。
 それから、粒度についてもそろえていくという話を先ほどいたしました。できるだけ各地域で取り組んでいる取組も国家戦略に載せられるものは載せていきたいという個人的な思いもあって、様々なところから施策の玉を出してもらっておりますけれども、例えば、屈斜路湖の中島におけるエゾシカ対策といったようなものも描いておりますが、そのほかの並びを見ると、例えばすぐ上にあるものですと全国的な観点で書いておりますし、その下には物すごく個別の部分を書いているというのが混在しております。この点につきましては、これまでにちゃんと整理できておらず恐縮ですが、次の段階で出すものにつきまして、精査していきたいと思っておりますが、書き方の方向性については、もし皆様からコメントいただけると大変ありがたいと考えております。
 また、先ほど柱書きが大変重要であるという話もいたしましたけれども、例えば行動目標1-2だと、これはまだしっかりと整理できていないということの表れでもございますが、施策の柱書きのところ、現状と課題のところが物すごく長くて、方向性のところは最後の3分の1ほどの分量になっております。この辺りも何をどこまで書き込んでいくのか悩みつつ、作業しております。基本的には、こういった行動目標に対して、それの現状と課題、それからそれに対応する施策というものをできるだけ分かりやすく書いて、これを読んだ上で先を読むと、それでこういう施策が並んでいるのかということが分かるような形にしていきたいと考えておりますけれども、まだ改善も含めて必要かなと率直に感じております。
 全体、このページ数を見ていただいて分かるとおり、現時点で99ページございまして、これら全てを個別にご覧になることは恐らく不可能ではないかと思っておりますけれども、すごく個別の箇所でも結構ですし、また全体的な作成方針についてでも結構ですので、いただければ、それらを受けて今後さらに精査していきたいと考えております。
 具体的な中身については、すみませんが、今個別に説明することはできませんが、そういった方針で作成しておりますので、皆様からコメントいただければ幸いです。
 以上でございます。
○中静委員長 ありがとうございました。
 時間も、あと30分か40分ぐらいですけれども、皆さんの方からご意見があればお願いしたいと思いますが。
 最初に私から一つ、ちょっといいですか。これを見せていただくと、具体的な施策としては国がやっているものがほとんどですけど、今後は民間のものや団体がやっているものもこの中に入れていくということになるんでしょうか。
○生物多様性戦略推進室室長補佐 ありがとうございます。
 今考えているところとしては、民間とか、そういったところを国としてどう支援していくのかといったようなことはしっかり書いていくのかなと思っております。ですので、国家戦略としては基本的には国の施策を書くものだと思っております。他方で、国の施策と関連づけた様々な民間の取組あるいは地方公共団体の取組もあると思っていて、そこでの取組結果についてはしっかりと把握して、報告していくようなことができないかと考えております。ちょっとその辺りの位置づけもさらに検討は必要かと思いますが、現時点ではそういうことを考えています。
○中静委員長 そうですね。認証制度とか、そういうものは民間といいますか、団体がやっていらっしゃるところもあって、そういうところは目標をこちらから設定するというのは難しいのかもしれないですけど、そういうものをどう行動計画の中に入れていくか、検討したほうがいいかなと思いました。
 私が発言させてもらいましたけど、ほかにご意見いかがでしょうか。
 では、西澤さん、お願いします。
○西澤委員 全体感として、私は専門家ではありませんが拝見いたしました。
 まず、数の多さにびっくりしたわけですけども、ただ、この課題というのはやはりかなり多岐にわたった課題を解決していかなくてはならないだろうと思いまして、民間のビジョン達成の手法からすると理解できないですが、恐らくこれが正しいやり方なのかなというような気も、説明を聞いていて、してきました。
 一方、やはりここに書かれている関係省庁だけでも相当多岐にわたっていますので、これが各省庁の施策の集合体ということになってはいけないだろうなと。つまり、国全体のビジョンを達成するためのマイルストーンになっていかなくてはいけないという観点で見ますと、個々の施策の進捗はもちろん管理するでしょうけども、全体を俯瞰してどのように運営していくのかというのが、これではよく分からなかったですけども、そこは真剣に考えていかないといけないと感じました。
 私からは以上です。
○中静委員長 今の点については何かコメントありますか。
○生物多様性戦略推進室室長補佐 こう言っては怒られますが、おっしゃるとおりだなと思いながら聞いておりました。
 少し構造上の改善があるとすれば、先ほど申し上げたですけど、今度、個別に掲げる行動目標ごとにできるだけ施策と結びつけていこうというので、現行戦略については、例えば森林ですとか外来種とか、それはそれで非常に分かりやすい形になっていると思うんですけれども、よりこういった掲げられた目標に対して、それぞれ関連する施策はこれでどの程度進んだのかといったような、少し見えやすい形にして、ただでさえ評価しづらいと言っている生物多様性を少しでも評価しやすいものにできるようにしていきたいと思いますが、まだまだ改善の余地はあるというのを実感いたしました。ありがとうございます。
○中静委員長 ありがとうございました。
 では、藤田さん、お願いします。
○藤田委員 ありがとうございます。さっきの第1部で私が出した疑問が、これを読んでいてようやく分かりました。
 ただ、やはり企業のところですけど、ページ数で言うと50ページですかね、50ページから始まる第3章のところで、せっかくネイチャーポジティブとかSBTsという新しい動きが出てきて、どんな目標が並ぶのかと見たら、結局は省庁のいろんなところが既にやっているものと結びつけるというボトムアップ式なので、えらく農林水産省系ばかりが多いわけですよね。それが悪いとは言いません、今みどりの食料システム戦略で物すごく、この分野で頑張っているのはよく分かっていますし、とても細かく目標値を定めているのも分かります。一方で、企業側からすると、ネイチャーポジティブと言っていて、「私たちの会社に関係あるのはTNFDの賛同企業数と国内検討会の検討数なの?」となる。これもよく分からないですけど、3-1-○と書いてある「サプライチェーン対応、指標・見える化、データ整備」をしている企業の数で目標値が9社と。何をしている企業さんが9社なのか、分からないんですけど。生物多様性に配慮している企業とか、生物多様性への負荷をサプライチェーンで減らしている企業さんとか、指標を作っている企業数はもっと多いと思うんですけど、9社ぐらいしか関係がない、となってしまいます。
 ただ、やっぱり今回の大きな国家戦略というのは、エネルギー会社も物づくりの会社も化学の会社も、みんな生物多様性配慮だよねと言っているときに、ボトムアップで積み上げると、農林水産系ばかりが出ていて、電機電子や自動車や機械とか、企業がほとんど関係なさそうに見えちゃう。せっかくアウトサイドインの時代なのに、インサイドアウトばかりが積み上がっていて、数ばかり多いけど、一般の企業にとっては生物多様性はあまり関係ないという印象を与えないように、バランス感をもう少し考えてほしいなというのと。
 もう一つは、目標値の数字の科学的根拠ですね。何でこの数字なのか、2025年や2030年に。これまでの施策でこの数字が出ているんだと思うんですけど、改めて生物多様性の国家戦略といったときに、この数字を使っていっていいのかどうか、ちゃんともう一度検証したほうがいいのかなと思っています。
 以上です。
○中静委員長 そうですね。せっかくSBTNsという動きが出てきているわけですから、そういうところはむしろ我々が意識しなきゃいけない問題かもしれないですね。ありがとうございました。
 何かコメントはありますか。いいですか。
○谷貝室長 生物多様性主流化室長の谷貝でございます。
 藤田先生のご指摘、大変ありがとうございます。正直なところ、現状でなかなか、おっしゃるとおり、環境省分は、特に、ざくっとした一般論的な目標しか掲げられておりません。一方で、農水省さんとかは積極的な話をしていただいておりますので、やはりどうしてもそこでかなりギャップというのが目に見えてしまうのかなと認識しております。
 もともと我々としては、藤田先生にも入っていただいておりますネイチャーポジティブ経済研究会のほうで、いわば国家戦略のビジネス版として詳細をお示ししたいと思っていたわけでございますが、他方で、それまで何もないのかということもございますし、やはり閣議決定というのは重いものでございますので、あまりそこで大きなギャップが生じないように、もう少し具体的なものを出せないかということを、中で、もう少し検討させていただきたいと思ってございます。どうもありがとうございます。
○中静委員長 ありがとうございました。
 では、橋本さん、お願いします。
○橋本委員 ありがとうございます。2点あります。
 1点目は、先ほど西澤委員から出たコメントの部分ですけれど、やっぱり第5章、ほかで書いてあればですけれど、以前この件で意見交換させていただいたときに、やっぱり全体調整は重要だとか、進捗管理をどうするかというのが重要だというのは、ほかの委員からも指摘があったかと思うんですが、それをどこに位置づけるのか。行動計画の中に位置づけられているのか、あるいは第1部のほうで、戦略のほうで位置づけられているのかというのを確認したい。もし、位置づけられていないのであれば、そこをちゃんと位置づけたほうがいいというのが提案です。
 もう一つは、第1部と第2部の関わりの部分で、前回か前々回の議論で出たんですが、第1部の第4章で実施に向けた基本的な考え方、七つの考え方というのが出ていて、これはとても重要だよね、場合によっては第2部に持っていってもいいぐらいだよねというのが出たと思います。そこが実は第2部の冒頭であまり回収されていないというか、言及されていなくて、いまいち第1部の第4章の第1節で言っていることが、第2部の実際の行動にどう関わるかというのが見えてこないので、全ての項目について書くというのが不可能であるということは承知しておりますので、せめて第2部の冒頭の部分で、第1部の第4章の第1節に立ち返って、具体的には以下の目標の実行あるいは重点施策等の実施に当たってはこういう観点を留意されたというのを、示しておいたほうがいいのではないかと思いました。
 以上です。
○中静委員長 ありがとうございます。
 今の点に関して事務局、どうでしょうか。
○生物多様性戦略推進室室長補佐 ありがとうございます。
 ご指摘のとおりかと思いました。このポンチ絵の説明をする際にも、やはり第4章というのが第3章の行動目標、それから第2部の関連施策をつなげる部分だと言っておりますけれども、第4章のほうには、先ほどもあったとおり、第2部のことがいろいろ書いてあるんですけど、第2部のほうにこの辺りの言及が確かにないなと思いまして、そういった点は改善していきたいと思います。ご指摘ありがとうございました。
○中静委員長 ありがとうございました。
 では、中村さん、お願いします。
○中村委員 ありがとうございます。ちょっと出たり入ったりで、いま一つ分かっていないのかもしれないですけど。
 まずは、3ページ目にある30by30、産民官17団体を発起人とする有志連合であると書いてあるが、17団体というのは、もう決まっている話と思っていいんですか、現状値の171とは関係ないのか。これはちょっと細かい質問ですけど、17団体というのを私は知らなかったものですから、それが決まっているのかどうかも含めて、171と関連があるのか、ないのか、教えてください。
 それから9ページですけど、事前説明のときに私が奥田さんのほうに、これ、いいのかなという話をした点をさっきお話しされていたんですけど。例えば生態系の再生の強化ということで、屈斜路湖の中島が特出しして出されているんですね。実際には、例えば釧路湿原も今や縦横無尽にエゾシカの踏圧があって、湿原植生についても心配です。とにかくほかの並びは国家戦略ですから全国的な議論の中で目標値が定められているのに対して、ここでは突然、屈斜路湖の中島とか阿蘇の部分に収束していくということで、どっちかというと地域戦略じゃないかと思ってしまいます。ここだけが特出しで個別の地域が出過ぎているなという感じがしています。その辺はやっぱり整合性を取ったほうがいいじゃないかと思いました。
 それから、56ページぐらいにあった、全部を見切れていないですけど、正直言って、最後のほうの各省庁から出しているものは、ホチキスどめの感が強いなという感じがします。つまり、それぞれに整合性を持っているような形でまとめられていなくて、単に省庁から上がってきたものがホチキスでとめてあるというような。ちょっと批判的に、そう思います。
 56ページにある、例えば一番下の人工種苗の生産技術、これがなぜ生物多様性に結びつくのか、私にはよく分からないです。要は、養殖によって、言わば食べるほうを賄って、自然の資源、例えばニホンウナギについては保全していくという意味なのかどうかも含めて、きちんと書かれないと、人工種苗を増やせというメッセージに聞こえてしまって、こういうのはおかしいじゃないかと思いました。
 同様に、60ページを開いていただくと、さけ・ます増殖事業の推進と書いてあるんですけど、今は知床も含めて、何とか野生のサケを復活させようという形で、養殖を否定しているわけじゃないですけど、野生魚もうまく再生産できるような川づくりを考えていこうとしています。なぜ、ふ化事業、増殖事業だけを特出しして推進しなくちゃいけないのか。これはやっぱりホチキスどめの問題じゃないかなと思うので、その辺を検討してください。
 全部は全然見られていないですけど、ぱっと見た感じ、そういったものがたくさんあるんじゃないかなと。もうちょっと精査して、きちんと前段で述べられている生物多様性をどうやって保全していくかということと整合性がつくような形で施策を検討していただきたい。別の各省庁が出してくるものを、ただホチキスでとめるという対応はやめていただきたいと思いました。
 以上です。
○中静委員長 ありがとうございます。
 今の点については、事務局どうですか。
○生物多様性戦略推進室室長補佐 ありがとうございます。
 まず1点目の17とあったところでございますけれども今画面共有しておりますけれども、30by30のアライアンスというものを4月8日付で立ち上げておりまして、現時点のメンバーにつきまして、資料1参考3をつけております。ここに掲げたメンバーを書いておりますが、発起人の17団体というのは、ここに掲げたものでございまして、経団連、自然保護協議会さんも入っておりますし、NACS-Jといったようなところも入ってございますが、こういったところにご参加いただいているところでございます。冒頭に申したとおり、発起人も合わせた団体につきましては、当初133から始まりましたが、現時点で240ぐらいまで行っておりまして、どんどん増えておりますので、共にやっていく仲間を増やしていきたいというところでございます。
 2点目、ちょっと釧路湿原の例示も出してくださいましたが、屈斜路湖の中島のお話もありました。地域の取組を取り上げるのはいいかなと思いつつ、逆にやはり粒度を考えると、変な取り出し方をすると、それ以外が重要でないように見えてしまうというのはおっしゃるとおりだと思いますので、その辺りは今日のご意見も踏まえて直していきたいと思います。
 また、3点目の各省のホチキスどめといったところでございますけれども、今回できる限りそれぞれの行動目標に沿った形で並べていこうということで、精査作業をしておりました。その中で、若干違う観点になりますが、資料2-3の別紙を見ていただくと、明らかにたくさんある行動目標と、それほど数がないところとがあって、逆に、でこぼこ感、凹凸感というのもよく見えるのではないかと思いますけれども、そういった中でいかに行動目標に関連づけられていくかといったことは大変重要だと思っております。ご指摘のとおりだと思います。
 他方、各省の各施策につきまして、やはりどうしてそれが掲げられたのかということを分かりやすく示していくことは鍵だろうと思っております。率直に申し上げて、まだそこまで追いついていないところでございますが、今後精査する際に、そういった点もぜひ改善しながら分かりやすく作っていきたいというふうに考えております。ご指摘ありがとうございました。
○中静委員長 では、会場から、勢一さん、お願いします。
○勢一委員 ありがとうございます。勢一です。私もかなり膨大な施策の量で、十分見切ってはいないのですが、全体的な点ということで、2点、コメントさせてください。
 1点目は、今回の戦略で行動目標ごとに施策を列記する形を取ってくださるということで、私は非常にいいことだと思っています。省庁横断的に関連する施策を目指す目標に対して束ねていくのは、非常に実施のレベルでも重要だと思っています。いわゆるセクショナリズムから脱却するための一つの方針だと思います。どうしても法律も分野ごとですし、法律の所管も省庁ごと、さらに言えば自然局の中でも法律の所管が分かれている状況にあります。これを超えて実施体制を考える意味では、このチャレンジは大変に意味があると思います。むしろ新しい形での政策実施が必要になってきますので、国家戦略を使うことで新たな施策のネットワークを形成するという、そのぐらいのチャレンジになろうかと思いますが、ぜひきっかけにしていければと思います。
 その上で、やはりこれだけたくさんの施策が出てくると、幾ら行動目標を目指していても、施策間のトレードオフというのは必ず出てくるだろうと思います。さらに、それは国レベルだけではなくて、地方レベルでの施策とのトレードオフもあるかなと思います。イメージとしては、例えば持続可能な観光の推進とか国立公園の利用促進というのは非常に望まれるところで、施策に挙がっているところですけれども、他方でオーバーツーリズムというところで、地域の施策と国とは温度差がある場合もあるかもしれません。これは地域によって違うと思います。そうしたトレードオフなどについては、進捗管理で細やかに見ていきながら修正していく作業が必要ではないかと思っています。以上が1点目です。
 もう一点ですけど、行動目標ごとに施策を3類型に分けて挙げていただいています。悩ましいとおっしゃっていて、私も見ていて悩ましいなと思っているのですが、三つの区分けというのが、ちょっとメッセージとして分かりにくいなと思っています。重点施策、重点というのはよく分かるんですけれども、継続と強化は、政策実施としては似て非なるものが二つ並んでいるのかなという印象です。継続でやるのか、強化するのかは、コンセプトとして違うのかなと思っています。さらに、維持するという表現は、ご説明の趣旨は分かるんですけれども、ちょっと言葉としてなかなか合わないかなと感じるので、ネーミングを少しお考えいただくことが必要かもしれません。
 あわせて、先ほど中村先生からもご指摘があったところと重なるのですが、かなりたくさんの施策が3類型の中だけで並んでいる形になっていて、もう少し階層的な整理が必要ではないかと思いました。確かに生物多様性実現のために、保全のために多数の施策を総合して、総合力で実現していくんだというのが今回のコンセプトで、それは正しいですけれども、やはり数値目標が達成されることで国家政策としての進捗が図れるものは何なのかという観点から、少し施策間の強弱をつけていって整理する、それによって階層として並べていくという考え方もあるのではないかなと思いました。この辺りをぜひもう少しご検討いただければと思います。
 以上です。
○中静委員長 では、これは、これからの修正の中で考えていただくということでお願いします。
 吉田さん、お願いします。
○吉田委員 ありがとうございます。幾つかコメントと質問がまじっているので、それぞれ順番に行きたいと思います。
 まず、全体のことについて、皆さんがおっしゃっているように、それぞれの行動目標の下に各省庁からボトムアップでいろいろな施策が上がってきている、それをまとめたものだと。中村さんのほうからはホチキスどめだというご批判もありましたけど、確かにそうかもしれませんけど、それぞれの行動目標を基に各省庁で何ができるのかということを考えていただいてリストアップされていると考えれば、そういう作り方も僕はあっていい方法かなと思いますし、それが分かるような説明がちゃんとされていればいいんじゃないかと思いました。
 ただ、大事なのは、どう点検評価していくかということだと思うんですね。各省庁から上がってきて、ボトムアップで上がってきてリストアップされているもの、各省庁でどういうふうに進んでいますかということを点検するんですけれども、多分、それを2年に一度やるということが第1部の第4章のところに書いてありますけれども、連絡会議でどうするのかというところです。それぞれの省庁がやったことを個別に評価するのではなくて、先ほど勢一さんからもお話がありましたけど、そこがどう統合的に評価できるのかということも含めて、点検評価の在り方を今のうちから検討していただくということを進めていただければなというのが一つのコメントです。
 二つ目、先ほど、数で言うと300ぐらいの施策数が一覧にあるということでしたけど、現行戦略は700を超えるということは、まだもしかするとリストアップが完全ではないということを意味しているのかなと思うんですね。これだけ膨大の資料ですけれども、直前というか、数日前にリストを送っていただいたこともあって、私自身も中身をちゃんと見ることができていません。ぜひ、どこの段階で各省庁からの施策が出し切れるのか、そのタイミングについて少し教えていただきたいですけれども。それが質問ですね。
 それに合わせて、そういうものが全部出てきた段階で一度、インフォーマルでも、この委員会のメンバーに見せていただくような、あるいはそういう機会をつくっていただければなと思います。次回の会議はもう年明けになるということですので、秋の段階でも、リストが出切った段階で一度、全体的に確認できるような機会があるとありがたいなと思っています。質問としては、いつ頃にリストができるのかということが質問です。
 それから、先ほど勢一さんからもありましたけど、私も具体的施策の中の重点施策、それから継続・強化、維持というふうに3類型になっているんですけれども、この違いは何なのかというのがよく分からない、事前説明のときに申し上げましたが、ここの整理が必要かなと思います。重点的にやること、あるいは強化すること、違いがどこにあるか分かりませんけど、より進めていくというような施策もあれば、現状維持を目指しているような施策もある。なぜその違いができたのか、あるいは点検評価とどう関わりがあるのかというところをぜひ明らかにしていただけたらと思います。重点的にやる、強化してやるという施策は当然、点検評価のときにも重要視されるべきだと思いますし、維持についてはそうではないかもしれません。その辺り、点検評価の在り方の中で、類型と併せて考えていただければなと。これもコメントです。
 それから、各目標で現状値と目標値というのがありまして、戦略自身は2030年が目標年になっているわけですけども、2030年ではない、途中段階の目標というのもたくさんあるんですね。2025年とか。それぞれ個別に見ていくと、2030年が目標年になっていない、途中段階の目標になるものもあります。そこの区別が全くついていないのに私はすごく違和感がありまして、2030年の目標はこれだけど、それは立てることができないので、例えば途中段階として2025年の目標を置いているんです、というようなことが明確に分かるような。表の形式になっていますけれども、そこを工夫していただきたいというのがコメントです。
 最後に、個別事例のことがありましたけど、ここに出てきたというのは恐らく環境省や国の出先機関の事務所から出てきているとか、そういう取組ではないかと思うんですね。全く地域がベースでやっているようなものでは、例えば地方公共団体がやっているものではなくて。あくまでも国の予算を使って、国がやっているものだと思います。それは、全国的な取組と分けてリストアップした上で残しておくというのは、私はあってもいいのかなと思いました。国が進めている地方での施策として、個別であっても重要だということで位置づけられているのだと思いますし、それは残したほうがいいと思うんですけれども、ただ、ほかの全国的な取組とは分けて、どこかにまとめるとか、工夫していただければと思います。
 もしかするとすけど、国が進めている地方での施策という意味だけじゃなくて、例えばモデル的な施策という意味でのリストになっている可能性もあると思うので、モデルであればモデルで、こういうものが地域で実現されることがより全国に広がっていく、その先陣を切ってやっているモデル事業ですという位置づけがあれば、個別に地方でされている事業、施策がこの中にあっても違和感はないかなと感じました。
 以上です。質問のところでもしあれば、お答えいただければありがたいです。
○中静委員長 では、リストアップの時期について、事務局お願いします。
○生物多様性戦略推進室室長補佐 お答え申し上げます。
 正直、これまでCOPの時期が定まらず、大変気持ち悪い思いをしていたですけど、恐らく12月にモントリオールで開催というのはかたいだろうと踏んでおりますので、それに向けて作業していくということなので、イメージしているものとしては、今関係省庁の皆さんにも相当汗をかいていただいて掲げたんですけど、こちらの力不足もあって、区分を考えたりするところでやや力尽きているところが率直にはあります。それらを、先ほどもあったご指摘も踏まえて直していくという作業は、秋ぐらいまでにはぜひしたいと考えておりまして、その段階でまた委員の皆様あるいは関係者の皆様とも相談できればありがたいと考えております。ありがとうございます。
 そのほか、評価に関して、ご示唆いただきました。ぜひ戦略を作るだけでなく、その先の評価も含めて、まだ相談していければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○中静委員長 では、石井さん、お願いします。
○石井委員 ありがとうございます。石井です。まだ熟度が上がっていない中で、やや細かいことを言うかもしれないですけれども、次の回まで間が空くので、忘れてしまうといけないので、ちょっと発言させていただきたいと思います。
 私の関わっている外来種のところとかレッドリストのところです。23ページぐらいからですかね。ちょうど外来種防除の推進というのが10行目にあると思うんですけれども、野生生物小委員会で改正外来生物法に基づく基本方針を議論しているところですが、外来種と外来生物の使い分けがなかなか難しいんですね。ここから2ページほどを見ていると混在していますので、多分、書きぶり調整はこの後なのかもしれませんけれども、ぜひとも、この辺を注意して見直していただければと思います。例えば、今見ている10行目のところは外来種になっていますけれど、11行目は外来生物になっている状態です。
 それから、25ページぐらいのところからレッドリストの話が始まります。何を言いたいかというと、海と陸のレッドリストを統合して、会議体も統合する形で今進めているんですけれど、あまりそのことが書いていないように思います。25~26ページにかけてです。先ほど、海洋に関する記述を少し充実させたらという話もありましたので、ぜひともこの辺のところ、海と陸のレッドリストの統合の話を強調されたらどうかと思います。
 その次は、さらに細かいのですが、レッドリストのところ、32行目ぐらいのところですね。保護増殖事業についてですが、日本の絶滅危惧種の生息状況はなかなか厳しくなっているので事業自体は増加傾向なんですけれども、次のページの表にあるように、だんだん卒業させていかなければならないということです。現状が0種となっている目標値を、2030年までに3種程度と書いてあるんですけれど、ちょっと弱気ではないかということが1点。
 ちょっとバックして、26ページの書きぶりですけれど、32行目ですね。保護増殖事業を実施し、生息・生育状況の改善を図る、その結果として、複数の保護増殖事業の完了事例を創出するとなっています。この部分にぜひともダウンリストを推進するというような表現を入れていただけないかと思います。リストのカテゴリーが下がる、その結果、保護増殖事業を卒業するわけですけれども、保護増殖事業の卒業まで行かなくても、とにかく目指すのはレッド種を減らすこと、そしてランクを下げていくことだと思うので、その辺を書いていただければとい思います。
 ちょっと細かいですけれども、以上でございます。
○中静委員長 ありがとうございました。今後検討をお願いしたいと思います。
 では、大沼さん、お願いします。
○大沼委員 ありがとうございます。
 今まで、ほかの委員の先生より、政策のリストが非常に膨大なものであるのに関していろいろコメントがありましたが、私も中村先生や勢一先生と同じような印象を持ったんですが、その一方で、やっぱり見せ方を工夫すれば、うまく整合的といいますか、統合的にすることもできるんじゃないかという印象があります。その一つの方向性というのは、JBO3のまとめに沿った形で見せるということですね。あれは直接的要因、それから間接的要因というのがあって、直接的要因に関しては第1の危機から第4の危機まで並んでいて、さらにそういったものと関連する人間活動として様々な漁業とかエネルギーとか、いろいろなものが並んでいたんですね。それに併せてレバレッジ・ポイントというものが明記されているんですね。ですので、JBO3の整理の仕方に沿って、ここを並べ替えると、規則性がなく並べただけであるという印象が少なくなって、整合的な形で示すことができるのではないかなと思いました。
 とにかく大事なのは、こうした施策というものが生物多様性の国家戦略の中で有機的に連関性をもってつながっている、そして大きな目標に向かってちゃんと位置づけられている、そういったところじゃないかなと思います。
 以上です。
○中静委員長 ありがとうございました。
 今の大沼さんのご意見は、例えば今の目標ごとに並べているところはそれでいい、その中でというご意見だったんですかね。
○大沼委員 はい。そうですが、目標ごとといいますか、例えば生物多様性の危機というものに対応するというところでは、例えばJBO3を意識した並べ方をするとか、きちんと規則性をもった並べ方というものをするのがとても効果的なんじゃないかなと思った次第です。
○中静委員長 ありがとうございました。
 ほかにご意見ございますでしょうか。今まで出た質問とかで、何か環境省のほうから特にコメントがあればお願いしたいと思うんですけど。
○生物多様性戦略推進室室長補佐 ありがとうございます。
 今回、行動目標ごとに並べるというので試行錯誤しております。重要なことは、やっぱり一気通貫で見せたいという思いが強くあって、やっておりますが、分かりにくくなってしまっては元も子もないというのはあります。ただ、先ほども、世界目標が定められて、それに向けて地域レベルから国、それから世界まで、いろいろなものを一気通貫に見せていきたいので、少し整理の仕方、魅力的に見せられる見せ方等々はさらに改善を図っていきたいというふうに思います。その要素となる部分は入ってきていると思いますが、そこはさらに事務局で検討させてください。たくさんのご指摘、大変ありがとうございました。
○中静委員長 中澤さんもありますか。
○生物多様性戦略推進室長 ありがとうございます。
 1章~5章、さらに目標を細分化していると。それぞれの目標を達成するには相当の努力が必要だと思うのですね。先ほど300とか700と。努力して本当にこれが達成できるのかどうなのか、もっともっといろいろな力を合わせなくてはいけない気もしているところです。とはいえ、ホチキス的といったような誤解を受けないように、大沼先生からいただいた有機的な連関性、いろいろなものがつながっているという、そういった示し方、奥田からも話がありましたけど、そういった見せ方というか、こういったものがうまく有機的に機能して、それぞれの目標に対して達成に貢献していく、そういった示し方をしていくのが重要ではないかと認識しました。
 いずれにいたしましても、コメント、ご示唆ありがとうございました。
○中静委員長 ありがとうございました。
 まだまだご発言やご意見があるかと思うんですけれども、時間も来ておりますので、今日の会議はこのぐらいにしたいと思います。引き続きご意見はメールでいただいていいと思いますので、次回の会議まで何か月もありますし、積極的なご意見をいただいて、いい国家戦略にしていただければと思っております。
 それでは、議事(3)その他ですけど、事務局から何かございますか。
 特にないということなので、今日の議事は以上となります。
 次は1月ということで、COP15が予定されている12月まで、まだちょっと時間はあると思いますけれども、各省庁の施策の数も多いので、調整にも時間がかかると思います。委員の方柄には早目にご意見をいただければいいかなと思います。
 では、今日の議事はこれで終了とさせていただきまして、事務局に進行をお返ししたいと思います。どうもありがとうございました。
○司会 中静委員長、議事進行ありがとうございました。また、委員の皆様、活発なご議論をありがとうございました。
 閉会に当たりまして、自然環境計画課長の堀上よりご挨拶を申し上げますが、その前に、生物多様性戦略推進室長の中澤から、一言ございます。
○生物多様性戦略推進室長 中澤でございます。
 先ほど、これからいろんなことに取り組んでいきますといって、その後で大変恐縮ですけども、私、今週の金曜日、15日付で戦略室長から異動することになりました。いろいろとご示唆いただいたものについては、先ほどから回答し、説明している奥田補佐のほうがきちんと引き継ぎ、また戦略室のメンバーがこれをしっかり受け止めて対応していただけるものと信じておりますし、私の後任で山本が野生生物課から参ります。しっかり引き継いでまいりたいと思います。これまでいただいた様々なご示唆に感謝いたしますとともに、今後とも引き続き生物多様性国家戦略に対してご支援を賜りますよう、よろしくお願いします。
 ありがとうございました。
○司会 続きまして、自然環境計画課長の堀上より、閉会のご挨拶を申し上げます。
○自然環境計画課長 委員の皆様、本日は長時間のご議論ありがとうございました。今、中澤室長が申しましたけれども、今回の異動で自然環境局の外に出ていくわけではございませんので、自然環境局全体で国家戦略を作っていくということで、今後も関わりを持ちます。どうぞよろしくお願いいたします。
 今日は今後の議論につながる様々なご意見をいただいたと認識しております。今回、第1部の第4章並びに第2部の素案をお示しいたしましたけれども、非常に多岐にわたって委員の皆様には丁寧に見ていただきましてありがとうございました。特に具体的な修正に関わるところのご意見をたくさんいただいたと思っておりますので、そこを整理して、またお示しできればと思います。12月のCOP15の第2部ですね、ここを踏まえて、さらに内容を詰めてまいりますけれども、国家戦略は非常に幅広い主体に向けたメッセージであるということを常に認識しながら、関係省庁ともきちんと整理していきたいと思っておりますので、委員の皆様には次回もぜひ積極的なご議論を賜ることができればと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は誠にありがとうございました。
○司会 次回は来年1月頃の開催を見込んでおりますが、具体的な日程については別途調整の上、お知らせしたいと思います。
 本日は長時間にわたりご参加いただき、ありがとうございました。
午後5時05分 閉会