自然環境部会生物多様性国家戦略小委員会(第4回)議事録

開催日時

令和4年3月22日(火)14:00~17:00

開催場所

WEB会議システムにより開催

出席者

中静 透     委員長
石井 実    委員
勢一 智子   委員
髙村 典子   委員
藤田 香    委員
愛甲 哲也   臨時委員
大沼 あゆみ  臨時委員
亀山 康子   臨時委員
五箇 公一   臨時委員
白山 義久   臨時委員
中村 太士   臨時委員
深町 加津枝  臨時委員
二宮 雅也   臨時委員
山野 博哉   臨時委員
橋本 禅   専門委員
広井 良典   専門委員
森本 淳子   専門委員
吉田 丈人   専門委員

議事録

午後2時01分 開会
○司会 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会自然環境部会第4回生物多様性国家戦略小委員会を開催いたします。
 本日は、お忙しい中、ご出席いただきありがとうございます。
 本日の小委員会には18名の委員にご出席いただいております。
 本日の会議運営につきましてご説明いたします。傍聴につきましては、会場での傍聴は行わず、YouTube配信にてどなたでも傍聴できるようにしております。
 本日、オンラインでご参加の委員の皆様におかれましては、マイク、ビデオは各自ご発言の際にもオンとするようお願いいたします。また、ご発言の際は、チャット欄に書き込みいただき、ご発言する旨をお知らせください。委員長からのご指名後、マイクのミュートを解除していただき、議事録の円滑な記録のため、お名前をおっしゃってからご発言いただきますようお願いいたします。なお、挙手ボタンは気がつかないこともございますので、挙手ボタンは使用せず、チャット欄をご活用いただければ幸いです。
 本日、ご説明する資料につきましては、委員の皆様には、事前に電子データにて送付しております。本日は、事務局が画面上に資料を掲載し、進行をさせていただきますので、お送りした資料は必要に応じ、お手元でご参照いただきますようお願いいたします。
 傍聴されている方におかれましては、本日の資料を環境省ホームページにアップロードしておりますので、そちらをご覧ください。
 また、本日の会議については会議録を作成し、ご出席の委員の了承を取った上で公開することになりますので、ご了承ください。
 それでは、奥田自然環境局長よりご挨拶申し上げます。
○奥田自然環境局長 皆さん、こんにちは。委員の皆様におかれましては、ご多用のところ、本日の委員会にご出席をいただきまして、厚く御礼申し上げたいと思います。
 ご承知のとおり、先週3月14日から、スイスのジュネーブでポスト2020生物多様性枠組、これに関する交渉会議というものが開催されているところでございます。この枠組みの策定に向けた国際的な議論が、今回のジュネーブ会合でさらに進展することを期待しているところですけども、また、これにつきましては改めてご報告の機会が得られればと思っております。
 さて、今日の小委員会では、前回の1月の第3回小委員会でご検討をいただきました次期生物多様性国家戦略骨子案、これに基づきまして素案というものを作成させていただいております。素案についてご議論をいただくわけでございますけれども、2030年に向けた具体的な目標案、これについても今回初めてお示しすることになります。ぜひ、これらについて忌憚のないご意見を賜れれば、ありがたいというふうに考えております。
 また、作成を進めてきました30by30ロードマップ、この案についてもご報告をさせていただく予定とします。
 さらに、ポスト2020年生物多様性枠組に向けた国際的な議論の状況について、私自身も必ずしも十分タイムリーに報告を受けてないんですけども、後ほどジュネーブから、現地のほうで交渉に参加している人間から報告をさせていただくということになっております。
 本日は17時までという長丁場でございますけれども、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○司会 ありがとうございました。
 それでは、これよりの議事進行につきましては、中静委員長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○中静委員長 はい、皆さん、こんにちは。今日はいよいよ素案の検討ということで、また3時間という長い時間ですけれども、どうぞ円滑な進行にご協力をお願いしたいと思います。
 今日は、議事が二つありまして、今日は先ほどご紹介ありましたように、素案の検討というのが一つと、もう一つは30by30のロードマップの報告ということになります。
 早速、議事1の次期生物多様性国家戦略の素案の検討に入りたいと思いますけれども、最初に資料1ですが、日本造園学会から提言が環境省に提出されたということで、提言の作成に直接関わられた愛甲さん、それから森本さん、深町さんの順に、一言ずつご意見いただければと思います。資料は参考資料の1ということになっております。
 では、愛甲さんからお願いできますでしょうか。
○愛甲委員 ありがとうございます。今回出させていただいた提言書は、昨年の秋から造園学会で準備をしました。十数名ほどのメンバーで、この委員会にも入らせていただいている私、それから深町先生、森本先生も一緒に入って、学会の学術委員会というのがあるんですが、そこが中心になって、この提言をまとめました。
 それで、造園学会としての視点ということで、都市域や農村域までも研究の対象にしていますし、ランドスケープという視点で様々な空間の計画、それから、それらの空間の管理などにも我々の学会のメンバーが携わっておりますので、分担をしまして、造園学会としてこういった視点を考えていただきたいということで、このように提言書としてまとめて、3月5日に理事会があったんですけど、そこでも議論をした上で、小野会長の名前で今回このように提出をさせていただいていますので、何かこの委員会の中で議論の参考になればと思っております。よろしくお願いいたします。
○中静委員長 はい、ありがとうございました。
 では、深町委員、お願いします。
○深町委員 はい、ありがとうございます。大きな流れにつきましては、愛甲先生のほうからご紹介いただいたので、少しだけ中身の構成について、私のほうから説明させていただきます。
 造園学会ということですので、やはり空間計画というところが一つの分野としての重要な視点になっておりますので、最初の意見書、提案書にありますように、空間計画の一体化だとか、地域戦略策定の支援というような観点で、私たち学会のほうも、ぜひ今後も協力して一緒にやっていきたいと思いますし、こうした観点をやはり戦略の中でも重視していただきたいということです。
 それから、生態系を基盤とした国土の目指すべき姿ということで、それぞれ自然林だとか、植生自然度というのを環境省のほうでも用いていると思うんですけれども、それぞれの自然度に合ったような保全の仕方、自然再生の在り方いうようなところを比較的丁寧に提案させていただいております。
 あとは、種の保全というのも大事ですが、データリストとかです。生態系だとか、あるいは地形というような形で、もう少し大きなスケールでまとまりのあるような空間として大事にすべき危機にあるところがどういうところなのかということを見ていただきながら、戦略を考えていただくということも、私たちがまとめた提言の中では重視しているところです。
 この中で、例えばなんですが、自然度の比較的里山のようなところで、あるいは植林が必要以上に進んでしまっているようなところでの、また自然再生というようなところで、林野庁のほうでも育成複層林というような位置づけがありますが、今後、人工林と広葉樹を混交林化させるとか、複層林化させるというような、そういうところでの技術的なところでの課題というのも大きいと思うんですけれども、そういう場所、あるいは都市の中にある、平たん地ではあるんですけども、あまり自然度の高くないようなところをどういうふうにしていくかというようなところも今後の生物多様性の保全上は重要になるということなので、ほかの省庁の施策との連携を考えながらやっていくことの大切さというようなところで、この中で含まれているというふうなところです。
 ちょっと長くなるといけないので、私のほうは以上としまして、森本先生に続きをお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○森本委員 こんにちは。愛甲先生、深町先生のほうから、網羅的に造園学会からの提言をご紹介いただいたので、私のほうから一つだけお伝えしようかと思います。
 提言書の中で、割と複層的かなと思いますのが、既にある都市域、農村域、森林をどういうふうに扱っていくかということだけではなくて、今後、災害が多発する中で新たに発生するような生態系についても、積極的に生物多様性の保全の好機であるというふうに捉えて、新たな自然再生、再自然化に取り組んではどうかという提言もさせていただいています。
 このようなことを踏まえて、多様な視点からの提言をさせていただいていますので、ぜひご活用いただければと思います。
 以上です。
○中静委員長 ありがとうございました。このいただいた提言を参考にさせていただきながら、議論をさせていただきたいと思います。
 では、事務局より、次期生物多様性国家戦略の素案についてご説明ください。資料1-1、1-2、1-3になっていて、最初に全体をご説明いただいて、その後のご意見を伺うときには、部分に区切って伺いたいと思います。
 では、事務局、お願いいたします。
○奥田総括補佐 中静先生、ありがとうございます。環境省生物多様性戦略推進室の奥田です。
 私のほうから資料1-1、1-2、それから1-3について説明させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 まず、資料1-1ですけれども、先ほど、局長からの挨拶でもあったとおり、現在、ジュネーブでポスト2020生物多様性枠組に関する会合が開かれております。こちらのジュネーブ会合ですけれども、もともと1月に予定していたものがずれておりまして、今開催中ということになっております。それに伴いまして、4月~5月に開催予定であった生物多様性条約COP15第二部につきましても、7月~9月に延期の見込みでございます。詳細な日程はまだ決まっておりません。それを踏まえますと、次期生物多様性国家戦略策定スケジュールも、少し後ろ倒しになるのではないかと見込んでおります。
 こういったスケジュールにつきましては、COP15第二部の開催時期が正式に決定した後にスケジュールを確定していきたいと考えておりますけれども、COP15第二部の開催前には、第5回の小委員会を開催したいというふうに今のところ考えております。
 資料1-1につきましては、以上でございます。
 続きまして、資料1-2について説明いたします。こちらは前回の小委員会において、委員の皆様、それから出席してくださった関係団体からいただいたご意見をまとめたペーパーとなっております。また59ページもある議事録につきましては、参考資料8でつけておりますけれども、こちらの資料1-2ではいただいたご意見を項目別にまとめております。時間がないので、事細かに説明することは避けまして、この後、いろいろ説明していく中で説明できればと思いますが、大体70ほどのご意見をいただいておりまして、それらについて反映させながら、今回素案というものを作ってきました。
 ただ、少し反映し切れてないところもございます。例えば、海洋関係につきまして、まだまだ記述が薄いなと考えております。今後、素案から案に向けて作成していく中で、そういったところは改善していきたいと考えております。
 では、続きまして、資料1-3、こちら相当大部でございますが、できるだけコンパクトに話をしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 この素案ですけれども、前回1月19日に開催した第3回小委員会におきまして提示しました骨子案をベースに、肉づけを行っているものでございます。
 肉づけた部分はどこかと言いますと、本戦略の背景の部分、それから第1部、戦略の中の第1章、現状と課題、こちら全般を肉づけしております。それから、第2章、本国家戦略の目指す姿(2050年以降)も肉づけしております。それから、第3章、2030年に向けた目標といった部分でございますけれども、こちらも肉づけ作業を行っております。後ほど説明いたしますが、この中で、前回骨子案では提示できていなかった、2030年における目標ということで、あるべき姿の状態目標、それから、なすべき行動の行動目標といったようなものの案につきましても、今回、提示しております。
 一方、前回、非常に重要だというご指摘を多数いただきました第4章でございますけれども、こちらについては、まだ作り込みの作業をしておらず、骨子案のままとなっております。第4章につきましては、第3章の2030年に向けた目標を本日議論いただいて、その方向性を議論した後、さらに第2部の行動計画で具体的な施策というようなものがそろってきた段階で、さらに作り込みをしていきたいと考えておりまして、次回、第5回の小委員会に向けて作業を進めていきたいと思っておりますが、現時点では、ここは骨子案のままということとなっております。
 また、第2部の行動計画につきましては、こちらは作り込み作業は、今回の小委員会が終わった後からということでございますけれども、この国家戦略がより分かりやすい戦略となるように、どういった方針で作成していくのかということについて、今、事務局として考えていることについて説明したいと考えております。大きな構造としては、このような形になっております。
 それでは、個別の場所について、説明していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず、戦略素案の背景の部分でございますけれども、まず冒頭で、持続可能な世界の構築に向けた潮流ということで世界的な流れを記しております。この中で前回もご指摘いただきました、自然資本は人間の社会保障の根幹であるといったこと、そして、この自然資本の安定性を生物多様性の損失と気候危機といった二つの危機が揺るがしていること。こういった背景のもと、この国家戦略をつくりつつあること。また、新型コロナウイルス感染症という危機もございました。
 それから、今、様々議論がなされている中で、何より我々の社会の基盤たる健全な自然環境を構築させる必要があると。そういった中で、自然を活用した解決策というものをしっかり進めていく必要があると、こういう大きな流れになっているといったようなことを書いております。
 それから、一方、我が国の置かれた状況でございますけれども、近年、我が国では、本格的な少子高齢化、人口減少社会を迎えている中で、これまで里地里山の管理が不足して、資源が十分に活用されないことで、国内の生物多様性損失の要因になっているといったようなことが起こってまいりました。そういった流れがある一方で、海外資源を使っていることで、海外の生物多様性損失にも影響を与えている。その両方をしっかりと対応していかなければいけない。さらに地方レベルで言うと、鳥獣被害というものが大変深刻化している中で、人口減少は我が国が世界に先駆けて自然資本を守り、生かす社会へと転化していくチャンスでもあると、ある意味、前向きにも捉えまして、しっかりと進めていきたいといったようなことを書いております。
 背景につきましても、まだまだ入れ込むべき要素はあるかもございませんが、この辺りは、また委員の皆様からご意見をいただければと考えております。
 続きまして、第1部、第1章から説明していきたいと思います。今、背景をお話ししましたが、第1部の戦略の第1章、現状と課題というところでございます。こちらは骨子案の段階では、この全体のペーパーが大体23ページでしたが、今回50ページほどということで、それなりに分量を増やしております。場所によっては相当作り込んでおりますが、まだまだ作り込みが足りないところもございますので、抜けがあれば、どんどんご指摘いただければと考えております。
 まず、第1節は世界の現状と動向ということで、世界的な現状、それから、今課題になっていることにつきまして、IPBESの地球規模評価報告書をベースに作成しております。この中では、生物多様性の損失を引き起こす5大直接的要因といったようなものも特定されておりますし、何より生物多様性の損失を止めていくためには、社会変革が必要だという強いメッセージが打ち出されているものでございます。
 それから、続きまして、この10年間取り組んでまいりました愛知目標の評価ですけれども、こちらは生物多様性条約事務局が公表しました、地球規模生物多様性概況第5版(GBO5)によって、やはり達成はできなかったと評価されております。
 この報告書の中で、非常に重要な点として指摘されているものとしまして、トランジションというものがございます。これは何を言っているかというと、生物多様性の損失を止めて回復させていくためには、これまでどおりの自然環境保全、あるいは外来種対策といったようなことをやるだけでは足りなくて、気候変動ですとか、持続可能な生産、それから消費の削減といった様々な分野において取り組んでいく必要があると。それによって、初めてこの生物多様性の損失を止めて、回復させることができるといったようなメッセージが打ち出されています。
 その中で、とりわけ生物多様性に関連の深い八つの分野といったようなものも掲げられておりますが、それとも関連して、世界的な動きとして、気候変動に関すること、それから食料生産に関すること、それから新興感染症・ワンヘルスといったようなことについて、特に取り上げて書いてきております。
 こういった動きの中で、これらはともに土地利用の変化に深く関係するものでございまして、やはりそれぞれの場所において、健全な生態系をしっかりと確保して回復させていくことが重要であるといったようなメッセージが共通していると考えております。
 こうした文脈もある中で、国連生態系回復の10年ですとか、あるいは30by30目標といったようなものが提唱されて、次の大きな課題となっているというふうに認識しております。
 それから、いずれの分野におきましても、自然を活用した解決策というものをしっかりと打ち出していこうということで進められようとしております。この自然を活用した解決策の特徴としましては、やはり複数の効果をもたらすと、マルチベネフィットだというところが非常に大きな特徴かと思っておりまして、ただ単にある課題に取り組むだけではなくて、そこから波及して得られる様々な効果、とりわけ自然といったものが持っている健康、あるいは癒やしといったような部分も含めて可能性を感じておりまして、こうしたところをしっかりと示していきたいと考えております。
 それから、項目として独立させたのが、急速に進むビジネス関係の動きでございます。TNFD、SBTs for Nature、そういった動きが急速に進んでおりますが、重要なメッセージとしては、やはり次の10年間で生物多様性保全や自然資本管理そのものがビジネスになっていくことが期待されるのではないかと考えております。
 それから、ポスト枠組に向けた動向につきましては、こちらはまだ決まっておりませんので、参考レベルで書いておりますが、現時点でのポスト枠組におきまして、まだ断定はできないですけど、少なくともSDGs、あるいはパリ協定の影響を強く受けて作成されている目標であると感じております。
 続きまして、今のところが世界の現状と動向ですが、第2節で我が国の現状と動向について、こちらも骨子案から肉づけを行っております。骨子案で示した要素を基本に書き足しているところでございますけれども、前回の議論の中で、四つの危機に加えて、五つ目の危機というものについて説明させていただきました。こちらは大賛成というご意見から、生物多様性に直接的に影響する四つの危機に対して、五つ目の危機というのは少し毛色が違うのではないかといったような様々なご意見いただきました。いただいたご意見を踏まえまして、今のところ、第4の危機を描いた後に、その危機の背景にある社会経済の状況ということで、社会経済の状況を描いた後に、その社会経済に内在する生物多様性の危機ということで、今回整理しております。
 いずれにせよ生物多様性の重要性や、私たちの暮らしとの関係性の認識が低ければ、生物に配慮した行動や意思決定にはつながらないと考えられるという強い問題意識を持っておりますので、これ自体として今回出していきたいと考えておりますが、この辺りについても、またご意見いただけると幸いです。
 続きまして、第3節では、国家戦略で取り組むべき課題ということで、五つの課題を整理させていただいております。これにつきましては前回、特に三つ目と、それから四つ目のところで内部化という単語を使っておりましたが、それは必ずしも適切に言いたいことを表現していないというコメントをいただいておりまして、それを踏まえて、統合という言葉を変えさせていただいておりますが、そうした形で整理させていただいております。
 また、今後、今回の戦略で非常に重要となってくるキーワードにつきましては、少しここでしっかりと解説するようなことを考えておりまして、その際、ぜひ解説しておくべき内容等ございましたら、コメントいただければ幸いです。
 以上が第1章のところでございます。既に15分ほどかかっておりますので、少し急いでいきます。
 第2章、本国家戦略の目指す姿というところでございますけれども、こちらは骨子案から肉づけ作業を行った部分でございます。2050年の長期的なビジョン、国際的なビジョンにつきましては変わっておりませんので、それをベースにしながら書き込んでおりますが、目指すべき姿の絵姿というものを、次期生物多様性国家戦略研究会報告書をベースにしまして肉づけしております。現時点で2ページ程度ですので、割と読んでもらいやすい分量かなと思いますけれども、必要に応じて書き足していきたいと思っております。また、前回の小委員会で特に世代間を超えた継承、あるいは取組が重要だといった観点もいただいておりましたが、この項目において次の世代に受け継ぐべき資産、あるいはその文化といったようなものも記述しております。
 続きまして、第3章でございますけれども、こちらが2030年に向けた目標というところで、第1節では全体的なミッションを掲げております。それから、第2節では個別の目標を掲げています。
 まず、全体的なミッション、第1節ですけれども、前回も説明しましたとおり、次の戦略では、2030年のネイチャーポジティブを目指すところを打ち出すのではないかと考えております。前回の小委員会におきまして、戦略全体を貫くキャッチーな言葉はないのかというご質問もいただきまして、即答できませんでしたが、恐らくは、このネイチャーポジティブというのが一つのキーワードになっていくのではないかと考えております。ただ、ちょっとまだ日本語化はできていないため、「自然○○」と書いておりますが、また、こういったところもぜひコメントいただければと思っております。
 その上で、このネイチャーポジティブを目指しまして、五つの基本戦略というものを掲げております。この五つの基本戦略のもとに、この後、説明します行動目標を設定しまして、その行動目標のもとに関係する施策を並べていくことで、基本的にはこのネイチャーポジティブを目指して、関連する施策を進めていくという幾つかの形が取れるのではないかと考えております。
 一方で、このネイチャーポジティブという言葉自体、まだ国際的にも少し定義がしっかりされていないと考えております。シンプルに考えると、生物多様性の損失を止めて、回復軌道に乗せるということだと思いますけれども、そういった状態のほかに、そういった状態に向けて行われる活動や行動といったものも含み得る単語だと思っております。その辺りにつきましては、さらに精査しながら、次回以降しっかりと書き込んでいきたいと考えておりますし、今回の議論の参考とするために、少し概念的な絵もつけておりますので、この辺り議論の材料とできればと考えております。
 それから、第2節ですけれども、こちらが5つの基本戦略と個別目標を描いたところでございます。第3章の第2節、5つの基本戦略というところでございます。
 こちらは基本的に骨子案から肉づけしておりますが、分量自体は2倍以上、3倍近く大幅に拡充しているところでございます。基本的に、この戦略の鍵となる部分でございまして、ここに掲げたことを基本的にはしっかりとやっていくという位置づけになってくると考えております。
 詳細、説明はしきれませんが、例えば基本戦略1、生態系の健全性の回復といったようなところでは、30by30目標といったものも掲げておりますし、普通種を含めた生物群集全体の保全というものをしっかり打ち出してきているのが、こちらでございます。
 それから、基本戦略2でございますけれども、自然を活用した社会課題の解決ということで、大きく地域づくりです。環境省では地域循環共生圏を強く押しておりますが、そういった地域づくり、それから気候変動対策とのシナジー、あるいはトレードオフの回避といったところを描いておりますし、地方では非常に大きな課題となっている鳥獣の管理とすみ分けと、有効利用といったところも、ここの項目で入れているところでございます。
 それから、基本戦略3、こちらは事業活動への生物多様性・自然資本の統合ですけれども、こちらはやはり国の取組だけではなくて、事業者自身にぜひ行っていただきたいものもどうしても入ってくる部分でございます。ですので、ほかのところと比較しまして、少し主語がはっきりしているところがございますが、基本的に骨子案の記述に沿って充実させているところでございます。
 それから、基本戦略4でございますけれども、こちらは生活・消費活動における生物多様性との再統合について描いております。前回の小委員会でも、やはり文化的な部分、伝統文化、自然観の継承といったところの重要性もご指摘いただいておりますが、そういった要素も含めて描いている部分でございまして、特に環境省も推しております、例えば森里川海のつながりといったようなものを踏まえつつ、一人一人ができることを描いているところが、この基本戦略4でございます。
 それから、基本戦略5でございますけれども、こちらは生物多様性に係る取組を支える基盤整備と国際連携の推進ということで、全体的に1から4までの取組を進めるに当たって、それらを底上げするための取組を描いております。
 5-1では情報基盤の整備と書いておりますが、この部分、次の10年間でものすごく進むと確信しておりまして、そのための記述を行っているところでございます。
 基本戦略につきましては、ここに書いたように、これまで骨子案で書いたところを記述として充実させているところでございます。
 その上で、今回、新たに提出するものとして、状態目標、それから行動目標というものがございます。こちらは資料1-3に別紙という形でつけさせていただいております。それぞれ基本戦略ごとに、状態目標を三つ程度、それから行動目標を五つ程度、一部例外ございますが、掲げてみたというものでございます。
 それと対応するポスト2020生物多様性枠組の現時点の案とは何なのかというものも示した資料が、こちらでございます。ポスト2020生物多様性枠組自体が、今まさに議論中のもので、固まっていないところがございますので、なかなかそれに基づいて断定的に提示していくことが難しい状態ではございますが、これまでの議論を踏まえて、国際目標にも大体耐え得る形、かつ我が国にとって必要な取組というものを今回提示してみたというところでございます。
 とはいえ、例えば行動目標の1で掲げました、陸域・海域の30%を保護地域及びOECMにより保全するとともに、それらの地域の管理の有効性を強化するといった、もうはっきりと言えそうな30by30の目標から明確にペンディングの(P)と書いている、この五つ目のものまで、少しまだまだその熟度に差があるものとなっておりますが、恐らくは国家戦略として全体的にはこういう形だろうということで今回示したのが、この資料でございます。
 こちらについては、今回ご意見をいただいて、次の小委員会までにさらに高められればとい考えておりますが、国際目標も動いている中で、なかなかはっきりと言い切れないところは、恐縮ですがいろいろご意見いただけるとありがたいと考えております。
 また、国際目標のほうで数値目標が含まれるものについては、できる限り数値目標も提示していければと考えておりますが、まだ国際の目標のほうも決まっていない中で、現時点では、「○%」として示させていただいているところもたくさんあります。
 また、この概要を見ますと、目標ごとの指標を提示していくとありますけれども、指標部分については、申し訳ございませんが、今回まだ提示しておりません。そちらは次回以降に、ぜひ議論させていただきたいと考えておりまして、今回、あるべき姿、なすべき行動というものを少し議論した後に、その後、行動計画の中で関係する施策も作り込んでいきますけれども、そうした両方をにらみながら、指標としてどういったものが提示できるのかさらに検討していければと考えております。
 個別の説明はいたしませんが、基本戦略ごとに五つほど掲げておりますので、ぜひご意見いただければと考えております。
 説明が長くなってきましたが、第4章につきましては、先ほど説明したとおり、まだ作り込みはこれからということで、次回の小委員会で議論したいと考えております。ただ、関連して、ぜひ第4章に書くべきといったような内容があれば、いただければ次回に向けて検討を進めていきたいと考えております。
 それから、第2部の行動計画ですけれども、こちらも作り込みはまだ行っておりません。これから行っていくものでございますけれども、今回、行動計画を作成するに当たって、大きな作成方針を描いております。前回ご説明したとおり、次の行動計画では、できれば行動目標ごとに関連する施策を描いていきたいと考えておりますけれども、その関連する施策を描く際に、少し差をつけようと思っております。
 というのは、今回、次の10年間で新規に設定していくような施策、あるいは、今後、大幅に強化していくような施策といったようなものが、まずあると思います。これらは非常に評価も含めてしやすいと思っております。
 一方で、例えば、もうこれから大幅に数を増やさないであろう保護区とか、制度によってはあります。ただ、生物多様性保全の基盤として、引き続き重要な役割を持ちますので、それらについては、ある意味、淡々と対応していただくとありがたい制度でございます。それが今の戦略では少しまぜこぜになっていて、読みづらいなと考えておりましたので、次の10年間で特に重視的に行っていくものを前に持ってきて、引き続き、重要であるが淡々と行っていくものについては後ろのほうに持っていくことで、次の10年間で何をやろうとしているのかが分かりやすいように、ちょっと改良していきたいなと考えております。
 いずれにせよ、こちらにつきましては、これから作成予定ということでございますが、こういった方針につきましてもご意見等をいただければ、ありがたいと思っております。
 予定していた30分ほどになりましたが、私からの説明は、一旦以上とさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○中静委員長 はい、ありがとうございました。議論は三つのパートに分けて議論をさせていただきたいと思います。
 最初は、背景の部分です。次期国家戦略の背景という部分と第1部の第1章、生物多様性・生態系サービスの現状と課題というところでご意見をいただきたいと思います。
 それから、次に、第1部第2章の目指すべき姿と第3章、ページで言うと20ページ~41ページまでです。最後に、今まだ素案という形では出てないんですけども、第1部第4章の基本的考え方とか、行動計画について盛り込むべき内容とか、基本的な方向性というようなことでご意見いただきたいと思います。
 では、まず、次期国家戦略の背景と第1部第1章、ページで言うと資料1-3の19ページまでのところでご意見をいただければと思います。ご意見のある方は、チャットに書き込んでいただければ、私のほうでご指名いたします。
 背景は、生物多様性だけではなくて、社会全体の動きですとか、そういうことも書いてあったんですけれども、それに対して生物多様性国家戦略をつくる上での盛り込むべきものとか、欠けているものとかをご意見いただければと思います。
 山野さん、どうぞ。
○山野委員 ご説明ありがとうございました。すみません、私から3点で、最初の2点は関係しているものです。
 それで、第1章第2節のところですけど、我が国の現状と動向のところで、危機を四つの危機と内在する危機とまとめられたのは、非常にいいと思います。
 一方で、世界のほうに書かれている、例えばNature-based Solutionsとか、そういう自然資本とか生態系の活用というところが、ちょっと書き込まれてないような気がしていて、そこも我が国の状況としては書く必要があるのじゃないかなというのが1点目です。
 それに関連してですけど、その後、第3節で戦略が五つ、書かれてますけど、その戦略もこの五つの具体的課題がそれぞれ四つの危機、あるいは社会経済に内在する危機、あるいは自然資本とか、生態系の活用とか、それに関わるものだよというつながりをよくしていただいて、五つの具体的課題というところにつなげて、後の五つの基本戦略にも出てきますので、その辺りのつながりをはっきり、しっかりしていただくといいのではないかと思いました。それが最初の2点です。
 最後の1点は、やや確認みたいなところになりますけど、第3の危機です、14ページの10行目辺りから第3の危機が書かれているんですけど、この中にJBO3のときは、富栄養化の問題を第3の危機ということで位置づけたんですけども、富栄養化の問題、多分ほかはもう書かれてないような気がするので、書けるのであればここに書くといいと思います。
 というのは、最初のほうにプラネタリーバウンダリーズの話も出てきてましたけど、その中の特に大きな問題のもう一つは化学物質とか、NとかPです、その問題が出されてますので、やっぱり富栄養化の問題はどこかに書き込んだほうがいいのではないかと思って第3の危機、JBO3に倣うと第3の危機なのではないかと思いました。
 以上です。
○中静委員長 ありがとうございました。今日も、多分たくさんご意見いただけると思うので、事務局からは、区切り区切りでまとめて、コメントできるところだけコメントをいただくような形にしたいと思います。どうも山野さん、ありがとうございました。
 では、吉田さん、お願いします。
○吉田委員 ありがとうございます。幾つかあるので、順番にと思うんですが。第1部、第1章、第1節で、世界の現状と動向があり、その後、日本のお話になるんですけども、日本が世界の生物多様性に与えている影響に関する記述が背景のところにはあるんですが、この第1部、第1章のところからはちょっと抜けているように思いますので、そのフットプリントの話とか、日本が外国の、よその国の生物多様性にどう影響を与えているかと、だから日本ではどうしなきゃいけないんだっていう話を盛り込んでいただきたいというのが1点目です。
 それで、次が、四つの危機と、それから第5の危機のところなんですけど。依然として、僕はやっぱりちょっと違和感がありまして。IPBESなんかでは、生物多様性・生態系サービスに影響を与える直接要因と、その上流にある間接要因と。間接要因、直接要因、それから生物多様性・生態系というふうに影響が連鎖的にというか、つながりがあるわけです。それに基づいて、今使われている文言を整理すると、まず四つの「危機」があり、15ページに行くと、「危機の背景」という言葉が使われているんです。さらに16ページに行くと「危機」と。だから、「危機」、「危機の背景」、「危機」というふうに、言葉尻だけ捉えると、そういうふうに読めてしまうんです。それはやっぱりちょっと気持ち悪いなという感じがします。
 一つは、これは事前説明会のときも少し橋本委員とか深町委員と話になったんですけども、間接要因、直接要因と、この日本の生物多様性国家戦略で使われている危機とか危機の背景とかの整理です、ここは今回はもう直接要因、間接要因というふうに直すことはできないとしても、やっぱりグローバルのレベルではそういう議論になっているので、そこと、この国家戦略との言葉の使い方の対応がどうなっているかというところの整理を、用語集をどこかで少しあったと思いますけれども、そういうところできちんと整理しておくということは大事かなと思います。
 できれば、この「危機」、「危機の背景」で、さらに「危機」という、その言葉の問題だと思うんですけども、ちょっと分かりにくさというものを考えていただけないかなというふうに思います。
 それと関連して、例えば10ページなんですけど、ポスト2020生物多様性枠組の概要、そこで使われている言葉は危機ではなくて、脅威なんです。危機とか、脅威とか、危機の背景とかと、大変ちょっと分かりにくくなっているなという印象を受けました。だから、それを本当は間接要因、直接要因、生態系、生物多様性とできるといいと思うんですけど、それができないのであれば、少し日本語を工夫したほうがいいかなと思います。それが2点目です。
 3点目が、18ページからの具体的な課題の五つの戦略にもつながるところなんですけど。まず、一つ目の生態系の健全性の回復、これは生態系の健全性が回復することで生物多様性が回復するという意味合いなんだと思うんですけど、ここにやっぱりタイトルとして、生態系だけが挙がっていて、生物多様性が入ってないというのは、僕はちょっと違和感を感じるんです。回復という言葉は全体の目標、ネイチャーポジティブ、生物多様性の回復を軌道に乗せるというところにかかってきますので、ここは回復という言葉は使わなくてもいいかもしれませんけど、少なくとも生態系だけじゃなくて、ここに生物多様性という言葉も見出しに入れてほしいなというのが一つです。
 もう一つは、3番とか4番の統合、再統合です。内部化という言葉が経済学で使われている言葉とちょっと意味合いが違うので、統合ということに直されたということなんですが、すごく分かりにくいなというのが第一印象です。
 僕は、これは統合ではなくて、やっぱり生物多様性の回復軌道に乗せるというのが全体の目標であるんだとすると、生物多様性の回復に寄与する事業活動とか、あるいは生物多様性・自然資本の回復に寄与する、あるいは貢献する事業活動という言い方であるとか。あるいは、4番だと、生物多様性の回復に寄与する、あるいは貢献する生活消費活動、そういう言い方のほうがもっとダイレクトに伝わるんじゃないかなと思っています。統合という言葉の意味が少し分かりにくいというところです。
 以上です。ご検討をよろしくお願いします。
○中静委員長 はい、ありがとうございました。間接要因のところは、私も国際的に使われているところとの整合性をつけておいたほうがいいかなと思います。
 では、石井さん、お願いします。
○石井委員 ありがとうございます。石井でございます。
 私も四つの危機のところですけれども、第2の危機のところは丁寧に書いていただいたなと思います。第3の危機、先ほど山野委員からも少しご意見ありましたですけれども、現在の生物多様性国家戦略2012~2020の書きぶりって、結構丁寧に書いてあって、化学物質のところは具体的にどんなものが入っているかが分かったんですけれど、今回は割と外来種のことはしっかり書いてあるんですけれど、化学物質が最後の1文だけで、内容がよく分からないのじゃないかなという気がします。私としては、例えば海洋プラスチックなんかもこの中に入るのかなと思ったりもするんですけれど、それがどうなのかとか。やはり環境ホルモンだったり、農薬の問題だったりとかというのが分かるように書いたほうがいいのではないかなと思いました。
 あと、少し細かいんですけれど、例えば14ページの1行目にメダカって出てくるんですけれども、分類の見直しで2種に分かれてしまったんで、メダカ類が適切かと思います。細かくてすみません。
 それから、あとヒアリが次のページの19行目に出て来ますが、これもヒアリ類というふうに、今は扱っていると思うので、ちょっと細かいですけれども、種名をしっかり書いているようなので、この辺フォローをよろしくお願いします。
 以上でございます。
○中静委員長 ありがとうございました。
 では、二宮さん、お願いします。
○二宮委員 はい、ありがとうございます。二宮です。
 まず、背景のところからですけれども、これは国家戦略として取り組む、その意志と覚悟を示す表現が使われており、またキーワードも明確化されていて、非常に理解しやすい、受け止めやすい文章になっていると思います。特に1ページ目の4段落目のところ、ここは非常にインパクトのある表現になっているなと感じました。
 ただ、言葉の使い方で、ちょっと恐縮ですけれども、3点ほど伺います。1ページ目の5行目、「世界的な最優先の課題」となっていますが、世界的というのはちょっとぼやける感じもしますし、ここは人類の生存にとって最優先の課題と置き換えれば、10行目の「人類が豊かに生存し続けるための基盤」ということとうまく整合が取れて、インパクトもあるのではないかと思います。
 2ページ目の18行目ですけれども、例えば「新たな資本主義」、これはやはり政府が通常使っている、新しい資本主義という言葉に統一されたほうがよろしいのではないかと思いました。
 それと、26行目、「再生可能エネルギーによる不必要な自然破壊」、ここは要は再生可能エネルギー創出のため行われる不必要な自然破壊と、エネルギー創出と自然保護のトレードオフのことを言われているのだと思いますけれども、ちょっと表現を工夫されたらどうかと感じました。
 あと、5ページ、6ページの気候変動のところですけれども、ここはジオエンジニアリングのリスクの側面、これの指摘、警鐘というようなことは入れたほうが、私はいいのかなと思っています。問題提起ということで、ご検討いただければと思います。
 あと19ページ目、ここの課題への対処において重要な考え方のところ、ここについて、やはりESGとの関係性、連関性というようなことでキーワードとして挙げていただくのがいいのかなと思います。具体的には、次のパートのところで意見を申し上げたいと思います。
 以上です。
○中静委員長 はい、ありがとうございました。
 では、五箇さん、お願いします。
○五箇委員 五箇です。今、二宮委員からもご指摘があった、1ページ目の10行辺りですか、「人類が豊かに生存し続けるための」というキーワード、豊かにという言葉でいいのかどうかということで。再三この委員会でも言っているように、やっぱり生物多様性を保全というか維持していく最大目的というのは、今こちらも二宮委員がおっしゃったように、人間のやっぱり持続的な存続です。安全保障という部分が前面に出るべきで、ここは「安全保障の根幹」とは一応書いてありますけれども、安心・安全に生存し続けるということが一番大事になんじゃないかという、豊かに生きるの豊かは、人によって随分受け止め方が変わってくるんじゃないかと、要はぜいたくして生きるということを豊かに感じる人もいるだろうし、本当に安心して生きるということに豊かさを感じるかもしれないしという部分で、一番大事なのは、とにかく安心・安全だろうと。特に近年の新興感染症問題であったりとか、そういったことを考えれば、そういった表現がどこかには欲しいかなというところです。
 それと、4ページ目、4行~12行というところで、要は生物多様性保全の大前提というか、大義名分がここに費やされるんですが、このロジック、この書きぶりというのは、我々、生物多様性をやっている人間としては教科書的で当たり前のことを書いているんですが、普通の人がこれ読んでどう理解するかです。そもそもなぜ種の絶滅が持続可能な社会の実現不可能に結びつくかという、そのロジック、メカニズムというのが、やっぱりきちんと簡単に記されてないと、やっぱり理解をし難い。そもそもそこがきちんと説明できないということ自体が、生物多様性の主流化という部分に結びついてない最大の要因じゃないかと考えているということで、そこの表現もちょっと考えたほうがいいんじゃないかという。
 あと7ページの13行、ワンヘルス・アプローチに関してのことで、こちらで生物多様性の減少及び気候危機という二つの危機と共通点を有すると書いてあるんですけど、この書き方だと共通点という言い方をすると、生物多様性劣化及び気候変動及び感染症問題というのが独立事象のような扱いになってしまうと。これは双方が密接に関係した相関関係を持つものであり、言ってみれば、むしろ感染症問題というのは、こういった二つの危機の副産物、生成物であって、いよいよこういった気候危機や、あるいは生物多様性の劣化というものを放置したがために、人間の健康そのものに悪影響を直接及ぼすというリスクが生じているという、そういったコンテクストにしないといけないんじゃないかと考えます。
 あと14ページの10行で、先ほど石井委員からも指摘あったように、化学物質の表現がざっくりし過ぎているんです。外来種については、種名まできちんと一々出して、具体事例を出しているのに対して、化学物質というざっぱくな言い方自体が非常に非科学的で、化学物質には有機と無機もありますし、天然物と人工物もあるということで、正確には合成化学物質、もしくは化合物といったような表現にしなくてはならず、さらにそういったものにおいても、生態系に悪影響を及ぼし得るという部分に関して、何が問題かという具体性を持たせなきゃいけないし、むしろなくてはならない化合物というのも人間社会にあるわけです。そういった部分で、ちょっとここは余りにも、ざっくりし過ぎているんじゃないかという気がします。
 それと、15ページ、28行で、グローバル社会の問題というところで、外来種の問題も入れていただいていますが、こここそ新興感染症の問題という部分がここの、やっぱり物流、人流のグローバル化、さらにその高速化が今回のような災禍を招いているといったことにも時流に当てはめて、やっぱりフォーカスするべきじゃないかとに考えます。
 以上です。
○中静委員長 はい、ありがとうございました。
 では、橋本さん、お願いします。
○橋本委員 ありがとうございます。橋本です。
 私は、先ほどの吉田委員の2点目の意見と一緒で、中静座長もコメントされていたんですが、やっぱりこの危機の表現が、以前から何とか今回の国家戦略の検討で見直せないのかなと感じているところです。
 今回、既にある四つの危機に五つ目の危機を足そうとしたことで、先ほど吉田委員がおっしゃっていたような、かえって分かりづらい問題の整理になってしまっているんです。本当は直接要因と間接要因としておけば、新たに追加された社会経済に内在する生物多様性の危機を、それは間接要因の一部という位置づけもできるし、それ自体が直接要因の背後にあるというふうに、すごく分かりやすいロジックになるんですけれど、これをいつまで続けるのかなというのは、私は本当に懸念事項の一つです。どこかでメスを入れて修正しないと、いつまでも今度はJBO4も同じストラクチャーでやるのかとか、次の国家戦略もこれでいくのかとか、後々の戦略の見直しだとか、その進捗の点検という部分にも影響するのではないのかなと大きな心配をしています。
 こういうふうに危機ということを使っているがために、冒頭部分にある1ページ目の生物多様性の損失と気候危機の二つの危機ということと、さらに混乱してくるという。恐らく、国際的には、これは両方ともクライシスになっていると思うんですけれど、その中にさらに生物多様性が中心になった危機があるという入れ子状のものになって、さらにその中に生物多様性の危機を、危機の背後にある要因の背後にさらに危機があるというふうになっているというのは、やっぱり読者目線で見ても非常に分かりづらくなってきていて、それ自体が国家戦略を進める上での障害にならなければいいなというふうに思っています。
 あと、もう一つは、これはちょっと対応が難しいかもしれませんが、背景から現状までがとても長いというところです。全体の20ページを使っていて、実際の具体的な話というのが、なかなかたどり着かないんです。ここの記載、どこまでこの戦略本体に入れるのか、アペンディックスに回すのかという考え方もあって、分かりやすい戦略を目指すという当初の狙いからすると、詳しい説明はアペンディックスに回して、本当に根幹のロジックというか、フローのところだけしっかり戦略に書くという考え方もあるのではないのかなというふうに思いました。2点目は、少し漠としていますが、ご検討をよろしくお願いします。
 以上です。
○中静委員長 ありがとうございました。
 では、藤田さん、お願いします。
○藤田委員 はい、藤田です。聞こえますでしょうか。
○中静委員長 聞こえています。
○藤田委員 冒頭のところになるんですけれども、2ページ目の3行目とかです、以前から海外資源を使うということを入れましょうということで、入っているのはいいと思うんですけれども、ちょっと昨今の、あとは人間の安全保障というのもしっかり入っているんですけれども、ちょっと入り方が弱いんじゃないかという気がしていて。やっぱりこの昨今の世界の動静を見ますと、例えば食料のことは食料安全保障みたいな書き方がこの後に出てきますけど、やっぱり資源とか、エネルギーの安全保障というのが、すごくより重要になってきていると思うんです、新疆ウイグルの話だったり、ロシアのウクライナ侵攻だったりです。
 やはり、日本はいろんなものを海外から調達していて、生物多様性とか自然にも影響を及ぼしているって、その環境とか自然が最近は人権とも絡んで、EUなんかでは、環境・人権デューデリ法ができたりしているというような大きな流れがある中で、じゃあ海外の資源をこれまでどおり使い続けていていいんですかと、そのときのデューデリはしっかりやれているのという、そういう視点って何かちょっとうまく言えないんですけど、もう少しこういうばくっと海外資源を使うことって一言であれするんじゃなくて、もう少し入れたほうがいいんじゃないかなと思ってます。
 海外資源の環境や人権を担保をしていても、例えば昨日まで認証を取っていた木材が、翌日には紛争木材になったりとかするような時代になってきているわけです。じゃあ国内資源をどう生かしていくのか、その場合、国内の資源の生物多様性との共生をどうしていくのかという新たな問題が突きつけられているみたいなことも、日本としては考えなければいけないんだということを、何かもうちょっと大きな世界の動きとともに、ちょっとどういう形でどこに入れればいいのか分からないんですが、気候変動が人権と絡むとか、そういうような動きも含めて、あるいは生物多様性も人権と絡むとか、何かそういったことも含めて、どこか何かちょっと大きな流れを入れられないかなと思っています。それが1点と。
 もう1点は、次のパートでもしかしたら聞いたほうがいいのかもしれませんが、1か所、ネイチャーポジティブ経済という言葉が出てきているので、それが何を指すのか。ネイチャーポジティブというのは回復基調に乗せるということだというふうにはちゃんと定義されていますけれども、回復基調に乗せる経済というのはどういうものなのか、つまりカーボンニュートラル経済という言い方はしないじゃないですか。じゃあ、回復基調に乗せる、自然の損失を減らすような努力さえしていれば、これは多分個々の企業の取組にこれから関わってくるんですけど、努力さえしていればいいのか、それとも確実にプラマイでプラスにするような取組を指すのか、もう底を打つような、底を打って、もうプラス基調に持っていくという証明ができるようなものなのかとか、何かそこをあまり逃げないほうがよくて、どこかで次のパートで多分議論したほうがいいとは思いますが、どこかでちゃんと定義しておいたほうがいいというふうに思っております。
 以上です。
○中静委員長 はい、ありがとうございました。
 では、愛甲さん、お願いします。
○愛甲委員 愛甲です。ありがとうございます。
 私がちょっと発言したかったのは、16ページのところ、社会経済に内在する生物多様性の危機のところです。ここでちょっと気になる言葉があって、「社会の価値観と行動」という言葉が出てくるんですが、ちょっとこれが一体何を意味しているのか、ちょっとこれでは分かりにくいんではないかと感じています。
 その後を読んでいくと、世論調査の結果、それから企業の調査の結果などが書いてあって、基本的には企業・団体や国民のことを指していると思うのですが、一体ここで認識が低いとか、意思決定や行動につながらないと言っているのの主語が何なのかというのがちょっと分かりにくくなってしまっていると。後ろのほうの各主体の役割が後ろのほうに出てきますけど、そこでは国民という言葉も出てくるんで、ここはもう少し明確に、一体誰の認識が足りなく、誰の行動が必要なのかというのを、もうちょっと明確に書いたほうが、よりはっきりと伝わるんではないかと思いましたし、先ほどから出ている危機を、直接要因、間接要因とするという議論にも少し分かりやすくなるんではないかというふうに感じました。
 以上です。
○中静委員長 はい、ありがとうございます。
 では、勢一さん、お願いします。
○勢一委員 私からも、何点か検討のお願いをしたいと思います。
 まず1点目は、背景ですけれども、やはり国家戦略として、背景というのは非常に重要だと思っています。かなりたくさんのことが書いてありまして、国際動向や、環境分野の施策動向、社会全体の変化などが書いてありますけれども、これらの関係性が見えるようにすることが、現在地を知る上では重要なのではないかと感じました。
 どういう方法がいいのか、ちょっと難しいのですが、例えば年表のような形で概観性を持たせるとか、図を使うとか、何らかの可視化の工夫ができないかなと感じました。それが1点目です。
 2点目ですけれども、これは後ろの議論と関わるかもしれませんが、7ページ、8ページ辺りのご説明をいただいたときに、例えばNbSについては、マルチベネフィットが重要であるというようなお話がされたと思います。特段そういう説明は、そこのくだりでは入ってないですし、後ろのほうでマルチベネフィットという表現は出てないようですが、この考え方は私も非常に重要で、むしろここのくだりでは、これまでの計画がこのようなマルチベネフィットを組み込めるような展開ができてこなかったことが課題なのではないかと思います。政策の縦割りが問題だと思いますので、そうした課題の指摘と対応の必要性をどこかに書くことができないかというのが2点目です。
 最後、3点目ですけれども、先ほどからたくさんご意見が出ております、危機に関するところで、16ページの社会経済に内在する危機の部分です。意識、人々の関心が向いていないとか、幾つかここで触れられている部分ではありますけれども、後のほうでの施策とつなげるという意味では、やはり社会経済の構造転換が行われなければ、危機は解消しないと思います。例えば、生物多様性・生態系の資源に対する消費が社会経済構造に組み込まれてない問題、それゆえESG投資とのつながりも出てくるところだと思いますけれども、この要素などもここで少し触れておくと、後出の18とか19のところにもつながってくるのかなと感じました。
 私からは以上です。
○中静委員長 はい、ありがとうございます。
 では、森本さん、お願いします。
○森本委員 森本です。
 一つだけご提案したいと思います。14ページの第3の危機で書かれている外来種というキーワードがありますけれども、これは外来種・外国産在来生物というキーワードを入れてはどうかと考えています。
 国内に自然分布する在来種と言われるものと同種であるものでも、国外で生産、あるいは栽培された生物が国内に導入された結果、遺伝的多様性を撹乱されるという事例が出ています。例えば、道路のり面などに導入された緑化植物と周辺地域ではそういった事例が確認されています。
 そういったことを正確に伝えるために、外来種だけではなくて、外来種・外国産在来生物というふうに言い直すというか、ワードを追加してはどうかとご提案します。
 以上です。
○中静委員長 はい、ありがとうございます。
 では、広井さん、お願いします。
○広井委員 はい、ありがとうございます。広井です。
 全体としては非常に充実したものがまとまりつつあると思いまして、文章も分かりやすいと思います。特に背景のところは、先ほどもありましたけど、割と明確に理念が提起されていて、経済成長のみを豊かさの尺度とする価値観から脱して、根本的に変革する必要云々とか、あるいは新型コロナ、パンデミックとの関連性とか記載とかもあって、明確だと思いました。
 コメントとしましては、2点。一つは、7ページで、ワンヘルス・アプローチへの言及があって、これは非常にいいと思うのですが。また、さらにはプラネタリー・ヘルスへの言及もありました。私のコメントとしては、このように考えていくとすれば、いわゆるアニマルウェルフェア、動物福祉などの話題もどこかで、このパートじゃなくてもいいんですけども、言及してもどうかということを思いました。いわゆる人間中心主義にはとどまらない方向、倫理的消費ということとも通じると思いますので、そういった点が一つです。
 それから、もう一つは、7ページからOECMの話が、ここに限らず次のパートも含めて、随所で出てくると思いますが。一般の人には、やはりこれは、私自身もそういう面があったんですけど、必ずしもなじみのない概念だと思いますので、何か具体的な例示、ここのパートじゃなくて後のパートでもいいんですが、里山とか、企業関連のものもあるかと思いますし、私の関心から言いますと、社叢林、社寺林、鎮守の森、これは日本の独自性とか、後でも出てくる伝統文化という話ともつながりますので、何かOECMについて、後のパートでも結構なんですけど、具体的な例示とかもあってもいいかと思いました。
 以上です。ありがとうございます。
○中静委員長 はい、ありがとうございます。
 では、中村さん、お願いします。
○中村委員 はい、ありがとうございます。まず、1つ気になったのが、14ページにある生態系サービスのところなんですけど、生態系がもたらす防災・減災サービスについては、植林した樹木の成長によってサービスが向上しつつある、とあります。こういう場所も当然あるとは思いますが、これ多分、人工林のこと。植林した樹木の成長ということで、人工林のことをおっしゃられていますよね。逆に、今は管理放棄されている人工林が多く増えていくことによって、生態系サービスが劣化しているということも、いろんな研究からも明らかになっているので、そこはきちんと書いておいたほうがいいんじゃないかと思います。森林の現状と、それによってもたらされる生態系サービスの、あるときはいいほうに回るし、あるときは劣化に回るということで。ちょうどそれは第2の危機に書かれるべき内容だと思いますが、ここでもいま一つ書かれていないです。放棄について、農地のことは随分書かれてあるんですけど、あまり森林のことがきちんと書かれてないので、その辺も森林の管理、特に人工林の管理についても、第2の危機のところでも、今の生態系サービスの劣化と対応した形で書くべきじゃないかなと思いました。
 以上です。
○中静委員長 はい、ありがとうございます。
 大沼さん、お願いします。
○大沼委員 はい、ありがとうございます。大沼です。
 私から、2点、コメントさせていただきます。一つは、この危機の内容を読んでみますと、いろいろ日本の歴史に沿った危機というものが書かれて、非常に勉強になります。一つ、高度成長期の公害による汚染の問題というのは非常に深刻で、これは水質、深刻な水質汚染などを通じて、自然というものにも大きなインパクトを与えて、その後、水質規制や、工場の排出規制とか、様々な形で汚染というものを制御する取組というのが進んだわけです。こうしたところというのが、書かれていないのではないかと思います。
 それで、例えば、背景を見ますと、経済成長というのがあるんですが、ここでは開発のインパクトというのが書かれているわけですが、汚染というものに、やはりどうしてもつながっていない。一方、化学物質の汚染というものが、例えば第3の危機では書かれてますけれども、ここはそうした経済活動の例えば高度経済成長の中で公害などを経験したことの汚染ということとは、ちょっと読み込めないんじゃないかと思いますので、汚染について、入れていただけるように検討をいただければと思います。
 2点目は、先ほどから何人の委員の方々がおっしゃっていることですが、③の社会経済に内在する生物多様性の危機というものがありますけれども、内容については繰り返しになりますのでコメントしませんが、この見出しを読んでも、何を意味しているのかが分かりにくいので、できるだけ、見出しを見ただけで、こういうことなのかというイメージをつくような見出しのつけ方というのを工夫していただければと思います。専門家でも分かりにくいものというのがあると、やはり国民は、そこで読むのを放棄してしまったりすることになるかもしれませんので、この辺、よろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
○中静委員長 ありがとうございました。
 では、白山さん、お願いします。
○白山委員 ありがとうございます。白山です。
 私、いろいろと今まで委員の方々がおっしゃっていたやつ、どれもいいなと思うんですが、ちょっと全体を読んでよく分からなくなってきているのが、この戦略が誰を対象に、誰に向かって発出しているかというのが少しずつよく分からなくなってきてしまっていると、私には思っていてですね。もう少し一体誰にこの中身を読んで理解してほしいのかというところが、もう少し文章全体で分かるといいなと思います。
 というのも、これ結局、全体を通して非常にネガティブなことがいっぱい書いてあるんですけれども、ポジティブなことがほとんど書かれていないんですね。
 それで、この戦略に基づいて何らかのきちんとした施策を取れば、こういう安心・安全な社会につながりますという、どういう安心・安全な社会なのか、先ほど五箇さんがおっしゃっていた、安心・安全な社会とは一体どういうものなのかというものが、全く書かれてないので、危機をもう耳にタコができるぐらいに聞かされて、何か一生懸命やろうという気になかなかならないんじゃないかと思うんですね。
 もう少しポジティブなことと内容を入れ込んで、この戦略に基づいて、よし私も、あるいは我が社もいろいろとアクションを取ろうというふうに思っていただけるような内容を盛り込んでいただきたいという非常に具体性のないものではあるんですが、全体のトーンをもう少しポジティブで未来があるような形に書き換えていただけないかというお願いをしたいと思います。
 よろしくお願いします。
○中静委員長 ありがとうございました。
 皆さんからたくさん意見をいただいたんですけど、私も一つだけコメントさせてください。前回の戦略はちょうど東日本大震災のすぐ後だったということもあって、東日本大震災の対策とか、反省というものについても社会的な背景として書いてあったと思います。そこで、自立分散型社会だとか、それがもたらすレジリエンスだとか、持続可能性に対する可能性、そういう発展性などについて書いてあったと思います。僕はそれがなくなっていいとは思わないので、ぜひ、復活させていただいて、今例えば藤田さんがおっしゃった資源の問題とか、それから環境省が言っている地域循環共生圏の問題とか、白山さんが言われたポジティブな社会の像としてどういうふうに考えるかというようなことも含めて入れてほしいなというふうに思いました。
 ほかにご発言を希望される方、一応チャットには出ていないんですけれども、よろしいでしょうか。
 すみません。では事務局、お答えになれるようなところとか、コメントのあるところだけで結構ですので、少しお願いします。
○奥田総括補佐 ありがとうございました。環境省戦略室、奥田です。
 どれもおっしゃるとおりだなと考えておりました。
 すみません。個別に答えていくと、それだけで30分ぐらいかかりそうなので、ざくっとまとめさせていただければと思いますが、まず背景部分、それからその他の部分も含めてですけれども、関係性というものをもっとしっかりと打ち出すべきだと。個々の今課題になっていることについて、キーワードとしては入っているんだけど、それぞれの関係性というものをしっかりと説明していくほうが分かりやすいと、おっしゃるとおりだなと思いました。
 また、文言が不適切な部分があったという点も含めてですけど、やはり分かりやすさというものをもう少し改善すべきと、タイトルも含めですね。おっしゃるとおりだと思ったので改善していきたいと思います。
 そういったものを増やしていくと、どうしても分量が増えていきます。言い訳しておきますと、これでも現行戦略の3分の1の分量ではございますが、比較するとですね。読みやすいように、ちょっとさらに検討していきたいと思います。
 また、危機の部分についてたくさんのご意見、ご示唆、大変ありがとうございます。
 やはり我々、2002年に打ち出された三つの危機、それから2007年で四つ目が加わってという中で、どうしてもその枠の中で考えてしまうところがあって、その中で、さらに危機というものを打ち出すことについて、今もがき苦しんでいる最中でございます。
 危機自体をどうするかも含めて、もう一度整理はしたいと考えておりますが、今、例えば高校の教科書にもこの四つの危機がしっかり載っていたりして、がらっと変えてしまうことがよいのか、これを生かしつつ、世界的な動きも踏まえて提示していくことがよいのか、ちょっとまだ迷っております。そこはさらに検討させていただけると助かります。
 また、個別にいただいた点、例えばジオエンジニアリングの件でしたり、その他たくさんありがとうございました。
 そういった点も全て踏まえて、ちょっとさらによいものとしていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 また、ポジティブな部分というので、割と第2章をポジティブに書きたいと思っておりますが、まだまだ足りないんだなと実感しておりますので、さらに改善していきたいと思います。
 ありがとうございます。
○中静委員長 ありがとうございました。
 委員の皆さんから、特に今の時点で発言はありますでしょうか。よろしいですか。
(休 憩)
○中静委員長 38分になりましたので、再開させていただきたいと思います。
 次のパートは、第1部第2章、本戦略の目指す姿ということで、ページで言うと20ページから始まりまして、その次の第3章まで、さらに2030年に向けた目標ということで、ページで言うと41ページまでということですが、それに対してご意見がある方はお願いいたします。
 内容が適切かというようなこと、それから、ネイチャーポジティブを第3章ではミッションとして設定していますけど、それが適切かどうか、それからネイチャーポジティブの日本語の表現の仕方についてもご提案があればお願いできればありがたいです。
 いかがでしょうか。
 橋本さん、お願いします。
○橋本委員 ありがとうございます。取りあえず、取り急ぎ出そうなものをコメントさせていただきます。
 一つ目が、第2章の目指すべき自然共生社会像のところで、これは先ほどの第1章だと、背景のところの議論とも関係するんですが、要は、他国への影響のことはここでちょっと触れたほうがよいと思います。先ほど吉田委員もこの問題を背景のところで指摘していたと思いますが、ここでもちゃんと自然共生社会像として示したほうがいいのではないのかなと思いました。
 というのが、自然資本が人間の安全保障上、重要なのであれば、日本の社会経済活動によって、他国の人々の安全保障が脅かされないというのもとても重要ですよね。だからこそ経済、特にサプライチェーン全体における環境負荷、産業とかと言っているわけで、そこをちゃんとここに書いてはどうかなというふうに思います。それが一つ目です。
 二つ目は、これは表現の問題なのかどうかちょっと分からないんですけど、第1章の最後の課題がそのまま第3章の戦略になっているんです。書き方が全てですね。生態系の健全性の回復から、自然を活用した社会課題の解決から、五つほどありますけど、全て課題に書いてあったタイトルがここに来ているんですけど、ちょっと何か課題の書き方と、せめて戦略の書き方を分けたほうがよいのだと、仮に1対1対応するにせよですね。でないと非常に課題が課題の表記になっていないし、そうですね、そちらの問題のような気がしますね。
 五つの戦略は、これが戦略であるとすれば、戦略のようになるんですけど、その前に言っている1章の課題の書き方が、多分課題のようになっていないんだと思います。ちょっとここは表現を含めて検討していただいたほうがよいと思います。
 その上で、課題とこの戦略は本当に1対1対応しているのかというのをちゃんと考える必要があるのではないのかと思いました。本来、課題に対していろんな戦略があって、一つの課題に対していろんな戦略が効いてくるということが十分あると思うんですけど、この整理の仕方は、もう完全に1対1対応をしちゃっているので、やっぱり1対1対応をさせないほうがいいのではないのかというのが私の意見です。
 以上です。
○中静委員長 ありがとうございました。
 では、吉田さん、お願いします。
○吉田委員 ありがとうございます。細かいところも含めて、ちょっと順番に行きますね。ごめんなさい。
 第2章第2節で、目指すべき自然共生社会像ですけど、それの①で、ここも生態系しか書いてないので、生物多様性という言葉を入れていただきたいと。生存基盤となる対応で健全な生態系と生物多様性が確保された社会かなと思います。
 同じように、この太字の部分はすごく大事だと思うんですけれども、③に行くと、21ページですが、自然資本が社会経済の基盤であること、そのとおりなんですけれども、社会経済だけじゃなくて、社会経済と暮らしという言葉遣いがJBO3などの研究会のときにも、そういう言葉遣いだったかなと思いますので、暮らしというのを入れていただきたいと。
 あと後ろのほうにありますけど、内部化という、またここに残っていますので、それはテキストを多分変えていく必要がありますよね。
 第3章です。ネイチャーポジティブの日本語版という、僕も幾つか宿題をいただいて考えましたけど、ちょっとあんまりいい言葉は浮かびませんが、恥ずかしさを忘れて言うと、例えば自然をもう一度豊かにとか、あるいは、あの自然をもう一度とか、どこかで聞いた歌のようなあれですけど、何かネイチャーポジティブという言葉だけだと、やっぱりちょっと伝わりにくいかなと思います。それは日本語にするのもかなり難しいので、僕の一つの案は、ネイチャーポジティブとつけつつ、必ずサブタイトルで生物多様性を回復させるという、日本語の説明とネイチャーポジティブを必ず一緒に使うというやり方は、一つのやり方かなと思います。
 それから、同じページのこれは先ほど橋本委員からもありましたけど、この五つの基本戦略、さっきも僕は、課題として書いて、ここは戦略として調えてあるのかなと思ったんですが、それが分かりやすくなっていれば、先ほどの橋本委員のご懸念にもお答えできるのかなと思うんですけど、やっぱり1番のところは、生物多様性というのを入れていただきたいと。回復じゃなくて、先ほど言い忘れたんですけど、例えばここを生態系の健全性と生物多様性の保全再生みたいな感じで、回復という言葉は使わないほうがいいのかなと思いました。
 それから、第2節の中身、ちょっと大きなところは後で最後にコメントしたいと思うのですが、中身で27ページの1-2のタイトルで、生物多様性の負荷軽減と質の向上と、これは健全性の向上の意味なんですかね。ちょっと伝わりにくいので、考えてほしいというのと、あと農地のところで、やっぱり管理不足から全国的に減少傾向にある草地とあるんですけど、耕作放棄地については、先ほど中村委員からもありましたけど、森林の管理が行き届いていないというところは、ここには書いてあるんですけど、農地の管理については書いてない、農地というか、普通の田畑ですね。草地は書いてあるんですが、それを書いてないので入れてほしいというところですね。ちょっと細かいところです。
 それから、これは多分、状態目標のところだと思うんです。資料1-3のところも、多分これ、附属というか、ここで一緒になると思うのです。質問ですけども、劣化した生態系の定義、これは多分グローバルなレベルで劣化した生態系というのは、どちらかというと、オーバーユースの問題であるとか、あるいは気候変動の影響であるとかいうのはあると思うんですけど、もちろん日本国内でもあると思うんですが、日本の場合は、耕作放棄による劣化というものも入れるのか入れないのか、僕は入れたほうがいいと思うんですけども、ここの考え方を劣化した生態系というのは、この日本の国家戦略でどういうふうに定義するのかということを少し、僕は見落としているかもしれませんけど、ちょっと説明がなかったので、ぜひ耕作放棄なんかも入れた、あるいは管理不足、森林も含めてですけど、そういうものをこの劣化した生態系の定義の中に入れてほしいというのが一つです。
 最後に、資料1-3、今見せていただいてますけど、これで行動目標・状態目標があって、それのそれぞれの状態目標・行動目標の何というんですかね、位置づけとか、解説というのがこのテキストの26ページからの2節にあるべきだと思うんですね。
 そこがまだ対応が完全に取れてないんじゃないかという気がしまして、例えば基本戦略1で、状態目標・行動目標いろいろありますけれども、この状態目標、資料1-3の表を見たときに、それの根拠になるものは何なのかと、もう少し説明を見たいと思ったときに、この26ページからを見ると思うんですけど、そこが1対1対応になるようなセクションの区切り方とか、漏れている説明がないかとかいうことを網羅的にこの第2節全体でチェックしていただきたいというところです。
 例えば基本戦略の1で、一番最後に、29ページになりますけど、1-4で、関連省庁の連携と出てくるんですね。これは多分、基本戦略1だけじゃなくて、ほかにも全部当てはまることだと思うので、ここにある必要があるのかなという気はするんですけど、でもこの基本戦略1にとっての関連省庁の連携は何かということを書いておくことは意味があると思うんですね。
 そういう形で、状態目標・行動目標それぞれの根拠がこの文章の中にある項目がきちんと対応する形であることも大事なんですけど、一方で、もう少し背景になるようなもの、あるいは、基盤になるようなもの、そういうテキストについても含めていいと思うんですけど、それがきっちり状態目標・行動目標の内容に関するテキストなんですよということが分かるような、見出しのつけ方を工夫していただきたいと、これが最後です。
 ありがとうございます。
○中静委員長 ありがとうございました。
 では、亀山さん、お願いします。
○亀山委員 亀山です。ご説明ありがとうございます。
 私の意見は、今の資料で言うと、ページ35から39辺りの基本戦略4に関係する部分となります。
 前に愛甲先生のご意見がございまして、それとも関連するんですけれども、国民といっても一つにぱくっと丸めるのではなくて、より具体的にどういう方に、どういうふうにアプローチして、どういう行動を取ってほしいのかというのをもう少し明確にしていったほうがいいんじゃないかなと考えます。
 それで、それを気になったのが、まず今見せていただいている2行目のタイトルですけれども、必ずしも私たちは消費者としての観点からのみ、この問題に取り組むわけじゃないですよね。ですので、むしろ括弧の中に入っている一人一人の行動変容、まず意識を高めて、高めた上で行動を変えていくということのほうが、むしろメインなタイトルに来るべきで、その中の私たちの行動の一部が消費活動なんじゃないかなと考えます。ですので、このタイトルをもう一回検討していただきたいというのが一つ目の意見になります。
 それで、今度、中身に入っていきますと、注目していただきたい主体が二つございます。
 一つ目は、若者です。先ほど五つ目の危機のところでも出てきましたように、内閣府等の意識調査を見ますと、日本においては、むしろ若い人のほうが環境問題に関心を持っていません。相対的にですね。学校で学んでいて知識としては知っているにも関わらず、危機感を持っていないという傾向がございます。これは生物多様性だけではなくて、実は、気候変動で調査をやっても似たような傾向が出るんですね。
 この日本人の若者の傾向というのは、実は、海外の欧米の傾向とはすごく大きく異なっていまして、欧米ですと、むしろZ世代と呼ばれるような若い人たちのほうが、気候変動などに危機感を募らせ、自分事として声を上げているんですよね。ですので、何で欧米で若者のほうが意識は高いのに、日本においては、若者のほうがむしろ意識が低いのかという観点から、この問題にも取り組んでいく必要があるというふうに思います。
 それで、一つのヒントは、どこから情報を得ているのかということを考えますと、高齢者は主に新聞、あるいはテレビのニュース番組から情報を得ておりますけれども、若い人たちはSNSなんですよね。ですので、やっぱり若い人たちに直接働きかけるためには、どういうメディアを使って情報を出していくのかという観点から考える必要があって、できれば、この基本戦略の4のどこかに、Z世代に直接伝わるような手段でもって情報を出していくということも盛り込んでいただきたいと思うんです。また、むしろ意思決定の中にも若い人たちというものを積極的に参加していっていただくというような手続も織り込んでいただけるといいかなというふうに思います。若者が一つ目です。
 二つ目が、今度は女性です。今ちょっと検索しますと、ジェンダーという言葉が一つも入ってないんですね。ですけれども、やはり生物多様性とか、自然とか、あるいは伝統知とか、あるいは消費者の観点からも、実はやっぱり女性の発想であったり、気づきとかは、この問題にすごく重要だと思うんですよね。
 ですので、また、この基本戦略4のどこかにジェンダーの視点から多様性をもって意思決定なり、あるいは行動変容なりにみんなで参画していくべきだというような一文をどこかに盛り込んでいただけると非常にありがたいというふうに思いました。
 私からは以上になります。
○中静委員長 ありがとうございました。
 では、二宮さん、お願いします。
○二宮委員 ありがとうございます。二宮です。
 まず、22ページ、「ネイチャーポジティブ:[自然〇〇]」というところですけれども、ここは先ほど吉田先生がおっしゃったように、これは必ず二つ合わせて使用していくべきだと思います。
 そして、この「自然〇〇」のところは、なかなか難しくて、ただ、これを取り組むのが国民全体であり、マルチステークホルダーということからすると、このなぜ取り組むかということの内容の周知を図る機会として公募をしたらどうかと思います。その参加は個人であれ、団体であれ、例えば職場であって、とにかく国民全員がこれに取り組むわけですから、そういう機会を活用するという考え方は、いかがかと思います。
 この手のことは、やはり楽しくないとなかなか理解が進んでいかないということからすると、これは一つのアイデアとして優秀賞には、環境省のレンジャーが案内する自然遺産探訪とか、そういった何か遊びも加えて考えるのもいいんじゃないかなと思います。
 次は、33ページのところです。事業活動における自然資本・生物多様性、これについては9ページでも、22ページでも言及されています。
 先ほどESGをキーワードとして捉えることが重要だというお話をしましたが、残念ながら、ESGの表現がこの34ページに2か所ぐらいしかないですね。今、機関投資家はESGの観点から企業の対応を非常に厳しく見ておりますし、市民社会も企業に対してESG対応というのを要請しているということから、やはり企業は、評価を得るためにどう対応できているか、また、どのように現実に取り組むべきかということに大変注意を払っているところです。
 したがって、そういう意味からしても、やはりESGとの連関性、関係性ということをやはりもっと強く述べたほうがいいのではないかと感じました。
 また、33ページ、34ページのところで、例えば自然資本ビジネス拡大に向けたロードマップを策定するとか、プラットフォームを構築するとか、様々なかなり前向きな形でのいろんな促進策をお考えになっていただいているようですし、40ページにおいては、生物多様性に関する総合的な評価、経済価値評価ということにも言及されています。これは本当に現実に成果を出していくためには、非常に重要なことだと思いますので、この具体的な構想、またどこが主体になって取り組んで、どういう形で進捗管理をしていくかということなどについては、ぜひ、産業界、経済界と議論をしながらつくり上げていっていただきたいと思います。
 私からは以上です。
○中静委員長 ありがとうございました。
 では、藤田さん、お願いします。
○藤田委員 ありがとうございます。私からは、私も二宮様のご意見と同じで、ESGについては、ぜひESG投融資で生物再生、自然への配慮をして投融資を進めていこうという動きが、より活発化していますので、ぜひESG投融資もそこを注目しているということを入れていただきたいと思います。
 それから、2点目は、先ほど言いましたけど、ネイチャーポジティブという言葉をぜひ使ってもらって、私はすごくいいと思うんですね。ただ、使い方がネイチャーポジティブ経済、ネイチャーポジティブ経営と、割と乱発して使っているんですけど、何かネイチャーポジティブというのは、状態であると私は理解していて、底を打って回復基調に乗せるという、その状態にもっていくという状態を示すものだと思っているので、そこに向けてネイチャーポジティブ経営をするといったときに、何を指すのだろうというふうにちょっと自分は分かりにくいなと思ってます。
 カーボンニュートラルの場合は、カーボンニュートラルというその状態に向けて、カーボンニュートラルに向けて貢献をするような経営というような言い方をして、カーボンニュートラル経営とか、カーボンニュートラル経済という言い方はしないのに、ネイチャーポジティブも何にでもネイチャーポジティブ活動とか、そういうふうにつけちゃうと、何かこの言葉の示すものがぼやかされてしまって、ちょっと逆にあんまり取り組みにくくなるんじゃないかなという気がしてます。
 なので、とてもいい言葉なので、活動とか、経済とか、経営のときは、少し何か言葉をすぐくっつけるんじゃなくて、言葉をつくったほうがネイチャーポジティブに向けた経営とか、やったほうが明確化されるんじゃないかと思います。
 というのも先ほども言いましたように、回復基調に乗せさえすればいいのか、乗せる努力をしていればいいのか、乗せていないとネイチャーポジティブと言えないのかというところは、曖昧にならないように、していただければと思っています。
 以上です。
○中静委員長 ありがとうございました。
 では、髙村さん、お願いします。
○髙村委員 ありがとうございます。地域主体、4番について、ちょっと感想です。地域主体での取組というのが、今後、非常に大切になってくると思うんですね。そういう取組を活性化していく場合、地方自治体同士の連携とか、そういうふうな言葉が文章に出てこない。国のパートナーとして地方自治体と一緒になって、連携して、という言葉はあるんですが、地方自治体が主体となって、よその地方自治体と一緒にやっていく仕組みみたいなものが日本の場合は弱いように感じます。瀬戸内海の委員会に出していただいていて、県内の取り組みは県主導で進展するが、県をまたがる地域協議会がなかなかできない。
 滋賀県で勤務させていただいていたんですが、例えば、シカの頭数などの調査について、県内では実施・検討されているのですが、県をまたがって合同でデータを取ったり、対策を協議したり、そういうふうなことが何か非常にやりにくいようです。しかし、そういうようなことをもっとやっていかないと、地域の生物多様性がよくならないです。文章を読んでみますと、省庁間の連携とかは出てくるんですけど、地方自治体間の連携とか、そういう言葉はないし、国は地方自治体と連携して、という言葉はよく出てきますが、地方自治体が主体となって他の自治体と連携を進める、というふうな文章が不足しているかなと思った次第です。後で各主体の役割についての文章を書かれると思いますけれども、その辺、ぜひお考えいただければありがたいと思います。
○中静委員長 ありがとうございました。
 では、勢一さん、お願いします。
○勢一委員 ありがとうございます。勢一です。
 先ほど出たご意見と似ていて幾つか賛同する部分はありますけれども、重複するところは回避をさせていただきたいと思います。1点だけ、関係省庁の連携は、ぜひともよろしくお願いをいたします。
 私からは、2点意見を申し上げたいと思います。
 1点目、ちょうど髙村先生のご指摘と重なるのですけれども、41ページのところの②の部分になります。これは表題が空間利用に関わる地域計画・生物多様性地域戦略となっているのですが、国家戦略の位置づけとして、これはこの地域の計画・戦略と連携をするという趣旨になる内容でしょうかというところ、質問というか、確認をして、必要であれば修文をしていただきたいと思います。
 また、その内容の部分ですけれども、ここで主語がちょっと不明確な文章になっていて、例えば3行目辺りの関連する地域計画との連携や広域連携というようなくだりもあるのですけれども、これは国が関連する地域計画と連携をしたり、広域連携をするというような内容になるのかとか、あるいは地域の自治体間の連携を支援する、促進するというようなことになるのか、表現としても明確になっていないので、ここは具体的に求めるものを適切に書くというのが必要かなと思います。
 併せて、もし国と自治体との連携という趣旨であれば、計画に位置づけた施策の実施レベルでの連携も合わせて必要だと思いますので、その点も加えていただく必要があるのかなと感じました。
 また、そこの部分で関連する地域計画として三つ例示されているのですけれども、やはり現在の取組で2030、2050に向けてということであれば、やはり脱炭素との関わりはしっかり意識をする必要があると思いますので、ここに改正温対法の下で脱炭素に積極的な役割を期待されている地域の実行計画をむしろ例示として挙げていただいて、再エネの導入と生物多様性の保全を地域の空間で両立をすることを重要なミッションの一つとして位置づけていただく必要があるのかなと感じています。
 もっと言えば、空間の利用に対する生物多様性との調和という点を目指すのであれは、究極的には、まちづくりですね。町の中でどこを生物多様性のために皆が守っていくのかというようなことを長期的な計画で地域が組み立てていくことが必要だと思いますので、この辺りの部分を関連するところも含めて、少し表現を入れていただけるとありがたいと思います。それが1点目です。
 もう1点は、その前の項目の①のところで、法制上の措置などが挙げられています。かなり具体的には書いていただいているのですが、やはり必要な法改正も厭わないということは、重要だと思いますので、この趣旨は入れていただきたいと思います。既存の個別法が生物多様性に十分対応できていないという状況が、法制度上は問題になっていまして、法制度がしっかりしていないと、財政や税制の措置というのも伴ってきませんので、そこは重要な取組になろうかと思います。
 ですので、必要な法改正をし、さらに、それに基づく既存の地域指定のアップデート、これも30by30を見据えれば非常に重要だと思いますので、そういう意味での個別法の生物多様性対応バージョンにしていくということですね。ここをお願いできればと思います。
 以上です。
○中静委員長 ありがとうございました。
 では、深町さん、お願いします。
○深町委員 ありがとうございます。まず、22ページのネイチャーポジティブに関してですけれども、この言葉は、とても大事な言葉だというのは承知しているんですけれども、もう私自身、まだ例えばこの戦略を自分の身近な社会に浸透させるということが大事だとしたときに、例えば自治会だとか、自分たちが日頃接している人たちに説明するときに、いきなりネイチャーポジティブ、説明をつけたとしても、非常に何か難しいなと。どういうふうに説明したらいいかということで、自分が戸惑ってしまうような状況があるというのが正直なところです。
 それで、二宮委員さんが言っていたように、公募するだとか、あまりふだんこういった議論とは疎遠である人たちのところに行って、話をしながらどういう言葉がよりなじんでいくのか説明する言葉ということですね。そういうものを丁寧に話をしながら、いろんな意見を聞いて、一番すっといろんな方に通じやすいような説明でいいと思うんですけども、それを模索していくというのも今回の戦略をつくっていく過程の中でとても大事なことと思っております。
 それから、使っている図などもちょっと難しい気がして、中学生とかでも分かるような図として、もっと改良していくだとかいうことも一緒に考えていくというのも大事かなということです。
 生態系の確保、回復基調にあってというところが、一方では、優しく伝えるということもあるんですが、一方で、やはり科学的にそれがどういう状態なのかというような研究だとか、そういった部分もそれを支えるような科学的知見というのをしっかり積み重ねていくということも同時並行でやっていく必要があると思いました。
 それから、27ページ、8ページのところの生態系という言葉がたくさん使われていて、生態系の質の向上だとか、ネットワーク、これは本当に大事なことだと思います。一方で、見える化していくというようなことを考えますと、造園学会の中での提案にもあったんですが、生態系のレッドリストの作成というような形で、質について、ある程度議論ができるような、そういった見える化した情報というのを整理していくということも、今後、大事なことかなというふうに思っております。
 さらに、32ページの再生エネルギーに関連するところで、どうしても再生エネルギー、再生可能エネルギー、風力発電などの大規模な施設になると、もう既に指摘はされているんですけれども、生物多様性とうまく折り合わないようなケースが全国で多発している中で、結果的に先ほど先生もおっしゃっていたんですけど、いろんな社会の法律だとかがそぐわない部分があったりして、例えば環境アセスメントの制度なども十分に地域の人たちの意見を反映して、丁寧に科学的な知見をしっかり備えたような事業になるかというと、なかなかそうじゃない状況が現実にあるので、そういった部分をしっかり制度的にも改善していくということを、ぜひ、今回の戦略の中でも位置づけていただきたいなと思います。
 最後になりますけれども、39ページとかですね。地域の視点を、あるいは伝統知・地域知などの文化的なことも含めて触れていただいているのは、とてもいいなと、改善していただいているなと思っておるところですけれども、やはり特別な形で生物多様性に取り組むのではなくて、土地利用の在り方だとか、あるいはいろんな暮らし方だとか、身近な自然資源の用い方だとか、防災・減災も含めて、実は地域というのは、いろんな総合的なことを全部コンパクトにしながら対応していくというような、そういうところをやっぱり基本に考えないと、生物多様性の保全というようなところに結びつかないと思うので、ぜひ、短い文章で作るのは大変難しいと思うんですが、一面的な部分ではない形で、暮らしの在り方、土地利用の在り方というようなところで、どういうふうに地域として生物多様性と関わっていくかというような、そういうメッセージになるように書いていただけるとありがたいなと思います。
 以上です。
○中静委員長 ありがとうございます。
 では、愛甲さん、お願いします。
○愛甲委員 ありがとうございます。基本戦略について、少しコメントさせてください。
 まず、30ページの基本戦略2のところで、自然を活用した地域づくりのところの1段落目に、特に以下に国立公園のことが書いてあります。自然体験活動の促進や、満喫プロジェクト、またアドベンチャーツーリズムのことなどが書いてありますが、ちょっと具体的にこれが地域づくりということに対して、地域における社会課題の解決にこれがどう役に立つのかというのは、ちょっと分かりにくいように思いますので、もう少し具体的なことを書いたほうがいいように思います。
 次が、37ページのところです。先ほど亀山委員もおっしゃったように、このところで、より具体的に対象を考えるというのは、私も非常に大事なことだと思います。
 それと、この37ページの4-2の行動変容で、生物多様性配慮物品やサービスの選択を図るというところですが、ここで理解を深めて、それで、じゃあ選択してくださいというだけでは、やはり消費者は選択できない。そこに選択肢があって初めて選択ができるわけなので、これはその前の選択の3のところとも関係してくるところですが、選択できるような物品やサービスが提供されていることというのも、これはどこかに書いておいたほうがいいのではないかと思いました。
 それから、もう一つ、最後は細かいことですけど、41ページです。またちょっと国立公園のことですが、41ページの冒頭の上のほうに、保護地域やOECMにおける30by30の目標の達成に向けてというところで、利用者から徴収した利用料をというところがあるんですが、30by30の目標の達成と資金の話が直接つながるわけではないので、ここはちょっと読んでいて違和感を感じたのが一つと、あともう一つは、利用料という言葉がここで登場するんですけど、ほかの部分では費用負担、利用者負担との言葉を使っているので、これは利用料で本当にいいのかなというのをちょっと疑問に思いました。
 以上です。
○中静委員長 ありがとうございました。
 では、中村さん、お願いします。
○中村委員 ありがとうございます。まず、27ページに、国立公園内の自然再生について積極的に進めていくということを書いていただいて、とてもよかったなというふうに思います。それについてはありがとうございました。
 次に、30ページのところで、気候変動と生物多様性保全のシナジーの強化と書いてあって、ちょっとこれ、分かりづらいのは、自然生態系の吸収源対策としての機能を発揮させるため、保護地域の指定をしているんですけど、自然生態系の管理と書いてあるんですね。つまり、吸収源対策でカウントするために何らかの形で、自然生態系に手を加える、と読めます。ただ、いわゆる新規の植林の面積というのは、もう日本の場合は限られているので、たしか育成林と天然生林に分けていて、育成林のほうは、人工林で森林経営をし、育つことによってCO2を吸収するという吸収源対策にいくんですけど、天然成林のほうは、たしか保護・保全の措置が取られていることといったような、そんなニュアンスの文章が書かれていたように記憶しています。このため、自然生態系を管理して共存の状態に保存するというのは、一体どんな管理を考えているのかがいま一つよく分からない。まかり間違うと吸収源対策のために自然生態系の生物多様性に対して負の影響を与える可能性だってあるんじゃないかと思うし、次の段落を見ると、人工林の森林資源の循環利用等を通じて、最後に、自然生態系と地域経済の再生を図ると書いていますよね。人工林は、どう考えても自然生態系ではないし、何かこの辺の森林の取扱いに関する自然生態系という言葉と人工林という言葉が入り乱れていて、非常に分かりづらく、ひょっとすると誤解を生むんじゃないかなという感じがしました。それが1点目です。
 それから、2点目が、指標のところで、幾つかの箇所で劣化した生態系〇%を再生するとともに、生態系ネットワークを認識するとか、劣化した生態系を何%再生するという内容が書かれているんですけど、まず、吉田さんが言っていたように、私は当然その第2の危機で、いわゆる管理を怠ることによる生物多様性の劣化が書いてあるので、当然劣化した生態系には、そういった管理方法が含まれてくると思うんです。ただ、これ、対応するポスト枠組み案に至っては、20%という非常に高い数字が書かれていて、これを日本の場合、目標にするというものは、もちろん今から検討するんでしょうけど、極めて高いので、さて、これに見合ったような目標が具体的に設定できるのかなという、そういう危惧を覚えました。
 以上です。
○中静委員長 ありがとうございました。
 では、五箇さん、お願いします。
○五箇委員 国立環境研の五箇です。第1章、前半のほうで、ワンヘルスや感染症の問題というものをある程度クローズアップしてはいるんですが、それ以降、第2章のほうですね。感染症というキーワードは、22ページと30ページでちょろっとは出ているんですが、肝心のワンヘルスアプローチという言葉がどこにも出てこないので、入れ込むのは今の時点で難しいというか、どう入れるか考えあぐねているところだし、そもそもの生物多様性条約会議でもどう扱うかというのは、見えてないところでもあるんですけど、ちょっと前半で結構煽っているのに後半で何も出てこないのはどうしたものかなと。じゃ、どこをどうすればいいかというのは、これだけちょっといろいろと羅列している中では、どういうコンテクストで入れるかというのは、考えてみないと分からないのですが、ちょっと入ってないという気づきがあったので、要は、ワンヘルスアプローチというキーワードが入ってないということで以上にしておきます。
 以上です。
○中静委員長 ありがとうございました。
 森本さん、お願いします。
○森本委員 ご説明ありがとうございました。まず、亀山委員からのインクルーシブとか、二宮委員、深町委員からの、楽しく進めていく工夫が必要という話があり、それに同意して、二つお伝えしたいと思います。
 一つは、ネイチャーポジティブのネーミングに関してです。公募という案がありました。それも一案と思いますが、常日頃言葉と向き合っている詩人の協力を仰ぐというアイデアはどうか。生物多様性はもちろん、サステナビリティとか、自然共生といったテーマで、割と多くの世代から知られている谷川俊太郎さんとかに例えば一緒に考えていただくというのも一つ案としていいのではと思いました。
 もう一つ、地域の取組事例をグッドプラクティスとして共有する仕掛けがあってもいいのではと思います。順序をつけて評価するというのもいいのかもしれませんが、恐らく多くの地域の方たちは、どうしたら我が地域に反映できるか、うまく応用できるかということを考える材料としていろいろな成功事例を知りたいという方が多いと思います。そういった取組を後押しするようなことを書き込んではどうかと思いました。
 具体的にはどこというのは難しいですけれど、目標案が別紙に示されていましたよね。何かを何%を達成しなければと言われると、あまりポジティブに考えられないので、例えばこういうところで、地域の取組事例を共有する仕掛けが書き込めればいいのではと思いました。
 以上です。
○中静委員長 ありがとうございました。
 大沼さん、お願いします。
○大沼委員 ありがとうございます。私からコメントをさせてください。
 一つは、34ページですが、ここで経済的手法の活用と新たな自然配慮型ビジネス創出支援というタイトルですね。この経済的手法について書かれているんですけれども、ここで読むと、活用というよりも、①の見出しに書いてあるように、まさにこれ、調査・実証を行うということですね。ほかの項目は全て促進するとか、取組を進めるとか、何かいろいろ書いてあるんですが、この経済的手法だけは調査をすると、検討するということなので、ここはきちんと活用するという積極的な形にしていただければと思います。
 そこで、その内容ですが、ここで環境価値の見える化とその売買とか、寄附等ということで、限定してこの経済的手法というのを書くのではなくて、何かOECMを受けた区域のファイナンシングを円滑にするような経済的手法というふうに書くと、非常に広範囲な形で様々な取組というのを導入できるというようなイメージになるのではないかと思います。その点、一つご検討いただければと思います。
 それから、次のページの35ページ、国際的な規範形成への積極的関与という中で、この遺伝資源・ABSの内容について書かれているのですが、文章が一つになっていて非常に読みにくい感じなんですね。一度も切られていないという文章なので、特にこの遺伝資源の内容というのは、もともと分かりにくいものなので、できるだけ分かりやすさというのを少し念頭に置かれて書換えを検討していただければと思います。
 以上です。
○中静委員長 ありがとうございました。
 山野さん、お願いします。
○山野委員 31ページの気候変動対策のところですけれど、シナジーの強化とトレードオフの回避・最小化を書いていただいたのは、非常にいいと思います。それで、書き方として、①のほうで、やっぱり緩和と適応というのを両方書いたほうがいいかなと思って、①は前半部分が緩和で、後半部分は実際適応策と書かれていますので適応で、緩和の部分もどこか文言で前に入れていただければなと思うのが1点と。
 ②のほうが、緩和のほうとのトレードオフだけしか書かれてないので、他分野の適応策を行ったときのトレードオフというのも当然あると思いますね。それを第2段落に書いていただければと思います。
 というのは、平成27年に出た自然局が出された生物多様性分野の適応策の考え方のところで、他分野の適応策がなされることによるトレードオフの回避というのは、そこでも書かれていますので、それも継承する形で、第2段落にその部分、他分野の適応策とのトレードオフの回避は書いていただければなと思います。
 以上です。
○中静委員長 ありがとうございました。
 じゃ、吉田さん、もう一度ということで。
○吉田委員 ごめんなさい。2点ですけど、1点目は、ほかの委員も言われたことですけど、ちょっと繰り返しかもしれませんけど、これは年内に閣議決定されるということですが、それに向けて、やっぱりこの国家戦略、非常に有効な文章だと思うんですが、それを分かりやすく伝えるためにいろんな媒体を使うというんですかね。マンガにするか、絵本にするか、動画にするかは分かりませんけど、そういうものをぜひ、もうそろそろ検討を始めないと間に合わないんじゃないかと思うので、ちょっとこの文章の中とは別なんですけども、そういう検討を始めていただきたいというのが一つです。
 もう一つは、この戦略そのものなんですが、資料1-3の別紙の表、これはちょっと事前の打合せのときにも少しお伝えしたんですけど、ポスト2020生物多様性枠組に対して、この今考えている日本の国家戦略の状態目標・行動目標がどう対応するかという表にはなっているんですけど、逆の整理もしていただきたいと思うんですね。ポスト2020グローバル目標に対して日本の国家戦略はどこを手当しているのかというものですね。
 さっと見ると、網羅的にちゃんと見れていませんけど、対応できているポスト枠組には結構、偏りがあるんじゃないかなというふうに見えるところもあります。そういう整理をすることで、もしかしたら足りない目標とかがあるんじゃないかということの検討にもできるので、ぜひ、その整理もしていただきたいと思います。
 必ずしもすべてのグローバルな目標に日本の国家戦略が対応する必要はないとは思うんですけれども、だけど、やっぱり国家戦略というのは、条約の中で決められてやっていることでもあるので、できるだけ対応していくのが望ましいと思います。
 その中で、例えばグローバルなところだと発展途上国向けの資金をどう増やすとかいうような、必ずしもそのままだけでは、日本の中にはできなくて、日本の中で考えたときに、例えば国と地方の関係に読み替えて言葉を変えるとか、その辺りがまだちょっと詰められてないんじゃないかなという気がしましたので、ぜひ次回、そういうところをもう少し議論できたらなと思います。よろしくお願いします。
○中静委員長 ありがとうございました。
 ご意見があるとおっしゃっていらっしゃる方は、以上ですけど、私も3点ぐらい細かいことなんですけどコメントします。一つは、35ページの初めの部分で、国については、グリーン調達という話で書いてあるんですけど、企業の方は情報開示とか、もっと厳しいことを求められていると書いてあるので、国についてももう少し踏み込んで書いてもらいたいなというのが一つです。
 それから、36ページ、これは亀山さんがおっしゃっておられたように、4-1に、どんな教育をすればいいかという記述の前に教育が出てくるよりは、4-2とか、4-3のほうが、先に書いたほうがいいのかなと思いました。ただ、亀山さんのご意見のように、一人ひとりの行動変容というのが最初に来るのであれば、これでもいいのかもしれません。
 それから、38ページの4-4の①なんですけど、この3行はインパクトが弱くて、実際に何をやればいいんだというのがよく分からない文章になっている。生物多様性とどうしてコミュニティの再興とか、再構築というのに結びつくんだとか、共助としてのというのも分かりにくいので、この文章は、ちょっともう一回考えていただきたいなと思いました。
 ほかに皆さんのほうからありますか。もし、なければ、事務局のほうでまとめてでもいいので、ちょっとコメントをお願いします。
○奥田総括補佐 戦略室の奥田です。たくさんのご意見、コメント、ご助言をありがとうございました。どれもおっしゃるとおりだなと思いながら聞いておりました。
 幾つか質問もいただいていたので、その点について、答えつつ、全体的に話をしていきたいと思いますが、まず、課題と戦略が1対1になっていて、ちょっと不適切ではないかといった点ですが、できる限り分かりやすくしていきたいという観点から、ご指摘のとおり、1対1ではないとは思いますけれども、対応関係としては、できるだけ1対1で示していきたいと。
 ただ、課題と戦略の書き方自体は、もう少し工夫の余地はあるのかなというふうに感じておりますし、先ほど基本戦略4のところで括弧内の副題と本題とが逆ではないかといったようなコメントもいただきましたので、もう一度、全体的に整理し直したいというふうに考えております。
 それから、ネイチャーポジティブのところ、たくさんいただきました。具体的な提案も含めて、自然をもう一度豊かにとか、具体的なものを含めて大変ありがとうございました。大事にしていきたいと思っております。
 一方で、深町先生からあったとおり、まだ少しこのままでは使えなのではないかといったところもすごく分かるところでございますし、必ず副題を入れるべきだというところもおっしゃるとおりかなと思いました。その辺りもさらに検討していきたいと思います。
 それから、劣化した生態系のところですけれども、私どもの意識としては、当然管理不足等も入るものと考えております。そこの具体的な数値について、正直大変難しいと思っているので、そこはまた相談させていただきたいと思いますが、次回以降の指標をさらに詰めていく中で、どういった目標が立て得るかも、また相談していきたいというふうに考えております。
 また、若者、ジェンダー等の視点、重要だというご指摘もありがとうございました。
 また、ビジネス分野で特にESGをキーワードにして、しっかりと全体を組み立てていくということの重要性を改めてまた受け取りましたので、そういった点は改善していきたいというふうに考えております。
 それから、勢一先生からもいただきました地域戦略のところでの位置づけですけど、基本的には、自治体間の取組を後押ししていきたいというふうに考えております。生物多様性、とりわけ地域での取組が大変重要だという中で、国はいろんな制度をつくったりしていますが、少なくともそれが地域の中でしっかりと連携して、労力も軽くしつつ、より効果的な取組ができないかと考えておりまして、そういった部分は、第4章でも書いていきたいと思っておりますし、自治体間での連携がうまく進むように、国としても、優良事例も含めて提案していく必要があるのではないかと考えております。その辺りはまた充実させていきたいと考えております。
 それから、ワンヘルスが書いてないじゃないかといったようなご指摘もありがとうございました。その他もろもろたくさんいただきました。大変ありがとうございます。
 また、地域に関して言いますと、地域の取組をうまく共有していくようなプラットフォームも要るのではないか、地域循環共生圏といったような言葉も書いておりますけれども、この点、大変重要だと認識しておりますので、少しどういったものを書けるのかを考えていきたいと思いますし、また、すみません、今コメントをし切れていない部分でいただいたコメントはおっしゃるとおりだと思っておりますので、次の案作成に向けていただいたポイントを踏まえながら、作成していきたいというふうに考えております。
 すみません。簡単ですが以上です。
○中静委員長 時間も大分なくなってきたので、次の3番目のパートに移りたいと思いますが、3番目のパート、第1部第4章、本戦略を効果的に実施するための基盤、仕組みということと、第2部の行動計画の部分ですね。これは、まだきちんと素案という形にはなってないんですけれども、この時点でこういうことも盛り込むべきだという点があれば、ぜひご指摘いただきたいと思いますし、資1-3の別紙というところに目標の具体案などもありますので、それも見ながらご意見をいただければというふうに思います。
 いかがでしょうか。
 どうでしょうか。今の時点で大きな点を言っていただいたほうが、この行動計画をつくりやすいかなというふうに思いますが。
勢一さん、お願いします。
○勢一委員 勢一です。ありがとうございます。
 1点だけですけれども、行動計画のところで、事務局からの説明の際にめり張りをつけて濃淡を出すような方針でというご指摘がありまして、私はこれに賛成をいたします。
 長期的な国家計画、国家戦略というのは、どうしても総花的で、積み上げ的な仕組みになりがちです。それは政治、行政にとっては、非常に重要なことだと思うのですけれども、社会全体に対するインパクトは、やはり強くはありません。ネイチャーポジティブという新しい取組、生物多様性の保全が、十分に社会に浸透していないという点を踏まえますと、社会にそうした取組がイメージできるような施策をフラッグシップとして進めていただくことは、大変重要な部分ではないかと思っています。
 30by30のように比較的分かりやすい目標があれば理想ですけれども、そうでなくても社会全体がネイチャーポジティブを実感できるような工夫は必要かと思いますので、それを行動計画や施策の優先順位で出していただくというのは、一つの方法だろうと思います。
 ただ、その場合には、この分野を含めて、国際的にも政治分野、また市場経済も変化がかなり著しくなっています。生物多様性は、世界的にはカーボンニュートラルの次に政治や経済が動く分野になりつつありますので、フラッグシップで進めてたとしてもフォローアップは非常に重要で、社会状況、経済状況に合わせて丁寧に修正をしていく。ここを含めてめり張りをつけて取り組んでいただければと思います。
 以上です。
○中静委員長 ありがとうございました。
 では、森本さん、お願いします。
○森本委員 1点お伝えしたいと思います。48ページの行動目標5のところ、遺伝的多様性の保全等を考慮した施策を実施する、ここを次回以降には具体的に詰めていただくということですので、本日付で日本緑化工学会より意見書を出しております。そちらを詳しく参照していただきたいです。具体的には、外国産外来緑化植物の使用禁止と地域性系統の植物の使用促進という内容で、具体的に遺伝的な多様性を保全するに当たって、どんな取組が必要かについて意見を出していますので、ぜひ、ご参照ください。
 道路のり面、全国にあるのり面の緑化に外国産の在来植物が多用されていますが、その使用によって、遺伝子レベルでの生物多様性が脅かされているという実態を踏まえたものです。ぜひ、ご検討ください。お願いいたします。
○中静委員長 ありがとうございます。
 では、橋本さん、お願いします。
○橋本委員 ありがとうございます。施策の書き方で、47ページ目にある新規施策・今後強化する施策、引き続き取組を実施していく施策、現状の維持を図っていく施策という形で各考え方はよいと思いました。
 ほかの行動目標に関連してですが、この部分は、現時点でちょっと新しい行動目標を追加することをお願いするわけじゃないんですが、例えば今括弧書きというか、丸書きで書いてある何%という数値目標があるんですが、ここはベースラインをちょっとはっきりしていただいたほうがよいと思いました。いつに比べてどうするのかというのが、多分進捗評価の際に必ず問題になるので、ここをはっきりしたほうがよいというのと、後はいろいろここの案の中で作成されていると思うんですが、このそれぞれの行動目標をどうやって評価するかというのも併せてご検討いただければと思いました。
 質的な記述の部分を何らかの指標を当てて評価するとか、これ多分、ある程度策定段階で考慮しておかないと、後々の今度また次々期国家戦略の検討の研究会とか、あるいはJBO4とかいう段階でこういう行動目標の評価というのが議論になると思うんですけれど、その際の指標設定をまた最初からやらないといけなくなるので、この考慮された段階である程度評価をどう行うかというのも整理していただくとよいのではないかと思いました。
 以上です。
○中静委員長 ありがとうございます。
 負の影響は何%なのかというベースラインも難しそうですよね。ありがとうございます。
 では吉田委員お願いいたします。
○吉田委員 はい、勢一委員とか、橋本委員が言われたことと同じです。批判的なコメントばっかりじゃなくて、ポジティブなコメントを言おうと思っていたので、ありがとうございました。
○中静委員長 ありがとうございます。
 ほかには発言を希望されている方は、いらっしゃらないですが、いいでしょうか。
 この辺のこの部分は、次回以降に具体的な素案が出てきてからでも間に合うということにはなると思いますので、現時点で大きな方針についてというようなことで、もしご指摘があれば、ぜひいただきたいですけれど、よろしいでしょうか
 広井さん、どうぞ。
○広井委員 すみません、1点。48ページの第4章の行動目標2で、日常的に自然にふれあう機会を増加させるというのが、私のちょっとページ数が合っているかどうか。さっきのネイチャーポジティブのときも思ったのですが、住んでいる地域の地域特性といいますか、例えば東京、首都圏のような大都市圏と、それから地方都市、それから農山村と言えるような地域で、この日常的に自然にふれあう機会を増加させる、大分意味合いが違ってくると思うんですね。東京のようなほとんど自然にふれる機会が少ない地域と、農山村、ある意味では、いつも自然がすぐ身近にある。ですから、そういう地域差といいますか、その辺も別途考慮して考えることが一つ視点としては大事かなと思いました。
 以上です。ありがとうございました。
○中静委員長 ありがとうございました。
 時間も超過していますし、また次回以降、この件に関しては、たくさんのご意見をいただけると思いますので、ここで打ち切りたいと思います。
 もう一つ、議題が残っておりまして、30by30のロードマップについてですが、これについて事務局からご説明をお願いします。
○伊豫田室長補佐 事務局でございます。議題2につきまして、説明させていただきたいと思います。
 まず、30by30のロードマップですけれども、前回第3回の小委員会のときに、検討課題についてご報告させていただいておりました。
 そちらで当時検討したものをベースに案ということで作り上げてきておりますので、本日ご説明させていただければと思います。
 先ほど国家戦略は、年内目途で閣議決定見込みということでご説明させていただきましたけれども、ロードマップについては、政府としての方向性を示すということで、国家戦略に先んじて生物多様性国家戦略関係省庁連絡会議名にて4月以降に公表したいということで検討しております。
 まず、資料の2の構成につきまして、説明させていただきます。資料の一番冒頭についております、今お見せしていますものが、ロードマップの概要で、今回の説明用に環境省にて作成したものになります。
 ロードマップ本体が2ページ目以降です。
 1枚目に表紙がございまして、その後にロードマップにどういったことが書いてあるかという概要がありましてここには、キーメッセージ、目的、主要施策、横断的取組、各主体に期待される役割、中間評価の実施等について書いております。
 本体の2ページ目以降ですけども、こちらパワーポイントの資料により、背景と目標達成に向けて、また、30by30実現後の地域イメージとして実現後のイメージというのを描かせていただいております。
 その後、次のページの上の半分では、主要施策と横断的取組の相関につきまして、書いております。
 また、その次、多様なステークホルターの関わりということで、国民、地方自治体、民間団体、研究機関等、また事業者と関係省庁がそれぞれの役割を果たしていただきたいということを記載しておりまして、それにより30by30の目標を達成していこうといったかたちとしております。
 次からは、本文ということで、それぞれ先ほどお見せしておりました、キーメッセージとか、目的、主要施策といったものについて書かせていただいております。
 また、一番最後に、工程表をつけさせていただいております。
 内容の説明につきましては、戻ってしまって申し訳ないんですけども、こちらの1ページ目の概要によってご説明させていただければと思っております。
 最初キーメッセージですけれども、2030年までに陸と海の30%以上を保全していくこと、また、生物多様性の損失を止め、人と自然との結びつきを取り戻すということ、地域の経済・社会・環境問題の同時解決につながるNature-based Solutionsのための健全な生態系を確保するための基盤的・総合的アプローチになっているといったことを書かせていただいております。
 2番目に、ロードマップの目的という部分ですけども、我が国としての30by30目標を達成するために集中して行う取組・施策を中心に、目標実現までの行程・具体策を示すものとしていますということを書いております。
 3番目からは、主要施策ということですけども、主要施策は五つ書かせていただいております。1つ目は、保護地域の拡張と管理の質の向上ということで、国立・国定公園総点検事業のフォローアップも行って新規指定等の調整を順次実施としていくということ、二つ目として、日高山脈襟裳国定公園及び周辺エリアをはじめとした新規指定や大規模拡張等の調整についても実施をしていくということ、三つ目として、海域公園地区の面積につきまして、2030年までに倍増を目指していくということです。
 また、満喫プロジェクトによる保護と利用の好循環、自然再生、希少種保護、外来種対策、鳥獣保護管理を初めとした保護管理施策や管理体制の充実ということ。
 丸の二番について、先ほども戦略のほうでも出てきましたけども、OECMについて書かせていただいております。また、先週OECMの検討会が開催されまして、石井座長には、来年度から自然共生サイトの試行に関して管理基準等を取りまとめていただいたということで、この場をお借りして御礼申し上げたいと思います。
 内容としては、今申し上げました民間の取組によって生物多様性の保全が図られている区域、自然共生サイト(仮称)ということで、こちらの認定の仕組みの試行とその制度の構築、認定の実施をしていきたいこと、
 2023年には、全国で100地域以上を先行的に自然共生サイトとして認定をしていきたいこと、また、認定実証事業の実施と一括認定や団体との連携協定についても実施をしていくと書いております。
 また、国の制度等に基づき管理されている地域につきまして、関係省庁が連携して、OECMに該当する可能性のある地域の検討、また、適切なものについては、OECMとして整理していくことに言及しています。また、具体的にどのエリアをどの程度OECMとすることで目標達成ができるかということについて検討するということを書いいております。
 また、海域については、関係省庁が連携して、該当する場所の整理を進めるということです。
 三つ目のポイントとして、「見える化」というのを書いていますが、生物多様性の重要性と保全活動の効果について、マップを提供するということで検討しております。
 更新可能なシステムを開発してモニタリング機能とマップを連携させること、また、そういったことをして必要な機能について付加・充実させることを考えております。
 ④のところで、生態系がつながり合い、健全に機能するための質を高める取組ということで、3点挙げさせていますが、一つ目が、自然共生サイトの管理活動を通じて保全効果が確認された取組の全国展開のためのマニュアル化と、それの管理者等への提供です。
 また、国の制度等に基づき管理されている地域において当該制度に基づく適切な管理を通じて、生物多様性保全機能が持続的に発揮されるように努めることとしています。
 また、Eco-DRR、自然再生、希少種保護、外来種対策、鳥獣保護管理、里山管理など、これらにつきまして多様な公的・民間資金を活用して実施するということともに、マニュアルや情報提供による取組を支援してまいります。
 5点目につきまして、脱炭素、循環経済、有機農業、都市における緑地等の取組との連携、これらに加えまして、河川等の生態系ネットワークやグリーンインフラ、この取組について、自然共生サイトの取組と連携した情報発信をして参ります。また、再エネの推進と生物多様性保全のトレードオフを防止するための情報提供についても併せて行っていきたいと考えております。
 四つ目として、主要施策を支え、推進する横断的取組ということで、1から5まで書かせていただいております。
 関連データの利活用、相互利用の促進と多様なステークホルターの参画。有志連合の立ち上げ、30by30の経営の組み込みに向けた仕組みづくりや、サステナブルファイナンスの推進、最新のデジタル技術等を活用した効率的なモニタリングや、国際発信ということを書かせていただいております。
 大きな5番目、期待される役割ということで、それぞれ上のほうに挙げました各取組について、国、地方公共団体、事業者、研究機関、研究者、学術団体、民間団体、国民それぞれについて期待される役割というものを書いております。
 6番目として、中間評価の実施ということで書いていますが、先ほどの③の「見える化」によって、効果的な地域の把握と検証、陸域の30by30目標達成の具体的な内容を示すということ、また、各施策の進捗状況についてフォローアップを行い、目標を確実に達成するということを書いております。
 7番目としては、30by30目標の背景と国際的な背景や、生物多様性保全上の必要、保全の意義と、気候変動の側面での保全について書いております。
 また、8番で、期待されるNbS効果ということで、脱炭素、農山村、食といったそれぞれの分野において期待される効果ということを書いております。
 駆け足になりましたが事務局からの説明は終わりとさせていただきます。
○中静委員長 どうもありがとうございました。
 では、皆さんのほうからご質問とか、ご意見がありましたらお願いします。
 中村さん、どうぞ。
○中村委員 ありがとうございます。1ページ目に書いてある脱炭素、循環経済のところですけど、これは環境省に対するちょっと文句になるんですけど、この脱炭素先行地域というのは、最初に、今現在、都道府県レベルで進んでしまっていて、自治体は既に応募していると思うんですよね。実際には、再エネ促進区域に入る基準というのを決めなくちゃいけないはずで、それはまだ国レベルが決まって、都道府県は今議論をし始めているところで、ちょうどブレーキがかからないのに待つように踏んでしまっているようなところがあるんですね。ですから、脱炭素先行地域というものを議論する前に、再エネを推進するためにどういう場所が配慮して除かなくちゃいけないかといった議論を先に進めるべきだと思うんです。この文章を見たら、何かそれが、いま一つの最後に、再エネ推進と生物多様性保全のトレードオフとは書いてあるんですけど、今現状で起こっているところは、ちょっと逆になっているような感じがしました。その辺よろしくお願いしますという希望です。
○中静委員長 ありがとうございます。
 では、白山さん、お願いします。
○白山委員 ありがとうございます。白山です。
 2点コメントをさせていただきたいと思います。
 一つ目は、OECMに関わるところで、海域のことが書いてあって、現在が13%で、残りの17%をOECMでと書いてあるんですが、これは結局、逆に言うと、保護区はもう増やしませんということを宣言しているようにも見えます。それでいいんだろうかというのが、非常に疑問で、やはり保護区を増やすことについても、常にそれなりの配慮をしているというようなことが、どこかに読み取れるようにしていただきたいということをお願いしたいというのが一つです。
 それから、もう一つは、5ページのポンチ絵ですけれども、深海の炭素貯留というような言葉が入っておりますが、実は、この深海に人間がインテンショナルに海域の特に沿岸とか、表層の一次生産を増やして、深海にどんどん炭素を運ぶというアイデアは、非常に強いネガティブな意見を持っている人がたくさんいます。つまり、もともと非常に貧栄養で、僅かにしか有機物の供給がないような場所に、きちっと適用して成立した深海の生態系というものに対して、非常に強いインパクトを与え、時には、貧酸素の状況をつくり出すということもあり得るわけで、ものすごく積極的にこれをやるんだというメッセージを出すことには、ちょっと賛成しかねます。この2点でございます。
○中静委員長 ありがとうございます。
 では、愛甲さん、お願いします。
○愛甲委員 ありがとうございます。質問とコメントです。
 まず、質問一つ目は、概要を見ながらしゃべっていますけど、国立公園の海域公園地区の面積を2030年までに倍増を目指すとあるんですが、本文を見ればちょっと書いてあるのかもしれないんですが、この倍増する海域公園の面積というのは、現状ある普通地域等になっている国立公園の海域の中に含まれている地域で面積を倍増するという意味なのか、国立公園自体の区域を拡張して海域公園地区の面積を倍増するという意味なのか、どちらの意味なんでしょうかというのが、まず一つ。
 それから、この保護地域の話をする中に、国立・国定公園の話はよく出てきて、これは国の戦略だからそうなのかもしれませんが、同様に都道府県立自然公園や、あと都道府県の条例等で指定されている保護地域というのも非常に重要な役割を果たすはずで、そういうところの管理強化というのが、逆に手薄になっているような状況も現状としてあると思うので、その辺はきちんと国のほうでも位置づけて書いておく必要はないのだろうかと、これはちょっと意見ですけど、一つです。
 あともう一つは、保護地域、それからOECM以外の場所、例えば都市公園などのその他の法律等で生物多様性の保全の場所としても機能しているような場所は、この中ではどこに位置づけられるんだろうと思うと、主要施策の⑤のところだとは思うんですけど、それはどのように、ネットワークは図るとは書いてありますけど、どのような位置づけをして、この30%という中に組み込むのか、どうするのかと、その辺りはどうなっているのかというのが質問です。
 以上です。
○中静委員長 ありがとうございます。
 では、橋本さん、お願いします。
○橋本委員 ありがとうございます。私は内容というよりは、このロードマップと国家戦略の関係の整理のお願いです。
 一応このロードマップは関係省庁の連絡会議名義で出されるんですけれど、恐らくこれを国家戦略上も位置づけられるんですよね。本当の効力は、国家戦略が閣議決定されてより強くなる可能性がある。逆に言うと、だから、ちゃんとこの両者の関係を整理した上で、ちゃんと調整をしっかりと進めていく必要があるのではないのかなということです。関係する省庁とということですね。後々効果を発揮する、より強い効果を発揮するようになる可能性があることも含めて調整をしたほうがよい。
 4月に出すということを当初目標にされていたんですけれど、場合によっては、国家戦略と合わせて公表するということが調整の万全を期するという意味では適当かと思いました。
 以上です。
○中静委員長 ありがとうございます。
 では、深町さん、お願いします。
○深町委員 ありがとうございます。ちょうどこれに相当するのかなと思うんですが、日本野鳥の会が、KBAというKey Biodiversity Areasというのを指定しているということで、これはたまたま市町村の再生可能エネルギーの開発に関連する審議の中で、野鳥に関連してどういうことに気をつけるかというようなところで出てきたので、私もよく存じてはいなかったんですが、いろんな既にある保護地域だけの議論ですと、非常にもう既に起こっているような開発とかに対応がし切れない部分があって、積極的に今回こういう形で位置づけていくということですが、これに相当するものが、既に民間だとか、文面にもあるんですけれども、ほかの省庁の関連施策として具体的にどういうものがあるのかというリストとか、その特徴とか、そういうのを分析されたりだとか、そういったところがどうなのかというところをお聞きしたいと思います。
○中静委員長 ありがとうございました。
 では、山野さん、お願いします。
○山野委員 すみません。短い質問です。
 6枚目のところで、主要施策と横断的取組の相関というのがあるんですけど、海域OECMの検討が非常に長くて、2028年ぐらいまでとなっているんですけど、これはここを長くしている理由といいますか、どういうステップでやるのかも含め、もしお考えといいますか、想定されることがあれば教えていただければと思います。
 以上です。
○中静委員長 ありがとうございました。
 髙村さん、どうぞ。
○髙村委員 すみません。陸水は、どういう扱いになるのかをちょっとお聞きしておきたいです。日本は、北は北海道から沖縄まで異質な生態系で成り立っているので、バランスよく保全しないといけませんが、数値だけが先に行くということじゃなくて、その辺のバランスとかは、どういうふうに考えていくのかが、ちょっと気になりますので質問しました。
○中静委員長 ありがとうございます。
 事務局、いかがでしょう。今いろいろたくさん質問が出ましたけど、お答えできるようなものだけでも結構ですので、お願いします。
○奥田総括補佐 
 拾い切れていないところもあるんですけど、お話ししていきたいと思います。
 白山委員からいただいたOECMだけで、海の保護区はやらないのかという話ですけど、その後、愛甲先生からもありましたとおり、例えば海域の公園地域の倍増といったようなところも含めて取り組めるところは取り組んでいきたいと考えておりますが、いかんせん、海が広いので、かなり貢献できる部分は、やはりOECMで整理していくのではないかというふうに今のところ考えておりますが、既に保護地域として完成されている部分と重複もあるかもしれませんが、できる部分については、やっていきたいと考えております。
 それから、ポンチ絵の中で蓄積された深海底の炭素貯留、これは議論があるといったご指摘、大変ありがとうございました。強い意志をもってこれを書いているというよりは、そういった部分で少しでもプラスになる部分があるという気持ちで書いておりますが、少し大変議論があるというところであれば、ここに入れておくべきなのかどうかも含めて、ちょっと検討したいというふうに考えております。
 あとすみません、愛甲先生からありました、海域公園地区については、どの部分をやるのかのいうところにつきましては、ごめんなさい、ここは国立公園課にしっかりと聞いてみたいと思いますので、後ほど回答したいと思います。後ほどメールで回答となるかもしれません。恐縮でございます。
 それから、いろいろな制度についてOECMに取り組むことができるのかといったようなところについては、すみません、質問を勘違いしていたら恐縮ですけれども、取組の2の4とか、そういったところも関わってくるのかなと思っておりますし、また、様々な保護、地方公共団体の取組、つくっている条例等も含めて重要だといったところは、10ページの地方公共団体の役割のところでも書かせていただいております。
 それから、深町先生が挙げられていたリストのところこちらはOECMだと理解しておりますが、別途開催しておりまして、先週も本年度最後の開催をしましたOECMの検討会のほうで、いろいろどういったところがあるのかというリストアップもしてやっておりますので、また、情報提供をしたいというふうに考えております。
○中静委員長 以上ですか。
○堀上自然環境計画課長 自然環境計画課長の堀上です。
 山野委員からお話がありました、海域について大分長く時間がかかるじゃないかということにつきましては、まず、海のほうは、基本的な考え方を整理したいと思っています。その上で、具体的にどういう海域でどういうことができるのか、あと、さらに具体的な場所をOECMとしてどう対応していくかというところを検討していくために、長く時間を取っておりますが、そこは整理されれば前倒ししていきたいというふうに考えてございます。
 それから、陸水域はどうなるのかということにつきましては、基本的に、陸域のほうで整理をするということで考えておりますので、保護地域の拡張あるいはOECMの設定ということで考えております。
 以上です。
○中静委員長 橋本さんのご質問だった国家戦略の公表との時期的な関係についてはどうですか。
○奥田総括補佐 ありがとうございます。
 ご指摘の点、確かにおっしゃるとおりだなと思うところもある一方で、この30by30につきましては、昨年のG7で、G7各国はポスト枠組みの策定を待たずに30by30もしっかりやっていくという意思表明をしておりまして、我が国としましては、COP15第2部の策定されるポスト枠組みよりも前にこういったロードマップをぜひ提示して、国際的な議論も後押ししていきたいと考えております。
 ただ、最終的にはご指摘のとおり、国家戦略にも組み込まれていくものと理解しておりますので、関係省庁とよく調整した上で、この取組を発表していきたいと考えておりますし、本日いただいたご意見の中でもロードマップ本体というよりは、国家戦略本体の中にうまく組込みながら、全体としてうまく進むようにやっていきたいと思います。ありがとうございます。
○中静委員長 ありがとうございました。
 時間を過ぎているんですけれども、もう一つ、その他としてジュネーブ会合の報告とがあります。事務局から、時間も過ぎていますので、手短にお願いできますでしょうか。
○中澤室長 ありがとうございます。生物多様性戦略推進室長の中澤です。もう時間も過ぎているということなので、ポイントを絞ってご説明をさせていただきます。
 14日から29日まで、ジュネーブでポスト枠組みを中心としたCOP15の前の最終的な対面の議論の場、補助機関会合で議論が進められています。
 2年ぶりに対面ということで、会議時間だけでなく、すき間を使って、立体的に時間を使って会議本体の裏側で個別のいろいろな打合せをしています。
 特にポスト枠組みについては、これまでの2回の補助機関会合の中で、なるべく野心的なものにしようというような動きがあったのですけど、おわりが見えてきたところで、現実的なところに落ち着かせようといったような議論かなという印象を持っています。
 それに加えて、やはりこれも国際会議の通常のことですけども、では、その資金をどうするかといった問題と、パッケージになった議論が進んでいます。それに加えまして、もうご存じかもしれませんが、デジタルシークエンスインフォメーションという遺伝資源のゲノム情報の利用に関する利益配分というのは、いろいろな決定文章とか、目標にこのDSIを関連づけさせようといった動きがございます。
 ポスト枠組みについて、先ほど行動目標、指標、国家戦略との結びつきもございましたけども、今まさにそういった話が進んでおります。国際的な議論でも進んでおりまして、どの程度の強さで国家戦略に反映させるべきかというところに、やはりいろいろな見解が示めされています。こういった見解も踏まえて、国家戦略をより国際的な努力の積み上げに貢献できるような形でもつくっていくことが必要ではないかなと思っているところでございます。
 時間がないということで、これぐらいにさせていただきますが、今日の国家戦略の小委員会を聞かせていただきまして、日本語での議論はいいなとつくづく思ったところでございます。
 以上でございます。ありがとうございました。
○中静委員長 ありがとうございました。
 ということですが、委員の皆さんのほうから何か特にありますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、本日の議題は以上となりますが、今日やり残した議論、特に第3章の目標とか、第4章及び第2部の行動計画の部分ですね。今後、素案という形で出てくると思いますので、引き続き議論をお願いしたいと思います。
 今日ご意見があった中で、十分にお答えできないものについては、別途対応を事務局からお願いできればと思いますが、その具体的な方法については、事務局と私との相談で決めさせていただければというふうに思います。
 それから、途中からYouTubeでお聞きなっている方には、時々YouTubeが切れてご不便をおかけしたと思いますが、どうもすみませんでした。
 では、今日の議事はこれまでとして進行を事務局にお返しします。
 どうもお疲れさまでした。
○司会 中静委員長、議事進行をありがとうございました。
 また、委員の皆様は活発なご議論をありがとうございました。
 閉会に当たりまして、大臣官房審議官の松本よりご挨拶を申し上げます。
○松本大臣官房審議官 本日は、長時間にわたりご議論いただきまして、今後についての様々な有益なご意見を賜りまして、ありがとうございました。これらを基に引き続きブラッシュアップをさせてまいりたいと考えております。
 次回の小委員会は、6月頃に開催できればと考えてございますので、次回もまたぜひ積極的なご議論を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
 私からは以上です。
○司会 ありがとうございます。
 さきほど松本より申し上げたとおり、次回は6月頃の開催を見込んでおりますが、具体的な日程につきましては、別途調整の上、お知らせしたいと思っております。
 本日は、長時間にわたり、どうもありがとうございました。
午後5時16分 閉会