南極地域の環境の保護に関する小委員会(第2回)議事録

開催日時

令和7年7月23日(火) 9:30~11:30

開催方式

WEB会議形式(YouTubeによるライブ配信)

議事次第

1 開会
2 議事
(1)   環境保護に関する南極条約議定書の附属書Ⅵの締結に向けた担保措置(答申骨子案)について
(2)   その他
3 閉会

議事録

午前9時30分 開会
○司会 定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会自然環境部会第2回南極地域の環境の保護に関する小委員会を開会いたします。
 本日はお忙しい中、ご出席いただきありがとうございます。
 本委員会につきましては、中央環境審議会自然環境部会(第49回)にて設置が決定され、同自然環境部会長からご指名いただきました9名の方に委員をお願いしております。
 本委員会の委員長につきましては、中央環境審議会議事運営規則第8条第3項に基づき、自然環境部会長よりご指名いただきました髙村ゆかり委員にお願いしております。
 また、本日の委員会には8名の委員にご出席いただいております。このうち、定足数の対象となる委員・臨時委員3名中、ウェブ会議システムでの参加を含めて3名がご出席され、定足数を満たしていますので、本委員会は成立しています。
 本日の会議運営について、ご説明いたします。
 本委員会の様子はYouTubeチャンネルによりライブ配信を行っておりますので、ご了承ください。
 本日、オンラインでご参加の委員の皆様におかれましては、マイク、ビデオは各自ご発言の際のみオンとするようお願いいたします。また、ご発言の際はチャット欄に書き込みいただき、ご発言する旨をお知らせください。委員長からのご指名後、マイクのミュートを解除していただき、議事録の円滑な記録のため、お名前をおっしゃってからご発言いただきますようお願いいたします。なお、挙手ボタンは気がつかないこともございますので、挙手ボタンは使用せず、チャット欄をご活用いただければ幸いです。
 本日、会議室でご参加の委員の皆様におかれましては、ご発言の際は名札を机の上に立てていただき、委員長からのご指名後、マイクをオンにしてご発言ください。発言終了後はマイクをオフにしていただくようお願いいたします。
 本日ご説明する資料につきましては、委員の皆様には事前に電子データにて送付しております。本日は事務局が画面上に資料を投影し進行いたしますので、お送りした資料は必要に応じ、お手元でご参照いただきますようお願いいたします。
 傍聴されている方につきましては、本日の資料を環境省ホームページの南極地域の環境の保護に関する小委員会のページにアップロードしますので、そちらをご確認いただきますようお願いいたします。
 それでは、自然環境局長の堀上よりご挨拶申し上げます。
○堀上自然環境局長 皆さん、おはようございます。7月1日付で自然環境局長を拝命いたしました堀上です。どうぞよろしくお願いいたします。
 委員の皆様方、ご多用のところご出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
 この小委員会ですが、環境保護に関する南極条約議定書附属書Ⅵの締結に向けた担保措置を審議する目的で設置をしてございます。前回、2月に開催をいたしました第1回小委員会におきまして、担保措置の必要性についてご了解をいただいたというふうに認識をしておりますが、前回の小委員会でいただきましたいろいろなご意見を踏まえまして、さらに関係省庁の意見も聞きながら、担保措置の具体的な内容についての検討を進めているところでございます。本日は、その状況についてご説明をし、答申の素案に結びつくような内容をご説明したいと思っております。
 ご承知のことと思いますが、去る6月24日から7月3日にかけまして、第47回南極条約協議国会議がイタリアのミラノで開催されました。特に附属書Ⅵにつきまして、発効に向けた議論もあったと聞いておりまして、締結済みの複数の協議国からは、早く各国が締結してほしいという声があり、強い期待が示されたところでございます。
 来年5月には広島でということで、もう1年を切りましたので、だんだん時間がなくなってまいりました。また、前回のご意見でもあったと思いますが、南極での観光活動がかなり活発になってきていて、日本国籍の船も、これから出るのではないかというような話もあったと聞いておりますので、そういう中で、この担保措置を我が国の法体系と整合性を保ちながら、実効性のある形で構築をしていければと思っておりますので、委員の先生方におきましては、忌憚のないご意見、ご議論をいただきますようお願いいたしまして、私の冒頭のご挨拶といたします。
 本日は、どうぞよろしくお願いします。
○司会 7月1日付で人事異動がございましたので、本日出席の幹部をご紹介いたします。
 大臣官房審議官の大井です。
 総務課長の近藤です。
 自然環境計画課長の西村です。
 続きまして、委員の皆様をご紹介いたします。本日は時間が限られることから、事務局より委員、臨時委員、専門委員の順に、お名前のみご紹介いたします。
 大塚直委員、大久保規子臨時委員、髙村ゆかり臨時委員、岡松暁子専門委員、白山義久専門委員、西本健太郎専門委員、原田尚美専門委員、宮本将鷹専門委員、渡邉研太郎専門委員、以上です。
 なお、宮本委員は、本日はご欠席です。
 それでは、ここからの議事進行につきましては、髙村委員長にお願いいたします。
○髙村委員長 皆様、おはようございます。本日の会合開催に当たりまして、一言、ご挨拶申し上げます。
 前回、南極条約環境保護議定書の附属書Ⅵの締結に向けて、非常に活発な議論をいただいて、それを受けて、事務局のところで具体的な担保措置の方向性について本日提案をしていただくということであります。
 既に前回、大変活発なと申し上げましたが、貴重な意見もいただいておりまして、先生方から改めて、その観点からも、今回提案の担保措置について、忌憚のないご意見をいただければと思っております。
 会議録については、後ほど事務局で作成をいたしまして、本日ご出席の委員のご了承をいただいた上で公開することとなります。
 また、会議資料につきましては、既に環境省のホームページにおいて公開をしております。
 それでは、早速ですけど、本日の議事に入ってまいります。
 本日の議事でございますけれども、まず最初に、環境保護に関する南極条約議定書の附属書Ⅵの締結に向けた担保措置(答申素案)について議論をしてまいりたいと思います。
 こちらについて、非常に内容も多岐にわたっておりますので、委員の皆様には、机上配付あるいは事前に配付をしております議事の進め方に記載をしておりますように、三つに大きく分けて議事を進めてまいりたいと思います。
 一つ、答申素案の構成、それから答申素案の別添資料、ここでいきますと別添1-1から3-2までを事務局から10分程度でご説明をいただいた上で、特に「環境上の緊急事態」の判断及びその後の対応フローを主な議論の論点として、先生方にご意見をいただきたいというふうに思っております。
 その後、別添3-3から別添3-7まで、こちらは主宰者が対応措置をとらなかった場合の主宰者に係る責任に関わりまして、その論点を中心にご説明を事務局からいただいた上で、先生方はよくご存じだと思いますが、その責任の類型、A類型、B類型、C類型とございますけれども、この対応方針について、中心的に議論をいただきたいと思っております。
 最後に、別添3-8の金銭上の保証について、こちらも事務局から10分程度でご説明をいただきたいと思いますけれども、この金銭上の保証について、最後、第3パートとして議論をしてまいりたいと思います。
 大筋、こうした進め方で進めてまいりたいと思いますけれども、特にご異論がなければ、早速ですけれども、事務局から、最初のパートでありますが、答申素案の構成、それから別添資料1から1-3の、それから別添資料3から2までのところ、こちらについてご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○自然環境計画課課長補佐 それでは、自然環境計画課、桝のほうからご説明をさせていただきます。
 資料1をご覧ください。
 今回の小委員会の目的は、附属書Ⅵの締結に向けた担保措置について答申をいただくということで、ちょっと用語の混乱がありますが、答申の「骨子案」をお示ししていて、そのようなタイトルにさせていただきました。
 下に通し番号のページが書いてございまして、めくっていただいて2ページが目次、3ページ以降が本文のイメージとなっております。
 主要な論点について項目立てをしておりまして、この主要な論点ごとの対応案について、パワーポイントの資料を作成しておりまして、今回、小委員会でそのご説明をさせていただきまして、今回の議論の結果を反映したものを文章化して、答申案を作成する予定です。
 通し番号の3ページから5ページ、内容を見ていただくと、ここに書いてある文章自体の記載内容そのものには、まだ中身がなく、事実上項目立てのみであることから、「素案」ということではなく、すみません、「骨子案」とさせていただきました。訂正をさせていただきます。
 6ページ以降をご覧ください。今度、横の資料になります。横書きのパワーポイントの資料で説明をさせていただきます。
 答申の骨子案の「はじめに」に相当する部分ですけれども、南極条約、環境保護議定書、さらに、ページをめくっていただきまして、以降、南極条約協議国会議のこと、南極環境保護法の概要、そして附属書Ⅵの作成の経緯として、南極地域における観光及び非政府活動の増加が背景としてあることなどを含め、前回の小委員会の資料を基に記載をしているところでございます。
 続きまして、ページをめくりまして、19ページに参ります。19ページに附属書Ⅵの概要を記載してございます。前回の小委員会でお示ししたとおり、その内容を箇条書で示しているというものです。
 次の20ページをご覧いただきたいと思います。「環境上の緊急事態」の発生から、対応措置の実施、費用支払いのABCの類型に至るまでの動きに着目しまして、附属書Ⅵの概要を図の形式でまとめ直しておりますので、こちらもご確認いただきたいと思います。
 続きまして、21ページです。21ページでは、附属書Ⅵの締結状況、全28の協議国の締結が必要なところ、現在、日本を含む9か国が未締結であるという状況を説明してございます。
 めくっていただいて、22ページ以降、こちらは他の締約国の国内担保措置に係る法律の概要を記載しております。参考ですけれども、資料として続いてございます。
 28ページまで行っていただきたいと思います。附属書Ⅵを締結する必要性についてということです。こちらも改めてご説明をさせていただきますが、観光活動の増加により環境に重大で有害な影響を与えるような事故が発生する懸念が高まっている中、南極地域の原生的な自然を保護すること、そのことにより、地球環境の保全にも役に立つ科学的調査を実施し続けることができるというような、そういう価値を維持する必要がありまして、そのために日本としても、こうした事故の未然の防止、対応措置の実施をしっかりと確保することによって、南極地域の環境の保護に関する国際協力を進める必要がございます。また、来年2026年に広島で開催され、日本がホストをする南極条約協議国会議までに、締結の見通しを立てる必要がございます。
 このような締結の必要性と、それを受けて、南極環境保護法により国内担保をするということについて、この審議会から最終的に答申をいただきたいというふうに考えておりますので、ご検討を改めてよろしくお願いしたいと考えております。
 続きまして、附属書Ⅵの適用範囲についてです。29ページに、附属書Ⅵの適用範囲を記載してございます。緑枠の中は原文を引用したものです。
 次、30ページの図、こちらでは、南極条約7条5の通告対象に関する公海自由の原則を踏まえた日本の解釈を基にしまして、南極の環境保護議定書と、議定書を実行するための南極環境保護法の対象が定められているという、こうした全体像が記載をされております。
 附属書Ⅵについては、上陸を伴わない海域を航行する観光船についても、明示的に「適用範囲に含まれる」とされているため、これに対応する必要がございます。
 一方で、前回の小委員会でも各委員の皆様から、観光船とか、そういった船舶や、それ以外の船舶に関しても、油流出事故などの「環境上の緊急事態」が生じるようなリスクというのは同じではないかというような観点から、南極条約7条5の通告対象についても、ご意見をいただいたところです。
 これに関しては、関係省庁間で意見交換を進めているというところですので、こちらは、結果が出ましたらご報告させていただきたいと考えております。
 次、31ページです。「環境上の緊急事態」が発生したときの対応フローに参ります。
 1点、31ページの下に留意事項を記載しておりまして、本資料では「環境上の緊急事態」に【仮】と括弧をつけてございます。法律にこれから位置づけるということを考えていくのですけれども、その用語についても、ほかの法律で用いられているような用語と整合していたり、並びが取られたりする必要があります。附属書Ⅵに規定するenvironmental emergencyと、これを南極環境保護法に規定する場合は、これと全く同じ意味であるということにするのですけれども、ほかの法律との整合や並びを検討した結果次第では、用語が少し異なってくる場合もありますので、この点は、ご承知おきいただければと思います。
 さて、国内担保を考える場合、「環境上の緊急事態」が発生し、対応措置を行い、費用の支払責任が完了するまでの仕組み、これを実効性のあるものにしていく必要があります。こうした考えの下、現在考えている仕組みを32ページのほうに対応フローの形式で示しております。
 まず、「環境上の緊急事態」の発生は、現場で主宰者が自分たちだけで判断するのは極めて困難であると考えられますので、それよりも幅の広い、「環境に影響のある偶然の事故」が発生をした場合に、環境大臣に通報いただき、その内容を基に、環境大臣が「環境上の緊急事態」に該当するか否かを判断するということを出発点にしたいと考えております。
 その後、「環境上の緊急事態」に該当しないと判断された場合であっても、現地では南極の環境に対する一定の影響が生じているということには違いございませんので、環境影響を除去するための行為を実施していただくということになります。
 一方、「環境上の緊急事態」に該当するというふうに判断された場合は、主宰者自らが対応措置をとった場合は、そこで対応が終了いたしますが、対応措置がとられなかった場合は、環境大臣の措置命令を経て、環境省自らが対応措置をとり、要した費用を主宰者から徴収をして費用支払責任が完了することになります。
 また、日本の主宰者が「環境上の緊急事態」を生じさせた場合、近くに関係行政機関の所管する船舶がいた場合などは、要請を行いまして、同意が得られた場合には、対応措置の実施をし、その費用を負担金として徴収することができるという案にしてございます。
 主宰者自らも国も対応措置をとれない場合は、念のため、近隣に基地を有する他の締約国に対応措置をとる意思があるかを確認した上で、いずれの国も対応措置をとらない場合に、とられるべきであった対応措置の費用を支払うという、C類型の費用支払になります。
 続きまして、34ページのほうのB類型と右肩に書いてあるところのフローをご覧ください。他の締約国が、附属書Ⅵの第5条3に基づきまして、対応措置をとることを希望するという通告があった場合です。
 先ほど説明を申し上げましたA類型のフローにおきまして、環境大臣が「環境上の緊急事態」に該当すると判断する前に通告が来てしまった場合もあると考えられますけれども、まず、最初に「環境上の緊急事態」に該当するのかという判断を環境大臣のほうで行う必要があります。
 「環境上の緊急事態」、これに該当すると判断する場合は、環境大臣から主宰者に、他の締約国から対応措置をしたいという希望があるので、受け入れるかどうか主宰者に確認をとることになると考えます。これで受け入れるという場合は、他の締約国が単独で、あるいは他の締約国と共同で対応措置をとるということになります。こうした共同で実施する場合は、あらかじめ費用分担や役割分担を考え、事前に協議をして、措置をとるということが重要であると考えております。
 対応措置終了後は、他の締約国が日本の裁判所に訴えを起こすことにより請求を行うことができます。もちろん、相互納得の下、任意で支払うことも考えられます。これらにより、費用の支払責任のB類型が完了することになります。
 一方、他の締約国と「環境上の緊急事態」に該当するのかどうかの判断が食い違う場合や、他の締約国から対応措置をとる希望の通告があった場合に、主宰者が受け入れたくないという場合、こういった、ちょっと特殊な場合もあるかと思うのですけれども、そうした場合については、法律よりもガイドラインにおいて、どういう対応をしたらいいのかというのを記載しまして、附属書Ⅵという仕組みの範囲外で、個別に他の締約国と相談をしていくということになろうかな考えております。
 続きまして、36ページに参ります。日本船舶が「環境上の緊急事態」を生じさせた場合の対応ということです。
 日本船舶に対しましては、海洋汚染防止法というものが既に適用されておりまして、大量の油及び有害液体物質の排出のときには、通報する、応急措置をとる、防除措置をするという義務がございます。また、海洋環境の保全に著しい障害を及ぼすような廃棄物の排出事故、沈没、乗り上げ事故の場合は、措置命令がかかるということになってございます。これらの対応がとられることによって、結果として「環境上の緊急事態」への対応が実施されたことになるという整理をしたいと考えております。
 この場合ですけれども、次の37ページのフローに参りまして、これらの対応が行われることになる場合であって、主宰者が環境大臣に通報した場合は、南極環境保護法を適用除外として、対応の重複を避けることにしたいと考えております。
 それ以外の事故の場合は、38ページですけれども、原則として、「環境上の緊急事態」が生じるような状況にはないというふうに考えられるけれども、現地での環境への影響は一定程度はあるということですので、これについては南極環境保護法に基づいて対応するということになります。
 また、非常に例外的ではあると思っているのですけれども、容器入りの有害液体物質や、有害かどうかまだ分からないという未査定の液体物質が、南極での脆弱な場所で大量に排出された場合など、「環境上の緊急事態」に該当するような事態が全くないとは言い切れないため、仮にこうしたケースが生じた場合には、先ほど説明をした「環境上の緊急事態」のA類型のフローで対応することになるかなと考えてございます。
 以上、答申の骨子案の構成から、主な論点である「環境上の緊急事態」の判断及びその後の対応フローについて、ご説明をさせていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
○髙村委員長 ありがとうございます。
 先ほど、すみません、私のほうも議事のほうは正確に読んだのですが、答申骨子案ということで今議論をいただいております。
 ただいま事務局から、パート1といいましょうか、最初の1群についてご提案をいただきました。特にスライドでいくと別添3-2の31、32辺り以降のところかと思いますけれども、「環境上の緊急事態」の定義と発生時の対応フローといったところを中心に、しかし、全体の骨子案の構成等も含めて、ご質問、ご意見がございましたら、委員からいただければと思います。
 先ほど事務局からもありましたけれども、会場にいらっしゃる委員につきましては、名札を立ててお知らせいただければと思います。あるいはオンライン参加の委員がいらっしゃいますけれども、Teamsのチャットの機能を使っていただければと思います。もしチャットがうまく使えないときには、手挙げ機能を使っていただければと思います。
 それでは、ご質問やご発言、ご希望ございましたら、お願いできればと思います。
 いかがでしょうか。事務局の提案、大変詳細な検討をしていただいているように拝見できますけれど、もしご発言、ご質問ございましたら、お願いできればと思います。委員以外で、関係省庁あるいは極地研からもご出席いただいていると思いますけれども、もしご発言ご希望がありましたら、同様にお願いできればと思います。
 事務局の提案がパーフェクトなのかもしれませんけど、もしご質問があればお願いできれば。ご質問、ご意見があればお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。全体にもちろん関わりますので、次の責任に関わる議論の中で、改めて書いていただいても結構ですけれども、もし今ご発言ご希望があればとりたいと思いますけれども。よろしゅうございますか。
 さっき申し上げましたように、この後の骨子案の内容とも当然関わってまいりますので、そこの議論と関連して、思い起こされることがありましたら、ご発言、遠慮なくいただければと思います。
 私自身、一つ申し上げると、環境大臣への通報を法令において担保するというのは、非常に重要だと思っていまして、「環境上の緊急事態」かどうかの判断を必ずしも主宰者が適切にし得るかどうかということも含めてですけれども、仮に「環境上の緊急事態」に達しない、結果的には達しない、該当しないかもしれないものでも、環境大臣がしっかり把握をして、対応を促進するというのは、南極の環境保護の上でも重要だと思います。そういう意味で、事前に、できるだけ早いタイミングで、こうした偶発的な事態、事故について、国が了知をするというのは、その後、「環境上の緊急事態」に該当する場合には、当然国の義務も附属書上発生をするので、その意味でも、この仕組みを法令上定めていただくというのは非常に重要かと思っています。
 若干時間をかせいでいますが、ほかにもしご発言ご希望ありましたら、いかがでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、白山先生、ご発言をお願いできればと思います。
○白山専門委員 白山でございます。ウェブ参加で失礼いたします。
 今の説明で、A類型なりで、措置が終わって、環境大臣に完了の報告が行われるわけですが、その措置と完了の内容が不十分であるということがあり得ると思うのですが、そのような場合のループバックというか、もう一度やり直しなさいとか、そういう事態の想定については、どういうような仕組みをお考えか教えてください。
○髙村委員長 ありがとうございます。
 今、非常に具体的なご質問だと思いますけれども、事務局からお答えいただいてもよろしいですか。お願いします。
○自然環境計画課課長補佐 白山先生、ありがとうございます。
 対応措置の義務がかかり、措置がとられるものの、それが不十分であると。あるいは、それは別のもう一つのラインとして、措置命令がかかった場合も同様かなと思います。法律では多分、義務とか命令とかしか書かないと思うのですけれども、実態としては、連絡調整を密にしながら、現状把握をしながら、現場と調整しながらやっていくことになると思います。その上で、明らかに未了なのに、終わりましたみたいな感じで報告しようとしてきたら、そこはやっぱり対応措置の義務が完了していないとか、命令した措置がまだ完了していないというような立場になろうかと思いますので、それはしっかりと指導して、こういう、終わっているような水準と認められるまで、しっかりとやらないと、対応措置義務が果たされない、命令が果たされないんだということを先方に伝えて、最後までやり切るというふうに、実態として調整をしていくのかなと思います。
○白山専門委員 ありがとうございました。
○髙村委員長 ありがとうございます。
 ほかにご発言ご希望の委員、あるいはオブザーバーでご出席の皆様はいらっしゃいますでしょうか。
 ありがとうございます。オンラインでご出席の大久保委員、お願いいたします。
○大久保臨時委員 ありがとうございます。
 今の同じパワーポイントのページを画面上に出していただけるとありがたいと思います。ありがとうございます。先ほどのご質問とも関連して、かなり事前説明のときに詳しく申し上げましたので、念のための確認なのですけれども、この緊急事態に該当する場合、該当しない場合、かなり詳しく整理していただいているのですけれども、該当する場合には迅速かつ効果的な対応措置義務となっていて、左側の該当しない場合には完了報告にだけ義務と入っているのですけれども、こちらの場合にも、措置をとらない場合には、基本的に代執行がかかる可能性があるわけですので、環境影響を除去するための行為というのは、これは義務という文言が入るという理解でよろしいのかということと、それから、内容ですけれども、措置の内容をどのように明確化するのかということについて、確認的ですが、ご説明をいただければと思います。
○髙村委員長 ありがとうございます。
 それでは、事務局からお答えをいただければと思います。
○自然環境計画課課長補佐 ありがとうございます。
 「環境上の緊急事態」に該当しなかった、しないというふうに判断した場合の対応ですけれども、先生に先ほどおっしゃっていただいたとおり、資料上では、環境影響を除去するための行為を確認の適用除外として、実施した場合は遅滞なく報告をするという形にしています。ここを義務という形で、除去するための行為そのものを義務にしていないということに関しては、対応がどうしても技術的に困難な場合、対応措置をとることによって、二次災害や命の危険というのを生じてしまう場合というのも十分に考えられますので、そういうことを考慮しています。
 左のラインに、やむを得ない事情がある以外の場合には、措置命令などをかけるというふうになっております。そこでちょっと、先生のおっしゃったところを担保というか、対応したいなというふうに思っているのですけれども、技術的に困難でもなく、二次災害とか命の危険もないのに、ちょっと言葉は悪いですが、さぼってやっていないみたいな、そういう場合に関しては、既存の、今の現行法で書いてあるような措置命令をかけるというようなところ、そうしたことを対応するというところで、二次災害とか命の危険とかというのも考慮した形でも、しっかりと最後までやり切ってもらうというような、そこら辺を全部折衷した形の仕組みづくりというのを考えてみたところでございます。
○大久保臨時委員 ありがとうございます。
 恐らくは、基本的には義務があって、ただし、やむを得ない事由がある場合を除くというような法文のたてつけになるのではないかと思いますが、そうでないと、なかなか、緊急事態に該当しない場合に、左の確認の適用除外の自主的な措置というものが、どういうふうに法文上位置づけられるのかなというのが、ややイメージがしにくいということでございます。
 ご回答を聞くと、そういうことを勘案してたてつけを考えるということですので、大丈夫だとは思うのですけれども、やむを得ない事由がある以外の場合等というのは、直で緑の線が措置命令のほうに下りてくると、両者の関係が分かりにくいのかなと思った次第です。確認です。
 以上です。
○髙村委員長 ありがとうございます。
 事務局、お願いいたします。
○自然環境計画課課長補佐 ご指摘ありがとうございます。
 ここの部分は、附属書Ⅵの対応というよりも、それ以上のというか、丁寧に、より環境をよくする、南極の環境を重視するような、我々の法律としての対応なのかなとちょっと思っているところです。それをどういうふうにうまく機能させるのか、現状の今の考え方ということだと、本当に意図しているところがうまくいくのかどうかというところのご指摘だと思いますので、冒頭に、やっぱり環境影響を除去するための行為というふうに書いてある部分に、ここはやっぱり義務という形にしたほうがいいのかどうかというところに関しては、ご指摘を踏まえて、うまくワークするのが一番いいと思いますので、どうするか、そこは宿題というか、検討を重ねていきたいというふうに思います。
 ということで、この場ですぐ答えは出ないのですけれども、いただいたご指摘ということで、これから検討していきたいと思います。
 以上です。
○髙村委員長 ありがとうございます。
 大久保委員、よろしいでしょうか。
○大久保臨時委員 結構です。ありがとうございます。
○髙村委員長 ありがとうございます
 今、事務局からもありましたように、この部分は、附属書の担保というよりはと言っていいのでしょうか、「環境上の緊急事態」に該当しない場合でも、生じた環境影響についての対応について定めようと。国内、南極法においてですね。恐らく大久保委員のご懸念の点というのは、最終的に措置命令を出すに当たっても、どこまでこの主宰者が対応をとるのかということと同時に、それが義務であるということが恐らく明確でないといけないというご趣旨ではないかと思います。もちろん、一定のやむを得ない事情において、義務の免除ということがあり得るということでもあると思うので、ここはまた、今、大久保委員のご質問を受けて、事務局で検討いただければというふうに思います。
 それでは、会場でご出席の西本委員、お願いできますでしょうか。
○西本専門委員 ありがとうございます。
 資料で言いますと、36ページの整理の趣旨について、ご確認をお願いしたいとのですけれども、「偶然の事故」という附属書Ⅵ上の概念と、日本の海防法の各規定との関係等について整理されたものと理解をしているのですけれども、議定書の附属書上の「環境上の緊急事態」の定義、2条の(b)にありますが、そこでは「偶然の事故」ということで、また、南極の環境に対して重大かつ有害な影響を及ぼし、また及ぼすおそれがあるものということで、南極の環境に対する重大かつ有害な影響というのは、かなり広範な概念ではないかというふうに思われます。その一方で、海防法は基本的に物質あるいは物体の海洋環境への放出、要は海洋汚染による環境に対する有害な影響を念頭に置いているものだと思います。
 ですので、ここでの整理の趣旨として、海洋汚染ではないタイプの南極の環境に対する重大かつ有害な影響というものを、もうそこは考えないという趣旨であるのか、あるいは、そういうことでは必ずしもなくて、むしろ、「偶然の事故」の対応フローを考える上で、日本の国内法としては海防法の各規定があるので、そこはどう対応するのかという整理の前提として、こういう図を描いていらっしゃるのか。36ページでは「偶然の事故」という大きな枠があって、そこを海防法の切り口から切っているようにも見えるので、どういうものがあるのかという問題はあるかと思うのですけれども、何か物質・物体が放出されるというタイプのいわゆる汚染の発生によらない、例えば生息種の攪乱とか、そういうタイプの有害な影響というのは考えられると思うので、そういったものがここの整理のどこに入るのかという、その辺りをご確認いただければと思いました。
 以上です。
○髙村委員長 それでは、事務局からお願いいたします。
○自然環境計画課課長補佐 ありがとうございます。
 まず、ちょっとお答えになるかどうかはあれなのですけど、ご説明をさせていただきたいなと思うのですけれども、重大かつ有害な影響ということ、附属書Ⅵに規定するものですけれども、これはかなり、定義は実は附属書Ⅵ上にはないのですけれども、この交渉の過程で、例えば1999年のことだったと思うのですけれども、どういうものが重大で有害な影響かというようなことが議論、協議国会議でなされたことがありまして、そこで、例えば油の流出とかの場合に関しては、油の流出が、単に油が出たとかということでだけではなくて、野生生物に重大な影響があるような、そこまでひどいような場合に関しては、重大で有害な影響だというようなことである一方、単に海氷、海の氷の上に油が排出されたというような場合は、そこまで重大な影響ではない、かつ有害な影響ではないというような議論がなされて、そういうところに関して異論がなかったという経緯があります。「環境上の緊急事態」というのは、このようなレベル感というか、各国の認識、共通認識があるというようなところの前提で考えていく必要があるかなと思います。
 一方で、そういうことは念頭に置きながら、海洋汚染防止法というのを見ていきますと、36ページの図にあるような形なのですけれども、そこに、①に大量の油及び有害液体物質の排出事故というふうなことがあるのですけれども、これは例えば油が排出をされて、1万平米を超えるような広がりを見せたというようなときに、通報するというような形になります。ですので、例えば南極でも、氷に閉じたような場所で、例えばそういう油が1万平米以上に広がるようになってしまったら、それは海洋汚染防止法上では通報とかの義務とか、いろいろあるわけですけれども、明らかに防除の必要はあるのですけれども、南極の附属書Ⅵの中では、重大かつ有害な影響ではないというふうなことが考えられるというような、そういう事態になります。そのために、「環境上の緊急事態」というようなもので、肌色の色づけをしているのですけれども、これが海洋汚染防止法上でとらなければならない対応措置の内側に入ってくるというような、少し狭いというような位置づけ、整理にしているという背景がございます。
 まず、そういう位置づけになっているというところで、ご理解をいただきたいなというふうに思っているところです。
○西本専門委員 ありがとうございました。
 となりますと、やはり基本的に、この「偶然の事故」の概念には海洋汚染しか入らないと。そのうち、重大なものを「環境上の緊急事態」というふうに見ていらっしゃると。それはやはり現実的な想定として、海洋汚染以外で、それだけ重大な影響が生じるものは基本的にはあまり考えにくいからという、そういう整理でよろしいのでしょうか。
○髙村委員長 事務局、お願いいたします。
○自然環境計画課課長補佐 失礼しました。海洋汚染防止法と申し上げたのは、海の、船舶から起因する場合というようなところの場合には、日本の国内法として海洋汚染防止法があるので、それが適用されるということをご説明しました。
 一方で、陸のほうにおいても、「環境上の緊急事態」というのは、それは一応あり得る話でして、例えば、なかなか事故例はないと思うのですけれども、大きな飛行機が何十万羽もいるようなペンギンのルッカリーに墜落して、周辺に廃棄物的なものが飛び散り、かつペンギンなどの野生動物が大量に死傷するなどの重大な影響が出るとか、そういったこともあり得るかなというふうに思います。海と陸に限らず、両方、「環境上の緊急事態」が起こるというような可能性があると。
 そういう中で、海の部分に関しては、当然、起こり得るのですけれども、その中で、船舶に起因する油の流出などに関しては、海洋汚染防止法というもので対応し得るというような、そういう構造というか、関係になっているというような理解でございます。
 以上です。
○髙村委員長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 こちらの特に船舶に起因をする「環境上の緊急事態」について、とりわけ日本国籍のといいましょうか、日本船籍の船舶を想定したときに、海防法との調整が必要だというための前提で整理をされているところだと思います。
 これ、申し訳ありません、私、海防法の詳細な規定を今確認しないで発言いたしますけど、先ほどの西本先生のご発言を伺うと、場合によっては、海防法での対応のスコープに入ってこないものが、南極の責任附属書上の「環境上の緊急事態」に該当し得るケースもあり得るということも含意されていたようにも思っていまして、その際には、例えば37ページのところでいくと、実際上、海防法と、それから南極法と、国交省さんと環境省さんで連携をしながら、うまく対応することを想定されているのだと思いますけれども、そういうケースもあり得るということは前提になっているということでいいのでしょうかね。
 ありがとうございます。事務局、お願いいたします。
○自然環境計画課課長補佐 ありがとうございます。
 船舶から起因する事故については、やっぱり大量の油とか、そういうところが中心なのかなというふうに思いまして、今、この場で、海関係で、どういう「環境上の緊急事態」に該当するけれども、海洋汚染防止法とは関係ないみたいなようなことが起こるのかというのは、正直思いつかないところです。
 そういう場合がもしあるとしたら、こちらは38ページのほうのフローに行っていただきたいと思うのですけれども、油とか、それ以外の事故の、一見すると該当する可能性が低い事故ということで、容器入りの有害液体物質、未査定液体物質と書いてあります。それ以外の事故というのも書いてございまして、それでも、とにかく事故が起きれば、環境省にも通報していただいて、そこに基づく環境大臣の判断のところで、その右側にちょこっと、「極めて稀であると考えられるが」と、横に出る部分がありまして、我々が今思いつかないような、海関係の事故で非常に重大なものというものがもし仮にあるとしたら、それはそれで、「環境上の緊急事態」に該当するというふうに判断をされれば、それはA類型のフローに移行して対応するということになるかなと思います。一応、何が起こるか分からないので、そのような仕組みも考えているというところでございます。
○髙村委員長 よろしいですか。
 西本委員、お願いいたします。
○西本専門委員 すみません。今ご説明いただいたところを確認したかったというだけの質問でした。36ページの資料が、偶然の事故という議定書上の概念を全て海防法で切っていて、それ以外のものが入っていないようにも捉えられかねない図になっていたので、そういうことではなくてということだったと思いますので、ありがとうございました。
○髙村委員長 ありがとうございます。
 ほかに委員からご発言、ご質問ございましたらお願いいたします。オブザーバーでご出席の先生方も、ご発言ご希望ありましたら、教えていただければと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、先ほど申し上げましたけれども、ここの部分、この後の責任の類型とも関わってくるところ、多分にございますので、もし、その議論に伴って思い起こされたことがありましたら、遠慮なくご発言いただければと思います。
 それでは、2番目のパートに移ってまいりたいと思いますけれども、資料1の中の別添3-3、それから別添3-7までの対応措置を主宰者がとらない場合の責任の問題について、こちらを中心に事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○自然環境計画課課長補佐 続きまして、別添3-3の44ページ、こちらをご覧いただきたいと思います。附属書Ⅵにより、主宰者に対して義務づけることとされている防止措置と緊急時計画についてです。
 この二つにつきましては、南極環境保護法の確認申請に必要な書類として位置づけまして、技術上の基準に適合する場合に、確認を受けることができるという対応を考えてございます。
 46ページをめくっていただきまして、こちらの表に、防止措置に含めることになる項目事項、47ページには、緊急時計画に含める事項を整理して記載をしております。例えば日本船舶では油濁防止緊急措置手引書が海洋汚染防止法に基づきつくられることになっておるのですけれども、併せてまた、例えば基地の運営ということに関しましては、南極観測実施責任者評議会、COMNAPという国際的な組織があるのですけれども、こちらが定めた燃料マニュアルに基づきまして、緊急時計画を策定しているというところです。こうした既存のもので対応できる場合は、それらを参照したり、引用したりすることによって、記載内容の合理化をしたり、同一の事態について、複数の取扱いが生じることにより混乱したりするということがないように、そういうことを防ぎたいと考えてございます。
 続きまして、51ページに参ります。こちらは迅速かつ効果的な対応措置の実施についてということですけれども、先ほどご説明をしたフローを文字にしたという形のものになりますので、飛ばさせていただきます。
 そのまま55ページに参りまして、これ以降が、附属書Ⅵ第6条に規定する費用支払責任のABCの類型に関する事項です。
 A類型に関しては、措置命令によっても主宰者により対応措置がとられない場合に、環境大臣が対応措置をとることができるということを南極環境保護法に規定したいというふうに考えております。
 ここで、次の56ページ、論点1というふうに書いた部分ですけれども、既に行政代執行法に代執行できるというような規定がありますので、そちらの規定に委ねないのかという点について検討をいたしました。
 行政代執行法によるということにしますと、相当の履行期限を定めた戒告を行う必要があるということ、その後に、代執行の行実施前に見積額を明らかにする必要があるなど、時間を要する仕組みとなっておりますので、早急な対応が求められる「環境上の緊急事態」への対応としては、ふさわしくないと考えております。
 海洋汚染防止法においては、例えば防除措置の実施が海洋汚染防止法という法律に規定を直接されていることも参考にしながら、南極環境保護法に直接、環境大臣が対応措置をとることができるということを規定したいというふうに考えております。
 続きまして、57ページですが、こちらがB類型についてです。他の締約国が対応措置をとった場合に、「環境上の緊急事態」を生じさせた主宰者が対応措置の費用を支払う責任を負い、これが無過失責任であるということ、これについての国内の担保の方法です。
 こちらは実体上の根拠づけを行うということですけれども、つまり南極環境保護法において締約国が費用支払を請求できるという権利を設定すると。その請求は、主宰者の故意または過失は請求権の発生要件にしないということを規定するということによって担保したいというふうに考えております。
 59ページをめくっていただきまして、論点2と書いてあるところをご覧ください。
 過去の検討におきまして、対応措置費用を損害とみなして、その費用支払責任を不法行為責任ということで位置づけるという検討もありました。
 しかし、他の締約国が対応措置をとることについては、附属書Ⅵにおいて「奨励される」と規定をされまして、任意性がありますので、これを「不法行為責任」ということにしてしまうと、両者に論理的な整合性がつかなくなってしまうという問題がございますため、南極環境保護法において独自に規定する支払請求権であるということといたします。
 このように、一定の措置の費用について支払いの請求権を定めているということの例としまして、商法第805条の特別補償料の支払いというものが類似例としてございます。こちらは、ある民間企業が、別の民間企業の起こした海難事故によって生じた海洋汚染について、防止や軽減の措置をとった場合、その措置の費用の支払いを特別補償料として請求できるというものです。
 続きまして、費用の支払いの期限の話ですけれども、「対応措置の開始の日から3年」または「主宰者を知った日または合理的に知っているべきであった日から3年」のどちらか遅いほうまでに行うということとされております。こちらは、すみません、60ページを見ていただいて、下のところに図化をしておりますけれども、こうしたどちらか遅いほうに行うように、附属書Ⅵでは各締約国に求めているということです。このことを反映させた権利の消滅期間というのを、南極環境保護法において定めるということにしたいと思います。
 C類型に行く前に、同じくB類型の関係で、裁判の管轄についてということで、一旦、すみません、71ページまで飛ばさせてください。附属書Ⅵの第7条、B類型の費用を訴えにより請求する場合の裁判管轄についてということです。
 附属書7条の1は、対応措置をとった締約国に対して、主宰者が法人の場合は「主宰者が設立されている国」、「主宰者の主たる営業所」のある締約国に、また、主宰者が自然人の場合は、その「常居所」のある締約国に訴えを起こすように、各締約国に対して求めているというものでございます。
 これについては、民事訴訟法の規定を検討いたしまして、現在の民事訴訟法で対応できる、つまり「他の締約国」は、「環境上の緊急事態」を生じさせた者を被告として、日本の裁判所に訴えを提起することで請求できるということを確認済みでございます。
 民事訴訟法の規定は、73ページに引用して記載をしているとおりでありまして、住所等による管轄権のほか、債務に関する訴えに関しても管轄権があることになっております。このため、日本の企業が日本で確認申請をする場合、日本の企業が外国で確認申請に相当するような手続をする場合のほか、外国の企業の日本支店が日本で確認申請をした場合についても、いずれの場合でも日本の裁判所に訴えを起こして請求することが可能でして、附属書Ⅵの規定を担保できているものというふうに考えてございます。
 続きまして、C類型の話に移ってまいります。
 一旦、61ページまでお戻りください。
 いずれの締約国も対応措置をとらなかった場合については、「とられるべきであった対応措置の費用」を賦課する、行政上の賦課金制度を導入するということを考えてございます。
 金額については、事案が発生した時点で設置をする専門家等による委員会によりまして、妥当と考えられる金額を検討し、それを受けて、環境大臣が決定をして賦課することとしたいと思います。
 その上で、主宰者から賦課金が徴収された場合については、環境省において南極条約事務局が管理する基金の口座に賦課金相当額を拠出するということといたします。
 62ページの下の論点1という部分をご覧ください。
 賦課金の趣旨ということですけれども、本来であれば、対応措置にかかったはずの費用について、主宰者が支払いをしなかったことにより経済的利益を得たと考えられるため、その分について、応分の金銭負担を求めるということでございます。
 続きまして、63ページに参ります。
 賦課金ということに関しては、公害健康被害補償法に類似事例があると考えております。
 その下に、参考ということで、課徴金アプローチの検討についてと記載がございます。
 過去には、課徴金の検討ということもなされました。しかし、課徴金については、不当に得た利得を吐き出させるということに加えまして、近年では、通常に得た利益の部分にまで踏み込んで、これを制裁という形で徴収をするというものに性質が変化をしております。
 しかし、誰も対応措置をとらなかった場合に支払うわけですけれども、南極では、やっぱり技術的に困難な場合、対応措置をとることによって二次災害とか命の危険があるということなども十分考えられますので、制裁を含む制度にしてしまうというようなことでは、なかなか理解が得られないかなというふうに考えております。
 続きまして、66ページに参ります。賦課金の算定方法についてです。
 対応措置の実施が技術的に困難で、見積りや積算も困難な場合も含めて、費用を計算するということが必要になってきます。
 実際の事案が発生した際には、ヒアリングとか、ほかの事例を参照したりとか、見積を取得したり、あるいは類似事例の見積を取得したりとか、とにかくいろんな手段を用いて検討していくということになると考えられます。
 とにかく、安易に、よく分からないから、とりあえず限度額いっぱいいっぱいにするというようなことではなくて、まずは検討の上、額を算出するということが重要ではないかなというふうに考えております。
 続きまして、68ページに責任の限度額のことを書いてございます。
 附属書Ⅵでは、主宰者が負う責任の限度額ということで、船舶が関係する場合は、総トン数2,000トン以下で100万SDRとしまして、SDRとは特別引出権のことですけれども、以後、このトン数が増えるごとにSDRを加算していくという額が、限度額ということになります。また、船舶が関係しない場合は、300万SDRが限度額ということとされています。これは陸上の場合ということでご理解いただいたらいいかなと思います。
 これを法令に規定する場合、ABCの類型で、それぞれ異なる形での費用の支払責任が定められますので、それぞれについて限度額を政令以下で設定するという形での対応を今のところ考えてございます。
 A類型については、環境省が主宰者に対応措置費用を徴収することとしておりますので、その徴収額が附属書Ⅵで定める金額以内であること、B類型は、他の締約国が主宰者に請求を行いますので、請求できる額が附属書Ⅵで定める金額以内であること、C類型は、環境省が主宰者に賦課しますので、賦課できる額が附属書Ⅵの定める金額以内であることということをそれぞれ規定したいというふうに考えてございます。
 69ページですが、海事債権責任制限条約の規定する額との関係についてです。
 例えばこれ、附属書Ⅵと海事債権責任制限条約が相互に干渉し合って適用が複雑になるなどの事態はないと、特にそういう問題は生じないというような見通しでおりまして、このことに関しては、事前に皆様にご説明をさせていただいたとおりでございます。
 ただ、影響がないということの説明ぶりについては、関係省庁に教えていただきながら、今、最終的な詰めを行っているというところですので、結果は次回以降に報告させていただくことにしまして、今回の小委員会では、恐らく附属書Ⅵが発効した場合には、速やかに限度額の見直しが行われるだろうというような見通しの部分について、この69ページの参考というような部分で書かせていただいているということでございます。
 ABC類型のそれぞれの具体的な対応に関して、ご説明をさせていただきました。以上になります。
○髙村委員長 ありがとうございます。
 それでは、今、資料1の中の別添3-3から別添3-7まで、事務局にご説明をいただきました。こちらについてご質問、それから、ご意見などある委員の皆様は、会議室でご出席の委員におかれましては、名札を立ててお知らせいただければと思います。オンライン参加の委員の皆様については、チャットで教えていただければと思います。いかがでしょうか。
 三つの責任の類型について、具体的な国内担保の方向性についてご提案をいただいていると思います。ぜひ、気になるところ、あるいは確認をしたいところを含めて、ご発言いただければと思います。同様ですけれども、オブザーバーでご出席の関係省庁、あるいは極地研の皆様も、ご質問、ご意見があれば、ぜひお願いしたいと思います。
 前回の議論を踏まえて、かなり丁寧に検討いただいているかと思いますけれども、いかがでしょうか。
 ありがとうございます。お待ちしておりました。大塚先生、お願いいたします。
○大塚委員 スライドの根本的なことは理解して、問題ないと思っていますので、非常に些末なところだけ申し上げますけれども、63ページのところで、C類型に関する賦課金に関して、日本の今までの例を挙げていただいていますが、これはこれでいいのですけれども、例1の公健法は、これは損害賠償的な補償に関して、その原資を徴収するためのものでございますし、例2は、まさにその経済的手法として、税に代わるものとして賦課金を挙げているものなので、賦課金という名前という点では同じなので挙げていただいて構いませんが、今回のものは、むしろ62ページに、まさにお書きになっていただいているように、対応措置にかかったはずの費用について経済的利益を残しているので、それを払ってもらうという、ある種の不当利得的なものになると思いますので、それぞれ同じ賦課金という名前が使われていても、少しずつ性質は違いますので、その点は、一応、確認的に申し上げさせていただきたいと思いました。
 それから、59ページのほうで、B類型のところに関して、先ほど不法行為ではない、任意性があるのでということを言っていただきました。日本には、放射性物質汚染対処特措法のような例は、あることはあるのですけれども、任意性のところと、それから放射性物質汚染対処特措法は、いわゆる特殊な法律というか、閣法ではないというようなところは全くないわけではなく、今回むしろ、この商法の特別補償料の考え方、つまり事務管理的な発想を基にしつつ、独自に規定する法定の債権という位置づけをしていただいたものというふうに理解しております。
 以上でございます。
○髙村委員長 ありがとうございます。
 今、岡松委員から手を挙げていただいておりますので、岡松委員からご発言いただいた後に、事務局のほうに、大塚先生のご発言と併せてお答えいただこうと思います。
 岡松委員、よろしくお願いします。
○岡松専門委員 委員長、ありがとうございます。
 事前の説明会のときに、随分長くいろいろとお話しいたしましたので、かなり尽きているのですが、そのときにも申し上げたかもしれません。64ページで、C類型の分類が三つほどされているのですが、1番と3番については、恐らく同じようなことになるかと思いますけれども、2番で、対応措置がとられたが迅速でなかった場合ということなのですが、迅速でなかったとしても対応措置がとられた場合には、プラスで支払いを要求するようなものが生じることになるのかどうか。実際もう措置はとられているわけですから、請求する金額がどのようなものから算出されるのかということについて、質問させていただきました。
○髙村委員長 ありがとうございます。今、オンラインでご出席の大久保委員からも手を挙げていただいていますので、大久保委員にもご発言をいただいて、事務局にお返ししようと思います。
 それでは、大久保先生、お願いいたします。
○大久保臨時委員 ありがとうございます。大塚先生がご指摘をされたので、私も同じところで、賦課金の現行法の説明については同様に思いました。また、その下の課徴金ですけれども、課徴金も、こちらで制裁の意味があるというふうに書かれているところで引用されているのは独禁法の話で、課徴金という名称そのものは、行政法上はより幅広い制裁的な意味を持たないものも含めて、講学上、位置づけられていて、実際、そういうものが実定法上も排除されています。その意味で賦課金とか課徴金という名前から何らかの特定の法的な性質が導き出されるわけではないが、これは負担金とは現行法上の性質が違うので、賦課金という名称にするということにとどめていいのではないかと。
 それで、その説明としては、先ほどご説明があったようなことを、性質として説明に加えていただくほうがいいのかなという気がいたしましたので、私も大塚先生のご発言と合わせて発言させていただきました。
 以上です。
○髙村委員長 ありがとうございます。今、ご発言のご希望は追加で挙がっていないと思いますので、一度、こちらで事務局にお返しをして、大塚委員、それから岡松委員、大久保委員のご発言に関わって、もしお答えいただけることがあればお願いしたいと思います。
○自然環境計画課課長補佐 ご意見等ありがとうございました。まず最初に、課徴金のことですけれども、今現在の制裁のものもありますけれども、本来は、行政法上は、もうちょっと幅広い意味で、そういう制裁のものもないというところも含めて、いろいろ使われているという、そういう位置づけにあるというところもご指摘いただき、ありがとうございます。そういう、課徴金に制裁があるというようなところが、独禁法の事例があるということに、引きずられ過ぎてしまったかなというふうに思います。
 賦課金というような名称でとどめて、わざわざ課徴金があれこれというようなことを、必ずしも、これからつくる答申の素案の中で書かなくてもいいのかなというところも感じましたので、いただいたご意見も踏まえて、文章化のほうを検討していきたいなというふうに思います。
 大塚委員のほうからも、今の件も含めて公健法とか、GXの関係の賦課金の話とかの性質とか、そこら辺のことも、お話をいただきました。これはしっかりと受け止めて、考えていきたいというふうに思います。
 岡松委員のほうからは、すみません、今回のこの場では説明をし切れなかった、迅速でなかった場合という、迅速かつ効果的な対応措置をとられるべきであったが、とられなかった場合に、迅速ではなかった場合というものがあるということが、南極条約協議国会議での採択時の解釈として、会議後のファイナルレポートで残されているという点、これを、どう理解したらいいかというような部分で、コメントをいただきました。
 こちらに関しては、A類型のフローのところで、見ていただきたいのですけれども。32ページのところに戻らせていただきます。
 ここは、その説明のやや繰り返しになってしまうかもしれませんが、ここをどう理解するかということに関しては、日本では、こういったフローでやっていくということを考えております。対応措置義務がかかっていて、主宰者自らが迅速かつ効果的な対応措置がとられるという場合は、迅速に該当し、とられなかったというような場合に関しては、それ以降が迅速ではないと位置づけて、迅速に不適合ということを細かい字で書いてあって、かつ、その下のところは、「迅速」が抜けて効果的な対応措置がとられるということだけ書いてありますけれども。位置づけとしては、一度、対応措置がとられないで措置命令が出るような段階とかになれば、「迅速ではなかった」というような位置づけにいたしまして、それ以降に関しては、対応措置が、何らかの形では、C類型に行く以外はとられるというようなことになりますので、いずれにしろ、対応措置がとられたら、そのとられた費用に関して支払責任が生じるというようなことになりますので、最後の費用だけを見ると、迅速でなかった場合について、何か追加でとか、かさ増しとかというようなことは、特に意図はしていません。
 結果的に迅速でなかったときに、雇っている船の期間が長かったから、お金が結果的に増すということはあるのかもしれないのですけれども、いずれにしろ、あまりそこを考えないで、最終的にとられた対応措置の額というもので、見ていきたいなというふうに考えております。
 以上です。
○髙村委員長 ありがとうございます。ご発言、ご質問いただきました大塚委員、大久保委員、そして岡松委員から、もし何かフォローアップ、追加でございましたらお願いできればと思いますけれども。
 あるいは、ほかの委員から関連して、あるいは、ほかのスライドといいましょうか資料に関わってご質問、ご発言がございましたら、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。追加のご発言のご希望、ご質問のご希望はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 ご出席の関係省庁、あるいは極地研の皆様、もしありましたらお願いしたいと思います。
 ありがとうございます。それでは、外務省の漆原さん、お願いいたします。
○外務省課長補佐 外務省の漆原です。
 素朴な疑問で大変恐縮ですけれども、C類型で、そもそも技術的に対応措置をとることが困難な場合で、主宰者も、主宰者の締約国も、他の締約国も、誰も技術的に対応措置がとれないような状況の場合というのは、最終的に、基金のほうに費用だけを支払いはするけれども、その後は特に、技術的に困難だから対応措置はとられないという、そういう状態になるということになるのでしょうか。
○髙村委員長 ありがとうございます。それでは、事務局からお答えをお願いいたします。
○自然環境計画課課長補佐 その点に関しては、全くご指摘のとおりだと思います。あまり、そういうことが起きるか分からないですけれども、思考実験的に聞いていただければ、例えば南極のクレバスというか、その氷に空いた穴の中で、大きな飛行機とか何かが突っ込んで、どうしても引き上げられないとか、南極ではちょっとあったりすることかなと思いますので、そういうことも起こり得て、技術的に、やっぱりどうしても無理で、誰も何もしないというような、支払いだけをするというようなところというのは、起こり得るかなと思います。
 以上です。
○髙村委員長 ありがとうございます。漆原さんから、もし追加であれば、お願いしたいと思いますけれども、今、岡松委員から手を挙げていただいているので、岡松委員、お願いしてもよろしいでしょうか。
○岡松専門委員 今の件に関しましてですが、その場合、誰に対して、どういう根拠で支払うものになるのかというと、措置に対する費用の支払いとして支払うのではなく、罰金として払うということになるのでしょうか。
○髙村委員長 事務局、よろしくお願いいたします。
○自然環境計画課課長補佐 その点についてですけれども、何かそれが起きた場合は、どこかの主宰者が生じさせた「環境上の緊急事態」、その活動は、誰かが主宰をして、コーディネートして実施しているということですので、主宰者に支払責任がまず生じるということになります。その上で、それが罰金なのかどうかということですが、あくまでこれはとられるべきであった対応措置の費用を支払う責任というようなことですので、仮にとることができたとしたら、これぐらいの費用がかかるというものを算出いたしまして、その費用を賦課するというような形になっておりまして、技術的に不可能な場合なども含めたものを、罰金という形で取り扱うのは適切ではないかなと考えておりますので、罰金ではなく、あくまでとられるべきであった対応措置の費用を賦課するということにしたいと考えてございます。
○髙村委員長 追加でご発言、ご希望はございますでしょうか。今の点についてももちろんそうですけれども、ほかのこの第2パートのところでご質問、ご意見があればお願いしたいと思いますけれども。外務省、漆原さん、お願いいたします。
○外務省課長補佐 今の続きで恐縮ですけれども、罰金として取扱うわけではなくて、あくまで賦課金ですということであるのですが、最終的に、基金のほうに支払われた金銭というのは、どういうふうに使われるのかが、正直、実態としてはよく分からないなというのが聞いていて思ったところなのですけど、その点は、もし分かればお伺いできればなと思いました。分かればで大丈夫です。
○髙村委員長 それでは、事務局からお願いいたします。
○自然環境計画課課長補佐 基金の使途ということのご質問かと思いますけれども、基金の使途に関しては、附属書Ⅵ上、規定はございません。ですので、それゆえに何に使うのですかというようなご質問が出てくるのかなと思います。この附属書Ⅵの交渉の初めでは、実は基金の使い道というところの条項があったりして、それは責任の上限を超えた額をそれによって賄うんだとかですね。あと、例えば、対応措置をとろうとしている主宰者が、対応措置をとる義務がある主宰者が対応措置をとりたくないときとかに使うんだとか、免責されている事項というのがあったりして、そういうものに使うんだとか、いろんな、夢物語のような、いろんなこういう使い道をしたいということでたくさんの意見があって、ストックホルムで最初の初日には、案文にも書いてあったのですけれども、日本も、やっぱり基金をいろんなものに使うということになると、際限がなくなってしまって基金がうまく規律できないんじゃないかというようなこともありまして、あまりそうやって、想定されないようなことも含めて使い道をあれこれ書くのはよくないんじゃないかというところで、削除するというような形で、今、附属書Ⅵ上には規定をされていないというような状況です。
 ですので、お答えとしては、何も想定されていないことになるのですけれども、何となくの各協議国の中の雰囲気では、やっぱり責任を超えた部分の上限のところに充てるのかなとか、そういう共通認識はあるように思うところでございます。
○髙村委員長 ありがとうございます。
 今、オンラインでご出席の大塚委員からお手を挙げていただいております。よろしいですか。
○大塚委員 今、お答えいただきましたので。
 これは、先ほども申しましたけれど、ある種の不当利得だと思いますので、そういう扱いがよろしいのではないかと思います。62ページは、そういう趣旨で書いていただいていたと思います。ありがとうございました。
○髙村委員長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 ありがとうございます。会場でご出席の渡邉委員、お願いいたします。
○渡邉専門委員 ありがとうございます。今のやり取りを伺っていて思い出したのですが、かつて南極半島でバイア・パライソというアルゼンチンの観測・観光船が、最終的には沈没しました。当初は船が傾いたので、乗客、乗員の救助を優先して作業をし、オイルフェンスは張りましたが余裕がなく、燃料タンクの油は抜けずに沈没しました。今のお答えのC類型ですね。そのバイア・パライソの燃料タンクの油は、数年経ってからほかの国が回収をしたのですが、当座は人命救助が優先で、対処ができなかったのが現実でした。それにより近くの営巣地のペンギンがたくさん油まみれで死んだのですが、そういう状況は、まさにC類型に該当するかなと思ったのですね。そのときに対応すれば、どのくらいの経費がかかったかという額を算定するのは、サルベージの費用とか、いろいろとヒアリングしてできそうに思うのですが。それ以外、ペンギンがたくさん死んでしまったと。当時、近くのアメリカの観測基地から、ペンギンについた油を除去するために人が出た。一部は、そういう対応があったけれども、それ全体、C類型だといったときに、どういう算定方法をとるのかなというのが気になっていまして、この附属書をつくるに当たって、そんな議論がもしあったのであれば、イメージを知りたいなと思うのですが、その辺りは、どんなふうになっているのか、教えていただければと思います。
 以上です。
○髙村委員長 それでは、事務局お願いいたします。
○自然環境計画課課長補佐 コメントありがとうございます。具体的なそこの算定まで、どのような形でやるというようなイメージがあったかというと、私のほうでは、残念ながらそこまでというのは、交渉の中でとかでは、記憶にない状況ではあります。
 一方で、今おっしゃっていただいたようなのが、まさに、やっぱり具体的に起こり得る事例というか想定、今後も起こり得る想定になると思っております。これはよく考えると、やっぱり対応措置、事故が起きて、バイア・パライソの場合、油が流出して、いろんな国が共同で対応するということと、対応し切れなかった部分というのがあるというふうに思います。対応措置をした分に関して、やっぱり対応措置にかかった費用を主宰者に支払うというような責任が生じますし、対応措置をし切れなかったという残った部分というものに関しては、その部分が、やっぱりC類型になるというようなことになると思っています。
 回収しないで沈没して、油がそのままであるのを上に上げて、油を抜き取ってとか、ペンギンも一羽一羽、洗ってとか、そういうところも含めて、対応していない部分というのは計算をしていって、C類型になるのかなというふうに思います。BとCとかという、ABC相互に、やっぱり、重複して生じるというようなことも、バイア・パライソの例を考えると、十分考えられるのかなというふうに感じております。
 以上です。
○髙村委員長 ありがとうございます。渡邉先生、よろしいでしょうか。
○渡邉専門委員 ありがとうございます。ATCMに参加して附属書Ⅵの議論を聞いていると、ペンギンが10羽死んだから、この場合はいくらだとか、100羽だから、それよりは多いだろうとかというような定性的なイメージはあるのですが、その辺りをどのように算定するのかというのが、非常に悩ましいだろうなとは思っていました。その辺の情報がもしあれば、伺えればと思います。
○髙村委員長 事務局、よろしくお願いします。
○自然環境計画課課長補佐 一つ明確に言えるというふうに考えておりますのは、これは、あくまで「環境上の緊急事態」に対する対応措置の費用ということです。一方で、議定書には、ゆくゆくは、将来的には環境の損害に対しての責任というのも仕組みをつくらないといけないとなっているのですけれども、その手前の、それにとった対応措置の話だというふうに理解をしております。
 ペンギンの例で言いますと、油まみれのペンギンを洗剤で洗ってというような材料費と、あとは人件費とかですね。それが対応措置にかかった費用です。残念ながら死んでしまったペンギンに関しては、それを回収するというのが、人件費としてかかるというような理解かなというふうに思います。そこまでが今回の附属書Ⅵの対象かなと思います。
 一方で、ペンギンが、油まみれになって死んでしまったと。そのペンギンの価値はいくらかというような話というのが、今回の附属書Ⅵの対象外というようなことで、将来的に考えることであろう議定書16条に基づく環境損害というようなところになっていくのかなというふうな理解でおります。
○髙村委員長 よろしいでしょうか。
○渡邉専門委員 ありがとうございました。その辺り、もしやるとなると、大変悩ましいことだと思いますが、附属書Ⅵのスコープについては承知しました。ありがとうございました。
○髙村委員長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 ありがとうございます。今、オンラインでお手を挙げていらっしゃる、原田委員、よろしくお願いします。お待たせいたしました。
○原田専門委員 ありがとうございます。もしかすると、フローからちょっと外れるようなことかと思うのですけれども、素朴な疑問なのですが。
 効果的な対応措置が、事故が発生したときには技術的に困難であって、二次被害の可能性もあるということで見送られ、その後、数年経って技術が追いついて、今なら対応がとれるとなった場合に、主宰者として、その対応、例えば海水中、海底に沈んでいる何かオイルを含んだものを引き上げて、回収してくださいというようなことになっていくのか。それとも、そのときに効果的な対応措置がとれなかったので、何らかのお金を基金に支払うことで、一旦は終了させているという扱いになるのか、後の技術開発が、どういう対応の仕方になっていくのかという点が、素朴な疑問としてあります。何かお考えがあれば、教えていただきたいと思います。
○髙村委員長 ありがとうございます。
 事務局、よろしいでしょうか。お願いいたします。
○自然環境計画課課長補佐 ご指摘いただきまして、ありがとうございます。まさに、対応措置をとることがどうしてもできないけれども、年数が経って技術が開発されることによって状況が変化してくる場合ということかと思いますが、結論から言うと、附属書Ⅵでは、そこまでは想定をしていないというような状況かと思いますので、そういうことになったら、まず南極条約協議国会議で対応が話し合われて、そういう事案に対してどう対処していくかというのを、みんなで検討するということになるのかなと思います。
 「環境上の緊急事態」がまた発生をして、それはやっぱり「環境上の緊急事態」なので、早急に対応する必要があるということで、各国附属書Ⅵに基づいて対応することになると、やっぱりABCのどれかの類型に収まっていく。速やかに収まっていく。時間は、対応措置、一定の時間がかかるにしても、どれかにやっぱり帰結するのかなというふうに思います。どれかに帰結しないで、技術的な開発を待とうということはないと思います。そうすると、やっぱり一度C類型に帰結をして、基金にお金が支払われるということで対応は、附属書Ⅵ上は終了するのですけれども、終了した後のことで、新たに対応できるということになった場合ということですので、やっぱりこれは、繰り返しですが、附属書Ⅵの対応外というようなことで、そういう場合、どのようにするのかというのは、現場としては個別に考えていく必要があるし、ルールとしては、南極条約協議国会議の中で話し合われていくことになるだろうなというふうに推測をしております。
 以上です。
○髙村委員長 原田先生、よろしいでしょうか。
○原田専門委員 ありがとうございました。附属書Ⅵの範疇の外ということで、理解いたしました。
○髙村委員長 ありがとうございます。場合によっては、先ほど事務局からありました基金の支払いの使途の中で、今後、検討される可能性はあるのかなと思う事案かとは、個人的には思いますけど、今の段階では、それについて明確な規定というのはないということかと思います。
 ほかに、ございますでしょうか。
 それでは、第3パートのほうに移ってまいりたいと思います。最後に全体を通して、もしご発言漏れがあれば伺おうと思いますけれども。
 第3パートですね。別添の3-8に該当するかと思いますけれども、資料2、金銭上の保障について、事務局からご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○自然環境計画課課長補佐 続きまして、「金銭上の保証」という部分になります。75ページをご覧いただきたいと思います。
 附属書Ⅵ上、C類型の部分は金銭上の保証義務とされていないのですけれども、A類型、B類型における保険その他金銭上の保証についてということで検討をしてまいりました。この部分も過去の検討において、悩まされる部分でございました。船舶の関係に関しては、船主が加入するP&I保険というのがあるのですけれども、これはあくまで船主が加入するものであって、主宰者を対象としていないのではないかとか、船舶以外では主宰者が加入するような保険が、そもそも商品として販売されていない、設定もされていないのではないかと。保険をつくる必要まであるのではないかといったことが、過去にはずっと話し合われてきました。
 その結果としましては、75ページに書かせていただきましたとおり、上限額までの金銭上の保証を維持することを南極環境保護法において義務づけるということといたしまして、金銭上の保証の維持の確認は、主宰者に船舶の運航区間とか、陸上での移動の区間とか、そういう行程ごとに立ててもらう「金銭上の保証計画」ということによって行うということを考えております。
 これらの「金銭上の保証計画」は、主宰者自ら対応措置をとるときにも利用可能であるというようなところですね。それを確認申請制度において、そういう計画を添付書類として提出していただいて、その中が、それの妥当性があるかどうかということを、しっかり確認をするということで対応したいというふうに考えております。
 77ページに参りまして、その部分の考え方についてという「金銭上の保証計画」の考え方についてということですけれども、やっぱり最も重要なことは、主宰者自ら、または、その主宰者の管理監督の下にある人が、対応措置をちゃんととること。その費用の支払いについて、ちゃんと金銭的な裏づけがあるというようなところ、そこを確保するということが重要だというふうに考えております。
 先ほど船舶のP&Iの例も言いましたけれども、主宰者が保険に入るということが重要なのではなく、「環境上の緊急事態」が、例えば船舶で発生した場合、主宰者が、その船舶所有者に対して、ちゃんとP&I保険を活用して適切に対応させると。そのために主宰者が、事前に船舶所有者が入っているP&I保険の内容を確認して、いざ南極で事が起きたときに適切に対応できる状態にあるというような、金銭面も含めてですね。そういうことを確認するということが重要であるというふうに考えています。
 こうした実施体制とか、実施体制の金銭的な裏づけ、これを「金銭上の保証計画」という形で示していただくということで、附属書Ⅵを担保するということで考えてございます。
 78ページをご覧ください。こうした「金銭上の保証計画」に活用できるというものに関しては、先ほどから繰り返し申し上げている、船舶所有者の加入するP&I保険ということ以外にも、銀行の預金残高の証明、書いてございますけれども、さらに、実際に資金を動員できるかどうかというのも、これだけでは不明確かもしれませんので、支払能力の証明というようなもの、こういったことも含めて考えてみたいというふうに思っております。
 そういう資産とか、あるいは緊急事態が起きたときに資金を動員できるような借用書とか、いろんなものが考えられると思いますし、もしかしたら、ここで挙げた以外にもあるかもしれませんので、我々のところに、また、さらなる知見が把握できれば盛り込んでいきたいというふうに考えております。
 79ページをご覧ください。こうした「金銭上の保証計画」は、船舶による移動とか、雪上車による移動、宿泊施設の滞在など、場面ごとに異なってくるのかなというふうに考えております。そうした中で、一つ、人力により活動しているような場合。例えば、徒歩で山に登るとか、あるいはスキーで山から下っていくとか、そういった場合、人力による活動をしている場合は、そうした活動から「環境上の緊急事態」が発生するということは考えにくいので、その部分、区間については、「金銭上の保証計画」を免除するということも考えてもいいかなと思っております。
 「金銭上の保証計画」に関しては以上になりますが、もう一つ、すみません。お手元に、資料1の続きで参考資料1というのもあると思うのですけれども、こちらは、一応、前回の小委員会でいただいたご意見の質問への対応ということになりますが、今回の説明において、できる限り、ご質問やご意見に触れながら説明したつもりではございますので、もし何かありましたら、こちらも含めて質問など言っていただければなというふうに思います。
 説明は以上になります。
○髙村委員長 ありがとうございました。それでは、今、ご紹介、ご説明いただきました資料について、特に「金銭上の保証について」を中心としたものでありましたけれども、ご質問、ご意見をいただければと思います。同じやり方ですけれども、会場にいらっしゃる委員は名札を立てていただき、オンライン参加の委員は、チャットで発言希望を書いていただくか、あるいは手挙げ機能を使っていただければと思います。いかがでしょうか。
 大久保委員が、11時半にご退席と伺っております。もし、ご発言希望がありましたら、全体を通してでもありましたら、お願いできればと思いますけれども。よろしいでしょうか。
○大久保臨時委員 ありがとうございます。今の点に関してではなくて、全体に関する基本的な話なのですが、来年、広島でATCMが開催されるまでに、日本としては、ぜひ批准していただきたいと思いますが、発効までには、まだ、あとプラス8、日本以外にも8か国の批准が必要な状況で、国名を見ると、すぐには批准の状況にはない国もあるかもしれないとは思うのですが、来年までに、現在、批准を検討中で、日本以外にも法律等の担保措置が検討されている国がありましたら、その検討の進捗状況も含めてお伺いしようと思っておりました。
 以上です。
○髙村委員長 ありがとうございます。恐らく参考資料の2にも関わるかと思いますけれども。事務局から、もしよろしければお答えいただければと思います。
○自然環境計画課課長補佐 それでは、21ページを見ていただいたほうがいいかなと思います。
 我々が、最新の南極条約協議国会議に、この前、参加をしまして、聞いたような状況というようなところでは、例えばベルギーは、いろいろ調整がもうできていて、あとは、ベルギーの国では、各地方議会にもかけて承認を取る必要があるそうなのですけれども、今そういうプロセスに入っているというようなことも聞いております。
 また、インドに関しても、国内法を制定して、インドは不思議な国で、公布だけじゃなくて施行もしているみたいですけれども、そういう状況下において、また、その締結だけが残っているということで、そちらの手続を進めているというようなこともあると聞いております。そのように、かなりいろいろ前向きに進んでいる国があるというような印象でございます。
 以上です。
○大久保臨時委員 ありがとうございます。日本も含めて、少しそういう動きが加速されていることは、大変重要なことだと思いました。ありがとうございます。
○髙村委員長 ありがとうございます。
 それでは、ほかの委員、あるいはオブザーバーでご出席の皆様からご発言、ご質問がございましたら、よろしくお願いいたします。
 ありがとうございます。外務省、漆原さん、お願いいたします。
○外務省課長補佐 度々、外務省の漆原です。
 今のお話の逆ですけれども、今、未締結の9か国のうち、当面、締結できなそう、あるいは締結する意思があまりなさそうな国というのは、逆に存在するのでしょうか。
○髙村委員長 なかなか難しい球を投げられていると思いますけれども、事務局いかがでしょう。
○自然環境計画課課長補佐 なかなか、お答えが難しい部分ではありますけれども、情報共有を兼ねて、率直に申し上げると、一つ例を挙げれば、アメリカですね。こちらは、今の政権の状況もありまして、なかなか新規で条約というか、特に環境というような面で新しい条約を締結するということが、なかなか難しい状況やに聞いております。
 アメリカは、次のページにありますとおり、法律案もつくって整っているので、賛同するような国会議員の皆さんも得て、しっかりと国会で議論するということが必要なようなのですけれども、そこを今、様子を見ているというような状況というふうに聞いています。
○髙村委員長 ありがとうございます。
 ほかにご発言をご希望の委員、オブザーバーの皆様はいらっしゃいますでしょうか。
 失礼しました。西本委員、よろしくお願いいたします。
○西本専門委員 ありがとうございます。全体の整理については、非常に整理されていて賛成なのですけれども、資料で言いますと、76ページですね。論点1と書いていただいたところで、C類型については金銭上の保証を義務づけない理由について記載されていると思います。そこに記載されておりますとおり、確かに附属書Ⅵの11条で1項と2項では対照的な書き方をしていて、自ら対応する場合については、1項のほうで、対応を義務づけていて、他方で、今日の整理で言うと、C類型に当たるものについては、may requireと書いてあり、できるというふうに書いてありますので、義務ではないのはそのとおりだとは思います。他方で、もう少し実質的な理由があったほうが、説明としてはよろしいのかなというような気もいたします。日本の判断として、やはりこれは必要であるということであれば、できるということではあると思いますので、条約上の義務ではないのでというのは説明ではあると思うのですが、もう少し、実質的に必要ないというふうに日本としても捉えているという理由があると、より説得的なのかなと思いました。もし可能であれば、ご検討いただければと思います。
 以上です。
○髙村委員長 ありがとうございます。
 それでは、事務局、お願いいたします。
○自然環境計画課課長補佐 ご指摘ありがとうございます。ここで明確な答えはできないのですけれども、ご指摘を踏まえて、考えてみたいなというふうに思います。
 一つヒントになるというか、思っているのは、やっぱり金銭上の保証は、いずれにしろA類型、B類型のものでありまして、保険以外の場合で金銭上の保証をした場合というようなものに関しては、多分、特に預金なんかはそうだと思いますけれども、C類型でも、これは預金がちゃんとあれば利用できるのかなというふうなことも、考えたりしています。
 そのほかにも、実質的な理由づけというのは、いろいろ考えてみたりはしているのですけれども、いろんなご指摘もいただいているところですので、改めて、今回、西本委員からご指摘もいただいたということで、何か書けないかということは考えさせていただきたいというふうに思います。
○髙村委員長 ありがとうございます。
 それでは、ほかの委員から、あるいはオブザーバーの皆様からご発言はございますでしょうか。ご質問、ご発言がありましたら、お願いいたします。
 ありがとうございます。オンラインでご出席の白山委員、お願いいたします。
○白山専門委員 ありがとうございました。先ほどのご説明で、人が人力で移動していることに関して、環境上の重大な問題は、発生することは想定できないというご発言があったと思いますけれども、善意に解釈すればそうかもしれないのですが、仮にですけれども、鳥インフルエンザのサンプルを持っていて、事故でその瓶が壊れてしまって、環境中に出て、それでペンギンがみんな鳥のインフルエンザにかかってしまって、大量に個体が亡くなるというようなケースは、あり得るのではないかと思うので、人が歩行しているときには、想定する必要がないというのに関して、少し慎重な取扱いが必要なのではないかというふうに感じました。その点は、いかがでしょうか。
○髙村委員長 ありがとうございます。スライド79のところかと思いますけれども。事務局から、よろしいですか。お願いいたします。
○自然環境計画課課長補佐 ご指摘ありがとうございます。そのようなケースというのは、正直言って考えもつかなかったところです。ここは適用除外というのをできないかというのは、まだ検討しているような段階ですので、先生にご指摘いただいたような状況も含めて、改めて考えてみたいなというふうに思います。
 一つは、人力だから全部とかということではなくて、やっぱり活動の内容もしっかりと見て考えるというような。どういう趣旨の活動で、何をするというようなところというのも見ながら考えていくというのが、一つの考え方としてあるのかなというふうに思っております。できるだけ合理的になるような感じにしたいなとは思っているところですので、ありとあらゆるというか、いろんなことを想定しながら、今回、先生からご意見いただいたことも含めて、検討材料として考えていきたいなというふうに思います。
○髙村委員長 ありがとうございます。白山先生、よろしいでしょうか。
○白山専門委員 ありがとうございました。
○髙村委員長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。申し訳ありません。時間の配分を誤って、少し時間を超えてしまいそうですけれども、今の「金銭上の保証」のところだけでなく全体を通して、もし、ご発言、ご希望がありましたら、併せてお願いできればというふうに思います。いかがでしょうか。
 ありがとうございます。渡邉委員、よろしくお願いいたします。
○渡邉専門委員 かなり、初めのところに戻ってしまうようで恐縮ですが、観光船については、今回、事前の通報義務から、以前は外れていたものを入れるということになると理解しております。そのほかの部分、特に陸上で起きた「環境上の緊急事態」について、ケースがいろいろあり得るだろうと考えられます。
 例えば、近年は、外来生物の拡散は非常によろしくないと。特に南極の原生の生態系に大きな悪影響を及ぼすだろうという話は、だんだん、はっきりしてきているわけで、陸上で、例えばキャンプ、あるいはホテルといいますか宿泊施設を運営している民間の旅行会社は既にあるわけですが、そういうところで油を漏らす以外に、いろいろな外来生物を含む可能性のあるもの、特に小さいもの、微生物も含め環境中に放出され、原生の生物、生態系に悪影響を及ぼす恐れがある。この辺りも、現時点で日本の事業者としては、運営しているところはないと思うのですが、いずれそういう事業者が現れないとも限らないので、考えておく必要があると思っています。その辺の細かいところまでは私、見てはいないのですけれども、そういう状況も念頭に入れて、もう一度見てみたいと思っています。
 特に、海洋汚染防止法をここでも使うということであれば、船舶によるものはコントロールできると思うのですが、そうではない陸上のいろいろな緊急事態に、ちゃんと対応できているのかという辺りに、もう一度、網がかかっているかを確認しなければと思った次第です。
 以上です。
○髙村委員長 ありがとうございます。少し、ほかにご発言、ご希望をいただいてから、事務局にお返ししようと思うのですけれども。ほかにご発言をご希望の委員、オブザーバーの皆様いらっしゃいますでしょうか。
 ありがとうございます。外務省の漆原さん、お願いいたします。
○外務省課長補佐 度々、漆原ですけれども。
 すみません、また基本的なところに戻って大変申し訳ないのですが、「環境上の緊急事態」のフローチャートで、そもそも論として、南極に派遣している調査船というのは、かなり数的には、ほかの場所に比べて限られるとは思うんですが、迅速かつ効果的な対応措置がとられているかどうかを確認するのも、南極の場合は、そんなに簡単なことではないのかなと思いまして、近隣に関係の行政機関の所轄する船舶がいる場合は、簡単に確認はできると思うんですけれども、そもそも、今、「環境上の緊急事態」を生じさせている船しか、日本から出ている船が全くいない場合は、実際に対応措置がとられているかどうかというのは、どういうふうに確認するのかというのが率直に疑問に思いまして。その場合は、わざわざ行ける船を探して確認するために出すのか、あるいは、近隣にいる他の締約国にも協力を依頼して、状況を確認してもらうのか。どういうふうなことが想定されているのかを伺えればなと思いました。
 以上です。
○髙村委員長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。全体を通してですけれども。
 一点、「金銭上の保証」のところで、私、検討いただきたいなと思っていますのが、提出をする書類について、例えば銀行における預金の証明書というのが書かれていると思います。他方でも、どの時点での銀行の証明書を見て、よしとするのかというのはあるのですけれども、実際に対応措置をとられた場合、あるいはとられなければいけないような局面において、しっかり、その銀行に預けられているお金があるということを確保することが重要だと思っていまして、そういう意味では、一定の銀行保証等の単に残高証明でない確認、あるいは、それを確保する仕組みというのは必要ではないかと思います。これは、恐らくほかの協議国でも同じような問題意識があるのではないかと思いますので、既に締結の対応をしているところ、協議国等の事例等も確認をしていただくとよいのではないかと思います。これは要望としてです。
 ほかにいかがでしょうか。
 ありがとうございます。オンラインでご出席の白山先生、お願いいたします。
○白山専門委員 ありがとうございます。私も、今まで考えなかったのですが、はっきりさせておきたいことがありまして、それは、この南極条約の適用範囲の地域の外で、非常に大きな、例えば船舶の事故があって、それは中の、例えば油の汚染で、南極条約の適用の範囲の内側に大きな影響を与えることが想定された場合には、南極条約の外で事故が発生したことに対する法律上の適用になるのか。あるいは、南極条約の、今考えている法律の適用になるのか。あるいは、両方が地域ごとに分けて適用されるのか。その辺は、この法律上の問題だと思うんですけれども、どのように整理されているのか教えてください。
○髙村委員長 ありがとうございます。
 ほかに、ご発言のご希望はございますでしょうか。
 それでは、いただいたご質問、ご意見について、事務局から、可能な範囲で結構ですけれども、お答えいただければと思います。
○自然環境計画課課長補佐 皆さん、ご質問、ご意見等をいただきましてありがとうございます。
 まず、最初に、渡邉委員からいただいたところですね。
 油以外にも民間でいろいろ、陸上の部分の宿泊施設を運営されているような方もいて、生物関係ですね、これ。よく、いろいろなことが起きるのではないかというような話かなと思うのですけれども、20年前にこの附属書Ⅵが採択されたようなときは、今ほど、特に生物関係での影響とかというようなところというのは、そんなに問題があるとか、議論するとかというような、相対的にですけれども、比較論としては正直なかったのかなとは、思います。
 先ほども「環境上の緊急事態」の各国の共通認識として挙げられるものということで、かなり大規模な油流出事故で、野生生物に影響があるものというようなものとかなどなど、そういう規模感だというようなことは、ご紹介をいたしましたけれども、かなり局地的な場所で、生き物への影響とかというのは、どのように考えていくのかという部分に関して、やっぱり南極条約協議国会議での議論というか、そこでどう捉えられるかというところにもよる部分も、かなりあるのではないかなと、今、現時点では、明言できないところがあるのではないかなと思います。そこは、やっぱり議論の推移を見ていく必要があるのかなというふうなところを感じております。
 続きまして、外務省さんのほうから、ご質問いただきましたが、こちらは、現場でどういうふうに確認をするかということなのですけれども、基本的には、やっぱり何らかの連絡手段とかがあると思っていまして、そこは、近くに船がいなくても主宰者との連絡で、最近は通信も一定程度は発達をして、どの船舶とか、どういう状況でも、電信、電話、メール、画像のやり取りとかいうのは、できる状況にはあるのかなというふうには思っています。基本は主宰者から報告いただくような、そういう資料とか内容をもって確認をしていくということが、まずは原則なのかなと思っています。
 その上で、近くに基地があるとか、連絡がつくような別の手段があった場合には、客観的、補足的に、そういう情報手段にもよるのかなというふうに思います。一応、仕組み上は、やはり主宰者と、命令をかけたりする義務を生じさせている担当省庁である環境省と、1対1という関係にあるかなというふうに思いますので、そこからちゃんと環境省が主宰者に報告もらうこと、させることというのは、やっぱり主宰者がやらなければならないということですので、1対1の関係の中で、しっかり報告とかいただくというところは、そこが原則かなと思います。
 続きまして、髙村委員長から保険とか、金銭上の保証の関係で、資料が直し切れていなくて、残高証明のことしか書いていなかったのですけれども、いずれにしろ、そこは対応措置が生じたときに、実際にとるときに裏づけがあるというようなことが重要ですので、やっぱり、そのときに資金が動員できるのかどうかということを証明するような支払能力の証明みたいなことが出していただけるのであれば、もちろん、そのほうがよりよいと思っておりまして、そこは、もう少し調べて対応を考えたいなと思います。
 最後に、白山委員のほうから、南極地域外で起きたとき、発生したようなものが、南極地域内に影響を及ぼすというようなところについて、どういうような取扱いになるのかというご質問だったかというふうに思います。ここは、残念ながら、今回のこの附属書Ⅵも、南極条約も、南緯60度以南の南極地域を対象にしているというようなこと。そして、そういうところを対象にして、主宰者が、オペレーターが、「環境上の緊急事態」を南極条約地域内で生じさせたときの対応措置とかの枠組みということで規定をされておりますので、条約上も、そして、それを担保する南極環境保護法も、その部分に関しては対応外という、外にあるものだというふうに今は理解をしております。
 実際に事案が生じた場合、やっぱりどうするのかというようなところですけれども、そこは、やっぱり南極条約の協議国会議とか、そういう中でどうしていくのかということを話し合うことになるのかなと思います。
 実際問題として考えた場合、南緯60度以南より以北の場所で何か起きて、南緯60度の中に入ってきて何か問題が、大きな、いわゆる「環境上の緊急事態」という場合が起こり得るとしたら、やっぱり南極半島の部分、南緯60度にかなり近い部分まで、南極の大陸というか、半島が突き出た部分になるかなというふうに思います。まさに多分、そういうところで、いろんな基地が密集しているようなところですので、そういう場合で、そこからやってきたもので影響が起こるというようなことであれば、やっぱり、そこはすぐ、状況としては取り上げられて、話題になっていくというようなことになるのかなというふうに思っております。
 制度上は難しいと思いますし、実態上の想定部分しかお話しできなくて申し訳ありませんけれども、今のところそういう理解をしているというところでございます。
 以上です。
○髙村委員長 ありがとうございます。
 すみません、時間が過ぎていて申し訳ありませんが、もし、ここで、ぜひ発言をしたいというご希望があれば、最後ですけど、お願いできればと思いますが、よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。今、一連の議論をいただきました。この骨子案を基に、具体的に答申をつくっていく上で非常に重要なご指摘をいただいたと思います。
 それでは、もしここでご発言、ご希望がないようでしたら、議事の1はこれで終了としたいと思います。
 残っている議題2のその他ですけれども、事務局から何かありましたら。お願いしたいと思います。
○自然環境計画課課長補佐 事務局から1点ございます。
○自然環境計画課係長 参考資料の2について、本年の南極条約協議国会議の結果を事務局より簡単にご紹介させていただきます。
 本年6月下旬から7月の初旬にかけて、イタリアのミラノで開催された会議に、環境省からは3名、その他外務省、文部科学省、国立極地研究所の方々と出席をしてまいりました。結果のうち、環境省関連の部分のみ簡単にご紹介をさせていただきます。
 まず、観光及び附属書Ⅵの関係ですが、現在、南極地域でさらに活発になっている観光活動について、観光客数の増加や観光活動の多様化にどのように対応するかという議論が継続して行われております。
 続きまして、「環境上の緊急事態における責任」について、先ほども少し言及がありましたが、近年の会議では、毎年、全ての協議国が附属書Ⅵ及びその他未発効の措置について、締結状況や未締結の場合の検討状況を報告しております。附属書VIを締結済みの複数の協議国からは、未締結国の早期締結、附属書VIの早期発効に向けた期待が発言されておりました。
 また、附属書Ⅵの発効に向けた進捗状況を評価して、早期発効に向け協力し合うとともに、先ほど少し言及がありましたとおり、議定書の16条にある責任に関する交渉の再開について、今後の時間枠を考えていこうという決定も採択されております。こちらは、2005年から5年毎に同じような決定が出されては、未発効のまま5年がたってしまい、また期限を延長するというような状況が続いております。
 その他、我が国からは、来年の広島開催について準備状況を報告したほか、環境保護委員会でも、一番下に記載されているような内容が議論されております。
 以上になります。
○髙村委員長 ありがとうございます。ご質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、本日予定をしていた議事全てを終了いたしましたので、これで進行を事務局にお返ししたいと思います。
 すみません。時間が過ぎてしまいまして申し訳ありませんでした。
 では、事務局にお返しいたします。
○司会 髙村委員長、議事進行をありがとうございました。委員の皆様におかれましても、長時間にわたりご審議をいただきまして、ありがとうございました。
 最後に、大臣官房審議官の大井より一言ご挨拶を申し上げます。
○大井大臣官房審議官 委員の皆様、本日は朝早くから、長時間にわたりまして活発なご議論をいただきまして、本当にありがとうございました。2005年にこの附属書Ⅵが採択されてから20年経っておりまして、この20年間の宿題ということなのかなと思っております。私、この7月から担当で参りまして、何で20年も締結できなかったのだろうという、本当に素朴に思った次第でございますけれども、今日の議論を聞いておりまして、大変に難しい問題なのかなというふうに、改めて認識をした次第でございます。
 そういった中でも、事務局、環境省、それから関係省庁と地道に検討を続けてまいりまして、ABC、この三つの類型で、言わば方向性を示させていただいて、概ねご理解をいただきながら、しかし、まだいろいろなご指摘もいただいたという状況かなというふうに思っております。
 できましたら、この今日いただいたご意見も、さらに踏まえまして検討を進めまして、まだ時期は未定ですが、この秋には次の会議で、ぜひ、この担保措置に関する答申案という形で文章の形で案をお示しし、ご議論いただければと考えているところでございます。引き続き、委員の皆様におかれましては、ご協力のほど、よろしくお願いをいたします。
 本日は、どうもありがとうございました。
○司会 以上をもちまして、本日の小委員会を終了いたします。
 次回は、本年秋頃の開催を予定しております。
 本日は、ありがとうございました。
午前11時51分 閉会