自然環境部会自然公園等小委員会(第51回)議事録

開催日時

令和6年7月22日(月) 13:0014:47

議事次第

(1)国立公園事業の変更について(諮問)
(2)国立公園における滞在体験の魅力向上について(報告)
(3)東海自然歩道50周年記念式典・東海自然歩道の活性化に向けて(報告)
(4)その他

議事録

午後1時00分 開会

○事務局(山本) 定刻となりましたので、ただいまより、中央環境審議会自然環境部会自然公園等小委員会を開会いたします。
 WEB参加のご登録をいただいておりました委員の先生2名、出席が遅れるというご連絡をいただいておりますが、定刻となりましたので、始めさせていただきます。
 本日はお忙しい中、本審議会にご出席いただき、ありがとうございます。
 会議に先立ちまして、出席委員数のご報告をさせていただきます。本日は、所属の委員及び臨時委員11名のうち、WEB参加も含め9名の方にご出席をいただいておりますので、本委員会は成立しております。なお、本中央環境審議会におきましては、WEB会議システムによる参加についても出席とみなすこととなっておりますので、ご理解、ご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、前回の小委員会から、自然環境局幹部の異動がございましたので、ご紹介させていただきます。
 自然環境局長の植田でございます。
○植田自然環境局長 植田です。よろしくお願い申し上げます。
○事務局(山本) 続きまして、大臣官房審議官、飯田でございます。
○飯田大臣官房審議官 飯田でございます。よろしくお願いいたします。
○事務局(山本) 続きまして、国立公園課長、西村でございます。
○西村国立公園課長 7月1日付で国立公園課長を拝命いたしました西村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局(山本) 続きまして、国立公園利用推進室長、佐々木でございます。
○佐々木国立公園利用推進室長 7月1日で利用推進室長に着任しました佐々木です。どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局(山本) 続きまして、本日の会議運営につきましてご説明いたします。傍聴につきましては、会場での傍聴は行わず、傍聴用のWEB会議システムを用意して傍聴できるようにしております。本日は報道機関関係者の方を含め10名程度の方が、WEB会議システムにて会議を傍聴されておりますので、ご承知おきください。
 また、本日ご説明する資料につきましては、会場にお集まりの委員におかれましては、お手元のタブレットから資料をご参照ください。リモート参加の委員におかれましては、事前にメールにて送付させていただいておりますので、そちらの資料からご参照をお願いいたします。
 なお、リモート参加の委員におかれましては、差し支えない範囲で結構ですので、常時ビデオボタンはオンにし、お顔が見られる状態にしておいていただけますと幸いです。また、議事中、マイク機能は委員長及び発言者以外はミュートに設定していただきますようお願いいたします。ご発言の際は挙手アイコンをクリックしてお知らせください。委員長からのご指名を受け、マイクのミュートを解除してからご発言いただきますようお願いいたします。ご発言後は挙手アイコンを忘れずにクリックし、お手を下げていただきますようお願いいたします。
 会議運営に関するご説明は、以上でございます。
 それでは、自然環境局長の植田からご挨拶申し上げます。
○植田自然環境局長 改めまして、自然環境局長を7月1日付で拝命をいたしました植田でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 先週、同じく自然環境部会のネイチャーポジティブ関係の小委員会がございました。新しい法律ができましたものですから、その関係のその後の検討をするという小委員会でご挨拶申し上げました。そのときおられた先生もいらっしゃいますが、今回は自然公園小委員会ということで、改めて、お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。よろしくどうぞお願い申し上げます。
 先ほどありましたとおり、担当する管理職職員ががらっと変わっておりますが、ご安心ください。国立公園関係の行政は、方針は、全く揺るぎなく進めていきたいと思っております。
 そんな中、ちょうど先週金曜日でございますが、観光立国推進閣僚会議がございました。少しマスコミでも取り上げていただきましたので、ご覧いただいた先生もおられるかもしれません。その中で、総理からの指示ということで、少し若干の誤解もありますので、改めて申し上げます。
 総理からの指示の中では、要は民間活用による国立公園の魅力向上事業を全国で実施をしていくという指示が出たわけであります。ちょっと冒頭から長くなりそうで申し訳ないですが、一応、誤解なきよう、総理指示を、その部分だけ少々読み上げます。ネイチャーツーリズムの観点から、全国35か所、この35か所は先月一つ追加になりましたが、全ての国立公園において、先端モデル事業を踏まえ、国立公園制度100年を迎える令和13年、2031年までに、地域の理解と環境保全を前提に、世界水準のナショナルパーク化を実現すべく、民間活用による魅力向上事業を実施してください、という指示でございました。これ以上の文言はついておりません。
 つまり、この先端モデル事業というのは、ご承知のとおり、これまでも始めておりました四つの国立公園、後ほど少し説明もありますが、十和田八幡平、中部山岳、大山隠岐、やんばるで、十和田八幡平では少し事業が始まりつつありますが、宿泊施設の誘致を含む滞在拠点の上質化、あるいは自然体験アクティビティの上質化といった事業を、パッケージとして検討して実施しようとしているものであります。今回は、この事業の知見を基に、これらを全国展開していこうとの指示があったというわけであります。
 つまり、ポイントは二つあります。一つは、高級リゾートホテルに必ずしも限定をしたというものではありません。宿泊施設の誘致、既存の施設も含めまして、滞在拠点の上質化を行っていくこと、あるいはソフト面でも体験アクティビティの上質化を行っていくこと。これらを、当然でありますが、各公園の環境や実情に応じて選択的に実施をしていく。関係機関と関係者とともに検討していくというものであります。
 したがいまして、これは二つ目ですが、地域の理解と環境保全が大前提になるのは揺るぎないものであります。これらを通じて、民間活用による魅力向上事業を全国で2031年までに検討、展開をしていくことが、指示をされたところであります。これを受けて我々も、当然でありますが、環境保全と地域との理解を前提に、様々な事業の展開を検討していきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 今回、国立公園の議題を二つばかりお願いをしております。その前に中村委員長に、まさに先週末にご出席をいただき、日高山脈襟裳十勝国立公園、新しい35番目の公園の式典が行われました。滞りなく行われて、地域の皆さんに大変喜ばれたということをご報告申し上げたいと思います。
 中村委員長には、その場で公園の自然等の概要、今後の期待というところをご講演いただきました。現地視察にもご同行いただいた苅谷委員はじめ、皆様にはその指定に至るまで大変お世話になったと理解をしております。
 私も参加させていただきましたが、私も数年前の奄美群島や、やんばる、慶良間諸島等、国立公園の指定にも関与させていただいた経験もありますが、地域や地元の皆さんが笑顔でおられ、大変喜んでいただいたということは、国立公園行政に携わる者として、大変誇らしくうれしく感じたわけであります。もちろん、それに至るまでのいろいろな苦労等があり、時間もかかったと理解をしておりますが、いずれにしてもこれからスタートであります。新しい国立公園を含めて、地域とともに頑張っていきたいと思います。
 本日の委員会では、それらにも関わるものも含めまして諮問をさせていただき、幾つかご報告をさせていただきたいと思っております。どうぞ本日もよろしくお願いを申し上げます。すみません、長くなりました。以上です。
○事務局(山本) それでは、議事のほうに入らせていただきたいと思います。ここからの議事進行につきましては、中村委員長よりお願いいたします。中村委員長、よろしくお願いいたします
○中村小委員長 お暑い中、集まっていただきまして、ありがとうございます。オンラインの先生方も含めると、非常にたくさんの委員の方々が今回は参加していただきました。今、局長からお話があったとおり、先週の土曜日に、日高山脈襟裳十勝国立公園の記念式典があり、大変多くの方々に来ていただけて、色々な方とお話しすることができました。また武内部会長も参加され、名称についてはいろいろありましたが、とりあえずこの名称で、みんなで協力して地域を盛り上げていこうということになりました。本当に皆さん、ご協力ありがとうございました。
 それでは時間も限られていますので、議事に入りたいと思います。議事次第に従って進めさせていただきます。会議資料につきましては公開となります。また、会議録は後ほど事務局で作成して、本日ご出席の委員のご了承をいただいた上で公開となります。なお、議事要旨につきましては、事務局で作成したものを、私、小委員長が了承した上で公開することをご了承願います。
今回の議事としては、議事1が諮問案件、国立公園事業の変更について、3件の国立公園の諮問案件があります。議事2以降が報告案件で、議事2は国立公園における滞在体験の魅力向上について、議事3が東海自然歩道50周年記念式典・東海自然歩道の活性化に向けてとなります。
 今回はそんなに時間はかからないと思いますが、ご協力よろしくお願いいたします。
 では、議題1について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局(山下)環境省国立公園課の山下と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは議事1について、資料1-1から1-5でご説明をさせていただきます。まず画面共有をさせていただきますので、そちらをご覧いただければと思います。
 資料1-1については、諮問の鑑でございますけれども、7月12日付で、今回ご説明をさせていただく3件について諮問をさせていただいております。それから資料1-2はその一覧表になっており、支笏洞爺国立公園壮瞥温泉宿舎、富士箱根伊豆国立公園六郎兵衛宿舎、それから、瀬戸内海国立公園東予園地、この3件の諮問をさせていただくことになります。
 それでは、その中身については資料1-3で説明をさせていただきます。
 まず1件目、支笏洞爺国立公園壮瞥温泉宿舎でございます。こちら下の四角の中に囲っておりますが、洞爺湖の南に位置している場所でございます。田園地帯の中の小規模な施設が静かな雰囲気を保っていることから、洞爺湖の優れた景観が維持されている場所で、温泉を利用した宿泊、保養等利用のほか、周辺の火山景観資源を活用した自然体験や洞爺湖の水辺利用の拠点となっております。
 この場所、現在、事業決定規模が区域面積6.5ha、最大宿泊者数が165人となっておりますが、それを、区域面積10.6ha、最大宿泊者数を700人に変更したいと考えております。具体的には左側の地図の赤で囲った場所を新しく事業決定範囲に組み入れたいということになっております。
 計画内容について、従来、周辺の宿泊施設は、小規模な温泉旅館が営業されておりました。近年、周辺地域で増加するインバウンド等による周遊型観光への環境整備が進むとともに、利用拠点の面的魅力向上に向けた取組へのニーズが高まっていることから、令和5年度には、国立公園の保護と利用の好循環に貢献するリゾートホテルが開業したところです。今回はその流れを引き続き推進するために、民間事業者による幅広い利用者層向け宿泊施設の開業、広大な敷地を活用したアクティビティ提供を想定し、事業決定を拡大するものとなっております。
 次のページをご覧ください。
 自然環境への影響でございますが、まず今回の対象地というのは、放牧後の放棄地を活用するものであります。それから、計画されている新築施設は、既存の事業執行施設を建築面積で下回り、高さも同程度の、管理計画に適合した高さ20メートル以下という規模に抑えられる予定であります。加えて主要展望地である公園事業道路が、湖と、今回予定をしている敷地の間にございますが、ここから約150メートル離れている中で、より見え方に配慮して、道路と敷地の間に植栽もなされる計画となっております。
 以上のことから、少し西側にあります洞爺湖温泉の、密集した30メートルを超える建物群と比較し、現状の小規模な施設が田園地帯の中に散在した静かな雰囲気というのは保たれると考えます。従って、新たに周囲の自然環境や景観に与える影響は大きくはないということで、この変更内容で諮問したいと考えております。
 2件目、富士箱根伊豆国立公園の六郎兵衛宿舎になります。こちらは、芦ノ湖の少し北東の場所で、箱根火山の中央火口丘の裾野に位置をしています。周辺には、火口原に形成された、神奈川県唯一の湿原である仙石原湿原の低層湿原植物群落や、火入れ等により維持されているススキ草原が見られる場所になっております。ススキ草原等での自然探勝や、仙石原温泉での湯治等の利用が盛んで、また仙石原湿原や大涌谷等の主要利用拠点にも近いことから、宿泊ニーズも高い場所でございます。
 今回、ここの場所も事業決定の変更をしたいと考えており、区域面積を7.5haから7.7haに、最大宿泊者数を600人から650人に変更したいと考えております。
 事業地が位置する箱根町における令和2年から3年の入り込み観光客数が、概ね1,200から1,300万人程度に、コロナ禍の影響を受けてとどまっていたところ、令和4年から1,700万人にまで回復し、徐々に観光客数が戻ってきているような状況です。
 計画内容ですが、既に六郎兵衛宿舎として認可を下ろしている宿泊施設の新築に伴い、駐車場や周辺の樹林地内への園路整備を充実させ、サービスの質の向上を図りたく、事業範囲を拡張したいというものでございます。あわせて、利用者数の増加や、ファミリー層への需要に対応するために、客室数を変更しない上で最大宿泊者数を拡大し、宿泊者数の事業決定規模も拡大したいと考えております。
 これが事業決定規模を拡大したい範囲になっておりますが、赤枠のところが現状事業決定範囲に含まれておらず、ここを事業決定範囲に含めて、それで園路や駐車場を整備したいという内容になっております。
 自然環境への影響ですが、既存の平坦地を中心に施設を配置することで、支障木の伐採は必要最小限とされる予定であるということ。また、道路沿いは既存樹木を極力保存し、部分的に追加植樹を行うことで、周囲から施設が望見されにくいように配慮される予定でもあるということ、整備後、宿泊施設と周辺の樹林地とを一体的に事業者によって管理されることで、風致の維持が図られることも期待できるということで、こちらも変更の諮問をさせていただきたいと考えております。
 最後は瀬戸内海国立公園東予園地になっております。まずこの場所ですが、今治市と西条市、愛媛県でいうと北中部辺りに位置しております。この園地は東予集団施設地区内にあって、海釣り、自然散策、バードウオッチング、海水浴なんかの利用がある場所になっております。周辺には東予宿舎事業があり、温泉も湧いていることから、通年で利用されております。
 今回の変更ですが、この左側の地図で青色の部分が現状の区域になっており、赤の区域を追加したいと考えております。
 その理由ですが、この赤の場所で雨水が法面の谷部を流れて谷部を侵食しており、今後侵食が広がると、法面や、その上部の道路の崩壊を招きかねません。ひいては東予集団施設地区への通路が断たれて、集団施設地区が一切利用できなくなることにもつながりますので、対策区域一体を事業決定区域に組み込むものでございます。
 計画内容及び自然環境への影響ですが、事業決定範囲を拡大した上で、その場所で法面への水路工の新設を行い、浸食対策を実施したいと考えております。執行予定者は、法面上部の道路管理者である環境省になっております。
 施工予定地が、周辺にある主要展望地からの主たる展望方向になっておらず、工作物も地面に埋め込むものであるということ、それから水路新設予定地に希少な生物は見当たらないことから、風致及び自然環境への影響は小さいと考えておりまして、こちらも諮問をさせていただきたいと思っております。
 それから、資料1-4、1-5で参考資料をつけております。1-4は毎回お配りさせていただいている内容で、この審議会で決定していただいた、審議会での意見を聞くことを要しない軽微な国立公園事業の決定等についてのまとめたものです。この審議会決定に基づいて、今回の諮問不要案件となっているものを、もう一つの資料1-5でつけております。
 今回、日高山脈襟裳十勝国立公園の新規指定に伴いまして、国定公園時代から実施している事業を、新しく国立公園事業に位置づけるものが多く含まれています。また、上信越高原の苗場地域で公園計画の再検討を行っておりまして、それに伴う公園事業の決定の変更が必要です。これらの案件を中心に、案件数自体はかなり多くなっておりますが、基本的に整備を伴うようなものではありません。既存の事業の位置づけであったり、GISを精査した結果、少し内容に変更が生じるものといったことを、この諮問と同じタイミングで事業決定の変更等を図りたい、あるいは事業決定、事業の廃止を進めていきたいと思っております。
 一旦、事務局からはご説明以上になります。
○中村小委員長 ありがとうございました。
 今の説明について、皆さんからご質問、ご意見を承ろうと思うのですが、会場にお集まりの委員の皆様におかれましては、質問がある場合は名札を立ててください。またリモート参加の委員の皆様におかれましては、WEB画面上で参加者リストのご自身の名前の横に表示されている挙手ボタンにて、挙手の表示をお願いいたします。なお、発言する際には、最初に名前を述べてから、意見、質問をお話しください。
 それでは、諮問案件についてのご質問、ご意見はいかがでしょうか。
 加藤委員、お願いいたします。
○加藤委員 ご説明をありがとうございます。和歌山大学、加藤でございます。
 支笏湖のほうにまず質問をさせていただきます。まず地域の宿泊キャパをどう判断するかということです。田園地帯の中の小規模の施設が静かな雰囲気を保っていて景観が維持されるとあるのですが、今回リゾート施設の建設に加えて、その宿泊キャパを4倍にするというのは、どのように妥当なキャパであると判断をされるのかというところを教えていただきたいと思います。
 また、このリゾート施設のキャパというものがどれくらいなのかも教えていただきたいです。また、リゾートホテルは国立公園の保護と利用の好循環に貢献すると書いてありますが、それはどのように評価をされているのか、本施設も同様の条件が課されるのかというところをお伺いしたいと思いました。
 2番目の富士箱根についてです。こちらも1,700万人まで回復とありますが、これは宿泊なのか、日帰りのお客様なのかという点を教えていただきたいです。また、これまでのピークがどの程度で、それを目指すのか、その数が妥当なのか、どのように判断をされるのかというところをお聞きしたいです。また、部屋数を変えずに50名を増やすというのは、どのようにされるのでしょうか。最後に、植林について、景観や風致の維持のためとしか読めないような気がしますが、何が、どういう保全目的で植えられるのかも教えていただきたいと思いました。
 ありがとうございます。以上です。
○中村小委員長 ありがとうございます。多分、一人一人回答しても大丈夫そうですので、まずは、回答をお願いいたします。
○事務局(山下) ご意見ありがとうございます。
 まず支笏洞爺国立公園壮瞥温泉宿舎の関係ですが、本日、現地事務所の職員にも入っていますので、必要があれば補足をお願いできればと思います。
 宿泊キャパですが、洞爺湖温泉、洞爺湖周辺でどのぐらいの利用ニーズがあって、それに対してどこまでの対応をするかに関しては、情報を持ち合わせておりませんで、お答えができない状況です。少なくとも壮瞥温泉宿舎に関しては、かなり広い範囲が、事業ができる可能性のある範囲と、資料1-3のパワーポイントの2枚目の地図より見られます。右に壮瞥温泉と地名が書かれており、この辺りまでは一定の環境を有しているということで、かなり広い範囲があり、その中で今回の新しい宿舎事業を受け入れることは、この環境のキャパシティーからいうと、問題ないのかと考えているところです。
 それから、リゾートホテルが目指そうとする国立公園の保護と利用の好循環をどう評価するかという部分も、今回事業開業されているところが、どういう計画を持っているかという詳細なところまでは把握しておりません。しかし、少なくとも、国立公園の保護と利用の好循環を一緒に目指していただくという大きなところで事業者と調整をしていると聞いております。
 それから、富士箱根伊豆国立公園の六郎兵衛宿舎のご質問になりますが、1,700万人というのは、日帰りの、入り込み客数になっております。これも、どこまでの数を今地元で目指そうとしているのかそこまで把握できておらず、もし現地で情報を持っていれば補足いただければと思っております。少なくとも、1回コロナ禍で下がった観光客数が、ピークに向かって回復途上である現状であると理解をしております。
 最後、六郎兵衛宿舎の植樹の関係で、何が植えられるのかというのも、今、現地で調整をいただいているところですので、もし情報を持っていましたら、現地のほうから補足をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
 支笏洞爺の櫻庭さん、それから、箱根事務所の方で、今の点、補足いただける点があればお願いいたします。
○支笏洞爺国立公園管理事務所(櫻庭) 支笏洞爺事務所の櫻庭と申します。
 壮瞥温泉宿舎につきましては、地域の公園利用における効果としては、昨年度、事業決定を行った後に宿泊施設が1棟建ちましたが、それにつきましては、宿泊施設内にいわゆるアクティビティセンターのようなものを設けて、そこがガイドの拠点になって、それで、有珠山とか昭和新山、その辺りの公園利用や、洞爺湖の水辺の利用など、そういったことを推し進めるのを、壮瞥温泉宿舎でやっております。
 そして、今後、今回の事業決定の変更に係る宿舎の施設については、それともまた少し異なる利用層を想定しており、コンドミニアム的なものを計画しております。そこを中心に、国内外の方々が長期滞在できるような利用形態を設けることを考えております。それによりまして、アクティビティの利用というものについても後押しができると考えておりまして、そういった計画、考え方に基づいて、事業決定の変更を行いたいと考えております。
 以上です。
○事務局(山下) 櫻庭さん、ありがとうございます。
 箱根事務所、もし、補足いただけるようならお願いできればと思いますが。
○富士箱根伊豆国立公園管理事務所(黛) 富士箱根伊豆国立公園管理事務所の黛です。聞こえていますでしょうか。
○事務局(山下) 大丈夫です。
○富士箱根伊豆国立公園管理事務所() まず最初、入れ込み客数の1,700万ですが、宿泊客数と日帰り客数の合計の数となっております。これについては、コロナ禍前は2,000万人を超えていたので、具体的にどこまでの数を目指すかというのは、こちらもデータは持ち合わせておりませんが、現状としてはコロナ禍よりは少ないところで、コロナ禍前を引き続き目指していると思っております。
 また、植樹については現地のほうで、今後、管理計画に基づいて、周辺植栽には箱根地域に自生する植物と同種の植物を使用するというところで、行政主導していく予定としております。
 以上です。
○中村小委員長 以上ですか。ちょっと何か回答が弱かったような気がしますが、加藤委員、今の回答でどうでしょうか。
○加藤委員 国立公園、宿泊のキャパ、今いろいろな地域での、都市部でのオーバーツーリズム的なところが非常に課題視されています。やはり、国立公園内でのキャパというのは、どのように判断されていくのか、私は専門的な知見を持ち合わせていないので分からないのですが。ある程度の、これくらいのキャパであろうという意識は必要ではないかと思い、質問させていただいています。
○中村小委員長 西村さんのほうから。
○西村国立公園課長 ありがとうございます。
 公園事業のキャパシティーの問題というのは、これまでもいろいろご指摘いただいているというふうに承知しております。実際問題として、公園のどこのキャパシティーを考えるのか。例えば、伊豆半島全体なのか、伊豆半島のそれぞれの温泉地なのかというところでも、キャパシティーの考え方はいろいろあるでしょうし、そういったような形もあるので、少し勉強が必要だなというふうには常々感じております。
 それで、後ほどご説明させていただきますが、先端モデル事業で、滞在環境の上質化というのをやっていくこととしております。その中では、地域の皆様の理解とその場所の環境保全を前提にして、どのような宿泊施設を誘致すべきか、すべきじゃないかという議論が進められています。その中では、モデル事業になって、十和田八幡平国立公園の休屋地区で議論が進められますので、そういったようなところでの成果を活用しながら、キャパシティーの議論というのも勉強していきたいと思っております。
 以上でございます。
○中村小委員長 支笏洞爺のほうは165から700まで上げるということなので、何らかの形で、やっぱり根拠というものが必要になってくるのではと思いました。また後で、そのような情報があれば委員の皆さんにお知らせください。
 深町さん、お願いします。
○深町委員 ありがとうございます。
 まず、富士箱根伊豆国立公園ですが、先ほどもご質問ありました周辺の樹林地のことです。11ページの資料を見ても、写真からの判断ですが、ちょっと赤くなっているところが、どんな植物なのかとかいうのも分からなかったり、樹木の状態を見ても、これが本当にベストな状態なのか、疑問が残ることもあります。既存樹木をとにかく保存するのが、本当にそれがいいのか。外来種等が入っているとか、現状の樹林地としての健全性だとか、植生としての位置づけをしっかりした上で、どうするかというのを考える必要があるのではないかと思います。そういった意味で、今どのような状態になっているか、もう少し具体的な植物とかの名前などを教えていただいて、それを今後どうするのかという具体的な方向性、あるいは管理をどのようにしていくかという点をお聞きしたいというのが一つ目です。
 二つ目は、東予園地ですが、15ページ目の、浸食対策の写真を見ると、工法、緑化の仕方など、あまりいい事例のように見えません。イメージであったとしても、審議会で使う写真であるという点も含め、工法としてどのような工夫をするのか、今の植生や状態をどのように活かしながら、災害対策・侵食対策をしつつ、景観的にも生態系としてもいい方向に持っていくのかという方針が、この時点である程度は分かるようにしていただきたいです。そうでないと、実際事業を実施した際に、配慮がないまま進んでしまうことも懸念されると感じましたので、この辺りについてご説明いただければと思います。
 以上です。
○中村小委員長 どうぞ。
○事務局(山下) ご意見ありがとうございます。
 まず、富士箱根伊豆国立公園のこの場所が、今どういう状態で、本当に既存樹木を保存して森林に戻すことがいいことなのかというご質問をいただきましたが、先ほど、現地のほうから、どういう樹種を植栽するかも、今のところ情報を持ち合わせていないとありました。ですので、本日いただいたご意見を踏まえて、今後、この計画を進めてもよいとなりましたら、ご意見いただいた部分も含め、今どういう状態であるか、事業者と環境省で確認し、その環境に合った修復を考えていきたいと思っております。
 現地のほうで、もし今の状態で補足できるところがありましたら、またお願いできればと思います。
 また、東予園地の水路工の関係ですが、まずイメージとはいえ、このような景観もしくは生態系に配慮されていない写真というのを掲載してしまい、申し訳ございませんでした。もちろんこういう状態になるということが最後の完成像ではありませんので、そこは訂正をさせていただきたいと思います。環境省事業で、実施される部分ですので、当然、景観的、生態的な部分で配慮した工法を進めてまいりたいと思います。とはいえ、今後、会議の資料として活用するときには気をつけてまいりたいと思います。
 以上です。
○中村小委員長 どうですか。いいですか。
○深町委員 そうですね。具体的な情報はなかなか難しいということですよね。
○事務局(山下) すみません。もし具体的な情報を現地でお持ちでしたら、補足をお願いいたします。
○富士箱根伊豆国立公園管理事務所() 富士箱根伊豆国立公園の黛です。よろしいでしょうか。
 現地の状況についてですが、詳細なところまでは、今、資料は手元にないのですが、今回の新規拡張エリアにおいて確認されている樹種は、エゴノキ、カエデやミズキなどの広葉樹が確認されております。今後の修景植生については、先ほども申し上げましたとおり、このような箱根地域に自生している種と同様の種というところで、指導していきたいと思います。
 以上です。
○松山自然保護官事務所(中山) 松山自然保護管理事務所の中山です。
 補足しますと、今の施工イメージ図は、下から法面を見上げるようになっていて、工作物の周りも全く植物がないような状態になっていますが、実際の現場はこのように下から見上げるのではなく、むしろ上から、しかも横側から見るものであり、現地もかなり植物が生い茂るので、恐らく工作物自体が全く見えないような状況になると考えています。そういう意味で、風致上の支障は小さいだろうと考えます。
 以上です。
○中村小委員長 まだご不満はあるかもしれませんけど。
 写真は考えていただきたいのと、そもそも、これで侵食がうまく止まるのかどうかもやや怪しいので、その辺もきちんと説明があったほうが良いと思いました。
 それでは、ほかの方々も手を挙げておられますので、オンラインで、山本委員、お願いいたします。
○山本委員 山本です。ご説明ありがとうございました。
富士箱根伊豆国立公園の六郎兵衛宿舎についてです。資料の10ページには園路が示され、緑被されている場所が新たに追加され、そこが園路や駐車場を整備する対象区域になっているかと思います。
 8ページの資料では最大宿泊者数を600人から650人にするということでしたけれども、よく読んでみると、宿泊者向けの室数は変えずに宿泊者数を増やしたいということで、こういう整備が行われるとなっています。一般的には宿泊室数やベッド数によって収容力が決まると思いますが、園路を整備することで宿泊者数を増やしたいという論理についてはよく理解できませんでした。面白い提案かもしれないとは思いましたが、反対に、無理のある開発や整備にならないのかという心配もあります。園路を整備することで、宿泊者数を増やしていく面白い取組になるのであれば、その点がよく分かるように説明いただけるとありがたいです。以上です。よろしくお願いいたします。
○中村小委員長 回答お願いします。
○事務局(山下) ご意見ありがとうございました。
 9ページのところの2点目、3点目に書いている記述のところですが、承知しているのは、この駐車場とか園路の整備の充実は、どちらかというと質の向上に資するものでして、それそのもので最大宿泊者数の拡大に寄与していくものではないということです。なので、園路の整備等を充実させることで、質の向上を図るということと、施設の規模を変えない範囲で、1部屋当たりの上限を増やして、最大宿泊者数を拡大させていくという計画であると承知をしております。
 以上になります。
○中村小委員長 ありがとうございました。
○山本委員 ありがとうございました。
○中村小委員長 愛甲委員、お願いいたします。
○愛甲委員 北海道大学の愛甲です。
 壮瞥町の件について質問したいと思います。現行、既に事業を行われている区域に追加して、さらに最大宿泊者数をかなり増やすということですが、令和5年度に既にリゾートホテルは開業しているということですが、資料でその状況がよく理解できません。現行の区域が、全て点在していますが、分散して区域が分かれているところをどのように使われているかがよく分かりません。また、そこで国立公園の保護と利用の好循環に貢献するリゾートホテルが開業し、好循環に貢献していると。先ほどの質問がありましたが、どのように判断されているのかよく分かりません。追加予定区域がどのように使われる予定かというのを、先ほどの櫻庭さんの説明で少しは理解できましたが。かつ、この敷地を活用したアクティビティの提供を想定しているとのことですが、どういうアクティビティの提供を予定されているか、また、場所的に湖岸の利用などは想定されていないのか等についても教えていただけますでしょうか。
○事務局(山下) 山下です。
 まず、今どういう状況かというところですが、青で囲っている部分で公園事業の施設が2件、認可を受けて宿舎事業を実施しているという現状になっておりまして、特に真ん中の横長の四角の部分というのが、この資料で書いておる令和5年度に新しく開業した施設になっております。
 その後の、どういう保護と利用の好循環を実現しているのか、あるいはどういうアクティビティがされていて、湖畔利用とどう関係しているのかというところを、よろしければ、また、現地の櫻庭さん、お願いできればと思います。
○支笏洞爺国立公園管理事務所(櫻庭) 櫻庭です。
 今回の新しいホテル宿舎については、これから事業計画について詳細を詰めていくというような段階でございます。その中で、比較的、庭部分が広いため、そういったところを散策しながら、何の体験ができるのかというところは今後詰めていくような状況でございます。
 一方で昨年度から供用している宿については、先ほどお伝えしたとおり、アクティビティセンターというものを併設したり、なかなか珍しいと思いますが、地域と風景がマッチするような形で、農園のようなものも造園工事の中に含めて、そういったところで宿泊者に体験していただくというようなサービスをやっております。そこについては、フラワーガーデンに近いような、花を使ったような目で楽しむようなものもあれば、体験するようなものも含めてサービス提供していっている状況がございます。
 それと、湖岸の利用につきましては、湖岸から出艇できるようなところが4か所ほどありまして、そこにガイド引率で連れていくようなサービスを、現在営業している壮瞥温泉宿舎の1事業で行っていくということでございます。
 また、事業決定の範囲につきまして、湖岸にないという部分がありますが、それにつきましては、湖岸一周道路から見た場合の風景の保護という面で、道路よりも湖側に大きな施設を配置しないという計画になっており、そこでは園地の整備は行われていますが、建物の整備は湖岸では行われていない状況でございます。ですので、山側の宿舎事業から、ガイド等の引率によって湖を利用するという利用形態が始まっている状況でございます。
 説明は以上です。
○愛甲委員 分かりました。ありがとうございます。
○中村小委員長 愛甲さん、いいですね。ありがとうございました。
○愛甲委員 もう1点いいですか。
 今あった、湖岸から離してということですが、逆にその間に植栽をするような表現もあったと思いますが、それは逆に宿泊施設からの湖の展望を遮ることにはならないのでしょうか。
○中村小委員長 これも櫻庭さんがいいですかね。お願いいたします。
○支笏洞爺国立公園管理事務所(櫻庭) 引き続きまして。植栽につきましては、その高さ等があるとは思いますが、宿泊の施設が先ほど資料のとおり20メートル以下にはなっており、恐らく1階からの風景を見るときは、多少その植栽がかかってくるというような計画になるのではないかと考えております。一方で、2階以上3階ぐらいでは、湖が見えて、その先に羊蹄山が見える風景がきちんと確保されるという計画で、モンタージュなどではそのようになるという説明を、事業計画者から受けているところでございます。
 以上です。
○愛甲委員 分かりました。ありがとうございます。
○中村小委員長 ありがとうございました。
 それでは、苅谷委員、お願いいたします。
○苅谷委員 2点ございます。一つは今の支笏の例でございますけれども、この場所は、ちょうど有珠山の北側すぐの火山麓斜面であります。既にご承知だとは思いますが、土石流をはじめとする土砂流出、あるいは噴火のときには噴石なども飛んできます。この予定されている場所のすぐ南には、道路を挟んでエコミュージアム火山遺構公園などもあるかと思います。ここでの管轄外かもしれませんが、火山防災上の配慮とか、あるいはこれだけの数のお客さんが来たときに、何かあったときにはきちんとした避難や対策がなされるのかどうかということをお尋ねしたいと思いました。
 それともう1点は箱根のほうですが、これは専門外ですので、ややピント外れのお尋ねになるかもしれません。スライドの10枚目の設計図のようなものをよく拝見しますと、植栽のツリーですか。木以外に、Organic Gardenガーデンというのが幾つか書かれているのですが、これは一体どんなものを植えるのかなということと、この宿舎の北側にはStreamと書いてあり、何か小川のようなものも造る計画なのかと、その水はどうやって確保するのかといったところを、お分かりであれば知りたいと思いました。
 以上です。
○中村小委員長 お願いします。
○事務局(山下) ありがとうございます。
 まず壮瞥温泉のほうですけれども、先ほど現地からも詳細な事業計画はこれから詰めていくところだという話もありました。公園利用者の安全確保も、公園事業をする上では重要な視点と思いますので、事業認可の計画を詰めていく中で、しっかりとその辺りも確認してまいりたいと思います。
 それから富士箱根伊豆のほうは、現地に振らせていただきたいと思います。今時点の計画で、もし把握している情報がありましたら、補足をお願いいたします。
○富士箱根伊豆国立公園管理事務所() 富士箱根伊豆国立公園管理事務所です。
 現状では具体的にどのような種を植えるか、小川を造ってどのように水を引くか、そういった詳細までは、こちらのほうで、まだ現状では把握しておりません。これから設計を詰めていくところかと思います。
 以上です。
○中村小委員長 苅谷委員、いかがでしょうか。
○苅谷委員 承知いたしました。
 植栽については、何かコメントできる立場、専門ではないのですが、既存のもの等、あるいは既存の環境に影響のない工法などを取られるといいのではないかと感じました。
 以上です。ありがとうございました。
○中村小委員長 ありがとうございました。
 最初の件(火山防災上の観点)については、多分環境省のマターなのか。ただ、ご存じのように、近年、78年頃、私が学生の頃に一度噴火して、その後も噴火して、ここ自体大変危ない場所であるということは前提ですよね。噴火を予測された岡田先生は、ウィンザーでしたっけ、火砕流台地の上にあり、サミットで使われた場所に移動すべきだというふうにおっしゃっているぐらいです。本当に危ない場所だとは思うので、ホテルの管理者がそれをどのぐらい意識されてやられているのか、若干心配になります。そういう意味では、今の苅谷委員の意見をきちんと伝えていただきたいなと思いました。ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○町田委員 ご説明ありがとうございます。町田です。
 私のほうでは1点、全ての件についてのご質問ですが、このような宿泊施設ができるというところで、そこで国立公園に滞在しているんだという気持ちになったり、よりこういう宿泊者の人たちがよき国立公園の理解者になってくれたり、そういう流れができると、目指されている保護と利用の好循環になっていくのかなと思います。これからこのようなホテルや宿泊施設に、こういう指導をしていこうとか、何か予定等はあるんでしょうか。
○西村国立公園課長 大変重要なご指摘ありがとうございます。
 次の議題にもありますが、国立公園ならではの感動体験を提供する宿泊施設とは何ぞやというのを、ガイドラインとしてまとめまして、もちろんおもてなしの心という、利用者サービスというのもありますが、その滞在拠点が周辺の国立公園の保護にも貢献し、それが保護と利用の好循環につながるのではないかと考えており、その公園事業の在り方についても、後ほどご紹介をさせていただきます。本当にありがとうございます。
○中村小委員長 ありがとうございました。
 それでは、後でまたご説明いただくことにして、この3件についてよろしいでしょうか。
 どうぞ。
○加藤委員 5ページのリゾートホテルの記述ですが、やはり、貢献するリゾートホテルと書いてしまうと、サステナブルなホテルがあります的な言い方になってしまうので、貢献することを目指すで・その連携に合意をしているホテルというような、記述にぜひ変えていただければなと思いました。
 以上です。
○中村小委員長 どうですか。
○事務局(山下) ありがとうございます。
 ご指摘を踏まえまして、現地を通じて事業者とも調整を図りまして、そういった記述に変更したいと思います。ありがとうございます。
○中村小委員長 ありがとうございました。
 他はいかがでしょう。諮問案件はよろしいですか。
 情報の足りないところはありましたが、それは別途補足していただくこととし、大きな問題はなかったように思いました。ということで、本件については適当と認めて答申したいと思いますが、いかがでしょうか。
(異議なし)
○中村小委員長 よろしいですか。ありがとうございました。
 それではこの諮問に係る審議は終了して、次に報告の事項に移りたいと思います。
 議題の2、これについて事務局から説明をお願いいたします。
○事務局(植竹) 資料2についてご説明させていただきます。国立公園課の植竹でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 滞在体験の魅力向上についてでございます。昨年度の春の審議会において、一旦説明をさせていただきましたが、その後の進捗を説明させていただきます。
 インバウンド再開を踏まえ、国立公園満喫プロジェクトのさらなる展開として、民間活用による国立公園利用拠点の面的な魅力向上に取り組み、美しい自然の中での感動体験を柱とした滞在型・高付加価値観光の推進を図るというのが滞在体験の魅力向上事業でございます。
 昨年2023年1月から6月に有識者会議を開催いたしまして、宿舎事業を中心とした国立公園利用拠点の面的魅力向上に向けた取組方針を策定いたしました。
 方針策定直後に審議会がございまして、一旦報告させていただいておりますが、その後、この取組方針を実際に具現化するために滞在体験の魅力向上のための先端モデル事業というものを開始いたしております。
 その中で、国立公園の利用の高付加価値化といたしまして、ここに二つ掲げてございますように、国立公園の魅力的な自然環境を基盤とし、地域の歴史・文化・生活を踏まえた、本物の価値に基づく感動や学びの体験を提供し、利用者に自己の内面の変化を起こすこと、関係者が、持続可能で責任ある観光の姿勢を共有し、保護と利用の好循環を目指すこと、この二つを備えていることを国立公園の利用の高付加価値化としております。
 これに具体的に取り組む先端モデル事業でございますが、先ほど局長からもご説明させていただいたとおり、ここに掲げております4つの公園を昨年8月に選定いたしました。
 各公園において、それぞれ取組を進めているところでございますが、その後、今年3月に、まず集中的に取り組む利用拠点の第一弾として、十和田八幡平国立公園の休屋・休平地区を選定いたしております。ほかの3公園につきましても、現在、高付加価値化の取組の検討を行っておりまして、順次進めてまいります。
 十和田八幡平国立公園の取組でございますが、この下に掲げておりますように、まず基本構想を今年3月に策定いたしました。
 それを基に休屋・休平地区を利用拠点に選定したというのが3月でございまして、現在マスタープランの計画策定を行っております。並行いたしまして、宿泊施設の方向性を検討するために、民間の事業者に対してサウンディング等を行う予定でございます。
 その後、宿泊事業者の公募などを経て、国立公園ならではの感動体験を提供する宿泊施設の誘致を行ってまいります。並行して、周辺に書かれておりますように、自然体験アクティビティの創出、プロモーション、滞在拠点の上質化、それから地元での推進体制の確保。現在、基本構想作成のために十和田湖1000年会議というものを開催しておりまして、こういった地元との連携体制を通して全体的な推進を行ってまいります。
 中部山岳、大山隠岐、やんばる国立公園につきましても、これに引き続きまして検討を深めて利用拠点を順次設定してまいります。
 本件につきましては、先ほど局長からご説明させていただきましたが、先週金曜日、7月19日に観光立国推進閣僚会議において、この資料を基に説明がされたところでございます。この資料は、現在、首相官邸ホームページで公開されているものです。
 この資料の前半が先ほど説明いたしました十和田湖の先端モデル事業でございまして、ここで得られた知見、先端モデル事業4地区はこのような形のフルパッケージで様々な取組を行うものではございますが、ここで得られた知見を活用しまして、さらなる展開事業として全国の国立公園全35公園において、地域の理解を得つつ民間事業者の意向を把握した上で、各公園の特性に合わせて取組内容を調整し、民間活用による魅力向上の取組を展開していくということとしております。
 具体的には順次、地方公共団体や民間事業者において滞在体験の魅力向上の取組に関心のある地域から、地域説明会やサウンディング調査を速やかに実施すること、並行して、学識経験者や民間事業者の意見を踏まえながら、全国展開に係るスキームや実施主体への協力支援等の内容を検討していくこととしております。
 国立公園制度100周年となる2031年までに全ての国立公園で民間活用による魅力向上の事業を実施してまいります。
 先ほどの資料に戻りまして、もう1枚スライドをご説明させていただきます。
 国立公園における滞在体験の魅力向上の一環といたしまして、先ほど町田委員からもご質問をいただきました点ではございますが、滞在体験の拠点となる宿舎事業を核とした感動体験の提供や保護と利用の好循環、この推進を目的といたしまして、ガイドラインの策定や連携方策に、段階的に取り組んでまいります。
 現在、検討会を2回開催しておりまして、今後、ガイドラインを策定、公表させていただく予定です。
 ガイドラインにおきましては、国立公園ならではの感動体験を提供する宿泊施設としての理想像、望ましい姿というものをお示しさせていただき、その実現に向けて必要な機能、役割を整理、宿舎事業者と認識共有を図ることを目的といたします。
 ガイドラインで示す機能、主に5つございまして、まずは環境と社会の持続可能な発展に関する項目でございます。国立公園の貴重な自然に負荷をかけないよう、環境負荷の総量削減に係る取組、それから、持続的に取組が進められるよう地域社会への貢献という項目を挙げております。
 また、国立公園の保護と利用の観点から特に重視する項目として、自然環境保全・利用環境への貢献、それから、感動体験ができるアクティビティの提供、という保護と利用の好循環に係る取組を掲げております。
 さらに、最後にこれら4つの機能が継続的に持続可能に行われるよう、取組の実効性の確保に関する項目を掲げております。
 段階的な取組のイメージといたしまして、まずはガイドライン、この1.0バージョンではございますが、公表させていただいた後、連携方策の試行を実施いたしまして、その試行を通してさらにガイドラインもバージョンアップさせていただき、本格運用を令和8年度頃から行うということを目指しております。
 まずは、ガイドライン公表後、連携協定を目指して、この後、公募を行ってまいりたいと考えております。
 資料につきまして、以上です。
○中村小委員長 ありがとうございました。
 それでは、今のご説明に対して、ご質問、ご意見をお受けしたいと思います。お願いします。
 まず、会場のほうからですか。
 原委員、お願いいたします。
○原委員 資料の説明をありがとうございました。
  言葉の使い方についてですが、日本なので、やたらと片仮名語じゃなくて日本語で提示した方が良いと思いました。普通の人がサウンディングと聞いても意味が分からないと思います。
 マスタープラン・インタープリテーション計画作成とか書いてありますが、日本語でいいじゃないですか。これ何で片仮名にする必要があるのかなと思いました。プロモーション、アクティビティ等も日本語でいいと思うので、日本語に直していただければ全体的にもう少し分かりやすくなると思います。今、全体的に見て、そのように思いましたので、意見として述べさせていただきました。ありがとうございます。
○中村小委員長 どうぞ。
○事務局(植竹) ご意見どうもありがとうございます。
 幅広く国民に伝えなければならないことだと考えておりますので、ご指摘を踏まえまして、伝わりやすい表現というのを検討してまいります。ありがとうございます。
○中村小委員長 ちなみに、サウンディングというのは、どういう意味で書かれているのですか。
○事務局(植竹) まず、民間の宿泊施設を営んでいる事業者さんとかに、例えばここで事業をやるとしたらどういった条件が必要かですとか、こういった場所でやるためにはどのようなことであればビジネスとして成立しそうかといった、具体的なビジネスに係る意見をいただく、それを計画に反映させていく、そのための感触を聞くという意味でのサウンディングでございます。
○中村小委員長 ありがとうございます。
 続きまして、相澤委員、お願いいたします。
○相澤委員 認定NPO法人みちのくトレイルクラブの相澤と申します。ご説明ありがとうございました。
 好循環の利用を推進していくということで、大変すばらしいことだと思います。現時点では事業者への説明や、地域への説明で共有とのことのようですが、利用者に対する教育等をどのようにお考えなのかお伺いしたいです。
 昨日までグレートスモーキーマウンテンの辺りからいらっしゃっていた、アパラチアントレイルの関係者の方々とお話ししていました。私も実際に昨年視察に行ったときに感じましたが、アメリカでは、リーブノートレースという取組があり、7つの原則に則り、どのように自然の中で活動するのかということを、利用者に対して非常に熱心に教育されています。
 インタープリテーションの中でも、利用者に対して何がすばらしいかという教育だけではなく、どのように国立公園を活用していくのかという教育が徹底されています。私も国立公園のことは不勉強であまり存じ上げないのですが、例えば三陸復興国立公園の中で利用者に対する自然保護に対する教育は、今はまだあまりなされていない気がします。
 リーブノートレースのようなもの、同じでなくてもよいのですが、国立公園として一貫した利用者への教育をどのように考えていらっしゃるのか、もし、まだ統一的な考えがないということであれば、そういったことも少し取り入れていただけたら良いのではないでしょうか。事業者だけではなくて、利用者に対しても、と思ったところでございます。
 以上です。
○事務局(植竹) 大変貴重なご指摘、どうもありがとうございます。
 今回のガイドラインにつきましては、宿泊事業者向けのガイドラインとはしておりますが、なぜここで宿泊事業者向けのガイドラインをそもそも作成したかというところの背景に、まず、利用者さんの滞在時間が非常に長いので、国立公園の中での接点といいますか、そういう意味で非常に重要な施設だという点もございます。
 ですので、宿泊事業者さんにおかれましても、ぜひ国立公園の情報提供ですとか、マナーですとか、ルールというものの提供に協力していただきたいというのが、このガイドラインの中にも含まれております。
 それから、国立公園全体といたしましてPRですとか、ルールの普及啓発、そういったものはビジターセンターといったような公的な施設が一番核になるかと思います。
 そういったところで、リーブノートレースに準ずるようなルールやマナーをパンフレットのような形で作成して配布している国立公園も実際にございますし、できるだけ分かりやすい言葉、日本語でアイコンみたいなものをつけて配るというような取組も、それぞれの国立公園の中で、統一ではありませんが、取り組んでいるところでございます。
 こういった取組をどんどん強化させていただきまして、ぜひ多くの方に、ビジターセンターに寄っていただかないと伝わらないのだとやや不十分かもしれませんが、ホームページを通したPRなどもやっておりますので、そういったところを通してしっかり伝えてまいりたいと思います。どうもありがとうございます。
○中村小委員長 それでは、町田委員、その後、小泉委員、それから、オンラインの委員の方々にお聞きします。
 町田委員、お願いします。
○町田委員 ご説明ありがとうございました。
 私のほうは2点ありまして、ごめんなさい、英語になって。サウンディングのところですが、いろんな意見を聞くところで、今お手伝いしている国交省などウォーカビリティもそのような取組をしていますが、そういうことをしながらプレーヤーも一緒に見つけていくということなので、その仲間づくりとなるといいかなと。
 ただ、実際に意見を聞いて、机上の論だけで話をしていても、なかなか具体的に結びつかないので、また片仮名になりますが、トライアルサウンディングという試行してみようというところでイベントだけは、まずやってみようとか、そのようなところで一歩一歩具体的にやれる方法もあるのかなと思ったところが一つ目です。
 あと、二つ目が、私も相澤先生と一緒で、やっぱり教育というところもとても大事なところなので、このガイドラインの柱の一つに地域社会とかへの貢献とかにもつながるかもしれませんが、地域内外の子どもたちへの教育にもつながる柱もできてもうれしいなと思ったところです。すみません。
 以上です。
○中村小委員長 ごめんなさい、二人ずつでいきましょう。だんだん時間がなくなってきたので。
 小泉委員、お願いします。
○小泉委員 小泉です。ありがとうございます。
 専門外なのですが、スライドの4枚目のところにの右側のほうに地域社会への貢献というのがありまして、ぜひ事業者の方には、どのように地域社会へ貢献するのかという、具体的なプログラムを示すということを強く要望していただきたいと思います。
 保護と利用の好循環というのは、やはり国立公園が置かれている地域社会、今の現状を見ると好循環というのは事業者が地域社会へ働きかけて、それで地域社会の質が向上して、さらに受皿として十分に機能を果たしていくというところがあると思いますので、ぜひ事業者の方には、どのように地域に貢献するプログラムを用意するのかというところを具体的に示していただきたいと思います。
 以上です。
○中村小委員長 それでは、事務局からお願いいたします。
○事務局(植竹) どうもありがとうございます。
 まず、最初にご指摘いただいた町田委員からのものですけれども、サウンディングにつきまして、情報どうもありがとうございます。まだこれからでございますので、トライアル等も含めて慎重に意見をお伺いしながら進めてまいりたいと思います。
 地域の関係者が結構多くございますので、まずは地域の中でのベースとなる合意形成ですとか、地域として譲れない部分もあるべきものという考え方をしっかりさせた上で、民間の提案も踏まえて、できるだけいいものをつくってまいりたいと思います。
 それから、教育につきましてですが、ご指摘は、非常に重要な部分と思いますが、宿舎事業者ですとかにどこまで求められるのかというのは、事業者ですのでビジネスの部分もありますので、よくご相談かなと思いますが、国立公園全体としてビジターセンターとかも含めて、しっかり自然の価値ですとか、そういったところを子どもたちにも伝えていけるように考えてまいりたいと思います。
 最後、小泉委員からご指摘いただきました地域社会への貢献でございます。こちら、地域の中で持続可能な形で宿泊施設がしっかり運営していくということがまず一つ大きな地域貢献かと考えておりまして、その際に地域としっかり関わりを持って進んでいってもらうというところをガイドラインの中にも記載させていただいております。
 ビジネスとして地域にあるというだけではなくて、雇用もそうですし、地域の食材を使う、地域の文化や伝統などを紹介する、取り扱っていただくというような形もいろいろ記載をしておりまして、地域の魅力の発信基地の一つとして、しっかり宿舎事業者にも貢献していただきたいということを考えております。
 以上です。
○中村小委員長 ありがとうございました。
 それでは、オンラインのほうから、永山委員、広井委員の順番でお願いいたします。
○永山委員 ご説明ありがとうございました。
 2点お願いいたします。観光立国の会議のほうの資料の中で、2031年までに全国立公園での魅力向上の形にしていくという表現があったのですが、その場合、目指すもの、いわゆるニュースとかを聞いておりますと、高級ホテルを全国立公園に誘致するということが言葉としては出ていましたが、具体的にはこの資料を拝見しますと、地域の理解を得てその特性に合わせて民間活力によって魅力向上していくという、それぞれ国立公園ごとの特徴に合わせた取組がされるのかなとも読めます。具体的に2031年までに目指す国立公園の魅力向上の姿というものをどのようなイメージで環境省さんが考えていらっしゃるのかということを1点伺いたいのと。
 それと関連しまして、本日の資料の中で理想像を実現している事業者さんとの連携ということが文言として入っていたと思うのですが、その理想像というのは一体どういうものをイメージされているのか、環境省さんが目指されているのが、いわゆる宿泊体験を通じた魅力向上というのが国立公園の魅力向上のゴールとして考えていらっしゃるのか、その辺りを教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○中村小委員長 広井委員、お願いします。
○広井委員 こうした方向をぜひ積極的に進めていただければと思うのですが、滞在体験の魅力向上に関して、やはり移動手段、あるいは交通網が非常に重要になると思います。
 たまたま先ほども出た洞爺湖のほうへ昨年末に訪れることがありまして。旅行者目線のコメントになりますが、駅から湖畔への交通手段がかなり少ないといいますか、限られている印象を持ちました。
 ですので、端的に言えばマイカーを前提としなくてもアクセスしやすいようにという方向をぜひ進めていただければと思います。こういう議論は、既に以前からもあるかと思いますが、やはり大都市圏から訪問する人は、現地までは鉄道や飛行機で行きますので、そこから先のいわゆる二次交通、それをマイカー以外の公共的な交通で移動できるという、そこを充実するという点をぜひ重視していただければ幸いに思います。
 以上です。
○中村小委員長 それでは、お願いします。
○西村国立公園課長 公園課長でございます。
 まず、最初の永山委員のご質問でございますけれども、高級リゾートホテルを全国の国立公園にという報道がございました。先ほどの局長からの挨拶でもありましたように、高級リゾートに限定をして誘致を進めるということではございません。地域の実情に応じて各国立公園の特性も様々でございますので、そういったような環境保全と地域の理解というのを前提に、丁寧に話し合っていく中で、地域の皆さんが高級リゾートの誘致もあり得るのではないかということになれば、高級リゾートという話にもなりますし、また既存の施設の活用ですとか、高級ではなくてももう少し宿泊のキャパを増やしたいという議論もあるでしょうし、そのあたりの議論を丁寧にさせていただく、それを2031年までに全ての国立公園で魅力向上の事業をやっていくという説明をさせていただいているところでございます。
 以上です。
○事務局(植竹) そのほかのご質問の部分でございます。
 永山委員からは、二つ目の理想像のイメージのところでございますが、こちらは最後のスライドの宿泊施設としての理想像という意味でございまして、先ほど課長のほうからご説明させていただいたものではなく、国立公園の中にある宿泊施設とはどういったものが理想かというのをガイドラインに記載しております。端的に申し上げると、ガイドラインで掲げてあるようなものを全て条件として満たしているようなものが理想像というようなことを考えております。
 環境負荷が少なく、地域社会にしっかり貢献し、自然の保護と利用の好循環に貢献していて、ここの国立公園の中だということを利用者がしっかりと実感できるような、そういった宿泊施設を理想として考えております。
 最後、広井委員からご指摘いただきました二次交通でございますが、こちら非常に現場では、かなり多くの地域で問題となっております。
 先ほど先端モデル事業で掲げさせていただいた十和田湖地域もそうですが、駅からの二次交通については、かなりの皆さん危機感を持って考えていらっしゃいます。とはいえ、環境省だけでも全然解決できないですし、地域の一部分の方でも解決できませんので、皆さんでしっかり協議をして、少しずつ前に進めてまいりたいと思います。
 以上です。
○中村小委員長 ありがとうございました。
 それでは、江﨑委員、牧野委員の順序でお願いします。
○江﨑委員 ありがとうございます。
いろいろ具体的に進んできていて、高付加価値事業と国立公園の満喫事業が伴って、いい効果が出てくるといいなと思っているんですが、今回この宿泊事業のガイドラインというか、どうあるべきかというようなところでつくっていただきまして、ありがとうございます。
 私としましては、これの運用に当たって、少しお話させていただきたいと思います。
 特に現地事務所の方々に期待したいことでもありますが、先ほどの最初の事項にもあったように、やはり国立公園は公平性がもともとすごく重要で、なるべく排他的にならないようにと言われているかと思います。ただ、どうしても宿泊事業ということになると、そういう一面が否めない部分があると思います。どうしても占有面積がこうやって事業の拡大で始まってくるということもあります。だからこそ国立公園全体の中での宿泊施設のバランスと、地域とのバランスの中で、今まで保護区域であるとか、どういうふうに活動を計画していくのかといったデザインをされてると思いますが、誰でもが入れるのか、例えばたくさんお金を払わないと入れないというような条件が出てくるとか、そういう条件によって地域の中の排他性のバランスが出てくるのかなと思いますので、明言されていないと思いますが、特に現地の保護官事務所の皆さん、国立公園事務所の皆さんには、誰もが楽しめる国立公園というところのデザインというのを意識していただけたらなというのが一つです。
 もう一つは、地域貢献の部分ですが、投資に際して、合意形成というよりは理解の促進という進め方になっていくことが想像されます。
 そのときに、後々地域に貢献していただくことが一番いいかとは思うのですが、地域貢献へのアイデアが一方的にならないように、ぜひ気をつけていただきたいと思います。ありがちですが、地域の事情というのは、なかなか掘り出しづらいものもあって、一般的総論でこうであればいいだろうという、例えば雇用創出や、経済効果はよく言われますが、実際には昔と違って地域にお店もなかったり、物を買える状況がなかったりする中で地域にどうやって経済効果を生むのかとかという前提条件も変わってきていますので、そこでアイデアが一方的にならないようにということを、現状を踏まえて考えていただきたいなと思っております。
 以上です。
○中村小委員長 牧野委員、お願いします。
○牧野委員 ありがとうございます。この事業自体には賛成でございます。
 私の質問は評価についてです。例えば、保護と利用の好循環とか、あるいは地域社会への貢献とか、感動できるアクティビティの提供ができたかどうかというのをどう評価していくのか、どのように図っていくのかについて、今、議論があればその情報をいただければと思います。
 以上です。
○中村小委員長 ありがとうございます。
 お願いいたします。
○事務局(植竹) どうもありがとうございます。
 まず、江﨑委員からご指摘をいただきましたガイドライン運用に当たっての公平性の確保ですとか、誰もが楽しめる国立公園であるためにどのように運用していくのかという話、それから、地域貢献が一方的にならないようにというようなご指摘、二ついただきました。
 この指摘、二つとも特に現場の事務所がしっかりと地域と計画段階から議論していくということが非常に重要と考えております。
 地域側としっかりコミュニケーションを図っていくことで、ちゃんとした地域貢献にもなるかと思いますし、一部の人だけが楽しめるような形ではなく、みんなが楽しめるような形になっていくと思います。
 地域の中で、様々な人に入っていただきまして議論を進めてまいりたいと思っておりまして、環境省としては、地域の総合型の協議会などもこれまでも運営してきておりまして、現場のレンジャーはそういった意識を非常に高く持っておりますので、今後しっかり取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、牧野委員からご指摘をいただきました、ガイドラインに書かれている地域貢献ですとか、保護と利用の好循環の仕組みの評価でございますが、一つ一つの活動がどのように行われているかというのは、まずは試行の取組の中で各事業者から具体的な聞き取りを行ってまいりたいと思います。
 それがいいか悪いかといったような評価といったことにつきましては、まだなかなか具体的には詰め切れておりませんので、皆様と相談をしながら進めてまいりたいと思います。
 試行の中で、事業者からもここまでなら現実的であろうといったようなラインですとか、そういったところもしっかりお話を伺い、一緒に制度をつくってまいりたいと考えます。
 以上です。
○中村小委員長 牧野さん、今の評価でよろしいですか。政策そのものがうまくいってるのかどうかの評価等の話ではないですか。
○牧野委員 それも含めた評価が大事だと思います。はかれないものは評価できないですので、今いろいろな手法がありますから、ぜひ積極的に事実に基づく政策評価につながったらいいなと思います。
○中村小委員長 ありがとうございます。
 愛甲委員、お願いいたします。
○愛甲委員 愛甲です。
 私からは2点ありまして、一つは感動体験ということです。これはガイドラインの検討会の中でも時々話題にはなってはいましたが、体験というのは、国立公園ならではの体験はいいのですが、感動というのは必ずつけなきゃいけないのかどうか。遅過ぎる議論なのかもしれませんが、どういう定義をしているのか、環境省の中でも整理しておいていただく必要があるのではないかと思います。
 基本的には、個人的には実は感動は主観的なものなので押しつけるようなものではないのではないかと思って、あえて言わせていただきました。
 あともう一つは、今の牧野先生の発言とも関係あるのですが、先日の報道等を受けて、私の関係しているような方々が特に言っていたのは、自然環境の保全とか、あと環境整備への貢献というのはよく分からないと。特に宿泊施設がそれと連携するとはなっていますけど、そこをやはりきちんとやらないと、特に全国で登山道の整備の不足とか、そういうのが非常に言われて、自治体、それから山岳家をはじめ非常に苦労されている中で、そちらはなぜかなおざりになって、協力金もいただきながらなんとかかんとか維持しているようなところもあったり、手が回っていなかったりするところもある中で、片方で高級リゾートホテルみたいな報道が出ると、そのギャップに違和感を覚えるというようなところがあって、はっきり国立公園としての自然環境の保全、それから基盤となっているような施設の整備をしっかりやっていくということは、やはり今まで以上にきちんと伝わるように言わないと、なかなか国民とか、それから地元で頑張っている方々の理解は得られないんじゃないかと思います。2番目は意見でした。
 以上です。
○中村小委員長 コメントがあれば。
○事務局(植竹) 非常に温かい励ましの言葉、どうもありがとうございます。
 まず、感動体験につきましては、ご指摘は重々承知しておりまして、ガイドラインの名前につきましては、今後も、愛甲委員にも入っていただいておりますので、別途ご相談をさせていただきたいと思いますが、誤解なきよう、皆様に伝わるような題名を考えてまいりたいと思います。
 それから、二つ目につきましては、非常にごもっともなご指摘でございまして、その点、環境省としてもさらに力を入れて、特に力を入れて頑張ってまいりたいと思います。応援どうもありがとうございます。
○中村小委員長 ありがとうございます。
 様々なご意見をいただきました。局長が冒頭でおっしゃられたり、課長がまたそれを補足するように言われたり、報道が何となく高級ホテルを誘致するみたいな議論になってしまったので、ぜひその辺は愛甲委員もおっしゃられたとおり、登山道の整備であったり、私なんかは本当、日高もトイレ問題であったりとか、いろんな問題を実際には抱えてくると思いますので、そういった末端のきちんとした整備が行き届くようなことも含めた情報発信をお願いします。。
 それと、高級とか何とかということじゃなくて、現状のホテルとか宿泊施設とあまり競合するような価格帯というのは、やっぱり街全体としてもよくないと思うので、価格の高いところもあるし低いところもあって、お互い利用者側がすみ分けできるような、そんな計画が必要なんじゃないかなと思いました。
 どうぞ。
○西村国立公園課長 どうもありがとうございます。励ましのメッセージだと思っております。
 国立公園を支えていただいているのは、やはり地域社会の皆さんであるといつも思っていまして、地域の生活が元気でないと自然環境の保全というところへの協力というのもなかなか得られないというふうに私は思っています。
 そんな中で、やはり国立公園の中には廃屋が生じたり、地域社会自体が傾いてしまっていたりするようなところも増えていると。そういった中で、廃屋の撤去という物理的な事業はできるのですが、その後の姿というのを地元の方々とよく議論をした上で、どういう将来像を描き、その中で宿舎事業、宿の在り方というのもしっかり議論していきたいと思います。
 そんな中では、もちろん高級リゾートという選択もありますし、地元の事業者さんがそこを活用していくという考え方もありますし、とにかく地域の方々と丁寧な相談の下、この滞在型の事業というのを進めてまいりたいというふうに思っております。どうもありがとうございます。
○中村小委員長 ありがとうございました。
 それでは、ちょっと時間が過ぎてしまい申し訳ありません。
 報告の3、東海自然歩道50周年記念について、説明をお願いいたします。
○事務局(佐々木) 国立公園利用推進室の佐々木です。よろしくお願いします。
 こちらに映っているとおり、東海自然歩道の50周年の記念式典を7月13日の土曜日に開催いたしました。
 これに先立つ4月に観光立国推進閣僚会議のほうで、ロングトレイルの活用などの方針を環境省の伊藤大臣のほうから報告させていただいたところでもあります。
 東海自然歩道50周年という節目を今年迎えて、全線開通から50周年ということで迎えておりまして、いま一度、この価値を捉え直すということと、それから、さらに活用を進めていくためには、今後何が必要だろうかというところを皆さんで意見交換するような式典を行いました。
 また、環境省のほうから東海自然歩道の活性化に向けてリバイバルプランというのが出たものですが、そちらについても公表させていただいたところです。
 こちらがリバイバルプランでございます。案はもう取れておりました。申し訳ございません。
 東海自然歩道は、昨年度、地球環境基金を活用しまして、トレイルブレイズハイキング研究所というところが調査を行っております。その調査の結果によりますと、一本の道として概ね歩くことができる。それから、標識なども一部老朽化は進んでいるものの機能をしっかりと果たしていると、そういうふうな報告を受けております。
 一方で、ロングトレイルという一本の長い道を歩いて旅をするということに着眼しますと、そのための情報が一元的に発信されていないことであったり、あとは管理の団体が自治体ごとに分かれていて、管理団体間の横の連携がないことが課題などとして示されました。
 また、利用者のほうとしては、ロングトレイルを愛好するハイカーたちからは、歩ける道があるならば歩きたいとか、管理に協力したい、そういった声も聞こえております。
 これを踏まえて、ありたい姿として、現状はハイカーが一元的に情報を得ることができなかったり、管理団体が横の連携が取れていなくて、例えば一元的な情報を発信するために誰に情報を届けていいのかが分からなかったり、それから、整備レベルをそろえていくとか、そういったことが考えられない状況です。
 ですので、そこにありたい姿として、東海自然歩道ならではの価値を現在のこのインバウンドとかも注目しているようなロングトレイルであったり、今、国内でもロングトレイルに注目が集まっているので、そういった視点でもう一回価値を捉え直すということと、やはり民間主体となると思っていますが、運営組織を立ち上げていくことが必要ではないかということを確認した次第でございます。
 東海自然歩道の活性化に向けては、こういった方針を今回、打ち出しましたので、今後、さらに関係者間での対話の場を持ちながら、どういうふうな価値を捉え直していくのかや、運営組織をどう立ち上げていくのかという議論を地域の皆さんと一緒に考えていきたいと思っております。
 今年はこの50周年に加え、みちのく潮風トレイルも5周年ということで、ここにあるようないろんなイベントを企画しております。明日からは、新宿御苑で展示が始まります。9月3日には、ロングトレイルミーティングということで、ちょっと大規模なイベントを予定しているところです。
 私からの報告は以上です。
○中村小委員長 ありがとうございました。
 この件についていかがでしょうか。ご質問、ご意見。
 どうぞ。
○相澤委員 みちのくトレイルクラブの相澤です。ご報告ありがとうございました。
 私もこの長距離自然歩道の調査等には関わらせていただいておりますけれども、第1号の東海自然歩道の50周年を迎えたということで、みちのく潮風トレイルも今、非常に利用者が増えております。
 これ実は日本だけではなくて、世界的に歩く旅を好む方の利用が増えているということですので、昨今のオーバーツーリズムの解消ですとか、ウェルビーイングの実現ということで非常に価値のある取組だと思っております。
 そんなに簡単なことではなくて、課題はものすごくたくさんあると思います。恵まれていると言われる、みちのく潮風トレイルでもたくさん課題はありますけれども、一つ一つ国立公園の利用促進にも資する活動だと思いますので、取り組んでいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○中村小委員長 ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。オンラインの委員の方々もよろしいですか。
 それでは、この報告については、これで終わりですが、最後にその他があります。
 その他、藤井さんのほうからお願いします。
○事務局(藤井) 1点、ご報告になります。
 参考配布をさせていただいております資料4-1、4-2についてです。
 こちらは、5月22日の第49回自然環境部会におきまして諮問をさせていただき、翌日答申をいただきました、日高山脈襟裳十勝国立公園の指定及び上信越高原国立公園苗場地域の公園計画の再検討についての資料となってございます。
 日高山脈襟裳十勝国立公園につきましては、答申を受けまして、先月6月25日に指定をさせていただいております。苗場地域の再検討につきましては、来月頭の告示にむけて、現在作業を進めているところです。
 本日は、資料配布においてご説明に代えさせていただきたいと思っております。
 事務局からは以上です。
○中村小委員長 これも質問を受けたほうがいいですか。
 もし簡単な質問等あれば、またこれは別途議論するということになるのでしょうか。
○事務局(藤井) 既に部会のほうでいただいておりますので、本委員会のほうではご報告という形で、ご質問は議事全体を通じていただけるようでしたら、その場でお答えさせていただきます。
○中村小委員長 何かありますでしょうか、皆さんのほうから。
 どうぞ。
○加藤委員 質問ではないのですが、本当に日本の国立公園の制度、定義に関わることなので、変えるべきとかそういうことではないのですが、このように利用・活用ということが進んでくると、利用・活用には歴史的・文化的生活というような、そういう文言が出てきます。一方で、当然ながらこの指定の理由には日本の国立公園の制度上出てこないということだと思うのですが、このような歴史的・文化的知見であったりそういう価値が経済活動にうまく使えるというような意識が強くなってほしいなと思っています。
 それが経済的にストーリーをつくることの価値ももちろんあるのですが、保全に非常に重要であるというような意識、そういう位置づけというのが、やはり今後されるべきだなと思いますし、それをやはり利用者の皆様も活用するということをきちんと意識づけることも必要だろうなと思っております。コメントです。
○中村小委員長 ありがとうございました。貴重な意見だと思います。
 ほかはよろしいですか。
 全体を通じて、何か言い忘れたことがありましたら、いかがでしょうか。オンラインの方々も全体を通じていかがでしょうか。
 よろしいですか。
 それでは、以上をもちまして、本日の議題について全て終了いたしました。審議へのご協力ありがとうございました。
 それでは、進行を事務局にお返しいたします。
○事務局(山本) 中村委員長、ありがとうございました。委員の皆様におかれましても、長時間にわたりご審議をいただき、誠にありがとうございました。
 本委員会は、以上をもちまして閉会となります。本日は誠にありがとうございました。
午後2時47分 閉会