自然環境部会自然公園等小委員会 (第39回)

1.開  会

2.議  事

 (1)京都丹波高原国定公園の公園区域及び公園計画の変更について【諮問】

 (2)国立公園事業の決定、廃止及び変更について【諮問】

    ・阿寒摩周国立公園・大雪山国立公園・磐梯朝日国立公園・日光国立公園

    ・上信越高原国立公園・中部山岳国立公園・妙高戸隠連山国立公園

    ・吉野熊野国立公園・足摺宇和海国立公園・阿蘇くじゅう国立公園

    ・奄美群島国立公園 ・西表石垣国立公園  (計12国立公園、計37件)

 (3)その他

3.閉  会

4.議事録

午前9時59分 開会

○司会(国立公園課課長補佐 清武) 定刻前ではございますが、皆様おそろいのようですので、ただいまより中央環境審議会自然環境部会自然公園等小委員会を開催いたします。

 会議に先立ちまして、出席委員数のご報告です。本日は、所属の委員、臨時委員8名のうち5名の方のご出席をいただいておりますので、本委員会は成立しております。

 次に、本日ご説明する資料につきましては、ペーパーレス化の取組を推進するため、お手元にございますタブレット端末の中に格納しております。タブレット端末の不具合などがございましたら、事務局の者にお申しつけください。

 また、本日の会議運営につきまして、お知らせがございます。

 今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、環境省では中央環境審議会の運営においても感染拡大防止の対策を図ることとしております。その対策の一つとして、当面、会場での傍聴は原則として行わず、会議の公開は録画した動画の配信等により行うこととしております。そのため、当委員会におきましても、これまでは傍聴可能としておりましたが、本日は会議室後方の機材にて録画させていただいております。一方、結果として本日の会議には傍聴希望はございませんでしたので、録画した動画を配信するかどうかについては、追って省内で検討することとし、配信させていただく場合には、ご出席の先生方には改めてご連絡を差し上げたいと思いますので、ご理解とご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、自然環境局長の鳥居から、ご挨拶を申し上げます。

○鳥居自然環境局長 皆さん、どうもおはようございます。新型肺炎の影響が大変心配な中、遠方からもお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日は、先ほど司会からも話がありましたように、傍聴者なしということ、またマスクをしていただき、大変お手数をかけますが、開催させていただきました。

 本日の会議は京都丹波高原国定公園の公園区域、公園計画の一部変更と事業決定関係が審議いただく事項でございます。新型コロナの騒動がいつまでなのか、終わりが見えない状況でありますが、できることを今やるしかないということで、政府を挙げて取り組んでいるところでございます。国立公園を初めとする自然公園は、海外からのインバウンドだけではなく、国内の観光全体にも今影響が出ている中ではありますが、この騒ぎがおさまった後、また国立公園、国定公園に一日も早く人が戻ってきてくれるということを願いつつ、本日は限られた時間ですが、ご審議いただければと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

○司会(国立公園課課長補佐 清武) それでは、ここからの議事進行につきましては下村小委員長にお願いいたします。下村小委員長、よろしくお願いいたします。

○下村小委員長 皆様、おはようございます。

 マスクをしたまま話していいのかどうか、ちょっとよくわからないですが。

○江﨑委員 マスクしたまま話しても通るように練習されていました。大丈夫です、先生。

○下村小委員長 そうですか。じゃあマスクをかけて。 今、局長のご挨拶がありましたとおり、大変、コロナウイルスで騒然としている中、本当に遠方からもお集まりいただきましてどうもありがとうございました。なかなか交通機関の中でも国土交通省からいろいろ、混雑を避けてくださいというような案内があったり、本当に大変な時期ではありますけれども、会議のほうはやはり予定があるようですので、粛々と進めるというふうに伺っております。

 本日は、局長からご紹介がありましたとおり、京都丹波高原国定公園の公園区域、計画変更と、あと12公園の事業の決定、廃止及び変更が37件あると伺っています。皆様にご相談したい案件だけに絞っていただいて、それで説明いただき、審議、ご意見を伺う、全体を通して審議させていただくというような手順で進めてまいりたいと思います。そのほか、満喫プロジェクトの進捗についてのご報告もあるということで、議題としては3点で進めてまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。

 それから、会議の会議録は後ほど事務局で作成いたしまして、本日ご出席の委員の了承をいただいた上で公開することになります。なお、議事要旨につきましては、事務局で作成したものを、私、小委員長が了承した上で公開することをご了承願います。

 今回の議事におきましては、議事は先ほど言いました2点です。

 それでは、順次進めてまいりたいと思います。

 まず、議事(1)京都丹波高原国定公園の公園区域及び公園計画の変更についてということで、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局(国立公園課生態系計画係長 安藤) 環境省国立公園課の安藤でございます。本日はお集まりいただきまして誠にありがとうございます。座って説明させていただきます。

 まず、公園計画の変更案件でございますが、お手元のタブレットの議事(1)のところに格納されてございます、資料1-3のパワーポイントに沿って、ご説明させていただきます。

 まず、今回の案件につきましては公園区域及び公園計画の一部変更ということで進めさせていただいてございます。本日のご説明の流れでございますが、まず、京都丹波高原国定公園の概要について、ご説明させていただいた上で、今回変更の中身について、ご説明させていただきます。

 まず、京都丹波高原国定公園の概要について、ご説明させていただきます。京都丹波高原国定公園は、「森の京都~森・川・里に守り継ぐ自然と文化」というふうなテーマで指定してございまして、そのうちの公園の中身でございますが、丹波高原のスギやブナなどの原生的な自然林と由良川、桂川に代表される河川生態系、これらの森林生態系や河川生態系と一体となった文化的景観が優れているということで、国定公園に指定されてございます。

 こちらの写真、左上が京都大学の芦生研究林、原生林の写真でございまして、右上が美山かやぶきの里という、国の重要伝統的建造物保存地区にも指定されているような、かやぶき屋根の民家が立ち並んでいるような場所でございます。左下、八丁平湿原でございますが、西日本では数少ない高層湿原の一つで、ハッチョウトンボも生息するような場所でございます。こういった資質を有することから、平成28年3月25日に国定公園として6万8,851ヘクタールが国定公園として指定されており、今回は指定後、初の見直しになります。

 続きまして、変更の内容について、ご説明させていただきます。

 今回のポイントでございますが、国定公園の指定後に既存の国定公園区域と連続するような地域に関しまして、改めて一体的に保全、利用する必要性があるということが明らかになった場所について、拡張するものでございます。こちらは指定後に、土地所有者の方々と京都府がずっと調整を続けてまいりまして、その調整が今回調ったことからお諮りさせていただくというものでございます。概要はまた後ほどご説明しますが、全体で307ヘクタールの公園区域の拡張という、今回変更案件でございます。

 区域の拡張箇所は全部で2カ所ございまして、右上に赤い線で囲まれたエリアが、そのうちのまず1カ所目でございます。こちらは全域が国有林になっておりまして、国有林の中に、人工林の中にスギ、ヒバ、落葉広葉樹の二次林であったり、ミズナラ群落、アシウスギが伏条更新した伏条台スギなどの巨木が見られ、独特の風致を形成していることから、第3種特別地域に拡張したいというものでございます。こちらは全体で131ヘクタールございまして、第1種特別地域と隣接する斜面で、周辺を第3種特別地域に囲まれているような場所でございます。全体的に人工林が広がっている中に、その中に落葉広葉樹の二次林や、自然性の高いミズナラ群落が点在する場所でございます。

 2カ所目ですが、大悲山の山麓でございまして、こちらは全体で176ヘクタールの拡張になります。176ヘクタールのうち、普通地域が166ヘクタールございまして、こちらはスギ、ヒノキの人工林を主とする地域で、その中には樹高で言うと日本一の高さを誇る「花背の三本杉」というものも興味地点の一つとして見られるところでございます。また、そのうち10ヘクタールを第3種特別地域として拡張したいと考えてございまして、こちらは天然のモミ、スギ、ヒノキの大木が見られる、大悲山のモミ、希少個体群の保護林になっている場所ですが、こちらについては、よりしっかりした保護を図っていく必要があることから特別地域として指定したいというものでございます。

 こちらは周辺の概要を表したものでございますが、左上の写真ですが、大悲山の山麓から拡張箇所を望んだ写真でございます。このように人工林が広がっている箇所は、普通地域として指定するものと、右下にございますが、大悲山の希少個体群保護林に関しましては10ヘクタールを特別地域、第3種特別地域として今回新たに拡張したいと考えているところでございます。

 最後に、パブリックコメントへの対応でございますが、今回変更案件に係るものは0件ということで、特段の対応はございませんでした。

 以上、ご説明を簡単ですが終わりにしたいと思います。ありがとうございます。

○下村小委員長 ご説明、ありがとうございました。

 京都丹波高原国定公園に307ヘクタールの追加ということで、うち141ヘクタールが第3種特別地域で、あと166ヘクタールが普通地域ということになっております。いかがでしょうか。ご質問、ご意見がございましたら、まず質問、ご意見を全て受けて、事務局に対応していただこうと思いますので、ご意見のある方は札を立てていただいて、それで順次伺ってまいりたいと思いますが、いかがでしょうか。

 それでは、まず辻本委員。

○辻本委員 簡単なことなのですが、こういう区域区分をするときに、区域の境界は、大体、分水嶺かと思います。分水嶺とか行政区界とか、あるいは所有者の境界とか、いろんな条件があると思うのですが、うまく分水嶺とかで大体引けるものなのでしょうか。

○下村小委員長 それでは、続いて深町委員。

○深町委員 今回の拡張につきましては関係者の方々の粘り強い、ずっと努力されたこととか、いろんな主体との連携というのを京都府の方々が進めてきた成果じゃないかなと思っているのですが、今後いろんな国有林だとか地元の関係者の方々と、どういう形で連携して、新しく拡張した場所をうまく利用したり保護していくかというところの見通しについて、お考えとか、これからの計画について、何かあれば教えていただきたいと思います。

○下村小委員長 中村委員、いかがですか。

○中村委員 拡張については、視点も含めて、いいことじゃないかなというふうに思いました。 質問は二つありますが、一つは所有者、この土地の所有者は誰なのかということを教えていただきたい。

 それから、ちょっとこの問題とは違うのですが、私も指定するときに、現地へ行かせていただきました。そこで、京都大学も含めて、こういった文化的な景観だとか、もしくは京都大学なんかは研究にも使いたいということで、そういったものが制限されたり、もしくは多くの人が訪れたり、そういうのを危惧していた覚えがあるのですが、指定されて以降、何か問題は起こっていないのか、その辺も教えてください。

 以上です。

○下村小委員長 ほかはいかがですか。

○敷田委員 単純な質問なのですが、ご説明いただいた自然資源は非常に貴重で、誰が見ても明快で、保全すべき自然資源なのですが、最初の指定のときにそれはわかっていたと思うのですが、何か理由があって外れていたのですか。それを聞かせてください。

○下村小委員長 ほか、よろしいですか。 

 それでは4名からのご質問……小泉委員。

○小泉(武)委員 前に行ったときにシカの害が相当ひどくなっていたような感じがするのですけど、その辺は今どうなっているのか、教えてください。

○下村小委員長 ほかはよろしいですか。

 それでは、事務局、お願いします。

○事務局(国立公園課生態系計画係長 安藤) まず初めに、辻本委員からご質問いただきました、境界線の引き方の議論でございますが、基本的に国立国定公園において境界線を引く場合、まずは例えば分水嶺であったり、あとは稜線界とか河川界とか、巡視の際にわかりやすい線を引くということをまず重要視しております。それで線が引けない場合は、おっしゃっていただいたような土地所有別界であったりとか、あと緯度経度で線を引く、あるいは行政界で線を引くといったさまざまな線の引き方というのを駆使して、区域線を確定している現状がございますが、今回の変更案件については基本的には土地所有界、林班界で引いております。

 また、深町委員からご質問いただきました今後の当該国定公園の保護のあり方ということに関するお話と、その後、中村委員からご質問いただきました現状の問題点に関しましては、本日京都府がいらっしゃっておりますので、京都府のほうからご説明させていただきたいと思います。また、中村委員からご質問がありました土地所有者の関係でございますが、今回の拡張区域は基本的には、ほぼ全て国有林になっておりまして、一部に民有地が含まれております。そのため、指定に当たり民有地に関しましては土地所有者の方と、国有林に関しましては林野庁と調整してきております。

 現場の話は、京都府のほうから、よろしくお願いいたします。

○事務局(京都府自然環境保全課 今仲主幹) 失礼します。京都府の今仲と申します。本日はよろしくお願いいたします。

 まず、深町先生からいただきました点なんですけども、京都府でも、その点については課題と考えております。平成30年に、南丹市美山町にビジターセンターを整備しておりまして、そこを一つの拠点とて、地域の方であったり、そこで活動されている研究者の方、自治体の方、そういった方たちと保全、利用について、話し合う場というのを持っていきたいと思っています。現に昨年度からそういう取組も行っておりますので、そういった取組を国定公園全体に広げていきたいと思っております。

 もう一点、オーバーユースの関係のお話があったと思います。こちらについては、芦生の森ということで、京都大学芦生研究林などで問題になっているということをお聞きすることがあります。基本的には、入林に当たっては京都大学の事前の許可がないと入れないのですが、やはり登山とか、いろいろな目的で入られて困ると、実際に遭難されているケースというのを聞いております。そういう中でも、京都大学にご対応いただいているということも我々はお聞きしております。

 パンフレットとか、いろいろと広報の媒体で、そういう場所には、入るには事前の許可が必要であることや、入らないでくださいというようなことを周知させていただいて、そういう課題に対応できるようにいたしているところでございます。それ以外については、特に今現在聞いているようなことはございません。

 以上です。

○事務局(国立公園課生態系計画係長 安藤) ありがとうございました。

 続きまして、敷田委員からご質問のありました、当時、指定の当初から、ここが優れれている場所であるということが明らかであったというご質問ですが、正直に申し上げますと、指定当時からずっと、土地所有者の方々と調整を続けてまいりました。当時から当該地が優れている自然環境を有するということは関係者の間でもわかっていたことですので、当時から調整を続けてまいりました。その調整が今回調ったということで、お諮りできるような状況になったものでございます。

 また、小泉(武)委員からご質問のありましたシカの状況でございますが、国定公園の中でもシカの食害問題は発生しておりまして、そういった状況にあることから、京都府のほうで生態系維持回復事業を進められています。京都大学と京都府が連携して、シカ柵の設置であったり、植生保護を目的としたシカの食害対策というものを進めている状況でございます。

 ご質問に関しましては、以上になります。

○下村小委員長 それぞれご質問の委員の先生方、よろしゅうございますか。

○深町委員 ご回答いただいて、大体大きな方向はわかったのですが、実際にいろんなことを進めていく中で、林野庁の国有林の方とか、地元の方とか、いろんな主体があると思うのですが、そういう方々とどういう場でどういう形で連携したり、あるいは意見交換したり、具体的なことを決めていくのでしょうか。仕組みや拠点ももちろんなのですが、そういう体制はどういうふうに考えているんでしょうか。

○事務局(京都府自然環境保全課 今仲主幹) その点につきましては、まず国定公園全体についてですが、京都府と関係市町が入った協議会というのがありますので、まずはそういう場を活用して、関係市町とは、やっていきたいと思います。

 また、現在、林野庁は、そういう協議会に入っておりませんが、農林部局での会議体には林野庁とも協議を行っている会議体というのはあります。国定公園に限らず、京都府全体として、部局間で連携して、そういう会議体を活用しながらやっていきたいと思います。

 地域の方のお話もあったと思います。これについては、3月はコロナウイルスの関係で開催できなくなったのですが、地域の方がビジターセンターで意見交換するような場というのもつくらせていただいています。そういう回数を増やして、我々がしっかり、その辺りのコンタクトを図りながらやっていきたいと思います。

○下村小委員長 よろしいですか。

 追加の何かご質問は。

 では、江﨑委員。

○江﨑委員 すみません。国定公園に指定されてから2年ぐらい経つと思いますが、せっかく指定されたので、京都府などでプロモーションはされているのでしょうか。国定公園になったことを活用して、京都市内にたくさんお客様がいらっしゃって、そういう観光被害というのも出ているという話を、今は少なくなっているかと思うのですが聞くことがあります。なるべく広い範囲に分散していただくという取組にもなるのかなと思うんですけど、その辺のためのプロモーションというのはされていますか。

○下村小委員長 小泉委員、何かさらに追加はございますか。

○小泉(武)委員 一つだけ、ただ確認だけです。

 三本杉の1本が高さ日本一と書いてあるのですが、何メートルぐらいなのですしょうか。、F単純な事実で。

○事務局(国立公園課生態系計画係長 安藤) 62メートルです。

○下村小委員長 ほかはよろしいですか。

○原委員 民有林の面積を教えていただきたいことが一つと、あとシカの食害対策について、民有林と国有林で同じ対策を施すかどうかというのをお答えください。

 以上です。

○下村小委員長 ほかはよろしいでしょうか。

 それでは2点ですね。江﨑委員のプロモーション関係と。

○事務局(京都府自然環境保全課 今仲主幹) では、プロモーションの関係をご説明させてもらいます。

 京都府では、現在、「もうひとつの京都」という取組をやっております。これはお茶、森、海、竹の里ということなのですが、プロモーションを含めて、地域振興をやっています。DMOを作るなどして、観光だけではなく、自然環境や文化、そういった京都府全体を多くの方に知っていただくという取組でやっております。そこが中心となって、ホームページであったり広告媒体、いろいろなプロモーションをやっておりますので、その中に国定公園も入れて、発信しているところであります。Fせいたいけ

 また、国定公園に特化しては、こういう利用施設ができたタイミングで、テレビCMとか、いろいろな雑誌とか、そういう細かいものではございますけれども、しっかりプロモーションさせていただいています。これは今後も変わりなく続けていきたいと思いますので、しっかりやっていきたいと思います。

 以上でございます。

○下村小委員長 シカの食害対応ですね。

○事務局(国立公園課生態系計画係長 安藤) まず、原委員からご質問のありました件でございますが、今回拡張箇所には、民有地が5ヘクタール存在しますが、民有林としては今回拡張箇所には含まれておりません。今回拡張箇所の林に関しては、全てが国有林ということでございます。その中で実施するシカの食害対策でございますが……。

○事務局(京都府自然環境保全課 今仲主幹) こちらの国有林のところの食害とか保全の活動ですが、林野庁とお話ししているのは、生態系維持回復事業を広めていけないかということです。その協議はまだ整っていませんけれども、そういう前向きな協議というのはさせていただいているところでございます。

 以上です。

○下村小委員長 委員、よろしいですか。他はよろしいでしょうか。

 いろいろご質問、ご意見を含めて出てまいりましたとおり、ここは里地里山型の、割と先進的な国定公園になっておりますので、ぜひ京都府と環境省と一緒になって、上手に運営していただいて、モデルにしていただければというふうに思います。 それでは、議題(1)について、諮問されました案件ですけれども、変更書のとおりとするということでよろしゅうございますでしょうか。

(異議なし)

○下村小委員長 それでは、本件につきましては適当と認めることにいたしたいと思います。お疲れさまでした。

 それでは、議題(2)に参りたいと思います。国立公園事業の決定、廃止及び変更についてということで、これも事務局からご説明をお願いいたします。

○事務局(国立公園課専門官 瀧口) 議題(2)につきまして、国立公園課 瀧口がご説明させていただきます。よろしくお願いいたします。

 冒頭、下村座長からもご案内いただきましたとおり、今回、件数としては37件ございますが、前回同様、特段状況は変化していませんがGIS等の整理によって面積が少し変わるといった、実質的な変化がない事業決定もございます。今回ご説明案件として今スクリーンに挙げております、13件分を説明させていただき、残りの分については配布している説明資料を持って諮問という形とさせて頂きたいと思います。

  それでは、説明をさせていただきます。

 まず、阿寒摩周国立公園川湯園地でございます。こちら、この次に説明します川湯宿舎とセットの案件でございます。現在、川湯温泉は廃屋の施設が大変多くございまして、環境省の所管地の中の廃屋を1施設撤去し、その跡地を利用していくことに伴った変更でございます。

 具体的には、こちらの1件のお宿が廃業しておりまして、今、廃屋になっているところを、こちら宿舎事業という形で事業決定されているところを、この周辺と同じように園地事業に組みかえるというような変更でございます。こちらの青い部分については0.15ヘクタール程度でございますが、この全体のGIS化を進めたところ、全体としては8ヘクタールになってございます。

 本地域の空き家となった部分、特にここの地区については、屈斜路湖からの川湯温泉に向かうちょうど入り口に位置していまして、そのエントランスとしての空間を今後創造していく、計画を立てております。こちら、既に解体作業を開始していまして、来年度解体を完了させる予定ですが、跡地については広場的な使い方をしたいという基本的な構想を整えているところです。

 2件目になります。こちらが宿舎として事業決定されているものを宿舎から削除するもので、1件目と関連しているものでございます。

 続きまして、3件目は日光国立公園の沼原園地でございます。那須塩原市にあり、電源開発のために揚水発電の上池として整備されました、この沼原の調整池の北部にある湿原がございます。そちらに向かう園路につきまして、今回事業決定を行うものでございます。こちら沼原調整池の脇にあります砂利敷きの駐車場に車をとめて、こちらの写真にありますような歩道を通りまして、この湿原の中の木道やこの周りの道を散策するというようなルートになっており、ガイドもされているようなところでございます。

 今この黒い範囲については、沼原の園地として執行はされていましたが、こちらの接続する道については、もともとあった既設の道というような整理で事業の執行はされていなかったところ、今回こういった水道になっているところなどをしっかりと整備するということに伴って、この範囲も事業決定の範囲の中で把握していくものでございます。(写真を紹介しながら)こういった洗掘が起きているところもあるというものです。

 続きまして、4件目でございます。中部山岳国立公園の仙人ダム剱沢線でございます。剱山の近く、剱沢の付近で谷の雪渓を行く登山道がありまして、滑落等の事故が多発している箇所でございます。もとからそういう危険な道であったこの路線の一部分を、今回新しくこちらのほうに振りかえる路線をつくっていきたいと考えているところでございます。

 この危険箇所の一例ですけども、非常に雪渓が残るところでもありまして、ここを滑っていってしまい、毎年死者が出ているようなところでございます。この谷線を行く道を、こっちの尾根線に振りかえるものでございます。

 こちらは現地の保護官を含めて、対策をとらないといけないということで、現地の関係者と共に新しい道はどうしたらいいのか検討の上、踏査等もされてきたところでございます。

 自然環境への影響ですが、踏査の結果、樹林帯はブナ、ダケカンバ等の広葉樹、針葉樹が生育はしているものの、林床はササが密生しているところです。また過度な整備は必要なく、道方をつけるためのササ刈り程度を行い、樹木の伐採はないところで、道を考えているところです。

 立体的に見ますと、現在こちらの谷を行く非常に事故が多いところを、こっち側に回すというような新道でございます。こちらの点が踏査をした際に落としたポイントになっております。

 踏査の結果、希少な植物というものは発見されていないということです。

 続きまして、妙高戸隠連山国立公園の飛び地といいますか、野尻湖の団地にあります湖畔沿いの野営場の決定でございます。こちらは新規の決定でございます。野尻湖は芙蓉湖とも言われる、非常に昔から避暑地としても盛んに利用されてきているところでございますが、そちらの西部にある既存の野営場や、今後野営場にしたいところを、今回決定するものでございます。

 決定する箇所は、具体的に3カ所ありまして、①番については、既に野営場として整備がされている箇所。②番については、もともと小学校の運動場跡地を利用したいというもの。③番については、道路沿いの敷地の中でグランピング等をやっていきたいというような形になっています。(写真を見せながら)こういった湖畔の環境でございます。自然環境への影響ですが、①番、②番については、既存のキャンプ場と、あとは更地、小学校の運動場跡地ですので、自然環境への影響はさほどないと考えております。③番については、土地改変や伐採を行う場合は最小限とするということを指導してまいりたいと考えております。

 6件目でございますが、6件目と7件目が似たような案件で、吉野熊野国立公園の宿舎事業の決定でございます。こちら夏山と書いて「なっさ」と呼びますが、夏山の宿舎でございます。太地町の飛び地で、那智勝浦市に挟まれたところにございます。(図面を示しながら)この夏山園地が現在執行されているものです。付近にはタブノキの巨木や、イトトンボなどのトンボ類が生息するような湿地が確認をされている箇所でございます。

 周辺の利用の拠点といたしましては、イルカ・鯨漁で知られ学ぶことのできるくじら博物館や、この海をシーカヤックで楽しむことができる利用拠点などがございます。

 一方で、夏山については、宿泊者を十分に受け入れる環境になっていないため、こういった利用施設を楽しんでいただくような滞在環境を整えたいというのが、県や地元の町から挙げられている要望でもございます。

 南紀エリアにつきましては、次の潮岬宿舎でもご説明をいたしますが、観光客数は右肩上がりです。一方、そこに泊まっていただくといったことがされていない、対応できていないという状況です。多くの日帰りの利用形態になっていて、国外宿泊者の割合が特に小さい点を改善したいと考えているところです。

 こちらの青い範囲が、現在宿舎が執行されている範囲でございます。こちらから赤い範囲について、宿泊施設を執行していただけるような候補地を今回設定するというものです。この範囲がそっくりそのまま宿舎の敷地になるということではございません。繰り返しになりますが、紀伊半島については、欧米からの旅行者数というのが増加をしているところで、夏山については民間の宿泊施設が1件ありますが、また規模が小さく現在の状況に対応出来ていないことから、特に富裕層にも対応できる宿舎の整備を実施し、当該地の文化的な面、またその自然的な魅力を滞在を通じて体感していただく環境を整える必要があるというところ掲げています。

 整備予定地については、建物跡地や耕作跡地ということになっておりまして、新たに切り開くところではないと聞いております。

 事業地と周辺環境の状況ですが、冒頭でご説明した湿地が近くにあります。また、JR線が通っていて、そこの近くに事業地があり海に面している形になっております。

 想定される事業は、宿舎があり、その周りに駐車場があるような二つの団地がありますが、ここでどんな事業者がどんなことをやりたいかといった具体的な設計図などというのは、まだでき上がっていない状況です。

 周辺の状況ですが、こういった建物跡地の利活用といった形になっております。

 事業決定規模の考え方としましては、ここの候補地の広がりをまず把握しています。この赤い範囲が事業執行可能な範囲で、民地になりますが、ここで展開をしていきたいという意向があります。それに対しまして、建築敷だけではなくて、建蔽率や、道路からの後退面積等も考慮した、景観面でのことを考慮して、今回のこの約100人の規模から1,000人、また0.2ヘクタールから3ヘクタールへ規模の上限の設定を、地元との調整の上で案を考えています。具体的には、こういった計算式に基づいて実施をしているところです。

 この建蔽率や、容積率については、当該地において都市計画法上のそういった規制がないことから、近隣の市町村のそういったパーセントを活用、準用をしているところでございます。

 同じような案件として、次の案件に移ります。吉野熊野国立公園の潮岬の宿舎についても、同じように宿舎敷、こちらは面積は変わらないのですが、最大宿泊者数を増やしたいというような案件でございます。

 本州最南端の潮岬というところで既存園地があります。また、平成26年に指定された南紀のジオパークのジオパークセンターも開館しているところでございます。

 こちらにつきましては串本町になりますが、観光客数、入込者数は増えています。また、紀勢自動車道の延伸が非常に効いていることが背景として挙げられます。そういったものに対する対応として、地元における宿泊施設が決定的に不足しているような現状です。

 既存の宿舎事業でございますが、2軒ございます。執行中の民間がございますけども、そういったところの近くに、もう少しキャパのあるホテルを誘致したいといったところでございます。ほかの利用施設との関係ですが、当該宿舎事業の近くに潮岬園地という環境省が直轄で整備をしているところがございます。また、その両サイドにジオサイトという形でサイト認定されている箇所がございます。

 現在、ジオパークセンターはこちらにございまして、既存の民間宿舎の間のこの範囲です。今回、事業決定面積、ここの区域というものは変えませんけれども、ここの空いている土地に宿舎を誘致したときに、どのぐらいの宿泊者人数が必要かという計算を行っております。

 航空写真で見ますと、こういった状況でございます。

 車道からの見え方でございます。

 こちらも建蔽率や、容積率を掛けたことで、非常に大きな建物といいますか、背の高さのある建物というものを極力建てないような宿泊施設が入ってきていただきたいということで設定をしております。

 続きまして、8件目でございますが、足摺宇和海国立公園の足摺岬のほうに行く車道の改築、改修になります。足摺岬まで行くには東回りと西回りというものがありまして、特に西回りについては、近年バイパス道路が開通して、現在多くの方が西回りルートを利用されているという現状はあるものの、同じ場所を帰るというよりは、西回りで来たお客が東回りで帰るというような移動経路もあり、またお遍路の道としても歩行者も少なくないといったようなところでございます。

 今回、路線の改良でございまして、耕作放棄地や竹林を切土して設定するものです。また、橋梁をつけまして、ヘアピンカーブだったところを直線化するといったような箇所が約3カ所あります。その点について、線形を事業決定で定めていますので、そちらの変更をするものでございます。

 1カ所、橋梁を設定する箇所について、その周辺の自然環境を調べたところ、環境省のレッドデータブック掲載種や、国立公園内の特別地域の中では採取してはならないと定めた指定植物種などが確認をされておりますので、施工に当たっては、上記の種の生育に影響を与えないよう配慮すること。また、直接的な影響がやむを得ない場合には、移植等の保全措置を実施すること等を事業者側に本事業の執行のタイミングや、認可のタイミングで申し伝えるといったことを考えているところでございます。

 続きまして、9件目でございますが、阿蘇くじゅう国立公園でございます。3件、阿蘇くじゅう国立公園の阿蘇地域が連続いたしますが、その1件目です。

 古坊中中岳山頂線道路といった、阿蘇の山頂付近のトレッキング道といいますか登山道になってございます。こちらは環境省直轄で整備しているところでございます。当路線は、阿蘇の山頂区域の拠点の古坊中と火口見学エリアを基点として、中岳山頂を終点とするルートとして利用されている路線でございます。

 現在も噴火警戒レベル2ということで、火口から1キロ範囲は規制範囲とされており、ここの範囲は立ち入り制限がされています。現状の路線は青い路線でございますが、起点部分が1キロの範囲に入っており、この路線自体を楽しむことができなくなっています。また、近年そういった状況がかなり多くなってきていることから、今回こちら側の迂回路を設定した上で利用していただきたいと考えているものでございます。

 迂回路の区間は、山頂地区の利用拠点の主要な動線を確保されることになりますし、この中で一部木道と地道を組み合わせた、自然環境に与える影響を抑えた工法をとることを検討しております。少し図面が見にくいんですが、この赤線で引かれているところが新しい道になろうと設計をしているところでございます。

 阿蘇くじゅう国立公園の阿蘇地域の2件目でございますが、山頂の火口園地である中岳中央火口園地でございます。こちらに行かれたことがある方は、かなり多いと思いますが、園地として広く整備しているところです。ここに向かうには、ロープウエイと車を使って上まで上がれるといったところです。ロープウエイは、今、営業を停止しております。

 年間約100万人が火口見学に訪れるということで、活火山の火口付近としては非常に多い利用者になっています。昔から利用が多くされているところで、現状ここの青く囲まれた範囲を火口園地という形で事業を執行しているところです。ここの火口のそばまで見に行くことができます。

 一方で、ここにロープウエイの駅舎がございまして、こちら側にも実は退避壕や、既存の歩道が過去から整備された箇所がございます。ここも含めまして、今回新たにこちら側のほうに新しく園地を拡張しまして、ここからもその火口を見られるような拠点を確保したいと考えているところです。拡張の理由としましては、当該公園の利用の中心地ではあるものの、火山ガスの噴出の風向きの影響で、近年ここの既存エリアがガスの検知濃度を超えてしまうことが多く、非常に利用がしづらくなってきているところもございます。そのため、こちらの部分を拡張して、こちら側の見学というものを新たに創造したいといったものでございます。

 現状の環境についてです。①、②、③番については、既存の整備された範囲内を今回把握するもの。④、⑤、⑥番については、今後こちら側から火口を見せるといったところの整備を検討していくところと考えております。

 自然環境への影響ですが、火山地帯であるため、こういった景観が広がっているところです。また、自然環境への影響ももちろんですが、安全管理体制も非常に問われます。この地区のガスの専門家会議を含む阿蘇火山防災会議協議会にも今回の案件もかけまして、退避、利用者の安全確保、連携体制をどうするのか話し合っているところでございます。

 阿蘇くじゅうの最後の件になります。山頂から少し下がりまして、外輪山の南側の谷を望むことができる池の窪園地といったところの拡張でございます。

 現状、池の窪園地は、熊本県と南阿蘇村によって執行されている園地事業になりますが、その少し上に上がった車道沿いのところで、南郷谷と言う南側の谷をよく見おろせる部分が車道の間にあります。そこの部分を、今回園地として整備するものでございます。 

 こういった形で上から下ってきたところの、このヘアピンカーブのところでございます。ここに車止めと園地的な設備を整備して、南郷谷を上からのぞいていただく場所をつくることを考えております。

 南郷谷から見たところのこの中腹付近でございます。また、整備地から見た南側の風景になってございます。

 続きまして、あと2件でございますが、奄美群島国立公園の徳之島になりますが、徳之島の北側にございます松原線歩道という歩道の整備でございます。

 現状、地元の方が使っている道でして、登山道といいますか道方があります。また、ここは亜熱帯照葉樹林帯の中を歩くということで、一般のお客も入るようになってきていますので、今回道迷いがないように、環境省直轄で主に案内標識を設置することを考えております。 

 道幅が狭く、急こう配で、石が多く足場が悪い箇所もありますので、そういったところに階段や、手すりの設置も検討はしておりますが、基本的に地道を崩さない形で検討をしていくことを考えております。

 最後になりますが、西表石垣国立公園のヒナイ滝園地でございます。ピナイサーラの滝が有名な資源として挙げられておりますが、そちらの園地の拡張でございます。

 こちらの既存範囲は、このヒナイ滝の周辺でございまして、ヒナイ滝の滝下まで行くことができ、滝の上まで上がれるところでございますが、こちらの範囲が園地として歩道があります。また、カヌーで離れたところから漕ぎ出して、マングローブ林の中を行って、カヌーをとめて楽しむというような利用がございます。今回、こちら側の範囲を事業決定区域に決定した上で、同一の園地として執行し、しっかりと公園事業施設として把握をした上で維持管理を行っていただくことを考えております。

 こちらの現状ですが、カヌー業者や、そのガイドたちが、地元の竹富町で整備した駐車場に車をとめて、お客を乗せて、こちらに車をとめて、ここに係留してあるカヌーに乗ってもらって、案内するというような形式で動いております。しかし、こちらの既存の駐車場が事業者の数とマッチしていないことで、そこまでの路上駐車が非常に問題となっている現状がございます。

 そちらについて、今回、既存の駐車場の手前に駐車場を拡張することが、新たな整備として挙げられる点でございます。

 一方で、本地域のカヌー利用は、非常に多くの人が押し寄せているおり、カヌーで混雑するような点が問題視されていまして、利用の質が問われ始めてきております。そういった状況に加えて、西表島は世界遺産を目指しているところでもございまして、島としては来訪者の管理を考えているところです。

 一番最後のページになりますが、観光管理の枠組みという形で、まず基本的に連絡協議会、遺産の地域の連絡協議会の西表部会と言う中で持続的な西表島の来訪者管理基本計画というものを検討して、定めています。離島ですので、浄水といった水の利用は非常に限られますので、基本的に1日最大1,300人程度、年間33万人といった具体的な数値を含めまして、ここの管理基本計画というものを定めております。

 また、その上に入域料、入島料のようなものを今後検討している状況でございます。さらに、ガイドについては、観光ガイドの免許制度を整えようといったところと、あとエコツーリズム推進全体構想というものをしっかりと作成のうえ、環境省でそれを認定し、ここのピナイサーラのところについては利用者の上限を定めることを今後検討しているものです。今回の事業決定については、その前段としまして、現在、竹富町のほうでカヌー事業者の協議会が設定されていまして、事業者数を絞っていますが、その事業者がしっかりと駐められるような駐車場を確保するという整備になってございます。今後このカヌー利用をもっと増進していきたいので、ここの駐車場をもっと増やすという訳ではなく、今必要な必要最小限の分を今回増やす計画になってございます。

 少し駆け足になってしまいましたが、13件分の説明案件をご説明させていただきました。

 以上になります。

○下村小委員長 ご説明、ありがとうございました。

 全体では9公園の中の13案件ですね。特に委員の皆にご意見を伺うというか、チェックをしていただきたい案件ということで、詳細に説明をいただきました。非常に多様な事例がありますので、いろいろなご意見が出てくるとは思うのですが、また順次やっていくととても時間がかかりますので、先ほどと同様に、まずはご質問、ご意見を委員の方々から受けて、どの案件でも結構ですので、それについて事務局でまとめて、順次対応していただくという形で進めたいと思います。いかがでしょうか。

 また、席札を立てていただいて、ご質問、ご意見をいただければというふうに思います。

 では、まず江﨑委員からまいりましょうか。

○江﨑委員 ありがとうございました。まず、黒部の案件ですが、仙人湯温泉というのが、途中の今回のコースを変えた場合にあったかと思います。前のコースは危険なのでコースを変えたほうがいいかなと思うのですが、前のコースだと直接仙人湯温泉に行けたと思いますが、今回のコースにかわると、一旦行って、分岐点か何か戻るような地図に見えます。今後もこちらの仙人湯温泉というのは経営をされるご予定なのかなということと、そういう戻りになったときに、お客様が減るという可能性もあるのかというところとか、その辺の経営や、事業の継続についてどういう感じか教えていただきたいというのが一つです。 

 もう一つは、吉野熊野のところで夏山の宿舎の案件なのですが、これは稼働率やキャパの問題だけではなく、総合的にやっぱり宿舎があったほうがいいということなのだと思うのですが、飛び地というふうにお伺いしたので、災害時のときの行政の連絡体制がどうなっているのかなど、海に面したところでもありますので、そういう問題がないのかどうかということをお聞きしたいなと思います。 

 以上です。

○下村小委員長 それでは、深町委員。

○深町委員 ご質問したいところは一番最後のヒナイ滝園地なのですが、駐車場を拡張したり、利用のためのいろんな制度を利用することは、保全とセットにはなっているとは思うのですが、このことで本当に適正な利用になるとか、キャパシティーをちゃんとコントロールできるという根拠というか、そういう数字だとか、あるいは仕組みの中でこういう工夫があるというのを、もう少し具体的に教えていただきたいと思います。

○下村小委員長 それでは、佐々木委員。

○佐々木委員 中部山岳国立公園の仙人ダムの剱沢線なのですが、趣旨は理解して、そうなのだと思うのですが、植生調査のことです。やはりどれぐらい、1年に何回ぐらい調査をやったのかとか、特に草本類だと、複数回やらないと全体像が出ないと聞いています。だから、そのことをもうちょっと詳しく結果を教えてほしいということと。

 もう一つは、やはりここは特別保護地区でいろいろ貴重な自然が残っているところですから、この調査記録の公開についてです。いろんな研究者の方が興味を持たれると思います。そこで、調査記録、結果の公開、活用はどのようにするか、何か今方針を持たれているのかどうかということが2点目です。というのは、例えば北アルプス、中部山岳の国立公園ですと、外来種だけじゃなくて里地里山の植物、例えばオオバコが2,500メートルの地点まで確認されたとか、ちょっとすごい状態になっていますので、人が入る前の植生の調査記録って非常に重要なことになってきます。ですから、あまり貴重種はないというだけではなくて、何がなかったのかということが逆に貴重になっていきますので、ぜひ、調査記録の公開、活用をお願いしたい。今どうなっているのかなということをお聞きしたいと思います。

 以上です。

○下村小委員長 それでは、敷田委員。

○敷田委員 A-0607の宿舎についてなんですが、この両地区に予定されている宿舎は、資料を見ると1部屋当たり40平米でビジネス系のホテルではなくリゾート系のホテルだと思うのですが、こうしたホテルの建設に関して、その事業規模の決定のところに、例えば学習型滞在の促進というふうに書かれます。リゾートに泊まる人はゴルフをしに来ることはあっても、普通は学習をしに来るとは思えないのですが、こういうのをどれぐらい考えているのかというのが1点。

 あと、この40平米のこの収容人数の建物は、すごく大きな建物になるはずなのですが、例えば景観について、どのように考慮して、ここで規模を決定しているのかと。それが書かれてないので、その内容を教えていただきたいと思います。以上、2点です。

○下村小委員長 それでは、関委員。

○関委員 同じく、A-0607への質問なのですけれども、現状、宿泊業務が足りていないというふうに伺いましたけれども、これらの整備が大体どれぐらいに完成が目指されているものなのか、教えていただければと思います。

 以上です。

○下村小委員長 それでは、吉田委員、どうぞ。

○吉田委員 ちょうど今、敷田先生と関先生からあったものと同じです、A-0607のところです。これは多分国立公園満喫プロジェクトの一環として、この富裕層向けのということだと思うですが、これは環境省から働きかけて、いろいろと民間企業の投資を呼び込んだのかとか、補助などがあるのかとか、需要予測はどのように行ったのかとか、こういったことを間違えますと、数十年後にまた廃墟の施設が残ってしまうということがあるので、そういったところをどういうふうに考慮されたのかということがあれば、参考までに教えていただきたいということ。

 もう一点なのですが、A-01のところです。これはコメントとしてお聞きいただければと思うのですが、こういった廃屋の撤去というのは、各地域で非常に望まれているところだと思うので、ここで可能になった理由とか、合意形成に至った理由、あるいはコストはどうしたのかとか、そういったことが各地域に対して情報として提供されて、活用されるような形になっていくとありがたいなというふうに考えております。

 以上です。

○下村小委員長 失礼しました。辻本委員。

○辻本委員 最初にさまざまなものがあってと言われましたけども、これからも多分きっとさまざまなものがこういうふうな形で出てくるというときに、やはり何らか系統的な形でまとめておいていただいたらいいのかなと。どういうことかというと、何をやりたいのか、道路をつくりたいのか、園地にしたいのか、野営地にしたいのか、宿泊施設をつくりたいのか、それによって多分やり方も全然違うんです。

 宿舎の場合には、例えば入込数であるとか、あるいは面積率とか、いろんなことを考えられて、容積率とかを考えられてやっておられるのですが、野営地のところは、これ野尻湖で今回出ていましたけども、野営地のところはあまりそういうことを考えないままの今日の紹介でした。何を言いたいのかというと、一番最初からあったところは、湖畔から奥に広まったところまで使われている野営地、それに比べて、今度新しくされるのは、小学校の跡地とか、もう造成されているところで、そういうところは、多分野営地と駐車場をただ単に線引き、ゾーニングすればいいのですが、例えば湖畔から奥地まで広がっているようなところは、やはり駐車場と野営する場所をしっかり仕切っていかないといけない。それは宿泊施設の場合には、エリアの中でどこに宿泊施設を置くかとか、その面積率をどうするかとかというふうな議論をされたのと同じようなことが必要になってくると思います。だから道路のときはどうするか、野営地のときはどうするか、園地はどうするかということを、ある程度見据えた基準というものを全体的に整理されておけば、議論をするときに、ある程度フォーマット化できるのではないかと思いました。

 それから、もう一つお願いしたいのは、火山が幾つか出てきて、火山防災協議会みたいなところとの議論というのがありましたけれども、一方では、南海トラフ絡みで潮岬とか、足摺岬のようなところで、そういうエコツーリズムを誘導したときに防災をどう考えるのかというのも、やっぱり大きな観点かと思います。

 以上です。

○下村小委員長 ありがとうございました。

 それでは、大黒委員、中村委員の順にまいりましょうか。

○大黒委員 すみません、A-09の阿蘇くじゅうの歩道の新設なのですが、これは基本的になだらかな傾斜で、あまり地形改変がないということですが、全体を見ると、一部かなり急傾斜のところもあるようで、その辺の何か設置に当たっての注意すべき点や、あと現行の路線で青の書いているところですけども、これはこの規制範囲の中の路線は今後使わないというか放置されるということなのでしょうか。その場合、放置するということで、何か問題が起きるようなことはないのかということを、お聞きしたいと思います。

○下村小委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員 私もA-06A-07の吉野熊野の国立公園の宿舎について、富裕層をターゲットにするというのは、地域の意向もあって、あり得るとは思うのですけど、やっぱり国立公園なので、国民全体がきちんとそういった施設を利用できるようなことも、一方で考えなくちゃいけないと思います。ということで、その辺の担保というか、富裕層だけに当てて、外国の方だけにターゲットを当てるというのは、偏っているのではないかと思ったので、多分そうじゃないとは思うのですが、その辺のルールをどういう形で決めていくのかというのを教えてください。

 それから、A-08の足摺なのですが、県道の改修工事だということではあるのですけど、残った旧道は今後も利用されていくのか、それとも、もう一度自然に戻すような方向を思っているのか、その辺を教えてください。

 最後の西表島のこのA-13について、駐車場が必要だというのはわかるのですけど、最終的にオーバーユース的な問題を抱えていて、このスライドに載っているこの資料2というのが、私も重要じゃないかなと思います。これはどんな組織、どんなステークホルダーが参加して、こういった協議会的な仕組みをつくっていくのか、それを教えてください。

 以上です。

○下村小委員長 ほかは、まずはよろしいですか。

 それでは、かなり数はありますけれども、類似した、あるいは同じ事例での質問もあったかと思いますので、対応をお願いします。

○事務局(国立公園課専門官 瀧口) ご質問、またコメントいただきまして、ありがとうございます。ご質問をいただいた順にご回答させていただければなと思いますけども、関連する点はそこであわせてご回答をしたいと思います。

 まず、江﨑委員からいただいた仙人湯のところですけれども、ご確認いただいたとおり、小さな温泉宿が経営されています。そこも今回、そこの路線を削除してしまうということで、そこをもう通常通らなくなってしまうという可能性がありますということを、お宿の方との調整を図りました。調整を図った上で、やはり危険性が高いということなので、つけかけるということは了承していただきました。現状この路線については、現時点で削除というわけではなくて、複線として新しい道が設定し終わるまでは、事業決定からも削除はしていない状況です。また、削除の段階でどのように削除するかというのは、今後検討なのですが、枝線のような形でしっかりと仙人湯の温泉のところまで残した上で営業、そこまでちゃんと道路の維持管理がされるとか、そういった体制は整える必要があるというふうに考えております。今回のつけかえについては、地元の経営している方の了解を得ているといった点をご報告させていただきます。

 あわせまして、佐々木委員からいただきました、本事業地帯における植生調査の点でございますけども、何カ年かけてやったのかという点を、ちょっと追って照会を現地にかけたいと思っておりますが、データとしては1カ年分をお渡しはいただいているところです。また、調査記録の開示、活用や、その方針というところですが、こちらは県の担当とうちの自然保護官、また植生の専門家と手弁当で行って、現地を確認したという程度のものでしたので、特段そこの活用について、方針を今定めているものではございませんでした。指摘いただきました、希少種があるないということだけではなくて、今後外来種がそこに入ってしまうのではないかという危険性や、それへの対応、そのモニタリングという点も、しっかりと現地に連絡をした上で体制を整えていくように指示をしたいと思います。何カ年か分のデータがあるのかというのは、追って連絡をさせていただきたいと思います。

 続きまして、A-06、あと07も含めてでしょうか、夏山と潮岬の宿舎事業のところでございます。まず、江﨑委員からいただいた、飛び地になっているというところで、まさに那智勝浦に挟まれたところで、太地町としては取り残されてしまったという感が強い場所だったというところがあります。そういう状況ですので、そういったところでしっかりと宿泊施設をやりたいというふうに考えていますということでした。被災地の隔離とか連絡体制はどうなのかというところは、現状確認しておりませんので、しっかりとそういう体制を整えていくようにというのは、現地に伝えていきたいというふうに思います。

 関連したところで、敷田委員からいただきました、1部屋40平米という算出ということで、まさに現地としては、会員制のホテルなどではなく誰もが泊まれますが、ちょっとハイクラスなホテルに入ってきてほしいなというような現地の意向、地元のご意向があるというのは聞いています。本地域については、欧米からの多くのお客が来ている状況で、既存のホテルについても、非常に改修、内部の改修をして、一時的に宿泊可能者数、人数というのが今落ちている状況だというのも聞いています。ですので、狙いとしては、そういった少しハイクラスな方たちを誘致したいというのが狙いでございます。

 その中で学習型ではないのではというご意見については、本地域の文化的な面などをしっかりと見せていきたいという点は言われていました。ですので、リゾート型といいますか、アッパーな層であったとしても、そこの文化、食、地形、地質というのを楽しんでいただくような周辺環境の整備もあわせてしっかりと取り組んでいきたいということは聞いているところです。 

 また、大きな建物になるのではなかろうかといったところで、景観の面での心配があるというようなご指摘もいただきました。こちらについても、やはりよく海岸沿いに建ってしまうような大きなビルのような建物というものを極力排除したいというふうな思いもありまして、ただ、地元としては、事業者の予見性は高めたい、どんな事業者でも入ってこられるような門戸は広げたいというような意向が実際ございます。環境省としては、特別地域の中ですので、景観面で支障にならない程度のものということで、この建蔽率ですとか容積率というものを算出している状況です。

 また、実際にどういうものが建てられるかについては、具体的な執行の段階で、主要な展望地から非常によく見えてしまうので、もう少し高さを落としてもらうとか、色彩や窓ガラスの仕様についてなども細かく指導をしていくことになります。 

 また、関連しまして、関委員からいただきました、建物整備のスケジュールについては、現在入っていただけるような事業者と調整をしている段階ですので、具体的に令和5年からやりますというような目処は立っていないような状況でございます。

 また、吉田委員からいただきました、満喫プロジェクトに関連して環境省が誘致をしているのかどうかという点ですけども、環境省が直接ここの敷地をそういったホテルに入ってほしいというような誘致をしているわけではございません。一方で、宿舎事業のあり方検討会というものも開催しておりまして、そういった中で、しっかりと報告書の中で今まで低廉な価格帯のホテルを公園の中では設置しましょうという方針から、多様な滞在環境というものに対応できるような、例えばアッパーなクラスのホテルがあってもいいですねというような指針といいますか、そういった方向性は示しております。ですので、そことかけ離れたものということではございません。

 関連をしたところですと、中村委員からも、そういった点でご指摘を受けましたが、富裕層だけにターゲットを当てるという点で、どのようなルールがあるのかという点でございますけども。既存、潮岬については、小さなペンションなどが3件程度ありまして、そこは通常どおり営業を行っていただきます。そういったところが全部富裕者層にかわるということではないというようなことは聞いております。一方で、その地区について、徐々に富裕層向けのホテルになってしまうというようなものに対しての制度的な面からの歯止めというのは、正直、うちとしては立てられていない状況ですので、県ですとか、地元の市が、そういった事業者に入ってきてほしいというような誘致をされて、保護官がそこの相談に対応するときには、そういった点をしっかりと踏まえた上で、本当にハイアッパーなクラスだけでいいんですかというのは調整をさせていただくのかなと考えております。

 A-0607については、ご説明を今いたしました。

 そのほかの点ですけども、深町委員からいただきました、ヒナイ滝の園地のキャパの制限の根拠という点でございますが、今回の事業決定をもってキャパの制限をしますと、できますということは言えないといいますか、そういった点の今回の説明ではございませんでした。今回は公園事業施設として特別地域内に施設を整備するときに必要な範囲を定めるという事業決定でございます。ただ、今のこの島の中の流れとして、特にここの西表島のエコツーリズム推進全体構想というものを策定しておりまして、ここは竹富町の条例でしっかりとキャパ、上限の人数というものを条例上で定めることができますので、それでヒナイ滝の利用者数の制限をかけますといったものになります。ですので、自然公園法だけではなくて、エコツーリズム推進法の枠組みの中でのキャパ設定という形で担保していきたいと考えているところです。

 続いて、辻本委員からご意見ということでお受けしたかと思います。さまざまな事業種がある中で、今一括でこういった説明をさせていただいていますが、何をやりたいのか基準をしっかりと整理をしていくことが必要だというご意見をいただきました。ご指摘を真摯に受け止めまして、中環審にお諮りするときの説明をもうちょっと工夫をさせていただきたいなというふうに考えております。次回の中環審に、ぜひ活かしていければなというふうに思います。

 また、もう一点、阿蘇の防災協議会のようなものや、あとは津波の関連もありますが、防災とこういった宿舎事業というのをどういうふうに考えているのかという点についても、先ほどの佐々木委員から指摘のありました、希少種がいる、いないだけではなくて、もう少し視野を広げた調整というのをしっかりと進めていければなというふうに考えております。ご指摘ありがとうございます。

 大黒委員からいただきました、古坊中の歩道について、少し急なところがあるのではないかというところで、ここについては、木道と地道の道で整備を予定しておりますが、一部の急傾斜なところについては、木道が階段工で整備をされるところもあろうと思います。そういった点も具体的な詳細の設計をしっかりと図った上で、整備を進めていきたいというふうに考えております。 

 また、既存の道は今後どうなるのかという点でございますけども、こちらも仙人ダム線と同じように、事業決定の範囲から既存のもう赤線が引かれないようなところについては、今回事業決定範囲からは外れますので、ここの道が現状どのような道かというものを確認した上で、今後どうしていくのかという点を、確認した上でご連絡をいたしたいと思います。

 同じように、中村委員からいただきました、足摺の旧道の利用でございます。こちらについても、基本バイパスなどが通りますと、県道から市道に認定が移って市が管理するという点が多くございますが、本箇所については確認が漏れておりますので、そこの確認をした上でご回答させていただければなというふうに思います。

 以上でございます。

○三宅国立公園課長補佐 すみません、若干補足をさせていただいてもいいですか。

○下村小委員長 はい、どうぞ。

○三宅国立公園課長補佐 吉田委員からいただきました、宿舎の建設に関して補助があるかということに関しては、補助というのは特段ありません。それから需要の予測についてですけれども、この最大収容人数というのは需要を予測しているということではなくて、国立公園として乱開発を防ぐために、どれぐらいのキャパシティーまでであればここで認められるかというような観点もございますので、需要を予測しているということではなくて、自然環境の観点を踏まえて、これぐらいであればこの地区に宿舎があっても適当なんじゃないかというような数字をこちらのほうで設定させていただいているといったような考え方になっております。

 それから、川湯の撤去については、阿寒摩周国立公園を満喫プロジェクトの先行8公園に選定をしておりまして、特に川湯は重点地区になっていますので、満喫プロジェクトの一環として環境省の予算で廃屋の撤去をしているといった状況ですので、そういった理由で環境省がコストを負担しているといった状況にあります。

 その関係で補助金の制度も用意していますので、そういった情報も、また各地に情報提供を図っていければというふうに思っているところでございます。

 すみません、以上です。

○下村小委員長 ご質問をいただいた委員の方々、いかがでしょうか。ご意見等ございましたら。

 はい、どうぞ。

○中村委員 これのステークホルダーの構成を教えてほしいです。

○事務局(国立公園課専門官 瀧口) すみません、ご回答から漏れておりました。オーバーユース、ヒナイ滝のステークホルダーですが、すみません、ご質問の趣旨をもう一度お願いできますでしょうか。

○中村委員 案件としては駐車場ですので、それ自体は必要だとは思うのですが、実際にはたくさんの人が来て、オーバーユース状態で困っているという話で、こういった協議会をつくってそれに対処するという形だと私は理解しました。ここに内容が書いてあるのですが、どんな方が参加されているのかが見えない。これは協議会みたいなのをつくるのか何なのか、この辺はどうなっていますか。 

○事務局(国立公園課専門官 瀧口) これ一つを一つの組織体で整備をするということではなくて、まず基本的な、ここの1番については、遺産の中の地域連絡協議会の中の部会で大まかな方向性を決めています。また、こちらの4番については条例に関わることですので、竹富町で設定しているカヌーガイドツアーの事業者も入ったり、あと認定という形をとりますので、環境省の大臣の認定を最終的にこの構想に対して与えるということで、そういった効力を発揮していくといったような関係性になっております。

 入域料については、すみません、ここは勉強不足で、詳しいことはわからないのですが、こちらも遺産の流れの中で沖縄県と環境省、また地元の竹富町ですね。あと観光事業者というものが入って検討していくというふうなことを聞いております。すみません、2番については、あまり詳しく理解をしていません。

○中村委員 敷田委員も知床で随分苦労されていて、いろんなステークホルダーの方がいて、今聞くところによると、それぞれ何か別々に動き出すと、適正利用のために、全体がまとまらないとだめなんですよね。ですので、その辺の連携も含めて、駐車場だけの問題ではなく、ちゃんと組んでおかないとだめなんじゃないかなと思いました。 

 以上です。

○下村小委員長 ほか、何かご意見はございますでしょうか。よろしいですか。

 それでは、ほかに何か追加でご質問を受けるようなことはございますか。よろしいでしょうか。

 それでは、今回ご説明をいただいたのは、先ほど言いましたとおり、9公園の13事業だったんですが、全体としては、事前に皆さんのほうに資料もお送りしていると思いますが、12公園の37件がございます。中部山岳の野営場の事業認可など、非常に数の多いものも入っていたと思いますけれども、そういったものを含めて、ご審議を諮らせていただきたいというふうに思います。

 今ご説明、あるいはご意見、審議をいただきました国立公園事業の決定、廃止及び変更について、ご承認してよろしゅうございますでしょうか。

(異議なし)

○下村小委員長 それでは、認めたということにさせていただきたいというふうに思います。ありがとうございました。

 それでは、続きまして、3点目です。ご報告ということで、満喫プロジェクトの進捗について、お願いします。

○熊倉国立公園課長 国立公園課長、熊倉でございます。

 ご報告事項として満喫関係と、あと今、制度改正の検討をしていますので、その2点をご報告したいと思います。資料は3でございます。

 まず、予算でございます。今国会に令和2年度予算案をかけておりますが、1787,100万円ということで、今年度の162億から増額の要望をしてございます。内容といたしましては、大宗は自然公園等事業という公共事業でございまして、ポチの真ん中ぐらいにあります、基盤的な利用施設の整備・長寿命化ということで、登山道の再整備とか、キャンプ場のリニューアル、ビジターセンターの整備といったものを進めたいと思っております。

 次に移っていただいて、満喫で重要なのは国際観光旅客税を財源とした取組でございまして、先ほどの178億の内数になりますが、旅客税財源で686,200万円を要求してございます。今年度は50億ですので、大幅増で要求をしてございます。

 中身でございますが、今日もお話のあった廃屋の撤去を初めとした滞在環境の上質化事業、これに今、力を入れておりまして、撤去、新たな宿舎の誘致、それから外装で景観を磨き上げる。来年度については、内装についてもリノベーションを図るといったものにも補助が出せるような施策を出していきたいと思っております。

 それから、左下のコンテンツづくりということで、これまでも自然体験プログラムのつくり上げというのを支援してまいりましたが、来年度は引き続きグランピングのほうを具体的な思考からの本格実施に向けた支援というのをやっていきたいと思っております。

 それから、その下に国立公園ならではの食等の魅力向上ということで、地域の食とか文化とか、そういったものと組み合わせて自然公園の魅力を発信したいと、こういったコンテンツづくりの支援というのをやっていきたいと思っております。

 それから、1個飛ばして、一番下にナイトタイムコンテンツとありますが、特に滞在期間を延ばしたいという観点からの夜の楽しみの重要だろうということで、これ写真は神楽なので文化的なものですが、あとは星空を楽しむとか、ナイトウオークで林を楽しむとか、そういったナイトタイムコンテンツの造成の支援というのをやっていきたいと思っております。

 それから、右側の魅力発信のところですが、デジタルサイネージによる予約機能の強化やデジタル展示などは引き続き進めてまいります。

 それから、下ですが、先ほど複数泊、それからやはり高単価で自然と文化の体験をしっかりできる高品質なツアーというのは、やはり日本はいろいろ不足しているのではないかと指摘を受けておりまして、こういったところを重視した、いわゆるアドベンチャートラベル層向けのキャンペーンを海外、JNTOを通じて実施していきたいというのは、新たな目玉として入れ込んでございます。大体このような内容で、来年度も継続してやっていきたいと思っております。

 なお、満喫プロジェクト、2020年が一つ目標年になっておりまして、1,000万人の目標でございます。近々、利用者数の情報も公表したいと思っておりますが、夏の韓国の旅行客の減少と今般のコロナによる中国客の減少が大分効いているようでございまして、なかなか1,000万人目標は今のところ厳しいかなという現状でございますが、まだ1年ありますので、しっかりやっていきたいと思っております。 あとは参考資料でございます。二つ目のご報告、今日資料はないのですが、下村小委員長のもとに自然公園制度のあり方検討会というのを、現在設置しておりまして、昨日も会議がございました。自然公園法は国立公園の根拠法ですが、もう10年ぐらい改正をしておらず、一度この10年の状況を振り返って点検、見直しをしたいと思っております。

 具体的には、今満喫プロジェクトで申し上げた自然体験プログラムの促進とか、滞在環境の上質化、この辺りを中心に必要な法制化を図っていきたいという方向で議論をしてございます。検討会は下村先生のもとで、できれば3月中には1回取りまとめをいたしまして、この中央環境審議会のほうにも内容はご報告し、今後ご相談をしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 私から、以上です。

○下村小委員長 以上のご説明につきまして、何かご質問、あるいはご意見はございますでしょうか。また、順次受けてまいりたいと思います。

 まずは、じゃあ小泉透委員。

○小泉(透)委員 ありがとうございます。ご説明いただいたところとちょっと違うところについて教えていただきたいのですが、先ほど京都丹波高原国定公園でも出ましたが、生態系維持回復事業の予算状況を教えていただけますか。

○下村小委員長 まずは、それは先に、すぐわかりますか。

 ほか、このご説明に対してご質問、ご意見。

 じゃあ、江﨑委員。

○江﨑委員 今、コロナウイルスのことで、地元でも実は体験プログラムですごく海外のお客様に人気な海女小屋がありますが、1,000人キャンセルがでている状況です。一方で、なるべく人と距離をとれる自然の中のほうが安心感があるということで、結構グランピングはお客様がいっぱいいたりというのがあるので、今の状況が回復したときに、実は国立公園ってすごくチャンスなのかなと思います。一番最初の回復のときに出やすいのはそこかなと思っているので、そこのチャンスはちょっと見ていただくといいかなと思います。 

○下村小委員長 ほか、何かご意見、ご質問、よろしいですか。

 先ほどの小泉委員、生態系維持回復事業の予算は。

○小泉(透)委員 わかればで結構です。

○熊倉国立公園課長 ちょっと確認はしますが、私の記憶ですと、たしか3,000万円か4,000万円ぐらいの事業規模で、10弱の国立公園で実施をしているところと認識しています。尾瀬とか南アルプスとか、シカの被害が大きいところで、最新鋭の捕獲技術みたいなものを試行する中で、実際の捕獲も進めているという状況でございます。

○小泉(透)委員 ありがとうございます。

○下村小委員長 特に増額の傾向とか。

○熊倉国立公園課長 事業額の変化ですが、財政上の制約がありますので、同じ規模でまた来年度も継続という予定でございます。

○鳥居自然環境局長 生態系のことは、別に野生生物課鳥獣保護管理室のほうで予算をとっている指定管理鳥獣捕獲等事業がありまして、これは大幅に予算確保できております。

○下村小委員長 よろしいでしょうか。

 どうぞ。

○辻本委員 今日の国立公園の変更のときも議論が出ましたし、今の満喫プロジェクトでも議論が出たのですが、文化を守るにしても、環境、生態系を守るにしても、金持ちに来てもらわないといけないという方向性が、今非常に強くなっています。京都もお寺の景観とかお庭を守るところに大きなホテルが進出してきて、それが確実に立派なものをつくって、文化とか歴史を守ってくれている。離島とかも、海外のリゾートとか同じように大きな資本が入ってきて、非常に密度が高くなく、平家で海岸沿いを、しかも景観のいいような形でリゾート開発するといったことが主流になってきたときに、そうでない側面をどうやって支えるのかというのが、今後の大きなこの国立公園とかの議論になってくると思います。そういう議論の準備をされているようだったら、またそういうお話を聞きたいし、そういう方向がまだ十分でないんだったら、そういう方向の検討をぜひやっていただきたいと、今日の議論を聞いていて特に思いましたので、一言ご意見しました。

○下村小委員長 事務局のほうで何かございますか。

○熊倉国立公園課長 ありがとうございます。もちろん既存の宿舎事業も、ぜひまた元気になっていただいて、再生をしたいと思っております。実は、先ほどの制度のあり方検討会でも、そういった経営再生の支援などができないかという議論をしてございます。その際に、やはり昔の成功物語にとらわれず、最近の新しい旅行形態、特に個人客が多いとか、実際の体験とか、満足度の高いものを求めているというのに応えられるようなサービスの提供ができるように、我々も国立公園の管理者として一緒に考えていきたいと思ってございます。

○下村小委員長 ご意見を伺ったということで、議論をし始めると、とても長くなってまいりますので、先ほど来、あり方の検討会のほうでも類似した議論はしておりますので、そういったところを受け止めさせて、事務局のほうに盛り込んでいただくように議論を進めたいというふうに思います。どうもありがとうございました。

 それでは、本日の予定をしておりました案件の審議は終了いたしました。審議へのご協力をありがとうございました。それでは、事務局にお返しいたします。

○司会(国立公園課課長補佐 清武) 下村委員長、ありがとうございました。委員の皆様におかれましても、長時間にわたりご審議いただき、ありがとうございました。

 それでは、以上になります。どうもありがとうございました。

午前11時49分 閉会