中央環境審議会 自然環境部会(第48回)議事録
開催日時
令和6年2月22日(木)13:00~15:26
開催場所
AP虎ノ門(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11F)
※ WEB会議システムを併用して開催。
※ WEB会議システムを併用して開催。
出席者
武内 和彦 部会長
勢一 智子 委員
髙村 典子 委員
中村 太士 委員
藤田 香 委員
愛甲 哲也 臨時委員
石井 実 臨時委員
江﨑 貴久 臨時委員
大沼 あゆみ 臨時委員
交告 尚史 臨時委員
五箇 公一 臨時委員
坂田 宏志 臨時委員
関 智子 臨時委員
橋本 禅 臨時委員
日向野 義幸 臨時委員
深町 加津枝 臨時委員
水田 拓 臨時委員
山野 博哉 臨時委員
山本 清龍 臨時委員
湯本 貴和 臨時委員
勢一 智子 委員
髙村 典子 委員
中村 太士 委員
藤田 香 委員
愛甲 哲也 臨時委員
石井 実 臨時委員
江﨑 貴久 臨時委員
大沼 あゆみ 臨時委員
交告 尚史 臨時委員
五箇 公一 臨時委員
坂田 宏志 臨時委員
関 智子 臨時委員
橋本 禅 臨時委員
日向野 義幸 臨時委員
深町 加津枝 臨時委員
水田 拓 臨時委員
山野 博哉 臨時委員
山本 清龍 臨時委員
湯本 貴和 臨時委員
議事録
午後1時00分 開会
○司会 定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会自然環境部会を開会いたします。
まず、冒頭にお断りさせていただきますが、まだウェブ参加の先生、1名様がまだお見えになっておりませんが、定刻ということで始めさせていただきたいと思っております。
会議に先立ちまして、本日の出席委員数をご報告いたします。本日は、所属の委員・臨時委員27名のうち、ウェブ会議システムでの参加の方を含め、現在19名のご出席をいただいております。よって、本部会は成立いたします。
続きまして、本日の会議運営についてご説明いたします。本部会は公開で行います。会場へお越しの報道関係の皆様のほか、YouTubeチャンネルのライブ配信により傍聴可能としてございます。ご了承ください。
本日、こちらの会場でご参加の委員の皆様におかれましては、ご発言の際は、お手元の名札を机の上に立てていただき、部会長からのご指名の後、マイクをオンにしてご発言ください。発言終了後のマイクオフも、お忘れなきようお願いいたします。
次に、オンラインでご参加の委員の皆様にお願いです。差し支えない範囲で結構ですので、常時ビデオボタンをオンにしていただき、お顔が見える状態にしてくださいますようお願いいたします。また、マイク機能は常時ミュートに設定いただき、ご発言の際オンにしていただき、その際は挙手ボタンをクリックしてお知らせください。部会長からのご指名の後、マイクのミュートを解除し、お名前をおっしゃってからご発言をお願いいたします。議事記録のため、どうぞご協力をお願いいたします。
本日の資料は、事前に委員の皆様へお送りしておりますが、事務局が画面上に資料を投影しながら進行いたしますので、お送りしました資料は、必要に応じてお手元でご参照ください。
最後になりますが、本日の資料を環境省ホームページ、自然環境部会のページに掲載してございます。傍聴されている方は、どうぞそちらをご確認ください。
続きまして、自然環境局長の白石からご挨拶申し上げます。
○自然環境局長 環境省自然環境局長の白石でございます。
本日は、お忙しい中、中央環境審議会の自然環境部会にご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日の議題といたしましては、審議事項が一つ、それから報告事項が四つございます。
まず、審議事項でございますけども、遺伝子組換え生物等の取扱いにつき講ずべき措置に関する事項、これを野生生物小委員会における審議事項とさせていただく件について、お諮りをさせていただきます。
それから、報告事項といたしまして、小委員会で検討しておりました、自然再興の実現に向けた民間等の活動促進につき今後講ずべき必要な措置について、クマ類による被害防止に向けた対策について、そして、第六次環境基本計画のご報告を関係課室で行わせていただきます。
また、本日の報告事項の一つでございます、日高山脈及び襟裳岬並びにその周辺地域を構成地域とする国立公園の新規指定につきまして、春の審議会で諮問予定でございますけれども、本日の審議会を実質的な審議の場といたしまして、公園計画案等につきましてご意見を賜ればと考えております。
本日は、本議題のために、帯広市の米沢市長、中札内村の森田村長に会場にお越しいただいています。新しい国立公園の指定に向けまして、ご審議のほどをよろしくお願いいたします。
限られた時間でございますけれども、本日も忌憚のないご意見を賜りますよう、よろしくお願いします。
○司会 報道関係者の方にお願いです。撮影はここまでとさせてください。
ここからの議事進行につきましては、武内部会長にお願いいたします。部会長、どうぞよろしくお願いします。
○武内部会長 部会長の武内でございます。
この間、いろんな意味で、国際的にも、国内的にも議論が進展しているところだと思います。特にCOP15のネイチャーポジティブ的な考え方が世界的に普及して以来、特に経済界をはじめとして、いろんなところでネイチャーポジティブ経済というのを進めていくことが重要だというようなことが言われていまして、従来ややもすると、脱炭素の取組については、そういう広い関心の層があったわけですけれども、それと並んで、この自然環境分野へ焦点が当てられるということで、私も大変うれしく思っております。
今日の議論、幾つも議題がございますけれども、そうしたことに資する取組でございますので、ぜひ闊達なご議論をいただければと思います。
本日の部会ですが、YouTubeチャンネルにおいてライブ配信をいたしておりますので、報道関係者や一般の方もご覧になっておられます。議事録については、後ほど事務局で作成し、本日ご出席の委員の了承いただいた上で公開をさせていただきたいと思っております。
議事要旨につきましては、事務局で作成したものを、私、部会長が了承した上で公開するといたしたいと思いますので、何とぞご了承をいただければと思います。また、会議資料についても公開とさせていただきます。
また、本日は審議時間が限られていることから、時間内にご発言いただけなかった質問等については、後ほど文書でご質問、また回答とさせていただく場合がございますことを、あらかじめご了承いただければと思います。
それでは、最初の議題でございます。遺伝子組換え生物等の取扱いにつき講ずべき措置にかかる検討についてということで、事務局から説明をお願いいたします。
○外来生物対策室長 議題1について、外来生物対策室長の松本でございます。説明させていただきます。
お手元、画面投影もしてございますが、資料1-1、野生生物小委員会の設置についての改正案について、ご覧ください。
中央環境審議会議事運営規則8条に基づきまして、自然環境部会として決定するという改正案でございます。裏面を示してございますが、こちらにありますとおり、野生生物小委員会において、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物多様性の確保に関する法律、通称カルタヘナ法と申しますが、これに関する施行状況等を踏まえた必要な措置についての調査審議を行うとする規定を追加するものでございます。
こちらが決定事項の案そのものですが、趣旨説明について、こちらの資料1-2をご覧ください。改正の趣旨を説明させていただきます。
まず裏面、こちらに、カルタヘナ法の概要についてまとめてございます。法目的を改めて読ませていただきますが、国際的に協力して生物多様性の確保を図るため、遺伝子組換え生物等の使用等に関する措置を講ずることにより、生物多様性条約、カルタヘナ議定書の的確かつ円滑な実施を確保するとなっております。
法の枠組み、仕組み、規制等については、図でお示ししている内容のとおりですので、細かな説明は割愛させていただきますが、環境省、それから文部科学省、財務省、厚生労働省、農林水産省、そして経済産業省の6省庁の共管の法律となってございます。
1ページ目、表面に戻っていただきまして、1.趣旨の話になりますが、今回の規定の改正の提案をしました背景・理由につきましては、こちらにありますとおり、このカルタヘナ法制定から20年が経過いたします。その間、急速に発展しているバイオテクノロジーなどの遺伝子組換え技術に関する科学的な知見の集積が進んでございます。また、社会情勢も大きく変化してございます。
そういった中で、例えば、研究開発段階の取扱いの円滑化であったり、遺伝子組換え生物等の取扱い、使用に関する社会的な国民の認知の醸成が、これまで以上に、また依然として必要という課題がある状況において、こうした情勢を踏まえまして、法目的の生物多様性の確保を図る観点から、施行状況を踏まえた調査・整理であったり、その継続的な確認、今後に向けた議論や検討の枠組みを整えるため、今般、野生生物小委員会をその場として位置づけたいという趣旨でございます。
米印にあるとおり、これまでカルタヘナ法に関する案件は、自然環境部会において、遺伝子組換え生物等の専門委員会を設置をして、調査・検討を行ってきた経緯がございますが、政府・省内における各種の審議会の効果的な統廃合、再編の方針を踏まえまして、また同法の施行状況の審議等に一区切りがついたということで、昨年廃止しております。
このため、カルタヘナ法に基づきまして、遺伝子組換え生物等に関する在り方や施行状況を調査・検討する場というものが、今、無いという状態になっております。
一方で、先ほどご説明した社会情勢の変化や、今後の動向を踏まえますと、生物多様性の確保の観点から、より横断的、効果的に議論・検討する場を確保するという観点から、今般、規定を追加し、野生生物小委員会がその場として適切であると考える次第でございます。
以上から、資料1にございますとおり、自然環境部会の決定事項として、野生生物小委員会の設置についての改定案について、ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
説明は以上でございます。
○武内部会長 はい、どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局の説明に対しまして、ご質問やご意見がございましたら、お願いしたいと思います。会議室におられる方は、名札を立てていただきたいと思います。また、オンラインでご参加の方は、チャットに記載をしていただければと思います。
まずは、藤田さん、どうぞ。
○藤田委員 野生生物小委員会はこれまであったけれども、この中で絶滅する危惧種とか、外来生物とかに加えて、このカルタヘナ関係のことを追加で議論するということなのかなというふうに理解したんですが。すみません、私の理解が間違っていたらすみません。
これ、遺伝子組換えの委員会がこれまであったのを廃止して、何かここの書き方では、議論に一区切りがついたというような書き方に、ちょっと読めたんですけども、これは特別なその委員会を設けるのではなくて、野生生物委員会の中に設ける理由を、ちょっともう少し教えていただきたくて、より重要になったということなのか、これだけを特出ししてやるんではなくて、もっとほかの野生生物との関係性が深まったからこの中でやるということなのか、ちょっと位置づけを少し教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○武内部会長 はい、事務局どうぞ。
○外来生物対策室長 ご質問をありがとうございます。
まず、主旨としましては、藤田委員からありました認識と概ね一致しております。資料1-2の1.2パラにありますとおり、近年進展している国際的な議論があり、それを踏まえた国内を含めた議論の中で、例えば研究開発段階における閉鎖系での組換えの使用の円滑化の課題であるとか、また遺伝子組換え生物の使用に関して、社会、国民の認知について底上げしていく必要性があるという観点から、専門的な議論はもちろんのこと、野生生物、生き物、生態系も含めて取り扱う野生生物小委のほうで横断的に議論をしたほうがいいのではないかというところで、今回の改正の提案をさせていただいております。
そして、カルタヘナ法に関しまして、施行状況や、その調査の審議という場を、これまでも、また引き続きやっていく中で、より多様な、もしくは各分野の専門的知見の方が参集される野生生物小委員会が適当であるというふうに考えている次第でございます。
○藤田委員 ありがとうございます。その中でやったほうが、より包括的なよい議論ができるという認識で、そちらに入ったということでよろしいんですね。
○外来生物対策室長 はい、そのとおりでございます。
○藤田委員 ありがとうございます。
○武内部会長 よろしいでしょうか。ほかにございますか。
石井委員、お願いします。
○石井委員 ありがとうございます。石井でございます。
現在、野生生物小委員会を担当しているので、少しその観点からのご質問です。マンパワー的にといいますか、これまで扱ってきた内容は、藤田委員も言われたように、絶滅危惧種だったり、鳥獣保護だったり、外来種だったりするわけです。割と種や生態系レベルの生物系の議題が多かったので、もう少し踏み込んだ遺伝子レベルの見識をお持ちの委員が必要なのではないかというふうに思いました。
委員会のメンバーの増強というのは考えておられるんでしょうか。よろしくお願いします。
○武内部会長 はい、どうぞ、事務局。
○外来生物対策室長 今、野生生物小委員会でも、遺伝子組換え技術、それからその取扱いの知見、もしくは経験を有している委員、具体的に言いますと五箇委員が参画いただいております。
ただ一方で、藤田委員、それから石井委員からもありましたとおり、より広範な観点というところと、一方で、資料にありますとおり、環境中への拡散防止、もしくは野外で使用した場合の影響であるとか、取扱いの妥当性を考える上で、両方分野の知見を有する委員ということで、委員を追加する補強を検討しておりまして、そちらについては、ご相談しつつ、決定になりましたら、進めさせていただきたいということでございます。
○武内部会長 よろしいですか。
○石井委員 はい、分かりました。ぜひとも少し増強を考えていただくと、ありがたく存じます。
○武内部会長 はい、分かりました。
ほかにございますか。勢一委員、どうぞ。
○勢一委員 ご説明をありがとうございます。勢一です。
私からも質問をさせていただければと思います。このカルタヘナ法の施行状況を見る場が今ないということで、今回こういうご提案だと認識をしています。
他方で、これ、6省共管の法律ですし、それぞれの使用に係る措置、分野ごとにいろいろな省が担当しているという形になっています。そういう点では、この共管の中での役割分担といいますか、そういうものはどのような形になっているのかと。それによって、この野生生物小委のほうで、どの範囲を見るのかというようなところが何かございましたら教えてください。
○武内部会長 どうぞ。
○外来生物対策室長 ご質問ありがとうございます。まず、所掌の範囲に関しましては、資料1-2裏面の図の中にありますとおり、文部科学省が研究開発、いわゆる学術の面と。財務省のほうは、お酒、酒類、酵母とかそういう扱いを中心に関係してございます。そして、厚生労働省は、薬や医療面での開発段階なり、そういった医療行為に関する知見の取扱い。農水省に関しましては、農林水産業の中での遺伝子組換え生物の使用に関する取扱い。経産省は、産業利用、例えば環境改善の微細藻類の使用やその影響の取扱いということでございます。
実は、先ほどの説明で割愛した部分でございますが、閉鎖系での取扱いという面と、開放系、例えば圃場ですとか、そういった試験を野外でやる、そして野外でさらに活用するという、その二つの取扱いについて、第一種と第二種に分かれてございます。環境省は、こういった役割分担の所掌の中で、生物多様性の確保、環境への影響という部分において、閉鎖系にしろ、開放系にしろ、適切な取扱いを各省の所掌のほうで適切にやられているかという観点から見るということになります。
立てつけといたしましては、各省の中でも、農林水産省とか文部科学省、厚労省のほうでも、各所掌での取扱いにおいて、審議会や各分野の専門的な知見に基づく検討の枠組みを設けて、その妥当性について審議をしているというところでございますので、そちらのほうと連携しながら、野生生物小委でこの案件を扱っていくという立てつけでございます。
○勢一委員 ありがとうございました。そういうことでしたら、連携が非常に重要かと思いますので、ぜひともよろしくお願いいたします。
○武内部会長 藤田委員、どうぞ。
○藤田委員 すみません、ちょっと素人質問で。ここは遺伝子組換えの話ですけど、いわゆるDSI、COP15でも話題になったデジタル塩基配列情報で製品化するという、そういうことで園芸の育種とかいろいろあると思うんですが。それはこの委員会ではなくて、別にDSIを議論する委員会があるんでしたっけ、そこをちょっと教えてください。
あるいは、それは経産省の中にあるのか、そこをどこで議論をするのかCOP16でも重要になると思うので、COP16では利益配分のほうだとは思うんですが、参考までに教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○自然環境計画課長 自然環境計画課でございます。DSIのほうは、生物多様性条約の一環という流れで来ておりますので、私どもの課のほうで担当しておりますが、これは多分自然環境部会、ないしは国家戦略につながるような会議の場で議論していくことになろうかと思います。
○藤田委員 ありがとうございます。
○武内部会長 よろしいですか。ほかに。
もしないようでございましたら、それでは、お諮りをさせていただきたいと思います。
遺伝子組換え生物等の取扱いにつき講ずべき措置にかかる検討についての案、この案のとおりで自然環境部会として決定させていただきたいと思いますが、ご異議ございませんでしょうか。よろしゅうございますか。
(異議なし)
○武内部会長 それでは、本件については、適当と認めることにさせていただきます。
それでは、続きまして、報告事項に進ませていただきます。今回、四つの報告事項がありますので、それぞれ事務局から説明をお願いし、さらに質疑応答と進ませていただきたいと思います。
私の挨拶で申し上げましたが、先ほど申し上げましたが、自然再興の実現に向けた民間等の活動促進につき講ずべき必要な措置についてということで、事務局から説明をお願いいたします。
○自然環境計画課長 自然環境計画課長の則久と申します。よろしくお願いいたします。
資料2-1と2-2を用いてご説明したいと思います。主には、2-1のほうで概要をご説明したいと思います。
まず、経緯でございます。昨年8月17日、環境大臣から中央環境審議会会長への諮問ということで、24日にこの自然環境部会、前回の会議を開きまして、小委員会の設置を決定していただきました。
小委員会の委員の名簿は、最後のページに参考としてつけておりますが、この自然環境部会からも10名の委員の方にご参加いただいております。
この小委員会でございますが、この中ほどの右側に書いておりますように、10月13日に第1回を、それから合計3回実施いたしまして、その間、パブリックコメントも実施してきております。
その小委員会の委員長は石井実先生にお願いしておりましたが、令和2年から、実は先行してOECMの検討会を行い、それに基づいて自然共生サイトの試行などの取組をしてきておりました。
そちらの検討会で積み重ねてきた、いろんな論点の整理というものがベースとなりまして、この10月の第1回の小委員会では、かなり突っ込んだ内容から議論が始まったと思っております。
その下のほうにイメージを書いておりますが、今回、新しいこの答申のポイントとして、一つは、場所と紐づいた活動に着目して活動計画を認定していくという点と、もう一つは、生物多様性、OECMの基準と真ん中に点線が入っておりますが、国際的なOECM基準を満たすような、いい生物多様性の評価があるところを維持していくということだけではなくて、昆明・モントリオール生物多様性枠組みのターゲット2にあります、劣化地の再生にもつながりますように、その回復・創出するもの、当面は劣化地であっても、行く行くはOECMになっていくようにする、そういった活動も認定していこうということで答申のポイントができています。
めくっていただきまして、次のページがポイントの概要となります。背景につきましては、冒頭、部会長からもご紹介がございました、COP15でのネイチャーポジティブの考え方の提示、その中のキーワードの一つとしては、30by30ですとか、あるいはOECMというものがあろうかと思います。
そういったものを踏まえまして、日本の生物多様性国家戦略も昨年3月に策定いたしまして、それに基づいて自然共生サイトについて今年度から取組を行ってきております。これはOECMの基準を満たすものですが、日本の保護地域には民有地もたくさんございますので、保護地域の中外関係なく民間の取組を認定してきております。
昨年の第1期で122か所、これが7.7万haで、国土面積の0.2%ほどでございました。ただ、そのうちの約3分の1は既存の保護地域と重複をしておりますので、残りの地域につきまして、OECMデータベースに登録していく形になっていこうかと思います。
どのような措置を講じていくかというところで、論点は大きく五つございます。
一つ目は、場所と紐づいた活動計画の国による認定というところで、やはり国際的な登録も視野に入れてやっていくということで、これは国がしっかり責任を持って認定していこうといったポイントでございます。
(2)では、どのような活動を対象としていくのかということに対して、活動の対象範囲、それから計画の策定主体、活動内容の方向性などについても答申をいただいているところでございます。ここは陸域と海域、それから、先ほど申し上げました自然再生なども含みますので、生態系の回復と創出も含むということでございます。
それから、活動計画につきましては、民間のリソースが非常に重要だということで、国立公園ですとか絶滅危惧種ですと、国のリソースを中心ということもありますけども、普通の自然のいいところをよりよくしていこうという取組になりますので、これはもう様々なリソースを費やしてやっていくということで、民間の方々にも期待をしたいというところでございます。
また、市町村の取組というもの、従来からの生物多様性地域連携促進法という法律がございました。こういった取組もさらに加速していこうということで、市町村の取組も位置づけているところでございます。
活動の内容でございますが、やっぱり生態系のタイプとか目標、これはいいところを維持するタイプなのか、あるいは自然再生をする場所なのか、自然再生も目標をどう設定するかというのが大事でございますので、そういったものも合わせまして、いろいろ課題を整理していく必要があると。
また、土地に関しますので、これは農林水産省さん、国土交通省さんと密接に連携していく必要もあるといったことがご指摘として盛り込まれております。
それから、キーワードとしてありましたのは、豊かな里山を開発して、その後に一部の緑地を作って、それでそこを認定ということになると、これはちょっとグリーンウォッシュというような、やったふりという批判も浴びかねませんので、土地の利用の変遷ですとか、周辺地区の関係性にも配慮して評価していく必要があろうかと思っております。
3点目は、その活動の継続性や質の担保についてでございます。まず、活動状況を確認しますが、認定した活動が行われていなければ、認定の取消しはやむを得ないよねという部分ですとか、それから、複数の所有者の土地にまたがってやる場合、土地所有者が変わると活動ができなくなると困るので、協定制度を設けてはどうかといったようなご提案も入っております。
それから、自治体とか民間による中間支援の部分、ここは当日の第3回目の小委員会でも結構活発にご議論があったかと思います。
それから、簡便なモニタリング手法の開発ですとか、それから、評価できる人材の育成、こういった部分の課題。
それから、見える化です。活動したことによって、どれだけ生物多様性が豊かになったかが評価できるような部分、こういったことを見える化していくことも必要かと思います。
それから、地方公共団体との連携。それから、当然、国内外への普及啓発・情報発信という部分です。
4番目が、関係する施策との連携でございまして、1点目は、他の自然環境関係の法令の特例です。手続のワンストップ化によって、より効率化させようということを考えております。例えば、その活動エリアの中で特定外来生物の防除を行う場合には、その防除の認定というものを、別途、外来生物法のほうで取得しておかないといけないんですが、こちらの認定を受けていれば、そこはもうワンストップでみなし認定とすることで、手続が簡素化できると、そういったことを考えております。
それから、気候変動ほかの環境施策との連携。また、土地や空間に関わりますので、国交省さん、農水省さんの様々な施策との連携というのも大事で、このランドスケープアプローチの推進というのは、一つのキーワードになろうかと思います。
最後に、その活動を促進するための方策の推進ということで、活動計画の認定は広く行っていくと。促進する立場なので、できるだけ間口は広くということでございますが、ちゃんとその保全状況とか価値評価をやっていく、活動の評価が大事だという形でございます。
もう一つは、資金面などで、人的・資金的な、その支援の強化を図っていくという部分につきましては、例えば国のいろんな交付金なども想定されますけども、民間からの資金の循環というものを想定しまして、支援証明書ですとか、あるいは、活動したい方と、支援したい方のマッチングの仕組み、こういったものもしっかり作っていこうということで、これは先ほどOECMの検討会があると申し上げましたが、別途インセンティブの検討会も立ち上がっておりまして、こちらの検討会でも密に議論をしているところでございます。
最後、申請者の負担軽減を意識した事務体制の構築ということで、これにつきましては、全部やっぱり国の直営だとなかなかボリュームがあるということで、どのような業務の委託なり、運営の方法もあるのかというところについてもご提案いただいております。
また、ここに書いておりませんが、全体的に今後の課題として示されておりますが、ネイチャーポジティブ経済移行戦略というものを策定してやっていこうという部分と、それから、もう一つは、やっぱり生物多様性の見える化につきましては、どのようにそれを表示していくのがいいのか、そこのいろんな開発面につきましては、これは今後、別途並行して検討が必要な事項ということで、この答申の中には直接書き込まれてはおりませんけども、今後の課題として提示をしていただいたところでございます。
ちょっと駆け足になりましたけど、以上となります。
○武内部会長 はい、どうもありがとうございました。
それでは、質疑に移る前に、自然再興の実現に向けた民間等の活動促進に関する小委員会の委員長を務めていただきました、石井委員より本答申について一言発言いただければと思います。いかがでしょうか。
○石井委員 ありがとうございます。石井でございます。
今、則久課長からご説明のとおりなんですけれど、僅か3か月、3回という高密度の会議で答申を完成することができたのは、本当に環境省事務局のご尽力と、委員の皆さんが本当に活発にご意見をいただいた、そういうことのたまものではないかというふうに感謝している次第です。
ゼロからというわけでもないんですけれども、新しい法を作るというので、かなり困難なものではあったと思います。本当に委員の皆さんには、ポジティブにご意見を言っていただいたのがよかったと思います。
パブコメも途中であったわけですけれども、ここに関しましてもネガティブなものはなく、ポジティブなものであったということで、全体的に期待感というのがあふれる、そういうような印象を私は持っています。
私なりに幾つかポイントをあげますが、そういう形でお読みいただければと思うんですけれども、自然共生サイトというのは、今ご説明があったように、今年度の前期分として、122箇所も認定したわけれですけども、かなり多くの応募がありました。これは環境省が生物多様性豊かな場所を認定する制度ですけれど、この答申では、そうではなくて、場所に紐づいた活動計画を国が認定するというのが大きなポイントです。
それから、もう一つですけれども、先ほどもあったように、昆明・モントリオール生物多様性枠組み、それから、それを受けた新国家戦略の中に盛り込まれている劣化地の再生です。この部分もこの自然共生サイトに入ってくるので、答申に出てくる自然共生サイトは同じ文字面にはなっていますけれども、概念が拡張され、少し異なるものになっています。
先ほどの繰り返しになりますけれども、特に委員会で集中した意見は、このネイチャーポジティブ活動の促進、認定した活動の継続性、それから活動の質の担保などについてでした。
それから、関連する分野、施策との連携強化についても多くの意見をいただきました。そのように答申をお読みいただければと思います。
では、皆さん、よろしくお願いします。
以上です。
○武内部会長 はい、どうもありがとうございました。
それでは、先ほどの事務局説明、それから今の石井委員のコメントを踏まえまして、ご質問、ご意見がございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
はい、どうぞ。
○江﨑委員 ありがとうございました。
いろいろ進んでいるようで、うれしいなと思っているんですけれども、以前にもちょっとお話しさせていただいたかと思うんですが、やっぱり海域というか、里海の部分というのがすごく難しいんじゃないのかなというふうに感じておりまして、特にこの海域、里海とか、藻場の話もよく最近聞くんですが、先ほどご説明いただいたような目標ですよね、まず目標のところで維持と回復という2パターンがあると言われたんですけど、そもそもが調査が難しい中で、どちらの方向性を取るのかというのが、すごく里海とかの場合は難しいんだろうなというのがまず想定されるんです。
その結果、いろいろ環境省さんのほうでもメニューを作っていただいて、取組をしていただいて、実際のメニューも動いているかと思うんですが、その中で、やっぱり観光というものを使うときに、すごく観光でぼやかしてしまわれがちという点もちょっと気になっています。
私も特に観光のこともやっているのでなんですが、観光をこういうときにどういうふうに使うのかというと、私の中では二つありまして、回復期というのに使うのであれば、やっぱりこの回復期の中で地域の生産であるとか、地域経済とかを維持するための補塡を何とかしていって、回復している間を支えていく感じに、観光を結構使っていると思うんですけれども。
例えば漁業であれば、漁業の資源管理をしたりとか、取らないという方向性も、例えば魚だったりあるし、海藻でもそうですけど、その間、取れない時期を回復させる間は、やっぱり観光とかで何とか生産者を維持させるとかですね、具体的に言えばそういうことなんですけど。
もう一方で、維持というところに入れば、この安定を循環させて、維持させていくために観光を使うんだろうと思うんですが、こういうのが、やっぱり海の状況というのが、そもそものこの目標設定がない、できないと、そういう使い方ですらもどっちが目的か分からないし、結果的に観光を曖昧に使ってしまうという感じがちょっとしますので、ぜひこういう今後の検討の中で、海の部分のこの曖昧さというのも少し、なかなか難しいことではあると思うんですが、何とか先生方のお知恵を拝借しながら、うまく使えるようになるといいなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○武内部会長 まだほかに、当面、3人の委員の方のご質問、ご意見がございますので、回答は、後でまとめてということでお願いしたいと思います。
橋本委員、お願いします。
○橋本委員 はい、ありがとうございます。
ご説明をありがとうございました。非常に社会的にも注目が高いところだと思っておりまして、新枠組みのターゲットの2と3について対応するものということで、非常に期待をしているところです。
2点、質問があります。一つ目は、場所と紐づいた活動計画の国による認定の手続の中で、地方公共団体というものが、どのような位置づけにあるのかというのを教えていただきたいということです。
それはなぜかというと、その連携強化のところになるんですかね、地方公共団体の役割とか期待のようなことが書かれているわけなんですが、この認定のプロセスにおいて、では、逆に、その公共団体というのはどのような関与をするのかというのが質問でございます。
もう一つが、見える化です。(3)で活動の継続性及び質の担保への対応策で見える化というのが書いてあるんですが、少しこの答申の中で、見える化の具体的な内容というのが、説明はしてあるんですが、もう少し何をどう見える化していくのか。例えば、申請書類が閲覧できるだとか、あるいは自然共生サイトの認定地域の境界が分かるようなデータが整備されて公表されていくのか、こういった部分です。要は、こういった情報が、国家戦略の基本戦略の5にもデータ基盤を蓄積していくということがあったと思うんですけれど、こういった部分につながるのかな。
他方で、非常に希少な生き物がいるとか、そういう場合になってくると、逆にこういったデータの公表の難しさというのもあると思うんですが、この点について少し教えていただきたいというのが2点目です。
○武内部会長 よろしいですか。山本委員、お願いします。
○山本委員 ありがとうございます。
私からも2点、質問があります。一つは、30by30の目標との関わりの観点からです。先ほど石井委員長から、多数の応募があったとのことで、こういう新しい枠組み、新しく保護地域に準ずる場所を指定する取組には、私もとても期待しています。
今回応募があった中で面積を割り出すと、国土の何%かということも言及がありました。私は心配し過ぎなのかもしれませんが、通常の応募では、初期に多くの応募があって、その後、応募の件数、面積は減っていくのが辿るプロセスではないかと思います。
今後の見通しとして、30by30の目標に向けて、このOECMの指定がどれほどの効果があると考えているのか、今は明るい見通しでいいのかもしれませんけども、感触としてあれば教えていただきたいです。
二つ目は、計画の柔軟性について、気になる点があります。今回、活動も含めて計画を策定して認定していくということになるわけですけども、活動は変わっていくもので、計画も変わっていくものと思います。OECMは、永続的にある程度保護されるということが想定されている地域ですけども、ある程度地域の中で活動だとか、保全の取組が変わっていく中で、うまく柔軟にこの計画というのを取り扱っていけるかという点が気になるわけです。
今回のこの仕組みでは、活動を維持する方向に働くとは思うんですけども、例えば活動がなくなっても生態系サービス、地域での保全の活動がなくなっても生態系サービスを提供、供給するような森林や緑地があるかもしれませんし、先ほど江﨑委員がおっしゃっていたとおり、活動目標を明確にすることも必要ですし、一方で、その目標について活動は変わっていくけど、目標はそっちのほうに近づいていくようなこともあると思いまして、認定する計画、どこまで柔軟なものでも許容できるのか、ざっくりした質問かもしれませんけども、お伺いできればうれしいです。2点です、よろしくお願いします。
○武内部会長 はい、ありがとうございました。
関委員、お願いします。
○関委員 はい、ありがとうございます。
私は、すごく基本的なところの質問になるんですけども、皆さんからも、今すごく活動に対する期待というのがお話をされているところで、私も全く同じ思いでいるんですけども、より裾野を広げるという意味で、OECMという言葉、なかなか一般的には何でしょうという感じで、取っつきにくいというか、そういうところで。OECMの基準というふうにここに、資料には書いてありますけども、これがどんなものなのかというのを、一般の方々に分かりやすく発信されるのでしょうか、それに関する話合いがあったりするのでしょうか。
あるいは、ちょっとここでもOECMの基準は、基準というところでは、どういうものが言葉として当てはまるのか、ちょっとお伺いしたいところです。
あと、もう一つ、今継続的にというところのお話がありましたけども、取組を実施という書き方がされている中で、その取組というのが永続的に行われる取組というイメージなのか、あるいは、あるスパンで目標を達成したら、そこで活動は一旦終わりにしますというようなイメージなのか、その辺りはちょっと全くはっきりしないところですので、教えていただければと思います。
以上です。
○武内部会長 それでは、オンラインでご参加の愛甲委員、お願いします。
○愛甲委員 はい、愛甲です。
二つ質問があります。一つは、現在の自然共生サイトとの関連で、これに対して、何かこのことによって変化が起きるのかどうかということと、これから申請したりする場所もあると思うんですけど、そこの手続との関係がどうなるかというところが、まず一つです。
もう一つは、活動状況のところで、計画に基づく活動を実施等されていない場合は、認定取消しということが書かれていたりしますが、この活動が計画どおり行われているかどうかというのを、どうやって評価、確認するかという方法です。IUCNは、現在イギリスなどを中心にして、保護地域とそれからOECMを含めた地域の管理の有効性の評価をするツールみたいなものも開発したりしていまして、そういったものとも連動させるような可能性もあるのかどうかということを、ちょっと伺いたいです。
以上です。
○武内部会長 はい、ありがとうございました。
藤田委員、お願いします。
○藤田委員 ありがとうございます。私もこの答申の委員会には入っていたので、質問するのも変かもしれませんが、今進めていらっしゃるインセンティブの検討会とOECMの検討会、二つ、この答申とは別にまた走っているということを聞きました。
やはり企業さんから、この支援証明書ですか、これを認定された後に、認定を受けた後のその支援証明書というような今設計をされていると思うんですが、それがいわゆるTNFDに記載できるのかどうかという質問をよく受けます。
もちろん本業であれば、関係性を持って記載はできると思うんですけど、そうでない場合に、ここがやはり先ほどからもお話が出ていたように、30by30にどれだけ貢献するのかとか、あるいはモニタリングとか、見える化と絡んでくることだと思うんですが、TNFDに企業価値向上として書けるのかどうかということについて、どういうお考えをお持ちなのかということについて、もしご意見があれば教えてください。よろしくお願いします。
○武内部会長 はい、ありがとうございました。ほかに、よろしいですか。
それでは、事務局からお願いします。
○自然環境計画課長 はい、ありがとうございます。ちょっと順不同になるかもしれませんが、お答えしたいと思います。
一つは、見える化の関係で、幾つかご質問をいただきました。これは小委員会の中でも何度かご指摘があったんですが、例えば既存の保護地域との関連、コネクティビティーを考慮して、どこでOECM、自然共生サイトの活動をすると、もしくは、自然再生の取組をすると、より効果が大きいのかというのを示せるようなものという部分を期待したいという声がございます。
他方で、個々の活動されている企業の皆さんにお聞きしますと、単に活動の認定を受けただけではなくて、その認定を受けた活動をしたことによって、どれだけその地域なり、生物多様性の価値が上がったのかということを見える化できるといいという指摘もあり、この辺りも考慮して考えていくのかなと思っております。
江﨑委員からご指摘があった、目標設定について、海の場合は維持なのか、回復なのかということについても、例えばそこにある海域の価値として、それを維持すればいいレベルなのか、それとも回復を目指すべきなのかがもし示せると、どちらを採用していくのか、入り口としては入りやすくなるんじゃないかなということを、考えていたところでございます。
それから、場所と紐づいた活動ということで、地方公共団体との関与はどうかという、橋本委員からのご質問がございました。基本的に今回、環境省、農水省、国交省、3省が一緒にやっていく形になるんではないかと思いますが、認定申請そのものは、特に自治体を経由するということではなくて、直接国の方に届けていただく形になると思います。
そのときに審査のポイントとして、地域に紐づくので、その地域の関係者やステークホルダーとの調整を、ちゃんとやっていただいているかどうかということは確認事項となりますので、その中で地方公共団体の役割が大きい場合については、当然に、その確認をさせていただくことになると思います。また、そうじゃなくて企業の社有地だけの中で完結するような場合は、必ずしもそこまでは必要ないのかもしれません。
一方で、現在、生物多様性地域連携促進法がございまして、市町村が音頭を取っている取組もございます。今回、122か所やっている中でも、幾つかそういう市町村が音頭を取ってやっていただいている事例もございますので、そういった場合は、引き続き、地方公共団体に大きな役割を果たしていただけるとありがたいと思っているところでございます。
それから、山本委員からご質問がありました30by30の関係で、この自然共生サイト、今回の法律で認定することでどれだけ効果があるのか、見込めるのかということにつきましては、陸域では現在20.5%ですので、あと9.5%必要です。端的に言いますと、1%が埼玉県1個分の面積でございますので、なかなかOECM、この認定だけでカバーするのは厳しいだろうと思います。このため、当然、保護地域の拡充も一つ大きなポイントであり、今日この後、説明のある日高山脈のような取組もございます。
それから、もう一つは、現在、民間等の取組の認定で考えておりますが、一方で、国が所有している土地などへ、生物多様性の保全に資する地域というものがございます。こういったものを、現在、関係省庁とともに、どのように扱っていくのかを議論しておりますので、そういった地域がOECMに入ってくれば、ある程度、30%に手は届くんではないかなと思っています。
他方、海の場合は現在、13.3%ですが、これは領海だけじゃなくてEEZまで入っておりますので、これをどう達成していくのかは、まだまだ悩みが深いところでございまして、今研究をしている最中ということでございます。
計画の柔軟性につきましては、目標が変わっていくというのは、例えば、劣化地再生型ですと、まずはいいところまで持ってくるのがポイントですが、そこを達成すると、次は維持のほうに目的が変わっていったりします。また、所有者の方や管理者の方が変わる場合もいろいろあると思います。管理者の方が変わる場合、そもそも認定を受けたら義務としてやり続けなきゃいけないわけではなく、基本的には法律に基づく認定でありますが、規制ではございませんので、いろんな諸事情でできなくなったら、もう辞退していただくということも可能な制度でございます。
こういう活動を活発にすることで、できるだけ取組を広げていきたいということなので、国 による様々な認定制度の中では、かなり柔軟性はあるほうではないかなと思っているところでございます。
それから、関委員からご質問がありました、基準のほうでございますが、IUCNのOECMのガイドラインに準拠しまして、日本国内での自然共生サイトの認定基準を定めております。
この中では、境界とか名称に関する基準、それから2番目、ガバナンス、管理体制に関する基準、それから、三つ目では、生物多様性の価値に関する基準、四つ目で活動の保全・効果に関する基準というのが示されております。
これは環境省のホームページ等でも詳細を公表しておりますが、確かに一般の方からしては、ちょっと取っつきにくいというところあろうかと思います。申請を考えている方には、かなり分かりやすく書いているつもりではあるんですけども、そこをもうちょっと身近なものにするために、OECMという言葉が難しいという点も含めまして、もっと伝える努力はしていきたいと思っております。
計画のタームにつきましては、現状の自然共生サイトは一応5年間ということで考えておりますが、新しい制度となった場合には、どういうふうに設定していくのかについては、基本的には促進する観点なので、法律ができた後に、基本方針というものを決める過程の中で、先ほどの自然再興の小委員会、又はそれに代わる場でご議論をいただく形になると思いますので、そこで改めて議論していければと思います。
愛甲先生御指摘の現行のサイトの移行、関連性のお話でございますが、基本的に、現在、任意の制度をやっておりますが、今後、法律に基づく制度となった場合は、今の任意の制度の認定を受けた5年間は、自然共生サイトは有効でございます。
その後も継続する場合、あるいは、法律が施行された段階で、法律に基づく認定のほうに切り替えたいといった場合は、一応申請を出し直していただく形になるのですが、その際、先ほどご紹介した基準が共通の部分はもう審査を極力簡素化するなどして、現行のサイトの認定を得ている方への負担は、極力小さくするような工夫をしていきたいと考えているところでございます。
それから、藤田先生のお話にございました、インセンティブについてです。OECM検討会、それからインセンティブ検討会でも議論しておりまして、支援証明書のほうも進めております。この検討会も3月に開催を考えておりますけども、支援証明書がTNFDでどこまで使えるのかということは大きなポイントでございます。
TNFDでも使っていただけることを想定して、どのような記載内容があれば、投資家目線で魅力的なのか、そういうような観点で専門家の皆さんとも議論をしているところです。
一方で、この支援をしている方々が、全て大企業で、TNFDに使うことを考えておられるわけじゃなくて、自然に対するCSR的な観点とか、いろんな観点で支援したいという方もたくさんいらっしゃるはずなので、そういう目的に応じた証明書の在り方、あるいは、それをどういうふうに活用していけるかということを検討しています。もし、TNFDに使いたい方は、本業の部分では取組をやっていなくて、部分的に緑地をやっていて、の証明書を出したとしても、それは下手をするとグリーンウォッシュという批判も起こりかねないという懸念があることを考えますと、やはり本業のところで、いかにちゃんと上流から下流までを見てやっていただけるかが一番大きなポイントだと思います。その中にぴったりはまる企業はいいんですけど、そうでないときにどうしていくのかについては、まだまだいろいろと並行して詰めていく課題があろうか思っております。
それから、愛甲先生からの、活動の評価というところでご指摘もございました。先ほどの活動のタームをどうするかは法律ができた後の議論ですよということを申し上げましたが、基本的には、一定の間隔で報告とか、そういうことも上げていただくのかなと思います。私どもには地方環境事務所もおりますので、そこの職員の目配りも必要になってこようかと思っています。この辺りの詳細につきましても、今後の制度設計、法律ができた後いろいろ考えていく中で、詳細はまた議論をしてまいりまして、この小委員会の場でも引き続き検討できればなと思っているところでございます。
すみません、以上となります。
○武内部会長 はい、ありがとうございました。
それでは、時間もございませんので、恐縮ですが、次に移らせていただきたいと思います。
次は報告事項、日高山脈及び襟裳岬並びにその周辺地域を構成地域とする国立公園の指定等についてでございます。本日は、地域から帯広市の米沢市長、中札内村の森田村長がいらっしゃっております。
本議題については、春の審議会で諮問させていただく予定ではありますけれども、本日の審議会を実質的な審議の場とし、事務局の案についてご意見がございましたら、この場でいただければと思います。
また、国立公園の名称につきましても、夏頃の指定に向けて準備も始めていかなければならないという事情もございますので、今回ご意見をいただき、できれば今日この場で合意を取らせていただくということにさせていただければと思います。以上のような進め方で、皆さんよろしいでしょうか。
(異議なし)
それでは、事務局より説明をお願いいたします。
○国立公園課課長補佐 国立公園課の藤井です。
本議題につきまして、資料3-2に沿ってご説明をさせていただきます。
本日のご説明の流れになります。まず、新しい国立公園の概要、次に公園計画の内容、そしてパブリックコメントへの対応の順でご説明させていただきます。
まず初めに、国立公園の概要についてです。国立公園指定の対象となります日高山脈は、北海道中央南部に位置しておりまして、南北におよそ140km、東西30kmの大起伏山地となっております。山脈の最高地点は2,052mの幌尻岳で、主稜線の標高は概ね1,500から2,000mとなっております。
スライド左側の図におきまして水色で示している範囲、また右下の図ではオレンジ色で着色した範囲というのが、今回の指定の対象となっている範囲です。このように、ちょうど中央に山脈が走っておりまして、山脈の東側が十勝側、西側が日高側となってございます。
関係市町村は、右上の四角に記載をしておりますとおり、十勝側が6市町村、日高側が7町で、合わせて13市町村にまたがっております。
こちらが本国立公園の代表的な景観を示した写真となってございます。
国立公園の指定に当たりまして、本部会による視察を令和4年6月9日から11日にかけて、13名の委員にご参加いただき、実施をしてございます。視察では、委員の皆様と関係市町村長との意見交換会や、様似町のアポイ岳に登頂いただいたほか、えりも町の襟裳岬、中札内村の札内川園地をご視察いただきました。ご視察いただいてから、その後、地権者の方との調整に時間を要したこともありまして、本日のご報告までに少し時間が空いてございます。
調整を進めるに当たりましては、関係市町村の皆様にご協力をいただいて、現在は、特段の問題なく、指定に向け準備を進めているところです。
なお、部会視察後に一部の関係市町村の方からご要望もいただきまして、さらに公園区域として追加となった区域もございます。
続きまして、指定までの主な経緯についてご説明いたします。昭和56年に、カール等の氷食地形を含む長大な連峰景観と海食崖といった優れた海岸景観を有する地域として、日高山脈襟裳国定公園が指定されております。
その後、平成19年から21年度にかけて、環境省が国立・国定公園等総点検事業を実施しております。自然環境の観点から重要な地域を抽出しまして、既に指定されている国立・国定公園との重複状況の分析を行った結果、新たに国立公園の新規指定、または国定公園の拡張の候補地として選定をされております。
この結果を受けまして、平成28年から令和元年にかけて、北海道地方環境事務所において、当該地域の自然環境や利用状況等に関する調査を実施しております。
また、令和元年には、関係の13市町村長より国立公園指定に関する要望書が提出されております。
環境省としては、調査結果等を踏まえまして、当該地域を国立公園として新規指定する方針とし、令和2年より指定に向けた地域や関係機関との調整を行ってまいりました。
ここからは、地域の概要についてご説明いたします。まず、地形・地質に関してです。日高山脈には、カールやホルンといった氷食地形が多数分布しておりまして、日高山脈の特徴的な山岳景観を形成しております。
また、山麓部には、多数の河川により発達した広大な河成段丘や扇状地が見られます。さらに、襟裳岬には海食崖や岩礁を主体としておりまして、海岸部には海成段丘も発達しているところです。
この日高山脈というのが、新第三期以降に大陸プレートと大陸プレートが衝突することによって生じておりまして、衝突によりプレートが乗り上げて形成されているために、地質の断面構造を地表で観察することができるというのが特徴となっております。
また、アポイ岳の周辺のかんらん岩は、地殻のさらに下にある変性作用の影響が少ない上部マントル鉱物からできておりまして、岩体を構成する岩石タイプが極めて多彩で珍しいといった地質の特徴がございます。
続きまして、植生についてです。日高山脈一帯は、潜在自然植生としては北方型の針葉樹林帯に位置してございまして、自然度の高い森林が広がっている地域です。また、日高山脈は多くの河川の源流部となっており、これらは自然度が高く、人工構造物が存在しない原生流域であり、現状の国定公園の範囲においても、我が国最大の原生流域となっております。
野生動物につきましては、大型哺乳類であるヒグマやエゾシカ、氷河期の依存種と言われているエゾナキウサギ、海生哺乳類であるゼニガタアザラシを含め、12科35種が確認されてございます。
鳥類は、ハイマツ帯から山麓部の森林帯にかけて54科264種が記録されており、生態系上位種で希少種であるクマタカやシマフクロウの生息地として重要な地域となっております。
続きまして、利用形態です。山脈の核心部は山が険しく、アクセス道路が限られていることから、夏を中心とした本格的な登山が主となってございます。
また、山麓部には低山も複数あり、これらの山での日帰り登山や、襟裳岬や豊似湖などといった場所での自然探勝も行われております。
日高山脈襟裳国定公園における令和元年度の年間利用者数は、約36万人でございました。
文化景観につきましては、幌尻岳や十勝幌尻岳はアイヌの文化の信仰対象の山となっておりまして、アイヌの神、カムイが遊んだ山であるといった伝承が残されております。
また、カムイエクウチカウシ山、ペテガリ岳、幌尻岳などアイヌ語に由来する山の名前が、複数存在しているところです。
以上、ここまで地域の概況をご説明してまいりました。
次に、国立公園の指定理由です。本国立公園は、地殻変動を受けて形成された非火山性連峰を基盤に、山地を核として育まれた深く原生的な自然林生態系が広がる風景を風景型式としております。
当該風景型式の中でも、日本列島の形成過程を反映した山脈が内陸部から海まで延々と連なる雄大さと、その山脈が原生性を有する自然状態のまま我が国最大の規模のまとまりを持って存在する点において、我が国を代表するに足りる傑出した自然の風景地であると考えております。
続きまして、公園区域(案)のご説明になります。スライドの中で色をつけて表示している範囲が、国立公園の区域(案)となっております。オレンジ色が国有地、青色が道有地、緑色が公有地で、赤色が民有地となっております。赤線で表示しておりますのが、現在の国定公園の区域となっております。
今回、区域面積は、陸域が24万5,668ha、海域が6,510haとなりました。これは国定公園の面積からは2.24倍となっておりまして、我が国の陸域最大の国立公園が誕生することになります。大きさのイメージの例となりますが、神奈川県の面積が24万1,600haということですので、神奈川県よりも大きな国立公園となってございます。
先ほど、30by30への貢献という観点が質疑の中で出ていたかと思うのですけれども、面積自体は国土面積の0.6%に当たりまして、そこから既存の保護地域を引いて計算をすると、大体0.162%増加するような計算となってございます。
区域(案)につきましては、調査業務において本地域の景観要素をここに記載しております8つの要素に整理をし、各要素の分布図を重ね合わせた上で、範囲の案を作成いたしました。その後、関係機関や地域との調整を踏まえ、現在の区域(案)となっております。
国定公園区域と比較をしますと、山麓の良好な森林地域について、大幅に拡張してございます。拡張により、日高側北部では、リビラ山や於曽牛山などの山系と接続をしておりまして、南部地域では、国定公園の区域では飛び地となっており、連続していなかったアポイ岳地域や襟裳岬地域と連続した区域となっており、山脈から海までのつながりというのを確保しております。
続きまして、公園計画のご説明に移ります。まずは、保護規制計画です。左の図が国立公園の保護規制計画案を示した図です。右が国定公園の保護規制計画となっておりまして、左の図を見ていただくと分かるように、山脈の主稜線や、その周辺地域が指定されていた国定公園の区域というのは、ほぼ特別保護地区と第一種特別地域となっております。
国定公園との比較につきましては、表をご覧ください。特別保護地区の面積は、国定公園の3.78倍となっております。この7万3,743haという面積は、特別保護地区だけで、例えばですけれども、阿蘇くじゅう国立公園全体と同等の面積がございます。
簡単にはなりますが、地域ごとに詳細をご説明いたします。
まず、日高山脈主稜線とその山麓につきましては、北は熊見山から南は広尾岳に至る日高山脈の主稜線部を特別保護地区に指定しております。隣接する高山帯、亜高山帯の地域につきまして、第一種特別地域に指定しております。これらの指定範囲というのは、人為の影響がほとんど見られない地域でありまして、カール地形や高山植生といった、本公園の重要な景観構成要素や動植物の生息・生育地の保護を図ってまいります。
そのほか、今回、国定公園区域外について拡張した範囲につきましては、各場所の資質や関係機関との調整の結果、それぞれ地種区分を設定しているところです。
こちらは日高山脈の西側になりまして、今回大きく拡張した区域となっており、日高山脈の主稜線からは少し離れた位置にある場所になっております。寿都似山ですとか、あとはエチナンゲップ山の南東側の山岳地など、良好な針広混交林が分布する地域について、第一種特別地域に指定しております。
また、ピウ岳、リビラ山、貫気別山の稜線沿いにつきましては、部分的に高山植生が分布しておりまして、またリビラ山の山頂からは、新冠湖や日高山脈の山並みを展望することができる地域となってございます。今回、本地域については、第二種特別地域に指定をしております。
こちらは公園の南部に位置する、アポイ岳の周辺を示した図です。アポイ岳は、山塊自体は大きくはなく、低標高ですけれども、特殊な地質や高山植生といった本国立公園の重要な風景要素を有しておりまして、本国立公園の中では、比較的利用者層の幅が広い地域となっております。
アポイ岳からピンネシリに至る稜線部を特別保護地区に、その周辺を第一種特別地域に指定いたします。本地域は世界ジオパークにも登録をされておりまして、麓にはまちのビジターセンターや宿舎、野営場といった利用施設があり、この周辺は第二種特別地域に指定をしております。
また、特別保護地区の右側のところになりますが、幌満川の左岸側といった低山帯になっておりまして、ヒメコマツの北方変種であるキタゴヨウの自生地であり、国の天然記念物に指定されているような場所であることから、こちらも特別保護地区に指定をしております。
続きまして、こちらは国立公園南部の襟裳岬や豊似湖周辺を示した図になっております。豊似岳や豊似湖周辺について、日高山脈最南端のオキシマップ山、豊似岳などからなる山地の稜線部や豊似湖周辺を、第一種特別地域に指定しております。
襟裳岬の海成段丘の平坦地につきましては、風衝植生で覆われておりまして、原生花園となっていることから、第一種特別地域に指定し、風致の保護を図っていきたいと考えております。
ここからは利用面の計画になります。本国立公園の利用に関する基本方針は、ここに記載しているような内容となっております。山脈の核心部といいますのは、主に経験者を想定した当該地域の原生的な自然環境の中での登山体験などの機会を提供しつつ、山麓部では、豊かな自然を生かした学びや体験の場を、より広い利用者層に向けて提供することにより、来訪者の満足感の向上を目指していきたいと考えております。
また、本国立公園は大変広大な面積を有しておりまして、公園区域の周辺地域や観光施設との連携を通じて、その価値や質の高い自然体験活動を発信し、滞在型の周遊観光につながるような広域連携を図っていきたいと考えております。
それぞれ各地域ごとの利用の方針につきましては、ここに記載をしている内容を計画書のほうに記載をしてございます。
続きまして、利用施設計画についてです。今回、車道は10路線、歩道を18路線、計画しております。図中の赤い線が車道、緑の線が歩道となっております。
車道につきましては、現在、既に利用がなされており、登山口などの公園の利用地点に到達するための道路や、海岸沿いの眺望を探勝するための道路などを計画しております。
歩道につきましては、18路線中15路線は、経験と技術、体力と装備を有する公園利用者を想定し、自然環境の保全と適正利用の観点から、必要最小限の整備を実施する登山道というのを計画してございます。
登山道の管理につきましては、指定後、自治体や地域の山岳関係者の方々と調整していきたいと考えております。また、利用ルールなどについても、国立公園の指定後に総合型協議会を速やかに設置をしまして、議論を行っていきたいと考えております。
続きまして、利用施設計画のうち単独施設についてご説明いたします。単独施設は、図及び表のとおり、20施設を計画してございます。核心地域の登山利用に必要な避難小屋を6か所。また、北日高や札内川、アポイ岳、襟裳岬といった山麓部の利用拠点につきまして、各施設を計画しております。これらは、現在いずれも既存施設がございまして、指定後も現在の施設設置者が維持・管理を行っていく予定としてございます。
続いて、新しい国立公園の名称につきまして、本国立公園の関係市町村は13ございますが、十勝関係6市町村及び日高側7町から構成される日高町村会からは、日高山脈襟裳十勝国立公園でご要望をいただいております。こちらにつきまして、詳細は後ほどご説明させていただきます。
続いて、パブリックコメントへの対応についてです。パブリックコメントは、令和5年11月9日から12月8日まで30日間実施をしております。提出された意見数は53通、そこからの整理した意見数のうち、今回の指定案に係るものは127件ございました。
いただいたご意見の中で多かったものは、平取町という町があるんですけれども、そこの区域について普通地域として追加指定をしてほしいという、そういった追加指定を求めるものがありました。こちらにつきましては、指定後の公園計画の点検の際に参考にさせていただきたいと考えております。
このほか事業計画につきまして、歩道ルートの追加、または削除に関するもの、整備に関するご意見などもいただいており、個別の計画歩道の状況に応じて対応方針として回答をさせていただいております。
詳しい意見の内容や対応方針につきましては、参考資料のほうに詳細がございますので、もしよろしければご覧いただければと思います。
以上で、事務局からのご説明は以上になります。
○武内部会長 ありがとうございました。それでは、本議題についてご審議いただきたいと思いますけれども、名称については、いろいろとご意見もございますので、後ほど別途ご議論いただきたいと思います。
まずは、指定案等について、ご意見、ご質問がございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
はい、愛甲委員、お願いします。
○愛甲委員 はい、ありがとうございます。
まず、指定地の全体の区域についてですが、総点検したときの候補地、それから、そのときに参考とした重要な地域というのがあったと思います。それは、まだこの現状での今回の計画されている区域よりも広いわけですが、今後、より拡張といったようなことを考える余地があるかどうかということを、まず一つ伺いたいと思います。
それから、特に登山利用についての質問がありますが、今回のその歩道について、必要最低限の整備というふうに先ほどの説明の中ではありましたけど、どういったような整備を考えられているのか。日高というのは、非常に原始的な登山ができる場所として、北海道内外の登山者にも非常にそういう面で人気のある場所で、逆に原始的な登山する場所としては、もうここしかないというようなところもありますので、そういった整備等のバランスというのは非常に重要になってくると思うんです。
歩道を計画されている場所というのも、どういった考えで今回設定されているのかということ。それに関連して、この後作られる協議会と、そこで管理運営計画等の議論が非常に重要になってくるわけですが、速やかにと言われていましたけど、どういった時期、タイムスケジュールで考えていらっしゃるかというのと、あと、構成員の中に、そういった山岳関係者等もきちんと入れていただけるような仕組みを考えていただけるのかどうかということも伺いたいと思います。
まずは、その二つでございます。
○武内部会長 はい、ありがとうございました。
それでは、坂田委員、お願いします。
○坂田委員 私からの質問は、国定公園から国立公園になって、また拡張されるというふうに理解しましたけども、その中で設備ができたり、規制ができたりということだと思いましたけど、端的に言って、どの部分が国定公園と違ってメリットがある部分なのか、もう少しちょっと強調する点が幾つかあれば、それをちょっと教えていただきたいというところが一つと。
あと利用者が36万人でしたかね。というのは、これはやっぱり増やすべきという考え方なのか、いやいや、維持するのか、いや、もうちょっと制限しないといけないのか、もしかしたら区域によって違うのかもしれませんけども、利用を促進していくのか、保全とか規制を重視していくのか、その辺の考え方、ある程度はちょっと理解できたかもしれませんけど、ちょっとまだよく分からないところがありましたので、お聞きできればと思います。
以上です。
○武内部会長 はい、ありがとうございました。深町委員。
○深町委員 はい、ありがとうございます。
指定理由というのが、原生的な自然林とか生態系ということなんですが、ただ一方で、文化景観のところにアイヌ語の地名とか伝承ということで、私もちょっと調べてみると、アポイ岳とかは、火のあるところが語源で、鹿が取れることを祈って山頂に祭壇を設けとかというようなそういうこともあり、もう少し文化的な位置づけがどういうものなのかというのを示していただけるといいなと思ったのと。
やはり、今回、範囲からは外れているということですけれども、パブリックコメントなどにも、アイヌ文化の関係性みたいなものを、もう少し考えたような指定の仕方があるんじゃないかというような意見もあり、今回の場所がアイヌの文化という観点から、どういう位置づけのところなのか。あるいは、ほかの、今回は指定範囲ではないけれども、それ以外のアイヌの文化とどういうふうな連携だとかつながりを、これから考えていくことが重要なのかというような観点から、もう少しご説明いただければと思います。
○武内部会長 それでは、山本委員、お願いします。
○山本委員 はい、ありがとうございます。
私からは1点だけ質問があるんですけども、指定地域についてです。先ほどのご説明の中で、既に指定地域の追加の要望があるというふうにも伺いましたけども、今、指定をしようとしている地域の図を見ると、南部に少し空白地帯があり、一生懸命つないだ、そんな印象は持ちました。
そこでうかがいたいことは、国立公園としての価値、指定理由になりますけども、こうやって海の部分から山の部分までずっとつながっている国立公園は価値がありますし、そういった価値を売りにしている海外の国立公園もたくさんあります。そういう意味で、南部のほうが空白になっている点には議論の余地があり、この理由があれば教えていただけないでしょうか。よろしくお願いします。
○武内部会長 はい、ありがとうございました。
江﨑委員、お願いします。
○江﨑委員 はい、ありがとうございます。
視察に私はちょっと行けなかったということもあるので、お伺いしたいこともあるんですけども、特に、今回国立公園になったことで、第三種の地域もすごく増えていますし、普通地域も多く増えているかなと思うんです。
そういう利用しやすい部分も多く増えている中で、やっぱり地元の方々が、この多くの市町村の皆さんがしっかり合意されたのはすごいなと思いますので、一番国立公園になるに当たって、地元の方々の期待というのはどこにあるのかを、もう一度教えていただければと思います。
○武内部会長 はい、ありがとうございました。
藤田委員。
○藤田委員 はい、ありがとうございます。私も視察に参加させていただきまして、大変すばらしい場所で、国立公園になることは本当によいことだなと思っております。
1点です、私も山登りをするので、日高というと、やはりヒグマでの事故というのがすごく記憶にありますし、昨今、特に、この後もしかしたら議論になるかもしれませんが、熊、本州ではツキノワグマ、北海道でもヒグマと人との衝突というのがいろいろ議論になっています。
せっかく国立公園になって、もちろん保全中心だけじゃなくて、利用もしていただきたいという思いが地元にもあると思います。そんなときに、人とヒグマの衝突ができるだけ少なくて、共存できるような仕組みは、これはもしかしたら利用計画のところで作っていくのかもしれませんが、避難小屋みたいなところも、熊から襲われたときにどうするかとか、何かそういった対策等もあればよいのかなと思いまして、何かお考えがありましたら教えてください。よろしくお願いします。
○武内部会長 それじゃあ、ほかによろしいですか。
今いただいたご意見について、事務局からご回答をお願いします。
○国立公園課長 はい、ありがとうございます。順次、回答をさせていただければと思います。
まず最初に、愛甲先生から、拡張余地というようなお話がございました。今回、非常に地域の協力もいただいて、大幅な拡張を実現させていただきました。
ただ、それでも、さらに拡張のご意見などもいただくことがございますので、そこは指定後も、引き続き検討していく部分があると考えております。今後も、地域の方と連携を密にして進めていければと思っております。
また、国定公園と違って、どういうメリットがというところもお話がございました。ここは、やはり地域の方にとっては、国定公園より国立公園というような思いが非常にあると伺っておりますし、我々としましては、こうした形で日本の陸域で最大の国立公園が誕生するということ、非常に自然環境保全の面でも大きなことだと考えておるところでございます。
また、利用者ですけれども、36万人というところですが、これを単純にどんどん増やしていくということが必ずよいことなのかというところは若干微妙ですけれども、我々としても、国立公園の適正な利用を増やしていく、さらには国立公園らしい利用を推進していくということに力を入れてやっておりますので、そうした中で、この日高でも取り組んでいきたいと考えております。
また、山本先生のほうから、このつながりを作る中で、南部に空白地帯が生じているというようなところも見受けられるというようなお話もありました。環境省としては、ここの部分も含めて、国立公園としての資質があって、一体的に風景の保護を図るということも考えてはいたところですけれども、土地所有者などとの調整の結果、ここの部分については今回はちょっと難しいということで、我々としても、こういう形で一度まずは国立公園として指定をさせていただきたいということで案を作成させていただいたというところになっております。
続いて、ほかでいただいた歩道とヒグマの意見、現地のほうからよろしいですか。
○北海道事務所次長 北海道地方環境事務所の統括自然保護企画官をしております、福井でございます。よろしくお願いいたします。
ヒグマの点につきましては、ご案内のとおり、非常に日高山脈は熊が多いところということでございますので、こういった対策というものは、今後、その指定後、登山者団体の皆様、それから警察の皆様等と連携・調整を図りながら、事故防止対策というものを検討していかなければいけないというふうに考えております。
それから地域、愛甲先生からご指摘いただきました、総合型協議会をどのようなタイミングでというお話がございましたけれども、これは先ほど来の説明のとおり、指定後、もう速やかに指定をして、行政機関をはじめといたしまして、それから、地域の登山者団体の皆様、それから有識者の皆様等々に参加いただく中で、総合型の協議会を、指定後、早急に設定をしていきたいというふうに考えております。
それから、あとは、登山の利用について、在り方について愛甲先生からお話がございました。ご指摘いただいたとおり、日高山脈は、非常に原始的な自然環境を、原始的な利用をするという登山というのが評価をいただいているところでございますので、登山者団体の皆様と話をする中でも、なるべく整備を伴わないほうがいいというようなご意見もいただいておりますので、こちらのほうも、今後設置いたします総合型協議会の中で登山者団体の皆様のご意見もいただきながら、どのような整備をしていくのかというところも検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○国立公園課課長補佐 あと、深町先生のほうから、アイヌ文化の関係でご質問をいただいてございました。こちらについては、本公園の文化的景観として位置づけをしているんですけれども、どういった形で、今後、その連携が図っていけるのかというところに関しては、公益財団法人のアイヌ民俗文化財団といろいろと情報交換をさせていただいておりまして、今後、その指定後につきましても引き続き連携を図って、国立公園の広報活動ですとか、そういった国立公園自体がアイヌ文化を伝える一つのツールとして紹介がされるような活動というところで連携を図っていきたいなと考えてございます。
○国立公園課長 すみません、最後に1点、江﨑先生から地元の期待というようなお話がございました。地元の期待を我々のほうからお答えするのもあれなんですけれども、この地域、その山稜線を中心としたところがやはり一番メインの区域になりますけれども、そういった中で、その公園の外との連携というのは非常に大事だというふうに考えています。そういう意味では、公園の外の地域の施設なんかも含めて、我々、現地にも職員を置きますので、そういった者が関与して一緒にやっていくということになると思いますので、そこら辺も地域の人に期待をしていただけるのではないかなというふうに考えております。
ありがとうございます。
○武内部会長 どうもありがとうございました。いろいろと有益なご意見をいただきましてありがとうございました。
事務局におかれましては、こうしたご意見も踏まえながら、引き続き諮問の準備を進めていただければと思います。
それでは、名称の議論に移らせていただきたいと思います。
事務局より説明をお願いします。
○国立公園課課長補佐 まず、資料の説明になりますが、資料3の参考資料2が、お手元にございますでしょうか。
こちら、令和6年2月1日に提出された要望書となってございます。要望書の提出者といたしましては、十勝側の6市町村及び日高町村会でありまして、国立公園の区域に関係する全13市町村長の名前が列挙されてございます。
要望内容につきましては、国立公園の名称について、観光客や利用者に地理的な位置を分かりやすくするため、「日高山脈襟裳十勝国立公園」とされたいというものになっており、日高・十勝関係の自治体の首長の総意として提出されたものとなっております。
同じく、資料3の参考資料3ですけれども、こちらにつきましては、当該国立公園の関係市町村のうち、十勝側の6市町村長より提出された要望趣意書となってございます。
十勝の関係6市町村の名称に関する思いを伝える内容となってございまして、その内容の具体的なところといたしましては、十勝の人々が価値を改めて認識する契機となり、かけがえのない財産を次世代へ引き継いでいく意識が一層高まること、6市町村として、国立公園の指定を機に自然をしっかりと守り、さらに価値を高めていきたいこと、具体的には、希少動植物の保護、マナー啓発、ヒグマ対策、遭難防止対策、登山道の草刈りや避難小屋の手入れ、簡易トイレの設置や登山道の整備などに取り組んでいくこと。また、国立公園区域外の利用拠点等とも連携したツアー造成やPR活動等に取り組んでいくことなどが記載をされているところです。
なお、パブリックコメントも実施をしておりまして、名称については直接の意見の募集対象ではありませんでしたが、名称に関わるご意見を14件いただいております。
内容としましては、日高山脈国立公園がよい、日高山脈襟裳岬がよい、名称に「十勝」を入れることに反対といった内容でございました。
また、令和6年2月19日に日高町村議会議長会のほうから、名称につきまして、現在の「日高山脈襟裳国定公園」を踏襲した「日高山脈襟裳国立公園」としてほしいとするご要望をいただいてございます。
○国立公園課長 この名称の説明について補足をいたします。
説明があったとおり、新しい国立公園の名称について「日高山脈襟裳十勝国立公園」という提案、要請、要望が提出されております。
正直なところといたしましては、国立公園の名称として少し長いというところを思わないではないところもあったのですけれども、先ほどのご説明のとおり、今回の国立公園は大変広大な公園となっておりまして、今後、指定後の管理に当たって、日高地方及び十勝地方両方の地域の市町村との連携は重要と考えております。
名称につきましては、先ほどご紹介した日高町村議会議長会会長からのご意見など、様々なご意見を地域からいただいているところですが、地域の代表する市町村長の名前が列記された要望書が提出されたということは重く受け止めざるを得ないというふうに考えているところです。
国立公園の名称の決め方につきましては、法令や通知等に沿った手順というのはありません。国立公園区域の指定案や計画案と合わせまして、地域の意見を踏まえて、審議会の意見をお聞きして決定をしてまいりました。
これまでの事例では、例えば、平成27年の「妙高戸隠連山国立公園」の新規指定の際は、地域の意見が複数案に分かれてまとまっていなかったため、審議会の場でご議論いただき、最終的には、審議会よりご提案いただいた現在の名称で決定をしております。
一方で、令和3年の、同じ北海道の「厚岸霧多布昆布森国定公園」の新規指定の際、こちらもちょっと長めの公園名称だったわけですけれども、1案で地域が合意をしておりましたので、そのままの案で指定となっております。
こうしたこれまでの例も踏まえまして、今回の公園指定について、地域を代表する市町村長の名前が列記された要望書が提出されておりますので、本審議会では、その名称案を資料に載せさせていただいております。
それではよろしくお願いいたします。
○武内部会長 本日は帯広市の米沢市長、中札内村の森田村長が来られておりますので、一言コメントがございましたら、ご発言いただきたいと思います。
○帯広市長 どうもありがとうございます。帯広市の米沢でございます。今日はよろしくお願いいたします。
少しお話しさせていただきたいと思います。「日本人はたいていふるさとの山を持っている。山の大小遠近はあっても、ふるさとの守護神のような山を持っている。そしてその山を眺めながら育ち、成人してふるさとを離れても、その山の姿は心に残っている。どんなに世相が変わっても、その山だけは昔のままで、あたたかく帰郷の人を迎えてくれる。」これは登山家でもあります深田久弥さんの言葉であります。
もとより十勝の人々にとりまして「ふるさとの山」は日高山脈であります。生まれてからずっと日高山脈を眺めて育ちます。日本の食料基地とも呼ばれます十勝の農業は、まさにこの日高山脈の恵みそのものでもあります。私たちの望む国立公園化が実現すれば、「ふるさとの山」への愛着はさらに強まり、地域の誇りとして大切に守っていけるというふうに思っております。
また、先ほど来お話がございましたけれども、アイヌ語で大きな山の意味を持ちます幌尻岳、これは百名山最難関と言われ、登山などの直接的な利用が限られるというふうに言われておりますが、公園区域外との連携というものが、ここで非常に重要になってくるのではないかというふうに認識をしております。十勝平野から眺める日高山脈の山並み、まさに国立公園にふさわしい雄大な景観であります。この特色を生かして、日高地域とも連携した、いわゆる周遊観光などに取り組むことで公園の魅力向上も図れるのではというふうにも考えているところであります。
環境保全と観光利用、これが調和した国立公園となりますように、地元自治体として、地域の皆さんとともに、精一杯取り組んでまいる所存であります。
私からは以上であります。
○武内部会長 ありがとうございました。
それでは森田村長、よろしくお願いします。
○中札内村長 北海道中札内村の森田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
今、米沢市長からのお話もありましたとおり、本当に十勝の人々、そして中札内村の人々にとって、その暮らし、その文化に日高山脈が非常にしっかりと根差しております。先ほど話がありましたとおり、十勝のジャガイモや豆が大変おいしいのは十勝の豊穣な大地があるから、そして、十勝の食がおいしい、十勝の料理がおいしいのは、その質を高める清廉な水があるということ。そして、晴天率の高い、爽やかな十勝らしい気候、これも全て日高山脈が我々に与えてくれている恵みであります。十勝の人々にとって日高山脈は、本当にその幸せの土台となる、支えとなっている大切な資源であります。
今年2024年、地方創生という言葉が誕生して10年になります。日高山脈の国立公園指定の動きを通じて、地方創生とは何か、地方、地域の活性化とは何かというのをずっと考えて、大変学びを得ることができました。それは、暮らしている人々が自分たちのまち、そして地域に誇りを持つこと、そして、自分たちの誇りのあるまち、地域を一人でも多くの方に知っていただくこと、我々はここに暮らしているんだということをしっかりと旗を立てて知っていただくこと、これが重要だというふうに考えております。
中札内村は、日高山脈のPR事業について、住民の方々が中心になってPR活動をやっていただいております。その中で、住民同士の新たなつながりが生まれました。また、北海道大学の山岳部といった登山関係の団体とのネットワークをつくることができて、実は、なかなか日高の山は普通の人は立ち入ることができない難しい自然なんですけれども、北大山岳部の若者たちの協力を得て、バーチャルリアリティーの登山体験というものを開発したりしています。
また、日高山脈に魅せられた画家、坂本直行さんという方がいらっしゃいます。十勝を代表するお菓子メーカー六花亭の包装紙をデザインしたり、中札内村に美術館がある、そういった画家の作品が、今改めて脚光を浴びております。
この間、本当に日高山脈の国立公園指定の動きを通じて様々なまちづくりの潮流が生まれております。本当に、この日高山脈の国立公園指定というのは、我々にとっては本当に非常に歴史的な大きなイベントであります。これをしっかり起爆剤として、これからも、これからの10年、新しい地方創生に向けて、十勝の人々が、様々な自治体が力を合わせて、人々が力を合わせて、いろんな関係機関が連携しながら、様々な資源を有機的に活用しながら、持続的なまちづくりにしっかり生かしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○武内部会長 どうもありがとうございました。
ということで、国立公園の名称についてでございますけれども、日高山脈襟裳に十勝を追加して、「日高山脈襟裳十勝国立公園」とするという案でよろしいのか、それとも、それについて何か問題があるのかということでございますが、ご意見がございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
はい、中村委員。
○中村委員 ありがとうございます。今回、日高山脈が国立公園化されたこと、大変うれしく思っております。
今、市長と村長のお話を聞いても、やはり日高山脈の国立公園指定ということを何度もおっしゃっていて、私も日高側から見る日高山脈も、十勝平野から見る日高山脈も、やっぱり同じく日高山脈だというふうに思います。今回のその資料の指定の区域を見ても、ほぼ山岳地帯、山陵地帯であって、言わば十勝平野自体を含んでいません。
さらに、今回、今まで襟裳が飛び地だったと思うのですが、国立公園の指定によって、つながった形で国立公園化ができた、拡大・拡充できたということで、私は、パブコメにもあったとおり、やはり地理的にも「日高山脈国立公園」とシンプルにするのが最も妥当じゃないかと思いました。これが海外から来られるインバウンドの人にとっても非常に覚えやすい名称となってくるのではと思います。
はい、以上です。
○武内部会長 襟裳も要らないということでしょうか。
○中村委員 はい、「日高山脈国立公園」が一番シンプルでよいのではと思います。
○武内部会長 はい。というご意見ですが、いかがでしょうか。
はい、どうぞ、江﨑委員。
○江﨑委員 ありがとうございます。いろんな考え方があるのかなと思うんですけれども、先ほど来、話の中で、将来拡大というようなお話も出ていたかと思うんですね。やっぱり私は、いろいろ関わっている中で、国立公園というものが、市長さんとか、町長さん、村長さんが皆さんおっしゃるように、まず、地元の方々の誇りになるということがすごく大事だと思っているんですが、その誇りになるために必要なことの一つとして、やっぱり、この自然のおかげで生きているという実感を持てることだと思っていまして、その一つは経済効果ということかなと思っています。
おっしゃったのは、観光のことも言われたんですが、やはり、そういう意味で言うと、農業における経済効果もすごく大きいと思いますし、その代表格である十勝というところはすごく、今は、まだ関係が薄いかもしれないですが、将来的に考えたときに関連性が強くなってくると思いますので、そういう十勝の方々の誇りということを将来の可能性として残すためにも、少し長いとは思うんですが、入れておいてもいいんじゃないかなというふうに私は考えております。
○武内部会長 はい、ありがとうございました。山本委員。
○山本委員 私も、地元の方々の思いが、うまく名称になればいいと思います。先ほど、地域の方々にとって山岳の風景が帰属意識を産んでいるんだということも説得力があったと思います。
が、しかしですけども、国立公園の指定の中で、今まで地理的な特徴、そのまとまりが考慮され、特に日本の最初期の国立公園の指定では、その点が重視されていたと思いますし、その後、例えば富士箱根伊豆のように、まとまったものがくっつくような形で国立公園の名称としてなってきたような経緯もあります。今回のこの指定地域の中で、地理的な特徴、あるいは地政学的な特徴で言うと、やはり日高山脈と一番南端部の襟裳岬ではないかと個人的には思います。
そこに十勝が入るのか入らないのかで、十勝側の方の印象がどれほど変わるのかどうか、年に何回か大樹町に足を運んで日高山脈を見る機会はありますが、地元の方々の思いにまでは私も考えが至りません。しかし、よそ者の目線で感覚的に言うと、やはり、国立公園に指定されようとしている、あの辺りの地表からの突起部分、それから海へのつながりのことを考えると、やはり二つぐらいの名称でまとまってよいのではないかと。
そうすると、先ほど出ていた二つの意見とはまた異なる意見になってしまうわけですけども、私は、「日高山脈襟裳岬国立公園」の名称でいいのではないかとは思います。
○武内部会長 それでは、愛甲委員、お願いします。
○愛甲委員 ありがとうございます。私は、パブリックコメントの内容も読みました。あと、それから北海道の自然保護協会とか十勝の自然保護協会からも、いろいろ要望とかご意見が出ているというふうに聞いています。やはり、日高山脈は日高山脈であって、あと、その国際的にも、できるだけ国立公園のほうは短いほうがいいという意見をもともと持っていまして、「日高山脈国立公園」というのが適当でないかとは思います。
ただ、その一方で、先ほどからお話が出ていますように、その地域の方々との連携というのは非常に重要で、特に北海道の場合、これは日高振興局側と十勝の振興局に分かれているということ、日高と十勝の自治体の方々が一体となって、この国立公園の保護に、将来に向かって連携していただく必要があって、そのことも十分酌み取らなければいけないんだろうとは思っています。
もう一つ考えなきゃいけないのが、この日高山脈の景観ですよね。先ほど坂本直行さんの絵画の話もされていましたけど、視点場としての十勝平野から見る日高山脈というのは、やっぱり圧倒的な美しい景観で、写真も多く撮られたりもします。そういった場所も含めて国立公園に拡張されていくのであれば、その時点で十勝という名前を加えていくという考え方もあるかなというふうに考えています。
以上です。
○武内部会長 ありがとうございました。
ほかにございませんか。
橋本委員、どうぞ。
○橋本委員 はい。私は、スライドに出ていた名称、一番長いものを支持する立場です。やっぱり、自治体の首長さんの連名で書類が出てきているというのはとても重いであろうと、どういうふうに首長が選ばれているかということを考えると、なかなか、様々な意見があるというのは、今、皆さんのご意見を伺っていたり、パブコメでも見ていて理解はしたんですけれど、これはなかなか無視できない部分はあるなというのが私の意見です。
ちょっと、あまり意見を出すつもりはなかったんですけど、一応、流れを見て、あえて意見を出させていただきました。
○武内部会長 ほかにございますか。はい、どうぞ。
○深町委員 今回の指定対象区域というのが、確かに日高山脈というふうなくくりで捉えるのが分かりやすいと思うんですけれども、私のほうで質問させていただいたアイヌの文化とか、あるいは、本当に地域で暮らしていらっしゃる方のいろんな視点というか、思いを考えますと、それをちゃんと包括できるような名称があるということの意味、意義というのは大きいんじゃないかなと、そのつながりというのがある中の、今回は、核になるような場所が国立公園ですね、その山頂側のというふうな位置づけで捉えるとすると、ご提案のあった、長いですけれども、この名称が持つ役割というのは大きいのかなというふうに思うところがありますので、いろんなご意見は承知しておりますが、個人的には名称が長いとしても、この案がいいんじゃないかなというふうに思いました。
以上です。
○武内部会長 それでは、水田委員、お願いします。
声が聞こえませんが、水田委員、どうぞ。ミュートになっているようですが。水田委員、ミュートを解除してくださいますか。
○事務局 すみません、事務局です。ミュートは外れているようなのですが、ちょっと音声の機器の問題か、音が入っていないようにお見受けします。
○武内部会長 何かコメントを文章でチャットに書いてもらえますか。コメントをチャットに書いていただけますか、声が聞こえませんので。
○水田委員 聞こえないですね。
○事務局 水田委員、今、音声が入りましたが、いかがでしょうか。
○武内部会長 チャットでお願いします、チャットで。
進めてください。じゃあ、分かりました。
では、ということで三つの案、「日高山脈」という単純な名称にするというのと、「日高山脈襟裳国立公園」という従来の国定公園の名称を継承した形にするというのと、やや対象地域外であるけれども、風景や文化、それから地域の地元の受け止め方も含めて、「日高山脈襟裳十勝国立公園」とするかという三つの案について、それぞれ皆さんからご意見をいただいたところでございますけれども、これについて、どういたしましょうか。
はい、どうぞ、局長。
○自然環境局長 審議会の場で局長が意見を言っていいのかというところはあるのですけれども、事務方としては、私、昨年の夏に着任してから、「十勝」を入れてくれという、「日高山脈襟裳十勝」にしてくれという要望もいただきましたし、最近では、「日高山脈襟裳」でいいというご意見も地元からお聞きしていますし、何か一番短いほうがいいという意見にも理があるだろうと思っていますので、意見がまとまらないという状況があります。
やはり、地域でもいろんな意見があるんでしょうということだと思います。地域でもいろんな意見がある、例えば、何か自然保護に携わっている方は、やっぱり今までの国定公園の名前に思い入れがあるんだろうと思っていますし、シンプルな名前がいいというお考えの、主として、その観光関係の方もいらっしゃるでしょうし、やっぱり十勝側の意見というものを踏まえて十勝を入れてくれというご意見もあるということで、国として、決めるセオリーがあるわけではないと思っているんですが、一つ、対象の公園区域を2倍以上にするというのは、過去にあまりやったことがなく、十勝側も相当その拡充をしているということを、我々としても、やっぱり気にはしていまして、十勝側に、円満に祝福していただく国立公園になってほしいという意思もかなり強くあるわけでございます。
地域の間で、何か見解の相違があったままずっとやっていると多分決められないというところがあるものですから、今年の夏、初夏ぐらいには船出をさせていきたいと思っておりますので、そういう立場から、大変口幅ったいことではあるんですけれども、やはり地方の13市町の連名で要望がされている案で、作業を始めさせていただけないかというのが、我々、事務方としての思いでございます。
もちろんこれで、まだ今日は決める場ではございませんけれども、決めるのは正式に春に決めますけれども、看板の準備とかもありますので、そういうことも含めて、作業には入らせていただけないかなというのが事務方の考え方でございます。
○武内部会長 まだ、実際の決定は先ですけれども、様々な準備等もございまして、今日の時点で、最初に申し上げたように、名称については、ぜひこの方向でいくということは決めさせていただきたいということで、皆さん、様々なご意見がありまして、多数決でやってもいいんですけれども、一応私、部会長としては、今後、なぜこの「十勝」を入れたのかということについての説明について十分行っていただくということを前提にしまして、この「日高山脈襟裳十勝国立公園」というふうにさせていただきたいとは思いますが、いかがでしょうか。
交告委員、何かございますか。
○交告委員 はい。私は、最近ここの委員会に、ちょっと臨時的に入れていただいただけなので、よく分からないんですけど、これまで、こういうふうに関係者の方を会議にお招きして意見を聞いていたということはあるんですかね。
○武内部会長 はい、あります。
○交告委員 そうですか。
○武内部会長 はい。
○交告委員 自治体の長の方が二人来られているんですけど、どういう資格で来られているのか。
○武内部会長 オブザーバーだと思いますが。
○交告委員 じゃあ、反対の十勝の自然保護協会の方たちも来られたんですか。
○武内部会長 それはご要望がなかったからだと思いますけれども、いかがですか。
○交告委員 いや、私は、これはフェアじゃないと思います、やっぱり両方に来ていただかないと。
○国立公園課長 その点につきましてですけれども、こういった指定の場合、オブザーバーとして市町村長の方々にお声がけをさせていただいております。今回、13ある市町村長にお声がけをいたしております。出席は2名の方であったというような状況になっております。
○交告委員 そんなことをしたら、この会の参加している皆さんに圧力がかかりますよ。もう私に関しては、完全にマイナス効果ですね、これは。以上です。
○国立公園課長 事務局から補足をさせていただきます。
これまで国立公園の、国定公園もそうですけれども、名称を議論する際には、地域のご意見を踏まえて、審議会の意見を聞いて決定するというような手続を取っております。我々としても、審議会の意見も重要だと思っておりますけれども、地域の意見というのも重要ということで扱わせていただいております。そうした中で、これまでも地域の意見というのを審議会の場で出させていただいて、その上で議論をしていただいていたところだというふうに認識をしています。その中で、地域の代表ということで市町村長の方全員にお声がけをしておりまして、今回、できれば日高側の市町村長の方にもご出席をいただければよかったところですけれども、ご都合がつかないということで、お二方のご出席となったというような経緯になっております。
○武内部会長 よろしいでしょうか。
それでは再度確認しますけれども、「日高山脈襟裳十勝国立公園」という名称で先に進めていただくということで、よろしいでしょうか。
○交告委員 いや、それはやっぱり多数決を採ってください。
○武内部会長 多数決を採りましょうか。じゃあ、多数決でいきましょう。
どうやったらいいかな、多数決は。
○交告委員 いや、それは一人一人聞いていったらいいじゃないですか。私は「日高山脈」でいいと思います。
○武内部会長 聞き方は、これは順番に事務局のほうで聞いていただけますか。
○国立公園課長 その点、ちょっと補足をさせていただきます。この国立公園・国定公園の名称の決定ですけれども、最終的には、その環境省の指定の告示のときに名称を告示するという形で決定をさせていただきます。その際に、地域の要望と審議会の要望というところを踏まえて決定をしてきております。
これまでの例で言いますと、両方、その地域の意見と審議会の意見が完全に対立をしたということは、それで決めたというのはありませんで、審議会の意見で決めた際でも、審議会の出していただいたものに地域が納得した上で決めているというような状況になっております。
ですから、今回の場合、こういった形で地域がこの要望を、もし、こういう形で出ていますので変えられないということになったときには、ちょっと、その地域の意見と審議会の意見が万一ずれたときには、決め方というのは、ちょっと簡単にはいかないかなというふうに思っております。
こういった形で統一意見が出てきた中でこういった手続をやるのは前例がないので決まっていないというところですので、そこはちょっとご理解をいただければというふうに思っております。
○武内部会長 それで、どうしますか。
○交告委員 いや、何も迷うことはなくて、最後は環境大臣が責任を持って決めるわけだから、我々は我々で決めたらいいんですよ。ただ各委員が自分の意見を言えばいいわけです。
○自然環境局長 取りあえず一人ずつ案をお聞きするということで。
○武内部会長 はい。
○自然環境局長 いずれにしても今日決めるわけではないというのもありますので。
○武内部会長 じゃあ、事務局からちょっと名前を呼び上げて、それぞれ意見を求めてください。それを誰かカウントしていってください。
○国立公園課課長補佐 失礼いたします。そうしましたら、名簿に沿って、本日、出席をされている方のお名前を呼ばせていただきます。部会長は最後がよろしいですかね。
○武内部会長 はい。
○国立公園課課長補佐 そうしましたら、勢一委員、お願いいたします。
○勢一委員 はい、ありがとうございます。これは、私個人の意見を申し上げるのですね。
○武内部会長 そうです。
○勢一委員 きっと理由もということですよね、ということでよろしいですか。
○武内部会長 理由は、ちょっと時間がもうないので、結論と名前だけをお願いします。
○勢一委員 はい。私は、シンプルに「日高山脈国立公園」がいいかなと思っております。
以上です。
○国立公園課課長補佐 髙村委員、お願いいたします。
○髙村委員 すみません、私は、「日高山脈襟裳十勝」で三つ入れていいと思います。
○国立公園課課長補佐 続きまして、中村委員、お願いいたします。
○中村委員 先ほどお話ししたように、「日高山脈国立公園」が地理的にもきちんとした名称だと思います。以上です。
○国立公園課課長補佐 藤田委員、お願いいたします。
○藤田委員 はい。私は、国立公園の名前のルールがよく分かっていないので、全ての理由が、皆さんの意見もよく分かったので、環境省に一任させてください。私は一任します。
○武内部会長 三つ入れるということだね。
○国立公園課課長補佐 愛甲委員。
○愛甲委員 愛甲です。私は、先ほども発言しましたとおり「日高山脈国立公園」がいいと思っております。
○国立公園課課長補佐 石井委員、お願いいたします。
○石井委員 石井です。先ほどの部会長の仕切りで私はいいと思いますが、十勝を入れる明確な理由について、次回までに資料を出していただくのがありがたいと思います。個人的に、今、何か言えということであれば、どのような経緯で13市町村の合意がなされたか分かりませんけれども、地元のお考えというのを大切にして、「日高山脈襟裳十勝」でいいのではないかと思っています。
○国立公園課課長補佐 江﨑委員、お願いいたします。
○江﨑委員 はい、ありがとうございます。私も、地元の方々の意見は尊重させていただいて、「日高山脈襟裳十勝国立公園」がいいと思います。
○国立公園課課長補佐 大沼委員、お願いいたします。
○大沼委員 私は、プリンシプルとして、中村委員が発言されたとおりだと思います。ただ、皆さんのご意見を伺っていて、やっぱりこれから持続可能な形で国立公園というのを維持していく上で、ステークホルダーの人たちがやっぱり積極的に関わるということが非常に重要なのではないかと考えるようになりました。その意味で、ここにありました「日高山脈襟裳十勝国立公園」に賛成いたします。以上です。
○国立公園課課長補佐 交告委員、お願いいたします。
○交告委員 私は「日高山脈国立公園」でいいと思います。
○国立公園課課長補佐 五箇委員、お願いいたします。
○武内部会長 五箇さんは、もういなくなっている。
○国立公園課課長補佐 すみません、退出されていました。そうしましたら、坂田委員、お願いいたします。
○坂田委員 私は、地域の運営に責任を持っておられる方々の要望に基づいて、「日高山脈襟裳十勝国立公園」が一番いいと思います。
○国立公園課課長補佐 関委員、お願いいたします。
○関委員 はい。私も「日高山脈襟裳十勝国立公園」に1票入れたいと思います。お願いします。
○国立公園課課長補佐 橋本委員、お願いいたします。
○橋本委員 先ほど申し上げましたとおり、「日高山脈襟裳十勝国立公園」が好ましいと考えております。ぜひ、先ほど石井委員からもありましたように、あるいは部会長からの提案にもありましたように、次回の会議の際にも、また、追加でのご説明をぜひともいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○国立公園課課長補佐 日向野委員、お願いいたします。
○日向野委員 私は原案賛成であります。
○国立公園課課長補佐 深町委員、お願いいたします。
○深町委員 私は「日高山脈襟裳十勝国立公園」がいいと思います。
○国立公園課課長補佐 水田委員、お願いいたします。
○水田委員 はい、聞こえますか。
○国立公園課課長補佐 聞こえます。
○水田委員 先ほどチャットにも書きましたけれども、私は、北海道の地名に詳しくないので、この決議には参加しないでおきます。ただ、どのように決まるにしても、その決めた理由をきちんと説明できるようにしていただければと思います。
○国立公園課課長補佐 山本委員、お願いいたします。
○山本委員 私の旗色は悪いんですけども「日高山脈襟裳岬」を推していまが、先ほど出ていたように、名称を決めるときに理由を添えていただけるとうれしいです。よろしくお願いします。
○国立公園課課長補佐 湯本委員、お願いいたします。
○湯本委員 「日高山脈襟裳十勝国立公園」を推します。
○国立公園課課長補佐 以上、皆様にお聞きしました。
○武内部会長 ということで、票数も言えばいいと思いますけども、大体、今聞いていただいたとおりの結論だと思います。いろいろとご意見があるということを踏まえた上で、「日高山脈襟裳十勝国立公園」ということで、特に、この名称の中で「十勝」を入れるということの意義について、あるいは、その具体的な中身については、もうちょっと説明が必要だということのご意見をたくさんいただきましたので、そのことについては、次回、最終的に決定する過程の中でご説明をお願いするということにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
それでは、帯広市の米沢市長、中札内村の森田村長は、ここでご退出されます。どうもありがとうございました。
次の報告事項、クマ類による被害防止に向けた対策について、大急ぎで、事務局より説明をお願いしたいと思います。
○鳥獣管理室長 ご説明いたします。鳥獣保護管理室長、宇賀神と申します。
昨年の秋のクマ類の被害状況を受けまして、今月8日に最終の専門家検討会がございまして、科学的知見に基づくクマ類による被害防止に向けた対策方針がまとめられましたので、本当にかいつまんでご説明させていただきます。
1ページめくっていただきます。現状認識でございまして、クマ類の生息状況ということで、左側の分布メッシュにつきましては増減率を示しております。そこの数値、書かれておりますように四国を除いて、全体的には増えているという状況でございます。右のほうは推定個体数ということでございまして、比較可能なデータを用いまして、全国的に状況を見ているということでございまして、上の文字が示すように、本州の多くの地域で増加傾向、北海道につきましては、北海道の推定でヒグマは2倍になったというふうな状況を伺っております。
次のページでございます。出没状況とその要因ということでございます。ご承知のとおり、出没状況については、ヒグマ、ツキノワグマにつきましても、令和5年度、過去最高ということでございます。出没要因につきましては、いろいろ記載がございますけれども、個体数が増えるというところもございますし、あと、人間活動の低下によって熊の警戒心が薄くなり、人の里の近くに分布を広げたというようなお話、それと、防除不十分な農地とか、柿の実の放任果樹が誘引しているとか、あるいは、河川や緑地を伝わって市街地に入ってくるというようなこと、それと、顕著なところでございますけれども、グラフがございますが、秋の食物資源、例えばブナの実でございますけれども、そういったものが低下すると行動圏が拡大あるいは変化するということで、出没するということをご指摘いただいております。
3ページ目でございます。対策の方向性というところでございまして、被害対策の方向、目的としましては、人と熊の空間的な分離、いわゆるすみ分けを図るということ。それと、今回秋で見られましたように大量出没による人と熊のあつれきの低下と、低減ということでございまして、そちらの方向性ということで、ちょっと細かくはご説明できませんが、「ゾーニング管理」、それと熊の広域的な移動がございますので「広域的な管理」、それと不十分な情報等がございますので「順応的な管理」、三つの管理を推進するというようなことが記載されております。
すみません、中身は割愛させていただきます。
次のページ、4ページ目でございます。被害防止に向けた行動ということで、五つの内容をご提言いただいております。
1番目は、指定管理鳥獣の指定ということで、個体数が著しく少ない四国の個体群を除くクマ類、ヒグマとツキノワグマ、これにつきましては指定管理鳥獣に指定するということでございます。中身としましては、モニタリングを前提に、被害の低減と個体群の保全のバランスの取れた支援、都道府県等に対する支援が必要ということでございます。
二つ目は、人の生活圏への出没防止ということで、先ほど申し上げました柿類とかそういったものの誘因物の管理の徹底とか、農地におきましては電気柵の設置、そういった被害防止の対策を強化するというようなことをご指摘いただいております。
下の出没時の対応につきましては、出没したときに猟友会、警察、自治体、そういった方々の体制の構築、対応体制の強化、それと、市街地に出てくる熊もございますので、そういったものに対する銃器による対応ということで、ここでは鳥獣保護管理法の改正も含めて、国の対応方針についてと、麻酔銃等につきましても条件整理、周知をするということを記載されております。
最後、5ページ目でございます。
人材育成と配置につきましては、大型獣である熊の対応をするということで、捕獲の技術者の育成・確保、あるいは、現場の対応をされます都道府県・市町村の専門的人材の育成・配置ということが記載されております。
最後、その他でございますけれども、昨今、ニュースにもありましたが、過剰な苦情への対応ということで、科学的根拠に基づいた情報発信による社会の理解を促すと、あるいは、ICTを使いました出没状況の提供、モニタリング手法の開発、先ほど申し上げました四国の個体群のような絶滅のおそれのあるところの保全と取組の強化、それと、持続可能な地域づくりの観点から被害対策の方法等の検討ということでございます。
このうち、指定管理鳥獣の指定につきましては、必要な関係省令の改正を行うため、2月13日からパブリックコメントを開始しておりまして、皆様方のご意見を伺った上で、4月中の指定の手続を計画しております。また、都道府県等の取組を支援すると、技術的、財政的な支援に向けて今後の対応を進めてまいりますということでございます。
以上でございます。
○武内部会長 どうもありがとうございました。
もう既に審議の時間を超過しておりますので、恐縮ですけれども、ご質問、ご意見のある方におかれましては、別途メール等でご意見をお寄せいただければと思います。
それでは、次の報告事項、第六次環境基本計画について、事務局より説明をお願いいたします。
○総合環境政策課計画官 総合政策課計画官の東岡でございます。第六次環境基本計画について、1分ほどでご説明させていただきます。
第六次環境基本計画につきましては、6年に1回の見直しをしております。現在、中央環境審議会の総政部会で審議をいただいておりまして、関係部会も関係するものですから、それぞれの部会に報告という形で、今、報告をさせていただいております。今年の4月の閣議決定を目指して、今、審議をしていただいております。
コンセプトとしては、こちらの5ページの右下をご覧ください。こちら、環境基本計画というのは、生物多様性国家戦略ですとか、地球温暖化対策計画ですとか、そういう個別計画の基本概念を整理するものでございます。
例えば、今回この計画においてウェルビーイングの実現を目指すということが最上位の目的であるということですとか、あと、市場的価値以外にも非市場的価値、例えば、環境の質ですとか、安全・安心ですとか、そういうものも含めて引き上げる新たな成長を目指していこうということですとか、あと、環境価値を活用した経済全体の高付加価値化ということで、環境に配慮した商品が高く売れるような、そういうような経済社会を目指していこうと、そういうことがコンセプトでございます。
以上でございます。
○武内部会長 ありがとうございました。
環境基本計画について、ご意見、ご質問がある方におかれましても、事務局までメール等でお申し出いただきたいと思います。基本計画に反映すべき意見がございました場合は、私が総合政策部会に出席をした際に、私のほうから、自然環境部会の意見として書面で提出をし、審議をしていただくようにさせていただければと思います。
それでは、大変大幅に超過して申し訳ございませんでしたが、これにて議題を終了させていただきたいと思います。
それでは事務局、よろしくお願いします。
○司会 武内部会長、議事進行を誠にありがとうございました。
また、委員の皆様方におかれましても、長時間にわたりご審議ありがとうございました。
最後になりますが、白石局長の方からお願いいたします。
○自然環境局長 局長の白石です。
本日は長時間にわたり、また、時間が超過してしまいました。事務方のタイムマネジメントが悪くて、大変申し訳ございません。お詫び申し上げます。
特に、国立公園の名称につきまして、活発なご意見をいただきました。今もって意見が分かれているということを大変悲しく思うとともに、しかし、我々としても、正解がない中で、地域の人を抱きしめながら進めたいという思いがありますので、そういう方向できちっと説得ができるよう、引き続きリーズニング等も含めてご説明をしてまいりたいと思います。
私も審議会で多数決を採るというのはあまり見たことがなかったのですが、事務方の案でないシンプルな案でありますとか、あるいは「襟裳岬」という案、いろいろそれなりの何か理屈があるということはもう百も承知でございまして、そういう中で、やっぱり進めていかざるを得ないというところで、引き続き円滑に進むよう努力をしてまいります。春に予定しておりますので、そこまでにまたちょっと詰めをして、準備を進めていきたいと。
その他の議事、時間がありませんので本当にありがとうございます。また、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
本日はどうもありがとうございました。
○司会 以上をもちまして、本日の部会を終了いたします。ありがとうございました。
午後3時26分 閉会
○司会 定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会自然環境部会を開会いたします。
まず、冒頭にお断りさせていただきますが、まだウェブ参加の先生、1名様がまだお見えになっておりませんが、定刻ということで始めさせていただきたいと思っております。
会議に先立ちまして、本日の出席委員数をご報告いたします。本日は、所属の委員・臨時委員27名のうち、ウェブ会議システムでの参加の方を含め、現在19名のご出席をいただいております。よって、本部会は成立いたします。
続きまして、本日の会議運営についてご説明いたします。本部会は公開で行います。会場へお越しの報道関係の皆様のほか、YouTubeチャンネルのライブ配信により傍聴可能としてございます。ご了承ください。
本日、こちらの会場でご参加の委員の皆様におかれましては、ご発言の際は、お手元の名札を机の上に立てていただき、部会長からのご指名の後、マイクをオンにしてご発言ください。発言終了後のマイクオフも、お忘れなきようお願いいたします。
次に、オンラインでご参加の委員の皆様にお願いです。差し支えない範囲で結構ですので、常時ビデオボタンをオンにしていただき、お顔が見える状態にしてくださいますようお願いいたします。また、マイク機能は常時ミュートに設定いただき、ご発言の際オンにしていただき、その際は挙手ボタンをクリックしてお知らせください。部会長からのご指名の後、マイクのミュートを解除し、お名前をおっしゃってからご発言をお願いいたします。議事記録のため、どうぞご協力をお願いいたします。
本日の資料は、事前に委員の皆様へお送りしておりますが、事務局が画面上に資料を投影しながら進行いたしますので、お送りしました資料は、必要に応じてお手元でご参照ください。
最後になりますが、本日の資料を環境省ホームページ、自然環境部会のページに掲載してございます。傍聴されている方は、どうぞそちらをご確認ください。
続きまして、自然環境局長の白石からご挨拶申し上げます。
○自然環境局長 環境省自然環境局長の白石でございます。
本日は、お忙しい中、中央環境審議会の自然環境部会にご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日の議題といたしましては、審議事項が一つ、それから報告事項が四つございます。
まず、審議事項でございますけども、遺伝子組換え生物等の取扱いにつき講ずべき措置に関する事項、これを野生生物小委員会における審議事項とさせていただく件について、お諮りをさせていただきます。
それから、報告事項といたしまして、小委員会で検討しておりました、自然再興の実現に向けた民間等の活動促進につき今後講ずべき必要な措置について、クマ類による被害防止に向けた対策について、そして、第六次環境基本計画のご報告を関係課室で行わせていただきます。
また、本日の報告事項の一つでございます、日高山脈及び襟裳岬並びにその周辺地域を構成地域とする国立公園の新規指定につきまして、春の審議会で諮問予定でございますけれども、本日の審議会を実質的な審議の場といたしまして、公園計画案等につきましてご意見を賜ればと考えております。
本日は、本議題のために、帯広市の米沢市長、中札内村の森田村長に会場にお越しいただいています。新しい国立公園の指定に向けまして、ご審議のほどをよろしくお願いいたします。
限られた時間でございますけれども、本日も忌憚のないご意見を賜りますよう、よろしくお願いします。
○司会 報道関係者の方にお願いです。撮影はここまでとさせてください。
ここからの議事進行につきましては、武内部会長にお願いいたします。部会長、どうぞよろしくお願いします。
○武内部会長 部会長の武内でございます。
この間、いろんな意味で、国際的にも、国内的にも議論が進展しているところだと思います。特にCOP15のネイチャーポジティブ的な考え方が世界的に普及して以来、特に経済界をはじめとして、いろんなところでネイチャーポジティブ経済というのを進めていくことが重要だというようなことが言われていまして、従来ややもすると、脱炭素の取組については、そういう広い関心の層があったわけですけれども、それと並んで、この自然環境分野へ焦点が当てられるということで、私も大変うれしく思っております。
今日の議論、幾つも議題がございますけれども、そうしたことに資する取組でございますので、ぜひ闊達なご議論をいただければと思います。
本日の部会ですが、YouTubeチャンネルにおいてライブ配信をいたしておりますので、報道関係者や一般の方もご覧になっておられます。議事録については、後ほど事務局で作成し、本日ご出席の委員の了承いただいた上で公開をさせていただきたいと思っております。
議事要旨につきましては、事務局で作成したものを、私、部会長が了承した上で公開するといたしたいと思いますので、何とぞご了承をいただければと思います。また、会議資料についても公開とさせていただきます。
また、本日は審議時間が限られていることから、時間内にご発言いただけなかった質問等については、後ほど文書でご質問、また回答とさせていただく場合がございますことを、あらかじめご了承いただければと思います。
それでは、最初の議題でございます。遺伝子組換え生物等の取扱いにつき講ずべき措置にかかる検討についてということで、事務局から説明をお願いいたします。
○外来生物対策室長 議題1について、外来生物対策室長の松本でございます。説明させていただきます。
お手元、画面投影もしてございますが、資料1-1、野生生物小委員会の設置についての改正案について、ご覧ください。
中央環境審議会議事運営規則8条に基づきまして、自然環境部会として決定するという改正案でございます。裏面を示してございますが、こちらにありますとおり、野生生物小委員会において、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物多様性の確保に関する法律、通称カルタヘナ法と申しますが、これに関する施行状況等を踏まえた必要な措置についての調査審議を行うとする規定を追加するものでございます。
こちらが決定事項の案そのものですが、趣旨説明について、こちらの資料1-2をご覧ください。改正の趣旨を説明させていただきます。
まず裏面、こちらに、カルタヘナ法の概要についてまとめてございます。法目的を改めて読ませていただきますが、国際的に協力して生物多様性の確保を図るため、遺伝子組換え生物等の使用等に関する措置を講ずることにより、生物多様性条約、カルタヘナ議定書の的確かつ円滑な実施を確保するとなっております。
法の枠組み、仕組み、規制等については、図でお示ししている内容のとおりですので、細かな説明は割愛させていただきますが、環境省、それから文部科学省、財務省、厚生労働省、農林水産省、そして経済産業省の6省庁の共管の法律となってございます。
1ページ目、表面に戻っていただきまして、1.趣旨の話になりますが、今回の規定の改正の提案をしました背景・理由につきましては、こちらにありますとおり、このカルタヘナ法制定から20年が経過いたします。その間、急速に発展しているバイオテクノロジーなどの遺伝子組換え技術に関する科学的な知見の集積が進んでございます。また、社会情勢も大きく変化してございます。
そういった中で、例えば、研究開発段階の取扱いの円滑化であったり、遺伝子組換え生物等の取扱い、使用に関する社会的な国民の認知の醸成が、これまで以上に、また依然として必要という課題がある状況において、こうした情勢を踏まえまして、法目的の生物多様性の確保を図る観点から、施行状況を踏まえた調査・整理であったり、その継続的な確認、今後に向けた議論や検討の枠組みを整えるため、今般、野生生物小委員会をその場として位置づけたいという趣旨でございます。
米印にあるとおり、これまでカルタヘナ法に関する案件は、自然環境部会において、遺伝子組換え生物等の専門委員会を設置をして、調査・検討を行ってきた経緯がございますが、政府・省内における各種の審議会の効果的な統廃合、再編の方針を踏まえまして、また同法の施行状況の審議等に一区切りがついたということで、昨年廃止しております。
このため、カルタヘナ法に基づきまして、遺伝子組換え生物等に関する在り方や施行状況を調査・検討する場というものが、今、無いという状態になっております。
一方で、先ほどご説明した社会情勢の変化や、今後の動向を踏まえますと、生物多様性の確保の観点から、より横断的、効果的に議論・検討する場を確保するという観点から、今般、規定を追加し、野生生物小委員会がその場として適切であると考える次第でございます。
以上から、資料1にございますとおり、自然環境部会の決定事項として、野生生物小委員会の設置についての改定案について、ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
説明は以上でございます。
○武内部会長 はい、どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局の説明に対しまして、ご質問やご意見がございましたら、お願いしたいと思います。会議室におられる方は、名札を立てていただきたいと思います。また、オンラインでご参加の方は、チャットに記載をしていただければと思います。
まずは、藤田さん、どうぞ。
○藤田委員 野生生物小委員会はこれまであったけれども、この中で絶滅する危惧種とか、外来生物とかに加えて、このカルタヘナ関係のことを追加で議論するということなのかなというふうに理解したんですが。すみません、私の理解が間違っていたらすみません。
これ、遺伝子組換えの委員会がこれまであったのを廃止して、何かここの書き方では、議論に一区切りがついたというような書き方に、ちょっと読めたんですけども、これは特別なその委員会を設けるのではなくて、野生生物委員会の中に設ける理由を、ちょっともう少し教えていただきたくて、より重要になったということなのか、これだけを特出ししてやるんではなくて、もっとほかの野生生物との関係性が深まったからこの中でやるということなのか、ちょっと位置づけを少し教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○武内部会長 はい、事務局どうぞ。
○外来生物対策室長 ご質問をありがとうございます。
まず、主旨としましては、藤田委員からありました認識と概ね一致しております。資料1-2の1.2パラにありますとおり、近年進展している国際的な議論があり、それを踏まえた国内を含めた議論の中で、例えば研究開発段階における閉鎖系での組換えの使用の円滑化の課題であるとか、また遺伝子組換え生物の使用に関して、社会、国民の認知について底上げしていく必要性があるという観点から、専門的な議論はもちろんのこと、野生生物、生き物、生態系も含めて取り扱う野生生物小委のほうで横断的に議論をしたほうがいいのではないかというところで、今回の改正の提案をさせていただいております。
そして、カルタヘナ法に関しまして、施行状況や、その調査の審議という場を、これまでも、また引き続きやっていく中で、より多様な、もしくは各分野の専門的知見の方が参集される野生生物小委員会が適当であるというふうに考えている次第でございます。
○藤田委員 ありがとうございます。その中でやったほうが、より包括的なよい議論ができるという認識で、そちらに入ったということでよろしいんですね。
○外来生物対策室長 はい、そのとおりでございます。
○藤田委員 ありがとうございます。
○武内部会長 よろしいでしょうか。ほかにございますか。
石井委員、お願いします。
○石井委員 ありがとうございます。石井でございます。
現在、野生生物小委員会を担当しているので、少しその観点からのご質問です。マンパワー的にといいますか、これまで扱ってきた内容は、藤田委員も言われたように、絶滅危惧種だったり、鳥獣保護だったり、外来種だったりするわけです。割と種や生態系レベルの生物系の議題が多かったので、もう少し踏み込んだ遺伝子レベルの見識をお持ちの委員が必要なのではないかというふうに思いました。
委員会のメンバーの増強というのは考えておられるんでしょうか。よろしくお願いします。
○武内部会長 はい、どうぞ、事務局。
○外来生物対策室長 今、野生生物小委員会でも、遺伝子組換え技術、それからその取扱いの知見、もしくは経験を有している委員、具体的に言いますと五箇委員が参画いただいております。
ただ一方で、藤田委員、それから石井委員からもありましたとおり、より広範な観点というところと、一方で、資料にありますとおり、環境中への拡散防止、もしくは野外で使用した場合の影響であるとか、取扱いの妥当性を考える上で、両方分野の知見を有する委員ということで、委員を追加する補強を検討しておりまして、そちらについては、ご相談しつつ、決定になりましたら、進めさせていただきたいということでございます。
○武内部会長 よろしいですか。
○石井委員 はい、分かりました。ぜひとも少し増強を考えていただくと、ありがたく存じます。
○武内部会長 はい、分かりました。
ほかにございますか。勢一委員、どうぞ。
○勢一委員 ご説明をありがとうございます。勢一です。
私からも質問をさせていただければと思います。このカルタヘナ法の施行状況を見る場が今ないということで、今回こういうご提案だと認識をしています。
他方で、これ、6省共管の法律ですし、それぞれの使用に係る措置、分野ごとにいろいろな省が担当しているという形になっています。そういう点では、この共管の中での役割分担といいますか、そういうものはどのような形になっているのかと。それによって、この野生生物小委のほうで、どの範囲を見るのかというようなところが何かございましたら教えてください。
○武内部会長 どうぞ。
○外来生物対策室長 ご質問ありがとうございます。まず、所掌の範囲に関しましては、資料1-2裏面の図の中にありますとおり、文部科学省が研究開発、いわゆる学術の面と。財務省のほうは、お酒、酒類、酵母とかそういう扱いを中心に関係してございます。そして、厚生労働省は、薬や医療面での開発段階なり、そういった医療行為に関する知見の取扱い。農水省に関しましては、農林水産業の中での遺伝子組換え生物の使用に関する取扱い。経産省は、産業利用、例えば環境改善の微細藻類の使用やその影響の取扱いということでございます。
実は、先ほどの説明で割愛した部分でございますが、閉鎖系での取扱いという面と、開放系、例えば圃場ですとか、そういった試験を野外でやる、そして野外でさらに活用するという、その二つの取扱いについて、第一種と第二種に分かれてございます。環境省は、こういった役割分担の所掌の中で、生物多様性の確保、環境への影響という部分において、閉鎖系にしろ、開放系にしろ、適切な取扱いを各省の所掌のほうで適切にやられているかという観点から見るということになります。
立てつけといたしましては、各省の中でも、農林水産省とか文部科学省、厚労省のほうでも、各所掌での取扱いにおいて、審議会や各分野の専門的な知見に基づく検討の枠組みを設けて、その妥当性について審議をしているというところでございますので、そちらのほうと連携しながら、野生生物小委でこの案件を扱っていくという立てつけでございます。
○勢一委員 ありがとうございました。そういうことでしたら、連携が非常に重要かと思いますので、ぜひともよろしくお願いいたします。
○武内部会長 藤田委員、どうぞ。
○藤田委員 すみません、ちょっと素人質問で。ここは遺伝子組換えの話ですけど、いわゆるDSI、COP15でも話題になったデジタル塩基配列情報で製品化するという、そういうことで園芸の育種とかいろいろあると思うんですが。それはこの委員会ではなくて、別にDSIを議論する委員会があるんでしたっけ、そこをちょっと教えてください。
あるいは、それは経産省の中にあるのか、そこをどこで議論をするのかCOP16でも重要になると思うので、COP16では利益配分のほうだとは思うんですが、参考までに教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○自然環境計画課長 自然環境計画課でございます。DSIのほうは、生物多様性条約の一環という流れで来ておりますので、私どもの課のほうで担当しておりますが、これは多分自然環境部会、ないしは国家戦略につながるような会議の場で議論していくことになろうかと思います。
○藤田委員 ありがとうございます。
○武内部会長 よろしいですか。ほかに。
もしないようでございましたら、それでは、お諮りをさせていただきたいと思います。
遺伝子組換え生物等の取扱いにつき講ずべき措置にかかる検討についての案、この案のとおりで自然環境部会として決定させていただきたいと思いますが、ご異議ございませんでしょうか。よろしゅうございますか。
(異議なし)
○武内部会長 それでは、本件については、適当と認めることにさせていただきます。
それでは、続きまして、報告事項に進ませていただきます。今回、四つの報告事項がありますので、それぞれ事務局から説明をお願いし、さらに質疑応答と進ませていただきたいと思います。
私の挨拶で申し上げましたが、先ほど申し上げましたが、自然再興の実現に向けた民間等の活動促進につき講ずべき必要な措置についてということで、事務局から説明をお願いいたします。
○自然環境計画課長 自然環境計画課長の則久と申します。よろしくお願いいたします。
資料2-1と2-2を用いてご説明したいと思います。主には、2-1のほうで概要をご説明したいと思います。
まず、経緯でございます。昨年8月17日、環境大臣から中央環境審議会会長への諮問ということで、24日にこの自然環境部会、前回の会議を開きまして、小委員会の設置を決定していただきました。
小委員会の委員の名簿は、最後のページに参考としてつけておりますが、この自然環境部会からも10名の委員の方にご参加いただいております。
この小委員会でございますが、この中ほどの右側に書いておりますように、10月13日に第1回を、それから合計3回実施いたしまして、その間、パブリックコメントも実施してきております。
その小委員会の委員長は石井実先生にお願いしておりましたが、令和2年から、実は先行してOECMの検討会を行い、それに基づいて自然共生サイトの試行などの取組をしてきておりました。
そちらの検討会で積み重ねてきた、いろんな論点の整理というものがベースとなりまして、この10月の第1回の小委員会では、かなり突っ込んだ内容から議論が始まったと思っております。
その下のほうにイメージを書いておりますが、今回、新しいこの答申のポイントとして、一つは、場所と紐づいた活動に着目して活動計画を認定していくという点と、もう一つは、生物多様性、OECMの基準と真ん中に点線が入っておりますが、国際的なOECM基準を満たすような、いい生物多様性の評価があるところを維持していくということだけではなくて、昆明・モントリオール生物多様性枠組みのターゲット2にあります、劣化地の再生にもつながりますように、その回復・創出するもの、当面は劣化地であっても、行く行くはOECMになっていくようにする、そういった活動も認定していこうということで答申のポイントができています。
めくっていただきまして、次のページがポイントの概要となります。背景につきましては、冒頭、部会長からもご紹介がございました、COP15でのネイチャーポジティブの考え方の提示、その中のキーワードの一つとしては、30by30ですとか、あるいはOECMというものがあろうかと思います。
そういったものを踏まえまして、日本の生物多様性国家戦略も昨年3月に策定いたしまして、それに基づいて自然共生サイトについて今年度から取組を行ってきております。これはOECMの基準を満たすものですが、日本の保護地域には民有地もたくさんございますので、保護地域の中外関係なく民間の取組を認定してきております。
昨年の第1期で122か所、これが7.7万haで、国土面積の0.2%ほどでございました。ただ、そのうちの約3分の1は既存の保護地域と重複をしておりますので、残りの地域につきまして、OECMデータベースに登録していく形になっていこうかと思います。
どのような措置を講じていくかというところで、論点は大きく五つございます。
一つ目は、場所と紐づいた活動計画の国による認定というところで、やはり国際的な登録も視野に入れてやっていくということで、これは国がしっかり責任を持って認定していこうといったポイントでございます。
(2)では、どのような活動を対象としていくのかということに対して、活動の対象範囲、それから計画の策定主体、活動内容の方向性などについても答申をいただいているところでございます。ここは陸域と海域、それから、先ほど申し上げました自然再生なども含みますので、生態系の回復と創出も含むということでございます。
それから、活動計画につきましては、民間のリソースが非常に重要だということで、国立公園ですとか絶滅危惧種ですと、国のリソースを中心ということもありますけども、普通の自然のいいところをよりよくしていこうという取組になりますので、これはもう様々なリソースを費やしてやっていくということで、民間の方々にも期待をしたいというところでございます。
また、市町村の取組というもの、従来からの生物多様性地域連携促進法という法律がございました。こういった取組もさらに加速していこうということで、市町村の取組も位置づけているところでございます。
活動の内容でございますが、やっぱり生態系のタイプとか目標、これはいいところを維持するタイプなのか、あるいは自然再生をする場所なのか、自然再生も目標をどう設定するかというのが大事でございますので、そういったものも合わせまして、いろいろ課題を整理していく必要があると。
また、土地に関しますので、これは農林水産省さん、国土交通省さんと密接に連携していく必要もあるといったことがご指摘として盛り込まれております。
それから、キーワードとしてありましたのは、豊かな里山を開発して、その後に一部の緑地を作って、それでそこを認定ということになると、これはちょっとグリーンウォッシュというような、やったふりという批判も浴びかねませんので、土地の利用の変遷ですとか、周辺地区の関係性にも配慮して評価していく必要があろうかと思っております。
3点目は、その活動の継続性や質の担保についてでございます。まず、活動状況を確認しますが、認定した活動が行われていなければ、認定の取消しはやむを得ないよねという部分ですとか、それから、複数の所有者の土地にまたがってやる場合、土地所有者が変わると活動ができなくなると困るので、協定制度を設けてはどうかといったようなご提案も入っております。
それから、自治体とか民間による中間支援の部分、ここは当日の第3回目の小委員会でも結構活発にご議論があったかと思います。
それから、簡便なモニタリング手法の開発ですとか、それから、評価できる人材の育成、こういった部分の課題。
それから、見える化です。活動したことによって、どれだけ生物多様性が豊かになったかが評価できるような部分、こういったことを見える化していくことも必要かと思います。
それから、地方公共団体との連携。それから、当然、国内外への普及啓発・情報発信という部分です。
4番目が、関係する施策との連携でございまして、1点目は、他の自然環境関係の法令の特例です。手続のワンストップ化によって、より効率化させようということを考えております。例えば、その活動エリアの中で特定外来生物の防除を行う場合には、その防除の認定というものを、別途、外来生物法のほうで取得しておかないといけないんですが、こちらの認定を受けていれば、そこはもうワンストップでみなし認定とすることで、手続が簡素化できると、そういったことを考えております。
それから、気候変動ほかの環境施策との連携。また、土地や空間に関わりますので、国交省さん、農水省さんの様々な施策との連携というのも大事で、このランドスケープアプローチの推進というのは、一つのキーワードになろうかと思います。
最後に、その活動を促進するための方策の推進ということで、活動計画の認定は広く行っていくと。促進する立場なので、できるだけ間口は広くということでございますが、ちゃんとその保全状況とか価値評価をやっていく、活動の評価が大事だという形でございます。
もう一つは、資金面などで、人的・資金的な、その支援の強化を図っていくという部分につきましては、例えば国のいろんな交付金なども想定されますけども、民間からの資金の循環というものを想定しまして、支援証明書ですとか、あるいは、活動したい方と、支援したい方のマッチングの仕組み、こういったものもしっかり作っていこうということで、これは先ほどOECMの検討会があると申し上げましたが、別途インセンティブの検討会も立ち上がっておりまして、こちらの検討会でも密に議論をしているところでございます。
最後、申請者の負担軽減を意識した事務体制の構築ということで、これにつきましては、全部やっぱり国の直営だとなかなかボリュームがあるということで、どのような業務の委託なり、運営の方法もあるのかというところについてもご提案いただいております。
また、ここに書いておりませんが、全体的に今後の課題として示されておりますが、ネイチャーポジティブ経済移行戦略というものを策定してやっていこうという部分と、それから、もう一つは、やっぱり生物多様性の見える化につきましては、どのようにそれを表示していくのがいいのか、そこのいろんな開発面につきましては、これは今後、別途並行して検討が必要な事項ということで、この答申の中には直接書き込まれてはおりませんけども、今後の課題として提示をしていただいたところでございます。
ちょっと駆け足になりましたけど、以上となります。
○武内部会長 はい、どうもありがとうございました。
それでは、質疑に移る前に、自然再興の実現に向けた民間等の活動促進に関する小委員会の委員長を務めていただきました、石井委員より本答申について一言発言いただければと思います。いかがでしょうか。
○石井委員 ありがとうございます。石井でございます。
今、則久課長からご説明のとおりなんですけれど、僅か3か月、3回という高密度の会議で答申を完成することができたのは、本当に環境省事務局のご尽力と、委員の皆さんが本当に活発にご意見をいただいた、そういうことのたまものではないかというふうに感謝している次第です。
ゼロからというわけでもないんですけれども、新しい法を作るというので、かなり困難なものではあったと思います。本当に委員の皆さんには、ポジティブにご意見を言っていただいたのがよかったと思います。
パブコメも途中であったわけですけれども、ここに関しましてもネガティブなものはなく、ポジティブなものであったということで、全体的に期待感というのがあふれる、そういうような印象を私は持っています。
私なりに幾つかポイントをあげますが、そういう形でお読みいただければと思うんですけれども、自然共生サイトというのは、今ご説明があったように、今年度の前期分として、122箇所も認定したわけれですけども、かなり多くの応募がありました。これは環境省が生物多様性豊かな場所を認定する制度ですけれど、この答申では、そうではなくて、場所に紐づいた活動計画を国が認定するというのが大きなポイントです。
それから、もう一つですけれども、先ほどもあったように、昆明・モントリオール生物多様性枠組み、それから、それを受けた新国家戦略の中に盛り込まれている劣化地の再生です。この部分もこの自然共生サイトに入ってくるので、答申に出てくる自然共生サイトは同じ文字面にはなっていますけれども、概念が拡張され、少し異なるものになっています。
先ほどの繰り返しになりますけれども、特に委員会で集中した意見は、このネイチャーポジティブ活動の促進、認定した活動の継続性、それから活動の質の担保などについてでした。
それから、関連する分野、施策との連携強化についても多くの意見をいただきました。そのように答申をお読みいただければと思います。
では、皆さん、よろしくお願いします。
以上です。
○武内部会長 はい、どうもありがとうございました。
それでは、先ほどの事務局説明、それから今の石井委員のコメントを踏まえまして、ご質問、ご意見がございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
はい、どうぞ。
○江﨑委員 ありがとうございました。
いろいろ進んでいるようで、うれしいなと思っているんですけれども、以前にもちょっとお話しさせていただいたかと思うんですが、やっぱり海域というか、里海の部分というのがすごく難しいんじゃないのかなというふうに感じておりまして、特にこの海域、里海とか、藻場の話もよく最近聞くんですが、先ほどご説明いただいたような目標ですよね、まず目標のところで維持と回復という2パターンがあると言われたんですけど、そもそもが調査が難しい中で、どちらの方向性を取るのかというのが、すごく里海とかの場合は難しいんだろうなというのがまず想定されるんです。
その結果、いろいろ環境省さんのほうでもメニューを作っていただいて、取組をしていただいて、実際のメニューも動いているかと思うんですが、その中で、やっぱり観光というものを使うときに、すごく観光でぼやかしてしまわれがちという点もちょっと気になっています。
私も特に観光のこともやっているのでなんですが、観光をこういうときにどういうふうに使うのかというと、私の中では二つありまして、回復期というのに使うのであれば、やっぱりこの回復期の中で地域の生産であるとか、地域経済とかを維持するための補塡を何とかしていって、回復している間を支えていく感じに、観光を結構使っていると思うんですけれども。
例えば漁業であれば、漁業の資源管理をしたりとか、取らないという方向性も、例えば魚だったりあるし、海藻でもそうですけど、その間、取れない時期を回復させる間は、やっぱり観光とかで何とか生産者を維持させるとかですね、具体的に言えばそういうことなんですけど。
もう一方で、維持というところに入れば、この安定を循環させて、維持させていくために観光を使うんだろうと思うんですが、こういうのが、やっぱり海の状況というのが、そもそものこの目標設定がない、できないと、そういう使い方ですらもどっちが目的か分からないし、結果的に観光を曖昧に使ってしまうという感じがちょっとしますので、ぜひこういう今後の検討の中で、海の部分のこの曖昧さというのも少し、なかなか難しいことではあると思うんですが、何とか先生方のお知恵を拝借しながら、うまく使えるようになるといいなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○武内部会長 まだほかに、当面、3人の委員の方のご質問、ご意見がございますので、回答は、後でまとめてということでお願いしたいと思います。
橋本委員、お願いします。
○橋本委員 はい、ありがとうございます。
ご説明をありがとうございました。非常に社会的にも注目が高いところだと思っておりまして、新枠組みのターゲットの2と3について対応するものということで、非常に期待をしているところです。
2点、質問があります。一つ目は、場所と紐づいた活動計画の国による認定の手続の中で、地方公共団体というものが、どのような位置づけにあるのかというのを教えていただきたいということです。
それはなぜかというと、その連携強化のところになるんですかね、地方公共団体の役割とか期待のようなことが書かれているわけなんですが、この認定のプロセスにおいて、では、逆に、その公共団体というのはどのような関与をするのかというのが質問でございます。
もう一つが、見える化です。(3)で活動の継続性及び質の担保への対応策で見える化というのが書いてあるんですが、少しこの答申の中で、見える化の具体的な内容というのが、説明はしてあるんですが、もう少し何をどう見える化していくのか。例えば、申請書類が閲覧できるだとか、あるいは自然共生サイトの認定地域の境界が分かるようなデータが整備されて公表されていくのか、こういった部分です。要は、こういった情報が、国家戦略の基本戦略の5にもデータ基盤を蓄積していくということがあったと思うんですけれど、こういった部分につながるのかな。
他方で、非常に希少な生き物がいるとか、そういう場合になってくると、逆にこういったデータの公表の難しさというのもあると思うんですが、この点について少し教えていただきたいというのが2点目です。
○武内部会長 よろしいですか。山本委員、お願いします。
○山本委員 ありがとうございます。
私からも2点、質問があります。一つは、30by30の目標との関わりの観点からです。先ほど石井委員長から、多数の応募があったとのことで、こういう新しい枠組み、新しく保護地域に準ずる場所を指定する取組には、私もとても期待しています。
今回応募があった中で面積を割り出すと、国土の何%かということも言及がありました。私は心配し過ぎなのかもしれませんが、通常の応募では、初期に多くの応募があって、その後、応募の件数、面積は減っていくのが辿るプロセスではないかと思います。
今後の見通しとして、30by30の目標に向けて、このOECMの指定がどれほどの効果があると考えているのか、今は明るい見通しでいいのかもしれませんけども、感触としてあれば教えていただきたいです。
二つ目は、計画の柔軟性について、気になる点があります。今回、活動も含めて計画を策定して認定していくということになるわけですけども、活動は変わっていくもので、計画も変わっていくものと思います。OECMは、永続的にある程度保護されるということが想定されている地域ですけども、ある程度地域の中で活動だとか、保全の取組が変わっていく中で、うまく柔軟にこの計画というのを取り扱っていけるかという点が気になるわけです。
今回のこの仕組みでは、活動を維持する方向に働くとは思うんですけども、例えば活動がなくなっても生態系サービス、地域での保全の活動がなくなっても生態系サービスを提供、供給するような森林や緑地があるかもしれませんし、先ほど江﨑委員がおっしゃっていたとおり、活動目標を明確にすることも必要ですし、一方で、その目標について活動は変わっていくけど、目標はそっちのほうに近づいていくようなこともあると思いまして、認定する計画、どこまで柔軟なものでも許容できるのか、ざっくりした質問かもしれませんけども、お伺いできればうれしいです。2点です、よろしくお願いします。
○武内部会長 はい、ありがとうございました。
関委員、お願いします。
○関委員 はい、ありがとうございます。
私は、すごく基本的なところの質問になるんですけども、皆さんからも、今すごく活動に対する期待というのがお話をされているところで、私も全く同じ思いでいるんですけども、より裾野を広げるという意味で、OECMという言葉、なかなか一般的には何でしょうという感じで、取っつきにくいというか、そういうところで。OECMの基準というふうにここに、資料には書いてありますけども、これがどんなものなのかというのを、一般の方々に分かりやすく発信されるのでしょうか、それに関する話合いがあったりするのでしょうか。
あるいは、ちょっとここでもOECMの基準は、基準というところでは、どういうものが言葉として当てはまるのか、ちょっとお伺いしたいところです。
あと、もう一つ、今継続的にというところのお話がありましたけども、取組を実施という書き方がされている中で、その取組というのが永続的に行われる取組というイメージなのか、あるいは、あるスパンで目標を達成したら、そこで活動は一旦終わりにしますというようなイメージなのか、その辺りはちょっと全くはっきりしないところですので、教えていただければと思います。
以上です。
○武内部会長 それでは、オンラインでご参加の愛甲委員、お願いします。
○愛甲委員 はい、愛甲です。
二つ質問があります。一つは、現在の自然共生サイトとの関連で、これに対して、何かこのことによって変化が起きるのかどうかということと、これから申請したりする場所もあると思うんですけど、そこの手続との関係がどうなるかというところが、まず一つです。
もう一つは、活動状況のところで、計画に基づく活動を実施等されていない場合は、認定取消しということが書かれていたりしますが、この活動が計画どおり行われているかどうかというのを、どうやって評価、確認するかという方法です。IUCNは、現在イギリスなどを中心にして、保護地域とそれからOECMを含めた地域の管理の有効性の評価をするツールみたいなものも開発したりしていまして、そういったものとも連動させるような可能性もあるのかどうかということを、ちょっと伺いたいです。
以上です。
○武内部会長 はい、ありがとうございました。
藤田委員、お願いします。
○藤田委員 ありがとうございます。私もこの答申の委員会には入っていたので、質問するのも変かもしれませんが、今進めていらっしゃるインセンティブの検討会とOECMの検討会、二つ、この答申とは別にまた走っているということを聞きました。
やはり企業さんから、この支援証明書ですか、これを認定された後に、認定を受けた後のその支援証明書というような今設計をされていると思うんですが、それがいわゆるTNFDに記載できるのかどうかという質問をよく受けます。
もちろん本業であれば、関係性を持って記載はできると思うんですけど、そうでない場合に、ここがやはり先ほどからもお話が出ていたように、30by30にどれだけ貢献するのかとか、あるいはモニタリングとか、見える化と絡んでくることだと思うんですが、TNFDに企業価値向上として書けるのかどうかということについて、どういうお考えをお持ちなのかということについて、もしご意見があれば教えてください。よろしくお願いします。
○武内部会長 はい、ありがとうございました。ほかに、よろしいですか。
それでは、事務局からお願いします。
○自然環境計画課長 はい、ありがとうございます。ちょっと順不同になるかもしれませんが、お答えしたいと思います。
一つは、見える化の関係で、幾つかご質問をいただきました。これは小委員会の中でも何度かご指摘があったんですが、例えば既存の保護地域との関連、コネクティビティーを考慮して、どこでOECM、自然共生サイトの活動をすると、もしくは、自然再生の取組をすると、より効果が大きいのかというのを示せるようなものという部分を期待したいという声がございます。
他方で、個々の活動されている企業の皆さんにお聞きしますと、単に活動の認定を受けただけではなくて、その認定を受けた活動をしたことによって、どれだけその地域なり、生物多様性の価値が上がったのかということを見える化できるといいという指摘もあり、この辺りも考慮して考えていくのかなと思っております。
江﨑委員からご指摘があった、目標設定について、海の場合は維持なのか、回復なのかということについても、例えばそこにある海域の価値として、それを維持すればいいレベルなのか、それとも回復を目指すべきなのかがもし示せると、どちらを採用していくのか、入り口としては入りやすくなるんじゃないかなということを、考えていたところでございます。
それから、場所と紐づいた活動ということで、地方公共団体との関与はどうかという、橋本委員からのご質問がございました。基本的に今回、環境省、農水省、国交省、3省が一緒にやっていく形になるんではないかと思いますが、認定申請そのものは、特に自治体を経由するということではなくて、直接国の方に届けていただく形になると思います。
そのときに審査のポイントとして、地域に紐づくので、その地域の関係者やステークホルダーとの調整を、ちゃんとやっていただいているかどうかということは確認事項となりますので、その中で地方公共団体の役割が大きい場合については、当然に、その確認をさせていただくことになると思います。また、そうじゃなくて企業の社有地だけの中で完結するような場合は、必ずしもそこまでは必要ないのかもしれません。
一方で、現在、生物多様性地域連携促進法がございまして、市町村が音頭を取っている取組もございます。今回、122か所やっている中でも、幾つかそういう市町村が音頭を取ってやっていただいている事例もございますので、そういった場合は、引き続き、地方公共団体に大きな役割を果たしていただけるとありがたいと思っているところでございます。
それから、山本委員からご質問がありました30by30の関係で、この自然共生サイト、今回の法律で認定することでどれだけ効果があるのか、見込めるのかということにつきましては、陸域では現在20.5%ですので、あと9.5%必要です。端的に言いますと、1%が埼玉県1個分の面積でございますので、なかなかOECM、この認定だけでカバーするのは厳しいだろうと思います。このため、当然、保護地域の拡充も一つ大きなポイントであり、今日この後、説明のある日高山脈のような取組もございます。
それから、もう一つは、現在、民間等の取組の認定で考えておりますが、一方で、国が所有している土地などへ、生物多様性の保全に資する地域というものがございます。こういったものを、現在、関係省庁とともに、どのように扱っていくのかを議論しておりますので、そういった地域がOECMに入ってくれば、ある程度、30%に手は届くんではないかなと思っています。
他方、海の場合は現在、13.3%ですが、これは領海だけじゃなくてEEZまで入っておりますので、これをどう達成していくのかは、まだまだ悩みが深いところでございまして、今研究をしている最中ということでございます。
計画の柔軟性につきましては、目標が変わっていくというのは、例えば、劣化地再生型ですと、まずはいいところまで持ってくるのがポイントですが、そこを達成すると、次は維持のほうに目的が変わっていったりします。また、所有者の方や管理者の方が変わる場合もいろいろあると思います。管理者の方が変わる場合、そもそも認定を受けたら義務としてやり続けなきゃいけないわけではなく、基本的には法律に基づく認定でありますが、規制ではございませんので、いろんな諸事情でできなくなったら、もう辞退していただくということも可能な制度でございます。
こういう活動を活発にすることで、できるだけ取組を広げていきたいということなので、国 による様々な認定制度の中では、かなり柔軟性はあるほうではないかなと思っているところでございます。
それから、関委員からご質問がありました、基準のほうでございますが、IUCNのOECMのガイドラインに準拠しまして、日本国内での自然共生サイトの認定基準を定めております。
この中では、境界とか名称に関する基準、それから2番目、ガバナンス、管理体制に関する基準、それから、三つ目では、生物多様性の価値に関する基準、四つ目で活動の保全・効果に関する基準というのが示されております。
これは環境省のホームページ等でも詳細を公表しておりますが、確かに一般の方からしては、ちょっと取っつきにくいというところあろうかと思います。申請を考えている方には、かなり分かりやすく書いているつもりではあるんですけども、そこをもうちょっと身近なものにするために、OECMという言葉が難しいという点も含めまして、もっと伝える努力はしていきたいと思っております。
計画のタームにつきましては、現状の自然共生サイトは一応5年間ということで考えておりますが、新しい制度となった場合には、どういうふうに設定していくのかについては、基本的には促進する観点なので、法律ができた後に、基本方針というものを決める過程の中で、先ほどの自然再興の小委員会、又はそれに代わる場でご議論をいただく形になると思いますので、そこで改めて議論していければと思います。
愛甲先生御指摘の現行のサイトの移行、関連性のお話でございますが、基本的に、現在、任意の制度をやっておりますが、今後、法律に基づく制度となった場合は、今の任意の制度の認定を受けた5年間は、自然共生サイトは有効でございます。
その後も継続する場合、あるいは、法律が施行された段階で、法律に基づく認定のほうに切り替えたいといった場合は、一応申請を出し直していただく形になるのですが、その際、先ほどご紹介した基準が共通の部分はもう審査を極力簡素化するなどして、現行のサイトの認定を得ている方への負担は、極力小さくするような工夫をしていきたいと考えているところでございます。
それから、藤田先生のお話にございました、インセンティブについてです。OECM検討会、それからインセンティブ検討会でも議論しておりまして、支援証明書のほうも進めております。この検討会も3月に開催を考えておりますけども、支援証明書がTNFDでどこまで使えるのかということは大きなポイントでございます。
TNFDでも使っていただけることを想定して、どのような記載内容があれば、投資家目線で魅力的なのか、そういうような観点で専門家の皆さんとも議論をしているところです。
一方で、この支援をしている方々が、全て大企業で、TNFDに使うことを考えておられるわけじゃなくて、自然に対するCSR的な観点とか、いろんな観点で支援したいという方もたくさんいらっしゃるはずなので、そういう目的に応じた証明書の在り方、あるいは、それをどういうふうに活用していけるかということを検討しています。もし、TNFDに使いたい方は、本業の部分では取組をやっていなくて、部分的に緑地をやっていて、の証明書を出したとしても、それは下手をするとグリーンウォッシュという批判も起こりかねないという懸念があることを考えますと、やはり本業のところで、いかにちゃんと上流から下流までを見てやっていただけるかが一番大きなポイントだと思います。その中にぴったりはまる企業はいいんですけど、そうでないときにどうしていくのかについては、まだまだいろいろと並行して詰めていく課題があろうか思っております。
それから、愛甲先生からの、活動の評価というところでご指摘もございました。先ほどの活動のタームをどうするかは法律ができた後の議論ですよということを申し上げましたが、基本的には、一定の間隔で報告とか、そういうことも上げていただくのかなと思います。私どもには地方環境事務所もおりますので、そこの職員の目配りも必要になってこようかと思っています。この辺りの詳細につきましても、今後の制度設計、法律ができた後いろいろ考えていく中で、詳細はまた議論をしてまいりまして、この小委員会の場でも引き続き検討できればなと思っているところでございます。
すみません、以上となります。
○武内部会長 はい、ありがとうございました。
それでは、時間もございませんので、恐縮ですが、次に移らせていただきたいと思います。
次は報告事項、日高山脈及び襟裳岬並びにその周辺地域を構成地域とする国立公園の指定等についてでございます。本日は、地域から帯広市の米沢市長、中札内村の森田村長がいらっしゃっております。
本議題については、春の審議会で諮問させていただく予定ではありますけれども、本日の審議会を実質的な審議の場とし、事務局の案についてご意見がございましたら、この場でいただければと思います。
また、国立公園の名称につきましても、夏頃の指定に向けて準備も始めていかなければならないという事情もございますので、今回ご意見をいただき、できれば今日この場で合意を取らせていただくということにさせていただければと思います。以上のような進め方で、皆さんよろしいでしょうか。
(異議なし)
それでは、事務局より説明をお願いいたします。
○国立公園課課長補佐 国立公園課の藤井です。
本議題につきまして、資料3-2に沿ってご説明をさせていただきます。
本日のご説明の流れになります。まず、新しい国立公園の概要、次に公園計画の内容、そしてパブリックコメントへの対応の順でご説明させていただきます。
まず初めに、国立公園の概要についてです。国立公園指定の対象となります日高山脈は、北海道中央南部に位置しておりまして、南北におよそ140km、東西30kmの大起伏山地となっております。山脈の最高地点は2,052mの幌尻岳で、主稜線の標高は概ね1,500から2,000mとなっております。
スライド左側の図におきまして水色で示している範囲、また右下の図ではオレンジ色で着色した範囲というのが、今回の指定の対象となっている範囲です。このように、ちょうど中央に山脈が走っておりまして、山脈の東側が十勝側、西側が日高側となってございます。
関係市町村は、右上の四角に記載をしておりますとおり、十勝側が6市町村、日高側が7町で、合わせて13市町村にまたがっております。
こちらが本国立公園の代表的な景観を示した写真となってございます。
国立公園の指定に当たりまして、本部会による視察を令和4年6月9日から11日にかけて、13名の委員にご参加いただき、実施をしてございます。視察では、委員の皆様と関係市町村長との意見交換会や、様似町のアポイ岳に登頂いただいたほか、えりも町の襟裳岬、中札内村の札内川園地をご視察いただきました。ご視察いただいてから、その後、地権者の方との調整に時間を要したこともありまして、本日のご報告までに少し時間が空いてございます。
調整を進めるに当たりましては、関係市町村の皆様にご協力をいただいて、現在は、特段の問題なく、指定に向け準備を進めているところです。
なお、部会視察後に一部の関係市町村の方からご要望もいただきまして、さらに公園区域として追加となった区域もございます。
続きまして、指定までの主な経緯についてご説明いたします。昭和56年に、カール等の氷食地形を含む長大な連峰景観と海食崖といった優れた海岸景観を有する地域として、日高山脈襟裳国定公園が指定されております。
その後、平成19年から21年度にかけて、環境省が国立・国定公園等総点検事業を実施しております。自然環境の観点から重要な地域を抽出しまして、既に指定されている国立・国定公園との重複状況の分析を行った結果、新たに国立公園の新規指定、または国定公園の拡張の候補地として選定をされております。
この結果を受けまして、平成28年から令和元年にかけて、北海道地方環境事務所において、当該地域の自然環境や利用状況等に関する調査を実施しております。
また、令和元年には、関係の13市町村長より国立公園指定に関する要望書が提出されております。
環境省としては、調査結果等を踏まえまして、当該地域を国立公園として新規指定する方針とし、令和2年より指定に向けた地域や関係機関との調整を行ってまいりました。
ここからは、地域の概要についてご説明いたします。まず、地形・地質に関してです。日高山脈には、カールやホルンといった氷食地形が多数分布しておりまして、日高山脈の特徴的な山岳景観を形成しております。
また、山麓部には、多数の河川により発達した広大な河成段丘や扇状地が見られます。さらに、襟裳岬には海食崖や岩礁を主体としておりまして、海岸部には海成段丘も発達しているところです。
この日高山脈というのが、新第三期以降に大陸プレートと大陸プレートが衝突することによって生じておりまして、衝突によりプレートが乗り上げて形成されているために、地質の断面構造を地表で観察することができるというのが特徴となっております。
また、アポイ岳の周辺のかんらん岩は、地殻のさらに下にある変性作用の影響が少ない上部マントル鉱物からできておりまして、岩体を構成する岩石タイプが極めて多彩で珍しいといった地質の特徴がございます。
続きまして、植生についてです。日高山脈一帯は、潜在自然植生としては北方型の針葉樹林帯に位置してございまして、自然度の高い森林が広がっている地域です。また、日高山脈は多くの河川の源流部となっており、これらは自然度が高く、人工構造物が存在しない原生流域であり、現状の国定公園の範囲においても、我が国最大の原生流域となっております。
野生動物につきましては、大型哺乳類であるヒグマやエゾシカ、氷河期の依存種と言われているエゾナキウサギ、海生哺乳類であるゼニガタアザラシを含め、12科35種が確認されてございます。
鳥類は、ハイマツ帯から山麓部の森林帯にかけて54科264種が記録されており、生態系上位種で希少種であるクマタカやシマフクロウの生息地として重要な地域となっております。
続きまして、利用形態です。山脈の核心部は山が険しく、アクセス道路が限られていることから、夏を中心とした本格的な登山が主となってございます。
また、山麓部には低山も複数あり、これらの山での日帰り登山や、襟裳岬や豊似湖などといった場所での自然探勝も行われております。
日高山脈襟裳国定公園における令和元年度の年間利用者数は、約36万人でございました。
文化景観につきましては、幌尻岳や十勝幌尻岳はアイヌの文化の信仰対象の山となっておりまして、アイヌの神、カムイが遊んだ山であるといった伝承が残されております。
また、カムイエクウチカウシ山、ペテガリ岳、幌尻岳などアイヌ語に由来する山の名前が、複数存在しているところです。
以上、ここまで地域の概況をご説明してまいりました。
次に、国立公園の指定理由です。本国立公園は、地殻変動を受けて形成された非火山性連峰を基盤に、山地を核として育まれた深く原生的な自然林生態系が広がる風景を風景型式としております。
当該風景型式の中でも、日本列島の形成過程を反映した山脈が内陸部から海まで延々と連なる雄大さと、その山脈が原生性を有する自然状態のまま我が国最大の規模のまとまりを持って存在する点において、我が国を代表するに足りる傑出した自然の風景地であると考えております。
続きまして、公園区域(案)のご説明になります。スライドの中で色をつけて表示している範囲が、国立公園の区域(案)となっております。オレンジ色が国有地、青色が道有地、緑色が公有地で、赤色が民有地となっております。赤線で表示しておりますのが、現在の国定公園の区域となっております。
今回、区域面積は、陸域が24万5,668ha、海域が6,510haとなりました。これは国定公園の面積からは2.24倍となっておりまして、我が国の陸域最大の国立公園が誕生することになります。大きさのイメージの例となりますが、神奈川県の面積が24万1,600haということですので、神奈川県よりも大きな国立公園となってございます。
先ほど、30by30への貢献という観点が質疑の中で出ていたかと思うのですけれども、面積自体は国土面積の0.6%に当たりまして、そこから既存の保護地域を引いて計算をすると、大体0.162%増加するような計算となってございます。
区域(案)につきましては、調査業務において本地域の景観要素をここに記載しております8つの要素に整理をし、各要素の分布図を重ね合わせた上で、範囲の案を作成いたしました。その後、関係機関や地域との調整を踏まえ、現在の区域(案)となっております。
国定公園区域と比較をしますと、山麓の良好な森林地域について、大幅に拡張してございます。拡張により、日高側北部では、リビラ山や於曽牛山などの山系と接続をしておりまして、南部地域では、国定公園の区域では飛び地となっており、連続していなかったアポイ岳地域や襟裳岬地域と連続した区域となっており、山脈から海までのつながりというのを確保しております。
続きまして、公園計画のご説明に移ります。まずは、保護規制計画です。左の図が国立公園の保護規制計画案を示した図です。右が国定公園の保護規制計画となっておりまして、左の図を見ていただくと分かるように、山脈の主稜線や、その周辺地域が指定されていた国定公園の区域というのは、ほぼ特別保護地区と第一種特別地域となっております。
国定公園との比較につきましては、表をご覧ください。特別保護地区の面積は、国定公園の3.78倍となっております。この7万3,743haという面積は、特別保護地区だけで、例えばですけれども、阿蘇くじゅう国立公園全体と同等の面積がございます。
簡単にはなりますが、地域ごとに詳細をご説明いたします。
まず、日高山脈主稜線とその山麓につきましては、北は熊見山から南は広尾岳に至る日高山脈の主稜線部を特別保護地区に指定しております。隣接する高山帯、亜高山帯の地域につきまして、第一種特別地域に指定しております。これらの指定範囲というのは、人為の影響がほとんど見られない地域でありまして、カール地形や高山植生といった、本公園の重要な景観構成要素や動植物の生息・生育地の保護を図ってまいります。
そのほか、今回、国定公園区域外について拡張した範囲につきましては、各場所の資質や関係機関との調整の結果、それぞれ地種区分を設定しているところです。
こちらは日高山脈の西側になりまして、今回大きく拡張した区域となっており、日高山脈の主稜線からは少し離れた位置にある場所になっております。寿都似山ですとか、あとはエチナンゲップ山の南東側の山岳地など、良好な針広混交林が分布する地域について、第一種特別地域に指定しております。
また、ピウ岳、リビラ山、貫気別山の稜線沿いにつきましては、部分的に高山植生が分布しておりまして、またリビラ山の山頂からは、新冠湖や日高山脈の山並みを展望することができる地域となってございます。今回、本地域については、第二種特別地域に指定をしております。
こちらは公園の南部に位置する、アポイ岳の周辺を示した図です。アポイ岳は、山塊自体は大きくはなく、低標高ですけれども、特殊な地質や高山植生といった本国立公園の重要な風景要素を有しておりまして、本国立公園の中では、比較的利用者層の幅が広い地域となっております。
アポイ岳からピンネシリに至る稜線部を特別保護地区に、その周辺を第一種特別地域に指定いたします。本地域は世界ジオパークにも登録をされておりまして、麓にはまちのビジターセンターや宿舎、野営場といった利用施設があり、この周辺は第二種特別地域に指定をしております。
また、特別保護地区の右側のところになりますが、幌満川の左岸側といった低山帯になっておりまして、ヒメコマツの北方変種であるキタゴヨウの自生地であり、国の天然記念物に指定されているような場所であることから、こちらも特別保護地区に指定をしております。
続きまして、こちらは国立公園南部の襟裳岬や豊似湖周辺を示した図になっております。豊似岳や豊似湖周辺について、日高山脈最南端のオキシマップ山、豊似岳などからなる山地の稜線部や豊似湖周辺を、第一種特別地域に指定しております。
襟裳岬の海成段丘の平坦地につきましては、風衝植生で覆われておりまして、原生花園となっていることから、第一種特別地域に指定し、風致の保護を図っていきたいと考えております。
ここからは利用面の計画になります。本国立公園の利用に関する基本方針は、ここに記載しているような内容となっております。山脈の核心部といいますのは、主に経験者を想定した当該地域の原生的な自然環境の中での登山体験などの機会を提供しつつ、山麓部では、豊かな自然を生かした学びや体験の場を、より広い利用者層に向けて提供することにより、来訪者の満足感の向上を目指していきたいと考えております。
また、本国立公園は大変広大な面積を有しておりまして、公園区域の周辺地域や観光施設との連携を通じて、その価値や質の高い自然体験活動を発信し、滞在型の周遊観光につながるような広域連携を図っていきたいと考えております。
それぞれ各地域ごとの利用の方針につきましては、ここに記載をしている内容を計画書のほうに記載をしてございます。
続きまして、利用施設計画についてです。今回、車道は10路線、歩道を18路線、計画しております。図中の赤い線が車道、緑の線が歩道となっております。
車道につきましては、現在、既に利用がなされており、登山口などの公園の利用地点に到達するための道路や、海岸沿いの眺望を探勝するための道路などを計画しております。
歩道につきましては、18路線中15路線は、経験と技術、体力と装備を有する公園利用者を想定し、自然環境の保全と適正利用の観点から、必要最小限の整備を実施する登山道というのを計画してございます。
登山道の管理につきましては、指定後、自治体や地域の山岳関係者の方々と調整していきたいと考えております。また、利用ルールなどについても、国立公園の指定後に総合型協議会を速やかに設置をしまして、議論を行っていきたいと考えております。
続きまして、利用施設計画のうち単独施設についてご説明いたします。単独施設は、図及び表のとおり、20施設を計画してございます。核心地域の登山利用に必要な避難小屋を6か所。また、北日高や札内川、アポイ岳、襟裳岬といった山麓部の利用拠点につきまして、各施設を計画しております。これらは、現在いずれも既存施設がございまして、指定後も現在の施設設置者が維持・管理を行っていく予定としてございます。
続いて、新しい国立公園の名称につきまして、本国立公園の関係市町村は13ございますが、十勝関係6市町村及び日高側7町から構成される日高町村会からは、日高山脈襟裳十勝国立公園でご要望をいただいております。こちらにつきまして、詳細は後ほどご説明させていただきます。
続いて、パブリックコメントへの対応についてです。パブリックコメントは、令和5年11月9日から12月8日まで30日間実施をしております。提出された意見数は53通、そこからの整理した意見数のうち、今回の指定案に係るものは127件ございました。
いただいたご意見の中で多かったものは、平取町という町があるんですけれども、そこの区域について普通地域として追加指定をしてほしいという、そういった追加指定を求めるものがありました。こちらにつきましては、指定後の公園計画の点検の際に参考にさせていただきたいと考えております。
このほか事業計画につきまして、歩道ルートの追加、または削除に関するもの、整備に関するご意見などもいただいており、個別の計画歩道の状況に応じて対応方針として回答をさせていただいております。
詳しい意見の内容や対応方針につきましては、参考資料のほうに詳細がございますので、もしよろしければご覧いただければと思います。
以上で、事務局からのご説明は以上になります。
○武内部会長 ありがとうございました。それでは、本議題についてご審議いただきたいと思いますけれども、名称については、いろいろとご意見もございますので、後ほど別途ご議論いただきたいと思います。
まずは、指定案等について、ご意見、ご質問がございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
はい、愛甲委員、お願いします。
○愛甲委員 はい、ありがとうございます。
まず、指定地の全体の区域についてですが、総点検したときの候補地、それから、そのときに参考とした重要な地域というのがあったと思います。それは、まだこの現状での今回の計画されている区域よりも広いわけですが、今後、より拡張といったようなことを考える余地があるかどうかということを、まず一つ伺いたいと思います。
それから、特に登山利用についての質問がありますが、今回のその歩道について、必要最低限の整備というふうに先ほどの説明の中ではありましたけど、どういったような整備を考えられているのか。日高というのは、非常に原始的な登山ができる場所として、北海道内外の登山者にも非常にそういう面で人気のある場所で、逆に原始的な登山する場所としては、もうここしかないというようなところもありますので、そういった整備等のバランスというのは非常に重要になってくると思うんです。
歩道を計画されている場所というのも、どういった考えで今回設定されているのかということ。それに関連して、この後作られる協議会と、そこで管理運営計画等の議論が非常に重要になってくるわけですが、速やかにと言われていましたけど、どういった時期、タイムスケジュールで考えていらっしゃるかというのと、あと、構成員の中に、そういった山岳関係者等もきちんと入れていただけるような仕組みを考えていただけるのかどうかということも伺いたいと思います。
まずは、その二つでございます。
○武内部会長 はい、ありがとうございました。
それでは、坂田委員、お願いします。
○坂田委員 私からの質問は、国定公園から国立公園になって、また拡張されるというふうに理解しましたけども、その中で設備ができたり、規制ができたりということだと思いましたけど、端的に言って、どの部分が国定公園と違ってメリットがある部分なのか、もう少しちょっと強調する点が幾つかあれば、それをちょっと教えていただきたいというところが一つと。
あと利用者が36万人でしたかね。というのは、これはやっぱり増やすべきという考え方なのか、いやいや、維持するのか、いや、もうちょっと制限しないといけないのか、もしかしたら区域によって違うのかもしれませんけども、利用を促進していくのか、保全とか規制を重視していくのか、その辺の考え方、ある程度はちょっと理解できたかもしれませんけど、ちょっとまだよく分からないところがありましたので、お聞きできればと思います。
以上です。
○武内部会長 はい、ありがとうございました。深町委員。
○深町委員 はい、ありがとうございます。
指定理由というのが、原生的な自然林とか生態系ということなんですが、ただ一方で、文化景観のところにアイヌ語の地名とか伝承ということで、私もちょっと調べてみると、アポイ岳とかは、火のあるところが語源で、鹿が取れることを祈って山頂に祭壇を設けとかというようなそういうこともあり、もう少し文化的な位置づけがどういうものなのかというのを示していただけるといいなと思ったのと。
やはり、今回、範囲からは外れているということですけれども、パブリックコメントなどにも、アイヌ文化の関係性みたいなものを、もう少し考えたような指定の仕方があるんじゃないかというような意見もあり、今回の場所がアイヌの文化という観点から、どういう位置づけのところなのか。あるいは、ほかの、今回は指定範囲ではないけれども、それ以外のアイヌの文化とどういうふうな連携だとかつながりを、これから考えていくことが重要なのかというような観点から、もう少しご説明いただければと思います。
○武内部会長 それでは、山本委員、お願いします。
○山本委員 はい、ありがとうございます。
私からは1点だけ質問があるんですけども、指定地域についてです。先ほどのご説明の中で、既に指定地域の追加の要望があるというふうにも伺いましたけども、今、指定をしようとしている地域の図を見ると、南部に少し空白地帯があり、一生懸命つないだ、そんな印象は持ちました。
そこでうかがいたいことは、国立公園としての価値、指定理由になりますけども、こうやって海の部分から山の部分までずっとつながっている国立公園は価値がありますし、そういった価値を売りにしている海外の国立公園もたくさんあります。そういう意味で、南部のほうが空白になっている点には議論の余地があり、この理由があれば教えていただけないでしょうか。よろしくお願いします。
○武内部会長 はい、ありがとうございました。
江﨑委員、お願いします。
○江﨑委員 はい、ありがとうございます。
視察に私はちょっと行けなかったということもあるので、お伺いしたいこともあるんですけども、特に、今回国立公園になったことで、第三種の地域もすごく増えていますし、普通地域も多く増えているかなと思うんです。
そういう利用しやすい部分も多く増えている中で、やっぱり地元の方々が、この多くの市町村の皆さんがしっかり合意されたのはすごいなと思いますので、一番国立公園になるに当たって、地元の方々の期待というのはどこにあるのかを、もう一度教えていただければと思います。
○武内部会長 はい、ありがとうございました。
藤田委員。
○藤田委員 はい、ありがとうございます。私も視察に参加させていただきまして、大変すばらしい場所で、国立公園になることは本当によいことだなと思っております。
1点です、私も山登りをするので、日高というと、やはりヒグマでの事故というのがすごく記憶にありますし、昨今、特に、この後もしかしたら議論になるかもしれませんが、熊、本州ではツキノワグマ、北海道でもヒグマと人との衝突というのがいろいろ議論になっています。
せっかく国立公園になって、もちろん保全中心だけじゃなくて、利用もしていただきたいという思いが地元にもあると思います。そんなときに、人とヒグマの衝突ができるだけ少なくて、共存できるような仕組みは、これはもしかしたら利用計画のところで作っていくのかもしれませんが、避難小屋みたいなところも、熊から襲われたときにどうするかとか、何かそういった対策等もあればよいのかなと思いまして、何かお考えがありましたら教えてください。よろしくお願いします。
○武内部会長 それじゃあ、ほかによろしいですか。
今いただいたご意見について、事務局からご回答をお願いします。
○国立公園課長 はい、ありがとうございます。順次、回答をさせていただければと思います。
まず最初に、愛甲先生から、拡張余地というようなお話がございました。今回、非常に地域の協力もいただいて、大幅な拡張を実現させていただきました。
ただ、それでも、さらに拡張のご意見などもいただくことがございますので、そこは指定後も、引き続き検討していく部分があると考えております。今後も、地域の方と連携を密にして進めていければと思っております。
また、国定公園と違って、どういうメリットがというところもお話がございました。ここは、やはり地域の方にとっては、国定公園より国立公園というような思いが非常にあると伺っておりますし、我々としましては、こうした形で日本の陸域で最大の国立公園が誕生するということ、非常に自然環境保全の面でも大きなことだと考えておるところでございます。
また、利用者ですけれども、36万人というところですが、これを単純にどんどん増やしていくということが必ずよいことなのかというところは若干微妙ですけれども、我々としても、国立公園の適正な利用を増やしていく、さらには国立公園らしい利用を推進していくということに力を入れてやっておりますので、そうした中で、この日高でも取り組んでいきたいと考えております。
また、山本先生のほうから、このつながりを作る中で、南部に空白地帯が生じているというようなところも見受けられるというようなお話もありました。環境省としては、ここの部分も含めて、国立公園としての資質があって、一体的に風景の保護を図るということも考えてはいたところですけれども、土地所有者などとの調整の結果、ここの部分については今回はちょっと難しいということで、我々としても、こういう形で一度まずは国立公園として指定をさせていただきたいということで案を作成させていただいたというところになっております。
続いて、ほかでいただいた歩道とヒグマの意見、現地のほうからよろしいですか。
○北海道事務所次長 北海道地方環境事務所の統括自然保護企画官をしております、福井でございます。よろしくお願いいたします。
ヒグマの点につきましては、ご案内のとおり、非常に日高山脈は熊が多いところということでございますので、こういった対策というものは、今後、その指定後、登山者団体の皆様、それから警察の皆様等と連携・調整を図りながら、事故防止対策というものを検討していかなければいけないというふうに考えております。
それから地域、愛甲先生からご指摘いただきました、総合型協議会をどのようなタイミングでというお話がございましたけれども、これは先ほど来の説明のとおり、指定後、もう速やかに指定をして、行政機関をはじめといたしまして、それから、地域の登山者団体の皆様、それから有識者の皆様等々に参加いただく中で、総合型の協議会を、指定後、早急に設定をしていきたいというふうに考えております。
それから、あとは、登山の利用について、在り方について愛甲先生からお話がございました。ご指摘いただいたとおり、日高山脈は、非常に原始的な自然環境を、原始的な利用をするという登山というのが評価をいただいているところでございますので、登山者団体の皆様と話をする中でも、なるべく整備を伴わないほうがいいというようなご意見もいただいておりますので、こちらのほうも、今後設置いたします総合型協議会の中で登山者団体の皆様のご意見もいただきながら、どのような整備をしていくのかというところも検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○国立公園課課長補佐 あと、深町先生のほうから、アイヌ文化の関係でご質問をいただいてございました。こちらについては、本公園の文化的景観として位置づけをしているんですけれども、どういった形で、今後、その連携が図っていけるのかというところに関しては、公益財団法人のアイヌ民俗文化財団といろいろと情報交換をさせていただいておりまして、今後、その指定後につきましても引き続き連携を図って、国立公園の広報活動ですとか、そういった国立公園自体がアイヌ文化を伝える一つのツールとして紹介がされるような活動というところで連携を図っていきたいなと考えてございます。
○国立公園課長 すみません、最後に1点、江﨑先生から地元の期待というようなお話がございました。地元の期待を我々のほうからお答えするのもあれなんですけれども、この地域、その山稜線を中心としたところがやはり一番メインの区域になりますけれども、そういった中で、その公園の外との連携というのは非常に大事だというふうに考えています。そういう意味では、公園の外の地域の施設なんかも含めて、我々、現地にも職員を置きますので、そういった者が関与して一緒にやっていくということになると思いますので、そこら辺も地域の人に期待をしていただけるのではないかなというふうに考えております。
ありがとうございます。
○武内部会長 どうもありがとうございました。いろいろと有益なご意見をいただきましてありがとうございました。
事務局におかれましては、こうしたご意見も踏まえながら、引き続き諮問の準備を進めていただければと思います。
それでは、名称の議論に移らせていただきたいと思います。
事務局より説明をお願いします。
○国立公園課課長補佐 まず、資料の説明になりますが、資料3の参考資料2が、お手元にございますでしょうか。
こちら、令和6年2月1日に提出された要望書となってございます。要望書の提出者といたしましては、十勝側の6市町村及び日高町村会でありまして、国立公園の区域に関係する全13市町村長の名前が列挙されてございます。
要望内容につきましては、国立公園の名称について、観光客や利用者に地理的な位置を分かりやすくするため、「日高山脈襟裳十勝国立公園」とされたいというものになっており、日高・十勝関係の自治体の首長の総意として提出されたものとなっております。
同じく、資料3の参考資料3ですけれども、こちらにつきましては、当該国立公園の関係市町村のうち、十勝側の6市町村長より提出された要望趣意書となってございます。
十勝の関係6市町村の名称に関する思いを伝える内容となってございまして、その内容の具体的なところといたしましては、十勝の人々が価値を改めて認識する契機となり、かけがえのない財産を次世代へ引き継いでいく意識が一層高まること、6市町村として、国立公園の指定を機に自然をしっかりと守り、さらに価値を高めていきたいこと、具体的には、希少動植物の保護、マナー啓発、ヒグマ対策、遭難防止対策、登山道の草刈りや避難小屋の手入れ、簡易トイレの設置や登山道の整備などに取り組んでいくこと。また、国立公園区域外の利用拠点等とも連携したツアー造成やPR活動等に取り組んでいくことなどが記載をされているところです。
なお、パブリックコメントも実施をしておりまして、名称については直接の意見の募集対象ではありませんでしたが、名称に関わるご意見を14件いただいております。
内容としましては、日高山脈国立公園がよい、日高山脈襟裳岬がよい、名称に「十勝」を入れることに反対といった内容でございました。
また、令和6年2月19日に日高町村議会議長会のほうから、名称につきまして、現在の「日高山脈襟裳国定公園」を踏襲した「日高山脈襟裳国立公園」としてほしいとするご要望をいただいてございます。
○国立公園課長 この名称の説明について補足をいたします。
説明があったとおり、新しい国立公園の名称について「日高山脈襟裳十勝国立公園」という提案、要請、要望が提出されております。
正直なところといたしましては、国立公園の名称として少し長いというところを思わないではないところもあったのですけれども、先ほどのご説明のとおり、今回の国立公園は大変広大な公園となっておりまして、今後、指定後の管理に当たって、日高地方及び十勝地方両方の地域の市町村との連携は重要と考えております。
名称につきましては、先ほどご紹介した日高町村議会議長会会長からのご意見など、様々なご意見を地域からいただいているところですが、地域の代表する市町村長の名前が列記された要望書が提出されたということは重く受け止めざるを得ないというふうに考えているところです。
国立公園の名称の決め方につきましては、法令や通知等に沿った手順というのはありません。国立公園区域の指定案や計画案と合わせまして、地域の意見を踏まえて、審議会の意見をお聞きして決定をしてまいりました。
これまでの事例では、例えば、平成27年の「妙高戸隠連山国立公園」の新規指定の際は、地域の意見が複数案に分かれてまとまっていなかったため、審議会の場でご議論いただき、最終的には、審議会よりご提案いただいた現在の名称で決定をしております。
一方で、令和3年の、同じ北海道の「厚岸霧多布昆布森国定公園」の新規指定の際、こちらもちょっと長めの公園名称だったわけですけれども、1案で地域が合意をしておりましたので、そのままの案で指定となっております。
こうしたこれまでの例も踏まえまして、今回の公園指定について、地域を代表する市町村長の名前が列記された要望書が提出されておりますので、本審議会では、その名称案を資料に載せさせていただいております。
それではよろしくお願いいたします。
○武内部会長 本日は帯広市の米沢市長、中札内村の森田村長が来られておりますので、一言コメントがございましたら、ご発言いただきたいと思います。
○帯広市長 どうもありがとうございます。帯広市の米沢でございます。今日はよろしくお願いいたします。
少しお話しさせていただきたいと思います。「日本人はたいていふるさとの山を持っている。山の大小遠近はあっても、ふるさとの守護神のような山を持っている。そしてその山を眺めながら育ち、成人してふるさとを離れても、その山の姿は心に残っている。どんなに世相が変わっても、その山だけは昔のままで、あたたかく帰郷の人を迎えてくれる。」これは登山家でもあります深田久弥さんの言葉であります。
もとより十勝の人々にとりまして「ふるさとの山」は日高山脈であります。生まれてからずっと日高山脈を眺めて育ちます。日本の食料基地とも呼ばれます十勝の農業は、まさにこの日高山脈の恵みそのものでもあります。私たちの望む国立公園化が実現すれば、「ふるさとの山」への愛着はさらに強まり、地域の誇りとして大切に守っていけるというふうに思っております。
また、先ほど来お話がございましたけれども、アイヌ語で大きな山の意味を持ちます幌尻岳、これは百名山最難関と言われ、登山などの直接的な利用が限られるというふうに言われておりますが、公園区域外との連携というものが、ここで非常に重要になってくるのではないかというふうに認識をしております。十勝平野から眺める日高山脈の山並み、まさに国立公園にふさわしい雄大な景観であります。この特色を生かして、日高地域とも連携した、いわゆる周遊観光などに取り組むことで公園の魅力向上も図れるのではというふうにも考えているところであります。
環境保全と観光利用、これが調和した国立公園となりますように、地元自治体として、地域の皆さんとともに、精一杯取り組んでまいる所存であります。
私からは以上であります。
○武内部会長 ありがとうございました。
それでは森田村長、よろしくお願いします。
○中札内村長 北海道中札内村の森田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
今、米沢市長からのお話もありましたとおり、本当に十勝の人々、そして中札内村の人々にとって、その暮らし、その文化に日高山脈が非常にしっかりと根差しております。先ほど話がありましたとおり、十勝のジャガイモや豆が大変おいしいのは十勝の豊穣な大地があるから、そして、十勝の食がおいしい、十勝の料理がおいしいのは、その質を高める清廉な水があるということ。そして、晴天率の高い、爽やかな十勝らしい気候、これも全て日高山脈が我々に与えてくれている恵みであります。十勝の人々にとって日高山脈は、本当にその幸せの土台となる、支えとなっている大切な資源であります。
今年2024年、地方創生という言葉が誕生して10年になります。日高山脈の国立公園指定の動きを通じて、地方創生とは何か、地方、地域の活性化とは何かというのをずっと考えて、大変学びを得ることができました。それは、暮らしている人々が自分たちのまち、そして地域に誇りを持つこと、そして、自分たちの誇りのあるまち、地域を一人でも多くの方に知っていただくこと、我々はここに暮らしているんだということをしっかりと旗を立てて知っていただくこと、これが重要だというふうに考えております。
中札内村は、日高山脈のPR事業について、住民の方々が中心になってPR活動をやっていただいております。その中で、住民同士の新たなつながりが生まれました。また、北海道大学の山岳部といった登山関係の団体とのネットワークをつくることができて、実は、なかなか日高の山は普通の人は立ち入ることができない難しい自然なんですけれども、北大山岳部の若者たちの協力を得て、バーチャルリアリティーの登山体験というものを開発したりしています。
また、日高山脈に魅せられた画家、坂本直行さんという方がいらっしゃいます。十勝を代表するお菓子メーカー六花亭の包装紙をデザインしたり、中札内村に美術館がある、そういった画家の作品が、今改めて脚光を浴びております。
この間、本当に日高山脈の国立公園指定の動きを通じて様々なまちづくりの潮流が生まれております。本当に、この日高山脈の国立公園指定というのは、我々にとっては本当に非常に歴史的な大きなイベントであります。これをしっかり起爆剤として、これからも、これからの10年、新しい地方創生に向けて、十勝の人々が、様々な自治体が力を合わせて、人々が力を合わせて、いろんな関係機関が連携しながら、様々な資源を有機的に活用しながら、持続的なまちづくりにしっかり生かしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○武内部会長 どうもありがとうございました。
ということで、国立公園の名称についてでございますけれども、日高山脈襟裳に十勝を追加して、「日高山脈襟裳十勝国立公園」とするという案でよろしいのか、それとも、それについて何か問題があるのかということでございますが、ご意見がございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
はい、中村委員。
○中村委員 ありがとうございます。今回、日高山脈が国立公園化されたこと、大変うれしく思っております。
今、市長と村長のお話を聞いても、やはり日高山脈の国立公園指定ということを何度もおっしゃっていて、私も日高側から見る日高山脈も、十勝平野から見る日高山脈も、やっぱり同じく日高山脈だというふうに思います。今回のその資料の指定の区域を見ても、ほぼ山岳地帯、山陵地帯であって、言わば十勝平野自体を含んでいません。
さらに、今回、今まで襟裳が飛び地だったと思うのですが、国立公園の指定によって、つながった形で国立公園化ができた、拡大・拡充できたということで、私は、パブコメにもあったとおり、やはり地理的にも「日高山脈国立公園」とシンプルにするのが最も妥当じゃないかと思いました。これが海外から来られるインバウンドの人にとっても非常に覚えやすい名称となってくるのではと思います。
はい、以上です。
○武内部会長 襟裳も要らないということでしょうか。
○中村委員 はい、「日高山脈国立公園」が一番シンプルでよいのではと思います。
○武内部会長 はい。というご意見ですが、いかがでしょうか。
はい、どうぞ、江﨑委員。
○江﨑委員 ありがとうございます。いろんな考え方があるのかなと思うんですけれども、先ほど来、話の中で、将来拡大というようなお話も出ていたかと思うんですね。やっぱり私は、いろいろ関わっている中で、国立公園というものが、市長さんとか、町長さん、村長さんが皆さんおっしゃるように、まず、地元の方々の誇りになるということがすごく大事だと思っているんですが、その誇りになるために必要なことの一つとして、やっぱり、この自然のおかげで生きているという実感を持てることだと思っていまして、その一つは経済効果ということかなと思っています。
おっしゃったのは、観光のことも言われたんですが、やはり、そういう意味で言うと、農業における経済効果もすごく大きいと思いますし、その代表格である十勝というところはすごく、今は、まだ関係が薄いかもしれないですが、将来的に考えたときに関連性が強くなってくると思いますので、そういう十勝の方々の誇りということを将来の可能性として残すためにも、少し長いとは思うんですが、入れておいてもいいんじゃないかなというふうに私は考えております。
○武内部会長 はい、ありがとうございました。山本委員。
○山本委員 私も、地元の方々の思いが、うまく名称になればいいと思います。先ほど、地域の方々にとって山岳の風景が帰属意識を産んでいるんだということも説得力があったと思います。
が、しかしですけども、国立公園の指定の中で、今まで地理的な特徴、そのまとまりが考慮され、特に日本の最初期の国立公園の指定では、その点が重視されていたと思いますし、その後、例えば富士箱根伊豆のように、まとまったものがくっつくような形で国立公園の名称としてなってきたような経緯もあります。今回のこの指定地域の中で、地理的な特徴、あるいは地政学的な特徴で言うと、やはり日高山脈と一番南端部の襟裳岬ではないかと個人的には思います。
そこに十勝が入るのか入らないのかで、十勝側の方の印象がどれほど変わるのかどうか、年に何回か大樹町に足を運んで日高山脈を見る機会はありますが、地元の方々の思いにまでは私も考えが至りません。しかし、よそ者の目線で感覚的に言うと、やはり、国立公園に指定されようとしている、あの辺りの地表からの突起部分、それから海へのつながりのことを考えると、やはり二つぐらいの名称でまとまってよいのではないかと。
そうすると、先ほど出ていた二つの意見とはまた異なる意見になってしまうわけですけども、私は、「日高山脈襟裳岬国立公園」の名称でいいのではないかとは思います。
○武内部会長 それでは、愛甲委員、お願いします。
○愛甲委員 ありがとうございます。私は、パブリックコメントの内容も読みました。あと、それから北海道の自然保護協会とか十勝の自然保護協会からも、いろいろ要望とかご意見が出ているというふうに聞いています。やはり、日高山脈は日高山脈であって、あと、その国際的にも、できるだけ国立公園のほうは短いほうがいいという意見をもともと持っていまして、「日高山脈国立公園」というのが適当でないかとは思います。
ただ、その一方で、先ほどからお話が出ていますように、その地域の方々との連携というのは非常に重要で、特に北海道の場合、これは日高振興局側と十勝の振興局に分かれているということ、日高と十勝の自治体の方々が一体となって、この国立公園の保護に、将来に向かって連携していただく必要があって、そのことも十分酌み取らなければいけないんだろうとは思っています。
もう一つ考えなきゃいけないのが、この日高山脈の景観ですよね。先ほど坂本直行さんの絵画の話もされていましたけど、視点場としての十勝平野から見る日高山脈というのは、やっぱり圧倒的な美しい景観で、写真も多く撮られたりもします。そういった場所も含めて国立公園に拡張されていくのであれば、その時点で十勝という名前を加えていくという考え方もあるかなというふうに考えています。
以上です。
○武内部会長 ありがとうございました。
ほかにございませんか。
橋本委員、どうぞ。
○橋本委員 はい。私は、スライドに出ていた名称、一番長いものを支持する立場です。やっぱり、自治体の首長さんの連名で書類が出てきているというのはとても重いであろうと、どういうふうに首長が選ばれているかということを考えると、なかなか、様々な意見があるというのは、今、皆さんのご意見を伺っていたり、パブコメでも見ていて理解はしたんですけれど、これはなかなか無視できない部分はあるなというのが私の意見です。
ちょっと、あまり意見を出すつもりはなかったんですけど、一応、流れを見て、あえて意見を出させていただきました。
○武内部会長 ほかにございますか。はい、どうぞ。
○深町委員 今回の指定対象区域というのが、確かに日高山脈というふうなくくりで捉えるのが分かりやすいと思うんですけれども、私のほうで質問させていただいたアイヌの文化とか、あるいは、本当に地域で暮らしていらっしゃる方のいろんな視点というか、思いを考えますと、それをちゃんと包括できるような名称があるということの意味、意義というのは大きいんじゃないかなと、そのつながりというのがある中の、今回は、核になるような場所が国立公園ですね、その山頂側のというふうな位置づけで捉えるとすると、ご提案のあった、長いですけれども、この名称が持つ役割というのは大きいのかなというふうに思うところがありますので、いろんなご意見は承知しておりますが、個人的には名称が長いとしても、この案がいいんじゃないかなというふうに思いました。
以上です。
○武内部会長 それでは、水田委員、お願いします。
声が聞こえませんが、水田委員、どうぞ。ミュートになっているようですが。水田委員、ミュートを解除してくださいますか。
○事務局 すみません、事務局です。ミュートは外れているようなのですが、ちょっと音声の機器の問題か、音が入っていないようにお見受けします。
○武内部会長 何かコメントを文章でチャットに書いてもらえますか。コメントをチャットに書いていただけますか、声が聞こえませんので。
○水田委員 聞こえないですね。
○事務局 水田委員、今、音声が入りましたが、いかがでしょうか。
○武内部会長 チャットでお願いします、チャットで。
進めてください。じゃあ、分かりました。
では、ということで三つの案、「日高山脈」という単純な名称にするというのと、「日高山脈襟裳国立公園」という従来の国定公園の名称を継承した形にするというのと、やや対象地域外であるけれども、風景や文化、それから地域の地元の受け止め方も含めて、「日高山脈襟裳十勝国立公園」とするかという三つの案について、それぞれ皆さんからご意見をいただいたところでございますけれども、これについて、どういたしましょうか。
はい、どうぞ、局長。
○自然環境局長 審議会の場で局長が意見を言っていいのかというところはあるのですけれども、事務方としては、私、昨年の夏に着任してから、「十勝」を入れてくれという、「日高山脈襟裳十勝」にしてくれという要望もいただきましたし、最近では、「日高山脈襟裳」でいいというご意見も地元からお聞きしていますし、何か一番短いほうがいいという意見にも理があるだろうと思っていますので、意見がまとまらないという状況があります。
やはり、地域でもいろんな意見があるんでしょうということだと思います。地域でもいろんな意見がある、例えば、何か自然保護に携わっている方は、やっぱり今までの国定公園の名前に思い入れがあるんだろうと思っていますし、シンプルな名前がいいというお考えの、主として、その観光関係の方もいらっしゃるでしょうし、やっぱり十勝側の意見というものを踏まえて十勝を入れてくれというご意見もあるということで、国として、決めるセオリーがあるわけではないと思っているんですが、一つ、対象の公園区域を2倍以上にするというのは、過去にあまりやったことがなく、十勝側も相当その拡充をしているということを、我々としても、やっぱり気にはしていまして、十勝側に、円満に祝福していただく国立公園になってほしいという意思もかなり強くあるわけでございます。
地域の間で、何か見解の相違があったままずっとやっていると多分決められないというところがあるものですから、今年の夏、初夏ぐらいには船出をさせていきたいと思っておりますので、そういう立場から、大変口幅ったいことではあるんですけれども、やはり地方の13市町の連名で要望がされている案で、作業を始めさせていただけないかというのが、我々、事務方としての思いでございます。
もちろんこれで、まだ今日は決める場ではございませんけれども、決めるのは正式に春に決めますけれども、看板の準備とかもありますので、そういうことも含めて、作業には入らせていただけないかなというのが事務方の考え方でございます。
○武内部会長 まだ、実際の決定は先ですけれども、様々な準備等もございまして、今日の時点で、最初に申し上げたように、名称については、ぜひこの方向でいくということは決めさせていただきたいということで、皆さん、様々なご意見がありまして、多数決でやってもいいんですけれども、一応私、部会長としては、今後、なぜこの「十勝」を入れたのかということについての説明について十分行っていただくということを前提にしまして、この「日高山脈襟裳十勝国立公園」というふうにさせていただきたいとは思いますが、いかがでしょうか。
交告委員、何かございますか。
○交告委員 はい。私は、最近ここの委員会に、ちょっと臨時的に入れていただいただけなので、よく分からないんですけど、これまで、こういうふうに関係者の方を会議にお招きして意見を聞いていたということはあるんですかね。
○武内部会長 はい、あります。
○交告委員 そうですか。
○武内部会長 はい。
○交告委員 自治体の長の方が二人来られているんですけど、どういう資格で来られているのか。
○武内部会長 オブザーバーだと思いますが。
○交告委員 じゃあ、反対の十勝の自然保護協会の方たちも来られたんですか。
○武内部会長 それはご要望がなかったからだと思いますけれども、いかがですか。
○交告委員 いや、私は、これはフェアじゃないと思います、やっぱり両方に来ていただかないと。
○国立公園課長 その点につきましてですけれども、こういった指定の場合、オブザーバーとして市町村長の方々にお声がけをさせていただいております。今回、13ある市町村長にお声がけをいたしております。出席は2名の方であったというような状況になっております。
○交告委員 そんなことをしたら、この会の参加している皆さんに圧力がかかりますよ。もう私に関しては、完全にマイナス効果ですね、これは。以上です。
○国立公園課長 事務局から補足をさせていただきます。
これまで国立公園の、国定公園もそうですけれども、名称を議論する際には、地域のご意見を踏まえて、審議会の意見を聞いて決定するというような手続を取っております。我々としても、審議会の意見も重要だと思っておりますけれども、地域の意見というのも重要ということで扱わせていただいております。そうした中で、これまでも地域の意見というのを審議会の場で出させていただいて、その上で議論をしていただいていたところだというふうに認識をしています。その中で、地域の代表ということで市町村長の方全員にお声がけをしておりまして、今回、できれば日高側の市町村長の方にもご出席をいただければよかったところですけれども、ご都合がつかないということで、お二方のご出席となったというような経緯になっております。
○武内部会長 よろしいでしょうか。
それでは再度確認しますけれども、「日高山脈襟裳十勝国立公園」という名称で先に進めていただくということで、よろしいでしょうか。
○交告委員 いや、それはやっぱり多数決を採ってください。
○武内部会長 多数決を採りましょうか。じゃあ、多数決でいきましょう。
どうやったらいいかな、多数決は。
○交告委員 いや、それは一人一人聞いていったらいいじゃないですか。私は「日高山脈」でいいと思います。
○武内部会長 聞き方は、これは順番に事務局のほうで聞いていただけますか。
○国立公園課長 その点、ちょっと補足をさせていただきます。この国立公園・国定公園の名称の決定ですけれども、最終的には、その環境省の指定の告示のときに名称を告示するという形で決定をさせていただきます。その際に、地域の要望と審議会の要望というところを踏まえて決定をしてきております。
これまでの例で言いますと、両方、その地域の意見と審議会の意見が完全に対立をしたということは、それで決めたというのはありませんで、審議会の意見で決めた際でも、審議会の出していただいたものに地域が納得した上で決めているというような状況になっております。
ですから、今回の場合、こういった形で地域がこの要望を、もし、こういう形で出ていますので変えられないということになったときには、ちょっと、その地域の意見と審議会の意見が万一ずれたときには、決め方というのは、ちょっと簡単にはいかないかなというふうに思っております。
こういった形で統一意見が出てきた中でこういった手続をやるのは前例がないので決まっていないというところですので、そこはちょっとご理解をいただければというふうに思っております。
○武内部会長 それで、どうしますか。
○交告委員 いや、何も迷うことはなくて、最後は環境大臣が責任を持って決めるわけだから、我々は我々で決めたらいいんですよ。ただ各委員が自分の意見を言えばいいわけです。
○自然環境局長 取りあえず一人ずつ案をお聞きするということで。
○武内部会長 はい。
○自然環境局長 いずれにしても今日決めるわけではないというのもありますので。
○武内部会長 じゃあ、事務局からちょっと名前を呼び上げて、それぞれ意見を求めてください。それを誰かカウントしていってください。
○国立公園課課長補佐 失礼いたします。そうしましたら、名簿に沿って、本日、出席をされている方のお名前を呼ばせていただきます。部会長は最後がよろしいですかね。
○武内部会長 はい。
○国立公園課課長補佐 そうしましたら、勢一委員、お願いいたします。
○勢一委員 はい、ありがとうございます。これは、私個人の意見を申し上げるのですね。
○武内部会長 そうです。
○勢一委員 きっと理由もということですよね、ということでよろしいですか。
○武内部会長 理由は、ちょっと時間がもうないので、結論と名前だけをお願いします。
○勢一委員 はい。私は、シンプルに「日高山脈国立公園」がいいかなと思っております。
以上です。
○国立公園課課長補佐 髙村委員、お願いいたします。
○髙村委員 すみません、私は、「日高山脈襟裳十勝」で三つ入れていいと思います。
○国立公園課課長補佐 続きまして、中村委員、お願いいたします。
○中村委員 先ほどお話ししたように、「日高山脈国立公園」が地理的にもきちんとした名称だと思います。以上です。
○国立公園課課長補佐 藤田委員、お願いいたします。
○藤田委員 はい。私は、国立公園の名前のルールがよく分かっていないので、全ての理由が、皆さんの意見もよく分かったので、環境省に一任させてください。私は一任します。
○武内部会長 三つ入れるということだね。
○国立公園課課長補佐 愛甲委員。
○愛甲委員 愛甲です。私は、先ほども発言しましたとおり「日高山脈国立公園」がいいと思っております。
○国立公園課課長補佐 石井委員、お願いいたします。
○石井委員 石井です。先ほどの部会長の仕切りで私はいいと思いますが、十勝を入れる明確な理由について、次回までに資料を出していただくのがありがたいと思います。個人的に、今、何か言えということであれば、どのような経緯で13市町村の合意がなされたか分かりませんけれども、地元のお考えというのを大切にして、「日高山脈襟裳十勝」でいいのではないかと思っています。
○国立公園課課長補佐 江﨑委員、お願いいたします。
○江﨑委員 はい、ありがとうございます。私も、地元の方々の意見は尊重させていただいて、「日高山脈襟裳十勝国立公園」がいいと思います。
○国立公園課課長補佐 大沼委員、お願いいたします。
○大沼委員 私は、プリンシプルとして、中村委員が発言されたとおりだと思います。ただ、皆さんのご意見を伺っていて、やっぱりこれから持続可能な形で国立公園というのを維持していく上で、ステークホルダーの人たちがやっぱり積極的に関わるということが非常に重要なのではないかと考えるようになりました。その意味で、ここにありました「日高山脈襟裳十勝国立公園」に賛成いたします。以上です。
○国立公園課課長補佐 交告委員、お願いいたします。
○交告委員 私は「日高山脈国立公園」でいいと思います。
○国立公園課課長補佐 五箇委員、お願いいたします。
○武内部会長 五箇さんは、もういなくなっている。
○国立公園課課長補佐 すみません、退出されていました。そうしましたら、坂田委員、お願いいたします。
○坂田委員 私は、地域の運営に責任を持っておられる方々の要望に基づいて、「日高山脈襟裳十勝国立公園」が一番いいと思います。
○国立公園課課長補佐 関委員、お願いいたします。
○関委員 はい。私も「日高山脈襟裳十勝国立公園」に1票入れたいと思います。お願いします。
○国立公園課課長補佐 橋本委員、お願いいたします。
○橋本委員 先ほど申し上げましたとおり、「日高山脈襟裳十勝国立公園」が好ましいと考えております。ぜひ、先ほど石井委員からもありましたように、あるいは部会長からの提案にもありましたように、次回の会議の際にも、また、追加でのご説明をぜひともいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○国立公園課課長補佐 日向野委員、お願いいたします。
○日向野委員 私は原案賛成であります。
○国立公園課課長補佐 深町委員、お願いいたします。
○深町委員 私は「日高山脈襟裳十勝国立公園」がいいと思います。
○国立公園課課長補佐 水田委員、お願いいたします。
○水田委員 はい、聞こえますか。
○国立公園課課長補佐 聞こえます。
○水田委員 先ほどチャットにも書きましたけれども、私は、北海道の地名に詳しくないので、この決議には参加しないでおきます。ただ、どのように決まるにしても、その決めた理由をきちんと説明できるようにしていただければと思います。
○国立公園課課長補佐 山本委員、お願いいたします。
○山本委員 私の旗色は悪いんですけども「日高山脈襟裳岬」を推していまが、先ほど出ていたように、名称を決めるときに理由を添えていただけるとうれしいです。よろしくお願いします。
○国立公園課課長補佐 湯本委員、お願いいたします。
○湯本委員 「日高山脈襟裳十勝国立公園」を推します。
○国立公園課課長補佐 以上、皆様にお聞きしました。
○武内部会長 ということで、票数も言えばいいと思いますけども、大体、今聞いていただいたとおりの結論だと思います。いろいろとご意見があるということを踏まえた上で、「日高山脈襟裳十勝国立公園」ということで、特に、この名称の中で「十勝」を入れるということの意義について、あるいは、その具体的な中身については、もうちょっと説明が必要だということのご意見をたくさんいただきましたので、そのことについては、次回、最終的に決定する過程の中でご説明をお願いするということにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
それでは、帯広市の米沢市長、中札内村の森田村長は、ここでご退出されます。どうもありがとうございました。
次の報告事項、クマ類による被害防止に向けた対策について、大急ぎで、事務局より説明をお願いしたいと思います。
○鳥獣管理室長 ご説明いたします。鳥獣保護管理室長、宇賀神と申します。
昨年の秋のクマ類の被害状況を受けまして、今月8日に最終の専門家検討会がございまして、科学的知見に基づくクマ類による被害防止に向けた対策方針がまとめられましたので、本当にかいつまんでご説明させていただきます。
1ページめくっていただきます。現状認識でございまして、クマ類の生息状況ということで、左側の分布メッシュにつきましては増減率を示しております。そこの数値、書かれておりますように四国を除いて、全体的には増えているという状況でございます。右のほうは推定個体数ということでございまして、比較可能なデータを用いまして、全国的に状況を見ているということでございまして、上の文字が示すように、本州の多くの地域で増加傾向、北海道につきましては、北海道の推定でヒグマは2倍になったというふうな状況を伺っております。
次のページでございます。出没状況とその要因ということでございます。ご承知のとおり、出没状況については、ヒグマ、ツキノワグマにつきましても、令和5年度、過去最高ということでございます。出没要因につきましては、いろいろ記載がございますけれども、個体数が増えるというところもございますし、あと、人間活動の低下によって熊の警戒心が薄くなり、人の里の近くに分布を広げたというようなお話、それと、防除不十分な農地とか、柿の実の放任果樹が誘引しているとか、あるいは、河川や緑地を伝わって市街地に入ってくるというようなこと、それと、顕著なところでございますけれども、グラフがございますが、秋の食物資源、例えばブナの実でございますけれども、そういったものが低下すると行動圏が拡大あるいは変化するということで、出没するということをご指摘いただいております。
3ページ目でございます。対策の方向性というところでございまして、被害対策の方向、目的としましては、人と熊の空間的な分離、いわゆるすみ分けを図るということ。それと、今回秋で見られましたように大量出没による人と熊のあつれきの低下と、低減ということでございまして、そちらの方向性ということで、ちょっと細かくはご説明できませんが、「ゾーニング管理」、それと熊の広域的な移動がございますので「広域的な管理」、それと不十分な情報等がございますので「順応的な管理」、三つの管理を推進するというようなことが記載されております。
すみません、中身は割愛させていただきます。
次のページ、4ページ目でございます。被害防止に向けた行動ということで、五つの内容をご提言いただいております。
1番目は、指定管理鳥獣の指定ということで、個体数が著しく少ない四国の個体群を除くクマ類、ヒグマとツキノワグマ、これにつきましては指定管理鳥獣に指定するということでございます。中身としましては、モニタリングを前提に、被害の低減と個体群の保全のバランスの取れた支援、都道府県等に対する支援が必要ということでございます。
二つ目は、人の生活圏への出没防止ということで、先ほど申し上げました柿類とかそういったものの誘因物の管理の徹底とか、農地におきましては電気柵の設置、そういった被害防止の対策を強化するというようなことをご指摘いただいております。
下の出没時の対応につきましては、出没したときに猟友会、警察、自治体、そういった方々の体制の構築、対応体制の強化、それと、市街地に出てくる熊もございますので、そういったものに対する銃器による対応ということで、ここでは鳥獣保護管理法の改正も含めて、国の対応方針についてと、麻酔銃等につきましても条件整理、周知をするということを記載されております。
最後、5ページ目でございます。
人材育成と配置につきましては、大型獣である熊の対応をするということで、捕獲の技術者の育成・確保、あるいは、現場の対応をされます都道府県・市町村の専門的人材の育成・配置ということが記載されております。
最後、その他でございますけれども、昨今、ニュースにもありましたが、過剰な苦情への対応ということで、科学的根拠に基づいた情報発信による社会の理解を促すと、あるいは、ICTを使いました出没状況の提供、モニタリング手法の開発、先ほど申し上げました四国の個体群のような絶滅のおそれのあるところの保全と取組の強化、それと、持続可能な地域づくりの観点から被害対策の方法等の検討ということでございます。
このうち、指定管理鳥獣の指定につきましては、必要な関係省令の改正を行うため、2月13日からパブリックコメントを開始しておりまして、皆様方のご意見を伺った上で、4月中の指定の手続を計画しております。また、都道府県等の取組を支援すると、技術的、財政的な支援に向けて今後の対応を進めてまいりますということでございます。
以上でございます。
○武内部会長 どうもありがとうございました。
もう既に審議の時間を超過しておりますので、恐縮ですけれども、ご質問、ご意見のある方におかれましては、別途メール等でご意見をお寄せいただければと思います。
それでは、次の報告事項、第六次環境基本計画について、事務局より説明をお願いいたします。
○総合環境政策課計画官 総合政策課計画官の東岡でございます。第六次環境基本計画について、1分ほどでご説明させていただきます。
第六次環境基本計画につきましては、6年に1回の見直しをしております。現在、中央環境審議会の総政部会で審議をいただいておりまして、関係部会も関係するものですから、それぞれの部会に報告という形で、今、報告をさせていただいております。今年の4月の閣議決定を目指して、今、審議をしていただいております。
コンセプトとしては、こちらの5ページの右下をご覧ください。こちら、環境基本計画というのは、生物多様性国家戦略ですとか、地球温暖化対策計画ですとか、そういう個別計画の基本概念を整理するものでございます。
例えば、今回この計画においてウェルビーイングの実現を目指すということが最上位の目的であるということですとか、あと、市場的価値以外にも非市場的価値、例えば、環境の質ですとか、安全・安心ですとか、そういうものも含めて引き上げる新たな成長を目指していこうということですとか、あと、環境価値を活用した経済全体の高付加価値化ということで、環境に配慮した商品が高く売れるような、そういうような経済社会を目指していこうと、そういうことがコンセプトでございます。
以上でございます。
○武内部会長 ありがとうございました。
環境基本計画について、ご意見、ご質問がある方におかれましても、事務局までメール等でお申し出いただきたいと思います。基本計画に反映すべき意見がございました場合は、私が総合政策部会に出席をした際に、私のほうから、自然環境部会の意見として書面で提出をし、審議をしていただくようにさせていただければと思います。
それでは、大変大幅に超過して申し訳ございませんでしたが、これにて議題を終了させていただきたいと思います。
それでは事務局、よろしくお願いします。
○司会 武内部会長、議事進行を誠にありがとうございました。
また、委員の皆様方におかれましても、長時間にわたりご審議ありがとうございました。
最後になりますが、白石局長の方からお願いいたします。
○自然環境局長 局長の白石です。
本日は長時間にわたり、また、時間が超過してしまいました。事務方のタイムマネジメントが悪くて、大変申し訳ございません。お詫び申し上げます。
特に、国立公園の名称につきまして、活発なご意見をいただきました。今もって意見が分かれているということを大変悲しく思うとともに、しかし、我々としても、正解がない中で、地域の人を抱きしめながら進めたいという思いがありますので、そういう方向できちっと説得ができるよう、引き続きリーズニング等も含めてご説明をしてまいりたいと思います。
私も審議会で多数決を採るというのはあまり見たことがなかったのですが、事務方の案でないシンプルな案でありますとか、あるいは「襟裳岬」という案、いろいろそれなりの何か理屈があるということはもう百も承知でございまして、そういう中で、やっぱり進めていかざるを得ないというところで、引き続き円滑に進むよう努力をしてまいります。春に予定しておりますので、そこまでにまたちょっと詰めをして、準備を進めていきたいと。
その他の議事、時間がありませんので本当にありがとうございます。また、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
本日はどうもありがとうございました。
○司会 以上をもちまして、本日の部会を終了いたします。ありがとうございました。
午後3時26分 閉会