自然環境部会自然公園等小委員会(第45回)及び自然公園等小委員会・温泉小委員会合同会議(第2回)議事録

1 開 会

2 議 事

1.自然公園等小委員会(第45回) 12:31~

(1)雲仙天草国立公園の公園事業の変更について(諮問)

2.自然公園等小委員会・温泉小委員会合同会議(第2回) 13:02~

(1)国立・国定公園内における地熱開発に関する運用の見直しについて

(2)地熱開発に関する温泉法上の掘削許可の判断基準の考え方等について

3. 閉 会

4.議事録

自然公園等小委員会(第45回)

午後0時31分 開会

○事務局(清武) それでは、定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会自然環境部会自然公園等小委員会を開催いたします。

 本日はお忙しい中、当審議会にご出席いただきありがとうございます。

 会議に先立ちまして、出席委員数のご報告です。本日は、所属委員の臨時委員9名のうち、WEBでのリモート参加も含め、8名の方のご出席をいただいておりますので、本委員会は成立しています。なお、新型コロナウイルス感染症対策として、中央環境審議会においては、当面の間、WEB会議システムによる参加についても「出席」とみなすこととなっておりますので、ご理解・ご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、本日の会議運営につきましてご説明いたします。傍聴につきましては、会場での傍聴は行わず、傍聴用のWEB会議システムを用意し、傍聴できるようになっております。本日は、報道機関関係者の方を含め35名程度の方がWEB会議システムにて会議を傍聴されております。ご承知おきください。また、本日、ご説明する資料につきましては、会場にお集まりの先生方に対しては、お手元のタブレット端末の中に格納し、リモート参加の先生方に対しては、事前にメールにて送付させていただいております。タブレット端末の不具合などございましたら、事務局の者にお申しつけください。なお、リモート参加の先生方におかれましては、差し支えない範囲で結構ですので、常時、ビデオボタンはONにし、先生のお顔が見られる状態にしておいていただけますと幸いです。

 それでは、自然環境局長の奥田からご挨拶申し上げます。

○自然環境局長 皆さん、こんにちは。自然環境局長の奥田でございます。7月に鳥居の後任として着任しておりますけども、今回、私が着任してからは初めての小委員会なので、改めてよろしく申し上げたいと思います。

 本日は、お忙しい中を中央環境審議会の自然環境部会自然公園等小委員会にご出席いただきまして誠にありがとうございます。また、日頃からの環境行政のご支援、ご指導を改めてお礼申し上げたいと思います。

 本日の小委員会では、雲仙天草国立公園・雲仙温泉園地事業の事業決定、この区域の変更についてご審議をいただくということでございます。

 私自身、個人的ではありますけど、6月末まで長崎におりまして雲仙にも足しげく通いましたが、8月にご承知のとおり大規模な豪雨によって大きな災害を受けたこと、私も本当に心を痛めております。犠牲になられた方へのお悔やみと被害に遭われた方々へのお見舞いを申し上げたいと思います。

 国立公園関係では、利用地域の核心部である八万地獄周辺、この付近で大きな土砂崩れがあったわけでございますけれども、周辺の旅館まで土砂が押し寄せると、また、温泉配管が破損するといった形で大きな被害が生じております。

 災害復旧に向けては、環境省でも長崎県、雲仙市と連携して取組を進めてきておりまして、八万地獄の進入路の土砂の撤去や土のうの設置、応急的な温泉配管などを行ってきたところでございます。

 一方で、雲仙では、被災前から地元自治体と一体となって国立公園上質化事業などを活用して、観光地としての魅力向上の取組が進められてきたところでございます。

 今回の諮問内容は、このような背景も踏まえて、山側斜面も園地に組み込み、被災した園地と背景地を一体とした景観の整備・利用環境整備を行うものとなっております。

 限られた時間ではございますけれども、本日も忌憚のないご意見をいただきますよう、よろしくお願い申し上げて、最初のご挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○事務局(清武) それでは、環境省で7月に人事異動がございましたので、環境省の出席者についてご紹介いたします。

 今ほどご挨拶申し上げました、奥田自然環境局長。

 松本大臣官房審議官。

 本日は、リモート参加になりますが、関谷総務課長。

 熊倉国立公園課長。

 岡野国立公園利用推進室長。

 北橋温泉地保護利用推進室長。

 以上になります。

 ここからの議事進行につきましては、下村委員長にお願いいたします。下村委員長、よろしくお願いいたします。

○下村小委員長 皆さん、こんにちは。お忙しいところご参集いただきまして、ありがとうございます。

 この後、続いています合同小委員会まで、あまり時間もありませんけれども、今回、今、局長からご紹介がありましたとおり、事故案件ということで、取り急ぎ審議を了承していただく必要があるということで、ご参集をいただくことになりました。

 審議のほど、よろしくお願いいたします。

 それでは、早速ですけれども、議事次第に従い進めさせていただきます。

 会議資料につきましては、これまで同様、公開となります。

 また、会議録は後ほど事務局で作成し、本日ご出席の委員の了承をいただいた上で公開することになります。

 なお、議事要旨につきましては、私、委員長が了承した上で公開するということですが、最近、あまりやっていないみたいなので、また事務局と検討させていただきます。

 今回の議事としては、事業決定に関するものとなります。

 それでは、議事について、一通り事務局から説明をお願いした後に、まとめてご質問、ご意見を伺うことにしたいと思います。

 事務局より説明をお願いいたします。

○事務局(内海) それでは、事務局のほうから本件についてご説明をさせていただきます。

 それでは、議事(1)につきまして、資料3を使用してご説明をさせていただきます。

 今回は、雲仙天草国立公園、雲仙温泉集団施設地区にございます、雲仙温泉園地の事業決定区域の拡張に係る諮問でございます。

 雲仙温泉集団施設地区は、温泉利用や仁田峠の自然風景鑑賞、普賢岳登山などの雲仙地域の利用の一大拠点として、宿泊施設や園地、ビジターセンターなどが整備をされています。令和元年度には124万人の観光客が訪れ、特にこちら八万地獄は、雲仙への来訪者の大部分が訪れる重要な観光地になっております。

 令和3年8月13日、連日の大雨により八万地獄の上部斜面が崩落し、土砂等が国道57号まで流下をいたしました。その崩落後の写真が画面に投影している写真になります。写真手前側が国道になっております。土産物屋、飲食店、ホテルの建設現場、温泉引湯管等、民間の施設や園地にございました展望台、遊歩道、東屋、公衆トイレなどの公園施設が被災をしました。

 八万地獄では、令和元年に雲仙市が策定した集団施設地区上質化計画に基づきまして、景観上の課題でございました廃屋の撤去や温泉引湯管の整理等に向けた取組が進められてきました。今、投影している画面の右側の写真にもある、カフェですとか、温泉引湯管については上質化事業の取組が進められていたのですけれども、そちらも温泉引湯管埋没、そしてカフェも全壊をいたしました。

 現在、今回追加する斜面区域を含めた八万地獄全体の一体的な再生に向けて、国・県・市・民間の連携体制の更なる強化を図り、各種事業を迅速に進めているところでございます。

 今回は、画面左側の区域図のとおり、山側斜面を含め、現在の29.1ヘクタールから4.9ヘクタール拡張した34ヘクタールへ事業決定区域を変更するものとなっております。

 八万地獄については、単なる現状復旧にとどまらず、観光客の安全確保と併せ、被災前より取り組んでいた温泉引湯管の整理などを従前以上に雲仙温泉地区の価値を高める「創造的な再生」に向けて関係機関が連携をして取り組む予定でございます。創造的な再生に当たりましては、関係者間における議論・検討に加え、上質な利用拠点づくりの観点から、八万地獄全体の「ランドスケープデザイン」を導入する予定でございます。

 今回拡張する事業区域では、崩落した箇所を中心に長崎県においてランドスケープデザインに基づく安全対策を兼ねた植生復元が行われる予定です。これに加え、イメージ図にもございますように、環境省や雲仙市と連携した事業実施が予定をされています。

 なお、植生復元につきましては、九州地方環境事務所と長崎県で協議の上、環境に配慮した工法とする予定です。

 また、安全面につきましては、専門家の方に意見を求めつつ、地元とも協議をしながら検討を進めていく予定でございます。

 以上で、事務局からの説明を終わります。

○下村小委員長 ありがとうございました。

 雲仙の事故というか災害に基づく事業区域の変更ということになります。

 ただいまのご説明について、ご質問、ご意見をお願いしたいと思います。

 会場にお集まりの委員におかれましては名札を立てていただいて、それからリモート参加の委員の皆様におかれましては、WEB画面の参加者リストの自分のお名前の横に表示されている挙手ボタンで挙手をしていただければと思います。

 いかがでしょうか。ご意見、ご質問ございますでしょうか。

 それでは、愛甲委員は挙手されたんですね。

○愛甲委員 ランドスケープデザインが、具体的にはどういう内容なのかというのを教えていただきたいのと、植生復元についてもどういう方針であるのかというのを、今の段階で決まっているものがあれば、教えていただけますでしょうか。

○下村小委員長 それでは、中静委員、お願いします。

○中静委員 私も似たようなことなんですけど、こういう場所はもう一回災害が起こる可能性があると思うんですけど、その辺の評価はどうなっているのかということです。

○下村小委員長 ほか、何かご意見ございますか。

 苅谷委員、どうぞ。

○苅谷委員 ありがとうございます。

 今もご質問ありましたけれども、今後起こり得る土砂災害について、どのようなお考えを持っているのかということ。

 それから、これは次回からの要望ですが、資料3の2ページにあります、追加範囲を示した地図がございますけれども、これには今回どこが崩れて被災したのかということが入っていないので、何を根拠にこの追加範囲が決められたのかということをちょっと判断できないということがありますので、これは要望であります。

 以上です。

○下村小委員長 ほかはよろしいでしょうか。

 それでは、事務局、お願いします。

○事務局(内海) ご質問いただきましてありがとうございました。

 まず、愛甲委員のご質問から回答させていただきます。

 まず1点目、ランドスケープデザインの内容についてご質問をいただいたところかと思うんですけれども、そちらにつきましては、現在、地元のほうで災害復旧に係る地元行政連絡会議というものを開催しておりまして、その場でも話し合われているのですけれども、雲仙市中心に現段階では検討中というところになっていまして、まだ関係者間での合意形成の途中ということになっております。というところが、まず1点目の回答になります。

 2点目なんですけれども、植生復元の方法について現状の予定というところなんですけれども、こちらも事業決定区域の拡張の後に、長崎県のほうで、どういった工法がいいかということを調査・検討をする予定でございます。そこで専門家のご意見も聞きつつ、また、景観という観点から地域の雲仙市ですとか、下部の園地を管理している環境省とも協議をしながら進めていく予定であります。

 ただ、環境配慮につきましては、九州地方環境事務所と協議の上、進めていく予定ですので、環境や景観に配慮した形にはなってくるかなというところでございます。

 もし、現段階で九州地方環境事務所から補足があればよろしくお願いいたします。

○九州地方環境事務所 九州地方環境事務所の家入でございます。

 ランドスケープデザインについては、今、内海係長のほうからお答えいただいたとおりで、環境省、長崎県、雲仙市で行政復興連絡会議というのを2週間に一度程度開いておりまして、その中で上質化事業で雲仙市さんが中心となって、取りあえずランドスケープデザインをまとめようということで動いているところでございます。

 内容については、またこれから詰めていくことでございますけれども、植生の復元方法や周辺をどのように活用させていこうとか、そういう面も含めた形で考えていこうとは思っているところでございます。

 以上です。

○事務局(内海) 九州地方環境事務所、家入さん、ありがとうございました。

 愛甲先生、今の時点でいかがでしょうか。

○愛甲委員 ありがとうございます。理解できました。

○事務局(内海) ありがとうございます。

 それでは、中静先生のご質問について回答させていただきたいと思います。

 今後、同じ場所で崩落等が起こるのではないか、評価をどうしていくのかというご質問だったと思います。

 こちらにつきましては、先ほど愛甲先生からのご質問で回答しましたとおり、長崎県においてこの後、地質の調査を行う予定ですので、崩れやすさの詳細につきましては、その調査にて評価をしていく予定になっております。

 また、長崎大学のジャン教授から、当該箇所からさらなる大規模崩落の可能性は少ないが、今後の降雨等によって崩落箇所周辺の不安定な土砂がずり落ちていく可能性はある旨のコメントはいただいています。ただ、そちらにつきましても、まだ詳細に現地調査をしているわけではございませんので、長崎県の調査の結果を踏まえて評価をしていく予定でございます。

○中静委員 評価によっては、区域が変わる可能性もあるということでいいんですか。それとも、それはまたもう一回、考えるということなんですか。

○事務局(内海) 基本的に今回の調査範囲につきましては、現段階での崩落箇所を予定しております。今回の崩落箇所につきましては、実質、多めに取っても0.9ヘクタール以下になっているんですけれども、今回の崩落箇所だけを入れるというよりは、八万地獄の一体とした景観として捉えるために、広めに事業の範囲は捉えているところでございます。

○中静委員 分かりました。

○事務局(内海) ありがとうございました。

 最後、苅谷委員からご質問いただきました、今後、被災をした場合にどうしていくのかというところでありますが、今回、事業決定区域、最初は現崩落箇所の0.9ヘクタール以下というところで、拡張を考えていたんですけれども、先ほど申しましたように、今後、地質の調査もございますし、苅谷委員ご指摘のように、今後、被災がどういった場所へどのように起こるかも分からないというところもございますので、それも将来の可能性として否定できないというところも視野に入れて、事業決定区域も広めに取っているところでございます。

 ただ、現在のところにつきましては、現段階で崩落した箇所の復旧ですとか、どういった地質の性質かの結果によって、それが生じたのかというところをまず分析していく、現状、起こったことを分析していくというところが一番最初に取り組むところかなと考えております。

 以上になります。

○国立公園課長 補足させていただきます。国立公園課長です。

 資料3の2ページ目ですけれども、赤い字で追加する範囲でございますが、これが大体約5ヘクタールでございますけれども、崩落した箇所、1ページ目の写真がありますけれども、これが0.9ヘクタール程度ということなので、この赤い範囲内の真ん中ぐらいのところ、5分の1ぐらいの範囲が実際崩落した箇所になります。かなり、今回、多めに範囲は取ってございます。

○苅谷委員 ご説明ありがとうございました。

○下村小委員長 ありがとうございました。

 今回、今、ご説明がありましたとおり、実際に崩落した周辺だけではなくて、ご専門の先生にも地質関係の先生に相談しながら、少し可能性も含めて事業区域として広めに設定をすると。その後、しっかりした調査を踏まえて、今回の対応の事業を起こすということのようですので、これを機会に周辺の調査をする、あるいは事故の部分をしっかりカバーするというようなことで進めるというのが事務局のお考えのようです。

 それで、現に現地では、先ほどご説明がありましたとおり、頻度が高く検討が進められているということのようですので、ここでは追加する事業範囲のご承認をいただくということでございます。

 よろしいでしょうか。何か追加のご質問、ご意見等ございますでしょうか。

(なし)

○下村小委員長 よろしいでしょうか。それでは、この議題(1)雲仙天草国立公園の公園事業の変更についてということにつきましては、諮問に添付された変更書のとおりとすることによろしゅうございますでしょうか。

(異議なし)

○下村小委員長 それでは、お認めいただいたことといたします。

 審議へのご協力をありがとうございました。それでは、進行は事務局にお返しいたします。

○事務局(清武) 下村委員長、ありがとうございました。

 委員の皆様におかれましても、審議いただきありがとうございました。

 本日は、この後引き続き自然公園等小委員会・温泉小委員会合同会議(第2回)に移りたいと思います。そちらの会議は、13時から開催いたしますので、それまで休憩とさせていただきます。ありがとうございました。

午後0時54分 閉会

自然公園等小委員会・温泉小委員会合同会議(第2回)

午後1時02分 開会

○事務局(清武) 定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会、自然環境部会自然公園等小委員会・温泉小委員会合同会議(第2回)を開会いたします。自然公園等小委員会の先生方におかれましては、引き続きよろしくお願いいたします。

 本日はお忙しい中、当審議会にご出席いただきありがとうございます。

 会議に先立ちまして、出席委員数のご報告です。本日は、所属の委員、臨時委員9名のうち、WEBでのリモート参加も含め、8名の方のご出席をいただいておりますので、本委員会は成立しております。なお、新型コロナウイルス感染症対策として、中央環境審議会においては、当面の間、WEB会議システムによる参加についても「出席」とみなすこととなっておりますので、ご理解・ご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、本日の会議運営につきましてご説明いたします。傍聴につきましては、会場での傍聴は行わず、傍聴用のWEB会議システムを用意し、傍聴できるようにしております。本日は、報道機関関係者の方を含め35名程度の方がWEB会議システムにて会議を傍聴されておりますので、ご承知おきください。また本日、ご説明する資料につきましては、会場にお集まりの先生方に対しては、お手元のタブレット端末の中に格納し、リモート参加の先生方に対しては、事前にメールにて送付させていただいております。タブレット端末の不具合などございましたら、事務局の者にお申しつけください。なお、リモート参加の先生方におかれましては、差し支えない範囲で結構ですので、常時、ビデオボタンをONにして、先生のお顔が見られる状態にしておいていただけますと幸いです。

 それでは、自然環境局長の奥田からご挨拶申し上げます。

○自然環境局長 こんにちは。自然環境局長の奥田でございます。

 本日は、お忙しい中、自然公園等小委員会・温泉小委員会の合同会議にご出席いただきまして誠にありがとうございます。自然公園等小委員会の皆様には引き続きの会議になり恐縮ですけれども、ここから温泉小委員会の皆さんにもご参加いただいておりますので、よろしくお願いします。

 前回が6月28日の会合ということで、実は、私自身は7月1日に鳥居の後任として自然環境局長を拝命しております。改めまして、先生方の皆様にはよろしくお願いを申し上げたいと思っております。

 前回会議で既に、自然公園法と温泉法の運用見直しについて、有識者による検討会を7月に立ち上げるといったことでご議論を開始していただいたというふうに承知しております。ご承知のとおり、2030年に46%の削減を目指して、政府が一丸となって自然エネルギーの推進ということは進めなければいけないという中で、我々としても最大限、限られた資源ではありますけれども、そういうソースは生かしながら、自然と調和した再生可能なエネルギーの活用、脱炭素社会を目指すということは進めていきたいと思っております。

 そういった中で、本当に検討会の先生方には熱心なご議論をいただきまして、また、小委員長であられる下村先生にも、この検討会で取りまとめを行っていただきまして、本当にありがとうございました。お陰様で検討会での合意というのを先般いただきまして、これを踏まえて、地熱開発の加速化が必要な状況でありますので、温泉や自然環境保全と両立しながら、また、地域の合意も得ながら、地域共生型の地熱開発、こういったものを推進していきたいと、そのために必要な見直しはやっていきたいというふうに考えています。

 本日は限られた時間ではございますけれども、運用の見直しの今後の実施に向けて、温泉や自然環境保全と地熱開発が、これが本当に調和する形で、どちらにとっても地域に貢献できるような方向性が示せればありがたいと思っておりますので、そういった観点から、忌悼のないご意見を賜りますように、よろしくお願い申し上げて、私のご挨拶とさせていただきます。本日はよろしくお願いいたします。

○事務局(清武) それでは、環境省で7月に人事異動がございましたので、環境省の出席者について紹介いたします。

 今ほどご挨拶いたしました、奥田自然環境局長。

 松本大臣官房審議官。

 本日は、リモート参加になりますが、関谷総務課長。

 熊倉国立公園課長。

 佐藤自然環境整備課長。

 岡野国立公園利用推進室長。

 北橋温泉地保護利用推進室長。

 それでは、ここからの進行は下村委員長にお願いいたしたいと思います。下村先生、よろしくお願いいたします。

○下村小委員長 はい、皆さん、こんにちは、下村でございます。

 お忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございました。また、自然公園小委員会の委員の皆様におかれては、継続しての審議でございますけれども、よろしくお願いいたします。

 先ほど、奥田局長からご紹介がありましたとおり、今日の議題に関連しては、前回のこの合同小委員会以降、「地熱共生型の地熱利活用に向けた方策検討会」という場をお借りしまして、そこの場で、非常に短期間ではありますけれども内容の濃い議論をしていただきました。この両小委員会のメンバーからもご参画をいただいておりますし、それから、何より事務局が非常に調整にご尽力されて、今日何とかご報告できる状態になったということは、非常に私としてはありがたいなというか、感謝を申し上げたいというふうに思います。

 大変難しい課題でございまして、地熱利用という、これから国のほうで推し進めていかなければいけない命題と、それから地域社会、あるいは地域の自然環境との折り合いをどうつけていくかという、とても難しい課題でした。それを、しかも2か月強というか、3か月余りで、3回の審議会でご議論をいただくという、非常に難しい議論だったというふうに思います。

 法律自体も、自然公園法と温泉法の両者に関わってきておりましたし、それから、実際にそれを、いかに許認可するかというのも、国立公園につきましては国になりますし、温泉のほうにつきましては都道府県ですね、自治体ということになって、それぞれ違った仕組みの中で認めていかなきゃいけない、調整をしていかなきゃいけない問題を、いかに同じ場で議論していただくかということになります。後でご報告いただきますように、何とか折り合いをつけた案を今日ご説明して、ご審議いただけるということになりましたので、ぜひ、さらによりよいものにしていきたいというふうに思いますので、ご審議のほどよろしくお願いいたします。

 ちょっと、取り留めなく、長くなりましたけれども、本当に私としてはうれしい限りでございまして、まずは事前に感謝を申し上げて、今日紛糾しちゃうとまた困るんですけれども、事務局からのご報告、ご説明に入っていきたいというふうに思います。

 それでは、議事に従いまして進めさせていただきたいと思います。議事録につきましては、後ほど事務局で作成いたしまして、本日ご出席の委員の了承をいただいた上で公開することになります。

 今回の合同会議の議事は、議事(1)が、国立・国定公園内における地熱開発に関する運用の見直しについて、そして議事(2)としては、地熱開発に関する温泉法上の掘削許可の判断基準の考え方等について、ということの2件になります。

 それでは、まず議事(1)の自然公園法に関連する問題から、事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○国立公園課長 国立公園課長、熊倉でございます。

 資料1、自然公園法関係のご説明を最初にいたします。下村小委員長からお話がありましたように、前回の合同小委員会の後、地熱検討会を設置いたしまして、地熱の専門家、地熱の関係事業者、それから自然環境や温泉の関係者の方々を交えて、ご議論を計3回していただきまして、内容を取りまとめたものをこれからご報告したいと思います。

 資料1-1が、今画面に出ています概要でございます。自然公園法の規制の運用については、いわゆる「地熱通知」という平成27年に発出したものがベースになっておりますけれども、これの一部改定という形で取り組みたいと考えてございます。概要では、今回の話の発端になっています内閣府、河野大臣の再エネ規制改革タスクフォースで取り上げられた項目で、6月に規制改革実施計画に掲げられているもの、その結果をまとめてございます。

 一つ目は、国立・国定公園の地熱開発に関する基本的考え方の整理というものでございます。今回、考え方の筆頭として、自然環境の保全等の配慮を前提として、優良事例を容認し、地域と共生した地熱開発を積極的に進める旨を記載するというふうにしたいと思っております。一方、従来からございます自然環境保全上重要な地域では認めない旨の記載は、記載は維持しつつ、「ただし書き」として書くと。最初に、この積極的に進める旨が出てきて、2番目にこの保全の話が出てくるという順番でございます。

 それから、第2種・第3種特別地域についての記述でございますけれども、現在、「原則として認めない」という記載がございますけれども、これを削除いたしまして、どのようなものについて認め得るかと、認め得るものについて列挙していくというスタイルに改めたいと考えてございます。具体的には傾斜掘削、地域共生の優良事例、地産地消型で小規模なものといったようなものを列挙していく形でございます。

 それから、大きな二つ目でございます。調査段階では、最終的な発電所の詳細計画がまだできていないというお話がございますので、その段階では提出を不要とするという運用に改めるものでございます。

 その次は、傾斜掘削、地下掘削の話でございまして、特別地域内でのその長さが極めて小さいものについては許可手続きを一層迅速化していくという内容でございます。

 それから、許可基準・審査要件の明確化でございます。これは、地熱通知に「解説」というものがもともと付いておりまして、その中に、地域の合意形成であるとか立地選定等について事例を追加して充実させたというところがございます。また、傾斜掘削に係る判断の際に、その拠り所となるものとして既存の指針を挙げて、これを見ながら審査をすれば、効率的にできるのではないかというものを提示してございます。以上が概要になります。

 それでは、続いて地熱通知本体のご説明をしたいと思います。資料1-2が見え消し版ですが、資料1-3が新旧対照表になっていますので、こちらでご説明いたします。

 左が新で、右が旧でございます。最初に「基本的な考え方」がございます。冒頭申し上げましたように、筆頭に立地や設計で配慮等を行うことを前提とし、地域との共生も図られている優良事例については認めることとすると。また、小規模なものについても認めることとするとありまして、自然環境保全と両立し地域と共生した地熱開発の取組を積極的に進めることとするというのを冒頭に書いてございます。

 そして、従来、旧のところでもともと書いてありました「自然環境保全上重要な地域等では原則として認めない」という記述は、新では(2)ただし書きという形で場所を変えまして、ただ、文章としては維持をすると。特別保護地区・第1種特別地域については、厳に認めないという点についても堅持をしたいと考えてございます。

 基本的考え方にはあと二つ追記がございまして、一つは(3)に、改正地球温暖化対策推進法、今国会で成立したこの新しい制度を活用した取組について追記をしています。続いて(4)でございますけれども、これは申請側、事業者側と審査側、公園当局の協議をしっかりしていこうということでありまして、案件形成段階の早期に協議を行うことを前提として、支障のない適地への誘導、環境保全への配慮等に関して早期に助言・指導すると、これによって事業の予見可能性が高まって、手戻りのない、効率的かつ円滑な検討・実施がされるのではないかということで追記をしてございます。

 次のページ、2.でございます。これは地種区分ごとに審査の考え方を示したところでございますが、特別保護地区・第1種特別地域については認めないという記述は変更ございません。ただ、第1種特別地域については、地表部に影響がない傾斜掘削は従来より認めているところですけれども、その地表部に影響がないという判断の拠り所として、イのところに「既存の地熱井掘削に関する指針を参考に適切な坑井の掘削・施工や定期的な検査等を行うよう指導する」という記述を追加してございます。

 次のページは第2種・第3種特別地域でございます。冒頭申し上げましたとおり、筆頭にありました「第2種・第3種特別地域については、原則として地熱開発を認めない」というところが削除になっていまして、従来イだったものをアに繰り上げた形にしています。で、ア以下が認めるものを列挙していくという形になりまして、アが傾斜掘削について、地表への影響のないものについて個別に判断して認めるというものでございます。そして、本当にかすっているようなものについては、「許可手続を一層迅速に進める」というのを追記してございます。

 それから、新のイのところが優良事例についての記述になります。優良事例の取組としてポツが並んでおりますけれども、地域協議会など、その合意形成の場の構築というところに、後ほど出てきます温泉の関係で、地熱貯留層単位で評価するということになっていますので、その関係自治体を含むというふうに記述を変えてございます。また、自然環境配慮につきましては、とりわけ立地選定が重要だということで「自然環境に配慮した立地選定」というのを加えてございます。また、専門家について「野生動物」を追加してございます。

 それから、下のほうに温泉ガイドラインについての記述がございます。今日、議題(2)の温泉の話で、ガイドラインにのっとって地域の合意形成を進めていくというご説明をいたしますけれども、自然公園も自然環境も、同じような土俵で議論されることが効率的であろうと、二つ協議会ができるのは非効率であろうということで、一体的に実施されることが効率的である旨を記述してございます。

 続いて、ウでございます。ここは、優良事例は段階的に取り組んでいくというところでございまして、先ほど申し上げましたように、調査段階においては最終的な具体的レイアウトは不要ということを記述してございます。

 そして、エでございますけれども、これは地産地消型とかバイナリー発電とか小規模で風致景観等への影響が小さなものは認めると、これは従前からある記述を書き下したものでございます。通知本体は以上でございます。

 続いて、解説でございます。非常に大部になりますので、ちょっと飛ばし飛ばしで恐縮でございます。

 最初に8ページ、優良事例の基本的考え方のところで、地域の合意形成や地域貢献について記述を追加しています。初期調査段階では必ずしも協議会の設置はされていないが、掘削調査段階ではほとんどのケースで協議会を設置している等の説明を盛り込んでございます。

 それから11ページ、通知本体にも記述をいたしましたけれども、立地選定段階における環境配慮というのは極めて重要ということで、14ページに、そういった立地の環境情報を入手するための環境アセスメントデータベースのような情報源であるとか、景観配慮の様々なパターンを示したNEDOのマニュアルについて、参考となるということで紹介をしてございます。

 それから19ページ、立地選定段階の環境配慮の例ということで、幾つかケーススタディを追加しておりまして、自然度の高い場所ではなくて、比較的自然度の低い場所に立地を選定するという取組をした例でありますとか、21ページ、公園利用者が多い山頂や登山道といった主要展望点から眺望されるような場所ではなくて、眺望しにくい場所に立地選定したという例、それから次の22ページ、地表面への影響を避けるために傾斜掘削の手法を採用した例といった事例を追加しまして、優良事例の検討の参考としていただきたいと考えてございます。

 それから、あと幾つかいろいろ追記をしてございますが、41ページまで飛んでいただき、モニタリングの重要性については、従来から優良事例の取組の一つとして取り上げてございますけれども、幾つかの追記をしています。例えば、画面真ん中辺りですが、災害時の施設運営であるとか、事業廃止時の施設の撤去(井戸の埋戻し等)についてもあらかじめ想定しておくことが望ましいという記述を追加してございます。

 あと、最後になりますが、45ページ以降に、優良事例の全体的な事例を二つ追加してございます。平成27年以降、環境アセスが進んで、実際にアセスが終了している案件も出てきておりますので、そういった取組というのを参考にしていただくことは有用かなということで追加をいたしたところでございます。

 以上が事務局からのご説明になります。ご審議、どうぞよろしくお願いいたします。

○下村小委員長 ご説明ありがとうございました。

 国立・国定公園内における地熱開発に関する運用の見直しについてということで、地熱開発の取扱いについてという通知と、それの解説を変更するという形で対応したという説明でございます。ご質問・ご意見を伺ってまいりたいと思います。

 ただ、時間に限りもありますので、ご発言の際は要点を絞って、1回にまとめてご発言いただくようお願いいたします。いつものように会場にお集まりの委員の皆様は名札を立てていただいて、リモート参加の委員の皆様はWEB画面上で、参加者リストのご自身の名前の横に表示されている挙手ボタンで挙手の表示をお願いいたします。いかがでしょうか。

 今、江﨑委員から挙がっていますね。はい、じゃあ、まず江﨑委員、それから宮本委員、まいりましょう。

○江﨑委員 こんにちは、すみません。ちょっと私がダウンロードした資料1-4が何か途中までしかなかったので、今見せていただいたんですけれども、幾つか、特に、もしも止めたときの埋め戻しの件なんですけれども、解説で「望ましい」というふうに表現されている点というのが、現場ではどの程度望ましいというような指導をされるのか、今までの案件も少し教えていただきたいなと思います。というのも、実際には、本当にそこまで想定しているかどうかというのが、ちょっと心配だなと思いました。以上です。

○下村小委員長 次、どうぞ、宮本委員。

○宮本委員 はい、宮本です。2点ございます。

 一つは、地熱発電所というのは、私の知る限り東北と九州に非常に集中していると思うんですけれども、この改正によって、それ以外の地域、全国的に可能性、ポテンシャルのあるところに、発電所というのが相当増えていくというふうに環境省のほうでは予想されているのかどうかというのをお伺いしたいと思います。

 それから、もう一点は、最後のほうでご説明いただいたモニタリング計画の中で、災害については言及をなさっているんですけれども、発電所の事故とか、その他人為的な災害については、何か言及されているのかどうか、あるいは、お考えがあるのかどうかというのについてお伺いしたいと思います。以上です。

○下村小委員長 他はよろしいでしょうか。では、まず今の2点について、事務局、お願いできますか。お二人の質問ですね。

○国立公園課長 はい、ありがとうございます。

 埋め戻しの実態については、まだ、これから開発をするというところが多うございますので、実際、閉鎖している事例があまり出てきていないんだと思いますけれども、基本的に原状復旧していただくという考え方で取り組んでいますので、そこはしっかり指導していきたいと思っています。

 それから、東北・九州以外に広がるかというご質問でございますが、ポテンシャルとしては北海道とか北関東などにもあると承知していまして、今後、事業者、それからJOGMECのような機関がいろいろ調査をされていく中で、案件が出てくる可能性は十分にあるのかなと考えてございます。

 それから、モニタリングのところでございます。ここも災害とか廃止時の話を今回記述いたしましたが、もちろん事故とか人為的な災害というのも、当然、事業者としては取り組まないといけない課題だと思いますけれども、今回は自然公園法の話でございますので、なかなかそういった事故対応、電気事業法とか労働安全衛生の世界でやっているものを、あまり書くのは難しいかなと考えたところでございます。ただし、そういった事故が起こったときに地域にいろいろ被害が出るおそれというのはあるわけでございますので、地域の合意形成の議論の中で取り上げることはあり得るかなというふうに思います。

○下村小委員長 ご質問いただいたお二方の委員はよろしいでしょうか、今のご質問の回答ですけれども。

○宮本委員 宮本です。ありがとうございました。よく分かりました。

○江﨑委員 江﨑もオーケーです。

○下村小委員長 はい、ありがとうございました。他はよろしいですか。深町委員と桑野委員が立っていますかね。はい、じゃあ続いて、まずは深町委員です。

○深町委員 大変よく、いろんなことを考えながらまとめていただいていると思うんですけれども、優良事例というか、今後進めるに当たって、特に地域合意形成の部分が大事だというところが入っていると思います。合意形成をどういう段階で、誰がどういうふうにやっていくかということで、指針のところ、資料1-4に少し書いてあると思うんですけれども、なかなか、実際に事業が動き出したときに、これが合意形成されたというふうに判断したりだとか、どういう主体が、どういう形で関わっているのがいいかという、協議会があれば協議会だけでいいのかという部分も含めてなんですけれども、そういった部分については、今後どういう形で考えたり運用していくのが大事かということについて、少しご説明をお願いいたします。

○下村小委員長 それでは桑野委員。愛甲委員も挙手されているようなので、まず桑野委員、どうぞ。

○桑野委員 私も今回、非常に丁寧にご説明いただいた中で、今、深町委員のおっしゃっていただいた地域の合意、地域とともに、地域との調整ということで、非常に「地域」ということが出てくるわけですが、この辺りの合意形成の難しさであったり、あと、地域と言いながらも、いろんな優良事例を見ても、多様な地域性があると思う中で、あるエリアにおいては違うような地域の調整の在り方とか、地域の協議会のメンバーとか、その辺りも非常に多様だと思うんですが、その辺りの地域の捉え方ということもご説明いただけたらというふうに思っております。以上です。

○下村小委員長 はい、愛甲委員、どうぞ。

○愛甲委員 はい、愛甲です。

 手元にある資料1-4が11ページまでしかなくて、先ほどご説明いただいた後半のほうの、特にその優良事例の細かいいろいろな基準などについて書いてあるところについて確認ができていないところがあるというのは、皆さんもそうなのか、ちょっと分からないんですが、そこを確認したかったのが一つです。

 あとは意見として、資料1-2の冒頭のところについて、その自然環境保全の重要なところについては、ただし書きにするというふうな改正案ということで示されているんですが、ただ、それでも冒頭のところ、一番最初の文章のところでは、「優良事例については認めることにする」と書いてあるんですが、これはただし書きのところを読むと、ずっと読んでいくと、要は優良事例は第2種・第3種特別地域でのことだというふうに読めるので、私は、ここの最初の冒頭の文章の「優良事例を認める」というのは、ちょっと誤解を与える表現なんじゃないかというふうに感じたんですが、いかがなものでしょうというのが意見です。以上です。

○下村小委員長 よろしいでしょうか。それでは事務局ですが、まずちょっと資料のことについて。

○事務局(清武) はい、事務局でございます。

 申し訳ございません。リモート参加の先生につきまして、事前にメールで資料を送付していたところですが、資料1-4につきまして、途中で切れている資料を送付しているということが今判明しました。それで、資料1-4につきまして、ただいま先生方に再度メールを送らせていただこうと思います。ただし、時間が15分ほど要すると思いますので、申し訳ございません。失礼いたしました。

○下村小委員長 議論にどう反映するか、ちょっと難しいですけれども、ともかく一度送っていただく形になりますので、よろしくお願いします。じゃあ、他の質問に関しまして、事務局からお願いします。

○国立公園課長 すみません、資料1-4について、全体の送付ができていなかったということでお詫びを申し上げます。まだ、今日も時間はございますので、改めてご確認をいただければと思います。大変申し訳ございません。

 それから、優良事例の合意形成についてでございます。参考資料1を出していただけますでしょうか。改正温対法に基づく地域の脱炭素化の促進制度というところでございます。今回の議論の中で、合意形成のやり方は非常に、地域の実情によって多種多様であるというところがかなり強調された議論になっていまして、なかなか一律の、必ずこうでないと駄目だというようなものを定めることにはしてございません。そういう意味で、いろいろな事例を入れる、ないしは今後追加していくというところで相場観をつくっていくというのがやれることかなと、現段階では考えてございます。

 一方で、この温対法の仕組みは、法律上、合意形成を位置づけているものでございまして、これの活用というのを今回推奨してございます。具体的には、市町村単位で再エネの目標を定めて、再エネを進める促進区域というのを指定して、その区域内については事業者が認定申請をして、認定されれば自然公園法や温泉法も含めて認定一つで全体が許可されると、ワンストップ化されるというような仕組みでございます。

 現在、この合意形成の在り方について、別途、改正温対法の検討会でも検討が進んでおりますので、さらに深められると思いますし、あと、今日この後ご報告する温泉のほうでも、相当ガイドラインも充実してまいりましたので、そういったものを見ながら、使いながら、各地域でメンバー等々も含めて考えていただくというふうに思ってございます。

 それから、今、改正温対法のお話をしたのでついでに申し上げますと、地熱については、このスキームで今後やっていこうと、やれるところはやっていこうと思っておりますが、今後、他の再エネの種類も対象になってくる可能性があります。大規模な風力発電とかメガソーラーとか、こういった扱いについても、現在、改正温対法の検討会の中で議論されておりまして、国立公園のような自然保護区の取り扱いなども今後の審議がされていくと承知をしてございます。その点も、この小委員会でご承知置きいただければ大変ありがたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、資料1-2のただし書きのところでございます。おっしゃるように、最初に優良事例は認めることとすると書いてあるということで、特別保護地区・第1種特別地域でも認め得るんではないかという誤解を与えるというご指摘かと思いますけれども、ここはそういう紛れはないようにしているつもりでございまして、(2)で直ちに、特別保護地区・第1種特別地域は厳に認めないと書いてございますし、実際の基準の適用に当たっては、2.の地種区分ごとの取り扱いを見て判断することになっていますので、ここで明確に、特別保護地区・第1種特別地域の扱いは分かるようになっているのではないかなと。そこは誤解のないように、今後の周知の際も気をつけてまいりたいと思います。

○下村小委員長 はい、ありがとうございました。

 ちょっと、次の温泉法の問題もあって、個別に議論していくと、先ほどの合意形成のような話は、本当は核になる部分なんですけれども、個別にしか、やはり行政上議論できないところもあって、それぞれ、ちょっと言葉足らずになっているところがあると思います。

 事務局、まだ補足があるようなので。

○事務局(中山) 下村先生、ありがとうございます。

 合意形成については、まさにそのとおりで、課長からも説明したとおりですけれども、ちゃんとお送りできていない資料1-4の13ページに少し詳しく書いていまして、深町先生からお話がありましたように、協議会以外の合意形成の手段というのもいろいろとあり得るかと、段階ごとにいろんなステージがあるかなというふうに思っていまして、初期の地表調査段階では、必ずしも協議会も設置されておらず、説明会とか勉強会等で理解を深めていくと、そういったステージごとに異なる場合もあるということは書かせていただいていています。そういう事例の状況に応じて、今後も、こういうのをしっかり書いていきたいなというふうには思っているところです。

 それから、桑野委員からも、スケール感とかメンバーとか、地域性もあるんじゃないかというお話もあったと思いますけれども、協議会委員は地域の実情に応じて構成を検討するということ、それから、地熱貯留層とか影響範囲の大きさに応じて、その範囲というのも考えていくというようなところについては書かせていただいています。以上です。

○下村小委員長 いかがでしょうか。まずは、今のご回答ですけれども、よろしいでしょうか。

 それでは、牧野委員、それから中静委員。質問追加があるようです。お願いします。

○牧野委員 はい、ありがとうございます。

 先ほどの説明をいただいた中で、例えば、地域の合意形成にしてもそうなんですけれども、様々な知見が今後どんどん整備されていく中で、いろいろな決定の見直しの仕組みというのはどういうふうになっているのかをぜひ教えていただきたいと思います。

 例えば、地熱の大きさだとか分布について自然科学的なデータもどんどん充実していくでしょうし、社会もどんどん変わっていきますし、地熱に対するニーズというものも変わっていく中で、一度決定したものはもう変わらないのか、一度合意したら、それでおしまいなのか、あるいは定期的に見直していく仕組みであるのかというところを教えていただければと思います。以上です。

○下村小委員長 中静委員、どうぞ。

○中静委員 私は調査段階での発電所詳細計画の提出の不要化ということなんですけど、文面を見ると、これが、例えば配慮書とどういう関係にあるのかというところでよく分からないところがあります。もう一つは、この規定が国立公園といいますか、自然公園法には適用されるけど、その他のところには適用されないということなのかというのをちょっとお聞きしたいんですね。自然公園法の適用範囲だと省略されるけど、その他のところでは省略されないということであると、何か厳しさに逆行するような感じをちょっと受けるんですけれどもというのが疑問です。

○下村小委員長 他はご質問、よろしいでしょうか。中村委員も挙手されましたね。

○中村委員 すみません、今、中静さんが話されたので言おうかどうか悩んだんですけども、多分、文面を読む限りは、現状はオーケーのような気がするんですけど。ちょっと気になったのは、調査段階でのこの発電所詳細計画提出の不要化は、そもそも提出が必要あったから最初はそうなったんですよね。今回、不要にしたという理由が、いま一つ説明されてないように思ったので、もちろん推進するということは分かるんですけど、そこの、なぜそれまで必要とされていたものが今回は急に不要になるのかという、そのプロセスがちょっと見えなかったので、そこを教えてください。

○下村小委員長 じゃあ事務局、お願いします。

○国立公園課長 ご指摘ありがとうございます。

 最初のご質問ですね、定期的な見直しについてでございます。特に何かルールがあるわけではございませんけれども、当然、今後、案件が形成されていく中で、またいろいろ課題があれば議論はしていくというふうには考えてございますが、まずはこの内容で進めていただきたいと考えてございます。

 それから、中静先生のご指摘、中村先生もそうでございますが、調査段階での詳細計画の提出の不要化についてでございます。まず、アセスの関係で申し上げますと、この地熱通知で言っている調査の段階はかなり初期の段階でございまして、アセスはずっと後になります。配慮書の段階でも、かなり具体化する段階でアセスが始まりますので、そういう意味では矛盾は生じていないというふうに考えてございます。あと、公園法だけ省略して、他の法令に影響がないかという点についても、温泉法の許可もさらにもうちょっと後、噴気試験の段階になりますし、今回、議論になっているのは相当初期段階の話だというふうにご理解いただいてよろしいかと思います。

 そして、こういう相当な初期段階、つまり当たるか当たらないかはもう全然分からないような状態であると、どこにどれだけの規模を建てるかというのを示すのは確かになかなか難しいんだろうというふうに我々も考えました。通常、公園法の許可では、調査の申請に当たって、最終形も含めて審査するのがスタンダードなんですが、地熱開発は調査から建設まで10年以上かかるという、非常に特殊な事業形態だというのを加味して、今回、こういう取扱いにしてはどうかと考えてございます。

○下村小委員長 ありがとうございました。

 今回、その段階の話と、先ほど牧野委員からご指摘のあった次の温泉法のほうでは、順応的管理という概念なんかも入ってきまして、長い調査から整備の段階に至るまでのプロセスをしっかり見ていこうという形にはなっておりますので、次の議論もセットで考えていただくと、また、より理解していただけるのではないかなとは思います。

 いかがでしょうか、ご質問いただいた委員、よろしいでしょうか。何か追加で。

○中静委員 確認ですけど、配慮書手続がなくなるというわけではないという理解でいいんですね。

○国立公園課長 熊倉でございます。

 はい、今回の話自体は、他の法令に影響が出るものではありません。アセス法はアセス法で実施がされます。先ほど申し上げた改正温対法のスキームを活用すると、配慮書の省略というのがございますが、これを活用する・しないは、ある意味、自治体が決めることでございますので、今回の通知としては、アセスはアセスで、アセス法にのっとって実施されるということは変わりません。

○中静委員 はい、分かりました。

○事務局(清武) 申し訳ございません、環境省事務局でございます。

 先ほど、途中で切れていた資料1-4につきまして、今、リモート参加の先生方のメールにURLを送らせていただきました。ご確認いただければと思います。大変申し訳ございませんでした。

○国立公園課長 委員長、ちょっとこういう不手際があって申し訳ございませんでした。もしよろしければ、温泉の議論の後、追加で資料1-4のご意見があったらお受けしたいと思います。

○下村小委員長 はい、分かりました。

 という事務局からの設定ですので、今、先ほど来申していますとおり両方を聞いていただいたほうが、より理解が深まったり、あるいは議論もしやすいかと思いますので、議事(2)のほうに移らせていただいてよろしいでしょうか。で、その間、先ほど送っていただいた解説のほうもご覧いただければというふうに思います。

○事務局(中山) 1点だけよろしいでしょうか。

 先ほど、牧野委員からご質問のあった合意形成のところですけれども、今お送りしている資料1-4の9ページの冒頭に、その協議会の構成が公正・公平なものかどうかを確認し、その後も適切に見直していくと。継続的に、適切な運営がされているかどうかというのを見直して、フィードバックしていくということを書いていますので、ご参考までにお伝えします。

○牧野委員 ありがとうございます。

○下村小委員長 それでは、進めてまいりたいというふうに思います。

 議事(2)ですね、温泉法に関しての議論です。まず事務局から説明をお願いいたします。

○温泉地保護利用推進室長 温泉室長の北橋でございます。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、資料の2-1と2-2が温泉法のガイドラインに関するものでございまして、資料2-2が実際に都道府県宛てに通知をする予定で作っている本体でございますけれども、文章ばかりでちょっと長くなりますので、その概要をまとめました資料2-1を使いまして、ご説明させていただきたいと思います。

 まず、最初のページでございますけれども、温泉法につきましては、環境省の直轄の運用ではなくて、都道府県の自治事務ということになってございまして、前回の第1回の小委員会のほうでもご説明しておりますとおり、都道府県宛ての技術的な助言ということで、温泉法の運用にかかるガイドラインを作成してございます。今回も、そのガイドラインを参考資料2ということで改めて添付してございますけれども、そのガイドラインの一部に、今回、大規模な地熱発電に関する考え方の部分を追加するということで検討会でご議論いただきまして、取りまとめたものになります。

 もともと、従来からの地熱開発に関するガイドラインの中で、様々な許可に関する考え方ですとかシミュレーションの話、モニタリングの話、協議会の話等書き込んでおったところでございますけれども、今回は、その中でも特に地熱貯留層単位で、従来の一つ一つの掘る穴の間隔とかの関係ではなくて、貯留層単位で、しっかりと持続可能な管理をしていくというふうに考えた場合の許可の考え方ですとか、あるいは、その際の順応的管理というものにつきまして整理をさせていただきました。

 で、この表題が5番から始まっておりますのは、既存のガイドラインの第3という部分の中に、1ポツから4ポツまであったところに、5ポツとして新たに追加するというふうになってございます。さらに、その内訳といたしまして、ここに書いてありますように(1)から(4)まで分けて記載しているところでございますが、これから順にご説明させていただきたいと思います。

 まず、前提となります、この大規模な地熱開発、また、地熱貯留層単位での管理ということでございますけれども、下に絵が映っておりますが、そもそも温泉帯水層、一般にいう浴用温泉等で利用されております温泉帯水層と、地熱発電で使います、より大深度のほうにある、地熱貯留層という呼ばれ方をしておりますけれども、熱水等があるものというのは、位置的に言えば、一般的には離れているということでございますけれども、いろんな調査によって、それぞれの状況とか間の地質的な構造なんかをしっかりと見ていくということが大事であろうということでございます。

 今回、従来のガイドラインの考え方に加えまして、大規模な地熱開発ということで、新たに1章を立てておりますけれども、右下のほうに書いてございます、その大規模な地熱開発の定義は、環境影響評価法におけるアセスメントの対象となる発電規模としての第1種事業の1万kW以上、それから、第2種としての7,500kW以上ということで整理をしているものと、もう一つ、併せまして、同一貯留層に生産井を2本以上掘りたいという計画を立てているものにつきましても、ここでいう大規模な地熱開発というふうに位置づけて整理をしておるところでございます。

 で、ご承知のように地熱発電、特に大規模なものにつきましては、一般の浴用温泉の利用よりも非常に大きな熱水の利用があることから、従来の考え方とは別に、今回、整理をさせていただいたというところでございます。

 次のページをお願いいたします。

 第1回の小委員会でもご説明させていただきましたように、今回、議論のきっかけとなっていますタスクフォースの中でも、温泉法における離隔距離規制ですとか本数制限の撤廃について求められていました。これにつきまして検討会のほうで議論した結果、以下のように取り扱いたいということでございます。

 まず、先ほど申しましたように地熱貯留層単位という考え方を導入することで、従来からの周辺の既存の源泉利用者等に影響を与えるかどうかという考え方だけではなくて、その対象となる地熱貯留層を、しっかりと科学的にシミュレーション、モデリング等によって把握することで、持続可能な形で管理をしていくんだという、そういうふうな管理の仕方を、この地熱貯留層についてしっかりと立てていくということを求めてございます。

 それにつきまして、温泉法の掘削許可を都道府県において行う際に、事業者のほうで申請を行うわけでございますけれども、その際の添付書類といたしまして、真ん中、上のほうになります、「全体計画」というものを作成すべきだというふうに整理をしてございます。この中では、周辺の温泉・地熱事業者への影響予測、あるいは、そもそもの発電所の規模とか、周辺の温泉地を含めたモニタリング計画などに加えまして、温泉法の審査内容そのものではないんですけれども、同時並行的に、先ほど公園法の話がございましたけれども、自然環境等への影響評価の話が同時にあることも踏まえて、これらの影響予測につきましても含めておくことが望ましいというふうに記載をしてございます。

 で、こうした科学的推定と全体計画を作成する中で、地熱貯留層単位で、しっかりと持続的、持続可能な利用をするということを前提といたしまして、この計画に基づいた掘削につきましては、離隔距離規制、あるいは本数の制限というのを設けないこととすべきであるというふうな整理にしてございます。これらにつきましては、右下に地熱発電にかかるいろんな段階が書いてございますけれども、先ほど申しましたように、本来、温泉法の掘削許可申請に、この全体計画というのを添付書類というお話をしましたが、この絵の中で言えば、温泉法のこの許可申請というのは、ちょうど右3分の1ぐらいになりますか、生産井というものを、いわゆる本格的に開発を進めますよというアセスなんかも全部終了した段階で行われるということが想定されます。

 しかしながら、ちょっと右上の点線で囲っているところでございますけれども、実際にはその前のいわゆる調査井、噴気試験を行う場合も、それも許可申請の対象となってくるものでございますから、その際には、まだ、いろんなシミュレーションモデルとかで全体計画を立てるに足りるだけのデータはそろってない状態ではありますけれども、それに代わって、その段階で得られている様々なデータをフル活用して、影響予測ですとかモニタリング計画を作成していただいて、それを申請書に添付書類としてつけておくことが望ましいというふうに整理をしてございます。こうしたことで、温泉法の許可におきまして、地熱貯留層単位でしっかりと管理をしていくということを担保しようというものでございます。

 次のページをお願いします。

 先ほど申しましたように、この全体計画に基づいた運用の中では、個別の離隔距離、掘る穴同士の距離の規制ですとか、そういったものをなくそうということでございますけれども、そうした場合に、やはり温泉等の影響がないかどうかということはしっかり見ていく必要があるという中で、従来の井戸と井戸との距離ではなくて、それぞれの温泉滞水層と地熱貯留層がどれぐらい離れているかということをしっかりと科学的に確認していく必要があるだろうということでございます。

 当初、適切な離隔距離というような言い方をしてございましたけれども、実際、検討会で各分野の専門家の先生方を含めましてご議論いただく中で、数値として示していくというのはなかなかやはり難しいと、日本全国いろいろな地質構造がある中で、数字で示すのは難しい。けれども、やはりいろいろ探査技術が進歩していく中で、ちゃんとその場所、その場所でデータをそろえていくことで、地質構造ですとか、水理構造のデータがあれば、しっかりと温泉帯水層と地熱貯留層が分かれているということは言えるだろうというような議論があったところでございます。

 いずれにいたしましても、こうした科学的データをそろえまして、各都道府県の温泉審議会等におきまして総合的に判断いただくことで、この温泉帯水層と地熱貯留層の関係性を、外縁同士が離れているかどうか、間の地質構造がどうなのかというようなことをしっかりと見ていただくことで、地熱開発が温泉事業者等に影響を与えないということを担保していこうというものでございます。

 で、ちなみに、先ほどの公園法の審議の中でも、いろいろと地下の構造というのは難しいところがあるというお話がございましたけども、やはり様々な調査が進んでいく中で、新しいデータが積み上がっていくものでございますので、こうした地質構造等の推定におきましても、調査が進む段階ごとに、それぞれの最新情報を用いて、その場、その場で最新の情報把握をしていくということが必要であろうというふうに考えてございます。

 次をお願いいたします。

 で、モニタリングと順応的管理ということでございます。従来より、この温泉、地熱のガイドラインにおきましては、モニタリングの重要性ですとか、あるいは、そのデータを踏まえました協議会等における地域合意の推進ということにつきましては、重視をして記載をしておったところでございます。今回、そこに加えまして、順応的管理という言葉でもって、運用開始後のことについても記載を充実させてございます。

 まず、運転開始前の状況でございますけれども、いろんな調査段階におきましても、あらかじめ科学的根拠に基づいた資源の持続可能な利用を前提とした調査計画を立てておくということを求めておりますほか、実際にそこに、そういったデータに基づいて全体計画を立て、それから、様々な許可等が進んで運転が開始された後も、その地熱発電所の運転状況に関するデータはもちろんなんですけれども、周辺の既存温泉をはじめとした周辺の情報に関する各種のモニタリングをしっかりと実施して、そのデータを協議会等で共有、意見交換を行うことによって、何か影響があれば、それを評価して、地熱発電所の運転、あるいは、その全体計画に反映させていくというようなことが重要ですと。それを順応的管理というふうに名づけて、求めていくということを盛り込んでございます。

 また、地域合意の重要性というのは、改めて申し上げるまでもないところでございますけれども、今回、合意形成推進のために協議会の枠組みで、あらかじめ次のようなことを定めておくべくではないかということで、①から③まで書いてございますけれども、既存温泉に著しい変化が、温度ですとか成分とかですね、変化が生じた場合に、まず、原因究明前の当面の対応方針というのをどういうふうにするのかということが一つ。

 それから、原因調査及び確認の仕組みをどうするのかということ、さらに、その結果によって影響が確認された場合の補償の在り方も含めた対処方針というものを協議会の中で定めておくことが望ましいというふうに記載をしてございます。

 さらに、協議会でございますけれども、従来より地熱資源の存在する場所の自治体というのは、当然、協議会に入ってくださいということをしておったわけですけれども、地熱の場合、山の稜線のこちらとあちらみたいな形ですね、複数の自治体にこの地熱貯留層がまたがるということも当然想定されますので、その場合には、関係する自治体がちゃんと協議会等に参画するようにということを新たに書き下しております。これらを用いまして、この協議会につきましては、従来よりガイドラインの中にしっかりと書き込んでおるところでございますけれども、この協議会で意見交換を、データを共有、意見交換することによって、この順応的管理というのを地域合意の下、進めていくということを記載してございます。

 次のページをお願いします。

 最後に(4)で他の法制度の活用ということを書き込みました。これ自体は、温泉法の審査に直接関係するものではないんですけれども、地熱発電を推進していくために、順応的管理、あるいは地域の合意形成を促進していくというような必要性から、関係する法律につきまして、参考に書いているものでございます。

 一つは、先ほど公園法の話にも出てまいりました改正温対法でございます。従来は地熱開発事業者が地元を説得するという形だったわけでございますけれども、地方自治体が主体となって、地域の資源としての地熱を含む再生エネルギーを活用していく「促進区域」というものを定めるという仕組みができたということで、これを活用していくことで、地域の合意形成が進むことになるのではないかと期待してございます。

 また、もう一つですね、各種要望を地熱開発事業者さんからいただく中でも、土地所有者の同意取得を進めたいというようなことがございました。で、中でも、土地所有者が不明であったりして、掘削にかかる土地使用の権利が取得できないということにつきましては、「所有者不明土地の利用の円滑化に関する特別措置法」というものがございまして、これをもって、そういった土地を円滑に利用する仕組みがありますほか、こちらも近年、再エネの促進のためにさらなる改正等も議論されているようでございますので、こうしたものも活用していくことが考えられるのではないかということをガイドラインの中に追加していきたいということで考えてございます。

 で、今ご説明しましたようなことが、(1)から(4)までということで、ガイドラインに追加する改定案といたしまして、資料2-2ということでまとめてございます。

 また、検討会の中では、このガイドラインに直接書き込んでおりますことのほかにも、様々なご意見をいただいておりました。資料2-3を映していただいてもいいでしょうか。ちょっと字が小さくて恐縮でございますけれども、その3回開催いたしました検討会で様々ご意見をいただきました中で、ガイドラインに反映したもの以外のものを整理してございます。ちなみに、ちょっと申し損ねましたが、温泉法の、先ほど来お話ししております地熱ガイドラインについてでございますけれども、来年度、全体の点検・見直しも予定してございまして、それも併せての対応をしていきたいというふうに考えてございます。

 まず、いろいろ、新しく入ってくる事業者の技術レベルについての心配の声というのが幾つかございました。その中で、掘削標準といったものも取り入れられないかというようなお話もございましたので、来年度のガイドラインの全体見直しの中で検討していきたいと思いますほか、あと、改正温対法の仕組みの中でも、どんな事業者を参画させるかということを議論していく仕組みができると思われますので、その改正温対法の議論の中でも、事業者の技術レベルが担保できるようなことを提案してまいりたいというふうに思っております。

 その他、やはり改正温対法絡みで幾つかご意見をいただいておりまして、一つは、温対法の促進区域をつくる際に、そこの検討の仕組みと、この地熱発電に関する地域合意のための協議会との連携等を進めてほしいというお話ですとか、あるいは、促進区域を設定する際に、やはり技術・知識を持った事業者の関与ができるような仕組みをというようなご意見もございました。こちらも改正温対法の運用の仕組み、今ちょうど議論されているところでございますので、その中でも留意しながら入っていきたいというふうに思ってございます。

 次のページをお願いします。

 それと、第1回でもご説明したと思いますが、タスクフォースの中で資源管理の新制度について、その必要性を議論するべきというようなことがございました。今回、温泉法の運用にかかるガイドラインの見直しを進めたことと、改正温対法が成立したことなどを踏まえまして、まずはこの両方を最大限に活用して、地熱資源の利用促進を進めていきたいということで、整理をさせていただいております。

 あと、もう一つ、先ほど、所有者不明土地法の話をさせていただきましたけれども、そのほかの一定深度以下での権利取得も不要化してほしいというようなご意見もございましたが、こちらにつきましては、温泉法とかの運用には入ってこなくて、いわゆる民法上の権利との関連があるので、直ちに、ちょっとそこに手をつけることは難しいかなと思っておるんですけれども、今回の温泉法の運用ですとか、あるいは改正温対法の活用などを踏まえまして、各土地所有者の理解が得やすいような、そういった社会情勢が、社会環境が醸成されていくというふうに思われますので、まずはこういった、先ほど来申し上げている仕組みを最大限活用していきたいというふうに考えてございます。

 また、その他、自然公園法との連携の話ですとか、あるいは地熱開発の促進区域、改正温対法の促進区域の仕組み以外で、新たな地熱開発は認められないということはないですよねというようなお話もございましたので、その辺りはガイドラインの今回の改正案を各都道府県に通知する際に、誤解のないように対応していきたいというふうに思ってございます。

 簡単ですが、私のほうからご説明でございます。

○下村小委員長 ご説明ありがとうございました。

 議事(2)の地熱開発に関する温泉法上の掘削許可の判断基準の考え方についてというこちらのほうは、基本的に承認が都道府県になりますので、都道府県向けのガイドラインに一節を付け加えると、参考資料2に、そのガイドラインがございますけれども、その中に、先ほど説明がありました、地熱開発のための掘削許可に関わる判断基準の考え方と、大きい章の中に、大規模な地熱開発における地熱資源管理と掘削許可の考え方という節を加えるという形で対応するということでございます。で、内容につきましては、今、事務局のほうから説明があったとおりでございます。

 それでは、質問・ご意見にまいりたいと思いますが、先ほど来と同様に、まず、質問・ご意見をまとめて伺って、事務局で対応していただくという手順にしたいと思います。いかがでしょうか、ご意見・ご質問がございましたら挙手をお願いいたします。それでは、会場からまいりましょうか。多田委員、それから順次挙手の敷田、小泉、江﨑、関委員にまいりたいと思います。まず、多田委員、お願いします。

○多田委員 それでは、これは資料のほうは(3)のモニタリングと順応的管理ということで、なかなか難しい言葉なんですけれども、この順応的管理の推進ということで、これが各都道府県に出ていくと思うんですけれども、この合意形成推進のための中の①、②、③で、私のほうから協議会の中で、具体的に、実際に支障が出た場合には、営業者はとにかく補償が欲しいんだよという意見を言わせていただいて、織り込んでいただいたようで大変ありがたいんですが、この辺がどういう形で最終的に動いていくかと、この一つの文章では、なかなか読み取れないものですから、より具体的な方向性を指導しながらやっていかれるとは思うんですけれども、曖昧な補償じゃなくて、きちっとした、それ以上のものを欲しいわけでも何でもなくて、要するに持続、まさに商売が持続できる補償がそこにあるかないかというのが論点のところであったというふうに私は思っているんですが、その辺、いかがなものかということでお聞きしたいと思いました。

○下村小委員長 はい、ありがとうございました。続いて、敷田委員ですね、どうぞ。

○敷田委員 私が質問したいところは2点ありまして、今ほどのご発言もありました順応的管理の推進の部分で、資料2-1のご説明の中の部分ですね。これは関係者が集まって合意形成を図るという説明になっていますが、中で、影響を評価しつつ、運転や全体計画を見直すという説明が入っていると思います。これは非常に大きな決定になると思いますし、事業にも影響が出るんですが、簡単に書いてあるんですが、これを具体的に見直す手順というのはあるんでしょうか。非常に、事業の規模や投資金額を考えると非現実的な表現に思うんですが、お考えを聞かせてください。

 あわせて、この部分の説明と資料、先ほどの1-4を見ると、1-4では、合意形成のところでは地元への説明が十分になされたということで表現をしてあります。地元への説明をしたというのは、言うならば説得と納得みたいなものなので、この資料2-1の順応的管理の推進の枠組みとはずれているように思いますが、そのお考えについて整理をしていただけないでしょうか。以上です。

○下村小委員長 続いてお願いします。

○小泉委員 ありがとうございます。2点質問があります。

 一つは、背景として大規模、特に数万kWというような地熱発電の計画ないしは予定というのが現実的にあるのかどうか、教えていただきたいと思います。

 2点目は、資料2-3の2ページ目の一番最後のほうに書いてありますけれども、温泉法と、自然公園法の役割の分担と連携というのをどのように統合させるのか、統制するのかということです。順応的管理、それからモニタリングの項目、協議会、温泉法と自然公園法と内容がやや異なるわけですけれども、どのように統制をして決定をしていくのか、特に検討委員の意見を読んでいますと、地下水位の変化を懸念する意見があります。地下水位の変化に伴って地表部、地上部の生態系が変化を起こすようなとき、これは温泉法で対応するのか、自然公園法で対応するのかというようなことが出てくるのではないかと思いました。以上です。ありがとうございます。

○下村小委員長 それでは江﨑委員、お願いします。

○江﨑委員 ありがとうございます。

 皆さんとよく似たところなんですけれども、モニタリング計画と順応的管理という考え方は、本当にすばらしい考え方だなと思うんですが、このときのモニタリングの計画のモニタリング対象というところに縛りがあるのかどうかというのを教えていただきたいなと思いました。地域の合意形成の中で、何をモニタリングするのかというのが決定されていくのか、最初から、もうここをモニタリングしなさいというふうに決まっているのかというところです。

 というのも、その温泉事業者さんへの影響というのがすごく懸念されていると思うんですが、そのモニタリング対象のところに、温泉事業者さんへの影響を測るものがあるのかどうかというのが少し気になったのと、恐らく、お話の中では難しいというような表現があったような気がしたので、そこと次は順応的管理というのがつながっていくのかと思いますので、ちょっとその辺を教えていただきたいなと思います。お願いいたします。

○下村小委員長 関委員、お願いします。

○関委員 はい、ありがとうございます。

 今、ご説明いただいたガイドライン全体の想定の中に、ちょっとよく分からないんですけども、例えば、自然災害などで破損した場合のような特殊事例、そういったものへのリスクマネジメントのようなものの想定というのがあるのかどうか、教えていただければと思います。以上です。

○下村小委員長 では、中村委員、どうぞ。

○中村委員 どうも、ここに順応的管理という言葉を使うのが本当にいいのかなと思います。

 例えば、自然再生関係で使われる順応的管理には、必ず目標みたいなものがあると思うんですね。今回の場合だと、その順応的管理の推進のところで、例えば、先ほどご意見があった、補償の在り方みたいなものが入ってきますよね。これによって管理の仕方が変わるとか。何か、私が知っている順応的管理とは、やや趣が違うような気がするので、何か明確なこの協議会の中で目標がきちんと定められて、それに向けて、例えば、地熱発電のやり方を変えるとか、何かそういうものがあるならばいいんですけど、どうも、ちょっと違和感があるというのが意見です。以上です。

○下村小委員長 はい、ありがとうございました。ほかは、まずはよろしいでしょうか。それでは、事務局、お願いします。

○温泉地保護利用推進室長 温泉室、北橋でございます。皆様、ありがとうございます。

 まず、多田委員からいただきました補償のことでございますけれども、それぞれの地域協議会といいますか、それぞれの案件ごとの地熱発電所と温泉事業者との関係性ですとか、あるいは、その地域全体としての話なのか、個別の温泉宿の話なのかとか、かなりいろいろあると思うので、なかなか統一的にうまく書くというのは難しいところもあるとは思うんですけれども、いずれにいたしましても、影響が起こった際に、地熱発電所のせいなのかどうかということが分かるまでは何も対応しませんとかということではなく、そういう意味で、今回、当面の対応方針ということを入れさせていただいております。

 で、その上で、原因評価を踏まえて、地熱発電所との関連性が明らかなものについては補償という言葉の中で具体の話が入ってくると思いますし、また、そのことに限らず、地域共生という中で、そのほかにも考えられることも多々、いろいろあろうかと思いますので、その辺を含めて、総合的に、いわゆる地域共生という中で地元の合意を進めていくというために、どういうことをあらかじめ定めておかなきゃいけないかというのは、幅広に、金銭的な話だけでなく、議論しておくことが必要かなというふうに考えてございます。

 それから、敷田委員からございました、順応的管理と、それから協議会の主体としての位置づけみたいなお話かなと思います。確かにここにつきましては、検討会の中でも少し議論がございまして、やはり、全体計画とか運転計画を策定、見直す主体というのは、あくまでもここは、はっきり言ってしまえば運転事業者、地熱開発事業者自身ということになります。で、協議会は、その見直しをする場、見直しを決める場というよりは、おっしゃっていただいたようにあくまでも地域合意、あるいは地域で議論を重ね、意見交換をする場ということでございますので、責任主体としては、あくまでも開発事業者でございますけれども、協議会の中でしっかり議論をして、合意形成を図っていただきたいと、そういう趣旨でございます。

 で、同じような話で、江﨑委員から、順応的管理……

 ごめんなさい、ちょっと違いましたね、中村委員からですね、順応的管理という言葉がここで適切かどうかというご指摘がございました。ここで、すみません、ちょっと書きぶりの中で、順応的管理の推進という枠の中に、この補償の話とか原因究明の話とかを書いておりますので、ちょっとその点で違和感があったのかと思いますけれども、あくまでも順応的管理と申し上げているのは、冒頭のほうでご説明しました事業者のほうがつくる全体計画ですね、運転規模とかの話を含めた計画、その中で、いわゆる発電の規模ですとか、そのために採取する熱水の量とかが決まっておるわけでございますけれども、そうしたものをその周りの温泉のモニタリングとか、そうしたものを測っていく中で、そのまま進んでいっていいのか、例えば1年やってみて、ちょっと、ひょっとしたら採り過ぎているんじゃないかという中で見直していく必要があるかもしれないと、そういうことをしていくというのが順応的管理という話になってございまして、補償の話等はあくまでも地域合意を進めていくために、あらかじめ決めておくことが必要なという形で書かせていただいておりまして、これ自体は順応的管理と直接的に結びついているものではございません。ちょっと資料の書きぶりが誤解を与えるものだったかもしれません。すみませんでした。

 それから、小泉委員から大規模な開発計画があるかというご質問でございます。今現在、各地で数多くの案件が、いわゆる開発業者によって検討されております。その中には、まだまだ地表調査とか、全体の可能性を探っているようなものが非常に多いわけでございますけれども、進捗が進んでいるものも数は少ないですけれどもございますし、中には大規模なものも、こちらも数は少ないですが実際に含まれているというふうに承知してございます。

 また、温泉法と自然公園法との分担、役割の関係でございますけれども、温泉法の場合は、あくまでも最終的に見ていく対象というのは温泉資源の保護、ちゃんと持続可能な形で利用していくということでございます。ですので、周辺の既存の温泉旅館等に影響を与えないか、あるいは、その地熱発電所自身の継続的な運転が不可能になるような、そういったような利用になってないかということを見ていくというのが温泉法の趣旨でございまして、で、自然公園法の場合は、周辺の生態系ですとか、景観とか、あるいは利用上の支障とか、そういったものも含めた判断ということでのこの役割分担になってくるかと思います。

 ただ、実際上は、やはり同じ、それぞれ見るものは違うと言いながら、議論をしていく場といたしましては、関係する者はほとんど重なってくるかと思いますので、そういった意味で、実際の現場では、お互いの審議が同時並行で進められるように調整を図るべきだと思いますし、そういった観点から、今回、温泉法のガイドラインの中でも全体計画の中に、本来、温泉法の審査には必要ないけれども、自然環境影響についても書き込むことが望ましいというふうに記載をさせていただいたところでございます。

 それから、江﨑委員からいただきましたモニタリングと順応的管理の関係での、モニタリングの項目みたいなことについてのご質問がございました。これにつきましては、従来から温泉のガイドラインの中で、モニタリングの重要性等につきましては記載をかなりしているところでございまして、例えば、参考資料の2でつけております、非常に分厚いもので恐縮ですけれども、その中では、28ページに事業者、あるいは温泉事業者や地熱発電事業者によるモニタリングとしてどんなものが必要なのかということで、各種書いてございますけれども、その中では、温泉とか噴泉の、噴気のモニタリングデータだけでなく、お話に出てきます地下水位の話、あるいは河川水位の話とか、降水量などについてもデータを取っていくべきということを言っております。ただ、これはあくまでも、その最終的に温泉資源に対する影響というのを把握するための関連データということになってくるかと思います。

 それから、関委員から、災害による破損、あるいはリスクマネジメントのお話がございました。これも、先ほど公園法の議論の中でもございましたけども、直接的な地熱発電所の破損等に対するリスクという話は入ってこないとは思うんですけれども、何か問題が起こった際に、ちゃんとコントロールをして、ほかの周辺の温泉関係とか影響が出ないようにしていくということは、この温泉法の中でも必要なことだと思いますし、そこにつきましては、先ほど最後で、資料2-3のところで示させていただきました、技術を持った事業者がちゃんと入ってくるようにというような検討会での先生のご意見もございましたので、ちゃんと事故の起こらないようなしっかりした温泉掘削、地熱開発が行われるようには取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

 以上でございます。

○下村小委員長 いかがでしょうか。ご質問いただいた、あるいはご意見いただいたことに対して、よろしいでしょうか。

○中村委員 中村です。

○下村小委員長 はい。

○中村委員 確認だけさせてください。

 回答はよく分かったんですけれども、多分これ、目標は、地熱発電をやることによって他の温泉業者に影響を与えないというのが目標になっちゃいますよね。で、その場合、目標が達せられないという形でアダプティブにやろうとした場合は、発電事業自体の仕組み、もしくは発電規模も含めて、変えていくという対策になるんですか。補償というのがあった場合に気になるのは、じゃあ、そういう対策は組まずに、補償で片づけるというのは、それは順応的管理とは違うだろうと思っていますから、そこだけ質問させてください。

○温泉地保護利用推進室長 おっしゃるとおりで、順応的管理というからには、ここでも書いてございますように、持続可能な形で運営されてないということが判明した場合には、そのことを踏まえて、あくまでも事業者の責任ということになりますけども、運用、運転計画等の見直しにもつなげていくということが必要だというふうに考えてございますし、そこは県のほうの審議会、有識者も入った中で、しっかりと審議をしていただく必要があるのかというふうに思ってございます。

 ちなみに、温泉に影響が出ないというのは、目標というよりは、何といいますか、条件という感じだと思っていまして、目標というのは、地熱発電の予定した出力というのが、恐らくその、ここでいうところの目標にはなってくるのかなと思いますけれども、それが周辺の温泉等にですね、影響が出ないようにしっかりとモニタリングをして、影響が出た際には、運転計画の見直し等につなげていくと同時に、当然、影響自体が出たということが、その場合はもう前提条件としてあるわけでございますから、セットで影響を受けた者に対する補償という話も出てくるだろうということでございます。

○下村小委員長 ありがとうございます。

○中村委員 その目標が、発電規模を達成するための目標で、順応的開発というのは、まだ違和感があります。取りあえず意見です。

○下村小委員長 はい、あくまでも温泉法は、温泉資源、地熱資源の保護が目的になっておりますので、それを持続的にやっぱり守っていき、ある意味、ちゃんと活用していく、今回、地熱貯留層のことが入ってきましたけれども、そういうものを含めて、温泉法としては、まずは資源の保護と持続性でございますので……

○温泉地保護利用推進室長 はい、もう少し補足させていただきますと、周辺の温泉に影響がないということだけでなくて、その地熱発電自身も、やはり持続可能な形で運転していくということを言っておりますので、そういう形で運転していくということが大前提になりますから、先ほど、運転計画の見直しというお話をしましたけども、一つ、その前の段階としては出力調整ですね、運転出力を絞ることによって影響が抑えられるかどうかというような話も間には入ってくるかと思います。

 そういった形でいろいろと、あらかじめ、何といいますか、最初に決めた計画どおり、そのまま突っ走るということではなくて、しっかりと周辺のデータを踏まえて、運転の在り方自体を柔軟に見直しながらやっていくと、影響が出ないようにやっていくということが求められるのかなと思っております。

○下村小委員長 はい、どうぞ。

○自然環境整備課長 自然環境整備課長の佐藤でございます。

 少し補足させていただきます。先ほど、目標についてお話がございましたけれども、確かに委員長のおっしゃるとおり温泉資源の保護を図っていくというところが温泉法の目的でありますし、今回議論していることで、あえて目標ということで申し上げるのであれば、地域共生型で地熱をどう利活用していくか、上手な方法はないかということが、あえて目標というならば、そういうことかなというふうに思います。

 また、順応的管理という言葉のところでございますけれども、順応的管理を進めるためには、協議会における合意形成が重要であるというふうに我々は考えておりまして、その合意形成を進めるためには、先ほど出ました補償の在り方やいろいろな調査、そういう仕組みも併せて地域協議会で決めていく、みんなで決めていく、ということが重要だというふうに考えておりますので、その辺り、ちょっと補足させていただきました。

○下村小委員長 いかがでしょうか。他に何かご質問・ご意見はございますでしょうか。まずは、じゃあ板寺委員、お願いします。

○板寺委員 ありがとうございます。

 これが走り出すと、順応的管理を、常に合意を保ちながらやっていくということになると思うんですけれども、先ほど、補足の説明の中で、その開発事業者の技術レベルをどう担保するかというかというお話があったと思うんですけど、地元の自治体の担当者の方の技術的なサポートというのは、そこは結構、今までも重要だったんですけども、今後ますます重要になると思いますので、その辺の仕組みというか在り方も、多分これ、今後の課題になるかと思うんですけれども、検討していただくようにお願いしたいと思います。以上です。

○温泉地保護利用推進室長 ありがとうございます。

 先ほど、地熱の話で、地域に環境省のほうでも人をつけてというようなお話がございましたけども、改正温対法の仕組みを動かしていく中でも、国として地方自治体をしっかりサポートしてというような話も動いてございますので、一緒になってやっていきたいというふうに思います。

○下村小委員長 それでは、桑野委員、どうぞ。

○桑野委員 既にお話もいただいていることなんですが、私も地域現場におりまして、非常に、今回のことを伺う中で、常に最新の情報を踏まえ、弾力的に修正するというような場面を持っていただくということは、情報の共有というのも非常に大事で、そこは、この協議会の役割があるというふうに思っているんですが、なかなか、この現実的に、従来その協議会があったとしても、この重さといいましょうか、その辺りは、今、自治体の職員のお話もありましたが、やはりそこに従来以上の力を入れていただかないと、なかなか、このあるべき姿に向かっていかないのではないかということを不安に思っております。

 でも、そこがしっかりとできるようになれば、今のお話のように、やはり地域とともに、いい関係の中の地熱ということも見えてくると思いますので、ここの表にしっかりあるんですが、それが動くように、また、よりモニタリングを含めて今後につながっていくような、また、情報の共有ということが一方的ではなく、しっかりとしたものに持たれるように、その辺りのことの後押しということもぜひお願いできたらというふうに思っております。以上です。

○下村小委員長 はい、ありがとうございます。

○自然環境整備課長 佐藤でございます。桑野先生、ありがとうございます。

 おっしゃるとおりでございまして、今回、このガイドライン見直しをさせていただいたことの趣旨、背景、それから、どうしてこういうふうなことの表現ぶりになっているかということをきちんと自治体の皆さんにお伝えをして、その趣旨を徹底していきたいというふうに考えてございます。自治体と足並みをそろえて、しっかり進めていきたいと考えてございます。一方的ではない情報の共有、そのあたりもしっかり議論していきながら、よりよい方向で進めていきたいというふうに考えます。

○温泉地保護利用推進室長 あと、すみません、もう一つ、モニタリングデータの話でございますけれども、温泉関係のモニタリングというのは、従来、なかなか十分にやるというのが、非常に労力的にも制度的にも難しいところがございましたけども、技術的にいろんな開発がされておりまして、環境省のほうでも直轄で温泉モニタリングの施行といいますか、技術的な確立、様々なデータの整理ですとか共有の在り方も含めてやっていきたいということで、今、予算要求しておるところでございますので、その成果も確実に各地域で活用していただけるようにしていきたいと思います。ありがとうございます。

○下村小委員長 はい、ご質問・ご意見よろしいでしょうか、

 あと、議事(1)のほうで、後で資料を送らせていただきましたが、それに関しての、この短い期間に目を通していただくのは大変だったとは思うんですけども、何かお気づきの点がありましたら。安川委員は、解説に関してですか。

○安川委員 自然公園のほうです。

○下村小委員長 はい、どうぞ。

○安川委員 よろしいでしょうか。

 私も検討委に入っておりまして、今回の改正、かなりうまくできたと自負しておりますが、自然公園の優良事例の充実化に関しまして、今後ですけれども、事業者側から情報提供していくようにこちらも協力いたしますので、随時アップデートをしていっていただきたいというのが一つのお願いでございます。

 そして、今回の規制緩和のお陰で、これだけ地熱開発が進んだということを、温泉法も自然公園法も両方ですけれども、今後も国としてその成果を把握できるように、環境省さん、経産省さんで情報共有して、地熱発電を促進していただければと思っております。また、私の所属するJOGMECでも情報共有にはご協力いたしますし、また、温泉法に戻ってしまいますけれども、自治体への技術アドバイスをする中立的立場の有識者によるアドバイザリー委員会というのをJOGMECで設けておりますので、その辺を通して自治体へのサポート、また情報共有、この辺で貢献していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。以上です。

○下村小委員長 今のご意見に対して何かありますか。

○国立公園課長 国立公園課長でございます。

 ありがとうございます。おっしゃるとおりでございまして、優良事例が今後出てくれば、さらにアップデートしてまいりますし、経産省さん、JOGMECさんとも協力して、しっかり情報共有してまいりたいと思います。

○安川委員 よろしくお願いいたします。

○下村小委員長 ありがとうございました。よろしいでしょうか、そろそろ時間が来ておりますが。ありがとうございました。

 先ほどというか、一番最初に私が申し上げたとおり、今回とても難しい議論だったと思います。温泉法と自然公園法という別々の法律の中で、しかも、それぞれの法律で対応できることというのはやはり限られておりますし、今日もそれ以外の場面での議論がやはり出てきたとおり、現場では、もっと多様というか、総合的な動き方をすると思いますので、その中で温泉法、それから自然公園法の中でどんなふうに対応し得るのかというところを、可能な限り幅を広げて議論をさせていただいたり、修正をさせていただいたりしたと思います。

 で、最後のほうでも議論になりましたとおり、やはり、それぞれの法律で対応できること、審査する手続も違っておりますので、やはり協議会をいかにうまく運営できていくかと、それも比較的早い段階から柔軟に議論をしていく仕組みというものを、これからどういうふうに構築していけるのかというか、事例の中で、いい事例もどんどん出てきているというふうには伺っておりますので、そういうところの認識も含めて、進め方というのをブラッシュアップしていければというふうに、進めていただきたいというふうに考えております。

 委員の皆様、それから事務局も、この間、本当に精力的に動いていただきまして、検討会も3回でしたけれども、それぞれのご担当いただいた委員、今日の合同小委員会以外の委員もいらっしゃいますけれども、3回の検討会以上の対応をしていただけたのかなというふうに思います。大変、変な形で、個人的な言い方になってはまずいんですけれども、取りまとめを担当させていただいた者としては、本当に大きく感謝をしております。今後は、大分仕組みができてきたということですので、これをいかに上手に運用していただくかということも事務局にはお願いをしまして、今日の議事は終了してお返しをしたいと思います。

 どうも、ご審議を含めましてありがとうございました。

○事務局(清武) 下村委員長、ありがとうございました。

 委員の皆様におかれましても、長時間にわたりご審議をいただきありがとうございました。

 また、本日は、事前配付資料に不足があり、ご迷惑をおかけし、申し訳ございませんでした。

 それでは、以上になります。本日はありがとうございました。

午後2時47分 閉会