中央環境審議会 自然環境部会(第44回)議事録

日時

令和3年8月27日(金)10:00~12:00

開催形式

WEB 会議システムにより開催

出席者

武内 和彦   部会長

石井 実   委員

勢一 智子   委員

髙村 典子   委員

藤田 香    委員

山極 壽一   委員

愛甲 哲也   臨時委員

石井 信夫   臨時委員

江﨑 貴久   臨時委員

大沼 あゆみ  臨時委員

尾崎 清明   臨時委員

小泉  透    臨時委員

五箇 公一   臨時委員

佐藤 哲也    臨時委員

下村 彰男   臨時委員

白山 義久   臨時委員

高橋 徹    臨時委員

中静 透    臨時委員

中村 太士   臨時委員

広田 純一    臨時委員

深町 加津枝   臨時委員

二宮 雅也    臨時委員

宮本 旬子    臨時委員

山野 博哉    臨時委員

湯本 貴和    臨時委員

議事録

午前10時02分 開会

○司会 本日はお忙しい中、当審議会にご出席いただき、ありがとうございます。定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会自然環境部会を開会いたします。

 会議に先立ちまして、本日の出席委員数をご報告いたします。本日は、所属の委員、臨時委員26名のうち25名のご出席をいただいておりますので、本部会は成立いたしております。

 本会議につきましては、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、Web会議システムにより開催いたします。また、会議の様子はYouTubeチャンネルによりライブ配信を行っておりますのでご了承ください。

 Web会議の開催に当たりまして、通信環境負荷低減の観点から、ライブカメラの映像は各自ご発言冒頭のみとし、原則、音声のみの中継といたしますので、あらかじめご了承ください。このため、現時点でカメラ機能はオフにしていただきますようお願いいたします。

 また、議事中、マイク機能は、部会長及び発言者以外はミュートに設定していただきますようお願いいたします。

 なお、ご発言の際は、お名前横にある挙手アイコンをクリックいただくか、チャット機能にてご発言する旨をお知らせください。ご発言の意思は、このマークで確認いたします。部会長からのご指名後、マイクのミュートを解除していただき、議事録の円滑な記録のため、お名前をおっしゃってからご発言いただきますようお願いいたします。ご発言後は挙手アイコンを忘れずにクリックし、手を下げていただきますようお願いいたします。挙手アイコンは事務局でオン・オフを操作できないため、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

 次に、本日の資料についてですが、環境負荷削減の観点から、審議会のペーパーレス化の取組を推進するため、事前に電子データとして、委員の先生方に送付させていただいております。本日は、事務局が画面上に資料を掲載し、進行をさせていただきますので、ご案内の資料は必要に応じお手元でご参照いただきますようお願いいたします。

 傍聴されている方につきましては、本日の資料を環境省ホームページの自然環境部会のページにアップロードしておりますので、こちらをご確認いただきますようお願いいたします。

 最後に、夏の人事異動により、多くの環境省幹部が交代いたしました。本日出席で交代のあった幹部につきましては、事務局出席者一覧の氏名欄に米印を表示しましたのでご覧くださるようお願いします。

 それでは、自然環境局長の奥田よりご挨拶を申し上げます。

○自然環境局長 皆様、おはようございます。7月1日付で自然環境局長を拝命した奥田でございます。

 本日はお忙しい中を本会議にご出席を賜り、厚く御礼申し上げたいと思います。

 また、委員の皆様におかれましては、日頃より自然環境行政に多大なるご協力、ご理解をいただいていますことをこの場を借りて御礼申し上げたいと思います。

 この会議は、新型コロナウイルス感染防止に配慮して、前回もそうだったと聞いておりますけれども、Webを活用した形で実施させていただきます。委員の先生方には、本当にご不便をおかけすることもあろうかと思いますけども、ご容赦いただきますようお願い申し上げます。

 本日の議題としましては、諮問案件と答申案件が一つずつあるほか、審議をお願いする案件がさらに一つございます。

 諮問案件は、生物多様性国家戦略の変更に関する案件でございます。愛知目標に代わる次の世界目標として、現在、国際的に議論が進められている「ポスト2020生物多様性枠組」の採択後、速やかに次の国家戦略が策定できますよう、COP15の開催前から次の国家戦略についてご審議をお願いしたいというものでございます。

 また、答申案件は、鳥獣保護管理法に係る講ずべき措置と、鳥獣保護管理法に基づく基本指針に関する案件でございます。昨年から「鳥獣の保護及び管理のあり方検討小委員会」においてご審議をいただいていたところでございますけれども、その内容が取りまとまりましたので、この部会にご報告させていただいて答申をいただきたいと考えておる次第でございます。

 審議案件は、野生生物小委員会に係る部会決定の変更により、今後、小委員会での外来生物法の施行状況等を踏まえた必要な措置の検討を進めてまいりたいということで、これについてのご審議をお願いするものでございます。

 また、最後に報告事項としまして、先般、報道もされましたけども、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界自然遺産登録についても報告させていただきます。

 限られた時間で多くの議題がございますけれども、本日は、忌憚のないご意見をよろしくお願い申し上げて、私のご挨拶とさせていただきます。よろしくお願いします。

○司会 それでは、これよりの議事進行につきましては、武内部会長にお願いいたします。

 武内部会長、よろしくお願いいたします。

○武内部会長 はい。部会長を仰せつかっております武内でございます。

 議事進行の都合上、私だけが、今、環境省に来て、この会議に参加しております。Web会議が社会の中で定着して、Webのほうが非常に出席率が高いということが、非常によく分かりました。私も幾つかのこれまで会議を、本来、東京と大阪で両方絶対に出られないものが、結果的には、今出られるような状況になっておりまして、私自身も非常に出席率が高くなっているというところでございます。

 最初にちょっとお話をさせていただきたいのは、今、世界全体でDecisive Decadeということで、未来を決する決定的な10年というのは言われていまして、この10年の間、つまり、2030年までに気候変動について、これを大幅削減というふうな方向に舵を切れるのかどうか、生物多様性についても損失をゼロにすることができるのかどうか、さらには、トータルに環境と社会の在り方を考えていくSDGsの達成というのがどういうふうになっていくのだろうかと、こういうのが議論されております。

 残念ながら、コロナの影響で十分な議論がされておりません。気候変動については、グラスゴーのCOP26は、これは開催予定だというふうなことで今作業が進んでいるというふうに聞いておりますけれども、生物多様性条約については、残念ながら、本年は中国の関係者のみの開催でまずキックオフがされて、実質的には来年の5月にこれからの生物多様性の在り方を大きく規定する「ポスト2020生物多様性フレームワーク」と、今、仮に呼ばれているもの、これが採択され、そして、先ほど局長からもお話がありましたように、直ちにそれに遅れることなく、生物多様性国家戦略の見直しというのを行うというふうなことで、委員の皆さん方にはそうした過程に積極的にご参加いただきたいというふうに考えております。

 今日は、そのような経緯も含めて、少しこれからの見通しについてお話をさせていただくと同時に、二つの小委員会、一つは鳥獣保護管理、もう一つは外来生物について、それぞれ小委員会のほうで取りまとめが行われておりますので、これについてのご報告をいただくということになっております。

 さらに、大変うれしいニュースとして、奄美、徳之島、沖縄北部、西表、これが世界自然遺産に登録されたということでございます。奥田局長が課長の時代に一度しくじった案件でございますが、再び局長になって、これが、登録が成功したということで大変よかったというふうに思っております。

 これについては、ご承知のように、事前に主要な地域、奄美、徳之島、沖縄本島北部、これ、やんばるですけれども、これについては事前に皆さんにご協力をいただいて、国立公園を新たに創設、ないしは拡張というようなものを行った上で世界遺産というふうに認定されたものでありまして、この自然環境部会が果たした役割というのは大変大きなものがあったというふうに私としては理解しております。

 以上、大変盛りだくさんではございますが、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 さて、本日の部会、YouTubeチャンネルにおいてライブ配信しているということでございます。そのライブ配信を通じて報道関係者、あるいは一般の方もご覧になっておられます。

 会議録につきましては、後ほど事務局で作成し、本日ご出席の委員の皆さんのご了承をいただいた上で公開することにさせていただきたいと思います。

 なお、議事要旨につきましては、事務局で作成したものを、私、部会長が了承した上で公開するというふうにさせていただきたいと思いますので、ご了承いただければと思います。また、会議資料につきましても公開となります。

 それでは、最初の議題、生物多様性国家戦略の変更について、事務局から説明をお願いいたします。

○生物多様性戦略推進室長 ありがとうございます。生物多様性戦略推進室長、中澤でございます。よろしくお願いします。

 資料が大部にわたりますので、ポイントを絞ってご説明します。

 資料1のシリーズで、この国家戦略の検討の手続に関する部分についてご説明します。

 資料1-1、「生物多様性国家戦略の変更について」環境大臣から中央環境審議会への諮問書でございます。

 資料1-2、この諮問につきまして、中央環境審議会から自然環境部会への付議の書類でございます。

 資料1-3、国家戦略を検討するための小委員会の設置についてでございます。

 資料1-4、その運営方針でございます。

これらについても今回の審議会で了承いただければと思います。

 資料1-4の2枚目に、あらかじめ、事務局のほうでお願いしたい先生方にこの小委員会に参加いただくことをご連絡しておりまして、この委員案の中にある先生方に小委員会に参加して検討をお願いしたいと思っております。

 ここまでが事務的な要素でございます。これから、内容に入ってまいります。

資料1-5、生物多様性国家戦略の変更に関する背景をお示ししております。

 まず、背景でございますが、愛知目標に基づく生物多様性国家戦略は、2012年9月に決定されて、2020年までを計画期間としているところでございますが、先ほど部会長からもご指摘があったとおり、世界目標の議論が遅れています。そのため、次期の世界目標が決まり、次期国家戦略が策定されるまでの間、2020までの国家戦略の第1部について、引き続き、国の基本戦略として取り組んでいくということを本年1月の関係省庁連絡会議で申し合わせております。ですから、国家戦略ができるまでの間も手を緩めることなく、国家戦略に基づく生物多様性の施策は進めていくということでございます。

 この国家戦略の進め方でございますが、遅れていると申しました次の世界目標が決まりまして、それを踏まえまして策定したいと考えています。今のところ、COP15の実際の交渉が5月に予定されています。ですから、それを受けまして、秋頃の閣議決定を目指して検討を進めたいと思います。

 スケジュールの想定については、下に書いてございますが、本日、自然環境部会でのご議論を皮切りに、小委員会を設置し、パブリックコメントなどを実施して、閣議決定に進めるといった大きなスケジュールを考えております。

 資料1-5にはこれまでの国家戦略の経緯などについて、参考としてつけさせていただきましたが、資料のご説明については割愛をさせていただきます。

 資料1-6が現状の生物多様性の置かれている状況についての基本的な背景資料として、まとめさせていただきました。大部にわたりますので、ポイントを絞って、説明させていただきたいと思います。

3ページにございますのが、国家戦略の検討の大きな流れでございます。左側に地球規模での検討、いわゆる世界目標の検討に至る大きな流れを書いてございます。

 右側に、国内でのこれまでの検討について、また、今後の進め方について書いてございます。

 先に地球規模での検討でございますが、ご承知のとおり、今、世界目標の議論、まさに今週もオンラインで開催されているところでございます。この資料として5ページから25ページまで、国際的な背景ですとか、検討状況が書いてございまして、その中でも特に13ページ以降に国際的なビジネスと生物多様性の動向について書いてございます。それから、国内での状況でございますが、様々な研究、さらには生物多様性の評価、国家戦略の点検、こういったものを背景として、国家戦略の検討を進めさせていただきたいと考えております。

 一番上に環境基本計画がございまして、その次に、自然資本・生態系サービスの予測評価、これは将来予測の研究で、次の国家戦略の大きな科学的な背景にもなるというものでございます。武内先生が研究リーダーとして進めていただいたものです。

 さらには、JBO3という生物多様性の総合評価、国家戦略の点検を踏まえまして、審議会での議論に先立ち、論点整理等のために環境省に設置した研究会で議論して、その報告書をまとめていただいています。こうした大きな流れで、この審議会の検討を進めてまいりたいと考えております。

 次のページが国際的な議論でございますが、先ほど申したように、COP15は10月に開会し、実際の交渉は4月から5月という大きなスケジュールになっております。

 引き続き、科学的な背景についてポイントを絞ってご説明させていただきます。6ページでございますが、IPBESによるもの、それから生物多様性条約事務局によるGBO5がございます。いずれも、生物多様性の取組だけではなくて、社会経済の中に生物多様性を盛り込んでいくことが重要であるということでございます。

 右下に書いてあるグラフを見ていただきますと、2000年から右下のほうに生物多様性の損失、これを真ん中ぐらいから上向きにしていくためには、一番下、緑のところに書いてございます、これまでの自然保護に関する努力に加えて気候変動、さらには化学物質等のその他の圧力、オレンジと赤で書いてある社会経済的な要素、こういったものへの対応が必要であるということでございます。

 さらに、GBO5のところで2ポツ、愛知目標が達成できなかったことの理由として、国際目標に応じた、各国内での目標が設定されていなかったということで、現在の国際的な議論の中では、やはり国内での実施、国家戦略と世界目標の関係、さらには、途中段階できちんと評価できるようなモニタリングとか、そういったものについても重視した国際的な議論が進められているところでございます。

 7ページ以降については、今申し上げたところの範疇に入りますので、少し飛ばさせていただきまして、13ページにビジネスの動向がございます。IPBESのレポート、GBO5でも生物多様性と経済社会の関係は非常に重要視されておりまして、近年そうしたレポート、さらには、様々な動きがございます。その中でも15ページにございますが、TNFDと言われているものでございます。TCFDというものがございますが、生物多様性においても、企業活動の中でいろんな努力、生物多様性に関する努力、そういったものを外に出していくような、情報開示についてのタスクフォースが動き出しております。

17ページをご覧ください。気候変動におきましては、例えば様々な技術革新が経済と気候変動の対策を推し進める一つの大きな力になってございますが、生物多様性においても、日本の持っている様々な生物多様性の保全、または持続可能な利用に資する技術をもって海外にも発信し、これでポスト枠組の達成にも貢献できないか、環境省と経団連で「生物多様性ビジネス貢献プログラム」というものを設置しています。企業の皆様が持っている情報を海外にも発信していくと、そういったようなプロジェクトでございます。

 18ページ以降が、ポスト枠組の検討状況でございます。

 19ページに大きな流れでは書いてありますが、現在、8月23日から9月3日にかけてポスト枠組に関する作業部会、OEWG3が、毎晩、大体夜の7時または深夜12時ぐらいから連日開催されております。

 こういった生物多様性条約の交渉のみならず、この右のほうでございますが、G7とかG20、さらにワン・プラネットサミット、さらに、COP26、生物多様性のフォーラム以外のところでも、このポスト枠組に関する議論がされています。

 次のページでございますが、国際的な枠組みの中で、例えばG7、G20、「リーダーによる自然への誓約」、生物多様性の枠組をさらにより高いもの、野心的なものにしていこうと、そういった国際的な連携も、今、様々動いているところでございますが。そこで目立つキーワードとして「30」という言葉があちこちに見られると思います。特に「30by30」という言葉がG7、G20、それから野心連合、そういったところで見られると思いますが、2030年までに世界の30%をきちんと保全していきましょうと、そういったような強い動き、これがポスト枠組の中でも非常に重要な目標の一つとして議論、進めているところでございます。

 これにつきまして、委員の皆様には、本日参考資料としてお配りしておりますけれども、「30by30」を日本国内できちんと実施していくと。国際的にも約束している「30by30」について、国内の30%保全によって生態系の健全性の確保による様々な社会課題の解決につなげていきたいということを、本日先ほど、大臣から閣議後会見の中でご発信いただいているところでございます。

 これは、後ほども、ご説明いたしますが、国立公園等の保護地域の拡充、さらには、もう一つOECMと言われている保護地域以外の保全手法、そういった二つの方法によって、この「30by30」というものを実現していきたいと考えているところでございます。これが国際的な議論でございます。

 21ページに、先ほどのビジネスのところでもございましたが、できるところは定量的な目標を持ちながら途中段階でのストックテイクができるような国際的な目標の検討がされていると同時に、社会経済活動の中にどうやって生物多様性を組み込むか、こういった議論が大きくされているところでございます。

 22ページに現在のポスト枠組のファーストドラフト、第1次案が示されておりまして、これに基づいて、今、作業部会の中で議論されているところでございます。

 次に、国内の動向でございます。26ページ以降でございますが、先ほどの武内先生を筆頭とする研究グループの成果ですとか、JBOという生物多様性の総合評価、こういったものを踏まえながら、国家戦略の検討を進めたいと思います。

 特に今回ご説明させていただきたいのは、30ページにございます生物多様性国家戦略研究会でございます。これは、2020年1月に設置いたしまして、国家戦略の審議会での検討の前に課題抽出とか論点整理をお願いしたものでございます。自然科学的な要素のみならず、いわゆる先ほどから申し上げているような社会科学的な要素、そういったものも踏まえて、31ページにございます有識者にご参画いただきました。本日の審議会でございますと、愛甲先生、中静先生、深町先生、山野先生にもご参加をいただいているところでございます。

 32ページに参りまして、この報告書のポイントでございますが、真ん中に書いてございます。「2030年までに取り組むべきポイント」として、生態系の保全・再生の強化、先ほど申した「30by30」の達成に向けてOECM、そういったものを含めた保全の強化をしていきましょうということ。

 さらには、幅広い社会的課題への対処におけるNature-based Solutions、自然環境というものを社会課題解決の中にうまく取り込んで、社会課題解決に貢献できると、そういったものを進めていく必要があると。

 三つ目のポイントとして、ビジネスと生物多様性の好循環とライフスタイルへの反映、こういったものを大きなポイントとして示されたところでございます。

 33ページにございますのが、先ほどのOECMというものについて、検討状況でございますが、陸域と海域に分けまして、それぞれ、認定基準というものを考えているところでございます。

 以上、駆け足でございますが、国家戦略の置かれている背景、それから手続的な事項についてまとめてご説明させていただきました。

 ありがとうございました。

○武内部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご質問、ご意見のある委員の方、これはチャットボックスかなんかで挙手の機能はあるんですか、これ。

○事務局 あります。

○武内部会長 手の挙げ方、分かりますね。分からなかったら、大声で私に言ってください。人数が多いので、探すのも大変みたいですけども。

 それじゃあ、中村委員、お願いします。

○中村委員 ありがとうございます。北大の中村です。

 最後におっしゃったOECMについて、大事な方向性だと思いますが、どう見ても、これは環境省が管轄する以外の土地を指定していくことになるんですけど、その辺の他省庁との相談というか、そういった検討はされているんでしょうか、そこを教えてください。

○武内部会長 はい。ちょっと時間の関係で一つ一つにお答えするんじゃなくて、まとめて、後ほどお答えをしたいと思います。

 それでは、二宮委員、お願いします。

○二宮委員 二宮です。ありがとうございます。

 生物多様性国家戦略の変更については賛同するところです。意見として、今回、IPBESとIPCCの合同ワークショップの報告書、これは非常に時勢を得たもので、また重要なメッセージだというふうに受け止めています。

 生物多様性と人間社会を一体的なシステムとして扱うことが、この効果的な施策の鍵であるということ、また、気候変動緩和策には生物多様性に貢献するものもあれば、損なうものがあるという、この点なんですけれども、今やはり1.5℃目標の難易度が極めて高い現状において、ジオエンジニアリングの活用というか、そういった話もちらほら出てきております。もちろん、一くくりにして、このジオエンジニアリングの是非を論議するものでは当然ないわけですけれども、やはり自然資本を適切に維持管理していくための人類が共有して正しく活用すべき技術として、その倫理面も含めたガバナンスの在り方というのを論議する必要があるんではないか、そんな時期ではないかと思います。

 また、加えて、COP15が、今回、中国で主催されるわけですけれども、中国では、やはり人工雨というのをかなり頻繁に活用している。また、2025年までに国土の60%で人工雨を降らせる、そういう能力の獲得を目指しているというふうにも聞いていますけれども、この人工雨というものが生態系への影響、科学的に検証がどの程度されているのか、各国任せでいいのかということで、やはりこういったもののガバナンスの在り方というのは検証する必要があると。

 そういった意味で、やはり次期国家戦略でも先ほどのような今回の合同ワークショップの報告書、この観点を考慮すべき視点として入れていく必要があると思いますし、日本の立ち位置というか、その辺の方向性も明確にする必要があるのではないかというふうに感じました。

 以上です。

○武内部会長 ありがとうございます。

 それでは、藤田委員、お願いします。

○藤田委員 ありがとうございます。日経BPの藤田です。

 私もほかの委員の意見と若干似ているところもあるんですが、まず、次期国家戦略の三つポイント、OECM、NbS、ビジネスと生物多様性の好循環という三つのポイントを示されるのは、大変いい国家戦略だと思います。

 一方で、水産資源とか森林資源とか、やっぱり農地による土地利用というのが、結構、海外の状況を見てくると、すごく大きな状況を占めるわけですけれども、やはり官庁の縦割りもあるんでしょうか、森林とか農地というのに環境省がどのくらい農水省などと連携できるのかというところがちょっと気になっています。

 例えば、先ほど世界で動いている、いろんな大きな会議の中に9月の国連食料システムサミットが入っていなかったように、実は、食料と生物多様性というのがすごく今、特にEUなんかでは重視しているところで、また食料というのは、消費者にも非常に関心が高い分野でもあるので、ここをうまく取り込んでいくことで消費者の生物多様性の認識も上がると思っています。

 EUの場合は、EUのGreen Dealを支えるものとして、二つ、EU生物多様性戦略2030とEU Farm to Fork戦略がぶら下がってますけども、日本の場合は、グリーン成長戦略の14分野に生物多様性関係の分野が書かれていないんですよね。これが非常に残念だと思っていて、9番目に食料、農林水産業というのが入っているので、これをうまく利用しながら気候変動との連携、生物多様性と気候変動、両方関わるのがまさに食料、農林水産業ですので、そこをフックに生物多様性の認知度を国内でも上げていただきたいですし、また、企業にも生物多様性とこの食料、農林水産業のところでいろいろ活躍、貢献できるようなことを探っていただきたいと思っています。

 もう一つが、OECMも非常に重要だと思っています。既にもう企業と環境省の間で話し合いは始めているとは思うんですけれども、やはり企業の社有林ある企業さん、多いので、どのような基準であればOECMと認定されるのかということを明確にしていただくことで、企業を巻き込むことができると思っています。

 それと、あと、すみません。気候変動との連携、二宮委員からも重要性の指摘がありました。私も大変重要だと思っています。気候変動と連携を進められるような生物多様性のアプローチというのは、具体的にどのようなものなのかということを国のほうでも示していただくことで、企業も、こういうカーボンニュートラルの施策が生物多様性に貢献できるんだということを理解した上で進められると思いますので、そこの明確なアプローチを示していただけるといいなと思っております。

 以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。

 それでは、勢一委員、お願いいたします。

○勢一委員 ありがとうございます。西南学院大学の勢一と申します。

 既にほかの委員の先生がご発言されたところと重なりますけれども、私からも若干コメントをさせていただければと思います。

 次期国家戦略の方向性につきましては、大筋望ましい方向が示されているのではないかと考えております。今後、具体化する段階でどのように充実していくことができるかが課題になろうかと思います。

 冒頭で部会長がおっしゃっていたように、これからの10年が非常に大事で、この10年で我々の世代がどのようなことを決断して行動できるかということが次世代の利益にも関わる部分で非常に重要な国家戦略になるのではないかと思います。

 その際に出された、気候変動と生物多様性の両方の観点、これもご指摘がありましたけれども、両方を両立させることが重要であろうと思います。

 気候変動のほうにつきましては、私は地球環境部会にも所属しておりますので、強い関心を持っておりますけれども、現在、非常に強い追い風が吹いている状況にあるだろうと思います。特にESG投資など、市場経済メカニズムに組み込まれてきたことで急速に加速したところでありますし、日本も国際約束をしております。環境省でも、ここ自然局のほうでも国立公園における地熱開発の促進など全省を挙げて積極的取組を推進していると承知しています。これは気候変動防止には大きな力かと思います。

 他方で、自然環境部会の委員として、生物多様性のほうには、なお懸念を持っているというところでございます。「30by30」のご紹介もありましたけれども、世界的な動向の中でも自然資本をいかに維持管理して次世代に引き継ぐかというのは重要な課題と認識されていまして、EUの動向、Green Dealの中でも気候変動防止と並んで生物多様性の保全は、政治経済において重要な位置を占めて、さらに、その両者がカップリングする形で進めるということが求められている状況にあります。その点では、生物多様性についても、今回ビジネスの動向とご紹介されましたけれども、企業の価値判断に反映されるような後押しができる仕組みが必要でないかと考えております。

 特に次世代に何を引き継ぐことができるかについては、国家戦略が担うことになりますので、この点では気候変動防止の切り札である再エネの促進・増強と、生物多様性の保全は国土利用で競合し得ることになります。どのように協調しながら推進していくのかということにつきましては、環境省内の体制の充実と、府省全体横断的な体制、政府としての国家ガバナンスのあり方、組織論の部分も含めて戦略の中では考えていただければと思います。

 私からは以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。

 それでは、白山委員、お願いします。

○白山委員 白山でございます。ありがとうございます。

 OECMに関しまして、コメントというか質問というか、させていただきたいと思います。

 このOECMの検討状況を拝見すると、今のところ海域については何もしていなくて、令和3年に方向性の整備をするということで、非常に陸域に比べて検討が遅れているのではないかという強い懸念を持ちます。

 振り返りまして、愛知目標のときはどうだったかというと、特別な委員会をつくって、そもそもの我が国の海洋保護区に関する定義を定めるということをしっかりと行って、その定義に基づいて、我が国の海域の海洋保護区の面積を算出し、さらに必要な10%の目標の達成に必要な面積を探し出すためのEBSAと呼ばれるような重要海域の抽出というのも行って、非常に戦略的に、愛知目標が無事に2020年までに達成できました。

 それに比べて、ちょっとこの現状のOECMの検討状況は非常に問題が大きいというか、とても今後30%に増やさなくちゃいけない我が国の非常に広い排他的経済水域の中で、ハードルが非常に高いわけですから、もう少し積極的に海域について、OECMを30%指定するにはどうすればいいかという戦略を、国家戦略全体の一部かもしれませんが、非常に難しい課題だということを認識していただいて、積極的に取り組むということをお願いしたいと。

 愛知目標のときと同じようなしっかりとした体制を整えていただきたいということで、現在どういうふうにお考えになっているかをお聞かせいただければありがたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○武内部会長 ありがとうございました。

 それでは、五箇委員、お願いします。

○五箇委員 五箇です。

 すみません、ちょっと途中からの参加になっているので、既に意見が出ているなら申し訳ないんですけども、10ページのパンデミックと生物多様性の問題について、報告書として、この基本的には、ワン・ヘルスを大事にしましょう的な話は書いてあるんですが、根本的に、今回の新型コロナでもはっきりしているのは、基本的に、こういった新興感染症というのは、従来エンデミックで済ませられるはずのものがパンデミックになってしまっているという社会情勢、経済情勢のほうが非常に大きな問題、要は、今の日本国内においてもそうですが、世界的な流行という部分の背景には、人流と経済のグローバリズムですね。これが一番大きな根本的な問題になっていると。これ自体が、実際問題、今の環境問題ですね。つまり気候変動とか生物多様性の劣化という部分の根本原因となっているということを考えれば、そこから議論を始めることが本来であって、動物保全といったような観点のみでこれが制御できるという議論は、ちょっとそもそもが、解決にはつながらないだろうということから、環境省としても、今後そういった視点で、要は、やっぱり人の流れとか物流、そして経済といったグローバルなサプライチェーンというものを根本的に見直さない限りは、全ての問題の根本的な解決につながらないということは、このパンデミックからむしろ学ぶべきじゃないかというふうに、今回思っています。

 以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。

 もう大分時間も過ぎておりますので、ご意見、ご質問については以上とさせていただきたいと思います。もし何か追加のご質問、ご意見がございましたら、後で文書でご提出いただければと思います。

 それでは、本件については、諮問をお受けし、小委員会において詳細の検討をしていくということにしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

 すみません、回答があった。すみません、それじゃあ、まず回答をしてもらいます。

○生物多様性戦略推進室長 ありがとうございます。生物多様性戦略推進室長です。

 ご質問は、大きく分けて国家戦略への意見と、OECMへの意見と二つあったと思います。先に国家戦略に対するご意見に対して、私どもの考え方等をお答えしたいと思います。

 二宮委員からジオエンジニアリングについてのご指摘をいただきました。ジオエンジニアリングについては、CBDでもそういった議論を進めるべきといったような話もございます。国際的な動向も踏まえまして、国内でのジオエンジニアリングと生物多様性についても考えていきたいと思います。

 それから、藤田先生、勢一先生から共通して、ビジネスと生物多様性、さらには、気候変動との連携についてのお話がございました。先ほどのビジネスについては、五箇先生の経済、物流との関係とも非常に深く関連していると思います。今回の資料の中でもビジネスとの関係を特出しして示させていただいたように、また、国家戦略の研究会でも、社会経済活動の中での生物多様性の配慮、そういった位置づけの重要性、これは、国際的にも様々な指摘がされているところでございます。こういったものも踏まえまして、次の国家戦略の重要な課題として捉えてまいりたいと思います。

 気候変動との連携でございますが、これをつなぐキーワードになるのは、Nature-based Solutionsになると考えています。健全な生態系を確保することによって、それによって様々、気候変動、それから生産物、食料でもありましょうし、健康、さらには、癒やしの効果も得られると、そういったNature-based Solutionsの効果を発揮できるような健全な生態系をつくり上げるためにどうしたらいいか、その一つのキーワードがOECMになっていると思います。そういったOECMの在り方について、引き続き考え方を深めてまいりたいと思います。OECMについては、計画課長のほうからご説明させていただきます。

○自然環境計画課長 自然環境計画課長の堀上です。

 中村委員、それから藤田委員、白山委員からOECMについてのご質問がありました。OECMにつきましては、昨年度から検討会を行っておりまして、特に現在は陸域の基準について検討を進めているところですが、内容につきましては、検討会の中でもう既に資料として出しているところ、基準について、まず整理をしていき、全体の仕組みについても併せてやっていくことにしております。

 その中で、関係省庁もオブザーバーで参加をしていただきながら、関係省庁に関わるところも今後整理をさせていただきたいと思っております。

 海域につきましても、昨年度は検討会の中で十分議論はできておりませんけれども、勉強を水産庁とも重ねておりまして、それを踏まえながら、今年度、具体的な検討に入っていくというところでありますので、重要海域も含め、今後内容については十分詰めていきたいと思っております。どうもありがとうございます。

○武内部会長 以上で、質疑応答ということで、ちょっと回答の部分が必ずしも私は十分ではなかったのではないかと思うんですが、特に海域の評価の仕組みを前提にして、OECMを展開していくというふうな辺りは、もうちょっと踏み込んでやっぱりやったほうがいいと思うんですね。

 前回は、非常に精密にやったということもありますし、今回、新しく海域の保全地域を拡大したということの評価をどうするかというような問題もありますので、小笠原に至るあの部分は、もう既に認定したわけですけど、もうちょっと広いほかの地域も併せてどうかということで、これについては、私としては、やっぱり専門家の方に少なくとも集まっていただいて、そのことについて議論をするというのを専門の委員会とは別に設けたほうがいいんじゃないかと私も思いますので、ちょっとご検討いただければと思います。

 それでは、本件については諮問をお受けし、小委員会において、詳細についてご検討していただくということにさせていただきたいと思います。それでよろしいでしょうか。

(異議なし)

○武内部会長 ありがとうございます。

 それでは、次の議題に移らせていただきます。

 鳥獣保護管理法に係る講ずべき措置及び基本指針について、事務局より説明をお願いしたいと思います。

○鳥獣保護管理室室長補佐 環境省鳥獣保護管理室の遠矢と申します。

 議題2の鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化につき講ずべき措置並びに鳥獣の保護及び管理を図るための事業を実施するための基本的な指針について、答申をいただきたいということでご説明をさせていただきたく存じます。

 昨年の10月に、自然環境部会に二つの案件について諮問をさせていただきました。こちらが鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化につき講ずべき措置という案件と、鳥獣の保護及び管理を図るための事業を実施するための基本的な指針、基本指針と呼んでいますけども、こちら基本指針、この2件について諮問をさせていただきました。その後、部会のほうで承認いただきまして、「鳥獣の保護及び管理のあり方検討小委員会」でご審議をいただいたところでございます。

 昨年12月から今年3月、5月、7月と4回にわたって審議を行っていただきまして、この度、委員会のご報告という形で小委員会の委員長の石井信夫先生のほうから、今お示ししているような形でご報告をいただきましたので、今回、その概要について、事務局の私のほうから説明をさせていただきたく存じます。

 資料2-1-1として、今、画面共有させていただいているものが報告の本文でございまして、別添1という形で「講ずべき措置の答申(案)」というものを今回報告いただいているものがございます。

 そして、別添2として、基本指針(案)という形で二つのものをご報告いただいております。

 それぞれ、ちょっと大部にわたりますので概要資料を用いて説明させていただきたく存じます。資料2-2のこちらの資料、横長の資料をご覧いただきながら説明をさせていただければと思います。

 皆さん、ご存じのとおり、鳥獣の保護管理に関する現状に関しましては、特にニホンジカやイノシシといった一部の鳥獣において急速な個体数増加であったりとか、分布域の拡大というようなものがございまして、農林水産業、また生態系、生活環境の被害なども生じているような状況がございます。

 環境省と、あと農林水産省と一緒になって、シカとイノシシに関しましては、半減目標というものを定めまして、捕獲などの強化を進めているところでございますし、先般、平成26年には鳥獣保護管理法を改正しまして、こちらに基づいた取組を進めてきているところでございます。

 今回の諮問に当たりましては、この改正された鳥獣保護管理法、そして改正法が施行されてからの社会状況なども踏まえまして、点検作業を行ってきたところでございます。

 答申(案)の中でお示しいただいた現状と課題、そして講ずべき措置について、大まかにご説明させていただきます。

 現状でございますけれども、右にちょっとニホンジカとイノシシの個体数の推定のグラフなんかも載せておりますけれども、まだちょっと半減目標の達成というところまでは至っておりませんが、それぞれの個体数について、2014年度をピークとしまして減少傾向が続いていると推定されておりまして、一定の成果は現れてきていると考えております。

 一方で、シカやイノシシの捕獲を強化していく中で、わなによる錯誤捕獲の増加が懸念されていたりだとか、本州以南での鳥類の鉛中毒なんかの科学的知見が求められているような状況も出てきております。

 また、二つ目の中段のグラフになりますけれども、こういった鳥獣の管理の担い手になるような方々として、狩猟免許を持たれている方々がいらっしゃいますけれども、こういった方々の増加傾向が最近ですと見られてきております。ただし、免許を持っていても、なかなか捕獲そのものに従事できていない方というのが一定数いるということが言われております。こういった状況を踏まえますと、引き続き捕獲に従事しているハンターの方々というのは非常に高齢、熟練の方々に支えられているというような状況がございます。

 また、近年ですと、鳥獣の保護管理における感染症への対応ということで、昨年度なんかも高病原性鳥インフルエンザが非常に広く確認されましたし、野生イノシシと農場のほうでも豚熱が感染拡大しているというような状況でございまして、こういったところの感染症への対応をしてきているところでございます。

 課題としまして、現状としては進捗がある部分もあるんですけども、まだまだ進めなきゃならない部分がございます。例えばニホンジカだったりイノシシだったり、こういった鳥獣の保護と管理を実現するためには、各都道府県で特定鳥獣管理計画だったり特定鳥獣保護計画、こういった計画を定めていただいて事業実施をしていただいておりますけれども、この計画の確実な執行管理を進めていくことが必要だということをご指摘いただいているところでございます。こちらの計画については、目標自体が実はまだ定められていない都道府県があったり、目標を定めていても、なかなか達成まで至っていないような都道府県もあるというような状況でございます。

 また、先ほども申し上げましたとおり、管理の強化に伴って生じる錯誤捕獲などの増加の懸念など、鳥獣の保護上の課題解決の取組が必要だというようなことが課題として挙げられているところでございます。

 また、鳥獣の保護管理を担う人材の育成・確保も、先ほど申し上げたようなハンターの状況もありますし、そういった方々をしっかりと指揮していくような専門人材の方々、コーディネートしていくような人材というのも必要だというようなご指摘をいただいております。

 高病原性鳥インフルエンザ、そして豚熱といったものがこれまで中心で対応を取ってきておりますけれども、それ以外のものも含む感染症の情報収集ですね。鳥獣保護管理に関する情報収集ということで進めていく必要があるだろうということを指摘いただいております。

 こういった現状と課題を踏まえまして、資料2-2の2ページ目になりますけれども、講ずべき措置ということでご提言を委員会のほうからいただいたものが、こちらになります。

 これ、全てではなくて、主なものを少し抽出しておりますので、ご説明させていただきます。

 鳥獣の管理の強化ということで、今回、目標をしっかりと定めて、その目標に基づいた取組を実施していただき、評価、見直ししていく、そういった取組というのを進めていくべきだということでご指摘いただいたところでございますし、それに関する手法については、国の技術的支援も必要であろうというようなことをいただいております。

 また、管理の強化に当たっては、都道府県境などが、そういった管理の強化をすべき場所ということが最近言われているところでございますので、こういったところもしっかりと捕獲強化をしていくといったこともご指摘いただいております。

 また、管理の担い手として、平成26年の法改正で認定鳥獣捕獲等事業者制度という制度をつくりまして、事業者による鳥獣の捕獲なども進めていただいています。こういったものをしっかりと質の向上を図っていくというようなことであったりとか、事業者に関する情報共有の仕組みなども進めていくことが提言されたところでございます。

 鳥獣の保護の推進でございますけれども、こちらにつきましては、今後、局所的に被害が生じていて、今、被害防止目的で捕獲されているような種が、今後、希少鳥獣に指定される場合も考えられるということが懸念されておりまして、こういったものの保護管理の推進であるとか、先ほど申し上げたように、本州以南で、まだ実態が十分に把握できていない鳥類の鉛中毒の実態把握を進めて鳥類への影響評価を検討していくこと、あとは、錯誤捕獲、これらの防止のための情報収集などをしっかりと進めていくといったことをご提言いただいております。

 人材育成のところでございますけれども、こちらについては、免許は持っているけれども、技術を持った方がなかなかいないというような課題を踏まえまして、しっかりとした知識と技術を持った狩猟者などを育成していくということであるとか、あとは、鳥獣の管理を総合的に担うことができる人材、団体の育成支援、専門人材を育成するため、大学とかと連携した人材育成プログラムを検討していくべきじゃないかといったご指摘もいただいています。

 感染症への対応でございますけれども、これまで取り組んできています高病原性鳥インフルエンザ、豚熱等に関する取組については継続強化してまいりたいと考えておりますが、それ以外の鳥獣に関する感染症についても情報収集、あとは、感染状況の調査等を広範に実施していくということ、こういったことをご提言いただいております。

 最後、その他ということで、この中で特にご指摘いただいていたのが、二つ目のポツになりますけれども、今、市街地に出没する鳥獣というのが増えてきておりまして、こういった場合にしっかりと円滑な対応を可能にするための体制構築や、安全な捕獲のための技術的な検討、こういったことについてご提言いただいております。

 今回、これら講ずべき措置の答申案をいただいたということで、この答申案を踏まえて、鳥獣保護管理法の基本指針の改定についても、今回進めたところでございます。

 基本指針につきましては、こちらの環境大臣のほうが定める形になっておりますけれども、この基本指針に基づいて、各都道府県がそれぞれの県ごとの鳥獣保護管理事業計画を策定することとなっておりますので、こちらの事業計画が今年度末となっておりますので、今回改正される基本指針に基づいて、新たに各都道府県の鳥獣保護管理事業計画を策定していただくという形になります

 下の点検ポイントの部分でございますけれども、こちら、先ほどお示ししました講ずべき措置でいただいた提言ですね。こちらをしっかりと盛り込んでおります。ちょっと一つ一つ説明すると重なる部分が非常に多いのでちょっと割愛させていただこうと思いますけれども、講ずべき措置の提言案に従って、必要な部分を基本指針に盛り込んでおりますので、こういった形で、今回、改正案を取りまとめていただいたというところでございます。

 事務局のほうからの説明は以上となります。

○武内部会長 ありがとうございました。

 それでは、質疑応答に入る前に、小委員会で委員長を務められた石井信夫委員、何かご発言がございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○石井(信)委員 ありがとうございます。石井です。

 少し私のほうからも説明をしたいと思います。昨年度から4回小委員会を開いて、鳥獣保護管理法の施行状況について点検をした結果について、細かい審議を行いました。それで、今、紹介いただいた「講ずべき措置について」という答申と、これを反映した基本指針の改定案を取りまとめました。

 点検事項は、五つ挙げられているのですけれども、それぞれについて、事務局説明に加えて会議の中で指摘された点を少しご紹介しておきたいと思います。

 一つ目の鳥獣の管理の強化ということは、シカとかイノシシとか、管理の必要な鳥獣の科学的かつ計画的な管理のために数値等による目標設定とか、その達成状況の評価とか計画の評価をして、計画の見直しを行うこと、とまとめたんですけれども、これは、順応的管理という考え方が、もう随分以前からうたわれてはいるんですが、これを正しく理解して進めていくということが、まだまだ不十分であるということが問題になりましたので、その理解促進とか実践がやりやすいように、答申のほうと、それから基本指針で文言を加えました。それで、さらに詳しい説明は、特に、第2種の特定鳥獣管理計画作成のためのガイドラインというのがあるんですけれども、それで詳しく説明してもらうということにしてあります。

 それから、2番目の鳥獣の保護の推進については、シカ・イノシシの管理の強化に伴って、錯誤捕獲が増えているという実態も報告されているし、心配もあるわけなので、ただ実態がよく分からないので情報収集をまずする、その仕組みをつくるということ、それから、防止対策をきちっとやっていくのが必要だということを指摘してあります。

 それから、3番目の人材育成については、鳥獣の保護・管理を支える人材が必要だということは前から言われているんですけれども、それをまず確保する、それから育成をしていく、それから、そういう人材を活用していくというのが重要であるという指摘をしました。

 で、特に、現場の問題としては、わな猟が中心になっているんですけども、銃猟の担い手の確保・育成が必要であるということを強調してあります。で、基本指針の1の基本的事項の第5のところに、人材の確保・育成、それから適所への配置・活用ということが明記されています。これは、自治体などにそういうことを考えてほしい。あと、その他の関連団体にも、ということが明記されていますので、ここも留意いただきたいと思います。

 四つ目の感染症については、鳥インフルエンザとか豚熱を中心の対策が取られてきましたけども、そのほかにもいろいろあるので、情報収集と調査を進める必要がある。それから、環境省だけでは、この問題は扱うことができませんので、公衆衛生とか家畜衛生、そして動物愛護管理というかペット動物に関わる行政等の担当部局の連携が重要ということも指摘してあります。

 その他、細かいことですけども、外来鳥獣については、鳥獣法の中では、例えばですけど、鳥獣保護区特別地区での対策をすることが必要だと。それから、最近問題になっている大型獣類の市街地等への出没についても対応の体制をつくる。また、出没そのものを減らすために、いろいろな手を打っていくということが重要であるというような指摘をしました。で、基本指針にも反映していただきました。

 委員会としては、今回、取りまとめた答申案と基本指針案に基づいた取組が進められて、鳥獣の保護、管理が一層推進されることを期待しております。

 以上です。

○武内部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、ほかの委員の皆様からご意見、ご質問がございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 山極委員、お願いします。

○山極委員 総合地球環境学研究所の山極でございます。どうもありがとうございます。

 シカとかイノシシの個体数が減っているということは、大変いい兆候だと思いますし、今、石井委員長のご発言のように、随分検討は進んでいるというふうに理解しました。ただ、2年前に自然環境局長から審議依頼を受けて、日本学術会議で、人口縮小社会における野生動物の管理という提言を出しました。ここで一番強調していることは、狩猟免許者が減っていることは事実なんだけど、例えば、ドイツのように狩猟免許を持っている方々に野生動物管理の指針等々をご理解いただいて、そこにある程度の権限を与えるというような措置を講じるべきだとか、あるいは人材育成に関しては、文部科学省と相談して、地方の大学にそういった人材育成の講座を設けるとか、そして、地方自治体に関しては、今、石井委員長もおっしゃいましたけれども、ポストを増やさないと、これは対応できません。

 今、現場で何が起こっているかというと、ICT化は進んでいるんだけど、その情報を入れる人材がいないわけですよね。つまり、どういう情報を入れたらいいか分からないという状況なんです。これは大変憂慮すべきことですから、これからどんどん、いわゆる個体数は徐々に減っていくとしても、被害の範囲が広がっていくと思います。都市にも出没していますし、そういったことを全体で防除していくためには、かなり抜本的な対策が必要です。

 つまり、時間がかかることを見通して、数年後にきちんと人材が各部署に配置されるように、大学等に講座を設ける等、かなり早急にそういった対策を講じないといけないと思いますから、検討中であるということであるならば、さらにそれを進めていただいて、文部科学省にお金をつけていただくとか、そういう対策を抜本的に講じていただきたいと思うんですが、ちょっとその辺りの事情について、もしご説明があればお聞きしたいと思います。

 以上です。

○武内部会長 はい、ありがとうございました。

 それでは、五箇委員、お願いします。

○五箇委員 国立環境研究所の五箇です。

 私のほうから、感染症への対応ということで、ちょっとこの部分に関しては、私自身も、今、環境省等々と相談させていただきながら、事業をどう展開するかというのを、今、打ち合わせさせていただいている最中ですが、この野生動物感染症の問題というのを、もうちょっときちんと整理して連携していくことが重要であろうと思います。

 要は、野生動物を端緒とする感染症がもたらす問題としては、希少性動物ですね。要は、例えばツシマヤマネコとかイリオモテヤマネコといったものに対して、SFTSが感染した場合の、絶滅リスクといった形で、いわゆる保全生態学的な側面と、あとは野生動物から家畜へ感染する、いわゆるイノシシの豚熱といったようなもので、家畜の公衆衛生という問題。それと、今回の新型コロナのようにコウモリ由来のものが人の健康に影響を及ぼすといった観点ですね。

 要は、結局、根っこは環境省、生物多様性というところが出だしなんだけども、そのアウトプット、アウトカムとなるところは、様々な省庁が連携することになるという中で、ちょっと気になったのは、この感染症への対応という中で、公衆衛生、家畜衛生等の担当部局等との連携・情報共有と、何か、ちょっとこの歯にきぬ着せた言い方で、これは、はっきり言えば厚労省とか農水省と連携していかなくてはならないということがもっとはっきりと明記されるべきであろうということと同時に、あと、こういった感染症対策の問題で、今、環境省に重くのしかかる問題としては、野良猫や野良犬といったような、あるいは野生化した野猫、野犬、そういったペット動物由来の感染症対策という部分の管轄が今空洞化しています。何の法的な規制もないという中では、獣医師さんたちも非常に困っているという状況があると。割とそういったところについても、結構突き詰めて議論されるべきであって、ちょっと、この対応という部分の記述だけでは非常に心もとないなという気がしているということで、こういった問題について、環境省としては、今後どういった対応をしてくという心構えなのかというのは、ちょっとお聞きしたい。

 あと、最近ちょっと気になっているのが、例えば北海道のヒグマであったり、本州のツキノワグマ、こういったものに対する人的被害というものが非常に顕在化していて、特に新型コロナによって、里山エリアにおける人流活動というのが停滞することで、野生動物がどんどん進出してきていると。その一方で、鳥獣保護法により猟ができるエリアやそのタイミングというのは、非常に限られているという中では、ぶっちゃけ、町の中で人が食われていても、発砲はできないといったような現状といった部分に関して、環境省は今後どういう対応を取るのか。この問題は、今後ますます顕在化してくる可能性が非常に高いと思っていますので、その辺についてもご意見をいただければと思います。

 以上です。

○武内部会長 あと、まだ3人の方がご発言のご要望がございます。手短にお願いしたいと思います、時間の関係で。

 それでは、勢一委員、お願いします。

○勢一委員 ありがとうございます。西南学院大学の勢一です。

 この鳥獣保護管理の実施は、地方の現場が実質的には担っていますけれども、既にご指摘があったとおり、地域、地方自治体の人材不足というのは非常に深刻で、この点は地方制度調査会でも議論がされております。

 これに関連して、内閣府のほうで、地方分権改革の有識者会議から、今年度、環境省に依頼されている検討案件がありますので、併せてご検討をお願いしたいということを申し上げたいと思います。検討の内容、詳細は、ここでは申し上げませんけれども、地方分権改革の中で、法令に基づいて地方公共団体が策定する行政計画が、あらゆる政策分野で増加していまして、現場の負担になっているという問題状況がございます。計画の策定や改定に時間と人手が取られて、実際に計画に盛り込んだ施策に取り組めないというような本末転倒な事態も生じつつあることに懸念があります。

 そのため、この鳥獣保護管理法に関しても、この法律の中で定めている行政計画の策定の合理化・効率化について、内閣府から環境省へ検討の依頼が届いているところです。確かに、順応的管理は重要ですけれども、毎年計画を改定する以外にも、いろいろな対応方策があるというのが地方団体からの声でございます。こうした行政手法論については、あまり環境省では意識されていなかったように思われますので、ぜひ、この機会にご検討をお願いしたいと思います。恐らく、委員会での議論のタイミングには間に合っていないと思いますので、今後のご検討を追加でお願いしたいと思います。

 私からは以上です。

○武内部会長 はい、ありがとうございました。

 髙村委員、お願いします。

○髙村委員 ありがとうございます。

 鳥獣の側からの講ずべき措置というのは出されたんですが、植生ですとか森林の土砂の流出がシカの食害とかで増えて、河川の生態系を変化させるとか、そういう点も影響が非常に大きいので、その辺の科学的知見を取っていくような方向性も盛り込んでいただければ、ありがたいなと思います。

 以上です。

○武内部会長 はい、ありがとうございました。

 それでは、藤田委員、お願いします。

○藤田委員 ありがとうございます。

 この法律の範疇なのかも含めて教えていただきたいんですが、駆除数が増えてきたというデータがありました。駆除した後の処理というのはどうなっているのか。私の以前の認識だと埋設をするとか、それだけ数が増えてくると、やっぱり生態系への影響もあると思います。埋設なのか、それとも、そのジビエのように食のサプライチェーンへつなげていくということが、より積極的になされているのか、そこの施策について質問させていただければと思います。よろしくお願いします。

○武内部会長 はい、ありがとうございました。

 それでは、事務局のほう、ご回答をお願いします。

○鳥獣保護管理室室長補佐 ありがとうございます。時間も限られておりますので、手短に回答させていただきます。

 山極先生のほうからいただいた意見について、大学等と連携した専門人材の育成などについて、学術会議のほうからもご回答いただいたところでございました。これは2年前にご審議依頼させていただいて、回答いただいた部分でございます。まさに、これに対しては、今、お示ししている資料の人材育成の部分の二つ目の部分、ここが当たる部分になりますけれども、現在、農林水産省と環境省と、実は連携して、こういった野生動物管理の人材育成のためのカリキュラムづくりというのを、この学術会議の議論に参加された先生方も含めて議論させていただいているところですので、これをこれから形にしていくといったことに関しては、関係省庁とも連携し、大学等とも連携しながら進めてまいりたいと考えております。

 二つ目、五箇先生のほうからご指摘いただいた感染症の部分でございます。実は、感染症の部分、今回、かなり記載を強化しております。もともと、この基本指針という中には、高病原性鳥インフルエンザのことぐらいしか触れられていなかったんですけども、今回、豚熱であり、アフリカ豚熱に関することであるとか、それ以外の感染症についても相当書き込みを追加しておりまして、都道府県がどういったことをしていくかということを明確に、ある程度していったところでございます。

 ご指摘のとおり、家畜衛生部局や公衆衛生部局との連携というところは、まさに、厚労省や農水省といった関係省庁もそうですし、都道府県のほうの関係部局との連携ですね、間の連携、こういったものも進めていくということで、こちらとしては考えているところでございますので、進めてまいりたいと思います。

 また、鳥獣の市街地出没のお話をいただきましたけども、現行ですと、やはり市街地で銃を撃つということ自体が非常に危険な行為でございますので、基本的にできない形になっておりますけども、先般、北海道で出没したものも含めてですが、緊急的な事態において、警察官の指示に基づけば、銃を撃つこともできる形に、今、現状なっております。ただ、それだけではなくて、もう少し安全な捕獲方法などもこちらとしては検討していきたいということで、今回の基本方針の中でも書かせていただいておりますので、引き続き、取り組んでまいりたいと思います。

 次に、勢一先生のほうからご指摘いただいた内閣府の分権のほうで、現在、ご指摘いただいていることにつきましては、ご案内のとおり、こちらの点検のプロセスよりも後に出てきた話でございまして、今回の俎上にのっておりませんけども、今いただいているご提案について、引き続き検討してまいりたいと思っております。ありがとうございます。

 あと、髙村先生のほうから、植生だったり土砂流出への影響の関係でご指摘がございました。これは、まさに、シカなどが植生などへの影響を及ぼすことで、土砂流出だったりとか災害なんかも引き起こすリスクも生じさせているというようなこと、こちらとしても、考えているところでございます。そのため、シカの捕獲事業というようなところは、国土強靭化の施策の部分にも、実は入れ込ませていただいている部分でございますので、こういった観点からも、しっかりと取組を進めてまいりたいと考えております。

 最後、藤田委員のほうからご指摘いただいた捕獲した鳥獣の処理についてでございました。基本的には、やはり生態系への影響を抑えるという観点から、捕獲したものを持ち帰っていただくということが原則となっております。ただ、それが難しい場合には、その場で埋めて埋設処理していただく。ただ、その埋める深さというのもしっかりと、鳥獣とかが掘り返して、それで食べて生態系への影響が出ないような、ただ、土かぶせただけじゃなくて、しっかり埋めていただくといった形で対応いただいているところでございます。

 ジビエの話も少し出ましたけれども、持ち帰れるようなものであれば、しっかりとその利活用を進めていくというようなことは、今、農水省のほうと環境省も連携して、そのジビエの推進も取り組ませていただいているところでございますので、こういったものも併せて進めてまいりたいと考えております。

 ご回答させていただきました。以上でございます。

○武内部会長 小泉委員からご質問があるということのようですけれども、手短にお願いしたいと思います。

○小泉委員 ありがとうございます。小委員会に参加した者として、一言申し上げます。

 今回、この改定作業に関わりまして強く感じたのは、こういった鳥獣の保護管理の問題は、私たち人間の社会の在り方と大きく関わっている、その度合いがますます強まっているということです。また、視点の転換・拡大が必要だなというのも感じました。それは、感染症の対応という中で出てきたワンヘルスという視点ですね、こういったことは今後、鳥獣保護管理の中で十分考えていかなければいけないことだというふうに強く感じました。ということで、先ほど、生物多様性国家戦略の概要が、説明いただきましたけれども、こういった鳥獣の保護管理の問題も、引き続き生物多様性国家戦略の中に明確に位置づけて、答申や関係法令との整合性を図っていただきたいと考えています。

 以上です。どうもありがとうございます。

○武内部会長 ありがとうございました。大変貴重なご意見ありがとうございました。基本的には、小委員会のほうで取りまとめていただいたもので、皆さん、ご了承いただいているというふうに私としては理解しておりますけれども、今日いただいた意見をもう少し盛り込むことができないかということをちょっと事務局のほうで検討していただいた上で、最終的に提案として、オーソライズするというふうにさせていただければと思います。で、内容につきましては、大変恐縮でございますけれども、私、部会長に一任をさせていただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。

 こういうときは、会場がありますと、皆さん、うなずいてくれるんですけれども、その表情が全然分からないものですからご発言がないということで、ご了承いただいたとさせて……。

(異議なし)

○武内部会長 はい、ありがとうございます。じゃあ、そのようにさせていただきます。どうもありがとうございました。拍手、どうもありがとうございます。

 では、次の議題、外来生物法の施行状況等を踏まえた必要な措置について、事務局より説明をお願いいたします。

○外来生物対策室長 7月1日付で、北海道地方環境事務所から外来生物対策室長として参りました大林と申します。よろしくお願いいたします。

まず、資料3-1に関しましては、特定外来生物、正式名称は、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律ですけれど、この法律が平成25年に一度改正いたしました。その後、その附帯決議等で、5年ほど経過しました段階で一度見直すことになりました。その後、後でご説明いたしますけど、委員の専門家の先生に、いろいろと点検をして頂き、どういうふうになったらいいかということを検討しもらった上で、その提案がまとまりましたので、それを中央環境審議会のほうで議論をしていただこうということで、8月18日付で、中央環境審議会のほうに諮問をさせていただきまして、その後、資料3-2ですが、自然環境部会のほうで諮問、付議がされたところでございます。

一点、事務的なところですが、資料3-3になりますが、実は、前回の法律を改正したときには、小委員会、外来生物に関する専門の小委員会というのがあったんですけど、統合等の関係で廃止になりまして、今、その外来生物の在り方を検討する場がないということになりますので、この野生生物小委員会のほうに、外来法に関する施行状況を踏まえた必要な措置についての調査審議を行うという文言と、あと、外来生物法の中で基本指針というのをつくるということになっておりますが、その基本指針については、中央環境審議会のほうで議論をしていただくということになっているんですけど、それを受けるところがない。今回は、まずは必要な措置についての調査審議を行うということなんですけれど、来年度、この基本指針というのは改定することになると思いますので、それに関して、中央環境審議会のほうに調査審議するという2点を加えさせていただきたいということを、まず決議していただきたいと思っております。 

 それを踏まえまして、資料3-4のほうを映せますか。

 1番に関しましては、先ほど口頭でお話ししていましたように、5年間経過したので、この法律につきまして、施行状況等を確認しまして、必要な措置を検討しなさいということが書いてあります。

 そして、2番目に、今までどういうふうに審議をしてきたか、どういうことを検討してきたかということなんですけど、真ん中のほうに二つあります。「外来生物法の施行状況評価検討会」というものと「外来生物対策のあり方検討会」というのが二つあります。で、一つ目、外来生物法の施行状況評価検討会というのは、一昨年度から昨年度にかけて3回検討させていただきました。

 その上で、外来生物対策のあり方検討会、これが5回開催しましたけれど、これ、参考資料3-3のほうに委員の名簿等も入っているんですけど、石井実先生を座長としまして、外来生物法の共管のは農水省はじめほかの省庁等にも先生を推薦していただきまして、様々なメンバーで、外来生物、どのように対策をやっていくかということに関しまして検討しました。

 また、このこちらに書いてある委員だけじゃなくて、もう一回、資料の3-4のほうに戻っていただきたいんですけれど、第2回、第3回のほうに、関係団体からヒアリングということで、外来生物を実際に防除しているNPO法人とか学識経験者や港湾管理者、また、第3回に関しては、自然保護協会からのヒアリングをしたり、まさに様々な方にヒアリングをした中で、今、どういう状況にあって、どのようなことを対策としてやっていくかということについて、検討していただきまして、8月3日の検討会で、この外来生物のあり方について、検討がまとまったところです。

 その内容につきましては、後ほど、説明をさせていただきたいと思いますけれども、まずは、その次のところへ行きまして、スケジュールについてお話をさせていただいております。

 本日、自然環境部会のほうで、これを野生生物小委員会のほうで審議をしていただくということを了承していただければと思います。そして、その後で、野生生物小委員会のほうで議論をしていただきまして、パブリックコメント後にそれを取りまとめて、答申をしていただき、必要がある場合は、法律改正等、必要な措置を取っていきたいと考えております。

 では、どのような提案がまとまったということに関しましてですけれど、ちょっと参考資料3-1を先に出してください。こちら目次も入れまして、約20ページで、今、現状がどうなっているのか。そして、それに対する課題があって、それに対して、どうしていくべきかということが書いてあります。これはちょっと大部ですので、参考資料3-2で一番重要な点を説明させていただければと思っています。

 必要な措置を大きく七つの項目に分けさせていただきました。

 その中で一つ目、まず、特定外来生物の効果的な指定ということで、ちょっと最近、新聞報道が少し混乱を招く部分もありましたけれど、三つ目のところですね、大量遺棄等による弊害を軽減した規制の仕組みの構築と各種対策の推進ということで、例として挙げられているアメリカザリガニとか、アカミミガメですね、これに関しましては、生態系に対して大きな影響を与えるということは分かっているんですけれど、今、家庭のほうで多くペットとして飼っておりまして、今までの特定外来生物のほうに指定しますと、手続のことを嫌って大量遺棄が起きてしまうんじゃないかと、そうすると、よく調べてみると、例えばアメリカザリガニでも、広がっているように見えて、実は侵入してない池とかもたくさんあったりしますので、そういうところも含めて広がって、今、同じような規制の枠組みで指定してしまうと、さらに生態系に対する影響が大きいんじゃないかということで、新たな枠組みを検討していくべきじゃないかということを提言しております。

 次に、二つ目ですけれど、飼養等許可の適切な執行管理ということで、実際にセイヨウオオマルハナバチとか、ガーとか、非常に手続の数が多くなっております。それを、例えば地方環境事務所等で処理をしているんですけれど、それが結構、実は職員の大きな負担になっておりまして、それをもう少し効率化して、もっとやるべきこと、防除のほうとかですね、そちらのほうに取り組むべきじゃないかという提言を受けております。

 三つ目、水際における意図的及び非意図的な導入対策の推進ということで、特に二つ目ですが、実は、最近、あまりテレビや新聞等でも取り上げられてないんですけど、水際でヒアリ、アカカミアリもそうなんですけど、ヒアリが多く出ておりまして、例えば、この8月でも、実は、全国の港湾で1週間に、一、二回はヒアリが新しいところで発見されるということがありまして、私も、昨日、現場を見てきまして、実際、ヒアリの防除の現場に立ち会ってきたところでございますけれど、そういうのが入ってきたときに、まだ水際対策でやれることがあるんじゃないかと。今のところ依頼でしかできないところがあり、法律でここをびしっと、例えば物を止めるということができれば、それが拡散せずに済むんですけれど、今は行政的にお願いすることしかできないので、止めたり、あとは、その周囲の土地をお願いで調査させてもらうことはできるんですけど、法律上でできるようにすべきじゃないかとか、水際対策について、もう少しやれることがあるという提言を受けております。

 四つ目ですね。国内に定着している特定外来生物の防除対策の推進ということで、これに関しましては、もっと情報をしっかりと集めて、例えばアライグマが出ているところは、その隣のところはどうなるか、クビアカツヤカミキリは出ているんだけど、じゃあ隣のところ、ここはもう今、重点的に対策をすべきじゃないかとか、情報をちゃんと整理して、拡散懸念地域の注意喚起とか、そういう取組はできるんじゃないかということが提言されました。

 五つ目、特定外来生物以外の外来種対策の推進ということで、今、「生態系被害防止外来種リスト」とか、「外来種被害防止行動計画」というのが、関係省庁の中で決めたんですけど、実際に、例えば種の保存法のレッドリストのように、外来生物法のほうでも、ちゃんと法律との関係を整理して、実効性をより持たせるべきじゃないかというような提言があります。

 で、六つ目ですが、各主体の協力と参画、普及啓発の推進ということですが、今、外来生物法では、国が基本的には防除すると書いてあるんですけれど、それは、実際、重要な役割を果たす地方自治体とかが迅速に動いたり、民間の力を借りたり、国民一人一人の動きが大事だったりしますので、そういうことに関して、しっかりと法律に書くべきじゃないかということなども言われていますし、実際、その取組を支援する仕組みというのもつくるべきじゃないかということが言われています。

 七つ目に関しては、やはり外来生物、まだ分からないところもございますので、調査研究を推進していくべきじゃないかと言われています。

 以上、必要な措置に関しましては、概要についてお話しさせていただきました。説明につきましては以上です。

○武内部会長 ありがとうございます。

 それでは、質疑応答に入る前に、あり方検討会座長、野生生物小委員会委員長の石井実委員からご発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○石井(実)委員 ありがとうございます。石井でございます。

 今、丁寧に大林室長のほうからご説明されたとおりですけれども、あり方検討会で5回にわたって審議させていただきました。その中で、本当に幅広い関係者からのヒアリングをさせていただきまして、そこでいただいたご意見を踏まえて、強力な外来種対策分野の専門家に集中的に、精力的にご議論いただいたということでございます。今日は、ちょっと時間がないので、その提言部分のご紹介はなかったのですけども、後でお読みいただければと思います。

 自然環境部会にもあり方検討会でご議論いただいた五箇委員が入っておられます。この後は、これもご説明あったとおりですけれども、野生生物小委員会に場を移しまして、より幅広い視点を含めまして、さらに議論を進めていきたいというふうに思っているところです。自然環境部会にも、野生生物小委員会の先生方も入っておられますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 以上でございます。

○武内部会長 ありがとうございました。

 それでは、委員のお一人で、ヒアリに関するご指摘もございましたので、ここで五箇委員からご発言がございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○五箇委員 ありがとうございます。

 この委員会のほうでも、検討会のほうでも委員をやらせていただきまして、あと、現場のほうでは、ヒアリの水際対策、今やらせていただいているところですが。ちょっと実際問題、今、大林さんのほうからも説明があったんですけど、ヒアリの侵入は全然止まっていないどころか、結構このコロナ禍で盲点を突かれているという状況の中で、2020年度だけでも発見事例は16、今年度に入ってからは10事例が一応報告されているという中で、東京港や名古屋港といった国際港を中心に、実は地面にもう巣を作り始めているという事例が複数回確認されています。で、しかも、その巣自体は、羽アリと言われる次の女王や雄アリですね、そういったものが作られているということは、もう既に分巣化の、要は分布拡大が可能なステージに入ってきているということで、実際問題、もう既に分散しちゃっているかもしれないということもあるということで、今、5キロぐらいの範囲内は確実にモニタリングしなくてはならないという状況に来ています。

 こういった中で、現状、ちょっともう逼迫した状態で、それこそぎりぎりのところでモニタリング等防除をしているというところで、巣は見つけ次第駆除しているところですけれども、いかんせんアリですので、巣穴が深く、どんどん広がっているという状況の中では、相当これは強化していかないと、まさに新型コロナの二の舞ということですね、ここで水際が抑え切れなければ、確実に分布が広がると。

 一時、刺されても死なないというような環境省本体からも説明があったりして、結構、リスクが軽視されていますが、私自身も刺されたことありますけど、これ、めちゃくちゃ痛いアリで、こんなものが日常的に、生活環境の中にいたら、相当面倒くさいこと、子どもたちもはだしで遊べなくなってしまうという、そういった環境ができてしまうと。そういう意味でも、やっぱり新型コロナの二の舞ということですね。子どもらの安心・安全といったものを奪ってしまうという状況をつくってしまうという意味では、今のところ、この外来アリだけは何が何でもせき止めなきゃならない状況にあることは、ぜひとも、ここにいらっしゃる委員の皆様を含めて環境省も認知していただいて、今後の対策を強化していただきたいと思います。

 以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。

 それでは、委員の皆様からご質問、ご意見がございましたら、手挙げ機能でお願いしたいと思いますが。よろしいでしょうか。

(なし)

○武内部会長 特にないようでございますので、本件については、事務局案のとおり、部会決定を変更することとし、諮問された内容については、小委員会において審議を一任していくということにさせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

 それでは、次の議題、その他についてでございますが、報告事項として、『奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島』の世界自然遺産登録について」、事務局より説明をお願いしたいと思います。

○自然環境計画課長 自然環境計画課長の堀上です。

 先月になりますけれども、7月26日に、奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島の世界遺産への登録が決定しております。これまでたくさんの方に関わっていただきました。全ての方々のご尽力に、まず感謝を申し上げます。

 それでは、概要について、資料によって、ご報告をさせていただきたいと思います。

 この資産の名称ですけれども、各4島の名前があります。奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島ということでございます。世界遺産としての普遍的価値につきましては、独自の生物進化を背景とした、国際的にも希少な固有種に代表される生物多様性上の重要な地域。保護担保措置につきましては、国立公園、森林生態系保護地域などでございまして、環境省、林野庁の共同推薦になってございます。

 次をお願いします。世界遺産登録までの経緯でありますけれども、遺産登録までの道のりというのは平たんではないというものでありました。この資料にはちょっと書かれていませんけれども、この地域が候補になりましたのは、2003年の5月の検討会でございまして、推薦までにそれから14年近くかかっております。途中、保護担保となります国立公園の拡張ですとか、あるいは新規の指定等ございまして、その際には、審議会の委員の皆様には大変お世話になりました。この場を借りて御礼を申し上げます。

 2018年の5月に、IUCNによる延期勧告がございまして、それで、推薦書を一旦取り下げるということになりました。そのことを踏まえて再提出をし、2020年には、世界遺産委員会で審査がある予定だったんですけれども、新型コロナの影響で1年延期と、そういうこともございました。で、今年の5月に、IUCNによる世界遺産への登録が適当というような記載勧告がありまして、今回、登録が決定したとそういう経緯でございます。

 次をお願いします。世界遺産委員会の決議に際しまして、遺産一覧表への記載決定に合わせて、四つの項目について、更なる取組を求められてございます。

 一つ目は、観光管理の徹底ということで、特に西表島について、観光客の収容能力と影響に関する評価が実施されて、観光管理計画に統合されるまでは、観光客の上限を設ける、あるいは減少させるための措置を要請するというものが一つ。

 それから、二つ目は、希少種の交通事故対策、ロードキル対策ですね、交通管理の取組を検証して、必要な場合には強化するよう要請するというものでございます。

 それから、三つ目が、包括的な河川再生戦略の策定、可能な場合には、自然再生のアプローチを採用するための包括的な河川再生戦略を策定するように要請するというものでございます。

 そして、四つ目が、緩衝地帯における森林伐採について、適切に管理するとともに、あらゆる伐採を厳に緩衝地帯の中にとどめるよう要請するというもの。

 以上の4項目への対応策につきましては、来年の12月1日までにユネスコに報告するということで要請をされております。今後、関係機関と連携をしまして、有識者の皆様からの科学的助言も得ながら対応していくということにしてございます。

 次をお願いします。世界遺産登録に当たってのメッセージ、総理からも出ておりますので、ご紹介します。26日の登録の後に、官邸のホームページに総理談話が掲載されております。登録を心からうれしく思うということと、島にすばらしい生物たちが生息していると、将来にわたって大切に守って、魅力を世界に向けて発信する決意だという、その談話が載せられておりまして、これは文字だけじゃなくて、ビデオメッセージも掲載されているということでございます。

 それから、もう一つ、環境大臣からも談話としてメッセージが出されております。唯一無二の自然の価値が、今回国際的に認められた。候補地になってから、実に18年の経緯があって、2003年選定のときに3候補あって、知床、小笠原諸島に次ぐ最後の登録が実現できたということ。で、質の高い保全と管理を一層充実させるという決意ということで、引き続き、皆様とともに道を歩んでいきたいという大臣のメッセージでございます。このメッセージも動画もありまして、こちら、YouTubeでも閲覧が可能となってございます。

 次をお願いします。これは参考とはさせていただいておりますけども、日本の世界遺産地域は5地域ということになりました。これは、先ほども申しましたけども、2003年の検討の際、3地域候補となって、それが知床、小笠原諸島と来て、今回の登録で全て完了ということになっております。ですので、この5地域の遺産の価値を次世代に継承していくということが、当面、非常に大きな課題でありまして、それぞれ一層質の高い保全管理を進めていけるように、関係者の皆様と連携しながら進めていきたいと思っておるところでございます。

 報告は以上です。ありがとうございました。

○武内部会長 ありがとうございました。

 それでは、以上の報告事項について、ご質問、ご意見等はございますでしょうか。

 石井実先生、委員、お願いします。

○石井(実)委員 はい、ありがとうございます。

 奄美、沖縄の世界自然遺産登録、私もいろいろ関わってまいりましたので、本当にうれしく、歓迎したいと思います。その上でコメントを一つさせていただきたいと思います。

 当然のことですけれども、世界自然遺産に登録されたということになりますと、その生物多様性の保全管理については国の責任がさらに重くなるというふうに思います。先ほど、小泉大臣のメッセージにも、高い保全管理を充実させるというのがありましたけれども、具体的なところを申し述べたいと思います。

 先ほどのご説明の資料の中に、オーバーツーリズム、ロードキル、あるいは森林管理というのがあったんですけれども、野生化したイエネコ、ノネコですね、を含む外来生物問題がかなり大きいと思います。さらには、盗掘だったり、密猟だったり、こういう問題もあるのではないかというふうに思うのですけれども、この辺りの管理を適切にしていただきたいと思います。

 とりわけ、外来生物問題につきましては、先行して遺産登録されている小笠原諸島において、いまだにグリーンアノール、あるいはニューギニアヤリガタリクウズムシなど、本当に多くの侵略的な外来生物に苦しめられています。特に、オガサワラシジミという固有のシジミチョウに関しては、野外での記録が途絶え、さらに、生息域外個体群まで途絶してしまったということで、かなり厳しい局面になっていると思います。さらに、小笠原で本当に種分化を著しくとげている陸生の貝類ですね、これらについても危機的な状況にあるということですので、小笠原を含めまして、奄美、沖縄におきましても、外来生物対策を含めて、固有の希少種の保全、地域の生物多様性保全に惜しみなく力を注いでいただけるようにお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。

 それでは、髙村委員、お願いします。

○髙村委員 はい、ありがとうございます。

 質問なんですが、世界遺産一覧表への記載決定に合わせて、今後の更なる取組で4項目挙げられております。その、3番目なんですが、包括的な河川再生戦略の策定が入った経緯と、これ可能な場合にはと書いてあるので、環境省のほうはどのようにされるかということを教えていただけますでしょうか。

○武内部会長 ありがとうございます。じゃあ、今のことについて、ご回答をお願いいたします。

○自然環境計画課長 石井実先生からコメントをいただきまして、ありがとうございます。

 保全につきまして、これから特に管理を強化するということはおっしゃるとおりですので、そのご意見を伺って、今後も十分、関係機関と連携しながら、専門家のご意見を伺いながら進めていきたいと思っております。

 それから、髙村委員からのご質問がありました件でありますけれども、特に、奄美大島において、河川工作物があったり、そういったことが今後どういうふうになっていくのかというところについても、IUCNのその調査のときにも説明をしてきた経緯がございます。このことにつきましては、今後、その工作物の影響が出ていかないように、あるいは、そのモニタリングをちゃんとして、仮にその重大な影響が確認されれば、改善策を検討するというようなことも含め、今後、その関係機関と調整しながら、対応については十分検討し、ユネスコに報告できるようにしていきたいと考えております。

 お答えは以上です。

○武内部会長 ほかにございますでしょうか。よろしゅうございますか。

(なし)

○武内部会長 それでは、議題4、その他はこれで終了させていただきたいと思います。

 予想外に進行に、皆さん、ご協力いただきましたので、予定時間よりも早く終了することができます。

 それでは、皆さんのご協力に感謝を申し上げて、進行を事務局にお返ししたいと思います。

○司会 武内部会長、ありがとうございました。

 委員の皆様におかれましても、長時間にわたり、ご審議いただきまして、ありがとうございました。

 本日は、どうもありがとうございました。

午前11時52分 閉会