中央環境審議会 自然環境部会(第39回)議事録

日時

令和2年1月27日(月)15:30~17:30

場所

環境省第1会議室

(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館)

出席者

武内 和彦  部会長

石井 実   委員

山極 壽一  委員

石井 信夫  臨時委員

江崎 貴久  臨時委員

大沼 あゆみ 臨時委員

小泉 透   臨時委員

小菅 正夫  臨時委員

小長谷 有紀 臨時委員

白山 義久  臨時委員

高橋 徹   臨時委員

深町 加津枝 臨時委員

二宮 雅也  臨時委員

湯本 貴和  臨時委員

議事

午後3時30分 開会

○司会 本日は、お忙しい中、当審議会にご出席いただき、ありがとうございます。

 定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会第39回自然環境部会を開会いたします。

 会議に先立ちまして、本日の出席委員数をご報告いたします。

 本日は、所属の委員25名のうち、14名のご出席をいただいておりますので、本部会は成立いたしております。

 次に、本日の資料についてですが、環境負荷削減の観点から、審議会のペーパーレス化の取組を推進するため、委員のお手元にございますタブレット端末の中に入っております。

 審議中、資料の不足やタブレット端末の不具合のある方がおられましたら、事務局の担当者にお申しつけください。

 また、席上には、印刷資料として、議事次第、配布資料一覧、資料3、資料4を配付しております。ご不明な点等がございましたら、事務局にお申し出ください。

 続きまして、自然環境局長の鳥居よりごあいさつ申し上げます。

○自然環境局長 皆さん、どうもこんにちは。年度末のお忙しい中、一部の先生方には、毎回お越しいただきまして、本当に恐縮でございます。

 その中で、今日は自然環境部会ということで、議事次第を見ていただきますと、審議事項が2件、そして諮問事項が2件、報告事項ということで、特に、昨年の通常国会で、自然環境保全法の改正案が通りまして、沖合海底自然環境保全地域を新たに制度として設ける、それに伴いまして、今回自然環境保全基本方針を久方ぶりに改定するということのご審議をいただきたいということ。また、環境基本計画の点検に絡む審議、そして中央アルプス国定公園について、県立自然公園から国定公園にするという諮問事項でございます。また、奄美群島国立公園ほかの公園計画の変更がございます。

 そして、報告事項といたしまして、今年秋に中国で開催されます生物多様性条約のCOP15で議論されますポスト2020の枠組みについての検討状況等、盛りだくさんの内容になってございます。

 限られた時間ではございますが、忌憚のないご意見をいただければと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

○司会 次に、報道関係者の方へのお願いでございますが、カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、これよりの議事進行につきましては、武内部会長にお願いいたします。部会長、よろしくお願いいたします。

○武内部会長 武内でございます。

 年の初めということもございますので、少しごあいさつをさせていただきたいと思います。

 今年、いよいよ2020年ということで、いろんな意味でこれからさまざまな温暖化を初めとする問題について、積極的に社会を変えていけるのかどうか、この10年、これからが勝負だというふうに言われております。

 また、自然環境に関係いたしますこととしては、先ほども局長からお話がございましたように、中国の昆明でいよいよポスト愛知の新しい目標が策定されるということになります。当然のことながら、SDGsとの統合という観点も非常に重要な観点にあるのではないかというふうに思っております。

 私の知るところでは、大変ありがたいことに、自然と共生する世界の実現という2050年までの大きなビジョンについては、これは中国も踏襲するということで検討を進めていただいているようでございますし、さらに、それを具体化するような幾つかの長期目標も現在検討中だというふうに聞いております。

 私ども、これまで国立公園を初めとして、愛知目標の実現に向けたさまざまな取組をしてきたわけでありますけれども、さらに、こうした取組を加速化させるべくご議論いただければというふうに思っております。

 今日は、長年の懸案であった自然環境保全基本方針という大方針がございまして、これは誰もこれまでは手がつけられなかったのでございますけれども、鳥居局長は大変勇気がある人で、この際、変えようということで、今日原案を皆さんにお示しするということになっております。

 そのほか、国定公園、国立公園等々についてのさまざまなことについてご審議をいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、本日の部会、公開で行いますので、報道関係者や傍聴の方も同席しておられます。会議録は後ほど事務局で作成し、本日ご出席の委員のご了承をいただいた上で公開をさせていただきます。

 なお、議事要旨につきましては、事務局で作成したものを、私、部会長が了承した上で公開することになることをご了承いただければと思います。また、会議資料につきましても公開ということになります。

 それでは、先ほど私が申し上げました最初の議題、自然環境保全基本方針の変更について、事務局から説明をお願いいたします。

○説明者 自然環境計画課の山根と申します。

 議事(1)の自然環境保全基本方針の変更につきましては、昨年4月に自然環境保全法が改正され、沖合海底自然環境保全地域制度が創設されましたことを踏まえ、その指定方針及び保全施策の項目を本基本方針に新たに定めるものです。

 また、それとあわせてご紹介いただきましたとおり、昭和48年に、自然環境保全基本方針が制定されてからの社会及び自然環境を取り巻く状況の変化を踏まえ、必要な箇所を変更するものでございます。

 これらの内容について、前回、昨年9月11日の第38回自然環境部会におきまして諮問させていただき、委員の皆様にご審議をいただきました。

 本日、ご審議の結果を反映した変更案を資料1-1のとおり、答申案として取りまとめましたので、ご説明させていただきます。

 なお、参考資料1-1に、前回第38回自然環境部会にて配付した基本方針の構成と変更の主なポイントを資料としてつけておりますので、適宜ご参照ください。

 また、答申案の取りまとめに当たっては、変更案のパブリックコメントを実施いたしました。先に説明させていただきますので、資料1-3をご覧ください。

 昨年10月18日~11月17日までの31日間、パブリックコメントを実施しました。結果、12団体、個人から51件の意見が提出されました。提出された意見を踏まえ、必要な箇所は本基本方針の変更案に反映しております。

 提出された意見の詳細につきましては、同資料の2ページ目以降に記載しておりますので、適宜ご参照いただければと思います。

 それでは、自然環境保全基本方針の変更案についてですが、資料1-2に沿ってご説明させていただきます。

 資料1-2ですが、前回部会からの修正を見え消しにしております。これについて前回委員の皆様からいただいたご意見を反映した部分を中心にご説明させていただこうと思います。

 まず、1ページ目、左側に行番号が書いてありますので、これを使って説明させていただきます。

 まず、30行目のところですけれども、基本的な構成としまして、自然環境保全基本方針は第1部の自然環境の保全に関する基本構想と第2部の各地域の指定方針等の大きく二つの構成になっております。

 まず第1部の部分ですけれども、30行目、「里地里山など豊かな自然が失われ」という部分に、広田委員からのご指摘を踏まえまして、「里海」についても言葉として追加させていただきました。

 順に読んでいただきまして、ページをめくって37行目ですけれども、石井実委員から、化学物質が生物多様性に影響を与えているということについても記載すべきというご意見をいただきまして、反映させていただきました。

 同ページの一番下のところですけれども、72行目、白山委員から、森・里・川・海のつながりについて、基本方針の中に文言として含めるべきというご意見をいただきましたので、「森・里・川・海が生み出す自然的なつながりを意識して連結性が確保されなければならない」という形で文言を加えさせていただいております。

 次に、76行目のところですけれども、深町委員から、生物文化多様性に関するご指摘をいただきまして、ここの76行目の「また、それぞれの地域の風土、文化は自然と一体不可分であり」というように、文化に関する記載も追加させていただいております。

 また、80行目から、変更部分見え消しは大きくなっておりますが、98行目まで、武内部会長より、国際的な案件についてもう少し記載を充実すべきというふうにご意見をいただきまして、追加しております。ここの部分読み上げさせていただきます。

 「また、経済・社会のグローバル化等により、私たちは世界の生物多様性の恵みを利用して暮らしている。一方で、日本の生物多様性の恵みも様々な形により世界各地で利用されている。これを踏まえ、自然環境保全政策は、国内政策にとどまることなく、国際的な視野に立って、積極的な協力・連携を図りながら、展開していかなければならない。例えば、保護地域等に関する二国間協力などの生物多様性保全に直接関係する事業だけでなく、企業活動に必要な国際的なサプライチェーンを始め、経済・社会活動に生物多様性への配慮を組み込んでいくことが重要である。また、愛知目標及びそれに続く生物多様性の世界目標のほか、気候変動、化学物質等に関する多国間の国際約束の実施や、持続可能な開発目標(SDGs)等の国際目標の達成に向けた取組における連携も強化しなければならない。さらに、生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)や、二次的自然環境における生物多様性保全とその持続可能な利用を目指す「SATOYAMAイニシアティブ」など、東日本大震災の教訓や里地里山における生物多様性の持続可能な利用に関する知見を含む我が国の経験を活かした国際協力を図ることも重要である。」というように追記させていただいております。

 ページめくっていただきまして、112行目です。下村委員から、野外レクリエーションと自然とのふれあいという言葉が少し混在しているというご指摘をいただきまして、そのとおりでございましたので、「自然とのふれあい」ということに統一させていただきました。

 また、同じく下村委員より、118行目、ここについても文化に関する記載を追記すべきというふうにご意見をいただきまして、「そこで育まれてきた文化の保全と一体となって、当該地域の健全な育成を図る」という形に追記させていただいております。

 次に、156行目ですけれども、自然環境の調査研究に関する記載につきまして、江崎委員より、調査研究の結果を発信することも重要であるというふうなご指摘をいただきまして、あわせて、これらの調査研究によって明らかとなった情報を積極的に発信するということも追記させていただいております。

 ご指摘を踏まえた変更部分は、以上になります。

 参考資料1-2に、現行の基本方針との新旧対照表もつけておりますので、適宜ご参照いただければと思います。

 最後に、資料1-4をご覧ください。

 沖合海底自然環境保全地域の指定に向けた流れについて、少しご説明させていただきます。

 背景としまして、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で我が国が主導した「愛知目標」では、2020年までに海域の10%を海洋保護区に設定することとなっております。現在は、海洋保護区の割合が8.3%となっておりますので、2020年秋ごろのCOP15までにこの沖合海底自然環境保全地域を指定することで、愛知目標の達成を目指すということで、現在取組を進めております。

 今回2020年の自然環境保全基本方針の変更が、本日、1月、中央環境審議会答申(予定)、そして3月に閣議決定(予定)となっております。

 これと今並行しまして、沖合海底自然環境保全地域の指定に係る関係省庁、関係自治体等との調整を行っております。

 改正された自然環境保全法は、4月1日に施行されますので、その後、また改めまして、地域の自然に関わる中央環境審議会の開催、パブリックコメントの実施等を経て、沖合海底自然環境保全地域を夏から秋ごろに指定することを目指しております。

 また令和2年度には、この沖合海底自然環境保全地域の調査を開始するとともに、秋ごろにCOP15が開催される見込みであります。

 事務局からの説明は以上となります。

○武内部会長 はい、どうもありがとうございました。

 前回までにいただいたご意見を踏まえた上での最終的な文面についてのご提案でございますけれども、これに対してさらに何かございましたら、札を立てていただければと思いますが、いかがでしょうか。

 よろしゅうございますか。

(なし)

○武内部会長 もし、特段のご意見がないようでございましたら、私のほうからこの提案についてお諮りをさせていただきたいと思います。

 自然環境保全基本方針の変更について、提案のように答申をするということで、ご異議はございませんでしょうか。

(異議なし)

○武内部会長 はい、ありがとうございます。

 それでは、

 本件については、適当と認めることといたします。ありがとうございました。

 では、次の議題、第五次環境基本計画の第1回点検(海洋環境の保全)について、事務局より説明をお願いしたいと思います。

○説明者 自然環境計画課の木村と申します。よろしくお願いします。

 議事2、第五次環境基本計画の第1回点検について説明させていただきます。

 資料2をご覧ください。

 まず、第五次環境基本計画の点検の背景についてご説明いたします。

 ページ番号、右下に振っておりますページ1をご覧ください。

 環境基本計画とは、環境基本法第15条に基づき、環境の保全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱等を定めるものです。

 この計画は約6年ごとに見直しをすることとなっています。現行の第五次環境基本計画は、一昨年、2018年4月に閣議決定されておりまして、この計画について点検作業が始まっております。

 点検についてですが、環境基本計画のうち、具体的施策については、この自然環境部会などのように各部会が対象とする範囲ごとに2回に分けて、2回のいずれかで点検を行い、その結果を総合政策部会に報告することとなっています。スケジュールについては、次のページで後ほどまたご説明いたしますが、その2回の第1回点検が今年度から来年度、第2回点検が2021年度から2022年度となっております。

 自然環境部会が担当する生物多様性分野については、今年の後半に行う予定の生物多様性国家戦略の点検結果を活用することとされておりまして、その結果を待って、第2回の点検で報告予定です。

 ただし、第1回点検の中に、水環境部会が点検を担当する「海洋環境の保全」という項目がありまして、その中に海洋保護区やサンゴ礁生態系が含まれていることから、その部分のみを自然環境部会の今回第1回点検対象としております。

 次のページをご覧ください。

 具体的に環境基本計画がどのように書かれているかといいますと、それを抜き出したのがこちらのページの上半分の部分になります。該当部分が環境基本計画の第2部第2章2ポツの「(1)自然との共生を軸とした国土の多様性の維持」の中に海洋環境の保全という項がありまして、この部分は水環境部会で見ているんですけれども、そのうちの赤字部分、「海洋保護区の設定及び管理の充実、サンゴ礁をはじめとする脆弱な生態系の保全」について今回自然環境部会で点検を行うこととなっております。

 今後のスケジュールについて下半分について記載しております。今日は自然環境部会としての第1回点検で、このページの上に記載しております赤字部分についてになります。

 その内容を次年度、今年の6月から7月ごろに自然環境部会から総合政策部会に報告して、総合政策部会においては、各部会からの点検結果をまとめて、全体的な点検をすることとなっております。

 2021年度から2022年度にかけて、自然環境部会では、ほかの生物多様性分野について生物多様性国家戦略の点検結果を活用して、第2回目の点検を行い、同じく総合政策部会に報告、総合政策部会で他の各部会、部分ともあわせて全体的な点検を行うこととなっております。

 次のページ、3ページ目をご覧ください。

 この3ページ目以降が、今回の該当部分についての総合政策部会への報告案となっております。

 こちらの全部会で共通の様式に入れ込んだものでございます。こちら3ページ目は、個票ということで、今回自然環境部会で見る部分のうちの前半、「海洋保護区の設定及び管理の充実」についての個票となっております。

 2018年度、2019年度の取組の進捗状況でございますが、環境大臣から中央環境審議会に諮問をさせていただいたものを踏まえて、昨年1月に答申をいただいております。この答申を踏まえまして、自然環境保全法の一部を改正する法律案を国会に提出し、改正法が成立しております。

 この改正法の成立を受けて、先ほどご審議いただきましたように、自然環境保全基本方針を変更する予定となっております。

 今後の方向性についてですが、今年の秋ごろの生物多様性条約、COP15までに沖合海底自然環境保全地域を指定することで、愛知目標、10%目標の達成を目指しております。

 愛知目標の次の目標となるポスト2020生物多様性枠組み、今年のCOP15で策定される見込みですが、それを踏まえて、今後の対応の方向性について関係省庁の連携のもとで検討いたします。

 また、新設される沖合海底自然環境保全地域の自然環境の状況を把握し、今後の同地域の科学的・実効的な管理や特別地区の追加指定等の検討、それから継続的なモニタリングの土台の情報の確保を行うこととしております。

 続きまして、4ページ目をご覧ください。

 こちらは環境基本計画の記述のうち、「サンゴ礁をはじめとする脆弱な生態系の保全」についての個票です。

 2018年度、2019年度の取組の進捗状況ですが、2016年から2020年を計画年とする「サンゴ礁生態系保全行動計画2016-2020」というものがありまして、この行動計画に基づいて重点的に取り組む課題として選定された3課題についてモデル事業を展開するとともに、行動計画の推進を図っています。

 その三つの重点課題というのが、一つ目、陸域に由来する赤土等の土砂及び栄養塩等への対策の推進。二つ目が、サンゴ礁生態系における持続可能なツーリズムの推進。三つ目が、地域の暮らしとサンゴ礁生態系のつながりの構築となっております。

 こちら、行動計画の中間年である2018年度に、この行動計画の中間評価というのを実施しております。その結果を踏まえまして、モデル事業を一層進めているところです。

 毎年関係者等による情報共有ワークショップや、一般向けの普及啓発のシンポジウムといったものを関係する自治体と共催して行っております。

 今後の方向性ですが、このサンゴの行動計画の最終年が2020年度、次年度に当たりますので、2020年度にこの行動計画、重点課題に対応するモデル事業を推進して、ほかの地域でも応用可能な形に取りまとめることとしております。

 同じく、各地域の取組の結果を取りまとめて、最終評価を行いまして、その結果を踏まえて、2021年度以降、次の国内のサンゴ礁保全に係る次の計画を策定して、事業を実施することとしております。

 最後、5ページ目をご覧ください。

 この5ページ目は、海洋保護区とそれからサンゴ礁についての総括ページとなっております。総括的な進捗状況の評価、課題についてですが、繰り返しになってしまいますが、まず一つ目、国際的に海洋環境の保全が潮流となっている中、今回の自然環境保全法の改正によって、沖合域に至るまで総合的に生物多様性の保全に取り組むことが可能となりました。

 それから、サンゴ礁に関しましては、「サンゴ礁生態系保全行動計画2016-2020」に基づき、サンゴ礁生態系の保全に向け様々な主体による取組が統合的に実施されております。

 今後の方向性ですが、こちら経済や、社会面での効果等について記載することとなっておりまして、未知の深海の生物資源の持つ可能性について、それからサンゴ礁生態系の有する機能などについて記載させていただいております。

 このような形で総合政策部会に報告したいと考えておりますが、何かお気づきの点があればお知らせいただけますと幸いです。

 以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。

 それでは、以上についてご質問、ご意見のある方、札を立てていただければと思います。

 それでは、山極委員、お願いします。

○山極委員 これは点検なので、現況調査や取組がどう今進行しているかということを調べるんでしょうけれども、ご承知のように、先日CSTIの全体会議ではムーンショット計画の6課題が発表されました。そのうちの第4課題は、クリーンアース、クールアースですね。それから第5課題は、土壌中の微生物を利用した新しい食料生産、技術の開発です。10年計画ですけれども、もう既に実行可能な技術が幾つか開発されていて、これはマイクロプラスチックの除去ですとか、いろんなことに応用できる可能性があります。そういう技術をどんどんスピンアウトして、実装するという計画になっていますから、点検だけではなくて、新しい技術の応用によって、この6カ年計画の中でも対策を変えるということも考えていただきたいと思います。

 そういった技術は、日進月歩どんどん進化していますから、そういう技術を世界に先駆けて応用して、日本の環境技術、環境制度、そして状況の変化というのを先駆けて推進していただきたいと思います。

 ここに書き込めという話ではないですが、ぜひ考慮をしていただきたい。

○武内部会長 それでは、石井実委員、お願いします。

○石井(実)委員 ありがとうございます。

 ご説明いただいた資料の4ですけれども、シート4ですね。サンゴ礁をはじめとする脆弱な生態系の保全と書いてあるのに、下の説明を見ると、サンゴ礁しか書いてないのですけれども、このはじめとするというのは、ほかにどのような生態系を意識されているのでしょうかというのが質問です。多分、本文を読んだら書いてあるのかもしれませんけれども、ご教示いただければと思います。

○武内部会長 今の点については、いかがですか。

○説明者 ご質問ありがとうございます。

 本文がまさにこの記述、書き出した部分のとおりでして、特にサンゴ礁以外についての言及はないんですけれども、ただ、ほかにあり得るとしたら、例えば藻場ですとか、そういったものが該当し得るものと思います。

○石井(実)委員 藻場は重要だと思います。その辺をどうされるかご検討いただければと思います。

○武内部会長 ほかに。白山委員、どうですか。

○白山委員 ありがとうございます。

 これに直接は関係ないかもしれませんが、海のレッドリストというのは、この期間中に新たに出版されていて、それで、その中では、干潟の種がたくさん記載されておりますので、生態系の保全にレッドリストによって生物多様性の保全に資するという意味からすれば、施策が進んでいるというような追記が可能ではないかというふうには思います。

○武内部会長 ありがとうございました。

 ほかに。

 どうぞ。

○自然環境計画課長 半分しかお答えになりませんけれども、ご指摘いただいたような藻場に関しても、できる限り追記する方向では考えたいと思います。ただ、説明申し上げたとおり、次回、第2回と書いています点検で、網羅的に、悉皆的にやりますので、その中ではいろんな関係性も含めて出てくるとは思います。

○武内部会長 結局、今、変えるの、変えないの。

○自然環境計画課長 変えます。追記を可能な限りするようにしたいと思っております。ありがとうございます。

○武内部会長 わかりました。

 ほかにございますか。

 それでは、第五次環境基本計画の第1回点検(海洋環境の保全)について、委員のご意見を踏まえた修正を行いますが、その内容につきましては、部会座長一任とさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

(異議なし)

○武内部会長 それでは、本件については部会座長預かりとさせていただきます。どうもありがとうございました。

 それでは、次に、中央アルプス国定公園(仮称)の新規指定について、及び奄美群島国立公園、やんばる国立公園、及び西表石垣国立公園の公園区域及び公園計画の変更について、事務局より説明をお願いいたします。

○説明者 環境省国立公園課の安藤でございます。座ってご説明させていただきます。

 まず、初めに中央アルプス国定公園の指定及び公園計画の決定についてご説明をさせていただきます。また、中央アルプス国定公園、今回、お諮りするに当たっては、10月の事前の現地視察、大変多くの委員の皆様にご参加いただきました。この場をかりて、改めて御礼申し上げたいと思います。

 ご説明の流れです。まず、中央アルプス国定公園の周辺に関して簡単にご説明をさせていただいた上で、公園計画(案)についてご説明をさせていただきます。その後、パブリックコメントへの対応についてご説明をさせていただきたいと思います。

 まず、国定公園の周辺地域に関するご説明です。本日、説明する中央アルプス国定公園案の立地でございますが、長野県の南部に位置してございます。構成市町村、全部で13の構成市町村から成りまして、木曽川と天竜川に挟まれた木曽山脈一帯と、その飛び地から成るエリアを、今回、中央アルプス国定公園に新規指定いたします。

 まず、国定公園のテーマなんですけれども、「アルプスの自然と山のくらし~氷期からつづく山・谷人(たにびと)が守る山」というテーマを考えてございます。このテーマに関しましては、長野県を事務局とする地元の協議会において何度か議論をいたしました結果として、このテーマを決めたものでございます。もともと当該地域では、伊那谷あるいは木曽谷の人たちが、農作業に当たって、雪形を見て時期を見極めたりだとか、あるいは、その山岳信仰の対象として、この中央アルプスを信仰の対象として見ていたりだとか、そういった人とのつながりというものを、このテーマに思いとして込めたような形でございます。

 まず、代表的な景観のご説明をさせていただきます。こちら、視察で見ていただいたんですけれども、残念ながら、ちょっと霧が深くて全貌を見ることはできなかったんですけれども、本国定公園の一番の特徴である氷河地形でございます。こちらに関しましては、約2万年前に形成されたカール地形でございまして、こちらが本国定公園の主要な景観の一つとなってございます。

 また、こちらも視察の際に見ていただきました寝覚の床でございまして、木曽川の上流部に位置します。木曽川の激流によって花崗岩が侵食されまして、このようなダイナミックな景観を醸し出しているものでございます。

 最後に、こちら、恵那山でございまして、日本百名山の一つにもなっておりますが、環境省による全国の星空継続観察で、平成18年度に1位に認定されるほど星空観察が盛んな場所でもあるんですけれども、山としては非常になだらかで、登りやすいような山でございます。こちら、木曽山脈の南端に位置するものでございます。

 今回、お諮りさせていただくに当たって、簡単に経緯をご説明させていただきます。まず、当該地域ですが、昭和26年に中央アルプス県立公園として指定されてございまして、その後、平成22年に環境省で実施した国立・国定公園総点検事業の中で、地形、地質、氷河地形がすぐれているということ、あるいは、その生態系ですね、高山植生が非常にすぐれているということで、重要地域として選定されてございます。その後、平成27年に、地元自治体から長野県に対して国定公園化の要望が出されてございまして、それを受けて、平成28年度から長野県が環境調査を実施してまいりました。その後、29年、30年に当たって地元調整を長野県が中心となりまして進めてまいりました。その結果、平成31年に環境省に対して本案について申し出が出されまして、今回、中央アルプス国定公園の指定としてお諮りをさせていただくという運びになっております。

 まず、地域の概要としてご説明させていただきますが、先ほどから申し上げていますとおり、氷河地形が非常にすぐれているということで、カール地形であったりモレーン、あるいは氷河湖、ペーブメントと申しまして、氷河によって岩石が押されまして石畳のようになる地形、日本全国で千畳敷でしか見られないというふうに言われておりますが、そういった希少な地形が存在するということと、木曽川に浸食された渓谷地形であったり、日本の滝百選にも選定された田立の滝を中心として存在してございます。

 また、植生ですが、高山帯から低山帯にかけて垂直分布が見られまして、高山帯では固有種のヒメウスユキソウであったり、コケコゴメグサなどの高山植物が見られるほか、亜高山帯ではシラビソ・オオシラビソ群落などの針葉樹林帯が広がっていると。また、野生動物に関しましては、ニホンカモシカであったり、テン、ヤマネ、ホンドオコジョなどが見られるほか、高山チョウの貴重な生息地域となっておりまして、クモマベニヒカゲであったりベニヒカゲが見られるというふうな地域でございます。

 また、利用のご説明をさせていただきますが、今現在、中央アルプス県立公園の利用者数でございます。年間約78万人の方が利用しているということで、利用の中心は、千畳敷カールを中心としまして、ロープウエーによる高山帯の利用であったり、あるいは、その登山の利用、寝覚の床であれば渓谷美を観察するであったりだとか、恵那山地域においては登山、星空観察、あるいはスキーなどが行われております。

 また、地域の概要として、人と自然のつながりをご説明させていただきますが、先ほど申し上げたとおり、古くから農林漁業、あるいは水田・畑作などで、中央アルプスの自然の恵みを享受してきたということと、こちら、写真が雪形の一例でございますが、こういう雪形から農作業の時期を判断するなど、古くから木曽山脈は地元と深いつながりがあったというふうに言われてございます。

 これらの地域の概要を踏まえまして、当該地域の指定理由、国定公園としての指定理由を考えました。

 まず、風景形式としては、急峻なカール等の氷山地系やそこに成立している貴重な高山帯の生態系等が一体となった非火山性連峰であって、それらを構成する景観要素としては、氷河地形、渓谷地形、滝、ヒメウスユキソウやコケコゴメグサなどの固有種、風衝草原、高山帯の生態系を景観要素としてございます。

 先ほどの風景形式と景観要素を踏まえまして、区域の検討を行いました。その結果、約3万5,116haの区域において、合計で三つの団地に分かれますが、一つは木曽山脈一帯というのと、あと、寝覚の床一帯、それから木曽田立の滝一帯、これらをまとめて国定公園として指定するという案になってございます。

 続きまして、公園計画の考え方について、まず、ご説明をさせていただきます。まず、保護規制計画ですが、希少かつ特徴的な氷河地形と貴重な高山植生、すぐれた風景・景色を重点的に保護するということで考えてございます。また、事業計画に関しましては、稜線部の高山植物の復元を図るための保護施設計画であったり、山岳景観、あるいは渓流の景観を楽しんでいただけるような利用施設計画を考えるというふうなことと、あと、最近では木曽山脈でも高山帯にニホンジカが現れ始めておりまして、そういったものの影響の低減を図るための生態系維持回復計画というものを考えてございます。

 まず、初めに保護規制計画の考え方でございますが、指定する前にこのように整理をしてございます。特別保護地区については、高山帯のうち、特に貴重な氷河地形であったり、特に人為の影響を受けやすいような場所を特別保護地区に指定し、森林限界から標高の高い地域、高山帯が広がっているエリアに関しましては第1種特別地域とすると。続きまして、亜高山帯の天然林を有する場所については第2種、低標高地域は第3種と。それらを補完するとともに、一体となる風景を形成する場所を普通地域というふうな考え方として整理してございます。

 これらを受けて、保護規制計画を検討いたしました。もともと県立自然公園のタイミングで指定されていた区域となってございますが、木曽山脈一帯と恵那山一帯、寝覚の床、木曽田立の滝の一帯になってございますが、区域は検討した結果、変更する必要はなしというふうなことで考えてございまして、千畳敷カール一帯に特別保護地区を指定するということでございます。また、後ほど説明しますが、利用施設計画の見直しと生態系維持回復計画の追加を行うものでございます。

 まず、保護規制計画のうち特別保護地区でございますが、千畳敷カール一帯の176haを新たに特別保護地区として指定します。千畳敷カール一帯の、特に氷河地形のすぐれたカール、モレーン、その他、希少な氷河地形が見られるような場所に関しまして、特別保護地区として指定すると。こちら、千畳敷カールの写真と、左下がペーブメントの写真、右下が氷河湖である濃ケ池の写真でございます。

 続きまして、第1種特別地域ですが、木曽山脈の高山帯の広いエリアと寝覚の床のうち、重要な景観が見られる場所、あるいは、その田立の滝の、滝が密集しているエリアに関して第1種特別地域に指定するというものでございます。

 続きまして、第2種、第3種ですが、第2種に関しましては、先ほど申し上げたように亜高山帯の天然林を有する場所を広い目に設定いたしまして、その周辺に第3種特別地域を設定すると。

 また、普通地域に関しましては、特別地域の風致を補完する場所として、広く民有林であったり、利用が積極的に行われている、例えば恵那山地域の、こちらスキー場がありまして、そこで星空観察の利用が広く行われているんですけれども、そういった場所を普通地域として指定するというものでございます。

 続きまして、事業計画ですが、まず、保護施設計画として、踏み荒らしであったり、降雨の影響で植生の荒廃が進んでいる場所に関しまして、自然再生施設を設けまして自然再生を図っていくものと、利用施設計画、こちらは後ほどご説明しますが、全体の集団施設地区が1カ所、道路が16路線、歩道が43路線、運輸施設が1路線ということと、生態系維持回復計画を指定するものでございます。

 利用施設計画ですが、まず、寝覚の床一帯に集団施設地区を指定しまして、こちらを利用の中心として積極的に整備を図っていくというものでございます。また、木曽山脈一帯に関しましては、歩道計画に関しまして、特に、その山岳の景観を楽しんでいただくという観点から歩道計画を設定しまして、それらの歩道であったり、あるいは、その単独施設をつなぐような形で道路計画、車道計画を計画してございます。

 また、山岳部におかれましては、園地であったり展望施設、あるいは避難小屋を計画いたしまして、山岳地域での適正な利用を促進していくというものでございます。こちらについても考え方は同様で、恵那山地域、あるいは田立の滝付近におきまして、利用施設計画を検討しているというものでございます。

 最後に、生態系維持回復計画のご説明ですが、先ほど申し上げたように、標高2,600m付近の高山帯でニホンジカが確認されてございまして、そのニホンジカの食害による高山植生への影響というものが見られてございます。それらに対応していくために、地元自治体などで、今後、連携してモニタリングなどを実施していくために生態系維持回復計画を今回定めるというものでございます。

 また、名称でございますが、中央アルプス国定公園とさせていただきたいというふうに考えてございますが、その理由が三つございまして、一つは、古くから木曽駒ヶ岳周辺が中央アルプスという名称で呼ばれている、あるいは、全国でもそういう名称で呼ばれているというようなことと、中央アルプス県立自然公園指定後約70年経過してございます。地元にもかなり浸透しているということ、あるいは、3番として、地元の関係者からも県立自然公園の名称を踏襲するようにご要望いただいているということで、国定公園化しましても、中央アルプス国定公園という名称で呼ばせていただけたらなというふうに考えてございます。

 パブリックコメントです。全部で2件、そのうち指定案にかかるものは1件でございました。意見の内容としては参考資料1のとおりでございまして、こちらについて、このような案で中央アルプス国定公園の指定をさせていただけたらと考えてございます。

 続けてご説明をさせていただきたいと思いますが、奄美群島国立公園、やんばる国立公園、それから西表石垣国立公園の公園区域及び公園計画の変更について、同時にお諮りさせていただきたいと考えてございます。こちら、一部変更になりますが、説明の流れに関しましては同様でございます。

 まず、公園の概要ですが、各公園、やんばる国立公園、奄美群島国立公園、西表石垣国立公園、それぞれの公園のテーマはこちらとなってございます。

 まず、国立公園の概要でございます。奄美群島国立公園に関しましては、平成29年3月に多くの固有種が集中して分布する国内最大規模の亜熱帯照葉樹林の生態系を中心とする地域として新規に指定されてございまして、今回は、その後、初の見直しになってございます。

 やんばる国立公園につきましては、こちらは平成28年に指定されてございまして、その後、平成30年にはアメリカ軍の北部訓練場の一部が返還されたことを受けて、返還地の大部分を国立公園に編入するという形で、昨年度諮問させていただきました。今回は、それから2回目の見直しということで諮問させていただくものでございます。

 最後に、西表石垣国立公園、こちらは歴史が、この3公園の中で最も古いんですけれども、昭和47年5月に、西表国立公園として指定されてございまして、その後、数回にわたって拡張が行われてまいりました。今回は平成28年に大規模な拡張を行いまして現在の姿になっておりますが、それ以降、平成28年以降で初めての変更でございます。

 続きまして、今回の変更内容についてご説明をさせていただきたいと思います。今回の変更のポイントでございますが、当該地域、世界自然遺産登録を目指してございます。その目指す動きの中で、ご説明した3公園とその周辺地域におきまして、新たに重要な景観要素と再確認された地域において、公園区域と公園計画の変更を行うものでございます。

 まず、奄美群島国立公園ですが、既に特別保護地区と第1種特別地域に指定されている核心地域の周辺において、固有かつ希少な野生動植物の生息・生育が確認されていて、かつ良好な照葉樹林となっている区域を公園区域に新たに編入を行うということと、既存の公園区域を含めまして、地種区分の見直しを行うというものでございます。

 まず、区域の変更でございます。こちら、まず奄美大島のご説明ですが、島のちょうど中央部に位置しまして、スダジイをはじめとした亜熱帯照葉樹林の二次林を主として、アマミノクロウサギであったり、オオトラツグミなどの希少種の生息地となっている区域を、今回、新たに拡張するというものでございます。また、同時に削除を行うんですが、こちらに関しましては、公園境界に沿って市街化が進んでおり、今回の見直しに当たって、公園区域の明確化を図るという形で、約6ha削除するというものでございます。

 また、保護規制計画の変更、奄美大島のご説明ですが、合計で第1種特別地域が381ha増えるような案になってございますが、こちら、全て第2種特別地域からの振り替えでございます。既存の第2種特別地域の中で、スダジイをはじめとした照葉樹林の二次林の中で、アマミノクロウサギであったり、ケナガネズミなどの固有で希少な動植物が多く確認されているエリアに関して、第2種特別地域から第1種特別地域に格上げを行いまして、より厳正な保護を図っていくというようなものでございます。

 また、奄美大島のうち、今度は第2種特別地域の拡張でございます。一つは、先ほど申し上げた公園外から新たに公園区域に編入する箇所21haについて、第2種特別地域とし、もう片方は、こちら第3種特別地域に、周辺が第2種特別地域なんですけれども、その中で第3種特別地域が1カ所存在していたんですが、そちらを格上げし、全体的に第2種特別地域とするというものでございまして、こちらもスダジイをはじめとした亜熱帯照葉樹林の二次林の中で、アマミノクロウサギであったり、オオトラツグミの生息地となっている場所に関して、新たに格上げをするというものでございます。

 続いて徳之島でございますが、こちらは保護規制計画の変更、徳之島については保護規制計画の変更でございまして、まず一つが第1種特別地域を拡張するもの、109ha拡張するものでございますが、こちらは、かつてリュウキュウマツの人工林が点在していた場所なんですけれども、亜熱帯照葉樹林に徐々に遷移しておりまして、希少な動植物の出現率も上昇傾向に見られるということから、第1種特別地域として、新たに厳正な保護を図っていくというものでございます。

 また、こちらについても保護規制計画の変更ということで、第2種特別地域の拡張でございます。スダジイをはじめとした亜熱帯照葉樹林の中に大径木が点在していて、かつ固有種が見られるということで、第2種特別地域に指定するんですが、一部耕作放棄地であったり果樹園が見られるということから、第3種から第2種特別地域ということで整理してございます。

 また、奄美大島につきましては、世界自然遺産登録を目指す中で、今後、利用の増加というのも見込まれていくということで、利用施設計画の変更を全部で3カ所行いたいと考えてございます。

 まず、一つ目が、こちら金作原歩道でございますが、現在、オキナワウラジロガシの大径木の観察を目的とした利用者が増加していることから、地元で当該路線の利用ルールをつくりまして、ガイド限定の利用を推進していくということで地元でルールをつくってございます。今後、その利用ルールのもと、適正な利用を推進していくために公園計画上に位置づけて、必要な施設整備を行っていくものでございます。

 続きまして、徳之島でございますが、こちら林道三京線と林道剥岳線の歩道の追加でございまして、こちらも同様のガイド同伴による自然観察を今後進めていくために、地元で協定を結びまして、林道を限定的な利用を推進していくというようなことで、公園計画に位置づけて適正な整備と維持管理を図っていくというものでございます。

 続きまして、やんばる国立公園ですが、こちらについては既に第1種特別地域に指定されている推薦区域の隣接地の中で、固有かつ希少な野生動植物の生息・生育が確認されていて、かつ良好な照葉樹林となっている区域を新たに公園区域に編入するというものでございまして、こちら、公園の南西部に位置する第1種特別地域が、現在、公園外と隣接していることから、そのちょうど間に第2種特別地域を指定しまして、かつ、こちらについては樹齢が55年程度の照葉樹林となっていて、ノグチゲラであったりヤンバルクイナなどの希少動物が見られることから、公園区域41haを拡張しまして、きちんとした保護を図っていくというものでございます。

 また、保護規制計画の変更として、既存の第3種特別地域を、合計で24haを第2種特別地域に格上げします。こちらについては林齢50年程度の亜熱帯照葉樹林であったり、林齢55年程度の照葉樹林を第2種特別地域に格上げしまして、よりきちんとした保護を図っていくというものでございます。

 最後になりますが、西表石垣国立公園でございますが、こちらは浦内川であったり、仲良川をはじめとした河川におきまして、海から山までの連続した環境に生息する魚類が多く見られることから、陸水性の魚類の多様性が非常に豊かであるということがわかっておりまして、また、河川流域にはマングローブ林であったり、亜熱帯照葉樹林が広がっていて、すぐれた自然環境が残っているということから、こちらを格上げするというものでございます。

 こちら、格上げの全貌なんですけれども、合計で2,041ha格上げを行う、全て第2種特別地域から第1種特別地域に格上げを行うというものでございます。

 それぞれご説明させていただきますが、まず、浦内川一帯、こちらについては約400種類の汽水性の魚類であったり、周縁性の魚類の生息が確認されていて、生物多様性保全上、非常に重要であるということがわかっています。また、仲良川一帯もマングローブ林であったり、スダジイ、オキナワウラジロガシから成る亜熱帯照葉樹林が見られるということから、こちら、第1種特別地域に格上げをいたします。

 また、ヒナイ川、西田川一帯に関しましても、亜熱帯照葉樹林が広がっているということと、多様な魚類の生息地となっていると。また、利用も積極的に行われているということで、国立公園の中の主要景観要素にもなっているピナイサーラの滝などが見られるということから、第1種特別地域に格上げをいたします。

 また、前良川の左岸側に広がるエリアであったり、仲間川の周辺の亜熱帯照葉樹林に関しましても、同様の理由で第1種特別地域に格上げをするというものでございまして、こちら、仲間川の詳細でございますが、仲間川と仲間川の干潟、こういった箇所を新たに第1種特別地域に格上げを行っていくというものでございます。

 パブリックコメントでございますが、全部で6通、今回の変更案にかかるものは全部で8件ございまして、詳細は参考資料2のとおりでございますが、今回のパブリックコメントによって計画案を変更したということはございません。

 説明は以上とさせていただきます。

○武内部会長 ありがとうございました。

 大分幾つもある案件でございますけれども、これらについて、ご意見、ご質問のある委員の方は札を立てていただきたいと思います。

 それでは、最初に小泉透委員、お願いします。

○小泉委員 ありがとうございます。中央アルプス国定公園について、情報と、それから意見を述べさせていただきます。

 昨年の視察では大変お世話になりました。ありがとうございました。大変勉強になりました。

 生態系維持回復計画について説明がありましたが、探してみましたら、2018年に中部森林管理局が、特別保護地区と第1種保護地域を含むエリアに90台のセンサーカメラを約半年間設置して、動物のモニタリングをしたという報告書がありました。特別保護地区に限って、千畳敷カールに限って言いますと、2018年の調査ではシカは確認できなかったんですが、その直下で撮影されていて、「警戒を要す」と報告されていました。実はイノシシも千畳敷カールの真下で撮影されており、カールに上がってきて掘り起こすというようなことになると、生態系に大変大きな影響を及ぼすのではないかというふうにして心配されるところです。

 ということで、モニタリングについて報告がありましたけれども、もう既に対策というのを織り込んだモニタリング、だから、もう監視ですね、というようなことが必要なレベルになってきているのではないかというような印象を持っております。引き続き、関係機関と連携をとりながら、長野県のほうにも助言をするようにお願いしたいというふうに思います。

 以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。

 今の件について、事務局から何かございますか。

○説明者 情報とご意見、大変ありがとうございました。

 イノシシの件、公園計画書には、今そういった文言を入れてないような状況です。特にシカのことに関しては、特出しして書いているような状況でしたが、イノシシが高標高域まで上がってくると、また非常にまずい状況になるというふうに考えられますので、長野県あるいは地元自治体のほうに、いただいた情報を伝えさせていただきまして、必要に応じて必要な対策をとっていくように伝えたいと思います。ありがとうございます。

○武内部会長 それでは、江崎委員、お願いいたします。

○江崎委員 すみません、三つあるんですけれども、まず、一つ目が中央アルプス国定公園の件なんですけど、私、視察に行けなかったので教えていただきたいんですけれども、避難小屋が地図上にあったんですけれども、施設の中で、この避難小屋というのは雪崩とかの想定なのかなと思ったのですが、ちょっと行ったことがなくてわからないんですね。先ほどの基本計画の中にも、やっぱり、これから持続可能な活用ということがすごく言われていたということもあるので、活用に際して、恐らくこういうリスクがあっての避難小屋と書いていただいているので、じゃあ、どういうその災害が想定されているのかということがあると、この意味が少しわかるかなと思ったんです。なので、どういう利用時に予測される災害があって、この避難小屋なのかをもう一回教えていただけたらなと思います。

 それと、もう一つは、やんばるの18ページの資料なんですけれども、これ、2種の特別地域に、今回新しく指定するというところなんですが、何か、すごく角ばっているので、ここには何か施設があるのかなと思ったんですが、もし教えていただけたらと思います。

 それと、西表なんですけれども、川のこととかはすごく言っていただいていたんですけれども、その前のお話の中でもあった、今回じゃなくてもいいんですけど、海側の、そのサンゴのこととか、その辺というのは今後、どうされていく予定なのかなというところも教えていただけたらうれしいなと思います。

 以上です。

○武内部会長 それぞれどうぞ。

○説明者 ありがとうございました。

 まず、一つ、中央アルプス国定公園の避難小屋の関係なんですけれども、こちら、基本的に、その計画上は、例えば遭難をしたときであったりだとか、そういったときに逃げ込める場として計画上には位置づけてございまして、基本的には既存の避難小屋、今、既に民間事業者さんのほうでされているような避難小屋について、計画に位置づけているというものでございます。雪崩であったりだとか、そういった、特に冬場の対策については、特段、今、現状、計画書には書いてないですけれども、そういった考え方も恐らくあるかと思いますので、それは長野県に確認した上でお答えしたいというふうに考えております。

 また、やんばる国立公園の、こちらの線が非常に直角じゃないかというふうなご指摘なんですけれども、こちらに関しましては緯度・経度で切ってございます。緯度・経度で区域線を明らかにしているんですけれども、一つは、ほかに参照となるような線がなかったということと、周辺地域に、もう開発が進んでいるようなエリアもありましたので、そこを入れないような形で、かつ公園の資質を保ったような区域を指定したというような流れの中で、このような線引きになったというふうな経緯でございます。

 また、西表石垣国立公園、ちょっと本日、現地から担当が来ておりますので。

○説明者 沖縄奄美自然環境事務所の国立公園企画官の速水と申します。本日はありがとうございます。

 最後、西表の海域の部分についてご質問があったかと思います。海域については、もう既に周辺海域、普通地域または海域公園地区のほうに指定されておりまして、それぞれモニタリングを行っておりますので、また次回の点検のときに、それを踏まえて、拡張する必要があれば、石垣のほうも含めて検討していかなければいけないと思いますので、それを踏まえて、また次回、検討させていただければというふうに思っています。

○武内部会長 それでは、石井実委員、お願いします。

○石井(実)委員 ありがとうございます。

 私は、中央アルプスのほうですけれども、高山チョウを取り上げていただいてありがとうございます。クモマベニヒカゲとベニヒカゲとコヒオドシ、いずれも食草が草本植物で、カヤツリグサとイラクサの仲間です。蜜源植物にしているのも草本ということで、先ほど小泉委員からもご指摘があったように、ニホンジカとイノシシの過剰採食を大変心配しております。日本全国を見渡すと、かなりニホンジカにやられて、絶滅状態になっているチョウ類の産地も多いんですね。先ほどのご説明で哺乳類の情報はわかったんですけれども、植物のほうは、実際どんな現状になっているのかということが1点と、もう一つは、温暖化がかなり高山植物に影響を与えて、やはり高山チョウの利用している植物に影響を与えているようですけれども、この温暖化の影響というのは、どんなものなんでしょうか。この辺を教えていただければと思います。

○武内部会長 はい、よろしいでしょうか。

○説明者 それでは、本日、長野県から担当の方が来ておりますので、長野県からお答えさせていただきます。

○説明者 長野県庁環境部自然保護課の、中央アルプスの担当をしております遠山と申します。今日はありがとうございます。

 いただいたご質問、高山チョウの食性、地球温暖化等の影響があるかというところなんですけれども、植生に関しては、中央アルプスに約1,300種ほど高山植物、あとは通常の植物が自生していると言われておりまして、文献調査、現況調査等をする中で、若干、生息域は狭まってはおります。ただ、現時点ではシカの影響等がありませんので、まだ、完全に絶滅してしまっているという植生は見られていないというところでございます。今後、シカの対策についても、生態系維持回復事業計画等の策定を行って、守るべきものはしっかり守っていけるように、県としても実施していきたいと考えております。

○武内部会長 ありがとうございました。

 二宮委員、お願いします。

○二宮委員 すごく基本的な質問になるかもしれないんですけれども、国立公園と国定公園の違いというのは、管理のその主体が異なるということと、国立公園に準じる景勝地だということは承知しているんですけれども、その指定の要件の差異はどの程度のものがあるのか。例えば、今回の県立公園から国立公園に指定がえということはあり得ないものなのか、今、国立公園満喫プロジェクト、大変力を入れてやっておられるわけですけれども、双方とも環境大臣が指定するということであれば、国立・国定公園満喫プロジェクトであってもよくて、訪日の外国人はもとより、日本人にとっても、その認知とか、選択肢が広がるのではないのかなというふうに思ったものですから、ちょっとその辺のところを教えていただければと。

○武内部会長 はい、どうぞ。

○説明者 まず、国立・国定公園の違いの部分でございますが、委員にご説明いただきましたとおり、まず、我が国を代表する傑出した自然の風景地を国立公園といたしまして、それに準ずる地域を国定公園として指定するというものでございます。また、細かいご説明をさせていただきますと、例えば面積要件で、国立公園に関しては陸域では3万haを超えるもの、国定公園については1万ha以上ということで、例えば、細かいような面積要件が決まっているというものがございます。

 今回の、中央アルプス国定公園に関して、なぜ国定公園かというものでございますが、一つは、地元から国定公園としてご要望いただいたというのも一つなんですけれども、その中央アルプス国定公園、例えば南アルプス国立公園であったり、北アルプスを有する中部山岳国立公園、これらと比較して、規模的には小規模であるということで、国内でナンバー1の規模を有するというものではないようなことから、国定公園として、今回、お諮りをするというふうに至ったものでございます。

○二宮委員 満喫プロジェクトはいかがですか。

○国立公園課長 お答えいたします。現在、満喫プロジェクトは国立公園を対象にしておりますけれども、国定公園も外国人の方にとってはすばらしい自然景観がたくさんあると思います。その辺りをどうやって展開していくかは、ぜひ今後の検討課題として、ご意見を受け止めたいと思っております。

○武内部会長 深町委員、お願いします。

○深町委員 ありがとうございます。中央アルプスの件なんですけれども、21ページを見たりしましても、大きく四つに区域が分かれておりまして、特に、こういう小さい面積の部分とのつながりだとか一体性みたいなものを、どういう形で、一つの国定公園として考えていくのかなと、工夫するのかなという部分をお聞きしたいのと、それから、寝覚の床のところで、見学に行ったときに、お寺を通って場所のほうに移動したと思うんですけれども、地元でお聞きしたところ、お寺は公園区域に入っていなくて、集団施設地区ということで利用の拠点にもなるような場所だと思うんですけれども、そういった周辺の部分ですね。特にこの寝覚の床と非常に関わり合いがあるような、文化的な点からつながりがあるようなところのつながりとか、一体性を今後どういうふうに考えていけるのかという2点について、お聞きしたいと思います。

○説明者 まず、団地が全部で四つに分かれているというご指摘なんですけれども、こちら、まず地形、地質の観点から、同様に花崗岩質の地形、地質を有するということで、地形、地質の観点から一体性を有するということで、今回同様の国定公園として諮問させていただいているんですけれども、もう一つその利用の観点でございますけれども、今、ご地元のほうで、この伊那谷と木曽谷を同様の観光圏として一体的に利用を推進していこうということをまさに検討しているような状況にあります。なので、今後、その利用の一体性という観点で、この地域を多くの利用者に周遊いただいて、一体的に見ていただくというようなことは今後ご地元において検討されていくというふうに聞いてございます。

 また、寝覚の床の利用のご指摘ですけれども、ご指摘のとおり今現在、建物が多く立地しているような車道沿いの箇所については、公園区域外となってございます。多くの建物が立地しているところからさらに木曽川沿いですね。そこに関して、今現在公園区域に編入しているような状況でございますので、そちらに関しても委員のご指摘に関しては、長野県のほうと調整いたしまして、今後、当該地域をどう利用していくのかということについては、今後検討したいというふうに考えています。

○武内部会長 石井信夫委員、お願いいたします。

○石井(信)委員 ありがとうございます。

 私も中央アルプスの話なんですが、昨年の9月にライチョウの関係で木曽駒のてっぺんまで行く機会がありました。そのときに、子連れのニホンザルの群れが、たくさんいまして、人を全く恐れないという状態になっています。昔はいなかったということでしたが。サルは選択的な採食をするので、植生にもひょっとしたら影響が出てくるかなと思うので、先ほどシカとイノシシと話が出てきましたけれども、ニホンザルについても、どういうことが起きているかをしっかりモニタリングして、対策といってもなかなか難しいと思うんですが、一つ課題だと思いますので、情報提供しておきたいと思います。

○武内部会長 ありがとうございました。

 ほかにございませんでしょうか。

 それでは、お諮りしたいと思うんですが、まず中央アルプス国定公園(仮称)の新規指定についての指定書について、ポイントはイノシシ、サルといったのを追記するかどうかですね。。どうですか。「等」で読めるといえば読めるんだけど、やっぱり大きな問題だというふうな認識があるわけで。

○説明者 追記の方向で検討させていただきます。

○武内部会長 じゃあ、そういうことで、審議会のほうで追記すべきというご意見があったということを踏まえて、追記するという方向で検討させていただき、部会座長預かりとさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

○武内部会長 ありがとうございます。

 それでは、もう一つ、奄美群島国立公園、やんばる国立公園及び西表石垣国立公園の公園区域及び公園計画の変更についての変更書案についてお諮りをしたいと思いますが、ご異議ございませんでしょうか。

(異議なし)

○武内部会長 ありがとうございます。

 それでは、本件については適当というふうに認めることにさせていただきます。

 それでは、どうもありがとうございました。

 次の議題、その他において報告事項がございます。事務局よりお願いをいたします。

 報告事項、全体が終了した後にご質問、ご意見をまとめていただければと思っております。

 じゃあ、よろしくお願いします。

○生物多様性戦略推進室長 生物多様性戦略推進室長、中澤と申します。よろしくお願いします。

 報告事項の1番目、資料5-1をご覧いただければと思います。

 ポスト2020生物多様性枠組みの検討状況についてということで、ご報告させていただきたいと思います。

 まず、この全体スケジュールでございますが、もう皆様、ご承知のことかと思います。現在、ポスト2020生物多様性枠組み、愛知目標に続く生物多様性の世界目標の検討が進められているところでございます。

 10月中下旬に開催される中国・昆明のポストはCOP15を目指していろんなプロセスが進んでおりますが、この中でも今回少し詳しくスケジュールを書いてございますが、赤で書かせていただいています、このゼロドラフトというものが、1月13日に出ました。ポスト枠組みのゼロドラフトというものが、1月13日に条約事務局から出されまして、これをもとにしてOEWGの2と言われているワーキンググループの2番目ですね。このワーキンググループの2番目の会合が2月24から29、これもまた中国の昆明で開催される予定でございますが、そこでこのゼロドラフトが議論されます。その後、また補助機関会合等で議論されるということでございます。

 本日は、このドラフトについて中心に、ポイントを絞ってご説明をさせていただければと思います。

 次のページにまいりますと、現行戦略計画、それから検討中の枠組みの構造の案がございます。

 この愛知目標というものは、この戦略計画というものの一部になるわけでございますけれども、今議論されているこの枠組みのドラフトでは、ここにあるように2050のビジョン、その下に2050ビジョンをもう少し明確にしたゴールというものを設定すると。それから、さらにその下のほうにございますけども、説明責任と透明性ですとか、アウトリーチ、普及啓発、そういった実施に関わる内容を少し膨らまそうと、そういった議論が進んでいるところでございます。

 次のページでございます。

 これがゼロドラフトの全体の構造でございますが、特徴といたしまして、条約の三つの目的を均等に扱う、コンサベーション、そしてサステナブル・ユース、それからABSという条約の三つの目的を均等に扱うような構造になっているということ。それから、ほぼ全ての目標に数値目標が入れられているというところが、次の特徴になるかと思います。また、全体的にIPBESの地球規模アセス、その他、IPBESのレポートをもとに生物多様性の脅威に対応するような中身になっていると。それから、SDGsの表現を多用していて、SDGsの関連を強化していると、そういったような構成になっております。

 この図をもとにして、全体の構造を説明させていただきたいと思いますが、先ほど部会長からのお話もございましたように、2050ビジョン、このAと書いてあるところでございますが、2050ビジョン、自然との共生というところ、これは今のところ維持される方向で議論が進められております。

 一方で、この2050ビジョン、自然との共生というものをより具体化した、要するに、何がどういった状態になれば、この自然との共生というものが達成されたのかと。それをもう少し明らかにしようということで、2030・2050ゴールというものが設定されました。

 このゴールに書いてあるのは、aに書いてあるものが生態系、bが種、それからcが遺伝的多様性と、いわゆる生物多様性の3要素、生態系、種、それから遺伝的多様性と、その三つに着目したものが、このBのところに入ってございます。これがa、b、cでございます。これがいわゆる条約目的のコンサベーションに当たるところでございます。

 それから、dのところにある自然からの恵み。これは、サステナブル・ユース等に関連する中身でございまして、自然からの恵みというものを将来にわたって持続的に人類は得ることができるようにと、そういったようなことで、ここに書いているような栄養ですとか、水ですとか、自然災害の強靭性、それから気候変動と、そういったものに対応させた目標の構造になっています。

 eがABSの中身です。このゴールでも、条約の三つの目的を反映した中身になっております。

 それから、その次、Cでございます。ミッションの部分。これが地球と人類の恩恵のために、生物多様性を回復の軌道に乗せるため、緊急な行動を社会全体で起こすというようなものになっています。

 それで、実際愛知目標の20の目標、現行の愛知目標の20の目標に対応するものとして、このDの項目がございます。D(a)、D(b)、D(c)というものがございます。

 このD(a)で書いている脅威の縮小というのが、これまたコンサベーションに該当するところで、条約目的のコンサベーションに該当するところ。しかもこれは、IPBESの地球規模アセスに出ていた自然環境の劣化要因の五つ、Direct driversの五つの直接要因に対応したものでございます。1が、陸域/海域の計画、それから再生をすると。それから、2が保護、保全。いわゆる保護区の目標と言われているものがございます。新聞報道等でも幾つか出ておりましたが、それがこの2の項目になっています。それ以外に、外来生物、それから、いわゆる汚染物質、それから乱獲問題、気候変動、この辺りがIPBESの自然環境劣化の直接要因に対応したもので、目標の中に位置づけられています。

 その次の項目が(b)の人々の要請に応えるというもので、これも条約の目的のサステナブル・ユース、それからABSに関連したものでございます。

 さらに、このD(c)にございます、ツールと解決策にございますのが、これはIPBESの地球規模アセスにある間接要因と言われているもの、それから、さらにはトランスフォーマティブチェンジが必要だと言われているもの、そういったものに対応したものでございまして、社会科学的な要素ですとか、制度に関する要素、そういったようなものがいろいろと入っております。

 個別の中身が5ページ以降に、2030・2050ゴールが5ページ、それ以降、6ページ以降がそれぞれの愛知目標の次の20の目標になるものということで、ご説明を書かせていただいていますが、概要について記述させていただいていますが、こちらに関してはちょっと説明を時間の関係で割愛させていただければと思います。

 なお、12ページにもございますように、まだまだ専門家会合等がこの後も予定されておりまして、数値、この中身を見ていただくと、その指標としてどうやってはかっていくべきなのか、明確に今後ともしていかなくちゃいけないものですとか、数値目標ができたということで、ベースラインですとか、それぞれの数値の持つ根拠みたいなもの、そういったようなことについて、今後ともその意味とか、国内における適用のあり方といったようなことも含めて、この検討プロセスに参加していくことになっているところでございます。

 以上が報告事項1番目のポスト2020枠組みについてのご報告でございました。

○国立公園課長 続きまして、資料5-2で、国立公園満喫プロジェクトについてご報告をさせていただきます。

 昨年末、政府全体の予算(案)が固まりまして、推進事業の金額でございますけれども、令和2年度予算(案)178億7,100万円ということで、今年度と比べて大幅に伸ばしていただきました。

 内容といたしましては、これまで展開してきた国立公園のインバウンド対策、利用環境の整備といったところを引き続き進めてまいります。

 事業内容のところにありますけれども、全体の中ではやはり70数億はハード整備でございまして、基盤的な利用施設の整備、登山道の再整備とか、キャンプ場のリニューアル、そういったものについて大きなものを占めてございます。

 満喫プロジェクトの中の予算で大きなものを占めるのが、国際観光旅客税を使わせていただいた対策でございます。令和2年度予算案で68億6,200万円ということで、今年度は50億ですので、ここも大幅に伸ばしていただきました。

 内容でございますけれども、この絵の左上の滞在環境の上質化というところで、主な利用拠点の魅力を向上させるために、例えば廃屋を撤去するであるとか、既存施設をリノベーションしていくとか、まちなみ景観を改善していく、こういった取組を進めていくことにしてございます。従来、撤去の事業を大分進めてございますけれども、来年度は既存施設の内装を変えていくと、インバウンド向けに改修していくといったものも対象になります。

 それから、左下で、魅力あるコンテンツづくりということで、これまでもさまざまなツアープログラムの形成などをやってまいりましたが、来年度は特にグランピングについて具体的に推進しようということで、事業を立ち上げることにしてございます。

 それから、2番目の伊勢志摩の海女漁でございますけれども、これまでもやってまいりましたが、自然だけではなくてその地域の文化とか、食とか、そういったものをまとめてストーリーとして伝えるといったことを具体的に、プログラムづくりというのをやっていきたいと思っております。

 それから、一番下にありますように、ナイトタイムコンテンツというのがございますが、これは官公庁のほうでも、夜もしっかり楽しんでいただいて、滞在もしてもらおうという文脈の中で、国立公園の中でも自然・文化・歴史を楽しめるようなコンテンツ造成の支援というのをやっていきたいと思ってございます。

 それから、国立公園の魅力発信、デジタルサイネージであるとか、空港等での国立公園の引き込み対策、多言語解説の充実ということで、英語、中国語等の整備、こういったものについては引き続きしっかり進めてまいりたいと思っております。

 なお、国際観光旅客税については、新宿御苑とか京都御苑といった国民公園のほうでも発信をしてまいりたいと思っております。

 非常に短くて恐縮ですが、以上でございます。

○外来生物対策室長 続きまして、外来生物対策、特にヒアリについて、資料5-3でご説明いたします。

 ヒアリにつきましては、2017年に我が国で初めて確認されておりますけども、その後、現在までに48事例、全国15の都道府県で確認されているところでございます。

 今まで確認できた個体につきましては全て駆除しておりまして、定着を示すような状況というのは確認されていないところでございますけども、引き続きしっかりと取り組んでいきたいと思っております。

 今年の状況について加えて申しますと、秋、10月に東京港の青海ふ頭で、これは初めての状況になりますけども、一つの巣から50頭以上の羽の生えた女王アリが確認されたということで、ここから新たな拡散があった可能性が高いということで、その後、関係閣僚会議も開催されまして、政府一体となって定着を防ぐということで、取組をさらに強化しておるところでございます。

 具体的に申しますと、巣が確認された青海ふ頭におきましては、コンテナヤード全域に毒餌を撒いて根絶を図っておりますほか、周辺につきましても、民有地も含めて東京都、それから国土交通省の協力も得ながら、周辺の分布調査をしっかりと取り組んでございます。

 今年につきましては、新たな周辺での営巣とか、個体の確認というのはございませんでしたけども、今後も引き続き、来春以降もしっかりと確認をして、定着を許さないように取り組んでいきたいと思っております。

 また、全国的にも、全国65港湾で国際的な、中国とか、台湾とか、ヒアリが定着している国と航路を持っている港湾につきましては、継続的に定期調査を行っておりますほか、関係の事業者さんたちにも講習会を開催するなどして、監視の目を増やすことで入ってきたヒアリを見逃すことのないように取組を進めていきたいというふうに考えてございます。

 来年度以降も全国的な取組と、それから先ほど申しました女王アリが確認された東京港における取組をしっかりと進めることによって、万が一にも我が国における定着を許さないように、しっかりと取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

 以上です。

○武内部会長 よろしいでしょうか。

 それでは、以上の報告事項に関しまして、ご質問、ご意見がございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 山極委員、どうぞ。

○山極委員 最初のご報告の7ページ目に、D(b)で「持続可能な利用と利益配分を通じて人々の要請に応える」の最初7番目、「食糧や生計への利用、野生種の持続可能な利用を高め、2030年までに(特に最も脆弱な人々の)栄養、食糧安全保障、生計を含む恩恵を」とあるんだけど、これ、具体的にどういうことなんですかね。ちょっと、何かこの文言を読むとね、乱暴な言い方をすると、とにかくちょっと保護規制を緩めて、野生動物をどんどん狩って、アフリカとか非常に貧しいところで、人々が食糧に困っているようなところで、あるいは気候変動で悩まされているようなところで、食糧を新たにつくろうみたいな話に聞こえるんだけど、何か具体的な対策は挙がっているんですか。

○武内部会長 どうぞ。

○生物多様性戦略推進室長 ご質問、ありがとうございます。

 今、情報として来ているのは、この情報分のみでございます。

 しかし、こういった中身というのは、実は先ほど申したようにSDGsとの関係もあったり、農業のための種の多様性、そういったようなところも関連していると考えています。

 こういった不明な点というのが、これからいろいろと明らかにしながら議論に参加していくことになるんですけども、この7番目の項目でいうと、例えば、今の愛知目標の中では、やはりどちらかというと農業とか、そういったところと関連の深い目標が恐らく進化したようにも読めるので、その辺り、野生種をどんどんサステナブル・ユースの方向に使っていくということに流れていくのか、どうなのか、全体の流れというのをちょっと確認しながら議論に参加していくことになると思います。

○武内部会長 あれ、昆虫食なんか入っているんじゃないの。

○生物多様性戦略推進室長 今のこの文章の中に、そこまでの情報はないです。

○武内部会長 それは、新しい栄養源としては、FAOが非常に今注目していますよね。

○生物多様性戦略推進室長 FAOのレポートにもそういったものがあるんですけども、例えばここで書いている、今の条約事務局から来ている会議文書の中の指標の扱いでは、やはり漁獲に関するものが主要となり得るとか、野生動物と人との関係のコンフリクトの状態に関するものが指標になり得るとか、そういったようなことで情報が出ておりますので、例えば人と野生動物のあつれきを100%削減するというのは、日本に適用していくならば鳥獣被害というものは念頭に置くことができますでしょうし、今のところそういったような情報をもとにして、2月のOEWGの2回目に参加をして、確認をしながら議論に参加するということになると思います。

○山極委員 特にね、アフリカではゾウと住民との間のあつれきが高まっていて、国によって対策が違いますけども、ゾウの狩猟を容認するというような動きも最近は高まっています。日本がどういう態度をとるのかというのは相当重要な決断だと思うので、鯨の問題もあるし、それはちょっと慎重に臨んでいただければなと思います。

○生物多様性戦略推進室長 ご指摘、ありがとうございます。

○武内部会長 白山委員、お願いします。

○白山委員 ありがとうございます。

 中澤室長のご説明のスライドの6なんですけども、二つ質問があって、一つは2ポツで保全と保護と厳正に保護という3段階が書いてあるわけですが、具体的にその3段階というのはどんなものをイメージされているのかということですね。例えば国立公園の第3種とか、普通地域が保全だとか、何かそういうイメージがいただけるとありがたいかなというのと、それから3ポツなんですけれども、これはほとんど海域の外来種のことが念頭に含まれていないような文章に全体としてはとれるんですけれども、その海域の外来種について何か議論をされているかどうか、教えていただけるとありがたいと思います。よろしくお願いします。

○生物多様性戦略推進室長 ご質問、ありがとうございます。

 まず、2番目なんですけれども、ここで言われているのは、例えば最初のものについて特に重要な区域というのが、例えばここで考えられるのは希少種が住んでいる地域とか、そういった重要な地域の60%がまず保全されるべきであるということです。

 その次の陸と海の30%保護、これはいわゆる今の愛知目標にある保護区の目標と恐らく同じような内容で、その中の10%を厳正に保護すると。この英文の原文では「under strict protection」という言い方をしています。これがno takeのことを指しているのか、それともそれ以外の手法でか、いわゆる原生的な自然環境という意味でとらえると、日本は非常に少ないところで10%というのは非常に難しいような状況もあるので、それぞれの国の状況に応じて、この10%の考え方、それから厳正の保護の考え方というのはどういうふうに対応していくのか。これについても、ゼロドラフトを踏まえて、OEWGの2で議論に参加しながら、この厳正の意味合いですとか、10%の取り方の考え方ですとかというものについて、確認をしながらこの議論に参加することになります。

繰り返しになりますけれども、現在、ここでOEWGの資料として出てきたゼロドラフト、これは共同議長が作成しておりますが、冒頭にもご説明していましたように、どうすればそれぞれ指標ではかることができるのか、どの指標を用いれば、この目標の今ゼロドラフトで書いてあるものの達成が図れるのかというところは、確認をすべき点が多いと認識しています。

その観点で、3の外来生物に関しても、海のことについてどの程度反映されているかということ、そういったことについても、引き続き議論に参加しながら、確認しながら、目標づくりに貢献していくことになると考えています。

○武内部会長 ほかに何かご質問、ご意見。

 どうぞ。

○大沼委員 先ほどの満喫プロジェクトについて質問したいのですが、非常に魅力的な施策というのが打ち立てられているというふうに思ったのですが、逆に成功し過ぎた場合とかというのは考えられているんでしょうか。

 つまり、今、魅力的だと、SNS等で発信して、人が非常に押し寄せてくる、オーバーツーリズムの状態というのがいろいろなところで問題になっていて、特に自然環境の現場ですと、そういったオーバーツーリズムというのは保全に非常に悪影響を与えるので、そういったところは何か想定されているのでしょうか。

○国立公園課長 ありがとうございます。

 現在、政府全体及び満喫プロジェクトの目標から比べますと、まだまだ旅客数というのは少ないところがありまして、増やしていこうという方向でやっておりますけれども、おっしゃるように場所によってはオーバーツーリズムになって、自然環境への影響が出かねないというのは十分気をつけないといけないと思っております。

 ただ、漫然と増やすだけではなくて、しっかりマネジメントして、コントロールしていくというのもあわせて、満喫プロジェクトをしっかりやっていきたいと思っています。

 現に今、例えば交通規制であるとか、マイカー規制の類であるとか、それから、法律では利用調整地区といって、人数制限、人数調整ができるような制度もございます。また、ガイドをつけて、しっかり理解をしてもらいながら回っていくといった試みも各地域でされていますので、そういった制度と組み合わせて、漫然と増えて自然が壊れないようにしっかりやっていきたいと思ってございます。

○武内部会長 ほかによろしいでしょうか。

 それでは、もしほかにないようでございましたら、議題5、その他はこれで終了とさせていただきたいと思います。

○大沼委員 すみません、一つよろしいでしょうか。

○武内部会長 はい、どうぞ。

○大沼委員 先ほど点検について、一つお願いといいますか、コメントといいますか、それがございまして、発言してよろしいでしょうか。

○武内部会長 はい。

○大沼委員 基本計画の点検で、国土のストックとしての価値の向上というのがあるわけですけども、これは各部会で、自然環境部会だけではなくて、各部会で共通して何かされる部分なのでしょうか。それとも、自然環境部会だけなんでしょうか。

○武内部会長 どうぞ。

○自然環境計画課長 国土のストックとしての価値の向上という項目、環境基本計画の中のいろんな項目のうちの一つでありますけれども、その項目の中に自然との共生も入っております。

 ただ、全体としては、やはり総合政策部会とか、先ほどの水環境部会とか、そういったところが中心となって点検をして、自然環境部会がその後開催、そんな形になっています。

○大沼委員 最終的に国民に公開すると思いますが国土のストックとしての価値の向上というのはすごいわかりにくいと思うんですね。恐らく何を言っているのかと思うので、例えば具体的に、自然環境部会だったら、これは自然生態系というのを多分対象にしていることだと思いますので、生態系サービスの質と量が高まるとか、そういった形でもう少しその部会に即したわかりやすい価値の向上というものを説明していただきたいなと思います。

 これは、もちろんこの部会だけではないので、先ほど発言しなかったんですが、ぜひご検討いただければと思います。

 以上です。

○自然環境計画課長 総合政策部会のほうとも十分連携をして、調整させていただきたいと思います。

○武内部会長 国土のストックとしての価値というのは、かなり国土計画を意識しているんだよね、もともと。そういう言葉なんですよ。

○大沼委員 それでは、海洋環境の保全と、どのように結びつくのでしょうか。

○武内部会長 そのときは海洋のことはあまり考えていなかったですね。

○自然環境計画課長 多分、国土の中の一つとしての海洋がそこに入ってきたというような、国土のストックというのはそういう環境基本計画の中の国土計画との連携で入った言葉であります。

○武内部会長 総合政策部会長として検討させていただきます。どうもありがとうございました。

 ほかに、よろしゅうございますか。

(なし)

○武内部会長 それでは、これで議題を終了とさせていただきたいと思います。

 事務局に議事進行をお返しいたします。

○司会 武内部会長、ありがとうございました。

 委員の皆様におかれましても、長時間にわたりご審議いただき、誠にありがとうございます。

 以上をもちまして、中央環境審議会第39回自然環境部会は閉会となります。

 本日は誠にありがとうございました。

午後5時20分 閉会