中央環境審議会 自然環境部会(第37回)議事録

日時

平成31年1月21日(月)15:30~17:30

場所

航空会館 702+703会議室

(東京都港区新橋1-18-1 航空会館7F

出席者

武内 和彦  部会長

石井 実   委員

髙村 典子  委員

新美 育文  委員

石井 信夫  臨時委員

磯部 雅彦  臨時委員

江崎 貴久  臨時委員

大沼 あゆみ 臨時委員

小泉 透   臨時委員

小菅 正夫  臨時委員

下村 彰男  臨時委員

白山 義久  臨時委員

中村 太士  臨時委員

深町 加津枝 臨時委員

二宮 雅也  臨時委員

宮本 旬子  臨時委員

涌井 史郎  臨時委員

議事

午後15時30分 開会

○司会 本日はお忙しい中、当審議会にご出席いただき、誠にありがとうございます。それでは、定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会自然環境部会を開会いたします。

 開議に先立ちまして、本日の出席委員数をご報告いたします。本日は、所属の委員、臨時委員26名のうち17名のご出席をいただいておりますので、本部会は成立いたしております。

 本日の資料についてでございますが、環境負荷削減の観点から、審議会のペーパーレス化の取組を推進するため、委員のお手元にございますタブレット端末の中に電子化したものが入っております。審議中、資料の不足やタブレット端末の不具合がございましたら、事務局までお申しつけいただければと思います。

 また、席上には、印刷資料といたしまして、座席表と名簿を配付させていただいております。ご不明な点がございましたら、事務局にお申し出ください。

 それでは、事務局を代表しまして、自然環境局長の正田よりご挨拶申し上げます。

○自然環境局長 ご紹介いただきました正田でございます。本日は、大変お忙しい中、ご出席を賜りまして誠にありがとうございます。

 本日の部会では、一つの諮問案件についてご審議いただき、また、自然環境保全に関する最近の動向をご報告させていただきたいと考えております。

 まずはご審議いただきますのは、生物多様性保全のための沖合域における海洋保護区の設定についてでございます。昨年5月の自然環境部会での諮問の後、2回の検討会での検討を踏まえ、昨年11月に当部会で答申(素案)についてご審議をいただきました。その後、パブリックコメントを実施、集まった意見を踏まえて修正を行いましたので、本日は、この答申案についてご審議をいただき、答申をいただきたいと考えております。

 また、これに加えまして、昨年11月、エジプトで開催されました生物多様性条約第14回締約国会議の結果概要など、自然環境保全に関する最近の動向をご報告させていただきたいと考えております。

 大変限られた時間ではございますが、本日も忌憚のないご意見を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

○司会 次に報道関係者の方へのお願いでございますが、カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、これよりの議事進行につきましては、武内部会長にお願いいたします。武内部会長、よろしくお願いいたします。

○武内部会長 新年になってから、これは初めてということでございますので、ちょっとご挨拶をさせていただきたいと思います。

 昨年末から今年にかけて、かなり国際的には大きな動きがございまして、生物多様性条約の第14回締約国会議、これがシャルム・エル・シェイクというエジプトのシナイ半島の先っぽのリゾート地で開催されました。やっと本格的なポスト2010目標についての議論が始まったということで、これについて、我々がCOP10で得た成果をどうやって継承し、かつ発展させていくことができるのかということで、私もそろそろ「SATOYAMAイニシアティブ」の貢献についても考えたいというふうに思っておりまして、現地で生物多様性条約の事務局長を初め皆さん方といろいろお話をさせていただいたところでございます。

 他方、気候変動枠組条約(COP24)、これはカトヴィツェというポーランドの炭鉱都市で開催されまして、炭鉱都市で気候変動の問題を議論するというのは極めて意味深なものでございますけれども、この地域で3回目と伺っていますが、締約国会議が開催されるということで、非常に大きな成果。原田大臣、1日余分にいていただいたお陰で、最後のパリ協定のルールブックの採択に同席していただいたということで、これは大変よかったことじゃないかなというふうに思っております。排出削減目標をきちっと守っていくためにはルールが必要だということが要点でございますけれども、こういうことが採択されたということで、いよいよパリ協定も軌道に乗るということでございます。私としては、生物多様性条約と気候変動枠組条約、特に気候変動では適応という議論が出てきておりますので、その相乗効果を図るというふうな形の展開も必要じゃないかなというふうに考えております。

 国内的には、今年は、もうやっと世界遺産ですね、奄美・琉球、今は奄美大島・徳之島・沖縄東北部及び西表島というふうな、当初の名称を羅列した形に変更になっておりますけれども、これのいよいよ登録を目指すということで、実はこの部会でも国立公園の、特にやんばる国立公園の拡張について、最近、皆さんにいろいろと現地も見ていただいたところでございますけれども、この次はもう落とすことはできないということで、今年からは、実は世界遺産、文化遺産のほうと自然遺産のほう、どっちかのチョイスということになってしまったんですが、非常に幸いにも自然遺産を今年度は優先すると。今年度というのは今年ですね、優先するということになったので、これについてはぜひ頑張っていただきたいと思いますし、今日は、またそのことについての議論があろうかと思います。後ほど、またお話を聞いていただければと思います。

 今日は、これまでご議論いただきました生物多様性保全のための沖合域における海洋保護区の設定についてということで、優先海域についても、この前議論していただいた結果をこの文書の中に今日は盛り込んでおりますので、いわゆるパブリックコメントの結果もあわせてご議論いただき、でき得れば、皆さん方のご了解を得て、答申というところに持っていきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、以降、座って議事進行をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、本日の部会でございますが、公開で行いますので、報道関係者や傍聴の方も同席しておられます。会議録は、後ほど事務局で作成し、本日ご出席の委員のご了承をいただいた上で公開することとなります。なお、議事要旨につきましては、事務局で作成したものを私、部会長が了承した上で公開することになりますので、この点もご了承いただければと思います。また、会議資料についても公開となります。

 それでは、早速ですが、最初の議題、「生物多様性保全のための沖合域における海洋保護区の設定について」について、事務局から説明をお願いいたします。

○説明者 自然環境計画課です。座って説明させていただきます。

 議事次第(1)の資料1-1から、資料は参考資料や別紙も含めまして5点ほどご用意しております。資料1-1が、今回議題の中心になる答申案の修正版になります。資料1-2が、パブリックコメントに意見募集をかけた実施結果の概要になります。1-2の別紙に具体的な意見とその対応の概要をお示ししております。1-3が、前回も審議会でお示ししたものとほぼ同じですが、答申案の概要のポンチ絵になります。そして、参考資料1として、前回の審議会の後に、年末、パブリックコメントをかけた段階での答申案になります。

 まず、資料1-1に移ってご案内しますが、前回審議会で委員の皆様にご審議いただいた結果を踏まえまして、黒字の下線で主に2カ所、加筆修正をさせていただいて、パブリックコメントにかけました。

 具体的には、資料1-1の7ページ目、それから最後の9ページ目になります。

 7ページ目の下のところ、なお書きのところですが、場所の話が書いてあります。前回の審議会でご意見いただいたことをこちらに書いた結果として、「優先的・先行的に保全を図る海域としては」、「慎重な議論や調整が必要である」けれども、「具体的には、日本のEEZで最も深い海溝や、最も高密度に海山が存在する重要海域を含み、脆弱な生態系タイプが多様に存在していること、科学的データが比較的整っていること、また、現時点で資源開発・利用の可能性が低いと考えられる海域があることを勘案すれば、小笠原方面の沖合域が有望な選択肢に該当すると考えられる」という旨を一つ加筆させていただきました。

 それから、9ページ目、最後のページになりますが、そこの一番最後に、前回の審議会で多数のご意見をいただいた保護区の調査や管理に関する内容として加筆をしています。「最後に、本答申が対象とする沖合域の生態系は科学的に解明されていない事象が多く、沿岸域ほど高い精度で科学的情報が蓄積されていないことから、沖合域の生物多様性の保全にあたっては、それに関する科学的情報の充実を図ることが極めて重要である」と。「このため、沖合域における生物多様性の情報の収集、整理及び分析並びに調査研究について、関係省庁、研究機関、事業者等が連携し一層推進していくことが求められる」ということを加筆させていただきました。

 この加筆した答申案をもって、年末にパブリックコメントの募集をかけさせていただきまして、その結果として、資料1-2に書いていますが、今回、11の団体または個人からご意見をいただきました。合計67のコメントをいただいておりまして、資料1-2の別紙に、表の形式で一つ一つご意見の概要とそれに対する対応を書かせていただいております。

 いただいたご意見、ちょっと全部は時間の関係もあってご紹介し切れませんが、今回、答申案の修文にも反映するような形になっている意見の幾つかをご案内しますと、一つは、海外の国際的な動向に関連して、FAOVME(脆弱な海洋生態系)に関する議論とか基準とか考え方を参考にできるんじゃないかというご指摘。それから、海洋保護区イコール全てが禁漁区ではないということを明示してほしいといったご意見。あるいは、EEZで関係する地方公共団体というのは、存在しないというような書きぶりでもともとあったんですが、都道府県によっては、例えば知事権限の許可漁業がEEZにも及んでいるような場合があるので、間接的に関係し得る地方公共団体というのはあり得るんじゃないかと。そういった場合は、意見を聞くなり、配慮するべきだといったようなご指摘が見受けられました。

 このようなパブリックコメントのご意見を反映するべく、先ほどの資料1-1に戻りますが、赤色の文字で加筆したところが修正をしているところです。

 具体的には、資料1-1の3ページ目に、一つはVMEの話として数行加筆しております。「(FAO)では人為活動等によって損傷を受けやすい海洋生態系をVME=脆弱な海洋生態系としており、一部の地域漁業管理機関では、VMEに遭遇した場合に漁業の操業を中断し一定距離離れるまで操業してはならないこと等になっている」ということ。これは直前にISAAPEIという、これも保護区に似たような国際的な取組の事例を書いておりますが、それと並行して、実際、我々の海洋保護区の検討会の中でも、以前、資料として触れさせていただいた取組の一つとしてVMEがありましたので、APEIと並べて書くような形で、こちら、加筆をさせていただいた次第です。

 それから、一部細かい表現の修正はしておりますが、もう一つ、大きな加筆のポイントとしては、7ページ目の中段に当たりますが、「一部の地方公共団体が知事許可漁業等を通じ間接的に関係し得る場合には、任意の意見照会をして配慮することが考えられる」ということで、パブリックコメントにいただいたご指摘を反映した次第です。

 修正の主なポイントとしては、大体以上の形なので、大きく変えたというよりは、細かい表現の修正を中心に今回させていただきましたが、今、ご案内した資料1-1をもって、今回、答申案の修正版ということでご用意しました。

 説明としては以上となります。ご審議よろしくお願いします。

○武内部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明に関しまして、特にこれで答申ということの、行うことの妥当性という観点から、ご質問、ご意見ございましたらお願いしたいと思います。札を立てていただければと思いますが、私に見えるように、ちょっと横長になっていますので、よろしくお願いします。いかがでしょうか。

 これに関して、これまでいろいろ取りまとめをご担当いただいた白山委員、何かございますでしょうか、コメント。

○白山委員 ご指名ですので一言申し上げますと、パブリックコメント、多くのコメントが参考になるものだったなというふうに思います。

 先ほどのご説明に追加で言えば、5ページの一番下のほうですが、「海洋保護区を、単なる禁漁区のように一律の禁止区域とするのではなく」というふうに一言入っています。これもそれなりに重要な変更点かなというふうに思っておりますが、全般的には、前回お示しした答申案の骨格が変わるということは特にございませんでした。

 以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。

 そのほか、ご意見、ご質問ございますでしょうか。

(なし)

○武内部会長 もし、ないようでしたら、私のほうからお諮りをさせていただきたいと思います。

 「生物多様性保全のための沖合域における海洋保護区の設定について」について、提案のように答申するということでご異議ございませんでしょうか。

(異議なし)

○武内部会長 ありがとうございます。それでは、本件について、適当と認めることにいたしたいと思います。

 それでは、次の議題、「その他」において報告事項がございます。事務局より順次説明をお願いします。報告事項全てが終了した後に、委員の皆さん方からのご質問をお受けしたいと思います。

 それでは、どうぞ。

○説明者2 報告事項について、ご説明させていただきます。

 1件目が、生物多様性条約第14回締約国会議の結果についてということでございます。生物多様性戦略推進室長、中澤でございます。よろしくお願いいたします。

 まず、2ページ目をご覧いただきますと、今回、COP14の全体の流れ、全体の中での位置づけを書いてございます。2010年にCOP10が名古屋で開催されました。そこで、愛知目標、それから名古屋議定書が採択されたわけでございますけど、愛知目標は2020年までを目標年とする生物多様性の世界目標でございます。これが2020年までということで、COP15、中国で開催されますけども、そこで見直されるということでございまして、今回、COP14は、次の世界目標、2020年以降の世界目標を検討するためのプロセスをまず検討するというものが主な議題でございます。

 それから、もう一つ、COP13からの流れでございまして、COP13では、農林水産業等、いわゆる第一次産業での生物多様性の主流化というものが議論されております。この主流化に関する議論の続きといたしまして、COP14では、エネルギー・鉱業等々、いわゆる第二次産業での生物多様性の主流化というものが議論されたというような流れでございます。

 COP14の全体の中での流れというものは、以上のようなことになっております。

 おめくりいただきまして、COP14でございますけども、日程は111729まで、先ほど部会長からも話がございましたが、エジプトのシャルム・エル・シェイクというところで開催されています。なお、このCOP14に先立ちまして、ハイレベルセグメント、いわゆる閣僚級会合が2日間開催されております。会議のテーマとしては、人間と地球のための生物多様性への投資というものをテーマとして全体の議論がなされております。

 主要議題、先ほど申し上げましたとおり、次の目標へのプロセス、検討プロセス、それから、いわゆる第二次産業での主流化というもの、さらには保護地域及びその他の地域、地域的な生物多様性の保全手段、これはいわゆる保護地域以外の方法で保護を進めるため、手段についての議論等がございました。この結果については、また後ほど説明させていただきます。

 日本からは、城内環境副大臣を代表としまして、環境省を初めとする関係省庁から参加いたしました。経済界からも、今日もご出席いただいていますが、二宮経団連自然保護協議会長を初めとする企業団、それからNGO、研究者等も参加をしていただいております。

 初めに、次のページにまいりまして、ハイレベルセグメントの開催概要でございます。

 テーマは、エネルギー・鉱業、インフラ等々、いわゆる第二次産業の中での生物多様性の主流化というものがございます。

 2日間に分かれまして、四つの分科会に分かれて議論が進められ、最終日に閣僚級前言として「シャルム・エル・シェイク宣言」というものが採択されました。

 次のページにまいりまして、ハイレベルセグメントの結果概要でございますけども、まず、ラウンドテーブルというものがございます。閣僚級の方々がテーブルを囲んで、写真にございますように、囲んで議論をするということでございます。日本から出席した城内副大臣は、この中でも製造業、それから加工業分野での生物多様性の主流化に関して、日本の行政だけではなく、民間企業の方、もしくは、または経団連等が取り組まれているようなことについても発表させていただいております。

 閣僚級宣言、シャルム・エル・シェイク宣言でございますけれども、大きく二つ内容がございます。一つが生物多様性の主流化ということで、先ほど申した第二次産業での主流化を今後とも進めていきましょうと。その中では、インセンティブの創出ですとか、環境影響評価促進、そういったものが内容として含まれております。二つ目のポイントが、生物多様性戦略計画2011-2020、いわゆる愛知目標、それから、さらなる行動ということで、愛知目標、残り2年となったということで、残り2年、この達成に向けて努力をしていきましょうということ。もう一つ、COP15、次のCOPの前に締約国等による任意的な貢献を促進するようなことが必要であると。これはボランタリー・コミットメントということで、気候変動の業界の中でもいろいろと議論がされているような内容でございますけども、そういったような中身がシャルム・エル・シェィク宣言の中に含まれております。

 それから、次のページにまいります。二国間会談等の概要ということで、城内副大臣、1泊2日のスケジュールでご出張いただいたんですけども、その間に7カ国、それから国際機関の代表の方等々と意見交換をしております。その意見交換の概要でございますけども、次の目標となるポスト2020目標の議論に積極的に貢献していくということ、それから今年6月のG20、続可能な成長のためのエネルギー転換及び地球環境に関する関係閣僚会議、いわゆるG20の軽井沢大臣会合というものでございますが、その中で、生態系を基盤とするアプローチを含む適応と強靱なインフラ等を議論すると。この中でも生物多様性について扱っていきたいというような議論をしているところでございます。

 次のページにまいります。COP14の主要議題に関する決定ということでございます。

 CO14では、全体で40の議題がございましたが、そのうち議論の対象になったものは30でございます。さらに、その中から、主要なものとして六つを選択させていただきました。

 まず、ポスト目標のプロセスでございますけども、後ほど詳しくご説明させていただきますが、地域ワークショップ等の開催による多様な主体の参画を可能とするプロセスを採択しています。それから、締約国で構成されるワーキンググループ、ハイレベルパネル等を設置して議論を進めていくということでございます。

 それから、第二次産業での生物多様性の主流化、②番でございますけども、例えばこの中で取組を推進するためのインセンティブの付与ですとか、ボランタリーな情報公開、いわゆる非財務情報ですね、そういったのについての情報公開の強化を進めていきましょうと。そういったものが議論になっております。

 気候変動関係、③番でございますけども、生態系、いわゆる生物多様性と気候変動の連携強化ということで、生態系を活用した適応とか、生態系を活用した防災・減災、そういったものを進めていきましょうといったものが、この決定内容に含まれております。

 それから、④番目のその他の地域的な生物多様性の保全手段(OECM)、Other Effective Conservation Measuresと呼ばれているものですけども、いわゆる国立公園のような保護区だけではなくて、民間の方に守られているような場所、具体的な日本の事例で申しますと、神社のような、神社林みたいな、そういったようなところですね。そういったようなところの保護というものを進めていきましょうと。保護区以外の保護区ですね、そういった保護区以外で保護されている場所の保護を進めていきましょうということでございます。

 それから、⑤、⑥は、途上国と先進国の議論が分かれた中身でございますけども、⑤塩基配列情報、これはABS、名古屋議定書に含まれるような遺伝資源の利用から生じる利益の配分に関するものでございます。名古屋議定書、それから生物多様性条約では、遺伝資源の利益から生じる利益の利益配分というものは、基本的には、いわゆる生物、生ものを対象にしているんですけども、今、途上国のほうからは、いわゆるデジタル情報、ゲノム情報の利用から得られるものについても、利益配分の対象とすべきではないかという問題が提起されております。この辺は条約、それから名古屋議定書のフォーカスからして、違うのではないかという議論がさんざん途上国と先進国からされています。途上国の立場からは、この塩基配列情報というのが名古屋議定書の利益配分の抜け道になっているのではないかということで、問題が提起されております。合成生物学は、これはいわゆる遺伝子組換え生物のものでございます。これが遺伝子組換え生物、いわゆるカルタヘナ議定書で対象としているものですが、そこの対象になるのか、対象の外になるのか、そういった入り口の議論が進められていたものでございます。⑤、⑥については、引き続き継続的な議論になっているところでございます。

 次のページにまいりまして、2020年以降の新たな世界目標の検討プロセスでございます。

 次の目標に向けてどういった検討プロセスをたどるべきかということで、先ほど冒頭、武内部会長からもご指摘がございました。今回、これが決まったということで、今後、具体的な議論が始まるということでございます。

 決定内容だけ申し上げますと、COP決定の概要というのが3段目の項目にございますが、地域ワークショップ等の開催により多様な主体が参画するプロセスというものが採択されました。ポスト2020目標に関する締約国等のワーキンググループ、このポスト目標を議論するための専門のワーキンググループというのが設定されました。さらには、策定プロセスへの貢献を目的として、ハイレベルパネル、いわゆる閣僚級、またはいろんな著名人が参加するようなパネルを設立したこと。さらには、愛知目標の達成促進、ポスト2020目標への貢献等を目的とした任意的なコミットメントを検討するよう締約国等に招請されています。こういったような議題が、決定がなされているところでございます。

 次のページにまいりますと、今後のプロセスについて、簡単に取りまとめましたので、ご報告させていただきます。

 地域ワークショップ等の開催が決まったということでございまして、ちょうど来週の月曜日から、愛知県名古屋市の国際会議場、COP10が開催された場所ですが、そこでアジア太平洋地域のワークショップというものが開催されます。これは具体的な検討プロセスとしては世界で初めてのものということで、ここで、名古屋でいわゆる次の目標の議論がキックオフされるということでございます。それ以外にも、国際ワークショップ、テーマ別のワークショップ等が開催されます。さらには、先ほど申したワーキンググループが、COP15までの間に2回以上開催されるといったような流れでございます。

 今後の見込み、スケジュールでございますけども、今年の10月、それから来年の5月に、生物多様性条約の補助機関会合が開催されます。さらには、来年の5月に、『地球規模生物多様性概況第5版』というもので、各国の愛知目標に向けた取組状況を、全体を条約事務局で取りまとめたものが出されます。そういったものを踏まえまして、第15回の締約国会議が開催されるということのスケジュールになっております。

 参考資料として、COP14の成果についての各地での報告会の概要、それから、先ほど申しました来週のワークショップについての報道発表資料をつけさせていただいております。

 以上がCOP14関連のご報告になります。

○説明者3 次に、国立公園満喫プロジェクトについてご報告をさせていただきます。

 資料3について、お開きいただければと思います。資料3、国立公園満喫プロジェクト説明資料ということで、今回ご報告させていただくのは、一つは2019年からの新たな取組というところで、国際観光旅客税を使ってどういったことを今後取り組んでいくのか、また、②番目として、最近の取組状況について、簡単にご報告したいと思います。

 めくっていただきまして、国立公園満喫プロジェクトと書かれた一枚紙でございますが、こちらについて、改めて位置づけを整理したものでございます。国立公園、すぐれた自然環境を利用に当たってはきちんと保全を図りながら、その自然の魅力を最大限生かすような形で利用を図り、その利用によって地域に経済効果をもたらすことで、さらに保全に再投資をされると。保護と利用の好循環を目指していくといったことを改めて整理しております。

 国立公園の磨き上げ、国内外へのプロモーションについてはこれまで取り組んできたものですけれども、引き続き取り組んでいく予定です。さらに、この中で、利用者負担による保全の仕組みづくりについては、2019年度以降、改めて力を入れて取り組んでいくという方針でございます。

 さらにここに加わるのが、国際観光旅客税を財源とする取組ということで、取組の強化を図っていきたいと思います。5ページ目の満足度を向上させる国立公園の磨き上げということで、一つ目、利用拠点の滞在環境の上質化でございます。こちらについては、各地で課題になっている廃屋について撤去を行うことで、新たな民間事業、施設導入を促進することで、利用拠点のエリアを活性化していこうというものでございます。

 また、下の多言語解説についても、今年度に引き続き、国立公園全体としても広げてやっていきたいと考えております。

 6ページ目上段の野生動物観光のコンテンツづくりということで、外国人の観光客の方に人気である野生動物について、現在、ツアーもいろいろ行われているところですが、共通の保全を図りながら、きちんとした形で利用するようなルールづくりというものをつくりながらやっていくこと、また、野生動物保護センターで傷病鳥獣を保護しておりますけれども、こちらは単に保護するというだけではなくて、きちんと見せられる施設に改修して、来訪者にもご覧いただきながら、きちんと野生動物の保護について理解を深めていただくというところに生かしていきたいと思っております。

 また、下の段、ビジターセンターについても、さらにインバウンド対応機能というのを強化してまいりたいと思っております。

 点字についても、最新デジタル技術を活用することで、理解を深めるようなものにしていきたいと考えております。

 7ページ目ですが、プロモーションについても強化を図っていくというところで、日本政府観光局(JNTO)のサイトを生かしながら、ここに国立公園の一括サイトを設けて、単に概要だけではなく、どのようなアクティビティができて、さらに予約までそこから直接行えるような仕組みにしていきたいと考えております。

 また、多くの方が利用している新宿御苑について、ここを生かして、国立公園の発信拠点というところに生かしていきたいと思っております。

 めくっていただいて、次からが最近の取組状況でございますが、こちらについては、全体ではなく、幾つか抜粋してご報告いたします。

 1点目は、伊勢志摩国立公園の民間開放というところで、カフェの導入を展望台に行っております。こちらについても非常に好評をいただいているところでして、こういった取組をまたさらに広げていきたいと考えております。

 めくっていただいて、日光国立公園の状況でございますが、こちらについては、中禅寺湖を中心とした、国際的な避暑地としての歴史を生かした空間づくりというものを全体で進めているところでして、また、記念公園などの配置だけではなくて、今回、船舶運送施設の計画変更なども行いながら、さらに一層使いやすい施設利用の環境づくりというのを目指していきたいと考えております。

 また、次のページ、オフィシャルパートナーとの連携についても、より一層図っていくこととしております。本日、オフィシャルパートナーシップの締結式をまた行いまして、新たに12社増えて、61社に増えたというところでございます。より一層、民間との連携を深めながら、効果的に国立公園のプロモーション、また、利用の活性化を行っていきたいと思います。

 以降、また個別の取組についてですので、説明のほうは割愛させていただきます。

 以上、報告を終わりにさせていただきます。

○説明者4 外来生物対策室長の北橋です。どうぞよろしくお願いいたします。

 私のほうからは、5月の中央環境審議会の環境部会のほうでご報告させていただきましたゲノム編集に関する検討会設置につきまして、その後の進捗等につきまして、ご報告をしたいと考えております。

 資料4-1をお開きください。

 ゲノム編集という技術につきましては、遺伝子編集技術の遺伝子組換え技術の一種でありますが、さらに非常に簡便に、狙ったとおりの遺伝子の組換えをすることができるという技術でございまして、非常に最近話題になっているものでございます。

 これにつきまして、カルタヘナ法、遺伝子組換えを扱っている法律でございますけども、このカルタヘナ法において、どのように扱うのかということについて、一部、この法律上の規制に該当しないようなものも作製されるのではないかという議論がございまして、そこを明らかにするということで宿題をいただいていたところでございます。

 検討状況と2番目に書いてございますけども、これが今年の先ほど言いました5月の中央環境審議会自然環境部会からの流れでございます。後ほど資料で個別にご説明しますけども、7月に、遺伝子組換え生物等専門委員会という委員会の中で、このゲノム編集に関する特別の検討会を立ち上げるということを決めまして、その後、8月7日に第1回、8月20日に第2回の検討会を行いました。その検討結果を8月30日に第2回の専門委員会で改めて取りまとめていただいたというような流れになってございます。

 この検討会について、資料4-2Aが、先ほど申しました親検討会の専門委員会になります。2枚めくっていただきますと委員リストがございます。この自然環境部会の委員でもあります五箇先生、それから柴田先生、お二人ともちょっと残念ながら本日はご欠席でございますけども、このお二方の先生にも入っていただきまして、専門委員会のほうが立ち上がっております。こちらの座長は、上智大学の磯崎先生にやっていただいております。磯崎先生は、法の施行状況の点検を行った際の遺伝子組換え生物小委員会の委員でもあったということでございます。

 資料4-2Bでございますが、こちらが今回ゲノム編集技術の検討をするために新たに立ち上げました検討会についてでございます。この設置につきましては、先ほどご説明しました遺伝子組換え生物等専門委員会のもとで設置するということにしてございます。この検討会につきましても、全て会議は公開で開催し、関係資料も全てホームページで公開しております。

 2枚めくっていただきますと、こちらも会議の委員リストがございますが、先ほどの専門委員会のほうから、筑波大学の大澤先生に座長になっていただきまして、その他、先ほどの親の専門委員会とかぶっている先生もいらっしゃいますが、より専門的・具体的に最新の技術のことをわかっていらっしゃる先生方を、委員として入っていただいたというところでございます。

 この二つの委員会で合計4回の会議で議論を重ねてきたというところでございます。

 その結果、あるいは検討状況につきましてですけども、資料4-3を開いていただき、1枚めくっていただきますと、ちょっと絵が下のほうに描いてございます。ゲノム編集技術につきましては、大きく分けると三つに分けられるというふうに言われてございます。言葉としては、SDN-1、2、3と言っておるんですけども、一つ目は、左端になりますが、DNAのある特定の部分を切断いたしまして、そこが自然に修復される際に、何らかの変異、それは遺伝子が欠けていたり、あるいは追加になったりというような変異が起こる、その自然の修復機能を利用した変位でございます。それから、右の二つは切ったところに、ある特定の外来のDNA断片を導入するというものでございます。真ん中のところは、非常に小さな、塩基と言われる、遺伝子というレベルまでいかない小さな部品を組み込むというものでございますし、右側のSDN-3と言われているものにつきましては、ある特定の働きを持った遺伝子そのものを組み込むというようになってございます。

 それで、さらに切断するときに使う、よくはさみとガイドというふうに言われるんですけども、切断するときに使う人工ヌクレアーゼというのが実はあるんですけども、もう一つ、この三つの分類の仕方と、それから、そのときに使う人工ヌクレアーゼ、道具の中に核酸が入っているかどうかということで、合わせて六つのやり方に分かれているというような感じになってございます。

 ちなみに、カルタヘナ法の定義で言いますと、規制の対象となるものはどういうものなのかという法律上の定義といたしましては、外部で加工した核酸、あるいは複製物を中に入れている場合ということになってございまして、その観点からいきますと、この絵で言いますところのSDN-1というものについては、変異部分に対しては、別に外部から遺伝子あるいは核酸の類いを入れているというわけではないものですから、単純にこの絵だけを見ますと、SDN-1というのは、規制の対象外になりますよということになります。

 ただし、もう一つ言いました、切断するときに使う道具立てみたいなものなんですけども、はさみとガイドに相当する、切断するときの技術に、実は外部から核酸を使う技術があるものですから、特に最近よくテレビなんかで出てきます、非常に簡便にできるようになったゲノム編集技術というのは、そこの技術の部分に核酸を含んでいるんですね。そういったものに対してどういうふうに扱うべきなのかということが、かなり議論の焦点になりました。

 そこで、検討の結果について資料4-5でご説明したいと思いますが、先ほど言いましたように、切断するだけの場合であっても、その道具として外部から核酸を移入している場合、それにつきましては、やはりカルタヘナ法の規制対象になるということで、皆様方、ご検討いただきまして、DNAの中に新しく遺伝子を組み込むかどうかということだけではなくて、技術としても核酸を使う場合については、カルタヘナ法の対象として見るということになりました。ただし、道具として核酸を使うだけの場合につきましては、必要な改変が済んだ場合は、いろいろと、戻し交雑とかいろいろ使いますと、道具として使った外部核酸というのが抜ける可能性があるということですので、そこが抜けた場合、そのことがちゃんと科学的に確認できた場合には、それは法律上で言えばやはりカルタヘナ法の範囲から外れるでしょうということになりまして、それがこのチャートになってございます。

 ここの今回の取り扱いの肝といたしましては、先ほど言いました、道具だけとして外部から核酸を使用した場合に、それが抜けたということが確認されるまでは、ちゃんとカルタヘナ法の規制の中で扱っていただくと。その上で、抜けたことが科学的に確認できれば外れるということを明らかにしたというところでございます。

 その上で、法律上、規制から外れた部分についてはどう考えればいいのかと。もう完全に何もなしでフリーでいいのかどうかということもご検討いただきました。

 先生方からは、今回、法律上の規制の対象外と整理された部分について、法律を改正して規制すべきだと、そういうふうな危険性があるというようなご意見はございませんでした。その上で、ただ、やはり生物多様性の保全ということを考えた場合に、ゲノム編集という新しい技術については、まだまだ知見が足りていないところもありますので、ちゃんと最新の状況を把握すべきじゃないかというようなご意見もございました。

 その結果ですが、1枚めくっていただき、カルタヘナ法の規制から外れた分についても、まず一つは、ちゃんと、第二種使用と言っているんですけども、拡散防止措置がとられたような施設の中でちゃんと使っていただくということが一つ。それから、そこでしっかりと確認された上で、どういう生き物ができるのかということを確認していただいた上で、それを拡散防止措置をとられていない、つまり通常の畑とかで生育させようとするような、そういう場合には、使用する前の段階で、生物多様性の影響にかかわるような事項につきまして、事前に主務官庁に情報提供をいただくと。言ってみれば、カルタヘナ法の規制がかかっている場合に、承認という手続をとっているものを、ほぼ同じような情報を事前の情報提供という形で主務官庁に出してくださいというふうな仕組みにしてはどうかということになってございます。

 情報提供いただく事項につきましてまず一つ目といたしましては、法律上、本当にカルタヘナ法の対象外になるものか。外部から移入した核酸、あるいはその複製物というものがなくなっているということをどういうふうに確認しましたかということを入れてくださいと。それから、どのような生物に対して、どんなふうにゲノム編集を行ったのか、そのことによって何を求め、どんな形質の変化が起こるということが期待されていたのか。それから、実際にできたものの中で、できた生物に対して、もともと付与しようと思っていた形質変化以外に何か起こっていますかと。それが起こっているのであれば、どんな変化が起こっているかと。そういったことを全部ひっくるめて、外部にその生物を利用した場合に、生物多様性にどんな影響が起こる、あるいは起こらないと考えるのかという、そういう可能性に対する考察も提供してくださいということにしてございます。

 さらに、これはカルタヘナ法もそうなんですけども、こうした遺伝子組換えを行ったもの、それから、ゲノム編集の関係で情報提供いただいた情報につきましては、一般に対しても情報を公開するということが大事だと考えてございます。日本バイオセーフティクリアリングハウスというウエブサイトがございまして、これまでも、カルタヘナ法に基づいた使用承認をする際には、全てこれはどんな案件を承認しましたよということで公開してございます。今回、情報提供を求める事項につきましても、企業秘密とかありますので、全てというわけにはいきませんけども、主な事項につきましては、このホームページのほうで情報公開したいというふうに考えてございます。

 それから、こういったことを取り扱いとして案として固めたということで、パブリックコメントを9月の末から10月にかけて行ってございます。その結果が資料4-4でございます。意見は183件いただいています。かなりご関心の高い状況でございました。

 主な意見といたしましては、現行法ができたときには想定されていなかった技術だから、現行法を根拠に決めるのは妥当ではないというようなことですとか、あるいは、検討会が2回であったということで、拙速じゃないかというようなご意見ですとか、あるいは、実質的な情報提供としておるところですが、より厳しい規制ですとか、義務化などが必要じゃないかというようなご意見がございました。

 また、一方で、今回の取り扱いというのが全体を考えると非常に妥当、合理的ではないかというようなご意見も二十数件いただいておるところです。

 基本的には、先ほど申しましたように、専門の先生方にご議論いただく中で、現在の法律を変えて規制すべきだというような、そういう危険性があるというご意見はなかったところでございますけれども、先ほどご説明しましたようにしっかりと情報を提供いただく中で、どういうことが実際行われているのかという知見を集めていきたいと考えておりますし、今、申し上げました取扱方針というのは、情報が集まってくる中で、あるいは新しい科学的知見が集まれば、それを踏まえて必要に応じて見直しもしていきたいと考えております。

 それから、いただいたご意見の中では、食品に関するご意見も非常に多々ございました。ちょうど厚生労働省のほうで食品安全に関する検討も、少しタイミングのずれた形で行われており、環境省のこのカルタヘナの取り扱い関係の議論が一番先に動いていたところもございまして、やはりパブリックコメントの中では、食品と安全としてのコメントというのも4分の1程度、かなりの数いただいておったというところでございます。

 簡単ではございますが、ゲノム編集に関するご報告をさせていただきました。

○説明者5 続きまして、資料5-1と5-2につきまして、自然環境計画課からご報告させていただきます。

 奄美大島、徳之島、沖縄島北、西表島、これから奄美・沖縄と申しますが、世界自然遺産の再推薦についてでございます。

 資産名としましてはそこに書いてあるとおり、4島名を並べたものとなっております。

 それから、この遺産の世界遺産としての顕著で普遍的な価値としましては、島の成り立ちを反映した独自の生物進化を背景として、国際的にも希少な固有種に代表される生物多様性保全上重要な地域であるという説明をしております。

 保護担保措置としましては、国立公園や森林生態系保護地域などを使用しておりまして、環境省と林野庁の共同推薦となっております。

 1枚めくっていただきまして、この再推薦に向けたこれまでの経緯を簡単にご説明させていただきます。

 ご存じのとおり再推薦ですので、前回の提出という経緯がございます。2017年2月1日にユネスコの世界遺産センターへ推薦書を提出いたしましたが、昨年2018年5月に世界遺産委員会の諮問機関であるIUCNからは延期、登録延期の勧告を受けました。これを受けまして、6月1日に推薦書を一旦取り下げております。その後、再推薦に向けた準備としまして、同年の6月に沖縄島北部の米軍の北部訓練場の返還地をやんばる国立公園に編入したことを初め、9月には世界自然遺産候補地の科学委員会において、再推薦に向けた修正方針についてお諮りをして、決定をしております。この内容につきましては、後ほどご説明させていただきます。

 それから、昨年の11月2日には、官房長官発表で今年度の推薦候補を「奄美・沖縄」にするとの方針が出ました。

 それから、つい先日、今年の1月17日には関係省庁連絡会議を開催いたしまして、本件を今年度の推薦案件とするということを確認いたしております。

 明日、1月22日の閣議において、本件を推薦するということを了解いただく予定としております。閣議了解が得られましたら、提出期限である2月1日までに速やかにユネスコ世界遺産センターへ推薦書を提出するという形になります。

 その後は、今年の夏から秋ごろにIUCNによる現地調査がありまして、その翌年、2020年の夏ごろに世界遺産委員会における審議が行われて決定がされるという予定になっております。

 それから、資料5-2ですけれども、こちらに再推薦に当たって推薦内容を変更した点をまとめております。

 まず、1枚目に書いております三つのポイントというのが、IUCNからの大きな指摘でありました。

 まず、1番目は、世界遺産に登録するためにはクライテリアというのが10個あります。その中の自然遺産に関係するクライテリアというのは四つあって、前回の推薦のときには、(ⅸ)生態系と(ⅹ)生物多様性という二つのクライテリアで推薦いたしましたが、左側に書いておりますとおり、クライテリアの(ⅸ)の生態系は合致しないと。ただし、その下に書いております2点に対応すれば、クライテリアの(ⅹ)には該当する可能性があると指摘されておりますので、評価基準についてはクライテリア(ⅹ)のみを適用するという形に修正してございます。

 それから、二つ目の指摘ですけれども、沖縄の北部訓練場の返還地が重要な位置づけであるけれども、推薦地に含まれていないということを指摘されました。

 これにつきましては、北部訓練場返還地をやんばる国立公園、それからやんばる森林生態系保護地域に指定しまして、推薦地に追加してございます。

 この追加の状況については下の図に書いております。推薦区域は緑色になっていまして、推薦区域の北側にかなり緑色が広がっている部分が見ていただけるかと思いますが、そういった部分が推薦地に追加されております。

 それから、三つ目、推薦地は連続性に欠けて、遺産の価値の証明に不必要な分断された小規模な区域が複数含まれている。この点がよろしくないというご指摘をいただきました。

 この点も前回の推薦のときには推薦区域が24の細かい区域に分かれておりましたが、今回はそれをなるべく可能な限り推薦地としてつなげると、やむを得ない場合は推薦地から除くということにいたしまして、5個の推薦区域にまとめております。

 こういった内容でIUCNからの指摘には対応をしているというところであります。

 それから、裏面ですけれども、これ以外にも幾つか指摘をいただいておりました。

 米軍との調整のさらなる発展、あるいは外来種対策の推進、観光管理の仕組みの構築、それから総合的なモニタリングの実施、これらにつきましても、表の対応の欄に書いてありますとおり、一つ一つ対応をしておりますので、こういった内容を推薦書に反映した上で提出をするという考えでおります。

 簡単ですが、以上、ご報告です。

○武内部会長 多岐にわたる報告でございましたが、これらのどれについてでも結構ですので、ご質問、ご意見がある方は札を立てていただきたいと思います。一通り委員の皆さんからのご意見、ご質問をお受けした後に、テーマに応じてそれぞれ担当の方から説明をしていただくということにさせていただきたいと思います。

 中村委員、お願いします。

○中村委員 ありがとうございます。

 2点、質問とお願いみたいな形、1点はお願いです。

 最初の生物多様性条約に関して、COP14の主要議題に関する決定ということで、④その他の地域的な生物多様性の保全手段ということで、OECMというのが採択されているんですけど、いわゆる保護地域外での生物多様性の保全というのは僕もすごく重要な点だと思いますし、そうでないと、多分、実際的な保全はできないだろうというふうに思っているんですけど、この保全地域ではない場所というのはどんなイメージなのか。多分、既に土地利用がされていたり、他の省庁に、日本でいうと他の省庁による管轄が行われていると思うんですけど、そういった場所において保全を進めるというのがどんな考えでおられるのか。もし、その辺の情報があったら教えていただきたいのと、日本に照らすとどういう、日本にあるならばですね。そういう制度があるならば、日本でいうとどんなことを意味しているのかも教えてください。

 それから、二つ目の満喫プロジェクトの件なんですけど、公園部会のほうでも少しお話ししたんですけど、野生動物観光のコンテンツづくりというのが一つ書かれています。大事なことだとは思うんですけど、知床を例にすると、サケが上るシーズンにクマが現れると、もうほとんどカオス状態というか、皆さん車を止めて、ほとんど身動きができないような状態です。

 ということで、環境省一つでできることではないことは重々承知なんですけど、やはりこの野生動物観光のコンテンツづくりの中には、ガバナンスといいますか、ルールづくりといいますか、そこをきちんと置いておいていただかないと、きっとうまくいかない。もう既にうまくいかなくなっていますので、その辺をぜひ、その中にそういった観点を入れていただけるようにお願いします。

 以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。

 高村委員、お願いします。

○高村委員 満喫プロジェクトについてですが、既に他の委員からも出ていると思うんですが、やはりこの利用と保護というもののバランスをとっていく。利活用が増えるということは、やはり人間の負の影響も大きく増えるということですので、CBDと整合性がきちんとあるものであらなければいけないと。

 そのために、やはり客観的な、やっぱりこういう事業をやられるわけですから、評価をして、やっぱり課題を洗い出して、改善をしていくというそういったフィードバックの評価、課題を洗い出し改善をして次につなげていくというような、そういうふうな仕組みをしっかりつくっていただいて、進めていただきたいなと思います。

 もう1点は、やっぱりたくさんの人が来るということは、ガイドの方とか、案内をする方というのもたくさん必要になってくると思うんですが、そういうふうな方というのをどういうふうに集められて、いろいろ学んでいただく場ですね。正しいやっぱり知識を来ていただいている方に伝えていくという、そういうふうな仕組みづくりもしっかりとしていただきたいなというふうにお願いでございます。

○武内部会長 ありがとうございました。

 白山委員、お願いします。

○白山委員 ありがとうございます。

 COP14に関わることで二つ伺いたいんですけども、まず一つは、CBDに対して科学的な貢献をするIPBESというのがあるわけですが、UNFCCCだとIPCCのレポートというのは非常に大きなインパクトがあるわけですが、今回のCPOの前にIPBESのほうでは地域アセスのSPMが採択されているわけですけれども、そのIPBESの地域アセスというのは、このCOPの議論の中でどんなふうな役割が果たせていたのかというようなことを、少しお聞かせいただきたいというのが一つです。

 それから、もう一つは、塩基配列情報に関わる議論なんですけれども、検討継続ということで結局何も決まらなかったというふうに理解をすればいいのか、それとも、何らかの方向性は出ているんだけれども、最終的な合意に至らなかったということなのか、その辺の少しニュアンスを伺えればと思います。よろしくお願いします。

○武内部会長 ありがとうございました。

 小菅委員、お願いします。

○小菅委員 私からも2点ほど。その前に知床のヒグマの件については、私も先ほどの意見の方と全く同じ心配をしております。

 それと、もう一つ、シマフクロウの保護施設のところの公開というか、観光に利用するという話で、マレーシアのオランウータンの施設なんかを例に挙げていましたけれども、シマフクロウの施設を公開するんであれば、あの場所は野生復帰についてもきちんとやられている施設なので、これで人が来ると、どうしても人づけの問題等がありまして、ここのところは全くつくるんであれば別の施設、近くに釧路市動物園もあるので、釧路市動物園のほうにこういう施設をもっと重点的に強化させるというようなことのほうがよろしいんじゃないかというふうに思います。

 それと、もう一つ、世界遺産の件でIUCNのほうからノネコの外来種対策推進ということで提示されていて、それに対して奄美大島のところに策定したということが報告されていますけども、捕獲、譲渡等の取組としか書いていない。ここもちょっと詳しく教えてください。

 それと、奄美大島、確かにアマミノクロウサギが猫に襲われている映像を見て、予想はしていたんですけど、非常に衝撃的なニュースだったと思うんですけど、じゃあ沖縄北部のやんばるのマングースは、確かに我々視察させてもらったときに、きちんと対策をしているという話で減ってきている。撲滅まで自信を持っていると言っていましたけど、対ノネコ対策についてはまだまだのような印象を受けましたので、やんばるのほうでもヤンバルクイナが相当被害に遭っているということで、そこのところはどうなっているのかということを教えてください。

 以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。

 小泉委員、お願いします。

○小泉委員 ありがとうございます。私から2点申し上げたいと思います。

 1点は意見で、もう1点は質問です。

 1点目の意見は、国立公園満喫プロジェクトです。ほかの委員の方が既にご指摘されているのに類似しておりますけれども、全体として、施設、それから民間との連携というのは非常にわかりましたけれども、実際に例えば訪日外国人の満足度を向上させるための人材の育成というところに関する取組の説明が少し不十分だったと思います。この点、実は実際に事業を始める場合に人材というのが非常に大切になると思いますので、この点、ご配慮をいただきたいと思います。

 それから、もう1点がゲノム編集なんですが、現行のカルタヘナ法が周知されて理解度が深くなっていくにつれて、実はこういう新しい問題について、実際に扱っている人たちはうっかりとか、よくわからないままにというふうにして法令に触れてしまうという事態が出てくるのではないかということが懸念されるわけですけれども、こういったところの周知徹底というのをどういうふうにするのかというのを、委員会の中でどんな議論があったのか、教えていただけますでしょうか。

○武内部会長 ありがとうございます。

 宮本委員、どうぞ。

○宮本委員 私もゲノム編集について、1点お伺いしたいと思います。

 資料の4-1を見ますと、今後、通知を出して情報提供を求めていくということになるのかというふうに思いますけれども、このゲノム編集技術は、私自身は大腸菌を使うような非常に古典的な組み換え実験の経験しかございませんが、若い研究者の皆さんに聞くと、手技的には、テクニック的には非常に簡単だということですので、今後非常に利用が広がる、急速に広がる可能性があるというふうに認識しております。

 もう既に情報提供もしくは問い合わせのようなものが環境省に寄せられているのかどうかという点を教えていただきたいと思います。

 特に環境省の場合は、対象生物が全般となっておりますので、栽培種とか飼育をするような実験動物以外のいわゆる野生生物等に関して、そのような実験の計画であるとか、問い合わせであるとか、もし、そういうものが既に寄せられているということでしたら、ごく簡単にご教示いただきたいと思います。

○武内部会長 ほかに、どうぞ、深町委員、お願いします。

○深町委員 国立公園満喫プロジェクトについてなんですけれども、国レベルで国立公園を対象にこういった形で進めていく一方で、例えば国定公園とか、都道府県立自然公園とか、そういった部分について、今後この考え方とか取組がどういうふうに発揮をするとか、どういうふうに展開するかというようなところですね。国レベルで結構いろいろやっているんですけれども、一方で、ほかの部分についての認識とか、取組というのが全く違う方向というか、全然動いていないというふうな、そういうようなことも懸念されるなと思いましたので、その点についてご質問します。

○武内部会長 ほかによろしゅうございますか。

 大沼委員、どうぞ。

○大沼委員 COP14の主要議題に関することで1点、質問させていただきたいと思います。

 塩基配列情報についての検討プロセスが決定されたということですが、塩基配列情報というものがABSの対象として入ると、情報というものがいわゆる利益配分の対象となるということで、大きな変化といいますか、変更というのが出てきて、いろいろなところに影響というものが出てくると思うんですけれども、利用者の観点から、このDSIというものがABSの対象となった場合に、どういうふうな影響があるというような、そういう声ですね。どういう声というのが寄せられているのかということを、紹介いただけたらと思います。

 以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。

 ほかによろしいでしょうか。

 事務局からそれぞれのテーマごとにご回答をお願いしたいと思います。

○生物多様性戦略推進室長 それでは、COP14関係でご説明したいと思います。

 4点いただきました。まず、中村委員のほうから、OECMについて、どのような場所が対象になるのかといった点でございます。

 まず、OECMにつきましては、COP事業の決議の中で、まず保護地域以外の場所で、地理的に確定された場所であると。要するに、境界とかがきちんと確定していないといけないということです。

 それに加えまして、生態系サービスとか、文化精神的、社会経済的その他の関連的な価値も有するということ。要するに、保護だけではなくて、文化的な価値も有するようなことというのが必要ではないかということ。

 もう一つは、そういったその管理が継続的に行われていることが確保されているといったようなこと。こういったことが、このOECMの決議の中で決められている事項でございます。

 これにつきまして、国際的な動向としては、一つはユネスコとEUがMAB、ユネスコエコパークといったような場所というのが、このOECMに貢献し得るんではないかといったようなことが意見として出され、それは決議の中に入っています。

 もう一つは、これまで何回かご説明しているSATOYAMAイニシアティブで対象としているような、いわゆる生産ランドスケープの中で、生産活動と生物多様性保全がきちんと調和をして管理されているようなところ、そういったようなところというのも、このOECMに貢献し得るんではないかと、これも決議の中に入れています。

 そういったようなところというのが、今後OECMとして議論され、また、進められていくような場所ではないかというふうに考えています。

 二つ目のご質問がCOP14関係で、白山委員からいただきましたIPBESの地域アセスの結果について、どういったような議論がなされたのかということでございます。

 今回のCOP14は、次の目標に向けた検討プロセスを議論するというところ、それを決めるというところが主体でございまして、実際中身に入るような議論というのはほとんどされていません。したがって、APアセスの結果というものは俎上には上らなかったんですけども、先ほど申し上げた来週名古屋で開催されますアジア太平洋地域の最初のコンサルテーションワークショップの中では、アジア太平洋地域のアセスの共同議長2名が来て、APアセスの結果について報告をして、それをもとに参加者が議論すると、そういうような使われ方をします。これは、恐らく各地域ごとでも同じような扱いで、このワークショップ、各国連の地域区分の中で議論されるものですから、各APアセスの地域アセスの結果というのはそれぞれの場所で報告されて、それをネタに議論が進められるということになると思います。

 それから、DSIについて、どこまで決まったのか。何が今後待っているかということでございますが、DSIに関して決まったことというのが、ここに書いてあるとおり塩基配列情報の扱いについて検討プロセスが決まったという以上のことが実は決まってなく、この決定文書の中では、DSIというのが生物多様性条約の三つの目的にとって重要であると。いわゆる一般論であると。引き続き各国、各締約国は意見を出して、それをもとに引き続き議論をしていきましょうということで、何か決まったということは恐らく何もなくて、先延ばしになったというのが結論になるんではないかと思います。

 大沼委員からいただきましたDSI、利用する立場からどんな意見があるのかということでございますけど、やはりこれは研究とか開発行為というもののスピードが落ちるんではないかということに対しての懸念でございます。DSIが名古屋議定書などによって手続の対象になるということであれば、アクセスに関して、まずその手続が必要になると。

 基本的には契約の中できちんと提供者に対して契約を結んでいけば、その利益配分ということはできるかもしれないけど、アクセスの部分でのいろんな手続が要ることについて、研究とか開発に関するスピードダウンというものについての懸念、これが非常に多いと。

 やはり、DSIというのはインターネット上を通じて、今、あっという間にあちこちに飛び交う物。もしくは、自由なアクセスというものが研究開発について非常にスピードアップを図るといったところの理由になっているものですから、そこに対する阻害というものに対する懸念というのが利用する側からあるということでございます。

 以上、COP14関係のご報告をさせていただきました。

○国立公園課課長補佐 国立公園満喫プロジェクトについて、ご質問いただいた件にお答えをしてまいります。

 満喫プロジェクトは各課連携でやっておりますので、まず、国立公園課でお答えできる部分について、お答えいたします。

 まず、高村委員からご指摘いただきました利用と保護のバランスという非常に重要なご指摘でございました。

 日本の国立公園の利用者数でございますけれども、平成4年に4億人を超えていたのをピーとしまして、今、大体3.5億人程度まで減ってきております。

 こういった中で、国立公園の所在する地域は、徐々に活力を失っているような状況でありまして、地域の人々も減って、施設が放置されて、美しい景観の逆に阻害をしているような現状は確かにあります。

 そういった中で、国立公園満喫プロジェクトを始めまして、インバウンドを含め利用者の方に改めて国立公園の価値を見直していただいて訪れていただくことで、この地域の国立公園の保護と利用の好循環を生み出していくこと、こういったことを最大の目的としております。

 一方で、委員からご指摘のあったバランスということは非常に重要なことでございます。利用が与える影響を客観的に評価するようなことというふうにご指摘をいただきました。

 2020年に向けて、これから評価というような時期に入ってまいりますので、委員からご指摘いただいたような観点も含めまして、2020年に向けて有識者の方々のご意見もいただきながら、きちんと評価をしていけるようなことを考えてまいりたいなと思っております。

 また、深町委員からご質問をいただきました、国立公園はいいけれども、国定公園、都道府県立自然公園、そういったものへの展開はどうかということでございました。

 国のほうで直接にやっていくのは国立公園ということで、その中でも八つの公園を選んで、先進的な取組を進めているところなんですけれども、この中でいろいろ見えてきた課題であったりとか、例えば看板とか解説板といったことがなかなか外国人の方には魅力的でなかったりとか、そういったことについては、国定公園、都道府県立自然公園などの整備なんかにも生かしていけると思いますので、今回の満喫プロジェクトで得られた知見については、きちんと都道府県、市町村といったところにも広げていって、外国人の方に日本の自然を楽しんでいただけるように、そういった環境づくりに努めてまいりたいなと思います。

 ○野生生物課長 野生動物観光について、中村委員と小菅委員からご意見をいただきました。野生動物観光は各地で行われつつありますけれども、非常に人気は高くなっております。ただ、おっしゃるとおり、きっちりルールを守っていかなければ、非常に混乱も起きますし、日本の悪い面を海外に発信するようなことになっても困りますので、そこはしっかりそれらを踏まえたコンテンツづくりを進めていきたいと考えております。

 それから、もう1点、小菅委員のほうからお話がありました施設を活用するというところですが、実際、野生生物保護センター、釧路のところでは、シマフクロウ以外にもオオワシ、オジロワシを保護しております。野生に返せるものは返していくということですが、そのときに人なれをしてはやはりいけないと思いますので、そこはご意見を踏まえて工夫をしていきたいと。その上で見せられるところは見せつつ、いろんな方にも関心を持っていただきたいというふうに考えております。

○国立公園利用推進室長 国立公園利用推進室長の井上でございます。

 高村委員と小泉委員から、ガイドを含めた人材育成の重要性ということでご指摘いただきました。

 まさしく国立公園満喫プロジェクトをやっていまして、もちろん施設整備とかも進めていますが、そもそもやっぱり人が育たないと、持続的に継続できないというのは事実でございます。

 そういった中で、2017年から、例えば施設等におきますインタープリテーションとか、あとはガイドさん、そういった方々に対しましての人材育成の支援事業というのを環境省でやっております。具体的には、集団研修ということで、公募で選ばれた方々になりますけども、事業者だけじゃなく、実際行政の方にも参画いただいて、集団研修を受けていただく。その前後で、さらに専門家の方々にアドバイザーとして現地に行っていただいたりして、実際、ガイドの仕方、インタープリテーションにおける課題等々についてご指摘いただくというようなことで、2017年から事業をやっておるところでございます。

 引き続き人材育成については、課題もいろいろございますが、特にこちらとしても施策に注力していきたいと思っております。

 あわせて、深町委員の話とも通じますけれども、この人材育成の支援事業でございますが、国立公園に限っておりませんで、広くエコツーリズムをやる、そういった地域の方々も対象にしております。

 2017年の例でいきますと、集団研修参加地域が23地域ありましたが、そのうち国立公園関係が15地域ということで、その他ということで考えますと8地域ということになります。最近、国立公園満喫プロジェクト以外でエコツーリズム推進法、こちらのほうを担当しておりますが、最近エコツーリズムの全体構想の認定ということを目指してやってくださっている自治体が多々ございます。そういった中でも、ガイドの育成とか、そういったこと、各自治体のほうで課題を持って取り組もうとされていますので、そういったところに対しても、我々として必要な助言等を行ってまいりたいと思っております。

 以上です。

○外来生物対策室長 ゲノム編集の関係で、2名の委員からご質問をいただいております。

 まず、小泉委員から、ゲノム編集絡みの話で、周知徹底をどう図っていくかということについてのご質問をいただいています。

 実際、これは非常に重要なことだと思っておりまして、この検討会の議論の中でも関係する分野は非常に多々ございまして、それぞれの中でもゲノム編集の扱われ方というのが非常に多種多様にわたるということが話に上っておりました。

 今回の取扱通知では、全分野まとめた書きぶりになっておりますので、全ての分野を通じた基本的な考え方ということになってございますけれども、関係省庁で担当している分野というのが結構違っておりますので、具体的に各省庁でご担当されている業界といいますか、そういうところで例えば細菌的なものなのか、それとも酵母を扱っているとか、作物を扱っているとか、そういった種類ごとに細かくどういうふうな情報提供の求め方をすれば適切かというようなことを、もう少しさらに細かいことを議論して決めた上で、しっかりと周知徹底を図っていきたいと。

 それから、周知を図っていく上では、環境省から関係省庁と関係団体へ向けての通知という形で出させていただきますけども、その通知をしっかりと業界に流していく際には、関係省庁の協力をいただいた上で、そういった情報提供をしていく、生物多様性に関する情報公開をしていくということが、消費者に理解を得て、その技術が浸透していくという意味でも重要なことだということを丁寧に説明して、事業者側の理解が得られるようにしっかりと取り組んでいきたいと思ってございます。

 それから、もう一つ、宮本委員からご質問がありましたゲノム編集に関する、既にどのような問い合わせがあるかどうかということでございますけども、実際にこれまでの事例で言いますと、既に稲に関するゲノム編集を使った育種については、今、隔離圃場でやりたいということの話が、既にこのカルタヘナ法の手続としては既に承認されたものが数件ございます。

 そのほかにつきましては、幾つか、まだ本当に数えるほどでございますけれども、実用化に向けての問い合わせというのが、法を所管します環境省と、それから個別の生物の業界を所管している省庁の両方に情報提供、ご相談をいただいているものが数件ございます。

 ちなみに、この情報提供、あるいはカルタヘナ法の手続というのは、承認というのは、拡散防止措置がとられない第一種、開放系で行うというときにとられるということでございますので、実験室レベルでしっかりと防護された中で作業している場合につきましては、個別の申請は来ないような仕組みになっているということでございます。

○説明者5 世界遺産のノネコの関係についてご説明させていただきます。

 奄美大島のノネコの関係ですけれども、こちらについては、2018年3月に環境省と鹿児島県と、それから地元の5市町村連名でノネコの管理計画というものを作成いたしました。

 その内容としましては、まずは10年という計画の中で、生態系に対するノネコの影響を抑えていく、生態系の保全を図るというものでして、具体的には、まずはノネコを希少種の生息する森林域から排除するということで、ノネコの捕獲というのを挙げております。

 それから、捕獲だけではなくて、そのノネコの発生源になる猫の対策としまして、野良猫、それから飼い猫の対策も位置づけておりまして、飼い猫につきましては、5市町村の条例において適正な飼養、例えば、マイクロチップの装着義務ですとか、それから繁殖の制限などについて規定をしております。

 それから、野良猫につきましては、TNRを進めるということで、また、TNRについては、その結果、成果というのを見ながら、また見直し、検討をしていくということにしております。

 それから、具体的な役割分担も決めておりまして、森林域から捕獲については環境省、それから、その捕獲されたノネコを一時的に飼養して譲渡先を見つけるとか、そういったところは地元の自治体が行うと。それから、適正飼養、野良猫と飼い猫についても、地元の自治体が行うというような内容にしております。

 それから、IUCNの指摘の部分、ちょっと省略して書いてしまったんですけれども、トーンとしましては、IUCNが来られたときには、まだ計画は策定されていなかったんですけれども、こういったことを考えているということはご相談を兼ねてご説明をしておりまして、それについて評価を受けた上で、その考えている取組をしっかり進めなさいというような内容の評価であったというふうに認識しております。

 それから、沖縄島北部のほうですけれども、こちらのほうは継続的に環境省と沖縄県で捕獲をしております。それから、飼い猫に関しても、地元の自治体の条例がありまして、取組を進めていると。それから、関係者の連絡会議体というのも、たしか昨年度ごろからできておりまして、その中で情報を密にしながら取組を進めるというようなことにしております。

○小菅委員 すみません。確認ですけど、捕獲するのは環境省がやっているんですね。

○説明者5 環境省です。

○小菅委員 わかりました。

○武内部会長 よろしいですか。

 以上でございますが、追加的なご質問、ご意見、もしございましたら、どうぞ。

 どうぞ、二宮委員。

○二宮委員 すみません。中国なんですが、次回の開催国ということもありまして、大変数多くのブースを出して、またサイドイベントにおいても環境省の方のご発言で、中国のCBDにおける役割も非常に大きくなってきていて、そして、環境分野というのは中国の国策なんだと。また、グリーン・イズ・ニューゴールドというんですか。これは何を意味しているかよくわからないんですが、そういうお考えの中で、今後中国、2020年に向けて、またそのポスト愛知目標に向けて、どういう役割を果たしていこう、ポジションをとろうとしているのか。その辺において、例えば懸念とか、期待とか、そういったものがもしあれば、お聞かせいただきたいなと思います。

○生物多様性戦略推進室長 ありがとうございます。

 中国の動向でございますけれども、COP14までは割かし静かにしていて、ほとんど意見もあまり出さなかったものですから、COP14でどんな意見を出すのか、いろんな締約国は非常に関心を持って来ておりました。

 その中で一つ大きなメッセージだったのが、エコロジカル・シヴィライゼーションということをしきりにサイドイベント、それから、いろんな説明の場で説明していたものでございます。

 エコロジカル・シヴィライゼーションというのは、どうも中国の中でたしか憲法の中にも入れたというような話を聞いております。

 これは大きな時代の流れの中で、中国の説明によると、リスペクト・ネイチャーであると。これまで、例えば紀元前というのはディペンド・ネイチャー。例えば、自然に寄っていた。それから、その後はいろんなトランスフォーム・ネイチャー、自然環境を改編して自分たちの役に立つようにしてきたと。その次はコンコア・ネイチャー、いわゆる自然を征服してきたと。その次の時代として、エコロジカル・シヴィライゼーションというような時代というのはリスペクト・ネイチャーの時代であるということを強調していたということが私の印象に残っています。

 今後、ポスト目標の中でいろいろと中国も含めていろんな議論があると思います。ただ、まだ具体的に、中国のほうからどういった提案があるのかというところはまだ見えていないものですから、来週あるアジア太平洋のワークショップに中国の方も参加されるので、そういったところで徐々にいろんな意見交換をして、次の目標はどんなようなことが考えられるのかということを、引き続き議論をしてまいりたいというふうに思っています。

 以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。

○小菅委員 すみません、もう1点、野生動物観光のことなんですけども、羅臼のところで冬期間、オオワシ、オジロワシの越冬地ということで、船を出して、非常に確かに最近、海外の方が物すごいたくさん来ているということは実感します。ただ、そこで餌づけの問題で、この観光船がやる餌づけと、もう一つ宿泊施設で、例えばシマフクロウ等に餌づけをやって、そこでお客さんが泊まってそれを見るとか、そういうことを現実にやっていらっしゃるところがいて、皆さん、そういうところを利用するわけですよね。

 ところが、地元の研究者たちは、餌づけに対して非常に大きな強い危機感を持っていて、なるべくなら餌づけをしないほうがいいというはざまの中で、北海道東の事務所の人は本当に苦しんでいるんじゃないかと僕は思うんですけど、この辺の要するに環境省として、その辺のところを海外から人を呼ぶときに、外国の人たちは割と平気で「餌やって何が悪いんだ」というふうに思って発言をするんですけど、日本のほうが「しないほうがいいんじゃないか」という話をして、議論になっているみたいなんですけど、この辺はどう考えていったらいいのか、ちょっと教えていただければと思います。

○野生生物課長 ありがとうございます。第一には、やはり野生動物に対する影響がどうかということかと思います。ですので、実際、その影響が出ているというようなこと、あるいはそれを助長するような場合には、やはりやるべきではないと思いますので、ただ一方で、希少な生物として保護を図る中で、餌を撒くようなケースも中にはあります。ただ、それを実際に海外の人にたくさん見せていいのかというところもありますので、基本的には野生動物への影響を第一に考えて、それに対してきちっとそういうことを保護管理の中でやっているということも含めて海外に発信できるような、そういうルールづくりと保全活動の見せ方というのを整理して、実際にコンテンツをつくる中で、そういう中身を整理しつつ出していきたいというふうに考えています。

 ご意見は参考にさせていただきたいと思います。

○武内部会長 よろしいでしょうか。ほかに。

 それでは、ちょっと予定の時間より早いんですが、もし、ほかに何か委員の方から問題提起がなければ、これにて終了させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 涌井さん、最後にどうぞ。

○涌井委員 私、今、ずっと国立公園満喫の座長をやっておりまして、皆様のご意見を役所とは違う立場で、非常に痛切にいろいろ感じているところでありますが、我々が今一生懸命やろうとしているのは、まず一つは適切な利用をどのような水準に基づいて行うのか。オーバーユースというのを一番実は排除すべきだというふうに考えていまして、この地域でのケアリングキャパシティーが一体どうなんだと。私はそれをこういう言い方をしています。絶対数を増やすことに熱心になるよりは、むしろ体積を増やすべきだと。体積というのは一体何かというと、一人当たりの消費額ですね。

 例えば、外国人の場合に、非常に保護をされなければならないところを訪問した場合には、マンツーマンのような形でインストラクションを推して、それでいて、それだけの料金をやっぱりきちっとはらってもらうと。つまり量にだけ期待するということでは、もうだめなんだと。地域経済の活性化とか、そうしたことを考えていった場合には、そういう経済効果で考えるべきだということをずっと実は議論しているということを、誤解のないようにお伝えしておきたいなというのが一つのご説明です。ありがとうございました。

○武内部会長 ありがとうございました。

 これは事務局のほうで答える必要はないと思いますので、涌井さんからのご意見だということで承っておきたいと思います。

 それでは、これにて終了させていただきたいと思います。

 実は2月8日に中環審の総会がございまして、一応委員の任期が変わるというフェーズになります。私が聞いているところでは、この自然環境部会については、基本的には大きな変化はないというふうに伺っておりますので、おおよそ多くの皆さんとはまたお会いできるということになると思いますけれども、一応区切りでございますので、これまで2年間、大変ご協力いただきましてありがとうございましたということで、私から御礼を申し上げて、議事進行を事務局にお返ししたいと思います。

 どうぞ、事務局。

○司会 武内部会長、ありがとうございました。

 ここで最後に、大臣官房審議官の鳥居からご発言させていただきます。

○大臣官房審議官 どうも長時間にわたりまして、熱心にご議論いただきまして、本当にありがとうございます。

 ちょっと私、おくれて参りましたけれども、前段で沖合域の海洋保護区の設定について答申をいただきまして、誠にありがとうございます。

 今後、制度の設計といいますか、議論、検討していくわけでございますけれども、いずれにしましても、関係省だけでは十分な対応ということができていかないということで、今日も来ていただいていますけども、内閣府、水産省、資源エネルギー庁、そして外務省、海上保安庁、こういった関係する省庁としっかり連携をとりながら、制度の設計、そして運用というものを図っていきたいというふうに考えてございます。

 それから、報告事項の中にもいろいろ議論がありましたけれども、一つは満喫プロジェクトでございます。涌井委員からもご指摘がございましたけれども、日本のすばらしい自然を、海外も含めて今後発信していくということが、日本への理解にもつながっていくということかと思いますが、もちろんその場合、保護と利用のバランスを図りながら、ルールもしっかりつくっていかなきゃいけない。

 単に、さっきの野生動物ですと、日本にもこんな動物がいますよというのを見せるだけではなくて、これまで日本がその動物の保護について、どういう歴史をたどってきたのかということも含めて、しっかり発信していく。そして、理解を得ていくということが重要かなと思いますので、そのようにしていきたいと思います。

 また、ゲノム編集についてもたくさんご意見をいただきました。非常になかなか難しい、技術的にもどんどん研究が進んでいく。それに行政がどう対応していくのかということでございますけれども、今回、一定の方向が見えてまいりましたので、この取組を進めた上で課題が出たら、これももちろん関係省だけじゃなくて、ほかの省庁としっかり協議をしながら、対策、対応を進めていきたいというふうに思います。

 それから、国際的な動きといたしまして、来年、もう来年ですね。COP15が北京で開かれ、次の目標、ポスト2020目標が議論されます。来週名古屋でのワークショップがありますけども、本格的な議論が進められていきますが、日本もその中でしっかり我々の考え方を示していきたいと思っておりますので、引き続き委員の先生方にはいろいろご指導いただければと思います。

 本日はどうも本当にありがとうございました。

○武内部会長 どうもありがとうございました。

午後15時15分 閉会