中央環境審議会 自然環境部会議事要旨(第35回)

1.開催日時

平成30年5月28日(月)10:00~12:00

2.開催場所

場所:中央合同庁舎5号館(環境省) 22階 第1会議室

3.議題

(1)やんばる国立公園の公園区域及び公園計画の変更について【諮問】

(2)海洋環境をはじめとする自然環境の保全につき講ずべき措置について【諮問】

(3)その他【報告事項】

4.議事経過

 諮問事項について審議がなされ、適当であるとの結論に至った。

 また、報告事項について説明がなされ、質疑応答が行われた。

 主要な発言は以下のとおりである。

(1)やんばる国立公園の公園区域及び公園計画の変更について【諮問】

○委員 今回位置づける利用施設計画の道路について、遊歩道をつくったがゆえに何か問題が起きるようなことがないような、手だてが必要。

→事務局 車道については全て既設の道路であり、今後大きな開削等は想定していない。また、歩道についても公園計画に位置付けられるが、利用推進のみではなく、必要であれば通行止めにするなど、歩道の養生についても事業の中で考えていく。

○委員 第3種特別地域で人間生活と調和した管理をされるということだが、具体的にはどういうことを想定されているのか。

→事務局 生業との調和について、例えば首里城を建設するときの建材で使われる木がやんばるからとっている経緯もあり、大きく切り開かねばならない箇所もある。その際に自然公園法における地種区分との関係から3特と設定をしている箇所がある。

○委員 道路が張りめぐらされていて交通量が多いところもあるが、ロードキル対策はどうなっているのか。また、昆虫について、アプローチしやすく盗掘されやすいと考えるが、成虫は夜に採取できるので、夜の管理はどうなっているのか。どのような密猟対策をするのか。

→事務局 ロードキル対策については、啓発看板の設置や県道の管理者である県と調整を図っているところ。今後も連携していきたい。アプローチしやすい点について、盗掘などに使われる懸念があるため、細かく林道が明記された図面を極力使わないように地元と調整を図っていて盗掘等の抑止をしている。

→事務局 夜の林道については、村営林道は、夜間の通行止めを行い、入る場合には、事前に届け出が必要としている。県営林道は、今後、夜間通行止めも含めて検討する方針を県が出しており、環境省としても連携していく。

 また、林道は、環境省で林道パトロールを森林組合に依頼して、夜のパトロールも道路管理も行いつつ、あわせて密猟対策を行っていく。

○委員 世界遺産登録の話の中で、私有地の取得の推進が要請されていると説明されたが、当該地における土地所有者不明地の扱いはどうなっているか。

→事務局 世界遺産の今回の勧告の中では、推薦資産の中の私有地を取得していくということが書かれており、実際、IUCNが現地調査に入ったときも、奄美大島での私有地の取得計画や、県と環境省のほうで計画的に取得を進めているということを説明したので、それを進めるという指示だと理解をしている。

→事務局 やんばる国立公園で、土地所有者不明の土地について土地所有が不明だという理由で除外をしたという例はない。私有地についても、取得の要請があるかは、把握をしていない。

○委員 今回、IUCNから侵略的外来種に関して指摘があれば教えていただきたい。

→事務局 まず保護管理の部分もしくは脅威の部分で、一定の効果を書かれており、外来生物の対策について、事業を拡大するように記載されている。これまで実施してきた管理計画や侵略的ガイダンスの駆除管理の取組に対しては、かなり高い評価が与えられていると理解をしている。

○委員 ヤンバルクイナにとって一番大きな影響が考えられるノネコと野良猫について、現法制度で難しいと思われるこれら猫対策をどう考えているか。

→事務局 希少種保全という観点で、ノネコ・野良猫対策に取り組んでおり、現行法制度では難しいということまでは考えていない。しかし、殺処分に抵抗があることから現在、やんばる地域でも対策については地元と協力し、捕獲を進めている。

○委員 訪問者の方が来たときに、よくわかるように説明ができる体制を、できる限りとっていただきたい。

→事務局 現場のレンジャーの拡大に向けて、引き続き取り組んでまいりたい。

○委員 外来種に関して、初動対応の体制づくりを考えているのか。

→事務局 体制づくりについては、地元の方々と連携をとり、実施している。また、初動対応については、多様な外来種に対する情報を地方事務所と共有し、危険なものがあれば、対応をとっていきたい。

○委員 ノネコの問題だが、猟期外でノネコを捕獲することができるのかが一つ。

 一度捕獲した際に、マーキングして、再捕獲されたら、所有者がいないので殺処分できることを明示し、積極的に生態系に影響を及ぼす猫については排除していく考えを示すのはいかがか。

→事務局 鳥獣保護法に基づく狩猟鳥獣としてノネコは対象になっており、鳥獣保護法の許可を取っての捕獲は、通年、駆除は可能である。

 やんばる3村は、早期から条例をつくり、飼い猫の管理についても、完全登録制としている。

○委員 区域を変更することでの総合的効果といったところを明らかにしていただきたい。

→事務局 今、国立公園の満喫プロジェクトを開催しているが、国立公園の利用は、一番多かったころからは全体としては15%程度減少している。有効に利用することによって、経済的なメリットができる。そして、そのメリットを保護の活動をする担い手の方へ充てることで、保護と利用の好循環をつくっていきたい。

(2)海洋環境をはじめとする自然環境の保全につき講ずべき措置について【諮問】

○委員 沖合の海底域の特有な生態系について、どの様に把握し、もし貴重な生態系や場所が認定されたときに、どの様に保護や持続可能な利用をしていくのか。

→事務局 現在、公海において、BBNJの議論が進んでいるので、動向を見極めながら、連携した取組を進めていきたい。

○委員 現在、マイクロプラスチックの問題は、極めて深刻になっているが、日本の認識と欧米との認識に差がある。対策の中で、どの様なものが想定されているのか。

→事務局 海洋ごみ、プラスチックのごみの問題は大きな課題になっている。環境省においても、水・大気局を中心に対応をとっているので、連携しながら進めていきたい。

○委員 単なるゾーニングによって保護の程度を決めるだけでなく、MSC漁業認証のようなソフトでの対応策についても浸透を図ることが非常に重要ではないか。

→事務局 MSCなどの資源管理や環境に配慮した資源管理との連携の点で、漁業については、保護区では十分に対応できない部分が多くあるため、水産庁の資源管理の取組等と連携を図り、生物多様性の保全と持続可能な利用に進めていきたい。

○委員 森・里・川・海が循環をしているという関係から、陸域の健全な環境が海洋域の健全性を維持するということについても、少し触れるよう検討していただきたい。

→事務局 陸域との関係について、今回、海洋基本計画の中でも、統合的沿岸管理という考え方の中で、陸域と連携した取組を進めていくという議論がある。その中で、森・里・川・海の取組も報告等を行っているので、連携を進めていきたい。

○委員 海洋保護区を沖合まで拡大していくときに、どの様に管理を行っていくことを考えているのか。今後、生物多様性プラス希少資源の管理を具体的にどの様に行っていくのか。

→事務局 管理のあり方について、今後の課題と思っている。

○委員 資料2-6によると文献による情報収集は実施済みとのことだが、海域では離島が国際的にも非常に重要であるが、文献ではデータが十分にないところが多い。情報を蓄積するシステムづくりなどのように必要なものはこの情報収集に含めていくことも必要なのではないか。

→事務局 資料2-6については、自然環境保全地域の状況の把握であり、既に保全地域等になっている部分の把握をしている。離島について、こちらの自然環境保全地域になっているような部分が、限定されている。離島全体となると、環境省で十分情報把握できないので、離島関連施策を行っている省庁と情報共有が必要だと考えている。

○委員 資料2-3に、陸域の鹿の食害の被害状況について少し説明があり、事業を導入する必要性が未確認ということだが、事業導入の必要が今のところ認められないという結論を出したプロセスと、その理由と、これからどういうことを考えているかの説明をいただきたい。

→事務局 27年度に情報収集業務の依頼を行い、文献等で把握をした。各地、実際に鹿の影響が出ているところもあるが、事業の導入に至るところには至ってないというのが当時の結論である。

 今回、改めて、状況の把握をしたいと考えている。生態系維持回復事業を実施していく必要の有無と、法律の措置として、必要な追加すべきものがないかを把握していきたい。

(3)その他【報告事項】

・第五次環境基本計画について

・国立公園満喫プロジェクトについて

・中国からの新たなトキの提供に関する合意について

・ゲノム編集の概念の整理について

・ポスト愛知目標の検討について

・生物多様性地域連携保全活動の促進に関する検討会の結果について

・生物多様性地域連携保全活動の促進に関する検討会の結果について

○委員 3回で集中的な議論だったが、この制度に対しての期待が各委員から語られ、生物多様性の保全管理の促進や主流化にとって、住民、企業や行政の、地域での連携が非常に重要であることを、この報告書に盛り込んでほしいという意見が多く出された。

 生物多様性保全の問題だけではなく、統合的なアプローチという考え方が重要であるため、地域の特性に応じてセンターの設置を促進することで、具体的に動かしていけるのではないか等の意見交換を行った。

○委員 第五次環境基本計画の六つの重点戦略においても、SDGsの複数の項目が取り入れられている。環境・経済・社会の統合的向上が求められるのは、今の環境を得たすばらしい計画だと思う。

5.問い合わせ先

環境省自然環境局国立公園課(代表03-5521-8279)

課長   田中 良典 (内線6440)

課長補佐 中島 治美 (内線6650)

計画係長 瀧口 晃  (内線6694)