自然環境部会生物多様性国家戦略小委員会(第3回)議事録

日時

令和4年1月19日(水)13:30~16:30

場所

WEB会議システムにより開催

出席者

中静 透     委員長

石井 実    委員

勢一 智子   委員

髙村 典子   委員

藤田 香    委員

愛甲 哲也   臨時委員

大沼 あゆみ  臨時委員

亀山 康子   臨時委員

五箇 公一   臨時委員

白山 義久   臨時委員

中村 太士   臨時委員

深町 加津枝  臨時委員

二宮 雅也   臨時委員

山野 博哉   臨時委員

広井 良典   専門委員

森本 淳子   専門委員

吉田 丈人   専門委員

議事録

午後1時32分 開会

○司会 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会自然環境部会第3回生物多様性国家戦略小委員会を開催いたします。

 本日は、お忙しい中、ご出席いただきありがとうございます。

 本日の小委員会には18名の委員にご出席いただいております。

 本日の会議運営につきましてご説明いたします。傍聴につきましては、会場での傍聴は行わず、YouTube配信にてどなたでも傍聴できるようにしております。

 本日、オンラインでご参加の委員の皆様におかれましては、マイク、ビデオは各自ご発言の際のみオンとするようお願いいたします。また、ご発言の際は、チャット欄に書き込みいただき、ご発言する旨をお知らせください。委員長からのご指名後、マイクのミュートを解除していただき、議事録の円滑な記録のため、お名前をおっしゃってからご発言いただきますようお願いいたします。なお、挙手ボタンは気がつかないこともございますので、挙手ボタンは使用せず、チャット欄をご活用いただければ幸いです。

 また、会場からご参加の委員の皆様におかれましては、ご発言の際には、名札を立ててください。事務局にてチャット欄に発言希望である旨、書き込みますので、委員長からのご指名後、マイクを使用してご発言をお願いします。

 本日、ご説明する資料につきましては、委員の皆様には、事前に電子データにて送付しております。本日は、事務局が画面上に資料を掲載し、進行させていただきますので、お送りした資料は必要に応じ、お手元でご参照いただきますようお願いいたします。

 傍聴されている方におかれましては、本日の資料を環境省ホームページにアップロードしておりますので、そちらをご覧ください。

 参考資料6として、外務省より、前回小委員会で提出された環境ODA実績資料に関して、生物多様性に係る内訳を追加したものを用意しています。

 また、本日の会議につきましては会議録を作成し、ご出席の委員の了承を取った上で公開することになりますのでご了承ください。

 それでは、奥田自然環境局長よりご挨拶申し上げます。

 では、奥田局長、よろしくお願いします。

○奥田自然環境局長 ヒアリングの時間が限られていますので、ご挨拶だけ、YouTube配信なしでさせていただきます。

 委員の皆様、そして、本日ヒアリングに参加いただく関係団体の皆様、ご多用のところ、御礼申し上げたいと思います。今日は勢一先生、橋本先生が会議室のほうに来ていただいてございます。

 この委員会は3回目ということで、より本格化した国家戦略の検討というようでございますけれども、今年は、ポスト2020生物多様性枠組が決定され、そして生物多様性国家戦略は、それを踏まえて作成されるという重要な年になるわけでございます。

 全体を見回してみると、やはり脱炭素、カーボンニュートラルに向けた取組は、国際的にも、国内的にも重要になっています。実は林外務大臣の外交演説の中で、生物多様性については、重要な地球環境、地球規模課題の一つとして含められているところでございます。そういう意味でも、我々、そういった様々な問題というのを解決する一つ一つの機会として、次期生物多様性国家戦略といったものがなっていくこと、それは、生物多様性ということだけではなくて、社会経済全体の置かれた状況を踏まえて考えていく。適切なものとしていきたいというふうに考えておりますので、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 これまで2回の委員会、そして、先週1月12日には、中静委員長にもご参加をいただいて、六つの自治体の首長様から地域の取組事例、もしくは次期国家戦略への期待等、意見交換会というものを開催しております。こうした意見交換を通じて次期国家戦略策定に向けた様々な課題ですとか、期待といったものが改めて浮き上がったのではないかなというふうに感じております。

 今回は、流通、消費の関係団体からのご発表をいただく予定になっております。ご発表の後、意見交換を行った後、次の国家戦略骨子案についてお示しさせていただいて、ご議論をいただきます。次の国家戦略の内容に関する議論のフェーズ、新しい次のフェーズに移ったということですので、どうぞ忌憚のないご意見をいただきながら、密度の濃いご議論をお願いしたく、よろしくお願い申し上げます。

 また、あわせて、一つの重要な事項として30by30ロードマップに関しても現在の検討状況をご報告する予定にしております。

 本日は、年明け早々から4時半までの長丁場となりますけれども、ぜひ熱心なご議論をいただくよう重ねてお願い申し上げて、私からのご挨拶とさせていただきます。本日はよろしくお願い申し上げます。

○司会 どうもありがとうございました。YouTube配信のほうも無事、始めさせていただきました。冒頭、YouTube配信に不手際がございましたことをお詫び申し上げます。

 それでは、これよりの議事進行につきましては、中静委員長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○中静委員長 皆さん、こんにちは。今日も3時間という長い時間ですけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

 今日の議題は、先ほど局長からご説明があったように三つありまして、一つは、前回、吉田委員からご指摘があったんですけれども、消費・流通関係の団体からのヒアリングというのが一つです。

 二つ目は、ようやく次期国家戦略の骨子案が出てまいりましたので、これについて、ご議論をいただきたいと思います。

 3番目の議事としては、その他ということになっていますけれども、30by30のロードマップの構成と主なポイントについての事務局からのご説明です。

 それでは、最初に関係団体のヒアリングに入りますが、消費・流通関係の二つの団体からご説明をいただいた後にまとめて質疑応答とさせていただきたいと思います。

 初めに、日本生活協同組合連合合の新良貴様よりご説明をお願いいたしたいと思います。お願いします。

○日本生活協同組合連合会(新良貴氏) ありがとうございます。ただいまご紹介いただきました、日本生協連の新良貴と申します。画面共有いたしますので少々お待ちください。

 それでは、10分間という限られた時間と伺っていますけども、ちょっと気張ってスライド大分盛り込んでしまいましたので、少し大分駆け足になりますけど、お話をさせていただきます。

 改めまして、日本生活協同組合連合会の私、新良貴と申します。

 本日は、生協における生物多様性保全の取組ということでお話をさせていただきます。

 まず最初に、皆様、生協といったところでイメージされるのが、宅配トラックだとかお店なのかもしれませんけれども、そういった生協さんは、私どもの中では地域生協というふうに呼ばれておりまして、その他様々な生協が実はございます。全部組合員さんを足し込むと約3,000万人、総売上高でいうと約3.8兆円という規模でございまして。私どもはといいますと、そうした地域、地域の生協さんが加盟をしていただいている連合会という立場でございます。私ども連合会と会員生協さんの関係はといいますと、一般的にイメージされるような本社、支社というような機能ではございませんで、むしろ私ども、連合会が各生協さんを支援、バックアップしていくと、そういった関係でございます。

 そういった関係性の違いは、それぞれの事業のところでも現れておりまして、私ども、日本生協連はプライベートブランドであるコープ商品というものをつくって、全国の生協に卸していきます。その全国である、ここで全国と申し上げましたのは、主にお店や宅配を展開している地域生協でございますけれども、そういった生協さんは、私どもがお作りしたコープ商品を店舗や宅配で供給していただいておりますし、それ以外にも、それぞれ独自に地場の商品だとか、あと、後でお伝えしますけども、産直商品といったものを展開しておられますし、その他共済、福祉の事業や環境の取組、食の取組、様々なものを展開されております。

 今日お伝えする中身に関わりますのは、こちらですね。私ども日本生協連のコープ商品事業と、それから、地域生協さんにおける商品の取組、それと環境の取組、ここに関わりまして、ここに書いてございます五つのことについてお伝えしたいと思います。

 一つが、日本生協連における、商品事業における責任ある調達とエシカル消費でございまして、もう一つの大きなくくりが、地域生協さん、会員生協さんでやられている産直事業と、あと、生物多様性保全に関わるプロジェクトと、あと、環境保全活動という部分でございます。

 ということで、早速中身をお伝えしたいと思いますけれども、まず、私ども、日本生協連はといいますと、このようにCO・OP商品の「責任ある調達基本方針」というポリシーを定めております。調達に関わるポリシーでございまして、文章はなかなか長いので、ここにエッセンスを四つほど書いてございます。一つが、人権や環境等の認証要件を備えた第三者認証商品を展開していきますよということ。それから、NGOとの協力による持続可能な生産支援をしていきますということ。そして、農薬や化学肥料の使用節減のこと。そして、それ以外にもプラスチック・紙問題への対応、食品ロス削減について、この方針に書いてございますので、もしご興味のある方はこちらの資料をお読み取りいただければと思います。

 こういった方針に基づいておりまして、私どもは2030年までのCO・OP商品の調達目標というものを定めております。このように農産分野、水産分野、紙・パルプ、パーム等々におきまして、GAPだとか有機JAS、レインフォレスト・アライアンス、あと、MSC/ASC、ここでもFSC等々に2030年までにどれだけ調達しますということを定めて公表しているという状況でございます。

 このような格好で持続可能な調達を進めておりまして、それに基づいて調達した原材料で商品をおつくりして、組合員さんに販売をしていく、供給をしていくというのが生協の取組なんですけれども、その組合員さんに対しては、エシカル消費ということを呼びかけております。当然、エシカル消費を組合員さん、つまり、私どもの会員になってくださっている消費者ということでございますけれども、そういった組合員さんにエシカル消費を推進するに当たっては、当然、供給している我々のところでもそれに応えられるだけの商品を取りそろえていかねばなりません。

 そこで、私どもは、そういったものをエシカル消費対応商品と呼んでおるわけでございますけれども、この中にどんな商品があるのかといいますと、ざっと大きく分けて三つでございます。そのうち一つが認証ラベルつき商品ということで、今日まさにヒアリング団体の私どもの次のときに細かくご紹介されるかもしれませんが、このようにMSC、MELだとかASC、こういったグローバルな認証を幾つか展開をしているというところでございます。

 それ以外にも産地指定、国産素材というマークをつけながら、日本の農畜水産業を応援できるように商品をそろえているところでございます。こういったものをエシカル消費対応商品と呼んで、鋭意、それなりの規模で会員生協と共に組合員さんに広げているというところでございます。

 ただ、こういった認証マークはなかなか詳しい人でないと、一体これがどんなマークなのかがなかなか分かり得ないというところもございますので、私どもはエシカル消費をさらに進めるに当たって、2021年、今年度のところで「コープサステナブル」という商品シリーズを展開しておりまして、このように海の資源を守る、森の資源を守る、あと、オーガニックというところで様々な認証商品をさらに売場で目立たせて、組合員さんが選べるようにしているということでございます。

 基本的には、このような格好で商品を通して組合員さんにエシカル消費を呼びかけるわけでございますけれども、それ以外にも読み物だとか動画だとか、あとは、キャンペーンとか学習活動を通じてエシカル消費を呼びかけております。特に、この読み物のところにおきましては、気候変動問題とか生物多様性の危機だとか、そういった社会的な背景もしっかりお伝えした上で、私どものこういったコープのエシカルに対応する商品を選んでくださいねというところを呼びかけているところでございます。

 こういったことが功を奏しまして、現時点で組合員さんにおけるエシカルに関する認知度というのは年々この4年間で増えてきておりまして、約5割の方が何だか知っているという状況に達しておりますし、あとは、こういった認証マーク付き商品の購入経験も上昇、特にMSCにおいて上昇しているという現状がございます。

 ここまでが日本生協連の責任ある調達とエシカルの取組でございました。

 この後、会員である地域、地域の生協さんにおいて、どんな取組がなされているかというところでございますが、決して外すことができないのが産直と呼ばれる取組でございます。この産直は、生協さんそれぞれによって、かなり定義が異なっておりまして、一概にこれが産直ですというのは実は難しいんですね。そんな中でも、ここにございます産直三原則というのが一般的にいろいろな生協さんでも取り入れられている原則だということで紹介をしますと、生産地と生産者が明確であること、栽培、肥育方法が明確であること、組合員と生産者が交流できることと、こういったことを基本的には共通として持っておるというところでございます。

 その上で、私ども、日本生協連があるべき生協産直の在り方として、ここにございます「生協産直5基準」というものを提起をさせていただいております。1~5までございますけれども、着目していただきたいのは、この5番目です。持続可能な生産と、環境に配慮した事業を推進するということをしっかり明記しているというところでございます。これは、その前に、こちらですね。こちらがちょっと内部留まりですけれども、本日の委員会留まりですが、全国の生協産直の状況というところでざっと売上高等々を記載しているところでございます。やはりメインは青果というところになっております。

 せっかくですから会員生協さんのほうでどのようにこの産直を捉えているかというところを紹介しますと、首都圏を中心に展開するコープデリ連合会さんというところでは、このように産直について書いています。「コープデリの産直は、生産者と組合員が顔の見える関係をつくり、安全性が確保され、おいしさと環境配慮を兼ね備えた、生い立ちがはっきりわかる農水畜産物をお届けする取組です。この産直の取組を通じて、持続可能な農水畜産物の生産を応援することを目指しています。」というふうに書いています。こういう思いは、どこの生協さんも基本的には共通で、このようにウェブサイトでも産直商品に関わる人の思いということを紹介されているのが生協産直の取組です。

 この産直商品に関わりまして、様々なプロジェクトがほかの幾つかの生協さんで展開をされていらっしゃいます。商品購買を通じて生物多様性保全に資するプロジェクトというのを幾つか展開されているんですね。例えば、また、先ほどお名前を出したコープデリ連合会さんの取組として紹介をしますと、このように「佐渡トキ応援お米プロジェクト」というものがございまして、どんなことをしているかといいますと、CO・OP産直新潟佐渡コシヒカリ、その加工品の売上げの一部を「佐渡市トキ環境整備基金」に寄付をしていると、結果的に生物多様性保全につながる取組について、こういった購買行動を通じて資金を対応して取組を支援するということを行っております。

 これらも言ってみれば、間接的な生物多様性保全の取組ではございますけれども、それ以外に最後のスライドとなりますけれども、直接的な環境保全活動としましては、ここに書いてございますように、植樹や森づくり、藻場の再生事業、海浜や湖の清掃等々を行っておりまして、特に植樹に関しましては、組合員さんからの寄付等々で基金を設置をして、それで森づくりをしたりだとか、あとは、実際に消費者である組合員さんに参加していただきながら植樹を行ったりということもやっております。あとは、最近の海洋プラスチック問題を受けて、海洋クリーンアップの取組が学習会とともに実施される機会が増えているというところでございます。そのほかにも水質改善活動や里山の休耕地解消、山の保全等々、それぞれの地域、地域にある、全国に生協はございますので、その地域、地域に応じたやり方で様々な生物多様性保全の活動が展開されているというのが現状でございます。

 というところで、すみません、大分早口になってしまい恐縮でございますけれども、ちょうど10分でございますので、一旦、私の話はここで終わりたいと思います。ご清聴ありがとうございました。

○中静委員長 ありがとうございました。

 それでは、後でまとめてご質問いただくということで、続いて、日本サステナブル・ラベル協会の山口様よりご説明をお願いいたします。

○日本サステナブル・ラベル協会(山口代表理事) ありがとうございます。日本サステナブル・ラベル協会の山口と申します。よろしくお願いいたします。

本日は、ご紹介いただき、またお招きいただきありがとうございます。私も10分でお話をさせていただきたいと思います。

 生物多様性と、持続可能な生産と消費、サステナブル・ラベル(国際認証)についてということで、前段は私どもの活動の紹介と、あとは、エシカル消費を含めた商品の少しの動向と、あと、後半少し皆様とどういうふうに企業、政府、また消費者がどのような取組をしていけばいいかというようなご意見を少しだけさせていただきます。

 先ほどの日本生協連さんからのお話もありましたけれども、様々な認証、サステナブル・ラベルというふうに、私ども呼ばせていただいていますが、ここにご紹介している9のラベル以外にも当然、様々な認証ラベルがあります。

 持続可能な原材料調達や環境、社会的配慮につながる国際認証ラベルをサステナブル・ラベルというふうに総称して、普及啓発を行っていますが、実は、そのJSL、我々の団体の活動の目的は、このラベルを知ってもらうというのではなくて、その先にある、例えば森の問題であったらFSCというラベルを通じて、どういった森林などの現状がなっているのかとか、あとは、水産物にしても農業にしても、そういった持続可能な生産と消費を促進し、消費者もサステナブルなライフスタイルを実践するための手段の一つとして、分かりやすい一つの国際的な認証ラベルというものを紹介することで、横串での連携の強化もしていたりとか、会員企業様の応援などもさせていただいております。

 様々な活動を行政の皆様、それから消費者、学生、そして企業の皆様と共に活動しております。シンポジウムですとか、あとは様々な広告媒体等への発信、また、先日、エコプロ展では会員企業のイオンさん、マクドナルドさん、サラヤさんなどと共に、そういったサステナブル・ラベルと持続可能な調達というところでのセミナーなどもさせていただいております。

 実際に生物多様性、様々な観点があると思いますけれども、私たち、日本は、特に多くの輸入に頼っているかと思います。木材もようやく自給率が40%を超したものの、恐らく燃料のバイオマス用というところもかなり大きな比重もありますが、どこからどのように原材料を調達し、どこで加工、流通し、そして最終的に消費者の手元に渡るのか。森林であれば、その違法伐採とかではなくて、きちんとした責任ある管理がされているところから木材が来ているですとか、水産物もIUUの問題とかもありますけれども、持続可能な形で調達されている漁業、または養殖のものであるのか、また、農業も有機もありますけれども、GAPの認証もありますが、様々な観点で環境・社会、経済、こういったところで持続可能な責任ある調達をまずする、原材料が調達された後、国にもよりますけれども、加工流通過程での環境・社会的配慮がきちっとなされているのか、繊維については特に児童労働の問題ですとか、新疆ウイグルの問題が昨年ありましたけれども、そういったところの観点も含めて、最終的にサステナブルな商品とかサービスを消費者が手に取れるためにはどうしたらいいのかというところで、ラベルは単なる一つのツールでもあるんですけれども、その背景を見るための一つの扉といいますか、そういう手段として、ご紹介をしております。

 また、認証は一つごとそれぞれ団体が違いますので、スキームオーナーと呼ばせていただいていますけれども、それぞれの認証がまず基準があります。その基準は、環境、社会、経済、こういったまず軸と、ガバナンス・管理システムがどのようになっているのかというところを見るので、消費者が例えば環境とか森を破壊してやろうと思って生活しているわけではないのに、実はそういうところに加担してしまっている。じゃあ、どういうふうな配慮がなされているのかというのが基準に明らかに書かれている、その基準にのっとって、第三者が現地に年に一度チェックをしに行って、消費者や私たちの代わりにどこでどのようにきちっと責任ある調達がなされているのか、環境への配慮、社会的な側面、経済的な部分を含めて、人間の営みと生態系の調和がきちっと図られているのかというところを見ていく基準の共通性があるかなと思っています。

 また、国際的な世界共通の基準を主に採用していることで、グローバルに調達の原産地がいろんなところの国から来る可能性も高いので、そういったところで、共通で物差しが使えるというところと、あとは科学的な根拠、客観的な証拠に基づいて審査が行われるところですとか、第三者がチェックする、また、トレーサビリティを確保するというところもありまして、そういった信頼性・透明性、また、この認証制度自体は単なる、先ほどツールというふうに話しましたけれども、一定水準以上、改善されているかというのを評価する仕組みというところで、朝起きてから寝るまでの間に様々なアイテムが衣食住についてはあります。朝起きたときに洗う、例えばタオルとかせっけんとかも、例えばパーム油ですと、RSPOというマークがありますけれども、パームは食品とか化粧品、トイレタリー、様々なものに使われますので、日常の生活に様々な原材料が私たちの暮らしを支えているということは、もう皆様、釈迦に説法だと思いますけれども、ご存じのことと思います。

 また、認知度、これは2020年に取った少し古めのデータになっておりますけれども、やはり有機JASは農林水産省さんがされている一番認知度が高く、ほかはまだまだ、少しずつ上がっているものの、認知度はそこまで高いとはまだ言えない状況です。

 認証の製品を選ぶ方というのは環境やエコにいいとかという理由が圧倒的ですけれども、よく企業の皆様は値段が高いから売れないんじゃないか、買われないんじゃないかという話をされますが、実は種類が少ないとか、味やデザイン、性能が劣るというところのほうが消費者にとっては少し買わない理由として理由が挙げられておりました。

 また、FACでは認知度、全体的なんですけれども、フェアトレードもそうなんですが、主に10代、学生がよく知っている状況です。よく子どもたちとも話をすると、親の世代のほうが知らないという形で、10代とか20代のほうが認証についてはよく知っているという状況です。

 なので、何を基準に私たち、消費者も含めて選ぶのかというのが、経済性だけではなくて、環境社会的配慮をされたものを選びたいとなったときに、何もなく何となく安いから買うとかだけだと、結果、持続不可能な社会に加担してしまうかもしれないので、ストーリーが分かる、背景が分かるものを選びましょうというふうな活動をしています。

 2ページ、少し文字情報でたくさんちょっと意見を書かせていただいていますけれども、ここは、またお読みいただければと思いますが、まず、先ほどの日本生協連さんの話もありましたが、持続可能な責任ある調達というのを企業の皆様はやはり多く実践されていますし、今も調達方針を策定したりとかデューデリジェンスを実施したりとか、CSR監査、取引先へのヒアリングも含めて、非常に努力をなされております。

 また、特に認証については、認証を取得するための費用もかかりますし、毎年維持しなくてはならないというところ、また、認証の原材料自体が購入するときに価格が高騰してしまうというところもありますので、そういった費用面ですとか手間、できれば、政府の皆様もサステナブルな経営をしている企業、事業者をなるべく優遇するとか、もう既に実践されているところを評価していく、もしくは税制の優遇も含めて、いろいろと検討してもらえるといいのではないかと思います。

 過去にも取得の費用の補助というのはあったかもしれませんけれども、例えば警察もきちっとルールを守っている人はよくて、されていない人に切符を切ったり、ペナルティーといいますか、そういった支払いの義務が発生するようにサステナブルな経営をしていない方に対しての、やはり対応と、きちっとされているところへの対応というのが両面で必要なのではないかと考えております。

 また、日本は多く輸入に頼っているので、例えばEUだと大分前に木材にしてはEUTR、違法なものをまず入れないということもしていますけれども、リスクが高いものを輸入しないというのも大事ですし、エシカルというところ、サステナブル、エシカルというところでは少し言葉が乱立ぎみでもあるので、ISOでは、エシカルクレイムでTSを2019年に発効していますけれども、裏づけ情報をきちっと見せなきゃいけない、そういった信頼性も担保する必要があるというふうに、世の中には今なりつつあります。

 また、実際に消費者も含めて、先ほどサステナブルなライフスタイルを実践するために、そういった企業ですとか商品を選択していってもらえたらなというふうには思っています。

 日常で生物多様性に配慮した生活というのは、なかなか日常の会話でも出づらいという難しさがあるかもしれませんが、いろんな研究の専門的な情報を分かりやすく、やはり消費者にも理解できるような物差しですとかPRが必要かなと、我々も日々、悩みながら活動をしております。

 持続可能な生産と消費、SCPもそうですけれど、どうしても何を選んだらいいのか、消費者はどういったものを選んだらいいのかというところで、ちょっと情報が分かりづらいところをやはり見える化する、そして認証ラベルだけに、当然依存しないシステムが本当に必要なので、自然や生物多様性に配慮したものが当たり前に選ばれるような、その思いと行動が矛盾しない社会をつくっていくことができたらいいのかなと思います。

 すみません、ちょうど10分になりましたので、こちらで私の話は一旦終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

○中静委員長 二つの団体とも大変興味使い活動をご紹介いただきまして、ありがとうございました。

 では、委員の皆さんからご質問、ご意見ありましたらチャットのほうに上げていただければというふうに思います。いかがでしょうか。

 吉田さん、どうぞ。

○吉田委員 ありがとうございました。二つの話題提供、どちらもすごく大事な話で、今回、この検討会に盛り込んでくださった環境省の皆様、どうもありがとうございます。

 今、発表をしてくださったお二方にお伺いしたいですけれども、生物多様性国家戦略の中でも個人の暮らし方とか生活の仕方みたいなものは大事なキーワードになってくると思うんですが、今日お話しいただいた内容は非常に、先進的な事例というか、意識のすごく高い消費者の方たちのデータなんかも幾つか紹介していただいたと思うんですけども、それが日本全体にどういうふうに広がっていくことができるのか、あるいは、広がることに対して、どういう課題があるのかということに、どういう問題意識を持っておられるかということを少しお伺いできればなと思います。

○中静委員長 いかがでしょう、お二方、どちらでも結構ですし、お二方ともお答えいただいてもいいと思いますが。

○日本生活協同組合連合会(新良貴氏) すみません、日本生協連、今、何名かこちらに参加しておりますので、じゃあ、こちらの。

○日本生活協同組合連合会(マツモト氏) 日本生協連、マツモトと申します。

 あまり熟した考え方ではないんですけれども、やはりいわゆる無関心な方々に、やっぱりこれをいきなり伝えるのは非常に難しいと思っています。一番大事なことは、商品がちゃんとそういうふうな配慮がされていて、しかも、手頃な価格で普通に買えるということですね。それを我々も心がけていまして、普通に買えるけれども、よく見るとマークがついていたり、配慮されている、そういうものをどんどん広げていくこと、そのよさをやっぱりいろんなことで、組合員同士の、特に一番ありがたいのは、組合員同士の交流なんですけども、それらを通じて、伝わっていくということがやっぱり社会に広がっていくことだろうと考えております。

○中静委員長 ありがとうございます。

 サステナブル・ラベルさんのほうはいかがでしょう。

○日本サステナブル・ラベル協会(山口代表理事) 山口です。ありがとうございます。

 私もやはり意識的にサステナブルなものを選ぶというのは非常にハードルも高く、本当は企業の皆様が当然、先ほどの松本さんのお話にもありますけれども、サステナブルなものをつくる、そして、それを世の中に提供するのが当たり前の社会になれば、消費者が一々気にしなくても店頭にあるもの、買うものが実はサステナブルなものになるというのが理想だと思っています。今、そこまで行っていないのでどうしても値段の問題であったりとか、やはり買いたいけれども身近なところに売っていないとか、身近なスーパーでなかなか見つけられないという声もありますので、できれば頑張っている事業者さんを応援する社会システムをもう少し構築することで消費者が苦労しなくても手にできる、手頃な価格で当然買える。

 今、安いものが出回って並んでいると、そっちを選びがちなところはあると思うんですけれども、それが適正な価格なのかというのが、それこそ公営的機能の評価であったりとか、自然資本の価格が反映されていない形で、多分販売されているものも多々あると思いますので、そこの研究者の皆様ですとか、政府の皆様の徐々に蓄積されているような情報をうまくビジネスの世界にも生かしていく必要があるのではないかと思っています。

○中静委員長 ありがとうございました。

 では、愛甲さん、お願いします。

○愛甲委員 ありがとうございました。生協さんに一つ質問があります。ご発表の最後に、環境保全活動、様々な活動に取り組んでいらっしゃるというお話があったんですが、ここについて、その活動をされる中で、生協さんが多分いろんな市民団体とか、行政の方とかと連携を取りながらこういう活動を、日本全国いろんな場所で展開されていると思うんですが、一部でも構わないですので、その場合にどういう連携とか、そういう体制を取られているかとか、そのときに何か課題になっていることはないかというあたりをもし伺えたらお願いいたします。

○日本生活協同組合連合会(新良貴氏) ありがとうございました。実は、私どもは、冒頭申し上げましたように、連合会というところで実際にやっているのが会員生協になるので、私がそこまで詳しく存じ上げていない中でのお話になります。

 おっしゃるように、様々な市民団体と連携をさせていただいておりまして、一例でいいますと、例えば、昨今の海洋プラスチックのクリーンアップ活動なんかでいいますと、実際にNPOの方と連携をしながらイベントのような格好で、実際に海岸の清掃クリーンアップをした後に、さらに学習会を組み合わせるケースも多くて、どこかの先生なんかに来ていただきながら、実際に体験をした後に、その後、どうしてこういうことをしなきゃいけないのか、どういう問題が背景にあるのかということを学ぶということを行っております。そういった格好での連携の仕方というのが割と一般的にある。あと、森づくり活動もそうですね。植林、植樹においても専門家の方だとか市民団体の方にフォローいただきながらやっているという格好になります。

 課題としましては、これもまた、聞いた話ではございますけれども、最近なかなか人の集まりが悪いところがあって、特に我々としましては、やはり将来世代をいかにこういう課題に巻き込んでいくかというのが課題と思っておりますので、子どもさんなんかに参加はしていただきたいものの、なかなか集客が悪いというところで、昔から生協の活動に非常に興味を持っていただける方はずっとこういうような活動に参加していただけるんですけれども、なかなかそういう子どもさんたちをどうやっていくか、これまでは結構、食品だとか、お菓子なんかをくっつける格好で組み合わせていたんですけれども、このコロナ禍でなかなかそれもやりにくいというところで、ちょっとそういったところが課題ですので、ぜひ様々な連携の場づくりなんか、マッチングの機会というんですかね、そういう専門家の方とかのマッチングとか、一緒にイベントをやっていただけるようなスキルだとか、そういったものが共有できると、さらに進むんじゃないかなと思っているところです。

 以上でございます。

○中静委員長 ありがとうございました。

 では、藤田さん、お願いします。

○藤田委員 ありがとうございます。藤田です。

 お二方とも非常に先進的ないい取組を紹介していただきまして、ありがとうございます。

 日本生協連さんにちょっと参考までに質問です。責任ある調達、基本方針を定められて、数値目標とか、非常に細かく策定されているのはすばらしい取組だと思っています。

 その中で、例えば国際認証と国内的な認証、あるいはローカルな認証をどこまで含めていらっしゃるのかをちょっとお聞きしたくて、例えば水産ですと、MSC/ASC以外にGSSIが認定した認証スキームという書き方をされています。これは、FAOのGSSIですからMELとか、そういったものもの入れた上での数字なのかということと、あと、パーム油のところでも100%持続可能なパーム油認証品と書いてありますが、これはRSPOと、それ以外の例えばインドネシアとかマレーシアのローカルなものも含めての数字なのか、その辺、あるいは、森林認証もFSCとPFC、両方入っているのかとか、その辺、企業さんによって考え方がちょっと違ったりしますので、日本生協連はどうなのかということを教えてください。よろしくお願いします。

○日本生活協同組合連合会(マツモト氏) マツモトと申します。お答えいたします。

 認証につきましては、やはり、先ほどもGSSIのお話もありましたけども、いわゆる国際的に評価が定まっているものということで、それは、日本生協連が全国の生協と協議をして、これを共有化してくれと認めたものだけになっています。

 例えば、森林ですと、今、基本的にはFSCしか使っていないになりますし、パームのほうもRSPOしか使っていないと、こんなふうになっているところで。少しずつ、それだけだとやっぱり足りないので、調査をしながら認証の拡大もしているんですけれども、その辺は結構慎重にやはりレベル感を落とさないようにやっているというのが実態でございます。

○中静委員長 よろしいでしょうか。

○藤田委員 ありがとうございます。

○中静委員長 では、森本さん、お願いします。

○森本委員 ご説明ありがとうございました。

 実は、山口さんからの情報で子ども世代のほうが親世代よりサステナブルな情報に詳しい、生物多様性などの情報に詳しいという話があり、将来を担う子どもたちへのアピールがすごく効果的だということが分かりました。

 それで、生協さんに子どもたちへのアピールとして、どのような取組をされていますかというご質問をしようと思っていたんですけど、先ほどなかなか難しいということをおっしゃっていました。もし追加で何かこういう取組を今後行っていこうと思っているということが、情報がありましたら教えてください、

○日本生活協同組合連合会(新良貴氏) 先ほど難しいと言いましたけれども、あれは、体験型の環境保全活動に関するところでございまして、それ以外にも、私ども、組合員活動と言い方ですね。消費者と一緒にイベントを企画してやる取組というのはほかにも結構ございます。

 今日、詳しく説明ができなかったですけれども、キャンペーンみたいなもので、各生協さんでやられているのは、エシカル探検隊とかエシカルキャンペーンみたいなものをやっているんですね。これは何かといいますと、例えばお店の中に子どもさんとかに入ってもらって、エシカル、先ほどサステナブルマークとありましたけれども、ああいったものを探してみようといったものを、実際にやって、これがMSCだね、FSCだね、これ、どういう問題があるんだろうね、どうしてこれがあるんだろうねというのを学んだりということを実際にお店でやる場合もありますし、私ども、宅配事業ということで紙カタログも展開しておりますので、この中で見つけた人は応募してもらってということのやり方を体験型であったり、そういった応募形式、あと、SNSを使ったりですとか、そういったやり方で子どもさんへのアプローチというのは実際にやっていて、その人数がどれだけ変わってきたというのはちょっと把握はしていないんですけれども、そういったところに一定の子どもさんの参加というのはありますし、小学校からの見学を受け入れたりといったところもやっているというところでございます。こんなところでよろしいでしょうか。

○森本委員 そういった取組に国からの何かの後押しがあると、さらにそういった取組が拡大するというような考え方でよろしいですか。

○日本生活協同組合連合会(新良貴氏) そうですね。やっぱりこういうのはパートナーシップが大事でございますので、ぜひいろんな方と連携できるようにフォローがあれば、非常にありがたいと考えております。

○森本委員 分かりました。ありがとうございます。

○中静委員長 ありがとうございます。

 では、大沼さん、お願いします。

○大沼委員 ありがとうございます。非常に興味深い話を拝聴しまして、非常に勉強になりました。私のほうから生協さんの発表についてコメントと質問をさせていただきます。

 コメントについては、先ほどの発表の中で、いろいろな認証をコープのほうで、コープサステナブルという形で幾つかのグループに分けて、それを認証にしているという試みを紹介いただきましたが、これは非常にすばらしい試みなんじゃないかなと思います。せっかく生産者が環境配慮型の製品を作っても、なかなか消費者に伝わりにくいときに、非常に多種多様の認証があるわけで、そうした情報を1回売り手のほうでまとめて、そこでもう一度認証を行って、簡単な形で消費者に伝えるという方式は環境に詳しい人もそうですし、それから、あまり環境に関心を持たない方にもかなり伝わりやすい方式だと思うんですね。ですので、これ、ぜひ今後もっと広めていただければと思います。

 それからもう一つは、ほかの何かスーパーなどでも、こうした形で1回認証を大きなグループで行って、それを伝えるというやり方というのは、非常に環境配慮型製品の消費拡大というのに寄与していくんじゃないかなと思いますので、ぜひ拡大させていただければと思います。

 それで、質問ですが、コープさんのほうで認証製品と、それから非認証製品というのを販売されていると思うんですけれども、大体この認証製品というのは、いろいろな認証があるので一概にもちろん言えないんですが、大体何割ぐらいというか、何%ぐらいの価格差がつくものなんか。そうした価格差の中でどれぐらいの人が受容して買っているのかということ、そういった情報は何かございましたら、ぜひ教えていただければと思います。

 以上です。よろしくお願いします。

○日本生活協同組合連合会(新良貴氏) ありがとうございました。それでは、またこちらからお答えします。

○日本生活協同組合連合会(マツシマ氏) ご質問ありがとうございます。マツシマと申します。

 基本的には、有機とフェアトレード関係の商品以外は、基本的には普通の商品と大きな価格差はないという認識をしております。ただやっぱり有機とかは、収量の問題等ございますので、あと、フェアトレードに関してはやっぱりプレミアがつくということで、ざっくり言いますと1.2から1.5倍ぐらいの価格差がついているんじゃないかなと思っています。

 以上でございます。

○中静委員長 ありがとうございました。

 では勢一さん、お願いします。

○勢一委員 私からのコメントと質問ですけれども、二つの団体に紹介いただいた認証制度、これ、代表者認証、これ非常に市場を変える意味で重要だと思います。商品の意味を可視化するということで、市場の中でそれが選べるようになれば、市場競争力が増しますので、経済を動かすということで、これがどのように今後使われていくのかというところは、非常に関心を持っております。

 その点で教えていただきたいですけれども、先ほどサステナブル・ラベル協会さんで、10代、20代の認知度が高いというご説明がありました。これ、とても関心を持っておりまして、なぜその世代の認知度が高い、意識が高いのか、その理由が分かるようだったら教えていただきたい。

 あわせて、生協さんのほうでは、これは、資料11ページになりますでしょうか。こちらは、組合員さんの認知度ということでご紹介いただいた内訳ですけれども、子育て層、ファミリー層、アクティブシニア層、シニア層というような区分けになっていて、これだと10代、20代、認知度が高いとサステナブル・ラベル協会さんにご紹介いただいたところがどこに入っているのかがちょっと分からないので、この辺り、若者世代の認知度や関心をどのように把握しておられるのかを教えていただきたいと思います。

 あわせて、最近はライフスタイルが多様化していますので、単身の方の消費というのも大きいのかなと思いますので。ライフスタイルの多様化と認証制度の関係などで何かお気づきの点があったら教えていただきたいと思います。

 以上です。

○中静委員長 じゃあ山口さん、いかがでしょう。

○日本サステナブル・ラベル協会(山口代表理事) 山口です。ありがとうございます。

 まず、認知度が10代が圧倒的に高くてというところで、まず、今、特にSDGsの学校の授業の中で小学校から入ってきていますけれども、具体的にSDGsですとか、今まではエコだったのが、いろんな形で配慮する、環境社会的に配慮するというような必要性を授業で学ぶ中で、手段としてフェアトレードですとかオーガニックですとか、いろんな認証のことを知る機会が増えているというのは、教科書でも出てきている頻度が高くなっているかと思います。

 また、FSCについては、ジュニア・アンバサダーということで、中高生なども非常に関心の高い学生が多いので、学生さんと一緒にプロジェクトを組んだりとか、ジュニア・アンバサダーをつくったりという形でFSCさんなんかも活動していますが、我々、日本サステナブル・ラベル協会でも昨年コロナでオンラインでなかなか皆様と会えない。でも、やはり学びの場を止めたくないというような中高生も多くいらっしゃったので、オンラインで授業を毎月させていただきました。そのときも中高生中心に一緒に企画をして、毎回150名ぐらいの参加をいただいたんですけれども、学校の先生方も非常に学ばれていて、先生方もそれで学生に伝えるということが今多く出てきているかなと思います。

 先ほどのエシカル消費を実践するときにラベルつきのものを選ぼうみたいなものはいろんな自治体さんも含めてされていたり、企業の皆様もされていますし、東京都でもゴールデンウイークとかでも、やはりオンラインで、家の中でラベルのものを探そうみたいなものを子ども向けのワークショップをして、一緒に親の世代も学んでもらうとか、あと、親の世代が本当は買うのに、子どもたちは知っている、だから、なかなか購買につながっていないというギャップをどういうふうに埋めていくのかというところで親子のコミュニケーションなんかの機会をつくったりなんかもさせていただきました。

 お答えになっているか分かりませんが、あと、ライフスタイルの多様化というところでは、学生の皆様も、例えば高校生とかは学園祭で使うものとか学校で使う備品をサステナブルなものに変えたいということで、学校で調達するものに非常に関心を向けて実際に背景が分からないものよりサステナブルなもの、認証のものに変えたいというような相談も結構出てきております。

 簡単ですが、以上です。

○中静委員長 ありがとうございました。

 じゃあ、生協連の方からお答えありますか。

○日本生活協同組合連合会(新良貴氏) 結論から申しますと、子どもさんたちのところが入っていないというのが結論でございまして、といいますのも、これは一般消費者を対象にした調査ということでございませんで、組合員の方を対象にした調査ということになりますので、基本的には大人で購買できる方以上でございまして、さらに、私ども生協の購買層が、基本50歳、60歳代というところでございまして、20代はかなり少ない状況でございますので、そういったところで数字上は20代の方が入っていてもかなり少ないし、中高生といった子どもさんは含まれていないと、そういったデータであるということをご理解いただければと思います。

 以上でございます。

○中静委員長 ありがとうございました。

 ちょっといつものことなんですけど、時間が大分押していまして、ご質問、お答えともコンパクトを心がけていただければありがたいです。

 では、橋本さん、お願いします。

○橋本委員 ご説明ありがとうございました。生協連さんにお伺いしたいのが2点あります。一つは、責任ある調達基本方針の説明についてですけれど、これの基本方針がどこまで適用されるのかというのを確認させていただきたいんですけど、傘下に入っている会員生協さん皆さんにおいて適用というか共有されているのかどうかというのをちょっと教えていただけないでしょうか。

 というのは、今回、生物多様性国家戦略の実効性を高めていく上での一つ課題というのは、自治体間の連携というのは止まっているわけです。その際に、こういった基本方針というようなもの官民とか、性質が異なる団体がありまして。共有できるのかがというのがありまして、こういったメニューについても、通常というか、ご苦労などもありましたら教えていただきたい。また、それを協力、あるいは連携を進めていくような仕組みというのは思っています。推進する際の留意点はあれば教えていただきたいと思いました。

○中静委員長 生協さん、分かりましたでしょうか。

○日本生活協同組合連合会(新良貴氏) ご質問の趣旨としましては、あれですかね。この調達方針自体を会員生協だとか、あと取引先さんも含めて共有しているかどうかというところでよろしいでしょうか。すみません、会場のお声が少し遠かったものですから、途切れ途切れになってしまっておりまして、趣旨は合っておりましたらお答えしたいと思いますけども、どうでしょうか。

○橋本委員 それが一つで確認したいことと、あとは、もしそれだとすると、どういうことをすれば、そういった、基本方針の共有に至ることができるのか。特に地域生協さん、会員生協さんは、それぞれ、また別々の運営方針のようなものがあるんではないかと思うんですね。その中での共有をどういうふうに進められているのかというものに関してのお知恵をいただきたいということでございます。

○日本生活協同組合連合会(新良貴氏) はい、聞こえましたのでお答えいたします。

○日本生活協同組合連合会(マツシマ氏) お答えとしましては、私ども、コープ商品というところも今回、私どもPBを会員と共有化しておりますので、その方針を全国の会員で共有化したというふうになっております。つまり、会員生協が独自に営んでいる店舗事業とかというのは、ちょっと別の視野として、我々のコープ商品という意味では、全ての会員生協さんと会議等を通じまして、あるいは組合員とも共有化しているという内容になります。こんな回答でよろしいでしょうか。

○中静委員長 どうもありがとうございました。

 では、深町さん、お願いします。

○深町委員 私、一番印象に残ったことの一つが価格についてなんですけれども、いろいろ配慮して、当然高くなりがちな商品をできるだけ手に届くようなとか、ほかの商品と変わらないような形でというようなことは確かに理想ではあるんですが、でも、違いがあるということもすごく大事だと思っておりまして。そういった部分で特に生産者の方とかにしわ寄せがいかないような形で適正な価格になるにはどういうところを改善したらいい、工夫したり、あるいは、どういう国の仕組みがもっとよくなるといいかというところでのご意見とかがありましたらお聞きしたいと思います。

○中静委員長 これはどちらの方でも結構ですけど、もしお答えがいただけるようであればお願いします。

○日本生活協同組合連合会(新良貴氏) そうしましたら、日本生協連よりお答えをします。

○日本生活協同組合連合会(マツシマ氏) お答えなかなか不十分なんですけども、今のところ日本、認証商品は、原料自体はやっぱり海外のものが多いんですよね。なので、そういったところで生産者では言い値といいますか、その価格を含んで買うわけですけれども、当然流通工程ですとか製造工程、その他のところで工夫をして、その費用をやっぱり何とか最小限にとどめていくという努力ですよね。それが実態ということになります。

 それと、国内のところ、これから今強化をしていきたいんですけれども、やはりまず認証を取るところから非常に負担があって大変ですので、やはり私どもが深く付き合っている得意様と一緒に寄り添って、例えばいろんな、何でしょうか、処理をそろえたりといった、言葉でも寄り添いながら一緒に認証を取っていくという格好で、そういったところでコスト等も吸収しながら進めていこうということで、こちら、かなり長い時間がかかるんですけど、頑張っているところでございます。

○中静委員長 ありがとうございました。山口さんのほう、何かコメントありますか。

○日本サステナブル・ラベル協会(山口代表理事) じゃあ、今の点で。まず、今の生協さんと同じように、いろんな企業様が、まずサプライチェーンにおけるときに生産者への認証取得の支援であったり、あと、認証を取るときには、やはりどういうふうにやったらいいかというのがまず分からないというところもあるので、そうしたところの手助けですとか、コンサルまではいかないですけれども、そういういろんな企業事例はあります。

 あと、スキームオーナー側、MSCとかもいろんな形で事前の審査であったりとか、あと、そういった補助制度をご紹介したりして、生産者に負担がかからない形でどういうふうに進められるのかというのは、いろんな認証で取り組まれているかと思います。

 個人的には、日本の生産者が国際基準、国際水準に資するようなサステナブルな生産を行って、それを日本の生産者がやはり優先的に買っていくというのが今後もっと進んでいったらいいなと思っていますので、そこはまさに行政もそうですし、企業の皆様もそうですし、いろんなサポート体制で、消費者もそういったものを優先的に選べる道筋をもっとつくっていけるといいのではないかと思っております。

 以上です。

○中静委員長 どうもありがとうございました。生協連、それからサステナブル・ラベル協会ともに、本当に有意義なお話をどうもありがとうございました。まだまだお聞きしたいところなんですけど、時間もございますので、次の議題に移らせていただきたいと思います。

 次の議事ですが、次期生物多様性国家戦略骨子案の検討ということです。いよいよ次期国家戦略に向けた検討が本格化、具体化してくるわけですけれども、今日は、まず事務局から骨子案の全体を説明いただいて、その後、幾つかのパートに区切ってご議論いただきたいと思います。

 まず、事務局から骨子案全体についてのご説明をお願いします。

○奥田総括補佐 環境省戦略室の奥田です。では、私から資料を共有しながら説明したいと思います。よろしくお願いいたします。

冒頭、若干別件ですけど、冒頭、局長のほうからもご紹介がございました1月12日に地方公共団体首長ワークショップを開催させていただきました。こちらについて、中静委員長にもご参加いただきました。委員長からもしご感想等あれば、後ほど教えていただければ幸いです。こちらの資料につきましては、すみません、まだ未定稿につき、まだ示せておりません。こちらも後ほどお示ししたいと考えております。

 では、これからですけど、資料2-1、2-2、それから参考資料3といったものを用いて、説明をしていきたいと思います。資料2-1は、今、画面共有しているものでございます。こちら、第1回及び第2回の小委員会において、委員の皆様、それからご参加いただいた関係団体の皆様からいただいたご意見をまとめたものでございます。

 ちょっと事細かに説明している時間はございませんので、ざっと概要ですけれども、委員からいただいた意見は黒丸、関係団体からいただいた意見は白丸となっておりまして、重複を避けますと大体110ほどの意見をいただいております。

 全体を眺めて改めて感じたことといたしましては、やはり気候変動との関係についてのご意見というのは大変多かったなと感じております。また、ビジネスと生物多様性といったような部分につきましてもたくさんのご意見をいただきました。ほかもたくさんのご意見をいただいておりますが、さらに申し上げますと、関係団体、あるいは・・との連携の強化ですとか、それぞれの役割といったような部分も意見としては多かったと思っております。こちら、すみません、細かくは説明いたしませんが、お手元に参考として見ていただけると幸いです。

 続きまして、資料2-2に基づきまして、骨子案の構造ということで話をしていきたいと思っております。説明時間は押しておりますので、できるだけコンパクトにしたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 この2-2ですけれども、1枚目に全体的な構造を示しておりまして、その次のページから骨子案ということで、それを詳細に書いたものを示しております。

 骨子案の段階ですので、肉づけはこれからという状況ではございますけれども、それでも21ページほどあるというものでございます。

 全体的な形をお話しする前に、現行の国家戦略について……。

○中静委員長 ちょっと聞こえにくくなりました。

○奥田総括補佐 すみません、途切れたようですみませんでした。

 こちら、参考資料3でつけておりますのが現行国家戦略ですけれども、現行国家戦略第1部、戦略、それから第2部、愛知目標の達成に向けたロードマップ、そして第3部、行動計画という3部構成でなっておりますけれども、次の戦略につきましては、この第1部と第2部といったようなところを一つにして、一つの大きな戦略というものをつくりまして、二つ目に行動計画という形で少し構造をシンプルにしようということで作成作業を進めております。

 それでは、こちらにつきまして、説明をしていきたいと思います。

 まず、大きな構造ですけれども、現行戦略でもございます本戦略の背景、前文という部分ですね。こちらで今、国家戦略を取り巻く世界的な流れ、ポスト2020生物多様性枠組を踏まえ、策定していきますし、コロナウイルスの問題が世界を覆っております。さらに、気候変動というのはもう切っても切り離せないですし、我が国におきましては人口減少というのも進んでいる、そうした中で社会変革の必要性が認識されている。そうした世界的な動きですとか、本戦略の位置づけ、役割といったようものを書いていこうと思っております。

 その下ですけれども、第1部の戦略、それから、先ほど申したとおり、第2部の行動計画、大きくはこの2部構成にしたいと思っております。

 その上で、戦略の中をさらに細かく見ていきますけれども、大きく四つの章から作成したいと考えております。第1章は生物多様性・生態系サービスの現状と課題ということで、世界的な動向、さらに、第2節で我が国の動向といったものを踏まえて、では、この国家戦略でどういった課題に取り組んでいくのかを第3節で示していきたいと考えております。

 第2章ですけれども、本戦略の目指す姿を書きました。こちら2050年、あるいは、それ以降の長期的な姿を第2章では描いていきたいと考えております。

 第3章ですけれども、2030年に向けた目標ということで、こちら、最重要パートの一つとなっております。こちらに2030年に向けた具体的な行動目標等を掲げていきたいと考えております。

 第4章ですけれども、第3章におきまして、2030年までに何をやっていくのかということを示しますけれども、第4章において、何をやっていくかについて、どういうことに配慮しながら考慮しながら基づいて行っていくのかと書くのが第4章になっております。本戦略を効果的に実施する、すなわち、本戦略に位置づけられた様々な施策といったようなものを実施していく上で非常に重要になってくる考え方といったようなものをいう示す場となっておりまして、そうした考えに基づいて、第2部の行動計画で具体的に関係省庁の施策等も位置づけられていくというような多くの構造を考えております。

 もう少しだけ細かく見ていきますと、第1章の生物多様性・生態系サービスの現状と課題といったところですけれども、第1節では世界の現状と動向ということで、国際的な報告書、IPBESの報告書等で指摘されている様々な気候等、世界的なトレンドと課題を書いていく。

 第2節は我が国の状況ということで、生態系別の生物多様性の現状と将来予測、さらに、我が国の生物多様性の危機の構造についても言及していこうと考えております。生物多様性の四つの危機というのは、これまでの戦略では申し上げておりましたが、今回、その四つの危機の背景にある社会経済的要因のさらに後ろにある、背後にあるもう一つの危機というものがあるのではないかということで、問題提起も兼ねて一応そういったものを出しておりますので、ぜひご議論いただければというふうに考えております。

 それから第3節、生物多様性国家戦略で取り組むべき課題ということですけれども、今回、ここで五つの課題というものを挙げさせていただいております。この五つの課題というのは、すみません、骨子案のたしか9ページだったと思い……。見えていますか。大丈夫ですか。

 すみません。2年前の1月から昨年の6月まで、次期生物多様性国家戦略研究会というものを開催させていただいておりまして、座長は中静先生にお願いしておりました。その報告書が昨年7月に出しておりますけれども、その中で三つのポイントというものを示しております、次の10年間に取り組むべき。その中の一つ目の柱というものが、先ほど述べた、こちらの生態系の健全性の回復というものと対応しておりまして、二つ目の柱、ポイントですね。自然を活用した社会課題の解決、これが二つ目のところでも対応している。研究会報告書で、「ビジネスと生物多様性との好循環、そしてライフスタイルへの反映」といったようなものも挙げておりましたが、これを三つ目と四つ目に分解していて、さらにこうした取組を進める上での基盤整備ですとか、国際連携の推進というものを五つ目に挙げております。

 この五つの課題ですけれども、これが、この後、例えば第3章で示していく五つの基本戦略、これと対応している関係になっております。ここで課題を提示して、その課題に対して対応する戦略というものがあって。さらに言いますと、後ほど話しますが、この行動計画というものにつきましても、基本戦略ごとに設定する行動目標というものがありますけれども、それごとに関係省庁の関連する施策を位置づけていくということで、第1章で示した課題に対応する形でその後も想定していくようなイメージでつくっております。

 既に8分ほどたっておりますので、少し急いでいきたいと思います。

 第2章ですけれども、これは長期的な姿ということで、あまり・・いこうと思っております。第3章はまた後ほど詳しく説明いたしますが、2030年に向けた、まず大きな目標としては、「生物多様性の損失を止め、回復軌道に乗せる」というネイチャーポジティブを目指していきたいと考えております。

 それを目指すための五つの基本戦略として、先ほど申し上げました五つの課題というものに対応した戦略を掲げていこうと。その戦略の下で、2030年における三つのあるべき姿、状態目標というものを策定したいと思っております。例えば、生態系の健全性の回復といったようなところにおきまして、三つ以内の代表的な目標設定をしていきたい。さらに、それぞれの基本戦略ごとに五つ以内の行動目標というものを掲げていきたい。生態系の健全性の回復であれば、その下で五つの行動目標を掲げていく。この三つとか五つというのは、厳密に決まったものではございません。例えば行動目標が全部100ありますというと、さすがに皆さん、ついていかないと思いますので、大体5掛ける5の25ぐらいというイメージでつくっております。世界的な目標が21個、今ありますので、それに対応する形でも考えておりますけれども、そこは今後検討をする上でいろいろさらに柔軟に考えていければと考えております。

 こちらですけど、すみません、骨子案の段階では、この具体的な行動目標は、何かというところまでは示せておりません。それは、次回の小委員会で素案を議論する際には整理していきたいとに考えております。

 それから、第4章、こういった第3章で定めた行動目標といったようなものを実施していく際に気をつけていくべき、あるいは、必ず考えていくべき内容となってまいりますけど、七つの考え方というものをこれまでの国家戦略、さらに研究会等での議論等を踏まえて書いておりますけれども、こういった点でもさらに付け足すべき点等ございましたら、ぜひご意見をいただければと考えております。

 その他、第4章では、各主体の役割ですとか、どのような連携があるのかといったようなところについてもしっかりと記述していきたいと考えております。

 第2部の行動計画ですけれども、こちら、現行の戦略におきましては参考資料3、示しておりますが、大きく国土空間的施策、それから横断的・基盤的施策という分けで作成しております。例えば森林ですとか下線ですとか沿岸・海洋ですとか、そういった形で場所ごとに非常に分かりやすい形になっていて、これはこれで大変分かりやすいと思っております。

 また、横断的・基盤的施策では、例えば外来種がまとめられていたり、大変分かりやすいんですけれども、より……。

 施策を結びつけていくという観点で、できればこういう分けではなくて、目標を持てれば、その目標ごとに関連する施策を網羅的に整理していくような形にしていきたい……。

音声が途切れたとのことで。申し訳ございません。

 そういった構造を考えております。これが大きな構造でございますけれども、それでは、中身についてということで、時間も押していますので、ごくかいつまんで5分以内で話したいと思っております。

 骨子案ですけれども、先ほど説明した……。

 背景について、もしこれ以外にもご指摘等あれば、ぜひお願いしていきたいと思います。

 戦略ですけれども、第1部第1章は、生物多様性・生態系サービスの現状と課題、まず第1節が世界の現状と動向といったようなものを示してきています。こちら、様々な報告書等ベースにしながら、現在取り巻く状況を分かりやすく書いていこうということで書いておりますが、さらにこういった点等、こういった報告書や文献等も踏まえて書いていくべきといったようなご意見があれば、ぜひお願いしたいと思っております。

 構成につきまして、書いてあるとおりでございますけれども、例えば近年の生物多様性とビジネスをめぐる動向というのが、非常に早く動いておりますものですから、こうしたところも小項目としては立てているといったところでございます。

 第2節、我が国の現状と課題、こちらもJBO3や環境省の現行の生物多様性国家戦略で得られた成果等をベースに書いていきますけれども、先ほど申し上げたとおり、日本の生物多様性が直面する四つの危機というものも改めてここで書いております。

 基本的には、これまで提示されてきたものですので、踏襲していこうということを考えておりますが、第1回の小委員会でも橋本先生からのご指摘があったとおり、IPBESの地球規模評価報告書で整理された直接要因との関係性というものもしっかり踏まえて説明してきたいと考えておりますし、石井実先生からご指摘のあった、鳥獣が増え過ぎたことによって生息地・生育地が食べられてなくなってしまっている、そうした状態について、第2のところに、今加えております。現在の取り巻く状況を踏まえて、変化あるいは追加するべきような項目がありましたら、さらにご意見等をいただけると助かります。

 また、こういった危機をもたらす社会経済要因と、その裏にある根本的な要因としての五つ目の危機というものを今回出しております。それは何かといいますと、生物多様性の認識や関心の低さ、あるいは、仮に認識や関心が高かったとしても、それが社会経済の中に生物多様性を内部化する枠組みが十分に構築されていないことから、なかなか行動に移せない。そうしたことがあると思います。

 本日、ヒアリングさせていただいたところからは、そういったものに対する取組のヒントも得られたと思っておりますけれども、そういうものを五つ目として、今回提示しておりますが、ここはいろいろご議論いただければと考えています。

 すみません、少し飛ばしていきますが、第3節では、先ほども申し上げたとおり、五つの課題というものを整理して、この課題に沿って、その後の・・等を行っているというような形をつくっております。

 第2章ですけれども、本戦略の目指す姿ということで、こちら、国際的な長期目標も基本、変わらずに継続されるということですので、基本的にはこれまでのものとしてつくり上げていこうということで進めようと考えております。

 第3章、2030年に向けた目標、これは最重要パートの一つでございます。こちら、現行戦略でそういうところの……。この第1部の戦略となる部分、五つの基本戦略、それから第2部の愛知目標の達成に向けたロードマップ、この部分を包含するものとなっております。

 第1節、2030年に向けた短期目標におきましては、先ほども申し上げたとおり、ネイチャーポジティブを掲げていきたいと。

 第2節ですけれども、五つの基本戦略と個別の目標を掲げていきたいと思います。少し構造だけ話しさせていただきますと、例えば一つ目の基本戦略、生態系の健全性の回復におきまして、まず、実施すべき取組の方向性、それから具体的な取組、これをブレークダウンするんですね。その後に状態目標、それから行動目標を描いていこうということを考えております。

 申し訳ございませんが、状態目標、行動目標につきましては、今回の骨子案の時点では、さらに個別にどういったものがというものは示しておりませんが、それは次回示していきたいと考えております。また、状態目標といったときに、どういう状態かということが結構混乱いたしますので、例えば、生態系の健全性の回復といったところにつきましては、生態系や生物多様性の状態に関する目標を設定する、次の自然を活用した社会課題の解決といった項目ですと、生態系サービスの状態に関する目標を設定する、そういった形で基本戦略ごとに状態目標というものは書いていっております。こちら、すみません、細かくは話せませんが、現在議論されている様々なことを踏まえて、できるだけ方向性を描く形で書いていっているところでございます。

 3番目のビジネスへの浸透を深めていって、本日ヒアリングさせていただいたところとも深い関係を持つものとしては、4番目の「一人ひとりの行動変容」といったようなところが書かれます。

 そして、5番目の柱としましては、生物多様性に係る取組を支える情報基盤と国際連携の推進ということで、例えばデータの統合といったようなことですとか、国際的な協力といったようなものも包含するものとなっております。

 第4章は、先ほども申したとおり、こういった目標に向けて関連する施策を実施していく際にどういった点にしっかりと配慮してやっていくべきかというところですけど、この基本的考え方といったようなところは、ここにある以外にも重要なものがあると思いますので、ぜひコメントをいただければというふうに考えております。

 その上で、第2部の行動計画ですけれども、現時点では、これだけの記述となっております。こちら、次回、素案を出す際にはもう少し充実させますが、ある程度、第1部が固まってきた段階で関係省庁と協力しながら関連する施策を分かりやすく並べていくということを考えております。

 普通でしたら、捕捉で説明いたしますが、全体的な構造等については以上でございます。ありがとうございます。

○中静委員長 ありがとうございました。

 これは、結構、中身的には非常にたくさんの中身になっているんですが、議事のやり方としては、三つに分けて皆さんからご意見をいただきたいと思っています。

 まず最初に、今見えている部分で言いますと、本戦略の背景というところと、全体的な構造ですね。こういう枠組み、全体の構造がこれでいいかということと、その背景についての部分、それから、第1部の第1章の部分ですね。第2章以下は次の時間、第1章が終わってからやりたいと思いますので。質問、ご意見は、今の全体の構造、それから背景、それから第1部の第1章の部分に関してのご質問、ご意見をいただきたいと思います。

 いかがでしょうか。

 山野さん、どうぞ。

○山野委員 ありがとうございます。私は、第1部の第3節のところにつながるところですけど、前の国家戦略と比べて、この2番目の点、自然を活用した社会課題の解決というところも、非常に、もちろん、3、4も進んだんですけど、2のところも非常に概念的にも実践的にも進んでいるところだと思いますので、そこのところにしっかりつながるように第1節、第2節のところでも、生態系サービスは書き込まれると思うんですけど、さらにそれを活用した社会課題の解決につながるというところをしっかり出すように書いていただければと思っております。

 以上です。

○中静委員長 はい。これはコメントとしてお聞きしておくということでいいでしょうか。

○山野委員 はい。お願いいたします。

○中静委員長 そうしましたら、橋本さん、お願いします。

○橋本委員 まず、全体の構造なんですけれど、ここは用語集をつけていただきたいと思いました。ネイチャーベースドソリューション、あとネイチャーポジティブとか、新しい概念が出てきているので、そういったものも含めて用語集をつけておいたほうがよいだろうと思います。ネイチャーポジティブについては、後で触れるところがある、該当するところでまたコメントさせていただきます。

 具体の第1章の内容についてなんですが、これもコメントです。4ページ目ですね。生態系サービスのところで、記載のポイントとあって、「食料の自給率等を含めた生態系サービス別の状況等を踏まえ整理」と書いてあるんですけれど、ここは特に供給サービスですね。食料、食料生産のための飼料や資材、木材等の海外依存の状況というのを明記して、他方で問題を有するという問題と国内で絡めるという形で、ぜひやっていただきたいということです。

 それから、その次に下の(3)将来予測のところなんですけれど、この記載のポイントで、単にこういう予測ができているというだけじゃなくて、消費選択を含め、我々の日々の意思決定というのは将来の大きな差異を生み得るというところまで踏み込んで書いていただきたいと思いました。

 それで、あとは、その次のページで(5)で危機をもたらす社会経済要因(関節要因)と根本的要因として云々と書いてあるところでして、これも補足でちょっと追加していただきたいということでのコメントです。社会経済要因の背後にある生物多様性への認識や関心の低さということがあるんですけれど、単なる生物多様性に係る認識とか関心の低さという、いわゆる国民意識調査で生物多様性という言葉をどれぐらい知っていますかという問題じゃなくて、我々の生活と生物多様性というのはどういうふうにつながっているかということに対しての認識の低さということが分かるようにしていただきたいと思います。

 類似の表現、何か所か戦略の中に出てきているんですけれど、全てについて、単なる生物多様性への認識の低さだけではないということを明記していただいたほうがいいのではないかなと思います。

 それが私からの第1部に関するコメントです。以上です。

○中静委員長 事務局から何かコメント等ありますか、後でもいいですが。たくさんご意見、出そうですので、後で、もしコメントできることがあればまとめてコメントいただけるといいかなと思います。

 では、吉田さん、お願いします。

○吉田委員 ありがとうございます。橋本委員の言われたところとちょっと重なるところがあるんですけれども、この第1部第2節の背後にあるもう一つの危機というところですね。今ここ、見せていただいているところですね。(5)で社会経済要因(間接要因)と、それで、根本的な要因としての「5つめの危機」、ここで言っているのが価値であるとか行動であるとかということだと思うんですけど。これ、JBO3でもそうですし、IPBESなんかでも、この価値とか行動というのは、実は間接要因の中に分類されていると思うんですね。ただ、社会経済要因とは別の扱いというか、間接要因の中でも少し構造があって、それらの背景とか文脈になるようなものとして価値とか行動というのが位置づけられているので、そういう整理の仕方のほうがいいんじゃないかなと思いました。

 そうすると、危機をもたらすための危機というふうにも読めてしまうので、それはちょっと日本語としても読みにくいので、何か違う言葉ですね。危機ではなくて背景とか文脈とかという言葉にするのか、あるいは、課題とか脅威とかというような少し問題だというようなことが分かるような言葉にするのか、その辺少し工夫が必要かとは思いますが、ちょっと根本的な要因を間接要因に入れないというのは、少しよくないんじゃないかと、逆に間接要因の一つだというふうに扱ったほうがいいというのが意見です。

 もう一つの意見が、全体の構造なんですけれども、これ、第1部の第4章ですね。本戦略を効果的に実施するための基盤・仕組み、これは、事前のちょっとヒアリングのときにも橋本委員と一緒に議論していたところだと思うんですが、第2部の行動計画にどうつなげていくかというところは非常に大事だと思うんですね。特に第1節で七つの考え方、これ、後でまた足りないところとか足りているところを議論できればと思うんですけども、この第4章第1節の実施に向けた基本的な考え方、これが第2部での行動計画の中にどのように反映できるのか、それをどういうふうに点検していくのか、非常に大事だと思うので、これはもしかすると第2部第1章という位置づけのほうが、もしかするといいのではないかと。そこを議論していただければなと、検討していただければなというのが一つコメントです。

 以上です。

○中静委員長 ありがとうございます。これもじゃあまとめて後でコメントできるところだけ事務局からコメントをお願いします。

○中静委員長 フタミヤさん、お願いします。

○二宮委員 これまでに各委員から出た意見をはじめ、関係団体ヒアリング等の意見、非常に丁寧に取り上げていただいているんで、まず感謝申し上げたいと思います。

 ただ、非常に重要なテーマが多いだけに、これ、全国民でしっかり理解をして取り組むためには、やはりなぜ取り組む必要があるのか、そして、根幹に位置づけられているのは何なのかという、この点を、例えば「はじめに」とか、序文のところで明確に示していく必要があるというふうに思っています。

 要は、生物多様性を国家戦略として取り組む必要性というのは何を守るためだというと、人間の生存なわけですね。それで、そのためには地球環境回復、発展をさせる、させなければならないということで、守るべきものとしては人間の生存、要は一人一人の生存や生活、尊厳が守られている状態をつくらなきゃいけないということだと思っています。これというのは、まさしく人間の安全保障、日本が長年にわたって率先して支持、支援してきた、その理念そのもので、今も外交の柱になっているわけですし、あと、SDGsとかビジネスと人権に関する取組においても、やはり根幹にあるのは、この人間の安全保障であって、誰一人取り残さない、人間中心の社会の創造ということになるんだと思います。

 したがって、やはり気候変動とか生物多様性、人権、この三つのところが根幹にあるということはいずれも共通しているんだろうと思うんですね。ですから、そういった部分を何かしっかり「はじめに」とか序文で盛り込むことができないかというふうに思います。

 それと、「はじめに」とか序文というのは、僕はすごく大事だと思っていまして、やはりここにしっかりとした思いを込めるとすれば、これは総理大臣の名前で発信するんじゃないかというふうに考えます。

 あと、2ページ目の気候変動対策と統合的な対策の重要性とトレードオフの回避の必要性、これ、書いていただいたのは誠に結構なんですが、これに加えて、ジオエンジニアリングのリスクの認識について言及すべきではないのかなというふうに考えています。要は、この気候工学に関して、各国が独自の判断でやってしまうのではなくて、非常にリスクがあるわけですから、けん制機能として科学的視点からのコントロールの必要性とか、またルール化の合意の必要性みたいなものも発信したほうがいいんじゃないかと思います。

 次が、5ページ目の記載のポイントのところ、経済成長のところですけれども、ここにある経済成長、まさしくGDP、この指標一本やりで経済成長を目指してきたのが今までの資本主義の在り方、そこで格差とか様々な問題が出てきて、今、新しい資本主義とかサステナブルな資本主義ということで再検証が始まっているわけですけど、政府も今、成長と分配ということを言っているわけですけれども、やっぱりその成長というのは、ここにあるようなGDPの指標を基準とした経済成長のことになってしまっているんじゃないかと。やはりそれに加えて、成長の定義にするところということでは、昔であれば社会的共通資本とか、直近であればダスグプタ教授の包括的富とか、こういったコモンズの充実に対する評価とか、価値観を強化する必要があるんだろうというふうに思います。

 したがって、自然資本の重要性、これが地球環境の回復と成長につながる、要は成長の定義の一部を構成する要素として、この認識をさせる絶好のチャンスではないかなと思っています。やはり成長の定義としては、今までのGDP一辺倒、経済成長だけでは駄目なのであって、まさしくこれから国家戦略として取り組むこの部分が成長の一部の要素だということでアピールしていただければと思います。

 以上です。

○中静委員長 ありがとうございます。

 では、愛甲さん、お願いします。

○愛甲委員 まず全体の構成についてですけど、私は非常に分かりやすく整理をされたんではないかなというふうに思っています。ほかの方も言われているように、第1部でいえば、第4章がとても大事で、これ、どうつなぐのかなというところが非常に重要だなというふうに感じました。

 ちょっと細かいところなんですけど、第1部の第3節、ほかの方々も言われていたところですけど、ここで挙げている、第2節のところですね。その背後にあるもう一つの危機のところで、生物多様性への認識や関心の低さというところですけど、これは今回、こういう新しいところだと思うんですが、これをほかの危機と並べて危機と呼ぶかどうか、私もちょっと違和感というか、それでうまく収まるのかどうかというところをちょっと考えていて、なかなかいいアイデアは浮かばないんですが、本文のほうと概要、構造を示したこの1ページ目の最初の文章のほうでちょっと書き方が違うんですよね。この構造のほうには、その背後にあるもう一つの危機という書き方をしてあるんですけど、本文のほうでは五つ目の危機という書き方をしてあって、これを五つ目とするかどうかと、背景にあるとするかどうか、大分ちょっと実は違うんではないかと。やっぱり背後のある一つの要因なんじゃないかと思うんですね。

 その上でも、その次のところになりますけど、6ページ目のところに書いてある、これまでの取組と現戦略の点検結果に基づいて、この主流化というのは、現在でもいろいろと取組がされているにもかかわらず、それが背景として、なかなか変革に結びついていないというところをきちんと分析した上で、この5のところの背後にある危機として、どう書くかというところが非常に重要かなと思ってコメントさせていただきました。

 なので、ここの順番がちょっと気になって。これまでの取組と点検結果をここに持ってきていいのか、危機の前に持ってくるべきなのか、ちょっと検討いただければと思います。

○中静委員長 ありがとうございました。

 では、石井さん、お願いします。

○石井委員 ありがとうございます。石井でございます。

 まず、全体構成ですけれども、私も分かりやすく整理されたと思います。強いて言うとなんですけど、第1章というのが論文で言ったらイントロダクションに当たる部分かなと思うんですね。それで、ここだけ一つ切り離してもいいのかなというふうに思いました。戦略自身は2章から始まるみたいにしたほうがいいんではないかなと。これは形式の問題です。

 それから、私が一番、今回発言したいのは、第2節の皆さんも指摘されている「その背後にあるもう一つの危機」というところですけれども、これは、私としては、第5の危機として表に出してもいいんじゃないかなと思います。

 ちょっと理由を申し上げるんですけど、ジェンダー問題とか、それから働き方の改革などの問題の中で、皆さんご存じだと思いますけど、アンコンシャス・バイアスという用語がよく使われるようになっていると思います。最後の問題みたいな形で取り上げているんですけど、無意識の思い込み、あるいは無意識の偏見というふうに訳されるようなんですけど、生物多様性保全に長く関わってくると、生物多様性は大した問題ではないんではないかと、生物多様性が劣化したところで何の影響もないんではないかと思われるような雰囲気というのが結構あって、社会全体にそんなようなムードがあるんではないかと思っています。

 当然、そんなことはないわけなんで、アピール不足が大きいのではないかと私は思ってきました。そういうことから言うと、ぜひ、ストレートに第5の危機として入れて、センセーションを巻き起こすような形で社会全体で考えていただくというのもどうかなと思うんですね。ちょっとけんかを売っているみたいで、よくないかもしれませんけど。

 それから、同じく第4の危機では、第2の危機のところに野生獣の問題を入れていただきありがとうございます。ただ、第2の危機というのも分かりにくいんですね。一般の人というのは、自然というのは手をつけないほうがいいのではないかと思っている中で、自然に対する働きかけの縮小というのを入れてあるというのは、そもそも分かりにくい。その中で、さらに「風が吹けば、おけ屋が儲かる」みたいに、その結果、野生獣が増えてというふうになってくると、ちょっと理解がしにくいんじゃないかなと思って。

 例えばですけど、括弧書き、長くなって申し訳ないけど、「自然に対する働きかけの縮小・野生獣の増加による危機」ぐらいに書いていただいたほうがいいのかな、そのくらいアピールしていただきたいなというのが私の意見でございます。

 以上です。ありがとうございました。

○中静委員長 ありがとうございました。

 では、大沼さん、お願いします。

○大沼委員 ありがとうございます。

 簡単に1点だけ、お伺いといいますか、指摘させていただきたいと思います。今回の生物多様性国家戦略は、かなり経済との関わりというのが深い書き方ということになるかと存じますが、最初のところで少し注意されたほうがいいのではないかなというところがありましたので、指摘させていただきます。

 まず、「内部化」という言葉をお使いになっています。これが第1章の第3節ですね、生物多様性の内部化ということなんですが、これは経済学の言葉から来たものだと思いますけれども、経済学での意味というものは、経済や市場の中で取引されていないものというものを、例えば生産者の費用や、それから消費者の支払いというのにちゃんと反映させるというのが内部化なんですね。ですので、かなり、そういう意味では、経済制度とか経済システムというものを、例えば税を導入したりですとか、そういったことをイメージさせるものになってくるんで。

 ここを読んでみますと、そういったことよりも、むしろちゃんと浸透させようということだと思うんですね。ですので、そういった広い意味で浸透させていくということでお使いなのであれば、これは「内部化」ではなくて、もう少し別の言葉を使ったほうがよいのではないかということです。

 それから、もう一つ、ここのところで、③が生産と経済活動、それから④が生活と消費の活動というふうになっていますけれども、消費活動というのは、これは経済活動に入っておりますので、この辺の構成というものも少し、もう一度検討いただきたいなと、このように思います。

 以上です。

○中静委員長 ありがとうございました。

 五箇さんがもうすぐ離れられるということで、五箇さんの発言をお願いします。

○五箇委員 すみません。ありがとうございます。

 先ほど、二宮先生のほうからもご指摘あったように、基本的な生物多様性に対する意識というものが全体に行き渡らないというか、主流化がうまくいっていないという一つの理由として、やっぱり危機感のなさというところがあると思うんですね。イントロとして、そういったところをいかに強調するかということで。

 これまで、やっぱり環境省的に、生物多様性というのは保全すべき対象、守るべきものとしての扱いが強く、今、特に、鳥獣保護に関連して、野生生物感染症なんかの事業にも今タッチしているところとか。基本的に守る対象が野生鳥獣であって、本当は、そこから跳ね返ってくる人間社会に対する危機、リスクといったものが、本来、生物多様性保全の一番の目的ですね。先ほど二宮委員からの発言もあったように、基本的に生物多様性保全の究極目的は人間社会の安全保障であると。そういったところは、しっかりと環境省としても打ち出す必要があるだろうということで。

 あと、もう一つ。自然に対する手の入れ方がおろそかになることで生じる影響ということで、野生鳥獣の増加ですね、そういったものが、石井先生のほうからもご指摘があったように。ただ、問題なのは、里山という環境の中でしか生きられない生き物というのは、逆に、そういったところで減少するものもあると。だから、増えるものばかりじゃなくて減少するものもあるという部分では、これまでの自然共生社会というものが放棄されたことによる生態系のアンバランスですね。

 人にとって非常に不都合な自然、あるいは生物多様性に実は遷移していて、生物多様性自体が劣化しているというよりは、人間との関わり方が非常に今、変化してしまい、人間にとって非常に不都合な状況になっているということをもうちょっとしっかりと明示するということが実は大事なんじゃないかなというのが、全体を通して、特にイントロ部分で感じているところです。

 すみません。もう、これからほかの会議に行かなきゃいけないんで、これで退場させていただきます。どうもすみません、お気遣いありがとうございます。

○中静委員長 どうもありがとうございました。

 では、広井さん、お願いします。

○広井委員 ありがとうございます。

 私も、今まで出ています第5の危機として示されている関心の低さ、主流化されていないことについて、コメントさせていただきます。私は、この点に関して2点、重要なことがあると思っています。

 一つは、前回も言ったかもしれませんが、やはりコロナですね。つまり、これはいろんな研究も出ていますように、人獣共通感染症、森林の減少あるいは生物多様性が喪失されていくことが、いよいよ人間の健康にまで及んできたと。もう全世界で500万人以上が亡くなって、これは、ある意味では気候変動以上の危機と言っていいのではないかと思うんですが。ですので、先ほどまでの話ともつながりますけども、人間の健康にまで生物多様性の危機が及んできていると。これは、やはり人々に身近に感じてもらう非常に大きなポイントではないかと思いますのが一つです。

 それから、もう一つは、これも、今までもよく言ってきたことなんですけども、日本の伝統文化との関係で、これは前回も話題になりましたように、「生物多様性」という言葉自体がいま一つ堅いということで。私としては、鎮守の森とか八百万の神様、自然そのものの中に神様、これはもちろん比喩的な言い方で、自然が非常に多様であって固有の価値を持っているというのを非常に分かりやすく表現した、伝統文化とも結びついた、ある意味で世界にも発信していけるような自然観でもあると思いますので。また、人々にとっても分かりやすいと。その辺りの伝統文化との関わりを通じた主流、身近なものにしていくという、これも重要なポイントではないかと思いますので、ご検討いただければと思います。

 以上です。ありがとうございました。

○中静委員長 ありがとうございました。

 では、中村さん、お願いします。

○中村委員 ありがとうございます。

 何度も言っていて恐縮ですけれども、今、各都道府県で再生エネルギーの導入に関する議論が実施されています。今回、最初の部分で2ページのところに「気候変動対策との統合的な対策の重要性とトレードオフの回避の必要性」とは書いてあるんですけど、多分、一般の人たちは、これを読んでも、一体、何のことを言っているのか、ぴんとこないというふうに思います。

 ただ、現実には北海道も含めて、いろんな生態系、健全な生態系と言ってもいい場所で、例えば、再生エネルギーの例えば太陽光パネルが設置されて生物多様性が劣化するということは実際に起こっていることだと思うので、その辺のことをしっかり背景のところで、もう少し目立つように書いていただきたい。

 方向性、最後のほうに、実は、目標の中にはその点が書いてあるんですけども、一応、チェックしたら、そう書いてあったんですけど、やっぱり最初の序論のところでそういったものを位置づけていただいて、最終的な出口としては、そういった再生エネルギーが設置できる場所というのは、まずは人間の土地利用がされている場所で生物多様性豊かな場所については、より、よっぽどな理由がない限り、それは設置できないといったような、そういう縛りを置いておいていただけるといいかなと思いました。

 以上です。

○中静委員長 ありがとうございます。

 では、藤田さん、お願いします。

○藤田委員 ありがとうございます。

 まず、1点目は文言についてなんですけれども、先ほど大沼先生からもありました経済システムに内部化するというのは、やっぱりすごく違和感があるので直してほしいです。経済システムに内部化できていないので、そもそも世界的に、特に自然とか環境の分野というのは。これは主流化という意味で使われたんだと思うんですが。

 文言の使い方で、ぜひ、これ冒頭なのか、もしかしたら後ろのほうの用語集のところに入るのかもしれませんが、「生物多様性」というワードは多くの人は知りませんが、よく生物多様性とか自然とか。自然が大切だというのは、ほとんどの人が知っていると思うんですよね。あるいは自然資源とか自然資本とか持続可能な調達とか。私も、よく記事を書いたりするときに、この五つ、実は、ほとんど同じことを指していることもあったりする。それが、それぞれどういうワードなのかということを、どこかで明確にしてほしいなと。

 生物多様性は自然の中でも非生物は入れないものなんだと思うんですけれども、水とか、そういう非生物も自然資本とか自然資源には入ってくるので、そこの関連性みたいなのを曖昧にしないで、こういうワーディングもするけれども、その中でこういう位置づけなんだみたいなことが、どこかであるといいなと思っています。これが1点です。

 もう1点は、食料自給率のところで自給率が低くて輸入が多いということを入れていただきまして、ありがとうございます。せっかくなので、食料自給率がさらっと入っているだけじゃなくて、木材の自給率とか、あと原材料の調達とか、やはり海外からのいろんな原材料に頼っているということをもう少し、しっかり書いていただいたほうがいいかなと思っています。

 これが、やはり、日本人というのは、自然観はあるかもしれないけど、海外の原材料が自然から取っているというものに対する意識が低いんだと思うんですよね。それは、やっぱり国内に森とか水がすごく豊かでお魚もいっぱい食べていると。でも、実は海外の、世界全体で見たら、水産資源は実は少ないということに思いがはせられない。自然観はあるんだけど、多分、サプライチェーンの上流への思いが至らないということが主流化しない大きな問題なのかなというふうに思うので、この辺の書き方はもう少し突っ込んだほうがいいかなと思っています。

 それと、3点目は、私もほかの委員と同じように、第1部の4章というのは第2部の頭にあってもいいのかなと思っています。2030年戦略を言った後に、第4章がありますよね。どんなふうにしたらいいかという仕組みとか。これはやっぱり行動計画があるからこその仕組みだと思うので、そこにあったほうが、もしかしたら美しいのかなという。ちょっと書きぶりにもよりますけれども、というふうに思いました。

 以上、3点です。

○中静委員長 ありがとうございました。

 では、白山さん、お願いします。

○白山委員 ありがとうございます。

 私、二つだけコメントというか、お願いというか、させていただきたいと思います。

 一つ目は、全体を通してなんですけれども、この間、若い人からいろいろお話も聞いたわけですが、よく気候変動のほうで、あるいは二酸化炭素のほうで言われる、将来の地球環境のために、今、我々がやっていることが負の影響を与えているんだと。つまり、将来世代のために我々はいろいろ考えなきゃいけないという、そういうスタンスがちょっと足りない感じがするんですね、全体に。

 今の危機と2050年の姿というようなことをおっしゃっているわけですけれども、あるいは先ほど、ほかの先生がおっしゃった人類の安全保障というようなことがあるわけですが、それはジェネレーション間のトレードオフがあるんだというところをもう少し、どこかでしっかり書いていただくほうがいいんじゃないかというのが一つ。

 それから、もう一つは、この間の若い人にいろいろヒアリングをさせていただいた中で、どうして主流化しないのかというのに関して、非常にキャッチーな言葉がないのが一つ大きな問題だという指摘があったと思いますが、今回の次期生物多様性国家戦略で、やっぱり若者の、あるいは国民全体の心をつかむようなキャッチーな言葉が何か、どこかに、どこかじゃないですね、全体を通して考えられて、それを背骨にして書くというようなイメージが欲しいなと思うんですね。ぜひ、環境省のほうには、そういう多くの人の、国民の心をつかむ非常に短いフレーズというのをよく考えてつくっていただきたいというのがお願いです。

 以上です。

○中静委員長 ありがとうございました。

 ご意見をという方は、もう大体お話しいただいたんですけど、ほかにはございますか。

 そうしましたら、事務局のほうでまとめて、今いただいたご意見に対して、何かコメントできる点があればお願いします。

○中澤戦略推進室長 ありがとうございます。生物多様性戦略推進室長の中澤でございます。

 多岐にわたる行動、それから中身に入った意見ありがとうございました。私の理解では、やはり国家戦略、次世代につないでいく、または現状について、その思いというもの、人間の生物多様性への思いというものを序文に書くということの重要性、さらに、それをキャッチーなものにするべきであるということの認識を新たにいたしました。ありがとうございます。

 それから、特に、その中で我々の生活様式に関するところ、ライフスタイル関係でございます。第5の危機にするのか、それとも背景にするか、それについては、我々の中でも、もう少し、いろいろと議論をさせていただきたいと思いますが、これも恐らく序文のところできちんとしっかり、背景になるもの、次の次期国家戦略の背景になるもののバックグラウンドとして、非常に重要なものとして認識をいたしました。

 次に、用語的な使い方として内部化がいいのか、主流化がいいのか、その辺についても、私どものほうでもきちんと考えていきたいと思っております。

 それから、よく日本人の自然観といったところ、そういったものの表現の重要性、さらに再エネ関係のトレードオフの回避、今、まさに現場で起きていることについて、きちんと認識した上で書いていくといったようなところ、様々いただきました。策定に関しても様々なサジェスチョンをいただきましたので、そういったものを背景にいたしまして、骨子案をさらに膨らませて、素案というものに膨らませていきたいというふうに思っております。

 全体的なコメントとして、私のほうからは以上でございます。

○中静委員長 ありがとうございます。

 ちょっと時間も大分遅れていますので、ここで一旦休憩に入らせていただきまして、後で、また、もしご意見がありましたら付け加えていただければと思います。

 今、27、8分なんですけれど、35分まで休憩ということでいいでしょうか。では、3時35分になりましたら再開させていただきたいと思います。それまで休憩とします。

(休 憩)

○中静委員長 では、時間になりましたので、議論を再開させていただきたいと思います。

 次に、事務局のご説明があったように、第1部の第2章、本戦略の目指す姿ですね、それから第3章の2030年に向けた目標ということに関してのご質問、ご意見を伺いたいと思います。

 事務局からご説明がありましたけど、2050年までの長期目標は国際的な2050年ビジョンに準拠したような形でいいのかとか、それから、第3章のほうは第1節はネイチャーポジティブというようなことをキーワードにすることでいいかとか、五つの基本計画はこの項目でいいのかというようなことが問題として、いろいろ出ていただいたと思いますし、基本戦略ごとの不足している要素だとか、今後、具体化していくような要素というようなものには欠けているものがないかというようなことについて、いろいろご意見をいただければというふうに思いますが、いかがでしょうか。どうですか。

 では、吉田さん、お願いします。

○吉田委員 ありがとうございます。

 第3章ですかね、第3章の第2節で、五つの課題に対して、五つの戦略というのは、僕は構造として分かりやすくていいなと思うんですけれども。ざっと、いろいろな問題意識とか取組の方向性とか、それから具体的な取組について書かれているんですけど、全部、きちんと最初から最後まで見られていないところがあるかもしれませんけど、少しお聞きしたいのは、文化的なところが若干記載が弱いなというふうに感じたんですね。

 特に、それぞれの地域で大事にされているような食文化とか、あるいは祭礼などの行事とか、あるいは伝統産業のようなもの、そういう地域の文化の多様性、それは地域の生物の多様性によって支えられているところがたくさんあると思うんですけども、そういうものを意識した取組というのが、第2節の幾つかある中に明示的に入っていないような気がして、もし入っていたら申し訳ないんですけど、もう少し強調していただければなと思いました。多分、それは有形・無形の文化財、文化財行政などとの関係というのもあると思いますので、そういう視点をきちんと入れていただければいいかなというふうに思いました。

 全体としては、特に構造としては、これでいいのかなと思っています。

 以上です。ありがとうございます。

○中静委員長 ありがとうございます。

 事務局から、今の点に関して、何かお答えはありますか。入れるとしたら、どこですかね。

○吉田委員 そうですね。入れるとしたら、どこかなと僕も考えながら見ていたんですけど、4番のところに文化的なことが少し入っているんですけど、3番、4番、あるいは。そうですね、ですね。

 あ、ごめんなさい。中静さん、もう一つ、ごめんなさい、僕、コメントがあったのを思い出しました。いいですか。

○中静委員長 どうぞ。

○吉田委員 第5番のところで基盤整備と国際連携の推進とあるんですけど、ここも、JBO3だったか、その後の検討会だったか、ちょっと記憶が曖昧なところがあるんですけど、EBPMの話があった、エビデンス・ベースド・ポリシー・メーキングの話があったと思うんですが、それがきちんと書かれているかというと、少なくともそういう単語は出てこないので、JBO3のときでしたかね、ロジックモデルのテストというかトライアルもやったと思うんですけど、そういうものを後押しするようなことも書いていただくといいのかなと思ったというのが二つ目のコメントでした。すみません。

○中静委員長 EBPMに関しては、4章辺りのほうがいいのかもしれないなという気はしますけれどもね。でも、ご検討いただければと思います。

 では、橋本さん、お願いします。

○橋本委員 ありがとうございます。

 まず、第3章の第1節について、2030年のミッションのポイントでネイチャーポジティブのことが書いてあります。ネイチャーポジティブの定義を明確にしていただきたいというのがあります。自然科学の表現を採用して、あるいは、その後のワールドエコノミックフォーラムだとかで使われている言葉を採用しているということで、それ自体は賛成ですけども、恐らく、先ほど白山委員がおっしゃられたキャッチーなキーワードの一つになるのが、このネイチャーポジティブであろうというふうに私自身は理解しています。多分、NbSと合わせてキャッチーなキーワードになると。今回の戦略で。

 ただ、NbSよりもネイチャーポジティブの定義というか実態というのが、実は曖昧模糊としているんではないのかというのが問題意識としてあります。大まかには、ここに書いてあるように、生物多様性の損失を止め、反転させ、回復軌道に乗せて地球と人々、双方にとって利益となるような形をネイチャーポジティブというふうに意味しているというふうに理解しているんですけど。じゃあ、具体的に何をすればネイチャーポジティブなのというところまでは、今、示されていないと思うんですね。

 そういう状況の中で、ネイチャーポジティブ、ネイチャーポジティブという言葉だけが戦略の中で出てくると。じゃあ、具体的に何をすればいいのか。何をすれば、我々はネイチャーポジティブなことをしていることになるのかという情報まで発していないんですね。これは、少し異なる視点でのコメントになるかもしれませんけど、定義を明確に与えるとともに、ネイチャーポジティブという概念を、もう少し分かりやすいものにしていただきたいというのが私からの一つ目のコメントです。

 二つ目は、類似の話ですね。12ページ目で、「2、自然を活用した社会課題の解決」の具体的な取組の中で、地域づくりにNbSの考え方を取り入れ、より豊かな地域の活性化を目指すというのが具体的な取組としてあるんですけれど。ただ、NbSもかなり包括的な概念ですかね。生態系再生もあるし、生態系を活用した防災・減災もあるし、グリーンインフラのようなものもあるし、総合的技術管理のようなものもある。複数のものが入ってきていて。じゃあ、これ、NbSを活用した地域づくりは何なのか、これがやはり依然として曖昧である。

 ただ、これは今の戦略の中で全て具体化するのは難しいかもしれないので、もしかすると一つの具体的な取組として、地域づくりにNbSを盛り込んでいくようなガイドラインづくりをしていくだとか、そういうこと自体を具体化するというのが一つの取組として、まずファーストステップとして必要なのかもしれないというふうに思いました。

 三つ目が、今度、16ページ目になります。これ、読んでいて気づいたのがここだから、ここを具体的な例に挙げたいんですけれど、上から3行目にグリーンインフラというのが出てきます。これ、さっきのNbSの一つなんですよね。戦略を見ると、恐らく、一方では「生態系を活用した防災・減災」という言葉も出てくる。他方で、NbSも出てくるし、グリーンインフラも出てくる。こういう文章の中における表現の相互関係、先ほど藤田委員が自然資本と自然資源と生物多様性、それぞれ似通っているけど微妙に違うということがありました。

 こういう言葉、ほかの部分についても同様のことを言えると思います。特に、複数の省庁が関わることで類似概念が乱立するものだと思いますので、用語の統一。先ほどの用語集的な部分にも関連してくるんですけれど、明確に、その説明、相互関係というのを説明を加えていただきたいと思います。これは、生態系サービスと農林水産省の多面的機能の話とも関連してくる問題です。

 以上です。

○中静委員長 ありがとうございました。先ほど、ちょっと僕も発言を忘れていたんですけど、先週、首長さんのワークショップをやったときにも、やっぱり共通しているのは、生物多様性を生かした地域づくりをされている先進的な例というのをたくさんご紹介いただいたので、今、橋本さんからご指摘いただいた点は非常に重要な点かなと思いました。

 では、勢一さん、お願いします。

○勢一委員 ありがとうございます。勢一です。

 私は、3点ほど、3章の第2節の基本戦略に関するところでコメントをさせてください。

 まず一つ目は、既にご意見が出たんですけれども、歴史・文化の部分ですね。これを今のところ、少し複数の場所に関係するのかもしれませんけど、反映することができないかなと私も思っています。やっぱり地域の歴史と文化によって支えられてきてつくられた生態系の下で育まれている多様性というようなものというのは、これから地域にしっかり守っていただくということも必要になろうかと思いますので、これに関する答申と施策というのが必要であろうと思っています。

 例えば、日本遺産なんかがありまして、文化庁の認定になりますけれども、これは、まさに地域独自の環境と、それらの自然に加えて、それに伴う社会の環境の中で育まれてきたものというのをストーリーとして大事にしていて。こういうような認定を受けたようなものがしっかり地域で守られるような、そのような対応というのを関係する省庁連携でやっていただくということが重要ではないかと思っています。

 特に、地方に行けば行くほど、人口減少であるとか、それに伴って所有者不明の土地が急増していくというような問題も出ていて、現行の日本の土地所有権の制度を前提にすると、そのような所有権が不明確なところでの自然、生態系を守るというのが非常に難しいということになっています。ですから、そういうことを踏まえて、やはり地域の中でどのように守ることができるのかということを何らか担保する目標、戦略がよいのかなと思っています。これが一つ目です。

 2点目なんですけれども、先ほど、前半の議論のところでありましたけれども、戦略の3と4のところに出てきている「内部化」という表現です。私、読んでいまして、恐らく複数の意味が込められているんだろうなと思って、読んだんですけれども、確かに、単に生物多様性の主流化の意味で使っているというのであれば、若干ミスリーディングかもしれませんが、私の最初の心証では、やはり外部経済の内部化の意味は必要なのではないかと感じています。公害問題時代からの環境行政の懸案だと思います。社会が自然資本を利用することに対する正当な対価をかけると。それを、きちんと経済活動の中に組み込んでいく。これによって、恐らく主流化につながっていく。この部分については、むしろ内部化の意味というのは、あるのではないかというふうに感じています。

 特に、近年の脱炭素の市場動向、世界的な市場動向を見ますと、脱炭素に逆行する事業活動・・使用することを市場が許さないというような形、これが大きな推進力になっています。生物多様性の主流化を目指すのであれば、そのような経済メカニズムの組み込みというのは、大きな課題になろうかと思います。というのが2点目です。

 あと3点目、これも3と4に関わるところなんですけども、3と4がはっきり分けられているところ、私も、既にご意見ありましたけれども、若干、物足りなさはあります。消費構造が変わることによって、消費の側が市場に対するニーズを変えるということになりますので、市場のニーズが変われば、生産構造が変わると。こういうふうに考えますと、市場における消費者の先行をいかに変えていくかと。ですので、個人のモラルが変わるということだけではなくて、消費の構造自体を変えるような、そういうような施策が必要であろうと思いますので、そのような消費構造の転換のニュアンス、消費や製造の在り方、経済の動力のほうに働きかけるような部分も何らかの形で具体化をしていただければと思っております。

 以上です。

○中静委員長 ありがとうございました。

 では、高村さん、お願いします。

○高村委員 ありがとうございます。

 自然を活用した社会課題の解決というのは、今回の国家戦略では、割と新しいことなんじゃないかなと思います。ネイチャーポジティブという言葉と連動しているんですけれども、自然を活用した社会課題の解決というのは、案外と分かりにくいかもしれないなと思いました。それで、そんなことができるのとか、どういうことをすればいいのかというふうなことが、なかなか伝わりにくいかもしれないと思います。

 解決の方法というのも、答えがまだ出ていないこともたくさんあって、これから研究をしていく文脈にもありますし、例えば、社会課題というのがどういう社会課題かを明確に言って、それが自然を活用して解決ができるんだよというようなことを、何か分かりやすい事例とかボックスのような形で示していただくようなことも少し考えていただければなと思いました。やはり気候変動と生物多様性の保全のトレードオフの問題というのは、非常に厳しい問題を抱えておりますので、こういうところでも明確に出していただければありがたいなと思います。

 以上です。よろしくお願いします。

○中静委員長 ありがとうございました。

 では、森本さん、お願いします。

○森本委員 三つあります。一つ目が、これは経済的なことかもしれませんが、「2050年ビジョン」というキーワードが埋もれてしまっていて、どこにあるのか探すのが難しいです。例えば、第2章のタイトルに入れる、あるいは第2章第2節のタイトルに「2050年ビジョン」のキーワードを入れるなどすれば、次の第3章に掲げられている2030年目標とつながるんじゃないかと思いました。それが一つ目です。

 二つ目が骨子案9ページだったと思うんですけれど、一つ目、1番、生態系の健全性の回復について、実施すべき取組の方向性、一つ目の丸なんですけれど、希少種、外来種に焦点を当てた取組を見直し、野生生物の保護強化というくだりがあるんですけれど、これ、野生生物よりも普通種を含めた、普通種をちゃんと前に出していただきたいなと思うので、普通種を含めた野生生物の保護・管理強化というような表現にしていただきたいなと思いました。

 もう一つが骨子案の12ページ目で、2番目、自然を活用した社会課題の解決のところがあると思うんですけれど、具体的な取組の二つ目の丸のところですね、激甚化・頻発化する災害に対して、レジリエントな地域をつくるEco-DRRを実装しますというくだりがあります。これは、災害に対する予防的な対策だと思います。災害が起こった後の対策として、次に書かれているんだと思うんですけれど、もう少し明示的に、災害によって発生した新たな生態系について、OECMとしての設定を進め、保全を図るというように表現していただけたらいいかなと思います。

 以上です。

○中静委員長 ありがとうございました。

 では、中村さん、お願いします。

○中村委員 ありがとうございます。

 第3章の第2節になってきて、資料の9ページになると思いますけど、生態系の健全性の回復というところで、一つは、私自身が釧路湿原や知床の世界自然遺産で様々な自然再生をやってきて、最近、ちょっと、自然再生の議論がやや弱くなってきたかなという感じがしているんです。ただ、実際に適応策的なこと、自然環境に対する適応策みたいなことを考えていくと、自然再生を実施するということは非常にシナジーを持っていて、ウィン・ウィン関係に行けると思うので、一つは10ページの下のほうにある劣化した生態系の回復の質や向上、特に国立公園内ですね。国立公園もいろんな、特別区域の1種だとか2種とかがあると思うんですけど、そういった場所に今現在も、かつての歴史的な過程の中で人工林があったりすると思うんです。そういった場所を例えば自然林化していくといったことも重要だと思うし。

 例えば、知床なんかだと、国立公園、もしくは自然遺産内でダムの構造があって、海と陸との連携がつながっていないときに、それを改良して、もう一度、そのつながりを再生するといった試みが既に実施されているので、ぜひとも国立公園内において、林野庁やその他の省庁と協力しながら自然林の再生や川の再生を実施していただきたいな、そんな内容を書き込んでいただけたらいいなというふうに思いました。

 もう一個。先ほど、第2の危機のところで野生動物管理の問題があったと思うんですけど、ちょっと探したんですけど、担い手の問題ですね。野生動物管理を実施する担い手が、今、極めて脆弱になっている、不足していると思うんですね。たしか学術会議のほうからも、そういった。どんな制度をつくるかは、まだ議論の途上かもしれないんですけど、やはり2番の野生動物の問題を解決していくためには、そういった技術というか、野生鳥獣をきちんと管理できる人材を育てていくというのがすごく重要なことだと思うので、できれば、その辺まで踏み込んで書いていただければなと思いました。

 以上です。

○中静委員長 ありがとうございました。

 では、藤田さん、お願いします。

○藤田委員 ありがとうございます。

 一つは、この五つの戦略、五つに分けていただいて、これでいいと思います。それで、先ほど、ビジネス関係のところが、3番目の企業側と4番目の消費者側に分かれていていいのというお話とか意見が幾つか出ましたけど、私は逆に、今回、分けていただいてよかったのかなと思っています。

 というのも、企業からすると、消費者から生物多様性配慮商品を求める声がないとか、日本の場合は特にそういう消費者からの強いアピールとか不買運動なんかもあまりありませんし、生物多様性を求める声があまりない中で、「卵が先か鶏が先か」みたいなのがあって、企業は消費者からあまり声がないし、逆に、消費者からすると企業からそういうのが出てこないというのがあったのが、今回、二つに分けて、企業は企業で生物多様性保全の本業での取組を頑張るということと、消費者は消費者で行動変容するということを分けたのは、逆に、分けたほうがいいかなと思っています。

 もちろん本業でやるということで、内部化というワーディングがいいか分かりませんが、もちろんビジネスとしてやるという意味で、それはすごく重要なことだと思っています。

 それから、もう1点が、ネイチャーポジティブなんかも、確かに私は打ち出したほうがいいと思うんですが、確かに、国際的にも、まだ、どんなことをもってネイチャーポジティブというかというのは幾つか、自分も検索したんですけど、フィックスしていないところがあります。

 ただ、今、CDP、今日、発表会をやっていますけど、CDPも今年の質問書から生物多様性を入れていくということを正式に発表しましたし、それからTNFDなんかも始まりますし、その中で多分、ネイチャーポジティブという言葉も恐らく使われたり、あるいは自然版SBTというのがどんどん使われてくるというのが、もう国際潮流になるので、そこでどういう定義を使っているかということを調べつつ、例えば注釈として、日本政府としてはこういうふうな解釈をして、それをネイチャーポジティブと考えていますというので、いろんな国際的な文書などを引用しながら、こういうものだというふうに定義をして使っていくというのはいいことだと思っています。

 それと、3点目が、恐らく、これから重要になるのが状態目標と行動目標、今回はほとんど書き込んでありませんけども、重要なのは、やっぱり、そこにどう書いていくかだと思うんですけれども。ここのビジネスのところ、3番であれば、ビジネスへの浸透のところの状態目標とか行動目標は、ぜひCDPとかTNFDなんかとリンクするような。何をすればいいかといったら、例えば、ガバナンスと戦略とリスクと機会の把握とか、持続可能な調達方針の策定とか、目標の設定とか、情報開示とか、そこと国際的に企業がやらなければいけない今、既に取り組んでいることと歩調を合わせてリンクさせるような目標をぜひ書き込んでいただければと思っています。

 以上です。

○中静委員長 ありがとうございました。大変いい指摘だったと思います。

 では、深町さん、お願いします。

○深町委員 ありがとうございます。

 今、出ているところを見ても分かるんですけれども、ビジネスとか個人のいろんな行動とか、あるいは国際的ないろんな動向というところは、非常に重点を置いて書かれていると思うんですけれども、ちょっと足りないなと思うのが、やはり地域で一人で暮らすのではなくて、いろんなコミュニティーがあったりだとか自治会があったりだとかというような形で、いろんな地域の社会の中で暮らす中で、どういうふうにいろんなことに取り組んでいくかというような観点がもう少し出てくるといいように思いました。

 例えば、自然を活用した社会課題の解決というところがありますけれども、何もこれはすごく新しいものではなくて、例えば、江戸時代だとか、いろんな時代に遡ってみると、ずっと日本の中で、それぞれの地域が工夫して自然をうまく利用しながら、災害だとか、どう資源を使っていくかとかというようなところで、ずっと積み重ねて。今では、そういうような関わりというのは、確かに希薄化してしまっているかもしれませんけれども。国際的な動向に学ぶよりも、まずは自分の国の地域の中でどんなことが行われてきたかということをしっかり理解した上で、これからに向けて、どうしていくかというようなことを考えていくのが大事だと思うので、そういった。

 例えば、地域知だとか伝統知とかというキーワードは今まで出てきたと思うんですけども、今回の中ではほとんどそういった記述がないですし、ほかの委員さんも指摘されていた文化とか歴史とか日本特有の特徴的な自然観みたいなものをもっと言葉として表現していただくといいかなというふうに感じているところです。

 やはり全体として、とても片仮名だとか英語をそのまま訳したようなキーワードがたくさん出てきて、それを、せめて日本語で一言で言ったときに何なのかというのを一個一個考えながら、普通のいろんな方に通じる言語として説明するというようなことを、できるだけ。用語集を作るのもそうなんですけども、日本語として通じる、今までの使ってきた私たちの言葉の中で通じるものとして理解して、そしゃくして、伝えていくということがとても大事だと思うので、そういった点で、さらに検討を深めていただけるといいなというふうに思いました。

 以上です。

○中静委員長 ありがとうございました。

 では、白山さん、お願いします。

○白山委員 ありがとうございます。

 ちょうど今、ここにも出ていますけれども、今、議論している辺りですと、グリーンインフラとかグリーンボンドとか、「グリーン」という言葉がいっぱい出てくるんですけれども、これは、やっぱり森をイメージするもので、どうしても、海が忘れ去られてしまうんですね。1か所だけ「ブルーカーボン」という言葉が入っているんですが、ほかにも、いや、ブルーボンドだってあるだろうし、幾らでもブルーというふうに言えるところはあると思うので、グリーンインフラ、グリーン何とかというのばかりでなくて、「ブルー」というキーワードについてもしっかりとたくさん入れられるところはありますので、グリーン・ブルーということになるのか、その辺、使い方はご検討いただきたいと思いますけれども。グリーンがあれば必ずブルーもあり得るということを意識して、全体を、これから先、書き込んでいただきたいという要望です。

 以上です。ありがとうございました。

○中静委員長 ありがとうございます。そうですね、海のことを忘れてはいけないように思います。

 橋本さん、お願いします。

○橋本委員 ありがとうございます。

 先ほどの藤田委員にネイチャーポジティブについてコメントいただいて、そして、私も全面的に賛成します。恐らく、このネイチャーポジティブの使い方は、今回の戦略で言っている状態目標と行動目標、両方あるんです。UKがネイチャーポジティブ2030のレポートを出しています。その中でのネイチャーポジティブは、2030年までに、生物多様性の損出が反転すれば、ネイチャーポジティブだという表現です。これは状態目標なんですね。ただ、WBCSDがネイチャーポジティブと言うことは、今度は経済活動にとって、ネイチャーポジティブな活動とは何という話になる。この場合は行動目標です。

 こんな具合の言葉の説明の仕方というのをうまくやっていただく、課題にとって行動を促す上で必要なネイチャーポジティブとは何かというのをまず示していく必要があるけれど、ネットゼロにする待機するものとして、生物多様性としては2030年までにネイチャーポジティブを目指すというのが状態目標であるという形でうまく説明していただくと分かりやすくなるかなと思いました

 以上です。

○中静委員長 ありがとうございます。

 では、広井さん、お願いします。

○広井委員 ありがとうございます。

 既に出ております11ページの下の自然を活用した社会課題の解決のところですね、これは、非常に私は書かれている内容、共感しまして、重要かと思います。言い換えると、人口減少社会における地域再生、あるいは地方創生、これにおいて、自然あるいは生物多様性が非常に大きな鍵を握る、その課題解決につながるという。

 これは、今、日本社会にとって大きな課題が人口減少社会、地域の衰退等に関する問題だと思いますので、その解決に資するという視点は非常に重要だと思いますし、また、これは、ある意味で日本がフロントランナーというか、人口減少社会という点では、よくも悪くも先進諸国のトップを走っているみたいなところがありますので、日本の独自性、固有の課題への対応という点でも、そういう人口減少社会における生物多様性保全というのは、ある意味で非常に新しいテーマだとも思いますので。

 それが、またネイチャーベースドソリューションとかネイチャーポジティブ、都市と農村のウィン・ウィンの関係にもつながるという。これは非常に重要な点だと思いますので、展開して発展させていくのがいいのではないかと思います。

 以上です。ありがとうございました。

○中静委員長 ありがとうございました。

 発言を希望されている方は以上ですけれども、ほかにありますか。時間もあるので、では、事務局、環境省のほうから今のご意見に対して、何かコメントがあればお願いします。

○中澤戦略推進室長 ありがとうございます。戦略室長の中澤でございます。

 ネイチャーポジティブに関する点、委員の皆様の間での意見交換、非常に興味深く聞いておりました。そういった定義、日本なりの考え方というものについて、これまでのいろんなフォーラムでの考え方も含めて深めていきたいと思っています。

 そのほか、EBPMの関係ですとか地域づくりにNbSを活用していく、さらにはグリーンインフラ、グリーン・・も。さらに、やっぱり地域との関係で歴史とか文化との関係は非常に重要なことだというふうに思っていますので、その関係についても、次の素案の中にきちんと反映していくことを考えていきたいと思います。

 それと、生産・消費サイドの話につきましても、これは、それぞれの・・ともに相互関係があるというご指摘、やはり非常に重要なポイントだというふうに思っていますので、そういった点を踏まえて考えていきたいと思っています。

 人口減少社会と地域社会との関係、そこにネイチャーベースドソリューションの関係を当てはめていくか、これについても、これまでのいろんな経験があると思いますので、そういったものを踏まえて、我々の中でもきちんと頭の中を整理しながら次の素案に反映していきたいと思っております。

 さらに、自然再生が最近、弱いんではないかというようなご発言で、これが始まって10年余が過ぎておるわけですけども、今、自然回復の・・という中で、そういった自然的な話も含めて、私どもの中で、全然ですが、すみません、中で自然再生の在り方、想定しています30by30の関係ともつなぎながら、またその中に反映していきたいと思っています。

 今回、非常にご示唆に富むご意見をありがとうございました。素案の中で、また・・の中で、セッションしながら考えていきたいと思っています。ありがとうございます。

○中静委員長 ありがとうございました。

 では、時間もあるので、次の議題、次の部分ですね、第1部の第4章から第2部の行動計画に、あるいはその他の事項に関してのご質問、ご意見をお願いしたいと思います。またチャット欄に書いていただければ、こちらでご指名いたします。

 亀山さん。

○亀山委員 国環研の亀山です。

 今までのご説明ありがとうございます。コメントは、今までも何回も出てきたビジネスに関する部分でございます。ここのセクションで言うと、各主体の役割の事業者の部分、それから行動計画のビジネスへの浸透に関係する部分となります。

 やっぱり最近、民間の企業の方がこの問題には非常に関心を高く持ってくださっているにもかかわらず、自分らとして、何をしたらいいのかが分からないというようなご相談を受けることもあります。ですので、ここのところに書いていただく際には、事業者とかビジネスといって一くくりにして書くのではなくて、できるだけ業種ごと、あるいは企業の活動の内容に応じて具体的に、できるだけ具体的に書き分けていただいたほうがいいと考えております。

 例えばですが、国内の開発に関係する活動に関わっていらっしゃる企業様に関しては、先ほどからお話が出ているような再生可能エネルギーとの重複ですとか、OECMの30by30といった保護地域を保全していく取組といったところの重要性ということを強調すべきだと思いますし、様々な物資を輸入している業者に関しましては、サプライチェーンを通じた海外での生物多様性の重要性でありますとか、海外からの調達を国内調達に変えることができないかどうかの検討、そういったことも書き込んでいただければいいんじゃないかなというふうに思いました。

 金融セクターも最近、非常に関心を持ってくださっていますけども、ESG投資ということを具体的にやりたいと思ったときに、生物多様性の観点からはどういうふうに気をつけていかなくてはいけないのかということができるだけ具体的に書き込めると、企業の方々も、それに沿った形で動いていただけるのではないかなと思いました。

 以上です。

○中静委員長 ありがとうございます。確かに、これまでの国家戦略だと政府がやることがほとんどになっているので、そういう視点からも企業の目標というのは、結構、重要かもしれないと思いました。

 それでは、愛甲さん、お願いします。

○愛甲委員 ありがとうございます。

 第4章のところで、一つは地域戦略についてです。ちょうど今、国家戦略も改定ですけど、地域戦略も、それに合わせて改定をしている自治体が非常に多くあります。その中で、国家戦略がどういうふうに書かれるかというのもそうですし、地域戦略をどういうふうな位置づけにするのかというのも、かなり注目されているところだとは思うんですね。やはり、実際に行動に移していくとか、あと市民のレベルでいろいろとやっていただくというためには、地域戦略は非常に重要で、それに対して、ちょっとこの書きぶりでは少し足りないんではないかと。

 第4章の第1節の②のところの一番最後のところにちょろっと書いてあるだけで、具体的なことがよく分からないという書き方で、これでいいんだろうかというのは一つ思うところです。多様な主体の連携とか、その下に書いてあることとか、あとランドスケープアプローチとかも考えると、地域政略は非常に重要だと思うので、もう少し、ここをきちんと書くべきではないかと思います。

 それと、あと、第3章の状態目標と行動目標のところとも関係ありますけど、4章の第2節の点検のところでは、第3章で設定した「指標」という言葉が出てきます。これの点検と第3章で言っている状態目標、行動目標との関係がちょっとよく分からないというところがあるんですけど、先ほど説明があったように、状態目標と行動目標が、行動目標のほうが、どちらかというとアクションに直接つながり、それを評価していくということになると思うんですが、それによって状態目標のほうの目標がどう達成されるのかというような観点での評価も必要だろうと思っております。

 以上です。

○中静委員長 ありがとうございました。

 では、吉田さん、お願いします。

○吉田委員 ありがとうございます。

 第4章1節の七つの考え方、ここに関することで、幾つか不足している部分じゃないかなという視点があるのでお話ししたいと思います。ちょっと多いので、六つぐらいあるので手短にお話ししたいと思いますけど、七つの考え方を、例えば八つ目を入れるとして取り上げるのか、それとも既存の中で少し工夫して入れていただけるかというのは、考えていただければなと思いますが。

 まず、一つ目のちょっと抜け落ちているんじゃないかなという視点が、先ほどから歴史という話が出てきたんですけど、どちらかというと人間社会のほうの歴史の話が中心だったんですけど、自然のほうの歴史というか。元来、その場所がどういう自然環境だったのか。例えば、湿地的な環境だったのか、森林的な環境だったのかとかですね。そういう、その場所が本来、持っている自然環境がどうだったのかという視点をきちんと。例えば、自然再生でもそうですし、自然を活用した課題解決でもそうなんですけども、非常に大事なってくると思うんで、その視点を入れていただきたいというのが一つです。

 二つ目の視点として、どちらかというと生物多様性とか生態系というのは、「生態系サービス」とか「自然の恵み」という言葉は入っているんですけれども、生態系が持っている特性であるとか生物多様性がどういうふうに維持されているかというメカニズム、そういう視点がもう少しあってもいいのかなと思いました。例えば、自然というのは非常にダイナミックに時間的に変化するものですけども、そういう視点が入っていないと、なかなか生物多様性の保全であるとか、あるいは自然を活用した課題解決に生かせないということがあるので、その動態のことですね。時間的なダイナミクス。

 それから、空間的な広がりとして、例えば、流域みたいなものは入っているんですけど、「生態系ネットワーク」のような言葉がほとんど入っていなくて、メタ個体群とかメタ群衆と呼ばれるようなことに関連する、そういう言葉じゃなくていいと思うんですけれども、「生態系ネットワーク」という言葉がいいかもしれませんが、そういう視点も入れていただきたいというのが二つ目です。

 三つ目が、水とか栄養というのは非常に循環しているわけですけど、その視点がほとんど書いていないというのが気になっています。これは、陸域と海域のつながりとかとの関連もありますし、例えば、富栄養化の問題とかというような直接要因に関連するところでも非常に大事になってくる視点ですので、入れていただきたいというのが三つ目です。

 四つ目が、トレードオフとシナジーと書いてあるんですけれども、これはランドスケープアプローチの中だけでしか書いていなくて、もっと広く大事な視点だと思うんですね。トレードオフをいかに最小化し、シナジーをいかに最大化するのかと。例えば、生物多様性保全とカーボンニュートラルの施策については、非常に大きなトレードオフがいろんなところで指摘されていますけども、これをどう最小化して、それぞれを生かしていくのかという視点とかは大事だと思うんですけれども、それはランドスケープアプローチだけにとどまらないと思うので、もう少し強調していただければなというのが四つ目です。

 五つ目が、取組を継続していく。これは、この後、行動計画とかがありますけど、そういうものを継続していくために、次世代にどう継承していくのかと。これは、広い意味で言うと教育ですけど、学校教育だけじゃなくて、地域の社会でどうやって、あるいは、それから多世代ですね、生涯にわたる普及とか教育とかというものをどうやって進めていくのかということを入れていただきたいというのが五つ目です。

 六つ目が、最後になるんですけど、連携のところは少し書いてあるんですけども、やっぱり、これまでずっと議論があったように、例えば、行政部局間の連携ですね。環境省がやるだけじゃなくて、いろんな省庁と連携してやるとか。それは国レベルだけじゃなくて、都道府県レベルであったり市区町村レベルであったりも大事だと思っています。

 それから、官民連携ですね。これは、多様な主体の連携みたいなところで少し表現されているかもしれませんけど、もう少し、官民連携とか、いろいろな多様なセクター間の連携というものをきちんと明示的に入れていただければなと思います。

 以上、6点でした。ありがとうございます。

○中静委員長 ありがとうございました。

 では、橋本さん、お願いします。

○橋本委員 ありがとうございます。

 第4章第1節、記載のポイントについて、一つ目のコメントです。ここは、どこまで読み込めば十分なのかという問題はあるんですけれど、私は、ここで検討していただきたいのは、ネイチャーベースドソリューションズの取組、あるいはその推進ということ自体も、もしかすると基本的な考え方になるんではないのかと思いました。④のランドスケープアプローチが入るのであれば、NbSを入れてもよいのではないのかなと思った次第です。

 関連して、先ほどのネイチャーポジティブも、本当は考え方としてのネイチャーポジティブというのが具体的に示せるんであれば、ここに入れるというのも一つの案なんですけど、それが時間までに間に合うかどうかというのもあって、それは、ちょっと強く求めることはあるんだと思います。

 二つ目が第4節です。各主体の役割です。これ、前々回の検討会のときにもコメントさせていただきました、実施体制をどう担保していくのかというのが複数の委員からコメントが出ています。ここの各主体の役割が縦割りを排除した部分と、ここでは書いてあるんですが、単に国、地方公共団体、事業者等で、それぞれ主体別にこうこうこうであるというような書き方になるんではなくて、それはそれで重要なんですけれど、ここで言いたいのは、その全体を包括とまでは言わないんですけれど、戦略のモニタリングだとか、国レベルで関係主体間の連携を促進するような場をつくっていくということも明記していただきたいなというふうに思います。

 つまり、戦略をつくって、そこでおしまいで、次の例えば中間評価とかモニタリングのレポートなどがそれぞれ個々ばらばらに動くという形になるんではなくて、やっぱり定期的な情報交換の場を、前回の委員会では、たしか省庁連絡会議の話が出ましたけど、そういうものも有効活用しながら戦略の実効性を確保していくというような記載をしていただきたいと思います。

 以上です。

○中静委員長 ありがとうございました。

 では、勢一さん、お願いします。

○勢一委員 ありがとうございます。勢一です。

 私は、今、ご指摘があった多様な主体の連携・協働の促進のところについてコメントをさせてください。

 今、ご指摘があったとおり、実施に向けては、ここ非常に重要だと思っています。一つ目の項目で書いていただいている施策間、多様な主体間の連携強化、もちろん強化いただくのは必須だと思いますが、やはり、ここは具体化が肝になりますので、これは1枚ですかね、第2部の行動計画にどのように書いていただけるかというところになるのかなと思います。

 そこにつながるという意味では、二つ目の部分、様々な計画との間でシナジーを図れるようにという、これは非常に重要だと思いますが、シナジーを担保するために、関連する様々な取組は生物多様性の保全と持続可能な利用に資するものとなるように働きかけることが必要であるというふうに書いてあります。誰が何に働きかけるのかというようなこと、ちょっとこの表現だけでは、今の段階では分からないというところなので、この辺、具体化の段階で非常に重要だと思っていますし、合わせて「働きかけ」では弱いのではないかというふうに感じています。

 やはり国家戦略でありますので、国家が国際約束と持続可能という意味で将来世代への責任においても政策や制度をしっかり用いて担保していくと、それを表明するものが国家戦略だと思いますので、そういう意味では、ふわふわした感じの表現ぶりでは心もとないというのが今の感想です。今後、書き加えていただけるんだと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。

○中静委員長 ありがとうございました。

 では、白山さん、お願いします。

○白山委員 ありがとうございます。

 二つ、コメントさせていただきます。一つ目は、ランドスケープがあればシースケープもあるよということで、そこをお忘れなくということを一つコメントしておきます。

 二つ目のほうが大きな課題ですが、やっぱり今の社会を考えたときに、生物多様性を主流化するのに鍵になるものとして、メディアの役割とかSNSとか、そういうIoTというか、そういう情報インフラというものが物すごく役割として重要だし、役割を大きく果たしてくれる期待も持てると思うんですね。全体に、どうもそこに関する記述が不十分な気がいたしますので、もっと、そういう新しいコミュニケーション手段を積極的に、かつ効率的に使って国家戦略を。戦略を立てて、もう、それでおしまいじゃなくて、本当に実現するための戦略の一つとして、含めていただけるとありがたいと思います。

 勢一委員がご発言の途中だったようですので、ここで私はもう簡単に終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

○中静委員長 ありがとうございました。

 すみません、勢一さん。じゃあ、続きをお願いします。

○勢一委員 連携をしていただくといったときには、やはり自然の生態系上のロジックに法律や制度、組織を合わせていただくということが重要だろうと思います。私、野付半島のガイドツアーに連れていってもらったことがあったんですけども、通りがかっていて、こっちは国有林ですと。国有林のほうに入るためには特別な許可が要りますというような話がありまして、そういうのが象徴的だと思うんですけれども、一つの森林・湿地などの生態系に複数の土地所有者がいて、複数の法令に基づいて保護区等が設定されているというようなことが多数あろうと思います。こういうときに、自然生態系の構造のほうに制度を合わせていくという形で、しっかり連携を取っていただくことで、異なる法律の異なる計画をしっかりリンクしてもらうということ。

 あわせて、地方自治体の区域も越えますので、地方自治体においても広域連携というものをしっかり組んでいただいて、対応してもらうということが重要だと思いますので、よろしくお願いします。

 以上です。

○中静委員長 ありがとうございました。

 ご発言を希望されている方は、大体、これで全員ですけれども、ほかにございますか。

 では、今までの発言、まとめてコメントできるところを環境省からお願いします。

 ああ、大沼さんがありますということですね。大沼さん、じゃあ、最初にお願いします。先にお願いします。

○大沼委員 すみません。最後に発言させていただきまして、ありがとうございます。

 今、お話しいただいたりした中で、経済に関するところで少し分かりにくいところがあるので、その辺もご検討いただきたいんですけれども。

 例えば、14ページでグリーンファイナンスやESG投資の拡大を図るということはとてもよいことだと思うんですが、ここは、「グリーンインフラの社会実装を通じたグリーンボンド等の民間資金調達手法の活用により」という、何か非常に限定した場合にだけ書かれているような印象を受けます。グリーンファイナンスやESGは非常に広範な形で当然、活用していただきたいところでありますので、限定的な形で書くのではなく、もう少し広範な、生物多様性以外にも当然あるわけですので、広範な形で利用できるんだということを強調していただければと思います。

 それから、その上にあるところ、ここは生物多様性条約や名古屋議定書に関わることだと思うんですけれども、ABSのことですが、やはり生物多様性の保全というものを通じて、公平・公正な利益配分とか伝統的知識を保護するとか、そうした形の、いわゆる自然保護だけではなくて、こういった人間社会の、例えば公平性とか、それから伝統知というものを保護するというところにつながっているんだということも、この辺もお書きいただければと思います。

 最後に、1点。先ほど、私、内部化ということをお話しした後、その後、何人かからご発言がありまして、少し誤解、私の発言が誤解されているような気がするので、ちょっとだけ訂正させていただきますと。もう一度、説明させていただきますと、私が言いたかったのは、ここに書かれている内容だと経済学で言っている内部化とは違いますよということなんですね。ですので、経済学でいう外部経済を内部化すべきとか、すべきでないということではなくて、タイリがあって、コンフュージングですよということを言いたかったので、その点をもう一度確認していただきたいということです。

 以上です。ありがとうございました。

○中静委員長 ありがとうございました。

 では、環境省さんのほうから何かコメントがありましたら、お願いします。

○中澤戦略推進室長 ありがとうございます。戦略室長の中澤でございます。

 全体を通じまして、実効性の確保というところを中心にコメントをいただいたという理解しています。国家戦略の中に書いていくもので、国家戦略と連携して、例えば、民間さんのガイドラインですとか、地域戦略策定手引ですとか、そういった周辺のいろんな素材も含めて、国家戦略、より実効を高めるようなことを取り組んでまいりたいと思っています。様々ないただいた論点、また、それを念頭に置きながら、私どもの中で素案作成に生かしていきたいと思います。ありがとうございました。

○中静委員長 ありがとうございます。

 この時点で、もう、ちょっと予定の時間は過ぎているんですけれども、もう一つ議題がございまして、その他ということで、30by30の問題について、ロードマップ構成と盛り込む主要なポイントについて、事務局からのご説明をお願いします。

○伊豫田補佐 事務局から議題3、30by30ロードマップにつきまして、構成と盛り込む主なポイントにつきまして、説明させていただきます。

 こちら、ロードマップなんですけれども、2030年までに30%保全という目標を達成するために、2030年までに集中して行う取組を中心に描いていくものとして、考えております。昨年8月にはロードマップの基本コンセプトというものを公表しておりまして、ロードマップ、今後、COP15の第二部において発信するということで作成を進めていくということとしております。こちらの資料は、ロードマップの構成と、それらに盛り込む主なポイントということでご覧いただければと思います。

 まず、こちらの1ページ目ですけれども、こちらは、今、表示されているものは構成、または目次のイメージということでご覧いただければと思います。

 次、2ページ目ですが、2ページ目以降、それぞれの項目につきまして、どういったことを書いていくかということ、あと、主なポイントについて述べさせていただいております。

 まず、1番のキーメッセージのところでは、まず、保護地域の拡充と管理という部分、またOECMの設定・管理というところを重要なので書いているところで。また、エリアベースの取組というのは、NbSの基礎となる健全に機能する生態系を確保するための基盤的・総合的なアプローチであると、こういったようなことを書いていきたいと思います。また、こちらのローカルSDGsにも直結するものであるといったようなことも述べていきたいと考えております。

 次、2番が目標の背景という部分になってくるんですけども、こちらには30by30の30%目標の国際的な動向ですとか、あとはOECMに関する国際的な動向、また科学的知見や日本の自然環境の特徴といったものを、こちらで述べていきたいと考えております。

 3番で本ロードマップの目的ということで、先ほど申し上げましたとおり、30by30の目標実現までの行程と具体策を示すということを書いていく。

 また、4番のところで、30by30の達成によって期待される効果という部分ですけれども、基本コンセプトで示した効果を文献などを引用しながら書いていきたいなと考えております。

 こちら、次のページですけれども、主要施策と個別目標というところで、こちらに今、五つ上げております。一番上が先ほど申し上げました保護地域の拡充と管理という部分、二つ目はOECMの制度の構築ということで、2022年度には自然共生エリア、民間の取組等によるものなんですけども、こちらの試行開始と。また、2023年には、100地域以上を先行的認定と、こういったことを進めていきたいと。あと、3番で見える化というものを進めていくということ。また、4番は生態系がつながり合い質を高める取組。また、5番で脱炭素、循環経済、有機農業、都市における緑地等の取組と連携と、こういった部分について触れていきたいというふうに考えております。

 次、6番ですけれども、この主要施策、・・とかの主要施策ですね、を支え、推進する横断的取組ということで、こちら、自然関連データの利活用や相互利用ですとか、主な企業による取組の推進、消費者行動の変容、また地域主体の取組へのインセンティブ、こういったものを書いていきたいと。あと、事業活動におけるリスク評価、情報開示、ESG投資と、そういったところの推進についても触れていくというふうに考えております。また、経済的手法を活用した民間企業による保全と保護の推進、それとデジタル技術等を活用したモニタリングの効率化、あと国際的な協力、そういったことについても書いていきたいと思っております。

 次のページへ行きまして、7番で各主体に期待される役割ということですね。主体別に期待される役割というのが出てきたりと。

 8番のところで、中間評価の実施について触れていきたいと思います。こちら、先ほど主要施策の中でありました「見える化」の仕組みの構築、こちらによって、効果的な地域の生物多様性保全上、効果的な地域を把握・検証するということとともに、目標達成の内訳などを見直すといったことをしていきます。また、同時に、フォローアップについても行っていきたいと考えております。

 あと、9番のところで、最後ですけども、こちら工程表を書いていきたいなといったところでございます。

 その後ろ、参考に、8月に公表しましたG7サミットについてを、つけております。

 事務局からの説明は以上になります。駆け足で申し訳ありません。

○中静委員長 ありがとうございました。

 時間もないことですが、もしご質問、ご意見がありましたら、お願いします。

 愛甲さん、お願いします。

○愛甲委員 ご説明ありがとうございました。

 一つは、従来の保護地域について、必ずしも管理が現状でも十分じゃないところもあり、30by30の話は、どうしてもOECMに目が行ってしまいがちですけど、そういった従来の保護地域の管理を充実させるということもきちんと書いていただきたいと。ポイントのところで、企業や民間等の取組を活発にするという話もありました。そういうことを、どう既存の保護地域でもご協力いただくかというところも大事なポイントではないかと思います。

 あと、もう一つは、いろんな保護地域と、あとOECMとのネットワークによって、生物多様性の保全が図られるということも重要なところで、そこをどう評価していくかという観点。

 それから、ただ単に保護地域を数として増やすだけではなくて、それがきちんと管理されている状況になるかと。これは先行してやっているほかの国とかでも、もう言われ始めていることで、ただ単にペーパーパークが増えるだけにならないようにするような評価などをきちんとするということも重要で、そういうこともきちんと書いていただきたいというふうに思います。

 以上です。

○中静委員長 ありがとうございます。

 では、橋本さん、お願いします。

○橋本委員 ありがとうございます。

 まず、内容についてなんですけれど、これは、私、さっきのネイチャーポジティブの理論でいうと、あるいは今回の戦略の位置づけでいうと、行動目標だと思うんですね。それは、何に資するんだろうかというと、ネイチャーポジティブに資すればいい部分なんだと思うんです。そのように考えると、4ページ目、30by30の目標の達成によって期待される効果というところに生物多様性が明示的に書かれていないことが少し気になります。恐らく、これ、ロードマップを具体化していく際に、それにつながるところだと。ただ、30by30を仮に実現できた、あるいは中間評価の際に、こういう状況であるということに対して、行動目標、ここまで達成できたということに対しての状態がどこまで改善しているのかというのをどのようにモニタリングしていくのかというのが必要だと思います。・・・。

○中静委員長 ちょっと、よく聞こえません。

○橋本委員 すみません。これは、どこまで聞こえていましたか。じゃあ、もう一回、言います。

 30by30は、いわゆる、これ、今は行動目標のような書き方になっていますので、これが、じゃあ、論理を確定するものなのかというあたりです。これ自体が実行できるんじゃなくて、これは本来は生物多様性保全に資するものとしての行動目標だと思うんですね。そういうふうに考えると、スライド4に期待される効果として、生物多様性のことが特に明記されていない。どちらかというと副次的な効果というか、それ以外の効果のほうが書かれているというのが少し気になった次第です。

 もう一つは、じゃあ、行動目標が達成できている、あるいは進捗したということに対して、状態がどのように改善したのかというのを、恐らくロードマップの中でどう評価していくのかを位置づけていく必要があるということです。これは、単なる30by30の進捗評価だけじゃなくて、恐らく戦略、国家戦略全体としても、本当に、じゃあ、ネイチャーポジティブを実現できたのかということを評価することが求められるということを示唆しているわけでもあります。

 以上です。

○中静委員長 ありがとうございます。

 ほかにご意見、ご質問のある方はいらっしゃいますか。今日、もう10分以上、時間を過ぎていてですね。

 大沼さん、どうぞ。

○大沼委員 ありがとうございます。

 簡単にコメントさせていただきます。30by30は、これから生物多様性保全の柱になると思うんですけれども、ここに書かれていないことで、ぜひ触れていただきたいことがあります。それは、やはり、こうした保護区をつくるということは、他の経済活動というものをやらない、あるいはそこに制約をつけるということで機会費用というのが必ず発生するわけですね。機会費用というのは、30%という面積をつくるとなれば、非常に膨大なものになるということになると思います。こうした機会費用というものを、どうやってバランスを取っていくのかということですね。

 特に、経済成長などの観点からすると、これは当然ですけれども経済成長というのを抑制するという批判とかは、当然出てくると思うんですね。ですので、そうしたことも念頭にして、こうした機会費用というのは発生するんだけれど、こうこうこういう方法でそれを埋めていくとか、機会費用を上回るような利益というものをこうこうこういうことで出していくとか、そうした道筋というものを、ぜひ、ここに書かれていただくことで、経済と、それから、こうした自然環境の生物多様性の保護というものの両立というものを理解していただけるんではないかなと思います。

 以上です。

○中静委員長 ありがとうございます。今のは、とてもよいコメントだったなと僕自身は思いました。

 ありがとうございます。今、既に、もう15分超過していまして、これ以上の議論をするのはちょっと難しい状況なんですけれども、もし追加のご意見、ご質問等ありましたら、事務局にお寄せいただいて、いい国家戦略になるように反映していただければというふうに思います。

 では、これで今日の議論は大体終わりということで、進行を事務局にお返ししたいと思います。なかなか、皆さん、大変たくさんのご意見を活発にいただいたので、時間をオーバーして申し訳ございませんでした。でも、いい意見がたくさんあったというふうに思っています。どうもありがとうございました。

○司会 中静委員長、議事進行ありがとうございました。また、委員の皆様は、活発なご議論ありがとうございました。

 閉会に当たりまして、大臣官房審議官の松本よりご挨拶申し上げます。

○松本審議官 中静委員長をはじめ委員の皆様、本日は長い時間にわたりまして、活発なご議論をいただきまして、誠にありがとうございました。

 まず、冒頭、参加いただきました2団体から興味深い活動とご提言、そして現場の状況、課題などにつきましてご説明いただきました。ありがとうございました。その後、次期国家戦略の骨子案、そして30by30ロードマップの作業状況報告について多面的に有益なご意見を賜りました。これらを基に、引き続き、次期生物多様性国家戦略検討を進めてまいりたいと考えております。

 なお、次回の小委員会は3月22日に開催を予定しております。そのときには、国家戦略素案の検討をご議論いただきたいと考えておりますので、委員の皆様におかれましては、次回もぜひ積極的なご議論を賜りたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、誠にありがとうございました。

 以上です。

○司会 それでは、これにて小委員会を閉会とさせていただきます。

 本日は長時間にわたり、どうもありがとうございました。

午後4時47分 閉会