中央環境審議会 自然環境部会 野生生物小委員会 第22回議事録

日時

 令和2年1月22日(水) 10:00~11:55

場所

 環境省第1会議室

出席者

(委員長)

石井 実

(委員) 新美 育文
(臨時委員) 石井 信夫 尾崎 清明 小泉  透
小菅 正夫 白山 義久 高橋  徹
宮本 旬子
(専門委員) 磯崎 博司 桜井 泰憲 高橋 佳孝
マリ・クリスティーヌ
(環境省) 鳥居自然環境局長
白石大臣官房審議官
庄子総務課長
中尾野生生物課長
川越鳥獣保護管理室長
堀内希少種保全推進室長
北橋外来生物対策室長

議事

【事務局】 本日はお忙しいところ、ご出席を賜り、誠にありがとうございます。定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会自然環境部会野生生物小委員会を開催いたします。

 本日は、全委員17名中13名のご出席を賜りました。このうち所属委員・臨時委員のご出席は11名中9名で、中央環境審議会議事運営規則に定める定足数を満たしていることから、本委員会は成立することを報告いたします。

 なお、宮本委員とマリ・クリスティーヌ委員は遅れてご出席されると伺っております。また、白山委員はご都合で途中までと伺っております。

 なお、本日の資料につきましては、皆様のお手元にございますタブレット端末の中に入っています。なお、操作につきましては担当者が説明の際に解説いたします。また、委員の皆様の後ろにスタッフが待機しておりますので、操作が不明となった際はお声がけくださるようお願いします。審議会のペーパーレス化の取組推進にご理解をくださいますようお願い申し上げます。

 それでは、自然環境局長の鳥居よりご挨拶を申し上げます。

【鳥居自然環境局長】 皆さんどうもおはようございます。自然環境局長の鳥居でございます。

 年度末のお忙しい中、朝早くからまたお集まりいただきまして、ありがとうございます。今、進行役のほうからもお話がありましたけれども、今、タブレットで審議会の説明、ペーパーレスということ、いろいろ環境省も働き方改革、あるいはこういったITを使ったできるだけ省力化あるいは省エネ化といいますか、省資源化を図るということで、またプラスチックも今使いませんので、ペットボトルは審議会では使わないということにしてございます。

 本日は、諮問案件が1件、そして報告案件が3件ございます。諮問案件につきましては、ゼニガタアザラシの管理計画ということで、先般1年延長しましたけれども、今回は第2期ということで改定後の改定案をお示しすると。それから、前回のこの小委員会以降の主な野生生物に関わる動きについて報告事項として3件ご報告をさせていただきたいというふうに思います。どうかよろしくお願いいたします。

【事務局】 それでは、これ以降の議事進行につきましては、石井実委員長にお願いいたします。

【石井委員長】 皆さんおはようございます。朝早くからお集まりいただきありがとうございます。

 それでは、次第に沿って進めさせていただきたいと思います。本日は諮問案件が1件、報告事項が3件ということでございます。

 それでは、最初の諮問案件です。えりも地域ゼンガタアザラシ特定希少鳥獣管理計画(第2期)の策定ということで、まず事務局からご説明をお願いいたします。

【説明者】 自然環境局鳥獣保護管理室牛之濵と申します。

 本日は、諮問案件となっておりますえりも地域ゼニガタアザラシ特定希少鳥獣管理計画(第2期)について、私と、あとえりも自然保護管理事務所から平野自然保護官が参っておりますので、2名でご説明させていただきます。

 今、タブレットのほうにパワーポイントの表示がされているかと思いますけども、本日はこちらの特定希少鳥獣管理計画の第2期につきましては、このパワーポイント、あと正面の動画もございますので、スクリーンに投影させていただいてご説明させていただきます。座って説明させていただきます。

 では、まず特定希少鳥獣管理計画に先立ちまして、まず鳥獣保護管理法の特定希少鳥獣管理計画の位置づけということをまず最初に説明させていただきたいと思います。

 まず、ゼニガタアザラシですが、2002年に鳥獣法が改正されまして、希少鳥獣となり保護されることとなりました。それで鳥獣保護法が平成26年に改正され、鳥獣保護管理法に改正されまして、27年から施行されております。

 この改正におきまして、生息数が著しく増加し、又その生息地の範囲が拡大している鳥獣について、積極的に捕獲を行う鳥獣の管理の施策を強化することとなっております。従来の鳥獣保護事業計画を鳥獣保護管理事業計画に改めたところでございます。また、従来の特定鳥獣保護管理計画制度を改め、国が策定する希少鳥獣保護計画及び今回の案件となります特定希少鳥獣管理計画というものと、都道府県が策定する第一種特定鳥獣保護計画、第二種特定鳥獣管理計画ということを位置づけております。

 まず、大きなところで申し上げますと、環境大臣が鳥獣の保護及び管理を図るための事業を実施するための基本的な指針を定めるということで、こちらに大きなものが基本指針というものがございます。その下のほうに都道府県知事が策定いたします鳥獣保護管理事業計画、これは必須となっております。そこにあと任意計画ということで、例えばクマであります第一種特定鳥獣保護計画が定められております。これにつきましては、生息数が著しく減少し、また生息地の範囲が縮小している鳥獣の保護を図るための計画ということで、都道府県が任意で策定するものとなります。

 あと、その次に第二種特定鳥獣管理計画というものがございます。これにつきましては、主にニホンジカ、イノシシなどを定めている都道府県がございます。これにつきましても任意計画ということで、その生息数が著しく増加し、また生息地の範囲が拡大している鳥獣の管理を行う場合に都道府県が任意で定めるということになっております。

 それと、環境大臣が策定するということで、まず希少鳥獣保護計画ということがございます。これにつきましては、希少鳥獣の保護を図るための計画ということで、これも任意計画となっております。

 そして最後になるのですが、今回諮問するゼニガタアザラシの管理計画につきましては、こちらの特定希少鳥獣管理計画ということ、これにつきましては、特定の地域においてその生息数が著しく増加し、また生息地の範囲が拡大している希少鳥獣の管理を行う計画ということで、今回2期目の計画ということになっておりますので、これからその第1期目の計画の取組状況及び第2期計画の考え方につきましてご説明をいたしたいと思います。

 よろしくお願いいたします。

【説明者】 では、ここからは現場のえりもから参りました、えりも自然保護官事務所の平野よりご説明さしあげます。

 まず、少し背景のほうからご説明した上で管理計画の話をさせていただこうと思います。

 まず、ゼニガタアザラシの生態、どういったものかということでお話させていただきますが、ゼニガタアザラシ、種自体は北半球の広く北部沿岸に生息するものですが、北海道に生息する亜種としてはアリューシャン列島から襟裳岬の沿岸を一つの亜種としております。北海道というか日本で見られるほかのアザラシと比べて特徴的なのは、1年中沿岸域に生息しているということになります。かなり定着性が高いもので、出産も岩礁上で行っております。

 右側に地図があると思いますけれど、こちらの地図で襟裳岬がここにありますが、北海道で言いますと襟裳岬だけが少し離れていて、ほかに道東のほうに生息しているという状況にありまして、これもえりもの個体群は遺伝的な隔離もあるというようなことが確認されております。繁殖場としてもこの襟裳岬が北海道最大の繁殖場となっております。

 食性なんですけれど、この後サケの被害、定置網に入っているサケを食べてしまうという話が出てきますけれど、通常定置網がないような状況ですとミズダコとかスルメイカ、沿岸のアイナメみたいな底生魚類といった、あまり動かない底にいるようなものを捕まえて食べているようです。

 全道の生息状況、北海道にしかおりませんので、我が国の生息状況とも言い換えられますが、1940年代には1,500程度いたと推定されております。ただ、これが1970年代には400頭未満になっている。これが乱獲とか沿岸の生息環境の悪化が原因だろうと考えられております。

 ただ、近年、全道的に調査されたのが、少し古いんですが、2008年の記録で1,089頭が最大上陸頭数として出されております。これは観測したときに、一番岩礁にどれだけ上がっていたかというものの合計数が1,089頭でして、当然その間に海にいるものもおりますので、恐らく推定としては大体この1940年代1,500頭程度という辺りにまで回復しているのかなということが考えられます。

 これまでここが全道の話ですけれど、次のページがえりも地域のお話になります。えりもも全道の傾向と同じように、1970年代には少なくて、最大上陸頭数は150頭という数なんですけれど、現在のところは年によって変わりますけれど、600から300頭程度の上陸頭数が確認されております。推定されている生息頭数としては概ね900頭程度だろうということで考えております。

 こちらにグラフが1983年からずっとありますけれど、これは後ほどご説明しますけれど、ずっと帯広畜産大学の学生さんのサークルが脈々と観測を続けられて、こういったデータが出ているということになります。

 個体数増加に伴って、1970年代は減少していたんですが、だんだん上昇している中で、上昇傾向が見えるかと思うんですけれど、個体数増加に伴って漁業被害が深刻になってきております。特にサケの定置網漁だったり、タコの漁にも影響が出ているということです。ちょっとこの下の地図が小さいんですけれど、えりもに、この四角ものが沿岸に載っていると思います。これが全部定置網で20の網がサケの定置網としてあります。この被害を見てみますと、1984年は赤の範囲で、この一番先端が襟裳岬になるんですけれど、その中心が赤で被害が多かったんですが、最近になってくると、それが被害の範囲も拡大してきているということがわかると思います。

 ゼニガタアザラシをめぐる動きなんですけれど、かつての利用としましては、毛皮だったり肉だったり脂肪といったものが乱獲されてとられておりました。ただ、食生活等々豊かになってきて、1990年代以降は、特にこれは保護対象で法的な規制があったわけではありませんけれども、捕獲はされていないという状況にあります。

 生態調査や保護管理の動きを見ますと、70年代には天然記念物指定を行おうかどうかと。結局のところはなっておりませんけれど、数が減ってきたところでこういったものの調査が始まっておりまして、80年代、先ほど申し上げたゼニガタアザラシ研究グループというのが、これが帯広畜産大学のサークルの活動になりますけれど、これが今でも続く毎年のカウントを行っている、目視によるカウントのデータを出されている貴重なかなり古い段階から個体数の動きがわかるというものをされているものになります。2000年代に入りますと、東京農大、網走にオホーツクキャンパスがありますけれど、そこだったり環境省などの調査も入ってきています。

 もう一つ、一番下のところの地域における活動、これは少し特筆すべきところでして、地元の漁師さんのほうから率先して、もともとアザラシ、えりもにいた生き物ですので、共存しながら漁業を続けていくにはどうしたらいいのかというような思いから、被害調査とか防除の方法とかを探って、これも今も続いてやっておられます。

 存続可能性の評価のところになりますけど、レッドリストの動きとしましては、1998年に絶滅危惧ⅠB類と評価されております。数が減っていたんですけれど、2012年数の増加も踏まえて絶滅危惧Ⅱ類へと評価が変更されております。2014年にはゼニガタアザラシ科学委員会というものが設置されまして、その中で、先ほど見ていただいたようなカウントデータ等々のデータをもとにシミュレーションを行っていただいたところ、この矢印の下のところになりますけれど、えりも地域の個体群を見てみると、疫病等の発生の不確実性があったとしても、今後100年間における絶滅確率は10%以上にはならないだろうということが示されました。この絶滅確率が10%以上というのが絶滅危惧Ⅱ類の一つの評価基準となっておりますので、そこまでの絶滅のおそれはないだろうということで、次の年の2015年にレッドリストの検討会の中では準絶滅危惧ということで、いわゆる絶滅危惧種からは外れているという状況にあります。

 少し長くなりましたが、ここから今回の管理計画のお話になります。

 今、管理計画と言っているのは、右側の平成28年から始まっている特定希少鳥獣管理計画というものになりますが、その前段階として保護管理計画というのが2年間行っておりました。目的としては同じ、一貫しておりまして、えりも地域におけるゼニガタアザラシと漁業を中心とした地域社会をどう共存していくか。共存していきましょうというのが大きな目的として掲げられておりますが、前段の26年、27年の段階では、先ほどのシミュレーションの部分、まずはどういった状態なのかということを評価するという部分のところに集中していたんですけれど、28年に入ってから、先ほど牛ノ濵からの説明にもありましたけれど、特定希少鳥獣の制度ができまして、捕獲も含めた個体群管理も含めた被害の軽減を目指す管理を行っていくということで今やっているところでございます。

 続きまして、ここからが管理計画の中身のお話になります。

 今回、この場でご確認いただくのは管理計画の第2期ということになりますが、内容としましては第1期の計画を踏襲しておりまして、基本的には第1期で行ってきたことでわかったことなどを踏まえて第2期となっておりますので、少し第1期の話を長目に説明させていただいて、そこでわかったことなどを踏まえて第2期の変更のポイントなどをご説明しようと思いますので、ちょっと長くなりますが、お聞きいただければと思います。

 管理計画を立てるに当たって「えりも地域ゼニガタアザラシ保護管理協議会」という協議会を設置しております。こちらは漁業者を含め、観光関係の方だったり、行政機関、もちろん科学者の皆さんにも入っていただいて、全ての関係者で構成して、この中で保護の仕組みを考えていきましょうという協議会を設置しております。こちらの会長は今いらっしゃいます桜井先生にお願いしているところでございます。

 この取組内容としましては、3本の柱で、個体群管理、被害防除、モニタリングというこの三つの柱を基本として行っていくというふうに書かれております。具体的な取組に関しては、この管理計画、ちょっとややこしいのですけど、管理計画の下に事業実施計画というのを1年ごとに定めて、そこで具体的にどういった数何頭とりましょう、どういった方法でやりましょうというのは毎年フレキシブルにやっていこうということで、管理計画自体はその大枠を決める全体の方針といったところになります。1年ごとに定めた実施計画に関しては「ゼニガタアザラシ科学委員会」、この協議会の下にある委員会の中で評価いただいて、また次年度の事業についてもご検討いただくという形で、最終的にはそれを協議会の中で承認いただいて活動しているということになります。

 ここから先ほどの3本の柱を具体的にお話しようと思いますけれど、まず個体群管理になります。こちらは捕獲と書いておりますけれど、個体群を管理する上で管理計画に書かれている記載事項としましては、100年以内に絶滅する確率が10%未満となるよう留意しましょうと。これは先ほど申し上げた絶滅危惧種のⅡ類の判断基準になりますけれど、これを上回ってしまったらまた絶滅危惧種になってしまうので、それは大前提として避けるようにというのが管理計画に書かれている文言になります。ただ、それは大前提なんですけれど、実施計画の中ではさらに安全マージンといいますか、そういったところも見まして、まずは管理計画開始時、2016年の春になりますけれど、推定1,000頭ぐらいいると考えられるものに対して、まずは8割程度まで生息数を減らしてみましょうと。そういったことによって分布範囲も縮小させて被害の範囲も減ればいいのかなと考えているところでございます。

 それで、この8割まで減らしたところのまたシミュレーションをかけていただいたところでは、100年以内の絶滅確率は1%未満ということで、先ほどの10%未満として大前提がありましたけど、さらに安全面を見て1%未満のこの程度であればほぼ絶滅の可能性は低いだろうというレベルでまずはやっているところでございます。計画の当初としましては、3年間の中で年間100頭程度捕まえることによって、このぐらいの8割になるだろうというところで実施したところでございます。

 結果になりますけれど、2016年~2019年、これは4年間になります。1年計画を延長しまして4年間なんですけれど、合計の捕獲頭数としましては369頭捕獲しておりまして、数としては大体そのシミュレーションで求めていた数を満たしていることになります。

 ただ、二つ目のポツにありますように、捕獲した個体が当歳、その年生まれた幼獣が多くて、今年度の捕獲結果を踏まえたシミュレーションをかけていただいたところ、実際のところ最初にこれで800ぐらいに行くだろうと思っていたものより数が多くて、現在推定生息数は900頭程度だろうというものが出てきました。当初の目標の9割程度というところになっております。この幼獣が多いという話は少し捕獲方法の兼ね合いになってきますので、捕獲方法について少しお話しようと思います。

 捕獲手法については二つ主にやっているんですけれど、一つ目の説明としまして、漏斗式捕獲網というものがありまして、これちょっとポインターで説明しますと、定置網、サケが入っていって、中にここにサケがたまる状態になるわけですけれど、この金庫網をいつも漁師さんは上げてサケをとっているわけですが、ここにアザラシが寄ってきて食べてしまうと。

 では、そこに来たアザラシを捕まえてしまおうということで、これですね、漏斗のところ、この金庫の入り口、これは幅2メーターぐらいなんですけれど、ここに入り口をさらに小さい漏斗をつくって、アザラシは入って、入りやすいけれどなかなか出にくいというところでアザラシが中にいる状態を捕まえるというのが構造になっております。実際にちょっと映像を見ていただこうと思います。お願いします。すみません、前の画像をご覧ください。

 これが今金庫網の中から外側に向けて映像を撮っている状態で、アザラシは外側から今入ったところですね。こんな状態で今ごそごそしながら入って、しばらくすると中に入っているサケをくわえて出ていこうとします。また新しいアザラシもこうやって顔を出しというような状態で、ただ、くわえたままなかなか出られないみたいで、もがきながらですね。実際はこれが出ては本当はいけないというところなんですけれど、アザラシはやっぱりなかなか泳ぎがうまくて、口がちょっと開いている状態だとまたサケがあれという感じで覗いてというような動きがあります。

 これでじゃあ、アザラシが出入りするから全然とれないのかというと、実はこうやっているうちに中にいる状態も結構あって、そのときに朝ちょうど網を上げると中にアザラシが入っているということがあったんですけれど、すみません、モニターからもう一度タブレットに戻ってください。

 ただ、やっぱり今みたいなのが続くと、だんだん頭もよいアザラシは慣れてきてとれなくなってきたりもしていて、今の映像なんかも漁師さんに見てもらいながらいろいろとどうしたらいいかなという話をしながらやっていたところ、もう少し入り口を閉じて、この入り口の改良としておりますけれど、口のところ、入るのは下に重りがついて口が閉じているんですけれど、こじあけてアザラシは入れます。中に餌があれば頑張って入ってくるんですけれど、出るのはここ口がぶらぶらしてふさいでいるので、なかなかこれは出られないということで、今このタイプが主流になっております。こんな形で捕獲ができているところです。

 今、ご説明したのが定置の捕獲網になるんですけれど、今ご覧いただいているこの表は、捕獲方法二つありまして、二つのそれぞれの集計結果になりますけれど、今申し上げた一つの捕獲網、こちらが合計数としては87頭捕まえております。もう一つ刺し網で岩礁に網をかけても捕まえるというような少し荒っぽい方法をやっておりますけれど、これに関しては、実は数は280頭、この全体の369頭の大部分を占めるんですけれど、見ていただくと当歳がかなり多くなっております。というのもやはり生まれたての個体が遊泳能力も低かったり学習能力もあまりないというところで捕まりやすいので、これ次行きます。ちょっとまとめますけれど、刺し網の方法では一度に多く捕獲はできているんですけれど、もともと生まれたての個体というのは5割ぐらいが次の年までに死んでしまうと考えられておりまして、自然死亡率が高いということで、個体数の調整には大きく寄与しないものが多くとれてしまっていたというのが今までの傾向でございます。

 それに対して定置網に関しては、捕獲数は刺し網に比べれば多くはありませんけれど、定置に執着する個体、さらに大きな個体が捕まっているということで、こちらちょっと注釈もしておりますけれど、今までの撮影結果などを見てもらいますと、サケに依存する個体というのは大型個体が多くて、さらに同じ個体がかなり執着して何度もやってくる、一度味を覚えたものは何度もやってくるので、ちょっと言い方は悪いですが、犯人を捕まえるというような形で捕まえれば全体の個体群のポピュレーションサイズには最小の影響で漁業被害を抑えるためにはかなり効果的なのではないかということがこの第1期の計画の中でわかってきました。

 なので、今後この定置網の方法を中心に捕獲していこうというのが今後の方針でございます。

 今のが個体群管理になりまして、続きまして二つ目の柱の被害防除になりますけれど、もちろん個体数を減らして管理することによって被害を防ぐというのは一つ被害を防ぐ効果もありますけれど、ここで言う被害防除というのは、もう少し物理的にサケの定置網にアザラシがやってこないようにしようという方策です。二つほどやっておりまして、一つ目のところからご紹介しますと、こちら防除格子網というものを設置しております。先ほどのちょっと捕獲網の話と似ているんですけれど、金庫網の入り口のところ、普段は2メートルぐらいのところはアザラシが生息していない地域では完全に開いている状態なんですけれど、そこにサケは入れるけどアザラシはなかなか入れないというような網の目をかけて、アザラシだけを防ぐようなことができないかということで、これもかなり試行錯誤を繰り返しながらやっております。大きさが小さくなれば当然アザラシは入れないんですけれどサケも入りにくくなってしまうので、そのバランスがすごく難しくて、いろんな状態をためしているところでございます。

 また、もう一つの最近の試行としましては菱目型、網の目を45度傾けた形のものも使っておりまして、これですとアザラシは寸胴なので、アザラシには同じような効果があるのですけど、縦長のサケなんかにとってはこちらのほうが入りやすいんではないかというようなこともやっております。その映像もありますので、少しまた正面の画面をご覧ください。再生お願いします。

 ちょっと見にくいと思いますけど、これが菱目ですね。菱目になっているのがわかるかと思います。これも先ほどと同じように中から外を撮っているのですが、サケが今これ通過してこの中に入ってくるのがわかると思います。やっぱり一部は壁になっているので引き返すものもあるのですけど、さっきの中だまりというところでぐるぐるしているのでそのうちに中にまた入ってこられる。同じ日の少したった後の映像です。ちょっとこれ見えるかな、アザラシここに来ました。ここをこうアザラシが顔を覗いて、でも入れないなといって引き返す映像が見えるかと思います。こういった形でいろいろと本当に試行錯誤を繰り返しながら、漁師さんの協力といいますか、もう本当にこれを見ながらじゃあどうしたら次いいかなということを話し合いながら進めているところでございます。

 少し長くなりましたが、今の被害防除として防除格子網のお話になりますけれど、このグラフは我々船に乗って被害の状況を調べておりますけれど、サケの目合いですね、網の目が20cmの状態をまずやってみたところ、このグラフとしましては漁獲、青がとれた量で被害があったのが赤になりますけれど、この9月の最初の辺りですね、この辺は20センチのを使っていると赤い被害がたくさん出てしまったので、18に変えたところ被害は減ったと。ただ、漁師さんはやっぱりサケが入らないのが一番心配だったんですけれど、それなりにサケもとれている。例年に比べて今サケがとれていない状況ではありますけれど、それなりにとれてはいるということで、今の被害はゼロではありませんけれど、18cm×18cmの目合いというのは比較的効果的に防除もできていて漁獲量も確保できるというふうなのが、大体の認識として漁師さんの中でも今18cmのものを使うパターンが多くなってきております。ただ、それも状況に応じて大きさを変えたりもしておりますけれど、そういったところがわかってきているんですけれど、ただ、この後もちょっとお話しますけれど、ちょうど管理計画を初めてからの4年間というのがサケが本当にとれていない記録的な不漁というふうに言われております。そういった年が続いているために、通常サケがたくさんとれる状況ではどういったふうな効果が出るかというのはまだはっきりわからないところではありますので、ここら辺はサケがとれることを期待しつつ引き続き効果の検証を行う必要があるのかなと考えております。

 もう一つの被害防除の方法としまして、超音波忌避装置というものも使っております。アザラシが嫌がる超音波を出してアザラシが近づかないようにしようという試みでやっている、実際に定置にかけて調査をしているんですけれど、これがなかなかはっきりとした効果は今のところわかっておらず申し上げたように、前提としてサケの漁獲量が少ない年が続いているという部分があるのでなかなか何とも言えないところはあるという前提はあるんですけれど、ただ、格子網を使わず単独でこの忌避装置をつけてやったところ、被害がたくさん出てしまったことがありました。また、その次のところで、じゃあ格子網と併用してやってみようとしたところ、格子網の効果がかなり高いというのもあって、忌避装置自体の設置の有無にかかわらず低く抑えられているので、効果は不明だと。ただ、忌避装置設置数日後にアザラシが定置網の設置したすぐそばでアザラシが目撃されていたりということもあって、なかなかあまり効果のところはうまく芳しくないのかなというところは感じているところでございますが、実用性等を踏まえて早期的にこの取り扱いは判断しようということで今やっているところでございます。

 三つの柱の3本目です。モニタリングになります。こちらは被害状況、生息調査を継続して実施しております。先ほどの上陸個体数カウント、岬の突端から望遠鏡で目視でカウントすることに加えて、最近はドローンを使って撮影もしております。

 また、漁業者アンケートと書いておりますけど、実際に毎日漁師さんが被害どのくらいあったみたいなことをそれぞれの船で書いていただいていて、それで詳細な被害の状況も調べたりとか、あと水中カメラ等と、被害がどういうふうに出ているのかというのが2番目のところです。

 3番目としましては、アザラシの生息動向として行動調査なども調べたり、生息環境の情報収集なども行っております。それを先ほどのシミュレーションといった形で存続可能性評価に役立てて数量解析を行っているというのが主なものになりまして、これはモニタリングですので続けることが大事かと思いますので、あまり手法を変えず継続的に実施しているところでございます。

 肝心の被害が減ったのかどうかというところになりますけれど、これらの対策を行ったところが、これえりも漁協の全体の秋サケ定置漁の被害の状況になります。先ほどと同じように青が漁獲の尾数で赤が被害の尾数となっておりますけれど、この2016年のところ、ここからが対策が始まった年になりますけれど、見ていただくと、がくんとここで2015から16に漁獲量そもそもが落ちているというところで、被害の割合としてはここ高くなってしまっているんですけど、こういったかなり少ない状況でなかなか判断が難しいところなのかなというふうに考えております。ただ、ちょっと実はこれ2018年までしか集計が終わっておらず、今年度の秋の結果はまだここではお示ししてないんですけれど、ちょうど本当に数日前に速報が入ってきまして、まだ集計中、精査中ではございますけれど、漁獲尾数としては2016年と同程度のかなり少ない漁獲量になっておりますけれど、被害割合もかなり減って、今1.6%程度という形になっておりますので、少しもしかしたらそういった対策の効果が出ていたらうれしいなというぐらいのところでありますけど、そういった状況でございます。

 長くなりましたが、ここまでが第1期の内容になります。

 第2期に関しましてはポイントだけご説明しようと思います。第2期の管理計画としまして記載している事項については、現行の枠組みを維持してやっていきます。大きな変更はございませんということです。最初に第1期のところでご説明したように、管理計画には管理の目標、方策、被害防除対策に関する事項といった大きな方針を書いた上で、実施計画の中で具体的に管理方法とか捕獲目標数というところを定めていこうというような枠組みを変えずにやっていきますというのが大きなポイントとなります。

 一つ今回変わっている点としましては計画期間になりますけれど、管理計画の計画期間、法律上もともと概ね3年~5年とされておりますけれど、現行の第1期のものに関しては当初3年間、1年間延長して4年間としておりますけれど、状況としましては、ゼニガタアザラシの生息動向は比較的安定して、1年ですぐ大きく上下するというようなことはなさそうだと。さらにサケの定置網漁の漁獲量の年次変動というのが、すごく先ほど見ていただいたようにひどい年とかがあって、例えば3年とすると先の2年で評価しながら新しい改定のことをやらなければいけないとなるとなかなか評価が難しいだろうということで、そういったことを考えますと、第2期計画期間は5年間ということとしたいと考えております。ただ、5年間そのままではなくて、期間内に概ね3年を経たところで中間評価を行ってその次に続けるという形で考えております。変更点として大きなところはここになります。

 細かいところといいますか、ポイント、第1期との違いというところをご説明しますと、第1期の計画の今までの評価だったり、科学的知見、地元の利害関係者の意見などを皆さんのご意見を踏まえて、以下の文言を追加して、主なポイントを幾つか紹介させていただきますけれど、自然災害等により絶滅確率が10%を超えることが予想できた場合は捕獲を中止すると。疫病だったり自然災害があって数が減ったら、当然ながらそこで一回中止をして、モニタリングしながら状況を見て、また捕獲の再開の可否は判断します。

 2ポツ目ところになりますと、計画期間内に生息個体数の目標を達成した場合にも、漁獲被害の状況を踏まえながら個体数の調整は継続しますよと。達成したからそれでもうとらないですよということではございません。

 3ポツ目としましては、計画捕獲数に増減が生じた場合は、翌年次調整する等柔軟に変更します。これは特に捕獲方法として定置網を中心にやっていくということで考えておりますので、途中で定置網をもう数が上限に達したからやめてしまうというのではなくて、次の年に調整する等柔軟に対応しますということを入れております。

 続いて4ポツ目になりますけれど、四つ目のところは、手法の開発というのは今までも続けているところではありますけれど、開発・検討だけではなくて導入もしっかりと考えながらそこも進めていこうというのが新しく書いたところでございます。

 最後のところは、情報の収集は今までもやっておりますけれど、そういったものも一度ちゃんと整理した形でまとめようというのもここに記載しているところでございます。

 最後のまとめのところになります。今後の実施方針になりますけれど、これまで結果をご説明したので、大体内容を踏襲するという形になりますけれど、一つ目の個体群管理に関しましては、まずこれまで捕獲・混獲された個体の幼獣比率、性比、観測された上陸数等を反映、これは今反映したのが先ほど見ていただいたグラフになりますけれど、今後、定置捕獲網を中心に大型個体を捕獲するということを反映しております。

 今、第1期の計画当初では8割に達しているはずではありましたが、今まだ9割だというところでありまして、引き続き8割を目指して大型加害個体を中心に捕獲していくというのが大きな方針でございます。

 被害防除対策に関しましては、先ほどの漁網の改良、格子網は比較的うまくいっていますので、それを引き続きさらにいいものをできるように改良を加えながら実施していく。

 二つ目の音波忌避装置、先ほど申し上げましたが、これはちょっと実用性を踏まえて早期に取り扱いを判断する必要があるかなと。加えて、それとはまた全然別の方法も含めて新たな手法の開発導入を引き続き検討していくとしております。

 3本目のモニタリングに関しましては、こちらは継続することが大事と考えておりますので、これまでどおりやってきたことを継続して実施していきます。これら先ほどご説明したような内容になります。

 管理計画本体の説明としては以上になりますので、ここからは鳥獣室に戻しまして説明さしあげます。

【説明者】 それでは、地元利害関係人からの意見聴取の実施結果を報告いたします。

 特定希少鳥獣管理計画を策定または変更しようとするとき、あらかじめ利害関係人の意見を聴かなければならないということになっておりますので、今回、北海道、えりも町、えりも漁業協同組合など、七つの関係者の方に意見をお伺いしたところです。結果といたしましては、いずれもこの2期計画につきまして賛成ということで回答をいただいていることをご報告いたします。

 続きまして、パブリックコメントのほうも意見を募集したところでございます。期間といたしましては令和元年12月12日~令和2年1月10日までの30日間の期間を設けまして、募集としてはインターネット(電子政府の総合窓口)によって意見を募集したところです。意見募集の結果といたしましては、計画策定に関する意見はございませんでした。ただし計画策定に関係ない意見ということで1件意見がありましたのでご報告いたします。

 以上で、えりも地域ゼニガタアザラシ特定希少鳥獣管理計画につきましての説明を終わります。ありがとうございました。

【石井委員長】 どうもご説明ありがとうございました。

 実は私も特定計画の第1期が始まるときに石井信夫委員とえりもに行ってまいりました。金庫網の中でサケを全部食べるのではなく、半分だけ食べてしまうというような被害状況なので、漁業者のお怒りがかなりありまして、今後はこういう計画でアザラシを管理していくということを漁業者との話し合いの席に入らせていただいて説明したのを思い出しました。現地の歴代の自然保護官の方々に本当にご苦労をおかけしているのではないかなと思います。

 それではまず、協議会の会長を務められている桜井先生、何かコメントがありましたらお願いします。

【桜井委員】 かなり試行錯誤しながらやっていますけども、浜の漁業者の協力が非常によくて、一つ一つ相談しながら改良していくということができています。それで特に今年とそれからここ何年間はサケが非常に悪いですね。この原因ですけれども、特に去年に関しては道東海域が非常に高水温で、したがって平均水温で5度から7度高かったんです。結果的に択捉までサケがおりてきていて日本に南下しなかったと。その結果としてサンマも南下しない。逆にスルメイカのようなものが北方4島からオホーツクに入っているという形で、かなりの高温が影響しています。ということで、ここもかなり温暖化の影響を受けやすいと。

 それからもう1件は、ちょっと心配なのが、北極海の氷が溶けた結果として、大西洋側のアザラシと太平洋側のアザラシの交流が起きてきていると。大西洋のほうでアザラシジステンバーが蔓延していて、それがちょっと太平洋のアザラシにもついて、アメリカ側のラッコに今既に罹患状態が起きています。こういうことがまたいずれトドとかをつなぎながら来るかもしれないようになりますので、これもやっぱり温暖化の影響です。ですから、えりもというのも、いろんな保護しながら野生生物と漁業の共存というのは非常に重要でして、ぜひともこれに対しては今のような管理計画を続けていただきたいと思います。

 ちょっと風邪ひいてすみません。以上です。

【石井委員長】 はい。ありがとうございました。

 それから白山委員がそろそろご退席ということなので、何かコメントがあったらお願いします。

【白山委員】 海の問題なので一言コメントさせていただきますと、やっぱり、今、桜井委員もおっしゃったとおりで、環境の変化が海は今非常に激しいので、管理計画、毎年策定されるということと、それから見直しをかなり頻繁にやられるという今の計画とてもよいと思います。モニタリングをしっかりして、毎回、今のままでいいかということをしっかり慎重にやっていただければと思います。

 以上です。

【石井委員長】 どうもありがとうございました。それでは、ほかの委員の皆さんのご意見を伺いたいと思います。

 ここの議題としましては、第2期の計画についてご審議いただいてお認めいただければというものです。それではご意見、ご質問あったら、また名札を立てる方式でお願いできますでしょうか。では、石井信夫委員から行きましょうか。お願いします。

【石井(信)委員】 ありがとうございます。漁業との両立を図るということで、個体数調整を含む管理計画をつくるということについてはもちろん異存ありません。

 それで、少し細かいところを伺いたいと思うんですけど、捕獲方法として定置網につける何かかごみたいなものと、それから刺し網と両方使っているみたいですが、特に刺し網のほうは時期を限っているのか、例えば出産・保育時期なんていうのは避けてやっているのかなというのが知りたいことの一つです。

 それから、捕獲数については出ているんですけれども、混獲もありますよね。これの数がどのぐらいなのかどこかで示しておいたほうがいいというのがもう一つです。

 それから、生きたまま捕まえるときにどうやってとめ刺ししているのかが気になりました。それから、特に定置網のほうは溺死みたいなことも起きるのかと思います。その辺りどういう何か配慮をしているかというのは、場合によってこの計画が注目されると思いますので、きちんとその辺りが説明できるようになっているといいのではないか。多分用意はされていると思うんですけど、その辺りの細かいところがちょっと気になりました。

 それから、刺し網のほうで幼獣が結構たくさん捕まるみたいですけど、こっちの捕獲数が多いですよね。このように捕まえていると、年齢構成とかにゆがみが出てくる可能性もあるかなと思って、そういう場合は一部を放獣するとか、そういう何か細かい操作というのが考えられているのかなということです。

 それから、ついでにもう一つ伺うと、捕まえたものについては全部きちっとデータをとられていると思いますけど、せっかく捕まえたものについて、何か活用方法みたいなものもいずれ考えていったらいいのではないかと、これは感想です。何かお考えがあったら伺いたいと思います。

 以上です。

【石井委員長】 では一通り全部お聞きしてからにしましょうか。では、順番に行きましょう。尾崎委員お願いします。

【尾崎委員】 サケの漁獲量が2016年からですか、かなり極端に減っていると思うんですけれども、そういう場合に、ここのゼニガタアザラシはどこかほかに行ったりしますか。サケが主食だとすると、この漁獲量、つまりサケの生存数が減っていると思いますので、何かわかっていることがありますか。例えばサケからほかの餌にシフトするとか、そういうような生態がわかっていますか。これはあくまでサケの問題だけを検討されていると思いますが、ゼニガタアザラシの生態からしたときに、この餌の資源量がすごく減ったことは何らか対応しないと彼らは困ると思います。それから、格子網が20センチ四角のときは被害が多かったけど18にしたら少なくなったというのは、なぜそうなったかちょっと意味がよくわからなかったので、そのことを教えてください。

【石井委員長】 ありがとうございます。では、小泉委員お願いします。

【小泉委員】 コメントを三つ挙げさせていただきます。一つは、個体群管理と個体数管理は違うということです。結果として当歳が多くとられている。それが目的ではないのであれば、捕獲技術をより改善して高度化してほしいということです。

 それから、石井委員からも指摘がありましたけれども、捕獲したもののとめ刺しですね。特にアニマルウェルフェアというのが叫ばれている昨今ですので、やっぱりこの点ご留意いただきたいと思います。

 2点目が、ここの捕獲それから被害防除というところの説明に関して、漁師さんに聞いたところという説明が何度かありました。現地で了解を得ながら進めているという態度は大変大事だと思うんですが、科学委員会、それから専門家というのが、この捕獲それから被害防除というところにどういうふうに関わっているのかというところをもう少し明確にご説明いただきたかったなというふうに思います。

 それから3点目ですが、管理の進め方として、恐らくPDCAサイクルというようなプロジェクト管理の進め方が念頭にあるのではないかというふうに感じました。そういう目で見ますと、P計画とCモニタリングを含む評価というのは大変高いレベルに上がりつつあるというふうに感じました。しかしながら、被害防除と捕獲を含むDという段階がさらに向上を図る必要があるのではないか。向上を図るための体制づくりというのも必要なのではないかというふうに感じました。PDCAサイクルというのはどこかの段階のレベルが低いと回らないんですね。という意味で、PとCはどんどん高くなっていますので、Dもそれにあわせてどんどん高くなっていくようにご留意いただきたいと思います。

 以上です。

【石井委員長】 ありがとうございます。それでは磯崎委員お願いします。

【磯崎委員】 3点あります。初めのは、今、指摘のあった個体群と個体数との関連です。何度もやってくる個体があるという話が出ていたんですが、外見の模様とかでわかるのかもしれないですが、どんなやり方で個体識別をできるのかどうかですね。それが1点目です。

 それから2点目で、これも先ほど既に出た質問ですが、混獲との関連です。数が多い刺し網について、定置網の場合のやり方は詳しく説明があったんですが、刺し網の場合の捕獲方法というのが、単なる混獲なのか、それとも混獲とは別の方法で捕獲をしているのか、あるいは刺し網の場合に選択的な方法ができるのかどうかというのが二つ目です。

 三つ目は、ちょっと別のことで情報として教えていただきたいのですが、漁業との関連なので、沿岸漁業の話だったんですが、アザラシが内陸、河川の場合に漁業被害が出ているのかいないのかですね。その生態調査は行うと出ていましたので、河川についても調査はしていると思うんですが、そこで何か漁業被害、その他生じさせているかどうか。大した量ではないので取り扱う必要がそもそもないのかどうか、その辺りが三つ目です。

【石井委員長】 ありがとうございます。

 それではクリスティーヌ委員お願いします。

【マリ・クリスティーヌ委員】 すみません。ほかの先生方が私も聞きたかったことを幾つか非常に高度なレベルで聞いてくださったのでそこまではいきませんけれども、でも、結局やろうとしていることは、このアザラシを殺してもいいかどうかという許可をこの委員会で出すか出さないかだと思うんですね。それこそどうやって命をとめるかとかという言い方はあるけれども、結局殺してしまわなければいけないということが現状であって、やはり動物を殺すということ自体は非常に心苦しいことであり、それである意味では彼らにとってみれば絶滅危惧種にならなくて非常に多くということになると、私たちも人口爆発というふうな直面にこれからぶち当たるわけですから、そのときに、私たちも結局種として多過ぎるから殺してしまったほうがいいのかという話になったときに、結局逆な方向からも見なければいけないと思うんですね。何となく聞いていますと、漁業本来の姿と、この環境省がやるべき仕事というのは、やはり私たちがどうやって自然を守っていくんだということがすごく大きな課題の中での、この大半しているジレンマをどう解決していくかということが、ここの何というのか、争点じゃないかと思うんですけれども、アメリカの例を皆さんよく知っていると思うんですけれども、環境やってらっしゃるので。1972年にアメリカでMarine Mammal Protection ActというMarine、海に生息する哺乳類をどう守るかという、そういうものがあるのかどうかもお聞きしたいということが一つです。

 それで、これの一番の原点というところは何かというと、これはマネジメントしなきゃいけないわけですよね。こうやって、生き物の。その中で、このエコシステムを重視したアプローチを使ってのマネジメントをしていきましょうと。ですから、増え過ぎちゃったら、どうしようとか、少なくなったらどうするとか、人間が入り過ぎたところに、どうやって、この生息しているものを守り、または、人間が住んでいるところに入ってこないようにということの、このバランスをどうやってマネジメントしていくかということを考えるということでの法律化されているわけなんですけれども。

 例えば、サケが獲れないから、漁業の方々にとって敵であるアザラシを、どうやって取り締まるかということではなく、むしろ、じゃあ、シャケをもっと獲れるように、どうすればいいのかということを考える上で、この間、アラスカの、私、シップクリックフィシャリースセンターというところへ行ってきたんです。そこにはダムがありまして、サケが毎年、そこに上がれるような環境をつくっているわけなんですね。そこの、非常にヒューマラスというか、ちょっとラクカというとエンドレスジャーニーダムという名前なんです。旅、ジャーニーの一番最後のエンドレスジャーニー死に行く場所だから、エンドレスジャーニーで、そこの川を上がって、そして、その滝を上ったらば、もう、そこでサケが死ぬ場所であると。

 でも、これは自然の生態系の中で、ずっとやってこられているものを、もっとしやすいような環境で、やはり卵を、そのフィシャリーズで孵化させて、また、流して、それでサケを多くつくっているわけなんですね。

 ですから、私たちが今、もっている、こういう近代的テクノロジーの中で、ああいう定置網の中にアザラシが入ってきた、入ってこなかったかということで、彼らを責めるのではなくて、むしろ、もっと最先端技術の中で、もっと日本の漁業が、サケがきちんと獲れるような方法を、もっとつくっていくとか、あと、そのアザラシに最先端技術の中でマイクロチップを、みんな、もう、生まれたらすぐにわかるわけですから、うめてあげて、どこに動いているのかということを見てあげたりするとか、そういうことで研究もそこに兼ねながら、どういうふうに移動しているかも含めて、それで、ああ、定置網が近くなったなと思って、ピピピとモニターで見たら、なるべくそこに行って、あまり近づかないようにしてあげるとかという、もっといろんな、殺す前に、ほかの方法ももっとあるのではないかなと思うのと、あと、このパブリックコメントの中でゼロというのが、ちょっと私、あまりにもおかしいと思うんです。パブリックコメントが見られていないということなんですね。一般市民だったら。

 私も週末にアザラシを見てきたんです。ある水族館で。そこにいたアザラシも含めて、彼らの餌に抗生物質を入れて投げているんですね。なぜかというと、自然から人間が見れるような場所に連れてきて、そのかわいそうなアザラシたちが、自分たちがふだんとらなければいけない栄養とかビタミン剤を補給してあげなければいけないような状況の中で、私たちは、そういう自然のものを、ああ、これはかわいいわね。自然のものなのねと勘違いして見ているわけですけれども。

 ですから、ここのところをもうちょっと、やっぱり環境省という立場から、守るという視点から、もっと違う方法があるんではないかという提案を、私は、もっと出していただきたいと思いますし、まして、レンジャーをやっている方だったら、いつも身近なところでアザラシを見ていて、殺されていくのって、ちょっとかわいそうというふうに思う気持ちってあると思うんですね。あまりにも、むごいという。

 そういうことを、私たちはしなくてもいいように、例えばアメリカのラフォイアに行きますと、アザラシとの戦いなんです、住民の方々が。でも、アザラシは守られているわけなんです。特に、このハーバーシールというのは、ほかのアザラシと違っていて、暖かいところにしばらくいないと、体の体温が温まらないから、いられる場所もつくっておいてあげなければいけないというふうな状況の中で、そこから、人が見るようにできるようになっていたりとか。

 ですから、地元にとって、サケが獲れなくても観光資源になってくれれば、人が来てくれて、また、別な収入を生んでくれるような、そういう工夫を、もうちょっと考えていただきながら、このエコシステムバランスというものを、もうちょっと進めていって差し上げることが大事だと、私は思います。

 本当に、最後の手段だと思うんです。捕獲して、そして殺してしまうということが。なので、私は、こういうものを、専門家ではないんですけれども、やっぱり生きている人間としては、やっぱりなるべく私たちは、命というものを大切にするということも、子供たちに教えていく上においては、いろんなやり方があるんだということを示していかなければいけないですし、最先端技術が、ここで、日本から世界に発信することができれば、ほかの地域にも同じような形でやっていただけるかもしれないと思います。すみません。

【石井委員長】 はい。ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。

 では、小菅委員、お願いします。

【小菅委員】 捕獲した後の問題、この活動が始まるときに、捕獲した個体については、動物園、水族館のほうへ、なるべく引き取ってもらいたいという議論があったと思うんですけど、実際、この数年間で、動物園、水族館のほうへ何頭ぐらい移籍されているのかというのを教えてください。

 それと、石井さんがおっしゃったとおり、僕もこれ、捕獲した個体をきちんと活用しなければやっぱり何か、アザラシに対して申しわけないような気が私もするので、やっぱりそれについてはきちんと、捕獲したことについては、こういうふうに活用している、無駄にはしていないということをしっかりと表明しておくべきだというふうに思います。

 以上です。

【石井委員長】 ほかは、よろしいですか。随分、たくさんコメント、それからご質問をいただいていますけれども。

 それでは、まとめて事務局のほうから、お答えできるところはお願いいたします。

【説明者】 いろいろとご質問をいただきありがとうございます。ちょっと抜けているところがあったら、ご指摘いただければと思いますが。重複する部分もあったかと思いますので、できるだけ順番には説明しようと思いますが。

 まず、すみません。いろいろと説明不足なところがあって、はしょってしまった部分もありましたので、なかなかうまく説明できていない部分もありますが、まず、第一に前提として、混獲の話が何度も出されておりましたけれど、今回、お話ししているのは、まず、積極的な「捕獲」の頭数であり、シミュレーションの中でも「混獲」は別に扱っております。

 混獲頭数は、大体、今までの過去の平均が73頭というのが、過去の最初のシミュレーション段階のここ数年の平均が出ておりまして、それをシミュレーションに使っております。実際に、毎年出てくる混獲数に関しても、ほぼ、その例に前後するような形、50だったり70だったり、その程度で推移しているという状況でございます。

 あと、刺網方法を、あまり詳しく説明しませんで、これも混獲に当たるのかどうかという話もありましたが、これ、刺網と申し上げても、いわゆるほかのスケソウダラとかを獲っているような刺網を、そのまま置いておいてということではなくて、これはアザラシ用に使っているものです。網目を変えて。

 ここら辺は、アニマルウエルフェアにかかわる部分かもしれませんが、捕まえるときには漁業者は刺網をかけて、もう、すぐそこで待機して、アザラシは驚いて岩礁から逃げて、そこにひっかかるような状態で獲っておりまして、かかったらすぐにあげるので、そこでほとんど溺死もしない状態になっています。なるべく苦痛を与えないという意味では、そこは試行錯誤をしながら、長く放置すれば、そのほうが獲れるには獲れるんですけれど、それは溺死も多くなってしまうので、なるべくそれはボートで見ながら、すぐ捕まったら引き上げるというような方法でやっております。

 その後の、捕獲された個体の扱いについても、皆様からご意見をいただきました。まず、水族館等々に譲渡するという話に関しましてはおっしゃるように、JAZA、日本動物園水族館協会の、皆さんにご協力いただいて一部は、アザラシは譲渡しております。希望を出していただいたところに、お渡しするという形にしているところです。

 ただ、なかなか飼育施設は飽和状態というところもありまして、なかなか向こうから求めていただく部分が伸び悩んでいるというか、そういったところが現状でございまして、ちょっとごめんなさい。数字が今、具体的なものが出ません。10頭程度、全体でその程度の譲渡数という形で、これまで4年間、なっているところでございます。

 なので、我々としても、できれば、もちろん現場で見ておりまして、殺さずにやれるのが一番だと思っておりますけれど、そういったところで努力した上で、それで入らない部分は安楽殺を行っていると。止め刺しの方法ですけれど、こちらのプロジェクトといいますか、この事業に大きくかかわっていただいている東京農業大学の小林先生は、獣医の資格も持っておりまして、止め刺しを行う場合は、小林先生に来ていただいて、麻酔を使って安楽殺をしたりとか、あと、空気銃を使う場合もありますけれど、それも一発で安楽殺という形で、苦痛を与えない形で止め刺しを行っているところです。

 その後の利用に関しましては当然、貴重なデータですので、出てきた個体に関しては、胃内容物を調べたりとか、歯を調べることによって年齢がわかるんですけれど、年齢構成を調べたりとか、そういったものを調べて、どういったアザラシが動向しているのかとか、サケにどういうふうに依存しているのか、そういったものの情報を調べているところでございます。

 あと、ありましたところとしましては、これは、やっぱり捕獲は最終手段でというのは、もちろんそうだと思っております。

 皆さん、今までもいろいろと試行錯誤しておりまして、例えば一つの技術という話ですと、行動圏を調べるために発信機をつけて放して、その行動を調べたりとか、いろいろと方法は探っているところです。

 本当になかなか海の生き物相手で、思うように技術がばっと使えるものではないので、試行錯誤をしているところではありますけれど、できる限りのところは科学委員会の皆様のご意見などもいただきながら手法はあわせて、モニタリングの手法という部分にちょっと含めてしまいましたけれど、いろいろと行っているところです。

 今、科学委員会の話が出ましたけれど、科学委員会、説明の中で、あまりお話が少なかったですが、科学委員会は、年に3回程度、行っておりまして、その実施方法に関しまして、毎回、一年ごとの実施計画の中で、こういうのをやろうと思いますが、どうでしょうかというようなご意見とか、こういうのをやって逆にご意見をいただいたりとかをやった上で、実施しております。

 ただ、もとのアイデアは、地元に私おりまして、漁師さんがやっぱり一番よくわかっている中で、この映像を見ながら、これじゃあ、やってみたらどうかとか、そういったご意見をいただいている中で、それは当然、その場で、よし、やるぞと、すぐというわけにもいきませんので、科学委員会の中で、これだったらいいんじゃないか。あの影響は少ない、それはそうだとか、効果的だとかというご意見をいただきながら、進めているところでございます。

 あと、PDCAサイクルのDが弱いという部分でして。その刺網が、今までの説明の中で、かなり個体数が、捕獲数が多くて、個体数管理になってしまっているという部分はご指摘のとおりかと思います。ただ、今、先ほど、4年間で369頭捕獲したといっておりますが、それで、かなり、まず、一回、数を減らしてみようという部分で多くとっておりますけれど、そこから今、9割から5年間かけて、ゆっくり減らしていくというところも考えておりまして、全体の年間、大体今のシミュレーションでは50頭とか、前の分のちょっと繰り越しなども含めて、それは前後しますけれど、これまでより個体数は、捕獲数は少なく見積もって考えているところです。

 その中で、先ほどの漏斗式、定置網にかかる個体というものの割合が増やせる。そこは、どうしても数は一定量になってしまうんですけれど、それで、刺網の割合は減らすことによって、ある程度、おっしゃるように、生まれたての個体ばかり獲ってインパクトを与えるということもないような形で考えようということで、これも、科学委員会の中で、皆さん、ご議論いただいて進めているところでございます。

 大体、このぐらいでよろしいですか。ありがとうございます。

【桜井委員】 一番、根本的なところだけいきます。決してゼニガタアザラシの問題を個体数管理ではなくて、個体群管理です。人と漁業とアザラシの共存を目指して、どうやって共存するかと。

 ですから、数ではないんです。今までは数でやりましたけど、これは数ではなくて、サケについているアザラシというイメージが、皆さん、あるかもしれませんが、ほとんどのアザラシは、サケを食べていないんです。定置網に寄っていくアザラシというのは、その網についている網つきのアザラシなんですね。

 これは、要はクマと同じで、人なれしたクマと同じで、常に出入りしている。これは、個体群識別に紋様でできますので、カメラが入っていますから、みんな、模様で、どの個体が一日何回入ったかとわかるんです。これがかなりの頻度で同じ網に何十回も入るとわかったりしています。

 ですから、この個体は、ある意味では、人なれしたクマと同じように、やっぱりこれはきちんと管理すべきだという形で、今、その個体だけを捕らえてみようと。

 だから、先ほどの漏斗式の網も、あれはもともとはタコかごの原理なんですね。タコかごにタコが入ったときに、タコは絶対にそこから、袋から出られない。それを利用して、アザラシが入ると。ここまで来て、今二十数頭獲れたと。これが今、我々としては、漁業者に一番説得しやすい方法なんですよ。数じゃないんですよ。

 やっぱり、網についた、一番いたずらをしているアザラシを、何とかしたいと。ところが、また、問題が起きてきて、今度はでかいやつが入ると、最後に入った網の中の一番おしりのほうを、穴を開けて逃げちゃうんです。穴を開けちゃったら、サケも全部逃げちゃうんですね。じゃあ、これをどうするかと。次の戦いなんですね。

 だったら、そこに網をつけておいて、アザラシが逃げようとしたときに、そこに入ったら、この網が浮いていますから、上に浮きますので呼吸できます。ですから、一番悪いやつが獲れることなんですね。だから、そういうふうな、追いかけっこですけれども、ここで一番基本的なのは、個体数管理じゃなくて個体群管理。それから、生態系管理。それから、これは、まさにPCDAの話がありましたけど、まず、これです。

 これは、科学委員会でも、かなり議論をしています。やっぱり。これは知床のヒグマでも私、かかわっていますけれども、ここのところは野生生物の管理の部分で、どうやって共存するかというのは、一番大きな課題ですので、ここも。ここは、やっぱり徹底して、皆さんのご意見をお聞きしながら改善していきたいと思います。

 やはり、その欧米型のものではなくて日本型の、沿岸漁業がある以上は、どうしても、あつれきが起きていますので。

 それから、河川の話をされましたけど、日本のアザラシで河川へ上がるのは、東京湾に紛れ込んだやつだけで、あとは、ほとんど河川には入りません。

 以上です。

【マリ・クリスティーヌ委員】 ごめんなさい。話を聞いていて、本当に申しわけないんですけど。

 私、さっきからの話の中で、何か頭のいいアザラシが、何度も出たり入ったりするわけですから、頭のいい、だから、学習能力の高いアザラシが一番かわいそうということで、わけがわかっていない頭の悪いアザラシのほうが、生き延びられるということが何か非常に、人間の社会にすごく似たような状況で、あまりにも私たちの持っている価値観を自然界に持ち込んじゃいけないんじゃないかと思うので、むしろ、海岸のところでたくさんほかの餌を食べさせて、おなかいっぱいにさせておけば、網の中に入ろうとしないから、何かもうちょっと漁師さんたちが工夫して考えてくれたほうがいいような気がして、何か環境省が、何でそこに参加しなきゃいけないのかが、ちょっと私は、むしろ環境省は守るほうでいなければいけないのに、何かそっちのほうに乗り込んでいるような感じが、とても悲しいんですけど。すみません。

【石井委員長】 もう一つ、尾崎委員からあったのが、サケを食べられないようにするという工夫をすると、アザラシはどこかに移動することになるのか、あるいは餌を変えるのかというご質問がありました。この辺は、どうでしょう。

【説明者】 すみません。幾つか、いただいたご質問に答えていない部分がありましたので、それもあわせてお話ししようと思います。

 餌シフトの話ですが、はっきりした結果としては、なかなか出ていないというのか、そもそも、先ほど、冒頭でお話ししましたように、サケの定置がない状態では、アイナメだったり、タコだったり、イカだったり、そういったものを食べているという食性でありまして、その捕まったアザラシの胃内容物を調べますと、かなりサケに依存して、サケばかり出てくるような個体もいたりとか、アイナメだったり、そういったほかのものが出てくるという場合とか、その、割と(個体によって)はっきり差が出ている。

 執着する個体が同じで、一度覚えてしまうと、頭がいい、悪いというよりは、多分、たまたまそこに来て、一度覚えてしまったら、まあ、言ってみればアザラシにとってはレストランみたいなものですので、取りやすい餌を(とる)。

 ふだん、サケみたいな回遊で速く泳ぐような魚というのは、なかなか獲れない、遊泳能力とかも含めてふだん、多分、獲れないものを網の中にいるから食べられる。一度覚えたら、そればかりに寄ってくる。ちょっとかわいそうですけど、覚えてしまった個体はやっぱり取り除くしかないのかなというのが、一つの考え方でございます。

 それで、ちょっとその餌シフト自体が起こっているのかどうかというのは、今のところ、その割合が、それが変化してきているかどうかというところは、まだ、出ていない状況ではございます。

 あと、幾つか、ごめんなさい。いただいていた中でお答えします。

 まず、定置網、溺死があるかということですけれど、定置網、えりもの定置網に関しましては、先ほどの金庫の部分、アザラシなりサケが入る部分が水面に浮いているような状態になっておりまして、アザラシが入っても、上にフタはあるんですけど、網なので、こうやって上げれば息は吸えるんですね。なので、多くの個体は生きており、定置での捕獲網での捕獲方法に関しても、それでもう、溺死してしまっているのを全部取り除くというよりは、生きた状態で捕まっております。

 あと、ごめんなさい。放獣をしているかというのもありまして、放獣は一部、先ほどの発信機をつけたりとか、個体数調査などを行う場合には放獣なども行っております。

 あと、防除格子網のところで、20センチから18センチの海底に、なぜ、被害が減ったかというお話でしたが、これは先ほど見ていただいたアザラシ、引き返した個体がいたかと思うんですけれど、小さい個体だと20センチでも頭が通り抜けちゃって入れるんですね。そういったものがずんどうなので、頭さえ入ればすっと、意外と小さいところでも入ってしまうというところで、本当に最初は40センチ掛ける20センチとか、かなり大きい目合も、このぐらいだったらアザラシは入れないんじゃないか。サケは入りやすいけどねというところで始めたんですけれど、もう、どんどんそれだとアザラシが入ってしまって被害が出てしまうというところで、何とかちょっとずつ小さくして、今の18センチぐらい、16センチなんかというのも試したりもしていますけれど。

 そういった中で、アザラシが入ってしまうのもゼロではありません。なので、被害は出ます。また、その周りで、金庫網に入る前に食べてしまうようなのは、なかなか防ぎようがないんですけれど、それが被害として出ているということもあるので、一部、被害はゼロにはなかなかできないけれど、まあ、何とか納得いく範囲で抑えようというところでございます。

 あと、個体識別ですね。個体識別は、先ほど見ていただいた動画で、あれを毎日、水中カメラをつけて撮っております。そこで、入ってきた個体を解析していただいたところ、やはり、ゼニガタの銭模様ですね。こういうのが割と、その個体によって違いますので、個体識別できるものも比較的多くありました。その中で、同じ個体が何度も来遊しているというものも確認されているということでございます。

 あと、捕獲個体の活用につきましては、おっしゃるように、これもいろいろと、いいものはないかと検討しているところでございます。第一に、例えば食用として流通させるかとか、例えば、エゾシカみたいな形で、何か利用できないのかというような話のところから始めて考えてみたところですが、いかんせん捕獲数もそれほど100とか50とか、多いわけでもありませんので、それが何か流通させるようなレベルでもありませんし、あと、毛皮も、本当に今、なめし業者さんというか、そういった方も少なくなってきたりと、技術自体も少なくなってきているというような状況で、なかなか、今、当然、そういったものを動物園で見てもらったりというような活用方法は一つとしてありますけれど、死亡個体に対して産業的な利用というところは、まだ、そこまでは、いっていないところでございます。

 ただ、その知見としては必ず、繰り返しになりますけど胃内容物を調べたりとか、そういったものは貴重なデータとして活用しているところでございます。

 以上になります。

【石井委員長】 ありがとうございました。ほかは、よろしいでしょうか。

 はい。それでは、高橋委員、お願いします。

【高橋(佳)委員】 動物管理って、とても大変だなと思います。植物だったら、もっと楽なのになと思うのですが。

 専門でないので、ちょっと小さいことを幾つかお聞きします。一つは、先ほどの話で非常に興味深かったのは、人慣れしたアザラシを獲っているんだという。そのスタンス、なかなか一般の人にはわかりにくいだろうなと。

 これは、特定希少鳥獣管理計画という大きな枠組みでやっているのに、そのやっていること自身は、偏ったところというか、ある特殊な個体群のところにかなり集中しているということをイメージしにくいですね。だから、いろいろと齟齬が出てくるのかなと。

 この、「慣れ」という点で見ると、アザラシも、例えばさっきの忌避装置とかでも同じです。網に対してもやっぱり慣れというのがある。そうすると、堂々めぐりの技術、戦いになってしまいますよね。興味深いのは、陸上のイノシシでもそうですよね。多くの場合、人が餌を提供できている環境があるからであって、その結果として町の中にも出ているというのは、それと似たようなところがあるのかなという、そういう興味深さが、ちょっとあったということ。

 それと、餌についても、別にサケだけを食べているわけじゃないというのも、私は非常におもしろかったかなと思います。ただ、ここにデータが示されているのはサケなので、それはサケが減るということは、何か餌が減っているのかなというイメージを持っていたんですが、もし、そういう事態があるのかどうか。そうすると、餌が減るということは、例えば繁殖性にも影響は当然出てくるでしょうから、子供を産む率も変わってくるでしょう。ただ、その結果というのは、多分タイムラグで生じてくる。今すぐではなく2年後、3年後に出てくるという、そういう意識を持ってやっていらっしゃるのかなということが、もう一つ。

 それから、先ほどから、かなり厳しいご意見があった、この全体の管理計画そのものと、そして、今回の漁業被害に対する対応の中身そのものが、地元の子供たちや何かが、しっかり学習されているのかどうか。そういうシステムが一緒に協議会の中にあるのかどうか、そのあたりを、ちょっとお聞きさせていただければ。

【石井委員長】 では、追加のご質問ということで。

 だんだん時間が押してきたので、簡潔にお願いいたします。

【説明者】 そうですね。かなり特殊な状況でやっているというところが、なかなかご説明が難しいところではございます。

 すみません。まず、普及啓発というか、教育面の話が出ましたので、それに関しましては、ちょうど、我々、地元レンジャーとしてえりも町におりまして、協議会には教育委員会の方々も入っていただいております。その中で、依頼なども受けている。例えば、現地の小学校とか、高校での課外授業的な形でアザラシのことを考えたり、実際に、今年も高校生の皆さん、ちょうど、もう、定置網の漁師さんのところに行って、網を起こして上がってくるところも見てもらって、朝早くに。漁師さんにインタビューして、今、どういう気持ちで思っていますかとか、意外と漁師さんも自分の、漁師さんの子供じゃない人たちが、あまりやっぱり港を見たことがないという方々も、お子さんも多かったので、そういった方たちに現状を知ってもらうというような活動は少しながら、少しずつではありますけど、やっているところでございます。

 餌資源の変動というところですね。サケ以外のところも、今ちょうど漁協さんとかかわっているので、ほかの餌資源というか、捕獲される漁獲のデータなどもいただいて見ているところで、そういったものに大きな変化が出た場合は、いろいろとお話を聞かせていただきながら、考えようねと言ってはいるんですが、現状で大きく何かが減少しているとか、全体に資源量が減っているという状況は、サケに限らずあるのかなと思いますけれど、アザラシ由来というか、アザラシがかかわりそうなところでというのは、今のところは、はっきりしたことはわかっておりません。

 ただ、そういった、漁師さんが魚を捕まえていることがモニタリングにもなっておりますので、そういった管理体制、監視体制というか、そういうのは、ある程度はあるのかなというふうには考えているところです。

【石井委員長】 今の件は、胃内容物の調査で、ある程度、アザラシが何を食べているかは把握できているはずですね。

【説明者】 はい。胃内容物調査に関しては、やっているところです。

 その中で、毎年行っておりますので、その変化なども見ていけるということになるかと思います。

 現状で、その大きな変化というのは、出ておりませんが。

【石井委員長】 ちょっと重たいところが、クリスティーヌ委員のご意見ですけれど、これについては、課長か局長ぐらいから、何かコメントをいただけないですか。

 つまり、ここの議決は、アザラシを殺すのを許可するという議決になっているのではというご意見なのですけど。この辺を確認しておく必要があると思います。

【中尾野生生物課長】 いろいろご意見、どうもありがとうございました。

 このゼニガタアザラシの扱いについては、私どもも、大変難しいと感じております。先ほど、先生方のほうから、アメリカではこういう法律があるけれどもというお話がありましたけれども、まさに、この鳥獣保護管理法の中で、ゼニガタアザラシについては特定希少鳥獣管理計画を立てており、細かな調整を地元としながら進めているというわけでございます。

 社会全体で、漁業だけでなく観光や教育等の関係者とも一緒に相談していくことが必要ではないかというご指摘については、まさに、そうだと思っております。特定希少鳥獣管理計画第2期(案)11ページに、保護管理協議会の図式を掲載しておりますが、さまざまな関係者に関わっていただいていることも、ご覧いただけると思います。

 また、実際、捕獲した個体を、貴重な資源あるいは貴重なものとして扱っているのかというご指摘についても、なるべく水族館に預かっていただくという努力を続けておりますし、あるいは調査研究対象として胃内容物について調べて、食性がどうなっているのか明らかにするなど管理計画の中に含めております。

 まだまだわからないところもありますし、一番よい方法を模索し管理計画を改定していきたいと思っております。

 これで、ゼニガタアザラシの扱いについては完成形ということではなく、社会と調整しながら、そして、先生方のご指導も受けながら考えていく課題だというふうに考えております。

【鳥居自然環境局長】 今、課長からもご説明をいたしましたけれども、環境省はもちろん、ゼニガタアザラシの地域個体群、これは絶滅をさせないというのが一番の目的でございます。そのための管理計画であるということは、まず、しっかり申し上げたいと思います。

 一方で、地元の業者とのあつれきも解消、緩和していかなくてはいけないということで、現場の意見も聞きつつ、なおかつ、その地域個体群を絶滅させないために、科学委員会というものを設置して、桜井先生も入っていただいていますけれども、その科学的な管理を進めていきたいと考えております。

 また、もちろん、さっき課長も申しましたように、完全では、もちろんございません。いろいろと課題はたくさんありますので、いろいろな方のご意見を聞きながら、知恵を出し合いながら一歩ずつ、少しでもいい方向にもっていきたいというふうに思っています。

 そういう意味で、この第2期計画、過渡的なものになるとは思いますけれども、ぜひ、ご承認いただいて、また、状況についてレビューをしつつ、委員会にもご報告をさせていただいて、進めていければというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

【石井委員長】 ありがとうございました。それでは、時間も参っておりますので、この議題について、お諮りしたいと思います。

 特定希少鳥獣管理計画の第2期ということで、5年間の計画でございます。お認めいただけますでしょうか。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【石井委員長】 それでは、お認めいただいたということで、適当と認めます。

 今後、事務局において、部会長に結果をご説明いたしまして、中央環境審議会会長のほうにご報告をするということにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

 それでは、報告事項ですけれども、ちょっと時間が詰まってきましたので、手短にお願いしたいんですけれど。3件続けていきたいと思います。中山補佐から、国内希少野生動植物種の指定状況。それから、北橋室長のほうから、ヒアリ対策の実施状況。それから、西野補佐のほうから、シカ、イノシシ、個体数推定及びCSF対策状況についてということでご説明をお願いします。

 それでは、よろしくお願いします。

【中山補佐】 希少種保全推進室の中山です。私のほうから、種の保存法に基づく国内希少野生動植物種の最新の指定状況について、ご報告いたします。

 これまでの小委員会でもご報告させていただきましたように、この国内希少野生動植物種として定めることによって、捕獲、譲り渡し等の行為が規制されまして、保護対策としてとることができるものでございます。

 2020年までに、2014年以降、300種のこの種を追加で指定するということを、我々として目標設定しているところでして、これまで指定について努めてまいったところでございます。

 昨年の12月25日に、この種の保存法の科学委員会を開催しまして、オリイコキクガシラコウモリ、洞窟のコウモリなどの63種について、この種の指定追加について了解されたことを受けまして、今月17日に、この63種の国内希少野生動植物としての追加について閣議決定されました。

 規制のほうが、2月10日からかかる予定となっています。このうち、リュウキュウヤマガメ等6種については、国民から提案されたものでございます。また、2017年の種の保存法の改正によりまして、里山等の希少種を対象にして販売等のみを、商行為のみを規制することができる、特定第二種制度というものをつくりました。その制度に基づきまして、トウキョウサンショウウオ、カワバタモロコ、タガメの3種について、この特定第二種として、制度創設後初めての指定をすることとなりました。

 この結果、国内希少野生動植物としては、合計で356種となります。また、300種の追加目標に対しましては、残り33種というところになるところでございます。

 以上でございます。

【北橋外来生物対策室長】 外来生物対策室長の北橋でございます。ヒアリ対策の実施状況について、ご報告いたします。

 ヒアリにつきましては、2017年に我が国で初めて侵入が確認されて以来、当時も関係閣僚会議が開催されるなど、特に国交省等と連携しながら水際対策に力を入れてきているところでございます。

 今年1月現在までに、全国で48事例見つかっていますが、基本的に見つかった個体は事業者等のご協力も得て全て駆除しておりまして、今のところ、定着が確認されたという状況にはないというふうに考えてございます。

 一方で、昨年の10月に東京港青海ふ頭で確認されたヒアリにつきましては、これまでにあった事例と同じようにコンテナヤードの地面の割れ目で巣の状態で見つかったものでございますけれども、この事例につきましては、特にその巣の中に50頭以上の羽根の生えた女王アリが見つかっており、そこから飛んで拡散している可能性があるということで、特に緊急度が高いというふうに考えまして、改めて10月21日にヒアリ対策の関係閣僚会議を開催し、国交省だけでなく、文部科学省ですとか厚生労働省、その他関係省庁と一緒になって、あるいは東京都を初めとした地方自治体のご協力もいただいて、しっかりとした対応をとっていくということで、政府一丸となって定着防止に取り組んでいるところでございます。

 具体的な対策といたしましては、その見つかったコンテナヤードにつきましては全域で殺虫剤を面的にまいておりますほか、周辺2キロを一つの目安としつつその外でもリスクの高そうなところにつきましては、東京都の協力も得ながら、全面的に調査を入れております。

 この調査におきまして、新たなヒアリの個体や巣が見つかったということはございませんが、来年度の春以降も、活動が活発になると思われますので、その段階で見落としがないようにしっかりと取り組んでいきたいと思っております。また、全国的な取組といたしましても、全国65港湾を定期的に調査しておりますが、その定期調査の実施状況につきましても再確認をいたしまして、東京都の発見事例を踏まえて不十分であると思われるところには追加の調査を行う等、万全を期して対応をとっているところでございます。

 いずれにしましても、来年度以降もしっかりと対応しておくことが必要だと考えておりますので、漏れのないようにしっかりやっていきたいというふうに考えてございます。

 簡単ですが、以上でございます。

【西野補佐】 鳥獣保護管理室の西野でございます。私のほうから、毎年行っている全国のニホンジカとイノシシの個体数推定の結果と、あと、最新のCSF対策の状況について、ご報告いたします。

 まず、個体数推定の結果でございます。平成25年に農水省と環境省のほうで、シカとイノシシの被害が全国的に深刻であることから、2011年比で半減させるという目標を立てておりまして、その中の一環として、毎年個体数の推定を行っております。

 最新の結果を申し上げますと、2017年時点の推定値としてシカについては244万頭、これは、北海道はちょっと独自の集計をされていますので、北海道を除いた数値でございますが、2014年以降減少傾向が引き続き続いているという状況でございますが、2023年の目標達成に向けましては、引き続き捕獲の強化が必要であるという状況でございます。

 続きまして、イノシシについてでございます。イノシシについても、2017年時点での推定値としては88万頭という結果を出しておりまして、こちらも減少傾向は続いておりますが、引き続き目標の達成に向けて、枠の強化というところに取り組んでいく必要があると認識しております。

 続きまして、CSFの状況につきまして、ご説明させていただきます。

 発生状況につきましては、資料に記載のあるとおりでして、養豚場では10府県・55事例、野生イノシシでは12県において1,700頭以上の陽性事例が確認されております。また、ASF、アフリカ豚コレラと呼んでいたものですが、それにつきましては、まだ国内での発生は確認されておりませんが、アジア地域では広く発生が確認されております。

 政府全体の対応につきましては、前回もご説明させていただきましたが、農場での対策、それから野生イノシシの捕獲、あるいはワクチンの散布、それから予防的なワクチンの接種ということで取組を進めておるところですが、環境省としては、主に野生イノシシの捕獲の強化というところを農林水産省や関係都府県と連携して実施しておるところでございます。

 発生状況につきましては、記載のある、資料に地図をつけさせていただいていますが、最近の話題としては、沖縄県の養豚場で発生したというところがございます。

 環境省における対応状況ですが、捕獲の強化につきましては、農水省と連携をして、各都府県に捕獲重点エリアというのを設定していただきまして、捕獲の強化をお願いしているということと、あと、交付金によって財政的な支援をさせていただいているという状況でございます。

 ちなみに、9月、10月の捕獲結果を見ますと、前年比で1割以上増えている状況でございます。

 それから、捕獲に伴いまして、捕獲に従事されている方が原因でウイルスが広がってしまうといけないということで、適切な防疫措置をとっていただく必要があります。そのことにつきまして環境省としては、農林水産省と一緒に、防疫措置の手引きというものを作成しまして、公表したところでございます。また、都道府県の担当者等に向けて、講習会を今後、順次開催していくことで防疫措置の捕獲に伴う防疫措置の徹底についても取り組んでいきたいと考えております。

 また、捕獲を推進していく中で、なかなか捕獲を頑張って、どれくらい効果が出ているのか、生息数の減少につながっているのかというのが、なかなかわかりづらいというご指摘がありましたので、ここについて、なかなか調査方法が確立されていないというところがございますので、環境省のほうでも試行的な調査を今年度行いまして、そのノウハウを各都府県に提供して、捕獲の効果の測定についても取り組んでいきたいというふうに考えております。

 最後に、感染状況の検査につきまして、環境省の取組でございます。現在は、都道府県のほうで農水省さんの依頼に基づいて検査をされているところですが、都道府県の家畜保健所のほうで主に検査をされていますが、豚の検査もされていますので、イノシシの検査も同じ場所でやると交差感染のリスクがあるということで、環境省においても一部検査を協力してほしいという要請がございました。その要請を受けまして、農林水産省と調整をしまして、国立環境研究所の協力をいただきまして、来年度から非発生県において、環境省のほうのルートも構築するということで取り組んでおります。本年度中に、試行的な検査を開始するべく、現在、都府県等と調整をしておるところでございます。また、必要な予算についても、増枠を予定しております。また、採材につきます防疫措置の研修等も、今後、随時行っていく予定でございます。

 簡単ですが、ご報告は以上でございます。

【石井委員長】 ありがとうございました。

 それでは、ただいま3件続けて報告をいただきました。ご質問、ご意見等、あったらお願いいたします。そうしたら、また、名札を立てていただければと思うんですけれども。よろしいですか。

 特にないようですね。でしたら、私の方から、1件だけいいですか。昆虫については、私が聞かないと誰も聞かないと思うので。

 ヒアリは、ちょっと新しいフェーズというか、羽根アリが見つかったということがあるんですけれど、越冬できていると思いますか。その辺の情報はあるでしょうか。

【北橋外来生物対策室長】 では、私のほうからお答えいたします。

 ヒアリの越冬につきましては、これまで温度条件の知見からは、東北南部、福島ぐらいまでは生息定着が可能な温度域にあるだろうというふうに言われております。

 ただ、一方、日本における状況といたしましては、これまで見つかった巣の中で、どれぐらい経過した、要は、巣の状態になってから、その巣がどのくらい経過したかというのは、侵入したときの状況が、例えば女王アリ1匹から始まった個体なのか、あるいは集団で女王アリがワーカーを連れてやってきて、その場に巣をつくったのかによっても変わってくるので、正直言いまして、その個別の発見された巣が何年ぐらい経過した、つまり、越冬したことがある、ないということにつきましては、まだ、はっきりとは断言できる状況にはございません。

【石井委員長】 今は、休眠状態というか、低温のため、多分動いていないと思うんですけれど、春以降が勝負だと思います。どうぞ、この辺はよろしくお願いいたします。

 ほかは、よろしいでしょうか。宮本委員。

【宮本委員】 3件目のところで、ニホンジカの推定個体数等というグラフが出ているんですけれども、鹿児島県の馬毛島というところで、防衛省が環境調査を開始されたとニュースになっておりますけれども、そこにマゲシカというシカがいます。それの生息頭数というのが、なかなか、ここ何年も島に入れなかったこともあって、多分、調査の数値が出てきていないんですけれども、もしかして、その防衛省の環境調査の結果、マゲシカが何頭いるかというような数値について、環境省のほうに情報を提供いただける可能性はあるのかどうか。この場でなくても結構ですので、そのような情報がございましたら、何らかの形でお教えいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【石井委員長】 では、磯崎委員。

【磯崎委員】 特定第二種の指定との関わりなんですが、この検討の過程で、里山活動などをやっているNGO、それから学術研究者から、この指定制度について非常に強い意見がありました。実際に、この三種を指定する過程で、これらのNGOとか研究者からの意向だったり、この指定に関する見解とか、何か背景事情がありましたら教えていただきたいんですが。

【石井委員長】 では、尾崎委員、お願いします。

【尾崎委員】 沖縄の豚コレラが気がかりなんですけれども、これまで本州で出ていたのは、イノシシが媒介した可能性があるということで、イノシシの管理をされていたと思うんですが、沖縄で突如出てしまったので、これは陸続きではないので、そういうつながりではないと思うんですね。

 もちろん、わかっているかどうかは別として、何か沖縄で出たことに関する知見というんでしょうか、推測というものが、現時点であるんでしょうか。

【石井委員長】 ほかは、よろしいでしょうか。

 あともう一つ、私のほうから追加なんですけれど、ニホンジカとイノシシが減少に転じているというのは、うれしい情報かと思います、この個体数推定、その推定の確度といったら言い過ぎなのかな。どのくらいの確率で、このことが言えるのか、どんな方法でこれを積み上げたのかということを、お聞きしたと思います。よろしくお願いいたします。

 ほか、なければ、今までのところで、事務局のほうからご回答いただければと思います。

【川越鳥獣保護管理室長】 まず、鳥獣保護管理室川越でございます。鳥獣関係です。

 マゲジカの関係、少し入ってくるかどうか、私ども、今、確認できておりませんので、確認でき次第、どんな感じかというのはご連絡をさせていただければと思います。

 あと、尾崎委員からお話のありました、沖縄のCSFの関係なんですが、今、農水のほうの疫学チームが入って、ちょうど調査をしているところなので、必ずしも、まだ、こうが原因だったという話は、我々も承知しておりません。

 ただし、やはり使用衛生管理があまり十分でなくて、例えば餌であるとか、あと、人、車両、そういったものから入った可能性はあるのではないかというようなお話は、若干聞こえてはいますが、まだ、何かというところまでは確定できていないというふうに承知をしております。

 あと、石井委員長からお話がありました個体数推定、どのように積み上げたかということですが、各県によって、独自に個体数推定をやっているところと、全くやっていないところがございます。個体数推定をやっていて、かなり精度がいいものについては、そういったものを活用して、やっていないところについては、捕獲データ等をもとに、我々のほうで推定を行いまして、それを合算して出させていただいているような状況です。

 その確度というのが、まさにこのグラフで50%信頼区間、90%信頼区間ということで、点々で入ったり、青い線で書いてあるところは、まさにその確度でございまして、90%まで信頼区間を広げると、例えばシカでありますと200万頭弱から三百数十万頭というレベルになってきますと、やはり、かなり誤差といえば誤差が、やはり出てきてしまうというようなデータではありますが、一応今、中央値でこのような形ということでご紹介させていただきました。

 ただし、やらないと目安も出てこないので、こういった誤差は承知ではあるんですが、同じ方法で、とりあえず目標年まではやっていこうかということで、今、考えているところであります。

 鳥獣室は、以上でございます。

【中山補佐】 特定第二種について、磯崎委員からご質問をいただきました。ご質問の中にありましたとおり、この制度をつくるに当たりまして、NGO等からもいろいろとご要望をいただいたところでございます。

 背景としましては、通常の国内希少野生動植物種は大変厳しい規制がかかるものですから、今、レッドリストのうちでCRとなっている絶滅のおそれが高いものを中心に指定しているんですけれども、里山に多く生息するような、VUになっているような、絶滅のおそれはそれほど高くなくて、その生息環境を改善すれば個体数が回復する可能性があるもの、そういったものについても着目して、規制をかけて保全対策をする必要があるだろうと。

 その際に、厳しい規制、フルスペックの規制をかけるのではなくて、保全活動、学術研究、アマチュアによる活動等の阻害にならないような緩やかな規制をかけるということも、一つ考えられるのではないかというご指摘を受けて、販売、頒布に伴う捕獲、譲り渡し等のみを規制する特定第二種制度というのを設けたところでございます。

 そういったご指摘、背景も踏まえまして、特定第二種制度を設定しまして、法の要件を満たすものに加えて、こういった施策の効果があるもの、里地里山等の二次的自然に生息する他の種の生息、成育や保全にも貢献するような波及効果のある種などについて、科学委員会のほうで、その選定要件のほうをご了解いただいて、その上で学識経験者のほうにもヒアリングした上で、種を選定して、最終的に国民の方にも知名度がある、今回の三種の指定に至ったというところでございます。

【石井委員長】 よろしいでしょうか。

 ほかは、特にないでしょうか。

 おかげさまで、時間内におさまりました。ありがとうございます。

 では、特に、委員の皆さんからほかにご意見がないようでしたら、本日は以上で閉会させていただきたいと思います。

 それでは、白石審議官のほうからご挨拶いただきます。

【白石審議官】 本日は、さまざまな観点からご審議を頂戴いたしまして、まことにありがとうございました。

 主にご議論いただきました、えりも地域のゼニガタアザラシの希少鳥獣管理計画の策定につきましては、さまざまなご意見を頂戴いたしまして、事務局の案のとおり、おまとめいただいたというふうに考えておりますが、もとより、これは、我々も希少種を守るという立場から、その社会との調和みたいなものを、きちんと図るということが究極の目的でございますので、計画の中にも順応的な管理ということを書いてございますが、温暖化の影響とか、あるいは何か漁業の状況みたいなものも、日々、変わっているというご指摘もありましたので、きちんと順応的に状況を把握をしながら、食性なり何なりがどうなっていくのか、社会とのかかわりがどうなっていくのかを、地元のレンジャーもいますので、科学委員会の皆様とも、今後ともきちんとご相談しながら、適切な対応をとってまいりたいというふうに考えてございます。

 計画につきましてはそういうことで、ちょっとお許しを頂戴いたしまして作成に向けた手続に入らせていただきたいというふうに考えてございます。

 それから、いろいろ野生生物をめぐる話につきましても、貴重なご意見をありがとうございました。また、折に触れて、いろいろちょっと悩み多い世界でもございますので、ご相談させていただきたいというふうに考えてございます。

 本日は、ご多忙のところ、まことにありがとうございました。

【石井委員長】 それでは、以上をもちまして、本日の委員会は閉会といたします。

 皆さん、どうもお疲れさまでした。