自然環境部会自然公園等小委員会 (第40回)議事録

1 開 会

2 議 事

  1. 阿蘇くじゅう国立公園の公園区域及び公園計画の変更並びに阿蘇くじゅう国立公園くじゅう地域生態系維持回復事業計画の策定について【諮問】

  2. 国立公園事業の決定及び変更について【諮問】

    ・三陸復興国立公園・磐梯朝日国立公園・日光国立公園・尾瀬国立公園

    ・秩父多摩甲斐国立公園・富士箱根伊豆国立公園・中部山岳国立公園・瀬戸内海国立公園

    ・阿蘇くじゅう国立公園・奄美群島国立公園

      (計 10国立公園、計34件)

(3) 自然公園法の施行状況等を踏まえた自然公園制度の今後の在り方について【諮問】

(4) その他

3. 閉 会

4.議事録

午後3時32分 開会

○司会(国立公園課課長補佐 清武) 定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会自然環境部会自然公園等小委員会を開催いたします。

 本日はお忙しい中、当審議会にご出席いただき、ありがとうございます。

 会議に先立ちまして、出席委員数のご報告です。本日は、所属の委員、臨時委員9名のうち、ウェブでのリモート参加も含め8名の方のご出席いただいておりますので、本委員会は成立しております。

 初めに、新しい委員のご紹介をさせていただきます。本日、リモート参加していただいている、新美育文委員におかれましては、当小委員会の委員に新たに任命され、本日の審議から参加していただいております。新美先生、どうぞよろしくお願いいたします。

 また、本日の審議におきましては、議事3として、自然公園法の施行状況等を踏まえた自然公園制度の今後の在り方についてを予定しております。7月20日に中央環境審議会に諮問し、今月、書面開催した自然環境部会において、参考資料3-3のとおり、当小委員会の設置要綱に本件を加えております。また、本件について、ご意見等を頂くため、長野県猿田環境部長を参考人としてお呼びしております。猿田部長におかれましては、後ほど、リモート参加していただく予定ですので、どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、本日の会議運営につきまして、3点ご連絡いたします。リモート参加につきましては、新型コロナウイルス感染症対策として、今年の2月、中央環境審議会武内部会長にご承認を頂き、当面の間、ウェブ会議システムによる参加についても出席とみなすこととなっております。リモート参加の委員におかれましては、音声等で不都合等がございましたら、事務局までお電話いただくか、チャット機能でお知らせください。

 また、本日、報道機関を除いて、今回の審議の一般傍聴はできないこととしておりますので、本日、会議室後方から撮影させていただく動画を、後日、環境省ウェブサイトに掲載させていただきます。ご理解、ご協力のほど、どうぞよろしくお願いします。

 なお、ペーパーレス化の取組を推進するため、会場での紙による資料配付はせず、説明資料は事前に委員の皆様にメールで送付するとともに、会場では、お手元にございますタブレット端末の中に格納しております。タブレット端末の不具合などございましたら、事務局の者にお申しつけください。

 それでは、自然環境局長の鳥居からご挨拶申し上げます。

○鳥居自然環境局長 どうも、皆さん、本当にお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。また、オンラインでご参加の皆様方、お忙しい中、本当にご参加ありがとうございます。

 前回、この会議、2月に開催されたと思いますが、その後、新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言等もあり、軒並み環境省関係のいろいろな会議、あるいは国際会議も含めて、こういったオンライン、あるいは縮小、延期、中止、そういった状況でやっているのですが、これが、まだ少し息が長く続きそうだということで、我々も、このようなスタイルの会議に慣れていかなければならないと思っているところでございます。

 本日は、例年の公園計画の見直し、そして、事業関係が、議題の1、2ということで、まず、阿蘇くじゅう国立公園の公園計画の点検についてということで、また、議題の一つ目では、あわせて、くじゅう地域の生態系維持回復事業の計画についてのご審議。そして、次には事業決定、事業変更、廃止、これは34件ほどございます。そして、三つ目は、自然公園制度の在り方について、中環審のほうに諮問させていただいたということで、これは、今日に至るまで、下村先生に検討会で継続して論点を整理していただき、どのような見直しの方向がいいのかご議論いただきました。前回の自然公園法の改正から10年ほど経っているということで、その間にいろいろな国立公園を取り巻く状況も変わってきており、国立公園のご承知の満喫プロジェクトが、今年が5年目で2020年、これが周期ということですが、これまでの成果を踏まえて、どういった制度の見直しをしていったらよいかということを検討会でご審議いただき、今日その話もさせていただきつつ、今後の制度の見直しについて、限られた時間ではございますが、忌憚のないご意見を頂ければと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

○司会(国立公園課課長補佐 清武) それでは、報道関係の皆様はここで退席となります。どうぞよろしくお願いします。

ここからの議事進行につきましては、下村小委員長にお願いいたします。下村委員長、どうぞよろしくお願いいたします。

○下村小委員長 はい。下村です。私の声は聞こえておりますでしょうか。大丈夫ですか。

 調子が悪いようであれば、適宜、先ほどもチャットでお知らせも頂いた方もいらっしゃるようですし、手で挙げていただいても結構ですので、途中で、もしタイミングが、調子が悪くなるようでしたら、またご連絡ください。

 このような形の小委員会も初めて、まずは大変、ご無沙汰しております。半年ぶりでございまして、皆さんに直接会えないのはとても残念ですが、ある意味、出席率はこれで上がったのかもしれませんので、そういう点では、ウェブの、ウェブ会議の利点もあろうかと思います。いずれにしても、先ほどの繰り返しになりますが、途中で不具合がありましたら、ぜひご連絡を頂いて、積極的にご参加を頂ければというふうに思います。

 今日は大きく議題が4点ですね。先ほど局長からご紹介がありました、自然公園制度の今後の問題の前に、ルーティンであります公園計画等の変更や、事業決定等もありますので、少し長丁場になりますが、よろしくお願いいたします。

 それでは、議事次第に従いまして、進めさせていただきます。会議資料につきましては、公開になりますので、会議録は、後ほど事務局で作成いたしまして、出席の皆様のご了承を頂いた上で公開することになります。なお、議事要旨につきましては、事務局で作成したものを私、小委員長が了承した上で、公開することになりますので、この点もご了解をお願いいたします。

 今回の議事におきましては、先ほど、4点と言いましたが、失礼いたしました。3点ですね。一つ目が国立公園における公園区域及び公園計画の変更、そして、生態系維持回復事業の策定と、それから議事2としましては、事業決定に関する議事です。そして議事3が。

○(リモート参加委員) 聞こえていません。

○下村小委員長 どうしてだろう。

○司会(国立公園課課長補佐 清武) 申し訳ございません。事務局です。

○下村小委員長 全部聞こえなくなった。

○司会(国立公園課課長補佐 清武) 聞こえますでしょうか。解決できました。大変申し訳ございません。小委員長、続けていただければと思います。

○下村小委員長 分かりました。少し引き延ばした甲斐があったように思います、はい。いずれにしましても、3点ですね。それでは、もう進めたいと思います。議事1につきまして、阿蘇くじゅう国立公園の公園区域及び公園計画の変更並びに阿蘇くじゅうの、くじゅう地域生態系維持回復事業計画の策定についてということで、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局(国立公園課生態系計画係長 安藤) 環境省国立公園課の安藤でございます。本日はお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 阿蘇くじゅう国立公園の公園区域及び公園計画の変更、それから、くじゅう地域の生態系維持回復事業計画の策定について、まとめてご説明させていただきます。座って失礼いたします。

 まず、公園計画の変更に関してでございます。本日のご説明の流れです。まず、国立公園の概要についてご説明、それから、今回の変更内容、パブリックコメントへの対応についてという順番でご説明をさせていただきます。

 まず、国立公園の概要についてでございますが、本公園は「復興の大地~草原のかほり、火山の呼吸。人が継ぎ、風と遊ぶ感動の大地~」というテーマになってございます。

 続きまして、概要でございます。指定は、昭和の9年まで遡ります。風景形式としては、世界最大級の阿蘇カルデラと、くじゅう連山や由布鶴見火山群から成る、特に火山景観を重視した景観要素となってございまして、見直しの経緯といたしましては、昭和の9年、阿蘇国立公園として指定されたのちに、それぞれ昭和54年、56年に阿蘇地域、くじゅう地域において、再検討を行ってございます。直近では、平成16年、それから21年に第三次、第四次点検として、くじゅう地域、それから阿蘇地域において、点検作業を行っておりまして、昨年は満喫プロジェクトに関する一部変更を行いまして、今回は、第五次点検ということで、全域を対象とした点検作業となってございます。

 続きまして、今回の変更内容についてご説明をさせていただきます。前回点検時、平成16年、21年から社会情勢の変化が様々ございました。例えば熊本地震、阿蘇中岳の噴火、国立公園満喫プロジェクトに関する取組も始まりました。それから、ニホンジカの分布拡大による植生への影響、生物多様性保全の観点、こういったものも公園法に新たに入ってきたということで、今回、こういった社会情勢の変化を踏まえまして、地元において、点検作業を行いました。その結果、これからご説明させていただきます変更内容としては、まず、ラムサール条約登録湿地タデ原の保護規制計画の強化、それから利用施設計画の見直し、これは特に利用面から見直しを図っていきます。最後に生態系維持回復計画、保護施設計画の策定を行っていくということで、順番にご説明をさせていただきます。

 まず一つ目、公園区域、保護規制計画の変更でございまして、こちらはタデ原湿地の保護規制計画の強化、区域の明確化について、それぞれ分けてご説明させていただきます。まず、タデ原湿地ですが、こちらは、くじゅう連山の山麓部に形成された中間湿原、扇状地のようになっている場所でございまして、付近には長者原ビジターセンターや、指山のような山が存在しているということで、ラムサール条約登録湿地になっていまして、ヨシ群落やヌマガヤ群落が広がるような湿地の中に、ヒゴタイや、エヒメアヤメのような、保全上重要な植物が点在しているということで、これらの植生に関しては、毎年、地元で野焼きをやっております。こういった野焼きによって、植生の遷移を妨げ、湿原景観を維持している場所でございます。

 今回、点検をお諮りさせていただくに当たりまして、平成28年、それから令和元年に基礎調査を地元で実施しました。その結果、タデ原湿原、現在の第1種特別地域の周辺にも同様の湿原、植生が広がっているということが分かりました。この図面でいう点線で囲まれている範囲の2か所ございますが、こちらについて、既存の第1種特別地域と同様の自然景観が広がっているということで、第2種特別地域から第1種特別地域に、合計で18ヘクタールの編入を行い、より強固な保護を図っていくという変更内容でございます。

 こちら、右上の図面の赤丸で囲まれている場所から編入箇所を見た写真でございます。緑の点線で囲まれている範囲が、今回第2種特別地域から第1種特別地域に編入する範囲でございます。こういった景観が広がっているという場所でございます。

 タデ原のご説明は以上になります。続きまして、区域の明確化でございます。今回は点検作業なので、以前から区域が不明瞭になっているような場所に関しては、区域線の変更を行います。合計6か所について、非常に軽微ではございますが、区域線の明確化を行い、より、巡視の際や、許認可の際に区域が分かりやすいような形として変更していくというものでございます。保護規制計画についてのご説明については以上となります。続きまして、施設計画のご説明をさせていただきたいと思います。

 まず一つ目が、保護施設計画の変更でございます。とりわけ、くじゅう地域、阿蘇くじゅう国立公園のくじゅう地域の生態系、それから景観保全のために、3か所に植生復元施設をこの度、計画したいというふうに考えてございます。

 一つ目が、先ほど申し上げたタデ原の湿原でございまして、こちらにおける湿原の保全の取組、例えばシカ柵、植生の保護柵であったり、湿地内に点在する希少植物群落の強化、保護の強化といったことをやっていく取組を、今回計画に位置づけるということと、右上、猪の瀬戸湿原なのですが、こちらにおいても、地元で野焼きの取組がされていたりだとか、あるいは希少な植物の保護を図っていくために、シカ柵の設置を今後検討していくというような場所でございます。そういった取組を今回植生復元施設として位置づけたいと考えてございます。

 最後右下ですが、こちら平治岳植生復元施設でございますが、平治岳、ミヤマキリシマ群落が非常にきれいに見られる場所でございまして、こちら、登山者も多い場所ですから、そういった登山者の踏圧から守るためにロープ柵の設置だったり、土留め、それから階段の設置であったり、ミヤマキリシマ群落を被圧するノリウツギのような支障木の伐採を実施していくということを計画として、位置づけたいと考えております。

 続きまして、利用の面でございますが、くじゅう地域になりますが、単独施設の追加を検討してございます。二件の給油施設と、1件の園地計画の追加でございますが、一つ、左下、飯田高原の給油施設がございます。こちら、既存施設の位置づけということで、既にあるガソリンスタンドを計画に位置づけた上で、事業執行していただくというふうなものでございまして、右上、道の駅のゆふいん園地給油施設でございます。こちらの道の駅ゆふいんは公園内にあるのですが、今後、施設の拡張と、ガソリンスタンドの設置を予定していまして、そういった計画があることから、この度、公園事業施設として執行していただいて、公園の利用のための施設として、今後活用いただくというような流れでございます。こちら、計画決定に合わせて事業決定して、事業執行していくということでございます。

 続きまして、集団施設地区の変更ですが、、こちらは阿蘇地域になります。阿蘇地域の地獄温泉、それから垂玉温泉を主とする集団施設地区なのですが、両温泉とも江戸時代から続いている歴史のある温泉ということで、非常に酸性の湯が特徴な場所と聞いてございます。こちらの集団施設地区について、左側が既存の集団施設地区の範囲になります。この既存の集団施設地区の特に南側の範囲を拡張しまして、集団施設地区の中を周遊するような園路を設けて、よりこの地域の利用、自然散策を楽しんでいただけるような集団施設地区に今後整備していくというようなものでございます。こちら、ただの園路ではなくて、牧野と樹林帯の境界付近にちょうど園路を設けるような形になるので、野焼き時の防火帯、恒久的な防火帯としての役割も今後果たしていくというようなものでございます。

 続きまして、利用施設計画の追加として、歩道計画のお話をさせていただきたいと思います。こちら、図面で示させていただいているようなくじゅう連山でございますが、毎年、かなり多くの登山者が利用しているということで、こちら歩道の計画ですが、このようにかなり高密度に歩道計画が張り巡らされているというところなのですが、この中でも、計画に位置づけられていない登山道もあるということ。それから、計画には、位置づけられてはいるが、危険なので廃道にすべき道などがあるということで、登山道の関係者でこの度集まりまして、登山道の今後の管理の在り方について、協議を実施しました。その結果を踏まえて、必要な箇所を利用施設計画として位置づけるというのと、危ない箇所については計画から削除するというふうなことを検討した結果をこの度お諮りさせていただくものでございます。

 まず、追加でございますが、こちら、既存施設のあくまで把握なのですが、先ほど、ご説明したタデ原の近傍になりますが、長者原ビジターセンターの辺りから簡易的にトレッキングできるような山、こちら指山でございますが、指山へのトレッキングルートとして、既存の歩道を位置づけるということで、こちら、地元の自治体が今後、計画決定に合わせて事業決定した上で、事業執行していただくというものでございます。

 続きまして、九州自然歩道の変更、こちらも既存施設、既存の歩道の把握でございますが、九州自然歩道、阿蘇くじゅう国立公園のくじゅう連山も縦断するような形で通ってまして、それが公園計画上の計画歩道として位置づけがあるものですが、枝線的なような形で、鉾立峠という場所から立中山というところまで、往復ピストンできるようなハイキングができる既存の道がありまして、こちらを計画に位置づけるということで、こちらも地元によって、今後事業決定した上で事業執行していただくというようなことを検討してございます。

 最後でございますが、大船山平治岳線道路でございます。こちらに関しても、既存施設、既存の道の把握なのですが、特に、このくじゅう連山の中でも、かなり多く使われている登山道の一つというふうに聞いてございまして、既に使われている登山バスの終点や、伽藍台という登山口になっているような場所が、現状計画に位置づけられていなかったということで、この度、計画に位置づけた上で、地元のほうで事業執行していくというふうな内容でございます。

 くじゅう地域についてはこれで最後になりますが、阿蘇地域についても、一件、歩道計画の変更、区域の追加がございます。こちらの図面の阿蘇山、右の図面ですが、阿蘇山の火口がございまして、そこから火口周辺規制1キロの圏内を赤で色づけさせていただいていますが、既存の仙酔峡から中岳に至る登山道が、火口周辺規制1キロの際に登山ができなくなってしまうということで、この度、赤線で書かせていただいている追加区間を設けた上で、火口周辺規制レベル2のときにあっても、中岳へのアクセスができるというような形で、今回、新たに歩道計画として追加した上で整備を行っていくというふうなものでございます。整備としては、簡単な誘導看板や、注意喚起の看板の設置、あと、斜度がかなりあるところなので、登り綱の整備などを今後予定しているというものでございます。

 それから、先ほど申し上げたように、不要な利用施設計画については、点検の際に削除を行っていくということで、整備の見込みがない、あるいは危険性があるといったようなものに関しては、計画の削除を行います。今回は、合計で6の利用施設計画の削除を行います。

 最後に、生態系維持回復計画の追加でございますが、こちら、くじゅう地域において、特にシカ対策や、外来種の侵入対策を行っていくために、生態系維持回復計画を定めた上で、生態系維持回復事業計画を策定するというものでございます。こちらの生態系維持回復事業、後ほど詳しくご説明しますので、その段でご説明をさせていただきます。

 最後、パブリックコメントへの対応でございますが、今年の5月から6月にかけて実施し、合計で2通のメールを頂きまして、今回の変更案件に係るものは全部で5件でございました。公園計画の説明については以上になりまして、続きまして、生態系維持回復事業計画について、ご説明をさせていただきます。

○事務局(国立公園課生態系事業係長 木村) 国立公園課の木村と申します。

 続けて、生態系維持回復事業計画についてご説明いたします。資料は1-5になります。

 生態系維持回復事業計画ですが、今回、3年ぶりの追加策定ということでございまして、制度等について、もう一度、おさらいということで触れさせていただきます。

 まず、生態系維持回復事業計画ですが、平成21年の法改正により追加された制度でございまして、その目的として、国立公園の風景地の保護のため、生態系の維持又は回復を図る必要があると認められるときにこの事業を行うということになっております。そして、立てつけなのですが、公園計画の生態系維持回復計画というものが、先ほどの説明のとおり、追加になりまして、今般、阿蘇くじゅう国立公園の中で、この生態系維持回復事業計画を決定いたします。目標、対象区域、事業内容について定めまして、この事業について、国、地方公共団体、民間が実施する場合は、自然公園法の行為許が不要になるというものです。ただし地方公共団体、それから民間においても、初めに確認、又は認定の申請を出していただく必要がございます。

 これまでに10件、生態系維持回復事業計画が策定されておりまして、今回は11例目となります。今回の特徴としまして、これまではシカ、外来種、あるいは外来魚といった、個別の生態系に影響を及ぼしているものに対しての計画が多かったのですが、今回は後ほどご説明いたしますが、ニホンジカ、外来種、それから人為の介入が減ったことによる影響といったものを総合的に対応するものでございまして、生態系維持回復事業計画としては、もともと法の趣旨に、より適合した内容かなというふうに考えています。

 そして、事業の構成ですが、策定者、事業期間、目標、事業区域を定めるということと、それから内容としまして、以下のようなものを追加いたします。

 そして、阿蘇くじゅう国立公園くじゅう地域の特徴ですが、もともと、くじゅう山群、由布岳・鶴見岳から成る広大な山林、草原を有し、火山地形に由来する坊ガツル湿原・タデ原湿原等の中間湿原が発達していると、また、そういったものを野焼きや、それから人の採草が景観維持に重要な役割を果たしてきたということが特徴と言えるかと思います。

 くじゅう地域の課題でございますが、まずニホンジカの分布拡大が進んでおります。特に、山間部のほうで樹皮はぎが見られているほか、湿地帯草原についてもニホンジカが見られるようになってきておりまして、希少な植物群落が衰退しているという状況でございます。

 また、外来種の侵入も認められておりまして、このオオハンゴウソウや、オオキンケイギクといった特定外来生物も確認が見られておりまして、侵入・拡大しているということでございます。

 今回の策定内容ですが、農林水産省、それから環境省共同での策定でございます。

 期間は、目標が達成されるまで、目標の内容としては、湿原、草原等の重要な植物群落等に影響を与えているニホンジカ、外来種、植生遷移の対策により風景地の保護及び生態系の維持又は回復を図るということでございます。

 区域としましては、阿蘇くじゅう国立公園のくじゅう地域全域になります。

 事業内容ですが、まず最初にモニタリングです。くじゅう地域の生態系を特徴づける植物群落、湿原、草原、ミヤマキリシマ群落、コケモモ群落を対象としたモニタリングを実施します。また、ニホンジカの問題がございますので、関係団体と連携して定期的に希少植物の影響、食害状況をモニタリングしたり、また糞粒、糞塊といった調査によりまして、ニホンジカの生息密度等の分析、推定等を進めてまいります。

 外来種のモニタリングとしては、重要植物群落内のオオハンゴウソウ、オオキンケイギクの侵入状況のモニタリングです。ここで言います重要植物群落とは、下にございます猪の瀬戸湿原、小田の池、タデ原、坊ガツル、それからくじゅう高原、ミヤマキリシマ群落、コケモモ群落といったものを対象としております。

 それから、具体的にどういう対応をするかということの中で、ニホンジカの管理です。下のほうにありますように個体数調整も行うのですが、まずは重要な植物群落を守ることが先ということで、植生保護柵を設置しまして対応をしていくということでございます。

 また、外来種に関しては、既に全域に分布してしまっていますので、実施する場所に優先度をつけて、特に重要植物群落を最優先として防除を行っていくこととしております。

 それから、植生の遷移による重要植物群落の被圧への対応ということで、ミヤマキリシマ群落、コケモモ群落に影響を及ぼすノリウツギの防除、除伐を行いまして、主要な展望地・登山道沿いの風景地の確保に努めます。また、阿蘇くじゅう地域におきましては、野焼きも重要な、景観を支える意味で重要なものですので、猪の瀬戸、タデ原、坊ガツルの湿原植生に対して、継続して野焼きを行っていくというものでございます。

 そして、野焼きの継続に向けた在り方検討ということで、この野焼きが重要植物群落や、昆虫、鳥類等を支えている、生態系を支えているというものですので、こういった取組が継続できるように在り方検討も進めてまいります。

 その他の事業としましては、動植物の保護増殖として、域内保全を行うとか、それから生態系の維持回復に資する普及啓発として、ビジターセンター、インターネット、パンフレット等により普及啓発を行います。また、その他の事項としまして、5年を目処に効果検証を行いまして、見直しを図ってまいります。また、大分県、それから九州森林管理局の計画等の整合も図ります。

 それから、検討体制なのですが、くじゅう地域生態系維持回復事業計画検討会というものを設置しておりまして、環境省が事務局となって、地元有識者、地域活動団体、行政の参画によりまして事業を実施しております。これを行うことによりまして、先ほどの自然公園法の手続が省けるということもございますが、地域において、どういったことを行っていくのかという目標意識が統一できるということもありますし、あと、手続が省けることによって事業が迅速化するということがメリットかなというふうに思います。

 最後に、役割分担ですが、先ほどご説明しました事業については、このような役割分担で進めてまいります。

 生態系維持回復事業計画については、以上でございます。

○下村小委員長 説明ありがとうございました。

 くじゅう地域を中心にということですが、保護規制計画の変更、利用施設計画の見直し、そして生態系維持回復事業の計画策定ということで、かなり盛りだくさんではありますが、時間の関係もありますので、一括して審議をしてまいりたいと思います。

 質問の形式ですが、いつものとおりで、会場におられる方は、また名札を立てていただくと、それから、リモート参加の委員の皆様におかれましては、ウェブ画面上で参加者リストのご自身の名前の横に表示されている挙手ボタンというものがあるというふうに伺っていますが、その挙手ボタンを押して、挙手の表示をお願いしたいと思います。

 それでは、ご質問、ご意見をお願いいたします。いかがでしょうか。

 では、会場から手っ取り早く、まず行きたいと思います。小泉武栄委員、それから小泉透委員、お願いします。

○小泉(武)委員 いいですか。すみません。

 今、くじゅうの話がたくさん出てきました。シカの食害等、問題がいろいろありますが、これへの対応はどんどん進めていっていただきたいと思います。

私はくじゅうへ、社会人の人たちを連れて行ったことがあるのですが、皆さんが一番、がっかりしたのは、坊ガツルの湿原です。表面が乾いてきてしまい、植物も枯れて、これでは湿原ではないではないかと言われてしまいました。残念ながら、坊ガツルの湿原と言われた頃の景観とか、植生とかは、ほとんどなくなってしまっているんです。その原因を考えると、土壌の侵食で溝が入ってしまい、水路みたいになっているということがあります。そこを水が流れてしまうものですから、湿原がどんどん乾いてしまうのです。

 やはり、坊ガツルってくじゅうでは有名なところで、みんなあそこに行くんです。そこへ行っても湿原の植物がほとんどないと、みんながっかりします。あそこは目玉商品みたいなところですので、そういったところの植生の回復を重点的にやっていただきたいと思います。

○下村小委員長 それでは、小泉透委員。続きまして、中静委員、それから佐々木委員と質問を回りたいと思います。

○小泉(透)委員 このまましゃべっていいですか。

 引き続いて、シカのことについてお話をさせていただきます。私、昔10年ほど、九州にいまして、くじゅうは随分通ったところでした。箱根にやや似た感じがあって、これから、シカが増加するというリスクのあるところではないかと思います。

 希少な植物群落からピックアップしていって防護していくという進め方はいいと思います。それから、湿原ですので、食圧だけではなくて踏圧、入り込んで踏んで硬くしていくというようなことが影響してくることが考えられますので、その点もご配慮いただきたいと思います。

 それから、防護柵を設置していると思うのですが、防護柵というのは壊れますので、点検作業も計画の中にきちんと盛り込んでください。イノシシは入っていますか。もしイノシシが入っているのであれば、柵が壊れる原因は、実はシカより、イノシシによることが多いです。イノシシが壊して、その後からシカが入り込むというようなケースが多くあります。もしイノシシも確認できるのであれば、メンテナンスに十分労力を割くという計画を立てていただきたいと思います。

 最後に、個体数調整という部分が入ってきました。今はそんなに多くはないが、これから増えるかもしれないというところでは、捕獲は極めて困難です。十分に計画を練って、慎重に進めてください。

 以上です。

○下村小委員長 では、続いて、佐々木委員、お願いします。

○佐々木委員 佐々木です。

 私も聞きたかったのは、今のことと同じです。ニホンジカのモニタリング、ここを調べている方から、長野県の草原に対して、シカはかなり多いと聞いています。そうすると、ニホンジカの生息調査、モニタリング、この国立公園の全域で行うのか、あるいは、重要な場所をピックアップして行うのかということと、個体数の調整をどうするのかという点を、もし今ある程度の方向というのが案としてありましたら、説明を聞きたいと思い、今質問いたしました。

 以上です。

○下村小委員長 ほかは何かご質問ございますでしょうか。よろしいですか。

 それでは、事務局、お願いします。

○事務局(国立公園課生態系事業係長 木村) 国立公園課の木村でございます。順番に回答していきたいと思います。

 まず、坊ガツルの乾燥化に関してですが、資料1-6に生態系維持回復事業計画の具体的な資料がございまして、こちらの実際の対応の中で、野焼きを行っていくということで、それによりまして、植生遷移がこれ以上進まないようにということ、乾燥化の防止を図っていきたいと考えております。

 それから、2点目ですが、踏圧の影響への配慮ということでございましたが、こちらについては、現地のほうに、もしよろしければお聞かせいただきたいのですが。

○事務局(国立公園課課長補佐 中山) 国立公園課の中山です。今の点、若干補足させていただきますと、同じく生態系維持回復事業計画自体に採食圧だけではなくて、踏圧の観点からも植生を守るために植生保護柵を適切に配置すると位置づけておりまして、こちら側としても採食圧だけではなくて、踏圧からも植生を守らなきゃいけないということは認識して、計画にも位置づけているところでございます。

○事務局(国立公園課生態系事業係長 木村)そうですね。その前に、柵の管理の話で、当然イノシシがいれば、柵が壊れやすいということだったと思いますが、阿蘇の事務所のほうで、そちらは分かりますでしょうか。

○事務局(阿蘇くじゅう国立公園管理事務所長 田村) 阿蘇の事務所の田村です。今、くじゅうの管理官もいるので、くじゅうの管理官から詳細を説明したいと思います。

澤くじゅう管理官 くじゅう管理官事務所の澤です。お世話になります。

 イノシシは、まずおります。あと、現在作っている柵は箱根の仙石原のような大きな柵ではなくて、コドラートの10メートル掛ける10メートルの小規模な柵が少数あるのみなのですが、当然、その周りにもイノシシが出ておりまして、ご指摘のような管理というのは重要になってきますので、適切な管理をしていきたいと思います。今後も柵のほうは重要植生のポイントごとに増やそうとは思っているのですが、いずれにしても、イノシシだけじゃなくて、シカはもちろん、管理のほうはきちんとやりたいと思っております。

○事務局(国立公園課生態系事業係長 木村) ありがとうございます。柵については直轄で設置するものでございますので、作った後には維持管理をしていくということになろうかと思います。

 それからシカが全体的に多いということで、捕獲をどのように進めていくかということについてもご質問いただきましたが、生態系維持回復事業計画の中では、シカの捕獲については、重要植物群落への影響について、まず重点的に対応していくということでございますが、捕獲場所、規模、それから体制については、これから役割分担を決めて、効率的な捕獲に努めていくということなのですが、やはり対応が遅くなってはいけませんので、予防原則の下、なるべく早く対応していきたいと思います。

○事務局(国立公園課課長補佐 中山) 佐々木先生のほうから、全国の国立公園でシカの個体数調整とか、モニタリングをどうやって進めていくかというお話もあったかと思います。生態系維持回復事業、全国10公園でもう既につくっているところですが、大半がシカが対象になっていまして、環境省としても、その事業を進めていくために、非公共でもシカの捕獲予算を確保していて、それを進めるための専門家雇用の予算を持っていますので、各地でそういった形で尾瀬や、南アルプなど、いろんなところで、シカの捕獲を進めているところでございます。さらに、公共のお金を使って、柵等の設置というのも進めていきたいというところで、全公園やっているわけではないのですが、課題が明らかになっているところは、こういった生態系維持回復事業計画を立て、地域の方と連携しながら個体数調整を進めるようにしているというところでございます。

○下村小委員長 ご質問はありますか。

○小泉(武)委員 すみません。

○下村小委員長 どうぞ。

 一頃、くじゅう国立公園で、ミヤマキリシマに何か病気みたいのが発生して、かなり広範囲に枯れてしまったことがあったと思います。ミヤマキリシマの花は結構大事な資源だと思いますが、その後どうなっているか分かったら教えてください。

○事務局(国立公園課生態系事業係長 木村) では、この点については、阿蘇のほうからご説明いただいてもよろしいでしょうか。

○事務局(阿蘇くじゅう国立公園管理事務所長 田村) 阿蘇の田村です。今、ご質問のあったミヤマキリシマの病気ですが、ちょっと確認したいのですが、病気ではなく害虫の話でしょうか。

○小泉(武)委員 そうです、害虫です。蛾みたいなのがたくさんくっついていて、葉っぱを食っていたと思いますが、その話です。

○事務局(阿蘇くじゅう国立公園管理事務所長 田村) はい、分かりました。その対応については、では、澤管理官からお願いします。

○事務局(阿蘇くじゅう国立公園管理事務所管理官 澤) くじゅう管理官の澤です。

 おそらく、エダシャクの問題だと思うのですが、現在、くじゅうの山でエダシャクのほうが大量に発生をして、ミヤマキリシマを痛めているという状況ではありません。ここ数年、それほど大規模な発生は見られておりません。小規模な発生が時々あるという程度ですので、現在、ミヤマキリシにダメージ与えているのは、そのエダシャクというよりも、この生態系維持回復事業に書いたような遷移が進行したことによる、例えばノリウツギによる被圧など、そちらのほうがかなり大きな問題になっているところになっております。

○小泉(武)委員 はい、ありがとうございました。

○下村小委員長 それでは、中村委員がさらにご質問があるということのようです。お願いします。

○中村委員 聞きたかったのは、野焼きと植生保護柵、防鹿柵の関係というか、野焼きするときに防鹿柵の構造が木ではないであろうとは思うのですが、その辺をどうやって整合性を持って、防鹿柵を作ることと野焼きを継続的に実施していくことをうまくつないでいるのかというのを教えてください。

 それから、野焼きの維持管理について、現在、どの程度地域できちんとできて、ボランティアにどの程度頼っているのか、もし分かれば教えてください。

 以上です。

○事務局(国立公園課生態系事業係長 木村) 国立公園課の木村です。

 柵の配置については、野焼きと地元の活動に配慮した形で検討を進められていると聞いておりますが、詳細については阿蘇事務所のほうでご回答いただきたいのと、先ほどのボランティアのことについても併せてお話しいただけますでしょうか。

○事務局(阿蘇くじゅう国立公園管理事務所管理官 澤) くじゅう管理官の澤です。柵の配置場所は、もちろん、野焼きの邪魔にならない場所を選んで配置をしていると。素材が鉄ですので、火が通っても燃える構造ではありませんから、基本的には大丈夫です。大きな柵と違って小さいので、火をつけるたびに撤去したりとか、そういうようなことはしておりません。

 野焼きのボランティアですが、基本的には、くじゅう地域の場合は、牧野の草原ではなくて、半自然の湿原の自然保護のための野焼きというのをやっている関係で、今回、重要植生として上げているエリアは、ほぼ全てボランティアによる野焼きが進められているところです。かなり作業されている方の高齢化等も進んでいるところですので、それへの支援を続けるという趣旨で今回の生態系維持回復を計画していったという次第でございます。

 以上です。

○中村委員 ありがとうございます。ボランティアの方々は地域のボランティアの方ですか、それとも、例えば東京首都圏とか、そういう遠くから来られる方ですか。

○事務局(阿蘇くじゅう国立公園管理事務所管理官 澤) 基本的には、くじゅうエリアのほうは、地元の方のボランティアになっております。やはり、外から呼ぶというのが技術的に難しかったりと、いろいろありますので、今のところ、外の方をボランティアで入れるというような動きにはなっていませんが、そういう必要もあるよねという議論は出ているという状況です。

○中村委員 ありがとうございました。

○下村小委員長 よろしいですか。

 佐々木委員、さらに何かございますか。これは、下げとしていいですか。

○佐々木委員 特にありません。大体分かりました。

○下村小委員長 分かりました。

○佐々木委員 ありがとうございました。

○下村小委員長 ほかはよろしゅうございますでしょうか。

 それでは、議題1につきまして、諮問に添付されました変更書どおりとするということにつきまして、異議はございませんでしょうか。

(異議なし)

○下村小委員長 それでは、本件については適当と認めることといたしたいと思います。

 それでは、続きまして、国立公園事業の決定及び変更についてですね。これについても、事務局からご説明をお願いいたします。

○事務局(国立公園課事業係長 鎌田) 国立公園課の鎌田でございます。よろしくお願いいたします。

 国立公園の事業の決定、廃止及び変更について、私からご説明させていただきます。

 今回、諮問案件なのですが、全部で34件あります。通常の公園小委の中で説明案件のメルクマールとして、何か新しく整備するものを当日ご説明させていただいております。そのほかの案件については、例えば小規模な整備や、技術的な決定というものについては、事前の資料配付をもって、ご説明と代えさせていただいております。

 今回、阿蘇くじゅうの案件については、公園計画の施設計画に基づく事業決定、技術的なものなので、こちらのほうも説明を省略させていただいております。よって、今回、小委員会では、19番瀬戸内海国立公園の地家室園地のみ説明案件となります。

 もう一点、11番から18番、中部山岳で野営場が複数決定されておりますが、こちら、北アルプスの利用拠点となる野営場を一斉に決定するというものであります。こちらのほうは、個別にご説明するということは省略させていただきますが、そういった背景があるかというような全体像について、補足説明をさせていただく予定です。

 それでは、よろしくお願いいたします。

 地家室園地は、山口県大島郡周防大島町のところに位置しております。屋代島の中央南部に位置しておりまして、日本最大規模のニホンアワサンゴの群落が見られる海域公園地区に面しております。

 今回、事業決定の概要なのですが、現在もこの事業地周辺、利用形態としてはシュノーケリングやダイビング、要するに海の利用といったようなものがされている状態です。

 こちら、現在、課題として、こういった利用はされているのですが、周辺に駐車場であったり、トイレであったり、利用を前提とした施設がないということが課題となっております。これらを踏まえ、環境省の直轄施設として、休憩所を設置するということで区域面積0.7ヘクタールを事業決定するというところでございます。

 こちらの写真、前面に見られるのが公園事業道路となっておりまして、公園事業上主要な道路であります。この主要な利用動線上に、現在、公園の園地を具体的に建てるところが小学校の廃校跡地というところになっております。利用動線上の廃校跡地に休憩所を設置するというところであります。

 具体的にどういった機能を持った施設を検討しているかというと、駐車場、多目的スペース、トイレであったり、また海の利用というところがありますので、シャワーだったりを整備します。また併せてカヌーなど自然体験に利用するようなものを置いておく倉庫といったようなものを考えております。

 こちら、こういった施設を建てることによって、海浜地区の利用促進をするとともに、利便性や、魅力の向上といったようなところ、この公園内で図っていくというものであります。

 設置に当たっては、小学校跡地に整備しております。既に開発されているというようなところでありますので、土地の形状改編というようなものは、大規模な造成等はない予定であります。まだ基本設計というようなところでありますので、今後実施設計に当たって、こちら、直轄で設置するものですので、デザイン、色彩等は風致・景観に沿ったものというところは、もちろんでございます。

 次に、中部山岳、南部地域、野営場を一斉に決定するところなのですが、こちら、北アルプス、要は表銀座と言われるようなルートで、そこの主要拠点となっております。山小屋に併設する形で野営場が営業されているのですが、それらを一斉に決定するものであります。

 背景としては、これらの野営場の区域を明確化するということが目的でありまして、野営場として指定しているようなところから、どうしても少し外れてテントを設置というようなところが目立ってしまうので、今回、公園事業として、きちんと野営場の区域を明確化して、事業を執行するというところで、これを運営している山小屋の皆様方と調整が済みまして、きちんと公園事業を決定して、そういった区域外、無秩序な指定地外への幕営というようなことを防いで、周囲の自然環境の負荷の軽減を図るという目的を背景とした決定であります。トイレ等必要な施設については、併設している山小屋のものを使用するというようなことを想定しております。今回、そういった背景を踏まえて、主要拠点にあります野営場8件を事業決定するものでございます。

 説明は以上となります。

○下村小委員長 ありがとうございました。

 全体では10公園ですね、10国立公園の中の34件ということになります。中でも瀬戸内海地家室園地と、それから中部山岳の野営場の一連のものにつきまして、説明を頂きました。そのほか、後ろの後半、20以降は、先ほど計画変更等がありました阿蘇くじゅうに関わるものが中心でございます。

 それでは、また、この後、ご質問を受けてまいりたいと思います。名札を立てていただくのと、挙手ボタンという形で対応させていただきたいと思います。

 いかがでしょうか。

 それでは、広田委員、中静委員、今回もお手上げですか、まずは広田委員、質問をお願いします。

○広田委員 声は聞こえていますか。

○下村小委員長 はい、大丈夫です。

○広田委員 先ほど、ご説明のあった瀬戸内の地家室園地ですか、この施設は、管理運営はどういう主体に依頼することになるのですか。環境省のほうで、直轄で管理運営することになるのでしょうか。

○下村小委員長 どうしましょうか。広田委員はその件だけですか。

○広田委員 はい、そうですね。

○下村小委員長 それでは、中静委員、佐々木委員ですか。ほかにはないかな。

○中静委員 よろしいですか。

○下村小委員長 はい、どうぞ。

○中静委員 私も瀬戸内海国立公園のほうなのですが、赤く囲った地域を見ると、周囲に森林の部分もあるのですが、施設以外の部分はどういうことになるのでしょうかという質問です。その森林のところ、写真では緑に見えているのですが。その部分は、どういうふうに管理されるのでしょうかという質問です。

○下村小委員長 分かりました。

 佐々木委員、いかがでしょうか。

○佐々木委員 北アルプスの野営場のほうですが、趣旨はよく分かります。今まで、そういったところ、山小屋の方々が管理していたと思うのですが、区域を明確化、そういったことは重要だと思います。いろんなところに、勝手にテントが張れてしまいますので。ただ、その区域を明確化、つまり、ここから内側がテントを張ることが可能とか、それをどのように伝えるのかと、つまり何か指標などを置くのかどうかということが最初の質問です。

 2番目は、やはり、ソーシャルディスタンスなど、今いろいろ言われていまして、ここだったらいいだろうなどと思われ、その外側でもテントが張られてしまうことが可能性として出てきます。やはり生態系の保護をするために、ここには張らないでくださいとか、そういった注意書きの看板も同時に必要になると思うのですが、いかがでしょうか。

 以上です。

○下村小委員長 江﨑委員、質問をお願いします。

○江﨑委員 ありがとうございます。私も瀬戸内海のほうの施設の件なのですが、実際の写真のほうを拡大して見てみましたが、施設の前のところに道路があって、何というか、すぐ海には出られない状況かなと思うのですが。先ほど、お伺いした感じは、海のアクティビティに使われるということだったので、実際に実施される方とどのように使うかということを相談や、計画して建物に反映されているのかどうかというところをお聞かせください。

○下村小委員長 あとはよろしゅうございますか。

 それでは、事務局、お願いします。

○事務局(国立公園課事業係長 鎌田) まず、管理運営についてなのですが。申し訳ございません。地元の周防大島町が管理運営することになります。物は、環境省が休憩所やトイレ、シャワー、多目的スペースを設置して、周防大島町がそういう倉庫や、駐車場を管理するという、整備を役割分担した上で管理運営を周防大島町が主体となってやるというようなところです。

 次に、中静委員からご質問のあった、緑のところも囲まれているというところで、江﨑委員の質問にも若干通じるところなのですが、技術的なところでありまして、どうしても、事業決定区域というのを看板一つであろうと、事業決定区域から外れてしまうと、もうそれは事業でなくなってしまいます。あと利用動線についてなのですが、江﨑委員からご指摘がありましたように、海について、どのようにアプローチして海に通じるかというようなところも、今後整備をする上で考えなければいけないので、少しそういった余裕を持って、実際区域というものを設定させていただいておりますが、実際の整備をするというところについては、既に小学校跡地となっておりますので、開けたところのみ、つまり改編のほうを最小限にして整備するといったようなところでありますが、どうしてもそういう区域を離れて、一歩外れてしまうと事業としてみなせないというようなところがありますので、そういった技術的な観点から少し余裕を持って、区域というのを設置させていただいております。

 次に、アルプスです。今回は事業決定という形で区域を明確化したという段階でございます。今後、これらを山小屋の方から、申請を上げてもらって、認可するというような、実施、運営のところのスキームに入ります。その際に、ご指摘いただいたようなところ、結局目的のほうが、そういった区域を明確化して、区域範囲以外の利用を抑制するというようなところでありますので、どうやって、それを伝えるかというようなところであったり、また、こういった情勢でありますので、ご指摘のとおり、ソーシャルディスタンスを踏まえた野営場の運営というようなものもありますので、そういったものは、今後、認可、申請が上がってきて、そういった運用の段階のほうで、もちろん、指導するといったり、山小屋の人と協議しながら検討していきたいと思います。

 最後に、利用動線というようなところで、こちらの図のところで、現在、基本設計の段階というようなところで、どういった基本的な整備をしていくかであったり、どういった機能が必要かというような段階でございます。そういった段階でございますが、こういった形で少し前面を避けるような形でアプローチというものを検討しているとのことです。

 ただ、今後、実施設計といった、現場で測量設計などが入って、具体的な設計のほうに移る際に、変更があるかもしれませんが、そういった形で少し横にそれてアプローチするというようなところを、今のところ、考えているところでございます。

 以上です。

○下村小委員長 アクティビティに関して、もう少し地元との調整というか、話があるかということだったと思います。

○事務局(国立公園課事業係長 鎌田) すみません。具体的なところは情報は入っていないのですが、まだ今後どのように運営して、アクティビティを地元のガイドが入れるかというようなところを、町と今後協議するといったようなところを聞いております。現在、具体的な検討状況というのは、情報がないので、事務所のほうに確認して、アクティビティについて、どういった状況であるかというようなところを確認して、ご回答させていただきたいと思います。

○下村小委員長 ご質問されました先生方、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

○広田委員 広田ですが、よろしいですか。

○下村小委員長 はい、広田委員、どうぞ。

○広田委員 町が管理ということですが、今どきの時代でもあるし、町が直営で管理するのかなという気もします。それこそ想定される利用者と何か団体をつくって指定管理を受けるとか、そこら辺のさらに具体的な管理運営の体制については、もし分かれば、あるいはある程度方向性が見えているのであれば、教えてください。

 以上です。

○下村小委員長 どうぞ。

○事務局(国立公園課事業係長 鎌田) 具体的な管理スキームというようなところ、正確な情報がないので、申し訳ありません、こちらのほうも確認して、現在、決まっていることがあれば、回答させていただきます。

○広田委員 分かりました。結構です。

○下村小委員長 佐々木委員は、よろしいですか。何か手が挙がっていますが、よろしいですか。

○佐々木委員 結構です。ありがとうございます。

○下村小委員長 はい、分かりました。

 ほかは、何かご質問ございますでしょうか。

 また、後で情報を頂くというようですが、それを踏まえまして、議題2について、承認を諮りたいと思います。

 諮問に添付されました変更書のとおりで進めることに、ご異議はございませんでしょうか。

(異議なし)

○下村小委員長 よろしゅうございますか。それでは、本件につきましては、適当と認めることといたします。

 また、追加情報については、事務局のほうからよろしくお願いいたします。

 それでは、ここで10分休憩を取りたいと思います。50分から次の議題に参りたいと思います。また、ご参集ください。

午後4時40分 休憩

午後4時49分 再開

○下村小委員長 皆様、お戻りになられていますでしょうか。時間が参りましたので、再開をしたいというふうに思います。

 議題3でございまして、自然公園法の施行状況等を踏まえた自然公園制度の今後の在り方についてということで、議論を進めてまいりたいというふうに思います。

 会議冒頭に事務局から説明がありましたとおり、本議題につきましては、長野県の猿田環境部長を参考人としてお呼びし、リモート参加していただいております。

 猿田部長おられますでしょうか。

○猿田長野県環境部長 猿田です。どうぞよろしくお願いいたします。

○下村小委員長 こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速、事務局から説明をしていただきたいと思いますが、まずは進め方ということについて、資料3-1から資料3-4ということで説明をお願いして、その後、内容というふうに移ってまいりたいと思います。

 では、事務局、まずは進め方について説明お願いします。

○事務局(国立公園課課長補佐 三宅) 聞こえていますでしょうか、国立公園課の三宅と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、資料の3-1は、改めまして、今回の諮問の中身でございます。自然公園法につきましては、平成21年に改正をしたところではあるのですが、その際に施行後5年を経過した場合において見直しをするといったような規定がございますので、それも踏まえて、5年を大分過ぎている状況ではあるのですが、審議会、今回審議会のほうで見直し、また、ご意見いただきたいというふうに考えておるところです。

 続きまして、資料の3-2につきましては、自然環境部会、さらに、この小委員会のほうに付議されているといったことのご報告となっております。

 また、冒頭、説明もありましたが、資料の3-3で、この小委員会の設置要綱が一部変更となっておりまして、今回のそういった自然公園法の施行状況を踏まえた今後の在り方について、調査審議するということで、この審議会に追加の審議事項という形で加わっておりますので、ご報告をさせていただきます。

 また、今年度のスケジュールが資料の3-4にございます。今後の検討の進め方と、これまでの経緯という部分でございます。昨年度に「自然公園制度のあり方検討会」ということで、下村先生のほうに座長をしていただいて、この審議会で議論をしていただく前段の議論ということで議論を重ねていただきまして、提言という形で今年5月に公表をしておりますので、それをベースにして、審議会の皆様にも今後ご意見いただいていきたいというふうに考えておるところでございます。

 本日につきましては、昨年度までに議論をしていただいた提言の中身をご説明させていただくということを中心にお願いしたいというふうに思っております。今年度、あと3回、できれば審議会を開催したいと思っておりまして、関係者からのヒアリングというのを秋ぐらいにやった上で、12月ぐらいに報告書案について、審議会の皆さんのご意見いただいて、取りまとめた上でパブリックコメントをかけまして、年明け頃を目処に報告書を取りまとめて答申といったような形のスケジュールでご検討をお願いしていきたいというふうに考えております。

 ここまで、一旦事務的なところで、以上となります。

○下村小委員長 ありがとうございました。年内にほぼまとめるということです。

 何か、ここまでのところでご質問ございますでしょうか。また、先ほどと同様のスタイルにしたいと思いますが、何かありましたら、よろしいですか。

 それでは、今のような手続で進めてまいりたいということでございます。

 では、続いて、資料3-5以降を使いまして、内容に関しての審議に参りたいと思います。まずは、事務局からご説明をお願いいたします。

○事務局(国立公園課課長補佐 三宅) それでは、引き続きまして、資料3-5以降について、説明をさせていただきます。

 まず、重点検討事項についてというところでございます。先ほど申し上げたとおり、提言という形で昨年度まとめておりますので、これをベースにご議論いただきたいというふうに思っておりますが、昨年度と状況の違うところとしては、特にコロナウイルスの感染症の状況、かなり大きな影響を自然公園にも及ぼしております。昨年度の時点では、あまり、この辺りを考慮ができていない部分となっておりますので、こういった部分も踏まえながらご意見を頂いていきたいというふうに思っております。

 提言については、後ほどご説明をさせていただきますが、「国立・国定公園における利用環境の充実」ですとか、「公園事業・集団施設地区の再生・上質化」というところで、それぞれ提言としてまとめていただいていますので、特に、今回制度の在り方ということで、法律に関する部分の議論を中心に頂きたいというふうに思っておりますので、この辺りについての不足している点とか、充実させていくべき点があるかというところについて、ご意見いただければ、それ以外に提言の中でカバーし切れていないような視点とかがありましたら、ぜひご意見いただきたいというふうに考えておるところでございます。

 それでは、中身のほうを3-6-1以降のシリーズでご説明をさせていただきたいと思います。まず、3-6-1という資料のほうで、全体の概要をまずつかんでいただこうかなというふうに思っております。

 「今後の自然公園制度のあり方に関する提言」ということで、昨年度までの議論で、一旦このような概要で取りまとめていただいております。少子高齢化ですとか、旅行ニーズが団体旅行から個人旅行に変化していくといったような中で、自然公園制度というのは、今、大きな転換期にあるのかなというふうに考えております。満喫プロジェクトということで、これまで取り組んできましたが、自然の保護というのは、もちろん大事なのですが、それを地域の資源として、適切に活用・向上させて、それが、また保護につながっていくという、「好循環」ということが、今後、さらに重要になってくるのかなというふうに考えております。そのために、どうやって、地域の資源を活用していくのかということを地域で検討すると、それに基づいて、マネジメントコントロールをしつつ、「質」の高いツーリズムを促進することによって、地域社会の発展、国内外の観光客の皆様の増加というところにもつながっていくのかなというふうに基本的な方向性として考えております。自然公園の管理体制の充実、気候変動への適用、地域循環共生圏ということで、環境省のほうでは、第五次環境基本計画で打ち出しておりますので、こういったこととの連携というのも必要だということでご指摘を頂いております。

 パワーポイントの左側が国立・国定公園の利用環境の充実という部分でございます。国立・国定公園のテーマやストーリー、それぞれの国立公園は特徴がありますので、そういったものを踏まえた利用のあり方の検討のために、利用のゾーニングの検討が必要という点。それから、(2)として、公園計画に基づいて、自然体験プログラムの促進のための事業計画を設定するといったような中身。それから、(3)と(4)は少し違う中身ですが、自主ルールでは対応し切れない動物への餌づけ、ドローンの飛行、最近の新しい利用形態に伴って発生している問題への行為の規制の検討、利用調整地区の柔軟な活用、それから利用者負担の仕組みづくりの検討みたいなことが、利用環境の充実という点では必要ではないかというご指摘いただいております。

 それから、公園事業・集団施設地区の再生・上質化という部分でございますが、かなり国立公園でも観光地の衰退、それに伴う施設の廃屋化ということが進行しております。そういった中で、地域とともにそういった衰退してしまっているエリアの再生・上質化のためのマスタープランを作成して、それに基づいて廃屋の撤去、景観の統一といった対策を進めていくことが大事かというふうに考えております。また、そういった廃屋になってしまった後の対処だけではなくて、新しく廃屋になることも防止していくという観点から、中小企業庁といった組織と連携をして、公園事業者の事業の再生や、円滑な事業の終了の支援みたいなことができればというところ、併せて(3)ですが、権原、所有権、賃借権の譲渡、所有・経営・運営の分離に対応するための手続や、命令の新設みたいなことができればということで、大きくこの二つの論点で議論を頂いて、提言を頂いてきたところとなっております。

 この後の説明、リモートの方も、会場の方も見にくくて申し訳ないのですが、ワードの資料のほうで、大分中身が多いので、かいつまんでご説明させていただくという形にさせていただければと思います。3-6-2で提言の本体がございますので、こちらの概要を順次ご説明させていただきます。

 リモートでご参加の皆様、もしお手元のパソコンで資料をご用意いただけるようであれば、そのほうが見やすいかもしれません。会場の皆さん、すみません、字が小さくなってしまいますが、拡大していただくこともできますので、必要に応じて拡大もしながら、また前の画面で説明するところは映しながら行きたいと思いますので、前の画面をご覧になりながら聞いていただけますと幸いでございます。

 まず、検討の体制としては、現在、こちらに映しております提言の資料の2ページ目ですが、こういったような方々にご参画いただきまして、また分科会というものも設定をしまして、計6回検討を頂いて進めてきております。

 目次については、割愛をさせていただいて、はじめにについても割愛をさせていただきます。

 背景の部分、5ページでございます。どういった背景でこの提言をまとめてきたかというところですが、5ページの①少子高齢化・人口減少社会と自然公園ということで、今さら私が申し上げる必要もなく、日本全体で少子高齢化・人口減少社会というのが進んでおります。自然公園は多く地方部にありますので、とりわけこういった影響、大きな影響を受けているというふうに考えております。地域社会の衰退が、自然公園の管理に深刻な影響を与えるということが懸念されているのかなというふうに考えております。

 続いて、②番、旅行ニーズの変化と自然公園という部分でございます。5ページの②でございます。バブルの崩壊以降、団体旅行というのは減っていて、旅行形態が団体旅行から個人旅行にシフトしていると、また各個人の興味とか関心に基づいて、特定の目的とか、本物の価値を求めるような旅行のニーズや、地域の文化や暮らしの体験も含めた自然の中にゆっくりと滞在する旅行ニーズというのが増加していると、旅行の形態というのが変わってきていて、それにも自然公園が対応していかなければいけないというようなことになっているのかなと思っております。6ページに行きますが、それに伴って施設の廃屋化みたいなことが進行してきているということが書かれております。

 続いて、6ページの③番、ITやデジタル技術の進展と自然公園という部分でございます。例えば、ICTを活用して交通サービスをクラウド化するMaaSといった仕組みが近年盛んに各地域で行われております。あるいは、コロナウイルスによってより顕著になっておりますが、テレワークといったことも注目されておりますので、こういった社会の動きというのを踏まえていく必要があるというふうに考えております。

 それから、④番、「明日の日本を支える観光ビジョン」と自然公園ということで、政府全体としては、現在、「観光先進国」ということで取組が進んでおりまして、この中に国立公園というのが位置づけられております。世界水準の「ナショナルパーク」としてブランド化していくことが政府全体の観光ビジョン中でも重要な取組の柱として位置づけられているところとなっております。

 続きまして、6ページの⑤自然災害と自然公園という部分でございます。東日本大震災以降、環境省のほうでも三陸復興国立公園ということで、新しく指定をしまして、その「三陸復興国立公園の創設を核としたグリーン復興」ということで、復興のための取組を進めてきているところでございます。説明、7ページに移っておりますが、2019年に青森から福島をつないだロングトレイルであります「みちのく潮風トレイル」全線開通させる等、復興のための取組を進めてきております。また、さらに近年気候変動の影響によって、災害の激甚化みたいなことが起きておりまして、生態系や保護地域を活用した防災・減災といったところの重要性というのも指摘されているという状況にございます。

 続きまして、7ページの⑥番、環境行政の動きと自然公園という部分でございます。国際的な動きとしてはSDGsというのが、この間決定されておりまして、経済、社会、環境の三側面を調和させるといったような考え方、それから複数の課題の統合的解決みたいな考え方が国際的にも注目をされているところとなっております。それから、2段落目の部分でございますが、第五次環境基本計画というのを国内においては閣議決定をしております。その中では、先ほど申し上げました地域ごとに自立・分散型の社会を形成しつつ、近隣地域と共生・対流するといった、「地域循環共生圏」という考え方が提唱されておりまして、環境省として、積極的に取組を進めてきているというところでございます。

 それから、説明は7ページから8ページにかけてご説明をさせていただきますが、生物多様性条約のCOP10で愛知目標というのが採択されております。愛知目標というのは、2020年が目標年となっております。COP15、中国で開催されるCOP15で新たな目標が決定される予定となっておりますので、こういった国際的な自然保護に関する動きというのを踏まえていく必要があるというふうに考えております。さらに8ページの後段部分でございますが、気候変動につきましても、「気候変動適応法」という法律が成立をして、適応の必要性が指摘されてきているところとなっております。こうした中で、自然公園がこういった環境醸成の課題、諸課題に対して、先駆的・モデル的・中核的な役割を果たすということが期待されているというふうに考えております。

 こういったことを、提言の背景として整理をさせていただいております。

 続きまして、9ページでございます。自然公園施策に関する近年の動きということで、簡単にご紹介をさせていただきます。9ページの①番、総点検及び新規指定等というところでございます。

 2007年から国立・国定公園総点検事業ということで行っております。主に、自然環境の質と国立・国定公園の指定状況とのギャップ分析といったものを行いまして、今後の新規指定、または公園区域の大規模な拡張を行うべき候補地というのを2010年に公表をしたところとなっております。説明は3段落目以降ですが、この総点検事業に基づきまして、慶良間、やんばる、奄美群島という各国立公園を新しく指定してきておりますし、京都丹波高原国定公園の新規指定を行っているほか、8地域で区域の拡張も完了しております。総点検事業で指摘されたうち、対応未了となっている6地域について、引き続き、調整検討していくといったような状況になっております。また、9ページ後段の部分でございますが、国立・国定公園の指定の風景軸というのが、時代とともに変化してきているような状況になっております。直近では、やんばる、それから奄美群島を指定しておりますが、亜熱帯照葉樹林の生物多様性保全や、環境文化型といった新しい価値観、風景軸に基づいて指定をしてきているところとなっております。

 続きまして、説明は10ページのほうに入らせていただきます。協働型管理運営の推進という部分でございます。

 国立公園の日本の地域性の国立公園の管理に当たっては、その地域の関係者の皆様と国立公園の目指すべき目標(ビジョン)を共有した上で、連携を図ることが必要ということで、協働型管理ということでこれまで進めてきております。説明、2段落目のほうに行っておりますが、「総合型協議会」を設置して、国立公園のビジョンや、管理運営の方針、行動計画、地域ルール等を関係者が検討・共有し、取組を進めることが必要ということで、これまで順次協働型管理運営ということで進めてきているところとなっております。

 それから、続きまして、説明は13ページのほうに移らせていただきます。国立公園満喫プロジェクトでございます。

 2015年に490万人であったインバウンド利用者数を、2020年に1,000万人にするというようなことを目標と掲げまして、先ほど申し上げたような保護と利用の好循環を実現するということで、満喫プロジェクトに取り組んできております。全34国立公園のうち、阿寒摩周、十和田八幡平、日光、伊勢志摩、大山隠岐、阿蘇くじゅう、霧島錦江湾、慶良間諸島の8つを先行的、集中的に取組を行うモデル地域ということで選定をしております。具体的には、グランピング等の多様な宿泊体験の提供、ビジターセンター等の民間開放、民間事業者との連携、自然体験コンテンツの磨き上げ、廃屋撤去による引き算の景観改善、多言語化等の基盤整備、ガイド人材の育成、利用者負担による保全の仕組みづくり、プロモーションを関係省庁と連携、それから現場の職員もかなり増えてきておりますので、現場の管理体制の強化といったようなことにも取り組んできておるところとなっております。

 続きまして、説明のほうは14ページに移らせていただきたいと思います。関連法令の制定・改正の概要とその背景というところでございます。

 自然公園法に関連する法律としまして、エコツーリズム推進法というのが2008年に施行されているところとなっております。地域の認定を受けることができるのですが、自然公園と深い地域も数多く認定を受けている状況となっております。

 それから、地域自然資産法というものが2015年に施行をされております。こちらは、入域料の考え方を法律に位置づけたというような中身になっております。

 それから、都市公園法と文化財保護法というものをここに上げております。都市公園法につきましては、近年社会情勢を踏まえて、民間との連携を加速すると、都市公園を一層柔軟に使いこなすといったようなことです。Park-PFIということで、民間開放みたいな手続が新しく法律に盛り込まれているところとなっておりますし、文化財保護法につきましても、地域における文化財の計画的な保存・活用ということで、地域で計画をつくれば、権限が一部市町村に下りるという形で、地域での活用、あるいは民間との連携、そういったものが近年、他法令でもテーマになってきているようなところかというふうに考えております。

 それから、続きまして、説明は16ページに移らせていただきます。近年の自然公園法の改正事項と現状ということで、最近、何を、法律を改正して、制度として入れてきたかといったようなところになっております。

 16ページの①番、利用調整地区制度というのを、まず2002年に改正をして新しく設定をしています。公園利用者の立入人数を制限できる制度となっておりまして、現在、吉野熊野の西大台、知床の知床五湖の2箇所で指定がされているところとなっております。

 続きまして、風景地保護協定制度というのを、同じく2002年の改正事項で盛り込んでおります。こちら、二次的自然みたいなものをイメージした制度となっておりますが、土地所有者の代わりに自然の風景地の管理、先ほどの牧野の管理みたいなものをまさにイメージされるところかと思いますが、公園管理団体や、行政ができるという制度が創設をされております。阿蘇くじゅう国立公園と上信越高原で実際活用がされているところとなっております。

 それから、説明は17ページに行っておりますが、公園管理団体制度、こちらも同じく2002年の改正事項となっております。国立・国定公園の管理業務に関して、一定の能力を有する公益法人や、NPO法人を公園管理団体として指定することができるようになっておりまして、公園管理にそういった団体の力を取り入れていこうといったような趣旨になっております。現在、5団体が指定されているという状況になっております。

 それから、17ページの④番、海域公園地区制度でございますが、従前、海中公園という制度がありまして、主にサンゴ礁などを指定してきたのですが、それを、海域全体対象とするということで、海域公園という名称に、2009年の時点で改めております。これによって干潟や岩礁といった生物多様性の保全に富むエリアを指定できるようになったというところ、それから特に漁業者との調整等という観点で、その捕獲規制、漁業対象種の捕獲規制をかなり柔軟に設定できるようになったことで、海中公園時代と比べて、指定面積がかなり海についても増えてきているといったような状況になっております。

 それから、同じく2009年の改正事項ということで、生態系維持回復事業が創設をされておるところとなっております。これは、先ほど説明のあったとおりとなります。

 それから、18ページですが、⑥公園事業の執行に関する規定の整備というところでございます。公園事業というのはこれまでもあったのですが、この時点で法律に引き上げているという形になっております。公園事業の執行認可に係る、特に経営能力とかの審査基準をこのときに明確化をしております。また、改善命令や、原状回復命令の罰則を新しくこの段階で導入しているという形になっております。

 続きまして、説明を19ページに移らせていただきます。今後の自然公園制度のあり方に関する提言という部分で、大分長く説明してしまって申し訳ないですが、今までが背景部分で、ここからが提言の具体的な中身という形になっております。

 19ページの基本的な考え方は、先ほど、パワーポイントで説明した中身とほとんど同様ですので割愛をさせていただきます。

 20ページに行きまして、(2)番、国立・国定公園における利用環境の充実というところです。提言の背景・課題ということを書いておりますので、簡単に説明をさせていただきます。

 国立公園、これまでも公園の利用ということで、当然取り組んできましたが、法律に基づく計画というのはハードの計画しかなくて、ガイド事業、自然体験プログラムの提供というところは、民間事業者により実施されてきているところですが、その実態を把握し切れているという状況には、必ずしもなくて、適切な利用が一部図られていないような状況にあるのかなというふうに考えております。そのため、公園の利用について、ビジョンを地域で共有した上で、自然体験プログラムの充実に向けたソフト施策の強化を進めていくことが必要だというふうに考えております。また、2段落目以降ですが、利用形態が様々になっていることに伴って、これまで想定してなかった利用などが生じております。そういったものに対応するために地域で独自ルールを設けて、普及啓発を行っている事例もかなりあるのですが、法律に基づかないというところで、制度の根拠がなくて困っているといったような事例も若干生じているといったような状況にございます。こういったような背景・課題で検討を進めていただきました。

 具体的な中身として、①番、利用のあり方の具体化という部分でございます。

 国立・国定公園の利用環境を充実させていくためにというところですが、協働型管理の協議会みたいな場を活用して、それぞれの国立公園のテーマやストーリー、特徴、それを踏まえた望ましい利用のあり方を地域とともに検討していく必要があると、その手法として、利用のゾーニング(区域分け)が有効と考えられるということで記載をしております。具体的な中身は、21ページでございます。

 具体的にはというところですが、公園の区域を自然資源、利用実態、アクセスからゾーニングをして、各エリアの利用の性格やタイプを設定し、それらに基づいた利用資源の明確化や利用方針、管理水準を定めることが考えられるかなというふうに思っております。そういったゾーニングに基づいて、このエリアでどういうプログラムを提供するか、どういったルールでここを使ってもらうか、どういった水準で利用施設を整備するか、あるいは利用者にどういった案内をするかとか、そういったようなことを地域で合意形成を図っていけるとよいのかなというふうに考えております。

 21ページ、中段以降ですが、現在の先行事例として大雪山、知床、尾瀬では先行的に利用のゾーニングといったようなことが行われておりますが、国立公園にとって利用というのは基本的な考え方ですので、将来的には全ての国立公園でこういったことが実施されるのが望ましいのかなというふうに考えております。ただ、一方で国立公園ごとに状況はかなり異なっておりますので、統一的な基準で、全国で一律にゾーニングするというのは、なかなか難しいのかなと思っておりまして、地域の実情に応じた柔軟なゾーニングを行って、管理運営計画に位置づけていくのが妥当なのかなというところや、併せてどのようにゾーニングを行っていったらいいかというところが、なかなか技術的には難しい面があるのかなと思っておりまして、そういったものを検討して、指針のような形で整理をしていくということができるとよいのかなというふうに考えておるところです。

 続きまして、21ページの②自然体験プログラムの促進と適正化という部分でございます。説明自体は、22ページのほうでやらせていただきたいと思います。22ページの2段落目以降ですが、自然体験プログラムの促進や適正化について、制度の中に位置づけることを検討すべきであるといったような形で書いております。

 具体的には、促進・適正化のための事業計画をつくって、それに基づいて各主体が必要な事業を実施するといったようなことを考えられるかなというふうに思っております。そういった場合に、自然公園法に関わる規制手続を一部簡素化する、あるいは財政的な支援を国から行うといったようなことが検討できるかなというふうに考えております。

  22ページの箇条書の部分に、具体的にどういう事業が想定されるかということを書いております。受入体制の整備ということで、例えば窓口を一本化して受付をすること、人材育成をすること、それからフィールドの確保ということで、歩道等の修繕を行うといったようなこと、それからルール・マナーを地域で検討、望ましいプログラムを提供・開発、情報収集、モニタリングの実施、そういったようなことが想定されるかというふうに考えております。

 23ページ以降につきましては、留意点みたいなことが少し整理がされております。先ほど、申し上げた利用のゾーニングを踏まえた中身が検討されていくということが必要だろうという点、それからガイド事業者等の協力が適切に得られるようになることで、利用面ではなくて、保護の強化にもつながるということを指摘されております。あとは、順応管理をこういった部分に入れていく必要があるとか、リスク管理、安全対策の視点が必要ということ、それから各地域で既にガイドの組織化や、条例の制定ということが行われておりますので、そういったものを十分に尊重する必要があるというふうに考えておりまして、土地所有者との調整という部分を留意する必要があるというふうに思っております。

 続きまして、23ページの③、利用のコントロールの部分でございます。動物に餌づけをして人なれをしてしまうとか、ドローンを公園の中で飛ばすとか、あるいは登山道をマウンテンバイクで使うとか、ペットを連れて登山をして野外にし尿を排せつしてしまう、トレラン大会で歩道が傷んでしまう、そういったような新しい利用上の課題ということが発生をしておるのかなというふうに考えております。

 24ページに行っておりますが、そういったものについて、法に基づく命令等の検討、あるいは利用調整地区制度を柔軟に運用して対応するといったようなことが検討できないかといったようなことで記載をしております。それから、利用調整地区制度ですが、自然環境の保全とか、そういったようなことを目的にこれまで運用してきておりましたが、よりよい利用環境の維持や、より深い体験の提供といったような目的では運用されてきておりませんので、こういったような部分、例えば深い自然体験を受けていただくために、レクチャーの受講を義務化するとか、ガイドの同行を義務化するとか、そういったような形でも使えていくようなということで制度運用を柔軟にできればといったようなことで記載をさせていただいております。

 それから、24ページの④番、利用者の費用負担という部分でございます。なかなか、自然公園に関わる課題がかなり山積しているところですので、地域、利用者から入域料を頂いて、それで地域の自発的な取組を促進するということが必要になってくるのかなと考えております。説明、25ページに移りますが、これまでも古くから利用者負担というところは検討を進めてきておりまして、駐車場における料金徴収や、トイレチップ等々の取組は進めてきたところですが、今後、さらに利用者負担のあり方や手法についてを検討していく必要があるのかなということで記載しております。

 続きまして、26ページ目以降が公園事業・集団施設地区の再生・上質化といったような中身になっております。背景・課題の部分は、大体ご説明をしてきた中身になっております。各地で廃屋化が進んでおりまして、集団施設地区、公園の利用拠点の機能の低下や、街なみ景観の悪化ということが問題になっております。

 2段落目ですが、環境省では、満喫プロジェクトの一環として、利用拠点滞在環境等上質化事業ということで、予算的な措置として、そういった地域の廃屋撤去のための費用や、街なみ改善のための費用を支援するといった取組を一部進めているところでございます。

 具体的な中身、26ページ①番、集団施設地区等の再生という部分でございます。基礎自治体や、民間事業者をはじめとした地域の関係者と環境省が一体となった協議会というのにおいて、その地区の面的な再生とか、上質化、どういうふうに街なみをきれいにしていこうとか、ここの廃屋を撤去して、こっちに新しいホテルを造るとか、そういったことに関するマスタープランをつくって、それに基づき様々な対策を進めていくということが有効というふうに考えられます。その場合に、そういったものを制度の中に位置づけていくことが適当だということで記載をしております。

 説明は、27ページに行っておりますが、マスタープランができた場合には、そういったものに対する引き続きの財政支援や、公園事業に係る手続の簡素化といったようなメリットも検討する必要があるというふうに考えております。

 あとは、マスタープランをつくるに当たっての留意事項が、幾つか以下に記載しております。地域の自然景観や、歴史・文化みたいなものは踏まえていく必要があるといったようなところ。それから、景観法や、空家特措法との連携を考慮する必要があるということ。また、ボトムアップ、地域での議論、専門家の支援といったようなことを検討する必要があるということで書いております。

 それから、27ページの②番、新たな廃屋化の防止という部分でございます。新しく廃屋になる施設を防止していくということで、現行法上も報告徴収ということで、環境省が必要に応じて事業者の皆様に様々な書類等を出していただくことを求めることができるようになっておりますので、規模の大きい公園事業者を中心に、経営状態や、施設の状況を確認していくと。

 説明、28ページに行きますが、それで、特にまずいなというような施設に関しては、中小企業庁さんとの連携の中で、事業の再生や、円滑な事業の終了等の支援ができればというようなことで記載をしております。

 それから、28ページの③番、土地や建物の権限の譲渡、所有・経営・運営の分離への対応という部分でございます。

 公園事業施設の所有権が移った場合に、その権利をもらった人に対する公園事業の承継、権利をもらった人が事業を続けなければいけないみたいな規定が現在はありませんので、もらった方がその施設を比較的自由に使えるといったような状況になっていることが課題だというふうに考えております。

 また、近年、特にホテルに関してですが、所有と経営と運営が分離するという形で、今の規定が対応し切れていない部分があるというふうに考えております。

 これらの課題に対応するためにというところですが、そういった権限、権利を譲渡、やり取りする際に、環境大臣への届出や承認を義務づけるといった手続を新しく設けるということ、それに伴って事業者たる地位の承継や、原状回復の義務みたいなことを検討できればというようなことで記載をしております。

 続いて、29ページ以降でございます。それ以外の部分の提言ということを、こちらに保全・管理の充実と関連施策との連携ということでまとめております。

 ①番、先ほどの総点検事業の部分でございます。2020年で一度区切りを、総点検事業としては区切りを迎えますので、今後の見直しのあり方は検討する必要があるとここで記載をしております。それに当たっては、風景観の変化ということを踏まえて、二次的自然や、文化的景観、それから、気候変動への適応や、国際的な認証制度による評価みたいなものも視点として加味しながら、今後の国立公園の指定の検討を進めていく必要があるというふうに考えております。

 それから、29ページの②番、管理体制の充実強化という部分でございます。

 ご承知の方は多いと思いますが、なかなか、環境省の現場の職員の体制というのは脆弱でございますので、ボランティアの協力や、専門家の皆様の協力ということが引き続き必要だというふうに記載をしております。

 それから、30ページに行きますが、前段でご説明したような利用の充実や、集団施設地区の再生・上質化といったことを進めるためには、総合型協議会といった取組が引き続き重要であるというところ。

 それから、公園管理団体という既存の制度も、民間の力を借りて管理を進めていくためには有効でありますので、現在は公的団体しか指定できないのですが、それを営利企業にも広げるといったようなことも含めて、より活用できないかということを検討する必要があるというふうに考えております。

 それから、30ページの③山小屋との連携という部分でございます。

 民間の山小屋につきましては、山岳環境の保全、登山者の安全確保、登山道整備という部分について大きく支えていただいていますし、山岳地域のし尿処理というのは重要な環境問題ですので、引き続き、現在も行っているのですが、環境配慮型のトイレに対する補助制度は、今後も継続していく必要があるということで記載をしております。

 それから、④番、気候変動の適用という部分でございます。31ページに行っております。

 気候変動への適応の手引きということで2018年に整理をしております。それに基づきまして、順応性の高い健全な生態系の保全と回復を図るということが、今後必要かと思っておりまして、シカ対策、外来種対策を進めていくことに加えて、指定区域や地種区分の変更をするということ。それから、気候変動によって分布の予測みたいなことを行って、適応オプションみたいなことが今後必要になるということで記載をしております。

 それから、⑤番、地域循環共生圏の創出という部分でございます。

 31ページの一番下の部分、三陸復興公園の例が書いておりますが、カキの養殖でASC認証を取得しているといったような事例もございます。こういったような取組を国立公園でもより一層進めていく必要があるというふうに考えております。

 32ページですが、そういったことを考えるに当たって、普通地域というのを積極的に活用をして、よりその体験プログラムになることを充実させることが比較的容易でございますので、より深く暮らしや文化に触れていただくということを普通地域から考えていく必要があるのではないかということで記載をしております。

 それから、⑥番、公園周辺施設との施策の連携という部分でございます。

 当然、国立公園だけではなくて、周辺との連携が必要だというふうに考えております。

 保護の面においては、野生動物対策、希少種保全、外来種の防除みたいなことは、区域の外と一体的に連携をしていく必要があるというところ、それから、近年、OECMということで、民間保護区みたいなことも注目されておりますので、国立公園を核とした保護区のネットワークみたいなことも検討していく必要があるというふうに思っております。

 それから、利用の面に関してですが、アクセスの改善や自然公園の誘導というところに関して、区域の外との連携が不可欠だというふうに思っておりますし、MaaSの取組といったようなことも今後取り入れていく必要があるということで記載をしております。

 提言については、以上となっております。

 説明が長くて恐縮ですが、もう少しだけ関連する説明をさせていただきます。

 資料3-6-3が満喫プロジェクトの今後の取組方針ということで、満喫プロジェクト自体も2020年で一区切りですので、2021年以降、どういうふうにやっていくかということを、満喫プロジェクトの有識者会議のほうで検討していただいております。

 基本的な方針としては、ウィズコロナ・ポストコロナ時代の対応ということで、例えば、ワーケーションみたいな新しい価値の提供みたいなこと、それから、限定体験、キャパシティーコントロールみたいなことが、今後、ますます必要になってくるのかなというふうなところを1点挙げております。

 それから、水平、垂直展開というところで、8公園から34公園の底上げというところ、それから、さらに高みを目指した公園というのも、今後、選定をしていくようなことで考えております。

 あとは、これまでの視点の継続というところを挙げておるところとなっております。

 それから、資料の3-6-4につきましては、附帯決議となっております。前回の法改正のときに国会のほうで出た附帯決議と、その対応状況ということで整理をしております。

 細かくはご説明をしませんが、公園計画をつくるときに幅広く国民の意見を聞くようにする、海域公園の指定の際には、生物多様性上、重要な地域が含まれるようにするとか、生態系維持回復事業については、科学的データに準拠しながら行うようにするということ、それから、利用調整地区の指定の積極的な拡大に取り組むこと、それから、人材育成に努めること、そういったような中身で、衆参で附帯決議が出ておりますので、議論の参考にしていただければというふうに考えております。

 あとは、参考資料として、幾つかご用意しているものがございます。

 公園法の概要というものを用意しておるほか、施工状況の概要ということで、面積や、規制状況、それから、許認可の状況といったようなことを、現時点の情報として整理をしております。

 あとは、近年の改正の中身ですとか、近年の動きいうことで、先ほど、ご説明したものの詳細のものを用意をしております。

 あと、コロナウイルスの影響による国立公園の影響と回復状況ということで、利用者がかなり減っているが、最近は、少し回復傾向にあるみたいなデータをお示しをしておるというところと、旅行者や、観光に対するニーズや嗜好の変化ということで、コロナを踏まえて、より自然地域への着目が高まっているとか、ワーケーションやリモートワークみたいなことの関心が高まっているといったようなデータをつけております。

 すみません、長くなりました。以上です。

○下村小委員長 説明ありがとうございました。

 かなり説明が長く、盛りだくさんの説明を頂きましたが、この小委員会では、平成21年、22年度以来の自然公園制度の変更、それについて、議論をしてほしいという諮問を受けたということになります。

 その議論のベースとして、昨年度、環境省のほうで取りまとめられたあり方検討会の資料があって、それを踏まえて、この小委員会で制度変更等についてご議論を頂くということになります。

 論点としては、かなり初期段階で、5ページ目でしたか、まとめてはいただいたのですが、今回の制度変更として、大きくは利用環境の充実ということと、それから、公園事業・集団施設地区の再生・上質化というあたりのところに、かなり焦点を当てて、制度を見直したほうがいいのではないかというようなことになって、あり方検討会でも議論をしておりますので、その点について、ご議論いただくと。

要するに、今日を含めて3回で、先ほどの制度をどうしていくか、自然公園制度というのをどう見直していくかということをまとめていくわけですが、今日は、恐らく委員の方々も初めての詳しい説明を受けられることになりますので、もちろん、フリートーキングをまずはしていただきたいというふうに思います。

 先ほどの利用環境の充実の話と、公園事業・集団施設地区の再生・上質化というあたり、それから、その他の部分についても、もう少し考え直したほうがいいのではないかというところがあれば、特に昨年度の検討会はコロナの問題以前のところで、かなり議論をしておりますので、コロナ問題、コロナ禍の話が出てきたということで、やはり、これの見直しもまた入れていく必要があるかもしれませんから、そういったことについてもご意見を頂きたいというのが本日のテーマでございます。

 ということで、今日のところは、まずは、今の説明を受けて、その自然公園制度の見直し等に向けて、どういうふうなことをしていかなければいけないのかということについて、ご質問、ご意見を幅広く頂きたいということでございます。

 まずは、質問あたりから受けていきたいのですが、恐らく、意見と混ざってくるとは思いますが、何か、まずは、ここはもう少し説明を聞いておきたいというような質問がありましたら、皆様からお受けしたいと思います。いかがでしょうか。

 また、会場の方は札を立てていただいて、それから、リモート参加の委員の方については、挙手ボタンで挙げていただければというふうに思います。いかがでしょうか。

 それでは、まず会場から行きましょうか。それで、挙手も大分挙がりましたので、まずは、小泉透委員、それから関委員、中静委員、中村委員、吉田委員、どんどん来ますね。会場のほうから順番に参りましょう。

 どうぞ、小泉委員から。

○小泉(透)委員 ありがとうございます。

 普段、私、こういう議論をあまりしていないので、純朴な質問というふうに聞いてください。

 自然公園、今回の目的というのは、13ページに書いてありますように、保護と利用の好循環を高次元で実現するということが、全体を流れている考え方だと思うのですが、それを通じて、地域社会へ経済も含めて貢献するということが必要になってきているのではないかと思うのです。

 ところが、5ページで書かれているように、全体的に人口減少というのが進んでいるわけですね。特に、全体的に人口減少が進んでいるわけではなくて、2050年の人口分布を見てみますと、恐らく自然公園周辺は極端な人口減少、ないしは人が住まない地域になってしまうというような予想がされているわけですね。

 そういう中で、保護と利用の好循環を図って地域社会に貢献するという自然公園が、どういう在り方が期待されているのか。説明はありましたが、その実例を、例えば、国立公園満喫プロジェクトといったような先行プロジェクトの中で、地域社会へどう貢献したかというような側面からの評価と実例というのを少し聞きたかったな、見たかったなというふうに思いましたので、ご検討いただければと思います。

 以上です。

○下村小委員長 では、次、続いて、関委員お願いできますか。

○関委員 ありがとうございました。

 私は、飛びまして、21ページになってしまうのですが、自然体験プログラムの促進と適正化というお話があって、私も何年間かこの会議に参加していますが、このソフトですね、プログラムのところで、大きな動きが出るというところにすごく興味を覚えるのですが、もう少しイメージを聞かせていただきたくて。

 これのまだ読み込みが足りないかもしれないのですが、現行の自然体験プログラムに対して、見直しを図るというイメージが強いのか、あるいは、新規で入ってくる、自然公園の中で新しくプログラムやってみたいなという人たちにも、どんどんチャンスがめぐってくるようなイメージのものになるのか。ただ、読んでるとブランディング化などということが書いてあって、敷居が高いイメージになっていくのか、その辺りのイメージをもう少し伺いたいなと思いました。

 以上です。

○下村小委員長 それでは、小泉武栄委員と、それから続いて、中静委員、中村委員と回っていきたいと思います。

○小泉(武)委員 この話の最初のところに、人口減少、それから、少子高齢化というのが出てきました。実は、私、社会人のグループをよく野外に連れて行ったりするのですが、今の時代、健康で長生きし、頭もいいという人が結構増えているんです。ただ家にいてテレビを見てぼおっとしているのではなくて、社会や野外へ出て、いろんなことやってみたいという人たちです。国立公園は、そういう人たちにとって、すごく大事な場所になっています。頭を使い、体を使って、健康になる。これは長生きにも通じます。

 つまり国立公園は国民の健康を維持する上でたいへん重要な施設になっています。ですから、厚生労働省辺りから、表彰してもらってもいいぐらいの話だと思います。こう言った話は今までほとんど抜けてしまっていたと思うのですが、実は今後ますます重要になると思います。健康で知的なレベルの高い人が多くなっている現在、国立公園はこの人たちを引きよせるチャンスを迎えていると思います。そのための能力を国立公園はいっぱい持っています。潜在的な国立公園の利用者がたくさんいるわけですから、まず、そのことを考えていただきたいというのが一つです。

 それをやるためには、どうしたらいいか。実は国立公園へ行っても自然の良さを説明するいいストーリーがないんです。素晴らしい景色があります、ここへ行くとこういう花が咲いています、きれいでしょというような話で終わっています。これはこれで大事なのですが、そうではなくて、そこにストーリーが必要だといいたいのです。

例えば、先にヨーロッパの例を挙げますと、ある観光地へ行って立派な滝を見たことがあります。その場合、これは何とか滝ですよで終わってしまって何も解説がないんです。でもそこは、氷河時代に谷間に大きな氷河ができ、谷間をガリガリ削り取ってしまったところで、そばに氷河に削り取られなかった山があって、そこから滝が落ちているんです。高さ300メートルという、すごい滝があるのですが、どうしてそこに滝があるのか説明が一言もないので、せっかくの滝の魅力が半減してしまいます。

日本の国立公園にも似たようなところがありますし、あるいはもっとひどいかもしれません。ですから、私が言いたいのは、これは何です、で終わりにせず、例えば尾瀬国立公園ならこんな経過を経て湿原ができた、あるいは霧島火山はこういうふうに噴火してこんな珍しい地形ができた、そこに植物はこう分布していますよというような形で、ストーリーをつくって、それを展開してもらいたいというということなんです。賢い観光客や外国人観光客も増えている現在、こういったストーリーを作ることが大事になっているし、求められていることだと思います。

 ですから、今まで私はこの会議でも、言ったことがあると思うのですが、そういったストーリーをつくるのにちゃんと予算をつけるということを希望します。

 それから、ジオパークの話が全然出てこないのですが、ジオパークと国立公園というのはすごく相性がいいんです。ジオの方がこんなふうにしてできてきて、それから、国立公園の生物がこうですよという、話になっていると、来たお客さんはすごく喜びます。ですから、みんなが喜んで、ああ、また来たいなと思うようなストーリーを早くつくっていただきたい。このようにしていかないと、国立公園の魅力も増えていかないと思います。

 次に別の事例を紹介します。十和田湖の真ん中にある半島が915年に噴火したのですが、その噴火で飛んできた火山灰が、皆さんが前に見に行った種差海岸の砂丘をつくっているのです。あそこへ行ったときに、私が説明したと思いますが、それまで砂丘があっても誰も不思議に思わなかったのです。ところが砂丘を作るのは、海岸の砂ではありませんでした。砂ではなくて、軽石(火山灰)が飛んできてあそこに堆積したわけです。ただの砂丘ではなく、915年の噴火で種差海岸の草地ができたとなったら、だれでもびっくりします。ですから、そういう話をどんどん展開していくことが必要だと思います。ただ予算がなく、調べてくれる人がいないのが、現在の状況です。今後は、ジオパークとうまく連携を取ってやっていただきたいなというのが私の意見です。

○下村小委員長 それでは、中静委員お願いします。

○中静委員 とんでもないことを言うかもしれませんが、私、こういうのを見直す機会に、自然公園の利用や管理にIT化といいますか、情報化を物すごく導入するのがすごく有効じゃないかなと思っています。

 例えば、国立公園のいろんなものの解説にも、例えば携帯電話を利用してできるというようなことは、もう既に始まっているとは思うのですが、それと同時に、その入園者の数を数えたり、入域料の問題なんかもそういうことでできる可能性はありますし、登録した人は、情報をくれる代わりに入域料を下げるみたいなこともできるでしょうし、いろんなこと可能性があると思うのです。そういうのを管理の手法の中に、これからきちんと位置づけていくことって、しっかりと考えていかないといけないのではないかなという気がします。それが一つです。

 それから、もう一つは、国立公園のいろんな利用の仕方が多様化しているという話と関係するのですが、実は、去年、チェルノブイリへ行ったんですね。そうしたら、チェルノブイリの被爆した区域、立入禁止区域が自然保護区域になっていて、それで野性の馬なんかも放して、それで観光客といいますか、その公園に立ち入る人なんかも、もちろん、線量チェックはするのですが、ちゃんとお金を取って入れていました。日本では、被災された方の感情なんかも十分考慮しないといけないと思うのですが、そういう形でちゃんと、被災したところで何が起こったかとか、その地域が自然はどういうふうに変わっていくかということを見ていただくことを、その入域料みたいな形で取るということは、非常に大きな地域貢献にもなるでしょうし、そういう可能性ってこの検討会なんかでは、荒唐無稽なところもあるとは思うのですが、検討はしてもいいのかなという気はしました。その二つです。

○下村小委員長 ありがとうございました。

 中村委員、吉田委員、桜井委の順に参りましょう。

 中村委員、お願いします。

○中村委員 一つは、提言の中にあったゾーニングの件です。それで、ROSでしたか、Recreation Opportunity Spectrumというので、既にいろんな議論をこの分野の方々がされていると思うし、それをやはりやっていかなくではいけないのではないかなと僕も思いました。

 ということで、総論として賛成なのですが、例えば、地域循環共生圏については、普通地域をベースに考えていくというようなお話があったと思うのですが、このゾーニングについては、例えば、特別保護地区でもどんなレベルのものだとか、そういう法的な規制と、どういう形で合理性をもって関係性を見つけていくのかというのが、現在、議論されているなら教えていただきたいということです。

 それから、もう一個、おそらく、国立公園法の改正としてはできないのかもしれないのですが、2回ぐらい選ばれてきたOECMについてです。すごく重要だと思っていて、国立公園内だけで議論していると、例えば、シマフクロウやタンチョウの分散の議論なんていうのは立ち行かないのは、もう最初から明らかであって、それをどうやって国立公園と国立公園の間のマトリックスの部分に環境省が足場を作っていくかということは、すごく大事なことだと思うので、法的な形でOECMに位置づけられなくても、何らかの形でその言葉を残して、将来に向かって、OECMが設定できるような、そういった議論に持っていってほしいなというふうに思いました。

 以上です。

○下村小委員長 それでは、吉田委員お願いします。

○吉田委員 吉田です。

 質問のコーナーだと思っておりましたが、コメントもありましたので、私も質問とコメント、両方に関わりのあることを話させていただきたいと思います.私の関心事の一つが、3-6-2の14ページにあって、いろいろなところに出てきている地域自然資産法の関係です。その中でも,入域料の話なのですが、日本では、屋久島とか、富士山でも任意の徴収方法が主流であり、効果的に、確実に徴収している事例というのは少ないという印象を受けております。この入域料についてですが、地域自然資産法が施行された後、入域料がもっと広がるかなと考えておりましたが、いまだ十分ではないと伺っております。私も不勉強というか、全国の状況を知らないのですが、この法律を利用して、入域料を徴収している事例というのは、最近増えてきているのかどうかというのがまず質問です。

 これに関連するコメントなのですが、例えば3-6-3のところにキャパシティーコントロールが指摘されております。現状でも、国立公園では、それほど多くないかもしれませんが、オーバーツーリズムの弊害といったようなことが、これまで急速に増えたインバウンドとかによってもたらされてきたと指摘されております。この傾向が、20年ぐらいかけて徐々に増えてきたのならいいのですが、昨今のビザ緩和によって、急速に増えてきたため、いろいろなトラブルが起きてきたという事態が報告され、混乱を招いているとあります。現在、インバウンドがゼロになって、関連する地域の方々はかなり困っていらっしゃる中であるとは思うのですが、これを一つの契機にして、できれば、オーバーツーリズムの解消や、キャパシティーコントロールの問題について、今後どういうふうにしたらよいのかということを、この時期に整理、検討をして、よりよい国立公園の利用の方法と保護の在り方、そして、例えば入域料の徴収方法など、そうしたところへつなげていっていただけるとありがたいと考えております。

 恐らく、来年になっても、それほど急には、海外の方は戻ってこないのかなと考えておりますので、我々、一度立ち止まって、次の世代につなげる国立公園のよりよい利用管理の在り方というのを、少し考えるときかなと考えております。

 以上です。

○下村小委員長 それでは、桜井委員、深町委員の順に参りましょう。

 桜井委員、お願いします。

○桜井委員 よろしいでしょうか。桜井です。

根本的なお話を聞きたいのが、いわゆる、国立公園と国定公園の関係なのですが、私は、現在、知床国立公園と日高山脈襟裳国定公園に関わっているのですが、何かこう国定公園になると、特殊な部分だけは環境省は関わりますが、あとは関わらないという形で、非常に総合的な管理、国立公園の管理のようなイメージが、どうも国定公園にないんですね。

 それで、お聞きしたかったのは、そういう中で国立公園と国定公園があって、都道府県の県立公園とかありますが、国定公園のようなところをもっと格上げして、国立公園化して、同じようなレベルの中で、少し今言われた議論をやっていくようにできないものかなと思っていまして、それについて、お聞きしたいと思います。

 以上です。

○下村小委員長 ありがとうございました。

 深町委員、お願いします。

○深町委員 私のほうからは、6ページにあります自然災害と自然公園とか、31ページの気候変動への適応という部分に関連することなのですが、自然公園法のいろんな許可基準を考えたときに、例えば、湿地だとか、貴重な自然環境というふうに言われているような場所などは、基本的には、現状維持というような形での運用だとか、そういう指導があると思うのですが、例えば、歴史的にその場所がどういう場所だったかというのを見ていったときとか、これからのいろんな自然災害の可能性を考えたときには、そういった基準や、考え方というのを、少し、また対応させていくようなことも必要だと思うのですが、そういう部分では、どういうふうなことをお考えなのかということが一つ。

 もう一つは、環境省が進めている地域循環共生圏というのは、とてもいい取組だと思うのですが、新たに、例えば里山とか里地域的なところとか、普通地域の中で、こういった考え方でいろんな取組をするというのも大事ですが、既に指定されているいろんな自然公園の中で、実は林業遺産や、文化的景観という観点からもとても大事なところがあるのですが、その中では、自然環境という観点の物差しでだけ、それが中心でいろんなことが決められてきているというようなこともあるのではないかと考えられるのですが、そういう部分に対してのいろんなこれからの取組というか、今回のことを機に何か考えていらっしゃることがあるかということをお聞きしたいと思います。

 以上です。

○下村小委員長 ありがとうございました。

 広田委員、それから、辻本委員、江﨑委員参りましょう。

 広田委員、お願いします。

○広田委員 私は、資料の3-5に基づいて、コメントしたいのですが、すみません、聞こえていますか。

○下村小委員長 はい、大丈夫です。

○広田委員 大丈夫ですか。

 その重点検討事項の中で、③その他で、重点的に取り組むべき施策ということで、その①と②はそれでよろしいかと思うのですが、その③のその他の中に含めるには、あまりにも大きな問題があるかなと思っているのが、先ほども出ていましたが、人口減少がこれから進む中で、公園管理のマンパワーがもう圧倒的に足りなくなる事態が想定されているわけですから、そこも、この提案の中では管理体制の在り方というようなところで書かれているのですが、ここは、やっぱり、その重点検討事項の中で特出ししたほうがいいのではないかというぐらい、重要な検討事項かなと感じます。

 それに関連して、やはり提案の中に協働型管理というのが出てきまして、様々な国立公園で進められているわけですが、やはり、この協働型管理というのがマンパワー不足を少しでも改善できる一つの方策だと思いますので、私は、やはりこれをもっともっと推進していって、様々な主体が国立公園管理に関われる体制を強化していくというのが、すごく重要だと思っています。

 この提案の中にも、地域というのはよく出てくるのですが、私が一番身近にいろんな地域と関わっている立場から言いますと、その地域が非常に疲弊というか、人口減少と高齢化で、かつてのような地域力がなくなってきている現状があるわけで、そうなると、その狭い意味のそこで暮らしている地域の人以外の人たちが、やはり公園管理に関わっていかざるを得ない状況だと思います。それは、提案の中にもそういうことは書かれているのですが、私の言いたいのは、この重点検討事項の中にちゃんとそういうのは頭出しして検討を進めていくべきではないか。ここは強調したいところだなと思います。

 以上です。

○下村小委員長 続いて、では、辻本委員ですね。お願いします。

○辻本委員 聞こえますでしょうか。よろしいでしょうか。

○下村小委員長 はい、大丈夫です。

○辻本委員 一つは、ゾーニングという話が出ましたが、自然公園といっても、自然だけで存在しているわけでなくて、近くに、地域があったり、社会があるというところが普通だと思います。だからこそ、ゾーニングを考えてかなければいけないのですが。

 そういうふうなところで、一つの視点として、人口減少とか、少子高齢化と言っているわけですが、それが自然公園地域側の問題なのか、全国的な、すなわち、そちらへ行く人たちの人口減少、少子高齢化なのかということをしっかり捉えないといけない。両方ともそうなのですね。行く側も少子高齢化しているし、受入側も少子高齢化していて、それぞれの問題の質を明確にしながら、この問題を捉えないといけないというのが1点です。

 もう一点は、上質化というのが一つの視点になっているわけですが、これまでも幾つかの例で見られたように、上質化するために富裕層に限られる利用になってしまわないのか。一方で、学習タイプの利用というのも非常に必要になってくるときには、やはり、質素で集団的な場というものも考えていかないといけない、その辺の両面性というものを上質化の中でも考えていかなければならないのではないかというのが2点目です。

 3点目は、地域との連携というふうなことが一部に書かれているのですが、後ろのほうに書かれていましたが、それは確かにそうなんですね。先ほど言いましたように、自然公園の中の自然と地域というふうな意味での連携も必要ですが、実は、もう少し外側にも連携すべきところがある。すなわち、自然公園の地域というのは遠隔地であることが多いために、例えば、都心部から、あるいは、首都圏とか、関西圏から行こうとすると、空港のある都市圏に移動して、それをベースとして、その自然公園にアプローチする。そういったときに、その自然公園の地区と、それから、ベースとなる空港のある都市域との連携というのは、非常に重要になってくると思います。ある意味では、オーバーユースにならないためにも、そういう都市圏とその近くの自然公園、そこがベースとなるべき自然公園というのは、しっかりとした連携をもって、そこで、ある程度、準備というふうなものがとれるような形になるような意味での連携が図れればいいかなと思いました。

 以上です。ありがとうございました。

○下村小委員長 ありがとうございました。

 江﨑委員、敷田委員、新美委員で参りましょう。

 江﨑委員、お願いします。

○江﨑委員 ありがとうございます。

 先ほど、説明していただいた内容を聞かせてもらってなのですが、まず、考える前提として、全体的なことなのですが、実態というのと、今後、この施行をされていくということもありますので、今後どうなっていくのかというところの予想も踏まえての利用などを考えていかないといけないのかなというのが、私が感じているところです。

 実際、コロナ禍ということが今まで考えられていなかった点なのですが、コロナ禍で、もう各県なり国なりから利用者にたくさん今は補助金とか利用の割引などが出ている状態で、すごく利用が促進されたのが今の機会なんですね。その結果として、たくさんの方々が今は国立公園に恐らく、特にアクティビティや、アウトドアに今は集中されているのかなと思います。

 それがどういうことかというと、今まで国立公園の体験だとか、地域で頑張ってきた皆さんの中で、なかなか収益性が上がらなかったというところがたくさんあったかと思うのですが、この機に収益性が上がるようになった地域もあると思いますし、逆に上がるところに、やはり変化できなかった地域もできてくる。その国立公園が満喫などいろんな取組はあるのですが、どうしても収益性が高いか低いかで、今後、いろいろ変わってくるのではないかということを、少し前提として考えなきゃいけないのかなと私は感じました。

 その一つが、例えば、今まで、そういう受入体制を考えるときに、地元の人たちが受け入れるということが、固定概念のようになっている部分もあるのですが、実際、少しお客様が来るようになって、地元の人たちが頑張ってお客様が呼び込めるようになると、そこに、その地域じゃない方々がビジネスチャンスとして到来して入ってくるんですね。なので、お客様の受入体制も大事なのですが、新規事業者の受入体制というのも必要であるということを踏まえた考え方がまず必要かなと。

 よくホテルの誘致ということは考えられていると思うのですが、体験、アクティビティというところの誘致だとか、向こうから入ってくるという受入体制といった考え方が国立公園とセットになっている地域がまずないので、そこが一つ必要かなというところがあります。

 それと関連してなのですが、ゾーニングの話なのですが、このゾーニングというのも、現状に合わせるという形と、今後、そのゾーニングに合わせて事業者や利用する場所を促していくという形があるかと思うのですが、今活発になっている部分にすると、どんどん利用されているところが広がっている部分もあると思いますし、どういうふうに進めていくのかということも、イメージしていくといいのかなということは感じました。

 特に、このゾーニングというのは、利用者にとっては、メリットは、やはり効率的に動けるということが一番あるのかなと。行政から見たら管理ができるということなのですが、利用者にとっては効率的に動けるという仕組みにもなりやすいというところを考えると、今、どんどん無秩序に広がりつつある地域なんかだと、それをどうやってゾーニングしていくのかというイメージが少し必要かなというのも思いました。

 あと、もう一つ、私がここの中で話することかどうか分からないのですが、少し最近、気になっていることが、やはり、こういう体験事業者とか、アクティビティを全国的に見ていると、労務管理が結構ひどい部分もあって、働く環境が整っていないというか、その将来を今促進するという点においても、やはり本当にちゃんと促進していこうとすると、働く環境、働くということ、人に働いてもらうという環境についても、何らかの社会の枠組みとして、同じように考えていかなきゃいけないのではないかというところが気になっているところです。

 以上です。ありがとうございます。

○下村小委員長 それでは、敷田委員、参りましょうか。

○敷田委員 国立センターの敷田です。聞こえておりますか。

○下村小委員長 はい、大丈夫です。

○敷田委員 それでは、私から細かい点も含めて5点、ほぼコメントになると思います。

 1点目は関連する法律のところですが、この間から話題になっている文化庁の文化観光推進法は、非常に関連がある法律だと思うので触れてもよいかなと思います。内容的にも学ぶところがありますし、後ほど申し上げますが、国立公園は自然資産であると同時に、地域性を考えると文化資産でもあるからです。

 2番目なのですが、これは、結構大きい提案になるわけですが、今回の取りまとめの中では、利用と保全ということで、二項対立で描かれています。ある意味では、それは正解なのですが、非常にシンプリフィケーション、単純化を促進する可能性があります。というのは、現在の利用は非常に多様になってきているので、保全と利用、保護と利用ということで、単純に切れない状況になってきていると思っています。なので、これからは、保全または保護と、利用ではなしに国立公園からどれだけの価値を創出しているか、その価値創出自体をコントロールする、もしくは、価値創出を促進するというふうに切替えが必要なのではないかなと思います。大きな価値を創出した事業者からは、利用料を取るといった発想ができるようになるからです。利用というふうに言ってしまうと、ただ立ち入るだけ、物見遊山の観光からエコツーリズムまで全部利用として、一くくりにされてしまうので、こういう発想があってもいいかなと思います。

 3番目は、国立公園の再投資について触れていただきたいなと思っています。自然遺産なので、人がつくったものではないから再投資は要らないだろうと、人工物ではないという考えか方もありますが、保全・保護の対策を取るのはある種の再投資ですし、利用料を再投資するのだという、維持のためではなしに、魅力向上のために再投資するという考え方を採用してもいいのではないかと思っています。

 4番目ですが、これはマネジメント管理についてですが、現在の国立公園管理のシステムは非常に複雑で、私たちが参加しているこの委員会も非常に複雑な手続を毎回取っているわけです。こうしたシステムを長く維持するのは、恐らく将来的には難しいと思います。

 例えば、これは冗談ではないのですが、グーグルが国立公園全部管理してあげるから、センサーとドローンでという申出をしてくる可能性だってあると思います。これは、非常に現実的な話だと思っています。こういうことに対応するには、国立公園をプラットフォームというふうに考えて、そこから、価値を創出したり、保全をしながら運営していく、一つの利用すべき総体みたいな考え方を採っていってもよいのではないかと思います。

 長くなりましたが、最後5点目ですが、取りまとめの中の文章では、先ほどから話題になっていました地域性や多様性という言葉が出てきません。地域性は出てきていません。ゼロです。多様性という言葉は出てきますが、生物多様性で、ここで私たちが強調したいのは、やはり、地域によって固有の国立公園の成り立ちや利用があるよという、その文化多様性のほうも配慮があってもいいのではないかと思いました。

 以上です。ありがとうございました。

○下村小委員長 それでは、新美委員、大黒委員、佐々木委員と参りましょう。

 新美委員、お願いします。

○新美委員 新美ですが、聞こえますでしょうか。

○下村小委員長 はい、大丈夫です。

○新美委員 大丈夫ですか。私は、大きく分けて2点、質問とコメントを兼ねて意見を申し上げます。

 一つは、現状認識ないしは、今後どうあるべきかという中期的な未来をどう見据えるのかという、長期は難しいとして、中期的なここ数年、どういう状況にありそうなのかということをしっかり認識した上で、議論を進めていったほうがよろしいのではないかということであります。

 先ほども出ましたが、インバウンドがいつ回復するかというのは、なかなか見通しがつかないと思います。国立公園の利用を考える場合でも、この報告書の議論をする際には、インバウンドがもっと発展するだろうと、大きくなるだろうという予想で議論したと思うのですが、しばらくは、ここ二、三年の間は、そういう状況にはならないんだろうと思います。ですから、この議論を進める上では、しばらくは、インバウンドは先に延ばしておいたほうがいいのではないかと思います。

 それから、もう一つは、状況認識としては、自動運転の自動車の普及について、経産省と国交省がどういう方向を出しているかと申しますと、いわゆる、マイカーでは到底条件は整わないだろうから、MaaSのところで自動走行自動車を導入しようとしているというふうに聞いております。そうしますと、国立公園の中で移動手段を考えた場合に、MaaSを使うということが大きな方向として出てきますので、これをどういうふうに運営していくか、利用において、どう使うかというのは重要なポイントになってくると思います。

 それとの絡みで、先ほど敷田先生がおっしゃったことなのですが、このMaaSのサービスの提供主体を誰に頼むのかというのは大きな問題だと思います。国立公園の利用ということを考えたときに、株式会社という利益を追求するのを最大の目的とするところに委ねていいのかどうかという問題があります。

 そういう意味では、国立公園の場合に、先ほどPFIとか、民間企業というふうに議論が出ましたが、民間企業でも株式会社と、それから、いわゆる公益法人とか、その他ですね、NPOとか、いろいろなものがありますので、誰を管理にかませるかというのも、少し真剣に議論しなければいけないだろうと思います。

 それから、そういうこととの絡みでいきますと、協議会というものが大きな中心になってくると思いますが、協議会というのを独立した法人にするのか、あるいは、任意団体という形にするのかというのも、これ大きな問題として登場してくると思います。

 全体の大まかな枠は、この報告書で書いてあることで、私はかなりしっかりと骨格はできていると思いますが、これをどういうふうに実行していくかということに関しては、状況の変化も出てきましたので、その辺も含めて少し詰めた議論をしていく必要があるのではないかと思っております。

 以上でございます。

○下村小委員長 それでは、大黒委員、佐々木委員、宮本委員と参りましょう。

 大黒委員、お願いします。

○大黒委員 大黒です。

 実は、私、このあり方委員ですか、検討会のメンバーとして加わっておりましたが、この提言の中心的なテーマである、活用・利用の充実、上質化に向けた提言というところには、ほとんど実は貢献できておりませんで、その他のところでいろいろ発言させていただいたのですが、先ほど、広田委員が発言されたように、実は、その他の中には非常に重要な問題が多く含まれておりまして、特にその自然公園の在り方を検討するための非常に重要な長期的、あるいは広域的な視点というものが、この中に多く含まれていると思います。

 その中で、私、一つは気候変動の問題ですね、ほかの先生もおっしゃっていたような、これから、ますます、その影響が強まると思われる、そういった気候変動の問題に対して、どういう対策、備えを強めていくかと、その辺についても十分な議論は必要じゃないかと。

 それから、広域的な視点としては、例えば、里地里山といった二次的な自然に対する関心が高まる中で、やはり普通地域に外との連携ですね、周辺地域の連携というものも連続性を含めた、そういった連携が重要になってくる。中村先生がおっしゃったような、そのOECMも含めた議論、また、辻本先生がおっしゃったような外との連携ですね、こういった視点が非常に空間的、制度的な横の広がりといいますか、そういった観点からの議論、また、例えば外来種とか、野生生物への対策なんかについても、周辺の農業地域や、公園外との連携が重要になってきますので、いろんな問題、横とのつながりですね、こういったもの、視点を重視した取組といったものについての検討ですね、その他の中にいろいろ込められているのですが、ぜひ、その辺についても議論を深めていただければというふうに思っております。

 以上です。

○下村小委員長 それでは、佐々木委員、お願いします。

○佐々木委員 佐々木です。これを読んで思ったことは、大体2点あります。

 一つは、まず、やはり利用の問題でして、今ちょうどコロナの影響で、国立公園、私の身近にある国立公園ですと来る人たちは少なくなっています。では、コロナ後、終息した後、どうなるかというと、本当に元に戻るのかといったら、いろんな新聞に書かれていますが、戻らないですよね。そうすると、どんなふうに変化を予想していくのか。大ざっぱに言ったら、おそらく、団体旅行は少なくなって、個人旅行は増えていくだろう。そして、そこに少子高齢化が加わって、高齢者の利用が増えていくだろう。そうすると、提言に書いています自然体験プログラムなど、いろいろな体験プログラムを多様化しても、誰が用意するのか、危惧される事態が起こりかねません。その辺、もう少し何か書いていただけたらありがたいかな、分かりやすいかなというふうに思いました。

 つまり、多様化するニーズに対して、どう対応するのか、ということが、もう少し書かれていたらいいのかなというふうに感じています。

 2点目なのですが、やはり利用すると、どうしても自然環境に影響を与えます。また、先ほどから話が出ていますが、気候変動、それで、また特に生態系なども変わっていきます。ですから、今からでも各地の自然公園の何か所かでモニタリングを始めていって、5年おきにどう変わっていっているのか、変化を止められるのか、あるいは、もう止められないのかとか、検討を進めた方が良いと思います。そういったデータなどを利用の形態などを考えていくための基礎の資料として準備したほうがいいのではないかというふうに思っています。

 以上です。

○下村小委員長 ありがとうございました。

 では、宮本委員。

○宮本委員 宮本です。聞こえていますでしょうか。

○下村小委員長 はい、大丈夫です。

○宮本委員 提言につきましては、異論ございませんし、質問等もございませんので、コメントだけさせていただきたいと思います。

 コロナの件なのですが、家に籠もっていると海とか山に行きたくなるということで、ひょっとすると、その新型コロナ感染症のおかげで自然公園の存在意義というのは高まったのではないかなというふうに思います。

 提言の内容に関しましては、26ページから28ページの3-(3)の②、③のところですが、廃屋化とも関係するのですが、土地・建物の権限の譲渡に関連して、公園事業を行う主体として、外国資本の参入等がどうなるのか、法律上、どう扱われていくのかということが若干気になっております。

 それから、30ページの3-(4)の③なんですが、山小屋との連携につきましては、これは、コロナの問題が起きる以前から、ハイシーズンと人気のある山小屋とか避難小屋というのは、非常に密な状態が起こり得るところだったと思います。それを考えますと、今後、広域で利用者とか宿泊者のコントロールをさらに進めていくという時代になるのかなというふうに思います。

 それと関連して、例えば、24ページの利用者の費用負担、どういうふうに設定していくのか、それから、16ページの利用調整地区、ゾーニングですね、これがどのようになっているのかということが気になるところでございます。

 それと、参考資料の5-1なのですが、その新型コロナウイルス感染症拡大によって、今後どうなっていくのかというのは、ここでは人の利用の数ですね、利用者の数の増減について、主に触れられているのですが、それによって、回復してきた後に、例えば、消毒薬などの薬品の取扱いですね、それがどのようになるのかというのも気になります。

 特に、今大学教育環境でもそうなのですが、排水の中に、その消毒薬の成分が入っていくというようなことが起き始めておりますので、今後、自然公園等で、これまで持ち込まれていなかったような薬品等をどういうふうに扱うのかということについても、ご検討を頂ける機会があればなというふうに思います。

質問タイムというふうにおっしゃっていらっしゃったんですが、コメントに終始してしまいました。申し訳ありません。

 以上です。

○下村小委員長 時間がかなり来ております。あと、山岸委員がまだご発言いただいていないのでコメントを頂いて、事務局のほうで一つ一つお答えしたり、対応するわけには参りませんので、簡単に総括的に振り返っていただいて、時間にしましょう。

 最後、ですから、山岸委員お願いします。

○山岸委員 それでは、聞こえますでしょうか。

○下村小委員長 はい、大丈夫です。

○山岸委員 自治体の首長としまして、提言させていただきたいと思います。

 私たちの地域は、白山国立公園と同時にジオパークにも認定されておりますし、また、エコパークにも認定されている。

 で、ジオパークは先ほどのお話にもありましたが、全国で43地域が今は認定されておりますので、多分、この国立公園とオーバーラップしているところが非常に多いと思うんですね。

 国立公園とジオパークの私なりの違いというふうに思いますのは、ジオパークは、地域の住民のアイデンティティといいますか、この地域を大事にしたい、見直したい、そういったことが一番大きなエモーションになって、設立、認定を求めて認定されております。

 そういったことで、国立公園も一つの基準、大きな制度があるわけですが、やはり、そこに住んでいる地域の住民のアイデンティティというか、誇りというか、そういったものが、やはり根底になければならないと思うわけです。

 したがいまして、いろんな議論がございますが、その地域を大事にしようということを踏まえた上での政策というものが、これは、その地域のはしごとして、必ず出てきているわけですから、そういったこともしっかりと踏まえていただきたいと思いますし、そのためには、先ほど申しましたように、オーバーラップしている地域については、もっと政府、環境省のほうでも、ジオパークなどとのアプローチもしていただきたいなと思うわけです。それによって、新たな国立公園の管理の仕方とか、それから、運営の仕方などの新たな視点が出てくるのではないかなというふうに思っています。

 そういうことで、観光振興は、当然、これからコロナの影響はあっても進めていかなければいけないと思っておりますので、そのためにも自治体という公的機関だけでなくて、地域の住民も巻き込んで、その力を一緒になって結集していくという仕組みも、この国立公園のやり方の中でも生かしていただきたいというふうに思っています。

 以上です。

○下村小委員長 ありがとうございました。

時間が来ておりますが、10分ばかりお時間頂ければありがたいと思います。

 それで、今回、長野県の猿田部長にもわざわざおいでいただいておるのですが、何か今までのようなコメントも含めて、お聞きになられてご感想でも結構です。ご意見を頂ければと思うのですが、いかがでしょうか。

○猿田長野県環境部長 ありがとうございます。

 私ども、国立公園が5地域、国定公園4地域を擁する県でございまして、そういったことで今回お呼びいただいたのかなと思っております。このうち、本年3月に中央アルプスを国定公園に指定いただきまして、大変ありがとうございます。

 それでは、お時間厳しいようですので、簡単に4点だけ申し上げたいと思います。

 1点目は、26ページぐらいになりますが、再生・上質化に関するマスタープランと景観形成についてでございます。言うまでもなく自然公園の大きな魅力の一つの要素は景観でございまして、廃屋の撤去と同時に電線類の地中化というのは、非常に重要な施策だと思っております。そのマスタープランの策定に際しては、公園の管理者が協議会を引っ張る形で策定いただいて、そこに位置づけた事業が確実に実施できるよう支援をお願いしたいというのが1点目でございます。

 2点目は公園の管理でございます。委員の皆様にもいろいろご意見が出ておりまして、まさにそのとおりだと思っております。30ページのところに、山小屋の果たす公共性に言及いただいておりますことを大変感謝申し上げます。

 また、少しその上になりますが、公園管理団体の指定対象に営利企業を広げるという観点は、今後必要ではないかと私どもも思っております。14ページに都市公園法のPark-PFIをご紹介いただいておりますが、やはり、それと同じような発想で、一定の制限の下に民間のノウハウを生かす、そういった検討は、今後必要なのではないかというふうに考えております。

 3点目でございます。気候変動の関係でございます。31ページのところに、生態系に着目した適応策ということで気候変動を取り上げておりますが、環境省におかれても、今年から気候危機という言葉が使われております。温暖化の影響で災害が多発していて、今年、私どもの上高地でも大きな被害が出ました。こういった被害の際に、生態系の回復や、公営施設の復旧が迅速確実に行えるような、そういった制度設計も必要だと思います。

 もう一つ、気候変動の関係でいいますと、ゼロカーボンがもう世界的な潮流となっている中で、適応策のみの記載でいいのかというのを少し感じます。RE100を環境省の施設でも目指していくという、そういうお話を聞いておりますので、もう一歩踏み込んで、CO2排出量の縮減といったところも要素として入れられないものかというふうに考えます。

 最後に、33ページに書かれております国定公園の関係でございます。私ども、海のない県でございますので、海域公園のような状況についてはコメントができないのが非常に残念でございますので、ぜひ、ほかの都道府県のほうにも意見を聴取するような機会を取っていただければありがたいなと思っております。

 本県として申し上げると、国定公園においても上質化事業や、その他有効な事業を国立公園で展開されておりますので、そういったものを国定公園まで拡大いただけないかというのが最も切なる願いでございます。

 以上でございます。

○下村小委員長 ありがとうございました。

 本当に様々な意見を頂きましたが、事務局のほうで、この段階で何かございましたらお願いします。

○事務局(国立公園課長 熊倉) 国立公園課長の熊倉でございます。

 活発なご議論、それから、様々なご意見を頂きありがとうございました。時間も大分過ぎてしまったので、ご質問については、また個別に具体的にお答えしたいと思いますが、私のほうから少し全体的なコメントをさせていただければと思います。

 ずっと各委員のご意見を聞いていまして、非常に共感できる、同感なところが非常に多くございました。一つ一つは触れませんが、頂いたご意見をしっかり受け止めて、その方向で施策は進めていきたいと思っていますし、今回の報告書の中にも極力盛り込んでいきたいと思っております。

 ただ、一つ申し上げると、今回のご審議で特に足元で急いでいるのは、法律に関わる事項でございます。今回、中環審にお諮りをして答申を頂ければ、最速で来年の通常国会に自然公園法の改正案を出すというのも視野に入っております。そういう意味で、特に急ぎ、お知恵を頂きたいと思っているのは、今の法律の条文にどういう手を加えるであるとか、新たに何を追加するとか、いわゆる法律事項と言われているようなものについて、集中的、重点的なご審議、ご意見が頂ければと事務局としては思っております。

 そういう意味で、今回、重点検討事項ということで、資料3-5に利用環境の充実と集団施設地区の再生・上質化と、ここは法律事項が非常に多いところかなと思っていまして、そういった意味で重点検討事項に挙げさせていただきました。

 ただ、広田委員からお話のあったように、公園管理のマンパワーが圧倒的に足りないとか、今後、どういうふうに協働管理を進めていくのか、民間の力を頂いてやっていくのか、こういったところも、当然予算措置もありますが、何か法的に対応できるようなところもあるかもしれないなと思いましたので、これも一つの重要な論点として、今後、ご議論いただければありがたいと思っております。

 あと、吉田委員はじめ利用者負担、入域料の話も多々ございました。これは、非常に法律上も重要な論点でございますが、なかなか強制徴収しようとすると、国民の権利義務の関係で難しい論点がたくさんありまして、我々も、利用者負担は制度としては進めたいと思っているのですが、法的にこれをどうクリアしていくのかというのは、ぜひ、より皆様方のお知恵を頂きたいと思っております。

 それから、山岸委員から頂いた地域の住民を巻き込んでいく、地域のアイデンティティをしっかり公園管理に生かしていくというのは、そのとおりだと思っていまして、現在、国立公園は、国が管理ということになっていますが、実態は地域の自治体住民、事業者のお力を得て管理をしているというところはございます。こういった点は、今回の検討の中でも非常に重視をしたいと思っておりまして、引き続き、ご助言いただければと思っております。

 大変総括的な回答で恐縮でございますが、事務局のコメントとさせていただきます。

○下村小委員長 今日は初めての最初の議論でしたので、ご意見を多様に伺うというところでご容赦願えればというふうに思います。

 今、また各委員からのご意見等で触発された点もおありになろうかと思いますので、また、追加のご意見等ございましたら、事務局にお寄せいただいて、次回、そういったことも整理しまして、事務局のほうで、この小委員会をどんなふうにご議論いただくかということをまとめてまいりたいというふうに思っておりますので、今日のところは聞きっ放しでございますが、ご容赦願えれば大変ありがたいというふうに思います。

 ということで、もう時間が過ぎてしまいましたので、ここで議論を終了にさせていただきまして、事務局にお戻しいただきたいと思います。

 本当に今日はどうもありがとうございました。

○司会(国立公園課課長補佐 清武)

 ありがとうございました。

 委員の皆様におかれましても、長時間にわたり審議を頂き、ありがとうございました。本日は以上になります。どうもありがとうございました。

午後6時40分 閉会