中央環境審議会 土壌農薬部会農用地土壌小委員会(第1回)議事録

日時

 平成22年2月17日(水)12:58~14:58

場所

 経済産業省別館1012会議室

出席委員

委員長  松本 聰
委員  浅野 直人
 大塚 直
臨時委員  太田 信介
 佐藤 福男
 鈴木 英夫
 染 英昭
 高橋 滋
 中杉 修身
専門委員  深見 元弘
(欠席は、岡崎臨時委員、藤井臨時委員、西尾専門委員)

委員以外の出席者

環境省
水環境担当審議官、土壌環境課長、土壌環境課課長補佐、土壌環境課係長

議題

(1)
小委員会における審議内容及び進め方について
(2)
農用地土壌汚染対策に係るこれまでの経緯について
(3)
農用地土壌汚染対策地域の指定要件等について
(4)
その他

議事

(土壌環境課長)
 定刻前でございますが、本日出席の委員はおそろいになったようですので、ただいまから第1回中央環境審議会土壌農薬部会農用地土壌小委員会を開催させていただきます。
 委員の皆様方にはお忙しい中、ご出席いただきましてありがとうございます。
 委員名簿は資料1にあるかと思いますが、本日は藤井委員、岡崎委員からご欠席との連絡をいただいております。したがいまして、委員、臨時委員の総数11名中9名の出席が予定されておりまして、9名出席していただいております。また、専門委員として、西尾委員、深見委員にご出席いただくことになっておりますが、西尾専門委員はご欠席でございます。いずれにしましても、小委員会の定足数を満たしていることをまずご報告させていただきます。
 それでは、議事に先立ちまして、水環境担当審議官の伊藤より一言ごあいさつを申し上げます。

(水環境担当審議官)
 水環境担当審議官の伊藤でございます。本日は、ご多忙の中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 土壌環境の問題につきましては、中央環境審議会におきまして、昨年、土壌制度小委員会を設けていただきました。これは松本委員長に委員長を務めていただきまして、今後の土壌汚染対策のあり方についてという答申をいただき、前の通常国会で成立をしました。その際、松本委員長を初め、浅野先生、鈴木先生、大塚先生、高橋先生、中杉先生にも非常にお世話になりました。ありがとうございました。この4月1日の全面施行の準備として、2月中には土壌汚染対策法の施行規則の公布をするということで準備を進めておるところでございます。
 一方、農用地の土壌汚染問題につきましても、いろいろ課題が出てきているところでございます。今回、カドミウムにつきまして、食品からの摂取基準の見直しが行われております。これを受けまして、環境省では、カドミウムに係る農用地の土壌環境基準及び農用地土壌汚染対策地域の指定要件の見直しにつきまして、昨年11月30日付で、環境大臣より中央環境審議会に諮問をさせていただいた次第でございます。この諮問を受けまして、昨年12月11日に、農用地土壌環境基準等専門委員会におきまして、環境基本法に基づく土壌環境基準の見直し等についてご審議をいただき、一定の結論を導き出していただいたところでございます。
 今回、土壌農薬部会に設置されました、この農用地土壌小委員会におきましては、この専門委員会の報告も踏まえながら、農用地土壌汚染防止法の政令で定めております対策地域の指定要件につきましてご審議をいただきたいと、こういうことでございます。
 本委員会におきまして、ご参集の委員の皆様方のご知見を踏まえて、活発なご議論を賜ればということを期待しております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

(土壌環境課長)
 それでは、議事に入ります前に、本日の配付資料についてご確認をいただきたいと思います。
 配付資料1が委員名簿、資料2が諮問書及び付議書でございます。資料3が小委員会の設置についてということで、ほかの小委員会のことも書かれておりますが、農用地土壌小委員会ということで設置されております。専門委員につきましては、昨年末の農用地土壌環境基準等専門委員会にもご出席をいただきましたが、部会長からご指名をいただきまして、西尾委員、深見委員に入っていただいております。なお、本小委員会の委員長につきましては、松本土壌農薬部会長にご就任いただくことになっております。資料4が土壌農薬部会の運営方針、資料5が農用地土壌汚染対策の情勢について、これまでどういう取り組みがなされていたかということの説明でございます。資料6が1、2、3とございますが、12月11日に開かれました専門委員会の報告でございます。ポイントと本体と参考資料となっております。資料7が本日ご議論をいただきたいと思っております、農用地土壌汚染防止法に基づきます農用地土壌汚染対策地域の指定要件等についてということでございます。
 資料はよろしいでしょうか。
 それでは、これより松本委員長に議事進行をお願いいたします。

(松本委員長)
 皆さん、こんにちは。年度末が差し迫ったこの時期に、ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。
 さて、本日の小委員会でございますが、第1回目ということもございまして、まず、小委員会の設置についてご確認をいただき、その後、農用地における土壌汚染対策のおさらいを兼ねて、事務局から農用地土壌汚染対策に係る情勢、それと農用地土壌環境基準等専門委員会の報告などについて説明をいただきまして、その後で、資料7によりまして、農用地土壌汚染対策地域の指定要件等について委員の皆様からコメントなりご意見をちょうだいすることになっております。
 それでは、まず本日の審議の公開の扱いについて、ただいまから説明いたします。
 今回の小委員会においては、公開することにより、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれや、特定の者に不当な利益もしくは不利益をもたらすおそれがないことから、公開とさせていただきます。
 それでは、議事次第に沿ってこれから議事を進めてまいります。
 まず、議題1でございます。議題1は、小委員会における審議内容及び進め方についてでございます。お手元に資料2、3及び4についてご用意いただき、事務局から説明をお願いいたします。

(土壌環境課長)
 まず、資料2が諮問でございます。11月30日ということで、カドミウムに係る土壌環境基準(農用地に関するもの)及び農用地土壌汚染対策地域の指定要件の見直しについての諮問ということでございます。
 指定要件につきましては、いわゆる農用地土壌汚染防止法の3条2項に基づくもの。環境基準につきましては、環境基本法16条1項に基づく環境基準のうち農用地の土壌汚染に関するものということで、審議会のご意見を求めるということになっております。
 諮問理由といたしましては、食品安全委員会において食品中のカドミウムに関する食品健康影響評価(耐容週間摂取量)、体重1kg当たり1週間7μgまで耐えられるというようなことが示されたことを受けまして、現在、厚生労働省において食品添加物等の規格基準、これを超えると生産・流通ができなくなるという基準なのですが、その米のカドミウム成分の規格を現在の1.0ppm未満から0.4ppm以下に改正することについて、検討が進められております。今、WTO通報などをしているようでございます。このような状況を踏まえまして、環境基準と農用地土壌汚染対策地域の指定要件の見直しについて意見をもとめるということがございまして、これが同日付で土壌農薬部会に付議されております。
 資料3にまいりまして、土壌農薬部会決定ということで、3で、農用地土壌小委員会というのが今後の農用地における土壌汚染対策のあり方について調査・審議をするということになっております。
 資料4が中央環境審議会の関係の規定でございますが、これに基づきまして、環境基準については専門委員会が設けられて、指定要件につきましては小委員会が設けられて、それぞれ審議をするという形になっておりまして、小委員会は、部会長の了解を得れば、それで答申にするということができるのですが、できれば事務局といたしましては、3月ぐらいに部会を開いて、専門委員会の報告と、それまでに小委員会の報告をまとめていただいて、答申をまとめていただければありがたいなと思っております。といいますのは、6月中旬を過ぎますと、本年度の稲ができてきますので、その前には、適用時期はともかくとして、指定要件の政令改正及び環境基準の告示改正をやりたいなという気持ちがございます。
 以上でございます。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明について、質問を求めます。
 ご質問、コメントがございましたら、よろしくお願いします。

(なし)

(松本委員長)
 ございませんか。それでは、今後はこれらの運営方針に則りまして、本農用地土壌小委員会の審議を進めることにいたします。
 続きまして、議題の2でございます。資料5をお手元にご準備ください。
 資料5の農用地土壌汚染対策に係る情勢について、事務局から説明をお願いいたします。

(土壌環境課長)
 卓上に、参考文書ということで、環境基本法ですとか、農用地土壌汚染防止法の条文等が配られておりますので、適宜参考にしていただければと思いますが、資料5で簡単に現状をご説明したいと思います。
 土壌汚染による健康リスク、いろんな経路がございまして、土壌を直接摂取するとか、地下水を経由するというようなリスク、これはどちらかというと土壌汚染対策法で手当てをされているわけですが、農作物経由の摂取リスクというのがございまして、これにつきまして、「農用地の土壌の汚染防止等に関する法律」で対応をしております。
 スライド2つ目に行きまして、経緯でございますが、昭和43年にイタイイタイ病に関する厚生省の見解が出ました。カドミウム汚染米の安全基準について、厚生省の考え方と農林大臣の談話というのが発表されまして、食品規格が45年10月に1.0ppm未満と設定されております。その後、いわゆる公害国会で、農用地土壌汚染防止法が成立いたしまして、46年6月に、農用地の土壌汚染につきまして、カドミウムを指定するという政令が公布されております。その指定要件は、その地域内の農用地において生産される米に含まれるカドミウムの量が、米1kgにつき1mg以上であると認められる地域において対策を行う。そういう政令改正が行われております。その後、47年には銅が、50年には砒素が追加されておりますが、カドミウムは健康影響ということで決められまして、銅と砒素は水稲の生育障害という観点から決められております。
 なお、農林大臣談話(43年7月)に、0.4ppm以上1.0ppm未満の米について、配給しない旨とした談話が発表されておりまして、これ以降、0.4ppm以上1.0ppm未満の米については、買上げが行われておるということでございます。
 他方、環境基準でございますが、こちらは環境基本法に基づくものでありまして、指定要件の後からできてきた形になってしまいましたけれど、環境基準というのは、人の健康を保護し及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準ということで設定されております。
 土壌の環境機能、さまざまなものがございますが、地下水涵養、水質浄化機能という観点から、溶出量に関する基準が定められております。また、土壌環境機能のうちの食料生産の機能を保全する観点から、農用地という限定をつけて、農用地土壌汚染防止法上の特定有害物質につきまして、指定要件に準拠して、環境上の条件としております。
 それが下にございまして、平成3年8月に環境庁告示ということで出ておりまして、カドミウム、砒素、銅がございます。測定方法が、農用地に係るもの、46年6月の農林省令47号に定める方法と書かれておりまして、これは46年7月に環境庁ができてからは環境庁に移っているんですけれど、それをそのまま改正してきたので名前は農林省令として残っているという、それだけのことでございます。
 農用地土壌汚染防止法についてですが、5ページの図を見てもらうのがいいかと思います、政令で指定要件を定めています。これがそれぞれカドミウム、銅、砒素で決められております。
 カドミウムにつきましては、右の吹き出しですが、人の健康をそこなうおそれがある農作物の生産を防止するという観点から、食品衛生法の規格基準と整合性をとって設定するという運用をしてきております。
 この政令を受けまして、都道府県知事が常時監視を行う。汚染が確認されたら地域指定を行う。そして対策計画を策定するということになっておりまして、この過程で環境大臣、農水大臣の協議というものがございますが、都道府県が中心となって計画を立て、事業は都道府県事業のほか市町村事業というような形で行われます。それで、事業が終われば、地域の指定を解除する。事業につきましては、汚染原因者の寄与分について、汚染原因者に公害防止事業費事業者負担法で負担を求め、また、事業主体である自治体の負担分につきましては、農水省の補助金及び公害の防止に関する国の財政上の特別措置に関する法律で支援をしているということでございます。
 次に、6ページ目に行きまして、農用地における土壌汚染の原因を農用地土壌汚染対策地域の汚染原因に則して分類してみたものが、以下のものでございます。
 汚染地域が63地域ございまして、鉱山、鉱山及び製錬所、製錬所、工場等というようなところが原因となっております。
 食品中のカドミウムにつきまして、どういう議論があったかというのは次のスライド以下でございますが、国際的な動向といたしましては、FAOとWHOで出来ておりますJECFAという専門家会議が、カドミウムの長期低濃度曝露による腎臓の機能障害、それを防止する観点からリスク評価を行って、暫定的な週間耐容摂取量として7μgというのを2003年に決定をいたしました。
 これを受けて、国際的な規格をつくるコーデックス委員会、これもFAOとWHOが合同でつくっている規格を決める政府間機関でございますが、これが穀物、野菜、海産物等について合理的に達成可能な範囲でできるだけ低く基準を設定するという、ALARAの原則というんですが、それに基づいて基準値を検討いたしまして、精米0.4mg/kg、ほか小麦、根菜などの基準を2005年から2006年にかけて決定をしております。
 これを受けて日本がどうしたかということがございますが、リスク評価を担当する食品安全委員会が、国内で行われた疫学調査等の結果に基づいて、カドミウムの長期低濃度曝露による腎臓の機能障害が生じないレベルとして、耐容週間摂取量7μgと決定し、厚生労働大臣に2008年7月に答申をいたしております。
 厚生労働省におきましては、薬事・食品衛生審議会の食品衛生分科会で、食品衛生法に基づく規格基準をどうするかということで検討を進められまして、昨年1月の食品規格部会において部会報告案を取りまとめて、それを2月に食品安全委員会へ諮問しております。
 1つは、米につきましては現行の1.0ppm未満を0.4ppm以下にしようと。もう一つが、米以外の品目については、関係者に対してカドミウムの低減対策をきっちり講じるように要請するとともに、一定期間経過後に実施状況について報告を求めて、必要に応じて規格基準の設定等について検討をしようということで、米の摂取量が圧倒的なので、そこをまず抑えていこうという考え方で報告案を取りまとめられ、食品安全委員会に諮問をしたということでございます。昨年8月20日付で厚生労働大臣へこれでいいという答申があって、その後、また薬事・食品衛生審議会で審議が進められているということで、今後、WTO通報の手続を経て、規格基準が定められる見込みでございます。
 農用地土壌汚染防止法の施行状況でございますが、直近の19年度におきましては、常時監視の結果、新たに見つかったところはございませんでした。これは現行の1ppmで調査をやってということですけれど。19年度末現在で、対策地域として指定された地域は累計で72地域、そのうちカドミウムについては63地域、うち対策事業がすべて完了したとして指定解除された地域は52地域で、44がカドミウムの地域、指定地域として現在まだ事業が行われているが20地域、カドミウムが19地域ということになっております。面積を見ますと、対策事業完了面積は6,544ヘクタール、そのうち6,104ヘクタールがカドミウム関係、地域の割合は、指定要件に該当する地域の87.4%が対策事業を完了していて、カドミウムについて見ますと87.9%が完了しているという状況になっております。
 どういう地域があるかというのは、具体的な地域名が11ページで、進捗状況及び今説明しました数字の分布が12ページ、13ページに書かれております。
 以上でございます。
 なお、国会がございますので、今、審議官が席を外しましたが、お許しください。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 次に、農用地土壌環境基準等専門委員会についてでございます。
 昨年12月に、私、松本が専門委員長を務めさせていただきました農用地土壌環境基準等専門委員会というのがございまして、この委員会におきまして、農用地のカドミウムに関する土壌環境基準並びに農用地土壌汚染防止法に係る専門的事項について論議が行われたところでございます。カドミウムに係る土壌環境基準についての素案については委員長預かりといたしまして、各委員の意見を踏まえた上で修正を試み、そして専門委員会報告として土壌農薬部会に報告すると、そういうふうにされております。
 今回、お手元に資料6を用意していただきますが、資料6として、農用地土壌環境基準等専門委員会報告が提出されております。この内容については、事務局から、ただいまからご説明をお願いいたします。

(土壌環境課長補佐)
 昨年12月11日に、農用地土壌環境基準等専門委員会を開いていただきまして、そこで諮問事項の一つであります農用地の土壌環境基準、それから、その他農用地土壌汚染防止法の技術的事項についてご審議をいただきました。内容について、ちょっと細かくなりますので、事務局から説明をさせていただきます。
 資料としては、資料6-1、6-2、6-3という形になります。専門委員会の報告につきましては、今、松本先生からご紹介ありました、資料6-2にございます「カドミウムに係る土壌環境基準(農用地)等の見直しについて」、こちらが報告書の本体という形になります。
 まず、この6-2を開けていただきますと、昨年、専門委員会でご議論いただいた際の構成メンバーの表になっております。松本委員長以下、浅野委員、岡崎、佐藤両臨時委員、中杉臨時委員のお三方、西尾専門委員、深見専門委員にご出席いただいて、ご議論をいただいたところです。
 はじめにのところは省略いたしますけれども、3ページをごらんいただければと思います。3ページの(1)になりますけれども、食品衛生法に基づく食品添加物の規格基準ということで、昭和45年に米のカドミウム成分規格が定められております。米について、カドミウムとして1.0ppm未満でなければならないと定められております。これを受けまして、農用地土壌汚染防止法におきましては、人の健康をそこなうおそれのある農作物の生産を防止するという法目的に沿いまして、農用地土壌汚染対策地域を指定する際の指定要件について設定をいたしまして、それについては米のカドミウム成分規格と整合性をとりまして、「その地域内の農用地において生産される米に含まれるカドミウムの量が米1kgにつき1mg以上であると認められる地域及びそのおそれが著しい地域」と定められているところです。
 土壌環境基準につきましては平成3年に設定されておりますけれども、農用地につきましては、農用地土壌汚染対策地域の指定要件を踏まえまして、米に含まれるカドミウムの量が、米1kgにつき1mg未満という形で現在定められているところです。
 そういった中で、先ほど課長からも説明がありましたとおり、食品安全基本法に基づきまして、厚生労働大臣から諮問を受けた食品安全委員会において、カドミウムの耐容摂取量の審議がされまして、1週間当たり体重1kg当たり7μgという耐容摂取量が答申されております。
 これを受けまして、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の食品衛生分科会において議論が行われまして、昨年12月、食品衛生分科会におきまして、米のカドミウム成分規格を従来の1.0ppm未満から0.4ppm以下に改正するということについて審議をされております。
 こちらの経緯の詳細が4ページ、5ページに書かれております。食品安全委員会で行われました食品健康影響評価につきましては、食品健康影響評価の報告書を枠の中に入れさせていただいております。結論だけ申しますと、日本国内におけるカドミウム摂取量が近位尿細管機能に及ぼす影響を調べた2つの疫学調査を主たる根拠として、カドミウムの耐容摂取量について総合的に判断をして、7μg/kg体重/週に設定したということが結論になっております。
 これを受けまして、厚労省の薬事・食品衛生審議会におきましては、4ページの下から5ページにかけてになりますけれども、5ページの枠の中だけ読み上げさせていただきますが、薬事・食品衛生審議会においては、こうした状況、それから食品中の汚染物質に係る規格基準の設定の考え方を整理した上で、これを踏まえて審議を行いまして、最も寄与率の高い米について、国内の含有実態に対してALARAの原則を適用しまして、国際基準に準じた0.4ppmという形の基準値を導入するという形で改定をするという案が提案されているところです。また、米以外の品目については、米に比べてカドミウム摂取における寄与率が低い、あるいは生産量が少ないといったことから、検査に要する労力、時間、コストなどを考慮して、当面、この基準値を設定し遵守させることによって得るカドミウム曝露の低減に大きな効果が期待できないということで、当面は、農林水産省を通じて関係者に対して引き続きカドミウムの低減対策を講じるように要請すること。その上で、一定期間経過後にその実施状況について報告を求めた上で、必要に応じて規格基準の設定等について検討をするという形になっております。
 こうした食品のカドミウム摂取に関する議論を踏まえまして、昨年12月に、土壌環境基準について議論を行っていただきました。
 5ページから6ページに移っていただきまして、6ページの下になりますが、先ほども申し上げましたとおり、米1kgにつき1mg未満であることという土壌環境基準が定められているところです。
 ここで、土壌環境基準なのになぜ米なのかというところについて、まずご議論をいただきまして、7ページの上になりますけれども、測定対象を米としているのはどうしてかというと、当該土壌に起因して人の健康をそこなうおそれがある農作物が生産されるかどうかを見るというときに、これを土壌の性質面から推定するのは困難であると考えられたというのが昭和45年当時の状況としてありました。それから、土壌から直接決めるものとしましては銅と砒素がございますが、こちらにつきましては作物の成育阻害を防止するという観点、それから作物の収量と銅とか砒素の土壌中の含有量が高い負の相関を持っているということから、こちらは成育の阻害を防止する観点から、土壌の基準を定めることにされたということがございます。
 こうした当初の経緯も踏まえまして、改めてご議論いただいた結果が、7ページの(2)でございます。
 まず、(2)の[1]測定対象につきましては、農作物に吸収されるカドミウムの量、これを土壌に含まれるカドミウムの量から推定するということができるのかという議論をしていただきましたが、土壌の種類、あるいは土性、土壌pH、あるいは酸化還元電位といった、土壌中カドミウム以外の要素に大きく左右されることがわかってきているということ。それから、そのほかにも気象条件、栽培管理法、作物の根の張り方といった、土壌自体の性質に基づかないもの、こういったものも作物中のカドミウムの量を大きく左右するというデータも多々得られておりますので、こういったことを踏まえますと、やはり人の健康をそこなうおそれがある農産物が生産されるかどうかを判定する手法としては、現に稲に吸収され、その上で米に蓄積されたカドミウムの量を測定して、これを指標とするのが適当というご結論をいただいたところです。なお、食品衛生法においては、今回の改正で、測定対象は玄米及び精米とするといった形になっておりますけれども、農用地土壌環境基準に関しましては、直接土と、それから米との対応をつける形で調査をする必要があるということで、ほ場に直接生えている立毛中の稲から玄米を採取するという形になっております。こちらの測定過程におきまして、わざわざ精米まで精製をする必要は特段ないと思われますので、農用地の土壌環境基準の判定に当たっては、引き続き従来どおり、玄米を対象とすることが適当ではないかという結論をいただいているところです。
 それから、[2]環境上の条件ということで、食品規格基準の改正によって、今後、0.4mg/kgを超えるカドミウムを含む米が公衆衛生の見地から規制されるといったことを踏まえまして、8ページの上になりますけれども、農用地土壌の基準につきましても、米を測定対象として、その米が1kgにつき0.4mg以下であるとするのが適当とされたところです。
 以下、測定方法についてもご議論をいただきました。こちらについては、ちょっと長くなりますので、6-1のポイントの方で簡単に説明をさせていただきます。
 今説明しました環境上の条件につきましては、ポイントの紙の1、環境上の条件というところに簡単にまとめてあります。
 測定方法につきましては、従来、カドミウムの測定に係る試料を採取する土壌は、おおむね2.5ヘクタールに1カ所の割合とすることが適当とされておりますが、これにつきましては、従来、農用地土壌汚染対策地域として指定された地域の面積などを見ますと、やはり100ヘクタールを超えるような対策地域が比較的多いといったことから、調査の効率性も踏まえまして、引き続き2.5ヘクタールに1カ所が適当ではないかと考えられます。ただし、地形等の条件によりまして、必要に応じて調査の密度を高めていただくという従来の運用を引き続き行っていただくという形です。
 それから、ほ場全体の濃度レベルを適切に評価する観点ということで、調査ほ場においては、従来、中央1点からの米と土壌の採取を義務づけておりましたが、こちらは近年、ほ場整備が進みまして、昭和40年代は8%程度しかなかった30アール区画以上のほ場、3,000平方メートルに相当いたしますけれども、そういった大区画のほ場が近年では60%以上になってきていること。実際に、そういったところで私どもも、ほ場内のカドミウム濃度の変動について調査をいたしましたら、やはりある程度変動が見られて、かつ中央1点ではどうしても平均的な濃度を把握することができないということが明らかになりましたので、採取点数については従来の方法を改めまして、ほ場の中央部を含んで5点の試料を採取するという形が適当ではないかということで議論をいただいたところです。
 それから、(3)に書いておりますが、調査条件に係る留意点ということで、こちらは土壌中のカドミウムの存在形態に関係しますけれども、土壌中のカドミウムは水に溶けやすい形態のカドミウムと、それから土壌の粒子に非常に強く結びついていて容易には溶け出さない、また稲にも吸収されにくいといったもの、そういったものに分かれるわけですけれども、水管理を行う、水田に水を張り続けることで水田の土壌が還元的になりますと、そういった水に溶けやすいカドミウムが土壌中の硫黄と結びつきまして不溶化する、溶けにくくなるという現象が知られております。これを利用して、もう30年以上ですね、カドミウム濃度の比較的高い地域では湛水管理によって、米にカドミウムが吸収されることを抑えるといった低減対策が広く行われてきているということです。これを踏まえますと、やはり水管理も測定する上での重要な要素であろうということで、当該地域で生産される米の品質管理、品質管理というのは、ここでは主に作物中のカドミウムを低減するという意味での品質管理になりますけれども、そういった観点から、通常行われている水管理を行ったほ場について調査を実施することが望ましいこと。かつ、成育期間中の気象条件とか湛水管理の実施状況について、今後は把握していくのが望ましいのではないかという結論をいただいているところです。
 その他、また昭和40年代に比べますと、新たな分析方法が開発されておりますので、そういった分析方法についても、今後は導入を検討していくということもご指摘いただいております。
 以上が、農用地土壌環境基準等専門委員会の報告の内容になります。長くなりましたけれども、よろしくお願いします。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの資料5及び資料6-1から6-3、これに関しましての内容について、ご質問あるいはコメントをいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 はい、太田委員、どうぞ。

(太田臨時委員)
 よろしくお願いします。
 こういう中身について不案内なものですから、むしろ今後の議論をするために、自分の知識としても承知しておかなきゃいかんという意味で質問をさせていただきます。事務局でも、あるいは委員長でも結構なんですけど。
 6-2の4ページで、食品健康影響評価の結果が上の方に書いてありまして、カドミウムの耐容週間摂取量は「総合的」に判断して7μgと書いておるのですけれども、上に14.4 μgという数字と7μgという数字が両方ありまして、いずれも人の健康に悪影響を及ぼさないとなっておるようなので、この「総合的」の意味は、より安全サイドをとったという認識でよろしいでしょうか。

(土壌環境課長補佐)
 太田委員のおっしゃるとおりで、国内で2つの大規模な疫学調査が行われて、1つは14.4 μg以下であれば悪影響を及ぼさないであろうという結論、もう一つは、7μg/kg体重/週の前後の曝露を受けた住民には、近位尿細管機能障害を示す尿中のβ2-ミクログロブリンという物質の排泄量ですね、こちらにそれ以外の地域の住民との有意な差が認められなかったという2つの結果を受けまして、安全側に判断した場合、7μg/kg体重/週を採用するのが適当だろうという判断に至りました。

(松本委員長)
 よろしゅうございますか。

(太田臨時委員)
 はい。

(松本委員長)
 そのほかどうぞ。はい、染委員。

(染臨時委員)
 今、一番最後に説明がありました資料6-2のペーパーですね、まず1つは性格なんですが、この土壌環境基準の見直し、これはどの段階にある見直しと考えたらいいんですか。そもそもその前提がよくわからなかったという感じがいたします。
 その上で、この中に何とかが望ましいとか、適当と考えられるという表現のところがあるわけですが、それを踏まえて最終的にどうするという結論は、どこでお出しになるのでしょうか。

(浅野委員)
 ご説明します。

(松本委員長)
 浅野委員、どうぞ。

(浅野委員)
 環境基準を改定することについては、環境大臣から中央環境審議会に諮問が来ています。ですから、最終的には中央環境審議会で環境基準の改定についての答申をすれば、それによって、あとは大臣が告示をされて基準が決まるということになります。手順としては、これは学問的な問題があって、科学的な知見が必要ですから、サイエンスの専門家だけで集まってまずは議論しようということで、専門委員会がつくられた。ただし、専門委員会は決定権限がありませんので、この専門委員会の答申に基づいて、次は部会で決定をすれば、それが中央環境審議会の決定になります。ただし、この問題に関しては、当委員会が部会と同等の資格を与えられていますので、この部会で、この専門委員会の結論を受け入れて答申の中に書けば、環境基準についての答申が決まるということではないでしょうかで。

(染臨時委員)
 この小委員会で。

(浅野委員)
 ええ。
 それで、事の順序は、本来は、まずこの環境基準について決着をつけておいて、次は個別法をそれに基づいてどうするかということをまた改めて議論することになりますけども、どうせ一連の話ですから、一緒にやってしまおうということだと思います。ここで環境基準についても、この専門委員会の報告が適当であるという結論を出していただいて、ついては農用地土壌汚染防止法についてどうしましょうということも、ここで決めてしまおうと。そうすれば別々の会議を開く手間は省けるということだと思いますが。

(土壌環境課長)
 補足いたしますと、形式的なことで申しわけないんですけれども、資料4の5ページに小委員会とはどういうものかというのが書いてありまして、8条の4項に「小委員会の決議は、部会の定めるところにより、部会長の同意を得て部会の決議とすることができる」というのがございます。これがございますので、土壌農薬部会の中では、農薬小委員会とか土壌制度小委員会などは、部会を開かないで、部会長の同意を得て部会の決議として、その部会の決議としたものを、前の6条にございます、会長の同意を得れば審議会の決議とすることができるということで、答申としていただいているというやり方をとっております。それに対しまして、専門委員会は、9条にございますように、専門の事項を調査して、それを部会に報告するという位置づけになっておりますので、専門委員会報告ということで、専門委員会の議論はまとまりましたということですが、これをそのまま答申するかどうかということは、厳密に言うと、部会でまた議論をしていただいてということなんですけれども、そういう意味で、ちょっと宙ぶらりんな感じがされるかもしれませんけれど、専門委員会では、こういうことで環境基準の考え方はまとまっているということを踏まえて、農用地土壌汚染対策地域の指定要件について議論をしていただいて、両方をまとめて部会に持っていって議論をしていただければ、ということを思っております。その答申案をまとめていただいた後、パブリックコメントをやって答申をまとめたいなと。そんなスケジュールで考えております。

(染臨時委員)
 この両方の関係がよくわからないので、もう一度確認したいんですが、この土壌環境基準は土壌基準として決めるわけですよね。農用地の指定要件は指定要件として決めるんですよね。さっきのお話だと、環境基準の見直しについても、この小委員会で決めるというお話……。

(浅野委員)
 理屈としては、それはできるのですが、現実には、事務局が今のところ考えているのは、事がかなり重いということもあるし、部会を大分長いこと開いていないので、部会をどうせ開くなら、小委員会で決定したことを報告するということもないので、部会で最後は決めようという説明だったと思います、しかし、小委員会で決めてしまっても構わないのです。

(松本委員長)
 構わないですね。

(浅野委員)
 どうせ小委員会で決めたことはまた部会に報告しますから、それだったら同じことですから、部会に持っていって、このように小委員会で決めましたので、よろしくお願いしますと言って、部会の了承をうる、そういうことです。

(松本委員長)
 よろしゅうございますか、今の件は。

(染臨時委員)
 はい。

(松本委員長)
 どうぞ、大塚委員。

(大塚委員)
 ちょっとテクニカルなことで恐縮ですが、資料6-2の7ページの(2)[1]のところですけども、先ほどご説明いただいたところですが、(2)の[1]、測定対象の8行目にある「人の健康をそこなうおそれのある農産物が生産」されるかどうかを判定する手法としてはと、これかぎ括弧がしてあるのですけど、これはどこから持ってきた文ですか。これは環境基準の話だと思っていいのですか。それとも別のところでしょうか。別に揚げ足をとるつもりではないのですけれども、ひょっとして農用地土壌汚染防止法からとっているのですか。そうではないだろうと思うのですけど、ちょっとそこだけ確認させていただきたくて。

(土壌環境課長)
 経緯は先ほど説明しましたように、昭和40年代に銅、砒素についても農用地土壌汚染防止法の指定要件が決まっておりまして、その後、平成3年に環境基準をつくったわけですが、そのときに農用地土壌汚染防止法の基準をつくるときの考え方を引いたという形になっていますので、それを引いて土壌環境基準が定められているとしたものです。

(大塚委員)
 ちょっと気にし過ぎかもしれないですけれども、机上にお配りいただいている3ページのところの農用地土壌汚染防止法の方の施行令で、2条の1号と2号との関係の問題があるものですから、これは2条の1号の方だけを言っているようにも思えたので、多分そういうことではないと思うんですけど、ちょっとその辺をご説明いただけるとありがたいということだけでございます。

(土壌環境課長補佐)
 平成3年に土壌環境基準を決めた際には、2号については特に言及はしておりませんので、土壌環境基準については専ら1号に適合しているかどうかで、農用地が土壌環境基準に適合しているかどうかを判断するということだけなのですが。

(大塚委員)
 確認としては、結局、これから指定の要件を考えるときには、これは2条の1号のことをおっしゃっていると。2号のことをどうするかはまた考えるというような、そういう感じになりますね。

(土壌環境課長補佐)
 そうでございます。

(大塚委員)
 ありがとうございます。

(松本委員長)
 どうぞ、そのほかお願いいたします。
 はい、太田委員、どうぞ。

(太田臨時委員)
 この資料6-1の中身は、報告の概要とあるところは、先ほどの染委員の話とも関連するのですけれども、ここでこれを是とするかという判断を一応し、そして部会で最終的に承認するという中身と理解してよろしいですね。
 そういう意味でありますと、測定方法の事実関係を教えていただきたいのですけれども、1番と2番の関係ですけれども、要するに2.5ヘクタールの中で1枚のほ場、おそらくこれを選ぶという、1番目はそういう意味であろうかというように認識しておりますから、それでよろしいかどうかということと、それから2番目に、これまでは、ほ場で1点の採取をしていたということですね。今度は5点を採取するわけですけど、5点の平均値をするのか、試料をミックスしてデータをとるのかという意味で言うと、どちらの方法でしょうか。

(土壌環境課長)
 手続的なことをもう一回厳密にお話をいたしますと、環境基準については専門委員会におりていて、専門委員会から部会に上げられるということになります。指定要件については、部会から小委員会におりていて、小委員会で決めてしまってもいいんですけれども、これも部会に上げようかということになっておりまして、そういう意味で言いますと、専門委員会報告につきましては、指定要件をつくる上で環境基準がこうなるという観点からご意見をいただくということになります。

(松本委員長)
 もう一つありますね。試料採取。

(土壌環境課長補佐)
 試料採取につきましては、まずデータとしまして、専門委員会でどういったバックデータをもとに議論をしていただいたかというと、それは資料6-3になりまして、特に今の5点採取に関しては、スライドの13、14、15ですね、ここで実際に大きな区画のほ場も含めてデータをとっております。この結果、やはり中央1点ではなかなか平均的な濃度が押さえられないということになりましたので、5点と。
 ミックスするかどうかというところですけれども、実際には、立毛採取ということで、同じ地域で、ある1年のうちの本当に短い期間に立毛採取という形で試料の採取をしなければいけないということもありますので、5点といっても細かいサンプリングをするのは困難かと思いますので、調査の効率性を考えれば、やはり1つのほ場で5点を採取して、それを混ぜた形で分析するという方が効率的ではないかということでございます。

(松本会長)
 よろしゅうございますか。

(太田臨時委員)
 なぜそういう質問をしたかといいますと、だれがどういう費用で調査をするのかというところも実施面では関係があると思うからです。調査主体と費用については現状どうなっておるのでしょうか。

(土壌環境課長補佐)
 間違いがあれば現場にお詳しい佐藤委員に補足していただければと思いますけれども、まず制度上は、先ほど資料5で、課長から説明がありましたように、常時監視の主体は基本的に都道府県知事という形になっています。従来から、都道府県の農業試験場が直接調査、測定をするというケースが多かったと聞いておりますが、ここ数年は、県から委託業務として、計量の資格を持った分析事業者に委託して分析してもらっているというケースも、最近では出てきているということはお聞きしております。
 あと費用の面ですけれども、こちらは古くは環境省が補助金という形で半額補助を行っておりましたが、平成17年の三位一体改革の際に、その辺の費用負担の関係を大幅に整理して補助金がなくなりまして、総務省が所管している普通交付税で、一括して都道府県に必要な経費を普通交付税として配分するという形に制度の改正が行われてございます。

(松本委員長)
 佐藤委員、恐縮ですが、現場で先頭に立たれて多数の分析をされたと思いますが、その経緯、どういう状況かということを簡単にお話しください。

(佐藤臨時委員)
 わかりました。手短に申し上げます。手短といっても、かなり昔のことからになります。
 昭和48年のころから携わっておりますけれども、当時は非常に狭隘なほ場が多くて、10アールに満たないところを1筆ごとに測っていたということがありますそれが今事務局から説明がありましたように、30アール規格ほ場が60%を超えたということで、試料点数が1点じゃなくて、1ほ場5点という形で1つとなりました。ここら辺はご理解願いたいと思います。ほ場面積が大きくなって、それに見合った調査点数を設けたということです。
 実際は5点平均でデータを出します。個々のデータは当然、持っていますけれども、外に出ていくデータは平均値ということになります。5点間のばらつきとか、それが正しいかどうかというあたりの細かいデータは、試験場クラスで持っているということになります。分析自体はルーチンワークでございますので、外部発注するときもあります。これに関しては試験場で精度管理する。具体的には10点に1点ぐらいは無作為に試験場でもやって、データを突き合わせて精度管理をしているというふうなやり方をしています。ほかのところでも、恐らく似たりよったりことをやっていると思います。
 これは補足ですけど、1ppmから0.4ppmと基準が厳しくなりますので、今後、精度管理についても、もう一つ考え方や方法を示す必要があるだろうと思います。
 以上です。

(浅野委員)
 ご質問の趣旨だろうと思ってお聞していていたのですが、土壌汚染対策法は、そもそも汚染されている土地があれば土地所有者に対策を義務づけている。それはなぜかというと、地下水を経由して一般公共水域の汚染をもたらす原因になることがあることなどを考慮しているわけですが、農用地土壌汚染防止法はそういうストーリーにはなじまないわけです。そうでなく、そこでつくられた農産物が人の健康に影響を及ぼすかどうかということを問題しておりますから、これは一般の環境の監視業務ということで、行政が行うべき義務だろう。だから、環境基準が達成されたかどうかについて調べるのも、大気・水と同じように行政がやるべきです。費用も当然行政が負担することになると、こういうことになるわけです。つまり、土壌汚染対策法とはまるっきり構造が違うということだと思います。

(松本委員長)
 ありがとうございました。ご理解いただけたと思いますが、いかがですか。
 染委員、どうぞ。

(染臨時委員)
 資料6-2の9ページと、このポイントの資料6-1の書きぶりですけれども、1つは事実関係を教えていただきたいのですが、6-2の9ページの上の方に測定方法ということで、いわゆる通常行われている水管理のもとでのほ場を調査するというふうに読めるのですよね。ここで言う通常の水管理というのは、この上の方との関連から言うと、いわゆる水稲のカドミウム吸収抑制のための対策等、いわゆる湛水管理等をやっているときには、それが行われているのを通常の水管理と言っているのかなと思うのですよね。ですから、例えば水管理を湛水状態でやっていると、なるべく出ないようにしているものは、それを実態として把握するということなのかなと思うのですが、この要約の書きぶり、米の品質管理の観点から通常行われている水管理と、こういうふうにストレートに書かれますと、現場では米の品質管理というのは別にカドミウムを念頭に置かれているわけでも何でもないのですよね。いわゆるよい米を生産するとか、そういう発想も入っていましてね。そこまで含めて、これは要約しているというか、そういうふうに誤解を受けるのではないかと思うのですよね。だから、最初に言った、私の9ページの読み方が正しければ、もう少し、例えば当該地で生産されているカドミウム吸収抑制のための米の品質管理とか、そういう表現にした方が無難な要約かなと思います。

(浅野委員)
 読み方としては、9ページの前の方に書いてあることを踏まえて読んでいただくということでいいわけです。ただし、環境基準の話を一般化して議論するときは、別にカドミウム汚染が全くないような場所もあるわけですから、あまり限定してしまうと、汚染のないところについては何の議論もできなくなってしまいますから、汚染が全くないところは汚染が全くないところで、汚染があるところは汚染があるところで、それなりにその地域における一般的な標準的な管理を原点にしましょうということだろうと思います。つまり、ぎりぎり議論していきますと、管理が悪ければそこの米はカドミウムを含有したものができる、ちゃんとまじめに管理をしていただければ含有しない米ができるようになりますね。そうすると、きわめて乱暴な言い方ではありますが、ある意味では、収量を稼ごうと思ったら、水管理なんかしない方がはるかに有利ですから、それをやって、勝手なことをやっている人のところは結果的に米のカドミウム含有量が基準を超えてしまって、それで土壌の浄化などの対策を立てなければいけなくなる反面、まじめにきちんと行政の指導に従って水管理をやっておられるところは基準をクリアできるということになって、ばらつきが出てしまうわけですから、そうすると、この地域全体が環境基準を達成できているかどうかを評価するときに、やっぱりまじめにやっている人、つまり、その地域における平均的に、これでやろうと思われているそのレベルで水管理をやっておられる方を基準にしてもらわなければおかしいではないかということです。
 ですから、わかりやすく言えば、水管理の悪いごく一部の農地の米から、たとえカドミウムが基準を超えて検出されたとしても、それは異常値としてはねてしまわないとおかしくなってしまう。つまり、ふまじめな人が一人いると周りが全部迷惑を受けてしまうということになりますので、それはおかしいし、あるいは虫食い状態で指定をしたり、しなかったりということは、行政上ほとんど耐えられませんので、やるとすれば、あるレベルで全部やらなければいけないということになりますから、そうすると、結果的には非常に微妙な言い方ですけども、答申の書き方としてはこういう書き方にならざるを得なくなったということです。
 要約の仕方は確かに問題があるのですが、さっき言ったように、読み方としては、要するにカドミウム汚染が顕著に想定される場所もあれば、全くそんなことを想定されない場所もあって、いずれにせよ環境基準は一律に適用していくことになりますから、そこまで含めればこういう言い方にならざるを得ない。ただ、品質管理というときに、おっしゃるように、うまい米をつくるというふうな品質管理もあれば、安全であるという観点からの品質管理もありますから、安全の観点を全く入れる必要がない地域では、それはうまい米という基準でおやりになればいいし、安全管理がより重視される地域によっては、品質の中にはうまさも安全性も両方含むという以外にはないということになると思います。
 ポイントと書いてあるのはあくまでもポイントなので、これ自体が報告の本体ではありませんから、こんな長々しく説明をしなきゃならないようなポイントはポイントになっていないということは事実です。しかし、今しゃべったようなことを解説本にすると、やっぱりA4で1枚ぐらいになりますね。

(松本委員長)
 染委員、どうですか、今の。私は非常に端的に表現……。

(土壌環境課長)
 ポイントの方は、一部だけ引用してと言われるかもしれませんけれども、9ページの書きぶりをそのまま引いたということであります。

(浅野委員)
 ここはちょっとつらいところですね。

(佐藤臨時委員)
 非常に微妙な言い方ですね。これ以上言わないけど、わかるでしょうと、こんな感じなのですね。よく考えた末にこういうふうな書き方になったと思うのですけど、いわば当該地域で生産されたというあたりで、お含みおきくださいというあたりなのでしょうね。品質管理の問題はおそらく一番上の方のポイントで、成分規格という言葉が出ていますので、成分規格の観点から読みかえることができるのかなという感じですね。本質的には、水管理はカドミウム含有米を出さないための水管理ですので、浅野先生がおっしゃったように、これがいいかげんにやられると、問題になるわけです。あちこちが汚染地域になってしまう訳です。ですから、基本的に、この水管理は玄米中のカドミウムを出さない方式でやるのですよと、それのコンセンサスということで、あえてこの中でカドミウム含有米を出す必要がありませんよねということをわかっていますねということを書いているのだろうと解釈できます。
 ただ、全部がこういうふうに解釈してくれるかどうかはわかりませんから、そこら辺はちょっと考えていただければと思います。

(松本委員長)
 ありがとうございました。非常に難しい表現ですが、それをわかった上で、今、非常にわかりやすい解説をしていただいたわけでございます。これについてもう少し議論したいと思うのでございますが、若干時間も押しているので、もう一つか二つ、何か質問あるいはコメントがございましたら、よろしくお願いします。

(佐藤臨時委員)
 もう一つ補足させていただきます。このポイントの同じところですけど、ポイントの測定方法の(3)の当該地域で生産される通常行われている水管理、ここですね。要は、通常行われている水管理を行うとカドミウムは出ませんよというのが下敷きになっているわけですでは、通常の水管理が行えない場合はどうなるのかというのが抜けているので質問が出てくると思うのですね。例えば、不可避的な天候とか災害等によって通常の水管理ができなかった。その結果として品質管理上問題のある米が出てきた場合に、救済措置をここに書く必要はないですけど、実際にこれが動き出すときに、当該者やその地域の自治体とそこら辺を詰めておかないでこれだけ走ると、混乱を招くと思われます。ここら辺を考えていただければと思います。

(浅野委員)
 今言われたことは、ある特定の場所だけに限って生ずる突発的な通常の状態を維持できない事態が起こった場合ということと、それから、なべてその地域全般が地形的な条件その他の条件でどうにもなりませんという場合と、2つがありますね。それから、もう一つ考えれば、ある特定の年については、この地域全体がどうもどうにもならないという、異常渇水があったので大変きつかったとかいうようなことで、3つぐらいが考えられるわけですが、第1のケースについては、これは異常値というはね方をせざるを得ない。それから、第2のケースに関しては、地域全体が通常の状態であるならば、その状態を前提にして、そこは通常と考えてあげなければこれは気の毒ですね。それから、ある年に限ってという場合は、これはしようがありませんので、次の年はちゃんとできそうなのに、ある年だけ突出して悪かったからこの地域全部アウトにするというようなむちゃなことはできませんので、そこは行政指導か何かかけて、今年産米について何とかしてくださいという措置しかとれないのかなという気もするのですけどね。

(中杉臨時委員)
 今までのご議論を伺っていてあれなんですけれども、基本的には環境基準という観点から言えば、米が1ppmを超えてしまったら、そこは環境基準を超えていますよという話。これは食べる人の立場から言えばそういう話なので、これは通常の管理というのはどういう管理かというのは、何となくあいまいのままにそこでやられているものと考えたらいいのだろうと思います。ただ、今度、指定要件を考える議論になるときは、食べられなくなるよというのをどういう意味で、農家の人がそういう負担をするのか、今度は汚染している汚染原因の企業が浄化対策をするのかというときには、そこは通常のというのをどういうふうにするかというところがものすごく議論になってくる。だから、農用地の環境基準という観点では、あまりここのところは議論しなくても、私はよろしいのかなと思いますけれども、ここの農用地土壌小委員会に課せられた部分では、そこはものすごく大きな問題になってくるのではないだろうかというふうに考えております。

(松本委員長)
 いかがでしょうか。指定要件を控えておりますので、そのときにもまたご意見を賜りたいと思います。
 それでは、先に進ませていただきます。議題の3でございます。農用地土壌汚染対策地域の指定要件等について、事務局から説明をお願いいたします。

(土壌環境課係長)
 それでは、資料7の「農用地土壌汚染対策地域の指定要件等について」をごらんください。1ページ目から6ページ目にかけましては、農用地土壌汚染防止法の常時監視から対策までについて触れられております。7ページ目以降におきまして、指定要件について触れられていますので、これから説明させていただきます。
 1ページ目の「常時監視について」でございますが、常時監視につきましては都道府県知事が行うものとしてありますけれども、細密調査、対策地域調査、解除地域調査、それとクロスチェック調査というものが行われております。
 細密調査につきましては、こちらにおいて指定要件の基準値以上を検出しますと都道府県知事において指定ができるということになっております。先ほどから話題になっておりますとおり、2.5ヘクタールに1点の割合でほ場を選んだ上で、農作物の生育収量状況やほ場の土壌、それから、農作物を採取した上で特定有害物質等の量の分析を行うという形になっております。こちらで指定要件に該当するかどうかというものを見ていきます。
 その上で、指定をした後になりますけれども、対策地域調査が行われまして、農用地の土壌汚染対策の効果を確認し、最終的に地域の指定の解除を行うという部分を担っております。
 さらに、指定を解除した後におきましては、解除地域調査として再汚染の有無を調べる形になっております。
 クロスチェック調査におきましては、これらの調査の分析精度を確保するための調査という位置づけとなっております。
 続きまして、2ページ目になりますけれども、「調査方法の見直し案について」。先ほど専門委員会の報告の説明がございましたが、これを踏まえますと、調査方法の改正として以下のようなものが考えられるということで記載させていただきました。
 採取区画につきましては2.5ヘクタールに1点という形にしておりましたが、ちょっと記述を変えて2.5ヘクタールに1ほ場の割合で選定という形にした上で、採取点数につきましては現在採取に係る農用地の区画の中央部におきましてお米を稲20株前後、それから、土壌につきましては地表下15センチまでを垂直に切り取った上で均一にした土壌1kgという形で取っておるものを、今後は選定されたほ場の中央部を含んで5点の試料を採取するという形に変えまして、その1点、1点につきまして、お米については稲4株前後、土壌につきましては各点から1kgずつ取りまして、それを混合した上で持ってくる形ということとしております。
 続きまして、3ページ目になりますけれども、こうした形で常時監視、特に細密調査において指定要件の基準値以上を検出した地域につきましては、都道府県知事において農用地土壌汚染対策地域として指定することができます。その中で県の審議会や関係市町村長への意見聴取や報告、それから、環境大臣への報告といった手続がございます。
 続きまして、4ページ目になりますけれども、対策計画についてということで、こちらにつきましても都道府県知事が指定した際、その区域にある農用地の土壌の特定有害物質による汚染の防止等を図るため、遅滞なく農用地土壌汚染対策計画を定めなければならないとされております。その際はやはり県の環境審議会や市町村長の意見を聞くといった手続が定められております。
 特に重要な部分といたしましては、対策計画の内容というものが右下に書かれているんですけれども、その4の(2)の部分のイになりますけれども、具体的な事業の種類というものが書かれる形になります。事業の種類といたしましては三つありますけれども、農用地の土壌の特定有害物質による汚染を防止するためのかんがい排水施設の新設や管理、それから、変更。続きまして、農用地の土壌の特定有害物質による汚染を除去するための客土その他の事業。これが最も多く行われているものと考えられますが、それ以外に汚染農用地の利用の合理化を図るための地目変換その他の事業という形で定められています。そのほか、事業費の概算や事業の実施者(都道府県や市町村)が書かれることとなります。
 続きまして、具体的にどのような対策が行われるか、特に客土についてをメインに5ページ目で説明させていただきます。
 (参考)「客土等の対策について」ということで、客土対策につきましては、カドミウムを含有するような農作物の生育を未然に防ぐ上で、確実な効果が期待できるということが考えられます。実際に行われているものとしましては、非汚染土を上に持ってくる上乗せ客土、それから、汚染土を下層に埋め込んだ上で非汚染土を持ってくる埋込み客土、汚染土を外に出した上で非汚染土を持ってくる排土客土、下層が非汚染土の場合に使えますけれども、上層と下層を反転する反転工というものもございます。その他、希釈工といって、非汚染土を持ってきた上で希釈するというような形の方法もございます。
 ただし、こういった対策につきましては、右上の表などにもありますけれども、例えば対策地域130ヘクタールあるうち、客土を120ヘクタール行う場合につきましては、事業費が38億円というような形で相当コストが高いというものや、それから、土取り場としまして、土取り場12ヘクタールから相当量の土壌を持ってくることになりますので、そういった土取り場の確保が難しくなってきているという問題がございます。また、排土客土につきましては、汚染土をどこかに排出しなければならないということもございますので、そういった面でも問題となる可能性がございます。
 続きまして、6ページになりますけれども、(参考)として、現行の対策として客土、それから、効果実証中の対策などについて記載させていただきました。先ほど申し上げましたとおり、客土については既に抜本的な対策として確実な効果は得られるということや、客土をするほ場については1年で対策が完了するというようなメリットがございます。一方で、対策コストが高かったり、土取り場の確保が大変であるというようなデメリットがございます。
 ほかに効果実証中の対策としまして、土壌洗浄、植物浄化といったものが挙げられます。
 土壌洗浄につきましては薬剤を土壌中に入れて、その上で水で洗うというような対策になりますが、短期間(~1年間)の中で対策が終了するというメリットがございますが、客土と同等のコストがかかるというデメリットや、対策時、特に冬場に行うことがあるんですけれども、大量の水が必要になる。また、水持ちが悪い水田だと、入れた水が流れていってしまうということで、そういった水田では施工がなかなか難しいといった問題がございます。また、水や薬剤を使うということで、周辺環境への影響についてもさらなる実証が必要という状態です。
 また、植物浄化につきましてはカドミウムを吸いやすい植物を植えつけた上で、それを回収するという形になりますけれども、コストが安いという点と、それから、農水省の実証事業などにおいて、3年で土壌中のカドミウム濃度を40%減らすというようなデータも出ております。一方で、浄化は複数年続けなければならなかったり、また、気象や栽培条件によって大分効果が変わってくるなどといったデメリットもございます。また、複数年実施した場合の低減効果の予測がなかなか難しいというところも挙げられております。
 さらに区切りまして、(参考)として湛水管理ということを書かせていただきましたが、これにつきましては、土壌から作物中にカドミウムが移らないようにするにはコストが安く、高い効果が得られるという場合が多いのですけれども、雨が少なかったりとか、用水の確保が難しかったりというような問題であったり、水管理に関する確認作業が必要であったりという問題点がございます。こちらにつきましては土壌中のカドミウム濃度は低減しないので、カドミウムはそのまま土壌中に残るという問題点もございます。
 続きまして、7ページ目以降、「対策地域の指定要件について」説明させていただきます。こちらは、現行の指定要件についての話になりますが、現行では農用地土壌汚染防止法の施行令2条1項1号において、その地域内の農用地において生産される米に含まれるカドミウムの量が米1kgにつき1mg以上であると認められる地域、また2号としまして、1号地域の近傍の地域のうちイ及びロに掲げる要件に該当する地域であって、その地域内の農用地において生産される米に含まれるカドミウムの量、それから1号地域との距離、その他の立地条件から見て、生産される米に含まれるカドミウムの量が1kg当たり1mg以上となるおそれが著しいと認められるものという形で、2号要件というものがかかっております。
 下の図にありますけれども、まず、米1mg/kg以上になるかならないかによって1号地域に該当するかしないかという形になりまして、その上で1号地域の近傍であるかという点において該当するかしないか。また、イ及びロになりますけれども、こちらはその地域の農用地の土壌に含まれるカドミウムの量、これが1号地域の土壌に含まれるカドミウムの量と同程度以上であると。それから、その地域の土壌の土性、これが1号地域の土壌の土性とおおむね同一であることという形で定められております。
 具体的には、土性というものについては右側の表にありますけれども、粘土の含量であったり、砂の含量によって微粒質から粗粒質という形に分けられるということになっております。
 続きまして、8ページになりますけれども、2号要件の実際の運用につきまして、施行通知において運用が細かく示されております。近傍の地域につきましては、1号地域に囲まれた地域、それから、すぐ隣の地域、それのほか1号地域と水系または汚染原因が同一と認められる地域などになっております。また、土壌に含まれるカドミウムの量、これにつきましては1号地域の土壌中カドミウム含量と比べまして同程度か、または、これよりも多い地域、1号地域の土壌に含まれるカドミウムの量にかなりの幅がある場合は、極端に低いものを除いた残りのうち低いものを基準として判断するという形になっております。
 土性がおおむね同一というのは、先ほどの区分の中で同一であるか否かという形で判断されます。また、米に含まれるカドミウムの量というものが最後かかっておりますけれども、こちらは1号地域に囲まれた地域、すぐ隣の地域においてはイ及びロに該当する場合は1ppmよりもある程度お米の濃度が低くても2号と解する。それ以外の地域においては、天候、水利状況いかんによっては米1ppm以上となるであろうとも考えられるような比較的1ppmに近い程度でなければイ及びロに該当しても2号とは解さないという形となっております。
 続きまして、こちらも現行の1ppmで指定している部分ですけれども、9ページのところにグラフを示させていただきました。下の横軸が土壌中カドミウム濃度、縦軸が玄米中カドミウム濃度となっておりまして、各地点からそれぞれお米と土壌を取っているため、このような形でフローとすることができます。
 まずは、横軸の玄米中カドミウムの1ppm、ここよりも上の部分については1号要件に該当するという形になります。そのため、ここよりも上の部分については1号地域として指定されます。一方で、マーキングがひし形と四角形でそれぞれ中粒質、細粒質となっておりますけれども、例えば細粒質であれば米で2ppmのあたりに丸がついていると思いますが、そちらが1号要件には該当した上で土壌中のカドミウム含有量が一番低いのがこちらになっているということで、ここよりも上の土壌中カドミウム含有量が高い部分については細粒質の部分の中で2号要件に該当するという形になります。
 また、中粒質につきましては、より粗い粒径で、ひし形のマーキングがされておりますが、土壌中で1.0弱部分が最も土壌中のカドミウム含有量が低くなっておりますので、こちらについて、ここよりも上の部分について2号要件に該当するという形になります。
 続きまして、10ページになりますが、土壌環境基準ということで、先ほどの専門委員会報告を踏まえまして、お米1kgあたり1mg未満というものにつきまして、0.4mg以下という形に改定するとともに、環境基準におきましては測定方法について、測定方法について昭和46年6月の農林省令を引いておりますので、農林省令について必要な部分は改定する必要があるという形になっております。また、土壌環境基準の改正を踏まえまして、農用地土壌汚染対策地域の指定要件、特に1号地域の要件につきましても見直しを含めた議論が必要とされております。
 最後になりますけれども、11ページに今後の指定要件等のあり方についてのたたき台を示させていただきました。1号要件についてということで、「指定要件は、まず客観的な特定データに基づいて、公正かつ合理的なものとして設定される必要がある」ということと、「『人の健康をそこなうおそれがある農畜産物が生産されることを防止』するという目的を達成するために、『人の健康をそこなうおそれがある農産物が生産されると認められる地域』『そのおそれが著しいと認められる地域』を、適切に指定する要件である必要がある」ということで、(1)としましては、1号要件について「専門委員会報告も踏まえた上で、人の健康をそこなうおそれがある農産物が生産されると認められる地域、これを適切に指定できる要件とするためにはどのような要件が適当か」ということと、2号要件につきましては、「現に玄米に含まれるカドミウムの量が基準を超えない場合においても『土壌、当該農用地に生育する農作物等に含まれる特定有害物質――この場合はカドミウムになりますけれども――の種類及び量等』から見て、基準を超える『おそれが著しいと認められる』地域を2号要件により指定できることとするのが適当か」という観点。
 2としまして、湛水管理について、これによって玄米中のカドミウムが大きく変わることにはなりますけれども、「専門委員会報告において、先ほど議論もございましたが、『当該地域で生産される米の品質管理の観点から通常行われている水管理』を行ったほ場について調査を実施することが望ましく、試料を採取するほ場における稲の生育期間中の気象条件や湛水管理の実施状況について把握していくことが望ましい」とされております。「土壌中のカドミウムの量と、それから、玄米中のカドミウムの量の相関に大きく影響する水管理の条件による変動、これを極力抑制するために常時監視における水管理の扱いなどについてどのように実施していくことが必要か」という点についてご議論いただければと思います。
 資料7については以上です。

(松本委員長)
 ありがとうございました。それでは、ただいまのご説明に対して質問あるいはご意見をちょうだいしたいと思います。どうぞ。

(高橋臨時委員)
 最後の点ですが、我々のミッションは、指定の基準についてだけ考えればいいんですか。それとも対策のあり方とか、先ほどの議論のような、例えば湛水管理も対策の一つだと考えた場合に、ある種の条件で出た場合にどういうふうに救済措置を出すのかというところまで含めた形で議論するのか、この辺をちょっと教えていただければありがたいんですが。

(松本委員長)
 それでは、今の質問に対して回答お願いします。

(土壌環境課課長補佐)
 農用地土壌汚染防止法がございまして、これは農水省と環境省の共管法ですけれども、環境省が所管しているのは調査、常時監視の部分、対策地域の指定、対策計画において、特に環境基準に基づく規制的な部分については環境省で見るという形になっております。具体的に言うと、計画の中に作付制限とか、そういったことも書き込むことになっておりますので、そういった部分については環境省の方であると。
 客土等の対策につきましては農水省の補助事業、土地改良事業で実施するというところもありますので、対策の部分については必ずしもこの小委員会の場で結論を出す必要はないのではないかと思います。ただ、具体的にどういう対策が出口として現状であるのかということは十分認識して指定要件の議論をしていただく必要はあるので、議論していく中で、現状でどういう対策があるのかということが制約としてかかってくることはあると思います。

(浅野委員)
 高橋委員の質問に対しては、今のご説明では完全な答えになっていない、質問者はそれでは納得されないと思います。基本的には指定要件をどうするか、そこをちゃんと考えなきゃいけないのだけれども、さっきの専門委員会報告を見てもわかるように、今回、非常に微妙な話がいっぱいあって、指定要件のところで、中杉委員が言われるように湛水管理が響いてくる可能性があるものですから、その限りにおいては、客土については踏み込めないけど、湛水管理を指定要件の中でどう扱うのかという、かなり従来になかった話をやらなければいけないのです。そのことの背景にある理由は、既に対策を済ませてしまっている地域について再度指定地域にして、また重ねて対策を講じさせるという事態は極力防ぎたい。
 事前の部会での質問に対して、事務局が既に答えてくれていますけれども、大概ぎりぎりボーダーラインの対策なんかを立てることはないので、従前の旧基準というか、現基準のもとでの対策はかなり幅広で講じられているだろうということでした。とすると、今後起こる問題は、ほとんどボーダーラインに近いところで問題が出てくるので、ボーダーライン層というのは、実を言うとつらいことだけど、湛水管理が適正に行われればクリアできてしまうし、甚だ悪いとクリアできないという危険性がある。その非常に微妙なところに我々は入り込まざるを得ないので、そうすると指定要件の中に、果たして客観的に決めるべき要件の中に、湛水管理というものにどう入れ込むのかという、法的に言うと一番難しい問題に実は愛着している、こういうことだろうと思うのです。
 ですから、その点が高橋委員のご懸念ではないでしょうか。それをどう整理するかということです。そこを無視してしまったら、これは多分うまくいかない。1号、2号の話よりも、1号でもそもそもどう扱うのかという、かなり困難な問題が出てきそうだし、1号が解決できれば、もうそこでアウトなら従前どおりのやり方で、その周辺は2号にしてしまえばいいのだろうと思うので、そこをどうするかですね。なかなかいい知恵が浮かばないのですが、どうしたものでしょうか、課長、何か腹案がありますか。

(土壌環境課長)
 浅野先生に先に言われてしまったという感じですけれども、私が補足しようかと思っていたのは、対策としても湛水管理とか考えられるのでしょうが、専門委員会報告のレベルではどういうところではかるのかという、測定するときの条件みたいなところに置いておりまして、なおかつ説明を聞いていただいてわかったと思いますが、現在の法律の対策計画の中にある事業の種類の中には、湛水管理は入りませんので、当面法改正はしないと考えれば、湛水管理を対策計画の中で書くという話は、とりあえずは出てこない。
 そういう制約要件の中で、まさに浅野先生が言われたように、どういうところで客土事業をやるのかということを議論していただきたいなというような補足をしたいなと思っていたんですけれど、さらに言いますと、結局、客土事業で対策をやらないとどうしようもないところと、湛水管理を続けていけば何とかなるところが現実にはあるはずで、そこの仕分け方は、現場がわかっている人にやってもらわないとうまくいかないのではないかと思いながら、ちゃんと法に基づいて、政令で決めるようなレベルの考え方は整理しなければいけないのかなと思っているところであります。

(浅野委員)
 もう1点だけ言うと、結局のところ、しようがないので、指定そのものはかなり大胆にやってしまうと割り切るか、そこのところはボーダーラインだから、極力指定をしないで済むような方向でやるのか、どっちかを選ばざるを得ないのですが、恐らく現場で営農しておられる方の立場を考えてみても、前者の方向はうれしくないだろうと思うのです。どうでしょうか。やっぱり後者で何とか工夫をするというのが、知恵の出しどころかなという気がするのですが。

(太田臨時委員)
 基盤整備をやってきた人間の立場からイメージを申し上げますと、要するに今の議論は、客土はハードで、完全にそれで対策が済む。湛水管理はソフトで行けると。こういう理解だろうと思うのです。けれど、私は、もう少し微妙なところがあるということを、皆さんにご理解いただいた方がいいと思うのです。
 例えば、先ほど佐藤委員がおっしゃったように、干ばつとかいろいろな事態が起きたときに、手当てをしたくてもできない状況が生じる場合がありますね。そうすると、干ばつが例えば隔年であるというようなところは、やっぱり水の手当てをしてあげる。小さなため池をつくるのか、ほかに水源を確保するのかいろいろありますけれど、そういうことができるようにしてあげた方がいい場合もありますね。
 したがって、やっぱり指定はできるような条件でないと、つまり湛水管理が条件というよりも、それができるための基盤的な条件を整理するということはできないとまずいのかなという感じのことをご理解いただいた上で、どういう結論がいいのかまだわかりませんけれども、議論を進めていただきたいと思います。

(高橋臨時委員)
 その場合の対策は対策事業の中に入るのですか。水路をつくるとか。

(太田臨時委員)
 例えば4ページの「農用地の土壌の特定有害物質による汚染を防止するためのかんがい排水施設その他の施設の新設、管理又は変更」と、これだけで読む限りはオーケーだろうと思うのです。しかし、実態上、それが湛水管理を確実にするためのかんがい施設の整備にまで適応されているか、私は実例を知らないものですから、適応範囲の確認が必要です。つまり、これはもともとは、今までのほ場整備とあわせて水路も直すからという意味で書かれているのかなと私は思ったので、そうであれば解釈を拡げる必要があるかもしれません。

(浅野委員)
 今まではそうでしょうけれども、これはちょっと。

(太田臨時委員)
 だから、そう読めばいいのではないかと私は思っているのです。

(染臨時委員)
 従来きれいな水、土壌汚染だと水質汚濁もあって、きれいな水源を確保するための工事が…。

(太田臨時委員)
 質の問題でしょう。だから、量の問題も今度はかかってくるという。

(松本委員長)
 読める。

(太田臨時委員)
 字面だけみれば十分読めると思います。しかし、これまでの解釈や適応例を確認だけしておきたい。

(染臨時委員)
 いわゆる湛水管理とか、そういうものを前提として、どうこうというお話ですけれども、やっぱり湛水管理もコストはかかるのですよね。場合によったら、湛水管理をやるために、今まで議論が出ていませんが、土壌はアルカリ性にしておいた方がカドミウムは吸収されないわけですよね。そのために土壌改良資材を投入しないといけないということを、いわゆる農家レベルで大変な努力をして、そういうことをやっているわけですよね。それを前提として指定されて、それはもう折り込み済みだということになると、その努力は一体どういう位置づけなのだと。
 本来、全くまっさらで考えれば、湛水管理なんかやっていない、土壌改良もやっていない、そういうごく自然な条件のもとで、本当に土壌汚染が出るかどうかというのがスタートラインではないかという気がするのですよ。それをもうやっているからいいではないかと、おまえらの負担でもういいのだということを期待しながら、そこから対策がスタートするというのは本当にいいのかなという気がしますので、そこも議論していただきたいなと思います。

(浅野委員)
 おっしゃることはよくわかるのですが、全く別な話ですけれども、冬場も湛水をしておいて、水生生物を生かしておいて、コウノトリか何かのえさにしましょうという試みを豊岡市ではやっておられますね。しかし相当収量が落ちる、負担がかかる。その分は市が補助金を出すからやってくださいと言っていますけど。
 だから、湛水管理の負担を、だれが負担するのだという問題が実は出てくるのでしょうね。現行法の枠内では、その問題についての答えをきちんと出すことは非常に難しいのですけれども、問題のあることはもうよくわかっています。だから悩ましいと申し上げています。

(中杉臨時委員)
 先ほど課長が法を改正するつもりはないと言われたので、現行の手当てはある程度限られているのですけれども、社会全体として見たときに、コストが何が一番安いか。これはひょっとしたら湛水管理かもしれない。だけど、個別の当事者の費用負担の話から行くと、社会全体としてはよくても、当事者同士ではいいか悪いかというのは当事者によって違ってくる話です。その辺のところがある程度、社会全体で一番いい方法で、それに対しての費用負担をどうするかという議論までは今回は行かないというところでやっているので、その辺のところの難しさがある。だから、ある事業の中でやらなければいけないとなると、それは当事者同士、どちらに負担をしていただくか、私なんかは、どちらの当事者でもないという立場だと、どちらかでいくと、あちらの方がいいだろうと考える、というふうな議論になってしまいかねないなという感じがしますけれども。

(松本委員長)
 佐藤委員、今のような議論の場合に、実際に遭遇されたことはありますか。今のご経験で。

(佐藤臨時委員)
 はい、ありました。

(松本委員長)
 ちょっとそこを、どういうふうな対応の仕方をされたかということなのですけれども。

(佐藤臨時委員)
 お金のことではなくて、カドミウム含有米を出さないための水管理なわけです。結局これは情報公開で、この地域は水管理しないと汚染米が出ますよと。出ると、テレビ、マスコミ等であなたたちが、ひどい目に遭うんだからというおどしだけなのです。すみません、言い方悪くて。
 つまり、出さないための努力に対する評価は、この場合ないんです。汚染米を出さないのが当たり前で、それに関しての努力は評価しないというのは、私はよくないと思います。カドミウム含有米を出した場合は、きっちりと罰はある訳ですから、これは農家にとってはありがたくない。そうすると農家はいっそ客土してくれという事になる訳です。

(浅野委員)
 工場経営者はどうなるのでしょうね、鈴木委員。客土は高くつくのだから、もうちょっと安上がりで済むときに費用を負担してあげますというのはないのでしょうか。

(鈴木臨時委員)
 負担は、いろいろ微妙なところもありますけれども、しかし、いずれにしても、1を0.44にするというのは大変な激変なのですね。それをいかにスムーズに移行させて、目的を達成するかということが大事であります。そのためには、例えば、客土から、植物浄化までいろいろな方法があるのですけれども、現実的に現場で実施不可能なこともあり得るし、かなり時間がかかるというのもあり得るわけです。それらの問題点を如何に克服するかは、それに伴う制度設計がどうあるべきかも含めて議論しないと、入口のところだけで結論をつくるというのは大変問題があると思います。
 例えば買い上げ制度があって、しばしそれでしのぐとか、それから、転作をなさったときには減反対策を講じるとか、そういうものがあるから時間も稼げるし、何とか現実的に解決できることになります。これからそういうことも考えて、経過措置をどうするか、支援策をどうするか、お互いの負担をどうするか、そういう制度上の問題を考えないと、ここだけで結論を出すというのは非常に危険ではないかという気がします。

(松本委員長)
 ありがとうございました。

(土壌環境課長)
 6月までに政令改正をするならということで、事務局側で考えていることを最初に説明させていただいたわけで、中杉先生が言われたように、法律改正をしないという前提でやっていただきたいというのは、その6月までにということを考えたらという前提ですけれど、そこは自由に議論していただいていいとは思います。太田委員、染委員からありました、かんがい排水施設で読めるのではないかというところも、そのような意味で湛水管理のためのかんがい施設というものを位置づけて、早速20何年度あたりから、このスキームに乗るかどうかというようなことの調整もしなければいけなくなるという面はありますねということもありまして、そこら辺も、無理にどうしても6月までにできなくてもきちんとやった方がいいのではないかということであれば、そこはそれで一つの進むべき道ではないかと思いますので、そういう意味で別に制約は設けないで、自由に議論をしていただきたいなということでございます。

(土壌環境課課長補佐)
 課長が言いましたことの補足ですけれども、従来の農用地土壌汚染防止法のスキームとしては、対策をして解除するという前提で制度がつくられている側面がありますので、ある意味、湛水管理のための事業をしても土壌中のカドミウムは減らないという問題が一つあるんですね。そこら辺で、湛水管理がしっかりできるようになって解除ができるのかというと、今までこのスキームでは想定していなかったと。今、課長が言いましたように、その辺も考え方を変えていくというところまでする必要があるのだということになれば、そこはそこでまた制度的な部分の、もう少し大きな話まで踏み込んでというところを考えなければいけないということになります。

(浅野委員)
 議論がだんだんおかしくなってきたような気がするのですが、専門委員会では環境基準について、とにかく他法令との関係あるいは国際的な意味も考えて、これしかありませんねと言っているわけです。これは実を言うと、これ以上いじってほしくない話で、そのときに、しかしながら測定条件として、こういうようなことでサンプルをとってください、つまり、一応粛々、淡々と何も前提なしに言うとすれば、異常値が出る可能性は結構多い世界なので、異常値は困りますが、これは正常値というものはこんなやり方でございましょうと言って、標準的な試料の採取方法についても環境基準の中で決めておきますということは合理的な発想です。それを著しく超えていて、とにかくどうにもなりませんということが残りそうだという場所については、今までどおり、今度はちょっと数字が厳しくなりましたけれども、とにかくそれで指定をせざるを得ませんということにもなります。指定した以上は、どういう対策を講じるかというときには、今現行法を変えなければ書いてある三つのメニューの組み合わせをちゃんと考えてやる以外にありません。それでやっていって、解除できるときは解除すればいいし、1の湛水管理とおぼしきことをやっていって、それで解除ができなければ、ずっと指定をしたままにせざるを得ません。それはそれでしようがない。
 その上で、中杉委員のお考えは多分そうだと思うのですが、国民の健康を守るために環境基準を決めているんだから、実際には測定の世界ではそれで整合性があってきれいに測定できているんだろうけれども、具体的には結構ばらつきがあって、危ない米ができるかもしれないというボーダーラインの場所が、全く何もなしに放置されていることが一体許されるのかと言われると、やっぱり環境行政の立場から言えば、それは許されますとは言い切れないでしょう。その部分は、このやり方でやる限りはどうしても穴あき部分になってしまう可能性があるわけです。そうなりましたら、そこはやっぱり第3種地域みたいなものを立法的につくらざるを得ないかもしれない。それはもう政令改正では、とても対応できない部分が残る。私はその部分が残るとはっきり宣言して、当面はこれでやるんだけれども、この基準ではそういう部分が残りそうだと、その点について法律改正をして、土壌汚染対策法並みなのだけど、ある種、そこはちゃんと米についてもコントロールをしないと危ないかもしれないというアラームをつけておくというようなことにしなきゃいかんのではないかなという気もするのです。それが実際にどのぐらい実態としてあるのか、最初の想定でボーダーライン層が多いのではないかと考えているものですから、こんな発想になるのですが、そんなボーダーラインなんかほとんど現実には出そうもありませんというなら問題ありません。そこの読みの問題ですね。そこは一体、事務局としてどういう想定をしておられるのか。

(土壌環境課長)
 今おっしゃられているのは、0.4を超える米がとれるところがたくさんできてしまうのではないかということでしょうか。

(浅野委員)
 そのボーダーラインのところで、上下しそうなところが結構たくさん生まれるのかと。そんなものはないのか。

(松本委員長)
 要するにきれいに分かれるのか。

(浅野委員)
 どっちですか。

(土壌環境課長)
 湛水管理の程度によらずですか。

(浅野委員)
 湛水管理でもいいのだけれども、湛水管理だから、かろうじてぎりぎりというところが結構出てくると怖いなという話です。

(松本委員長)
 そういうことです。

(浅野委員)
 そうすると、やっぱり国民の中には……。

(松本委員長)
 湛水管理してきれいに分かれれば、それはそれでいいのですよ。

(浅野委員)
 だけど、同じ地域で、この田はだめだけど、この田は大丈夫ですみたいなことでしょう。やり方によってばらつきが出てくると、最終的には、とれた米が田によって違うということが起こってしまうから、そうしたら環境基準の管理として許されなくなるでしょう。だから、その事態はあんまり想定しなくていいかどうかということなのです。そこが難しい部分です。

(鈴木臨時委員)
 年によるばらつきも起こり得ます。

(土壌環境課長)
 日照りとかそういうものがあれば、ばらつきが…。

(浅野委員)
 だからどうだろうなという、実際のところがね。

(松本委員長)
 佐藤委員、きれいに分かれるものですかね。

(佐藤臨時委員)
 分かれますね。水管理をちゃんとやった場合ですけれどもね。手を抜いたりしないで、危ないときはちゃんと水管理をしてもらう。ですから、きちんと抑えた農家に対しての評価はどうするんだということにもなってくるわけです。今までにもいろんな学会とかで言われていますが、土性に関係なく、危険期間をきっちり水でふたしていけば、ほぼ防げるのです。

(松本委員長)
 土性に関係なく。深見委員、そうですかね。土性に関係なくきれいに分かれるという。

(深見専門委員)
 水管理を徹底していれば、きれいに分かれると思います。

(浅野委員)
 法律の立場から言うと、それでサボる人がいたらどうするのだろうなという心配が出てくる。

(松本委員長)
 それはもう個人の問題になりますね。

(浅野委員)
 そこから先は食品衛生法の世界だから、厚労省にお任せしますということですかね。

(染臨時委員)
 流通するかどうかはあると思いますよ。

(大塚委員)
 さっき中杉先生が言われた費用負担のことからすると、一時的には湛水管理で行くのはいいと思うんですけど、浅野先生もおっしゃったところですが、ずっとそれだけでいいということには多分ならないだろうと思うのですね。農民の方で負担しなければいけないというのは、そもそも法律の考え方ではないので、それをずっとやっていくのが環境行政として望ましいとは私も思わないので、植物浄化でもいいのですけども、左の方に将来的には移っていくことを考えておかないとまずいのではないかと。
 ついでに、0.4から1については、先ほど鈴木委員がおっしゃっていたこととも関係しますけれども、今買い上げているのですけど、それが将来的にどうなるかということに関しては、ここでは多分議論してもしようがないのかもしれませんが、しかし、ここでの議論に実はかなり関係はしてくるのかなということは申し上げておきたいと思います。買い上げは多分将来的にはやめるのでしょうけれども、それが事実上の問題として、国民の健康という観点から関連はしてくるだろうなということは申し上げておきたいと。

(高橋臨時委員)
 1点ですが、先ほどの資料にもありましたが、対策済みの地域87%あるという話でありますが、例えば客土した場合に、遠いところから持ってこられないので、近隣のところから持ってきてまぜたら、実は1はクリアしたけれども0.4はクリアできなかったみたいな場合に、それをさらに追加して対策をお願いするのかと、こういう話もきっと出てきます。この点については、どういうふうに考えていくのかは議論しなければいけないと思います。
 それからもう一つ、大塚先生がおっしゃいました買い上げの話ですけれども、確かにある種の発想から買い上げされているのを、今回おやめになるという話がありました。ただし、買い上げの手法そのものは使える手法だと思いますので、別の理屈である種の予算が立てば、買い上げも考えていくということはあるのではないかと思いますので、その辺もご検討いただければと思います。

(土壌環境課長)
 今、ご指摘がありました買い上げ等をどうしていくかというところは、農水省の政策とも深くかかわっておりますので、できれば次回、農水省等から現状の取り組み等を説明していただくというような機会を設けたいとは思っております。
 もう1点、高橋先生の言われました、既に対策した地域で、追加して対策を講じる必要があるかどうかというところは、おそらく解除の時にどこまで見ているかという話じゃないかと思いますので、そこら辺はちょっと対応を入れるかどうかというのは整理できるところは整理しておきたいと思います。

(松本委員長)
 ありがとうございました。かなり時間を要して、最も重要な、最も微妙なところをご議論いただいたわけで、こうしたものを踏まえて、次の会議で、さらに具体的にどういうふうに対応していったらいいかという、そういう素材をつくっていただいたと、そういうふうに思います。
 時間も限られておりますので、そのほか、本当はご質問あるいはご意見をちょうだいしたいところでございますが、質疑応答はこの辺にしておきたいと思います。
 これとは別に、本日の会議全体を通してご質問がありましたら、この際ちょうだいしたいと思います。どうぞ、ございませんか。

(なし)

(松本委員長)
 ないようでございますので、質疑はこれで打ち切らせていただきます。
 それでは、次の議題の4、その他に入りたいと思います。事務局から今後の会議の運営等について説明をお願いいたします。

(土壌環境課長)
 それでは、次回は3月8日の1時から、今、会場をとっている途中のようなので、また連絡をさせていただきます。それで、関連施策のヒアリングを前半にしていただいて、後段で本日議論があったようなことについて、小委員会報告のたたき台的なものをお示しして議論をいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

(松本委員長)
 事務局はそれ以上、ほかございませんね。

(土壌環境課長)
 さらに言うと、その次の会が3月24日ということでご連絡させていただいております。ここでできれば小委員会報告をまとめていただいて、3月30日に予定しております部会で専門委員会報告とあわせて審議をしていただけるとありがたいと思っておりますが、8日の議論の様子を見てまたご相談したいと思います。

(松本委員長)
 それでは、最後になりますが、私の方から本日の資料の取り扱いについて説明をしておきたいと思います。
 土壌農薬部会の運営方針では、公開することにより、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある資料や、公開することにより特定のものに不当な利益、もしくは不利益をもたらすおそれがある資料などは、委員長の判断に基づきまして非公開とすることとされております。本日配付しました資料は、いずれもこれに該当しないことということから公開といたします。
 また、今回の議事録につきましては、事務局で調製いたしました後に、発言委員等への確認をお願いするということがございます。今日は重要な、しかも大変たくさんの意見をいただきましたので、どうぞ委員におかれましてはご多忙中恐縮でございますが、よろしくご発言の部分のチェックをお願いしたいと思います。
 それでは、最後にもう一度本日の会議全体を通して何かご質問があれば、あるいはご意見があれば承っておきたいと思います。

(なし)

(松本委員長)
 それでは、特にございませんので、進行を事務局にお返しすることにいたします。

(土壌環境課長)
 それでは、本日はどうもありがとうございました。次回3月8日はまたよろしくお願いいたします。