中央環境審議会土壌農薬部会 土壌制度小委員会(第6回)議事録

日時

平成20年10月6日(月)9:58~12:05

場所

環境省第1会議室

出席委員

委員長松本 聰臨時委員鈴木 英夫
委員大塚 直 高橋 滋
 藤井 絢子 中杉 修身
臨時委員石原 一郎 細見 正明
 稲垣 隆司 眞柄 泰基
 河内 哲専門委員市川 隆治
 佐藤 泉 斎藤 政賢
 佐藤 雄也  
 

(欠席は、浅野委員、佐藤洋委員、和気委員、岸井臨時委員、中野臨時委員)

委員以外の出席者

環境省
白石水・大気環境局長、伊藤水環境担当審議官、岡部総務課長、笠井土壌環境課長、和田地下水・地盤環境室長、高澤土壌環境課課長補佐、今野土壌環境課課長補佐、天野土壌環境課課長補佐

議題

(1)
今後の土壌汚染対策の在り方について
(2)
その他

議事

(笠井土壌環境課長)
 それでは、定刻前ですけれど、全員そろわれましたので、ただいまから第6回の土壌制度小委員会を開催させていただきます。
 本日の委員の出欠状況でございますが、浅野委員、佐藤洋委員、和気委員、岸井臨時委員、中野臨時委員よりご欠席との連絡をいただいております。したがいまして、本日は委員、臨時委員総数18人中、13人の出席が予定されており、ただいまのところ13名が出席されておりますので、小委員会開催の定足数を満たしていることをご報告させていただきます。
 それでは、議事に入ります前に、本日の配付資料についてご確認をいただきたいと思います。
 本日の配付資料は委員名簿、資料2は前回もご議論いただきました今後の土壌汚染対策の在り方について(論点、考え方の方向性、主な意見)、資料3として、土壌汚染対策のための基金についてというものを用意しております。参考資料1は、地下水モニタリングについて、これは前回ご質問があったものへの回答でございます。参考資料2は、例年行っております土壌汚染対策法の施行状況調査の結果がまとまりましたので、概要版と委員の皆様には本体もつけてお配りさせていただいております。ただ、これまでと同様の傾向という感じですので、この参考資料2につきましては、会議の後半にもし時間がありましたら簡単にご紹介というようなことで考えております。なお、あり方懇の報告書及び参照条文を綴じておりますファイルにつきましては、お帰りの際は席上に残していただきますよう、繰り返しお願いいたします。
 それでは、松本委員長に議事進行をお願いいたします。

(松本委員長)
 皆さんおはようございます。本日はあいにくの雨の中、早朝よりご参集いただきましてありがとうございます。
 本日の小委員会でございますが、第6回目になります。議題といたしましては、前回に引き続きまして、今後の土壌汚染対策の在り方について、後半部分を主としてご議論いただきたいと思います。
 それではまず、本日の審議の公開の取り扱いについてでございます。
 今回の小委員会におきましては、公開することにより、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれや、特定のものに不当な利益、もしくは不利益をもたらすおそれがないことから、公開とさせていただきます。
 それでは、議事次第に沿いまして議事を進行してまいります。
 議題(1)今後の土壌汚染対策の在り方についてに入ります。前回の会議では、資料2の1ページから7ページまでご議論いただきましたので、本日は、後半の8ページの、3.搬出汚染土壌の適正処理を担保するための制度の充実について、こういう議題から答申まとめに向けてご議論いただきたいと考えております。事務局から資料2の説明をお願いいたします。また、前回の会議で、委員からご指摘がございました、地下水のモニタリングの状況についても、あわせて説明をお願いしたいと思います。それでは、よろしくお願いします。

(和田地下水・地盤環境室長)
 それでは、順番が相前後して恐縮でございますけれども、私の方から、地下水質モニタリングについてということで、お手元の資料の参考資料の1に基づきまして、若干お時間をいただきましてご説明をさせていただければと思います。
 早速でございますけれども、現行の地下水のモニタリングの、いわゆるフレームワーク、スキームということでございまして、冒頭は、モニタリングの目的と位置づけというところでございます。これはもう既に、ご承知のこととは思いますけれども、地下水質モニタリングにつきましては、環境基本法、いわゆる16条環境基準に基づきまして、その達成を目的として行われているものでございます。この基本的な考え方に基づきまして、地下水質の汚染の状況を把握するということで、実際には水質汚濁防止法の15条、正確に言うと15、16、17条あたりを受けまして、常時監視モニタリングというものが行われているというのが現状のスキームでございます。ただ、この目的につきましては、広く国内の地下水質というものが良好な状態を保持できているかどうかというものを監視、モニタリングするものでございますので、実際に飲料水があるかないかとかだけに限定されることなく、将来の健康リスクなんかも勘案して、幅広く全国の地下水質の状況を監視するという趣旨にでき上がってございます。
 2ぽつでございますけれども、実際の枠組み、フレームワークの現状でございますけれども、現時点では、そこにございます[1]から[3]までにございますように、三つの段階に分けてモニタリングのフレームワークが組み込まれてございます。一番最初の段階としては、概況調査ということでございまして、端的に申しますと、幅広く鳥の目で全体を俯瞰をするというような意味でございまして、概況全体を把握するという目的のもの、それから[1]に基づいて、実際の汚染が見つかった場合について、少し具体的にどのような物質の汚染であるとか、それから汚染の範囲というものについて確認をするという、汚染井戸周辺地区調査といわれているもの、それから3段階目については、[2]に基づきまして、さらに継続的に、定期的にモニタリング調査を行っていくと、いわゆる汚染が確認された後に継続的な監視を行っていくという目的のものでございます。
 それから次のページに参りまして、実際にはどのぐらいの運用の箇所数かというところのイメージでございますけれども、先ほど申しました水質汚濁防止法に基づく常時監視モニタリングという意味では、対象の井戸としては、おおむね約全国で8万本程度ございます。それに基づきまして、先ほどの全体を俯瞰するというような観点での概況調査では、例えば18年度を例にいたしますと約4,700本、定期モニタリングを例にしますと約4,900ぐらいの井戸について調査が実施されているところでございます。実際には、例えば概況調査で申しますと、数年でそこの区域、いわゆる都道府県の単位のその区域の中で、大体全部数年で一巡するようにローリングモニタリングという形になっておりまして、定期モニタリングにつきましては毎年、場合によっては数年に一度ということで定期的、それから継続的にモニタリングが続いていくということになってございます。それから、これはもう既に何回もこの委員会でも出てきてございますけれども、汚染が発見された場合には飲用を控えるということがスキームとして徹底されているということがビルトインされているところでございます。
 それから、3ぽつ、モニタリングの概況ということでございますけれども、実際のモニタリングの結果、最近の結果、ここ数年の結果も含めてということでございますけれども、ごく端的にご紹介しますと、いわゆる発がん性物質でありますトリクレン、パークレン、いわゆるトリクロロエチレン、テトラクロロエチレンにつきましては、1982年、この辺あたりから大分VOC問題が出てくるわけでございますけれども、3割近い井戸から検出されて、それぞれ、当時はまだ環境基準がございませんでした時代ですので、3、4%の井戸でWHOのガイドラインを超過しているというようなことで非常に問題視された時期がございました。その後、特に平成に入りましてから関連の法令、規制の整備によりまして大幅に改善されたというところでございます。実際にはただ、依然として新しい、ここ数年も検出という観点で見ると、毎年90件程度の汚染の検出が新しい井戸で発見されているというところはある状況でございます。地下水質モニタリングという観点では、そこに、3つ目にございますけれども、最近では、特にVOCもさることながらでございますけれども、硝酸性窒素と亜硝酸性窒素、この項目について非常に環境基準の達成率が芳しくないというところで、最近は対策、それから強化などを検討しているところでございます。
 それから、3ページ目の4ぽつでございますけれども、地下水質モニタリングの枠組みの見直しです。先ほどの、1点補足をさせていただきたいと思っているんですけれども、特に最近VOC90件程度報告されているというのがございましたけれども、その際には実際には、都道府県などからモニタリングもさることながら、対策についても要請を実際に行っているところでございまして、実際には対策と称するものの中では、地下水質そのものの対策もさることながら、土壌汚染対策という観点での対策がおおむね半分ぐらいを占めているぐらい、地下水質と、実際には土壌汚染対策というのも行われているというようなところが現状でございます。
 3ページ目に参りまして、枠組みの見直しということでございまして、来年の4月からなんでございますけれども、少し地下水質モニタリングの効率化、それからより効果的なモニタリングの実施、さらには土壌汚染対策との一体不可分性を勘案した上でのフレームワークの見直しというところでございまして、これにつきましては、そこに挙げさせていただいているとおり四つの視点からの改正を今般夏に行ったところでございまして、来年の4月から運用が開始されるというところでございます。
 四つの柱でございますけれども、まず1つ目が、土壌汚染の発見を地下水質モニタリング実施の要件とすることでございますので、これまでは、地下水そのものをモニタリングするという観点だったのですが、土壌汚染対策の発見というものをいわゆるトリガーにして、水質モニタリングの実施を行うというところを新たに考え方として盛り込んだ点、それから現時点では、実際には汚染が見られないというような状況の場合にあっても、水系全体から見て特に重要な地点、いわゆる飲料水源かなどなどという観点から、特に重要な地点についてはモニタリングの必要性、その役割について明確化したといった点、それから自然由来の汚染については、場合によっては簡素化していくんだといった点、それからモニタリングの結果についての情報公開の内容の強化、いわゆるより具体的、詳細な情報もあわせて公開していくといった点を強化しようということで、今般改正したところでございます。
 本委員会の関係でございますけれども、なお書きのところがございますけれども、土壌汚染対策との連携強化の観点からということで、土壌汚染の状況を、特に考慮しつつ、汚染の可能性が高い地域について重点的にモニタリングを実施といった点、それからもう一つは、地下水汚染が発見されたという場合のみならず、これまではその場合に限られておりましたけれども、土壌汚染が判明した場合にあっても、先ほどの3段階の2番目の汚染井戸周辺地区調査の実施というものが行われるというスキームに改正して、今般8月でございますけれども、局長通知の改正の内容について都道府県あてに周知を行ったところでございまして、来年4月から円滑に実施されるように、今最終の準備段階といったところでございます。
 最終のページは、特に通知の改正内容についてポイントを記載したものでございますけれども、この中で、特に関連のところで申し上げますと、上から概況、汚染井戸、継続監視というところで、大きく三つに分かれておりまして、3段階目は、以前定期モニタリングという名称でしたけれども、今般は継続監視調査という名前に変更されておりますが、概況調査につきますと、文字を四角で、枠で囲ってございますけれども、先ほど申しましたように、土壌の汚染の状況、廃棄物処分場跡地情報なども考慮ということで、土壌汚染とのリンケージ、それから2番目の汚染井戸周辺地区調査の関連でも、目的のところで土壌汚染が判明した場合にも実施といったところについて、具体的に盛り込んで改正をしたところでございます。これによって、より一層一体不可分的な地下水と土壌汚染対策の一体不可分の効果的な運用ができればというふうに考えてございます。
 以上でございます。

(笠井土壌環境課長)
 それでは、資料2の8ページから、きょうの論点をご説明させていただきたいと思います。
 搬出汚染土壌の適正処理を確保するための制度の充実についてということで、前々回の議論を踏まえてまとめてあります。

(1)といたしまして、位置付けでございますが、汚染土壌の搬出は、汚染土壌の拡散のおそれがあることから、抑制すべきことを明確に位置づけるべきではないかという方向で、前々回の議論は進んでいたと思われます。またこれに加えまして、搬出が抑制されるようその場での、すなわち原位置でのリスク低減措置、オンサイト処理と呼んでいるんですが、その場で無害化するというような技術開発、普及を促進すべきではないかと考えております。
 現在、搬出汚染土壌は、指定区域から出されるものについて届出があって、届出をした人に対して計画変更命令や、罰則というものが課せられますが、具体的に運搬や処分の行為をされる方には罰則規定というのはございません。ということもありますので、発生から最終処理に至るまで、関係者が責任を持って処理をする仕組みを確立していくべきではないかということで、1つ目が処理方法の規制ということで、運搬、移動、処分の各段階において、守るべき基準を法律で規定をして、きちんとした行為規制をかけるべきではないかという問題提起をさせていただいております。
 また前々回は、業規制が必要ではないかという議論もございましたが、まずは9ページにもありますが、まずは処理の方法等に関する規制を定めて、その効果を踏まえて今後検討してはどうかなというのが前回の議論の方向ではなかったかなと思っております。
 結局何が汚染土かという問題提起もございましたが、指定区域から持ち出される土というのが汚染土だということになりますので、そういうこともあり、自主調査の結果をうまく活用させていただいて、ちゃんとこういう規制を入れたら、空振りにならないようにすることが大事なのではないかと思っております。
 9ページの[2]でございますが、汚染土壌の管理システムということで、現在もマニフェストというのがございますが、これもそれにかかわる人たちがどういうことをしなければいけないかということを一々法律で決めているわけでもないので、どの程度規定するかということはあると思いますけれど、適切な処理が行われたことを確認することができるような仕組みを法律で規定すべきではないかというような議論の方向だったかと思います。
 [3]その他でございますが、前回議論いただいたような方向で、自主的な調査を取り込んで、さらに一定規模以上の土地の改変時に調査を義務づけるということになれば、指定区域が拡大することになるので、現在の指定区域以外の土地から搬出される汚染土壌についても対象とすることはできるのではないかと。また、自然起因で基準を超過する土地から搬出される土壌につきましては、もとに戻せばいいのではないかというようなことで、その特性に合った処理の仕方というのがあるんじゃないかというような問題提起をいただいております。
 10ページでございますが、汚染土壌が不適正に処理をされた場合の措置ということで、罰則を設けるべきということと、もとに戻す、ちょっと原状回復と書かせていただきましたが、もとに戻すような措置が必要ではないかというお話があったかと思います。現行でも、第9条ということで、指定区域の中から土を持ち出す場合には届出をしなければいけないということになっております。ですので、届出をした内容と異なった処理をした場合は、届出を行った人に対して、届出内容に沿った処理を行うように命じて、言ったとおりにやりなさいということにしてはどうかというのが一つの方向だと思いますが、もう1点、届出をすることもなく不適正な処理をした場合、どのような措置を講ずるべきか、どんなレベルまでの対策を行為者に求めなければいけないのかというところが1点論点であるかと思います。
 4はその他ということで、指定調査機関、これの信頼性の向上のために、技術的能力の基準を明らかにすべきではないかとか、地質に関する知見をもう少し見る必要があるんじゃないかというようなご指摘をいただいております。さらに、現在は指定されたらずっとそのままということになっておりますので、指定の更新制を導入すべきではないかという方向性が出ているかと思います。
 2つ目としまして、土壌汚染のリスクや法律の考え方に対する国民の理解とリスクコミュニケーションの促進ということで、前回も若干触れましたけれど、11ページの(2)の[1]としましては、土壌汚染調査・対策を実施する事業者、国民一般に対して、土壌汚染対策については暴露経路の遮断で十分であるということなど、無理に掘削除去しなくてもいいということなんですけれど、土壌汚染のリスクと合理的対策に関する普及啓発を推進すべきであると。それを実際に行っていくために、12ページになりますが、準拠すべき制度やガイドラインを定めるとともに、リスクコミュニケーションに係る人材を育成し、派遣活用することが必要ではないかというような方向が出てきているのではないかと思います。
 これと、次の(3)その他の、支援の措置に関しまして資料3ということで、現在どういう支援措置を行っているかということで、二つの基金のことを説明させていただきたいと思います。「資料3土壌汚染対策のための基金」ということで、一つは法律の22条に基づきます土壌汚染対策基金というのがございます。1ですね。これは土壌汚染対策法に基づき実施される土壌汚染対策を円滑に推進するために環境大臣が指定する指定支援法人、これは法律の20条に書かれておりますが、実際には財団法人日本環境協会が指定されております。それが21条にあります支援業務を行うために必要な基金として設置されておりまして、三つの仕事、指定区域内の汚染の除去等の措置を講ずる者に対する助成、汚染土壌状況調査、または汚染の除去等の措置についての相談・助言、3つ目に、土壌汚染が人の健康に及ぼす影響に関する知識の普及等ということをやることになっております。この[1]につきましては、助成対象は、法律の7条、措置命令を出されて、自己の負担、出された所有者等が負担能力が低い場合に助成を行うということになっておりまして、この助成対象というところの枠にあるように、原因者は対象から除かれるという形になっております。助成金のスキームは、国が補助で4分の1、民間事業者から出えんをいただいて4分の1これをあわせて基金から2分の1を出して、それに都道府県が4分の1を負担をして、土地所有者は自己負担4分の1で対策を行うということになっております。この業務の内容といたしましては、次の箱なんですが、[1]のところで助成業務、19年度にさいたま市に対して5,000万円の助成交付金の交付を決定しております。現在土壌汚染対策工事を実施していただいておりまして、この下にあります土壌汚染対策基金運営委員会に中杉先生にもご参加いただいて、しっかりやっていただいているということでございます。
 2つ目の相談・助言事業といたしまして、18年度から土壌汚染対策の専門家を相談員とした事業をやっております。年間100件ぐらい問い合わせがあるということです。
 3番目の知識の普及等の業務ということで、平成16年度より毎年経団連の後援も得まして、土壌汚染対策セミナーというのを行っております。本年は10月28日と、11月26日に、東京と名古屋で行うということを考えております。それ以外にもホームページの管理・運営などということもやっております。
 後ろに行っていただきまして、後ろの方は、利子を助成する基金でございます。これは平成12年度に積みまして、13年度から助成を行っているものですが、助成金交付スキーム、一般の民間金融機関、昨年まで政策投資銀行ということになっておりましたけれど、民営化されるということになりましたので、今一般公募しているところでございます。資金の貸付、借り入れがあって、その借入利子の0.5%分を日本環境協会に置かれたこの基金から充てるということで、概念的には環境協会から直接実施者に行くような形になっておりますけれど、実際には、環境協会から民間金融機関の方にお金が行って、0.5%引いた利子で貸付が行われているというものでございます。
 こういうものがございまして、それでこのリスクコミュニケーションなんかにも若干関係しておりますが、(3)その他ということで、操業中の対策の促進と、対策の促進支援ということで論点があったかと思います。操業中の対策の促進につきましては、いろいろなご意見をいただいたんですけれど、ちょっと方向性を言うほどまでまだ熟していないかなと思いましたので、論点だけを書かせていただいております。操業中から計画的に対応すれば時間的余裕が生まれ、対策選択の幅も広がり、費用等の面でも有利となる可能性があるが、操業中からの対策の促進策としてどのような方策が有効かと。この中には廃棄物処分場の維持管理積立金のような、準備金のようなものをつくって促進をしてはどうかというようなご提案もございました。
 2つ目、土壌汚染対策等基金については、措置命令をかけられたとき以外の自主的な対策や汚染原因者も助成の対象とすべきかという論点がございまして、前回ご説明しましたように、指定区域の中に対策が必要な区域というのをつくって、どういう対策が必要かということも一緒に公示しようということを考えておりますので、そうなりますと、措置命令がかけられなくても、どういう対策をしなければいけないかということはわかるので、アのところですけれど、土地所有者等が法律上必要とされる土壌汚染対策を講ずる場合であれば、基金による助成の対象とすべきではないかという点を書いております。
 イにつきましては、この基金が国からの補助と民間の出えんで成り立っておりますので、やっぱり自治体の方のご支援も要るのではないかということで、地方公共団体の助成制度の整備が望まれると書かせていただいております。
 ウにつきましては、先ほどこの基金の対象には汚染原因者はなっていないということを説明いたしましたので、汚染原因者についても一定の条件下で助成が必要かどうか、その是非も含めて検討していただきたいと思っております。それ以外にも、対策を促進するための支援としてどのような方策があるかというのは13ページですけれど、特に資力が乏しい中小事業者へ配慮するための支援策を検討すべきではないかというご意見がこれまでに出されているということで認識をしております。
 以上であります。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に対しまして、これから質疑応答並びに議論の時間に入りたいと思います。資料2を、順番を区切ってご意見ご質問をちょうだいしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 まず8ページからでございますが、3搬出汚染土壌の適正処理を担保するための制度の充実についてでございます。(1)汚染土壌を搬出することの位置づけから、10ページの(3)汚染土壌が不適正に処理された場合の措置まで、これについてまず議論してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。どなたからでも結構でございます。どうぞ。
 河内委員どうぞ。

(河内臨時委員)
 前回も申し上げたんですけど、1件ずつ項目毎に議論しても、その項目で意見を述べたことが全体にかかわってくるんですよね、制度全体の。したがってなかなか具体的な提案といいますか意見が、こういう進め方では非常に述べにくいんですね。全体像が見えないときに、個々の1件ずつに、これでいいですということを言うことが難しいです。制度全体どういうことになって、その結果社会に対するコストとか実現性、実効性があるのかどうかというようなことが判らない状況で判断出来ないです。私は総論としては、この前申し上げましたように、まだ、実際人の健康被害と汚染土壌というのはどういうことになっているんですかということがまだつかめていません。この法ができてから5年たちます。その間、非常に自主的な土壌汚染に対する取り組み、調査というのが進んでおり、又、汚染土壌という問題は過去の遺産なんですよね。今新たに出てきていることはまずないと思います。だから過去の遺産がどれだけ新たなリスクとして出てきているのか、実際現実にどうなんだと。どんどんそういうリスクが本当に下がってきているのかどうかということをまず把握せないかんというように思うわけです。それが私の考えなんで、今はまだ時期尚早だということを前回申し上げたわけです。制度を設計するときに、例えば建設残土というのが、今ここで議論しているものより圧倒的に多く発生しているわけです。それは環境省の資料でも0.7%ですか、それでも200万トンぐらい汚染土壌が発見されていると。そういうものと一体この制度は、どういうふうに絡めていくのか、健康被害ということを考えたら、当然そういうものもこの法の傘の中で処理する必要があるだろうと。国交省も今いろいろな形で制度を見直そうとされています。その辺との整合性もとる必要もあるでしょうし、もう少しこの問題は、現実をよく見て本当にどうなんだということをよく議論する必要があろうかなというふうに思います。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 それでは、佐藤泉委員どうぞ。

(佐藤泉臨時委員)
 掘削除去をするという行為をどういうふうに位置づけるかということなんですが、私はやはりそれは、リスクとして、掘削除去をするのがリスク低減として正しいのか、あるいはそれ以外の方法が適切なのかということの評価が行われないままに掘削除去が行われる例があるのではないかというふうに思っています。それで、先月、9月25日に出ました東京高裁の判決なんですけれども、足立区の土地開発公社が売却した不動産から、基準値以上のフッ素が排出されているということで、除去責任を認めたという判例が出ました。ちょっと私判決を全文は読んではいないんですが、瑕疵担保だというふうに思われるんです。この場合、フッ素の基準値を超えたという事実で、全量掘削除去することが果たしてリスク管理として適切な方法なのかということが、環境法としては非常に重要だと思うんですね。それで数値を超えたという事実をもって、すべてに除去責任を、何年前の売買でももとの売り主に求めるというは、これは過去不動産を売った会社、あるいは個人も含めて、非常に遡及的に爆弾を抱えているというような話になってくるわけです。そういう意味では、私は本当に地域の人たちの健康を守り、そして土地の安全を確保するために掘削除去が必要な場合にはそれはやむを得ないと思いますけれども、数値を超えたということだけで除去責任が認められるというのは、ちょっと問題だなと。これは裁判の結果でございますから、また最高裁でどうなるかわかりませんけれども、この基本的な原因は、掘削除去することが必要であるか、健康被害を防止するという観点で本当に適切かつ必要な行為であるかということが、余り議論されていない。逆に言えば、裁判官にも国民にもわからないと。環境基準の数値だけですべてが判断されているということに問題があるのではないかと思います。ここを解決しませんと、ちょっとこの問題は、つまり安全性というものをどう考えるかということを整理しないと、掘削除去が正しいかどうかということがわからないというふうに思います。

(松本委員長)
 ありがとうございました。今佐藤泉委員のその前に河内委員から、この問題は、まだ全体像がよくわかっていないだけに、個々にこういう議論というのは時期尚早ではないかという、こういうご指摘もあったところでございますが、まず河内委員のご発言に対して何か委員の方からご意見ございませんか。

(大塚委員)
 先ほど建設残土の話をされて、そちらの方も本当は考えなくちゃいけないところだとは思いますけれども、土壌汚染対策法の今までのとの関係で言うと、指定区域から搬出される土壌というのは、一般の建設残土に比べると環境基準を超えているということが明らかなので、リスクが高いということは少なくとも言えますので、最初にこちらの方から手をつけるというのは十分考えられると思います。
 それから佐藤委員の話との関係に参りますが、9月25日の判決は私もざっと見ましたけれども、あれは瑕疵のとらえ方について、遡及をするような形の判断をしたので、そういう意味ではちょっと特殊な判決だと思いますが、あれは汚染除去に多額の費用を要したケースの話ですので、前回までのお話と関連するところで、まさにこの委員会で議論しているところは、掘削除去が余り望ましくないという観点からの議論ですので、本委員会の方向性とは、問題の観点という点ではマッチしているというふうにとらえられるのではないかと思います。
 ほかにもう1点よろしいでしょうか。

(松本委員長)
 どうぞ。

(大塚委員)
 先ほどお話を、説明をいただいた中で、ここに書いてある四角の中、私は基本的に賛成でございますけれども、最後のところだけちょっと議論してほしいということだったんですけれども、(3)の一番上の四角でございますけれども、届出をしなかったときにどうするかということで、届出をしないで汚染土壌を不適正に処理した場合に、どういう措置を講じるかという問題があると思いますけれども、これは9条のもとで、規則等々でどういう基準でやるかということは明らかになると思いますので、届出がない場合も、届出があったらこうなったであろうというということを想定して、それにしたがって原状回復をさせるというのが均衡上は必要になってくるということだと思います。
 以上でございます。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 それでは、佐藤雄也委員どうぞ。

(佐藤雄也臨時委員)
 9ページのその他のところですが、指定区域以外の土地から搬出される汚染土壌も対象とすべきかということに関連してなんですけれども、法対象を広げるという観点から、土地改変を対象に加えることでこの辺は解決できるんではないかと考えます。
 掘削除去を奨励するという意味じゃなくて、万一やむを得ず持ち出す場合という意味でございますが、その場合、今の3条というのは、搬出土壌についてチェックするには私はちょっと不十分じゃないかなと思っております。といいますのは、3条調査をもって土地売買の際に汚染がないということはとても保証できません。つまり、地上から地下50センチまで汚染がないというふうなことを基本にしているわけですから、それより下にある場合、例えば地下工事、基礎工事をした場合に、建設残土などでも問題が起きているということです。そういう意味で、土地改変を新たに加える場合には、調査方法についても、掘削する範囲をどこまで想定しているかということで、それについて汚染の状況を調べないと、不十分になるのではないかと考えています。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 どうぞ、そのほか。
 それでは、髙橋委員どうぞ。

(髙橋臨時委員)
 最初の河内委員のお話に関連してなんですけれども、やはり具体の法律を考える場合には、ある意味では、大まかな制度設計というのを検討することは、必要なことだと思います。前提として法律制度を大きく変えるかどうかという点については、確かに河内委員のご指摘と、それから私のような認識では違いがあるというのはよくわかっているわけです。しかしながら、最後にその点は、全体の制度を設計した最後にもう一度、具体の制度内容を前提にして導入すべきかどうかという議論をすべきであると考えます。法制度の検討をする場合には、全体の制度設計をしっかり検討することは重要なことでありますから、河内先生ご指摘のところは、もう一度最後にしっかり具体の制度を前提として、ではその制度を導入するべきかどうかということを議論すべきだというふうに思います。
 以上でございます。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 どうぞ、そのほかお願いいたします。
 それでは、河内委員。

(河内臨時委員)
 今まであり方懇談会でも議論がありましたし、ここでもそれなりにテーマごとに議論がありました。ただ、制度を見るときには、自主調査があり、法定調査があり、行政の法整備があり、いろいろあってあと調査して命令して、実際に汚染土壌がどう処理されていくかという、これ全部絡んでおり、議論がなかなかかみ合わないんですよね、この議論のやり方でやっていると。ある程度現実的に即しているなというようなことを皆さん共通の認識があって、その上で少し議論を深めるというようなことをしないと、私自身はなかなか具体的にこれでいいですとか、これに賛成しますとかなかなか言いづらいんですよね。自主調査を法の中に取り込むなんていう話をされると、一体どの程度のことを言われているのかということもわからないですし、その辺を少し、やはりこの会の進め方というのを考えていただきたいなと思います。
 先ほど国交省の話もありました。確かに汚染土壌を一緒に考えないと。最後は処理業者に渡って処理されていく過程というのは同じ業者が扱っていくわけですね。国交省から来た建設残土と、ここで議論する汚染土壌と、ずっと同じことで処理されていっていると。それは一体どういうふうに仕分けして管理していくんですかということを…。ここで議論しているのは300万トンぐらい汚染土壌がありますよと。国交省から汚染は建設残土として200万トンぐらいありますよと。これは一体どういう形で制度設計していくんですかと。省が違いますから全然管理が違いますよと言われると我々は困るわけです。だから、その辺を少し議論していかないかんだろうというふうに思います。

(松本委員長)
 ただいまは、議論の進め方についてもう少し具体的な例を挙げながらどうかということのご指摘がございましたが、この点について何か。
 中杉委員どうぞ。

(中杉臨時委員)
 土地改変すると土壌が必ず出ます。それをその中に汚染土壌に該当するものが幾らかあるというのは、これは間違いない話で、現実問題そういう状況にありますけれども、ただ土地改変の残土を全部調べるという仕組みは、これは大変な話ですね。これをやってしまうと物すごい大きな負担になるので、この土壌汚染対策法の中では、その中の大きな改変、それから明らかに汚染があるもの、そういうものをちゃんと管理していきましょうということでやっているものですから。そういう意味では、国交省の方で全部土壌を形質変更に伴う土壌を全部調べるということであればまた別ですけれども、そうでない限り、ある程度合理的な仕組みをつくっているというふうに私は考えています。
 それからもう一つは、自主と全体の話ですけれども、これまでどうなっているかという話ですが、これまで土壌汚染対策法を動かしてきてみた、その結果を踏まえた上で、少し問題点があるので今度は手直しをしましょうということで今我々議論しているというふうに考えております。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 どうぞ、そのほかお願いいたします。
 稲垣委員どうぞ。

(稲垣臨時委員)
 2回ほど休ませていただきましたが、いろいろそのときの経緯は、議事録等で読まさせていただいておりまして、今回の報告、おおむね、私どもが考えておる方向へ進んでおるのかなというふうに思っております。ただ、河内委員言われたように、個々具体的なものになると、やはりいろいろ意見を言わさせていただかなければいけない点もあろうかと思います。
 例えば自主調査のとらえ方一つとっても、自主調査をじゃあどうやるんだと。今の指針どおりにやっているのか、そうじゃなくして指針と違っているかどうかという点になれば、これは、私どもは指針どおりにやっていただくというのが前提ということならばこの考え方は整理どおりでOKですとか、いろいろあると思います。
 それと、きょうの8ページのところも、基本的には私、指定地域、掘削をして動かさないというのが、これは基本だと思います。ただ、そうはいっても指定地域が別のところへ移っただけという書き方をされると、私どもとしてはちょっと問題があるのかなと。移ったところできちっと管理され、リスクが低減できればそちらの方がいいわけですから、その辺の考え方も、少しずつ細かい点についてはやはり整理していただかなければいかん点があるのかなと思います。ですから、大まかにはこの方向でいいと思いますけれども、個々のものについては、それぞれ議論させていただきたいと思います。

(松本委員長)
 個々については、その場その場で議論した方がよろしいと。大まかについてはこの方向性でいいのではないかというご指摘でございます。
 どうぞ、そのほか。
 石原委員どうぞ。

(石原臨時委員)
 適正処理を担保するための制度の充実ということで、私もおおむね基本的にはこういう形のものでいいんではないかと、こういうふうに思っております。特にお願いしたいのは、宣言的プログラム的規定ということではございますけれども、オンサイトの処理、リスクを踏まえた処置というような法律の一カ条を設けるというのは非常に効果が大きいと思いますのでお願いしたいと思います。
 それと、先ほど建設残土との議論もございました。私、国土交通省の建設残土の扱いをどうするという話は存じ上げてはいないんですが、ただこの適正処理のところで、少し気になる点を申しますと、例えば運搬も含めて対象にする。それはそれでいいんですが、マニフェスト、積荷の目録なり送り状ということになろうかと思いますが、それもいいんですが、根本的には汚染土壌とほかの土壌の区別をするような事実的行為が要るんだろうという気がしています。土壌そのものに無害な物質を着色するというのは無理なのかもしれませんが、例えば輸送のコンテナーは表示をするとか、そういう行為がないと、なかなか難しいのかなという感じが、実効性としてですね。ただマニフェストもかなりの効果があるんではないかと思いますけれど、そういう事実行為もあわせて必要ではないかとこういうふうに思います。
 それと、自然的土壌も同じようなところがあるんですが、わかってしまえば当然搬出というのは、法のもとのコントロールに置くべきなんですが、その自然的汚染がある場所を改変しているかどうかというのは、改変する人にはわかりようがございませんので、何らかの形で自然的汚染地域で、かつ改変される、搬出されるおそれが高いような地域については、一定の指定行為なりがあらかじめないとワークしないという気がします。そういう意味では、汚染土壌はやっぱり識別ができないということが非常に大きいので、ほかの例えば廃棄物なんかとも扱い方を変えていく必要があるんではないかというふうに思っております。

(松本委員長)
 ありがとうございました。どうぞ、そのほかお願いいたします。
 市川委員どうぞ。

(市川専門委員)
 搬出汚染土の規制、それからマニフェストによる管理、そういうことを法律上義務づけるということについては、それが費用対効果の面で、どれぐらいコストがかかるのかというところがいま一つ不明ではないかなというふうに思っておりまして、これは場合によっては実体経済に大きな影響を与えるんではないかと、こういうおそれがございます。技術開発を推進すべきというようなところもございますけれども、メッキの業界なんかからお伺いすると、掘削除去以外の方法もいろいろあるけれども、いずれもコストは非常にかかるんだという話を聞いておりまして、やはりコストの安い技術、これの開発について、国も積極的に支援をして開発を進めるべきではないかなというふうに思いますのと、それからやはり、実体経済上に与える影響を考えますと、やはりまず大規模な土地の改変等について規制をして、それからその効果、あるいはコストを見ながら徐々に、段階的に小規模なところにも広げていくというような手法、これは普通そういうこともよくやるわけですけれども、そういった手法をとるのが必要ではないかなというふうに思います。

(松本委員長)
 ありがとうございました。費用対効果から言うと、非常に高価になりやすい。そういうことから、技術的に非常にコストを下げた、そういう技術開発が今非常に重要であるという、そういうご要望でございます。
 どうぞ、そのほかお願いいたします。
 鈴木委員どうぞ。

(鈴木臨時委員)
 ちょっと繰り返しになりますが、この問題は三つポイントがあると思います。第1は、河内委員もおっしゃいましたように、汚染土壌の流れとか、拡散の現状とか実態などが余り把握されていないところで、一律に何か法律で決めようとするのは、大変無理があるのではないかという点です。従って、その辺の解明をある程度してから検討していくべきじゃないかということが一つです。
 それから2つ目は、汚染土壌が人の健康に及ぼすリスク、これもはっきりしていない点があります。含有量基準を超えたらたちまちある法律の適用をするというようなことが本当に正しいのかどうかと。こういう場合にはこうというバリエーションを持った制度設計を考えないと、現実的に費用対効果の問題もありますし、実態にそぐわないということになりかねないということだろうと思います。
 それから3番目は、全体の俯瞰の中で、この問題は改めて議論をするというご意見にも大賛成でありまして、ミクロではその方策がいかにも良いと見えても、マクロでいろいろな問題を起こす。経済学でいう合成の誤謬のようなことにならないような制度設計をすべきであると考えておりまして具体案が出てきたときまで、意見は保留させていただきたいというふうに思います。
 以上3点です。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 鈴木委員からは、3点のご指摘がございました。一つは、汚染搬出土壌の流れがいまだに不明確である。非常にわかりにくいところがあると。2番目には、また健康被害、これについても汚染土との関係で、よくわかっていないところがある。それともう一つは、マクロ経済に、やっぱり議論すべきところがあると、こういうご指摘でございますが、どうぞこれに関連して。
 河内委員どうぞ。

(河内臨時委員)
 今の意見、私も全く同じ思いをしているんですけれど、そもそも、例えばあり方懇談会でいろいろな議論をされて、それに基づいてここで議論をするというベースで始まっていると思うんですけれども、自主的調査の報告義務が新たにここに出てきているのは、どういう背景があるから、ここで議論が出てきたのかということをきちっと説明していただかないと、何か突然こういう話が出てくるというのは少しおかしいと思うんですよね。やはり議論というのは継続的に来ているわけですから。何が変わったんですかということを説明をいただきたいなというふうに思います。
 それから今ちょっと鈴木委員が言われました、例えば重金属ですよね。重金属の含有量基準というのは、もう掘削以外にないんですよね。したがってこれは何らかの対策が、例えば不溶化処理でもいいとかそういうことを認めるようなことをしなかったら、結局掘削除去でどんどん広がるというようなことになるということ、こういう技術的なことは一つずつ私も意見ができるだけ言えるんですけど、全体がなかなか見えないんです。

(松本委員長)
 わかりました。
 それでは、細見委員どうぞ。

(細見臨時委員)
 河内委員、鈴木委員から、幾つかの全体像が見えない、あるいは制度設計についてまだ十分理解できていないというご意見だと思いますけれども、しかし、基本的には土壌環境施策に関するあり方懇談会の報告をベースにしてやってきていると思います。そういう意味では、この汚染された土壌に対して制度設計する上で、入り口の部分と出口の部分、すなわち最終処分とか、安定化だとかそういう流れにおいて、どこをどのように絞るとか、あるいは入り口を広げるとかそういう議論をしてきているわけですね。そういう意味ではこの議論の進め方としては問題ないかと思っております。
 全体の方向性としては、稲垣委員が言われたように、方向性としてはこれでよろしいんではないかと。ただ、個々の表現とか、それはこの制度設計の段階でいろいろ、例えば対策技術についても河内委員がおっしゃられたようなコメントを加えていくということで、基本的には入り口で法律の対象とすべき範囲を広げていく方向や、あるいはそれを一定規模以上の土地改変を、主にそういう段階で広げていこうというのはある程度合意されているんではないかと思います。
 それで、最後の搬出土壌について、ちょっと少し私は、ひとつ佐藤泉委員がおっしゃられたように、抑制すべきであると。汚染土壌の搬出は、拡散のおそれがあるから抑制すべきであると。基本的に、これも正しいところもあるんですけれども、稲垣委員が言われたように、ちゃんとその後適切に管理していけばより安全な場合もある。それはおそらく適正処理の制度設計というか、マニフェストシステムを含めてよりこの8ページの真ん中に(2)で書いてありますように、関係者が責任を持って処理をする仕組みを確立していくべきだと。ここが確実にできれば、全体の制度設計としては、確かにある一面コストがかかりますので、コストに関する議論は当然しないといけませんけれども、大まかな流れとしてはそういう流れでよろしいんではないかと思います。
 以上です。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 それでは、大塚委員どうぞ。

(大塚委員)
 いろいろな議論が出てきたと思いますけれども、主に言われているところは3点ほどではないかと思いますが、一つは自主的な調査を法の中に取り込むという問題についてですが、これは全体と絡むということかもしれませんけれども、今まで出ていた議論ですので、ここでは議論すべきことかどうかという問題があろうかと思っています。
 それから第2点として費用対効果の話と、それから第3点として、法の制定のときどうだったのかという問題がおそらくあると思いますけれども、費用対効果の問題は、おっしゃるとおり考えなくちゃいけないことではあると思いますが、先ほども申し上げたように、今回指定区域に限って搬出土壌を問題視するということですので、そんなにコストがべらぼうにかかるのかというと、必ずしもそうとは思えないところがございます。さらに処理業について許可制とかを導入するという話ではないということはこのペーパーにも出ていますので、そういう面でもかなりコストには考慮したということではないかと考えております。
 ついでに言うと、土地改変の方ももちろん大事なんですけれども、大規模な土地改変のところだけではなくて、まさに有害物質の使用特定施設であるとか、であったところというのが汚染土のリスクが高いということがあるものですから、どっちかというとそちらの方が重要だということがあるのではないかと思います。
 第3点として、法の制定時がどういうことだったかということをちょっと、もう一度申し上げておきたいと思うんですけれども、衆議院の参考人で行かせていただいたんですが、そのとき構想日本の方から、この法律はざるみたいに汚染土がどこにばらまかれるかわからないということをかなり非常に強く追及されまして、9条で何とかするという話をしたんですけれども、もともと搬出汚染土をどうするかという話は、法律制定のときに考えておかなきゃいけなかったことですので、そういう意味では積み残しの問題を今議論しているということなので、新しくそれ自体について、別に費用効果性を考えるとか、費用便益分析をするとかという話では必ずしもないのではないかというふうに私自身は考えております。
 ついでに言うと、当時はまだこの汚染土について廃棄物として扱うかどうかという議論が残っていて、廃棄物の方の課の方でもそういう議論を検討会でさせていただきましたけれど、結局廃棄物にはしなかったんですけれども、立法のときにはそういうことも議論していたぐらいですので、そういう経緯でこの問題が今ここに立ちあらわれているということを申し上げておきたいと思います。
 あと、建設残土との関係は、先ほど申しましたように、これはやっぱり指定区域から出てくるものの汚染土に限ったということであり、かつそれがリスクが高いということですので、まずできるところから始めるというのが本来あるべき姿だと思いまして、全部やらなきゃいけないけれど、全部やることができないので一部分もやらないというのはどうかなと考えております。
 以上でございます。

(松本委員長)
 では、ちょっとお待ちください。
 藤井委員どうぞ。

(藤井委員)
 このあり方懇の報告を受けてのこの議論の流れは、私はおおむねこれでいいというふうに思っているんですが、河内委員からたびたびこれでいいのかという、同旨の、毎回の議論で意見が出されておりますね。例えば今、先ほどのご意見の中にも、自主調査を取り込むという話があったけれども、それの説明責任がないというお話がありましたが、私としては、この説明について言えば、法の対象範囲を広げるかどうかということの中で、本来は土対法の前のそういうところにも取り組むということなのか、そうではなくて、もう既に法に基づいた調査が3%しかなされていないけれども、非常に多くの自主調査がなされているのであれば、その調査の内容を広く世間に知らすということで、土対法の対象範囲を広げるということではない形としてやるんだということは、私自身の中では議論されていると思っているんです。常に議論が進む中で、大きなところで足踏みと言ってはいけないんですが、戻るところが、どうも私の中ではすかっとしないのですが、そこのところを何とか座長、コントロールしてください。

(松本委員長)
 藤井委員の今のご質問に対して、事務局の方、要するに3%に満たないけれども、非常にたくさんの事例があるんだということで、ちょっとコメントをいただけませんか。

(笠井土壌環境課長)
 あり方懇でも3%しかないということが指摘されておりまして、「法律の対象の入り口となる調査基準について見直しを含め検討が必要と考えられる」と記述され、問題提起がされております。それで、私の方も再三繰り返しながら言っているんですけれど、汚染土がいろいろなところに行くと問題が起こるので、それはコントロールする必要があるのではないかと、それは問題であるということも前回河内委員の方からもご発言がございましたが、それで出てきたものをどうコントロールするかという規制だけきちんとやっても、対象がこの3%に限られていたのではほとんど空振りになりますので、空振りにならないようにどこから持ち出したかということがきちんとわかるように自主的調査の結果を活用させていただきたいと。そういうことで提案をさせていただいて、何でもかんでもすぐ、すべてのデータを出すべきとか、そういう議論はこれまでもなくて、前回も、髙橋委員の方から、汚染がわかれば場合によっては直近の被害がなければ土地を改変するときまで調査を待ってもいいんではないかというような提案もされていると理解しております。
 さらについでで申しわけないんですけど、低コストの技術開発というのは、毎年かなりのお金をかけて5、6個の技術の評価に環境省は努めております。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 では、河内委員どうぞ。

(河内臨時委員)
 いろいろな方の意見がありました。大塚さんは土地、指定区域だけの対象だけだったらそんなに社会的な影響はないんじゃないかと言われました。だけど、今指定区域の範囲を広げる話をしているわけですから、一体どういう議論になるのかということが私はわかりません。
 それから自主調査というのは、実態が、私の認識は、実際に何かが自主的な調査で発見されたときには行政と相談しているというのが私の理解なんですよね。搬出に関しても相談をかけて、しかも指定区域以外の土壌汚染に対する搬出についても、指定区域に準じた処理をしなさいという行政からの通達も出ているわけです。したがって、今そういうことで、実際処理はされていると私は認識しているんですけども、いやいやそんなことはないですよと、もうでたらめですよということなのかどうかというのを私は常に問いかけているわけです。実際どうなんですかと。それは法をつくっても、悪いことをしようとしている人は、その法を作ってもだめなんですよ。だから実態はどうなんですかと。そこにそれだけ社会的な資源を投入するのは本当に妥当なんですかということを、もう少し議論して調査をして、それからでも遅くないんじゃないですかと。例えば水質モニタリングの話もありました。今これを見させてもらったら、全体のモニタリングの制度以外に、地方行政が地方自治体独自の取り組みの一環として水質汚染測定も多く実施されているが、実数は未把握であるということが書いてあります。4月からやられるのはこういうものを全部組み入れて、どのように実態がわかるようになるのかと。それが本当に確度が上がれば、またこの見方が変わってくるわけですね。だからそういうことをもう少し、実態をよくわかるようにしていただかないと、何をしたらいいのかというのがわからないです。

(松本委員長)
 それでは、中杉委員どうぞ。

(中杉臨時委員)
 ちょっと別な話をさせていただこうと思ったので、先に議論していただきました。
 河内委員が言われた最後の地下水のところの話なんですけれども、環境省が自治体に水質測定計画をつくって監視をしていくという形でやっていますけれども、先ほど室長から説明があったように、1キロから2キロのメッシュでやると。1キロから2キロのメッシュで1本やると。これは地下水の汚染の広がりというのはそんなに広くないもんですから、その1本や2本調べてもだめなんですよね。逆に言うと、そういうモニタリングでやってできるだけ見つけようと努力はしているけれども、それでもなかなか見つからない。地下水というのは人が飲む方の、人に近いところでを見ている、地下水のモニタリングはそういうわけですね。そういうことで安全をできるだけ見ようということでそういうのを見ているんですけれども、それだけでは全部見切れない。もう一つ効率的にやるということになると、今度は出しているところで抑えていこう、その可能性が高いところは抑えていこうという形で両方やっていくということになるんだろうと思います。
 それから、先ほどから札を上げているのは、先ほど細見委員が言われた話に絡んでなんですが、正確に私も覚えていないんですが、形質変更について、場合によっては計画の変更を命令するということになっていますよね。そこについてどういうふうにするかという明確なあれがないように思うんですね。例えばこういうところは問題だといって形質変更の計画の変更を命令しなさいと。例えばこういうふうなやり方をしたらというところの例示が中には明示的に出てきていないように私は思っているんです。そこら辺のところをもう少しあれをしていくと、先ほど細見委員が言われたように、例えば搬出してはダメだということでは必ずしもない、そういうことが十分担保できていくんではないかと。そこのところはもう少し考えていく必要があるのかな。例えば、一つは溶出量基準を超えている土壌を、例えば水を全く飲まない沿岸地域のところへ持っていって埋めて、上をふたしておけば、濃度がそんなに高くなければ余り問題ないわけですね。そういうところももう少し細かく担保してあげればいいんではないかと。今回リスクを少し考えましょうということで、その場にある汚染自体もどうするかということを議論していますけれども、それを持っていった先も同じことなので、そういうところも少し勘案して明確にしていく必要があるんじゃないかと。そこは今の段階では余り明確になっていないような感じがしますので、少し課題かなと、一つの課題かなというふうに思います。

(松本委員長)
 ありがとうございました。恐らくまだ議論半ばでございまして、この問題は、まだこれから相当ご意見をちょうだいしないといけないと思いますけども、時間も追って…、じゃあ数分でお願いします。

(笠井土壌環境課長)
 先ほど言い忘れましたが、土地の改変というのを法律に取り込むことになったときに、河内委員の言われているような建設残土等の扱いがどうなるかというようなところは一つの論点としてありますので、それはそれで国土交通省なりと話し合いを始めようとしているところであります。

(松本委員長)
 はい、ありがとうございました。
 まだ恐らく議論はあろうかと思いますけれども、時間が追ってまいりますので、次の議題に移りたいと思います。
 次は、4その他に入りますが、調査の信頼性を確保するための方策(指定調査機関)について、この議論に入りたいと思います。
 どうぞよろしくお願いします。なお、先ほどの議論については最後にもう一度時間があれば皆さんにご意見をちょうだいしたいと思いますのでよろしくお願いします。どうぞ。
 調査の信頼性を確保するための方策でございます。いかがでしょうか。
 稲垣委員どうぞ。

(稲垣臨時委員)
 教えてほしいんですが、指定要件、条件なんかに技術管理者を置きなさいだとか、あるいは財団法人の土壌環境センターですか、ここには土壌環境管理士だとか保全士だとかリスク管理士という制度があるんですが、そういうものとの関連というのはこれはどういうふうに考えてみえるか、ちょっと教えていただければありがたいと思います。

(松本委員長)
 それでは、回答をお願いいたします。

(笠井土壌環境課長)
 現段階では土壌環境センターなどがやっている試験というのは有機的な関連がないので、そこら辺はどうやって行くのがいいのかというところは検討課題と考えております。

(松本委員長)
 そういう状態でございますが、いいですか。
 続いてどうぞ。

(稲垣臨時委員)
 今言ったような制度というのはあるものですから、私はこういう信頼性を確保するためにはどうしてもこういう制度は必要だと思いますし、更新なんかも必要ですし、ある程度時期が来たらいろいろ管理するというのが必要だと思います。しかし、現に、今言いましたような制度も、制度というかそういう方々もいらっしゃいますので、やはりその辺はきちっと整理していただけるとありがたいと思います。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 どうぞ、そのほか。ございませんか。
 鈴木委員どうぞ。

(鈴木臨時委員)
 指定調査機関も含めまして、人材の養成というのが非常に大事だと思います。振り返ってみると1967年、公害基本法ができて、20年間に、日本は格段に環境をよくしました。先進国の、平均すると5分の1ぐらいのレベルにNOxやSOxを減らしたという実績があったんですが、そのとき民間企業が投じたお金が約16兆円だったと思います。それもさることながら、一番効果を上げたもとというのは公害防止管理者とか、それからエネルギー管理者を46万人育てて、そういう人たちが一生懸命やって、20年間で確たる成果を上げたわけです。したがって、この指定調査機関にしても、人材の育成というのが最も大事で、特に講習会などは民間で既にやっているサイトアセッサー制度で、そういう人たちを大いに活用して、地方自治体の方々にいろいろなことを伝達するとか、そうした方法でぜひ、人材の養成について一定のご配慮をお願いしたいと思います。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 それでは、佐藤泉委員どうぞ。

(佐藤泉臨時委員)
 人材の育成が必要だということはそのとおりだと思いますけれども、えてしてこの資格制度というのは、一定の外郭団体との問題を発生しています。行政改革では、そのやり方が人材育成というよりも、外郭団体を維持するための一つの制度的に、余り国民からすると透明性がないというような事態が幾つか見受けられます。したがって自由な競争、それから研究の開発、こういうことを行えるような資格制度をお願いしたいというふうに思います。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 どうぞ、そのほかお願いします。
 ありませんか。
 河内委員どうぞ。

(河内臨時委員)
 稲垣委員のお話と、それから佐藤委員の今のお話、全く同感で、全体のこういうものの受け皿を、民間をベースにしたきちっとした、統一した枠組みをつくるのが、いかに効率的な組織をつくるかということだと思うんです。確かに外から見てなるほど競争原理が働いて、それなりに透明性があってという制度にする必要があるかなというふうに思います。

(松本委員長)
 そうですね。
 どうぞ、そのほかお願いいたします。
 ございませんか。細見委員どうぞ。

(細見臨時委員)
 今回の、今の議論と直接はちょっと関係ないんですけど、要望という形でお願いしたいと思います。指定調査機関のみならず、行政側も、できれば国、あるいは地方、それぞれ都道府県でも指導要綱だとか幾つか、条例も幾つかつくっておられて、多少でこぼこというか、それぞれ先進的にやられているところだとか、先進的というのは早い時期からやられているところだとか幾つか試みがありますので、できれば国と地方の機関との間で統一したような、例えば搬出土壌に対する考え方だとか、調査方法だとか、いろいろなものを含めて、できるだけ情報交換をしていただけるような、指定調査機関だけではなくて、地方と国と機関も一定の議論の場があってもいいんではないかというのがちょっと、これは私の希望であります。
 指定調査機関等の問題とともに、最後に基金の問題、ここは言っていいんでしょうか。

(松本委員長)
 結構ですよ、どうぞ。

(細見臨時委員)
 実際に基金が利用されたのが、今回のさいたま市の事例のみでございまして、なかなか条例が地方自団体の方に制定されていない等の理由で、十分今まで活用されてこなかったわけです。これについては、どのように具体的に、もう少し、基本的にはやはり拡充すべきではないかと。特に中小企業等、いろいろ問題を抱えておられる場所、サイト等について、国が、あるいはこの基金が何とか支援するような仕組みをもう少し拡充するためには、今課題としてここに挙がっているんです。例えば地方に条例を定めていただくようにお願いするだとかとありますけれども、もう少し、これこそちょっと私は制度設計というか、予算がこのぐらいあって、これだけの規模についてこれだけの補助をしようという、ある種の仕組みみたいなものがあってもいいのかなというふうに思います。ちょっとこの辺について、もし事務局でもう少しお考えがあればお聞かせ願いたいと思います。

(松本委員長)
 事務局の方で追加的な情報はございますか。

(笠井土壌環境課長)
 そもそも措置命令がかけられていないので、現状のままでいくと、あと2、3ぐらいの例があって、それでおしまいという感じになります。
 ただ、それがそもそもよくないんじゃないかということで、12ページにもありますように、措置命令が発せられていない場合でも、きちんとどういう対策が要るかということを公示をして、その対策をとっていただければ対象とするというようなことは考えてもいいんではないかと。これもまさに自主的な対策を取り込ませていただくということなので、どれくらい出てくるかというのは、そう簡単にわかる状態ではないんですけれど、3%のものの中に残りが入ってくるので、そういう意味では10倍、20倍ぐらいにはなるんじゃないかなというようなことは言えるんじゃないかと思います。
 それと、次の地方自治体の助成制度がなくても使えるようにできるかどうかというところは、なかなか難しい論点だと思いまして、土壌汚染対策法の事務自体が、都道府県知事の自治事務という形になっておりまして、そうすると、都道府県の範囲の中で、住民の健康を守るという使命があるのに、お金は国と民間事業者からもらうだけということで動けるかというのは、なかなか難しいんじゃないかと思いますが、ご意見があれば伺いたいと思います。

(松本委員長)
 それでは、眞柄委員どうぞ。

(眞柄臨時委員)
 余り重要なことではないのかもしれませんが、自然由来に関して、要するに土対法の対象にならないということが何度も出てくるわけですし、それの判断基準が施行令か何かにあったと思うんですね。それで、いわゆる汚染土壌の、これは処理して、これだったらいいよという卒業判定基準が汚染土壌の基準なのか、それともどの辺までやればいいのかという、ある種の卒業判定基準のようなものをつくった方が、いわゆる処理技術を開発する側からすれば、どこまでやればいいのかの目標が立てやすくなります。この汚染土壌の基準までやらなきゃいけないのかどうなのかという。それを、今の汚染土壌の基準に満たす基準を開発するというのは、実質的に物すごく困難なんです。処理技術を開発する人間からすれば。例えば自然汚染の判定基準ぐらいまでのところまでやってくれればもう完璧だとか、何かそういうものがあった方がやりやすいという印象を一つ受けました。
 それと関係して、ここにいらっしゃる中杉先生も細見先生もかつては国環研の研究者でいらっしゃいました。今環境省の関係の、具体的に言えばつくばの国環研でもいいんですが、この土対法に関係する事柄について、研究テーマが何本あって、何人の研究者が従事していらっしゃるか、私はちょっと伺いたいと思います。研究の視点が、現場の環境の評価と、それからリスクと環境改善に関する研究体制が、少し弱くなっているんじゃないだろうかという印象を受けています。なぜかと言うと、国環研のところでちゃんとテーマがあって、そして研究者がいらっしゃれば、地方自治体、都道府県の研究機関でも、それと一緒にやろうという意欲がどんどんわいてくるわけですね。そういう意味で、その辺のところを少しわかる範囲で結構ですがお話しをしていただいて、そういう部門の研究開発も、実は人材開発とリンクしているわけでございますので、その辺のところを少し伺いたいなと思いました。

(松本委員長)
 ただいまの眞柄委員のご質問に対して、例えば国環研あたりで土壌汚染に対するテーマの取り組みがどこまでなされているか、わかる範囲で結構ですが、もし、後でご調査になっても結構です。

(笠井土壌環境課長)
 現在直ちにわかるものがないので、機会を見てご説明させていただきます。

(松本委員長)
 わかりました。
 それでは、佐藤雄也委員どうぞ。

(佐藤雄也臨時委員)
 基金の適用に際して、PPPをよく言われるんですけれども、基本的にはPPPというのは、未然防止対策に使う言葉であって、例えば企業がいろいろ規制したときそれに従う場合に費用はどうするかというのは、将来の汚染に対して、未然防止の観点から費用負担してもらうというのがPPPの原則なんですが、こういう基金を使うときに、汚染者責任だと。だから汚染者である限り払いなさいということで、むしろ民事責任を問われているような感じになるんですね。基金の場合は必ず穴あき問題、穴あきというのは原因者がいなくなっちゃうとか、あるいは不明の場合、そういうのは必ず出てくるわけで、そのためにこの基金をつくったんだという説明なんですけれども、いわゆる民事責任で対応できないものについて基金を使うことは、やっぱり考えなくちゃいけないんじゃないかと。特に、法律が施行される前に、例えば地下浸透が許されているというか禁止されていないと言った方がいいのかもしれませんが、そういうことで、自分自身が汚染しているという意識なくして、結果的に後で汚染したということになった。そういうものに対して、やはり現行法ですと、それについてはなかなか援助の手は差し伸べられない。理由はPPPだと言うんですが、私はそうではなくて、その時点においては、例えばクリーニング屋さんの場合ですが、対策費用というのを上乗せしていないでクリーニング代をとっているわけですよね。その安くなった分だけ国民は安いサービスを享受していたわけですから、それはそのときの国民と今の国民に必ずしも一対一に対応していないじゃないかということはありますけれども、私は大きな目で見れば、そういうことに対して全部基金でやれと、そこまで言うつもりはありませんが、そういう考え方を導入する必要があるんじゃないかと。特に中小というよりむしろ零細ぐらいの企業に対して、そういう考えが必要じゃないかと、そのように思っております。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 それでは、斎藤委員どうぞ。

(斎藤専門委員)
 先ほどの眞柄委員の自然由来についてですけれども、これは土対法の対象外であることは承知していますが、実際土地の改変をするときには、社内ルールに従って自主調査を行い、基準を超えているという場合に、除去の対策を自主的にやっていることが多くあります。さっきお話がありましたけど、環境数値だけでこの基準を今判断しているというのが実情でありまして、自然由来でも水銀ですとか砒素など、かなり基準値を超えている地域というのがあります。大手デベロッパーは自然由来であっても基準値を超えていることを知ってしまった以上、対策を講ずるのが大半で、その土壌を動かすことは汚染の拡散になりますので、自然由来の場合は、数値だけでない判断の基準やルールみたいなものを示してもらえることを業界として希望します。

(松本委員長)
 それでは、大塚委員どうぞ。

(大塚委員)
 12ページのところの(3)その他のところでございますけれども、まず操業中の対策の促進に関して、一番下の丸のところに、廃棄物処理法の維持管理積立金みたいな制度をつくるという議論を前にもさせていただいたんですけれども、非課税措置がなかなか難しいのかもしれませんが、操業中の対策を促すという観点から、ぜひ検討していただけるとありがたいと思います。
 それから、基金の話は、私も拡充をしなければいけないというふうに考えているんですけれども、アもイもウもあるわけですけれども、アについては、先ほどのご説明もあったように、対策必要区域というのをつくったときに、どこまで何をしなければいけないかということがわかるようになるというのが今の議論の方向だと思いますので、それについて措置命令が出てこなくても、出されていなくても基金の対象にするというのが一つあるんだろうと思います。だからここは拡充できるということだと思います。
 イについてですけれども、先ほど議論してくださいという話があったんですけれど、私も都道府県は住民の健康と、生活環境を維持する義務があるというふうに考えられますので、都道府県が何も負担しないでやれれば、この基金が良く使われるという方向にはなるとは思うんですけれども、ちょっとここは、都道府県が何らかの負担をしていただくというのは残さざるを得ないのではないかというふうに考えております。
 それからウについては、今佐藤雄也委員からご議論がございましたが、原因者負担というのは、過去の汚染についても入ってございますので、これは日本の原因者負担というのはそういう考え方ですので、最近EUの方にもそちらが広がってきていますので、未然防止ということだけではなくて原因者負担というのは必要なんですけれども、零細の原因者に対して補助をするというのは、原因者負担の原則をとった上で考えるべきだと思います。それ以外だと利息の減免ということしかちょっと難しいのではないかと思いますけれども、零細企業に対する補助というのは、別の観点からするということはあり得るのではないかというふうに思っております。
 以上でございます。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 藤井委員どうぞ。

(藤井委員)
 基金について、基金の内容が資料3に3項目あって、その3点目に、土壌汚染が人の健康に及ぼす影響に関する知識の普及等というふうに書いてありまして、その下の方に基金業務の内容として、知識の普及業務について、先ほど事務局から土壌汚染セミナーを平成16年以降毎年やっていますと。今年も全国2カ所やりますという話でしたが、環境省主催、経団連後援という形のこの2回で、とてもとてもリスクコミュニケーションができるというふうに思っていません。これで毎年やっていますというのは、余りにもお粗末でございまして、いやそれ以上、例えば先進県の愛知県は、これはこことしてあるけれども、自治体イニシアチブでこんなことをやっているというのがありましたらば、ぜひお聞かせいただきたいと思います。つまりこういう問題を地域が知るということが本当に大変で、先ほど人材のお話もありましたが、こういう問題というのは、ほとんど住民が、事が起きるまではできないと。日常的にこういう場がないものですから、突出して土壌汚染の問題が出てくると、完全に行政と対立構造になって、議論する以前にもう大変な状況が滋賀県の中でも幾つもあります。ですからその辺のところを少し3の項目について、稲垣委員含めて何かございましたらお願いいたします。

(松本委員長)
 それでは、稲垣委員どうぞ。

(稲垣臨時委員)
 その前に基金の話を少しさせていただきたいと思いますけれど、私ども公金というか、税を使ってやる段階で、環境問題、あるいは公害問題というのは、やはり排出者責任、あるいは汚染原因者負担というのは、これはほかの土壌以外の廃棄物でもみんなあるわけですから、そこを安易に私どもは、「はい、わかりました」というのは、なかなか言いにくい部分がございます。せいぜい13ページの上に書いてありますように、融資だとか、百歩譲っても利子補給かなというような気がしております。これはまた皆さん方と議論させていただければと思いますけれど、安易にこれは「はい、わかりました」というのは言いにくいなと思います。
 それと、藤井先生言われた点は、私ども問題が起きてからしかまだ今やっていないのが実態でございますので、これはやはり今後いろいろな面で勉強させてもらわないかんのかなというふうに思っております。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 中杉委員どうぞ。

(中杉臨時委員)
 今の議論の中で、関連するので少しお話ししておきますけれども、先日中環審の総合政策部会で環境基本法のフォローアップ調査をどういうふうにやるか、化学物質の話が、話題がありました。化学物質の話の中で非常に重要なのがリスクコミュニケーションの話なので、あのときは川崎市の方にご説明をいただきました。ご説明をいただいて、私がコメントで出したんですが、今リスクコミュニケーション化学物質、化学物質の範囲をどう考えるかなんですが、一番重要なのは土壌汚染なんです。ですけど、川崎市の話に土壌汚染の話が全くなかった。そういう意味では、これも行政の縦割りの話なんですが、土壌汚染と化学物質というのは、これは一緒なんですよね。今環境アドバイザー、化学物質アドバイザーという制度もありますけど、あちらでもどのぐらいやられているかわからない。そういうところをもう少し壁を突き破るというのが一つのポイントではないかというふうに思います。
 それからもう一つは、先ほど地方自治体に対する相談を受けて、連絡を、コミュニケーションをよくしなさいというのが細見委員からありましたけれども、この土壌汚染対策基金で言っている相談・助言業務というのは、これは地方自治体も当然相談・助言をしてよろしいんだろうというふうに思うんですが、そこら辺のところは環境省はどういうふうに地方自治体の方に言っておられるのか、これは土壌汚染対策基金の相談をやっておられる方は非常に件数が増えてしまって大変なのかもしれませんけれど、そこら辺のところは充実する必要がひとつあるんじゃないかというふうに思っています。
 それからもう一つ、その上ですけれど、助成業務のところで、先ほどご紹介がありましたが、私も少々お手伝いさせていただいているんですが、その中で一つ困っているのは、土壌汚染、基金を要求するときには、対策計画を立てて、このぐらいお金がかかりますよということを確定しないと要求できないんですね。ところが実際には調査に物すごくお金がかかります。これは指定区域であるかどうかという調査については、もちろんそれは別だと思いますけれども、対策をどうやるかということに関しては、物すごい詳しい調査が要る。そのための調査のお金が出ないんですね。そうすると、今得られているデータだけで調査計画を立てる。そうすると、実際にはそれではとてもできなかったり、課題になったりと、そういう状況があります。これはちょっと鶏と卵みたいな話なんですが、そこをどういうふうにうまく解決するか、知恵を出して考える必要があるんではないかというふうに思います。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 議論はいつの間にかリスクコミュニケーションの話とか、あるいは支援、あるいは基金の議論にも入っているわけでございますが、12ページの操業中の対策の促進、これについてはまだ議論をいただいておりません。12ページの操業中の対策の促進、これに限ってご議論をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 眞柄委員、どうぞ。

(眞柄臨時委員)
 先回も申し上げたと思いますし、それから今日配付いただいた地下水汚染の状況等も関連するわけですが、操業中で、現に土壌汚染、あるいは地下水汚染の実態が明らかになることが多いわけでございますので、そういう意味から、私は、操業中の調査もさることながら、対策も積極的に推進されるのが望ましいというふうに考えます。特に操業中の場合には、いろいろ難しい社会的な契機というか、経済的な状況があるかもしれませんが、一般的には操業中であれば、それに必要な資金の確保も、操業が終わった後よりも容易だと思いますので、そういう意味では私は、この操業中の対策を積極的に促進をすると。その場合に、やはり自主的な調査をどういうレベルのものを是とするかどうかということは議論をしておくべきだと思います。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 どうぞ、そのほかお願いします。
 佐藤泉委員。この件に関してお願いします。

(佐藤泉臨時委員)
 私は操業中の対策は、もう規制にしてしまって、自主的取り組み以上のことを求めてもいいんではないかというふうに思っています。例えば一定規模以上の水濁法の施設については、モニタリングの井戸で、地下水だけは見てもらうとか、そういうふうにしませんと、後で汚染が広がって、もらい汚染などができる危険もまだ拡散しているというふうに思いますので、これはぜひ、きちんとした方法が必要ではないかというふうに思っています。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 続いて、佐藤雄也委員どうぞ。

(佐藤雄也臨時委員)
 操業中の自主的調査の場合は、これは自主的にやる場合は必ず対策を念頭に置いていると思うんですね。結果がどうであろうと、とりあえず調べておこうということはまずないと思います。自主調査のきっかけといいますか、動機のアンケートなどを見ますと、必ず対策しようということがわかります。そういう意味で、調査したけど対策はなるべくとるように指導するという選択肢は論理的には否定はできませんけど、実態上は、大体皆さん必要に迫られて自主的調査をやっているというのが環境省の自主調査の数値として上ってくるんではないかと思っております。
 問題は、これは前回議論したところですが、その調査した結果なり対策の結果をやはり関係者が共有できるようにするということが非常に重要であって、私は土壌環境データという形で、あらゆる機会でそういうものをシロであろうがクロであろうが、対策をとった場合も、全く除去した場合もすべて、その地域内の土壌環境データを整備していくという観点から整理していくことが非常に重要で、特に土壌の場合には、毎年値が変わるということはないわけですよね。大気とか水の場合は変わり得るわけですけれども、基本的には土壌は動かないわけですから、そういう意味ではそういうデータを何年時点の調査結果として残しておく。その後の土地利用状況によってはそのデータを使うという視点で、操業中の調査結果をぜひ残しておいていただきたいと思います。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 そのほか、市川委員どうぞ。

(市川専門委員)
 操業中の調査については、中小企業の場合には、狭い敷地の中でぎりぎり操業しているという例が多いということで、調査をするにも調査するのに必要な土地の面積がないという場合も多々あるというふうに聞いておりますので、そういったところへの配慮はぜひ必要であるというふうに思っております。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 そのほか、河内委員どうぞ。

(河内臨時委員)
 これも繰り返しになるんで、今自主でいろいろ調査しているのは、目的が、ISOであったり、予防的な調査であったり、いろいろな場合があるわけですね。したがって、全部規制にという、これもまた制度設計の話で、一体どこまで組み入れるかという話と絡んでくるんですけれども、これは規制を広げるということは、それだけやればいいということにまたつながってくるわけですね。したがって、今自主的な調査が一体どうなんですかと、不十分なんですかということの議論がないんですよね。今私の認識は、自主で調査した情報は、全部行政に出ていっているというふうに思います。ただその情報は何に使うのかと言うと、人の健康被害にどうだという観点で、非常にローカルな地域の問題なんですね、土壌汚染の場合は。したがって、その情報の扱い方というようなことも、ぜひやはり行政といろいろな、密接に相談をしていると思うんですけれども、結局今自主でやったことは、何が問題かと言ったら、報告したときにいろいろな地方行政の判断基準がばらばらだから、いろいろな形で対応があると。もう少しきちっとそこを統一したらどうですかという話は確かにあるんですよね。だけどこれは、またやり方によってはいわゆる指導とか通達の形でこういう場合はこうですよというガイド的なものでやればそれなりに統一的な処理はできるわけです。何もかも今法の中で組み入れるというのは行き過ぎではないか、最低限これだけはということは法でやって、それを超えるのは、やはり自主的なものとの、この組み合わせのベストミックスといいますか、そういうことがやはり効率的な運用ということでは非常にいいんではないかなというふうに思っています。
 要は、今何がいけないんですかと。自主でこれだけ進んできているのに、なぜ規制にわざわざ組み入れないかんのですかと。それは法律学者の話なんですか、実態はどうなんですかということをよく議論していただきたいと。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 中杉委員どうぞ。

(中杉臨時委員)
 これはもう考え方が違うのかもしれませんけども、私は基本的にはリスクコミュニケーション、それを促進する上で、情報を出すということが非常に重要だろうと。そういう意味では、自主でやったものを出すというのは、一般の人から見ると、行政は知っているけれども、行政と事業者がという、そこの不信感がやっぱり出てくるんだろうと。そういう意味ではどこまで出すかという議論はありますけれども、できる範囲で広げていった方が、土壌汚染に対して過剰な対策をしなくて済むようになってくる。過剰な対策という話は先ほど私が申し上げたような形質変更の後どうやってやるかとか、そこら辺のところをもう少し細かく提示していかなきゃいけないと思いますけど、そういうものを前提として、少しそこら辺のところの情報公開をすることによって、リスクコミュニケーションが進んでいくんではないかというふうに私は考えていますので、これはそういう意味でやっていく必要がある。
 それから、操業中の対策という話で先ほど市川委員から、中小の事業者は建物を壊さなきゃいけないと。そんなことではなくて、建物を建てかえるときに、そうすると表面をはいでしまいますよね。そういう機会をとらえて調査をされておくと、後々問題がないといいますか、将来に対して計画が立つだろうと。いざ土地を売ろうというときになって壊してから調査を始めて、そうすると、汚染が見つかると簡単にはきれいになりません。そういう意味ではもう少し時間をかけて対応を考えていくという意味でも、これはメリットが十分あるんだろうというふうに思っています。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 それではリスクコミュニケーション、あるいは基金の点について、途中でちょっと中断いたしましたけれども、何かご意見があったら今お願いしたいと思います。
 佐藤泉委員どうぞ。

(佐藤泉臨時委員)
 現在基金の活用が余り行われていないということの原因が、もしそれが必要な土壌汚染がないのであればそれは幸せなことですね。ですけども、もしその基金が使いにくいということであれば、それは基本的に使いにくいところを直さなければ制度改正にならないというふうに私は思っています。
 それで、汚染原因者責任というふうに言われますけれども、基本的に、なぜこの基金があるかというと、単に土壌をきれいにするためではなくて、その近隣の人たちの健康を守る、つまり土地を公共財として、土壌汚染というのは公共財を汚染しているんだと。それから拡散のおそれがある、その土地に住んでいる人だけではなくて、近隣の人たちの健康にも影響を与えるという地域の安全を考えた制度なわけですね。そうしますと、汚染原因者の土地をきれいにしているんじゃないかという考え方ではなくて、その地域を守るんだという意味で活用されなければいけないと思っています。したがって、私は今この制度が利用されない原因の一つは、汚染原因者に費用を求めている、それからもう一つは、地方公共団体に求めている、この二つがそろわないと使えない制度であるということが一番の原因だと思いますので、そこを直さない限り、ちょっと条文をいじったからといって、使えるようになるというふうには思いません。それで、かかった費用については汚染原因者に求償をしていけばいいと思います。求償の結果汚染原因者が破産するんならば、それはそれで仕方がないことです。しかし近隣の人を守るためにはこの制度を使っていただきたいというふうに思います。
 それから利子の補給制度は、今まで使われた例はあるんでしょうか。ちょっとそれだけ教えてください。

(笠井土壌環境課長)
 利子の方は8件ほど使われた例があります。13年度以降で8件。単年度だけで終わらない事例もありますので。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 河内委員どうぞ。

(河内臨時委員)
 今の佐藤さんの意見、全く同感ですね。この基金の目的は、やはり人の健康被害をいかに防止するかということで、企業から言えば、基金を出すということは、本当は株主に対する責任ということから言えば説明責任が要るわけですね。したがって、これは企業は、やはり社会的貢献といいますか、そういうものをベースとして基金を出さないかんということです。したがってこれは、まさに人の健康被害に対して、早くきちっと守らないかんということに対象がきちっと限定され明確にする必要があろうかなというふうに思います。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 稲垣委員どうぞ。

(稲垣臨時委員)
 私も健康を維持するという点で、それは否定するわけじゃありませんけれど、この土壌汚染防止法だけでもってこういうのをやるというのはいかがなものかなと。廃掃等についても同様な問題があるわけですから、例えば廃掃法については維持管理積立金というようなものでやっているわけですから、そこは整理しないといかんのかなというふうに思っています。

(松本委員長)
 大塚委員どうぞ。

(大塚委員)
 2点ございますけれども、一つはさっきから自主調査で十分うまくいっているというお話が出ているんですけども、自主調査、自主対策については、さっき中杉委員が言われたように、大企業は一生懸命、ちゃんとやっていらっしゃると思うんですけれども、中小企業でももちろん、ここらのところは一生懸命やっていらっしゃると思いますが、必ずしもそこが透明に、外に見えないというところが恐らく最大の問題であろうと思います。
 それから基金については、原因者負担のことがちょっと、一般的なところがどこかに行ってしまったような議論も出ていましたけども、原因者負担が何が過去の事象についても大事かというと、予防の観点から原因者負担というのはなかなか外せないということがあって、結局過去に原因者が原因行為をしているのに、後からそれを国庫で負担するというようなことになってしまうと、汚染を予防できなくなってしまうというのが、最大の問題点がございます。ですから、おっしゃっていただいたように後からもちろん求償をするとか返すということであればいいんだと思うんですけれども、あるいは利息の減免ということでも似たようなことになると思いますけれども、原則との関係はよくお考えになったような制度をつくっていただかないと、この部分だけを別にするということはちょっと難しいということが残念ながらありますので、その範囲の中でどういうふうに基金を使えるように考えるかというのが恐らく、役所の方の腕の見せどころだと思いますので、ぜひよろしくお願いします。

(松本委員長)
 ありがとうございました。まだご意見があるかと思いますけれども、ぼつぼつ時間が差し迫ってまいりましたので、前回と今回2回にわたりまして、資料2につきまして議論をいただいたわけでございます。全体を通して論点を挙げられていない課題も含めて結構でございますので、全体を通して、ここでもう一度ご意見をお持ちの方よろしくお願いをいたします。どうぞ。
 佐藤雄也委員どうぞ。

(佐藤雄也臨時委員)
 搬出土壌の話と、冒頭ご説明のあった地下水の水質モニタリングとの関係で、ちょっとお尋ねとともに提案なんですが、まず有害物質が地下水から発見された場合に、飲用されている場合には、汚染土壌について対策をとるようにやっているという話がありましたけど、自治体が4条を発動してやっているということも一つ考えられるんですが、実質的にやってもらっているのか、それから飲用がない場合には対策はどうなっているのか、それも行政指導的にやっているのかどうか、先ず質問です。
 次に、地下水対策の方からいろいろやられているんだけど、土対法の方でもやはり考える必要があるんじゃないか。実質上は地下水が汚れていれば土壌汚染について対策をとるようにやられていると言うけれども、そうすると、こういった地下水汚染があった場合に、その上流のどこかに汚染土壌があるということになるんですけれども、それについて、土壌搬出の際に、地下水汚染についてもチェックすることも必要ではないかどうかについて、私もまだ論点が整理されていなんですが、ご説明を伺っていて、そこら辺をちょっと検討する必要があるのかなという感じでございます。

(松本委員長)
 わかりました。
 どうぞ、回答をお願いいたします。

(和田地下水・地盤環境室長)
 前半地下水の関係でご質問いただいた点でございますけれども、まず端的に結論の方から申し上げますと、土対法の、個別条項に基づいて半強制的にというのではありません。いわゆる地下水モニタリングの結果については、情報をしっかり共有してということで、自治体との共有、または付近の汚染と考えられる原因者との情報共有を行った上で、原因者と自分が知った場合は自主的にというような観点が一般的には非常に多い形になっています。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 そのほか、佐藤泉委員どうぞ。

(佐藤泉臨時委員)
 全体としてということなんですけれども、土対法はある意味でざるであったと。これをきちんと網目を細かくするということにしますと、それによってかなり指定件数が増えてくる、指定区域が増えてくるわけですね。そのときに、どういう対策をするかということが重要です。環境基準という一つの数値だけではなくて、例えば対策発動基準、それから卒業基準、こういうものをある程度きめ細かく考えませんと、結局掘削除去が異常に増えてしまうという結果を生みそうな気がして、非常に危惧しております。それで、既に環境省の通知の中では、例えば3倍則を認める基準とか、それから自然由来については、それに対応するというような、通知はあるんですけれども、土対法の中で、それうまく利用されていない、理解されていないということがあると思います。日本の国土は相当程度自然由来で相当基準を超えていて、自然由来まで抜本的な対策するということが土対法ではないんだというようなことは、もう少し明確にする必要があると思います。それから海水との流動性があるような場所については、海水の基準であればそれほど問題ないというようなことも、余りきちんと明確にされていないために、非常に不必要な対策が行われる危惧ありますので、ぜひその点は、急に基準はつくらなくても、今まであるものだけでも土対法の中にきちんと盛り込んでいただきたいというふうに思います。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 河内委員どうぞ。

(河内臨時委員)
 ざる法と言われましたけど、私はこれはそれなりの自主的な取り組みも進みましたし、いわゆる土壌汚染に対する対策、意識がこれで大分変わって、実態として、やはり一つの契機になっているというふうに理解します。どのような法をつくっても、どこかで手を打たないといかんわけですね。最低このぐらいで手を打って、あとは自主的なものでカバーするという法の枠組みが、こういう問題を解決するのに一番いい方法かなと、その点をこれから議論する必要があるかなと思っております。

(松本委員長)
 そのほかどうぞ。ございませんか。
 それでは、細見委員どうぞ。

(細見臨時委員)
 今の河内委員の自主的な調査って非常に大事だと思いますけど、それをぜひオープンにしていただいて、土壌汚染に対する国民のリスクコミュニケーションに役立てるように仕組みを変えていくというのが今回大きな制度見直しの、私は目的ではないかというふうに思っています。
 以上です。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 局長どうぞ。

(白石水・大気環境局長)
 事務局といいますのは、本来意見を申し上げる立場ではございませんで、皆様方の議論が進みやすくするようにいろいろな資料をつくったりということを心がけなければならないと。そういう意味で幾つかご指摘がありましたように、反省すべき点がございます。その上で申し上げますと、中杉委員、その他の先生方からご指摘がありましたように、ちょっとこの土壌汚染というのは、水や大気と違いまして、どこでもモニタリングができるというものではございませんので、すべての土壌の状態を把握するというのは、これはもう不可能でございますので、その意味では汚染土壌の流れとかそういったものの、例えば懇談会にお示しした資料のような、300万トンがこういうふうに流れておる、あるいは、全体としてどうも汚染があるらしいというのはいろいろなラフな推計をすると、11万3,000ヘクタールぐらいじゃないかというふうな、ある程度全体を、汚染状況を把握した上で制度設計をするという仕組みにはなれない宿命がございます。そのことをご理解していただいた上で、5年たったところでいろいろな指摘も出てきたので、皆さん方どうでしょうかということで諮問させていただきました。確かに議論の進め方としてピースピースでやりますと、それぞれがどう関係しているのかということがなかなかわかりにくうございます。そういったこともありますが、どうやら僭越ながら私の方で、過去何回かのご議論を聞かせていただいておりますと、大きく言って自主的な調査と、法律の調査とをどのように組み合わせていくのがそれぞれの役割を担う人たちにとってベストであるのか、あるいは少なくともベターであるのかということをよく考えなければならないだろうと。自主的な調査がこれだけ増えているということは、それだけ取引の上でも、あるいは住民との関係でも、何らかのルールがあった方がよいというふうなことであろうかと思います。その点でリスクコミュニケーションとの観点から、どのようなことがいいかということを考えなきゃならないなということを思いました。
 それから2点目は、そういうふうなことをどのように皆にわかりやすくするかというときに、汚染の程度がいろいろありましょうが、この法律は健康被害の防止ということが本来の目的でございますので、どのような状態であるのかということを捨象しまして、ただ指定か指定でないかという二つの分け方だけでは、リスクコミュニケーションを図る上でも、あるいはせっかくいろいろな対策を講じたとしても、どういう対策を講じたということがよくわかりにくいねという指摘があったかと思います。
 それから3点目は、どこででも適切に健康への被害の生じるようなばく露を起こさないようにすればよいという法律でございますので、現地で処理なり封じ込めをしようが、搬出先でどのようにしようが、それはどちらでも、適切であればよろしいわけでございます。それは稲垣委員からのご指摘のとおりでございますが、その上で、現地ではこのようにというふうなことはある程度わかりやすくなっておるものの、どうもいろいろ調べていくと、搬出したときに適切になっているかどうかという担保がいささか甘いのではないかというふうなご指摘は、多くの委員の先生からいただいていたなと。そのほかにも幾つか重要なご指摘はございますけれども、ここでは仮に、そういった意味では僭越ではございますけれども、皆様方の考え方を総合して、整理、検討するとなると、こういうふうなことではないかなということを委員長のご指導のもと、委員の先生方のお気持ちになりかわりまして、ちょっと事務局で次回ご提示をさせていただいて、いやいやそれはおまえら誤解しとるぞ。おれたちはこういうことを言っていたんだというふうなことをまたご指摘をいただく上で、全体を俯瞰したものを次回出させていただこうかというふうに思っております。
 以上でございます。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 いかがでしょうか。もう一つありましたら、今、この際お願いしますが、ございませんか。

(なし)

(松本委員長)
 ございませんでしたら、事務局から次回の開催日程について説明をお願いいたします。

(笠井土壌環境課長)
 次回、第7回につきましては、10月27日月曜日の午前10時からで、場所は本日と同じこの部屋で行わせていただきます。ご多忙のところ恐縮ですがよろしくお願いいたします。
 また、第8回小委員会につきましては、11月14日金曜日午後に開催する予定でございます。開催場所、時間等詳細につきましては、別途連絡させていただきます。

(松本委員長)
 それでは最後に、本日の資料の取り扱いについて、私の方から説明させていただきます。
 土壌農薬部会の運営方針では、公開することにより、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある資料や、公開することにより、特定の者に不当な利益、もしくは不利益をもたらすおそれがある資料などは、小委員長の判断に基づきまして、これを非公開とすることとされております。本日配付いたしました資料につきましては、いずれもこれに該当しないことから公開といたします。また、今回の議事録につきましては、事務局の方で調整いたしました後に、発言委員の皆様方に確認をお願いすることになっておりますので、いつものようによろしくお願いをいたします。
 審議全体について、もう一度私の方からお尋ねいたしますがございませんか。

(なし)

(松本委員長)
 ご意見がございませんので、進行を事務局の方にお返しいたします。

(笠井土壌環境課長)
 それでは、非常に熱心なご意見をいただきどうもありがとうございました。
 本日の小委員会は、これで閉会といたします。
 どうもありがとうございました。

(了)