中央環境審議会土壌農薬部会 土壌制度小委員会(第2回)議事録

日時

平成20年7月16日(水)10:00~12:02

場所

中央合同庁舎第7号館共用第2特別会議室

出席委員

委員長 松本 聰 臨時委員 佐藤 雄也
委員 大塚 直   鈴木 英夫
  佐藤  洋   中杉 修身
  藤井 絢子   中野 璋代
臨時委員 石原 一郎   細見 正明
  稲垣 隆司   眞柄 泰基
  河内  哲 専門委員 市川 隆治
  岸井 隆幸   斎藤 政賢
  佐藤 泉    

(欠席は、浅野委員、和気委員、髙橋臨時委員)

委員以外の出席者

環境省
白石水環境担当審議官、岡部総務課長、笠井土壌環境課長、藤塚地下水・地盤環境室長、高澤土壌環境課課長補佐、今野土壌環境課課長補佐、唐沢地下水・地盤環境室長補佐

議題

  • (1) 今後の土壌汚染対策の在り方について
  • (2) その他

配付資料

資料1
中央環境審議会土壌農薬部会土壌制度小委員会 委員名簿
資料2
今後の土壌汚染対策の在り方についての主な意見と論点 その1
資料3
「土壌汚染に関するリスクコミュニケーションガイドライン~事業者が行うリスクコミュニケーションのために~」の概要
資料4
土壌汚染対策法に基づく対策の考え方
資料5
指定区域の分類について(例)
資料6
対策発動基準について(例)
資料7
ブラウンフィールドの事例について
参考資料1
土壌汚染対策法に基づく措置の概要
参考資料2
指定基準値の設定の考え方

議事

(高澤土壌環境課課長補佐)
 おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから第2回中央環境審議会土壌農薬部会土壌制度小委員会を開催させていただきます。委員の皆様方には、お忙しい中、そしてお暑い中御出席いただきまして、大変ありがとうございます。
 まずは、本日の委員の出欠の状況でございます。浅野委員、和気委員、髙橋臨時委員より御欠席との連絡をいただいております。また、佐藤泉臨時委員と河内臨時委員が少し遅れているようでございますが、本日は委員、臨時委員総数18名中既に15名の出席が予定されておりまして、ただいまのところ13名が出席されておりますので、小委員会開催の定足数を満たしていることを御報告させていただきます。
 それでは、議事に入ります前に、本日の配付の資料について御確認いただきたいと思います。まず座席表の次に議事次第がございますが、その下の部分に配付資料の一覧をつけてございます。資料1が委員の名簿でございます。資料2が主な意見と論点のその1ということで、両面の1枚紙でございます。資料3がリスクコミュニケーションガイドラインの概要ということで1枚紙でございます。資料4、土壌汚染対策法に基づく対策の考え方、両面1枚になっております。資料5が指定区域の分類について(例)、その裏が資料の6、対策発動基準について(例)という資料でございます。資料7がブラウンフィールドの事例について(その1)ということで、両面の10ページのものでございます。
 あとは参考資料の1としまして、土壌汚染対策法に基づく措置の概要と指定基準値の設定の考え方という資料でございます。また、委員の皆様方のみへの配付となりますが、リスクコミュニケーションガイドラインの冊子をお手元に配付させていただいております。よろしくお願いいたします。また、土壌汚染環境施策に関するあり方懇談会の報告書につきましては、適宜御参照いただければと思いますので、よろしくお願いします。
 また、本日のマイクについてでございますが、発言の際にはお手元のボタンを押していただくと、この赤いランプがつくようになっておりますので、よろしくお願いします。また発言が終わりましたら、もう一度押してもらいますと、ランプは消えます。
 続きまして、事務局のメンバーに交代がありましたので、お知らせいたします。7月14日付で土壌環境課長として笠井が就任いたしましたので、御紹介させていただきます。

(笠井土壌環境課長)
 笠井でございます。よろしくお願いいたします。簡単に自己紹介いたしますと、96年の7月から99年の7月まで水質保全局の企画課の総括補佐を務めておりました。その当時、中杉先生、眞柄先生、細見先生、いろいろ御指導いただきまして、松本先生がちょうど土壌農薬部会長に就任されたころに替わりましたそのころは、きょう欠席の髙橋先生や大塚先生と一緒に、ドイツの土壌法やスーパーファンド法なんかを勉強して、日本版の土壌法の要綱なんていうことを考えたりしていたんですが、めぐりめぐってまたここに来たというのが、感慨深いものがございます。
 ちょうど土壌法ができたころは、環境管理局の調査官をやっておりまして、本来ならお手伝いをしなきゃいけなかったんでしょうけれど、フロン法と自動車リサイクル法に引っ張られていて、席の方も地球環境局に行っておりました。フロンでお世話になった稲垣副知事も御一緒できるということで、非常に光栄でございます。よろしくお願いいたします。

(高澤土壌環境課課長補佐)
 それでは、これよりは松本委員長に議事進行をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

(松本委員長)
 改めて皆様、おはようございます。本日は早朝より、また大変蒸し暑い中を御参集いただきまして、ありがとうございます。さて、本日の小委員会は、第2回目となります。主な議題といたしましては、各論討論その1ということで、サイトごとの汚染状況に応じた、合理的かつ適切な対策の促進方法について、こうした議論を中心にお願いしようかなと思っております。
 それではまず、本日の審議の公開の扱いについてでございます。今回の小委員会におきましては、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれや、特定の者に不当な利益もしくは不利益をもたらすおそれがないことから、公開とさせていただきます。それでは、議事次第に沿いまして議事を進めていきたいと思いますが、その前に、前回委員会では、各委員の皆様から土壌環境施策に関するあり方懇談会報告に関する感想について、コメントなどをちょうだいしてきたところでございます。そこで、前回御欠席でございました河内委員と藤井委員から、それぞれ懇談会報告に関するコメントをまずいただきたいと思います。
 それでは、まず河内委員からお願いをいたします。時間の都合上、大変申しわけございませんけれども、お一人3分程度を目安にお願いしたいと思います。それではよろしく。

(河内臨時委員)
 皆さんおはようございます。河内でございます。今回初めての参加ということで、皆さんよろしくお願いいたします。
 私、懇談会報告を読ませていただきまして、非常にうまくまとまっているなというふうに思いました。関係者の皆さん、本当に御尽力に対して感謝を申し上げたいと思います。私もこの土対法の制定の最初のときにかかわっておりましたので、そのときにいろいろ議論していたことを思い起こし、あるいは今回の報告書を見てちょっと思うところコメントをさせていただきたいなと思います。
 まずこの土対法は、人の健康リスクがある場合に適切な処置をとるということがベースになっていると思うんですけれども、実際そういう面で法がきちっと機能しているかどうかということを見てみますと、私は現在の土対法の下でも、運用がきちっとやれればリスクに対して対応可能だろうと思っています。この運用という意味は、特に地方行政の皆さんになるんですけれども、井戸水の飲用のときのリスクということは、それが例えば地下水の保全施策で、いわゆる水濁法とか廃掃法でかなり調べているわけです。そういうデータとの関係をきちっと見れば、それなりのリスク管理ができるんではないかなと。
 それからもう一つ、直接摂取の方のリスクですけど、これは対象が一般の公園とか学校とか、公共の施設に対してきちっと管理をすれば、履歴を見てそれなりに管理すれば管理ができるんではないかなというように思っています。ただ、課題は皆さん指摘されていますように、搬出土壌の不適切な投棄ですね、これは何らかの形で対応していく必要があろうかなと。ただ、これなかなか難しくて、いわゆる意図的にそういうことをやろうということを防御するのはなかなか難しいわけです。したがってなぜこういう投棄が行われるかということの、その間接的な対応ということになるんですけど、今日の議論になると思うんですけども、掘削除去じゃなくて、リスクに応じたいわゆる盛土であったり遮蔽であったり、それでリスクがきちっと対応できたということを、行政がきちっと意思表示できるということは非常に重要じゃないかなというふうに思っています。
 それともう一つは、やはり不法というか、不適切な投棄というのは、検査とかあるいは土壌の処理にかなり費用がかかるということが、その一つの理由になっていると思うので、その辺の技術改良ですね、安い技術の開発ということは、非常に重要になってくるんではないかなと。それからこの議論、資産価値等の話がいろいろ出てくるんですけど、私はこの土対法は人の健康リスクの問題を扱うべきであって、資産価値と絡めて議論すると、非常に問題が複雑になりますので、そういう問題は土地取引の民と民の間の不動産取引上のルールで対応するのが適切ではないかなというふうに思っています。
 最後になりますけども、今、自主的な対応といいますか、検査、処置というのが非常に増えてきています。これはこの土対法を契機にして、一つのきっかけとなってそういうことが増えてきたのだと私は理解しておりまして、実際、特定施設である、なしにかかわらず、事業者は自分の土地がどの程度汚染されて、あるいはそれが外部に対して影響を与えているのかどうかということを、かなり神経質といいますか、それなりにまじめに考えて、時間をかけて適切な対応、いかに一番合理的な対応ができるのかということを考えて今対応している、そういうことで今増えてきているんだという認識をしておりますので、自主的なそういう対応を阻害するような規制の導入には、私は反対したいなというふうに思っています。
 以上でございます。

(松本委員長)
 ありがとうございました。それでは続いて藤井委員、お願いします。

(藤井委員)
 コメントというよりも感想を申し上げます。今ほど安全・安心への揺らぎが大きい時期はないというふうに思っておりまして、それは私どもかかわっている生協陣営の食べ物も含めてですが、私自身は滋賀県に長いこと住んでいる中で、耕作放棄地、これは滋賀県だけではなくて全国の農耕地で耕作放棄地がどんどんどんどん増えていく。農地もそうであれば、今度は都市部を含めての、都市における土地の問題が大変大きな問題で、この土対法の対象の中から顕現されてきているなというふうに思っています。その中で、本当に国民、市民がこのあり方懇談会報告を読んで、ああこれでもう安心・安全の境地になったかどうか、それを感じられたかどうかというと、どうかなというのが率直なところです。
 私自身はたまたまいろんなつき合いの中で、滋賀県の中でも、土対法ではありませんが、産廃法の方でも土壌にかかわるものとそれから琵琶湖への水汚染の産廃処分場のRDの問題であるとか、野洲川を経て入るシアン化炭素の問題とか、特に飲料水とのかかわりの中でかかわってまいりましたが、今、多分、市民グループの中では、相当ニュースの数が多いことで言えば、東京卸売市場が、築地の市場が大きな問題になりました。この築地だけではなくて、土対法の前の廃止工場を含めてのところが、やっぱり何らか触れられないと、抜けが大きいのではないかなという気がして、私自身は最近まで知らなかったんですが、民主党が12月に出した法案を、つい最近読んでみました。これは党派を超えて、やっぱり公共施設とかいろいろなところにこの土地が使われる場合は、土対法の前であろうと後であろうと、相当な配慮が必要なんではないかという思いをしながら、それをちょっと読んでおりました。
 いずれにしても、何十万件のサイトが対象になるかよくわからない中で、直接この土対法の対象で検査対象というのは、数%というふうに聞いておりますので、さてどこまで安心・安全度が向上されていくのか、そこのところが勝負なのかなと思いながら、あり方懇談会報告を拝見いたしました。以上です。

(松本委員長)
 ありがとうございました。それでは議題1、今後の土壌汚染対策の在り方についてに入ります。本日は、各論検討その1として、サイトごとの汚染状況に応じた合理的な対策の促進方策について、御議論いただくことになっております。
 事務局から、資料の説明をまずお願いしたいと思います。

(今野土壌環境課課長補佐)
 それでは、私からは資料2から6までについて、続けて説明させていただきます。
 まず資料2についてでございます。この資料、第1回小委員会におきまして、委員の皆様からいただいた御意見のうち、サイトごとの汚染状況に応じた合理的な対策の促進方策についてに関するものを集めたものです。また、裏にはそれらに関する論点を整理したものという組み立てになってございます。この項目に関する御意見、大きく三つに分類されるものと考えております。まず第1回小委員会全体を通じまして、リスコミの重要性に関する御意見が多かったというところから、(1)としてそのリスクコミュニケーションの促進という項目を立てております。
 次に、指定区域の分類化とともに、対策発動基準の設定に関する御意見、これをまとめて(2)としております。対策の要否などを反映した名称を付して、指定区域の中で差異化するという考え方は、事実を正しく伝えるというリスコミの一面を反映したものと言えるのではないかというふうにも考えております。最後に、土壌汚染対策の計画に対する地方公共団体の関与の必要性について(3)ということにしております。
 次に、裏面でございます。委員の皆様の御意見を受けまして、問題提起の形式で論点としてまとめさせていただいております。今回の御議論の出発点として活用していただきたいと思っておりますが、もちろんこれだけにとらわれず、さらに幅広く御意見をちょうだいできればと思います。まず(1)のリスコミについてです。我々が「リスコミ」という場合には、土壌汚染対策を実施する事業者と周辺住民との間における、円滑な意思疎通の実現を図るといったような意味合いがあるわけですけれども、前回の皆様の御議論を伺っておりますと、そういった狭い意味に限られず、法律の趣旨ですとかあるいは土壌汚染対策の内容について、国民の理解を促進しようと、そういった取り組みも含めてリスコミといったようにおっしゃっているのかなというふうに考えております。そこで、国民との関係におけるリスコミと事業者と周辺住民との関係におけるリスコミというようなことで、[1][2]というふうに分けて整理をさせていただいております。
 (2)ですけれども、あり方懇談会の報告では、指定区域の分類は対策の要否、あるいは対策実施済みか否かといったようなことで分類するということを御提案いただいております。一方で、前回、リスクの種類による分類というのもあるのではないかという御意見がございました。そこでそういった指定区域の分類のあり方についてのご議論をお願いしたいと思っております。また、対策発動基準の設定の考え方についても、お考えをちょうだいしたいというふうに考えております。
 (3)につきまして、こちらは、土壌汚染対策について地方公共団体の関与が必要か、また必要であるとしてどのような関与のあり方が望ましいのかについて、御議論をお願いしたいと思います。
 最後に(4)であります。こちらは、土壌汚染調査と対策を実施する上で得られるさまざまな情報というものがあります。そういったものをどうやって活用したらよいのかということについての御意見をいただきたいということ、また併せて(1)から(3)までに書き漏らしたポイントについて、ぜひお気づきの点あれば、問題提起をしていただければありがたいというふうに考えております。
 以上が資料2の説明であります。
 資料3以降でありますが、これらは資料2を参考にしていただいて、議論において参考となると思われる情報を事務局で整理しております。まず、資料3でございます。リスコミのうち、事業者と周辺住民の間のリスコミにつきましては、既に環境省でもってガイドラインを作成しております。お手元に既にお配りした緑色の表紙の冊子がございまして、それがリスコミガイドラインとなっております。資料3は、内容を簡単に説明する1枚紙です。事業者がリスクコミュニケーションを行う際の基本的な考え方ですとか、住民説明会の開催方法のような具体的なコミュニケーションの手法について明示しております。また事業者と住民の相互理解の促進を図るという趣旨で作成されたものということになっておりまして、主な内容としましては、大きく分けて三つございます。基本的な考え方、進め方、さらに実施する際に参考となるべき資料といったような整理でもって取りまとめられたものとなってございます。それで環境省といたしましては、平成16年以降にリスクコミュニケーションセミナーを実施してきたところではあるんですが、今後はこのガイドラインをセミナーにおいて十分に活用してその普及に努めてまいりたいと、このように考えておるところであります。
 続きまして、資料4です。青い色の表裏1枚紙でございます。これ現在の土壌汚染対策法における対策の考え方を整理いたしました。つまり土壌汚染状態が指定基準を超過することによって指定区域となります。さらに必要に応じて措置命令が課せられる。その命令によってどのような措置を講じなければならないのかという一連の流れを説明するものとなっておりまして、表は含有量基準超過、裏は溶出量基準超過です。
 まず表の含有量基準超過をごらんいただきますと、土壌汚染対策法は、土壌の汚染から国民がどのようにさらされるか、摂取の経路に着目して、それに対してどういった対策を講ずるかという中身の法律になっております。この含有量基準といいますのは、いわゆる土壌の直接摂取、簡単に申せば土を食べてしまう。飛散したものが口に入ってしまう。それによって生ずる健康リスクを回避するために、あるいは対策を講ずるための目安となる基準として含有量基準といったものを立てております。
 その中の1.でありまして、まず、法に基づく調査を行います。その調査が含有量基準を超えているという場合には、一つには今申し上げた摂取による健康被害を生ずるおそれがありますと。またあるいは、汚れた土が外に搬出されることによって、汚染が拡散されるおそれがあるといったようなことから、そのような土地を指定区域に指定します。そうしますと、形質変更については制限が課せられます。また、一定の場合には汚染の除去の措置命令を受けるという流れになってまいります。
 そこで、どういった場合に措置命令を受けるかということで、その次の2.であります。含有量基準については直接摂取を見ておるということになりますので、結局は一般の人が立ち入ることができる状態になっているということであれば、それは健康被害を生ずるおそれがあるというふうに評価できますので、措置が必要というふうに考えております。では、どのような内容の措置を講ずることになるかなんですが、法令上は原則として盛土でよいということになっております。ただし、例外としまして(2)にありますが、乳幼児が砂遊びをする砂場等の土地であって、その土地の形質が頻繁に変更されるということで、盛土の効果の確保に支障が生じるおそれがあると、そのように認められるものに関しましては、これは盛土では足りないということで、掘削除去まで求めるという考え方でもって制度が設計されております。以上が含有量基準超過の場合です。
 裏面見ていただきまして、溶出量基準超過、これは土壌の汚染が地下水汚染を引き起こす。その汚染された地下水を飲用することによって生ずるリスクについての対策を講ずるための基準ということで、地下水に溶け出す量の基準、溶出量基準ということになっております。まずその溶出量基準を超過しますと、今申し上げたように、地下水を汚染するおそれがありますということ。あとは含有量と同じでありますが、汚染土壌が外に搬出されて拡散するおそれがあるといったようなことから、指定区域に指定するということになります。
 そこで、指定区域に指定された上でどういった場合に除去措置を講ずる命令を受けるかということですが、2.でありまして、飲用リスクを見ておりますので、周辺の地下水が飲用に利用されているなどの場合、この場合に健康被害を生ずるおそれがあるということで、措置をとっていただきますという仕組みでございます。この場合、さらに二つに分かれておりまして、一つ目に、地下水基準を超過していない、つまり地下水が汚染はまだされていませんよという状態にあって、土壌の汚染状態がしかし指定基準を超えていますので、いずれ地下水が汚染されるおそれはありますと、こういった場合には地下水質の監視をしていただきます。それに対しまして(2)既に地下水基準を超過している場合、この場合はもう地下水が現実に汚染されておりますので、健康被害を生ずるおそれがあるというふうに評価しまして、汚染の除去または封じ込めを取るということで制度が設計されております。
 以上が資料4についての説明です。
 また、資料5及び資料6でございます。これにつきましては前回参考資料ということでつけさせていただいて説明を差し上げた資料、今回の議論においても参考になるのかなということで、改めて提出をさせていただいておりますので、適宜御参照いただければと思います。
 以上です。

(高澤土壌環境課長補佐)
 それでは、引き続きまして、資料7のブラウンフィールドの事例についてという資料について、御説明いたします。まず「ブラウンフィールド」という言葉について、若干の説明を補足させていただきますと、諸外国の方では土壌汚染問題が社会経済上も深刻化いたしまして、米国では2002年にいわゆるブラウンフィールド法が制定されているところでございます。同法律では、ブラウンフィールドにつきまして、「危険物や有害物質の存在、あるいは存在の可能性があるために拡張・再開発または再利用することが難しくなっている不動産」というような定義をしているところでございます。また別の言い方でいいますと、土壌汚染のために利活用がされていない塩漬けの土地などと説明される場合もございます。
 それでは、資料7の方を見ていただきまして、第1回目の小委員会でも、ブラウンフィールドの事例について紹介してもらいたいというような御意見もございましたので、若干の事例を紹介させていただきたいと思います。こちらのその1の事例の方なんですけれども、平成19年3月に環境省の方で公表いたしました中間取りまとめといたしまして、この土壌汚染をめぐるブラウンフィールド問題の実態等についてということで、その巻末資料の中に35事例ほど当時挙げておったものがございます。
 それで、この事例の集め方についてなんですけれども、当時、社団法人の土壌汚染センターの会員の企業の方から情報を集めたものでございます。次のページ以降にその35事例並んでいるところでございます。ただ発注者と受注者の関係等もございまして、事例の内容が個別具体的に特定されないような表現ぶりということにはなっております。それらの事例につきまして、その後の動きの確認をお願いいたしまして、本年の6月現在において状況の変化がどうなっているかについて、そういった動きがあったものについては次ページ以降の表で、ゴシック体で現在の状況を入れさせていただいているところでございます。
 その35事例の分類をちょっと試みましたところ、表に書いてありますような大きな分類として分けられるところでございます。大きく分けますとI、というところで分類しているのが、ブラウンフィールドが解消あるいは解消見込みの事例であるというところでございます。IIのものがブラウンフィールドの状態が継続しているという事例でございまして、表の左端のところにその分類の番号を入れさせていただいています。
 Iの「解消又は解消見込み」の事例ということで、I-[1]の番号をつけておりますのが対策を実施し、売却またはその売却予定であるという事例が5事例ございます。また、I-[2]として対策が実施されているというものが2事例。ブラウンフィールドの状態が継続されている事例の方につきましては、II-[1]ということで、売却ができずに未利用の状態になっているというところが9事例、これは一部使用されているんですが、大部分が未利用といったものもこの分類に入れさせていただいています。またII-[2]が売却できずに、自ら利用しているというのが16事例ほどございます。最後のII-[3]のところは、売却できずに賃貸して土地を使っているというのが3事例ほどございます。
 時間の都合上、主な典型的な事例について、幾つか紹介させていただきたいと思います。1枚めくっていただいて、3ページ目のまず一番下の事例でございます。A-3-2という事例なんですけれども、これの分類番号でI-[1]と書いておりまして、ブラウンフィールドが解消された事例でございます。住宅地と商用地に囲まれた工場跡地でございましたが、土地の半分くらいに土壌地下水汚染があったような事例でございます。1年数カ月前の状況では、集合住宅用地として売却をしたいというお考えであったようですが、当時は掘削除去では費用が高く売却できないというような状況でございました。現在のところ、経過の詳細はわかりませんが、掘削除去を実施中で集合住宅とするという予定で、土地の売却が進んでいるという状況でございます。
 続きまして、同じページの二つ上の、下から三つ目の事例なんですけれども、A-2-102という事例でございます。こちらの方は、ブラウンフィールドの状態が継続しており、売却できずに未利用の状態が続いているという事例の一つでございます。こちらの方は、法施行前に廃止した工場跡地で、土地の一部は駐車場として貸しているというものでありますが、大部分は空き地の状態で未利用となっているということです。周りに商用施設なり住宅なりも近いので、何とか売却をしたいという意向はあるようなんですけれども、対策費用が高くて売却できない状況が続いているという状態でございます。
 続きまして次のページの4ページ目の一番下の事例のA-3-8という事例でございます。こちらの方は、売却できずに自ら使っているような事例でございます。工場跡地を集合住宅用地として売却するために土壌の調査を行いましたということで、そこで重金属等による汚染が見つかりました。対策費用が多額となるので、汚染が軽微な部分については売却されたようなんですけれども、残りは費用がかかるために対策をせずに自社の倉庫として利用しているということで、引き続き自社の倉庫としての利用が続いている事例でございます。
 続きまして、6ページ目を見ていただきまして、6ページ目の上から二つ目のB-3-2という事例でございます。こちらの方は売却ができずに賃貸で土地を利用しているという事例になります。こちらの方、法施行前に廃止した都市近郊の工場の跡地であるということでございます。掘削除去する対策では費用が売却価格よりも高くなってしまうということで、土地の売却をやめて土地の賃貸をすることとしたということで、現在、スーパーマーケット、駐車場の用地として賃貸中の状況でありますということでございます。
 それではその1は以上でございまして、8ページ目の事例について、その2というところを続きましてご覧いただければと思います。こちらの方は、先ほど紹介した事例のほかに、日頃の業務を行う中で得られた情報をもとに自治体などに確認して、事例を収集したものでございます。5事例ほど挙げております。若干先ほどのその1よりも、汚染の原因でありますとか、あと基準を超過した物質名とか、そういったところについては詳しい情報が得られているようなものでございます。汚染の原因について見ていただきますと、主にやはり工場の由来のものというものが多いんですけれども、例えば8ページ目の真ん中の事例につきましては、造成工事時の盛土によるものと推定されるような事例でございますし、9ページ目の右の方の事例につきましては、直前の土地の利用用途ということが原因ではなくて、その前の、過去に古く立地していた工場の有害物質が原因と思われるような事例ということで、そちらの方はブラウンフィールド的なものになっているという事例でございます。
 続きまして、次の10ページ目を見ていただきまして、参考事例として一つ紹介させていただきたいと思います。こちらの方、掘削除去でなく、不溶化封じ込め措置によってブラウンフィールドを解消した事例ということで御紹介でございます。こちらの方、約6ヘクタールの工場跡地から、六価クロム、砒素、フッ素が基準を超過して発見されたと。汚染土量のボリュームとしては約18万m3ほどございまして、仮に試算をしたところ、この土地の汚染のすべての掘削除去した場合には、試算で約100億円かかるというようなことでございました。
 実際行われた対策は、原位置封じ込めということで、遮水壁による囲い込みを行いまして、第二溶出量基準を超えるものは不溶化、またさらに高濃度の10mg/Lを超えるものは、場外搬出をして浄化するような措置が行われまして、その結果、対策コストは全量掘削除去と比べまして約10分の1程度に抑えられたということで、土地の売却が成立しまして、現在物流倉庫として活用されているというような事例でございます。以上が資料7の説明でございます。
 あと、参考資料の1につきましては、土壌汚染対策法に基づく措置の対策法の内容がいろいろございますので、それをわかりやすく図で示したものでございますので、こちらの方は適宜御参照いただければと思います。また、参考資料2につきましては、土壌汚染対策法の指定基準値の設定の考え方について、基本的な事項を示したものでございますが、一番後ろのページをめくっていただきまして、4のまとめというところがございますので、こちらの方だけ簡単に説明をいたします。
 4番のまとめのところに書いてありますのは、土壌汚染対策法の指定基準は、長期間の有害物質の摂取を想定しているということで、一生涯70年くらいの地下水の飲用でありますとか、あるいは汚染がある土地の上に居住するような場合を想定して、健康被害の防止の観点から定められているところでございます。また、物質によりましては、急性影響の防止についても考慮がされております。指定基準を超過した場合でも、摂取経路を遮断することで健康被害を防止できるという考え方のもとに、法律では基本的には以下のような対策を行うこととされております。溶出量基準超過、これは地下水経由のリスクの場合でございますが、地下水の汚染なしの場合は地下水のモニタリング、地下水汚染ありの場合は封じ込め、含有量超過基準の場合は盛土ということになっております。
 以上で、説明を終わります。

(松本委員長)
 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について、これから御質問、御意見などを聞いていく時間に入りたいと思います。まず、資料2の裏のページに論点が分けて記載されておりますので、この順番に沿って、御質問、御意見をいただきたいと思います。記載されている内容にとらわれないで、関係事項などについて幅広い御意見をどうぞよろしくお願いいたします。
 まず(1)土壌汚染のリスクや法律の考え方に対する国民の理解とリスクコミュニケーションの促進についてお伺いしたいと思います。どうぞ、どなたからでもよろしくお願いします。
 市川委員どうぞ。

(市川専門委員)
 全国中小企業団体中央会の市川でございます。前回にも申し上げましたが、この土壌汚染対策法についての国民の理解が、まだまだ不足しているんではないかというふうに私ども思っておりまして、環境省におかれましても、各地でセミナーを開催するというようなことで、この普及啓発に努めておられるということでございますが、ぜひこの普及啓発については、財政上厳しい中ではございますけれども、予算を拡充することも含め、セミナー・シンポジウムの各地での開催、これをぜひ継続して、さらに拡充して実施をしていただければというふうに思っております。
 それから、対象は国民一般と、こういうことになるんですけれども、その中でも特にマスコミの方々にもぜひ御理解を深めていただきたいというふうに思います。報道におきましては、環境基準の何倍というような報道の仕方で、非常に数字だけひとり歩きするような、そういう報道もまま見受けられると思いますので、そのときのその物質がどういうふうに健康に影響を与えるんだというようなところも含め、深く掘り下げて報道していただいた方がいいんではないかなというふうに思います。
 それから特に中小企業の場合には、具体的にこの法の運用について御相談をさせていただくのは自治体ということになりますけれども、自治体の職員も結構1年、2年で異動で交代をするというようなこともございますし、それから場合によってはかなり杓子定規に数字を当てはめるというようなことで、白か黒かというような割り切りでもって、杓子定規的な適用をされるケースもままあるというふうに聞いておりますので、自治体職員の方々にもこの土対法の考え方、特に物質ごとに健康にどういう影響があるのかというようなことでその基準が決まっているというようなことでありますとか、あるいは溶出量基準につきましては先ほど御説明ございましたが、2リットルの地下水を70年間ずっと飲み続けた場合に健康に影響があるというような基準であるということ、そういったことも含め、よく御理解をいただきたいというふうに思うわけでございます。
 また、自然由来の汚染というようなこともあるわけでございまして、前回も申し上げましたが、東京とか大阪、焼夷弾で戦争のときに非常に爆弾投下がなされたわけですけれども、先日も調布とか大阪で当時の1トン爆弾の措置をしたというようなことがニュースで流れておりますけれども、そういう自然由来とかそういった戦争時の由来、そうしたものについてまで個々の企業に負担を負わせるということになりますと、これ非常に企業としては重い負担ということになるわけでございますので、そういったことも含め、ぜひ国民への理解の浸透ということには努めていただきたいというふうに思います。以上です。

(松本委員長)
 ありがとうございました。どうぞそのほか。中杉委員どうぞ。

(中杉臨時委員)
 ここが非常に一番重要なポイントで、ここが十分国民の方が理解されれば、土壌汚染対策法は円滑に行くだろうし、個々の議論もうまく行くんだろうと思うんですが、ここのところが一番のポイントになってくるだろうというふうに思います。特に[1]のところが非常に重要なところなんですが、これ簡単ではないだろうと。セミナー等を開催するにしても、対象とする、出てくる人が毎回何人かということを考えると、なかなか難しい話なので、これは別な形で考えなきゃいけないだろうというふうに思っています。ただ、この法制度の見直しの中で、後の方で議論が出てくるところで、わかりにくいところがある。例えば次の議題ですけれども、指定区域の分類化というようなことを含めて、そこら辺でもう少しわかりやすくするということが一つの方策としてはあるんだろうというふうに思います。あとは特効薬というのはなかなかないので、これは地道にやらなきゃしようがないんだろうというふうに私は思っております。
 それから今まで検討してきたのは、これは個々の事例なんですが、土壌汚染のリスクコミュニケーションといったときに、個々のあれで一番重要なのは、土壌汚染自体の中身をどう説明するかということなんです。実際には事業者の方が住民に対して説明するスタイルになるのは一般的ですけれども、それではどうしても納得を得られないということになります。その意味で、そういうふうなこのリスクコミュニケーションガイドラインにもありますけれども、インタープリターが特に重要ですが、それをどういうふうにしつらえていくか、こういう人たちがぽこっといるわけではない。そういうものをどういうふうにしていくかということと、そういう人たちをどう教育するといいますか、これあれなんですが、本当にわかってもらわないと間違った翻訳をしてしまうと大変なんで、そこら辺のところが一つ問題なのと、そういう人たちをどうやって派遣をしていくかということを少し考えていく必要があるだろうと思います。
 これはやっぱり第三者的な、公正中立なということが求められますので、そういう意味で行くと、公的なそういうものを派遣できるようなシステムをつくる必要があるんだろうというふうに思っています。その一つの考え方として、直接にはあれではありませんけど、土壌汚染対策基金が今余り活用できない状態になっています。あれをもう少し活用してはどうかというふうに私は考えております。例えばそういう人材を育成するとか、人材を派遣するというような制度を、例えば住民の側からそういうところに要請をしてもらうということもあり得るのではないか。これはアメリカなどではそういうことをEPAなんかでやっておりますので、そういう制度を少し考えてみてはどうかというふうに思います。とりあえずそのぐらいのこと。

(松本委員長)
 ありがとうございました。どうぞ、そのほか(1)について。河内委員どうぞ。

(河内臨時委員)
 この問題、結局住民が直接何もこの課題がないときに、土壌汚染問題を一生懸命勉強するとか、そういうことなかなかやりづらいんですよね。だから自分の身に降りかかってきたときに、一体どう対応するのかという、そのときに、今、中杉先生言われたように、結局だれが住民との間できちっとした対応が出来るかということが重要です。実際こういう事例を見てみますと、やはり処理業者が住民との間に入って、その中の非常にベテラン業者はいろんな処理してきていますから、こなすベテランができ上がるわけで、そういう人に頼るということになっているんじゃないかなと。そうすると、その業者というのが、やっぱり事業の利害が絡んできますから、私はやはり最後は地方行政がリスク面でこれで対策が一応とれていますよ、当然あとモニターが必要だろうけど、そういうことをきちっと言える、そういう体制がやはり一番重要じゃないかなと。
 そのときに行政も、それじゃあそんな経験積んだ人をそれなりに育てていけるかというと、これもまた課題なんですけど、そういう努力をしていただくとしても、例えばサイトアセスへの評価、登録制度というようなもの、今経済産業省と環境省一緒にそういう人材育成を目的に、アセス登録制度をつくっておられる。そういう人を行政も委託ベース等で活用するとか、そういう方法論も考えたらどうかなというふうに思いますけども。

(松本委員長)
 ありがとうございました。稲垣委員どうぞ。

(稲垣臨時委員)
 今いろいろ、各先生方から行政に対する、地方自治体に対する要望等もございました。僕はそのとおりだと思うんですけれど、私もいろんなこういう事業、あるいはこういう問題でいろんな住民の方との話し合いも何回かさせていただいた経験からして、なかなか事業者、それと行政と、住民の方だけでは理解してもらえない部分もあるのも事実です。行政サイドがこういういろんな資料をもとに説明しても、なかなか理解してもらえないのも実態があります。過去にやった例で行くと、やはり中杉先生も言われたように、インタープリターだとか、あるいは大学の先生のそういう本当の専門家の先生方の御意見もきちっと聞くような場とか、かといって、これから本当に多くの問題が起きてくると思いますので、一々大学の先生方にそういうのをお願いするというのもなかなか難しければ、例えば環境カウンセラーみたいな方とか、何かそういう組織をきちっとつくって、そういう方々に常に入っていただくような対応というのも必要になってくるんじゃないかなという気がしております。ですから、なかなか聞く耳持たない方もいらっしゃいますけれど、やはりきちっと説明する。
 それと、うちの職員が入ってつくったガイドライン、大変立派なものもありますけれど、これだけ分厚いものですと、なかなか住民の方が理解できないという面もあります。簡単に例えば法の今の組織が、法がどういう体系になっておるか、あるいはその基準の考え方がどうだ、どういう対策をとればいいかという、本当数枚でわかるような資料というものもきちっと整理していく必要があるんじゃないかなという気がしております。

(松本委員長)
 ありがとうございました。どうぞそのほかお願いします。

(中杉臨時委員)
 先ほど少し話をしている途中に言い忘れたことが一つありました。先ほど地方自治体に相談に行かれる。なかなかうまく対応してくれないというお話がありました。これは相談窓口というのは今ないわけではないんですけれども、そこをもう少し充実する必要があるだろう。これは住民の方が相談してもいいし、地方自治体の方が相談してもいいし、そういうところを、先ほど私申し上げた土壌の対策基金ですね、あそこをうまく活用して、そこら辺をもう少し充実させるという制度が必要じゃないか。そこで今、河内委員、稲垣委員が言われたような、人を派遣するような制度もそこでやってみる、せっかく対策基金がありますので、そういうものにも活用していくということを考えていってはどうかというふうに思います。

(松本委員長)
 佐藤雄也委員、どうぞ。

(佐藤雄也臨時委員)
 あり方懇談会が行われているころ、東京都においても2年間にわたって検討会を開いて検討してきました。その報告書が先月公表されまして、私もそれに関与してきたわけですが、そこでも土壌汚染に関する周辺住民とのリスクコミュニケーションの促進の重要性について指摘しています。今、地方公共団体の関与についてもかなり関連する御意見が出ましたけども、そこでの考え方なのですが、何でも掘削除去という過剰な対策を回避するためには、例えば選択した対策方法が適切であるという理由とか、対策後の必要なリスク管理方法などを記した対策計画書というんでしょうか、そんなようなものを、土地所有者が対策に着手する前に地方公共団体に提出する、そういう仕組みを提案しています。そうすることによって、土壌汚染対策に関する土地所有者の説明責任を促し、土壌汚染対策に関する周辺住民とのリスクコミュニケーションが促進するんじゃないかと考えています。また同時に、このことは自らの土壌汚染対策について、地方公共団体のお墨つきを得たいという、土地所有者の要望も事実あるわけですから、それにも応えられるんじゃないかなと考えています。以上です。

(松本委員長)
 ありがとうございました。それでは眞柄委員どうぞ。

(眞柄臨時委員)
 リスクコミュニケーションの基本的なベースになる、いわゆる基準でありますが、この基準は人の健康に係る健康基準の定め方をベースにしていまして、いわゆる生活環境項目の環境基準とは性格を異にしています。まずそのことを前提にして、いろいろな制度を考えていかなければいけないと思います。先ほど環境省の方が、このリスクは1人1日2リットルの水を70年間飲用して健康影響が出ない、あるいは発がん性の物質であれば、発がんのリスクが10万分の1増加しないというふうにおっしゃられましたが、それが我が国の人の健康に係る健康リスクをいかに国民に約束をするかという基本であります。その基本に対してあいまいな表現、あるいはこれぐらい超えているからいいじゃないかというようなことは、私は決して言ってはいけないことだと思います。もしそのルールを変えるのであれば、変えた段階でそのルールに基づいて定められた基準値云々で、いかに環境リスクを制御しようかということを議論すべきであって、大前提についてあいまいな態度をとるということは、私は厳に慎むべきことだと思います。それがなければ、国民と正しい、あるいは面と向かったリスクコミュニケーションができなくなるというのが私の立場であります。
 それから先ほど資料7で、ブラウンフィールドの事例についていろいろ御説明がありました。その内容を拝見しますと、もともとこの土地の所有者が自分の財産である所有地に対して汚染物質を排出した。理由はいろいろあります。それはその事実はここに掲げられているとおり、まさに事実であります。そういう意味では、この土地は現にかつて、あるいは今の所有者の財産かもしれませんが、日本の国土という観点からすれば、その土地はある意味では国全体の財産であります。その財産を汚染したということに対する責任の問題は議論されるべき、あるいは責任があるというふうに、ある程度考えを自覚していただいた上で、それをどうするかということを考えるべきではないかと思います。もともと土対法は汚染されている土地をほかの用途に使うときに、国民の健康に障害が出ないようにするということを、まず最初に念頭に置いた法律であり、ただし、その際に過剰な経済的な負担を負わせることがないようにしようというのが、私は土対法の設置されたときの趣旨であったと思います。
 したがいまして、そういう観点から、ブラウンフィールド問題についても、ある程度のアプローチとリスクコミュニケーションのあり方を考えるべきだと思います。そういう意味では、掘削除去のみが対策でないというのは当然のことでありますが、もともとの基準値云々について触れることは、私は厳に避けるべきだというふうに認知をしております。地方自治体の関与についてはまた後ほどお話をいたします。以上です。

(松本委員長)
 ありがとうございました。それでは藤井委員、どうぞ。

(藤井委員)
 このリスクコミュニケーションガイドラインは、今年の6月にこういう形になったということでございますが、この問題に限らず、住民説明会というのは本当に大変で、それで私たちもいろいろ地域づくりとかさまざまやってるんですが、例えば50ページ、51ページにあるような、このマニュアルに沿ってやれと言っても、これうまく行かないだろうなと。基本的な姿勢とかいろいろあります。幾らこの段取りがあっても、ケースごとに本当にさまざまありますので、今これを見る中でいいますと、全部架空設定になっていますが、普通私たちはこんなふうにやってきたという具体的な事例が幾つかのせられているとなるほどというふうになるものです。これ非常にきれいに書かれているんですが、全部格好でこのようにしたらこうなるではないか、大体このようにならないです。
 それで、1件でも2件でもいいので、それがあると、じゃあ今、自分たちの地域で起きている問題はこんなふうにやってみようと。例えばファシリテーターやインタープリターの話もありましたが、中立というのは本当に難しくて、やるときに両方が行政側もインタープリター連れてくると、住民側はそうではないと、また専門家を連れてくると。そこの中で対立が起きてしまうと、住民は一体どこを向いて議論するかというのが本当に見えなくなってしまうんですね。そうすると、問題の解決よりも、セクター同士の合意に行くよりも、分裂の方が大きくなってしまう。住民といっても、行政は話しやすい、例えば自治会の代表というのを出してきますが、かなり勉強している人たちは住民の代表に入れられたためしがないといってはいけないんですが、余り入れられない、歓迎されないということなどあって、「住民」といっても幅広いし、「国民」なんていうとどこの範囲なのかとてもわかりにくいので、少なくともこういうものが出たときに、例えば1、2、3ケースで実際にこんなふうにやってこういう課題があったというのがあると、自分の地域にもっと使いやすい、こんなふうに思います。

(松本委員長)
 ありがとうございました。どうぞそのほかございませんか。佐藤泉委員、お願いします。

(佐藤泉臨時委員)
 今回の土壌汚染に関するリスクコミュニケーションガイドラインは、事業者が行うという次第になっているんですね。やはりこの土地所有者という概念を一つ飛び越えて事業者が行うという表題にしたことについて、私は評価したいと思います。というのは、土壌汚染対策法はどうしても土地所有者ということに力点が置いてありまして、汚染原因者の視点というのがなかなか欠けているところがございます。しかし、リスクコミュニケーションを行う上では、やはり汚染原因者である事業者が主体的に行うということが非常に重要だと思います。それから、土壌汚染については、例えばもらい汚染のように、土地の所有者に起因しない汚染もかなりございます。それから下請の工場、あるいは子会社、こういうところで汚染が発生するということもあります。そのように、汚染原因者と土地の所有者が違う場合に、事業者ができるだけこのリスクコミュニケーションを主体的にやって、その責任をとっていくということを加味しませんと、土壌汚染の問題は非常にゆがんだ形になるというふうに思っています。
 今回配られたこのリスクコミュニケーションガイドラインの64ページでは、親会社の指示により事業者が自主調査をしたという例が掲げられています。このように、日本の企業というのはサプライチェーン、あるいは関連会社の中で事業活動を行っているわけですから、汚染原因者という範囲を比較的広く考えて、そういう企業が責任を持って情報公開をするということによって安心感が広がっていくし、本格的な企業の姿勢が見えてくるということが言えると思います。
 ですから、このコミュニケーションの促進については、ぜひ土地の所有者だけではなくて、汚染原因者というものの主体的な参加を御期待いたします。

(松本委員長)
 ありがとうございました。どうぞそのほかお願いいたします。ございませんか。それでは佐藤雄也委員。

(佐藤雄也臨時委員)
 ちょっと質問なんですが、教えていただきたいんですけど、資料7のブラウンフィールドの事例についてというところで、事例の中に地下水汚染があるという言葉が出てくるんですけど、この場合は先ほど資料4の対策の考え方のところで、地下水が飲用利用等されている場合は対策しなくちゃいけないという説明がありましたこととの関連で言うと、このブラウンフィールドでもって地下水汚染が発見されたケースというのは、対策の要否をどういうふうに読んだらいいんでしょうか。

(松本委員長)
 それでは回答、お願いします。

(高澤土壌環境課課長補佐)
 それほど厳密な情報の整理の仕方にはなっておりません。限られた情報の中での整理をさせていただいているので、とりあえず分類的な話もさせていただいたんですけれども、例えば具体的にどのあたりの話でございますでしょうか。

(佐藤雄也臨時委員)
 具体的にというと、ずっと見ていていっぱい出てきたものですから。例えば2ページの上から3番目、「地下水汚染が見つかった」とか、それから下から2番目でも「土壌地下水汚染が見つかった」地下水汚染が見つかった、見つかったっていっぱい出てくるんですけども、それと対策との関係で、対策をしなくちゃいけないようなところで地下水汚染が見つかったのか、それとも土対法上は対策をしなくてもいいということになっているところなのか、先ほどの対策の考え方の資料4の裏側ですよね。「周辺の地下水が飲用に利用されている等の場合」というのが、どの程度ここに入ってきているかです。それをちょっとお聞きしたい。

(高澤土壌環境課課長補佐)
 限られた調査対策事業者の方の協力を得て、ここまで記述してもらっている情報が精いっぱいな状況でございますので、地下水の実際の飲用とかの状況までは整理はされていないという状況でございます。

(松本委員長)
 よろしゅうございますか。

(佐藤雄也臨時委員)
 ありがとうございました。

(松本委員長)
 どうぞその他ございませんか。中野委員どうぞ。

(中野臨時委員)
 住民側の土壌汚染に疑問を持ったときに、それをどこに持っていくかということが大きな問題だと思います。その窓口をきちっとつくっていただくことが、まず1番だと思います。稲垣委員がおっしゃったように、だれもが簡単に、その窓口へ行ったらわかりやすく理解できるようなパンフか何かをつくって、住民と土壌汚染に対する疑問が少しでも解消できたらなと、このように思います。それと同時に、私がいつも通っているところなんですけれども、そこは土をダンプで何杯か持ってきて、そしてまたしばらくするとその土がどこかへ行って、また違う土が入ってきて、また出てというのが物すごく頻繁に行われているんです。それを見ておられる方たちが、あれは土壌汚染の土ではないだろうかというようなことを、大部分の疑問を持っていてくださいます。その土がそれが汚れているかどうかというようなことを私たち国民が知りたいなと思う場合、どうしたらいいのかなという、そのようなことを大きな疑問として持っております。以上です。

(松本委員長)
 ありがとうございました。あと一つぐらいお伺いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。それではどうぞ。

(細見臨時委員)
 リスクコミュニケーションにおける各個別の事例というのは、藤井委員がおっしゃったように、このガイドラインに載っている以外に、非常にもう現場では何例もあるわけです。実はここでも事例として幾つか紹介されているんですが、もう少し環境省かどこがいいのかわかりませんが、あるいは環境基金の方でもいいと思うんですが、事例集のもう少し詳細な公表できる情報データベースというか、そういうものをぜひつくり上げる努力は必要なんじゃないか。要するに、事例がやっぱり基本的に元になっていて、それを見ればよりいろいろ成功した点だとか、あるいはその過程で問題だった点を我々が実際に学んでいくということが必要かと思います。
 それと、窓口はおそらくこれをどこに相談すればいいのかというと、このガイドラインでいうと124ページ以降の各都道府県の市町村を含めてですが、環境保全課の電話番号が記してあるわけですが、これが一覧としてどこかで土壌汚染が身に降りかかったときに、それぞれのところにアクセスできるようなデータベースが必要かと思います。それと、リスクコミュニケーションで地方自治体の役割が言われているわけですが、各都道府県で条例等があって、おそらく私がもし事業者であれば、各都道府県によってその対応がさまざまになっているので、この辺のところが同じケース、例えばある汚染があったときにA県ではこう御対応されるし、B県ではこう御対応されるわけです。この辺の情報が、非常に混乱しているんではないかというふうな気がしますので、少しその辺の整理というか、自治体の中でも情報がすべて共有されているわけではないのではないかと思いますので、インタープリターの養成だとか、地方自治体の関係者の方々の共通したある種の情報を共有し合う場というのが、ぜひ環境省の方でもセットしていただけるような仕組みが必要なんではないかというふうに思います。以上でございます。

(松本委員長)
 ありがとうございました。ただいまは細見委員から御意見をちょうだいしたところでございます。まだおそらく御意見お持ちの方いらっしゃると思いますけれども、時間の配分上、一応(1)についてはここまでとさせていただきます。たくさんの非常に貴重な意見をいただいたわけでございますので、事務局においてその一つ一つを丁寧に整理して、次の論点の題材にしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは次に(2)指定区域の分類化と対策発動基準の設定についてに入ります。いかがでしょうか。先ほどと同じように御意見、御質問をちょうだいしたいと思います。どうぞ。いかがですか。中杉委員、どうぞ。

(中杉臨時委員)
 資料2の2ページ目のところで、(2)の[1]の部分ですけども、2番目にリスクの種類による分類ということで、これは私が前回申し上げたことを反映していただいたのかなというふうに思うんですが、溶出量基準値を超過している、含有量基準値を超過しているでは、よくわからないんですね。多分ここら辺のところが上のリスクコミュニケーションといいますか、国民一般の人に理解をしていただくという意味では、溶出量基準値を超過しているというのはどういう意味ですかという話が必要だし、含有量基準値を超過しているってどういう意味ですかということがわかるような形に表現をしていかないといけない。
 それからもう一つ私が重要だと思っているのは、この二つではなくて、形質変更に伴う汚染土壌の移動に伴って汚染が拡散する、これを防ぐというのが非常に重要なポイントになってきて、土対法の指定区域のポイントになってきているんです。というのは、リスク低減措置を実施しても、浄化をして汚染を除去していない限り、指定区域は解除されないというのは、何を対象にしているかというと、これは汚染土壌が拡散してほかに持っていかれると問題があるから。そこのところをもう少しリスクの種類という意味では非常に重要なポイントだと思います。それを入れておくと、それじゃあそこにそういうものがわかるような表示をしておけば、そこの周辺の住民の方もそこにあるうちは大丈夫なんだと、運び出しちゃいけないんだというふうなことを理解してもらえるんではないかというふうに思いますけども、そういうふうなところを少し区別する形のものが必要だろうというふうに考えています。
 そういう意味で行くと、分類の考え方で、資料5のところにそれ以外の管理が必要な区域、対策が必要な区域、対策が実施済みの区域というふうな表示になっていますけれども、今のような説明で行くと、それ以外の管理が必要な区域と対策が実施済みの区域というのは、いずれも形質変更のためのリスクのところで同じ扱いになるだろうと。これだとそれ以外の管理が必要な地域というのはどういうことかわからないし、対策が実施済みの区域というのは何で対策が実施されたのに指定をしておかなきゃいけないのかというのがわからない。そこら辺がわかるような表現、どういう名前がネーミングがいいのかわかりませんけども、そういうところをちゃんと説明をしていくことが必要であるというふうに思います。まず1番目の部分について。

(松本委員長)
 ありがとうございました。どうぞそのほかお願いします。大塚委員どうぞ。

(大塚委員)
 幾つかございますけども、今の[1]のところについては中杉先生のおっしゃったとおりだと思いますが、対策実施済みかどうかというのは、まず分類としては非常に重要だと思います。これは実施しているかどうかというのは非常に大きな意味がありますので、これはまず確実に重要だと思います。それ以外に一般人が立ち入ることができるとか、あるいは地下水が飲用されている可能性があるかというところと、それ以外かどうかというのが一つの重要なポイントになると思います。リスクの種類につきましても、溶出量基準と含有量基準の超過というところは、私自身はここは科学的なことなのでお伺いしたいところがありますけれども、これだけでいいのかというところは、ぜひ分類の仕方についてのご検討をいただきたいところだと思います。
 それから対策発動基準を変えるかどうかという点については、先ほど眞柄委員がおっしゃったこととちょっと関係すると思いますが、ここで特に出したいというのは、モニタリングをしていれば基本的には大丈夫だというところと、それから実際に何らかの対策をとらなくちゃいけない、必要性が非常に高いところかという、そういう観点からの分類ということだと思います。この問題はかなり戦略的に考える必要がおそらくあって、現在のように掘削除去が非常に多くの場合行われているというのをどう考えるかという問題等に関連してくると思います。
 先ほど資料の4のところで出てきたことがちょっと気になることなんですけれども、この含有量基準を超過した場合の一番下のところに書いてあるように、現在、盛土と掘削除去の区別をしているときに、(2)でありますように、「乳幼児が砂遊びをする砂場等の土地であって、その形質が頻繁に変更されることにより盛土の効果の確保に支障が生じるおそれがある」という書き方がしてあるんですけれども、この形質が頻繁に変更されるかどうかというのは、既にこの中で重要なファクターとして使われているということでございます。今回、もし対策発動基準をその土地の利用用途によって変えるという考え方をとるとすると、その形質が頻繁に変更されるかどうかとか、あるいは用途が頻繁に変更されるかどうかということは、そのサイトを分類する際に考慮すべきファクターになるのではないかということは申し上げておきたいと思います。とりあえず以上です。

(松本委員長)
 ありがとうございました。今の大塚委員の御発言の中で、環境省として何かお答えをするところはございませんか。

(今野土壌環境課課長補佐)
 特にはございませんので、よろしいと思います。

(松本委員長)
 はい、わかりました。それではどうぞその他(2)についてお願いします。佐藤雄也委員どうぞ。

(佐藤雄也臨時委員)
 対策済みか否かによる分類というのはあるんですが、この対策済みの中に二通りあって、一つは掘削除去のように汚染の除去をした場合には、指定区域が今解除される仕組みになっていますよね。しかしリスク管理が必要なところはそのまま指定区域として残ると。今二つ議論があって、対策したにもかかわらず指定区域で残るのはちょっとおかしいんじゃないかと。それは私も名称を工夫した方がいいと思います。もう一つの方の汚染の除去をした場合には指定区域から解除されるというのは、解除という、そういう意味では汚染がなくなったという意味でいいんですけれども、記録は、今、指定区域は知ろうと思えば知ることができるんですが、解除されちゃうとわからなくなってしまうということがあって、それはむしろ解除ということで記録を残しておいた方がいいんじゃないのかなと。
 実はこの法律ができるときの検討で、それについてはいろいろ議論があって、結局そういうことになったというふうに聞いておるんですけれども、実は、例えば指定区域の第1号なんてなったら、新聞からたたかれて大変じゃないかというふうな、当時法律をつくっている頃、そんな議論もあったんですけども、実際指定区域が1号とか2号とか出てきても、指定区域1号になったところなどは、逆に法律が施行されたためにルール化されて対策がしやすくなったとか、新聞も指定区域が増えてくると追っかけ切れなくなって、余り問題にしなくなってきたと、そういう意味で、法律をつくっている頃心配されていたことが、必ず施行されると本当に問題になるかというと、そうじゃない部分も出てくるんですね。
 そういうことで、掘削除去をした後についても、それは安全な土地になったんだよということで、むしろ記録を残しておいた方が、また同じ調査をしろと、買い手というか利用者の方から言われて二重のコストというか手間をかける必要もなくなると思いますので、その点をちょっと考えられないかなと思います。

(松本委員長)
 ありがとうございました。中杉委員どうぞ。

(中杉臨時委員)
 最初に今の佐藤雄也委員のお話ですけども、指定区域の解除をしたところ、指定区域が解除されたというふうに記録を残すということなんですが、そういうふうなことをやると、調査をやって指定区域にならなかったということの記録も残さなきゃいけないという話になります。これはそういう意味で、そういうものシロ情報といって、シロ情報をどう扱うかということを、少し議論したことがあるんですが、本当にシロ情報というのは行政の方で、ここは汚染がありませんというのをちゃんと保証できるかというところは、若干今の土対法の調査の方法では、どうしても100%保証することはできないということで、少し断念した経緯がございます。こういう調査をやった結果見つからなかったという話はいいんですけど。もしやるんだとすると、そういうふうなところまで含めてやらないと、指定区域を対策をやって除去したところだけという話になると、また変な話になってしまうような感じがしますけど。
 それからもう一つ……、

(松本委員長)
 ありがとうございました。どうぞ続けてください。

(中杉臨時委員)
 あ、ごめんなさい。それじゃあどうぞ先に。

(大塚委員)
 よろしいですか、すみません。私も中杉委員の御意見、そのとおりだと思いますけども、懇談会の報告だと12ページのところにあります、この情報の集積の話ですけども、こういう最終的には汚染土マップみたいなのを全国でつくるかというような話につながっていくと思うんですけども、もしここまでやるのであれば、先ほど佐藤雄也委員がおっしゃったように、指定区域からもし掘削除去した場合には、指定区域から解除するということにしなくて、台帳に残すとか、あるいは台帳に残さなくても別の形で情報を何らかの形で集積しておくということが必要になってくると思うし、重要だというふうに考えております。
 私がちょっと気になるのは、最初の法律制定のときに気にした問題が今完全になくなっているかどうか、完全でなくてもいいんですけど、事業者の方が例えば汚染除去、掘削除去までしたときに、なおかつその台帳に残っているという、その情報が残っているということでいいというふうにお考えになるかどうかですね。そんなことになると一生懸命除去しても余り効果がないので、そんなんじゃ困るというふうに思われるのかどうかというのが、私が一番関心のあるところで、別に構わないと、情報が残っていても、それは除去したという情報が残っているだけだから全然構わないというお考えであれば、残してもいいかなというふうに思いますけど、そこはどういうふうに、実際に事業者さんとか土地の所有者の方がお考えになるかということが、実はかなり大きいと思います。
 これは結局何のために除去するかというと、きれいになったということで正当な評価を受けるために除去されるわけですから、何らかの形で情報が残っていることを気持ち悪いと思われるかどうかというのは、実はかなり重要なポイントではないかと思いますので、その辺は実際お伺いしたいところがございます。

(松本委員長)
 それでは中杉委員、続けてどうぞお願いします。

(中杉臨時委員)
 先ほどの分類のところにもう一つ申し上げることがあるんですが、というのは、これは後ろの発動基準にも少しかかわってくるんですけども、例えば溶出量基準が超過をしているところ、そこの土地がどういうシチェエーションにあるかということを考えたときに、溶出量基準の場合は飲料水経由の汚染の暴露ということになります。そこの例えば海岸地帯で海の水が入っているようなところ、掘ってボーリングして地下水が基準を超えちゃったといっても、それは全く飲用される機会はほとんどないだろう。飲むにしても何らかの形で処理をしてから飲むということになりますので、余り問題にはならない、そういうところに溶出量基準が超えたときにどうするかというところももう一つある。
 そうは言いながら、それはそこの土をよそへ運んでいくと問題が起こるという意味では、指定区域を解除するんではないという、指定区域にしないということはできないんですが、それ以外の管理が必要な区域というのは、今ここで想定されているのは、別な意味でのそれ以外の管理が必要な区域ということだろうと思うんですけど、そういう地域的な地理的なシチュエーションをもう少し考えて、これの配慮をしていくことが一つの考え方としてあるんではないかと。そういう意味で、それもちょっと絡むんですけど、対策の発動基準についてということで、これは含有量についてのみ言っていますけれども、先ほど眞柄委員が、基本的に土壌の基準はというふうに言われましたけれども、土壌の場合にはここで言っているのは、含有量基準も溶出量基準も土壌環境基準、いわゆる環境基準というふうなものに準じたような形での整理をしていると。ところが大気も水質も、これは環境基準と排出基準というのは別な扱いをしています。
 そういう意味で、ここで対策の発動基準というのは、排出基準に対応するような考え方のものだろう。それが今までは土壌の場合にはぴったり一致してしまっていたというところで、少しそこら辺が差をつけることができるかどうかというのを考えてもよろしいのではないか。そういう意味で、ここで一つの考え方として出されていますけれども、こういうふうな対策発動基準というのを少し設けて、それによってリスク低減措置の指示を出すというようなことを考えていってもいいのではないか。ただそうは言いながら、あくまでも一番問題になるのは形質の変更に伴ってという話になると、この辺は全部どこであれということになりますので、それは外せないということになります。

(松本委員長)
 ありがとうございました。どうぞその他ございませんか。斎藤委員どうぞ。

(斎藤専門委員)
 不動産事業者といたしまして、除去対策後の近隣住民の皆さんの不安がどうか、あるいはマンションをつくった場合に、マンションの入居者がどのように反応しているか、御説明申し上げます。
 東京都あるいはその近郊での事例ですが、対策を講じた後、重要事項説明で、ここの土地はこういう土壌汚染があったという事実をマンションを購入される方には説明して、こういう形で対策を講じましたということを説明いたします。重要事項説明ですから、それがもし中古流通市場でまた売られる場合にも、その説明が引き継がれると思います。きちっと説明をすれば、それで住民の皆様は比較的冷静で、ほとんどの方が安心されておられるように私どもは認識しております。
 ですから、情報をきちっと伝えて、きちっとした業者がきちっとした対策をして、その事実を残して伝えていくということがやはり重要かと思います。何かそこがあいまいになっていると、やっぱり将来にわたっていろんな不安を残すと思いますので、指定区域であっても、対策を講じて安心な状態になっているようにすれば、私どもの経験では、近隣の方、住民の方も安心してもらえるんだというふうに考えております。

(松本委員長)
 ありがとうございました。それでは石原委員どうぞ。

(石原臨時委員)
 質問なんですが、この(2)の[2]ですか、どのような考え方に基づき設定されるべきかというのは、今回は御説明がなかったんですけど、この資料の6のイメージということでしょうか。ちょっと資料6で質問なんですが、こういう場合の人が住んでいる区域とか、まず1点目はその区域のイメージと、それとこれは先ほどの中杉委員とダブるところもあるんですが、含有量基準だけについての、今までのところを広げるというイメージなわけですか。要するにどのような考え方というのは、健康被害じゃない考え方でつくるということでの意味なんでしょうか。大きく言うと、どのような考え方というのは健康被害じゃない考え方でつくるということなのか、それからそういうものとしてゾーンなり区域のイメージなり、基準のイメージというのはどういうイメージで考えられているのかということをお聞かせ願えればと思うんですけれども。

(松本委員長)
 それではお答え、お願いします。

(今野土壌環境課課長補佐)
 健康被害の生じるおそれがあるということについて、その可能性の程度というものをどこで考えていくかということを見たときに、含有量基準を踏まえて考えれば、人がそこにどの程度いるのかというのがわかりやすい目安になるのではないかなと思っております。例えば、人が住んでいる区域もあれば、人が全くいないというような区域もあって、その間ぐらいには例えば昼と夜とでもって不特定多数の人の出入りに激しい差があると、あるいは工場のようにそこで勤務される方しか全く入ってこないため、安全管理の度合いも多少下がっていいのではないかとか、そういう用途に応じた、人の立ち入りの状況に応じた差異というのはいろいろあるのかなと考えておりまして、そういった意味では含有量基準の対策発動基準において、ある程度段階をつけることができるのではないかなというふうに考えて、資料6のとおり整理しておるところでございます。

(松本委員長)
 よろしゅうございますか。それでは審議官、どうぞ。

(白石水環境担当審議官)
 つけ加えさせていただきますと、実はこの資料の5番も6番もお出しするに際してはちょっとためらいがありました。ためらいがあるというのは、こういうものを考えているんだというふうに委員の先生方に忖度されてしまうとちょっとまずいと、平場で白地から御議論していただくべきところであると。しかしそうはいっても、先ほど来いろんなところで、具体例がないと、抽象的だ、議論がわからないというふうなこともありますので、あえて一つの例としてということでお出ししております。
 したがって、含有量基準というのも一つの考え方なので、それで切るとしたらこんなイメージ、あるいは人が住んでいる、あるいは立ち入っている、全く立ち入っていないという切り方をすればこういうイメージだということだけですので、なんか下の方に言いわけがましく二つ丸がついているのは、例えばこういうふうに切るとこういうふうになりますということをお示ししたに過ぎないわけでございまして、また委員の中にも、排出基準と環境基準がイコールになっている例として考えるべきか、それともやはりこういうふうな切り方をすること自体が、かえって物を複雑にするだけになってしまうのかとか、いろんな議論がありますので、これが我々が考えているやり方だということでなくて、あくまでもたたき台として使っていただければという趣旨でお出ししております。

(松本委員長)
 ありがとうございました。それでは。

(中杉臨時委員)
 私が先ほどこれ少し言及しましたので、これは私の解釈はいわゆる暴露機会がどれだけあるかという話で、ダイオキシンの環境基準を決めるときも、1週間の間何日ぐらいそこの場に行くか、子供が例えば遊ぶときとか、農作業するときは、1週間7日のうちに幾ら、その1日のうちに何時間というふうな形での整理をしていくと、ずっと人が住んでいる、住んでいるところにずっといるかどうかというのはまた議論があるんですが、一応はずっとそこの場所に70年間いますよという観点でやっていますので、必ずしもそうでないところは別な考え方があっていいんではないかという形でこれは整理されているんだろうと思っています。ただ地下水については、どこに住んでいるかということは関係がないものですから、そういうふうな分け方ができない。ただ先ほど私が申し上げたのは、地下水についてはそこは飲むことがないだろうと思うようなところは、また別な扱いができるんではないだろうかというふうなことで申し上げました。

(松本委員長)
 はい、わかりました。それぞれの立場から極めて重要な御意見、あるいは御感想をいただいたわけでございまして、これについても(1)と同様に……、それではどうぞ。

(大塚委員)
 今の白石審議官の御説明との関係でちょっともう一つ質問させていただきたいんですけども、資料6の最後の二つのこの利用用途というのは、人が住んでいるか立ち入りがどうかという話だけじゃなくて、例えば工業地とか商業地とか住宅地とか、あるいは子供の遊び場とか、そういう利用用途のことも多分入っていたんじゃないかと思うんですけど、きょう余りそういう御説明がないので、懇談会のあり方ですと8ページのウの最後のあたりということになるんですけども、その点については議論しなくてよろしいんでしょうかとかいうことをちょっとお伺いしたいんですけど、すみません。

(白石水環境担当審議官)
 当然、議論は懇談会報告書にあることが私どもも念頭に置いて諮問をしておりますので、していただければと思いますし、あえてさらに言うならば、ここに書いていないことでもこういう別なアイデアがあるではないかということも御議論していただいて、またこういう懇談会ですので、理想はこうだけれども、現実にそういうふうな切り方というのがフィジブルな制度なのかということなんかも含めて御議論いただければというふうに思っております。

(松本委員長)
 わかりました。どうぞ。

(大塚委員)
 外国法だとオランダとかが特に土地の利用用途によって、発動基準とかを区別するという考え方をとっていますので、日本でもそれをやった方がいいんじゃないかという考え方は一応あると思います。それは特に掘削除去などを考えると非常に費用がかかるという問題は前から指摘されていますので、将来の蓋然性のある用途との関係でどこまで対策をするのかということの基準を変えていくという考え方はあることはあると思いまして、土壌環境施策に関するあり方懇談会の方ではそういう考え方を出しております。できればその点について御議論いただきたいんですけれども、その上でただちょっと注意しなければいけないことは、その土地の利用用途が将来どうなるかということに関して、それを予想してその基準を立てるわけですけれども、後でまたその用途が変わってしまう可能性もあるものですから、そのときにまた新しい状況をもう一度やり直さなくちゃいけなくなるのか考えなくちゃいけないという問題がございますので、そういうことを注意しながら、もし将来の利用用途によって何か発動基準を変えるということであれば、検討していく必要があるのではないかということを申し上げておきたいと思います。

(松本委員長)
 ありがとうございます。それでは鈴木委員、どうぞ。

(鈴木臨時委員)
 いろいろ御議論もございまして、賛同させていただきたいこともかなり多いのですが、基本的に一律な基準というものが、フィジブルにでき上がるのかどうかは難しいところがあると思います。本当に対策をしなければいけないところはちゃんとやるけども、一律に決まってしまって科学的、合理的観点からいうと、余り必要のないところまでやるということになるとかえって実効性が上がらないことになりかねません。したがって、ケース・バイ・ケースでリスクアセスメントみたいなものをある程度併用して弾力的・合理的に対応していく必要もあるのかなという気もします。要するに大切なのは基本的に人の健康被害の防止だということをいつも頭に入れて、実効性があり弾力的に対応出来る基準を考えていくべきじゃないかというふうに思うわけです。

(松本委員長)
 どうもありがとうございました。石原委員どうぞ。

(石原臨時委員)
 そういう意味で、先ほど大塚委員からもお話があったんですが、用途ではなくて御説明聞いていると、多分、現況ということかなとも思うんですけれども、用途というような概念で対策発動基準をやっていくとなると、多分、全然違う発想になっていくと思うんですけれども。先ほどの進んでいる、進んでいないというのは多分現況ですから、その現況に応じて健康のおそれをどの程度で見ていくかという話だと、それは現行の体系のような気がしますけれども、用途となると何が用途なのか極めて難しい問題があるかなという印象がございますけれども。

(松本委員長)
 じゃあ大塚委員、どうぞ。

(大塚委員)
 先ほどちょっと申しました工業用地とか商業用地とか住宅地とかというのはまさにそういうことを考えてはいるんですね。諸外国ではそういうことをやっているところもあることはあるので、そういう考え方をとるかどうかという問題があると思います。それからもう1点、先ほどのサイトリスクアセスメントについては、懇談会の報告には一応入っていて、できたらやった方がいいことだと思いますが、EUの指令案とかでも汚染地ごとにサイトリスクアセスメントをするという方向性が示されていますけれども、ただ今の考え方とは抜本的な変更になりますので、それからリスクアセスメント自体にお金がかかるということがありますので、それも含めながらどういう場合にやるのかというようなことを、考えていく必要があるのではないかと思います。以上でございます。

(松本委員長)
 ありがとうございました。おそらくまだ。じゃあ手短にお願いします。

(佐藤泉臨時委員)
 今回の指定区分の分類化は、ある意味でリスクアセスメントを少し取り入れてくるという方向ではあると思います。そうしますと、リスクコミュニケーションと連携して考えなければいけない問題だというふうに思っております。それで、本来はこの1番のリスクコミュニケーションは自主的取り組みでも行われているわけですね。それで指定区域の方は自主的取り組みは全く除外されているという状況があるわけです。本来であれば、土壌汚染の状況、調査結果、それがどのようなリスク管理になっているかということは国民に情報が提供されるべきですので、私はこの台帳制度というものを使うかどうかは別にして、自主的取り組みも一定の情報公開をすると。それから、対策済みのものについても一定の情報公開をすると。これは情報公開というのは保障するものではありませんで、事実を伝えると。それによって不測のリスクを防止するということがございますので、私は情報公開というのはできるだけわかりやすくて、そしてできるだけ多くの情報があったという方がいいというふうに思っております。
 それで、この指定区域の分類化については、やはりサイトのアセスメントという考え方を一部取り入れないといけないということで、これは大きな方向転換になると思いますけれども、中途半端なものではなくて、思い切ってやられたらいいというふうに思います。

(松本委員長)
 ありがとうございました。どうぞ。

(中杉臨時委員)
 先ほど大塚先生から名前が出ましたので。サイトアセスメントについて、私自身の今の認識申し上げておきたいと思います。
 今、土対法の求め以上に対策を求められているのが非常に多い。ここを何とかするという、まさにリスクコミュニケーションという意味では、サイトアセスメントが非常に有効に働くだろうと思います。ただサイトアセスメントの方法によって、こうだから発動基準が発動する、しないという判断をするというところは、まだ少し距離があるのかなと。これはアセスメント手法自体の確定の問題もありますし、現行で諸外国でアセスメントをやっている場合には、現在対象としている含有量基準、溶出量基準以外の対応の暴露経路を全部入れることになります。そうするとまたそこは非常に大きな踏み出しになりますので、ちょっと今のまますぐには行かないだろうというふうに思います。そういう意味で、サイトアセスメントというのは活用した方がいいだろう。将来的にはそういう方向があるんだろうというふうに思いますけども、現行ではまず使えるところから使っていくのがよろしいのではないかというふうに考えております。

(松本委員長)
 ありがとうございました。おそらくまだ御意見あると思いますが、もう一度その他で全体を通してまた御意見をお聞きすることがあると思いますので、とりあえずまだ一つ(3)が残っておりますので、次の(3)土壌汚染対策の計画に対する地方公共団体の関与と、このことについて御意見、御質問をちょうだいしたいと思います。それではどうぞ。岸井委員どうぞ。

(岸井臨時委員)
 前回の資料で、日本の工場と倉庫の35%は汚染されている可能性があるという資料が出ておりました。今回は、ブラウンフィールドの事例について35事例を御紹介いただきましたが、このうちの7割強は東証一部上場の企業でございます。要は、かなり力のある企業の例が収集されている。ところが、この力のある企業でも、8割はブラウンフィールドのままでほぼ利用をされていないという状況にあるということは、大半の土地は、放っておきますとだれも処理をしないまま、自らが使い続けるか放置するか、多くの場合は中小企業ですから、廃業やら倒産ということもございますので、深く静かに潜行するということだけが進むということではないかということを懸念いたします。
 ついては、より積極的にこの問題に対して取り組むという姿勢を出さざるを得ない。市場に任せておいては解決しない。一番何が問題かというと、いろいろなケースがあるんですが、きょうは用途地域が出ておりませんから、本来どういう土地利用にあるべきところかという問題かわかりませんが、おそらくは、これまでの経験から言えば、準工業地域と住居系地域、ここにあります既存不適格の工場が一番問題であろうと思います。既存不適格でありますから、本来は移転ないし廃業していただくのが望ましい土地利用の転換でありますが、事実上できないままおそらく存続するということが続くのではないか。この結果何も変わらないという状況が続く。
 どうすればいいのかということなんですが、そういうところは、大体、住工混在地域が多ございますので、高密です。木造の家屋が並んでいるケースが多い。防災上も危険であるということからすると、本来であればそういうふうに使い方がよくない土地については緑地系、あるいは公開空地系に転ずるのが望ましかろうと思われます。どうやったらそれができるか。自治体が買えばいいじゃないか、買えばいいんでしょうが、自治体には今資金がないとするならば、その自治体が本来買いたい土地をつなぐ事業をだれかがやらなきゃいけない。これは前回もお話ししましたが、防災公園の場合にはそういう制度がございますから、そういう仕組みをしっかりつくったらどうかという気がいたします。
 それから2点目は自治体が買えない場合、この場合には民有地のままなので、そこのところを緑地にするということは公開空地にするということであります。したがってその公開空地にする、もちろん処理をした上でになりますけれども、それの公開空地にするということを公共貢献としてとらえるという仕組みをビルトインすることが必要です。これは民有地のままそこを緑化するということにつながる方法かと思います。ただ、それでも実際には幾つもの土地があるわけでございまして、一つ一つをそれでやっていてもうまく行かないかもわかりませんし、今の公開空地にする場合にも周りの土地の利用の状況からそう簡単に行かない場合もあります。そうするとある程度意図を持って、小規模な区画整理事業等を実施しながら、そういうものを積極的に対応するという方法を考えるべきではないか。いろいろと議論がありますが、結局このままで行きますと何も変わらないということが一番懸念されるので、対策としてはぜひ積極的に何かを取り組むということを、今回打ち上げなきゃいかんと思っています。

(松本委員長)
 ありがとうございました。どうですか、地方公共団体の関与について、稲垣委員、もし御意見ございましたら。

(稲垣臨時委員)
 土壌汚染対策がある地域を、どういうふうに地方公共団体が関与してまちづくりをしていくかというのは大きな問題だと思うんですけれど、今の制度ではとても難しいと思います。口では言えると思います。いろいろな意見があると思いますけれど、今のいろんな制度ではとても無理だと思いますので、先ほど岸井先生が言われたんですけれど、もしやるとしてもいろいろな法制度を変えなければいけないし、じゃあだれが、今民間の土地を、例えば緑地化していくというのは、現実的にはなかなか不可能だと思います。ですからそういうこともきちっと整理しないと無理だと思います。この辺は先生方の御意見も聞かないと何とも私は言えないんですけれど、今の制度ではとても無理だと。

(松本委員長)
 無理だと。ありがとうございました。大塚委員どうぞ。

(大塚委員)
 ここの(3)に書いてある関与ということで、非常に大きく書いてあるんですけど、見出しは土壌汚染対策の計画に対する関与で、これは事業者とか土地所有者の方が地方公共団体にこういう計画で対策をやりますということを、地方公共団体に例えば提出してもらって、地方公共団体さんの方でちょっとチェックをしていただくという、もっと小さい話が本来はあって、今みたいな大きい話も、もちろんしていただいていいと思うんですけども、本来は割と小さい話をここで主として考えているんじゃないかと思うんですけど、そういうことでしたら多分それほどお困りにならないんじゃないかと思いますけど、いかがでしょうか。

(稲垣臨時委員)
 要は、計画をつくるときでも、先ほど来私もちょっと言おうと思ったんですけど、土地の利用で基準を決めていくというのも、あたかも僕はいいようですけれど、今、現に、先ほども言われましたけれど、住工混在になっておるんです、工専以外の地域というのは。ですから人の健康という面で行けば、用途地域でどうのこうのというのはあり得ないんです、本当は。今の実態ですよ。今の実態は、じゃあ工専区域以外の工業区域とか準工地域というのは、現実に県民の方、国民の方は住んでみえるんですから、じゃあその地域の方々は少し我慢しろということはできないはずですから、それは無理だと思いますし、二つ目のところに、土地利用をさらに細分化するということ書いてありますけれど、これがその上にも絡みますけれども、将来的に用途地域が変わったらますます混乱してしまうという問題があります。
 ですから私はこの発動基準というのはあくまでも人の健康というレベルで、人の健康、先ほど眞柄先生も冒頭言われましたけれど、70年暴露するのがそのほとんど住んでいない、時たましか行かないようなところならばそれはもうちょっと緩くしてもいいじゃないかという考え方はあるかもしれませんけれど、なかなか難しいのかな。当然、土壌汚染対策の基準をつくるときに、地方公共団体が関与するというのは、もういろんな面で関与しないとできないというふうに思っております。ですから関与は当然あってしかるべきだと思います。

(松本委員長)
 ありがとうございました。眞柄委員どうぞ。

(眞柄臨時委員)
 地方公共団体が関与するというのはいいことだとは思いますが、要するに土地の状況について、ある種のデータベースをつくる程度であれば何とかできるかもしれませんが、地方公共団体の行政がある種の行政権限を持って土対法の運用にコミットするというのは、大変厳しい状況にあるということだけは、私は今の地方自治体、地方公共団体の、特に環境部門のリソースがどんどん減ってきている状況を見ると、困難だというふうに思います。そういう意味では何らかの措置がとられるのであれば、それはやった方がいいと思いますが、ないんだったらむしろまさに土地の売買という民民ベースの話ですから、民民ベースで整理をすべきかとかしておいてもいいのではないかと思います。ただ発動の範囲をどうこうというときに、第三者として地方自治体に意見を求められたときには答えられるだけの能力は持っていくべきだろうと、その程度で十分じゃないかと私は認識しております。

(松本委員長)
 ありがとうございました。中杉委員どうぞ。

(中杉臨時委員)
 私はこれは、この件に関しては、もしやるとしたら、地方公共団体の相談窓口、地方公共団体が相談できるところをつくらないと、地方公共団体、千差万別ですので、もう地下水汚染、土壌地下水汚染、愛知県もそうですけれども、経験を十分持たれているところと持たれていないところがあります。下手するとそこで指導したことによって私も今苦労しているのがあるんですが、逆にもうどうにもならんということがあります。十分わかっていただくということが、非常に土壌汚染というのは難しいということ、認識をしていただく必要がある。そういう意味で先ほどのリスクコミュニケーションのところでも少し申し上げましたけれども、そういう体制をいかにつくるかというのは非常に重要なポイントになってくるだろうと。もしここやるにしても、地方公共団体の人が義務づけなくても相談来たときに、じゃあどう答えたらいいだろうかというときに気楽に相談できるところですね、それ大変ですけどもつくる必要があるだろうと、これを環境省の方で全部受けるわけにはいかないだろうし、ということで、そこら辺のところが一つポイントになってくるのかなというふうに考えております。

(松本委員長)
 ありがとうございました。佐藤泉委員どうぞ。

(佐藤泉臨時委員)
 地方公共団体の関与については、行政指導という考え方は不透明になりがちですし、また行政指導する方にとっても、どこまでやれるのかということについて疑問があると。受ける方についても、第三者の意見も聞きたいということがあると思います。そうしますと、地方自治体、公共団体の人が相談できる、また事業者も比較的受け入れやすいというようなあっせんとか調停とか、あるいは協定書とか、そういうものの仕組みの中で専門委員が入って、よりよい土地利用、あるいは過度な対策ではなくて管理できるというような方法を探るという仕組みが必要ではないかと思います。例えば公害等調整委員会とか、それから環境省が専門家のボランティアのカウンセラーの人なんかを使うとかというようなことで、地方公共団体にも情報を提供し、そして事業者の方にも積極的に参加してもらって、よりよい対策を施行する、あるいはアセスメントをするということについて、国が支援するということは必要であるというふうに思っています。

(松本委員長)
 ありがとうございました。そのほか(3)について、御意見、御質問等ございますか。佐藤雄也委員。

(佐藤雄也臨時委員)
 私は(1)のところで、リスクコミュニケーションのところで提案させていただいたんですが、対策計画書のようなものを自治体に提出するという仕組みにしたらどうかと。その基本的なことはこの(3)にも関係するんだと先ほども申し上げたんですが、その基本的なところは、土地所有者あるいは事業者がやっていることについて、住民がよく理解しないというふうなところにあるんですが、そこを自治体を飛ばして、幾らやっても住民側の方はその事業者を余り信頼しないというところがあるんですよね。そういうところでそういう情報を自治体が知らないというのはやっぱりまずいと思うんです。そういう意味で、計画書をちゃんと自治体に提出するということによって、自治体も必ず情報を共有して、リスクコミュニケーションの場に自治体が必ず行かなくちゃいけないかとか、そこら辺の話はまた別途議論する必要あるかもしれませんけれども、少なくとも自治体は住民が知っている情報について知っている、あるいは事業者とか土地所有者が当然説明しなくちゃいけないことについて自治体が知っているという、情報の交流、そういう交差点というんですか、そういう場所として、自治体は非常に重要な役割を持っているんじゃないかと思います。

(松本委員長)
 ありがとうございました。大塚委員どうぞ。

(大塚委員)
 今の佐藤雄也委員の御意見に私も賛成でございまして、完全に自主的に除去していただいているだけだと、場合によっては十分でないことが起きる可能性もございますので、そういう意味で、自治体に計画を提出するなどしていただくというのは非常に重要だと思います。   現在の自治体の環境行政の状況を見ると、かなり逼迫しておられることはわかってはいますが、 ここはできればぜひ入れていただきたいところでございまして、除去に関してどのぐらい、対策に関してどのぐらいのことがやられているかということについて正確な情報が出てこないと、その後の民民の対応に任せるといっても、基礎がはっきりしていないということになってしまう可能性がございますので、そういう意味で大変かもしれませんが、ぜひ何らかの形で自治体に関与していただきたいところだと思います。

(松本委員長)
 岸井委員どうぞ。

(岸井臨時委員)
 私が申し上げたこれからの取り扱いについては、環境部局だけでできるとはとても思えない。したがって本来まちづくりとしてどういうことをやりたいのかという、例えば、おそらくこういうところですと川沿いにあることが多い。そうすると今の議論の中では風の道を確保したいんだとか、いろいろと別のニーズもこういうところにはかかってきておりますので、そういうような行政ニーズとうまくタイアップしながらやっていくというところがないと、おそらくは本当に深く静かに潜行するだけで、民間ベースの市場の中では動きませんから、そうすると不良資産だけ残っていって倒産をして最後放置される、だれも管理しないということが起きることを一番懸念いたします。

(松本委員長)
 ありがとうございました。非常にたくさんの意見、また大変重要な御意見をいただいたわけでございますが、その他ということで進めさせていただきますが、その他、きょうの論点を中心に、委員におかれまして、もしつけ加え、あるいは意見がございましたら、この際お願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 本日、全体を通して、いかがでしょうか。おそらく議事進行上、(2)とか(3)、まだまだ御意見をお持ちの方がいらっしゃると思いますが、これで終わるわけではございませんで、次回もまたひとつ引き続いてよろしく御意見の陳述をお願いしたいと、こういうふうに思います。大塚委員どうぞ。

(大塚委員)
 すみません。この「その他」のところで情報をどのように活用すべきかという点がございますが、どういうことをお考えになっているかよくわからないんですが、先ほど申し上げた情報の集積とか公開ということとの関係で言えば、ぜひ汚染土のマップみたいなものをつくるという方向で検討していただきたいと思いますし、それがなかなかすぐに難しいとしても、不動産取引で土壌汚染に関する情報が引き継がれるような制度をぜひつくっていく必要があると思います。
 以上でございます。

(松本委員長)
 ありがとうございました。前回の小委員会で示されました今後のスケジュールによりますと、次回は各論の検討の2回目として、法制度と実質的な調査対策の関係のあり方について、こういったものについて御議論をいただく予定になっております。事務局からここで次回の会議の開催日程等について御説明をお願いします。

(高澤土壌環境課課長補佐)
 次回は第3回目の小委員会の開催になりますけれども、既にご連絡させていただいておりますとおり8月7日木曜日の午後13時30分から開催させていただきたいと思います。場所は環境省の第1会議室になりますので、ご多忙のところ恐縮ですが、ご出席のほどをよろしくお願いします。議題につきましては、今、委員長から申していただいたとおり各論検討の2回目ということで考えております。
 また第4回目以降の日程調整ということで、また9月、10月の日程調整も進めさせていただきたく思っておりますので、後ほど事務局から御予定を伺わせていただきますので、よろしくお願いします。また予備日等も取っておるところなんですけれども、その調整も併せて行いたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

(松本委員長)
 以上でよろしゅうございますか。
 それでは最後に、本日の資料の取り扱いについて、説明をしたいと思います。土壌農薬部会の運営方針では、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある資料や、公開することにより特定の者に不当な利益もしくは不利益をもたらすおそれがある資料などは、小委員長の判断に基づきまして非公開とすることとされております。本日配付いたしました資料は、いずれもこれに該当いたしませんので、公開といたします。また、今回の議事録につきましては、後ほど事務局で調製した後、各委員に御発言の内容を再度確認させていただきますので、その際またよろしく訂正等お願いをいたします。
 それでは、その他本日の審議全体について、再度お伺いいたしますけれども、もう時間はございませんけれども、ございましたらこの際お願いいたします。よろしゅうございますか。

(なし)

(松本委員長)
 それではございませんので、進行を事務局の方にお返しいたします。

(高澤土壌環境課課長補佐)
 それでは委員の皆様方におかれましては、非常に熱心に御議論いただきましてありがとうございました。本日の土壌制度小委員会を閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

(了)