農業資材審議会 農薬分科会 特定農薬小委員会及び中央環境審議会土壌農薬部会 農薬小委員会 特定農薬分科会合同会合(第15回)(議事概要)

日時

平成25年11月1日(金)9:59~11:54

場所

農林水産省本館7階第3特別会議室

出席者(敬称略)

委員:
浅見真理、上路雅子、小林正伸、白石寛明、中杉修身、中村幸二、根岸寛光、矢野洋子、山本廣基、吉田 緑

会議の概要

(1)特定農薬(特定防除資材)に指定することについて

  1. ア エチレン
  2. イ 焼酎

 エチレン及び焼酎を特定農薬として指定する際に使用者等に提供する情報の内容について、資料3-1及び資料3-2に基づき事務局より説明があり、審議の結果、了承された。

 今後、事務局において、パブリックコメントの実施等、特定農薬としての指定に向けて必要な手続きを進めることとされた。なお、特定農薬指定後の指導に際してはきめ細やかに行うこととされた。

(2)既指定の特定農薬(特定防除資材)について

  1. ア 食酢
  2. イ 重曹
  3. ウ 天敵

 既指定の食酢、重曹及び天敵の使用者等に提供する情報の内容について、資料4に基づき事務局より説明があり、審議の結果、食酢については事務局の提案どおり了承された。

 重曹については、使用する際の注意点等として、薬害が確認されたにがうりの品種を明記するとともに、登録農薬の有効成分である炭酸水素ナトリウムが水産動植物等環境に対して影響がある場合はその情報も併せて追加することで、了承された。

 天敵については、天敵を利用する際の遵守すべき事項についても、使用者等にわかりやすい記載内容の情報提供することで、了承された。

 今後、事務局において、パブリックコメントの実施等、通知発出に向けて必要な手続きを進めることとされた。

(3)特定農薬(特定防除資材)の指定に向けた具体的な資材の検討について

  • ホソバヤマジソ

 事務局から、継続審議となっているホソバヤマジソについて、資料5に基づき①ホソバヤマジソ抽出液及び製品の製造方法、②抽出液中のチモール濃度、抽出液及び製品中のテルペン類の濃度(算出値)、製品にするに当たってのチモール以外の成分濃度変化、③製品中のチモールの保存安定性、④ホソバヤマジソの日本国内での食用としての利用実態、⑤チモールの植物病原細菌に対する効果、⑥チモールに関する薬剤抵抗性の発現の可能性について、事務局より説明があり、これらに基づいた審議の結果、継続審議とされた。

 審議の概要は以下のとおり。

特定農薬の趣旨に照らし、製剤化されたものを特定農薬として指定することに関する指摘事項

 委員から、以下の点について指摘を受け、事務局において製剤化されたものを特定農薬として指定することについて、一般論として整理することとされた。

  • 既指定の特定農薬(食酢、重曹)及び指定予定のエチレン等は、他用途で規制され、使用されているもの(食品等)を農薬として転用しているものである。
    一方、当該資材は使用者等が自ら製造する場合もあり、使用者等が製造した場合、当該資材の品質についての確認又は管理ができるのか。
  • ある製造方法に従って同じ品質のものができないと特定農薬として指定することは難しいのではないか。
  • 製造方法を限定し、管理して製造するのであれば、登録農薬として評価すべきではないか。
  • 当該資材は、助剤のようなもの(エタノール、グリセリン脂肪酸エステル)も含んだ製品(登録農薬でいえば、製剤に該当するもの)であり、製品を特定農薬に指定することは特定農薬の制度になじまないのではないか。
    また、混合されたもの、つまり、「製品」でしか効果が見られない、又は使用していないものを特定農薬として指定するならば、このようなものを検討していくときの考え方について整理する必要があるのではないか。
    事務局において、特定農薬として指定する際の考え方について整理してほしい。

データの追加提出に関する指摘事項

 委員から、特定農薬の指定について審議を進めるとした場合、以下の情報が必要であるとの指摘があった。

  1. 1)ホソバヤマジソ抽出液中のチモール及びテルペン類以外のその他成分(約70%)に何が含まれているのか確認し、水以外のものが含まれるのであれば、成分を明らかにする必要がある。

今回提供された情報に関する指摘事項

  1. 1)情報提供者から慢性毒性試験に相当するものとして提出された試験に関し、以下の指摘があった。
    • 当該試験は腹腔内投与の亜慢性毒性試験であり、病理組織学的解析に関する情報がないため、慢性毒性の評価が困難である。
    • 当該試験に供試した検体は、今回情報提供者から提案されたホソバヤマジソ抽出液の製法と異なる方法で作成されたものである。異なる製法で作成された検体の場合、当該試験をホソバヤマジソ抽出液の毒性試験の結果として採用して良いのか判断できない。
  2. 2)ホソバヤマジソの日本国内での食用としての利用実態として、健康食品としての利用実態の情報が提供された。この「健康食品」について以下の指摘があり、確認することとされた。
    • 健康食品は他法令に基づいた安全性試験等が行われ、安全性が担保されているのか。
    • 健康食品についてどのような規制がなされているのか。

 ※本概要中では、「ホソバヤマジソ抽出液」は「ホソバヤマジソから抽出した精油」を示し、「製品」は「ホソバヤマジソから抽出した精油、グリセリン脂肪酸エステル、エタノール、水を混合したもの」を指す。

(4)その他

 特定農薬(特定防除資材)の検討対象としない資材の検討について、資料6に基づき事務局より説明があった。審議の結果、使用が報告されていない資材等について、今後、事務局において、パブリックコメント等を実施し、使用が確認されなかった資材については検討対象資材から除外することが了承された。

(以上)