中央環境審議会土壌農薬部会農薬小委員会(第29回)議事録

日時

平成24年2月24日(金)14:01~16:47

場所

環境省第1会議室

出席委員

委員長
森田 昌敏
委員
中杉 修身
臨時委員
井上  達
五箇 公一
白石 寛明
染 英昭
平松 サナエ
細見 正明
山本 廣基
渡部 徳子
専門委員
内田 又左衞門
 築地 邦晃
根岸 寛光
 吉田  緑

(欠席は、上路臨時委員、眞柄臨時委員、井上(隆)専門委員)

委員以外の出席者

環境省
水環境担当審議官、農薬環境管理室長、農薬環境管理室室長補佐、農薬環境管理室室長補佐、農薬環境管理室係長、農薬環境管理室主査

議題

(1)
水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定について
(2)
水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定について
(3)
その他

配付資料

資料1中央環境審議会 土壌農薬部会農薬小委員会(第28回)議事録(案)
資料2諮問書(写)及び付議書(写)
資料3水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料(案)(トリアジフラム、ピリオフェノン、ファモキサドン、フェントラザミド、フルオピラム、ペンフルフェン)
資料4水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料(案)(イミシアホス、ジフルメトリム、ジメトモリフ、チオベンカルブ又はベンチオカーブ、プロジアミン、プロパモカルブ塩酸塩、ベンスルフロンメチル、メタフルミゾン、メプロニル、レピメクチン)
資料5水産動植物の被害のおそれが極めて少ないと認められる農薬の取扱いについて(案)
資料6水質汚濁に係る水の利用が原因となって人畜に被害を生ずるおそれが極めて少ないと認められる農薬の取扱いについて(案)
資料7水産動植物の被害防止及び水質汚濁に係る農薬登録保留基準の設定を不要とする農薬について(ばく露のおそれが極めて少ないと認められる農薬)(案)
資料8水質汚濁に係る農薬登録保留基準の設定に関する資料(インドキサカルブMP及びインドキサカルブ)
参考資料1中央環境審議会 土壌農薬部会農薬小委員会(第28回)議事要旨
参考資料2農薬評価書 イシミアホス(食品安全委員会資料)
参考資料3農薬評価書 ジメトモルフ(食品安全委員会資料)
参考資料4農薬評価書 チオベンカルブ(食品安全委員会資料)
参考資料5農薬評価書 プロパモカルブ塩酸塩(食品安全委員会資料)
参考資料6農薬評価書 ベンスルフロンメチル(食品安全委員会資料)
参考資料7農薬評価書 メタフルミゾン(食品安全委員会資料)
参考資料8農薬評価書 メプロニル(食品安全委員会資料)
参考資料9農薬評価書 レピメクチン(食品安全委員会資料)

議事

【農薬環境管理室長】 定刻になりましたので、土壌農薬部会第29回農薬小委員会を開催させていただきます。
 本日は、平成23年度最後の農薬小委員会でございますので、会議の冒頭に関審議官よりごあいさつ申し上げます。

【水環境担当審議官】 水環境担当審議官、関でございます。一言ごあいさつさせていただきます。
 本日は、第29回農薬小委員会ということでご出席いただきまして、年度末、大変お忙しいところありがとうございます。
 農薬につきましては、ご承知のとおり、この委員会におきまして審議をいただき、水産動植物の被害の防止に係る登録保留基準、水質汚濁に係る登録保留基準の設定に取り組んでいただいているところでございます。
 今年度は、昨年の4月から計5回にわたりこの委員会を開催させていただきまして、お陰様で、本日お諮りするものを含め水産動植物に係るものにつきましては31件、水質汚濁に係るものにつきましては49件の農薬に関しまして評価をいただくことになっております。
 今年度は、登録保留基準の設定にとどまらず水産動植物被害防止に係る登録保留基準値案と環境中予測濃度が近接している場合におけるモニタリングの実施及び使用場面でのリスク管理措置についてご審議いただく等、農薬による環境影響の防止に向けたご指導をちょうだいしたところでございます。
 さらに、この委員会のもとに設置されております特定農薬分科会につきましては、昨年の4月に加え本日の午前にもご参集いただき特定農薬の候補物質の評価を進めていただいております。本日午前の会合の概要につきましては後ほど報告させていただきます。特定農薬分科会にご参加いただいている先生方には重ねて御礼を申し上げます。
 農薬の環境リスク評価や管理に当たりましては、当然のことでありますけれども、高度に専門的で広範にわたる事項について考慮する必要がございますので、今後とも、委員の皆様方におかれましては、ご指導をいただきますようよろしくお願いいたします。 本日は、誠にありがとうございます。

【農薬環境管理室長】
 それでは、委員のご出席状況を確認させていただきます。
 本日は上路臨時委員、眞柄臨時委員、井上隆信専門委員の3名よりご欠席とご連絡いただいております。細見先生は、若干遅れていらっしゃいます。
 従いまして本日14名の委員の先生方にご出席いただく予定にいたしております。委員、臨時委員の総数12名のうち10名のご出席をいただいておりますので小委員会開催の要件を満たしておりますことをご報告いたします。
 続きまして本日の配付資料について確認させていただきます。
 議事次第の下に配付資料一覧をつけております。そちらをご覧いただければと思います。
 資料は、資料1から資料8までの8種類ございます。それから、参考資料1の議事要旨、参考資料2から参考資料9までの食品安全委員会の農薬評価書を8種類、参考資料は9種類用意させていただいております。
 また、委員の先生方におかれましては、水産動植物登録保留基準の設定に係る過去の審議会並びに検討会の報告等、ファイルしたものをご用意させていただいております。なお、当該資料につきましては次回以降にも用いますので、会議後、会場に残していただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
 それから、傍聴者の方及びオブザーバーの方には、前回の農薬小委員会の議事録並びに参考資料2から参考資料9までの食品安全委員会の資料につきましては、資源節減のため資料を配付いたしておりません。ファイルにとじたものを机の上に置いておりますので、必要であれば、そちらをご覧いただければと思います。
 不足がございましたら、会議の途中でも結構でございますので、事務局までお申しつけいただければと思っております。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 森田先生、よろしくお願い申し上げます。

【森田委員長】 本日は、皆さん、ご多用中のところ、ご出席いただきましてありがとうございます。
 本日の農薬小委員会は、議事次第にございますように、主に二つの議題に関する審議が予定されております。慎重かつ活発なご審議をお願いいたします。
 最初に、本日の審議の公開の扱いについてであります。
 土壌農薬部会の運営方針では、審議中の答申及び非公開を前提に収集したデータが記載されている資料等、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある資料及び公開することにより特定のものに不当な利益もしくは不利益をもたらすおそれがある資料等は、委員長の判断に基づき非公開とするとされております。
 今回の農薬小委員会では、申請者から提出された農薬の毒性試験報告書など企業秘密に当たる資料を使用しないことから、非公開の理由には当たらないため、公開とさせていただきます。
 議事に先立ちまして、前回12月20日に開催いたしました第28回小委員会の議事要旨の確認をさせていただきたいと思います。事務局よりご説明をお願いいたします。

【農薬環境管理室室長補佐】 中央環境審議会土壌農薬部会の運営方針では、議事要旨につきましては、委員長に了解いただければ公開できることになっております。
 本日、参考資料1として前回の議事要旨をおつけしております。この内容で既に環境省ホームページで公開しておりますので、ご報告いたします。

【森田委員長】 よろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 続きまして、前回の議事録についてであります。これらは、事前にメールで各委員に確認済となっております。
 資料1で配付しております。特段のご意見はございますか。よろしいでしょうか。

(なし)

【森田委員長】 よろしいでしょうか。
 なお、これらにつきましては、土壌農薬部会の運営方針に基づいて公開することになっております。
 それでは、議事に入っていきたいと思います。
 初めに、農薬小委員会の決議の取り扱いについてのご説明をさせていただきます。
 「中央環境審議会土壌農薬部会の小委員会の設置について」の土壌農薬部会決定によりまして、農薬小委員会の決議は、部会長の同意を得て土壌農薬部会の決議とすることができることになっています。
 したがいまして、この農薬小委員会後には、農薬登録保留基準の設定のための土壌農薬部会は招集せず、土壌農薬部会の中杉部会長のご了解をいただいて、部会としての結論としていくことになります。
 これにつきましてはご確認させていただいて、早速、議事次第に従って議事を進めていきたいと思います。
 「農薬取締法第3条第2項の規定に基づき環境大臣が定める基準の設定について」の件については、平成24年2月2日付で環境大臣から諮問があり、同日付で土壌農薬部会に付議されております。
 事務局から諮問書のご紹介をお願いいたします。

【農薬環境管理室係長】 資料2の1ページをご覧ください。平成24年2月2日付で、環境大臣から中央環境審議会会長に対しまして、以下のとおり諮問されております。
 農薬取締法第3条第2項の規定に基づき環境大臣が定める基準の設定について。
 標記のうち、農薬取締法第3条第1項第4号から第7号までに掲げる場合に該当するかどうかの基準を定める等の件について、(1)別紙1の農薬に関し、告示第3号の環境大臣が定める基準を設定すること、(2)別紙2の農薬に関し、告示第4号の環境大臣が定める基準を設定することについて貴審議会の意見を求める。
 1ページめくっていただきまして、2ページが別紙1、告示第3号の環境大臣が定める基準であります水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準の案でございまして、今回は6農薬ございます。
 続きまして、3ページが別紙2、告示第4号の環境大臣が定める基準であります水質汚濁に係る農薬登録保留基準の案でございまして、今回は10農薬ございます。
 最後の4ページが付議書でございます。中央環境審議会会長から、中央環境審議会土壌農薬部会長に対しまして、ただ今ご説明した内容が付議されております。
 以上でございます。

【森田委員長】 ありがとうございました。
 それでは、今までのところでご質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。

(なし)

【森田委員長】 それでは、議事の(1)番、「水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定について」の審議に入りたいと思います。
 この件につきましては、農薬小委員会に先立ちまして、水産動植物登録保留基準設定検討会におきまして、基準値設定の根拠となる農薬登録申請者から提出された試験結果や公表文献情報についての精査を行うとともに、これらのデータに適応する不確実係数等を設定し、基準値案を策定していただいております。
 そちらを含めまして、事務局から資料のご説明をお願いいたします。

【農薬環境管理室係長】 資料3をご覧ください。資料3は、水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準値案に関する資料でございます。
 本資料の説明に当たりましては、水産動植物登録保留基準設定検討会において一度ご審議いただいているものでございますので、当委員会では作用機構等と総合評価を重点的にご説明させていただき、その後、検討会でどのような指摘・審議が行われたかを簡単にご紹介させていただきます。
 資料3の1ページ、トリアジフラムについてご説明いたします。
 物質概要につきましては、記載のとおりでございます。
 作用機構ですが、トリアジフラムはトリアジン系除草剤でありまして、その作用機構は十分解明されておりませんが、茎部におけるセルロースの生合成阻害と考えられております。
 本邦での初回登録は1997年でありまして、製剤には水和剤及び複合肥料があり、適用作物は芝がございます。
 原体の国内生産量は、記載のとおりでございます。
 各種物性につきましても、記載のとおりでございます。
 2ページ、水産動植物への毒性でございます。コイを用いました魚類急性毒性試験が実施されておりまして、96hLC50は3,170㎍/Lでございました。
 3ページを開いていただいて、オオミジンコを用いましたミジンコ類急性遊泳阻害試験が実施されており、48hEC50が2,510㎍/L超でございました。
 次に、緑藻を用いました藻類成長阻害試験が実施されておりまして、72hErC50は415㎍/Lでございました。
 4ページ、環境中予測濃度でございます。製剤の種類及び適用農作物は記載のとおりでございます。非水田使用時の第一段階の水産PECを、表4に記載しております使用方法及びパラメーターを用いて算出いたしました結果、0.0018㎍/Lでございました。
 続きまして5ページ、総合評価でございます。各生物種のLC50、EC50は記載のとおりでありまして、これらから、それぞれの急性影響濃度を算出いたしますと、魚類は317㎍/L、甲殻類につきましては251㎍/L超、藻類につきましては415㎍/Lでございました。
 これらのうち、最小となります甲殻類急性影響濃度より、登録保留基準値を250㎍/Lと提案させていただきます。
 リスク評価でございますが、環境中予測濃度は、非水田PECTier1の0.0018㎍/Lでありまして、登録保留基準値案250㎍/Lを下回っております。
 本農薬は、2012年1月27日の平成23年度第5回水産動植物登録保留基準設定検討会においてご審議いただきまして、特に問題とされるご指摘はございませんでした。
 以上でございます。ご審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございました。
 五箇先生、何かご追加はございませんか。

【五箇臨時委員】 トリアジフラムなのですが除草剤でよく使われておりますトリアジンという構造を有しております。一般的にトリアジン系除草剤はほとんどが光合成阻害剤でありますがこの剤に関しては、そのような作用性とはまた別のところに作用点があるとされ、こちらに記されているとおりセルロースの生合成阻害ということで、特に維管束植物の成長に必須の部分に関して影響するものと考えられており、藻類には影響しないという除草剤になっていると考えられています。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。
 それでは委員の先生方、この剤につきまして、ご意見、ご質問をいただけますでしょうか。

(なし)

【森田委員長】 特にないようでしたら、ご確認をお願いいたします。
 5ページの総合評価をご覧いただき、各生物種に対するLC50、EC50等の結果のうち最小のAECdより、登録保留基準値を250㎍/Lとするというものであります。
 なお、リスク評価としては、非水田のPECが0.0018㎍/Lでありまして、登録保留基準値250を相当下回っているということでございます。
 以上の評価及び基準値でよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 特段ご異議もございませんので、こちらは原案どおり承認としたいと思います。
引き続きまして、次の剤のご説明をお願いいたします。

【農薬環境管理室係長】 6ページより記載のピリオフェノンについてご説明いたします。
 物質概要は、記載のとおりでございます。
 作用機構につきましては、ピリオフェノンはベンゾイルピリジン構造を有する殺菌剤でありまして、その作用機構は、病原菌の吸器及び分生子の形成阻害、並びに二次付着器、菌糸の形態異常の誘起により、病原菌の感染を阻害するものと考えられております。
 本邦では未登録でありまして、製剤は水和剤が、適用作物は麦及び野菜として登録申請されております。
 各種物性は、記載のとおりでございます。
 7ページ、水産動植物への毒性についてご説明いたします。コイを用いました魚類急性毒性試験が実施されまして、96hLC50は1,360㎍/L超でございました。
 オオミジンコを用いましたミジンコ類急性遊泳阻害試験が実施されまして、48hEC50は1,960㎍/L超でございました。
 8ページでございます。緑藻を用いました藻類成長阻害試験が実施されておりまして、72hEC50は1,150㎍/Lでございました。
 9ページの環境中予測濃度でございます。製剤の種類及び適用農作物は記載のとおりでございまして、非水田使用時の第一段階水産PECを、表4に記載しております使用方法及びパラメーターを用いて算出いたしました結果、0.0011㎍/Lでございました。
 10ページ、総合評価でございます。各種生物種のLC50、EC50は記載のとおりでございまして、これらよりそれぞれの急性影響濃度を算出いたしますと、魚類では136㎍/L超、甲殻類は196㎍/L超、藻類は1,150㎍/Lでございました。
 これらのうち、最小となります魚類急性影響濃度より、登録保留基準値を130㎍/Lと提案いたします。
 リスク評価でございます。環境中予測濃度は、非水田PECTier1の0.0011㎍/Lでございまして、登録保留基準値案130㎍/Lを下回っております。
 本農薬につきましては、平成23年度第5回水産動植物登録保留基準設定検討会においてご審議いただきまして、特に問題とされるご指摘はございませんでした。
 以上です。ご審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございました。
 それでは五箇先生、お願いします。

【五箇臨時委員】 ピリオフェノンです。ベンゾイルピリジンという珍しい骨格を有しておりまして、その作用機構は記載のとおり菌類に特有の部分にのみ作用すると考えられており、魚類、甲殻類及び藻類に対する影響が非常に低い薬と考えられます。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。
 委員の先生方、この剤につきまして、ご質問、ご意見ございますでしょうか。

(なし)

【森田委員長】 特段のご意見はなさそうですが、最後に確認を含め10ページの総合評価をご覧いただきたいと思います。
 登録保留基準値案といたしまして、魚類の急性影響濃度から登録保留基準値130㎍/Lと提案されております。あわせて、リスク評価といたしましては非水田のPECが0.0011㎍/Lとなり、登録保留基準値を大きく下回っているということでございます。
 以上の評価及び基準値案でよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 では、特段のご意見はないようでございますので、原案どおりとさせていただきたいと思います。
 引き続きまして、次の剤、ファモキサドンについてご説明お願いいたします。

【農薬環境管理室係長】 11ページのファモキサドンについてご説明いたします。
 物質概要につきましては、記載のとおりでございます。
 作用機構につきましては、ファモキサドンは、オキサゾリジンジオン構造を有する殺菌剤でありまして、ミトコンドリア内の電子伝達系を阻害するものと考えられております。
 本邦での初回登録は2000年でございまして、製剤には水和剤がございまして、適用作物は果樹、野菜、いも及び豆で登録されております。
 原体の国内生産量及び輸入量につきましては、記載のとおりでございます。
 各種物性につきましても、記載のとおりでございます。
 12ページの水産動植物への毒性でございます。魚類急性毒性試験につきましては3種について実施されております。最初にコイを用いました魚類急性毒性試験の結果につきまして96hLC50が36.1㎍/Lでございました。
 13ページでございます。ニジマスを用いました魚類急性毒性試験の結果、96hLC50は11㎍/Lでございました。
 ブルーギルを用いました魚類急性毒性試験の結果、96hLC50は13㎍/Lでございました。
 14ページでございます。オオミジンコを用いましたミジンコ類急性遊泳阻害試験の結果ですが、48hEC50が12㎍/Lでございました。
 次に、緑藻を用いました藻類生長阻害試験の結果に関しましては72hErC50が1.7㎍/Lでございました。
 15ページ、環境中予測濃度でございます。製剤の種類及び適用農作物は記載のとおりでございまして、非水田使用時の第一段階水産PECを、表6に記載しております使用方法及びパラメーターを用いて算出いたしました結果、0.0099㎍/Lでございました。
 16ページ、総合評価でございます。各生物種のLC50、EC50は記載のとおりでございまして、これらから、それぞれの急性影響濃度を算出いたしました。
 なお、魚類につきましては、3種の生物種のデータがありますので、不確実係数は通常の10ではなく4を採用しております。
 その結果、魚類急性影響濃度は2.75㎍/L、甲殻類は1.2㎍/L、藻類につきましては1.7㎍/Lとなりまして、これらのうち、最小となります甲殻類急性影響濃度より、登録保留基準値を1.2㎍/Lと提案させていただきます。
 リスク評価でございます。環境中予測濃度は非水田PECTier1の0.0099㎍/Lでございまして、登録保留基準値案1.2㎍/Lを下回っております。
 本農薬の検討経緯でございますが、初回の検討は平成22年度第6回の検討会でございまして、その後、2回の検討会を経ておりますが、本農薬は非常に分解が速いにもかかわらず、コイの急性毒性試験が止水式で行われていたため、当該理由に関するコメントを申請者に求めておりました。また、藻類の生長阻害試験におきましても、ガイドラインを逸脱している点があり、同様にコメントを求めておりました。
 その結果、コイについては流水式で行われた試験が提出されまして、藻類につきましては再試験が実施されており、時間を要しておりました。
 本剤につきましては、以上でございます。ご審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 それでは五箇先生、お願いします。

【五箇臨時委員】 この薬は、細胞内のミトコンドリアの電子伝達系を阻害するということで、チトクロムbからチトクロムcへの電子伝達を阻害することによって、細胞内で生成されるエネルギー生産を遮断することで菌を殺すという作用点を持ちます。
そのため呼吸阻害剤になるのですが、作用点そのものは生物種に共通のエネルギー生産に関わるものですので、ご覧いただいてわかるとおり、魚類、甲殻類及び藻類に対しては、かなり低濃度でも活性を示すという選択性はあまりない薬ということになります。幸いにして畑用ですので、PECは非水田使用時で求められ登録保留基準値を大きく下回っているという結果になっております。
 以上です。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。
 それでは、こちらの剤につきまして、委員の先生からご質問あるいはご意見ございませんでしょうか。

(なし)

【森田委員長】 特段のご意見はないようですので、16ページの総合評価をご覧ください。登録保留基準値案としましては、最小となるAECdより求めた1.2㎍/Lとなります。関連して、非水田のPECの数字は0.0099ですので、登録保留基準値をかなり下回っているという評価でございます。
 原案のとおりの数字でよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 それでは、異議がございませんので、原案どおりということにしたいと思います。
 引き続きまして、フェントラザミドのご説明をお願いいたします。

【農薬環境管理室室長補佐】 資料の17ページをご覧ください。フェントラザミドについてご説明させていただきます。
 物質概要につきましては、17ページの表のとおりでございます。
 作用機構等でございますが、フェントラザミドは、細胞分裂・伸長を阻害することにより雑草の生育を停止させ、枯死に至らしめる除草剤であり、本邦での初回登録は2000年となっております。
 製剤には粒剤及び水和剤があり、適用作物には稲がございます。
 原体の輸入量につきましては、記載のとおりでございます。
 各種物性は、3.の表のとおりでございます。
 18ページ、水産動植物の毒性についてでございます。
 魚類ですが、コイを用いた魚類急性毒性試験が実施されておりまして、96hLC50は2,400㎍/Lとなっております。
 また、甲殻類につきましては、オオミジンコを用いたミジンコ類急性遊泳阻害試験が実施されており、48hEC50が5,900㎍/L超でございました。
 19ページ、藻類でございます。緑藻を用いた藻類生長阻害試験が実施されておりまして、72hErC50が6.04㎍/Lでございます。
 20ページ、環境中予測濃度でございます。本農薬は、製剤として粒剤等がございまして、稲に適用がございます。このため、表4に示すパラメーターを用いまして、水田の第一段階PECを算出いたしましたところ、4.5㎍/Lでございました。
 21ページ、総合評価でございます。各生物種のLC50、EC50より急性影響濃度を求め最小となります藻類急性影響濃度より、登録保留基準値を6.0㎍/Lと提案させていただきます。
 リスク評価でございますが、環境中予測濃度は水田PECTier1が4.5㎍/Lでございますので、登録保留基準値案6.0㎍/Lを下回っております。
 これに関しまして、水田PECTier2を参考値として算出いたしましたところ、0.075㎍/Lと、基準値の約1.3%となっております。
 本剤につきましては、2011年8月の平成23年度第3回検討会、本年1月の23年度第5回検討会の2回の検討を経ております。理由といたしましては、藻類の試験につきまして試験濃度の測定が開始時のみとなっている点につきまして、当時のラボでのSOPと整合しているのかを確認しておりました。確認した結果、SOPどおりであったため、こちらの試験結果を了承した次第でございます。
 本剤につきましては以上です。ご審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。
 それでは五箇先生、お願いします。

【五箇臨時委員】 本農薬はテトラゾールカルボキシアミド骨格を特徴とする除草剤であり、植物の細胞分裂を阻害する薬ということで、動物に対して影響はないのですが、今回藻類の生長阻害試験で、かなり低濃度で影響があるという結果が出ております。したがいまして、本剤が水田用の除草剤ということもありまして、水田PECと比較して、登録保留基準値はかなり近接した値ながらクリアしているという結果になっています。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。
 それでは委員の先生、本剤につきましてのご質問、ご意見をお願いいたします。

【中杉委員】 こちらは恐らく、近接しているということでTier2まで計算していただいたのだろうと思うのですが、NOECも上回り、NOECのほうが逆転しております。
 NOECとTier1の予測値と単純に比べてはいけないのですが、そういう意味でもTier2を算出いただくと、NOECよりも下回るということが確認できていて、よかったと思います。できれば、今後も同様に算出いただけるとありがたいと思います。

【森田委員長】 他にご意見ございませんでしょうか。

(なし)

【森田委員長】 それでは、総合評価のご確認をお願いします。
 21ページです。一番低い値を示したのは藻類の生長阻害で、そちらから算出されるAECaから、登録保留基準値としては6.0㎍/Lという数字が提出されております。
 なお、リスク評価につきましては、水田PECTier1で、4.5で、近接しているとはいえ、登録保留基準値を下回っているということでございます。
 原案どおりでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 特段ご異議もないようでございますので、原案どおりでいくということでよろしくお願いいたします。
 それでは、引き続きましてフルオピラムのご説明をお願いします。

【農薬環境管理室室長補佐】 それでは、資料の22ページをご覧ください。フルオピラムについてご説明させていただきます。
 本剤の物質概要は、22ページの表のとおりです。
 フルオピラムは、ピリジルエチルアミド構造を有する殺菌剤でございまして、その作用機構は、病原菌のミトコンドリア呼吸鎖におけるコハク酸脱水素酵素の阻害であると考えられております。
 本邦では未登録でございます。
 製剤には水和剤が、適用作物には果樹がありまして、現在、登録申請中でございます。
 各種物性につきましては、22ページの表のとおりです。
 23ページ、水産動植物への毒性でございます。魚類につきましては、コイを用いた魚類急性毒性試験が実施されておりまして、96hLC50が6,500㎍/L超となっております。
 また、甲殻類に関しましては、オオミジンコを用いたミジンコ類急性遊泳阻害試験が実施されておりまして、48hEC50が20,000㎍/L超でございました。
 24ページ、藻類でございます。緑藻を用いた藻類生長阻害試験が実施されておりまして、72hErC50が6,020㎍/Lでございました。
 25ページの環境中予測濃度でございます。本剤は、製剤として水和剤があり、果樹に適用がございますので、表4に示す使用方法及びパラメーターにより、非水田PECTier1を0.012㎍/Lと予測しております。
 26ページの総合評価でございます。各生物種のLC50、EC50より急性影響濃度を求めまして、最小となります魚類急性影響濃度より、登録保留基準値を650㎍/Lと提案させていただきます。
 環境中予測濃度は非水田PECTier1が0.012㎍/Lでございますので、登録保留基準値案650㎍/Lを下回っております。
 本剤につきましては、平成23年度、昨年の8月の第3回検討会、及び今年の1月の第5回検討会と、2回の検討を経ております。
 本剤につきましては、コイの急性毒性試験の結果につきまして、設定濃度が0から200,000㎍/Lとなっておりますところ、こちらの設定濃度が25,000㎍/L以上の試験区の試験液中では、被験物質濃度が完全に分散していたということを確認できなかったため、設定濃度が水溶解度以下である6,500㎍/Lまでの値を使って毒性を評価することといたしました。こちらの点、分散の有無について申請者に状況の確認等を行う過程で2回の検討を要したものでございます。
 本剤に関しましては以上です。ご審議よろしくお願い申し上げます。

【森田委員長】 それでは五箇先生、お願いいたします。

【五箇臨時委員】 こちらの農薬は、非常にシンプルな構造式を持っている殺菌剤で、ミトコンドリアの電子伝達系のコンプレックスⅡ部分に作用する殺菌剤です。電子伝達系を阻害するのですけれども、菌にのみ特異的に浸透する薬と考えられまして、その他の生物に対しては安全性が高い薬剤であると結果は出ております。
 以上です。

【森田委員長】 では、他の委員の先生方、本剤につきましてのご質問、ご意見はございませんでしょうか。

(なし)

【森田委員長】 特段のご意見は出ておりませんが、最後確認をいたします。
 26ページの総合評価です。最小のAECfから、登録保留基準値としては650㎍/Lと計算されるということでございます。
 リスク評価としては、非水田のPECを適用いたしますと0.012㎍/Lで、登録保留基準値を大きく下回っているということでございます。
 以上の評価、そして基準値案でよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 特段のご意義がなく、同意されていらっしゃる方も多いようですので、原案どおり承認することにしたいと思います。
 それでは、最後の剤です。ペンフルフェンのご説明をお願いします。

【農薬環境管理室係長】 27ページでございます。ペンフルフェンについてご説明させていただきます。
 ペンフルフェンは、アルキルアミド構造を有する殺菌剤でありまして、その作用機構は病原菌のミトコンドリア呼吸鎖におけるコハク酸脱水素酵素の阻害であると考えられております。
 本邦では未登録でございまして、製剤は粒剤及び水和剤、適用作物は稲、いも及び芝として登録申請中でございます。
 各種物性は、記載のとおりでございます。
 28ページ、水産動植物への毒性でございます。コイを用いました魚類急性毒性試験が実施されておりまして、96hLC50が103㎍/Lでございました。
 29ページでございます。オオミジンコを用いましたミジンコ類急性遊泳阻害試験が実施されておりまして、48hEC50が4,660㎍/L超でございました。
 藻類生長阻害試験は、緑藻を用いた試験が実施されておりまして、72hErC50が5,100㎍/L超でございました。
 30ページの環境中予測濃度でございます。製剤の種類及び適用農作物は記載のとおりでございまして、稲、いも及び芝に適用がありますことから、水田使用及び非水田使用のいずれの場面においても使用されるため、使用場面ごとに水産PECを算出いたしました。水田使用時の第一段階の水産PECを、表4に記載しております使用方法及びパラメーターを用いまして算出いたしました結果、0.60㎍/Lでございました。
 31ページでございます。非水田使用時の第一段階水産PECを表5に記載しております使用方法及びパラメーターを用いまして算出いたしました結果、0.0027㎍/Lでございました。
 以上の算出結果より、本農薬環境中予測濃度は、値の大きくなる水田PECTier1の0.60㎍/Lとなります。
 32ページの総合評価でございます。各生物種のLC50、EC50は記載のとおりでございまして、これらから、それぞれの急性影響濃度を算出いたしますと、魚類は10.3㎍/L、甲殻類は466㎍/L超、藻類は5,100㎍/Lでございました。これらのうち、最小となります魚類急性影響濃度より、登録保留基準値を10㎍/Lと提案させていただきます。
 リスク評価でございますが、環境中予測濃度は水田PECTier1が0.60㎍/Lでございまして、登録保留基準値10㎍/Lを下回っております。
 本農薬の検討経緯でございますが、本年1月の平成23年度第5回水産動植物登録保留基準設定検討会においてご審議いただきました。その際、コイ急性毒性試験における試験液の濃度測定につきまして、通常は1回で行われているのですが、設定濃度が0.0478mg/Lの試験区の試験開始時においては2回濃度測定が行われていまして、いずれの測定結果用いて当該区の実測濃度を算出しておりますことに関しまして、どちらかの測定結果を異常値として判断されるべきではないかというご議論がありまして、仮に異常値と判断される場合には、実測濃度の算出には用いるべきではないのではないかということでございました。確認いたしましたところ、いずれの値も異常値と判断される要因はないということでありましたので、どちらの値も用いた計算結果をそのまま採用させていただいております。
 以上でございます。ご審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 五箇先生、お願いします。

【五箇臨時委員】 こちらもピラゾロアミドという骨格を持っておりまして、この化合物は、殺虫剤、呼吸阻害剤でモディファイされ使用されている骨格ですが、こちらでもミトコンドリアの電子伝達系のコンプレックスⅡを阻害するという作用点で、菌に効く薬です。
 こちらの作用点ですので、他の生き物にも効く可能性があって、魚類のLC50が若干低く出ています。
 一方では甲殻類に関してはかなり安全性が高いという結果が出ております。
 以上です。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。
 それでは委員の先生、本剤につきましてご質問、ご意見はございませんでしょうか。
 案外、ミジンコに効かないのですね。

【五箇臨時委員】 コンプレックスⅡに効くタイプの殺菌剤は、意外と他の生き物に対して安全性が高いという傾向があったのですが、反対に魚類に効いているようですね。確かに珍しい現象で、魚類に効くならば甲殻類にも効いてもいいのではというところはあるのですが、この辺は、薬の親和性によるものですかね。例えば細胞親和性が甲殻類と魚類の間で異なるのでしょうか。どちらかと言えば、魚類の浸透性のほうが菌類のものに近いという、偶然でこのような結果になっているのではないかと考えられます。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。
 他にご質問ございませんか。あるいはご意見ございませんか。

(なし)

【森田委員長】 それでは、総合評価、32ページ、ご確認をお願いいたします。
 最小のAECfから登録保留基準値としては10㎍/Lと計算されるということでございます。
 なお、水田PECはTier1が0.60㎍/Lで、登録保留基準値を下回っているということであります。
 以上の評価、そして、基準値案につきましては、こちらでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 はい。異議ございません。
 それでは、以上、水産動植物の被害防止に係る基準ですけれども、全6種類の農薬、いずれも原案どおりということでいきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、引き続きまして議題(2)に移りたいと思います。「水質汚濁に係る農薬登録保留基準としての環境大臣の定める基準の設定について」の審議であります。
 それでは、事務局からご説明いただきたいと思います。

【農薬環境管理室主査】 資料4をご覧ください。資料4は、水質汚濁に係る農薬登録保留基準値案に関する資料でございます。作用機構等と総合評価を重点的にご説明させていただきます。
 それでは、資料4に沿って1剤ごとに説明させていただきます。
 1ページをご覧ください。イミシアホスでございます。
 本剤の物質概要については、表に記載のとおりでございます。
 本剤の作用機構でございますが、イミシアホスはイミダゾリジン環を有する有機リン系の殺線虫剤であり、その作用機構は明らかではございませんが、コリンエステラーゼの阻害と考えられています。
 本邦での初回登録は2010年です。
 製剤は粒剤が、適用作物は野菜及びいもがございます。
 原体の国内生産量については、記載のとおりでございます。
 2ページにまいりまして、各種物性でございますが、表に記載のとおりでございます。
 安全性評価ですが、食品安全委員会により、平成20年11月13日に本剤の許容一日摂取量(ADI)は0.0005mg/kg体重/日と設定されました。
 なお、こちらの値は、イヌを用いた1年間慢性毒性試験における無毒性量0.05mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されております。安全性評価資料については、参考資料2としてつけておりますので、適宜ご参照ください。
 次のページにまいりまして、水質汚濁予測濃度(水濁PEC)でございますが、本剤は非水田農薬としての使用でございます。水濁PECが最も高くなる使用方法について、表のパラメーターを用いて水濁PECを算出しましたところ、水濁PEC算出結果の表にございますとおり、0.0000066mg/Lと算出されました。
 次のページ、4ページにまいりまして、総合評価でございますが、水質汚濁に係る登録保留基準値(案)として、0.001mg/Lを提案させていただきます。算出方法は、表の中に記載のとおり、ADIをもとに算出しております。
 本剤に係る既存の水質に係る基準値等はございません。
 リスク評価でございますが、水濁PECTier1は0.0000066mg/Lであり、登録保留基準値0.001mg/Lを超えないことを確認いたしました。
 参考の食品経由の農薬推定一日摂取量でございますが、0.003mg/人/日と算出され、対ADI比で11%であり、ADIの80%を超えないことを確認いたしました。
 事務局からの説明は以上です。ご審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。
 こちらはどうしましょうか。井上先生、それとも吉田先生。
 吉田先生、何かご追加の毒性のお話はいただけますか。

【吉田専門委員】 有機リン系の農薬でして、イヌを用いた毒性試験におきましてコリンエステラーゼの阻害があったということを、一番低い用量の毒性としてこのような値がとられています。他の動物試験でも、コリンエステラーゼの阻害の、あるいは赤血球の阻害が認められておりますが、遅発性の神経毒性は出ていないようです。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。
 それでは委員の先生方、ご質問、ご意見はございませんでしょうか。

(なし)

【森田委員長】 ございませんね。それでは、一応ご確認いただきたいと思うのですが、4ページの総合評価です。
 ADIが定められておりまして、ADIは非常に低いところに数値がセットされております。0.0005mg/kg体重/日というADI、これに、定例に従って計算いたしますと0.00133mg/Lということ、そして2桁目を切り捨てて、提案されております基準値は0.001mg/Lという数字でございます。
 なお、関係いたしまして、リスク評価としては、水濁PECTier1が0.0000066mg/Lで、登録保留基準値の案の0.001mg/Lを超えないということが確認されたということでございます。
 こちらの原案どおりでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 特段ご異議も出ておりませんので、原案どおりということにしたいと思います。
 それでは、引き続きまして、次にジフルメトリムをご説明お願いします。

【農薬環境管理室主査】 資料の5ページをご覧ください。ジフルメトリムでございます。
 本剤の物質概要については、表に記載のとおりでございます。
 本剤の作用機構ですが、アミノピリミジン骨格を有する殺菌剤であり、その作用機構は病原菌に対する胞子発芽及び菌糸伸長の阻害でございます。
 本邦での初回登録は1997年です。
 製剤は乳剤が、適用作物は花きがございます。
 原体の生産量は、21年度1.8tでございます。
 次のページにまいりまして、各種物性等でございますが、表に記載のとおりでございます。
 安全性評価にまいりまして、本剤は食用農作物への適用が申請されておらず、食品安全委員会による食品健康影響評価は行われておりません。このため、非食用農作物専用農薬安全性評価検討会におきまして、非食用ADIを設定しております。非食用ADIにつきましては、ジフルメトリムの各種試験成績の評価結果に基づき0.0014mg/kg体重/日と設定いたしました。この値は、ラットを用いた90日間反復経口投与毒性試験における無毒性量1.4mg/kg体重/日を安全係数1,000で除して設定されております。
 非食用農作物専用農薬安全性評価検討会での評価につきましては、別紙、こちらの資料の9ページ以降の安全性評価資料をご覧ください。
 総合評価が26ページにございますので、概要を簡単に説明いたします。
 概要を申し上げますと、動物体内運命試験の結果、本剤は、投与後速やかに吸収・排泄されております。主要排泄経路は、尿中です。組織への分布については、肝臓、脂肪及び副腎に多く分布しているものの、速やかに消失し、組織残留性は認められておりません。
 毒性試験の各試験における無毒性量及び最小毒性量については表19に記載しております。毒性試験の結果では、ラットを用いた90日間反復経口毒性試験では肝臓重量の増加等肝臓への影響が認められております。催奇形性及び遺伝毒性は認められておりません。
 7ページに戻っていただきまして、水質汚濁予測濃度(水濁PEC)でございますが、非水田農薬として水濁PECが最も高くなる使用方法について、表のパラメーターを用い、水濁PECを算出しました。水濁PEC算出結果は、表2の下に記載のとおり0.000025mg/Lと算出されました。
 次のページにまいりまして、総合評価でございます。水質汚濁に係る登録保留基準値(案)でございますが、表中の算出式をもとに算出しまして、公共用水域の水中における予測濃度に対する基準値として、0.0037mg/Lを提案させていただきます。
 本剤に係る既存の水質に関する基準値はございません。
 リスク評価でございますが、本剤の水濁PECTier1は0.000025mg/Lであり、登録保留基準値0.0037mg/Lを超えないことを確認いたしました。
 事務局からの説明は以上です。ご審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございました。
 これは、井上先生、お願いします。

【井上(達)臨時委員】 吉田先生から補足していただきますが、試験に欠失があって、慢性毒性/発がん性及び繁殖性に関する試験等が欠失しておりますので、こちらを、安全係数10不足分に掛けて1,000としております。標的は、この試験では反復経口投与毒性試験で、ラットの90日間試験をとっております。無毒性量は1.4mg/kgということでございます。
 吉田先生、補足があればお願いいたします。

【吉田専門委員】 申し上げます。
 本剤の特徴といたしましては、主に肝臓の毒性です。急性毒性にいたしましても、LD50が500を切るといったことで、あまり急性毒性が弱いというわけではございません。
 あとは井上先生がおっしゃってくださいました。以上です。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。
 それでは、このジフルメトリムにつきまして、ご質問、ご意見ございませんでしょうか。

(なし)

【森田委員長】 この剤につきましては、非食用農作物専用農薬安全性評価検討会で、井上先生、吉田先生にご尽力いただきまして、評価したものであります。90日間の毒性試験に安全係数を、全体としては1000分の1にして求められた数字がベースになっております。
 ご確認を最後にお願いしたいのですが、8ページの総合評価であります。
 公共用水域における予測濃度としまして、非食用ADIとして0.0014mg/kg体重/日、こちらは先ほどの毒性試験から導出されたものです。そちらを定例に従いまして計算すると0.00373mg/Lで、流しまして0.0037mg/Lというのが登録保留基準値の案でございます。
 なお、リスク評価といたしましては、水濁PECTier1で0.000025mg/Lでありまして、想定している登録保留基準値を非常に下回っているということでございます。
 こういう評価、そして基準値案でよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、これを承認するということにしたいと思います。
 では、引き続いて、次の剤をお願いいたします。

【農薬環境管理室主査】 30ページをご覧ください。ジメトモルフでございます。
 本剤の物質概要については、表に記載のとおりでございます。
 作用機構等でございますが、ジメトモルフはケイ皮酸誘導体の殺菌剤であり、その作用機構は、菌糸の細胞壁の形態及び形成の阻害による菌糸発育及び胞子形成の阻害です。
 本邦での初回登録は1997年です。
 製剤は水和剤が、適用作物は果樹、野菜、いも及び豆がございます。
 原体の輸入量については、記載のとおりでございます。
 次のページにまいりまして、各種物性です。物性については、表に記載のとおりでございます。
 次のページにまいりまして、安全性評価でございますが、食品安全委員会により平成20年3月13日に許容一日摂取量(ADI)が0.11mg/kg体重/日と設定されました。
 なお、この値は、ラットを用いた2年間発がん性試験における無毒性量11.3mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されております。
 こちらの農薬評価書については、参考資料3としてつけておりますので、適宜ご参照ください。
 水質汚濁予測濃度(水濁PEC)でございますが、本剤は、非水田のみの適用となっておりますので、非水田農薬として、水濁PECが最も高くなる使用方法について、表のパラメーターを用いて水濁PECを算出しました。結果ですが、次のページ、33ページの上の表にございますとおり、水濁PECTier1は0.000069mg/Lと算出されました。
 総合評価にまいります。本剤の水質汚濁に関する登録保留基準値(案)でございますが、ADIの値をもとに、表中の算出式に基づき算出しました結果、公共用水域の水中における予測濃度に対する基準値として、0.29mg/Lを提案させていただきます。
 本剤に係る既存の水質に関する基準値等はございません。
 次のページにまいりまして、リスク評価でございますが、本剤の水濁PECTier1は0.000069mg/Lであり、登録保留基準値0.29mg/Lを超えないことを確認いたしました。
 参考として、食品経由の農薬理論最大摂取量でございますが、0.69mg/人/日と、対ADI比で12%となっており、ADIの80%を超えないことを確認しました。
 事務局からの説明は以上です。ご審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございました。
 それでは井上先生。

【井上(達)臨時委員】 これは、安全性評価は、結論としては2年間の混餌でもって、ラットの発がん性試験で0.11mg/kgを導出しております。
 試験でいくつか注目された点がありまして、神経毒性/発がん性、それから繁殖能に関する影響と見ておりますが、目立った変化は検出されておりません。
 吉田先生、追加があったらお願いします。

【吉田専門委員】 本剤のターゲットが肝臓という他に、井上先生がおっしゃった内容に追加はございません。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。
 それでは、この剤につきまして、ご質問、ご意見ございませんでしょうか。

【中杉委員】 この食品安全委員会の判断を教えていただければと思うのですが。
 これは、参考資料3の22ページを見ますと、ラットの、2年間の発がん性試験の体重増加抑制のNOAELを、11.3、これを使っておられると思うのですが、その上に慢性毒性試験の結果がございまして、同じ体重増加抑制でNOAELが11.9という大きな値をとっているのです。
 従前ですと、設定の濃度の違いで上をとることはよくやられるのですけど、この場合は、11.3をとられた何か理由があるのでしょうか。

【吉田専門委員】 申し上げます。
 通常は併合試験で行いますから1セットですけれども、こちらは、2年間慢性毒性試験と発がん性試験という、動物数を違えて2回試験しておりまして2年間という長期的試験ですのでほぼ同じような値が出ているので、2けたということもありまして、こちらをとっているのだと思います。
 特に大きな理由というのはないと思いますが、何か。

【中杉委員】 丸めると0.11と0.12で、最後の細かい数字で変わってくる可能性があるのかなと。食品安全委員会が判断をしておられますから、それを採用するのだと思いますけれども、今までの慣習とは異なったので。今までは、大体閾値の設定の仕方でNOAELが変わりますよね。単にNOAELで出てくるのは、同じ11.3以上のところで、実際の閾値があるというふうに考えるわけですよね。

【吉田専門委員】 そうですね。

【中杉委員】 もう一方は11.9より上で閾値があると。以前は、よくそのようなケースがあったので、上をとるということをやられていたので、今回はそのようにやっておられないので、なぜなのかなという。

【吉田専門委員】 用量設定の比によって、より長い試験をとるということはありましたが、今回は同じ長さなので、恐らくより低い値をとったということになると思います。

【森田委員長】 それでは、この剤につきまして、ご質問は、他にございませんでしょうか。

(なし)

【森田委員長】 特段ないようでございますので、もう一度、ご確認を最後にしたいと思います。
 総合評価は33ページ、公共用水域の水中における予測濃度に対する基準値としましては0.29mg/Lという数字でございます。
 その他に、リスク評価としましては、水濁PECTier1を採用いたしまして、その数字は0.000069mg/Lであります。
 登録保留基準値としては0.29を想定しておりますが、これを大幅に下回っているという、そういう確認でございます。
 それでは、こういう基準値案、それから総合的な評価、これでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございました。
 それでは、ご異議がないということで、原案どおりにしたいと思います。
 それでは、続きましてチオベンカルブ、ご説明をお願いします。

【農薬環境管理室主査】 資料の35ページをご覧ください。チオベンカルブです。
 本剤の物質概要については、表に記載のとおりでございます。
 作用機構等でございますが、チオベンカルブはチオカーバメート系除草剤であり、その作用機構は生長点におけるタンパク質生合成の阻害であると考えられています。
 本邦での初回登録は1969年です。
 製剤は粒剤、粉粒剤及び乳剤が、適用作物は稲、麦、雑穀、野菜、いも、豆、飼料作物、樹木、芝等がございます。
 原体の国内生産量については、記載のとおりでございます。
 次のページにまいりまして、各種物性でございますが、表に記載のとおりです。
 次のページにまいりまして、安全性評価です。本剤の許容一日摂取量は、平成22年8月5日に食品安全委員会により0.009mg/kg/体重/日と設定されております。
 なお、この値は、ラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量0.9mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されております。
 本剤の農薬安全評価資料は参考資料4としてつけておりますので、適宜ご参照ください。
 次に、水質汚濁予測濃度(水濁PEC)でございますが、本剤は水田及び非水田いずれにおいても使用され、それぞれの使用場面ごとに水濁PECが最も高くなる使用方法について、表のパラメーターを用いて水濁PECを算出いたしましたところ、次のページにまいりまして、結果ですが、水田使用時の水濁PECTier2は0.0007863となり、非水田使用時の水濁PECTier1は0.0003319となりまして、合計しまして、本剤の水濁PECTier2は0.0011mg/Lと算出されました。
 次のページにまいりまして、総合評価でございます。水質汚濁に係る登録保留基準値(案)ですが、表中の算出式をもとに、公共用水域の水中における予測濃度に対する基準値案を算出し、0.02mg/Lと提案させていただきます。
 本剤に係る既存の水質に関する基準値でございますが、水質環境基準として0.02mg/Lが設定され、水質管理目標設定項目として0.02mg/Lが設定されております。
 リスク評価でございますが、本剤の水濁PECTier2は0.0011mg/Lであり、登録保留基準値0.02mg/Lを超えないことを確認しました。
 参考ですが、食品経由の農薬理論最大摂取量は0.12mg/人/日で、対ADI比で26%でございます。ADI比80%を超えないことを確認いたしました。
 事務局からの説明は以上です。ご審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 井上先生、お願いします。

【井上(達)臨時委員】 標的として、肝臓の肝細胞肥大等及び腎臓の硝子滴沈着等が指摘されております。無毒性量の中で、ラットを用いた2年間の慢性毒性/発がん性試験を採用し、これが0.9mg/kg体重/日ということになっております。
 吉田先生、追加があったらお願いします。

【吉田専門委員】 申し上げます。
 本剤においては、遺伝毒性試験におきまして、一部in vitroのデータ、あるいは一部in vivoの小核試験等で陽性が認められたのですが、小核試験で認められた陽性は、非常にLD50に近い、高い用量であったということ、あるいはUDS試験及び優性致死試験では陰性であったということ、2年間の発がん性試験で発がん性が認められないこと、繁殖毒性又は催奇形性を認められないということから、この遺伝毒性につきましては、総合的に考えて問題にならないのではないかという判断をいたしました。追加です。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございます。それでは、委員の先生方、ご意見、ご質問はございませんでしょうか。どうぞ、お願いいたします。

【内田専門委員】 先ほどのご説明で作用機構が「タンパク質」と書いてありますが、例えば、この食品安全委員会の参考資料4の農薬評価書で見ると、7ページ、こちらは「脂肪酸生合成阻害」と書いてあります。こちらのほうが正しいような気が、私はするのですが、確かめて、どちらか正しいほうに修正してほしいと思います。

【農薬環境管理室主査】 ご指摘ありがとうございます。確認いたします。本資料では抄録を参照しタンパク質生合成の阻害と書いておりまして、食品安全委員会の農薬評価書いずれの記載が正しいかについて、もう一度確認いたします。ありがとうございます。

【森田委員長】 あと、いかがでしょうか。

【中杉委員】 このチオベンカルブは農薬以外の用途があったと思うのですが、このリスク評価のところの、水濁PECTier1でやるのは農薬使用のみですよね。多分、農薬使用が多いので、これだけの差があると超えることはないとは想像できるのですけれども、このようなことを今後は考えないと、場合によっては、農薬以外の使用が多い場合は、こちらで十分クリアできているといっても、それでは十分な保証にならないことがあります。
 そういう意味では、実際に、これをそういう面で見て、他用途よりも農薬の使用が多いので、もう十分だ、大丈夫だというようなことをコメントとして加えたほうがいいような感じがします。この全部について、多分それはできないと思うのですが、例えば農薬以外の用途があるのは、化審法等で対象になりますので、量が多いものについては全部、ばく露量みたいな形で数字が出てくるようになりますから、それを見られるとよろしいかと思います。

【森田委員長】 今の、どうですか、事務局は。中杉先生のご意見は。

【農薬環境管理室長】 先生ご指摘のとおりに、化学物質として農薬以外の用途があるものについて、化審法等でデータ等がございまして、それらのものもチェックさせていただきたいと思います。
 幸いこのチオベンカルブについては環境基準が設定されておりますので、水質はそちらでモニタリングされるということでございますので、そのようなデータも参考にしながらフォローアップしていきたいと思います。

【森田委員長】 他にご意見はございませんでしょうか。

(なし)

【森田委員長】 それでは、最後の確認をしたいと思いますが、39ページ、総合評価。登録保留基準値案としては、0.02㎎/Lということでございます。
 それから、リスク評価として、水田で非常に消費量の多い農薬というのはTier1だけだといかないかもしれませんね。Tier2で0.0011㎎/Lで、農薬登録保留基準値0.02㎎/Lを超えないということを確認したということであります。
 いかがでしょうか、こういう基準値案、それから、リスク評価でよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 特にご異議はないようでございますので、原案どおりにしたいと思います。
 その次がプロジアミンです。ご説明をお願いします。

【農薬環境管理室主査】 資料の40ページをご覧ください。プロジアミンでございます。
 本剤の物質概要については、表に記載のとおりです。
 本剤の作用機構でございますが、プロジアミンはジニトロアニリン系除草剤であり、その作用機構は紡錘糸形成を抑制することによる細胞分裂阻害です。
 本邦での初回登録は1991年です。
 製剤は水和剤及び複合肥料が、適用作物は樹木及び芝がございます。
 原体の輸入量は記載のとおりでございます。
 次のページに参りまして、各種物性等ですが、表に記載のとおりでございます。
 安全性評価に参りまして、本剤は、食用農作物への適用が申請されておらず、食品安全委員会による食品健康影響評価は行われておりません。このため、非食用農作物専用農薬安全性評価検討会におきまして、非食用ADIを設定しております。非食用ADIにつきましては、プロジアミンの各種試験成績の評価結果に基づき、0.065mg/㎏体重/日と設定いたしました。この値は、イヌを用いた1年間反復経口投与毒性試験における無毒性量6.52mg/㎏体重/日を安全係数100で除して設定されております。非食用農作物専用農薬安全性評価検討会での評価につきましては、別紙、こちらの資料の44ページ以降、安全性評価資料をご覧ください。
 まとめについては、71ページの総合評価に記載されておりますので、概要を説明させていただきます。
 動物体内運命試験の結果、本剤は、投与後、速やかに吸収・排泄されております。主要排泄経路は糞中です。組織への分布については、肝臓、脂肪及び腎臓に多く分布しているものの、速やかに消失し、組織残留性及び組織蓄積性は認められておりません。
 各種毒性試験の結果については、71ページの表34に記載されております。毒性試験の結果では、ラットを用いた1年間反復経口投与毒性/発がん性併合試験では、最高用量の雌雄で甲状腺濾胞上皮細胞腺腫、マウスの発がん性試験では、最高用量の雄で皮下線維肉腫の発現率が増加しましたが、遺伝毒性試験の結果が陰性であることから、その発がん機序は遺伝毒性によるものとは考えられず、発がん性に対する閾値を設定することが可能と考えられます。神経毒性、催奇形性及び遺伝毒性は認められておりません。
 資料の42ページに戻っていただきまして、水質汚濁予測濃度、水濁PECでございますが、本剤は非水田のみの適用となっておりまして、水濁PECが最も高くなる使用方法について、表のパラメーターを用いて水濁PECを算出しました。水濁PECの算出結果は、下の表に記載のとおり、水濁PECTier1は0.000071㎎/Lと算出されました。
 次のページに参りまして、総合評価でございますが、水質汚濁に係る登録保留基準値案ですが、表中に記載の算出式に基づき算出しましたところ、公共用水域の水中における予測濃度に対する基準値として0.17㎎/Lを提案させていただきます。
 本剤に係る水質に関する既存の基準値等はございません。
 リスク評価に参りまして、本剤の水濁PECTier1は0.000071㎎/Lであり、登録保留基準値0.17㎎/Lを超えないことを確認いたしました。
 以上で説明を終わります。ご審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございました。
 井上先生、お願いいたします。

【井上(達)臨時委員】 非食用ADIについては、イヌの1年間の混餌経口投与の試験を採用しております。反復投与毒性試験であります。
 他方、ラットの1年間の反復投与毒性試験/発がん性併用試験が行われておりまして、これで皮下の線維肉腫の発現が有意に増加しているというふうに記載されていて、しかしながら、これは遺伝毒性試験で陰性であるから、発がん性の機序としては遺伝毒性によるものとは考えないでいいだろうというようになっております。
 吉田先生、お願いします。

【吉田専門委員】 申し上げます。
 本剤のターゲットとしては肝臓でした。それで、この剤については2回審議したのですけれども、ラットの発がん性試験で出ました甲状腺の濾胞上皮腫瘍のメカニズムがわからなかったのですが、あらかじめ資料がありましたので、ぜひ、そういうものは早目に提出いただければ、早く審議が済んだのにということがございました。
 メカニズムといたしましては、肝臓が腫れたことによって二相酵素が誘導されて、そのために甲状腺ホルモンが排出され過ぎてしまって、TSHが上がって濾胞上皮の持続刺激によって腫瘍が出たという、かなり一般的な腫瘍だというように考えます。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、この剤につきまして、委員の先生方からご質問、ご意見はございませんでしょうか。特段ご意見はございませんか。

(なし)

【森田委員長】 それでは、43ページの総合評価のところに戻りたいと思います。登録保留基準値案としまして0.17㎎/Lという数字が導出されております。
 リスク評価としては、水濁PECTier1、それが0.000071㎎/Lで、登録保留基準値案の0.17を下回っているという状況であります。
 この保留基準値案及びリスク評価はこういう形でよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 特段ご異議がないようでありますので、これで承認ということにしたいと思います。
 引き続きまして、次の剤へのご説明をお願いいたします。

【農薬環境管理室室長補佐】 それでは、資料の77ページをご覧ください。プロパモカルブ塩酸塩についてご説明させていただきます。
 この剤の物質概要は77ページの表のとおりです。
 作用機構等でございますが、プロパモカルブ塩酸塩は、プロピルカルバマート骨格を有する殺菌剤であり、その作用機構は、菌類の菌糸細胞膜に作用し、細胞内容物の漏出を引き起こすことと考えられております。
 本邦での初回登録は1989年でございます。
 製剤には水和剤及び液剤が、適用作物には野菜、いも、花き、芝等がございます。
 原体の輸入量は、20年度に2tでございました。
 各種物性につきましては、78ページの表のとおりです。
 安全性評価でございますが、食品安全委員会は、平成21年7月9日付で、本剤のADIを0.29mg/㎏体重/日と、厚生労働省に通知いたしております。この値は、ラットを用いた1年間慢性毒性試験における無毒性量29.0mg/㎏体重/日を、安全係数100で除して設定されたものでございます。この食品安全委員会の農薬評価書につきましては参考資料5として添付しておりますので、ご確認ください。
 79ページ、水質汚濁予測濃度でございます。本剤は、非水田使用農薬でございますので、79ページの表に示します使用方法及びパラメーターを用いまして、水濁PECを算出いたしましたところ、水濁PECTier1として0.0027㎎/Lと算定されております。
 80ページ、総合評価でございます。ADI0.29より、表にございます算出式により登録保留基準値を算出いたしまして、0.77㎎/Lを公共用水域の水中における予測濃度に対する基準値として提案させていただきます。
 本剤につきまして、水質に関する既存の基準値等はございません。
 リスク評価でございますが、水濁PECTier1は0.0027㎎/Lでございますので、登録保留基準値案0.77㎎/Lを超えないことを確認しております。
 また、参考として、食品経由の農薬理論最大摂取量でございますが、農薬理論最大摂取量は1.4㎎/人/日と、対ADI比で11%と8割を超えないことを確認しております。
 本剤につきましては以上です。ご審議をよろしくお願いいたします。

【森田委員長】 それでは、井上先生、お願いします。

【井上(達)臨時委員】 毒性評価については、ご説明がありましたように、ラットを用いた1年間の慢性毒性試験の無毒性量である29.0mg/㎏体重/日を根拠として導き出してあります。
 注目される毒性としては、プロパモカルブの塩酸塩の投与のときの、多数の臓器における上皮空胞化が観察されております。イヌでは、主にタペタムに認められております。その辺が注目されるところです。
 吉田先生、お願いします。

【吉田専門委員】 特に追加することはございません。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、この剤につきまして、ご質問、ご意見はございますでしょうか。いかがでしょうか。

(なし)

【森田委員長】 それでは、最後の総合評価、80ページですけれども、ご確認をお願いいたします。公共用水域の水中における予測濃度に対する保留基準値は0.77㎎/Lというものであります。
 なお、リスク評価としましては、水濁PECTier1が0.0027㎎/Lですので、想定される登録保留基準値の0.77㎎/Lを下回っているということでございます。
 全体として、こういう総合評価ですが、この形でよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 特にご異議がないようでございますので、原案どおりこの案でいきたいと思います。
 
 では、休憩を5分ほどとりまして、3時45分から再開ということにしたいと思います。

(休憩)

【森田委員長】 お待たせいたしました。それでは、これから再開したいと思います。
 次は、ベンスルフロンメチル。よろしいですか。ご説明をお願いします。

【農薬環境管理室室長補佐】 では、お手元の資料の81ページをご覧ください。ベンスルフロンメチルについてご説明させていただきます。
 物質概要につきましては、81ページの表のとおりでございます。ベンスルフロンメチルは、スルホニルウレア系の除草剤であり、その作用機構は、アセトラクテート生合成阻害による雑草の細胞分裂阻害でございます。
 本邦での初回登録は1987年でございます。
 製剤には粒剤及び水和剤が、適用作物には稲がございます。
 原体の輸入量は記載のとおりです。
 各種物性につきましては、82ページの表をご確認ください。
 安全性評価でございますが、食品安全委員会は、平成22年10月21日付で、ベンスルフロンメチルのADIを0.19mg/㎏体重/日と設定する食品健康影響評価の結果を厚生労働省に通知しております。この値は、イヌを用いた1年間慢性毒性試験における無毒性量を安全係数100で除して設定されたものでございます。
 続きまして、83ページ、水質汚濁予測濃度でございます。本剤は、水田使用農薬でございますので、水濁PECが最も高くなる使用方法として、表に記載の使用方法とパラメーターを用いまして、PECTier1を算定いたしました。その結果、水濁PECTier1は0.0020㎎/Lと算定されております。
 84ページ、総合評価でございます。ADI0.19mg/㎏体重/日より、表の算出式に従いまして、登録保留基準値案を0.50㎎/Lと提案させていただきます。
 本剤に係る水質に関する既存の基準値でございますが、旧水濁登録保留基準が4㎎/L、水道の水質管理目標が0.4㎎/Lと設定されておりました。
 リスク評価でございますが、水濁PECTier1は0.0020㎎/Lでございますので、登録保留基準値0.50㎎/Lを超えないことを確認しております。また、食品経由の農薬理論最大摂取量でございますが、0.019㎎/人/日と推定されまして、対ADI比で0.18と、80%を大きく下回ることを確認しております。
 本剤につきましては以上です。ご審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございました。
 吉田先生、お願いいたします。

【吉田専門委員】 では、毒性のプロファイルについて申し上げます。
 本剤は、非常に急性毒性が弱く、全体的に反復投与による毒性も非常に高い値で出ております。主に、本剤による影響は肝臓がターゲットとなっております。発がん性、繁殖能、催奇形性、遺伝毒性はございません。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、この剤につきまして、ご質問、ご意見はございませんでしょうか。
 私から一つだけ。水質管理目標設定項目の3)という、水質に関する基準値案として0.4という数字がありますけれども、これは、将来は変わる可能性はありますか。あまり考えなくていいのですかな。

【農薬環境管理室室長補佐】 1993年に評価された旧ADIが0.14mg/㎏体重/日でございましたので、旧基準値はこのような形で設定されていて、水道水質も旧基準値をもとに設定されているものかと思います。今後、当然、水道のほうも順次、農薬の基準値について見直されるものと思いますが、具体的な予定については把握しておりません。

【森田委員長】 ありがとうございます。
 でも、同じような計算式を使っているので、同じようになるのではないかと考えられるということでよろしいでしょうか。

【農薬環境管理室長】 そうです。見直しをされたらです。ただ、いろいろな農薬の使用量を見ながら、水質管理目標のそれぞれの指針値を厚労省の水道部局でつくっておりますので、例えば使用量が減ったという話になれば指針値から落ちるということもございますので、そういったことを含めてです。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、他にご意見ございませんでしょうか。

(なし)

【森田委員長】 特段のご意見は出ておりませんが、それでは、総合評価のご確認をお願いします。84ページです。基準値案としては0.50㎎/Lという数値であります。
 それから、リスク評価としては、水濁PECTier1で0.0020㎎/Lという計算になりますので、登録保留基準値である0.50という、この数字を超えないということが確認されるということでございます。
 それでは、この原案どおりの内容でよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 それでは、特にご異議ございませんので、この原案どおり承認ということにしたいと思います。

【農薬環境管理室室長補佐】 申し訳ございません。1点よろしいですか。
 先ほど、休憩時間中にご指摘いただいたのですが、
 ベンスルフロンメチルの作用機構でございますけど、評価書案は「アセトラクテート生合成阻害」と記載させていただいておりますが、食品安全委員会の評価書を見ますと、「アセトラクテート合成酵素の阻害」となっておりまして、こちらの事実関係を確認いたしまして、適切なように修正したいと考えております。申し遅れました。

【森田委員長】 それでは、どうぞよろしくお願いします。
 それでは、引き続きまして、次の剤ですが、メタフルミゾンです。ご説明お願いします。

【農薬環境管理室室長補佐】 では、資料の85ページをご確認ください。メタフルミゾンについてご説明させていただきます。
 物質概要につきましては、85ページの表のとおりでございます。
 メタフルミゾンは、セミカルバゾン骨格を有する殺虫剤であり、その作用機構は昆虫の神経細胞のナトリウムイオンチャネルに作用し、神経系での情報伝達を阻害するものと考えられております。
 本邦での初回登録は2009年でございます。
 製剤には粒剤及び水和剤が、適用作物には野菜、花き、樹木等がございます。
 原体の輸入量は記載のとおりでございます。
 86ページに各種物性を記載しておりますのでご確認ください。
 安全性評価につきましては、食品安全委員会は、平成20年8月29日付で、メタフルミゾンのADIを0.12mg/㎏体重/日と設定する食品健康影響評価の結果を厚生労働省に通知しております。この値は、イヌを用いた1年間慢性毒性試験における無毒性量12mg/㎏体重/日を安全係数100で除して設定されたものでございます。この農薬評価書につきましては参考資料7としてお付けしておりますので、ご確認ください。
 87ページ、水質汚濁予測濃度でございます。本剤は、非水田使用農薬でございますので、87ページの表に示す使用方法及びパラメーターを用いまして、PECを計算いたしましたところ、非水田PECTier1が0.00016㎎/Lと計算されております。
 88ページ、総合評価でございます。ADI0.12より、表に示す算出式により登録保留基準値案を算出いたしましたところ、0.31㎎/Lを登録保留基準値案として提案させていただきます。
 本剤に関して、これまでの既存の水質に関する基準値等はございません。
 リスク評価でございます。水濁PECTier1は0.00016㎎/Lでございますので、登録保留基準値案0.31㎎/Lを超えないことを確認しております。
 また、参考の項、食品経由の農薬理論最大摂取量につきましても、0.41㎎/人/日と、対ADI比で6.4%、80%を大きく下回ることを確認しております。
 本剤に関しましては以上です。ご審議をよろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございます。
 吉田先生、お願いします。

【吉田専門委員】 申し上げます。
 本剤本剤は、E体とZ体の異性体が9対1の混合物です。本剤による毒性の特徴は資料7の39ページに記載しておりますけれど、主に血液、肝臓、特に幹細胞肥大です。さらに体重増加に認められております。発がん性、催奇形性及び遺伝毒性は認められておりません。ラットの繁殖毒性試験におきまして、出生時の死亡児等が増えました、これは高用量群のみでして、この高用量群で母動物の全身状態の悪化及び授乳行動が低下したために起きた二次的な変化であると評価されております。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、この剤につきまして、ご質問、ご意見はございませんでしょうか。

(なし)

【森田委員長】 あと、総合評価のところのご確認をいただきたいと思います。予測の基準値案としては0.31㎎/Lということで、そして、あわせてリスク評価は水濁PECTier1で0.00016㎎/Lですので、登録保留基準値を超えないということを確認したということです。
 原案どおりの登録保留基準値でよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 特にご異議ないというか、反対はないようでございますので、原案どおりにしたいと思います。
 引き続きまして、メプロニルです。ご説明お願いします。

【農薬環境管理室室長補佐】 資料の89ページをご確認ください。メプロニルについて説明させていただきます。
 物質概要につきましては、89ページの表のとおりでございます。
 メプロニルは、酸アミド系の殺菌剤であり、その作用機構は、呼吸系のコハク酸脱水素酵素の阻害であると考えられております。
 本邦での初回登録は1981年でございます。
 製剤には粉剤及び水和剤が、適用作物には稲、麦、果樹、野菜、いも、豆、飼料作物、花き、樹木、芝等がございます。
 原体の国内生産量は記載のとおりでございます。
 各種物性につきましては、90ページの表をご確認ください
 安全性評価でございますが、食品安全委員会は、平成21年12月17日付で、メプロニルのADIを0.05mg/㎏体重/日と設定する食品健康影響評価の結果を通知しております。この値は、イヌを用いた2年間慢性毒性試験における無毒性量を安全係数100で除して設定されたものとなっております。
 91ページ、水質汚濁予測濃度でございます。本剤は、水田使用及び非水田使用のいずれの場面においても使用されるため、それぞれの使用場面ごとに水濁PECが最も高くなる使用方法として、それぞれ表に記載の使用方法とパラメーターを用いまして、水濁PECを算定いたしました。結果は92ページに載せておりますが、水田と非水田合わせまして0.052㎎/Lと予測しております。
 総合評価でございます。ADI0.05mg/㎏体重/日より、表の算出式により登録保留基準値案を算出いたしましたところ、0.1㎎/Lを登録保留基準値案として提案させていただきます。
 本剤につきましては、旧水質汚濁農薬登録保留基準が1㎎/L、水田の水質管理目標値が0.1㎎/L、ゴルフ場の暫定指導指針値が1㎎/Lと設定されておりました。
 リスク評価でございますが、水濁PECTier1が0.052㎎/Lであり、登録保留基準値案0.1㎎/Lを超えないことを確認しております。
 なお、本剤につきまして、水濁PECTier2を仮に算出いたしましたところ、0.0046㎎/Lとなりまして、基準値の約4.6%であることを確認しております。
 参考でございますが、食品経由の農薬理論最大摂取量は0.85 mg/人/日と、対ADI比で32%、80%を下回っていることを確認しております。
 本剤に関しましては以上です。ご審議をよろしくお願いいたします。

【森田委員長】 吉田先生、お願いします。

【吉田専門委員】 申し上げます。
 本剤は、急性毒性は10 g/㎏体重という非常に急性毒性が弱いものです。反復投与によりまして出る障害の主なものは肝臓及び体重増加抑制量に出ます。
 しかし、肝臓におきましても明らかな肝障害というよりも、むしろ肝臓重量の増加といった形態学的影響が伴わない、強い変化ではなかったように思います。本剤の投与におきまして、神経毒性、発がん性、繁殖能に対する影響、催奇形性及び遺伝毒性は認められませんでした。
 以上です。

【森田委員長】 どうもありがとうございました。それでは、ご質問、ご意見はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 私の印象だと、ADIが強目に書かれているような気がします。

【吉田専門委員】 よろしいでしょうか。恐らく、公比が10以上あいているので、先生がおっしゃるようにADIが強めになったのかと思います。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、ご確認いただきたいと思います。総合評価のところであります。
 恐らく、それほど強い毒性物質ではないと思いますがいずれにしましても計算上、このような数値になり、92ページの総合評価をご確認いただきたいのですが。水中における登録保留基準値としては0.1㎎/L、そして、リスク評価としては水濁PECTier1と比較いたしますと、若干検出したような気もしますが、基準値を超えないということを確認したということでございます。
 総合評価、それから登録保留基準値案ですから、この案でよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 特段異議も出ておりません。それでは、この案の原案どおりにしたいと思います。
 それでは、最後です。レピメクチン、ご説明をお願いします。

【農薬環境管理室室長補佐】 資料の94ページをご覧ください。レピメクチンについてご説明させていただきます。
 本剤の物質概要ですが、レピメクチンA3とA4の混合物でございますので、その物質概要を二つに分けて載せております。
 95ページ、作用機構等でございますが、レピメクチンは、マクロライド系の殺虫剤であり、レピメクチンA3、9%から20%と、レピメクチンA4、72%から88%の混合物でございます。
 その作用機構は、塩素イオンチャネルへの作用となっております。
 本邦での初回登録は2010年でございます。
 製剤には水和剤、乳剤が、適用作物には果樹、野菜、花き等がございます。
 原体の輸入量は記載のとおりでございます。
 各種物性でございますが、表に記載のとおりです。
 安全性評価でございます。96ページのほう、食品安全委員会は、平成21年3月26日付で、レピメクチンのADIを0.02mg/㎏体重/日とする評価結果を厚生労働省に通知しております。この値は、ラットを用いた2年間発がん性試験における無毒性量2.02mg/㎏体重/日を安全係数100で除して設定されたものでございます。これに関する農薬評価書は参考資料9としてお付けしておりますので、ご確認ください。
 97ページ、水質汚濁予測濃度でございます。本剤は非水田使用農薬でございますので、表に示します使用方法とパラメーターを用いまして、水濁PECを算出いたしました。結果は、0.0000044㎎/Lとなっております。
 98ページ、総合評価でございます。ADIより表に示す算出式により登録保留基準値案を算定いたしました。公共用水域の水中における予測濃度に対する基準値として、0.053㎎/Lを提案させていただきます。
 本剤について、水質に関する既存の基準値等はございません。
 リスク評価でございますが、水濁PECTier1は0.0000044㎎/Lでございますので、登録保留基準値案0.053㎎/Lを超えないことを確認しております。
 また、参考の項、食品経由の農薬理論最大摂取量でございますが、0.024mg/人/日と、対ADI比で2.3%となっておりまして、80%を下回ることを確認いたしました。
 本剤につきましては以上です。ご審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 それでは、吉田先生、お願いします。

【吉田専門委員】 申し上げます。
 本剤は、A3とA4で急毒の値が違いまして、それについては資料9の36ページに載っております。
 A3ではLD50が500前後ですけれども、A4では2,000以上と非常に毒性が弱いものになっております。
 本剤の特徴は、主に血液ですとか肝臓の肝障害等が認められて、あとは腎臓にも認められます。マウスのみですが、切歯が伸び過ぎるという変化が認められます。発がん性、繁殖能及び遺伝毒性はないのですが、本剤は神経毒性があり、そちらが特にイヌで強く認められます。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。本剤につきまして、ご質問、ご意見はございませんでしょうか。いかがでしょうか。
 この剤につきましては、ロットごとにA3とA4の比率が変わるという、そういう認識でいいのでしょうか。

【農薬環境管理室長】 95ページに書いてございますように、A3とA4の比率が、これだけパーセンテージが変わることでございますので、それぞれロットごとに若干比率が変わるというふうにご理解いただければと思います。

【森田委員長】 いかがでしょうか。ご意見はございませんか。

(なし)

【森田委員長】 それでは、特段ご意見が出ておりませんので、最後のご確認をお願いします。
 総合評価、最終ページです。98ページです。水質汚濁に係る登録保留基準値案としては、0.053㎎/Lというのが導出されております。
 それから、関連してリスク評価は、水濁PECTier1で計算しますと0.0000044㎎/Lで、登録保留基準値として設定しようとしている0.053㎎/Lを超えないということを確認したということです。
 いかがでしょうか。原案どおり、この基準値案ということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 どうもありがとうございました。特にご異議ございませんので、原案どおりということにしたいと思います。
 いろいろご意見いただきまして、ありがとうございました。
 それでは、この水質汚濁に関わる農薬登録保留基準値として審議していただきました10の農薬すべてにつきまして、原案どおりということにしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、本日の主要な議題二つが終わりまして、最後の議題になります。全体で、今後の予定についてのご説明をお願いいたします。

【農薬環境管理室主査】 本日ご了解いただきました農薬の登録保留基準については、行政手続法の規定に基づき、今後、パブリックコメントを1カ月ほど実施します。その結果、もし仮に何かご意見が寄せられた場合につきましては、委員長に再度、農薬小委員会で審議を行うかどうかご相談して、ご判断いただくことにしたいと思います。
 再審議の必要がない場合には、部会長の同意を得て、部会報告となり、さらに、中央環境審議会長の同意が得られれば答申となります。そして、答申後、告示として基準値を交付させていただきます。
 以上です。

【森田委員長】 その次になりますが、議事のその他ということでございまして、4件の案件がございます。
 最初に、水産動植物の被害及び水質汚濁に係る水の利用が原因となって人畜に被害を及ぼすおそれが極めて少ないと認められる農薬の取扱いにつきまして、事務局からご説明をお願いいたします。

【農薬環境管理室係長】 資料5と資料6につきまして、あわせてご説明させていただきます。
 まず、資料5をご覧ください。こちらは平成18年12月21日の中環審農薬小委員会におきまして了承いただきました水産動植物の被害のおそれがないと認められる農薬の取扱いについてでございます。
 次に、資料6をご覧ください。こちらは、平成20年8月26日の中環審農薬小委員会において了承されました水質汚濁に係る水の利用が原因となって人畜に被害を生ずるおそれがないと認められる農薬の取り扱いについての、それぞれ修正案でございます。
 水産検討会におきまして、水産基準値の設定を不要とする農薬についてご議論いただいた際に、委員の先生より、「水産動植物への被害のおそれがない」との表現が不適切ではないかとのご指摘がございまして、このご指摘を踏まえまして、資料5・資料6ともに、「ばく露のおそれがない」と表記されていた部分を「おそれが極めて少ない」に変更してはどうかと考えております。
 なお、資料5につきましては、既に水産検討会でのご了承をいただいております。ご検討よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 今ご説明いただきましたが、委員の先生方から何かございますでしょうか。いかがでしょうか。特段何もございませんか。

(なし)

【森田委員長】 それでは、事務局の案どおりということで、よろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 そのようにさせていただきたいと思います。
 それでは、その他の二つ目の項目といたしまして、水産動植物の被害防止及び水質汚濁に関わる農薬登録基準の設定を不要とする農薬について。これはばく露のおそれが極めて少ないと認められる農薬でありますが、それについての議論であります。
 事務局からご説明をお願いします。

【農薬環境管理室長】 それでは、資料7をご覧いただきたいと思っております。
 先ほどご審議いただきました資料5、資料6の基準設定を不要とする農薬についての取り扱いを、今回、整理させていただいております。
 経緯といたしましては、これまで新規農薬、それから既に登録されている農薬につきまして、水産動植物の被害防止、それから水質汚濁の登録保留基準について、それぞれ先生方にご議論いただいておりますけれども、既に登録されている農薬につきまして、現在、個別の状況等を見ておりまして、小委員会でご審議いただく順位等を検討いたしております。その中で、こちらに書かれているような、ばく露のおそれが極めて少ないと認められる農薬について、基準設定不要という形で整理させていただきたいと思っております。
 1の概要という形で書かせていただいておりますけれども、これまで新規農薬について、ばく露のおそれが極めて少ない農薬として、前回、d‐リモネンについてご議論いただきましたが基準値設定不要という形で整理いただきました。今回は、主に既に登録されている農薬につきまして、ご検討いただければと思っております。
 1枚めくっていただきまして、3ページ目に、別紙1に書かれております。水系へのばく露のおそれが極めて少ないと認められる農薬について、アの封入など後ほどご説明させていただきますが、それぞれ使用方法について、農薬名、化学名、使用方法を整理させていただいております。右から2番目の使用方法欄に記載の使用方法に限定されている場合については、これらの農薬について基準値設定不要としていただきたいとのご提案でございます。
 仮に、この使用方法が変わった場合には、基準の設定について再度ご検討いただく形でございます。
 まず、アの封入でございますけど、7ページ目、別紙2につけさせていただいております。それぞれの使用方法を簡単に整理させていただいたものでございます。封入につきましては、性フェロモン剤でございまして、真ん中の青い写真で描いてございますけれども、この赤いポリエチレンチューブに、それぞれの性フェロモンの化学物質を封入いたしまして、これを気化させて使うものでございます。害虫を誘引するとか、害虫の交信かく乱をするような使い方をしておりまして、図2に描いておりますように果樹につり下げたり、右に描いておりますように野菜畑にチューブをつけることで使われるということで、化学物質がポリエチレンチューブなどに封入されているという状況でございますので、水系へのばく露のおそれが極めて少ないというふうに認められるのではないかと考えております。
 それから、資料の4ページをご覧ください。同じく性フェロモン剤とか誘引剤で、配置というものがございます。イの配置ということで、オリフルア、スウィートビルア、それからメチルオイゲノールと、この三つございますけれども、これについては資料の8ページ目にございますが、図4ということで写真を入れておりますが、誘引剤として、この容器の中に農薬を入れまして、木につるすと形で使うということで、これにつきましても水系へのばく露のおそれが少ないということで整理させていただければと思っております。
 それから、戻っていただきまして、4ページ目の配置の一番下、粘着剤というのがございますが、これは「カミキリホイホイ」という商品名で、ポリブテンというものですけれども、木に巻きつけてカミキリを捕まえるという剤でございまして、これも配置という形で、水系へのばく露のおそれは極めて少ないだろうということで整理させていただければと思っています。
 それから、5ページ目でございます。二つ、上に塗布と樹幹注入と書いております。これにつきましては、また前後して申し訳ございませんが、8ページ、9ページをご覧ください。適用農作物に塗布するものということで、図5に塗布処理の例を描いておりますけれども、少量の農薬をはけで木に塗るというような形でございます。
 それから、右側、樹幹注入の例を図6で描いておりますが、これはマツノザイセンチュウの寄主であるカミキリムシに対する農薬でございまして、樹木にドリルで穴をあけて、その中に農薬入りの容器を差し込んで使用するということで、これも木という限定されたところで使用するということで水系へのばく露のおそれが少ない剤という形で整理させていただければと思っております。
 それから、5ページに戻っていただきまして、エの倉庫でございます。これは使用場所が倉庫内に限られたものでございまして、剤としては青酸、リン化アルミニウムなど、急性毒性の強いものがございますが、使用時は防除の専門事業者が取り扱うというものでございます。例えば、サイロとか倉庫の穀物に使用するというもので、密閉されたような状況でございますので、水系へのばく露のおそれは極めて少ないという形で整理させていただきたいと思っております。
 それから、6ページをご覧いただくと、局所使用というのがございます。アレスリン、4-CPA、ホルクロルフェニュロンがございます。これにつきましては、前回ご説明させていただきましたd‐リモネンと同じような形で、スプレーで局所的に散布する、それから、粉を水に溶いて局所的に散布するという家庭園芸用のものであり、スプレーで用いられるものということでございまして、これも水系へのばく露のおそれが極めて少ないのではないかということで整理させていただければと思っております。
 それから、カに粉衣と浸漬がございます。これは両方とも種子処理でございまして、種子に粉剤をつけるような形、それから、バケツなどに農薬を入れまして、そこに水稲の種子等を浸漬するという形で使われるということで、こちらにつきましても水系へのばく露が極めて少ないのではないかということで整理させていただきたいと思っております。
 繰り返しになりますけれども、これらの剤につきましては、こちらの別紙1に書かれた使用方法に限定されて使われるというものであるので、これらの農薬については基準設定不要という形で整理をさせていただきたいと思っております。
 使用方法が変われば、また基準の設定についてご審議をいただくという形で整理させていただければと思っております。
 以上でございます。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。いかがでしょうか。ご意見、ご質問はございませんでしょうか。

(なし)

【森田委員長】 よろしいでしょうか。どうぞ。

【築地専門委員】 別紙2の説明のところで気になったのですが、最後のカです。9ページの粉衣、浸漬の、ここの説明は、我々現場の近くにいる者からすると、記載が不正確かなという感じがします。
 例えば、薬剤を付着させた後、必ずここでは風乾させて使用と書いていますけれども、風乾しないで、そのまま次の作業に移るものはあります。それから、浸漬の場合には、数時間漬けてとありますけれども、これも短時間10分程度から、一日、薄い濃度の農薬につけるものもあります。
 あとは、水稲の場合だと、ほ場には直接播種しないということです。
 それから、3枚目、横の資料の最後ですけれども、粉衣、浸漬の中での一番最後、例えばイプコナゾールの中に、種子消毒機による吹き付け、それから、塗抹というやり方も、言葉で言うと若干違って、粉衣、浸漬の中で構わないのですけれども、こういうやり方もあるというのは、別紙2に記載したほうがいいのかなと思いました。

【農薬環境管理室長】 ご指摘ありがとうございました。結構簡略に書いてしまって、正確性に欠けたところがあるというご指摘でございますので、また記述を整理させていただいて、築地先生にもチェックしていただいた上で、資料を固めていきたいと思っております。
 以上でございます。

【中杉委員】 全体としては、だいたいよろしいと思うのですけど、例えば、金属銀を種子につけて、まくわけですよね。種子について農地にまかれる形になりますよね。これは、銀などですと、流れ出さなければ必ずそこに残っているという話になるので、量的な問題になりますが、将来、農地にどんどん蓄積していくということはないか、それを、全体の量的な問題を考えていただいたほうがよろしいかなと。このままでいいよと、例えばカドミウムをこのように種子に処理して、どんどんまいて、こういう方法だから問題ないという話になると、少し別の意味での問題が出てくる可能性があると考えます。
 ただ、今は水産動植物なので、水産動植物は大丈夫だよという話になるのかもしれないけど。そういう面で、どうなのだろうという質問が来たときに、どういうふうに答えるかということを少し考えていただければと思います。

【森田委員長】 何か。

【農薬環境管理室長】 ご指摘ありがとうございました。先生がご懸念の粉衣とか浸漬とか、これも、方法そのものを認めてしまうと、何でもかんでもいいのではないかというお話になると思いますので、これは、いわゆる該当項目として、こういった使い方という形でお示しさせていただいておりますけれども、こういった使い方の、この農薬についてご審議いただくということですので、別の農薬でまたこの粉衣が出てくれば、それは恐らく新規農薬になると思いますけれども、また委員会でご議論いただくような形にさせていただきたいと思っております。

【森田委員長】 よろしいですか。他に。

【細見臨時委員】 カの浸漬のところで、実際に使う側の立場からすると、種子を浸漬させた後、種子はそのとおり使うと思うんですが、その後の液は、実際にどうなっているんでしょうか。

【築地専門委員】 私たちも一番そこが気を遣うところでして、生産現場では、実は流れていくところが、そこの施設内というか、育苗しているところ、そこの中で薄い液を土にしみ込ませているというのが実態です。系外には出していないというか、田まで流しているわけではないというか、その施設内で処理されているというか。
 それから、ある程度濃い希釈液に種子をつけた場合、その残った希釈液は、我々とすれば専用の処理装置、活性炭で吸着して回収するのと、あとは銀かな、それで分解するものと二つのタイプがあるのですが、そういうのを導入してやりましょうということにしている。
 規模が小さい育苗ハウスなどだと産廃業者でもいいのですけれども、ある程度大きな規模でやっているところは、むしろそういうのを入れたほうが自前で処理できる。その場合だと、我々もやったことがあるのですけれども、濃度でいうと0.001から0.01のオーダーぐらいに除去できて、それを処理するというふうな形でしか、今のところできないのかなというふうに考えています。

【細見臨時委員】 失礼ですけど、その「中」というのは、屋内でしょうかね。

【築地専門委員】 屋内というよりは、庭じゃないな、敷地内。

【細見臨時委員】 いや、例えば雨が降るとどうなるのかという質問をすると、どうなりますでしょうか、外に出ますか。

【築地専門委員】 外にまでは出ていかないのですけれども、そこの中で、我々は、そういう処理装置で回収したやつは、薄まった液ですね、その廃液は薄く静かに分ければ、分解されて問題にならないレベルだろうとは考えています。

【細見臨時委員】 恐らく浸漬すること自身はばく露のおそれが少ないと思うのです。その液のあと処理が、どういうふうに担保されているのかなというのが気になったものですから。

【五箇臨時委員】 水産動植物登録保留基準そのものは、水田及び畑で使用した場合においての、その後の動態のみを対象としているので、その後の廃液は、このことは別の法的な枠組みで議論しなければいけなくなってくるのだろうと思うのです。まさに廃液処理の問題で。
 だから、非常にセクト的な言い方をすれば、あくまでも水産動植物保留基準という枠組みの中で、この手法に関しては心配ないというふうになってしまう。残りの廃液の処理に関しては、また別途、議論が必要になってくるということですよね。その廃液そのものを畑に流せばアウトですけれども、どう処理するかというところに関しては、ここでは議論はされていないということになりますね。ということで、よろしいのですかね。

【農薬環境管理室長】 築地先生から、現場の実態なりお話をしていただきましたけれども、水稲の今、種子浸漬というのは育苗の段階で使われますけれども、今のところ、農協の育苗施設等で育苗されて、農家の方に有償で配るというようなところが多いので、例えばビニールハウスなりの中で育苗されるというような形が今は多うございます。そういったときの処理を築地先生がお話されていたのではないかと思います。
 一般的な廃液の処理の話を申し上げますと、非常にこの廃液の処理については築地先生もお話ございましたけれども、いわゆる農業団体や、それから、内田先生もいらっしゃいますけれども、農薬メーカーも非常に気を遣ってやられておりまして、指導というレベルでございますけれども、実際に廃液処理をする場合に、廃液を分解するもの、多分チタンか何かではないかと思いますけれども、そういった分解させるようなものを使うとか、それから必要に応じて、量が多い場合は産業廃棄物として処理するというような形で、全農や農水省も含めて指導されていると聞いております。
 引き続き、細見先生ご指摘のとおり、非常に関心の高いところでもありますので、よく注意していきたいと思っております。
 以上でございます

【森田委員長】 ありがとうございました。いろいろ熱心なご議論をありがとうございました。

【築地専門委員】 あと、もう大分前からですけれども吹き付けについては、大量種子消毒ということで、個別に農家とか育苗センターがやるのでなくて、岩手県では数カ所の拠点で種もみを事前に消毒して、消毒済み種子として農家の方に配布できるように、基本的にはほとんどそれになっています。ですから、きちんと管理して、処理は行われるということになります。
 それから、そんなには廃液が出るような形ではありませんので、必要量を必要な分だけ使うということですので、一番問題になりにくい形かなというふうにとらえています。

【森田委員長】 よろしいですか。結構、最後で熱心なご討議をいただきました。
 それでは、資料7は案としてついております。今日いろいろといただいたご意見を酌み取っていただいて、事務局でもう一度取りまとめていただくということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 それでは、この議題もこれで終わりたいと思います。
 あと最後、もう一つあるかな。特定農薬。

【農薬環境管理室長】 資料8をお願いします。

【森田委員長】 ご説明をお願いします。

【農薬環境管理室室長補佐】 資料8をご説明させていただきます。
 こちらは、水質汚濁に係る農薬登録保留基準の設定に関する資料、インドキサカルブMP及びインドキサカルブと書かれている資料でございますが、この剤は、前回の農薬小委で、インドキサカルブMPとインドキサカルブMPの光学異性体のうち、活性本体の割合を高めたインドキサカルブの二つについて、水濁基準のご議論をいただきました。
 その際に、毒性試験がいずれか一方しか実施されておらず、毒性の同等性が確認されていないこと。それから、環境中の挙動が異なると想定されることなどが小委で議論になりまして、モニタリングにおいて光学異性体を別々に測定した結果の和と基準値を比較できるように、基準値の位置づけを評価書に明示すべきというご指摘をいただいたところでございます。
 これを踏まえまして、資料8の6ページになりますが、6ページの総合評価1.の注釈といたしまして、「登録保留基準値は、インドキサカルブ及びインドキサカルブMPのいずれについても、それぞれに含まれる光学異性体のS体とR体の和である」ということを追記させていただきたいと考えております。
 また、これまでにご審議いただきました剤のうち、インドキサカルブと同様にラセミ体を用いた剤と、活性成分に当たる光学異性体や幾何異性体の割合を高めた剤の両方がある3組、計6剤、ジメテナミドとジメテナミドP、メタラキシルとメタラキシルM、メトラクロールとS-メトラクロールにつきまして、水産評価書及び水濁評価書を同様に修正したいと考えております。
 この旨は、今回のご報告で了承いただきましたら、今後、ホームページに掲載している評価書を修正するという形で対応したいと考えております。
 以上でございます。ご意見、よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 インドキサカルブの件ですが、光学異性体の取扱いを少し厳密にしようとしているところです。これは。この方向でよろしいでしょうか。

【吉田専門委員】 よろしいでしょうか。前回、同時に比較した試験がないと、私が申し上げてしまったのですが、参考資料で、ラットを用いた90日の反復投与毒性試験のみ両方で行っております。その場合、ちょうどインドキサカルブMPとインドキサカルブの比に総じた形での用量設定がされておりまして、ほぼ同じような毒性が出ているということをご報告いたします。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございます。それでは、とりあえず、この記載の方向で修正するということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございます。それでは、そういうふうにしていただきたいと思います。
 一つ早とちりしましたが、今度が本当に最後です。
 その他、最後といたしまして、本日、午前中に農水省の審議会と合同で開催されました農薬小委員会特定農薬分科会で行われた議論につきまして、事務局からご説明をいただきたいと思います。

【農薬環境管理室室長補佐】 本日、午前の特定農薬の会合につきまして、口頭で恐縮ですけれども、報告させていただきます。
 手続に従いまして、農林水産省の審議会の特定農薬を担当する委員会と合同で開催されております。本日の検討対象物質につきましては2種類ございまして、一つ目が電解次亜塩素酸水、それから、もう一つが二酸化チタンということでございました。
 一つ目の電解次亜塩素酸水ですけれども、前々回の特定農薬の合同会合で一度ご審議いただいたのですけれども、そこで1点宿題がございました。次亜塩素酸によるものということで、ダイオキシンの生成による影響も懸念がないかどうかというところについてご指摘がございました。それを受けまして、事務局で調査いたしました結果をご報告させていただいたところでございます。その結果、本日のご審議で、問題はないとの結論が得られております。
 2点目の二酸化チタンですけれども、こちらは、本日、午前中の会合が初めての審議だったのですけれども、事務局から、一般的な使用方法ですとか、毒性の情報についてご紹介いたしました。そこで、2点ございまして、まず、特定農薬の指定の可否について議論する前に、特定農薬の農薬取締法の上での定義ですとか概念に照らしてどうなのかといったところをまず整理する必要があるであろうというのが1点。それから、仮にそこで審議の対象であろうということになった場合においても、本日ご報告した資料の中で、毒性情報の整理がまだ必要な点が幾つかあろうというご指摘がございました。その結果、継続審議となっております。
 次回の会合についての予定は未定ですけれども、また進捗がございましたらご報告申し上げたいと思います。
 以上です。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。委員の先生方から何かご質問等はございますか。

【細見臨時委員】 1点だけ。電解したときに、有効な塩素の部分は何%ぐらいあるのですか。

【農薬環境管理室室長】 今日の資料でお出ししたのですけれども、たしか相当少なく1.3×10-6%です。

【森田委員長】 では、本日も、長いこと熱心なご討議をありがとうございました。これで本日の議題は終わったのですが、あとは事務局へお返ししますので、よろしくお願いします。

【農薬環境管理室長】 ありがとうございます。以上をもちまして、土壌農薬部会農薬小委員会を終了させていただきます。
 本年度の小委員会につきましては、今回で終了となります。委員の先生方におかれましては、本当にお忙しい中、委員会のご出席はもちろんのこと、事前に膨大な資料のご検討なり、水産・水濁の基準値の設定につきまして多大なご尽力をいただきまして、ありがとうございました。
 本日の冒頭に審議官から申し上げましたとおり、本年度につきましては、水産基準については31剤、水濁基準については49剤、それから基準設定不要と整理いただいたもの40剤についてご審議いただきました。
 厚く御礼を申し上げますとともに、ご多忙とは存じますけれども、また来年度以降も引き続きご指導いただければ大変ありがたいと思っております。
 なお、また来年度以降の日程につきましては、後日、日程調整をさせていただきたいと思っております。改めまして、来年度も引き続き、よろしくお願いいたします。
 本日はどうもありがとうございました。

(以上)