農業資材審議会農薬分科会特定農薬小委員会及び中央環境審議会土壌農薬部会農薬小委員特定農薬分科会合同会合(第13回)議事録

1.日時

平成24年2月24日(金)10:00~11:20

場所

中央合同庁舎4号館1219~1220会議室

出席者(敬称略)

座長 山本廣基
 井上達、上路雅子、国見裕久、白石寛明、中杉修身、根岸寛光、眞柄泰基委員、牧野孝宏、矢野洋子、吉田緑

委員以外の出席者

農水省
朝倉農産安全管理課長、瀬川農薬対策室長、入江課長補佐他
環境省
西嶋農薬環境管理室長、荒木室長補佐他

議題

(1)
農業資材審議会特定農薬小委員会及び中央環境審議会特定農薬分科会合同会合(第12回)における論点整理について
(2)
特定防除資材(特定農薬)の指定に向けた具体的な資材の検討について
 電解次亜塩素酸水
 二酸化チタン
(3)
その他
 特定農薬指定の検討対象資材の取扱いについて

議事

【瀬川農薬対策室長】おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから「農業資材審議会及び中央環境審議会特定農薬合同会合」を開催させていただきます。
 委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、御出席をいただきまして、ありがとうございます。
 まず、本日の委員の出欠状況でございますが、本日は委員の皆様全員に出席をいただいております。
 これから具体的な資材の審議に入ります。
 報道の方のカメラ撮影は冒頭のみとしておりますので、これ以後の撮影は御遠慮願います。
 それでは、事務局から、資料について説明をさせていただきます。

【入江農薬対策室課長補佐】それでは、配付資料について御確認いただきたいと思います。
 資料1は、本日の合同会合委員の名簿。
 資料2は、前回第12回合同会合における論点整理。
 資料3は、具体的な資材の資料になります。
 資料3-1は、電解次亜塩素酸水の論点整理。
 資料3-2は、今回初めてになりますが、二酸化チタン懸濁液の概要。
 資料4は、特定農薬指定の検討対象資材の取扱いについて。
 参考資料1は、第11回合同会合における論点整理。
 参考資料2は、前回第12回の議事概要。
 参考資料3は、前回第12回会合の議事録。
 参考資料4は、二酸化チタンに関する参考資料。
 これとは別に、委員の先生方には特定農薬の評価指針など、審議の参考になる資料をファイリングしてお手元に置かせていただいております。本資料につきましては、次回以降も活用いたしますので、会議終了後、そのまま残しておいていただきますようお願いいたします。
 なお、資料3の添付資料や参考文献、参考資料1~3などは大部となりますので、オブザーバーと傍聴者の方には配付しておりません。必要な場合はファイルにまとめておりますので、そちらをご覧ください。
 足りない資料はございませんでしょうか。もし足りないものがございましたら、会議途中でも結構ですので、事務局までお申し付けください。

【瀬川農薬対策室長】本合同会合は、環境省及び農林水産省において事務局を担当させていただいております。今回は農林水産省が事務局の担当ですので、農業資材審議会農薬分科会特定農薬小委員会において委員長をお願いしております山本委員に本日の座長をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)

【瀬川農薬対策室長】それでは、山本座長、議事進行をお願いいたします。

【山本座長】皆さん、おはようございます。本日は早朝から、大変御多用のところ御出席いただきまして、本当にありがとうございます。
 今日の合同会合は、次第にございますように、主に2つの議題に関する審議が予定されております。慎重かつ活発な御議論をお願いしたいと思います。
 まず、本日予定されている審議は、いずれも公開することにより、特定の者に不当な利益もしくは不利益をもたらす恐れがある場合には当たらないという判断をして、公開とさせていただきます。
 議事に先立ちまして、前回昨年4月26日に開催しました第12回会合の議事概要及び議事録につきましては、前回会合終了後、委員の皆様方に個別に御確認をいただいているところでございます。既に農林水産省と環境省のホームページ双方において公表されておりますことを報告させていただきたいと思います。
 それでは、議事に入りたいと思います。
 まず、議事(1)論点整理ということでございます。
 前回の合同会合では、エチレン、ホソバヤマジソの審議を行いました。これらの個別資材における議論の論点を一般論として整理することとなっておりました。
 また、エチレンの審議の際には、エチレンを特定農薬として指定する場合、原材料は何を指すのかという議論がございまして、エチレンについては、それ自体が原材料と考えられ、エチレン自体の安全性を評価することは問題ないとされましたが、その際、特定農薬の原材料の解釈について、一般論として整理しておこうとなってございました。
 これらの事項につきまして、資料2にありますように事務局の方で整理していただきましたので、内容につきまして事務局の方から説明をお願いしたいと思います。

【入江農薬対策室課長補佐】資料2につきまして御説明させていただきます。
 まず、特定農薬における原材料の解釈についてということで論点整理させていただきました。
 ここに書いてありますが、特定農薬の原材料には、

  1.  [1]指定の対象とする農薬を製造するために加工等を加えるもの
  2.  [2]指定対象とする農薬そのものがございます。

これまでに検討した資材をこの解釈に当てはめると以下のとおりとなりまして、食酢、重曹、エチレン、焼酎につきましてはそのものが原材料。これは加工していないということで解釈させていただいています。
 木酢液につきましては、木材・竹材を炭化するときに生じる排煙を冷却して得られた液体そのもの。その後精製が加えられますので、原材料としましては、その排煙を冷却して得られた液体と解釈させていただいております。
 もう一つ、他法令における規制がある資材の特定農薬指定についてということで整理させていただいております。
 登録農薬及び特定農薬は、農薬取締法に基づく規制に加えまして、他法令による規制を受けます。これは農薬取締法の規制と他法令の規制が異なる目的で実施されるためでございますが、特定農薬の指定に当たりましては、この当該農薬というか、資材に係る他法令に基づく規制の順守を徹底することとし、具体的には、他法令による規制や業界の自主的な規制等の内容を適宜反映し、通知等により使用者に対し使用・貯蔵上の注意事項等の指導を徹底していくこととしたいと整理させていただきました。
 以上でございます。

【山本座長】ありがとうございました。
 前回の議論を受けて、こういった論点整理をしていただいたところでございます。何か委員の皆様方から、御意見、御質問等がございましたらお願いしたいと思います。
 特にございませんでしょうか。
 それでは、原材料の解釈並びに他法令に規制がある場合については、こういった取扱いを今後していくということで、お認めいただいたということにさせていただきます。ありがとうございました。
 それでは、議事(2)具体的な資材の検討についてに入りたいと思います。
 最初に資料3-1「電解次亜塩素酸水の論点整理」に基づきまして、事務局の方から説明をお願いいたします。

【西嶋農薬環境管理室長】資料3-1をごらんいただきたいと思います。電解次亜塩素酸水の関係でございます。
 これにつきましては、1枚目の参考に過去の検討内容なりを整理させていただいておりますけれども、これまで検討をいろいろしていただきまして、1つ課題として残っておりましたダイオキシンの精製の関係について、論点整理ということでまとめさせていただきました。
 これは2回前の第11回合同会合で、ダイオキシンの生物検定をした結果についてお示ししましたけれども、委員の先生からいろいろ御指摘をいただきまして、その中で中杉先生の方から2点サジェスチョンをいただきました。実際にダイオキシンの生成に問題ないという場合に、この2点について整理をすればいいのではないかということで、1点目は[1]に書いていますように、パルプの塩素系漂白工程でダイオキシンが発生したということで、それの工程を比較すればいいのではないかということが1点。
 2点目は、異性体分布です。前は生物検定法だけでしたので、異性体をチェックすることで確認できるのではないか。
 この2点を御指摘いただきまして、それについて本日まとめさせていただいております。
 本日新たに提供させていただくデータといたしまして、1ページの2をごらんいただきたいと思います。
 1点目は、ダイオキシンの化学分析で異性体分析を行った結果でございます。
 前回と同様、千葉県で相当電解次亜塩素酸水を使われているビニルハウスの土壌を調べさせていただいております。
試験区の実際の使用実態、対象区の使用実態は、こちらに記載させていただいているとおりでございます。
 その結果を2ページの表1の方で、個別の土壌のダイオキシン類濃度という形で整理させていただいております。
 表の左側に実測濃度、右側に毒性等量を付けさせていただいております。実測濃度を見ていただきたいと思いますけれども、トータルでダイオキシン類として23,000pgが総量としてございまして、そのうちダイオキシンOCDDが22,000ということで、これが極めて卓越したデータになっております。
 過去、パルプの塩素漂白につきましては、2,3,7,8-TeCDDとTeCDFなり、4価のジオキシンなり、フランなりが卓越した状況になっておりますので、それとは大きく異なったような組成の結果になってございます。
 2点目、3に整理をさせていただいておりますけれども、パルプの塩素系漂白工程の反応条件とダイオキシンの生成メカニズムについて整理をさせていただいて、それを踏まえて今回の電解次亜塩素酸水の散布実態との比較という形で整理をさせていただいております。
 ダイオキシン類につきましては、環境問題で、この場合はごみの焼却施設なりでございますが、平成11年にダイオキシンの特措法ができました。その前に、平成2年に紙パルプの排水について問題になりまして、今回整理をさせていただいた漂白工程は、平成2年以前の塩素を相当使った場合でのダイオキシンの生成の工程なりを整理させていただいております。
 現状では、塩素の漂白なりをやめて、酸素漂白なりをして工程が変わっておりまして、ダイオキシンの生成は相当減っておりますけれども、その工程が変更される前のものと比較するという形で整理をさせていただいております。
 (1)に書いてございますけれども、漂白剤として分子性塩素を使っております。パルプは実際にチップからセルロースを取るわけですが、チップ中にあるリグニンを低分子化する過程で、分子性塩素を相当多用したということでございます。
 具体的な塩素系の漂白工程の反応条件ですけれども、4ページの図1に書いてございます。
 いろんな工程がございますけれども、4つの主な工程がございまして、塩素で漂白した後、リグニンを低分子化したものも含めて、それを洗い流すアルカリ抽出をした上で、次亜塩素酸ナトリウム漂白、二酸化塩素漂白といった段階で塩素系の漂白を行っているということでございます。
 最もダイオキシンの発生が過去ございました塩素漂白について、表2で具体的な反応条件を書いてございます。
 処理時間は36分、処理濃度は50℃ということで、高めの濃度になっています。
 塩素の実際の添加も相当量多いという結果になっております。
 (3)に塩素添加量とダイオキシンの生成量を整理させていただいておりますけれども、表3にございますように、上が塩素の投与量で、相当塩素量が多くなるとダイオキシンの濃度も高くなるという結果になってございます。
 それらを踏まえまして、実際のダイオキシンの異性体分布を含めまして、6ページの表4で、今回特定農薬として提示されております電解次亜塩素酸水の散布実態と本日説明させていただきましたパルプの塩素系漂白工程との比較という形で整理をさせていただいております。
 表の左側にパルプの塩素系漂白工程、右側に電解次亜塩素酸水の散布実態という形で整理をさせていただいております。
 ダイオキシンの発生メカニズムにつきましては、漂白工程でリグニンと塩素が反応いたしまして、リグニンが低分子化する段階で一部の塩素が塩素化リグニンを生成して、その過程でダイオキシンが発生するという形でございます。
 使用薬剤は、主なものが分子性塩素でございます。
 電解次亜塩素酸水の方は、次亜塩素酸となっております。
 薬剤添加量につきましては、分子性塩素をパルプの量に対する比率で1.5%。
 電解次亜塩素酸水の方は、相当量比率が低うございまして、1.3×10-6%ということで、相当量薬剤の添加量が少なくなっているということでございます。
 リグニン含量は、パルプの塩素系漂白の方は1%。
 電解次亜塩素酸水の方は、土壌有機物のリグニンとなっておりますけれども、リグニンそのものではない場合もありますが、いわゆるフミン質として4割程度あるということで、塩素の添加量と比べるとパルプの塩素系漂白工程の方が相当量比率が高いという形になっております。
 処理条件をその下に書いてございますが、パルプの塩素系漂白工程の方は50℃の条件。
 電解次亜塩素酸水の方はハウスでございますので、常温という形になってございます。
 異性体パターンでございますが、パルプの塩素系漂白工程の方は、2,3,7,8-TeCDD、1,2,7,8-TeCDF、2,3,7,8-TeCDFのような4塩価のジオキシンなり、フランなりが卓越して生成するという形になってございます。
 今回の電解次亜塩素酸水の方は、オクタのジオキシンが相当量増えているということでございまして、異性体のパターンも異なるということで、これらから電解次亜塩素酸水の散布によってダイオキシンの生成については問題ないのではないかと考えております。  以上でございます。

【山本座長】ありがとうございました。
 1点、この電解次亜塩素酸水については、今、御説明がありましたように、ダイオキシンの生成について問題ないだろうかということで、一定のデータは出ておったのですが、もう少し詳細なデータをということで、今回こういったデータを用意していただいたということでございます。
 何か御意見、御質問等ございますでしょうか。
 中杉先生、どうぞ。

【中杉委員】結論としてはこれで結構だと思いますけれども、1つだけ確認です。
 7ページの表5と表6のダイオキシンの数字は、pg/gになっているので、総量ということで、当量換算濃度ではないんですね。

【西嶋農薬環境管理室長】済みません、これは誤りです。総量ではないです。「TEQ」は外していただいて。

【中杉委員】表5と表6は外してあるので、それは「TEQ」は入らない数字ですねという確認だけです。

【西嶋農薬環境管理室長】 そうですね。

【中杉委員】それでよろしいということですね。表7はそのままになっているので、確認だけです。

【山本座長】そのほかに何かございますでしょうか。特にございませんでしょうか。
 眞柄委員、どうぞ。

【眞柄委員】結論はこれで結構でありますが、要するに電解でつくった次亜塩素酸は、貯蔵している間にどんどんと濃度が下がっていって、塩素酸や過塩素酸ができるようになりますので、使用上の注意としては、つくったものはできるだけ早く使うようにという注意が要るのではないかと思います。
 それから、参考の資料で解毒性の試験をコイでやっておりますが、確かに今のルールで言えば、コイを使って解毒性の試験をすればよろしいわけですが、塩素は魚の種類によって影響の程度がかなり違いますので、そういう意味で、これも使用上の注意のところで、もし使用後、公共用水域等の雨水系に排出されるときには、そこにいる魚のことに注意をするという配慮が必要ではないかと思います。特に金魚は大変弱いので、そういう意味で、淡水系の魚ですが、魚の種類によって大分違います。その辺のところも注意をされるようにしていただいた方が、誤った評価が出ないと思いますので、よろしくお願いいたします。

【山本座長】貴重な御指摘ありがとうございました。
 そのほかに何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、今、お二方の先生から、これでいいのではないかという御意見もちょうだいしましたので、この電解次亜塩素酸水につきましては、特定農薬として指定をして問題ないという結論でよろしいでしょうか。
 ただし、今、眞柄委員からございましたように、書きぶりはお任せいたしますけれども、何点か使用上の注意を付けていただいて指定すると委員会として判断をさせていただきます。ありがとうございました。
 それでは、この件につきまして、今後の手続きについて事務局の方からお願いいたします。

【入江農薬対策室課長補佐】今後の手続きについて御説明いたします。
 まず、事務局におきまして資料整理等を行いました後、食品安全委員会に諮問することとしております。なお、指定されるまでの流れといたしまして、食品安全委員会からの答申を踏まえて、また、農業資材審議会及び中央環境審議会において、この特定農薬の指定の可否についてもう一段階審議した結果、特定農薬とすることは適当とされた場合は、省令におきまして指定させていただきます。  以上でございます。

【山本座長】ありがとうございました。
 それでは、そのようによろしくお願いいたします。
 もう一件の方でございますが、二酸化チタンにつきまして、今日初めて出てまいったわけでございますが、資料3-2を事務局の方から御説明をお願いいたします。

【入江農薬対策室課長補佐】資料3-2をごらんいただきたいと思います。二酸化チタン懸濁液の概要ということでとりまとめられております。
 1ページですが、二酸化チタン懸濁液の概要、成分規格なりを御説明させていただきたいと思います。
 原材料は、二酸化チタンでございまして、成分含量は98%以上、粒子径は0.2µm~1.5µm。
 もう一つ、二酸化チタンは粉末状のものなので、工業用精製水に懸濁するということになっています。
 含量規格としまして、この有効成分とされます二酸化チタンが6%入ったもの。
 懸濁液を生成するに当たりまして、オゾン発生装置のシリコン電極を使用して、放電処理を行います。その放電処理を二酸化チタンに行った後、工業用精製水に懸濁するという形でこの懸濁液をつくっております。
 使用方法としまして、資料に記載してありますように、野菜を中心にうどんこ病や疫病、斑点病などの病害に効くということで、この6%の懸濁液を1,000倍~1,500倍に希釈して使用するというものでございます。
 発見の経緯といいますか、この二酸化チタンが農薬的な効果を持つということを発見した経緯ですが、残留農薬の分解ができるという情報を得られておりまして、その残留農薬を早く分解するということで播いたところ、うどんこ病に感染しているイチゴなどの病原菌にも効いたことで、この開発といいますか、この効果を発見したということでございます。
 出荷普及状況につきましては、九州を中心に今、情報提供者+11名程度の方々で使っていることがわかっています。
 2枚目以降は、薬効あるいは安全性に関する資料の概要を付けさせていただいております。
 薬効につきましては、それぞれ作物によって防除価が違いますが、おおむね50~80%の防除価を示しているという結果が出ております。
 安全性に関する資料につきましては、薬害については認められておりません。
 4ページ以降ですが、人畜に対する安全性です。
 まず、急性経口毒性につきましても、次の参考の吸入毒性評価におきましてもヒトへの影響は見られておりません。
 6ページ、変異原性試験の結果です。
 これにつきましても特に異常を認められているものはございませんでした。
 9ページ、90日反復経口投与試験と題しておりますが、文献では103週間、約2年間の発がん性試験の結果を掲載しております。これにつきましても、特に異常を示された結果は出ておりません。
 18ページ、暴露評価に係る試験としまして、まず、ラットを用いた吸入暴露試験です。2年間の吸入暴露試験の結果がありました。これにつきましては、19ページに掲載させていただいておりますが、肺に腫瘍を起こした事例が認められていることがわかっております。
 21ページには、ウサギを用いた皮膚一次刺激性試験。
 22ページには、ウサギを用いた眼一次刺激性試験を掲載しております。これらにつきましては、特段刺激性はないと判断されております。
 25ページ以降ですが、水産動植物に対する安全性です。
魚類急性毒性試験及びミジンコ類急性遊泳阻害試験が実施されておりまして、これにつきましても影響があるというものは検出されておりません。
 参考資料4を付けさせていただいております。
 「二酸化チタンに関する参考資料」として、各国における二酸化チタンの有害性評価を一覧にさせていただいております。日本の産業衛生学会、あるいはアメリカの労働衛生専門家会議などの許容濃度がそれぞれ示されておりましたので、ここに掲載させていただいております。
 また、参考としまして、これら労働安全上の許容濃度ということでして、1週間40時間程度の作業時間ということで管理される許容濃度ということでしたので、最初のページの一番下にあります作業者の呼吸量、これは軽作業時の呼吸量ですが、この数字を用いまして、1週間40時間当たりの呼吸量から許容濃度をかけ合せて、1週間当たりの暴露量はここまでが限界という数字を計算させていただいております。
 1枚めくっていただきますと「2 二酸化チタンの暴露量について」です。
 これは計算上の話ではございますが、二酸化チタンを農薬として散布するということで、最初に御説明しました6%の懸濁液を1,000倍希釈して、10a当たり300L散布するという計算から導き出した数字を散布時の、推定吸入量として示しています。これは農薬の使用時安全の評価に当たっても使っておりますが、散布時に1時間当たり農薬マスクに付着した散布液量を実験の中で得られておりますので、1,200µl/hの吸入量とかけ合わせ、先ほどの呼吸量も含めて計算した結果が想定する散布量の試算として、散布時の欄に計算した結果を載せさせていただいております。
 ほかには二酸化チタンを施用した後に作業することもあるということで、農業の労働時間、いちご栽培、きゅうり栽培、ピーマン栽培のときの週当たりの労働時間が統計上出ておりましたので、ここには掲載しておりますが、実際まいた後にどれぐらい二酸化チタンが空気中へ飛散するというか、舞い上がるかということは、はっきりわかっておりませんので、散布後の労働時間との比較というものはできておりません。
 ただし、あえて一番上の二酸化チタン使用状況、10a当たり6%の懸濁液を1,000倍希釈して300L播いたとすると、1m3当たり18mgの二酸化チタンが播かれるということで、その二酸化チタンが1mにすべて舞い上がったとして算出することはできると思いますが、実際には比較する対象となりませんでしたので、ここには掲載させていただいておりません。
 参考までですが、こういう暴露量といいますか、暴露する可能性のある量として計算させていただいております。
以上、資料につきまして御説明させていただきました。

【山本座長】今日、初めて出てきた剤でございまして、ただいま二酸化チタン懸濁液の概要並びに参考資料4として、暴露量がどの程度あるのかという試算をしていただいたということでございます。
 それでは、皆さんからの御意見、御質問等をお受けしたいと思います。
 根岸委員、どうぞ。

【根岸委員】いろいろ詳しいデータがたくさん乗っかってきているということで、これの審議を始めてしまうというと、何となくこれがこのまま真っすぐ進んでしまうのではないかということで心配しているところです。
 ということは、二酸化チタンはもともと特定農薬というものの性格が果たしてこういうものに当てはまるかどうかということが、私としては疑問です。非常に変な表現になりますけれども、例えば農家の台所辺りにこういうものがぽろんと転がっていて、それを農薬という形に転用するという形が本来の姿ではないかという気がするんです。二酸化チタンというものは、果たしてそういうものに該当するのかどうか。
 先ほど、これはいいだろうということでOKになったところの電解水なども、そういう意味ではちょっと怪しげなところもあるような気がするんですけれども、こちらになると更にこういう物質としてきちんと物ができているわけですので、果たしてこれを特定農薬の俎上に持ち上げること自体が既に難しいのではないかという気がするんです。

【山本座長】ありがとうございました。
 牧野委員、どうぞ。

【牧野委員】同感でありますけれども、特定農薬の部門をつくるに当たっての経緯というのは、農家が既に使っていて、ポジティブリストにより非常に基準が厳しくなったので、それを緩和するためにやるんだという話になっていたわけです。本件については,普通の農薬として登録していただいた方がいいのではないかと思います。

【山本座長】いろいろ御意見があります。どんどんお願いします。
 中杉委員、どうぞ。

【中杉委員】多分、今、お2人の先生が言われた議論は、たしか電解水をやるときにそういうことを申し上げて、当初はお2人の先生が言われたような話だったということだけれども、少し解釈が違ってきて、広く解釈をしているんだという御説明を受けて、電解水についても一応審議をしましょうという経緯を持ったように思うんです。だから、そこら辺のところは、もともとどうだったのかということを、もう少し広く解釈してしまっているのではないかと考えています。この判断は妥当かどうかというのはあれですが、実際はそういうところで動き始めてしまっているということがあります。
 もう一つ、これは私の質問ですけれども、一番最初に資料2のところで言われた論点整理で、原材料の解釈をどういうふうにするのか。これ自体の場合には、原材料は二酸化チタンであることは間違いないだろうと。ただ、これは電解処理をするんですね。活性化をするという電解処理をするということは、そのままではない。電解処理という加工の内容が入ってきていると思うんです。
 もう一つ気になるのは、ここにいろいろ二酸化チタンの試験の結果を添えていただいているけれども、この試験の結果というのは、その電解処理をしたものを使って試験をやっているのか、もともとの二酸化チタンの粉末の試験なのか。これは違わなければ違わないで、その両方の整理をしていただく必要があるんだけれども、資料を見せていただくと、一応化学形態も少し違うようで、水への溶解性といいますか、分散性を高めるということになると言われているので、そうなると若干いろんな意味で影響が出てくる可能性があるかと。そこら辺をどういうふうに解釈するかということは、少し疑問であるということだけ申し上げておきます。

【山本座長】ありがとうございました。
 眞柄先生、どうぞ。

【眞柄委員】 二酸化チタン自体は非常にポピュラーな粉末で、食添にも使われていますし、化粧品にも使用が許可されています。それぐらい安定して問題ないものですが、光触媒のように、今これは光触媒と同じような作用を持つようになりますと、それについては必ずしもヘルスリスクについて情報が十分ではありませんし、光触媒自体はいろんなところで勿論多用されていますので、問題はないと思いますが、この方法でできるいわゆる光触媒性、酸化触媒の機能を持ったものだけを特定農薬にするというのは、私もいささか問題があるのではないだろうかと思います。
 光触媒自体は大変ポピュラーで、いろんな形でもう既に利用されていますので、一般論として特定農薬として申請をされるのであれば、考量の対象にはなるだろうと思いますが、この方式によるものをとなると、先ほどの電解塩素水に比べれば、かなり限定的になってしまうので、光触媒が世の中で多用されているものでありながら、これだけをということになると、少し問題が発生するのではないかと私も感じました。

【山本座長】上路委員、どうぞ。

【上路委員】先生方がおっしゃっていたように、かなりいろんな点が指摘されておりますけれども、私の方からは、この剤は確かに二酸化チタンとして毒性などそれなりの試験がされています。だけれども、これはナノ粒子径としても結構小さいもので、これをどうやって播くのか。いわゆる使用方法ですね。マスクをかけるとか、そうなってくる可能性があるだろうと思います。それはやはり特定農薬として、安全性という点からは、ちょっとそぐわないのではなかろうかということが考えられます。
むしろ、先ほど来お話がありましたように、この剤は本当に効果があるならば、農薬として登録された方がいいのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

【山本座長】ありがとうございます。
 吉田委員、どうぞ。

【吉田委員】確かに放電処理をした後ということはありますけれども、使用法の原材料の大きさを見ますと0.2ということですから、ナノの大きさより大分大きいということにはなります。口から食べる限りは全く毒性がなくて、ただ、やはりそういう異物ですから、肺から吸うとそれなりに毒性は出てくるということだと思います。
 私は、どういう使用かということの専門家ではありませんが、もともとの特定農薬という定義に当てはまらないのであれば、それをそれなりに吸い込んだ場合に、毒性があるということも勘案しますと、まずそこの議論をという先生方の意見には賛成です。
 以上です。

【山本座長】そのほかに何かございますでしょうか。
 牧野委員、どうぞ。

【牧野委員】質問ですけれども、植物葉面に二酸化チタンをまいたときに、光が当たって光触媒の役割を果たすと思うのですが、励起される活性酸素といいますか、ラジカルの種類というのは記載されていなかったように思います。ラジカルの種類により毒性がそれぞれ違うと思いますので、その辺を知りたいと思います。
 もう一つは、体の中に取り込んだ場合リスクがわからないという話ですが、生物学的な排出といいますか、半減期について教えていただきたいと思います。

【入江農薬対策室課長補佐】いずれにしましても、まず活性酸素のラジカルの種類につきましても、今のところ、生物学的な半減期というものまでをデータとしては持ち合わせておりません。

【山本座長】何か関連のデータで補足はありますか。よろしいですか。
 今、幾つか御意見をいただいております。
 まず1つは、もともと特定農薬の概念に合致するのかという点。
 それから、活性化処理するということと、単純に二酸化チタンそのものとは毒性の面でも違うのではないかということがあります。
現場で使われたときに、あとどういう挙動をするかということについても若干質問がありましたが、これはデータがないということでした。
 まず、特定農薬の考え方に合致するかどうかということについては、この委員会でいろいろどういう資材を対象にしようかということで振り分けていって、三十幾つ残っていますね。そのときに残ってきたということから、一応これは特定農薬の概念に入るんだと。先ほど少し中杉先生がおっしゃったんですが、少し広めに議論したらどうかということもあったんだと思います。この辺の経過をもう一遍、何かあれば教えていただけますか。振り落していって、三十幾つ残して、これは議論しましょうということで、その中に勿論入っているんですね。

【入江農薬対策室課長補佐】方法としまして、昨年、たくさんあったものを切ったのは、まず農薬に該当しないというもの。他法令で規制がかかっているようなもの。天敵の中でも危ないような虫だとかそういうものだったので、そちらを先にどんどん落としていったような形。残った方は情報提供がある程度あったものとして残したということで、細かな成分の性質について議論した結果ではありません。

【山本座長】そうすると、残っている剤というか、ものが、これは特定農薬の概念に合うといって残したわけではなく、まず明らかに合わないものを外していったというところで残ったのが三十幾つで、そのうちから情報提供があったものから順に審議していきましょうという経過ですね。
 ですから、今、三十幾つ残した中で、これはある程度特定農薬として審議しましょうということで残したのであれば、先ほど来御意見がありました、もともとこれは特定農薬の概念に合うのかと今さら言ってもおかしいかと思ったものですからね。ちょっと私、誤解していましたけれどもね。特に特定農薬の概念に合うから三十幾つをピックアップしたということではなくて、要らないものを外していったらこれが残っているということですかね。
 中杉委員、どうぞ。

【中杉委員】その議論でもう一つ、私が電解水のときにそういう解釈で始めましたが、初めのとき、私はむしろ電解水は特定農薬ではないのではないかという考え方でいろいろ御意見を申し上げて、でも、全体としては特定農薬として、審査をしましょうということになったので、そういうものだと納得したのですが、本来、もともとの特定農薬をつくったというのは、農家の方が自分の身の回りにあるものを使うときに、いちいち登録申請しないといけない。使用禁止ということが出てきてしまったので、それを何とかしましょうということでつくられたんです。
 ところが、電解水もそうなんですが、だんだんそういう装置を売るとか、剤を売るという商売目的という言い方は悪いですが、そういうものが入ってきてしまっているところが、本来の趣旨とどう違うのだろうか。そういうものが入ってきたときに、それは本当に審査をするものとの違いで、そこで逆差別みたいなものが起きていないかということの懸念はあるんです。

【山本座長】眞柄先生、どうぞ。

【眞柄委員】私でしたら、水耕栽培の容器の内面に二酸化チタンの光触媒のコーティングをした容器を使います。明らかに水耕で光が当たれば、汚れ防止ですね。いわゆる従属栄養細菌は付きませんから、大変作業がしやすいと思います。そういう場合は特定農薬ではないわけですね。

【山本座長】病害虫ではない。

【眞柄委員】病害虫ではないから。でも、農業用の資材の試験は非常に効果があって、農作業をする上では大変役に立つだろうと思います。現にトイレの表面に光触媒のコーティングをしているわけですから、浴槽でも既にそういうものは出ています。勿論、洗面器にも使われているわけですし、高速道路のライトのヘッドにも光触媒が塗られていまして、それのおかげで高速道路のランプのヘッドを掃除する仕事が減ってしまったというぐらい、大変いい効果のあるものです。
 ですから、そういういわゆる防除効果、場合によれば殺菌効果があるというものは、二酸化チタンそのものは光触媒性を持って、そういうものがあるということは既に公知なわけです。
 今のように、オゾンの紫外線を当てて、光触媒性を持たせて、それで水にいれて播くということになると、特定農薬になるということになると、やはりどうなのかなという印象があります。ですから、どういうふうに考えていいか私はよくわからないので、この辺のところは特定農薬をどういうふうにするかというそもそものところで議論していただかないと、私たちには判断できないということになるのではないかと思います。

【山本座長】なかなか難しいところですね。
 課長、どうぞ。

【朝倉農産安全管理課長】基本的に、農薬取締法は薬剤を規制する法律なんです。だから、先ほど言った容器のようなものはそもそも対象にしていませんし、薬事法との最大の違いは、農薬取締法は薬剤しか対象にしていないので、例えば今、電解水の話が出ましたが、ああいうものを自分で発生させるような装置でつくって、自分で使ってしまうようなパターンというのは、農薬取締法の本来の規制対象の外側にあるんです。
 ただ、先ほど中杉委員からも御指摘がございましたように、平成14年の法改正で、個人で農薬登録を取るという、ダイホルタンの事件があったときに、業者ではなく個人規制を導入しましたので、それによって従来機械を売るかどうかの是非は別として、つくって自分でまいていた人が特定農薬に指定されない限りは登録申請、個々の農家が機械を買った人が全部登録申請をしなければいけなくなったという面で、これは特定農薬の趣旨には合っているだろうということです。
 今回の二酸化チタンは、経緯を見ますと、もともとの発見経緯は残留農薬を分解したいということで、防除効果がなくなってしまうのではないかと思うのですけれども、それでやり出したのですが、どうもこれは農薬の効果があるぞということで、当初は農薬登録を考えて商社などが参入して、なので試験もある程度あったりいろいろしているようです。
 ただ、その後農薬登録を断念して、一緒に協力していた農家の方が効果があるということで、自分でどうも調整して、周りの農家に配っているというので、使用農家が11戸あるということです。
 先ほど言いましたように、前回35資材に絞ったのは、500資材もあったのでは審議ができないので、明らかに農薬に該当しないものなどをまず除いておいて、35資材ぐらいになったら吟味できるので、それらを特定農薬にする是非も含めて議論していきましょうということでしたので、残ったから全部を指定するということではありません。
 そういう意味でいうと、委員からも御指摘のように、現状はそういうことで商社が商品化を撤退してしまっているので、現に使っている人がいるという状況ではあるんですけれども、これは多分指定されると、今後売る人が出てくるので、それで見ますと、本来登録農薬としてすべきでしょうし、参考資料1で第11回のときに論点整理を既にさせていただいておりますが、「2 防除用として販売することを目指す資材の特定農薬指定について」は、委員の方々の御議論の結果、上にある食品のようなケースと、売ることを前提にしたような資材のものは、当然扱いは違うし、審議の仕方もより慎重にしなければいけないねということで合意しておりますので、まさにこれは2に該当するものであろうと考えます。現状は農家が使っているとはいえ、売られ方としては、登録農薬的に売られる可能性はあるということですので、2の考え方で議論すべきものであろうと我々としては考えております。また御議論をいただいて、どうするかということは御審議いただければと思います。

【山本座長】中杉委員、どうぞ。

【中杉委員】多分、こういうことができるのかなと思います。
 これは特定農薬でないにしろ、農薬として売ってしまうと問題があるのかと思います。ほかの剤、例えば二酸化チタンなら二酸化チタンをほかの目的で売っているものを農家の人が買ってきて、放電処理するというのはどうなのかというのは勿論ありますが、その上で自分たちが使うという話であれば、ためにするような議論をしているかもしれません。本来そういうものですね。だから、エチレンにしろ、食酢にしろ、ほかの目的で売っているものを買ってきて、自分たちが勝手に使う。それも使ってはいけないというのはおかしいのではないかというのが特定農薬の制度をつくった本来の目的。だから、電解水の話もそういうことかもしれません。
 だから、そこら辺のところの考え方を、企業などは実際そういうふうに言いくるめても、言い逃れをしているとしか言われないかもしれないけれども、考え方をシェアすることではないかと思います。

【朝倉農産安全管理課長】まさにそこは、農薬の規制における登録と登録後の取締りの関係になるんです。我々は行政機関ですから、登録する際にはFAMICに命じて、農薬工場とかに対して立入検査をしているんですけれども、怪しげな資材が販売されている場合は農政事務所とかを動員して監視してやっているわけです。
 そういう意味で、監視が100%いくのであれば、中杉委員の言ったような区別が可能なのですが、どうしても行政の公権力が必要になりますので、そうすると限られた人数の中で監視がどの程度行き届くかということを考えながら指定をしていかないと、結局制度の趣旨と違うようなものが出回ってしまうことや、今回のケースは、使用者に対しての安全性の懸念も少しあるわけですね。データがはっきりしないということはありますけれども、特に吸入した場合。そういった点も考慮したときに、本来の指定の趣旨と外れるようなものをいちいち監視できるかどうかということも含めて、それがもしきちんとできないのであれば、行政的に本来指定していいかどうか。かつそれが安全性に関わるかどうか。この辺が我々としても大きな論点だと思っております。
 ですから、なかなか我々自身も大丈夫です、はっきり監視しますと言えない。そうすると、やはり指定は慎重に考えなければいけないだろうと思います。前回論点整理をしたそういう趣旨も2のところに入っておりますので、そういう点も加味していただいて、特定農薬の場合使用基準とか使用上の注意事項もなかなかラベルに個々に付けるということはできないわけですけれども、エチレンのようにMSDSがきちんと全部付いていて、購入するときにそれをちゃんと確認してやってくださいと制度上担保されていればいいんですが、そのような何か代替の手段とかそういうもので、ある程度使用上の注意事項が担保されつつ、指導が行き届くかどうかも考慮しつつやるのですが、いずれにしても使用基準がない中ですので、監視がきちんと売るものだけやるということも難しいということを考えると、安全性を加味したときにその辺をどう考えるかというところがポイントです。

【中杉委員】多分、今回の申請である資材は、今のところというと、一部情報提供者に送っているということはあるけれども、使用される方が自分たちで使用したために申請を出されているというのは、今回の申請の大きな趣旨だろう思うので、そこら辺のところが非常に微妙なんです。これが明らかに売りたいということで出てきたら、もう少しちゃんとしておかないといけないなというところなので、ただそうは言いながら、そこら辺はこれで認められると、次にまたある。イタチごっこみたいな話で、それをどうするかという話だと思います。

【朝倉農産安全管理課長】その際に、安全性上の懸念が全くないわけでもないというデータもあるので、そこら辺がどのぐらい安全率を見込まなければいけないのかと。要するに、取締りが行き届かない場合も想定して、あるいは指導が行き届かないことも想定して、どの程度の安全率を見込まなければいけないかということは、行政として指定という権限を行使する以上、委員の方々によく御議論いただく必要があろうということが論点になろうかと思います。

【山本座長】牧野委員、どうぞ。

【牧野委員】EPAの登録というのは、全然ないのでしょうか。

【入江農薬対策室課長補佐】EPAの登録まで細かく調べておりません。

【牧野委員】EPAでは割と早く登録されています。調べておいていただき、どうなっているのかということもお聞きしたいです。

【入江農薬対策室課長補佐】わかりました。

【山本座長】今の話は、EPAに農薬登録としてあるかという意味ですか。

【牧野委員】生物農薬も含めてですけれども、リスクの低いものについては結構登録があります。

【山本座長】なかなか難しいなという感じです。
 そのほかの先生方、いかがでしょうか。
 吉田委員、どうぞ。

【吉田委員】余り新しい論文ではありませんが、ラットの2年間の吸入毒性の試験を見る限り、その容量がかなり低い容量から肺の影響に変化、これは別に二酸化チタンではなくても起きる変化ですけれども起きておりますので、少なくとも使用する方はマスク程度はしていただかないと、先ほどの計算値の値というのが18mg/m3ということで、ラットの毒性試験の一番低い容量より高い容量になりますが、すべて舞ったとして、それをすべて吸ったとすると、そういうこともありますので、作業者については何もしないでいいというものではないのではないかと思います。

【山本座長】どうぞ。

【上路委員】参考資料4のところに、厚労省の方で「ナノサイズの酸化チタンのデータを加えて、平成23年度に判断」と1項目があります。ここについては、厚労省から何か報告が出ているのでしょうか。

【入江農薬対策室課長補佐】今のところまだ報告書のようなものは出ていないようです。

【山本座長】どうぞ。

【中杉委員】最初に私が申し上げたことの繰り返しになるのですけれども、やはり電解処理したことによったものの試験なのか。例えば水生動物の影響ということになると、分散性が少し変わってくると影響が変わってくる可能性があるので、この試験をやったもの、二酸化チタンと言われているけれども、どういう剤を使ったのか、試験に使ったものはどんなものかということを明らかにしていただく必要があると思います。
 もし普通の二酸化チタンを混ぜただけのものであれば、やはり電解処理をしたものでやらないと、そこら辺のところはわからない。勿論ほかの情報を出していただいて、同じだということを主張していただくのも結構だと思いますけれども、そこら辺がちょっと懸念が残ります。

【山本座長】 いろいろな毒性試験の材料に使ったものが、どういうものか。実際にうどんこ病に播くときのような活性化処理したものであるのか、単なる二酸化チタンを含んだものかという点ですね。
 矢野委員、どうぞ。

【矢野委員】今ほどの中杉委員の意見に賛成です。是非その辺を調べていただきたいと思います。
 それから、素朴な疑問なのですが、現実に使われていますので、やはり使用されている農家の方々の健康への影響、安全性が非常に気になります。そのことについて、暴露量は無視できないとしながらもデータがないという状況を、どうとらえていいのか。その辺りは、私もよくわからないのですが、どういうふうにとらえればよいのでしょうか。

【入江農薬対策室課長補佐】暴露量につきましては、今、我々の知見からすぐに計算できるようなものがなかったもので、このように書かせていただいておりますが、専門の先生方がいらっしゃいますので、この物質自体の専門ではありませんが、大気中の評価といいますか、その先生方にもモデルなりシミュレーションができるかどうか確認することはできると思いますので、必要であれば調査したいと思います。

【山本座長】この暴露量に関しては、散布時の暴露量は10倍ぐらいの幅で大体こういった考え方でいいのかなという感じがするのですけれども、まいた後にハウスに入って、それが飛散したときに、もう毎日ハウスに入られるわけですね。そういったときの暴露量は、なかなか難しいなと。いろいろな暴露に関する研究をしておられる先生方でも、どう判断したらいいのか難しいところがあるのではないかと思います。
 そのほか、いかがでしょうか。
 どうぞ。

【中杉委員】細かい点なのですが、参考資料4の2ページ目にあります、厚生労働省ではこれから判断するということで、環境省の方は健康リスクは現時点で作業の必要なしと単に書いてありますが、これはナノのものについては評価をしていないということですが、ナノを含めて現時点で作業の必要はないということを言っているわけではございません。ナノは評価をしないということで、いわゆる二酸化チタンの普通の粒子については、作業の必要はないという判断をしているということでございます。ちょっとだけ注意していただければと思います。

【山本座長】眞柄先生、二酸化チタンに大変お詳しそうですけれども、この二酸化チタンの粉末を買ってくるといったときに、粒子径が0.2ミクロン以下と書いてあるんだけれども、小さいところはどの辺まであるんですかね。

【眞柄委員】幾らでもできますので、市場にはその辺の白色塗料はみんなチタンで、自動車の白いボディはみんなチタンですから、いっぱい世の中にあるわけで、買ってくるものが幾らのサイズかという指定はできるのかどうかわかりませんけれども、とにかく本当に多用されている無機の着色粉末だということは間違いないわけですが、それ自体のスペックがどうなっているかというのは、私もよくわかりません。

【山本座長】あの小さいところは、恐らくずっと粒子径をそろえて売っているということはあり得ないので、そうするとナノサイズのところの吸入毒性のようなところがわかってこないと、なかなか毒性の方も判断しにくいところがありますね。

【眞柄委員】ナノサイズのものは、いわゆる化粧品とか石鹸とか、そちらの方に使いますので、そういう意味で厚生労働省が毒性評価をしようとしているということで、普通の顔料で使われているようなものは対象にはしてない。いわゆるナノですね。
 よく話題になるのは、日焼け止めの白いクリームが、公共用水域の底質にかなりあるということが話題になっていますので、そういう意味でいろいろな方々がリスク評価を、アメリカも日本もそうですけれども、おやりになっていらっしゃるという情報は伺っております。だから、まだ結論は出ていないというのは、確かだと思います。

【山本座長】矢野委員、どうぞ。

【矢野委員】今のナノサイズのことについては、先日、朝日新聞のところで、さまざまな製品にナノサイズのものが使われていて、その影響について、やはり懸念されることがあるので、厚労省の方でもこれから少し調査に入るということが出ていましたから、そういったリスクについての結果も一定加味する必要があるのではないかと思っております。

【山本座長】吉田委員、どうぞ。

【吉田委員】確かに今、ナノはいろいろ問題になっていますけれども、これが本当にナノかどうかということをきちっと調べないと、例えば懸濁した、吸入ならまだしも、気道内に入れた時点の実験は、すべてナノではなくてミクロかマイクロになっておりますので、そこはきちっと分けて考えないといけないかなと、毒性の人間としては思っております。

【山本座長】どうぞ。

【中杉委員】吉田委員と同じような話ですけれども、実際には環境に出て、まかれた後、そのときはナノであっても、こういうものを分散させるのは難しいものなので、凝集しやすい。だから、実際に暴露されるときはナノではない可能性があります。そこら辺はわからないんです。実際に環境に入って、この毒性試験自体も本当にナノの状態をやっているかどうかということは難しい。
 そういう意味では、職業暴露のような話だと、比較的ナノの状態に近いだろうと。1回まいたものがもう一回まき上がるときは、それがひょっとするとナノではなくなっているかもしれない。そこら辺はわからないんです。情報が十分にないということです。

【山本座長】ほかに何かございますでしょうか。
 そうしますと、今日幾つか御指摘をいただいたわけですけれども、まず特定農薬というもともとの概念に合致して、ここで安全性が確認できれば、特定農薬として指定するかどうか。まず、特定農薬という概念になっているかどうかという問題が1点。
 それから、仮にここで審議を進めるということになったとしても、毒性についてもう少し詳細な情報が要るだろうと。ここで今日見せていただいたいろいろなデータが、二酸化チタンそのものなのか、あるいは活性化させた、使い方に記載のような処理をされたようなものを使った毒性試験なのか、その辺もこのままではわかりにくいということがあったと思います。
 それから、ナノサイズのものについても、これは今、吉田委員から別に分けて考えた方がいいということ。あるいは上杉委員の方から、水に懸濁した段階で、そういった小さな粒子は少し考えにくいのか。凝集しやすい性格があるということもあって、そのナノサイズの関係で、今、厚労省で考えてやっておられるような試験データも少し出てくれば、そういったこともまた参考にさせていただくというような、今の3点ぐらいの整理でよろしいでしょうか。
 こういう視点を是非調べておくということがもしございましたら。
 最初の特定農薬としている概念にどうだこうだということについては、整理の仕方を今後また新しい剤が出てきたときに関係する話ですから、一定の考え方を整理した原案のようなものをつくっていただくことにしますか。

【朝倉農産安全管理課長】今日出たのは、多分両方の性格があるときに、どうしようかということが、なかなか難しいなと思いますので、先ほどちょっと言いましたように、我々が指定する場合に、取締まりが現実に可能か、監視なり指導が、そこは非常に重視していますので、規制としてきちっとするためには、登録なり指定だけではなくて、そこの監視なり指導が行き届くことを前提で安全を確保する、その両輪があって初めて安全になりますので、そこがまず1つあるということで、なかなか難しい課題なのですが、ちょっと検討したいと思います。
 先ほど矢野委員から御指摘があった、まさに今、使っている農家の方に対しては、こういう毒性上の懸念も少しあるようだという情報は伝えまして、マスクするとか、ちゃんとした方がいいですよということで注意喚起をして、万が一の健康影響がないようなことはきっちりさせたいと思っております。

【山本座長】かなりたくさん御意見をちょうだいしました。先ほど申し上げました、まず特定農薬の概念に合致するかどうか。この考え方をどう整理するかということが1点。
 それから、毒性の関係で1点ないし2点ということで、この後また整理を進めて、継続審議ということにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)

【山本座長】 ありがとうございました。
 それでは、その他が3番目にございます。1件、事務局の方からあるようでございますので、これについて説明をお願いいたします。

【入江農薬対策室課長補佐】資料4をごらんいただきたいと思います。(案)としまして本日付の紙を1枚用意しております。「特定農薬指定の検討対象資材の取扱いについて」という紙でございます。
 ここに書いてあることをそのまま説明させていただきますと、先ほども議事の中で出てきましたが、昨年の2月に、特定農薬の指定を検討する資材を35資材まで絞りました。その際に、事務連絡によりまして、今後しばらくの間を経て、もう指定の検討に必要な情報が得られない場合、提供されない場合は、この検討対象資材から除外することもあり得るということをお伝えして、関係者に連絡をしております。
 その後ちょうど1年経ったところでございますが、新たにデータ提供がありましたのは、今回の二酸化チタンのみでございました。
 そこで、今後このまま続けていても、なかなか新たな情報提供が見込まれないと思いましたので、ここに書いてあります1~4までの事項を事務局におきまして整理させていただきまして、今後、検討する資材を絞っていこうと考えております。
 当然ながらここにありますデータ提供状況、またその概要、そういうものがあるか。重要なのは、この使用実態だと思いますので、これをまた更に詳細に調べたいと思います。
 最終的に整理するに当たりましては、35資材の中に全くの食品であったり、このような二酸化チタンのような金属、化学物質のようなものもございますので、考え方を食品とそうでないものとして分けるようなことをさせていただいて、また絞っていく方向性を次回の合同会合で諮らせていただきたいと思います。
 以上です。

【山本座長】ありがとうございます。
 御説明いただいたように、データ提供、情報提供があれば、それを基に審議しましょうということですが、この間ほとんど情報提供がないものもあるということで、いつまでも持っていても大変なので、例えば年限を今後どのぐらい以内に提供がなければ、もうこれは資材から外しますという公示でもして、もうやめますということも含めて、次回この1番~4番について整理したものを出していただいて、対象資材を絞り込んでいってはどうかという御提案でございますが、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、御異論ないようですので、先ほど補佐の方から御提案いただいたように、次回の検討会でこの辺を整理したものを出していただいて、議論をさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
 それでは、今日こちらで用意いたしました議題は以上でございますが、そのほかに、何か先生方の方からございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、本日の議論につきまして、論点を整理していただいて、次回の会合で御報告するということにさせていただきます。
 そのほかに、事務局の方から何かございますでしょうか。

【入江農薬対策室課長補佐】特にほかに議題はございません。今回、御議論いただきました内容につきまして、また整理させていただきまして、会合の事前に今回と同じように資料を提供させていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。
 本日は、どうもありがとうございました。

【山本座長】ありがとうございました。
 最後になりますが、今日の議事概要及び議事録につきましては、事務局の方で案を作成いたしまして、委員の方々の了承を得まして、発言者の氏名等を併せて公開になるということでございます。
 事務局案ができましたら、また確認をお願いすることになると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、以上をもちまして、本日の合同会合を閉会させていただきます。長時間にわたりまして、本当にありがとうございました。

(以上)