中央環境審議会土壌農薬部会農薬小委員会(第27回)議事録

日時

 平成23年10月11日(火)14:00~17:15

場所

 環境省第1会議室

出席委員

委員長
森田 昌敏
委員
中杉 修身
臨時委員
上路 雅子
五箇 公一
白石 寛明
染 英昭
平松 サナエ
細見 正明
眞柄 泰基
 
専門委員
井上 隆信
内田 又左衞門
築地 邦晃
根岸 寛光
吉田 緑

(欠席は、井上(達)臨時委員、山本臨時委員、渡部臨時委員)

委員以外の出席者

環境省
農薬環境管理室室長、農薬環境管理室室長補佐、農薬環境管理室室長補佐、農薬環境管理室係長、農薬環境管理室主査

議題

(1)
水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準と環境中予測濃度(水産PEC)が近接して いる場合の対応について
(2)
水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定につ いて
(3)
水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定について
(4)
その他

配付資料

資料1 中央環境審議会 土壌農薬部会農薬小委員会(第26回)議事録(案)
資料2 諮問書(写)及び付議書(写)
資料3 プレチラクロールについて
資料4 水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準と環境中予測濃度(水産PEC)が近接している場合の対応について(案)
資料5 水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料(案)
資料6 水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料(案)
資料7 水質汚濁に係る農薬登録保留基準の設定を不要とする農薬について(案)(デシルアルコール)
資料8 環境中予測濃度算定における水稲の育苗箱施用農薬の使用量の取扱いについて(案)
資料9 水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準の改正案に対する意見募集の実施結果について
参考資料1 中央環境審議会 土壌農薬部会農薬小委員会(第26回)議事要旨
参考資料2 農薬評価書 アセタミプリド(食品安全委員会資料)
参考資料3 農薬評価書 スピロテトラマト(食品安全委員会資料)
参考資料4 農薬評価書 トルフェンピラド(食品安全委員会資料)
参考資料5 農薬評価書 ビフェナゼート(食品安全委員会資料)
参考資料6 農薬評価書 ピメトロジン(食品安全委員会資料)
参考資料7 農薬評価書 ピリダリル(食品安全委員会資料)
参考資料8 農薬評価書 ピリベンカルブ(食品安全委員会資料)

議事

【農薬環境管理室室長】 委員の先生、おそろいではございませんが、定刻となりましたので、土壌農薬部会の第27回農薬小委員会を開催させていただきます。
 初めに委員の先生方の御出席の状況でございます。本日、井上達先生、山本先生、渡部先生から御欠席と御連絡をいただいております。それから吉田先生、細見先生から若干遅れられるという御連絡をいただいております。従いまして、本日は14名の委員に御出席をいただくという予定になっております。
 委員、臨時委員総数12名のうち、9名の先生方に御出席いただくということで、小委員会開催要領の要件を満たしておりますことを、最初に御報告させていただきます。
 それから、本日の配付資料を御確認下さい。議事次第の下に配付資料一覧をつけております。資料1から資料9まで、資料は9種類ございます。それから参考資料は、参考資料1から参考資料8まで、8種類用意しております。
 また、委員の先生方におかれましては、水産動植物登録保留基準の設定に係る過去の審議会・検討会の報告等をファイルで配付しております。この資料につきましては、次回以降の小委員会でも使いますので、会議後、会場に残していただきますよう、お願いいたします。
 それから傍聴者の方、オブザーバーの方ですけれども、資料1の前回の農薬小委員会の議事録、それから参考資料2から参考資料8までの食品安全委員会の資料につきましては、大部でございますので、資源節減の観点から配布せず、ファイルにとじたものを机上に置いておりますので、必要でございましたら、そちらのほうをご覧下さい。資料等の抜け等がございましたら、会議途中でも結構でございますので、事務局までお申しつけ下さい。
 それでは、議事に入らせていただきます。森田委員長、よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 本日も結構議題がすごく多くて、17時30分まで予定されておりますが、熱心な御討議をよろしくお願いいたします。
 それでは、今日の議事次第を見ていただきますと、1番目が水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準値案と環境中予測濃度(水産PEC)が近接している場合の対応についてという方法論的なものがございます。それから続きまして、水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定についてと、それから3番目として、水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定についてという、この3件が概ね予定されているところでございます。
 それでは、まず本日の審議の公開についてであります。土壌農薬部会の運営方針では、審議中の答申、非公開を前提に収集したデータが記載されている資料など、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある資料や、公開することにより特定の者に不当な利益もしくは不利益をもたらすおそれがある資料などがあります場合は、委員長の判断に基づいて非公開とするとされています。
 今回の農薬小委員会では、申請者から提出された農薬の毒性試験報告書など、企業秘密に当たる資料を使用しないことから、非公開の理由に当たらないため、今回の農薬小委員会については公開とさせていただきます。
 さて、議事に先立ちまして、前回、7月4日に開催いたしました第26回小委員会の議事要旨を御確認いただきたいと思います。事務局より御説明をお願いいたします。

【農薬環境管理室室長補佐】 参考資料1をご覧ください。中央環境審議会土壌農薬部会の運営方針では、議事要旨については委員長に了解をいただければ公開できることとなっております。本日の参考資料1の内容で、既に環境省ホームページで公開しておりますので、御報告いたします。

【森田委員長】 それでは続きまして、前回議事録についてでございます。これは、事前にメールで各委員の先生方に確認済みとのことでありますが、資料1で配付しております。御意見がございますでしょうか。
 既にメールで回ってきたと思いますので、特段の御意見がないようであれば、この形で(案)を取らせていただきまして、土壌農薬部会の運営方針に基づいて、公開とすることとしております。よろしいでしょうか。
(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは前へ進めていくことにしたいと思います。
 それから、続きまして農薬小委員会の決議についてであります。これは毎回やっておりますけれども、議事にこれから入りますけれども、農薬小委員会の決議の取り扱いについて御説明をさせていただきます。
 「中央環境審議会土壌農薬部会の小委員会の設置について」の土壌農薬部会決定により、農薬小委員会の決議は部会長の同意を得て、土壌農薬部会の決議とすることができることになっております。したがって、この農薬小委員会後には、農薬登録保留基準の設定のための土壌農薬部会は招集せず、土壌農薬部会の中杉部会長の御了解をいただいて、部会としての結論としていくことになります。中杉先生、本日お見えでございますので、そのまま前へ進むという段取りになるかと思います。
 では、この件を御了解いただいた後、議事次第に沿って議事を進めてまいりたいと思います。
農薬取締法第3条第2項の規定に基づき、環境大臣が定める基準の設定についての件については、平成23年9月26日付で環境大臣から諮問があり、同日付で土壌農薬部会に付議されております。 事務局から諮問書を御紹介してください。

【農薬環境管理室係長】 資料2をご覧ください。まず、1ページ目になりますけれども、平成23年9月26日付けで、環境大臣から中央環境審議会会長に対して、以下のとおり諮問がされております。
 農薬取締法第3条第2項の規定に基づき、環境大臣が定める基準の設定について。標記のうち、農薬取締法第3条第1項第4号から第7号までに掲げる場合に該当するかどうかの基準を定める等の件について、(1)別紙1の農薬に関し、告示第3号の環境大臣が定める基準を設定すること、(2)別紙2の農薬に関し、告示第4号の環境大臣が定める基準を設定することについて貴審議会の意見を求める。
 1ページめくっていただきますと、裏面が別紙1になっておりまして、告示第3号の環境大臣が定める基準であります、水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準となっております。今回は8農薬ございます。
 続きまして、3ページ目が別紙2の告示第4号の環境大臣が定める基準になります。こちらの水質汚濁に係る農薬登録保留基準となっておりまして、7農薬記載しておりますが、本日はこの7農薬に加えまして、もう1農薬ございます。
 5ページ目をご覧ください。平成23年6月16日に環境大臣から中央環境審議会会長に対してなされた諮問になっておりまして、前回第26回の小委員会の際にも御紹介させていただきましたが、この際御審議いただかなかったものが1農薬ありまして、こちらと先ほどの7農薬を合わせまして、8農薬について御審議いただく予定となっております。
 あと4ページ目と7ページ目が付議書となっておりまして、中央環境審議会会長から中央環境審議会土壌農薬部会部会長に対しまして、今、御説明した内容が付議されております。
 以上でございます。

【森田委員長】 今、諮問書のほうを御紹介いただきました。それではこれから議事に入りたいと思います。
 議題の議事(1)ですが、水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準値案と環境中予測濃度(水産PEC)が近接している場合の対応についての審議に入りたいと思います。事務局のほうから資料の御説明をお願いいたします。

【農薬環境管理室長】 それでは、説明させていただきます。
 資料3、資料4を御説明させていただきます。水産動植物に係る農薬登録保留基準案につきましては後ほど資料5で御説明いたしますが、資料3及び資料4につきましては、プレチラクロールという剤について、特記して資料を整理しております。
 以前から小委員会で、基準値案と環境中予測濃度(水産PEC)が近接している場合について、モニタリングのデータを御提供させていただくなどしてまいりましたが、今回プレチラクロールについて、これも基準値と水産PECが近いものですから、過去のモニタリングデータなりを調べてまいりまして、非常に地域が限定されておりますけれども、モニタリングデータで基準値を上回るような場合がございました。これまで小委員会でも御議論をいただいたこともございまして、プレチラクロールについて取り扱いを整理させていただいたのが資料3のペーパーでございます。
 それから、それを受けまして、今後同様の農薬があった場合に、どういったようなことに取り組むのかというのを整理させていただいたものが資料4でございまして、この二つの資料について御説明させていただきます。
 それでは資料3をご覧下さい。プレチラクロールについての資料でございます。
1ページ目の一番上に除草剤でございますけれども、この農薬の特徴を書いてございます。水田の初期除草剤や水田初中期の一発除草剤として、東日本を中心に幅広く使われておりまして、全国でだいたい3割の普及率がございます。水稲用の除草剤として非常に効果のある剤ということで、普及率も高いというようなものでございます。
 それから、この農薬の物理化学性を次に整理しておりますけれども、水溶解度は高いですが、非常に分解性も高くて、それから使用につきましては、いわゆる田植えをする前から使用されて、田植え後7日~10日まで効果があるということで使用されております。
 それから、なお書きに書かせていただいておりますが、田植え前の使用ということで、田植え4日前まで使用できるという形になっておりますが、使用上の注意事項で、分解も早いということで、環境中への影響という観点から、実際にまいてから水田の排水のところをとめまして、散布後7日間の間は落水、かけ流しはしないというような形で、注意事項に記載されているという剤でございます。
 2番目に、このプレチラクロールの登録保留基準値案と、それから環境中予測濃度(水産PEC)の値を参考までに書かせていただいておりますが、水産基準値案は2.9µg/Lとなっております。それから水産PEC、これは第2段階、Tier2ですが、止水期間7日間で1.1µg/Lでございます。ちなみに止水期間をそれぞれ何日間にすることによって、環境中予測濃度がどれだけ変わるかというのは参考の表に書かせていただいておりますが、こういった形で環境中予測濃度は減衰していくというような形になっております。
 この剤、基準値案とそれから環境中予測濃度が近いということで、過去調べているモニタリングのデータを調査いたしました。厚生労働省で調べられております水道統計と、私ども環境省で調べております農薬残留対策総合調査、この二つの調査がございます。この調査結果が5ページ目、水道統計でプレチラクロールが調査されている地点が、全部で17年から平成20年まで2,176地点ございますが、その中で、水産PECを超えているデータを、ここに列記させていただいております。表中、左から四つ目、最高検出値[1]と書いているところは、個別のデータを書かせていただいております。
 これは先ほど御説明させていただいたとおり、普及率が非常に高い剤です。環境中予測濃度は普及率10%で環境中予測濃度を設定しておりまして、実際の農薬の普及率を乗ずることで、どれだけ水産PECが変わるかというのを算出しておりまして、それが右から2番目[2]でございます。最高検出値の[1]に農薬の普及率を乗じまして、10で割りましたものが[2]になっております。
 これで見てまいりますと、普及率を加味すると、個別のモニタリングデータの方が下回っているデータが多うございます。
 ただ、この中でも、[1]のところで2カ所、17年の熊本県それから20年の千葉県の印旛沼で基準値を超えているような状態が2,000カ所のうち2カ所ある。地域は限定されておりますけど、2カ所あるというようなことでございます。
 それからもう1枚めくっていただきまして7ページ以降、農薬残留対策総合調査、これは環境省で、県の環境試験場や農業試験場にお願いをいたしまして、個別の水質のデータを調べておりまして、その中でプレチラクロールを調べているものを列挙しております。こちらは、いわゆる農薬の水質中の挙動を調べるという意味で、大体3日なり4日なり、かなり短い期間で同様の地点で、どういったような挙動を示すかというのを調査しておりまして、最高濃度を見てまいりますと、いくつか水産PECを超えているものもございますし、9ページに書いてございますように、秋田県の場合は基準値を超えるようなところもあるというような結果になっております。
 こういったデータを受けまして、2ページに戻っていただきまして、私どもの農薬残留対策総合調査で、個別の地域でのモニタリングだけじゃなくて、もう少しほ場レベルで調査をしたもの、それからあともう少し解析をしていただいた精密調査等ございまして、その中でどういった解析をされているのかというのを書いております。
 4番目の北海道で書かせていただいておりますが、主要な田植え時期にプレチラクロールの流出が多い原因として、水管理上のミスや田植え前の施用というのがあるのではないかということを踏まえまして、北海道の場合はいわゆる河川への流出による環境の影響を考えて、移植前の使用はやめるということにしております。
 それから秋田県で、もう少しほ場レベルで細かい調査をいたしましたら、水田中でプレチラクロールは速やかに分解されるので、止水期間が守られている場合は、水田から流出量は相当減少するというようなことがございます。こういったことを勘案しまして、限定されておりますけれども、水産基準値案を超過している地点が見られる原因として、2点挙げております。
まず、プレチラクロールの普及率が高いこと。それから2点目、特に田植え4日前まで使用できることになっておりますけども、通常の栽培でいくと、田植え前に落水するということで、止水期間7日間が遵守されていないことが懸念されるのではないかということで、2点書かせていただいております。
 こういった状況を踏まえまして、このプレチラクロールを製造した農薬製造者に、実際にこの剤について、環境への対応も含めてどういったようなことをされているのか聞き取りをしております。それを11ページ以降に整理して資料をつけておりますので、そちらをご覧下さい。
 まず11ページ、別紙3は農薬製造者がどういったことをやっているかということです。まず、これはプレチラクロールの開発者だけではないですが、農薬の製造メーカー全般で、しっかりと止水期間を守りましょうというような指導はされております。
それから次の12ページでございますが、これは個別の農薬製造者が、田植え前の処理で環境への負荷がかかることの懸念から、田植えと同時に処理をするというようなことを、農家に普及されておるということでございます。
 13ページ、秋田県で個別にこういった指導をした結果、農薬の使用がどう変わったかというのを、当該農薬製造者が調べておりまして、図3に書いておりますが、2006年から2010年まで、いわゆる田植え前の処理が減って、田植え後の処理が増えております。
 実際にこういった指導をした結果、農薬の水質濃度がどうなっているのかも農薬製造者が調べておりまして、14ページ、ちょっと地図が見づらくて申し訳ございませんが、秋田県の雄物川水系で、いわゆる環境基準点で水質調査をいたしております。
 その結果がその下、図5でございます。河川中の濃度で、2006年から2008年まで3年間にわたって調べております。濃度は3年間で変わってはいないのですけれども、次の15ページをご覧いただきますと、図6がございます。
 秋田県ということで、積雪地帯で、河川流量が雪の具合で相当変わるということで、2006年から2008年まで流量が相当変わっておりまして、2006年、2007年、2008年で、ちょうど3対2対1ぐらいで流量が減っております。そこで、先ほどの濃度とこの流量を乗じまして、プレチラクロールの流出量を算定したものが、その下の図7でございます。田植え前から田植え後の使用への転換を指導された結果、プレチラクロールの河川への流出量は相当減じたというような結果になったと農薬製造者は考えております。
 また戻っていただきまして、3ページ目でございます。こういったことも踏まえまして、このプレチラクロール、今後どう対応していくのかというのを6番、農薬登録保留基準の設定と当面のリスク管理措置という形で整理をしております。このプレチラクロールについては、水質モニタリングデータも、水産基準値案を超過しているところは相当限定されておりますので、農薬登録保留基準の設定という意味では問題ないと考えております。
 ただ、水産基準値案を超過することが懸念される地域において、環境リスクを低減させるようなリスク管理措置を実施していく必要があるということで、具体的に下、三つほど書かせていただいておりますが、こういった措置を個別に対応していきたいというふうに考えております。
 まず1点でございます。使用方法の変更ということで、止水期間7日といいながら、移植4日前まで使用が認められるという点の見直しでございます。水稲の栽培条件を考え、登録上の使用時期を移植7日前までという形で変更することを今、検討しております。
 それから2点目でございます。止水期間遵守に係る指導ということで、環境への負荷を低減するという意味で、止水期間の遵守というのは非常に重要だということで、これは行政を通じて、それから農薬製造者を通じて指導してまいりたいと思っております。これまでもいろんな取り組みをしておりますけれども、具体的に県の農業の指導機関、農協なりが水稲の生産者を指導するのを、通知なりで指導徹底していくということでございます。それから農薬製造者も、先ほども御説明させていただいた取り組みにより、販売者や販売店を通じて、止水期間の徹底の遵守を促進しようと考えております。
 それから3点目、水質モニタリングの実施とその結果を踏まえた県等における指導ということで、プレチラクロールの普及率が高いようなところで、水道統計でデータがございます。こういった個別のデータも踏まえて、普及率が高くて、実際に基準値案を超えるようなことを懸念されるところについては、モニタリングを実施していただくように都道府県に対して指導を行うような形で考えております。
 環境省でも23年度に農薬の残留対策総合調査で、3県で調査を実施しておりますし、また24年度以降も各県で調査をされる場合は、そういった調査の実施ということで、県にお願いしたいと思っております。
 それから、モニタリングを各県でしていただいて、基準値案の超過が見られる場合には、それぞれの県においてリスクの低減を図る取り組みを検討いただくとともに、その状況を環境省に報告いただくような体制の構築をしてまいりたいと思っております。
 それから最後に、4ページ目に書いておりますけれども、農薬製造者も特に田植え前処理での使用量が多いようなところで、水稲の生産者に対して適正な使用を啓発するとともに、モニタリングをやっていくことを考えております。こういった一連の取り組みによって、環境リスクの低減を図ってまいりたいと思っております。
 以上がプレチラクロールへの対応ということで整理させていただきました。それから、資料4ですが、これを受けまして、今後同様のものがあった場合に、同じような対応が必要だろうということで、それを整理したペーパーが資料4でございます。
 1の経緯のほうは先ほど御説明させていただいたところでございます。
次いで2には、現行の登録保留基準の制度を、ちょっとおさらいしていただく意味で、(1)と(2)という形で書かせていただいております。
 資料を2枚めくっていただきまして、4ページ目、これは現状の水産登録保留基準の仕組みを決めたときの、当時の農薬専門委員会の報告を抜粋させていただいておりまして、6に登録保留基準の改定の内容という形で書いております。基本的な考え方ということで、アのところで書いておりますが、農薬の生態系の影響程度を実環境において定量的に分離・特定することが困難な現状において、少なくとも河川等の公共用水域の水質環境基準点のあるような地点において、法の対象にしているような水産動植物への影響が出ないように現状の評価手法を改善することで、農薬による生態系への影響の可能性を現状より小さくするというのを当面の目標とされております。
 とは言いながら、イの評価手法の[6]に書いておりますけれども、環境中予測濃度が急性毒性値、登録保留基準値案を下回っている場合でも、リスク評価の結果を踏まえて使用方法や使用場所の制限といったようなリスク管理措置を行う、モニタリングが必要だというような形で書かれております。それから(6)、登録後のリスク管理ということで、登録した後でも環境モニタリングの結果を踏まえたリスク評価を行って、必要なリスク管理措置を講ずることが重要という形で位置づけをされております。
 戻っていただきまして、2ページ目、3、農薬登録保留基準における水産PECの位置づけというのを、これもおさらいの意味でちょっと書かせていただいております。(1)水産PECは、当該農薬がその相当の普及状態のときに、申請書の記載に従って一般的に使用される場合の濃度ということで、環境基準点の置かれているような下流域の河川を想定しているということでございます。一定の環境モデルと標準的なシナリオで算定するということが書かれております。
 (2)に書いておりますけども、環境モデルは標準的な日本全般での水田、それから非水田を考えまして、すべての農薬に共通するという形で、標準的な河川面積や農地面積が考慮されております。
 それから(3)標準的なシナリオは、申請書の記載に従って一般的に使用された場合ということで、河川への流出量なりがワーストケースになるということを想定して、[1]相当の普及状態ということで、平成14年に制度が決まったときに、農薬の8割以上がカバーできるような普及率ということで、水田の使用農薬の場合は10%、畑地使用農薬は5%と設定しております。
 それから[2]に書いておりますが、個別農薬の使用方法については、散布量については最大となるような使用方法を、止水期間については申請書に記載されているような一番短い期間を、それぞれ設定するという形で書いております。
 それから農薬の散布量、使用方法で単位面積当たりの数値が記載されていないような場合がございます。この場合は当該適用作物の標準的な栽培管理状況に応じて、換算して算出しております。
 こういったことを踏まえまして、先ほどの資料3のプレチラクロールの状況を踏まえて、今後基準値案と水産PECが近接している場合の対応を4に整理しております。
 まず第一段階の環境中予測濃度が基準値案に近接している場合ということで、この場合、第二段階の環境中予測濃度を算出して、検討会なり委員会にお示しするということ。それから第二段階、次のページ、3ページ目に書かせていただいておりますけれども、分解性などのデータがある場合はそれを加味したようなPECを算出するということ。
 それから(2)にございますけれども、既登録剤の場合は、既存の水質のモニタリングデータを調査して、こちらも今までやらせていただいておりますけれども、検討会と小委に提示させていただきたいと思っております。
 それで、実際に基準値案を超過するような事例が見られた場合、超過の程度や割合、実際のサンプリング等について精査をして、超過要因を特定することで、個別のリスク管理の強化を検討していきたいと思っております。
 プレチラクロールの例を踏まえれば、[1]から[3]まで書いておりますけども、止水期間の遵守の不徹底でありますとか、当該作物が農地の面積が全国の平均レベルを超えているとか、あと農薬の「相当の普及状態」を超えるような普及率というようなことが超過要因として考えられます。
 個別の事例につきまして、そういった超過要因の寄与度も考慮しながら、[1]から[3]まで書いておりますけれども、止水期間の遵守と指導の徹底、それから必要であればさらに進んで適用作物であるとか、使用方法でありますとか、そういった農薬の使用の変更、さらに進めば水質汚濁性農薬の指定といったようなリスク管理措置の導入について検討してまいりたいと思っております。
 それから(3)でございますけれども、基準値設定後の対応ということで、農薬使用段階でのリスク管理措置を見直す検討材料にするということで、農薬の残留対策総合調査や水質モニタリングも可能な限り使用いたしまして、実環境中の実態把握に努めて、基準値案を超過する場合は、個別のリスク管理措置を講じるように検討してまいりたいと思っております。  以上、個別のプレチラクロールの例と、それを踏まえた今後全体の対応について御説明させていただきました。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 御説明、ありがとうございました。資料3はプレチラクロールという個別の物質でございますけれども、それについての対応案を含めまして御説明いただきました。また資料4につきましては、一般的なルールとして、どう考えるかということについての方策についても、案としてまとめていただいております。
 それでは資料3、4、どちらに関してでも結構でございますが、御質問あるいは御意見ございませんでしょうか。細見委員お願いします。

【細見臨時委員】 よく検討していただいていて、ほぼこれでいいと思うのですが、プレチラクロールの場合、実際に使ってみると非常に便利な農薬で、効果的だと思うんですけど、1週間の止水期間というのは、通常サラリーマンの人であれば、1週間前に田を耕して、そのときにまいて、次の週に多分、田植えというので、普通はこうかなと、1週間で対応できているんじゃないかと思いますけども。少なくとも私のところはそうやっているつもりです。
 ただ、植えてからプレチラクロールを散布するのは、散布する側にとってみれば非常に大変というか、植わっている間にまくというのは、ちょっとまきづらいので、どうしても田植え前にまきたいのかなというふうに思います。
 それをもし、田植えをしてからまくというほうが、ひょっとしたらプレチラクロールの効果がより効くんだとか、そういうデータを、製造しているメーカーがもしお持ちであれば、それをもう少し宣伝することが、より皆さんの協力を得られる一つのきっかけになるんではないか。
 ちょっと田を耕すというか、苗代をつくったときに濁った状態で通常はまくことが多いのかなと思うんですけども、それよりも、田植えをしてからの方が効果があるかどうかというのもちょっと調べていただいて、効果が高いということであれば、よりそこを宣伝していただくというのが、例えばこの件に関してはいいことではないかと。
 ただ、これは本当に実際に使われている方からすると、非常に除草の効果というのは高いと思いますので、そういう効果と、それから影響という意味で、今回この被害防止に関して御提案されていることに関しては、私はこれでいいのかなと思います。

【森田委員長】 事務局のほうから何か、追加等ございますか。

【農薬環境管理室室長】 資料3のほうで、プレチラクロールのメーカーのパンフレットが11ページにありますが、田植同時散布というのは移植と同時に機械でプレチラクロールをまけるので、そういった意味で非常に労力も減ります。

【細見臨時委員】 そうすると、そのときには田植え機械の方にそれが装置として必要ですね。

【農薬環境管理室室長】 そうです、装置として必要なものというのもあります。だから、特に大規模な水田で農業をされているようなところは、コストも労働時間も短くしたいでしょうから、当然効果もあるので、こういった形で指導されるというような形だと思います。また、田植え後も使用できますので、開発メーカーにも話を聞いて、個別の農家の指導に対して何か使えるような情報があれば、提供してまいりたいと思っております。ありがとうございました。

【森田委員長】 他に御意見、ございませんでしょうか。特段追加の御意見ございませんか。
(発言なし)

【森田委員長】 それでは一応資料3、プレチラクロールについての(案)というのが出ておりますし、資料4は、これは全体として農薬登録保留基準値案と環境中予測濃度(水産PEC)が近接している場合の対応について、事務局で取りまとめいただいた(案)で進めるということでよろしいでしょうか。
(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございます。それではこういう形で、あと細見先生からいただいたお話につきましては、引き続き事務局で調べていただくということにしておきたいと思います。
 それでは引き続き、今度は議題2のほうでありますが、水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準の設定についてで、環境大臣の定める基準についての審議に入りたいと思います。
 この件につきましては、農薬小委員会に先立ちまして、水産動植物登録保留基準設定検討会におきまして、基準値設定の根拠となる農薬登録申請者から提出された試験結果や、公表文献等の情報について精査を行うとともに、これらのデータに適用する不確実係数等を設定して、基準値案をつくっていただいております。
 それでは、事務局から資料の説明を一つずつお願いいたします。

【農薬環境管理室室長補佐】 それでは資料5をご覧ください。資料5は、水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準値案に関する資料でございます。本資料の御説明に当たっては、水産動植物登録保留基準設定検討会において、1度御審議いただいているものでございますので、当委員会では作用機構等と総合評価を重点的に御説明させていただき、その後、検討会でどのような指摘、審議が行われたかを簡単に御紹介させていただきます。
 資料5を1枚あけていただきまして、プレチラクロールから御説明させていただきます。プレチラクロールに関しましては、先ほどPECと基準値が近接しているものとして、その点の御説明とそれからリスク管理の対応について御説明させていただきましたが、ここでは評価対象農薬の作用機構と、それからどういった毒性データをもとに基準値案を導出したのかというところを見て下さい。
 では、プレチラクロールですが、物質概要につきましては1ページの表に記載のとおりです。
作用機構等ですが、プレチラクロールは、非ホルモン型吸収移行性の除草剤であり、植物の脂質生合成系の中でC20以上の超長鎖脂肪酸生合成系酵素を阻害し、雑草に対して主に幼芽部の伸長を抑制し増殖を抑え枯死させることにより除草活性を有します。本邦での初回登録は1984年でございます。
 製剤には粒剤、水和剤、乳剤があり、適用作物は稲でございます。
 原体の輸入量は平成19農薬年度で243t、20年度が141t、21年度が178tでございました。
 各種物性につきましては、1ページの表のとおりでございます。
 1枚めくっていただきまして、水産動植物への毒性でございます。水産動植物への毒性ですが、魚類につきましては申請者からコイを用いた魚類急性毒性試験が提出されております。また、環境省が文献等から収集した毒性データといたしまして、メダカを用いた魚類急性毒性試験のデータがございます。また、甲殻類に関しましては、申請者からオオミジンコを用いた急性遊泳阻害試験が提出されておりまして、文献等から環境省が収集したデータといたしましては、4ページにございますミジンコ類急性遊泳阻害試験のデータがございます。また、藻類に関しましては、緑藻を用いた藻類生長阻害試験、1試験が申請者より提出されております。
 5ページをご覧ください。こちらが環境中予測濃度になります。本剤の水田使用時の予測濃度ですが、水産PECが最も高くなる使用法について、表6のパラメータを用いて第2段階の水産PECを算出しております。
 6ページをご覧ください。総合評価でございます。各生物種のLC50、EC50は、こちらの6ページに記載のとおりでございます。これらを用いまして、魚類急性影響濃度としては、130µg/L、甲殻類急性影響濃度としては698µg/L、藻類急性影響濃度といたしましては、2.92µg/Lを導出しております。これらのうち、最小となります藻類急性影響濃度を用いまして、登録保留基準値を2.9µg/Lとして提案させていただいております。
 リスク評価でございますが、環境中予測濃度は、水田PECTier2が1.1µg/Lでございますので、登録保留基準値案2.9µg/Lを下回っております。本剤に関しましては、2010年9月の検討会、それから2011年6月と2回の検討会の審議を経ております。
 この剤につきまして、PECと基準値が近接している件の対応以外の部分では、特に問題とされる御指摘は、検討会のほうではございませんでした。
 本剤に関しましては以上です。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 御説明ありがとうございました。それではこの剤につきまして、改めて御意見をいただきたいと思います。

【細見臨時委員】 もしTier1でやると、いくつぐらいになりますか。

【農薬環境管理室室長補佐】 申し訳ございません。ちょっと手元にTier1の試算データを持ってきておりませんので、後ほど御説明させていただきます。

【中杉委員】 先ほどの議論にも少し絡むんですけども、この剤は登録保留基準が他の剤に比べて特段に低いという話ではなくて、使用量が多くて、暴露の関係で、そちらが高いから実際に基準に触れてしまうという話だと思うんです。
 そういう意味でいくと、この剤に問題があるということで抑えてしまうと、少しおかしな話になる。より毒性の高いものが使われるようになるという話になりかねないので。先ほどみたいな形で整理をしていけばいいんだろうというふうに思います。ちょっと追加でございます。

【森田委員長】 他にいかがでしょうか。
(発言なし)

【森田委員長】 では、最後に御確認いただきたいんですが、総合評価、6ページのところを御確認いただきまして、この剤につきましては登録保留基準値案といたしまして、藻類の急性影響評価2.9µg/L、これが一番低い数字になりますので、その数字を登録保留基準値にしてはどうかという構造になっています。
 なお、コイの急性毒性、あるいはメダカの急性毒性、あるいはミジンコ等につきましては、ずっと高い数字になっていますので、それらのもの、つまりこういう動物に対しては多分あまり影響はなさそうだという、そういう認識でよろしいかなという感じがいたします。
 リスク評価につきましては、水田PECでTier1がかなりクリアできないような数字に近かったんですが、Tier2で計算いたしますと、1.1µg/Lという数字になり、それでもなおかつ近いということで、使用の方法などにつきましても、先ほどいろんな工夫をしていただくという形で使える方向になってきたのかと思います。
 リスク評価といたしましては、Tier2のPECで1.1µg/Lで、登録保留基準値2.9µg/Lを下回っているという状況であります。
 この剤につきまして、先ほど眞柄先生から御意見が出ていますけれども、これは調べるということにしてありますが、何か答えが出てきましたか。

【農薬環境管理室室長補佐】 すみません。まだ確認中です。

【森田委員長】 まだ作業中ということで。しかし一応こういう評価で進めてよろしいでしょうか。
(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは原案どおりこれを認めるということにしたいと思います。
 それでは、次の剤に移りたいと思います。御説明をお願いします。

【農薬環境管理室係長】 7ページをご覧ください。アメトクトラジンになります。物質概要につきましては、表に記載のとおりでございます。
 作用機構等につきましては、アメトクトラジンは、ピリミジルアミン構造を有する殺菌剤であり、その作用機構は、病原菌の細胞内にあるミトコンドリア内の電子伝達系のタンパク質複合体Ⅲを強く阻害することであると考えられております。本邦では未登録であります。
製剤は水和剤が、適用作物は果樹、野菜及びいもとして登録申請中でございます。
 各種物性につきましても、表に記載のとおりでございます。
 8ページをご覧ください。水産動植物への毒性になりまして、まず魚類急性毒性試験がコイとニジマスで実施されておりまして、コイの96時間LC50は110µg/L超であり、ニジマスの96時間LC50は64.6µg/L超でございました。
 9ページになりまして、オオミジンコを用いましたミジンコ類急性遊泳阻害試験が実施されておりまして、48時間EC50が590µg/L超、緑藻を用いました藻類生長阻害試験の結果、72時間ErC50が118µg/L超でございました。
 10ページをご覧ください。環境中予測濃度になります。製剤の種類及び適用農作物は記載のとおりでございまして、非水田使用時の第1段階水産PECを非水田使用農薬として表5に記載の使用方法及びパラメータを用いて算出いたしました。その結果、非水田PECTier1は、0.021µg/Lとなっております。
 11ページになりまして、総合評価になります。各生物種のLC50、EC50は記載のとおりでありまして、それらからそれぞれの急性影響濃度を算出しまして、その中の最小となります魚類急性影響濃度をもって登録保留基準値を6.4µg/Lと提案いたします。
 リスク評価になります。環境中予測濃度は、非水田PECTier1が0.021µg/Lでありまして、登録保留基準値案6.4µg/Lを下回っております。
本農薬につきましては、平成23年第3回の水産動植物登録保留基準設定検討会において御議論いただきました。検討会におきましては、特に問題とされる御指摘はありませんでした。
 以上になります。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 御説明ありがとうございました。それではアメトクトラジンにつきまして、御質問、御意見ございませんでしょうか。
 この剤につきまして、五箇さん、何か御説明ございますか。

【五箇臨時委員】 作用機構そのものがミトコンドリアの電子伝達系酵素阻害ということで、作用点そのものはいわゆる種間差といいますか、選択性がないものなんですが、構造上やっぱり分解されやすいものですので、そういった意味で菌にしか効かないということで、その他の生物層には影響がないという薬のようです。

【森田委員長】 他に御質問ございませんか。
 これは何というか、前の段階の検討をされたときに、毒性の出るレベルというのが全く試験系に入っていないんですが。こういう出し方はもちろんあると思いますけども。これで何か御意見ございますか。

【白石臨時委員】 これは非常に水に溶けにくい構造をしていまして、水溶解度が140µg/Lで非常に溶けにくいものです。これはどのような試験をされたかというと、飽和溶液をつくって、その溶液の影響を見ているという試験方法をとっています。わざわざ懸濁体を暴露するというような方法はとっていないということです。

【森田委員長】 他に先生方、御意見ございますでしょうか。
(発言なし)

【森田委員長】 それでは、総合評価のところの確認に入りたいと思います。
 魚の急性影響濃度の、これも急性毒性があらわれてこないんですが、これを超えることはないという、そういう数字から計算しました6.46µg/L、これが登録保留基準値案になってくると。それからなお、リスク評価にいたしますと、環境中予測濃度は非水田のPECTier1で0.021µg/Lですので、登録保留基準値を相当大幅に下回っているという、そういう結論であります。この登録保留基準値6.4µg/L、これを設定してよろしいでしょうか。
(異議なし)

【森田委員長】 では特段御異議もございませんので、原案どおりにいたしたいと思います。
 引き続きまして、キザロホップエチル、御説明お願いします。

【農薬環境管理室係長】 12ページになります。キザロホップエチルでございます。
 物質概要につきましては、記載のとおりでございます。
 作用機構等ですが、キザロホップエチルは、フェノキシプロピオン酸構造を持つフェノキシ酸系除草剤であり、その作用機構は、アセチルCoAカルボキシラーゼ活性の阻害により細胞構造又は細胞膜機能の急激な変化をもたらすことと考えられております。
 本邦での初回登録は1989年でございまして、製剤は水和剤が、適用作物は野菜、いも、豆、いぐさ等でございます。
 製剤の製造量につきましては、申請者からの聞き取りによると、キザロホップエチルの製造に用いられた原体量は、平成19年農薬年度で3t、20年度で7.6t、21年度で3.7tでございました。
 各種物性につきましては、記載のとおりでございます。
 13ページになりまして、水産動植物への毒性になります。コイを用いた魚類急性毒性試験が実施されまして、96時間LC50は292µg/Lでございました。オオミジンコを用いましたミジンコ類急性遊泳阻害試験の結果、48時間EC50は3,600µg/Lでございました。
14ページになりまして、緑藻を用いました藻類生長阻害試験の結果、72時間ErC50は508µg/L超となっておりました。
 15ページになりまして、環境中予測濃度になります。製剤の種類及び適用農作物は記載のとおりでございまして、本農薬につきましては、水田及び非水田のいずれの場面においても使用されるため、それぞれの使用場面ごとに水産PECを算出いたしました。まず、水田使用時の第1段階PECを、表4に記載しております使用方法及びパラメータを用いて算出いたしました。その結果、水田PECTier1は、0.75µg/Lとなりました。
 16ページになりまして、非水田使用時の第1段階水産PECを表5に記載の使用方法及びパラメータを用いて算出いたしました結果、非水田PECTier1は、0.0008µg/Lとなっております。
以上より、キザロホップエチルの環境中予測濃度は、水田PECTier1の0.75µg/Lとなります。
 17ページ総合評価になりまして、各生物種のLC50、EC50は記載のとおりであり、それらを用いまして、それぞれの急性影響濃度を算出した結果も、記載のとおりでございます。それらの中から最小となります魚類急性影響濃度より、登録保留基準値を29µg/Lと提案いたします。
 リスク評価といたしまして、環境中予測濃度は、水田PECTier10.75µg/Lでありまして、登録保留基準値案29µg/Lを下回っております。
 本農薬につきましては、平成23年第3回水産動植物登録保留基準設定検討会において御議論いただきまして、検討会におきましては、特に問題とされる御指摘はございませんでした。
 以上になります。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは五箇委員、御説明を、もしよければお願いします。

【五箇臨時委員】 この剤は、今御説明いただいたように、フェノキシプロピオン酸構造という構造式を持っておりまして、作用機構としては細胞構造又は細胞膜機能そのものを構造改変するということで、植物の生長阻害に当たります。それで物性を見ますと、除草剤の割には水溶解度が低く、畑用とされていまして、根から吸われてというような作用を取るものと思われ、こういったケースでは、除草剤ですけれども、藻類への取り込みは少なくて、藻類に対する毒性は低いものと推察されます。

【森田委員長】 それでは委員の先生方、御質問、御意見ございませんでしょうか。いかがでしょうか。
 表1のコイの急性毒性試験で、ちょっと低投与量のところで、少しイレギュラーな値があるみたいにも見えますが、これは何か議論されましたでしょうか。

【白石臨時委員】 これもちょっと悩ましいところなんですが、オオミジンコと比較すると悩ましいんですが、これは水溶解度の問題で、飽和に達しているのであろうということだと思います。

【森田委員長】 許容される程度のそういう実験だと、そういうことでよろしいですか。
 他に御意見ございませんでしょうか。
(発言なし)

【森田委員長】 それでは、総合評価のところを見ていただきまして、一番最小の影響濃度というのは、コイの急性毒性のLC50それを10分の1にいたしまして、29µg/Lという数字になるということであります。それから環境中予測濃度は水田のTier1のPECで0.75µg/Lであって、登録保留基準値29を相当下回っているという結果でございます。総合評価を含めまして、原案どおりでよろしいでしょうか。
(異議なし)

【森田委員長】 特段御異議はないようでございますので、承認ということにしたいと思います。
 それでは引き続きまして、酸化フェンブタスズです。御説明お願いします。

【農薬環境管理室室長補佐】 18ページをご覧ください。酸化フェンブタスズについて、御説明させていただきます。
 酸化フェンブタスズは、有機スズ化合物の殺ダニ剤であり、その作用機構はミトコンドリアの呼吸酵素に作用し、呼吸阻害を起こすことであると考えられております。本邦での初回登録は1980年でございます。
 製剤には水和剤があり、適用作物は果樹、野菜、豆、花き等がございます。
 各種物性に関しましては、18ページ記載の表のとおりです。
 19ページ、水産動植物への毒性でございます。本剤に関しましては、魚類についてコイを用いた魚類急性毒性試験が1件、甲殻類について、オオミジンコを用いた急性遊泳阻害試験が1件、藻類に関しまして緑藻を用いた藻類生長阻害試験が1件、それぞれ実施されております。
 21ページ、環境中予測濃度でございます。本剤は、製剤として水和剤があり、果樹等に適用がございます。PECの算出でございますが、非水田使用農薬として、水産PECが最も高くなる表4のパラメータを用いまして、第1段階の水産PECを算出いたしましたところ、結果は0.028µg/Lとなりました。
 22ページ総合評価でございます。各生物種のLC50、EC50は、魚類が96時間LC50が2µg/L、甲殻類が48時間 EC50で、37.1µg/L、藻類が72時間ErC50で217µg/L超でございました。これらから、魚類急性影響濃度、甲殻類急性影響濃度、藻類急性影響濃度をそれぞれ記載のとおり算出いたしまして、最小となります魚類急性影響濃度より、登録保留基準値を0.20µg/Lと御提案させていだいております。
 環境中予測濃度は、水田PECTier1が0.028µg/Lでございまして、登録保留基準値を下回っておりました。
本剤に関しまして、環境中モニタリングデータを検索いたしましたが、調査例はございませんでした。この剤の検討経緯でございますが、2010年9月、それから2011年8月と、2回の検討を経ております。これは藻類の生長阻害試験に関しまして、技術的な不備があり、やり直しを求めた結果でございます。
 本剤に関しましては以上です。御審議よろしくお願い申し上げます。

【森田委員長】 それではまた再び五箇先生、お願いいたします。

【五箇臨時委員】 酸化フェンブタスズです。別名フェンブタジオキサイドですけれども、これは構造式を見ていただいてわかるとおり、いわゆる有機スズ剤です。有機スズ剤と聞くだけで大分アレルギー症状を示す方も多いかと思うのですが。これも実際のところ多くのスズ剤と同じで、作用機構が、基本的にはすべての生物のエネルギー生産にかかわります、マグネシウム依存性ATPアーゼという部分に作用するということもあってですね。
 したがって、毒性そのものを見ていただくと、魚類も甲殻類も藻類もほぼ同じような濃度で効いてしまう。いずれの生物に対しても活性は示すという薬になっております。使用場面が非水田ということになりますので、この場合の水産動植物に対する影響という部分については、影響はないというふうに判定されると考えられます。以上です。

【森田委員長】 ありがとうございます。委員の先生方、御意見をお願いいたします。
 有機スズ化合物としては、トリブチルスズ、それからトリフェニルスズが使われなくなってきたような背景がありますが、その大きな理由というのは、やっぱり生物の蓄積性だったような気もするんですが。これ白石先生、やっぱりこういうものは、あまり蓄積して出てこないという認識でよろしいでしょうか。

【白石臨時委員】 ちょっとわからないのですが、トリフェニルスズですと、多分5,000を超えていたような気がするんですけど。このtert-ブチル基がつくことによって、分子量が随分大きくなっているのですけども。これのせいなのか、取り込みが弱くなっているのか、ちょっとわからないです。ただ、ここに生物濃縮性が416という試験結果がございますので、濃縮性はそれほど高くないというふうに思います

【森田委員長】 いかがでしょうか。今までこの物質は測られたことがないというのでよろしいですか。というか、環境中からは出ないのかな。それは白石先生が一番、御経験が豊富だと思うんですが。

【白石臨時委員】 フェンブタスズは多分、測定を試みている方はおられるかもしれませんけど、実際には御報告はあまりないのじゃないかと思いますが。

【森田委員長】 どうぞ委員の先生方、御発言をお願いします。

【細見臨時委員】 ちょっと質問。もともとはトリブチルスズとかは貝類に対してすごく特異的に効いたと思うのですけど。もしそういうことであれば、今回で言うと、先ほど五箇先生はどれも同じように効いていると言われましたけど、例えば雌雄の問題という観点から見たら、コイなんかというのは、これは急性毒性だからわからないですかね。

【眞柄臨時委員】 出ないですね。

【細見臨時委員】 出ない。

【眞柄臨時委員】 それはでない。これぐらいのでは無理じゃないですか。試験方法が違うんだから、評価のしようがないですよ。

【細見臨時委員】 しようがない。

【眞柄臨時委員】 評価できないです。

【細見臨時委員】 できない。

【森田委員長】 トリブチルスズなどは、どちらかと言えば貝によく効くというのです。そういう意味で、例えばカタツムリの駆除とか、そういうのにも昔は使っていたような感じがするのですよね。これは特にそういう使用目的もなさそうに書いてあるんですが。

【五箇臨時委員】 軟体生物に対する使用実績はないです。ちょっと影響、どれぐらいエフェクトがあるかというのもちょっとわからないですね、今は。
 あと、先ほどから若干残留とか蓄積性の問題も心配されていましたけれども、一応ADIのデータそのものは0.03mgというふうに出ております。

【森田委員長】 でも多分、トリブチルスズだってADIで比較すると同じようなものなんですよ、きっと。だから多分、蓄積性が本当にあれば、やっぱりちょっと要注意になるんだけど、これは今のところなさそうだという認識で、POWは大きいのですが、BCFで調べると極めて低いと。
 このBCFはちょっと念のためですが、何日間ぐらいの試験ですか。濃縮試験をやっているのかしら。3週間。

【中杉委員】 蓄積性に関しては、先ほど白石委員が言われたように、分子量が大きいので、化審法では分子量が800以上は濃縮性でないという判定をしようとしていますが、多分、吸収されると出ていかない、蓄積していくんだろうけど、吸収されないんじゃないか。そういうふうに考えたらいいんじゃないかなというふうに思いますけど。

【森田委員長】 ありがとうございます。どうぞ。

【農薬環境管理室室長補佐】 今、御質問のありました生物濃縮試験の試験期間でございますが、取り込み期間28日、排せつ期間14日ということで行われております。条件は流水式です。

【森田委員長】 白石さん、大体そんなもので、本当は見えているはずであるということでよろしいでしょうか。

【白石臨時委員】 もう少し細かく言うと、分析というか暴露濃度は、これは溶解度以下でやっているので、多分いいのかなと。あともう少し低濃度で濃縮試験をしたときにどうなるかということは、多分この条件では必要ないと思うんですけど、そういうことがあればより少しわかりやすいかなということです。
 分子量が大きいのですが、tert-ブチル基がつくことによって多分、これは想像にしか過ぎないですけど、かさ高くなっているので、本来、加水分解を受けるはずなんですが、それもちょっと遅いのかなと。ここに関してはわからないです。加水分解を受けようとすれば小さくなるので、分子量が半分になりますから、500くらいになるので。ただ試験結果がこういうことなので、多分他の理由があるのかもしれません。

【森田委員長】 他に御意見はございますか。
 一応ここに提出された書類で見る限り、問題はなさそうということになります。念のためですが、こういう酸化フェンブタスズ、多分、分析としてはですね、これを塩素剤にして抽出して測るんだろうと思います。それが本当に蓄積されたケースというか、魚のモニタリングデータでないということだけは、念のために確認をしていただいて、それで今日の段階で最後に御確認をいただきたいんですが。
 総合評価に入ります。魚類への急性毒性、急性影響濃度をもとにいたしまして、登録保留基準値は0.20µg/L、環境リスクの予測濃度は非水田で0.028ですので、登録保留基準値を下回っているということであります。したがって、こういう形で取りまとめという格好になります。
 しかし念のために、魚の蓄積がないかだけはもう一度、確認だけを事務局でやっていただきたいということにしたいと思います。よろしいでしょうか。 (異議なし)

【森田委員長】 それでは引き続きまして、デシルアルコールでよろしいでしょうか。御説明をお願いします。

【農薬環境管理室係長】 23ページになります。デシルアルコールです。
 物質概要につきましては、記載のとおりでございます。
 作用機構等ですけれども、デシルアルコールはわき芽抑制作用を有する植物成長調整剤でありまして、その作用機構は幼芽部に接触し脱水作用により若いわき芽や発生寸前の二次芽を枯死させることにより、わき芽を抑制するものでございます。また、この作用機構を利用しまして、除草剤としても使用されております。本邦での初回登録は1982年であります。なお現在、登録を受けている製造者とは別の申請者が新規に登録を申請中でございます。
 製剤には乳剤がありまして、適用作物は樹木及びたばこがございます。
 原体の国内生産量は、記載のとおりでございます。
 各種物性につきましても、記載のとおりとなってございます。
 24ページをご覧ください。水産動植物への毒性になりまして、まず魚類につきましては、申請者からコイを用いた魚類急性毒性試験が提出されておりまして、96時間LC50が4,100µg/Lでございました。次に魚類急性影響試験ですけれども、環境省が文献等から収集した毒性データがありまして、ファットヘッドミノーとメダカを用いた試験がございまして、ファットヘッドミノーの96時間LC50は2,400µg/Lでございました。
 25ページになりまして、メダカの試験の結果ですけれども、96時間LC50が2,790µg/Lでございました。
 次に、甲殻類急性遊泳阻害試験になりまして、オオミジンコを用いましたミジンコ類急性遊泳阻害試験が提出されておりまして、48時間 EC50が1,400µg/Lでございました。26ページになりまして、緑藻を用いました藻類生長阻害試験が実施されておりまして、72時間ErC50が860µg/Lでございました。
 27ページ、環境中予測濃度になります。製剤の種類及び適用農作物は記載のとおりでございまして、非水田使用時の第1段階水産PECを表6に記載しております使用方法及びパラメータを用いて算出した結果、0.21µg/Lとなりました。
 28ページの総合評価になります。各生物種のLC50、EC50は記載のとおりでございまして、それらからそれぞれの急性影響濃度を算出いたしました。魚類につきましては、3種以上の生物種による試験が行われた場合に該当していますことから、不確実係数は通常の10ではなく、4を適用して算出しております。これらのうち最小となります甲殻類急性影響濃度より、登録保留基準値を140µg/Lと提案いたします。
 リスク評価になりまして、環境中予測濃度は、非水田PECTier1の0.21µg/Lでございまして、登録保留基準値案140µg/Lを下回っております。
 本農薬につきましては、平成23年度第3回水産動植物登録保留基準設定検討会において御議論いただいておりまして、検討会では、特に問題となる御指摘はございませんでした。
 以上でございます。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 御説明、ありがとうございました。五箇委員、何かコメントをお願いします。

【五箇臨時委員】 植物成長ホルモン剤としての化合物ですね、普通のデシルアルコールをそのまま汎用しているということでして、いわゆる普通のアルコールということになりますので、毒性についても、それほど大きな活性は示すものではないというものです。

【森田委員長】 いかがでしょうか。特段、追加の御意見ございませんか。ごく普通に身の回りにありそうな物質ですけれども。よろしいでしょうか。

【中杉委員】 この剤の評価のお話ではなくて、他のもそうなんですけれども、環境省が文献で収集したというのがありますよね。こういうものをどういうふうな理由でやっているのかというのは、ちょっとわからないんですけど。
 これ、利用者の方がこういうデータもあるよというふうに出されたら、その評価の採否をするというのはあり得るんだと思うんですけれども、国がそのためにやらなきゃいけないかというのはどう考えるのかなという。
 あるいは、もとの報告書を詳しく細かく読んでいないからあれなんですけれども、例えばこの環境省のデータを、こういうのがあるよと言って、申請者が調査して添付してきた場合は、どういうふうに扱うんですか。

【農薬環境管理室室長補佐】 まず文献データの取り扱いでございますけれども、水産検討会において御審議いただく際に、申請者のデータを確認するとともに、その審議の対象となる剤について、既存の毒性試験のデータがほかに文献等で存在しないか、海外のデータ等も含めてすべて確認をしております。
 その中で既存の毒性データがあると、試験データが入手できた場合には、その内容を検討委員の先生方に精査していただきまして、一定以上の信頼性があると認められた場合には、基準設定に利用する方向で検討会にかけさせていただきます。
 最終的に基準設定に利用できると検討会で判断されたものについては、申請者にもそれを毒性評価に利用することの妥当性について意見を照会した上で、申請者から異論がなければ、今回出させていただいているような形で、データとして使わせていただいているということです。

【中杉委員】 この剤の場合には環境省が二つ見つけたんで、全部で三つになりました。だから10じゃなくて4にします。ということは、事業者にとって利益になる訳ですよね。それは、そういうことまでやらなきゃいけないのかという、逆の話なんです。そこら辺のところの考え方の整理をしておく必要があるんだろうと。
 事業者の方が、こういうのもあるからといって、自分たちの試験のほかに出されたら、それはそれで使うのは当然だろうと思いますけれども。

【農薬環境管理室室長】 公表資料のデータの取り扱いは、先生方のお手元にございますファイルの資料10に、農薬小委員会の参考資料ということで、公表データの利用の信頼性の評価の考え方をつけております。個別に当然のことながらメーカーからデータを出していただく訳でございますが、既存にデータがあった場合については、そのデータも踏まえて、御審議をいただくというような形にしております。  たまたま、魚に数多く文献データがありましたので、その結果、三つのデータになって、不確実係数4という形になりましたが、逆に言えば、公表データとして毒性のより高いようなデータがあれば、それを用いられるという形になりますので。数多くデータがあれば、それを加味して検討会の先生方や小委員会の先生方に御審議いただいて、よりよい御審議をいただくというために、こういった取り扱いをさせていただいたのではないかと思っております。

【中杉委員】 新しく環境省が見つけたデータが、より低い。それは使いましょうと、それはわかるんですけれども。それも含めて、特に事業者の方が出したデータが一番低かった場合、それを採用すればいいんですね。
 環境省の努力で見つけて不確実係数を下げるというのは、それでいいのか。たまたま当然そういうことをやるんだから、そういうのを使いましょうというのは、一つの考え方としてはいいんですけれども、ある意味で事業者の方が、こういうデータもありますよということを、もう少し調べられて出されるのが、本来じゃないかなという感じがするんですけれども。

【内田委員】 最悪のケースを考えたときに、例えば環境省が見つけられた追加データで基準値が変わる場合がありますよね。そういうことを想定したときには、例えば後でこういうデータもありましたよと。先生がおっしゃるのは、環境省のオブリゲーションになってはいけないんじゃないかなということなんだと思うんです。
 例えばそのデータが関係者の努力で見つけられる場合もあるし、見つけられなかった場合があると。でも、それがあることが後でわかったときに困ったような事態になるから、だから参考データと実際に正式に使うデータは、区別するようなこともあってもいいんじゃないかなというようなことの御指摘だと私は考えていますけど。

【森田委員長】 この問題は、相当複雑な内容を含んでいるような感じがいたしますが。とりあえず今のポジションは、要するに多分、公表されたデータが存在して、そして調べていくとこういうのがある。
 そのときに、事業者のほうから提出されなかったと。それがどういう意図であれ提出されなかったときに、国民の環境の安全を守るという観点から、それは知りませんでしたというのも多分、設定しにくい要素もあると思うんです。
 したがってこの辺は、合理的なレベルで既に報告されているものが見つかるものについては、ある程度それも反映せざるを得ないということがあるし。事業者が全部、何でも都合の悪いデータを含めて、すべて出すものだという前提には立ち切らない可能性は結構あるんだろうと思うんですが。この辺は委員の先生方、ちょっとこれ、議論をし始めるとすごく複雑な内容を持ってしまうのですが、何か今御発言をしてくださる方、いらっしゃいますでしょうか。

【中杉委員】 私が申し上げているのは、環境省が審査にいろんなデータを使いましょうというの、それはもう別に当然だと思うんですけれども、増えたから不確実係数が10から4に減ってきますよという扱いを、そういうふうにする必要があるのか。事業者の方が自分の努力で見つけてきて、三つ出されて、だったら4にして評価をしましょうというのは、それはもうそれで合理的だろうというふうに思いますけども。
 ある意味では、国が調査をして見つけてあげて、一生懸命下げている。事業者の利益になるように努力をしているというふうにとられかねないんじゃないか。確かに低いデータを見つけましょうと、それを使って評価しましょうというのは、そのとおりだと思います。そこのところをどういうふうに考えるかということを、私は申し上げているのです。私も、これでいけないと必ずしも言っている訳じゃないんで、少し考え方を整理する必要があるだろうと。

【森田委員長】 上路先生、何か御意見ございますか。少しこの委員会にかかる前に、いろんなところをもんでいただくことに、多分構造的にはなっていると思うんですが。

【上路臨時委員】 今も環境省で御説明いただいたとおり、申請者のデータ、プラスその剤に関するいろんな毒性の試験の結果、これを出していただいています。必ずしも、その毒性の試験がたくさんあったとしても、製剤でやっていたり、試験方法が必ずしもテストガイドラインからみて採用できないものがいっぱいあることは事実です。それで、どういう論文にしても、どのデータが使えるかというものを、一応、精査していくということだと思います。
 先ほど中杉先生がおっしゃったように、確かに安全係数を10で割るのか、あるいは4で割るのかというところが、どのデータを採用したかによって変わるということが、やっぱり心配なのかなという気がしました。
 それについては、やはりいろんな生物種によってすごくバラエティがあるし、その中で一番厳しいものをもとにして、それを4なりで割っていくということですので、必ずしも甘くなるとは限らないというふうに思います。
 だけど、いろんな疑問点が生じるのも、一般市民から見たら、ちょっと解せないのかな。そこはちゃんと説明できるように、環境省として用意しておかなくてはいけない、そういう懸念もあるんだなということを今、知りました。
 ただ、私としてはこうやっていろんな生物種でやって、いろんなデータを集めてくるということ、その中で一番厳しいものが、やっぱり毒性試験のデータとして採用されていくというふうには思っています。

【森田委員長】 上路先生、御説明ありがとうございました。要するにこの種のものというのは、サイエンスで必ずしも完全に詰め切れる要素はなくて、しかしサイエンティストの専門家の総合的な判断で、落ちどころとしてはこの辺がいいんではないかを含めて判断される要素も、少なからずあるだろうと思います。
 今日の段階では、とりあえずこの剤について、中杉先生からの御質問は、もう少し勉強しましょうということに、先送りさせていただきたいんですが、よろしいでしょうか。

【眞柄臨時委員】 専門家じゃないので、この論文がいわゆるレビューが、どの程度の水準でレビューされたかという内容がわからないです。ぱっとこれを見たときに、これ大学の紀要じゃない。そうじゃないのかもしれませんが、紀要のレベルのものをここに引用するの、というのがあるので。だからそういう意味では、情報の確からしさについて、あらかじめ検討会で御検討になったろうと私は思いますので、これはこれでいいと思います。今後やっぱりこういう形で引用する場合には、その論文が確実に複数以上の人間によってレビューされたものであるということを確認していけば、よろしいのじゃないでしょうか。

【森田委員長】 それでは、やっぱりエキスパートの間で、そこを含めて、データの信頼性を含めて取り扱っていただくという、これ原則でしょうけども、そういう形で今後とも進めていただくことにして。本日議題になっておりますデシルアルコールにつきましては、一応御確認をいただきたいんですけども、総合評価です。とりあえずオオミジンコの急性遊泳阻害1,400µg/L、それの10分の1を使って登録保留基準140µg/L。なおリスク評価につきましては、非水田のPECが0.21µg/Lで、相当下回っているという結論ですが、この評価そのものは、これでよろしいでしょうか。
(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございました。
 それでは引き続きまして、次へ行きたいと思います。トリフロキシストロビン、御説明をお願いします。

【農薬環境管理室係長】 29ページになります。トリフロキシストロビンです。
 物質概要は、記載のとおりでございまして、作用機構等になりますけども、トリフロキシストロビンは、ストロビルリン系の殺菌剤でありまして、ミトコンドリアのチトクロームb及びcl間の電子の伝達阻害であると考えられております。
 本邦での初回登録は2001年でありまして、製剤は水和剤があり、適用作物は果樹、野菜、芝等でございます。
 原体の輸入量は、記載のとおりでございます。
 各種物性につきましても、記載のとおりとなっております。
 30ページをご覧ください。水産動植物への毒性になりまして、魚類急性毒性試験がコイ、ニジマス、ブルーギルを用いて実施されておりまして、コイの96時間LC50が28.2µg/L、31ページになりまして、ニジマスの96時間LC50が14µg/L、ブルーギルの96時間LC50が52µg/Lでございました。
 32ページになりまして、オオミジンコを用いましたミジンコ類急性遊泳阻害試験の結果ですけども、48時間 EC50が15µg/Lでございました。緑藻を用いました藻類生長阻害試験の結果、72時間ErC50は19µg/Lでございました。
 33ページになりまして、環境中予測濃度でございます。製剤の種類及び適用農作物は記載のとおりでございまして、非水田使用時の第1段階水産PECを表6に記載の使用方法及びパラメータを用いて算出いたしました結果、0.032µg/Lでございました。
 34ページで総合評価になります。各生物種のLC50、EC50は記載のとおりでございまして、これらからそれぞれの急性影響濃度を算出いたしました。魚類につきましては、3種以上の生物試験が行われた場合に該当いたしますことから、不確実係数は10ではなく、4を適用しております。それぞれの急性影響濃度のうち、最小となります甲殻類急性影響濃度より、登録保留基準値を1.5µg/Lと提案いたします。
 リスク評価になりますけども、環境中予測濃度、非水田PECTier1が0.032µg/Lであり、登録保留基準値案1.5µg/Lを下回っております。
 本剤につきましては、平成23年度第3回水産動植物登録保留基準設定検討会で御議論いただきました。検討会においては、特に問題とされる御指摘はございませんでした。
 以上です。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございました。この剤につきましての御意見をお願いいたします。五箇委員、コメントをお願いします。

【五箇臨時委員】 メトキシアクリレートと言われていた系列の薬でして、こちらもミトコンドリアの電子伝達系のコンプレックス2というところを作用点にしております。呼吸阻害剤になります。したがいまして、こちらも生物活性としましては、脊椎動物にも無脊椎動物にもある、藻類にもそこそこ効くということで、登録保留基準値は1.5とかなり厳しい値になっておりますが、畑用の殺菌剤ということで、非水田使用で、PECのほうが大きく下回るということで、登録基準が設定されております。以上です。

【森田委員長】 それじゃあ、この剤につきまして、御意見をお願いいたします。

【細見臨時委員】 この剤に特別関係ある訳ではないんですけども、結構低い値なので。環境中予測濃度が非水田であると、大体いつもというか、このモデルで計算すると非常に低くなるので。今日は、プレチラクロールについてありましたように、非水田でも割と近寄った剤は今まであったんでしょうか。それとも全然かなりオーダーが常に離れていた。そういう近づいた剤はあったのかという質問です。ちょっとこれ、直接は関係ないんですけど。

【農薬環境管理室室長補佐】 プレチラクロールみたいな形で近接していた剤というのはないんですが、10分の1以内のオーダーに入った剤というのは、今までもたしか幾つかはございました。

【細見臨時委員】 非水田で。

【農薬環境管理室室長補佐】 非水田でです。

【細見臨時委員】 要は、近づいたというのは、どのぐらいのレベルだったら近づいたのかという。同じオーダーであれば可能性はあるかもしれない。そんな考え方でいいのか、ちょっと。

【森田委員長】 近いかどうかはどのぐらいで判断をされていますか。

【農薬環境管理室長】 先ほども水産の、プレチラクロールのときに御説明させていただきましたが、大体のオーダーが10分の1ぐらいです。そういったときにはモニタリングデータがある、なしを紹介させていただいています。
 私どもの方でも、非水田適用の剤について水質調査をしていますが、ほとんど検出されないのがやっぱり多うございまして。特に園芸で使われるような剤だと、畑も散っていますし、それからまく時期もかなり散っているんで、例えば長野とかそういう果樹の地帯で、一番、非水田で検出される可能性が高いだろうというところで、モニタリングをさせていただいていますけれども、ほとんど検出されないというのが結構多うございます。
 引き続き、非水田のものについては、モニタリングを検討していきたいと思っておりますけれども、サンプリングサイトとか、時期とか、ちょっと難しいのが現実じゃないかなと思っております。

【森田委員長】 御意見ございませんでしょうか。
(発言なし)

【森田委員長】 それでは、総合評価の34ページを見ていただきまして、それでどうも一番弱そうなのはニジマスなんですけども、ニジマスで14µg/Lです。ただこれは3種類の魚での割り算を4で割るというルールに従いますと、そこの魚から来るのが3.5µg/L、それからオオミジンコの遊泳阻害で、これはEC50を10で割っておりますが、それで1.5µg/Lです。それが最小値ということで、登録保留基準値としては1.5µg/Lとするということになっております。
 先ほど4で割るか、10で割るかという議論が若干ありましたが、仮にニジマスで10で割るということをやりますと、多分1.4ぐらいで、ほぼ1.5に近い数字になるのかもしれません。それからリスク評価にいたしますと、非水田のPECで0.032でありますので、登録保留基準値を少し下回っているということでありますが。
 全体を通しまして、こういう総合評価でよろしいでしょうか。

【中杉委員】 評価結果は、これで問題ないというふうに思いますけども、この剤の場合に4で割るというのは、事業者の方は三つやっているんですね。事業者が三つの試験をやられたデータを出してきておられる。先ほどのあれは、一つの試験を出してこられただけである。で、同じような扱いになるというのは、少し問題があるのではないかという意味合いで、申し上げたんです、先ほど。

【森田委員長】 この件につきましては、先ほど眞柄先生のおっしゃったのが一番筋の通ったお話で、とりあえず出された結果が信頼性のある、レビューされたようなきちんとした試験かどうかというのを、最初に考えていただくということが必要なのかもしれませんね。今回は一応そのアプローチの外側にあるということでありますが。

【農薬環境管理室室長】 先生、すみません。先ほどのデシルアルコールのデータも検討会で、信頼性のランクというのを、それぞれ見ていただいて、基本的にこのデータとして、環境省で調べたデータについては、信頼性のランクが一番上だということで使われております。そういった意味で細かいデータは検討会で御審議いただいておりますので、小委員会の場ではお出ししておりませんけれども、そういう個別のデータも含めて、検討会で御審議いただいて、その結果、この毒性の試験データについて、いわゆる評価書として使うことについて、問題ないということで御審議いただいた結果で出したデータでございます。念のために。

【森田委員長】 ありがとうございました。それじゃあ、そういうことのようでございますので、よろしくお願いします。
 それでは、このトリフロキシストロビン、特段御異議もないようですので、原案どおりということにしたいと思います。
 それでは、あと二つこなしてしまって、水産を終わりたいんですが。引き続きましてビスピリバックナトリウム塩、御説明お願いします。

【農薬環境管理室室長補佐】 35ページをご覧ください。ビスピリバックナトリウム塩について、御説明させていただきます。
 本剤の物質概要については、35ページの表の記載のとおりです。
 ビスピリバックナトリウム塩は、ピリミジルオキシ安息香酸系の除草剤であり、その作用機構はアセト乳酸合成酵素ALSを阻害することであると考えられております。本邦での初回登録は1997年でございます。
 製剤には液剤が、適用作物には稲、樹木、芝等がございます。
 各種物性につきましては、表に記載のとおりです。
 本剤の水産動植物への毒性でございますが、36ページ、37ページをご覧ください。魚類に関しましては、ニジマスとブルーギルの2件の試験データを評価書で採用し、掲載しております。また甲殻類につきましては、オオミジンコのデータ、藻類につきましては緑藻を用いたデータが提出されているところでございます。
 39ページ、環境中予測濃度でございます。本農薬の製剤としては液剤、稲、樹木、芝等に適用があるということで、水田使用及び非水田使用のいずれについてもPECを計算しております。水田使用の水産PECにつきましては、表5に示す使用方法及びパラメータを用いまして、PECTier1が0.30µg/Lと算出されております。また非水田の水産PECにつきましては、表6に示す使用方法及びパラメータによりまして、0.0012µg/Lとなっておりますので、環境中予測濃度としては水田PECTier1を採用しております。
 41ページ、御確認ください。総合評価でございます。登録保留基準値案ですが、各生物種のLC50、EC50は、41ページに記載のとおりでございまして、これらから魚類急性影響濃度、甲殻類急性影響濃度、藻類急性影響濃度をそれぞれ算出し、最小となります藻類急性影響濃度より、登録保留基準値を1,200µg/Lと提案しております。
 リスク評価に関しましては、環境中予測濃度は、水田PECTier1が0.30µg/Lでございますので、登録保留基準値1,200µg/Lを大きく下回っております。
 本剤につきましては、2010年7月、2011年8月と、2回の水産検討会を経ております。これは魚類の試験成績につきまして、申請者からは四つの試験データが出ておりましたところ、二つについて濃度の測定がされていないとの理由で採用されなかったのと、それから藻類の試験成績について、やり直しを求めた結果、ほぼ1年間の時間を要しましたという状況です。
 本剤に関しましては以上です。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 五箇委員、御説明をお願いします。

【五箇臨時委員】 この薬はピリミジルオキシ安息香酸系という、こういった構造式をとっていますが、作用点は従来の除草剤のスルホニルウレア系と同じで、ALS阻害剤になっております。このALSというのは、植物全般に持っていて、藻類も持っているのですけども、この薬自体は非常に選択性が強くて、そういった意味で藻類に対する安全性も高いというふうに考えられる薬です。以上です。

【森田委員長】 この剤につきましての御意見を、お願いいたします。

【眞柄臨時委員】 すみません、念のために。この剤はどうやって分析するんですか。水の中、それとも。

【森田委員長】 先生がいいか、事務局がいいですか。LCのUVで。何か心配になることが。

【眞柄臨時委員】 いや、環境中の濃度、どうやってはかるのか。これはかれないんじゃないかと思って。

【森田委員長】 環境中の濃度。

【眞柄臨時委員】 はい。いや、剤として測るならできるだろうと思うんです。環境中の濃度をどうやってはかるか。測れないんじゃないかと。

【細見臨時委員】 いや、測れるんだと思います。

【白石臨時委員】 多分LCマスではかれるんじゃないかと思いますが。

【眞柄臨時委員】 これだけ濃縮できる。

【白石臨時委員】 濃縮ですか。濃縮も何かここちょっとわからないですけど。酸性にして、どうですか、水にかなり溶けますけど。何か酵素カラムか何かでくっつけることが可能じゃないかなという気はしますが、いかがでしょう。

【眞柄臨時委員】 時として測れないようなやつを我々はチェックしているんじゃないかと、空虚な気持ちにもなる一つの例なんで。

【白石臨時委員】 多分、単剤ですし、濃縮も可能じゃないかと思いますけど。工夫次第だと思いますが、できないものではないと。

【農薬環境管理室室長補佐】 本剤、水田適用剤ですので、水質汚濁性試験を行われているんですけれども、クロマトグラフを使って普通に測定ができている状態でございます。

【農薬環境管理室室長】 眞柄先生御指摘のように、恐らく多分、水田では調べられると思うんですけれども、それより薄いものの、濃縮が難しいんじゃないかという御指摘だと思います。
 正直、環境中で調べろと言われると、恐らく、検出できないのが結構多いんだろうと思いますけれども、こちらの場合はPECとそれから環境基準があいているんで、これをすぐに何か環境中で調査をしないといけないというようなレベルではないと思います。またそういうのが出てくれば、濃縮も含めて、考えていかないといけないと思っております。ありがとうございました。

【森田委員長】 分析としては、多分、直観的には凍結乾燥させてしまった後、メタノールか何かで抽出して、そのままLCマスという流れになるかなという感じはしますけれども。
 それじゃあ、保留基準の設定なんですけども、総合評価としましては、藻類の急性影響濃度1,220µg/Lをベースとして、これを有効数字2桁に丸めた形で1,200でどうかということになっております。
 なお、水田PECで予測される濃度は0.30µg/Lですので、農薬登録保留基準値を随分下回っているというふうにまとめられておりますが、よろしいでしょうか。何かあまり大きな数字があるんで、少し心配だというような。

【五箇臨時委員】 除草剤なのに非常に大きい値なので、よくある議論されることなんですが、藻類では評価し切れていないんじゃないかという話も、ここでは出てくるかなというところですよね。特にこれに関しては活性部位、作用点がALSとわかっているから、選択性の問題であろうということは言えるんですが、これまで除草剤、新規な作用を持つものに関しては、単細胞の藻類には全く効かないけど、単細胞の高等植物には効くというような剤も出てくる度に、基本的には生態影響を評価し切れていないんじゃないかという議論はあったので。このケースについても、ちょっと数字がかけ離れ過ぎているという意味では極端な剤なのかなというところはあって、本当は高等植物だと影響を受けるものが出ているかもわからないということは、少し。
 先ほど室長のほうからもあったんですか、かけ離れているので安心というところもあると同時に、この評価系では見えないリスクも当然どこかにあるのかなということは、今後の研究課題としては含んでおく必要があるんだと思います。

【森田委員長】 ありがとうございました。それじゃあこの剤につきましては、原案どおりでよろしいでしょうか。 (異議なし)

【森田委員長】 それでは最後の剤になります。ベンジルアミノプリン、御説明をお願いします。

【農薬環境管理室係長】 42ページのベンジルアミノプリンでございます。
 物質概要は、記載のとおりでございまして、作用機構等につきましては、ベンジルアミノプリンンは、カイネチン類縁化合物として合成された植物成長調整剤であります。その作用機構は、プリン構造を有することから生体内の核酸へ取り込まれたRNA合成が誘導されることであると考えられております。本邦での初回登録は1975年でございます。
 製剤は液剤及び塗布剤がございまして、適用作物は、果樹、野菜及び花きがございます。
 製剤の製造に用いられましたベンジルアミノプリンの原体量は、申請者からの聞き取りによりますと、それぞれの年度の量につきましては記載のとおりでございます。
 各種物性につきましても、記載のとおりとなっております。
 43ページになりまして、水産動植物への毒性でございまして、コイを用いた魚類急性毒性試験が実施されまして、その結果96時間LC50は3万8,200µg/Lでございました。44ページになります。オオミジンコを用いましたミジンコ類急性遊泳阻害試験が実施されまして、48時間 EC50が1万9,500µg/Lでございました。緑藻を用いました藻類生長阻害試験の結果、72時間ErC50は8万400µg/L超でございました。
 45ページになりまして、環境中予測濃度でございます。製剤の種類及び適用農作物は記載のとおりでございます。非水田使用時の第1段階水産PECを表4に記載しております使用方法及びパラメータを用いて算出した結果、0.13µg/Lとなっております。
 46ページになります。総合評価でございます。各生物種のLC50、EC50は記載のとおりでございます。これらから、それぞれの急性影響濃度を算出した結果も、記載のとおりでございまして、そのうち最小となります甲殻類急性影響濃度より、登録保留基準値を1,900µg/Lと提案いたします。
 リスク評価になりまして、環境中予測濃度は、非水田PECTier1の0.13µg/Lでございまして、登録保留基準値案1.900µg/Lを下回っております。
 本農薬は、2011年8月の水産検討会において御審議いただきまして、検討会においては、特に問題とされる御指摘はございませんでした。
 以上になります。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございました。それじゃあ、この剤につきまして、まずは五箇委員のほうから御説明を。

【五箇臨時委員】 この薬は、いわゆるサイトカイニンと言われる核酸塩基を模倣してつくられた植物ホルモン剤です。初回登録1975年で、実際これ自体は非常に歴史の長い剤です。使用方法としてはスイカとかミカンにかけて着果を促進させると。要するに、成長を促進させるという使い方をされております。
 構造式そのものがいわゆるDNA、RNAに使われる核酸塩基ですね、それの構造がよく似ているので、これが取り込まれることで核酸合成が促進されて、結果的に成長が促進されるという作用を持つものというふうに考えられています。以上です。

【森田委員長】 それでは、この剤につきまして、御意見ございませんでしょうか。

【細見臨時委員】 質問です。この剤はスイカを出荷する前に出すやつですか。中国で何か問題があった気がします。

【五箇臨時委員】 要するに、畑で花が咲いているときとか、そういうときにまくことで、着果を促進させるということです。要するに成長よくさせるという意味で、大きくするという作用はあります。ただ爆発した原因がこれかどうか、ちょっと僕はわからないですけど、向こうでは何を使っているかわからないんで。

【細見臨時委員】 日本で使っているということに関しては。

【五箇臨時委員】 かなり古くからは使われています。

【農薬環境管理室室長】 実の小さいときに使うものです。

【細見臨時委員】 これは。出荷前にじゃないんですね。

【森田委員長】 他に御意見ございませんか。
 先ほど五箇委員がおっしゃったのは、このプリン体を、何か植物は結構自分の栄養にしているという、そんなイメージでしょうか。

【五箇臨時委員】 栄養というか、この構造のものが、いわゆるDNAとかRNAの四つある塩基の組成によく似ているので、それが入ることで、要はRNAと勘違いして合成が促進されるとかですね。遺伝物質をモチーフにしているということもありますから、それが入ることで結局、遺伝の発現活性が促進されるのではないかというふうに考えられているという薬です。

【森田委員長】 突然変異性が出るとかどうですか。

【五箇臨時委員】 ちょっとそれ僕も気になってですね、ピリミジン骨格とかこういうプリン骨格を持っていると、大概そういう可能性も当然、今言ったように、これいわゆるRNAとして植物が関知して、それで遺伝子発現しているんだとすると、変異原性はないのかなというような気になるので、聞きたいなと思ったんですけど、何かデータってこれはあるんですか。あったら多分、ここには出てきていないんだとは思うんですけども。

【農薬環境管理室長】 ちょっと毒性データ、今持ち合わせていないですけれども、当然のことながら実際の農薬の審査のときに、変異原性もチェックをして、クリアされて登録されているというふうに考えておりますので、そういったところで多分チェックはされていると思うんですけど。

【森田委員長】 じゃあ、他に御意見ございませんでしょうか。 (発言なし)

【森田委員長】 では特段なければ、最後の総合評価のほうに。最後のページです。46ページ。甲殻類の急性毒性の影響濃度、それを2桁になめらせて、1,900µg/L登録保留基準値が導出されると。それから非水田のPECですと、0.13ですので、相当下回っているという結論でございます。原案どおりの登録保留基準値でよろしいでしょうか。
(異議なし)

【森田委員長】 では、特段御異議ございませんので、原案どおりということにしたいと思います。
 それではこれで水産動植物への審議を終了します。

【農薬環境管理室係長】 1件よろしいでしょうか。プレチラクロールの第1段階の水産PECなんですけども、算出結果は9.4µg/Lとなっております。

【農薬環境管理室室長】 6ページをご覧いただくと、水田のPECTier2が1.1に対してTier1のほうが9.4ということでございます。

【森田委員長】 細見先生、よろしいですか。

【細見臨時委員】 Tier1が9.4だったので、Tier2で実際に試験をしていただいて、そのデータに基づいて1.1が導かれていますので、これでいいかなと。ただTier1のデータというのは、通常載せないのですか、ここには。

【農薬環境管理室室長】 載せません。

【細見臨時委員】 Tier2だけ載せる。

【農薬環境管理室室長】 はい。

【森田委員長】 それでは、続けておりました水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準の設定につきましては、一応原案どおり確定させたということにしたいと思います。
 それからこの後、今度は水質汚濁に係る登録保留基準のほうに移りたいんですが、ちょっと5分ほど少しトイレ休憩を取って、あの時計で8分ぐらいに再開したいと思いますので、よろしくお願いします。
(休憩)

【森田委員長】 それでは再開したいと思います。資料6を使いまして、8剤ございます。それでは御説明を順次お願いをすることになりますので、事務局から御説明をお願いします。

【農薬環境管理室室長補佐】 では資料6をご覧ください。資料6は水質汚濁に係る農薬登録保留基準値案に関する資料でございます。
 作用機構等と総合評価を重点的に御説明させていただきます。
 それでは資料6を、1枚めくっていただきまして、アセタミプリドから御説明をさせていただきます。
 本剤の物質概要は、1ページの表のとおりでございます。
 アセタミプリドはネオニコチノイド系殺虫剤であり、その作用機構は昆虫神経のシナプス後膜のニコチン性アセチルコリン受容体に結合し、神経の興奮とシナプス伝達の遮断を引き起こすことで殺虫活性を示すと考えられております。本邦での初回登録は1995年でございます。
 製剤には粒剤、水和剤、水溶剤、液剤、エアゾル剤、くん煙剤及び複合肥料が、適用作物には雑穀、いも、豆、果樹、野菜、飼料作物、花き、樹木等がございます。
 各種物性につきましては、1ページ下の表のとおりでございます。
 安全性評価でございます。食品安全委員会は平成23年6月9日付で、アセタミプリドのADIを0.071mg/㎏体重/日と設定する食品健康影響評価の結果を厚生労働省に通知しております。この農薬評価書につきましては、参考資料2としておつけしておりますので、あわせて御参照ください。この値は、ラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量7.1mg/㎏体重/日を安全係数100で除して設定されたものでございます。
 水質汚濁予測濃度でございますが、本剤は非水田農薬でございますので、この2ページに示す表のパラメータを用いまして、水濁PECを算定したところ、次のページに水濁PEC算出結果は0.00018mg/Lとなっております。
 3ページ、総合評価でございます。公共用水域の水中における予測濃度に対する基準値といたしまして、ADIから表に記載の算定式により、登録保留基準値を算出いたしましたところ、0.18mg/Lとなっております。水質に関する基準値等でございますが、ゴルフ場暫定指導指針が1.8mg/Lとなっているところでございます。
 4ページ、リスク評価でございます。水濁PECTier1は0.00018mg/Lでございますので、登録保留基準値0.18mg/Lを超えないことを確認しております。なお、本剤の食品経由の農薬理論最大摂取量でございますが、0.82mg/人/日と算定されておりまして、対ADI比で22%と、8割を下回っていることを確認しております。
 本剤につきましては以上です。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございました。それではこの剤につきまして、既にADIをセットされておりますので、御意見いただければと思います。

【吉田専門委員】 毒性のプロファイルについて簡単に御説明いたします。本剤は先ほど御説明になったネオニコチノイド系の殺虫剤でございます。そのせいか、非常に急性毒性は低いのですけれども、実際神経症状がございますが、基質的な変化を伴う神経毒性はございません。また、催奇形性あるいは発がん性等もございません。
 ターゲットは肝臓でして、反復投与になりますと、あまり強い毒性は出なくて、せいぜい肝臓がはれるといった程度の毒性でございます。そのような毒性プロファイルです。

【森田委員長】 ありがとうございました。それじゃあ、この剤につきましていかがでしょうか。眞柄先生いかがでしょうか、こんなものでよろしいですか。

【眞柄臨時委員】 特段ありません。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは総合評価、基準値、登録保留基準値といたしまして、0.18mg/Lということでございます。それからリスク評価としましては、水濁PECが非常に小さいので、登録保留基準値を超えないというふうに予測されるということであります。よろしいでしょうか。
(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございます。それじゃあ原案どおりということにしたいと思います。
 では引き続きまして、スピロテトラマト、御説明をお願いします。

【農薬環境管理室室長補佐】 資料の5ページをご覧ください。スピロテトラマトは、環状ケトエノール構造を有する殺虫剤であり、その作用機構は、吸汁性害虫及びハダニ類に対してアセチルCoAカルボキシラーゼを阻害することによる脂質合成の阻害でございます。本邦では未登録です。
 製剤は水和剤が、適用作物は野菜及びいもとして登録申請されております。
 各種物性等につきましては、5ページの表のとおりです。
 6ページへ移りまして、安全性評価でございます。食品安全委員会は平成23年8月11日付で、スピロテトラマトのADIを0.12mg/㎏体重/日と設定する評価を、厚生労働省に通知しております。これにつきましては、参考資料3として農薬評価書を添付しておりますので、あわせて御確認ください。この値は、ラットを用いた2年間発がん性試験における無毒性量12.5mg/㎏体重/日を安全係数100で除して設定されたものでございます。
 続きまして水質汚濁予測濃度でございます。本剤は非水田使用農薬でございまして、こちらの表のパラメータを用いまして、水濁PECが最も高くなる使用方法についてのPECを算定いたしました。結果は7ページの表に記載しておりまして、0.000015mg/Lと予測しております。
 8ページ、総合評価でございます。水質汚濁に係る登録保留基準値案といたしまして、表に記載の算定式により、0.31mg/Lを基準値案として提案させていただいております。本剤について、水質に関する既存の基準値等はございません。
 リスク評価でございますが、水濁PECTier1は0.000015mg/Lでございますので、登録保留基準値0.31mg/Lを超えないことを確認しております。また、食品経由の農薬理論最大摂取量でございますが、計算したところ0.72mg/人/日ということで、対ADI比で11%と、80%を下回っていることを確認しております。
 本剤に関しましては以上です。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは吉田先生、追加お願いします。

【吉田専門委員】 本剤は非常に急性毒性は低く、2,000mg/㎏でも動物は死なないといった剤でございます。長期におきましても比較的高い用量で試験が行われています。主なターゲットといたしましては、肝臓ですけれども、げっ歯類におきましては精巣に対する影響がございます。ただ、これも1万ppmとか7,000~8,000ppmという高い用量での発現となります。遺伝毒性、催奇形性、発がん性はございません。以上です。

【森田委員長】 ありがとうございます。それではこの剤につきまして、御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。特段の御意見。 (発言なし)

【森田委員長】 ないようであれば、それでは総合評価だけ御確認をいただきたいんですが、とりあえず8ページになりますが、0.31mg/Lというのが基準値になります。リスク評価で予測される濃度は、それよりずっと低いというのが結論でございます。
 原案どおりの評価でよろしいでしょうか。 (異議なし)

【森田委員長】 では特段御意見もございませんので、この剤につきましては一応、御承認いただいたことにしたいと思います。
 次にいきたいと思います。トルフェンピラド、お願いします。

【農薬環境管理室室長補佐】 9ページをご覧ください。トルフェンピラドはピラゾールカルボキサミド骨格を有する殺虫剤であり、その作用機構は主にミトコンドリアにおける電子伝達系の阻害によるものと考えられます。本邦での初回登録は2002年でございます。
 製剤には水和剤及び乳剤が、適用作物には果樹、野菜、豆、花き等がございます。
 各種物性につきましては、9ページの表に記載のとおりです。
 10ページを見ていただきまして、安全性評価でございます。食品安全委員会は平成23年2月10日付で、トルフェンピラドのADIを0.0056mg/㎏体重/日、失礼しました。この表の上のところ、kmとなっておりますが、kgに訂正させていただきます。申し訳ございません。㎏体重/日と設定する食品健康影響評価の結果を厚生労働省に通知しております。
 なお、この値はラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量0.56mg/㎏体重/日を安全係数100で除して設定されたものでございます。これの農薬評価書は、参考資料4としておつけしておりますので、あわせて御確認いただければと思います。
 水質汚濁予測濃度でございます。本剤は非水田適用農薬でございますので、こちら10ページの表のパラメータを用いまして、水濁PECが最も高くなる使用方法のPECを算定いたしましたところ、11ページにその結果、掲載しておりますが、0.000039mg/Lと推定されております。
 総合評価でございますが、水質汚濁に係る登録保留基準値案といたしましては、表の算出式によりADIから導出した基準値案が0.014mg/Lと設定しております。本剤について、水質に関する既存の基準値等はございません。
 12ページ、リスク評価でございます。本剤の水濁PECTier1は0.000039mg/Lでございまして、登録保留基準値0.014mg/Lを超えないことを確認しております。また、本剤の食品経由の農薬推定一日摂取量でございますが、0.11mg/人/日と推定されておりまして、対ADI比で38%と、8割を超えないことを確認しております。
 本剤については以上です。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございました。それではこの剤につきまして、吉田先生お願いいたします。

【吉田専門委員】 申し上げます。この剤は比較的強い急性毒性がございます。したがいまして、この剤は長期の反復毒性も比較的低い容量で実施されております。主な標的臓器は肝臓と腎臓です。しかし発がん性、催奇形性、繁殖毒性及び遺伝毒性はございません。以上です。

【森田委員長】 それではこの剤につきまして、委員の先生方から御意見をいただきたいと思います。本日取り扱う薬物の中では、比較的毒性の強いほうに属しております。
 眞柄先生何か。よろしいですか。他の先生方、よろしいでしょうか。
(発言なし)

【森田委員長】 それでは、最後に御確認をいただきたいと思いますが、総合評価11ページですが、基準値としては0.014mg/Lになると。それからあわせてリスク評価をやりますと、水濁PECTier1では非常に低い値になる。登録保留基準値0.014mg/Lを超えることはなさそうだということでございます。よろしいでしょうか。
(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございました。
 それでは引き続きまして、次へいきたいと思います。ビフェナゼート、お願いいたします。

【農薬環境管理室主査】 資料の13ページをご覧ください。ビフェナゼートは、ヒドラジン骨格を有する殺ダニ剤で、ハダニやサビダニに対し選択的に活性を示します。作用機構については明らかにされておりません。本邦での初回登録は2000年です。
 製剤には水和剤が、適用作物には果樹、野菜、いも、花き等がございます。
 各種物性等については、表に記載のとおりでございます。
 14ページにまいりまして、安全性評価でございますが、食品安全委員会によりADIは0.01mg/㎏体重/日と設定されております。この値は犬を用いた1年間慢性毒性試験における無毒性量1.0mg/㎏体重/日及びラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量1.0mg/㎏体重/日を、安全係数100で除して設定されております。こちらの農薬評価書については、参考資料5としてつけておりますので、御参照ください。
 Ⅲ.水質汚濁予測濃度にまいります。本剤は非水田農薬として使用されております。水濁PECが最も高くなる使用方法について、表のパラメータを用いて水濁PECを算出いたしましたところ、15ページの表にございますとおり、水濁PECは0.000033mg/Lと算出されました。
 次のページにまいりまして、総合評価でございます。水質汚濁に係る登録保留基準値案といたしまして、表中の算出式により算出いたしましたところ、0.026mg/Lを提案させていただきます。本剤に関しまして、水質に関する既存の基準値等はございません。
 下の方にまいりまして、リスク評価ですが、本剤の水濁PECTier1は0.000033mg/Lであり、登録保留基準値0.026mg/Lを超えないことを確認いたしました。なお、本剤の食品経由の農薬理論最大摂取量は、0.24mg/人/日で、対ADI比45%となり、8割を下回っていることを確認いたしました。
 以上で説明を終わります。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは吉田先生、お願いします。

【吉田専門委員】 申し上げます。本剤の吸収毒性は非常に弱いのですけれども、慢性毒性は比較的低い容量で行われているものが多いようです。ターゲットといたしましては、血液、溶血性貧血が種を超えて起こります。あと肝臓もこれは種を超えてターゲットとなっております。しかし、発がん性、繁殖毒性、催奇形性、遺伝毒性はございません。以上です。

【森田委員長】 ありがとうございます。それでは委員の先生方、この剤につきまして御意見ございませんでしょうか。いかがでしょうか、よろしいでしょうか。何か先生、ございませんか。

【細見委員】 食品安全委員会から2007年で出ていて、今回は3年ぐらいあいている訳です。他のは何か今までのこの表を見ますと、2011年に上がってきたものをやっているんだけれども、これはどうして3年間も時間があいたのかよくわかりませんが、どうしてなのかなというのが素朴な疑問です。

【農薬環境管理室長】 この水質汚濁の登録保留基準については、順次設定させていただいているんですけれども、実際の水環境への影響というのを考えたときに、やはり水田適用のある農薬を中心に今まで御議論いただいています。あと、ADIもある程度低いようなものを優先的に議論いただいております。この剤は非水田適用ですから、ADIが設定されたのは結構前ですけれども、水田適用のあるものを先に議論いただいて、結果的に今回御議論いただいたということでございます。

【森田委員長】 それでは、最後に御確認をお願いしたいんですが、総合評価を見ていただきまして、基準値としては0.026mg/Lということでございます。それから、なおリスク評価としては、水濁PECTier1で0.000033ですので、超えないだろうということでございます。というのが原案でございますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございました。それではこれも原案どおりということにしたいと思います。
 引き続きましてピメトロジンお願いします。

【農薬環境管理室主査】 資料は17ページをご覧ください。ピメトロジンはピリジンアゾメチン骨格を有する殺虫剤です。作用機構は明らかではございませんが、半翅目昆虫にのみ選択的な摂食抑止作用を示します。本邦での初回登録は1998年です。
 製剤には粒剤及び水和剤が、適用作物には稲、果樹、野菜、いも及び花きがございます。
 各種物性等については、表に記載のとおりでございます。
 次のページにまいりまして、安全性評価でございますが、本剤のADIは食品安全委員会により0.013mg/㎏体重/日と設定されております。なおこの値はラットを用いた2世代繁殖試験における無毒性量1.30mg/㎏体重/日を、安全係数100で除して設定されております。こちらの農薬評価書につきましては、参考資料6としてつけしておりますので、御確認ください。
 Ⅲ.水濁PECにまいります。本剤は水田及び非水田、いずれの場面においても使用されております。それぞれの使用場面ごとに水濁PECが最も高くなる使用方法について、表のパラメータを用いて水濁PECを算出いたしました。その結果については19ページの3の水濁PEC算出結果の合計のところに示しているとおり、0.0090mg/Lでございます。
 次のページにまいりまして、総合評価でございますが、本剤の水質汚濁に係る登録保留基準値案としまして、表中の算出式を用いて計算いたしまして、0.034mg/Lと提案させていただきます。本剤の水質に関する既存の基準値といたしまして、旧水質汚濁に係る農薬登録保留基準として0.3mg/Lが設定されております。
 2のリスク評価にまいりまして、本剤の水濁PECTier1は0.0090mg/Lであり、登録保留基準値0.034mg/Lを超えないことを確認いたしました。なお、この剤は、水濁PECTier1と基準値が近接しているため、つまりPECが基準値の10分の1を超えているため、水濁PECTier2を仮算出いたしましたところ、0.0019mg/Lとなり、基準値の5.6%と十分低い値であることを確認いたしました。本剤の食品経由の農薬理論最大摂取量は、0.13mg/人/日であり、対ADI比で19%となっており、8割を下回っていることを確認いたしました。
 以上で説明を終わります。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 御説明ありがとうございました。それでは吉田先生お願いします。

【吉田専門委員】 申し上げます。この剤、急性毒性は弱いのですけれども、他の今まで御説明した剤と違い、結構激しい肝毒性、肝障害が出ます。特に犬で激しい肝障害が出て、高い用量ですけれども、これで犬が死亡したりします。また、犬だけですけれども、筋肉に対する毒性も出ます。これは非常に珍しい、あまり通常出る毒性ではございません。
 げっ歯類におきましては、肝臓がターゲットです。肝毒性が出ます。あと2年間飼いますとラット、マウスともに肝腫瘍が出ますが、これは酵素誘導がかかりますので、恐らくげっ歯類特異的なものの可能性が高いと思います。また、甲状腺の濾胞上皮細胞の過形成が起きますが、肝臓のUDPGTという二相酵素が上がること、及びTSHが上がっていることから、甲状腺に対する直接作用ではなくて、よくげっ歯類のフェノバルビタール等に見られますようなUDP、肝臓がはれることによって、二相酵素がいっぱい出てしまうことによって、甲状腺ホルモンが代謝され過ぎてしまって、それによってTSHが上がるということで、これは人には外挿されないといったような変化であると思います。あと催奇形性、繁殖能に対する影響はございません。遺伝毒性もございません。以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。それじゃ今の御説明に対しまして、御意見ございませんでしょうか。いかがでしょうか。特段の御意見がないということでよろしいでしょうか。
(発言なし)

【森田委員長】 それでは一応、御確認をいただいて、総合評価としては0.034mg/Lでよろしいですか。リスク評価もとりあえずあまり余裕があるという訳ではないですが、一応は超えることはないということのようです。よろしいでしょうか。
(異議なし)

【森田委員長】 それじゃあ、原案どおりということにしたいと思います。
 それでは引き続きまして、次の剤をお願いします。

【農薬環境管理室主査】 21ページをご覧ください。ピリダリルはフェノキシ-ピリジロキシ誘導体の構造を有する殺虫剤であり、昆虫に対して食毒及び接触毒として作用します。本邦での初回登録は2004年です。
 製剤には水和剤、乳剤が、適用作物には野菜、いも、豆及び花きがございます。
 各種物性等については、表に記載のとおりでございます。各種物性等の生物濃縮性の欄ですが、委員の先生方の資料は紙を張りつけて修正しておりますが、オブザーバー席及び傍聴席の皆様の資料は「-」となっておりますので、別途配布しました正誤表を御確認ください。
 次のページにまいりまして、安全性評価でございますが、本剤のADIは食品安全委員会により0.028mg/㎏体重/日と設定されております。なお、この値はラットを用いた2世代繁殖試験における無毒性量2.80mg/㎏体重/日を、安全係数100で除して設定されております。本剤の農薬評価書は、参考資料7としてつけておりますので、御確認ください。
 Ⅲ.水質汚濁予測濃度でございますが、本剤は非水田農薬として使用されており、水濁PECが最も高くなる使用方法について、表のパラメータを用いて水濁PECを計算いたしましたところ、23ページの2の表にございますとおり、水濁PECは0.000017mg/Lと算出されました。
 総合評価にまいります。本剤の水質汚濁に係る登録保留基準値案といたしまして、表中の算出式により算出いたしまして、0.074mg/Lと提案させていただきます。本剤についての水質に関する既存の基準値等はございません。
 次のページにまいりまして、リスク評価でございますが、水濁PECTier1は0.000017mg/Lであり、登録保留基準値0.074mg/Lを超えないことを確認いたしました。なお、本剤の食品経由の農薬理論最大摂取量は、0.50mg/人/日であり、対ADI比で33%と、ADIの8割を超えていないことを確認いたしました。
 説明は以上です。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 では吉田先生、お願いします。

【吉田専門委員】 申し上げます。本剤の急性毒性は弱く、主な標的臓器は肝臓、肺、副腎、卵巣などの、どちらかというと脂肪が蓄積する臓器です。これはそのものが代謝におきまして脂肪に蓄積するということもございますけれども、このような剤のところで脂肪を空包化という、恐らく脂肪蓄積症を起こしてまいります。しかしリン脂質症と言われるようなものではございません。それに伴いまして、卵巣の間質性の増生ですとか、生殖器への影響、あるいは膣開口時の遅延などというのが認められたもので、詳細なメカニズム試験が行われています。その結果、ステロイドの合成系である17βのHSDの活性阻害があるということがわかりまして、それによってテストステロン等の合成が下がっているのだろうという考察がなされております。
 したがいまして、肝臓の他に、ある意味ではそういったような内分泌系への毒性があるということです。発がん性、催奇形性、遺伝毒性、繁殖に対する影響は、そのほかはございません。以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。ではこの剤につきまして、御意見をいただきたいと思います。

【中杉委員】 生物濃縮性が非常に高い、化審法で言えば第一種特定化学物質に該当するものです。そういう意味でいくと、食品の中に、いわゆる魚介類への濃縮を少し計算しておいてもらったほうがいいと思います。100%この水で濃縮してということで計算して、私はざっとやってみたら、0.2mg/L前後になる。これはもちろん、魚を全部、国内産の魚を入れなくてという、計算式がありましたよね。あれで一応確認をしておいてもらったほうがいいかなと思うんです。多分、大丈夫だろうと思いますけども、この33%という数字が例えば50になるとか、そんなふうになるかと思いますので。

【森田委員長】 ありがとうございます。では今の御意見もございますが、ほかに先生方、御意見ございませんでしょうか。中杉先生、第一種特化物になるということは、現実に起こるのでしょうか。

【中杉委員】 農薬としての使用の場合、専ら農薬で使う場合には化審法は該当しませんから。農薬以外の用途に使おうとすると、化審法で第一種特定化学物質になるかどうか、いきなりなりませんけど、少なくとも第一種監視化学物質にはなるだろうというふうに思います。

【森田委員長】 という御指導らしいですけども、いかがでしょうか。それで今、先ほどおっしゃった、この基準値にそのことが反映されますでしょうか。

【中杉委員】 私がざっと計算したのでは、この対ADI比が80を超えるという、80%を超えるということは、そこまではいかないだろうというふうに思いますけれども。ある意味で、農薬の作物への使用が多くて、その後の残留がどんどん上がってくると、そういうことをもう少し加味して考えなきゃいけなくなるんだろうというふうに思います。

【農薬環境管理室主査】 ピリダリルにつきまして、現時点で食品経由の農薬理論最大摂取量が計算されておりますが、この値の中には魚は含まれておりません。といいますのも、厚生労働省の薬・食審の資料を参照しますと、魚には基準値がないため、この33%に含まれていない状況です。

【農薬環境管理室長】 中杉先生の御指摘のところ、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは一応チェックをしていただくということで、何もなければこの原案どおりということにしておきたいと思います。  それでは引き続きまして、次の剤にいきたいと思います。ピリベンカルブです。御説明をお願いします。

【農薬環境管理室主査】 25ページをご覧ください。ピリベンカルブは、ベンジルカーバメート構造を有する殺菌剤であり、ミトコンドリアの電子伝達系を阻害し、病原菌の胞子発芽や菌糸の伸長を抑制することによって殺菌活性を有します。本邦では未登録です。
 製剤には水和剤が、適用作物には果樹、野菜、豆等として登録申請がございます。
 各種物性等については、表に記載のとおりでございます。
 次のページにまいりまして、安全性評価ですが、本剤のADIは食品安全委員会により0.039mg/㎏体重/日と設定されております。なお、この値はラットを用いた1年間慢性毒性試験における無毒性量、3.97mg/㎏体重/日を安全係数100で除して設定されております。本剤の農薬評価書は、参考資料8としてつけしております。
 Ⅲ.水質汚濁予測濃度でございますが、本剤は非水田農薬として使用されております。水濁PECが最も高くなる使用方法について、表のパラメータを用いて水濁PECを算出いたしましたところ、26ページの2の結果の表にございますとおり、0.000071mg/Lと算出されました。
 次のページにまいりまして、総合評価でございます。水質汚濁に係る登録保留基準値案といたしまして、表中の算出式を用いて算出したところ、0.10mg/Lとなり、この値を提案させていただきます。なお、本剤についての水質に関する既存の基準値等はございません。
 2.リスク評価にまいりまして、水濁PECTier1は0.000071mg/Lであり、登録保留基準値0.10mg/Lを超えないことを確認いたしました。なお、本剤の食品経由の農薬理論最大摂取量は、0.53mg/人/日で、対ADI比25%であり、ADIの8割を下回っていることを確認いたしました。
 説明は以上です。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 それじゃ吉田先生、お願いします。

【吉田専門委員】 申し上げます。本剤の急性毒性は非常に弱いものです。げっ歯類のターゲットとしては肝臓で、これは恐らく先ほども申し上げたような一相の酵素誘導によるものだと思います。犬はほとんど毒性が認められず、下痢あるいは嘔吐といったような臨床症状しか認められておりません。げっ歯類で、マウスもラットもともに、数百ミリという非常に高用量ですけれども、十二指腸の拡張あるいは過形成といった変化が出ております。
 これはあまり普通見られない毒性なので、メカニズム試験がされておりますけれども、あまりはっきりした機序というのはわからず、恐らくこのものがアルカリ性であることから、何らかの胃液に対する影響ではないかといったような考察にとどまっております。しかし、この十二指腸の変化が長期にわたっても、がん化することはございません。したがいまして、発がん性、催奇形性、生殖能に対する影響はございません。以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。この剤につきまして、御意見ございませんでしょうか。
(発言なし)

【森田委員長】 どうですか。特段御意見がなさそうであれば、総合評価、登録保留基準値が0.10mg/Lということでございます。リスク評価も水濁PECTier1で、十分それを超えることはなさそうだということであります。よろしいでしょうか。
(異議なし)

【森田委員長】 それでは、原案どおりということにしたいと思います。
 引き続きまして、これは最後の剤です。ブトルアリン、お願いいたします。

【農薬環境管理室主査】 28ページをご覧ください。ブトルアリンは、ジニトロアニリン系の植物成長調整剤でございます。作用機構としては、たばこの幼芽部である腋芽部位から吸収され、生長点の細胞分裂を阻害することにより、腋芽の生育を抑制することです。本邦での初回登録は2004年です。  製剤には乳剤が、適用作物はたばこがございます。
 各種物性等については、表に記載のとおりです。
 次のページにまいりまして、安全性評価でございますが、本剤は食用農作物への適用が申請されておらず、食品安全委員会による食品健康影響評価は行われておりません。このため、非食用農作物専用農薬安全性評価検討会におきまして、非食用ADIを設定しております。非食用ADIにつきましては、ブトルアリンの各種試験成績の評価結果に基づき、0.010mg/㎏体重/日と設定いたしました。この値はラットを用いた90日間反復経口投与毒性試験における無毒性量、10.2mg/㎏体重/日を、安全係数1,000で除して設定されております。
 非食用農作物専用農薬安全性評価検討会での評価につきましては、別紙、こちらの資料6の32ページ以降の安全性評価資料をご覧ください。
 本剤、動物体内運命試験では、本剤は吸収後胆汁を経由して腸肝循環の後、主に尿中に排せつされております。組織への分布については、肝臓及び脂肪組織に多く分布しているものの、体内の蓄積傾向はごさいません。
 環境中運命試験に関しましては、本剤は好気的土壌条件下及び水中暗条件下においては分解されにくいものの、光照射下においては速やかに分解されております。毒性試験ですが、皮膚・眼刺激性試験では、軽度の眼刺激性及び中程度の皮膚刺激性が認められております。
 亜急性毒性試験では、ラットの90日間反復経口投与試験において、中用量で雄で体重増加抑制及び摂餌量の減少が、雌で血液指標の変動及び臓器重量の増加が認められております。また、ラットの28日間反復経口投与神経毒性試験では、高用量で体重増加抑制、コレステロールの高値、肝細胞肥大の発生頻度の増加が認められております。これらの結果より、本剤の肝毒性及び血液毒性が示唆されます。神経毒性、催奇形性及び遺伝毒性は認められておりません。
 安全係数につきましては、本試験では慢性毒性発がん試験が実施されていないなどの理由から、データ不足の10を掛け、安全係数1,000としております。
 では29ページに戻っていただきまして、水質汚濁予測濃度でございますが、本剤は非水田農薬としての使用のみであり、水濁PECが最も高くなる使用方法について、表のパラメータを用いて水濁PECを算出いたしましたところ、30ページの表中にございますとおり、0.000052mg/Lと算出されました。
 次のページにまいりまして、総合評価でございますが、水質汚濁に係る登録保留基準値案といたしまして、表中の算出式により算出して、0.026mg/Lと提案させていただきます。本剤の既存の水質に関する基準値はございません。
 リスク評価でございますが、水濁PECTier1は0.000052mg/Lであり、登録保留基準値0.026mg/Lを超えないことを確認いたしました。
 以上で説明を終わります。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございます。それじゃあ吉田先生、お願いいたします。

【吉田専門委員】 申し上げます。今事務局から御説明があったような経緯ですけれども、主な毒性といたしましてはげっ歯類においては肝臓です。ただ肝臓も若干ビリルビン等が出ておりますので、胆道系へも影響があるのかもしれません。また、90日で甲状腺への影響がありますので、恐らくげっ歯類特有の、また肝臓がはれてUDPGTが上がってというようなことがありますので、2年間この濃度で飼い続けますと、甲状腺の濾胞上皮の腫瘍が増えるかもしれませんが、これは恐らく今、げっ歯類特有というように言われております。
 それとあと繁殖試験なのですが、実際は行われているのですけれども、これはページといたしましては41ページなのですけれども、繁殖試験も行われてはいるのですが、通常行われるような繁殖能に対する項目が不足しているために、これは参考データといたしました。また解析も腹単位でしていないなどと、非常に不足はあるのですが、すべて見られているのは母毒性が見られているようなので、より胎児への影響、あるいは繁殖能への影響が母体毒性が出ている量よりも低い量で見られるということはございませんでした。
 また、決定的なのが発がん性試験がないということもございますので、安全係数をフルの1,000といたしまして、設定をいたしました。以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは今いただきました御説明を含めまして、御意見ございますでしょうか。いかがでしょうか。御質問もございませんか。
(発言なし)

【森田委員長】 それでは31ページに書いてあります登録保留基準値案としては、0.026mg/Lという数字になりますが、リスク評価を含めまして原案どおりでよろしいでしょうか。
(異議なし)

【森田委員長】 では、特段御意見もないようでございますので、原案どおりということにしたいと思います。
 じゃあどうもありがとうございました。とりあえずほぼ。

【農薬環境管理室長】 先生、すみません。先ほど中杉先生からいただいたピリダリルですけれども、参考資料7のピリダリルの農薬評価書のところに書いてありますが、今、魚介類についても残留基準の設定依頼が出ていまして、ADIは設定されて、これからまた厚生労働省で御審議されるということでございますので、そちらのフォローアップをしてまいりたいと思っております。以上です。

【森田委員長】 それじゃあそういうことで。今日、大体修正すべきことはほとんどないかとは思いますが、一応、事務局で修正すべき点がございましたら、修正をお願いするということで、案のとおりということにしておきたいと思います。

【井上(隆)専門委員】 見ていて書き方で気づいたんですが、10ページとあとそれから19ページに、非水田使用時の水濁PECがあります。そこに適用作物が「なし」になっているんですが、これは水産PECの場合だと果樹とか野菜とかいう書き方をしています。この場合はなしとかかんきつとか、そういう書き方がされているんですが、どちらかに統一してもらったほうがいいのかなと思って。どちらかというか、水産PECで書かれているような書き方に統一のほうがいいのかなと思いました。以上です。

【農薬環境管理室室長補佐】 ご指摘ありがとうございます。検討させていただきます。

【森田委員長】 よろしいですか。じゃあ、事務局でさばいていただくことにしたいと思います。
 それでは以上で、水質汚濁に係る農薬登録保留基準の設定についての審議を、これで終わりたいと思います。
 事務局から、今後の予定についての御説明をお願いします。

【農薬環境管理室主査】 本日御了解いただきました農薬の登録保留基準については、行政手続法の規定に基づき、今後パブリックコメントを1カ月ほど実施いたします。その結果、もし仮に何か意見が寄せられた場合につきましては、委員長に再度農薬小委員会で審議を行うかどうか御相談して、御判断いただくことにしたいと思います。再審議の必要がない場合には、部会長の同意を得て部会報告となり、さらに中央環境審議会長の同意が得られれば答申となります。そして答申後、告示として基準値を公布させていただきます。

【森田委員長】 よろしいでしょうか。 (異議なし)

【森田委員長】 それではこの後、その他の議題に移りたいと思います。
 次に議題のその他といたしまして、3件の案件がございます。最初にデシルアルコールの水質汚濁に係る農薬登録保留基準の設定を不要とする件について、事務局のほうから御説明をお願いします。

【農薬環境管理室室長補佐】 それでは資料7について、御説明させていただきます。
 本剤の概要につきましては、先ほど水産の資料のほうで1度御説明しておりますが、デシルアルコール、わき芽抑制作用を有する植物成長調整剤でございます。本邦での初回登録1982年でございますが、登録を受けている製造者とは別の申請者が新規に登録申請中でございます。
 本剤の製剤には乳剤が、適用作物には樹木及びたばこがございます。
 本剤につきまして、水質汚濁に係る水の利用が原因となって人畜に被害を生ずるおそれの有無でございますが、本剤の有効成分であるデシルアルコールは、食品衛生法施行規則第12条の中で、「人の健康を損なうおそれのない添加物」として指定されております。これについては別紙1に食品衛生法の関連規定の抜粋をつけておりますので、1枚めくっていただくとついております。こういった指定がされているということで、申請者は本剤は人畜に対して安全であることが明らかであるとみなしております。
 まず人畜への安全性でございますが、本剤は既に食品衛生法施行規則第12条により、「人の健康を損なうおそれのない添加物」として指定されているものでございますので、安全であることが公知であると認められると考えております。
 このため、「『農薬の登録申請に係る試験成績について』の運用について」、こちら抜粋は参考として一番末尾、6ページ、7ページにつけておりますけれども、この中の当該農薬の有効成分の種類等から見て、その毒性が極めて弱いこと等の理由により、安全と認められる場合に該当するものとして、原体及び製剤を用いた一部の試験を除いて、各種試験成績の提出が免除されているところでございます。
 原体、それから製剤を用いた試験成績のうち、提出されているものにつきましては、3ページの別紙にまず原体を用いた試験成績、変異原性試験関係が3件、それから製剤を用いました試験成績のほう、4ページに[2][3]という形で掲載しております。
 本剤、デシルアルコールに係る水質汚濁に係る農薬登録保留基準設定の必要性でございますが、デシルアルコールについては、「人の健康を損なうおそれのない添加物」として指定されており、安全であることが公知であると認められ、水質汚濁に係る水の利用が原因となって人畜に被害を生ずるおそれがないと考えられることから、水質汚濁に係る農薬登録保留基準値の設定を行う必要がない農薬として整理してよいと考えております。
 これにつきましては、別紙3、平成20年8月の中央環境審議会土壌農薬部会の農薬小委員会第10回において了承いただきました基本的な考え方、それから具体的な運用に沿っているものと考えております。
 資料7については、以上でございます。御意見よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございます。デシルアルコールは、食品添加物指定を受けているようなものだということを含めまして、事務局のほうからその取り扱い、農薬登録保留基準の設定を不要とする農薬というものに分類されるのではないかということで案が出ております。今の御説明に対しまして、御意見ございますでしょうか。いかがでしょうか、御質問もございませんか。
(発言なし)

【森田委員長】 それでは、特段の御意見もないようでございますので、一応、案のとおりということにしたいと思います。
 それでは引き続きまして、その他の2番目です。水稲の育苗箱施用農薬の使用量の取扱いについてであります。事務局のほうから御説明をお願いいたします。

【農薬環境管理室係長】 資料8になります。環境中予測濃度算定における水稲の育苗箱施用農薬の使用量の取扱いについてでございます。
 これまで、水稲の育苗箱に使用される農薬につきましては、育苗箱1箱当たりの使用量が規定されておりますため、PECを算定する際には、圃場における単位面積当たりの育苗箱数を事務局で設定した上で、単位面積当たりの農薬使用量を特定しておりました。これまで10a当たりの育苗箱数は20箱としてPECを算定してきたところでございますが、使用する育苗箱数は地域によりばらつきがあるのではないか、またもっと大きな値を用いている地域が多いのではないかとの御指摘をいただきまして、統計データを確認した上で、国内におきます標準的な栽培管理状況における10a当たりの育苗箱数として20箱が妥当であるのかを整理いたしました。
 最初に移植に用いるための苗の種類と、使用する育苗箱の数について御説明いたします。水稲の苗はその生長度合いに応じまして、乳苗、稚苗、中苗及び成苗という種類がございます。苗が大きくなるほど、育苗箱1箱当たりで育苗できる苗の数が少なくなります。このため、10a当たりに使用される育苗箱の数は多くなります。その関係を表1に示しております。  次に、標準的な栽培管理状況における単位面積当たり育苗箱数について、統計情報を確認いたしました。その結果を表2にまとめしております。移植に用いられる苗の種類といたしましては、稚苗が最も多く、最近10年間では62~63%と、約6割で推移しておりまして、変動はほとんど見られておりません。必要な育苗箱数が多くなる中苗、成苗については4割弱であり、その変動も10年間ほぼ横ばいに推移しております。
 これを踏まえまして、PECの算定に使用する育苗箱数をどう考えるかになりますが、PECの算定におきましては、標準的な栽培管理状況を参照して行うこととしておりますので、単位面積当たりの育苗箱数としましては、これまでと同様に稚苗を使用する場合の代表値である、10a当たり20箱を使用することが適切であると考えます。
 さらに近年では、低コスト栽培法といたしまして、乳苗栽培や疎植栽培の普及が推進されておりまして、単位面積当たりの育苗箱数が増加していく要素は、現状ではないものと考えております。  以上でございます。御意見よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございました。今御説明いただきましたけれども、この案件につきまして御質問、御意見ございませんでしょうか。いかがでしょうか。

【築地専門委員】 詳しく調査していただきましてありがとうございました。これで私も考え方というか、よく納得できましたので、お礼申し上げます。

【森田委員長】 他にいかがでしょうか。 (発言なし)

【森田委員長】 他に追加の御意見がないようでしたら、案のとおりということにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。 (異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございました。それではその他の2までいきまして、最後ですが、前回審議した内容、パブリックコメントについてであります。
 前回の委員会で御審議をいただきました農薬登録保留基準値案について、その後パブリックコメント手続に付されていたところですが、1件の意見が寄せられたとのことでありまして、その内容及び意見に対する考え方についての御説明を、お願いいたします。事務局の方でよろしくお願いします。

【農薬環境管理室係長】 資料9になります。パブリックコメントの結果について、御報告いたします。
 前回の小委員会で御審議いただいた農薬の水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準の改正案に対して、1件の御意見をいただいております。
 御意見の概要と御意見に対する考え方は、資料9の2ページ目に記載しております。御意見の概要といたしましては、藻類生長阻害試験において、72時間より長い期間のデータを用いている場合のErC50の算出方法についての御質問と、資料に「0-120hの実測濃度に基づく」と記載されている試験成績と、「実測濃度に基づく」だけと記載されているものがありますが、後者について、もし72時間より長い期間のデータを72時間のデータに換算しているのであれば、その旨記載すべきとの御指摘をいただいております。
 御意見に対する考え方になりますけども、藻類生長阻害試験におけるErC50の算出方法をまず御説明させていただいておりまして、資料の記載が統一されていなかったことにつきましては、「0-120hの実測濃度に基づく」と記載されておりましたフィプロニルの藻類生長阻害試験の結果の表の記載方法を、他の農薬にあわせまして、3ページ目にありますように修正をすることといたしました。
 本件につきましては、森田委員長にも御相談いたしましたが、基準値案に対する御意見ではないことから、基準値設定の手続を進めつつ、今回の委員会で報告させていただくことといたしました。
 なお、当該基準値を定める環境省告示につきましては、環境省内での手続を現在進めているところであり、パブリックコメントの意見募集結果につきましても、当該告示日と同日付で環境省のホームページや電子政府の総合窓口で公開することといたしております。以上になります。

【森田委員長】 御説明、ありがとうございました。今の内容につきまして、御質問あるいは御意見ございませんでしょうか。お願いします。

【井上(隆)専門委員】 また関係ないところなんですが、別紙の修正前で「0-72h生長阻害率」のところが、「-1.」で、「6」が多分消えているんだと思います。それからその下のところ、アセトン0.1ml/Lの横が、「助剤」だと思うんですが、「剤」が消えていますので、公表されるときに、修正していただければと思います。

【農薬環境管理室係長】 ありがとうございます。申し訳ございません。修正いたします。

【森田委員長】 ありがとうございました。他に御意見ございませんでしょうか。
(発言なし)

【森田委員長】 よろしいでしょうか。それでは、どうもありがとうございました。それでは本日の審議は一通り終了いたしましたので、そのほかで本日の審議の全体につきまして、何か御意見とかあるいは御質問などございませんでしょうか。
(発言なし)

【森田委員長】 ありませんか。それじゃあ、特段御意見もないようでございますので、事務局にお返しいたします。

【農薬環境管理室長】 本日は長時間の御審議ありがとうございました。以上をもちまして、農薬小委員会を終了させていただきます。次回28回目の委員会につきましては、12月20日火曜日に予定いたしておりますので、出席の方、よろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。

(以上)