農業資材審議会農薬分科会特定農薬小委員会及び中央環境審議会土壌農薬部会農薬小委員特定農薬分科会合同会合(第12回)議事録

日時

平成23年4月26日(火)13:00~14:50

場所

農林水産省第2特別会議室

出席者(敬称略)

座長 白石寛明

井上達、上路雅子、国見裕久、中杉修身、根岸寛光、牧野孝宏、矢野洋子、山本廣基、吉田緑

(欠席は、眞柄泰基委員)

委員以外の出席者

農水省
朝倉農産安全管理課長、寺田農薬対策室長、入江課長補佐他
環境省
西嶋農薬環境管理室長、荒木室長補佐他

議題

(1)
農業資材審議会特定農薬小委員会及び中央環境審議会特定農薬分科会合同会合(第11回)における論点整理について
(2)
特定防除資材(特定農薬)の指定に向けた具体的な資材の検討について
 エチレン
 ホソバヤマジソ
(3)
その他(報告)
 特定農薬(特定防除資材)の検討対象としない資材について

議事

【西嶋農薬環境管理室長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから農業資材審議会及び中央環境審議会の特定農薬合同会合の第12回目を開催させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席をいただきまして、大変ありがとうございます。
 まず、委員の御出欠の状況でございます。本日は、眞柄委員より御欠席という御連絡をいただいております。
 それから、続きまして、委員の改選でございます。中央環境審議会におきましては、平成23年1月5日付けで委員の改選がございました。この関係で中央環境審議会の特定農薬分科会の花里臨時委員が御退任されております。それから、農業資材審議会特定農薬小委員会におきましても、今年の4月12日付で委員の改選がございまして、竹内臨時委員が御退任されております。
 続きまして、新たに農業資材審議会特定農薬小委員会に御所属いただくことになりました委員の先生を御紹介させていただきます。
 国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センターの病理部第二室長の吉田委員でございます。
 それでは、議事に入ります前に、本日の配付資料を御確認いただきたいと思います。
 資料の一番上に議事次第をつけておりまして、その下側に配付資料一覧を載せております。資料が資料1から資料4まで、資料3については、個別資材で2資材ございまして、資料は5種類用意させていただいております。
 それから、参考資料が、参考資料の1から4まで4種類用意させていただいております。
 それから、委員の先生方には、資料3にございます個別資材エチレンとホソバヤマジソの抽出液につきまして、それぞれ参考資料が大部にわたるものですが、資料をファイルさせていただいております。
 それと、御審議の参考にということで、特定防除資材、特定農薬の指定のための評価に関する指針等ということで、これまでの指針も含めて、関係の書類を審議の参考という形でつけさせていただいております。
 最後のこの指針等につきましては、また、次回の会議以降も使わせていただきたいと思っておりますので、そのまま机上に残していただければありがたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 それから、オブザーバーと傍聴者の資料でございますけれども、資料3の個別資材の添付資料、それから、参考文献につきましてはファイリングをして置いています。そして、特定防除資材の評価に関する指針等についても、ファイリングで置いておりますので、必要な方は、ファイルを見ていただければと思っております。よろしくお願いいたします。
 また、資料が足りない場合は、会議の途中でも結構でございますので、事務局までお申しつけいただければと思っております。よろしくお願いいたします。
 それでは、座長の選出でございますけれども、今回、環境省が事務局ということでございますので、中央環境審議会農薬小委員会の白石臨時委員に本日の座長をお願いいたします。
 それでは、白石座長、議事進行よろしくお願いいたします。

【白石座長】 白石でございます。議事進行を務めさせていただきます。本日は皆様御多用のところ、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。本日の議題ですけれども、議事進行にございますように、1、2、その他の報告事項ということでございます。慎重かつ活発な御審議をお願いいたします。
 まず、本日の公開、非公開の扱いですけれども、本日予定されている審議については、公開することにより、特定なものに不当な利益、もしくは不利益をもたらすおそれある場合には当たらないと判断し、公開とさせていただきます。
 さて、議事に先立ちまして、前回、去年ですけれども、10月5日に開催した第11回の合同会合の議事概要及び議事録につきましては、前回会議終了後、委員各位に個別に御確認をいただき、既に農林水産省と環境省のホームページで公開されておりますことを御報告いたします。
 では、早速ですけれども、議事1に入りたいと思います。
 前回の合同会合では、焼酎などの個別資材に関する審議を行いました。前回の合同会合の座長である山本委員より、前回の合同会合の審議を踏まえて、今後、評価を進めていく上で基本的な考え方を整理しておくようにと、事務局に指示されていたところであります。この点について、山本委員より、まずコメントをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【山本委員】 今、白石座長からお話がありましたように、前回の合同会合で、いろいろな資材について議論をしたところです。その前に、検討対象となる資材が35資材、事務局から提案されて、合同会合でこれに絞られました。そして、評価に必要な資料が整ったものから、順次審議していこうということになりまして、前回は、焼酎、電解次亜塩素酸水、木酢液、ウエスタン・レッド・シーダーの蒸留抽出液、これらについて審議を行ったところです。こういった個別の資材に関する審議で、いろいろな事柄を一般論として整理しておいたほうが良いだろう、今後、個別資材の審議を進める上で重要だということで、前回の会合終了後に、事務局にこういった整理をお願いしたところでございます。
 資料2のように事務局で整理していただきましたので、詳細を事務局から説明をお願いします。よろしくお願いします。

【入江農薬対策室課長補佐】 農林水産省の農薬対策室の入江と申します。山本先生からの指示に従いまして、資料2のように取りまとめさせていただきました。詳細を説明させていただきます。
 まず、大きく二つに分けまして、食品の特定農薬指定についてということで、防除目的で使用する食品、ここでは食品衛生関係法令に基づきまして、販売等が可能であるものに限るとさせていただいておりますが、これらを特定農薬として指定する際には、使用者自らが農薬と同様の効果があると信じて、防除目的を持って使用することということから、防除効果の有無や薬害につきましては、使用者自ら責任を負うという前提で指定を行うこと。
 たとえ食品でございましても、過剰に散布された場合、問題が生じるおそれも完全には否定できませんので、使用の際には、薬害、安全性に注意して、使用者が責任を持って使用するよう、指定の際に、通知や行政指導で周知を行っていくこととします。
 2点目としまして、防除用として販売することを目指す資材の特定農薬指定につきましては、農薬取締法の目的として、不正、粗悪な農薬の流通を排除すること。それをもって、安全な農作物の安定的な生産に寄与することということになっているということが一つ。防除用として販売することを目的とする資材をこのような特定農薬として指定する際には、農業生産上悪影響を及ぼすことがないよう留意することが重要。さらには、防除効果をうたって市販されるということは、農薬取締法の第10条の2の虚偽の宣伝等の禁止という項目に該当するおそれがあること。この3点をもって、食品などのように、生産現場で、既に防除目的で使用され、使用者自らが農薬として利用する場合よりも、慎重に審議する必要があると、このように取りまとめさせていただきました。
 以上でございます。

【白石座長】 ありがとうございます。ただいまの御説明に対して、質問等がございましたら、お願いいたします。

【上路委員】 解釈というのか、私が十分に理解していないのかもしれませんが、2番目の三つ目のポツですけれども、防除効果が十分でない特定農薬とありますが、特定農薬だから、一般の農薬と比べて農薬効果が5割ぐらいであれば特定農薬に指定するという約束ごとがあったと思います。そういうことになりますと、第一に一応特定農薬というのは防除効果があるということが前提だと思います。
 それと、第二に防除効果をうたって市販されるということは、防除効果が半分でもあるということですので、それが農薬取締法に規定する虚偽の宣伝に当たるのでしょうか。そこの解釈の仕方がわかりません。どのように解釈したらいいのか、ここのポツのところがわかりかねます。

【入江農薬対策室課長補佐】 防除効果をうたって市販するというところですが、虚偽の宣伝に該当するおそれがあるということで、はっきりこの条文にある虚偽の宣伝に該当するかどうかわかりませんが、いわゆる不正、粗悪な農薬によって、品質が確保されていない場合、そのような効果がちゃんと保てていないものも流通してしまうということから、製品の安定した効果が保たれないのではないかとのおそれがあるということです。

【上路委員】 少ししつこいようですが、一応特定農薬ということがついた以上、ある一定の安全性や、いろいろなことをチェックした上で、特定農薬というお墨付きを与えるものと思います。そういうことになると、農薬取締法の違反になるのでしょうか、教えてください。

【朝倉農産安全管理課長】 登録農薬は、病害虫とか、使用方法とか、希釈倍数とか、明確に定めて、それをラベルにして販売するわけですが、特定農薬には表示の義務はございませんので、確かに審議のときには、この希釈倍数で、この病害虫で使用したら防除効果がありましたということで、防除効果を5割で見ます。しかし、実際の使用場面で本当にどう使われているのかというのをよく見た上でないと、もしかすると、違う防除効果をうたって販売される可能性がないのかとか、そういった点は、やはり、我々としては、指定したが、実は虚偽の宣伝が蔓延しましたというのは、法律の運営上好ましくないので、実態としてどういう使われ方をするか、こういった点は慎重な審議が必要だろうというような意味も含めて、確か前回お話ししたような気がします。

【上路委員】 わかりました。そうすると、ここの文章をもう少し、今、おっしゃられたように変えていただきたい。特定農薬というのはお墨付きだから、いわゆる農薬取締法違反にはならないと思います。そこで、今、課長がおっしゃったような、おそれがあるからというような文章をつけ加えてください。これは一般に開示されるものですから、特定農薬に対する疑義が生じ、農薬取締法上の規定にきちんと規制されるのかどうかという一番根底のところが崩れてしまうので、ただし書きをされるとか、そういう工夫をされたらいかがでしょうか。

【中杉委員】 おそらく、ここに防除効果が十分でない特定農薬と書かれているからまずいのであって、特定農薬に指定をしてしまうと、問題があるということですよね。だから、特定農薬に指定をするときに、そういうところは十分に慎重にしましょうという話であり、防除効果が十分でないものを特定農薬に指定してしまうと虚偽の宣伝に使われるおそれがあるから、そういう意味では、4番目のところについて慎重に審議しましょうという、そういう話ですよね。したがって、ここで防除効果が十分でない特定農薬と書いてしまうと、ここは矛盾することになると思います。

【朝倉農産安全管理課長】 わかります。確かに特定農薬にしてきたのに、防除効果が十分でないということですね、わかりました。

【国見委員】 今の点を確認すると、確かに特定農薬の場合、表示義務がないですね。
 例えば、キュウリのうどんこ病で効果があったということで、もしその剤が特定農薬として認められた場合、トマトで、別の病気に効果があるとうたった場合には、これは農薬取締法違反になるのですか。ここの解釈ですよね。どのようにお考えになりますか。

【朝倉農産安全管理課長】 効果が仮になくて、防除効果をうたって販売して、農家が期待した防除が得られずに違反になれば、そこは最終的には裁判所に行くまで、我々が農薬の取締において証拠固めできるかという問題になります。けれども、概念上は、やはりそういう法律の規定がある以上、問題であろうと思います。したがって、そういう場合に、焼酎のようにみずから信じて飲む焼酎を効くかなと、前半に整理したように、みずからの責任でやっていただくということとは異なり、やはりラベルをして販売をする場合には、明らかに違うものの場合には、虚偽の宣伝に該当するだろうと。
 ただ、実際の取り締まりの場面で、どういうケースがそれに当たり、当たらないのかというのは、むしろ特定農薬の取り締まりをどのように進めるのかという問題になります。例えば、登録農薬なり、あるいは防除効果を標榜して販売しているような、最近疑義資材の取り締まりをやっていますけれども、やはり、そのような現場を見て、どういうものがよくないというのは、取り締まりの判断基準をその都度定めていくことになると思います。
 ただ、特定農薬の場合に、明らかに制度として指定していくわけです。したがって、虚偽の宣伝がわかっているのにそれを放置するというのは、法律の規定の精神として疑義があると思います。したがって、そういった点は十分考慮をしないと、なかなか指定は進まないだろうと、そのような意味合いで書いたのですが、中杉委員の御指摘のとおり、特定農薬に防除効果がないという表現ぶりがよくないので、そこは確かに事務局で整理させていただきたいと思います。

【山本委員】 私も見せていただいていて、今の御指摘も、そのような読み方ができるかなというところで、特定農薬の二つ目のポツと同じように、資材としておけばどうでしょうか。そういう資材が出てきて、審議するときには、慎重にしないといけないと、指定するに当たってはということで、防除効果が十分でない資材が、防除効果をうたって市販されることは、当然、虚偽の宣伝に該当するわけですから。ここで審議するとき、防除効果が、いわゆる合成農薬よりも低くても、このぐらい効けばいいだろうということで今まで認めてきました。だから、幅があるということも含めて、慎重に審議ということで、事務局で書いていただいたらと思うのですが。文言上は、特定農薬の防除効果が十分でないものと一般的に読めることに疑義があり、十分でない資材が、というような表現だといかがでしょうか。

【白石座長】 防除効果が十分でない資材、これから挙がってくる資材について、よく考えてください。

【山本委員】 4番目で慎重にやりましょうと。

【白石座長】 よろしいでしょうか。それでは、そこは修文していただいて、これは取りまとめということでさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 ありがとうございました。
 では、早速ですけれども、議題2に入らせていただきます。特定防除資材(特定農薬)の指定に向けた具体的な資材の検討についてです。最初に、資料3-1に基づき、事務局より説明願いたいと思います。よろしくお願いします。

【荒木農薬環境管理室長補佐】 それでは、エチレンにつきまして、御説明をさせていただきたいと思います。
 資料の3-1をごらんいただけますでしょうか。冒頭に御紹介がありましたけれども、関連する参考資料ですとか、文献につきまして、紙のファイルでファイリングさせていただきまして、お配りしておりますが、今申し上げた資料3-1、エチレンの概要という資料を主に用いまして、御説明をさせていただきたいと思います。
 1枚めくっていただきますと、目次が並んでおります。この後のホソバヤマジソの資料も同様でございますけれども、特定農薬の指定に関する資料の様式に基づきまして、情報を提供してくださった方から提出のあった資料をお配りしております。1点、エチレンにつきましては、目次の3の(2)の[1]、通常の様式ですと、急性経口毒性、それから、[3]についても経口となっております。御説明するまでもないかもしれませんが、後ほど御説明しますとおり、エチレンは常温において気体だということもございます。したがって、こちらの資料については、吸入毒性についての資料の提出をいただいておりまして、目次においても吸入というふうに書き直させていただいております。
 それでは、1の物化性と使用方法でございますけれども、エチレンの性状としては、かすかに甘い臭気を有する無色の気体ということで、先生方御承知のとおり、植物でも生成されている植物ホルモンとして知られているわけです。今回、エチレンの概要で紹介されている使用方法については、資料を提出された方が想定している用途としては、ジャガイモの芽どめ、萌芽抑制ということで使われております。その場合は、工業的に生産をされたエチレン、すなわち液化された形で、ボンベに充てんされたものが使用されているということでございます。また御承知のとおり、一般家庭でも、例えばキウイフルーツの追熟などで、リンゴとともに保存をして追熟させたり、また、参考資料の3をごらんいただきますと、先ほど御紹介した「エチレンの概要」という資料に記載のあります、ジャガイモの芽どめ以外にも、バナナや、キウイフルーツの追熟に工業的に生産されたエチレンを用いて、いるというケースもございます。
 それでは、資料3-1に戻っていただきまして、使用方法ですけれども、ジャガイモの収穫後の萌芽抑制のために、こちらで御紹介があります使用量については、4から20ppmとございます。そういった濃度が保てるように、制御装置を介して、貯蔵庫にエチレンを導入して使用しているということでございます。
 1枚めくっていただきまして、ジャガイモの萌芽抑制に使用されているエチレン、真ん中ほどの米印のついているところでございますけれども、こちらに記述がございます。工業用に製造されているエチレンですが、液化エチレンをボンベに充てんをする工場が全国に3工場あるそうでございます。そういったところから供給されたものが使われています。濃度としては、98%、99%のものが市販をされているというようでございます。
 次のページに移っていただきますと写真が掲載されております。このような貯蔵庫、エチレンの濃度が管理できる貯蔵庫においてジャガイモが貯蔵されております。次のページをめくっていただきますと、左上にガスの制御装置が写っております。こういった装置を用いて、その右側、あるいは一番下の写真に掲載されておりますようなボンベに充てんされたエチレンを導入して、一定の濃度に保って使われているということです。
 続きまして、5ページに移っていただくと、薬効の関係の資料でございます。資料を御提供いただいた方からは、3つのケースについて御紹介をいただいております。真ん中のカラムに使用濃度とございますが、幾つかの異なる濃度で効果が測定をされております。具体的には、伸びてきた芽の長さ、あるいは伸びなかった芽の長さが比べられております。
 次のページに、余り快いものではないですが、写真が紹介されております。伸びてきた芽の長さを比較して、効果を測定しておりまして、効果については写真のとおりでございます。
 続きまして7ページ、安全性に関する資料の概要ということでございます。冒頭で使用濃度の紹介をさせていただきましたが、その中で最高濃度、通常使われている濃度のうちの最高の濃度が20ppmということのようあり、それで試験をしたということのようです。そもそも萌芽抑制については、低温によって行うこともできるわけですが、加工後の品質の低下を避けるために、エチレンというものが使われています。また、そもそも収穫後に使用するということを考え合せますと、通常の意味での薬害ということの試験ということでは、若干違うのかもしれませんが、作物体への害という意味での薬害ということとは違うとは思いますが、こういったデータも御提供いただいております。
 続きまして、8ページ目をごらんください。冒頭申し上げましたとおり、常温において気体であるエチレンということで、吸入毒性についての文献が紹介されております。8ページ、9ページで紹介されているものは、直接エチレンの吸入毒性を見るものではないということでございます。アロクロール1254と言われるものを処理した後に、幾つかのガスを鼻部暴露であるか、全身暴露であるか、明記がございませんけれども、暴露をさせた場合の毒性を観察するというような試験が行われた結果についての文献のようでございます。例えば、8ページ目に、最高投与量である57,000ppmでも、死亡例が見られなかったという記載がございます。
 同様に9ページ目に、こちらもエチレンの毒性を直接見るものではないということのようですが、こちらは恐らく全身暴露だと思います。最高投与量10,000ppmで、毒性兆候ですとか、死亡例が認められなかったということが紹介されています。
 それから、11ページ目、変異原性試験でございますが、こちらはガス状の物質の変異原性試験法を検討するということが恐らく目的ではないかと思います。そのような試験概要、文献についての御紹介ですが、投与量は5,000ppmから2,000,000ppmで、結論としては、変異原性は認められないものと判断されるという記述がございます。
 続きまして、14ページに移っていただきまして、長期間の反復吸入毒性試験ということです。こちらをご覧になっていただくと、これまでのものとは違い、エチレンの毒性を直接見たものと言えるかもしれませんが、2年間にわたり、1日6時間、1週間に5日間の暴露を2年間にわたって、容量設定が、0、300、1,000、3,000ppmの濃度に設定され、一般状態の観察など、およびがん検査、血液学的、血液化学的検査、それから剖検も行われており、結論としては、最高投与量の3,000ppmにおいても影響が見られなかったという結論のようでございます。
 続きまして、17ページに移っていただきまして、様式上は、暴露評価に係る試験情報があればということで設定がされております。御提供の資料は必ずしも様式上求めている情報の内容とは必ずしも一致しないのかもしれませんが、御提供いただいている資料は、過去にといいますか、現在もそうなのかもしれませんが、エチレンは麻酔剤として使用されてきているということなどが提出されております。
 それから、17ページの下のほうですが、こちらも先ほどの作業者暴露の部分と同じように、特定農薬の評価の指針の中で想定している項目設定の内容とは直接合致しないのかもしれません。しかし、こちらで御提供いただいている調査結果については、エチレンを用いて、萌芽抑制処理をしたジャガイモのエチレンの濃度ということで、一般の意味での食物残留性と若干違うのかもしれませんが、エチレンを処理したジャガイモの塊茎を袋に入れて密閉してから空気を排除した後に、再度空気を入れて、密閉した後、24時間後に内部の空気をサンプリングしたものということのようです。17ページの下の試験においては、ごく一部の区を除いて、エチレンは出てこなかったというような記載があります。
 ページをめくっていただきまして、18ページ目に、同様の方法で試験がされた内容、結果が提供されております。検出された濃度は違う部分がございますけれども、方法は大体同じというように考えてよろしいかと思います。
 それから、19ページに移っていただきまして、食品中のエチレン含有量ということで、文献の参考情報をいただいております。表題として作物中のエチレン濃度というふうにございますけれども、文献を見ますと、水に沈めた後、出てくる気体を分析していると書かれていると聞いております。実際、どのようにされているのか、定かではございませんが、このようなデータが参考までに提出されております。
 それから、21ページに移っていただきまして、水産動植物に対する安全性ということです。特定農薬指定のための評価に関する指針の中で、河川などの水系に流出するおそれがないと考えられる場合は、試験成績の提出が省略できるというような規定があります、それにのっとって省略をするというふうに書いてございます。
 長くなってしまいましたけれども、エチレンについての説明は以上でございます。

【白石座長】 ありがとうございました。ただいまの御説明に、御質問お願いしたいのですけれども、いかがでしょうか。これは、先ほど取りまとめで、食品でもなく、防除用として販売するというものでもない、新たなジャンルという理解でよろしいですか。エチレン、工業用製品ですが、これについて御審議いただきたいと思います。いかがでしょうか。

【国見委員】 指針にもありますように、特定農薬の基本的な考え方で、原材料に照らして、農作物に危害、あるいは動植物に危害がないということが前提になっていますね。このエチレンの原材料は原油ですね。ナフサですね。その点は矛盾しないのでしょうか。植物体からエチレンを取り出しているわけではなくて、原油から取り出しているわけです。その原油という原材料は、安全性を担保できているというふうに考えてよろしいのでしょうか。

【入江農薬対策室課長補佐】 今現在使われている工業用エチレンは、製造原料がナフサかもしれませんが、エチレン自身が99.9%以上、あるいは98%以上のもので、かなり純度の高いものだと考えております。エチレン自身として、毒性試験等は、ここにあるような文献から読まれると思うのですが。

【朝倉農産安全管理課長】 少しよろしいでしょうか。多分、農薬というものがどういうものからできているかというそもそも論で、法律がこうなっているんですけど、つまり、農薬というのは原体と補助成分と担体で主にできていて、主にその三つですけれども、それから照らして見てということなのだろうと思うんですよね。
 この場合、エチレンですから、原体そのものというとおかしいですが、原体が何からできていたかというのは、そこの原材料という意味ではなくて、農薬取締法は、あくまで農薬という製剤の製品で見たときの原材料というような意味で、農薬取締法の世界では、補助成分とか原体を見ていますので、もともと石油製品であったかというところは、幾分法律の外側の世界のような気がするのですが。

【国見委員】 木酢のときの議論を考えると、木酢の場合の原材料というのは木であったと。だから安全であるというような議論をされたわけですね。原材料とはそういう意味合いではないのですか。

【朝倉農産安全管理課長】 木酢とこれはまた幾分違う議論だと思うのですが。農薬の場合、あくまで取り締まりの対象になるのは、原体と補助成分ですね。乳化剤とか、補助成分と担体、これの安全を見て、取り締まっているわけですね、登録農薬の世界では。
 例えば、原体も、ダイオキシンのような問題があるときには、どこから中間材を持ってきたかということを検査では見ますけれども、最終的には原体の中のダイオキシンの含有量で取り締まり、縛っているということから見ますと、何から合成されてきたかという意味の、あくまで法律上の原材料というのではなくて、製剤になったときの農薬の原材料は何だったかというのが、法律上の解釈からくるところの原材料として考えないと、それこそ石油製品全部ほとんど農薬になってしまいますから。したがって、登録制度を外す上で、法律上、第2条の登録制度の申請要件があって、第3条の登録保留要件があるわけです。この要件を外す条件として、原材料から見てということになりますと、明らかにその際に見ているのは原体の安全、あるいは製剤の安全性、その製剤に使われている乳化剤なり、担体なりの安全性、これが今の農薬の登録検査の視点ですので、それに加えて、先ほど申し上げた不純物のようなものが入ってくるという考えからすると、石油製品だからというのでは、取締法の世界からすると、そこは余り通っていないのかなと。ダイオキシンのような特別な例は除いてですね。

【国見委員】 そうすると、逆に質問したいのですが、木酢の原体って何なんですか。

【朝倉農産安全管理課長】 ここでは木酢の議論は幾分場違いなのですが、木酢の場合に何を原体として、何を純物質とするかというよりは、まず、木酢そのものの規格をどうする、定義をどうするという、そこでまずはっきりさせましょうとなっていますから、原体イコール製剤となっている場合もあるのかもしれませんが、本題では木酢とエチレンと同じように議論するのは難しいのかなと思いますが。

【白石座長】 よろしいでしょうか。ここで言う原材料というのは、エチレンそのものを指すということでよろしいでしょうか。木酢液は、木が原材料で問題になったときは、廃材を使っていて、ホルムアルデヒドがふえたとか、そういった話だったという記憶があるのですが。

【山本委員】 よろしいでしょうか。今の課長のお話も、それはそれで、そのようなことかと思えるのですが、私は、やはり国見先生が言われるように、その原材料から照らしてといったときに、大本が何だったのかと、だから、これは石油のことを議論しようという話ではなくて、一般的に、あの法律を読んだときに、どうなのかと。もともと食習慣があるからいいじゃないかとか、まさに原材料に照らしてでありますよね。
 それから、前回の焼酎でいうと、これは飲んでいるものだからいいじゃないかとか、そんなような話で、極端にぎりぎり詰めれば、国見先生が言われたみたいに、原材料というのは、この場合には原油だという話になるのではないでしょうか。法律の読み方、我々、解釈はどうかわかりませんが。

【朝倉農産安全管理課長】 よろしいですか。そうなると、登録農薬は、登録審査において、それを全部見ているかというと見ていませんから。

【山本委員】 それはもちろん見ていないです。化学物質を見ているわけです、原体を。

【朝倉農産安全管理課長】 ですから、登録制度から外すということで特定農薬の世界ができているとなると、登録制度で見ていないものの安全性を特定農薬では見るというのは、法律上おかしくなってしまうので、そこはあくまで登録農薬の世界での農薬の原材料は何かというと、それは製剤の銘柄登録になっていますので、その構成をしている原材料に限定をする。ただし、科学が進んでいきますと、ダイオキシンのように原体だけで制御が難しいような場合に、中間体のところまで、これは取り締まりの領域で踏み込んでいった上で、最終的に原体の規格なりを決めて取り締まっている。これは取り締まりのテクニックとしてありますが、なかなか法律の外側の世界のところを、我々として扱うということはちょっと難しいのではないかと思います。

【牧野委員】 これはポストハーベスト・トリートメントですよね。ですから、食品衛生との関連はあるかと思うのですが、その辺りはどうですか。いわゆる農薬とはちょっと使われ方が違うのですが、植物が立毛中に処理するというのが一般的な農薬の使用の方法なのですが、後で処理をするというのはどうなのでしょうか。

【朝倉農産安全管理課長】 ポストハーベストでも農薬です。例えば、木材を使用するくん蒸剤とか、貯穀害虫をする殺虫剤とか、これはすべて農薬登録をしておりますので、別にポストハーベストだから農薬ではないということにはなりません。

【中杉委員】 実質、エチレン自体が危険かどうかという観点で、少し議論をしたほうがいいと思いますね。石油由来であるけれども。

【山本委員】 私もそう思います。これは特定農薬に指定するという方向で、いろいろな毒性、その他もろもろ、それから食品中にも含まれるということで、そこは問題ないと思っているのですが。そもそも法律の解釈をめぐって、国見先生から意見が出されて、もともとの法律に書いてあることの中で決めていける話かということは、今日はそれを議論すると長くなるので、私はもう少し整理していただく必要があると思います。
 今、課長が言われたように、原体と、それから補助材というような、それが原材料だという解釈ではないという気が少しいたします。きょうは長くならないように、これはそういう課題があるということだけ、記録していただければよいと思います。

【中杉委員】 それは私の趣旨の本論ではなかったのですが、エチレンの場合というのは、従来のものとは全然違う性質のものなので、むしろ従来農薬のもので考えていたものとは別な問題が必要になってくることを考える必要が出てくると思います。と言いますのは、大気に入ったときに、大気中で光化学反応を起こして、いろいろな問題を引き起こす可能性がある。これは論理的な話で、多分これは量的にそんなに問題にならないので、問題はないだろうと私も考えていますが、やはりその辺りの視点はしっかり押さえておいたほうがいいだろうと。従来の農薬とは全く違う考え方をもとにして、これは大量に使われるとなると、やはり大気汚染、光化学スモッグに変わって、人の健康に影響を及ぼす可能性も全くないわけではありません。これは量的に大量に使うことはないので、そんな問題もほとんどないだろうと思いますが、そういうことを少し考えていかなくてはいけない、新しいタイプのものだろうと思いますので、一言だけ申し上げておきます。

【白石座長】 では、原材料に関しましては、考え方をもう少し整理していただくと。ただ単に原体何とかではなくて、今までの議論を踏まえて、もう少し整理していただくことでよろしいでしょうか。

【井上委員】 関連でよろしいですか。私は、中杉先生のおっしゃるとおり、新しいタイプの問題だと思います。というのは、国見先生も木酢のことを何度か問題にしておられますが、木酢のときには、問題になった物質は、ベンゾパイレンです。ベンゾパイレンを原材料として議論したわけではないですね。だけども、焦点は、ベンゾパイレンでした。だけども、木酢は木酢だったわけですね。ここでの焦点は、エチレンそのものだという意味では、確かに別なものです。しかもエチレンということになれば、これは化学物質ですから、実際に大気との関係だとか、そういったものが問題になって、中杉先生のおっしゃるような、いろいろなものを整理しておかなければならないということになってしまうのですね。その違いは理解しておく必要があると思います。

【白石座長】 まず、原材に関しては、今の御指摘を踏まえて、木酢液の関連もあると思いますので、整理していただきたい。

【朝倉農産安全管理課長】 わかりました。法律上、「原材料から照らして」という文言がありますので、それと登録農薬と特定農薬との関係ということで、きちっと整理しておいたほうが議論の無駄がないので、整理して、次回説明させていただきます。

【白石座長】 エチレンに関しては、これをエチレンとして扱って議論していいということでよろしいでしょうか。
 他に。

【上路委員】 これは、いわゆるボンベから出すということで、右側に使用上の注意ということで、高圧ガス保安法という規定で使うということになっていますけれども、こういうことは、一般の農家の方がやるのですか。それとも何か規制があって、こういう人でやりなさいという縛りがあるのでしょうか。そういう使用上の注意というのですか。それをどうするのか。それは今までガスボンベみたいな形で、農薬登録されていたのがあったのか、なかったのか。その辺りのことを教えてほしいと思います。
 よろしいでしょうか。ついでに、適用作物はジャガイモだけなのですが、ジャガイモに限定なわけですね。きょう一番初めの議論で、他のものに使った場合にというコメントをいただきましたけれども、これは限定するのかどうか。あるいは使用量が4から20ppmということになっていますけれども、これもきちんとそのような形になるのか。
 それと、エチレンというのは、今は使っていないと思うのですが、エテホンという剤がありまして、これが加水分解されてエチレンができます。いわゆる植物成長調節剤みたいなものだと思いますけれども、量が多くなると、むしろいろいろな熟期を促進するとか、プラスの効果が出てくる。抑制と促進と両方入ってくると思うので、そこのところの濃度の関係をどう考えるのか、本当に4から20ppmで抑制ということが定まるのか。その辺りのデータがないのかなという気がしました。そのようなエチレンの効果について、もう少し詳細なデータが欲しと思いました。

【白石座長】 今、幾つかありましたけれども、大きなところは2点で、ボンベ等の取り扱いの注意、いかがですか。

【入江農薬対策室課長補佐】 使用者への安全ということでお答えいたします。この農薬取締法としましては、登録農薬でございましても、特定農薬でございましても、他法令による規制は逃れません。したがって、このエチレンを農薬として使用する場合も、高圧ガス保安法、あるいは労働安全衛生法に規定する事項を遵守することが必要となっております。これは先ほど申しましたような農薬全般に関わるものなので、エチレンだけというものでもございません。
 特に工業用エチレンを製品として、MSDSの発行することを求めることもできまして、その製品の規格といいますか、そのもの自身を知ることができるということになっております。したがって、消費者への安全は、他法令を含み、確保できるのではないかと考えております。
 それと適用につきましては、使用する対象につきまして、今回、ジャガイモの萌芽抑制について資料を出させていただいております。参考資料にもございますように、バナナやキウイフルーツの追熟については、ジャガイモよりは高い濃度で使用されておりまして、エチレンとして特定農薬として指定しますと、ジャガイモについても、また、他の追熟のために使う場合でも、使用できるということになると思います。
 エテホンとの違いなのですが、この特定農薬制度は、農家なり、使用者の創意工夫で農薬として利用しているケースまで過剰規制をしないことを目的として創設されております。今回のエチレンにつきましても、工業用に販売されているものを使用者が工夫して使用しているものということで、この制度の趣旨から考えると、特定農薬として指定対象とすべきと考えております。

【上路委員】 今の確認を。ジャガイモでも追熟という可能性、もし濃度を高めたら追熟というのですか、濃度を高めると、熟してしまうと考えられるのですか。

【入江農薬対策室課長補佐】 ジャガイモにつきまして、はっきりしたデータはございませんので、わかりません。

【根岸委員】 多分、イモは熟さないと思います。ナス科の植物って変なので、熟さないまま、ずっと小さくても大きくても同じであると思います。大きくなったら大きくなったで、同じイモですので、多分内部的な成熟ということにはならないだろうと思います。多分です。よくわからないですけれど。
 あと、少しだけ気になるのは、効果試験をやっているところの規模が非常に小さいですよね。実際、北海道に行って、基本的に生食用ということもあるのでしょうけれども、種いもや何かを貯蔵しておくときに変なことにならないようにという意味もかなりあると思うのですが、そのような場所の倉庫は規模が非常に大きくなり、そういうところで、果たしてこの濃度がきれいにそろえられるかどうか。ですから、こういう効果がきちんと全体に均一にあらわれるかどうか、その辺りが若干気になるところですけれども、この辺りは大丈夫なのでしょうか。

【入江農薬対策室課長補佐】 今回のお示ししてあります倉庫につきましても、完全密封状態ではありません。いわゆる出入りも自由になっており、ある程度の濃度があれば、この萌芽抑制は可能のようなことを聞いております。

【根岸委員】 多分、完全密封状態にならないと思いますので、くん蒸倉庫のような状況ではないだろうと思うのですが、ただ、大きな倉庫ですので、かなり濃度的なばらつきが出るのだろうなという想像がされるわけですね。それで果たしてうまく、この小さな実験レベルでの効果が保てるのかどうなのか。

【西嶋農薬環境管理室長】 もう一般で、北海道では使われているようで、その場で何か事故があったという例は聞いていないという話を伺っております。実験室レベルでやらないと、うまく制御できなかったので、こういう形になったのであって、現場では実際に使われているというようなお話を聞いておりますけれども。

【白石座長】 実績がある方法らしいです。
 他は、いかがですか。これをジャガイモで認める。

【矢野委員】 私はジャガイモの萌芽抑制に関してのみ、エチレンを特定農薬として判断するのかなととらえていましたけれど、説明で、バナナやキウイ等の追熟等に使用されているということで、もし特定農薬に使用されれば、今後エチレンを追熟に使用した場合は特定農薬として使うというふうにとらえていくのですか。そうすると、この判断の仕方として、普通、農薬は特定化されるから判断ができるのであって、今回みたいに萌芽抑制だけではなくて、追熟もまた一つの役割があるということでしたら、それのための資料も必要になってくるのではないでしょうか。ただエチレンという形で判断をしていいのか。
 それと、バナナやキウイフルーツの追熟に既に使われているということは、特定農薬に使用されることのプラス面は何かあるのでしょうか。それもあわせてお聞かせください。

【朝倉農産安全管理課長】 この萌芽抑制の話をいただいたときに、バナナの追熟のエチレンと、萌芽抑制のエチレンというのは、農薬取締法上、植物成長調節剤、片や、昔からやっているケースでそれらを切り分けられるのか法律上の議論をしたのですが、結論から言うと切り分けられないです。切り分けられないからといって、ばれいしょの萌芽防止というのは明らかに今までにない使い方ですので、これは追熟のように実績もないので、きちんと試験をやってもらいましょうと。その上で、効能があれば、ボンベ会社に農薬登録を取れというのは無理がありますので、特定農薬の方向でしていきましょうということで、ホクレンで試験をやってもらった結果、実際、実用場面でも使用ができると。
 そうなりますと、エチレンとして指定したときに境目がないので、これは昔から農薬取締法上、追熟で登録してはいなかったのですけれども、この際、こういうものもきちんと位置づけておかないと法の整合性に欠けるだろうと。今まで、そういう規制をしていたわけではないのですけれども、ここにございますような純度とか、MSDSがあるものとか、そういう数値によってきちんと限定して、この際、使う場合に使用するボンベを限定させるということは、決して悪いことではないだろうということで、参考資料3がついているということで、事実上としては、萌芽抑制は明らかに成長抑制剤として、これは定義ができているのですが、追熟の方が切り分けられなかったということで、この際お願いしたいという事情です。

【白石座長】 よろしいでしょうか。既に実績がある方法で、効能は確かであるということで、そういう判断でよろしいですかね。

【山本委員】 これはエチレンを指定するわけじゃないですね、そうすると。この工業用のボンベに詰められたエチレンを指定するわけです。そこのところをはっきりしておかないと、いろんな形のものが出てくるのか、あるいは、高圧ガス保安法に準拠しないものまでやると、これは使用者判断の問題は非常に大きな問題ですし、今、MSDSの話も出ましたけれども。特定農薬は、何か物を指定すれば、できるだけ自由にやろうよというような話の中で、前回は酒屋で売られている焼酎という話になりましたよね。あれと同じように、日本で3社ぐらいですか、ボンベをつくっているのは。3社が4社になっても、5社になってもいいのですが、高圧ガス保安法に準拠したボンベに詰められたエチレンと、こういうやり方をするのかどうか。その辺り、少し指定する際に当たって、きちんとしておかないといけないなという気がします。

【入江農薬対策室課長補佐】 山本先生のご意見のとおり、MSDSが発行されているような工業用エチレンを指定するということを前提として考えております。
 現在、資料にも載せておりますが、このボンベの充てんは全国3工場でしか行われておりませので、規格としても98%と99.9%のものということで、今のところはそれだけのものしか入手できないということが前提となっております。
 この使用に当たって、何かしらの注記をつけるなりして、指導を行っていきたいと考えております。

【西嶋農薬環境管理室長】 特定農薬自身は、先生御指摘のとおり、物質で指定しますので、エチレンという物質で指定するという形になります。
 今、課長補佐から説明があった、いわゆる使用上の注意といいますか、そういったものは通知で、いくつか留意事項なりを整理して、それをプラスするという形で整理をさせていただくような形になると思います。

【白石座長】 よろしいでしょうか。他にございませんか。
 特段、特定農薬に指定しないという意見はないようですが、これを特定農薬として指定して問題ないと判断されているということでよろしいでしょうか。
 いくつか使用上の注意とか、濃度範囲とか、あるいは大気に放出されたときの問題とか、いろいろなコメントが出ていますけれども。
 事務局で取りまとめていただいて、何か使用上の注意みたいな形で取りまとめていただいて、特定農薬として認めるということでいかがでしょうか。

(発言なし)

【白石座長】 特に反対の意見もございませんので、特定農薬として指定して問題ないということで、よろしいということにさせていただきたいと思います。
 それでは、特に他にございませんでしたら、今後の手続について、事務局から御説明いただきたいと思います。

【荒木農薬環境管理室長補佐】 それでは、今後の手続ですが、ただいまの御審議を踏まえて、また座長から御発言もございましたとおり、必要な整理を行った上で、法令上、食品安全委員会への諮問が必要とされております。そのような手続に向けて、事務局で準備をしていくということになります。
 また、食品安全委員会だけではなくて、食品安全委員会の答申がもしあった場合に、農業資材審議会及び中央環境審議会において、特定農薬の指定の可否について、改めて確認をいただいて、その上で法令上の手続をしていくということになります。

【白石座長】 ありがとうございました。

【井上委員】 しつこいようですが、特定農薬だから、いろいろな基準だとか、毒性だとか、変異原性だとか、発がん性だとか、そういったものは調べる必要はないというように特定農薬を決めた記憶はないんですよね。
 それから、この場合、実際にエチレンのボンベを使うからエチレンなのですが、考え方としては、植物ホルモンとしてのエチレンを同じ物質だから使っているわけで、だから特定農薬なわけですよね。しかし、ボンベを使うから化学物質としての濃度だとか、いろんなものも関わってくるから、それなりの毒性試験をやってもらったほうがいいだろうという必然性が、特定農薬であるにもかかわらず、この剤については出てきたと。だから、そういう危惧のあるものは、今後も特定農薬の中で当然そういったものは見ていただく必要があると、そういう考えでよろしいですね。

【白石座長】 わかりました。今の御発言、よろしいですよね。

【朝倉農産安全管理課長】 まさに井上委員ご指摘のとおり、そのためにこの合同会合で指針を決めて、とりあえず、こういう試験をまずは見ようと。この間も議論がありましたけど、それだけでは見られないようなものは、追加の試験ないしは代替の試験なりでということで指針がつくられておりますので、おっしゃるとおり、原則は、まずは評価の指針に基づいたデータを出していただいて、審議をお願いするということであろうと思います。

【白石座長】 今後ともよろしくお願いいたします。
 それでは、次の議題に移らせていただきますが、資料3-2に基づいて、ホソバヤマジソについてお願いいたします。

【荒木農薬環境管理室長補佐】 それでは、ホソバヤマジソについて御説明申し上げます。資料3-2を主に、それから参考資料4についても、若干言及をさせていただこうと思っています。
 それでは、資料3-2を2枚めくっていただきますと、物理化学的性質、使用方法がございます。
 真ん中の行に原材料がございますけれども、原材料としては、ホソバヤマジソ、それから乳化剤としてグリセリン脂肪酸エステル、溶媒としてエタノール、水となっております。上の名称にもございますとおり、次のページで製造方法について御説明します。ホソバヤマジソを抽出したものに乳化剤ですとか、エタノールですとか、水を添加してつくられるものということだそうです。
 ここで特徴としては、「チモールの含量が多く」というふうにございますので、参考として、参考資料4でございますけれども、チモールについての参考情報を整理させていただきました。
 まず、医薬品としての使用をされているそうでして、殺菌作用をチモールという物質が有しているということから、歯科において虫歯の消毒剤として使用される。それから、医薬品の保存剤として使用されるケースがあるそうでございます。
 それから、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、いわゆる化審法と言っているものがございますが、平成21年5月に改正はされているのですが、それ以前の枠組の中で、第二種監視化学物質、第三種監視化学物質というものがカテゴリーとして設定されていたことがあり、第二種というものが継続的に摂取される場合に、人の健康を損なうおそれがある疑いのある化学物質です。それから第三種と言っていたものが、動植物の生息に支障を及ぼすおそれがある化学物質というふうな位置づけだったのですが、チモールについては、それぞれ人の健康影響の観点から第二種、それから生態影響の観点から第三種という監視化学物質という分類にカテゴライズされていたという経緯がございます。
 その当時、その判断をした根拠となった毒性試験成績については、この参考資料4のめくっていただいたところに掲載されております。
 なお、現在の枠組ですけれども、今申し上げた第二種・第三種というカテゴリーは廃止されておりまして、「優先評価化学物質」というものが設定されています。一定の排出量を超えないものについては、そもそも評価をしないというルールになっているようです。チモールについては、そのようなことから評価を行っていないということだそうですが、過去にはこういう整理がされていたということをここでご紹介をしておきます。
 それでは、資料3-2の物化性と使用方法のところに戻っていただきまして、先ほど御説明した原材料の下の列の溶液構成というところです。こちらについての情報を提供してくださった方によれば、こういったようなパーセンテージで、それぞれこの濃度の範囲の中にそれぞれの物質が入るというようなことだそうです。
 乳化剤と、溶媒ということでエタノールということがございます。主にチモールについて資料が整理されておりますので、こちらの資料3-2の後ろに、乳化剤ですとか、エタノールについての情報も添付されていますが、チモールについて中心に御説明させていただきます。
 製造方法ですけれども、1枚めくっていただきまして、3ページでございます。上の表の枠囲みの下ほどに、製造方法という列がございます。まず、細葉山紫蘇を乾燥して、カットして、水蒸気蒸留をして、製油を得ます。それから、チモールの濃度を測定して、乳化剤ですとか、エタノールを加えて、最終的にチモールの濃度が5.6~6.5%になるように調整をするという形で製造がされるそうです。
 それから、下の使用法ですが、先ほど参考資料4で御紹介しましたように、殺菌作用があるということからだと思われますが、こちらで御紹介されているのは、うどんこ病について使用されると、使用方法については、先ほどの製造方法でつくられたものが、100倍なり、300倍に希釈されて、散布をされるということです。
 次のページに移りまして、薬効に関して資料がいくつか提出されております。4ページ、5ページ、いずれもキュウリでございますけれども、また病害についても、いずれもうどんこ病でございます。
 4ページは、100倍と300倍にそれぞれ希釈したものを使って、慣行栽培で薬剤を使ったものを対照区として、防除価を比較したものです。それから5ページについては、100倍についてのみ使用して、これも対照区として使用したものという形で試験設計をして、防除価が比較されております。いずれも慣行区よりも防除価は低いということだそうですけれども、100倍希釈の場合には、防除価が50を超えているということが見てとれるかと思います。
 次に、6ページに移っていただきまして、安全性に関する資料の概要ですが、6ページの上のほうに、薬害とございまして、先ほどの4ページ、5ページでも若干記述があったようでございますけれども、薬害については認められなかったというふうに報告されております。
 続きまして、人畜に対する安全性ですが、急性経口毒性試験については、用量設定としては、1区分に2,000mg/kg体重ということで、1区分のみ設定をされ、死亡例はなく、毒性兆候も認められなかったというような記述がございます。
 それから、8ページ、9ページに移っていただきますと、変異原性試験でございます。
 こちらの試験方法、用量設定等については、9ページの中ほどにございますけれども、結論としましては、変異原性については陰性であると判断されるという記載がございます。
 続きまして、10ページでございますが、90日間反復経口投与毒性試験ですが、10ページの上の部分に記載されているとおり、特定農薬指定のための評価に関する指針においては、「広く食用に供されているものの抽出物」については、抽出方法によっては、こちらの試験を省略できるというふうな指定がございます。それにのっとって、本試験については省略をするというふうにされております。
 その下の方に、「広く食用に供されていることについて」ということで、参考情報が掲げられておりますが、情報を提供された方が調べたところでは、ホソバヤマジソは中国において食用だけではなく、薬用についても使われてきたということについて参考文献が紹介されております。
 続きまして、12、13と飛ばしまして、14ページでございます。ばく露評価に係る試験ですが、こちらもいわゆるばく露評価という意味合いと、直接合致するかどうかというのは必ずしも言えないかどうか、若干微妙ですが、提出されております試験については、皮膚刺激性試験ですとか、あとは14ページの下のほうには、キュウリを使ったもの、これも収穫物を使ったものではありますが、希釈液を浸漬して試験をしているというものですが、御参考までに、こういうものが提出されているということを御紹介しておきます。
 それから、17ページに移っていただきまして、構造活性ということですが、こちらも提出されている情報は構造活性と申しますか、MSDSの記載の事項が抜粋されて掲載をされているということかと思います。
 20ページに移っていただきまして、水産動植物に対する安全性ということでございますけれども、魚類については、コイとヒメダカを用いた急性毒性試験が行われております。設定濃度については、コイについては21ページの上の表にございます。半数致死濃度については、96時間で100mg/Lというふうに結論が掲載されております。
 一方、ヒメダカにつきましては、22ページをめくっていただきますと、設定濃度がございますけれども、96時間の半数致死濃度が86mg/Lということだそうでございます。
 続きまして、ミジンコの急性遊泳阻害試験についても紹介されておりまして、23ページに設定濃度等が掲載されておりますが、オオミジンコに対するEC50は、48時間で38.8mg/Lという成績が報告いただいております。
 まだページは続きますけれども、冒頭申し上げましたとおり、乳化剤ですとか、溶媒についての情報ということで、以下については省略をいたしたいと思います。
 以上でございます。

【白石座長】 ありがとうございました。ただいまのホソバヤマジソについて御審議をお願いいたします。

【中杉委員】 これも特定農薬として出てきたということなのですが、ここで有効成分について、申請者がチモールを中心に考えておられるわけですよね。いろんなことがチモールで、試験自体は抽出液をやっているのですが、チモールが農薬として申請されたときは、どういう扱いになるのでしょうか。多分、乳化剤とかそういうものを入れてくると、濃度的には似たようなものになる可能性があるのだろうと思います。チモールだけを見ていれば、それが安全かどうかでちゃんと担保できてくるのですが、今回の場合、見ていくと、例えば24ページのミジンコのEC50を見ると、チモールの場合が4.6で、紫蘇源の場合は38.8という数字になっています。濃度の希釈倍率というようなことで考えると、これは単純に比例させてはいけないのかもしれないが、16倍違うと言っているのですが、16倍は開いていないのですよね。恐らく、何かチモール以外の成分が効いて作用しているのではないだろうかと考えられます。そういうふうに解釈していいかどうか、これはわかりませんが、単純にそう考えると、いろんなものが関わってきているのではないだろうか。それにしても、ちゃんと製品自体がやっているという話なのですが、製造方法をいろいろ変えてくると、そこら辺りの未知な成分で、でき方が変わってこないかと、また一つ気になる点であると。その辺りのところ、チモールだけを中心に書かれているので、少し心配になりました。

【白石座長】 いかがでしょうか。製造方法によっては、さまざまな混合物で出てくるということなのですが、毒性もそれに応じて変わるのではないかと。チモールだけの毒性データでよろしいかどうかという議論ですけれども、他の委員はいかがでしょうか。

【吉田委員】 まだよくわかっていないかもしれないのですが、一つ質問として、今、中杉先生の御質問と絡んで、いつ作ったかのバッジとかロットによっても、かなり振れるのではないかと思うのですが、その辺りはいかがでしょうか。ここでは、チモールが20から24%と、かなり狭い範囲に入っておりますが。

【入江農薬対策室課長補佐】 今回提出いただいている資料は、2009年産のホソバヤマジソから得た精油成分で、この薬効試験あるいは安全性試験を行っております。
 製造ごとにはチェックされておりませんので、この1ロットの結果ということにはなると思います。

【上路委員】 今、中杉先生がおっしゃられましたけれども、資料3-2の2ページのところで、抽出したものの中で、精油成分分析結果の合計が25~30、その中でわからないもののほうが絶対的に多いのですよね。そうなると、チモール有効成分、確かにチモールがキーになるかもしれませんけれども、いわゆるわからないところの成分をきちんと明確にしていただかないと、この剤は食用に供するから大丈夫だという言い方をされているのですが、非常に不安があると思います。ですから、そこのところをまず第一歩、明確にしてほしいということが一つです。

【白石座長】 安全性の評価をするに当たって。

【上路委員】 安全性というか、内容を明確にしてほしい。

【白石座長】 まず、原材料という言い方はおかしいのかもしれませんが、ここの内容が必ずしも明確ではないので、明らかにすべきであるということだと思います。

【中杉委員】 3ページの製造方法のところで、7のところで、要するに、この製剤の規格を担保するのに、チモール濃度にしているわけですね。チモール濃度をこのぐらいにしますよということは、製造方法によって、他のものとの精製割合で少し振れると思います。チモール濃度に合わせてしまうと、他の成分がどのぐらいの濃度になっているかというのは変わってくる可能性があります。そうなると、先ほど私がやったような計算が正しいのかどうかはわかりませんが、他の成分で効いているものが、場合によっては高くなる可能性があるのではないかと。その辺りの全体がわからないと、少し心配だなという感じがいたします。

【白石座長】 抽出液の組成について、懸念であるということだと思いますけど、他はいかがですか。

【牧野委員】 この防除効果の試験は、うどんこ病でやられているのですけれども、変異原性の試験では非常に低濃度で、バクテリアに有効な結果が出ています。PPM以下で効いているという結果から見ると、むしろ試験は植物の病原細菌も一緒に試験をやったほうがよいではないかと思います。
 また、医薬品としての使用例があって消毒剤として使用されていることから、広く普及すると、これは抵抗性が出る可能性があります。問題があるのか、ないのか、その辺りがわかればお伺いしたいと思います。

【白石座長】 薬効の試験について、別の試験をした方が良いのではないかと。

【牧野専門委員】 そうですね。うどんこ病には程度効いていますので、これはこれでいいと思うのですが、むしろ使う場面とすると、対バクテリアに使う可能性のほうが高いような気がします。本当に効けば、恐らく農薬レベル、それ以上のレベルのように見えますので、あわせて試験をやったほうがいいのではないかと思いました。
 それからもう一つ、今言った医薬用消毒剤に使われていますので、耐性菌の問題があるのか、ないのかということです。

【白石座長】 2点ですけれど、何か知見はございますか。

【入江農薬対策室課長補佐】 データを持ち合わせておりません。

【上路委員】 10ページのところに、90日間の反復経口投与ですけれども、これが広く食用に供されているものの抽出物に該当するためというふうに、これは申請者が、そういうふうに判断されたのですよね。広く食用に供されているというのが例には出ていますけれども、中国の例が多くて、我が国で本当に食用に供されていると判断していいのか。それによっては、いわゆる90日の反復経口投与が免除されるのかどうか。そこの判断もあるのではないかというふうに思います。ですから、「広く食用に」というところ、我が国の事例を少し出していただけませんでしょうか。

【入江農薬対策室課長補佐】 今、ここには日本の使用状況といいますか、実態は用意していませんので、探してみます。

【白石座長】 もしもそれがあった場合と、なかった場合の。あれば要求し、ない場合は、いかがでございますか。

【上路委員】 試験をやっていただくことになるのではないでしょうか。

【白石座長】 これが広く食用と供されているものとみなすかどうかということは、いかがですか。広くは食べていないようだということでよろしいでしょうか。広く供されているものではなく、中国で今のところ事例があるということが報告されてきたと。もしも日本であれば、その事例を示していただきたいと。それがないのであれば、広く供されているものの抽出物には該当しないとして、90日間反復投与毒性試験を求めたいということでよろしいでしょうか。その際に、まず一番議論になっていましたけれども、この内情についてもよくわからないということなので、その辺りを明確にした上で、どのような抽出物を試験するかということについても議論する必要があると思いますけれども、そのようなことでしょうか。

【矢野委員】 11ページの下に、我が国でもハーブとして使用されていると書かれているのですが、これが今の上路先生の御質問と少し関連しているのかどうか、よくわかりませんが、現実にハーブとしてホソバヤマジソが使われているのであれば、その辺りのことを調べる必要が出てくると思います。

【白石座長】 ありがとうございます。いずれにしても、食用の実態についてお調べいただくということにさせていただきたいと思います。
 では、山本委員、お願いします。

【山本委員】 先ほどから出ている話で、精油のとり方が、どの程度、製品のばらつきなくとれていてということだろうと思います。さっき御指摘がありましたように、最終的にこの製品をつくるときに、チモール含量に合わせているということは、そのほかの成分について多かったり、少なかったりすることが多分にあるわけですよね。ですから、なかなか難しいなという感じがします。今の成績でいいのではないでしょうかと、なかなか言いにくいなという部分があろうかと思います。
 あとは、先ほど食用の話が出ておりましたが、薬局方にも載っているということなのですが、それから一方で、漢方として使われているというのは、生理活性があるから使われているわけで、それから、薬局方に載っているものについても、多くは防腐剤といいますか、保存料として使われていて、主成分ではないというようなことを考えますと、先ほど上路委員が、広く食用に使われている云々という話とは少し違うのかなという感じはいたします。
 いずれにしましても、中身がある一定のロットごとに変わらないような、木酢のときもこんな話がありましたね。出口の温度をいくらにするとか。そういうようなことと同じようなことが、何かないといけないのかなという感じがいたします。

【白石座長】 ありがとうございます。他に御意見、お願いいたします。

【矢野委員】 質問ですけど、1ページのところに商品名が紫蘇源となっておりますけど、きょう審議をしている抽出液は、この紫蘇源だけで商品となって、ほかに同じような商品があるのかどうか。この紫蘇源だけを対象にしていいのか聞きたいのですが。
 それと、3ページのところで、普及状況がわずかに三つの県で、本当に少ないところで使われているという状況なのですが、今後、仮に特定農薬に指定された場合にも、これが広まっていくのかどうか、その辺りの薬効といいますか、関係はどのように影響が出てくるのだろうと考えているのか、何かわかれば教えてください。

【入江農薬対策室課長補佐】 このホソバヤマジソ抽出液として、今回情報としてあるものは、この紫蘇源という商品名のものだけです。これが全資料ということになると思います。
 普及状況も、ここの3ページにある紫蘇源だけですので、こういう状況になると思います。

【白石座長】 他はいかがでしょうか。特定農薬となり得ない資材であるという御意見はないですけれども。

【山本委員】 判断できないということですね。

【白石座長】 まだ判断できない状況であるということでよろしいでしょうか。他はいかがでしょうか。継続審議ということになろうかと思うのですが、今、いくつか御指摘の点がございまして、製品のばらつきについて知見が欲しいとか、広く食用されているのかどうか、あるいは食用とみなせないのではないかという御意見等ございますけれども。

【上路委員】 あと追加して、水蒸気蒸留という書き方がしてありますが、どういう製法なのか、あるいは保存安定性というのですか、どれぐらい精製して、何日間だったら、それが安定して効果があるような成分を維持しているのかということもいただければと思うのですが。

【白石座長】 ありがとうございます。製品の安定性ですね。精製方法のもう少し詳しい情報、あるいは原材料、これは1年中とれるものなのですか。季節によって変わったりするということがないのか、あるのかについての情報をいただいて、継続審議という形になろうかと思いますけれども、ほかに追加してあれば。

【山本委員】 もう一つよろしいですか。今の座長の御発言があったもので、結構だと思います。
 これは、精油にグリセリンとかアルコールを入れて、製剤化してありますよね。そうすると、この精油の中の成分で含有量の多いものについてきちんと成分管理して、登録農薬として登録するという話なのではないのですか。全体を見ていると、何となくそんな雰囲気なのかなという感じがしてきます。別に答えていただく必要はないのですが、感想です。

【白石座長】 登録農薬というような選択肢もあり得るのではないかという御意見が出ましたが、今、いくつか、すぐには判断できない問題点が出てきましたので、これを出していただいた場合には、また継続審議ということにさせていただきたいと思いますけれども。

【入江農薬対策室課長補佐】 必要な試験をもう一度確認させていただいてよろしいでしょうか。まず順番にいきますと、この成分の精製方法となるのでしょうか。製造方法の詳細に当たりますでしょうか。

【白石座長】 そうですね、原材料から至り、水蒸気蒸留と、その方法論。そこで出てくる製品のばらつきについて。できたものの保存安定性ですね。原材料に関しては、そのようなところだと思いますが、ほかに追加がございましたら。

【朝倉農産安全管理課長】 先ほど、上路委員から、不明な成分のところを明らかにすべきだという御意見をいただいたのですが、これはその他の水等の不明な成分を明らかにすべきだということでしたよね。これについても、あわせて。

【上路委員】 はい。

【白石座長】 2ページ目の精油中の。

【朝倉農産安全管理課長】 精油中のその他水等の、これですね。

【上路委員】 そうです。

【入江農薬対策室課長補佐】 それともう一つ、日本における食用実態ですね。ハーブとして使われているかどうかも含めまして、確認します。

【白石座長】 広く食用に供されているかどうかという判断材料がいただきたいということです。

【朝倉農産安全管理課長】 これが十分でなければ、90日の毒性試験、先ほどたしか白石座長からあったと思うのですが、そういう理解でよろしいですか。

【白石座長】 そうですね。そういう理解でよろしいと思います。その際には、製品のばらつき等を勘案して、御意見を伺うことになろうかと思います。

【西嶋農薬環境管理室長】 最初から整理をさせていただきますけれども、まず、製造方法で、いわゆる製造方法と実際にできた製品の安定性について確認をしないといけないのが1点あると。当然のことながら、製品の安定性については、いろんな成分、今回の場合、ばらつきがいくつか指摘されておりますので、不明な点も含めて整理すると。製法の関係については、以上であったかと思っております。
 それから2点目、広く食用に供されている点、いわゆる中国の例なので、我が国の例も含めて整理をする必要があるのではないかと。そういう事例がなければ、90日間の試験の実施ということも含めて、またこちらに相談させていただくという形になろうかと思います。
 あと、牧野先生から御指摘をいただきましたけれども、医薬品との関係で、実際にチモールが医薬品に使われているということで、医薬品と、これを例えば農薬として使った場合の耐性菌、その関係についても、何か事例があれば確認をしておくようにというお話をいただきました。
 それから、薬効の場合に、これは糸状菌を対象にしていますけれども、細菌について効果があるのかどうかというのも確認をしておけばいいのではないかというような御指摘をいただいたのではないかなと思っております。
 あとは何かございますか。

【白石座長】 追加がございましたら、今後の審議に必要な事項について、御指摘いただけたら。

【西嶋農薬環境管理室長】 実際に成分がある程度明らかになった上で、個別の試験方法について何を使うのかという、いわゆる木酢液のときに議論になったような、試験に使うべき成分はなにかというのも整理をしておく必要があるということだと思います。

【中杉委員】 今、つくったときに、どのぐらい振れるかという話なのですが、もうわかっている成分があるのですよね、チモール以外に。わかっている成分がどのぐらい振れるかというのも、実際に試験で測られていると思いますので、そういう情報も整理していただければと思います。チモールがこのぐらいになったときに、ほかに何成分ですか、どのぐらいの割合で振れるのだろうか。今の未知の部分ではなくて、ここが何か効いているかもしれないので、そこも含めて、少し情報をいただければと思います。

【白石座長】 ありがとうございます。他はございませんか。たくさん宿題が出てしまいましたけれども。
 ないようでしたら、後でまた事務局、もう一回まとめて、整理していただけるとありがたいと思いますが、継続審議ということにさせていただきたいと思います。
 よろしければ、その他の議事に入らせていただきます。その他で、「特定農薬(特定防除資材)の検討対象としない資材について」について、これは報告ですけれども、事務局より御報告をお願いいたします。

【入江農薬対策室課長補佐】 報告させていただきます。資料4になりますが、ことしの2月4日に出しました「特定農薬(特定防除資材)の検討対象としない資材について」ということです。平成16年に特定農薬に該当しない資材の取り扱いについてということで通知を出しておりましたが、平成20年9月及び11月の特定農薬合同会合におきまして、さらなる情報が追加された、判断が保留された資材について整理していただき、今回、別表1~3にありますように、ここに掲げる資材につきまして、特定農薬の検討対象としないということで分類させていただきながら、整理をさせていただいたという次第でございます。
 この詳細につきましては、もともと名称から見て、特定農薬としての資材の効果がわからないものを別表1とし、また原材料から照らして、使用量や濃度によって、あらゆる害を及ぼすおそれがあるものとして別表2、また、法に規定する農薬の定義に該当しないものとして別表3と、大きな三つのくくりで整理させていただきました。
 これにあわせまして、指導通知を発出しておりまして、この対象とされなかったもの、これら合計293資材ございますが、これにつきまして農薬として使用しないよう指導していくということと整理しております。
 以上、御報告いたします。

【白石座長】 ありがとうございました。ただいまの御報告に御質問等ございましたら、お願いいたします。

(発言なし)

【白石座長】 それでは、少し時間が早いのですけれども、用意した議題、報告事項は終わりましたので、審議を終了したいと思います。本日の議論については、論点をまた整理しまして、次回の合同会合で御報告したいと思います。
 事務局から、ほかに何かございましたらお願いいたします。

【西嶋農薬環境管理室長】 きょう、エチレンについて、指摘といいますか、御議論いただいたものをまたまとめていきたいと思っております。そして、使用方法と、チモールにつきましては宿題をいただきましたので、また再度、事務局でも整理をさせていただいて、委員の先生方に確認をさせていただいた上で進めてまいりたいと思っております。
 あと、次回以降の会合でございますけれども、保留資材に関する資料でございますとか、きょうも含めて、合同会合で御指摘いただいた事項の資料を準備させていただきまして、また事務局から各委員の先生方に御連絡をさし上げて、次回会議を開催させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

【白石座長】 今回の議事録概要と議事録に関して、事務局で案を作成後、出席された委員の了解を得て、発言者の氏名をあわせて公開となります。事務局からの案ができましたら、できましたら御確認のほどをよろしくお願いいたします。
 以上をもちまして、本日の合同会合を閉会とさせていただきます。円滑な進行の御協力、大変ありがとうございました。御審議いただきましてありがとうございました。これで閉会といたします。

(以上)