中央環境審議会土壌農薬部会農薬小委員会(第22回)議事録

日時

平成22年8月31日(火)14:00~16:21

場所

環境省第1会議室

出席委員

委員長
森田 昌敏
臨時委員
井上 達
上路 雅子
五箇 公一
白石 寛明
染 英昭
中杉 修身
眞柄 泰基
山本 廣基
渡部 徳子
専門委員
安藤 正典
井上 隆信
内田 又左衞門
中村 幸二
根岸 寛光
吉田 緑

(欠席は、佐藤委員、中野臨時委員、花里臨時委員、細見臨時委員)

委員以外の出席者

環境省
水環境担当審議官、農薬環境管理室長、農薬環境管理室室長補佐、農薬環境管理室室長補佐、農薬環境管理室農薬企画・調査係長、農薬環境管理室係員

議題

  1. (1)水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定について
  2. (2)水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定について
  3. (3)その他

配布資料

資料1 中央環境審議会 土壌農薬部会農薬小委員会委員名簿
資料2 中央環境審議会 土壌農薬部会農薬小委員会(第21回)議事録(案)
資料3 諮問書(写)及び付議書(写)
資料4 水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料(案)
資料5 水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料(案)
資料6 特定農薬指定のための個別資材の評価について
参考資料1 中央環境審議会 土壌農薬部会農薬小委員会(第21回)議事要旨
参考資料2-1 水質汚濁に係る農薬登録保留基準に関する安全性評価及び基準値設定の方針(平成20年2月22日土壌農薬部会資料)
参考資料2-2 非食用農作物専用農薬安全性評価検討会開催要領
参考資料2-3 非食用農作物専用農薬安全性評価検討会委員名簿
参考資料3 農薬評価書 インダノファン(食品安全委員会資料)
参考資料4 農薬評価書 オキサジクロメホン(食品安全委員会資料)
参考資料5 農薬評価書 クロチアニジン(食品安全委員会資料)
参考資料6 農薬評価書 クロメプロップ(食品安全委員会資料)
参考資料7 農薬評価書 チアメトキサム(食品安全委員会資料)
参考資料8 農薬評価書 ピリブチカルブ(食品安全委員会資料)
参考資料9 「ゴルフ場で使用される農薬による水質汚濁の防止に係る暫定指導指針」改正案に対する意見の募集(パブリックコメント)について

議事

【農薬環境管理室長】 本日は、大変お暑い中、委員会の方に御出席いただきまして、ありがとうございます。定刻となりましたのでただ今から、土壌農薬部会第22回の農薬小委員会を開催させていただきます。
 まず、事務局の方で人事異動がございまして、8月10日付で水環境担当審議官に関審議官が就任いたしました。はじめに、関水環境担当審議官より御挨拶申し上げます。

【水環境担当審議官】 8月10日付で水環境担当審議官を拝命いたしました関でございます。よろしくお願いいたします。
 委員の皆様方におかれましては、猛暑の中、御多忙の中、本日の会議にご出席いただきまして、大変ありがとうございます。
 環境省の会議室でありますので、冷房温度を厳密に運用しておりますので、この部屋も暑くて、2時間半ご議論いただいて、議論がヒートアップすると、ますます室温が高くなると思いますが、ぜひ、御容赦いただきたいと思います。
 本日の小委員会におきましては、水産動植物の被害防止と水質汚濁のそれぞれにつきまして農薬登録保留基準の設定に向けて御審議をいただくということなっております。
 これまで保留基準につきましては、先生方の大変御熱心な審議によりまして、水産動植物につきましては110農薬、水質汚濁につきましては42農薬と、大変多くの農薬について基準を設定することができました。
 この基準の設定というのは、言うまでもございませんけれども、高度に専門的で、多くの事柄について考慮する必要がございまして、私ども事務局といたしましても、最大限に努力してきてはおりますけれども、基準の設定が軌道に乗ってまいりましたのは、先生方の御熱心な御指導、また御議論によるものと改めて感謝する次第でございます。
 特に今年は10月に生物多様性条約の締約国会議、COP10と呼んでございますけれども、これが名古屋で開かれるようになっておりまして、生態系保全に関する国民の関心というのも、いやが上でも高まっているところでございます。農薬の生態リスクや人の健康影響を適切に評価・管理する上での農薬登録保留基準の重要性というのが、ますます注目されてくるのではないかなと、私どもは感じております。
 このような状況にございますので、私どもといたしましても、農薬環境行政をめぐる多くの課題について適切に対応していくためにも、農林水産省等関連省庁と連携をさらに密にして、積極的に取り組んでいきたいと考えておりますので、先生方の引き続きの御指導をよろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【農薬環境管理室長】 ありがとうございました。
 まず、本日の委員の出欠でございますが、佐藤委員、中野委員、花里委員、細身委員、4名の先生方から御欠席という連絡をいただいておりまして、本日、16名の委員の先生方が御出席でございます。臨時委員の総数14名のうち、10名の御出席をいただいており、小委員会開催要件を満たしておりますことを、御報告申し上げます。
 それでは、議事に入ります前に、配付資料について確認いただきたいと思っております。議事次第の下の配付資料一覧をご覧ください、資料1の委員名簿、資料6の特定農薬指定のための個別資材の評価についてまでの資料を6つ用意いたしております。それから参考資料1から参考資料9まで、途中、参考資料2については3つございますので、参考資料は11点用意させていただいております。会議の途中でも抜け等ございましたら、事務局までお申しつけください。よろしくお願いいたします。
 それから、委員の先生方におかれましては、水産動植物の登録保留基準の設定に係る過去の審議会でありますとか、検討会での報告等を配付させていただいておりますので、御覧いただければと思います。この資料につきましては、また、次回以降の会議にも使わせていただきますので、会場に残していただきますよう、よろしくお願いいたします。
 それでは、議事の方に入らせていただきます。
 森田委員長、議事進行をよろしくお願いいたします。

【森田委員長】 それでは、早速ですけれども、これから委員会を進めたいと思います。
 先ほど、審議官の方から御説明がありましたけれども、二つの審議が予定されております。慎重かつ活発な御審議をお願いいたします。
 審議の公開についての御報告です。
 まず、本日の審議の公開についての内容ですけれども、土壌農薬部会の運営方針では、審議中の答申、非公開を前提に収集したデータが記載されている資料など、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある資料や、公開することにより特定の者に不当な利益もしくは不利益をもたらすおそれのある資料などは、委員長の判断に基づき非公開とするとされております。
 今回の農薬小委員会では、申請者から提出された農薬の毒性試験報告書等、企業秘密に当たる資料を使用しないことから、非公開の理由に当たらないため、今回の農薬小委員会については公開とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 さて、議事に先立ちまして、前回7月26日に開催した第21回小委員会の議事要旨を御確認いただきます。事務局の方から御説明をお願いいたします。

【農薬環境管理室室長補佐】 中央環境審議会土壌農薬部会の運営方針では、議事要旨については、委員長に御了解をいただければ公開できることとなっております。
 本日の参考資料1の内容で、議事要旨に関しましては、既に環境ホームページで公開しておりますので御報告申し上げます。

【森田委員長】 よろしいでしょうか。
 それでは、続きまして、前回の議事録についてです。こちらは事前にメールで各委員に確認済みということであります。資料2で配付しております。特段の御意見はございますでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 よろしいでしょうか。なお、これらにつきましては、土壌農薬部会の運営方針に基づきまして公開することとしております。
 それでは、これから議事に入りたいと思いますが、初めに農薬小委員会の決議の取り扱いについての御説明をさせていただきます。
 「中央環境審議会土壌農薬部会の小委員会の設置について」の土壌農薬部会決定によりまして、農薬小委員会の決議は部会長の同意を得て、土壌農薬部会の決議とすることができることとなっております。
 したがいまして、この農薬小委員会後には、農薬登録保留基準設定のための土壌農薬部会は招集せず、土壌農薬部会の松本部会長の了解をいただいて、部会としての結論としていくことになります。
 それでは、議事次第に沿って議事を進めたいと思います。
 諮問書の紹介ということであります。「農薬取締法第3条第2項の規定に基づき環境大臣が定める基準の設定について」の件につきましては、平成22年8月11日付けで環境大臣から諮問があり、同日付で土壌農薬部会に付議されております。
 事務局から諮問書の紹介をお願いいたします。

【農薬環境管理室農薬企画・調査係長】 資料3について御説明いたします。まず、1ページ目でございますけれども、平成22年8月11日付けで、環境大臣から中央環境審議会会長に対して、以下のとおり諮問がされております。
 農薬取締法第3条第2項の規定に基づき環境大臣が定める基準の設定について。
 標記について、農薬取締法第3条第1項第4号から第7号までに掲げる場合に該当するかどうかの基準を定める等の件について、(1)別紙1の農薬に関し、告示第3号の環境大臣が定める基準を設定すること、(2)別紙2の農薬に関し、告示第4号の環境大臣が定める基準を設定すること、について貴審議会の意見を求める。
 1ページめくっていただきますと、裏面が別紙1となっておりまして、告示第3号の環境大臣が定める基準。水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準でございます。6農薬ございます。続きまして、3ページ目が別紙2の水質汚濁に係る農薬登録保留基準、7農薬ございます。もう1枚めくっていただきまして、最後のページになりますけれども、こちらが付議書でございまして、中央環境審議会会長から中央環境審議会土壌農薬部会部会長に対して、今、御説明した内容が付議されております。
 以上でございます。

【森田委員長】 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 それでは、議題の(1)の「水産動植物の被害防止に係る農薬の登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定について」の審議に入りたいと思います。
 この件につきましては、農薬小委員会に先立ちまして、「水産動植物登録保留基準設定検討会」におきまして、基準値設定の根拠となる農薬登録申請者から提出された試験結果や公表文献等、情報について精査を行うとともに、これらのデータに適用する不確実係数等を設定し、基準値案を策定していただいております。
 事務局から資料の説明をお願いいたします。

【農薬環境管理室農薬企画・調査係長】 資料4は「水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料(案)」でございます。
 本資料を御説明する前に、本資料の説明に当たっては、これまで冒頭より1項目ずつ読み上げる形式で行ってまいりましたけれども、審議会に諮る前に水産動植物の登録保留基準設定検討会において、一度御審議いただいているものでございますので、当委員会では、開発の経緯と総合評価を重点的に御説明させていただき、その後、検討会でどのような御指摘、御審議が行われたかについて御紹介させていただきたいと思っております。
 よろしくお願いいたします。
 まず、1ページ目のエタボキサムから御説明いたします。
 <1>の評価対象農薬の概要でございますけれども、1の物質概要については、資料に記載のとおりでございます。
 2の開発の経緯等でございますが、エタボキサムは、チアゾールカルボキサミド骨格を有する浸透性の殺菌剤でございまして、疫病やべと病に防除効果を示しております。本邦では未登録の農薬でございます。
 製剤は水和剤がございまして、適用作物は果樹、野菜、いもに登録申請がされております。
 3の各種物性については、資料に記載のとおりでございます。
 1ページめくっていただきますと、2ページ目、3ページ目は、<2>の水産動植物への毒性でございます。
 まず、魚類についてはコイとニジマス、甲殻類についてはオオミジンコ、藻類についてはPseudokirchneriellaを用いて毒性試験が実施されております。毒性値等の詳細については、総合評価において御説明いたします。
 4ページにまいりまして、<3>の環境中予測濃度でございます。
 まず、1として本農薬の製剤としては、水和剤がございまして、果樹、野菜、いもに適用がありますので、非水田使用時の環境中予測濃度を算出いたしました。
 2のPECの算出でございますが、表5に示しましたパラメーターを用いて、環境中予測濃度を算出した結果、非水田のPECTier1による算出結果が0.014µg/Lという結果でございました。
 5ページ目にまいりまして、<4>の総合評価でございます。
 (1)登録保留基準値案として、各生物種のLC50及びEC50は以下のとおりでございました。コイを用いた魚類急性毒性試験の結果、96hLC50が2,910µg/L、ニジマスを用いた魚類急性毒性試験の結果、96hLC50が2,300µg/L、甲殻類のオオミジンコを用いた急性遊泳阻害試験の結果、48hEC50が350µg/L、藻類を用いました生長阻害試験の結果、72hErC50が3,600µg/L超という結果でございました。
 これらから、それぞれ急性影響濃度を算出いたしました。魚類についてはニジマスのLC50を採用しております。これらのうち、最も小さい甲殻類の急性影響濃度から、登録保留基準値案35µg/Lを提案しております。
 続きまして、(2)のリスク評価でございます。環境中予測濃度は非水田PECTier1が0.014µg/Lでございましたので、登録保留基準値案35µg/Lを下回っているという結果になっております。
 続きまして、下に検討経緯と書いてございますけれども、検討会において、どのような指摘、検討が行われたかについてでございますが、検討経緯に記載しておりますが、平成21年度と平成22年度の各1回ずつ、計2回の検討が行われております。
 まず、1回目の検討会におきまして、異なる試験成績において、同一のバッチ番号のついた試験物質にもかかわらず、有効期限が異なっているものがございましたので、委員の指摘を受けて確認したところ、メーカーの回答から、被験物質の安定性の確認を行い、有効期限が延長されていたため、有効期限が異なっていたことが確認されましたので、2回目の検討会で了承されております。
 説明は以上でございます。よろしくお願いします。

【森田委員長】 今、この剤について御説明いただきましたけれども、委員の先生方、御意見ございませんでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 それでは、総合評価を少し再確認したいのですけれども、最小のAECdより、登録保留基準値が35µg/L、それから、リスク評価につきましては非水田のPECが0.014µg/Lであり、登録保留基準値35を下回っているという結論でございます。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして次の剤の説明をお願いいたします。

【農薬環境管理室農薬企画・調査係長】 6ページ目でございます。ジフルベンズロンについて御説明いたします。
 まず、<1>の評価対象農薬の概要でございますけれども、1の物質概要については資料に記載のとおりです。
 2の開発の経緯等でございますが、ジフルベンズロンは、キチン合成阻害の昆虫生育阻害剤でございまして、本邦での初回登録は1981年でございます。製剤は水和剤の登録がございまして、適用作物は果樹、野菜、花き、樹木等がございます。
 原体の輸入量については、18年度から20年度について記載しております。
 3の各種物性については、資料に記載のとおりでございます。
 次のページにまいりまして、7ページ目及び8ページ目については、<2>の水産動植物への毒性でございます。
 魚類についてはコイを用いて、甲殻類についてはオオミジンコ、藻類についてはPseudokirchneriellaを各生物種1種ずつ試験を実施しております。詳細については総合評価で御説明いたします。
 9ページ目にまいりまして、<3>の環境中予測濃度でございます。
 1として、製剤の種類及び適用農作物については、本農薬の製剤として水和剤がございまして、果樹、野菜、花き、樹木等に適用がございます。したがいまして、2のPECの算出については非水田使用時の予測濃度を算出いたしました。表4に記載しております使用条件及びパラメーターを用いてPECを算出した結果、非水田PEC第1段階による算出結果が0.013µg/Lという結果でございました。
 次の1ページをめくっていただきまして、10ページ目が総合評価でございます。
 まず、(1)として登録保留基準値案については、各生物種のLC50及びEC50は以下のとおりでございました。まず、コイを用いた魚類急性毒性試験については96hLC50が189µg/L超、続いてオオミジンコを用いた急性遊泳阻害試験の結果については48hEC50が4.34µg/L、続いて、藻類の生長阻害試験の結果、72hErC50が200µg/L超という結果でございました。
 これらから、それぞれ急性影響濃度を算出いたしまして、最も小さい甲殻類の急性影響濃度から、登録保留基準値案0.43µg/Lを基準値案として提案しております。
 続きまして、(2)のリスク評価でございますが、環境中予測濃度は非水田PECTier1が0.013µg/Lでしたので、登録保留基準値案0.43µg/Lを下回っております。
 続きまして、検討会においての検討経緯でございます。ジフルベンズロンにつきましても、平成21年度と平成22年度の2回にわたって検討が行われております。
 まず、1回目の検討会において、本剤についてはキチン合成阻害剤ということで、オオミジンコを用いた急性遊泳阻害試験において用量相関性があらわれにくく、高濃度において用量反応が緩やかであったため、すべての濃度区においてEC50を用いて算出いたしますと、EC50の値が高く算出されるというご指摘がありましたことから、高濃度区の一部を除いた形でEC50を再計算させた結果、第2回の検討会で了承されたという経緯がございます。
 説明については、以上でございます。よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございました。それではこの剤につきまして御質問、御意見ございませんでしょうか。いかがでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 特段、声が上がってきませんので、総合評価のところだけ確認をしていただきたいと思います。
 登録保留基準値案といたしましては、最小のAECdより登録保留基準値としては0.43µg/Lとする。リスク評価としましては、非水田PECの0.013µg/Lでありましたので、登録保留基準値0.43を下回っているということでございます。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございました。原案どおりということにしたいと思います。
 それでは、引き続きまして、ピラクロストロビン、お願いいたします。

【農薬環境管理室農薬企画・調査係長】 11ページのピラクロストロビンでございます。
 <1>の評価対象農薬の概要でございますが、1の物質概要については資料に記載のとおりでございます。
 2の開発の経緯等でございますが、ピラクロストロビンは、メトキシアクリレート系の殺菌剤でございまして、ミトコンドリア内のチトクローム電子伝達系を阻害し、呼吸阻害を起こすことによって殺菌活性を有する剤でございます。本邦での初回登録は2006年でございます。製剤については水和剤の登録がございまして、果樹、野菜に適用がございます。
 3の各種物性については、資料に記載のとおりでございます。
 次のページ、12ページ、13ページ目が<2>の水産動植物への毒性でございます。
 魚類につきましては、コイとニジマスの2種類の魚種を用いて試験を実施しております。甲殻類についてはオオミジンコ、藻類についてはPseudokirchneriellaを用いて試験を実施しております。詳細については総合評価で御説明いたします。
 次のページをめくっていただきまして、<3>の環境中予測濃度でございます。
 1として、製剤の種類及び適用農作物については、水和剤の登録がありまして、果樹、野菜に適用がございます。したがいまして、2のPECの算出については、非水田使用時の予測濃度を算出いたしました。表5に記載しております使用方法及び各パラメーターを用いて非水田使用時第1段階の環境中予測濃度を算出した結果、0.0074µg/Lという結果でございました。
 次のページが総合評価でございます。
 (1)として登録保留基準値案でございますが、各生物種のLC50及びEC50は以下のとおりでございました。
 まずはコイを用いた魚類急性毒性試験の結果、96hLC50が19µg/L、続いてニジマスを用いた魚類急性毒性試験の結果が6µg/L、続きまして、甲殻類についてはオオミジンコを用いた急性遊泳阻害試験の結果、48hEC50が15.2µg/L、続いて、藻類でございますが、藻類生長阻害試験の結果72hErC50が842µg/L超という結果でございました。
 これらから、それぞれ急性影響濃度を算出いたしました。魚類についてはニジマスの96hLC50を採用しております。これらから最も小さくなる魚類の急性影響濃度から、登録保留基準値案0.6µg/Lを基準値案として提案しております。
 続きまして、(2)でございますが、リスク評価としては、環境中予測濃度は非水田PECTier10.0074µg/Lでございましたので、登録保留基準値案0.6µg/Lを下回っております。
 続きまして、検討会での議論でございますが、平成22年度に一度、第2回の検討会で検討されております。議論となりましたのは、藻類の生長阻害試験ですけれども、13ページの表4をご覧いただきたいんですが、72hErC50が842超となっておるのですが、生長阻害率の欄をご覧いただきますと、50.6%と若干50%を超えているということがありまして、どのように毒性値をとるべきかという議論がございました。検討会の結果、原案どおり、統計処理の結果が、842µg/L超でございましたので、このようなErC50で了承されております。
 説明は、以上でございます。

【森田委員長】 ありがとうございました。それではこのピラクロストロビンにつきまして御質問、御意見はございませんでしょうか。

【白石臨時委員】 一つだけ確認させていただきたい。11ページの開発の経緯のところの、「ピラクロストロビンは、メトキシアクリレート系」と書いてあるんですが、これはストロビン系の誤りではないかと思われるのです。メトキシアクリレートの構造が見当たらないので、確認していただきたい。

【農薬環境管理室農薬企画・調査係長】 確認いたします。

【森田委員長】 ほかにいかがでしょうか。
 ほかにご意見がないようですから、再び総合評価についてご確認お願いいたします。
 魚に対する急性毒性影響濃度を採用いたしまして、その最小のAECfより登録保留基準値を0.6µg/Lとするということであります。また、リスク評価につきましては、非水田PECが0.0074µg/Lであり、登録保留基準0.6を下回っているということが総合評価になっています。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございます。
 それでは、先ほどの白石委員からありましたメトキシアクリレート系ということにつきましては、これは事務局の方でお調べいただいて、必要であれば修正するという形にしたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、引き続きまして、フェノチオカルブの御説明をいただきます。

【農薬環境管理室室長補佐】 資料の16ページ、フェノチオカルブについて御説明をさせていただきます。
 フェノチオカルブの物質概要でございますが、1.にまとめさせていただいているとおりでございます。
 2.開発の経緯等でございます。フェノチオカルブはチオールカーバメート系の殺ダニ剤であり、本邦での初回登録は1986年でございます。製剤には乳剤が、適用作物は果樹がございます。
 原体の国内生産量は18年度で23.0tでございました。
 各種物性につきましては、3.にお示ししているとおりでございます。
 続きまして、17ページ、18ページの方に水産動植物への毒性の試験結果の方をまとめさせていただいております。詳細は総合評価の方で御説明いたしますが、魚類に関しましてはコイが、甲殻類に関しましてはオオミジンコ、藻類にPseudokirchneriellaに関して試験が行われております。
 19ページに進みまして、環境中予測濃度でございます。
 本剤は製剤として乳剤があり、果樹に適用があるということで、非水田使用時の予測濃度を計算しております。表4に示しますパラメーターより非水田使用時の環境中予測濃度はTier1で0.055µg/Lと算定されております。
 次のページに進みまして20ページ、総合評価でございます。
 (1)の登録保留基準値案でございますが、各生物種のLC50、EC50は以下のとおりとなっております。コイを用いた魚類急性毒性試験において96hLC50は90.3µg/L、オオミジンコを用いた急性遊泳阻害試験におきまして48hEC50が2,400µg/L、藻類生長阻害試験におきまして72hErC50が310µg/Lとなっております。これらから魚類急性影響濃度、甲殻類急性影響濃度、藻類急性影響濃度を算定いたしまして、最小となります魚類急性影響濃度より、登録保留基準値を9.0µg/Lとしてご提案させていただいております。
 (2)リスク評価でございますが、環境中予測濃度は非水田PECTier1が0.055µg/Lでございましたので、登録保留基準値案9.0µg/Lを下回っております。
 本剤についての検討経緯でございますが、本年7月22日、平成22年度第2回水産検討会におきまして検討をいただきまして、そのまま了承となりました。本剤については、特に御報告するような議論はございませんでした。
 以上です。ご検討よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、この剤につきまして御質問、御意見ございませんでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 特にございませんでしょうか。それでは、総合評価のところの確認をお願いいたします。
 最小のAECfより登録保留基準値は9µg/Lということであります。なお、リスク評価としては、非水田のPECの計算によりまして0.055µg/Lでありまして、登録保留基準値9µg/Lを下回っているということでございます。こういう評価でよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、これも原案どおりということにしたいと思います。
 次はフルアジナム、御説明をお願いします。

【農薬環境管理室室長補佐】 それでは、資料の21ページをご覧ください。フルアジナムについて説明させていただきます。
 まず、物質概要でございますが、1.に示しているとおりでございます。
 2.開発の経緯等でございます。フルアジナムは、ATP合成阻害、SH酵素阻害等の作用により胞子発芽阻害、付着器形成阻害、付着器進入阻止等の殺菌活性を有する殺菌剤でございまして、本邦での初回登録は1990年でございます。製剤は粉剤、水和剤が、適用作物は麦、果樹、野菜、いも、豆、花き等がございます。
 原体の国内輸入量は、18年度が369t、19年度が180t、20年度が326tでございました。
 各種物性につきましては、3.のとおりでございます。
 次のページ、22ページに移っていただきまして、水産動植物への毒性でございます。
 本剤につきましては、魚類についてコイとニジマスを用いた急性毒性試験、甲殻類についてオオミジンコを用いた急性遊泳阻害試験、藻類についてPseudokirchneriellaを用いた生長阻害試験が実施されております。
 続きまして、24ページをご覧ください。環境中予測濃度についてでございます。
 本剤は製剤としては粉剤、水和剤がございまして、麦、果樹、野菜、いも等に適用がございますので、非水田使用時の予測濃度の方を算出しております。PECが最も高くなる果樹への水和剤における予測濃度を表5に示すパラメーターを用いて計算しましたところ、PECTier1の算出結果が0.22µg/Lとなっております。
 次のページ、25ページが総合評価でございます。
 (1)登録保留基準値案でございますが、各生物種のLC50、EC50は以下のとおりでございました。コイを用いた魚類急性毒性試験の結果が96hLC50が93µg/L、ニジマスを用いた急性毒性試験の結果が96hLC50で110µg/L、オオミジンコ急性遊泳阻害試験の結果が48hEC50で190µg/L、藻類生長阻害試験が72hErC50、180µg/L超となっております。これらから急性影響濃度を計算いたしまして、最も急性影響濃度が小さくなります魚類急性影響濃度AECfより、登録保留基準値を9.3µg/Lと提案させていただいております。
 (2)リスク評価でございますが、環境中予測濃度は非水田PECTier1が0.22µg/Lでございまして、登録保留基準値案9.3µg/Lを下回っております。
 本剤の検討経緯でございますが、2010年7月22日の本年第2回の水産検討会の方で御審議をいただき了承となった剤でございます。
 本剤につきまして、検討会におきましては、この剤はアミン系にもかかわらず、物性の水溶解度の方を見ていただきますと、アルカリ側の水溶解度が高くなっておりますので、その点についてメーカーに確認するようにという御指摘がございました。また、ミジンコの試験期間中のpHでございますが、pH7前後であれば、水溶解度以上に溶解しているおそれがあるのではないかという御指摘がございまして、こちらもあわせて確認をしております。
 メーカーに照会いたしましたところ、フルアジナムは構造にアミンを有するのですが、酸性物質のためアルカリ側に水溶解度を示しているという回答がございました。また、ミジンコの試験では、試験溶液での水溶解度を確認しておりまして、物化性データの水溶解度との整合はとれていると。また、沈殿、懸濁等がなく、濃度分析を見ても、高濃度区でもそれほど回収率が下がっていないということにより、十分に溶解したと考えられるということで、委員にも検討会後に確認をいただきまして、この評価書案で御了承をいただいたところでございます。
 本剤については、以上でございます。

【森田委員長】 御説明ありがとうございました。それでは、この剤につきまして御質問、あるいはコメントはございませんでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 特段ございませんでしょうか。それでは、最後に総合評価のところをもう一度御確認をいただきたいと思います。
 魚類の急性影響濃度から最小のAECfより登録保留基準値9.3µg/Lとするということであります。また、リスク評価につきましては、非水田PECが0.22と計算されまして、登録保留基準値9.3µg/Lを下回っているということです。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございました。
 メタミホップです。御説明お願いします。

【農薬環境管理室室長補佐】 資料の26ページをご覧ください。メタミホップについて説明をさせていただきます。
 物質概要でございますが、1.にまとめさせていただいたとおりです。
 開発の経緯等でございます。メタミホップは、雑草の葉緑体内に存在するアセチルCoAやカルボキシラーゼの活動を抑制し、植物体細胞膜形成に重要な役割を果たすリン脂質合成を阻害することによって雑草を枯死させる除草剤であり、本邦では現在未登録でございます。製剤は乳剤が、適用作物は芝として、登録申請がされております。
 各種物性につきましては、3.にまとめさせていただいたとおりです。
 次のページ、27ページから28ページにかけまして、水産動植物への毒性試験の結果をまとめさせていただいております。
 魚類につきましては、コイとメダカに関して急性毒性試験が実施されております。甲殻類につきましてはオオミジンコ、藻類に関しましてはPseudokirchneriellaにつきまして生長阻害試験が実施されております。
 29ページに移っていただきまして、環境中予測濃度でございます。
 本剤、製剤として乳剤がありまして、芝に適用があるということで、非水田使用時の予測濃度を計算しております。表5に示しますパラメーターを用いまして非水田PECTier1を計算いたしましたところ、0.0012µg/Lという結果でございました。
 30ページに移っていただきまして、総合評価でございます。
 (1)登録保留基準値案でございますが、各生物種のLC50及びEC50は以下のとおりでございました。コイを用いた魚類急性毒性試験の結果は96hLC50が330µg/L、メダカを用いた魚類急性毒性試験の結果が96hLC50で580µg/L超、オオミジンコを用いた急性遊泳阻害試験で48hEC50が288µg/L、藻類生長阻害試験の結果が72hErC50で2,030µg/L超という結果でございました。これらから魚類急性影響濃度、甲殻類急性影響濃度、藻類急性影響濃度を計算いたしまして、最小となります甲殻類急性影響濃度より、登録保留基準値を28µg/Lとしてご提案させていただいております。
 (2)リスク評価でございますが、環境中予測濃度は非水田PECTier1が0.0012µg/Lでございましたので、登録保留基準値28µg/Lを下回っているところでございます。
 本剤の検討経緯ですが、本年7月22日の22年度第2回水産検討会において御審議をいただきました。
 本剤につきましては、まず、ミジンコの供試生物数に若干のミスがございましたが、毒性値には影響なしということで、審議の結果は問題なく採用できるという結論になっております。
 また、藻類試験で、28ページをご覧いただきますと、設定濃度に対して実測濃度がかなり低くなっておりまして、なおかつ、一番高い実測濃度区は最高濃度区ではなくて、その一つ下にあるということで、どのようにこの試験結果を扱うかということが議論になりました。
 この剤は、水溶解度が非常に低いのにもかかわらず、アセトンを用いて無理に溶かしているということで、用量反応性がどうしても低いので、このような形になっていくというのは、やむを得ないというコメントもございまして、実測濃度の最高値をEC50に採用するということで、検討会の結論をいただいているところでございます。
 本剤の説明については、以上です。御審議、よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、この剤につきまして御質問、コメントはございませんでしょうか。除草剤ではあるけれども、余り藻類には効かないと理解してよろしいでしょうか。

【五箇臨時委員】 作用点がいわゆる組織として生長する植物には効くけれども、単細胞として増えている藻類の方には効かないというふうな形になると思いますので、除草剤ではあるけれども、作用点では差別化されてしまうという剤になります。

【森田委員長】 という御説明でございます。委員の先生方、御質問、御意見ございませんでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 それでは、最後に、先ほどの総合評価の御確認をお願いしたいと思います。
 総合評価としましては、最小のAECdは甲殻類、ミジンコになっておりますが、そこから求められる数値で、登録保留基準値は28µg/L、リスク評価としては、非水田のPECが0.0012でありまして、登録保留基準値28µg/Lを下回っているという結論でございます。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、本日の水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準としての基準値の設定につきましては、原案のとおり承認ということにしたいと思います。
 ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、議題の2番目、「水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣が定める基準の設定について」の審議に入りたいと思います。
 まず、事務局の方から御説明をお願いしたいと思います。

【農薬環境管理室室長補佐】 御説明に入ります前に、恐縮ですが、事務局の水質汚濁担当の方で人事異動がございましたので、ご紹介させていただきます。
 廣元の後任として着任いたしました三好でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、資料5をご覧ください。資料5は水質汚濁に係る登録保留基準値案に関する資料でございます。
 本資料に関しましても、水産動植物と同様、開発の経緯と総合評価を重点的に御説明させていただければと思います。
 それでは、1剤目、1枚めくっていただきまして、インダノファンから御説明させていただきます。
 インダノファンの物質概要でございますが、こちらの1.にまとめさせていただいたとおりです。
 2.開発の経緯等でございます。インダノファンは、オキシラン環とインダンジオン構造をあわせ持つ除草剤で、作用機序は、蛋白質及び脂肪酸の生合成阻害による細胞分裂及び伸長阻止と考えられております。本邦での初回登録は1999年でございます。製剤は粒剤、水和剤が、適用作物は、水稲、芝、それから申請中のものでございますが、小麦がございます。
 原体の国内生産量は、18年度22.8t、19年度が12.0t、20年度が15.5tでございました。
 各種物性等につきましては、3.の表に示させていただいたとおりでございます。
 2ページ目へ移っていただきまして、安全性評価でございます。本剤につきましては、食品安全委員会によりまして、平成20年1月10日付けでインダノファンのADIを0.0035mg/kg体重/日と設定する食品健康影響評価の結果が厚生労働省に通知されております。
 これにつきましては、お手元の参考資料の3でございます。参考資料3の農薬評価書、インダノファンの方とあわせて御参照いただければと思います。詳細の御説明につきましては省かせていただきます。
 この値はラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量0.356mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されたものでございます。
 水質汚濁予測濃度でございますが、本剤は、水田及び非水田のいずれの場面においても使用される剤でございますので、それぞれの使用場面について水濁PECを算出し、両者を合算しております。
 水田使用時の水濁PECにつきましては、(1)に示す使用方法とパラメーターを前提として、次のページ、3ページに移っていただきまして、非水田使用時の水濁PECにつきましては、芝を対象とした環境中予測濃度を算定しております。両括弧の番号が間違っておりますが、(2)ではなくて(3)です。大変失礼いたしました。水濁PECの算出結果でございますが、水田使用時と非水田使用時を合わせまして0.0041mg/Lと推定しております。
 4ページに進んでいただきまして、総合評価でございます。
 まず、1.水質汚濁に係る登録基準値(案)ですが、公共用水域の水中における予測濃度に対する基準値として0.0093mg/Lを提案させていただいております。この値はADIに平均体重を乗じまして、10%の配分、それを飲料水の摂取量で割りまして算定、3桁目を切り捨てて算出したものでございます
 本剤についての基準値の設定状況でございますが、水田使用の既登録剤ということで、旧登録保留基準の方が設定されております。水質要監視項目、水道の水質管理目標設定項目、ゴルフ場暫定指導指針、WHO飲料水水質ガイドラインにつきましては、いずれも該当がございませんでした。
 2.のリスク評価でございますが、水濁PECTier1が0.0041mg/Lでございますので、登録保留基準値案の0.0093mg/Lを下回っております。
 本剤につきまして比較的水濁PECと登録保留基準値が近いということで、環境中モニタリングのデータを検索いたしましたが、当室で行っている農薬残留総合対策調査、それから、水環境課で行われております公共用水域の調査、そして、保健部で行われております化学物質の環境の調査、それから、水道統計の調査、いずれにつきましても、検出例はございませんでした。
 食品経由の農薬摂取量でございますが、前回、有効数字の方の考え方を整理した方がいいんじゃないかということで御指摘をいただいておりますので、少しまとめ方を改めさせていただきました。
 飲料水由来の摂取量に関しましては、まず、設定の前提として10%配分ということで10%を上回らないように切り捨てて算出するということでさせていただいておりますので、こちらでは食品経由の摂取量の方を参考情報として掲載しております。
 農薬理論最大摂取量でございますが、こちらが平成20年4月開催の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会の資料から0.013mg/人/日ということで算出されております。これを平均体重53.3kgで対ADI比がどうなるのかを計算いたしますと、7%となっているところでございます。
 本剤の御説明に関しましては以上です。御審議、よろしくお願い申し上げます。

【森田委員長】 それでは、この剤につきまして御質問、御意見ございませんでしょうか。

【井上(達)臨時委員】 この剤は、要約にも書いてありますように、血液凝固系の異常ということで記載されております。しかしながら、実際には造血全体に対する障害です。凝固系はターン・オーバー・レイトが短いので、プロトロンビン時間だとか、凝固関連パラメータの変化が出やすいんですけれども、(それぞれの試験結果を見ますと)血液産生全体の細胞毒性、血液以外の臓器でも細胞毒性が全面的に出ております。血液系はターン・オーバー・レイトが短くて、殊に血小板が短いので、そういうふうに凝固系の障害がターゲットのように見えるということでありまして、要約のところの食品安全委員会の報告は、誤りではないけれども、造血系全体に影響が出ているということであります。
 それから、あと、代謝物の2番というのは、(ここでは構造が照合できませんけれども)(また原体よりも、何倍だったか、ちょっと忘れましたけれども)、同様の毒性が観察され、解説にも書いてありますけれども、代謝物の2の毒性と8の毒性が原体の毒性の主体的な内容を意味しております。
 それから、細胞毒性や血液毒性は、原疾患はこの剤の肝に対する肝障害であります。したがって、本剤の標的は肝臓に対する毒性とその結果としての細胞毒性、特に血液系にそれがマニフェストしているということであります。
 あと、眼球突出及び前眼房部拡張という指摘が食品安全委員会の報告の25ページにありますが、これは眼球の後部にある静脈層が出血して、眼球が突き出しているという典型的な出血系傾向の症状であります。脾臓の赤芽球系造血亢進も同様です。
 毒性がかなり強くて、それを反映して、ADIが非常に小さな単位になっているということはお気づきのとおりであります。
 以上です。

【森田委員長】 井上先生、ありがとうございました。
 それでは、各委員の先生方、ほかにコメントとか御質問はございませんでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 特段ないようでありましたら、総合評価のところで御確認をいただきたいと思います。
 ADIから導出される登録保留基準値は0.00932mg/Lという数字が出、そして、有効数字を2けた、3けた目をとり、切り捨てておりますけれども、その結果、0.0093mg/Lということで基準値ができ上がってきております。
 なお、リスク評価につきましては水濁PECの計算によりまして0.0041mg/Lで、これは登録保留基準値0.093mg/Lを下回っているということでございます。この総合評価でよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 それでは、これで御承認していただいたこととしたいと思います。
 それでは、引き続きまして、次の剤、お願いいたします。

【農薬環境管理室係員】 5ページのオキサジクロメホンについて説明させていただきます。
 本剤の開発の経緯でございますが、オキサジクロメホンは、オキサジノン系の除草剤でございまして、作用機序は明らかでございませんが、植物内因性のジベレリン代謝活性を阻害すると考えられています。本邦での初回登録は2000年でございます。製剤は粒剤、水和剤がございまして、適用作物は水稲、芝でございます。原体の国内生産量及び輸入量は記載のとおりでございます。物性につきましては3.の表に示すとおりでございます。
 6ページにまいりまして、<2>.安全性評価でございます。食品安全委員会は、平成20年8月21日付けでオキサジクロメホンのADIを0.0091mg/kg体重/日と設定する食品健康影響評価の結果を厚生労働省に通知しております。こちらにつきましては、参考資料4を御参照いただければと思います。なお、この値は、ラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量0.91mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されております。
 続きまして、<3>.水質汚濁予測濃度(水濁PEC)でございます。本剤は水田使用及び非水田使用のいずれの場合においても使用されますので、それぞれの使用場面について水濁PECを算出し、両者を合算しております。
 (1)の水田使用時の水濁PECでございます。水濁PECが最も高くなる表に示す場合につきまして、表のパラメーターを用いて算出をいたしました。算出の結果は7ページの(3)の表に記載のとおり、水田使用時水濁PECTier1が0.00214となっております。7ページ(2)の非水田使用時の水濁PECでございますが、こちらにつきましては日本芝に対して適用がございますので、こちらについて算出しております。算出の結果は、(3)の表に記載のとおり、非水田使用時として示します0.00001533となっております。合計し、3けた目を四捨五入しますと、水濁PECTier1は0.0022mg/Lと推定されます。
 8ページに移っていただきまして、<4>.総合評価でございます。1.水質汚濁に係る登録保留基準値(案)でございます。公共用水域の水中における予測濃度に対する基準値といたしまして、0.024mg/Lを提案させていただいております。この算定に当たりましては、ADIに平均体重を掛けまして、ADIの配分量0.1を掛け、それを飲料水摂取量2リットルで割るという形で、3けた目を切り捨て、有効数字2けたで算定しております。こちらにつきましては、登録保留基準の水質汚濁に係る旧基準がございまして、0.2mg/Lとなっておりました。
 2.リスク評価でございます。水濁PECTier1が0.0022mg/Lでございますので、登録保留基準値0.024mg/Lを下回っております。
 参考のところでございますが、食品経由の農薬理論最大摂取量と対ADI比でございます。各食品群の基準値案をもとに算出しました食品経由の農薬理論最大摂取量は0.012mg/人/日、ADI比で2.5%となり、80%を下回っております。
 本剤についての説明は以上でございます。御審議お願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、この剤につきまして御質問、御意見ございましたらお願いいたします。

【井上(達)臨時委員】 この剤は事務局のご説明にありましたように、肝・腎の毒性に基づいて、発がん性がエピジェネティックな発がん性であることを推定して、閾値を求めるという形で閾値の設定を行っております。これは事務局の説明にもありましたように、ジベレリン代謝活性阻害の可能性が推定されているということで、薬物の毒性性格そのものは正確にはわかっていないんですが、非常に高濃度のところで毒性が出ているのみで、吸入を除いては哺乳綱に対する毒性は極めて低いにもかかわらず、ADIが低くなっているのが特徴で、先ほど事務局の説明にもありましたように、エピジェネティック発がんで、代謝による、つまり薬物代謝によるP-450のアイソザイムのCYP1A1の増加に基づく分子毒性が原因になっている、このために閾値が低くなっているというメカニズムであります。したがって、本剤の毒性は代謝発がんの点を除けば問題にならないんだろうと思います。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。委員の先生方、御質問、御意見ございませんでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 特段意見が挙がってきておりませんが、それでは、総合評価をいただきまして、水質汚濁に係る登録保留基準値としてはADIから導出されております0.024mg/Lということであります。また、リスク評価につきましては、水濁PECで0.0022mg/Lであり、登録保留基準値の0.024を下回っているという結論になっています。いかがでしょうか。これでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 では、特段御意見もないようでございますので、原案どおりとしたいと思います。
 それでは、引き続きまして、クロチアニジン、説明お願いいたします。

【農薬環境管理室室長補佐】 では、資料の9ページをご覧ください。クロチアニジンについて御説明させていただきます。
 開発の経緯等でございますが、クロチアニジンはネオニコチノイド系の殺虫剤でございまして、昆虫中枢神経系のニコチン性アセチルコリン受容体に対するアゴニスト作用を示す剤でございます。本邦での初回登録は2001年でございます。製剤には粉剤、粒剤、水和剤、水溶剤、液剤、エアゾル剤、マイクロカプセル剤が、適用作物は稲、果樹、野菜、豆類、花き、芝等がございます。原体の国内生産量は記載のとおりでございます。
 各種物性等につきましては3.にまとめさせていただいているとおりです。
 10ページに移っていただきまして、<2>.安全性評価でございます。本剤につきましては、食品安全委員会は平成20年2月28日付けでクロチアニジンのADIを0.097mg/kg体重/日と設定する食品健康影響評価の結果を厚生労働省に通知しております。この評価書につきましては、参考資料5を合わせてご覧いただければと思います。この値は、ラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量9.7mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されたものでございます。
 引き続きまして、<3>.水質汚濁予測濃度でございます。本剤は水田及び非水田のいずれについても使用されますので、それぞれの使用場面について水濁PECを算出して、両者を合算しております。
 水田使用時の水濁PECにつきましては、1.のとおりでございます。非水田につきましては、2.に示させていただいた使用方法とパラメーターで算定をいたしました。合算した値が3.に示させていただいておりますが、合わせまして0.012mg/Lという算出結果となっております。
 12ページに移っていただきまして、<4>.総合評価でございます。1.水質汚濁に係る登録保留基準値(案)でございますが、公共用水域の水中における予測濃度に対する基準値として0.25mg/Lを提案させていただいております。こちらの算出方法は、これまでの2剤と同様でございますので割愛させていただきます。
 参考でございますが、水質に関する基準値等でございますが、本剤につきましては、水質汚濁に係る旧農薬登録保留基準が2mg/Lと設定されていたところでございます。
 2.のリスク評価でございます。水濁PECTier1が0.012mg/Lでございましたので、登録保留基準値0.25mg/Lを下回っているという結果でございました。
 食品経由の農薬理論最大摂取量と対ADI比でございますが、食品群ごとの基準値案をもとに算出した農薬理論最大摂取量が0.92mg/人/日となっておりまして、その対ADI比は18%となっております。
 本剤につきましては以上です。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 御説明ありがとうございました。この剤につきまして、井上先生お願いいたします。

【井上(達)臨時委員】 クロチアニジンはよくご存じのとおり、アセチルコリン受容体に対するアゴニストでありますので、哺乳綱に対する毒性は一般に低い。神経毒性が出るのでそれに注意するということで観察がなされています。神経毒性はこの剤についてはほとんどありません。高濃度で認められる程度で、ポテンシャルがないとは思いませんけれども、問題になりません。C細胞腫というのが甲状腺の間質の細胞を母地として出てきますけれども、肝障害などとの相関関係もこの場合には認められず、やはり問題にならないということです。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございます。それでは、委員の先生方から御意見、御質問ございませんでしょうか。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 それでは、最後に総合評価の御確認をお願いしたいんですが。登録保留基準値の案といたしまして、基準値が0.25mg/L、なお、リスク評価としては水濁PECの0.012mg/Lに比べて、水濁PECの方は登録保留基準値の0.25を下回っているという結論でございますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 では、特段の異議もございませんので、承認ということにしたいと思います。
 それでは、クロメプロップをお願いいたします。

【農薬環境管理室係員】 資料の13ページをご覧ください。クロメプロップについて説明させていただきます。
 本剤の開発の経緯でございますが、クロメプロップは、フェノキシ酸系の除草剤であり、根部、茎葉基部及び茎葉部から吸収された後、植物体内を移行してオーキシン作用を攪乱し、その結果、正常な生体制御機構を破壊し枯死させるものと考えられております。本邦での初回登録は1988年でございます。製剤は粒剤、水和剤でございまして、適用作物は稲のみでございます。原体の国内生産量は記載のとおりでございます。物性につきましては3.の表に記載のとおりでございます。
 14ページにまいりまして、<2>.安全性評価でございます。食品安全委員会は、平成21年7月23日付けでクロメプロップのADIを0.0062mg/kg体重/日と設定する食品健康影響評価の結果を厚生労働省に通知しております。こちらの評価書につきましては、参考資料6を御参照いただければと思います。なお、この値は、ラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量0.62mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されております。
 続きまして、<3>.水質汚濁予測濃度でございます。本剤は水田のみの使用でございますので、水田の水濁PECが最も高くなる使用方法について表のとおり算出しております。表に示します使用方法につきまして、表のパラメーターを用いて算出をいたしましたところ、算出の結果は15ページの2.の表に記載のとおり、水濁PECTier1は0.012mg/Lとなっております。
 <4>.総合評価でございます。1.水質汚濁に係る登録保留基準値案でございます。公共用水域の水中における予測濃度に対する基準値といたしまして、0.016mg/Lを提案させていただいております。計算方法は記載のとおりでございます。こちらにつきましては、農薬登録保留基準の水質汚濁に係る旧基準がございまして、0.2mg/Lとなっておりました。
 16ページにまいりまして、2.リスク評価でございます。水濁PECTier1が0.012mg/Lでございますので、登録保留基準値0.016mg/Lを下回っております。本剤の基準値案と水濁PECTier1の値が近いことから、環境モニタリングデータを検索いたしましたところ、当室で実施しております農薬残留対策総合調査におきまして、計3回クロメプロップの河川モニタリング調査を実施しております。平成16年度の水田農薬長期モニタリング調査で0.001mg/L、このときの調査対象流域での推定使用割合はクロメプロップ28%でございました。また、平成17年度の水田農薬モニタリング調査でも、クロメプロップを対象としましたが、結果は検出限界である0.0003mg/L未満でした。また、平成18年度にも引き続きクロメプロップが対象となり、このときの最高濃度は0.0002mg/Lでございました。
 まとめますと、最大の検出値は平成16年度の0.001mg/Lであり、Tier1の予測値の10分の1以下となっております。
 参考のところでございますが、食品経由の農薬理論最大摂取量と対ADI比でございます。各食品群の基準値案をもとに算出した食品経由の農薬理論最大摂取量は0.032mg/人/日、ADI比で9.7%となっております。
 本剤についての説明は以上です。御審議お願いいたします。

【森田委員長】 御説明ありがとうございました。クロメプロップですが、委員の先生方お願いいたします。

【井上(達)臨時委員】 このクロメプロップについては毒性機構が少なくとも私はよくわかりません。ただ、細胞毒性が全般的に強くて、それが血球系の破壊につながっております。ADIの算出根拠になった標的は血鉄症(ヘモジデローシス=hemosiderosis)で、2年間の慢性毒性/発がん性併合試験からとっております。発がんとは全く関係がない。そういう意味では安全と言えば安全。ただ、細胞毒性は異常に強い。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問、コメントございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。特段の御意見ございませんでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 それでは、最後の総合評価のところをもう一度見ていただきまして、ADIが0.0062mg/kg体重/日、これから割り出した基準案が0.016mg/Lという数字でございます。それから、なお、関連いたしまして、リスク評価では水濁PECを求めますと、0.012mg/Lであり、登録保留基準値の0.016mg/Lを下回っているというのが総合評価でございますが、これでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 それでは、特段御意見もないことでございますので、これで原案どおりということにしたいと思います。
 それでは、引き続きまして、チアメトキサム、お願いいたします。

【農薬環境管理室室長補佐】 それでは、資料の17ページをご覧ください。チアメトキサムについて御説明させていただきます。
 開発の経緯等でございますが、チアメトキサムはネオニコチノイド系の殺虫剤であり、ニコチン性アセチルコリン受容体に対してアゴニスト作用を示す剤でございます。本邦での初回登録は2000年です。製剤は粒剤、水和剤、水溶剤、液剤、複合肥料剤が、適用作物は稲、雑穀、果樹、野菜、豆、花き・観葉植物、樹木、芝等がございます。原体の輸入量に関しましては記載のとおりです。各種物性は3.にお示ししているとおりでございます。
 1ページめくっていただきまして18ページ、<2>.安全性評価でございます。食品安全委員会は平成20年4月3日付けでチアメトキサムのADIを0.018mg/kg体重/日と設定する食品健康影響評価の結果を厚生労働省に通知しております。これにつきましては参考資料7として農薬評価書の方を配付させていただいておりますので御参照ください。この値は、ラットを用いた2世代繁殖試験における無毒性量1.84mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されたものでございます。
 続きまして、<3>.水質汚濁予測濃度でございます。本剤は水田及び非水田のいずれの場面においても使用されますので、それぞれについて水濁PECを算出し合算しております。
 1.で、水田使用時の水濁PECのパラメーターの方を示させていただいております。2.の方、非水田使用時の使用方法とパラメーターは表のとおりでございます。3.これら水田使用時と非水田使用時の水濁PECをTier1ですが合算いたしまして、合計が0.014mg/Lと算出されております。
 次のページに移っていただきまして、<4>.総合評価でございます。1.水質汚濁に係る登録保留基準値案でございますが、公共用水域の水中における予測濃度に対する基準値として0.047mg/Lを提案させていただいております。算定式につきましては、その下に記載のとおりです。本剤につきましては、水質汚濁に係る農薬の旧保留基準がございまして、0.5mg/Lとなっておりました。
 2.リスク評価でございます。本剤の水濁PECTier1は0.014mg/Lでございましたので、登録保留基準値0.047mg/Lを下回っております。なお、本剤について環境中モニタリングデータを検索いたしましたが、該当はございませんでした。
 参考といたしまして、食品経由の農薬推定一日摂取量と対ADI比を表にまとめさせていただいております。本剤につきまして、作物残留試験成績等がある食品についてはその値を、それ以外の食品については食品群ごとの基準値案をもとに算出した農薬推定一日摂取量が0.27mg/人/日となっております。その対ADI比は28%であり、80%を下回っているというところでございます。
 本剤につきましては以上です。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、引き続き、井上先生、お願いします。

【井上(達)臨時委員】 これはアセチルコリン受容体アゴニストですので、(先ほどの剤と、全く同じではもちろんないんですけれども)標的が神経と赤血球(であること)を念頭に置いて毒性試験が行われております。いずれの試験でも神経毒性については特段取り上げるほどの結果ではなくて、他方、赤血球系の破壊についてはそれぞれの試験で出ておりますけれども、まとめに記載されている程度であるということです。
 あと、肝毒性がありまして、その肝毒性に伴ってぽつぽつとエピジェネティックな腫瘍が観察されております。実際のADIをとったのは繁殖試験の方であるように、恐らく閾値を見込むことができるであろうという考え方で判断されたということであります。比較的毒性は低いものであるということが言えようかと思います。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、委員の先生方、ほかに御意見とか御質問ございませんでしょうか。特段の御意見ございませんか。

(発言なし)

【森田委員長】 それでは、最後の総合評価のほうで御確認をいただきたいと思います。チアメトキサムですが、ADIから導出される基準値案は0.047mg/Lということでございます。なお、リスク評価につきましては水濁PECで計算されるのは0.014mg/Lであり、登録保留基準値の0.047mg/Lを下回っていると、そういう評価になります。これでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 それでは、原案どおり、この案でということでしたいと思います。
 それでは、引き続きまして、ピリブチカルブでございます。御説明お願いします。

【農薬環境管理室係員】 資料の21ページをご覧ください。ピリブチカルブについて説明させていただきます。
 本剤の開発の経緯でございますが、ピリブチカルブは、カーバメート系の非ホルモン型除草剤であり、作用機序は不明、明らかではございませんが、植物体の物質転流阻害または老化促進等の作用により効果を示すと考えられております。本邦での初回登録は1989年でございます。製剤は粒剤、水和剤、乳剤がございまして、適用作物は稲、芝でございます。原体の国内生産量は記載のとおりでございます。物性につきましては3.の表に記載のとおりでございます。
 22ページにまいりまして、<2>.安全性評価でございます。食品安全委員会は、平成20年9月11日付けでピリブチカルブのADIを0.0088mg/kg体重/日と設定する食品健康影響評価の結果を厚生労働省に通知しております。こちらの評価書につきましては、参考資料8を御参照いただければと思います。なお、この値は、ラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量0.88mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されております。
 続きまして、<3>.水質汚濁予測濃度でございます。本剤は水田使用及び非水田使用のいずれの場合においても使用されておりますので、それぞれの使用場面について水濁PECを算出し、両者を合算しております。
 (1)水田使用時の水濁PECでございますが、水濁PECが最も高くなる使用方法及び各パラメーターについて下の表に示しております。
 23ページにまいりまして、2.非水田使用時の水濁PECでございますが、水濁PECが最も高くなる使用方法及びそれぞれの各パラメーターの値を下の表に記載しております。3.水濁PEC算出結果でございますが、水田使用時の水濁PECTier1は0.0159744となりまして、非水田使用時の水濁PECTier1は0.0004794となりまして、合算しまして、水濁PECTier1は0.016mg/Lと推定されております。
 24ページにまいりまして、総合評価でございます。1.水質汚濁に係る登録保留基準値案でございます。公共用水域の水中における予測濃度に対する基準値といたしまして、0.023mg/Lを提案させていただいております。算定方法につきましては、表に記載のとおりでございます。こちらにつきまして、農薬登録保留基準の水質汚濁に係る旧基準としまして0.2mg/L、水質管理目標設定項目として0.02mg/L、ゴルフ場暫定指導指針として0.2mg/Lが設定されております。
 2.リスク評価でございます。水濁PECTier1が0.016mg/Lでございますので、登録保留基準値0.023mg/Lを下回っております。
 環境モニタリングデータでございますが、厚生労働省の水道統計を平成17年度版から19年度版までの3年分について確認いたしましたところ、平成19年度版において水道原水997検体のうち、表流水で0.0006mg/L超0.0010mg/L以下の検出が1件ございました。こちらはTier1の予測値の6%程度となっております。
 参考の食品経由の農薬理論最大摂取量とADI比でございます。各食品群の基準値案をもとに算出した食品経由の農薬理論最大摂取量は0.043mg/人/日、ADI比で9.2%となっており、80%を下回っております。
 本剤についての説明は以上です。御審議お願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございました。井上先生、お願いいたします。

【井上(達)臨時委員】 これは吉田先生からコメントをもらうといいと思うんですけれども、カーバメート系の剤の特性はその都度特徴がありますので、その面から見ることがポイントかと思います。

【吉田専門委員】 それでは、申し上げます。今、剤の概要につきましては井上先生がおっしゃったとおりですけれども、この剤につきましては主な影響というのは非常に高い用量で毒性が出ていること。余り低い用量では毒性は出ておりません。主な毒性といいますのは、肝臓及び血液に出ております。しかし、神経毒性や繁殖毒性、あるいは催奇形性というものは出ておりません。発がん性といたしまして、若干、一番高い用量ではございますけれども、ラットで精巣及び甲状腺に出ておりますけれども、発がんメカニズムは明らかではありません。マウスの肝臓にも出ておりますが、これは恐らく先ほどから井上先生がおっしゃったepigeneticないわゆる薬物肝臓の肥大、肝にかかわるものかもしれないということです。あと、機序はカーバメート系ですけれども、そういったような神経毒性というものは認められませんでした。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、この剤につきまして御質問、中杉委員、お願いします。

【中杉臨時委員】 どうもこの物質について、水濁PECとこの農薬の登録保留基準が近いという話がありました。実際に環境測定データを見るとそれぞれ近い値が出ているということで、水濁PECTier1の数字がそのままある程度信頼できるのかなと思うんですが、この剤はBCFが結構高いんですね。飲み水としてだけではなくて、魚経由の曝露というのを一応昔制御して、これをもうBCF以下ですぱっと切ってしまう話をして、ルール上はかかってこないものなんですが、この水域が全部これで汚染して、その水域の魚を全部食べるなんていう極端な議論をすると、ひょっとすると食品安全委員会の作用値を上回ってしまう可能性が出てきかねないなと、私はざっと計算してみただけなんですけれども、それは内水面の魚をどのくらい食べるとか、細かい評価をしていかなければいけないので、私の言っていることはすぐに問題だというわけじゃないんですけれども、しかし、事務局はBCFが高いものについてはそういう面から少し検討いただいた方がいいと思うんですね。BCFの生物濃縮の方の魚を食べるときの整理をしたときも必ずしもあそこですぱっと切った、幾らでしたっけ、5,000にしたんでしたっけ、5,000では少し高い切り方だなと思っていたんですが、実際には予測濃度と安全率といいますか、許容濃度の間がかなり開いたケースが多いので、多分問題にならないと考えているので、こういうふうに近づいてくると少し議論になることがあるかと思います。
 だから、私が申し上げたのは、今、全部魚をこの農薬に汚染された川からとってきた魚という議論をしていますので、かなり過大評価をしていますけれども、もう少しそういうふうにBCFが高いものについては、高いもので水濁PECとそれから農薬登録保留基準の近いものについては少しそういう見方で見ていただいた方がいいのかというふうに思います。
 今回のはどうということではございませんけれども、そういうふうな見方で少し見ておいた方がよろしいのかなということです。

【森田委員長】 関連して、事務局の方からよろしくお願いします。

【農薬環境管理室室長補佐】 申しわけございません。今の御指摘でちょっと1点確認させていただきたいことと、1点補足したいことがございます。
 まず1点目なんですが、環境中モニタリングのデータなんですけれども、私どもが我々の手の届く範囲で確認させていただいたところでは、これについては水道統計のデータだけがヒットいたしまして、そこではTier1の予測値のせいぜい6%程度という値だったということで、ちょっと基準値に近い、水濁PECの少なくともTier1に近いという結果ではないのかなというふうに理解しているのですが、もしもほかにもモニタリングデータを御存じのものがあればぜひ御教示いただきたいと思っております。

【中杉臨時委員】 普通だと多分不検出になってきて、違うねと、Tier1よりよっぽど寛容に評価しているねという感じで評価されるんでしょうけれども、実際にそういう数字が出てきた、数分の1でも出てきたというのは、そこそこ合っているというふうに解釈したということです。

【農薬環境管理室室長補佐】 ありがとうございます。それから、魚介類についての御指摘でございますが、魚介類についても最近は水産動植物被害予測濃度、水産PECの値を試算いたしまして、それに生物濃縮係数を掛ける形で、魚介類の残留基準値というのが平成20年に設定されるようになっております。こちらの評価書の方にお示ししております食品経由の農薬理論最大摂取量の方は、生物濃縮を受けた魚介類からの摂取というものも考慮した上で算定されている数値でございますので、その辺、参考資料になりそうなものがお配りしている農薬評価書、参考資料8の21ページをご覧いただきますと、表15といたしまして、食品中から摂取されるピリブチカルブの推定摂取量が掲載されております。こちらで魚介類につきまして国民平均では32.3µg/人/日の摂取が推定されるということでまとめられているところでございます。こちらと、それから、食品群ごとの基準値案をもとに推定一日摂取量を算出いたしましたものが評価書の方に転記している数字でございます。

【森田委員長】 いかがでしょうか。この剤につきましては、毒性のところにつきましては井上先生、吉田先生お二人からコメントをいただきました。一応発がん性は少し気にかかる要素がひょっとしたらあるのかもしれませんが、しかし、一応食の安全委員会としてはADIとして0.0088mg/kgを残されているということですので、それに従ってあと計算していきますと、公共用水域の登録保留基準値というのは0.023mg/Lになるということであります。このADIそのものはこれ以上議論をする必要はないという状況でございます。よろしいですか。

【吉田専門委員】 これ以上ではありませんが、実を申しますと公比が非常に大きくて、ADIを設定基準といたしましたラットの試験の低用量と最低量で毒性が認められたLOAELが公比25でございますので、この公比の大きさというのが恐らくADIを小さくしてしまう一つの原因になっているかもしれません。

【森田委員長】 そこにある種のマージンがあるかもしれないということを含めまして、そのADIそのものを受け入れて計算いたしますと0.023mg/Lということであります。
 それから、中杉委員の方から指摘がありましたのは、少し生物濃縮が考えられて、経過として魚などに濃縮をして、経過的には食品経由で上がってくる可能性があるのではないかという御指摘もありましたけれども、それに対しましても食品経由の農薬理論最大摂取量を見ていきますと、対ADIが9.2%程度であるので、したがって、食品からも特段高く要素はなさそうだということでよろしいでしょうか。
 したがいまして、総合評価としては、基準値案としては0.023mg/L、それから、リスク評価としては水濁PECが近接しているとはいえ、0.016mg/Lで、それを下回っているという評価になっていますが、いかがでしょうか。原案どおりでよろしいでしょうか。

【中杉臨時委員】 これは食品の方からというのはありますけれども、これは水質汚濁の方から基準を決めるというのは、水質汚濁の方の基準を考えるときに、やはり魚経由の方は安全だねという確認が必要だろうと思います。もし、こちらで問題がないという結論であれば、それも含めて報告をいただいた方がいいんだろうと、そうでないと話がずれてしまう。

【眞柄臨時委員】 今、説明されたのは、このデータは食安委のデータなんですよ。水質汚濁性のは水質汚濁性用の実験のデータで今までやってきているので、このデータを使っていいんですかというのが中杉先生おっしゃっている。

【中杉臨時委員】 要は水質汚濁に関する登録保留基準をつくるときには、その数字を使って下がるのは問題ない、あるいは食品安全委員会の方で食品についてその濃度でも問題ない、食品安全委員会の方はこちらで言っている農薬の登録保留基準というのは幾つだってということから発して議論していないですよね。だから、その確認だけをしておいてもらう必要があるだろうということです。直ちに問題があるということで申し上げているわけではなくて、そういうことが少し必要になってくるだろうと。これは今までこちらの方ではたしか昔やったんですけれども、5,000ですぱんと切ってしまうと、上か下かで切ってしまうんだけど、5,000より下でも、この500ぐらいのところでも、場合によっては少し懸念になるものが出てくる。ただ、先ほど申し上げたように、全部の魚を、こういう汚染された川の魚を食べるという話になるので、過大な見積もりです。ですから、そこら辺のところは少し整理をして、事務局の方で問題がないということを確認をしていただく必要があるだろうと。先ほど環境濃度を確認するという議論に合わせて、そういうことを言っていただくと我々としては安心して結構ですということが言えると。ちょっとBCFが高いのを少し気にして、物すごく安全側を見た形の計算をしてみると、超えてしまうんですね。ざっとした計算なんですけれども。

【森田委員長】 その確認を、農薬室の方でやってくださいますかと。この議論をちょっとちゃんとしておきたいのですけれども。

【農薬環境管理室長】 御指摘ありがとうございました。水濁の登録保留基準は今御指摘のとおり、いわゆる水質の方の基準と実際に水質を経由して魚の残留基準を超えないことということにさせていただいております。魚の残留という点については、私どもでは残留農薬調査を実施しておりますので、今後、そういったところで超えていないかどうかの確認をさせていただいて、フォローアップをさせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 では、中杉委員、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、今出た御意見を踏まえて、環境省の方、アクションをとられるということでございます。総合評価に書かれております登録保留基準値及びリスク評価の分については原案どおりでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 それでは、原案どおりといたしたいと思います。
 それでは、その次は最後の剤です。カルブチレート御説明お願いします。

【農薬環境管理室室長補佐】 それでは、資料の25ページをご覧ください。カルブチレートにつきまして御説明させていただきます。
 本剤の物質概要につきましては1.に記載のとおりです。2.開発の経緯等でございます。カルブチレートは非ホルモン型吸収移行性の尿素系の除草剤であり、主として雑草の光合成阻害により除草活性を有します。本邦での初回登録は1982年でございます。製剤には粒剤及び水和剤がありまして、適用作物は樹木等でございます。原体の国内生産量につきましては記載のとおりです。
 各種物性につきましては3.の表の方をご覧ください。
 <2>.安全性評価でございますが、本剤につきましては、非食用農作物専用農薬でございますことから、食品安全委員会による評価は行われておりません。そのため、参考資料2-1としておつけさせていただいておりますけれども、平成20年2月22日に中環審の土壌農薬部会で了承いただきました方針に基づきまして食品安全委員会において安全性評価が行われない農薬に係る基準値設定、参考資料2-1の4.でございますが、そちらで非食用農作物専用農薬につきましては(1)にありますように、環境省において新たに安全性評価を実施いたしまして暫定的なADIを設定することとしております。
 本剤の安全性評価につきましては、本年7月21日に開催されました非食用農作物専用農薬安全性評価検討会におきまして参考資料2-3の委員名簿に記載した先生方の御協力をいただきまして暫定ADIの方を設定させていただいたところでございます。この小委員会の先生からは井上先生、上路先生、吉田先生の御協力を賜っております。
 検討会の評価結果につきましては、資料5の29ページからの別紙に記載させていただいております。別紙の評価結果の詳細につきましては検討会の方で専門的見地から子細に御議論賜ってまとめられたものでございます。この場では特に議論になった点について御説明するとともに、総合評価を中心に御説明をさせていただきたいと思います。
 29ページ、別紙の方をお開きいただけますでしょうか。<1>.評価対象農薬の概要につきましては、先ほどの評価書と同じでございますので省かせていただきます。動物体内運命試験に関しましては、若干表2の血中放射能濃度の高用量の雌に関しまして、血中濃度のピーク時間の値が8時間と24時間ということで離れてしまったことについて、事実関係を確認するようにという御指摘を検討会でいただきました。数値の推移を試験報告書個体別票の方までさかのぼって確認いたしましたけれども、8時間値と24時間値で個体の<1>についても<2>についても大きな差がないということで、前後のこの時間帯ずっとピークに近いという形で、たまたまピークが8時間体と24時間側に分かれただけで奇異な数値ではないという解釈につきまして、検討会の委員の方々にも御了承をいただいているところでございます。
 それから、環境中運命試験につきましては特段文言以外の御指摘はございませんでした。
 毒性試験でございますけれども、(1)の一般薬理試験に関しまして、若干御議論がございました。こちらの一般薬理試験として35ページ表9でございますが、今掲げておりますのは中枢神経系と血液系に係る試験結果のみでございますけれども、申請者からはこのほかに呼吸循環器系の影響試験の提出がございました。ただし、この試験、詳細を見てみますと、検体が溶媒に溶けていなかったというようなことが疑われておりまして、試験の信頼性が保証されないということで、この試験の採用は見送られたところでございます。
 急性毒性試験、それから、皮膚・眼に対する刺激性、皮膚感作性試験につきましては特段御議論はございませんでした。
 亜急性毒性試験(4)の方に移っていただきまして、表13の亜急性、90日間亜急性毒性試験で認められた毒性所見でございますが、こちらの所見の取り扱いについて細かく御審議をいただきまして、特にこの剤、腎臓に顕著な影響が認められるということで、腎臓に関する影響、硝子円柱の出現ですとかにつきましては、有意差がないものにつきましても毒性所見としてこの表に記載すべきというようなおまとめをいただきました。また、通常の毒性試験では発生しにくい扁平上皮過形成を伴う変化についてもこちらの表に有意差はないけれども、書き込むべしということで御意見を賜ったところでございます。
 それから、90日間亜急性神経毒性試験でございますが、これにつきましても腹部または外尿道口の周囲被毛の汚れというのが投与群の毒性所見として挙がっておりますが、これについては神経毒性によるものではないだろうということで、その記述を加えるべきかどうかという御審議もございましたが、そこまで書く必要はないだろうということで割愛をしたところです。
 続きまして、(5)の生殖発生毒性試験でございますが、このうちのラットにおける催奇形性試験に関しましては、申請者の取りまとめでは、胎児について高用量の1,000mg/kg体重/日投与群の個体重の児動物の体重が対象群と比べてわずかに低下しているけれども、それは有意差はないけれども投与の影響の可能性は否定できないといったようなコメントで、1,000mg/kg体重/日を毒性所見ありとする形でまとめられていたんですが、これに関しましては、統計的には有意ではないということで毒性所見から落とすという形で取り扱わせていただいたところでございます。
 それから、ウサギの催奇形性試験につきまして、この剤につきましては1,000mg/kg体重/日で1例の死亡が母動物について認められました。こちらについて、死亡については統計上の有意差がないけれども扱いはどうしようかということで、検討会の先生方に御相談いたしましたところ、死亡のような重篤な影響につきましては本剤投与による可能性を否定できないということで毒性所見に加えるというおまとめをいただいたところでございます。
 (6)遺伝毒性試験については特段文言以上の御指摘はございませんでした。
 引き続きまして、<3>.総合評価でございます。本剤14Cで標識したカルブチレートのラットを用いた動物体内運命試験の結果、経口投与されたカルブチレートは低用量で投与後1時間、高用量では雄で投与後6~8時間、雌で投与後8~24時間にCmaxに達しております。血中濃度はピーク時間から24時間以内に急速に低下し、その後は緩慢に低下いたしました。尿中への排泄は速やかで、低用量では80%TAR以上が尿中に排出され、大部分は0~6時間に、次いで6~12時間に排出されております。高用量では約50%TARが尿に、50%が糞中に排泄され、大部分は0~48時間に排泄されました。排泄経路に明らかな性差は認められませんでした。体内では肝臓、腎臓及び副腎に多く分布いたしましたが、血中と同様に経時的に低下いたしまして、168時間後は血中とほぼ同等か、または、これを下回っております。いずれも蓄積性は認められませんでした。主な代謝経路はジメチルウレアの酸化的脱メチル化、tert-ブチル基の酸化及びカーバメート基の加水分解でございました。
 各種毒性試験結果から、カルブチレート投与による影響は主に腎臓、膀胱、肝臓、血液系、副腎に認められております。神経毒性、催奇形性及び遺伝毒性は認められませんでした。各種試験結果から曝露評価対象物質はカルブチレート(親化合物のみ)と設定しております。各毒性試験における無毒性量、最小毒性量及び最小毒性量で認められた所見は表19、次のページ、42ページになりますが、そちらにまとめたとおりです。各試験で得られた無毒性量の最小値はラットを用いた90日間反復経口投与毒性試験の雄における13.1mg/kg体重/日でございましたので、この試験を暫定一日摂取許容量(暫定ADI)の根拠とすることが適切であると考えられます。
 以上の結果を踏まえまして、カルブチレートに対する暫定ADIは0.013mg/kg体重/日、設定根拠となる試験は90日間亜急性毒性試験、動物種はラット、無毒性量13.1mg/kg体重/日を安全係数1,000で割って設定したものでございます。
 安全性評価については以上です。
 資料の26ページにお戻りいただきまして、引き続きまして水質汚濁予測濃度について説明させていただきます。
 本剤は非水田使用農薬ですので、1.の使用方法とパラメーターの値、これが水濁PECの最も高くなる使用方法ということで、こちらに基づいて水濁PECを算定いたしました。結果は27ページの表にまとめさせていただいておりますが、0.00041mg/Lという算定結果になっております。
 <4>の総合評価でございます。1.水質汚濁に係る登録保留基準値案ですが、公共用水域の水中における予測濃度に対する基準値といたしまして0.034mg/Lと算定しております。この計算に当たりましては表に示すとおりの方法で計算をいたしました。
 次のページへ移っていただきまして、本剤のリスク評価でございますが、水濁PECTier1が0.00041mg/Lでございますので、登録保留基準値の0.034mg/Lを下回っているというところでございます。
 本剤の説明につきましては以上です。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございました。このカルブチレートにつきましては食の安全委員会のあれがありませんので、とりあえず暫定ADIをもとに計算するということでございます。毒性につきましては井上先生の方から。

【井上(達)臨時委員】 事務局がご説明くださったように、暫定ADIをこちらの環境省の方の資料で設置するということでつくられたものです。毒性試験の評価については丁寧にご説明いただきましたので改めてつけ加えませんけれども、ここにも上路先生や吉田先生がおられますので、必要なコメントはいただいてください。
 それから、そのご説明の中にもありましたように、代謝運命が比較的よく調べられていたことだとか、薬理試験並びに長期に及ばない90日の毒性試験の結果、それから、生殖試験等を参考にして慢性毒性試験、発がん性試験や繁殖毒性試験が行われていなかった部分についての予想されるデータ等について皆さんのご意見をいただきました。その予測は安全係数で補足することでほぼカバーされるであろうという考え方で、慢性毒性/発がん性試験について√10、繁殖毒性試験及び非げっ歯類の毒性試験ということで√10、合わせて10ということで安全係数を10計上いたしました。種間差と個体差のそれぞれの10と合わせて1,000ということで計算したのが経緯であります。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。上路先生、吉田先生、何か追加ございますか。

【吉田専門委員】 いえ、特別にはございません。

【森田委員長】 ありませんか。それでは、毒性の評価につきましては以上のとおりでございます。委員の先生方から。

【眞柄臨時委員】 今から伺うことは教えていただけることなのか、教えられないことなのかを含めてですが、登録が1982年ですね。登録時の毒性データは今回評価の対象とされた毒性試験等と同じものであったのか、違うものであったか、これは聞いていいことなのか、聞いていけないことなのかよくわかりませんので、もし、教えていただけるのだったら教えてください。

【農薬環境管理室室長補佐】 すみません、今、にわかにすべての試験データについて実施年を確認することができないんですが、例えば急性経口毒性試験については1994年の実施、それから、亜急性毒性試験が1995年、90日神経毒性試験は2005年といったような形で、割と初回登録以降に追加されたデータを多数使用して評価をしたところでございます。

【森田委員長】 よろしいですか。

【眞柄臨時委員】 いや、結構です。もうそれ以上聞いたらいけないんだろうと思いますから。

【森田委員長】 それでは、委員の先生方、御意見ございますでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 それでは、特段なければ最後の安全性評価のところに戻っていって、26ページですけれども、暫定許容一日摂取量として0.013mg/kg体重/日、それが採用されて、総合評価27ページですけれども、水質汚濁に係る登録保留基準値(案)として0.034mg/Lということであります。なお、リスク評価としましては水濁PECとして0.00041mg/Lであり、農薬登録保留基準値の0.034を下回っているという内容でございますが、これでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 では、特段の異議も出ておりませんので、原案どおりということにしたいと思います。ありがとうございました。

【眞柄臨時委員】 すみません、関連ですけれども。これはこれで結構なんですが、暫定ADIというのは、暫定ADIのままで行くんですね。どこかの時点で「暫定」を取るような試験をしたレポートをほしいというような指示はしなくて、一応もうこれでセットしたら「暫定」という言葉つきのままで行くと、こういうことですか。これはまだ議論していなかったと思われるので。

【森田委員長】 環境省の方から御説明お願いできますか。

【農薬環境管理室長】 御案内のとおり、食品安全委員会の方でADIが設定されていないということで、水質の基準の方で必要なのでADIを環境省の方で設定させていただくということで暫定のADIという形にさせていただいております。
 例えば、今回の剤、いわゆる非食用ですけれども、食用で例えば登録をとられることがあれば、また、食品安全委員会の方で議論されて、ADIが策定されることもあり得るかもしれないんですけれども、議論されるまでは暫定のADIという形で水質基準を設定させていただくというような形で進めさせていただきたいと思っております。

【森田委員長】 何か確認をしておく必要があることがあれば、今、お話をしておいた方がいいと思うんですが。よろしいですか。とりあえず暫定ADIというのは今どのぐらい残っているんですか。

【農薬環境管理室室長補佐】 この新しい水質汚濁の基準の制度になりましてから、今までに48剤御審議をいただきましたけれども、うち、非食用農作物専用農薬安全性評価検討会の方で暫定ADIを設定いただいたのが8剤となっております。

【森田委員長】 そのままの構造でまだ残っているということでよろしいでしょうか。

【農薬環境管理室長】 いわゆる食用で農薬として登録されるということがなければ、このままでという形になるということでございます。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、本日議題に係りました水濁農薬の暫定基準は全部原案どおり承認ということになりましたので、この後のことにつきまして事務局の方から御説明いただけますか。

【農薬環境管理室係員】 それぞれの議題において御了解いただきました農薬の登録保留基準につきましては、行政手続法の規定に基づき、今後パブリックコメントを1カ月ほど実施いたします。その結果、何か意見が寄せられた場合につきましては、委員長に再度農薬小委員会で審議を行うべきかどうか相談させていただきまして御判断いただくことにしたいと思います。
 再審議の必要がない場合には、部会長の同意を得て部会報告となり、さらに中央環境審議会長の同意が得られれば答申となります。答申後、告示として基準値を公布させていただきます。

【森田委員長】 よろしいでしょうか。
 それでは、議題のその次に移りたいと思います。3、その他であります。事務局の方から特定農薬指定のための個別資材の評価についての御説明をお願いしたいと思います。

【農薬環境管理室室長補佐】 それでは、資料6をお開きいただけますでしょうか。前回の7月下旬に開催されました農薬小委員会におきまして、特定農薬について本小委員会のもとに特定農薬についての分科会を設置するということと、その特定農薬分科会に御参画いただく委員の先生については森田委員長から御指名いただくということで決定されたところであります。
 それで、資料6の裏側をご覧いただきたいんですけれども、その後、本日までに森田委員長の方から御指名がございまして、こちらの7名の先生方の御指名と、あわせて白石先生に分科会の分科会長としてお務めをいただくということをあわせて御指名がなされておりますので御報告いたします。
 特定農薬分科会につきましては、従来と同様に農林水産省の方で設置されております農林水産省の方の審議会の特定農薬を審議する委員会と合同で御審議をいただくということになりますけれども、現時点でまだ次回の合同会合がいつ開催できるかというところはまだ定まっておりませんが、私どもも農林水産省と協力しまして、早期に開催できるように現在準備を進めているところでございます。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。井上先生、上路先生、白石先生、中杉先生、花里先生、眞柄先生、根岸先生が委員になられておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、その次に移りたいと思います。このことに関しまして、何か御意見とか御質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 それでは、よろしくお願いいたします。
 では、その後、その他の2というところですが、事務局の方からゴルフ場使用農薬の暫定指導指針の改正手続につきまして、経過の御説明をお願いいたします。

【農薬環境管理室農薬企画・調査係長】 資料は参考資料9でございます。ゴルフ場で使用される農薬による水質汚濁の防止に係る暫定指導指針の改正につきましては、前回7月26日に開催いたしました農薬小委員会について御了承いただいたところです。御了承を受けて、8月9日から9月7日までの間パブリックコメントを実施中でございます。また、7月26日の農薬小委員会で御指摘いただいた部分について修正いたしましたので御報告いたします。
 まず、12ページをご覧いただきたいのですが、眞柄委員より希釈倍率について本文に記載されていなかったので本文に記載するようにという御助言をいただきましたので、12ページの2行目から3行目について希釈倍率を10倍とするという記載をいたしました。また、17ページをご覧いただきたいのですが、内田委員よりテブフェノジドについて過去の検出結果として1件検出されておりまして、その検出値が今回改正を予定している指針値を超過するものであったのですけれども、再度都道府県に調査結果について確認したところ、報告ミスであり検出はなかったということから検出数については1であったものをゼロに修正し、濃度範囲についてもn.d.といたしました。
 また、もう一点修正がございまして、16ページをご覧いただきたいのですが、11番のオキサジクロメホン、先ほど水質汚濁の保留基準について御了承いただいたところでございます。ADIについては同じADIを使用しているんですけれども、オキサジクロメホンの一番右端の指針値案をご覧いただきたいのですが、指針値案としては0.2425ですので、3けた目を切り捨てますと0.24となります。こちらについてはパブリックコメントの資料ですので、修正しておりませんけれども、指針改正時には0.23ではなくて0.24の数字で改正をしたいと考えております。
 以上でございます。

【森田委員長】 御説明ありがとうございました。この件につきまして御質問、御意見ございませんでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 よろしいでしょうか。それでは、こういうふうに進んでおるということでございます。
 それでは、本日の審議が一通り終了いたしましたので、その他、本日の審議の全体につきまして、何か御意見あるいは御質問はございませんでしょうか。何でも結構ですので。
 それでは事務局にお返しします。

【農薬環境管理室長】 では、以上をもちまして土壌農薬部会の第22回の農薬小委員会の方を終了させていただきます。委員の皆様、本日は長時間の御審議ありがとうございました。