中央環境審議会土壌農薬部会農薬小委員会(第20回) 議事録
日時
平成22年3月12日(金)14:00~17:15
場所
三田共用会議所 D・E会議室
出席委員
- 委員長
-
- 森田 昌敏
- 委員
-
- 佐藤 洋
- 臨時委員
- 上路 雅子
- 五箇 公一
- 白石 寛明
- 染 英昭
- 中杉 修身
- 中野 璋代
- 花里 孝幸
- 眞柄 泰基
- 山本 廣基
- 渡部 徳子
- 専門委員
- 安藤 正典
- 井上 隆信
- 内田 又左衞門
- 中村 幸二
- 根岸 寛光
- 吉田 緑
(欠席は、井上臨時委員、細見臨時委員)
委員以外の出席者
- 環境省
- 水環境担当審議官、農薬環境管理室長、農薬環境管理室農薬企画・調査係長、農薬環境管理室主査、農薬環境管理室員
議題
- (1)
- 水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定について
- (2)
- 水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定について
- (3)
- その他
配布資料
資料1 | 中央環境審議会 土壌農薬部会農薬小委員会委員名簿 |
資料2 | 中央環境審議会 土壌農薬部会農薬小委員会(第19回)議事録(案) |
資料3 | 諮問書(写)及び付議書(写) |
資料4 | 水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料 |
資料5 | 水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料 |
参考資料1 | 中央環境審議会 土壌農薬部会農薬小委員会(第19回)議事要旨 |
参考資料2 | 水質汚濁に係る農薬登録保留基準に関する安全性評価及び基準値設定の方針(平成20年2月22日土壌農薬部会資料) |
参考資料3 | 農薬評価書 イソプロチオラン(食品安全委員会資料) |
参考資料4 | 農薬評価書 エスプロカルブ(食品安全委員会資料) |
参考資料5 | 農薬評価書 カフェンストロール(食品安全委員会資料) |
参考資料6 | 農薬評価書 グルホシネート(食品安全委員会資料) |
参考資料7 | 農薬評価書 シラフルオフェン(食品安全委員会資料) |
参考資料8 | 農薬評価書 スピネトラム(食品安全委員会資料) |
参考資料9 | 農薬評価書 プレチラクロール(食品安全委員会資料) |
参考資料10 | 農薬評価書 プロピリスルフロン(食品安全委員会資料) |
参考資料11 | 農薬評価書 ブロモブチド(食品安全委員会資料) |
参考資料12 | ゴルフ場使用農薬の暫定指導指針の改正について |
議事
【農薬環境管理室長】 定刻となりましたので、ただいまから土壌農薬部会農薬小委員会(第20回)を開催させていただきます。
委員の出欠確認の前に、新たに農薬小委員会にご所属いただくことになりました委員の先生について御紹介いたします。御紹介の後、一言ごあいさつをお願いします。後退任された花井委員の御後任で、新たに農薬小委員会にご所属いただくことになりました内田又左衞門専門委員でございます。
【内田専門委員】 農薬工業会事務局長の内田といいます。この度この委員に加わらせていただきました。よろしくお願いいたします。
【農薬環境管理室長】 それでは、まず初めに委員の出欠確認をお願いします。
【農薬環境管理室主査】 本日の委員の出欠でございますが、井上臨時委員、細見臨時委員より御欠席するとの連絡をいただいております。したがいまして、本日は18名の委員に御出席いただく予定となっております。
委員、臨時委員総数14名のうち、12名の御出席をいただいており、小委員会開催の要件、定足数8名を満たしておりますことを御報告いたします。
【農薬環境管理室長】 続きまして、本日の配付資料について御確認をいただきたいと思います。
【農薬環境管理室農薬企画・調査係長】 議事次第の記載にございます配付資料の一覧に従いまして、資料の確認をお願いいたします。
まず、資料1として、農薬小委員会委員名簿。資料2として、中央環境審議会土壌農薬部会農薬小委員会(第19回)の議事録(案)。資料3として、諮問書の写し及び付議書の写し。資料4として、水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料。資料5として、水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料。
以降が、参考資料でございますけれども、参考資料1として、農薬小委員会(第19回)の議事要旨。参考資料2が、水質汚濁に係る農薬登録保留基準に関する安全性評価及び基準値設定の方針、こちらは平成20年の土壌農薬部会の資料でございます。続いて、参考資料3が食品安全委員会の資料でございますけれども、イソプロチオランの農薬評価書。参考資料4として、農薬評価書エスプロカルブ。参考資料5として、農薬評価書カフェンストロール。参考資料6として、農薬評価書グルホシネート。参考資料7として、農薬評価書シラフルオフェン。参考資料8として、農薬評価書スピネトラム。参考資料9が、農薬評価書プレチラクロール。参考資料10が、農薬評価書プロピリスルフロン。参考資料11、農薬評価書ブロモブチド。最後に、参考資料12が、ゴルフ場使用農薬の暫定指導指針の改正について。
以上が資料でございます。
また、委員のお手元には審議会や検討会の報告事項をつづっております紙のファイルがございます。こちらは審議会終了後も置いていっていただければと思います。
以上です。
【農薬環境管理室長】 もし足りないものがございましたら、事務局までお申し出ください。特にないようでしたら、議事に入らせていただきます。森田委員長に議事進行をお願いいたします。
【森田委員長】 本日は皆様、御多用中のところ御出席いただきまして、ありがとうございます。
本日の農薬小委員会は、議事次第にございますように、主に二つの議題に関する審議が予定されております。慎重かつ御活発な御審議をお願いいたします。
まず、本日の審議の公開についてお話をしておきたいと思います。
土壌農薬部会の運営方針では、審議中の答申、非公開を前提に収集したデータが記載されている資料など、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある資料や、公開することにより特定の者に不当な利益もしくは不利益をもたらすおそれがある資料などは、委員長の判断に基づいて非公開とするとされています。
今回の農薬小委員会では、申請者から提出された農薬の毒性試験報告書など、企業秘密に当たる資料を使用しないことから、非公開の理由に当たらないため、本日の農薬小委員会については公開とさせていただきます。
さて、議事に先立ちまして、前回12月4日に開催いたしました第19回小委員会の議事要旨の確認をやりたいと思います。事務局の方から御説明をお願いいたします。
【農薬環境管理室主査】 中央環境審議会土壌農薬部会の運営方針では、議事要旨については、委員長に了解をいただければ公開できることとなっております。
本日の参考資料1にございますが、参考資料1の内容で、既に環境省のホームページで公開しておりますので御報告いたします。
【森田委員長】 よろしいでしょうか。
続きまして、前回議事録についてであります。こちらにつきましては、事前にメールで各委員確認済みとのことですが、資料2で配付しております。ご覧になって特段の意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。事前に委員の先生方には見ていただいていることとは思いますが。
(異議なし)
【森田委員長】 それでは、特段の御意見がないようでございますので、これで承認されたということにしたいと思います。
なお、これらにつきましては、土壌農薬部会の運営方針に基づき、公開することとなります。
それでは、これから議事に入りますが、初めに農薬小委員会の決議の取り扱いについての御説明をさせていただきます。
「中央環境審議会土壌農薬部会の小委員会の設置について」の土壌農薬部会決定により、農薬小委員会の決議は部会長の同意を得て、土壌農薬部会の決議とすることができることとなっております。
したがいまして、この農薬小委員会の後には、農薬登録保留基準設定のための土壌農薬部会は招集せず、土壌農薬部会の松本部会長の了解をいただいて、部会としての結論としていくことになります。
それでは、これから議事次第に従って議事を進めたいと思います。
最初に諮問書の紹介になりますが、「農薬取締法第3条第2項の規定に基づき環境大臣が定める基準の設定について」の件につきまして、2月16日付けで環境大臣から諮問があり、同日付けで土壌農薬部会に付議されております。
事務局から諮問書の御紹介をお願いいたします。
【農薬環境管理室農薬企画・調査係長】 それでは、資料3をご覧ください。1ページ目でございますけれども、平成22年2月16日付けで、環境大臣から中央環境審議会会長に対して、以下のとおり諮問がされております。
「農薬取締法第3条第1項第4号から第7号までに掲げる場合に該当するかどうかの基準を定める等の件」について、(1)別紙1の農薬に関し、告示第3号の環境大臣が定める基準を設定すること。(2)別紙2の農薬に関し、告示第4号の環境大臣が定める基準を設定することについて貴審議会の意見を求めるとしております。
1ページめくっていただきますと、裏面が告示第3号の環境大臣が定める基準でございまして、水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準でございます。次の別紙2が、水質汚濁に係る農薬登録保留基準でございます。もう1ページめくっていただきまして、裏面になりますけれども、4ページ目が付議書でございまして、中央環境審議会会長から中央環境審議会土壌農薬部会長に対して、今、御説明した諮問事項について付議がされております。
以上でございます。
【森田委員長】 ありがとうございました。今の御説明に対しまして、御質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
(発言なし)
【森田委員長】 それでは早速ですけれども、議題の(1)に入りたいと思います。
「水産動植物の被害防止に係る農薬の登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定について」の審議に入ります。
この件につきましては、農薬小委員会に先立ちまして、「水産動植物登録保留基準設定検討会」において、基準値設定の根拠となる農薬登録申請者から提出された試験結果や公表文献等、情報の精査を行うとともに、これらのデータに適用する不確実係数等を設定し、基準値の案を策定していただいております。
それでは、事務局の方から資料の説明をお願いいたします。
【農薬環境管理室農薬企画・調査係長】 それでは、個別の剤について、検討いただきたいと思います。資料4をご覧ください。
まず、資料4に沿って、1剤ごとに説明させていただきます。まず1枚めくっていただきまして、1番目のエトキサゾールから御説明いたします。
エトキサゾールは殺ダニ剤でございまして、ハダニに対する脱皮阻害作用による殺虫活性及び孵化阻止作用による殺卵活性を有する農薬でございます。本邦での初回登録は1998年でございまして、登録は水和剤やくん煙剤。適用作物は果樹、野菜、豆、花き、樹木等に適用がございます。物質概要と各種物性については、資料に記載のとおりでございます。
1ページめくっていただきまして、<2>.水産動植物への毒性について御説明いたします。
まず初めに、1.魚類を用いた急性毒性試験の結果でございます。供試生物にコイを用いて、魚類急性毒性試験を実施しておりまして、96時間LC50が630µg/Lという結果でございました。
続きまして、甲殻類の試験結果でございます。オオミジンコを用いたミジンコ類急性遊泳阻害試験を実施しておりまして、48時間EC50が15.9µg/Lという結果でございました。
続いて次のページにまいりまして、藻類の試験結果でございます。シュードキルクネリエラを用いて藻類の生長阻害試験を実施しておりまして、試験の結果、72時間ErC50が3,900µg/L超という結果でございました。
1ページめくっていただきまして、<3>.環境中予測濃度でございます。
1.製剤の種類及び適用農作物等でございますが、本農薬の製剤として水和剤、くん煙剤があり、果樹、野菜、豆、花き、樹木等に適用がございます。
環境中予測濃度の算出としましては、非水田使用時の予測濃度を算出しておりまして、表4に記載しました使用方法及びパラメーターを用いて、環境中予測濃度が最も高くなる値が、算出結果として0.0055µg/Lでございました。
次のページにまいりまして、<4>.総合評価でございます。
(1)の登録保留基準値案でございますけれども、各生物種のLC50及びEC50は以下のとおりでございました。これらの試験結果から、それぞれ急性影響濃度を算出いたしまして、最も小さくなる甲殻類の急性影響濃度から、登録保留基準値1.5µg/Lを基準値案としております。
(2)のリスク評価でございますけれども、環境中予測濃度は非水田PECTier1で0.0055µg/Lでございましたので、登録保留基準値案、1.5µg/Lを下回っているという結果になっております。
以下の検討経緯は、参考でございます。以上です。
【森田委員長】 ありがとうございました。今の御説明に対しまして御質問、御意見ございますでしょうか。
【五箇臨時委員】 質問とかじゃなくて、薬に対するコメントですけれども、これも昆虫類及びダニ類の脱皮阻害剤ということで、昆虫の表皮をつくっておりますキチンを合成する酵素を阻害するということで、生長過程において作用します。したがってミジンコについてもその脱皮に際して非常に強い作用を示しますので、このように非常にミジンコに対して高い毒性を示すという薬になっています。薬に関する説明でした。
【森田委員長】 よろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 それでは、原案どおりご承認をいただいたことにしたいと思います。
では、引き続いて次の剤をお願いいたします。
【農薬環境管理室農薬企画・調査係長】 6ページ目でございます。カルブチレートについて御説明いたします。
<1>.評価対象農薬の概要でございますけれども、1.物質概要については記載のとおりです。
2.開発の経緯等でございますが、カルブチレートは非ホルモン型吸収移行性の尿素系の除草剤でございまして、雑草の光合成阻害により除草活性を有しております。本邦での初回登録は1982年でございます。製剤は粒剤や水和剤で、適用作物は樹木としてございます。
3.各種物性については、資料に記載のとおりでございます。
次のページにまいりまして、<2>.水産動植物への毒性について御説明いたします。
(1)魚類急性毒性試験。表1に急性毒性試験の結果を記載しておりますけれども、コイを用いた魚類急性毒性試験の結果、96時間LC50が7,260µg/L超でございました。
続きまして、甲殻類の試験結果でございます。表2に記載しておりますけれども、オオミジンコを用いて急性遊泳阻害試験を実施しておりまして、48時間EC50が9,890µg/L超という結果でございました。
次のページにまいりまして、藻類の試験結果でございます。表3に結果を記載しておりますけれども、72時間ErC50が120µg/Lという結果でございました。
続きまして、次のページの<3>.環境中予測濃度でございます。
本農薬の製剤としては、粒剤、水和剤がございまして、樹木に適用がございます。したがいまして環境中予測濃度としては、非水田使用時の予測濃度を算出いたしました。第1段階における予測濃度をPECが最も高くなる樹木への粒剤における以下の使用方法の場合について、表4のパラメーターを用いて環境中予測濃度を算出いたしました。表4に注として記載しておりますけれども、今回粒剤のPECが最も高かったんですけれども、地上散布では粒剤の場合はドリフト率を算出しておりません。今回、航空散布ということで、他の粒剤以外の剤型と同様にドリフト率1.7%を用いて算出いたしました。算出した結果、0.094µg/Lというのが予測濃度でございました。
続きまして10ページ目が<4>.総合評価でございます。
(1)の登録保留基準値案として、各生物種のLC50、EC50から、それぞれ急性影響濃度を算出いたしまして、最も小さくなる藻類の急性影響濃度から120µg/Lを基準値案として提案しております。
(2)のリスク評価でございますけれども、環境中予測濃度は非水田PECTier1が0.094µg/Lでございましたので、保留基準値案120µg/Lを下回っております。
説明は、以上でございます。
【森田委員長】 ありがとうございました。それではこのカルブチレートという剤につきまして、御質問、御意見ございませんでしょうか。いかがでしょうか。
(発言なし)
【森田委員長】 特段の意見がなさそうですが、それでは原案どおりでよろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 ありがとうございました。
それでは、引き続きまして三つ目の剤です。クロルピリホスの御説明をお願いいたします。
【農薬環境管理室農薬企画・調査係長】 11ページのクロルピリホスでございます。
1.物質概要については資料に記載のとおりでございます。
2.開発の経緯等でございますが、クロルピリホスは、有機リン系の殺虫剤でございまして、中枢神経系のアセチルコリンエステラーゼ活性を阻害することにより殺虫活性を有します。本邦での初回登録は1971年でございます。製剤は粒剤、水和剤、乳剤の登録がございまして、適用作物は果樹、野菜、いも、豆、花き、樹木等がございます。
3.各種物性については、資料に記載のとおりでございます。
次のページをお願いいたします。<2>.水産動植物への毒性についてでございます。
まず、(1)申請者から提出された試験成績として、コイを用いた魚類急性毒性試験の結果が表1に記載しておりますけれども、96時間LC50が190µg/Lという結果でございました。
(2)環境省が文献等から収集した毒性データでございます。表2に試験結果の概要を記載しておりますけれども、ニジマスを用いて魚類急性毒性試験の結果、96時間LC50が8.0µg/Lという結果でございました。
続きまして次のページになりますけれども、ファットヘッドミノーを用いた魚類急性毒性試験の結果も文献として収集しておりまして、表3に記載しておりますけれども96時間LC50が203µg/Lという結果でございました。
続きまして、甲殻類の試験結果でございます。オオミジンコを用いたミジンコ急性遊泳阻害試験の結果でございますけれども、48時間結果がEC50が0.214µg/Lという結果でございました。
続きまして、次のページにまいりますけれども、ミナミヌマエビを用いたヌマエビ・ヌカエビ急性毒性試験を実施しておりまして、96時間LC50が0.166µg/Lという結果がございました。
続いて(3)になりますけれども、ニッポンヨコエビを用いたヨコエビ急性毒性試験の結果が表6に記載しておりますけれども、96時間LC50が0.139µg/Lという結果でございました。
続いてもヨコエビですけれども、(4)として次のページにまいりますけれども、ヨコエビを用いた急性毒性試験が実施されておりまして、96時間LC50が0.138µg/Lという結果でございました。
次がセスジユスリカを用いたユスリカ幼虫急性毒性試験の結果でございます。表8に記載いたしましたけれども、48時間LC50が1.10µg/Lという結果でございました。
次のページが藻類の結果でございます。表9に記載しておりますけれども、藻類の生長阻害試験の結果、72時間ErC50が326µg/L超という結果でございました。
次のページが<3>.環境中予測濃度でございます。
本農薬の製剤としては乳剤がございまして、樹木に適用がございます。したがいまして第1段階における予測濃度を、非水田使用時の予測濃度として算出いたしました。
PECが最も高くなる果樹に、乳剤を用いる以下の使用方法の場合について、表10に記載いたしました使用方法及びパラメーターを用いて算出した結果、0.044µg/Lが環境中予測濃度でございました。
次のページが<4>.総合評価でございます。
(1)の登録保留基準値案として、各生物種のLC50、EC50は、以下のとおりでございました。これらから魚類急性影響濃度については通常の10で除して算出しておりますけれども、甲殻類等については4種の生物種のデータが存在しておりますので、不確実係数については通常の10ではなく、3を採用しまして、最小値であるヨコエビ急性毒性試験の結果に基づきまして、急性影響濃度を算出いたしました。
それぞれ算出した結果、最も小さい甲殻類の急性影響濃度である0.046µg/Lを基準値案としております。
(2)のリスク評価でございますが、ちょっと1点修正がございます。環境中予測濃度は非水田PECTier10.044µg/Lでございまして、保留基準値案0.046は下回っておりますので、「上回っている」を「下回っている」に修正をお願いいたします。申し訳ありません。
説明は、以上でございます。
【森田委員長】 ありがとうございました。それではこのクロルピリホスについての御意見ございますでしょうか。
【中村専門委員】 ちょっと質問なんですけども、12ページに表2と表3ですか、文献の結果は載っているんですけども、これは他と違って結論がいきなり出ていて、死亡数とかそういうデータが全く抜けているんですけれども、この辺は文献にはなかったんでしょうか。
【農薬環境管理室農薬企画・調査係長】 死亡数が文献に記載されている場合は、記載するようにいたしまして、記載がない場合は項目から記載は抜けております。
【中村専門委員】 あともう1点なんですけれども、最後のリスク評価のところで、一応決まりですから問題はないんですけども、いかにしてもちょっと差が誤差範囲といってもいいぐらいなところなんです。それで、参考までにもしTier2ないしモニタリングのデータがもし入手されているとかありましたら、ちょっと御紹介いただけたらと思うんですけれども。
【農薬環境管理室農薬企画・調査係長】 基準値案とPECが近い農薬については、過去に例がございまして、検討会でも指摘があったところでございます。
非水田の第2段階については、ドリフト試験によるドリフト率と、地表流出試験による流出率の結果が必要となるんですけれども、既存のドリフト率や流出率のデータを用いまして、あくまで仮という段階なんですけれども、第2段階のPECを推定した結果はございます。ドリフト率を考慮した場合ですと、Tier1からTier2に対して75%ぐらいまで数値は下がります。ドリフト率及び流出率を両方考慮しますと、85%ぐらいの削減、数値等はかなり低くなります。実際にその測定の結果はないんですけれども、他の農薬のドリフト率や流出率を用いますと、かなり低くなるものですから、実際の濃度としては低くなると思われます。
【中村専門委員】 ありがとうございました。
【中杉臨時委員】 農薬の話としては、今の御説明で構わないと思うんですが、クロルピリホスの場合は、農薬以外の用途が知られているわけで、それも含めて考えるときにどうするのかなと、これは農薬取締法の中でやる話では多分ないと思うんですが、全体としてやはり考えなきゃいけない。それ以外のものを加えたときに、例えばこの数字を見たときに0.002µg/Lというのは、そこに上乗せしてしまうと、当然超えてしまうような話になってしまうんで、ここら辺のところをどういうふうに考えるかというところを、環境省の方として農薬の担当とそれから水環境の担当ともう少し整合をとって、話し合いをしていただく必要があるのかなと。これはやっぱりいろんな用途があると、どうしてもそうなって、他の化学物質の管理の中でいくと、農薬は別だから、ほぼ農薬を扱っているときにどうしようかということをよく議論するんですけれども、農薬の方で大部分が農薬で使われているのなら、そこでお任せしましょうという話になるんですが、そこら辺をどうするかということを少し考えておく必要があるんじゃないかな。
特にたまたま十分に予測濃度と基準値の差があれば、そこら辺はそんなことは必要ないだろうけども、これだけ接してきてしまって、他の用途が知られているものについて、どういうふうに考えていくのかなというのが、少し気になったものですから、御質問させていただきました。
【農薬環境管理室長】 クロルピリホスの全部データを持っているわけじゃないんで、多分この家庭用の殺虫剤とかに使われているような気もするんですけど、野外で水に使うというのはありましたでしょうか。
【中杉臨時委員】 シロアリ駆除剤があります。
【農薬環境管理室長】 シロアリ駆除剤ですね。それはあると思います。ただ、水に流れる状況というのは、全部調べてみないとわからないんですけど、あまり想定されないというのは気持ちとしてはあるんですが。
【中杉臨時委員】 ですから、そういうふうなものを含めて何か統合的に見て少し議論しておく必要があるんじゃないだろうかと。それは、農薬の方でやるのか、あるいはまた別なところでやるのかわかりませんけども。
【農薬環境管理室長】 総論として申しますと、例えば、衛生害虫の発生しているドブに殺虫剤をまいて蚊を退治するとか、日本脳炎対策とか、そうは実際あり得るんです。そうした場合にドブから川に流れていって、農薬と一緒になって同じ成分が流れるというのは、当然想定されます。確かに我々の問題ではあるなと思ってはいるんですが、今のところ農薬は農薬の世界で規制していますので、そのトータルとして規制するというのは、将来の課題かなというふうには思っております。
【中杉臨時委員】 これは多分後の方で出てくるチウラムなんかは、工業的にも使われていますんで、そういう観点で見るとまた別の要素が入ってくるんで、数字があまり接近していなければ、全くそんなことも考慮しなくて多分大丈夫だろうという話になるんだろうと思うんですけれども、こういうときに少しそういうものを考えていただいて、少なくとも説明を用意していただく必要があるのかなという感じはしました。多分私みたいな形で質問する人間が出てきたときに、答えられる必要が出てくるんじゃないだろうか。
【森田委員長】 ありがとうございます。とりあえず環境中の水中のきちんとしたデータは現在存在をしていないと、そういう認識でよろしいんでしょうか。
【眞柄臨時委員】 これは水道水源では測っているから、データはあるんです。
【森田委員長】 ありますか。
【眞柄臨時委員】 ただ、今、手持ちがないからわからない。
【オブザーバー】 ちょっとよろしいでしょうか。オブザーバーですけど、FAMICの永吉と申します。モニタリングの結果の関係ですけど、昨年に実践したと聞いております。ただ正式に評価されていないところがありまして、ここに示すことはできないんですけど、概略はこの基準値の半分ぐらいというふうに聞いております。
【森田委員長】 多分、そのモニタリングデータは季節とかそういったものによって、サンプリングした時期によって、相当変動する可能性も高いということが考えられると思いますが、登録保留基準値を、恐らく瞬間風速的には超えていることもあるかなという、そういう状態なんだろうと思うんですが。他の委員の先生方、特にこのクロルピリホスはいろんな意味で毒性が比較的強いという意味も含めて、関心の高い物質だと思われますけれども、他の委員の先生方、御意見ございませんでしょうか。
【五箇臨時委員】 生態学的に見ると、確かに物質のこの毒性そのものを見ると、非常に生態影響は大きいであろうということは予測されるものではありますが、この場で議論すべきは本当にこの登録保留基準値を上回るか、下回るかという、割り切りでやることになりますので、決まりごととして、きちんとした手順で計算された数値がこのようになっているので、これはこの法律の中では登録保留基準をクリアしているというふうに結論されてしまいます。
ただ、こういった普通に見てもこれだけ数字が近いのにそれでいいのかというような疑問は、多分どなたが見られても感じるところではあると思いますし、こういったデータができるだけ開示されることで、使い手側自身もそういったものを基準に使うものを選ぶというような時代をこれから迎えていくんであろうと、そういったことを期待してこういった登録保留基準というシステムもあるんだろうと個人的には理解しています。いずれこういった危なそうだなという薬がだんだん淘汰を受けて、より安全性の高いものに選別されていくんだとすれば、こういったシステムは有効であろうと考えておりますので、現状ではこの数字を信じて認可するしかないのではないかなと思います。
【森田委員長】 ありがとうございます。
【上路臨時委員】 よろしいですか。今の五箇委員の御意見にもっともなんですけれども、これは登録保留基準を決めるときにPECのTier1、Tier2、Tier3という3段階で評価するというシステムをつくっておりますので、やっぱりTier1が非常に予測濃度と基準値が近くなった場合、あるいはTier2まで行ったときにどうするかとか、そういうTier1だけを見て、非常に予測濃度とあれが接近しているということにもならないような気がするんです。やっぱりTier1、Tier2、Tier3という3段階を見ながら、リスクというものを考えなくちゃいけないんじゃないかなというふうに判断したいと思いますけれども、いかがでしょうか。
【中杉臨時委員】 Tier1は、Tier2へ行くかどうかという判断をする基準なんで、これを少しでも下回っていればTier2へ行かなくていいと思うんですが、私が申し上げたのは、非常に予測濃度と基準値が近いし他の用途もあるのにも係わらず、農薬だけのことしか考えていない。だからそういう意味では、ただTier1については登録保留基準値を超えるか超えないかはこれで判断しましょうと言っているわけで、これを少しでも下回ればTier2へは行かなくていいという判断をせざるを得ないんだろうと思うんです。先ほど中村委員から御質問があったように、実際にそれじゃあ本当に大丈夫なのかって確認をしておくというのは必要ですけれども、それをどうしてもやらなければいけないということではないだろうというように思います。
【佐藤委員】 やっぱり本質は先ほど中杉委員が御指摘になったときに、こういうマージンが少ないときにどう考えるのかということを、この場とは言いませんけれども、やっぱり環境省全体としては議論する必要があるんだろうなというふうに思いますけれども、そういう方向で考えていただきたいというふうに思いますけれども。
【森田委員長】 ありがとうございます。恐らくこのクロルピリホスは、いろんな意味で消費量というか輸入量とかそういうのは減っていく方向にあるのかと思っておったんですけども、輸入量を見ていると18年度に一旦相当大きく減るんですが、その後なんか少しずつ盛り返しいく感じもありますので。
【眞柄臨時委員】 ちょっとデータ調べていなくてわからないんですが、こういうマージンがもうほとんどないようなものは、検討の段階でモニタリングのデータをやっぱり文献検索して、実情がどうかというのと両方見ていかないと危ない。前にもこういうマージンがない、近いようなものについて実際その環境で出たらどうするかというのは、意見を申し上げたことがあるんですが、現にこの審査の段階でこういうものがあって、既にもう登録されて使われているわけですから、日本の中で探そうと思えばモニタリングのデータがあるわけですから、そういうデータを参考にして審査をしていかないと、その適切な判断ができないんじゃないかと思います。ですから今日結論出すというよりも、環境省の方でモニタリングのデータを調べていただいて、その上で判断をした方が私はよろしいんじゃないかと思います。
【森田委員長】 ありがとうございます。モニタリングデータと、もう一つつき合わせることになっております登録保留基準値の数値そのものはいかがでしょうか、こんなものでよろしいでしょうか。これはこういうルールでやっているところもあるんですが。
【五箇臨時委員】 10のところが甲殻類の試験を特に4種やっておりますので、3で割るという、それはもう法律上の決まりです。なおかつこの数字の決め方については一応確率論的に、つまりその種によっての感受性分布というものを想定したときに、その端に当たる生き物をカバーするのにどれぐらいの割り算がいいだろうかというのを計算した結果がこういうふうな形で出ています。ちょっと4とか3とかざっくりした数字なんで、非常に信用性がないようにも見えるんですが、一応確率論としてのものを根拠にしています。
そういった意味でこの薬一つ取ってみますと、少なくとも甲殻類4種における感受性のばらつきが非常に少ないんです。つまり逆に言えばこの薬はいろんな甲殻類にある一定の低濃度で効いてしまう薬であると考えると、それを考えるとその正規分布曲線では非常に幅の狭い分布曲線を描いているだろうと想定されて、したがって3で割れば大体90何%以上の生き物はカバーできるだろうという理屈で、こういう数字になっているということになります。それでも他に甲殻類はたくさんいるわけだから、他にも外れがいるだろうと言われてしまうと、逆に言えばそれまで考えてしまうと、10で割り算していてもカバーし切れないということになりますので、その辺はあくまでも今我々が持っているリスクデータですね、毒性データをもとに最大限の安全性と最小限のコストというか、使えるものをできるだけ使えるようにするという中のバランスの中で、こういう数字が出ているというふうに考えていただければと思います。
【中杉臨時委員】 眞柄先生が言われることが、わからないわけじゃないんですけれども、マージンが小さいというと、そうするとマージンがどのぐらい小さいとそうするのかという、必ずそういう議論になるんです。確かにそういうのも調べるのが望ましいとは思いますけども、一応ルールとしてこういうふうに決めたルールでありますので、Tier1が登録保留基準を上回れば、Tier2へ行かなくていいよというルールにしてあるわけですよね、今。そうすると今これは一応登録保留基準を下回っているという判断をせざるを得ないんだろうと。確認のために、今回はこれでもうそのとおりでしようがないんじゃないかと思いますけど、次回のときに眞柄先生が言われるように判断をするときに、我々が判断しやすいようにそういうデータもつけていただくと。そういう扱いではないかと思います。
【眞柄臨時委員】 今の中杉先生の言われたことで、これで行くと、もしかするとかつてのオキシン銅のようなことがフィールドで起きる可能性があるんで、そのときにはどうなのっていう話になる。だから、そういう意味では私はやっぱりかなり使われているものですし、既に登録されてから何年もたっているので、環境のデータはないわけじゃないはずですから、それでチェックした方がいいんじゃないかと私は思います。
決めは決めだからというのだったら、それはそれで結構ですけど、オキシン銅みたいな例が出たときに、それはもうそういうことは出るかもしれないよということを覚悟の上で、これを決めるしかないだろうと思います。
【中杉臨時委員】 そのときに、農薬の場合は非常に環境の濃度というのはどのデータをとるかというので物すごく違っちゃうわけです。この場合は急性毒性をやっていますから、本来ぎりぎりの議論をすれば、まいた直後の周りのところではかったデータがないと評価ができないという話になってしまうので、そういうものが手に入るかどうかというところの議論が、また出てきます。
【森田委員長】 よろしいですか。ちょっとこの議論は二つの要素がありまして、1つ目は農薬の登録保留基準値としてエコに対する保留値として0.046µg/Lというのは、そんなにおかしい数字ではないんではないかという意見は、まずあります。2つ目は、リスク評価という項目で書かれているんですが、このリスク評価は相当安全と言い切れないようなレベルに存在していると、この委員会の仕事は、基準値を決めることが目的で、リスク評価をすることまでは入っていないんでしたっけ。どうでしょうか。
【農薬環境管理室長】 基準値を決めるとともに、やはりPECと比べて大丈夫かどうかというリスク評価も含めてお願いしたいと思います。
【森田委員長】 含めてやると。この辺りになると少し難しい要素が入ってきまして、多分まず一つは最初に中杉先生がおっしゃったのは、使い方として水田農薬だけに使っているんではなくて、他の目的に使ったものも環境中に入ってくるであろうと。それも加味して考えるということがやっぱり必要ではないかと。それはこの仕組みの中では必ずしも反映されない。恐らく例えば河川水の濃度とか、そういう生き物が生きている世界での実測値みたいなものがやはり必要かもしれない。評価する上でそれが残ってしまうということ。
それから、今のところ環境中の水の中の濃度というのは必ずしもそろっているわけではないという状況が一方であり、今仮想的な予測濃度というのも使っているけれど、それだけでよいかどうか。それから多分そのような予測の仕方とか、あるいはもっと極端に言えば保留基準値の設定の仕方というものも、これもある意味では運用しているということをやって、絶対的に正しいというわけでもないということが多分に存在している、そういう状況に私たちいるんだろうとは思うんです。
それでは登録保留基準値だけはこのままお認めいただいて、そしてリスク評価のこのコンテクストをどうするかということについて、改めて御意見を伺っておきたいんですが、中村委員の方から最初に言われたのも、やっぱり実測値とある程度比べておいた方が安全ではないかという、そういう意見だったと思いますが。それから眞柄先生の方からは、水道の原水の調査事例があるということがありますし、つまり非水田PECとそれほどオーダーが違わない程度に並んでいるような数字で大丈夫というふうに言い切らない方がいいかもしれないというのが現況でございますが、上路先生、何かご意見はありますか。
【上路臨時委員】 やはりリスク評価として「大丈夫ですよ」と言うためには実測濃度を出しておくということが、一番安全に認めていただきやすいんではないかというふうに思います。
【五箇臨時委員】 結局、この問題で毒性値の方は一応生物の多様性を考慮して幅を持たせているわけなんです。危険域がどの程度のパーセンテージで出そうかということで10で割ったり4で割ったり3で割ったりしている。一方のPECの方が幅を持たせていないですね。あるシミュレーションの中で出された数字でしか出ていなくて、仮想空間で出されている数字なので、そういった空間がどの程度この日本国土においてパーセンテージとして占めているかというと、それはもう全然日本の国土はばらばらで、そういった環境はばらばらなので、今御指摘あったように果たしてこのPECというものが普遍的に出るかと言われると、逆にむしろそれはそれほどの割合では出てこないであろうと考えられると。
だから、毒性値そのものは今かなり厳しくそういった意味で確率論も含めていろいろ工夫をしてこういう形で出されるようになっているのに対して、肝心のPECの方の計算システムそのものの中に、そういった確率論というものがあまり入っていないと。ただしそれをカバーする意味でTier2、Tier3というか、そういう多段階方式にしてより現実に近づけるということにはしているんですが、それもどちらにしてもある特定の設定された空間の中で、あるいはある特定の空間で試験されたデータでしか出されないので、その意味ではPECそのものがどれほどの幅を持たせるべきなのかということが、こういったところの評価で効いてきてしまうことになるんじゃないか。
今ですと、単純に比率で大きいか小さいか、比率というよりも足し算引き算でプラスになるかマイナスになるかでしか、今この第1段階では決定することができないと、そこにやっぱり大きな本当の環境に置いた場合にやっぱりおかしいじゃないかという疑問が出てきてしまうというのが、今この場で出てきているそういった疑問の流れなんじゃないかというふうに考えられます。
【中杉臨時委員】 これ非常に近いというふうに言われて、それはそうなのかもしれないですけれども、そうだとしたら、ルールとしてPECTier1のTier1が登録保留基準の10分の1を超えた場合には、Tier2に行くというルールをつくるべき。そうであれば全く問題ないと思います。だからそこら辺のところは、これは「近いから」というあいまいな言い方だとおかしいんで、それは、じゃあその10分の1を超えたらTier2やりましょうというふうに直すということを決めるんであれば、私は全く反対しません。今ルールとしてTier1との比較で、こういうふうにしますよといっているのを、それを近いからといってやってしまうとルールが何なんだということになってしまうんで、ルールを変えるのであれば、私は全く反対いたしません。
【森田委員長】 いや、これはルールを変えたことになるんでしょうか。
【中杉臨時委員】 Tier1からTier2へ行くというところの判断を変えることになるんじゃないでしょうか。
【森田委員長】 なるんですか。
【上路臨時委員】 これはあくまでも私もTier1と、今のこのPECのデータと、基準値の関係で下回っていればそれでいいと、それは大前提だと思います。それでもしも今議論の中では比較的近いから、安全を見るためにもう少しみんなの実際の濃度を確認するために、やってもらいましょうであって、今先生がおっしゃったような10分の1以下の場合にはどうとか、そういうところまでは全然話は行っていないと思うんですけど。
【中杉臨時委員】 ただ、それは何か決めておいた方が、不公平感がなくていいだろう。
【上路臨時委員】 それはちょっともう少し考えないと。
【井上(隆)専門委員】 Tier制が取られていまして、水田農薬はTier1からTier3、それから非水田はTier1、Tier2とあります。その場合、上位の濃度が、ですから非水田で行きますとTier2の濃度は、Tier1の濃度よりも低くなるというのが前提であります。この剤がTier2になって0.046µg/Lを超えることはないということを前提とした制度ですので、Tier1が非常に近いからといってTier2に行って逆転しないのに、それを求めるということはあまり合理的でないというか、何をやらせているのかということになると思います。
【森田委員長】 今、私たちのやろうとしている作業は、生態中の生き物がうまく守れるかどうかで、そのときの道具としてTier1とかTier2というシミュレーションやっていて、これが正しいかどうかもよくわからない。これはある種のやり方に過ぎない。今、何人かの委員から指摘されたのは、実際の環境中濃度がかなり近いんではないかと。そういうことがもし頭の片隅にあるんだとすると、このルールに合致しているからといって、ぱあっとフリーにしてしまってよいかどうかという議論なんだろうと思うんです。
その問題は、実はそんなに簡単には解けていないので、とりあえず現時点では登録保留基準値の設定までは、これは正しいということにしてしまいたいと思うんですが、評価のところは若干の疑問も出されたので、既に存在する水中濃度と重ね合わせて十分に考えましょうと。中杉先生からご意見があったのは、近いというのは感覚的な話し過ぎるんではないかと。ルール化しておかなきゃいけないだろうという、そういう御指摘がありました。ただ、今まで水産動植物のこの種のリスク評価は、通常登録保留基準値の100分の1とか、そういう数字がごく普通に今までずっと出てきたので、あまりそのことを多分に意識しなかったことはあるんですが、そういう意味ではこれ近いと言えば非常に近いんだろうと思うし、実測濃度がないわけでもないということはありますので、とりあえず一度、実測濃度と比べて…。
【白石臨時委員】 情報を今調べたのですけども、環境省の調査がなされております。水道水系の方はデータがわからないんですけども。2000年、2002年、2003年ぐらいにやられておりまして、検出下限値0.01µg/Lで、測られております。その中で毎年、2000年は59検体測定されていて、そのうち1検体が検出されております。その濃度が0.04µg/Lで他の年では検出されておりません。そういった検出状況だと思います。
【佐藤委員】 ここで言うリスク評価というのは、なんか大層なものと言っては申し訳ない、大層でないものというか、要するにPECとこれ比べてどうなんだという、それだけの判断だろうと思うんですよ、かなり機械的な。それはそれでルールでこういうふうにやってきたんだから、ここまで認めていいんだと思いますけれども、先ほど来指摘されているようにマージンが少ないんじゃないかということになったら、リスク管理の面からはもうちょっと別なことを考えたらいかがですかという、そういう話だろうと私は思うんですけれども。
この小委員会としてやるべきことというのは、やはり決められた手順でやるべきで、もしそれが手順がまずいんだとすれば、別なところで議論して、しっかりルールを決め直してからやるんだと思うんで、近いところでどうするんだという話は、リスク管理の面からもう少し例えばモニタリングするなり、あるいは今、白石委員からデータの話も出ましたけれども、そういうものをしっかり見た上でということだと思うんで、この委員会の役割は淡々とやればいいと思いますけれども。
【森田委員長】 淡々とやるのというのは一つなんですが、だけど、相当心配な部分がないわけではないと。それでいかがでしょうか。
【眞柄臨時委員】 かつてなんかコメントをつけたようなこともあったような。この農薬は環境中でこれに近い数字が検出、さっき白石さんが言われたように0.04µg/L出たことがあるとか、何か書いておけばそれでいい、佐藤先生おっしゃるように、こういう形になって、実際に測ったときに、こんなに高い値が出たけれど、どうなのかしらと思ったときに、そういうこともかつてあったよと、そういうことがわかれば情報をそこへ付記すればよろしいんじゃないんですか。私はそう思います。
【森田委員長】 よろしいですか。
【眞柄臨時委員】 これはまさに水産動植物の被害防止ですけれども、例えばWHOはマラリアコントロールの蚊のために殺虫剤を使っていて、その濃度はこれぐらいだという、そういうガイドラインも出しているんです。ですから、それのまさにこれは逆ですけども、だからそういうことも考えると、先ほどの衛生害虫の駆除のために使っている例もないわけでもないんで、じゃあ環境中にはそれぐらいの濃度があるんだよということを、注意として、ノートしていくということは、かつてやったような気もありますので、そんなに新たなことを言おうとしているのではないだろうとは思います。
【森田委員長】 ありがとうございました。それではリスク評価のところに下回っているということの他に、実測値などと比べたときに、これに近接されるような値も報告されていることに注意をする必要があると、そういう文章を一つ付けて、これでよろしいでしょうか。どうでしょうか。
【眞柄臨時委員】 ここに書くのもよいし、あるいはどこかで解説だとか、あるいは要するにこれも水産動植物ですけども、農薬を使われる方がこれを見るときに、農薬のところにそういう注意書きが入っているかなんかという、そういう仕組みの中で情報を流していただけるということでもいいと思います。
【森田委員長】 そういう形のリスク管理というのがあり得るという認識で。
【農薬環境管理室長】 皆様の御意見いろいろと考えてみますと、まず、PECの考え方が、あくまでもデフォルト時、モデルということなんです。つまり100km2の流域に、非水田だと750haの圃場に当該農薬を5%の面積にまいたという、そういうモデルでつくっていますので、あくまでも決め事なんです。例えば750haにクロルピリホスを全部まいたということも、先ほど五箇先生言ったように確率論の問題なんです。どれぐらいまくかによってPECというのはどうしても左右される。ただ、それを判定するのに750ha全部にまいたとすれば、農薬登録は実際できない。それは水に流れてしまうからです。あくまでもモデルとして普及率5%、農薬が5%普及としたモデルで今回つくって、決め事として登録するかしないかというのをやっていると。
そういう意味において、例えばモニタリングをして登録保留基準を上回ったといった場合に、じゃあこの農薬は登録できないというふうにするのはあまりにも厳し過ぎるし、先ほど言いましたように衛生害虫だとか、他の用途で使われている場合もあるのにもかかわらず、農薬登録ができない。農薬じゃないもので川に流れていて、農薬が登録できない。そうなった場合の現場への混乱とか、そういうことを考えれば、今のやっているモデルを使ったPECと比べて、下回った場合は登録をいたしますというのが、やはり一番正しいのではないかと思います。
ただ、ご懸念の近過ぎる、マージンが少ないのはどうするんだということに関しては、確かにございますので、今後こういう既登録の農薬で、新規登録はもう当然モニタリングしてもありませんので、既登録の農薬でマージンが非常に少ないものについては、環境省が調査したデータとか、そういうのは皆様にお出しして、御議論いただきたいと思います。ただし、御議論いただいたとしても、上回ったからといってだめよとは多分なかなかならないと思います。あくまでも参考データとして皆さんに御議論いただいて、必要に応じてこの中に参考として書き込むと、そういう対応ではいかがかなと思いますが、どうでしょうか。
【森田委員長】 今環境省の農薬環境管理室の方からご提案がありましたけれども、その方向でよろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 ありがとうございます。それじゃあそういうことにしたいと思います。
では引き続きまして、シフルトリン、お願いします。
【農薬環境管理室農薬企画・調査係長】 19ページのシフルトリンでございます。
1.物質概要については資料に記載のとおりでございます。
2.開発の経緯等でございますけれども、シフルトリンはピレスロイド系の殺虫剤でございまして、中枢及び末梢神経系に作用し、神経伝達を阻害することにより殺虫活性を有する剤でございます。本邦の初回登録は1988年でございまして、製剤は乳剤、液剤が、適用作物として果樹、野菜、いも、豆、花き、樹木類等に適用がございます。
3.各種物性については、資料に記載のとおりでございます。
1ページめくっていただきまして、<2>.水産動植物への毒性でございます。
(1)としてコイを用いた魚類急性毒性試験の結果ですけれども、表1にお示ししたとおり、96時間LC50が4.06µg/Lでございました。
(2)の甲殻類の試験結果でございますけれども、オオミジンコを用いた急性遊泳阻害試験の結果、表に記載しておりますけれども、48時間EC50が0.061µg/Lという結果でございました。
続きまして、次のページが藻類生長阻害試験の結果でございます。表3に試験結果を記載しておりますけれども、72時間ErC50が21,700µg/L超でございました。
次のページが<3>.環境中予測濃度でございます。
本農薬の製剤としては乳剤、液剤がございまして、果樹、野菜、いも、豆、花き、樹木等に適用がございます。したがいまして第1段階における非水田使用時の予測濃度を算出した結果、最も高くなる果樹に乳剤を用いる以下の使用方法の場合に、表4のパラメーターを用いて算出した結果、0.0028µg/Lという結果が算出しております。
次のページが<4>.総合評価でございます。
(1)の登録保留基準値案として、各生物種のLC50、EC50から、急性影響濃度をそれぞれ算出いたしまして、最も小さい甲殻類の急性影響濃度から、登録保留基準値案0.0061µg/Lを基準値案としております。
(2)のリスク評価でございますけれども、環境中予測濃度は非水田PECTier10.0028µg/Lでございましたので、保留基準値案0.0061µg/Lを下回っているという結果でございます。
説明は、以上でございます。
【森田委員長】 それでは、今の御説明に対しまして御意見をいただきたいと思いますが、お願いいたします。いかがでしょうか。
先ほどのクロルピリホスで大分いろんな意見が出ましたけど、この剤につきましても相当生態系の毒性が強くて、それから先ほど中杉先生の1桁違っていればという話から見ると、1桁違っていないような。
【中杉臨時委員】 私が申し上げた1桁というのは、仮にの話ですから、幾らでもそこら辺は。今回のはどうなんですか。近いんですか、どうですかという議論になると。
【眞柄臨時委員】 いや、それより、この濃度が測れるという。測定法上の問題の方が多い。
【五箇臨時委員】 この剤に関しても先ほどのクロルピリホス同様、非常に殺虫活性の高い物質で、当然甲殻類等にも非常によく効く薬で、ご覧のとおり登録保留基準値とPECが物すごい、オーダーからいけばほぼ同じで、多分これはもうその意味では、オーダーから言えば先ほどと比較にならないぐらい近いものだと見えるものなんです。ここで少し先ほどのクロルピリホスのところと議論かぶせて、このPECの計算方法そのものについて、いま一度環境省の方にも聞きたいんですけども、これそのものの計算の中には、農薬そのものの物理化学性状というのはどれほど反映されているか。つまり単純に土壌吸着だけの問題じゃなくて、水中光分解性ですね、つまり農薬の寿命とかいわゆる揮発性とか、そういったものが本当に反映されているのかどうかというところです。
そう考えたとき、先ほどのクロルピリホスというのは、割と水溶解度が比較的高い上に寿命が割と長い薬なんです。これは大友室長の方からそういう農薬適用外のところでまかれたとして、例えば水の中に直接放り込むことはないだろうという想定もありますけれども、逆に言えば近いところで幾らでも水中に入っていく可能性があり、さらに水中光分解が鈍いので、水中の中でも割と寿命が長く動くことになると。
それに対してこのシフルトリンというのは、もう土壌吸着係数が計算できないほどがっちり土にくっついてしまう。とすれば、実際そういう畑や苗にまけばまず動くことはない薬であると同時に、さらに水中光分解はすごく早くて、1日ぐらいでなくなってしまうとすると、これは環境中に出た場合、非常に毒性は強いものだけど、出た途端に消えてなくなるとすれば、環境影響というのは低く見積もられることになる。PECそのものがそういったことを視点に置いて計算されているかどうかというのが、本当の意味でのいわゆる環境中予測濃度、どれほど環境中予測濃度というものを、現実に近づけたものとして想定されるかというところで、単純にその毒性値が低い、高い、あるいは環境中予測濃度と近い、遠いというような議論ではなくて、結局はやっぱりPECの計算方法にすごく寄ってくるんじゃないかなというふうに考えられるんです。その辺について、一応この法律をつくった立場であったら本当は知っておかなきゃいけないんですけれども、PECの方について、いま一度環境省の方から説明をいただければと。この会場の中で説明していただいた方が、皆さんにも御納得いただけるか、あるいはまた疑問を呈していただけるんじゃないかと思いますので、すみませんがちょっとその辺の説明をしていただければと思います。
【農薬環境管理室農薬企画・調査係長】 第1段階につきましては、物理化学性については全く考慮しておりません。第2段階についても、原則として考慮しないでまず算出してみて、その結果次第で土壌吸着性ですとか、分解性について考慮をするといった形になっておりまして、基本的には全く考慮しないように今まで進めております。
【五箇臨時委員】 そう考えると、要は農薬化学とさらに生態系というレベルで考えた場合、この薬の場合は使用場面さえ間違えなければ、その土壌中にしっかりくっついちゃった上に、水に出た途端に分解されるので、計算上のPECと非常に近いとはいえ、これはむしろ環境リスクはそういう意味では先ほどのクロルピリホスよりは低いんじゃないかというふうな判断も、本当は可能になってくるということです。要は、逆に今の登録保留基準値とPECとの単純計算でやっておくと、こういった議論が常に蒸し返されるというか、それもしかも近い、遠いということ自体が実あまり科学的ではなくて、むしろそれが本当に環境中の運命・動態というものをどれほど反映しているかということが本当は大事で、システムで今それは入っていない以上、仕方がないんですが、多分、今後の課題としてはそういった農薬そのものの環境中の運命・動態みたいなものも少しは視野に入れた方が、より科学的なリスク評価ができるんじゃないかと。それは意見として述べておきます。
【森田委員長】 上路先生、そんなこと可能ですか。
【上路臨時委員】 私はちょっとPECのことはよくわからないです。むしろ井上先生が関係していらっしゃったので、どこまで作用していくのか。
【井上(隆)専門委員】 PECの考え方は、あくまでもTier1はこれ以上出ないであろうという、最大値を予測するという考え方で、その土壌で吸着されるあるいは水田で分解されるというのは、それが登録保留基準値より上回ったときにはそれを考慮していって、実際の濃度を計算していくということで、Tier1があくまで環境中に出る濃度としてとらえてもらっては困ります。あくまでも登録保留基準と比較するために、今の現在の知見からいって最大これくらいだろうという濃度です。これがTier1からTier2に行って、あるいは実測調査の結果になりますと、それは実際に出ている濃度なんで、その濃度で本当はリスク評価をしなきゃいけないんですけれども、Tier1で出てきた値の見方としては、これが環境中の濃度であるというような見方ではない見方をしていただきたいと思います。あくまでも評価をするための比較のための出した数字だということです。
もう1点ちょっと言わせていただくと、先ほど公表できるデータではないんだけれども、実測をしたらTier1の半分程度だというような紹介があったんですけれども、逆に言うと半分ほど出てくるのであれば、これTier1の出し方が、もう少しそこにマージンを持ったようなTier1を出すようなことも考える必要が出てくるかもしれません。条件を設定したモデルですから、設定の仕方によって変わりますので、実際に幾つか環境省の方でも実測調査をしておりますので、その実測調査の結果でこのTier1より超える濃度も検出されるとか、あるいは近い濃度であれば、もう一度そのモデルを見直すということは、今後していただけることと思っています。
【森田委員長】 この議論はもう少しPECの計算の妥当性とかなんかという、それなりにある種の妥当性を持って既にモデルがつくられたんだと思いますけども、ひょっとすると改良の余地があるかもしれないという。それについては次の課題にしておいてまとめておくのがいいかなという感じもするんですけども、そんなのでよろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 ありがとうございました。それからシフルトリンの方が先ほどのクロルピリホスよりも登録保留基準値がより厳しい数値に近くなっておるんですが、これは物質の毒性から見てこんなものでよろしいでしょうか。つまり相対的な毒性の強さですが、こんなふうになっていると。
【五箇臨時委員】 登録保留基準値ですか。
【森田委員長】 はい。
【五箇臨時委員】 これは合成ピレスロイド剤で非常に、もともと生物に対するスペクトルが広い薬ですので、高活性であるということから考えると、この基準値は妥当であると考えます。
【森田委員長】 いかがでしょうか。原案どおりでよろしいでしょうか。恐らく実測するのは極めて困難で、実測値は出てこないケースもあるんですが、PECの方はあらかじめそれも織り込んだ形で高目に計算している要素もあるということですので。
(異議なし)
【森田委員長】 それじゃあ原案どおり承認ということにしたいと思います。
それでは引き続きまして次の剤、チウラムお願いします。
【農薬環境管理室農薬企画・調査係長】 24ページをご覧ください。チウラムでございます。
1.物質概要については資料に記載のとおりでございまして、チウラムはジメチルジチオカーバメート系の殺菌剤でございまして、解糖やTCA回路のエネルギー代謝によるSH酵素阻害により殺菌活性を有する剤でございます。本邦での初回登録は1954年でございまして、製剤は水和剤、塗布剤がございます。適用作物は稲、麦、雑穀、果樹、野菜、豆等、多岐にわたっております。
3.各種物性については、資料に記載のとおりです。
次のページをご覧いただきまして、<2>.水産動植物への毒性について、御説明いたします。
まず、1番目の魚類急性毒性試験の結果ですけれども、表1に記載いたしましたが、コイを用いて急性毒性試験を実施した結果、96時間LC50が100µg/Lという結果でございました。
続きまして、甲殻類の試験結果でございます。オオミジンコを用いて急性遊泳阻害試験を実施しておりまして、48時間結果がEC50が250µg/Lという結果でございました。
次のページめくっていただきまして、藻類の生長阻害試験の結果でございます。シュードキルクネリエラを用いて生長阻害試験を実施しておりまして、72時間ErC50が16.7µg/Lという結果でございました。
次のページにまいりまして、<3>.環境中予測濃度でございます。
本農薬の製剤としては水和剤、塗布剤が、適用作物は稲、麦、雑穀、果樹、野菜等ございます。なお、稲に適用はございますけれども、種子に粉衣、浸漬、または塗末処理して使用される農薬でございますので、水田の環境中予測濃度を算出しておりません。非水田使用時の予測濃度に関しましては、第1段階における予測濃度を、最も高くなる使用方法及び表4に記載しましたパラメーターを用いてPECを算出いたしました。
なお、表4の注でございますけれども、本使用方法は、果樹等への散布でございますけれども、本農薬については野ネズミ、野ウサギの食害防止を目的としておりまして、樹幹部の下方に散布するということから、果樹の3.4%のドリフト率ではなく、0.1%のドリフト率を用いております。算出の結果は0.38µg/Lという結果でございました。
次のページが<4>.総合評価でございます。
(1)の登録保留基準値案としては、各生物種のLC50及びEC50から、それぞれ急性影響濃度を算出いたしまして、最も小さい魚類の急性影響濃度から、登録保留基準値案10µg/Lを提案しております。
(2)のリスク評価でございます。環境中予測濃度は非水田PECTier1が、0.38µg/Lでございましたので、保留基準値案10µg/Lを下回っております。
以上でございます。
【森田委員長】 ありがとうございました。それではチウラムについての御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。特段御意見がなさそうですが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 それでは、これは特段問題はないということにしたいと思います。
続きまして、フェノキサニルをお願いします。
【農薬環境管理室農薬企画・調査係長】 29ページでございます。
フェノキサニルの物質概要については表に記載のとおりでございます。
フェノキサニルはいもち病菌のメラニン生合成を阻害することにより殺菌効果を有する殺菌剤でございまして、本邦の初回登録は2000年でございます。製剤は粉剤、粒剤、水和剤、マイクロカプセル剤がございまして、適用作物は稲でございます。
各種物性については、表に記載のとおりでございます。
次のページめくっていただきまして、<2>.水産動植物への毒性でございます。
(1)として魚類急性毒性試験の結果でございますけれども、コイを用いた急性毒性試験の結果、96時間LC50が10,100µg/Lという結果でございました。
続きまして、甲殻類の試験結果でございます。オオミジンコを用いた急性遊泳阻害試験の結果、48時間EC50が6,000µg/Lでございました。
次のページが、藻類の結果でございます。藻類生長阻害試験の結果は、72時間ErC50が7,000µg/L超という結果でございました。
続きまして、次のページが<3>.環境中予測濃度でございます。
本農薬の製剤としては粉剤、粒剤、水和剤等がございまして、稲に適用がございますので、水田使用時の予測濃度を算出いたしました。第1段階における予測濃度を、PECが最も高くなる稲に粒剤を用いる以下の使用方法の場合について、表4のパラメーターを用いて算出いたしました。算出した結果、水田PECTier1による結果は、42µg/Lという結果でございました。
次のページが<4>.総合評価でございます。
(1)の登録保留基準値案でございますが、各生物種LC50、EC50は、以下のとおりでございまして、これらから最も小さい急性影響濃度が、甲殻類でしたので、登録保留基準値案としては600µg/Lを提案しております。
(2)のリスク評価につきましては、環境中予測濃度は水田PECTier1が、42µg/Lでしたので、保留基準値案600µg/Lを下回っているという結果でございます。
以上でございます。
【森田委員長】 ありがとうございました。フェノキサニルにつきまして御意見、ございませんでしょうか。こういう2,4-ジクロロフェノールの誘導体みたいなやつというのは、最近はダイオキシンが含まれているかどうかなんていう議論はもうないんでしたっけ。実際の製品の中には。
【上路臨時委員】 よくわかりませんけれども、多分合成の過程でできる可能性のものは、ダイオキシンの分析を要求しているんじゃなかったですかと私は記憶していますけれども。
【農薬環境管理室農薬企画・調査係長】 農水省の方でダイオキシンの存在の有無についてデータ要求されております。
【森田委員長】 そちらはあまり心配しなくていいということでよろしいでしょうか。他に先生方御意見ございますか。この物質については、ではよろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 ありがとうございました。
それでは、続きましてプロパモカルブ塩酸塩、お願いします。
【農薬環境管理室農薬企画・調査係長】 34ページのプロパモカルブ塩酸塩でございます。
物質概要については資料に記載のとおりでございます。
プロパモカルブ塩酸塩は浸透性の殺菌剤でございまして、菌類の細胞膜に作用し、細胞内容物の漏出を引き起こすことによって、殺菌活性を有する剤でございます。本邦での初回登録は1989年でございまして、製剤は液剤の登録が、適用作物は野菜、たばこ、いも、花き、芝等がございます。
各種物性については、資料に記載のとおりでございます。
次のページから、<2>.水産動植物への毒性についてでございます。
本剤につきましては、原体を製造している会社が2社あるため、それぞれの会社から毒性試験が提出されておりますので、生物種ごとに順に記載しております。
まず初めに1番目の魚類急性毒性試験の結果でございます。(1)のコイを用いた魚類急性毒性試験の結果は、96時間LC50が91,900µg/L超でございました。(2)もコイを用いた魚類急性毒性試験の結果でございますけれども、96時間LC50が66,800µg/L超でございました。
次のページをめくっていただきまして、(3)のニジマスを用いた急性毒性試験の結果でございます。96時間LC50の結果は、95,500µg/L超でございました。(4)がブルーギルを用いた試験結果でございます。96時間LC50は、100,000µg/L超でございました。
続いて甲殻類の試験結果でございます。次のページになりますけれども、(1)のオオミジンコを用いた急性遊泳阻害試験の結果が、48時間EC50が95,500µg/L超でございました。(2)のオオミジンコを用いた急性遊泳阻害試験の結果は、48時間EC50が100,000µg/L超でございました。
続きまして、藻類の結果でございます。(1)の藻類生長阻害試験の結果でございますが、319,000µg/Lが、72時間ErC50の結果でございます。
次のページにまいりまして、(2)の藻類生長阻害試験。こちらについては、72時間ErC50が85,000µg/L超という結果でございました。
次のページが<3>.環境中予測濃度でございます。
製剤の種類としては液剤がございまして、適用作物は野菜、芝、たばこ、いも、花き等がございます。したがいまして非水田使用時の予測濃度を算出いたしました。第1段階における予測濃度を、最も高くなるPECを算出した結果、非水田PECTier1による結果は、0.32µg/Lでございました。
次のページが<4>.総合評価でございます。
(1)の登録保留基準値案として、各生物種のLC50、EC50から魚類急性影響濃度を算出いたしました。魚類については3種の生物種のデータがございますので、不確実係数は10ではなく、4を採用し、最も小さいコイの急性毒性試験のデータを採用いたしまして、急性影響濃度を算出いたしました。各生物種の急性影響濃度から、最も小さい甲殻類の急性影響濃度から、登録保留基準値案10,000µg/Lを基準値案として提案しております。
(2)のリスク評価でございますけれども、環境中予測濃度は非水田PECTier10.32µg/Lでしたので、基準値案の10,000µg/Lを下回っているという結果でございます。
以上でございます。
【森田委員長】 ありがとうございました。この剤につきましての御意見をいただきたいんですが、いかがでしょうか。どうぞ。
【井上(隆)専門委員】 1点確認だけなんですけれども、魚類の場合ですべて「超」がついた場合には、今、コイとニジマスとブルーギルの中で一番低いコイを使うんですが、コイの値が二つある場合には、低い方ではなくて高い方を使うということでよろしいんでしょうか。
【農薬環境管理室農薬企画・調査係長】 先生がおっしゃったとおりでございます。別の生物種の場合は小さい方を、同じ種類の場合で超になっている場合は大きい方をということでございます。
【森田委員長】 よろしいでしょうか。いかがでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 よろしいでしょうか。それでは原案どおりにしたいと思います。
次に、プロベナゾールをお願いいたします。
【農薬環境管理室農薬企画・調査係長】 41ページでございます。プロベナゾールでございます。
物質概要については資料に記載のとおりでございます。
プロベナゾールについては、植物体の病害抵抗性反応を誘導することにより、殺菌効果を有する農薬でございまして、本邦での初回登録は1974年でございます。製剤は粒剤、粉粒剤、水和剤等がございまして、稲、野菜に適用がございます。
各種物性については、資料に記載のとおりでございます。
次のページにまいりまして、<2>.水産動植物への毒性でございます。
1の魚類急性毒性試験の結果でございますけれども、コイを用いて実施しておりまして、96時間LC50が3,410µg/Lという結果でございました。
続きまして、甲殻類の結果でございます。オオミジンコを用いて急性遊泳阻害試験を実施しておりまして、48時間EC50が2,710µg/Lでございました。
次のページが藻類の結果でございます。藻類生長阻害試験の結果72時間ErC50が3,070µg/L超でございました。
次のページが<3>.環境中予測濃度でございます。
本農薬の製剤としては粒剤、粉粒剤、水和剤等がございまして、稲及び野菜に適用がございますので、水田使用時及び非水田使用時それぞれ算出いたしました。
(1)の水田使用時の予測濃度でございますけれども、表4に記載しております使用方法及びパラメーターを用いまして算出した結果、水田PECTier1による結果が48µg/Lでございました。
(2)の非水田使用時の予測濃度でございます。表5に記載しております使用方法及びパラメーターに従いまして算出した結果、次のページでございますけれども、0.0063µg/Lが算出結果でございます。
(3)でございますけれども、環境中予測濃度としては(1)及び(2)により、最も値の大きい水田使用時の算出結果をもって、環境中予測濃度は水田PECTier1の48µg/Lとなります。
続いて次のページが<4>.総合評価でございます。
(1)の登録保留基準値案でございますけれども、各生物種のLC50、及びEC50から、それぞれ急性影響濃度を算出いたしまして、最も小さくなる甲殻類の急性影響濃度から、登録保留基準値案270µg/Lを提案しております。
(2)のリスク評価でございます。環境中予測濃度は水田PECTier1が48µg/Lでございましたので、保留基準値案270µg/Lを下回っております。
以上でございます。
【森田委員長】 それではこの剤につきましての御審議をお願いします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 特段御意見がないようでございますので、それではこれも原案どおりとしたいと思います。
それでは、最後の剤になりますベンフルラリンお願いいたします。
【農薬環境管理室農薬企画・調査係長】 47ページでございます。ベンフルラリン、農薬登録上はベスロジンという名前で登録されております。
物質概要については資料に記載のとおりでございます。
ベンフルラリンは、ジニトロアニリン系の除草剤でございまして、雑草の分裂組織の細胞分裂を阻害することにより、除草活性を有します。本邦での初回登録は1968年でございまして、製剤は粒剤、水和剤の登録がありまして、適用作物は芝でございます。
各種物性については、資料に記載のとおりでございます。
次のページにまいりまして、<2>.水産動植物への毒性でございます。
魚類については2種の生物種で実施しておりまして、まず(1)としてコイを持いた魚類急性毒性試験の結果、96時間LC50が29µg/L超という結果でございました。続きまして(2)のニジマスを用いた魚類急性毒性試験の結果、96時間LC50が81µg/Lという結果でございました。
次のページが甲殻類の試験でございます。オオミジンコを用いた急性遊泳阻害試験を実施しておりまして、48時間EC50が96,700µg/L超という結果でございました。
3の藻類でございます。藻類の生長阻害試験の結果は、72時間ErC50が27,100µg/L超という結果でございました。
次のページが<3>.環境中予測濃度でございます。
本農薬の製剤としては粒剤、水和剤がございまして、芝に適用がありますので、非水田使用時の予測濃度を算出いたしました。表5に記載いたしました使用方法及びパラメーターによって算出いたしました結果、非水田PECTier1による結果、0.016µg/Lが算出濃度でございます。
次のページが<4>.総合評価でございます。
各生物種のLC50、及びEC50から、それぞれ急性影響濃度を算出いたしまして、最も小さい魚類の急性影響濃度から、登録保留基準値2.9µg/Lを基準値案としております。
(2)のリスク評価については、環境中予測濃度は非水田PECTier10.016µg/Lでございましたので、保留基準値案2.9µg/Lを下回っております。
以上でございます。
【森田委員長】 ありがとうございました。それではこの剤につきまして、いかがでしょうか。ご意見はございませんでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 よろしいでしょうか。それでは、とりあえずマージンがあるということで、原案どおりにしたいと思います。
ありがとうございました。それではこれで水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準としての基準設定でありますが、すべての剤、いずれの剤におきましても原案どおりということで承認されましたので、よろしくお願いいたします。
それでは次に行くんですが、ちょっと5分ほど軽く休憩をとりたいと思いまして、次は45分ぐらいから再開したいと思います。
(15時41分 休憩)
(15時47分 再開)
【森田委員長】 さて、それではお席についていただいた段階で、再開をしたいと思います。
引き続き議題3の(2)「水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣が定める基準の設定について」の審議に入ります。
それでは、事務局の方から御説明をお願いいただきたいと思います。
【農薬環境管理室主査】 それでは、資料5をご覧ください。資料5は水質汚濁に係る登録保留基準値案に関する資料でございます。
それでは、資料5に沿って1剤ごとに御説明させていただきます。
それでは、1ページ目のイソプロチオランについて、御説明いたします。まず、評価対象農薬の概要について、御説明いたします。物質の概要については、こちらの表に御説明したとおりでございます。
続きまして2.開発の経緯等でございますが、イソプロチオランは稲いもち病菌等に対して強い菌糸生育阻害作用を示すジチオラン環骨格を持つ殺菌剤でございまして、本邦では現在水稲、りんご等に対して適用がございます。
原体の国内生産量は18年度が960.4t、19年度が1,538.9t、20年度が964.5tでございました。
3.各種物性等に関しましては、表にお示ししたとおりでございます。
それから2ページ目へ行っていただきまして、<2>.安全性評価でございますが、こちらは食品安全委員会による評価結果が出ておりまして、0.1mg/kg体重/dayという値が設定されております。なお、この値につきましては、1997年に0.016mg/kg体重/dayという値が設定されておりましたが、この値から現在の値に変更されております。
なお、この値は表の下欄にお示ししておりますが、イヌを用いました1年間慢性毒性試験における無毒性量10mg/kg体重/dayを安全係数100で除して設定されたものでございます。
食品安全委員会の評価書につきましては、こちらの参考資料3としておつけしております。詳細につきましては、時間の都合で説明は割愛させていただきますが、こちらの参考資料3を適宜御参照お願いいたします。
続きまして<3>.水質汚濁予測濃度でございます。本剤につきましては、水田と非水田、いずれの場面でも使用されますので、それぞれの使用場面について水濁PECを算出し、両者を合算して計算しております。
まず(1)水田使用時の水濁PECでございますが、水濁PECが最も高くなる使用方法の場合として、表に示しましたとおり12%粒剤を用いて水稲に適用した場合の水濁PECを算出いたしました。
それからページをおめくりいたしました3ページ目に行っていただきまして、(2)非水田使用時の水濁PECですが、こちらに関しましても同様に水濁PECが最も高くなる使用方法の場合といたしまして、表に示したように20%水和剤を用いまして、日本芝に適用した場合の水濁PECを算出しております。
そして(3)水濁PECの算出結果でございますが、水田使用時、非水田使用時、非水田使用時につきましては地表流出寄与分及び河川ドリフト寄与分を含みますが、を合算いたしまして、最終的に0.19mg/Lとなっております。
それから4ページへ行っていただきまして、<4>.総合評価でございます。1.登録基準値(案)でございますが、表中下欄の算出式より算出いたしました。その結果0.26mg/Lという基準値(案)を提案させていただいております。なお、有効数字につきましてはこの注釈にございますが、ADIは1桁でございますが、その設定根拠となりました毒性試験の無毒性量の有効数字は2桁でございますので、登録保留基準値の有効数字を2桁といたしまして、3桁目は切り捨てて算出いたしました。
それからこのページの一番下をご覧ください。2.リスク評価でございますが、水濁PECが0.19mg/Lでございまして、登録保留基準値(案)の0.26mg/Lを下回っております。
ページをおめくりいただきまして、最後に5ページ目に行ってください。最後に3.農薬理論最大摂取量と対ADI比を参考としてお示ししております。まず、食品からの摂取量に関しましては、各食品群の残留基準値に基づきまして0.6587mgと算出いたしました。
また、飲料水からの摂取量は先ほどの基準値案に基づきまして、0.52mgと算出いたしました。本剤の農薬理論最大摂取量の最終的な対ADI比は22.1%、うち食品経由が12.4%、水質経由が9.8%となっております。
本剤につきましての説明は以上です。
【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、このイソプロチオランにつきましてのご意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。生産使用量とも多いとみえる、若干環境推移からは出てくるような剤だと思いますが、眞柄先生、特段問題ございませんか、大丈夫でしょうか。
【眞柄臨時委員】 大丈夫です。
【森田委員長】 他の委員の先生方、いかがでしょうか。
それではこの物質についての基準値としては0.26mg/Lという設定になります。よろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、これは原案どおり承認ということにしたいと思います。
引き続きましてエスプロカルブ、お願いします。
【農薬環境管理室主査】 それでは6ページのエスプロカルブについて、御説明いたします。
まず、1.評価対象農薬の概要について御説明いたします。物質の概要につきましては、表にお示ししたとおりでございます。
それから、2.開発の経緯等でございますが、エスプロカルブは細胞分裂阻害、特に蛋白質合成阻害によりノビエの生育を抑制または停止させ、枯死させるものと考えられるチオカーバメート系除草剤でございまして、本邦では現在水稲に対して適用がございます。また、小麦については現在、登録適用拡大申請中でございます。
原体の国内生産量は、平成20年度において64.6tでございました。
それから3.各種物性等に関しましては、表にお示ししたとおりでございます。
それからページをおめくりいただきまして、7ページをご覧ください。<2>.安全性評価でございますが、こちらは食品安全委員会による評価結果が出ておりまして、0.01mg/kg体重/dayという値が設定されております。この値につきましては、以前の0.005mg/kg体重/dayという値から現在の値に変更されております。
なお、この値は表の下欄をお示ししておりますが、イヌを用いました1年間慢性毒性試験における無毒性量1mg/kg体重/dayを安全係数100で除して設定されたものでございます。
食品安全委員会の評価書につきましては、こちらの参考資料4としておつけしております。詳細につきましてはちょっと時間の都合で割愛させていただきますが、参考資料4の方を適宜御参照をお願いいたします。
それから、次に、<3>.水質汚濁予測濃度でございますが、本剤につきましては水田と非水田、いずれの場面でも使用されますので、それぞれの使用場面について水濁PECを算出し、両者を合算して計算しております。
まず(1)水田使用時の水濁PECでございますが、水濁PECが最も高くなる使用方法の場合といたしまして、表に示したように7%粒剤を用いて移植水稲に適用した場合の水濁PECを算出いたしました。なお、本剤は表中の水質汚濁性試験等を用いまして、第2段階の水濁PECを用いまして算出しております。
それから8ページへ行っていただきまして、(2)非水田使用時の水濁PECでございますが、こちらに関しても同様に水濁PECが最も高くなる使用方法の場合として、表にお示ししたように60%乳剤を用いて、小麦に適用した場合の水濁PECを算出いたしました。なお、非水田の方につきましては、第1段階の水濁PECを用いて算出しております。
そして(3)水濁PEC算出結果でございますが、水田使用時、こちらは第2段階の水濁PECでございます。非水田使用時、こちらは第1段階の水濁PECでございます。を合算いたしまして、最終的に0.00022mg/Lとなっております。
それからページをおめくりいただきまして、9ページをご覧ください。<4>.総合評価でございます。1.登録保留基準値の案でございますが、表中下欄の算出式により算出いたしました。その結果、0.02mg/Lという基準値案を提案させていただいております。なお、有効数字についてはこちらの注釈にございますとおり、ADI及びその設定根拠となった毒性試験の無毒性量の有効数字がともに1桁でございますので、登録保留基準値の有効数字を1桁といたしまして、2桁目を切り捨てて算出いたしました。
それから9ページの一番下でございますが、2.リスク評価でございます。水濁PECが0.00022mg/Lでございまして、登録保留基準値案の0.02mg/Lを下回っております。
そして、最後に10ページへ行っていただきまして、3.農薬理論最大摂取量と対ADI比を参考としてお示ししております。まず、食品からの摂取量に関しましては、平成21年12月開催の薬事・食品衛生審議会における各食品群の残留基準値案に基づきまして、0.0284mgと算出いたしました。
また、飲料水からの摂取量は、先ほどの基準値案に基づきまして0.04mgと算出いたしました。本剤の農薬理論最大摂取量の最終的な対ADI比は、合計で12.8%、うち食品経由5.3%、水質経由7.5%となっております。
本剤につきましての説明は、以上でございます。
【森田委員長】 ありがとうございました。それではこの剤につきましての御審議をお願いいたします。どうぞお願いいたします。
【井上(隆)専門委員】 有効数字について少し気になったものですが、もとの評価書を見ますと先ほどのイソプロチオランのときには0、2、10、50で試験をして、10を有効数字2桁として、こちらの場合は1でやって、それの有効数字は1なので1桁ということなんですが、そういう解釈でよろしいでしょうか。10というのは1桁なのか2桁なのかわからない数字なんですが。
【農薬環境管理室主査】 エスプロカルブにつきましては、NOAELの有効数字が1桁ですので、基準値につきましては有効数字1桁として計算しております。一方、イソプロチオランにつきましては、NOAELが10と記載されていますが、個別試験成績を見ますと2桁表示をされておりましたので、基準値の有効数字を2桁として算出いたしました。
【森田委員長】 よろしいですか。他に、委員の先生方から御意見ございますでしょうか。このエスプロカルブにつきまして、特段の御意見がないということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、これで原案どおりということにしたいと思います。
引き続きまして、カフェンストロールをお願いいたします。
【農薬環境管理室主査】 それでは11ページのカフェンストロールについて、御説明いたします。
まず、評価対象農薬の概要について御説明いたします。1.物質概要につきましては、こちらの表にお示ししたとおりでございます。
次に2.開発の経緯等でございますが、カフェンストロールは、超長鎖脂肪酸生合成阻害作用により雑草を枯死させるトリアゾール環骨格を有する除草剤でございまして、本邦では現在水稲及び芝に対して適用がございます。
原体の国内生産量は平成18年度が104.1t、平成19年度が90.0t、平成20年度が112.0tでございました。
そして3.各種物性等に関しましては、こちらの表にお示ししたとおりでございます。
それから12ページへ行っていただきまして、<2>.安全性評価でございますが、こちらは食品安全委員会による評価結果が出ておりまして、0.003mg/kg体重/dayという値が設定されております。この値につきましては、以前設定された値から変更されてはおりません。
なお、この値は表の下欄にお示ししておりますが、イヌを用いました1年間慢性毒性試験における無毒性量0.3mg/kg体重/dayを安全係数100で除して設定されたものでございます。
食品安全委員会の評価書につきましては、参考資料5としておつけしております。詳細につきましては時間の都合上で割愛させていただきますが、参考資料5の方を適宜御参照お願いいたします。
次に<3>.水質汚濁予測濃度でございます。本剤につきましては、水田と非水田いずれの場面でも使用されますので、それぞれの使用場面について水濁PECを算出いたしまして、両者を合算して計算しております。
まず(1)水田使用時の水濁PECでございますが、水濁PECが最も高くなる使用方法の場合といたしまして、表に示したように例えば6%水和剤を用いまして水稲に適用した場合の水濁PECを算出いたしました。
ページをおめくりいただきまして、13ページをご覧ください。(2)非水田使用時の水濁PECでございますが、こちらに関しましても同様に水濁PECが最も高くなる使用方法の場合として、表に示したように50%水和剤を用いまして、日本芝に適用した場合の水濁PECを算出しております。
そして(3)水濁PEC算出結果でございますが、水田使用時、非水田使用時を合算いたしまして、最終的に0.0041mg/Lとなっております。
それから14ページへ行っていただきまして、<4>.総合評価でございます。まず1.登録保留基準値の案でございますが、表中下欄の算出式により算出いたしました。その結果、0.007mg/Lという基準値案を提案させていただいております。なお、有効数字につきましては、下の注釈にございますとおり、ADI及びその設定根拠となった毒性試験の無毒性量の有効数字がともに1桁でございますので、登録保留基準値の有効数字を1桁といたしまして、2桁目を切り捨てて算出いたしました。
それから14ページの一番下にございますが、2.リスク評価でございます。水濁PECが0.0041mg/Lでございまして、登録保留基準値案の0.007mg/Lを下回っております。
最後にページをおめくりいただきまして、15ページ目をご覧ください。3.農薬理論最大摂取量と対ADI比を参考としてお示ししております。まず、食品からの摂取量に関しましては、各食品群の残留基準値に基づきまして、0.0225mgと算出いたしました。
また、飲料水からの摂取量は、先ほどの基準値案に基づきまして、0.014mgと算出いたしました。本剤の農薬理論最大摂取量の最終的な対ADI比は合計して22.8%、うち食品経由が14.1%、水質経由が8.8%となっております。
本剤につきましての説明は、以上でございます。
【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、この剤につきまして御意見をいただきますでしょうか。いかがでしょうか、よろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 ありがとうございます。それでは、特段御意見もないようでございますので、原案どおりにしたいと思います。
では、引き続きましてグルホシネート及びグルホシネートPナトリウム塩、お願いします。
【農薬環境管理室主査】 それでは16ページのグルホシネート及びグルホシネートPナトリウム塩について、御説明いたします。
まず、<1>.評価対象農薬の概要について御説明いたします。物質の概要につきましては、それぞれの表にお示ししたとおりでございます。なお、表の下の注釈に記載がございますが、本評価書においてグルホシネートの酸体をグルホシネート[酸]、グルホシネートPナトリウム塩の酸体をグルホシネートP[酸]と表記することにいたします。
続きまして、2.開発の経緯等でございますが、グルホシネートは、グルタミン合成酵素阻害によりアンモニアを蓄積し、植物の生理機能を阻害して殺草活性を示すアミノ酸系除草剤でございまして、本邦では現在小麦、かんきつ、キャベツ、樹木等に対して適用がございます。
原体の輸入量は、平成18年度が873.2t、平成19年度が826.0t、平成20年度が732.3tでございました。
それからページをおめくりいただきまして、17ページをご覧ください。[2]グルホシネートPナトリウム塩でございますが、本剤につきましては活性本体であるL体を選択的に製造したものでございまして、こちらは本邦では現在未登録でございます。
平成18年11月に新規の登録申請が出ておりまして、かんきつ、なす、トマト等に対して適用が申請されております。
3.各種物性等に関しましては、それぞれの表にお示ししたとおりでございます。
それから、<2>.安全性評価でございます。こちらは食品安全委員会による評価結果が出ておりまして、グルホシネート[酸]及びグルホシネートP[酸]を対象といたしまして、0.0091mg/kg体重/dayという値が設定されております。
なお、この値につきましては、表の下欄にお示ししておりますが、ラットを用いた2世代繁殖試験における無毒性量0.91mg/kg体重/dayを安全係数100で除して設定されたものでございます。
食品安全委員会の評価書につきましては、参考資料の6としておつけしております。詳細につきましてもこちらも時間の都合上で割愛させていただきますが、こちらの参考資料6の方を適宜御参照をお願いいたします。
それから18ページへ行っていただいて、<3>.水質汚濁予測濃度でございますが、グルホシネート及びグルホシネートPナトリウム塩ともに非水田のみで使用されますので、非水田における水濁PECを算出しております。
まず[1]として、グルホシネートについて御説明させていただきます。
(1)非水田使用時の水濁PECでございますが、水濁PECが最も高くなる使用方法の場合として、表に示したとおり18.5%液剤を用いて樹木等に適用した場合の水濁PECを算出いたしました。
(2)水濁PEC算出結果でございますが、地表流出寄与分及び河川ドリフト寄与分をあわせまして、最終的に0.00017mg/Lとなっております。
それからページをおめくりいただきまして、19ページをご覧ください。[2]グルホシネートPナトリウム塩について御説明させていただきます。
まず(1)非水田使用時の水濁PECでございますが、水濁PECが最も高くなる使用方法の場合として、表に示したように11.5%液剤を用いて、樹木等に適用した場合の水濁PECを算出いたしました。
そして(2)水濁PEC算出結果でございますが、こちらも地表流出寄与分及び河川ドリフト寄与分をあわせまして、最終的に0.00011mg/Lとなっております。
それから20ページへ行っていただきまして、<4>.総合評価でございます。1.登録保留基準値の案でございますが、注釈の1にありますように、グルホシネート[酸]及びグルホシネートP[酸]として表中下欄の算出式により算出いたしました。その結果、0.024mg/Lという基準値案を提案させていただいております。なお、有効数字につきましてはADIの有効数字とあわせて2桁としております。
それからページをおめくりいただきまして、21ページをご覧ください。2.リスク評価でございますが、グルホシネート[酸]及びグルホシネートP[酸]としての基準値案と、グルホシネート及びグルホシネートPナトリウム塩の水濁PECを酸体に換算した値について比較することといたします。こちらの括弧内に酸体に換算した水濁PECの値を示しております。グルホシネートの酸体の換算値の水濁PECが0.00016mg/L、グルホシネートPナトリウム塩の酸体換算値の水濁PECが0.000095mg/Lでございまして、いずれも登録保留基準値案の0.024mg/Lを下回っております。
最後に、3.農薬理論最大摂取量と対ADI比を参考としてお示ししております。まず、食品からの摂取量に関しましては、今回の登録申請に当たって、まだ厚生労働省の方で各食品群の残留基準値が設定されておりませんので、空欄とさせていただいております。飲料水からの摂取量は、先ほどの基準値案に基づきまして、0.048mgと算出いたしました。これは対ADI比の9.9%となっております。
本剤につきましての説明は以上です。
【森田委員長】 ありがとうございました。このグルホシネートはかなり広く使われる農薬だと思いますが、これにつきまして御意見ございませんでしょうか。いかがでしょうか。結構、分析もそこそこ難しい物質のような気もしますので、なかなか低濃度の測定は難しいと思いますが、ではよろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 御意見がないようですので、では、原案どおりということにしたいと思います。
引き続きまして、シラフルオフェンお願いいたします。
【農薬環境管理室主査】 それでは、22ページのシラフルオフェンについて御説明いたします。
まず<1>.評価対象農薬の概要について御説明いたします。物質の概要につきましてはこちらの表にお示ししたとおりでございます。
2.開発の経緯等でございますが、シラフルオフェンは昆虫の神経膜のナトリウムイオン透過性を変化させまして、最終的に神経線維の興奮伝導を抑制する殺虫剤でございます。本邦では現在水稲、かき、りんご等に対して適用がございます。
原体の輸入量は、平成18年度が46.6t、平成19年度が56.8t、平成20年度が47.9tでございました。
3.各種物性等に関しましては、表にお示ししたとおりでございます。
それからページをおめくりいただきまして、23ページをご覧ください。<2>.安全性評価でございますが、こちらは食品安全委員会による評価結果が出ておりまして、0.11mg/kg体重/dayという値が設定されております。この値につきましては以前設定された値から変更されてはございません。
なお、この値は表の下欄にお示ししておりますが、イヌを用いました1年間慢性毒性試験における無毒性量11.0mg/kg体重/dayを安全係数100で除して設定されたものでございます。
食品安全委員会の評価書につきましては、参考資料7としておつけしております。詳細につきましてはこちらも時間の都合上で割愛させていただきたいと思いますが、参考資料7を適宜御参照をお願いいたします。
次に<3>.水質汚濁予測濃度でございますが、本剤につきましては、水田と非水田いずれの場面でも使用されますので、それぞれの使用場面について水濁PECを算出し、両者を合算して計算しております。
まず(1)水田使用時の水濁PECでございますが、水濁PECが最も高くなる使用方法の場合といたしまして、表に示したように1%粒剤を用いて水稲に適用した場合の水濁PECを算出いたしました。
それから24ページへ行っていただきまして、(2)非水田使用時の水濁PECでございますが、こちらに関しましても同様に水濁PECが最も高くなる使用方法の場合といたしまして、表に示したように20%乳剤を用いて、まつに適用した場合の水濁PECを算出しております。
(3)水濁PEC算出結果でございますが、水田使用時、非水田使用時を合算いたしまして、0.0083mg/Lとなっております。
それからページをおめくりいただきまして、25ページをご覧ください。<4>.総合評価でございます。1.登録保留基準値の案でございますが、表中下欄の算出式により算出いたしました。その結果、0.29mg/Lという基準値案を提案させていただいております。
それから25ページ目の一番下をご覧ください。2.リスク評価でございますが、水濁PECが0.0083mg/Lであり、登録保留基準値案の0.29mg/Lを下回っております。
最後に26ページへ行っていただきまして、3.農薬理論最大摂取量と対ADI比を参考としてお示ししております。まず、食品からの摂取量に関しましては、各食品群の残留基準値に基づきまして、0.3976mgと算出いたしました。
また、飲料水からの摂取量は、先ほどの基準値案に基づきまして0.58mgと算出いたしました。本剤の農薬理論最大摂取量の最終的な対ADI比は合計で16.7%、うち食品経由が6.8%、水質経由は9.9%となっております。
本剤につきましての説明は、以上です。
【森田委員長】 ありがとうございました。それではこの剤につきまして御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。オクタノール/水分配係数は大きいんですけれども、生物濃縮性としては816なので、それほど大して濃縮するわけではなさそうだという、そういう感想かもしれません。とりあえず原案どおりでよろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 それでは、原案どおりにしたいと思います。
引き続きましてスピネトラム、お願いいたします。
【農薬環境管理室員】 27ページのスピネトラムについて御説明いたします。
まず、評価対象農薬の概要について御説明いたします。スピネトラムは、スピネトラム-J及びスピネトラム-Lの混合物であり、物質概要については、それぞれの表にお示ししたとおりです。
28ページに行っていただきまして、2.開発の経緯等ですが、スピネトラムは、土壌放線菌が産生する活性物質スピノシンに由来する殺虫剤であり、本邦では現在未登録です。
平成20年6月に新規の登録申請が出されておりまして、水稲、りんご等に対して適用が申請されております。
3.各種物性等に関しましては、それぞれの表にお示ししたとおりです。
ページをおめくりいただきまして、29ページの<2>.安全性評価ですが、こちらは食品安全委員会による評価結果が出ておりまして、スピネトラム(スピネトラム-J及びスピネトラム-Lの混合物)として0.024mg/kg体重/dayという値が設定されております。
なお、この値は表の下欄にお示ししておりますが、イヌを用いた1年間慢性毒性試験における無毒性量2.49mg/kg体重/dayを安全係数100で除して設定されたものでございます。
食品安全委員会の評価書につきましては、お手元にあります参考資料8としておつけしております。詳細につきましては、時間の都合で割愛させていただきますが、適宜御参照お願いいたします。
次に、<3>.水質汚濁予測濃度ですが、本剤につきましては、水田と非水田いずれの場面でも使用されておりますので、それぞれの使用場面について水濁PECを算出し、両者を合算して計算しております。
(1)水田使用時の水濁PECですが、水濁PECが最も高くなる使用方法の場合として、表にお示ししましたように0.5%粒剤を用いて水稲に適用した場合の水濁PECを算出いたしました。
30ページに行っていただきまして、(2)非水田使用時の水濁PECですが、こちらに関しましても同様に水濁PECが最も高くなる使用方法の場合として、表に示したように25%水和剤を用いてりんごに適用した場合の水濁PECを算出しております。
(3)水濁PEC算出結果ですが、水田使用時、非水田使用時を合算いたしまして、最終的に0.00068mg/Lとなっております。
ページをおめくりいただきまして、次の<4>.総合評価となります。1.水質汚濁に係る登録保留基準値(案)ですが、表中下欄の算出式により算出いたしました結果、0.063mg/Lという基準値(案)を設定させていただいております。
2.リスク評価ですが、水濁PECが0.00068mg/Lであり、登録保留基準値(案)の0.063mg/Lを下回っております。
最後に、32ページに行っていただきまして、3.農薬理論最大摂取量と対ADI比を参考としてお示ししております。まず、食品からの摂取量に関しましては、今回の登録申請に当たって、まだ厚生労働省の方で各食品群の残留基準値が設定されておりませんので、空欄とさせていただいております。
飲料水からの摂取量は、先ほどの基準値(案)に基づいて0.126mgと算出し、これは対ADI比の9.8%となっております。
本剤につきましての説明は以上です。
【森田委員長】 ありがとうございました。それではこの剤につきましての御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
【眞柄臨時委員】 登録保留基準値を出すときに、ADIの10%を配分して数字を出すわけですね。それで、右側の最大摂取量は飲料水からやってくると、10%を前提にして算出されているとすれば、対ADIのうち水質経由は10.0%にならなければならないのに、9.8%になっている。この辺の数値の合わせ方はどうなのですか。
【農薬環境管理室主査】 31ページをご覧いただきますと、この基準値の算出方法がADIに体重をかけて10%配分をし2で割っているのですが、端数処理の際、切り捨てを行っておりますので、32ページ目の基準値案に2L掛けると10%に近い値にはなるのですが、少し減ってしまうという次第でございます。
【眞柄臨時委員】 食品の摂取量、食品の方が出ていないから、結果的にはこういうことになるのでしょうが、あまり見ないですよね。だから数字の丸め方の問題だけで、こういう数字になるのだけれども、もともとの考え方は対ADI比の10%が自らの寄与率だとすれば、3.農薬理論最大摂取量と対ADI比の方も10でないとおかしいわけですよね。もともとの考え方はそういうことなんだから。
【森田委員長】 今までこういう切り下げで数字を1桁に丸めるとかというプロセスの中で多分最大5%まで減るようなことはあるかもしれませんね。
【眞柄臨時委員】 7.5というのは、前にあったから。
【森田委員長】 あります。そのぐらいのことは起こるんです。それで有効数字を2桁まで取ると限りなく10%に近づくんですが、今までのやり方をそのまま踏襲していると。
皆さんいかがでしょうか。とりあえず一応この原案どおりの数値ということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 引き続きましてプレチラクロールお願いします。
【農薬環境管理室員】 33ページのプレチラクロールについて御説明いたします。
まず、<1>.評価対象農薬の概要について説明いたします。物質概要については、表にお示ししたとおりです。
2.開発の経緯等ですが、プレチラクロールは超長鎖脂肪酸生合成系酵素阻害作用により、雑草に対して主に幼芽部の伸長を抑制し増殖を抑え枯死させる酸アミド系除草剤であり、本邦では現在水稲に対して適用があります。
原体の輸入量は平成18年度が184t、19年度が243t、20年度が141tでした。
3.各種物性等に関しましては、表にお示ししたとおりです。
34ページに行っていただきまして、<2>.安全性評価ですが、こちらは食品安全委員会による評価結果が出ておりまして、0.018mg/kg体重/dayという値が設定されております。この値につきましては、以前の0.015mg/kg体重/dayから変更されております。
なお、この値は表の下欄にお示ししておりますラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量1.84mg/kg体重/dayを安全係数100で除して設定されたものでございます。
食品安全委員会の評価書につきましては、お手元の参考資料9としておつけしております。詳細につきましては時間の都合で割愛させていただきますが、適宜御参照をお願いいたします。
次に、<3>.水質汚濁予測濃度ですが、本剤につきましては、水田のみで使用されておりますので、水田使用時の水濁PECを算出いたしております。
(1)水田使用時の水濁PECですが、水濁PECが最も高くなる使用方法の場合として、表に示したように12.5%フロアブル剤等を用いて移植水稲に適用した場合の水濁PECを算出いたしました。
ページをおめくりいただきまして、35ページになりますが、(2)水濁PEC算出結果は、最終的に0.016mg/Lとなっております。
<4>.総合評価となります。1.水質汚濁に係る登録保留基準値(案)ですが、表中下欄の算出式により算出いたしました。その結果、0.047mg/Lという基準値(案)を設定させていただいております。
36ページに行っていただきまして、2.リスク評価ですが、水濁PECが0.016mg/Lとなり、登録保留基準値(案)の0.047mg/Lを下回っております。
最後に3.農薬理論最大摂取量と対ADI比を参考としてお示ししております。まず、食品からの摂取量に関しましては、平成21年7月開催の薬事・食品衛生審議会における各食品群の残留基準値案に基づいて、0.0338mgと算出いたしました。
また、飲料水からの摂取量は先ほどの基準値(案)に基づいて0.094mgと算出いたしました。本剤の農薬理論最大摂取量の最終的な対ADI比は合計13.3%、うち食品経由が3.5%、水質経由9.8%となっております。
本剤につきましては、以上です。
【森田委員長】 ありがとうございました。この剤につきまして御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 原案どおりということにしたいと思います。
それでは次の剤、お願いします。
【農薬環境管理室員】 37ページのプロピリスルフロンについて御説明いたします。
まず、評価対象農薬の概要について御説明いたします。物質概要については、表にお示ししたとおりです。
2.開発の経緯等ですが、プロピリスルフロンは、分岐鎖アミノ酸生合成阻害により雑草を枯死させるスルホニルウレア系除草剤であり、本邦では現在未登録です。
平成20年8月に新規の登録申請が出されておりまして、水稲に対して適用が申請されております。
3.各種物性等に関しましては、表にお示ししたとおりです。
次に、38ページに行っていただきまして、<2>.安全性評価ですが、こちらは食品安全委員会による評価結果が出ておりまして、0.011mg/kg体重/dayという値が設定されております。
なお、この値は、表の下欄にお示ししておりますが、イヌを用いた1年間慢性毒性試験における無毒性量1.11mg/kg体重/dayを安全係数100で除して設定されたものでございます。
食品安全委員会の評価書につきましては、お手元の参考資料10としておつけしております。時間の都合上割愛させていただきますが、適宜御参照をお願いいたします。
次に、<3>.水質汚濁予測濃度ですが、本剤につきましては、水田のみで使用されておりますので、水田使用時の水濁PECを算出いたしました。
(1)水田使用時の水濁PECですが、水濁PECが最も高くなる使用方法の場合として、表にお示ししましたように0.9%粒剤を用いて移植水稲に適用した場合の水濁PECを算出いたしました。
ページをおめくりいただきまして、(2)水濁PEC算出結果ですが、最終的に0.0024mg/Lとなっております。
次に、<4>.総合評価となります。1.水質汚濁に係る登録保留基準値(案)ですが、表中下欄の算出式により算出いたしました。その結果、0.029mg/Lという基準値(案)を設定させていただいております。
40ページに行っていただきまして、2.リスク評価ですが、水濁PECが0.0024mg/Lであり、登録保留基準値(案)0.029mg/Lを下回っております。
最後に、3.農薬理論最大摂取量と対ADI比を参考としてお示ししております。まず、食品からの摂取量に関しましては、今回の登録申請に当たって、まだ厚生労働省の方で各食品群の残留基準値が設定されておりませんので、空欄とさせていただいております。
飲料水からの摂取量は先ほどの基準値(案)に基づいて0.058mgと算出し、これは対ADI比の9.9%となっております。
本剤の説明は、以上です。
【森田委員長】 ありがとうございました。それではこの剤につきまして、御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか、よろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 ありがとうございます。それでは、原案どおりにしたいと思います。
今度は最後の剤かな。ブロモブチドをお願いします。
【農薬環境管理室員】 41ページのブロモブチドについて御説明いたします。
まず、評価対象農薬の概要について説明いたします。物質概要については、表にお示ししたとおりです。
2.開発の経緯等ですが、ブロモブチドは、植物の細胞分裂の阻害によって、根部あるいは茎葉部の伸長を阻害して雑草を枯死させるアミド系除草剤であり、本邦では現在水稲に対して適用があります。
原体の輸入量は平成18年度が497t、19年度が484.8t、20年度が556tでした。
3.各種物性等に関しましては、表にお示ししたとおりです。
次のページ、42ページに行っていただきまして、<2>.安全性評価ですが、こちらは食品安全委員会による評価結果が出されておりまして、0.04mg/kg体重/dayという値が設定されております。この値につきましては、以前の0.017mg/kg体重/dayから変更されております。
なお、この値は表の下欄にお示ししておりますが、ラットを用いた2世代繁殖試験における無毒性量4.0mg/kg体重/dayを安全係数100で除して設定されたものでございます。
食品安全委員会の評価書につきましては、お手元にございます参考資料11としておつけしております。適宜御参照をお願いいたします。
次に、<3>.水質汚濁予測濃度ですが、本剤につきましては、水田のみで使用されておりますので、水田使用時の水濁PECを算出いたしました。
(1)水田使用時の水濁PECですが、水濁PECが最も高くなる使用方法の場合として、表に示したように5%粒剤等を用いて移植水稲に適用した場合の水濁PECを算出いたしました。
1ページをおめくりいただきまして、43ページの(2)水濁PEC算出結果ですが、最終的に0.036mg/Lとなっております。
次に、<4>.総合評価。1.水質汚濁に係る登録保留基準値(案)ですが、表中下欄の算出式により算出いたしました。結果、0.10mg/Lという基準値(案)を設定させていただいております。なお、有効数字については、ADIは1桁ですが、その設定根拠となった毒性試験の無毒性量の有効数字は2桁ですので、登録保留基準値(案)の有効数字を2桁とし、3桁目を切り捨てて算出いたしました。
44ページに行っていただきまして、2.リスク評価となります。水濁PECが0.036mg/Lであり、登録保留基準値(案)の0.10mg/Lを下回っております。
最後に3.農薬理論最大摂取量と対ADI比を参考としてお示ししております。まず、食品からの摂取量に関しましては、各食品群の残留基準値に基づいて0.506mgと算出いたしました。
また、飲料水からの摂取量は、先ほどの基準値(案)に基づいて0.20mgと算出いたしました。本剤の農薬理論最大摂取量の最終的な対ADI比は合計33.1%、うち食品経由23.7%、水質経由9.4%となっております。
本剤につきましては、以上です。
【森田委員長】 ありがとうございました。それではブロモブチドにつきまして御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。特段の問題はなさそうでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 よろしいでしょうか。それでは原案どおりにしたいと思います。
本日のこの水質汚濁の健康項目についての安全性評価の議論は、ほぼすべての物質について一応終わったんですが、全体通しまして何か御意見ございますでしょうか。どうでしょうか、よろしいでしょうか。グルホシネートについては、一応水田には適用がないということで理解してよろしいでしょうか。
【農薬環境管理室主査】 はい。農水省にもそう確認しております。
【森田委員長】 ということで、これにつきましては水田以外のところで水濁PECを出していますので、結果的には軽くクリアするような、そういう構造になっています。
ありがとうございました。それでは、本日、いろいろな物質についての御審議をいただきましたが、ほぼすべての物質について原案どおりということにしたいと思います。それからリン系の農薬の一つにつきましては、若干の熱心な御議論をいただきまして、ありがとうございました。これについては何らかの形で記録にとどめておいていただければと思います。
それでは、一応設定についての審議はこれで終わりたいと思いますので、事務局の方から今後の予定などについての御紹介をお願いいたします。
【農薬環境管理室主査】 それぞれの議題において御了解いただきました農薬の登録保留基準値につきましては、行政手続法の規定に基づきまして、今後パブリックコメントを1カ月ほど実施いたします。その結果、もし仮に何か意見が寄せられた場合につきましては、委員長に再度農薬小委員会で審議を行うかどうかを御相談いたしまして、御判断いただくことにしたいと思います。再審議の必要がない場合は部会長の同意を得、部会報告となりまして、さらに中央環境審議会長の同意が得られればそれで答申となります。そして答申の後、告示として基準値を公布させていだきます。
【森田委員長】 それでは最後に議題のその他といたしまして、事務局の方からゴルフ場使用農薬の暫定指導指針の改正についての報告がありますので、御説明をお願いいたします。
【農薬環境管理室農薬企画・調査係長】 それでは、参考資料12について報告させていただきます。
「ゴルフ場使用農薬の暫定指導指針の改正について」でございます。参考資料、正式名称は「ゴルフ場で使用される農薬の水質汚濁の防止に係る暫定指導指針」と申します。参考資料2枚めくっていただきますと、別添として指針を添付しております。20年以上前になりますけれども、ゴルフ場で使用される農薬について問題となった際に、ゴルフ場で使用される農薬による水質汚濁の防止を図るために、地方公共団体が水質保全の面から、ゴルフ場を使用する際に参考となるように定められたものでございます。平成2年に定められてから、何回か改正をしておりまして、参考資料12の1ページ目に戻っていただきまして、平成2年に定められてから平成3年、平成4年、平成9年、平成13年と改正しておりまして、少しずつ指針値を追加しているところでございます。
2.改正の必要性でございますけれども、現行の指針値は現在45農薬ございますけれども、最終改正が平成13年ということで、かなりの年月が経過をしておりまして、その間に新規の農薬も登録されておりまして、また失効した農薬もございます。またゴルフ場における使用農薬の傾向も変化していることを踏まえますと、改正が必要と考えております。
3番目の改正の方針でございますけれども、まず(1)として、[1]でございますが、ゴルフ場での使用状況等を踏まえ、新たに指針値設定農薬の追加を行います。また既存の指針値を設定している農薬につきましても、安全性評価状況を踏まえまして指針値の変更を行いまして、また登録状況を踏まえて指針値の削除を行います。また、[2]になりますけれども、今回追加する農薬につきましては、新たに一斉分析法を策定しまして、都道府県の負担軽減を図ることとしまして、既存の指針値設定農薬についても、この一斉分析法に可能な限り盛り込むことといたします。また、一斉分析法の実施が不可能な場合には、個別分析法を策定することとしております。また、分析法の策定に当たりましては、7名の専門家からなる分析法検討会を設置しておりまして、本委員会からも安藤委員、上路委員、中村委員に御参画いただきまして、分析法を検討いただいているところです。
続いて(2)の指針値設定農薬追加等についての改正方針でございます。まず[1]として、対象農薬の範囲でございますが、まず現行の指針対象農薬につきましては、通知において「全国的に見て主要なものを選定」したとされておりまして、全国のゴルフ場での使用状況を踏まえまして、追加設定を行うとします。
次に、指針値を設定するためにはADIが必要でございますけれども、芝等適用農薬の中には食用作物への適用がないため、長期試験がございませんので、ADIが設定されていない農薬がございます。一方、平成17年8月に水質汚濁に係る農薬登録保留基準を改正しまして、今後食用、非食用かかわらず、すべての農薬についてADIの設定がなされる予定でございます。
また、本通知におきましては、「指針値の設定に当たっては現在得られている知見等を基に、人の健康の保護に関する視点を考慮」したとされていることから、今回は既にADIの設定がされている農薬について優先的に追加設定を行うことといたします。なお、今後環境省が定める非食用専用農薬の暫定ADIの整備状況にあわせて、適宜見直ししていくことといたします。
[2]のADIの配分でございます。水質汚濁に係る農薬登録保留基準の設定に当たっては、飲料水経由の曝露の配分はADIの10%を原則とされていることから、ゴルフ場の使用農薬の暫定指導指針値の設定に当たっても同様に10%配分を原則といたします。
次が[3]になりますけれども、具体的な対象農薬でございます。今回指針値の追加を行う農薬は、安全性評価状況、ゴルフ場での農薬の使用状況、ゴルフ場排水の調査実態、分析法等を勘案しまして、以下の33農薬、殺虫剤については8農薬、殺菌剤が16農薬、除草剤等9農薬を指針値の追加の候補としております。
次のページへ続いてしまうんですけれども、続いて[4]の削除対象農薬でございます。今回、一般に農薬の有効期限は3年程度ということから、平成22年4月1日から逆算しまして、登録が失効してから4年以上が経過している、かつ水質調査結果において過去3年間検出されなかった2農薬を今回指針値から削除したいと考えております。
続いて、[5]が指針値の変更でございます。前回の平成13年の指針改正時からADIが変更となった17農薬、殺虫剤が3農薬、殺菌剤が7農薬、除草剤等については7農薬について、最新のADIに基づきまして指針値の変更を行うとしております。
次のページにまいりまして、新たに設定する農薬、見直す農薬等ございまして、最終的には新規設定が33農薬で、既存の指針値設定が45農薬で、そこから削除する2農薬を除きますと、改正後は合計76農薬となります。
(3)が今後のスケジュールでございます。今回、本日農薬小委員会で報告した後に、指針値案についてパブリックコメントを実施いたします。その後3月30日に土壌農薬部会が開催されますので、そちらで報告いたしまして、年度が明けてから都道府県に改正の通知をしたいと考えております。
以上でございます。
【森田委員長】 ありがとうございました。どうぞ。
【井上(隆)専門委員】 報告なので、多分言うのであればパブリックコメントで言わなくてはいけないのかもしれないんですけれども、この指針値案がADIの10%を配分しているんですが、ゴルフ場で例えば3ページの30番のカフェンストロールで0.07というのは、今回の水濁法の基準に同じのがあるんですけれども、0.007の10倍希釈されるから0.07が改正基準だとされています。そうするとゴルフ場からその場所で0.007になって、かつ水田と非水田から出てくるのが今回0.007を認めていますので、足すとそこの場所では2倍の0.014になる可能性もあります。理解していただいていますでしょうか。そういうことでも問題はないんでしょうか。
【農薬環境管理室長】 すみません、ちょっと最後まで理解できたかどうか別なんですけど、通常排出、工場なんかも含め基準の10倍掛けてやりますので、ゴルフ場についての排出というのは、ゴルフ場の中に地下が水管が走っていて、ため池みたいなものがあって、そこに水をためておいて、それから流すというシステムをしています。この排水基準についてはゴルフ場の下流のため池の基準というふうに考えていただいて、ですから、流れていけば10分の1になるという前提です。
【井上(隆)専門委員】 それで、まず環境基準点のところを公共用水域のある地点を考えたら、そこが10倍希釈されるというので排出基準が決められているということなので、環境基準点でADIを10%配分の0.007になる可能性があるということです。この考えでゴルフ場の排出指針が決められていると。一方こちらの水田、非水田の方でも出てくるという前提で、あの基準が決められているので、可能性としては足された値の濃度になる可能性がその基準点ではあると思います。それを同じ農薬、今度、前の衛生害虫に使うようなものじゃなくて、登録される農薬についてですので、一括してそこでの基準値が0.007以下になるような担保する方法で管理する必要があるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
【農薬環境管理室長】 水質汚濁の基準をつくる際は、畑地に散布する場合も最大容量で見ていますので、例えば芝に適用があって芝にそれが最大のPECになるのであれば、それを足してやっているわけです。水田と非水田を足してやっているので、当然それはゴルフ場も含んでいるという概念と考えていただきたいと思います。
【井上(隆)専門委員】 ただ、Tier1のモデルではゴルフ場を含んでいなくて、畑地ということでTier1が計算されていまして、今回の場合の14ページですと、そのTier1で計算された値として0.0041というのが出ていますので、最低限0.007と0.0041を足すと、0.01幾らになるんで、それも考慮して決める必要はないんでしょうか。
【眞柄臨時委員】 今、井上先生が言われたことと関係するんですが、私たちは報告を聞く立場ですからわからないんですが、例えば2ページの、「今回指針値の追加を行う農薬は、安全性評価状況、ゴルフ場での農薬の使用状況、ゴルフ場排水の調査実態、分析法等を勘案し」と書いてあるんですが、ここのところを見せてくださらないと、今、井上さんが言われたようなことが起きる可能性があるかどうかという判断ができないです。
現に、幾つかのものはこれに出てきますけれども、ゴルフ場で使われていないものがかなりある、あるいは使われていたとしても非常に少ないから、この濃度になることがないから、これに入れても大丈夫だという、そういうところを見ないと、ただこれだけでいいですよと言われても判断のしようがないんで、だからパブコメで言うしかないのかなと思っていたんですが、井上先生が今、そういうふうにおっしゃってくださったんだとすれば、そこら辺りのデータ、特に使用実態と、それから安藤先生が分析法に入っておられるからいいのかもしれないけど、一斉分析法でやるんだったら幾ら項目増えたって、ワンバッチの分析でできるからいいんですが、もしガスマス、液マス何なりと三つの一斉分析法でかぶさないと全部の農薬ができるかできないかとか、そういうところまで示していただかないと、これだけの数をいわゆるゴルフ場農薬としてある種の規制に対象する妥当性の判断はできない。だから、検討委員会でそういうところまで見てやりましたと言われれば、ああそうですかしか申し上げようがないということです。
【山本臨時委員】 今、パブコメでという話で私もどうしようかなと思っていたんですけども、全然別の話です。さっきまで水産動植物とそれから水濁と両方、登録保留基準をここでいつも決めているというのに今ごろ何を言うのかという話かもしれませんが、例えば今日クロルピリホスで少し議論があったんですが、このゴルフ場使用農薬の暫定指針をこの濃度でいきますと、コイが何匹か浮くわけです。前に一番最初、これ平成2年に決められたときも確かキャプタンかなんかの魚毒性が結構強くて、そういうような、この水は飲んでも大丈夫ですよといっても、魚が浮いている水を飲んで大丈夫と言われて一般的にどうなのでしょうか。理論的にはもちろんいいんでしょうけども。
ですから、これ冒頭申し上げたように、水濁の方の登録保留基準と水産動植物の登録保留基準、ここをどういうふうに考えたらいいのかなというところが、ちょっといつも気になっておりまして、たまたま今日ゴルフ場農薬の話が出たので、少し発言をしました。
【森田委員長】 どうもありがとうございました。環境省は何か御意見ございますか。
【農薬環境管理室長】 検討会で見ているというのであればという話がありましたが、安藤先生中心に、今ゴルフ場で使われている農薬の全部のデータを数ヶ月かかって整理して、順番づけして、100位ぐらい出したのかな。それでどれをしようか、どの農薬をしようか、それからあとは今までのゴルフ場の検査をしたときに、農薬が見つかったもの、見つからないものを見て、それとあと、分析法についても、実は一つだけ本当は入れたいのが抜けています。なぜかというと標準品が日本の国内では販売されていないので分析できないとか、そういう精査をした上でこれは出したつもりでございます。ただ、農薬小委員会の方で再度見たいというのであれば、また少し考えさせていただきたいなというふうに思いますのが、1点と。
それから、あと水産動植物については、何度かそういう議論も確かにあるんですけれども、そうすると水産動植物に基準ができているのもありますけども、それに10倍掛けるという形になるんですかね。できていないのもありますよね。その辺の整理がまだ途中段階なのでできていなくて、今回のゴルフ場の指針値については、平成2年からずっと単純な農薬の追加・削除を続けていますので、私ども今回も単純な農薬の追加・削除を実施して、そこまで考えていないというのが1点。
それからPECの話、いま一つぴんと来ないところがあって、例えば今回資料5の13ページでは芝で実は水濁PECを出していまして、それで計算していますので、こういうのも当然ゴルフ場含みだと私は思うんですが、どうも頭の中が井上先生の発言、私には理解できないところがありまして。
【井上(隆)専門委員】 ではもう一度、水濁PECの計算では、モデルで100平方キロメートルの中でどれだけ畑があって水田があるかというのが決められていますが、その畑の中にはゴルフ場が含まれていないはずなんです。
【農薬環境管理室長】 そういう意味ですね。
【井上(隆)専門委員】 そういう意味です。ですから、その流域に畑とゴルフ場が両方あった場合には、ゴルフ場からは0.007の濃度が出てくる可能性があるということです。
【農薬環境管理室長】 わかりました。
【眞柄臨時委員】 ですから、基本的には農薬取締法の対象になっている使用を前提にしたのが、ゴルフ場以外の農薬であって、ゴルフ場は農薬取締法と全然関係のないジャンルで使われている農薬が出てくるから、それに対して環境としてどういうふうに指導するかというのが、平成2年のつくったときのスタートですから、ですからゴルフ場の農薬の話と、これの前までの議論を話していたのと全く別のことです。それを現実にいくと井上先生みたいなことが起きる可能性はある、それはもう事実そうなんだから。それはそれでそういうものだというふうに理解してかからないと、またそれはそのとおり起きますよというふうに言うしかないんです、それは。
【農薬環境管理室長】 まず農薬についての平成2年当時と現在の違いは、平成2年当時は確かにゴルフ場で使われる農薬は、農薬登録は要るのか要らないのかというたしか議論があって、私もうろ覚えですが、その後ゴルフ場で使う農薬はすべて農薬登録すると。農薬登録しない場合は使えないという形になっていますので、そこは当時とは考え方が変わっています。ですからゴルフ場で使われる農薬は、すべて登録されているというのが実態だと思います。
【眞柄臨時委員】 だから登録はされているけど、PECの枠組みの中には入っていないということなんです。
【農薬環境管理室長】 確かにPECの枠組みの中には「非水田農地」という枠組みでやっていますので、当時ゴルフ場を入れたかどうかというのはよく調べてみないとわからないのですが、多分入っていないと思います。ただ、ゴルフ場を入れたときにどうするかという話になると、トータルになりますので、今の水濁PECの考え方を根本的に見直して農薬の普及率だとか、全部を変えなくちゃいけないものですから、そうなるとまたなかなかできないなというのが正直なところです。
【眞柄臨時委員】 だからここで言う(2)[3]のときの使用状況だとか、その辺の情報がないと、こういうものを足すのが妥当かどうか、そしてそれの指針値案がこの数値で食品経由の10%のADIでいいのかというところを検討しないと、行政的に混乱が起きる可能性があるんじゃないかということを私も感じますし、井上先生もそれを言っておられるんでしょう。
【井上(隆)専門委員】 ありがとうございます。
【安藤専門委員】 今、井上先生もおっしゃった、あるいは眞柄先生もおっしゃったことは非常に重要で、それは一応封印しているんですよ、どちらかというと。どっちみちそういう議論というのはしていかないとまずいだろうなというふうには思うんです。医薬部外品のそういうお話も入ってくるし、そろそろもうそこに入ってきてもいいかなというふうにも思います。確かにこのゴルフ場農薬のこれをつくったときは、非常に斬新的なお話だったと思うんです。それがそのまま来て、我々も機械的にやってきたということになりますので、そろそろそういうことについてちょっとお考えをいただいた方がいいかなと、そういうふうな気がいたします。
【森田委員長】 ありがとうございました。とりあえずじゃあパブリックコメントに応答していただいて、少しお考えいただくということにしたいと思いますので。それでは今日の議論、これで終わりたいと思います。最後に大友室長の方から何かございますか。
【農薬環境管理室長】 ゴルフ場の関係ですが、パブコメに出していただくという手もあるんですが、少し検討をさせてください。パブコメにするかもう1回皆さんに御議論いただくか。というのは、私どもは実はこのペーパーをつくるために3年かけているんです。できるだけ延ばしたくなくて、6月ぐらいから農薬が盛んに使われるようになるので、5月には出せという至上命題で動いてきたものですから、新たに資料が必要だとなると、また遅れてしまうなというのが実はありまして。
【山本臨時委員】 課題として考えられて、次回追加とか削除とかというふうに考えるぐらいのことでいいんじゃないの。今直して。
【農薬環境管理室長】 それでよろしければ、相当な時間かけたものですから、これは全国の農薬を全て分析して、それだけで何ヶ月もかかったり、あと分析法を開発するのに2年かかっているもので、もしそれでよろしければ本当、進ませていただきたいんですけど、また土壌農薬部会で同じことを言われるかもしれないんですけど。ただパブコメはもう始めようと実は思っていまして、土壌農薬部会に入る前に。どうしたらいいか、もう1回延ばしてでも検討しろというのなら検討しますし。
【井上(隆)専門委員】 今回のADIの10%改定、それはそれで出していただいていいと思うんですけれども、そのゴルフ場ができた当初とまた違う点で、水産動植物の登録保留基準、あるいは水濁法上の登録保留基準というのができてきていますので、それと整合性を合わせた全体としてゴルフ場をどうするかという考え方で、新たに指針をどうするかを見直すことを始めていただければと思いますという、それだけ。
【農薬環境管理室長】 つまり今回はこれでいいけれども、次回までに勉強しておけよというふうに取ってよろしいんでしょうか。
【上路臨時委員】 非常にいろんな委員会に出ていまして、この基準をつくるときにすごく都合よくADIを使うんです。ADIの中の10%は水、10%は土というようにやるから、水のところは本当は10%なんだけれども、あっちのものもこっちのものも全部10%を使うから、それがオーバーしてしまうのではないかなというふうに、そういう気がします。だから他のものでも、今他で検討しているのもADIの10%使っていますよね。そうするとそういう加算されてしまうと、本当に10%プラス10%の超えてしまうのかという疑問がわくことは事実だと思うんです。
それで、今回このゴルフ場に関しては、確かにえいやとやらなくてはいけないという安藤先生の気持ちもありますし、そこはいいんですけども、3月にもう1回土壌農薬部会がありますよね。その時までには少なくとも今33農薬ですか、それの大体の実態ぐらいは濃度はこれぐらいなんですよというのがわかるぐらい出していただいた方が理解していただけるんじゃないですか。
【農薬環境管理室長】 わかりました。1点上路先生がおっしゃられた10%配分、10%配分とやっていくと30になるんじゃないかとか、そういう懸念は確かにございますけども、先ほどから水濁の議論聞いていただいたらわかるとおり、実態のPECというのは非常に低いし、あと食品においても最大理論値でさえ非常に低くて、バスケット方式でいくとその10分の1、20分の1になるというのは、上路先生ご存じだと思いますので、私どもはそれほどそんなに心配はしていないんですけれども、いずれにせよ上路先生おっしゃったようなデータを、土壌農薬部会には出せるように準備したいと思います。
【森田委員長】 今日はこれで終わりたいと思いますので、よろしくお願いします。